(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(54)【発明の名称】高血圧症誘発性の心筋微小出血に対するセラノスティクス
(51)【国際特許分類】
G01N 33/72 20060101AFI20221221BHJP
G01N 33/573 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
G01N33/72 A
G01N33/573 A
G01N33/72 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525206
(86)(22)【出願日】2020-10-30
(85)【翻訳文提出日】2022-06-10
(86)【国際出願番号】 US2020058335
(87)【国際公開番号】W WO2021087344
(87)【国際公開日】2021-05-06
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】514135801
【氏名又は名称】シーダーズ-サイナイ メディカル センター
(71)【出願人】
【識別番号】520061826
【氏名又は名称】ザ ボード オブ スーパーバイザーズ オブ ルイジアナ ステート ユニバーシティ アンド アグリカルチュラル アンド メカニカル カレッジ
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ダルマクマール ローハン
(72)【発明者】
【氏名】フランシス ジョセフ
【テーマコード(参考)】
2G045
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CA25
2G045CA26
2G045CB01
2G045CB03
2G045CB04
2G045CB07
2G045CB08
2G045CB14
2G045CB17
2G045CB26
2G045DA20
2G045DA51
2G045DA53
2G045DB11
2G045FA16
2G045FA19
2G045FA32
2G045FA40
2G045GC12
(57)【要約】
本発明は、とりわけ高血圧症及び心血管疾患を有する対象において、心臓または心筋の微小出血を検出、診断、及び/または予後予測するための、心血管の撮像方法及び/または血液マーカーの測定方法に関する。心臓または心筋の微小出血を有すると特定、診断、予後予測、または検出された対象に対する処置方法もまた提供される。一部の実施形態では、対象は、高血圧症誘発性の微小出血を有するが、心筋梗塞を有したことも再灌流療法を受けたこともない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その必要がある対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を特定、検出、予後予測、及び/または診断する方法であって、
前記心臓の撮像を実施すること及び/または前記対象の血液からヘモグロビン分解産物のレベルもしくはフェロトーシスマーカーのレベルを測定することによって、前記対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の存在を検出及び/または測定する段階
を含み、
前記対象の心臓における前記鉄沈着の存在が、前記対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を示すものである、
前記方法。
【請求項2】
前記対象が、高血圧症、高血圧緊急症、急性高血圧緊急症、遷延性高血圧症、またはそれらの組み合わせであると診断されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記検出及び/または測定が、前記対象の心臓の撮像を実施することを含み、前記撮像が、単光子放射コンピュータ断層撮影法(SPECT)、陽電子放射断層撮影法(PET)、コンピュータ断層撮影法(CT)、超音波(US)、磁気共鳴画像法(MRI)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記検出及び/または測定が、前記対象の心臓のSPECTスキャン、PETスキャン、または両方を実施することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの鉄沈着の存在を検出及び/または測定する段階が、前記対象の血液からのヘモグロビン分解産物のレベルまたはフェロトーシスマーカーのレベルを含み、前記ヘモグロビン分解産物が、鉄、ビリルビン、グロビン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記フェロトーシスマーカーが、グルタチオンペルオキシダーゼ4(GPX4)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記対象の心臓の前記画像、前記ヘモグロビン分解産物のレベル、または前記フェロトーシスマーカーのレベルを、参照試料から得られたものと比較する段階
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記参照試料と比べた前記対象の心臓における前記少なくとも1つの鉄沈着の存在が、前記対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を示すものであるか、または前記微小出血の予後予測もしくは診断である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記対象の心臓の前記画像、前記ヘモグロビン分解産物のレベル、または前記フェロトーシスマーカーのレベルにおける、前記参照試料から得られたものと比べた変化が、前記対象の心臓における少なくとも1つの微小出血の進行を示すものである、
前記対象の心臓における少なくとも1つの微小出血の進行を判定するための、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
その必要がある対象において心血管疾患を特定、検出、予後予測、診断、及び/または前記心血管疾患の進行を判定する方法であって、
心臓の撮像を実施すること及び/または前記対象の血液からヘモグロビン分解産物のレベルもしくはフェロトーシスマーカーのレベルを測定することによって、前記対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階であって、前記対象の心臓における前記鉄沈着の検出が、前記対象の心臓における少なくとも1つの微小出血の存在を示すものである、前記検出する段階と、
前記対象の心臓の前記画像、前記ヘモグロビン分解産物のレベル、または前記フェロトーシスマーカーのレベルを、参照試料から得られたものと比較する段階であって、前記対象の心臓の前記画像、前記ヘモグロビン分解産物のレベル、または前記フェロトーシスマーカーのレベルにおける、前記参照試料から得られたものと比べた変化が、前記対象における心血管疾患を示すものであるか、または前記心血管疾患の予後予測もしくは診断であるか、または前記心血管疾患の進行を示すものである、前記比較する段階と
を含む、前記方法。
【請求項10】
前記対象についての少なくとも1つのMR画像からバイオマーカーシグネチャを得るように、前記対象の心臓の前記少なくとも1つの画像における前記少なくとも1つの鉄沈着を、または前記対象の前記ヘモグロビン分解産物のレベルもしくは前記フェロトーシスマーカーのレベルによって示される前記少なくとも1つの鉄沈着を、前記対象の心臓における少なくとも1つの微小出血と相関付ける段階
をさらに含み、
前記比較する段階は、前記対象の前記画像から得られた前記バイオマーカーシグネチャを、参照試料からのバイオマーカーシグネチャと比較し、それによって前記心血管疾患の少なくとも1つのバイオマーカーを特定し、
前記参照試料からの前記バイオマーカーシグネチャと比べた、前記対象からの前記バイオマーカーシグネチャにおける変化が、前記対象における前記心血管疾患を示すものであるか、または前記心血管疾患の検出、予後予測、もしくは診断であるか、または前記心血管疾患の進行を示すものである、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記対象が、高血圧症、高血圧緊急症、急性高血圧緊急症、遷延性高血圧症、またはそれらの組み合わせであると診断されている、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記心血管疾患が、心筋症、心筋線維症、心不整脈、または心臓突然死を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
心筋微小出血に関連する心血管疾患を経験している、前記心血管疾患から回復中である、及び/または前記心血管疾患の発症リスクがある対象を処置する方法であって、
有効量の組成物を前記対象に投与する段階
を含み、
前記組成物が、キレート剤、ヘム結合タンパク質、ヘム分解タンパク質、ヘム遮断剤、ヘム結合タンパク質もしくはヘム分解タンパク質の量を増加させるのに有効な因子、またはそれらの組み合わせを含む、
前記方法。
【請求項14】
前記対象が、高血圧症、高血圧緊急症、急性高血圧緊急症、慢性高血圧症、またはそれらの組み合わせを有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の存在を検出及び/または測定する段階であって、それによって心血管疾患を心筋微小出血と関連付ける、前記検出及び/または測定する段階
をさらに含み、
前記検出及び/または測定が、前記心臓の撮像を実施すること及び/または前記対象の血液からヘモグロビン分解産物のレベルもしくはフェロトーシスマーカーのレベルを測定することを含む、
請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記キレート剤が、デフェロキサミン、デフェラシロクス、デフェリプロン、ヒノキチオール、デクスラゾキサン、2,2’-ビピリジル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、
前記ヘム結合タンパク質が、ヘモペキシン、ハプトグロビン、アルブミン、フェリチン、アルファ1-ミクログロブリン、アルファ1-アンチトリプシン、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、ヘム結合タンパク質/肝脂肪酸結合タンパク質、ヘム結合タンパク質23/ペルオキシレドキシン、p22ヘム結合タンパク質、及びグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択され、
前記ヘム分解タンパク質が、ヘムオキシゲナーゼ1、核内因子E2関連因子2(Nrf2)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、
前記ヘム遮断剤が、ヘプシジンを含み、かつ/または
前記因子が、ネコ白血病ウイルスサブグループC受容体(FLVCR)1a(FLVCR1a)、FLVCR2、ATP結合カセットサブファミリーGメンバー2(ABCG2)、及びそれらの組み合わせから選択される、
請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記心筋または前記心臓の他の部分における鉄沈着のレベルを検出するために、前記組成物の投与後に、前記対象の心臓を撮像する段階及び/または前記対象の血液からヘモグロビン分解産物のレベルもしくはフェロトーシスマーカーのレベルを測定する段階
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記心筋もしくは前記心臓の前記他の部分において、前記対象に先の用量が投与される前のレベルと比べて同じもしくはより高いレベルの鉄沈着が示される場合に、前記対象に前記組成物の後続の用量を投与する段階、または前記心筋もしくは前記心臓の前記他の部分において鉄沈着が存在しない場合に、前記組成物の投与を中止する段階
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記対象が、ヒトである、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記対象が、心筋梗塞も再灌流療法誘発性の出血も有しないか、または前記対象が、過去3日間、7日間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間、10ヶ月間、11ヶ月間、12ヶ月間、2年間、3年間、もしくは5年間に心筋梗塞も再灌流療法誘発性の出血も有したことがない、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を特定するためのものである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を検出するためのものである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を予後予測するためのものである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を診断するためのものである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記対象において前記心血管疾患を特定する、または前記心血管疾患を有する対象を特定するためのものである、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記対象において前記心血管疾患を検出するためのものである、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記対象において前記心血管疾患を予後予測するためのものである、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記対象において前記心血管疾患の進行を判定するためのものである、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119条(e)の下、2019年10月31日に出願された米国仮特許出願第62/928,717号に対する優先権の請求を含むものであり、同出願の全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、高血圧症及び心血管疾患に関連する種々の症状を検出、診断、及び/または予後予測するための心血管の撮像方法、ならびにその処置に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
本明細書で引用される全ての刊行物は、あたかも個々の各刊行物または特許出願が、参照によって援用されることが具体的かつ個別に示された場合と同じ程度に、参照によりそれらの全体が援用される。以下の説明は、本発明を理解する上で有用であり得る情報を含む。本明細書で提供される情報のいずれも、ここで特許請求される本発明に対する先行技術であること、もしくはそれに関連すること、または具体的もしくは黙示的に言及されるいずれの刊行物も先行技術であることを認めるものではない。
【0004】
多くの人々は、高血圧症を患うか、または高血圧症の発症リスクがある。高血圧症は、心血管疾患、心不整脈、心臓突然死、及び死亡を含めた種々の有害転帰につながり得る。したがって、高血圧症を有する人々における有害転帰、とりわけ高血圧症を有すると同時に心血管疾患または心臓関連の疾病の発症リスクがあるかまたはそれを患う人々に対する有害転帰を低減するために、高血圧症に関連する症状を検出、診断、及び/または処置するための方法に対する必要性がある。
【発明の概要】
【0005】
以下の実施形態及びその態様は、範囲を限定するのではなく、代表的かつ例示的であることが意図される組成物及び方法と併せて説明及び例示される。
【0006】
種々の実施形態では、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を特定及び/または評価するための方法が提供され、該方法は、対象の心臓の少なくとも1つの画像を得る段階と、該少なくとも1つの画像から対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階とを含み、対象の心臓における鉄沈着の検出が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を示すものである。他の実施形態では、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を特定及び/または評価するための方法が提供され、該方法は、対象の血液からヘモグロビン分解産物のレベルまたはフェロトーシスマーカーのレベルを測定することによって、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の存在を検出及び/または測定する段階を含み、対象の心臓における鉄沈着の検出が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を示すものである。
【0007】
種々の実施形態では、心臓における少なくとも1つの微小出血は、高血圧症によって誘発されるか、またはそれに関連する。一部の実施形態では、対象は、高血圧症を有する。一部の実施形態では、対象は、高血圧症であると診断されている。一部の実施形態では、対象は、別の病態によって引き起こされる二次性高血圧症を有し、したがって、対象はまた、慢性腎疾患、多発性嚢胞腎疾患、心臓の大動脈縮窄症、副腎障害、甲状腺機能亢進症、腎動脈狭窄症、睡眠障害、または褐色細胞腫も有するか、またはそれも有すると診断されている。一部の実施形態では、対象は、血圧の薬を服用したことがあるか、または服用している。一部の実施形態では、対象は、ストレス誘発性心筋症を有する。一部の実施形態では、対象は、心筋梗塞も再灌流療法誘発性の出血も有せず、一部のさらなる態様では、対象は、出血性心筋梗塞を有せず、一部のさらなる態様では、対象は、再灌流療法を受けたことがなく、したがって再灌流出血を有することはない。一部の実施形態では、対象は、過去3日間、7日間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間、10ヶ月間、11ヶ月間、12ヶ月間、2年間、3年間、または5年間に心筋梗塞を有したことも再灌流療法を受けたこともない。一部の実施形態では、本明細書に開示される1つまたは複数の方法を必要とする対象は、上記のいずれか1つまたは複数の特徴を有する対象であり、一部の実施形態では、それを必要とする対象は、心筋微小出血の特定、検出、予後予測、または診断を所望している。
【0008】
種々の実施形態では、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を検出するための方法が提供され、該方法は、心臓の撮像を実施すること及び/または対象の血液からヘモグロビン分解産物のレベルもしくはフェロトーシスマーカーのレベルを測定することによって、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の存在を検出及び/または測定する段階を含み、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の検出が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を示すものであり、及び/または該微小出血の検出である。
【0009】
種々の実施形態では、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を予後予測するための方法が提供され、該方法は、心臓の撮像を実施すること及び/または対象の血液からヘモグロビン分解産物のレベルもしくはフェロトーシスマーカーのレベルを測定することによって、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の存在を検出及び/または測定する段階を含み、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の検出が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血の予後予測である。
【0010】
種々の実施形態では、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を診断するための方法が提供され、該方法は、心臓の撮像を実施すること及び/または対象の血液からヘモグロビン分解産物のレベルもしくはフェロトーシスマーカーのレベルを測定することによって、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の存在を検出及び/または測定する段階を含み、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の検出が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血の診断である。
