(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(54)【発明の名称】3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールおよび3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの結晶性固体ならびにそれらを作製および使用する方法
(51)【国際特許分類】
C07C 233/18 20060101AFI20221221BHJP
C07C 231/24 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
C07C233/18 CSP
C07C231/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022524996
(86)(22)【出願日】2020-10-23
(85)【翻訳文提出日】2022-05-25
(86)【国際出願番号】 US2020057122
(87)【国際公開番号】W WO2021086754
(87)【国際公開日】2021-05-06
(32)【優先日】2019-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595161223
【氏名又は名称】ジェロン・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】GERON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】アルバニーズ-ウォーカー, ジェニファー イー.
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AA02
4H006AA03
4H006AB20
4H006AB84
4H006AD15
4H006BB12
4H006BB15
4H006BB23
4H006BC51
4H006BN10
4H006BV22
(57)【要約】
開示の態様は、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールおよび3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの結晶性固体を含む。3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの結晶性固体および3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの単結晶を調製するための方法もまた、提供される。3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの結晶性固体から3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンを調製するための方法もまた、記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物の、結晶性固体。
【化11】
【請求項2】
約8.25°2θにピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する、請求項1に記載の結晶性固体。
【請求項3】
約2.75°2θ、約6°2θ、約3.8°2θ、約15°2θ、約26.3°2θ、約30.5°2θ、および約33.1°2θに1つ以上のピークを含むXRPDパターンを有する、請求項1または2に記載の結晶性固体。
【請求項4】
前記結晶性固体の熱重量分析(TGA)が、単一の重量損失ステップを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の結晶性固体。
【請求項5】
前記重量損失ステップが、約200.5℃で開始する、請求項4に記載の結晶性固体。
【請求項6】
示差走査熱量測定(DSC)によって、79.3℃に第1の吸熱、および約102.5℃に第2の吸熱を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の結晶性固体。
【請求項7】
前記第2の吸熱が、単一のピーク吸熱である、請求項6に記載の結晶性固体。
【請求項8】
溶媒を式Iの化合物:
【化12】
と接触させて、前駆体組成物を生成することと、
前記前駆体組成物から前記式Iの化合物の結晶性固体を生成することと、を含む、方法。
【請求項9】
前記溶媒が、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、イソプロピルアセテート、酢酸エチル、1,2-ジクロロエタン(DCE)、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、トルエン、2-メチルブタン-2-オール(tAmOH)、およびN-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記溶媒が、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、およびジクロロメタンから選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記溶媒が、テトラヒドロフランである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記式Iの化合物の前記結晶性固体を生成することが、
前記前駆体組成物を約45℃~約65℃の温度まで加熱することと、
前記加熱された前駆体組成物を約25℃~約35℃の温度まで冷却して、前記式Iの化合物の前記結晶性固体を生成することと、を含む、請求項8~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記式Iの化合物の前記結晶性固体を生成することが、前記前駆体組成物を約50℃の温度まで加熱することと、前記加熱された前駆体組成物を約30℃の温度まで冷却して、前記式Iの結晶性固体を生成することと、を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記式Iの化合物を、塩基の存在下で前記溶媒と接触させる、請求項8~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記塩基が、トリエチルアミン(TEA)である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記式Iの化合物の前記結晶性固体が、約8.25°2θにピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する、請求項8~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記式Iの化合物の前記結晶性固体が、約2.75°2θ、約6°2θ、約3.8°2θ、約15°2θ、約26.3°2θ、約30.5°2θ、および約33.1°2θに1つ以上のピークを含むXRPDパターンを有する、請求項8~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記式Iの化合物の前記結晶性固体が、熱重量分析(TGA)による単一の重量損失ステップを特徴とする、請求項8~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記重量損失ステップが、約200.48℃で開始する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記式Iの化合物の前記結晶性固体が、示差走査熱量測定(DSC)によって、79.3℃に第1の吸熱、および約102.5℃に第2の吸熱を呈する、請求項8~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記第2の吸熱が、単一のピーク吸熱である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
溶媒を式Iの化合物:
【化13】
の結晶性固体と接触させて、前駆体組成物を生成することと、
前記前駆体組成物を、ジメトキシトリフェニルメチルクロリドを含む組成物と接触させて、式IIの化合物:
【化14】
(式中、DMTrが、ジメトキシトリフェニルメチルである)を含む組成物を生成することと、を含む、方法。
【請求項23】
前記前駆体組成物を、塩基の存在下でジメトキシトリフェニルメチルクロリドと接触させる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
有機塩基中の前記塩基、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記塩基が、1,8-ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン(プロトンスポンジ)、イミダゾール、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、2,4,6-トリメチルピリジン(コリジン)、トリエチルアミン(TEA)、炭酸カリウム、メトキシドナトリウム、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、およびジメチルアミノエタノールからなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記塩基が、1,8-ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン(プロトンスポンジ)、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、およびトリエチルアミン(TEA)から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記塩基が、トリエチルアミン(TEA)である、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記前駆体組成物を、添加剤の存在下でジメトキシトリフェニルメチルクロリドと接触させる、請求項22~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記添加剤が、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、ホウ酸、テトラ-n-ブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、塩化銅(CuCl
2)、塩化イッテルビウム(III)(YbCl
3)、および1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)からなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記添加剤が、テトラ-n-ブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)、酸化マグネシウム、およびホウ酸から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記添加剤が、酸化マグネシウムである、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記溶媒が、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、イソプロピルアセテート、酢酸エチル、1,2-ジクロロエタン(DCE)、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、トルエン、2-メチルブタン-2-オール(tAmOH)、およびN-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項22~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記溶媒が、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、イソプロピルアセテート、アセトニトリル、トルエン、2-メチルブタン-2-オール(tAmOH)、およびN-メチル-2-ピロリドン(NMP)から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記溶媒が、メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、およびジクロロメタンから選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記式Iの化合物の前記結晶性固体が、約8.25°2θにピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する、請求項22~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記式Iの化合物の前記結晶性固体が、約2.75°2θ、約6°2θ、約3.8°2θ、約15°2θ、約26.3°2θ、約30.5°2θ、および約33.1°2θに1つ以上のピークを含むXRPDパターンを有する、請求項22~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記式Iの化合物の前記結晶性固体が、熱重量分析(TGA)による単一の重量損失ステップを特徴とする、請求項22~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記重量損失ステップが、約200.48℃で開始する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記式Iの化合物の前記結晶性固体が、示差走査熱量測定(DSC)によって、79.3℃に第1の吸熱、および約102.5℃に第2の吸熱を呈する、請求項22~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記第2の吸熱が、単一のピーク吸熱である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
式IIの化合物:
【化15】
(式中、DMTrが、ジメトキシトリフェニルメチルである)の結晶性固体。
【請求項42】
前記式IIの結晶性固体が、単斜晶形態にある、請求項41に記載の結晶性固体。
【請求項43】
前記結晶性固体中の各単位胞が、前記式IIの化合物の2つの異なる立体配座を含む、請求項40~42のいずれか一項に記載の結晶性固体。
【請求項44】
各単位胞が、前記式IIの化合物の伸長立体配座および屈曲立体配座を含む、請求項43に記載の結晶性固体。
【請求項45】
前記式IIの化合物の各立体配座が、1:1の比で存在する、請求項43または44に記載の結晶性固体。
【請求項46】
前記結晶性固体の各単位胞が、4つの分子の前記式IIの化合物を含む、請求項41~45のいずれか一項に記載の結晶性固体。
【請求項47】
前記単位胞が、約8.44Å×約26.56Å×約10.06Åの寸法を有する、請求項46に記載の結晶性固体。
【請求項48】
前記単位胞が、約2254.8Å
3の体積を有する、請求項47に記載の結晶性固体。
【請求項49】
約1.2g/cm
3~約1.3g/cm
3の密度を有する、請求項48に記載の結晶性固体。
【請求項50】
前記式IIの化合物が、95%以上の多形純度を有する、請求項41~49のいずれか一項に記載の結晶性固体。
【請求項51】
1つ以上の溶媒を含む組成物を、式IIIの化合物と接触させることと、
【化16】
前記式IIの化合物の1つ以上の単結晶を形成することと、を含む、方法。
【請求項52】
前記組成物が、2つの異なる溶媒を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記組成物が、極性溶媒および非極性溶媒を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記極性溶媒が、ジクロロメタンである、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記非極性溶媒が、ペンタンである、請求項53または54に記載の方法。
【請求項56】
前記組成物を、10℃~約75℃の温度で前記式IIの化合物と接触させる、請求項51~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記方法が、前記組成物を十分に加熱して、前記式IIの化合物を溶解させることと、前記式IIの化合物を溶解させた後に、前記加熱された組成物を冷却することと、を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記形成された単結晶のうちの1つ以上が、単斜晶形態にある、請求項51~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
各単結晶が、前記式IIの化合物の2つの異なる立体配座を含む、請求項51~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記単結晶の各単位胞が、前記式IIの化合物の伸長立体配座および屈曲立体配座を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記式IIの化合物の各立体配座が、各単位胞内に1:1の比で存在する、請求項59または60に記載の方法。
【請求項62】
各単結晶の前記単位胞が、4つの分子の前記式IIの化合物を含む、請求項51~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記単位胞が、約8.44Å×約26.56Å×約10.06Åの寸法を有する、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記単位胞が、約2254.8Å
3の体積を有する、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
各形成された単結晶が、約1.2g/cm
3~約1.3g/cm
3の密度を有する、請求項51~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
各形成された単結晶が、95%以上の前記式IIの化合物の多形純度を有する、請求項51~65のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年10月28日出願の米国仮特許出願第62/926,810号に対する優先権の利益を主張し、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
序論
