(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(54)【発明の名称】生物由来歯科矯正装置およびそれを熱成形するための方法
(51)【国際特許分類】
A61C 7/08 20060101AFI20221221BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20221221BHJP
B29C 69/00 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
A61C7/08
B33Y80/00
B29C69/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022524137
(86)(22)【出願日】2020-08-14
(85)【翻訳文提出日】2022-06-22
(86)【国際出願番号】 EP2020072923
(87)【国際公開番号】W WO2021078422
(87)【国際公開日】2021-04-29
(32)【優先日】2019-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522164525
【氏名又は名称】ボットメディカル アー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Bottmedical AG
【住所又は居所原語表記】Technologiepark Basel, Hochbergerstrasse 60C, 4057 Basel, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ベキーム オスマニ
(72)【発明者】
【氏名】ティノ テッパー
【テーマコード(参考)】
4C052
4F213
【Fターム(参考)】
4C052AA20
4C052JJ01
4F213AA24
4F213AG03
4F213WA08
4F213WA25
4F213WA38
4F213WA83
4F213WB01
4F213WK03
(57)【要約】
歯に装着される口腔内歯科矯正装置(1)、例えば歯科用スプリント(2)の使用品質を改善するために、かつその機能性を向上させるために、このような装置(1)を、少なくとも部分的に、ただし好ましくは完全に、生物由来材料(5)で製造することが提案される。特に、内部剛性コア(3)を覆いかつ膨潤により明らかに10倍量の液体を吸収することができるように追加的に選択することができる生物由来材料(5)を含むキャップ層(4)を特徴とする設計を使用することにより、装置(1)の微小変形性の両方を改善することができ、その結果、患者の装着快適性が向上し、化石系プラスチック研磨による患者のマイクロプラスチック汚染を少なくし、例えば、装置(1)から薬剤または香味分子または生物由来抗菌剤または保護剤などの物質(9)を放出するという新規な機能を実現することができる(
図2を参照)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に歯科用スプリント(2)として設計され、歯に装着される口腔内歯科矯正装置(1)において、
‐生物由来材料(5)が前記装置(1)の外面(7)を形成しており、
‐前記生物由来材料(5)は、炭素同位体
14Cの検出可能部を含有する非化石炭素含有量を含む
ことを特徴とする、口腔内歯科矯正装置(1)。
【請求項2】
特に請求項1記載の、歯に装着される口腔内歯科矯正装置(1)であって、
‐前記装置(1)が、コア(3)と、前記コア(3)を少なくとも部分的に覆うキャップ層(4)とを備え、
‐好ましくは、前記キャップ層(4)が酢酸酪酸セルロース(CAB)(5)を含み、
‐最も好ましくは、前記キャップ層(4)の全体が酢酸酪酸セルロース(CAB)(5)で構成されている、
口腔内歯科矯正装置(1)。
【請求項3】
‐前記装置(1)の前記コア(3)が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、好ましくはグリコール改質ポリエチレンテレフタレート(PETG)から製造されている、
請求項1または2記載の口腔内歯科矯正装置(1)。
【請求項4】
‐生物由来材料(5)に由来する薬剤(9)が前記キャップ層(4)内に埋め込まれており、かつ/または
‐シンナムアルデヒドが、抗菌剤(9)として、前記キャップ層(4)内/前記生物由来材料(5)内に埋め込まれており、かつ/または
‐トリアセチンまたはポリカプロラクトン-トリオール(PCL-T)が、軟化剤(9)として、前記キャップ層(4)内/前記生物由来材料(5)内に埋め込まれている、
請求項1から3までのいずれか1項記載の口腔内歯科矯正装置(1)。
【請求項5】
‐前記装置(1)が、コア(3)と、前記コア(3)を少なくとも部分的に覆うキャップ層(4)とを備え、
‐前記キャップ層(4)が液体吸収性材料(6)、例えばCABを含み、
‐特に、体積液体吸収比が、少なくとも1.5%、好ましくは少なくとも2.5%であり、
‐最も好ましくは、前記キャップ層(4)の弾性率が、水の吸収により、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%低下する、
請求項1から4までのいずれか1項記載の口腔内歯科矯正装置(1)。
【請求項6】
‐前記装置(1)が、前記キャップ層(4)からまたは前記キャップ層(4)を通って前記装置(1)を装着している患者の口腔内に放出可能である液体可溶性物質(9)、例えば香味料またはフッ化物分子または薬剤を特徴とし、
‐好ましくは、前記物質(9)が、前記装置(1)の使用前に、前記キャップ層(4)を通して前記装置(1)内にまたは前記キャップ層(4)内に埋め込まれている、
請求項1から5までのいずれか1項記載の口腔内歯科矯正装置(1)。
【請求項7】
‐前記装置(1)が、上部キャップ層(4a)と底部キャップ層(4b)との間に挟まれたコア(3)を有する多層サンドイッチ構造(10)を示し、
‐好ましくは、前記コア(3)が、前記上部キャップ層(4a)および前記底部キャップ層(4b)により完全に封入されており、かつ/または
‐前記上部キャップ層(4a)および前記底部キャップ層(4b)が、好ましくは0.3mm未満の厚さの外面(7)被覆(11)を形成している、
請求項1から6までのいずれか1項記載の口腔内歯科矯正装置(1)。
【請求項8】
‐前記上部キャップ層(4a)および底部キャップ層(4b)の厚さは、前記上部キャップ層(4a)が前記装置(1)が装着される歯から離れた側に位置するように非対称であり、
‐特に、前記上部キャップ層(4a)が、前記装置(1)が装着される歯と接触する前記底部キャップ層(4b)より少なくとも10%厚い、
請求項7記載の口腔内歯科矯正装置(1)。
【請求項9】
‐前記コア(3)が、前記装置(1)に構造安定性および/または形状安定性を提供する剛性層(12)であり、
‐特に、前記コア(3)が、弾性であり、好ましくは少なくとも0.5GPaの弾性率を有し、前記装置(1)が患者の歯に歯科用スプリント(2)として患者により装着された際に、1本の歯を整列させるための弾性力を提供し、
‐好ましくは、前記コア(3)の弾性率は、特に水への浸漬後において、前記キャップ層(4)の弾性率より高い、
請求項1から8までのいずれか1項記載の口腔内歯科矯正装置(1)。
【請求項10】
‐中間層(13)が、前記キャップ層(4)より軟らかくかつ/または前記コア(3)より軟らかく、前記コア(3)を前記キャップ層(4)から分離しており、
‐特に、前記中間層(13)の弾性率が、前記コア(3)の弾性率の1/10より低く、
‐好ましくは、前記キャップ層(4)が、少なくとも水中での膨潤後において、前記コア(3)より軟らかく、
‐最も好ましくは、前記キャップ層(4)の厚さおよび前記中間層(13)の厚さは、液体中での膨潤後における、歯上での前記装置(1)の摩耗による2つの層(4,13)の最大複合変形がこれら2つの層(4,13)の合計厚さの50%未満であるように、制限される、
請求項1から9までのいずれか1項記載の口腔内歯科矯正装置(1)。
【請求項11】
‐前記コア(3)のガラス転移点T
g,coreと前記キャップ層(4)のガラス転移点T
g,capとが、80℃未満、好ましくは60℃未満異なり、
‐特に、これにより、前記装置(1)が外部から加熱される場合、前記キャップ層(4)が自身のガラス転移点T
g,capに達する前またはこれに達したときに、前記コア(3)がそのガラス転移点T
g,coreに達し、かつ/または
‐前記コア(3)の融解温度T
m,coreと前記キャップ層(4)の融解温度T
m,capとが、少なくとも20℃、好ましくは少なくとも40℃異なり、
‐特に、これにより、前記装置(1)の熱成形中に、コア(3)と前記キャップ層(4)との間の界面(19)にコンパウンド材料を生じさせることができる、
請求項1から10までのいずれか1項記載の口腔内歯科矯正装置(1)。
【請求項12】
‐前記装置(1)が、熱成形中に、フィルム(14)、または、コア(3)と外側の上部キャップ層(4a)および底部キャップ層(4b)とを含む多層サンドイッチ構造(10)を2つの対向する側面から加熱することにより製造され、
‐特に、これにより、前記上部キャップ層(4a)および前記底部キャップ層(4b)がそれぞれ自身のガラス転移点T
g,capに達する前に、前記上部キャップ層(4a)と前記底部キャップ層(4b)との間に挟まれた前記コア(3)がそのガラス転移点T
g,coreに達する、
請求項1から11までのいずれか1項記載の口腔内歯科矯正装置(1)。
【請求項13】
‐前記装置(1)が、付加製造プロセスにより、特に少なくとも前記コア(3)の3d印刷により、少なくとも部分的に製造される、
請求項1から12までのいずれか1項記載の口腔内歯科矯正装置(1)。
