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特表2022-554353T細胞療法と(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンとの併用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(54)【発明の名称】T細胞療法と(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンとの併用
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/17 20150101AFI20221221BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221221BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20221221BHJP
   A61K 31/7076 20060101ALI20221221BHJP
   A61K 31/675 20060101ALI20221221BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20221221BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20221221BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20221221BHJP
   C07K 14/725 20060101ALI20221221BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20221221BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20221221BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20221221BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20221221BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALN20221221BHJP
【FI】
A61K35/17 Z
A61P43/00 105
A61P43/00 121
A61K31/5377 ZNA
A61K31/7076
A61K31/675
C12N5/10
C07K19/00
C07K16/28
C07K14/725
C12N15/62 Z
C12N15/12
C12N15/13
A61P35/02
C12N5/0783
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525990
(86)(22)【出願日】2020-11-06
(85)【翻訳文提出日】2022-06-13
(86)【国際出願番号】 US2020059550
(87)【国際公開番号】W WO2021092498
(87)【国際公開日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】62/932,500
(32)【優先日】2019-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/016,977
(32)【優先日】2020-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516316897
【氏名又は名称】ジュノー セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ポーツ マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ハスカール ジェンス
(72)【発明者】
【氏名】モンテアルト サンドリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】プルデナド マイケル
(72)【発明者】
【氏名】プルハム ティム
(72)【発明者】
【氏名】チン ジム
【テーマコード(参考)】
4B065
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4B065CA46
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC73
4C086DA35
4C086EA18
4C086GA07
4C086GA12
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA16
4C086MA17
4C086MA28
4C086MA34
4C086MA44
4C086MA52
4C086MA55
4C086MA56
4C086MA57
4C086MA59
4C086MA60
4C086MA63
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA06
4C086NA14
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB65
4C087MA02
4C087MA16
4C087MA17
4C087MA28
4C087MA34
4C087MA44
4C087MA52
4C087MA55
4C087MA56
4C087MA57
4C087MA59
4C087MA60
4C087MA63
4C087MA66
4C087NA05
4C087NA06
4C087NA14
4C087ZB21
4C087ZB26
4C087ZC75
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
特定のB細胞悪性腫瘍などの疾患または障害を有する対象を治療するための、養子細胞療法などの免疫療法、例えばT細胞療法、および(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチルベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオン、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体の使用を含む併用療法のための方法、組成物、使用、および製品、ならびに関連する方法、組成物、使用および製品が提供される。細胞は概して、キメラ抗原受容体(CAR)などの組換え受容体を発現する。いくつかの態様では、疾患または障害は、非ホジキンリンパ腫(NHL)、例えば再発もしくは難治性NHLまたは特定のNHLサブタイプである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
B細胞悪性腫瘍を治療する方法であって、
(a)B細胞悪性腫瘍を有する対象に、CD19に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を投与する工程;ならびに
(b)続いて、以下の構造:
を有する(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を、該対象に投与する工程
を含み、
該化合物の投与が、T細胞療法の投与後21日以内に開始し(または開始され)、かつ
該化合物が約0.1mg~約1.0mg/日で最大連続3週間毎日投与される、第1の投与期間、
第1の投与期間の終了時から始まる、該化合物が投与されない少なくとも1週間の休止期間、および
該化合物が各4週間サイクルに約0.1mg~約1.0mg/日で連続3週間毎日投与される4週間サイクルを含む、第2の投与期間
を含むサイクリングレジメンで実施される、
方法。
【請求項2】
B細胞悪性腫瘍を治療する方法であって、
以下の構造:
を有する(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を、対象に投与する工程を含み、
該対象が、該化合物の投与の前に、CD19に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を投与されており、
該化合物の投与が、T細胞療法の投与後21日以内に開始し(または開始され)、かつ
該化合物が約0.1mg~約1.0mg/日で最大連続3週間毎日投与される、第1の投与期間、
第1の投与期間の終了時から始まる、該化合物が投与されない少なくとも1週間の休止期間、および
該化合物が各4週間サイクルに約0.1mg~約1.0mg/日で連続3週間毎日投与される4週間サイクルを含む、第2の投与期間
を含むサイクリングレジメンで実施される、
方法。
【請求項3】
前記化合物が、第1の投与期間に0.3mg~約0.6mgまたは約0.3mg~約0.6mgの量で投与される、請求項1または請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記化合物が、第2の投与期間に0.3mg~約0.6mgまたは約0.3mg~約0.6mgの量で投与される、請求項1~3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
第2の投与期間が、T細胞療法の投与の開始後3ヶ月または約3ヶ月または3ヶ月超にわたる、請求項1~4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
第2の投与期間が、T細胞療法の投与の開始後3ヶ月までまたは約3ヶ月までにわたる、請求項1~4のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
前記化合物の投与が、対象におけるT細胞療法のピーク拡大時またはそれより前に開始される、請求項1~6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
T細胞療法のピーク拡大が、T細胞療法の投与後11日または約11日から15日または約15日の間である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
第1の投与期間が、T細胞療法の投与の開始と同じ日に開始する、請求項1~8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
第1の投与期間が、T細胞療法の投与後1日または約1日から15日または約15日の間(両端の値を含む)に開始する、請求項1~8のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
第1の投与期間が、T細胞療法の投与後1日または約1日から11日または約11日の間(両端の値を含む)に開始する、請求項1~8および10のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
第1の投与期間が、T細胞療法の投与後8日または約8日から15日または約15日の間(両端の値を含む)に開始する、請求項1~8および10のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
第1の投与期間が、T細胞療法の投与の1日後または約1日後に開始する、請求項1~8、10、および11のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
第1の投与期間が、T細胞療法の投与の7日後または約7日後に開始する、請求項1~8、10、および11のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
第1の投与期間が、T細胞療法の投与の8日後または約8日後に開始する、請求項1~8および10~12のいずれか一項記載の方法。
【請求項16】
第1の投与期間が、T細胞療法の投与の14日後または約14日後に開始する、請求項1~8、10、および12のいずれか一項記載の方法。
【請求項17】
第1の投与期間が、T細胞療法の投与の15日後または約15日後に開始する、請求項1~8、10、および12のいずれか一項記載の方法。
【請求項18】
休止期間が、T細胞療法の投与後21日目または約21日目に開始する、請求項1~17のいずれか一項記載の方法。
【請求項19】
対象のB細胞血球数レベルが第1の投与期間の前に測定されたレベルと同じまたはほぼ同じレベルに回復するまで、休止期間が続く、請求項1~18のいずれか一項記載の方法。
【請求項20】
休止期間が約1週間である、請求項1~19のいずれか一項記載の方法。
【請求項21】
第2の投与期間が、T細胞療法の投与の28日後に開始するかまたは約28日後に開始する、請求項1~20のいずれか一項記載の方法。
【請求項22】
第2の投与期間が、T細胞療法の投与の29日後に開始するかまたは約29日後に開始する、請求項1~20のいずれか一項記載の方法。
【請求項23】
前記化合物が、0.3mgまたは約0.3mgの量で、第1の投与期間に投与され、かつ/または第2の投与期間に投与される、請求項1~22のいずれか一項記載の方法。
【請求項24】
前記化合物が、0.3mgまたは約0.3mgの量で、第1の投与期間に投与され、かつ第2の投与期間に投与される、請求項1~22のいずれか一項記載の方法。
【請求項25】
前記化合物が、0.45mgまたは約0.45mgの量で、第1の投与期間に投与され、かつ/または第2の投与期間に投与される、請求項1~22のいずれか一項記載の方法。
【請求項26】
前記化合物が、0.45mgまたは約0.45mgの量で、第1の投与期間に投与され、かつ第2の投与期間に投与される、請求項1~22のいずれか一項記載の方法。
【請求項27】
前記化合物が、0.6mgまたは約0.6mgの量で、第1の投与期間に投与され、かつ/または第2の投与期間に投与される、請求項1~22のいずれか一項記載の方法。
【請求項28】
前記化合物が、0.6mgまたは約0.6mgの量で、第1の投与期間に投与され、かつ第2の投与期間に投与される、請求項1~22のいずれか一項記載の方法。
【請求項29】
前記化合物が、(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンの薬学的に許容される塩であるか、またはそれを含む、請求項1~28のいずれか一項記載の方法。
【請求項30】
前記化合物が、(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンの水和物であるか、またはそれを含む、請求項1~28のいずれか一項記載の方法。
【請求項31】
前記化合物が、(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンの溶媒和物であるか、またはそれを含む、請求項1~28のいずれか一項記載の方法。
【請求項32】
前記化合物が、(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンであるか、またはそれを含む、請求項1~28のいずれか一項記載の方法。
【請求項33】
対象が、T細胞療法の投与の開始後3ヶ月より前または約3ヶ月より前に、治療後に完全奏効(CR)を達成したか、または治療後にB細胞悪性腫瘍が進行したかもしくは寛解の後に再発した場合、第2の投与期間が、T細胞療法の投与の開始後3ヶ月または約3ヶ月で終了する、請求項1~4および7~32のいずれか一項記載の方法。
【請求項34】
対象が3ヶ月で完全奏効(CR)を達成した場合、第2の投与期間が、T細胞療法の投与の開始後3ヶ月または約3ヶ月で終了する、請求項33記載の方法。
【請求項35】
第2の投与期間が、T細胞療法の投与の開始後6ヶ月または約6ヶ月で終了する、請求項1~4および7~32のいずれか一項記載の方法。
【請求項36】
対象が、T細胞療法の投与の開始後6ヶ月より前または約6ヶ月より前に、治療後に完全奏効(CR)を達成したか、または治療後にB細胞悪性腫瘍が進行したかもしくは寛解の後に再発した場合、第2の投与期間が、T細胞療法の投与の開始後6ヶ月または約6ヶ月で終了する、請求項1~4および7~32のいずれか一項記載の方法。
【請求項37】
対象が6ヶ月で完全奏効(CR)を達成した場合、第2の投与期間が、T細胞療法の投与の開始後6ヶ月または約6ヶ月で終了する、請求項36記載の方法。
【請求項38】
対象が第2の投与期間の終了前の時点で完全奏効(CR)を達成した場合でも、第2の投与期間が継続される、請求項1~37のいずれか一項記載の方法。
【請求項39】
前記化合物の投与の開始時点で、対象がT細胞療法の投与後に重篤な毒性を示さない、請求項1~38のいずれか一項記載の方法。
【請求項40】
重篤な毒性が、重度のサイトカイン放出症候群(CRS)であり、任意でグレード3もしくはそれより高い、長期のグレード3もしくはそれより高い、またはグレード4もしくは5のCRSである;および/または
重篤な毒性が、重度の神経毒性、任意でグレード3もしくはそれより高い、長期のグレード3もしくはそれより高い、またはグレード4もしくは5の神経毒性である、
請求項39記載の方法。
【請求項41】
対象が前記化合物の投与後に毒性、任意で血液毒性を示す場合、前記化合物の投与が一時中断され、かつ/またはサイクリングレジメンが変更される、請求項1~40のいずれか一項記載の方法。
【請求項42】
毒性が、重度の好中球減少症、任意で発熱性好中球減少症、長期のグレード3またはそれより高い好中球減少症から選択される、請求項41記載の方法。
【請求項43】
前記化合物の投与が、対象がもはや毒性を示さなくなった後に再開される、請求項41または42記載の方法。
【請求項44】
B細胞悪性腫瘍がリンパ腫である、請求項1~43のいずれか一項記載の方法。
【請求項45】
リンパ腫が非ホジキンリンパ腫(NHL)であり、任意で、NHLが、侵襲性NHL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、任意で形質転換した無痛性のDLBCL-NOS;EBV陽性DLBCL-NOS;T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫;原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL);濾胞性リンパ腫(FL)、任意で濾胞性リンパ腫グレード3B(FL3B);ならびに/またはDLBCL組織学を伴うMYCおよびBCL2および/もしくはBCL6再構成を有する高悪性度B細胞リンパ腫(ダブル/トリプルヒット)を含む、請求項44記載の方法。
【請求項46】
CD19がヒトCD19である、請求項1~45のいずれか一項記載の方法。
【請求項47】
キメラ抗原受容体(CAR)が、CD19に特異的に結合する細胞外抗原認識ドメインと、ITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、請求項1~46のいずれか一項記載の方法。
【請求項48】
細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3ゼータ(CD3ζ)鎖、任意でヒトCD3ゼータ鎖のシグナル伝達ドメインを含む、請求項47記載の方法。
【請求項49】
キメラ抗原受容体(CAR)が共刺激シグナル伝達領域をさらに含む、請求項47または請求項48記載の方法。
【請求項50】
共刺激シグナル伝達領域が、CD28または4-1BB、任意でヒトCD28またはヒト4-1BBのシグナル伝達ドメインを含む、請求項49記載の方法。
【請求項51】
共刺激シグナル伝達領域がヒト4-1BBのシグナル伝達ドメインを含む、請求項49または請求項50記載の方法。
【請求項52】
CARが、CD19に特異的なscFvと;膜貫通ドメインと;任意で、4-1BB、任意でヒト4-1BBであるかもしくはそれを含む、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと;任意で、CD3ゼータシグナル伝達ドメイン、任意でヒトCD3ゼータシグナル伝達ドメインであるかもしくはそれを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含み、かつ
任意で、CARが膜貫通ドメインとscFvとの間にスペーサーをさらに含む、
請求項1~51のいずれか一項記載の方法。
【請求項53】
CARが、順に、CD19に特異的なscFvと;膜貫通ドメインと;任意で、4-1BBシグナル伝達ドメイン、任意でヒト4-1BBシグナル伝達ドメインであるかもしくはそれを含む、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと;任意で、CD3ゼータシグナル伝達ドメイン、任意でヒトCD3ゼータシグナル伝達ドメインである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含む、請求項1~51のいずれか一項記載の方法。
【請求項54】
CARが、順に、CD19に特異的なscFvと;スペーサーと;膜貫通ドメインと;任意で4-1BBシグナル伝達ドメインである共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと;任意でCD3ゼータシグナル伝達ドメインであるかもしくはそれを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含む、請求項1~51のいずれか一項記載の方法。
【請求項55】
スペーサーが、
免疫グロブリンヒンジもしくはその修飾型の全部もしくは一部を含むかもしくはそれからなる、または約15アミノ酸もしくはそれ未満を含む、ポリペプチドスペーサー
である、
請求項52~54のいずれか一項記載の方法。
【請求項56】
スペーサーが、免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4ヒンジ、もしくはその修飾型の全部もしくは一部を含むかもしくはそれからなり、および/または約15アミノ酸もしくはそれ未満を含む、請求項52~55のいずれか一項記載の方法。
【請求項57】
スペーサーが、12アミノ酸長もしくは約12アミノ酸長であり、および/または免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4、もしくはその修飾型の全部もしくは一部を含むかもしくはそれからなる、請求項55または請求項56記載の方法。
【請求項58】
スペーサーが、SEQ ID NO:1の配列;SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34によってコードされる配列;またはそれらと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を有する該配列のいずれかの変異体を、有するかもしくはそれからなる、請求項52~57のいずれか一項記載の方法。
【請求項59】
共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインが、SEQ ID NO:12またはそれと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を有するその変異体を含む、請求項52~58のいずれか一項記載の方法。
【請求項60】
一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインが、それらと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性を有するSEQ ID NO:13またはSEQ ID NO:14またはSEQ ID NO:15を含む、請求項52~59のいずれか一項記載の方法。
【請求項61】
scFvが、RASQDISKYLN(SEQ ID NO:35)のCDRL1配列、SRLHSGV(SEQ ID NO:36)のCDRL2配列、および/もしくはGNTLPYTFG(SEQ ID NO:37)のCDRL3配列、ならびに/またはDYGVS(SEQ ID NO:38)のCDRH1配列、VIWGSETTYYNSALKS(SEQ ID NO:39)のCDRH2配列、および/もしくはYAMDYWG(SEQ ID NO:40)のCDRH3配列を含む、請求項52~60のいずれか一項記載の方法。
【請求項62】
scFvが、FMC63の可変重鎖領域およびFMC63の可変軽鎖領域ならびに/またはFMC63のCDRL1配列、FMC63のCDRL2配列、FMC63のCDRL3配列、FMC63のCDRH1配列、FMC63のCDRH2配列、およびFMC63のCDRH3配列を含み、任意で、scFvが、SEQ ID NO:41を含むVH、およびSEQ ID NO:42として示されるアミノ酸配列を含むVLを含む、請求項52~61のいずれか一項記載の方法。
【請求項63】
scFvが、SEQ ID NO:43に示されるアミノ酸の配列を有する、請求項52~61のいずれか一項記載の方法。
【請求項64】
遺伝子操作されたT細胞の用量が、1×105~5×108もしくは約1×105~5×108の総CAR発現T細胞、1×106~2.5×108もしくは約1×106~2.5×108の総CAR発現T細胞、5×106~1×108もしくは約5×106~1×108の総CAR発現T細胞、1×107~2.5×108もしくは約1×107~2.5×108の総CAR発現T細胞、または5×107~1×108もしくは約5×107~1×108の総CAR発現T細胞(それぞれ両端の値を含む)を含む、請求項1~63のいずれか一項記載の方法。
【請求項65】
遺伝子操作されたT細胞の用量が、少なくとも1×105もしくは少なくとも約1×105のCAR発現細胞、少なくとも2.5×105もしくは少なくとも約2.5×105のCAR発現細胞、少なくとも5×105もしくは少なくとも約5×105のCAR発現細胞、少なくとも1×106もしくは少なくとも約1×106のCAR発現細胞、少なくとも2.5×106もしくは少なくとも約2.5×106のCAR発現細胞、少なくとも5×106もしくは少なくとも約5×106のCAR発現細胞、少なくとも1×107もしくは少なくとも約1×107のCAR発現細胞、少なくとも2.5×107もしくは少なくとも約2.5×107のCAR発現細胞、少なくとも5×107もしくは少なくとも約5×107のCAR発現細胞、少なくとも1×108もしくは少なくとも約1×108のCAR発現細胞、少なくとも2.5×108もしくは少なくとも約2.5×108のCAR発現細胞、または少なくとも5×108もしくは少なくとも約5×108のCAR発現細胞を含む、請求項1~64のいずれか一項記載の方法。
【請求項66】
遺伝子操作されたT細胞の用量が、5×107または約5×107の総CAR発現T細胞を含む、請求項1~65のいずれか一項記載の方法。
【請求項67】
遺伝子操作されたT細胞の用量が、1×108または約1×108のCAR発現細胞を含む、請求項1~65のいずれか一項記載の方法。
【請求項68】
細胞の用量が非経口的に、任意で静脈内に投与される、請求項1~67のいずれか一項記載の方法。
【請求項69】
T細胞が、対象から得られた初代T細胞である、請求項1~68のいずれか一項記載の方法。
【請求項70】
T細胞が対象に対して自己由来である、請求項1~69のいずれか一項記載の方法。
【請求項71】
T細胞が対象に対して同種異系である、請求項1~68のいずれか一項記載の方法。
【請求項72】
遺伝子操作されたT細胞の用量が、CARを発現するCD4+T細胞およびCARを発現するCD8+T細胞を含み、該用量の投与が、複数の別個の組成物を投与することを含み、該複数の別個の組成物が、CD4+T細胞およびCD8+T細胞の一方を含む第1の組成物と、CD4+T細胞またはCD8+T細胞のもう一方を含む第2の組成物とを含む、請求項1~71のいずれか一項記載の方法。
【請求項73】
第1の組成物と第2の組成物が、0~12時間の間隔で、0~6時間の間隔で、もしくは0~2時間の間隔で投与されるか、または第1の組成物の投与と第2の組成物の投与が同じ日に実施され、約0~約12時間の間隔で、約0~約6時間の間隔で、もしくは約0~2時間の間隔で実施され、および/または
第1の組成物の投与の開始と第2の組成物の投与の開始が、約1分~約1時間の間隔で、もしくは約5分~約30分の間隔で実施される、
請求項72記載の方法。
【請求項74】
第1の組成物と第2の組成物が、2時間以下、1時間以下、30分以下、15分以下、10分以下、または5分以下の間隔で投与される、請求項72または請求項73記載の方法。
【請求項75】
第1の組成物がCD4+T細胞を含む、請求項72~74のいずれか一項記載の方法。
【請求項76】
第1の組成物がCD8+T細胞を含む、請求項72~74のいずれか一項記載の方法。
【請求項77】
第1の組成物が第2の組成物の前に投与される、請求項72~76のいずれか一項記載の方法。
【請求項78】
T細胞療法の投与の前に、対象が、フルダラビンおよび/またはシクロホスファミドの投与を含むリンパ球除去療法で前処置されている、請求項1~77のいずれか一項記載の方法。
【請求項79】
T細胞療法の投与の直前に、フルダラビンおよび/またはシクロホスファミドの投与を含むリンパ球除去療法を対象に投与する工程をさらに含む、請求項1~77のいずれか一項記載の方法。
【請求項80】
リンパ球除去療法が、約200~400mg/m2、任意で300mg/m2もしくは約300mg/m2(両端の値を含む)のシクロホスファミド、および/または約20~40mg/m2、任意で30mg/m2のフルダラビンの、2~4日間、任意で3日間の毎日の投与を含むか、またはリンパ球除去療法が、約500mg/m2のシクロホスファミドの投与を含む、請求項78または請求項79記載の方法。
【請求項81】
リンパ球除去療法が、300mg/m2もしくは約300mg/m2のシクロホスファミドおよび約30mg/m2のフルダラビンの3日間の毎日の投与を含む、および/または
リンパ球除去療法が、500mg/m2もしくは約500mg/m2のシクロホスファミドおよび約30mg/m2のフルダラビンの3日間の毎日の投与を含む、
請求項78~80のいずれか一項記載の方法。
【請求項82】
対象がヒトである、請求項1~81のいずれか一項記載の方法。
【請求項83】
前記方法に従って治療される対象の少なくとも35%、少なくとも40%、もしくは少なくとも50%が、6ヶ月もしくは6ヶ月超または9ヶ月もしくは9ヶ月超にわたって、持続性であるかまたはCRを達成する対象の少なくとも60、70、80、90、もしくは95%において持続性である、完全奏効(CR)を達成する;ならびに/または
6ヶ月までにCRを達成する対象の少なくとも60、70、80、90、もしくは95%が、3ヶ月もしくは3ヶ月超および/または6ヶ月もしくは6ヶ月超および/または9ヶ月もしくは9ヶ月超にわたって、応答性のままであるか、CRのままであるか、および/または生存するかもしくは進行なしに生存する;ならびに/または
前記方法に従って治療される対象の少なくとも50%、少なくとも60%、または少なくとも70%が、客観的奏効(OR)を達成し、任意で、ORが、6ヶ月もしくは6ヶ月超または9ヶ月もしくは9ヶ月超にわたって、持続性であるか、またはORを達成する対象の少なくとも60、70、80、90、もしくは95%において持続性である;ならびに/または
6ヶ月までにORを達成する対象の少なくとも60、70、80、90、もしくは95%が、3ヶ月もしくは3ヶ月超および/または6ヶ月もしくは6ヶ月超にわたって、応答性のままであるかまたは生存する、
請求項1~82のいずれか一項記載の方法。
【請求項84】
細胞の用量の投与時または投与の直前に、対象が、NHLのための1つまたは複数の以前の療法、任意でCARを発現する細胞の別の用量以外の1つ、2つまたは3つの以前の療法による治療後に寛解の後に再発したか、または該療法に難治性になった、請求項45~83のいずれか一項記載の方法。
【請求項85】
細胞の用量の投与時または投与の前に、
対象が、ダブル/トリプルヒットリンパ腫を有しているかもしくは有すると同定されている;
対象が、化学療法抵抗性リンパ腫、任意で化学療法抵抗性DLBCLを有しているかもしくは有すると同定されている;および/または
対象が、以前の療法に応答して完全寛解(CR)を達成しなかった、
請求項45~84のいずれか一項記載の方法。
【請求項86】
前記化合物の投与が、
対象のCAR発現T細胞における枯渇表現型を逆転させる;
対象のCAR発現T細胞における枯渇表現型の発症を予防する、阻害する、もしくは遅延させる;
対象のCAR発現T細胞における枯渇表現型のレベルもしくは程度を低下させる;または
枯渇表現型を有する、対象におけるCAR発現T細胞の総数の割合を低下させる、
請求項1~85のいずれか一項記載の方法。
【請求項87】
前記化合物の投与の開始が、T細胞療法の投与に続いて行われ、前記化合物の投与またはその開始の後、対象が、該対象におけるCAR発現T細胞の抗原特異的または腫瘍特異的な活性または機能の回復または救済を示し、任意で、回復、救済、および/または前記化合物の投与の開始が、対象または対象の血液中のCAR発現T細胞が枯渇表現型を示した後の時点においてである、請求項1~86のいずれか一項記載の方法。
【請求項88】
前記化合物の投与が、
(a)前記化合物の投与がない場合と比較して、T細胞をCD19抗原もしくは抗原受容体特異的作用物質に曝露した後、任意で前記CARを発現するT細胞を含む、対象におけるナイーブT細胞もしくは非枯渇T細胞の抗原特異的活性もしくは抗原受容体駆動活性の増加をもたらすため;または
(b)前記化合物の投与がない場合と比較して、T細胞をCD19抗原もしくは抗原受容体特異的作用物質に曝露した後、任意で前記CARを発現するT細胞を含む、対象におけるナイーブT細胞もしくは非枯渇T細胞における枯渇表現型の発症を予防する、阻害する、もしくは遅延させるため;または
(c)対象の前記投与がない場合と比較して、対象において、任意で前記CARを発現するT細胞を含む、枯渇T細胞における枯渇表現型を逆転させるため
に有効な量、頻度、および/または持続時間での投与を含む、態様1~87のいずれか一項記載の方法。
【請求項89】
前記化合物の投与が、
(i)活性の前記増加をもたらすため、ならびに
(ii)前記枯渇表現型の発症を予防する、阻害する、もしくは遅延させる、および/または前記枯渇表現型を逆転させるため
に有効な量、頻度、および/または持続時間での投与を含む、請求項88記載の方法。
【請求項90】
対象におけるT細胞が前記CARを発現するT細胞を含み、かつ/または前記抗原がCD19である、請求項88または89記載の方法。
【請求項91】
T細胞またはT細胞の集団に関して、枯渇表現型が、
同じ条件下での参照T細胞集団と比較して、1つまたは複数の枯渇マーカー、任意で2、3、4、5または6つの枯渇マーカーの、1つもしくは複数のT細胞上の表面発現のレベルもしくは程度の増加、または表面発現を示すT細胞の前記集団の割合の増加;または
同じ条件下での参照T細胞集団と比較して、CD19抗原もしくは抗原受容体特異的作用物質に曝露されたときに前記T細胞もしくはT細胞の集団が示す活性のレベルもしくは程度の減少
を含む、請求項86~90のいずれか一項記載の方法。
【請求項92】
レベル、程度、または割合の増加が、1.2倍超もしくは約1.2倍超、1.5倍超もしくは約1.5倍超、2.0倍超もしくは約2.0倍超、3倍超もしくは約3倍超、4倍超もしくは約4倍超、5倍超もしくは約5倍超、6倍超もしくは約6倍超、7倍超もしくは約7倍超、8倍超もしくは約8倍超、9倍超もしくは約9倍超、10倍超もしくは約10倍超、またはそれ以上である、請求項91記載の方法。
【請求項93】
レベル、程度、または割合の減少が、1.2倍超もしくは約1.2倍超、1.5倍超もしくは約1.5倍超、2.0倍超もしくは約2.0倍超、3倍超もしくは約3倍超、4倍超もしくは約4倍超、5倍超もしくは約5倍超、6倍超もしくは約6倍超、7倍超もしくは約7倍超、8倍超もしくは約8倍超、9倍超もしくは約9倍超、10倍超もしくは約10倍超、またはそれ以上である、請求項91記載の方法。
【請求項94】
参照T細胞集団が、非枯渇表現型を有することが公知のT細胞の集団であるか、ナイーブT細胞の集団であるか、セントラルメモリーT細胞の集団であるか、または任意で枯渇した表現型を有する1つもしくは複数のT細胞が由来する対象と同じ対象に由来するもしくは同じ種の、ステムセントラルメモリーT細胞の集団である、請求項91~93のいずれか一項記載の方法。
【請求項95】
(a)参照T細胞集団が、枯渇表現型を有する1つもしくは複数のT細胞が由来する対象の血液から単離されたバルクT細胞を含む対象適合集団であり、任意でバルクT細胞がCARを発現しない;および/または
(b)参照T細胞集団が、CARを発現するT細胞の用量の投与を受ける前に、枯渇表現型を有する1つもしくは複数のT細胞が由来する対象から得られる、
請求項91~94のいずれか一項記載の方法。
【請求項96】
参照T細胞集団が、対象へのその投与の前の、T細胞療法の試料を含む組成物、またはCARを発現するT細胞を含む薬学的組成物であり、任意で該組成物が凍結保存試料である、請求項91~95のいずれか一項記載の方法。
【請求項97】
1つまたは複数の枯渇マーカーが阻害性受容体である、請求項91~96のいずれか一項記載の方法。
【請求項98】
1つまたは複数の枯渇マーカーが、PD-1、CTLA-4、TIM-3、LAG-3、BTLA、2B4、CD160、CD39、VISTA、およびTIGITの中から選択される、請求項91~97のいずれか一項記載の方法。
【請求項99】
活性が、炎症性サイトカインの1つまたは組み合わせの増殖、細胞毒性、または産生の1つまたは複数であり、任意でサイトカインの1つまたは組み合わせが、IL-2、IFN-γ、およびTNF-αからなる群より選択される、請求項91~98のいずれか一項記載の方法。
【請求項100】
CD19抗原または抗原受容体特異的作用物質への曝露が、CD19抗原または抗原受容体特異的作用物質、任意でCARの抗原結合ドメインに結合する作用物質とのインキュベーションを含む、請求項91~99のいずれか一項記載の方法。
【請求項101】
CD19抗原または抗原受容体特異的作用物質への曝露が、T細胞を、CD19抗原を発現する標的細胞、任意でB細胞悪性腫瘍の細胞に曝露することを含む、請求項100記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年11月7日に出願された「T細胞療法と(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンとの併用」と題する米国仮特許出願第62/932,500号および2020年4月28日に出願された「T細胞療法と(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンとの併用」と題する米国仮特許出願第63/016,977号の優先権を主張し、それらの内容全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
配列表の参照による組み入れ
本出願は、電子形式の配列表と共に出願される。配列表は、35,330バイトのサイズの2020年11月2日に作成された735042022440SeqList.txtと題するファイルとして提供される。配列表の電子形式の情報は、その全体が参照により組み入れられる。
【0003】
分野
本開示は、いくつかの局面では、特定のB細胞悪性腫瘍などの疾患および状態を有する対象を治療するための、養子細胞療法、例えばT細胞療法などの免疫療法を含む併用療法の方法、組成物、使用、および製品、ならびに(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオン、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体の使用、ならびに関連する方法、組成物、使用、および製品に関する。T細胞療法は、キメラ抗原受容体(CAR)などの組換え受容体を発現する細胞を含む。いくつかの態様では、疾患または状態は、非ホジキンリンパ腫(NHL)、例えば再発性もしくは難治性NHLまたは特定のNHLサブタイプなどである。
【背景技術】
【0004】
背景
免疫療法のための様々な戦略、例えば養子療法のために操作されたT細胞を投与する工程が利用可能である。例えば、CARなどの遺伝子操作された抗原受容体を発現するT細胞を操作し、そのような細胞を含む組成物を対象に投与するための戦略が利用可能である。細胞の有効性を改善する、例えば対象への投与時の細胞の持続性、活性、および/または増殖を改善するために、改善された戦略が必要である。そのような必要性を満たす方法、組成物、キット、およびシステムが提供される。
【発明の概要】
【0005】
概要
癌、例えばB細胞悪性腫瘍を有する対象への、T細胞療法などの細胞療法を含む免疫療法の投与と、本明細書に記載される化合物Aの投与とを含む併用療法を含む方法、組成物、使用、および製品が本明細書で提供される。いくつかの局面では、B細胞悪性腫瘍は、非ホジキンリンパ腫(NHL)、例えば再発性もしくは難治性NHLまたは特定のNHLサブタイプである。いくつかの局面では、提供される方法、使用、および製品は、B細胞上に発現される抗原に結合する抗原結合ドメインを含むCAR発現T細胞などのT細胞療法の投与を含む。いくつかの局面では、抗原はCD19である。
【0006】
(a)B細胞悪性腫瘍を有する対象に、CD19に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を投与する工程;ならびに
(b)続いて、以下の構造:
を有する(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を、該対象に投与する工程
を含む、B細胞悪性腫瘍を治療する方法が本明細書で提供され、
ここで化合物の投与が、T細胞療法の投与後21日以内に開始し(または開始され)、かつ
(i)化合物が約0.1mg~約1.0mg/日で最大連続3週間毎日投与される、第1の投与期間、
(ii)第1の投与期間の終了時から始まる、化合物が投与されない、少なくとも1週間の休止期間、および
(iii)化合物が各4週間サイクルに約0.1mg~約1.0mg/日で連続3週間毎日投与される4週間サイクルを含む、第2の投与期間
を含むサイクリングレジメンで実施される。
【0007】
いくつかの態様では、本方法は、以下の構造:
を有する(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を、対象に投与する工程を含み、該対象は、化合物の投与の前に、CD19に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を投与されており、
化合物の投与は、T細胞療法の投与後21日以内に開始し(または開始され)、かつ
(i)化合物が約0.1mg~約1.0mg/日で最大連続3週間毎日投与される、第1の投与期間、
(ii)第1の投与期間の終了時から始まる、化合物が投与されない、少なくとも1週間の休止期間、および
(iii)化合物が各4週間サイクルに約0.1mg~約1.0mg/日で連続3週間毎日投与される4週間サイクルを含む、第2の投与期間
を含むサイクリングレジメンで実施される。
【0008】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、各4週間サイクルの間、化合物は、化合物が毎日投与される連続3週間の後1週間投与されない。
【0009】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、化合物は、第1の投与期間に0.3mg~0.6mgまたは約0.3mg~約0.6mgの量で投与される。
【0010】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、化合物は、第2の投与期間に0.3mg~0.6mgまたは約0.3mg~約0.6mgの量で投与される。
【0011】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、第2の投与期間は、T細胞療法の投与の開始後3ヶ月または約3ヶ月または3ヶ月超にわたる。いくつかの態様では、第2の投与期間は、T細胞療法の投与の開始後3ヶ月または約3ヶ月にわたる。いくつかの態様では、第2の投与期間は、T細胞療法の投与開始後3ヶ月まで、約3ヶ月まで、または約3ヶ月超までにわたる。いくつかの態様では、第2の投与期間は、T細胞療法の投与の開始後3ヶ月までまたは約3ヶ月までにわたる。
【0012】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、化合物の投与は、対象におけるT細胞療法のピーク拡大時またはそれより前に開始される。いくつかの態様では、T細胞療法のピーク拡大は、T細胞療法の投与後11日または約11日から15日または約15日の間である。
【0013】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、第1の投与期間は、T細胞療法の投与の開始と同じ日に開始する。
【0014】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、第1の投与期間は、T細胞療法の投与後1日または約1日から15日または約15日の間(両端の値を含む)に開始する。いくつかの態様では、第1の投与期間は、T細胞療法の投与後1日または約1日から11日または約11日の間(両端の値を含む)に開始する。いくつかの態様では、第1の投与期間は、T細胞療法の投与後8日または約8日から15日または約15日の間(両端の値を含む)に開始する。いくつかの態様では、第1の投与期間は、T細胞療法の投与の1日後または約1日後に開始する。本明細書で提供される方法のいずれか1つの他の態様では、第1の投与期間は、T細胞療法の投与の7日後または約7日後に開始する。本明細書で提供される方法のいずれか1つの他の態様では、第1の投与期間は、T細胞療法の投与の8日後または約8日後に開始する。特定の態様では、第1の投与期間は、T細胞療法の投与の14日後または約14日後に開始する。特定の態様では、第1の投与期間は、T細胞療法の投与の15日後または約15日後に開始する。
【0015】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、休止期間は、T細胞療法の投与後21日目または約21日目に開始する。本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、休止期間は、T細胞療法の投与後21日目に開始する。いくつかの態様では、対象のB細胞血球数レベルが第1の投与期間の前に測定されたレベルと同じまたはほぼ同じレベルに回復するまで、休止期間は続く。いくつかの態様では、休止期間は1週間または約1週間である。いくつかの態様では、休止期間は約1週間である。
【0016】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、第2の投与期間は、T細胞療法の投与の28日後に開始するか、または約28日後に開始する。
【0017】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、第2の投与期間は、T細胞療法の投与の29日後に開始するか、または約29日後に開始する。本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、第2の投与期間は、T細胞療法の投与の29日後に開始する。
【0018】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、化合物は、0.3mgまたは約0.3mgの量で第1の投与期間に投与され、かつ/または第2の投与期間に投与される。本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、化合物は、0.3mgまたは約0.3mgの量で第1の投与期間に投与される。本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、化合物は、0.3mgまたは約0.3mgの量で第2の投与期間に投与される。本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、化合物は、0.3mgまたは約0.3mgの量で第1の投与期間に投与され、かつ第2の投与期間に投与される。
【0019】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、化合物は、0.45mgまたは約0.45mgの量で第1の投与期間に投与され、かつ/または第2の投与期間に投与される。本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、化合物は、0.45mgまたは約0.45mgの量で第1の投与期間に投与される。本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、化合物は、0.45mgまたは約0.45mgの量で第2の投与期間に投与される。本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、化合物は、0.45mgまたは約0.45mgの量で第1の投与期間に投与され、かつ第2の投与期間に投与される。
【0020】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、化合物は、0.6mgまたは約0.6mgの量で第1の投与期間に投与され、かつ/または第2の投与期間に投与される。本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、化合物は、0.6mgまたは約0.6mgの量で第1の投与期間に投与される。本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、化合物は、0.6mgまたは約0.6mgの量で第2の投与期間に投与される。本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、化合物は、0.6mgまたは約0.6mgの量で第1の投与期間に投与され、かつ第2の投与期間に投与される。
【0021】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、第2の投与期間は、3ヶ月または約3ヶ月間から6ヶ月または約6ヶ月にわたる。いくつかの態様では、第2の投与期間は、約3ヶ月から約6ヶ月にわたる。いくつかの態様では、第2の投与期間は3ヶ月から6ヶ月にわたる。
【0022】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、第2の投与期間は、T細胞療法の投与の開始後3ヶ月または約3ヶ月にわたる。いくつかの態様では、第2の投与期間は、T細胞療法の投与の開始後3ヶ月までまたは約3ヶ月までにわたる。いくつかの態様では、第2の投与期間は、T細胞療法の投与の開始後少なくとも3ヶ月までまたは約3ヶ月までにわたる。いくつかの態様では、第2の投与期間は、T細胞療法の投与の開始後少なくとも3ヶ月までまたは約3ヶ月まで、および対象が疾患進行を示すまでにわたる。
【0023】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、対象が、3ヶ月より前または約3ヶ月より前に、治療後に完全奏効(CR)を達成したか、または治療後に癌、例えばB細胞悪性腫瘍が進行したかもしくは寛解後に再発した場合、第2の投与期間は、T細胞療法の投与の開始後3ヶ月または約3ヶ月にわたる。本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、対象が、T細胞療法の投与の開始後3ヶ月より前または約3ヶ月より前に、治療後に完全奏効(CR)を達成したか、または治療後にB細胞悪性腫瘍が進行したかもしくは寛解の後に再発した場合、第2の投与期間は、T細胞療法の投与の開始後3ヶ月または約3ヶ月で終了する。いくつかの態様では、対象が、T細胞療法の投与の開始後3ヶ月より前または約3ヶ月より前に、治療後に完全奏効(CR)を達成した場合、第2の投与期間は、T細胞療法の投与の開始後3ヶ月または約3ヶ月で終了する。いくつかの態様では、T細胞療法の投与の開始約3ヶ月または約3ヶ月より前に、治療後にB細胞悪性腫瘍が進行したかまたは寛解の後に再発した場合、第2の投与期間は、T細胞療法の投与の開始後3ヶ月または約3ヶ月で終了する。いくつかの態様では、対象が3ヶ月で完全奏効(CR)を達成した場合、第2の投与期間は、T細胞療法の投与の開始後3ヶ月または約3ヶ月にわたる。いくつかの態様では、対象が3ヶ月で完全奏効(CR)を達成した場合、第2の投与期間は、T細胞療法の投与の開始後3ヶ月または約3ヶ月で終了する。
【0024】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、第2の投与期間は、T細胞療法の投与の開始後6ヶ月間または約6ヶ月間にわたる。いくつかの態様では、第2の投与期間は、T細胞療法の投与の開始後6ヶ月までまたは約6ヶ月までにわたる。
【0025】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、対象が、6ヶ月より前または約6ヶ月より前に、治療後に完全奏効(CR)を達成したか、または治療後に癌、例えばB細胞悪性腫瘍が進行したかもしくは寛解の後に再発した場合、第2の投与期間は、T細胞療法の投与の開始後6ヶ月間または約6ヶ月間にわたる。本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、対象が、T細胞療法の投与の開始後6ヶ月より前または約6ヶ月より前に、治療後に完全奏効(CR)を達成したか、または治療後にB細胞悪性腫瘍が進行したかもしくは寛解の後に再発した場合、第2の投与期間は、T細胞療法の投与の開始後6ヶ月または約6ヶ月で終了する。本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、対象が、T細胞療法の投与の開始後6ヶ月より前または約6ヶ月より前に、治療後に完全奏効(CR)を達成した場合、第2の投与期間は、T細胞療法の投与の開始後6ヶ月または約6ヶ月で終了する。本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、T細胞療法の投与の開始後6ヶ月より前または約6ヶ月より前に、治療後にB細胞悪性腫瘍が進行したかまたは寛解の後に再発した場合、第2の投与期間は、T細胞療法の投与の開始後6ヶ月または約6ヶ月で終了する。いくつかの態様では、対象が6ヶ月で完全奏効(CR)を達成した場合、第2の投与期間は、T細胞療法の投与の開始後6ヶ月間または約6ヶ月間にわたる。いくつかの態様では、対象が6ヶ月で完全奏効(CR)を達成した場合、第2の投与期間は、T細胞療法の投与の開始後6ヶ月または約6ヶ月で終了する。
【0026】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、対象が、T細胞療法の投与の開始後3ヶ月より前または約3ヶ月より前に、治療後に部分奏効(PR)または安定疾患(SD)を達成した場合、第2の投与は、T細胞療法の投与の開始後6ヶ月または約6ヶ月で終了する。いくつかの態様では、対象が、T細胞療法の投与の開始後3ヶ月より前または約3ヶ月より前に、治療後に部分奏効(PR)を達成した場合、第2の投与は、T細胞療法の投与の開始後6ヶ月または約6ヶ月で終了する。いくつかの態様では、対象が、T細胞療法の投与の開始後3ヶ月より前または約3ヶ月より前に、治療後に安定疾患(SD)を達成した場合、第2の投与は、T細胞療法の投与の開始後6ヶ月または約6ヶ月で終了する。
【0027】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、第2の投与期間は、T細胞療法の投与の開始後12ヶ月または約12ヶ月で終了する。
【0028】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、対象が、T細胞療法の投与の開始後3ヶ月より前または約3ヶ月より前に、治療後に部分奏効(PR)または安定疾患(SD)を達成した場合、第2の投与は、T細胞療法の投与の開始後12ヶ月または約12ヶ月で終了する。いくつかの態様では、対象が、T細胞療法の投与の開始後3ヶ月より前または約3ヶ月より前に、治療後に部分奏効(PR)を達成した場合、第2の投与は、T細胞療法の投与の開始後12ヶ月または約12ヶ月で終了する。いくつかの態様では、対象が、T細胞療法の投与の開始後3ヶ月より前または約3ヶ月より前に、治療後に安定疾患(SD)を達成した場合、第2の投与は、T細胞療法の投与の開始後12ヶ月または約12ヶ月で終了する。
【0029】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、対象が、T細胞療法の投与の開始後の3ヶ月より前または約3ヶ月より前に、治療後に部分奏効(PR)または安定疾患(SD)を達成した場合、第2の投与期間は、T細胞療法の投与の開始後少なくとも3ヶ月までまたは約3ヶ月までにわたり、B細胞悪性腫瘍が進行したかまたは再発したときに終了する。
【0030】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、第2の投与は、T細胞療法の投与の開始後12ヶ月以内または約12ヶ月以内に終了する。
【0031】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、対象は、第2の投与期間の期間中および第2の投与期間の終了前に完全奏効(CR)を達成する。いくつかの態様では、第2の投与期間は、対象が第2の投与期間の終了前の時点で完全奏効(CR)を達成した場合でも継続される。
【0032】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、化合物の投与の開始時点で、対象はT細胞療法の投与後に重篤な毒性を示さない。いくつかの態様では、重篤な毒性は、重度のサイトカイン放出症候群(CRS)であり、任意でグレード3もしくはそれ以上、長期のグレード3もしくはそれ以上、またはグレード4もしくは5のCRSである;および/または重篤な毒性は、重度の神経毒性、任意でグレード3もしくはそれ以上、長期のグレード3もしくはそれ以上、またはグレード4もしくは5の神経毒性である。いくつかの態様では、重篤な毒性は重度のCRSである。いくつかの態様では、重篤な毒性はグレード3またはそれ以上のCRSである。いくつかの態様では、重篤な毒性は長期のグレード3またはそれ以上のCRSである。いくつかの態様では、重篤な毒性はグレード4のCRSである。いくつかの態様では、重篤な毒性はグレード5のCRSである。いくつかの態様では、重篤な毒性は重度の神経毒性である。いくつかの態様では、重篤な毒性はグレード3またはそれ以上の神経毒性である。いくつかの態様では、重篤な毒性は長期のグレード3またはそれ以上の神経毒性である。いくつかの態様では、重篤な毒性はグレード4の神経毒性である。いくつかの態様では、重篤な毒性はグレード5の神経毒性である。
【0033】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、対象が化合物の投与後に毒性、任意で血液学的毒性を示す場合、化合物の投与は一時中断され、かつ/またはサイクリングレジメンが変更される。いくつかの態様では、対象が化合物の投与後に毒性を示す場合、化合物の投与は一時中断される。いくつかの態様では、対象が化合物の投与後に毒性を示す場合、サイクリングレジメンは変更される。いくつかの態様では、毒性は血液学的毒性である。いくつかの態様では、毒性は、重度の好中球減少症、任意で発熱性好中球減少症、長期のグレード3またはそれ以上の好中球減少症から選択される。いくつかの態様では、毒性は発熱性好中球減少症である。いくつかの態様では、毒性は長期のグレード3またはそれ以上の好中球減少症である。いくつかの態様では、化合物の投与は、対象がもはや毒性を示さなくなった後に再開される。
