(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(54)【発明の名称】水中油エマルジョン及びその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 8/898 20060101AFI20221221BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20221221BHJP
A61Q 5/06 20060101ALI20221221BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20221221BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20221221BHJP
A61Q 5/04 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
A61K8/898
A61K8/06
A61Q5/06
A61K8/891
A61Q5/12
A61Q5/04
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022523917
(86)(22)【出願日】2019-10-25
(85)【翻訳文提出日】2022-06-16
(86)【国際出願番号】 CN2019113223
(87)【国際公開番号】W WO2021077387
(87)【国際公開日】2021-04-29
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns-Seidel-Platz 4, D-81737 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リャン,シンユー
(72)【発明者】
【氏名】リャン,ユーウェン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC232
4C083AC472
4C083AC532
4C083AC692
4C083AC862
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD282
4C083CC32
4C083CC33
4C083DD31
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
室温で乾燥させた際に高い架橋度及び改善された強度を有する薄膜を形成する、新規な水中油エマルジョン。これは、ヘアケア製品において、ヘアスタイルを維持しそしてなめらかでべたつかない手触りを供するために、使用され得る。この新規なエマルジョンはまた、良好な保存安定性をも有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のアミノポリオルガノシロキサン(A1)、1以上のシリコーン樹脂(A2)、界面活性剤組成物(B)及び水を含む、薄膜形成性水中油エマルジョンであって、
ここで、アミノポリオルガノシロキサン(A1)の単位の少なくとも80mol%は、以下の一般式Ia、Ib、II及びIIIを有するものから選択される:
R
1
2SiO
(4-a-b)/2 (Ia)
R
1
aR
2
bSiO
(4-a-b)/2 (Ib)
R
3
3SiO
(1/2) (II)
R
3
2R
4SiO
(1/2) (III)
ここで、
aは、0又は1の値を有し、bは、1又は2の値を有し、そしてa+bは、2に等しく;
R
1は、1~40の炭素原子を有する一価の炭化水素基を表し;
R
2は、一般式IVのアミノアルキル基を表し:
-R
5-NR
6R
7 (IV)
ここで、R
5は、1~40の炭素原子を有する二価の炭化水素基を表し、
R
6は、1~40の炭素原子を有する二価の炭化水素基、H、ヒドロキシメチル又はアルカノイルを表し、そして
R
7は、一般式Vの基を表し:
-(R
8-NR
6)
xR
6 (V)
ここで、xは、0又は1~40の任意の整数であり、そしてR
8は、一般式VIの二価の基を表し:
-(CR
9
2-)
y (VI)
ここで、yは、1~6の任意の整数であり、そしてR
9は、H又は1~40の炭素原子を有する炭化水素基を表し;
R
3は、1~40の炭素原子を有する、任意選択的にハロゲンで置換される炭化水素基を表し;
R
4は、-OR又は-OH基を表し;そして
(Ia+Ib)/(II+III)は、一般式Ia及びIbの単位の合計対一般式II及びIIIの単位の合計の平均比率を意味し、0.5~1000の範囲であり、ここで、II/III≦1であり、好ましくはII/III≦0.9であり、より好ましくはII/III≦0.5であり、よりさらに好ましくはII/III≦0.3であり、最も好ましくはII/III=0であり;
具体的には、アミノポリオルガノシロキサン(A1)は、3,000~9,000mPa・s、より好ましくは3,000~7,000mPa・s、最も好ましくは4,000~6,000mPa・sの粘度を有し;そして
シリコーン樹脂(A2)の単位の少なくとも80mol%は、以下の一般式VII、VIII、IX及びXを有するものから選択される:
R
10
3SiO
(1/2) (VII)
R
10
2SiO
(2/2) (VIII)
R
10SiO
(3/2) (IX)
SiO
(4/2) (X)
ここで、
R
10は、1~40の炭素原子を有する、任意選択的にハロゲンで置換される炭化水素基、又はH、-ORもしくは-OH基を表し、
この単位の少なくとも20mol%は、一般式IX及びXを有するものから選択され、そして
R
10の最大30wt%は、シリコーン樹脂(A2)の総重量に基づいて-OR及び/又は-OH基である、エマルジョン。
【請求項2】
アミノポリオルガノシロキサン(A1)の末端基におけるヒドロキシル基のモル数が、アルコキシ基のモル数よりも大きい、請求項1に記載のエマルジョン。
