(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(54)【発明の名称】より高いPH環境における遅延放出ソフトゲルカプセル
(51)【国際特許分類】
A61K 47/36 20060101AFI20221221BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20221221BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20221221BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20221221BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20221221BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20221221BHJP
【FI】
A61K47/36
A61K9/48
A61K47/42
A61K47/10
A61K45/00
A23L5/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525003
(86)(22)【出願日】2020-10-27
(85)【翻訳文提出日】2022-06-15
(86)【国際出願番号】 US2020057522
(87)【国際公開番号】W WO2021086848
(87)【国際公開日】2021-05-06
(32)【優先日】2019-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520355792
【氏名又は名称】アール.ピー.シェーラー テクノロジーズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100110663
【氏名又は名称】杉山 共永
(72)【発明者】
【氏名】スクル,カルナカル
(72)【発明者】
【氏名】ファン,チー
(72)【発明者】
【氏名】リ,ハイタオ
【テーマコード(参考)】
4B035
4C076
4C084
【Fターム(参考)】
4B035LC16
4B035LE07
4B035LE12
4B035LG04
4B035LG15
4B035LG20
4B035LG22
4B035LG27
4B035LK14
4B035LP36
4C076AA56
4C076AA95
4C076BB01
4C076DD38
4C076EE30
4C076EE42
4C076FF31
4C084AA17
4C084MA37
4C084MA52
4C084NA13
(57)【要約】
ペクチンおよびジェランガムを含むpH依存シェル組成物に封入される充填材料を含む遅延放出ソフトゲルカプセルが、ある特定の実施形態で開示される。本明細書に記載の遅延放出ソフトゲルカプセルのいずれかを調製する方法およびその使用方法も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)充填材料;および
(b)シェル組成物
を含む遅延放出ソフトゲルカプセルであって、
前記充填材料が少なくとも1種の活性剤を含み、
前記シェル組成物が、ゼラチンと、ペクチンを含むpH依存ポリマーと、ジェランガムとを含み、前記シェル組成物が、50RPMのパドル、リン酸緩衝液でpHを調整した900ml 0.1N HCL酸性媒体を用いるUSP Apparatus IIで測定した場合、4のpHで、15分、30分、45分または60分で破断しない、遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項2】
前記シェル組成物が、50RPMのパドル、リン酸緩衝液でpHを調整した900ml 0.1N HCL酸性媒体を用いるUSP Apparatus IIで測定した場合、5のpHで、15分、30分、45分または60分で破断しない、請求項1に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項3】
前記シェル組成物が、50RPMのパドル、リン酸緩衝液でpHを調整した900ml 0.1N HCL酸性媒体を用いるUSP Apparatus IIで測定した場合、5~6のpHで、15分、30分、45分または60分で破断しない、請求項1または2に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項4】
前記シェル組成物が、50RPMのパドル、リン酸緩衝液でpHを調整した900ml 0.1N HCL酸性媒体を用いるUSP Apparatus IIで測定した場合、6~7のpHで、15分、30分、45分、または60分で破断しない、請求項1から3のいずれか一項に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項5】
前記シェル組成物が、50RPMのパドル、リン酸緩衝液でpHを調整した900ml 0.1N HCL酸性媒体を用いるUSP Apparatus IIで測定した場合、7~8のpHで、15分、30分、45分、または60分で破断しない、請求項1から4のいずれか一項に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項6】
前記シェル組成物が、50RPMのパドル、リン酸緩衝液でpHを調整した900ml 0.1N HCL酸性媒体を用いるUSP Apparatus IIで測定した場合、8~8.4のpHで、15分、30分、45分、または60分で破断しない、請求項1から5のいずれか一項に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項7】
前記シェル組成物が、0.1~5%のジェランガムを含む湿潤塊から得られる、請求項1から6のいずれか一項に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項8】
前記湿潤塊が約2%~約10%のペクチンをさらに含む、請求項7に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項9】
前記シェル組成物が可塑剤をさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項10】
前記シェル組成物がデキストロースをさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項11】
前記ペクチンが低メトキシルペクチンである、請求項1から10のいずれか一項に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項12】
前記シェル組成物が、乾燥シェル組成物の総重量に対して約40wt%~約80wt%のゼラチンを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項13】
前記シェル組成物が、乾燥シェル組成物の総重量に対して約0.1wt%~約10wt%または約0.4wt%~約5wt%のジェランガムを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項14】
前記シェル組成物が、乾燥シェル組成物の総重量に対して約0.1wt%~約10wt%または約2wt%~約20wt%のペクチンを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項15】
前記シェル組成物が、乾燥シェル組成物の総重量に対して約0.01wt%~約2wt%のデキストロースを含む、請求項10に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項16】
前記シェル組成物が、乾燥シェル組成物の総重量に対して約15wt%~約40wt%の可塑剤を含む、請求項9に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項17】
前記ゼラチンがタイプAゼラチン、タイプBゼラチンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項18】
前記ゼラチンが魚ゼラチン、獣皮ゼラチン、骨ゼラチンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項19】
前記低メトキシルペクチンがアミド化ペクチン、非アミド化ペクチン、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項11に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項20】
前記可塑剤がグリセロール、ソルビトールまたはそれらの組合せである、請求項9または16に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項21】
ペクチンのジェランガムに対する重量比が約1:10~約50:1;約1:5~約40:1;約1:1~約25:1、または約10:1~約24:1である、請求項1から20のいずれか一項に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項22】
(a)充填材料;および
(b)シェル組成物
を含む遅延放出ソフトゲルカプセルであって、
前記充填材料が少なくとも1種の活性剤を含み、前記シェル組成物が、ゼラチンと、ペクチンを含むpH依存ポリマーと、ジェランガムとを含み、前記シェル組成物が、50RPMのパドル、リン酸緩衝液、水酸化ナトリウム、または水酸化カリウムでpHを調整した900ml 0.1N HCL酸性媒体を用いるUSP Apparatus IIで測定した場合、8.4未満、8.3未満、8.1未満、8.0未満、7.9未満、7.8未満、7.7未満、7.6未満、7.5未満、7.4未満、7.3未満、7.2未満、7.1未満、7.0未満、6.9未満、6.8未満、6.7未満、6.6未満、6.5未満、6.4未満、6.3未満、6.2未満、6.1未満、6.0未満、5.9未満、5.8未満、5.7未満、5.6未満、5.5未満、5.4未満、5.3未満、5.2未満、5.1未満、5.0未満、4.9未満、4.8未満、4.7未満、4.6未満、4.5未満、4.4未満、4.3未満、4.2未満、4.1未満、4.0未満、3.9未満、3.8未満、3.7未満、3.6未満、3.5未満、3.4未満、3.3未満、3.2未満、3.1未満、3.0未満、2.9未満、2.8未満、2.7未満、2.6未満、2.5未満、2.4未満、2.3未満、2.2未満、2.1未満、2.0未満、1.9未満、1.8未満、1.7未満、1.6未満、1.5未満、1.4未満、1.3未満または1.2未満のpHで、15分、30分、45分、60分、90分、または120分の期間破断しない、遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項23】
活性剤を含む充填材料を調製するステップと;
前記充填材料をシェル組成物で封入するステップであって、前記シェル組成物が、ゼラチンと、ペクチンを含むpH依存ポリマーと、ジェランガムとを含み、前記シェル組成物が、50RPMのパドル、リン酸緩衝液でpHを調整した900ml 0.1N HCL酸性媒体を用いるUSP Apparatus IIで測定した場合、4のpHで、15分、30分、45分または60分で破断しない、ステップと
を含む、請求項1から22のいずれか一項に記載の遅延放出ソフトゲルカプセルを調製するためのプロセス。
