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特表2022-554335通信ネットワークにおける道路使用者と少なくとも1つのさらなる道路使用者との間の操作を調整するための操作メッセージを提供するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(54)【発明の名称】通信ネットワークにおける道路使用者と少なくとも1つのさらなる道路使用者との間の操作を調整するための操作メッセージを提供するための方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20221221BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20221221BHJP
   B60W 30/10 20060101ALI20221221BHJP
   B60W 40/02 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/09 H
B60W30/10
B60W40/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525685
(86)(22)【出願日】2020-09-25
(85)【翻訳文提出日】2022-06-20
(86)【国際出願番号】 EP2020076927
(87)【国際公開番号】W WO2021089238
(87)【国際公開日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】102019216913.9
(32)【優先日】2019-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】シエック,フロリアン・アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】リャツェル・マルティ,イグナシオ
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン,フランク
(72)【発明者】
【氏名】ビルトシュッテ,フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】フックス,ヘンドリク
(72)【発明者】
【氏名】ドルゴフ,マキシム
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャルケ,トーマス
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA11
3D241BB16
3D241BB46
3D241CE01
3D241CE02
3D241CE03
3D241CE04
3D241CE05
3D241DC01Z
3D241DC25Z
3D241DC44Z
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181LL04
5H181LL09
(57)【要約】
本発明は、通信ネットワークにおける道路使用者(100)と少なくとも1つのさらなる道路使用者(116、118)との間の操作を調整するための操作メッセージ(120)を提供するための方法(200)に関する。道路使用者および少なくとも1つのさらなる道路使用者は、通信ネットワークを介して互いにネットワーク接続されている。道路使用者は、通信ネットワークを介して受信された通信データおよび/または道路使用者の周辺を検出するためのセンサシステム(104)によって生成されたセンサデータ(106)を評価するための、かつ通信ネットワークを介して操作メッセージを伝送するための評価ユニット(102)を含む。本方法は、評価ユニットにおいて通信データおよび/またはセンサデータを受信するステップ(210)と、通信データおよび/またはセンサデータに基づいて、道路使用者の少なくとも1つの予想軌道(300、301、302)を決定するステップ(230)であって、予想軌道の特性を記述する少なくとも1つの軌道パラメータ(式)が特定される、ステップと、軌道パラメータから軌道伝送優先度(p)を計算するステップ(240)であって、軌道伝送優先度が、道路使用者および/またはさらなる道路使用者に対する少なくとも1つの予想軌道の関連性を表す、ステップと、軌道伝送優先度に基づいて、少なくとも1つの予想軌道が操作メッセージに取り入れられるべきかどうかを決定するステップ(250)と、取り入れられる場合には、少なくとも1つの予想軌道を含む操作メッセージを生成するステップ(260a)と、通信ネットワークを介して操作メッセージを送信するステップと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークにおける道路使用者(100)と少なくとも1つのさらなる道路使用者(116、118)との間の操作を調整するための操作メッセージ(120)を提供するための方法(200)であって、前記道路使用者(100)および前記少なくとも1つのさらなる道路使用者(116、118)が、前記通信ネットワークを介して互いにネットワーク接続されており、前記道路使用者(100)が、前記通信ネットワークを介して受信された通信データおよび/または前記道路使用者(100)の周辺を検出するためのセンサシステム(104)によって生成されたセンサデータ(106)を評価するための、かつ前記通信ネットワークを介して操作メッセージ(120)を伝送するための評価ユニット(102)を有し、
前記評価ユニット(102)において前記通信データおよび/または前記センサデータ(106)を受信するステップ(210)と、
前記通信データおよび/または前記センサデータ(106)に基づいて、前記道路使用者(100)の少なくとも1つの予想軌道(300、301、302)を決定するステップ(230)であり、前記予想軌道(300、301、302)の特性を記述する少なくとも1つの軌道パラメータ
【数1】
