(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(54)【発明の名称】ビフェニルフェノール重合触媒
(51)【国際特許分類】
C08F 4/64 20060101AFI20221221BHJP
C08F 10/00 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
C08F4/64
C08F10/00 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525567
(86)(22)【出願日】2020-11-04
(85)【翻訳文提出日】2022-05-02
(86)【国際出願番号】 US2020058842
(87)【国際公開番号】W WO2021091983
(87)【国際公開日】2021-05-14
(32)【優先日】2019-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】パディリャ-アセヴェド、アンジェラ アイ.
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、アンドリュー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】クールマン、ロジャー エル.
(72)【発明者】
【氏名】フィゲロア、ルース
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン、スーザン
(72)【発明者】
【氏名】ベロウィチ、マシュー イー.
(72)【発明者】
【氏名】ニートハンマー、デイヴィッド アール.
(72)【発明者】
【氏名】クロシン、イェジ
(72)【発明者】
【氏名】ピアソン、デイヴィッド エム.
(72)【発明者】
【氏名】ローゼン、マリー エス.
(72)【発明者】
【氏名】ニールソン、ベサニー エム.
(72)【発明者】
【氏名】デローブ、ジョナサン イー.
(72)【発明者】
【氏名】オリリー、レズリー イー.
【テーマコード(参考)】
4J128
【Fターム(参考)】
4J128AA01
4J128AB00
4J128AC01
4J128AC26
4J128AE06
4J128AE15
4J128BA01A
4J128BA01B
4J128BB01A
4J128BB01B
4J128BC25A
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4J128CA28A
4J128CA28B
4J128EA01
4J128EB02
4J128EB09
4J128EC02
4J128FA02
4J128FA04
4J128FA07
4J128FA08
4J128FA09
4J128GA01
4J128GA05
4J128GA06
4J128GA07
4J128GA19
(57)【要約】
実施形態は、ポリマーを作製するための気相またはスラリー相重合条件下での気相またはスラリー相重合プロセスを介して、式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒から作製された、担持されたビフェニルフェノール重合触媒の使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気相重合プロセスを介して二峰性ポリエチレン組成物を作製するか、またはスラリー相重合プロセスを介して単峰性ポリエチレン組成物を作製するための担持されたビフェニルフェノール重合触媒の使用であって、前記担持されたビフェニルフェノール重合触媒が、式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒から作製され、
【化1】
式中、R
7およびR
8の各々が、独立して、C
1アルキル、ハロゲン、または水素であり、
R
5およびR
10の各々が、独立して、C
1~C
20アルキル、アリール、アラルキル、ハロゲン、または水素であり、
R
4およびR
11の各々が、独立して、ハロゲンまたは水素であり、
R
2およびR
13の各々が、独立して、C
1~C
20アルキル、アリール、もしくはアラルキル、または水素であり、
R
15およびR
16の各々が、独立して、2,7-二置換カルバゾール-9-イルまたは3,6-二置換カルバゾール-9-イルであり、
Lが、Lが共有結合している2つの酸素原子の間に、それぞれ3炭素橋または4炭素橋を形成するC
3またはC
4アルキレンであり、
R
1、R
3、R
12、およびR
14の各々が、水素であり、
R
6およびR
9の各々が、水素またはC
1~C
8アルキルであり、任意で、R
6が、R
7と連結し、R
8が、R
9と連結して、環状構造を形成することができ、
各Xが、独立して、ハロゲン、水素、(C
1~C
20)アルキル、(C
7~C
20)アラルキル、(C
1~C
6)アルキル置換(C
6~C
12)アリール、または(C
1~C
6)アルキル置換ベンジル、-CH
2Si(R
C)
3であり、R
Cが、C
1~C
12炭化水素であり、
Mが、ZrまたはHfである、使用。
【請求項2】
R
7およびR
8が、C
1アルキル、フッ素、または水素であり、
R
5、R
6、R
9、およびR
10のうちの少なくとも2つが、フッ素である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
R
15およびR
16の各々が、2,7-ジ-t-ブチルカルバゾール-9-イル、2,7-ジ-エチルカルバゾール-9-イル、2,7-ジ-メチルカルバゾール-9-イルからなる群から選択される2,7-二置換カルバゾール-9-イルである、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒が、構造(i)、(ii)、(iii)、および(viii)からなる群から選択される、請求項3に記載の使用。
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【請求項5】
R
15およびR
16の各々が、3,6-ジ-t-ブチルカルバゾール-9-イルである、請求項1または2に記載の使用。
【請求項6】
前記式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒が、構造(iv)および(v)からなる群から選択される、請求項5に記載の使用。
【化6】
【化7】
【請求項7】
各Xが、C
1アルキルである、請求項1に記載の使用。
【請求項8】
担持されたビフェニルフェノール重合触媒を作製する方法であって、
式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒を担体上に配置して、担持されたビフェニルフェノール重合プレ触媒を得ることと、
活性化条件下で、前記式Iの担持されたビフェニルフェノール重合プレ触媒を活性化剤と接触させて、前記式Iの担持されたビフェニルフェノール重合プレ触媒を活性化し、それにより、前記担持されたビフェニルフェノール重合触媒を作製することと、を含む、方法。
【請求項9】
二峰性ポリエチレン組成物を作製する方法であって、
請求項8に記載の方法によって作製された、前記担持されたビフェニルフェノール重合触媒の存在下で、気相重合条件下で単一の気相重合反応器においてエチレンを重合して、いずれの他の重合触媒の助けも借りずに前記二峰性ポリエチレン組成物を作製することを含み、前記二峰性ポリエチレン組成物が、高分子量ポリエチレン成分および低分子量ポリエチレン成分を含む、方法。
【請求項10】
前記二峰性ポリエチレン組成物が、5~40または7~40の範囲の多分散度指数(PDI)を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
単峰性ポリエチレン組成物を作製する方法であって、
請求項8に記載の方法によって作製された、前記担持されたビフェニルフェノール重合触媒の存在下で、スラリー相重合条件下で単一のスラリー相重合反応器においてエチレンを重合して、いずれの他の重合触媒の助けも借りずに前記ポリエチレン組成物を作製することを含み、前記単峰性ポリエチレン組成物が、5~40または7~40の範囲の多分散度指数(PDI)を有する、方法。
【請求項12】
前記重合ステップが、請求項1~7のいずれか一項の使用を含む、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
構造(i)、(ii)、(iii)、および(v)からなる群から選択されるビフェニルフェノール重合プレ触媒。
【化8-1】
【化8-2】
【請求項14】
請求項8に記載の方法によって作製された、担持されたビフェニルフェノール重合触媒であって、前記式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒が、構造(i)、(ii)、(iii)、(viii)、または(v)のうちのいずれかのビフェニルフェノール重合触媒から選択される、担持されたビフェニルフェノール重合触媒。
【化9-1】
【化9-2】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、ビフェニルフェノール重合触媒、より具体的には、単一の気相またはスラリー相重合反応器における重合プロセスを介してポリマーを作製するために用いられ得る担持されたビフェニルフェノール重合触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマーは、特に、フィルム、繊維、不織布および/または織布、押出物品、および/または成形品などの多くの製品に用いられ得る。ポリマーは、重合触媒の存在下で、重合反応において1種類以上のモノマーを反応させることによって作製され得る。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、以下を含む様々な実施形態を提供する。
【0004】
気相重合プロセスまたはスラリー相重合プロセスを介してポリマーを作製するための担持されたビフェニルフェノール重合触媒の使用であり、担持されたビフェニルフェノール重合触媒は、式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒から作製され、
【化1】
式中、R
7およびR
8の各々は、独立して、C
1アルキル、ハロゲン、または水素であり、
R
5およびR
10の各々は、独立して、C
1~C
20アルキル、アリール、アラルキル、ハロゲン、または水素であり、
R
4およびR
11の各々は、独立して、ハロゲンまたは水素であり、
R
2およびR
13の各々は、独立して、C
1~C
20アルキル、アリール、もしくはアラルキル、または水素であり、
R
15およびR
16の各々は、独立して、2,7-二置換カルバゾール-9-イルまたは3,6-二置換カルバゾール-9-イルであり、
Lは、Lが共有結合している2つの酸素原子の間に、それぞれ3炭素橋または4炭素橋を形成するC
3またはC
4アルキレンであり、
R
1、R
3、R
12、およびR
14の各々は、水素であり、
R
6およびR
9の各々は、水素またはC
1~C
8アルキルであり、任意で、R
6は、R
7と連結し、R
8は、R
9と連結して、環状構造を形成することができ、
各Xは、独立して、ハロゲン、水素、(C
1~C
20)アルキル、(C
7~C
20)アラルキル、(C
1~C
6)アルキル置換(C
6~C
12)アリール、または(C
1~C
6)アルキル置換ベンジル、-CH
2Si(R
C)
3であり、R
Cは、C
1~C
12炭化水素であり、
Mは、ZrまたはHfである。
【0005】
担持されたビフェニルフェノール重合触媒を作製する方法であり、この方法は、式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒を担体上に配置して、担持されたビフェニルフェノール重合プレ触媒を得ることと、活性化条件下で、式Iの担持されたビフェニルフェノール重合プレ触媒を活性化剤と接触させて、式Iの担持されたビフェニルフェノール重合プレ触媒を活性化し、それにより、担持されたビフェニルフェノール重合触媒を作製することと、を含む。
【0006】