【請求項14】
特に請求項1から13までのいずれか1項記載の口腔内歯科矯正装置(1)を熱成形するための方法において、
‐フィルム(14)、または、コア(3)と外側の上部キャップ層(4a)および底部キャップ層(4b)とを含む多層サンドイッチ構造(10)を2つの対向する側面から加熱し、
‐特に、これにより、加熱中、前記フィルム(14)の外側または前記多層サンドイッチ構造(10)の外側のキャップ層(4a,4b)を、そのガラス転移点に向かって同期させて加熱し、
‐好ましくは、2つの別個の、好ましくは個々に調節可能な熱源を特徴とする熱成形装置を使用することを含む
ことを特徴とする、方法。
【請求項15】
患者の口腔内に放出可能な物質(9)、例えば抗菌剤(9)、例えばシンナムアルデヒドを、特に請求項1から13までのいずれか1項記載の口腔内歯科矯正装置(1)に配備するための方法において、
‐溶媒、例えばアセトンを使用して前記物質(9)をキャップ層(4)の生物由来材料(5)と混合することにより、前記装置(1)の使用前に、前記物質(9)を前記装置(1)の液体吸収性生物由来キャップ層(4)に埋め込み、
‐特に、得られた溶液を、液体被覆として前記装置(1)のコア(3)上に適用し、
‐好ましくは、前記溶媒により、特に前記コア(3)の材料の分子鎖の相互作用を低減することにより、前記コア(3)および前記キャップ層(4)をナノメートルスケールで連結させることができ、その結果、前記コア(3)上の前記キャップ層(4)の接着性が改善されるように、前記コア(3)の表面を改質し、かつ/または
‐前記装置(1)の前記キャップ層(4)および前記コア(3)を、前記装置(1)の熱成形後に、キャップ層(4)とコア(3)との間の界面(19)において熱融着させ、これにより前記界面(19)にコンパウンド材料を形成する
ことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯に装着される口腔内歯科矯正装置ならびにこのような装置の製造方法およびこのような装置に放出可能な物質を配備するための方法に関する。放出可能な物質は、生物由来かつ/または液体可溶性物質、特に生物由来の抗菌剤または保護剤であることができる。
【0002】
口腔内歯科矯正装置は公知であり、歯を再配列させるための歯科矯正治療に一般的に使用される。この特定の用途例では、この装置は、典型的には歯科用スプリントとして設計される。歯科用スプリントは、数時間にわたって歯に適用される。歯科用スプリントは、患者の個々の歯に力を及ぼし、その結果、所望の歯の位置の方向に歯を再整列させる。この目的のために、典型的には、互いに形状がわずかに異なる多数の歯科用スプリントが、歯を段階的に再整列させるために連続的に患者に装着される。
【0003】
このような口腔内歯科矯正装置、特に、歯科用スプリントの更なる公知の用途は、この装置により歯に適用される漂白ペーストを使用する歯の漂白または夜間いびきを治療するためのこのような装置の使用である。
【0004】
また、口腔内歯科矯正装置は、食いしばりおよび歯ぎしりを回避するためにも使用される。慢性的な歯の食いしばりおよび歯ぎしりにより、下顎を制御する筋肉の使い過ぎが生じ、その筋肉から痛みが生じる場合がある。また、関節自体に負荷がかかると、関節内部にも変化が生じ、口の痛みおよび開口制限が生じる場合もある。
【0005】
これらの用途の全てにおいて、装置の高い装着快適性を提供することは、患者による治療の高い受け入れ、したがって、治療の全体的な成功にとって中心的に重要なことである。
【0006】
この文脈において、本発明は、患者に最初に導入される口腔内歯科矯正装置の使用の質を改善することを目的とする。さらに、本発明の目的は、このような装置の機能性を向上させることである。
【0007】
本発明によれば、請求項1に記載され、上記で言及した問題を解決する、歯に装着される口腔内歯科矯正装置が提供される。特に、本発明は、冒頭で紹介された口腔内歯科矯正装置を提案する。この装置を、特に歯科用スプリントとして設計することができ、さらに、この装置は、生物由来材料が装置の外面を形成しており、生物由来材料が炭素同位体14Cの検出可能部を含有する非化石炭素含有量を含むことを特徴とする。好ましくは、非化石炭素含有量は、生物由来材料の少なくとも20%、好ましくは少なくとも35%、最も好ましくは50%超を構成することができる。すなわち、生物由来材料の約80%~65%、好ましくははるかに少ない量が、化石源、例えば原油に由来する他の有機材料、特にポリマーに基づくことができる。このため、特に、記載した生物由来材料を装置のキャップ層として使用することができ、生物由来材料製でない装置のコアを完全に覆うことができる。
【0008】
14Cは、地球の大気中で約1.25×10-12=1250ppq(ppq=1000兆分の一部=10-15)の濃度で生成され、光合成により植物に取り込まれる放射性同位体である。植物が枯れると、植物は、その環境との間での炭素の交換を止め、その後、植物に含まれる14Cの量は、14Cが放射性減衰を受けるにつれて減少し始める。このような生体材料を含有するサンプルが古いほど、検出される14Cは少なくなる。したがって、14Cの存在を検出することにより、非化石炭素含有量を含有する材料を、化石源に由来する材料と区別することができる。このため、材料中の14Cの存在は、この材料が少なくとも部分的に、非化石再生可能生物源から得られることの直接の証拠である。これは、放射性14Cの半減期が6000年未満であるため、例えば石油から得られた有機ポリマーはこれ以上14Cを示さないためである。
【0009】
本明細書において、「検出可能部」とは、生物由来材料の非化石炭素含有量の全てのC原子中の14Cの割合が少なくとも1ppq、好ましくは少なくとも10ppq、またはさらに少なくとも100ppqでありうることであると理解することができる。
【0010】
生物由来材料は、少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%の生体由来含有量を含み、前記生物由来含有量が非化石炭素含有量に結合した上記の14Cならびに窒素、酸素および水素を含有する非化石炭素含有量を含むことをさらに特徴とすることができる。
【0011】
すなわち、装置の少なくとも一部は、1種以上の生物由来材料に基づくことができる。ただし、好ましくは、装置の外層をもっぱら生物由来材料から製造することができる。
【0012】
本明細書において、生物由来材料は、再生可能な生物資源に由来する材料、すなわち、生物起源の天然材料、例えば、木、作物またはバイオマスに完全にまたは少なくとも部分的に由来するが、化石燃料に由来しない材料と理解することができる。このため、生物由来材料を、生きている(または一度は生きていた)生物、特に、植物に由来する非化石物質から得ることができる。このような材料の例は、セルロース系複合材料/分子、特に、セルロース繊維、カゼイン、ポリアクチン酸またはコーンスターチもしくは木材パルプ系材料である。
【0013】
すなわち、装置の少なくとも一部を生物由来材料で製造することにより、装置全体の環境への影響を低減することができる。生物由来材料は、容易に分解することができるためである。例えば、生物由来材料は、少なくとも口腔の外側で生分解性材料であることができる。口腔内では、相当量のUV放射線は存在せず、加えて、通常の環境で観察される生分解を担う真菌が存在しない。結果として、この材料は、生分解性であっても、本明細書に記載した装置の意図される用途にとって典型的に十分な期間である数週間にわたる口腔内での長期の使用にさらに適応可能である。これは、CAB材料(以下を参照)に特に当てはまる。
【0014】
生物由来材料により形成される外面は、装置が歯に装着されるときに、装置が装着される歯および/または口腔に面する場合がある。すなわち、少なくとも1つの外面は、装置の上面および/または底面である場合がある。このような設計は、以下により詳細に説明されるように、特に、石油由来のポリマーの摩耗によるマイクロプラスチック粒子の生成を回避しかつ改善された装着快適性を提供することにとって特に有利である。外面に生物由来材料を使用することの1つの利点は、熱可塑性微粒子が生成される場合であっても、これらが天然材料に基づいているため、装置のユーザに有害でないということである。
【0015】
例として、本発明に係る可能な(かつ好ましい)一実施形態は、酢酸セルロース(CA)または酢酸酪酸セルロース(CAB)のシートから製造された歯科用スプリントである。このシートは、300μm~1000μmの範囲の厚さを有する場合がある。このような装置は、液体、特に化学薬品などの物質を吸収し、口腔内での使用中にこれを放出することができ、さらに、このような装置は、非常に軟らかく、適応可能な外面を提供し、その結果、装着快適性が改善される。
【0016】
本発明の概念に従って、上記で言及した問題は、請求項2記載の装置の特徴により追加的にまたは代替的に解決される。このため、本発明はさらに、冒頭で紹介された歯に装着される口腔内歯科矯正装置も提案する。この装置を、特に歯科用スプリントとして設計することができ、この装置がコアと、コアを少なくとも部分的に、ただし好ましくは完全に覆うキャップ層とを備えることを特徴とする。
【0017】
好ましくは、キャップ層は、生物由来材料である酢酸酪酸セルロース(CAB)を含むことができる。装着快適性およびユーザの安全性を改善するために、実際には、キャップ層は、完全に酢酸酪酸セルロース(CAB)で構成されることが好ましい。当然、更なる成分、例えば薬剤または可塑剤を、CAB層に添加して、これを機能化しかつ/またはその粘度特性をそれぞれ微調整することができる。例えば、CABを、特にコア上への快適性被覆として、薬剤と共に適用することができ、コアは、生物由来材料製ではなく、化石源に由来するポリマー製であることができる。
【0018】