【0011】
種々の実施形態では、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血の発症リスクを評価及び/または判定するための方法が提供され、該方法は、心臓の撮像を実施すること及び/または対象の血液からヘモグロビン分解産物のレベルもしくはフェロトーシスマーカーのレベルを測定することによって、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の存在を検出及び/または測定する段階を含み、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の検出が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血の増加した発症リスクを示すものである。
【0012】
種々の実施形態では、心臓の微小出血を有する対象を特定するための方法が提供され、該対象は、高血圧症を有し、該方法は、高血圧症であると診断されたまたは高血圧症を患う対象を選択する段階と、心臓の一部分における鉄含有沈着を検出するために対象の心臓の少なくとも一部分の臨床撮像スキャンを実施する段階とを含む。代表的な臨床撮像スキャンには、単光子放射コンピュータ断層撮影法(SPECT)、陽電子放射断層撮影法(PET)、コンピュータ断層撮影法(CT)、超音波(US)、磁気共鳴画像法(MRI)、及びそれらの組み合わせが含まれる。これらの撮像技法のうちの1つまたは複数は、フェロトーシスに関連するヘモグロビンまたはタンパク質の分解産物にタグを付けることができる。
【0013】
種々の実施形態では、対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの微小出血を特定及び/または評価するための方法が提供され、該方法は、心臓の少なくとも1つの部分の臨床撮像を実施することによって、対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階を含み、対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの鉄沈着の検出が、対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの微小出血を示すものである。
【0014】
種々の実施形態では、対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの微小出血を検出するための方法が提供され、該方法は、心臓の少なくとも1つの部分の臨床撮像を実施することによって、対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階を含み、対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの鉄沈着の検出が、対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの微小出血を示すものであり、及び/または該微小出血の検出である。
【0015】
種々の実施形態では、対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの微小出血を予後予測するための方法が提供され、該方法は、心臓の少なくとも1つの部分の臨床撮像を実施することによって、対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階を含み、対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの鉄沈着の検出が、対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの微小出血の予後予測である。
【0016】
種々の実施形態では、対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの微小出血を診断するための方法が提供され、該方法は、心臓の少なくとも1つの部分の臨床撮像を実施することによって、対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階を含み、対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの鉄沈着の検出が、対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの微小出血の診断である。
【0017】
種々の実施形態では、対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの微小出血の発症リスクを評価及び/または判定するための方法が提供され、該方法は、心臓の少なくとも1つの部分の臨床撮像を実施することによって、対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階を含み、対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの鉄沈着の検出が、対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの微小出血を発症することに対する対象の増加したリスクを示すものである。
【0018】
種々の実施形態では、対象の少なくとも1つの心臓組織における少なくとも1つの微小出血を特定及び/または評価するための方法が提供され、該方法は、少なくとも1つの心臓組織の臨床撮像を実施することによって、対象の少なくとも1つの心臓組織における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階を含み、少なくとも1つの心臓組織における少なくとも1つの鉄沈着の検出が、対象の少なくとも1つの心臓組織における少なくとも1つの微小出血を示すものである。
【0019】
種々の実施形態では、対象の少なくとも1つの心臓組織における少なくとも1つの微小出血を検出するための方法が提供され、該方法は、少なくとも1つの心臓組織の臨床撮像を実施することによって、対象の少なくとも1つの心臓組織における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階を含み、少なくとも1つの心臓組織における少なくとも1つの鉄沈着の検出が、対象の少なくとも1つの心臓組織における少なくとも1つの微小出血を示すものであり、及び/または該微小出血の検出である。
【0020】
種々の実施形態では、対象の少なくとも1つの心臓組織における少なくとも1つの微小出血を予後予測するための方法が提供され、該方法は、少なくとも1つの心臓組織の臨床撮像を実施することによって、対象の少なくとも1つの心臓組織における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階を含み、心臓における少なくとも1つの鉄沈着の検出が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血の予後予測である。
【0021】
種々の実施形態では、対象の少なくとも1つの心臓組織における少なくとも1つの微小出血を診断するための方法が提供され、該方法は、少なくとも1つの心臓組織の臨床撮像を実施することによって、対象の少なくとも1つの心臓組織における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階を含み、少なくとも1つの心臓組織における少なくとも1つの鉄沈着の検出が、対象の少なくとも1つの心臓組織における少なくとも1つの微小出血の診断である。
【0022】
種々の実施形態では、対象の少なくとも1つの心臓組織における少なくとも1つの微小出血の発症リスクを評価及び/または判定するための方法が提供され、該方法は、少なくとも1つの心臓組織の臨床撮像を実施することによって、対象の少なくとも1つの心臓組織における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階を含み、少なくとも1つの心臓組織における少なくとも1つの鉄沈着の検出が、対象の少なくとも1つの心臓組織における少なくとも1つの微小出血を発症することに対する対象の増加したリスクを示すものである。
【0023】
種々の実施形態では、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を特定及び/または評価するための方法が提供され、該方法は、心臓の臨床撮像を実施することによって、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階と、対象の心臓の画像を参照試料からの少なくとも1つの画像と比較する段階とを含み、参照試料と比べた対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の存在が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を示すものである。
【0024】
種々の実施形態では、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を検出するための方法が提供され、該方法は、心臓の臨床撮像を実施することによって、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階と、対象の心臓の画像を参照試料からの少なくとも1つの画像と比較する段階とを含み、参照試料と比べた対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の存在が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を示すものである。
【0025】
種々の実施形態では、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を予後予測するための方法が提供され、該方法は、心臓の臨床撮像を実施することによって、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階と、対象の心臓の画像を参照試料からの少なくとも1つの画像と比較する段階とを含み、参照試料と比べた対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の存在が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血の予後予測である。
【0026】
種々の実施形態では、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を診断するための方法が提供され、該方法は、心臓の臨床撮像を実施することによって、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階と、対象の心臓の画像を参照試料からの少なくとも1つの画像と比較する段階とを含み、参照試料と比べた対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の存在が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血の診断である。
【0027】
種々の実施形態では、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血の発症リスクを評価及び/または判定するための方法が提供され、該方法は、心臓の臨床撮像を実施することによって、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階と、対象の心臓の画像を参照試料からの少なくとも1つの画像と比較する段階とを含み、参照試料と比べた対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の存在が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を発症することに対する対象の増加したリスクを示すものである。
【0028】
種々の実施形態では、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血の進行を判定するための方法が提供され、該方法は、心臓の臨床撮像を実施することによって、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階と、対象の心臓の画像を参照試料からの少なくとも1つの画像と比較する段階とを含み、参照試料からの少なくとも1つの画像と比べた対象の心臓の画像における変化が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血の進行を示すものである。
【0029】
種々の実施形態では、対象において心血管疾患を特定及び/または評価するための方法が提供され、該方法は、心臓の臨床撮像を実施することによって、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階であって、対象の心臓における鉄沈着の検出が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血の存在を示すものである、該検出する段階と、対象の心臓の画像を参照試料からの少なくとも1つの画像と比較する段階であって、参照試料からの少なくとも1つの画像と比べた対象の心臓の画像における変化が、対象における心血管疾患を示すものである、該比較する段階とを含む。
【0030】
種々の実施形態では、対象において心血管疾患を検出するための方法が提供され、該方法は、心臓の臨床撮像を実施することによって、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階であって、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の検出が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血の存在を示すものである、該検出する段階と、対象の心臓の少なくとも1つの画像を参照試料からの少なくとも1つの画像と比較する段階であって、参照試料からの少なくとも1つの画像と比べた対象の心臓の少なくとも1つの画像における変化が、対象における心血管疾患を示すものである、該比較する段階とを含む。
【0031】
種々の実施形態では、対象において心血管疾患を検出するための方法が提供され、該方法は、心臓の臨床撮像を実施することによって、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階であって、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の検出が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血の存在を示すものである、該検出する段階と、対象の心臓の少なくとも1つの画像を参照試料からの少なくとも1つの画像と比較する段階であって、参照試料からの少なくとも1つの画像と比べた対象の心臓の少なくとも1つの画像における変化が、対象における心血管疾患を示すものである、該比較する段階とを含む。
【0032】
種々の実施形態では、対象において心血管疾患を予後予測するための方法が提供され、該方法は、心臓の臨床撮像を実施することによって、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階であって、対象の心臓における鉄沈着の検出が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血の存在を示すものである、該検出する段階と、対象の心臓の画像を参照試料からの少なくとも1つの画像と比較する段階であって、参照試料からの少なくとも1つの画像と比べた対象の心臓の画像における変化が、対象における心血管疾患の予後予測である、該比較する段階とを含む。
【0033】
種々の実施形態では、対象において心血管疾患を診断するための方法が提供され、該方法は、心臓の臨床撮像を実施することによって、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階であって、対象の心臓における鉄沈着の検出が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血の存在を示すものである、該検出する段階と、対象の心臓の画像を参照試料からの少なくとも1つの画像と比較する段階であって、参照試料からの少なくとも1つの画像と比べた対象の心臓の画像における変化が、対象における心血管疾患の診断である、該比較する段階とを含む。
【0034】
種々の実施形態では、対象において心血管疾患の発症リスクを評価及び/または判定するための方法が提供され、該方法は、心臓の臨床撮像を実施することによって、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階であって、対象の心臓における鉄沈着の検出が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血の存在を示すものである、該検出する段階と、対象の心臓の画像を参照試料からの少なくとも1つの画像と比較する段階であって、参照試料からの少なくとも1つの画像と比べた対象の心臓の画像における変化が、対象において心血管疾患を発症することに対する対象の増加したリスクを示すものである、該比較する段階とを含む。
【0035】
種々の実施形態では、対象において心血管疾患の進行を判定するための方法が提供され、該方法は、心臓の臨床撮像を実施することによって、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階であって、対象の心臓における鉄沈着の検出が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血の存在を示すものである、該検出する段階と、対象の心臓の画像を参照試料からの少なくとも1つの画像と比較する段階であって、参照試料からの少なくとも1つの画像と比べた対象の心臓の画像における変化が、対象における心血管疾患の進行を示すものである、該比較する段階とを含む。
【0036】
種々の実施形態では、心血管疾患は、1つ、2つ、または多数の心臓病態であり得る。
【0037】
種々の実施形態では、対象において心血管疾患の少なくとも1つのバイオマーカーを特定するための方法が提供され、該方法は、心臓の臨床撮像を実施することによって、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階と、対象についてのバイオマーカーシグネチャを得るように、対象の心臓の少なくとも1つの画像における少なくとも1つの鉄沈着を、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血と相関付ける段階と、対象からのバイオマーカーシグネチャを参照試料からのバイオマーカーシグネチャと比較する段階とを含み、心血管疾患の少なくとも1つのバイオマーカーが特定される。
【0038】
種々の実施形態では、対象において心血管疾患を特定及び/または評価するための方法が提供され、該方法は、心臓の臨床撮像を実施することによって、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階と、対象についてのバイオマーカーシグネチャを得るように、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血と相関付ける段階と、対象からのバイオマーカーシグネチャを参照試料からのバイオマーカーシグネチャと比較する段階とを含み、参照試料からのバイオマーカーシグネチャと比べた対象からのバイオマーカーシグネチャにおける変化が、対象における心血管疾患を示すものである。
【0039】
種々の実施形態では、対象において心血管疾患を検出するための方法が提供され、該方法は、心臓の臨床撮像を実施することによって、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階と、対象についてのバイオマーカーシグネチャを得るように、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血と相関付ける段階と、対象からのバイオマーカーシグネチャを参照試料からのバイオマーカーシグネチャと比較する段階とを含み、参照試料からのバイオマーカーシグネチャと比べた対象からのバイオマーカーシグネチャにおける変化が、対象における心血管疾患を示すものであり、及び/または該心血管疾患の検出である。
【0040】
