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特表2022-554245非晶質固体スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン塩およびそれらを作製する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(54)【発明の名称】非晶質固体スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン塩およびそれらを作製する方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 231/24 20060101AFI20221221BHJP
   C07C 233/18 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
C07C231/24 CSP
C07C233/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022524998
(86)(22)【出願日】2020-10-23
(85)【翻訳文提出日】2022-05-18
(86)【国際出願番号】 US2020057115
(87)【国際公開番号】W WO2021086753
(87)【国際公開日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】62/926,778
(32)【優先日】2019-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595161223
【氏名又は名称】ジェロン・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】GERON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】アルバニーズ-ウォーカー, ジェニファー イー.
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AA02
4H006AB20
4H006AB84
4H006AD15
4H006BB12
4H006BB42
4H006BP10
4H006BP30
4H006BS70
4H006BT12
4H006BV22
(57)【要約】
開示の態様は、脂肪酸金属塩の非晶質固体組成物を調製するための方法を含む。ある特定の実施形態による主題の方法の実施において、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン有機塩を金属塩基と接触させて、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩を生成し、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩を溶媒中で沈殿させて、非晶質固体スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物を生成する。また、非晶質固体スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパンリチウム塩が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪酸金属塩を含む非晶質固体組成物を調製する方法であって、前記方法が、
スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン有機塩を金属塩基と接触させて、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩を生成することと、
前記スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩を沈殿させて、非晶質固体スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物を生成することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記非晶質固体組成物が、粗製組成物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記粗製組成物が、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、プロトン核磁気共鳴分光法(H NMR)、またはそれらの組み合わせによって決定して、90%以上の純度を有する前記脂肪酸金属塩を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
粗製反応生成物が、前記方法のすべてのステップを通じて担持される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、プロトン核磁気共鳴分光法(H NMR)、またはそれらの組み合わせによって決定して、90%以上の単離収率で前記脂肪酸金属塩を得るのに十分である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパンを、有機塩基の存在下で、極性溶媒中で無水コハク酸と接触させるステップをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記極性溶媒が、ジクロロメタンを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩を沈殿させることが、
前記スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩を非極性溶媒中で加熱して、加熱されたスクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物を生成することと、
前記加熱されたスクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物を冷却して、前記スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩の非晶質固体を形成することと、を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記加熱されたスクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物を冷却することが、前記加熱されたスクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物を冷たい非極性溶媒に逆添加することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記方法が、前記非極性溶媒中で前記スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩を45~55℃の温度まで加熱することを含む、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記方法が、前記加熱されたスクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物を-10~0℃の温度まで冷却することを含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記非極性溶媒が、ヘプタンを含む、請求項8~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩の前記非晶質固体が、単離される、請求項8~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩の前記非晶質固体が、真空濾過によって単離される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記脂肪酸が、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ミリストレイン酸、およびバチル脂肪酸からなる群から選択される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記脂肪酸が、パルミチン酸である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
保護ヒドロキシ基が、ジメトキシ-トリフェニルメチル保護基を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパンが、式IIの化合物であり、
【化9】
式中、DMTが、ジメトキシ-トリフェニルメチルである、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記有機塩が、トリエチルアミン塩である、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記金属塩基が、水酸化リチウムおよびtert-ブトキシドリチウムから選択される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
tert-ブトキシドリチウム中の前記金属塩基、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩が、式Iの化合物である、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【化10】
【請求項23】
非晶質固体スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパンリチウム塩。
【請求項24】
前記脂肪酸が、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ミリストレイン酸、およびバチル脂肪酸からなる群から選択される、請求項23に記載の非晶質塩。
【請求項25】
前記脂肪酸が、パルミチン酸である、請求項24に記載の非晶質塩。
【請求項26】
前記保護ヒドロキシ基が、ジメトキシ-トリフェニルメチル保護基を含む、請求項23~25のいずれか一項に記載の非晶質塩。
【請求項27】
前記スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩が、式Iの化合物である、請求項23~26のいずれか一項に記載の非晶質塩。
【化11】
【請求項28】
約19.5°に2θのピークを含むX線粉末回折パターン(XRPD)を有する、請求項27に記載の非晶質塩。
【請求項29】
前記非晶質塩の熱重量分析(TGA)が、単一の重量損失ステップを特徴とする、請求項27または28に記載の非晶質塩。
【請求項30】
前記重量損失ステップが、約225℃で開始する、請求項29に記載の非晶質塩。
【請求項31】
前記非晶質塩が、30℃~300℃の加熱時に、試料の総質量の1%未満の質量損失を示すTGAサーモグラムを有する、請求項27~30のいずれか一項に記載の非晶質塩。
【請求項32】
示差走査熱量測定(DSC)によって約44.9℃に吸収ピークを有する、請求項27~31のいずれか一項に記載の非晶質塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年10月28日出願の米国仮特許出願第62/926,778号に対する優先権の利益を主張し、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
序論
イメテルスタットは、テロメラーゼのRNA構成要素のテンプレート領域に対して高い親和性で結合する、テロメラーゼ阻害剤である。研究によって、イメテルスタットがテロメラーゼ活性を阻害し、多くの異なるがん細胞株およびヒト腫瘍における細胞増殖に対して有効であることが示されている。イメテルスタットは、血液悪性腫瘍患者の臨床試験で使用されている。骨髄線維症患者の臨床試験は、イメテルスタットがある特定の患者で完全な臨床的寛解を達成することが可能であることを示した。
【0003】
イメテルスタットの構造は、N3’→P5’チオホスホロアミダートオリゴヌクレオチドを含む。イメテルスタットの合成は、第1のホスホロアミダイトヌクレオチドが支持体に結合し、続いて硫化される固相オリゴヌクレオチド合成によって行われている。オリゴヌクレオチド構成要素の鎖延長は、固相支持体結合オリゴヌクレオチドの3’-アミノ基と追加のヌクレオチドホスホロアミダイトモノマーとの繰り返し反応によって達成される。イメテルスタットのオリゴヌクレオチドは、パルミトイル-アミドリンカーを通じて固相支持体に結合される。したがって、この脂肪酸-アミドリンカーは、イメテルスタットの合成における構成要素である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
開示の態様は、脂肪酸金属塩の非晶質固体組成物を調製するための方法を含む。実施形態では、主題の方法は、脂肪酸有機塩から脂肪酸金属塩を調製し、溶媒から脂肪酸金属塩を沈殿させて、脂肪酸金属塩の非晶質固体組成物を生成することを含む。ある特定の実施形態による主題の方法の実施において、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン有機塩を金属塩基と接触させて、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩を生成し、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩を溶媒中で沈殿させて、非晶質固体スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物を生成する。(スキームI)
【化1】
式中、Rが、C10-C20脂肪酸(例えばC16脂肪酸)であり、PGが、保護基である。
【0005】
いくつかの実施形態では、金属は、リチウムである。いくつかの実施形態では、脂肪酸は、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ミリストレイン酸、およびバチル脂肪酸から選択される。いくつかの実施形態では、保護ヒドロキシ基としては、ジメトキシ-トリフェニルメチル保護基が挙げられる。ある特定の実施形態では、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩は、式Iの化合物である。
【化2】
非晶質組成物は、粗製組成物として形成され得る。ある特定の場合では、脂肪酸金属塩は、(例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、プロトン核磁気共鳴分光法(H NMR)、またはそれらの組み合わせによって決定して)粗製組成物の95重量%以上の純度を有する。
【0006】
