(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(54)【発明の名称】醸造粕の液状画分を含む液状食品
(51)【国際特許分類】
A23L 2/52 20060101AFI20221221BHJP
A23L 23/00 20160101ALI20221221BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
A23L2/52
A23L23/00
A23L2/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022524607
(86)(22)【出願日】2020-10-26
(85)【翻訳文提出日】2022-06-15
(86)【国際出願番号】 EP2020080034
(87)【国際公開番号】W WO2021078996
(87)【国際公開日】2021-04-29
(32)【優先日】2019-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522167401
【氏名又は名称】サーキュラー フード テクノロジー エーペーエス
【氏名又は名称原語表記】Circular Food Technology APS
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベウケル, カリン
(72)【発明者】
【氏名】キルケテープ. ビクター
(72)【発明者】
【氏名】クラウス, ハンナ
(72)【発明者】
【氏名】ブール コイル, エミル
(72)【発明者】
【氏名】ペダーセン, オフェリア
(72)【発明者】
【氏名】リーマン アンデルセン, エビアイア・ボンド
(72)【発明者】
【氏名】ウーラス,サスキア
(72)【発明者】
【氏名】デ フリス, イッセ
【テーマコード(参考)】
4B036
4B117
【Fターム(参考)】
4B036LE02
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4B117LP16
(57)【要約】
本発明は、醸造粕の液状画分を含む液状食品及び前記液状食品を調製する方法に関する。特に、液状食品は、植物性又は動物性原料を添加しておいた醸造粕から調製し、混合物を抽出ステップに供して、味覚と口当たりを改善する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
醸造粕の液状画分を10重量%~100重量%の範囲の量で含む含む液状食品。
【請求項2】
前記醸造粕の液状画分が、生醸造粕を固体画分と液状画分とに機械的分離処理することによって得られる、請求項1に記載の液状食品。
【請求項3】
前記醸造粕の液状画分が、添加された酵素を含まない、請求項1又は2に記載の液状食品。
【請求項4】
前記醸造粕の液状画分が食物繊維を2重量%以下の量で含む、請求項1~3のいずれかに記載の液状食品。
【請求項5】
前記液状食品が、飲料、液状朝食、粥、デザート、ソース、及びスープの群から選択される、請求項1~4のいずれかに記載の液状食品。
【請求項6】
前記液体が、1つ以上のフレーバー改善剤をさらに含む、請求項1~5のいずれかに記載の液状食品。
【請求項7】
前記フレーバー改善剤が、植物性原料又は動物性原料の成分の抽出物、フルーツ又は野菜ジュース、甘味料、香味料、及びスパイスの群から選択される1つ以上である、請求項6に記載の液状食品。
【請求項8】
前記フレーバー改善剤が、植物性原料又は動物性原料の成分の抽出物の群から選択される1つ以上を少なくとも含む、請求項7に記載の液状食品。
【請求項9】
前記フレーバー改善剤が植物性原料の成分の抽出物であり、前記植物性原料が、植物の葉、花芽、ナッツ、シリアル、穀物、種子、木の針葉、果物の皮、藻、キノコ、海藻、根の群から選択される1つ以上である、請求項8に記載の液状食品。
【請求項10】
前記フレーバー改善剤が動物性原料の成分の抽出物であり、前記動物性原料が、肉ブロス、骨ブロス、動物の消化管又は動物の腸の群から選択される1つ以上である、請求項8に記載の液状食品。
【請求項11】
前記液状食品が、生醸造粕又は希釈された生醸造粕を含まない、請求項1~10のいずれかに記載の液状食品。
【請求項12】
前記醸造粕の液状画分が、20重量%以下の乾物含量を含む、請求項1~11のいずれかに記載の液状食品。
【請求項13】
液状食品を調製する方法であって:
i)醸造粕の液状画分を提供し;
ii)任意選択的にさらなる成分を添加し;
iii)前記醸造粕の液状画分を、望ましくない微生物を不活性化するステップに供し;
それによって前記液状食品を得るステップを含む、方法。
【請求項14】
1つ以上のフレーバー改善剤を、ステップii)において望ましくない微生物を不活性化する前又は後に前記醸造粕の液状画分を添加する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記フレーバー改善剤が、植物性原料又は動物性原料の成分の抽出物、フルーツジュース、野菜ジュース、甘味料、シロップ、香味料、及びスパイスの群から選択される1つ以上である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の液状食品を調製する方法であって:
i)醸造粕の液状画分を提供し;
植物性原料又は動物性原料の成分の群から選択される1つ以上のフレーバー改善剤を醸造粕の前記画分に添加して、混合物を提供し、前記混合物の抽出を実施し;
ii)任意選択的に1つ以上のさらなる成分を添加し;
iii)ステップi)又はii)の前記抽出された混合物を、前記混合物中の望ましくない微生物を不活性するステップに供し;
それによって前記液状食品を得るステップを含む、方法。
【請求項17】
前記醸造粕の液状画分が、機械的分離処理の使用により生醸造粕を液状画分と固体画分とに分離することによって得られる、請求項13~16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記機械的分離処理が、ねじプレス、フィルタープレス、遠心分離機、又は膜ろ過の群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記フレーバー改善剤が、植物性原料の1つ以上の成分の抽出物の抽出物であり、前記植物性原料が、新鮮な植物性原料、乾燥又は凍結植物性原料である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記フレーバー改善剤が植物性原料の成分の抽出物であり、前記植物性原料が、植物の葉、花芽、ナッツ、シリアル、穀物、種子、木の針葉、果物の皮、藻、キノコ、海藻、及び根の群から選択される1つ以上である、請求項16~19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
ステップi)における前記抽出が、前記混合物を72℃~120℃の範囲の温度に2~60分間加熱することによる、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
ステップi)における前記抽出が、ステップの前記混合物を10℃以下の温度に冷却することによって、10~48時間抽出させるものである、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、醸造粕の液状画分を含む液状食品及び前記液状食品を調製する方法に関する。特に、本発明は、醸造粕の液状画分と、植物性原料又は動物性原料の成分の抽出物の群から選択されるフレーバー改善剤とを含む飲料に関する。本発明はまた、醸造粕の液状画分中の植物性原料又は動物性原料の成分から選択される一つ以上のフレーバー改善剤を抽出することによって、液状食品を調製する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
食品廃棄物の回避への関心がここ数年で高まってきているので、様々な食品の調製から得られる廃棄物の再利用が増加している。
【0003】
醸造粕(BSG)は、例えば、醸造業やウイスキー蒸留から生じる副産物である。現在、BSGは主に、ウシ、家禽及びブタ用の飼料などの、家畜用飼料として使用されている。しかしながら、醸造粕の栄養価のために、人間用食品の製造で醸造粕を使用することについての関心が高まっている。
【0004】
例えば、米国特許出願第2019/0200640A1号は、醸造粕(BSG)の酵素的糖化及び発酵によって得られる飲料と、そのような飲料を調製するプロセスであって、酵素処理及び発酵の前に醸造粕を蒸留水で希釈するプロセスとを開示している。
【0005】
欧州特許出願第EP3085243A1号は、モルト及び/又は非モルト化穀粒を提供し、使用済穀粒からマッシングリカー(マッシングリカーは、使用済穀粒を粉砕し、ブルーイングリカーと酵素とを添加して酵素分解を引き起こすことによって得られる)を提供し、モルトとマッシングリカーとを処理して麦芽汁を得ることによって得られる飲料を開示している。麦芽汁は酵母を使用して発酵させる。
【0006】
しかしながら、醸造粕は、水で希釈した後でも味や口当たりが悪い。さらに、BSGの繊維可溶化及び糖化のために使用される酵素加水分解は、回避が望まれる複雑なプロセスである。また、消費者は、よりクリーンなラベルや添加化合物の少ない食品を求める傾向がある。酵素の添加にはラベリングが必要である。さらに、酵素の使用は、時間と費用の掛かるプロセスであり、さらなる処理を必要とする副産物が生じる。