ポリエチレン組成物を作製する方法であり、この方法は、担持されたビフェニルフェノール重合触媒の存在下で、気相重合条件下で単一の気相重合反応器においてそれぞれエチレンを重合して、いずれの他の重合触媒の助けも借りずにポリエチレン組成物を作製することを含む。
【0007】
ポリエチレン組成物を作製する方法であり、この方法は、担持されたビフェニルフェノール重合触媒の存在下で、スラリー相重合条件下で単一のスラリー相重合反応器においてエチレンを重合して、いずれの他の重合触媒の助けも借りずにポリエチレン組成物を作製することと、を含む。
【0008】
本明細書に詳述されるような構造(i)、(ii)、(iii)、(viii)、および(v)からなる群から選択されるビフェニルフェノール重合プレ触媒。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書のビフェニルフェノール重合プレ触媒は、式Iで表すことができ、
【化2】
【0010】
式中、R7およびR8の各々は、独立して、C1アルキル、ハロゲン、または水素であり、
【0011】
R5およびR10の各々は、独立して、C1~C20アルキル、アリール、アラルキル、ハロゲン、または水素であり、
【0012】
R4およびR11の各々は、独立して、ハロゲンまたは水素であり、
【0013】
R2およびR13の各々は、独立して、C1~C20アルキル、アリール、もしくはアラルキル、または水素であり、
【0014】
R15およびR16の各々は、独立して、2,7-二置換カルバゾール-9-イルまたは3,6-二置換カルバゾール-9-イルであり、
【0015】
Lは、Lが共有結合している2つの酸素原子の間に、それぞれ3炭素橋または4炭素橋を形成するC3またはC4アルキレンであり、
【0016】
R1、R3、R12、およびR14の各々は、水素であり、
【0017】
R6およびR9の各々は、水素またはC1~C8アルキルであり、任意で、R6は、R7と連結し、R8は、R9と連結して、環状構造を形成することができ、
【0018】
各Xは、独立して、ハロゲン、水素、(C1~C20)アルキル、(C7~C20)アラルキル、(C1~C6)アルキル置換(C6~C12)アリール、または(C1~C6)アルキル置換ベンジル、-CH2Si(RC)3であり、RCは、C1~C12炭化水素であり、
【0019】
Mは、ZrまたはHfである。
【0020】
様々な実施形態において、式Iの重合触媒を使用して、いずれの他の重合触媒の助けも借りずにポリマー組成物を生成することができる。本明細書で使用される場合、「いずれの他の重合触媒の助けも借りずに」は、本明細書に詳述されるような二峰性ポリマーのようなポリマーを作製するために採用される触媒システムにおける成分の総重量に基づく別の重合触媒の1重量パーセント未満の存在、または別の重合触媒のゼロ重量パーセントの存在を指す。本明細書で使用される場合、「他の」または「別の」重合触媒という用語は、ポリマーを生成するために、典型的に採用され、式Iの重合触媒ではない任意の触媒を指す。本明細書で使用される場合、「重合触媒」は、活性化されると、オレフィンの重合またはオリゴマー化を触媒することができる任意の化合物を含み得、触媒化合物は、少なくとも1つの第3~12族の原子、および任意で、それに結合した少なくとも1つの脱離基を含む。そのような「他の」/「別の」重合触媒の例には、式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒、または式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒の活性化生成物以外に、チーグラー・ナッタ触媒、クロム系触媒(例えば、いわゆるフィリップス触媒)、インデニル環を含むか、もしくは含まないメタロセン触媒(例えば、非置換および/またはアルキル置換シクロペンタジエニル環を含有するメタロセン触媒)、WO2018/064038A1の段落[0041]~[0046]に記載されている第15族の金属含有触媒化合物、またはUS20180002464A1の段落[0036]~[0080]に記載されているビフェニルフェノール系触媒化合物が含まれる。
【0021】
式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒(すなわち、ビフェニルフェノール重合プレ触媒)を用いて、ビフェニルフェノール重合触媒を作製することができる。例えば、ビフェニルフェノール重合プレ触媒は、活性化条件下で、活性化剤と接触させて、ビフェニルフェノール重合プレ触媒を活性化し、それにより、重合触媒を作製することができる。実施形態は、本明細書に詳述されるように、担持されたビフェニルフェノール重合触媒を作製する方法を提供する。ビフェニルフェノール重合プレ触媒のみから作製された本明細書の担持されたビフェニルフェノール重合触媒は、二峰性分子量分布などの多峰性分布を特徴とするポリオレフィンポリマーを作製するのに有用である。
【0022】
前述のように、式Iに示されるようなR7およびR8の各々は、独立して、C1アルキル、ハロゲン、または水素であり得る。1つ以上の実施形態は、R7がフッ素であり、R8がC1アルキル、例えば、メチルであることを条件とする。1つ以上の実施形態は、R7およびR8の各々がC1アルキル、例えば、メチルであることを条件とする。1つ以上の実施形態は、R7およびR8の各々が水素であることを条件とする。1つ以上の実施形態は、R7およびR8の各々がフッ素などのハロゲンであることを条件とする。
【0023】
本明細書で使用される場合、「アルキル」は、水素が1つ欠乏した線状、分岐状および環式パラフィン基を含む。アルキルには、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、オクチル、デシルなど、ならびにシクロペンチル、シクロヘキシルなどのシクロアルキルなど、1~約50個の炭素原子を含有している必要はないが、分岐状または非分岐状の飽和炭化水素基が典型的には含まれる。一般に、やはり必ずしもそうではないが、本明細書のアルキルは、1~約12個の炭素原子を含有し得る。したがって、例えば、CH3基(「メチル」)およびCH3CH2基(「エチル」)は、アルキルの例である。
【0024】
前述のように、式Iに示されるようなR5およびR10の各々は、独立して、アルキル、アリール、アラルキル、ハロゲン、または水素であり得る。例えば、1つ以上の実施形態は、R5およびR10がフッ素などのハロゲンであることを条件とする。1つ以上の実施形態は、R5およびR10の各々が水素であることを条件とする。1つ以上の実施形態は、R5およびR10の各々が水素であるか、またはR5およびR10の各々がフッ素であることを条件とする。
【0025】
本明細書で使用される場合、「アリール」は、フェニル、ナフチル、ピリジル、および分子がベンゼン、ナフチレン、フェナントレン、アントラセンなどに特徴的な環構造を有する他のラジカルを含む。「アリール」は、C6~C20アリールであリ得ることが理解される。例えば、C6H5-芳香族構造は、「フェニル」であり、-C6H4-芳香族構造は、「フェニレン」である。本明細書で使用される場合、「アリールアルキル」とも呼ばれ得る「アラルキル」は、そこからぶら下がるアリールを有するアルキルである。「アラルキル」は、C7~C20アラルキルであり得ることが理解される。「アルキルアリール」は、そこからぶら下がる1つ以上のアルキルを有するアリールである。本明細書で使用される場合、「ヒドロカルビル」には、水素が1つ欠乏した水素および炭素を含む脂肪族、環式、オレフィン、アセチレン、および芳香族ラジカル(すなわち、炭化水素ラジカル)が含まれる。
【0026】
前述のように、式Iに示されるようなR4およびR11の各々は、独立して、水素、またはフッ素などのハロゲン原子であり得る。例えば、1つ以上の実施形態は、R5およびR10の各々が水素であることを条件とする。1つ以上の実施形態は、R4およびR11の各々がフッ素であることを条件とする。1つ以上の実施形態は、R4およびR11の各々が水素であるか、またはR4およびR11の各々がフッ素であることを条件とする。
【0027】
前述のように、式Iに示されるようなR2およびR13の各々は、独立して、C1~C20アルキル、アリール、もしくはアラルキル、または水素であり得る。例えば、1つ以上の実施形態は、R2およびR13の各々がC1アルキルであることを条件とする。1つ以上の実施形態は、R2およびR13の各々がn-ブチル、t-ブチル、または2-メチル-ペンチルなどのC4アルキルであることを条件とする。前述のように、様々な実施形態において、R1、R3、R12、およびR14の各々は、水素である。
【0028】
前述のように、式Iに示されるようなR15およびR16の各々は、独立して、2,7-二置換カルバゾール-9-イルまたは3,6-二置換カルバゾール-9-イルであり得る。例えば、1つ以上の実施形態は、R15およびR16の各々が、2,7-ジ-t-ブチルカルバゾール-9-イル、2,7-ジ-エチルカルバゾール-9-イル、2,7-ジ-メチルカルバゾール-9-イル、および2,7-ジ-n-オクチル-ジ-イソプロピル-シリルカルバゾール-9-イルからなる群から選択される2,7-二置換カルバゾール-9-イルであることを条件とする。例えば、2,7-二置換カルバゾール-9-イルは、本明細書に詳述されるような構造(i)、(ii)、(iii)、および(viii)のビフェニルフェノール重合プレ触媒からなる群から選択され得る。いくつかの実施形態において、R15およびR16の各々は、2,7-ジ-t-ブチルカルバゾール-9-イル、2,7-ジ-エチルカルバゾール-9-イル、および2,7-ジ-メチルカルバゾール-9-イルからなる群から選択される2,7-二置換カルバゾール-9-イルである。1つ以上の実施形態は、R15およびR16の各々が、3,6-ジ-t-ブチルカルバゾール-9-イルなどの3,6-二置換カルバゾール-9-イルであることを条件とする。
【0029】
前述のように、式Iに示されるようなLは、Lが共有結合している2つの酸素原子の間に、それぞれ3炭素橋または4炭素橋を形成するC3またはC4アルキレンであり得る。例えば、1つ以上の実施形態は、LがC3アルキレンであることを条件とする。1つ以上の実施形態は、LがC4アルキレンであることを条件とする。
【0030】
前述のように、式Iに示されるような各Xは、独立して、ハロゲン、水素、(C1~C20)アルキル、(C7~C20)アラルキル、(C1~C6)アルキル置換(C6~C12)アリール、または(C1~C6)アルキル置換ベンジル、-CH2Si(RC)3であり、RCは、C1~C12炭化水素である。例えば、1つ以上の実施形態は、各Xが独立してC1アルキルであることを条件とする。1つ以上の実施形態は、各Xが水素であることを条件とする。
【0031】
前述のように、式Iに示すようなMは、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)であり得る。様々な実施形態において、Mは、ジルコニウムおよびハフニウムからなる群から選択され得る。1つ以上の実施形態は、Mがジルコニウムであることを提供する。1つ以上の実施形態は、Mがハフニウムであることを提供する。
【0032】
1つ以上の実施形態は、R7およびR8がC1アルキル、フッ素、または水素であり、R5、R6、R9、およびR10のうちの少なくとも2つがフッ素であることを条件とする。1つ以上の実施形態は、R7およびR8がC1アルキル、フッ素、または水素であり、R5、R6、R9、およびR10のうちの2つがフッ素であることを条件とする。1つ以上の実施形態は、R7およびR8がC1アルキル、フッ素、または水素であり、R5、R6、R9、およびR10の各々がフッ素であることを条件とする。
【0033】
