(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(54)【発明の名称】移動制限装置を有するトーションダンパ
(51)【国際特許分類】
F16F 15/133 20060101AFI20221221BHJP
【FI】
F16F15/133 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525367
(86)(22)【出願日】2020-10-28
(85)【翻訳文提出日】2022-06-28
(86)【国際出願番号】 EP2020025477
(87)【国際公開番号】W WO2021083550
(87)【国際公開日】2021-05-06
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503041177
【氏名又は名称】ヴァレオ アンブラヤージュ
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン、ブレイリー
(57)【要約】
本発明は、
-2つの側方ワッシャ(11、12)、すなわち、第1側方ワッシャ(11)および第2側方ワッシャ(12)であって、回転軸Xを中心として回転可能であるとともに、前記回転軸Xに対して互いに回転連結された第1側方ワッシャ(11)および第2側方ワッシャ(12)と、
-2つの前記側方ワッシャ(11、12)により軸方向に画定されたスペースに全体的または部分的に配置された内側ディスク(21)と、
-複数の弾性部材(30)であって、2つの前記側方ワッシャ(11、12)と前記内側ディスク(21)との前記回転軸Xを中心とした相対回転中に、2つの前記側方ワッシャ(11、12)および前記内側ディスク(21)を相対静止位置に復帰させることができる弾性復帰力を発揮することにより変形するように配置された弾性部材(30)と、
-前記内側ディスク(21)に対して、および前記第1側方ワッシャ(11)に対して前記軸Xを中心として回転可能である中間ワッシャ(41)と、
-前記内側ディスクと協働するストッパ要素(52)と、前記中間ワッシャ(41)をバイパスするためのバイパス部分(16)と、を備える停止部材(19)と、
を備える車両のパワートレイン用のトーションダンパ(100)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-2つの側方ワッシャ(11、12)、すなわち、第1側方ワッシャ(11)および第2側方ワッシャ(12)であって、回転軸Xを中心として回転可能であるとともに、前記回転軸Xに対して互いに回転に関して連結された第1側方ワッシャ(11)および第2側方ワッシャ(12)と、
-2つの前記側方ワッシャ(11、12)により軸方向に画定されたスペースに全体的または部分的に配置された内側ディスク(21)と、
-複数の弾性部材(30)であって、2つの前記側方ワッシャ(11、12)と前記内側ディスク(21)との前記回転軸Xを中心とした相対回転中に、2つの前記側方ワッシャ(11、12)および前記内側ディスク(21)を相対静止位置に復帰させることができる弾性復帰力を発揮することにより変形するように配置された弾性部材(30)と、
-前記内側ディスク(21)に対して、および前記第1側方ワッシャ(11)に対して前記軸Xを中心として回転可能である中間ワッシャ(41)であって、径方向外側輪郭部(13)を有する中間ワッシャ(41)と、
-前記相対静止位置からの第1相対回転方向(S1)における2つの前記側方ワッシャ(11、12)と前記内側ディスク(21)との前記相対角度移動量を制限する移動制限装置(50)であって、前記第1側方ワッシャ(11)に関連付けられたストッパ要素(52)と、前記内側ディスク(21)に関連付けられた相補的なストッパ要素(51)と、を備える移動制限装置(50)と、
を備える、車両のパワートレイン用のトーションダンパ(100)であって、
前記ダンパの2つの前記側方ワッシャ(11、12)と前記内側ディスク(21)との前記相対角度移動量の角度が、前記相対回転方向(S1)において前記相対静止位置から第1の所定の閾値に達したとき、前記相補的なストッパ要素(51)および前記ストッパ要素(52)は、周方向において互いに当接するように配置される、トーションダンパ(100)において、
前記第1側方ワッシャ(11)は、前記ストッパ要素(52)とバイパス部分(16)とを備える停止部材(19)を備え、
前記バイパス部分(16)は、前記中間ワッシャ(41)の前記径方向外側輪郭部(13)の径方向外側に配置される、
ことを特徴とするトーションダンパ(100)。
【請求項2】
前記バイパス部分(16)は、軸方向において前記中間ワッシャ(41)の両側で延びる、
請求項1に記載のトーションダンパ(100)。
【請求項3】
前記ストッパ要素(52)は、前記中間ワッシャ(41)の前記径方向外側輪郭部(13)の径方向内側に配置される、
請求項1または2に記載のトーションダンパ(100)。
【請求項4】
前記停止部材(19)はタブ(19)であり、前記タブ(19)は、前記回転軸Xを含む平面であって前記タブを通過する平面において、L字形状の断面を有する、
請求項1~3の一項に記載のトーションダンパ(100)。
【請求項5】
前記タブ(19)の端部領域が前記ストッパ要素(52)を形成し、前記タブ(19)の近位部分が前記バイパス部分(16)を形成する、
請求項4に記載のトーションダンパ(100)。
【請求項6】
前記第1側方ワッシャ(11)およびそのタブ(19)は、金属薄板から形成される、
請求項4または5に記載のトーションダンパ(100)。
【請求項7】
前記回転軸Xを含む平面であって前記停止部材(19)を通過する平面において、前記停止部材(19)は凹部(190)を画定し、
前記凹部(190)内に、一方の前記第1側方ワッシャおよび前記第2側方ワッシャと他方の前記内側ディスクとの相対角度移動量の少なくとも1つの角度のために、前記中間ワッシャ(41)の前記径方向外側輪郭部(13)の一部が配置される、
請求項1~6の一項に記載のトーションダンパ(100)。
【請求項8】
前記内側ディスク(21)は、少なくとも1つのアーム(23)を備え、