イメテルスタットは、テロメラーゼのRNA構成要素のテンプレート領域に対して高い親和性で結合する、テロメラーゼ阻害剤である。研究によって、イメテルスタットがテロメラーゼ活性を阻害し、多くの異なるがん細胞株およびヒト腫瘍における細胞増殖に対して有効であることが示されている。イメテルスタットは、血液悪性腫瘍患者の臨床試験で使用されている。骨髄線維症患者の臨床試験は、イメテルスタットがある特定の患者で完全な臨床的寛解を達成することが可能であることを示した。これらの患者において、イメテルスタットは、骨髄線維症への拮抗をもたらし、形態学的および分子的寛解を生じた。
【0003】
イメテルスタットの構造は、N3’→P5’チオホスホロアミダートオリゴヌクレオチドを含む。イメテルスタットの合成は、第1のホスホロアミダイトヌクレオチドが支持体に結合し、続いて硫化される固相オリゴヌクレオチド合成によって行われている。オリゴヌクレオチド構成要素の鎖延長は、固相支持体結合オリゴヌクレオチドの3’-アミノ基と追加のヌクレオチドホスホロアミダイトモノマーとの繰り返し反応によって達成される。イメテルスタットのオリゴヌクレオチドは、パルミトイル-アミドリンカーを通じて固相支持体に結合される。したがって、この脂肪酸-アミドリンカーは、イメテルスタットの合成における構成要素である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
開示の態様は、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオール(式I)の結晶性固体を含む:
【化1】
【0005】
実施形態では、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの結晶性固体は、約8.25°2θにピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。ある特定の実施形態では、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの結晶性固体は、約2.75°2θ、約6°2θ、約3.8°2θ、約15°2θ、約26.3°2θ、約30.5°2θ、および約33.1°2θに1つ以上のピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの結晶性固体は、いくつかの場合では、熱重量分析(TGA)による単一の重量損失ステップを特徴とする。ある特定の場合では、重量損失ステップは、約200.5℃で開始する。いくつかの実施形態では、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの結晶性固体は、示差走査熱量測定(DSC)によって、約79.3℃に第1の吸熱、および約102.5℃に第2の吸熱を呈する。これらの実施形態では、第2の吸熱は、単一のピーク吸熱である。
【0006】
3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの結晶性固体を調製するための方法もまた、提供される。ある特定の実施形態による実施方法では、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールを1つ以上の溶媒と接触させて、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオール組成物を生成し、沈殿させて、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオール結晶性固体を生成する。いくつかの実施形態では、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールを、極性溶媒と接触させる。他の実施形態では、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールを、非極性溶媒と接触させる。なお他の実施形態では、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールを、極性溶媒と非極性溶媒との混合物と接触させる。溶媒は、トリエチルアミンなどの有機塩基をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、溶媒は、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、イソプロピルアセテート、酢酸エチル、1,2-ジクロロエタン(DCE)、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、トルエン、2-メチルブタン-2-オール(tAmOH)、およびN-メチル-2-ピロリドン(NMP)、またはそれらの組み合わせから選択される。いくつかの場合では、溶媒は、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、およびジクロロメタンから選択される。ある特定の場合では、溶媒は、テトラヒドロフランである。ある特定の実施形態では、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの結晶性固体を沈殿させることは、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオール組成物を加熱して、加熱された組成物を生成する(例えば、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールを、溶媒中に可溶化させる)ことと、加熱された3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオール組成物を冷却して、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの結晶性固体を生成することと、を含む。
【0007】
3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールから3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンを調製するための方法もまた、記載される。ある特定の実施形態による主題の方法の実施では、溶媒を、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの結晶性固体と接触させて前駆体組成物を生成し、前駆体組成物を、ジメトキシトリフェニルメチルクロリドを含む組成物と接触させて、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンを有する組成物を生成する。いくつかの実施形態では、溶媒は、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、イソプロピルアセテート(iPrOAc)、酢酸エチル、1,2-ジクロロエタン(DCE)、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、トルエン、2-メチルブタン-2-オール(tAmOH)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、またはそれらの組み合わせである。いくつかの場合では、溶媒は、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、イソプロピルアセテート、アセトニトリル、トルエン、2-メチルブタン-2-オール(tAmOH)、およびN-メチル-2-ピロリドン(NMP)から選択される。ある特定の場合では、溶媒は、メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、およびジクロロメタンから選択される。
【0008】
いくつかの実施形態では、前駆体組成物は、有機塩基などの塩基を含む。例えば、塩基は、1,8-ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン(プロトンスポンジ)、イミダゾール、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、2,4,6-トリメチルピリジン(コリジン)、トリエチルアミン(TEA)、炭酸カリウム、メトキシドナトリウム、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、またはジメチルアミノエタノールであり得る。いくつかの場合では、塩基は、1,8-ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン(プロトンスポンジ)、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、およびトリエチルアミン(TEA)から選択される。ある特定の場合では、塩基は、トリエチルアミンである。
【0009】
他の実施形態では、前駆体組成物は、添加剤を含む。例えば、添加剤は、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、ホウ酸、テトラ-n-ブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、塩化銅(CuCl2)、塩化イッテルビウム(III)(YbCl3)、または1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)であり得る。いくつかの場合では、添加剤は、テトラ-n-ブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)、酸化マグネシウム、およびホウ酸から選択される。ある特定の場合では、添加剤は、酸化マグネシウムである。
【0010】
ある特定の場合では、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの結晶性固体は、約2.75°2θ、約6°2θ、約3.8°2θ、約8.25°2θ、約15°2θ、約26.3°2θ、約30.5°2θ、および約33.1°2θに1つ以上のピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの結晶性固体は、いくつかの場合では、熱重量分析(TGA)による単一の重量損失ステップを特徴とする。ある特定の場合では、重量損失ステップは、約200.5℃で開始する。いくつかの実施形態では、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの結晶性固体は、示差走査熱量測定(DSC)によって、約79.3℃に第1の吸熱、および約102.5℃に第2の吸熱を呈する。
【0011】
いくつかの場合では、方法は、(例えば、再結晶化によって)3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの1つ以上の単結晶を形成することをさらに含む。これらの実施形態では、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンを溶媒と接触させ、3-パルミトイル-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの結晶性固体を溶媒から沈殿させる。いくつかの場合では、溶媒は、極性溶媒である。他の場合では、溶媒は、非極性溶媒である。さらに他の場合では、溶媒は、極性溶媒と非極性溶媒との混合物である。ある特定の実施形態では、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの結晶性固体を形成することは、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパン組成物を加熱して、加熱された組成物を生成し、加熱された組成物を冷却して、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの1つ以上の単結晶などの3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの結晶性固体を生成することを含む。
【0012】
開示の態様はまた、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパン(式II)の結晶性固体を含む。
【化2】
【0013】
ある特定の場合では、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの結晶性固体は、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの単結晶である。実施形態による結晶性固体は、単斜晶形態にある。結晶性固体中の各単位胞は、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの、屈曲立体配座および線状立体配座などの2つの異なる立体配座を含む。実施形態では、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの各立体配座(屈曲および線状)は、1:1の比で単位胞内に存在する。結晶性固体中の各単位胞は、4つの分子の3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンを含む。いくつかの実施形態では、単位胞は、約8.44Å×約26.56Å×約10.06Åの寸法を有し、単位胞の体積が、約2254.8Å3である。主題の3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルエーテル-プロパン結晶性固体は、約1.2g/cm3~約1.3g/cm3の密度を有し、95%以上の多形純度を有する。
【0014】
3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの結晶性固体を調製するための方法もまた、提供される。ある特定の実施形態による実施方法では、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンを1つ以上の溶媒と接触させて、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパン組成物を生成し、沈殿させて、3-パルミトイル-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの1つ以上の単結晶などの3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパン結晶性固体を生成する。いくつかの実施形態では、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンを、極性溶媒と接触させる。他の実施形態では、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンを、非極性溶媒と接触させる。なお他の実施形態では、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンを、極性溶媒と非極性溶媒との混合物と接触させる。ある特定の場合では、極性溶媒は、ジクロロメタンであり、非極性溶媒は、ペンタンである。ある特定の実施形態では、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの結晶性固体を沈殿させることは、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパン組成物を加熱して、加熱された組成物を生成する(例えば、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンを溶媒に可溶化させる)ことと、加熱された3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパン組成物を冷却して、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの結晶性固体を生成することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】(b)THF、(c)2-メチルTHF、および(d)DCMの溶液から形成された3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの多形結晶性固体の、(a)3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオール出発材料とのX線粉末回折パターンの比較を示す。
【
図2】ある特定の実施形態による、THFの溶液から形成された3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの多形結晶性固体の熱重量分析(TGA)からのサーモグラムを示す。
図2のグラフはまた、ある特定の実施形態による、THFから形成された3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの多形結晶性固体の示差走査熱量測定(DSC)プロットを示す。
【
図3】THFから形成された3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの多形結晶性固体のDSCプロットと、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオール出発材料のDSCプロットとの比較を示す。
【
図4A】X線結晶構造解析によって決定した、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの2つの異なる立体配座のオークリッジ熱振動楕円体描画プロット(ORTEP)図を示す。
【
図4B】結晶性3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの単位胞を示す。
【
図4C】第1の軸に沿った3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの結晶充填の図を示す。
【
図4D】第2の軸に沿った3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの結晶充填を示す。
【
図4E】第2の結晶構造解析軸に沿った、立体配座異性体(conformer)Aと立体配座異性体Bとの間の分子間水素結合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
化学用語の定義を選択する
以下の用語は、別段の指示がない限り、以下の意味を有する。定義されていない任意の用語は、当該技術分野で認識されている意味を有する。
【0017】
本明細書で使用される場合、「ホスフェート」および「ホスフェート基」という用語は、チオホスフェート基およびオキソホスフェート基を包含することを意味する。
【0018】
本明細書で使用される場合、「ホスホロアミダイトアミノ基」という用語は、ホスホロアミダイト基のリン原子に結合しているアミノ基--NR4R5を指し、「ホスホロアミダイト窒素」という用語は、ホスホロアミダイトアミノ基の窒素原子を指す。
【0019】