【0007】
したがって、改善されたフレーバーを有するが、BSGの栄養価を維持したBSGを含む飲料又は別の種類の液状食品が有利であろう。さらに、酵素の添加を使用せずに作製された飲料が有利であろう。添加物の量を減らしつつ、天然起源のフレーバー改善剤を含んで作成された飲料も有利であろう。
【発明の概要】
【0008】
したがって、本発明の目的は、良好な栄養価を有し、改善された許容可能なフレーバーを有する液状食品、例えば、飲料、粥又はスープを提供することに関する。さらに、本発明の目的は、酵素を添加することなく、許容可能なフレーバー、良好な口当たり、及び良好な栄養価を有する醸造粕から液状食品を提供することである。さらに、本発明の目的は、前記液状食品を調製する方法を提供することである。
【0009】
特に、本発明の目的は、先行技術の前述の課題を解決する醸造粕を含む液状食品を提供することである。
【0010】
したがって、本発明の一態様は、醸造粕の液状画分を10重量%~100重量%の量で含む液状食品に関する。
【0011】
本発明のさらに別の態様は、液状食品を調製する方法であって:
i)醸造粕の液状画分を提供し;
ii)任意選択的にさらなる成分を添加し;
iii)望ましくない微生物を不活性化する醸造粕の液状画分をステップに供して、液状食品を得るステップを含む、方法に関する。
【0012】
本発明のさらに別の態様は、液状食品を調製する方法であって:
i)醸造粕の液状画分を提供し;
植物性原料又は動物性原料の成分の群から選択される1つ以上のフレーバー改善剤を、醸造粕の画分に添加して、混合物を提供し、混合物の抽出を実施し;
ii)任意選択的に1つ以上のさらなる成分を添加し;
iii)ステップi)又はii)の抽出された混合物を、混合物中の望ましくない微生物を不活性化するステップに供し;
それによって液状食品を得るステップを含む、方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、生BSG、50重量%の水で希釈した生BSG、BSGの液状画分、50重量%の水で希釈したBSGの液状画分、及び50重量%の水で希釈したBSGの液状画分を沸騰させたものの官能評価を示す。
【
図2】
図2は、沸騰させた醸造粕の液状画分(B)、沸騰させていない醸造粕の液状画分(UB)、クロスグリの葉と共に沸騰させた醸造粕の液状画分(BC)のサンプル中の様々なアルコール性芳香化合物のスパイダーウェブを示す。
【
図3】
図3は、沸騰させた醸造粕の液状画分(B)、沸騰させていない醸造粕の液状画分(UB)、クロスグリの葉と共に沸騰させた醸造粕の液状画分(BC)のサンプル中の様々なアルデヒド芳香化合物のスパイダーウェブを示す。
【
図4】
図4は、沸騰させた醸造粕の液状画分(B)、沸騰させていない醸造粕の液状画分(UB)、クロスグリの葉と共に沸騰させた醸造粕の液状画分(BC)のサンプル中の様々なケトン芳香化合物のスパイダーウェブを示す。
【
図5】
図5は、沸騰させた醸造粕の液状画分(B)、沸騰させていない醸造粕の液状画分(UB)、クロスグリの葉と共に沸騰させた醸造粕の液状画分(BC)のサンプル中の酸及び他の芳香化合物から選択される様々な芳香化合物のスパイダーウェブを示す。
【
図6】
図6は、クロスグリの葉で抽出されたBSGの液状画分のサンプル並びにジュースが添加されたサンプルの官能評価を示す。
【
図7】
図7は、クロスグリの葉で抽出していないBSGの液状画分と比較した、クロスグリの葉で抽出したBSGの液状画分中の様々な化合物の減少のGC-MS分析を示す。
【
図8】
図8は、クロスグリの葉で抽出していないBSGの液状画分と比較して、クロスグリの葉で抽出したBSGの液状画分中の様々な化合物の増加のGC-MS分析を示す。
【
図9】
図9は、ビール醸造業からの醸造粕を調製するプロセスと、どのようにして醸造粕の液状画分を得るかの概略を示す。 次に、本発明を以下でより詳細に説明する。
【発明の詳細な説明】
【0014】
定義
本発明をさらに詳細に論じる前に、以下の用語及び表現法をまず定義する。
「液状食品」という語は、本発明の文脈では、液体状態にあり、ヒトの食用に適した食品を意味する。「液状」という語は、本発明の文脈では、40体積%以上、特に50体積%以上の水分含量を有する製品として理解されるべきである。
【0015】
例えば、液状食品は、飲料、液状朝食、粥、デザート、ヨーグルト、ソース及びスープの群から選択され得る。飲料は、例えば、炭酸飲料又は非炭酸飲料であり得る。飲料は、例えば、スムージー、シェイク、ジュース、ショット、ココアドリンク、シリアルミルク又はアイスティー様ドリンクから選択され得るが、本発明は、これらの種類の飲料のいずれにも限定されるべきではない。一例では、飲料は、醸造粕の液状画分と生姜から作られたジンジャーショットである。一例では、飲料は、醸造粕の液状画分とココア、砂糖及び塩から作られたココアドリンクである。デザートは、例えば、プディング、フロマージュ、ムース、アイスクリーム、シャーベット、ソルベ、アイスミルク、アイスウォーターなどのいずれかであり得る。
【0016】
「醸造粕」(BSG)という語は、ビールを醸造し、穀物、ソルガムライス(sorghum rice)及びトウモロコシから酒を蒸留するプロセス、すなわち、ウイスキー蒸留から得られる副産物を指す。しかしながら、BSGは、穀物、トウモロコシ、米又はサトウキビが、酒を調製する出発物質として使用される、他の種類の酒の調製から得ることもできる。一例は、発酵させた穀物からのウォッカの蒸留である。他の例は、発酵させたサトウキビからのラム又はサトウキビ若しくは米からのアラックの蒸留である。BSGは、醸造及び蒸留プロセスにおいて麦芽製造及びマッシングの後に得られる不溶性固体である。醸造粕は、調理されたオートミール又は湿らせたおがくずに類似した稠度を有する非流動性生成物であり、穀物床(grain bed)と呼ばれる場合がある。ビールの醸造は、僅かな成分しか必要とせず、典型的には、4つのステップ又は相、つまり、麦芽製造ステップ、マッシングステップ、発酵ステップ及び発酵後ステップに分けることができる。しかしながら、経費の削減が必要ならば、麦芽製造ステップを省くことができる。ウイスキー蒸留に麦芽製造及びマッシングも含まれる。
図9では、ビール醸造において醸造粕を調製するプロセスの模式的外観を示す。さらに、
図9は、醸造粕を機械的分離処理(ここでは、加圧)し、それによって醸造粕の固体画分と醸造粕の液状画分とをえることによって、醸造粕の液状画分を得る方法を示している。
【0017】
ビール醸造における麦芽製造では、大麦粒を水に浸し、これにより、様々な酵素(麦芽製造酵素)の発生が可能になる時点まで、発芽又は出芽させる。発生する酵素は、アミラーゼ、プロテアーゼ、及び他の酵素である。これらの酵素は、細胞壁及びタンパク質マトリックスを分解することによって、オオムギ胚乳の構造を改変する。大麦粒の発芽及び出芽の後、酵素の発芽及び発生を停止するキルニング(kilning)ステップに大麦粒を供する。キルニングステップは、ほとんどの場合、熱処理を含む。キルニングプロセスは、大麦粒を焙煎する。
【0018】
マッシングステップ中に、酵素が放出され、デンプンやタンパク質などの高分子の加水分解に使用される。マッシングステップでは、大麦麦芽を粉砕し、水と混合し、続いて段階的に加熱して、デンプン及びタンパク質を、次の発酵プロセスで基質として機能するサブユニットに分解する。マッシングプロセス中に香味成分が強められると考えられる。段階的加熱は、麦芽製造ステップ中に合成された様々な酵素が異なる温度で最適な活性を有するためである。マッシングステップの最後に、熱処理を行って酵素を失活させる。発酵前に、マッシュから得られる不溶性固体をろ過によって除去して、麦芽汁と呼ばれるマッシュ液を得る。麦芽汁はビール製造における発酵プロセスのために使用され、ここで、除去された不溶性固体は醸造粕と呼ばれる。
【0019】
したがって、醸造粕(BSG)は、ビールの醸造や酒の蒸留の際の麦芽汁製造後に得られた不溶性残渣である。BSGは、穀物固形分、タンパク質、炭水化物、及び他の材料を含み、BSGの主な固体成分は、モルトの殻(husk pericarp)及び種皮であり、これらはリグニン、セルロース、ヘミセルロース、脂質及びタンパク質の宝庫である。これらの成分のうち、セルロース、ヘミセルロース及びリグニンは乾物含量のほぼ50%を占める。BSGはまた、多量の水も含む。BSGでは、約85重量%は水であり、約15重量%は固形物である。BSG中の水分量は約15重量%の自由水を含み、残りの水(約85重量%)は穀物材料中に吸収され、したがって、自由流動性ではない。本発明では、麦芽汁の除去後に得られるBSGを「生BSG」と称する。「生BSG」は、醸造粕の液状画分を得るために機械的分離処理に供される生成物である。
【0020】
生BSGは、タンパク質及び繊維の重要な供給源である。生BSGは、乾燥物質の15~25重量%の範囲のタンパク質含量を含み得る。BSGはまた、約40~60重量%の乾物含量などの多量の食物繊維を含み得る。
【0021】
醸造粕の「液状画分」という語は、醸造粕の一部が、醸造粕をプレスし、その結果、液状画分と固体画分とに分離する機械的分離プロセスを経た後に得られる液体を指す。「BSGの画分」とは、BSGの「一部」を意味する。したがって、「BSGの液状画分」という語は、生BSGを機械的分離プロセスに供した後に得られるBSGの液状部分である。