【請求項3】
低粘度の油(A3)を含み、このA3が、A3の総重量を100wt%としてこれに基づき、揮発性油を80wt%以上、好ましくは90wt%以上、より好ましくは95wt%以上の量で含む、請求項1又は2に記載のエマルジョン。
【請求項4】
低粘度の油(A3)及びシリコーン樹脂(A2)が、1~20、好ましくは2~10、より好ましくは3~8、最も好ましくは4.5~7の質量比で使用される、請求項1~3のいずれか1項に記載のエマルジョン。
【請求項5】
エマルジョンの総重量を100wt%としてこれに基づき、
10~20wt%の1以上のアミノポリオルガノシロキサン(A1)、及び/又は
0.1~4wt%の1以上のシリコーン樹脂(A2)、及び/又は
4~10wt%の界面活性剤組成物(B)、及び
水を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のエマルジョン。
【請求項6】
シリコーン樹脂(A2)が、シリコーン樹脂(A2)の全ての単位を100mol%としてこれに基づき、少なくとも80mol%、好ましくは少なくとも90mol%、より好ましくは少なくとも95mol%の、一般式VII及びXを有するものから選択される単位を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のエマルジョン。
【請求項7】
エマルジョンの総重量を100wt%としてこれに基づき、0.1~2w%、好ましくは0.2~0.8w%、より好ましくは0.3~0.7w%、最も好ましくは0.41~0.6w%の量で、1以上のシリコーン樹脂(A2)を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエマルジョン。
【請求項8】
リーブオンヘアケア製品又はリンスオフヘアケア製品における、好ましくはリンスオフヘアケア製品における、請求項1~7のいずれか1項に記載のエマルジョンの使用。
【請求項9】
ヘアスタイル、特にパーマネント又は一時的なヘアスタイリング方法によって処理されている髪におけるヘアスタイルを維持するため、及び好ましくはこの髪のカールの程度を維持するための、リーブオンヘアケア製品又はリンスオフヘアケア製品における、請求項1~7のいずれか1項に記載のエマルジョンの使用。
【請求項10】
前記リンスオフヘアケア製品が、コンディショナー又はヘアマスクである、請求項8又は9に記載の使用。
【請求項11】
前記リーブオンヘアケア製品が、気圧ヘアスタイリングスプレー又はヘアスタイリングジェルである、請求項8又は9に記載の使用。
【請求項12】
前記リーブオンヘアケア製品が、髪に施される一時的なスタイリング処理を実現するために髪に適用される、請求項8又は9又は11に記載の使用。
【請求項13】
前記リーブオンヘアケア製品が、パーマネント又は一時的なヘアスタイリング方法によって処理されている乾いた髪に適用される、請求項8又は9又は11に記載の使用。
【請求項14】
前記リンスオフヘアケア製品が、濡れた髪に適用され、その後、この髪の乾燥プロセスの間及び/又はその後にパーマネント又は一時的なヘアスタイリング方法によって処理される、請求項8又は9又は10に記載の使用。
【請求項15】
前記リンスオフヘアケア製品が、濡れた髪に適用され、次いで、少なくとも1分間の間接触を保たれ、好ましくはこのプロセスの後にこの髪が熱処理される、請求項8又は9又は10又は14に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、薄膜形成性水中油エマルジョン及びパーソナルケア製品におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
水中油エマルジョンとは、連続的な水相中に不連続的な油相が液滴として分散している分散系をいい、ここで、油液滴は、一般に、球形であるか又はほぼ球形であり、代表的には界面活性剤で覆われている。粒子サイズ及び外観にしたがって、エマルジョンを、標準エマルジョン、ミニエマルジョン及びマイクロエマルジョンに分類することができることが、公知である。標準エマルジョンは、比較的大きい粒子サイズ(代表的には300nmより大きい)を有し、人間の目には不透明な、乳白色の外観を有する。ミニエマルジョンは、比較的小さい粒子サイズを有し、青みがかった白色から半透明の外観を有すると視認される。マイクロエマルジョンは、透明性の高い製品を製造するために好適な透明な外観を有し、相分離又は沈殿に対して最も安定性が高い。
【0003】
アミノポリオルガノシロキサン及び高分子量シリコーンのエマルジョンは、ヘアケア組成物において広く使用されている。ヘアコンディショナーとしての使用のための、このようなシリコーンオイルを含有する水ベースの製品を提供するために、種々の種類のエマルジョンが、商業用に開発されている。
【0004】
US6737444B1は、水中油エマルジョンを作るための方法を開示する。ここでは、アミノポリオルガノシロキサンとシリコーン樹脂とが、混合されて均質な油相を形成し、ここに、界面活性剤組成物が加えられて均質な混合物が得られ、次いで、この混合物に水が加えられて相反転を起こし、100~5,000nmの範囲内の粒子サイズを有する不透明な水中油エマルジョンを形成する。
【0005】
US6180117B1は、アミノメチルシリコーン液とシリコーン樹脂混合物とのエマルジョンを調製するためのプロセスを開示する。ここで、シリコーン樹脂を含有する油相は、特定の相反転温度を有する選択された界面活性剤組成物と室温で混合され、そして70℃まで加熱され、加熱の間、第一部の水、酸及び第二部の水が加えられて、5~50nmの範囲の粒子サイズ及び150未満の濁度を有する水中油エマルジョンが得られる。
【0006】
US7319119B2は、低粘度アミノ官能性シリコーンオイルをシリコーン樹脂と混合することによってエマルジョンを調製するためのプロセスを開示する。