が特定される、ステップと、
前記軌道パラメータ
【数2】
から軌道伝送優先度(p)を計算するステップ(240)であり、前記軌道伝送優先度(p)が、前記道路使用者(100)および/または前記さらなる道路使用者(116、118)に対する前記少なくとも1つの予想軌道(300、301、302)の関連性を表す、ステップと、
前記軌道伝送優先度(p)に基づいて、前記少なくとも1つの予想軌道(300、301、302)が操作メッセージ(120)に取り入れられるべきかどうかを決定するステップ(250)と、
取り入れられる場合には、前記少なくとも1つの予想軌道(300、301、302)を含む前記操作メッセージ(120)を生成するステップ(260a)と、前記通信ネットワークを介して前記操作メッセージ(120)を送信するステップと、を含む、方法(200)。
【請求項2】
前記道路使用者(100)に対する前記予想軌道(300、301、302)の有用性を示すコスト(C)が決定され、前記コスト(C)から前記軌道伝送優先度(p)が計算され、および/または
前記予想軌道(300、301、302)に割り当てられたデータ量(D)が決定され、前記データ量(D)から前記軌道伝送優先度(p)が計算され、および/または
前記予想軌道(300、301、302)に関する操作メッセージ(120)の最後の送信からの待ち時間(Δ)が決定され、前記待ち時間(Δ)から前記軌道伝送優先度(p)が計算され、および/または
前記予想軌道(300、301、302)が、異なる操作優先度(p)を有する複数の異なる操作クラスのうちの1つの操作クラスに割り当てられ、前記予想軌道(300、301、302)に割り当てられた前記操作クラスの前記操作優先度(p)から前記軌道伝送優先度(p)が計算される、
請求項1に記載の方法(200)。
【請求項3】
前記道路使用者(100)の周辺における物体(116、118)が、前記通信データおよび/または前記センサデータ(106)に基づいて検知され、
前記予想軌道(300、301、302)が、前記検知された物体(116、118)に応じて決定される、
請求項1または2に記載の方法(200)。
【請求項4】
少なくとも1つの検知された物体(116、118)について、少なくとも1つの物体軌道が決定され、
前記物体軌道に基づいて、前記予想軌道(300、301、302)が無衝突であるかどうかが決定され、
前記予想軌道(300、301、302)が無衝突である場合、
前記予想軌道(300、301、302)と前記物体軌道との間の最小軌道距離(dmin)の決定、
前記最小軌道距離(dmin)から前記軌道伝送優先度(p)の計算、および/または
前記予想軌道(300、301、302)が無衝突でない場合、
前記予想軌道(300、301、302)と前記予想軌道(300、301、302)が衝突する少なくとも1つの軌道とに基づいた、前記道路使用者(100)の予想される衝突までの最短時間(TTC)の決定、
前記道路使用者(100)の予想される衝突までの前記最短時間(TTC)から前記軌道伝送優先度(p)の計算、
がなされる請求項3に記載の方法(200)。
【請求項5】
前記予想軌道(300、301、302)と前記物体軌道との間の相対速度
【数3】
および/または相対加速度(
【数4】
が計算され、
前記相対速度
【数5】
および/または前記相対加速度
【数6】
から、前記軌道伝送優先度(p)が計算される、
請求項4に記載の方法(200)。
【請求項6】
前記検知された物体(116、118)に応じて、前記道路使用者(100)の複数の予想軌道(300、301、302)が決定され、
各予想軌道(300、301、302)について、前記道路使用者(100)に対する前記予想軌道(300、301、302)の有用性を示すコスト(C)が決定され、
検知された各物体(116、118)について、少なくとも1つの物体軌道が決定され、
前記物体軌道に基づいて、前記予想軌道(300、301、302)が無衝突であるかどうかが決定され、
前記予想軌道(300、301、302)が、前記コスト(C)と、前記予想軌道(300、301、302)が無衝突であるかどうかとに基づいて、基準軌道(300)、要求軌道および/または代替軌道(301、302)に分割され、
前記基準軌道(300)が無衝突であり、
前記要求軌道が無衝突ではなく、かつ前記基準軌道(300)よりも低いコスト(C)を有し、
前記代替軌道(301、302)が無衝突ではなく、かつ前記基準軌道(300)よりも高いコスト(C)を有し、
前記基準軌道(300)に対して、前記要求軌道および前記代替軌道(301、302)よりも高い軌道伝送優先度(p)が計算される、
請求項3~5のいずれか一項に記載の方法(200)。
【請求項7】
前記要求軌道の数(nreq)および前記代替軌道(301、302)の数(nalt)から比率が計算され、
前記比率が比較値と比較され、
前記比率が前記比較値よりも大きい場合、前記代替軌道(301、302)に対して、前記要求軌道よりも高い軌道伝送優先度(p)の計算、および/または
前記比率が前記比較値よりも小さい場合、前記要求軌道に対して、前記代替軌道(301、302)よりも高い軌道伝送優先度(p)の計算、
がなされる請求項6に記載の方法(200)。
【請求項8】
前記通信ネットワークを介して前記さらなる道路使用者(116、118)によって送信されたさらなる軌道(303、304、305)が、前記評価ユニット(102)において受信され、
前記さらなる軌道(303、304、305)に基づいて、前記予想軌道(300、301、302)と衝突する軌道の種類および/または数(×)が決定され、
前記予想軌道(300、301、302)と衝突する前記軌道の種類および/または数(×)から、前記軌道伝送優先度(p)が計算される、
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法(200)。
【請求項9】
前記さらなる軌道(303、304、305)が、基準軌道(303)、要求軌道(304、305)および/または代替軌道を含み、