【請求項24】
前記シェル組成物が、50RPMのパドル、リン酸緩衝液でpHを調整した900ml 0.1N HCL酸性媒体を用いるUSP Apparatus IIで測定した場合、5のpHで、15分、30分、45分または60分で破断しない、請求項23に記載のプロセス。
【請求項25】
前記シェル組成物が、50RPMのパドル、リン酸緩衝液でpHを調整した900ml 0.1N HCL酸性媒体を用いるUSP Apparatus IIで測定した場合、5~6のpHで、15分、30分、45分または60分で破断しない、請求項23または24に記載のプロセス。
【請求項26】
前記シェル組成物が、50RPMのパドル、リン酸緩衝液でpHを調整した900ml 0.1N HCL酸性媒体を用いるUSP Apparatus IIで測定した場合、6~7のpHで、15分、30分、45分、または60分で破断しない、請求項23から25のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項27】
前記シェル組成物が、50RPMのパドル、リン酸緩衝液でpHを調整した900ml 0.1N HCL酸性媒体を用いるUSP Apparatus IIで測定した場合、7~8のpHで、15分、30分、45分、または60分で破断しない、請求項23から26のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項28】
前記シェル組成物が、50RPMのパドル、リン酸緩衝液でpHを調整した900ml 0.1N HCL酸性媒体を用いるUSP Apparatus IIで測定した場合、8~8.4のpHで、15分、30分、45分、または60分で破断しない、請求項23から27のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項29】
前記シェル組成物を調製するステップをさらに含む、請求項23から28のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項30】
調製するステップが、前記ゼラチン、前記ペクチン、および前記ジェランガムを混合して湿潤ゲル塊を形成することを含む、請求項29に記載のプロセス。
【請求項31】
調製するステップが、前記湿潤ゲル塊からシェル組成物リボンを形成することをさらに含む、請求項30に記載のプロセス。
【請求項32】
前記シェル組成物リボンが、約0.020インチ~約0.050インチの範囲の厚みを有する、請求項31に記載のプロセス。
【請求項33】
前記遅延放出ソフトゲルカプセルを乾燥させるステップをさらに含む、請求項23から32のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項34】
請求項1から22のいずれか一項に記載のシェル組成物に封入された充填材料からなる遅延放出ソフトゲルカプセルのpH依存溶解プロファイルを調節するための方法であって、前記シェル組成物中のゼラチン、ペクチン、およびジェランガムの少なくとも1つの量を調整し、約1.2~約8.4の範囲のpHにおいて標的pH依存溶解プロファイルを実現するステップを含む、方法。
【請求項35】
請求項1から22のいずれか一項に記載の遅延放出ソフトゲルカプセルまたは請求項23から33のいずれか一項に記載のプロセスによって調製される遅延放出ソフトゲルカプセルを、それを必要とする対象に投与するステップを含む、状態を処置する、防止する、または改善する方法。
【請求項36】
請求項1から22のいずれか一項に記載の遅延放出ソフトゲルカプセルまたは請求項23から33のいずれか一項に記載のプロセスによって調製される遅延放出ソフトゲルカプセルを対象に投与するステップを含む、活性剤を胃腸管内の標的位置に送達する方法であって、
前記遅延放出ソフトゲルカプセルの前記シェル組成物が、前記標的位置のpHにおいて、最大約120分で、最大約90分で、最大約60分で、最大約30分で、または最大約15分で溶解/崩壊し、
前記遅延放出ソフトゲルカプセルの前記シェル組成物が、前記標的位置の前記pHより低いpHにおいて、最大約120分で、最大約90分で、最大約60分で、最大約30分で、または最大約15分で溶解/崩壊しないまたは実質的に溶解/崩壊しない、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2019年10月28日に出願された米国仮特許出願第62/926,681号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、ゼラチンベースシェル組成物がペクチンおよびジェランガムを含む、遅延放出ソフトゲルカプセルに関する。
【背景技術】
【0003】
ソフトカプセル、特にソフトゼラチンカプセル(またはソフトゲルカプセル)は、飲み込みやすく、活性剤の任意の不快な味をマスキングするために風味を付ける必要がないので、患者によってより容易に受け入れられる剤形を提供する。薬物のソフトゲル封入は、医薬品のバイオアベイラビリティを改善する可能性をさらに提供する。例えば、ゼラチンシェルが破断するとすぐに活性成分は液体形態で迅速に放出され得る。
【0004】
遅延放出剤形を作るために努力されてきた。遅延放出剤形は、剤形の中身を胃の条件から保護するように設計される。例えば、遅延放出剤形は、pH依存コーティングを錠剤またはカプセルなどの製造された剤形の表面に添加することによって生産され得る。そのようなコーティングは、剤形に噴霧し、続いて通常は高温で剤形を乾燥させることにより塗布され得る。カプセルをpH依存コーティングでコーティングするこの方法は、性能および外観に関する欠点をもたらし得る。例えば、カプセルは粗く見えることがあり、コーティングは不均一に塗布されることがある、および/またはコーティングはひび割れるもしくは剤形から剥がれ落ちやすい可能性がある。加えて、pH依存コーティングを塗布するプロセスは非常に非効率的である。
【0005】
従来のpH依存ポリマー(すなわち酸不溶性ポリマー)がカプセルシェルに添加された他の遅延放出剤形が開発された。しかし、従来のpH依存ポリマーの添加は、不十分な密封ゆえに漏出しやすいカプセルをもたらし得る。
【0006】
典型的な遅延放出製剤は、胃の通常のpHをほんのわずかに上回るpHで活性剤を放出し得る。これは、胃のpHにおける患者の変動性ゆえに問題であり、活性剤の安定性および胃腸管における意図されるより高い地点での活性剤の意図していない放出に関する問題をもたらし得る。
【0007】
したがって、胃のpHを上回るある特定のpHレベルで活性剤を放出しないまたは実質的に放出しない遅延放出ソフトゲルカプセルが現在必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本発明は遅延放出ソフトゲルカプセルを対象とする。遅延放出ソフトゲルカプセルは、(a)充填材料および(2)pH依存シェル組成物を含む。
【0009】
1つの実施形態では、pH依存シェル組成物は、(a)ゼラチン、(b)ジェランガムおよび(c)低メトキシルペクチンなどのペクチンならびに必要に応じて(d)可塑剤および(e)デキストロースを含む。本発明は遅延放出ソフトゲルカプセルを作製するプロセスも対象とする。
【0010】
ある特定の実施形態では、本発明による遅延放出ソフトゲルカプセルは、pH依存コーティングも、添加される従来のpH依存ポリマーも必要としない。したがって、pH依存シェル組成物はpH依存コーティングを添加する必要を排除し、これはまたコーティングプロセス中にカプセルを損傷するリスクを最小にする。
【0011】
ある特定の実施形態では、本開示は、本明細書に記載の遅延放出ソフトゲル組成物のいずれかを、それを必要とする対象に投与することによって状態を処置する方法も対象とする。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、1.2の典型的な胃環境のpHを上回るpHレベルで活性剤を放出しないまたは活性剤を実質的に放出せず、むしろ標的pH(例えば2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、または8以上のpH)を有する胃腸管内の標的位置で活性剤を放出する、遅延放出経口剤形、特に遅延放出ソフトゲルカプセルを開発することによって現況技術を前進させる。本明細書に記載の遅延放出ソフトゲルカプセルの溶解プロファイルは、ソフトゲルカプセルのシェル組成を改変することによって調節され得る。
【0013】
そのような機構は、胃の刺激を引き起こし得るまたは胃の酸性環境に感受性である活性剤の送達に有益である。そのような機構は、おくびの一因となる傾向がある充填材料を封入するカプセルを摂取した後のおくびを減少させるのにも有益である。例えば、おくびは、ビタミン、ミネラル、サプリメント、および/または腸に到達する前に胃でいくらかの漏出(非常に少量であっても)を示す剤形に製剤化された医薬製品を摂取すると発生することが多い。おくびが一般的にソフトゲルで送達される魚油およびニンニクなどの不快な臭いの知覚を有する物質と関連する場合、漏出は特に問題であり得る。本明細書に記載の遅延放出ソフトゲルカプセルは、胃の胃環境において早期漏出(結果として、カプセルの充填物の早期放出)を最小にするおよび/または排除する様式で製剤化され得る。さらに、本明細書に記載の遅延放出ソフトゲルカプセルは、胃腸管の異なる部分に沿ったpH値が、例えば食事の変動により「標準」または「平均」pHから逸脱するそれらの対象を含む、様々な対象においてこれらの利益を達成し得る。
【0014】
ある特定の実施形態では、遅延放出ソフトゲルカプセルは、(a)充填材料および(b)シェル組成物を含み、充填材料は少なくとも1種の活性剤を含み、シェル組成物は、ゼラチンと、ペクチンを含むpH依存ポリマーと、ジェランガムとを含む。
【0015】
ある特定の実施形態では、シェル組成物は、5のpHで、15分、30分、45分、60分、90分または120分で破断しない(例えば、50RPMのパドル、リン酸緩衝液、水酸化ナトリウム、または水酸化カリウムでpHを調整した750~900ml 0.1N HCL酸性媒体を用いるUSP Apparatus IIで測定した場合)。
【0016】
ある特定の実施形態では、シェル組成物は、5のpHで、少なくとも約15分、少なくとも約30分、少なくとも約45分、少なくとも約60分、少なくとも約90分、または少なくとも約120分の期間破断しない(例えば、約50RPM~約250RPMのパドル、リン酸緩衝液、水酸化ナトリウム、または水酸化カリウムでpHを調整した約500ml~約900mlの0.1N HCL酸性媒体を用いるUSP Apparatus IIで測定した場合)。
【0017】
ある特定の実施形態では、シェル組成物は、5のpHで、約15分~約360分、約30分~約240分、または約45分~約180分の期間破断しない(例えば、約50RPM~約250RPMのパドル、リン酸緩衝液、水酸化ナトリウム、または水酸化カリウムでpHを調整した約500ml~約900mlの0.1N HCL酸性媒体を用いるUSP Apparatus IIで測定した場合)。
【0018】
ある特定の実施形態では、シェル組成物は、5~6のpHで、15分、30分、45分、60分、90分または120分で破断しない(例えば、50RPMのパドル、リン酸緩衝液、水酸化ナトリウム、または水酸化カリウムでpHを調整した750~900ml 0.1N HCL酸性媒体を用いるUSP Apparatus IIで測定した場合)。
【0019】