本明細書に記載されるように、式IのR基(R1~R16)およびXの各々は、独立して、置換または非置換され得る。例えば、いくつかの実施形態において、式IのXの各々は、独立して、ハロゲン、水素、(C1~C20)アルキル、(C7~C20)アラルキル、(C1~C6)アルキル置換(C6~C12)アリール、または(C1~C6)アルキル置換ベンジル、-CH2Si(RC)3であり得、RCは、C1~C12炭化水素である。本明細書で使用される場合、「置換された」は、その用語に続く基が、任意の位置の1つ以上の水素の代わりに少なくとも1つの部分を保有することを示し、その部分は、ハロゲンラジカル、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミン基、ホスフィン基、アルコキシ基、フェニル基、ナフチル基、C1~C20アルキル、C2~C10アルケニル基、およびそれらの組み合わせから選択される。「二置換された」とは、任意の位置に2つ以上の置換基が存在することを指し、その部分は、ハロゲンラジカル、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミン基、ホスフィン基、アルコキシ基、フェニル基、ナフチル、C1~C20アルキル、C2~C10アルケニル基、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0034】
ビフェニルフェノール重合プレ触媒は、本明細書に記載の反応物を用いて作製され得る。
【0035】
1つ以上の実施形態は、ビフェニルフェノール重合触媒、すなわち、担持されたビフェニルフェノール重合触媒を提供する。担持されたビフェニルフェノール重合触媒は、活性化条件下で、ビフェニルフェノール重合プレ触媒および活性化剤と接触させて、活性化したビフェニルフェノール重合触媒、例えば、活性化したビフェニルフェノール重合プレ触媒を提供することによって作製され得る。活性化条件は、当該技術分野において周知である。
【0036】
本明細書で使用される場合、「活性化剤」は、例えば触媒成分のカチオン種を生成することによって、錯体または触媒成分を活性化させることができる、担持されたまたは担持されていない任意の化合物または化合物の組み合わせを指す。例えば、これは、複合体/触媒成分の金属中心、例えば、式Iの金属錯体のからの、少なくとも1つの脱離基、例えば、本明細書に記載の「X」基の引抜きを含み得る。本明細書で使用される場合、「脱離基」とは、金属原子に結合し、活性化剤によって引抜かれ、したがってオレフィン重合に対して活性な種を生成することができる1つ以上の化学部分を指す。
【0037】
活性化剤は、ルイス酸または非配位性イオン性活性剤またはイオン化活性剤、またはルイス塩基、アルミニウムアルキル、および/または従来型助触媒を含む任意の他の化合物を含むことができる。上述のメチルアルミノキサン(「MAO」)および修飾メチルアルミノキサン(「MMAO」)に加えて、例示的な活性化剤としては、これらに限定されないが、アルミノキサンもしくは修飾アルミノキサン、および/またはイオン化化合物、中性もしくはイオン性、例えば、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5-(CF3)2フェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5-(CF3)2フェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロナフチル)アルミネート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロナフチル)アルミネート、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)アルミネート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)アルミネート、トリス(ペルフルオロフェニル)ホウ素、トリス(ペルフルオロナフチル)ホウ素、トリス(ペルフルオロフェニル)アルミニウム、トリス(ペルフルオロナフチル)アルミニウム、あるいはそれらの任意の組み合わせが挙げられ得る。
【0038】
アルミノキサンは、-A1(R)-O-サブユニット(式中、Rは、アルキル基である)を有するオリゴマーアルミニウム化合物として記載され得る。アルミノキサンの例としては、メチルアルミノキサン(「MAO」)、修飾メチルアルミノキサン(「MMAO」)、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。アルミノキサンは、それぞれのトリアルキルアルミニウム化合物の加水分解によって生成することができる。MMAOは、トリメチルアルミニウムと、トリイソブチルアルミニウムなどの高級トリアルキルアルミニウムの加水分解によって生成することができる。アルミノキサンおよび修飾アルミノキサンを調製するための様々な既知の方法がある。アルミノキサンは、修飾メチルアルミノキサン(「MMAO」)タイプ3A(米国特許第5,041,584号で考察されている修飾メチルアルミノキサンタイプ3Aの商品名でAkzo Chemicals,Inc.から市販されている)を含むことができる。MAO源は、例えば、約1重量%~約50重量%のMAOを有する溶液であり得る。市販のMAO溶液としては、Baton Rouge、LaのAlbemarle Corporationから入手可能な10重量%および30重量%のMAO溶液を挙げることができる。
【0039】
1つ以上のアルキルアルミニウム化合物などの1つ以上の有機アルミニウム化合物を、アルミノキサンと組み合わせて使用することができる。アルキルアルミニウム化合物の例としては、限定されないが、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、およびそれらの組み合わせが挙げられる。他のアルキルアルミニウム化合物、例えばトリアルキルアルミニウム化合物の例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム(「TEAL」)、トリイソブチルアルミニウム(「TiBAl」)、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
ビフェニルフェノール重合プレ触媒から作製される担持されたビフェニルフェノール重合触媒は、ポリマーを作製するために用いられ得る。例えば、担持されたビフェニルフェノール重合触媒およびオレフィンは、重合条件下で接触させて、ポリマー、例えば、ポリオレフィンポリマーを作製することができる。
【0041】
本明細書で使用されるとき、「ポリマー」は、1つ以上の異なるモノマー、例えばホモポリマー、コポリマー、ターポリマーなどから誘導される2つ以上の同じまたは異なるポリマー単位を有する。「ホモポリマー」は、同じポリマー単位を有するポリマーである。「コポリマー」は、互いに異なる2つ以上のポリマー単位を有するポリマーである。「ターポリマー」は、互いに異なる3つのポリマー単位を有するポリマーである。ポリマー単位に言及する際、「異なる」とは、ポリマー単位が、互いに少なくとも1つの原子だけ異なるか、または異性体的に異なることを示す。したがって、本明細書で使用されるコポリマーの定義は、ターポリマーなどを含む。本明細書で使用される場合、「重合プロセス」は、ポリマーを作製するために用いられるプロセスである。例えば、重合プロセスは、気相またはスラリー相の重合プロセスであり得る。いくつかの実施形態において、重合プロセスは、気相重合プロセスからなる。いくつかの実施形態において、重合プロセスは、スラリー相重合プロセスからなる。
【0042】
実施形態は、ポリマーがポリオレフィンポリマーであり得ることを条件とする。本明細書中で使用されるとき、「アルケン」と称され得る「オレフィン」は、炭素および水素を含み、そして少なくとも1つの二重結合を有する直鎖状、分枝状、または環状の化合物を指す。本明細書で使用される場合、ポリマーまたはコポリマーがオレフィンを含む(例えば、オレフィンから作製される)と言われる場合、このようなポリマーまたはコポリマー中に存在するオレフィンは、オレフィンの重合形態である。例えば、コポリマーが75重量%~85重量%のエチレン含有量を有すると言われる場合、コポリマー中のポリマー単位は重合反応においてエチレンから誘導され、誘導単位はポリマーの総重量に基づいて75重量%~85重量%で存在すると理解される。高級α-オレフィンとは、3つ以上の炭素原子を有するα-オレフィンを指す。
【0043】
ポリオレフィンとしては、エチレンなどのオレフィンモノマーから作製されたポリマー、すなわちポリエチレン、および3~20個の炭素原子を含有する直鎖状または分枝状の高級α-オレフィンモノマーが挙げられる。高級α-オレフィンモノマーの例としては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、および3,5,5-トリメチル-1-ヘキセンが挙げられるが、それらに限定されない。ポリオレフィンの例としては、特に、エチレン-1-ブテン、エチレン-1-ヘキセンおよびエチレン-1-オクテンコポリマーなどの少なくとも50重量%のエチレンを有するエチレン系ポリマーが挙げられる。用いられ得る他のオレフィンとしては、例えば、エチレン性不飽和モノマー、4~18個の炭素原子を有するジオレフィン、共役または非共役ジエン、ポリエン、ビニルモノマーおよび環状オレフィンが挙げられる。モノマーの例としては、ノルボルネン、ノルボルナジエン、イソブチレン、イソプレン、ビニルベンゾシクロブタン、スチレン、アルキル置換スチレン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、およびシクロペンテンが挙げられ得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、エチレンのコポリマーが生成され得、エチレンとの場合、4~15個の炭素原子、好ましくは4~12個の炭素原子、および最も好ましくは4~8個の炭素原子を有する少なくとも1つのα-オレフィンを有するコモノマーが、例えば、気相/スラリー相重合プロセスで重合される。別の実施形態において、エチレンおよび/またはプロピレンは、少なくとも2つの異なるコモノマー(任意で、そのうちの1つは、ジエンであり得る)と重合して、ターポリマーを作製することができる。「任意の」または「任意で」とは、その後に記載される事象または状況が発生する場合と発生しない場合とがあることを意味し、かつ記載は、当該事象または状況が発生する場合と発生しない場合とを含む。
【0044】
1つ以上の実施形態は、ポリマーが、ポリマーの総重量に基づいて、50~95重量%のエチレン由来の単位を含むことができることを条件とする。50~95重量%のすべての個々の値および部分範囲が含まれ、例えば、ポリマーは、ポリマーの総重量に基づいて、50、60、または70重量%の下限のエチレン由来の単位から、95、90、または85重量%の上限までのエチレン由来の単位を含むことができる。ポリマーは、ポリマーの総重量に基づいて、5~50重量%のコモノマー由来の単位を含むことができる。
【0045】
前述のように、驚くべきことに、ビフェニルフェノール重合プレ触媒から作製された、担持されたビフェニルフェノール重合触媒は、いずれの他の重合触媒の助けも借りずに、単一の気相またはスラリー相(液相ではない)重合反応器における重合プロセスを介してポリマーを提供するのを補助することができる。例えば、得られたポリマーは、同様の重合条件で他の(非発明の)重合触媒で作製されたポリマーと比較して、本明細書に詳述されるような、改善された、すなわち、より高い多分散度指数(PDI)を有し得る。いくつかの用途においては、増加したPDIが望ましい。同様に、得られるポリマーは、本明細書に詳述されるように、少なくとも高分子量ポリエチレン成分および低分子量ポリエチレン成分を有し得る。高分子量のポリエチレン成分および低分子量のポリエチレン成分を有することは、いくつかの用途において望ましい。
【0046】
実施形態は、ポリマーが3,000~105,000のMn(数平均分子量)を有し得ることを条件とする。3,000~105,000のすべての個々の値および部分範囲が含まれ、例えば、ポリマーは、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、7,500、8,000、または8,500の下限か105,000、103,000、75,000、65,000、55,000、45,000、35,000、25,000、24,000、23,000または22,000の上限までのMnを有し得る。Mnは、当該技術分野において既知であり、以下で説明されるゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定することができる。例えば、いくつかの実施形態において、同相を介して作製されたポリマーは、5,000~80,000のMnを有し得る。いくつかの実施形態において、気相重合反応器を用いて生成されたポリマーは、4,000~103,000のMnを有し得る。