【0022】
したがって、本発明の好ましい実施形態では、醸造粕の液状画分は、生醸造粕を固体画分と液状画分とに機械的分離処理することによって得られる。
【0023】
BSGの液状画分はまた、BSGの湿潤画分又はBSG水と称されることもある。さらに、醸造粕「の液状画分」という語は、生BSGの機械的分離によって得られる可能性がある。篩の使用は機械的分離ではなく、生醸造粕の穀物材料に染み込むので、液状画分と固体画分とに分離しない。しかしながら、BSGの液状画分は、機械的分離処理の使用により、生BSGを液状画分と固体画分とに分離することによって得られる。機械的分離処理は、例えば、ねじプレス、フィルタープレス、遠心分離機又は膜ろ過の使用によるものであり得る。好ましくは、機械的分離処理は、ねじプレス、フィルタープレス又は遠心分離機の使用によるものである。というのも、これらの分離方法は、液体がより多くの量で分離され得るように生醸造粕をプレスするからである。遠心分離機は、一実施形態では、デカンター遠心分離機であってよい。
【0024】
本発明の文脈では、「生BSG」という語は、固体画分と液状画分とに分離されていない、醸造又は蒸留業界から得られるBSGを指す。生BSGは、麦芽汁とBSGとを得るためにマッシュをろ過下後に得られるBSGである。
【0025】
BSGの液状画分は、例えば、可溶性タンパク質及び炭水化物、並びにフェノールを含む。
【0026】
本発明の好ましい実施形態では、BSGの液状画分は、ねじプレス及び/又は遠心分離機の使用により生BSGを固体画分と液状画分都に分離することによって得られる。いかなる理論によっても拘束されないが、本発明者等は、ねじプレス又は遠心分離機におけるBSGの機械的処理が、BSG中の固形物、すなわち、果皮や種皮などの大麦の固形物の細胞壁の分解を増大させると考える。これにより、生BSGに不溶性であったさらなるタンパク質及び炭水化物は、殻及び種皮から放出され、BSG液状画分中に存在する。それどころか、本発明者等は、ねじプレス又は遠心分離機を使用した後と比較して、フィルタープレスの使用後のBSG液状画分中に存在するこれらの栄養素は少ないことを見出した。いかなる理論によっても拘束されないが、本発明者等は、BSGの機械的処理により、BSG中のタンパク質及び酵素がより小さなペプチドに分解されることになり得ると考える。これらのより小さなペプチドは、次に炭水化物と結合して、メイラード生成物を生成し得る。メイラード生成物は、加熱中に、炭水化物のカルボニル基の還元末端を、ペプチド又はタンパク質のアミノ酸と結合させることによって得られる。したがって、機械的処理によってタンパク質がより小さなペプチドに分解される場合、より多くのメイラード生成物が得られる。得られたメイラード生成物は、BSG自体と比較して、BSGの液状画分のフレーバーの改善に貢献する。したがって、醸造粕の液状画分の栄養素含有量は、例えば麦芽汁の栄養素含有量とは異なる。というのも、例えば、ねじプレス又は遠心分離機における機械的分離によって、篩中のマッシュを単にろ過するだけでは得られない栄養素が放出されるからである。
【0027】
別の好ましい実施形態では、醸造粕の液状画分は、添加された酵素を含まない。「添加された酵素」とは、外因性酵素が添加されておらず、天然に存在する(内因性)酵素のみが醸造粕の液状画分中に存在することを意味する。
【0028】
本発明の一実施形態では、醸造粕の液状画分の乾物含量は、20重量%以下、例えば、15重量%以下である。醸造粕の液状画分の乾物含量は、好ましくは10重量%以下であり、なお一層好ましくは8重量%以下である。
【0029】
本発明のさらなる実施形態において、醸造粕の液状画分の乾物含量は、1重量%~20重量%、例えば、2重量%~15重量%、好ましくは3重量%~10重量%の範囲である。本発明の最も好ましい実施形態において、醸造粕の液状画分は、3重量%~8重量%の範囲の乾物含量を含む。
【0030】
また、本発明の一実施形態において、醸造粕の液状画分の水分含量は、80重量%以上、好ましくは、85重量%以上、例えば、90重量%以上、好ましくは、92重量%以上である。
【0031】
本発明のさらなる実施形態において、醸造粕の液状画分の水分含量は、80重量%~99重量%、例えば、8重量%~98重量%、好ましくは90重量%~97重量%、最も好ましくは92重量%~97重量%の範囲である。
【0032】
「水分含量」という語は、本発明の文脈では、自由流動性水と結合水との両方を含む水分量を意味する。
【0033】
醸造粕の液状画分は、好ましい実施形態では、総量が5重量%以下の炭水化物を含む。好ましくは、醸造粕の液状画分中の炭水化物の量は、4重量%以下、より好ましくは3重量%以下である。一方、生醸造粕(未プレス)中の総炭水化物量は約10~13重量%である。プレスされていないBSGは、多量の炭水化物リグニン、セルロース及びヘミセルロースを含む多量の殻及び種皮を含む。BSGをプレスした後、殻と種皮とは固体画分中にある。さらに、セルロース、ヘミセルロース、及びリグニンは、水に不溶性であり、したがって、BSGの液状画分中には少量のセルロース、ヘミセルロース、及びリグニンしか存在しない。リグニン、セルロース、及びヘミセルロースは、難消化性炭水化物のカテゴリーに属し、したがって、消化(ヒトの消化器系中で分解)されないので人体にとっては摂取するメリットはない。したがって、生BSGの機械的分離プロセスでは、含まれる難消化性炭水化物の量が少ないBSGの液状画分が得られるが、BSGの液状画分は、ヒトの消化器系中で消化できない繊維を含み、したがって、消化器系中で良好なフローラを提供する。
【0034】
さらに、醸造粕の液状画分は、好ましくは2重量%以下、好ましくは1重量%以下、例えば0.8重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以下の量の食物繊維を含む。一方、生BSG(未プレス)は、5重量%を超えるなど、はるかに多量の食物繊維を含む。生BSG(未プレス)は、通常、5重量%~10重量%の範囲の量で食物繊維を含む。
【0035】
BSG中の食物繊維は、主にヘミセルロース、セルロース、及びリグニンである。ヘミセルロースはセルロースよりも消化性が高く、一方、リグニンは、通常、消化器系において難消化性である。
【0036】
醸造粕の液状画分のタンパク質含有量は、酒の蒸留の醸造プロセスで使用されるモルトの種類、並びに醸造又は蒸留中にどのフィルターを使用するかによって変わる。しかしながら、タンパク質含有量は、通常、液状画分の総含有量の3重量%以下である。好ましくは、タンパク質含有量は、2.5重量%以下、例えば2重量%以下である。
【0037】
本発明の一態様では、液状食品は、醸造粕の液状画分を10重量%~100重量%の範囲の量で含む。第三世界諸国などの一部の国々では、水が不足している。実際、世界中で7億8500万人が安全できれいな水を入手できない。したがって、そのような国々では、他の液体源から、したがって、醸造及び蒸留産業からの廃棄物から、液状食品を得ることが有利である。したがって、本発明の一実施形態では、液状食品は、75重量%~100重量%、例えば80重量%~100重量%、好ましくは90重量%~100重量%の範囲の量で醸造粕の液状画分を含み、さらに本質的には、すべての液体は、BSGの液状画分由来である。しかしながら、本発明は、液状食品中に存在するBSGの液状画分の量に限定されるべきではない。なぜなら、一部の市場では、例えば、フルーツ又は野菜ジュースをBSGの液状画分に添加することに関連し得るからである。したがって、本発明の別の実施形態では、液状食品は、醸造粕の液状画分を、15重量%~85重量%、例えば、20重量%~80重量%の範囲で含む。液状食品中の醸造粕の液状画分の量は、本発明にとっては重要ではなく、醸造粕の液状画分は、液状食品において、要望に応じて様々な量で使用することができる。本発明者等は、驚くべきことに、醸造粕の液状画分が、加圧、デカンタリング、又は遠心分離などの機械的分離プロセスに供されなかった生醸造粕と比較して、改善された味覚や口当たりを有することを見出した。したがって、本発明者等は、他の方法では動物の飼料として使用される廃棄物である醸造粕の使用法を見出した。醸造粕の液状画分の味覚や口当たりは生醸造粕と比較して改善されるので、生醸造粕を固体画分と液状画分とに機械的に分離することによって、醸造粕の液状画分は、液状食品を調製するために使用できる。
【0038】
本発明の一実施形態では、液状食品は1つ以上のフレーバー改善剤をさらに含む。「フレーバー改善剤」という語は、本発明の文脈では、製品のフレーバーを改善するために添加することができる任意の化合物、成分又は組成物を意味する。
【0039】
例えば、フレーバー改善剤は、植物性原料又は動物性原料の成分の抽出物、フルーツジュース、野菜ジュース、甘味料、シロップ、香味料、及びスパイスの群から選択される1つ以上であり得る。
【0040】