【0007】
WO2018218417A1は、液体アミノポリオルガノシロキサン及びシリコーン樹脂を含むマイクロエマルジョンを開示する。低粘度アミノポリオルガノシロキサンが選択された場合、このマイクロエマルジョンは、一様な固体薄膜を形成することができるが、しかし、これは低い強度を有しかつ外力下での破損を生じやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6737444号明細書
【特許文献2】米国特許第6180117号明細書
【特許文献3】米国特許第7319119号明細書
【特許文献4】国際公開第2018/218417号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
発明の概要
本発明は、室温で乾燥させた際に高い架橋度及び改善された強度を有する薄膜を形成する、新規な水中油エマルジョンを得ることを企図する。これは、ヘアケア製品において、ヘアスタイルを維持しそしてなめらかでべたつかない手触りを供するために使用され得る。この新規なエマルジョンはまた、良好な保存安定性をも有する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1以上のアミノポリオルガノシロキサン(A1)、1以上のシリコーン樹脂(A2)、界面活性剤組成物(B)及び水を含む、薄膜形成性水中油エマルジョンであって、
ここで、アミノポリオルガノシロキサン(A1)の単位の少なくとも80mol%は、以下の一般式Ia、Ib、II及びIIIを有するものから選択される:
R1
2SiO(4-a-b)/2 (Ia)
R1
aR2
bSiO(4-a-b)/2 (Ib)
R3
3SiO(1/2) (II)
R3
2R4SiO(1/2) (III)
ここで、
aは、0又は1の値を有し、bは、1又は2の値を有し、そしてa+bは、2に等しく;
R1は、1~40の炭素原子を有する一価の炭化水素基を表し;
R2は、一般式IVのアミノアルキル基を表し:
-R5-NR6R7 (IV)
ここで、R5は、1~40の炭素原子を有する二価の炭化水素基を表し、
R6は、1~40の炭素原子有する二価の炭化水素基、H、ヒドロキシメチル又はアルカノイルを表し、そして
R7は、一般式Vの基を表し:
-(R8-NR6)xR6 (V)
ここで、xは、0又は1~40の任意の整数であり、そしてR8は、一般式VIの二価の基を表し:
-(CR9
2-)y (VI)
ここで、yは、1~6の任意の整数であり、そしてR9は、H又は1~40の炭素原子を有する炭化水素基を表し;
R3は、1~40の炭素原子を有する、任意選択的にハロゲンで置換される炭化水素基を表し;
R4は、-OR又は-OH基を表し;そして
(Ia+Ib)/(II+III)は、一般式Ia及びIbの単位の合計対一般式II及びIIIの単位の合計の平均比率を意味し、0.5~1000の範囲であり、ここで、II/III≦1であり、好ましくはII/III≦0.9であり、より好ましくはII/III≦0.5であり、よりさらに好ましくはII/III≦0.3であり、最も好ましくはII/III=0であり;そして
アミノポリオルガノシロキサン(A1)は、3,000~9,000mPa・s、より好ましくは3,000~7,000mPa・s、最も好ましくは4,000~6,000mPa・sの粘度を有し;そして
ここで、シリコーン樹脂(A2)の単位の少なくとも80mol%は、以下の一般式VII、VIII、IX及びXを有するものから選択される:
R10
3SiO(1/2) (VII)
R10
2SiO(2/2) (VIII)
R10SiO(3/2) (IX)
SiO(4/2) (X)
ここで、
R10は、1~40の炭素原子を有する、任意選択的にハロゲンで置換される炭化水素基、又はH、-ORもしくは-OH基を表し、
この単位の少なくとも20mol%は、一般式IX及びXを有するものから選択され、そして
R10の最大30wt%は、シリコーン樹脂(A2)の総重量に基づいて-OR及び/又は-OH基である。
【0011】
本発明の「薄膜形成性」水中油エマルジョンとは、いかに薄膜を形成するか及び薄膜形成の程度が、本明細書中の節「薄膜形成実験」において規定されるエマルジョンをいう。高い架橋度及び改善された強度を有する薄膜とは、表3におけるスコアが2以上であり、好ましくは3以上である場合をいう。
【0012】
上記エマルジョンにしたがうと、アミノポリオルガノシロキサン(A1)の末端基におけるヒドロキシル基のモル数は、アルコキシ基のモル数よりも大きい。
【0013】
上記エマルジョンにしたがうと、アミノポリオルガノシロキサン(A1)は、0.01meq/g以上、好ましくは0.05mmol/g以上、より好ましくは0.1mmol/g以上のアミン数を有する。
【0014】
上記エマルジョンにしたがうと、シリコーン樹脂(A2)は、主に、MQ型樹脂である、シリコーン樹脂(A2)の全ての単位を100mol%としてこれに基づき、少なくとも80mol%、好ましくは少なくとも90mol%、より好ましくは少なくとも95mol%は、一般式VII及びXを有するものから選択される。
【0015】
上記エマルジョンにしたがうと、シリコーン樹脂(A2)は、0.5~0.7のM/Q比を有する。
【0016】
上記エマルジョンにしたがうと、シリコーン樹脂(A2)は、A2の総重量に基づいて、10wt%、好ましくは5wt%未満、より好ましくは1wt%未満の量のフェニル基を含む。
【0017】
上記エマルジョンにしたがうと、シリコーン樹脂(A2)は、2,000g/mol以上、好ましくは2,000~20,000g/mol、より好ましくは2,000~10,000g/mol、最も好ましくは5,000~8,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有する。
【0018】
上記エマルジョンにしたがうと、シリコーン樹脂(A2)は、25℃及び1atmにて、固体である。