【0047】
実施形態は、ポリマーが25,000~1,600,000のMw(重量平均分子量)を有し得ることを条件とする。25,000~1,600,000のすべての個々の値および部分範囲が含まれ、例えば、ポリマーは、25,000、60,000、80,000、または100,000、120,000、145,000、160,000、または200,000の下限から1,600,000、1,500,000、1,110,000、500,000、400,000、または300,000の上限までのMwを有し得る。Mwは、以下で説明されるGPCによって決定することができる。例えば、いくつかの実施形態において、気相重合反応器を用いて生成されたポリマーは、160,000~1,500,000のMwを有し得る。いくつかの実施形態において、気相重合反応器を用いて作製されたポリマーは、25,000~400,000のMwを有し得る。
【0048】
実施形態は、ポリマーが、3.00~40.00の多分散度指数(PDI)(Mw/Mnとして決定される)を有し得ることを条件とする。3.00~40.00のすべての個々の値および部分範囲が含まれ、例えば、ポリマーは、3.00、3.50、4.00、4.50、5.00の下限から40.00、36.00、18.00、15.00、8.00、7.50、7.00、または6.50の上限のMw/Mnを有し得る。Mw/Mnは、以下に説明されるように、GPC分析によって決定することができる。1つ以上の実施形態において、ポリマーは、3~40、5~40、または7~40の範囲のPDIを有し得る。例えば、いくつかの実施形態において、気相重合反応器を用いて作製されたポリマーは、5.56~36.36のPDIを有し得る。いくつかの実施形態において、気相重合反応器を用いて作製されたポリマーは、3.6~7.5のPDIを有し得る。いくつかの実施形態において、ポリマーは、少なくとも5.00のPDIを有し得る。例えば、いくつかの実施形態において、PDIは、5.00~36.00または5.00~40.00の範囲にあり得る。
【0049】
実施形態は、気相重合反応器を用いて作製されたポリマーが、118~132℃(℃)の融解温度(Tm)を有し得ることを条件とする。118~132℃のすべての個々の値および部分範囲が含まれ、例えば、ポリマーは、118、119、または120の下限から132、130、または128℃の上限までの融解温度を有し得る。
【0050】
スラリー相重合反応器を使用して作製されたポリマーは、気相重合反応器を使用して作製されたポリマーと同じまたは類似のMn、Mw、PDI、および/またはTmを有し得る。
【0051】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)試験法:重量平均分子量試験法:高温ゲル浸透クロマトグラフィー機器(HTGPC、Polymer Laboratories)で得られたクロマトグラムを使用して、M
w、数平均分子量(M
n)、およびM
w/M
nを決定する。HTGPCは、移送ライン、示差屈折率検出器(DRI)、および3つのPolymer Laboratories PLgel 10μm Mixed-Bカラムを備え、それらをすべて160℃に維持したオーブンに収容する。方法は、BHT処理したTCBで構成される溶媒を、1分当たり1.0ミリリットル(mL/分)の基準流量および300マイクロリットル(μL)の基準注入体積で使用する。6グラムのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT、抗酸化剤)を4リットル(L)の試薬グレードの1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)に溶解させ、得られた溶液を0.1マイクロメートル(μm)Teflonフィルタに通して濾過して、溶媒を得ることによって溶媒を調製する。溶媒がHTGPC装置に入る前に、インラインデガッサで溶媒を脱気する。一連の単分散ポリスチレン(PS)標準物を用いてカラムを較正する。別個に、既知の体積の溶媒中の既知の量の試験ポリマーを160℃で2時間連続的に振とうしながら加熱して溶液を得ることによって、溶媒に溶解させた既知の濃度の試験ポリマーを調製する。(すべての量を重量測定で測定する。)試験ポリマーの目標溶液濃度cは、1ミリリットル溶液当たり0.5~2.0ミリグラムポリマー(mg/mL)で、高分子量ポリマーには低濃度のcが使用される。各試料を実行する前に、DRI検出器をパージする。次に、装置内の流量を1.0mL/分に増加させ、最初の試料を注入する前に、DRI検出器を8時間安定させる。カラム較正の一般的な較正関係を使用して、M
wおよびM
nを計算する。次式
【数1】
を用いて、各溶出体積でのMWを計算し、式中、下付き文字「X」は、試験試料を表し、下付き文字「PS」は、PS標準物を表し、a
PS=0.67、K
PS=0.00017であり、a
xおよびK
xは、出版文献から得られる。ポリエチレンの場合、a
x/K
x=0.695/0.000579である。ポリプロピレンの場合、a
x/K
x=0.705/0.0002288である。結果のクロマトグラムの各ポイントで、次式c=K
DRII
DRI/(dn/dc)を使用して、ベースラインを差し引いたDRI信号I
DRIから濃度cを計算し、式中、K
DRIは、DRIを較正することによって決定される定数であり、/は、除算を示し、dn/dcは、ポリマーの屈折率の増分である。ポリエチレンの場合、dn/dc=0.109である。溶出容量に対する濃度クロマトグラフィーのクロマトグラムの積分面積と、所定の濃度に注入ループ容量を掛けた値に等しい注入量との比から、ポリマーの質量回収率を計算する。特に断りのない限り、すべての分子量は、グラム/モル(g/mol)で報告する。Mw、Mn、MWDを決定する方法に関するさらなる詳細は、US2006/0173123の24~25頁、段落番号[0334]~[0341]に記載されている。y軸上にdW/dLog(MW)、x軸上にLog(MW)をプロットして、GPCクロマトグラムを得、Log(MW)およびdW/dLog(MW)は、上記で定義したとおりである。
【0052】
ポリマーは、特に、フィルム、繊維、不織布および/または織布、押出物品、および/または成形品などの多くの物品に用いられ得る。
【0053】
本明細書に詳述されるようなビフェニルフェノール重合プレ触媒および/またはビフェニルフェノール重合触媒、ならびに活性化剤などの本明細書で考察される他の成分は、担体とともに用いられ得る。「キャリア」とも称され得る「担体」は、タルク、無機酸化物、および無機塩化物などの多孔性担体材料を含む任意の担体材料を指す。
【0054】
ビフェニルフェノール重合プレ触媒および/またはビフェニルフェノール重合触媒、ならびに本明細書で考察される他の成分は、同じまたは別個の担体上に担持され得るか、または成分のうちの1つ以上が担持されていない形態で使用され得る。担体を用いることは、当該技術分野において使用される任意の技術によって達成することができる。1つ以上の実施形態は、噴霧乾燥プロセスが用いられることを提供する。噴霧乾燥プロセスは、当該技術分野において周知である。担体は、官能化され得る。
【0055】
担体は、多孔質担体材料、例えば、タルク、無機酸化物、または無機塩化物であり得る。他の担体材料としては、樹脂担体材料、例えばポリスチレン、ポリスチレンジビニルベンゼンポリオレフィンまたはポリマー化合物などの官能化または架橋有機担体、ゼオライト、粘土、または任意の他の有機または無機担体材料など、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0056】
担体材料としては、2、3、4、5、13、または14族の金属酸化物を含む無機酸化物が挙げられる。いくつかの好ましい担体としては、シリカ、ヒュームドシリカ、アルミナ、シリカ-アルミナ、およびそれらの混合物が挙げられる。他のいくつかの担体としては、マグネシア、チタニア、ジルコニア、塩化マグネシウム、モンモリロナイト、フィロケイ酸塩、ゼオライト、タルク、粘土などが挙げられる。また、これらの担体材料の組み合わせ、例えば、シリカ-クロム、シリカ-アルミナ、シリカ-チタニアなどを使用することができる。さらなる担体材料としては、多孔質アクリルポリマー、ナノ複合材料、エアロゲル、球晶、およびポリマービーズが挙げられ得る。
【0057】
担体の一例は、商品名Cabosil(商標)TS-610で入手可能なヒュームドシリカ、またはCabot Corporationから入手可能な他のTSまたはTGシリーズの担体である。ヒュームドシリカは、典型的には、表面ヒドロキシル基の大部分がキャップされるようにジメチルシリルジクロリドで処理された7~30ナノメートルの寸法の粒子を有するシリカである。
【0058】
担体材料は、約10~約700m/gの範囲の表面積、約0.1~約4.0g/cm3の範囲の細孔容積、および約5~約500μmの範囲の平均粒径を有し得る。より好ましくは、担体材料の表面積は、約50~約500m/gの範囲であり、細孔容積は、約0.5~約3.5g/cm3であり、平均粒径は、約10~約200μmである。最も好ましくは、担体材料の表面積は、約100~約400m/gの範囲であり、細孔容積は、約0.8~約3.0g/cm3であり、平均粒径は、約5~約100μmである。キャリアの平均細孔径は、典型的には、10~l000A、好ましくは50~約500A、最も好ましくは75~約350Aの範囲の細孔径を有する。
【0059】
ビフェニルフェノール重合プレ触媒および/またはビフェニルフェノール重合プレ触媒、ならびに活性化剤などの本明細書で考察される他の成分をスラリー化することができる。スラリーは、当該技術分野において周知である。スラリーは、例えば、ビフェニルフェノール重合プレ触媒、活性化剤、および担体を含み得る。
【0060】
スラリーにおける、活性化剤中の金属対ビフェニルフェノール重合プレ触媒中の金属のモル比は、1000:1~0.5:1、300:1~1:1、または150:1~1:1であり得る。スラリー中の任意の2つ以上の成分の組み合わせを容易にするために、1つ以上の希釈剤、例えば、流体を使用することができる。例えば、ビフェニルフェノール重合プレ触媒および活性化剤は、トルエンまたは別の非反応性炭化水素もしくは炭化水素混合物の存在下で一緒に組み合わせることができる。トルエンに加えて、他の好適な希釈剤としては、エチルベンゼン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、他の炭化水素、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。次に、乾燥もしくはトルエンと混合された担体を混合物に加えるか、または金属-配位子錯体/活性化剤を担体に加えることができる。スラリーは、重合プロセスのために反応器に供給されてよく、および/またはスラリーは、重合プロセスのために反応器に供給される前に、乾燥(例えば、噴霧乾燥)され得る。
【0061】
重合プロセスは、スラリー相重合プロセス、および/または気相重合プロセスであってもよい。重合プロセスは、既知の装置および反応条件、例えば既知の重合条件を使用して用いられ得る。重合プロセスは、いかなる特定のタイプの重合システムにも限定されない。一例として、重合温度は、大気圧、大気圧より低い圧力、または大気圧より高い圧力で約0℃~約300℃の範囲であり得る。特に、スラリーまたは溶液重合系は、大気圧より低い圧力、あるいは大気圧より高い圧力、および約40℃~約300℃の範囲の温度を用いることができる。実施形態は、ポリオレフィンポリマーを作製する方法を提供し、この方法は、本明細書に記載されるように、重合条件下でオレフィンをビフェニルフェノール重合触媒と接触させて、オレフィンを重合させ、それによって、ポリオレフィンポリマーを作製することを含む。
【0062】
1つ以上の実施形態は、ポリマーが気相重合系を介して、0.07~68.9バール、3.45~27.6バール、または6.89~24.1バールの範囲の超大気圧、および30~130℃、65℃~110℃、75℃~120℃、または80℃~120℃の範囲の温度で形成され得ることを条件とする。1つ以上の実施形態において、操作温度は112℃未満であり得る。攪拌および/または流動床気相重合システムが用いられ得る。