ある特定の実施形態では、シェル組成物は、5~6のpHで、少なくとも約15分、少なくとも約30分、少なくとも約45分、少なくとも約60分、少なくとも約90分、または少なくとも約120分の期間破断しない(例えば、約50~約250RPMのパドル、リン酸緩衝液、水酸化ナトリウム、または水酸化カリウムでpHを調整した約500ml~約900mlの0.1N HCL酸性媒体を用いるUSP Apparatus IIで測定した場合)。
【0020】
ある特定の実施形態では、シェル組成物は、5~6のpHで、約15分~約360分、約30分~約240分、または約45分~約180分の期間破断しない(例えば、約50RPM~約250RPMのパドル、リン酸緩衝液、水酸化ナトリウム、または水酸化カリウムでpHを調整した約500ml~約900mlの0.1N HCL酸性媒体を用いるUSP Apparatus IIで測定した場合)。
【0021】
ある特定の実施形態では、シェル組成物は、6~7のpHで、15分、30分、45分、60分、90分または120分で破断しない(例えば、50RPMのパドル、リン酸緩衝液、水酸化ナトリウム、または水酸化カリウムでpHを調整した750~900ml 0.1N HCL酸性媒体を用いるUSP Apparatus IIで測定した場合)。
【0022】
ある特定の実施形態では、シェル組成物は、6~7のpHで、少なくとも約15分、少なくとも約30分、少なくとも約45分、少なくとも約60分、少なくとも約90分、または少なくとも約120分の期間破断しない(例えば、約50RPM~約250RPMのパドル、リン酸緩衝液、水酸化ナトリウム、または水酸化カリウムでpHを調整した約500ml~約900ml 0.1N HCL酸性媒体を用いるUSP Apparatus IIで測定した場合)。
【0023】
ある特定の実施形態では、シェル組成物は、6~7のpHで、約15分~約360分、約30分~約240分、または約45分~約180分の期間破断しない(例えば、約50RPM~約250RPMのパドル、リン酸緩衝液、水酸化ナトリウム、または水酸化カリウムでpHを調整した約500ml~約900mlの0.1N HCL酸性媒体を用いるUSP Apparatus IIで測定した場合)。
【0024】
ある特定の実施形態では、シェル組成物は、7~8のpHで、15分、30分、45分、60分、90分または120分で破断しない(例えば、50RPMのパドル、リン酸緩衝液、水酸化ナトリウム、または水酸化カリウムでpHを調整した750~900ml 0.1N HCL酸性媒体を用いるUSP Apparatus IIで測定した場合)。
【0025】
ある特定の実施形態では、シェル組成物は、7~8のpHで、少なくとも約15分、少なくとも約30分、少なくとも約45分、少なくとも約60分、少なくとも約90分、または少なくとも約120分の期間破断しない(例えば、約50RPM~約250RPMのパドル、リン酸緩衝液、水酸化ナトリウム、または水酸化カリウムでpHを調整した約500ml~約900ml 0.1N HCL酸性媒体を用いるUSP Apparatus IIで測定した場合)。
【0026】
ある特定の実施形態では、シェル組成物は、7~8のpHで、約15分~約360分、約30分~約240分、または約45分~約180分の期間破断しない(例えば、約50RPM~約250RPMのパドル、リン酸緩衝液、水酸化ナトリウム、または水酸化カリウムでpHを調整した約500ml~約900mlの0.1N HCL酸性媒体を用いるUSP Apparatus IIで測定した場合)。
【0027】
ある特定の実施形態では、シェル組成物は、8~8.4のpHで、15分、30分、45分、60分、90分または120分で破断しない(例えば、50RPMのパドル、リン酸緩衝液、水酸化ナトリウム、または水酸化カリウムでpHを調整した750~900ml 0.1N HCL酸性媒体を用いるUSP Apparatus IIで測定した場合)。
【0028】
ある特定の実施形態では、シェル組成物は、8~8.4のpHで、少なくとも約15分、少なくとも約30分、少なくとも約45分、少なくとも約60分、少なくとも約90分、または少なくとも約120分の期間破断しない(例えば、約50RPM~約250RPMのパドル、リン酸緩衝液、水酸化ナトリウム、または水酸化カリウムでpHを調整した約500ml~約900ml 0.1N HCL酸性媒体を用いるUSP Apparatus IIで測定した場合)。
【0029】
ある特定の実施形態では、シェル組成物は、8~8.4のpHで、約15分~約360分、約30分~約240分、または約45分~約180分の期間破断しない(例えば、約50RPM~約250RPMのパドル、リン酸緩衝液、水酸化ナトリウム、または水酸化カリウムでpHを調整した約500ml~約900mlの0.1N HCL酸性媒体を用いるUSP Apparatus IIで測定した場合)。
【0030】
ある特定の実施形態では、シェル組成物は、8.4未満、8.3未満、8.2未満、8.1未満、8.0未満、7.9未満、7.8未満、7.7未満、7.6未満、7.5未満、7.4未満、7.3未満、7.2未満、7.1未満、7.0未満、6.9未満、6.8未満、6.7未満、6.6未満、6.5未満、6.4未満、6.3未満、6.2未満、6.1未満、6.0未満、5.9未満、5.8未満、5.7未満、5.6未満、5.5未満、5.4未満、5.3未満、5.2未満、5.1未満、5.0未満、4.9未満、4.8未満、4.7未満、4.6未満、4.5未満、4.4未満、4.3未満、4.2未満、4.1未満、4.0未満、3.9未満、3.8未満、3.7未満、3.6未満、3.5未満、3.4未満、3.3未満、3.2未満、3.1未満、3.0未満、2.9未満、2.8未満、2.7未満、2.6未満、2.5未満、2.4未満、2.3未満、2.2未満、2.1未満、2.0未満、1.9未満、1.8未満、1.7未満、1.6未満、1.5未満、1.4未満、1.3未満または1.2未満のpHで、15分、30分、45分、60分、90分または120分の期間破断しない(例えば、50RPMのパドル、リン酸緩衝液、水酸化ナトリウム、または水酸化カリウムでpHを調整した750~900ml 0.1N HCL酸性媒体を用いるUSP Apparatus IIで測定した場合)。
【0031】
ある特定の実施形態では、シェル組成物は、8.4未満、8.3未満、8.2未満、8.1未満、8.0未満、7.9未満、7.8未満、7.7未満、7.6未満、7.5未満、7.4未満、7.3未満、7.2未満、7.1未満、7.0未満、6.9未満、6.8未満、6.7未満、6.6未満、6.5未満、6.4未満、6.3未満、6.2未満、6.1未満、6.0未満、5.9未満、5.8未満、5.7未満、5.6未満、5.5未満、5.4未満、5.3未満、5.2未満、5.1未満、5.0未満、4.9未満、4.8未満、4.7未満、4.6未満、4.5未満、4.4未満、4.3未満、4.2未満、4.1未満、4.0未満、3.9未満、3.8未満、3.7未満、3.6未満、3.5未満、3.4未満、3.3未満、3.2未満、3.1未満、3.0未満、2.9未満、2.8未満、2.7未満、2.6未満、2.5未満、2.4未満、2.3未満、2.2未満、2.1未満、2.0未満、1.9未満、1.8未満、1.7未満、1.6未満、1.5未満、1.4未満、1.3未満、または1.2未満のpHで、少なくとも約15分、少なくとも約30分、少なくとも約45分、少なくとも約60分、少なくとも約90分、または少なくとも約120分の期間破断しない(例えば、約50RPM~約250RPMのパドル、リン酸緩衝液、水酸化ナトリウム、または水酸化カリウムでpHを調整した約500ml~約900ml 0.1N HCL酸性媒体を用いるUSP Apparatus IIで測定した場合)。
【0032】
ある特定の実施形態では、シェル組成物は、8.4未満、8.3未満、8.2未満、8.1未満、8.0未満、7.9未満、7.8未満、7.7未満、7.6未満、7.5未満、7.4未満、7.3未満、7.2未満、7.1未満、7.0未満、6.9未満、6.8未満、6.7未満、6.6未満、6.5未満、6.4未満、6.3未満、6.2未満、6.1未満、6.0未満、5.9未満、5.8未満、5.7未満、5.6未満、5.5未満、5.4未満、5.3未満、5.2未満、5.1未満、5.0未満、4.9未満、4.8未満、4.7未満、4.6未満、4.5未満、4.4未満、4.3未満、4.2未満、4.1未満、4.0未満、3.9未満、3.8未満、3.7未満、3.6未満、3.5未満、3.4未満、3.3未満、3.2未満、3.1未満、3.0未満、2.9未満、2.8未満、2.7未満、2.6未満、2.5未満、2.4未満、2.3未満、2.2未満、2.1未満、2.0未満、1.9未満、1.8未満、1.7未満、1.6未満、1.5未満、1.4未満、1.3未満、または1.2未満のpHで、約15分~約360分、約30分~約240分、または約45分~約180分の期間破断しない(例えば、約50RPM~約250RPMのパドル、リン酸緩衝液、水酸化ナトリウム、または水酸化カリウムでpHを調整した約500ml~約900mlの0.1N HCL酸性媒体を用いるUSP Apparatus IIで測定した場合)。
【0033】
本発明により、シェル組成物を破断し、活性剤を放出するのに適したpHは、胃腸管の意図される部分での活性剤の放出をプログラムするために選択され得る。例えば、十二指腸は7.0~8.5の範囲の典型的なpHを有し;小腸および大腸は典型的には4.0~7.0のpHを有し;結腸は6.5の典型的なpHを有し、空腸は6.1~7.2の典型的なpHを有する。一実施形態では、シェル組成物は、約7.0~約8.5のpHでの十二指腸において活性剤の放出を標的化するために調整され得る。一実施形態では、シェル組成物は、約4.0~約7.0のpHでの小腸および大腸において活性剤の放出を標的化するために調整され得る。一実施形態では、シェル組成物は、約6.5のpHでの結腸において活性剤の放出を標的化するために調整され得る。一実施形態では、シェル組成物は、約6.1~約7.2のpHでの空腸において活性剤の放出を標的化するために調整され得る。
【0034】
ある特定の実施形態では、ペクチンのジェランガムに対する重量比は、約1:10~約50:1;約1:5~約40:1;約1:1~約25:1;または約10:1~約24:1である。
【0035】
本明細書で使用される場合、用語「pH依存」は、溶解または崩壊が、例えば、少なくとも約15分、少なくとも約30分、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、または少なくとも約5時間の期間、ある特定の実施形態では胃環境において発生しないもしくは実質的に発生しない、または代替の実施形態では、本明細書に開示される通りのpH範囲において発生しないもしくは実質的に発生しないような、物質の溶解または崩壊耐性を指すために使用される。例えば、本明細書に記載の実施形態は、生体、人工または模擬胃液と比較して、生体、人工または模擬腸液において優先的に溶解するpH依存シェル組成物を含む。
【0036】
本明細書で使用される場合、「薬学的活性成分」、「活性剤」、「活性成分」、または「薬学的活性剤」は、状態の診断、治癒、緩和、処置、もしくは防止において使用され得る薬物もしくは化合物、および/またはその目的のために政府機関によって承認されていようがいまいが、治療、予防、もしくは他の意図される効果をもたらすことが意図されている物質を指す。特定の薬剤に関するこれらの用語は、薬学的活性剤、ならびにその全ての薬学的に許容される塩、溶媒和物および結晶形態を含み、塩、溶媒和物および結晶形態は薬学的に活性である。ある特定の実施形態では、適切な「活性剤」は、ビタミン、ミネラル、およびサプリメント(VMS)などの栄養補助食品を含む。例示的な遅延放出ソフトゲルカプセルは限定なしに、乳酸菌、プロバイオティクス、魚油カプセル、バルプロ酸、ニンニク、ハッカ油、イブプロフェン溶液または懸濁液、プロトンポンプ阻害剤、アスピリンおよび同様の製品を含有するカプセルを含み得る。