【0019】
上述のエマルジョンは、任意選択的に低粘度の油(A3)を含み、このA3は、A3の総重量を100wt%としてこれに基づき、揮発性油を80wt%以上、好ましくは90wt%以上、より好ましくは95wt%以上の量で含む。
【0020】
上記エマルジョンにしたがうと、低粘度の油(A3)及びシリコーン樹脂(A2)は、1~20、好ましくは2~10、より好ましくは3~8、最も好ましくは4.5~7の質量比で使用される。
【0021】
上記エマルジョンにしたがうと、界面活性剤組成物(B)は、アルキルアルコールポリエーテルベースの非イオン性界面活性剤であり、好ましくは、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、イソ-トリデカノールポリオキシエチレンエーテル、C11-C15ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンオレイルエーテルの1つ又は組み合わせである。
【0022】
上記エマルジョンにしたがうと、界面活性剤組成物(B)は、1以上のアルキルアルコールポリエーテルベースの非イオン性界面活性剤であり、好ましくは、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、イソ-トリデカノールポリオキシエチレンエーテル、C11-C15ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンオレイルエーテルの1つ又は組み合わせである。
【0023】
上述のエマルジョンは、アミノポリオルガノシロキサン(A1)、シリコーン樹脂(A2)及び任意選択の低粘度の油(A3)、ならびに界面活性剤組成物(B)を含み、この界面活性剤組成物(B)は、イソ-トリデカノールポリオキシエチレンエーテルを含みそして12.5~13、好ましくは8~12、より好ましくは9~11の平均HLB計算値を有することによって特徴づけられる。
【0024】
上述のエマルジョンは、
エマルジョンの総重量を100wt%としてこれに基づき、
10~20wt%の1以上のアミノポリオルガノシロキサン(A1)、及び/又は
0.1~4wt%の1以上のシリコーン樹脂(A2)、及び/又は
4~10wt%の界面活性剤組成物(B)、及び
水を含む。
【0025】
上述のエマルジョンは、エマルジョンの総重量を100wt%としてこれに基づき、10~20wt%、好ましくは12~18w%の量で、1以上のアミノポリオルガノシロキサン(A1)を含む。
【0026】
上述のエマルジョンは、エマルジョンの総重量を100wt%としてこれに基づき、0.1~2w%、好ましくは0.2~0.8w%、より好ましくは0.3~0.7w%、最も好ましくは0.41~0.6w%の量で、1以上のシリコーン樹脂(A2)を含む。
【0027】
上述のエマルジョンは、エマルジョンの総重量を100wt%としてこれに基づき、4~8wt%の量で、界面活性剤組成物(B)を含む。
【0028】
上記エマルジョンにしたがうと、アミノポリオルガノシロキサン(A1)及びシリコーン樹脂(A2)との相分離を起こさない系を形成する、任意選択の低粘度の油(A3)は、炭化水素、動物油又は植物油、及びオルガノポリシロキサン、好ましくはオリゴマーのポリジアルキルシロキサン又は環状ポリシロキサン、より好ましくは揮発性オリゴマーの直鎖状オルガノポリシロキサンからなる群より選択される、1つ又はそれより多くのメンバーの混合物であってもよい。
【0029】
リーブオンヘアケア製品又はリンスオフヘアケア製品における、好ましくはリンスオフヘアケア製品における、上述のエマルジョンの使用。
【0030】
ヘアスタイル、特にパーマネント又は一時的なヘアスタイリング方法によって処理されている髪におけるヘアスタイルを維持するため、及び好ましくはこの髪のカールの程度を維持するための、リーブオンヘアケア製品又はリンスオフヘアケア製品における、上述のエマルジョンの使用。
【0031】
上述の使用にしたがうと、リンスオフヘアケア製品は、コンディショナー又はヘアマスクである。
【0032】
上述の使用にしたがうと、リーブオンヘアケア製品は、気圧ヘアスタイリングスプレーである。
【0033】
本明細書中の気圧ヘアスタイリングスプレーは、一般に、プロペラント又は圧縮ガスを含まない。
【0034】
上述の使用にしたがうと、リーブオンヘアケア製品は、ヘアスタイリングジェルである。
【0035】
本明細書中のヘアスタイリングジェルは、一般に、代表的には、よりべたつかない(less waxy)成分を含み、そして軽い手触り、塗り広げやすさ及び低い粘度を有する、水性製品である。
【0036】
上述の使用にしたがうと、上記のエマルジョンを含むリーブオンヘアケア製品は、髪に施される一時的なスタイリング処理を実現するために、髪に適用される。
【0037】
上述の使用にしたがうと、上記のエマルジョンを含むリーブオンヘアケア製品は、パーマネント又は一時的なヘアスタイリング方法によって処理されている乾いた髪に適用される。
【0038】
上述の使用にしたがうと、上記のエマルジョンを含むリンスオフヘアケア製品は、濡れた髪に適用され、その後、この髪は、乾燥プロセスの間及び/又はその後にパーマネント又は一時的なヘアスタイリング方法によって処理される。
【0039】
上述の使用にしたがうと、上記のエマルジョンを含むリンスオフヘアケア製品は、濡れた髪に適用され、次いで、少なくとも1分間の間接触を保たれる。好ましくは、この髪は、このプロセスの後に熱処理される。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本明細書中で、例えばケミカルパーマ又はホットパーマによる、パーマネントヘアスタイリングは、髪ケラチンにおけるシステイン-ジスルフィド架橋を壊して髪繊維の形状を変えるために還元剤(チオグリコール酸化合物を含む)が使用され、次いでシステイン-ジスルフィド架橋を閉じるために定着剤(弱酸又は過酸化物を含む)が使用される、処理方法をいう。