前記軌道伝送優先度(p)が、前記基準軌道(303)の数(×ref)、前記要求軌道(304、305)の数(×req)、および/または前記代替軌道の数(×alt)から計算される、
請求項6または7を引用する請求項8に記載の方法(200)。
【請求項10】
前記通信データおよび/または前記センサデータ(106)に基づいて、前記道路使用者(100)の少なくとも1つの追加予想軌道が決定され、
前記追加予想軌道の特性を記述する少なくとも1つの追加軌道パラメータが特定され、
前記追加軌道パラメータから、前記道路使用者(100)および/または前記さらなる道路使用者(116、118)に対する前記追加予想軌道の関連性を表す追加軌道伝送優先度が計算され、
前記軌道伝送優先度(p)と前記追加軌道伝送優先度とが互いに比較され、
前記追加軌道伝送優先度が前記軌道伝送優先度(p)よりも大きい場合、前記予想軌道(300、301、302)と前記追加予想軌道との間の最小偏差(Δmin)の決定、
前記最小偏差(Δmin)に基づいて前記軌道伝送優先度(p)の再計算、
がなされる請求項1~9のいずれか一項に記載の方法(200)。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法(200)を実行するように構成されている評価ユニット(102)。
【請求項12】
プロセッサ上で実施されると、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法(200)を実行するコンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータプログラムが保存されているコンピュータ読み取り可能な媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワークにおける道路使用者と少なくとも1つのさらなる道路使用者との間の操作を調整するための操作メッセージを提供するための方法、評価ユニット、コンピュータプログラムおよびコンピュータ読み取り可能な媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
互いにネットワーク接続された車両の自動制御には、車両が、決定を行い得るためにそれらの周辺を感知および解釈することが必要である。例えばカメラ、レーダまたはライダセンサなどの最新の車載センサの通信範囲または視野は、例えば、車歩行者間(V2P)、車車間(V2V)、車グリッド間(V2G)または車ネットワーク間の通信、V2X通信とも総称される、により、拡大することができる。
【0003】
協調認識または集合的感知などのサービスは、そのような高度道路交通システム(ITS)のステーションが、それら自体の状態および車載センサによって検知した物体の状態についての情報を互いに交換することを可能にし、これにより、ステーションはそれらの周辺を明らかにより良好に感知できるようになる。しかし、上記のサービスは、まず第一に物体の過去および現在の状態に関する。しかし、周辺モデルは非常に動的であり、物体の過去および現在の状態だけでなく、将来の状態も推定して、それに応じて操作を計画することができる。そのため、あるステーションが近隣のステーションの計画的な操作にアクセスできれば有利であろう。この知見により、周辺モデルにおける将来の状態の推定精度が場合によっては大幅に向上する可能性がある。
【0004】
現在、欧州通信標準化協会(ETSI)で操作協調サービス(Maneuver Coordination ServiceまたはMCS)が開発されており、これは、特に公的資金によるIMAGinEプロジェクトによって推進されている。これについては、プロジェクト「IMAGinE(Intelligent Maneuver Automation(知的操作の自動化)-cooperative hazard avoidance in realtime(リアルタイム協調危険回避))」、https://imagine-online.de/en/;I.Llatser、T.Michalke、M.Dolgov、F.Wildschuette、H.Fuchs、「Cooperative Automated Driving Use Cases for 5G V2X Communication(5G V2X通信の協調自動運転ユースケース)」、IEEE 5G World Forum、2019年提出、も参照のこと。
【0005】
操作調整サービスは、知的交通システムのステーション間での予想軌道の交換に基づいており、ステーションの計画軌道を互いに調整し調和させることを可能にする必要がある。このために、例えば独国特許出願公開第102018109883号明細書および独国特許出願公開第102018109885号明細書に記載されているように、軌道が車両に対してどの程度有利であるかを示すコストを予想軌道に割り当てることができる。このようにして評価された軌道は、いわゆる操作調整メッセージ(Maneuver Coordination MessageまたはMCM)において周期的に伝送することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第102018109883号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102018109885号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような背景から、ここに提示されるアプローチによって、独立請求項に係る、通信ネットワークにおける道路使用者と少なくとも1つのさらなる道路使用者との間の操作を調整するための操作メッセージを提供するための方法、対応する評価ユニット、対応するコンピュータプログラムおよび対応するコンピュータ読み取り可能な媒体が提示される。ここに提示されるアプローチの有利な改善形態および改良形態は、明細書から明らかとなり、従属請求項に記載されている。
【0008】