「アルキル」は、1~6つの炭素原子(例えば、「1~6つの炭素原子のアルキル」)、または1~5つの炭素原子(例えば、「1~5つの炭素原子のアルキル」)、または1~4つ(例えば、「1~4つの炭素原子のアルキル」)、または1~3つの炭素原子(例えば、「1~3つの炭素原子のアルキル」)などの、1~10個の炭素原子を有する、一価の飽和脂肪族ヒドロカルビル基を指す。この用語としては、例として、メチル(CH3-)、エチル(CH3CH2-)、n-プロピル(CH3CH2CH2-)、イソプロピル((CH3)2CH-)、n-ブチル(CH3CH2CH2CH2-)、イソブチル((CH3)2CHCH2-)、sec-ブチル((CH3)(CH3CH2)CH-)、t-ブチル((CH3)3C-)、n-ペンチル(CH3CH2CH2CH2CH2-)、およびネオペンチル((CH3)3CCH2-)などの線状および分岐状ヒドロカルビル基が挙げられる。
【0020】
「置換アルキル」という用語は、アルキル鎖の1つ以上の炭素原子が、任意選択的に、-O-、-N-、-S-、-S(O)n-(nが、0~2である)、-NR-(Rが、水素またはアルキルである)などのヘテロ原子で置き換えられており、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2-アリール、-SO2-ヘテロアリール、および-NRaRb(RaおよびRbが、同じかまたは異なり得、水素、任意選択的に置換アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロ環式から選択される)からなる群から選択される1~5つの置換基を有する、本明細書で定義されるアルキル基を指す。いくつかの場合では、「置換アルキル」は、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオール、チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、スルホンアミド、および-NRaRb(RaおよびRbが、同じかまたは異なり得、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロ環式から選択される)からなる群から選択される1~5つの置換基を有する、本明細書で定義されるアルキル基を指す。
【0021】
「アルキレン」は、直鎖または分岐鎖のいずれかである、好ましくは1~6つ、より好ましくは1~3つの炭素原子を有し、任意選択的に、-O-、-NR10-、-NR10C(O)-、-C(O)NR10-などから選択される1つ以上の基で中断される、二価の脂肪族ヒドロカルビル基を指す。この用語としては、例として、メチレン(-CH2-)、エチレン(-CH2CH2-)、n-プロピレン(-CH2CH2CH2-)、イソ-プロピレン(-CH2CH(CH3)-)、(-C(CH3)2CH2CH2-)、(-C(CH3)2CH2C(O)-)、(-C(CH3)2CH2C(O)NH-)、(-CH(CH3)CH2-)などが挙げられる。
【0022】
「置換アルキレン」は、以下の「置換」の定義において炭素について記載されているように、置換基で置き換えられた1~3つの水素を有するアルキレン基を指す。
【0023】
「アルカン」という用語は、本明細書で定義されるアルキル基およびアルキレン基を指す。
【0024】
「アルキルアミノアルキル」、「アルキルアミノアルケニル」、および「アルキルアミノアルキニル」という用語は、R’が、本明細書で定義されるアルキル基であり、R”が、本明細書で定義されるアルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン基である、R’NHR”-基を指す。
【0025】
「アルカリル」または「アラルキル」という用語は、アルキレン、置換アルキレン、およびアリールが、本明細書で定義される、-アルキレン-アリールおよび-置換アルキレン-アリール基を指す。
【0026】
「アルコキシ」は、アルキルが、本明細書で定義されるとおりである、-O-アルキル基を指す。アルコキシとしては、例として、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、t-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペントキシなどが挙げられる。「アルコキシ」という用語はまた、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、およびアルキニルが、本明細書で定義されるとおりである、アルケニル-O-、シクロアルキル-O-、シクロアルケニル-O-、およびアルキニル-O-の基を指す。
【0027】
「置換アルコキシ」という用語は、置換アルキル、置換アルケニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、および置換アルキニルが、本明細書で定義されるとおりである、置換アルキル-O-、置換アルケニル-O-、置換シクロアルキル-O-、置換シクロアルケニル-O-、および置換アルキニル-O-の基を指す。
【0028】
「アルコキシアミノ」という用語は、アルコキシが、本明細書で定義される、-NH-アルコキシ基を指す。
【0029】
「ハロアルコキシ」という用語は、アルキル基上の1つ以上の水素原子が、ハロ基で置換されているアルキル-O-基を指し、例として、トリフルオロメトキシなどの基が挙げられる。
【0030】
「ハロアルキル」という用語は、アルキル基上の1つ以上の水素原子が、ハロ基で置換されている、上記の置換アルキル基を指す。そのような基の例としては、限定されないが、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロエチルなどのフルオロアルキル基が挙げられる。
【0031】
「アルキルアルコキシ」という用語は、アルキル、置換アルキル、アルキレン、および置換アルキレンが、本明細書で定義されるとおりである、-アルキレン-O-アルキル、アルキレン-O-置換アルキル、置換アルキレン-O-アルキル、および置換アルキレン-O-置換アルキルの基を指す。
【0032】
「アルキルチオアルコキシ」という用語は、アルキル、置換アルキル、アルキレン、および置換アルキレンが、本明細書で定義されるとおりである、-アルキレン-S-アルキル、アルキレン-S-置換アルキル、置換アルキレン-S-アルキル、および置換アルキレン-S-置換アルキルの基を指す。
【0033】
「アルケニル」は、2~6つの炭素原子、好ましくは2~4つの炭素原子を有し、少なくとも1つ、好ましくは1~2つの二重結合不飽和部位を有する直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル基を指す。この用語としては、例として、ビ-ビニル、アリル、およびブタ-3-エン-1-イルが挙げられる。この用語に含まれるのは、シスおよびトランス異性体、またはこれらの異性体の混合物である。
【0034】
「置換アルケニル」という用語は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2-置換アルキル、-SO2-アリール、および-SO2-ヘテロアリールから選択される、1~5つの置換基、または1~3つの置換基を有する、本明細書で定義されるアルケニル基を指す。
【0035】
「アルキニル」は、2~6つの炭素原子、好ましくは2~3つの炭素原子を有し、少なくとも1つ、好ましくは1~2つの三重結合不飽和部位を有する一価の直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル基を指す。そのようなアルキニル基の例としては、アセチレニル(-C≡CH)およびプロパルギル(-CH2C≡CH)が挙げられる。
【0036】
「置換アルキニル」という用語は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2置換アルキル、-SO2-アリール、および-SO2-ヘテロアリールから選択される、1~5つの置換基、または1~3つの置換基を有する、本明細書で定義されるアルキニル基を指す。
【0037】
「アルキニルオキシ」は、アルキニルが、本明細書で定義されるとおりである、-O-アルキニル基を指す。アルキニルオキシとしては、例として、エチニルオキシ、プロピニルオキシなどが挙げられる。
【0038】
「アシル」は、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式、および置換ヘテロ環式が、本明細書で定義されるとおりである、H-C(O)-、アルキル-C(O)-、置換アルキル-C(O)-、アルケニル-C(O)-、置換アルケニル-C(O)-、アルキニル-C(O)-、置換アルキニル-C(O)-、シクロアルキル-C(O)-、置換シクロアルキル-C(O)-、シクロアルケニル-C(O)-、置換シクロアルケニル-C(O)-、アリール-C(O)-、置換アリール-C(O)-、ヘテロアリール-C(O)-、置換ヘテロアリール-C(O)-、ヘテロシクリル-C(O)-、および置換ヘテロシクリル-C(O)-の基を指す。例えば、アシルとしては、「アセチル」基CH3C(O)-が挙げられる
【0039】
「アシルアミノ」は、R20が、水素またはアルキルであり、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式、および置換ヘテロ環式が、本明細書で定義されるとおりである、-NR20C(O)アルキル、-NR20C(O)置換アルキル、NR20C(O)シクロアルキル、-NR20C(O)置換シクロアルキル、-NR20C(O)シクロアルケニル、-NR20C(O)置換シクロアルケニル、-NR20C(O)アルケニル、-NR20C(O)置換アルケニル、-NR20C(O)アルキニル、-NR20C(O)置換アルキニル、-NR20C(O)アリール、-NR20C(O)置換アリール、-NR20C(O)ヘテロアリール、-NR20C(O)置換ヘテロアリール、-NR20C(O)ヘテロ環式、および-NR20C(O)置換ヘテロ環式の基を指す。
【0040】
「アミノカルボニル」または「アミノアシル」という用語は、R21およびR22が、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式、および置換ヘテロ環式からなる群から選択され、R21およびR22が、任意選択的にそれらに結合している窒素と一緒に結合して、ヘテロ環式または置換ヘテロ環式基を形成し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式、および置換ヘテロ環式が、本明細書で定義されるとおりである、-C(O)NR21R22基を指す。
【0041】
「アミノカルボニルアミノ」は、R21、R22、およびR23が、独立して、水素、アルキル、アリール、またはシクロアルキルから選択され、2つのR基が、結合してヘテロシクリル基を形成する、-NR21C(O)NR22R23基を指す。
【0042】
「アルコキシカルボニルアミノ」という用語は、各Rが、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルであり、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルが、本明細書で定義されるとおりである、-NRC(O)OR基を指す。
【0043】
「アシルオキシ」という用語は、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルが、本明細書で定義されるとおりである、アルキル-C(O)O-、置換アルキル-C(O)O-、シクロアルキル-C(O)O-、置換シクロアルキル-C(O)O-、アリール-C(O)O-、ヘテロアリール-C(O)O-、およびヘテロシクリル-C(O)O-の基を指す。
【0044】
「アミノスルホニル」は、R21およびR22が、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式、置換ヘテロ環式からなる群から選択され、R21およびR22が、任意選択的に、それらに結合している窒素と一緒に結合して、ヘテロ環式または置換ヘテロ環式基を形成し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式および置換ヘテロ環式が、本明細書で定義されるとおりである、-SO2NR21R22基を指す。
【0045】
「スルホニルアミノ」は、R21およびR22が、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式、および置換ヘテロ環式からなる群から選択され、R21およびR22が、任意選択的にそれらに結合している窒素と一緒に結合して、ヘテロ環式または置換ヘテロ環式基を形成し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式、および置換ヘテロ環式が、本明細書で定義されるとおりである、-NR21SO2R22を指す。
【0046】
「アリール」または「Ar」は、単一の環を有する6~18個の炭素原子の一価の芳香族炭素環式基(フェニル基に存在するようなもの)、または縮合環が、芳香族であってもなくてもよいが、結合点が、芳香族環の原子を通じたものであることを条件とする、複数の縮合環を有する環系(そのような芳香族環系の例としては、ナフチル、アントリル、およびインダニルが挙げられる)を指す。この用語としては、例として、フェニルおよびナフチルが挙げられる。アリール置換基の定義による別段の制約がない限り、そのようなアリール基は、任意選択的に、アシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、置換アルキル、置換アルコキシ、置換アルケニル、置換アルキニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アルカリル、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2-置換アルキル、-SO2-アリール、-SO2-ヘテロアリール、およびトリハロメチルから選択される、1~5つの置換基、または1~3つの置換基で置換され得る。そのような場合、(例えば、本明細書に記載の)1~5つの置換基で置換されているアリール基は、「置換アリール」と称される。
【0047】
「アリールオキシ」は、アリールが、本明細書で定義されるとおりであり、また本明細書で定義されるとおりの任意選択的に置換アリール基を含む、例として、フェノキシ、ナフトキシなどを含む、-O-アリール基を指す。
【0048】
「アミノ」は、-NH2基を指す。
【0049】
「置換アミノ」という用語は、各Rが、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルからなる群から選択されるが、少なくとも1つのRが、水素ではないことを条件とする、-NRR基を指す。
【0050】
「アジド」という用語は、-N3基を指す。
【0051】
「カルボキシル」、「カルボキシ」、または「カルボキシレート」は、-CO2Hまたはその塩を指す。
【0052】
「カルボキシルエステル」もしくは「カルボキシエステル」、または「カルボキシアルキル」もしくは「カルボキシルアルキル」という用語は、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式、および置換ヘテロ環式が、本明細書で定義されるとおりである、-C(O)O-アルキル、-C(O)O-置換アルキル、-C(O)O-アルケニル、-C(O)O-置換アルケニル、-C(O)O-アルキニル、-C(O)O-置換アルキニル、-C(O)O-アリール、-C(O)O-置換アリール、-C(O)O-シクロアルキル、-C(O)O-置換シクロアルキル、-C(O)O-シクロアルケニル、-C(O)O-置換シクロアルケニル、-C(O)O-ヘテロアリール、-C(O)O-置換ヘテロアリール、-C(O)O-ヘテロ環式、および-C(O)O-置換ヘテロ環式の基を指す。
【0053】
「(カルボキシルエステル)オキシ」または「カーボネート」は、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式、および置換ヘテロ環式が、本明細書で定義されるとおりである、-O-C(O)O-アルキル、-O-C(O)O-置換アルキル、-O-C(O)O-アルケニル、-O-C(O)O-置換アルケニル、-O-C(O)O-アルキニル、-O-C(O)O-置換アルキニル、-O-C(O)O-アリール、-O-C(O)O-置換アリール、-O-C(O)O-シクロアルキル、-O-C(O)O-置換シクロアルキル、-O-C(O)O-シクロアルケニル、-O-C(O)O-置換シクロアルケニル、-O-C(O)O-ヘテロアリール、-O-C(O)O-置換ヘテロアリール、-O-C(O)O-ヘテロ環式、および-O-C(O)O-置換ヘテロ環式の基を指す。
【0054】
「シアノ」または「ニトリル」は、-CN基を指す。
【0055】
「シクロアルキル」は、単環式環、または縮合環系、架橋環系、およびスピロ環系を含む多環式環を有する、3~10個の炭素原子の環式アルキル基を指す。好適なシクロアルキル基の例としては、例えば、アダマンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチルなどが挙げられる。そのようなシクロアルキル基としては、例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチルなどの単環構造、またはアダマンタニルなどの多環構造が挙げられる。
【0056】
「置換シクロアルキル」という用語は、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2-置換アルキル、-SO2-アリールおよび-SO2-ヘテロアリールから選択される、1~5つの置換基、または1~3つの置換基を有するシクロアルキル基を指す。
【0057】
「シクロアルケニル」は、単一の環または複数の環を有し、少なくとも1つの二重結合、好ましくは1~2つの二重結合を有する、3~10個の炭素原子の非芳香族環式アルキル基を指す。
【0058】
「置換シクロアルケニル」という用語は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2-置換アルキル、-SO2-アリールおよび-SO2-ヘテロアリールから選択される、1~5つの置換基、または1~3つの置換基を有するシクロアルケニル基を指す。
【0059】
「シクロアルキニル」は、単一の環または複数の環を有し、少なくとも1つの三重結合を有する、5~10個の炭素原子の非芳香族シクロアルキル基を指す。
【0060】
「シクロアルコキシ」は、-O-シクロアルキルを指す。
【0061】
「シクロアルケニルオキシ」は、-O-シクロアルケニルを指す。
【0062】
「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを指す。
【0063】
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」は、-OH基を指す。
【0064】