【0041】
本明細書中で、例えばカールアイロン、ヘアドライヤー、フラットアイロン又は電気を使わない(non-energized)カーラーロールによる、一時的なヘアスタイリングは、主に、熱処理又は及び/又は外力により髪繊維内又は髪表面上の水素結合を変化させるための処理方法をいう。
【0042】
本明細書中で使用される場合、用語「アミン数」は、meq/gで測定されたアミノ化合物1グラムにおけるアミノ基を中和するために必要な1N HClの量をいう。
【0043】
本発明のアミノポリオルガノシロキサン(A1)の水中油エマルジョンは、0.01~10.0meq/g、好ましくは0.1~5.0meq/gのアミン数、及びDIN53019にしたがって25℃で測定して100~10,000mPa・sの粘度を有する。
【0044】
アミノポリオルガノシロキサン(A1)のヒドロキシル及び/又はアルコキシ基は、シリコーン樹脂(A2)のそれと架橋する。同じ他の条件下でII/IIIの比率が0に近いほど、アミノポリオルガノシロキサン(A1)はより多くのヒドロキシル及びアルコキシ基を含む。ここで、II又はIIIの数は、29Si NMR及び1H NMRによって得られ得る。
【0045】
本明細書中で、アミノポリオルガノシロキサン(A1)及びシリコーン樹脂(A2)との相分離を起こさない系を形成する任意選択の低粘度の油(A3)は、DIN 51562にしたがって測定して、100mm2/s未満、より好ましくは10mm2/s未満、最も好ましくは5mm2/s未満の粘度を有し、かつ炭化水素、動物油又は植物油、及びオリゴマーのポリジアルキルシロキサン又は環状ポリシロキサンであるオルガノポリシロキサンから選択され得る。ケイ素原子に結合しているメチル基を有するオルガノポリシロキサンが好ましく;低分子量オリゴマーのポリジメチルシロキサンもしくは環状ポリジメチルシロキサン、又は置換基として他のアルキル、アリール、アルカリール(alkaryl)及びアラルキル基(例えば、フェニル、ベンジル及びC1-C18アルキル基)を有するオリゴマーのもしくは環状のポリジメチルシロキサンがより好ましく;そしてトリメチルシリル末端基を含むオルガノポリシロキサン骨格中に平均で2~50のケイ素原子を有する、トリメチルシリル末端化直鎖状ポリジメチルシロキサンが、最も好ましい。
【0046】
さらに、DIN53249にしたがって測定して、以下の範囲の蒸発率を有する揮発性オルガノポリシロキサンが、好ましい:この揮発性シロキサン混合物は、重量が、蒸発前の混合物の総重量に基づいて、5分間後に10~80%(好ましくは20~70%)及び20分間後に60~99.5%(好ましくは70~90%)低減する。揮発性オルガノポリシロキサンは、骨格内に最大約3~7、好ましくは5~6のケイ素原子を有するオリゴマーの直鎖状オルガノポリシロキサン、及び3~6のケイ素原子を有する環状オルガノポリシロキサンから選択され得る。オリゴマーの直鎖状オルガノポリシロキサンのケイ素原子に結合している置換基は、アリール基、C1-C18アルキル基、又は生じるエマルジョンの安定性もしくは化粧用調合物において使用するためのその好適性を阻害しない官能基であってよく、好ましくはC1-4アルキル基、より好ましくはメチル基であってもよい。3~6のケイ素原子を有する環状オルガノポリシロキサンは、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンなどから選択される。
【0047】
本明細書中の油相は、アミノポリオルガノシロキサン(A1)、シリコーン樹脂(A2)及び任意選択の低粘度の油(A3)を含み、界面活性剤組成物(B)及び任意選択のフェノキシエタノールを含まない、混合物である。
【0048】
油相のアミン数計算値=(アミノポリオルガノシロキサンαの重量*アミノポリオルガノシロキサンαのアミン数+アミノポリオルガノシロキサンβの重量*アミノポリオルガノシロキサンβのアミン数+アミノポリオルガノシロキサンγの重量*アミノポリオルガノシロキサンγのアミン数+…)/(油相の重量)
【0049】
本発明において使用される界面活性剤組成物(B)は、1以上の非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤又は両性界面活性剤を含み、好ましくは非イオン性界面活性剤を含む。
【0050】
本明細書中の非イオン性界面活性剤は、アルキルアルコールポリエーテル、好ましくは、代表的には以下の特性基を含む脂肪アルコールエトキシレートである:-(OCH2CH2)mOH、この特性基は、約8~20の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基、例えばラウリル(C12)、セチル(C16)及びステアリル(C18)に結合し、ここで、「m」は、1~約100、好ましくは約3~20の範囲に及び得る。一般的な非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、イソ-トリデカノールポリオキシエチレンエーテル、C11-C15ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンオレイルエーテルの1つ又は組み合わせが挙げられる。これらの脂肪アルコールエトキシレートは、以下の商標:ALFONIC(R)、BRIJ(R)、GENAPOL(R)、NEODOL(R)、SURFONIC(R)、TERGITOL(R)、TRYCOL(R)、SYMPATENS(R)、LUTENSOL(R)などの下で市販される製品として入手可能である。
【0051】
本発明において使用される界面活性剤組成物の平均HLB計算値=(界面活性剤1のHLB値*界面活性剤1の重量+界面活性剤2のHLB値*界面活性剤2の重量+...)/(界面活性剤1の重量+界面活性剤2の重量+...)