【0037】
用語「状態(condition)」または「状態(conditions)」は、有効量の活性剤の対象への投与によって処置または防止され得るそれらの医学的状態を指す。遅延放出ソフトゲルカプセルから利益を受け得る例示的な非限定的な状態は、限定なしに、メサラミン、乳酸菌、魚油、栄養サプリメント、プロトンポンプ阻害剤、アスピリンおよび同様の製品を含有するカプセルの投与によって処置または防止され得るそれらの状態を含み得る。
【0038】
水溶性であるものおよび水難溶性であるものの両方を含む任意の薬学的活性成分が、本発明の目的のために使用され得る。適切な薬学的活性成分は限定なしに、鎮痛薬および抗炎症剤、制酸薬、駆虫薬、抗不整脈剤、抗菌剤、抗凝固薬、抗鬱薬、抗糖尿病薬、止瀉薬、抗てんかん薬、抗真菌剤、抗痛風剤、抗高血圧剤、抗マラリア薬、抗偏頭痛剤、抗ムスカリン剤、抗新生物剤および免疫抑制薬、抗原虫剤、抗リウマチ薬、抗甲状腺剤、抗ウイルス薬、抗不安薬、鎮静薬、睡眠薬および神経弛緩薬、ベータ遮断薬、心臓変力剤、コルチコステロイド、咳止め薬、細胞傷害薬、充血除去薬、利尿薬、酵素、抗パーキンソン病剤、胃腸剤、ヒスタミン受容体アンタゴニスト、脂質制御剤、局所麻酔薬、神経筋作用剤、硝酸薬および抗狭心症剤、栄養剤、オピオイド鎮痛薬、経口ワクチン、タンパク質、ペプチドおよび組換え薬物、性ホルモンおよび避妊薬、殺精子薬、刺激薬、ならびにそれらの組合せを含む。
【0039】
一部の実施形態では、活性医薬成分は限定なしに、ダビガトラン、ドロネダロン、チカグレロル、イロペリドン、イバカフトール、ミドスタウリン、アシマドリン、ベクロメタゾン、アプレミラスト、サパシタビン、リンシチニブ、アビラテロン、ビタミンD類似体(例えば、カルシフェジオール、カルシトリオール、パリカルシトール、ドキセルカルシフェロール)、COX-2阻害剤(例えば、セレコキシブ、バルデコキシブ、ロフェコキシブ)、タクロリムス、テストステロン、ルビプロストン、それらの薬学的に許容される塩、およびそれらの組合せからなる群から選択され得る。
【0040】
一部の実施形態では、剤形中の脂質は限定なしに、アーモンド油、アルガン油、アボカド油、ルリジサ種子油、キャノーラ油、カシュー油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、カカオ脂、ヤシ油、ナタネ油、トウモロコシ油、綿実油、ブドウ種子油、ヘーゼルナッツ油、大麻油、水酸化レシチン、レシチン、アマニ油、マカダミア油、マンゴー脂、マニラ油、モンゴンゴナッツ油、オリーブ油、パーム核油、パーム油、ラッカセイ油、ペカン油、エゴマ油、パインナッツ油、ピスタチオ油、ケシ種子油、カボチャ種子油、コメぬか油、ベニバナ油、ゴマ油、シア脂、ダイズ油、ヒマワリ油、硬化植物油、クルミ油、およびメロン種子油からなる群から選択され得る。他の油および脂肪は、これらに限定されないが、魚油(オメガ-3)、クリル油、例えばその硬化形態の動物性または植物性脂肪、遊離脂肪酸ならびにC8-、C10-、C12-、C14-、C16-、C18-、C20-およびC22-脂肪酸を含むモノグリセリド、ジグリセリド、およびトリグリセリド、ならびにそれらの組合せを含み得る。
【0041】
ある特定の実施形態によると、活性剤は、これらに限定されないが、スタチン(例えば、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチン、およびピタバスタチン)、フィブラート(例えば、クロフィブラート、シプロフィブラート、ベザフィブラート、フェノフィブラート、およびゲムフィブロジル)、ナイアシン、胆汁酸封鎖剤、エゼチミブ、ロミタピド、フィトステロール、ならびにそれらの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物およびプロドラッグ、前述のもののいずれかの混合物などを含む脂質低下剤を含み得る。
【0042】
適切な栄養補助食品活性剤は、これらに限定されないが、5-ヒドロキシトリプトファン、アセチルL-カルニチン、アルファリポ酸、アルファ-ケトグルタル酸、ミツバチ生成物、ベタイン塩酸塩、ウシ軟骨、カフェイン、ミリストレイン酸セチル、炭、キトサン、コリン、コンドロイチン硫酸、コエンザイムQ10、コラーゲン、初乳、クレアチン、シアノコバラミン(ビタミン812)、ジメチルアミノエタノール、フマル酸、三二酸化ゲルマニウム、腺生成物、グルコサミンHCI、グルコサミン硫酸塩、ヒドロキシルメチルブチレート、免疫グロブリン、乳酸、L-カルニチン、肝臓生成物、リンゴ酸、無水マルトース、マンノース(d-マンノース)、メチルスルホニルメタン、フィトステロール、ピコリン酸、ピルビン酸、紅色酵母抽出物、S-アデノシルメチオニン、セレン酵母、サメ軟骨、テオブロミン、硫酸バナジル、および酵母を含み得る。
【0043】
適切な栄養サプリメント活性剤は、ビタミン、ミネラル、繊維、脂肪酸、アミノ酸、ハーブサプリメントまたはそれらの組合せを含み得る。
【0044】
適切なビタミン活性剤は、これらに限定されないが以下を含み得る:アスコルビン酸(ビタミンC)、ビタミンB、ビオチン、脂溶性ビタミン、葉酸、ヒドロキシクエン酸、イノシトール、ミネラルアスコルビン酸塩、混合トコフェロール、ナイアシン(ビタミンB3)、オロト酸、パラアミノ安息香酸、パントテン酸塩、パントテン酸(ビタミンB5)、ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6)、リボフラビン(ビタミンB2)、合成ビタミン、チアミン(ビタミンB1)、トコトリエノール、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンK、ビタミン油および油溶性ビタミン。
【0045】
適切なハーブサプリメント活性剤は、これらに限定されないが以下を含み得る:アルニカ、ビルベリー、ブラックコホシュ、キャッツクロー、カモミール、エキナセア、メマツヨイグサ油、コロハ、アマニン、ナツシロギク、ニンニク、ショウガの根、イチョウ(ginkgo biloba)、チョウセンニンジン、アキノキリンソウ、サンザシ、カバカバ、カンゾウ、オオアザミ、オオバコ、インドジャボク、センナ、ダイズ、セイヨウオトギリソウ、ノコギリパルメット、ウコン、カノコソウ。
【0046】
適切なミネラル活性剤は、これらに限定されないが以下を含み得る:ホウ素、カルシウム、キレート化ミネラル、塩化物、クロム、コーティングされたミネラル、コバルト、銅、ドロマイト、ヨウ素、鉄、マグネシウム、マンガン、ミネラルプレミックス、ミネラル製品、モリブデン、リン、カリウム、セレン、ナトリウム、バナジウム、リンゴ酸、ピルビン酸塩、亜鉛および他のミネラル。
【0047】
他の可能な活性剤の例は、これらに限定されないが、抗ヒスタミン薬(例えば、ラニチジン、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミンおよびデクスクロルフェニラミンマレイン酸塩)、非ステロイド抗炎症剤(例えば、アスピリン、セレコキシブ、Cox-2阻害剤、ジクロフェナク、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フルブフェン(flubufen)、インドプロフェン、ピロプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラモプロフェン、ムロプロフェン、トリオキサプロフェン、スプロフェン、アミノプロフェン、フルプロフェン、ブクロキシ酸、インドメタシン、スリンダク、ゾメピラク、チオピナク、ジドメタシン、アセメタシン、フェンチアザク、クリダナク、オキシピナク、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルム酸、トルフェナム酸、ジフルリサル、フルフェニサール、ピロキシカム、スドキシカム、イソキシカム、アセクロフェナク、アロキシピリン、アザプロパゾン、ベノリラート、ブロムフェナク、カルプロフェン、サリチル酸コリンマグネシウム、ジフルニサル、エトドラク、エトリコキシブ、ファイスラミン(faislamine)、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、メロキシカム、メフェナム酸、メタミゾール、サリチル酸メチル、サリチル酸マグネシウム、ナブメトン、ナプロキセン、ニメスリド、オキシフェンブタゾン、パレコキシブ、フェニルブタゾン、サリチル酸サリチル、スリンダク、スルフィンピラゾン、テノキシカム、チアプロフェン酸、トルメチン、それらの薬学的に許容される塩およびそれらの混合物)ならびにアセトアミノフェン、制吐薬(例えば、メトクロプラミド、メチルナルトレキソン)、抗てんかん薬(例えば、フェニロイン、メプロブメートおよびニトラゼパム)、血管拡張薬(例えば、ニフェジピン、パパベリン、ジルチアゼムおよびニカルジピン)、鎮咳剤および去痰薬(例えばコデインリン酸塩)、抗喘息薬(例えばテオフィリン)、制酸薬、鎮痙薬(例えば、アトロピン、スコポラミン)、抗糖尿病薬(例えばインスリン)、利尿薬(例えば、エタクリン酸、ベンドロフルチアジド)、抗低血圧薬(例えば、プロプラノロール、クロニジン)、抗高血圧薬(例えば、クロニジン、メチルドパ)、気管支拡張薬(例えばアルブテロール)、ステロイド薬(例えば、ヒドロコルチゾン、トリアムシノロン、プレドニゾン)、抗菌薬(例えばテトラサイクリン)、抗痔薬、睡眠薬、向精神薬、止瀉薬、粘液溶解薬、鎮静薬、充血除去薬(例えばプソイドエフェドリン)、緩下薬、ビタミン、刺激薬(フェニルプロパノールアミンなどの食欲抑制薬を含む)およびカンナビノイド、ならびにそれらの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグを含む。
【0048】
活性剤はベンゾジアゼピン、バルビツレート、刺激薬、またはそれらの混合物でもあり得る。用語「ベンゾジアゼピン」は、中枢神経系を抑制することができる、ベンゾジアゼピンおよびベンゾジアゼピンの誘導体である薬物を指す。ベンゾジアゼピンは、これらに限定されないが、アルプラゾラム、ブロマゼパム、クロルジアゼポキシド、クロラゼプ酸、ジアゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ケタゾラム、ロラゼパム、ニトラゼパム、オキサゼパム、プラゼパム、クアゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、ならびにそれらの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグおよび混合物を含む。活性剤として使用され得るベンゾジアゼピンアンタゴニストは、これらに限定されないが、フルマゼニルならびにその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物および混合物を含む。
【0049】