CABは、水不溶性の生物由来材料であり、上記で概説したC14含量の使用の規定に従うことができ、口腔内で非分解性であるため、歯科器具に十分適している。加えて、使用中、ヒト細胞に後成的に有害となりうるマイクロプラスチック部品は、CABの摩耗により生成されない。これは、このようなマイクロプラスチック粒子を生成する傾向を有する古典的な有機ポリマーより大きな利点である。CABは、天然セルロース材料に基づいており、このため、滑らかな界面を提供し、これにより、装着快適性が改善される。酪酸塩含有量のために、CABは、酪酸塩含有量を含まない酢酸セルロース(CA)と比較して、より高い機械的安定性を提供する。ユーザの快適性に重要なことは、水吸収によりCABのヤング率Eが1GPa未満に低下し、このため、装置が歯に装着されたとき、唾液と接触した後にCABをより軟らかくすることでもある。
【0019】
好ましい実施形態によれば、キャップ層に使用されるCABの分子量は、20.000g/mol超、好ましくは30.000g/mol超であることができる。分子量の定義は、コアに適用されるCAB層の機械的硬度および安定性を制御することにとって決定的である。
【0020】
CABのブチリル含量は、好ましくは10重量%~60重量%の範囲にあることができる。ブチリル含量を制御することは、CAB層の柔軟性を制御することにとって決定的である。
【0021】
CABの分子量およびそのブチリル含量は両方とも、CABマトリクス中に埋め込まれた放出可能な薬剤の放出速度を制御することにとって決定的である。
【0022】
トリアセチンまたはポリカプロラクトン-トリオール(PCL-T)をCABに混合すると、特に高品質な層を得ることができる。これらの天然軟化剤は、可塑剤として機能し、このため、CABの可塑性を向上させかつ/または粘度を低下させる。加えて、トリアセチンまたはPCL-Tは、キャップ層の弾性率に影響を及ぼす。キャップ層の弾性特性に影響を及ぼす他の要因は、ブチリル含量およびCABの分子量である。
【0023】
装置のキャップ材料としてCABを使用する別の利点は、異なる長さの分子鎖を特徴とする異なるCAB組成の混合物を使用できることである。各組成の比を最適化することにより、CAB層のヤング率Eおよびガラス転移点を微調整することができる。したがって、本発明によれば、装置の外面を形成するCABキャップ層を、異なる分子鎖長のCAB組成をブレンドすることにより製造することができる。
【0024】
この特定の設計において、コアおよびキャップ層に使用される材料は異なる場合があり、このため、設計のより高い自由度と共に、装置の機械的特性および触覚特性を調整する可能性が提供される。コアとキャップ層とはその機械的特性が異なりうるからである。さらに、コアとキャップ層とは、これらが同じ材料から形成されるとしても、異なるフィルムまたはシートから形成される場合もある。
【0025】
使用中、歯は、典型的には、下顎または上顎のいずれかに装着される装置の外面と接触し、したがって、キャップ層の材料は擦り取られる(摩耗する)。したがって、もっぱら生物由来材料からキャップ層を形成することは、使用中に、生物由来、したがって天然の摩耗物のみが口腔内で生成されるという利点を有する。したがって、今日、口腔内歯科矯正装置に頻繁に使用されている非生物材料、例えば石油系ポリマーに由来する摩耗粒子形態にあるマイクロプラスチック粒子で患者の口が汚染されることを回避することができる。このことは特に重要である。消化管を通って患者の生きている細胞内にこのようなマイクロプラスチック粒子(特に、摩耗されたマイクロプラスチックからのサブマイクロメートルサイズのポリマー残留物およびモノマー)が取り込まれる危険性があるためである。
【0026】
キャップ層とは異なる材料でありうる別個のコアを使用することは、使用されるキャップ層から独立して装置の機械的特性を設計できるという利点を有し、このことは以下で明らかとなるであろう。
【0027】
キャップ層のための材料は、生物由来かつ生分解性の材料、例えば、酢酸セルロース(CA)、酢酸酪酸セルロース(CAB)、酢酸プロピオン酸セルロース(CAP)、ポリ乳酸(PLA)、キトサン系ポリマーまたはこれらのうちの少なくとも1つからなるブレンドを含むことができる。
【0028】
装置のコアのための材料として、生物由来材料、例えば、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、PLA、キトサンまたはポリエステル、コポリエステル、ポリカーボネート、熱可塑性ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリエチレンコポリマー、アクリル、環状ブロックコポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリトリメチレンテレフタレート、またはこれらの組み合わせ(例えば、列記した硬質ポリマー材料のうちの少なくとも2つのブレンド)が適している。幾つかの実施形態では、装置のコア(例えば、硬質ポリマー層)は、ポリマー材料、例えば、ポリカーボネート、コポリエステル、ポリエステル、および熱可塑性ポリウレタンを含むことができる。幾つかの実施形態では、コアを、複数の硬質層、例えば2つまたは3つの硬質ポリマー層から構成することができる。
【0029】
本発明によれば、本明細書に記載した口腔内歯科矯正用途に非常に適した生物由来材料の例は、酢酸セルロース(CA)、特に酢酸酪酸セルロース(CAB);バイオプラスチック、好ましくは熱可塑性脂肪族ポリエステル、例えば、特にコーンスターチに基づくポリラクチド(PLA)および天然多糖類、例えばキトサンを含む。
【0030】
また、本発明は、冒頭で紹介した、歯に装着される口腔内歯科矯正装置も提案する。この装置を、特に歯科用スプリントとして設計することができ、加えて、この装置は、コアと、コアを少なくとも部分的に覆うキャップ層とを備え、キャップ層が液体吸収性材料を含むことを特徴とする。この装置は、請求項1または2に記載した特徴を有することができる。
【0031】
液体吸収性材料は、例えば吸水性材料または吸油性材料であることができる。両方の場合において、この材料の体積液体吸収率、すなわち、特に体積液体吸収率、特に水吸収率は、少なくとも1.5%、最も好ましくは少なくとも2.5%であることが好ましい。
【0032】
液体吸収性材料の液体吸収を、例えば「ASTM D570-プラスチックの水吸収のための標準試験法」に記載されているような標準試験法で測定することができる。この方法では、試験中の試験片をオーブン中で指定された時間および温度で乾燥させ、次いで、これをデシケータ中に置いて冷却することにより、吸水性を試験する。冷却後ただちに試験片を秤量する。次いで、材料を、合意された条件、多くの場合23℃で24時間、または平衡になるまで、水中に沈める。その後、試験片を取り出し、リントのない布で軽くたたいて乾燥させ、再度秤量する。こうした好ましい方法以外に、適切な材料を決定するために、他の方法、例えば相対湿度の関数としてのインピーダンス測定、NMR緩和測定と組み合わせた核磁気共鳴(NMR)イメージング、または例えばポリマーフィルムへの水の拡散を測定することができる減衰全反射フーリエ変換赤外分光法(ATR-FTIR)を使用することができる。
【0033】
上記の体積液体吸収率値により、選択された材料が、所望の機能性、すなわち以下でより詳細に検討する特性である、液体貯留部としての使用にとって顕著な液体吸収性および顕著な変形性を提供することに適していることが保証される。
【0034】
水、特に唾液を吸収することができるキャップ層の成分を提供することは、患者が装置を口腔内に装着するときに、特にう蝕によるう歯を回避するために非常に有益である。これは、歯垢の中和または生成が唾液により回避されるためである。
【0035】
第2に、少なくともキャップ層に吸水性材料を使用することにより、物質または薬剤、特に一時的に結合した物質/薬剤、例えば香味分子、フッ化物分子、または活性物質、例えば薬剤を材料に容易に組み込むことが可能となる。これらの物質は、口腔内に放出可能となるように、水溶性であることができる。
【0036】
すなわち、吸水性材料は、水溶性物質であることを特徴とすることができ、これらの物質は、装置の装着中に口腔内に放出可能でありうる。
【0037】
別の好ましい設計によれば、キャップ層の弾性率が液体の吸収により少なくとも10%、ただし好ましくは少なくとも20%低下するように、液体吸収性材料を選択することができる。この液体は、特に、水または唾液であることができる。これにより、装置は、軟らかく変形可能な表面を提供し、したがって、口腔内での装着にとって快適となる。例えば、このような材料の選択に基づいて、キャップ層の弾性率が、液体、特に水中に浸漬された後、0.5GPa未満、またはさらに0.2GPa未満に低下し、その結果、歯および歯肉に対する装置の非常に軟らかい接触をもたらす設計が可能となる。
【0038】
さらに、膨潤により液体、特に、水または油を吸収するキャップ層の能力は、患者の口腔の複雑な個々のトポロジに対する装置の適応性を改善するために非常に有用である。特に、膨潤および液体吸収による軟化、すなわちキャップ層の弾性率の低下は、患者の歯および歯肉への装置の快適なフィットを可能にするメカニズムを提供する。
【0039】
最も好ましくは、キャップ層を、少なくとも部分的に、好ましくは全体的に、生物由来かつ吸水性の材料から構成することができる。さらに、皮膚刺激およびアレルギーを回避するために、装置に使用される全ての材料が生体適合性であることが一般的に好ましい。
【0040】
本発明に係る口腔内歯科矯正装置は患者の口腔に個別にカスタマイズすることができ、このため、口腔内で人間の上顎または下顎に取り付けることができる。
【0041】