いくつかの実施形態では、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩を沈殿させて非晶質固体組成物を生成することは、1)スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩を非極性溶媒中で加熱して、加熱されたスクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物を生成することと、2)加熱されたスクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物を冷却して、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩の非晶質固体を形成することと、を含む。ある特定の場合では、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩は、非極性溶媒中で、約50℃などの約45℃~約55℃の温度まで加熱される。非晶質固体組成物を沈殿させるために、加熱されたスクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物を、約0℃などの約-5℃~約5℃の温度まで冷却して、非晶質固体組成物を生成してもよい。ある特定の場合では、加熱されたスクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物を冷却することは、加熱されたスクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物を冷たい非極性溶媒に逆添加することを含む。沈殿した非晶質固体スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物は、濾過によって単離することができる。
【0007】
ある特定の実施形態では、方法は、3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパンを、有機塩基の存在下で無水コハク酸と接触させて、3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)プロパンの2-ヒドロキシ基をスクシニル化することによって、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン有機塩を調製することをさらに含む。いくつかの場合では、3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパンを、極性溶媒中で無水コハク酸と接触させる。
【0008】
開示の態様はまた、非晶質固体スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパンリチウム塩を含む。いくつかの実施形態では、脂肪酸は、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ミリストレイン酸、およびバチル脂肪酸から選択される。いくつかの実施形態では、保護ヒドロキシ基としては、ジメトキシ-トリフェニルメチル保護基が挙げられる。ある特定の実施形態では、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩は、式Iの化合物である。
【化3】
【0009】
いくつかの実施形態では、本開示は、Cu Kα放射線を用いるX線粉末回折パターン(XRPD)において約19.5°2θにピークを有する、式Iの非晶質固体スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパンリチウム塩を提供する。他の実施形態では、本開示は、熱重量分析(TGA)が、単一の重量損失ステップを呈する、式Iの非晶質固体スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパンリチウム塩を提供する。これらの実施形態では、単一の重量損失ステップは、約225℃で開始し得る。式Iの主題の非晶質固体スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパンリチウム塩はまた、30℃~300℃の加熱時に試料の総質量の1%未満の質量損失を示すTGAサーモグラムを特徴とし得る。他の実施形態では、本開示は、示差走査熱量測定(DSC)曲線が、約44.9℃に吸収ピークを呈する、式Iの非晶質固体スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパンリチウム塩を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ある特定の実施形態による、非晶質固体スクシニル化3-(パルミトイルアミド)-2-ヒドロキシ-1-(ジメトキシトリフェニルメチルヒドロキシ)-プロパンリチウム塩のX線粉末回折パターンを示す。
図2】ある特定の実施形態による、非晶質固体スクシニル化3-(パルミトイルアミド)-2-ヒドロキシ-1-(ジメトキシトリフェニルメチルヒドロキシ)-プロパンリチウム塩の偏光顕微鏡検査画像を示す。
図3】ある特定の実施形態による、非晶質固体スクシニル化3-(パルミトイルアミド)-2-ヒドロキシ-1-(ジメトキシトリフェニルメチルヒドロキシ)-プロパンリチウム塩の熱重量分析(TGA)からのサーモグラムを示す。
図4】ある特定の実施形態による、非晶質固体スクシニル化3-(パルミトイルアミド)-2-ヒドロキシ-1-(ジメトキシトリフェニルメチルヒドロキシ)-プロパンリチウム塩の示差走査熱量測定からのプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
化学用語の定義を選択する
以下の用語は、別段の指示がない限り、以下の意味を有する。定義されていない任意の用語は、当該技術分野で認識されている意味を有する。
【0012】
本明細書で使用される場合、「ホスフェート」および「ホスフェート基」という用語は、チオホスフェート基およびオキソホスフェート基を包含することを意味する。
【0013】
本明細書で使用される場合、「ホスホロアミダイトアミノ基」という用語は、ホスホロアミダイト基のリン原子に結合しているアミノ基--NRを指し、「ホスホロアミダイト窒素」という用語は、ホスホロアミダイトアミノ基の窒素原子を指す。
【0014】
「アルキル」は、1~6つの炭素原子(例えば、「1~6つの炭素原子のアルキル」)、または1~5つの炭素原子(例えば、「1~5つの炭素原子のアルキル」)、または1~4つ(例えば、「1~4つの炭素原子のアルキル」)、または1~3つの炭素原子(例えば、「1~3つの炭素原子のアルキル」)などの、1~10個の炭素原子を有する、一価の飽和脂肪族ヒドロカルビル基を指す。この用語としては、例として、メチル(CH-)、エチル(CHCH-)、n-プロピル(CHCHCH-)、イソプロピル((CHCH-)、n-ブチル(CHCHCHCH-)、イソブチル((CHCHCH-)、sec-ブチル((CH)(CHCH)CH-)、t-ブチル((CHC-)、n-ペンチル(CHCHCHCHCH-)、およびネオペンチル((CHCCH-)などの線状および分岐状ヒドロカルビル基が挙げられる。
【0015】
「置換アルキル」という用語は、アルキル鎖の1つ以上の炭素原子が、任意選択的に、-O-、-N-、-S-、-S(O)-(nが、0~2である)、-NR-(Rが、水素またはアルキルである)などのヘテロ原子で置き換えられており、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、および-NR(RおよびRが、同じかまたは異なり得、水素、任意選択的に置換アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロ環式から選択される)からなる群から選択される1~5つの置換基を有する、本明細書で定義されるアルキル基を指す。いくつかの場合では、「置換アルキル」は、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオール、チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、スルホンアミド、および-NR(RおよびRが、同じかまたは異なり得、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロ環式から選択される)からなる群から選択される1~5つの置換基を有する、本明細書で定義されるアルキル基を指す。
【0016】
「アルキレン」は、直鎖または分岐鎖のいずれかである、好ましくは1~6つ、より好ましくは1~3つの炭素原子を有し、任意選択的に、-O-、-NR10-、-NR10C(O)-、-C(O)NR10-などから選択される1つ以上の基で中断される、二価の脂肪族ヒドロカルビル基を指す。この用語としては、例として、メチレン(-CH-)、エチレン(-CHCH-)、n-プロピレン(-CHCHCH-)、イソ-プロピレン(-CHCH(CH)-)、(-C(CHCHCH-)、(-C(CHCHC(O)-)、(-C(CHCHC(O)NH-)、(-CH(CH)CH-)などが挙げられる。
【0017】
「置換アルキレン」は、以下の「置換」の定義において炭素について記載されているように、置換基で置き換えられた1~3つの水素を有するアルキレン基を指す。
【0018】
「アルカン」という用語は、本明細書で定義されるアルキル基およびアルキレン基を指す。
【0019】
「アルキルアミノアルキル」、「アルキルアミノアルケニル」、および「アルキルアミノアルキニル」という用語は、Rが、本明細書で定義されるアルキル基であり、Rが、本明細書で定義されるアルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン基である、RNHR-基を指す。
【0020】
「アルカリル」または「アラルキル」という用語は、アルキレン、置換アルキレン、およびアリールが、本明細書で定義される、-アルキレン-アリールおよび-置換アルキレン-アリール基を指す。
【0021】
「アルコキシ」は、アルキルが、本明細書で定義されるとおりである、-O-アルキル基を指す。アルコキシとしては、例として、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、t-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペントキシなどが挙げられる。「アルコキシ」という用語はまた、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、およびアルキニルが、本明細書で定義されるとおりである、アルケニル-O-、シクロアルキル-O-、シクロアルケニル-O-、およびアルキニル-O-の基を指す。
【0022】
「置換アルコキシ」という用語は、置換アルキル、置換アルケニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、および置換アルキニルが、本明細書で定義されるとおりである、置換アルキル-O-、置換アルケニル-O-、置換シクロアルキル-O-、置換シクロアルケニル-O-、および置換アルキニル-O-の基を指す。
【0023】
「アルコキシアミノ」という用語は、アルコキシが、本明細書で定義される、-NH-アルコキシ基を指す。
【0024】
「ハロアルコキシ」という用語は、アルキル基上の1つ以上の水素原子が、ハロ基で置換されているアルキル-O-基を指し、例として、トリフルオロメトキシなどの基が挙げられる。
【0025】
「ハロアルキル」という用語は、アルキル基上の1つ以上の水素原子が、ハロ基で置換されている、上記の置換アルキル基を指す。そのような基の例としては、限定されないが、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロエチルなどのフルオロアルキル基が挙げられる。
【0026】
「アルキルアルコキシ」という用語は、アルキル、置換アルキル、アルキレン、および置換アルキレンが、本明細書で定義されるとおりである、-アルキレン-O-アルキル、アルキレン-O-置換アルキル、置換アルキレン-O-アルキル、および置換アルキレン-O-置換アルキルの基を指す。
【0027】
「アルキルチオアルコキシ」という用語は、アルキル、置換アルキル、アルキレン、および置換アルキレンが、本明細書で定義されるとおりである、-アルキレン-S-アルキル、アルキレン-S-置換アルキル、置換アルキレン-S-アルキル、および置換アルキレン-S-置換アルキルの基を指す。
【0028】
「アルケニル」は、2~6つの炭素原子、好ましくは2~4つの炭素原子を有し、少なくとも1つ、好ましくは1~2つの二重結合不飽和部位を有する直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル基を指す。この用語としては、例として、ビ-ニル、アリル、およびブタ-3-エン-1-イルが挙げられる。この用語に含まれるのは、シスおよびトランス異性体、またはこれらの異性体の混合物である。
【0029】
「置換アルケニル」という用語は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、および-SO-ヘテロアリールから選択される、1~5つの置換基、または1~3つの置換基を有する、本明細書で定義されるアルケニル基を指す。
【0030】
「アルキニル」は、2~6つの炭素原子、好ましくは2~3つの炭素原子を有し、少なくとも1つ、好ましくは1~2つの三重結合不飽和部位を有する一価の直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル基を指す。そのようなアルキニル基の例としては、アセチレニル(-C≡CH)およびプロパルギル(-CHC≡CH)が挙げられる。
【0031】
「置換アルキニル」という用語は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO置換アルキル、SO-アリール、および-SO-ヘテロアリールから選択される、1~5つの置換基、または1~3つの置換基を有する、本明細書で定義されるアルキニル基を指す。
【0032】
「アルキニルオキシ」は、アルキニルが、本明細書で定義されるとおりである、-O-アルキニル基を指す。アルキニルオキシとしては、例として、エチニルオキシ、プロピニルオキシなどが挙げられる。
【0033】
「アシル」は、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式、および置換ヘテロ環式が、本明細書で定義されるとおりである、H-C(O)-、アルキル-C(O)-、置換アルキル-C(O)-、アルケニル-C(O)-、置換アルケニル-C(O)-、アルキニル-C(O)-、置換アルキニル-C(O)-、シクロアルキル-C(O)-、置換シクロアルキル-C(O)-、シクロアルケニル-C(O)-、置換シクロアルケニル-C(O)-、アリール-C(O)-、置換アリール-C(O)-、ヘテロアリール-C(O)-、置換ヘテロアリール-C(O)-、ヘテロシクリル-C(O)-、および置換ヘテロシクリル-C(O)-の基を指す。例えば、アシルとしては、「アセチル」基CHC(O)-が挙げられる