【0052】
本発明にしたがい、アミノポリオルガノシロキサン(A1)、シリコーン樹脂(A2)及び任意選択の低粘度の油(A3)から形成される油相のアミン数計算値は、0.1~5.0meq/gの範囲に及び、そして界面活性剤組成物(B)の平均HLB計算値は、10~15の範囲に及ぶ。好ましくは、油相のアミン数計算値は、0.2~0.6meq/g、より好ましくは0.23~0.29meq/gの範囲に及び、そして界面活性剤組成物(B)の平均HLB計算値は、好ましくは12.5~13の範囲に及ぶ。
【0053】
本発明の水中油エマルジョンは、フェノキシエタノールを、保存料として、エマルジョンの総重量に基づいて0~1wt%、好ましくは0.5~1wt%の量で含む。
【0054】
本発明のエマルジョンを調製するための方法は、以下の工程を含む:
(1)高速分散機又は撹拌機を使用して、界面活性剤組成物(B)、アミノポリオルガノシロキサン(A1)、シリコーン樹脂(A2)、任意選択の低粘度の油(A3)及び任意選択のフェノキシエタノールを十分に混合し、混合物(I)を形成すること;
(2)攪拌しながら、酸及び/又はその水溶液を、ゆっくりかつ一様に混合物(I)に添加して、混合物(II)を得ること;
(3)工程(2)の混合物に、一様に水を添加して、透明な水中油エマルジョンを得ること;及び
(4)工程(3)で得られたエマルジョンのpH値を、NaOHの水溶液で5.0~5.5に調整すること。
【0055】
上述の方法において、酸は、アミノポリオルガノシロキサン(A1)におけるアミノ基によってプロトン化し得る鉱酸又はカルボン酸であり、ここで、鉱酸は、塩酸、硫酸及びリン酸から選択され、そしてカルボン酸は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、安息香酸、シュウ酸及び乳酸、好ましくは酢酸及びギ酸から選択される。
【実施例】
【0056】
好ましい実施形態の詳細な説明
別段に特定されない限り、実施例における全ての部及び百分率は、重量に基づく。実施例において使用した構成成分に対する情報は、以下のとおりである:
Multiso 13/30、イソ-トリデカノールポリオキシエチレンエーテル(3EO)、HLB=7.9、Sasolから入手可能;
Multiso13/120、イソ-トリデカノールポリオキシエチレンエーテル(12EO)、HLB=14.5、Sasolから入手可能;
フェノキシエタノール、Schulkeから入手可能;
アミノポリオルガノシロキサン1、0.14mmol/gのアミン数及びDIN 53019にしたがって測定した5,000mPa・sの粘度を有するヒドロキシル及び/又はメトキシ基で末端化した側鎖アミノポリオルガノシロキサン、ここで、II/III=0かつ29Si NMR及び1H NMRによって試験して末端ヒドロキシル基のモル数は、アルコキシ基のモル数より少ない;
アミノポリオルガノシロキサン2、0.12mmol/gのアミン数及びDIN 53019にしたがって測定した5,000mPa・sの粘度を有するヒドロキシル及び/又はメトキシ基で末端化した側鎖アミノポリオルガノシロキサン、ここで、II/III=0かつ29Si NMR及び1H NMRによって試験して末端ヒドロキシル基のモル数は、アルコキシ基のモル数より大きい;
アミノポリオルガノシロキサン3、WACKER(R)FINISH WR1300、0.3mmol/gのアミン数及びDIN 53019にしたがって測定した1,000mPa・sの粘度を有するヒドロキシル及び/又はメトキシ基で末端化した側鎖アミノポリオルガノシロキサン、ここで、II/III=0。
【0057】
上記のアミノポリオルガノシロキサンは、WACKER CHEMIE AGによって供給される。
【0058】
低粘度シリコーン液1、BELSIL(R)DM2、DIN 51562にしたがって測定した2mm2/sの粘度を有する、WACKER CHEMIE AGから入手可能;
低粘度シリコーン液2、BELSIL(R)0.65、DIN 51562にしたがって測定した0.65mm2/sの粘度を有する、WACKER CHEMIE AGから入手可能;
BELSIL(R)TM 803、室温で白色固体粉末でありかつ7300g/molのMwを有するMQシリコーン樹脂、全ての単位はVII及びXから選択され、ここで、アルコキシ及びヒドロキシル基は、シリコーン樹脂の総重量に基づいて3.3wt%の総量で存在し、そしてヒドロキシル含量は、0.3wt%以下である、WACKER CHEMIE AGから入手可能;
BELSIL(R)MK Powder、室温で白色固体粉末でありかつメトキシ及びメチル官能基を有するT-型シリコーン樹脂、全ての単位はIXから選択され、約10,000g/molのMwを有する;
SILRES(R)MSE 100、室温で液体でありかつメトキシ及びメチル官能基を有するオリゴマーのT-型シリコーン樹脂、全ての単位はIXから選択され、2%未満の溶媒含量、2,000~5,000g/molのMw及び20~35mm2/sの粘度を有する;
SILRES(R)IC368、室温で溶媒非含有の液体でありかつメトキシ、メチル及びフェニル官能基を有するオリゴマーのT-型シリコーン樹脂、全ての単位はIXから選択され、ここで、メトキシ基の含量は15wt%でありそしてフェニル対メトキシのモル比は1であり、84%の活性物質含量、約1,900g/molのMw及び280~320mm2/sの粘度を有する;
上記のシリコーン樹脂は、WACKER CHEMIE AGによって供給される。
【0059】
【0060】
本明細書中で適合性試験とは、物質を表1に示されるように室温で混合し、そして24時間後に適合性を観察する試験をいう。
【0061】
調製方法
以下の実施例及び比較例を、表2に示す成分の割合にしたがって、室温で実施した。