口腔内歯科矯正装置を患者の歯に固定するために、装置の外面は、その患者の口腔のトポロジに適合したトポロジを示すことができる。このため、この外面は、装置が取り付けられる歯に面することができる。
【0042】
このため、この装置は、患者の歯を位置決めするための歯科器具として使用することができる。この目的で、装置は、患者の歯の少なくとも幾つかを受け入れるように成形された複数のキャビティを特徴とすることができる。先に説明したように、この装置により、弾性位置決め力を患者の歯に加えることができる。
【0043】
本発明に係る装置を、特に、審美歯科の分野において、歯の整列(特に、歯の位置および/または向きの増分調整)、歯の漂白、夜間の歯ぎしりもしくは食いしばりの回避、またはいびき防止装置として使用することができる。
【0044】
特に、歯科整列用途では、一連の装置の各装置は、所望の最終歯科整列に徐々に近づくように製造することができる。すなわち、歯の非生理的または無感覚位置から開始して、特定の装着期間後、例えば2週間後に前の装置を後続の装置に置き換えるようにして一連の装置を次々に使用することにより、歯の位置を所望の位置に徐々に変化させるために、患者により使用することができる。一連の装置のうちの1つの装置は、その形状がわずかに異なっていてよく、このため、歯を新しい位置および/または新しい向きへと段階的に強制することができる。
【0045】
特に、本発明に係る装置を、歯科用スプリントとして設計することができる。歯科用スプリントを、歯およびその支持構造を歯ぎしりまたは食いしばりにより引き起こされる損傷から保護するための器具として使用することができる。スプリントは、歯のナイトガードまたは咬合スプリントのいずれかの形態をとることができる。
【0046】
本発明によれば前述の問題を解決するさらに有利な実施形態が存在し、これにつき、従属請求項および以下に記載する。
【0047】
非常に好ましい実施形態によれば、装置のコア、特に上記の前記コアを、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ただし最も好ましくはグリコール改質ポリエチレンテレフタレート(PETG)で製造することができる。グリコール含量により、PETGのより高い耐久性(より少ないクラック)がもたらされ、これが装置の熱成形中の優れた成形性にとって非常に有益であるためである。このことは、CABをキャップ層として使用する場合に特に有利である。なぜなら、CABは、特に液体形態で、例えば溶媒、例えばアセトンに基づく溶液としてPETGコアに適用される場合に、PETGとの優れた機械的連動を示すことができるからである。
【0048】
根底をなす理由は、溶媒により、コアの材料の分子鎖の相互作用を低下させることによって、コアの表面を軟化させることができることにある。その結果、コアを当該溶液で処理した後、コアおよびキャップ層(またはより正確には、キャップ層の有機ポリマー、特にCAB)をナノメートルスケールで連動させることができ、その結果、コア上でのキャップ層の接着性が改善される。液体形態のキャップ層をコア上に適用し、溶媒とコアとを相互作用させた後、溶媒を単に蒸発させ、このようにして最終的な固体キャップ層を形成することができる。この連動は、コアの材料としてのPETG、溶媒としてのアセトンおよびキャップ層の材料としてのCABを使用した場合に、特に観察される。
【0049】
加えて、CABは唾液との長期間の接触後に軟化するため、PETGコアが機械的安定性の提供にとって重要となりうる。また、これにより、CAB層の厚さの低減も可能となる。他の利点は、CABのガラス転移点TgがPETGのそれに近いことであり、このことは装置の熱成形にとって重要である。特に、これにより、熱成形プロセス中にキャップとコア層との熱融着をもたらすことができる。この熱融着は、例えば熱成形中にCABの融解温度に達したときに生じさせることができる。
【0050】
好ましい実施形態によれば、装置の外側のキャップ層を、キャップ層に薬剤を埋め込むことにより機能化することができる。この薬剤は、被覆から口腔内に放出可能な薬剤であることができる。薬剤の埋め込みを、好ましくは液状の薬剤の形態にある薬剤をキャリア液に添加し、液状の薬剤とキャリア液との混合物からキャップ層を、特に、装置のコアに適用される被覆として形成することにより行うことができる。このアプローチにより、キャップ層内の薬剤の均質な分布が保証される。
【0051】
非常に好ましい実施形態によれば、キャップ層に埋め込まれた薬剤は、生物由来材料、最も好ましくは(非化石)植物から直接に抽出された精油に由来することができる。このアプローチにより、薬剤、例えば、シンナムアルデヒド、石灰、チモール、オイゲノール、リナロール、カルバクロール、ナツメグ、ピメントベリー、ローズマリー、ペチグレイン、コーヒーまたはアニスを、薬剤として利用することができる。
【0052】
被覆に埋め込まれる薬剤として使用することができる生物由来材料から得られる、特に、天然精油からの抽出により得られるさらに適切な抽出物/誘導体は、α/β-ピネン、ミリスチシン、メチルオイゲノール、メントール、テルピネン、p-シメン、リナロール、ミルセン、ピネン、β-オシメン、ゲラニアル、サビネン、ネラール、シトロネロール、リノレン酸、オレイン酸、ステアリン酸、ヒマカレン、ビサボレンまたはtrans-シンナムアルデヒドである。
【0053】
装置の最終的な熱成形に関する別の重要な態様は、薬剤の熱安定性である。最終的な装置の適切な機能性を保証するために、薬剤の分解温度は、キャップ層のガラス転移点Tgよりも少なくとも50℃高く、かつ/またはキャップ層の融解温度Tmよりも少なくとも10℃高くなければならない。
【0054】
特定の好ましい一実施形態は、抗菌剤としてシンナムアルデヒドを利用し、それをCABで形成されるキャップ層に埋め込むことを提案する。このアプローチは、CABおよびシンナムアルデヒドが高度に適合性であるため、特に適している。シンナムアルデヒドを使用することの別の利点は、CAB中にシンナムアルデヒドを埋め込んだ後にも、CAB被覆の熱成形を可能にするために十分に熱安定であることである。
【0055】
シンナムアルデヒドおよびリメオンが、歯垢の形成を回避することに特に適している。これは、これらの薬剤をCABに埋め込むと、特に細菌、例えばストレプトコッカス ミュータンス(streptococcus mutans)およびストレプトコッカス ミティス(streptococcus mitis)を特異的に攻撃することができるためである。
【0056】
薬剤の抗菌活性(AMA)は、一般的には、薬剤の疎水性およびサイズにより定義される。このような抗菌剤をCABマトリクスに埋め込む場合、例えば薬剤分子が疎水性であるほど、かつ大きくなるほど、薬剤の放出速度は遅くなり、AMAは低くなる。他方、強力に疎水性の薬剤、例えばカルバクロールを使用することにより、放出速度を遅くし、ひいては抗菌保護時間を長くすることができる。
【0057】
上記で言及した全ての具体的な薬剤をCABマトリクスからの拡散プロセスにより放出させることができ、その結果、経時的に漸近的な放出が生じる。薬剤が抗菌剤、例えばシンナムアルデヒドである場合、CAB被覆の厚さおよびCABに添加される薬剤の質量割合により放出速度が規定され、したがって抗菌保護の持続時間も規定される。
【0058】
一般的には、CABマトリクス中に埋め込まれる薬剤は、CABとの混合が容易であるべきである。すなわち、この薬剤は、CABと薬剤とから形成される溶液中で別個の相としてCABから分離されるべきでなく、CABの透明性に影響を及ぼすべきでない。薬剤、例えばシンナムアルデヒドを埋め込むことの副作用として、この薬剤が幾らかの可塑化効果を示し、その結果、他の可塑剤の含量を減少させうることが挙げられる。
【0059】
特に、シンナムアルデヒドまたは任意の他の適切な薬剤を、生物由来材料、特にCABと共に、液体形態で(例えば、シンナムアルデヒド、アセトンおよびCABの均質溶液として)、装置のコア上に被覆として適用することができる。このような被覆により、シンナムアルデヒド/薬剤が装置の表面上に均一に分布するようになる。この場合、装置の熱成形前に液体被覆を適用しかつ/または固化させることが好ましい。
【0060】
非常に好ましい実施形態によれば、キャップ層は、塑性変形可能であることができる。すなわち、キャップ層は、弾性的に変形可能であることができ、かつ/または永久的に歪ませることができる材料のものであることができる。これは、例えばキャップ層が絡み合った繊維を含むケースでありうる。キャップ層に可塑性を付与することにより、本明細書に記載した用途に非常に適した設計がもたらされる。可塑性により、患者の歯および歯肉への装置の改善されたフィットがもたらされ、最終的には、改善された装着快適性がもたらされるためである。
【0061】
このような塑性変形は、特に液体、例えば水中での膨潤による軟化後に生じさせることができる。
【0062】
結果として、キャップ層を、歯と接触するキャップ層の外面がマイクロメートルスケールでその形状を適合させることができるような寸法とすることができる。これは、装置が装着される歯に面する外面、または装置に対向する歯に面する表面、例えば装置が上顎に装着される場合の下顎の歯でありうる。
【0063】
軟らかくかつ塑性変形可能なキャップ層を使用することの利点は、装着快適性が向上することである。この快適性は、この層により、キャップ層がこのようなサイズスケールで変形可能であることができるため、装置表面がマイクロメートルスケールで患者の口腔の自然な形状に適合させることができるという事実による。重要な結果として、特に、装置が歯を再整列させるための歯科用スプリントとして設計される場合、歯および歯肉上に装置により及ぼされる圧力が低減されるため、装置を装着する際の快適性が装着の初日の間に大幅に改善される。
【0064】