【0034】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、癌はB細胞悪性腫瘍である。いくつかの態様では、B細胞悪性腫瘍はリンパ腫である。いくつかの場合には、リンパ腫は非ホジキンリンパ腫(NHL)である。いくつかの態様では、NHLは、侵襲性NHL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、任意で形質転換した無痛性のDLBCL-NOS;EBV陽性DLBCL-NOS;T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫;原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL);濾胞性リンパ腫(FL)、任意で濾胞性リンパ腫グレード3B(FL3B);ならびに/またはDLBCL組織学を伴うMYCおよびBCL2および/もしくはBCL6再構成を有する高悪性度B細胞リンパ腫(ダブル/トリプルヒット)を含む。いくつかの態様では、細胞の用量の投与時または投与の直前に、対象は、リンパ腫、任意でNHLのための1つまたは複数の以前の療法、任意でCARを発現する細胞の別の用量以外の1つ、2つまたは3つの以前の療法による治療後に寛解の後に再発したか、または療法に難治性になった。いくつかの態様では、細胞の用量の投与時または投与の前に、対象は、ダブル/トリプルヒットリンパ腫を有しているかもしくは有すると同定されたことがある;対象は、化学療法抵抗性リンパ腫、任意で化学療法抵抗性DLBCLを有しているかもしくは有すると同定されたことがある;および/または対象は、以前の療法に応答して完全寛解(CR)を達成しなかった。
【0035】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、対象は、東部共同腫瘍学グループパフォーマンスステータス(ECOG)の1未満または1のステータスを有すると同定されているかまたは同定されたことがある。
【0036】
本明細書で提供される方法のいずれかのいくつかの態様では、化合物は、(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンの薬学的に許容される塩であるか、またはそれを含む。本明細書で提供される方法のいずれかのいくつかの態様では、化合物は、(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンの水和物であるか、またはそれを含む。本明細書で提供される方法のいずれかのいくつかの態様では、化合物は、(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンの溶媒和物であるか、またはそれを含む。本明細書で提供される方法のいずれかのいくつかの態様では、化合物は、(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンであるか、またはそれを含む。
【0037】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、化合物は経口投与される。
【0038】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、CD19はヒトCD19である。
【0039】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、キメラ抗原受容体(CAR)は、CD19に特異的に結合する細胞外抗原認識ドメインと、ITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達ドメインはCD3ゼータ(CD3ζ)鎖、任意でヒトCD3ゼータ鎖のシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達ドメインはヒトCD3-ゼータ鎖のシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様では、キメラ抗原受容体(CAR)は、共刺激シグナル伝達領域をさらに含む。いくつかの態様では、共刺激シグナル伝達領域は、CD28または4-1BB、任意でヒトCD28またはヒト4-1BBのシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様では、共刺激シグナル伝達領域はヒト4-1BBのシグナル伝達ドメインを含む。
【0040】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、CARは、CD19に特異的なscFvと;膜貫通ドメインと;任意で4-1BB、任意でヒト4-1BBであるかもしくはそれを含む、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと;任意でCD3ゼータシグナル伝達ドメイン、任意でヒトCD3ゼータシグナル伝達ドメインであるかもしくはそれを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含み、かつ任意で、CARは、膜貫通ドメインとscFvとの間にスペーサーをさらに含む;CARは、順に、CD19に特異的なscFvと;膜貫通ドメインと;任意で4-1BBシグナル伝達ドメイン、任意でヒト4-1BBシグナル伝達ドメインであるかもしくはそれを含む、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと;任意でCD3ゼータシグナル伝達ドメイン、任意でヒトCD3ゼータシグナル伝達ドメインである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含む;またはCARは、順に、CD19に特異的なscFvと;スペーサーと;膜貫通ドメインと;任意で4-1BBシグナル伝達ドメインである、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと;任意でCD3ゼータシグナル伝達ドメインであるかもしくはそれを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含む。いくつかの態様では、CARはスペーサーを含み、スペーサーは、(a)免疫グロブリンヒンジまたはその修飾型の全部もしくは一部を含むかもしくはそれからなるか、または約15アミノ酸もしくはそれ未満を含み、かつCD28細胞外領域もCD8細胞外領域も含まない、(b)免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4ヒンジ、もしくはその修飾型の全部もしくは一部を含むかもしくはそれからなり、および/または約15アミノ酸もしくはそれ未満を含み、かつCD28細胞外領域もCD8細胞外領域も含まない、または(c)12アミノ酸長もしくは約12アミノ酸長であり、および/または免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4ヒンジ、もしくはその修飾型の全部もしくは一部を含むかもしくはそれからなる、または(d)SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34の配列、SEQ ID NO:2によってコードされる配列、またはそれらと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の配列同一性を有する該配列のいずれかの変異体を有するかまたはそれからなる、あるいは(e)式X1PPX2P(SEQ ID NO:58)を含むかもしくはそれからなり、式中、X1はグリシン、システインもしくはアルギニンであり、X2はシステインもしくはトレオニンである、ポリペプチドスペーサーであり;ならびに/または共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:12もしくはそれと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の配列同一性を有するその変異体を含み;および/または一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインは、それらと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の配列同一性を有するSEQ ID NO:13もしくはSEQ ID NO:14もしくはSEQ ID NO:15を含み;ならびに/またはscFvは、RASQDISKYLN(SEQ ID NO:35)のCDRL1配列、SRLHSGV(SEQ ID NO:36)のCDRL2配列、および/もしくはGNTLPYTFG(SEQ ID NO:37)のCDRL3配列、および/もしくはDYGVS(SEQ ID NO:38)のCDRH1配列、VIWGSETTYYNSALKS(SEQ ID NO:39)のCDRH2配列、および/もしくはYAMDYWG(SEQ ID NO:40)のCDRH3配列を含むか、またはscFvは、FMC63の可変重鎖領域およびFMC63の可変軽鎖領域および/もしくはFMC63のCDRL1配列、FMC63のCDRL2配列、FMC63のCDRL3配列、FMC63のCDRH1配列、FMC63のCDRH2配列、およびFMC63のCDRH3配列を含むか、または前記配列のいずれかと同じエピトープに結合するかもしくは前記配列のいずれかと結合について競合し、および任意でscFvは、順に、VH、任意でSEQ ID NO:41を含むリンカー、およびVLを含み、ならびに/またはscFvは、柔軟なリンカーを含むおよび/またはSEQ ID NO:42として示されるアミノ酸配列を含む。
【0041】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、CARは、CD19に特異的なscFvと;膜貫通ドメインと;任意で4-1BB、任意でヒト4-1BBであるかもしくはそれを含む、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと;任意でCD3ゼータシグナル伝達ドメイン、任意でヒトCD3ゼータシグナル伝達ドメインであるかもしくはそれを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含み、かつ任意で、CARは膜貫通ドメインとscFvとの間にスペーサーをさらに含む。
【0042】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、CARは、順に、CD19に特異的なscFvと;膜貫通ドメインと;任意で4-1BBシグナル伝達ドメイン、任意でヒト4-1BBシグナル伝達ドメインであるかもしくはそれを含む、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと;任意でCD3ゼータシグナル伝達ドメイン、任意でヒトCD3ゼータシグナル伝達ドメインである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含む。
【0043】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、CARは、順に、CD19に特異的なscFvと;スペーサーと;膜貫通ドメインと;任意で4-1BBシグナル伝達ドメインである共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと;任意でCD3ゼータシグナル伝達ドメインであるかもしくはそれを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含む。
【0044】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、スペーサーは、免疫グロブリンヒンジもしくはその修飾型の全部もしくは一部を含むかもしくはそれからなる、または約15アミノ酸もしくはそれ未満を含むポリペプチドスペーサーである。本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、スペーサーは、免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4ヒンジ、もしくはその修飾型の全部もしくは一部を含むかもしくはそれからなり、および/または約15アミノ酸もしくはそれ未満を含む。いくつかの態様では、スペーサーは、12アミノ酸長もしくは約12アミノ酸長であり、および/または免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4、もしくはその修飾型の全部もしくは一部を含むかもしくはそれからなる。本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、スペーサーは、SEQ ID NO:1の配列、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34によってコードされる配列、またはそれらと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の配列同一性を有する該配列のいずれかの変異体を有するかもしくはそれからなる。
【0045】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:12またはそれと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の配列同一性を有するその変異体を含む。
【0046】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインは、それらと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性を有するSEQ ID NO:13またはSEQ ID NO:14またはSEQ ID NO:15を含む。
【0047】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、scFvは、RASQDISKYLN(SEQ ID NO:35)のCDRL1配列、SRLHSGV(SEQ ID NO:36)のCDRL2配列、および/もしくはGNTLPYTFG(SEQ ID NO:37)のCDRL3配列、ならびに/またはDYGVS(SEQ ID NO:38)のCDRH1配列、VIWGSETTYYNSALKS(SEQ ID NO:39)のCDRH2配列、および/もしくはYAMDYWG(SEQ ID NO:40)のCDRH3配列を含む。本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、scFvは、FMC63の可変重鎖領域およびFMC63の可変軽鎖領域ならびに/またはFMC63のCDRL1配列、FMC63のCDRL2配列、FMC63のCDRL3配列、FMC63のCDRH1配列、FMC63のCDRH2配列、およびFMC63のCDRH3配列を含み、任意で、scFvは、SEQ ID NO:41を含むVH、およびSEQ ID NO:42として示されるアミノ酸配列を含むVLを含む。本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、scFvは、SEQ ID NO:43に示されるアミノ酸の配列を有する。
【0048】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、1×105~5×108もしくは約1×105~5×108の総CAR発現T細胞、1×106~2.5×108もしくは約1×106~2.5×108の総CAR発現T細胞、5×106~1×108もしくは約5×106~1×108の総CAR発現T細胞、1×107~2.5×108もしくは約1×107~2.5×108の総CAR発現T細胞、または5×107~1×108もしくは約5×107~1×108の総CAR発現T細胞(それぞれ両端の値を含む)を含む。
【0049】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、少なくとも1×105もしくは少なくとも約1×105のCAR発現細胞、少なくとも2.5×105もしくは少なくとも約2.5×105のCAR発現細胞、少なくとも5×105もしくは少なくとも約5×105のCAR発現細胞、少なくとも1×106もしくは少なくとも約1×106のCAR発現細胞、少なくとも2.5×106もしくは少なくとも約2.5×106のCAR発現細胞、少なくとも5×106もしくは少なくとも約5×106のCAR発現細胞、少なくとも1×107もしくは少なくとも約1×107のCAR発現細胞、少なくとも2.5×107もしくは少なくとも約2.5×107のCAR発現細胞、少なくとも5×107もしくは少なくとも約5×107のCAR発現細胞、少なくとも1×108もしくは少なくとも約1×108のCAR発現細胞、少なくとも2.5×108もしくは少なくとも約2.5×108のCAR発現細胞、または少なくとも5×108もしくは少なくとも約5×108のCAR発現細胞を含む。
【0050】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、5×107または約5×107の総CAR発現T細胞を含む。
【0051】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、1×108または約1×108のCAR発現細胞を含む。
【0052】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、細胞の用量は非経口的に、任意で静脈内に投与される。本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、細胞の用量は静脈内に投与される。
【0053】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、T細胞は、対象由来の試料から得られた初代T細胞である。
【0054】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、T細胞は対象に対して自己由来である。
【0055】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、T細胞は対象に対して同種異系である。
【0056】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、CARを発現するCD4+T細胞およびCARを発現するCD8+T細胞を含み、用量の投与は複数の別個の組成物を投与する工程を含み、該複数の別個の組成物は、CD4+T細胞およびCD8+T細胞の一方を含む第1の組成物およびCD4+T細胞またはCD8+T細胞のもう一方を含む第2の組成物を含む。いくつかの態様では、第1の組成物と第2の組成物は、0~12時間の間隔で、0~6時間の間隔で、もしくは0~2時間の間隔で投与されるか、または第1の組成物の投与と第2の組成物の投与は同じ日に実施され、約0~約12時間の間隔で、約0~約6時間の間隔で、もしくは約0~2時間の間隔で実施され、および/または第1の組成物の投与の開始と第2の組成物の投与の開始は、約1分~約1時間の間隔で、もしくは約5分~約30分の間隔で実施される。いくつかの態様では、第1の組成物と第2の組成物は、2時間以下、1時間以下、30分以下、15分以下、10分以下、または5分以下の間隔で投与される。いくつかの態様では、第1の組成物はCD4+T細胞を含む。いくつかの態様では、第1の組成物はCD8+T細胞を含む。いくつかの態様では、第1の組成物は第2の組成物の前に投与される。
【0057】
いくつかの態様では、用量は、第1の組成物と第2の組成物を含み、第1の組成物と第2の組成物は、0~12時間もしくは約0~約12時間の間隔で、0~6時間もしくは約0~約6時間の間隔で、または0~2時間もしくは約0~約2時間の間隔で投与される。いくつかの態様では、第1の組成物の投与開始と第2の組成物の投与開始は、2時間以内もしくは約2時間以内、1時間以内もしくは約1時間以内、または30分以内もしくは約30分以内、15分以内もしくは約15分以内、10分以内もしくは約10分以内、または5分以内もしくは約5分以内の間隔で行われる。いくつかの態様では、第1の組成物の投与の開始および/または完了ならびに第2の組成物の投与の完了および/または開始は、2時間以内もしくは約2時間以内、1時間以内もしくは約1時間以内、または30分以内もしくは約30分以内の間隔で、15分以内もしくは約15分以内、10分以内もしくは約10分以内、または5分以内もしくは約5分以内の間隔で行われる。
【0058】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、T細胞療法の投与の前に、対象は、フルダラビンおよび/またはシクロホスファミドの投与を含むリンパ球除去療法で前処置されている。本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、T細胞療法の投与の直前に、フルダラビンおよび/またはシクロホスファミドの投与を含むリンパ球除去療法を対象に投与する工程をさらに含む。いくつかの態様では、リンパ球除去療法は、約200~400mg/m2、任意で300mg/m2もしくは約300mg/m2のシクロホスファミド(両端の値を含む)、および/または約20~40mg/m2、任意で30mg/m2のフルダラビンの2~4日間、任意で3日間の毎日の投与を含むか、またはリンパ球除去療法は、約500mg/m2のシクロホスファミドの投与を含む。いくつかの態様では、リンパ球除去療法は、300mg/m2もしくは約300mg/m2のシクロホスファミドおよび約30mg/m2のフルダラビンの3日間の毎日の投与を含み、ならびに/またはリンパ球除去療法は、500mg/m2もしくは約500mg/m2のシクロホスファミドおよび約30mg/m2のフルダラビンの3日間の毎日の投与を含む。
【0059】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、対象はヒトである。
【0060】
本明細書で提供される方法のいずれか1つのいくつかの態様では、この方法に従って治療される対象の少なくとも35%、少なくとも40%または少なくとも50%は、6ヶ月もしくは6ヶ月超または9ヶ月もしくは9ヶ月超にわたって、持続性であるか、またはCRを達成する対象の少なくとも60、70、80、90もしくは95%において持続性である完全奏効(CR)を達成する;ならびに/または6ヶ月までにCRを達成する対象の少なくとも60、70、80、90、もしくは95%は、3ヶ月もしくは3ヶ月超および/または6ヶ月もしくは6ヶ月超および/または9ヶ月もしくは9ヶ月超にわたって、応答性のままであり、CRのままであり、および/または生存するかもしくは進行なしに生存する;ならびに/またはこの方法に従って治療される対象の少なくとも50%、少なくとも60%または少なくとも70%は、客観的奏効(OR)を達成し、任意で、ORは、6ヶ月もしくは6ヶ月超または9ヶ月もしくは9ヶ月超にわたって、持続性であるか、またはORを達成する対象の少なくとも60、70、80、90、もしくは95%において持続性である;ならびに/または6ヶ月までにORを達成する対象の少なくとも60%、70%、80%、90%、もしくは95%は、3ヶ月もしくは3ヶ月超および/または6ヶ月もしくは6ヶ月超にわたって、応答性のままであるかまたは生存する。
【0061】
本明細書で提供される方法のいずれかのいくつかの態様では、化合物の投与は、対象のCAR発現T細胞における枯渇表現型を逆転させ、対象のCAR発現T細胞における枯渇表現型の発症を予防する、阻害するもしくは遅延させ、または対象のCAR発現T細胞における枯渇表現型のレベルもしくは程度を低下させ、または枯渇表現型を有する、対象におけるCAR発現T細胞の総数の割合を低下させる。任意のそのような態様のいくつかでは、化合物の投与の開始は、T細胞療法の投与に続いて行われ、化合物の投与またはその開始の後、対象は、該対象におけるCAR発現T細胞の抗原特異的または腫瘍特異的な活性または機能の回復または救済を示し、任意で、回復、救済および/または化合物の投与の開始は、対象または対象の血液中のCAR発現T細胞が枯渇表現型を示した後の時点においてである。
【0062】
本明細書で提供される方法のいずれかのいくつかの態様では、化合物の投与は、化合物の投与がない場合と比較して、T細胞を抗原、例えばCD19、もしくは抗原受容体特異的作用物質に曝露した後、任意で前記CARを発現するT細胞を含む、対象におけるナイーブT細胞もしくは非枯渇T細胞の抗原特異的、例えばCD19抗原特異的活性もしくは抗原受容体駆動活性の増加をもたらす;または化合物の投与がない場合と比較して、T細胞を抗原、例えばCD19、もしくは抗原受容体特異的作用物質に曝露した後、任意で前記CARを発現するT細胞を含む、対象におけるナイーブT細胞もしくは非枯渇T細胞における枯渇表現型の発症を予防する、阻害する、もしくは遅延させる;または前記対象の投与がない場合と比較して、対象において、任意で前記CARを発現するT細胞を含む、枯渇T細胞における枯渇表現型を逆転させるのに有効な量、頻度および/または持続時間での投与を含む。任意の態様のいくつかでは、化合物の投与は、前記活性の増加をもたらし、前記枯渇表現型の発症を予防し、阻害し、もしくは遅延させ、かつ/または前記枯渇表現型を逆転させるのに有効な量、頻度および持続時間での投与を含む。任意の態様のいくつかでは、化合物の投与は、前記活性の増加をもたらし、前記枯渇表現型の発症を予防し、阻害し、もしくは遅延させ、かつ/または前記枯渇表現型を逆転させるのに有効な量、頻度または持続時間での投与を含む。任意の態様のいくつかでは、対象におけるT細胞は前記CARを発現するT細胞を含み、前記抗原はCD19標的抗原である。任意の態様のいくつかでは、対象におけるT細胞は前記CARを発現するT細胞を含み、または前記抗原はCD19抗原である。
【0063】
本明細書で提供される方法のいずれかのいくつかの態様では、枯渇表現型は、T細胞またはT細胞の集団に関して、同じ条件下での参照T細胞集団と比較して、1つまたは複数の枯渇マーカー、任意で2、3、4、5または6個の枯渇マーカーの、1つもしくは複数のT細胞上の表面発現のレベルもしくは程度、または表面発現を示すT細胞の前記集団の割合の増加を含む。任意の態様のいくつかでは、枯渇表現型は、T細胞またはT細胞の集団に関して、同じ条件下での参照T細胞集団と比較して、抗原または抗原受容体特異的作用物質への曝露時に前記T細胞またはT細胞の集団によって示される活性のレベルまたは程度の減少を含む。任意の態様のいくつかでは、レベル、程度、または割合の増加は、1.2倍超もしくは約1.2倍超、1.5倍超もしくは約1.5倍超、2.0倍超もしくは約2.0倍超、3倍超もしくは約3倍超、4倍超もしくは約4倍超、5倍超もしくは約5倍超、6倍超もしくは約6倍超、7倍超もしくは約7倍超、8倍超もしくは約8倍超、9倍超もしくは約9倍超、10倍超もしくは約10倍超、またはそれ以上である。任意の態様のいくつかでは、レベル、程度、または割合の減少は、1.2倍超もしくは約1.2倍超、1.5倍超もしくは約1.5倍超、2.0倍超もしくは約2.0倍超、3倍超もしくは約3倍超、4倍超もしくは約4倍超、5倍超もしくは約5倍超、6倍超もしくは約6倍超、7倍超もしくは約7倍超、8倍超もしくは約8倍超、9倍超もしくは約9倍超、10倍超もしくは約10倍超、またはそれ以上である。
【0064】
任意の態様のいくつかでは、参照T細胞集団は、非枯渇表現型を有することが公知のT細胞の集団であるか、ナイーブT細胞の集団であるか、セントラルメモリーT細胞の集団であるか、または任意で枯渇表現型を有する1つもしくは複数のT細胞が由来する対象と同じ対象に由来する、もしくは同じ種の、ステムセントラルメモリーT細胞の集団である。本明細書で提供される方法のいずれかのいくつかの態様では、参照T細胞集団は、枯渇表現型を有する1つまたは複数のT細胞が由来する対象の血液から単離されたバルクT細胞を含む対象適合集団であり、任意でバルクT細胞はCARを発現せず、CARを発現するT細胞の用量の投与を受ける前に、枯渇表現型を有する1つまたは複数のT細胞が由来する対象から得られる。任意の態様のいくつかでは、参照T細胞集団は、枯渇表現型を有する1つもしくは複数のT細胞が由来する対象の血液から単離されたバルクT細胞を含む対象適合集団であり、任意でバルクT細胞はCARを発現しないか、またはCARを発現するT細胞の用量の投与を受ける前に、枯渇表現型を有する1つもしくは複数のT細胞が由来する対象から得られる。任意の態様のいくつかでは、参照T細胞集団は、対象へのその投与の前に、T細胞療法の試料を含む組成物、またはCARを発現するT細胞を含む薬学的組成物であり、任意で、組成物は凍結保存試料である。任意の態様のいくつかでは、1つまたは複数の枯渇マーカーは阻害性受容体である。任意の態様のいくつかでは、1つまたは複数の枯渇マーカーは、PD-1、CTLA-4、TIM-3、LAG-3、BTLA、2B4、CD160、CD39、VISTA、およびTIGITの中から選択される。
【0065】
本明細書で提供される方法のいずれかの任意の態様のいくつかでは、活性は、炎症性サイトカインの1つまたは組み合わせの増殖、細胞毒性または産生の1つまたは複数であり、任意で、サイトカインの1つまたは組み合わせは、IL-2、IFN-γおよびTNF-αからなる群より選択される。任意の態様のいくつかでは、前記抗原または抗原受容体特異的作用物質への曝露は、抗原または抗原受容体特異的作用物質、任意でCARに結合する作用物質とのインキュベーションによってT細胞を曝露することを含み、該抗原は、任意でCD19抗原である。任意の態様のいくつかでは、抗原または抗原受容体特異的作用物質を曝露する工程は、CD19抗原を発現する標的細胞、任意で癌、例えばB細胞悪性腫瘍などの疾患、障害、または状態の細胞と、T細胞をインキュベートする工程を含む。
【0066】
いくつかの態様では、T細胞療法と、B細胞悪性腫瘍を治療する方法における化合物とを含む併用療法の使用も本明細書で提供され、該方法は、
(a)B細胞悪性腫瘍を有する対象に、CD19に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を投与する工程;ならびに
(b)続いて、以下の構造:
を有する(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を、該対象に投与する工程
を含み、化合物の投与は、T細胞療法の投与後21日以内に開始し(または開始され)、かつ以下を含むサイクリングレジメンで実施される:化合物が約0.1mg~約1.0mg/日で最大連続3週間毎日投与される第1の投与期間、第1の投与期間の終了時から始まる、化合物が投与されない少なくとも1週間の休止期間、および化合物が各4週間サイクルに約0.1mg~約1.0mg/日で連続3週間毎日投与される4週間サイクルを含む第2の投与期間。
【0067】
いくつかの態様では、B細胞悪性腫瘍を治療する方法における化合物の使用も本明細書で提供され、該方法は、以下の構造:
を有する(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を、対象に投与する工程を含み、該対象は、化合物の投与の前に、CD19に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を投与されており、化合物の投与は、T細胞療法の投与後21日以内に開始し(または開始され)、かつ以下を含むサイクリングレジメンで実施される:化合物が約0.1mg~約1.0mg/日で最大連続3週間毎日投与される第1の投与期間、第1の投与期間の終了時から始まる、化合物が投与されない少なくとも1週間の休止期間、および化合物が各4週間サイクルに約0.1mg~約1.0mg/日で連続3週間毎日投与される4週間サイクルを含む第2の投与期間。
【0068】
いくつかの態様では、T細胞療法と、B細胞悪性腫瘍を治療するための薬剤の製造における化合物とを含む併用療法の使用も本明細書で提供され、(a)T細胞療法は、B細胞悪性腫瘍を有する対象に投与されるべきであり、該T細胞療法は、CD19に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含み、ならびに(b)対象は、続いて、以下の構造:
を有する(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を投与されるべきであり、化合物の投与は、T細胞療法の投与後21日以内に開始する(または開始される)べきであり、かつ以下を含むサイクリングレジメンで実施されるべきである:化合物が約0.1mg~約1.0mg/日で最大連続3週間毎日投与される第1の投与期間、第1の投与期間の終了時から始まる、化合物が投与されない少なくとも1週間の休止期間、および化合物が各4週間サイクルに約0.1mg~約1.0mg/日で連続3週間毎日投与される4週間サイクルを含む第2の投与期間。
【0069】
B細胞悪性腫瘍を治療するための薬剤の製造における化合物の使用も本明細書で提供され、対象は、以下の構造:
を有する(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を投与されるべきであり、該対象は、化合物の投与の前に、CD19に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を投与されており、化合物の投与は、T細胞療法の投与後21日以内に開始する(または開始される)べきであり、かつ以下を含むサイクリングレジメンで実施されるべきである:化合物が約0.1mg~約1.0mg/日で最大連続3週間毎日投与される第1の投与期間、第1の投与期間の終了時から始まる、化合物が投与されない少なくとも1週間の休止期間、および化合物が各4週間サイクルに約0.1mg~約1.0mg/日で連続3週間毎日投与される4週間サイクルを含む第2の投与期間。
【0070】
本明細書で提供される使用のいずれかのいくつかでは、併用療法は、本明細書で提供される方法の上記態様のいずれかに従って使用される。
【0071】
本明細書で提供される使用のいずれかのいくつかでは、化合物は、本明細書で提供される方法の上記態様のいずれかに従って使用される。
【0072】
本明細書で提供される使用のいくつかの態様では、化合物は、第1の投与期間に0.3mg~0.6mgまたは約0.3mg~約0.6mgの量で投与される。
【0073】
本明細書で提供される使用のいくつかの態様では、化合物は、第2の投与期間に0.3mg~0.6mgまたは約0.3mg~約0.6mgの量で投与される。
【0074】
本明細書で提供される使用のいくつかの態様では、第2の投与期間は、T細胞療法の投与の開始後3ヶ月または約3ヶ月または3ヶ月超にわたる。本明細書で提供される使用のいくつかの態様では、第2の投与期間は、T細胞療法の投与の開始後3ヶ月までまたは約3ヶ月までにわたる。
【0075】
本明細書で提供される使用のいくつかの態様では、化合物の投与は、対象におけるT細胞療法のピーク拡大時またはそれより前に開始される。いくつかの態様では、T細胞療法のピーク拡大は、T細胞療法の投与後11日または約11日から15日または約15日の間である。
【0076】
本明細書で提供される使用のいくつかの態様では、第1の投与期間は、T細胞療法の投与開始と同じ日に開始する。
【0077】
本明細書で提供される使用のいくつかの態様では、第1の投与期間は、T細胞療法の投与後1日または約1日から15日または約15日の間(両端の値を含む)に開始する。本明細書で提供される使用のいくつかの態様では、第1の投与期間は、T細胞療法の投与後1日または約1日から11日または約11日の間(両端の値を含む)に開始する。本明細書で提供される使用のいくつかの態様では、第1の投与期間は、T細胞療法の投与後8日または約8日から15日または約15日の間(両端の値を含む)に開始する。
【0078】
本明細書で提供される使用のいくつかの態様では、第1の投与期間は、T細胞療法の投与の1日後または約1日後に開始する。本明細書で提供される使用のいくつかの態様では、第1の投与期間は、T細胞療法の投与の7日後または約7日後に開始する。本明細書で提供される使用のいくつかの態様では、第1の投与期間は、T細胞療法の投与の8日後または約8日後に開始する。本明細書で提供される使用のいくつかの態様では、第1の投与期間は、T細胞療法の投与の14日後または約14日後に開始する。本明細書で提供される使用のいくつかの態様では、第1の投与期間は、T細胞療法の投与の15日後または約15日後に開始する。
【0079】
本明細書で提供される使用のいくつかの態様では、休止期間は、T細胞療法の投与後21日目または約21日目に開始する。本明細書で提供される使用のいくつかの態様では、対象のB細胞血球数レベルが第1の投与期間の前に測定されたレベルと同じまたはほぼ同じレベルに回復するまで、休止期間が続く。本明細書で提供される使用のいくつかの態様では、休止期間は約1週間である。
【0080】
本明細書で提供される使用のいくつかの態様では、第2の投与期間は、T細胞療法の投与の28日後または約28日後に開始する。本明細書で提供される使用のいくつかの態様では、第2の投与期間は、T細胞療法の投与の29日後または約29日後に開始する。
【0081】
本明細書で提供される使用のいくつかの態様では、化合物は、0.3mgまたは約0.3mgの量で第1の投与期間に投与され、かつ/または第2の投与期間に投与される。本明細書で提供される使用のいくつかの態様では、化合物は、0.3mgまたは約0.3mgの量で第1の投与期間に投与され、かつ第2の投与期間に投与される。
【0082】
本明細書で提供される使用のいくつかの態様では、化合物は、0.45mgまたは約0.45mgの量で第1の投与期間に投与され、かつ/または第2の投与期間に投与される。本明細書で提供される使用のいくつかの態様では、化合物は、0.45mgまたは約0.45mgの量で第1の投与期間に投与され、かつ第2の投与期間に投与される。
【0083】
本明細書で提供される使用のいくつかの態様では、化合物は、0.6mgまたは約0.6mgの量で第1の投与期間に投与され、かつ/または第2の投与期間に投与される。本明細書で提供される使用のいくつかの態様では、化合物は、0.6mgまたは約0.6mgの量で第1の投与期間に投与され、かつ第2の投与期間に投与される。
【0084】
本明細書で提供される使用のいくつかの態様では、化合物は、(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンの薬学的に許容される塩であるか、またはそれを含む。本明細書で提供される使用のいくつかの態様では、化合物は、(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンの水和物であるか、またはそれを含む。本明細書で提供される使用のいくつかの態様では、化合物は、(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンの溶媒和物であるか、またはそれを含む。本明細書で提供される使用のいくつかの態様では、化合物は、(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンであるか、またはそれを含む。
【0085】
本明細書で提供される使用のいくつかの態様では、B細胞悪性腫瘍はリンパ腫である。いくつかの態様では、リンパ腫は非ホジキンリンパ腫(NHL)であり、任意でNHLは、侵襲性NHL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、任意で形質転換した無痛性のDLBCL-NOS;EBV陽性DLBCL-NOS;T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫;原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL);濾胞性リンパ腫(FL)、任意で濾胞性リンパ腫グレード3B(FL3B);ならびに/またはDLBCL組織学を伴うMYCおよびBCL2および/もしくはBCL6再構成を有する高悪性度B細胞リンパ腫(ダブル/トリプルヒット)を含む。
【0086】
本明細書で提供される使用のいくつかの態様では、CD19はヒトCD19である。
【0087】
本明細書で提供される使用のいくつかの態様では、キメラ抗原受容体(CAR)は、CD19に特異的に結合する細胞外抗原認識ドメインと、ITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達ドメインはCD3ゼータ(CD3ζ)鎖、任意でヒトCD3ゼータ鎖のシグナル伝達ドメインを含む。
【0088】
本明細書で提供される使用のいくつかの態様では、キメラ抗原受容体(CAR)は、共刺激シグナル伝達領域をさらに含む。いくつかの態様では、共刺激シグナル伝達領域は、CD28または4-1BB、任意でヒトCD28またはヒト4-1BBのシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様では、共刺激シグナル伝達領域はヒト4-1BBのシグナル伝達ドメインを含む。
【0089】
本明細書で提供される使用のいくつかの態様では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、1×105~5×108もしくは約1×105~5×108の総CAR発現T細胞、1×106~2.5×108もしくは約1×106~2.5×108の総CAR発現T細胞、5×106~1×108もしくは約5×106~1×108の総CAR発現T細胞、1×107~2.5×108もしくは約1×107~2.5×108の総CAR発現T細胞、または5×107~1×108もしくは約5×107~1×108の総CAR発現T細胞(それぞれ両端の値を含む)を含む。本明細書で提供される使用のいくつかの態様では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、少なくとも1×105もしくは少なくとも約1×105のCAR発現細胞、少なくとも2.5×105もしくは少なくとも約2.5×105のCAR発現細胞、少なくとも5×105もしくは少なくとも約5×105のCAR発現細胞、少なくとも1×106もしくは少なくとも約1×106のCAR発現細胞、少なくとも2.5×106もしくは少なくとも約2.5×106のCAR発現細胞、少なくとも5×106もしくは少なくとも約5×106のCAR発現細胞、少なくとも1×107もしくは少なくとも約1×107のCAR発現細胞、少なくとも2.5×107もしくは少なくとも約2.5×107のCAR発現細胞、少なくとも5×107もしくは少なくとも約5×107のCAR発現細胞、少なくとも1×108もしくは少なくとも約1×108のCAR発現細胞、少なくとも2.5×108もしくは少なくとも約2.5×108のCAR発現細胞、または少なくとも5×108もしくは少なくとも約5×108のCAR発現細胞を含む。本明細書で提供される使用のいくつかの態様では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、5×107または約5×107の総CAR発現T細胞を含む。本明細書で提供される使用のいくつかの態様では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、1×108または約1×108の総CAR発現細胞を含む。
【0090】
本明細書で提供される使用のいくつかの態様では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、CARを発現するCD4+T細胞およびCARを発現するCD8+T細胞を含み、用量の投与は複数の別個の組成物を投与する工程を含み、該複数の別個の組成物は、CD4+T細胞およびCD8+T細胞の一方を含む第1の組成物およびCD4+T細胞またはCD8+T細胞のもう一方を含む第2の組成物を含む。いくつかの態様では、第1の組成物はCD4+T細胞を含む。いくつかの態様では、第1の組成物はCD8+T細胞を含む。
【図面の簡単な説明】
【0091】
図1図1は、様々な濃度の化合物A(四角)または化合物B(丸)とのインキュベーション後の抗CD19で刺激したCAR発現T細胞における細胞内IkarosおよびAiolosの発現を示す。
図2A図2Aは、新たに解凍された、またはK562.CD19標的細胞との5日間の培養によって慢性的に刺激された(例えば枯渇表現型を示す)抗CD19 CAR T細胞のサイトカイン産物を示す。
図2B図2Bは、新たに解凍され、かつ慢性的に刺激されていない(例えばナイーブ表現型を示す)、またはK562.CD19標的細胞との5日間の培養によって慢性的に刺激された(例えば枯渇表現型を示す)抗CD19 CAR T細胞の細胞溶解活性を示す。
図2C図2Cは、様々な濃度の化合物A(三角)または化合物B(丸)の存在下での3人のドナーについての抗CD19 CAR T細胞の増殖(平均±SEM)を示す。
図2D図2Dは、3μg/mLの抗ID(左のパネル)または30μg/mLの抗ID(右のパネル)でCAR T細胞の刺激を行った場合の、様々な濃度の化合物A(四角)または化合物B(丸)の細胞生存率への効果を示す。
図2E図2Eは、1000nMの化合物Bまたは100nMの化合物Aで処理した後の抗CD19 CAR T細胞の細胞周期分析を示す。
図2F図2Fは、様々な濃度の化合物A(四角)または化合物B(丸)に曝露した場合の、細胞周期のG1期にある抗CD19 CAR T細胞の割合を示す。CAR T細胞を3μg/mLの抗ID(左のパネル)または30μg/mLの抗ID(右のパネル)に曝露した。
図2G図2Gは、30μg/mLの抗IDで24時間(左のパネル)または72時間(右のパネル)刺激し、かつ化合物Aまたは化合物Bに曝露した抗CD19 CAR T細胞におけるIFNγ、パーフォリン、グランザイムB、およびIL-2の細胞内サイトカイン発現レベルを示す。
図3A図3Aは、化合物A(10nMまたは100nM)の存在下で慢性刺激に供した抗CD19 CAR T細胞におけるIkarosの発現を示す。
図3B図3Bは、CD19を発現する標的細胞による再チャレンジ前の、化合物の非存在下(対照)と比較した、化合物A(0.001μMまたは0.01μM)の存在下で同時インキュベートした慢性刺激細胞についての、経時的な腫瘍細胞数によって測定した細胞溶解活性を示す。
図3C図3Cは、1μMの化合物B(左のパネル)または0.001μMもしくは0.01μMの化合物A(右のパネル)と共培養した後の様々な時点でのGranta-519腫瘍スフェロイドのサイズを示す。
図3D図3Dは、化合物Aの存在下での9日後のGranta-519腫瘍スフェロイドの平均腫瘍体積を示す。
図3E図3Eは、慢性刺激および化合物Aとの同時インキュベーション後に抗CD19 CAR T細胞と共培養した場合の、9日目の3次元スフェロイドとして成長したGranta-519腫瘍細胞の代表的な画像を示す。
図3F図3Fは、CD19腫瘍スフェロイドと5日間共培養し、化合物Aまたは化合物Bで処理した、慢性刺激抗CD19 CAR T細胞の上清から測定したIFNγ、IL-2およびTNFαのサイトカインレベルを示す。
図3G図3Gは、3人のドナーおよび2つの独立した実験からのプールしたデータから決定した、5日間の共培養後に測定された上清からの平均IFNγ濃度を示す(各処理間の統計学的に有意な差を*P<.05、***P<.001、および****P<.0001として示す)。
図3H図3Hは、慢性刺激中に1nMまたは10nMの化合物Aによる各同時処理によって誘導された、差次的に発現された遺伝子を示すボルケーノプロットを示す。
図3I図3Iは、慢性刺激によって、および慢性刺激中の化合物A 10nMによって誘導された遺伝子発現プロファイル(log2倍率変化)に対する効果の比較を示す。
図3J図3Jは、差次的に発現された遺伝子のKEGG経路濃縮分析を示す。
図4A図4Aは、CD19を形質導入したK562細胞(K562.CD19)、Raji細胞、またはGranta-519細胞を標的とする抗CD19 CAR T細胞の細胞溶解活性に対する化合物A(0.001μMまたは0.01μM)の効果を示す。
図4B図4Bは、CAR T細胞との共培養後9日目のGranta-519腫瘍スフェロイドのサイズの平均測定値を示す。
図4C図4Cは、CD19腫瘍スフェロイドと5日間共培養し、化合物Aまたは化合物Bで処理した慢性刺激抗CD19 CAR T細胞の上清から測定したIFNγ、IL-2およびTNFαのサイトカインレベルを示す。
図5A図5Aは、化合物A(0.001μM、0.01μM、または0.1μM)の存在下でCAR-T細胞と共培養した後の9日目のA549.CD19 腫瘍スフェロイドのサイズの平均測定値を示す。
図5B図5Bは、化合物A(0.01μMまたは0.1μM)で処理して5日目に測定した、A549.CD19腫瘍スフェロイドとの共培養物中のCAR T細胞の数の倍率変化を示す。
図5C図5Cは、慢性的に刺激した抗CD19 CAR T細胞との9日間の共培養および化合物Aの救済インキュベーション後のGranta-519スフェロイドおよびA549.CD19スフェロイドの代表的な画像を示す。
図5D図5Dは、抗CD19 CAR T細胞および化合物Aとの共培養後の経時的な腫瘍スフェロイドのサイズの平均測定値を示す。
図5E図5Eは、CD19腫瘍スフェロイドと5日間共培養し、化合物Aで処理した慢性刺激抗CD19 CAR T細胞の上清から測定したIFNγ、IL-2およびTNFαのサイトカインレベルを示す。
図5F図5Fは、3人のドナーおよび2つの独立した実験からのデータからプールした5日目の共培養物上清から測定した平均IFNγ濃度を示す(各処理間の統計学的に有意な差を*P<.05および****P<.0001として示す)。
図5G図5Gは、慢性的に刺激した抗CD19 CAR T細胞との9日間の共培養、続いて化合物Aによる救済処理によって誘導された、差次的に発現された遺伝子を示すボルケーノプロットを示す。
図5H図5Hは、慢性的に刺激した抗CD19 CAR T細胞への10nMの化合物Aの救済処理によって誘導された遺伝子発現プロファイル(log2倍率変化)に対する効果の比較を示す。
図5I図5Iは、化合物Aによる救済処理後の慢性刺激抗CD19 CAR T細胞における差次的に発現された遺伝子のKEGG経路濃縮分析を示す。
図6A図6Aは、化合物A(0.001μM、0.01μMまたは0.1μM)の存在下でRL CD19+腫瘍細胞と共培養した抗CD19 CAR T細胞の、腫瘍細胞数によって測定した細胞溶解活性を示す。
図6B図6Bは、化合物B(1μM)または化合物A(0.001μM、0.01μMまたは0.1μM)の存在下で抗CD19 CAR T細胞と共培養したRL腫瘍スフェロイドの腫瘍サイズを示す。
図6C図6Cは、化合物B(1μM)または化合物A(0.001μM、0.01μMまたは0.1μM)の存在下で抗CD19 CAR T細胞と共培養したRL腫瘍スフェロイドの腫瘍細胞数を示す。
図7A図7Aは、化合物Aによる抗CD19 CAR T細胞の3日間の処理後の細胞内サイトカインのヒートマップである。図は、培養中のビヒクル対照と比較したサイトカインの平均蛍光(MFI)のlog2倍率変化を示す。
図7B図7Bは、化合物Aで3日間処理した抗CD19 CAR T細胞をRajiまたはGranta-519リンパ腫標的細胞と共培養した後の、腫瘍細胞の数に基づいて示した細胞溶解活性を示す。
図7C図7Cは、化合物Aで3日間処理した後の抗CD19 CAR T細胞の増殖を示す。
図7D図7Dは、化合物Aで3日間処理した後のG1期にある抗CD19 CAR T細胞の割合のプロットを示す(3人のドナーおよび2つの独立した実験からプールしたデータからの平均±SEM)。
【発明を実施するための形態】
【0092】
詳細な説明
癌または増殖性疾患を有する対象の治療のための、T細胞(例えばCAR-T細胞)などの操作された細胞、ならびに(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオン
またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、互変異性体もしくはラセミ混合物(化合物A)、およびそれらの組成物の方法および使用が提供される。いくつかの局面では、T細胞療法は、癌または増殖性疾患に関連する抗原、例えばB細胞悪性腫瘍、例えば非ホジキンリンパ腫またはそのサブタイプに関連する抗原を特異的に認識するおよび/または標的とするT細胞を含む養子T細胞療法である。いくつかの局面では、T細胞療法は、抗原に結合する、例えば特異的に結合する抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)で操作されたT細胞を含む。いくつかの場合には、T細胞療法によって標的とされる抗原はCD19である。また、T細胞療法を含む組成物および/または化合物Aを含む組成物を含む組み合わせおよびキットなどの製品、ならびにB細胞悪性腫瘍などの癌を含む疾患、状態、および障害を治療または予防するためのそのような組成物および組み合わせの使用も提供される。
【0093】
(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオン(化合物A)は、セレブロンE3リガーゼ調節化合物(CELMoD)である。化合物AはCRBNを調節し、転写因子AiolosおよびIkarosのユビキチン化を誘導し、それらのプロテアソーム依存性分解を増加させ、T細胞機能を増強する。化合物Aは、CRBNにより強力に結合し、レナリドミドおよびポマリドミドよりもAiolosおよびIkarosを分解するのにより効率的であり、リンパ腫細胞に対する強力な直接的抗増殖効果を有する。化合物Aはまた、化合物Bと比較して、IkarosおよびAiolosの分解において10~20倍強力である。化合物Aは、リンパ腫細胞に対する直接的な抗増殖効果を有する。本明細書に示されるように、化合物AはT細胞機能も増強する。
【0094】
T細胞に基づく治療法、例えば養子T細胞療法(キメラ抗原受容体(CAR)および/または他の組換え抗原受容体などの関心対象の疾患または障害に特異的なキメラ受容体を発現する細胞の投与を含むもの、ならびに他の養子免疫細胞療法および養子T細胞療法を含む)は、B細胞悪性腫瘍などの疾患および障害の治療に有効であり得る。T細胞の表面におけるキメラ抗原受容体(CAR)などの組換え受容体の操作された発現により、T細胞特異性の方向を変更することができる。臨床試験では、CAR-T細胞、例えば抗CD19 CAR-T細胞は、白血病およびリンパ腫の両方の患者において持続性の完全奏効を生じさせた(Porter et al.(2015)Sci Transl Med 7:303ra139;Kochenderfer (2015)J. Clin. Oncol., 33:540-9;Lee et al. (2015)Lancet, 385:517-28;Maude et al. (2014)N Engl J Med, 371:1507-17)。
【0095】
特定の状況では、養子細胞療法に対する利用可能なアプローチは必ずしも完全に満足できるものではないことがある。例えば、CAR T細胞の持続性はリンパ腫を有する多くの対象で検出できるが、ALLの対象と比較してNHLの対象では完全奏効(CR)がよりわずかしか観察されていない。より具体的には、CAR T細胞の注入後に最大80%までのより高い全奏効率(CR率47%~60%)が報告されているが、一部では応答は一過性であり、対象は持続性CAR T細胞の存在下で再発することが示されている(Neelapu, 58th Annual Meeting of the American Society of Hematology(ASH):2016;San Diego, CA, USA. Abstract No. LBA-6.2016; Abramson, Blood. 2016 Dec 01;128(22):4192)。別の試験では、40%の長期CR率が報告された(Schuster, Ann Hematol. 2016 Oct;95(11):1805-10)。
【0096】
いくつかの局面では、これについての説明は、循環CAR発現T細胞の免疫学的枯渇および/またはTリンパ球集団の変化である。これは、いくつかの状況では、最適な効果が、投与された細胞が、活性になり、拡大し、細胞傷害性死滅およびサイトカインなどの様々な因子の分泌を含む様々なエフェクター機能を発揮し、長期を含めて存続し、特定の表現型状態(長命記憶状態、低分化状態、およびエフェクター状態など)に分化し、移行し、または再プログラム化に関与し、疾患の局所的微小環境における免疫抑制状態を回避または低減し、クリアランスおよび標的リガンドまたは抗原への再曝露後に有効で堅固な想起応答を提供し、ならびに枯渇、アネルギー、末梢性免疫寛容、最終分化、および/または抑制状態への分化を回避または低減することができる能力に依存し得るためである。
【0097】
いくつかの態様では、操作された細胞の曝露、持続性、および機能は、対象への投与後に減少または低下する。それにもかかわらず、いくつかの場合には、組換え受容体を発現する投与された細胞が、インビボで再拡大および/または再活性化して(例えば細胞数の増加または持続期間の延長を示す)、養子細胞療法における効果および治療転帰を改善できることが観察で示されている。
【0098】
いくつかの態様では、長期刺激または抗原への曝露および/または腫瘍微小環境中の条件下での曝露後、T細胞は経時的に低機能になり得、および/または枯渇状態に関連する特徴を示し得る。いくつかの局面では、これは抗原に対するT細胞の持続性および有効性を低下させ、それらが有効である能力を制限する。CAR T細胞の有効性および機能を改善する、特に低機能状態または枯渇状態を最小限に抑える、減少させる、予防する、または逆転させる方法が必要とされている。
【0099】
提供される方法は、特定の免疫調節化合物、例えば化合物Aが、T細胞の1つまたは複数のサイトカインを産生する能力、細胞傷害性、拡大、増殖、および持続性に関連する機能を含むT細胞機能を改善するという観察に基づく。いくつかの局面では、提供される方法は、T細胞療法(例えばCAR発現T細胞)の投与に関連するT細胞活性の増殖および/または活性を増強または調節する。そのような方法および使用は、改善されたまたはより大きなT細胞機能性を提供または達成し、それによって抗腫瘍効果を改善することが見出されている。
【0100】
T細胞機能の増強に加えて、そのような免疫調節化合物、例えば化合物Aは、T細胞シグナル伝達を増加させること、および/または慢性刺激後に差次的に調節される1つもしくは複数の遺伝子を変化させることを含む、T細胞枯渇を逆転させる、遅延させる、または予防する効果を示すことも本明細書で見出される。したがって、いくつかの場合には、T細胞活性を増加させるまたは増強する剤は、細胞を枯渇状態に至らせ得るが、T細胞活性に対する増強効果を発揮するためのそのような免疫調節化合物、例えば化合物Aの活性は、T細胞枯渇から切り離されることが本明細書で見出される。さらに、本明細書における観察は、免疫調節化合物、例えば化合物Aが、細胞が枯渇の特徴を示した後に1つまたは複数のT細胞活性を回復させるかまたは部分的に回復させることなどによって、T細胞をT細胞枯渇から救済する活性を示すことを示す。注目すべきことに、本明細書の結果は、慢性刺激され、枯渇したT細胞の特徴を示すT細胞の、本明細書に記載の免疫調節化合物、例えば化合物Aへの曝露が、活性を回復することができるか、またはそれらの活性を回復させるかもしくは部分的に回復させることができることを示す。本明細書における観察は、提供される方法がまた、例えば治療される対象の特定の群において、特定の代替方法と比較して改善されたまたはより持続性の応答を達成し得ることを裏付ける。
【0101】
本明細書における観察は、急性刺激された抗CD19 CAR T細胞および慢性刺激アッセイにおいて低機能性にされた抗CD19 CAR T細胞に対する化合物Aの処理効果後の改善されたT細胞機能性を示す。化合物Aでの処理は、24時間の処理後に活性化抗CD19 CAR T細胞のIkarosおよびAiolosの両方の発現を完全に分解することが示された。化合物Aは、抗CD19 CAR T細胞のエフェクターサイトカイン産生(例えば、IFN-γ)を増加させると同時に、それらの増殖速度を遅くすることが示された。増殖に対するこの効果は、試験したすべての濃度(1~100nM)で観察され、G1期の抗CD19 CAR T細胞の蓄積によるものであった。増殖速度からのエフェクターサイトカイン産生のこの切り離しは、臨床的に有益であり得る。化合物A(1および10nM)による同時慢性刺激および処理は、CD19+リンパ腫細胞株およびCD19+リンパ腫スフェロイドに対する細胞溶解によって評価されるように、抗CD19 CAR T細胞の低機能枯渇の発生を制限し、エフェクターサイトカイン分泌および発現を改善することが示された。化合物A(1および10nM)は、枯渇した抗CD19 CAR T細胞に添加すると、CD19+スフェロイドに対する細胞溶解活性を回復させ、エフェクターサイトカイン発現を改善した。まとめると、化合物Aと抗CD19 CAR T細胞との組み合わせは、B細胞悪性腫瘍全体にわたる抗CD19 CAR T細胞の活性を、腫瘍微小環境を調節することによって、CAR T細胞の持続的な抗腫瘍機能を改善することによって、および潜在的にリンパ腫細胞に対する直接的な抗腫瘍効果によって、増強および延長するための有用な治療アプローチを提供し得る(Lonial, 2019 J Clin Oncol., 37:8006)。