前記内側ディスク(21)の前記相補的なストッパ要素(51)は、前記内側ディスク(21)の前記アーム(23)のうちの1つに形成される、
請求項1~7の一項に記載のトーションダンパ(100)。
【請求項9】
前記内側ディスク(21)は、軸方向において、前記中間ワッシャ(41)と前記第2側方ワッシャ(12)との間に位置する、
請求項1~8の一項に記載のトーションダンパ(100)。
【請求項10】
前記中間ワッシャ(41)は、軸方向において、前記停止部材(19)を除いた前記第1側方ワッシャ(11)の前方部分(15)と前記内側ディスク(21)の全部または一部との間に配置される、
請求項1~9の一項に記載のトーションダンパ(100)。
【請求項11】
複数の前記弾性部材は、2つの前記側方ワッシャ(11、12)と前記内側ディスク(21)との間で直列に配置された一方の第1グループのバネ(31)と第2グループのバネ(32)とを備え、
前記中間ワッシャ(41)は、伝達部分(43)を備える整相ワッシャ(41)であり、
各伝達部分(43)は、周方向において、前記第1グループバネ(31)のバネと前記第2グループバネ(32)のバネとの間に配置されて、前記第1グループのバネ(31)から前記第2グループのバネ(32)に、および前記第2グループバネ(32)から前記第1グループバネ(31)に力を伝達する、
請求項1~10の一項に記載のトーションダンパ(100)。
【請求項12】
2つの前記側方ワッシャ(11、12)と前記内側ディスク(21)との間の少なくとも1つの相対位置のために、前記停止部材の前記凹部に配置された前記整相ワッシャ(41)の前記径方向外側輪郭部(13)の前記一部は、前記伝達部分(43)のうちの少なくとも1つの前記径方向外側輪郭部により形成される、
請求項7および11に記載のトーションダンパ(100)。
【請求項13】
前記整相ワッシャ(41)は、第1整相ワッシャであり、
前記トーションダンパは、前記第1グループバネ(31)から前記第2グループバネ(32)に力を伝達するように構成された第2整相ワッシャをさらに備え、
前記ストッパ要素(52)および前記相補的なストッパ要素(51)は、軸方向において、前記第1整相ワッシャ(41)と前記第2整相ワッシャ(42)との間に位置する、
請求項11または12に記載のトーションダンパ(100)。
【請求項14】
前記第1側方ワッシャ(11)および前記第2側方ワッシャ(12)のうちの少なくとも一方は、前記回転軸Xに沿って延びるスカート(40)を備え、
前記中間ワッシャ(41)および前記内側ディスク(21)は、前記スカート(40)の径方向内側において、径方向に重なった状態で配置される、
請求項1~13の一項に記載のトーションダンパ(100)。
【請求項15】
前記第1側方ワッシャ(11)は、前記内側ディスク(21)に前記第1相対回転方向(S1)のみにおいて接するように配置された第1グループの停止部材(19a)を備え、
前記第2側方ワッシャ(12)は、前記内側ディスク(21)に前記第2相対回転方向(S2)のみにおいて接するように配置された第2グループの停止部材(19b)を備える、
請求項1~14の一項に記載のトーションダンパ(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のパワートレイン、特に自動車のパワートレイン用のトーションダンパの分野に関する。本発明は、特に、移動制限装置(エンドオブトラベル装置)を備えるトーションダンパに関する。
【背景技術】
【0002】
2つの側方ワッシャと、ウェブとも称される内側ディスクと、2つの側方ワッシャと内側ディスクとの相対回転中に圧縮可能であるバネと、を有する車両のパワートレイン用のトーションダンパを作製することが知られている。このようなトーションダンパは、2つの側方ワッシャと内側ディスクとの相対角度移動量を制限するエンドオブトラベル装置を備え得る。エンドオブトラベル装置は、特に2つの側方ワッシャのスペーサを接続することにより形成されたストッパ要素を備えている。
【0003】
一部の適用例は、軸方向において側方ワッシャの一方と内側ディスクとの間に配置された単数または複数の中間ワッシャを備えている。この中間ワッシャは、例えば、側方ワッシャと内側ディスクとの間で直列に配置された2つのバネ間で力を伝達する整相ワッシャ、あるいはまたヒステリシスワッシャ、あるいはまた振り子支持体であり得る。
【0004】
これらの適用例では、既知のエンドオブトラベル装置を実装することがより複雑になり、2つの側方ワッシャと内側ディスクとの相対角度移動量を小さくせざるを得ない。
【発明の概要】
【0005】
本発明の1つの目的は、上述の問題を解決することを目指す。
【0006】
このために、本発明は、車両のパワートレイン用のトーションダンパに関し、前記トーションダンパは、
-2つの側方ワッシャ、すなわち、第1側方ワッシャおよび第2側方ワッシャであって、回転軸Xを中心として回転可能であるとともに、前記回転軸Xに対して互いに回転に関して連結された第1側方ワッシャおよび第2側方ワッシャと、
-2つの前記側方ワッシャにより軸方向に画定されたスペースに全体的または部分的に配置された内側ディスクと、
-複数の弾性部材であって、2つの前記側方ワッシャと前記内側ディスクとの前記回転軸Xを中心とした相対回転中に、2つの前記側方ワッシャおよび前記内側ディスクを相対静止位置に復帰させることができる弾性復帰力を発揮することにより変形するように配置された弾性部材と、
-前記内側ディスクに対して、および前記第1側方ワッシャに対して前記軸Xを中心として回転可能である中間ワッシャであって、径方向外側輪郭部を有する中間ワッシャと、
-前記相対静止位置からの第1相対回転方向における2つの前記側方ワッシャと前記内側ディスクとの前記相対角度移動量を制限するエンドオブトラベル装置であって、前記第1側方ワッシャに関連付けられたストッパ要素と、前記内側ディスクに関連付けられた相補的なストッパ要素と、を備えるエンドオブトラベル装置と、
を備え、
前記ダンパの2つの前記側方ワッシャと前記内側ディスクとの前記相対角度移動量の角度が、前記相対回転方向において前記相対静止位置から第1の所定の閾値に達したとき、前記相補的なストッパ要素および前記ストッパ要素は、周方向において互いに当接するように配置される、トーションダンパに関する。