種々の実施形態では、対象において心血管疾患を予後予測するための方法が提供され、該方法は、心臓の臨床撮像を実施することによって、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階と、対象についてのバイオマーカーシグネチャを得るように、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血と相関付ける段階と、対象からのバイオマーカーシグネチャを参照試料からのバイオマーカーシグネチャと比較する段階とを含み、参照試料からのバイオマーカーシグネチャと比べた対象からのバイオマーカーシグネチャにおける変化が、対象における心血管疾患の予後予測である。
【0041】
種々の実施形態では、対象において心血管疾患を診断するための方法が提供され、該方法は、心臓の臨床撮像を実施することによって、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階と、対象についてのバイオマーカーシグネチャを得るように、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血と相関付ける段階と、対象からのバイオマーカーシグネチャを参照試料からのバイオマーカーシグネチャと比較する段階とを含み、参照試料からのバイオマーカーシグネチャと比べた対象からのバイオマーカーシグネチャにおける変化が、対象における心血管疾患の診断である。
【0042】
種々の実施形態では、対象において心血管疾患の進行を判定するための方法が提供され、該方法は、心臓の臨床撮像を実施することによって、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階と、対象についてのバイオマーカーシグネチャを得るように、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血と相関付ける段階と、対象からのバイオマーカーシグネチャを参照試料からのバイオマーカーシグネチャと比較する段階とを含み、参照試料からのバイオマーカーシグネチャと比べた対象からのバイオマーカーシグネチャにおける変化が、対象における心血管疾患の進行を示すものである。
【0043】
一部の実施形態では、対象において心血管疾患の発症リスクを評価及び/または判定するための方法が提供され、該方法は、心臓の臨床撮像を実施することによって、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階と、対象についてのバイオマーカーシグネチャを得るように、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血と相関付ける段階と、対象からのバイオマーカーシグネチャを参照試料からのバイオマーカーシグネチャと比較する段階とを含み、参照試料からのバイオマーカーシグネチャと比べた対象からのバイオマーカーシグネチャにおける変化が、心血管疾患を発症することに対する対象の増加したリスクを示すものである。
【0044】
種々の実施形態では、対象において少なくとも1つの心不整脈のリスクを評価及び/または判定するための方法が提供され、該方法は、心臓の臨床撮像を実施することによって、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階を含み、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の存在が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を示すものであり、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血が、対象における少なくとも1つの心不整脈の増加したリスクを示すものである。
【0045】
種々の実施形態では、対象において心臓突然死のリスクを評価及び/または判定するための方法が提供され、該方法は、心臓の臨床撮像を実施することによって、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階を含み、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の存在が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を示すものであり、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血が、対象における心臓突然死の増加したリスクを示すものである。
【0046】
種々の実施形態では、対象における心血管疾患のリスクを評価及び/または判定するための方法が提供され、該方法は、心臓の臨床撮像を実施することによって、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階を含み、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の存在が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を示すものであり、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血が、対象における心血管疾患の増加したリスクを示すものである。
【0047】
一部の実施形態では、対象は、ヒトである。一部の実施形態では、対象は、高血圧症、高血圧緊急症、急性高血圧緊急症、遷延性高血圧症、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つを有する。一部の実施形態では、対象は、ストレス誘発性心筋症等の心筋症を有する。
【0048】
種々の実施形態は、高血圧症または高血圧緊急症を有する対象において心筋微小出血に関連する心血管疾患を処置する、またはその重症度もしくはリスクを低減するための方法を提供し、該方法は、対象に、鉄キレート剤、ヘム結合タンパク質、ヘム分解タンパク質、ヘム遮断タンパク質、またはヘム結合タンパク質もしくはヘム分解タンパク質の量を増加させるのに有効な因子を含む有効量の組成物を投与する段階を含む。
【0049】
これらの処置方法のさらなる実施形態は、心臓の少なくとも1つの部分に鉄沈着を有する対象を選択する段階と、対象に、有効量の該組成物を投与する段階とを含む。一部の態様では、心臓に鉄沈着を有する対象は、心臓における鉄の存在を検出するために、臨床撮像スキャンを実施すること及び/または血液ベースのマーカーを測定することによって選択及び/または特定される。
【0050】
一部の実施形態では、該方法は、対象を治療薬で処置する段階及び/または対象に対する治療薬を選択する段階及び/または対象に治療薬を提供する段階及び/または対象に治療薬を投与する段階をさらに含む。一部の実施形態では、治療薬は、少なくとも1つのキレート剤である。一部の実施形態では、キレート剤は、デフェロキサミン、デフェラシロクス、デフェリプロン、ヒノキチオール、デクスラゾキサン、2,2’-ビピリジル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。一部の実施形態では、キレート剤は、鉄キレート剤である。一部の実施形態では、鉄キレート剤は、細胞内鉄キレート剤、細胞外鉄キレート剤、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。一部の実施形態では、細胞内鉄キレート剤は、第一鉄、第二鉄、及びそれらの組み合わせをキレート化する。一部の実施形態では、細胞外鉄キレート剤は、第一鉄、第二鉄、及びそれらの組み合わせをキレート化する。一部の実施形態では、治療薬は、少なくとも1つのヘム結合タンパク質、少なくとも1つのヘム分解タンパク質、少なくとも1つのヘム遮断剤/タンパク質、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。一部の実施形態では、該方法は、対象における少なくとも1つのヘム結合タンパク質、少なくとも1つのヘム分解タンパク質、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの量を増加させるのに有効な因子のある量を、対象に投与する段階をさらに含む。一部の実施形態では、ヘム結合タンパク質は、ヘモペキシン、ハプトグロビン、アルブミン、フェリチン、アルファ1-ミクログロブリン、アルファ1-アンチトリプシン、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、ヘム結合タンパク質/肝脂肪酸結合タンパク質、ヘム結合タンパク質23/ペルオキシレドキシン、p22ヘム結合タンパク質、及びグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される。一部の実施形態では、ヘム分解タンパク質は、ヘムオキシゲナーゼ1、核内因子E2関連因子2(Nrf2)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。一部の実施形態では、ヘム遮断剤/タンパク質は、ヘプシジンである。一部の実施形態では、因子は、FLVCR1a(ネコ白血病ウイルスサブグループC受容体1a)、ABCG2(ATP結合カセットサブファミリーGメンバー2)、FLVCR2、及びそれらの組み合わせから選択される。一部の実施形態では、ヘム結合タンパク質は、ヘムスカベンジャーである。
【0051】
一部の実施形態では、鉄沈着(別称、鉄含有沈着)は、酸化鉄を含む。一部の実施形態では、鉄沈着は、鉄を含む少なくとも1つの化合物を含む。一部の実施形態では、該化合物は、ヘム、ヘム誘導体、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。一部の実施形態では、鉄は、可能な任意の酸化状態にある。一部の実施形態では、酸化状態は、+2、+2/+3、+3、+4、及びそれらの組み合わせから選択される。一部の実施形態では、鉄は、第一鉄、第二鉄、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。一部の実施形態では、鉄は、任意の形態である。
【0052】
一部の実施形態では、心臓の一部分は、心外膜、心筋、心内膜、弁組織、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。一部の実施形態では、心臓の一部分は、弁組織、心内膜、肺動脈弁、腕頭動脈、上大静脈、右肺動脈、右肺静脈、三尖弁、右心室、下大静脈、下行大動脈、乳頭筋、心室中隔、心外膜、左心室、心筋、僧帽弁、大動脈弁、左肺静脈、左肺動脈、大動脈、左鎖骨下動脈、肺動脈幹、左総頸動脈、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。一部の実施形態では、心臓の一部分は、心筋であるか、または心筋を含む。
【0053】
一部の実施形態では、変化は、少なくとも1つの鉄沈着におけるものである。一部の実施形態では、変化は、少なくとも1つの鉄沈着の量(amount)、量(quantity)、濃度、形状、サイズ、及びパターンからなる群から選択される少なくとも1つにおけるものである。
【0054】
一部の実施形態では、参照試料は、対照対象からの心臓であり、該対照対象は、心臓に少なくとも1つの鉄沈着を有しない。一部の実施形態では、参照試料は、対照対象からの心臓であり、該対照対象は、心臓に少なくとも1つの微小出血を有しない。一部の実施形態では、参照試料は、より早期の時点での対象からの心臓である。
【0055】
一部の実施形態では、心血管疾患は、梗塞した心筋、冠動脈疾患、冠動脈性心疾患、虚血性心疾患、心筋症、脳卒中、高血圧症性心疾患、心不全、肺性心疾患、虚血性症候群、冠微小血管疾患、心不整脈、リウマチ性心疾患、大動脈瘤、心筋症、心房細動、先天性心疾患、心内膜炎、炎症性心疾患、心内膜炎、炎症性心肥大、心筋炎、心臓弁膜症、脳血管疾患、末梢動脈疾患、急性ストレス誘発性心筋症(たこつぼ型心筋症)、びまん性心筋線維症、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。一部の実施形態では、心血管疾患は、突然心不全もしくは突然死、心筋の電気伝導異常もしくは機械的異常、心筋炎症、心室性不整脈、心房細動、心筋線維症、及び/または有害な心臓リモデリングを含む。一部の実施形態では、心血管疾患は、心筋線維症を含む。一部の実施形態では、心血管疾患は、心筋線維症からなる。一部の実施形態では、心血管疾患は、心筋線維症から本質的になる。
【0056】
一部の実施形態では、参照試料は、対象が心血管疾患に対して処置される前の該対象からの心臓である。一部の実施形態では、参照試料は、心血管疾患に対して成功裏に処置された対象からの心臓である。
【0057】
一部の実施形態では、参照試料は、対照対象からの心臓であり、該対照対象は、心血管疾患を有しない。一部の実施形態では、該対照対象は、高血圧症も、高血圧緊急症も、急性高血圧緊急症も、遷延性高血圧症も有しない。一部の実施形態では、参照試料は、対照対象からの心臓であり、該対照対象は、心血管疾患を有する。
【0058】
一部の実施形態では、参照試料は、高血圧症に対して成功裏に処置された対象の心臓からのものである。一部の実施形態では、参照試料は、より早期の時点での対象の心臓からのものである。
【0059】
一部の実施形態では、少なくとも1つの臨床画像を得ること、または少なくとも1つの臨床撮像を実施することは、少なくとも1つの臨床画像を得るために臨床撮像マシン/スキャナを操作することを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのCT画像を得ることは、少なくとも1つのCT画像を得るためにCT撮像マシン/スキャナを操作することを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのSPECT画像を得ることは、少なくとも1つのSPECT画像を得るためにSPECT撮像マシン/スキャナを操作することを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのPET画像を得ることは、少なくとも1つのPET画像を得るためにPET撮像マシン/スキャナを操作することを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの磁気共鳴画像を得ることは、少なくとも1つの磁気共鳴画像を得るために磁気共鳴撮像マシン/スキャナを操作することを含む。
【0060】
一部の実施形態では、心臓組織は、弁組織、心内膜、肺動脈弁、腕頭動脈、上大静脈、右肺動脈、右肺静脈、三尖弁、右心室、下大静脈、下行大動脈、乳頭筋、心室中隔、心外膜、左心室、心筋、僧帽弁、大動脈弁、左肺静脈、左肺動脈、大動脈、左鎖骨下動脈、肺動脈幹、左総頸動脈、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
代表的な実施形態が、参照される図に例示される。本明細書に開示される実施形態及び図は、制限するものではなく例示的なものとみなされることが意図される。
【0062】
【
図1】Aは、心筋組織における鉄を図示する代表的なプルシアンブルー染色画像であり、Bは、結果として生じる心筋線維症を図示する代表的なエラスチンのマッソントリクローム染色画像であり、いずれも高血圧症を誘発させるためにアンジオテンシンIIで処置された野生型ラットからのものである。
【発明を実施するための形態】
【0063】
発明の詳細な説明
本明細書で引用される全ての参考文献は、あたかも完全に記載されたかのように参照によりそれらの全体が援用される。別途規定されない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。Allen et al.,Remington:The Science and Practice of Pharmacy 22nd ed.,Pharmaceutical Press(September 15,2012)、Hornyak et al.,Introduction to Nanoscience and Nanotechnology,CRC Press(2008)、Smith,March’s Advanced Organic Chemistry Reactions,Mechanisms and Structure 7th ed.,J.Wiley & Sons(New York,NY 2013)、Singleton,Dictionary of DNA and Genome Technology 3rd ed.,Wiley-Blackwell(November 28,2012)、及びGreen and Sambrook,Molecular Cloning:A Laboratory Manual 4th ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press(Cold Spring Harbor,NY 2012)は、本願で使用される用語のうちの多くの一般的な指針を当業者に提供する。
【0064】
当業者であれば、本発明の実施に使用することができる、本明細書に記載されるものと類似または同等の多くの方法及び材料を認識するであろう。本発明の他の特徴及び利点は、本発明の実施形態の様々な特徴を例として例示する添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。実際、本発明は、記載される方法及び材料に決して限定されない。便宜上、本明細書、実施例、及び添付の特許請求の範囲において、本明細書で用いられるある特定の用語をここに集める。
【0065】
別途定めのない限り、または文脈から黙示的でない限り、以下の用語及び語句は、以下に提供される意味を含む。別途明示的な定めのない限り、または文脈から明らかでない限り、下記の用語及び語句は、当該用語または語句が関連する技術分野において獲得している意味を除外しない。別途規定されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本発明は、本明細書に記載される特定の手法、プロトコル、及び試薬等に限定されず、したがって様々であり得ることが理解されるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用される定義及び用語は、特定の実施形態の説明を補助するために提供されており、特許請求される発明を限定することは意図されない。
【0066】
「含む(comprising)」または「含む(comprise)」という用語は、ある実施形態に対して有用である組成物、方法、システム、製造品、及びそれらのそれぞれの構成要素(複数可)を参照して使用されるが、なおも有用であるか否かにかかわらず未指定の要素を含むことに対して開放的である。一般に、本明細書で使用される用語は一般に「開放形式」の用語として意図されることを当業者は理解するであろう(例えば、「含む(including)」という用語は、「含む(including)がこれに限定されない」と解釈されるべきであり、「有する」という用語は、「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、「含む(include)」という用語は、「含む(include)がこれに限定されない」と解釈されるべきである等)。本明細書では、本発明を説明及び特許請求するために、含む(including)、含有する(containing)、または有する等の用語の同義語として「含む(comprising)」という開放形式の用語が使用されるが、本発明、またはその実施形態は、代替として、「からなる」または「から本質的になる」等の代替的な用語を使用して説明されてもよい。
【0067】
別途定めのない限り、「1つの(a)」及び「1つの(an)」及び「その(the)」という用語ならびに本願の特定の実施形態を説明する文脈において(とりわけ特許請求の文脈において)使用される類似の指示対象は、単数形及び複数形の両方を網羅すると解釈され得る。本明細書における値の範囲の列挙は、その範囲内に入る別個の各値を個々に言及する簡潔な方法としての役目を果たすことが意図されているにすぎない。本明細書で別途指示されない限り、個々の各値は、あたかもそれが本明細書に個々に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の全ての方法は、本明細書で別途指示されない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施され得る。本明細書のある特定の実施形態に関して提供されるありとあらゆる例、または例示的な文言(例えば、「等」)の使用は、本願をよりよく明らかにすることが意図されているにすぎず、別途特許請求される本願の範囲に制限を課さない。「例えば(e.g.)」という略語は、ラテン語のexempli gratiaに由来し、非限定的な例を示すように本明細書で使用される。故に、「例えば(e.g.)」という略語は、「例えば(for example)」という用語と同義である。本明細書におけるいかなる文言も、本願の実施に必須の任意の特許請求されていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0068】