【0034】
「アシルアミノ」は、R20が、水素またはアルキルであり、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式、および置換ヘテロ環式が、本明細書で定義されるとおりである、-NR20C(O)アルキル、-NR20C(O)置換アルキル、NR20C(O)シクロアルキル、-NR20C(O)置換シクロアルキル、-NR20C(O)シクロアルケニル、-NR20C(O)置換シクロアルケニル、-NR20C(O)アルケニル、-NR20C(O)置換アルケニル、-NR20C(O)アルキニル、-NR20C(O)置換アルキニル、-NR20C(O)アリール、-NR20C(O)置換アリール、-NR20C(O)ヘテロアリール、-NR20C(O)置換ヘテロアリール、-NR20C(O)ヘテロ環式、および-NR20C(O)置換ヘテロ環式の基を指す。
【0035】
「アミノカルボニル」または「アミノアシル」という用語は、R21およびR22が、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式、および置換ヘテロ環式からなる群から選択され、R21およびR22が、任意選択的にそれらに結合している窒素と一緒に結合して、ヘテロ環式または置換ヘテロ環式基を形成し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式、および置換ヘテロ環式が、本明細書で定義されるとおりである、-C(O)NR2122基を指す。
【0036】
「アミノカルボニルアミノ」は、R21、R22、およびR23が、独立して、水素、アルキル、アリール、またはシクロアルキルから選択され、2つのR基が、結合してヘテロシクリル基を形成する、-NR21C(O)NR2223基を指す。
【0037】
「アルコキシカルボニルアミノ」という用語は、各Rが、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルであり、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルが、本明細書で定義されるとおりである、-NRC(O)OR基を指す。
【0038】
「アシルオキシ」という用語は、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルが、本明細書で定義されるとおりである、アルキル-C(O)O-、置換アルキル-C(O)O-、シクロアルキル-C(O)O-、置換シクロアルキル-C(O)O-、アリール-C(O)O-、ヘテロアリール-C(O)O-、およびヘテロシクリル-C(O)O-の基を指す。
【0039】
「アミノスルホニル」は、R21およびR22が、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式、置換ヘテロ環式からなる群から選択され、R21およびR22が、任意選択的に、それらに結合している窒素と一緒に結合して、ヘテロ環式または置換ヘテロ環式基を形成し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式および置換ヘテロ環式が、本明細書で定義されるとおりである、-SONR2122基を指す。
【0040】
「スルホニルアミノ」は、R21およびR22が、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式、および置換ヘテロ環式からなる群から選択され、R21およびR22が、任意選択的にそれらに結合している窒素と一緒に結合して、ヘテロ環式または置換ヘテロ環式基を形成し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式、および置換ヘテロ環式が、本明細書で定義されるとおりである、-NR21SO22を指す。
【0041】
「アリール」または「Ar」は、単一の環を有する6~18個の炭素原子の一価の芳香族炭素環式基(フェニル基に存在するようなもの)、または縮合環が、芳香族であってもなくてもよいが、結合点が、芳香族環の原子を通じたものであることを条件とする、複数の縮合環を有する環系(そのような芳香族環系の例としては、ナフチル、アントリル、およびインダニルが挙げられる)を指す。この用語としては、例として、フェニルおよびナフチルが挙げられる。アリール置換基の定義による別段の制約がない限り、そのようなアリール基は、任意選択的に、アシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、置換アルキル、置換アルコキシ、置換アルケニル、置換アルキニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アルカリル、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、およびトリハロメチルから選択される、1~5つの置換基、または1~3つの置換基で置換され得る。そのような場合、(例えば、本明細書に記載の)1~5つの置換基で置換されているアリール基は、「置換アリール」と称される。
【0042】
「アリールオキシ」は、アリールが、本明細書で定義されるとおりであり、また本明細書で定義されるとおりの任意選択的に置換アリール基を含む、例として、フェノキシ、ナフトキシなどを含む、-O-アリール基を指す。
【0043】
「アミノ」は、-NH基を指す。
【0044】
「置換アミノ」という用語は、各Rが、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルからなる群から選択されるが、少なくとも1つのRが、水素ではないことを条件とする、-NRR基を指す。
【0045】
「アジド」という用語は、-N基を指す。
【0046】
「カルボキシル」、「カルボキシ」、または「カルボキシレート」は、-COHまたはその塩を指す。
【0047】
「カルボキシルエステル」もしくは「カルボキシエステル」、または「カルボキシアルキル」もしくは「カルボキシルアルキル」という用語は、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式、および置換ヘテロ環式が、本明細書で定義されるとおりである、-C(O)O-アルキル、-C(O)O-置換アルキル、-C(O)O-アルケニル、-C(O)O-置換アルケニル、-C(O)O-アルキニル、-C(O)O-置換アルキニル、-C(O)O-アリール、-C(O)O-置換アリール、-C(O)O-シクロアルキル、-C(O)O-置換シクロアルキル、-C(O)O-シクロアルケニル、-C(O)O-置換シクロアルケニル、-C(O)O-ヘテロアリール、-C(O)O-置換ヘテロアリール、-C(O)O-ヘテロ環式、および-C(O)O-置換ヘテロ環式の基を指す。
【0048】
「(カルボキシルエステル)オキシ」または「カーボネート」は、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式、および置換ヘテロ環式が、本明細書で定義されるとおりである、-O-C(O)O-アルキル、-O-C(O)O-置換アルキル、-O-C(O)O-アルケニル、-O-C(O)O-置換アルケニル、-O-C(O)O-アルキニル、-O-C(O)O-置換アルキニル、-O-C(O)O-アリール、-O-C(O)O-置換アリール、-O-C(O)O-シクロアルキル、-O-C(O)O-置換シクロアルキル、-O-C(O)O-シクロアルケニル、-O-C(O)O-置換シクロアルケニル、-O-C(O)O-ヘテロアリール、-O-C(O)O-置換ヘテロアリール、-O-C(O)O-ヘテロ環式、および-O-C(O)O-置換ヘテロ環式の基を指す。
【0049】
「シアノ」または「ニトリル」は、-CN基を指す。
【0050】
「シクロアルキル」は、単環式環、または縮合環系、架橋環系、およびスピロ環系を含む多環式環を有する、3~10個の炭素原子の環式アルキル基を指す。好適なシクロアルキル基の例としては、例えば、アダマンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチルなどが挙げられる。そのようなシクロアルキル基としては、例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチルなどの単環構造、またはアダマンタニルなどの多環構造が挙げられる。
【0051】
「置換シクロアルキル」という用語は、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリールおよび-SO-ヘテロアリールから選択される、1~5つの置換基、または1~3つの置換基を有するシクロアルキル基を指す。
【0052】
「シクロアルケニル」は、単一の環または複数の環を有し、少なくとも1つの二重結合、好ましくは1~2つの二重結合を有する、3~10個の炭素原子の非芳香族環式アルキル基を指す。
【0053】
「置換シクロアルケニル」という用語は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリールおよび-SO-ヘテロアリールから選択される、1~5つの置換基、または1~3つの置換基を有するシクロアルケニル基を指す。
【0054】
「シクロアルキニル」は、単一の環または複数の環を有し、少なくとも1つの三重結合を有する、5~10個の炭素原子の非芳香族シクロアルキル基を指す。
【0055】
「シクロアルコキシ」は、-O-シクロアルキルを指す。
【0056】
「シクロアルケニルオキシ」は、-O-シクロアルケニルを指す。
【0057】
「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを指す。
【0058】
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」は、-OH基を指す。
【0059】
「ヘテロアリール」は、環内の1~10個の炭素原子などの1~15個の炭素原子、ならびに酸素、窒素、および硫黄からなる群から選択される1~10個のヘテロ原子の芳香族基を指す。そのようなヘテロアリール基は、環系内の少なくとも1つの環が、芳香族であり、環系内の少なくとも1つの環が、芳香族であるが、結合点が、芳香族環の原子を通じたものであることを条件とする、単一の環(ピリジニル、イミダゾリル、またはフリルなど)、または環系の(例えば、インドリジニル、キノリニル、ベンゾフラン、ベンズイミダゾリル、またはベンゾチエニルなどの基の)複数の縮合環を有し得る。ある特定の実施形態では、ヘテロアリール基の窒素および/または硫黄環原子は、任意選択的に酸化されて、N-オキシド(N→O)、スルフィニル、またはスルホニル部分を提供する。この用語としては、例として、ピリジニル、ピロリル、インドリル、チオフェニル、およびフラニルが挙げられる。ヘテロアリール置換基の定義による別段の制約がない限り、そのようなヘテロアリール基は、アシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、置換アルキル、置換アルコキシ、置換アルケニル、置換アルキニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アルカリル、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリールおよび-SO-ヘテロアリール、およびトリハロメチルから選択される、1~5つの置換基、または1~3つの置換基で任意選択的に置換され得る。そのような場合、(例えば、本明細書に記載の)1~5つの置換基で置換されているヘテロアリール基は、「置換ヘテロアリール」と称される。
【0060】
「ヘテロアラルキル」という用語は、アルキレンおよびヘテロアリールが、本明細書で定義される-アルキレン-ヘテロアリール基を指す。この用語としては、例として、ピリジルメチル、ピリジルエチル、インドリルメチルなどが挙げられる。
【0061】
「ヘテロアリールオキシ」は、-O-ヘテロアリールを指す。
【0062】
「ヘテロ環」、「ヘテロ環式」、「ヘテロシクロアルキル」、および「ヘテロシクリル」は、縮合架橋環系およびスピロ環系を含む、単一の環または複数の縮合環を有し、かつ1~10個のヘテロ原子を含む、3~20個の環原子を有する、飽和または不飽和基を指す。これらの環原子は、窒素、硫黄、または酸素からなる群から選択され、縮合環系では、環のうちの1つ以上が、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり得るが、結合点が、非芳香族環を通じるものである。ある特定の実施形態では、ヘテロ環式基の窒素および/または硫黄環原子は、任意選択的に酸化されて、N-オキシド、-S(O)-、または-SO-部分を提供する。
【0063】
ヘテロ環およびヘテロアリールの例としては、限定されないが、アゼチジン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、ジヒドロインドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソオキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、フタリミド、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン、4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン、チアゾール、チアゾリジン、チオフェン、ベンゾ[b]チオフェノール、モルホリニル、チオモルホリニル(チアモルホリニルとも称される)、1,1-ジオキソチオモルホリニル、ピペリジニル、ピロリジン、テトラヒドロフラニルなどが挙げられる。
【0064】
ヘテロ環式置換基の定義による別段の制約がない限り、そのようなヘテロ環式基は、任意選択的に、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、および縮合ヘテロ環から選択される、1~5つ、または1~3つの置換基で置換され得る。
【0065】
「ヘテロシクリルオキシ」は、-O-ヘテロシクリル基を指す。
【0066】
「ヘテロシクリルチオ」という用語は、ヘテロ環式-S-基を指す。
【0067】
「ヘテロシクレン」という用語は、本明細書で定義される、ヘテロ環から形成されるジラジカル基を指す。
【0068】
「ヒドロキシアミノ」という用語は、-NHOH基を指す。
【0069】
「ニトロ」は、-NO基を指す。
【0070】
「オキソ」は、原子(=O)を指す。
【0071】