【0007】
第1側方ワッシャは、ストッパ要素とバイパス部分とを備える停止部材を備え、バイパス部分は、中間ワッシャの径方向外側輪郭部の径方向外側に配置される。
【0008】
したがって、エンドオブトラベル装置は、(単数または複数の)中間ワッシャが存在するにもかかわらず実現される。中間ワッシャは、停止部材を妨げない。中間ワッシャと第1側方ワッシャとは、互いに対して自由に回転できる。中間ワッシャの径方向外側輪郭部全体が、すなわち回転軸全体が考慮される。したがって、本発明は、トーションダンパの構造設計においてより多くの自由度を提供する。また、ストッパ要素は、回転軸Xから径方向に離間し得る。これにより、ストッパ要素により支持される力を制限することができる。また、提案されたエンドオブトラベル装置は、(単数または複数の)中間ワッシャが存在するにもかからわず、大きな角度移動量を提供する。
【0009】
本発明の他の目的は、エンドオブトラベル装置により高いトルク、例えば1000Nmを超えるトルクを伝達することである。
【0010】
本発明の他の目的は、内側ディスクと2つの側方ワッシャとの大きな角度移動量、例えば、一方の端位置から他方の端位置までにおいて60度を超える移動量を可能とすることである。
【0011】
トーションダンパは、以下の特徴のうちの単数または複数を備え得る。
【0012】
バイパス部分は、軸方向において中間ワッシャの両側で延びる。
【0013】
中間ワッシャと停止部材のバイパス部分との間に、径方向の重なりが存在する。
【0014】
回転軸Xに対して垂直な平面であって、中間ワッシャおよび停止部材のバイパス部分の両方を通過する平面が存在する。
【0015】
ストッパ要素は、中間ワッシャの径方向外側輪郭部の径方向内側に配置される。
【0016】
バイパス部分は、中間ワッシャの径方向外側に配置される。
【0017】
停止部材はタブであり、タブは、回転軸Xを含む平面であってタブを通過する平面において、L字形状の断面を有する。
【0018】
タブは、80度~100度、例えば90度の屈曲部を有することにより、回転軸Xを含む平面において観察した場合、ストッパ要素は回転軸Xの方向に配向される。
【0019】
タブの端部領域が、ストッパ要素を形成する。
【0020】
タブの近位部分が、バイパス部分を形成する。
【0021】
停止部材は、ストッパ要素と、延長線上にバイパス部分と、を備える凸部を形成する。
【0022】
第1側方ワッシャおよびそのタブは、金属薄板から形成される。
【0023】
回転軸Xを含む平面であって停止部材を通過する平面において、停止部材は凹部を画定し、凹部内に、一方の第1側方ワッシャおよび第2側方ワッシャと他方の内側ディスクとの少なくとも1つの角度の相対角度移動量のために、中間ワッシャの径方向外側輪郭部の一部が配置される。
【0024】
バイパス部分とストッパ要素とは、結合して凹部を画定する。
【0025】
内側ディスクは、少なくとも1つのアームを備え、内側ディスクの相補的なストッパ要素は、内側ディスクのアームのうちの1つに形成される。
【0026】
内側ディスクは、軸方向において、中間ワッシャと第2側方ワッシャとの間に位置する。
【0027】
中間ワッシャは、軸方向において、停止部材を除いた第1側方ワッシャの前方部分と内側ディスクの全部または一部との間に配置される。
【0028】
中間ワッシャは、軸方向において、停止部材を除いた第1側方ワッシャの前方部分と第2側方ワッシャの全部または一部との間に配置される。
【0029】
バイパス部分は、第1側方ワッシャの前方部分をストッパ要素に接続する。
【0030】
内側ディスクは、回転軸Xに垂直な平面において全体的に延びる。
【0031】
中間ワッシャは、軸方向において、第1側方ワッシャの前方部分と内側ディスクとの間に配置される。
【0032】
複数の弾性部材は、2つの側方ワッシャと内側ディスクとの間で直列に配置された一方の第1グループバネと第2グループバネとを備え、中間ワッシャは、伝達部分を備える整相ワッシャであり、各伝達部分は、周方向において、第1グループバネのバネと第2グループバネのバネとの間に配置されて、第1グループバネから第2グループバネに、および第2グループバネから第1グループバネに力を伝達する。
【0033】
整相ワッシャは、伝達部分が径方向に延び出るリングを備える。
【0034】
整相ワッシャのリングは、第1グループバネおよび第2グループバネの径方向内側に配置される。
【0035】
2つの側方ワッシャと内側ディスクとの間の少なくとも1つの相対位置決めのために、停止部材の凹部に配置された中間ワッシャの径方向外側輪郭部の当該一部は、伝達部分のうちの少なくとも1つの径方向外側輪郭部により形成される。
【0036】
整相ワッシャは、第1整相ワッシャであり、トーションダンパは、第1グループバネから第2グループバネに力を伝達するように構成された第2整相ワッシャをさらに備え、ストッパ要素および相補的なストッパ要素は、軸方向において、第1整相ワッシャと第2整相ワッシャとの間に位置する。
【0037】
ダンパの相対静止位置において、バイパス部分は、整相ワッシャの伝達部分のうちの1つと径方向に対向するように配置される。
【0038】
換言すれば、ダンパの相対静止位置において、かつ回転軸Xを含む平面であってタブを通過する平面において、バイパス部分は、整相ワッシャの伝達部分を径方向に覆う。
【0039】
ダンパは、2つの側方ワッシャおよび内側ディスクが、第1相対回転方向とは反対の第2相対回転方向(S2)において相対静止位置から回転し得るように構成される。
【0040】
各側方ワッシャは、第1グループバネと第1相対回転方向において協働する第1軸受面と、第2グループバネと第1相対回転方向とは反対の第2相対回転方向において協働する第2軸受面と、を備える。
【0041】
内側ディスクは、第1グループバネと第2相対回転方向において協働する第1軸受面と、第2グループバネと第1相対回転方向において協働する第2軸受面、を備える。
【0042】
各側方ワッシャは、一方でその第1軸受面のうちの一つにより、他方でその第2軸受面のうちの一つにより周方向に画定されたウィンドウを備える。
【0043】
内側ディスクは、複数のアームを備える。各アームは、内側ディスクの第1軸受面のうちの一つと第2軸受面のうちの一つとを支持する。