【0063】
一般に、従来の気相流動床重合プロセスは、反応条件下で、かつ触媒組成物、例えば、ビフェニルフェノール重合プレ触媒および活性化剤を含む組成物の存在下で、固体粒子の床を懸濁状態に維持するのに十分な速度にて、1つ以上のオレフィンモノマーを含有する流れを流動床反応器に連続的に通すことによって実施することができる。未反応のモノマーを含む流れは、反応器から連続的に引き出され、圧縮され、冷却され、任意で部分的または完全に凝縮され、反応器に再循環され得る。生成物、すなわちポリマーを反応器から取り出すことができ、置換モノマーを再循環流に加えることができる。触媒組成物および反応体に対して不活性なガスもまた、ガス流中に存在し得る。重合システムは、例えば、単一の反応器または連続した2つ以上の反応器を含み得る。
【0064】
重合プロセスの供給流は、オレフィンモノマー、窒素および/または水素などの非オレフィンガスを含んでよく、さらに、重合プロセスにおいて凝縮可能であり、反応熱を除去するために使用され得る1つ以上の非反応性アルカンを含み得る。例示的な非反応性アルカンとしては、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、それらの異性体およびそれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。供給物は、単一または複数の異なる場所で反応器に入れることができる。
【0065】
重合プロセスに対して、担持されたビフェニルフェノール重合触媒などのビフェニルフェノール重合触媒を連続的に反応器に供給することができる。窒素またはアルゴンなどの重合触媒に対して不活性であるガスを使用して、ビフェニルフェノール重合触媒を反応器床に運ぶことができる。一実施形態において、ビフェニルフェノール重合触媒は、鉱油、または例えば、プロパン、ブタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、もしくはオクタンなどの液体炭化水素または混合物中のスラリーとして提供され得る。スラリーは、例えば、窒素もしくはアルゴンなどのキャリア流体、または例えば、イソペンタンもしくは他のC3~C8アルカンなどの液体とともに反応器に送達され得る。
【0066】
重合プロセスに対して、水素は、約0.0~2.5、0.0~2.0、0.0~1.5、0.0~1.0の範囲、0.01~0.7の範囲、0.03~0.5の範囲、0.005~0.3の範囲、または0.0017~0.0068の範囲の範囲にあり得る、反応器内の水素対エチレンのガスモル比で用いられ得る。多くの実施形態は、水素ガスを用いる。
【0067】
本開示のいくつかの態様は、以下のように提供される。
【0068】
態様1は、気相重合プロセスまたはスラリー相重合プロセスを介してポリマーを作製するための担持されたビフェニルフェノール重合触媒の使用を提供し、担持されたビフェニルフェノール重合触媒は、式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒から作製され、
【化3】
式中、R
7およびR
8の各々は、独立して、C
1アルキル、ハロゲン、または水素であり、
R
5およびR
10の各々は、独立して、C
1~C
20アルキル、アリール、アラルキル、ハロゲン化物、または水素であり、
R
4およびR
11の各々は、独立して、ハロゲンまたは水素であり、
R
2およびR
13の各々は、独立して、C
1~C
20アルキル、アリール、もしくはアラルキル、または水素であり、
R
15およびR
16の各々は、独立して、2,7-二置換カルバゾール-9-イルまたは3,6-二置換カルバゾール-9-イルであり、
Lは、Lが共有結合している2つの酸素原子の間に、それぞれ3炭素橋または4炭素橋を形成するC
3またはC
4アルキレンであり、
R
1、R
3、R
12、およびR
14の各々は、水素であり、
R
6およびR
9の各々は、水素またはC
1~C
8アルキルであり、任意で、R
6は、R
7と連結し、R
8は、R
9と連結して、環状構造を形成することができ、
各Xは、独立して、ハロゲン、水素、(C
1~C
20)アルキル、(C
7~C
20)ラルキル、(C
1~C
6)アルキル置換(C
6~C
12)アリール、または(C
1~C
6)アルキル置換ベンジル、-CH
2Si(R
C)
3であり
、R
Cは、C
1~C
12炭化水素であり、
Mは、ZrまたはHfである。
【0069】
態様2 態様1の使用であり、式中、R7およびR8は、C1アルキル、フッ素、または水素であり、R5、R6、R9、およびR10のうちの少なくとも2つは、フッ素である。
【0070】
態様3 態様1の使用であり、式中、R15およびR16の各々は、2,7-ジ-t-ブチルカルバゾール-9-イル、2,7-ジ-エチルカルバゾール-9-イル、2,7-ジ-メチルカルバゾール-9-イルからなる群から選択される2,7-二置換カルバゾール-9-イルである。
【0071】
態様4は、態様3の使用を提供し、式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒は、本明細書に記載されるような構造(i)、(ii)、(iii)、および(viii)からなる群から選択される。
【0072】
態様5は、態様1または2の使用を提供し、式中、R15およびR16の各々は、3,6-ジ-t-ブチルカルバゾール-9-イルである。
【0073】
態様6は、態様5の使用を提供し、式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒は、本明細書に詳述されるような構造(iv)および(v)からなる群から選択される。
【0074】
態様7は、態様1の使用を提供し、式中、各Xは、C1アルキルである。
【0075】
態様8は、担持されたビフェニルフェノール重合触媒を作製する方法を提供し、この方法は、式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒を担体上に配置して、担持されたビフェニルフェノール重合プレ触媒を得ることと、活性化条件下で、式Iの担持されたビフェニルフェノール重合プレ触媒を活性化剤と接触させて、式Iの担持されたビフェニルフェノール重合プレ触媒を活性化し、それにより、担持されたビフェニルフェノール重合触媒を作製することと、を含む。
【0076】
態様9は、ポリエチレン組成物を作製する方法を提供し、この方法は、態様8の方法によって作製された、担持されたビフェニルフェノール重合触媒の存在下で、気相重合条件下で単一の気相重合反応器においてエチレンを重合して、いずれの他の重合触媒の助けも借りずにポリエチレン組成物を作製することを含み、ポリエチレン組成物は、高分子量ポリエチレン成分および低分子量ポリエチレン成分を含む。
【0077】
態様10は、ポリエチレン組成物が5~40または7~40の範囲の多分散度指数(PDI)を有する、態様9の方法を提供する。
【0078】
態様11は、ポリエチレン組成物が二峰性である、態様9または10の方法を提供する。
【0079】
態様12は、ポリエチレン組成物を作製する方法を提供し、この方法は、態様8の方法によって作製された、担持されたビフェニルフェノール重合触媒の存在下で、スラリー相重合条件下で単一のスラリー相重合反応器においてエチレンを重合して、いずれの他の重合触媒の助けも借りずにポリエチレン組成物を作製することを含み、ポリエチレン組成物は、5~40または7~40の範囲の多分散度指数(PDI)を有する。
【0080】
態様13は、本明細書に詳述されるような構造(i)、(ii)、(iii)、および(v)からなる群から選択されるビフェニルフェノール重合プレ触媒を提供する。
【0081】
態様14は、態様8の方法によって作製された、担持されたビフェニルフェノール重合触媒を提供し、式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒は、本明細書に詳述されるような構造(i)、(ii)、(iii)、(viii)、または(v)のうちのいずれかのビフェニルフェノール重合プレ触媒から選択される。
【実施例】
【0082】
式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒であり、
【0083】
【0084】
式中、R7およびR8の各々は、独立して、C1アルキル、ハロゲン、または水素であり、
【0085】
R5およびR10の各々は、独立して、C1~C20アルキル、アリール、アラルキル、ハロゲン、または水素であり、
【0086】
R4およびR11の各々は、独立して、ハロゲンまたは水素であり、
【0087】
R2およびR13の各々は、独立して、C1~C20アルキル、アリール、もしくはアラルキル、または水素であり、
【0088】
R15およびR16の各々は、独立して、2,7-二置換カルバゾール-9-イルまたは3,6-二置換カルバゾール-9-イルであり、
【0089】
Lは、Lが共有結合している2つの酸素原子の間に、それぞれ3炭素橋または4炭素橋を形成するC3またはC4アルキレンであり、
【0090】
R1、R3、R12、およびR14の各々は、水素であり、
【0091】
R6およびR9の各々は、水素またはC1~C8アルキルであり、任意で、R6は、R7と連結し、R8は、R9と連結して、環状構造を形成することができ、
【0092】
各Xは、独立して、ハロゲン、水素、(C1~C20)アルキル、(C7~C20)アラルキル、(C1~C6)アルキル置換(C6~C12)アリール、または(C1~C6)アルキル置換ベンジル、-CH2Si(RC)3であり、RCは、C1~C12炭化水素であり、
【0093】
Mは、ZrまたはHfであり、次のように作製される。
【0094】
構造(i)のビフェニルフェノール重合プレ触媒を以下のように調製した。-28℃のトルエン(20mL)中のZrCl4(102mg、0.44mmol)の懸濁液に、臭化メチルマグネシウムの3.22M溶液(0.57mL、1.83mmol)を加えた。溶液を2分間撹拌し、その間に深紅色が形成された。次に、式Aの配位子(3-(2,7-ジ-tert-ブチル-9H-カルバゾール-9-イル)-2’-(3-((3’-(2,7-ジ-tert-ブチル-9H-カルバゾール-9-イル)-3,5-ジフルオロ-2’-ヒドロキシ-5’-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)オキシ)プロポキシ)-5’-フルオロ-3’-メチル-5-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-2-オール)(550mg、0.44mmol)を、トルエン(10mL)中の溶液として一度に加えた。式Aの配位子は、20160108156A1に記載されるように調製し、20160108156A1の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。溶液を室温まで温め、合計4時間撹拌した。ヘキサン(30mL)を加え、溶液を濾過して、不溶性塩を除去した。濾液を減圧下で乾燥させた。次に、粗固体を熱トルエン(20mL)に取り、濾過した。濾液を減圧下で蒸発させて、562mg(93%)の淡黄色の固体を得た。構造(i)のビフェニルフェノール重合プレ触媒の存在は、1H NMR分析によって確認された。1H NMR(400MHz,C6D6,298K)δ8.19(d,J=8.0Hz,1H),8.15(d,J=8.0Hz,2H),7.73(s,1H),7.66(s,1H),7.60(d,J=8.0Hz,2H),7.49-7.39(m,4H),7.30(d,J=8.0Hz,1H),7.20(s,1H),d(J=8.0Hz,1H),7.06-7.00(m,3H),6.63(d,J=8.0Hz,1H),6.22(dd,J=8.0Hzおよび4.0Hz,1H),5.75(td,J=8.0Hzおよび4.0Hz,1H),3.62(t,J=8.0Hz,1H),3.30(m,2H),3.16(m,1H),1.61(s,12H),1.47(s,12H),1.26(s,18H),1.25(s,18H),0.93(s,12H),0.84(s,12H),0.52(d,12.0Hz,3H),-0.56(s,3H),-0.98(s,3H).