用語「バルビツレート」は、バルビツール酸(2,4,6,-トリオキソヘキサヒドロピリミジン)から誘導された鎮静-睡眠薬を指す。バルビツレートは、これらに限定されないが、アモバルビタール、アプロバルボタール、ブタバルビタール、ブタルビタール、メトヘキシタール、メホバルビタール、メタルビタール、ペントバルビタール、フェノバルビタール、セコバルビタールならびにそれらの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、および混合物を含む。活性剤として使用され得るバルビツレートアンタゴニストは、これらに限定されないが、アンフェタミンならびにその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物および混合物を含む。
【0050】
用語「刺激薬」は、これらに限定されないが、アンフェタミン、例えば、デキストロアンフェタミン樹脂複合体、デキストロアンフェタミン、メタンフェタミン、メチルフェニデート、ならびにそれらの薬学的に許容される塩、水和物、および溶媒和物および混合物を含む。活性剤として使用され得る刺激薬アンタゴニストは、これらに限定されないが、ベンゾジアゼピン、ならびにその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物および混合物を含む。
【0051】
本開示による剤形は、様々な活性剤およびそれらの薬学的に許容される塩を含む。薬学的に許容される塩は、これらに限定されないが、無機酸塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩など;有機酸塩、例えば、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩など;スルホン酸塩、例えば、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩など;アミノ酸塩、例えば、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩など、および金属塩、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩など;アルカリ土類金属、例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩など;有機アミン塩、例えば、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩などを含む。
【0052】
本明細書で使用される場合、用語「治療的に有効な」および「有効量」は、所望の治療結果をもたらすのに必要な、活性剤の量またはそれが投与される割合を指す。
【0053】
用語「~の処置」および「処置すること」は、状態の重症度を下げることを意図した活性剤の投与を含む。
【0054】
用語「~の防止」および「防止すること」は、活性剤の予防的投与による状態の開始の回避を含む。
【0055】
用語「対象」は、本明細書に記載の活性剤のいずれかによる処置の必要を示唆する状態の兆候(臨床的またはその他)を示しているヒトまたは動物を指す。
【0056】
本明細書で使用される場合、「シェル」または「シェル組成物」は、充填材料を封入するソフトゲルカプセルのシェルを指す。ある特定の実施形態では、これらの用語は用語「pH依存シェル組成物」と交換可能でもある。
【0057】
本明細書で使用される場合、「従来のpH依存ポリマー」は、これらに限定されないが、商標名EUDRAGIT(登録商標)で入手可能であり得るアクリルおよびメタクリル酸ポリマーならびに他の従来の酸不溶性ポリマー、例えばアクリル酸メチル-メタクリル酸コポリマーを指す。他の従来の酸不溶性ポリマーは限定なしに、酢酸コハク酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(ヒプロメロースアセテートサクシネート)、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、アルギン酸ナトリウムおよびアルギン酸カリウムなどのアルギン酸塩、ステアリン酸、ならびにシェラックを含む。ペクチンおよびペクチン誘導体は従来のpH依存ポリマーとみなされない。ジェランガムおよびジェランガム誘導体は、従来のpH依存ポリマーとみなされない。一部の実施形態では、本発明のpH依存シェル組成物は酸不溶性ポリマーを含まない。言い換えると、pH依存シェル組成物およびpH依存ソフトゲルカプセルは、「従来のpH依存ポリマーを含まないまたは実質的に含まない」。
【0058】
本明細書で使用される場合、「含まないまたは実質的に含まない」は、組成物の総重量に対して約1wt%未満、約0.5wt%未満、約0.25wt%未満、約0.1wt%未満、約0.05wt%未満、約0.01wt%未満、または0wt%の前記成分を含む組成物を指す。
【0059】
本明細書および特許請求の範囲を通してwt%への全ての言及は、組成物全体の重量に関する成分の重量を指し、w/wとも表され得る。
【0060】
本明細書で使用される場合、「充填材料」または「充填物」は、pH依存カプセルシェルによって封入される組成物を指し、少なくとも1種の活性剤を含有する。
【0061】
本明細書で使用される場合、「遅延放出カプセル」または「遅延放出ソフトゲルカプセル」または「pH依存カプセル」または「pH依存ソフトゲルカプセル」は、充填材料がシェルに封入され、カプセルが乾燥されると、遅延またはpH依存特性を有するカプセルを指す。さらなる加工ステップは必要ない。
【0062】
本明細書で使用される場合、「約」は、±10%の変動内にある任意の値を指し、したがって「約10」は9~11を含む。本明細書で使用される場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」、または「その(the)」は、特に指定されていない限り1つまたは複数を指す。したがって例えば、「1つの賦形剤」への言及は、単一の賦形剤および2つ以上の異なる賦形剤の混合物などを含む。
【0063】
本明細書に特に示されていない限り、本明細書における値の範囲の列挙は、範囲内にある各々別々の値に個々に言及する簡略方法として機能することが意図されているだけであり、各々別々の値は、本明細書で個々に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に特に示されていない限りまたは文脈によって明らかに否定されない限り、本明細書に記載の全ての方法は、任意の適切な順序で行われ得る。
【0064】
本明細書で提供されるありとあらゆる例または例示的な言葉(例えば、「など」)の使用は、ある特定の材料および方法を単に明らかにすることが意図されており、範囲に制限を課さない。本明細書中の言葉は、任意の特許請求されない要素が開示された材料および方法の実践に必須であることを示すと解釈されるべきでない。
【0065】
第1の実施形態によると、pH依存ソフトゲルカプセルは(a)充填材料および(b)pH依存シェル組成物を含み、充填材料は少なくとも1種の活性剤を含み、pH依存シェル組成物はゼラチン、ジェランガム、ペクチン、ならびに必要に応じて可塑剤および/またはデキストロースを含む。好ましくは、pH依存シェル組成物は追加のpH依存ポリマー(例えば従来のpH依存ポリマー)を含まないまたは実質的に含まない。
【0066】
適切な充填材料は、少なくとも1種の活性剤を含み、公知の方法に従って作製され得る。少なくとも1種の活性剤に加えて、適切な充填材料は、追加の充填成分、例えば、香味剤、甘味剤、着色剤、充填剤、他の薬学的に許容される賦形剤、もしくは添加剤、例えば、合成色素および鉱物酸化物のうちの少なくとも1種を含み得る。活性剤および薬学的に許容される賦形剤の適切な量は、当業者によって容易に決定され得る。
【0067】
1つの実施形態では、pH依存シェル組成物中のゼラチンは、単独でまたは組合せで使用されるタイプAゼラチン、タイプBゼラチン、獣皮もしくは皮ゼラチン(例えば、子牛の皮、ブタの皮)および/または骨ゼラチン(例えば、子牛の骨、ブタの骨)を含み得る。一実施形態では、ゼラチンは250ブルームゼラチンである。別の実施形態では、1つのタイプのゼラチンだけがある。さらに別の実施形態では、ゼラチンは少なくとも2つのタイプのゼラチンの組合せである。1つの実施形態では、pH依存シェル組成物中のゼラチンの量は、乾燥カプセルシェル組成物の総重量に対して約30wt%~約85wt%、約30wt%~約75wt%、約30wt%~約65wt%、約30wt%~約55wt%、約30wt%~約40wt%、約40wt%~約80wt%、約45wt%~約75wt%、もしくは約50wt%~約70wt%、またはその中の任意の単一の値もしくは部分範囲である。
【0068】
一実施形態では、pH依存カプセルシェル組成物はデキストロースを含む。1つの実施形態では、pH依存カプセルシェル組成物中のデキストロースの量は、乾燥カプセルシェル組成物の総重量に対して約0.001wt%~約1.0wt%、約0.002wt%~約0.008wt%、約0.005wt%もしくは約0.01wt%~約2wt%もしくは約4wt%、約0.1wt%もしくは約0.15wt%~約3wt%、約0.1wt%~約1wt%、約0.1もしくは約0.15wt%もしくは約0.2wt%もしくは約0.25wt%~約2wt%、約0.1wt%~約0.2wt%、もしくは約0.1wt%~約0.4wt%、またはその中の任意の単一の値もしくは部分範囲である。デキストロースは、シェル組成物のゲル強度の潜在的な減少を緩和するために遅延放出カプセルシェルに添加され得る。pH依存シェル組成物中のデキストロースの濃度は、シェル組成物のゲル強度を改善する有効量であり得るが、カプセルの密封、カプセルもしくはシェル組成物の製造性、またはソフトゲルの性能に干渉するほど高くなくてよい。
【0069】
一部の実施形態では、pH依存シェル組成物は、ペクチン、例えば低メトキシルペクチンを含み得る。1つの実施形態では、ペクチンは50未満のエステル化度を有する低メチルエステル(LM)ペクチンである。一部の実施形態では、ペクチンはアミド化ペクチンである。他の実施形態では、低メトキシル(LM)ペクチンは非アミド化ペクチンである。ある特定の実施形態では、ペクチンはアミド化ペクチンおよび非アミド化ペクチンの組合せである。ペクチンの添加は、剤形のpH依存性に寄与する。
【0070】
剤形中の多すぎるペクチンはソフトゲルカプセルのゲル強度を減少させる可能性があり、これは次にソフトゲルカプセルの密封性に悪影響を及ぼし得る。pH依存シェル組成物中の多すぎるペクチンは、シェル組成物の粘度を増加させる可能性もあり、製造観点から加工を困難または不可能にする。
【0071】
したがって、ペクチンは、遅延放出剤形を形成するのに十分高く、同時にシェル組成物のゲル強度の減少を緩和し、シェル組成物の粘度増加を緩和するのに十分低い濃度で剤形に添加され得る。
【0072】
1つの実施形態では、pH依存シェル組成物中のペクチンの量は、乾燥カプセルシェル組成物の総重量に対して約2wt%~約20wt%、約3wt%~約15wt%、約3wt%~約5.5wt%、約4wt%~約11wt%、約7wt%~約12wt%、約8wt%~約13wt%、もしくは約5wt%~約10wt%、またはその中の任意の単一の値もしくは部分範囲である。
【0073】
pH依存シェル組成物中に組み込まれるペクチンのエステル化度は、約50%未満であり得るか、または約10%~約50%、約20%~約40%、もしくは約25%~約35%の範囲であり得る。またペクチンはアミド化または非アミド化であり得る。
【0074】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載のpH依存シェル組成物のいずれかはジェランガムをさらに含む。ある特定の実施形態では、ペクチンのジェランガムに対する重量比は、約1:10~約50:1;約1:5~約40:1;約1:1~約25:1または約10:1~約24:1である。ある特定の実施形態では、ペクチンのジェランガムに対する比は、シェル組成物の標的pH依存溶解/崩壊プロファイルを実現するために調節され得る。