【0102】
これらの観察を、CAR T細胞を低機能性(例えば、細胞溶解およびIL-2分泌の低下)にするための慢性刺激アッセイを使用して行った。このモデルを使用して、CAR T細胞を調べて、低機能の枯渇状態をもたらす条件への曝露中(同時)または曝露後(救済)に存在する場合のCAR T細胞機能に対する化合物Aの影響を評価した。抗原を再チャレンジしたとき、本明細書で提供される所見は、そのような条件の間のCAR T細胞の同時処理が、CAR T細胞の低機能性に関連する、遺伝子シグネチャーを含む活性および表現型を逆転させ、より多くのエフェクター機能を保存したことを実証する。同様に、結果は、化合物Aが枯渇したT細胞のサイトカイン産生および細胞溶解活性を含むT細胞機能を救済または回復することができることを示す。
【0103】
本明細書で提供される観察結果はまた、化合物AがCAR T細胞によるエフェクターサイトカイン産生を増加させ、同時にそれらの増殖速度を遅くすることを実証する。この結果は、T細胞の生存率に対する化合物の効果によるものではない。増殖に対するこの効果は様々な濃度で観察され、G1期のT細胞の蓄積に起因することが認められた。増殖速度からのエフェクターサイトカイン産生のこの切り離しは、例えば、有効性を制限し得るインビボでのT細胞の分化を制限することによって、臨床的に有益であり得る。
【0104】
提供される方法は、化合物Aが、T細胞の拡大、増殖、増殖、および持続性に関連する機能を含む、操作されたT細胞療法のT細胞機能を改善することを示す。いくつかの態様では、方法は、例えばT細胞療法(例えばCAR発現T細胞)などの養子細胞療法のための細胞を含む組成物などのT細胞療法を化合物Aと組み合わせて投与することにより、有利である。いくつかの態様では、提供される方法および使用は、特定の代替方法と比較して、改善されたまたはより持続性の応答または効果を提供または達成する。いくつかの局面では、提供される方法は、T細胞療法(例えばCAR発現T細胞)の投与に関連するT細胞活性の増殖および/または活性を増強または調節する。特定の態様では、化合物Aとの併用療法は、B細胞悪性腫瘍全体にわたるCAR T細胞の活性を、腫瘍微小環境を調節することによって、CAR T細胞の持続的な抗腫瘍機能を改善することによって、増強および延長するための有用な治療アプローチを提供し得る。いくつかの場合には、化合物はまた、リンパ腫細胞に対する直接的な抗腫瘍効果を有し得る。
【0105】
化合物Aは、原発腫瘍成長を直接障害し、免疫抑制性腫瘍微小環境を調節し、より堅固な抗腫瘍炎症応答を促進することができる多面的小分子である免疫調節薬である。化合物Aは、B細胞に対して抗増殖活性を発揮し、B細胞リンパ性悪性腫瘍の腫瘍を標的とする単剤治療として評価されている。化合物Aおよびレナリドミドなどの他の免疫調節薬は、Ikarosファミリー転写因子の分解を介して悪性リンパ球の生存に直接影響を及ぼすことが示されている。化合物Aの分子標的は、Cullin 4 RING E3ユビキチンリガーゼ複合体の基質受容体であるタンパク質セレブロン(CRBN)として同定されている。CRBN内の疎水性トリ-トリプトファンポケットへの化合物Aの結合は、Aiolos(IKZF3)およびIkaros(IKZF1)を含むいくつかのタンパク質基質の動員、ユビキチン化、およびその後のプロテアソーム分解を促進する。
【0106】
本明細書に記載される試験において、1nMおよび10nMの化合物A濃度は、CD19 CAR T細胞枯渇の発生を遅延させ、抗CD19 CAR T細胞を枯渇から救済した。健常対象における0.3mgおよび1.0mgの化合物Aの用量は、2.41nM~11.79nMのCmaxを示した。いくつかの局面では、用量は、化合物の免疫調節効果を媒介するための有効用量である。いくつかの局面では、用量は、グレード3の好中球減少症および皮膚炎などの重篤な毒性を引き起こすことが予想されない用量である。いくつかの局面では、提供される方法は、T細胞療法および/または化合物Aを対象に投与した後の毒性を最小限に抑えるかまたは回避する。いくつかの局面では、本明細書で提供される方法は、既存の単剤療法アプローチにおいて化合物Aの直接的な腫瘍効果のために使用され得る用量よりも実質的に低い用量を投与することを含む。
【0107】
いくつかの態様では、化合物Aは、0.1mgまたは約0.1mgから1mgまたは約1mgの量で投与される。用量は、サイクリングレジメンにわたって毎日投与することができる。いくつかの局面では、提供される方法は、1mg/日もしくは1mg/日未満、例えば0.9mg、0.8mg、0.7mg、0.6mg、0.5mg、0.4mg、0.3mg、0.2mg、もしくは0.1mg、または約0.9mg、0.8mg、0.7mg、0.6mg、0.5mg、0.4mg、0.3mg、0.2mg、もしくは0.1mg、または前記のいずれかの間の任意の値である化合物の量を投与することによって実施される。いくつか態様では、化合物Aは、0.3mg/日または約0.3mg/日で投与される。いくつかの態様では、化合物Aは、0.45mg/日または約0.45mg/日で投与される。いくつかの態様では、化合物Aは、0.6mg/日または約0.6mg/日で投与される。
【0108】
いくつかの態様では、化合物Aは、リンパ球除去療法を受けた後の十分な時間、対象に投与され、その結果、化合物Aおよびリンパ球除去療法の骨髄抑制作用が最小限に抑えられる。
【0109】
いくつかの態様では、提供される方法は、T細胞療法(例えばCAR T細胞)が枯渇の特徴を示し得るかまたは示す可能性が高い時点で使用される。いくつかの態様では、枯渇表現型は、ピーク拡大に達したT細胞が対象の血液中で数を減少し始めた後に明らかである。いくつかの態様では、T細胞療法のT細胞(CAR T細胞)を化合物Aに曝露するまたは化合物Aと接触させる方法は、T細胞が抗原に曝露される直前の時点(ベースライン)または細胞が抗原に曝露されたが増殖を続けており、まだピーク拡大に達していない時点と比較して、T細胞が低機能状態または枯渇状態の増加を示す時点で実施される。いくつかの態様では、低機能または枯渇状態の増加は、以前のより早い時点と比較して、枯渇マーカーの発現の増加によって決定することができる。いくつかの態様では、枯渇マーカーの発現の増加などの低機能または枯渇状態の増加は、T細胞療法によって標的とされる抗原に関連する疾患または状態を有する対象へのT細胞療法(例えばCAR T細胞)の投与後の時点で起こる。対象への投与後の末梢血中のT細胞などのT細胞は、PD-1、TIM-3、およびLAG-3などのT細胞活性化または枯渇のマーカーについてモニターすることができる。
【0110】
いくつかの態様では、提供される方法は、T細胞療法、例えばCAR T細胞の投与、およびCAR T細胞が枯渇表現型を示すかまたは示す可能性が高い時点より前の時点での化合物Aの投与の開始を必要とする。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、CAR T細胞がまだ拡大しているか、またはまだ拡大することができる時点で開始される。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、対象の血液におけるピークCAR T細胞数の存在より前の時点、またはそれより前であると疑われる時点で開始される。いくつかの局面では、この時点での化合物A投与の開始は、CAR T細胞機能を増強する。いくつかの局面では、この時点での化合物A投与の開始はまた、CAR T細胞の枯渇を遅延させるかまたは防止する。
【0111】
いくつかの態様では、化合物Aの投与は、対象の血液中にピークCAR-T細胞が存在する時点で、あるいは存在する前であると疑われるもしくはその可能性が高い、またはほぼ存在すると疑われるもしくはその可能性が高い時点で、例えばT細胞の投与開始後21日以内に開始される。いくつかの場合には、ピークCAR-T細胞は、CAR T細胞の投与後11~15日以内に存在する。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、細胞療法の投与開始後1~15日、例えば1日もしくは約1日、または8日もしくは約8日、または15日もしくは約15日の時点で開始される。いくつかの態様では、化合物Aは、対象が細胞療法の投与後に重篤な毒性を示さない時点で投与される。
【0112】
いくつかの局面では、提供される方法のいずれかにおいて、化合物の投与は、T細胞療法の投与後21日以内に開始し(または開始され)、かつ以下を含むサイクリングレジメンで実施される:化合物が約0.1mg~約1.0mg/日で最大連続3週間毎日投与される第1の投与期間、第1の投与期間の終了時から始まる、化合物が投与されない少なくとも1週間の休止期間、および化合物が4週間の期間に約0.1mg~約1.0mg/日で連続3週間毎日投与される4週間サイクルを含む第2の投与期間。いくつかの態様では、化合物は、第1の投与期間および第2の投与期間中、約0.30mg、0.45mgまたは0.60mg/日で投与される。いくつかの態様では、4週間サイクルの1つまたは複数の間、化合物は、連続3週間の後の1週間投与されない。
【0113】
いくつかの態様では、提供される方法は、神経毒性(NT)、サイトカイン放出症候群(CRS)、または好中球減少症などの血液学的毒性などの、毒性もしくは毒性転帰の高い割合もしくは可能性をもたらさないか、または他の特定の細胞療法もしくは免疫調節薬レジメンと比較して、毒性もしくは毒性転帰の割合もしくは可能性を低減する。
【0114】
いくつかの態様では、方法は、好中球減少症または血小板減少症などの特定の血液毒性をもたらさないか、またはそのリスクを増加させない。いくつかの態様では、対象の50%以下が、グレード3より高い好中球減少症、例えば長期グレード3の好中球減少症もしくはグレード4の好中球減少症、および/またはグレード3より高い血小板減少症、例えばグレード3もしくはグレード4の血小板減少症を示す。いくつかの態様では、方法に従って治療された対象の少なくとも50%(例えば治療された対象の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%またはそれ以上)は、グレード3またはグレード3より高い重度の好中球減少症または重度の血小板減少症を示さない。
【0115】
いくつかの態様では、方法は、重度のNT(sNT)、重度のCRS(sCRS)、マクロファージ活性化症候群、腫瘍溶解症候群、3日間またはそれ以上の日数にわたる少なくとも38℃または少なくとも約38℃の発熱、および少なくとも20mg/dLまたは少なくとも約20mg/dLのCRPの血漿レベルをもたらさないか、またはそのリスクを増加させない。いくつかの態様では、提供される方法に従って治療される対象の30%、35%、40%、50%、55%、60%、もしくはそれ以上より多く、または約30%、35%、40%、50%、55%、60%、もしくはそれ以上より多くが、いかなるグレードのCRSもいかなるグレードの神経毒性も示さない。いくつかの態様では、治療された対象の50%以下(例えば治療された対象の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上)は、グレード2より高いサイトカイン放出症候群(CRS)および/またはグレード2より高い神経毒性を示す。いくつかの態様では、方法に従って治療される対象の少なくとも50%(例えば治療された対象の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上)は、重篤な毒性転帰(例えば重度のCRSまたは重度の神経毒性)を示さず、例えばグレード3もしくはそれより高い神経毒性を示さず、および/または重度のCRSを示さず、または治療後の特定の期間内に、例えば細胞の投与の1週間以内、2週間以内もしくは1ヶ月以内にこれらを示さない。
【0116】
いくつかの場合には、化合物Aは、細胞を効率的/効果的にブーストまたはプライミングすることができる時点で投与される。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、細胞療法の細胞のピークまたは最大レベルが対象の血液中で検出可能であるときまたはそれより前に開始される。いくつかの態様では、提供される方法は、T細胞療法、例えばCAR-T細胞療法を増強することができ、これは、いくつかの局面では、治療の転帰を改善することができる。いくつかの態様では、この方法は、T細胞療法の細胞が対象で弱い拡大を示し、枯渇状態になり、持続性の低下もしくは減少を示す対象において、ならびに/または他の療法に抵抗性もしくは難治性である、および/もしくは侵襲性もしくは高リスクの癌である癌を有する対象において、特に有利である。
【0117】
いくつかの態様では、T細胞療法、例えばCAR-T細胞の投与を受けた対象は、対象の生物学的試料中、例えば対象の血液中などで、対象における治療のT細胞の存在、非存在またはレベルについてモニターされる。いくつかの態様では、提供される方法は、それが投与される対象において、増加した持続性および/またはより良好な効力を有する遺伝子操作された細胞をもたらす。いくつかの態様では、対象におけるCAR発現T細胞などの遺伝子操作された細胞の持続性は、T細胞療法の投与を含むが化合物Aの投与の非存在下などの代替方法によって達成されるであろう持続性と比較してより大きい。いくつかの態様では、持続性は、少なくとも1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、もしくはそれ以上、または少なくとも約1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、もしくはそれ以上増加する。
【0118】
いくつかの態様では、投与された細胞の持続性の程度または範囲を、対象への投与後に検出または定量化することができる。例えば、いくつかの局面では、定量的PCR(qPCR)が、対象の血液または血清または器官または組織(例えば疾患部位)において組換え受容体を発現する細胞(例えばCAR発現細胞)の量を評価するために使用される。いくつかの局面では、持続性は、DNA 1マイクログラム当たりの、受容体、例えばCARをコードするDNAもしくはプラスミドのコピー数として、または試料、例えば血液もしくは血清1マイクロリットル当たりの、または試料1マイクロリットル当たりの末梢血単核細胞(PBMC)もしくは白血球もしくはT細胞の総数当たりの、受容体発現細胞、例えばCAR発現細胞の数として定量化される。いくつかの態様では、一般に受容体に特異的な抗体を用いて受容体を発現する細胞を検出するフローサイトメトリーアッセイも実施することができる。細胞に基づくアッセイはまた、機能的な細胞、例えば疾患もしくは状態の細胞または受容体によって認識される抗原を発現する細胞に結合する、および/またはそれを中和する、および/またはそれに対する応答、例えば細胞傷害性応答を誘導することができる細胞の数または割合を検出するために使用され得る。そのような態様のいずれにおいても、組換え受容体(例えばCAR発現細胞)に関連する別のマーカーの発現の程度またはレベルを使用して、投与された細胞を対象の内因性細胞から区別することができる。
【0119】
いくつかの態様では、化合物Aは、応答の持続性を増強する、高める、または最適化するために、ある期間投与される。いくつかの局面では、提供される方法は、3ヶ月で、例えば一般に6ヶ月で完全寛解(CR)を達成するかまたはその状態にある対象が、より長期間応答を持続する、例えば治療の終了後または併用療法の投与後初めて完全奏効(CR)を達成した後3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、もしくは12ヶ月を超えて、または約3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、もしくは12ヶ月を超えて生存するかまたは進行なしに生存する可能性がより高いという観察に基づく。いくつかの局面では、方法は、化合物Aを、記載されるような特定のサイクリングレジメンなどで、T細胞療法の投与開始後少なくとも3ヶ月、例えば少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月または少なくとも6ヶ月の期間、投与するために実施される。いくつかの態様では、化合物Aは、記載されるような特定のサイクリングレジメンなどで、T細胞療法の投与の開始後少なくとも6ヶ月間または少なくとも180日間投与される。いくつかの態様では、期間の終わりに、対象がCRを示す場合、または治療(併用療法)を受けた後の寛解後に対象において疾患または状態が進行もしくは再発した場合、化合物Aの投与は終了または停止される。いくつかの局面では、化合物Aの継続投与は、期間の終わり(例えば3ヶ月もしくは約3ヶ月または6ヶ月もしくは約6ヶ月)に部分奏効(PR)または安定疾患(SD)を示す対象において実施され得る。他の局面では、期間は固定された期間であり、化合物Aのさらなる投与は実施されない。
【0120】
いくつかの局面では、提供される方法および使用は、特定の代替方法、例えば治療対象の特定の群などにおける、単剤療法としての、または本明細書に記載されるような併用療法としての投与を伴わない、T細胞療法または化合物Aの投与を含む方法と比較して、改善されたまたはより持続性の応答または効果を提供または達成する。いくつかの態様では、方法は、例えばT細胞療法(例えばCAR発現T細胞)などの養子細胞療法のための細胞を含む組成物などのT細胞療法、および化合物Aを投与することにより、有利であるいくつかの態様では、そのような応答は、高リスク疾患、例えば高リスクNHLを有する患者などの、予後不良を有する高リスク患者において観察される。いくつかの局面では、この方法は、悪性度が高いおよび/または予後不良のB細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)の形態、例えば再発したかまたは標準的な治療に難治性(R/R)であるかまたは予後不良であるNHLを有する対象を治療する。いくつかの態様では、提供される方法に従って治療される対象は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)または濾胞性リンパ腫を有する。
【0121】
いくつかの態様では、提供される方法に従って、および/または提供される製品、キットもしくは組成物を用いて治療される対象の少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、または少なくとも75%またはそれ以上が、完全奏効(CR)を達成する。いくつかの態様では、対象はCR状態であり、最小残存病変(MRD)を示す。いくつかの態様では、対象はCR状態であり、MRD-である。いくつかの態様では、提供される方法に従って、および/または提供される製品、キットもしくは組成物を用いて治療される対象の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%が、部分奏効(PR)の客観的奏効を達成する。いくつかの態様では、提供される方法に従って、および/または提供される製品、キットもしくは組成物を用いて治療される対象の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%またはそれ以上が、細胞療法の投与開始後6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月または1年でCRまたはPRを達成する。
【0122】
いくつかの態様では、細胞療法の投与の開始後3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、または12ヶ月またはそれ以上まで、提供される方法に従って、および/または提供される製品、キットもしくは組成物を用いて治療される対象の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれ以上が、奏効状態のままである、例えばCRまたは客観的奏効(OR)のままである。いくつかの態様では、CRまたはORなどのそのような応答は、例えば提供される方法に従って治療される対象の少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくはそれ以上において、または3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、もしくは6ヶ月までにCRを達成するそのような対象において、少なくとも3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、またはそれ以上にわたって持続する。いくつかの態様では、提供される方法に従って、および/または提供される製品、キットもしくは組成物を用いて治療される対象の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくはそれ以上は、または3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月もしくは6ヶ月までにCRを達成するそのような対象は、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、もしくはそれより長い、または約6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、もしくはそれより長い間、生存するかまたは進行なしに生存する。
【0123】
本出願において言及される特許文書、科学論文およびデータベースを含むすべての刊行物は、それぞれ個々の刊行物が個別に参照により組み入れられているのと同じ程度に、すべての目的のためにその全体が参照により組み入れられる。本明細書で示される定義が、参照により本明細書に組み入れられる特許、特許出願、公開特許出願および他の刊行物で示される定義と相容れないまたは矛盾する場合、本明細書で示される定義が、参照により本明細書に組み入れられる定義に優先する。
【0124】
本明細書で使用されるセクションの見出しは、構成目的のためだけのものであり、記載されている主題を限定すると解釈されるべきではない。
【0125】
I. 併用療法
癌を有する対象の治療のための、T細胞(例えばCAR-T細胞)などの操作された細胞および(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンまたは式I
の化合物、またはその組成物を含むその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、互変異性体、もしくはラセミ混合物(化合物A)の方法および使用が提供される。いくつかの態様では、方法は、B細胞悪性腫瘍を有する対象を治療するためのものである。いくつかの局面では、方法は、白血病または非ホジキンリンパ腫(NHL)などのリンパ腫を治療するためのものである。いくつかの局面では、方法および使用は、特定の代替方法と比較して、例えば治療される対象の特定の群において、改善されたおよび/またはより持続性の応答または効果を提供または達成する。
【0126】
いくつかの態様では、方法および使用は、(1)一般にキメラ抗原受容体(CAR)などのキメラ受容体である、遺伝子操作された細胞表面受容体(例えば組換え抗原受容体)を発現し、白血病もしくはリンパ腫(例えばNHL)などのB細胞悪性腫瘍によって発現される、それに関連するおよび/もしくはそれに特異的な抗原を認識するT細胞、ならびに/またはそれが由来する細胞型を含むT細胞療法を対象に投与する工程、ならびに(2)化合物Aを対象に投与する工程を含む。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、T細胞療法の投与後(投与に続いて)またはT細胞療法の投与の開始後に(開始に続いて)開始される。いくつかの場合には、化合物Aは、T細胞療法の投与を受けた対象に投与される。この方法は、一般に、1つまたは複数の用量の細胞および1つより多い用量の化合物Aを対象に投与する工程を含む。
【0127】
例えばキメラ抗原受容体(CAR)などの組換え受容体を発現する操作された細胞および化合物Aを含む併用療法、または本明細書に記載される操作された細胞および/もしくは化合物Aを含む組成物は、様々な治療、診断および予防適応において有用である。例えば、組み合わせは、対象における様々な疾患および障害を治療するのに有用である。そのような方法および使用には、例えば、操作された細胞、化合物Aおよび/または一方もしくは両方を含む組成物を、腫瘍または癌などの疾患、状態、または障害を有する対象に投与する工程を含む治療方法および治療的使用が含まれる。いくつかの態様では、操作された細胞、化合物Aおよび/または一方もしくは両方を含む組成物は、疾患または障害の治療をもたらすのに有効な量で投与される。使用には、そのような方法および治療における、ならびにそのような治療方法を実施するための薬剤の調製における、操作された細胞、化合物Aおよび/または一方もしくは両方を含む組成物の使用が含まれる。いくつかの態様では、方法は、操作された細胞、化合物A、および/または一方もしくは両方を含む組成物を、疾患または状態を有するまたは有することが疑われる対象に投与することによって実施される。いくつかの態様では、この方法は、それにより、対象における疾患または状態または障害を治療する。いくつかの態様では、操作された細胞は、セクションIIに記載されているいずれかである。
【0128】
いくつかの態様では、併用療法は、特定のB細胞悪性腫瘍を有する対象に投与される。治療されるB細胞悪性腫瘍は、抗原の発現がB細胞悪性腫瘍の病因に関連するおよび/または関与する、例えばB細胞悪性腫瘍を引き起こす、悪化させる、またはさもなければ関与する任意のものであり得る。例示的なB細胞悪性腫瘍には、悪性腫瘍または細胞の形質転換に関連する疾患または状態(例えば癌)が含まれ得る。治療することができる様々なB細胞悪性腫瘍に関連する抗原を含む例示的な抗原が、本明細書に記載されている。特定の態様では、キメラ抗原受容体は、疾患または状態に関連する抗原に特異的に結合する。いくつかの態様では、受容体によって標的とされる抗原は、いくつかの公知のB細胞マーカーのいずれかなどの、B細胞悪性腫瘍に関連する抗原を含む。いくつかの態様では、抗原は、ヒトB細胞を含むB細胞によって、またはB細胞上で発現される。いくつかの態様では、受容体によって標的とされる抗原は、CD20、CD19、CD22、ROR1、CD45、CD21、CD5、CD33、Igカッパ、Igラムダ、CD79a、CD79b、またはCD30である。いくつかの態様では、抗原はCD19であり、キメラ抗原受容体はCD19に特異的に結合する。いくつかの態様では、CD19抗原はヒトCD19である。CAR発現T細胞がCD19に特異的である、本明細書で提供される方法のいずれかの記載はまた、別のB細胞抗原、またはT細胞悪性腫瘍の細胞に関連するもしくはその細胞上に発現される抗原、例えば上記のいずれかを標的とすることによって実施され得ることが理解される。
【0129】
いくつかの態様では、治療されるべきB細胞悪性腫瘍には、白血病およびリンパ腫、例えば急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性(myeloidまたはmyelogenous)白血病(CML)、急性リンパ性(またはリンパ芽球性)白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、ヘアリーセル白血病(HCL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯リンパ腫、バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫(HL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、濾胞性リンパ腫、難治性濾胞性リンパ腫、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)が含まれる。いくつかの態様では、疾患または状態は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、成人ALL、慢性リンパ芽球性白血病(CLL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の中から選択されるB細胞悪性腫瘍である。いくつかの態様では、疾患または状態はNHLであり、NHLは、侵襲性NHL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、NOS(デノボおよび無痛性から形質変換したもの)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫(TCHRBCL)、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、および/または濾胞性リンパ腫(FL)、任意で濾胞性リンパ腫グレード3B(FL3B)からなる群より選択される。
【0130】
いくつかの態様では、方法は、抗原受容体発現細胞(例えばCAR発現細胞)および化合物Aを投与することによって、非ホジキンリンパ腫(NHL)などのリンパ腫または白血病を有する対象を治療する工程を含む。いくつかの態様では、化合物Aは、組換え受容体発現細胞(例えばCAR発現細胞)の投与後または投与に続いて、例えば組換え受容体発現細胞(例えばCAR発現細胞)の投与の開始後または投与の開始に続いて投与される。
【0131】
いくつかの態様では、NHLは、Lugano分類に基づいて病期分類することができる(例えばCheson et al., (2014)JCO 32(27):3059-3067;Cheson, B. D.(2015) Chin Clin Oncol 4(1):5参照)。いくつかの場合には、病期はIからIV(1~4)のローマ数字で表され、リンパ系外の器官(リンパ節外器官)に影響を及ぼす限局性病期(IまたはII)のリンパ腫はEで示される。病期Iは、1つのリンパ節もしくは隣接するリンパ節の群への関与、またはリンパ節の関与のない単一のリンパ節外病変(IE)を表す。病期2は、隔膜の同じ側の2つもしくはそれより多いリンパ節群への関与、または限局性の隣接するリンパ節外関与を伴う病期IもしくはIIのリンパ節範囲(IIE)の関与を表す。病期IIIは、脾臓の関与を伴う隔膜の両側のリンパ節または隔膜の上のリンパ節の関与を表す。病期IVは、さらなる非隣接リンパ節外関与を表す。さらに、「巨大病変」は、特に病期IIの胸部の大きな腫瘍を表すために使用され得る。疾患の程度は、avidリンパ腫の場合は陽電子放射断層撮影(PET)-コンピュータ断層撮影(CT)によって、非avid組織学の場合はCTによって決定される。
【0132】
いくつかの態様では、Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)のパフォーマンスステータス指標を使用して、治療のための対象、例えば以前の治療からの転帰が不良であった対象を評価または選択することができる(例えばOken et al.(1982)Am J Clin Oncol.5:649-655参照)。いくつかの態様では、対象は、1未満または1のECOGステータスを有する。ECOGパフォーマンスステータススケールは、自分自身の面倒を見る能力、日常の活動、および身体能力(例えば歩行、作業など)の観点から患者の機能のレベルを表す。いくつかの態様では、ECOGパフォーマンスステータス0は、対象が通常の活動を実行できることを示す。いくつかの局面では、ECOGパフォーマンスステータスが1の対象は、身体活動に多少の制限を示すが、対象は完全に歩行可能である。いくつかの局面では、ECOGパフォーマンスステータスが2の患者は50%を超えて歩行可能である。いくつかの場合には、ECOGパフォーマンスステータスが2の対象も自分自身の面倒を見ることが可能であり得る;例えばSorensen et al., (1993)Br J Cancer 67(4)773-775参照。ECOGパフォーマンスステータスを反映した基準を以下の表1に示す。
【0133】
(表1)ECOGパフォーマンスステータス基準
【0134】
いくつかの態様では、対象は、ダブル/トリプルヒットリンパ腫またはダブル/トリプルヒット分子サブタイプのリンパ腫を有するかまたは有すると同定されたことがある。いくつかの態様では、リンパ腫は、MYC(骨髄球腫症癌遺伝子)、BCL2(B細胞リンパ腫2)、および/またはBCL6(B細胞リンパ腫6)遺伝子再構成(例えば転座)の存在を特徴とするダブルヒットリンパ腫である。いくつかの態様では、リンパ腫は、MYC、BCL2、およびBCL6遺伝子再構成の存在を特徴とするトリプルヒットリンパ腫である;例えばAukema et al., (2011)Blood 117:2319-2331参照。そのような態様のいくつかの局面では、対象はECOG 0~1である。複数の局面では、治療法はそのような対象に適応され、および/または指示書はそのような集団内の対象への投与を指示する。いくつかの態様では、2016年のWHO基準(Swerdlow et al., (2016)Blood 127(20):2375-2390)に基づいて、ダブル/トリプルヒットリンパ腫は、DLBCL組織学を伴うMYCおよびBCL2および/またはBCL6再構成を有する(ダブル/トリプルヒット)、高グレードB細胞リンパ腫と見なすことができる。
【0135】
いくつかの態様では、併用療法は、細胞療法(例えばCAR+T細胞)による治療に対して、応答不良者であるもしくは応答不良者である可能性が高いもしくは応答不良者であると予測される、ならびに/または応答しない、応答しない可能性が高いおよび/もしくは応答しないと予測されるかまたは特定の時間内および/もしくは特定の程度に応答しない対象に投与される。いくつかの態様では、併用療法は、細胞療法の投与開始後1ヶ月以内、2ヶ月以内、または3ヶ月以内などに、完全奏効または全体奏効を示さない、または示さない可能性が高い、または示さないと予測される対象に投与される。いくつかの態様では、併用療法は、細胞療法の投与後1ヶ月以内、2ヶ月以内または3ヶ月以内などに、進行(PD)を示すか、または進行を示す可能性がある、または進行を示すと予測される対象に投与される。いくつかの態様では、対象は、細胞療法でそのような治療された、または以前に治療された複数の同様の状況にある対象に基づいて、応答または特定の応答を示さない可能性が高いかまたは示さないと予測される。
【0136】
いくつかの態様では、提供される方法は、対象の特定の群またはサブセット、例えば高リスク疾患、例えば高リスクNHLを有すると同定された対象を治療する工程を含む。いくつかの局面では、この方法は、悪性度が高いおよび/または予後不良のB細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)の形態、例えば再発したかまたは標準的な治療に難治性(R/R)であるかまたは予後不良であるNHLを有する対象を治療する。いくつかの場合には、治療法が適応となる疾患および/または患者集団についての利用可能な治療法、標準治療、または参照治療法に対する全奏効率(ORR)は40%未満であり、および/または完全奏効(CR)は20%未満である。いくつかの態様では、化学療法抵抗性DLBCLにおいて、参照または利用可能な治療または標準治療の療法に関するORRは約26%であり、CRは約8%である(Crump et al. Outomes in refractory aggressive diffuse large B-cell lymphoma(DLBCL):Results from the international SCHOLAR study. ASCO 2016[Abstract 7516])。いくつかの局面では、提供される方法、組成物、使用、および製品は、利用可能な治療法よりも改善された優れた応答を達成する。
【0137】
いくつかの態様では、本明細書に記載される対象の治療のための方法および使用は、例えば特定の種類の疾患、診断基準、以前の治療および/または以前の治療に対する応答に基づいて、対象の特定の群またはサブセットを選択または同定する工程を含む。いくつかの態様では、方法は、1つもしくは複数の以前の療法による治療後に寛解の後に再発したかもしくは難治性になった対象、または1つもしくは複数の以前の療法、例えば本明細書に記載されるものを含む1つもしくは複数の標準治療ラインに対して再発したかもしくは難治性である(R/R)対象を治療する工程を含む。
【0138】
いくつかの態様では、対象は、1より多い、2より多い、3より多い、4より多い、5より多い、または6より多い以前の治療を受けたことがある。いくつかの態様では、対象は、1つの以前の治療を受けたことがある。いくつかの態様では、対象は、約2~4の以前の治療を受けたことがある。いくつかの態様では、対象は、約5~6の以前の治療を受けたことがある。いくつかの態様では、対象は、6を超える以前の治療を受けたことがある。
【0139】
いくつかの態様では、対象は、組換え受容体を発現する細胞の投与の前に、B細胞悪性腫瘍、例えばNHLを標的とする治療法または治療薬で以前に治療されたことがある。いくつかの態様では、対象は、細胞療法(例えばCAR+T細胞)で以前に治療されたことがある。いくつかの態様では、対象は、造血幹細胞移植(HSCT)、例えば同種HSCTまたは自家HSCTで以前に治療されたことがある。いくつかの態様では、対象は、標準的な治療法による治療後に予後不良になったことがあり、および/または1つもしくは複数の以前の治療ラインに失敗している。いくつかの態様では、対象は、リンパ球除去療法以外に、NHLを治療するために少なくとも1もしくは少なくとも約1もしくは約1、少なくとも2もしくは少なくとも約2もしくは約2、少なくとも3もしくは少なくとも約3もしくは約3、少なくとも4もしくは少なくとも約4もしくは約4、少なくとも5もしくは少なくとも約5もしくは約5、少なくとも6もしくは少なくとも約6もしくは約6、または少なくとも7もしくは少なくとも約7もしくは約7の他の治療法で治療されたことがあるか、または以前に治療法を受けたことがある。いくつかの態様では、対象は、化学療法または放射線療法で以前に治療されたことがある。いくつかの局面では、対象は、他の療法または治療薬に対して難治性または不応性である。いくつかの態様では、対象は、例えば化学療法または放射線を含む別の療法または治療的介入による治療の後に、持続性または再発性疾患を有している。
【0140】
いくつかの態様では、併用療法は、以前の治療で進行した対象に投与される。いくつかの態様では、併用療法は、以前の療法への応答を停止した対象に投与される。いくつかの態様では、併用療法は、以前の治療後の寛解の後に再発した対象に投与される。いくつかの態様では、併用療法は、以前の治療に難治性である対象に投与される。いくつかの態様では、併用療法は、以前の療法に対して至適奏効(例えば完全奏効、部分奏効または安定疾患)未満の対象に投与される。
【0141】
いくつかの態様では、対象は、以前の最後の治療に難治性である。いくつかの態様では、対象は、以前の最後の治療に対して再発している。対象が以前の最後の治療に対して部分奏効未満の応答を達成した場合、状態は難治性である。いくつかの態様では、対象は以前に化学療法を受けている。いくつかの態様では、対象は、以前の化学療法に対して化学療法抵抗性である。いくつかの態様では、対象は、以前の療法に対して化学感受性である。対象が最後の化学療法を含むレジメンに対して安定疾患(SD)もしくは進行性疾患(PD)を達成したか、または自家幹細胞移植後12ヶ月未満に再発した場合、状態は化学療法抵抗性である。それ以外の場合、状態は化学感受性である。
【0142】
いくつかの態様では、以前の処置または治療は、CD20を標的とする剤を含む。いくつかの態様では、以前の処置または治療は、アントラサイクリンを含む。いくつかの態様では、以前の処置または治療は、細胞療法(例えばT細胞療法、例えばCAR T細胞療法)を含む。
【0143】
いくつかの態様では、本方法、使用および製品は、例えば特定の種類の疾患、診断基準、以前の治療および/または以前の治療に対する応答に基づいて、記載されている対象の任意の群などの、対象の特定の群またはサブセットを選択または同定する工程を含む、対象の治療を含むかまたは対象の治療のために使用される。いくつかの態様では、方法は、1つもしくは複数の以前の療法による治療後に寛解の後に再発したかもしくは療法に難治性になった対象、または1つもしくは複数の以前の療法、例えば1つもしくは複数の標準治療ライン、例えば細胞療法(例えばCAR+T細胞)に対して再発したかもしくは難治性である(R/R)対象を治療する工程を含む。いくつかの態様では、方法は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、他に特定されないもの(NOS;デノボおよび無痛性から形質転換したもの)、原発性縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)または濾胞性リンパ腫グレード3B(FL3B)、EBV陽性DLBCL、またはEBV陽性NOSを有する対象を治療する工程を含む。いくつかの態様では、方法は、1未満、例えば0~1の東部共同腫瘍学グループパフォーマンスステータス(ECOG)を有する対象を治療する工程を含む。いくつかの態様では、方法は、一般に療法に対してまたは特定の参照療法に対して応答不良であるDLBCL患者またはその対象の予後不良の集団、例えば1つまたは複数、例えば2つまたは3つの染色体転座を有するもの(例えば、DLBCL組織学を伴うMYCおよびBCL2および/またはBCL6再構成を有する高グレードB細胞リンパ腫である、いわゆる「ダブルヒット」または「トリプルヒット」リンパ腫;通常はt(14;18)(q32;q21)bcl-2遺伝子または/およびBCL6/3q27染色体転座と組み合わせて転座MYC/8q24遺伝子座を有するもの;例えばXu et al.(2013)Int J Clin Exp Pathol.6(4):788-794参照)、および/または再発した、任意で12ヶ月以内に再発したもの、および/または化学療法抵抗性と見なされたものを治療する。
【0144】
いくつかの態様では、対象は、胚中心様(GCB)DLBCLであるDLBCLを有する。いくつかの態様では、対象は、非胚中心様(非GCB)DLBCLを有する。いくつかの態様では、対象は、ダブルヒットリンパ腫(DHL)を有する。いくつかの態様では、対象は、トリプルヒットリンパ腫(THL)を有する。いくつかの態様では、対象は、化合物Aによる治療の応答性を示す遺伝子の発現について陽性である。いくつかの態様では、対象は、前記遺伝子の発現について陰性である。Blood 2017 130:4118参照。
【0145】
いくつかの態様では、抗原受容体(例えばCAR)は、疾患または状態に関連する、例えばNHLに関連する標的抗原に特異的に結合する。いくつかの態様では、疾患または障害に関連する抗原は、CD20、CD19、CD22、ROR1、CD45、CD21、CD5、CD33、Igκ、Igλ、CD79a、CD79bまたはCD30から選択される。いくつかの態様では、抗原はCD19である。いくつかの態様では、CD19抗原はヒトCD19である。
【0146】
いくつかの態様では、方法は、B細胞悪性腫瘍を有している、有するリスクがある、または有することが疑われる対象への、細胞療法および化合物Aの投与を含む。
【0147】
いくつかの態様では、方法は、NHLの特定の予後またはリスクを有するとして選択または同定された対象への細胞の投与を含む。非ホジキンリンパ腫(NHL)は多様な疾患であり得る。NHLを有する対象の一部は治療なしで生き延び得るが、また別の対象は即時の介入が必要であり得る。いくつかの場合には、NHLを有する対象は、疾患の予後および/または推奨される治療戦略を通知する可能性のある群に分類され得る。いくつかの場合には、これらの群は「低リスク」、「中リスク」、「高リスク」、および/または「非常に高リスク」であり得、患者は、遺伝的異常および/または形態学的もしくは身体的特徴を含むがこれらに限定されるわけではない多くの因子に依存してそのように分類され得る。いくつかの態様では、方法に従って、および/または製品もしくは組成物に従って治療される対象は、NHLのリスクに基づいて分類または同定される。いくつかの態様では、対象は、高リスクNHLを有する対象である。
【0148】
いくつかの態様では、治療されるべき対象には、侵襲性NHL、特に、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、他に特定されないもの(NOS;デノボおよび無痛性から形質転換したもの)、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫、原発性縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、濾胞性リンパ腫グレード3B(FL3B)、EBV陽性DLBCL、EBV陽性NOS、またはDLBCL組織学を伴うMYCおよびBCL2および/もしくはBCL6再構成を有する高悪性度B細胞リンパ腫(「ダブルヒット」または「トリプルヒット」リンパ腫)を有する対象の群が含まれる。いくつかの態様では、対象の疾患は、少なくとも2つの以前の治療ラインに対して再発したか、または難治性であった。いくつかの態様では、以前の治療は、CD20を標的とする剤および/またはアントラサイクリンを含む。いくつかの態様では、対象は、スクリーニング時に0~1のECOGスコアを有する。いくつかの態様では、対象は、Lugano分類(Cheson, 2014)により、陽電子放射断層撮影(PET)陽性の疾患を有する。いくつかの態様では、対象は、任意で同種幹細胞移植(SCT)で以前に治療されていてもよい。
【0149】
いくつかの態様では、対象は成人である。いくつかの態様では、対象は男性である。いくつかの態様では、対象は女性である。いくつかの態様では、対象は、併用療法を投与される時点で(例えば細胞療法を投与される時点で)少なくとも40歳である。いくつかの態様では、対象は、併用療法を投与される時点で(例えば細胞療法を投与される時点で)40歳未満である。いくつかの態様では、対象は、併用療法を投与される時点で(例えば細胞療法を投与される時点で)約40~65歳である。いくつかの態様では、対象は、併用療法を投与される時点で(例えば細胞療法を投与される時点で)少なくとも65歳である。
【0150】
A. 細胞療法の投与
養子細胞療法のための細胞の投与方法は公知であり、提供される方法、組成物および製品に関連して使用され得る。例えば、養子T細胞療法の方法は、例えばGruenberg et alの米国特許出願公開第2003/0170238号;Rosenbergの米国特許第4,690,915号;Rosenberg (2011) Nat Rev Clin Oncol. 8(10):577-85)に記載されている。例えば、Themeli et al. (2013)Nat Biotechnol. 31(10):928-933;Tsukahara et al. (2013)Biochem Biophys Res Commun 438(1):84-9;Davila et al. (2013)PLoS ONE 8(4):e61338参照。
【0151】
いくつかの態様では、提供される方法で使用されるまたは提供される方法に関連して投与される細胞は、操作された受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)などの操作された抗原受容体またはT細胞受容体(TCR)を含むか、または含むように操作されている。組成物の中には、養子細胞療法のためなどの、投与のための薬学的組成物および製剤がある。提供される方法に従って、および/または提供される製品もしくは組成物に従って、細胞および組成物を対象、例えば患者に投与するための治療方法も提供される。
【0152】
細胞は一般に、組換え受容体、例えば機能的非TCR抗原受容体を含む抗原受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)、およびトランスジェニックT細胞受容体(TCR)などの他の抗原結合受容体を発現する。受容体の中には他のキメラ受容体もある。提供される方法で細胞療法として投与するための例示的な操作された細胞は、セクションIIに記載されている。
【0153】
いくつかの態様では、細胞療法、例えば養子T細胞療法は、細胞が、細胞療法を受けることになっている対象から、またはそのような対象に由来する試料から単離されるおよび/またはさもなければ調製される、自家移植によって実施される。したがって、いくつかの局面では、細胞は、治療を必要とする対象、例えば患者に由来し、単離および処理後に同じ対象に投与される。
【0154】
いくつかの態様では、細胞療法、例えば養子T細胞療法は、細胞が、細胞療法を受けることになっているまたは最終的に細胞療法を受ける対象、例えば第1の対象以外の対象から単離されるおよび/またはさもなければ調製される、同種移植によって実施される。そのような態様では、細胞は、次いで、同じ種の異なる対象、例えば第2の対象に投与される。いくつかの態様では、第1の対象と第2の対象は遺伝的に同一である。いくつかの態様では、第1の対象と第2の対象は遺伝的に類似する。いくつかの態様では、第2の対象は、第1の対象と同じHLAクラスまたはスーパータイプを発現する。
【0155】
T細胞療法の細胞は、投与用に製剤化された組成物で、あるいは別々の投与用に製剤化された2つ以上の組成物(例えば2つの組成物)で投与することができる。細胞の用量(1つまたは複数)は、特定の数もしくは相対的な数の細胞もしくは操作された細胞、および/またはCD4対CD8 T細胞などの組成物内の2つまたはそれより多いサブタイプの定義された比率もしくは組成物を含み得る。
【0156】
細胞は、任意の適切な手段、例えばボーラス注入によって、注射、例えば静脈内もしくは皮下注射、眼内注射、眼周囲注射、網膜下注射、硝子体内注射、経中隔注射、強膜下注射、脈絡膜内注射、前房内注射、結膜下注射、結膜下注射、テノン嚢下注射、眼球後注射、眼球周囲注射、または後傍強膜送達によって投与することができる。いくつかの態様では、それらは、非経口投与、肺内投与、および鼻腔内投与によって、ならびに局所治療のために所望する場合は、病巣内投与によって投与される。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、または皮下投与が含まれる。いくつかの態様では、細胞の単回ボーラス投与によって所与の用量が投与される。いくつかの態様では、所与の用量は、例えば3日以下の期間にわたる細胞の複数回ボーラス投与によって、または細胞の持続注入投与によって投与される。いくつかの態様では、細胞用量の投与または任意のさらなる療法、例えばリンパ球除去療法、介入療法および/または併用療法の投与は、外来患者送達によって実施される。
【0157】
疾患の治療のために、適切な投与量は、治療される疾患の種類、細胞または組換え受容体の種類、疾患の重症度および経過、過去の療法、対象の病歴および細胞に対する応答、ならびに主治医の裁量に依存し得る。組成物および細胞は、いくつかの態様では、一度にまたは一連の治療にわたって対象に適切に投与される。
【0158】
免疫除去(例えばリンパ球除去)療法で対象を前処置することは、いくつかの局面では、養子細胞療法(ACT)の効果を改善することができる。
【0159】
したがって、いくつかの態様では、方法は、細胞療法の開始前に、リンパ球除去剤または化学療法剤、例えばシクロホスファミド、フルダラビン、またはそれらの組み合わせなどの前処置剤を対象に投与する工程を含む。例えば、対象は、細胞療法の開始の少なくとも2日前に、例えば少なくとも3日前、少なくとも4日前、少なくとも5日前、少なくとも6日前、または少なくとも7日前に前処置剤を投与され得る。いくつかの態様では、対象は、細胞療法の開始前7日以内、例えば6日以内、5日以内、4日以内、3日以内、または2日以内に前処置剤を投与される。
【0160】
いくつかの態様では、対象は、20mg/kg~100mg/kgまたは約20mg/kg~100mg/kg、例えば40mg/kg~80mg/kgまたは約40mg/kg~80mg/kgの用量のシクロホスファミドで前処置される。いくつかの態様では、対象は、60mg/kgまたは約60mg/kgのシクロホスファミドで前処置される。いくつかの態様では、シクロホスファミドは、単回用量で投与され得るか、または毎日、隔日もしくは3日ごとに投与されるなどの複数回用量で投与され得る。いくつかの態様では、シクロホスファミドは、1日1回、1日間または2日間にわたって投与される。いくつかの態様では、リンパ球枯渇剤がシクロホスファミドを含む場合、対象は、100mg/m2~500mg/m2もしくは約100mg/m2~500mg/m2、例えば200mg/m2~400mg/m2もしくは約200mg/m2~400mg/m2、または250mg/m2~350mg/m2もしくは約250mg/m2~350mg/m2(両端の値を含む)の用量でシクロホスファミドを投与される。いくつかの場合には、対象は、約300mg/m2のシクロホスファミドを投与される。いくつかの場合には、対象は、約500mg/m2のシクロホスファミドを投与される。いくつかの態様では、シクロホスファミドは、単回用量で投与され得るか、または毎日、隔日もしくは3日ごとに投与されるなどの複数回用量で投与され得る。いくつかの態様では、シクロホスファミドは、例えば1~5日間、例えば3~5日間にわたって毎日投与される。いくつかの場合には、対象は、細胞療法の開始前に、約300mg/m2のシクロホスファミドを3日間にわたって毎日投与される。いくつかの場合には、対象は、細胞療法の開始前に、約500mg/m2のシクロホスファミドを3日間にわたって毎日投与される。
【0161】
いくつかの態様では、リンパ球枯渇剤がフルダラビンを含む場合、対象は、1mg/m2~100mg/m2もしくは約1mg/m2~100mg/m2、例えば10mg/m2~75mg/m2もしくは約10mg/m2~75mg/m2、15mg/m2~50mg/m2もしくは約15mg/m2~50mg/m2、20mg/m2~40mg/m2もしくは約20mg/m2~40mg/m2、または24mg/m2~35mg/m2もしくは約24mg/m2~35mg/m2の用量(両端の値を含む)でフルダラビンを投与される。いくつかの場合には、対象は、約30mg/m2のフルダラビンを投与される。いくつかの態様では、フルダラビンは、単回用量で投与され得るか、または毎日、隔日もしくは3日ごとに投与されるなどの複数回用量で投与され得る。いくつかの態様では、フルダラビンは、例えば1~5日間、例えば3~5日間にわたって毎日投与される。いくつかの場合には、対象は、細胞療法の開始前に、約30mg/m2のフルダラビンを3日間にわたって毎日投与される。
【0162】
いくつかの態様では、リンパ球枯渇剤は、シクロホスファミドとフルダラビンとの組み合わせなどの剤の組み合わせを含む。したがって、剤の組み合わせは、上記のような任意の用量または投与スケジュールのシクロホスファミド、および上記のような任意の用量または投与スケジュールのフルダラビンを含み得る。例えば、いくつかの局面では、対象は、最初の投与またはその後の投与の前に60mg/kg(~2g/m2)のシクロホスファミドおよび3~5回用量の25mg/m2のフルダラビンを投与される。いくつかの態様では、対象は、細胞療法の開始前に300mg/m2のシクロホスファミドおよび30mg/m2のフルダラビンの両方を3日間にわたって毎日投与される。いくつかの態様では、対象は、細胞療法の開始前に500mg/m2のシクロホスファミドおよび30mg/m2のフルダラビンの両方を3日間にわたって毎日投与される。
【0163】
細胞の投与に続いて、いくつかの態様では操作された細胞集団の生物学的活性を、例えば多くの公知の方法のいずれかによって測定する。評価するパラメーターには、インビボでは、例えば画像化による、またはエクスビボでは、例えばELISAもしくはフローサイトメトリーによる、操作されたもしくは天然のT細胞または他の免疫細胞の抗原への特異的結合が含まれる。特定の態様では、操作された細胞が標的細胞を破壊する能力を、任意の適切な公知の方法を使用して、例えばKochenderfer et al., J. Immunotherapy, 32(7):689-702(2009)、およびHerman et al. J. Immunological Methods, 285(1):25-40(2004)に記載されている細胞毒性アッセイを使用して測定することができる。特定の態様では、細胞の生物学的活性は、CD107a、IFNγ、IL-2、およびTNFなどの1つまたは複数のサイトカインの発現および/または分泌を検定することによって測定される。いくつかの局面では、生物学的活性は、腫瘍負荷または腫瘍量の減少などの臨床転帰を評価することによって測定される。
【0164】
1. 組成物および製剤
いくつかの態様では、組換え抗原受容体、例えばCARまたはTCRで操作された細胞を含むT細胞療法などの細胞療法の細胞の用量は、薬学的組成物または製剤などの組成物または製剤として提供される。そのような組成物は、B細胞悪性腫瘍の治療などにおいて、提供される方法および/または提供される製品もしくは組成物に従って使用することができる。
【0165】
「薬学的製剤」という用語は、その中に含まれる有効成分の生物学的活性が有効であることを可能にするような形態であり、および製剤が投与される対象に対して許容できないほどに毒性であるさらなる成分を含まない調製物を示す。
【0166】
「薬学的に許容される担体」は、対象に対して非毒性である、有効成分以外の薬学的製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体には、緩衝剤、賦形剤、安定剤または防腐剤が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0167】
いくつかの態様では、操作されたT細胞(例えばCAR T細胞)などの細胞療法は、薬学的に許容される担体と共に製剤化される。いくつかの局面では、担体の選択は、一部には特定の細胞もしくは剤によって、および/または投与方法によって決定される。したがって、種々の適切な製剤が存在する。例えば、薬学的組成物は防腐剤を含み得る。適切な防腐剤としては、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、および塩化ベンザルコニウムが挙げられ得る。いくつかの局面では、2つまたはそれ以上の防腐剤の混合物が使用される。防腐剤またはその混合物は、典型的には全組成物の約0.0001重量%から約2重量%の量で存在する。担体は、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed.(1980)に記載されている。薬学的に許容される担体は一般に、用いられる投与量および濃度でレシピエントに非毒性であり、以下のものが含まれるが、これらに限定されるわけではない:リン酸塩、クエン酸塩および他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール、メチルもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノールおよびm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンもしくはリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、およびグルコース、マンノースもしくはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えばZn-タンパク質錯体);ならびに/またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン界面活性剤。
【0168】
いくつかの局面では緩衝剤が組成物に含まれる。適切な緩衝剤としては、例えばクエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、リン酸カリウム、ならびに他の様々な酸および塩が挙げられる。いくつかの局面では、2つまたはそれ以上の緩衝剤の混合物が使用される。緩衝剤またはその混合物は、典型的には全組成物の約0.001重量%から約4重量%の量で存在する。投与可能な薬学的組成物を調製するための方法は公知である。例示的な方法は、例えばRemington:The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott Williams &Wilkins;21st ed. (May 1,2005)においてより詳細に記載されている。
【0169】