「任意選択的な」または「任意選択的に」とは、その後に説明される状況が起こる場合もあれば、起こらない場合もあることを意味し、それにより、その説明は、その状況が起こる事例及びそれが起こらない事例を含む。
【0069】
本明細書に開示される本発明の代替的な要素または実施形態の群分けは、限定として解釈されるべきではない。各群のメンバーは、個々に、または群の他のメンバーもしくは本明細書に見出される他の要素と任意に組み合わせて言及され得、特許請求され得る。群の1つまたは複数のメンバーは、利便性及び/または特許性の理由から、群に含められ得るか、または群から削除され得る。任意のそのような包含または削除が生じる場合、本明細書は、添付の特許請求の範囲で使用される全てのマーカッシュ群の記述を満たすように修正された群を含有するものと本明細書ではみなされる。
【0070】
「処置する」、「処置」、「処置すること」、または「改善」という用語は、疾患、障害、または医学的状態を参照して使用される場合、治療的処置及び予防(prophylactic)措置または予防(preventative)措置の両方を指し、その目的は、症状または病態の進行または重症度を好転させる、緩和する、改善させる、阻害する、軽減する、減速させる、または止めることである。「処置すること」という用語は、病態の少なくとも1つの有害作用または症状を低減または緩和することを含む。1つまたは複数の症状または臨床マーカーが低減される場合、処置は一般に「有効」である。代替として、疾患、障害、または医学的状態の進行が低減または停止する場合、処置は「有効」である。つまり、「処置」には、症状またはマーカーの改善だけでなく、処置しない場合に予想される症状の停止、または少なくともその進行もしくは悪化の減速も含まれる。また、「処置」は、たとえ処置が最終的に奏功しない場合であっても、有益な結果を追求もしくは獲得すること、または個体が病態を発症する可能性を低下させることを意味する場合がある。処置を必要とする者には、病態を既に有する者、ならびに病態を有する傾向にある者または病態が予防されるべき者が含まれる。処置または治療的処置の非限定的な例としては、薬理学的療法、生物学的療法、介入的外科的処置、及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つが挙げられる。治療的処置の非限定的な例としては、ステント挿入、冠動脈バイパス移植、もしくは医学療法、またはそれらの組み合わせによる冠血行再建のうちのいずれか1つまたは複数が挙げられる。医学療法(血圧の薬)の非限定的な例としては、スタチン、LDL低下、ベータ遮断薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、カルシウムチャネル遮断薬、アンジオテンシンIIアンタゴニスト、血管拡張剤、利尿剤、レニン阻害剤、アスピリン等、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0071】
「予防的処置」という用語は、健常な対象または疾患を有しない対象の健常な状態または非疾患状態を維持または改善することを意味する。「予防的処置」という用語はまた、病態、疾患、または障害に関連する症状の出現を予防または減速させることも意味する。「予防的処置」という用語はまた、対象が病態、疾患、または障害を獲得するのを予防または減速させることも意味する。
【0072】
「有益な結果」または「所望の結果」には、病状の重症度を軽減または緩和すること、病状が悪化するのを予防すること、病状を治癒すること、病状が発症するのを予防すること、患者が病状を発症する可能性を低下させること、罹患率及び死亡率を減少させること、ならびに患者の余命または平均余命を延長することが含まれ得るが、これらに限定されない。非限定的な例として、「有益な結果」または「所望の結果」は、1つまたは複数の症状(複数可)の緩和、欠損の程度の減少、心血管疾患の安定化された(すなわち、悪化していない)状態、心血管疾患の遅延または減速、及び心血管疾患に関連する症状の改善または一時的緩和であり得る。
【0073】
「疾患」という用語は、生物の体に影響を与える異常な状態を指す。「障害」という用語は、機能的異常または妨害を指す。疾患または障害という用語は、別途注記のない限り、またはその用語が使用される文脈を考慮して明確でない限り、本明細書で互換的に使用される。
【0074】
本明細書で使用される「疾患」、「病態」、及び「病状」とは、任意の形態の心血管病態、疾患、または障害を含み得るが、これらに決して限定されない。心血管疾患は、心臓または血管に影響する疾患の一種である。心血管疾患の非限定的な例としては、冠動脈疾患、冠動脈心疾患、虚血性心疾患(IHD)、心筋症、脳卒中、高血圧症性心疾患、心不全、肺性心疾患、虚血性症候群、冠微小血管疾患、心不整脈、リウマチ性心疾患(RHD)、大動脈瘤、心筋症、心房細動、先天性心疾患、心内膜炎、炎症性心疾患、心内膜炎、炎症性心肥大、心筋炎、心臓弁膜症、脳血管疾患、及び末梢動脈疾患(PAD)が挙げられる。
【0075】
「健常な対象」または「正常な対象」とは、疾患も障害も有しない対象である。一部の実施形態では、健常な対象または正常な対象は、高血圧症も高血圧緊急症も有しない。
【0076】
「投与すること」という用語は、本明細書に開示される薬剤が、所望の部位での薬剤の少なくとも部分的な局在化をもたらす方法または経路によって対象に配置されることを指す。「投与経路」とは、エアロゾル、鼻腔、吸入を介した、経口、肛門、肛門内、肛門周囲、経粘膜、経皮、非経口、経腸、局所(topical)、または局所(local)を含むがこれらに限定されない、当該技術分野で既知の任意の投与経路を指し得る。「非経口」とは、腫瘍内、頭蓋内、脳室内、髄腔内、硬膜外、硬膜内、眼窩内、注入、嚢内、心臓内、皮内、筋肉内、腹腔内、肺内、脊髄内、胸骨内、髄腔内、子宮内、血管内、静脈内、動脈内、くも膜下、嚢下、皮下、経粘膜、または経気管を含む、注射に一般に関連する投与経路を指す。非経口経路を介して、組成物は、注入用もしくは注射用の溶液もしくは懸濁液の、または凍結乾燥粉末としての形態であり得る。経腸経路を介して、薬学的組成物は、制御放出を可能にする、錠剤、ゲルカプセル、糖衣錠、シロップ、懸濁液、溶液、粉末、顆粒、エマルション、ミクロスフェアもしくはナノスフェア、または脂質小胞もしくはポリマー小胞の形態であり得る。局所経路を介して、薬学的組成物は、エアロゾル、ローション、クリーム、ゲル、軟膏、懸濁液、溶液、またはエマルションの形態であり得る。本発明によれば、「投与すること」は、自己投与であり得る。例えば、対象が本明細書に開示される組成物を消費することは、「投与すること」とみなされる。
【0077】
「診断」は、病態、疾患、または障害の存在または性質を特定することを意味し、特定の病態、疾患、または障害を発症するリスクがある患者を特定することを含む。診断的方法は、それらの感度及び特異性において異なる。診断的アッセイの「感度」は、検査結果が陽性となる罹患した個体のパーセンテージである(「真の陽性」のパーセント)。アッセイによって検出されない罹患した個体は、「偽の陰性」である。罹患していない、かつアッセイにおいて検査結果が陰性となる対象は、「真の陰性」と称される。診断的アッセイの「特異性」は、1-偽の陽性率であり、「偽の陽性」率は、疾患を有しない者のうち、検査結果が陽性となる者の割合として定義される。特定の診断的方法は、病態、疾患、または障害の確定診断を提供しないことがあるが、この方法が診断を補助する陽性の指標を提供すれば十分である。
【0078】
「~のリスクがある」とは、正常な対象と比較して、または対照群、例えば、患者集団と比較して、増加したリスクがあることを意味することが意図される。故に、特定のマーカーを保有する対象は、特定の病態、疾患、または障害の増加したリスクを有し得、さらなる検査を必要とすると特定され得る。「増加したリスク」または「上昇したリスク」とは、例えば、対象が障害を有する確率における、任意の統計学的に有意な増加を意味する。一部の実施形態では、リスクは、比較が行われている対照群に対して少なくとも10%増加する。一部の実施形態では、リスクは、比較が行われている対照群に対して少なくとも20%増加する。一部の実施形態では、リスクは、比較が行われている対照群に対して少なくとも50%増加する。
【0079】
「検出」、「検出すること」等の用語は、病態の検出、疾患または障害の検出(例えば、陽性アッセイ結果が得られる場合)の文脈において使用され得る。
【0080】
「診断」または「dx」という用語は、ある特定の現象の性質及び原因の特定を指す。診断は、典型的には、医学診断を指し、これは、症状及び徴候を説明する疾患または障害を決定するプロセスである。診断手順、多くの場合は診断検査もしくはアッセイを使用して、診断を提供することができる。
【0081】
「予後予測」または「px」という用語は、現状についての起こりそうな転帰を予測することを指す。例えば、予後予測は、疾患または障害の予想される持続期間及び経過、例えば、進行性の減退または予想される回復を含み得る。
【0082】
「セラノスティクス」または「tx」という用語は、医学的処置の文脈で使用される診断または予後予測を指す。例えば、セラノスティクスは、遺伝物質または他の分子もしくは細胞分析の文脈に基づいて適切かつ最適な療法(またはその逆)を選択するために使用される診断検査を含み得る。セラノスティクスは、ファーマコゲノミクス、個別化医療、及び精密医療を含む。
【0083】
「試料」は、本明細書でその最も広義に使用される。「生体試料」という用語は、生物から採取または単離された試料を表す。代表的な生体試料には、頬スワブ、粘液、全血、血液、血清、血漿、尿、唾液、精液、リンパ液、糞抽出物、喀痰、他の体液または生体液、細胞試料、及び組織試料等が含まれるが、これらに限定されない。この用語はまた、上述の試料の混合物も含む。「試料」という用語はまた、未処理または前処理済み(または前加工済み)生体試料も含む。一部の実施形態では、試料は、対象からの1つまたは複数の細胞を含み得る。一部の実施形態では、試料は、組織または組織試料である。一部の実施形態では、試料は、心臓である。一部の実施形態では、試料は、心臓の少なくとも1つの部分である。一部の実施形態では、試料は、少なくとも1つの心臓組織である。一部の実施形態では、試料(例えば、心臓)は、非侵襲性の様態で検査され、よって、試料は、生存している対象(内)である。
【0084】
「対象」は、ヒトまたは動物を意味する。通常、動物は、霊長類、齧歯類、飼育動物、または狩猟動物等の脊椎動物である。霊長類には、チンパンジー、カニクイザル、クモザル、及びマカク、例えば、アカゲザルが含まれる。齧歯類には、マウス、ラット、ウッドチャック、フェレット、ウサギ、及びハムスターが含まれる。飼育動物及び狩猟動物には、ウシ、ウマ、ブタ、シカ、バイソン、スイギュウ、ネコ科の種、例えば、飼い猫、イヌ科の種、例えば、イヌ、キツネ、オオカミが含まれる。「患者」、「個体」、及び「対象」という用語は、本明細書で互換的に使用される。ある実施形態では、対象は、哺乳動物である。哺乳動物は、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマ、またはウシであり得るが、これらの例に限定されない。加えて、本明細書に記載の方法を使用して、飼育動物及び/またはペットを処置することができる。一部の実施形態では、該対象は、ヒトである。
【0085】
「哺乳動物」は、限定されないが、ヒトならびにチンパンジー及び他の類人猿及びサル種等の非ヒト霊長類;ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、及びウマ等の家畜;イヌ及びネコ等の飼育哺乳動物;マウス、ラット、及びモルモット等の齧歯類を含む実験動物等を含む、哺乳綱の任意のメンバーを指す。この用語は、特定の年齢または性別を表すものではない。故に、成体及び新生対象、ならびに胎仔が、雄か雌かにかかわらず、この用語の範囲内に含まれることが意図される。
【0086】
対象は、処置を必要とする病態(例えば、微小出血、心血管疾患;または高血圧症、高血圧緊急症)またはその病態に関連する1つもしくは複数の合併症を患うもしくは有すると以前に診断されたか、またはそれを患うもしくは有すると特定された者、及び任意選択で、その病態または病態に関連する1つもしくは複数の合併症に対する処置を既に受けたことがある者であり得る。代替として、対象はまた、病態または病態に関連する1つまたは複数の合併症を有すると以前に診断されたことのない者でもあり得る。例えば、対象は、病態または病態に関連する1つもしくは複数の合併症に対する1つまたは複数のリスク因子を呈する者、またはリスク因子を呈しない対象であり得る。特定の病態に対する処置を「必要とする対象」とは、その病態を有することが疑われる対象、その病態を有すると診断された対象、その病態に対して既に処置されたかもしくは処置されている対象、その病態に対して処置されてない対象、またはその病態の発症リスクがある対象であり得る。
【0087】
「微小出血」は、臓器の小血管の構造的異常によって引き起こされる可能性の高い小さな出血を指す。一部の実施形態では、微小出血は、赤血球が血管構造の外側に見出される病態を指し、これは血管構造の異常な透過性または血管の破裂に起因し得る。微小出血は、一般的にアミロイド血管症または高血圧症性動脈症に影響を受けた小血管に隣接して生じる。一部の事例では、対象は、遷延性微小出血を有し得、他の事例では、微小出血は、急性微小出血である。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、とりわけ高血圧症を有する対象における、心筋微小出血の処置、予防、評価、及び/または診断を対象とする。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、脳微小出血を除く微小出血の処置、予防、評価、及び/または診断を対象とする。一部の実施形態では、本明細書の方法は、心筋または心臓組織を対象とし、脳は対象としない。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法における微小出血は、虚血性脳卒中に続いて起こる、心筋または別の組織における新たなまたは二次性微小出血である。
【0088】
微小出血、とりわけ急性微小出血に関連する症状には、突然の刺痛感覚(例えば、顔の片面または両面、腕、胸、肢)、腕及び/または脚の重苦しさ、複視及び/または悪心が含まれ得る。
【0089】
「高血圧症(hypertension)」、別称、高血圧(high blood pressure)は、(とりわけ経時的に繰返し測定したときの)正常よりも高い血圧を指し、この場合、正常な血圧レベルは120/80mmHg未満である。一部の実施形態では、130mmHg以上の収縮期血圧を有する対象は、高血圧を有する。一部の実施形態では、高血圧を有する対象はまた、80mmHg以上の拡張期血圧を有する。
【0090】
種々の実施形態では、対象は、成人ヒトであり、彼または彼女は、血圧が130/80mmHg以上である場合、高血圧症であると診断される。一部の実施形態では、医療専門家は、American College of Cardiology/American Heart Association Guideline for the Prevention,Detection,Evaluation,and Management of High Blood Pressure in Adults(2017年ガイドライン)に従って、患者の血圧が一貫して130/80mmHg以上である場合、患者を高血圧であると診断する。2017年ガイドラインによれば、患者は、120~129mmHgの収縮期血圧及び80mmHg未満の拡張期血圧を有する場合、血圧上昇を有すると診断される。一部の実施形態では、医療専門家は、Seventh Report of the Joint National Committee on Prevention,Detection,Evaluation,and Treatment of High Blood Pressure(2003年ガイドライン)に従って、患者の血圧が一貫して140/90mmHg以上である場合、患者を高血圧であると診断する。2003年ガイドラインによれば、患者は、120~139mmHgの収縮期血圧及び80~89mmHgの拡張期血圧を有する場合、リスクがあるかまたは前高血圧症であると診断される。
【0091】
「高血圧緊急症」は一般に、精神的苦痛に起因して血圧を一過性で増加させる急性事象を指す。高血圧緊急症の例としては、たこつぼ型心筋症(別称、ストレス心筋症)が挙げられる。
【0092】
一部の実施形態では、対象は、小児または青年期のヒトであり、彼または彼女は、3回以上の来院にわたって複数回測定したときに平均血圧が対象の年齢、性別、及び身長で95パーセンタイル以上である場合、高血圧症であると診断される。
【0093】
「フェロトーシス」は、鉄依存性の形態の細胞死を指す。低分子エラスチンは、システインの移入を阻害して、グルタチオン枯渇、及びリン脂質ペルオキシダーゼであるグルタチオンペルオキシダーゼ4(GPX4)の不活性化をもたらす。GPX4は、有害な可能性がある脂質ヒドロペルオキシドを無毒の脂質アルコールに変換する。エラスチンによる、または直接的なGPX4阻害剤(1S,3R)-RSL3によるGSHの枯渇を通したGPX4の不活性化は、最終的に、細胞死を引き起こす圧倒的な脂質過酸化反応をもたらす。過酸化脂質の蓄積及びフェロトーシスの遂行には鉄が必要とされる。フェロトーシスの調節に関与する、またはフェロトーシスのマーカーとしての役目を果たす遺伝子には、GXP4、アシル-CoAシンテターゼ長鎖ファミリーメンバー4(ACSL-4)、アルド・ケト還元酵素ファミリー1メンバーC1(AKR1C1-3)、リポキシゲナーゼ、ATPシンターゼH+輸送ミトコンドリアFo複合体サブユニットC3(ATP5G3)、シスタチオニンベータシンターゼ(CBS)、CD44分子、ChaCグルタチオン特異的ガンマ-グルタミルシクロトランスフェラーゼ1(CHAC1)、CDGSH鉄硫黄ドメイン1(CISD1)、クエン酸シンターゼ(CS)、ジペプチジル-ペプチダーゼ-4(DPP4)、ファンコニ貧血相補群D2(FANCD2)、グルタミン酸-システインリガーゼ(GCLC/GCLM)、グルタミナーゼ2(GLS2)、グルタチオンシンテターゼ(GSS)、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-CoA還元酵素(HMGCR)、熱ショックタンパク質ベータ1/5(HSPB1/5)、キス・オブ・デス(kiss of death)(KOD)、リゾホスファチジルコリンアシルトランスフェラーゼ3(LPCAT3)、メタロチオネイン-1G(MT1G)、核内受容体コアクチベーター4(NCOA4)、赤血球系核内転写因子2様2(NFE2L2)、プロスタグランジン-エンドペルオキシドシンターゼ2(PTGS2)、リボソームタンパク質L8(RPL8)、スペルミジン/スペルミンN1-アセチルトランスフェラーゼ1(SAT2)、溶質輸送体ファミリー7メンバー11(SLC7A11)、スクアレンシンターゼ(SQS)、トランスフェリン受容体(TFRC)、腫瘍タンパク質53(TP53)、及びER膜タンパク質複合体サブユニット2(TT35/EMC2)が含まれる。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法におけるフェロトーシスマーカーには、フェロトーシスの調節に関与する遺伝子のうちのいずれか1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個が含まれ、そのまたはそれらのDNA量、mRNA量、cDNA量、またはタンパク質発現レベルの定量を用いて測定することができる。
【0094】
種々の実施形態では、治療薬は、薬学的組成物として提供されてもよい。種々の実施形態では、本発明による薬学的組成物は、ある投与経路を介した送達用に製剤化されてもよい。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、血管内、静脈内、または動脈内投与用に製剤化される。一実施形態では、薬学的組成物は、単回ボーラスとしての静脈内投与用に製剤化される。
【0095】
種々の実施形態では、薬学的組成物は、任意の薬学的に許容される賦形剤を含有し得る。「薬学的に許容される賦形剤」とは、一般に安全で、無毒、かつ望ましい薬学的組成物の調製に有用な賦形剤を意味し、獣医学的使用ならびにヒトの薬学的使用に対して許容される賦形剤を含む。かかる賦形剤は、固体、液体、半固体であり得るか、または、エアロゾル組成物の場合には気体であり得る。賦形剤の例としては、デンプン、糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、湿潤剤、乳化剤、着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、芳香剤、防腐剤、酸化防止剤、可塑剤、ゲル化剤、増粘剤、硬膜剤、硬化剤、懸濁剤、界面活性剤、保湿剤、担体、安定剤、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