(1)界面活性剤組成物、ポリオルガノシロキサン、シリコーン樹脂、任意選択の低粘度の油及びフェノキシエタノールを、IKA Eurostar 60 Digital(800~1500rpm)撹拌機を用いて混合し、混合物(I)を形成した;
(2)酢酸水溶液(酢酸及び水を含む)を、攪拌しながら混合物(I)にゆっくりと添加し、混合物(II)を得た。
(3)残りの水を、工程(2)からの混合物に一様に添加し、透明な水中油エマルジョンを得た;そして
(4)工程(3)において得られたエマルジョンのpH値を、NaOHの10wt%水溶液で5~5.5に調整した。
【0062】
実施例及び比較例において使用した組成物を、表2に示し、試験結果を、表4に示す。
【0063】
【0064】
薄膜形成実験
実施例及び比較例の透明なエマルジョン3gを、それぞれ7.7cmの径を有するAl箔タルト型上に広げ、25℃及び70%のr.hにて96時間にわたり、乾燥させるために保存した。その後、スクレーパーを用いて薄膜を掻き取った。薄膜形成の程度に点数をつける(表3を参照されたい)。
【0065】
【表3】
表3において、スコアが高くなるにつれ、架橋度はより高くなる。
【0066】
【0067】
比較例12において、アミノポリオルガノシロキサンの粘度は、高い架橋度及び高いスコアを有する薄膜を形成するには、低すぎた。
【0068】
比較例8及び9において、より高いMwを有するシリコーン樹脂を使用したにもかかわらず、高い架橋度及び高いスコアを有する薄膜は、なお形成されなかった。対照的に、実施例10において使用したシリコーン樹脂のMwは、比較例8において使用したシリコーン樹脂のMwよりも低いが、より高いスコアを有する薄膜が形成された。
【0069】
本発明の発明者らは、驚くべきことに、II/III=0である場合、より高い粘度及びより高い分子量を有するアミノポリオルガノシロキサン(A1)を、固体MQ型シリコーン樹脂と組み合わせて使用すると、より高い架橋度及び高いスコアを有する薄膜が形成される場合があることを、見出した。さらに、シリコーン樹脂(A2)、アミノポリオルガノシロキサン(A1)及び低い粘度の油(A3)を混合して透明で均質な相を形成した場合、より高い強度及びより高いスコアを有する固体薄膜が、形成され得る。
【0070】
髪カール試験
髪束(10g、20cm)を、エーテルで洗浄し、次いで、5%ラウリル硫酸アンモニウム溶液で洗浄した。この髪束を、水で完全に濡らした。その後、0.7mlのサンプルを、各束に等しく適用し、30秒間にわたって完全にすりこんで、30秒間置いた後、35℃の温水ですすぎ、そして、髪置き棚に引っ掛けて、後の使用のために風乾した。
【0071】
【0072】
アミノポリオルガノシロキサン(A1)及びシリコーン樹脂(A2)は、コンディショナーの基礎調合の総重量を100wt%としこれに基づいて、1.5wt%の総量でコンディショナー中に存在する。
【0073】
コンディショナーサンプルを、髪の毛1.5gあたり0.5gで適用して、再び水で濡らした髪束を調製し、これを、1分間にわたってすりこんで、そして1分間置いた後に、水で30秒間にわたってすすいだ。水を、ペーパータオルで、髪束から水滴がなくなるまで拭き取った。25℃及び70%のr.h.で、カールアイロンを170℃まで加熱して、維持した。髪束を、カールアイロンの周りに時計回りに4回巻き付け、その後、15~20秒間自然に緩めて、室温で冷ました。
【0074】
髪束を、上端を固定して垂直に置き、写真を撮り、そして点数をつけて、最初のカールの程度を調べた。
【0075】
スプレーボトルを使用して、上記の髪束の上部、中央、下部に一旦水を噴霧し、それを直ちに2回上から下へプラスチックの櫛で梳かして、風乾した。この髪束を、再び写真に撮り、そして点数をつけて、最終的なカールの程度を得た。最初及び最後のカールの程度を比較し、そして髪束の長さの変化、カールの数及び角度の変化の観点で点数をつけた。
【0076】
【0077】
本発明の発明者らは、驚くべきことに、コンディショナーが高い架橋度及び良好な薄膜強度を有するエマルジョンを含む場合、このコンディショナーで処理した髪束は、良好なスタイルの維持を示し、なめらかかつべたつかない手触りを有することを示したことを見出した。
【0078】
各髪束を、9人の試験パネルによって触らせ、その柔らかさ及びなめらかさを評価した。結果を、3つの等級に分類した:0=適正、1=良好、2=非常に良好。
【0079】
上の表5において、べたつき(手触り)を、以下を参照して評価した:
ラノリンワックスのねばつきを、10点(非常にべたつく)とした;
Jergens Aloe and Lanolin(市販製品)水中油ローションを、5点(中程度にべたつく)とした;
ベビーオイル(純粋な鉱物油)のべたつきを、0点(有意なべたつきなし)とした。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のアミノポリオルガノシロキサン(A1)、1以上のシリコーン樹脂(A2)、界面活性剤組成物(B)及び水を含む、薄膜形成性水中油エマルジョンであって、
ここで、アミノポリオルガノシロキサン(A1)の単位の少なくとも80mol%は、以下の一般式Ia、Ib
、II及びIIIを有するものから選択される:
R
1
2SiO
(4-a-b)/2 (Ia)
R
1
aR
2
bSiO
(4-a-b)/2 (Ib)
R
3
3SiO
(1/2) (II)
R
3
2R
4SiO
(1/2) (III)
ここで、
aは、0又は1の値を有し、bは、1又は2の値を有し、そしてa+bは、2に等しく;
R
1は、1~40の炭素原子を有する一価の炭化水素基を表し;
R
2は、一般式IVのアミノアルキル基を表し:
-R
5-NR
6R
7 (IV)
ここで、R