製剤は水溶液を含み得る。製剤または組成物はまた、それぞれの活性が互いに悪影響を及ぼさない場合、細胞または剤で治療される特定の適応症、疾患、または状態に有用な複数の活性成分を含み得る。そのような活性成分は、意図される目的に有効な量で組み合わせて適切に存在する。したがって、いくつかの態様では、薬学的組成物は、化学療法剤、例えばアスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、メトトレキサート、パクリタキセル、リツキシマブ、ビンブラスチン、ビンクリスチンなどのような他の薬学的に活性な剤または薬物をさらに含む。
【0170】
いくつかの態様で薬学的組成物は、治療上有効な量または予防上有効な量などの、疾患または状態を治療するために有効な量の細胞を含有する。いくつかの態様で治療有効性は、治療対象の定期的な評価によってモニタリングされる。数日間またはそれ以上にわたる反復投与については、状態に応じて、疾患の症状の所望の抑制が起こるまで、治療が繰り返される。しかしながら、他の投与レジメンも有用であり得、決定され得る。所望の投与量は、組成物の単回ボーラス投与によって、組成物の複数回ボーラス投与によって、または組成物の持続注入投与によって送達することができる。
【0171】
細胞は、標準的な投与技術、製剤、および/または装置を用いて投与され得る。組成物の保存および投与のための、注射器およびバイアルなどの製剤および装置が提供される。細胞に関して、投与は自己由来または異種であり得る。例えば、免疫応答性細胞または前駆体は、一対象から得ることができ、同じ対象または異なる、適合性の対象に投与され得る。末梢血由来免疫応答性細胞またはそれらの子孫(例えばインビボ、エクスビボまたはインビトロ由来)は、カテーテル投与、全身注入、局所注入、静脈内注射、または非経口投与を含む局所注入によって投与することができる。治療用組成物(例えば遺伝子改変された免疫応答性細胞を含む薬学的組成物)を投与する場合、治療用組成物は一般に単位投与注射形態(溶液、懸濁液、エマルジョン)に製剤化される。
【0172】
製剤には、経口投与、静脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、肺投与、経皮投与、筋肉内投与、鼻腔内投与、口腔投与、舌下投与、または坐剤投与用のものが含まれる。いくつかの態様では、剤または細胞集団は非経口投与される。本明細書で使用される「非経口」という用語は、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、直腸内投与、膣内投与、および腹腔内投与を含む。いくつかの態様では、剤または細胞集団は、静脈内、腹腔内、または皮下注射による末梢全身送達を用いて対象に投与される。
【0173】
いくつかの態様で組成物は、いくつかの局面では選択されたpHに緩衝され得る、滅菌液体製剤、例えば等張水溶液、懸濁液、エマルジョン、分散液、または粘性組成物として提供される。液体製剤は通常、ゲル、他の粘性組成物、および固体組成物よりも調製が容易である。さらに、液体組成物は、特に注射によって投与するのにいくぶんより便利である。他方で、粘性組成物は、特定の組織とのより長い接触期間を提供する適切な粘度範囲内に製剤化することができる。液体または粘性組成物は担体を含むことができ、担体は、例えば水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)およびそれらの適切な混合物を含む溶媒または分散媒体であり得る。
【0174】
滅菌注射溶液は、適切な担体、希釈剤、または賦形剤、例えば滅菌水、生理食塩水、グルコース、デキストロースなどとの混合物などの溶媒中に細胞を組み込むことによって調製することができる。
【0175】
インビボ投与に使用される製剤は一般に無菌である。無菌性は、例えば滅菌濾過膜を通して濾過することによって容易に達成され得る。
【0176】
2. 投薬
いくつかの態様では、細胞の用量は、提供される方法に従って、および/または提供される製品もしくは組成物に従って対象に投与される。いくつかの態様では、用量のサイズまたはタイミングは、対象における特定の疾患または状態(例えば癌、例えばB細胞悪性腫瘍)に応じて決定される。いくつかの場合には、提供される説明を考慮して、特定の疾患の用量のサイズまたはタイミングは経験的に決定され得る。
【0177】
いくつかの態様では、細胞の用量は、2×105細胞/kgもしくは約2×105細胞/kgから2×106細胞/kgもしくは約2×106細胞/kg、例えば4×105細胞/kgもしくは約4×105細胞/kgから1×106細胞/kgもしくは約1×106細胞/kg、または6×105細胞/kgもしくは約6×105細胞/kgから8×105細胞/kgもしくは約8×105細胞/kgを含む。いくつかの態様では、細胞の用量は、対象の体重1キログラム当たり(細胞/kg)2×105以下の細胞(例えばCAR発現細胞などの抗原発現細胞)、例えば3×105細胞/kg以下もしくは約3×105細胞/kg、4×105細胞/kg以下もしくは約4×105細胞/kg以下、5×105細胞/kg以下もしくは約5×105細胞/kg以下、6×105細胞/kg以下もしくは約6×105細胞/kg以下、7×105細胞/kg以下もしくは約7×105細胞/kg以下、8×105細胞/kg以下もしくは約8×105細胞/kg以下、9×105細胞/kg以下もしくは約9×105細胞/kg以下、1×106細胞/kg以下もしくは約1×106細胞/kg以下、または2×106細胞/kg以下もしくは約2×106細胞/kg以下を含む。いくつかの態様では、細胞の用量は、対象の体重1キログラム当たり(細胞/kg)少なくとも2×105細胞/kg(例えばCAR発現細胞などの抗原発現細胞)もしくは少なくとも約2×105細胞/kgもしくは2×105細胞/kgもしくは約2×105細胞/kg、例えば少なくとも3×105細胞/kgもしくは少なくとも約3×105細胞/kgもしくは3×105細胞/kgもしくは約3×105細胞/kg、少なくとも4×105細胞/kgもしくは少なくとも約4×105細胞/kgもしくは4×105細胞/kgもしくは約4×105細胞/kg、少なくとも5×105細胞/kgもしくは少なくとも約5×105細胞/kgもしくは5×105細胞/kgもしくは約5×105細胞/kg、少なくとも6×105細胞/kgもしくは少なくとも約6×105細胞/kgもしくは6×105細胞/kgもしくは約6×105細胞/kg、少なくとも7×105細胞/kgもしくは少なくとも約7×105細胞/kgもしくは7×105細胞/kgもしくは約7×105細胞/kg、少なくとも8×105細胞/kgもしくは少なくとも約8×105細胞/kgもしくは8×105細胞/kgもしくは約8×105細胞/kg、少なくとも9×105細胞/kgもしくは少なくとも約9×105細胞/kgもしくは9×105細胞/kgもしくは約9×105細胞/kg、少なくとも1×106細胞/kgもしくは少なくとも約1×106細胞/kgもしくは1×106細胞/kgもしくは約1×106細胞/kg、または少なくとも2×106細胞/kgもしくは少なくとも約2×106細胞/kgもしくは2×106細胞/kgもしくは約2×106細胞/kgを含む。
【0178】
特定の態様では、細胞、または細胞のサブタイプの個々の集団は、約100万~約1000億個の細胞の範囲で、および/または対象の体重1キログラム当たりその量の細胞で、例えば100万~約500億個の細胞(例えば約500万個の細胞、約2500万個の細胞、約5億個の細胞、約10億個の細胞、約50億個の細胞、約200億個の細胞、約300億個の細胞、約400億個の細胞、もしくは前記値のいずれか2つによって定義される範囲)、例えば約1000万~約1000億個の細胞(例えば約2000万個の細胞、約3000万個の細胞、約4000万個の細胞、約6000万個の細胞、約7000万個の細胞、約8000万個の細胞、約9000万個の細胞,約100億個の細胞、約250億個の細胞、約500億個の細胞、約750億個の細胞、約900億個の細胞、もしくは前記値のいずれか2つによって定義される範囲)、およびいくつかの場合には、約1億個の細胞~約500億個の細胞(例えば約1億2000万個の細胞、約2億5000万個の細胞、約3億5000万個の細胞、約4億5000万個の細胞、約6億5000万個の細胞、約8億個の細胞、約9億個の細胞、約30億個の細胞、約300億個の細胞、約450億個の細胞)、またはこれらの範囲の間の任意の値および/または対象の体重1キログラム当たりその量の細胞で、対象に投与される。投与量は、疾患もしくは障害および/または患者および/または他の治療に特有の属性に依存して異なり得る。
【0179】
いくつかの態様では、細胞の用量は、細胞の用量が対象の体表面積または体重に結び付けられないまたは基づかないように、細胞の均一な用量または細胞の固定された用量である。
【0180】
いくつかの態様では、例えば対象がヒトである場合、用量は、約5×108未満の総組換え受容体(例えばCAR)発現細胞、T細胞、または末梢血単核細胞(PBMC)、例えば約1×106~5×108のそのような細胞、例えば2×106、5×106、1×107、5×107、1×108、2×108、3×108、もしくは4×108のそのような総細胞の範囲、または前記値のいずれか2つの間の範囲のそのような細胞を含む。いくつかの態様では、対象がヒトである場合、用量は、約1×106~3×108の総組換え受容体(例えばCAR)発現細胞、例えば約1×107~2×108のそのような細胞、例えば1×107、5×107、1×108もしくは1.5×108のそのような総細胞の範囲、または前記値のいずれか2つの間の範囲のそのような細胞を含む。いくつかの態様では、患者は複数用量を投与され、それぞれの用量または総用量は、前記値のいずれかの範囲内であり得る。いくつかの態様では、細胞の用量は、1×105~5×108もしくは約1×105~5×108の総組換え受容体(例えばCAR)発現T細胞もしくは総T細胞、1×105~1×108もしくは約1×105~1×108の総組換え受容体(例えばCAR)発現T細胞もしくは総T細胞、5×105~1×107もしくは約5×105~1×107の総組換え受容体(例えばCAR)発現T細胞もしくは総T細胞、または1×106~1×107もしくは約1×106~1×107の総組換え受容体(例えばCAR)発現T細胞もしくは総T細胞(それぞれ両端の値を含む)の投与を含む。
【0181】
いくつかの態様では、用量のT細胞は、CD4+T細胞、CD8+T細胞、またはCD4+およびCD8+T細胞を含む。
【0182】
いくつかの態様では、例えば対象がヒトである場合、CD4+およびCD8+T細胞を含む用量中を含む、用量のCD8+T細胞は、約1×106~1×108の総組換え受容体(例えばCAR)発現CD8+細胞、例えば約5×106~1×108の範囲のそのような細胞、例えば1×107、2.5×107、5×107、7.5×107もしくは1×108のそのような総細胞の範囲、または前記値のいずれか2つの間の範囲のそのような細胞を含む。いくつかの態様では、患者は複数用量を投与され、それぞれの用量または総用量は、前記値のいずれかの範囲内であり得る。いくつかの態様では、細胞の用量は、1×107~0.75×108または約1×107~0.75×108の総組換え受容体発現CD8+T細胞、1×107~2.5×107または約1×107~2.5×107の総組換え受容体発現CD8+T細胞、1×107~0.75×108または約1×107~0.75×108の総組換え受容体発現CD8+T細胞(それぞれ両端の値を含む)の投与を含む。いくつかの態様では、細胞の用量は、1×107もしくは約1×107、2.5×107もしくは約2.5×107、5×107もしくは約5×107、7.5×107もしくは約7.5×107、または1×108もしくは約1×108の総組換え受容体発現CD8+T細胞の投与を含む。
【0183】
いくつかの態様では、例えば対象がヒトである場合、CD4+およびCD8+T細胞を含む用量を含む、CD4+T細胞の用量は、約1×106~1×108の総組換え受容体(例えばCAR)発現CD4+細胞、例えば約5×106~1×108のそのような細胞、例えば1×107、2.5×107、5×107、7.5×107、もしくは1×108のそのような総細胞の範囲、または前記値のいずれか2つの間の範囲のそのような細胞を含む。いくつかの態様では、患者は複数用量を投与され、それぞれの用量または総用量は、前記値のいずれかの範囲内であり得る。いくつかの態様では、細胞の用量は、1×107~0.75×108または約1×107~0.75×108の総組換え受容体発現CD4+T細胞、1×107~2.5×107または約1×107~2.5×107の総組換え受容体発現CD4+T細胞、1×107~0.75×108または約1×107~0.75×108の総組換え受容体発現CD4+T細胞(それぞれ両端の値を含む)の投与を含む。いくつかの態様では、細胞の用量は、1×107もしくは約1×107、2.5×107もしくは約2.5×107、5×107もしくは約5×107、7.5×107もしくは約7.5×107、または1×108もしくは約1×108の総組換え受容体発現CD4+T細胞の投与を含む。
【0184】
いくつかの態様では、細胞、例えば組換え受容体発現T細胞)の用量は、単一用量として対象に投与されるか、または2週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年もしくはそれ以上の期間内に1回だけ投与される。
【0185】
養子細胞療法の文脈において、所与の「用量」の投与は、単一組成物としての所与の量または数の細胞の投与、および/または単一の中断されない投与、例えば単回注射もしくは持続注入としての所与の量または数の細胞の投与を包含し、また、3日以下などの指定される期間にわたって複数の個別の組成物または注入で提供される、分割用量としてまたは複数の組成物としての所与の量または数の細胞の投与も包含する。したがって、いくつかの状況では、用量は、ある1つの時点で与えられるかまたは開始される、指定される数の細胞の単回投与または連続投与である。しかしながら、いくつかの状況では、用量は、3日間もしくは2日間の1日1回などの3日以下の期間にわたる複数回の注射もしくは注入で、または1日の期間にわたる複数回の注入によって投与される。
【0186】
したがって、いくつかの局面では、用量の細胞は単一の薬学的組成物で投与される。いくつかの態様では、用量の細胞は、用量の細胞を集合的に含む複数の組成物で投与される。
【0187】
「分割用量」という用語は、1日を超えて投与されるように分割されている用量を指す。この種の投与は本発明の方法に包含され、単一用量であると見なされる。
【0188】
したがって、細胞の用量は、分割用量として、例えば経時的に投与される分割用量として投与され得る。例えば、いくつかの態様では、用量は、2日間または3日間にわたって対象に投与され得る。分割投与のための例示的な方法は、1日目に用量の25%を投与し、2日目に用量の残りの75%を投与する工程を含む。他の態様では、1日目に用量の33%を投与し、2日目に残りの67%を投与し得る。いくつかの局面では、1日目に用量の10%を投与し、2日目に用量の30%を投与し、3日目に用量の60%を投与する。いくつかの態様では、分割用量は3日間を超えない。
【0189】
いくつかの態様では、用量の細胞は、それぞれが用量の一部の細胞を含む、第1および第2、任意でそれ以上などの、複数の組成物または溶液の投与によって投与され得る。いくつかの局面では、それぞれが細胞の異なる集団および/またはサブタイプを含む複数の組成物は、別々にまたは独立して、任意で特定の期間内に投与される。例えば、細胞の集団またはサブタイプは、それぞれCD8およびCD4T細胞、ならびに/またはそれぞれCD8+および/またはCD4+に富む集団、例えばそれぞれ個別に組換え受容体を発現するように遺伝子操作された細胞を含むCD4+および/またはCD8+T細胞を含み得る。いくつかの態様では、用量の投与は、用量のCD8+T細胞または用量のCD4+T細胞を含む第1の組成物の投与、ならびに用量のCD4+T細胞およびCD8+T細胞の他方を含む第2の組成物の投与を含む。
【0190】
いくつかの態様では、組成物または用量の投与、例えば複数の細胞組成物の投与は、細胞組成物を別々に投与することを含む。いくつかの局面では、別々の投与は、同時に、または任意の順序で連続的に行われる。いくつかの態様では、用量は、第1の組成物と第2の組成物を含み、第1の組成物と第2の組成物は、0~12時間の間隔で、0~6時間の間隔で、または0~2時間の間隔で投与される。いくつかの態様では、第1の組成物の投与開始と第2の組成物の投与開始は、2時間以内、1時間以内、または30分以内、15分以内、10分以内、または5分以内の間隔で行われる。いくつかの態様では、第1の組成物の投与の開始および/または完了ならびに第2の組成物の投与の完了および/または開始は、2時間以内、1時間以内、または30分以内、15分以内、10分以内、または5分以内の間隔で行われる。
【0191】
いくつかの態様では、第1の組成物と第2の組成物は、対象への投与の前に混合される。いくつかの態様では、第1の組成物と第2の組成物は、投与の少し前に(例えば6時間以内、5時間以内、4時間以内、3時間以内、2時間以内、1.5時間以内、1時間以内、または0.5時間以内に)混合される。いくつかの態様では、第1の組成物と第2の組成物は、投与の直前に混合される。
【0192】
いくつかの組成物では、第一の組成物、例えば前記用量の第一の組成物はCD4+T細胞を含む。いくつかの組成物では、第一の組成物、例えば前記用量の第一の組成物はCD8+T細胞を含む。いくつかの態様では、第一の組成物は第二の組成物の前に投与される。
【0193】
いくつかの態様では、細胞の用量または組成物は、組換え受容体を発現するCD4+細胞対組換え受容体を発現するCD8+細胞、および/またはCD4+細胞対CD8+細胞の定義された比率または標的比率を含み、この比率は、任意で約1:1であるか、または約1:3~約3:1、例えば約1:1である。いくつかの局面では、異なる細胞集団の標的または所望の比率(例えばCD4+:CD8+比またはCAR+CD4+:CAR+CD8+比、例えば1:1)を有する組成物または用量の投与は、一方の集団を含む細胞組成物の投与、次いで他方の集団を含む別の細胞組成物の投与を含み、投与は標的または所望の比率またはそれに近い比率においてである。いくつかの局面において、定義された比率での細胞の用量または組成物の投与により、T細胞療法の改善された拡大、持続性および/または抗腫瘍活性がもたらされる。
【0194】
いくつかの態様において、対象は、細胞の多数の用量、例えば、2つ以上の用量または多数の連続する用量を受ける。いくつかの態様において、2つの用量が対象に投与される。いくつかの態様において、対象は、連続する用量、例えば、2回目の用量を、最初の用量のおよそ4日後に、5日後に、6日後に、7日後に、8日後に、9日後に、10日後に、11日後に、12日後に、13日後に、14日後に、15日後に、16日後に、17日後に、18日後に、19日後に、20日後に、または21日後に受ける。いくつかの態様において、多数の連続する用量が最初の用量の後で投与され、その結果、さらなる1つまたは複数の用量が、前記連続する用量の投与の後で投与されるようにされる。いくつかの局面において、さらなる用量で対象に投与される細胞の数は、最初の用量および/または連続する用量と同じであり、あるいは類似している。いくつかの態様において、前記さらなる1つまたは複数の用量は以前の用量よりも大きい。
【0195】
いくつかの局面において、最初の用量および/または連続する用量の大きさが、1つまたは複数の基準に基づいて、例えば、先行処置(例えば、化学療法)に対する対象の応答、対象における疾患負荷(例えば、腫瘍の量、嵩、大きさ、または転移の程度、範囲、もしくはタイプなど)、病期、ならびに/あるいは対象が毒性転帰(例えば、CRS、マクロファージ活性化症候群、腫瘍崩壊症候群、神経毒性、ならびに/あるいは細胞および/または組換え受容体が投与されることに対する宿主免疫応答)を発達させる可能性または発生頻度などに基づいて決定される。
【0196】
いくつかの局面において、最初の用量の投与と、連続する用量の投与との間の期間が、約9日~約35日、約14日~約28日、または15日~27日である。いくつかの態様において、連続する用量の投与が、最初の用量を投与した後の約14日超で、約28日未満である時点においてである。いくつかの局面において、最初の用量と、連続する用量との間の期間が、約21日である。いくつかの態様において、さらなる1つまたは複数の用量(例えば、連続する用量)が、連続する用量を投与した後で投与される。いくつかの局面において、さらなる連続する1つまたは複数の用量は、以前の用量を投与した後の少なくとも約14日で、かつ約28日未満で投与される。いくつかの態様において、さらなる用量は、以前の用量の後の約14日未満で投与され、例えば、以前の投与の4日後に、5日後に、6日後に、7日後に、8日後に、9日後に、10日後に、11日後に、12日後に、または13日後に投与される。いくつかの態様において、用量は前回用量の後の約14日未満で投与されず、および/または、用量は前回用量の後の約28日を超えて投与されない。
【0197】
いくつかの態様において、細胞(例えば、組換え受容体発現細胞)の用量は、T細胞の最初の用量と、T細胞の1つの連続する用量とを含む2つの用量(例えば、2回分の用量)を含み、この場合、最初の用量および2回目の用量の一方または両方がT細胞の分割用量の投与を含む。
【0198】
いくつかの態様では、細胞の用量は一般に、疾患負荷を軽減するうえで有効であるのに十分な量である。
【0199】
いくつかの態様では、細胞は所望の投与量で投与され、これは、いくつかの局面では所望の用量もしくは数の細胞もしくは細胞型(複数可)および/または所望の比率の細胞型を含む。したがって、いくつかの態様では細胞の投与量は、細胞の総数(または体重1kg当たりの数)および個々の集団またはサブタイプの所望の比率、例えばCD4+対CD8+比に基づく。いくつかの態様では、細胞の投与量は、個々の集団または個々の細胞型における細胞の所望の総数(または体重1kg当たりの数)に基づく。いくつかの態様では、投与量は、個々の集団における全細胞の所望の数、所望の比率、および細胞の所望の総数などの特徴の組み合わせに基づく。
【0200】
いくつかの態様では、CD8およびCD4T細胞などの細胞の集団またはサブタイプは、T細胞の所望の用量などの全細胞の所望の用量の許容差でまたは許容差内で投与される。いくつかの態様では、所望の用量は、細胞の所望の数または細胞が投与される対象の単位体重当たりの細胞の所望の数、例えば細胞/kgである。いくつかの局面では、所望の用量は、細胞の最小数もしくは最小数より上、または単位体重当たりの細胞の最小数もしくは最小数より上である。いくつかの局面では、所望の用量で投与される全細胞のうち、個々の集団またはサブタイプは、所望の産生比(CD4対CD8比など)またはそれに近い比率で、例えばそのような比のある特定の許容差内または誤差内で存在する。
【0201】
いくつかの態様では、細胞は、所望の用量のCD4+細胞および/または所望の用量のCD8+細胞などの、1つまたは複数の個々の集団またはサブタイプの細胞の所望の用量の許容差でまたは許容範囲内で投与される。いくつかの局面では、所望の用量は、サブタイプまたは集団の細胞の所望の数、または細胞が投与される対象の単位体重当たりのそのような細胞の所望の数、例えば細胞/kgである。いくつかの局面では、所望の用量は、集団もしくはサブタイプの細胞の最小数もしくは最小数より上、または単位体重当たりの集団もしくはサブタイプの細胞の最小数もしくは最小数より上である。
【0202】
したがって、いくつかの態様では、投与量は、全細胞の所望の固定用量および所望の比率に基づき、ならびに/または個々のサブタイプもしくは亜集団の1つもしくは複数、例えば各々の、所望の固定用量に基づく。したがって、いくつかの態様では、投与量は、T細胞の所望の固定用量もしくは最小用量およびCD4対CD8細胞の所望の比率に基づき、ならびに/またはCD4および/またはCD8細胞の所望の固定用量もしくは最小用量に基づく。
【0203】
いくつかの態様では、細胞は、CD4+およびCD8+細胞またはサブタイプなどの複数の細胞集団またはサブタイプの所望の産生比の許容範囲でまたは許容範囲内で投与される。いくつかの局面では、所望の比率は特定の比率であり得るかまたは比率の範囲であり得、例えばいくつかの態様では、所望の比率(例えばCD4対CD8細胞の比率)は、5:1~5:1もしくは約5:1~約5:1(もしくは約1:5より大きく約5:1より小さい)、または1:3~3:1もしくは約1:3~約3:1(もしくは約1:3より大きく約3:1より小さい)、例えば2:1~1:5もしくは約2:1~約1:5(もしくは約1:5より大きく約2:1より小さい、例えば5:1、4.5:1、4:1、3.5:1、3:1、2.5:1、2:1、1.9:1、1.8:1、1.7:1、1.6:1、1.5:1、1.4:1、1.3:1、1.2:1、1.1:1、1:1、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9、1:2、1:2.5、1:3、1:3.5、1:4、1:4.5、もしくは1:5、またはおよそ前記比率である。いくつかの局面では、許容差は、所望の比率の約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%以内であり、これらの範囲の間の任意の値を含む。
【0204】
特定の態様では、細胞の数および/または濃度は、組換え受容体(例えばCAR)発現細胞の数を指す。他の態様では、細胞の数および/または濃度は、投与されるすべての細胞、T細胞、または末梢血単核細胞(PBMC)の数または濃度を指す。
【0205】
いくつかの局面では、投与量のサイズは、以前の治療、例えば化学療法に対する対象の応答、対象における疾患負荷、例えば腫瘍の量、体積、大きさ、または転移の程度、範囲もしくは種類、病期、および/または毒性転帰、例えばCRS、マクロファージ活性化症候群、腫瘍溶解症候群、神経毒性を発症する対象の可能性もしくは発生率、ならびに/または投与される細胞および/もしくは組換え受容体に対する宿主の免疫応答などの、1つまたは複数の基準に基づいて決定される。
【0206】
いくつかの態様では、方法はまた、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞の1つもしくは複数の用量および/もしくはリンパ球除去療法を投与する工程を含み、ならびに/または方法の1つもしくは複数の工程が繰り返される。いくつかの態様では、1つまたは複数のさらなる用量は、初期用量と同じである。いくつかの態様では、1つまたは複数のさらなる用量は、初期用量とは異なり、例えば初期用量より高い、例えば2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍もしくは10倍もしくはそれ以上高いか、または初期用量より低い、例えば2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍もしくは10倍もしくはそれ以上低い。いくつかの態様では、1つまたは複数のさらなる用量の投与は、初期治療または任意の以前の治療に対する対象の応答、例えば対象における疾患負荷、例えば腫瘍の量、体積、大サイズ、または転移の程度、範囲もしくは種類、病期、ならびに/または毒性転帰、例えばCRS、マクロファージ活性化症候群、腫瘍溶解症候群、神経毒性、ならびに/または投与される細胞および/もしくは組換え受容体に対する宿主の免疫応答を発症する対象の可能性または発生率に基づいて決定される。
【0207】
B. 化合物Aの投与
本明細書で提供される方法、組成物、組み合わせ、キットまたは製品のいくつかの態様では、併用療法は、化学名(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンを有する、および/もしくは式I:
の構造を有する化合物A、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を投与する工程を含む。
【0208】
いくつかの態様では、化合物Aは、(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、または(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンの薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体である。いくつかの態様では、化合物Aは、(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンの溶媒和物である。いくつかの態様では、化合物Aは、(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンの水和物である。いくつかの態様では、化合物Aは、(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンの薬学的に許容される塩である。いくつかの態様では、化合物Aは、(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンである。いくつかの態様では、化合物Aは式Iの構造を有する。
【0209】
いくつかの態様では、化合物Aは、米国特許第9,221,788号および国際公開公報第2011/100380号に記載されている方法に従って調製することができ、これらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。化合物Aは、本明細書の教示に基づく他の利用可能な方法に従って合成することもできる。いくつかの態様では、化合物Aの薬学的組成物および単位投与剤形は、米国特許第10,080,801号に記載されているものに従って使用される。他の態様では、化合物Aは、米国特許出願公開第2014/0045843号に従って作製または使用することができる。
【0210】
特定の態様では、化合物Aは固体である。特定の態様では、化合物Aは水和されている。特定の態様では、化合物Aは溶媒和されている。特定の態様では、化合物Aは無水である。特定の態様では、化合物Aは非吸湿性である。
【0211】
特定の態様では、化合物Aは非晶質である。特定の態様では、化合物Aは結晶性である。特定の態様では、固体化合物Aは、その全体が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第9,221,788号に記載されている結晶形態である。
【0212】
化合物Aの固体形態は、米国特許第9,221,788号の開示に記載されている方法または任意の1つもしくは複数の組み合わせた利用可能な方法に従って調製することができる。
【0213】
特定の態様では、化合物Aは、(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンの塩酸塩、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体である。特定の態様では、塩酸塩は固体である。特定の態様では、塩酸塩は無水である。特定の態様では、塩酸塩は非吸湿性である。特定の態様では、塩酸塩は非晶質である。特定の態様では、塩酸塩は結晶性である。
【0214】
化合物Aの塩酸塩およびその固体形態は、米国特許第9,221,788号の開示に記載されている方法、または任意の1つもしくは複数の組み合わせた利用可能な方法に従って調製することができる。
【0215】
いくつかの態様では、本明細書で提供される化合物Aは、1つのキラル中心を含み、エナンチオマーの混合物、例えばラセミ混合物として存在し得る。この開示は、そのような化合物の立体異性的に純粋な形態の使用、ならびにそれらの形態の混合物の使用を包含する。例えば、本明細書で提供される化合物Aの等量または不等量のエナンチオマーを含む混合物は、本明細書に開示される方法および組成物において使用され得る。これらの異性体は、キラルカラムまたはキラル分割剤などの標準的な技術を使用して、不斉的に合成または分割し得る。例えば、Jacques, J., et al, Enantiomers, Racemates and Resolutions(Wiley-Interscience, New York,1981);Wilen, S.H., et al, Tetrahedron 33:2725(1977);Eliel, E.L., Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw-Hill, NY, 1962);およびWilen, S.H., Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p.268(E L. Eliel, Ed., Univ. of Notre Dame Press, Notre Dame, IN,1972)参照。
【0216】
描かれている構造とその構造に与えられた名称との間に不一致がある場合、描かれている構造がより重視されることに留意すべきである。さらに、構造または構造の一部の立体化学が、例えば太線または破線で示されていない場合、構造または構造の一部は、構造のすべての立体異性体を包含すると解釈されるべきである。
【0217】
1. 組成物および製剤
本明細書で提供される併用療法の方法、組成物、組み合わせ、キットおよび使用のいくつかの態様では、併用療法は、1つまたは複数の組成物、例えば化合物Aを含む薬学的組成物で投与することができる。
【0218】
いくつかの態様では、組成物、例えば化合物Aを含有する薬学的組成物は、化合物Aおよび/または細胞が共に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルなどの担体を含むことができる。適切な薬学的担体の例は、E. W. Martinによる「Remington’s Pharmaceutical Sciences」に記載されている。そのような組成物は、患者への適切な投与のための形態を提供するために、適切な量の担体と共に、一般に精製された形態の治療有効量の化合物Aを含む。そのような薬学的担体は、滅菌液体、例えば水、ならびに石油、動物、植物または合成起源のものを含む油、例えば落花生油、ダイズ油、鉱油、およびゴマ油であり得る。生理食塩水ならびにデキストロースおよびグリセロール水溶液もまた、特に注射用溶液のための液体担体として使用することができる。薬学的組成物は、希釈剤、アジュバント、付着防止剤、結合剤、被覆剤、充填剤、香料、着色剤、潤滑剤、流動促進剤、防腐剤、界面活性剤、吸着剤、乳化剤、薬学的賦形剤、pH緩衝剤、または甘味料、およびそれらの組み合わせのいずれか1つまたは複数を含むことができる。いくつかの態様では、薬学的組成物は、液体、固体、凍結乾燥粉末、ゲル形態、および/またはそれらの組み合わせであり得る。いくつかの局面では、担体の選択は、一部には、特定の阻害剤および/または投与方法によって決定される。
【0219】
薬学的に許容される担体は一般に、用いられる投与量および濃度でレシピエントに非毒性であり、以下のものが含まれるが、これらに限定されるわけではない:リン酸塩、クエン酸塩および他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール、メチルもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノールおよびm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンもしくはリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、およびグルコース、マンノースもしくはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えばZn-タンパク質錯体);ならびに/またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン界面活性剤、安定剤ならびに/または防腐剤。化合物Aを含む組成物は、凍結乾燥することもできる。
【0220】
いくつかの態様では、薬学的組成物は、筋肉内、静脈内、皮内、病巣内、腹腔内注射、皮下、腫瘍内、硬膜外、経鼻、経口、膣内、直腸内、外用、局所、耳、吸入、口腔(例えば舌下)、および経皮投与または任意の経路を含む、当業者に公知の任意の経路による投与用に製剤化することができる。いくつかの態様では、他の投与様式もまた企図される。いくつかの態様では、投与は、ボーラス注入、注射、例えば静脈内または皮下注射、眼内注射、眼周囲注射、網膜下注射、硝子体内注射、経中隔注射、強膜下注射、脈絡膜内注射、前房内注射、結膜下注射、結膜下注射、テノン嚢下注射、眼球後注射、眼球周囲注射、または後傍強膜送達によって行われる。いくつかの態様では、投与は、非経口投与、肺内投与、および鼻腔内投与によって、および局所治療のために所望する場合は病巣内投与によって行われる。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、または皮下投与が含まれる。いくつかの態様では、所与の用量が単回ボーラス投与によって投与される。いくつかの態様では、所与の用量が、例えば3日以下の期間にわたる複数回のボーラス投与によって、または持続注入投与によって投与される。
【0221】
いくつかの態様では、投与は、治療の場所に応じて局所的、外用的または全身的であり得る。いくつかの態様では、治療を必要とする領域への局所投与は、例えば、限定されることなく、手術中の局所注入、例えば手術後の創傷包帯と組み合わせた局所適用によって、注射によって、カテーテルを用いて、坐剤を用いて、またはインプラントを用いて達成され得る。いくつかの態様では、組成物はまた、他の生物学的に活性な作用物質と共に、連続的に、間欠的に、または同じ組成物中で投与され得る。いくつかの態様では、投与はまた、放出制御製剤およびポンプなどによる装置制御放出を含む放出制御システムを含み得る。いくつかの態様では、投与は経口投与である。
【0222】
いくつかの態様では、化合物Aは、典型的には単位投与剤形または複数回投与剤形で製剤化および投与される。各単位用量は、必要な薬学的担体、ビヒクルまたは希釈剤と共に、所望の治療効果を生じさせるのに十分な所定量の治療的に活性な化合物Aを含む。いくつかの態様では、単位投与剤形には、適切な量の化合物Aを含む錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、顆粒剤、滅菌非経口液剤または懸濁剤、および経口液剤または懸液濁剤、および油・水乳剤が含まれるが、これらに限定されるわけではない。単位投与剤形は、封入されたアンプルおよび注射器、または個別に包装された錠剤もしくはカプセル剤であり得る。単位投与剤形は、その分数単位または倍数単位で投与することができる。いくつかの態様では、複数回投与剤形は、分離された単位投与剤形で投与されるように単一の容器に包装された複数の同一の単位投与剤形である。複数回投与剤形の例には、バイアル、錠剤もしくはカプセル剤のボトルまたはパイントもしくはガロン入りのボトルが含まれる。
【0223】
2. 投薬
いくつかの態様では、提供される併用療法の方法は、治療有効量の化合物Aの投与を、T細胞療法(例えばCAR発現T細胞)などの細胞療法の開始の前に、後に、その間に、その経過中に、同時に、ほぼ同時に、連続的に、同時におよび/または間欠的に開始する工程を含む。いくつかの態様では、提供される併用療法の方法における化合物Aの投与の開始は、T細胞療法の投与の開始後または投与の開始に続いて投与される。
【0224】
いくつかの態様では、化合物Aの投与は、T細胞療法(例えばCAR発現T細胞)などの細胞療法の開始後に(開始に続いて)開始される。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、T細胞療法の細胞のピークまたは最大レベルが対象の血液中で検出可能であるときまたはそれより前に開始される。
【0225】
いくつかの場合には、化合物Aの投与の開始は、
(i)T細胞療法の細胞のピークもしくは最大レベルが対象の血液中で検出可能である;
(ii)血液中で検出可能になった後、血液中で検出可能なT細胞療法の細胞数が、検出できないかもしくは減少している、任意でT細胞療法の投与後の先行する時点と比較して減少している;
(iii)血液中で検出可能なT細胞療法の細胞数が、T細胞療法の投与開始後の対象の血液中で検出可能なT細胞療法のピークもしくは最大細胞数の1.5倍、2.0倍、3.0倍、4.0倍、5.0倍、10倍、もしくはそれ以上、または1.5倍、2.0倍、3.0倍、4.0倍、5.0倍、10倍、もしくはそれ以上より大きく減少している;
(iv)T細胞療法の細胞のピークまたは最大レベルが対象の血液中で検出可能になった後の時点で、対象の血液中で検出可能な細胞の数または検出可能な細胞に由来する細胞の数が、対象の血液中の全末梢血単核細胞(PBMC)の10%未満、5%未満、1%未満、もしくは0.1%未満である;
(v)対象が、T細胞療法による治療後に疾患の進行を示すおよび/もしくは寛解の後に再発した;ならびに/または
(iv)対象が、細胞の投与前もしくは投与後、および化合物Aの投与の開始前の時点での腫瘍負荷と比較して、増加した腫瘍負荷を示す
より1週間前にまたはその前の1週間以内に、例えば1、2、または3日以内に実施される。特定の局面では、提供される方法は、T細胞療法に対する応答、例えばT細胞の存在および/または腫瘍負荷の軽減を改善するために、対象においてT細胞療法を増強、増加または強化するために実施される。
【0226】
いくつかの態様では、化合物Aの投与は、T細胞療法(例えばCAR発現T細胞)などの細胞療法の開始後に(開始に続いて)開始される。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、T細胞療法の開始後(開始に続いて)、かつT細胞療法の開始と同日という早期に(すなわち、T細胞療法の開始後0日という早期に)開始される。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、T細胞療法の投与の開始の0日または約0日後から21日または約21日後に開始される。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、T細胞療法の投与の開始の約7~約14日後に開始される。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、T細胞療法の投与の開始の0日または約0日後から14日または約14日後に開始される。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、T細胞療法の投与の開始の0日後に開始される(すなわち、化合物Aの投与は、T細胞療法の開始と同じ日に開始される)。
【0227】
いくつかの態様では、化合物Aの投与は、T細胞療法の投与の開始の1日または約1日後から21日または約21日後に開始される。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、T細胞療法の投与の開始の1または約1日後から15または約15日後に開始される。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、T細胞療法の投与の開始の約8~約15日後に開始される。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、T細胞療法の投与の開始の1日もしくは約1日後、2日もしくは約2日後、3日もしくは約3日後、4日もしくは約4日後、5日もしくは約5日後、6日もしくは約6日後、7日もしくは約7日後、8日もしくは約8日後、9日もしくは約9日後、10日もしくは約10日後、11日もしくは約11日後、12日もしくは約12日後、13日もしくは約13日後、14日もしくは約14日後、15日もしくは約15日後、16日もしくは約16日後、17日もしくは約17日後、18日もしくは約18日後、19日もしくは約19日後、または20日もしくは約20日後に開始される。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、T細胞療法の投与の開始の15日または約15日後に開始される。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、T細胞療法の投与の開始の14日後または約14日後に開始される。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、T細胞療法の投与の開始の8日または約8日後に開始される。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、T細胞療法の投与の開始の7日後または約7日後に開始される。他の態様では、化合物Aの投与は、T細胞療法の投与の開始の1日または約1日後に開始される。
【0228】
したがって、T細胞療法が併用療法の1日目に投与される併用療法に関して、いくつかの態様では、化合物Aの投与は、併用療法の2日目または約2日目から22日目または約22日目に開始される。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、併用療法の2日目または約2日目から16日目または約16日目に開始される。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、併用療法の9日目または約9日目から16日目または約16日目に開始される。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、併用療法の8日目または約8日目から15日目または約15日目に開始される。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、併用療法の2日もしくは約2日目、3日もしくは約3日目、4日もしくは約4日目、5日もしくは約5日目、6日もしくは約6日目、7日もしくは約7日目、8日もしくは約8日目、9日もしくは約9日目、10日もしくは約10日目、11日もしくは約11日目、12日もしくは約12日目、13日もしくは約13日目、14日もしくは約14日目、15日もしくは約15日目、16日もしくは約16日目、17日もしくは約17日目、18日もしくは約18日目、19日もしくは約19日目、20日もしくは約20日目、または21日もしくは約21日目に開始される。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、併用療法の16日または約16日目に開始される。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、併用療法の15日または約15日目に開始される。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、併用療法の9日または約9日目に開始される。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、併用療法の8日または約8日目に開始される。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、併用療法の2日または約2日目に開始される。
【0229】
他の態様では、化合物Aの投与は、併用療法の1日または約1日目に開始される。
【0230】
いくつかの態様では、対象が最初に化合物Aを投与された時点、および/または投与開始後の任意のその後の時点で、対象は、重度のサイトカイン放出症候群(CRS)などの重度の毒性の徴候もしくは症状または重度の毒性を示さない。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、対象が重度のCRSの徴候もしくは症状を示さない、および/またはグレード3もしくはそれより高いCRS、例えば長期のグレード3のCRSまたはグレード4もしくは5のCRSを示さない時点で行われる。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、対象が重度の神経毒性の徴候もしくは症状を示さない、および/またはグレード3もしくはそれより高い神経毒性、例えば長期のグレード3の神経毒性またはグレード4もしくは5の神経毒性を示さない時点で行われる。いくつかの局面では、T細胞療法の投与の開始時点と化合物Aの投与時点との間で、対象は、重度のCRSを示さず、および/またはグレード3もしくはそれより高いCRS、例えば長期のグレード3のCRSまたはグレード4もしくは5のCRSを示さなかった。いくつかの場合には、T細胞療法の投与の開始時点と化合物Aの投与時点との間で、対象は、重度の神経毒性を示さず、および/またはグレード3もしくはそれより高い神経毒性、例えば長期のグレード3の神経毒性またはグレード4もしくは5の神経毒性を示さなかった。
【0231】
いくつかの態様では、投与される各日当たりの化合物Aの投与は、0.1mg~1.0mgまたは約0.1mg~1.0mgの量である。いくつかの態様では、投与される各日当たりの化合物Aの投与は、約0.1mg~約1.0mg、約0.2mg~約1.0mg、約0.3mg~約1.0mg、約0.4mg~約1.0mg、約0.5mg~約1.0mg、約0.6mg~約1.0mg、約0.7mg~約1.0mg、約0.8mg~約1.0mg、約0.9mg~約1.0mg、約0.1mg~約0.80mg、約0.2mg~約0.80mg、約0.3mg~約0.80mg、約0.4mg~約0.80mg、約0.5mg~約0.80mg、約0.6mg~約0.80mg、約0.7mg~約0.80mg、約0.1mg~約0.60mg、約0.2mg~約0.60mg、約0.3mg~約0.60mg、約0.4mg~約0.60mg、約0.5mg~約0.60mg、約0.1mg~約0.40mg、約0.2mg~約0.40mg、約0.3mg~約0.40mg、約0.1mg~約0.20mg、または約0.1mg~約0.3mgの量である。いくつかの態様では、化合物Aは、約0.3mg~約0.6mg/日の量で投与される。
【0232】
いくつかの態様では、投与される各日当たりの化合物Aの投与は、約0.1mgもしくは少なくとも約0.1mg、または0.1mgもしくは少なくとも0.1mgの量である。いくつかの態様では、投与される各日当たりの化合物Aの投与は、約0.2mgもしくは少なくとも約0.2mg、または0.2mgもしくは少なくとも0.2mgの量である。いくつかの態様では、投与される各日当たりの化合物Aの投与は、約0.3mgもしくは少なくとも約0.3mg、または0.3mgもしくは少なくとも0.3mgの量である。いくつかの態様では、投与される各日当たりの化合物Aの投与は、約0.4mgもしくは少なくとも約0.4mg、または0.4mgもしくは少なくとも0.4mgの量である。いくつかの態様では、投与される各日当たりの化合物Aの投与は、約0.5mgもしくは少なくとも約0.5mg、または0.5mgもしくは少なくとも0.5mgの量である。任意のそのような態様のいくつかでは、投与される各日当たりの化合物Aの投与は、約5.0mg以下の量である。任意のそのような態様のいくつかでは、投与される各日当たりの化合物Aの投与は、約1.0mg以下の量である。いくつかの態様では、投与される各日当たりの化合物Aの投与は、約0.8mg以下の量である。いくつかの態様では、投与される各日当たりの化合物Aの投与は、約0.6mg以下の量である。いくつかの態様では、投与される各日当たりの化合物Aの投与は、約0.5mg以下の量である。
【0233】
いくつかの態様では、投与される各日当たりの化合物Aの投与は、0.5mgまたは約0.5mgの量である。いくつかの態様では、投与される各日当たりの化合物Aの投与は、0.45mgまたは約0.45mgの量である。いくつかの態様では、投与される各日当たりの化合物Aの投与は、0.30mgまたは約0.30mgの量である。いくつかの態様では、投与される各日当たりの化合物Aの投与は、0.60mgまたは約0.60mgの量である。
【0234】
いくつかの態様では、化合物Aは、血液中の化合物Aの最大濃度(Cmax)を達成する量で、例えばサイクリングレジメンの各週について、またはサイクリングレジメンの少なくとも1週間について、1nM~20nMまたは約1nM~約20nM、1nM~15nMまたは約1nM~約15nM、1nM~12nMまたは約1nM~約12nM、1nM~10nMまたは約1nM~約10nM、1nM~5nMまたは約1nM~約5nM、1nM~2.5nMまたは約1nM~約2.5nM、2.5nM~20nMまたは約2.5nM~約20nM、2.5nM~15nMまたは約2.5nM~約15nM、2.5nM~12nMまたは約2.5nM~約12nM、2.5nM~10nMまたは約2.5nM~約10nM、2.5nM~5nMまたは約2.5nM~約5nM、5nM~20nMまたは約5nM~約20nM、5nM~15nMまたは約5nM~約15nM、5nM~12nMまたは約5nM~約12nM、5nM~10nMまたは約5nM~約10nM、10nM~20nMまたは約10nM~約20nM、10nM~15nMまたは約10nM~約15nM、および15nM~20nMまたは約15nM~約20nM(それぞれ両端の値を含む)の範囲で投与される。いくつかの態様では、化合物Aは、Cmaxを少なくとも約30分間、1時間、2時間、4時間、8時間、16時間、または24時間の範囲に維持する量で投与される。
【0235】
いくつかの態様では、化合物Aは、血中で化合物AのCmaxを達成する量で、例えばサイクリングレジメンの各週について、またはサイクリングレジメンの少なくとも1週間について、約1nMまたは少なくとも約1nMで投与される。いくつかの態様では、化合物Aは、血中で化合物AのCmaxを達成する量で、例えばサイクリングレジメンの各週について、またはサイクリングレジメンの少なくとも1週間について、約10nMまたは少なくとも約10nMで投与される。いくつかの態様では、化合物Aは、血中で化合物AのCmaxを達成する量で、例えばサイクリングレジメンの各週について、またはサイクリングレジメンの少なくとも1週間について、約5nMまたは少なくとも約5nMで投与される。いくつかの態様では、化合物Aは、血中で化合物AのCmaxを達成する量で、例えばサイクリングレジメンの各週について、またはサイクリングレジメンの少なくとも1週間について、約2.5nMまたは少なくとも約2.5nMで投与される。いくつかの態様では、化合物Aは、Cmaxを少なくとも約30分間、1時間、2時間、4時間、8時間、16時間または24時間維持する量で投与される。
【0236】
いくつかの態様では、化合物Aは、特定の期間または持続期間にわたる化合物の反復投与を含むサイクリングレジメン(本明細書ではサイクリング療法とも呼ばれる)で投与される。いくつかの態様では、各投与または投与される各日当たりの化合物Aの量は、1.0mg以下(例えば1.0mg、0.9mg、0.8mg、0.7mg、0.6mg、0.5mg以下)である。いくつかの態様では、各投与または投与される各日当たりの化合物Aの量は、0.6mgまたは約0.6mg、0.5mgまたは約0.5mg、0.45mgまたは約0.45mg、0.40mgまたは約0.40mg、0.30mgまたは約0.30mg、0.2mgまたは約0.2mgである。いくつかの態様では、各投与または投与される各日当たりの化合物Aの量は、約0.30mg~約0.60mg(例えば0.30mgもしくは約0.30mg、0.45mgもしくは約0.45mg、または0.60mgもしくは約0.60mg)である。
【0237】
いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、T細胞療法の投与後21日以内に開始する(または開始される)。いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、T細胞療法の投与の21日後、または20日後、または19日後、または18日後、または17日後、または16日後、または15日後、または14日後、または13日後、または12日後、または11日後、または10日後、または9日後、または8日後、または7日後、または6日後、または5日後、または4日後、または3日後、または2日後、または1日後に開始する(または開始される)。いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、T細胞療法の投与の15日±3日後に開始する(または開始される)。いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、T細胞療法の投与の14日後に開始する(または開始される)。いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、T細胞療法の投与の8日±3日後に開始する(または開始される)。いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、T細胞療法の投与の7日後に開始する(または開始される)。いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えば、サイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、T細胞療法の投与の1日または2日後に開始する(または開始される)。
【0238】
したがって、T細胞療法が併用療法の1日目に投与される併用療法に関して、いくつかの態様では、サイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、併用療法の22日目またはそれより前に開始する(または開始される)。いくつかの態様では、サイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、併用療法の22日目、または21日目、または20日目、または19日目、または18日目、または17日目、または16日目、または15日目、または14日目、または13日目、または12日目、または11日目、または10日目、または9日目、または8日目、または7日目、または6日目、または5日目、または4日目、または3日目、または2日目に開始する(または開始される)。いくつかの態様では、サイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、併用療法の16±3日目に開始する(または開始される)。いくつかの態様では、サイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、併用療法の15日目に開始する(または開始される)。いくつかの態様では、サイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、併用療法の9±3日目に開始する(または開始される)。いくつかの態様では、サイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、併用療法の8日目に開始する(または開始される)。いくつかの態様では、サイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、併用療法の2日目または3日目に開始する(または開始される)。
【0239】
他の態様では、サイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、併用療法の1日目に開始する(または開始される)。
【0240】
いくつかの態様では、化合物Aの投与のためのサイクリングレジメンは、化合物が最大連続3週間毎日投与される第1の投与期間、第1の投与期間の終了時から始まる、化合物が投与されない休止期間、および化合物が4週間の期間に連続3週間毎日投与される4週間サイクルを含む第2の投与期間を含む。
【0241】
いくつかの態様では、第1の投与期間は、T細胞療法の投与後21日以内に開始する(または開始される)。いくつかの態様では、第1の投与期間は、T細胞療法の投与の21日後、または20日後、または19日後、または18日後、または17日後、または16日後、または15日後、または14日後、または13日後、または12日後、または11日後、または10日後、または9日後、または8日後、または7日後、または6日後、または5日後、または4日後、または3日後、または2日後、または1日後に開始する。いくつかの態様では、第1の投与期間は、T細胞療法の投与の15日±3日後に開始する。いくつかの態様では、第1の投与期間は、T細胞療法の投与の14日後に開始する。いくつかの態様では、第1の投与期間は、T細胞療法の投与の8日±3日後に開始する。いくつかの態様では、第1の投与期間は、T細胞療法の投与の7日後に開始する。いくつかの態様では、第1の投与期間は、T細胞療法の投与の1または2日後に開始する。いくつかの態様では、化合物は、第1の投与期間中、約0.1mg/日~約1.0mg/日で投与される。いくつかの態様では、化合物は、第1の投与期間中、約0.45mg/日で投与される。いくつかの態様では、化合物は、第1の投与期間中、約0.3mg/日で投与される。いくつかの態様では、化合物は、第1の投与期間中、約0.60mg/日で投与される。