「スルホニル」は、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式、および置換ヘテロ環式が、本明細書で定義されるとおりである、SO-アルキル、SO-置換アルキル、SO-アルケニル、SO-置換アルケニル、SO-シクロアルキル、SO-置換シクロアルキル、SO-シクロアルケニル、SO-置換シクロアルケニル、SO-アリール、SO-置換アリール、SO-ヘテロアリール、SO-置換ヘテロアリール、SO-ヘテロ環式、およびSO-置換ヘテロ環式の基を指す。スルホニルとしては、例として、メチル-SO-、フェニル-SO-、および4-メチルフェニル-SO-が挙げられる。
【0072】
「スルホニルオキシ」は、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式、および置換ヘテロ環式が、本明細書で定義されるとおりである、-OSO-アルキル、OSO-置換アルキル、OSO-アルケニル、OSO-置換アルケニル、OSO-シクロアルキル、OSO-置換シクロアルキル、OSO-シクロアルケニル、OSO-置換シクロアルケニル、OSO-アリール、OSO-置換アリール、OSO-ヘテロアリール、OSO-置換ヘテロアリール、OSO-ヘテロ環式、およびOSO置換ヘテロ環式の基を指す。
【0073】
「アミノカルボニルオキシ」という用語は、各Rが、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロ環式であり、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロ環式が、本明細書で定義されるとおりである、-OC(O)NRR基を指す。
【0074】
「チオール」は、-SH基を指す。
【0075】
「チオキソ」または「チオケト」という用語は、原子(=S)を指す。
【0076】
「アルキルチオ」または「チオアルコキシ」という用語は、アルキルが、本明細書で定義されるとおりである、-S-アルキル基を指す。ある特定の実施形態では、硫黄は、-S(O)-に酸化され得る。スルホキシドは、1つ以上の立体異性体として存在し得る。
【0077】
「置換チオアルコキシ」という用語は、-S-置換アルキル基を指す。
【0078】
「チオアリールオキシ」という用語は、アリール基が、任意選択的に、また本明細書で定義される置換アリール基を含む、本明細書で定義されるとおりである、アリール-S-基を指す。
【0079】
「チオヘテロアリールオキシ」という用語は、ヘテロアリール基が、任意選択的に、また本明細書で定義されるとおりである置換ヘテロアリール基を含む、本明細書で定義されるとおりである、ヘテロアリール-S-基を指す。
【0080】
「チオヘテロシクロオキシ」という用語は、ヘテロシクリル基が、任意選択的に、また本明細書で定義されるとおりである置換ヘテロシクリル基を含む、本明細書で定義されるとおりである、ヘテロシクリル-S-基を指す。
【0081】
本明細書の開示に加えて、「置換された」という用語はまた、指定された基またはラジカルを修飾するために使用される場合、指定された基またはラジカルの1つ以上の水素原子が、各々互いから独立して、以下に定義されるのと同じかまたは異なる置換基で置き換えられることを意味することができる。
【0082】
本明細書の個々の用語に関して開示の基に加えて、指定された基またはラジカルの飽和炭素原子上の1つ以上の水素(単一の炭素上の任意の2つの水素は、=O、=NR70、=N-OR70、=Nまたは=Sで置き換えられ得る)を置換するための置換基は、別段の指定がない限り、R60が、任意選択的に置換されたアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、各R70が、独立して、水素またはR60であり、各R80が、独立して、R70であるか、またはあるいは、2つのR80’が、それらに結合している窒素と一緒になって、O、N、およびSからなる群から選択される同じかもしくは異なる追加の1~4つのヘテロ原子を任意選択的に含み得る5、6、もしくは7員ヘテロシクロアルキルを形成し、それらのNが、-HもしくはC-Cアルキル置換基を有し得、各Mが、正味の単一の正の電荷を有する対イオンである、-R60、ハロ、=O、-OR70、-SR70、-NR8080、トリハロメチル、-CN、-OCN、-SCN、-NO、-NO、=N、-N、-SO70、-SO、-SOOR70、-OSO70、-OSO、-OSOOR70、-P(O)(O(M、-P(O)(OR70)O、-P(O)(OR70、-C(O)R70、-C(S)R70、-C(NR70)R70、-C(O)O、-C(O)OR70、-C(S)OR70、-C(O)NR8080、-C(NR70)NR8080、-OC(O)R70、-OC(S)R70、-OC(O)O、-OC(O)OR70、-OC(S)OR70、-NR70C(O)R70、-NR70C(S)R70、-NR70CO 、-NR70CO70、-NR70C(S)OR70、-NR70C(O)NR8080、-NR70C(NR70)R70、および-NR70C(NR70)NR8080である。各Mは、独立して、例えば、K、Na、Liなどのアルカリイオン、N(R60などのアンモニウムイオン、または[Ca2+0.5、[Mg2+0.5、または[Ba2+0.5などのアルカリ土類イオンであり得る(「添え字0.5は、そのような二価のアルカリ土類イオンの対イオンのうちの一方が、発明の化合物のイオン化形態であり、他方の対イオンが、塩化物などのイオン化形態であり得るか、または本明細書に開示の2つのイオン化化合物が、そのような二価のアルカリ土類イオンの対イオンとして機能し得るか、または発明の二重イオン化化合物が、そのような二価のアルカリ土類イオンの対イオンとして機能し得ることを意味する)。具体的な例として、-NR8080は、-NH、-NH-アルキル、N-ピロリジニル、N-ピペラジニル、4N-メチル-ピペラジン-1-イル、およびN-モルホリニルを含むことを意味する。
【0083】
本明細書の開示に加えて、「置換」アルケン、アルキン、アリール、およびヘテロアリール基の不飽和炭素原子上の水素の置換基は、別段の指定がない限り、R60、R70、R80、およびMが、以前定義されたとおりであるが、置換アルケンまたはアルキンの場合、置換基が、-O、-OR70、-SR70、または-Sではないことを条件とする、-R60、ハロ、-O、-OR70、-SR70、-S、-NR8080、トリハロメチル、-CF、-CN、-OCN、-SCN、-NO、-NO、-N、-SO70、-SO 、-SO70、-OSO70、-OSO 、-OSO70、-PO -2(M、-P(O)(OR70)O、-P(O)(OR70、-C(O)R70、-C(S)R70、-C(NR70)R70、-CO 、-CO70、-C(S)OR70、-C(O)NR8080、-C(NR70)NR8080、-OC(O)R70、-OC(S)R70、-OCO 、-OCO70、-OC(S)OR70、-NR70C(O)R70、-NR70C(S)R70、-NR70CO 、-NR70CO70、-NR70C(S)OR70、-NR70C(O)NR8080、-NR70C(NR70)R70および-NR70C(NR70)NR8080である。
【0084】
本明細書の個々の用語に関して開示の基に加えて、「置換」ヘテロアルキルおよびシクロヘテロアルキル基の窒素原子上の水素の置換基は、別段の指定がない限り、R60、R70、R80、およびMが、以前定義されたとおりである、-R60、-O、-OR70、-SR70、-S、-NR8080、トリハロメチル、-CF、-CN、-NO、-NO、-S(O)70、-S(O)、-S(O)OR70、-OS(O)70、-OS(O)、-OS(O)OR70、-P(O)(O(M、-P(O)(OR70)O、-P(O)(OR70)(OR70)、-C(O)R70、-C(S)R70、-C(NR70)R70、-C(O)OR70、-C(S)OR70、-C(O)NR8080、-C(NR70)NR8080、-OC(O)R70、-OC(S)R70、-OC(O)OR70、-OC(S)OR70、-NR70C(O)R70、-NR70C(S)R70、-NR70C(O)OR70、-NR70C(S)OR70、-NR70C(O)NR8080、-NR70C(NR70)R70および-NR70C(NR70)NR8080である。
【0085】
本明細書の開示に加えて、ある特定の実施形態では、置換されている基は、1、2、3、もしくは4つの置換基、1、2、もしくは3つの置換基、1もしくは2つの置換基、または1つの置換基を有する。
【0086】
別段の指示がない限り、本明細書で明示的に定義されていない置換基の命名法は、官能基の末端部分に続いて隣接する官能基から結合点に向かって命名することによって到達される。例えば、置換基「アリールアルキルオキシカルボニル」は、(アリール)-(アルキル)-O-C(O)-基を指す。
【0087】
1つ以上の置換基を含有する本明細書に開示される基のうちのいずれかに関して、そのような基は、立体的に実施不可能であり、および/または合成的に実現不可能である任意の置換または置換パターンを当然含有しないことが理解される。加えて、主題の化合物は、これらの化合物の置換から生じるすべての立体化学異性体を含む。
【0088】
「立体異性体(stereoisomer)」および「立体異性体(stereoisomers)」は、同じ原子連結性を有するが、空間における異なる原子配置を有する化合物を指す。立体異性体としては、シス-トランス異性体、EおよびZ異性体、鏡像異性体、およびジアステレオマーが挙げられる。
【0089】
「またはその塩もしくは溶媒和物もしくは立体異性体」という用語は、主題の化合物の立体異性体の薬学的に許容される塩の溶媒和物などの、塩、溶媒和物、および立体異性体のすべての置換物(permutation)を含むことを意図していることが理解されるであろう。「またはその塩」という用語は、塩のすべての置換物を含むことが意図されることが理解される。「またはその薬学的に許容される塩」という用語は、塩のすべての置換物を含むことが意図されることが理解される。「またはその溶媒和物」という用語は、溶媒和物のすべての置換物を含むことが意図されることが理解される。「またはその立体異性体」という用語は、立体異性体のすべての置換物を含むことが意図されることが理解される。「またはその互変異性体」という用語は、互変異性体のすべての置換物を含むことが意図されることが理解される。したがって、例えば、主題の化合物の立体異性体の互変異性体の薬学的に許容される塩の溶媒和物を含むことが意図されることになる。
【0090】
本明細書で使用される場合、「単離された」という用語は、化合物が天然に存在する環境とは異なる環境にある目的の化合物を記載することを意味する。「単離された」は、目的の化合物が実質的に濃縮されている、および/または目的の化合物が部分的にもしくは実質的に精製されている、試料内にある化合物を含むことを意味する。
【0091】
本発明をさらに記載する前に、そのようなものは当然ながら変動し得るので、本発明は記載の特定の実施形態に限定されないことが理解されるべきである。本発明の範囲が添付の特許請求の範囲によってのみ制限されるので、本明細書で使用される用語は、単に特定の実施形態を記載する目的のためであり、制限することを意図しないことも理解されるべきである。
【0092】
値の範囲が提供される場合、別段文脈が明確に指示しない限り、上限と下限との間の各介在値、およびその記載された範囲の任意の他の値または介在値の下限の単位の10分の1までが、本発明内に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、独立して、より小さい範囲に含まれ得、また、発明内に包含され、記載された範囲の任意の具体的に除外される制限の対象となる。記載された範囲が、制限の一方または両方を含む場合、それらの含まれる制限の一方または両方を除外する範囲もまた、発明に含まれる。
【0093】
明確にするために、別個の実施形態の文脈に記載される発明のある特定の特色はまた、単一の実施形態で組み合わせて提供され得ることが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈に記載される発明の様々な特色はまた、別個にまたは任意の好適な部分的組み合わせで提供され得る。発明に関連する実施形態のすべての組み合わせは、本発明によって具体的に包含され、各々およびすべての組み合わせが個々にかつ明示的に開示されたかのように、そのような組み合わせが、例えば、安定な化合物である化合物(すなわち、生物学的活性について作製、単離、特徴評価、および試験され得る化合物)である主題を包含する程度まで、本明細書に開示される。加えて、様々な実施形態およびそれらの要素(例えば、そのような変数を記載する実施形態に列挙される化学基の要素)のすべての部分的組み合わせもまた、本発明によって具体的に包含され、各々およびすべてのそのような部分的組み合わせが本明細書で個々にかつ明示的に開示されたかのように、本明細書に開示される。
【0094】
別段定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似のまたは同等な任意の方法および材料もまた、本発明の実施または試験に使用することができるが、目的の方法および材料は、以下記載される。本明細書で言及されるすべての刊行物は、引用された刊行物に関連する方法および/または材料を開示および記載するために、参照により本明細書に組み込まれる。
【0095】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、別段文脈が明らかに他のことを指示しない限り、複数の指示対象を含むことが留意されるべきである。特許請求の範囲は、あらゆる任意選択的な要素を排除するように記載され得ることにさらに留意されたい。したがって、この記述は、特許請求の範囲の要素の記載に関連する「単に」、「のみ」などの排他的な用語の使用、または「否定的」な限定の使用の先行詞として機能することが意図される。
【0096】
明確にするために、別個の実施形態の文脈に記載される発明のある特定の特色はまた、単一の実施形態で組み合わせて提供され得ることが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈に記載される発明の様々な特色はまた、別個にまたは任意の好適な部分的組み合わせで提供され得る。
【0097】
本明細書で論じられる刊行物は、本出願の出願日前のそれらの開示についてのみ提供される。本明細書におけるいかなるものも、本発明が先行発明によってそのような公開に先行する権利がないことを認めるものと解釈されるべきではない。さらに、提供される刊行物の日付は、刊行物の実際の日付とは異なり得、個々に確認される必要があり得る。
【0098】
別段留意する場合を除いて、本実施形態の方法および技法は、一般に、当該技術分野で周知の従来の方法に従って実施され、かつ、本明細書全体を通じて引用されおよび論じられる様々な一般的かつより具体的な参照文献に記載されるように実施される。例えば、Loudon,Organic Chemistry,Fourth Edition,New York: Oxford University Press,2002,pp.360-361,1084-1085;Smith and March,March’s Advanced Organic Chemistry: Reactions,Mechanisms,and Structure,Fifth Edition,Wiley-Interscience,2001を参照されたい。