しかしながら、本発明の一実施形態では、液状食品は、植物性原料及び/又は動物性原料の成分の抽出物から選択されるフレーバー改善剤を含む。しかしながら、液状食品は、そのような抽出物以外のさらなるフレーバー改善剤を含み得る。本発明の文脈では、「植物及び/又は動物性原料の成分の抽出物」という語は、植物及び/又は動物起源の材料をBSGの液状画分に添加し、抽出プロセスを実施して、植物又は動物性原料からのフレーバーがBSGの液状画分に抽出されること、又はBSGの液状画分からのフレーバーを抽出することを意味する。本発明者等は、驚くべきことに、BSGの液状画分における植物及び/又は動物性原料の抽出によって、添加されたフレーバー化合物が得られただけでなく、生BSG中に存在する一部の望ましくないフレーバー化合物の減少/除去にもつながることを見出した。
【0041】
本発明者等は、例えば、醸造粕の液状画分中の植物性原料の抽出を行うことで、醸造粕の液状画分のフレーバープロファイルが変化することを見出した。いかなる理論によっても拘束されないが、本発明者等は、例えば、野菜の葉中のポリフェノールは、醸造粕の液状画分中の不快な臭いの化合物と結合し、したがって、醸造粕の液状画分のフレーバーを改善すると考える。
【0042】
植物性原料は、特定の植物性原料に限定されるべきではなく、原則として、任意のものを使用できる。しかしながら、好ましい一実施形態では、液状食品は、ポリフェノールを含む植物性原料の成分の抽出物を含む。したがって、液状食品は、醸造粕の液状画分の抽出物と、ポリフェノールを含む植物性原料とを含む。本発明のなお一層好ましい実施形態において、植物性原料は、植物の葉、花芽、ナッツ、シリアル、穀物、種子、木の針葉、果物の皮、藻、キノコ、海藻、根の群から選択される1つ以上である。
【0043】
さらなる実施形態において、植物性原料は、植物の葉、果物の皮、ナッツ、根及び花芽から選択される。植物の葉は、好ましくはクロスグリの葉及び茶又はコーヒーの葉である。植物性原料はまた、コンブチャなどの発酵茶であってもよい。コンブチャは、発酵黒茶又は緑茶である。果物の皮は、好ましくはレモン又は他の柑橘系フルーツの皮である。ナッツは、例えば、ココア及び/又はココナッツであってよい。根は、例えば、甘草(甘草末も好適である)であってよく、花芽は、例えば、バニラ及び/又はカーネーションであってよい。
【0044】
本発明の一実施形態では、フレーバー改善剤は、動物性原料の成分の抽出物である。好ましくは、動物性原料は、肉ブロス、骨ブロス、動物の消化管又は動物の腸の群から選択される1つ以上である。
【0045】
本発明のさらなる実施形態において、醸造粕の液状画分を含む液状食品はまた、添加された水を含んでもよいが、これは、水で希釈された生BSGの使用を含まない。本発明の好ましい態様において、液状食品は、生BSG又は水で希釈された生BSGを含まない。液状食品において、生BSGではなく、BSGの液状画分だけが使用されることは、本発明の重要な特徴である。なぜなら、生BSGは、例えば、BSGの液状画分と比較して望ましくないフレーバーを有し、生BSGは、BSGの液状画分よりも、人体によって消化できない難消化性繊維を多く含むからである。そのような繊維は、リグニン、セルロース、及びヘミセルロースを含み、人体に対して栄養上の有益な効果を提供しない。したがって、醸造粕の液状画分は、生BSGのみを機械的に分離することによって得られる。水中に懸濁された生BSGは、「醸造粕の液状画分」の定義に含まれない。しかしながら、塩基性成分としてBSGの液状画分を含む本発明の液状食品は、他の飲料又は液体、例えばジュースを含み得る。
【0046】
「フレーバー」という語は、味及び匂い(臭気)の複合効果を指すのに対し、「アロマ」という語は臭気/匂いのみを指す。
【0047】
本発明の一実施形態では、液状食品は、a)植物性原料及び/又は動物性原料の成分の抽出物から選択されるフレーバー改善剤とb)フルーツジュース、野菜ジュース、甘味料、シロップ、香味料、及びスパイスの群から選択されるさらなるフレーバー改善剤とを含む。
【0048】
甘味料が添加される場合、任意のタイプの甘味料、例えば、天然甘味料、砂糖、シロップ、バニラ又は強力甘味料であってよい。
【0049】
一実施形態において、液状食品は、a)植物性原料及び/又は動物性原料の成分の抽出物から選択されるフレーバー改善剤と、b)フルーツジュース及び/又は野菜ジュースとを含む。
【0050】
本発明は、特定のタイプのフルーツ又は野菜ジュースに限定されない。したがって、フルーツ及び野菜ジュースは、任意のタイプのフルーツ及び野菜のジュースであり得る。フルーツ又は野菜ジュースは、通常、刻んだフルーツ片、刻んだ野菜又はベリーをスロージューサー中に室温で入れ、混合してジュースを調製することによって調製される。ジュースの調製は、好ましくは、室温で実施して、野菜、フルーツ又はベリーのジュースを放出する。
【0051】
ジュースに使用されるフルーツは、例えば、リンゴ、ナシ、プラム、オレンジ、ブドウ、マンゴ、バナナ、アプリコット、桃、及びメロンであり得るが、これに限定されない。
【0052】
ジュースに使用されるベリー類は、限定されるものではないが、イチゴ、ラズベリー、クランベリー、コケモモ、シーベリー、ブルーベリー、ブラックベリー、アカフサスグリベリー、アロニアベリー、及びクロスグリベリーであってよい。
【0053】
さらに、ジュースに使用される野菜は、例えば、トマト、キュウリ、ニンジン、フェンネル、ショウガ、ホウレンソウ、ビートの根、ブロッコリー、カリフラワー、セロリ、ズッキーニ、リーキ、マメ、エンドウ、カボチャ、及びヤムイモであり得るが、これに限定されない。
【0054】
フレーバー改善剤に加えて、液状食品はまた、防腐剤(複数可)及び/又は着色剤(複数可)も含み得る。
【0055】
本発明の液状食品を調製する方法
一態様において、本発明は、液状食品を調製する方法であって:
i)醸造粕の液状画分を提供し;
ii)任意選択的にさらなる成分を添加し;
iii)醸造粕の液状画分を、望ましくない微生物を不活性化するステップに供し;
これによって液状食品を得るステップを含む。
【0056】
本発明の好ましい実施形態では、醸造粕の液状画分は、生醸造粕を固体画分と液状画分とに機械的に分離することによって得られる。機械的分離は、好ましくは、ねじプレス、フィルタープレス、遠心分離機、又は膜ろ過の使用によるものである。
【0057】
本発明の文脈では、「望ましくない微生物」という語は、ヒトの消費に関して健康に良いものではなく、得られる液状食品の貯蔵時間の短縮につながり得る、存在する微生物であり。
【0058】
当該方法のステップiii)における望ましくない微生物の不活性化は、例えば、熱処理、pHの調節、又は共生細菌の添加によるものであり得る。望ましくない微生物の不活性化により、液状食品の貯蔵時間が長くなるであろう。
【0059】
共生細菌は、例えば、コンブチャ培養物やケフィア培養物などの複数種培養物を含み得るが、これらに限定されるものではない。また、使用される共生細菌は、乳酸菌又は酢酸菌であってもよい。乳酸菌の例は、Lactobacillus属、Streptococcus属、Bifidobacterium属、Lactococcus属、Propionibacterium属、Pediococcus及びLeuconostoc属から選択される。酢酸菌の例は、Gluconobacter属及びAcetobacter属から選択される。
【0060】
共生細菌を添加すると、共生細菌は有害細菌より優勢になり、有害細菌の成長条件が最小限に抑えられる。
【0061】
望ましくない微生物を不活性化するための熱処理は、例えば、低温殺菌ステップ、超高温(UHT)処理又は高圧低温殺菌(HPP)の形態であってよい。熱処理ステップは、望ましくない微生物が存在する場合にこれを不活性化するために使用される。しかしながら、熱処理のタイプ、加熱の温度及び時間は、本発明にとっては重要ではない。
【0062】
低温殺菌ステップを使用する場合、低温殺菌は、好ましくは、65℃~90℃で5秒~5分間、好ましくは70℃~80℃で5秒~5分間、例えば、70℃~80℃で10秒~30秒間である。一方、UHT処理を使用する場合、好ましくは110℃~140℃で1~5秒間、好ましくは2~4秒間である。低温殺菌は、食品中の微生物成長を遅らせるために特定の温度まで加熱するプロセスである。一方、滅菌は、任意の製品からすべての形態の細菌を除去するステップを指す。
【0063】
さらなる実施形態では、醸造粕の液状画分は、望ましくないフレーバー化合物を除去するために充分な時間、熱処理に供される。そのような熱処理は、望ましくない微生物を不活性化するための熱処理と同じであり得るが、2つの異なる熱処理ステップでもあり得る。望ましくないフレーバー化合物を除去するための熱処理は、好ましくは90~98℃で少なくとも5分間である。100℃より高い温度では苦い化合物が発生する可能性があるので、温度は100℃を超えてはならない。
【0064】
本発明の一実施形態では、醸造粕の液状画分は15重量%以下の乾物含量を有する。醸造粕の液状画分の乾物含量は、好ましくは10重量%以下であり、なお一層好ましくは8重量%以下である。
【0065】
本発明のさらなる実施形態において、醸造粕の液状画分の乾物含量は、1~20重量%、例えば、2~15重量%、好ましくは3~10重量%の範囲である。本発明の最も好ましい実施形態において、醸造粕の液状画分は、3~8重量%の範囲の乾物含量を含む。
【0066】
本発明の一実施形態では、望ましくない微生物を不活性化するステップの前又は後に、1つ以上のフレーバー改善剤を醸造粕の液状画分に添加する。フレーバー改善剤は、植物性原料又は動物性原料の成分の抽出物、フルーツジュース、野菜ジュース、甘味料、シロップ、香味料、及びスパイスの群から選択される1つ以上である。本発明の好ましい実施形態では、液状食品を調製する方法は、植物性原料及び/又は動物性原料の成分の抽出物から選択されるフレーバー改善剤を添加することを含む。