【0242】
したがって、T細胞療法が併用療法の1日目に投与される併用療法に関して、いくつかの態様では、第1の投与期間は併用療法の22日目またはそれより前に開始する(または開始される)。いくつかの態様では、第1の投与期間は、併用療法の22日目、または21日目、または20日目、または19日目、または18日目、または17日目、または16日目、または15日目、または14日目、または13日目、または12日目、または11日目、または10日目、または9日目、または8日目、または7日目、または6日目、または5日目、または4日目、または3日目、または2日目に開始する(または開始される)。いくつかの態様では、第1の投与期間は併用療法の16±3日目に開始する(または開始される)。いくつかの態様では、第1の投与期間は併用療法の15日目に開始する(または開始される)。いくつかの態様では、第1の投与期間は併用療法の9±3日目に開始する(または開始される)。いくつかの態様では、第1の投与期間は併用療法の8日目に開始する(または開始される)。いくつかの態様では、第1の投与期間は、併用療法の2日目または3日目に開始する(または開始される)。
【0243】
他の態様では、第1の投与期間は併用療法の1日目に開始する。
【0244】
いくつかの態様では、化合物Aは、第1の投与期間中、1~21日間もしくは約1~21日間、1~19日間もしくは約1~19日間、1~17日間もしくは約1~17日間、1~15日間もしくは約1~15日間、1~13日間もしくは約1~13日間、1~11日間もしくは約1~11日間、1~9日間もしくは約1~9日間、1~7日間もしくは約1~7日間、1~5日間もしくは約1~5日間、または1~3日間もしくは約1~3日間(それぞれ両端の値を含む)にわたって毎日投与される。いくつかの態様では、化合物Aは、第1の投与期間中、1~21日間または約1~21日間(両端の値を含む)にわたって毎日投与される。いくつかの態様では、化合物Aは、第1の投与期間中、1~14日間または約1~14日間(両端の値を含む)にわたって毎日投与される。いくつかの態様では、化合物Aは、第1の投与期間中、7~21日間または約7~21日間(両端の値を含む)にわたって毎日投与される。いくつかの態様では、化合物Aは、第1の投与期間中、21日間または約21日間にわたって毎日投与される。いくつかの態様では、化合物Aは、第1の投与期間中、14日間または約14日間にわたって毎日投与される。いくつかの態様では、化合物Aは、第1の投与期間中、7日間または約7日間にわたって毎日投与される。
【0245】
第1の投与は、休止期間の開始時に終了することが理解される。いくつかの態様では、休止期間は、T細胞療法の投与の約22日後に開始する。いくつかの態様では、休止期間は、T細胞療法の投与の約19日後、または20日後、または21日後、または22日後、または23日後、または24日後に開始する。いくつかの態様では、休止期間は、T細胞療法の投与後22日目に開始する。いくつかの態様では、休止期間は、T細胞療法の投与の21日後に開始する。いくつかの態様では、休止期間は約1週間である。いくつかの態様では、休止期間は、5日または6日または7日または8日または9日である。いくつかの態様では、休止期間は7日間である。いくつかの態様では、休止期間は、絶対好中球数(ANC)がT細胞療法を投与する前に測定されたレベルと同じまたはほぼ同じになるまで続く。いくつかの態様では、休止期間は7日間である。いくつかの態様では、休止期間は、絶対好中球数(ANC)が第1の投与期間の前に測定されたレベルと同じまたはほぼ同じになるまで続く。いくつかの態様では、対象のB細胞血球数レベルがT細胞療法を投与する前に測定されたレベルと同じまたはほぼ同じレベルに回復するまで、休止期間が続く。いくつかの態様では、対象のB細胞血球数レベルが第1の投与期間の前に測定されたレベルと同じまたはほぼ同じレベルに回復するまで、休止期間が続く。
【0246】
休止期間は、第2の投与期間の開始時に終了することが理解される。いくつかの態様では、第2の投与期間は、T細胞療法の投与の約29日後に開始する。いくつかの態様では、第2の投与期間は、T細胞療法の投与の27日後、または28日後、または29日後、または30日後、または31日後に開始する。いくつかの態様では、第2の投与期間は、T細胞療法の投与の29日後に開始する。いくつかの態様では、第2の投与期間は、T細胞療法の投与の28日後に開始する。いくつかの態様では、化合物は、第2の投与期間中、約0.1mg/日~約1.0mg/日で投与される。いくつかの態様では、化合物は、第2の投与期間中、約0.45mg/日で投与される。いくつかの態様では、化合物は、第2の投与期間中、約0.3mg/日で投与される。いくつかの態様では、化合物は、第2の投与期間中、約0.60mg/日で投与される。いくつかの態様では、第2の投与期間は、化合物が4週間の期間に連続3週間毎日投与される4週間サイクルを含む。いくつかの態様では、各4週間サイクルにおいて、化合物は、化合物が毎日投与される連続3週間の後1週間投与されない。いくつかの態様では、第2の投与期間は、1回より多い4週間サイクルを含む。いくつかの態様では、第2の投与期間は、2回の4週間サイクル、または3回の4週間サイクル、または4回の4週間サイクル、5回の4週間サイクル、または6回の4週間サイクル、または7回の4週間サイクル、8回の4週間サイクル、または9回の4週間サイクル、または10回の4週間サイクル、11回の4週間サイクル、または12回の4週間サイクル、または13回の4週間サイクル、14回の4週間サイクル、または15回の4週間サイクル、または16回の4週間サイクルを含む。いくつかの態様では、第2の投与は、2~11回もしくは約2~11回の4週間サイクル、2~9回もしくは約2~9回の4週間サイクル、2~7回もしくは約2~7回の4週間サイクル、2~5回もしくは約2~5回の4週間サイクル、または2~4回もしくは約2~4回の4週間サイクル(それぞれ両端の値を含む)を含む。いくつかの態様では、第2の投与は、2~11回または約2~11回の4週間サイクル(両端の値を含む)を含む。いくつかの態様では、第2の投与期間は、2回の4週間サイクルを含む。いくつかの態様では、第2の投与期間は、5回の4週間サイクルを含む。いくつかの態様では、第2の投与期間は、11回の4週間サイクルを含む。いくつかの態様では、第2の投与期間は、2回の4週間サイクルからなる。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、T細胞療法の投与後21日以内に開始し(または開始され)、かつ以下を含むサイクリングレジメンで実施される:化合物が約0.1mg~約1.0mg/日で最大連続3週間毎日投与される第1の投与期間、第1の投与期間の終了時から始まる、化合物が投与されない少なくとも1週間の休止期間、および化合物が4週間の期間に約0.1mg~約1.0mg/日で連続3週間毎日投与される4週間サイクルを含む第2の投与期間。いくつかの態様では、化合物は、第1の投与期間および第2の投与期間中、約0.30mg、0.45mgまたは0.60mg/日で投与される。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、T細胞療法(1日目に投与されるT細胞療法に関して)の投与後15日目に開始し、21日目の後に終了する第1の投与期間を含む。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、(1日目に投与されるT細胞療法に関して)T細胞療法の投与後8日目に開始し、21日目の後に終了する第1の投与期間を含む。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、T細胞療法(1日目に投与されるT細胞療法に関して)の投与後1日目に開始し、21日目の後に終了する第1の投与期間を含む。いくつかの態様では、休止期間は、(1日目に投与されるT細胞療法に関して)T細胞療法の投与後22日目に開始し、28日目の後に終了する。いくつかの態様では、第2の投与期間は、T細胞療法(1日目に投与されるT細胞療法に関して)の投与後29日目に開始する。いくつかの態様では、第2の投与期間は、T細胞療法(1日目に投与されるT細胞療法に関して)の投与後29日目に開始し、180日目の後に終了する。特定の態様では、化合物Aの投与は、T細胞療法(1日目に投与されるT細胞療法に関して)の投与後15日目に開始し、21日目の後に終了する第1の投与期間、T細胞療法(1日目に投与されるT細胞療法に関して)の投与後22日目に開始し、28日目後に終了する休止期間、およびT細胞療法(1日目に投与されるT細胞療法に関して)の投与後29日目に開始する第2の投与期間を含む。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、T細胞療法(1日目に投与されるT細胞療法に関して)の投与後8日目に開始し、21日目の後に終了する第1の投与期間、T細胞療法(1日目に投与されるT細胞療法に関して)の投与後22日目に開始し、28日目の後に終了する休止期間、およびT細胞療法(1日目に投与されるT細胞療法に関して)の投与後29日目に開始する第2の投与期間を含む。他の態様では、化合物Aの投与は、T細胞療法(1日目に投与されるT細胞療法に関して)の投与後8日目に開始し、21日目の後に終了する第1の投与期間、T細胞療法(1日目に投与されるT細胞療法に関して)の投与後22日目に開始し、28日目の後に終了する休止期間、およびT細胞療法(1日目に投与されるT細胞療法に関して)の投与後29日目に開始する第2の投与期間を含む。他の態様では、化合物Aの投与は、T細胞療法(1日目に投与されるT細胞療法に関して)の投与後1日目に開始し、21日目の後に終了する第1の投与期間、T細胞療法(1日目に投与されるT細胞療法に関して)の投与後22日目に開始し、28日目の後に終了する休止期間、およびT細胞療法(1日目に投与されるT細胞療法に関して)の投与後29日目に開始する第2の投与期間を含む。
【0247】
いくつかの態様では、化合物Aを投与するためのサイクリングレジメンは、T細胞療法の投与の開始に続いてある期間実施される。いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、T細胞療法の投与の開始後1週間を超える期間にわたる。いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、T細胞療法の投与の開始後約1ヶ月または少なくとも約1ヶ月の期間にわたる。いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、T細胞療法の投与の開始後約2ヶ月または少なくとも約2ヶ月の期間にわたる。いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、T細胞療法の投与の開始後約3ヶ月または少なくとも約3ヶ月の期間にわたる。いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、T細胞療法の投与の開始後約4ヶ月または少なくとも約4ヶ月の期間にわたる。いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、T細胞療法の投与の開始後約5ヶ月または少なくとも約5ヶ月の期間にわたる。いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、T細胞療法の投与の開始後約6ヶ月または少なくとも約6ヶ月の期間にわたる。いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、T細胞療法の投与の開始後約8ヶ月または少なくとも約8ヶ月の期間にわたる。いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、T細胞療法の投与の開始後約10ヶ月または少なくとも約10ヶ月の期間にわたる。いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、T細胞療法の投与の開始後約12ヶ月または少なくとも約12ヶ月の期間にわたる。
【0248】
いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、少なくとも3ヶ月の期間にわたる。いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、T細胞療法の投与の開始後90日もしくは約90日、100日もしくは約100日、105日もしくは約105日、110日もしくは約110日、115日もしくは約115日、120日もしくは約120日、125日もしくは約125日、130日もしくは約130日、135日もしくは約135日、140日もしくは約140日、145日もしくは約145日、150日もしくは約150日、155日もしくは約155日、160日もしくは約160日、165日もしくは約165日、170日もしくは約170日、175日もしくは約175日、180日もしくは約180日、185日もしくは約185日、190日もしくは約190日、195日もしくは約195日、200日もしくは約200日またはそれ以上の期間にわたる。
【0249】
いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、T細胞療法(例えばCAR T細胞療法)の投与の開始後90日もしくは約90日または3ヶ月もしくは約3ヶ月の期間にわたる。いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、T細胞療法(例えばCAR T細胞療法)の投与の開始後120日もしくは約120日または4ヶ月もしくは約4ヶ月の期間にわたる。いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、T細胞療法(例えばCAR T細胞療法)の投与の開始後150日もしくは約150日または5ヶ月もしくは約5ヶ月の期間にわたる。いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、T細胞療法(例えばCAR T細胞療法)の投与の開始後180日もしくは約180日または6ヶ月もしくは約6ヶ月の期間にわたる。
【0250】
いくつかの態様では、サイクリングレジメンは、T細胞療法の投与の開始後3ヶ月または約3ヶ月で終了する。いくつかの態様では、サイクリングレジメンは、T細胞療法の投与の開始後4ヶ月または約4ヶ月で終了する。いくつかの態様では、サイクリングレジメンは、T細胞療法の投与の開始後5ヶ月または約5ヶ月で終了する。いくつかの態様では、サイクリングレジメンは、T細胞療法の投与の開始後6ヶ月または約6ヶ月で終了する。いくつかの態様では、サイクリングレジメンは、T細胞療法の投与の開始後8ヶ月または約8ヶ月で終了する。いくつかの態様では、サイクリングレジメンは、T細胞療法の投与の開始後10ヶ月または約10ヶ月で終了する。いくつかの態様では、サイクリングレジメンは、T細胞療法の投与の開始後12ヶ月または約12ヶ月で終了する。
【0251】
いくつかの態様では、サイクリングレジメンは、T細胞療法の投与の開始後84日または約84日で終了する。いくつかの態様では、第2の投与期間は、T細胞療法の投与の開始後84日または約84日で終了する。したがって、T細胞療法が併用療法の1日目に投与される併用療法に関して、第2の投与期間は併用療法の85日目に終了する。
【0252】
いくつかの態様では、サイクリングレジメンは、T細胞療法の投与の14日後に開始し、T細胞療法の投与の20日後に終了する第1の投与期間、T細胞療法の投与の21日後に開始し、T細胞療法の投与の27日後に終了する休止期間、およびT細胞療法の投与の28日後に開始し、T細胞療法の投与の84日後に終了する第2の投与期間を含む。いくつかの態様では、サイクリングレジメンは、T細胞療法の投与の7日後に開始し、T細胞療法の投与の20日後に終了する第1の投与期間、T細胞療法の投与の21日後に開始し、T細胞療法の投与の27日後に終了する休止期間、およびT細胞療法の投与の28日後に開始し、T細胞療法の投与の84日後に終了する第2の投与期間を含む。いくつかの態様では、サイクリングレジメンは、T細胞療法の投与と同じ日に開始し、T細胞療法の投与の20日後に終了する第1の投与期間、T細胞療法の投与の21日後に開始し、T細胞療法の投与の27日後に終了する休止期間、およびT細胞療法の投与の28日後に開始し、T細胞療法の投与の84日後に終了する第2の投与期間を含む。
【0253】
したがって、T細胞療法が併用療法の1日目に投与される併用療法に関して、いくつかの態様では、サイクリングレジメンは、併用療法の15日目に開始し、21日目に終了する第1の投与期間、併用療法の22日目に開始する休止期間、および併用療法の29日目に開始し、85日目に終了する第2の投与期間を含む。いくつかの態様では、サイクリングレジメンは、併用療法の8日目に開始し、21日目に終了する第1の投与期間、併用療法の22日目に開始する休止期間、および併用療法の29日目に開始し、85日目に終了する第2の投与期間を含む。いくつかの態様では、サイクリングレジメンは、併用療法の1日目に開始し、21日目に終了する第1の投与期間、併用療法の22日目に開始する休止期間、および併用療法の29日目に開始し、85日目に終了する第2の投与期間を含む。
【0254】
いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、対象が、6ヶ月より前または6ヶ月でまたは約6ヶ月で、治療後に完全奏効(CR)を達成したか、または治療後に癌(例えばB細胞悪性腫瘍)が進行したかもしくは寛解の後に再発した場合、T細胞療法(例えばCAR T細胞療法)の投与の開始後の期間(例えば3、4、5もしくは6ヶ月、または約3、4、5もしくは6ヶ月)の終了時に終了または停止される。いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、対象が、T細胞療法の投与の開始後3ヶ月より前または3ヶ月でまたは約3ヶ月で、治療後に完全奏効(CR)を達成したか、または治療後に癌(例えばB細胞悪性腫瘍)が進行したかもしくは寛解の後に再発した場合、T細胞療法(例えばCAR T細胞療法)の投与の開始後3ヶ月で終了または停止される。いくつかの態様では、期間は、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与が、対象がその期間の終了前の時点で完全奏効(CR)を達成した場合でもその期間中継続される、固定された期間である。いくつかの態様では、対象は、最小残存病変(MRD)を伴うCRを有する。いくつかの態様では、対象は、MRD-であるCRを有する。
【0255】
いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、対象が治療後に部分奏効(PR)または安定疾患(SD)を示す場合、期間の終了後も継続され、例えばT細胞療法(例えばCAR T細胞)の投与の開始後3、4、5もしくは6ヶ月より長く、または約3、4、5もしくは6ヶ月より長く継続される。いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、T細胞療法(例えばCAR T細胞療法)の投与の開始後3ヶ月を超えて継続される。いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、T細胞療法(例えばCAR T細胞療法)の投与の開始後6ヶ月を超えて継続される。いくつかの態様では、初期期間の終わりにPRまたはSDを示した対象について、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、対象が治療後に完全奏効(CR)を達成するまで、または治療後に癌(例えばNHL、例えばDLBCLなどのB細胞悪性腫瘍)が進行するかもしくは寛解の後に再発するまで継続される。
【0256】
いくつかの態様では、化合物Aの投与は、1日当たり約1.0mg以下(例えば0.1~1.0mg、0.30mg、0.45mg、または0.60mg)の量で化合物Aを投与する工程を含むサイクリングレジメンで実施される。いくつかの態様では、化合物Aを投与する時点で、対象は、T細胞療法(例えばCAR T細胞)の投与後に重度の毒性を示さない。いくつかの態様では、B細胞悪性腫瘍は、再発性/難治性の悪性度の高いNHLまたはDLBCLなどのNHLである。いくつかの態様では、CAR発現T細胞などの細胞療法は、B細胞抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む。いくつかの態様では、B細胞抗原はCD19である。
【0257】
いくつかの態様では、化合物Aの投与は、細胞療法(例えばT細胞療法)の投与の開始後3ヶ月もしくは約3ヶ月もしくは3ヶ月超、4ヶ月もしくは約4ヶ月もしくは4ヶ月超、5ヶ月もしくは約5ヶ月もしくは5ヶ月超、または6ヶ月もしくは約6ヶ月もしくは6ヶ月超にわたる、有効量の化合物を投与する工程を含むサイクリングレジメンで実施される。いくつかの態様では、期間は、3ヶ月もしくは約3ヶ月、4ヶ月もしくは約4ヶ月、5ヶ月もしくは約5ヶ月、または6ヶ月もしくは約6ヶ月にわたる。いくつかの態様では、化合物Aを投与する時点で、対象は、細胞療法の投与後に重度の毒性を示さない。いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、対象が、期間の終了前またはほぼ終了前に、治療後に完全奏効(CR)を達成したか、または治療後に癌、例えばB細胞悪性腫瘍が進行したかもしくは寛解の後に再発した場合、終了または停止される。いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、対象がその期間の終了前の時点で完全奏効(CR)を達成した場合でも、その期間中継続される。いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、T細胞療法の投与の開始後、対象が治療後に部分奏効(PR)または安定疾患(SD)を示す場合、初期期間の終了後も継続される。いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、対象が治療後に完全奏効(CR)を達成するまで、または癌、例えば治療後に癌、例えばB細胞悪性腫瘍が進行するかもしくは寛解の後に再発するまで繰り返される。いくつかの態様では、B細胞悪性腫瘍は、再発性/難治性の悪性度の高いNHLまたはDLBCLなどのNHLである。いくつかの態様では、CAR発現T細胞などのT細胞療法は、B細胞抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む。いくつかの態様では、B細胞抗原はCD19である。
【0258】
いくつかの態様では、化合物Aの投与は、T細胞療法(例えばCAR T細胞療法)の投与の開始後約3ヶ月または3ヶ月超の期間(例えば3ヶ月もしくは約3ヶ月、4ヶ月もしくは約4ヶ月、5ヶ月もしくは約5ヶ月、または6ヶ月もしくは約6ヶ月の期間)にわたって週に5日以下(例えば3日、4日または5日)のそれぞれに1日当たり約3mg以下(例えば1~3mg、1mg、2mg、または3mg)の量で化合物Aを投与する工程を含むサイクリングレジメンで実施される。いくつかの態様では、化合物Aを投与する時点で、対象は、細胞療法の投与後に重度の毒性を示さない。いくつかの態様では、B細胞悪性腫瘍は、再発性/難治性の悪性度の高いNHLまたはDLBCLなどのNHLである。いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、対象が、6ヶ月より前または約6ヶ月より前に、治療後に完全奏効(CR)を達成したか、または治療後に癌、例えばB細胞悪性腫瘍が進行したかもしくは寛解の後に再発した場合、T細胞療法の投与の開始後6ヶ月または約6ヶ月で終了または停止される。いくつかの態様では、対象が期間の終了前の時点で完全奏効(CR)を達成した場合でも、サイクリングレジメンは全期間にわたって継続される。いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、6ヶ月または約6ヶ月で、対象が治療後に部分奏効(PR)または安定疾患(SD)を示す場合、期間の終了後もさらに継続され、例えば細胞療法の投与の開始後6ヶ月を超えて継続される。いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、対象が治療後に完全奏効(CR)を達成するまで、または治療後に癌、例えばB細胞悪性腫瘍が進行するかもしくは寛解の後に再発するまで継続される。いくつかの態様では、CAR発現T細胞などの細胞療法は、B細胞抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む。いくつかの態様では、B細胞抗原はCD19である。
【0259】
いくつかの態様では、化合物Aの投与は、細胞療法(例えばT細胞療法)の開始後の6ヶ月もしくは約6ヶ月もしくは6ヶ月超の期間にわたって1日当たり約1mg~約3mg(例えば1mg、2mgまたは3mg)の量で化合物Aを投与することを含むサイクリングレジメンで実施される。いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、細胞療法の投与の開始後約14~約35日(例えば約21~約35日、例えば28日または約28日)超で開始される。いくつかの態様では、化合物Aを投与する時点で、対象は、細胞療法の投与後に重度の毒性を示さない。いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、対象が、6ヶ月または約6ヶ月で、治療後に完全奏効(CR)を達成したか、または治療後に癌、例えばB細胞悪性腫瘍が進行したかもしくは寛解の後に再発した場合、細胞療法の投与の開始後6ヶ月または約6ヶ月で停止される。いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンでの化合物Aの投与は、対象が6ヶ月より前または約6ヶ月より前の時点で完全奏効(CR)を達成した場合でも、その期間中継続される。いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、6ヶ月または約6ヶ月で、対象が治療後に部分奏効(PR)または安定疾患(SD)を示す場合、T細胞療法の投与の開始後6ヶ月を超えてさらに投与される。いくつかの態様では、化合物Aの投与、例えばサイクリングレジメンにおける化合物Aの投与は、対象が治療後に完全奏効(CR)を達成するまで、または治療後にB細胞悪性腫瘍が進行するかもしくは寛解の後に再発するまで継続される。いくつかの態様では、B細胞悪性腫瘍は、再発性/難治性の悪性度の高いNHLまたはDLBCLなどのNHLである。いくつかの態様では、CAR発現T細胞などの細胞療法は、B細胞抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む。いくつかの態様では、B細胞抗原はCD19である。
【0260】
いくつかの場合には、サイクリングレジメンは、いずれの時点でも、および/または1回もしくは複数回、中断することができる。いくつかの場合には、対象が、セクションIVに記載されているものなどの1つもしくは複数の有害事象、用量制限毒性(DLT)、好中球減少症もしくは発熱性好中球減少症、血小板減少症、サイトカイン放出症候群(CRS)および/または神経毒性(NT)を発症した場合、サイクリングレジメンは中断または変更される。いくつかの態様では、対象が、セクションIVに記載されているものなどの1つもしくは複数の有害事象、用量制限毒性(DLT)、好中球減少症もしくは発熱性好中球減少症、血小板減少症、サイトカイン放出症候群(CRS)および/または神経毒性(NT)を発症した後、週の特定の曜日に各投与当たりまたは1日当たりの化合物Aの量が変更される。
【0261】
II. 細胞療法および細胞の操作
いくつかの態様では、提供される併用療法の方法に従って使用するための細胞療法(例えばT細胞療法)は、癌、例えばB細胞悪性腫瘍などの疾患または状態に関連する抗原を認識するおよび/または前記抗原に特異的に結合するように設計された組換え受容体を発現する操作された細胞を投与する工程を含む。いくつかの態様では、抗原への結合は、そのような抗原に対する免疫応答などの応答をもたらす。いくつかの態様では、細胞は、操作された受容体または組換え受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)などの操作された抗原受容体を含むか、または含むように操作されている。CARなどの組換え受容体は、一般に、いくつかの局面ではリンカーおよび/または膜貫通ドメイン(1つまたは複数)を介して、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達成分に連結された細胞外抗原(またはリガンド)結合ドメインを含む。いくつかの局面では、操作された細胞は、養子細胞療法などのために、対象への投与に適した薬学的組成物および製剤として提供される。細胞および組成物を対象、例えば患者に投与するための治療方法も提供される。いくつかの態様では、方法は、セクションIに記載のいずれかである。
【0262】
いくつかの態様では、細胞は、遺伝子操作によって導入された1つまたは複数の核酸を含み、それにより、そのような核酸の組換え産物または遺伝子操作された産物を発現する。いくつかの態様では、遺伝子導入は、例えばサイトカインまたは活性化マーカーの発現によって測定されるように、細胞を増殖、生存、および/または活性化などの応答を誘導する刺激と組み合わせることなどによって、最初に細胞を刺激し、続いて活性化された細胞を形質導入し、培養下で臨床適用に十分な数まで拡大させることによって達成される。
【0263】
A. キメラ抗原受容体
例えばセクションIに記載のいずれかのように、提供される方法および使用のいくつかの態様では、T細胞などの操作された細胞は、所望の抗原(例えば腫瘍抗原)に対する特異性を提供するリガンド結合ドメイン(例えば抗体または抗体断片)を細胞内シグナル伝達ドメインと組み合わせる1つまたは複数のドメインを含む、キメラ抗原受容体(CAR)などのキメラ受容体を発現する。いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、T細胞活性化ドメインなどの活性化細胞内ドメイン部分であり、一次活性化シグナルを提供する。いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、エフェクター機能を促進するための共刺激シグナル伝達ドメインを含むか、または付加的に含む。分子、例えば抗原に特異的に結合すると、受容体は一般に、ITAM形質導入シグナルなどの免疫刺激シグナルを細胞内に送達し、それにより疾患または状態を標的とする免疫応答を促進する。いくつかの態様では、免疫細胞に遺伝子操作された場合のキメラ受容体は、T細胞活性を調節することができ、いくつかの場合には、T細胞分化またはホメオスタシスを調節することができ、それにより、養子細胞療法の方法における使用などのために、インビボでの寿命、生存および/または持続性が改善された遺伝子操作細胞をもたらす。
【0264】
CARを含む例示的な抗原受容体、およびそのような受容体を操作して細胞に導入するための方法は、例えば国際公開公報第200014257号、同第2013126726号、同第2012/129514号、同第2014031687号、同第2013/166321号、同第2013/071154号、同第2013/123061号、米国特許出願公開第2002131960号、同第2013287748号、同第20130149337号、米国特許第6,451,995号、同第7,446,190号、同第8,252,592号、同第8,339,645号、同第8,398,282号、同第7,446,179号、同第6,410,319号、同第7,070,995号、同第7,265,209号、同第7,354,762号、同第7,446,191号、同第8,324,353号、および同第8,479,118号、および欧州特許出願第2537416号に記載されているもの、ならびに/またはSadelain et al., Cancer Discov. 2013 April;3(4):388-398;Davila et al.(2013)PLoS ONE 8(4):e61338;Turtle et al., Curr. Opin. Immunol., 2012 October;24(5):633-39;Wu et al., Cancer, 2012 March 18(2):160-75によって記載されているものを含む。いくつかの局面では、抗原受容体は、米国特許第7,446,190号に記載されているCAR、および国際公開公報第2014055668 A1号に記載されているものを含む。CARの例には、国際公開公報第2014031687号、米国特許第8,339,645号、同第7,446,179号、米国特許出願公開第2013/0149337号、米国特許第7,446,190号、同第8,389,282号、Kochenderfer et al., 2013, Nature Reviews Clinical Oncology, 10, 267-276(2013);Wang et al.(2012)J. Immunother. 35(9):689-701;およびBrentjens et al., Sci Transl Med. 2013 5(177)などの前述の刊行物のいずれかに開示されているCARが含まれる。国際公開公報第2014031687号、米国特許第8,339,645号、同第7,446,179号、米国特許出願公開第2013/0149337号、米国特許第7,446,190号、および米国特許第8,389,282号も参照のこと。
【0265】
いくつかの態様では、T細胞などの操作された細胞は、特定の抗原(またはマーカーまたはリガンド)、例えば特定の細胞型の表面に発現される抗原に対する特異性を有するキメラ抗原受容体(CAR)などの組換え受容体を発現する。いくつかの態様では、受容体によって標的とされる抗原はポリペプチドである。いくつかの態様では、抗原は炭水化物または他の分子である。いくつかの態様では、抗原は、正常または非標的化細胞または組織と比較して、疾患または状態の細胞、例えば腫瘍または病原性細胞上に選択的に発現されるかまたは過剰発現される。他の態様では、抗原は、正常細胞上に発現され、および/または操作された細胞上に発現される。
【0266】
いくつかの態様において受容体によって標的とされる抗原は、いくつかの公知のB細胞マーカーのいずれかなどの、B細胞悪性腫瘍に関連する抗原を含む。いくつかの態様では、受容体によって標的とされる抗原は、CD20、CD19、CD22、ROR1、CD45、CD21、CD5、CD33、Igκ、Igλ、CD79a、CD79bまたはCD30である。特定の局面では、抗原はCD19である。いくつかの態様では、そのような抗原のいずれかは、ヒトB細胞上で発現される抗原である。
【0267】
CARなどのキメラ受容体は、一般に、抗体分子の1つまたは複数の抗原結合部分である細胞外抗原結合ドメインを含む。いくつかの態様では、抗原結合ドメインは抗体分子の一部であり、一般に、抗体の可変重(VH)鎖領域および/または可変軽(VL)鎖領域、例えばscFv抗体断片である。いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、sdFv、ナノボディ、VHHおよびVNARなどの単一ドメイン抗体(sdAb)である。いくつかの態様では、抗原結合断片は、柔軟なリンカーによって連結された抗体可変領域を含む。
【0268】
いくつかの態様では、抗体または抗原結合断片(例えばscFvまたはVHドメイン)は、CD19などの抗原を特異的に認識する。いくつかの態様では、抗体または抗原結合断片は、CD19に特異的に結合する抗体または抗原結合断片に由来するか、またはその変異体である。
【0269】
いくつかの態様では、抗原はCD19である。いくつかの態様では、scFvは、CD19に特異的な抗体または抗体断片に由来するVHおよびVLを含む。いくつかの態様では、CD19に結合する抗体または抗体断片は、FMC63およびSJ25C1などのマウス由来の抗体である。いくつかの態様では、抗体または抗体断片は、例えば米国特許出願公開第2016/0152723号に記載されているヒト抗体である。
【0270】
いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、FMC63に由来するVHおよび/またはVLを含み、これは、いくつかの局面では、scFvであり得る。FMC63は一般に、ヒト起源のCD19を発現するNalm-1およびNalm-16細胞に対して惹起されるマウスモノクローナルIgG1抗体を指す(Ling, N.R., et al.(1987)Leucocyte typing III.302)。いくつかの態様では、FMC63抗体は、それぞれSEQ ID NO:38および39に示されるCDR‐H1およびCDR‐H2、SEQ ID NO:40または54に示されるCDR‐H3、ならびにSEQ ID NO:35に示されるCDR-L1、SEQ ID NO:36または55に示されるCDR‐L2、およびSEQ ID NO:37または56に示されるCDR‐L3を含む。FMC63抗体は、SEQ ID NO:41のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:42のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0271】
いくつかの態様では、scFvは、SEQ ID NO:35のCDR-L1配列、SEQ ID NO:36のCDR-L2配列、およびSEQ ID NO:37のCDR-L3配列を含む可変軽鎖、ならびに/またはSEQ ID NO:38のCDR-H1配列、SEQ ID NO:39のCDR-H2配列、およびSEQ ID NO:40のCDR-H3配列を含む可変重鎖、または前記配列のいずれかに少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の配列同一性を有する前記配列のいずれかの変異体を含む。いくつかの態様では、scFvは、SEQ ID NO:41に示されるFMC63の可変重鎖領域およびSEQ ID NO:42に示されるFMC63の可変軽鎖領域、または前記配列のいずれかに少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の配列同一性を有する前記配列のいずれかの変異体を含む。いくつかの態様では、可変重鎖と可変軽鎖はリンカーによって接続されている。いくつかの態様では、リンカーはSEQ ID NO:59に示されている。いくつかの態様では、scFvは、順に、VH、リンカー、およびVLを含む。いくつかの態様では、scFvは、順に、VL、リンカー、およびVHを含む。いくつかの態様では、scFvは、SEQ ID NO:57に示されるヌクレオチドの配列、またはSEQ ID NO:57と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を示す配列によってコードされる。いくつかの態様では、scFvは、SEQ ID NO:43に示されるアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:43と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を示す配列を含む。
【0272】
いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、SJ25C1に由来するVHおよび/またはVLを含み、これは、いくつかの局面では、scFvであり得る。SJ25C1は、ヒト起源のCD19を発現するNalm-1およびNalm-16細胞に対して惹起されるマウスモノクローナルIgG1抗体である(Ling, N.R., et al.(1987)Leucocyte typing III.302)。いくつかの態様では、SJ25C1抗体は、それぞれSEQ ID NO:47~49に示されるCDR‐H1、CDR‐H2およびCDR‐H3、ならびにそれぞれSEQ ID NO:44~46に示されるCDR‐L1、CDR‐L2およびCDR‐L3配列を含む。いくつかの態様では、SJ25C1抗体は、SEQ ID NO:50のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:51のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。いくつかの態様では、scFvは、SEQ ID NO:44のCDR-L1配列、SEQ ID NO:45のCDR-L2配列、およびSEQ ID NO:46のCDR-L3配列を含む可変軽鎖、ならびに/またはSEQ ID NO:47のCDR-H1配列、SEQ ID NO:48のCDR-H2配列、およびSEQ ID NO:49のCDR-H3配列を含む可変重鎖、または前記配列のいずれかに少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の配列同一性を有する前記配列のいずれかの変異体を含む。いくつかの態様では、scFvは、SEQ ID NO:50に示されるSJ25C1の可変重鎖領域、およびSEQ ID NO:51に示されるSJ25C1の可変軽鎖領域、または前記配列のいずれかに少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の配列同一性を有する前記配列のいずれかの変異体を含む。いくつかの態様では、可変重鎖と可変軽鎖はリンカーによって接続されている。いくつかの態様では、リンカーはSEQ ID NO:52に示されている。いくつかの態様では、scFvは、順に、VH、リンカー、およびVLを含む。いくつかの態様では、scFvは、順に、VL、リンカー、およびVHを含む。いくつかの態様では、scFvは、SEQ ID NO:53に示されるアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:53と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を示す配列を含む。
【0273】
本明細書における「抗体」という用語は最も広い意味で使用され、無傷の抗体、ならびに断片抗原結合(Fab)断片、F(ab')2断片、Fab'断片、Fv断片、組換えIgG(rIgG)断片、抗原に特異的に結合することができる可変重鎖(VH)領域、一本鎖可変断片(scFv)を含む一本鎖抗体断片、および単一ドメイン抗体(例えばsdAb、sdFv、ナノボディ、VHHもしくはVNAR)または断片を含む機能的(抗原結合)抗体断片を含む、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体を含む。この用語は、遺伝子操作されたおよび/またはさもなければ修飾された形態の免疫グロブリン、例えばイントラボディ、ペプチボディ、キメラ抗体、完全ヒト抗体、ヒト化抗体、およびヘテロコンジュゲート抗体、多重特異性、例えば二重特異性抗体、ダイアボディ、トリアボディ、およびテトラボディ、タンデムジ-scFv、タンデムトリ-scFvを包含する。特に明記されない限り、「抗体」という用語はその機能的抗体断片を包含すると理解されるべきである。この用語はまた、IgGおよびそのサブクラス、IgM、IgE、IgA、およびIgDを含む任意のクラスまたはサブクラスの抗体を含む、無傷または完全長抗体を包含する。いくつかの局面では、CARは、例えば異なる特異性を有する2つの抗原結合ドメインを含む、二重特異性CARである。
【0274】
いくつかの態様では、抗原結合タンパク質、抗体およびその抗原結合断片は、完全長抗体の抗原を特異的に認識する。いくつかの態様では、抗体の重鎖および軽鎖は完全長であり得るか、または抗原結合部分(Fab、F(ab')2、Fvまたは一本鎖Fv断片(scFv))であり得る。他の態様では、抗体重鎖定常領域は、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgD、およびIgEから選択され、特に、例えばIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4から、より具体的にはIgG1(例えばヒトIgG1)から選択される。別の態様では、抗体軽鎖定常領域は、例えばκまたはλ、特にκから選択される。
【0275】
「超可変領域」または「HVR」と同義である「相補性決定領域」および「CDR」という用語は、いくつかの場合には、抗原特異性および/または結合親和性を付与する抗体可変領域内のアミノ酸の非隣接配列を指すことが公知である。一般に、各重鎖可変領域には3つのCDR(CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3)があり、各軽鎖可変領域には3つのCDR(CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3)がある。「フレームワーク領域」および「FR」は、いくつかの場合には、重鎖および軽鎖の可変領域の非CDR部分を指すことが公知である。一般に、各完全長重鎖可変領域には4つのFR(FR-H1、FR-H2、FR-H3、およびFR-H4)があり、各完全長軽鎖可変領域には4つのFR(FR-L1、FR-L2、FR-L3、およびFR-L4)がある。
【0276】
所与のCDRまたはFRの正確なアミノ酸配列の境界は、Kabat et al.(1991), 「Sequences of Proteins of Immunological Interest」, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD(「Kabat」番号付けスキーム);Al-Lazikani et al., (1997)JMB 273, 927-948(「Chothia」番号付けスキーム);MacCallum et al., J. Mol. Biol. 262:732-745(1996),「Antibody-antigen interactions:Contact analysis and binding site topography」, J. Mol. Biol. 262, 732-745”(「Contact」番号付けスキーム);Lefranc MP et al., 「IMGT unique numbering for immunoglobulin and T cell receptor variable domains and Ig superfamily V-like domains」, Dev Comp Immunol, 2003 Jan;27(1):55-77(「IMGT」番号付けスキーム);Honegger A and Pluckthun A, 「Yet another numbering scheme for immunoglobulin variable domains:an automatic modeling and analysis tool」, J Mol Biol, 2001 Jun 8;309(3):657-70(「Aho」番号付けスキーム);Martin et al., 「Modeling antibody hypervariable loops:a combined algorithm」, PNAS, 1989, 86(23):9268-9272(「AbM」番号付けスキーム)によって記載されているものを含む、いくつかの周知のスキームのいずれかを用いて容易に決定することができる。
【0277】
所与のCDRまたはFRの境界は、同定のために使用されるスキームによって異なり得る。例えば、Kabatスキームは構造アラインメントに基づいており、一方Chothiaスキームは構造情報に基づく。KabatスキームとChothiaスキームの両方の番号付けは、最も一般的な抗体領域の配列の長さに基づいており、挿入には挿入文字、例えば「30a」によって対応し、一部の抗体では欠失が出現する。2つのスキームは、特定の挿入と欠失(「インデル」)を異なる位置に配置するため、結果として異なる番号付けになる。Contactスキームは、複雑な結晶構造の分析に基づいており、多くの点でChothia番号付けスキームに類似する。AbMスキームは、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアで使用されているものに基づく、KabatとChothiaの定義の折衷案である。
【0278】
以下の表2は、それぞれKabat、Chothia、AbM、およびContactスキームによって同定されたCDR-L1、CDR-L2、CDR-L3およびCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3の例示的な位置境界を列挙する。CDR-H1については、KabatとChothiaの両方の番号付けスキームを使用した残基番号付けが列挙されている。FRはCDRの間に位置し、例えばFR-L1はCDR-L1の前に位置し、FR-L2はCDR-L1とCDR-L2の間に位置し、FR-L3はCDR-L2とCDR-L3の間に位置する、などである。示されているKabat番号付けスキームではH35AとH35Bに挿入を配置しているため、示されているKabat番号付け規則を使用して番号付けした場合のChothia CDR-H1ループの末端は、ループの長さに依存してH32とH34の間で異なることに注意されたい。
【0279】
(表2)様々な番号付けスキームによるCDRの境界
【0280】
したがって、特に指定されない限り、所与の抗体またはその領域、例えばその可変領域の「CDR」または「相補性決定領域」または個々の指定されるCDR(例えばCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3)は、前述のスキームのいずれかまたは他の公知のスキームによって定義される、(または特定の)相補性決定領域を包含すると理解されるべきである。例えば、特定のCDR(例えばCDR-H3)が、所与のVHまたはVL領域のアミノ酸配列内の対応するCDRのアミノ酸配列を含むと述べられている場合、そのようなCDRは、前述のスキームのいずれかまたは他の公知のスキームによって定義される、可変領域内の対応するCDR(例えばCDR-H3)の配列を有すると理解される。いくつかの態様では、特定のCDR配列が指定される。提供される抗体の例示的なCDR配列は、様々な番号付けスキームを使用して表されるが、提供される抗体は、他の前述の番号付けスキームのいずれかまたは当業者に公知の他の番号付けスキームに従って表されるCDRを含み得ることが理解される。
【0281】
同様に、特に指定されない限り、所与の抗体またはその領域、例えばその可変領域のFRまたは個々の指定されるFR(1つもしくは複数)(例えばFR-H1、FR-H2、FR-H3、FR-H4)は、公知のスキームのいずれかによって定義される、(または特定の)フレームワーク領域を包含すると理解されるべきである。いくつかの場合には、Kabat、Chothia、AbM、もしくはContact法、または他の公知のスキームによって定義されるCDRなどの、特定のCDR(1つもしくは複数)またはFR(1つもしくは複数)を同定するためのスキームが指定される。他の場合には、CDRまたはFRの特定のアミノ酸配列が与えられる。
【0282】
「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、抗体の抗原への結合に関与する抗体重鎖または軽鎖のドメインを指す。天然抗体の重鎖および軽鎖の可変領域(それぞれVHおよびVL)は、一般に類似の構造を有し、各ドメインは4つの保存されたフレームワーク領域(FR)および3つのCDRを含む。(例えばKindt et al. Kuby Immunology, 6th ed., W.H. Freeman and Co., page 91(2007)参照。)単一のVHまたはVLドメインが、抗原結合特異性を付与するのに十分であり得る。さらに、特定の抗原に結合する抗体を、抗原に結合する抗体からのVHまたはVLドメインを用いて単離して、それぞれ相補的VLまたはVHドメインのライブラリをスクリーニングし得る。例えば、Portolano et al., J. Immunol. 150:880-887(1993);Clarkson et al., Nature 352:624-628(1991)参照。
【0283】
提供される抗体の中には抗体断片がある。「抗体断片」とは、無傷の抗体が結合する抗原に結合する無傷の抗体の一部を含む、無傷の抗体以外の分子を指す。抗体断片の例には、Fv、Fab、Fab'、Fab'-SH、F(ab')2;ダイアボディ;直鎖抗体;可変重鎖(VH)領域、scFvおよび単一ドメインVH単一抗体などの一本鎖抗体分子;ならびに抗体断片から形成される多重特異性抗体が含まれるが、これらに限定されるわけではない。特定の態様では、抗体は、scFvなどの可変重鎖領域および/または可変軽鎖領域を含む一本鎖抗体断片である。
【0284】
「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、抗体の抗原への結合に関与する抗体重鎖または軽鎖のドメインを指す。天然抗体の重鎖および軽鎖の可変ドメイン(それぞれVHおよびVL)は一般に類似の構造を有し、各ドメインは4つの保存されたフレームワーク領域(FR)および3つのCDRを含む。(例えばKindt et al. Kuby Immunology, 6th ed., W.H. Freeman and Co., page 91(2007)参照。)単一のVHまたはVLドメインが、抗原結合特異性を付与するのに十分であり得る。さらに、特定の抗原に結合する抗体を、抗原に結合する抗体からのVHまたはVLドメインを用いて単離して、それぞれ相補的VLまたはVHドメインのライブラリをスクリーニングし得る。例えば、Portolano et al., J. Immunol.150:880-887(1993);Clarkson et al., Nature 352:624-628(1991)参照。
【0285】
単一ドメイン抗体(sdAb)は、抗体の重鎖可変ドメインの全部もしくは一部、または軽鎖可変ドメインの全部もしくは一部を含む抗体断片である。特定の態様では、単一ドメイン抗体はヒト単一ドメイン抗体である。いくつかの態様では、CARは、癌マーカーまたは標的とされる細胞もしくは疾患、例えば腫瘍細胞もしくは癌細胞の細胞表面抗原などの抗原、例えば本明細書に記載されるもしくは公知の標的抗原のいずれかに特異的に結合する、抗体重鎖ドメインを含む。例示的な単一ドメイン抗体には、sdFv、ナノボディ、VHHまたはVNARが含まれる。
【0286】
抗体断片は、無傷の抗体のタンパク質分解消化、ならびに組換え宿主細胞による産生を含むがこれらに限定されるわけではない、様々な技術によって作製することができる。いくつかの態様では、抗体は、合成リンカー、例えばペプチドリンカーによって連結された2つもしくはそれ以上の抗体領域もしくは鎖を有するものなどの、天然には生じない配置を含む断片、および/または天然の無傷の抗体の酵素消化によっては生成され得ない断片などの、組換えによって作製された断片である。いくつかの態様では、抗体断片はscFvである。
【0287】
「ヒト化」抗体は、すべてまたは実質的にすべてのCDRアミノ酸残基が非ヒトCDRに由来し、すべてまたは実質的にすべてのFRアミノ酸残基がヒトFRに由来する抗体である。ヒト化抗体は、任意で、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部を含み得る。非ヒト抗体の「ヒト化型」は、親の非ヒト抗体の特異性および親和性を保持しながら、典型的にはヒトに対する免疫原性を低下させるために、ヒト化を受けた非ヒト抗体の変異体を指す。いくつかの態様では、ヒト化抗体中のいくつかのFR残基は、例えば抗体特異性または親和性を回復または改善するために、非ヒト抗体(例えばCDR残基が由来する抗体)からの対応する残基で置換される。
【0288】
いくつかの局面では、組換え受容体、例えばキメラ抗原受容体は、抗体またはその断片などの1つまたは複数のリガンド(例えば抗原)結合ドメインを含む細胞外部分、および1つまたは複数の細胞内シグナル伝達領域またはドメイン(互換的に細胞質シグナル伝達ドメインまたは領域とも呼ばれる)を含む。いくつかの局面では、組換え受容体、例えばCARは、スペーサーおよび/または膜貫通ドメインまたは部分をさらに含む。いくつかの局面では、スペーサーおよび/または膜貫通ドメインは、リガンド(例えば抗原)結合ドメインを含む細胞外部分と、細胞内シグナル伝達領域またはドメインとを連結することができる。
【0289】
いくつかの態様では、CARなどの組換え受容体は、スペーサーをさらに含み、スペーサーは、ヒンジ領域、例えばIgG4ヒンジ領域、ならびに/またはCH1/CLおよび/もしくはFc領域などの、免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部またはその変異体もしくは修飾型であり得るかまたはそれを含み得る。いくつかの態様では、組換え受容体は、スペーサーおよび/またはヒンジ領域をさらに含む。いくつかの態様では、定常領域またはその部分は、IgG4またはIgG1などのヒトIgGのものである。いくつかの局面では、定常領域の一部は、抗原認識成分、例えばscFvと膜貫通ドメインとの間のスペーサー領域として機能する。スペーサーは、スペーサーが存在しない場合と比較して、抗原結合後の細胞の応答性の増加をもたらす長さのものであり得る。いくつかの例では、スペーサーは、12アミノ酸もしくは約12アミノ酸の長さであるか、または12アミノ酸以下の長さである。例示的なスペーサーには、少なくとも約10~229個のアミノ酸、少なくとも約10~200個のアミノ酸、少なくとも約10~175個のアミノ酸、少なくとも約10~150個のアミノ酸、少なくとも約10~125個のアミノ酸、少なくとも約10~100個のアミノ酸、少なくとも約10~75個のアミノ酸、少なくとも約10~50個のアミノ酸、少なくとも約10~40個のアミノ酸、少なくとも約10~30個のアミノ酸、少なくとも約10~20個のアミノ酸、または少なくとも約10~15個のアミノ酸を有するもの、および列挙された範囲のいずれかの両端の間の任意の整数個のアミノ酸を含むものが含まれる。いくつかの態様では、スペーサー領域は、約12個もしくはそれ以下のアミノ酸、約119個もしくはそれ以下のアミノ酸、または約229個もしくはそれ以下のアミノ酸を有する。例示的なスペーサーには、IgG4ヒンジ単独、CH2およびCH3ドメインに連結されたIgG4ヒンジ、またはCH3ドメインに連結されたIgG4ヒンジが含まれる。例示的なスペーサーには、Hudecek et al.(2013)Clin.Cancer Res., 19:3153、Hudecek et al.(2015)Cancer Immunol Res.3(2):125-135、または国際公開公報第2014031687号に記載されているものが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0290】
いくつかの態様では、スペーサーは、SEQ ID NO:1に示され、SEQ ID NO:2に示される配列によってコードされるヒンジのみのスペーサーのような、IgG4またはIgG1のヒンジのみなどのIgGのヒンジ領域のみを含む。いくつかの態様では、スペーサーは、例えば、CH2および/またはCH3ドメインに連結されたIgヒンジ、例えばIgG4ヒンジである。いくつかの態様では、スペーサーは、SEQ ID NO:3に示されるような、CH2およびCH3ドメインに連結されたIgヒンジ、例えばIgG4ヒンジである。いくつかの態様では、スペーサーは、SEQ ID NO:4に示されるような、CH3ドメインのみに連結されたIgヒンジ、例えばIgG4ヒンジである。いくつかの態様では、スペーサーは、グリシン-セリンリッチ配列または公知の柔軟なリンカーなどの他の柔軟なリンカーであるか、またはこれを含む。いくつかの態様では、定常領域またはその部分は、IgDのものである。いくつかの態様では、スペーサーは、SEQ ID NO:5に示される配列を有する。いくつかの態様では、スペーサーは、SEQ ID NO:1、3、4および5のいずれかと少なくともまたは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を有する。