「ヘテロアリール」は、環内の1~10個の炭素原子などの1~15個の炭素原子、ならびに酸素、窒素、および硫黄からなる群から選択される1~10個のヘテロ原子の芳香族基を指す。そのようなヘテロアリール基は、環系内の少なくとも1つの環が、芳香族であり、環系内の少なくとも1つの環が、芳香族であるが、結合点が、芳香族環の原子を通じたものであることを条件とする、単一の環(ピリジニル、イミダゾリル、またはフリルなど)、または環系の(例えば、インドリジニル、キノリニル、ベンゾフラン、ベンズイミダゾリル、またはベンゾチエニルなどの基の)複数の縮合環を有し得る。ある特定の実施形態では、ヘテロアリール基の窒素および/または硫黄環原子は、任意選択的に酸化されて、N-オキシド(N→O)、スルフィニル、またはスルホニル部分を提供する。この用語としては、例として、ピリジニル、ピロリル、インドリル、チオフェニル、およびフラニルが挙げられる。ヘテロアリール置換基の定義による別段の制約がない限り、そのようなヘテロアリール基は、アシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、置換アルキル、置換アルコキシ、置換アルケニル、置換アルキニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アルカリル、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2-置換アルキル、-SO2-アリールおよび-SO2-ヘテロアリール、およびトリハロメチルから選択される、1~5つの置換基、または1~3つの置換基で任意選択的に置換され得る。そのような場合、(例えば、本明細書に記載の)1~5つの置換基で置換されているヘテロアリール基は、「置換ヘテロアリール」と称される。
【0065】
「ヘテロアラルキル」という用語は、アルキレンおよびヘテロアリールが、本明細書で定義される-アルキレン-ヘテロアリール基を指す。この用語としては、例として、ピリジルメチル、ピリジルエチル、インドリルメチルなどが挙げられる。
【0066】
「ヘテロアリールオキシ」は、-O-ヘテロアリールを指す。
【0067】
「ヘテロ環」、「ヘテロ環式」、「ヘテロシクロアルキル」、および「ヘテロシクリル」は、縮合架橋環系およびスピロ環系を含む、単一の環または複数の縮合環を有し、かつ1~10個のヘテロ原子を含む、3~20個の環原子を有する、飽和または不飽和基を指す。これらの環原子は、窒素、硫黄、または酸素からなる群から選択され、縮合環系では、環のうちの1つ以上が、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり得るが、結合点が、非芳香族環を通じるものである。ある特定の実施形態では、ヘテロ環式基の窒素および/または硫黄環原子は、任意選択的に酸化されて、N-オキシド、-S(O)-、または-SO2-部分を提供する。
【0068】
ヘテロ環およびヘテロアリールの例としては、限定されないが、アゼチジン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、ジヒドロインドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソオキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、フタリミド、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン、4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン、チアゾール、チアゾリジン、チオフェン、ベンゾ[b]チオフェノール、モルホリニル、チオモルホリニル(チアモルホリニルとも称される)、1,1-ジオキソチオモルホリニル、ピペリジニル、ピロリジン、テトラヒドロフラニルなどが挙げられる。
【0069】
ヘテロ環式置換基の定義による別段の制約がない限り、そのようなヘテロ環式基は、任意選択的に、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2-置換アルキル、-SO2-アリール、-SO2-ヘテロアリール、および縮合ヘテロ環から選択される、1~5つ、または1~3つの置換基で置換され得る。
【0070】
「ヘテロシクリルオキシ」は、-O-ヘテロシクリル基を指す。
【0071】
「ヘテロシクリルチオ」という用語は、ヘテロ環式-S-基を指す。
【0072】
「ヘテロシクレン」という用語は、本明細書で定義される、ヘテロ環から形成されるジラジカル基を指す。
【0073】
「ヒドロキシアミノ」という用語は、-NHOH基を指す。
【0074】
「ニトロ」は、-NO2基を指す。
【0075】
「オキソ」は、原子(=O)を指す。
【0076】
「スルホニル」は、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式、および置換ヘテロ環式が、本明細書で定義されるとおりである、SO2-アルキル、SO2-置換アルキル、SO2-アルケニル、SO2-置換アルケニル、SO2-シクロアルキル、SO2-置換シクロアルキル、SO2-シクロアルケニル、SO2-置換シクロアルケニル、SO2-アリール、SO2-置換アリール、SO2-ヘテロアリール、SO2-置換ヘテロアリール、SO2-ヘテロ環式、およびSO2-置換ヘテロ環式の基を指す。スルホニルとしては、例として、メチル-SO2-、フェニル-SO2-、および4-メチルフェニル-SO2-が挙げられる。
【0077】
「スルホニルオキシ」は、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式、および置換ヘテロ環式が、本明細書で定義されるとおりである、-OSO2-アルキル、OSO2-置換アルキル、OSO2-アルケニル、OSO2-置換アルケニル、OSO2-シクロアルキル、OSO2-置換シクロアルキル、OSO2-シクロアルケニル、OSO2-置換シクロアルケニル、OSO2-アリール、OSO2-置換アリール、OSO2-ヘテロアリール、OSO2-置換ヘテロアリール、OSO2-ヘテロ環式、およびOSO2置換ヘテロ環式の基を指す。
【0078】
「アミノカルボニルオキシ」という用語は、各Rが、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロ環式であり、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロ環式が、本明細書で定義されるとおりである、-OC(O)NRR基を指す。
【0079】
「チオール」は、-SH基を指す。
【0080】
「チオキソ」または「チオケト」という用語は、原子(=S)を指す。
【0081】
「アルキルチオ」または「チオアルコキシ」という用語は、アルキルが、本明細書で定義されるとおりである、-S-アルキル基を指す。ある特定の実施形態では、硫黄は、-S(O)-に酸化され得る。スルホキシドは、1つ以上の立体異性体として存在し得る。
【0082】
「置換チオアルコキシ」という用語は、-S-置換アルキル基を指す。
【0083】
「チオアリールオキシ」という用語は、アリール基が、任意選択的に、また本明細書で定義される置換アリール基を含む、本明細書で定義されるとおりである、アリール-S-基を指す。
【0084】
「チオヘテロアリールオキシ」という用語は、ヘテロアリール基が、任意選択的に、また本明細書で定義されるとおりである置換ヘテロアリール基を含む、本明細書で定義されるとおりである、ヘテロアリール-S-基を指す。
【0085】
「チオヘテロシクロオキシ」という用語は、ヘテロシクリル基が、任意選択的に、また本明細書で定義されるとおりである置換ヘテロシクリル基を含む、本明細書で定義されるとおりである、ヘテロシクリル-S-基を指す。
【0086】
本明細書の開示に加えて、「置換された」という用語はまた、指定された基またはラジカルを修飾するために使用される場合、指定された基またはラジカルの1つ以上の水素原子が、各々互いから独立して、以下に定義されるのと同じかまたは異なる置換基で置き換えられることを意味することができる。
【0087】
本明細書の個々の用語に関して開示の基に加えて、指定された基またはラジカルの飽和炭素原子上の1つ以上の水素(単一の炭素上の任意の2つの水素は、=O、=NR70、=N-OR70、=N2または=Sで置き換えられ得る)を置換するための置換基は、別段の指定がない限り、R60が、任意選択的に置換されたアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、各R70が、独立して、水素またはR60であり、各R80が、独立して、R70であるか、またはあるいは、2つのR80’が、それらに結合している窒素と一緒になって、O、N、およびSからなる群から選択される同じかもしくは異なる追加の1~4つのヘテロ原子を任意選択的に含み得る5、6、もしくは7員ヘテロシクロアルキルを形成し、それらのNが、-HもしくはC1-C3アルキル置換基を有し得、各M+が、正味の単一の正の電荷を有する対イオンである、-R60、ハロ、=O、-OR70、-SR70、-NR80R80、トリハロメチル、-CN、-OCN、-SCN、-NO、-NO2、=N2、-N3、-SO2R70、-SO2O-M+、-SO2OR70、-OSO2R70、-OSO2O-M+、-OSO2OR70、-P(O)(O-)2(M+)2、-P(O)(OR70)O-M+、-P(O)(OR70)2、-C(O)R70、-C(S)R70、-C(NR70)R70、-C(O)O-M+、-C(O)OR70、-C(S)OR70、-C(O)NR80R80、-C(NR70)NR80R80、-OC(O)R70、-OC(S)R70、-OC(O)O-M+、-OC(O)OR70、-OC(S)OR70、-NR70C(O)R70、-NR70C(S)R70、-NR70CO2
-M+、-NR70CO2R70、-NR70C(S)OR70、-NR70C(O)NR80R80、-NR70C(NR70)R70、および-NR70C(NR70)NR80R80である。各M+は、独立して、例えば、K+、Na+、Li+などのアルカリイオン、+N(R60)4などのアンモニウムイオン、または[Ca2+]0.5、[Mg2+]0.5、または[Ba2+]0.5などのアルカリ土類イオンであり得る(「添え字0.5は、そのような二価のアルカリ土類イオンの対イオンのうちの一方が、発明の化合物のイオン化形態であり、他方の対イオンが、塩化物などのイオン化形態であり得るか、または本明細書に開示の2つのイオン化化合物が、そのような二価のアルカリ土類イオンの対イオンとして機能し得るか、または発明の二重イオン化化合物が、そのような二価のアルカリ土類イオンの対イオンとして機能し得ることを意味する)。具体的な例として、-NR80R80は、-NH2、-NH-アルキル、N-ピロリジニル、N-ピペラジニル、4N-メチル-ピペラジン-1-イル、およびN-モルホリニルを含むことを意味する。
【0088】
本明細書の開示に加えて、「置換」アルケン、アルキン、アリール、およびヘテロアリール基の不飽和炭素原子上の水素の置換基は、別段の指定がない限り、R60、R70、R80、およびM+が、以前定義されたとおりであるが、置換アルケンまたはアルキンの場合、置換基が、-O-M+、-OR70、-SR70、または-S-M+ではないことを条件とする、-R60、ハロ、-O-M+、-OR70、-SR70、-S-M+、-NR80R80、トリハロメチル、-CF3、-CN、-OCN、-SCN、-NO、-NO2、-N3、-SO2R70、-SO3
-M+、-SO3R70、-OSO2R70、-OSO3
-M+、-OSO3R70、-PO3
-2(M+)2、-P(O)(OR70)O-M+、-P(O)(OR70)2、-C(O)R70、-C(S)R70、-C(NR70)R70、-CO2
-M+、-CO2R70、-C(S)OR70、-C(O)NR80R80、-C(NR70)NR80R80、-OC(O)R70、-OC(S)R70、-OCO2
-M+、-OCO2R70、-OC(S)OR70、-NR70C(O)R70、-NR70C(S)R70、-NR70CO2
-M+、-NR70CO2R70、-NR70C(S)OR70、-NR70C(O)NR80R80、-NR70C(NR70)R70および-NR70C(NR70)NR80R80である。
【0089】
本明細書の個々の用語に関して開示の基に加えて、「置換」ヘテロアルキルおよびシクロヘテロアルキル基の窒素原子上の水素の置換基は、別段の指定がない限り、R60、R70、R80、およびM+が、以前定義されたとおりである、-R60、-O-M+、-OR70、-SR70、-S-M+、-NR80R80、トリハロメチル、-CF3、-CN、-NO、-NO2、-S(O)2R70、-S(O)2O-M+、-S(O)2OR70、-OS(O)2R70、-OS(O)2O-M+、-OS(O)2OR70、-P(O)(O-)2(M+)2、-P(O)(OR70)O-M+、-P(O)(OR70)(OR70)、-C(O)R70、-C(S)R70、-C(NR70)R70、-C(O)OR70、-C(S)OR70、-C(O)NR80R80、-C(NR70)NR80R80、-OC(O)R70、-OC(S)R70、-OC(O)OR70、-OC(S)OR70、-NR70C(O)R70、-NR70C(S)R70、-NR70C(O)OR70、-NR70C(S)OR70、-NR70C(O)NR80R80、-NR70C(NR70)R70および-NR70C(NR70)NR80R80である。
【0090】
本明細書の開示に加えて、ある特定の実施形態では、置換されている基は、1、2、3、もしくは4つの置換基、1、2、もしくは3つの置換基、1もしくは2つの置換基、または1つの置換基を有する。
【0091】
別段の指示がない限り、本明細書で明示的に定義されていない置換基の命名法は、官能基の末端部分に続いて隣接する官能基から結合点に向かって命名することによって到達される。例えば、置換基「アリールアルキルオキシカルボニル」は、(アリール)-(アルキル)-O-C(O)-基を指す。
【0092】
1つ以上の置換基を含有する本明細書に開示される基のうちのいずれかに関して、そのような基は、立体的に実施不可能であり、および/または合成的に実現不可能である任意の置換または置換パターンを当然含有しないことが理解される。加えて、主題の化合物は、これらの化合物の置換から生じるすべての立体化学異性体を含む。
【0093】
「立体異性体(stereoisomer)」および「立体異性体(stereoisomers)」は、同じ原子連結性を有するが、空間における異なる原子配置を有する化合物を指す。立体異性体としては、シス-トランス異性体、EおよびZ異性体、鏡像異性体、およびジアステレオマーが挙げられる。
【0094】
「またはその塩もしくは溶媒和物もしくは立体異性体」という用語は、主題の化合物の立体異性体の薬学的に許容される塩の溶媒和物などの、塩、溶媒和物、および立体異性体のすべての置換物(permutation)を含むことを意図していることが理解されるであろう。「またはその塩」という用語は、塩のすべての置換物を含むことが意図されることが理解される。「またはその薬学的に許容される塩」という用語は、塩のすべての置換物を含むことが意図されることが理解される。「またはその溶媒和物」という用語は、溶媒和物のすべての置換物を含むことが意図されることが理解される。「またはその立体異性体」という用語は、立体異性体のすべての置換物を含むことが意図されることが理解される。「またはその互変異性体」という用語は、互変異性体のすべての置換物を含むことが意図されることが理解される。したがって、例えば、主題の化合物の立体異性体の互変異性体の薬学的に許容される塩の溶媒和物を含むことが意図されることになる。
【0095】
本明細書で使用される場合、「単離された」という用語は、化合物が天然に存在する環境とは異なる環境にある目的の化合物を記載することを意味する。「単離された」は、目的の化合物が実質的に濃縮されている、および/または目的の化合物が部分的にもしくは実質的に精製されている、試料内にある化合物を含むことを意味する。
【0096】
本発明をさらに記載する前に、そのようなものは当然ながら変動し得るので、本発明は記載の特定の実施形態に限定されないことが理解されるべきである。本発明の範囲が添付の特許請求の範囲によってのみ制限されるので、本明細書で使用される用語は、単に特定の実施形態を記載する目的のためであり、制限することを意図しないことも理解されるべきである。
【0097】
値の範囲が提供される場合、別段文脈が明確に指示しない限り、上限と下限との間の各介在値、およびその記載された範囲の任意の他の値または介在値の下限の単位の10分の1までが、本発明内に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、独立して、より小さい範囲に含まれ得、また、発明内に包含され、記載された範囲の任意の具体的に除外される制限の対象となる。記載された範囲が、制限の一方または両方を含む場合、それらの含まれる制限の一方または両方を除外する範囲もまた、発明に含まれる。
【0098】
明確にするために、別個の実施形態の文脈に記載される発明のある特定の特色はまた、単一の実施形態で組み合わせて提供され得ることが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈に記載される発明の様々な特色はまた、別個にまたは任意の好適な部分的組み合わせで提供され得る。発明に関連する実施形態のすべての組み合わせは、本発明によって具体的に包含され、各々およびすべての組み合わせが個々にかつ明示的に開示されたかのように、そのような組み合わせが、例えば、安定な化合物である化合物(すなわち、生物学的活性について作製、単離、特徴評価、および試験され得る化合物)である主題を包含する程度まで、本明細書に開示される。加えて、様々な実施形態およびそれらの要素(例えば、そのような変数を記載する実施形態に列挙される化学基の要素)のすべての部分的組み合わせもまた、本発明によって具体的に包含され、各々およびすべてのそのような部分的組み合わせが本明細書で個々にかつ明示的に開示されたかのように、本明細書に開示される。
【0099】
別段定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似のまたは同等な任意の方法および材料もまた、本発明の実施または試験に使用することができるが、目的の方法および材料は、以下記載される。本明細書で言及されるすべての刊行物は、引用された刊行物に関連する方法および/または材料を開示および記載するために、参照により本明細書に組み込まれる。
【0100】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、別段文脈が明らかに他のことを指示しない限り、複数の指示対象を含むことが留意されるべきである。特許請求の範囲は、あらゆる任意選択的な要素を排除するように記載され得ることにさらに留意されたい。したがって、この記述は、特許請求の範囲の要素の記載に関連する「単に」、「のみ」などの排他的な用語の使用、または「否定的」な限定の使用の先行詞として機能することが意図される。