例えば、絡み合った繊維を含む材料を使用することにより、少なくとも20μmの塑性変形を、200μm以下のキャップ層を使用して達成することができる。これは、10%の相対的なサイズ変化に付随する。本明細書において、キャップ層の塑性特性または可塑性は、加えられた力に応答して、形状の不可逆的な変化を受ける(固体)材料の変形であると理解することができる。ただし、口腔の形状が変化するときはいつでも、キャップ層は、特定の形状に従うように再加工される金属片と同等の変化に従うことができる。
【0065】
装置により提供される機能性をさらに向上させるために、特定の一実施形態は、装置が液体可溶性、特に水溶性または油溶性の物質を特徴とすることを提案する。このような物質は、香味分子または薬剤であることができる。この物質を、キャップ層を通してまたはキャップ層から、装置を装着している患者の口腔内に放出可能であるように選択することができる。このアプローチでは、患者が装置を口腔内に装着したときに、装置から香味分子をゆっくり放出させることにより、装置に心地よい香味を提供することが特に興味深い。同様に、薬剤、例えば抗炎症剤を、このアプローチを使用して装置から放出させることができる。
【0066】
このような付加的な機能性を可能にするために、本発明は、装置の使用前に、この物質がキャップ層を通してまたはキャップ層内から装置へ埋め込まれることを提案する。これにより、患者にとっての使い易さが大幅に改善される。このような埋め込みを、特に物質を含有する液体溶液に装置を浸漬させることにより行うことができる。液体への埋め込み、特に浸漬は、装置が形成されるシートの製造中に、または装置をその最終形状に形成した後に行うことができる。
【0067】
別の特定の設計は、装置がコアを有する多層サンドイッチ構造を示すことを提案する。コアは、PET、好ましくはPETGであることができ、上部キャップ層と底部キャップ層との間に挟まれ、これらのキャップ層を両方ともCABから形成することができる。このような設計では、コアは、上部キャップ層および底部キャップ層により完全に封入されることが好ましい。このため、意図された機能性に対して大きな表面を使用することができ、またマイクロプラスチック摩耗も回避することができる。
【0068】
全多層サンドイッチ構造は、1.5mm未満、好ましくはさらに1.0mm未満の最大厚さを示すことができる。
【0069】
非常に好ましい設計は、下記の装置構造を提案している。すなわち、PET、好ましくはPETG、特に医療グレードのPETG箔から形成され、300~1000μm、好ましくは400~800μmの厚さを有するコアであり、当該コアはCABから形成され、特に液体の形態でコアに適用された上部キャップ層と底部キャップ層との間に挟まれ、両キャップ層は、5~100μmの範囲の厚さを有する。好ましくは、コアと底部キャップ層および上部キャップ層との間に、中間層は必要ない。加えて、特に、使用中に患者がPETGと接触しないよう、キャップ層がコアを完全に封入していることが好ましい。
【0070】
このような設計では、PETGのガラス転移点Tg,coreが80~100℃の範囲にあること、かつ/またはCABキャップ層のガラス転移点Tg,capが80~165℃の範囲、最も好ましくは80~140℃の範囲にあることがさらに好ましい。
【0071】
使用されるCAB材料の融解範囲は、分子CAB鎖の長さおよびブチリル含量に応じて、120~200℃の範囲にあることができる。
【0072】
口腔内用途のために、CABキャップ層のヤング率Eが装置のコアの弾性率よりも低いとさらに有利である。例えば、装置に使用されるPETGコアのヤング率Eは、0.5~2.5GPaの範囲にあることができる。
【0073】
好ましい設計によれば、上部キャップ層および底部キャップ層は、好ましくは0.3mm未満の厚さを有することができる外面被覆を形成することができる。
【0074】
別の好ましいサンドイッチ構造によれば、コアは300μm~1100μmの厚さを示し、一方、上部キャップ層および下部キャップ層はそれぞれ50μm~250μmの厚さを示すことができる。この場合も、本明細書においては、コアをPETGで製造することができ、キャップ層をCABで製造することができる。
【0075】
コアとキャップ層との間に中間層を使用する場合(以下を参照)、この中間層は、用途に応じて、10μm~100μmの範囲の厚さを示すことが好ましい。中間層は、弾性材料および/またはコアの弾性率と比較して1/10より低い弾性率を有する材料から形成することができる。
【0076】
さらに、1つ以上の中間層は、弾性を有するが、塑性変形不能とすることができる。
【0077】
最良の変形能および形状機能性を提供する別の非常に好ましい実施形態によれば、装置は、下記の層順序、すなわち底部キャップ層-中間層-コア-中間層-上部キャップ層を有する5層構造からなる。ただし、これらの層はそれぞれ更なる層からなっていてもよい。例えば、コアは、複数のポリマーフィルムを積層するかまたは別の手法で融合させることにより形成することができる。
【0078】
付加的にまたは代替的に使用することができる別の好ましい設計では、上部キャップ層および底部キャップ層の厚さは非対称である。特に、装置が装着される歯から離れた側の上部キャップ層を、装置が装着される歯と接触する底部キャップ層よりも少なくとも10%、好ましくは少なくとも33%厚くすることができる。
【0079】
より具体的には、装置が装着される歯から離れた側の上部キャップ層は、10μmの最小厚さを示すことができ、一方、装置が装着される歯と接触する底部キャップ層は、75μmの最大厚さを示すことができる。このような設計は、底部キャップ層の適応性により、優れた装着快適性を提供し、上部キャップ層の使用によりマイクロプラスチック汚染を回避し、快適に装着できる薄い全体的な装置設計を可能にするために理想的であると考えられる。
【0080】
特に、口腔へ向かうより厚い上部キャップ層は、唾液、または例えば心地よい味を提供するために放出される他の液体の実質的な量を吸収するように最適化される。加えて、100μmという上部キャップ層の最小厚さにより、プラスチック材料であってよい内部コア層の摩耗に対する保護が保証される。上部キャップ層の摩耗は、生物由来材料から製造されるため、危険ではない。装置が装着される歯と直接に接触するより薄い下部キャップ層により、高い装着快適性が可能となる。同時に、75μmの最大厚さにより、下部キャップ層の塑性変形がこのように制限されるため、装置の適切な動作が保証される。この層の歯による摩耗が無視できるため、特に、下部キャップ層をより厚くする必要がない。
【0081】
上記のサンドイッチ構造を使用する場合、装置の使用中に歯に面する底部キャップ層が、歯から離れた側の上部キャップ層と少なくとも同じ厚さであれば、高い装着快適性および薄い全体設計に一般に有利である。
【0082】
装置のコアは、装置に構造的安定性および/または形状安定性を提供する剛性層であることができる。
【0083】
特に、コアは弾性であることができ、好ましくは少なくとも0.5GPaの弾性率を有し、最も好ましくは少なくとも1GPaの弾性率を有する。このため、コアは、1本の歯を整列させるための弾性力を提供することができる。このような設計は、装置が患者により患者の歯に歯科用スプリントとして装着される場合に、非常に有用である。
【0084】
特に装置を水中に浸漬させた後、コアの弾性率がキャップ層の弾性率よりも高い設計とすることが、このような用途にとって好ましい。このような設計は、高い弾性力と装置の良好な適応性を併せ持つ。
【0085】
コアを、安価で豊富な石油系ポリマーから形成することができる。ただし、好ましくは、コアを、生物由来材料から形成することができる。コアは、装置に構造的安定性を提供するという重要な機能を有するため、キャップ層よりも厚く、中間層が使用される場合、中間層よりも厚いことが一般的に好ましい。
【0086】
既に説明したように、コア層と1つ以上のキャップ層との間に中間層を使用することができる。特に、装置は、キャップ層よりも軟らかくかつ/またはコアよりも軟らかく、コアをキャップ層から分離する中間層を特徴とすることができる。本明細書において、分離はコアとキャップ層との間にあるが、これらの層と必ずしも直接に接触している必要はないと理解することができる。例えば、幾つかの設計では、中間接着剤層または接着促進層により、中間層を別の層と接続することができる。
【0087】
既に言及したように、少なくとも水中で膨潤させた後、キャップ層はコアより軟らかいことが好ましい。
【0088】
1つ以上の中間層は、例えば、シリコーンもしくはアクリルエラストマーまたはその両方に基づくことができる。
【0089】
本明細書において、キャップ層について先に提案した生物由来材料は、少なくとも大気中で、実際にはコアよりも硬い場合があることに留意されたい。これらの材料の幾つかは、特にこれらが相当な割合の水を吸収することができる場合、唾液と長期間接触するとただちに口腔内で軟化する。この特性は、装置の装着快適性を向上させるために非常に有益である。結果として、口腔内で一定の膨潤時間が経過した後に、以前は硬かった外側のキャップ層を、コアよりも軟らかくすることができる。この膨潤時間は、層の厚さに応じて、数分~数時間程度でありうる。
【0090】
中間層は、特に、異なる熱膨張によってコアとキャップ層の間に生じる応力を緩和するために非常に有益である。さらに、中間層により、装置の熱成形または深絞り中に生じるせん断力を平衡化することができる。また、このようなせん断力はキャップ層による吸水の間にも生じうるものであり、この場合、中間軟質層も同様に有益となる。これらの全ての場合において、中間層により、コアとキャップ層との間に捕捉されたエアポケットの生成を防止することができる。
【0091】