【0291】
いくつかの局面では、スペーサーは、(a)免疫グロブリンヒンジの全部もしくは一部またはその修飾型を含むかまたはそれからなるか、または約15アミノ酸もしくはそれ以下のアミノ酸を含み、CD28細胞外領域またはCD8細胞外領域を含まず、(b)免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4ヒンジの全部もしくは一部またはその修飾型を含むかまたはそれからなり、および/または約15アミノ酸もしくはそれ以下のアミノ酸を含み、CD28細胞外領域またはCD8細胞外領域を含まず、あるいは(c)12アミノ酸長もしくは約12アミノ酸長であり、および/または免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4の全部もしくは一部またはその修飾型を含むかまたはそれからなり、あるいは(d)SEQ ID NO:1、3~5、27~34または58に示されるアミノ酸の配列、または前記配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の配列同一性を有する前記配列のいずれかの変異体からなるかまたはそれを含み、あるいは(e)式X1PPX2Pを含むかまたはそれからなり、X1はグリシン、システインまたはアルギニンであり、X2はシステインまたはトレオニンである、ポリペプチドスペーサーである。
【0292】
いくつかの態様では、抗原受容体は、細胞外ドメインに直接または間接的に連結された細胞内ドメインを含む。いくつかの態様では、キメラ抗原受容体は、細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインを連結する膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達ドメインはITAMを含む。例えば、いくつかの局面では、抗原認識ドメイン(例えば細胞外ドメイン)は一般に、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達成分、例えばCARの場合には、TCR複合体などの抗原受容体複合体を介して活性化を模倣し、および/または別の細胞表面受容体を介してシグナル伝達するシグナル伝達成分に連結されている。いくつかの態様では、キメラ受容体は、細胞外ドメイン(例えばscFv)と細胞内シグナル伝達ドメインとの間に連結または融合された膜貫通ドメインを含む。したがって、いくつかの態様では、抗原結合成分(例えば抗体)は、1つまたは複数の膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインに連結されている。
【0293】
一態様では、受容体、例えばCAR中のドメインの1つと天然に関連する膜貫通ドメインが使用される。いくつかの場合には、膜貫通ドメインは、同じまたは異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインへのそのようなドメインの結合を回避して、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小限に抑えるように選択されるかまたはアミノ酸置換によって改変される。
【0294】
いくつかの態様における膜貫通ドメインは、天然供給源または合成供給源のいずれかに由来する。供給源が天然である場合、いくつかの局面におけるドメインは、任意の膜結合タンパク質または膜貫通タンパク質に由来する。膜貫通領域は、T細胞受容体、CD28、CD3ε、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137(4-1BB)、またはCD154のα鎖、β鎖またはζ鎖に由来する(すなわち少なくともその膜貫通領域を含む)ものを含む。あるいは、いくつかの態様における膜貫通ドメインは合成である。いくつかの局面では、合成膜貫通ドメインは、ロイシンおよびバリンなどの疎水性残基を主に含む。いくつかの局面では、フェニルアラニン、トリプトファンおよびバリンのトリプレットが合成膜貫通ドメインの各末端に見出される。いくつかの態様では、結合は、リンカー、スペーサー、および/または膜貫通ドメイン(1つまたは複数)による。いくつかの局面では、膜貫通ドメインは、CD28の膜貫通部分またはその変異体を含む。細胞外ドメインと膜貫通ドメインは、直接または間接的に連結され得る。いくつかの態様では、細胞外ドメインと膜貫通ドメインは、本明細書に記載されるいずれかなどのスペーサーによって連結されている。
【0295】
いくつかの態様では、受容体、例えばCARの膜貫通ドメインは、ヒトCD28の膜貫通ドメインまたはその変異体、例えばヒトCD28の27アミノ酸の膜貫通ドメイン(アクセッション番号:P10747.1)であるか、またはSEQ ID NO:8に示されているアミノ酸の配列、またはSEQ ID NO:8の配列と少なくともまたは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸の配列を含む膜貫通ドメインである。いくつかの態様では、組換え受容体の膜貫通ドメイン含有部分は、SEQ ID NO:9に示されているアミノ酸の配列、またはSEQ ID NO:9の配列と少なくともまたは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性を有するアミノ酸の配列を含む。
【0296】
いくつかの態様では、組換え受容体、例えばCARは、細胞内シグナル伝達領域またはドメインなどの少なくとも1つの細胞内シグナル伝達成分を含む。T細胞活性化は、いくつかの局面では、2つのクラスの細胞質シグナル伝達配列:TCRを介して抗原依存性の一次活性化を開始するもの(一次細胞質シグナル伝達配列)、および抗原非依存的に作用して二次または共刺激シグナルを提供するもの(二次細胞質シグナル伝達配列)によって媒介されると説明される。いくつかの局面では、CARは、そのようなシグナル伝達成分の一方または両方を含む。細胞内シグナル伝達領域の中には、天然の抗原受容体を介するシグナル、共刺激受容体と組み合わせてそのような受容体を介するシグナル、および/または共刺激受容体のみを介するシグナルを模倣するまたはそれらに近似するものがある。いくつかの態様では、短いオリゴペプチドリンカーまたはポリペプチドリンカー、例えばグリシンおよびセリンを含むもの、例えばグリシン-セリンダブレットなどの2~10アミノ酸長のリンカーが存在し、CARの膜貫通ドメインと細胞質シグナル伝達ドメインとの間の結合を形成する。
【0297】
いくつかの態様では、CARの連結時に、CARの細胞質ドメインまたは細胞内シグナル伝達領域は、免疫細胞、例えばCARを発現するように操作されたT細胞の正常なエフェクター機能または応答の少なくとも1つを活性化する。例えば、いくつかの状況では、CARは、T細胞の機能、例えば細胞溶解活性またはTヘルパー活性、例えばサイトカインまたは他の因子の分泌を誘導する。いくつかの態様では、抗原受容体成分または共刺激分子の細胞内シグナル伝達領域の短縮部分は、例えばそれがエフェクター機能シグナルを伝達する場合、無傷の免疫刺激鎖の代わりに使用される。いくつかの態様では、例えば1つまたは複数の細胞内ドメインを含む細胞内シグナル伝達領域は、T細胞受容体(TCR)の細胞質配列を含み、ならびにいくつかの局面では、自然の状況において、そのような受容体と協調的に作用して抗原受容体係合後にシグナル伝達を開始する共受容体のもの、および/またはそのような分子の任意の誘導体もしくは変異体、および/または同じ機能的能力を有する任意の合成配列を含む。いくつかの態様では、例えば1つまたは複数の細胞内ドメインを含む細胞内シグナル伝達領域は、共刺激シグナルの提供に関与する領域またはドメインの細胞質配列を含む。
【0298】
いくつかの局面では、CARは、TCR複合体の一次活性化を調節する一次細胞質シグナル伝達配列を含む。刺激性に作用する一次細胞質シグナル伝達配列は、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフまたはITAMとして公知のシグナル伝達モチーフを含み得る。一次細胞質シグナル伝達配列を含むITAMの例には、CD3ζ鎖、FcRγ、CD3γ、CD3δおよびCD3εに由来するものが含まれる。いくつかの態様では、CAR中の細胞質シグナル伝達分子(1つまたは複数)は、細胞質シグナル伝達ドメイン、その一部、またはCD3ζに由来する配列を含む。
【0299】
いくつかの態様では、受容体は、T細胞活性化および細胞毒性を媒介するTCR CD3鎖、例えばCD3ζ鎖などの、TCR複合体の細胞内成分を含む。したがって、いくつかの局面では、抗原結合部分は、1つまたは複数の細胞シグナル伝達モジュールに連結されている。いくつかの態様では、細胞シグナル伝達モジュールは、CD3膜貫通ドメイン、CD3細胞内シグナル伝達ドメイン、および/または他のCD膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様では、受容体、例えばCARは、Fc受容体γ、CD8α、CD8β、CD4、CD25、またはCD16などの1つまたは複数のさらなる分子の一部をさらに含む。例えば、いくつかの局面では、CARまたは他のキメラ受容体は、CD3ゼータ(CD3ζ)またはFc受容体γとCD8α、CD8β、CD4、CD25またはCD16との間のキメラ分子を含む。
【0300】
いくつかの態様では、細胞内(または細胞質)シグナル伝達領域は、ヒトCD3鎖、任意でCD3ζ刺激シグナル伝達ドメインまたはその機能的変異体、例えばヒトCD3ζのアイソフォーム3の112アミノ酸細胞質ドメイン(アクセッション番号P20963.2)、または米国特許第7,446,190号もしくは米国特許第8,911,993号に記載されているCD3ζシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達領域は、SEQ ID NO:13、14もしくは15に示されているアミノ酸の配列、またはSEQ ID NO:13、14もしくは15と少なくともまたは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸の配列を含む。
【0301】
天然のTCRの状況では、完全な活性化は一般に、TCRを介したシグナル伝達だけでなく、共刺激シグナルも必要とする。したがって、いくつかの態様では、完全な活性化を促進するために、二次シグナルまたは共刺激シグナルを生成するための成分もCARに含まれる。他の態様では、CARは、共刺激シグナルを生成するための成分を含まない。いくつかの局面では、さらなるCARが同じ細胞中で発現され、二次シグナルまたは共刺激シグナルを生成するための成分を提供する。
【0302】
いくつかの態様では、キメラ抗原受容体は、T細胞共刺激分子の細胞内ドメインを含む。いくつかの態様では、CARは、CD28、4-1BB、OX40(CD134)、CD27、DAP10、DAP12、ICOSおよび/または他の共刺激受容体などの共刺激受容体のシグナル伝達ドメインおよび/または膜貫通部分を含む。いくつかの態様では、CARは、CD28または4-1BB、例えばヒトCD28またはヒト4-1BBの共刺激領域またはドメインを含む。
【0303】
いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達領域またはドメインは、ヒトCD28の細胞内共刺激シグナル伝達ドメインまたはその機能的変異体またはその一部、例えばその41アミノ酸ドメインおよび/または天然CD28タンパク質の186~187位にLLからGGへの置換を有するそのようなドメインを含む。例えば、いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:10もしくは11に示されるアミノ酸の配列、またはSEQ ID NO:10もしくは11と少なくともまたは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸の配列を含み得る。いくつかの態様では、細胞内領域は、4-1BBの細胞内共刺激シグナル伝達ドメインまたはその機能的変異体またはその一部、例えばヒト4-1BBの42アミノ酸の細胞質ドメイン(アクセッション番号Q07011.1)またはその機能的変異体もしくは一部、例えばSEQ ID NO:12に示されるアミノ酸の配列、またはSEQ ID NO:12と少なくともまたは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸の配列を含む。
【0304】
いくつかの局面では、同じCARは、一次(または活性化)細胞質シグナル伝達領域および共刺激シグナル伝達成分の両方を含む。
【0305】
いくつかの態様では、活性化ドメインは1つのCAR内に含まれ、一方共刺激成分は、別の抗原を認識する別のCARによって提供される。いくつかの態様では、CARは、両方とも同じ細胞上に発現される、活性化または刺激性CAR、共刺激性CARを含む(国際公開公報第2014/055668号参照)。いくつかの局面では、細胞は、1つまたは複数の刺激性もしくは活性化CARおよび/または共刺激性CARを含む。いくつかの態様では、細胞は、阻害性CAR(iCAR、Fedorov et al., Sci.Transl.Medicine,5(215)(December,2013)参照)、例えば疾患もしくは状態に関連するおよび/または疾患もしくは状態に特異的な抗原以外の抗原を認識するCARをさらに含み、それにより疾患を標的とするCARを介して送達される活性化シグナルが、阻害性CARのそのリガンドへの結合によって減少または阻害されて、例えばオフターゲット効果が低減される。
【0306】
いくつかの場合には、CARは、第1、第2、および/または第3世代のCARと称される。いくつかの局面では、第1世代のCARは、抗原結合の際にCD3鎖誘導シグナルのみを提供するものである;いくつかの局面では、第2世代のCARは、そのようなシグナルと共刺激シグナルを提供するもの、例えばCD28またはCD137などの共刺激受容体由来の細胞内シグナル伝達ドメインを含むものである;いくつかの局面では、第3世代のCARは、異なる共刺激受容体の複数の共刺激ドメインを含むものである。
【0307】
いくつかの態様では、CARは、細胞質部分に1つまたは複数、例えば2つまたはそれ以上の共刺激ドメインおよび活性化ドメイン、例えば一次活性化ドメインを包含する。例示的なCARは、CD3ζ、CD28、および4-1BBの細胞内成分を含む。
【0308】
いくつかの態様では、抗原受容体はマーカーをさらに含み、および/またはCARもしくは他の抗原受容体を発現する細胞は、受容体を発現するための細胞の形質導入または操作を確認するために使用し得る細胞表面マーカーなどの代理マーカーをさらに含む。いくつかの局面では、マーカーは、CD34、NGFR、または上皮成長因子受容体の全部または一部(例えば切断型)、例えばそのような細胞表面受容体の切断型(例えばtEGFR)を含む。いくつかの態様では、マーカーをコードする核酸は、リンカー配列、例えば切断可能なリンカー配列、例えばT2Aをコードするポリヌクレオチドに機能的に連結されている。例えば、マーカー、および任意でリンカー配列は、国際公開公報第2014031687号に開示されている任意のものであり得る。例えば、マーカーは、任意でリンカー配列、例えばT2A切断可能リンカー配列に連結された切断型EGFR(tEGFR)であり得る。
【0309】
切断型EGFR(例えばtEGFR)の例示的なポリペプチドは、SEQ ID NO:7もしくは16に示されるアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7もしくは16と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。例示的なT2Aリンカー配列は、SEQ ID NO:6もしくは17に示されるアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6もしくは17と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。
【0310】
いくつかの態様では、マーカーは、天然ではT細胞上に見出されない、もしくは天然ではT細胞の表面上に見出されない分子、例えば細胞表面タンパク質、またはその一部である。いくつかの態様では、分子は非自己分子、例えば非自己タンパク質、すなわち細胞が養子移入される宿主の免疫系によって「自己」として認識されないものである。
【0311】
いくつかの態様では、マーカーは、治療機能を果たさない、および/または例えば遺伝子操作のため、例えば成功裏に操作された細胞を選択するためのマーカーとして使用されること以外には作用をもたらさない。他の態様では、マーカーは、治療用分子または何らかの所望の作用を及ぼす分子、例えば細胞がインビボで遭遇するリガンド、例えば養子移入時およびリガンドとの遭遇時に細胞の応答を増強するおよび/または減弱させる共刺激分子または免疫チェックポイント分子であり得る。
【0312】
いくつかの態様では、キメラ抗原受容体は、本明細書に記載される抗体または断片を含む細胞外部分を含む。いくつかの局面では、キメラ抗原受容体は、本明細書に記載される抗体または断片を含む細胞外部分および細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様では、抗体または断片はscFvまたは単一ドメインVH抗体を含み、細胞内ドメインはITAMを含む。いくつかの局面では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータ(CD3ζ)鎖のζ鎖のシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様では、CD3ζ鎖は、ヒトCD3ζ鎖である。いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達領域は、CD3ζ細胞内ドメインに連結された、CD28およびCD137(4-1BB、TNFRSF9)共刺激ドメインをさらに含む。いくつかの態様では、CD28はヒトCD28である。いくつかの態様では、4-1BBはヒト4-1BBである。いくつかの態様では、キメラ抗原受容体は、細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達領域との間に配置された膜貫通ドメインを含む。いくつかの局面では、膜貫通ドメインはCD28の膜貫通部分を含む。細胞外ドメインと膜貫通ドメインは、直接または間接的に連結され得る。いくつかの態様では、細胞外ドメインと膜貫通ドメインは、本明細書に記載されるいずれかなどのスペーサーによって連結されている。
【0313】
いくつかの態様では、CARは、抗体、例えば抗体断片、CD28の膜貫通部分またはその機能的変異体であるかまたはそれを含む膜貫通ドメイン、ならびにCD28のシグナル伝達部分またはその機能的変異体およびCD3ζのシグナル伝達部分またはその機能的変異体を含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。例えば、いくつかの態様では、CARは、例えば上記のようなCD19に特異的な、scFvを含む抗体断片などの抗体、スペーサー、例えば重鎖分子のヒンジ領域および/または1つもしくは複数の定常領域などの免疫グロブリン分子の一部を含むスペーサー、例えばIgヒンジ含有スペーサー、CD28由来の膜貫通ドメインの全部または一部を含む膜貫通ドメイン、CD28由来の細胞内シグナル伝達ドメイン、ならびにCD3ζシグナル伝達ドメインを含む。
【0314】
いくつかの態様では、CARは、抗体、例えば抗体断片、CD28の膜貫通部分またはその機能的変異体であるかまたはそれを含む膜貫通ドメイン、ならびに4-1BBのシグナル伝達部分またはその機能的変異体およびCD3ζのシグナル伝達部分またはその機能的変異体を含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかのそのような態様では、受容体は、ヒトIg分子などのIg分子の一部、例えばIgヒンジ、例えばIgG4ヒンジを含むスペーサー、例えばヒンジのみのスペーサーをさらに含む。いくつかの態様では、CARは、例えば上記のようなCD19に特異的な、scFvなどの抗体または断片、任意のIgヒンジ含有スペーサーなどのスペーサー、CD28由来の膜貫通ドメイン、4-1BB由来の細胞内シグナル伝達ドメイン、およびCD3ζ由来のシグナル伝達ドメインを含む。
【0315】
B. 遺伝子操作のための核酸、ベクター、および方法
いくつかの態様では、細胞、例えばT細胞は、組換え受容体を発現するように遺伝子操作されている。いくつかの態様では、操作は、組換え受容体をコードするポリヌクレオチドを導入することによって実施される。組換え受容体をコードするポリヌクレオチド、ならびにそのような核酸および/またはポリヌクレオチドを含むベクターまたは構築物も提供される。
【0316】
いくつかの場合には、組換え受容体をコードする核酸配列は、シグナルペプチドをコードするシグナル配列を含む。いくつかの局面では、シグナル配列は、天然のポリペプチドに由来するシグナルペプチドをコードし得る。他の局面では、シグナル配列は、異種または非天然のシグナルペプチド、例えばSEQ ID NO:25に示され、SEQ ID NO:24に示されるヌクレオチド配列によってコードされるGMCSFRα鎖の例示的なシグナルペプチドをコードし得る。いくつかの場合には、組換え受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸配列は、シグナルペプチドをコードするシグナル配列を含む。シグナルペプチドの非限定的な例示的例には、例えばSEQ ID NO:25に示され、SEQ ID NO:24に示されるヌクレオチド配列によってコードされるGMCSFRα鎖、またはSEQ ID NO:26に示されるCD8αシグナルペプチドが含まれる。
【0317】
いくつかの態様では、組換え受容体をコードするポリヌクレオチドは、組換え受容体の発現を制御するために機能的に連結された少なくとも1つのプロモータを含む。いくつかの例では、ポリヌクレオチドは、組換え受容体の発現を制御するために機能的に連結された2つ、3つ、またはそれ以上のプロモータを含む。
【0318】
核酸分子が2つまたはそれ以上の異なるポリペプチド鎖、例えば組換え受容体とマーカーをコードする特定の場合には、ポリペプチド鎖のそれぞれは、別個の核酸分子によってコードされ得る。例えば、2つの別個の核酸が提供され、それぞれが、細胞内での発現のために個別に細胞内に移入または導入され得る。いくつかの態様では、組換え受容体をコードする核酸およびマーカーをコードする核酸は、同じプロモータに機能的に連結され、任意で、内部リボソーム進入部位(IRES)、または自己切断ペプチドもしくは、任意でT2A、P2A、E2AもしくはF2Aである、リボソームスキッピングを引き起こすペプチドをコードする核酸によって分離される。いくつかの態様では、マーカーをコードする核酸および組換え受容体をコードする核酸は、2つの異なるプロモータに機能的に連結されている。いくつかの態様では、マーカーをコードする核酸および組換え受容体をコードする核酸は、細胞のゲノム内の異なる位置に存在するか、または異なる位置に挿入される。いくつかの態様では、組換え受容体をコードするポリヌクレオチドは、レトロウイルス形質導入、トランスフェクション、または形質転換などによって、培養細胞を含む組成物に導入される。
【0319】
ポリヌクレオチドが第1および第2の核酸配列を含むものなどのいくつかの態様では、異なるポリペプチド鎖のそれぞれをコードするコード配列は、同じであっても異なっていてもよいプロモータに機能的に連結され得る。いくつかの態様では、核酸分子は、2つまたはそれ以上の異なるポリペプチド鎖の発現を駆動するプロモータを含むことができる。いくつかの態様では、そのような核酸分子は、マルチシストロン性(バイシストロン性またはトリシストロン性、例えば米国特許第6,060,273号参照)であり得る。いくつかの態様では、転写ユニットは、単一のプロモータからのメッセージによる遺伝子産物(例えばマーカーをコードする、および組換え受容体をコードする)の共発現を可能にするIRES(内部リボソーム進入部位)を含むバイシストロンユニットとして操作することができる。あるいは、いくつかの場合には、単一のプロモータが、単一のオープンリーディングフレーム(ORF)内に、自己切断ペプチド(例えば2A配列)またはプロテアーゼ認識部位(例えばフリン)をコードする配列によって互いに分離された2つまたは3つの遺伝子(例えばマーカーをコードする、および組換え受容体をコードする)を含むRNAの発現を指示し得る。したがってORFは、翻訳中(2Aの場合)または翻訳後のいずれかに、個々のタンパク質にプロセシングされる単一のポリペプチドをコードする。いくつかの場合には、T2Aなどのペプチドは、リボソームに2AエレメントのC末端におけるペプチド結合の合成をスキップさせることができ(リボソームスキップ機構)、2A配列の末端と下流の次のペプチドとの間の分離をもたらす(例えばde Felipe. Genetic Vaccines and Ther.2:13(2004)およびde Felipe et al. Traffic 5:616-626(2004)参照)。様々な2Aエレメントが公知である。本明細書で開示される方法および核酸において使用できる2A配列の例には、限定されることなく、米国特許出願公開第20070116690号に記載されている口蹄疫ウイルス(F2A、例えばSEQ ID NO:21)、ウマ鼻炎Aウイルス(E2A、例えばSEQ ID NO:20)、トセア・アシグナ(Thosea asigna)ウイルス(T2A、例えばSEQ ID NO:6または17)、およびブタテスコウイルス1(P2A、例えばSEQ ID NO:18または19)からの2A配列。
【0320】
本明細書に記載される組換え受容体のいずれもが、任意の組み合わせまたは配置で、組換え受容体をコードする1つまたは複数の核酸配列を含むポリヌクレオチドによってコードされ得る。例えば、1つ、2つ、3つまたはそれ以上のポリヌクレオチドは、1つ、2つ、3つまたはそれ以上の異なるポリペプチド、例えば組換え受容体をコードすることができる。いくつかの態様では、1つのベクターまたは構築物は、マーカーをコードする核酸配列を含み、別個のベクターまたは構築物は、組換え受容体、例えばCARをコードする核酸配列を含む。いくつかの態様では、マーカーをコードする核酸および組換え受容体をコードする核酸は、2つの異なるプロモータに機能的に連結されている。いくつかの態様では、組換え受容体をコードする核酸は、マーカーをコードする核酸の下流に存在する。
【0321】
いくつかの態様では、ベクター骨格は、1つまたは複数のマーカーをコードする核酸配列を含む。いくつかの態様では、1つまたは複数のマーカーは、形質導入マーカー、代理マーカー、および/または選択マーカーである。
【0322】
いくつかの態様では、マーカーは、形質導入マーカーまたは代理マーカーである。形質導入マーカーまたは代理マーカーを使用して、ポリヌクレオチド、例えば組換え受容体をコードするポリヌクレオチドが導入された細胞を検出することができる。いくつかの態様では、形質導入マーカーは、細胞の改変を示す、または確認することができる。いくつかの態様では、代理マーカーは、組換え受容体、例えばCARと共に細胞表面上に共発現されるように作製されるタンパク質である。特定の態様では、そのような代理マーカーは、ほとんどまたは全く活性を有さないように改変された表面タンパク質である。特定の態様では、代理マーカーは、組換え受容体をコードするのと同じポリヌクレオチド上にコードされる。いくつかの態様では、組換え受容体をコードする核酸配列は、マーカーをコードする核酸配列に機能的に連結され、任意で、内部リボソーム進入部位(IRES)、または自己切断ペプチドもしくはT2A、P2A、E2AもしくはF2Aなどの2A配列などのリボソームスキッピングを引き起こすペプチドをコードする核酸によって分離される。外因性マーカー遺伝子は、いくつかの場合には細胞の検出または選択を可能にするために、およびいくつかの場合には細胞の自殺を促進するためにも、操作された細胞に関連して利用され得る。
【0323】
例示的な代理マーカーは、切断型の細胞表面ポリペプチド、例えば、非機能性であり、シグナルもしくは完全長型の細胞表面ポリペプチドによって通常形質導入されるシグナルを形質導入しないかもしくは形質導入することができない、および/または内在化しないかもしくは内在化することができない切断型を含み得る。切断型の増殖因子または切断型ヒト上皮成長因子受容体2(tHER2)、切断型上皮成長因子受容体(tEGFR、SEQ ID NO:7もしくは16に示される例示的なtEGFR配列)などの他の受容体を含む例示的な切断型細胞表面ポリペプチド、または前立腺特異的膜抗原(PSMA)もしくはその修飾型。tEGFRは、抗体セツキシマブ(Erbitux(登録商標))または他の治療用抗EGFR抗体もしくは結合分子によって認識されるエピトープを含んでもよく、これは、tEGFR構築物およびコードされる外因性タンパク質で操作された細胞を同定または選択するため、ならびに/またはコードされる外因性タンパク質を発現する細胞を排除または分離するために使用できる。米国特許第8,802,374号、およびLiu et al., Nature Biotech.2016 April;34(4):430-434参照。いくつかの局面では、マーカー、例えば代理マーカーは、CD34、NGFR、CD19または切断型CD19、例えば切断型非ヒトCD19、または上皮成長因子受容体(例えばtEGFR)の全部または一部(例えば切断型)を含む。
【0324】
いくつかの態様では、マーカーは、蛍光タンパク質、例えば緑色蛍光タンパク質(GFP)、高感度緑色蛍光タンパク質(EGFP)、例えばスーパーフォルダGFP(sfGFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、例えばtdTomato、mCherry、mStrawberry、AsRed2、DsRedまたはDsRed2、シアン蛍光タンパク質(CFP)、青緑色蛍光タンパク質(BFP)、高感度青色蛍光タンパク質(EBFP)、および黄色蛍光タンパク質(YFP)、ならびに蛍光タンパク質の種変異体、単量体変異体、およびコドン最適化および/または高感度変異体を含むその変異体であるか、またはそれを含む。いくつかの態様では、マーカーは、酵素、例えばルシフェラーゼ、大腸菌(E.coli)由来のlacZ遺伝子、アルカリホスファターゼ、分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)であるか、またはそれを含む。例示的な発光レポーター遺伝子には、ルシフェラーゼ(luc)、β-ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β-グルクロニダーゼ(GUS)またはその変異体が含まれる。
【0325】
いくつかの態様では、マーカーは選択マーカーである。いくつかの態様では、選択マーカーは、外因性作用物質または薬物に対する耐性を付与するポリペプチドであるか、またはそれを含む。いくつかの態様では、選択マーカーは抗生物質耐性遺伝子である。いくつかの態様では、選択マーカーは、哺乳動物細胞に抗生物質耐性を付与する抗生物質耐性遺伝子である。いくつかの態様では、選択マーカーは、ピューロマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ブラスチシジン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、ジェネティシン耐性遺伝子もしくはゼオシン耐性遺伝子、またはその修飾形態であるか、またはそれを含む。
【0326】
いくつかの態様では、分子は非自己分子、例えば非自己タンパク質、すなわち細胞が養子移入される宿主の免疫系によって「自己」として認識されないものである。
【0327】
いくつかの態様では、マーカーは、治療機能を果たさない、および/または例えば遺伝子操作のため、例えば成功裏に操作された細胞を選択するためのマーカーとして使用されること以外には作用をもたらさない。他の態様では、マーカーは、治療用分子または何らかの所望の作用を及ぼす分子、例えば細胞がインビボで遭遇するリガンド、例えば養子移入時およびリガンドとの遭遇時に細胞の応答を増強するおよび/または減弱させる共刺激分子または免疫チェックポイント分子であり得る。
【0328】
いくつかの態様では、マーカーをコードする核酸は、リンカー配列、例えば切断可能なリンカー配列、例えばT2Aをコードするポリヌクレオチドに機能的に連結されている。例えば、マーカー、および任意でリンカー配列は、国際公開公報第2014031687号に開示されている任意のものであり得る。例えば、マーカーは、任意でリンカー配列、例えばT2A切断可能リンカー配列に連結された切断型EGFR(tEGFR)であり得る。切断型EGFR(例えばtEGFR)の例示的なポリペプチドは、SEQ ID NO:7もしくは16に示されるアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7もしくは16と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。
【0329】
いくつかの態様では、マーカーは、蛍光タンパク質、例えば緑色蛍光タンパク質(GFP)、高感度緑色蛍光タンパク質(EGFP)、例えばスーパーフォルダGFP(sfGFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、例えばtdTomato、mCherry、mStrawberry、AsRed2、DsRedまたはDsRed2、シアン蛍光タンパク質(CFP)、青緑色蛍光タンパク質(BFP)、高感度青色蛍光タンパク質(EBFP)、および黄色蛍光タンパク質(YFP)、ならびに蛍光タンパク質の種変異体、単量体変異体、およびコドン最適化および/または高感度変異体を含むその変異体であるか、またはそれを含む。いくつかの態様では、マーカーは、酵素、例えばルシフェラーゼ、大腸菌(E.coli)由来のlacZ遺伝子、アルカリホスファターゼ、分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)であるか、またはそれを含む。例示的な発光レポーター遺伝子には、ルシフェラーゼ(luc)、β-ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β-グルクロニダーゼ(GUS)またはその変異体が含まれる。
【0330】
いくつかの態様では、マーカーは選択マーカーである。いくつかの態様では、選択マーカーは、外因性作用物質または薬物に対する耐性を付与するポリペプチドであるか、またはそれを含む。いくつかの態様では、選択マーカーは抗生物質耐性遺伝子である。いくつかの態様では、選択マーカーは、哺乳動物細胞に抗生物質耐性を付与する抗生物質耐性遺伝子である。いくつかの態様では、選択マーカーは、ピューロマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ブラスチシジン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、ジェネティシン耐性遺伝子もしくはゼオシン耐性遺伝子、またはその修飾形態であるか、またはそれを含む。
【0331】
いくつかの態様では、組換え核酸は、例えばシミアンウイルス40(SV40)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)に由来するベクターなどの組換え感染性ウイルス粒子を使用して細胞に移入される。いくつかの態様では、組換え核酸は、組換えレンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクター、例えばガンマレトロウイルスベクターを使用してT細胞に移入される(例えばKoste et al. (2014) Gene Therapy 2014 Apr 3.doi:10.1038/gt.2014.25;Carlens et al. (2000) Exp Hematol 28(10):1137-46;Alonso-Camino et al. (2013) Mol Ther Nucl Acids 2,e93;Park et al., Trends Biotechnol. 2011 November 29 (11):550-557参照。
【0332】
いくつかの態様では、ベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)である。
【0333】
いくつかの態様では、レトロウイルスベクター、例えばモロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)、骨髄増殖性肉腫ウイルス(MPSV)、マウス胚性幹細胞ウイルス(MESV)、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)、脾臓フォーカス形成ウイルス(SFFV)に由来するレトロウイルスベクターは、長い末端反復配列(LTR)を有する。ほとんどのレトロウイルスベクターはマウスレトロウイルスに由来する。いくつかの態様では、レトロウイルスは、任意の鳥類または哺乳動物細胞供給源に由来するものを含む。レトロウイルスは、典型的には両種指向性であり、ヒトを含むいくつかの種の宿主細胞に感染できることを意味する。一態様では、発現される遺伝子は、レトロウイルスのgag、polおよび/またはenv配列を置き換える。いくつかの例示的なレトロウイルス系が記載されている(例えば米国特許第5,219,740号、同第6,207,453号、同第5,219,740号;Miller and Rosman (1989) BioTechniques 7:980-990;Miller, A.D. (1990) Human Gene Therapy 1:5-14;Scarpa et al. (1991) Virology 180:849-852;Burns et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:8033-8037;およびBoris-Lawrie and Temin(1993)Cur. Opin. Genet. Develop. 3:102-109参照。
【0334】
レンチウイルス形質導入の方法は公知である。例示的な方法は、例えばWang et al.(2012)J.Immunother.35(9):689-701;Cooper et al.(2003)Blood.101:1637-1644;Verhoeyen et al.(2009)Methods Mol Biol.506:97-114;およびCavalieri et al.(2003)Blood.102(2):497-505に記載されている。
【0335】
いくつかの態様では、組換え核酸はエレクトロポレーションを介してT細胞に移入される(例えばChicaybam et al,(2013)PLoS ONE 8(3):e60298およびVan Tedeloo et al.(2000)Gene Therapy 7(16):1431-1437参照)。いくつかの態様では、組換え核酸は転位を介してT細胞に移入される(例えばManuri et al.(2010)Hum Gene Ther 21(4):427-437;Sharma et al.(2013)Molec Ther Nucl Acids 2,e74;およびHuang et al.(2009)Methods Mol Biol 506:115-126参照)。免疫細胞において遺伝物質を導入および発現させる他の方法には、リン酸カルシウムトランスフェクション(例えばCurrent Protocols in Molecular Biology, John Wiley&Sons, New York. N.Y.に記載されている)、プロトプラスト融合、カチオン性リポソーム媒介トランスフェクション、タングステン粒子促進微粒子銃(Johnston, Nature, 346:776-777(1990));およびリン酸ストロンチウムDNA共沈(Brash et al., Mol. Cell Biol., 7:2031-2034(1987))が含まれる。
【0336】
組換え産物をコードする核酸の移入のための他のアプローチおよびベクターは、例えば国際公開公報第2014055668号、および米国特許第7,446,190号に記載されているものである。
【0337】
いくつかの態様では、細胞、例えばT細胞は、増殖中または増殖後のいずれかに、例えばT細胞受容体(TCR)またはキメラ抗原受容体(CAR)でトランスフェクトされ得る。所望の受容体の遺伝子を導入するためのこのトランスフェクションは、例えば任意の適切なレトロウイルスベクターを用いて実施することができる。次に、遺伝子改変された細胞集団を、最初の刺激(例えば抗CD3/抗CD28刺激)から解放し、その後、例えば新たに導入された受容体を介して、第2の種類の刺激で刺激し得る。この第2の種類の刺激には、ペプチド/MHC分子の形態の抗原刺激、遺伝子導入された受容体のコグネイト(架橋)リガンド(例えばCARの天然リガンド)、または新しい受容体のフレームワーク内で直接結合する(例えば受容体内の定常領域を認識することによって)任意のリガンド(抗体など)が含まれ得る。例えばCheadle et al,「Chimeric antigen receptors for T-cell based therapy」Methods Mol Biol. 2012;907:645-66またはBarrett et al., Chimeric Antigen Receptor Therapy for Cancer Annual Review of Medicine Vol. 65:333-347(2014)参照。
【0338】
いくつかの場合には、細胞、例えばT細胞が活性化されることを必要としないベクターが使用され得る。いくつかのそのような例では、細胞は、活性化の前に選択および/または形質導入され得る。したがって、細胞は、細胞の培養前または培養後に、およびいくつかの場合には、培養の少なくとも一部と同時にまたは培養の少なくとも一部の間に操作され得る。
【0339】
さらなる核酸、例えば導入のための遺伝子の中には、移入された細胞の生存能および/または機能を促進することなどによって、治療法の効果を改善するためのもの;細胞の選択および/または評価のための遺伝的マーカーを提供するための遺伝子、例えばインビボでの生存率または局在を評価するための遺伝子;例えば、Lupton S.D.et al., Mol. and Cell Biol., 11:6(1991);およびRiddell et al., Human Gene Therapy 3:319-338(1992)によって記載されているように細胞をインビボでネガティブ選択に感受性にすることによって、安全性を改善するための遺伝子がある;ドミナントポジティブ選択可能マーカーとネガティブ選択可能マーカーの融合に由来する二機能性選択可能融合遺伝子の使用を記載するLupton et al.によるPCT/US91/08442およびPCT/US94/05601の刊行物も参照のこと。例えばRiddell et al., 米国特許第6,040,177号、14~17段参照。
【0340】
C.遺伝子操作のための細胞および細胞の調製
いくつかの態様では、核酸は異種であり、すなわち通常は細胞または細胞から得られる試料中には存在せず、例えば操作されている細胞中に通常は認められない別の生物もしくは細胞、またはそのような細胞が由来する生物から得られるものである。いくつかの態様では、複数の異なる細胞型からの様々なドメインをコードする核酸のキメラ組み合わせを含有するものを含む、天然には認められない核酸などの核酸は、天然には存在しない。
【0341】
細胞は通常、哺乳動物細胞などの真核細胞であり、典型的にはヒト細胞である。いくつかの態様では、細胞は、血液、骨髄、リンパ、またはリンパ系器官に由来し、先天性または適応免疫の細胞などの免疫系の細胞、例えばリンパ球を含む骨髄またはリンパ系細胞、典型的にはT細胞および/またはNK細胞である。他の例示的な細胞としては、人工多能性幹細胞(iPSC)を含む多能性幹細胞などの幹細胞が挙げられる。細胞は、典型的には、対象から直接単離されたもの、および/または対象から単離されて凍結されたものなどの初代細胞である。いくつかの態様では、細胞は、T細胞または他の細胞型の1つまたは複数のサブセット、例えば全T細胞集団、CD4細胞、CD8細胞、およびそれらの亜集団、例えば機能、活性化状態、成熟度、分化、拡大、再循環、局在化、および/もしくは持続能力についての潜在能、抗原特異性、抗原受容体の種類、特定の器官もしくは区画における存在、マーカーもしくはサイトカイン分泌プロフィール、ならびに/または分化の程度によって定義されるものを含む。治療される対象に関して、細胞は同種異系および/または自己由来であり得る。方法の中には、既製の方法が含まれる。既製の技術などに関するいくつかの局面では、細胞は、人工多能性幹細胞(iPSC)などの幹細胞のような多能性である。いくつかの態様では、方法は、凍結保存の前または後に、対象から細胞を単離すること、それらを調製し、処理し、培養し、および/または操作すること、ならびにそれらを同じ対象に再導入することを含む。
【0342】
T細胞ならびに/またはCD4および/もしくはCD8T細胞のサブタイプおよび亜集団の中には、ナイーブT(TN)細胞、エフェクターT細胞(TEFF)、メモリーT細胞およびそのサブタイプ、例えば幹細胞メモリーT(TSCM)細胞、セントラルメモリーT(TCM)細胞、エフェクターメモリーT(TEM)細胞、または最終分化エフェクターメモリーT細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、未熟T細胞、成熟T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、粘膜関連インバリアントT(MAIT)細胞、自然発生および適応制御性T(Treg)細胞、ヘルパーT細胞、例えばTH1細胞、TH2細胞、TH3細胞、TH17細胞、TH9細胞、TH22細胞、濾胞性ヘルパーT細胞、α/βT細胞、およびδ/γT細胞がある。
【0343】
いくつかの態様では、細胞はナチュラルキラー(NK)細胞である。いくつかの態様では、細胞は、単球または顆粒球、例えば骨髄細胞、マクロファージ、好中球、樹状細胞、肥満細胞、好酸球、および/または好塩基球である。
【0344】
いくつかの態様では、細胞は、遺伝子操作によって導入された1つまたは複数の核酸を含み、それによってそのような核酸の組換え産物または遺伝子操作された産物を発現する。いくつかの態様では、核酸は異種であり、すなわち通常は細胞または細胞から得られる試料中には存在せず、例えば操作されている細胞中に通常は認められない別の生物もしくは細胞、またはそのような細胞が由来する生物から得られるものである。いくつかの態様では、複数の異なる細胞型からの様々なドメインをコードする核酸のキメラ組み合わせを含有するものを含む、天然には認められない核酸などの核酸は、天然には存在しない。
【0345】
いくつかの態様では、操作された細胞の調製は、1つまたは複数の培養および/または調製工程を含む。CARなどのトランスジェニック受容体をコードする核酸を導入するための細胞は、生物学的試料などの試料、例えば対象から得られたまたは対象に由来するものから単離され得る。いくつかの態様では、細胞が単離される対象は、疾患もしくは状態を有するか、または細胞療法を必要とするか、または細胞療法が投与される対象である。いくつかの態様における対象は、細胞が単離、処理、および/または操作されている養子細胞療法などの特定の治療的介入を必要とするヒトである。
【0346】
したがって、いくつかの態様における細胞は初代細胞、例えば初代ヒト細胞である。試料には、組織、体液、および対象から直接採取した他の試料、ならびに分離、遠心分離、遺伝子操作(例えばウイルスベクターによる形質導入)、洗浄、および/またはインキュベーションなどの1つまたは複数の処理工程から得られる試料が含まれる。生物学的試料は、生物学的供給源から直接得られた試料または処理された試料であり得る。生物学的試料には、血液、血漿、血清、脳脊髄液、滑液、尿および汗などの体液、組織および臓器に由来する処理された試料を含む組織および臓器試料が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0347】
いくつかの局面では、細胞が由来するまたは単離される試料は、血液もしくは血液由来の試料であるか、またはアフェレーシスもしくは白血球アフェレーシスの産物であるかもしくはそれに由来する。例示的な試料としては、全血、末梢血単核細胞(PBMC)、白血球、骨髄、胸腺、組織生検材料、腫瘍、白血病、リンパ腫、リンパ節、腸管関連リンパ組織、粘膜関連リンパ組織、脾臓、他のリンパ組織、肝臓、肺、胃、腸、結腸、腎臓、膵臓、乳房、骨、前立腺、子宮頸、精巣、卵巣、扁桃腺、または他の臓器、および/またはそれに由来する細胞が挙げられる。試料には、細胞療法、例えば養子細胞療法に関連して、自己由来および同種異系供給源由来の試料が含まれる。
【0348】
いくつかの態様では、細胞は細胞株、例えばT細胞株に由来する。いくつかの態様における細胞は、異種供給源、例えばマウス、ラット、非ヒト霊長動物、およびブタから得られる。
【0349】
いくつかの態様では、細胞の単離は、1つまたは複数の調製および/または非親和性ベースの細胞分離工程を含む。いくつかの例では、細胞は、例えば不要な成分を除去する、所望の成分を濃縮する、特定の試薬に感受性の細胞を溶解または除去するために、洗浄、遠心分離、および/または1つもしくは複数の試薬の存在下でインキュベートされる。いくつかの例では、細胞は、密度、付着特性、サイズ、感受性、および/または特定の成分に対する耐性などの1つまたは複数の特性に基づいて分離される。
【0350】
いくつかの例では、対象の循環血液由来の細胞は、例えばアフェレーシスまたは白血球アフェレーシスによって得られる。試料は、いくつかの局面では、T細胞を含むリンパ球、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球、赤血球、および/または血小板を含み、いくつかの局面では、赤血球および血小板以外の細胞を含む。
【0351】
いくつかの態様では、対象から採集された血球を、例えば血漿画分を除去し、その後の処理工程のために細胞を適切な緩衝液または培地に入れるために洗浄する。いくつかの態様では、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で細胞を洗浄する。いくつかの態様では、洗浄溶液は、カルシウムおよび/またはマグネシウムおよび/または多くのもしくはすべての二価カチオンを含まない。いくつかの局面では、洗浄工程は、製造業者の指示に従って半自動「フロースルー」遠心分離機(例えばCobe 2991細胞プロセッサ、Baxter)によって達成される。いくつかの局面では、洗浄工程は、製造業者の指示に従って接線流ろ過(TFF)によって達成される。いくつかの態様では、細胞は、洗浄後に、例えばCa++/Mg++を含まないPBSなどの様々な生体適合性緩衝液に再懸濁される。特定の態様では、血球試料の成分を除去し、細胞を培地に直接再懸濁する。
【0352】
いくつかの態様では、方法は、密度に基づく細胞分離方法、例えば赤血球を溶解することによる末梢血からの白血球の調製、およびパーコールまたはフィコール勾配による遠心分離を含む。
【0353】
いくつかの態様では、単離方法は、表面マーカー、例えば表面タンパク質、細胞内マーカー、または核酸などの1つまたは複数の特定の分子の細胞における発現または存在に基づく種々の細胞型の分離を含む。いくつかの態様では、そのようなマーカーに基づく分離のための任意の公知の方法を使用し得る。いくつかの態様では、分離は、親和性または免疫親和性に基づく分離である。例えば、いくつかの局面における単離は、1つまたは複数のマーカー、典型的には細胞表面マーカーの細胞での発現または発現レベルに基づく細胞および細胞集団の分離、例えばそのようなマーカーに特異的に結合する抗体または結合パートナーとのインキュベーション、続いて一般に、洗浄工程および抗体または結合パートナーに結合していない細胞からの抗体または結合パートナーに結合した細胞の分離によるものを含む。
【0354】
そのような分離工程は、試薬に結合した細胞をさらなる使用のために保持する陽性選択、および/または抗体もしくは結合パートナーに結合しなかった細胞を保持する陰性選択に基づき得る。いくつかの例では、両方の画分をさらなる使用のために保持する。いくつかの局面では、陰性選択は、分離が、所望の集団以外の細胞によって発現されるマーカーに基づいて最も良好に行われるように、異種集団において細胞型を特異的に同定する抗体が利用可能でない場合に特に有用であり得る。
【0355】
分離は、特定の細胞集団または特定のマーカーを発現する細胞の100%の濃縮または除去をもたらす必要はない。例えば、マーカーを発現する細胞などの特定の種類の細胞の陽性選択または濃縮は、そのような細胞の数または割合を増加させることを指すが、マーカーを発現しない細胞の完全な非存在をもたらす必要はない。同様に、マーカーを発現する細胞などの特定の種類の細胞の陰性選択、除去、または枯渇は、そのような細胞の数または割合を減少させることを指すが、そのような細胞すべての完全な除去をもたらす必要はない。
【0356】
いくつかの例では、1回の工程から陽性または陰性選択された画分が、その後の陽性または陰性選択などの別の分離工程に供される、複数回の分離工程が行われる。いくつかの例では、それぞれが陰性選択の標的となるマーカーに特異的な複数の抗体または結合パートナーと共に細胞をインキュベートすることなどによって、複数のマーカーを同時に発現する細胞を単一の分離工程で枯渇させることができる。同様に、様々な細胞型上に発現された複数の抗体または結合パートナーと共に細胞をインキュベートすることによって、複数の細胞型を同時に陽性選択することができる。
【0357】
例えば、いくつかの局面では、T細胞の特定の亜集団、例えば陽性または高レベルの1つまたは複数の表面マーカー、例えばCD28、CD62L、CCR7、CD27、CD127、CD4、CD8、CD45RA、および/またはCD45ROT細胞を発現する細胞は、陽性または陰性選択技術によって単離される。
【0358】
例えばCD3、CD28T細胞は、抗CD3/抗CD28結合磁気ビーズ(例えばDYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28T Cell Expander)を用いて陽性選択することができる。
【0359】
いくつかの態様では、単離は、陽性選択による特定の細胞集団の濃縮、または陰性選択による特定の細胞集団の枯渇によって行われる。いくつかの態様では、陽性または陰性選択は、それぞれ陽性または陰性選択された細胞上に発現される(マーカー)または比較的高いレベルで発現される(マーカー)1つまたは複数の表面マーカーに特異的に結合する1つまたは複数の抗体または他の結合剤と共に細胞をインキュベートすることによって達成される。
【0360】
いくつかの態様では、T細胞は、B細胞、単球、またはCD14などの他の白血球のような非T細胞上に発現されるマーカーの陰性選択によってPBMC試料から分離される。いくつかの局面では、CD4またはCD8選択工程を用いてCD4ヘルパーT細胞とCD8細胞傷害性T細胞を分離する。そのようなCD4およびCD8集団は、1つまたは複数のナイーブT細胞、メモリーT細胞、および/またはエフェクターT細胞亜集団上に発現されるまたは比較的高い程度に発現されるマーカーについての陽性または陰性選択によって、さらに亜集団に分類することができる。
【0361】
いくつかの態様では、CD8細胞は、それぞれの亜集団に関連する表面抗原に基づく陽性選択または陰性選択などによって、ナイーブ、セントラルメモリー、エフェクターメモリー、および/またはセントラルメモリー幹細胞がさらに濃縮または枯渇される。いくつかの態様では、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、いくつかの局面ではそのような亜集団において特に堅固である、投与後の長期生存、増殖、および/または生着を改善するためなどの有効性を高めるために行われる。Terakura et al., (2012) Blood.1:72-82;Wang et al., (2012) J Immunother. 35(9):689-701参照。いくつかの態様では、TCMに富むCD8T細胞とCD4T細胞とを組み合わせることは、有効性をさらに増強する。
【0362】
態様では、メモリーT細胞は、CD8末梢血リンパ球のCD62LおよびCD62L-サブセットの両方に存在する。PBMCは、例えば抗CD8抗体および抗CD62L抗体を使用して、CD62L-CD8および/またはCD62LCD8画分を濃縮または枯渇させることができる。
【0363】
いくつかの態様では、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、CD45RO、CD62L、CCR7、CD28、CD3、および/またはCD127の陽性または高表面発現に基づく;いくつかの局面では、それは、CD45RAおよび/またはグランザイムBを発現するかまたは高発現する細胞についての陰性選択に基づく。いくつかの局面では、TCM細胞が濃縮されたCD8集団の単離は、CD4、CD14、CD45RAを発現する細胞の枯渇、およびCD62Lを発現する細胞の陽性選択または濃縮によって行われる。一局面では、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、CD4発現に基づいて選択された細胞の陰性画分から出発して、これをCD14およびCD45RAの発現に基づく陰性選択、ならびにCD62Lの発現に基づく陽性選択に供して行われる。いくつかの局面ではそのような選択は同時に行われ、他の局面では連続的にどちらの順序でも行われる。いくつかの局面では、CD8細胞集団または亜集団を調製するのに使用されるのと同じCD4発現に基づく選択工程が、任意で1つまたは複数のさらなる陽性または陰性選択工程後に、CD4に基づく分離からの陽性および陰性画分の両方が保持され、方法のその後の工程で使用されるように、CD4細胞集団または亜集団を生成するためにも用いられる。
【0364】
特定の例では、PBMCの試料または他の白血球試料を、陰性画分と陽性画分の両方が保持されるCD4細胞の選択に供する。次いで、陰性画分を、CD14およびCD45RAまたはCD19の発現に基づく陰性選択、ならびにCD62LまたはCCR7などのセントラルメモリーT細胞に特徴的なマーカーに基づく陽性選択に供し、ここで陽性選択と陰性選択はどちらの順序でも行われる。
【0365】
CD4Tヘルパー細胞は、細胞表面抗原を有する細胞集団を同定することによって、ナイーブ細胞、セントラルメモリー細胞、およびエフェクター細胞に分類される。CD4リンパ球は標準的な方法によって得ることができる。いくつかの態様では、ナイーブCD4Tリンパ球は、CD45RO-、CD45RA、CD62L、CD4T細胞である。いくつかの態様では、セントラルメモリーCD4細胞はCD62LおよびCD45ROである。いくつかの態様では、エフェクターCD4細胞はCD62L-およびCD45RO-である。
【0366】
一例では、陰性選択によってCD4細胞を濃縮するために、モノクローナル抗体カクテルは、典型的にはCD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DR、およびCD8に対する抗体を含む。いくつかの態様では、抗体または結合パートナーは、陽性および/または陰性選択のための細胞の分離を可能にする、磁気ビーズまたは常磁性ビーズなどの固体支持体またはマトリックスに結合される。例えば、いくつかの態様では、細胞および細胞集団は、免疫磁気(または親和性磁気)分離技術(Methods in Molecular Medicine, vol.58:Metastasis Research Protocols, Vol. 2:Cell Behavior In vitro and In vivo, p 17-25 Edited by:S.A. Brooks and U. Schumacher(著作権)Humana Press Inc., Totowa, NJに総説されている)を用いて分離または単離される。
【0367】
いくつかの局面では、分離される細胞の試料または組成物は、小型の磁化可能または磁気応答性材料、例えば磁気応答性粒子または微粒子、例えば常磁性ビーズ(例えばDynalbeadsまたはMACSビーズなど)と共にインキュベートされる。磁気応答性材料、例えば粒子は、一般に、分離することを所望する、例えば陰性または陽性選択することを所望する1つまたは複数の細胞、または細胞集団上に存在する分子、例えば表面マーカーに特異的に結合する結合パートナー、例えば抗体に直接または間接的に結合される。