本発明の実施形態は、有利には、個々の軌道および関連する記述データに優先度が割り当てられることで、特定の規則を考慮して操作調整メッセージを生成することを可能にする。この場合、優先度に基づいて、例えば、DCC(Decentralized Congestion Control)とも呼ばれる優先度に基づいた伝送プロトコルにより伝送対象の軌道が選択され得るが、この伝送プロトコルは、V2Xチャネルの負荷に応じて、優先された軌道から伝送対象の軌道を選択する。換言すると、これらの規則によって、伝送対象のメッセージの内容に応じて、操作調整メッセージの伝送頻度を制御することが可能となる。これにより、互いにネットワーク接続された複数の道路使用者間の操作調整が改善され得る。
【0009】
本発明の第1の態様は、通信ネットワークにおける道路使用者と少なくとも1つのさらなる道路使用者との間の操作を調整するための操作メッセージを提供するための方法に関する。道路使用者および少なくとも1つのさらなる道路使用者は、通信ネットワークを介して互いにネットワーク接続されている。道路使用者は、通信ネットワークを介して受信された通信データおよび/または道路使用者の周辺を検出するためのセンサシステムによって生成されたセンサデータを評価するための、かつ通信ネットワークを介して操作メッセージを伝送するための評価ユニットを含む。本方法は、評価ユニットにおいて通信データおよび/またはセンサデータを受信するステップと、通信データおよび/またはセンサデータに基づいて、道路使用者の少なくとも1つの予想軌道を決定するステップであって、少なくとも1つの予想軌道の特性を記述する少なくとも1つの軌道パラメータが特定される、ステップと、軌道パラメータから軌道伝送優先度を計算するステップであって、軌道伝送優先度が、道路使用者および/またはさらなる道路使用者に対する少なくとも1つの予想軌道の関連性を表す、ステップと、軌道伝送優先度に基づいて、少なくとも1つの予想軌道が操作メッセージに取り入れられるべきかどうかを決定するステップと、取り入れられる場合には、少なくとも1つの予想軌道を含む操作メッセージを生成するステップと、通信ネットワークを介して操作メッセージを送信するステップと、を含む。
【0010】
道路使用者は、例えば、自動車、例えば乗用車、トラック、バス、もしくはバイク、ロードサイドユニットとも呼ばれる交通インフラの要素、自転車、ペダルスクータ、または歩行者であるとして理解され得る。
【0011】
評価ユニットは、例えば、道路使用者、例えば車両の、車載コンピュータの構成要素であり得る。さらに、評価ユニットは、通信データおよび/またはセンサデータに基づいて、道路使用者を制御、例えば操縦、制動および/または加速するように構成されていてもよい。このため、道路使用者は、評価ユニットによって駆動制御可能なアクチュエータシステムを有することができる。アクチュエータシステムは、例えば、ステアリングもしくはブレーキアクチュエータ、またはエンジン制御装置を含むことができる。また、評価ユニットは、他の道路使用者から提供され、通信ネットワークを介して受信された操作メッセージに基づいて、道路使用者を制御するように構成されていてもよい。
【0012】
センサシステムは、例えば、カメラ、レーダまたはライダセンサを含むことができる。
通信ネットワークは、例えば、車車間(V2VまたはCar2Car)、車路間(V2R)、車インフラ間(V2I)、車ネットワーク間(V2N)または車歩行者間(V2P)の交通ネットワーク化のためのネットワークとして理解され得る。例えば、操作メッセージは、例えばWLAN、Bluetoothまたはモバイル通信接続などの無線通信接続を介して、通信ネットワークの参加者間で伝送され得る。
【0013】
操作メッセージは、例えば、道路使用者、例えば道路使用者の操舵角、位置、方向、速度または自動化の程度、に関する情報、および予想軌道のリストを包含することができる。
【0014】
予想軌道は、車両の予測経過、例えば、道路使用者の過去、現在、および/もしくは推定される将来の状態に基づいて、ならびに/または道路使用者の周辺における検知物体によって計算された、位置、速度、加速度および/または方向の経時的な経過として理解され得る。計算は、例えば周辺モデルによって行うことができる。
【0015】
軌道伝送優先度に基づいて、例えば、伝送対象の軌道のリストに予想軌道が受け入られるべきかどうかが決定されてもよい。その際、伝送対象の軌道のリストを備えた操作メッセージが生成されてもよい。
【0016】
本発明の第2の態様は、上記および以下に記載の方法を実行するように構成されている評価ユニットに関する。上記および以下に記載の方法の特徴は、また、評価ユニットの特徴であってもよい。
【0017】
本発明のさらなる態様は、プロセッサ上で実施されると、上記および以下に記載の方法を実行するコンピュータプログラム、ならびにそのようなコンピュータプログラムが保存されているコンピュータ読み取り可能な媒体に関する。
【0018】
コンピュータ読み取り可能な媒体は、例えば、ハードディスク、USB記憶装置、RAM、ROM、EPROM、またはフラッシュメモリとしてもよい。コンピュータ読み取り可能な媒体は、また、プログラムコードをダウンロードできる、例えばインターネットなどのデータ通信ネットワークとしてもよい。コンピュータ読み取り可能な媒体は、一過性のものであっても、または非一過性のものであってもよい。
【0019】
上記および以下に記載の方法の特徴は、また、コンピュータプログラムおよび/またはコンピュータ読み取り可能な媒体の特徴としてもよい。
本発明の実施形態についての着想は、特に、以下に述べる思想および知識に基づくものと考えられ得る。
【0020】
一実施形態によれば、道路使用者に対する予想軌道の有用性を示すコストが決定され得る。ここで、コストから軌道伝送優先度が計算され得る。これらのコストによって、道路使用者に対する予想軌道の機能的な有用性を定量化することができる。例えば、コストが低いほど、軌道伝送優先度は高くなり得る。
【0021】