【0099】
主題の化合物を命名するために本明細書で使用される命名法は、本明細書の実施例に例示される。可能な場合、この命名法は、一般に、市販のAutoNomソフトウェア(MDL、San Leandro,Calif.)を使用して導出されている。
【0100】
開示される化合物を合成するのに有用な一般的に既知の化学合成スキームおよび条件を提供する多くの一般的な参照が利用可能である(例えば、Smith and March,March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure,Fifth Edition,Wiley-Interscience,2001、またはVogel,A Textbook of Practical Organic Chemistry,Including Qualitative Organic Analysis,Fourth Edition,New York:Longman,1978を参照されたい)。
【0101】
本明細書に記載の化合物は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、分取薄層クロマトグラフィー、フラッシュカラムクロマトグラフィー、およびイオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー手段を含む、当該技術分野で既知の手段のうちのいずれかによって精製することができる。順相および逆相、ならびにイオン性樹脂を含む、任意の好適な固定相を使用することができる。例えば、Introduction to Modern Liquid Chromatography,2nd Edition,ed.L.R.Snyder and J.J.Kirkland,John Wiley and Sons,1979、およびThin Layer Chromatography,ed E.Stahl,Springer-Verlag,New York,1969を参照されたい。
【0102】
本開示の化合物を調製するためのプロセスのうちのいずれかの間、関連する分子のうちのいずれかの感受性基または反応性基を保護することが必要であり、かつ/または望ましい場合がある。これは、T.W.Greene and P.G.M.Wuts,“Protective Groups in Organic Synthesis”,Fourth edition,Wiley,New York 2006などの典拠となる著書に記載の従来の保護基の手段によって達成することができる。保護基は、当該技術分野で既知の方法を使用して、都合のよいその後の段階で除去され得る。
【0103】
本明細書に記載の化合物は、1つ以上のキラル中心および/または二重結合を含有し得、したがって、二重結合異性体(すなわち、幾何異性体)、鏡像異性体、またはジアステレオマーなどの立体異性体として存在し得る。したがって、立体異性体的に純粋な形態(例えば、幾何学的に純粋、鏡像異性体的に純粋、またはジアステレオマー的に純粋)、ならびに鏡像異性体の混合物および立体異性体の混合物を含む、化合物のすべての可能な鏡像異性体および立体異性体は、本明細書の化合物の記載に含まれる。エナンチオマーの混合物および立体異性体の混合物は、当業者に周知の分離技法またはキラル合成技法を使用して、それらの構成要素のエナンチオマーまたは立体異性体に分解することができる。化合物はまた、エノール形態、ケト形態、およびそれらの混合物を含む、いくつかの互変異性体形態で存在し得る。したがって、本明細書に示される化学構造は、例示される化合物のすべての可能な互変異性形態を包含する。記載の化合物はまた、1つ以上の原子が、自然界で従来見出される原子質量とは異なる原子質量を有する、同位体標識された化合物を含む。本明細書に開示の化合物に組み込むことができる同位体の例としては、限定されないがH、H、11C、13C、14C、15N、18O、17Oなどが挙げられる。化合物は、非溶媒和形態、ならびに水和形態を含む溶媒和形態で存在し得る。一般に、化合物は、水和または溶媒和され得る。ある特定の化合物は、複数の結晶性または非晶質形態で存在し得る。一般に、すべての物理的形態は、本明細書で企図される使用について同等であり、本開示の範囲内であることが意図される。
【0104】
上に要約したように、本開示は、脂肪酸金属塩の非晶質固体組成物を調製するための方法を提供する。ある特定の実施形態による主題の方法の実施において、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン有機塩を金属塩基と接触させて、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩を生成し、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩を溶媒中で沈殿させて、脂肪酸金属塩の非晶質固体組成物を生成する。「スクシニル化」という用語は、本明細書では、スクシニル基(-CO-CH-CH-COH)を3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン(例えば、3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパンのC-2位)への付加を指す、その従来の意味で使用される。実施形態では、スクシニル基は、例えば、塩基(例えば、トリエチルアミンなどの有機塩基)の存在下での無水コハク酸との反応などの、任意の都合のよいスクシニル化プロトコルによって、3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパンに付加され得る。「脂肪酸アミド」とは、アミド基に結合している脂肪族基を含む構造部分を意味する(Rが、C16などのC10-C20の脂肪族鎖であり、R’が、2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)プロパンのC3炭素である、-R-CO-N-R’-)。(以下により詳細に記載される)実施形態では、脂肪酸は、C16アルキル鎖などの脂肪族鎖C10-C20であり得る。脂肪酸構成要素は、飽和であってもよいか、または1つ以上の不飽和を含んでもよい。いくつかの場合では、脂肪酸構成要素は、完全に飽和している。他の場合では、脂肪酸構成要素は、モノ不飽和である。さらに他の場合では、脂肪酸構成要素は、2、3、4つ、またはそれ以上の飽和を有するなどの多価不飽和である。いくつかの実施形態では、脂肪酸は、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ミリストレイン酸、およびバチル脂肪酸から選択される。
【0105】
本開示の実施形態は、脂肪酸金属塩の非晶質固体組成物について記載する。「非晶質」という用語は、本明細書では、3次元における規則的な幾何学的配置を欠く未定義の構造的秩序および顕微鏡的構成を特徴とする固体材料を指す、その従来の意味で使用される。いくつかの実施形態では、脂肪酸金属塩の非晶質固体組成物は、結晶性(すなわち、固体を形成する分子が、3次元に延在する高度に秩序立った顕微鏡的幾何学的構成で配置されている(例えば、秩序立った格子型構造を形成する)固体材料)ではない。
【0106】
実施形態では、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパンの有機塩としては、限定されないが、他の有機カチオン塩の中でも、トリエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩、アンモニウム塩、アルギニン塩、ベンザチン塩、エチレンジアミン塩、メグルミン塩、プロカイン塩、N-メチルグルカミン塩、ピペラジン塩、トロメタミン塩、N,N’-ジベンジルエチレン-ジアミン塩、クロロプロカイン塩、ジエタノールアミン塩、エタノールアミン塩、ジイソプロピルアミン塩、ジイソプロピルエチルアミン塩を挙げることができる。ある特定の実施形態では、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン有機塩は、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパントリエチルアミン塩である。
【0107】
スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン有機塩を、溶媒中で金属塩基と接触させる。所望のスクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩に応じて、金属塩基としては、限定されないが、tert-ブトキシドリチウム、水酸化リチウム、エトキシドリチウム、イソプロポキシドリチウム、メトキシドリチウム、tert-ブトキシドカリウム、水酸化カリウム、エトキシドカリウム、イソプロポキシドカリウム、メトキシドカリウム、tert-ブトキシドナトリウム、水酸化ナトリウム、エトキシドナトリウム、イソプロポキシドナトリウム、メトキシドナトリウム、tert-ブトキシドマグネシウム、水酸化マグネシウム、エトキシドマグネシウム、イソプロポキシドマグネシウム、メトキシドマグネシウム、tert-ブトキシドカルシウム、水酸化カルシウム、エトキシドカルシウム、イソプロポキシドカルシウム、メトキシドカルシウムを挙げることができる。実施形態では、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン有機塩を、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパンリチウム塩、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパンナトリウム塩、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパンカリウム塩、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパンマグネシウム塩、またはスクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパンカルシウム塩などのスクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩を生成するのに十分な量で接触させる。
【0108】
スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン有機塩と接触させる金属塩基の量は、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン有機塩に対して、0.75当量~1.85当量など、1当量~1.8当量など、1.05当量~1.75当量など、1.10当量~1.70当量など、1.15当量~1.65当量など、1.2当量~1.6当量など、1.25当量~1.55当量など、および1.3当量~1.5当量を含み、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン有機塩を1.5当量の金属塩と接触させることを含む、0.5当量~2当量の金属塩基の範囲で変動し得る。
【0109】
実施形態では、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン有機塩を、溶媒中で金属塩基と接触させる。スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン有機塩を金属塩基と接触させるための溶媒は、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン有機塩および金属塩基が、十分に可溶性であり、極性であっても非極性であってもよい任意の好適な溶媒であり得る。いくつかの実施形態では、溶媒は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、またはベンゼンなどの非極性である。他の実施形態では、溶媒は、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、イソプロピルアセテート、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、トルエン、2-メチルブタン-2-オール(tAmOH)、およびN-メチル-2-ピロリドンなどの極性溶媒である。ある特定の実施形態では、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン有機塩を、ジクロロメタン中で金属塩基と接触させる。いくつかの実施形態では、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン有機塩を、金属塩基を含有する溶媒と接触させることによって、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン有機塩を金属塩基と接触させる。これらの実施形態では、金属塩基を含有する溶媒は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、またはベンゼンなどの非極性溶媒であり得る。ある特定の実施形態では、溶媒は、ヘキサンである。
【0110】
スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン有機塩を、-9℃~9℃など、-8℃~8℃など、-7℃~7℃など、-6℃~6℃など、および-5℃~5℃を含む、-10℃~10℃の範囲の温度で金属塩基と接触させてもよい。
【0111】
いくつかの実施形態では、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン有機塩を、金属塩基と第1の温度で接触させてもよく、反応混合物を第2の温度まで温める。一例では、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン有機塩を、溶媒中で金属塩基と第1の温度で接触させ、次いで第2の温度まで温める。別の例では、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン有機塩を、溶媒中で金属塩基と第1の温度で第1の期間の間接触させ、次いで第2の温度まで第2の期間の間温める。これらの実施形態では、第1の温度は、-9℃~-1℃など、-8℃~-2℃など、-7℃~-3℃など、および-6℃~-4℃を含む、-10℃~0℃の範囲で変動し得る。第2の温度はまた、1℃~19℃など、2℃~18℃など、3℃~17℃など、4℃~16℃など、5℃~15℃など、および5℃~10℃を含む、0℃~20℃などの範囲であり得る。第1の期間の持続時間は、金属塩の濃度および温度に応じて変動化し得、0.5分~25分など、1分~20分など、5分~15分など、および5分~10分を含む、0.1分~30分の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、金属塩基を、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン有機塩と接触させ、第1の期間の全持続時間の間、接触状態(例えば、反応混合物の撹拌)を維持する。他の実施形態では、金属塩基は、溶媒中でスクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン有機塩に、第1の期間のすべてまたは一部にわたって滴加される(または滴定される)。第2の期間の持続時間は、0.5分~25分など、1分~20分など、5分~15分など、および5分~10分を含む、0.1分~30分の範囲で変動し得る。