さらに、弾性変形が可能となることによってマイクロメートルレベルでの患者の口腔の自然な形状に対するキャップ層の表面の適合性への寄与が得られ、これにより装着快適性がさらに向上するように、中間層を非常に軟らかくすることができる。
【0092】
特に、歯の整列のために、すなわち患者の歯の再配置のために装置を使用する場合、キャップ層の厚さおよび中間層の厚さが、液体中で膨潤した後、歯上での装置の摩耗によるこれら2つの層の最大複合変形がこれら2つの層の合計厚さの50%未満、好ましくは50μm未満となるように制限されることが非常に有利である。本明細書において根底をなす推論は、前記最大複合変形が大きくなりすぎると、装置の正しい機能、特に歯の所望の再整列が損なわれうるということである。なぜなら、この場合、装置はもはや歯に関連する位置決め力を及ぼすことができなくなるからである。キャップおよび中間層の塑性変形は、液体、特に唾液中での膨潤による軟化、および装置に接触する歯によって誘引される圧力取り込みの直接の結果である。本明細書において、全厚さは、キャップ層と軟質中間層との2つの厚さの合計と理解することができる。最大複合変形は、個々の層の弾性および/または塑性変形により生じうる。提案の設計では、装置は、装着の快適性をもたらし、さらに、歯の段階的な再位置決めの間に使用される典型的な値である100μmを超える量、例えば200~500μmで歯を再位置決めするために有用である。
【0093】
同時に、コアが0.5%未満の体積吸水率を示すことが有利でありうる。これにより、使用中の装置での意図しない大きな形状変化が回避される。
【0094】
例えば、古典的なポリエチレンテレフタレート(PET)は、非常に低い吸水率を示すため、コアに適した材料である。
【0095】
同じ理由で、コアは、撥水性層を特徴とすることおよび/または1つ以上の撥水性中間層に封入されることが有益でありうる。このような手段により、同様に、コアの膨潤が回避され、使用中の意図しない大きな形状変化が回避される。
【0096】
熱成形による、特に後に検討する深絞りによる装置の可能な製造を考えると、コアのガラス転移点Tg,coreとキャップ層のガラス転移点Tg,capとの差は80℃未満、好ましくは60℃未満であることが有利となる。このような材料の選択により、コアとキャップとの両方の分子鎖の十分な可動性がもたらされ、その結果、効率的な熱連動を、最終的な熱成形中のコアとキャップとの間の熱融合(「熱溶着」と呼ばれる場合もある)により達成することができる。
【0097】
実際に、キャップ層は、コアのガラス転移点Tg,coreよりも実際に高いガラス転移点Tg,capを示すことができる。このことは、PETGがコアのための材料として使用され、酢酸酪酸セルロース(CAB)がキャップ層のための材料として使用される場合に特に当てはまりうる。
【0098】
加えて、コンパウンド材料を、装置の熱成形中に、コアとキャップ層との間の界面で製造することができる。なぜなら、キャップ層はその融解温度を超えうるが、コア層は依然としてガラス転移相/温度範囲にあるためである。一般的には、コアがその融解温度Tm,coreに達する前にキャップ層がその融解温度Tm,capに達するか、またはキャップがその融解温度に達する前にコアがその融解温度に達するかのいずれかである。これは、特に熱成形を考慮した場合、コアの融解温度Tm,coreとキャップの融解温度Tm,capとが少なくとも20℃、好ましくは少なくとも40℃、最も好ましくは少なくとも60℃異なることを保証することにより、達成することができる。
【0099】
ただし、製造を容易にするために、コアの融解温度Tm,coreがキャップの融解温度Tm,capよりも少なくとも20℃、好ましくは少なくとも40℃、最も好ましくは少なくとも60℃高い設計とすることが好ましい。このような設計では、キャップは、コア材料が未だに固体である間、溶融状態となる。例えば、好ましい実施形態によれば、Tg,coreは80~100℃の範囲にあることができ、Tg,capは80~165℃の範囲、最も好ましくは80~140℃の範囲にあることができる。キャップ層に使用される材料の対応する融解範囲は、120~200℃の範囲、最も好ましくは120~180℃の範囲にあることができる。コアの融解温度Tm,coreは200℃超であることができる。このような材料の選択より、製造中に装置が外部から加熱される場合、キャップ層がTg,capに達する前またはそれに達した際に、コアのTg,coreへの到達を確実とすることが可能となる。
【0100】
このような設計の特定の一例は、80℃のガラス転移点を特徴とし、同時に、210℃程度の高さの融解温度を特徴とするPETGで製造されたコアである。このようなコアは、酢酸酪酸セルロース(CAB)に基づくキャップ層と組み合わせることができる。このキャップ層は、120℃以上の範囲にあるガラス転移点を特徴とし、同時に160℃の比較的低い融解温度を特徴とすることができる。すなわち、この設計では、CAB-キャップのガラス転移点は、実際にPETG-コアのガラス転移点よりも高く、一方、CAB-キャップの融解温度は、PETG-コアの融解温度よりも低い。
【0101】
ガラス転移点Tgを上回ると、ポリマーは、熱成形を可能にするゴム状材料のようにふるまい、一方、Tgを下回ると、各ポリマーの単一の分子は、比較的小さな移動度を有するようになり、その結果、剛性が増大したガラス状または結晶状になる。
【0102】
コア層とキャップ層との間のガラス転移点を提案のように分配することにより、外部熱源で装置が加熱される場合、キャップ層がそのTgに達したときには既にコア層が自身のTgに達していることを保証することができる。このため、キャップ層がそのTgを上回ったときに、コア層が依然として剛性であって熱成形の準備ができていないことを回避することができる。
【0103】
同時に、コアおよびキャップ層のガラス転移点Tg,coreおよびTg,capは、80℃未満、好ましくは60℃未満だけ異なることが非常に有益である。これにより、熱成形中に、両層が十分に移動して、両層の化学的および/または物理的連動をもたらす一種の熱融合が生じることが確実となる。
【0104】
さらに、キャップ層は、コアがその融解温度T
m,coreに達する前に、その融解温度T
m,capに達するべきである。すなわち、コアの融解温度T
m,coreは、キャップ層の融解温度T
m,capよりも少なくとも20℃、好ましくは少なくとも40℃、最も好ましくは少なくとも60℃高くあるべきである。結果として、熱成形中、キャップ層がその融解温度T
m,capに達し、一方、コア層は、依然としてガラス転移相/温度領域
【数1】
にある。
【0105】
実際には、コンパウンド材料が、熱成形中、コアとキャップ層との間の界面に生成される。このコンパウンド材料は、キャップ層に使用される有機ポリマーからの鎖と、コアに使用される材料の一部とを含む。
【0106】
最も容易には、装置は口腔の3dモデルから製造することができ、次いで、製造にあたり、装置、特に前記コアが、成形されまたは深絞りされかつ/または熱成形される。このアプローチに従って3dモデルを患者の口腔から直接の成形プロセスにより得ることができ、または口腔の取得された3dデータに基づいて3dモデルを得ることができる。このようなデータは、最新技術の口腔内光学3Dスキャナにより正確に得ることができる。
【0107】
コア、キャップ層および中間層は、それぞれ、薄いフィルムもしくは箔またはいわゆる熱成形ディスクから得ることができる。このため、先に記載したサンドイッチ構造は、複数の薄いフィルムまたは層からなり、熱、圧力および/または真空を使用して、最終形状に形成することができる。
【0108】
好ましい実施形態によれば、装置は、コアと外側の上部キャップ層および底部キャップ層とを含む多層サンドイッチ構造を2つの対向する側面から加熱することにより製造され、当該多層サンドイッチ構造体は、熱成形中、前述したような特徴を有しうる。このアプローチに従って、上部キャップ層および底部キャップ層がそれぞれ自身のガラス転移点に達する前に、上部キャップ層と底部キャップ層との間に挟まれたコアがそのガラス転移点に達することができる。このことは、装置の適切な最終熱成形を保証するために有利である。
【0109】
同様に、装置は、熱成形中に、2つの対向する側面から単一のフィルムを加熱することにより製造することができる。このアプローチは、フィルム内に均一な熱分布がもたらされるため、同様に有利である。特に、フィルムが厚い場合、2つの対向する側面からの加熱により、フィルムを片側からのみ加熱するときに観察されるようなフィルム内、特にフィルムの上側と底側との間の大きな温度勾配の発生が回避される。このアプローチは、生物由来材料を含むかまたはそれからなるフィルムに特に適している。このようなフィルムは、これらを片側から集中的に加熱すると、褐色または黄色がかる傾向があるためである。2側面での加熱の別の利益は、フィルムの迅速な処理である。
【0110】
このため、装置の両側に加熱源を提供することにより、一方のキャップ層が他方のキャップ層と同時にそのガラス転移点に達しないことが回避され、このようなサンドイッチ構造を一方の側のみから加熱する場合に起こりうる状況が回避される。
【0111】
最後に、装置は、少なくとも部分的に、付加製造プロセスにより、特に少なくともコアの3d印刷により、製造することができる。装置を製造するために使用可能な3d印刷以外の更なる付加製造技術は、幾つか挙げるならば、電子ビーム溶融、ステレオリソグラフィ、選択的レーザ焼結、積層物体製造、または融着堆積モデリングを含む。
【0112】
本発明によれば、前述した特徴を有することができる口腔内歯科矯正装置を熱成形するための方法も提供される。この方法は、同様に、冒頭で言及した問題を解決する。特に、このような装置を対象とする特許請求の範囲のうちのいずれかの請求項に係る口腔内歯科矯正装置を熱成形するための方法が提供される。この方法は、コアと外側の上部キャップ層および底部キャップ層とを含む多層サンドイッチ構造が2つの対向する側面から加熱されることを特徴とする。言うまでもなく、こうした多層サンドイッチ構造は、本発明に係る歯科矯正装置に関して前述した特徴を有することができる。