【0075】
1つの実施形態では、pH依存シェル組成物中のジェランガムの量は、乾燥カプセルシェル組成物の総重量に対して約0.1wt%~約10wt%、約0.2wt%~約8wt%、約0.4wt%~約5wt%、約0.05wt%~約5wt%、約0.1wt%~約3wt%、約0.2wt%~約2wt%、約0.2wt%~約0.8wt%、もしくは約0.3wt%~約0.7wt%、またはその中の任意の単一の値もしくは部分範囲である。
【0076】
1つの実施形態では、pH依存シェル組成物中の可塑剤は、グリセロール、ソルビトール、およびそれらの組合せを含み得る。他の適切な可塑剤は、これらに限定されないが、糖アルコール可塑剤、例えば、イソマルト、マルチトール、キシリトール、エリスリトール、アドニトール、ズルシトール、ペンタエリスリトール、またはマンニトール;またはポリオール可塑剤、例えば、ジグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、最大10,000MWのポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、トリメチロールプロパン、ポリエーテルポリオール、エタノールアミン;およびそれらの混合物を含み得る。他の例示的な可塑剤は限定なしに、低分子量ポリマー、オリゴマー、コポリマー、油、小有機分子、脂肪族ヒドロキシルを有する低分子量ポリオール、エステル系可塑剤、グリコールエーテル、ポリ(プロピレングリコール)、マルチブロックポリマー、シングルブロックポリマー、クエン酸エステル系可塑剤、およびトリアセチンも含み得る。そのような可塑剤は、1,2-ブチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、スチレングリコール、モノプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、乳酸ソルビトール、乳酸エチル、乳酸ブチル、グリコール酸エチル、セバシン酸ジブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリエチル、モノステアリン酸グリセリル、ポリソルベート80、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリブチルおよびグリコール酸アリル、ならびにそれらの混合物を含み得る。
【0077】
1つの実施形態では、pH依存シェル組成物中の可塑剤の量は、乾燥カプセルシェル組成物の総重量に対して約15wt%~約45wt%、約15wt%~約40wt%、約18wt%~約45wt%、約18wt%~約42wt%、約20wt%~約35wt%、もしくは約25wt%~約30wt%、またはその中の任意の単一の値もしくは部分範囲である。
【0078】
ある特定の実施形態では、様々な成分(例えば、ペクチン、デキストロース、ゼラチン、ジェランガム、可塑剤)の量および様々な成分の比は、様々なpH範囲にわたるソフトゲルカプセルの溶解および/または崩壊特性を制御するために調節される。
【0079】
例えば、pH依存シェル組成物中のゼラチン対ペクチンw:w比は、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、もしくは約9:1のいずれかから、約10:1、約11:1、約12:1、約13:1、約14:1、約15:1、約16:1、約17:1、約18:1、約19:1、もしくは約20:1のいずれかの範囲、またはその中の任意の部分範囲もしくは単一の値であり得る。ある特定の実施形態では、より低いゼラチン対ペクチンw:w比は、酸性媒体(例えば、必要に応じてペプシンを含む0.1N HCl)中でより安定である(するとしてもよりゆっくり溶解する)pH依存シェル組成物を提供するが、より高いゼラチン対ペクチンw:w比は、酸性媒体(例えば、必要に応じてペプシンを含む0.1N HCl)中であまり安定でない(より速く溶解する)pH依存シェル組成物を提供する。ゼラチン対ペクチンw:w比は、本明細書に記載の通りの特定のpHでソフトゲルカプセルの特定の溶解時間を実現するために調節され得る。
【0080】
またpH依存シェル組成物中のゼラチン対可塑剤w:w比は、特定のカプセル硬度レベルを実現するように調節されてもよく、約5:1~約1:5、約4:1~約1:4、約3:1~約1:3、約2:1~約1:2の範囲、約1:1、またはその中の任意の単一の比の値もしくは部分範囲であり得る。
【0081】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載のpH依存シェル組成物は約5N、約6N、約7N、約8N、約9N、または約10Nのいずれかから、約11N、約12N、約13N、約14N、または約15Nのいずれかの範囲の硬度を有し得る。カプセル硬度は硬度計を使用して決定される。カプセルの2.0mmの変形を引き起こすのに必要なニュートン単位の力がカプセル硬度と定義される。
【0082】
ある特定の実施形態では、pH依存シェル組成物は約20,000cPs、約30,000cPs、約40,000cPs、約50,000cPs、約60,000cPs、もしくは約70,000cPsのいずれかから、約80,000cPs、約90,000cPs、約100,000cPs、約110,000cPs、約120,000cPs、約130,000cPs、約140,000cPs、もしくは約150,000cPsのいずれかの範囲、またはその中の任意の部分範囲もしくは単一の値の粘度を有し得る。一実施形態では、pH依存シェル組成物は、約100,000cPs~約130,000cPs、または約110,000cPs~約125,000cPsの範囲、または約115,000cPs、もしくは約120,000cPsの粘度を有する。粘度は、レオメーターを60℃で使用して測定される。ゲル塊試料(例えば、本明細書に記載のpH依存シェル組成物のいずれかの)を60℃に維持されたレオメーターの試料台に載せる。円盤がある特定の速度で回転し、一定のせん断速度をもたらす。粘度は、せん断応力およびせん断速度を測定することによって得られる。
【0083】
1つの実施形態では、pH依存シェル組成物およびpH依存ソフトゲルカプセルは、従来のpH依存ポリマーを含まなくてもよいもしくは実質的に含まなくてもよいおよび/またはソフトゲルシェル上のpH依存保護膜を含まなくてもよい。
【0084】
1つの実施形態では、pH依存シェル組成物およびpH依存ソフトゲルカプセルは、Ca++(例えばCaCl2)またはMg++(例えばMgCl2)などの二価の陽イオン塩を含み得る。別の実施形態では、pH依存シェル組成物およびpH依存ソフトゲルカプセルは、Ca++(例えばCaCl2)またはMg++(例えばMgCl2)などの二価の陽イオン塩を含まなくてもよいまたは実質的に含まなくてもよい。さらなる実施形態では、pH依存シェル組成物は、他の成分に存在し得る二価の陽イオン塩の量以外のCa++(例えばCaCl2)またはMg++(例えばMgCl2)などの二価の陽イオン塩の添加のステップを含まなくてもよい。
【0085】
1つの実施形態では、pH依存シェル組成物は、必要に応じて追加の薬剤、例えば、着色剤、香味剤、甘味剤、充填剤、抗酸化剤、希釈剤、pH調整剤または他の薬学的に許容される賦形剤もしくは添加剤、例えば、合成色素および鉱物酸化物を含み得る。
【0086】
例示的な適切な着色剤は、これらに限定されないが、例えば、白色、黒色、黄色、青色、緑色、桃色、赤色、橙色、菫色、藍色、および茶色などの色を含み得る。特定の実施形態では、剤形の色はその中に含有されている中身(例えば1種または複数の活性成分)を示し得る。
【0087】
例示的な適切な香味剤は、これらに限定されないが、しばしばエタノールまたは水などの溶媒を使用することによって原料、例えば、動物または植物材料の一部を抽出することによって得られる「香味抽出物」;花、果実、根など、または植物全体から精油を抽出することによって得られる天然エッセンスを含み得る。
【0088】
剤形中に存在し得る追加の例示的な香味剤は、これらに限定されないが、メントール、スペアミント、およびシナモンのような口臭消臭化合物、コーヒー豆、特に口腔衛生のために使用されるものである、フルーツ香味料(例えば、サクランボ、オレンジ、ブドウなど)などの他の香味料または香料、ならびに第四級アンモニウム塩基などの歯および口腔洗浄で使用される活性物質を含み得る。香味料の効果は、酒石酸、クエン酸、バニリンなどの香味増強剤を使用して増強され得る。
【0089】
例示的な甘味剤は、これらに限定されないが、1つもしくは複数の人工甘味料、1つもしくは複数の天然甘味料、またはそれらの組合せを含み得る。人工甘味料は、例えば、アセスルファムおよびその様々な塩、例えばカリウム塩(Sunett(登録商標)として入手可能)、アリテーム、アスパルテーム(NutraSweet(登録商標)およびEqual(登録商標)として入手可能)、アスパルテーム-アセスルファムの塩(Twinsweet(登録商標)として入手可能)、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ナリンギンジヒドロカルコン、ジヒドロカルコン化合物、ネオテーム、シクラミン酸ナトリウム、サッカリンおよびその様々な塩、例えばナトリウム塩(Sweet’N Low(登録商標)として入手可能)、ステビア、スクロースのクロロ誘導体、例えばスクラロース(Kaltame(登録商標)およびSplenda(登録商標)として入手可能)、ならびにモグロシドを含む。天然甘味料は、例えば、グルコース、デキストロース、転化糖、フルクトース、スクロース、グリチルリチン;グリチルリチン酸一アンモニウム(商標名MagnaSweet(登録商標)で販売されている);ステビア(Stevia rebaudiana)(ステビオシド)、天然の強力甘味料、例えばラカンカ、ポリオール、例えば、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトールなどを含む。
【0090】
一部の実施形態では、pH依存シェル組成物および/またはpH依存ソフトゲルカプセルは、USP崩壊装置で行われる崩壊試験において試験され得る。この実施形態によるpH依存ソフトゲルカプセルは、少なくとも約15分、少なくとも約30分、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、または少なくとも約5時間、酸性媒体中で(例えば、生体、人工または模擬胃液、例えば、必要に応じてペプシンを含むpH1.2(0.1N HCl)、あるいはpH2.0、もしくはpH3.0、もしくはpH4.0、もしくはpH5.0、またはその中の任意の部分範囲もしくは単一のpH値)無傷のままであり得、生体、人工または模擬腸液中で(例えば、必要に応じてパンクレアチンを含むpH6.8リン酸緩衝液、またはpH7、pH8、もしくはpH8.4などのより高いpHで)約120分以下で、約60分以下、約30分以下、約20分以下で、約10分以下で、または約5分以下で崩壊し得る。
【0091】
一部の実施形態では、崩壊試験は(酸段階および緩衝段階において累積的に)約420分、約360分、約300分、約240分、約180分、約150分、約120分、約105分、約90分、約75分、約60分、約45分、約30分、約15分、約10分、または約5分間行われ得る。
【0092】