【0112】
いくつかの実施形態では、方法は、反応混合物からスクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩を沈殿させて、非晶質固体を形成することを含む。非晶質固体スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩を沈殿させるために、反応混合物を、同じかまたは別の非極性溶媒と接触させて、非晶質固体スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物を生成する。非極性溶媒としては、限定されないが、他の非極性溶媒の中でも、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼンを挙げることができる。ある特定の実施形態では、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩反応混合物を、ヘプタンと接触させる。
【0113】
いくつかの実施形態では、方法は、まず、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩反応混合物を冷却し、その後、反応混合物を非極性溶媒(例えば、ヘプタン)と接触させることを含む。例えば、反応混合物を、-9℃~9℃など、-8℃~8℃など、-7℃~7℃など、-6℃~6℃など、および-5℃~5℃を含む、-10℃~10℃の範囲の温度まで冷却してもよい。
【0114】
非晶質固体スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩を沈殿させる際に、ある特定の実施形態による方法は、加熱または回転蒸発などによって、非極性溶媒(例えば、ヘプタン)中でスクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩を濃縮することを含む。スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン反応混合物中の溶媒の体積は、10%以上など、15%以上など、20%以上など、25%以上など、30%以上など、35%以上など、40%以上など、45%以上など、50%以上など、55%以上など、60%以上など、65%以上など、70%以上など、および75%以上を含む、5%以上低減され得る。これは、一定量の非極性溶媒を、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物に、2回以上など、3回以上など、および5回以上の繰り返しを含む、1回以上繰り返し添加し、次いでさらに濃縮してもよい。
【0115】
非極性溶媒から非晶質スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩を沈殿させるために、非極性溶媒(例えば、ヘプタン)中の組成物をまず加熱して、加熱されたスクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物を生成し、次いで冷却して、非晶質固体スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩を形成することができる。スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩は、非極性溶媒中で、25℃~60℃など、40℃~55℃など、および45℃~55℃を含む、20℃~60℃の範囲の温度まで加熱され得る。加熱された組成物は、1分間以上など、2分間以上など、5分間以上など、10分間以上など、15分間以上など、30分間以上など、および60分間以上を含む、変動する持続時間の間、高温で維持され得る。ある特定の実施形態では、方法は、目視検査によって透明な溶液を観察することなどによって、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩が溶媒に可溶化されるまで組成物を加熱することを含む。
【0116】
加熱された組成物を冷却して、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩を沈殿させる。加熱された組成物は、-19℃~19℃など、-18℃~18℃など、-17℃~17℃など、-16℃~16℃など、-15℃~15℃など、-14℃~14℃など、-13℃~13℃など、-12℃~12℃など、-11℃~11℃など、-10℃~10℃、および-5℃~5℃を含む、-20℃~20℃の温度まで冷却される。ある特定の実施形態では、加熱されたスクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物は、0℃まで冷却される。冷却された組成物は、1分間以上など、2分間以上など、5分間以上など、10分間以上など、15分間以上など、30分間以上など、および60分間以上を含む、変動する持続時間の間、低減された温度(例えば、0℃)で維持され得る。ある特定の実施形態では、冷却されたスクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物は、低減された温度(例えば、0℃)で60分間維持される。
【0117】
非晶質固体スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物は、濾過(例えば、真空濾過)によって単離され得るか、または溶媒は、加熱または回転蒸発によって除去され得る。ある特定の実施形態では、非晶質固体スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物は、室温の窒素雰囲気下または真空下で乾燥させることによって単離される。いくつかの実施形態では、非晶質固体スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩は、-19℃~19℃など、-18℃~18℃など、-17℃~17℃など、-16℃~16℃など、-15℃~15℃など、-14℃~14℃など、-13℃~13℃など、-12℃~12℃など、-11℃~11℃など、-10℃~10℃、および-5℃~5℃を含む、-20℃~20℃の温度で単離される。ある特定の実施形態では、非晶質固体スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩は、0℃で単離される。
【0118】
いくつかの実施形態では、方法は、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩反応混合物への非極性溶媒の逆添加によって、非晶質固体スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩を沈殿させることを含む。この実施形態では、一定量のスクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩反応混合物を、非極性溶媒と接触させる。非極性溶媒としては、限定されないが、他の非極性溶媒の中でも、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼンを挙げることができる。ある特定の場合では、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩反応混合物を、ヘプタンと接触させる。
【0119】
非極性溶媒と接触させた反応混合物は、加熱または回転蒸発などによって濃縮される。反応混合物の体積は、10%以上など、15%以上など、20%以上など、25%以上など、30%以上など、35%以上など、40%以上など、45%以上など、50%以上など、55%以上など、60%以上など、65%以上など、70%以上など、および75%以上を含む、5%以上低減され得る。これは、一定量の非極性溶媒を、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物に、2回以上など、3回以上など、および5回以上の繰り返しを含む、1回以上繰り返し添加し、次いでさらに濃縮してもよい。
【0120】
非極性溶媒から非晶質スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩を沈殿させるために、組成物を加熱して、加熱されたスクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物を生成する。組成物は、非極性溶媒中で、25℃~60℃など、40℃~55℃など、および45℃~55℃を含む、20℃~60℃の範囲の温度まで加熱され得る。加熱された組成物は、1分間以上など、2分間以上など、5分間以上など、10分間以上など、15分間以上など、30分間以上など、および60分間以上を含む、変動する持続時間の間、高温で維持され得る。ある特定の実施形態では、方法は、目視検査によって透明な溶液を観察することなどによって、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩が溶媒に可溶化されるまで組成物を加熱することを含む。
【0121】
加熱されたスクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物を冷却するために、加熱された組成物を冷たい非極性溶媒(例えば、ヘプタン)と接触させる。これらの実施形態では、加熱されたスクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物は、-19℃~19℃など、-18℃~18℃など、-17℃~17℃など、-16℃~16℃など、-15℃~15℃など、-14℃~14℃など、-13℃~13℃など、-12℃~12℃など、-11℃~11℃など、-10℃~10℃など、および-5℃~5℃を含む、-20℃~20℃の温度である非極性溶媒(例えば、ヘプタン)に添加され得る。ある特定の実施形態では、加熱されたスクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物を、-10℃の温度である非極性溶媒と接触させる。冷却された組成物は、0.1時間以上など、0.5時間以上など、1時間以上など、1.5時間以上など、2時間以上など、2.5時間以上など、および3時間以上を含む、変動する持続時間の間、低減された温度(例えば、0℃)で維持され得る。ある特定の実施形態では、冷却されたスクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物は、低減された温度(例えば、0℃)で3時間の間維持される。
【0122】
ある特定の実施形態では、方法は、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物で1回以上の加熱/冷却サイクルを行うことを含む。これらの実施形態では、各加熱/冷却サイクルは、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物を第1の温度まで加熱し、第1の温度で第1の期間にわたって組成物を維持し、続いて、加熱された組成物を第2の温度まで冷却し、冷却された組成物を第2の温度で第2の期間にわたって維持することを含む。これらの実施形態では、第1の温度は、15℃~25℃など、および20℃の温度までを含む、10℃~30℃の範囲であり、第1の期間は、35分~55分など、および40分~50分を含む、30分~60分の範囲である。第2の温度は、-5℃~5℃など、および0℃を含む、-10℃~10℃の範囲であり、第2の期間は、50分~85分など、55分~80分など、および60分~75分を含む、45分~90分の範囲である。加熱/冷却サイクルは、2回以上など、および3回以上を含む、1回以上繰り返され得る。
【0123】
非極性溶媒中で沈殿したスクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物は、単離する前の一定期間、低減された温度で維持され得る。いくつかの場合では、沈殿したスクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物は、-5℃~5℃など、および0℃を含む、-10℃~10℃の範囲の温度で非極性溶媒中に維持される。沈殿したスクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物は、1時間以上など、2時間以上など、4時間以上など、8時間以上など、12時間以上など、および16時間以上を含む、変動する期間の間、低減された温度で維持され得る。
【0124】
非晶質固体スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物は、濾過(例えば、真空濾過)によって単離され得るか、または溶媒は、加熱または回転蒸発によって除去され得る。ある特定の実施形態では、非晶質固体スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物は、室温の窒素雰囲気下または真空下で乾燥させることによって単離される。いくつかの実施形態では、非晶質固体スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩は、-19℃~19℃など、-18℃~18℃など、-17℃~17℃など、-16℃~16℃など、-15℃~15℃など、-14℃~14℃など、-13℃~13℃など、-12℃~12℃など、-11℃~11℃など、-10℃~10℃、および-5℃~5℃を含む、-20℃~20℃の温度で単離される。ある特定の実施形態では、非晶質固体スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩は、0℃で単離される。単離された非晶質固体スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩を、乾燥させて、周辺温度の真空下などで、任意の残留溶媒を除去してもよい。
【0125】