【0095】
【0096】
構造(ii)のビフェニルフェノール重合プレ触媒を以下のように調製した。-28℃のトルエン(20mL)中のZrCl
4(63mg、0.27mmol)の懸濁液に、臭化メチルマグネシウムの3.22M溶液(0.37mL、1.18mmol)を加えた。溶液を2分間撹拌し、その間に深紅色が形成された。次に、配位子B[2’,2’ ’ ’ -(プロパン-1,3-ジイルビス(オキシ))ビス(3-(2,7-ビス(ジイソプロピル(オクチル)シリル)-9H-カルバゾール-9-イル)-5’-フルオロ-3’-メチル-5-(2,4,4-トリメチルペンタ-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-2-オール))](520mg、0.27mmol)を、トルエン(10mL)中の溶液として一度に加えた。式Bの配位子は、2018026504(A1)に記載されるように調製し、2018026504(A1)の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。溶液を室温まで温め、合計3時間撹拌した。ヘキサン(30mL)を加え、溶液を濾過して、不溶性塩を除去した。濾液を減圧下で乾燥させた。次に、粗固体を熱トルエン(20mL)に取り、濾過した。濾液を減圧下で蒸発させて、457mg(83%)の淡黄色の固体を得た。構造(ii)のビフェニルフェノール重合プレ触媒の存在は、
1H NMR分析によって確認された。
1H NMR(400MHz,C
6D
6,298K)δ8.26(d,J=8.0Hz,2H),8.13(d,J=8.0Hz,2H),8.05(s,2H),7.97(s,2H),7.68(s,2H),7.64(d,J=8.0Hz,2H),7.54(d,J=8.0Hz,2H),7.36(s,2H),7.02(d,J=4.0Hz,2H),6.21(dd,J=8.0および4.0Hz,2H),3.72(m,2H),3.52(m,2H),1.65-0.91(m,152H),0.80(s,12H),-0.46(s,6H).
【化6】
【化7】
【0097】
構造(iii)のビフェニルフェノール重合プレ触媒を以下のように調製した。-28℃のトルエン(20mL)中のZrCl4(69mg、0.30mmol)の懸濁液に、臭化メチルマグネシウムの3.22M溶液(0.40mL、1.30mmol)を加えた。溶液を2分間撹拌し、その間に深紅色が形成された。次に、配位子C(2’,2’ ’ ’ -(プロパン-1,3-ジイルビス(オキシ))ビス(3-(2,7-ビス(ジイソプロピル(オクチル)シリル)-9H-カルバゾール-9-イル)-5’-フルオロ-3’,5-ジメチル-[1,1’-ビフェニル]-2-オール))(513mg、0.30mmol)を、トルエン(10mL)溶液として一度に加えた。式Cの配位子は、WO2017058981A1に記載されるように調製し、WO2017058981A1の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。溶液を室温まで温め、合計3時間撹拌した。ヘキサン(30mL)を加え、溶液を濾過して。不溶性の塩を除去した。濾液を減圧下で乾燥させて、495mg(90%)の淡黄色の固体を得た。構造(iii)のビフェニルフェノール重合プレ触媒の存在は、
1H NMR分析によって確認された。
1H NMR(400MHz,C
6D
6,298K)δ8.27(d,J=8.0Hz,2H),8.16(d,J=8.0Hz,2H),8.05(s,2H),7.96(s,2H),7.63(d,J=8.0Hz,2H),7.56(d,J=8.0Hz,2H),6.92(d,J=4.0Hz,2H),6.79(d,J=4.0Hz,2H),6.77(d,J=4.0Hz,2H),6.13(d,J=4.0Hz,1H),6.11(d,J=4.0Hz,1H),3.54(q,J=4.0Hz,2H),3.30(q,J=4.0Hz,2H),2.13(s,6H),1.66-0.89(m,130H),-0.42(s,6H).
【化8】
【化9】
【0098】
構造(iv)のビフェニルフェノール重合プレ触媒は、US9000108B2に記載されるように調製し、US9000108B2の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【化10】
【0099】
構造(v)のビフェニルフェノール重合プレ触媒は、式Jの配位子(すなわち、以下に記載および図示されるような配位子5)を使用して調製した。式Jの配位子は、以下で説明されるように調製した。
【0100】
【0101】
ステップ1:(2)の合成 トルエン(200mL)中のt-ブチルアミン(21.9g、0.30mol)の溶液を、1Lの2つ口丸底フラスコ内で調製した。臭素(24.6g、0.15mol)を-30℃で混合物にゆっくりと加えた、得られた溶液をこの温度で15分間撹拌した。塩化メチレン(CH2Cl2)(200mL)中の2,3-ジフルオロフェノール(1)(20g、0.15mol)を-78℃で混合物に加えた。得られた混合物を-78℃で4時間撹拌した。チオ硫酸ナトリウム溶液(40mL)を使用して、反応混合物を同じ温度でクエンチした。混合物をCH2Cl2(100mL)で希釈し、次に水(50mL)、水性1N塩酸(HCl)(50mL)、および飽和塩化ナトリウム水溶液(ブライン)(75mL)で洗浄した。分液漏斗を使用して有機層を単離し、次に、揮発性物質を減圧下で除去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる粗製物質の精製により、GCMSによる95%の純度の14gの中間体2が得られた(収率=44%)。1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ[ppm]5.76(br s,1H),6.69-6.75(m,1H),7.21-7.25(m,1H).19F-NMR(376.5MHz,CDCl3):δ[ppm]-156.4(d,J=22.6Hz,1F),-136.2(d,J=18.8Hz,1F).LCMS:209(M+1)&211(M+3).
【0102】
ステップ2:(3)の合成 中間体(2)(11g、0.053mol)および1,3-ジブロモプロパン(5.3g、0.026mol)を500mLの2つ口丸底フラスコ内でアセトン(200mL)に溶解した。炭酸カリウム(K
2CO
3)(22g、0.16mol)を懸濁液に加え、次に、これを65℃で24時間撹拌した。混合物を冷却し、次に、濾過した。濾液を真空下で濃縮して、粗残留物を提供し、これをCH
2Cl
2(200mL)に溶解し、分液漏斗に移し、次に、3N KOH水溶液(50mL)、続いて飽和水溶液で洗浄した。K
2CO
3(50mLx2).有機層を硫酸マグネシウム(MgSO
4)で乾燥させ、次に、濃縮乾固して、粗生成物を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(2回)による粗生成物の精製により、GCMSによる97%の純度の8.5gの3が得られた。(収率=71%)。
1H-NMR(400MHz,CDCl
3):δ[ppm]2.34(quin,J=6.0Hz,2H),4.46(t,J=6.0Hz,4H),6.81-6.88(m,2H),7.27-7.29(m,2H).
19F-NMR(376.5MHz,CDCl
3):δ[ppm]-150.2(d,J=18.8Hz,1F),-136.1(d,J=18.8Hz,1F).
13C-NMR(100MHz,CDCl
3):δ[ppm]30.8,70.9,71.0,111.7,112.3,112.4,126.7,126.8,126.8,126.8,143.7,143.8,145.7,145.8,146.2,146.3,149.6,149.7,152.1,152.2.GCMS:458(M)。
【化12】
【0103】
ステップ3:配位子(5)の合成 脱気したTHF(10mL)および脱気した水(3mL)を、ボロン酸エステル4(4の調製は、US8609794B2で提供される)(0.87g、1.25mmol)、二臭化物3(0.26g、0.57mmol)、固体NaOH(0.11g、2.84mmol)、およびPd-アンフォス(0.01g、0.02mmol)が装填された40mLのバイアルに加えた。反応物を55℃に加温し、この温度で18時間維持した。この時間の後、反応物を室温まで冷却した。混合物を分液漏斗に移し、ジエチルエーテル(Et
2O)(25mL)および水(10mL)を加え、層を分離させた。有機物をブライン(10mL)で洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過した。上記の濾液に、MeOH(10mL)を濃縮HCl(ガラスピペットから8滴)とともに加えた。溶液を室温で18時間撹拌した。溶液を減圧下で濃縮乾固させた。残留物にCELITEをプレカートリッジにドライロードし、次に、逆相フラッシュクロマトグラフィーを使用して直接精製し(50g C18、40mL/分、CH
3CN中の0%THF~50%THFを15分かけて)、0.55g(77%)の5を白色固体として得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ8.13(dd,J=2.0,0.6Hz,4H),7.42-7.34(m,6H),7.30(d,J=2.4Hz,2H),7.09(ddd,J=8.1,5.8,1.9Hz,2H),7.06-6.92(m,6H),5.37(s,2H),4.02(t,J=6.0Hz,4H),1.86(p,J=6.0Hz,2H),1.69(s,4H),1.43(s,36H),1.33(s,12H),0.77(s,18H);
19F NMR(376MHz,CDCl
3)δ-136.39(d,J=20.3Hz),-153.30(d,J=20.1Hz).LCMS(ES/APCIMS m/z 1264[(M+H)+].