【0044】
軸受面とバネとの協働は、中間部材を介さずに直接実施され得る、または、シート、カップ、またはアンカー等の中間部材を介して実施され得る。
【0045】
各アームは、内側ディスクの第1軸受面および第2軸受面により周方向に画定された第1部分を備える。
【0046】
各アームは、相補的なストッパ要素を形成する第2部分を備える。
【0047】
アームの第2部分は、アームの第1部分の径方向外側に配置される。
【0048】
アームの第2部分は、アームの第1部分の延長線上に配置される。
【0049】
内側ディスクは、アームが径方向に延び出る環状部分を備える。
【0050】
内側ディスクの環状部分は、第1グループバネおよび第2グループバネの径方向内側に配置される。
【0051】
各アームは、回転軸Xに対して垂直な平面において延在する。
【0052】
各アームは、実質的に径方向に延びる。
【0053】
相補的なストッパ要素の接触面は、アームの縁部に、換言すればアームの厚さ内に形成される。
【0054】
タブの端部領域は、内側ディスクのアームと同一の平面において実質的に延在する。これにより、ダンパの第1側方ワッシャおよび第2側方ワッシャと内側ディスクとの相対角度移動量の角度が、第1相対回転方向において相対静止位置から第1の所定の閾値に達したとき、タブの端部領域とアームとは、周方向において互いに当接し得る。
【0055】
第1グループバネが、2つの側方ワッシャの第1軸受面と整相ワッシャとの間で、第1相対回転方向において圧縮するように、ダンパは構成される。
【0056】
第1グループバネが、内側ディスクの第1軸受面と整相ワッシャの間で、第2相対回転方向において圧縮するように、ダンパは構成される。
【0057】
第2グループバネが、内側ディスクの第2軸受面と整相ワッシャとの間で、第1相対回転方向において圧縮するように、ダンパは構成される。
【0058】
第2グループバネが、2つの側方ワッシャの第2軸受面と整相ワッシャとの間で、第2相対回転方向において圧縮するように、ダンパは構成される。
【0059】
第1グループバネおよび第2グループバネは、同一の直径上に配置される。
【0060】
その中心を回転軸X上に有する円が存在しており、当該円は、回転軸Xに対して垂直な平面であって第1グループバネおよび第2グループバネのバネを通過する平面に位置する。
【0061】
中間ワッシャは第1中間ワッシャであり、トーションダンパは第2中間ワッシャを備える。
【0062】
第1中間ワッシャは第1整相ワッシャであり、第2中間ワッシャは第2整相ワッシャである。
【0063】
第2整相ワッシャは、伝達部分を備える。各伝達部分は、周方向において、第1グループバネのバネと第2グループバネのバネとの間に配置されて、第1グループバネから第2グループバネに、および第2グループバネから第1グループバネに力を伝達する。
【0064】
第1グループバネが、2つの側方ワッシャの第1軸受面と第2整相ワッシャとの間で、第1相対回転方向において圧縮するように、ダンパは構成される。
【0065】
第2グループバネが、内側ディスクの第1軸受面と第2整相ワッシャとの間で、第1相対回転方向において圧縮するように、ダンパは構成される。
【0066】
第1グループバネが、2つの側方ワッシャの第2軸受面と第2整相ワッシャとの間で、第2相対回転方向において圧縮するように、ダンパは構成される。
【0067】
第2グループバネが、内側ディスクの第2軸受面と第2整相ワッシャとの間で、第2相対回転方向において圧縮するように、ダンパは構成される。
【0068】
内側ディスクは、軸方向において、第1中間ワッシャと第2中間ワッシャとの間に配置される。
【0069】
第1側方ワッシャおよび第2側方ワッシャのうちの少なくとも一方は、回転軸に沿って延びるスカートを備え、中間ワッシャおよび内側ディスクは、スカートの径方向内側において、径方向に重なった状態で配置される。したがって、第1側方ワッシャおよび第2側方ワッシャは、カセットを形成する。
【0070】
スカートは、第1側方ワッシャに形成される。
【0071】
スカートは、第1側方ワッシャの径方向外側部分に位置する。
【0072】
第1整相ワッシャおよび第2整相ワッシャは、スカートの径方向内側において、径方向に重なった状態で配置される。
【0073】
固定要素が、第1側方ワッシャを第2側方ワッシャに固定する。
【0074】
第1側方ワッシャおよび第2側方ワッシャの一方は、舌部を備える固定要素を備え、第1側方ワッシャおよび第2側方ワッシャの他方は、舌部が挿入されるオリフィスまたはノッチを備える。
【0075】
舌部は、スカートから軸方向に突出する。
【0076】
舌部は、第1側方ワッシャの金属薄板に形成される。
【0077】
スカートは、回転軸Xを中心として不連続な態様で延在する。
【0078】
スカートは、停止部材が位置する少なくとも1つの中断部を備える。換言すれば、スカートは、回転軸を中心として360度に亘って延在しない。
【0079】
一実施形態によれば、スカートは、回転軸を中心として少なくとも250度に亘って、特に少なくとも300度に亘って、特に少なくとも320度に亘って回転軸を中心として延在する。
【0080】
複数の弾性部材は、2つの側方ワッシャおよび内側ディスクと協働するように配置された第3グループバネをさらに備える。第3グループバネは、第1グループバネおよび第2グループバネから構成されるアセンブリに対して平行に配置される。
【0081】
第3グループバネは、第1グループバネおよび第2グループバネの径方向内側に配置される。
【0082】
変形例によれば、第3グループバネは、異なる個数のバネを備え得る。これらのバネは、まっすぐであってもよいし、湾曲していてもよい。
【0083】
第3グループバネのバネが、2つの側方ワッシャと内側ディスクとの間の回転軸Xに対する相対回転中に、2つの側方ワッシャと内側ディスクとの間で周方向に圧縮され得るように、ダンパは構成される。
【0084】
ダンパの第1側方ワッシャおよび第2側方ワッシャと内側ディスクとの相対角度移動量の角度が、第1相対回転方向とは反対の第2回転方向において相対静止位置から第2の所定の閾値に達したとき、ストッパ要素は内側ディスクの別の相補的なストッパ要素に周方向に当接するように配置される。