追加的または代替的に、予想軌道に割り当てられたデータ量が決定され得、そのデータ量から軌道伝送優先度が計算され得る。予想軌道を記述するために必要なデータ量によって、例えば多項式関数によって記述できる、予想軌道の詳細程度、例えば軌道の長さまたは軌道経路の複雑さについて推測することができる。例えば、予想軌道に割り当てられたデータ量が小さいほど、軌道伝送優先度は高くなり得る。
【0022】
追加的または代替的に、予想軌道に関する操作メッセージの最後の送信からの待ち時間が決定され得、待ち時間から軌道伝送優先度が計算され得る。例えば、待ち時間が長いほど、軌道伝送優先度は高くなり得る。
【0023】
追加的または代替的に、予想軌道は、異なる操作優先度を有する複数の異なる操作クラスのうちの1つの操作クラスに割り当てられ得、予想軌道に割り当てられた操作クラスの操作優先度から軌道伝送優先度が計算され得る。例えば、予想軌道に割り当てられた操作クラスの操作優先度が高いほど、軌道伝送優先度は高くなり得る。
【0024】
一実施形態によれば、道路使用者の周辺における物体が、通信データおよび/またはセンサデータに基づいて、検知され得る。ここで、少なくとも1つの予想軌道は、検知された物体に応じて決定され得る。
【0025】
一実施形態によれば、少なくとも1つの検知された物体について、少なくとも1つの物体軌道が決定され得る。物体軌道に基づいて、予想軌道がすべての物体軌道と無衝突であるかどうかが決定され得る。予想軌道が無衝突である場合、予想軌道とすべての物体軌道との間の最小軌道距離が決定され得、最小軌道距離から軌道伝送優先度が計算され得る。例えば、最小軌道距離が大きいほど、軌道伝送優先度は低くなり得る。予想軌道が無衝突でない場合、追加的または代替的に、予想軌道と予想軌道が衝突する少なくとも1つの軌道とに基づいた、衝突までの時間(TTC)とも呼ばれる、道路使用者の予想される衝突までの最短時間が決定され得、道路使用者の予想される衝突までの最短時間から軌道伝送優先度が計算され得る。例えば、最小TTCが長いほど、軌道伝送優先度は低くなり得る。
【0026】
一実施形態によれば、予想軌道と物体軌道との間の相対速度および/または相対加速度、すなわち特定の時刻における絶対速度または加速度間の差が計算され得る。そして、相対速度および/または相対加速度から、軌道伝送優先度が計算され得る。例えば、相対速度および/または相対加速度が高いほど、軌道伝送優先度は高くなり得る。
【0027】
一実施形態によれば、検知された物体に応じて、道路使用者の複数の予想軌道が決定され得る。各予想軌道について、道路使用者に対する予想軌道の有用性を示すコストが決定され得る。さらに、検知された各物体について、少なくとも1つの物体軌道が決定され得る。物体軌道に基づいて、予想軌道が物体軌道と無衝突であるかどうかが決定され得る。予想軌道は、コストと、予想軌道が無衝突であるかどうかとに基づいて、基準軌道、要求軌道および/または代替軌道に分割され得、基準軌道は互いに無衝突であり、要求軌道は少なくとも1つの基準軌道と無衝突ではなく、かつ基準軌道よりも低いコストを有し、代替軌道は少なくとも1つの基準軌道と無衝突ではなく、かつ基準軌道よりも高いコストを有する。基準軌道に対して、要求軌道および代替軌道よりも高い軌道伝送優先度が計算され得る。
【0028】
基準軌道は、道路使用者が現在追跡しているコストCRTの軌道として理解され得る。交通規則に基づいて予想される衝突を解消できれば、基準軌道は無衝突とみなされ得る。
要求軌道は、コストC<CRTの軌道として理解され得る。要求軌道は、他の道路使用者の軌道を場合によっては妨害する可能性があり、道路使用者間の対応する協調が必要な場合がある。したがって、要求軌道は、協力要請として解釈され得る。要求軌道が、要求軌道が送信された他の道路使用者の基準軌道と衝突する場合、例えば該当する基準軌道は、要求軌道がそれに衝突しなくなるように、操作調整の範囲で変更され得る。この場合、要求軌道は、要求軌道を送信した道路使用者の基準軌道となり得る。
【0029】
代替軌道とは、コストC>CRTの軌道として理解され得る。代替軌道は、他の道路使用者に対する協力提供とみなされ得る。
さらに上記のIMAGinEアプローチによれば、例えば、すべての道路使用者は、それらのそれぞれの基準軌道および少なくとも1つの代替軌道または要求軌道を伝送する。運転者の協力意思、または外部要因、例えば自動車メーカーもしくは規制、に応じて、伝送される代替軌道および要求軌道の数は変動してもよい。
【0030】
一方で、このような操作調整サービスには、提供された基準軌道に基づいて、関与する道路使用者の周辺モデルを大幅に改善できるという利点がある。他方、操作は互いに合わせることができるため、交通の効率および安全性を高めることができる。道路使用者が互いに通信するV2Xチャネルの稼働率は、特に、軌道のそれぞれの数、それぞれの詳細程度、およびそれぞれの伝送頻度に応じて変動してもよい。チャネル負荷の増大は、場合によってはV2X通信の性能低下を招く場合があり、その結果、操作調整サービスおよび場合によって他のV2Xサービスも、制限されてのみ利用可能な可能性がある。特に、チャネル負荷の増大は、遅延の増大、通信範囲の減少、および信頼性の低下を招く可能性がある。この問題は、伝送対象の基準軌道、要求軌道、または代替軌道を的確に選択することによって、できる限り回避することができる。
【0031】
一実施形態によれば、要求軌道の数および代替軌道の数から比率が計算され得る。比率は比較値と比較され得る。比率が比較値よりも大きい場合、代替軌道に対して、要求軌道よりも高い軌道伝送優先度が計算され得る。比率が比較値より小さい場合、追加的または代替的に、要求軌道に対して、代替軌道よりも高い軌道伝送優先度が計算され得る。比較値は、例えば、要求軌道と代替軌道との間のバランスの取れた比率を表す平衡定数としてもよい。換言すれば、比較値は、要求軌道と代替軌道とを等しく重み付けした比率を表すことができる。
【0032】