【0067】
したがって、好ましい一実施形態において、液状食品を調製する方法は:
i)醸造粕の液状画分を提供し、
植物性原料又は動物性原料の成分の群から選択される1つ以上のフレーバー改善剤を醸造粕の液状画分に添加して、混合物を提供し、混合物の抽出を実施し;
ii)任意選択的に1つ以上のさらなる成分を添加し;
iii)ステップi)又はステップii)の抽出された混合物を、混合物中の望ましくない微生物を不活性化するステップに供し;
それによって液状食品を得るステップを含む。
【0068】
本発明の文脈では、「植物性原料又は動物性原料の成分」という語は、抽出に際して、フレーバー化合物を添加するか、又は不快な味のするフレーバー化合物を除去するかのいずれかよって、液体組成物のフレーバー(味及びアロマ)を改善することができる植物又は動物起源の成分と理解されるべきである。
【0069】
例えば、植物性原料の1つ以上の成分は、例えば、植物の葉、ナッツ、シリアル、穀物、種子、木の針葉、果物の皮、藻、キノコ、海藻、根の群から選択することができる。しかしながら、本発明は、植物起源の特定の材料に限定されるべきではなく、抽出後のBSGの液状画分に改善または矯正されたフレーバーを提供する植物性原料に限定されるべきである。改善又は矯正されたフレーバーは、どちらも、添加されたフレーバー成分であり得るか、又は抽出ステップ中にフレーバー化合物を除去するためのものである。
【0070】
好ましい一実施形態では、植物性原料の1つ以上の成分は、植物の葉、木の針葉、又は果物の皮であってよい。特に、フルーティーなフレーバーを有する植物の葉及び果物の皮。植物の葉は、例えば、クロスグリの葉又は桜の木の葉であってもよいが、他の木のはであってもよい。
【0071】
植物性原料の1つ以上の成分は、新鮮な植物性原料、乾燥又は凍結した植物性原料のいずれであってもよいが、好ましくは、乾燥した植物の葉などの乾燥した植物性原料である。
【0072】
本発明の好ましい実施形態では、フレーバー改善剤は、乾燥したクロスグリ(black currant)の葉の抽出物である。
【0073】
植物性原料の1つ以上の成分は、使用する植物性原料の種類や望まれる植物性原料からのフレーバーの強度に応じて0.2~400g/Lの量で醸造粕の液状画分に添加することができる。例えば、植物の葉を植物性原料として使用する場合、1リットルの醸造粕の液状画分あたり、0.2g~5.0gの乾燥した植物の葉の量で使用する。木の針葉、果物の皮、藻、キノコ又は海藻を植物性原料として使用する場合、これもまた好ましくは乾燥形態であって、0.2~5g/Lの量である。好ましい一実施形態では、乾燥した植物の葉、果物の皮、木の針葉、藻、キノコ又は海藻は、醸造粕の液状画分1リットルあたり0.5~5.0gの量で使用される。ナッツ、穀物、シリアル、種子又は根が植物性原料として使用される場合、それらは好ましくは、醸造粕の液状画分1リットルあたり50~400gの量、例えば、75~300g/Lの量、好ましくは100~250g/Lの量で使用される。
【0074】
また、肉ブロス、骨ブロス、動物の消化管又は動物の腸などの動物性原料の1つ以上の成分を、フレーバー改善剤として使用することができる。本発明においてフレーバー改善剤として使用される動物性原料の量は、使用される減量に依存して大きく変わる可能性があり、本発明の制限とみなされるべきではない。しかしながら、動物の肉及び/又は骨は、通常、醸造粕の液状画分1リットルあたり0.3~1.5kgの量で使用される。一例では、動物の肉及び/又は骨は、醸造粕の液状画分3リットルあたり約2kgの量で使用される。BSGの液状画分を含む液状食品の調製における動物性原料の使用は、通常、スープの調製のためである。そのようなスープは、通常、BSGの溶液に加えて、肉又は骨ブロスと野菜ジュースとを含み得るが、スープは、動物から消化管又は腸を含むBSGの液状画分を抽出して前記消化管又は腸からフレーバーを抽出することによって調製することもできる。
【0075】
さらに好ましい実施形態において、フレーバー改善剤は、ジュース、甘味料、シロップ、及びスパイスの1つ以上、好ましくはジュースと組み合わせた植物及び/又は動物性原料の成分の抽出物である。
【0076】
植物又は動物性原料をフレーバー改善剤として使用する場合、抽出を実施して、植物又は動物性原料のフレーバーをBSGの液状画分中に抽出するか、又は一部のフレーバー化合物をBSGの液状画分から除去する。
【0077】
一実施形態において、植物又は動物性原料の抽出は、BSGの液状画分と植物及び/又は動物性原料との混合物を72℃~120℃の温度に、使用する温度及び使用する植物性原料に依存して2~60分間加熱することによって実施される。抽出は、例えば、75℃~115℃の温度で、好ましくは80℃~110℃、例えば、85℃~100℃の温度で実施することができる。本発明の好ましい実施形態では、抽出は、混合物の沸点直下で実施される。沸点を越えると、苦い化合物が発生する可能性がある。したがって、抽出は、通常、72℃~99℃、例えば、75℃~98℃、さらに好ましくは85℃~98℃の温度で加熱することによって実施される。抽出時間は、通常、使用する温度に依存して2~60分、例えば、5~30分である。温度が約85℃~98℃であるならば、抽出時間は、通常、約15-20分である。
【0078】
そのような抽出の一例として、約1~2gの乾燥したクロスグリの葉を1リットルの醸造粕の液状画分(BSG)に添加する。混合物を次に75℃~120℃の温度に約15~30分間加熱して、クロスグリの葉のフレーバー化合物を液体中に抽出し、BSGの液状画分から他のフレーバー化合物を除去する。
【0079】
別の実施形態では、植物又は動物性原料からのフレーバーの抽出は、混合物を10℃以下の温度に冷却し、その温度で少なくとも10時間抽出することによって行われる。好ましくは、冷却による抽出は、混合物を2℃~10℃の温度に10~48時間冷却することによって実施される。冷却による抽出時間は重要ではなく、本発明はいかなる抽出時間にも限定されるべきではない。したがって、原則として、植物及び/又は動物性原料との混合物は、2℃~10℃の温度で、1~2週間など、より長時間放置することができる。
【0080】
植物及び/又は動物性原料の抽出後、植物及び/又は動物性原料を混合物から除去する。植物及び/又は動物性原料をBSGの液状画分に直接混合してもよいし、又はフィルターに入れ、前記フィルターをBSGの液状画分に入れる。植物及び/又は動物性原料をフィルターに入れる場合、フィルターを取り除くことによって、植物及び/又は動物性原料を混合物から除去する。しかしながら、植物及び/又は動物性原料をBSGの液状画分に直接添加する場合、混合物をろ過して、植物及び/又は動物性原料を除去し、それから抽出を停止しなければならない。
【0081】
本植物及び/又は動物性原料が添加され、抽出が熱処理ステップによって行われる本発明の実施形態では、抽出のこの熱処理ステップと望ましくない微生物を不活性化するためのステップiii)の熱処理は同じであってもよい。
【0082】
本発明のさらなる実施形態において、ステップi)の抽出後で、ステップiii)の望ましくない微生物を不活性化する前に得られる液状食品は、添加されたさらなる醸造粕の液状画分である。
【0083】
植物及び/又は動物性原料からのフレーバーの抽出後、さらなる成分を、ステップiii)の熱処理前にBSGの液状画分に添加してもよい。添加されるさらなる成分は、例えば、BSGのさらなる液状画分、ジュース、甘味料、着色剤、防腐剤、安定剤及び/又は乳化剤であってよい。好ましくは、ジュースを添加する場合、フルーツ、ベリー類、及び野菜のうちの1つ以上のジュースである。本発明の好ましい実施形態では、液状食品は、植物及び/又は動物性原料で抽出し、植物及び/又は動物性原料を除去し、続いてジュースを添加することによって調製される。ジュースの添加は、通常、植物及び/又は動物性原料の成分で抽出した後に添加される。
【0084】
本発明の一実施形態では、ジュースは、ステップ)において、ジュースと混合物との間で最大80:20、例えば最大75:25の比率で混合物に添加される。
【0085】
本発明の一実施形態では、BSGの液状画分は、生BSGを機械的分離によって液状画分と固体画分とに分離することによって得られる。分離は、例えば、ねじプレス、フィルタープレス、遠心分離機又は膜ろ過の使用によるものであってよい。しかしながら、好ましくはBSGの液状画分と固体画分とへの分離は、ねじプレス及び/又は遠心分離機の使用によるものである。
【0086】
本発明の態様の一つの文脈で記載される実施形態及び特徴は、本発明の他の態様にも適用されることに留意されたい。
【0087】
本出願で引用されたすべての特許及び非特許文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0088】
次の本発明を以下の非限定的な実施例でさらに詳細に説明する。
【実施例】
【0089】
実施例1 生BSG対BSGの液状画分中の栄養素の含有量
様々な栄養素の分析を醸造粕(BSG)の液状画分で測定し、液状画分と固体画分とに分離されていない生醸造粕中の同じ栄養素の含有量と比較した。BSGの液状画分は、ねじプレスの使用により、生BSGをプレスすることによって作製した。使用される生醸造粕は、ラガービールの製造から得られる。