【0113】
このような2側面での加熱は、特に、多層サンドイッチ構造の加熱中、底部キャップ層および上部キャップ層がそのガラス転移点に向かって同期して加熱されるように行うことができる。
【0114】
同様に、ここで提案している方法を、先に検討したように、単一のフィルムにも適用することができる。すなわち、特に、このような装置を対象とする特許請求の範囲のうちのいずれかの請求項に係る口腔内歯科矯正装置を熱成形するための方法が提供される。この方法は、フィルムが2つの対向する側面から加熱されることを特徴とする。言うまでもなく、この装置は、本発明に係る歯科矯正装置に関して前述した特徴を有することができる。フィルムの両側面加熱は、特に、フィルムの加熱中、フィルムの外側がそのガラス転移点に向かって同時に加熱されるように行うことができる。このアプローチにより、フィルム内のより均一な温度分布がもたらされ、外側の側面間の温度勾配が小さくなる。
【0115】
フィルムまたは多層サンドイッチ構造のこのような2側面での加熱のためには、2つの別個の、好ましくは個々に調整可能な熱源を特徴とする熱成形装置を使用することが好ましい。
【0116】
最後に、本発明によれば、前述の特徴を有しうる口腔内歯科矯正装置に、患者の口腔内に放出可能な物質を配備するための方法も提供される。この物質は、抗菌剤、例えば、シンナムアルデヒド、香味料、着色剤、またはフッ化物であることができる。この方法は、同様に、冒頭で言及した問題を解決する。特に、このような装置を対象とする特許請求の範囲のうちのいずれかの請求項に係る口腔内歯科矯正装置に、患者の口腔内に放出可能な物質を配備するための方法が提供される。この方法は、装置の使用前に、装置の液体吸収性、好ましくは吸水性の生物由来キャップ層に物質が埋め込まれることを特徴とする。
【0117】
この埋め込みは、特に溶媒、例えばアセトンを使用してこの物質をキャップ層の生物由来材料と混合することにより、行うことができる。得られた溶液は、液体被覆として、装置のコア上に適用することができる。特に、コアの材料の分子鎖の相互作用を低減することにより、溶媒がコアの表面を改質することができ、その結果、コアとキャップ層とがナノメートルスケールで連動することができ、その結果、コア上のキャップ層の接着性が改善されるため、後者のアプローチが特に有利である。
【0118】
さらに、装置を熱成形した後、キャップ層とコアとの間の界面において、装置のキャップ層およびコアを熱融着(「熱溶着」と呼ばれる場合もあるプロセス)させることができる。結果として、コンパウンド材料が界面に形成される。この熱融着により、コア上のキャップ層の機械的および/または化学的相互作用がさらに改善される。
【0119】
先に説明したように、この配備は、装置の製造の異なる段階、特にキャップ層が形成されるシートまたはフィルムの製造中に行うことができる。
【0120】
この物質をキャップ層に埋め込む都合の良い手法として、装置またはキャップ層自体を、この物質を含有する液体溶液、好ましくは水溶液に浸漬させることが挙げられる。
【0121】
このため、本発明は、特に上記で説明したコアおよびキャップ層を特徴とする口腔内歯科矯正装置を使用して、香味分子または薬物などの物質を、長時間、例えば数時間にわたって患者の口内に導入しかつ放出させることを提案する。このアプローチにより、物質の放出を通して装置に心地よい味を提供することにより、装置を装着する際の快適性が改善され、また、特に物質の放出速度に関して、心地よく制御された状態で患者の口腔に薬剤を提供する手段を提供する。
【0122】
本発明に係る前述の方法は、前述のようにまたはこのような装置を対象とする特許請求の範囲のうちのいずれかの請求項により定義されるように口腔内歯科矯正装置に適用されることが、特に有利である。
【0123】
ここで、本発明の好ましい実施形態をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、当業者には、本発明の更なる実施形態が特許請求の範囲のうちの1つ以上の特徴の互いの組み合わせおよび/または本明細書で説明もしくは図示した実施形態の1つ以上の特徴との組み合わせにより得られることが明らかである。
【0124】
添付の図面を参照するにあたり、対応する技術的機能を有する特徴は、これらの特徴の形状または設計が異なる場合であっても、同じ符号で参照される。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【
図1】単一のフィルムに基づく本発明に係る第1の口腔内歯科矯正装置のための製造方法を示す図である。
【
図2】多層サンドイッチ構造に基づく本発明に係る第2の口腔内歯科矯正装置のための製造方法を示す図である。
【
図3】本発明に係る歯科矯正装置の好ましい実施形態を示す図である。
【
図4】生物由来材料を説明するために本明細書で使用された非化石炭素含有量および生物由来含有量の定義を示す図である。
【0126】
図1に、左下の副図に示されている本発明に係る口腔内歯科矯正装置1の製造を示す。図からわかるように、装置1は、患者が口腔内の歯に装着する歯科用スプリント2として設計されている。装置1は、最初、
図1の左中央の副図に示されているように、個々の患者の上顎の歯にフィットする複雑な3d形状を達成するように、熱17および真空または圧力を使用して、フィルム14を熱成形すること16により製造される。フィルム14の熱成形のために、
図1に示されている3dモデル18が使用される。フィルム14の熱成形16後、得られた3d形状は、
図1の左下の副図に見られるように、歯科用スプリント2の最終形状に切断される。
【0127】
フィルム14は、生物由来材料5からなる。この材料5は、口腔の外側で急速に分解可能である。ただし、装着中、装置1は、通常の周囲条件における生物由来材料5の急速な崩壊の原因となるUV照射および真菌の両方から保護される。したがって、装置1を、性能を著しく低下させることなく、患者により口腔内で数週間にわたって装着することができる。
【0128】
装置1は、完全に生物由来材料5からなるため、装着中、特に、下顎の歯が装置1上で歯ぎしりしているとき、危険でない天然粒子、例えば繊維破片のみが生成される。このため、プラスチック材料に基づく最新技術の歯科矯正装置において問題となる、口腔内でのマイクロプラスチック粒子の生成が回避される。
【0129】
図1の右下の副図に示されているように、生物由来材料5は、実際には、かなりの体積比の水、すなわち2.5%超の水を吸収することができる液体吸収性材料6である。したがって、水溶性物質9、例えば香味分子を材料5,6に埋め込むことが可能である。患者が装置1を装着しているとき、装置1が唾液と接触し、次いで、唾液が経時的に香味分子を洗い流す。結果として、装置1の使用前に液体吸収性材料6に香味分子9を埋め込むことにより、装着中の装置1の心地よい味がもたらされる。
【0130】
図2に、患者の口腔のトポグラフィの正確なコピーである3dモデル18をこの場合も使用している、本発明に係る口腔内歯科矯正装置1の別の例の製造を示す。
図1に示されている第1の例とは異なり、装置1は、単一のフィルム14だけでなく、
図2の右半分に断面が示されている、複雑な多層サンドイッチ構造10から製造される。
図2の右側の上側断面図に見られるように、多層サンドイッチ構造10は、上部キャップ層4aと下部キャップ層4bとの間に挟まれた、300~1100μmの範囲の厚さを有することができる中央コア3からなる。これらのキャップ層4a,4bのそれぞれは、追加の軟質中間層13a/13bによりコア3から分離されている。
【0131】
コア3を、硬質ポリマー、例えばポリカーボネートまたはポリウレタンから製造することができる。ただし好ましくは、コア3も、生物由来、したがって生分解性材料から製造される。0.5GPaの弾性率を有するコア3が弾性であるため、装置1に構造安定性および形状安定性が提供される。したがって、歯科用スプリント2が、患者の歯に適切にフィットすると、単一の歯に弾性力が加えられて、これを所望の位置に再整列させることができる。
【0132】
図2の右側の断面に見られる2つのキャップ層4a,4bは、完全にセルロース繊維8および酢酸セルロース(CA)を含む生物由来ポリマーからなる。さらに、2つのキャップ層4a,4bは、装置1の外面7全体を画定する被覆11を形成する。すなわち、コア3は、キャップ層4a,4bにより少なくとも間接的に完全に封入される。実際に、キャップ層4a,4bを、装置1の外面7を画定する1つの均一な外層と考えることができる。
【0133】
図2の右側の断面図に見られるように、装置1が装着される歯から離れた側の上部キャップ層4aが、装置1が装着される歯と直接に接触する(5~75μmの範囲の厚さを有する場合がある)下部キャップ層4bより厚い(例えば、100~300μmの範囲の厚さを有する)場合、装着にとって快適な薄い設計が実際に好ましい。
【0134】
中間層13a,13bは、軟質ポリマー、例えばシリコーンに基づいており、したがって弾性的に変形可能である。さらに、これらの層13a,13bは、水に対してほとんど不透過性(撥水性)である。その厚さは、10~100μmの範囲にあることができる。
【0135】
対照的に、キャップ層4a,4bの生物由来材料5は、2.5%超の体積吸水率を有する液体吸収性材料6である。結果として、キャップ層4a,4bはかなりの量の液体を吸収可能であり、また、種々の液体、特に水中での膨潤により、その形状を変化させることもできる。膨潤により、空気雰囲気中で硬質ポリマー層である外側のキャップ層4a,4bは軟らかくなり、その弾性率は、0.5GPa未満に低下する。第2の効果として、外側のキャップ層4a,4bが塑性変形可能となる。