一実施形態によれば、通信ネットワークを介してさらなる道路使用者によって送信されたさらなる軌道が、評価ユニットにおいて受信され得る。さらなる軌道に基づいて、予想軌道と衝突する軌道の種類および/または数が決定され得る。それから、予想軌道と衝突する軌道の種類および/または数から、軌道伝送優先度が計算され得る。これにより、さらなる道路使用者、例えば近隣車両、の軌道に応じて、軌道伝送優先度を計算してもよい。したがって、方法の精度および信頼性を高めることができる。
【0033】
一実施形態によれば、さらなる軌道は、さらに上記で詳述したように、基準軌道、要求軌道および/または代替軌道を含んでもよい。ここで、軌道伝送優先度は、基準軌道の数、要求軌道の数、および/または代替軌道の数から計算されてもよい。換言すると、例えば道路使用者の周辺における近隣車両から、いくつの基準軌道、要求軌道および/または代替軌道を受信したのかをカウントすることができる。この際それぞれの数から、またはそれぞれの数の組み合わせから、予想軌道の関連性について推測することができる。
【0034】
一実施形態によれば、通信データおよび/またはセンサデータに基づいて、道路使用者の少なくとも1つの追加予想軌道が決定され得る。ここで、追加予想軌道の特性を記述する少なくとも1つの追加軌道パラメータが特定され得る。そして、この追加軌道パラメータから、道路使用者および/またはさらなる道路使用者に対する追加予想軌道の関連性を表す追加軌道伝送優先度が計算され得る。さらに、軌道伝送優先度と追加軌道伝送優先度とが互いに比較され得る。追加軌道伝送優先度が軌道伝送優先度よりも大きい場合、予想軌道と追加予想軌道との間の最小偏差、例えば2つの軌道における位置、速度、または加速度の差の最小値が決定され得る。その後、最小偏差に基づいて軌道伝送優先度が再計算され得る。例えば、最小偏差が大きいほど、軌道伝送優先度は高くなり得る。したがって、特に互いに明らかに異なる軌道を優先的に伝送することが達成され得る。
【0035】
以下に、本発明の実施形態を、添付図面を参照して説明するが、図面および説明は、いずれも本発明を限定するものとして解釈されない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の一実施例に係る評価ユニットを備えた車両を模式的に示す図である。
図2】本発明の一実施例に係る方法のフローチャートを示す図である。
図3図2からの方法に基づく操作協調を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図は単に模式的なものであり、縮尺通りではない。図中の同一の参照符号は、同一または同一作用の特徴を示す。
図1は、センサシステム104によって生成されたセンサデータ106を処理するために、車両100のセンサシステム104に接続されている評価ユニット102を備えた車両100を示す。センサシステム104は、車両100の周辺を監視するために構成されている。例として、ここでは、センサシステム104はカメラとして実装されている。ただし、センサシステム104は、また、複数の異なる種類のセンサユニットを含んでもよい。つまり、カメラに対して追加的または代替的に、センサシステム104は、例えば少なくとも1つのレーダセンサ、ライダセンサ、もしくは超音波センサ、またはV2X通信システムを有してもよい。
【0038】
さらに、評価ユニット102は、車両100のアクチュエータシステム108に接続されている。アクチュエータシステム108は、例えば、ステアリングアクチュエータもしくはブレーキアクチュエータ、またはエンジン制御用のアクチュエータを含んでもよい。評価ユニット102は、車両100を自動的に制御する、すなわち操縦、制動、加速する、またはデジタルマップでの所定のルートに対応してナビゲーションを行うために、アクチュエータシステム108を駆動制御するための制御信号110を、センサデータ106に基づいて生成するように構成されていてもよい。追加的または代替的に、評価ユニット102は、センサデータ106に基づいて運転者情報信号を生成するように構成されていてもよい。
【0039】
評価ユニット102は、評価モジュール112と、評価モジュールに接続され、通信ネットワークを介してデータを伝送するように構成された通信モジュール114とを含む。通信ネットワークは、例えば無線通信接続を介して、車両100をさらなる車両116、118とネットワーク接続する。モジュール112、114は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアにおいて実装されていてもよい。
【0040】
評価モジュール112は、センサシステム104からセンサデータ106を受信し、これらのデータを車両100の周辺における物体を検知するために処理し評価するように構成されている。この例では、評価モジュール112は、センサデータ106に基づいてさらなる車両116、118を検知する。例えば、評価モジュール112は、さらなる車両116、118のそれぞれの位置、速度および物体クラスを検知する。さらに、これらの位置、速度および物体クラスを考慮して、評価モジュール112は、車両100の少なくとも1つの予想軌道を計算し、ここで、予想軌道の特性を詳述する少なくとも1つの軌道パラメータが決定される。軌道パラメータに基づいて、評価モジュール112は、予想軌道が車両100に対してまたはさらなる車両116、118に対してもどの程度関連するか、例えばどの程度有用であるかを示す軌道伝送優先度pを計算する。軌道伝送優先度pのレベルに応じて、評価モジュール112は、予想軌道を伝送対象の軌道のリストに取り入れるべきかどうかを決定する。代替的に、優先値を有する軌道のリストが通信モジュール114に送信され、通信モジュール114は、例えばチャネル負荷に基づいて、いくつの、どの軌道が実際に送信されるかを決定する。最後に、確定したリストから、通信モジュール114は、操作メッセージ120を作成し、それを、通信ネットワークを介してさらなる車両116、118に送信する。これらの車両は、それらのそれぞれの周辺をセンサによって検知し、それらの側で通信ネットワークを介して対応する操作メッセージ120を送信するために、車両100と同様に構成されていてもよい。図3に車両100、116を用いて例示的に説明しているように、操作メッセージ120によって、例えば、車両100、116、118間の操作は調整され得る。