【0368】
いくつかの態様では、磁性粒子またはビーズは、抗体または他の結合パートナーなどの特異的結合成員に結合した磁気応答性材料を含む。磁気分離方法に使用される多くの周知の磁気応答性材料がある。適切な磁性粒子としては、参照により本明細書に組み入れられる、Moldayの米国特許第4,452,773号、および欧州特許第452342B号に記載されているものが挙げられる。Owenの米国特許第4,795,698号およびLibertiらの米国特許第5,200,084号に記載されているもののようなコロイドサイズの粒子が他の例である。
【0369】
インキュベーションは、一般に、抗体もしくは結合パートナー、または磁性粒子もしくはビーズに付着している、そのような抗体もしくは結合パートナーに特異的に結合する二次抗体もしくは他の試薬などの分子が、試料中の細胞上に存在する場合は細胞表面分子に特異的に結合する条件下で行われる。
【0370】
いくつかの局面では、試料を磁場中に置き、磁気応答性粒子または磁化可能粒子が付着している細胞を磁石に引きつけ、非標識細胞から分離する。陽性選択の場合は、磁石に引き寄せられる細胞が保持される;陰性選択の場合は、引き寄せられない細胞(非標識細胞)が保持される。いくつかの局面では、陽性選択と陰性選択の組み合わせは同じ選択工程の間に行われ、この場合は陽性画分と陰性画分が保持され、さらに処理されるかまたはさらなる分離工程に供される。
【0371】
特定の態様では、磁気応答性粒子は、一次抗体または他の結合パートナー、二次抗体、レクチン、酵素、またはストレプトアビジンで被覆されている。特定の態様では、磁性粒子は、1つまたは複数のマーカーに特異的な一次抗体のコーティングを介して細胞に付着している。特定の態様では、ビーズではなく細胞を一次抗体または結合パートナーで標識し、次いで細胞型特異的二次抗体または他の結合パートナー(例えばストレプトアビジン)で被覆した磁性粒子を添加する。特定の態様では、ストレプトアビジン被覆磁性粒子を、ビオチン化一次抗体または二次抗体と組み合わせて使用する。
【0372】
いくつかの態様では、磁気応答性粒子は、その後インキュベート、培養および/または操作されることになる細胞に付着したままである;いくつかの局面では、粒子は患者への投与のための細胞に付着したままである。いくつかの態様では、磁化可能粒子または磁気応答性粒子は細胞から除去される。細胞から磁化可能粒子を除去する方法は公知であり、例えば競合する非標識抗体、および磁化可能粒子または切断可能なリンカーに結合した抗体の使用を含む。いくつかの態様では、磁化可能粒子は生分解性である。
【0373】
いくつかの態様では、親和性に基づく選択は、磁気活性化細胞選別(MACS)(Miltenyi Biotec, Auburn, CA)による。磁気活性化細胞選別(MACS)システムは、磁化された粒子が付着した細胞の高純度の選択が可能である。特定の態様では、MACSは、外部磁場の印加後に非標的種と標的種が連続的に溶出されるモードで動作する。すなわち、磁化粒子に付着した細胞は、付着していない種が溶出されている間、適所に保持される。次に、この最初の溶出工程が完了した後、磁場に捕捉されて溶出が妨げられていた種は、それらが溶出され、回収され得るように何らかの方法で解放される。特定の態様では、非標的細胞は標識され、細胞の不均一な集団から除去される。
【0374】
特定の態様では、単離または分離は、本発明の方法の単離、細胞調製、分離、処理、インキュベーション、培養、および/または製剤化工程のうちの1つまたは複数を実行するシステム、機器、または装置を用いて実施される。いくつかの局面では、システムは、例えばエラー、使用者の取り扱い、および/または汚染を最小限に抑えるために、これらの工程のそれぞれを閉鎖環境または無菌環境で実行するために使用される。一例では、システムは、国際特許出願公開番号第2009/072003号、またはUS20110003380A1号に記載されているシステムである。
【0375】
いくつかの態様では、システムまたは装置は、統合システムもしくは自己完結型システムで、および/または自動化されたもしくはプログラム可能な方式で、単離、処理、操作、および製剤化工程のうちの1つまたは複数、例えば全部を実行する。いくつかの局面では、システムまたは装置は、システムまたは装置に接続されたコンピュータおよび/またはコンピュータプログラムを含み、これにより、使用者が処理、単離、操作および製剤化工程をプログラムする、制御する、そのアウトカムを評価する、および/またはその様々な局面を調整することが可能になる。
【0376】
いくつかの局面では、分離および/または他の工程は、例えば閉鎖系および無菌系における臨床規模レベルでの細胞の自動分離のために、CliniMACSシステム(Miltenyi Biotec)を用いて行われる。構成要素には、統合マイクロコンピュータ、磁気分離ユニット、蠕動ポンプ、および様々なピンチバルブが含まれ得る。統合コンピュータは、いくつかの局面では、機器のすべての構成要素を制御し、標準化された順序で反復手順を実行するようにシステムに指示する。いくつかの局面における磁気分離ユニットは、可動永久磁石と選択カラム用のホルダとを含む。蠕動ポンプはチューブセット全体の流速を制御し、ピンチバルブと共に、システムを通る緩衝液の制御された流れおよび細胞の継続的な懸濁を確実にする。
【0377】
いくつかの局面におけるCliniMACSシステムは、滅菌非発熱性溶液中で供給される抗体結合磁化可能粒子を使用する。いくつかの態様では、細胞を磁性粒子で標識した後、細胞を洗浄して過剰の粒子を除去する。続いて細胞調製バッグをチューブセットに接続し、次に緩衝剤を含むバッグおよび細胞収集バッグにチューブセットを接続する。チューブセットは、プレカラムと分離カラムを含むあらかじめ組み立てられた滅菌チューブからなり、使い捨て専用である。分離プログラムの開始後、システムは自動的に細胞試料を分離カラムに適用する。標識細胞はカラム内に保持され、非標識細胞は一連の洗浄工程によって除去される。いくつかの態様では、本明細書に記載の方法で使用するための細胞集団は標識されておらず、カラム内に保持されない。いくつかの態様では、本明細書に記載の方法で使用するための細胞集団は標識されており、カラム内に保持される。いくつかの態様では、本明細書に記載の方法で使用するための細胞集団は、磁場の除去後にカラムから溶出され、細胞収集バッグ内に収集される。
【0378】
特定の態様では、分離および/または他の工程は、CliniMACS Prodigyシステム(Miltenyi Biotec)を使用して行われる。いくつかの局面におけるCliniMACS Prodigyシステムは、遠心分離による細胞の自動洗浄および分画を可能にする細胞処理ユニットを備える。CliniMACS Prodigyシステムはまた、ソース細胞産物の巨視的層を識別することによって最適な細胞分画エンドポイントを決定する搭載カメラおよび画像認識ソフトウェアを含み得る。例えば、末梢血は自動的に赤血球、白血球および血漿層に分離される。CliniMACS Prodigyシステムはまた、例えば細胞分化および増殖、抗原負荷、ならびに長期細胞培養などの細胞培養プロトコルを達成する統合細胞培養チャンバを含み得る。入力ポートは培地の無菌除去および補充を可能にし、細胞は統合顕微鏡を使用してモニタリングすることができる。例えばKlebanoff et al., (2012)J Immunother. 35(9):651-660, Terakura et al., Blood.(2012) 1:72-82およびWang et al., (2012)J Immunother. 35(9):689-701参照。
【0379】
いくつかの態様では、本明細書に記載の細胞集団はフローサイトメトリーによって収集および濃縮(または枯渇)され、フローサイトメトリーでは、複数の細胞表面マーカーについて染色された細胞が流体流中で運ばれる。いくつかの態様では、本明細書に記載の細胞集団は、分取規模(FACS)選別によって収集および濃縮(または枯渇)される。特定の態様では、本明細書に記載の細胞集団は、FACSに基づく検出システムと組み合わせた微小電気機械システム(MEMS)チップの使用によって収集および濃縮(または枯渇)される(例えば国際公開公報第2010/033140号、Cho et al., (2010)Lab Chip 10, 1567-1573;およびGodin et al., (2008)J Biophoton. 1(5):355-376参照)。どちらの場合も、細胞を複数のマーカーで標識して、明確に定義されたT細胞サブセットを高純度で単離することができる。
【0380】
いくつかの態様では、抗体または結合パートナーは、陽性選択および/または陰性選択のための分離を容易にするために、1つまたは複数の検出可能なマーカーで標識される。例えば、分離は蛍光標識抗体への結合に基づき得る。いくつかの例では、1つまたは複数の細胞表面マーカーに特異的な抗体または他の結合パートナーの結合に基づく細胞の分離は、例えばフローサイトメトリー検出システムと組み合わせた、分取規模(FACS)および/または微小電気機械システム(MEMS)チップを含む蛍光活性化細胞選別(FACS)などによって流体流中で行われる。そのような方法は、同時に複数のマーカーに基づく陽性選択および陰性選択を可能にする。
【0381】
いくつかの態様では、調製方法は、単離、インキュベーション、および/または操作の前または後のいずれかに、細胞を凍結する、例えば凍結保存する工程を含む。いくつかの態様では、凍結およびその後の解凍工程は、細胞集団中の顆粒球および、ある程度まで、単球を除去する。いくつかの態様では、細胞は、例えば血漿および血小板を除去するための洗浄工程の後に、凍結溶液中に懸濁される。いくつかの局面では様々な公知の凍結溶液およびパラメーターのいずれを使用してもよい。一例は、20%DMSOおよび8%ヒト血清アルブミン(HSA)を含有するPBS、または他の適切な細胞凍結培地を使用することを含む。次にこれを培地で1:1に希釈して、DMSOおよびHSAの最終濃度がそれぞれ10%および4%になるようにする。次いで細胞を一般に毎分1℃の速度で-80℃に凍結し、液体窒素貯蔵タンクの気相中で保存する。
【0382】
いくつかの態様では、細胞は、遺伝子操作の前またはそれに関連してインキュベートおよび/または培養される。インキュベーション工程は、培養、刺激、活性化、および/または増殖を含み得る。インキュベーションおよび/または操作は、ユニット、チャンバ、ウェル、カラム、チューブ、チューブセット、バルブ、バイアル、培養皿、バッグ、または細胞を培養するための他の容器などの培養容器中で実施され得る。いくつかの態様では、組成物または細胞は、刺激条件または刺激物質の存在下でインキュベートされる。そのような条件には、集団中の細胞の増殖、拡大、活性化、および/もしくは生存を誘導する、抗原曝露を模倣する、ならびに/または組換え抗原受容体の導入などの遺伝子操作のために細胞をプライミングするように設計されたものが含まれる。
【0383】
条件は、特定の培地、温度、酸素含量、二酸化炭素含量、時間、作用物質、例えば栄養素、アミノ酸、抗生物質、イオン、および/または刺激因子、例えばサイトカイン、ケモカイン、抗原、結合パートナー、融合タンパク質、組換え可溶性受容体、および細胞を活性化するように設計された他の任意の剤の1つまたは複数を含み得る。
【0384】
いくつかの態様では、刺激条件または刺激物質は、TCR複合体の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化または刺激することができる1つまたは複数の作用物質、例えばリガンドを含む。いくつかの局面では、作用物質は、T細胞におけるTCR/CD3細胞内シグナル伝達カスケードを作動または開始させる。そのような作用物質には、TCRに特異的なものなどの抗体、例えば抗CD3が含まれ得る。いくつかの態様では、刺激条件は、共刺激受容体、例えば抗CD28を刺激することができる1つまたは複数の作用物質、例えばリガンドを含む。いくつかの態様では、そのような作用物質および/またはリガンドは、ビーズなどの固体支持体および/または1つもしくは複数のサイトカインに結合し得る。任意で、増殖方法は、抗CD3抗体および/または抗CD28抗体を培地に(例えば少なくとも約0.5ng/mlの濃度で)添加する工程をさらに含み得る。いくつかの態様では、刺激物質は、IL-2、IL-15、および/またはIL-7を含む。いくつかの局面において、IL-2濃度は、少なくとも約10単位/mLである。
【0385】
いくつかの局面では、インキュベーションは、Riddellらの米国特許第6,040,177号、Klebanoff et al., (2012)J Immunother. 35(9):651-660,Terakura et al., (2012) Blood. 1:72-82および/またはWang et al., (2012)J Immunother. 35(9):689-701に記載されているような技術に従って行われる。
【0386】
いくつかの態様では、T細胞は、培養開始組成物に、非分裂末梢血単核細胞(PBMC)などのフィーダ細胞を添加すること(例えば、得られる細胞集団が、増殖させるべき初期集団中の各Tリンパ球につき少なくとも約5、10、20、または40またはそれ以上のPBMCフィーダ細胞を含むように)、および培養物をインキュベートすること(例えばT細胞の数を増やすのに十分な時間)によって増殖される。いくつかの局面では、非分裂フィーダ細胞は、γ線照射PBMCフィーダ細胞を含み得る。いくつかの態様では、PBMCは、細胞分裂を防ぐために約3000~3600ラドの範囲のγ線を照射される。いくつかの局面では、フィーダ細胞は、T細胞集団の添加の前に培地に添加される。
【0387】
いくつかの態様では、刺激条件は、ヒトTリンパ球の増殖に適した温度、例えば少なくとも約25℃、一般に少なくとも約30℃、一般に37℃または約37℃を含む。任意で、インキュベーションは、非分裂EBV形質転換リンパ芽球様細胞(LCL)をフィーダ細胞として添加することをさらに含み得る。LCLは、約6000~10,000ラドの範囲のγ線で照射することができる。いくつかの局面におけるLCLフィーダ細胞は、少なくとも約10:1のLCLフィーダ細胞対初期Tリンパ球の比率などの、任意の適切な量で提供される。
【0388】
態様では、抗原特異的CD4および/またはCD8T細胞などの抗原特異的T細胞は、ナイーブまたは抗原特異的Tリンパ球を抗原で刺激することによって得られる。例えば、サイトメガロウイルス抗原に対する抗原特異的T細胞株またはクローンは、感染した対象からT細胞を単離し、同じ抗原で細胞をインビトロで刺激することによって生成することができる。
【0389】
III. 例示的な治療転帰およびそれを評価するための方法
本明細書で提供される方法、組成物、組み合わせ、使用、キットおよび製品のいくつかの態様では、提供される併用療法は、以下に記載されるような1つまたは複数の治療転帰、例えば療法または治療に関連するパラメーターのいずれか1つまたは複数に関連する特徴をもたらす。いくつかの態様では、この方法は、セクションIに記載のいずれかである。いくつかの態様では、この方法は、T細胞、例えばT細胞に基づく療法のために投与されるT細胞の曝露、持続性および増殖の評価をさらに含む。いくつかの態様では、本明細書で提供される方法における細胞、例えば免疫療法、例えばT細胞療法のために投与される細胞の曝露、もしくは長期間の拡大および/もしくは持続性、ならびに/または細胞表現型もしくは細胞の機能的活性の変化は、インビトロまたはエクスビボでT細胞の特徴を評価することによって測定することができる。いくつかの態様では、そのようなアッセイは、本明細書で提供される併用療法を投与する前、投与中または投与した後に、T細胞の機能、例えばT細胞療法を決定または確認するために使用することができる。
【0390】
いくつかの態様では、併用療法は、併用療法による治療のためおよび/もしくは併用療法を継続するための対象を同定するための1つもしくは複数のスクリーニング工程、ならびに/または治療転帰の評価のためおよび/もしくは治療転帰をモニターするための工程をさらに含むことができる。いくつかの態様では、治療転帰の評価のための工程は、治療を評価および/もしくはモニターするための工程、ならびに/または療法のさらなる工程もしくは残りの工程の投与のためおよび/もしくは反復療法のための対象を同定するための工程を含むことができる。いくつかの態様では、スクリーニング工程および/または治療転帰の評価は、本明細書で提供される併用療法の用量、頻度、持続期間、時期および/または順序を決定するために使用することができる。
【0391】
いくつかの態様では、本明細書に記載されるスクリーニング工程および/または転帰についての治療の評価のいずれもが、提供される併用療法の1つまたは複数の工程の投与、例えばT細胞療法(例えばCAR発現T細胞)、および/または化合物Aの投与前、投与中、投与の経過中、または投与後に使用することができる。いくつかの態様では、評価は、本明細書で提供される方法のいずれかを実施する前、実施中、実施の経過中、または実施後に行われる。いくつかの態様では、評価は、本明細書で提供される方法を実施する前に行われる。いくつかの態様では、評価は、本明細書で提供される方法の1つまたは複数の工程を実施した後に行われる。いくつかの態様では、評価は、例えば併用療法を受けるのに適したおよび/または受けやすい患者をスクリーニングおよび同定するために、提供される併用療法の1つまたは複数の工程の投与に先立って実施される。いくつかの態様では、評価は、例えば、中間または最終的な治療転帰を評価するため、例えば治療の効果を決定するおよび/または治療を継続もしくは反復するかどうかを決定するため、および/または併用療法の残りの工程を投与するかどうかを決定するために、提供される併用療法の1つまたは複数の工程の投与期間中、投与の経過期間中、または投与後に実施される。
【0392】
いくつかの態様では、治療の転帰には、免疫機能の改善、例えば細胞に基づく療法のために投与されるT細胞および/または体内の内因性T細胞の免疫機能の改善が含まれる。いくつかの態様では、例示的な治療転帰には、T細胞増殖の増強、T細胞の機能的活性の増強、免疫細胞表現型マーカー発現の変化、例えば対象に投与される操作されたT細胞、例えばCAR-T細胞に関連する特徴を含むが、これらに限定されるわけではない。いくつかの態様では、例示的な治療転帰には、疾患負荷、例えば腫瘍負荷の軽減、臨床転帰の改善および/または治療効果の増強が含まれる。
【0393】
いくつかの態様では、スクリーニング工程および/または転帰についての治療の評価には、細胞に基づく療法のために投与されるT細胞の生存率および/または機能を評価することが含まれる。いくつかの態様では、スクリーニング工程および/または転帰についての治療の評価には、サイトカインまたは成長因子のレベルを評価することが含まれる。いくつかの態様では、スクリーニング工程および/または転帰についての治療の評価には、疾患負荷および/または改善を評価すること、例えば腫瘍負荷および/または臨床転帰を評価することが含まれる。いくつかの態様では、スクリーニング工程および/または転帰についての治療の評価のどちらもが、本明細書に記載されるおよび/または公知の評価方法および/またはアッセイのいずれかを含むことができ、例えば併用療法の1つまたは複数の工程の投与前、投与期間中、投与の経過期間中、または投与後1回または複数回実施することができる。提供される方法のいくつかの態様において評価され得る、治療転帰に関連するパラメーターの例示的なセットには、末梢血免疫細胞集団のプロフィールおよび/または腫瘍負荷が含まれる。
【0394】
いくつかの態様では、方法は、対象における細胞療法の効果に影響を及ぼす。いくつかの態様では、化合物Aと共に本方法における細胞の用量を投与した後の対象における組換え受容体発現細胞、例えばCAR発現細胞の持続性、拡大および/または存在は、化合物Aの投与を伴わない方法によって達成されるものと比較してより大きい。いくつかの態様では、投与されたT細胞療法、例えばCAR発現T細胞の対象における拡大および/または持続性は、T細胞療法が化合物Aの非存在下で対象に投与される方法と比較して評価される。いくつかの態様では、方法は、T細胞療法が化合物Aの非存在下で対象に投与される方法と比較して、対象における増加したまたは長期の拡大および/または持続性を示す投与されたT細胞をもたらす。
【0395】
いくつかの態様では、化合物Aの投与は、組換え受容体を発現する細胞の用量が化合物Aの非存在下で対象に投与される方法と比較して、対象における疾患負荷、例えば腫瘍負荷を減少させる。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、組換え受容体を発現する細胞の用量が化合物Aの非存在下で対象に投与される方法と比較して、対象における芽球髄を減少させる。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、組換え受容体を発現する細胞の用量が化合物Aの非存在下で対象に投与される方法と比較して、改善された臨床転帰、例えば客観的奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)をもたらす。
【0396】
いくつかの態様では、対象は、併用療法の1つまたは複数の工程の投与の前にスクリーニングされ得る。例えば、対象は、併用療法を投与することに対する適合性、応答性および/または感受性を決定するために、併用療法の投与の前に、疾患の特徴および/または疾患負荷、例えば腫瘍負荷についてスクリーニングされ得る。いくつかの態様では、スクリーニング工程および/または治療転帰の評価は、本明細書で提供される併用療法の用量、頻度、持続期間、時期および/または順序を決定するために使用することができる。
【0397】
いくつかの態様では、対象は、併用療法の残りの工程を受けるためおよび/または治療の効果をモニターするための対象を決定および同定するために、併用療法の工程の1つを投与した後にスクリーニングされ得る。いくつかの態様では、投与されたT細胞の数、レベルもしくは量、ならびに/または投与されたT細胞の増殖および/もしくは活性が、化合物Aの投与前および/または投与後に評価される。
【0398】
いくつかの態様では、パラメーターまたは転帰の変化および/または改変、例えば増加、上昇、減少または低下が、異なる評価時点、異なる条件、参照点および/または異なる対象での同じパラメーターまたは転帰のレベル、値または測定値と比較して決定または評価される。例えば、いくつかの態様では、特定のパラメーター、例えば試料中の操作されたT細胞の数の倍率変化、例えば増加または減少が、異なる条件での、例えば化合物Aの投与前の同じパラメーターと比較して決定され得る。いくつかの態様では、2つまたはそれ以上のパラメーターのレベル、値または測定値が決定され、相対的レベルが比較される。いくつかの態様では、パラメーターの決定されたレベル、値または測定値は、対照試料または未処理試料からのレベル、値または測定値と比較される。いくつかの態様では、パラメーターの決定されたレベル、値、または測定値は、同じ対象由来であるが異なる時点での試料からのレベルと比較される。個々のパラメーターの定量化において得られる値は、例えば、マルチパラメトリック分析を使用することによってパラメーターのレベル、値または測定値に対して算術演算または論理演算を組み立てることにより、疾患評価の目的のために組み合わせることができる。いくつかの態様では、2つまたはそれ以上の特定のパラメーターの比率を計算することができる。
【0399】
A. T細胞の曝露、持続性、および増殖
いくつかの態様では、スクリーニング工程および/または転帰についての治療の評価および/または治療転帰のモニタリングのために評価され得るパラメーターを含む、療法または治療転帰に関連するパラメーターは、T細胞、例えばT細胞に基づく療法のために投与されるT細胞の曝露、持続性および増殖の評価であるかまたはそれを含む。いくつかの態様では、本明細書で提供される方法における細胞、例えば免疫療法、例えばT細胞療法のために投与される細胞の曝露の増加、もしくは長期の拡大および/もしくは持続性、ならびに/または細胞表現型もしくは細胞の機能的活性の変化は、インビトロまたはエクスビボでT細胞の特性を評価することによって測定できる。いくつかの態様では、そのようなアッセイは、本明細書で提供される併用療法の1つまたは複数の工程を投与する前または投与した後に、免疫療法、例えばT細胞療法のために使用されるT細胞の機能を決定または確認するために使用することができる。
【0400】
いくつかの態様では、化合物Aの投与は、細胞、例えばT細胞に基づく療法のために投与されるT細胞への対象の曝露を、例えばその拡大および/または持続性を経時的に促進することなどによって、促進するように設計される。いくつかの態様では、T細胞療法は、T細胞療法が化合物Aの非存在下で対象に投与される方法と比較して、対象における増加したまたは長期の拡大および/または持続性を示す。
【0401】
いくつかの態様では、提供される方法は、投与された細胞への対象の曝露を増加させ(例えば経時的な細胞数または持続期間の増加)、ならびに/または免疫療法、例えばT細胞療法の効果および治療転帰を改善する。いくつかの局面では、方法は、組換え受容体を発現する細胞、例えばCAR発現細胞へのより大きなおよび/またはより長い程度の曝露が、他の方法と比較して治療転帰を改善するという点で有利であるそのような転帰には、重度の腫瘍負荷を有する個体においてさえも、患者の生存および寛解が含まれ得る。
【0402】
いくつかの態様では、化合物Aの投与は、化合物Aの非存在下でのT細胞単独の投与と比較して、対象における細胞、例えばT細胞に基づく療法のために投与されるT細胞への曝露の最大量、総量および/または持続期間を増加させることができる。いくつかの局面では、高い疾患負荷(したがってより多い量の抗原)および/またはより悪性度の高いもしくは抵抗性のB細胞悪性腫瘍の状況における化合物Aの投与は、細胞の拡大および/または持続性を妨げ得る免疫抑制、アネルギーおよび/または枯渇をもたらし得る、同じ状況における化合物Aの非存在下でのT細胞単独の投与と比較して、効果を高める。
【0403】
いくつかの態様では、T細胞の投与後、ならびに化合物Aの投与前、投与中および/または投与後の対象において、組換え受容体を発現する細胞(例えばT細胞に基づく療法のために投与されるCAR発現細胞)の存在および/または量が検出される。いくつかの局面では、定量的PCR(qPCR)が、対象の血液または血清または器官または組織試料(例えば疾患部位、例えば腫瘍試料)中の組換え受容体を発現する細胞(例えばT細胞に基づく療法のために投与されるCAR発現細胞)の量を評価するために使用される。いくつかの局面では、持続性は、DNA、例えば試料から得られた総DNA 1マイクログラム当たりの、受容体、例えばCARをコードするDNAもしくはプラスミドのコピー数として、または試料、例えば血液もしくは血清1マイクロリットル当たりの、または試料1マイクロリットル当たりの末梢血単核細胞(PBMC)もしくは白血球もしくはT細胞の総数当たりの、受容体発現細胞、例えばCAR発現細胞の数として定量化される。
【0404】
いくつかの態様では、細胞は、T細胞、例えばCAR発現T細胞の投与の4、7、10、14、18、21、24、27もしくは28日後、または少なくとも4、7、10、14、18、21、24、27もしくは28日後に対象において検出される。いくつかの局面では、細胞は、T細胞の投与の2、4もしくは6週間後または少なくとも2、4もしくは6週間後、または3、6、12、18、24、30もしくは36ヶ月後または少なくとも3、6、12、18、24、30もしくは36ヶ月後、または1、2、3、4、5もしくはそれ以上の年数後に検出される。
【0405】
いくつかの態様では、T細胞、例えばCAR発現T細胞ならびに/または化合物Aの投与後の、本方法による対象における受容体発現細胞(例えばCAR発現細胞)の持続性は、化合物Aの非存在下での免疫療法単独の投与、例えばT細胞、例えばCAR発現T細胞の投与を含む方法などの代替方法によって達成されるものと比較してより大きい。
【0406】
拡大および/または持続性を示す、曝露、例えば細胞の数、例えばT細胞療法のために投与されたT細胞の数は、対象が曝露される細胞の最大数、検出可能な細胞または一定の数もしくは割合を超える細胞の持続期間、経時的な細胞数についての曲線下面積、および/またはそれらの組み合わせおよびそれらの指標によって表され得る。そのような転帰は、腫瘍試料などの特定の試料中、例えば血液、血清、血漿もしくは組織中の核酸もしくはDNAの総量と比較して、組換え受容体をコードする核酸のコピー数を検出するためのqPCR、および/または一般に受容体に特異的な抗体を使用して受容体を発現する細胞を検出するフローサイトメトリーアッセイなどの公知の方法を用いて評価し得る。細胞に基づくアッセイはまた、機能的な細胞、例えば疾患もしくは状態の細胞または受容体によって認識される抗原を発現する細胞に結合する、および/またはそれを中和する、および/またはそれに対する応答、例えば細胞傷害性応答を誘導することができる細胞の数または割合を検出するために使用され得る。
【0407】
いくつかの局面では、細胞への対象の曝露の増加は、細胞の拡大の増加を含む。いくつかの態様では、受容体発現細胞、例えばCAR発現細胞は、T細胞、例えばCAR発現T細胞の投与後、および/または化合物Aの投与後に対象において拡大する。いくつかの局面では、本方法は、化合物Aの投与の非存在下でのT細胞、例えばCAR発現T細胞の投与を含むものなどの他の方法と比較して、細胞のより大きな拡大をもたらす。
【0408】
いくつかの局面では、この方法は、例えばフローサイトメトリーによって測定されるように、投与された細胞の高いインビボ増殖をもたらす。いくつかの局面では、細胞の高いピーク割合が検出される。例えば、いくつかの態様では、対象の血液もしくは疾患部位またはその白血球画分、例えばPBMC画分もしくはT細胞画分において、T細胞、例えばCAR発現T細胞および/または化合物Aの投与後のピークまたは最大レベルで、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%の細胞が組換え受容体、例えばCARを発現する。
【0409】
いくつかの態様では、この方法は、対象の血液または血清または他の体液または器官または組織において、DNA 1マイクログラム当たり少なくとも100、500、1000、1500、2000、5000、10,000もしくは15,000コピーの、受容体、例えばCARをコードする核酸、または末梢血単核細胞(PBMC)の総数、単核細胞の総数、T細胞の総数、もしくは総マイクロリットル数当たり少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、もしくは0.9個の受容体発現、例えばCAR発現細胞の最大濃度をもたらす。いくつかの態様では、受容体を発現する細胞は、対象の血液中の全PBMCの少なくとも10、20、30、40、50、もしくは60%として、ならびに/またはT細胞、例えばCAR発現T細胞および/もしくは化合物Aの後、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、24、36、48、もしくは52週間、またはそのような投与後1、2、3、4、もしくは5年もしくはそれ以上の年数にわたってそのようなレベルで検出される。
【0410】
いくつかの局面では、方法は、例えば対象の血清、血漿、血液または組織中、例えば腫瘍試料中のDNA 1マイクログラム当たり、組換え受容体、例えばCARをコードする核酸のコピー数の少なくとも2倍、少なくとも4倍、少なくとも10倍、または少なくとも20倍の増加をもたらす。
【0411】
いくつかの態様では、受容体を発現する細胞は、対象の血清、血漿、血液または組織、例えば腫瘍試料中で、例えばqPCRまたはフローサイトメトリーに基づく検出方法などの特定の方法によって、T細胞、例えばCAR発現T細胞の投与後、または化合物Aの投与後、少なくとも20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、もしくは60日、もしくはそれ以上の日数で、T細胞、例えばCAR発現T細胞および/または化合物Aの投与後、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、もしくは24週間もしくはそれ以上の間、または少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、もしくは24週間またはそれ以上の間、検出可能である。
【0412】
いくつかの局面では、少なくとも約1×102、少なくとも約1×103、少なくとも約1×104、少なくとも約1×105、少なくとも約1×106、少なくとも約5×106、少なくとも約1×107、少なくとも約5×107、もしくは少なくとも約1×108個の組換え受容体発現細胞、例えばCAR発現細胞、および/または1マイクロリットル当たり少なくとも10個、25個、50個、100個、200個、300個、400個、500個もしくは1000個の受容体発現細胞、例えば1マイクロリットル当たり少なくとも10個の細胞が、対象またはその体液、血漿、血清、組織、もしくは区画において、例えば末梢血などの血液中で、または腫瘍などのその疾患部位において、検出可能であるかまたは存在する。いくつかの態様では、そのような数または濃度の細胞は、T細胞、例えばCAR発現T細胞の投与後、および/または化合物Aの投与後、少なくとも約20日間、少なくとも約40日間、もしくは少なくとも約60日間、または少なくとも約3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12ヶ月間、または少なくとも2もしくは3年間、対象において検出可能である。そのような細胞数は、フローサイトメトリーに基づく方法または定量的PCRに基づく方法および公知の方法を用いた総細胞数への外挿によって検出される通りであり得る。例えば、Brentjens et al., Sci Transl Med.2013 5(177),Park et al, Molecular Therapy 15(4):825-833(2007), Savoldo et al., JCI 121(5):1822-1826(2011),Davila et al., (2013)PLoS ONE 8(4):e61338,Davila et al., Oncoimmunology 1(9):1577-1583(2012), Lamers, Blood 2011 117:72-82,Jensen et al., Biol Blood Marrow Transplant 2010 September;16(9):1245-1256,Brentjens et al., Blood 2011 118(18):4817-4828参照。
【0413】
いくつかの局面では、免疫組織化学、PCR、および/またはフローサイトメトリーによって測定される、例えば末梢血または骨髄または他の区画における100細胞当たりの、組換え受容体をコードする核酸のコピー数、例えばベクターコピー数は、細胞、例えばCAR発現T細胞、および/または化合物Aの投与後約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、もしくは少なくとも約6週間で、または少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12ヶ月で、または少なくとも2もしくは3年で、少なくとも0.01、少なくとも0.1、少なくとも1、または少なくとも10である。いくつかの態様では、ゲノムDNA 1マイクログラム当たりの、受容体、例えばCARを発現するベクターのコピー数は、T細胞、例えばCAR発現T細胞、または化合物Aの投与後約1週間、約2週間、約3週間、もしくは少なくとも約4週間の時点、またはそのような投与後少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12ヶ月、または少なくとも2もしくは3年の時点で、少なくとも100、少なくとも1000、少なくとも5000、少なくとも10,000、少なくとも15,000、または少なくとも20,000である。
【0414】
いくつかの局面では、細胞によって発現される受容体、例えばCARは、細胞の投与後、例えばT細胞、例えばCAR発現T細胞の投与後、および/または化合物Aの投与の開始後、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、少なくとも約3年、または3年を超える時点で、対象、その血漿、血清、血液、組織および/または疾患部位、例えば腫瘍部位において、定量的PCR(qPCR)またはフローサイトメトリーによって検出可能である。
【0415】
いくつかの態様では、T細胞、例えばCAR発現T細胞および/または化合物Aの投与後の経時的な対象の体液、血漿、血清、血液、組織、器官および/または疾患部位、例えば腫瘍部位における受容体(例えばCAR)発現細胞の濃度についての曲線下面積(AUC)は、対象が、化合物Aの投与の非存在下でT細胞、例えばCAR発現T細胞を投与される代替投薬レジメンによって達成されるものと比較してより大きい。
【0416】
いくつかの局面では、この方法は、例えばフローサイトメトリーによって測定されるように、投与された細胞の高いインビボ増殖をもたらす。いくつかの局面では、細胞の高いピーク割合が検出される。例えば、いくつかの態様では、対象の血液、血漿、血清、組織もしくは疾患部位またはその白血球画分、例えばPBMC画分もしくはT細胞画分において、T細胞、例えばCAR発現T細胞および/または化合物Aの後のピークまたは最大レベルで、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%の細胞が組換え受容体、例えばCARを発現する。
【0417】
いくつかの局面では、化合物Aを投与された対象における細胞の用量の増加したまたは長期間の拡大および/または持続性は、対象における腫瘍関連転帰における利益に関連する。いくつかの態様では、腫瘍関連転帰は、対象における腫瘍負荷の減少または芽球髄の減少を含む。いくつかの態様では、腫瘍負荷は、この方法の投与後に10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくは100%、または少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくは100%、または少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくは100%減少する。いくつかの態様では、疾患負荷、腫瘍サイズ、腫瘍体積、腫瘍量、および/または腫瘍負荷もしくは嵩は、細胞の投与後に、化合物Aの投与を含まない方法で治療された対象と比較して、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、もしくはそれ以上、または少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、もしくはそれ以上減少する。
【0418】
B. T細胞の機能的活性
いくつかの態様では、スクリーニング工程および/または転帰についての治療の評価および/または治療転帰のモニタリングのために評価することができるパラメーターを含む、療法または治療転帰に関連するパラメーターには、T細胞の活性、表現型、増殖または機能の1つまたは複数が含まれる。いくつかの態様では、T細胞、例えばT細胞療法のために投与されるT細胞の活性、表現型、増殖および/または機能を評価するための当技術分野で公知のアッセイのいずれかを使用することができる。細胞および/または化合物Aの投与前および/または投与後に、いくつかの態様では、操作された細胞集団の生物学的活性が、例えば多くの公知の方法のいずれかによって測定される。評価するパラメーターには、インビボでは、例えば画像化による、またはエクスビボでは、例えばELISAもしくはフローサイトメトリーによる、操作されたもしくは天然のT細胞または他の免疫細胞の抗原への特異的結合が含まれる。特定の態様では、操作された細胞が標的細胞を破壊する能力は、例えば、Kochenderfer et al., J. Immunotherapy, 32(7):689-702(2009)、およびHerman et al., J. Immunological Methods, 285(1):25-40(2004)に記載されている細胞毒性アッセイなどの、公知の任意の適切な方法を用いて測定することができる。
【0419】
いくつかの態様では、組換え発現(例えばCAR)T細胞などのT細胞は、T細胞が枯渇の特徴を示すかどうかを評価または決定するために、細胞および/または化合物Aの投与前および/または投与後に評価することができる。いくつかの場合には、枯渇は、T細胞機能の喪失、例えば抗原特異的活性または抗原受容体駆動活性の減少または低下、例えばサイトカインを産生する能力または標的抗原に対する細胞溶解活性を駆動する能力の減少または低下をモニターすることによって評価することができる。いくつかの場合には、枯渇はまた、枯渇表現型に関連するT細胞(例えばCD4および/またはCD4 T細胞)上の表面マーカーの発現をモニターすることによって評価することができる。枯渇マーカーの中には、PD-1、CTLA-4、LAG-3およびTIM-3などの阻害性受容体がある。
【0420】
いくつかの態様では、そのような減少または低下した活性は、対象への投与後および/または抗原への長期曝露後に経時的に観察される。
【0421】
特定の態様では、(i)抗原特異的活性または抗原受容体駆動活性の増加をもたらすため、ならびに(ii)枯渇表現型の発症を予防する、阻害する、もしくは遅延させるため、および/または枯渇表現型を逆転させるための提供される方法。いくつかの態様では、量、持続期間および/または頻度は、(i)抗原特異的活性または抗原受容体駆動活性の増加をもたらすため、および(ii)枯渇表現型の発症を予防する、阻害するまたは遅延させるために有効である。他の態様では、量、持続期間および/または頻度は、(i)抗原特異的活性または抗原受容体駆動活性の増加をもたらすため、ならびに(ii)枯渇表現型の発症を予防する、阻害する、もしくは遅延させるため、および枯渇表現型を逆転させるために有効である。
【0422】
いくつかの態様では、枯渇表現型は、T細胞またはT細胞の集団に関して、同じ条件下での参照T細胞集団と比較して、1つもしくは複数の枯渇マーカー、任意で2、3、4、5もしくは6個の枯渇マーカーの、1つもしくは複数のT細胞上の表面発現のレベルもしくは程度、もしくは表面発現を示すT細胞の前記集団の割合の増加;または同じ条件下での参照T細胞集団と比較して、抗原もしくは抗原受容体特異的作用物質に曝露されたときに前記T細胞もしくはT細胞の集団が示す活性のレベルもしくは程度の低下;同じ条件下での参照T細胞集団と比較して、1つもしくは複数の枯渇マーカー、任意で2、3、4、5もしくは6個の枯渇マーカーの、1つもしくは複数のT細胞上の表面発現のレベルもしくは程度、もしくは表面発現を示すT細胞の前記集団の割合の増加;または同じ条件下での参照T細胞集団と比較して、抗原もしくは抗原受容体特異的作用物質に曝露されたときに前記T細胞もしくはT細胞の集団が示す活性のレベルもしくは程度の低下を含む。
【0423】
特定の態様では、細胞の生物学的活性は、CD107a、IFNγ、IL-2、GM-CSF、およびTNFαなどの1つもしくは複数のサイトカインの発現および/もしくは分泌を検定することによって、ならびに/または細胞溶解活性を評価することによって測定される。
【0424】
いくつかの態様では、T細胞、例えばT細胞療法のために投与されるT細胞の活性、表現型、増殖および/または機能についてのアッセイには、ELISPOT、ELISA、細胞増殖、細胞傷害性リンパ球(CTL)アッセイ、T細胞エピトープ、抗原もしくはリガンドへの結合、または細胞内サイトカイン染色、増殖アッセイ、リンホカイン分泌アッセイ、直接細胞毒性アッセイ、および限界希釈アッセイが含まれるが、これらに限定されるわけではない。いくつかの態様では、T細胞の増殖応答は、例えば3H-チミジン、BrdU(5-ブロモ-2’-デオキシウリジン)もしくは2’-デオキシ-5-エチニルウリジン(EdU)のそれらのDNAへの組込み、またはカルボキシフルオレセインジアセテートスクシンイミジルエステル(CFSE)、CellTrace Violet、もしくは膜染料PKH26などの染料を用いた染料希釈アッセイによって測定することができる。
【0425】
いくつかの態様では、T細胞、例えばT細胞療法のために投与されるT細胞の活性、表現型、増殖および/または機能を評価することは、T細胞からのサイトカイン産生を測定すること、および/または対象由来の生物学的試料、例えば血漿、血清、血液、および/または組織試料、例えば腫瘍試料におけるサイトカイン産生を測定することを含む。いくつかの場合には、そのような測定されるサイトカインには、限定されることなく、インターロイキン2(IL-2)、インターフェロン-ガンマ(IFNγ)、インターロイキン4(IL-4)、TNF-アルファ(TNFα)、インターロイキン6(IL-6)、インターロイキン10(IL-10)、インターロイキン12(IL-12)、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、CD107a、および/またはTGF-ベータ(TGFβ)が含まれ得る。サイトカインを測定するためのアッセイは周知であり、ELISA、細胞内サイトカイン染色、サイトメトリービーズアレイ、RT-PCR、ELISPOT、フローサイトメトリー、および関連するサイトカインに応答性の細胞を試験試料の存在下で応答性(例えば増殖)について試験するバイオアッセイが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0426】
いくつかの態様では、T細胞、例えばT細胞療法のために投与されるT細胞の活性、表現型、増殖および/または機能を評価することは、細胞表現型、例えば特定の細胞表面マーカーの発現を評価することを含む。いくつかの態様では、T細胞、例えばT細胞療法のために投与されるT細胞は、T細胞活性化マーカー、T細胞枯渇マーカー、および/またはT細胞分化マーカーの発現について評価される。いくつかの態様では、細胞表現型は投与前に評価される。いくつかの態様では、細胞表現型は、細胞療法および/または化合物Aの投与中または投与後に評価される。評価のためのT細胞活性化マーカー、T細胞枯渇マーカー、および/またはT細胞分化マーカーには、T細胞の特定のサブセットについての公知の任意のマーカー、例えばCD25、CD38、ヒト白血球抗原-DR(HLA-DR)、CD69、CD44、CD137、KLRG1、CD62Llow、CCR7low、CD71、CD2、CD54、CD58、CD244、CD160、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、リンパ球活性化遺伝子3タンパク質(LAG-3)、T細胞免疫グロブリンドメインおよびムチンドメインタンパク質3(TIM-3)、細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)、バンドTリンパ球アテニュエーター(BTLA)および/またはT細胞免疫グロブリンおよび免疫受容体チロシンベースの阻害モチーフドメイン(TIGIT)が含まれる(例えば、Liu et al., Cell Death and Disease(2015)6,e1792参照)。いくつかの態様では、枯渇マーカーは、PD-1、CTLA-4、TIM-3、LAG-3、BTLA、2B4、CD160、CD39、VISTA、およびTIGITのいずれか1つまたは複数である。いくつかの態様では、評価される細胞表面マーカーは、CD25、PD-1および/またはTIM-3である。いくつかの態様では、評価される細胞表面マーカーはCD25である。
【0427】
いくつかの局面では、発現レベルを検出することは、インビトロアッセイを実施することを含む。いくつかの態様では、インビトロアッセイは、イムノアッセイ、アプタマーベースのアッセイ、組織学的もしくは細胞学的アッセイ、またはmRNA発現レベルアッセイである。いくつかの態様では、1つまたは複数の因子、エフェクター、酵素および/または表面マーカーのそれぞれの1つまたは複数についての1つまたは複数のパラメーターは、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫ブロット法、免疫沈降法、ラジオイムノアッセイ(RIA)、免疫染色、フローサイトメトリーアッセイ、表面プラズモン共鳴(SPR)、化学発光アッセイ、ラテラルフローイムノアッセイ、阻害アッセイまたはアビディティアッセイによって検出される。いくつかの態様では、サイトカインおよび/または表面マーカーの検出は、少なくとも1つのバイオマーカーに特異的に結合する結合試薬を用いて決定される。いくつかの場合には、結合試薬は、抗体もしくはその抗原結合断片、アプタマーまたは核酸プローブである。
【0428】
いくつかの態様では、化合物Aの投与は、循環CAR T細胞のレベルを増加させる。
【0429】
C. 応答、効果、および生存
いくつかの態様では、スクリーニング工程ならびに/または転帰についての治療の評価および/もしくは治療転帰のモニタリングのために評価され得るパラメーターを含む、療法または治療転帰に関連するパラメーターには、腫瘍負荷または疾患負荷が含まれる。T細胞療法(例えばCAR発現T細胞)などの免疫療法および/または化合物Aの投与は、対象における疾患または状態の拡大または負荷を軽減または防止することができる。例えば、疾患または状態が腫瘍である場合、方法は一般に、腫瘍の大きさ、嵩、転移、骨髄における芽球の割合、もしくは分子的に検出可能なB細胞悪性腫瘍を減少させ、および/または予後もしくは生存もしくは腫瘍負荷に関連する他の症状を改善する。
【0430】
いくつかの局面では、提供される方法に従う、および/または提供される製品もしくは組成物に従う投与は、一般に対象における疾患または状態の拡大または負荷を軽減または防止する。例えば、疾患または状態が腫瘍である場合、方法は一般に、腫瘍の大きさ、嵩、転移、骨髄における芽球の割合、もしくは分子的に検出可能なB細胞悪性腫瘍を減少させ、および/または予後もしくは生存もしくは腫瘍負荷に関連する他の症状を改善する。
【0431】
いくつかの態様では、提供される方法は、T細胞療法(例えばCAR発現T細胞)などの免疫療法が、化合物Aの投与を伴わずに与えられる代替方法と比較して、治療される対象において腫瘍負荷の減少をもたらす。併用療法を受けるすべての対象において実際に腫瘍負荷が軽減される必要はないが、例えばそのような併用療法で治療される対象の大多数が腫瘍負荷の減少を示す、例えば併用療法で治療された対象の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%またはそれ以上などが腫瘍負荷の減少を示す臨床データに基づき、腫瘍負荷は治療された対象において平均して軽減される。
【0432】
疾患負荷は、対象における、または対象の器官、組織もしくは体液、例えば腫瘍の器官もしくは組織もしくは、例えば転移を示す別の場所における、疾患の全細胞数を包含し得る。例えば、腫瘍細胞は、特定の血液学的悪性腫瘍の状況で血液、リンパまたは骨髄において検出および/または定量化され得る。疾患負荷は、いくつかの態様では、腫瘍の量、転移の数もしくは範囲および/または骨髄に存在する芽細胞の割合を含み得る。
【0433】
いくつかの態様では、対象はリンパ腫または白血病を有する。疾患負荷の程度は、血液または骨髄における残存白血病の評価によって決定することができる。いくつかの態様では、対象は、非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を有する。いくつかの態様では、対象はMMまたはDBCBLを有する。
【0434】
いくつかの局面では、NHLを有する対象などの対象における奏効率は、Lugano基準に基づく。(Cheson et al., (2014)JCO., 32(27):3059-3067;Johnson et al., (2015)Radiology 2:323-338;Cheson, B.D. (2015)Chin Clin Oncol. 4(1):5)。いくつかの局面では、応答評価は、臨床的方法、血液学的方法、および/または分子的方法のいずれかを利用する。いくつかの局面では、Lugano基準を使用して評価される応答は、必要に応じて陽電子放射断層撮影法(PET)-コンピュータ断層撮影法(CT)および/またはCTの使用を含む。PET-CT評価は、FDG-avidリンパ腫のためのフルオロデオキシグルコース(FDG)の使用をさらに含み得る。いくつかの局面では、FDG-avid組織学において応答を評価するためにPET-CTが使用される場合、5段階尺度が使用され得る。いくつかの点で、5段階尺度は以下の評価基準を含む;1、バックグラウンドを上回る取り込みなし;2、縦隔以下の取り込み;3、縦隔を超えるが肝臓以下の取り込み;4、肝臓を控えめに超える取り込み;5、取り込みは肝臓および/または新しい病変よりも著しく高い;X、リンパ腫に関連する可能性が低い新しい取り込み領域。
【0435】
いくつかの局面では、Lugano基準を使用して表される完全奏効は、様々な測定可能な部位における完全な代謝的応答および完全な放射線学的応答を含む。いくつかの局面では、これらの部位にはリンパ節およびリンパ節外部位が含まれ、PET-CTが使用される場合、CRは、残留塊の有無にかかわらず、5段階尺度で1、2または3のスコアとして表される。いくつかの局面では、高い生理学的取り込みまたは脾臓内もしくは骨髄内での活性化(例えば化学療法または骨髄性コロニー刺激因子による)を有するワルダイエル輪またはリンパ節外部位では、取り込みは、正常な縦隔および/または肝臓を上回り得る。この状況では、組織が高い生理的取り込みを有する場合でも、最初の関与部位での取り込みが周囲の正常組織と同程度であれば、完全な代謝的応答が推測され得る。いくつかの局面では、応答はCTを使用してリンパ節で評価され、CRは疾患のリンパ節外部位がないと表され、標的リンパ節/リンパ節塊は、病変の最長横径(LDi)で1.5cm以下まで退縮しなければならない。さらなる評価部位には骨髄が含まれ、PET-CTに基づく評価は、骨髄におけるFDG-avid疾患の証拠の欠如を示すべきであり、CTに基づく評価は正常な形態を示すべきであり、これは、不確定な場合はIHC陰性であるべきである。さらなる部位には器官拡張の評価が含まれてもよく、これは正常まで退縮すべきである。いくつかの局面では、測定されていない病変と新しい病変が評価され、これらは、CRの場合には非存在でなければならない(Cheson et al., (2014)JCO., 32(27):3059-3067;Johnson et al., (2015)Radiology 2:323-338;Cheson, B.D.(2015)Chin. Clin. Oncol. 4(1):5)。
【0436】
いくつかの局面では、Lugano基準を使用して表される部分奏効(PR)は、様々な測定可能な部位における部分的な代謝的応答および/または放射線学的応答を含む。いくつかの局面では、これらの部位にはリンパ節およびリンパ節外部位が含まれ、PET-CTが使用される場合、PRは、ベースラインおよび任意のサイズの残留塊と比較して減少した取り込みを伴う4または5のスコアとして表される。暫定的に、そのような所見は応答性疾患を示す可能性がある。治療の終了時には、そのような所見は残存疾患を示す可能性がある。いくつかの局面では、応答は、CTを使用してリンパ節で評価され、PRは、標的となる6つまでの測定可能なリンパ節およびリンパ節外部位のSPDの50%以上の減少と表される。病変が小さすぎてCTで測定できない場合は、5mm×5mmがデフォルト値として割り当てられる;病変がもはや視認されない場合は、値は0mm×0mmである;5mm×5mmを超えるが、正常よりも小さいリンパ節については、実測値が計算に使用される。さらなる評価部位には骨髄が含まれ、PET-CTに基づく評価は、正常な骨髄での取り込みよりも大きいが、ベースラインと比較して減少した残留取り込み(許容される化学療法からの反応性変化と矛盾しない広範な取り込み)を示すべきである。いくつかの局面では、リンパ節応答の状況で骨髄に持続的な限局性変化がある場合、MRIもしくは生検によるさらなる評価、またはインターバルスキャンが検討されるべきである。いくつかの局面では、さらなる部位には器官拡張の評価が含まれてもよく、脾臓が正常を50%未満上回る長さに退縮していなければならない。いくつかの局面では、測定されていない病変と新しい病変が評価され、これらは、PRの場合には非存在/正常、退縮でなければならず、増加があってはならない。無反応/安定(SD)または進行性疾患(PD)もまた、PET-CTおよび/またはCTに基づく評価を使用して測定することができる。(Cheson et al., (2014)JCO., 32(27):3059-3067;Johnson et al., (2015)Radiology 2:323-338;Cheson, B.D. 2015)Chin. Clin. Oncol., 4(1):5)。
【0437】
いくつかの点で、無増悪生存期間(PFS)は、B細胞悪性腫瘍などの疾患の治療中および治療後に、対象が疾患を有しながら生存するが、疾患が悪化しない期間の長さとして表される。いくつかの局面では、客観的奏効(OR)は測定可能な応答として表される。いくつかの局面では、客観的奏効率(ORR)は、CRまたはPRを達成した患者の割合として表される。いくつかの局面では、全生存期間(OS)は、B細胞悪性腫瘍などの疾患の診断日または治療開始日のいずれかからの、疾患と診断された対象が依然として生存している期間の長さとして表される。いくつかの局面では、無事象生存期間(EFS)は、B細胞悪性腫瘍の治療が終了した後に、対象が、治療が防止するまたは遅延させることを意図された特定の合併症または事象を有さないままである期間の長さとして表される。これらの事象には、B細胞悪性腫瘍の再発、または骨に転移したB細胞悪性腫瘍による骨の痛み、または死亡などの特定の症状の発症が含まれ得る。
【0438】
いくつかの態様では、奏効期間(DOR)の測定尺度には、腫瘍応答の文書化から疾患進行までの時間が含まれる。いくつかの態様では、応答を評価するためのパラメーターは、持続性応答、例えば療法の開始からある一定期間後に持続する応答を含み得る。いくつかの態様では、持続性応答は、療法の開始後約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、18、または24ヶ月での奏効率によって示される。いくつかの態様では、応答は3ヶ月超または6ヶ月超にわたって持続性である。
【0439】
いくつかの局面では、客観的腫瘍応答を決定するためにRECIST基準が使用される。(Eisenhauer et al., European Journal of Cancer 45(2009)228-247)。いくつかの局面では、RECIST基準は、標的病変についての客観的腫瘍応答を決定するために使用される。いくつかの点で、RECIST基準を使用して決定される完全奏効は、すべての標的病変の消失として表され、病的リンパ節はいずれも(標的または非標的にかかわらず)、短軸が10mm未満に減少しなければならない。他の局面では、RECIST基準を使用して決定される部分奏効は、ベースラインの合計直径を参照として、標的病変の直径の合計の少なくとも30%の減少として表される。他の局面では、進行性疾患(PD)は、試験時の最小合計を参照として(試験時に最小である場合はベースライン合計を含む)、標的病変の直径の合計の少なくとも20%の増加として表される。20%の相対的増加に加えて、合計はまた、少なくとも5mmの絶対的増加を示さなければならない(いくつかの局面では、1つまたは複数の新しい病変の出現も進行と見なされる)。他の局面では、安定(SD)は、試験中の最小合計直径を参照として、PRに適格とするための十分な収縮、またはPDに適格とするための十分な増加のいずれでもないと表される。
【0440】
MMの場合、疾患負荷の程度を評価するための例示的なパラメーターには、クローン性形質細胞の数(例えば骨髄生検で、または他の組織からの生検の任意の量で>10%;形質細胞腫)、血清または尿のいずれかにおけるモノクローナルタンパク質(パラプロテイン)の存在、形質細胞障害に関連すると考えられる末端器官障害の証拠(例えば高カルシウム血症(補正カルシウム>2.75mmol/l);骨髄腫に起因する腎不全;貧血(ヘモグロビン<10g/dl);および/または骨病変(溶解性病変または圧迫骨折を伴う骨粗鬆症)などのパラメーターが含まれる。