種々の実施形態では、本発明による薬学的組成物は、任意の薬学的に許容される担体を含有し得る。本明細書で使用される「薬学的に許容される担体」とは、目的の化合物を、身体の1つの組織、臓器、または部分から身体の別の組織、臓器、または部分に運搬または輸送することに関与する、薬学的に許容される材料、組成物、またはビヒクルを指す。例えば、担体は、液体または固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、もしくは封入材料、またはそれらの組み合わせであり得る。担体の各構成成分は、製剤の他の成分と適合性である必要があるという点で「薬学的に許容される」必要がある。それはまた、それが接触し得る任意の組織または臓器と接触して使用するためにも好適である必要があり、つまり、それは、その撮像の有益性を過度に上回る毒性、刺激、アレルギー反応、免疫原性、または任意の他の合併症のリスクを保有してはならない。
【0097】
本発明による薬学的組成物はまた、経口投与用に封入、錠剤化、またはエマルションもしくはシロップ中に調製され得る。組成物を強化もしくは安定化するため、または組成物の調製を容易にするために、薬学的に許容される固体または液体担体が添加されてもよい。液体担体には、シロップ、ピーナツ油、オリーブ油、グリセリン、食塩水、アルコール、及び水が含まれる。固体担体には、デンプン、ラクトース、硫酸カルシウム、二水和物、白土、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸、タルク、ペクチン、アカシア、寒天またはゼラチンが含まれる。担体はまた、単独でまたはワックスと共に、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリル等の徐放性材料を含んでもよい。
【0098】
薬学的組成物は、粉末形態には乾式粉砕、混合、及び配合;錠剤形態には、粉砕、混合、造粒、及び圧縮(必要であれば);または硬ゼラチンカプセル形態には粉砕、混合、及び充填を伴う、従来の調剤技法に従って作製される。液体担体が使用される場合、調製は、シロップ、エリキシル、エマルション、または水性もしくは非水性懸濁液の形態であろう。かかる液体製剤は、経口で直接、または軟ゼラチンカプセル中に充填されて投与され得る。
【0099】
薬学的組成物は、心臓から鉄沈着を低減または除去するのに有効な量で送達され得、これは心臓の磁気共鳴画像法を介して有効性に関してアクセスする(access)ことができる。正確な有効量は、鉄沈着の除去ならびに心臓機能及び/またはリモデリングの改善の観点から最も有効な結果を生み出すであろう組成物の量である。この量は、治療薬の特性(活性、薬物動態、薬力学、及びバイオアベイラビリティを含む)、対象の生理的状態(年齢、性別、疾患の種類及び病期、全般的な健康状態、所与の投薬量に対する応答性、ならびに薬の種類)、製剤中の薬学的に許容される担体(単数または複数)の性質、ならびに投与経路を含むがこれらに限定されない、様々な因子に応じて異なるであろう。臨床及び薬理学分野の当業者であれば、通例の実験を通して、例えば、画質を監視し、それに応じて投薬量を調整することによって、負荷像に有効な量を決定することができるであろう。
【0100】
患者への投与前に、製剤化剤(formulant)が薬学的組成物に添加されてもよい。一部の実施形態では、製剤化剤は、液体製剤化剤である。例えば、これらの製剤化剤には、油、ポリマー、ビタミン、炭水化物、アミノ酸、塩、緩衝液、アルブミン、界面活性剤、増量剤、またはそれらの組み合わせが含まれ得る。
【0101】
炭水化物製剤化剤には、単糖類、二糖類、もしくは多糖類、または水溶性グルカン等の糖または糖アルコールが含まれる。糖類またはグルカンには、フルクトース、デキストロース、ラクトース、グルコース、マンノース、ソルボース、キシロース、マルトース、スクロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、アルファ及びベータシクロデキストリン、可溶性デンプン、ヒドロキシエチルデンプン及びカルボキシメチルセルロース、またはその混合物が含まれる。「糖アルコール」は、-OH基を有するC4~C8炭化水素と定義され、これにはガラクチトール、イノシトール、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、グリセロール、及びアラビトールが含まれる。上述したこれらの糖または糖アルコールは、個々にまたは組み合わせて使用され得る。糖または糖アルコールが水性調製物中で可溶性である限り、使用される量に定められた制限はない。一部の実施形態では、糖または糖アルコール濃度は、1.0w/v%~7.0w/v%である。一部の実施形態では、糖または糖アルコール濃度は、2.0~6.0w/v%である。
【0102】
アミノ酸製剤化剤には、左旋性(L)型のカルニチン、アルギニン、及びベタインが含まれるが、他のアミノ酸が添加されてもよい。
【0103】
ポリマー製剤化剤には、2,000~3,000の平均分子量を有するポリビニルピロリドン(PVP)、または3,000~5,000の平均分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)が含まれる。
【0104】
凍結乾燥前または再構成後の溶液中のpH変化を最小限に抑えるために、緩衝液もまた薬学的組成物中で使用され得る。クエン酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、及びグルタミン酸塩緩衝液またはその混合物を含むがこれらに限定されない、ほとんどいずれの生理学的緩衝液が使用され得る。一部の実施形態では、濃度は、0.01~0.3モル濃度である。製剤に添加することができる界面活性剤は、欧州第270,799号及び同第268,110号に示される。
【0105】
循環半減期を増加させるための別の薬物送達系は、リポソームである。リポソーム送達系の調製方法は、Gabizon et al.,Cancer Research(1982)42:4734、Cafiso,Biochem Biophys Acta(1981)649:129、及びSzoka,Ann Rev Biophys Eng(1980)9:467に考察される。他の薬物送達系は、当該技術分野で既知であり、例えば、Poznansky et al.,DRUG DELIVERY SYSTEMS(R.L.Juliano,ed.,Oxford,N.Y.1980),pp.253-315、M.L.Poznansky,Pharm Revs(1984)36:277に記載される。
【0106】
液体の薬学的組成物が調製された後、それは分解を防止するため及び滅菌状態を保存するために凍結乾燥され得る。液体組成物を凍結乾燥するための方法は、当業者に既知である。使用直前に、組成物は、追加の成分を含み得る滅菌希釈剤(例えば、リンゲル液、蒸留水、または滅菌食塩水)で再構成され得る。再構成されると、組成物は、当業者に既知の方法を使用して対象に投与される。
【0107】
本発明の薬学的組成物は、従来的な周知の滅菌技法によって滅菌され得る。結果として得られた溶液は、使用に向けてパッケージ化され得るか、無菌条件下で濾過及び凍結乾燥され得、凍結乾燥調製物は、投与前に滅菌溶液と組み合わされる。組成物は、生理学的条件に近似させるために必要に応じて、pH調整剤及び緩衝剤、張性調整剤等、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ならびに安定剤(例えば、1~20%マルトース等)等の薬学的に許容される補助物質を含有してもよい。
【0108】
多くの変形形態及び代替的要素が本発明の実施形態で開示されている。なおもさらなる変形形態及び代替的要素が当業者には明らかとなるであろう。これらの変形形態の中には、限定されないが、本方法のための段階、薬学的組成物、投与経路及びデバイス、撮像技術の選択、ならびにそれを用いて診断、予後予測、または処置され得る疾患及び他の臨床病態がある。本発明の種々の実施形態は、これらの変形形態または要素のいずれかを具体的に含むか、または除外することができる。
【0109】
一部の実施形態では、本発明のある特定の実施形態を記載し、特許請求するために使用される、成分の量、濃度等の特性、反応条件等を表す数字は、一部の事例では、「約」という用語によって修飾されているものと理解されたい。したがって、一部の実施形態では、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、特定の実施形態によって得られることが求められる所望の特性に応じて様々であり得る近似値である。一部の実施形態では、数値パラメータは、報告された有効桁数の数に照らして、かつ通常の丸め技法を適用することによって解釈されるべきである。本発明の一部の実施形態の広い範囲について記載する数値範囲及びパラメータは近似値であるにもかかわらず、具体的な実施例に記載される数値は、実行可能な限り正確に報告される。本発明の一部の実施形態で提示される数値は、それらのそれぞれの試験測定値において見出される標準偏差から必然的に生じるある特定の誤差を含有し得る。
【0110】
多くの人々は、高血圧症を患うか、または高血圧症の発症リスクがある。高血圧症は、心血管疾患、心不整脈、心臓突然死、及び死亡を含めた種々の有害転帰につながり得る。高血圧症がどのように心不全または他の主要有害心血管事象につながるかは知られていない。
【0111】
出願人らは、高血圧症を有する対象の心臓において、鉄沈着として検出される微小出血が発生することを発見した。具体的には、出願人らは、高血圧自然発症ラットの心筋内で、鉄沈着として検出される微小出血が発生することを発見した。心筋内の鉄の存在は、高血圧症または高血圧緊急症を有する患者における有害な心臓リモデリング及び致死的転帰の主要な媒介因子であり得るため、これは重要な知見である。微小出血が高血圧症性の心臓で起こり、心筋における鉄沈着をもたらすという出願人らの知見は、高血圧症における心臓リモデリングの病態生理の理解を提供する一助となり得る。
【0112】
したがって、本発明の非限定的な目的は、高血圧症を有する人々における有害転帰を低減するように、心臓における微小出血を検出、診断、及び/または処置するための方法を提供することである。
【0113】
本発明の種々の非限定的な実施形態
種々の実施形態では、該方法は、対象の心臓を含む。一部の実施形態では、該心臓は、ヒト心臓である。一部の実施形態では、該対象は、ヒトである。
【0114】
種々の実施形態では、該方法は、対象の心臓の少なくとも1つの部分を含む。
【0115】
種々の実施形態では、該方法は、対象の少なくとも1つの心臓組織を含む。一部の実施形態では、該心臓組織は、ヒト心臓組織である。一部の実施形態では、該対象は、ヒトである。
【0116】
種々の実施形態では、該方法は、対照対象の心臓を含む。一部の実施形態では、該心臓は、ヒト心臓である。一部の実施形態では、該対照対象は、ヒトである。
【0117】
種々の実施形態では、該方法は、対照対象の心臓の少なくとも1つの部分を含む。一部の実施形態では、該心臓は、ヒト心臓である。一部の実施形態では、該対照対象は、ヒトである。
【0118】
種々の実施形態では、該方法は、対照対象の少なくとも1つの心臓組織を含む。一部の実施形態では、該心臓組織は、ヒト心臓組織である。一部の実施形態では、該対照対象は、ヒトである。
【0119】
種々の実施形態では、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を特定及び/または評価するための方法が提供され、該方法は、対象の心臓の少なくとも1つの臨床画像(例えば、SPECT、PET、CT、超音波、または磁気共鳴画像)を得る段階と、該少なくとも1つの臨床画像から対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階とを含み、対象の心臓における鉄沈着の検出が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を示すものである。種々の実施形態では、対象は、高血圧症を有するか、または高血圧症であると診断される。一部の実施形態では、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の検出は、対象が心筋微小出血を有しているということを特定する。さらなる実施形態では、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の検出は、対象が高血圧症を有することを示す。さらなる実施形態では、心筋微小出血を有すると特定された対象は、とりわけ対象が心筋微小出血または高血圧症を少なくとも1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、1年間、2年間、3年間、5年間、またはそれよりも長い期間有している場合、参照試料と比較してより高含量の脂肪細胞浸潤を有する。
【0120】
種々の実施形態では、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を検出するための方法が提供され、該方法は、対象の心臓の少なくとも1つの臨床画像(例えば、SPECT、PET、CT、超音波、または磁気共鳴画像)を得る段階と、該少なくとも1つの臨床画像から対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階とを含み、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の検出が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を示すものであり、及び/または該微小出血の検出である。
【0121】
種々の実施形態では、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を予後予測するための方法が提供され、該方法は、対象の心臓の少なくとも1つの臨床画像を得る段階と、該少なくとも1つの臨床画像から対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階とを含み、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の検出が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血の予後予測である。
【0122】
種々の実施形態では、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を診断するための方法が提供され、該方法は、対象の心臓の少なくとも1つの臨床画像を得る段階と、該少なくとも1つの臨床画像から対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階とを含み、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の検出が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血の診断である。
【0123】
種々の実施形態では、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血の発症リスクを評価及び/または判定するための方法が提供され、該方法は、対象の心臓の少なくとも1つの臨床画像を得る段階と、該少なくとも1つの画像から対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階とを含み、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の検出が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血の増加した発症リスクを示すものである。
【0124】
種々の実施形態では、対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの微小出血を特定及び/または評価するための方法が提供され、該方法は、対象の心臓の少なくとも1つの部分の少なくとも1つの臨床画像を得る段階と、該少なくとも1つの臨床画像から対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階とを含み、対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの鉄沈着の検出が、対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの微小出血を示すものである。
【0125】
種々の実施形態では、対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの微小出血を検出するための方法が提供され、該方法は、対象の心臓の少なくとも1つの部分の少なくとも1つの臨床画像を得る段階と、該少なくとも1つの臨床画像から対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階とを含み、対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの鉄沈着の検出が、対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの微小出血を示すものであり、及び/または該微小出血の検出である。
【0126】
種々の実施形態では、対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの微小出血を予後予測するための方法が提供され、該方法は、対象の心臓の少なくとも1つの部分の少なくとも1つの臨床画像を得る段階と、該少なくとも1つの臨床画像から対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階とを含み、対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの鉄沈着の検出が、対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの微小出血の予後予測である。
【0127】
種々の実施形態では、対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの微小出血を診断するための方法が提供され、該方法は、対象の心臓の少なくとも1つの部分の少なくとも1つの臨床画像を得る段階と、該少なくとも1つの臨床画像から対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階とを含み、対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの鉄沈着の検出が、対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの微小出血の診断である。
【0128】
種々の実施形態では、対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの微小出血の発症リスクを評価及び/または判定するための方法が提供され、該方法は、対象の心臓の少なくとも1つの部分の少なくとも1つの臨床画像を得る段階と、該少なくとも1つの臨床画像から対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階とを含み、対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの鉄沈着の検出が、対象の心臓の少なくとも1つの部分における少なくとも1つの微小出血を発症することに対する対象の増加したリスクを示すものである。
【0129】
種々の実施形態では、対象の少なくとも1つの心臓組織における少なくとも1つの微小出血を特定及び/または評価するための方法が提供され、該方法は、少なくとも1つの心臓組織の少なくとも1つの臨床画像を得る段階と、該少なくとも1つの画像から少なくとも1つの心臓組織における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階とを含み、少なくとも1つの心臓組織における少なくとも1つの鉄沈着の検出が、対象の少なくとも1つの心臓組織における少なくとも1つの微小出血を示すものである。
【0130】
種々の実施形態では、対象の少なくとも1つの心臓組織における少なくとも1つの微小出血を検出するための方法が提供され、該方法は、少なくとも1つの心臓組織の少なくとも1つの臨床画像を得る段階と、該少なくとも1つの臨床画像から少なくとも1つの心臓組織における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階とを含み、少なくとも1つの心臓組織における少なくとも1つの鉄沈着の検出が、対象の少なくとも1つの心臓組織における少なくとも1つの微小出血を示すものであり、及び/または該微小出血の検出である。
【0131】