【0101】
明確にするために、別個の実施形態の文脈に記載される発明のある特定の特色はまた、単一の実施形態で組み合わせて提供され得ることが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈に記載される発明の様々な特色はまた、別個にまたは任意の好適な部分的組み合わせで提供され得る。
【0102】
本明細書で論じられる刊行物は、本出願の出願日前のそれらの開示についてのみ提供される。本明細書におけるいかなるものも、本発明が先行発明によってそのような公開に先行する権利がないことを認めるものと解釈されるべきではない。さらに、提供される刊行物の日付は、刊行物の実際の日付とは異なり得、個々に確認される必要があり得る。
【0103】
別段留意する場合を除いて、本実施形態の方法および技法は、一般に、当該技術分野で周知の従来の方法に従って実施され、かつ、本明細書全体を通じて引用され論じられる様々な一般的かつより具体的な参照文献に記載されるように実施される。例えば、Loudon,Organic Chemistry,Fourth Edition,New York: Oxford University Press,2002,pp.360-361,1084-1085、Smith and March,March’s Advanced Organic Chemistry: Reactions,Mechanisms,and Structure,Fifth Edition,Wiley-Interscience,2001を参照されたい。
【0104】
主題の化合物を命名するために本明細書で使用される命名法は、本明細書の実施例に例示される。可能な場合、この命名法は、一般に、市販のAutoNomソフトウェア(MDL、San Leandro,Calif.)を使用して導出されている。
【0105】
開示される化合物を合成するのに有用な一般的に既知の化学合成スキームおよび条件を提供する多くの一般的な参照が利用可能である(例えば、Smith and March,March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure,Fifth Edition,Wiley-Interscience,2001、またはVogel,A Textbook of Practical Organic Chemistry,Including Qualitative Organic Analysis,Fourth Edition,New York:Longman,1978を参照されたい)。
【0106】
本明細書に記載の化合物は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、分取薄層クロマトグラフィー、フラッシュカラムクロマトグラフィー、およびイオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー手段を含む、当該技術分野で既知の手段のうちのいずれかによって精製することができる。順相および逆相、ならびにイオン性樹脂を含む、任意の好適な固定相を使用することができる。例えば、Introduction to Modern Liquid Chromatography,2nd Edition,ed.L.R.Snyder and J.J.Kirkland,John Wiley and Sons,1979、およびThin Layer Chromatography,ed E.Stahl,Springer-Verlag,New York,1969を参照されたい。
【0107】
本開示の化合物を調製するためのプロセスのうちのいずれかの間、関連する分子のうちのいずれかの感受性基もしくは反応性基を保護することが必要であり、かつ/または望ましい場合がある。これは、T.W.Greene and P.G.M.Wuts,”Protective Groups in Organic Synthesis”,Fourth edition,Wiley,New York 2006などの典拠となる著書に記載の従来の保護基の手段によって達成することができる。保護基は、当該技術分野で既知の方法を使用して、都合のよいその後の段階で除去され得る。
【0108】
本明細書に記載の化合物は、1つ以上のキラル中心および/または二重結合を含有し得、したがって、二重結合異性体(すなわち、幾何異性体)、鏡像異性体、またはジアステレオマーなどの立体異性体として存在し得る。したがって、立体異性体的に純粋な形態(例えば、幾何学的に純粋、鏡像異性体的に純粋、またはジアステレオマー的に純粋)、ならびに鏡像異性体の混合物および立体異性体の混合物を含む、化合物のすべての可能な鏡像異性体および立体異性体は、本明細書の化合物の記載に含まれる。エナンチオマーの混合物および立体異性体の混合物は、当業者に周知の分離技法またはキラル合成技法を使用して、それらの構成要素のエナンチオマーまたは立体異性体に分解することができる。化合物はまた、エノール形態、ケト形態、およびそれらの混合物を含む、いくつかの互変異性体形態で存在し得る。したがって、本明細書に示される化学構造は、例示される化合物のすべての可能な互変異性形態を包含する。記載の化合物はまた、1つ以上の原子が、自然界で従来見出される原子質量とは異なる原子質量を有する、同位体標識された化合物を含む。本明細書に開示の化合物に組み込むことができる同位体の例としては、限定されないが2H、3H、11C、13C、14C、15N、18O、17Oなどが挙げられる。化合物は、非溶媒和形態、ならびに水和形態を含む溶媒和形態で存在し得る。一般に、化合物は、水和または溶媒和され得る。ある特定の化合物は、複数の結晶性または非晶質形態で存在し得る。一般に、すべての物理的形態は、本明細書で企図される使用について同等であり、本開示の範囲内であることが意図される。
【0109】
開示の態様は、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオール(式I)の結晶性固体を含む。
【化3】
【0110】
「結晶性」という用語は、本明細書では、固体を形成する分子が、3次元に延在する高度に秩序立った顕微鏡的幾何学的構成で配置されている(例えば、秩序立った格子型構造を形成する)固体材料を指す、その従来の意味で使用される。実施形態では、本明細書に記載の結晶性固体は、3次元における規則的な幾何学的配置を欠く未定義の構造的秩序および顕微鏡的構成を特徴とする、非晶質ではない。
【0111】
実施形態では、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの結晶性固体は、95%以上など、97%以上など、99%以上など、および99.9%以上を含む、90%以上である、多形純度(すなわち、以下詳述される、X線粉末回折(XRPD)分析、熱重量分析(TGA)、および示差走査熱量測定(DSC)分析によって証明される、多形として存在する)を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの多形体は、100%純度で結晶性固体中に存在する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの結晶性固体の多形体は、結晶性3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの他の多形および非晶質3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールと比較して、改善された可溶性および反応性を呈する。
【0112】
実施形態では、結晶性固体3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの多形体は、約8.25°2θにピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを呈する。所与の結晶形態での回折ピークの相対強度は、結晶形態学などからのX線に対する結晶の配向に起因して変動し得る。実施形態では、2θでのX線粉末回折ピークの強度は、結晶ごとに変動し得るが、多形体の特徴的なピーク位置は、同じままであろう。ある特定の実施形態では、結晶性固体3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの多形体は、約2.75°2θ、約6°2θ、約3.8°2θ、約15°2θ、約26.3°2θ、約30.5°2θ、および約33.1°2θに1つ以上のピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。いくつかの場合では、本明細書で提供される3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの結晶性固体の多形体は、熱重量分析(TGA)による単一の重量損失ステップを特徴とする。ある特定の場合では、重量損失ステップは、約200.5℃で開始する。
【0113】
示差走査熱量測定(DSC)は、結晶が、その構造における変化に起因して、または融解に起因して、熱を吸収または放出するときの結晶性固体の遷移温度を測定する。DSCは、異なる結晶性形態(例えば、異なる多形)を区別するために提供される。異なる結晶形態は、それらの異なる特徴的な遷移温度に従って同定され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの結晶性固体の多形体は、示差走査熱量測定(DSC)によって、約79.3℃に第1の吸熱、および約102.5℃に第2の吸熱を呈する。これらの実施形態では、第2の吸熱は、単一のピーク吸熱である。
【0114】
3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの結晶性固体の多形体を調製するための方法もまた、提供される。ある特定の実施形態による実施方法では、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールを1つ以上の溶媒と接触させて、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオール組成物を生成し、沈殿させて、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオール結晶性固体を生成する。いくつかの実施形態では、溶媒は、極性溶媒である。他の実施形態では、溶媒は、非極性溶媒である。なお他の実施形態では、溶媒は、極性溶媒と非極性溶媒との混合物である。目的の溶媒としては、限定されないが、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、イソプロピルアセテート、酢酸エチル、1,2-ジクロロエタン(DCE)、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、トルエン、2-メチルブタン-2-オール(tAmOH)、およびN-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ならびにそれらの組み合わせを挙げることができる。いくつかの場合では、溶媒は、テトラヒドロフラン、メチル-テトラヒドロフラン、およびジクロロメタンから選択される。ある特定の場合では、溶媒は、テトラヒドロフランである。
【0115】
ある特定の実施形態では、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールを、塩基の存在下で溶媒と接触させる。いくつかの場合では、塩基は、有機塩基である。使用される有機塩基としては、限定されないが、他の有機塩基の中でも、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、アンモニア、アルギニン、ベンザチン、エチレンジアミン、メグルミン、プロカイン、N-メチルグルカミン、ピペラジン、トロメタミン、N、N’-ジベンジルエチレン-ジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,8-ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン(プロトンスポンジ)、イミダゾール、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、2,4,6-トリメチルピリジン(コリジン)、炭酸カリウム、メトキシドナトリウム、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、およびジメチルアミノエタノールを挙げることができる。いくつかの場合では、塩基は、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、1,8-ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン(プロトンスポンジ)、およびトリエチルアミンから選択される。ある特定の場合では、塩基は、トリエチルアミンである。3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールと接触させる塩基の量は、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールに対して、1.5当量~3.5当量など、および3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールに対して約3当量の塩基を含む、1当量~4当量の塩基の範囲で変動し得る。
【0116】
3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの結晶性固体を沈殿させるために、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオール溶媒組成物(塩基の有無にかかわらず)をまず加熱して、加熱された3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオール溶媒組成物を生成し、次いで冷却して、結晶性固体3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールを形成することができる。3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオール溶媒組成物は、15℃~55℃など、25℃~55℃など、および50℃までを含む、10℃~60℃の範囲の温度まで加熱され得る。加熱された組成物は、1分間以上など、2分間以上など、5分間以上など、10分間以上など、15分間以上など、30分間以上など、および60分間以上を含む、変動する持続時間の間、高温で維持され得る。ある特定の実施形態では、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオール溶媒は、溶媒中で3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールを可溶化するのに十分な温度まで加熱される。3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの全量または一部の量は、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの50重量%以上など、75重量%以上など、90重量%以上など、95重量%以上など、97重量%以上など、および99重量%以上を含む、25重量%以上が溶媒中に可溶化され得るなど、溶媒中に可溶化され得る(例えば、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオール溶媒組成物は、肉眼で検査した場合、透明な溶液からスラリー組成物の範囲であり得る)。
【0117】
実施形態では、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの結晶性固体は、加熱された3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオール溶媒組成物を冷却することによって沈殿する。組成物は、15℃~35℃など、および約30℃を含む、20℃~40℃の温度まで冷却され得る。ある特定の実施形態では、方法は、回転蒸発または不活性ガス(N2またはアルゴン)下などによって、組成物から一定量の溶媒を除去することによって、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの結晶性固体を沈殿させることを含む。
【0118】
ある特定の実施形態では、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの結晶性固体は、濾過(例えば、真空濾過)によって単離されるか、または溶媒は、加熱もしくは回転蒸発によって除去され得る。ある特定の実施形態では、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの結晶性固体は、室温の窒素雰囲気下または真空下で乾燥させることによって単離される。
【0119】
開示の態様はまた、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパン(式III)の結晶性固体を含む。
【化4】
【0120】
(式中、DMTrが、ジメトキシトリフェニルメチルである)。ある特定の場合では、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの結晶性固体は、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの単結晶である。「単結晶」という用語は、本明細書では、試料全体の結晶格子が、粒界を有さず、試料の縁に連続し、かつ破壊されていない単結晶性固体を指す、その従来の意味で使用される。ある特定の実施形態では、目的の単結晶は、X線結晶構造解析(XRC)およびX線結晶構造決定に十分なサイズおよび品質の3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの単結晶性固体である。
【0121】
実施形態では、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの結晶性固体は、95%以上など、97%以上など、99%以上など、および99.9%以上を含む、90%以上である純度(例えば、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの単結晶)を有する。いくつかの実施形態では、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンは、100%純度で結晶性固体中に存在する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの結晶性固体(例えば、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの単結晶)は、他の結晶性形態(例えば、粉末状)または非晶質固体3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンと比較して、改善された可溶性および反応性を呈する。