【0090】
以下の表1に栄養素含油量を示す。
【0091】
【0092】
様々な栄養素の決定は、表2に記載する方法を使用してALS Denmarkによって決定される:
【0093】
【0094】
実施例2 生BSG対BSGの液状画分のフレーバーの比較
実施例2では、以下の2つのサンプルのフレーバー及び口当たりを評価した:
i)生BSG
ii)50重量%の水で希釈した生BSG
iii)50重量%の水で希釈し、粉砕した生BSG
iv)BSGの液状画分
v)BSGの液状画分と50重量%の水
vi)BSGの液状画分と50重量%の水-98℃で15分間沸騰させる
6つのサンプルを2つの別個のコップに入れ、2×6のサンプルを5人の訓練されたパネリストのパネルにランダムに提供した。
官能パネルは、様々なフレーバー化合物、すなわち、苦味、甘味、酸味、塩味、並びに口当たりを試験するために訓練した。
パネリストは、フレーバー及び口当たりの両方に関して、1~10でサンプルを採点した。
評価の結果を
図1に示す。
【0095】
口当たりとは、味とは異なる、食物又は飲料によって引き起こされる口における物理的な感覚を指す。
【0096】
図1は、BSGの液状画分と希釈されたBSGの液状画分のフレーバーが、生BSG、特に粉砕された希釈された生BSGと比較して有意に改善されたフレーバーを有することが判明したことを示す。
図1はまた、BSGの液状画分と希釈されたBSGの画分の口当たりが、生BSG、生の希釈されたBSG及び生の希釈され粉砕されたBSGと比較して有意かつ大幅に改善された口当たりを有することが判明したことを示す。
【0097】
実施例3 クロスグリの葉で抽出されたBSG水の液状画分を用いた飲料の調製
実施例3は、クロスグリの葉で抽出されたBSGの液状画分を使用することによる、本発明による飲料の調製を示す。
【0098】
ラガービールの製造から得られる醸造粕をねじプレスでプレスする。これによって、生醸造粕は固体画分と液状画分とに分離される。
【0099】
約2gの乾燥されたクロスグリの葉を1リットルの醸造粕の液状画分に添加し、混合物を約98°に約15分間加熱して、クロスグリの葉からフレーバーを液体に抽出し、クロスグリの葉については、画分から望ましくないフレーバーを除去する。クロスグリの葉を除去し、得られた飲料を冷却した後、ボトルに充填する。
【0100】
この実施例では、抽出中の熱処理は、望ましくない微生物を不活性化するステップとしても機能する。
【0101】
実施例4 醸造粕の液状画分の様々な処理における芳香化合物の含有量の比較
ラガービールの製造から得られる醸造粕は、生醸造粕が固体画分と液状画分とに分離されるようにねじプレスでプレスする。
【0102】
サンプルを沸騰及び未沸騰の醸造粕の液状画分から採取する。さらに、サンプルを、実施例3にしたがってクロスグリの葉を含む醸造粕の液状画分の抽出物から採取する。様々なサンプルのパラメータを以下の表3に示す。
【0103】
【0104】
6つのサンプルのそれぞれを、芳香化合物(未沸騰、沸騰、及びクロスグリの葉とともに沸騰)について分析した。分析には、動的ヘッドスペース抽出及びガスクロマトグラフィー-質量分析(GC-MS)を使用した。各サンプルから、20mlのサンプル/懸濁液を150mlのガス洗浄フラスコに移し、次いで37℃の循環水浴中に入れた。サンプルが平衡に達した後、磁気撹拌(200rpm)を用いて窒素(100mL/分)で20分間パージした。次に、揮発性化合物を、メッシュサイズが60/80の200mgのTenax-TAを含むTenax-TAトラップで揮発性化合物をトラップした。パージした後、1分あたり100mLの乾燥窒素を10分間流してトラップから水を除去した。
【0105】
自動熱脱離ユニット(TurboMatrix 350、Perkin Elmer、Shelton、USA)を使用して、トラップされた揮発性物質を脱離させた。一次脱離は、キャリアガスの流れ(50mL/分)で15.0分間トラップを250℃に加熱することによって実施した。ストリップされた揮発性物質Tenax TAコールドトラップ(30mgを5℃で保持)中にトラップし、これを続いて300℃で4分間加熱した(二次脱離、出口分割1:10)。これにより、加熱(225℃)された移送ラインを介した揮発性物質のガスクロマトグラフ-質量分析計(GC-MS、Agilent Technologies、Palo Alto、California製のTriple-Axis検出器を備えた5975C VL MSDとインターフェース接続した7890A GCシステム)への迅速な移送が可能になる。揮発性物質の分離は、長さ30m×内径0.25mm、膜厚0.50μmのZB-Waxキャピラリ―カラムで実施した。カラム圧力を2.3psiで一定に保ち、その結果、水素をキャリアガスとして使用して1.4mL/分の初期流量となった。カラム温度プログラムは以下の通りであった:30℃で10分、8℃/分で30℃から240℃、最後に240℃で5分。
【0106】
質量分析計は、70eVにて電子イオン化モードで動作した。15~300の質量対電荷比をスキャンした。
【0107】
ピーク面積及び質量スペクトルは、PARAFAC2ベースのソフトウェアPARADISeを使用してクロマトグラムから抽出し、質量スペクトルは、NIST05データベースを使用して同定した。ピーク面積は濃度の相対的尺度として使用した。揮発性化合物の同定は、真正標準化合物の保持指数(RI)又は文献で報告されている保持指数と比較することによって確認した。
【0108】
合計44の芳香化合物がサンプル中で同定され、アルコール類(例えば、2-メチル-2-プロパナール、1-オクテン-3-オール、ヘキサノール)、アルデヒド類(例えば、ヘキサナール、2-メチルブタナール、ペンタナール)、ケトン類(例えば、2-ヘプタノン、2,3ブタンジオン)、酸(例えば、酢酸、ブタン酸)、その他(ベンゾニトリル、2-ペンチル-フラン、酢酸エチル、及びユーカリプトール)のカテゴリーに分類された。
【0109】
図2、
図3、
図4、及び
図5では、サンプル対(沸騰させていない醸造粕の液状画分(UB)、沸騰させた醸造粕の液状画分(B)及びクロスグリの葉と共に沸騰させた醸造粕の液状画分(BC))の各々の平均をスパイダーウェブで提示し、ここで、UBを指数100とし、沸騰させた醸造粕の液状画分と、クロスグリの葉とともに沸騰させた醸造粕の液状画分との両方について各芳香化合物の指数値を計算した:
B_n(index)=(Aromacompound_n_n(Boiled)/Aromacompound_n(Unboiled))*100。
【0110】
クロスグリとともに沸騰させた醸造粕の液状画分については、結果は、未沸騰に対する指数尺度としても提示する:
BC_n(index)=Aromacompound_n(Boilded_BC)/Aromacompound_n(Unboiled))*100。
【0111】
これは、未沸騰サンプルよりも低い指数値を有する任意の芳香化合物については、当該芳香化合物は低く表され、芳香化合物において増加がある場合、
図2~5においては指数100として示されている未沸騰と比較して増加するように表されることを意味する。
【0112】
芳香化合物がアルコールであることを表す
図2では、沸騰(B)ならびにクロスグリの葉(BC)とともに沸騰の効果が明らかに示されている。異臭のする3-メチル-1-ブタノールや2-メチル-1-プロパナールなどの芳香化合物は、未沸騰液体のレベルの半分または半分以下まで減少する。一方、異臭の増加の原因ではない他のフレーバーは増加する(例えば、マイルドで葉物のような甘い土のフレーバーによって特徴づけられるα,α-ジメチルベンゼンメタノール又は脂肪、葉物、メロン、キュウリ、野菜のフレーバーである2-ノネン-1-オール)。
【0113】
図3では、アルデヒドからの指数化した結果を示す。ここでも、沸騰及びクロスグリの葉と沸騰させることから得られる効果が明らかになる。例えば、ヘキサナール、ヘプタナール及びベンズアルデヒドなどの複数の芳香化合物が増え、これら3つはすべて(他のアロマ特性の中でも)フルーティーであると特徴づけられる。
【0114】
図4では、ケトンからの指数化した結果を示し、ここでも、未沸騰、沸騰、クロスグリとともに沸騰の明らかな差が示される。2-オクタノンはブルーチーズのフレーバーで特徴づけられ、スパイダー図でみられるように、芳香化合物2-オクタノンの量は、クロスグリの葉とともに沸騰させると減少し、一方、沸騰させたサンプルは影響を受けない。この芳香化合物はチーズでは好まれるが、このフレーバーは、飲料では望ましくなく、クロスグリの葉と共に沸騰させた液状画分を沸騰させただけのものよりも官能パネルが高得点をつける主な違いの一つであり得る。
【0115】
図5では、未沸騰、沸騰、及びクロスグリの葉とともに沸騰させたサンプル中で検出された酸及び他の芳香化合物から得られた指数化された結果を示す。ユーカリプトールは、BCサンプルと明らかに関連しており、ユーカリプトス、シャンファー(champhor)、フレッシュ、刺激性の好ましい臭気によって特徴づけられるが、2-ペンチル-フラン(葉物、マメ、バター、土、野菜)は、沸騰させたサンプルと、クロスグリの葉とともに沸騰させたサンプルの両方で増加する。
【0116】