種々の実施形態では、対象の少なくとも1つの心臓組織における少なくとも1つの微小出血を予後予測するための方法が提供され、該方法は、心臓の少なくとも1つの臨床画像を得る段階と、該少なくとも1つの臨床画像から心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階とを含み、心臓における少なくとも1つの鉄沈着の検出が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血の予後予測である。
【0132】
種々の実施形態では、対象の少なくとも1つの心臓組織における少なくとも1つの微小出血を診断するための方法が提供され、該方法は、少なくとも1つの心臓組織の少なくとも1つの臨床画像を得る段階と、該少なくとも1つの臨床画像から少なくとも1つの心臓組織における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階とを含み、少なくとも1つの心臓組織における少なくとも1つの鉄沈着の検出が、対象の少なくとも1つの心臓組織における少なくとも1つの微小出血の診断である。
【0133】
種々の実施形態では、対象の少なくとも1つの心臓組織における少なくとも1つの微小出血の発症リスクを評価及び/または判定するための方法が提供され、該方法は、少なくとも1つの心臓組織の少なくとも1つの臨床画像を得る段階と、該少なくとも1つの臨床画像から少なくとも1つの心臓組織における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階とを含み、少なくとも1つの心臓組織における少なくとも1つの鉄沈着の検出が、対象の少なくとも1つの心臓組織における少なくとも1つの微小出血を発症することに対する対象の増加したリスクを示すものである。
【0134】
種々の実施形態では、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を特定及び/または評価するための方法が提供され、該方法は、対象の心臓の少なくとも1つの臨床画像を得る段階と、対象の心臓の該少なくとも1つの臨床画像から対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の存在を検出及び/または測定及び/または定量する段階と、対象の心臓の臨床画像を参照試料からの少なくとも1つの臨床画像と比較する段階とを含み、参照試料と比べた対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の存在が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を示すものである。
【0135】
種々の実施形態では、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を検出するための方法が提供され、該方法は、対象の心臓の少なくとも1つの臨床画像を得る段階と、対象の心臓の該少なくとも1つの臨床画像から対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の存在を検出及び/または測定及び/または定量する段階と、対象の心臓の臨床画像を参照試料からの少なくとも1つの臨床画像と比較する段階とを含み、参照試料と比べた対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の存在が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を示すものである。
【0136】
種々の実施形態では、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を予後予測するための方法が提供され、該方法は、対象の心臓の少なくとも1つの臨床画像を得る段階と、対象の心臓の該少なくとも1つの臨床画像から対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出及び/または測定及び/または定量する段階と、対象の心臓の臨床画像を参照試料からの少なくとも1つの臨床画像と比較する段階とを含み、参照試料と比べた対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の存在が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血の予後予測である。
【0137】
種々の実施形態では、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を診断するための方法が提供され、該方法は、対象の心臓の少なくとも1つの臨床画像を得る段階と、対象の心臓の該少なくとも1つの臨床画像から対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出及び/または測定及び/または定量する段階と、対象の心臓の臨床画像を参照試料からの少なくとも1つの臨床画像と比較する段階とを含み、参照試料と比べた対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の存在が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血の診断である。
【0138】
種々の実施形態では、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血の発症リスクを評価及び/または判定するための方法が提供され、該方法は、対象の心臓の少なくとも1つの臨床画像を得る段階と、対象の心臓の該少なくとも1つの臨床画像から心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出及び/または測定及び/または定量する段階と、対象の心臓の臨床画像を参照試料からの少なくとも1つの臨床画像と比較する段階とを含み、参照試料と比べた対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の存在が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を発症することに対する対象の増加したリスクを示すものである。
【0139】
種々の実施形態では、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血の進行を判定するための方法が提供され、該方法は、対象の心臓の少なくとも1つの臨床画像を得る段階と、対象の心臓の該少なくとも1つの臨床画像から対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出及び/または測定及び/または定量する段階と、対象の心臓の臨床画像を参照試料からの少なくとも1つの臨床画像と比較する段階とを含み、参照試料からの少なくとも1つの臨床画像と比べた対象の心臓の臨床画像における変化が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血の進行を示すものである。
【0140】
種々の実施形態では、対象において心血管疾患を特定及び/または評価するための方法が提供され、該方法は、対象の心臓の少なくとも1つの臨床画像を得る段階と、対象の心臓の該少なくとも1つの臨床画像から対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階であって、対象の心臓における鉄沈着の検出が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血の存在を示すものである、該検出する段階と、対象の心臓の臨床画像を参照試料からの少なくとも1つの臨床画像と比較する段階であって、参照試料からの少なくとも1つの臨床画像と比べた対象の心臓の臨床画像における変化が、対象における心血管疾患を示すものである、該比較する段階とを含む。
【0141】
種々の実施形態では、対象において心血管疾患を検出するための方法が提供され、該方法は、対象の心臓の少なくとも1つの臨床画像を得る段階と、対象の心臓の該少なくとも1つの臨床画像から対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階であって、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の検出が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血の存在を示すものである、該検出する段階と、対象の心臓の該少なくとも1つの臨床画像を参照試料からの少なくとも1つの臨床画像と比較する段階であって、参照試料からの少なくとも1つの臨床画像と比べた対象の心臓の該少なくとも1つの臨床画像における変化が、対象における心血管疾患を示すものである、該比較する段階とを含む。
【0142】
種々の実施形態では、対象において心血管疾患を検出するための方法が提供され、該方法は、対象の心臓の少なくとも1つの臨床画像を得る段階と、対象の心臓の該少なくとも1つの臨床画像から対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階であって、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の検出が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血の存在を示すものである、該検出する段階と、対象の心臓の該少なくとも1つの臨床画像を参照試料からの少なくとも1つの臨床画像と比較する段階であって、参照試料からの少なくとも1つの臨床画像と比べた対象の心臓の該少なくとも1つの臨床画像における変化が、対象における心血管疾患を示すものである、該比較する段階とを含む。
【0143】
種々の実施形態では、対象において心血管疾患を予後予測するための方法が提供され、該方法は、対象の心臓の少なくとも1つの臨床画像を得る段階と、対象の心臓の該少なくとも1つの臨床画像から対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階であって、対象の心臓における鉄沈着の検出が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血の存在を示すものである、該検出する段階と、対象の心臓の臨床画像を参照試料からの少なくとも1つの臨床画像と比較する段階であって、参照試料からの少なくとも1つの臨床画像と比べた対象の心臓の臨床画像における変化が、対象における心血管疾患の予後予測である、該比較する段階とを含む。一部の実施形態では、心筋微小出血を有する対象は、対照対象と比較して、より不良な心臓リモデリング転帰(例えば、より不良な心臓機能の観点から)またはより長いリモデリング期間を有する。
【0144】
種々の実施形態では、対象において心血管疾患を診断するための方法が提供され、該方法は、対象の心臓の少なくとも1つの臨床画像を得る段階と、対象の心臓の該少なくとも1つの臨床画像から対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階であって、対象の心臓における鉄沈着の検出が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血の存在を示すものである、該検出する段階と、対象の心臓の臨床画像を参照試料からの少なくとも1つの臨床画像と比較する段階であって、参照試料からの少なくとも1つの臨床画像と比べた対象の心臓の臨床画像における変化が、対象における心血管疾患の診断である、該比較する段階とを含む。
【0145】
種々の実施形態では、対象において心血管疾患の発症リスクを評価及び/または判定するための方法が提供され、該方法は、対象の心臓の少なくとも1つの臨床画像を得る段階と、対象の心臓の該少なくとも1つの臨床画像から対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階であって、対象の心臓における鉄沈着の検出が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血の存在を示すものである、該検出する段階と、対象の心臓の臨床画像を参照試料からの少なくとも1つの臨床画像と比較する段階であって、参照試料からの少なくとも1つの臨床画像と比べた対象の心臓の臨床画像における変化が、対象において心血管疾患を発症することに対する対象の増加したリスクを示すものである、該比較する段階とを含む。
【0146】
種々の実施形態では、対象において心血管疾患の進行を判定するための方法が提供され、該方法は、対象の心臓の少なくとも1つの臨床画像を得る段階と、対象の心臓の該少なくとも1つの臨床画像から対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出する段階であって、対象の心臓における鉄沈着の検出が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血の存在を示すものである、該検出する段階と、対象の心臓の臨床画像を参照試料からの少なくとも1つの臨床画像と比較する段階であって、参照試料からの少なくとも1つの臨床画像と比べた対象の心臓の臨床画像における変化が、対象における心血管疾患の進行を示すものである、該比較する段階とを含む。
【0147】
種々の実施形態では、対象において心血管疾患の少なくとも1つのバイオマーカーを特定するための方法が提供され、該方法は、対象の心臓の少なくとも1つの臨床画像を得る段階と、対象の心臓の該少なくとも1つの臨床画像から対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出及び/または測定及び/または定量する段階と、対象についてのバイオマーカーシグネチャを得るように、対象の心臓の該少なくとも1つの臨床画像における少なくとも1つの鉄沈着を、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血と相関付ける段階と、対象からのバイオマーカーシグネチャを参照試料からのバイオマーカーシグネチャと比較する段階とを含み、心血管疾患の少なくとも1つのバイオマーカーが特定される。
【0148】
種々の実施形態では、対象において心血管疾患を特定及び/または評価するための方法が提供され、該方法は、対象の心臓の少なくとも1つの臨床画像を得る段階と、該少なくとも1つの臨床画像から対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出及び/または測定及び/または定量する段階と、対象についてのバイオマーカーシグネチャを得るように、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血と相関付ける段階と、対象からのバイオマーカーシグネチャを参照試料からのバイオマーカーシグネチャと比較する段階とを含み、参照試料からのバイオマーカーシグネチャと比べた対象からのバイオマーカーシグネチャにおける変化が、対象における心血管疾患を示すものである。
【0149】
種々の実施形態では、対象において心血管疾患を検出するための方法が提供され、該方法は、対象の心臓の少なくとも1つの臨床画像を得る段階と、該少なくとも1つの臨床画像から対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出及び/または測定及び/または定量する段階と、対象についてのバイオマーカーシグネチャを得るように、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血と相関付ける段階と、対象からのバイオマーカーシグネチャを参照試料からのバイオマーカーシグネチャと比較する段階とを含み、参照試料からのバイオマーカーシグネチャと比べた対象からのバイオマーカーシグネチャにおける変化が、対象における心血管疾患を示すものであり、及び/または該心血管疾患の検出である。
【0150】
種々の実施形態では、対象において心血管疾患を予後予測するための方法が提供され、該方法は、対象の心臓の少なくとも1つの臨床画像を得る段階と、該少なくとも1つの臨床画像から対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出及び/または測定及び/または定量する段階と、対象についてのバイオマーカーシグネチャを得るように、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血と相関付ける段階と、対象からのバイオマーカーシグネチャを参照試料からのバイオマーカーシグネチャと比較する段階とを含み、参照試料からのバイオマーカーシグネチャと比べた対象からのバイオマーカーシグネチャにおける変化が、対象における心血管疾患の予後予測である。
【0151】
種々の実施形態では、対象において心血管疾患を診断するための方法が提供され、該方法は、対象の心臓の少なくとも1つの臨床画像を得る段階と、該少なくとも1つの臨床画像から対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出及び/または測定及び/または定量する段階と、対象についてのバイオマーカーシグネチャを得るように、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血と相関付ける段階と、対象からのバイオマーカーシグネチャを参照試料からのバイオマーカーシグネチャと比較する段階とを含み、参照試料からのバイオマーカーシグネチャと比べた対象からのバイオマーカーシグネチャにおける変化が、対象における心血管疾患の診断である。
【0152】
種々の実施形態では、対象において心血管疾患の進行を判定するための方法が提供され、該方法は、対象の心臓の少なくとも1つの臨床画像を得る段階と、該少なくとも1つの臨床画像から対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出及び/または測定及び/または定量する段階と、対象についてのバイオマーカーシグネチャを得るように、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血と相関付ける段階と、対象からのバイオマーカーシグネチャを参照試料からのバイオマーカーシグネチャと比較する段階とを含み、参照試料からのバイオマーカーシグネチャと比べた対象からのバイオマーカーシグネチャにおける変化が、対象における心血管疾患の進行を示すものである。
【0153】
一部の実施形態では、対象において心血管疾患の発症リスクを評価及び/または判定するための方法が提供され、該方法は、対象の心臓の少なくとも1つの臨床画像を得る段階と、該少なくとも1つの臨床画像から対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を検出及び/または測定及び/または定量する段階と、対象についてのバイオマーカーシグネチャを得るように、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着を、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血と相関付ける段階と、対象からのバイオマーカーシグネチャを参照試料からのバイオマーカーシグネチャと比較する段階とを含み、参照試料からのバイオマーカーシグネチャと比べた対象からのバイオマーカーシグネチャにおける変化が、心血管疾患を発症することに対する対象の増加したリスクを示すものである。
【0154】
種々の実施形態では、対象において少なくとも1つの心不整脈のリスクを評価及び/または判定するための方法が提供され、該方法は、対象の心臓の少なくとも1つの臨床画像を得る段階と、該少なくとも1つの臨床画像から対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の存在を検出する段階とを含み、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の存在が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を示すものであり、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血が、対象における少なくとも1つの心不整脈の増加したリスクを示すものである。
【0155】
種々の実施形態では、対象において心臓突然死のリスクを評価及び/または判定するための方法が提供され、該方法は、対象の心臓の少なくとも1つの臨床画像を得る段階と、該少なくとも1つの臨床画像から対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の存在を検出する段階とを含み、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の存在が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を示すものであり、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血が、対象における心臓突然死の増加したリスクを示すものである。