【0122】
実施形態による3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの結晶性固体は、単斜晶形態にある。結晶性固体中の各単位胞は、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの、屈曲立体配座および線状立体配座などの2つの異なる立体配座を含む。実施形態では、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの各立体配座(屈曲および線状)は、1:1の比で単位胞内に存在する。結晶性固体中の各単位胞は、4つの分子の3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンを含む。いくつかの実施形態では、単位胞は、約8.44Å×約26.56Å×約10.06Åの寸法を有し、単位胞の体積が、約2254.8Å3である。主題の3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルエーテル-プロパン結晶性固体は、約1.2g/cm3~約1.3g/cm3の密度を有し、95%以上の純度を有する。
【0123】
3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの結晶性固体(例えば単結晶)を調製するための方法もまた、提供される。ある特定の実施形態による実施方法では、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンを1つ以上の溶媒と接触させて、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパン組成物を生成し、沈殿させて、3-パルミトイル-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの1つ以上の単結晶などの3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパン結晶性固体を生成する。
【0124】
いくつかの実施形態では、溶媒は、極性溶媒である。他の実施形態では、溶媒は、非極性溶媒である。なお他の実施形態では、溶媒は、極性溶媒と非極性溶媒との混合物である。目的の溶媒としては、限定されないが、他の溶媒の中でも、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、1,4-ジオキサン、アセトン、ブタノン、ペンタノン、シクロペンタノン、ヘキサノン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、キシレン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、2-メチルブタン-2-オール(tAmOH)、ジメチルスルホキシド、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタナン(octanane)を挙げることができる。ある特定の実施形態では、溶媒は、ジクロロメタンとペンタンとの混合物である。
【0125】
3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパン結晶性固体を沈殿させるために、まず、3-パルミトイル-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパン溶媒組成物を加熱して、加熱された3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパン溶媒組成物を生成し、次いで冷却して、結晶性固体3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンを形成することができる。3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパン溶媒組成物は、15℃~55℃など、25℃~55℃など、および50℃までを含む、10℃~60℃の範囲の温度まで加熱され得る。加熱された組成物は、1分間以上など、2分間以上など、5分間以上など、10分間以上など、15分間以上など、30分間以上など、および60分間以上を含む、変動する持続時間の間、高温で維持され得る。ある特定の実施形態では、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパン溶媒は、溶媒中で3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンを可溶化するのに十分な温度まで加熱される。
【0126】
他の実施形態では、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの結晶性固体は、加熱された3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパン溶媒組成物を冷却することによって沈殿する。組成物は、-19℃~19℃など、-18℃~18℃など、-17℃~17℃など、-16℃~16℃など、-15℃~15℃など、-14℃~14℃など、-13℃~13℃など、-12℃~12℃など、-11℃~11℃など、および-10℃~10℃を含む、-20℃~20℃の温度まで冷却され得る。ある特定の実施形態では、方法は、回転蒸発または不活性ガス(N2またはアルゴン)下などによって組成物から溶媒を除去することによって、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの結晶性固体を沈殿させることを含む。
【0127】
3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの結晶性固体は、濾過(例えば、真空濾過)によって単離され得るか、または溶媒は、加熱もしくは回転蒸発によって除去され得る。ある特定の実施形態では、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの結晶性固体は、室温の窒素雰囲気下または真空下で乾燥させることによって単離される。
【0128】
3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールから3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンを調製するための方法もまた、記載される。ある特定の実施形態による主題の方法の実施では、溶媒を、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの結晶性固体と接触させて前駆体組成物を生成し、前駆体組成物を、ジメトキシトリフェニルメチルクロリドを含む組成物と接触させて、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンを有する組成物を生成する。
【0129】
実施形態では、目的の溶媒としては、限定されないが、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、イソプロピルアセテート(iPrOAc)、酢酸エチル、1,2-ジクロロエタン(DCE)、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、トルエン、2-メチルブタン-2-オール(tAmOH)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、またはそれらの組み合わせを挙げることができる。いくつかの場合では、溶媒は、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、イソプロピルアセテート、アセトニトリル、トルエン、2-メチルブタン-2-オール(tAmOH)、およびN-メチル-2-ピロリドン(NMP)から選択される。ある特定の場合では、溶媒は、メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、およびジクロロメタンから選択される。
【0130】
いくつかの実施形態では、前駆体組成物は、添加剤を含む。例えば、添加剤は、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、ホウ酸、テトラ-n-ブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、塩化銅(CuCl2)、塩化イッテルビウム(III)(YbCl3)、または1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)であり得る。いくつかの場合では、添加剤は、テトラ-n-ブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)、酸化マグネシウム、およびホウ酸から選択される。ある特定の場合では、添加剤は、酸化マグネシウムである。前駆体組成物中の添加剤の量は、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールに対して0.1当量~0.5当量など、および約0.3当量の添加剤を含む、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールに対して0.05当量~1当量の添加剤の範囲で変動し得る。
【0131】
いくつかの実施形態では、前駆体組成物を塩基とさらに接触させる。ある特定の場合では、塩基は、有機塩基である。いくつかの実施形態では、前駆体組成物を、1,8-ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン(プロトンスポンジ)、イミダゾール、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、2,4,6-トリメチルピリジン(コリジン)、トリエチルアミン(TEA)、炭酸カリウム、メトキシドナトリウム、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、ジメチルアミノエタノール、およびそれらの組み合わせから選択される塩基の存在下で保護基と接触させる。いくつかの場合では、塩基は、1,8-ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン(プロトンスポンジ)、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、およびトリエチルアミン(TEA)から選択される。ある特定の場合では、塩基は、トリエチルアミンである。
【0132】
3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオール前駆体組成物と接触させる塩基の量は、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールに対して、0.75当量~1.95当量など、1当量~1.9当量など、1.1当量~1.85当量など、1.15当量~1.80当量など、1.25当量~1.75当量など、および3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールを1.5当量の塩基と接触させることを含む、0.5当量~3.5当量の塩基の範囲で変動し得る。
【0133】
いくつかの実施形態では、前駆体組成物を形成し、周辺温度で維持する。他の実施形態では、前駆体組成物は、25℃~40℃など、27.5℃~45℃など、および30℃~35℃を含む、約30℃などの高温で形成および維持される。ある特定の実施形態では、前駆体組成物は、第1の温度で形成され、第2の温度に変化させる。一例では、前駆体組成物は、周辺温度で形成され、次いで、例えば、27.5℃~45℃など、および30℃~35℃を含む、約30℃などの25℃~40℃の高温に変化させる。別の例では、前駆体組成物は、高温(例えば、約50℃以上)で形成され、より低い温度(例えば、約30℃)まで冷却され、その後前駆体組成物を保護基と接触させる。
【0134】
実施形態では、前駆体組成物をヒドロキシル保護基と接触させて、3-パルミトイル-アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパンを生成する。ヒドロキシル保護基は、変動し得、ある特定の場合では、ヒドロキシル保護基としては、限定されないが、1)アルキルエーテル、アリルエーテル、トリフェニルメチルエーテル、ジメトキシ-トリフェニルメチルエーテル、ベンジルエーテル、またはp-メトキシベンジルエーテル保護基などのアルキルエーテル型保護基、2)アセテート、クロロアセテート、ジクロロアセテート、トリクロロアセテート、トリフルオロアセテート、ピバロエート、ベンゾエート、p-メトキシベンゾエート、p-ブロモベンゾエート、炭酸メチル、9-(フルオレニルメチル)カーボネート(Fmoc)、炭酸アリル(Alloc)、2,2,2-トリクロロエチルカーボネート(Troc)、2-(トリメチルシリル)エチルカーボネート(Teoc)、炭酸ベンジル(Cbz)、t-ブチルカーボネート(Boc)、またはジメチルチオカルブメート(thiocarbmate)(DMTC)保護基などのエステルおよびカーボネート型保護基、3)メトキシメチルエーテル(MOM)、ベンジルオキシメチルエーテル(BOM)、2,2,2-トリクロロエトキシメチルエーテル、2-メトキシメチルエーテル(MEM)、メチルチオメチルエーテル(MTM)、p-メトキシベンジルオキシメチルエーテル(PMBM)、2-(トリメチルシリル)エトキシメチルエーテル(SEM)、テトラヒドロピラニルエーテル(THP)保護基などのアセタール型保護基、および2)トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、イソプロピルジメチルシリル(IPDMS)、ジエチルイソプロピルシリル(DEIPS)、t-ブチルジメチルシリル(TBS)、t-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、テトライソプロピルジシロキサニリデン(tetraisopropyldisiloxanylidene)(TIPDS)、またはジ-t-ブチルシリレン(DTBS)保護基などのシリルエーテル型保護基が挙げられる。いくつかの実施形態では、ヒドロキシル保護基は、ジメトキシ-トリフェニルメチル保護基である。
【0135】
前駆体組成物と接触させるヒドロキシル保護基の量は、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールに対して、0.75当量~1.5当量など、および3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールに対して約1.4当量のヒドロキシル保護基を含む、0.5当量~2当量の添加剤の範囲で変動し得る。
【0136】
いくつかの実施形態では、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンを調製するための方法で使用される3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールは、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの結晶性固体である。ある特定の実施形態では、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールは、約2.75°2θ、約6°2θ、約3.8°2θ、約8.25°2θ、約15°2θ、約26.3°2θ、約30.5°2θ、および約33.1°2θに1つ以上のピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンを呈する、結晶性固体3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの多形体である。
【0137】
主題の方法の各ステップで使用される構成要素は、所望に応じて、精製された組成物または粗製組成物であり得る。「精製された」という用語は、例えば、反応混合物の濾過または水性ワークアップなどの少なくともいくつかの単離または精製プロセスが行われた組成物を指す、その従来の意味で使用される。ある特定の場合では、精製としては、液体クロマトグラフィー、再結晶化、蒸留(例えば、共沸蒸留)、または他の種類の化合物精製が挙げられる。いくつかの実施形態では、反応混合物は、本明細書に記載の方法における後続ステップで、反応混合物の精製または他のワークアップが行われていない粗製混合物として使用される。ある特定の場合では、粗製組成物反応混合物は、粗製組成物が、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、プロトン核磁気共鳴分光法(1H NMR)、またはそれらの組み合わせによって決定して、95%以上など、97%以上など、および99%以上を含む、90%以上の純度で目的の化合物を含むなどの、十分な純度で目的の化合物を含む。
【0138】
開示の態様
本明細書に記載の主題の、実施形態を含む態様は、単独で、または1つ以上の他の態様または実施形態と組み合わせて有益であり得る。記載を限定することなく、1~66と付番された開示のある特定の非限定的な態様が以下に提供される。本開示の閲読時に当業者には明らかであろうように、個々に付番された態様の各々は、先行または後続の個々に付番された態様のうちのいずれかとともに使用されるか、または組み合わせられ得る。これは、態様のすべてのそのような組み合わせの裏付けの支持を意図しており、以下に明示的に提供される態様の組み合わせに限定されるものではない。
【0139】
1.式Iの化合物の結晶性固体。
【化5】
2.約8.25°2θにピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する、態様1に記載の結晶性固体。
3.約2.75°2θ、約6°2θ、約3.8°2θ、約15°2θ、約26.3°2θ、約30.5°2θ、および約33.1°2θに1つ以上のピークを含むXRPDパターンを有する、態様1または2に記載の結晶性固体。
4.結晶性固体の熱重量分析(TGA)が、単一の重量損失ステップを特徴とする、態様1~3のいずれか一項に記載の結晶性固体。
5.重量損失ステップが、約200.5℃で開始する、態様4に記載の結晶性固体。
6.示差走査熱量測定(DSC)によって、79.3℃に第1の吸熱、および約102.5℃に第2の吸熱を有する、態様1~5のいずれか一項に記載の結晶性固体。
7.第2の吸熱が、単一のピーク吸熱である、態様6に記載の結晶性固体。
8.溶媒を式Iの化合物:
【化6】
と接触させて、前駆体組成物を生成することと、
前駆体組成物から式Iの化合物の結晶性固体を生成することと、を含む、方法。