【化13】
ステップ4:構造(v)の合成プレ触媒。構造(v)のビフェニルフェノール重合プレ触媒を以下のように調製した。Et
2O(0.25mL)中の3MのMeMgBrを、トルエン(6mL)中のHfCl
4(0.06g、0.18mmol)の-30℃の溶液に加えた。5分間撹拌した後、トルエン(1mL)中の配位子5(すなわち、以下の配位子J)(2’,2’ ’ ’ -(プロパン-1,3-ジイルビス(オキシ))ビス(3-(3,6-ジ-tert-ブチル-9H-カルバゾール-9-イル)-3’,4’-ジフルオロ-5-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-2-オール))(0.23g、0.18mmol)を加えた。混合物を18時間撹拌し、次に、溶媒を真空下で除去した。ヘキサンとトルエンとの混合物(5:1、12mL)を残留物に加え、溶液を室温で数分間振とうし、次に、この材料を、CELITEプラグを詰めたフリット漏斗に通した。フリットをヘキサンとトルエンとの混合物(5:1、12mL)で抽出した。合わせた抽出物を減圧下で濃縮乾固し、0.2g(76%)の生成物を黄褐色の固体として得た。構造(v)のビフェニルフェノール重合プレ触媒の存在は、NMRによって確認された。
1H NMR(400MHz,C
6D
6)δ8.63-8.57(m,2H),8.35-8.30(m,2H),7.93-7.82(m,6H),7.61-7.54(m,2H),7.35(dd,J=8.8,1.9Hz,2H),7.19(d,J=2.5Hz,2H),6.69-6.58(m,2H),6.39-6.29(m,2H),3.99(app dt,J=10.7,5.9Hz,2H),3.17-3.06(m,2H),1.69(s,22H),1.29(s,24H),1.24(s,6H),1.17-1.08(m,2H),0.87(s,18H),-0.87(s,6H);
19F NMR(376MHz,C
6D
6)δ-135.70(d,J=20.5Hz),-148.58(d,J=20.4Hz).
【化14】
【0104】
構造(vi)の比較重合プレ触媒は、US20150291713A1に記載されるように調製し、US20150291713A1の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【化15】
【0105】
構造(vii)の比較重合プレ触媒は、US20160108156A1に記載されるように調製し、US20160108156A1の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【化16】
【0106】
式Iの活性化された、担持されたビフェニルフェノール重合触媒である実施例1(EX1)を以下のように調製した。窒素パージされたグローブボックス内で、オーブンで乾燥させたガラス瓶に、75gのトルエン(Aldrichから入手可能)でスラリー化させた2.65グラム(g)の処理済みヒュームドシリカ(CABOSIL TS-610、W.R.Graceから入手可能)、および撹拌棒を装填し、よく分散するまで撹拌した。22gのメチルアルミノキサン(MAO)(W.R.Graceからトルエン中10重量%として入手可能)の10重量%溶液をボトルに加えて、混合物を作製した。混合物を15分間磁気的に撹拌し、次に、構造iのビフェニルフェノール重合プレ触媒(0.303g)を加え、混合物を30~60分間撹拌した。混合物を、Buchi Mini Spray Dryer B-290を使用して以下のパラメーターで噴霧乾燥して、実施例1の乾燥した、担持され、活性化されたビフェニルフェノール重合触媒を得た。設定温度-185℃、出口温度-100℃(分)、アスピレーター-95、およびポンプ速度-150rpm。
【0107】
実施例2(EX2)は、表1に示されるように、実施例2の触媒が用いられたという変更を伴って、実施例1と同じように調製した。
【0108】
実施例3(EX3)は、表1に示されるように、実施例3の触媒が用いられたという変更を伴って、実施例1と同じように調製した。
【0109】
実施例4(EX4)は、表1に示されるように、実施例4の触媒が用いられたという変更を伴って、実施例1と同じように調製した。
【0110】
実施例5(EX5)は、表1に示されるように、実施例5の触媒が用いられたという変更を伴って、実施例1と同じように調製した。
【0111】
実施例6(EX6)は、実施例6について表1に示されるような条件で実施例6が実施されたという変更を伴って、実施例1と同じように調製した。
【0112】
実施例7(EX7)は、実施例7について表1に示されるような条件で実施例7が実施されたという変更を伴って、実施例2と同じように調製した。
【0113】
実施例8(EX8)は、実施例8について表1に示されるような条件で実施例8が実施されたという変更を伴って、実施例3と同じように調製した。
【0114】
実施例9(EX9)は、実施例9について表1に示される条件で実施例9が実施されたという変更を伴って、実施例4と同じように調製した。
【0115】
比較実施例1(CE1)は、表1に示されるように、比較実施例1の触媒が用いられたという変更を伴って、実施例1と同じように調製した。
【0116】
比較実施例2(CE2)は、表1に示されるように、比較実施例2の触媒が用いられたという変更を伴って、実施例1と同じように調製された。
【0117】
EX1~9およびCE1~2のエチレン/1-ヘキセン共重合は、以下のように、機械的攪拌機を備えた2Lセミバッチオートクレーブ重合反応器内で、気相で実施した。反応器を最初に1時間乾燥させ、200gの塩化ナトリウム(NaCl)を装填し、窒素下で100℃にて30分間加熱することにより乾燥させた。乾燥後、5グラムのシリカ担持メチルアルミノキサン(SMAO)をスカベンジャーとして窒素圧下で導入した。SMAOを添加した後、反応器を密閉し、成分を撹拌した。次に、反応器に水素(各条件について以下に示されるように、H2プレロード)およびヘキセン(各条件について以下に示されるように、C6/C2比)を装填し、次に、エチレン(230psi)で加圧した。システムが定常状態に達したら、EX1~9およびCE1~2の各々について表1および2で特定されるそれぞれの活性化された触媒の種類および量を、80℃の反応器に装填して、重合を開始した。反応器の温度を90または100℃にし、1時間の運転の間、この温度に維持した。運転は、以下の表1に詳述されるように、条件BまたはKで実施した。運転の終わりに、反応器を冷却し、排気し、開けた。得られた生成物混合物を水およびメタノールで洗浄し、次に、乾燥させた。EX1~9およびCE1~2の結果を表1に示す。
【0118】
構造(viii)のスラリー相ビフェニルフェノール重合プレ触媒は、WO2017004456に記載されるように調製し、WO2017058981A1の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【化17】
【0119】
実施例10(EX10)は、窒素下で不活性雰囲気のグローブボックス内で調製した。Isopar E、エチレン、および水素は、2つのカラムを通過させることによって精製し、1つ目は、A2アルミナを含有し、2つ目は、Q5反応物を含有した。48個の並列圧力リアクター(PPR)-Aリアクターセルは、以下のように、実際のPPR運転前の平日に調製した。ガラス管の風袋引きされたライブラリをリアクターウェル、モジュールヘッドに取り付けられた攪拌機パドル、およびモジュール本体に取り付けられたモジュールヘッドに手動で挿入した。反応器を150℃に加熱し、窒素で10時間パージし、50℃に冷却した。実験当日、反応器をエチレンで2回パージし、完全に排気して、ラインをパージした。次に、反応器を50℃に加熱し、攪拌機を400rpmでオンにした。ロボット針を使用して、反応器にIsopar-Eを適切な溶媒レベルまで充填して、5mLの最終反応容量を得た。モジュール1~3への溶媒注入は、左側のロボットアームを使用して実行し、モジュール4~6への溶媒注入は、右側のロボットアームを使用し、両方のアームを同時に作動させた。溶媒注入に続いて、反応器を最終的な所望の温度に加熱し、撹拌は、Library Studio設計でプログラムされた設定点まで増加させた。反応器が、所望の温度に応じて約10~30分を必要とする、温度設定点に達したとき、セルを、純粋なエチレンまたはエチレンと水素との混合物のいずれかによりガスアキュムレータから所望の設定点まで加圧し、溶媒が飽和した(ガスの取り込みによって観察されるように)。エチレン-水素混合物を使用した場合、すべてのセルで溶媒が飽和すると、残りの運転に対して、ガス供給ラインがエチレン-水素混合物から純粋なエチレンに切り替えた。次に、ロボット合成プロトコルが開始され、それによって、コモノマー溶液(1-ヘキセン)が最初に注入され、次にスカベンジャー溶液(SMAO)が注入され、最後にIsopar-E中の触媒溶液が注入された。モジュール1~3への注入はすべて、左側のロボットアームを使用して実行され、モジュール4~6への注入は、右側のロボットアームを使用し、両方のアームを同時に作動させた。ロボットがシーケンス内の次のセルの注入を開始する前に、既定のセルに対する3つの注入すべてが完了した。各試薬の追加は、500μlのIsopar-E溶媒で追跡して、試薬の完全な注入を確実にした。各試薬を添加した後、針の内側および外側をIsopar-Eで洗浄した。個々の各セルに触媒を注入した瞬間に、反応タイマーを開始した。重合反応は、60~180分間、または60~180psiの設定されたエチレン取り込みのいずれか早い方まで進行し、次に、アルゴン中の10%(v/v)CO2の40psi過圧を加えることによってクエンチした。データ収集は、各セルのクエンチ後5分間継続した。反応器を50℃に冷却し、排気し、PPRチューブをモジュールブロックから取り外した。PPRライブラリをドライボックスから取り出し、次に、揮発性物質を、Genevacロータリーエバポレーターを使用して除去して、実施例10のポリマーを得た。
【0120】
実施例11(EX11)は、実施例11について表2に示されるような条件で実施例11が実施されたという変更を伴って、実施例10と同じように調製した。EX10およびEX11についての結果を以下の表2に示す。
【0121】
触媒調製の手順-SMAOへの構造viiiの支持反応:すべての作業は、コアモジュール3(CM3)ハイスループットユニットの窒素パージボックスで実施する。実験を開始する前に、構造viiiの溶液をトルエン中の所望の濃度に調製した。各反応バイアルに対して、所望の量のSMAOを手動で秤量して、SMAO1g当たり45μmolの触媒(約1:108当量比)に到達させ、タンブル攪拌ディスクと一緒に加えた。トルエンをCM3によって分注し、続いて所望の量の構造viiiの原液を分注した。すべての反応成分を加えた後、バイアルに蓋をし、300rpmで撹拌し、50℃に加熱した。30分後、バイアルを室温まで冷却し、キャップを外し、反応プレートをCM3ボルテックスデッキの位置に配置した。反応バイアルを800rpmで3分間ボルテックスしながら混合し、均一なスラリーを形成させた。次に、所望の量の各担持触媒スラリーを8mLバイアルにドータリングし、Isopar Eで希釈した。複数のドーター試料が必要な場合は、後続の各ドータリングステップに対して新しいPDTチップを用いた。反応は、PPRの所望の濃度にドータリングした。
【0122】