【0085】
第1グループバネのバネ、または第2グループバネのバネ、または第3グループバネのバネは、さらに追加の内側バネを備え得る。
【0086】
ストッパ要素は、ストッパ要素の第1周方向端部に位置する第1接触面と、ストッパ要素の反対側の第2周方向端部に位置する第2接触面と、を備える。
【0087】
ストッパ要素の第1接触面および/または第2接触面は、第1側方ワッシャの金属薄板の厚さ内に形成される。
【0088】
ストッパ要素の第1接触面は、第1アームの相補的なストッパ要素に、第1相対回転方向において当接するように配置される。ストッパ要素の第2接触面は、第2アームの相補的なストッパ要素に、第2相対回転方向において当接するように配置される。
【0089】
したがって、各ストッパ要素は、双方向に作用する。
【0090】
相補的なストッパ要素は、相補的なストッパ要素の第1周方向端部に位置する第1接触面と、相補的なストッパ要素の反対側の第2周方向端部に位置する第2接触面と、を備える。
【0091】
相補的なストッパ要素の第1接触面および/または第2接触面は、第1側方ワッシャの金属薄板の厚さに形成される。
【0092】
相補的なストッパ要素の第1接触面は、第1停止部材のストッパ要素に、第1相対回転方向において当接するように配置される。相補的なストッパ要素の第2接触面は、第2停止部材のストッパ要素に、第2相対回転方向において当接するように配置される。
【0093】
したがって、各相補的なストッパ要素は、双方向に作用する。
【0094】
相補的なストッパ要素は、周方向に突出する部分を有する。これらの突出部分は、バネの径方向外側に配置されてこれらを保持する。
【0095】
各突出部分は、相補的なストッパ要素の接触面を支持する。
【0096】
相対静止位置からの第1相対回転方向における角度移動量は、第2相対回転方向における角度移動量と異なり得る。
【0097】
ダンパは複数の停止部材を備え、内側ディスクは複数の相補的なストッパ要素を備える。
【0098】
一実施形態によれば、第1側方ワッシャは第1グループ停止部材を備え、第1側方ワッシャおよび第2側方ワッシャの一方が第2グループ停止部材を備える。
【0099】
第1グループ停止部材は、内側ディスクに第1相対回転方向において隣接するように配置される。第2グループ停止部材は、内側ディスクに第2相対回転方向において隣接するように配置される。
【0100】
内側ディスクは、軸方向にオフセットするとともに互いに回転連結された第1内側ワッシャおよび第2内側ワッシャを備える。
【0101】
第1グループ停止部材の各停止部材は、第1内側ワッシャに支持された相補的なストッパ要素のみと協働するストッパ要素を備える。
【0102】
第2グループ停止部材の各停止部材は、第2内側ワッシャに支持された相補的なストッパ要素51のみと協働するストッパ要素を備える。
【0103】
変形例によれば、第1側方ワッシャは、内側ディスクに第1相対回転方向のみにおいて隣接するように配置された第1グループ停止部材を備え、第2側方ワッシャは、内側ディスクに第2相対回転方向のみにおいて隣接するように配置された第2グループ停止部材を備える。
【0104】
第1グループ停止部材の停止部材の特徴は、第2グループ停止部材の停止部材に適用され得る。
【0105】
また、本発明は、入力部材と、出力部材と、上述のダンパと、を備えたトルク伝達装置に関する。入力部材および出力部材の一方は、内側ディスクに回転に関して連結可能に装着され、内側部材および出力部材の他方は、2つの側方ワッシャに回転に監視絵連結可能に装着される。
【0106】
入力部材は、ダンパに対して、駆動トルクを生成するエンジンまたは電気機械に向いて位置する。
【0107】
出力部材は、ダンパに対して、車両のホイールに向いて位置する。
【0108】
出力部材は、ハブである。
【0109】
内側ディスクは、特にその径方向内側縁部を介してハブに固定される。
【0110】
一実施形態によれば、入力部材は、摩擦ディスクであり得る。
【0111】
ダンパは、電気機械または内燃機関またはハイブリッドエンジンを有するパワートレインにおいても同様に使用され得る。
【0112】
本発明は、添付図面を参照しつつ非限定的な例示によってのみ提供される本発明の複数の特定の実施形態についての以下の説明からよりよく理解されるとともに、その他の目的、詳細、特徴および利点がより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態の分解斜視図を示す。
【
図2】
図2は、本発明の第1実施形態の断面図を示す。
【
図3】
図3は、本発明の第1実施形態の部分拡大断面図を示す。
【
図4】
図4は、第2側方ワッシャを除く、本発明の第1実施形態の部分正面図である。
【
図5】
図5は、本発明の第2実施形態の分解斜視図を示す。
【
図6】
図6は、本発明の第2実施形態の第1側方ワッシャの斜視図を示す。
【
図7】
図7は、本発明の第2実施形態の停止部材の部分拡大斜視図を示す。
【
図8】
図8は、本発明の第2実施形態の内側ディスクの分解斜視図を示す。
【
図9】
図9は、第2側方ワッシャを除く、本発明の第2実施形態の正面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0114】
本明細書および特許請求の範囲において、「外側」および「内側」という用語や「軸方向」および「径方向」という向きは、本明細書においてなされる定義に従ってトーションダンパの要素を指定するために使用するものとする。慣例により、回転軸Xが軸方向の向きを決定し、「径方向」の向きは、回転軸(X)に直交するように向けられる。「周方向」の向きは、トーションダンパの回転軸に対して直交し、かつ径方向に対して直交するように向けられる。したがって、周方向に延在すると記載された要素は、その成分が周方向に沿って延在する要素である。同様に、角度の表示は、回転軸Xに対して垂直な平面および前記回転軸の高さの割線の2つの直線により定められると解釈される。「外側」および「内側」という用語は、トーションダンパの回転軸を基準とした、ある要素の他の要素に対する相対位置を定義するために使用される。軸に近い要素は、径方向において外周部に位置する外側要素に対して内側と限定される。