9.溶媒が、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、イソプロピルアセテート、酢酸エチル、1,2-ジクロロエタン(DCE)、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、トルエン、2-メチルブタン-2-オール(tAmOH)、およびN-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、態様8に記載の方法。
10.溶媒が、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、およびジクロロメタンから選択される、態様9に記載の方法。
11.溶媒が、テトラヒドロフランである、態様10に記載の方法。
12.式Iの化合物の結晶性固体を生成することが、
前駆体組成物を約45℃~約65℃の温度まで加熱することと、
加熱された前駆体組成物を約25℃~約35℃の温度まで冷却して、式Iの化合物の結晶性固体を生成することと、を含む、態様8~11のいずれか一項に記載の方法。
13.式Iの化合物の結晶性固体を生成することが、前駆体組成物を約50℃の温度まで加熱することと、加熱された前駆体組成物を約30℃の温度まで冷却して、式Iの結晶性固体を生成することと、を含む、態様12に記載の方法。
14.式Iの化合物を、塩基の存在下で溶媒と接触させる、態様8~13のいずれか一項に記載の方法。
15.塩基が、トリエチルアミン(TEA)である、態様14に記載の方法。
16.式Iの化合物の結晶性固体が、約8.25°2θにピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する、態様8~15のいずれか一項に記載の方法。
17.式Iの化合物の結晶性固体が、約2.75°2θ、約6°2θ、約3.8°2θ、約15°2θ、約26.3°2θ、約30.5°2θ、および約33.1°2θに1つ以上のピークを含むXRPDパターンを有する、態様8~16のいずれか一項に記載の方法。
18.式Iの化合物の結晶性固体が、熱重量分析(TGA)による単一の重量損失ステップを特徴とする、態様8~17のいずれか一項に記載の方法。
19.重量損失ステップが、約200.48℃で開始する、態様18に記載の方法。
20.式Iの化合物の結晶性固体が、示差走査熱量測定(DSC)によって、79.3℃に第1の吸熱、および約102.5℃に第2の吸熱を呈する、態様8~19のいずれか一項に記載の方法。
21.第2の吸熱が、単一のピーク吸熱である、態様20に記載の方法。
22.溶媒を式Iの化合物:
【化7】
の結晶性固体と接触させて、前駆体組成物を生成することと、
前駆体組成物を、ジメトキシトリフェニルメチルクロリドを含む組成物と接触させて、式IIの化合物:
【化8】
(式中、DMTrが、ジメトキシトリフェニルメチルである)を含む組成物を生成することと、を含む、方法。
23.前駆体組成物を、塩基の存在下でジメトキシトリフェニルメチルクロリドと接触させる、態様22に記載の方法。
24.有機塩基中の塩基、態様23に記載の方法。
25.塩基が、1,8-ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン(プロトンスポンジ)、イミダゾール、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、2,4,6-トリメチルピリジン(コリジン)、トリエチルアミン(TEA)、炭酸カリウム、メトキシドナトリウム、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、およびジメチルアミノエタノールからなる群から選択される、態様23に記載の方法。
26.塩基が、1,8-ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン(プロトンスポンジ)、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、およびトリエチルアミン(TEA)から選択される、態様23に記載の方法。
27.塩基が、トリエチルアミン(TEA)である、態様23に記載の方法。
28.前駆体組成物を、添加剤の存在下でジメトキシトリフェニルメチルクロリドと接触させる、態様22~27のいずれか一項に記載の方法。
29.添加剤が、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、ホウ酸、テトラ-n-ブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、塩化銅(CuCl
2)、塩化イッテルビウム(III)(YbCl
3)、および1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)からなる群から選択される、態様28に記載の方法。
30.添加剤が、テトラ-n-ブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)、酸化マグネシウム、およびホウ酸から選択される、態様29に記載の方法。
31.添加剤が、酸化マグネシウムである、態様29に記載の方法。
32.溶媒が、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、イソプロピルアセテート、酢酸エチル、1,2-ジクロロエタン(DCE)、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、トルエン、2-メチルブタン-2-オール(tAmOH)、およびN-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、態様22~31のいずれか一項に記載の方法。
33.溶媒が、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、イソプロピルアセテート、アセトニトリル、トルエン、2-メチルブタン-2-オール(tAmOH)、およびN-メチル-2-ピロリドン(NMP)から選択される、態様32に記載の方法。
34.溶媒が、メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、およびジクロロメタンから選択される、態様32に記載の方法。
35.式Iの化合物の結晶性固体が、約8.25°2θにピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する、態様22~34のいずれか一項に記載の方法。
36.式Iの化合物の結晶性固体が、約2.75°2θ、約6°2θ、約3.8°2θ、約15°2θ、約26.3°2θ、約30.5°2θ、および約33.1°2θに1つ以上のピークを含むXRPDパターンを有する、態様22~35のいずれか一項に記載の方法。
37.式Iの化合物の結晶性固体が、熱重量分析(TGA)による単一の重量損失ステップを特徴とする、態様22~36のいずれか一項に記載の方法。
38.重量損失ステップが、約200.48℃で開始する、態様37に記載の方法。
39.式Iの化合物の結晶性固体が、示差走査熱量測定(DSC)によって、79.3℃に第1の吸熱、および約102.5℃に第2の吸熱を呈する、態様22~38のいずれか一項に記載の方法。
40.第2の吸熱が、単一のピーク吸熱である、態様39に記載の方法。
41.式IIの化合物:
【化9】
(式中、DMTrが、ジメトキシトリフェニルメチルである)の結晶性固体。
42.式IIの結晶性固体が、単斜晶形態にある、態様41に記載の結晶性固体。
43.結晶性固体中の各単位胞が、式IIの化合物の2つの異なる立体配座を含む、態様40~42のいずれか一項に記載の結晶性固体。
44.各単位胞が、式IIの化合物の伸長立体配座および屈曲立体配座を含む、態様43に記載の結晶性固体。
45.式IIの化合物の各立体配座が、1:1の比で存在する、態様43または44に記載の結晶性固体。
46.結晶性固体の各単位胞が、4つの分子の式IIの化合物を含む、態様41~45のいずれか一項に記載の結晶性固体。
47.単位胞が、約8.44Å×約26.56Å×約10.06Åの寸法を有する、態様46に記載の結晶性固体。
48.単位胞が、約2254.8Å
3の体積を有する、態様47に記載の結晶性固体。
49.約1.2g/cm
3~約1.3g/cm
3の密度を有する、態様48に記載の結晶性固体。
50.式IIの化合物が、95%以上の多形純度を有する、態様41~49のいずれか一項に記載の結晶性固体。
51.1つ以上の溶媒を含む組成物を、式IIIの化合物と接触させることと、
【化10】
式IIの化合物の1つ以上の単結晶を形成することと、を含む、方法。
52.組成物が、2つの異なる溶媒を含む、態様51に記載の方法。
53.組成物が、極性溶媒および非極性溶媒を含む、態様52に記載の方法。
54.極性溶媒が、ジクロロメタンである、態様53に記載の方法。
55.非極性溶媒が、ペンタンである、態様53または54に記載の方法。
56.組成物を、10℃~約75℃の温度で式IIの化合物と接触させる、態様51~55のいずれか一項に記載の方法。
57.方法が、組成物を十分に加熱して、式IIの化合物を溶解させることと、式IIの化合物を溶解させた後に、加熱された組成物を冷却することと、を含む、態様56に記載の方法。
58.形成された単結晶のうちの1つ以上が、単斜晶形態にある、態様51~57のいずれか一項に記載の方法。
59.各単結晶が、式IIの化合物の2つの異なる立体配座を含む、態様51~58のいずれか一項に記載の方法。
60.単結晶の各単位胞が、式IIの化合物の伸長立体配座および屈曲立体配座を含む、態様59に記載の方法。
61.式IIの化合物の各立体配座が、各単位胞内に1:1の比で存在する、態様59または60に記載の方法。
62.各単結晶の単位胞が、4つの分子の式IIの化合物を含む、態様51~61のいずれか一項に記載の方法。
63.単位胞が、約8.44Å×約26.56Å×約10.06Åの寸法を有する、態様62に記載の方法。
64.単位胞が、約2254.8Å
3の体積を有する、態様63に記載の方法。
65.各形成された単結晶が、約1.2g/cm
3~約1.3g/cm
3の密度を有する、態様51~64のいずれか一項に記載の方法。
66.各形成された単結晶が、95%以上の式IIの化合物の多形純度を有する、態様51~65のいずれか一項に記載の方法。
【実施例】
【0140】
以下の実施例は、当業者に本発明の作製および使用方法の完全な開示および記載を提供するために提示されており、発明者がそれらの発明とみなす範囲を限定することを意図するものではなく、また以下の実験が実施されるすべてまたは唯一の実験であることを表すことを意図するものではない。使用される数値(例えば、量、温度など)に関する正確性を確保するために努力がなされているが、いくつかの実験誤差および偏差が考慮される必要がある。別段の指示がない限り、部分は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏度にあり、圧力はほぼ大気圧にある。「平均」とは、算術平均を意味する。標準的な略語、例えば、bp、塩基対;kb、キロベース;pl、ピコリットル、sまたはsec、秒;min、分;hまたはhr、時間;aa、アミノ酸;kb、キロベース;bp、塩基対;nt、ヌクレオチド;i.m、筋肉内(の);腹腔内(の);s.c.、皮下(の)などが使用され得る。
【0141】
一般合成手順
開示の化合物を合成するのに有用な一般的に既知の化学合成スキームおよび条件を提供する多くの一般的な参照文献が入手可能である(例えば、Smith and March,March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure,Fifth Edition,Wiley-Interscience,2001、またはVogel,A Textbook of Practical Organic Chemistry,Including Qualitative Organic Analysis,Fourth Edition,New York:Longman,1978を参照されたい)。
【0142】
本明細書に記載の化合物は、HPLC、分取薄層クロマトグラフィー、フラッシュカラムクロマトグラフィー、およびイオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを含む、当該技術分野で既知の任意の精製プロトコルによって精製され得る。順相および逆相、ならびにイオン性樹脂を含む、任意の好適な固定相を使用することができる。ある特定の実施形態では、開示の化合物は、シリカゲルおよび/またはアルミナクロマトグラフィーを介して精製される。例えば、Introduction to Modern Liquid Chromatography,2nd Edition,ed.L.R.Snyder and J.J.Kirkland,John Wiley and Sons,1979、およびThin Layer Chromatography,ed E.Stahl,Springer-Verlag,New York,1969を参照されたい。
【0143】
主題の化合物を調製するためのプロセスのいずれかの間、関連する分子のうちのいずれかの感受性基もしくは反応性基を保護することが必要であり、かつ/または望ましい場合がある。これは、J.F.W.McOmie,“Protective Groups in Organic Chemistry”,Plenum Press,London and New York 1973、T.W.Greene,and P.G.M.Wuts,“Protective Groups in Organic Synthesis”,Third edition,Wiley,New York 1999、“The Peptides”;Volume 3(editors: E.Gross and J.Meienhofer),Academic Press,London and New York 1981、“Methoden der organischen Chemie”,Houben-Weyl,4thedition,Vol.15/l,Georg Thieme Verlag,Stuttgart 1974、H.-D.Jakubke and H.Jescheit,“Aminosauren,Peptide,Proteine”,Verlag Chemie,Weinheim,Deerfield Beach,and Basel 1982、および/またはJochen Lehmann,“Chemie der Kohlenhydrate: Monosaccharide and Derivate”,Georg Thieme Verlag,Stuttgart 1974などの典拠となる著書に記載の従来の保護基の手段によって達成することができる。保護基は、当該技術分野で既知の方法を使用して、都合の良いその後の段階で除去され得る。
【0144】
主題の化合物は、市販の出発材料および/または従来の合成方法によって調製された出発材料を使用して、多様な異なる合成経路を介して合成することができる。本明細書に開示の化合物を合成するために使用することができる合成経路の多様な例を、以下に記載する。
【0145】
実施例1-3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの結晶性多形の調製および分析
様々な溶媒および溶媒混合物を用いて、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの可溶性のスクリーニングを行った。テトラヒドロフラン(THF)、2-メチル-THF、ジクロロメタン(DCM)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、トルエン、2-メチルブタン-2-オール(tAmOH)、イソプロピルアセテート(iPrOAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、およびジメチルホルムアイド(dimethylformaide)(DMF)を、研究で使用するための溶媒として同定した。可溶性について、トリエチルアミンの効果も評価した。トリエチルアミンは、これらの溶媒への3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの可溶性に与える影響が小さいことが示された。ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、およびジメチルホルムアイド(DMF)は、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの可溶性が中程度であることが決定された。
【0146】
結晶性固体は、加熱/冷却が誘導する結晶化中に、トリエチルアミンと、THF、2-メチル-THF、またはDCMとを使用する、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの新しい多形として同定された。加熱/冷却結晶化は、THF溶液中で3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールを可溶化することと、組成物を50℃で一晩加熱および維持することと、を含む。2-メチル-THFまたはDCMでは、パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールとの溶液を、60℃まで一晩加熱して溶液を生成した。試料を30℃まで冷却した後、THF、2-メチル-THF、およびDCMの溶液中のスラリーとして結晶性固体が形成された。
【0147】
形成された3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの多形を、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの調製において基質として使用すると、より速い可溶性を呈し、より高い反応選択性を示した。
【0148】
X線粉末回折(スラリーの滴として)、熱重量分析、示差走査熱量測定、および核磁気共鳴分光法によって、結晶性固体の分析を行った。
図1は、(b)THF、(c)2-メチルTHF、および(d)DCMの溶液から形成された結晶性固体の、(a)3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオール出発材料とのX線粉末回折パターン(XRPD)のピークの比較を示す。
図1に示されるように、THF、2-メチルTHF、およびDCMから形成された結晶性固体は、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオール出発材料とは異なる(例えば、約2.75°2θ、約6°2θ、約3.8°2θ、約8.25°2θ、約15°2θ、約26.3°2θ、約30.5°2θ、および約33.1°2θの)ピークを呈する。
【0149】