5は、1~40の炭素原子を有する二価の炭化水素基を表し、
R
6は、1~40の炭素原子を有する二価の炭化水素基、H、ヒドロキシメチル又はアルカノイルを表し、そして
R
7は、一般式Vの基を表し:
-(R
8-NR
6)
xR
6 (V)
ここで、xは、0又は1~40の任意の整数であり、そしてR
8は、一般式VIの二価の基を表し:
-(CR
9
2-)
y (VI)
ここで、yは、1~6の任意の整数であり、そしてR
9は、H又は1~40の炭素原子を有する炭化水素基を表し;
R
3は、1~40の炭素原子を有する、任意選択的にハロゲンで置換される炭化水素基を表し;
R
4は、-OR又は-OH基を表し;そして
(Ia+Ib)/(II+III)は、一般式Ia及びIbの単位の合計対一般式II及びIIIの単位の合計の平均比率を意味し、0.5~1000の範囲であり、ここで、II/III≦1であり、好ましくはII/III≦0.9であり、より好ましくはII/III≦0.5であり、よりさらに好ましくはII/III≦0.3であり、最も好ましくはII/III=0であり;
具体的には、アミノポリオルガノシロキサン(A1)は、3,000~9,000mPa・s、より好ましくは3,000~7,000mPa・s、最も好ましくは4,000~6,000mPa・sの粘度を有し;そして
シリコーン樹脂(A2)の単位の少なくとも80mol%は、以下の一般式VII、VIII、IX及びXを有するものから選択される:
R
10
3SiO
(1/2) (VII)
R
10
2SiO
(2/2) (VIII)
R
10SiO
(3/2) (IX)
SiO
(4/2) (X)
ここで、
R
10は、1~40の炭素原子を有する、任意選択的にハロゲンで置換される炭化水素基、又はH、-ORもしくは-OH基を表し、
この単位の少なくとも20mol%は、一般式IX及びXを有するものから選択され、そして
R
10の最大30wt%は、シリコーン樹脂(A2)の総重量に基づいて-OR及び/又は-OH基であ
り、アミノポリオルガノシロキサン(A1)の末端基におけるヒドロキシル基のモル数が、アルコキシ基のモル数よりも大きい、エマルジョン。
【請求項2】
低粘度の油(A3)を含み、このA3が、A3の総重量を100wt%としてこれに基づき、揮発性油を80wt%以上、好ましくは90wt%以上、より好ましくは95wt%以上の量で含む、請求項
1に記載のエマルジョン。
【請求項3】
シリコーン樹脂(A2)、アミノポリオルガノシロキサン(A1)及び低粘度の油(A3)が混合され、透明で均質な相が形成された、請求項1又は2に記載のエマルジョン。
【請求項4】
低粘度の油(A3)及びシリコーン樹脂(A2)が、1~20、好ましくは2~10、より好ましくは3~8、最も好ましくは4.5~7の質量比で使用される、請求項1~3のいずれか1項に記載のエマルジョン。
【請求項5】
エマルジョンの総重量を100wt%としてこれに基づき、
10~20wt%の1以上のアミノポリオルガノシロキサン(A1)、及び/又は
0.1~4wt%の1以上のシリコーン樹脂(A2)、及び/又は
4~10wt%の界面活性剤組成物(B)、及び
水を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のエマルジョン。
【請求項6】
シリコーン樹脂(A2)が、シリコーン樹脂(A2)の全ての単位を100mol%としてこれに基づき、少なくとも80mol%、好ましくは少なくとも90mol%、より好ましくは少なくとも95mol%の、一般式VII及びXを有するものから選択される単位を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のエマルジョン。
【請求項7】
エマルジョンの総重量を100wt%としてこれに基づき、0.1~2w%、好ましくは0.2~0.8w%、より好ましくは0.3~0.7w%、最も好ましくは0.41~0.6w%の量で、1以上のシリコーン樹脂(A2)を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエマルジョン。
【請求項8】
リーブオンヘアケア製品又はリンスオフヘアケア製品における、好ましくはリンスオフヘアケア製品における、請求項1~7のいずれか1項に記載のエマルジョンの使用。
【請求項9】
ヘアスタイル、特にパーマネント又は一時的なヘアスタイリング方法によって処理されている髪におけるヘアスタイルを維持するため、及び好ましくはこの髪のカールの程度を維持するための、リーブオンヘアケア製品又はリンスオフヘアケア製品における、請求項1~7のいずれか1項に記載のエマルジョンの使用。
【請求項10】
前記リンスオフヘアケア製品が、コンディショナー又はヘアマスクである、請求項8又は9に記載の使用。
【請求項11】
前記リーブオンヘアケア製品が、気圧ヘアスタイリングスプレー又はヘアスタイリングジェルである、請求項8又は9に記載の使用。
【請求項12】
前記リーブオンヘアケア製品が、髪に施される一時的なスタイリング処理を実現するために髪に適用される、請求項8又は9又は11に記載の使用。
【請求項13】
前記リーブオンヘアケア製品が、パーマネント又は一時的なヘアスタイリング方法によって処理されている乾いた髪に適用される、請求項8又は9又は11に記載の使用。
【請求項14】
前記リンスオフヘアケア製品が、濡れた髪に適用され、その後、この髪の乾燥プロセスの間及び/又はその後にパーマネント又は一時的なヘアスタイリング方法によって処理される、請求項8又は9又は10に記載の使用。
【請求項15】
前記リンスオフヘアケア製品が、濡れた髪に適用され、次いで、少なくとも1分間の間接触を保たれ、好ましくはこのプロセスの後にこの髪が熱処理される、請求項8又は9又は10又は14に記載の使用。
【国際調査報告】