【0041】
図2は、例えば図1からの評価ユニット102によって実行することができる方法200のフローチャートを示す。
ここで、第1のステップ210では、センサデータ106が受信される。
【0042】
第2のステップ220では、センサデータ106に基づいて物体検知が実行される。
第3のステップ230では、検知された物体に基づいて、車両100の少なくとも1つの予想軌道が計算される。ここで、計算された軌道に関して、以下の軌道パラメータのうち少なくとも1つが決定される、すなわち、予想軌道のコストC、予想軌道を記述するために必要なデータ量D、予想軌道に関する操作メッセージの最後の送信からの待ち時間Δt、予想軌道に割り当てられた操作クラスの操作優先度p、予想軌道と他の軌道との予想される衝突までの最短時間TTC、予想軌道と他の軌道との間の最小軌道距離dminおよび/またはそこから導出される少なくとも1つの量
【0043】
【数1】
【0044】
【数2】
【0045】
の最大距離、予想軌道の種類および/または数n、受信した軌道の種類および/または数x、軌道伝送優先度pのより高い他の予想軌道に対する予想軌道の最小偏差Δmin
第4のステップ240では、少なくとも1つの軌道パラメータに基づいて、予想軌道に関する軌道伝送優先度pが決定される。
【0046】
第5のステップ250では、軌道伝送優先度pに基づいて、予想軌道が操作メッセージの対象とされるべきかどうかが決定される。
Yesの場合、ステップ260aにおいて、予想軌道が伝送対象の軌道のリストに受け入れられる。そして、このリストから操作メッセージ120が生成される。
【0047】
Noの場合、ステップ260bにおいて、予想軌道が伝送対象の軌道のリストから除外される。そして、操作メッセージ120は、例えばその軌道を伴わずに生成される。
例えば、車両100の軌道プランナーが、それらのそれぞれのコストCを有する様々な予想軌道が提供され得る。各軌道について、軌道伝送優先度pが計算され、これは特に以下の基準またはパラメータに依存する。
【0048】
1.軌道のコストCの高さは?
各軌道のコストCは、例えば操作プランナーによって推定される。コストCが低いほど、その軌道の有用性は大きく、かつその軌道伝送優先度pは高くなる、すなわち、
【0049】
【数3】
【0050】
換言すれば、軌道伝送優先度pは、他の条件が同じままであれば、軌道のコストCが増加するにつれて減少するか、またはそれ以上増加しないように選択される。
2.軌道の種類は?
軌道は、さらに上記に既述したように、それらのそれぞれのコストCと、予想軌道が無衝突かどうかとに基づいて、基準軌道、要求軌道、および代替軌道に分類することができる。
【0051】
基準軌道(ref)は常に伝送されるのが望ましい。そのため、基準軌道には最も高い軌道伝送優先度pが与えられる。代替軌道(alt)および要求軌道(req)の軌道伝送優先度pは、その互いの比率に応じて選択される、すなわち、
【0052】
【数4】
【0053】
換言すれば、他の条件が同じままであれば、基準軌道が代替軌道および要求軌道よりも軌道伝送優先度pが高くなるように、軌道伝送優先度pは選択される。ここで、要求軌道の数nreqと代替軌道の数naltの比率が特定の平衡定数以上であれば、代替軌道は要求軌道と少なくとも同じ伝送優先度を有する。逆に、比率が平衡定数より小さい場合、要求軌道は代替軌道より高い伝送優先度を有する。
【0054】
3.軌道を記述するために必要なデータ量は?
軌道が記述される詳細程度が高いほど、それによって生じるチャネル負荷は通常高くなる。例えば、チャネル負荷が低い場合、それらのそれぞれの軌道伝送優先度pに関係なく、すべての軌道が伝送される可能性がある。チャネル負荷が高い場合、データ負荷のかかる軌道の軌道伝送優先度pを下げて、チャネル負荷を下げることができる。換言すると、軌道を記述するために必要なデータ量Dが大きいほど、より低い軌道伝送優先度pを選択することができる、すなわち、
【0055】
【数5】
【0056】
換言すれば、軌道伝送優先度pは、データ量が増加するにつれてかつ他の条件が同じままであれば、減少するか、またはそれ以上増加しない。
4.最後の軌道伝送からの経過時間は?
近隣車両116、118が関連する軌道について通知されない時間が長いほど、これに関連する軌道伝送優先度pを高くするのが望ましい、すなわち、
【0057】
【数6】
【0058】
換言すれば、軌道伝送優先度pは、他の条件が同じままであれば、最後の伝送までの時間間隔Δが増加するにつれて高くなる。
5.軌道が無衝突である場合の、軌道の他の車両に対する関連性は?
軌道伝送優先度pは、軌道に対する他の車両116、118の状態に応じて計算してもよい。ここで、他の車両116、118までの距離dmin(t)がより小さい状態で延びる軌道には、それに対応してより高い軌道伝送優先度pが与えられる。距離dmin(t)は、将来の関連する期間の各タイムステップについて、車両100の周辺モデルにおける物体の将来の位置と、考察中の軌道との間の最小距離として定義されていてもよい。車両と他の物体との衝突の危険性に影響を与えるdmin(t)の1次および高次導関数も同様に考慮され、例えば相対速度
【0059】
【数7】
【0060】
または相対加速度
【0061】
【数8】
【0062】
などが考慮される、すなわち、
【0063】
【数9】
【0064】
換言すれば、軌道伝送優先度pは、他の軌道特性が同じままであれば、軌道を追跡する自車両100と他のすべての道路使用者との間の(予測)最小距離が小さいほど高くなる。さらに、軌道伝送優先度pは、他の条件が同じであれば、最大相対速度および/またはそこから導出される量が増加するにつれて増加するか、または減少しないように選択される。
【0065】
6.軌道が別の車両の少なくとも1つの軌道と衝突する場合の、操作調整可能時間は?