図2は、THFの溶液から形成された結晶性固体の熱重量分析を示す。THFから形成された3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの多形のTGAは、約200.5℃で開始する単一の重量損失ステップを特徴とした。
図2のグラフはまた、THFの溶液から形成された結晶性固体の示差走査熱量測定を示す。
図2は、THFから形成された3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの多形のDSCプロットを示し、これは、約79.9℃に第1の吸熱、および約102.5℃に第2の吸熱の2つの吸熱を呈した。約102.5℃の第2の吸熱ピークは、単一のピーク吸熱であった。
図3は、THFから形成された3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールの多形と、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオール出発材料とのDSCプロットの比較を示す。3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオール出発材料は、約79.3℃に第1の吸熱、および約105.8℃に第2の吸熱を呈する。
【0150】
実施例2-3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオール(化合物A)からの3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパン(化合物B)の調製
3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオール(CMPD-A)と4,4’-ジメトキシトリフェニルメチルクロリドとの反応を、異なる塩基および溶媒中で試験した。反応混合物に対する異なる添加剤も試験した。表1は、形成された反応生成物を要約する:3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパン(CMPD-B)、3-パルミトイル-アミド-1-ヒドロキシ-2-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパン(CMPD-B-Reg)、3-パルミトイル-アミド-1,2-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパン(Bis-DMTr)。各反応について、3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールを、30℃の溶媒を含む3つ口丸底フラスコに充填し、1時間撹拌した。3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオール溶媒組成物に、3.0当量の塩基を添加し、30℃で撹拌した。添加剤を使用した場合、0.3当量の添加剤を反応混合物と接触させた。1.4当量の4,4’-ジメトキシトリフェニルメチルクロリドを添加し、形成された懸濁液を、約17.3時間の持続時間の間30℃で撹拌した。反応混合物からの試料を定期的に(2時間ごと、4時間ごとなど)採取し、HPLCによって反応生成物を特徴評価した。
【表1-1】
【表1-2】
【0151】
実施例3-メチルTHFおよびTEAを用いた3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオール(化合物A)からの3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパン(化合物B)の調製
3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールを、30℃のメチルTHFを含む3つ口丸底フラスコに充填して、白色の懸濁液を生成し、30℃で1時間撹拌した。フラスコは、オーバーヘッド撹拌器、熱電対、窒素インレット、およびガラス栓を備えていた。3.0当量のトリエチルアミンを添加し、30℃で0.5時間撹拌した。白色の懸濁液に、1.4当量の4,4’-ジメトキシトリフェニルメチルクロリドを一度にすべて添加した。生じた黄色の懸濁物を、30℃で23時間撹拌した。2時間、4時間、20時間、および23時間で試料の分析を行って、トリチル化反応の進行および任意の不純物(例えば、望ましくない位置異性体およびビス-トリチル化化合物)の形成を確認した。2時間の反応の後、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンが、63.2%の収率で形成された。位置異性体不純物である3-パルミトイル-アミド-2-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-1-ヒドロキシ-プロパンは、0.4%の収率で形成され、ビス-トリチル化化合物は、7.8%の収率を呈した。4時間の反応の後、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンが、65.8%の収率で形成された。位置異性体不純物である3-パルミトイル-アミド-2-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-1-ヒドロキシ-プロパンは、0.2%の収率で形成され、ビス-トリチル化化合物は、11.2%の収率まで増加した。20時間の反応の後、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンが、62.4%の収率で形成された。位置異性体不純物である3-パルミトイル-アミド-2-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-1-ヒドロキシ-プロパンは、0.1%の収率で形成され、ビス-トリチル化化合物は、16.6%の収率まで増加した。23時間後、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンが、62.6%の収率で形成された。位置異性体不純物である3-パルミトイル-アミド-2-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-1-ヒドロキシ-プロパンは、0.1%の収率で形成され、ビス-トリチル化化合物は、16.6%の収率で維持された。
【0152】
実施例4-メチル-THFおよびTEA、ならびに酸化マグネシウムを用いた3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオール(化合物A)からの3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパン(化合[物B)の調製
3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオールおよび0.3当量の酸化マグネシウムを、30℃のメチルTHFを含む3つ口丸底フラスコに充填した。フラスコは、オーバーヘッド撹拌器、熱電対、窒素インレット、およびガラス栓を備えていた。白色の懸濁液を30℃で1時間撹拌した。3.0当量のトリエチルアミンを添加し、30℃で0.5時間撹拌した。1.4当量の4,4’-ジメトキシトリフェニルメチルクロリドを一度にすべて添加した。生じた黄緑色の懸濁物を、30℃で23時間撹拌した。2時間、4時間、20時間、および23時間で試料の分析を行って、トリチル化反応の進行および任意の不純物(例えば、望ましくない位置異性体およびビス-トリチル化化合物)の形成を確認した。2時間の反応の後、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンが、63.2%の収率で形成された。位置異性体不純物である3-パルミトイル-アミド-2-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-1-ヒドロキシ-プロパンは、0.4%の収率で形成され、ビス-トリチル化化合物は、7.7%の収率を呈した。4時間の反応の後、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンが、65.7%の収率で形成された。位置異性体不純物である3-パルミトイル-アミド-2-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-1-ヒドロキシ-プロパンは、0.3%の収率で形成され、ビス-トリチル化化合物は、11.0%の収率まで増加した。20時間の反応の後、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンが、63.2%の収率で形成された。位置異性体不純物である3-パルミトイル-アミド-2-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-1-ヒドロキシ-プロパンは、もはや存在せず、ビス-トリチル化化合物は、16.7%の収率まで増加した。23時間後、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンが、62.6%の収率で形成された。位置異性体不純物である3-パルミトイル-アミド-2-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-1-ヒドロキシ-プロパンは、0.1%の収率で形成され、ビス-トリチル化化合物は、16.9%の収率までわずかに増加した。
【0153】
実施例5-メチル-THFおよびTEA、ならびに酸化マグネシウムならびに加熱を用いた3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオール(化合物A)からの3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパン(化合物B)の調製
3-パルミトイル-アミド-1,2-プロパンジオール、0.3当量の酸化マグネシウム、および3.0当量のトリエチルアミンを、周辺温度のメチルTHFを含む3つ口丸底フラスコに充填した。フラスコは、オーバーヘッド撹拌器、熱電対、窒素インレット、およびガラス栓を備えていた。組成物を48℃まで加熱して白色の懸濁液を生成し、48℃で1時間撹拌した。組成物をさらに55℃まで加熱し、さらに1時間撹拌した。反応物を再び60℃まで加熱し、さらに30分間撹拌した。反応物を70分間かけて30℃まで冷却し、生じた白色の懸濁液に、1.4当量の4,4’-ジメトキシトリフェニルメチルクロリドを一度にすべて添加した。生じた淡緑色の懸濁物を、30℃で23時間撹拌した。2時間、4時間、20時間、および23時間で試料の分析を行って、トリチル化反応の進行および任意の不純物(例えば、望ましくない位置異性体およびビス-トリチル化化合物)の形成を確認した。2時間の反応の後、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンが、67.0%の収率で形成された。位置異性体不純物である3-パルミトイル-アミド-2-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-1-ヒドロキシ-プロパンは、0.2%の収率で形成され、ビス-トリチル化化合物は、8.3%の収率を呈した。4時間の反応の後、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンが、66.2%の収率で形成された。位置異性体不純物である3-パルミトイル-アミド-2-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-1-ヒドロキシ-プロパンは、0.1%の収率で形成され、ビス-トリチル化化合物は、11.6%の収率まで増加した。20時間の反応の後、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンが、63.2%の収率で形成された。位置異性体不純物である3-パルミトイル-アミド-2-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-1-ヒドロキシ-プロパンは、もはや存在せず、ビス-トリチル化化合物は、18.1%の収率まで増加した。23時間後、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンが、63.0%の収率で形成された。位置異性体不純物である3-パルミトイル-アミド-2-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-1-ヒドロキシ-プロパンは、もはや存在せず、ビス-トリチル化化合物は、18.2%の収率までわずかに増加した。
【0154】
実施例6-3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンのX線結晶構造解析
様々な溶媒および溶媒混合物中の3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの組成物の再結晶化によって、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの単結晶を生成した。ジクロロメタン/ペンタンから形成された単結晶を、X線回折研究に使用した。
【0155】
-100℃のそのままの形態の単結晶で、X線回折を収集した。X線結晶構造解析には、およそ0.080mm×0.130mm×0.130mmの寸法の単斜の板様試験片を使用した。Cu放射線(λ=1.54178Å)には高輝度IμS3.0 microfocus(50kV×1mA)を備えたBruker D8 QUEST単結晶X線回折計を使用して、X線構造を研究し、優れた速度、感受性、および精度のPHOTON II電荷積分ピクセルアレイ検出器を用いて、結晶のスクリーニング/評価および回折データ収集に使用した。Cryostream 800低温デバイスは、80K~500Kの試料温度を提供し、173K(-100℃)で結晶を冷却するために使用した。データ収集および積分用の回折実験、ならびに構造結果の解明、精密化、および表示には、SHELXTLを含むBruker APEX3ソフトウェアスイートであった。
【0156】
合計1346のフレームを収集した。合計曝露時間は、12.76時間であった。狭いフレームアルゴリズムを使用するBruker SAINTソフトウェアパッケージを用いて、フレームを積分した。三斜晶単位胞を使用したデータの積分によって、最大θ角65.20°(0.85Å解像度)に対して合計30535回の反射を得、うち12077回は、独立(平均冗長性2.528、完全性=96.7%、Rint=3.33%、Rsig=3.88%)しており、うち10927回(90.48%)は、2σ(F2)より大きかった。a=8.6815(6)Å、b=12.9371(9)Å、c=32.676(2)Å、α=83.787(3)°、β=87.487(3)°、γ=89.930(3)°、体積=3644.9(4)Å3の最終単位胞定数は、6.873°<2θ<130.4°での、20σ(I)超の9845回の反射のXYZ中心の精密性に基づく。Multi-Scan方法(SADABS)を使用して、吸収効果のデータを補正した。見かけの透過率の最小対最大の比は、0.853であった。計算された最小および最大透過係数(結晶サイズに基づく)は、0.9280および0.9550である。式単位C40H57NO5で、Bruker SHELXTLソフトウェアパッケージを使用し、Z=4で空間群P-1を使用して、構造を解明し、精密化した。838の変数を用いるF2の最終的な異方性完全行列最小二乗法による精密化は、観察されたデータではR1=11.45%で、すべてのデータではwR2=26.68%で収束させた。適合度は、1.106であった。0.073e-/Å3のRMS偏差での電子密度合成の最終的な差異における最大ピークは、0.692e-/Å3であり、最大ホールは、-0.510e-/Å3であった。最終モデルに基づいて、計算された密度は、1.151g/cm3であった。表2は、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの結晶構造から決定した、原子座標および等価の等方性原子変位パラメータ(Å2)を提供する。表3は、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの結晶構造から決定した、測定された結合長(Å)を提供する。表4は、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの結晶構造から決定した、測定された結合角(°)を提供する。表5は、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの結晶構造から決定した、測定されたねじれ角(°)を提供する。表6は、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの結晶構造から決定した、異方性原子変位パラメータ(Å2)を提供する。表7は、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの結晶構造から決定した、水素原子座標および等方性原子変位パラメータ(Å2)を提供する。
【0157】
図4Aは、X線結晶構造解析によって決定した、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの2つの異なる立体配座のオークリッジ熱振動楕円体描画プロット(ORTEP)図を示す。立体配座異性体Aは、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの線状配座を呈する。立体配座異性体Bは、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの屈曲立体配座を呈する。
図4Bは、3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの結晶の単位胞を示し、各単位胞が、4つの分子(2つの分子の立体配座異性体Aおよび2つの分子の立体配座異性体B)の3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンを含む。
図4Cは、第1の軸に沿った3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの結晶充填の図を示し、
図4Dは、第2の軸に沿った3-パルミトイル-アミド-2-ヒドロキシ-1-ジメトキシトリフェニルメチルエーテル-プロパンの結晶充填を示す。
図4Eは、第2の結晶構造解析軸に沿った、立体配座異性体Aと立体配座異性体Bとの間の分子間水素結合を示す。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【表4-5】
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【表5-4】
【表5-5】
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【表6-4】
【表7-1】
【表7-2】
【表7-3】
【表7-4】
【国際調査報告】