【0156】
種々の実施形態では、対象における心血管疾患のリスクを評価及び/または判定するための方法が提供され、該方法は、対象の心臓の少なくとも1つの臨床画像を得る段階と、該少なくとも1つの臨床画像から対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の存在を検出する段階とを含み、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の存在が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を示すものであり、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血が、対象における心血管疾患の増加したリスクを示すものである。
【0157】
種々の実施形態は、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を特定、検出、予後予測、及び/または診断する方法を提供し、該方法は、心臓の単光子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)スキャンを実施することによって、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の存在を検出及び/または測定する段階を含み、対象の心臓における鉄沈着の存在が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を示すものであり、対象は、高血圧症、高血圧緊急症、急性高血圧緊急症、遷延性高血圧症、またはそれらの組み合わせであると診断されている。一部の実施形態では、対象において心筋微小出血を特定する方法であって、それぞれ心臓または心筋における鉄沈着の存在を検出するために対象の心臓または心筋のSPECTスキャンを実施する段階を含み、その存在が、少なくとも1つの心筋微小出血を示す、該方法である。一部の実施形態では、対象において心筋微小出血を検出する方法であって、それぞれ心臓または心筋における鉄沈着の存在を検出するために対象の心臓または心筋のSPECTスキャンを実施する段階を含み、その存在が、少なくとも1つの心筋微小出血を示す、該方法である。一部の実施形態では、対象において心筋微小出血を予後予測する方法であって、それぞれ心臓または心筋における鉄沈着の存在を検出するために対象の心臓または心筋のSPECTスキャンを実施する段階を含み、その存在が、少なくとも1つの心筋微小出血を示す、該方法である。一部の実施形態では、対象において心筋微小出血を診断する方法であって、それぞれ心臓または心筋における鉄沈着の存在を検出するために対象の心臓または心筋のSPECTスキャンを実施する段階を含み、その存在が、少なくとも1つの心筋微小出血を示す、該方法である。
【0158】
一部の実施形態では、SPECTスキャンは、対象の血液中のヘモグロビン分解産物のレベルまたはフェロトーシスマーカーのレベルの測定と置き換えられるか、またはそれに加えて実施され、該産物またはマーカーの存在が、少なくとも1つの心筋微小出血を示すものである。一部の実施形態では、これは、対象の心臓または心筋において微小出血を特定する方法のためのものである。一部の実施形態では、これは、対象の心臓または心筋において微小出血を検出する方法のためのものである。一部の実施形態では、これは、対象の心臓または心筋において微小出血を予後予測する方法のためのものである。一部の実施形態では、これは、対象の心臓または心筋において微小出血を診断する方法のためのものである。
【0159】
種々の実施形態は、対象の心筋における少なくとも1つの微小出血を特定、検出、予後予測、及び/または診断する方法を提供し、該方法は、対象の心筋の単光子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)スキャンを実施することによって、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の存在を検出及び/または測定する段階を含み、対象の心臓における鉄沈着の存在が、対象の心筋または心臓における少なくとも1つの微小出血を示すものであり、対象は、高血圧症、高血圧緊急症、急性高血圧緊急症、遷延性高血圧症、またはそれらの組み合わせであると診断されている。
【0160】
種々の実施形態は、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を特定、検出、予後予測、及び/または診断する方法を提供し、該方法は、心臓の陽電子放射断層撮影法(PET)スキャンを実施することによって、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の存在を検出及び/または測定する段階を含み、対象の心臓における鉄沈着の存在が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を示すものであり、対象は、高血圧症、高血圧緊急症、急性高血圧緊急症、遷延性高血圧症、またはそれらの組み合わせであると診断されている。一部の実施形態では、対象において心臓または心筋の微小出血を特定する方法であって、それぞれ心臓または心筋における鉄沈着の存在を検出するために対象の心臓または心筋のPETスキャンを実施する段階を含み、その存在が、少なくとも1つの心臓または心筋の微小出血を示す、該方法である。一部の実施形態では、対象において心臓または心筋の微小出血を検出する方法であって、それぞれ心臓または心筋における鉄沈着の存在を検出するために対象の心臓または心筋のPETスキャンを実施する段階を含み、その存在が、少なくとも1つの心筋微小出血を示す、該方法である。一部の実施形態では、対象において心臓または心筋の微小出血を予後予測する方法であって、それぞれ心臓または心筋における鉄沈着の存在を検出するために対象の心臓または心筋のPETスキャンを実施する段階を含み、その存在が、少なくとも1つの心臓または心筋の微小出血を示す、該方法である。一部の実施形態では、対象において心臓または心筋の微小出血を診断する方法であって、それぞれ心臓または心筋における鉄沈着の存在を検出するために対象の心臓または心筋のPETスキャンを実施する段階を含み、その存在が、少なくとも1つの心臓または心筋の微小出血を示す、該方法である。
【0161】
種々の実施形態は、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を特定、検出、予後予測、及び/または診断する方法を提供し、該方法は、心臓のコンピュータ断層撮影法(CT)スキャンを実施することによって、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の存在を検出及び/または測定する段階を含み、対象の心臓における鉄沈着の存在が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を示すものであり、対象は、高血圧症、高血圧緊急症、急性高血圧緊急症、遷延性高血圧症、またはそれらの組み合わせであると診断されている。一部の実施形態では、対象において心臓または心筋の微小出血を特定する方法であって、それぞれ心臓または心筋における鉄沈着の存在を検出するために対象の心臓または心筋のCTスキャンを実施する段階を含み、その存在が、少なくとも1つの心臓または心筋の微小出血を示す、該方法である。一部の実施形態では、対象において心臓または心筋の微小出血を検出する方法であって、それぞれ心臓または心筋における鉄沈着の存在を検出するために対象の心臓または心筋のCTスキャンを実施する段階を含み、その存在が、少なくとも1つの心筋微小出血を示す、該方法である。一部の実施形態では、対象において心臓または心筋の微小出血を予後予測する方法であって、それぞれ心臓または心筋における鉄沈着の存在を検出するために対象の心臓または心筋のCTスキャンを実施する段階を含み、その存在が、少なくとも1つの心臓または心筋の微小出血を示す、該方法である。一部の実施形態では、対象において心臓または心筋の微小出血を診断する方法であって、それぞれ心臓または心筋における鉄沈着の存在を検出するために対象の心臓または心筋のCTスキャンを実施する段階を含み、その存在が、少なくとも1つの心臓または心筋の微小出血を示す、該方法である。
【0162】
種々の実施形態は、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を特定、検出、予後予測、及び/または診断する方法を提供し、該方法は、心臓の超音波(US)スキャンを実施することによって、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の存在を検出及び/または測定する段階を含み、対象の心臓における鉄沈着の存在が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を示すものであり、対象は、高血圧症、高血圧緊急症、急性高血圧緊急症、遷延性高血圧症、またはそれらの組み合わせであると診断されている。一部の実施形態では、対象において心臓または心筋の微小出血を特定する方法であって、それぞれ心臓または心筋における鉄沈着の存在を検出するために対象の心臓または心筋のUSスキャンを実施する段階を含み、その存在が、少なくとも1つの心臓または心筋の微小出血を示す、該方法である。一部の実施形態では、対象において心臓または心筋の微小出血を検出する方法であって、それぞれ心臓または心筋における鉄沈着の存在を検出するために対象の心臓または心筋のUSスキャンを実施する段階を含み、その存在が、少なくとも1つの心筋微小出血を示す、該方法である。一部の実施形態では、対象において心臓または心筋の微小出血を予後予測する方法であって、それぞれ心臓または心筋における鉄沈着の存在を検出するために対象の心臓または心筋のUSスキャンを実施する段階を含み、その存在が、少なくとも1つの心臓または心筋の微小出血を示す、該方法である。一部の実施形態では、対象において心臓または心筋の微小出血を診断する方法であって、それぞれ心臓または心筋における鉄沈着の存在を検出するために対象の心臓または心筋のUSスキャンを実施する段階を含み、その存在が、少なくとも1つの心臓または心筋の微小出血を示す、該方法である。
【0163】
種々の実施形態は、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を特定、検出、予後予測、及び/または診断する方法を提供し、該方法は、心臓の磁気共鳴画像法(MRI)スキャンを実施することによって、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の存在を検出及び/または測定する段階を含み、対象の心臓における鉄沈着の存在が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を示すものであり、対象は、高血圧症、高血圧緊急症、急性高血圧緊急症、遷延性高血圧症、またはそれらの組み合わせであると診断されている。一部の実施形態では、対象において心臓または心筋の微小出血を特定する方法であって、それぞれ心臓または心筋における鉄沈着の存在を検出するために対象の心臓または心筋のMRIスキャンを実施する段階を含み、その存在が、少なくとも1つの心臓または心筋の微小出血を示す、該方法である。一部の実施形態では、対象において心臓または心筋の微小出血を検出する方法であって、それぞれ心臓または心筋における鉄沈着の存在を検出するために対象の心臓または心筋のMRIスキャンを実施する段階を含み、その存在が、少なくとも1つの心筋微小出血を示す、該方法である。一部の実施形態では、対象において心臓または心筋の微小出血を予後予測する方法であって、それぞれ心臓または心筋における鉄沈着の存在を検出するために対象の心臓または心筋のMRIスキャンを実施する段階を含み、その存在が、少なくとも1つの心臓または心筋の微小出血を示す、該方法である。一部の実施形態では、対象において心臓または心筋の微小出血を診断する方法であって、それぞれ心臓または心筋における鉄沈着の存在を検出するために対象の心臓または心筋のMRIスキャンを実施する段階を含み、その存在が、少なくとも1つの心臓または心筋の微小出血を示す、該方法である。
【0164】
種々の実施形態は、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を特定、検出、予後予測、及び/または診断する方法を提供し、該方法は、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の存在を検出及び/または測定する段階と、対象の血液からヘモグロビン分解産物のレベルを測定する段階とを含み、対象の心臓における鉄沈着の存在が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を示すものであり、対象は、高血圧症、高血圧緊急症、急性高血圧緊急症、遷延性高血圧症、またはそれらの組み合わせであると診断されている。代表的なヘモグロビン分解産物には、鉄、ビリルビン、グロビン、及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0165】
種々の実施形態は、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を特定、検出、予後予測、及び/または診断する方法を提供し、該方法は、対象の心臓における少なくとも1つの鉄沈着の存在を検出及び/または測定する段階と、対象の血液からフェロトーシスマーカーのレベルを測定する段階とを含み、対象の心臓における鉄沈着の存在が、対象の心臓における少なくとも1つの微小出血を示すものであり、対象は、高血圧症、高血圧緊急症、急性高血圧緊急症、遷延性高血圧症、またはそれらの組み合わせであると診断されている。代表的なフェロトーシスマーカーには、上記のフェロトーシスの説明に関連して列挙されたものが含まれる。一部の実施形態では、本方法におけるフェロトーシスマーカーは、グルタチオンペルオキシダーゼ4(GPX4)を含む。対象において心臓または心筋の微小出血を特定するための方法が提供され、該方法は、対象の血液から、GPX4を含むフェロトーシスマーカーのレベルを測定する段階を含むか、または該段階からなり、GPX4の存在または参照対象よりも高いレベルのGPX4が、対象の心臓または心筋の微小出血を示すものである。対象において心臓または心筋の微小出血を検出するための方法が提供され、該方法は、対象の血液から、GPX4を含むフェロトーシスマーカーのレベルを測定する段階を含むか、または該段階からなり、GPX4の存在または参照対象よりも高いレベルのGPX4が、対象の心臓または心筋の微小出血を示すものである。対象において心臓または心筋の微小出血を予後予測するための方法が提供され、該方法は、対象の血液から、GPX4を含むフェロトーシスマーカーのレベルを測定する段階を含むか、または該段階からなり、GPX4の存在または参照対象よりも高いレベルのGPX4が、対象の心臓または心筋の微小出血を示すものである。対象において心臓または心筋の微小出血を診断するための方法が提供され、該方法は、対象の血液から、GPX4を含むフェロトーシスマーカーのレベルを測定する段階を含むか、または該段階からなり、GPX4の存在または参照対象よりも高いレベルのGPX4が、対象の心臓または心筋の微小出血を示すものである。さらなる実施形態では、本方法におけるフェロトーシスマーカーは、GPX4に加えて別の1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のマーカーをさらに含む。
【0166】
種々の実施形態では、とりわけ心臓組織に対して、MRIを使用して鉄を検出する技法は、T2*、T1、T2、プロトン密度強調シーケンス、及び磁化率強調画像法(SWI)から選択されるMRIシーケンス使用し、それによってT1マップ、T1強調画像、定量的磁化率マップを含む磁化率強調画像、T2マップ、T2*マップ、T2またはT2*マップ、T2またはT2*強調、補正T2またはT2*強調画像を得ることを含む。心臓組織における鉄を検出するための他の技法には、心臓組織検体に対する組織学的染色また誘導結合プラズマ質量分析等の、いくつかの侵襲的技法が含まれる。心臓組織における鉄または鉄沈着の検出の詳細は、米国特許第10,694,961号に記載され、同文献は参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0167】
一部の実施形態では、対象は、ヒトである。一部の実施形態では、対象は、高血圧症、高血圧緊急症、急性高血圧緊急症、遷延性高血圧症、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つを有する。
【0168】
一部の実施形態では、対象は、心筋梗塞も再灌流療法誘発性の出血も有せず、一部のさらなる態様では、対象は、出血性心筋梗塞を有せず、一部のさらなる態様では、対象は、再灌流療法を受けたことがなく、したがって再灌流出血を有することはない。一部の実施形態では、対象は、過去3日間、7日間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間、10ヶ月間、11ヶ月間、12ヶ月間、2年間、3年間、または5年間に心筋梗塞を有したことも再灌流療法を受けたこともない。一部の実施形態では、本明細書に開示される1つまたは複数の方法を必要とする対象は、上記のいずれか1つまたは複数の特徴を有する対象であり、一部の実施形態では、それを必要とする対象は、心筋微小出血の特定、検出、予後予測、または診断を所望している。
【0169】
一部の実施形態では、対象は、特発性高血圧症を有する。一部の実施形態では、対象は、高血圧症性微小出血を発症する長期または慢性の特発性高血圧症を有する。一部の実施形態では、対象は、症状、例えば、突然の刺痛感覚(例えば、顔の片面または両面、腕、胸、肢)、腕及び/または脚の重苦しさ、複視及び/または悪心等の、急性微小出血に関連する一過性の病巣症状を有する。一部の実施形態では、対象は、高血圧症であると診断されている。一部の実施形態では、対象が、高血圧症であると診断されており、抗凝固薬(例えば、アピキサバン、ダビガトラン、エドキサバン、エノキサパリン、ヘパリン、リバーロキサバン、ワルファリン)を服用している。一部の実施形態では、対象は、たこつぼ型心筋症等のストレス誘発性の病態(心筋症)であると診断されている。
【0170】
一部の実施形態では、心筋微小出血を有する対象の処置方法が提供される。一部の実施形態では、心筋微小出血、またはそれによって、関連する心血管疾患を特定、検出、予後予測、または診断するための、上記に開示される方法のうちの1つまたは複数は、対象を治療薬で処置する段階及び/または対象に対する治療薬を選択する段階及び/または対象に治療薬を提供する段階及び/または対象に治療薬を投与する段階をさらに含む。一部の実施形態では、治療薬は、少なくとも1つのキレート剤を含む治療用組成物である。一部の実施形態では、キレート剤は、デフェロキサミン(別名、デスフェリオキサミン)、デフェラシロクス、デフェリプロン、ヒノキチオール、デクスラゾキサン、2,2’-ビピリジル、ピリドキサールイソニコチノイルヒドラゾン、サリシルアルデヒドイソニコチノイルヒドラゾン、エキソケリン(デスフェリエキソケリン(desferri-exochelin)を含む)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。デスフェリエキソケリンは、六座配位分子であり、鉄と1対1の結合関係を形成することによって、それらはフリーラジカル反応を防止するが、一方で、デフェリプロンは、二座配位分子であり、デフェラシロクスは、三座配位分子である。一部の実施形態では、キレート剤は、鉄キレート剤である。一部の実施形態では、鉄キレート剤は、細胞内鉄キレート剤、細胞外鉄キレート剤、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。一部の実施形態では、細胞内鉄キレート剤は、第一鉄、第二鉄、及びそれらの組み合わせをキレート化する。一部の実施形態では、細胞外鉄キレート剤は、第一鉄、第二鉄、及びそれらの組み合わせをキレート化する。一部の実施形態では、治療薬は、少なくとも1つのヘム結合タンパク質、少なくとも1つのヘム分解タンパク質、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。一部の実施形態では、該方法は、対象における少なくとも1つのヘム結合タンパク質、少なくとも1つのヘム分解タンパク質、少なくとも1つのヘム遮断タンパク質、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの量を増加させるのに有効な因子のある量を、対象に投与する段階をさらに含む。一部の実施形態では、ヘム結合タンパク質は、ヘモペキシン、ハプトグロビン、アルブミン、フェリチン、アルファ1-ミクログロブリン、アルファ1-アンチトリプシン、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、ヘム結合タンパク質/肝脂肪酸結合タンパク質、ヘム結合タンパク質23/ペルオキシレドキシン、p22ヘム結合タンパク質、及びグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される。一部の実施形態では、ヘム分解タンパク質は、ヘムオキシゲナーゼ1、ヒノキチオール、核内因子E2関連因子2(Nrf2)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。一部の実施形態では、ヘム遮断タンパク質とは、ヘムの細胞中への取り込みを低減するように、さもなければヘムを輸送するタンパク質に結合し、こうして結合したタンパク質の機能を無効にするものを指し、したがって、間接的なヘムの遮断である。例えば、ヘム遮断剤は、ヘム担体タンパク質1(HCP1)の阻害剤、または二価金属輸送体1(DMT1)の阻害剤であり得る。別の例では、ヘム遮断剤は、ヘプシジンであり、これはフェロポーチンに結合し、その複合体は、エンドサイトーシス及び分解を経て、細胞表面からのフェロポーチンの喪失をもたらし、したがって細胞からの鉄の放出における二次的減少を誘発する。一部の実施形態では、因子は、FLVCR1a(ネコ白血病ウイルスサブグループC受容体1a)、ABCG2(ATP結合カセットサブファミリーGメンバー2)、FLVCR2、及びそれらの組み合わせから選択される。一部の実施形態では、ヘム結合タンパク質は、ヘムスカベンジャーである。