充填材料の封入は、任意の従来の様式で成し遂げられ得る。例として、回転ダイ封入が使用され得る。
【0093】
1つの実施形態によると、pH依存ソフトゲルカプセルは、(a)少なくとも1種の活性剤を含む充填材料を調製するステップと;(b)ステップ(a)の充填材料をpH依存シェル組成物に封入するステップとを含むプロセスによって調製される。このプロセスにおける充填材料を封入するシェル組成物は、上記に記載の組成物のいずれかおよび/または溶解プロファイルのいずれかを有し得る。
【0094】
ステップ(b)による封入プロセスは、例えば、ゼラチン、ジェランガム、ペクチンならびに必要に応じて可塑剤および/またはデキストロースを混合し、湿潤ゲル塊を形成することによってpH依存シェル組成物を調製するサブステップをさらに含み得る。好ましくは、pH依存シェル組成物は、追加のpH依存ポリマー(例えば従来のpH依存ポリマー)を含まないまたは実質的に含まない。
【0095】
一部の実施形態では、湿潤ゲル塊中の様々な成分の濃度は、(a)約20wt%~約60wt%、約25wt%~約55wt%、または約27wt%~約45wt%のゼラチン、(b)約0.01wt%~約5wt%、約0.1wt%~約5wt%、または約0.1wt%~約0.5wt%のジェランガム、(c)約1wt%~約10wt%、約2wt%~約10wt%、または約3wt%~約8wt%の低メトキシルペクチンなどのペクチン、(d)約5wt%~約40wt%、約8wt%~約35wt%、または約10wt%~約32wt%の可塑剤、および必要に応じて(e)約0.01wt%~約4wt%、約0.01wt%~約3wt%、または約0.01wt%~約2.5wt%のデキストロースであり得、全てのwt%は湿潤ゲル塊の総重量に基づき、100wt.%にするために残りは水である。
【0096】
ある特定の実施形態では、プロセスは、湿潤ゲル塊からシェル組成物リボンを形成するステップをさらに含み得る。pH依存シェル組成物のリボンの厚み(例えば回転ダイ封入中に使用されるような)も最終の遅延放出ソフトゲルカプセルのpH依存溶解プロファイルを制御するために調節され得る。pH依存シェル組成物のリボンの厚みは限定なしに、約0.02インチ、約0.022インチ、約0.024インチ、約0.026インチ、約0.028インチ、もしくは約0.030インチのいずれかから、約0.032インチ、約0.034インチ、約0.036インチ、約0.038インチ、約0.04インチ、約0.042インチ、約0.044インチ、もしくは約0.050インチのいずれかの範囲、またはその中の任意の部分範囲もしくは単一の値であり得る。
【0097】
ある特定の実施形態では、pH依存ソフトゲルカプセル(例えば封入後)は、乾燥および必要に応じて硬化され得る。ソフトゲルカプセルを硬化することは、約25℃~約75℃、約25℃~約70℃、約30℃~約60℃、または約35℃~50℃の範囲の温度で行われ得る。硬化温度は、ソフトゲルカプセルの遅延放出特性を増強するのに十分高いが、ソフトゲルカプセルを溶かすほど高くない温度であるべきである。
【0098】
プロセスに含まれる場合、硬化の時間は、約12時間~約168時間、約18時間~約120時間、約24時間~約72時間の範囲、約24時間、約48時間、約72時間、またはその中の任意の部分範囲もしくは単一の値であり得る。1つの実施形態では、ソフトゲルカプセルの硬化は約40℃の温度で約24時間行われ得る。1つの実施形態では、ソフトゲルカプセルの硬化は約40℃の温度で約48時間行われ得る。1つの実施形態では、ソフトゲルカプセルの硬化は約40℃の温度で約72時間行われ得る。ある特定の実施形態では、硬化は空気中で(窒素または酸素または湿度の含有量についての任意の特定の制御装置なしに)行われ得る。ある特定の実施形態では、硬化は不活性条件下(例えば窒素中)で行われ得る。
【0099】
1つの実施形態では、pH依存ソフトゲルカプセルを調製するためのプロセスは、a)本明細書に記載の充填材料のいずれかを調製するステップと;b)ステップa)からの充填材料を本明細書に記載のpH依存シェル組成物のいずれかに(例えば回転ダイ封入により)封入するステップと;c)封入されたpH依存ソフトゲルカプセルを(例えば、タンブル乾燥またはタンブリングなしのかごの中での通常乾燥によって)乾燥させるステップと;必要に応じてd)本明細書に記載の硬化条件のいずれかに従ってpH依存ソフトゲルカプセルを硬化するステップとを含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる。
【0100】
ある特定の実施形態では、乾燥は約10℃~約50℃、約15℃~約40℃、または約20℃~約35℃で、約5%~約40%、約10%~約30%、または約15%~約25%の相対湿度で行われる。
【0101】
ある特定の実施形態では、乾燥および硬化への言及は、ここでは区別されるべきである。本明細書に記載の遅延放出ソフトゲルカプセルを乾燥させる目的は、封入直後に遅延放出ソフトゲルカプセルから余分な水を除去することである。したがって、カプセルは物理的に安定になる。本明細書に記載の遅延放出ソフトゲルカプセルを硬化する目的は、遅延放出ソフトゲルカプセルの遅延放出特性を増強することであり得る。したがって、乾燥ステップの存在は硬化ステップと同じではなく、同様に硬化ステップの存在は乾燥ステップと同じではない。
【0102】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載のpH依存シェル組成物を有する遅延放出ソフトゲルカプセルは、化学的および物理的に安定である。
【0103】
例えば、それらの安定性は、保存後(例えば、周囲温度から40℃まで変動する条件および75%相対湿度で、約1カ月、約2カ月、約3カ月、約4カ月、約5カ月、約6カ月、約7カ月、約8カ月、約9カ月、約10カ月、約11カ月、約12カ月、約13カ月、約14カ月、約15カ月、約16カ月、約17カ月、または約18カ月間)の遅延放出ソフトゲルカプセルのpH依存溶解/崩壊プロファイルの保存前の遅延放出ソフトゲルカプセルの溶解/崩壊プロファイルとの類似性によって証明され得る。ある特定の実施形態では、遅延放出ソフトゲルカプセルのpH依存溶解/崩壊プロファイルは、最大18カ月、最大12カ月、最大6カ月、最大3カ月、または最大1カ月間保存後(これらの期間のいずれかの間、周囲条件でまたは40℃および75%相対湿度のストレス条件で)、保存前の遅延放出ソフトゲルカプセルのpH依存溶解/崩壊プロファイルと比較して実質的に類似している(または規格内である)。
【0104】
用語「実質的に類似している」は、対応する比較値の約30%以内、約25%以内、約20%以内、約15%以内、約10%以内、約5%以内、または約1%以内にある特定の値を指し得る。パーセンテージは比較値の額面値に基づいて計算されている。例えば、27分~33分の溶解時間範囲は、30分の比較溶解時間の10%以内とみなされ得る。
【0105】
1つの実施形態では、最終剤形のpH依存シェル組成物は、(a)ゼラチン、(b)ジェランガム、(c)低メトキシルペクチンなどのペクチン、(d)可塑剤、および必要に応じて(e)デキストロースを含む。
【0106】
1つの実施形態では、最終剤形のpH依存シェル組成物は、(a)ゼラチン、(b)ジェランガム、(c)低メトキシルペクチンなどのペクチン、(d)可塑剤、および必要に応じて(e)デキストロースから本質的になる。
【0107】
1つの実施形態では、pH依存シェル組成物は、(a)ゼラチン、(b)ジェランガム、(c)低メトキシルペクチンなどのペクチン、(d)可塑剤、および必要に応じて(e)デキストロースからなる。
【0108】
1つの実施形態では、最終剤形のpH依存シェル組成物は、(a)約30wt%~約85wt%、約30wt%~約75wt%、約30wt%~約65wt%、約30wt%~約55wt%、約30wt%~約40wt%、約40wt%~約80wt%、約45wt%~約65wt%、約45wt%~約75wt%、または約50wt%~約70wt%ゼラチン、(b)約0.01wt%~約5wt%、約0.01wt%~約2wt%または~約4wt%、約0.1wt%~約3wt%、約0.2wt%~約2wt%、約0.01wt%~約0.1wt%、約0.05wt%~約0.5wt%、約0.1wt%~約0.2wt%デキストロース、(c)約2wt%~約20wt%、約3wt%~約15wt%、約7wt%~約15wt%、約3wt%~約5.5wt%、または約7wt%~約12wt%の低メトキシルペクチンなどのペクチン、(d)約0.1wt%~約10wt%、約0.2wt%~約8wt%、約0.4wt%~約5wt%、約0.05wt%~約5wt%、約0.1wt%~約3wt%、または約0.2wt%~約2wt%のジェランガムおよび(e)約15wt%~約45wt%、約15wt%~約40wt%、約20wt%~約35wt%、または約25wt%~約30wt%の可塑剤を含む。全てのwt%は、乾燥pH依存シェル組成物の総重量に基づく。
【0109】
1つの実施形態では、最終剤形のpH依存シェル組成物は、(a)約30wt%~約85wt%、約30wt%~約75wt%、約30wt%~約65wt%、約30wt%~約55wt%、約30wt%~約40wt%、約40wt%~約80wt%、約45wt%~約65wt%、約45wt%~約75wt%、または約50wt%~約70wt%ゼラチン、(b)約0.01wt%~約5wt%、約0.01wt%~約2wt%または~約4wt%、約0.1wt%~約3wt%、約0.2wt%~約2wt%、約0.01wt%~約0.1wt%、約0.05wt%~約0.5wt%、約0.1wt%~約0.2wt%デキストロース、(c)約2wt%~約20wt%、約3wt%~約15wt%、約7wt%~約15wt%、約3wt%~約5.5wt%、または約7wt%~約12wt%の低メトキシルペクチンなどのペクチン、(d)約0.1wt%~約10wt%、約0.2wt%~約8wt%、約0.4wt%~約5wt%、約0.05wt%~約5wt%、約0.1wt%~約3wt%、または約0.2wt%~約2wt%のジェランガムおよび(e)約15wt%~約45wt%、約15wt%~約40wt%、約20wt%~約35wt%、または約25wt%~約30wt%の可塑剤から本質的になる。全てのwt%は、乾燥pH依存シェル組成物の総重量に基づく。
【0110】
1つの実施形態では、最終剤形のpH依存シェル組成物は、(a)約30wt%~約85wt%、約30wt%~約75wt%、約30wt%~約65wt%、約30wt%~約55wt%、約30wt%~約40wt%、約40wt%~約80wt%、約45wt%~約65wt%、約45wt%~約75wt%、または約50wt%~約70wt%ゼラチン、(b)約0.01wt%~約5wt%、約0.01wt%~約2wt%または~約4wt%、約0.1wt%~約3wt%、約0.2wt%~約2wt%、約0.01wt%~約0.1wt%、約0.05wt%~約0.5wt%、約0.1wt%~約0.2wt%デキストロース、(c)約2wt%~約20wt%、約3wt%~約15wt%、約7wt%~約15wt%、約3wt%~約5.5wt%、または約7wt%~約12wt%の低メトキシルペクチンなどのペクチン、(d)約0.1wt%~約10wt%、約0.2wt%~約8wt%、約0.4wt%~約5wt%、約0.05wt%~約5wt%、約0.1wt%~約3wt%、または約0.2wt%~約2wt%のジェランガムおよび(e)約15wt%~約45wt%、約15wt%~約40wt%、約20wt%~約35wt%、または約25wt%~約30wt%の可塑剤からなる。全てのwt%は、乾燥pH依存シェル組成物の総重量に基づく。