ある特定の実施形態では、方法は、3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパンを、有機塩基の存在下で無水コハク酸と接触させることによって、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン有機塩を調製することをさらに含む。3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパンと接触させる無水コハク酸の量は、3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパンに対して、0.75当量~1.95当量など、1当量~1.9当量など、1.1当量~1.85当量など、1.15当量~1.80当量など、1.25当量~1.75当量など、および3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパンを1.2当量の無水コハク酸と接触させることを含む、0.5当量~2当量の無水コハク酸の範囲で変動し得る。
【0126】
所望の有機塩の種類に応じて、使用される有機塩基としては、限定されないが、他の有機塩基の中でも、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、アンモニア、アルギニン、ベンザチン、エチレンジアミン、メグルミン、プロカイン、N-メチルグルカミン、ピペラジン、トロメタミン、N,N’-ジベンジルエチレン-ジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミンを挙げることができる。これらの実施形態では、3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパンを、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、イソプロピルアセテート、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、トルエン、2-メチルブタン-2-オール(tAmOH)、およびN-メチル-2-ピロリドンなどの極性溶媒中で無水コハク酸と接触させる。使用される有機塩基の量は、3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパンに対して、2.6当量~3.4当量など、2.7当量~3.3当量など、2.8当量~3.2当量など、2.9当量~3.1当量など、および3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパンを3.0当量の有機塩基(例えば、トリメチルアミン)と接触させることを含む、2.5当量~3.5当量の有機塩基の範囲で変動し得る。
【0127】
3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパンを、有機塩基の存在下で、12℃~28℃など、14℃~26℃など、16℃~24℃、および18℃~22℃を含む、10℃~30℃の範囲の温度で無水コハク酸と接触させてもよい。
【0128】
本明細書に記載の非晶質スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩を調製するための主題の方法の各ステップで使用される構成要素は、所望に応じて、精製された組成物または粗製組成物であり得る。「精製された」という用語は、例えば、反応混合物の濾過または水性ワークアップなどの少なくともいくつかの単離または精製プロセスが行われた組成物を指す、その従来の意味で使用される。ある特定の場合では、精製としては、液体クロマトグラフィー、再結晶化、蒸留(例えば、共沸蒸留)、または他の種類の化合物精製が挙げられる。いくつかの実施形態では、反応混合物は、本明細書に記載される方法における後続ステップで粗製混合物として使用される。「粗製」という用語は、本明細書では、反応混合物の精製または他のワークアップが行われていない組成物を指す、その従来の意味で使用される。ある特定の場合では、粗製組成物反応混合物は、粗製組成物が、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、プロトン核磁気共鳴分光法(H NMR)、またはそれらの組み合わせによって決定して、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上など、96%以上、97%以上など、98%以上、および99%以上を含む純度で目的の化合物を含むなどの、十分な純度で目的の化合物を含む。例えば、上記のある特定の実施形態では、方法は、3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパンを、有機塩基の存在下で無水コハク酸と接触させることによって、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン有機塩を調製することを含む。これらの実施形態では、方法は、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン有機塩の粗製組成物を、金属塩基と直接(すなわち、いかなる精製またはワークアップもせずに)接触させて、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩を生成することを含み得る。
【0129】
実施形態では、本明細書に記載の3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン化合物(すなわち、有機塩、金属塩など)の脂肪酸は、変動し得、ある特定の場合では、脂肪酸が、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ミリストレイン酸、およびバチル脂肪酸から選択される。
【0130】
本明細書に記載の3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン化合物の保護ヒドロキシ基もまた、ある特定の場合では変動し得、ヒドロキシル保護基としては、限定されないが、1)アルキルエーテル、アリルエーテル、トリフェニルメチルエーテル、ジメトキシ-トリフェニルメチルエーテル、ベンジルエーテル、またはp-メトキシベンジルエーテル保護基などのアルキルエーテル型保護基、2)アセテート、クロロアセテート、ジクロロアセテート、トリクロロアセテート、トリフルオロアセテート、ピバロエート、ベンゾエート、p-メトキシベンゾエート、p-ブロモベンゾエート、炭酸メチル、9-(フルオレニルメチル)カーボネート(Fmoc)、炭酸アリル(Alloc)、2,2,2-トリクロロエチルカーボネート(Troc)、2-(トリメチルシリル)エチルカーボネート(Teoc)、炭酸ベンジル(Cbz)、t-ブチルカーボネート(Boc)、またはジメチルチオカルブメート(thiocarbmate)(DMTC)保護基などのエステルおよびカーボネート型保護基、3)メトキシメチルエーテル(MOM)、ベンジルオキシメチルエーテル(BOM)、2,2,2-トリクロロエトキシメチルエーテル、2-メトキシメチルエーテル(MEM)、メチルチオメチルエーテル(MTM)、p-メトキシベンジルオキシメチルエーテル(PMBM)、2-(トリメチルシリル)エトキシメチルエーテル(SEM)、テトラヒドロピラニルエーテル(THP)保護基などのアセタール型保護基、および2)トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、イソプロピルジメチルシリル(IPDMS)、ジエチルイソプロピルシリル(DEIPS)、t-ブチルジメチルシリル(TBS)、t-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、テトライソプロピルジシロキサニリデン(tetraisopropyldisiloxanylidene)(TIPDS)、またはジ-t-ブチルシリレン(DTBS)保護基などのシリルエーテル型保護基が挙げられる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン化合物の保護ヒドロキシ基は、ジメトキシ-トリフェニルメチル保護基である。
【0131】
ある特定の実施形態では、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩は、式Iの化合物である。
【化4】
【0132】
いくつかの実施形態では、本開示はまた、Cu Kα放射線を用いるX線粉末回折パターン(XRPD、図1)において約19.5°2θにピークを有する、式Iの非晶質固体スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパンリチウム塩を提供する。他の実施形態では、本開示は、熱重量分析(TGA、図3)が、単一の重量損失ステップを呈する、式Iの非晶質固体スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパンリチウム塩を提供する。これらの実施形態では、単一の重量損失ステップは、約225℃で開始し得る。式Iの主題の非晶質固体スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパンリチウム塩はまた、30℃~300℃の加熱時に試料の総質量の1%未満の質量損失を示すTGAサーモグラムを特徴とし得る。他の実施形態では、本開示は、示差走査熱量測定(DSC、図4)曲線が、約44.9℃に吸収ピークを呈する、式Iの非晶質固体スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパンリチウム塩を提供する。
【0133】
開示の態様
本明細書に記載の主題の、実施形態を含む態様は、単独で、または1つ以上の他の態様または実施形態と組み合わせて有益であり得る。記載を限定することなく、1~32と付番された開示のある特定の非限定的な態様が以下に提供される。本開示の閲読時に当業者には明らかであろうように、個々に付番された態様の各々は、先行または後続の個々に付番された態様のうちのいずれかとともに使用されるか、または組み合わせられ得る。これは、態様のすべてのそのような組み合わせの裏付けの支持を意図しており、以下に明示的に提供される態様の組み合わせに限定されるものではない。
【0134】
1.脂肪酸金属塩を含む非晶質固体組成物を調製する方法であって、方法が、
スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン有機塩を金属塩基と接触させて、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩を生成することと、
スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩を沈殿させて、非晶質固体スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物を生成することと、を含む、方法。
2.非晶質固体組成物が、粗製組成物である、態様1に記載の方法。
3.粗製組成物が、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、プロトン核磁気共鳴分光法(H NMR)、またはそれらの組み合わせによって決定して、90%以上の純度を有する脂肪酸金属塩を含む、態様2に記載の方法。
4.粗製反応生成物が、方法のすべてのステップを通じて担持される、態様1~3のいずれか一項に記載の方法。
5.方法であって、方法が、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、プロトン核磁気共鳴分光法(H NMR)、またはそれらの組み合わせによって決定して、90%以上の単離収率で脂肪酸金属塩を得るのに十分である、方法。
6.3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパンを、有機塩基の存在下で、極性溶媒中で無水コハク酸と接触させるステップをさらに含む、態様1~5のいずれか一項に記載の方法。
7.極性溶媒が、ジクロロメタンを含む、態様6に記載の方法。
8.スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩を沈殿させることが、
スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩を非極性溶媒中で加熱して、加熱されたスクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物を生成することと、
加熱されたスクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物を冷却して、スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩の非晶質固体を形成することと、を含む、態様1~7のいずれか一項に記載の方法。
9.加熱されたスクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物を冷却することが、加熱されたスクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物を冷たい非極性溶媒に逆添加することを含む、態様8に記載の方法。
10.方法が、非極性溶媒中でスクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩を45~55℃の温度まで加熱することを含む、態様8または9に記載の方法。
11.方法が、加熱されたスクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩組成物を-10~0℃の温度まで冷却することを含む、態様8~10のいずれか一項に記載の方法。
12.非極性溶媒が、ヘプタンを含む、態様8~11のいずれか一項に記載の方法。
13.スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩の非晶質固体が、単離される、態様8~12のいずれか一項に記載の方法。
14.スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩の非晶質固体が、真空濾過によって単離される、態様1~13のいずれか一項に記載の方法。
15.脂肪酸が、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ミリストレイン酸、およびバチル脂肪酸からなる群から選択される、態様1~14のいずれか一項に記載の方法。
16.脂肪酸が、パルミチン酸である、態様15に記載の方法。
17.保護ヒドロキシ基が、ジメトキシ-トリフェニルメチル保護基を含む、態様1~16のいずれか一項に記載の方法。
18.3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパンが、式IIの化合物であり、
【化5】