【0115】
図1は、本発明の第1実施形態の分解斜視図である。
図1は、自動車のパワートレイン用の、以下ではダンパ100とも称するトーションダンパ100を示す。トーションダンパ100は、2つの側方ワッシャ11、12、すなわち、第1側方ワッシャ11および第2側方ワッシャ12であって、回転軸Xを中心として回転可能であるとともに、回転軸Xに対して互いに回転に関して連結された第1側方ワッシャ11および第2側方ワッシャ12を備えている。また、ダンパ100は、2つの側方ワッシャ11および12により軸方向に画定されたスペースに全体的に配置された内側ディスク21を備えている。
【0116】
ダンパ100は、複数の弾性部材30であって、一方の2つの側方ワッシャ11、12と他方の内側ディスク21との回転軸Xを中心とした相対回転中に、2つの側方ワッシャ11、12および内側ディスク21を相対静止位置に復帰させることができる弾性復帰力を発揮することにより変形するように配置された弾性部材30を備えている。
【0117】
複数の弾性部材は、ここでは、2つの側方ワッシャ11、12と内側ディスク21との間に直列に配置された一方の第1グループの3つのバネ31(第1グループバネ31)および第2グループの3つのバネ32(第2グループバネ32)を備えている。複数の弾性部材は、2つの側方ワッシャ11、12および内側ディスクと協働するように配置された第3グループの3つのバネ33(第3グループバネ33)をさらに備えている。第3グループバネ33は、第1グループバネ31および第2グループバネ32から構成されるアセンブリに対して平行に配置されている。換言すれば、第3グループバネ33のバネは、2つの側方ワッシャと内側ディスクとの間の回転軸Xに対する相対回転中に、2つの側方ワッシャ11、12と内側ディスク21との間で周方向に圧縮され得る。第3グループバネ33は、第1グループバネおよび第2グループバネの径方向内側に配置されている。
【0118】
第1整相ワッシャ41と第2整相ワッシャ42とを備える整相部材が、内側ディスク21に対して、および2つの側方ワッシャ11および12に対して、軸Xを中心として回転可能である。第1整相ワッシャ41は、バイパスされる中間ワッシャである。
【0119】
各側方ワッシャ11、12は、第1グループバネ31と第1相対回転方向S1において協働する第1軸受面111、121と、第2グループバネ32と第1相対回転方向とは反対の第2相対回転方向S2において協働する第2軸受面112、122と、を備えている。
【0120】
内側ディスク21は、第1グループバネ31と第2相対回転方向S2において協働する第1軸受面211と、第2グループバネ32と第1相対回転方向S1において協働する第2軸受面212と、を備えている。
【0121】
各側方ワッシャ11、12は、一方でその第1軸受面111、121のうちの一方により、他方でその第2軸受面112、122のうちの一方により周方向に画定された3つのウィンドウ130を備えている。
【0122】
内側ディスク21は、3つのアーム23を備えている。各アーム23は、内側ディスク21の第1軸受面211のうちの一方と第2軸受面212のうちの一方とを支持している。
【0123】
ここで、軸受面とバネとの協働は、中間部材を介さずに直接実施される。図示しない変形例において、この協働は、シート、カップ、またはアンカー等の中間部材を介して実施される。
【0124】
第1整相ワッシャ41は、径方向外側輪郭部13を有している。
【0125】
第1整相ワッシャ41および第2整相ワッシャ42は、3つの伝達部分43を各々備えている。各伝達部分43は、周方向において、第1グループバネ31のバネと第2グループバネ32のバネとの間に配置されて、第1グループバネ31から第2グループバネ32に、および第2グループバネ32から第1グループバネ31に力を伝達する。
【0126】
第1整相ワッシャ41および第2整相ワッシャ42は、リング49を各々備えている。リング49から、3つの伝達部分43が径方向に延び出ている。
【0127】
内側ディスクは、軸方向において、第1整相ワッシャ41と第2整相ワッシャ42との間に配置されている。第1整相ワッシャおよび第2整相ワッシャは、スペーサリベット48により互いに固定されるとともに、軸方向に間隔を置いて保持されている。
【0128】
第1整相ワッシャ41のリング49および第2整相ワッシャ42のリング49は、第1グループバネ31および第2グループバネ32の径方向内側に配置されている。
【0129】
移動制限装置(エンドオブトラベル装置)50が、ダンパの相対静止位置からの第1相対回転方向S1における2つの側方ワッシャ11、12と内側ディスク21との相対角度移動量(相対角度移動)を制限する。
【0130】
エンドオブトラベル装置50は、第1側方ワッシャ11に関連付けられた3つのストッパ要素52と、内側ディスク21に関連付けられた3つの相補的なストッパ要素51と、を備えている。
【0131】
ダンパの2つの側方ワッシャ11、12と内側ディスク21との相対角度移動量の角度が、第1相対回転方向S1において相対静止位置から第1の所定の閾値に達したとき、各相補的なストッパ要素51は、第1ストッパ要素52に周方向において当接するように配置されている。
【0132】
第1側方ワッシャ11は、3つの停止部材19を備えている。各停止部材19は、ストッパ要素52を備えている。内側ディスク21は、3つのアーム23を備えている。各アーム23は、内側ディスク21の相補的なストッパ要素51を備えている。
【0133】
各アーム23は、内側ディスク21の第1軸受面211および第2軸受面212により周方向に画定された第1部分23-1を備えている。各アーム23は、相補的なストッパ要素51を形成する第2部分23-2を備えている。アームの第2部分23-2は、アーム23の第1部分23-1の径方向外側に配置されている。アーム23の第2部分23-2は、アーム23の第1部分23-1の延長線上に配置されている。
【0134】
内側ディスク21は、アーム23が径方向に延び出る環状部分を備えている。内側ディスク21の環状部分は、第1グループバネ31および第2グループバネ32の径方向内側に配置されている。内側ディスク21の環状部分は、第3グループバネ33からのバネを各々受容する切欠を備えている。