【0111】
ある特定の実施形態では、本開示は、シェル組成物中のゼラチン、ペクチン、およびジェランガム(ならびに存在する場合は必要に応じてデキストロースおよび/または可塑剤)の少なくとも1つの量を調整し、約1.2~約8.4の範囲のpHにおいて(例えば、pH1.2、pH2.0、pH3.0、pH4.0、pH5.0、pH6.0、pH6.8、pH7.0、pH8.0、pH8.4の1つもしくは複数、またはその中の任意の部分範囲もしくは単一のpH値で)標的pH依存溶解プロファイルを実現することによって、本明細書に記載の遅延放出ソフトゲルカプセルのいずれかのpH依存溶解プロファイルを調節するための方法を対象とする。
【0112】
ある特定の実施形態では、本開示は、本明細書に記載の遅延放出ソフトゲルカプセルのいずれか(状態を処置する、防止する、または回復させることができる活性剤を含有する)を、それを必要とする対象に投与することによって前記状態を処置する、防止する、または改善する方法を対象とする。
【0113】
ある特定の実施形態では、本開示は、本明細書に記載の遅延放出ソフトゲルカプセルのいずれかを対象に投与することによって、活性剤を胃腸管内の標的位置に(例えば、結腸に、十二指腸に、小腸および大腸に、または空腸に)送達する方法であって、遅延放出ソフトゲルカプセルのシェル組成物が、標的位置のpHにおいて、最大約120分で、最大約90分で、最大約60分で、最大約30分で、または最大約15分で溶解/崩壊し、遅延放出ソフトゲルカプセルのシェル組成物が、標的位置のpHより低いpHにおいて、最大約120分で、最大約90分で、最大約60分で、最大約30分で、または最大約15分で溶解/崩壊しないまたは実質的に溶解/崩壊しない、方法を対象とする。
【実施例】
【0114】
本発明の特定の実施形態は、以下の実施例を参照することによって今から実証される。これらの実施例は本発明を説明するためだけに開示され、本発明の範囲を限定すると決して解釈されるべきでないことが理解されるべきである。
【0115】
様々なpH条件での遅延放出ソフトゲルカプセルの溶解研究の要約
ペクチンのみとゼラチンで製造されたペクチンベース遅延放出ソフトゲルカプセルは、pH2.0以下においてのみ、長期間(120分)無傷なままであることができ、これは標準のインビトロ腸溶試験である。pH3.0以上の媒体に供した場合、ペクチンベースソフトゲルカプセルは、5~7分で破断し、完全に溶解し、即時放出カプセルになった(表1A)。これは、ヒトの食事によって引き起こされるpH変動に起因するヒトの上部胃腸管におけるソフトゲルカプセルの早期破断をもたらし得る。ソフトゲルカプセルの早期破断は、患者において望ましくない副作用をもたらし、ある特定の薬物製品のバイオアベイラビリティを低下させ得る。試験は、50RPMのパドル、リン酸緩衝液でpH1.2、2.0、3.0、4.0および5.0に調整した750~900ml 0.1N HCL酸性媒体を用いるUSP Apparatus IIで行った。2時間後、250mlリン酸緩衝溶液を添加し、pHを6.8に調整する。
【0116】
【0117】
ロット番号19MC-03のシェル組成物を表1Bにまとめる。
【0118】
【0119】
本発明により、ジェランガムをペクチンゲル塊に添加した場合(表2A湿潤塊;表2B乾燥カプセルシェル組成物)、得られる遅延放出ソフトゲルカプセルは、最大pH3.0の媒体中で120分間無傷のままであり、pH3~5の媒体中で60分間無傷のままであった(表3)。遅延放出ソフトゲルカプセルのこの幅広い範囲のpH耐性は、ソフトゲルカプセルが無傷で胃を通過し、薬物を腸で放出し、標的位置において意図される治療利益を達成し、薬物の早期放出に関連する副作用を防止するまたは最小にし、例えば患者の食事における変動に起因する上部胃腸管において生じ得る低pHから活性剤を保護することを可能にする。乾燥シェル組成物中のペクチン対ジェランガム重量比は10:1~24:1の範囲であった。
【0120】
【0121】
【0122】
【0123】
表2Bのシェル組成物を有する本発明の安定性試料を、6カ月、40℃および75%相対湿度で保存した。表4のシェル組成物を有する比較安定性試料も6カ月、40℃および75%相対湿度で保存した。比較および本発明の安定性試料を、ペプシンの添加なしおよびペプシンの添加ありで、pH5で溶解試験に供した。溶解試験の結果を以下の表5にまとめる。試験は、100RPMのパドル、リン酸緩衝液でpH5.0に調整した、ペプシンを含む(そのように示されている場合)750~900ml 0.1N HCL酸性媒体(「酸段階」とも称される)を用いるUSP Apparatus IIで行った。2時間後、パンクレアチンを含む(そのように示されている場合)250mlリン酸緩衝溶液を添加し、pHを6.8に調整する(「pH6.8緩衝液」または「緩衝液」とも称される)。酸段階において最大2時間で破断したカプセルは、pH6.8緩衝液試験に供しなかった。
【0124】
【0125】
【0126】
表5によると、ジェランガムの添加は、ジェランガムを含まないシェル組成物/ソフトゲルカプセルと比較して、より高いpH環境で、シェル組成物/ソフトゲルカプセルの溶解を遅延させる(またはシェル組成物/ソフトゲルカプセルがより長く耐久することに寄与した)。これは、ペプシンを含まない0.1N HClより攻撃的な環境であると推定される、酸段階がペプシンを含む場合でさえ成り立つ。
【0127】
ジェランガムの濃度のシェル組成物の溶解に対する効果は、0.5wt.%のジェランガム(乾燥シェル組成物の総重量に対して)および0.3wt.%のジェランガム(乾燥シェル組成物の総重量に対して)を有する本発明の安定性試料の溶解を比較することによってさらに評価した。安定性試料を6カ月間、40℃および75%相対湿度で保存した。溶解試験の結果を以下の表6にまとめる。試験は、100RPMのパドル、リン酸緩衝液でpH5.0に調整した750~900ml 0.1N HCL酸性媒体(「酸段階」とも称される)を用いるUSP Apparatus IIで行った。2時間後、パンクレアチンを含む(そのように示されている場合)250mlリン酸緩衝溶液を添加し、pHを6.8に調整する(「pH6.8緩衝液」または「緩衝液」とも称される)。酸段階において最大2時間で破断したカプセルはpH6.8緩衝液試験に供しなかった。
【0128】
【0129】
表6によると、より高いジェランガム濃度は、より少ないジェランガムを含有するカプセルと比較してより頑強なカプセルをもたらす。
【0130】
【0131】
硬化されず、周囲条件下(すなわち室温および湿度制御なし)で18カ月間保存したソフトゲルカプセルの溶解に対するジェランガムの効果を評価した。溶解試験の結果を以下の表8にまとめる。試験は、100RPM、続いて50RPMのパドル、リン酸緩衝液、0.2Mリン酸ナトリウムでpH3.0、4.0、および5.0に調整した750~900ml 0.1N HCL酸性媒体(「酸段階」とも称される)を用いるUSP Apparatus IIで行った。2時間後、250mlリン酸緩衝溶液を添加し、pHを6.8に調整する(「pH6.8緩衝液」または「緩衝液」とも称される)。酸段階において最大2時間で破断したカプセルはpH6.8緩衝液試験に供しなかった。
【0132】
【0133】
ジェランガムを含有する硬化されていないカプセルは、ジェランガムを含まないカプセルと比較して、より長く酸性媒体中で一貫して無傷のままであった。
【0134】
40℃で96時間硬化されたソフトゲルカプセルの溶解に対するジェランガムの効果を評価した。溶解試験の結果を以下の表9にまとめる。試験は、100RPM、続いて50RPMのパドル、リン酸緩衝液、0.2Mリン酸ナトリウムでpH4.0および5.0に調整した750~900ml 0.1N HCL酸性媒体(「酸段階」とも称される)を用いるUSP Apparatus IIで行った。2時間後、250mlリン酸緩衝溶液を添加し、pHを6.8に調整する(「pH6.8緩衝液」または「緩衝液」とも称される)。酸段階において最大2時間で破断したカプセルはpH6.8緩衝液試験に供しなかった。
【0135】
【0136】
【0137】
ジェランガムを含有する硬化されたカプセルは、ジェランガムを含まないカプセルより長い耐久時間を有した。
【0138】
6カ月間、40℃および75%相対湿度で保存した、表2Bのシェル組成物を有する本発明の安定性試料を様々なpH値で崩壊試験に供した。崩壊試験の結果を以下の表11にまとめる。崩壊試験は、リン酸緩衝液でpH4.0および5.0に調整した750~900ml 0.1N HCL酸性媒体(「酸段階」とも称される)中でUSP崩壊装置で行った。2時間後、250mlリン酸緩衝溶液を添加し、pHを6.8に調整する(「pH6.8緩衝液」とも称される)。
【0139】
【0140】
ジェランガムを含有するカプセルは、pH4およびpH5において120分の崩壊試験に耐久し、ジェランガムを含まないカプセルは、試験の酸段階部分の全体に耐久しなかった。
【0141】
説明を簡潔にするために、この開示の方法の実施形態は、一連の行為として表され、記載されている。しかし、この開示による行為は、様々な順序でおよび/または同時に、本明細書に提示および記載されていない他の行為と共に行うことができる。さらに、全ての説明された行為が、開示された主題による方法を実行するのに必要とされ得るわけではない。加えて、方法は状態図または事象により、一連の相互に関連する状態として代替的に表され得ることを当業者は理解し、認識する。
【0142】
前述の記載において、本開示の完全な理解を提供するために、特定の材料、寸法、プロセスパラメーターなどの多数の特定の詳細が示されている。特定の特色、構造、材料、または特徴は、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な様式で組み合わされ得る。単語「例」または「例示的な」は、例、事例、または実例として機能することを意味するために本明細書で使用される。「例」または「例示的な」と本明細書に記載される任意の態様または設計は、他の態様または設計に対して好ましいまたは有利であると必ずしも解釈されるべきでない。むしろ、単語「例」または「例示的な」の使用は、具体的に概念を提示することが意図されている。この出願で使用される場合、用語「または」は、排他的な「または」ではなく包括的な「または」を意味することが意図されている。つまり特に指定されていない限り、または文脈から明らかでない限り、「XはAまたはBを含む」は、自然な包括的置換のいずれかを意味することが意図されている。つまりXがAを含む;XがBを含む;またはXがAおよびBの両方を含む場合、「XはAまたはBを含む」は前述の事例のいずれにおいても満たされる。「1つの実施形態」、「ある特定の実施形態」、または「一実施形態」へのこの明細書全体の言及は、その実施形態に関連して記載された特定の特色、構造、または特徴が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、この明細書全体の様々な場所でのフレーズ「1つの実施形態」、「ある特定の実施形態」、または「一実施形態」の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指しているわけではない。
【0143】
本開示は、その特定の例示的な実施形態を参照して記載されてきた。したがって本明細書および図面は、制限的な意味ではなく例示的な意味で考慮されるべきである。本明細書に示され、記載されたものに加えて、本開示の様々な改変は、当業者に明らかになり、添付の特許請求の範囲内に入ることが意図されている。
【国際調査報告】