様々な実施形態において、ビフェニルフェノール重合プレ触媒は、本明細書に詳述されるように、1つ以上の構造(i)、(ii)、(iii)、(viii)、(iv)、および/または(v)からなる群から選択される。様々な実施形態において、ビフェニルフェノール重合プレ触媒は、本明細書に詳述されるように、1つ以上の構造(i)、(ii)、(iii)、(iv)、および/または(v)からなる群から選択される。様々な実施形態において、ビフェニルフェノール重合プレ触媒は、本明細書に詳述されるように、1つ以上の構造(i)、(ii)、(iii)、(viii)、(iv)、および(v)からなる群から選択される。様々な実施形態において、ビフェニルフェノール重合プレ触媒は、本明細書に詳述されるように、1つ以上の構造(i)、(ii)、(iii)、(iv)、および(v)からなる群から選択される。
【0123】
B-条件は次のとおりである。温度=100℃、エチレン=220ポンド/平方インチ(psi)、H2/C2=0.0017、C6/C2=0.004。Bスラリー条件は次のとおりである。温度=100℃、エチレン=100ポンド/平方インチ(psi)、H2/C2=0.012。
【0124】
K条件は次のとおりである。温度=100℃、エチレン=220psi、H2/C2=0.0068、C6/C2=0.004。Bスラリー条件は次のとおりである。温度=100℃、エチレン=100ポンド/平方インチ(psi)、H2/C2=0.05。
【0125】
二峰性GPCプロット(あり/なし):y軸にdWf/dLogM(質量検出器応答)を、x軸にLogMをプロットして、LMWおよびHMWポリエチレン構成成分のピークの極大log(MW)値を含有するGPCクロマトグラム曲線を取得し、かつLMWポリエチレン構成成分のピークとHMWポリエチレン構成成分のピークとの間の極小値の有無を観測することによる、二峰性などの分解された多峰性の有無。dWfは重量分率の変化、dLogMはdLog(MW)とも称され、分子量の対数の変化である。LogMはLog(MW)とも称され、分子量の対数である。
【0126】
Mn(数平均分子量)およびMw(重量平均分子量は、当該技術分野において既知であるように、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定した。値は、ダルトン(Da)の単位で報告する。
【0127】
多分散度指数(PDI)とは、既定のポリマー試料における分子質量の分布の尺度を指す。多分散度指数は、MwをMnで割ることによって計算される。
【0128】
融解温度(すなわち、Tm)は、ASTM D3418-08に従って示差走査熱量測定によって決定することができる。例えば、10mgの試料に対して10℃/分のスキャン速度を使用し、2番目の加熱サイクルを使用する。
【表1】
【表2】
【0129】
表1に詳述されるように、EX1~9は各々、0.0017~0.0068の範囲のH2/C2値などの広範囲な条件にわたって、PDIが5を超え、かつ二峰性の存在を実証するGPCプロットによって証明されるような、二峰性分布を有するポリエチレンを作製する担持されたビフェニルフェノール重合触媒を提供する。例えば、EX1~9(気相、表1に詳述されるように、B条件/K条件で実施)は各々、高分子量ポリエチレン成分(ポリエチレンの分子量分布における2番目のピークによって表される)、および低分子量ポリエチレン成分(ポリエチレンの分子量分布プロットにおける最初のピークによって表される)を有するポリエチレンを提供した。さらに、EX1~11は各々、表1に示されるように、3.0未満であり、かつ/または二峰性ではないGPCプロットを有したCE1およびCE2のPDIと比較して、5.0を超えるPDIを提供した(B条件とK条件の両方で)。
【0130】
要約すると、EX1~9の各々は、PDIが5.0を超え、かつ二峰性の存在を実証するGPCプロットによって証明されるように、0.0017~0.0068の範囲のH2/C2値などの広範囲な条件にわたって二峰性の存在を実証する。さらに、EX10~11の各々は、5.0を超えるPDIを提供する。さらに、EX1~11の担持されたビフェニルフェノール重合触媒によって提供される二峰性ポリマーは、いずれの他の重合触媒の助けも借りずに単一の反応器気相またはスラリー相重合反応器内で形成され、これは、複数の反応器および/または複数の重合触媒に依存して、二峰性ポリマーを提供する他のアプローチとは対照的であり、単峰性分布を有するポリマーを提供する他の重合触媒(CE1およびCE2など)とは対照的である。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気相重合プロセスを介して二峰性ポリエチレン組成物を作製するか、またはスラリー相重合プロセスを介して単峰性ポリエチレン組成物を作製するための担持されたビフェニルフェノール重合触媒の使用であって、前記担持されたビフェニルフェノール重合触媒が、式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒から作製され、
【化1】
式中、R
7およびR
8の各々が、独立して、C
1アルキル、ハロゲン、または水素であり、
R
5およびR
10の各々が、独立して、C
1~C
20アルキル、アリール、アラルキル、ハロゲン、または水素であり、
R
4およびR
11の各々は、独立して、ハロゲンまたは水素であり、
R
2およびR
13の各々が、独立して、C
1~C
20アルキル、アリール、もしくはアラルキル、または水素であり、
R
15およびR
16の各々が、独立して、2,7-二置換カルバゾール-9-イルまたは3,6-二置換カルバゾール-9-イルであり、
Lが、Lが共有結合している2つの酸素原子の間に、それぞれ3炭素橋または4炭素橋を形成するC
3またはC
4アルキレンであり、
R
1、R
3、R
12、およびR
14の各々が、水素であり、
R
6およびR
9の各々が、水素またはC
1~C
8アルキルであり、任意で、R
6が、R
7と連結し、R
8が、R
9と連結して、環状構造を形成することができ、
各Xが、独立して、ハロゲン、水素、(C
1~C
20)アルキル、(C
7~C
20)アラルキル、(C
1~C
6)アルキル置換(C
6~C
12)アリール、または(C
1~C
6)アルキル置換ベンジル、-CH
2Si(R
C)
3であり、R
Cが、C
1~C
12炭化水素であり、
Mが、ZrまたはHfである、使用。
【請求項2】
R
7およびR
8が、C
1アルキル、フッ素、または水素であり、
R
5、R
6、R
9、およびR
10のうちの少なくとも2つが、フッ素である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
R
15およびR
16の各々が、2,7-ジ-t-ブチルカルバゾール-9-イル、2,7-ジ-エチルカルバゾール-9-イル、2,7-ジ-メチルカルバゾール-9-イルからなる群から選択される2,7-二置換カルバゾール-9-イルである、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒が、構造(i)、(ii)、(iii)、および(viii)からなる群から選択される、請求項3に記載の使用。
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【請求項5】
R
15およびR
16の各々が、3,6-ジ-t-ブチルカルバゾール-9-イルである、請求項1または2に記載の使用。
【請求項6】
前記式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒が、構造(iv)および(v)からなる群から選択される、請求項5に記載の使用。
【化6】
【化7】
【請求項7】
各Xが、C
1アルキルである、請求項1に記載の使用。
【請求項8】
担持されたビフェニルフェノール重合触媒を作製する方法であって、
式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒を担体上に配置して、担持されたビフェニルフェノール重合プレ触媒を得ることと、
活性化条件下で、前記式Iの担持されたビフェニルフェノール重合プレ触媒を活性化剤と接触させて、前記式Iの担持されたビフェニルフェノール重合プレ触媒を活性化し、それにより、前記担持されたビフェニルフェノール重合触媒を作製することと、を含み、
【化8】
式中、R
7およびR
8の各々が、独立して、C
1アルキル、ハロゲン、または水素であり、
R
5およびR
10の各々が、独立して、C
1~C
20アルキル、アリール、アラルキル、ハロゲン、または水素であり、
R
4およびR
11の各々が、独立して、ハロゲンまたは水素であり、
R
2およびR
13の各々が、独立して、C
1~C
20アルキル、アリール、もしくはアラルキル、または水素であり、
R
15およびR
16の各々が、独立して、2,7-二置換カルバゾール-9-イルまたは3,6-二置換カルバゾール-9-イルであり、
Lが、Lが共有結合している2つの酸素原子の間に、それぞれ3炭素橋または4炭素橋を形成するC
3またはC
4アルキレンであり、
R
1、R
3、R
12、およびR
14の各々が、水素であり、
R
6およびR
9の各々が、水素またはC
1~C
8アルキルであり、任意で、R
6が、R
7と連結し、R
8が、R
9と連結して、環状構造を形成することができ、
各Xが、独立して、ハロゲン、水素、(C
1~C
20)アルキル、(C
7~C
20)アラルキル、(C
1~C
6)アルキル置換(C
6~C
12)アリール、または(C
1~C
6)アルキル置換ベンジル、-CH
2Si(R
C)
3,であり、R
Cは、C
1~C
12炭化水素であり、
Mが、ZrまたはHfである、方法。
【請求項9】
二峰性ポリエチレン組成物を作製する方法であって、
請求項8に記載の方法によって作製された、前記担持されたビフェニルフェノール重合触媒の存在下で、気相重合条件下で単一の気相重合反応器においてエチレンを重合して、いずれの他の重合触媒の助けも借りずに前記二峰性ポリエチレン組成物を作製することを含み、前記二峰性ポリエチレン組成物が、高分子量ポリエチレン成分および低分子量ポリエチレン成分を含む、方法。
【請求項10】
前記二峰性ポリエチレン組成物が、5~40または7~40の範囲の多分散度指数(PDI)を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
単峰性ポリエチレン組成物を作製する方法であって、
請求項8に記載の方法によって作製された、前記担持されたビフェニルフェノール重合触媒の存在下で、スラリー相重合条件下で単一のスラリー相重合反応器においてエチレンを重合して、いずれの他の重合触媒の助けも借りずに前記ポリエチレン組成物を作製することを含み、前記単峰性ポリエチレン組成物が、5~40または7~40の範囲の多分散度指数(PDI)を有する、方法。
【請求項12】
前記重合ステップが、請求項1~7のいずれか一項の使用を含む、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
構造(i)、(ii)、(iii)、および(v)からなる群から選択されるビフェニルフェノール重合プレ触媒。
【化9-1】
【化9-2】
【請求項14】
請求項8に記載の方法によって作製された、担持されたビフェニルフェノール重合触媒であって、前記式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒が、構造(i)、(ii)、(iii)、(viii)、または(v)のうちのいずれかのビフェニルフェノール重合触媒から選択される、担持されたビフェニルフェノール重合触媒。
【化10-1】
【化10-2】
【国際調査報告】