【0135】
各アーム23は、回転軸Xに対して垂直な平面において延在するとともに、径方向外側に延びている。第1側方ワッシャ11のストッパ要素52に当接する相補的なストッパ要素51の接触面は、アーム23の縁部に、換言すればアーム23の厚さ内に形成されている。
【0136】
また、ダンパ100は、2つの側方ワッシャ11、12および内側ディスク21が、相対静止位置から、第1相対回転方向S1とは反対の第2相対回転方向S2において回転し得るように構成されている。
【0137】
第1グループバネ31は、2つの側方ワッシャ11、12の第1軸受面111、121と整相部材41、42との間で、第1相対回転方向S1において圧縮する。第1グループバネは、内側ディスク21の第1軸受面211と整相部材41、42との間で、第2相対回転方向S2において圧縮する。第2グループバネ32は、内側ディスク21の第2軸受面212と整相部材41、42との間で、第1相対回転方向S1において圧縮する。第2グループバネ32は、2つの側方ワッシャ11、12の第2軸受面112、122と整相部材41、42との間で、第2相対回転方向S2において圧縮する。
【0138】
その中心を回転軸X上に有する円が存在しており、当該円は、回転軸Xに対して垂直な平面であって第1グループバネ31および第2グループバネ32のバネを通過する平面に位置している。ここで、第1グループバネ31および第2グループバネ32は、同一の直径上に配置されている。
【0139】
第1グループバネ31のバネ、第2グループバネ32のバネ、および第3グループバネのバネは、さらに追加の内側バネを備えている。
【0140】
図2において、内側ディスク21が、軸方向において第1整相ワッシャ41と第2側方ワッシャ12との間に位置していることが分かる。内側ディスク21は、軸Xに対して垂直な平面において延びている。第1整相ワッシャ41は、軸方向において、停止部材19を除いた第1側方ワッシャ11の前方部分15と第2側方ワッシャ12との間に配置されている。同様に、第1整相ワッシャ41は、軸方向において、停止部材19を除いた第1側方ワッシャ11の前方部分15と内側ディスク21との間に配置されている。
【0141】
図3に、停止部材19をより良く示す。停止部材19は、バイパス部分16を備えている。
【0142】
ストッパ要素52は、第1整相ワッシャ41の径方向外側輪郭部13の径方向内側に配置されている。
【0143】
停止部材19のバイパス部分16は、第1整相ワッシャの径方向外側に配置されている。したがって、停止部材19は、第1整相ワッシャ41をバイパス(迂回)している。ストッパ要素52は、ストッパ要素52は、妥当な量の力を支持するよう回転軸Xから十分に離間しているため、相対角度移動量は十分なものとされる。
【0144】
図3に示すように、停止部材19は、タブ19である。タブ19は、回転軸Xを含む平面であって当該タブを通過する平面において、L字形状の断面を有している。タブ19の端部領域がストッパ要素52を形成し、タブ19の近位部分がバイパス部分16を形成している。したがって、ストッパ要素52は、バイパス部分16の延長線上に形成されている。バイパス部分16は、第1側方ワッシャ11の前方部分15をストッパ要素52に接続している。
【0145】
ダンパの製造を単純にするため、第1側方ワッシャ11およびそのタブ19は、同一の金属薄板から形成されている。
【0146】
回転軸Xを含む平面であって停止部材19を通過する平面において停止部材19を示す
図3において、停止部材19が凹部190を画定していることが分かる。凹部190内に、一方の第1および第2側方ワッシャ11、12と他方の内側ディスク21との相対角度移動量の少なくとも1つの角度のために、第1整相ワッシャ41の径方向外側輪郭部13の一部が配置される。こうしてコンパクトなダンパが得られる。バイパス部分16とストッパ要素52とは、共同して凹部190を画定する。
【0147】
タブ19の端部領域は、内側ディスク21のアーム23と同一の平面において実質的に延在している。これにより、ダンパの第1側方ワッシャ11および第2側方ワッシャ12と内側ディスク21との相対角度移動量の角度が、第1相対回転方向において相対静止位置から第1の所定の閾値に達したとき、タブ19の端部領域とアーム23とは、それらの縁部を介して周方向に互いに当接し得る。
【0148】
ダンパは、2つの側方ワッシャ11、12と内側ディスク21との少なくとも1つの相対角度位置のために、停止部材の凹部に配置された第1整相ワッシャ41の径方向外側輪郭部13の当該一部が、伝達部分43のうちの少なくとも1つの径方向外側輪郭部により形成されるように構成されている。
【0149】
第1実施形態において、
図4から、各伝達部分43の径方向外側輪郭部13が、停止部材19の凹部190に、ダンパの相対静止位置において配置されていることが分かる。ダンパの相対静止位置において、各バイパス部分16は、第1整相ワッシャ41の伝達部分43と径方向に対向するように配置されている。換言すれば、ダンパの相対静止位置において、そして回転軸Xを含む平面であってタブ19を通過する平面において、バイパス部分16は、第1整相ワッシャ41の伝達部分43を径方向に覆っている。
【0150】
図1および
図2に示すように、第1側方ワッシャ11は、その径方向外側部分に、回転軸Xに沿って延びるスカート40を備えている。第1整相ワッシャ41、内側ディスク21、および第2整相ワッシャ42は、スカート40の径方向内側において径方向に重なった状態で配置される。スカート40は、第2側方ワッシャ12まで軸方向に延びている。したがって、第1側方ワッシャ11および第2側方ワッシャ12は、カセットを形成する。
【0151】
第1側方ワッシャ11は、舌部62の形状にある固定要素61を備えている。第2側方ワッシャ12は、舌部62が挿入されるノッチ63を備えている。これらの舌部62は、スカート40から軸方向に突出している。舌部62も、第1側方ワッシャ11の金属薄板に形成されている。これらの舌部62は、第2側方ワッシャ12にクリンプ留めまたは溶接され得る。スカート40は、回転軸Xを中心として不連続的に延在している。スカートは、3つの停止部材19がそれぞれ配置される3つの中断部を備えている。