【0171】
治療用組成物と組み合わせて、抗炎症剤、脂質低下剤、マクロファージ活性の強化により鉄のクリアランスを促進することができる薬剤、食作用強化剤、または酸化鉄結晶の生合成を妨害するかもしくはナノ結晶の凝集を防止することができる薬剤、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、追加の薬剤を含めるか、または投与することができる。「組み合わせて」投与される場合、薬剤は、投与前に予め混合され得るか、同時に投与され得るか、または順次に(連続的または無投与期間を隔てることを含む)投与され得る。代表的な抗炎症剤には、コルヒチン、コルチコステロイド、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、抗IL-1ベータ(例えば、アナキンラ)、抗TNF-a(例えば、エタネルセプト及びインフリキシマブ)、抗IL-6(例えば、トシリズマブ)、抗MMP(例えば、PG-116800及びドキシサイクリン)、マクロファージモジュレーター(例えば、ホスファチジルセリン提示リポソーム)、NLRP3インフラマソーム阻害剤(例えば、16673-34-0(5-クロロ-2-メトキシ-N-[2-(4-スルファモイルフェニル)エチル]ベンズアミド))、インフラマソームアンタゴニスト(例えば、P2X7アンタゴニスト)、または抗糖尿病薬(例えば、インスリン(例えば、ヒューマリン、ノボリン、ヒューマログ)、メトホルミン(例えば、グルコファージ、グルコファージXR、フォルタメット、グルメッザ(Glumetza)、リオメット)、スルホニル尿素、メグリチニド、インクレチンミメティックス、ビグアニド、アミリノミメティック剤(例えば、プラムリンチド)、リパーゼ阻害剤、例えば、オルリスタット(例えば、ゼニカル、アライ(Alli))、チアゾリジンジオン、ピオグリタゾン(例えば、アクトス(Actos))、ロシグリタゾン(例えば、アバンディア)、コルチコステロイド、例えば、プレドニゾン(例えば、ライオス(Rayos))、ジペプチジルペプチダーゼ-4阻害剤、SGLT2阻害剤、及びグルカゴン様ペプチド-1類似体またはアゴニスト、例えば、エキセナチド(例えば、ビデュリオン、バイエッタ)及びリラグルチド(例えば、ビクトーザ))が含まれる。代表的な脂質低下剤には、スタチン、コレステロール吸収阻害剤(例えば、エゼチミブ(ezetimbie))、胆汁酸結合レジン/封鎖剤(例えば、コレスチラミン)、ナイアシン、またはビタミンB3が含まれる。
【0172】
一部の実施形態では、キレート剤、ヘム結合タンパク質、ヘム遮断タンパク質、及び/またはヘム分解タンパク質は、1日~1年間の期間、例えば、1週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間、10ヶ月間、11ヶ月間、もしくは1年間にわたって、または少なくとも1年間、2年間、3年間、4年間、もしくは5年間にわたって投与される。
【0173】
一部の実施形態では、治療用組成物または治療薬は、症状が現れてから直ちに、または症状が現れたときから5分、10分、30分、1時間、2時間、4時間、12時間、24時間、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、もしくは1ヶ月以内に、対象に対して開始または投与される。さらなる実施形態では、治療用組成物または治療薬は、心筋における鉄沈着または微小出血の存在を確認する診断を対象が受けた後に、対象に対して開始または投与される。
【0174】
さらなる実施形態は、該処置方法がまた、対象を監視または再評価する段階も含むということを規定する。一部の実施形態では、該方法は、心筋または心臓の別の部分における鉄沈着のレベルを検出するために、組成物の投与(1用量)後に対象の心臓を撮像する段階を含む。さらなる実施形態では、該方法は、心筋もしくは心臓の他の部分において、対象に先の用量が投与される前のレベルと比べて同じもしくはより高いレベルの鉄沈着が示される場合に、対象に組成物の後続の用量を投与する段階、または心筋もしくは心臓の他の部分において鉄沈着が存在しない場合に、組成物の投与を中止する段階を含む。さらなる実施形態では、心筋における1~5μg/組織g、5~10μg/組織g、0.01mg/組織g、0.02mg/組織g、0.03mg/組織g、0.04mg/組織g以上の鉄レベルが、対象において心筋微小出血が発生したまたは再発していることを示すものである。
【0175】
上記の方法における、対象の単位体重当たりのキレート剤、ヘム結合タンパク質、ヘム分解タンパク質、ヘム遮断タンパク質、または上記に開示される因子の代表的な投薬量には、10~100μg、100~200μg、200~300μg、300~400μg、400~500μg、500~600μg、600~700μg、700~800μg、800~900μg、1~5mg、5~10mg、10~20mg、20~30mg、30~40mg、40~50mg、50~60mg、60~70mg、70~80mg、80~90mg、90~100mg、100~200mg、200~300mg、300~400mg、400mg~500mg、500mg~1g、または1g~10gが含まれる。対象の単位体重は、体重1kg当たりまたは1対象当たりであり得る。別の実施形態では、キレート剤(例えば、デフェロキサミン、デフェラシロクス、デフェリプロン)は、100~200mg/期間、200~300mg/期間、300~400mg/期間、400~500mg/期間、500~600mg/期間、600~700mg/期間、700~800mg/期間、800~900mg/期間、900~100mg/期間、またはそれらの組み合わせのうちのいずれか1つまたは複数の用量で使用されてもよい。投薬期間は、1日、24時間以内、48時間、96時間、1週間、2週間毎、または1ヶ月であり得る。
【0176】
一部の実施形態では、鉄沈着は、酸化鉄を含む。一部の実施形態では、鉄沈着は、鉄を含む少なくとも1つの化合物を含む。一部の実施形態では、該化合物は、ヘム、ヘム誘導体、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。一部の実施形態では、鉄は、可能な任意の酸化状態にある。一部の実施形態では、酸化状態は、+2、+2/+3、+3、+4、及びそれらの組み合わせから選択される。一部の実施形態では、鉄は、第一鉄、第二鉄、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。一部の実施形態では、鉄は、任意の形態である。
【0177】
一部の実施形態では、心臓の一部分は、心外膜、心筋、心内膜、弁組織、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。一部の実施形態では、心臓の一部分は、弁組織、心内膜、肺動脈弁、腕頭動脈、上大静脈、右肺動脈、右肺静脈、三尖弁、右心室、下大静脈、下行大動脈、乳頭筋、心室中隔、心外膜、左心室、心筋、僧帽弁、大動脈弁、左肺静脈、左肺動脈、大動脈、左鎖骨下動脈、肺動脈幹、左総頸動脈、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0178】
一部の実施形態では、変化は、少なくとも1つの鉄沈着におけるものである。一部の実施形態では、変化は、少なくとも1つの鉄沈着の量(amount)、量(quantity)、濃度、形状、サイズ、及びパターンからなる群から選択される少なくとも1つにおけるものである。
【0179】
一部の実施形態では、参照試料は、対照対象からの心臓、心臓組織、または心臓の一部分であり、該対照対象は、心臓、心臓組織、または心臓の一部分に少なくとも1つの鉄沈着を有しない。一部の実施形態では、参照試料は、対照対象からの心臓、心臓組織、または心臓の一部分であり、該対照対象は、心臓、心臓組織、または心臓の一部分に少なくとも1つの微小出血を有しない。一部の実施形態では、参照試料は、より早期の時点での対象からの心臓、心臓組織、または心臓の一部分である。
【0180】
一部の実施形態では、心血管疾患は、梗塞した心筋、冠動脈疾患、冠動脈性心疾患、虚血性心疾患、心筋症、脳卒中、高血圧症性心疾患、心不全、肺性心疾患、虚血性症候群、冠微小血管疾患、心不整脈、リウマチ性心疾患、大動脈瘤、心筋症、心房細動、先天性心疾患、心内膜炎、炎症性心疾患、心内膜炎、炎症性心肥大、心筋炎、心臓弁膜症、脳血管疾患、末梢動脈疾患、急性ストレス誘発性心筋症(たこつぼ型心筋症)、びまん性心筋線維症、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0181】
一部の実施形態では、参照試料は、対象が心血管疾患に対して処置される前の該対象からの心臓、心臓組織、または心臓の一部分である。一部の実施形態では、参照試料は、心血管疾患に対して成功裏に処置された対象からの心臓、心臓組織、または心臓の一部分である。
【0182】
一部の実施形態では、参照試料は、対照対象からの心臓、心臓組織、または心臓の一部分であり、該対照対象は、心血管疾患を有しない。一部の実施形態では、参照試料は、対照対象からの心臓、心臓組織、または心臓の一部分であり、該対照対象は、心血管疾患を有する。
【0183】
一部の実施形態では、参照試料は、心血管疾患に対して成功裏に処置された対象の心臓、心臓組織、または心臓の一部分からのものである。一部の実施形態では、参照試料は、より早期の時点での対象の心臓、心臓組織、または心臓の一部分からのものである。
【0184】
一部の実施形態では、少なくとも1つの磁気共鳴画像を得ることは、少なくとも1つの磁気共鳴画像を得るために磁気共鳴撮像マシン/スキャナを操作することを含む。
【0185】
一部の実施形態では、心臓組織は、弁組織、心内膜、肺動脈弁、腕頭動脈、上大静脈、右肺動脈、右肺静脈、三尖弁、右心室、下大静脈、下行大動脈、乳頭筋、心室中隔、心外膜、左心室、心筋、僧帽弁、大動脈弁、左肺静脈、左肺動脈、大動脈、左鎖骨下動脈、肺動脈幹、左総頸動脈、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【実施例】
【0186】
本発明は、以下の実施例によってさらに説明され、これらの実施例は、純粋に本発明の例示であることが意図されており、決して本発明を限定するものとみなされるべきではない。以下の実施例は、特許請求される発明をよりよく例示するために提供されるものであり、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。特定の材料に言及する範囲において、それは例示を目的とするものにすぎず、本発明を限定することは意図されない。当業者は、本発明の能力を行使することなくかつ本発明の範囲から逸脱することなく、同等の手段または反応物質を開発してもよい。
【0187】
実施例1
図1Aは、高血圧症を誘発させるためにアンジオテンシンIIで処置された野生型ラットにおける心筋組織における鉄を示し、
図1Bは、結果として生じる心筋線維症を示す。
【0188】
本開示の態様を提供するために、実施形態は、ソフトウェアまたは記憶された指示を実行する任意の数のプログラム可能な処理デバイスを用いてもよい。任意の処理または評価のために本開示の実施形態によって用いられる物理プロセッサ及び/またはマシンには、代表的な実施形態の教示に従ってプログラムされた、1つまたは複数のネットワーク(インターネット、クラウド、WAN、LAN、衛星、有線、または無線(RF、セルラー、WiFi、Bluetooth等))、または非ネットワーク汎用コンピュータシステム、マイクロプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、マイクロコントローラ、スマートデバイス(例えば、スマートフォン)、コンピュータタブレット、ハンドヘルドコンピュータ等が含まれ得る。加えて、代表的な実施形態のデバイス及びサブシステムは、特定用途向け集積回路(ASIC)の準備によって、または従来のコンポーネント回路の適切なネットワークを相互接続することによって実装することができる。故に、代表的な実施形態は、ハードウェア回路及び/またはソフトウェアのいずれの特定の組み合わせにも限定されない。
【0189】
コンピュータ可読媒体のいずれか1つまたは組み合わせに記憶される場合、本開示の代表的な実施形態は、代表的な実施形態のデバイス及びサブシステムを制御するため、代表的な実施形態のデバイス及びサブシステムを駆動するため、代表的な実施形態のデバイス及びサブシステムをヒトユーザーと対話するように有効化するため等の、ソフトウェアを含み得る。かかるソフトウェアには、デバイスドライバー、ファームウェア、オペレーティングシステム、開発ツール、アプリケーションソフトウェア、データベース管理ソフトウェア等が含まれ得るが、これらに限定されない。代表的な実施形態のコンピュータコードデバイスには、スクリプト、解釈可能プログラム、ダイナミックリンクライブラリ(DLL)、Javaクラス及びアプレット、完全実行可能プログラム等を含むがこれらに限定されない、任意の好適な解釈可能または実行可能コード機構が含まれ得る。その上、処理能力は、より良好な性能、信頼性、コスト、または他の有益性のために、複数のプロセッサにわたって分散され得る。
【0190】
コンピュータ可読媒体の一般的な形態には、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意の他の好適な磁気媒体、CD-ROM、CDRW、DVD、任意の他の好適な光学媒体、パンチカード、紙テープ、光学マークシート、穴もしくは他の光学的に認識可能な印のパターンを有する任意の他の好適な物理媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH-EPROM、任意の他の好適なメモリチップもしくはカートリッジ、搬送波、またはコンピュータが読み取ることができる任意の他の好適な媒体が含まれ得る。かかる記憶媒体はまた、処理デバイスによるアクセス、処理、及び通信のために、他のタイプのデータ、例えば、データベースに編成されたデータを記憶するために用いることができる。
【0191】
上述の種々の方法及び技法は、本願を実施するためのいくつかの手段を提供する。当然ながら、本明細書に記載の任意の特定の実施形態に従って、記載される目的または利点の必ずしも全てが達成され得るわけではないことを理解されたい。故に、例えば、当業者であれば、本方法が、本明細書で教示または示唆されるような他の目的または利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示される1つの利点または利点の群を達成または最適化する様態で実施され得ることを認識するであろう。様々な代替物が本明細書で言及される。一部の実施形態は、1つの、別の、またはいくつかの特徴を具体的に含むが、他の実施形態は、1つの、別の、またはいくつかの特徴を具体的に除外し、さらに他の実施形態は、1つの、別の、またはいくつかの有利な特徴を含めることによって特定の特徴を軽減することを理解されたい。
【0192】
さらに、当業者であれば、異なる実施形態から種々の特徴の適用性を認識するであろう。同様に、上記で考察した種々の要素、特徴、及び段階、ならびにそのような各要素、特徴、または段階に対する他の既知の均等物は、本明細書に記載の原理に従って方法を実施するために当業者によって種々の組み合わせで用いられ得る。種々の要素、特徴、及び段階の中には、多様な実施形態において具体的に含まれるものもあれば、具体的に除外されるものもある。
【0193】
本願は、ある特定の実施形態及び実施例の関連で開示されているが、本願の実施形態は、具体的に開示された実施形態を超えて、他の代替的な実施形態及び/または使用ならびにそれらの修正形態及び均等物に拡張されることが当業者によって理解されるであろう。
【0194】
本願を実施するための本発明者らに既知の最良の形態を含む、本願の種々の実施形態が本明細書に記載される。それらの実施形態に対する変形形態が、前述の説明を読めば当業者に明らかとなるであろう。当業者は、そのような変形形態を適宜用いることができ、本願は、本明細書に具体的に記載されるものとは異なって実施され得ることが企図される。したがって、本願の多くの実施形態は、適用法によって許容されるように、本明細書に添付される特許請求の範囲に列挙される発明の主題の全ての修正形態及び均等物を含む。その上、本明細書で別途指示されない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、上述の要素のその全ての可能性のある変形形態における任意の組み合わせが本願に包含される。
【0195】
本明細書で参照される全ての特許、特許出願、特許出願の刊行物、ならびに記事、書籍、明細書、刊行物、文書、物、及び/または同様のもの等の他の資料は、参照によりそれらの全体が全目的で本明細書に援用されるが、但し、それらと関連付けられる任意の中間処理ファイル経過、本明細書と不一致であるかもしくは矛盾するもののいずれか、または本明細書と現在もしくは今後関連付けられる特許請求の範囲の最も広い範囲に関して限定する影響を有し得るもののいずれかは除外される。例として、援用される資料のうちのいずれかに関連する用語の説明、定義、及び/または使用と、本明細書に関連するものとの間に不一致または矛盾がある場合、本明細書における用語の説明、定義、及び/または使用が優先するものとする。
【0196】
本明細書に開示される本願の実施形態は、本願の実施形態の原理を例示説明するものであることを理解されたい。用いられ得る他の修正形態が、本願の範囲内にあり得る。故に、限定ではなく例として、本願の実施形態の代替的な構成が本明細書の教示に従って利用され得る。したがって、本願の実施形態は、示され、記載される正確なものに限定されない。
【0197】
本発明の種々の実施形態は、発明を実施するための形態において上述されている。これらの説明は、上記の実施形態を直接説明するものであるが、当業者は、本明細書に示され、説明される特定の実施形態に対する修正形態及び/または変形形態を構想し得ることを理解されたい。本明細書の範囲内に該当するいずれのかかる修正形態または変形形態もまた、本明細書に含まれることが意図される。特に注記されない限り、本明細書及び特許請求の範囲における単語及び語句は、該当する技術分野(複数可)の当業者にとって通例かつ慣習的な意味を与えられることが、本発明者らの意図である。
【0198】
本願の出願時に出願人に知られている本発明の種々の実施形態の前述の説明が提示されており、これらは例示及び説明を目的とすることが意図されている。本明細書は、網羅的であることを意図するものでも、本発明を開示される正確な形態に限定すること意図するものでもなく、上記の教示を考慮して多くの修正形態及び変形形態が可能である。記載された実施形態は、本発明の原理及びその実用的な用途を説明する役目、ならびに当業者が本発明を種々の実施形態において、及び企図される特定の使用に適するような種々の修正を伴って利用することを可能にする役目を果たす。したがって、本発明は、本発明を実施するために開示される特定の実施形態に限定されないことが意図される。
【0199】
本発明の特定の実施形態が示され、説明されたが、本明細書の教示に基づいて、本発明及びそのより広い態様から逸脱することなく変更及び修正が行われ得ることは当業者には明らかであり、したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨及び範囲内にある全てのかかる変更形態及び修正形態をそれらの範囲内に包含するものである。
【国際調査報告】