図2~5あわせて、どのように芳香化合物が影響を受けるかの複雑さを概説し、醸造粕の液状画分を沸騰させるだけでなく、醸造粕の液状画分中の利用可能な芳香化合物と相互作用するクロスグリの葉(又は、例えば、かんきつ類、カーネーション、カカオ、ココア、コーヒー、茶、ペパーミント、甘草)などの有効成分を含むことの付加価値を示す。
【0117】
実施例5 クロスグリの葉で抽出され、添加されたBSGの液状画分及び様々なジュースを使用した飲料の調製
実施例5は、クロスグリの葉で抽出されたBSGの液状画分を使用し、その後、ジュースを添加することによる、本発明による飲料の調製法を示す。
【0118】
生醸造粕を、実施例3で記載したようにねじプレスでプレスする。
【0119】
約2gの乾燥したクロスグリの葉を1リットルの醸造粕の液状画分に添加し、混合物を約98°に約15分加熱して、クロスグリの葉から液体にフレーバーを抽出する。クロスグリの葉を除去する。
【0120】
クロスグリの葉で抽出されたBSGの液状画分のサンプルを得、様々なフルーツ及び/又はベリージュース(及び様々な量)を、3部のクロスグリ抽出BSG水及び1部のジュースの量で添加する。
【0121】
様々なサンプルは以下のとおりである:
サンプル1:BSGの液状画分
サンプル2:クロスグリの葉で抽出されたBSGの液状画分
サンプル3:クロスグリの葉で抽出し、シーベリーのジュースと3:1の比(75%の抽出された液状BSG画分及び25%のシーベリージュース)と混合したBSGの液状画分
サンプル4:クロスグリの葉無しで抽出し、シーベリーのジュースと3:1の比(75%の抽出された液状BSG画分及び25%のシーベリージュース)と混合したBSGの液状画分
サンプル5:クロスグリの葉で抽出し、クランベリージュースと3:1の比(75%の抽出液状BSG画分)と混合したBSGの液状画分
サンプル6:クロスグリの葉無しで抽出し、クランベリージュースと3:1の比(75%の抽出液状BSG画分)と混合したBSGの液状画分
「クロスグリの葉無しで抽出」とは、クロスグリの葉を添加しないが、それでもBSGの液状画分を98℃に15分間加熱した後、ジュースを添加したことを意味する。
【0122】
官能評価は5人のパネリストのテストパネルで行われ、サンプルの味を1~10で評価し、10が最高である。結果を
図6に示す。
【0123】
図6は、クロスグリの葉で抽出されたBSGの液状画分で作られた飲料が、BSGの液状画分のフレーバーと比較して改善されたフレーバーを有していたことを示す。
図6はまた、ジュース(シーベリー(seabuckthorn)、クランベリー又はアロニア)を添加した結果、フレーバーがなお一層改善されたことも示す。しかしながら、
図6はまた、クロスグリジュースで抽出されていないBSGの液状画分で作られた飲料は、クロスグリジュースで抽出され、同じタイプのジュースが添加されていない液状BSGよりも著しくフレーバーが悪いので、ジュースを添加するだけではフレーバーが改善されないことも明らかに示す。したがって、
図6は、BSGの液状画分がクロスグリの葉で抽出される場合の味に対する改善された効果を明らかに示す。
【0124】
実施例6は、他の植物性原料での抽出の官能評価を示す。
実施例6は、様々な植物性原料で抽出されたBSGの液状画分を使用することによる、本発明による飲料の調製方法を示す。例として、飲料を、試験したBSGの液状画分中の以下の植物性原料で抽出する;かんきつ果皮、ココナッツ、バニラ及びココア。生醸造粕(生BSG)を実施例3で記載したようにねじプレスでプレスして、BSGの液状画分を得る。
【0125】
かんきつ果皮を用いた試験:
かんきつ果皮を、茶さじ1/2(約0.04g)、茶さじ1/4(約0.02g)及び茶さじ1/8(約0.01g)の量で3デシリットルの醸造粕の液状画分に添加した。混合物を約98℃に約15分間加熱して、かんきつ果皮から液体にフレーバーを抽出した。かんきつ果皮を除去する。比較のために、サンプルはまた、かんきつ果皮を添加せず、沸騰、及び未沸騰の醸造粕の液状画分を含む飲料でも作製した。官能評価は5人のパネリストのテストパネルで行われ、サンプルの味を1~10で評価し、10が最高である。結果を以下の表4に示す:
【0126】
【0127】
したがって、少量の抽出されたかんきつ果皮で、醸造粕の液状画分の味が改善される。かんきつ果皮での少量の抽出で、醸造粕の液状画分の異臭が除去されたことが示された。反対に、かんきつ果皮の量が多すぎる場合、かんきつ類の味が優勢になりすぎ、味はあまり快く感じられなかった。
【0128】
ココナッツを用いた試験:
ココナッツ粉を1デシリットルの醸造粕の液状画分に1g、2g、及び4gの量で添加した。混合物を約98℃に約8分間加熱して、ココナッツ粉から液体にフレーバーを抽出した。ココナッツ粉を除去した。比較のために、サンプルはまた、ココナッツ粉を添加せず、沸騰及び未沸騰の醸造粕の液状画分を含む飲料でも作製した。官能評価は5人のパネリストのテストパネルで行われ、サンプルの味を1~10で評価し、10が最高である。結果を以下の表5に示す:
【0129】
【0130】
ココアを用いた試験:
ココアを2デシリットルの醸造粕の液状画分に1g、2g、及び4gの量で添加した。混合物を約98℃に約6分間加熱した。成分を含む沸騰させた液状画分を次いで篩別して、ココアを除去した。比較のために、サンプルはまた、ココアを添加しない醸造粕の液状画分を含む飲料でも作製した。官能評価は5人のパネリストのテストパネルで行われ、サンプルの味を1~10で評価し、10が最高である。結果を以下の表6に示す:
【0131】
【0132】
バニラを用いた試験:
バニラを2デシリットルの醸造粕の液状画分に1.5g、3g、及び4.5gの量で添加した。混合物を約98℃に約6分間加熱して、バニラから液体にフレーバーを抽出した。比較のために、サンプルはまた、成分を添加しない醸造粕の液状画分を含む飲料でも作製した。官能評価は5人のパネリストのテストパネルで行われ、サンプルの味を1~10で評価し、10が最高である。結果を以下の表7に示す:
【0133】
【0134】
カーネーションを用いた試験
乾燥カーネーションを2デシリットルの醸造粕の液状画分に1個(乾燥カーネーション全体)、3個、及び5個の量で添加した。混合物を約98℃に約6分間加熱して、カーネーションから液体にフレーバーを抽出した。比較のために、サンプルはまた、成分を添加しない醸造粕の液状画分を含む飲料でも作製した。官能評価は5人のパネリストのテストパネルで行われ、サンプルの味を1~10で評価し、10が最高である。結果を以下の表8に示す:
【0135】
【0136】
甘草末を用いた試験
甘草末を2デシリットルの醸造粕の液状画分に茶さじ1/10(0.3gの乾燥カーネーション)、茶さじ5/10(1.5g)、及び茶さじ1(3g)の量で添加した。混合物を約98℃に約6分間加熱して、甘草末から液体にフレーバーを抽出した。比較のために、サンプルはまた、成分を添加しない醸造粕の液状画分を含む飲料でも作製した。官能評価は5人のパネリストのテストパネルで行われ、サンプルの味を1~10で評価し、10が最高である。結果を以下の表9に示す:
【0137】
【0138】
実施例7 飲料中の化学的フレーバー及び芳香化合物のGC-MS試験
実施例7では、サンプルを、ガスクロマトグラフィー-質量分析(GC-MS)を使用することにより、フレーバー及びアロマ成分などの様々な化合物について分析した。GC-MSは、ガスクロマトグラフィー及び質量分析の特徴を組み合わせて試験サンプル内の様々な物質を同定する分析法である。
【0139】
BSGの液状画分のサンプルを、実施例3にしたがってクロスグリの葉で抽出したBSGの液状画分のサンプルと比較し、化合物の量における差を分析した。
【0140】
驚くべきことに、BSGの液状画分がクロスグリの葉で抽出されたサンプルでは、フーゼルアルコール、ジアセチル、アセトイン、メチルケトン、短鎖エステル、例えば、ギ酸エチル及び酢酸エチル、並びに乳酸エチルなどの不快な味を有する化合物の量が減少していることが判明した。
【0141】
クロスグリの葉で抽出していないものと比較して、クロスグリの葉で抽出したBSGの液状画分のサンプルにおいて量が増加した化合物、例えば酢酸ブチルやo-シメンは、快い味を有すると認識された化合物である。
【0142】
フーゼルアルコールは、アルコール性、刺激性、溶媒様の味を有する。
【0143】
ジアセチル及びアセトインは、カラメル様及びバターのような味を有する。
【0144】
2-ヘプトンなどのメチルケトンは、青かびチーズのアロマを有する。
【0145】
短鎖エステルは、ラム、ブランデー、及び溶媒のフレーバーを有する。
【0146】
乳酸エチルは、弱いフルーティーでバター様のバタースコッチフレーバーを有する。
【0147】
酢酸ブチルは、フルーティーなリンゴ様の味及びアロマを有する。したがって、意外なことに、クロスグリの葉での抽出は、不快な化合物を除去する一方で、良好な味を有すると認識される心地よい化合物が増加する。
【0148】
図7では、クロスグリの葉で抽出されていない液状画分と比べて、BSGの液状画分をクロスグリの葉で抽出した後に量が減少するいくつかの化合物を示す。
【0149】
図7中のスコア1は、化合物の21~25%が維持されることを指し;スコア2は、化合物の16~20%が維持されることを指し;スコア3は、化合物の11~15%が維持されることを指し;スコア4は、化合物の6~10%が維持されることを指し;スコア5は、化合物の0~5%が維持されることを指す。