式中、DMTが、ジメトキシ-トリフェニルメチルである、態様1~17のいずれか一項に記載の方法。
19.有機塩が、トリエチルアミン塩である、態様1~18のいずれか一項に記載の方法。
20.金属塩基が、水酸化リチウムおよびtert-ブトキシドリチウムから選択される、態様1~18のいずれか一項に記載の方法。
21.tert-ブトキシドリチウム中の金属塩基、態様20に記載の方法。
22.スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩が、式Iの化合物である、態様1~21のいずれか一項に記載の方法。
【化6】
23.非晶質固体スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパンリチウム塩。
24.脂肪酸が、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ミリストレイン酸、およびバチル脂肪酸からなる群から選択される、態様23に記載の非晶質塩。
25.脂肪酸が、パルミチン酸である、態様24に記載の非晶質塩。
26.保護ヒドロキシ基が、ジメトキシ-トリフェニルメチル保護基を含む、態様23~25のいずれか一項に記載の非晶質塩。
27.スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパン金属塩が、式Iの化合物である、態様23~26のいずれか一項に記載の非晶質塩。
【化7】
28.約19.5°に2θのピークを含むX線粉末回折パターン(XRPD)を有する、態様27に記載の非晶質塩。
29.非晶質塩の熱重量分析(TGA)が、単一の重量損失ステップを特徴とする、態様27または28に記載の非晶質塩。
30.重量損失ステップが、約225℃で開始する、態様29に記載の非晶質塩。
31.非晶質塩が、30℃~300℃の加熱時に、試料の総質量の1%未満の質量損失を示すTGAサーモグラムを有する、態様27~30のいずれか一項に記載の非晶質塩。
32.示差走査熱量測定(DSC)によって約44.9℃に吸収ピークを有する、態様27~31のいずれか一項に記載の非晶質塩。
【実施例
【0135】
以下の実施例は、当業者に本発明の作製および使用方法の完全な開示および記載を提供するために提示されており、発明者がそれらの発明とみなす範囲を限定することを意図するものではなく、また以下の実験が実施されるすべてまたは唯一の実験であることを表すことを意図するものではない。使用される数値(例えば、量、温度など)に関する正確性を確保するために努力がなされているが、いくつかの実験誤差および偏差が考慮される必要がある。別段の指示がない限り、部分は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏度であり、圧力はほぼ大気圧である。「平均」とは、算術平均を意味する。標準的な略語、例えば、bp、塩基対;kb、キロベース;pl、ピコリットル、sまたはsec、秒;min、分;hまたはhr、時間;aa、アミノ酸;kb、キロベース;bp、塩基対;nt、ヌクレオチド;i.m、筋肉内(の);腹腔内(の);s.c.、皮下(の)などが使用され得る。
【0136】
一般合成手順
開示の化合物を合成するのに有用な一般的に既知の化学合成スキームおよび条件を提供する多くの一般的な参照文献が入手可能である(例えば、Smith and March,March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure,Fifth Edition,Wiley-Interscience,2001、またはVogel,A Textbook of Practical Organic Chemistry,Including Qualitative Organic Analysis,Fourth Edition,New York:Longman,1978を参照されたい)。
【0137】
本明細書に記載の化合物は、HPLC、分取薄層クロマトグラフィー、フラッシュカラムクロマトグラフィー、およびイオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを含む、当該技術分野で既知の任意の精製プロトコルによって精製され得る。順相および逆相、ならびにイオン性樹脂を含む、任意の好適な固定相を使用することができる。ある特定の実施形態では、開示の化合物は、シリカゲルおよび/またはアルミナクロマトグラフィーを介して精製される。例えば、Introduction to Modern Liquid Chromatography,2nd Edition,ed.L.R.Snyder and J.J.Kirkland,John Wiley and Sons,1979、およびThin Layer Chromatography,ed E.Stahl,Springer-Verlag,New York,1969を参照されたい。
【0138】
主題の化合物を調製するためのプロセスのいずれかの間、関連する分子のうちのいずれかの感受性基または反応性基を保護することが必要であり、かつ/または望ましい場合がある。これは、J.F.W.McOmie,“Protective Groups in Organic Chemistry”,Plenum Press,London and New York 1973、T.W.Greene,and P.G.M.Wuts,“Protective Groups in Organic Synthesis”,Third edition,Wiley,New York 1999、“The Peptides”;Volume 3(editors: E.Gross and J.Meienhofer),Academic Press,London and New York 1981、“Methoden der organischen Chemie”,Houben-Weyl,4th edition,Vol.15/l,Georg Thieme Verlag,Stuttgart 1974、H.-D.Jakubke and H.Jescheit,“Aminosauren,Peptide,Proteine”,Verlag Chemie,Weinheim,Deerfield Beach,and Basel 1982、および/またはJochen Lehmann,“Chemie der Kohlenhydrate: Monosaccharide and Derivate”,Georg Thieme Verlag,Stuttgart 1974などの典拠となる著書に記載の従来の保護基の手段によって達成することができる。保護基は、当該技術分野で既知の方法を使用して、都合の良いその後の段階で除去され得る。
【0139】
主題の化合物は、市販の出発材料および/または従来の合成方法によって調製された出発材料を使用して、多様な異なる合成経路を介して合成することができる。本明細書に開示の化合物を合成するために使用することができる合成経路の多様な例を、以下のスキームに記載する。
【0140】
実施例1-3-(パルミトイルアミド)-2-ヒドロキシ-1-(ジメトキシトリフェニルメチル保護ヒドロキシ)-プロパンからの非晶質固体スクシニル化3-(パルミトイルアミド)-2-ヒドロキシ-1-(ジメトキシトリフェニルメチルヒドロキシ)-プロパンリチウム塩の調製(スキームII)
【化8】
【0141】
3-(パルミトイルアミド)-2-ヒドロキシ-1-(ジメトキシトリフェニルメチル保護ヒドロキシ)-プロパン(A)を、トリエチルアミンの存在下で、ジクロロメタン中の無水コハク酸と接触させた。溶液を室温で3時間撹拌して、単離せずに、スクシニル化3-(パルミトイルアミド)-2-ヒドロキシ-1-(ジメトキシトリフェニルメチルヒドロキシ)-プロパントリエチルアミン塩中間体(B)を形成した。スクシニル化3-(パルミトイルアミド)-2-ヒドロキシ-1-(ジメトキシトリフェニルメチルヒドロキシ)-プロパントリエチルアミン塩中間体を酢酸エチルで希釈し、0~5℃まで冷却し、続いてLiOH水溶液を添加し、0~5℃で5~10分間撹拌した。水層、およびリチウム塩を含有する有機層を分離し、有機層をLiClで洗浄した。有機層を再び分離し、回転蒸発によって濃縮した。濃縮物を酢酸エチルで希釈し、焼結ガラス漏斗に通して注いだ。透明な濾液を回転蒸発によって濃縮し、発泡固体が形成されるまで真空ポンプによって乾燥させた。ヘプタンを発泡固体に添加し、透明になるまで50℃まで加熱した。透明な溶液を、濁りが生じるまで1時間かけて45℃まで冷却した。1時間かけて20℃までさらに冷却すると、グミ状の固体の形成が生じた。組成物が硬質の固体を形成するまで、組成物をさらに5~10℃まで冷却した。硬質の固体を含有するスラリーを10℃で一晩撹拌した。硬質の固体を濾過によって単離し、室温で窒素ブランケットを用いて、真空下で30分間乾燥させた。固体を、周辺温度の真空下で16時間、さらに乾燥させた。
【0142】
実施例2-非晶質固体スクシニル化3-(脂肪酸アミド)-2-ヒドロキシ-1-(保護ヒドロキシ)-プロパンリチウム塩の調製-通常添加モード
ヘキサン中1NのLiOtBuの非水性処理を介して、スクシニル化3-(パルミトイルアミド)-2-ヒドロキシ-1-(ジメトキシトリフェニルメチル保護ヒドロキシ)-プロパントリエチルアミン塩をリチウム塩に変換した。粗製スクシニル化3-(パルミトイルアミド)-2-ヒドロキシ-1-(ジメトキシトリフェニルメチル保護ヒドロキシ)-プロパン有機塩組成物を0~5℃まで冷却し、続いてヘキサン中1NのLiOtBu(1.15当量)を添加し、0~5℃で5~10分間撹拌した。ヘプタンを組成物に添加し、回転蒸発によって10~15mLまで濃縮した。ヘプタンの添加および回転蒸発による濃縮を2回繰り返した。ヘプタン中のリチウム塩組成物を、透明になるまで50℃まで加熱した。加熱した組成物を撹拌下で10~15分間50℃で維持し、続いてグミ状の半固体の形成まで1時間かけて0℃まで冷却した。スラリーを0℃で3時間熟成させ、続いて0℃の窒素ガス下で濾過した。固体を0℃の窒素下かつ部分真空下で30分間、次いで10℃で30分間、さらに乾燥させた。固体スクシニル化3-(パルミトイルアミド)-2-ヒドロキシ-1-(ジメトキシトリフェニルメチル保護ヒドロキシ)-プロパンリチウム塩を、室温の真空下で16時間乾燥させた。
【0143】
HPLCによって99.0A%以上の純度を有する乾燥させた自由流動性の固体を、91%の単離収率(未補正)で得、これを、H NMR(DMSO-d6)によって、スクシニル化3-(パルミトイルアミド)-2-ヒドロキシ-1-(ジメトキシトリフェニルメチル保護ヒドロキシ)-プロパンリチウム塩と証明した。
【0144】
実施例3-非晶質固体スクシニル化3-(パルミトイルアミド)-2-ヒドロキシ-1-(ジメトキシトリフェニルメチルヒドロキシ)-プロパンリチウム塩の調製-逆添加モード
油性/粘着性の相を経た相転移を回避するために、熱いT375-Li/ヘプタン溶液を冷たいヘプタンに逆添加することを設計し、試験した。実験は、100mLのEasyMax容器内で強力に混合しながら行った。実施例1に記載のスクシニル化3-(パルミトイルアミド)-2-ヒドロキシ-1-(ジメトキシトリフェニルメチルヒドロキシ)-プロパンリチウム塩の熱い(50℃)ヘプタン溶液を、冷たい(-10℃)ヘプタンにゆっくりと(少しずつ)添加した。スクシニル化3-(パルミトイルアミド)-2-ヒドロキシ-1-(ジメトキシトリフェニルメチルヒドロキシ)-プロパンリチウム塩固体が、均一な微細な固体としてすぐに沈殿した。ヘプタン中に形成されたスラリーを、0℃で3時間熟成させた。冷却したスラリーを40分間かけて0℃~20℃に加熱し、20℃で10分間維持し、続いて1時間かけて0℃まで冷却し、0℃で1時間維持する、加熱/冷却サイクルを行った。加熱/冷却サイクルを2回繰り返し、続いてスラリーを0℃で16時間熟成させた。スラリーバッチ温度を0~10℃で維持したが、スクシニル化3-(パルミトイルアミド)-2-ヒドロキシ-1-(ジメトキシトリフェニルメチルヒドロキシ)-プロパンリチウム塩溶液の添加中および添加後に、油性または粘着性の物質は観察されなかった。
【0145】
最終的なスクシニル化3-(パルミトイルアミド)-2-ヒドロキシ-1-(ジメトキシトリフェニルメチルヒドロキシ)-プロパンリチウム塩固体の高速濾過速度は、加熱-冷却サイクルによる粒径の増加を示した。周辺温度の窒素保護下の真空で、脱液を行った。湿潤なケーキを、周辺温度の真空下のフラスコ内で一晩乾燥させた。単離したスクシニル化3-(パルミトイルアミド)-2-ヒドロキシ-1-(ジメトキシトリフェニルメチルヒドロキシ)-プロパンリチウム塩生成物(4.92g)は、91%の収率(未補正)を提供した。母液中の生成物損失は、HPLC分析によって4.6%であった母液による不純物排除はなかったことに留意すべきである。
【0146】
逆添加プロトコルからのスクシニル化3-(パルミトイルアミド)-2-ヒドロキシ-1-(ジメトキシトリフェニルメチルヒドロキシ)-プロパンリチウム塩の単離された乾燥固体を、X線粉末回折(XRPD、図1)、偏光顕微鏡検査(PLM、図2)、熱重量分析(TGA、図3)、示差走査熱量測定(DSC、図4)によって特徴評価した。元素分析によって、リチウム含有量は、理論値0.94重量%に対して実測値1.36重量%であった。
【0147】
実施例4-非晶質固体スクシニル化3-(パルミトイルアミド)-2-ヒドロキシ-1-(ジメトキシトリフェニルメチルヒドロキシ)-プロパンリチウム塩の物理的安定性
非晶質3-(パルミトイルアミド)-2-ヒドロキシ-1-(ジメトキシトリフェニルメチルヒドロキシ)-プロパンリチウム塩の物理的安定性を、異なる相対湿度(RH)下の室温で試験した。300mgの非晶質3-(パルミトイルアミド)-2-ヒドロキシ-1-(ジメトキシトリフェニルメチルヒドロキシ)-プロパンリチウム塩を、11%のRH、33%のRH、および75%のRHで、キャップされていないシンチレーションバイアル内に数日間配置した。(表1)
【表1】
【0148】
表1に示されるように、非晶質3-(パルミトイルアミド)-2-ヒドロキシ-1-(ジメトキシトリフェニルメチルヒドロキシ)-プロパンリチウム塩は、室温、最大33%の相対湿度で長期間の間、固体のままであった。リチウム塩は、室温で粘稠な粘着性のある液体を形成した3-(パルミトイルアミド)-2-ヒドロキシ-1-(ジメトキシトリフェニルメチルヒドロキシ)-プロパン有機塩と比較して、容易に単離および貯蔵される安定な固体である。リチウム塩はまた、ほぼ周辺温度でほとんどの有機溶媒に高度に可溶性である。高い安定性、即貯蔵性、および高い可溶性によって、3-(パルミトイルアミド)-2-ヒドロキシ-1-(ジメトキシトリフェニルメチルヒドロキシ)-プロパンリチウム塩は、3-(パルミトイルアミド)-2-ヒドロキシ-1-(ジメトキシトリフェニルメチルヒドロキシ)-プロパン有機塩と比較して、脂肪酸アミドリンカー(例えば、イメテルスタット)を含む化合物の合成への使用に、より良好な出発材料となる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】