【0152】
第1実施形態において、各相補的なストッパ要素51は、ダンパの第1側方ワッシャ11および第2側方ワッシャ12と内側ディスク21との相対角度移動量の角度が、第1相対回転方向とは反対の第2相対回転方向S2において相対静止位置から第2の所定の閾値に達したとき、第1相対回転方向において第1側方ワッシャ11の第1ストッパ要素52に、かつ、第1側方ワッシャ11の第2ストッパ要素52に周方向に当接するように配置されている。換言すれば、各相補的なストッパ要素51は、双方向に作用する。
【0153】
同様に、各ストッパ要素52は、ダンパの第1側方ワッシャ11および第2側方ワッシャ12と内側ディスク21との相対角度移動量の角度が、第1相対回転方向とは反対の第2相対回転方向S2において相対静止位置から第2の所定の閾値に達したとき、内側ディスク21の第1の相補的なストッパ要素51に、かつ内側ディスク21の第2の相補的なストッパ要素51に周方向に当接するように配置されている。換言すれば、各ストッパ要素52も、双方向に作用する。
【0154】
本第1実施形態において、各ストッパ要素52は、ストッパ要素52の第1周方向端部に位置する第1接触面と、ストッパ要素52の反対側の第2周方向端部に位置する第2接触面と、を備えている。ストッパ要素52の第1接触面および第2接触面は、第1側方ワッシャ11の金属薄板の厚さ内に形成されている。ストッパ要素52の第1接触面は、第1アーム23の相補的なストッパ要素51に、第1相対回転方向S1において当接するように配置されている。ストッパ要素52の第2接触面は、第2アーム23の相補的なストッパ要素51に、第2相対回転方向S2において当接するように配置されている。
【0155】
同様に、相補的なストッパ要素51は、相補的なストッパ要素51の第1周方向端部に位置する第1接触面と、相補的なストッパ要素51の反対側の第2周方向端部に位置する第2接触面と、を備えている。相補的なストッパ要素51の第1接触面および第2接触面は、第1側方ワッシャ11の金属薄板の厚さ内に形成されている。相補的なストッパ要素51の第1接触面は、第1停止部材19のストッパ要素52に、第1相対回転方向S1において当接するように配置されている。相補的なストッパ要素51の第2接触面は、第2停止部材19のストッパ要素52に、第2相対回転方向S2において当接するように配置されている。
【0156】
相補的なストッパ要素51は、周方向に突出する部分を有している。これらの突出部分は、第1グループバネ31のバネおよび第2グループバネ32のバネの径方向外側に配置されてこれらを保持する。各突出部分は、相補的なストッパ要素51の接触面を支持している。
【0157】
図5~
図9は、第2実施形態を説明するものである。第1側方ワッシャ11は、第1グループ停止部材19aと、第2グループ停止部材19bと、を備えている。
【0158】
第1グループの停止部材19aは、内側ディスク21に第1相対回転方向S1において接するように配置されている。第2グループの停止部材19bは、内側ディスク21に第2相対回転方向において接するように配置されている。
【0159】
内側ディスク21は、軸方向にオフセットするとともに互いに回転連結された第1内側ワッシャ21aおよび第2内側ワッシャ21bを備えている。
【0160】
第1グループの停止部材19aの各停止部材は、第1内側ワッシャ21aに支持された相補的なストッパ要素51のみと協働するストッパ要素52を備えている。
【0161】
同様に、第2グループの停止部材19bの各停止部材は、第2内側ワッシャ21bに支持された相補的なストッパ要素51のみと協働するストッパ要素52を備えている。
【0162】
このために、第1グループの停止部材19aのストッパ要素52は、第2グループの停止部材19bのストッパ要素52に対して軸方向にオフセットしている。したがって、第1グループ停止部材19aの停止部材のバイパス部分16と、第2グループ停止部材19bの停止部材のバイパス部分16とは、異なる軸方向寸法を有している。
【0163】
第1内側ワッシャ21aのアーム23と第2内側ワッシャ21bのアーム23とは、互いに対面して対をなすように配置されている。各対のアーム23は、第1グループの停止部材19aと第2グループの停止部材19bとによる角度移動量を所望に調整するように異なる幾何学的形状を有している。
【0164】
第1実施形態および第2実施形態の双方に適用可能な別の変形例(図示せず)によれば、第1側方ワッシャは、内側ディスクに第1相対回転方向において隣接するように配置された第1グループの停止部材を備え、第2側方ワッシャは、内側ディスクに第2相対回転方向において隣接するように配置された第2グループの停止部材を備えている。この配置によれば、特に角度移動量をさらに増加させることができる。
【0165】
別の変形例によれば、ダンパは、互いに回転連結されるとともに軸方向に間隔を置いた2つの内側ディスクと、軸方向において2つの内側ディスク間に配置された整相ワッシャと、を備えている。第1側方ワッシャは、内側ディスクの一方に当接可能である所定の停止部材を有している。第1側方ワッシャは、第1内側ディスクおよび整相ワッシャを径方向外側に通過することにより、内側ディスクのうちの他方に当接可能である他の停止部材を有している。
【0166】
当然ながら、本発明は上述の例に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく、多くの変更を加えることが可能である。
【0167】
特に、本明細書に記載のダンパは、3つのバネのグループと、3つのウィンドウを有する側方ワッシャと、3つのアームを有する内側ディスクと、3つの伝達部分および3つの停止部材を有する整相ワッシャと、を有している。ダンパを、ダンパが2つまたは4つまたはそれ以上のバネのグループ、2つまたは4つまたはそれ以上のウィンドウをそれぞれ有する側方ワッシャと、2つまたは4つまたはそれ以上のアームをそれぞれ有する内側ディスクと、2つまたは4つまたはそれ以上の伝達部分および2つまたは4つまたはそれ以上の停止部材をそれぞれ有する整相ワッシャを有するように適合させることが可能である。
【国際調査報告】