【0150】
図8は、クロスグリの葉で抽出されない液状画分と比べて、BSGの液状画分がクロスグリの葉で抽出された後に量が増加した化合物を示す。
【0151】
スコア1は、化合物の2~5倍以上を指し;スコア2は、6~10倍以上を指し、スコア3は、11~50倍以上を指し;スコア4は、51~100倍以上を指し、一方、スコア5は、化合物の100倍超を指す。
【0152】
実施例8 本発明の飲料の例
実施例8は、本発明による飲料の様々な例を示す。
【0153】
【0154】
【0155】
【0156】
【0157】
【0158】
【0159】
実施例9 スペルト小麦(ディンケル小麦)で抽出したBSGの液状画分水を使用した液状朝食の調製
実施例9は、スペルト小麦で抽出したBSGの液状画分ベースの、すなわち、液状朝食の一種としての稠度を有する液状食品の調製法を示す。スペルト小麦は、ディンケル小麦とも呼ばれ、小麦の一種である。
【0160】
第1の例では:約31gのスペルト小麦を94mlの醸造粕の液状画分に添加し、混合物を約95~100℃に約25~30分間加熱して、スペルト小麦を抽出し、BSGの液状画分とスペルト小麦との混合物を得る。混合物を約5~10℃に冷却し、150mlのさらなるBSGの液状画分を混合物に添加する。混合物をブレンドし、1.9gのシナモン、25gのデーツ、及び15.6gのヒマワリ種子を添加する。
【0161】
第2の例では:約50gのスペルト小麦を150mlの醸造粕の液状画分に添加し、混合物を約95~100℃に約25~30分間加熱して、スペルト小麦を抽出し、BSGの液状画分とスペルト小麦との混合物を得る。混合物を約5~10℃に冷却し、50mlの粉砕したトーストヘーゼルナッツ(殻を除去、約25g)、250mlのさらなるBSGの液状画分を、40gのデーツ及び2.5gのシナモンと共に添加した後ブレンドする。
【0162】
実施例10 ココアで抽出したBSGの液状画分水を用いたチョコレートドリンクの調製
ココア、砂糖、及び塩を、2デシリットルの醸造粕の液状画分に、ココア(2g)、塩(0.1g)、及び砂糖(2g)の量で添加した。混合物を約98℃に約6分加熱した。成分を含む沸騰させた液状画分を次に篩別する。比較のために、サンプルはまた、成分を添加しない醸造粕の液状画分を使用した飲料でも作製した。官能評価は5人のパネリストのテストパネルで行われ、サンプルの味を1~10で評価し、10が最高である。結果を以下の表16に示す:
【0163】
【0164】
実施例11 BSGの液状画分水を使用したバニラドリンクの調製
バニラ、砂糖、及び塩を、2デシリットルの醸造粕の液状画分に、バニラ(4.5g)、塩(0.2g)、及び砂糖(1g)の量で添加した。混合物を約98℃に約6分間加熱した。比較のために、サンプルはまた、成分を添加していない醸造粕の液状画分を用いた飲料でも作製した。官能評価は5人のパネリストのテストパネルで行われ、サンプルの味を1~10で評価し、10が最高である。結果を以下の表17に示す:
【0165】
【0166】
実施例12 BSGの液状画分水を用いた、ペパーミント、甘草、及びレモングラスドリンクの調製
ペパーミント、甘草、及びレモングラスベースのティーバッグ(2g)を2デシリットルの醸造粕の液状画分に添加した。混合物を約98℃に約6分間加熱した。比較のために、サンプルはまた、成分を添加していない醸造粕の液状画分を用いた飲料でも作製した。官能評価は5人のパネリストのテストパネルで行われ、サンプルの味を1~10で評価し、10が最高である。結果を以下の表18に示す:
【0167】
【0168】
実施例13 BSGの液状画分水を用いたスイートチョコ及びチリドリンクの調製
スイートチョコ及びチリベースのティーバッグ(2g)を2デシリットルの醸造粕の液状画分に添加した。混合物を約98℃に約6分間加熱した。比較のために、サンプルはまた、成分を添加していない醸造粕の液状画分を用いた飲料でも作製した。官能評価は5人のパネリストのテストパネルで行われ、サンプルの味を1~10で評価し、10が最高である。結果を以下の表19に示す:
【0169】
【0170】
実施例14 BSGの液状画分水を含むグリーンチャイの調製
グリーンチャイを含むティーバッグ(2g)を2デシリットルの醸造粕の液状画分に添加した。混合物を約98℃に約6分間加熱した。比較のために、サンプルはまた、成分を添加していない醸造粕の液状画分を用いた飲料でも作製した。官能評価は5人のパネリストのテストパネルで行われ、サンプルの味を1~10で評価し、10が最高である。結果を以下の表20に示す:
【0171】
【手続補正書】
【提出日】2021-04-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
醸造粕の液状画分を10重量%~100重量%の範囲の量で含む液状食品であって、前記醸造粕の液状画分が、生醸造粕を固体画分と液状画分とに機械的に分離した後に得られる、液状食品。
【請求項2】
前記醸造粕の液状画分が、添加された酵素を含まない、請求項1に記載の液状食品。
【請求項3】
前記醸造粕の液状画分が食物繊維を2重量%以下の量で含む、請求項1~2のいずれかに記載の液状食品。
【請求項4】
前記液状食品が、飲料、液状朝食、粥、デザート、ソース、及びスープの群から選択される、請求項1~3のいずれかに記載の液状食品。
【請求項5】
前記液体が、1つ以上のフレーバー改善剤をさらに含む、請求項1~4のいずれかに記載の液状食品。
【請求項6】
前記フレーバー改善剤が、植物性原料又は動物性原料の成分の抽出物、フルーツ又は野菜ジュース、甘味料、香味料、及びスパイスの群から選択される1つ以上である、請求項5に記載の液状食品。
【請求項7】
前記フレーバー改善剤が、植物性原料又は動物性原料の成分の抽出物の群から選択される1つ以上を少なくとも含む、請求項6に記載の液状食品。
【請求項8】
前記フレーバー改善剤が植物性原料の成分の抽出物であり、前記植物性原料が、植物の葉、花芽、ナッツ、シリアル、穀物、種子、木の針葉、果物の皮、藻、キノコ、海藻、根の群から選択される1つ以上である、請求項7に記載の液状食品。
【請求項9】
前記フレーバー改善剤が動物性原料の成分の抽出物であり、前記動物性原料が、肉ブロス、骨ブロス、動物の消化管又は動物の腸の群から選択される1つ以上である、請求項7に記載の液状食品。
【請求項10】
前記液状食品が、生醸造粕又は希釈された生醸造粕を含まない、請求項1~10のいずれかに記載の液状食品。
【請求項11】
前記醸造粕の液状画分が、20重量%以下の乾物含量を含む、請求項1~10のいずれかに記載の液状食品。
【請求項12】
液状食品を調製する方法であって:
i)生醸造粕を固体画分と液状画分とに機械的に分離した後に得られる液体である醸造粕の液状画分を提供し;
ii)任意選択的にさらなる成分を添加し;
iii)前記醸造粕の液状画分を、望ましくない微生物を不活性化するステップに供し;
それによって前記液状食品を得るステップを含む、方法。
【請求項13】
ステップii)において望ましくない微生物を不活性化する前又は後に1つ以上のフレーバー改善剤を前記醸造粕の液状画分に添加する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記フレーバー改善剤が、植物性原料又は動物性原料の成分の抽出物、フルーツジュース、野菜ジュース、甘味料、シロップ、香味料、及びスパイスの群から選択される1つ以上である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の液状食品を調製する方法であって:
i)生醸造粕を固体画分と液状画分とに機械的に分離した後に得られる液体である醸造粕の液状画分を提供し;
植物性原料又は動物性原料の成分の群から選択される1つ以上のフレーバー改善剤を、前記醸造粕画分に添加して、混合物を提供し、前記混合物の抽出を実施し;
ii)任意選択的に1つ以上のさらなる成分を添加し;
iii)ステップi)又はii)の前記抽出された混合物を、前記混合物中の望ましくない微生物を不活性化するステップに供し;
それによって前記液状食品を得るステップを含む、方法。
【請求項16】
前記機械的分離が、ねじプレス、フィルタープレス、遠心分離機、又は膜ろ過の群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記フレーバー改善剤が、植物性原料の1つ以上の成分の抽出物の抽出物であり、前記植物性原料が、新鮮な植物性原料、乾燥又は凍結植物性原料である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記フレーバー改善剤が植物性原料の成分の抽出物であり、前記植物性原料が、植物の葉、花芽、ナッツ、シリアル、穀物、種子、木の針葉、果物の皮、藻、キノコ、海藻、根の群から選択される1つ以上である、請求項15~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
ステップi)における前記抽出が、前記混合物を72℃~120℃の範囲の温度に2~60分間加熱することによる、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
ステップi)における前記抽出が、ステップの前記混合物を10℃以下の温度に冷却することによって、10~48時間抽出させることである、請求項15に記載の方法。
【国際調査報告】