【0136】
また、キャップ層4a,4bのための特定の材料の選択もわずかに異なる場合があり、これにより、単一層4a,4bの熱的および/または機械的な特性の微調整が可能となる。これは、キャップ層4が内部コア3を部分的にのみ覆う同様に可能な設計に特に関連する。
【0137】
剛性内部コア3および外側の生物由来キャップ層4a,4bを有するこの多層サンドイッチ設計の利益は多岐にわたる。
【0138】
キャップ層4a,4bに架橋されていないが絡み合った繊維8が存在するため、装置1の外面7をマイクロメートルスケールでその形状を適合させることができる。繊維8は、十分な液体を吸収するとただちに、これらの層4a,4bを塑性変形可能にするためである。
【0139】
(液体に浸漬させた後)キャップ層4の弾性率の5倍または10倍まで高い弾性率を示す場合がある剛性コアにより、装置1は、歯に力を及ぼす歯科用スプリントとして使用することができる。同時に、剛性コア3と比較して、外側のキャップ層4a,4bのはるかに高い柔軟性および変形性により、非常に快適なフィットが保証される。特に、歯肉の刺激を効果的に回避することができる。
【0140】
装置1は、少なくとも部分的に生物由来材料から製造されるため、これらの材料を容易に分解することができるので、装置1の環境への影響が低減される。
【0141】
別の重要な利点として、液体可溶性物質9、例えば香味分子または薬剤を、液体吸収性材料6に直接にまたはこの材料6を通して装置のより深い層へのいずれかに、装置に埋め込むことができる。したがって、装置1は、使用前に装置1に埋め込むことができるこのような物質9を特徴とすることができる。
【0142】
次いで、口内での装置1の使用中に、これらの物質9を、この物質がキャップ層4に直接に埋め込まれている場合にはキャップ層4から、またはこの物質9が装置のより深い層に埋め込まれている場合にはキャップ層4を通してのいずれかで、放出することができる。このような物質9を装置1に配備する非常に都合の良い手法として、所望の物質9を含有する液体中に装置1を浸漬させることが挙げられる。この液体は、この物質を含有する油/水溶液であることができる。
【0143】
歯科用スプリント2の意図された機能、すなわち歯の再整列が、キャップ層4a,4bおよび中間層13a、13bの過剰な変形性により損なわれないことを保証するために、これらの個々の層4a,4b,13aおよび13bの厚さを、例えば、液体中での外層の膨潤(特に、装置1が、口内の唾液中に浸漬される場合)に反応し、かつ歯上での装置1の摩耗による装置1の最大複合変形、例えば全厚さの変化がこれらの層4a,4b,13aおよび13bの全厚さの50%未満であるように、制限することができる。例えば、この複合変形が50μm未満である場合、歯の位置の所望の再調整のための典型的な値がアライナースプリントあたり200~500μmであるため、歯科用スプリントの適切な作動メカニズムをさらに保証することができる。
【0144】
同じ理由で、すなわち装置1全体の過度の変形を避けるために、特にコア3も液体吸収性材料6から製造される場合、内部コア3に到達する水の量を制限することが有利である。これを、例えば、水不透過性層内にコア3を封入することにより達成することができる。水不透過性層は、水不透過性中間層13a,13bを使用することにより
図2の設計で達成される。
【0145】
図2に係る装置1の製造に関して、
図2の左上の副図において、10の多層サンドイッチ構造10が実際に両側から加熱されることが見られる。このアプローチにより、キャップ層4a,4bのうちの一方が自身のガラス転移点に達しているために既に軟化している場合、内部コア3が依然として剛性であることが回避される。同じ理由で、コア3の材料は、そのガラス転移点がキャップ層4a,4bに使用される材料5,6のガラス転移点より実際に低くなるように選択される。
【0146】
このような設計を十分に活用するために、熱成形中、装置1の外層をその個々のガラス転移点に向かって同期させて加熱することが推奨される。これを、装置1のそれぞれの側面に配置された2つの別個かつ個々に調整可能な熱源17を使用して、安全に達成することができる。
【0147】
したがって、
図2に示されている両面加熱アプローチを使用すると、コア3は、キャップ層4a,4bが自身のガラス転移点に達する前に、そのガラス転移点に達する。これは、外側のキャップ層4a,4bが加熱により軟らかくなるとただちに、多層サンドイッチ構造10が熱成形により成形される準備が整ったことになることを意味する。熱成形は、特に患者の口腔の3dモデル18上にサンドイッチ構造10を深絞りすることにより、行うことができる(
図2を参照)。このような3dモデル18は、石膏からキャスト成形することができ、またはポリマー材料から製造することができ、キャスト成形プロセスによりまたは口腔を光学的にスキャンして、得られたデータに基づいて3dモデル18を3d印刷することにより、容易に得ることができる。
【0148】
代替的にまたは付加的に、装置1の少なくとも一部、例えばコア3を、付加製造技術、例えば3d印刷により製造することができる。次いで、キャップ層4と、必要に応じて中間層13とを、熱成形および種々の被覆プロセスを含む種々の技術を使用してコア3上に付加することができる。
【0149】
図3に、本発明に係る歯科矯正装置の好ましい実施形態を示す。この装置は、コア3を完全に覆う被覆11を形成している上部キャップ層4aと底部キャップ層4bとの間に挟まれたコア3を有する多層構造10からなる。層4a,4bは、酢酸酪酸セルロース(CAB)から製造される。まず、CABを、アセトンと混合して、キャリア液を得る。
【0150】
次に、薬剤9、特に抗菌剤9、例えばシンナムアルデヒド、および/または軟化剤、例えばトリアセチンもしくはポリカプロラクトン-トリオール(PCL-T)を含有する薬剤液を、キャリア液と混合し、次いで、これを、グリコール改質ポリエチレンテレフタレート(PETG)箔から製造されたコア3上に200~700μmの範囲の厚さで液膜として適用する。(アセトンの蒸発による)液膜の乾燥後、機械的連動が界面19で生じる。アセトンがPETG表面を軟化させ、その結果、CABの分子鎖がナノメートルスケールでPETGと連動することができ、PETG上でのCABの接着性が改善される。
【0151】
得られたCAB被覆11(PETG箔の両側)は、キャリア液の粘度に応じて、5~100μm、ただし好ましくは10~50μmの厚さを有することができる。次いで、多層構造10を(熱成形により)深絞りして、最終的な歯科矯正装置1を得る。
【0152】
重要なことに、熱成形プロセス中、熱融合がCABとPETGとの間に生じ、これにより、コア3上のCAB被覆11の化学的および/または機械的な相互作用がさらに増大する。実際に、コンパウンド材料が、熱成形中、界面19に形成される。
【0153】
図3の右側に示されているように、コア3を封入する被覆11に使用されるCABは、実際に生物由来材料5である。これは、化石源に由来する有機材料と、非化石天然源、例えば植物に由来する有機材料、特にセルロースとをブレンドすることにより生成されるためである。
【0154】
図4に模式的に示されているように、本明細書において理解された「生物由来材料」は、材料5が、そのかなりの部分として例えば少なくとも40%、非化石炭素含有量20を含有することを意味しうる。この非化石炭素含有量20は、炭素同位体
14Cを検出可能な割合(例えば、10ppq超)で含有することを特徴とする。また、化石源によっては
14Cが数千年にわたって放射性減衰により減少しているため、同位体
12Cを含有するものの検出可能な割合の
14Cをもはや含有しない化石炭素含有量21も存在する場合がある(
図4を参照)。
図4に示されているように、更なる量、すなわちいわゆる生物由来含有量22を画定することができる。材料5のこの画分は、非化石炭素含有量20ならびに非化石炭素含有量20に結合した全ての水素H原子、酸素O原子および窒素N原子23を含む。
【0155】
まとめると、歯に装着される口腔内歯科矯正装置1、例えば、歯科用スプリント2の使用の質を改善するために、かつその機能性を向上させるために、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、生物由来材料5からこのような装置1を製造することが提案される。特に、内部剛性コア3を覆い、生物由来材料5を含み、膨潤によりかなりの量の液体を吸収することができるように追加的に選択することができるキャップ層4を特徴とする設計を採用すると、装置1の微小変形性の両方を改善することができ、その結果、患者にとっての装着快適性が向上し、化石由来プラスチック摩耗物による患者のマイクロプラスチック汚染が少なくなり、例えば物質9、例えば薬剤もしくは香味分子または生物由来抗菌剤または保護剤を装置1から放出するという新規な機能を実現することができる。
【符号の説明】
【0156】
1 口腔内歯科矯正装置
2 歯科用スプリント
3 コア
4 キャップ層
5 生物由来材料
6 液体吸収性材料
7 (4の)外面
8 絡み合った繊維
9 物質/薬剤(例えば、香味分子または薬剤)
10 多層サンドイッチ構造
11 被覆
12 剛性層
13 (例えば、3と4との間の)中間層
14 フィルム
15 液体
16 熱成形
17 熱
18 3dモデル
19 界面
20 (14Cを含有する)非化石炭素含有量
21 (もはや検出可能な割合の14Cを含有しない)化石源に基づく炭素含有量
22 生物由来含有量(すなわち、非化石炭素含有量ならびにこの含有量に結合した水素、窒素および酸素)
23 非化石炭素に結合した水素、窒素および酸素
【国際調査報告】