これについて、軌道と、他のすべての衝突する軌道との間の、time to collisionまたはTTCとも呼ばれる衝突までの最短時間が特定される。衝突までの時間が短いほど、軌道伝送優先度pは高くなる、すなわち、
【0066】
【数10】
【0067】
換言すれば、軌道伝送優先度pは、他の条件が同じままであれば、衝突までの時間が長くなるにつれて減少するか、または増加しない。
7.軌道に衝突する軌道の数と種類は?
考察中の軌道伝送優先度pは、それ自体の軌道の種類だけでなく、それと衝突する軌道の数および種類にも依存する。例えば、他の車両116、118によって車両100に伝送される基準軌道(xref=1)、2つの要求軌道(xreq=2)、および代替軌道(xalt=1)と軌道が衝突する場合、その軌道には、仮に1つの代替軌道(xalt=1)と衝突する場合より高い軌道伝送優先度pが与えられる。一般に、基準軌道との衝突は、代替軌道および要求軌道との衝突よりも、軌道伝送優先度pに強く影響するか、または少なくとも同じくらい強く影響する。さらに、特定の軌道種類の軌道との衝突回数が多いほど、軌道伝送優先度pは高くなる、すなわち、
【0068】
【数11】
【0069】
換言すれば、軌道伝送優先度pは、代替軌道または要求軌道との衝突回数が増えるにつれて高くなる。同様に、軌道伝送優先度pは、基準軌道との衝突回数が増えるにつれて増加し、基準軌道の軌道伝送優先度pへの影響は、代替軌道または要求軌道の影響と少なくとも同じくらい大きい。
8.軌道によって記述される操作クラスは?
軌道に基づく操作は、操作優先度pによって特定の操作クラスに割り当てることができる。軌道伝送優先度pは、他の条件が同じままであれば、操作優先度pが増加するにつれて高くなる、すなわち、
【0070】
【数12】
【0071】
9.軌道と、軌道伝送優先度pがより高い軌道との違いは?
一般に、複数の車両間で協力する状況では、軌道伝送優先度pのより高い他の軌道とほぼ同じ将来の状態を記述する軌道を伝送することは、一義的な軌道を伝送するよりも有益でない。複数の軌道が類似している場合、それらの中で最も軌道伝送優先度Tmaxが高い軌道が特定される。そして、Tmaxを除くすべての類似した軌道について、軌道伝送優先度pを低下させる。Tmaxに対する軌道の差Δminが小さいほど、軌道伝送優先度pは低くなる。
【0072】
【数13】
【0073】
換言すれば、軌道伝送優先度pは、他の条件が同じままであれば、他のすべての伝送対象の軌道からの偏差が大きくなるにつれて高くなる。
それらのそれぞれの軌道伝送優先度pを有する軌道のリストは、例えば、通信モジュール114における優先度に基づいたDCCプロトコルに周期的に引き渡され、このプロトコルは、軌道伝送優先度pおよび現在のチャネル稼働率に応じて、操作メッセージ120においてどの軌道が伝送されるべきかを選択する。
【0074】
例えば、チャネル稼働率が高いために1つの基準軌道のみ伝送され得る場合、他の車両116、118にその旨を通知することができる。例えば、他の車両116、118は、その際、車両100が操作を計画しており、要求軌道は確かに利用可能であるが、チャネル稼働率が高いため伝送され得ない、という情報を取得することができる。
【0075】
図3は、図1からの2つの車両100、116間の操作協調を例示的に示す。車両の各々は、センサシステム104および評価ユニット102を搭載している。車両の予想軌道は実線で示されている。予想軌道のそれぞれのコストは、正または負の10進数で示されている。
【0076】
時刻Aにおいて、車両100は、基準軌道300と2つの代替軌道301、302とを送信する。さらなる車両116は、車両100が位置する高速道路に進入しようとしている。進入車両116は、基準軌道303を送信する。
【0077】
時刻Bにおいて、進入車両116は、協力要求を検知し、それに対応して、車両100から送信された代替軌道301、302に対して無衝突の2つの要求軌道304、305を計算し、送信する。
【0078】
時刻Cにおいて、車両100は、最も低いコストを有する要求軌道305を受け入れ、それに応じて基準軌道300を調整する。進入車両116は、要求軌道305をその新たな基準軌道として選択する。
【0079】
上記軌道は、例えば、図2からの方法によって生成され得るような操作メッセージ120において伝送される。
最後に、「有する」、「含む」などの用語は、他の要素またはステップを排除するものではなく、「1つの(eine)」または「1つの(ein)」などの用語は、複数を排除するものではないことに留意する必要がある。請求項における参照符号は、限定的なものとはみなされない。
図1
図2
図3A)】
図3B)】
図3C)】
【国際調査報告】