【0441】
DLBCLの場合、疾患負荷の程度を評価するための例示的なパラメーターには、細胞形態(例えば、中心芽細胞、免疫芽細胞および未分化細胞)、遺伝子発現、miRNA発現、およびタンパク質発現(例えばBCL2、BCL6、MUM1、LMO2、MYCおよびp21の発現)などのパラメーターが含まれる。
【0442】
いくつかの局面では、対象、例えばCLLを有する対象における奏効率は、慢性リンパ性白血病に関する国際ワークショップ(International Workshop on Chronic Lymphocytic Leukemia)(IWCLL)の応答基準に基づく(Hallek, et al., Blood 2008, Jun 15;111(12):5446-5456)。いくつかの局面では、これらの基準は次のように表される:完全寛解(CR)、これは、いくつかの局面では免疫表現型検査による末梢血のクローン性リンパ球の非存在、リンパ節症の非存在、肝腫大または巨脾腫の非存在、全身症状の非存在および十分な血球数を必要とする;不完全な骨髄回復を伴う完全寛解(CRi)、これは、いくつかの局面では上記のCRと表されるが、正常な血球数を伴わない;部分寛解(PR)、これは、いくつかの局面では末梢血球数の改善を伴う、リンパ球数の50%以上の減少、リンパ節症の50%以上の減少、または肝臓もしくは脾臓の50%以上の減少として表される;進行性疾患(PD)、これは、いくつかの局面ではリンパ球数の5×109/Lを超える50%以上の増加、リンパ節症の50%以上の増加、肝臓もしくは脾臓のサイズの50%以上の増加、リヒター形質転換、またはCLLによる新たな血球減少症として表される;および安定疾患、これは、いくつかの局面ではCR、CRi、PRまたはPDの基準に合致しないものと表される。
【0443】
いくつかの態様では、細胞の用量の投与から1ヶ月以内に、対象のリンパ節が20mm未満もしくは約20mm未満のサイズ、または10mm未満もしくは約10mm未満のサイズ、または10mm未満もしくは約10mm未満のサイズである場合、対象はCRまたはORを示す。
【0444】
いくつかの態様では、CLLの指標クローンは、対象の骨髄において(または本方法に従って治療された対象の50%超、60%超、70%超、80%超、90%超、またはそれ以上の骨髄において)検出されない。いくつかの態様では、CLLの指標クローンは、IgHディープシークエンシングによって評価される。いくつかの態様では、指標クローンは、細胞の投与後1ヶ月もしくは約1ヶ月もしくは少なくとも1ヶ月もしくは少なくとも約1ヶ月、2ヶ月もしくは約2ヶ月もしくは少なくとも2ヶ月もしくは少なくとも約2ヶ月、3ヶ月もしくは約3ヶ月もしくは少なくとも3ヶ月もしくは少なくとも約3ヶ月、4ヶ月もしくは約4ヶ月もしくは少なくとも4ヶ月もしくは少なくとも約4ヶ月、5ヶ月もしくは約5ヶ月もしくは少なくとも5ヶ月もしくは少なくとも約5ヶ月、6ヶ月もしくは約6ヶ月もしくは少なくとも6ヶ月もしくは少なくとも約6ヶ月、12ヶ月もしくは約12ヶ月もしくは少なくとも12ヶ月もしくは少なくとも約12ヶ月、18ヶ月もしくは約18ヶ月もしくは少なくとも18ヶ月もしくは少なくとも約18ヶ月、または24ヶ月もしくは約24ヶ月もしくは少なくとも24ヶ月もしくは少なくとも約24ヶ月の時点で検出されない。
【0445】
いくつかの態様では、例えば光学顕微鏡検査によって検出されるように、骨髄中に5%もしくはそれ以上の芽細胞、例えば骨髄中に10%もしくはそれ以上の芽細胞、骨髄中に20%もしくはそれ以上の芽細胞、骨髄中に30%もしくはそれ以上の芽細胞、骨髄中に40%もしくはそれ以上の芽細胞、または骨髄中に50%もしくはそれ以上の芽細胞が存在する場合、対象は形態学的疾患を示す。いくつかの態様では、5%未満の芽細胞が骨髄中に存在する場合、対象は完全寛解または臨床的寛解を示す。
【0446】
いくつかの態様では、対象は完全寛解を示し得るが、小さな割合の形態学的に検出不能な(光学顕微鏡検査技術によって)残存白血病細胞が存在する。対象が骨髄中で5%未満の芽細胞を示し、分子的に検出可能なB細胞悪性腫瘍を示す場合、対象は最小残存病変(MRD)を示すと言われる。いくつかの態様では、分子的に検出可能なB細胞悪性腫瘍は、少数の細胞の高感度検出を可能にする様々な分子技術のいずれかを使用して評価することができる。いくつかの局面では、そのような技術は、染色体転座によって生成される独特のIg/T細胞受容体遺伝子再構成または融合転写物を決定することができるPCRアッセイを含む。いくつかの態様では、フローサイトメトリーは、白血病特異的な免疫表現型に基づいてB細胞悪性腫瘍の細胞を同定するために使用することができる。いくつかの態様では、B細胞悪性腫瘍の分子検出は、100,000個の正常な細胞中にわずか1個の白血病細胞を検出することができる。いくつかの態様では、PCRまたはフローサイトメトリーなどによって、100,000個の細胞中に少なくとも1個または1個より多い白血病細胞が検出される場合、対象は、分子的に検出可能なMRDを示す。いくつかの態様では、対象の疾患負荷は分子的に検出不可能またはMRD-であり、そのため、いくつかの場合には、PCRまたはフローサイトメトリー技術を用いて対象において白血病細胞を検出することができない。
【0447】
白血病の場合、疾患負荷の程度は、血液または骨髄中の残存白血病の評価によって決定することができる。いくつかの態様では、例えば光学顕微鏡検査によって検出されるように、5%またはそれ以上の芽細胞が骨髄中に存在する場合、対象は形態学的疾患を示す。いくつかの態様では、5%未満の芽細胞が骨髄中に存在する場合、対象は完全寛解または臨床的寛解を示す。
【0448】
いくつかの態様では、白血病の場合、対象は完全な寛解を示し得るが、小さな割合の形態学的に検出不可能な(光学顕微鏡検査技術によって)残存白血病細胞が存在する。対象が骨髄中で5%未満の芽細胞を示し、分子的に検出可能なB細胞悪性腫瘍を示す場合、対象は最小残存病変(MRD)を示すと言われる。いくつかの態様では、分子的に検出可能なB細胞悪性腫瘍は、少数の細胞の高感度検出を可能にする様々な分子技術のいずれかを使用して評価することができる。いくつかの局面では、そのような技術は、染色体転座によって生成される独特のIg/T細胞受容体遺伝子再構成または融合転写物を決定することができるPCRアッセイを含む。いくつかの態様では、フローサイトメトリーは、白血病特異的な免疫表現型に基づいてB細胞悪性腫瘍の細胞を同定するために使用することができる。いくつかの態様では、B細胞悪性腫瘍の分子検出は、100,000個の正常な細胞中にわずか1個の白血病細胞を検出することができる。いくつかの態様では、PCRまたはフローサイトメトリーなどによって、100,000個の細胞中に少なくとも1個または1個より多い白血病細胞が検出される場合、対象は、分子的に検出可能なMRDを示す。いくつかの態様では、対象の疾患負荷は分子的に検出不可能またはMRD-であり、そのため、いくつかの場合には、PCRまたはフローサイトメトリー技術を用いて対象において白血病細胞を検出することができない。
【0449】
いくつかの態様では、方法ならびに/またはT細胞療法(例えばCAR発現T細胞)などの細胞療法および/もしくは化合物Aの投与は、免疫療法、例えばT細胞療法および/または化合物Aの投与の直前の時点での疾患負荷と比較して、疾患負荷を減少させる。
【0450】
いくつかの局面では、免疫療法、例えばT細胞療法および/または化合物Aの投与は、疾患負荷の増加を防止することができ、これは、疾患負荷の変化がないことによって証明され得る。
【0451】
いくつかの態様では、方法は、疾患または状態の負荷、例えば腫瘍細胞の数、腫瘍の大きさ、患者の生存期間または無事象生存期間を、対象が化合物Aの投与の非存在下で免疫療法、例えばT細胞療法単独を受ける代替療法を使用した同等の方法で観察される低減と比較して、より大きな程度におよび/またはより長い期間にわたって低減する。いくつかの態様では、疾患負荷は、免疫療法、例えばT細胞療法および化合物Aの投与の併用療法後に、それぞれの剤を単独で投与することによって、例えば免疫療法、例えばT細胞療法を受けたことがない対象に化合物Aを投与するか、または化合物Aを受けたことがない対象に免疫療法、例えば、T細胞療法を投与することによってもたらされる低減と比較して、より大きな程度にまたはより長い期間にわたって低減される。
【0452】
いくつかの態様では、対象における疾患または状態の負荷を検出し、評価し、または測定する。疾患負荷は、いくつかの局面では、対象中、または対象の器官、組織もしくは体液、例えば血液または血清中の疾患細胞または疾患関連細胞、例えば腫瘍細胞の総数を検出することによって検出され得る。いくつかの態様では、疾患負荷、例えば腫瘍負荷は、転移の数または程度を測定することによって評価される。いくつかの局面では、対象の生存、一定期間内の生存、生存の程度、無事象生存もしくは無症状生存の存在もしくは持続期間、または無再発生存が評価される。いくつかの態様では、疾患または状態の任意の症状が評価される。いくつかの態様では、疾患または状態の負荷の測定尺度が指定される。いくつかの態様では、決定のための例示的なパラメーターには、疾患または状態、例えば腫瘍の軽減または改善を示す特定の臨床転帰が含まれる。そのようなパラメーターには、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)または安定疾患(SD)(例えば固形腫瘍効果判定基準(Response Evaluation Criteria In Solid Tumors)(RECIST)ガイドライン参照)を含む疾患制御の持続期間、客観的奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)が含まれる。本明細書で提供される併用療法の方法の効果を決定するために、パラメーターについての特定の閾値を設定することができる。
【0453】
いくつかの局面では、疾患負荷は、免疫療法、例えばT細胞療法の投与前、免疫療法、例えばT細胞療法の投与後であるが化合物Aの投与前、および/または免疫療法、例えばT細胞療法と化合物Aの両方の投与後に測定または検出される。併用療法の1つまたは複数の工程の複数回投与の状況では、いくつかの態様における疾患負荷は、投与の工程、用量および/もしくはサイクルのいずれかの投与の前もしくは後に、または投与の工程、用量および/もしくはサイクルのいずれかの投与の間の時点で測定され得る。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、少なくとも2サイクル(例えば28日サイクル)で実施され、疾患負荷は、各サイクルの前、各サイクル中、および/または各サイクルの後に測定または検出される。
【0454】
いくつかの態様では、負荷は、化合物A、および免疫療法、例えばT細胞療法の投与の直前と比較して、提供される方法によって10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくは100%、または少なくとももしくは少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくは100%減少する。いくつかの態様では、疾患負荷、腫瘍サイズ、腫瘍体積、腫瘍量、および/または腫瘍負荷もしくは嵩は、免疫療法、例えばT細胞療法および化合物Aの投与後に、免疫療法、例えばT細胞療法および/または化合物Aの投与の直前のものと比較して、少なくともまたは少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上減少する。
【0455】
いくつかの態様では、本方法による疾患負荷の低減は、例えば併用療法の投与後、例えば開始後1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、または6ヶ月超で評価されるように、形態学的完全寛解の誘導を含む。
【0456】
いくつかの局面では、例えばマルチパラメトリックフローサイトメトリーによって測定されるような、微小残存病変についてのアッセイは陰性であるか、または微小残存病変のレベルは約0.3%未満、約0.2%未満、約0.1%未満、または約0.05%未満である。
【0457】
いくつかの態様では、対象の無事象生存率または全生存率は、他の方法と比較して、本発明の方法によって改善される。例えば、いくつかの態様では、本明細書で提供される併用療法の方法後6ヶ月で、本方法によって治療された対象の無事象生存率または確率は、約40%超、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、約90%超、または約95%超である。いくつかの局面では、全生存率は、約40%超、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、約90%超、または約95%超である。いくつかの態様では、この方法で治療された対象は、少なくとも6ヶ月まで、または少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10年までの無事象生存期間、無再発生存期間、または生存期間を示す。いくつかの態様では、進行までの時間が改善され、例えば進行までの時間は、6ヶ月超もしくは約6ヶ月超、または少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10年である。
【0458】
いくつかの態様では、本方法による治療後、他の方法と比較して再発の可能性が低下する。例えば、いくつかの態様では、併用療法の方法後6ヶ月での再発の可能性は、約80%未満、約70%未満、約60%未満、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、または約10%未満である。
【0459】
いくつかの場合には、投与された細胞、例えば養子移入された細胞の薬物動態が、投与された細胞のアベイラビリティ、例えばバイオアベイラビリティを評価するために決定される。養子移入された細胞の薬物動態を決定するための方法は、操作された細胞を投与された対象から末梢血を採取し、末梢血中の操作された細胞の数または比率を決定することを含み得る。細胞を選択および/または単離するためのアプローチは、キメラ抗原受容体(CAR)特異的抗体(例えばBrentjens et al., Sci. Transl. Med. 2013 Mar;5(177):177ra38)、プロテインL(Zheng et al., J. Transl. Med. 2012 Feb;10:29)、CARの特定の部位に直接導入され、それによりStrepタグの結合試薬を使用してCARを直接評価する、Strepタグ配列などのエピトープタグ(Liu et al. (2016) Nature Biotechnology, 34:430;国際公開公報第2015095895号)、およびCARポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体(国際公開公報第2014190273号参照)の使用を含み得る。外因性のマーカー遺伝子は、いくつかの場合には細胞の検出または選択を可能にするために、およびいくつかの場合には細胞自殺を促進するためにも、操作された細胞療法に関連して利用され得る。いくつかの場合には、切断型上皮増殖因子受容体(EGFRt)は、形質導入された細胞において関心対象の導入遺伝子(例えばCAR)と共発現させることができる(例えば米国特許第8,802,374号参照)。EGFRtは、抗体セツキシマブ(Erbitux(登録商標))または他の治療用抗EGFR抗体または結合分子によって認識されるエピトープを含み得、これは、EGFRt構築物およびキメラ抗原受容体(CAR)などの別の組換え受容体で操作された細胞の同定もしくは選択するために、ならびに/または受容体を発現する細胞を排除または分離するために使用することができる。米国特許第8,802,374号、およびLiu et al., Nature Biotech. 2016 April;34(4):430-434参照。
【0460】
いくつかの態様では、患者から得られた生物学的試料中、例えば血液中のCAR+T細胞の数は、例えば細胞の薬物動態を決定するために、細胞療法の投与後の期間に決定され得る。いくつかの態様では、対象の血液中で、またはこの方法によってそのように治療された対象の大多数において検出可能なCAR+T細胞、任意でCAR+CD8+T細胞および/またはCAR+CD4+T細胞の数は、1μL当たり1細胞を超えるか、1μL当たり5細胞を超えるか、または1μL当たり10細胞を超える。
【0461】
IV. 毒性および有害転帰
提供される方法の態様では、対象は、細胞療法(例えばT細胞療法)および化合物Aを含む提供される併用療法を投与された対象における、治療に関連した転帰、例えば好中球減少症、サイトカイン放出症候群(CRS)または神経毒性(NT)の発症を含む毒性または他の有害転帰についてモニターされる。いくつかの態様では、提供される方法は、重度の好中球減少症、重度のサイトカイン放出症候群(CRS)または重度の神経毒性に関連するまたはそれを示す症状または転帰などの、毒性転帰または症状、毒性促進プロフィール、因子、または特性のリスクを低減するために実施される。
【0462】
いくつかの態様では、提供される方法は、例えば他の特定の細胞療法と比較して、毒性もしくは毒性転帰の高い割合もしくは可能性をもたらさないか、または重度の神経毒性(NT)もしくは重度のサイトカイン放出症候群(CRS)などの毒性もしくは毒性転帰の割合もしくは可能性を低下させる。いくつかの態様では、方法は、例えばアウトプット細胞を投与することは、重度のNT(sNT)、重度のCRS(sCRS)、マクロファージ活性化症候群、腫瘍溶解症候群、3日間またはそれ以上の日数にわたる少なくとも38℃または約38℃の発熱、および少なくとも20mg/dLまたは約20mg/dLのCRPの血漿レベルをもたらさないか、またはそのリスクを増加させない。いくつかの態様では、提供される方法に従って治療される対象の30%超もしくは約30%超、35%超もしくは約35%超、40%超もしくは約40%超、50%超もしくは約50%超、55%超もしくは約55%超、60%超もしくは約60%超またはそれ以上が、いかなるグレードのCRSも示さず、またはいかなるグレードの神経毒性も示さない。いくつかの態様では、治療された対象の50%以下(例えば治療された対象の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%またはそれ以上)は、グレード2より高いサイトカイン放出症候群(CRS)および/またはグレード2より高い神経毒性。いくつかの態様では、方法に従って治療された対象の少なくとも50%(例えば治療された対象の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%またはそれ以上)は、重篤な毒性転帰(例えば重度のCRSまたは重度の神経毒性)を示さず、例えばグレード3またはそれより高い神経毒性を示さず、および/または重度のCRSを示さず、または治療後の特定の期間内に、例えば細胞の投与の1週間以内、2週間以内もしくは1ヶ月以内にこれらを示さない。
【0463】
いくつかの態様では、提供される方法は、例えば他の特定の細胞療法と比較して、毒性もしくは毒性転帰の高い割合もしくは可能性をもたらさないか、または重度の神経毒性(NT)もしくは重度のサイトカイン放出症候群(CRS)などの毒性もしくは毒性転帰の割合もしくは可能性を低下させる。いくつかの態様では、方法は、例えばアウトプット細胞を投与することは、重度のNT(sNT)、重度のCRS(sCRS)、マクロファージ活性化症候群、腫瘍溶解症候群、3日間またはそれ以上の日数にわたる少なくとも38℃または約38℃の発熱、および少なくとも20mg/dLまたは約20mg/dLのCRPの血漿レベルをもたらさないか、またはそのリスクを増加させない。いくつかの態様では、提供される方法に従って治療される対象の30%超もしくは約30%超、35%超もしくは約35%超、40%超もしくは約40%超、50%超もしくは約50%超、55%超もしくは約55%超、60%超もしくは約60%超またはそれ以上が、いかなるグレードのCRSも示さず、またはいかなるグレードの神経毒性も示さない。いくつかの態様では、治療された対象の50%以下(例えば治療された対象の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%またはそれ以上)は、グレード2より高いサイトカイン放出症候群(CRS)および/またはグレード2より高い神経毒性。いくつかの態様では、方法に従って治療された対象の少なくとも50%(例えば治療された対象の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%またはそれ以上)は、重篤な毒性転帰(例えば重度のCRSまたは重度の神経毒性)を示さず、例えばグレード3またはそれより高い神経毒性を示さず、および/または重度のCRSを示さず、または治療後の特定の期間内に、例えば細胞の投与の1週間以内、2週間以内もしくは1ヶ月以内にこれらを示さない。
【0464】
D サイトカイン放出症候群(CRS)および神経毒性
いくつかの局面では、毒性転帰は、サイトカイン放出症候群(CRS)または重度のCRS(sCRS)であるか、またはそれに関連するか、またはそれを示す。CRS、例えばsCRSは、いくつかの場合には、養子T細胞療法後および他の生物学的製剤の対象への投与後に発生し得る。Davila et al., Sci Transl Med 6, 224ra25(2014);Brentjens et al., Sci. Transl. Med. 5, 177ra38(2013);Grupp et al., N. Engl. J. Med.368, 1509-1518(2013);およびKochenderfer et al., Blood 119, 2709-2720(2012);Xu et al., Cancer Letters 343(2014)172-78参照。
【0465】
典型的には、CRSは、例えばT細胞、B細胞、NK細胞、単球、および/またはマクロファージによって媒介される過度の全身性免疫応答によって引き起こされる。そのような細胞は、サイトカインおよびケモカインなどの炎症性メディエータを大量に放出し得る。サイトカインは、急性炎症反応を引き起こすおよび/または内皮器官損傷を誘導する可能性があり、微小血管の漏出、心不全、または死亡をもたらし得る。重度の生命を脅かすCRSは、肺浸潤および肺損傷、腎不全、または播種性血管内凝固症候群を引き起こし得る。他の重篤で生命を脅かす毒性には、心臓毒性、呼吸困難、神経毒性、および/または肝不全が含まれ得る。CRSは、抗IL-6療法、例えば抗IL-6抗体、例えば、トシリズマブ、または抗生物質または記載されている他の剤などの抗炎症療法を使用して治療され得る。
【0466】
CRSの転帰、徴候および症状は公知であり、本明細書に記載されているものが含まれる。いくつかの態様では、特定の投薬レジメンまたは投与が、所与のCRS関連の転帰、徴候、または症状を生じさせるまたは生じさせない場合、特定の転帰、徴候、および症状ならびに/またはその量もしくは程度が特定され得る。
【0467】
CAR発現細胞を投与する状況において、CRSは、典型的にはCARを発現する細胞の注入後6~20日で発生する。Xu et al., Cancer Letters 343(2014)172-78参照。いくつかの場合には、CRSは、CAR T細胞の注入後6日未満または20日超で発生する。CRSの発生率および時期は、注入時のベースラインサイトカインレベルまたは腫瘍負荷に関連し得る。一般に、CRSは、インターフェロン(IFN)γ、腫瘍壊死因子(TNF)α、および/またはインターロイキン(IL)2の血清レベルの上昇を含む。CRSにおいて急速に誘導され得る他のサイトカインは、IL-1β、IL-6、IL-8、およびIL-10である。
【0468】
CRSに関連する例示的な転帰には、発熱、硬直、悪寒、低血圧、呼吸困難、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、脳症、ALT/AST上昇、腎不全、心臓障害、低酸素症、神経障害、および死亡が含まれる。神経学的合併症には、せん妄、発作様活動、錯乱、換語困難、失語症、および/または鈍麻になることが含まれる。他のCRS関連の転帰には、疲労、悪心、頭痛、発作、頻脈、筋肉痛、発疹、急性血管漏出症候群、肝機能障害、および腎不全が含まれる。いくつかの局面では、CRSは、血清フェリチン、d-ダイマー、アミノトランスフェラーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼおよびトリグリセリドなどの1つもしくは複数の因子の増加、または低フィブリノゲン血症または肝脾腫大症に関連する。
【0469】
いくつかの態様では、CRSに関連する転帰には以下の1つまたは複数が含まれる:2日もしくはそれ以上、例えば3日もしくはそれ以上、例えば4日もしくはそれ以上の日数または少なくとも連続3日間の持続的な発熱、例えば特定の温度、例えば38℃を超えるもしくは約38℃を超える発熱;サイトカインの増加、例えば、少なくとも2つのサイトカイン(例えばインターフェロンガンマ(IFNγ)、GM-CSF、IL-6、IL-10、Flt-3L、フラクタルカイン、およびIL-5、および/もしくは腫瘍壊死因子アルファ(TNFα))からなる群のうちの少なくとも2つ)の治療前レベルと比較して、例えば少なくとも75もしくは少なくとも約75の最大倍数変化、またはそのようなサイトカインの少なくとも1つの少なくとも250もしくは少なくとも約250の最大倍数変化;ならびに/または毒性の少なくとも1つの臨床徴候、例えば低血圧(例えば少なくとも1つの静脈内血管作動性昇圧剤によって測定される);低酸素症(例えば90%未満もしくは約90%未満の血漿酸素(PO2)レベル);ならびに/または1つもしくは複数の神経障害(精神状態の変化、鈍麻、および発作を含む)。
【0470】
例示的なCRS関連の転帰には、サイトカインおよびケモカイン、ならびにCRSに関連する他の因子を含む、1つまたは複数の因子の上昇したまたは高い血清レベルが含まれる。例示的な転帰には、そのような因子の1つまたは複数の合成または分泌の増加がさらに含まれる。そのような合成または分泌は、T細胞、または自然免疫細胞もしくはB細胞などのT細胞と相互作用する細胞によるものであり得る。
【0471】
いくつかの態様では、CRS関連の血清因子またはCRS関連の転帰には、インターフェロンガンマ(IFN-γ)、TNF-α、IL-1β、IL-2、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-12、sIL-2Ra、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、マクロファージ炎症性タンパク質(MIP)-1、腫瘍壊死因子α(TNFα)、IL-6、およびIL-10、IL-1β、IL-8、IL-2、MIP-1、Flt-3L、フラクタルカイン、および/またはIL-5を含む、炎症性サイトカインおよび/またはケモカインが含まれる。いくつかの態様では、因子または転帰にはC反応性タンパク質(CRP)が含まれる。CRSの早期のおよび容易に測定可能な危険因子であることに加えて、CRPは細胞拡大のマーカーでもある。いくつかの態様では、15mg/dL以上などの高レベルのCRPを有すると測定された対象は、CRSを有する。いくつかの態様では、高レベルのCRPを有すると測定された対象は、CRSを有さない。いくつかの態様では、CRSの測定尺度は、CRPの測定尺度およびCRSを示す別の因子を含む。
【0472】
いくつかの態様では、1つまたは複数の炎症性サイトカインまたはケモカインは、CAR治療および/または化合物A治療の前、治療中、または治療後にモニターされる。いくつかの局面では、1つまたは複数のサイトカインまたはケモカインには、IFN-γ、TNF-α、IL-2、IL-1β、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-12、sIL-2Rα、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、またはマクロファージ炎症性タンパク質(MIP)が含まれる。いくつかの態様では、IFN-γ、TNF-α、およびIL-6がモニターされる。
【0473】
いずれの患者がsCRSを発症するリスクがある可能性がより高いかを予測するために、CRSの発症と相関すると考えられるCRS基準が開発されている(Davilla et al. Science translational medicine. 2014;6(224):224ra25参照)。因子には、発熱、低酸素症、低血圧、神経学的変化、その治療誘発性上昇が治療前の腫瘍負荷およびsCRS症状の両方と良好に相関し得る、7つのサイトカインのセット(IFNγ、IL-5、IL-6、IL-10、Flt-3L、フラクタルカイン、およびGM-CSF)などの炎症性サイトカインの血清レベル上昇が含まれる。CRSの診断と管理に関する他のガイドラインは公知である(例えばLee et al., Blood.2014;124(2):188-95参照)。いくつかの態様では、CRSグレードを反映する基準は、以下の表3に詳述されているものである。
【0474】
(表3)CRSの例示的なグレード分類基準
【0475】
いくつかの態様では、対象が、細胞療法またはその細胞の用量の投与後に以下を示す場合、対象は投与に応答したまたは投与に続発する「重度のCRS」(「sCRS」)を発症すると見なされる:(1)少なくとも3日間の少なくとも38℃の発熱;(2)次のいずれかを含むサイトカインの上昇(a)投与直後のレベルと比較して次の7つのサイトカインの群の少なくとも2つについて少なくとも75の最大倍数変化:インターフェロンガンマ(IFNγ)、GM-CSF、IL-6、IL-10、Flt-3L、フラクタルカイン、およびIL-5、ならびに/または(b)投与直後のレベルと比較して次の7つのサイトカインの群の少なくとも1つについて少なくとも250の最大倍数変化:インターフェロンガンマ(IFNγ)、GM-CSF、IL-6、IL-10、Flt-3L、フラクタルカイン、およびIL-5;ならびに(c)低血圧(少なくとも1つの静脈内血管作動性昇圧剤を必要とする)もしくは低酸素症(PO2<90%)もしくは1つもしくは複数の神経障害(精神状態の変化、鈍麻、および/もしくは発作を含む)などの毒性の少なくとも1つの臨床徴候のいずれかを含むサイトカイン増加。いくつかの態様では、重度のCRSは、表4に示されるような、グレード3またはそれ以上のCRSを含む。
【0476】
いくつかの態様では、重度のCRSまたはグレード3もしくはそれ以上のCRS、例えばグレード4もしくはそれ以上のCRSに関連する転帰には、以下の1つまたは複数が含まれる:2日以上、例えば3日以上、例えば4日以上、または少なくとも連続3日間の持続的な発熱、例えば特定の温度、例えば38℃を超えるもしくは約38℃を超える発熱;38℃を超えるもしくは約38℃を超える発熱;サイトカインの増加、例えば、少なくとも2つのサイトカイン(例えばインターフェロンガンマ(IFNγ)、GM-CSF、IL-6、IL-10、Flt-3L、フラクタルカイン、およびIL-5、および/もしくは腫瘍壊死因子アルファ(TNFα))からなる群のうちの少なくとも2つ)の治療前レベルと比較して、例えば少なくとも75もしくは少なくとも約75の最大倍数変化、またはそのようなサイトカインの少なくとも1つの少なくとも250もしくは少なくとも約250の最大倍数変化;ならびに/または毒性の少なくとも1つの臨床徴候、例えば低血圧(例えば少なくとも1つの静脈内血管作動性昇圧剤によって測定される);低酸素症(例えば90%未満もしくは約90%未満の血漿酸素(PO2)レベル);ならびに/または1つもしくは複数の神経障害(精神状態の変化、鈍麻、および発作を含む)。いくつかの態様では、重度のCRSは、集中治療室(ICU)での管理またはケアを必要とするCRSを含む。
【0477】
いくつかの態様では、重度のCRSなどのCRSは、(1)持続性の発熱(少なくとも3日間の少なくとも38℃の発熱)および(2)少なくとも20mg/dLもしくは少なくとも約20mg/dLのCRPの血清レベルの組み合わせを包含する。いくつかの態様では、CRSは、2つまたはそれ以上の昇圧剤の使用を必要とする低血圧または機械的換気を必要とする呼吸不全を包含する。いくつかの態様では、昇圧剤の投与量は、2回目またはそれ以降の投与で増加される。
【0478】
いくつかの態様では、重度のCRSまたはグレード3のCRSは、アラニンアミノトランスフェラーゼの増加、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの増加、悪寒、発熱性好中球減少症、頭痛、左心室機能不全、脳症、水頭症、および/または振せんを包含する。
【0479】
様々な転帰を測定または検出する方法が指定され得る。
【0480】
いくつかの局面では、細胞療法などの療法の毒性転帰は、神経毒性または重度の神経毒性であるか、またはそれに関連するか、またはそれを示す。いくつかの態様では、神経毒性の臨床的リスクに関連する症状には、錯乱、せん妄、表現的失語症、鈍麻、ミオクローヌス、嗜眠、精神状態の変化、けいれん、発作様活動、発作(任意で脳波[EEG]によって確認される)、ベータアミロイド(Aβ)のレベル上昇、グルタミン酸塩のレベル上昇、および酸素ラジカルのレベル上昇が含まれる。いくつかの態様では、神経毒性は、重症度に基づいて等級分けされる(例えばグレード1~5のスケールを使用する(例えばGuido Cavaletti&Paola Marmiroli Nature Reviews Neurology 6,657-666(December 2010);National Cancer Institute-Common Toxicity Criteria version 4.03(NCI-CTCAE v4.03)参照)。
【0481】
いくつかの場合には、神経学的症状は、sCRSの最初期症状であり得る。いくつかの態様では、神経学的症状は、細胞療法注入の5~7日後に始まることが認められる。いくつかの態様では、神経学的変化の持続期間は、3~19日の範囲であり得る。いくつかの場合には、sCRSの他の症状が消散した後に神経学的変化の回復が起こる。いくつかの態様では、神経学的変化の消散の時間または程度は、抗IL-6および/またはステロイドによる治療によって促進されない。
【0482】
いくつかの態様では、投与後に対象が以下の中からセルフケア(例えば入浴、衣服の着脱、摂食、トイレの使用、服薬)を制限する症状を示す場合、対象は、細胞療法またはその細胞の用量の投与に応答して、または続発して「重度の神経毒性」を発症すると見なされる:1)末梢運動神経の炎症もしくは変性を含む末梢性運動ニューロパチーの症状;2)末梢感覚神経の炎症もしくは変性を含む末梢性感覚ニューロパチーの症状、異常感覚、例えば異常で不快な感覚をもたらす感覚知覚の歪み、神経痛、神経もしくは神経の群に沿った激しい痛みの感覚、ならびに/または錯感覚、例えば刺痛、しびれ、圧力、冷感および温感の異常な皮膚感覚をもたらす感覚ニューロンの機能障害。いくつかの態様では、重度の神経毒性は、表4に示されるような、グレード3またはそれ以上の神経毒性を含む。いくつかの態様では、重度の神経毒性は、症状またはグレード3の神経毒性が10日間またはそれ以上続く場合、長期のグレード3であると見なされる。
【0483】
(表4)神経毒性の例示的なグレード分類基準
【0484】
いくつかの態様では、これらの方法は、他の方法と比較して、CRSまたは神経毒性に関連する症状を軽減する。いくつかの局面では、提供される方法は、他の方法と比較して、重度のCRSまたはグレード3もしくはそれ以上のCRSに関連する症状、転帰または因子を含む、CRSに関連する症状、転帰または因子を低減する。例えば、本方法に従って治療された対象は、記載されている、例えば表3に示されているようなCRS、例えば重度のCRSまたはグレード3もしくはそれ以上のCRSの検出可能な症状、転帰または因子を欠如し得る、および/または症状、転帰または因子が軽減され得る。いくつかの態様では、本方法に従って治療された対象は、他の方法によって治療された対象と比較して、四肢脱力またはしびれ、記憶、視力および/または知性の喪失、制御不能な強迫行動および/または取りつかれたような行動、妄想、頭痛、運動制御の喪失、認知機能の低下および自律神経系の機能障害を含む認知および行動上の問題、ならびに性機能障害などの神経毒性の症状が軽減され得る。いくつかの態様では、本方法に従って治療される対象は、末梢運動神経障害、末梢感覚神経障害、異常感覚、神経痛または錯感覚に関連する症状が軽減され得る。
【0485】
いくつかの態様では、方法は、ニューロンの死などの神経系および/または脳への損傷を含む神経毒性に関連する転帰を低減する。いくつかの局面では、方法は、ベータアミロイド(Aβ)、グルタミン酸塩、および酸素ラジカルなどの神経毒性に関連する因子のレベルを低下させる。
【0486】
いくつかの態様では、毒性転帰は、用量制限毒性(DLT)である。いくつかの態様では、毒性転帰は、用量制限毒性がないことである。いくつかの態様では、用量制限毒性(DLT)は、上記のような特定の毒性を評価するための任意の公知のまたは公開されているガイドラインによって表されるかまたは評価され、National Cancer Institute(NCI)の「有害事象の一般的な用語基準」(Common Terminology Criteria for Adverse Events)(CTCAE)バージョン4.0を含む、グレード3またはそれ以上の毒性として定義される。いくつかの態様では、用量制限毒性(DLT)は、細胞療法(例えばT細胞療法)および/または化合物Aの投与後に以下に論じられる事象のいずれかが起こる場合と定義され、事象には:a)発熱性好中球減少症;b)約7日または約7日を超えて持続するグレード4の好中球減少症;c)臨床的に重大な出血を伴うグレード3または4の血小板減少症;およびd)24時間を超えて持続するグレード4の血小板減少症が含まれる。
【0487】
いくつかの態様では、提供される態様は、提供される併用療法、および/または提供される製品もしくは組成物に従ってT細胞の用量を投与することで観察されるような、毒性、例えばCRSもしくは神経毒性または重度のCRSもしくは神経毒性、例えばグレード3またはそれ以上のCRSまたは神経毒性を発症する低い割合またはリスクをもたらす。いくつかの場合には、これは、外来患者ベースでの細胞療法の投与を可能にする。いくつかの態様では、細胞療法、例えば提供される方法、および/または提供される製品もしくは組成物に従ったT細胞(例えばCAR+T細胞)の用量の投与は、外来患者ベースで行われるか、または一晩の滞在を必要とする入院などの対象の入院を必要としない。
【0488】
いくつかの局面では、外来患者ベースで治療される対象を含む、細胞療法、例えば提供される方法、および/または提供される製品もしくは組成物に従ったT細胞(例えばCAR+T細胞)の用量を投与された対象は、対象が神経毒性またはCRSなどの毒性の徴候または症状を示さない限りまたは示すまで、細胞用量の投与の前にまたは投与と共に、毒性を治療するための介入を投与されない。
【0489】
いくつかの態様では、外来患者ベースで治療される対象を含む、細胞療法、例えばT細胞(例えばCAR+T細胞)の用量を投与された対象が発熱を示す場合、対象は、熱を下げるための治療を与えられるか、または治療を受けるかもしくは投与するように指示される。いくつかの態様では、対象の発熱は、特定の閾値温度もしくはレベルである(またはそのように測定される)か、またはそれを上回る対象の体温として特徴付けられる。いくつかの局面では、閾値温度は、少なくとも軽度の発熱、少なくとも中等度の発熱、および/または少なくとも高熱に関連する温度である。いくつかの態様では、閾値温度は特定の温度または範囲である。例えば、閾値温度は、38℃もしくは約38℃もしくは少なくとも38℃もしくは少なくとも約38℃、39℃もしくは約39℃もしくは少なくとも39℃もしくは少なくとも約39℃、40℃もしくは約40℃もしくは少なくとも40℃もしくは少なくとも約40℃、41℃もしくは約41℃もしくは少なくとも41℃もしくは少なくとも約41℃、または42℃もしくは約42℃もしくは少なくとも42℃もしくは少なくとも約42℃であり得るか、または38℃もしくは約38℃から39℃もしくは約39℃の範囲、39℃もしくは約39℃から40℃もしくは約40℃の範囲、40℃もしくは約40℃から41℃もしくは約41℃の範囲、または41℃もしくは約41℃から42℃もしくは約42℃の範囲であり得る。
【0490】
いくつかの態様では、熱を下げるように設計された治療には、解熱剤による治療が含まれる。解熱剤には、解熱作用を有することが公知の多くの剤のうちの1つ、例えばNSAID(イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、およびニメスリドなど)、アスピリン、サリチル酸コリン、サリチル酸マグネシウムおよびサリチル酸ナトリウムなどのサリチル酸塩、パラセタモール、アセトアミノフェン、メタミゾール、ナブメトン、フェナキソン、アンチピリン、解熱剤などの、熱を下げる任意の剤、組成物、または成分が含まれ得る。いくつかの態様では、解熱剤はアセトアミノフェンである。いくつかの態様では、アセトアミノフェンは、12.5mg/kgの用量で、経口または静脈内に最大4時間ごとに投与され得る。いくつかの態様では、解熱剤は、イブプロフェンまたはアスピリンであるか、またはそれを含む。
【0491】
いくつかの態様では、発熱が持続性の発熱である場合、対象は、毒性を治療するための代替治療を投与される。外来患者ベースで治療される対象については、対象が持続性の発熱を有するおよび/または有すると決定されるもしくは見なされる場合、対象は病院に戻るように指示される。いくつかの態様では、対象が、関連する閾値温度または関連する閾値温度を上回る発熱を示し、特定の治療、例えば熱を下げるように設計された治療、例えば解熱剤、例えばNSAIDまたはサリチル酸塩、例えばイブプロフェン、アセトアミノフェンまたはアスピリンによる治療後に、対象の発熱または体温が低下しない、または特定の量(例えば1℃超、および一般に約0.5℃もしくは約0.5℃超、0.4℃もしくは約0.4℃超、0.3℃もしくは約0.3℃超、または0.2℃もしくは約0.2℃超変動しない)低下しないかもしくは特定の量を超えて低下しない場合、対象は持続性の発熱を有するおよび/または有すると決定されるもしくは有すると見なされる。例えば、対象は、少なくとも38℃もしくは少なくとも約38℃、または少なくとも39℃もしくは少なくとも約39℃の発熱を示すかまたは示すと決定され、それが、アセトアミノフェンなどの解熱剤による治療後でも6時間にわたって、8時間にわたって、または12時間にわたって、または24時間にわたって、0.5℃もしくは0.5℃超もしくは約0.5℃超、0.4℃もしくは0.4℃超もしくは約0.4℃超、0.3℃もしくは0.3℃超もしくは約0.3℃超、0.2℃もしくは0.2℃超もしくは約0.2℃超低下しないか、または1%もしくは約1%、2%もしくは約2%、3%もしくは約3%、4%もしくは約4%、または5%もしくは約5%低下しない場合、対象は持続性の発熱を有すると見なされる。いくつかの態様では、解熱剤の投与量は、発熱、または細菌もしくはウイルス感染、例えば限局性もしくは全身性感染に関連する発熱などの特定の種類の発熱を軽減するために対象などにおいて通常有効な投与量である。
【0492】
いくつかの態様では、対象が、関連する閾値温度または関連する閾値温度を上回る発熱を示し、対象の発熱または体温が約1℃または約1℃超変動せず、および一般に約0.5℃もしくは約0.5℃超、0.4℃もしくは約0.4℃超、0.3℃もしくは約0.3℃超、または0.2℃もしくは約0.2℃超変動しない場合、対象は持続性の発熱を有する、および/または有すると決定されるもしくは有すると見なされる。そのような一定量を超える変動または一定量の変動がないことは、一般に、所与の期間(例えば24時間、12時間、8時間、6時間、3時間、または1時間にわたり、これは、発熱の最初の徴候または示される閾値を超える最初の温度から測定され得る)にわたって測定される。例えば、いくつかの態様では、対象が、6時間にわたって、8時間にわたって、12時間にわたって、または24時間にわたって、0.5℃超もしくは約0.5℃超、0.4℃超もしくは約0.4℃超、0.3℃超もしくは約0.3℃超、0.2℃超もしくは約0.2℃超変動しない、少なくとも38℃もしくは少なくとも約38℃、または少なくとも39℃もしくは少なくとも約39℃の発熱を示す場合、対象は、持続性の発熱を示すと見なされるかまたは決定される。
【0493】
いくつかの態様では、発熱は持続性の発熱である。いくつかの局面では、対象は、持続性の発熱を有すると決定された時点、例えば毒性を誘発する可能性がある最初の療法、例えばT細胞、例えばCAR+T細胞の用量などの細胞療法後のそのような決定または最初のそのような決定から1時間以内、2時間以内、3時間以内、4時間以内、5時間以内、6時間以内、またはより少ない時間以内に治療される。
【0494】
いくつかの態様では、毒性標的療法などの毒性を治療するための1つまたは複数の介入または剤は、対象が、例えば前述の態様のいずれかに従って測定されるように、持続的な発熱を示すと決定または確認された(例えば最初に決定または確認された)時点またはその直後に投与される。いくつかの態様では、1つまたは複数の毒性標的化療法は、そのような確認または決定から特定の期間内に、例えば30分以内、1時間以内、2時間以内、3時間以内、4時間以内、6時間以内、または8時間以内に投与される。
【0495】
E. 血液毒性
いくつかの局面では、毒性転帰は、血小板減少症および/または好中球減少症などの血液毒性であるか、またはそれに関連するか、またはそれを示す。いくつかの場合には、血小板減少症および好中球減少症を含む血液毒性は、有害事象の共通用語基準(バージョン4.03;US National Cancer Institute, Bethesda, MD, USA)に従って等級分けされる。いくつかの場合には、血小板減少症および/または好中球減少症などの血液毒性は、化合物Aの1回または複数回の投与前、投与中、および投与後にモニターされる。いくつかの場合には、血小板減少症および/または好中球減少症などの血液毒性は、化合物Aの各投与前にモニターされる。いくつかの場合には、血小板減少症および/または好中球減少症などの血液毒性は、化合物Aの投与後少なくとも1、2、3、4、5、6、または7日ごとにモニターされる。
【0496】
いくつかの態様では、好中球および血小板を含む、対象における白血球(leukocytesまたはwhite blood cells)のレベルをモニターするために全血球計算を行う。全血球(CBC)計算および/または白血球分類を行うために、様々な方法を使用することができる。いくつかの態様では、血液分析装置が使用される。
【0497】
好中球減少症は、血中好中球数の減少を特徴とし、しばしば細菌および真菌感染症に対する感受性の増加をもたらす。患者における好中球減少症の一般的な症状には、例えば発熱、口内炎、および耳感染症が含まれる。重度の好中球減少症を有する患者は、しばしば、敗血症、皮膚蜂巣炎、肝膿瘍、フルンケル症、肺炎、口内炎、歯肉炎、直腸周囲炎症、大腸炎、副鼻腔炎、および中耳炎などの発熱性感染症に罹患する。
【0498】
いくつかの態様では、絶対好中球数(ANC)は、好中球減少症のレベルを定義するために使用される。ANCは、全血球計算の成分から計算することができる。いくつかの態様では、好中球減少症の重症度は、血液1マイクロリットル当たりの細胞で測定された絶対好中球数(ANC)に基づいて分類される:(a)軽度の好中球減少症(1000~1500細胞/mL);(b)中等度の好中球減少症(グレード3;500~1000細胞/mL);(c)重度の好中球減少症(グレード4;<500細胞/mL)。いくつかの態様では、好中球減少症は、表5に示される基準に従って等級分けすることができる。重度の好中球減少症を有する対象は、しばしば感染症の重度のリスクを有する。
【0499】
(表5)好中球減少症のグレード分類
【0500】
いくつかの場合には、好中球減少症は、発熱性好中球減少症(好中球減少性発熱または好中球減少性敗血症とも呼ばれる)である。発熱性好中球減少症は、患者が38℃を超える体温を有し、かつ低レベルの好中球または好中球減少症を有する場合に起こる。いくつかの態様では、発熱性好中球減少症は、表6に示される基準に従って等級分けすることができる。
【0501】
(表6)発熱性好中球減少症の例示的なグレード分類基準
【0502】
いくつかの態様では、対象は血小板減少症についてモニターされる。血小板減少症は、150,000細胞/マイクロリットル(μL)未満の血小板数を特徴とする。血小板減少症の症状は、特により重症のグレードの患者の間では、出血、斑状出血、点状出血、紫斑、および脾機能亢進を含み得る。血小板減少症は、グレード1の血小板減少症(すなわち75,000~150,000個/μLの血小板数)、グレード2(すなわち50,000~<75,000/μLの血小板数)、グレード3(25,000~<50,000/μLの血小板数)、またはグレード4(すなわち25,000/μL未満の血小板数)として特徴付けられ得る。
【0503】
提供される方法のいくつかの態様では、対象が、血小板減少症および/もしくは好中球減少症またはその特定のグレードなどの血液毒性を示すと決定される場合、化合物Aによるサイクリング療法は変更され得る。いくつかの局面では、サイクリング療法は、化合物Aの投与後に、対象がグレード3またはそれより高い血小板減少症;グレード3の好中球減少症;持続する(例えば少なくとも3、5、または7日を超える)グレード3の好中球減少症;グレード4の好中球減少症;グレード3またはそれより高い発熱性好中球減少症を有する場合に変更される。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、毒性の徴候または症状が解消されるか、または軽減されるか、または減少するまで、永続的に保留されるか、または一時停止される。対象の継続的なモニタリングを実施して、CBCまたは白血球分類分析などによって毒性の1つまたは複数の徴候または症状を評価することができる。いくつかの場合には、毒性が消散するかまたは軽減された場合、化合物Aの投与は、サイクリング療法を一時停止する前の同じ用量もしくは投薬レジメンで、より低いもしくはより少ない用量で、および/またはより少ない頻度の投与を含む投薬レジメンで再開することができる。いくつかの態様では、サイクリング療法を再開する場合、用量は、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、もしくは60%、または少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、もしくは60%、または約10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、もしくは60%減少または低減される。いくつかの態様では、細胞療法を一時停止する前の用量が2mg(例えば7日のうち5日与えられる)である場合、用量は1mg(7日のうち5日与えられる)に低減される。いくつかの局面では、血液毒性が、サイクリング療法の一時停止が4週間を超えるほどの重症度である場合、サイクリング療法は永続的に中止され得る。
【0504】
いくつかの態様では、血液毒性に関連する1つまたは複数の症状を治療、改善または軽減するために、1つまたは複数の剤を対象に投与することができる。いくつかの場合には、G-CSFまたはGM-CSFなどの骨髄増殖因子が、血液毒性が改善するまで対象に投与される。そのような療法の例には、フィルグラスチムまたはペグフィルグラスチムが含まれる。いくつかの局面では、そのような剤は、任意の持続期間の任意のグレード3またはそれより高い好中球減少症を含む、重度の好中球減少症または発熱性好中球減少症を経験している対象に投与される。
【0505】
F. 非血液毒性
いくつかの局面では、毒性転帰は、化合物Aの投与後の1つまたは複数の非血液毒性であるか、またはそれに関連するか、またはそれを示す。非血液毒性の例には、腫瘍フレア反応、感染症、腫瘍崩壊症候群、心臓検査異常、血栓塞栓事象(深部静脈血栓症および肺塞栓症など)、および/または肺炎が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0506】
いくつかの局面では、非血液毒性は腫瘍フレア反応(TFR)(時には偽進行とも呼ばれる)である。TFRは、しばしば軽度の発熱、圧痛と腫脹、びまん性発疹、およびいくつかの場合には末梢血リンパ球数の増加を伴う、リンパ節、脾臓および/または肝臓を含む疾患担持部位のサイズの突然の増加である。いくつかの態様では、TFRは、有害事象の共通用語基準(バージョン3.0;US National Cancer Institute, Bethesda, MD, USA)に従って等級分けされる。いくつかの態様では、TFRは以下のように等級分けされる:グレード1、機能を妨げない軽度の痛み;グレード2、中等度の痛み、機能を妨げるが日常生活動作(ADL)を妨げない痛みまたは鎮痛薬;グレード3、重度の痛み、機能を妨げ、ADLを妨げる痛みまたは鎮痛薬;グレード4、無力化;グレード5、死亡。いくつかの態様では、1つまたは複数の剤は、コルチコステロイド、NSAIDおよび/または麻薬性鎮痛薬などのTFRに関連する1つまたは複数の症状を治療、改善または軽減するために対象に投与され得る。
【0507】
いくつかの局面では、非血液毒性は腫瘍崩壊症候群(TLS)である。いくつかの態様では、TLSは、Cairo-Bishopグレード分類システムによって指定された基準に従って等級分けされ得る(Cairo and Bishop(2004)Br J Haematol, 127:3-11)。いくつかの態様では、対象は、高尿酸血症を軽減するために静脈内水分補給を与えられ得る。
【0508】
いくつかの態様では、対象は、ECGS、LVEFをモニターすることならびにトロポニン-TおよびBNPのレベルをモニターすることなどによって心臓毒性についてモニターされ得る。いくつかの態様では、1つまたは複数の心臓症状を伴うトロポニン-Tおよび/またはBNPのレベル上昇が観察される場合、化合物Aの保留または一時停止を潜在的に必要とし得る心臓毒性が起こり得る。
【0509】
提供される方法のいくつかの態様では、対象が、TFRまたは他の非血液毒性もしくはその特定のグレードなどの非血液毒性を示すと決定される場合、化合物Aによるサイクリング療法は変更され得る。いくつかの局面では、化合物Aの投与後に、対象がグレード3またはそれより高い非血液毒性、例えばグレード3またはそれより高いTFRを有する場合、サイクリング療法は変更される。いくつかの態様では、化合物Aの投与は、毒性の徴候または症状が解消されるか、または軽減されるか、または減少するまで、永続的に保留されるか、または一時停止される。対象の継続的なモニタリングを実施して、毒性の1つまたは複数の徴候または症状を評価することができる。いくつかの場合には、毒性が消散するかまたは軽減された場合、化合物Aの投与は、サイクリング療法を一時停止する前の同じ用量もしくは投薬レジメンで、より低いもしくはより少ない用量で、および/またはより少ない頻度の投与を含む投薬レジメンで再開することができる。いくつかの態様では、サイクリング療法を再開する場合、用量は、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、もしくは60%、または少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、もしくは60%、または約10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、もしくは60%減少または低減される。いくつかの態様では、細胞療法を一時停止する前の用量が2mg(例えば7日のうち5日与えられる)である場合、用量は1mg(7日のうち5日与えられる)に低減される。いくつかの態様では、用量の低減後でもグレード3の毒性が再発する場合、用量をさらに低減することができる。いくつかの態様では、用量の低減後でもグレード4の毒性が再発する場合、サイクリング療法は永続的に中止され得る。いくつかの局面では、血液毒性が、サイクリング療法の一時停止が4週間を超えるほどの重症度である場合、サイクリング療法は永続的に中止され得る。
【0510】
V. 製品およびキット
化合物A、および免疫療法のための成分、例えば抗体もしくはその抗原結合断片またはT細胞療法、例えば操作された細胞、および/またはその組成物を含む製品も提供される。製品は、容器、および容器上のまたは容器に関連するラベルまたは添付文書を含み得る。適切な容器には、例えばボトル、バイアル、シリンジ、IV輸液バッグなどが含まれる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料で形成され得る。いくつかの態様における容器は、単独であるか、または状態を治療、予防および/もしくは診断するのに有効な別の組成物と組み合わせた組成物を保持する。いくつかの態様では、容器は滅菌アクセスポートを有する。例示的な容器には、静脈内輸液バッグ、注射用の針によって貫通できるストッパーを備えたものを含むバイアル、または経口投与される剤用のボトルまたはバイアルが含まれる。ラベルまたは添付文書は、組成物が疾患または状態を治療するために使用されることを示し得る。
【0511】
製品は、(a)免疫療法、例えばT細胞療法に使用される操作された細胞を含有する組成物がその中に含まれる第1の容器;および(b)化合物Aを含有する組成物がその中に含まれる第2の容器を含み得る。
【0512】
いくつかの態様では、第1の容器は、第1の組成物と第2の組成物を含み、第1の組成物は、免疫療法に使用される操作された細胞の第1の集団、例えばCD4+T細胞療法を含み、第2の組成物は、第1の集団とは別個に操作され得る、操作された細胞の第2の集団、例えばCD8+T細胞療法を含む。いくつかの態様では、第1および第2の細胞組成物は、操作された細胞、例えばCD4+およびCD8+細胞の定義された比率(例えばCD4+:CD8+CAR+T細胞の1:1の比率)を含む。
【0513】
製品は、組成物が特定の状態を治療するために使用できることを示す添付文書をさらに含み得る。あるいは、またはさらに、製品は、薬学的に許容される緩衝液を含む別の容器または同じ容器をさらに含み得る。製品は、他の緩衝液、希釈剤、フィルタ、針、および/またはシリンジなどの他の材料をさらに含み得る。
【0514】
VI. 定義
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語、表記法ならびに他の技術用語および科学用語または専門用語は、特許請求される主題が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有することが意図されている。いくつかの場合には、一般的に理解される意味を有する用語は、明瞭さのためおよび/または参照を容易にするために本明細書で定義され、本明細書にそのような定義を含むことは、必ずしも当技術分野で一般的に理解されているものに対する実質的な相違を表すと解釈されるべきではない。
【0515】
本明細書で使用される場合、「対象」は、ヒトまたは他の動物などの哺乳動物であり、典型的にはヒトである。いくつかの態様では、化合物A、操作された細胞、または組成物が投与される対象、例えば患者は、哺乳動物、典型的にはヒトなどの霊長動物である。いくつかの態様では、霊長動物はサルまたは類人猿である。対象は、雄性または雌性であり得、幼児、若齢、青年、成体、および高齢の対象を含む任意の適切な年齢であり得る。いくつかの態様では、対象は、げっ歯動物などの非霊長類哺乳動物である。
【0516】
本明細書で使用される場合、「治療」(および「治療する」または「治療すること」などのその文法的変形)は、疾患もしくは状態もしくは障害、または症状、副作用もしくは転帰、またはそれに関連する表現型の完全なまたは部分的な改善または軽減を指す。治療の望ましい効果には、疾患の発生または再発の防止、症状の緩和、疾患の直接的または間接的な病理学的結果の減少、転移の防止、疾患の進行速度の低下、病状の改善または緩和、および寛解または予後の改善が含まれるが、これらに限定されるわけではない。これらの用語は、疾患の完全な治癒、またはあらゆる症状の完全な排除、またはすべての症状または転帰への効果を意味しない。
【0517】
本明細書で使用される場合、「疾患の発症を遅らせる」とは、疾患(B細胞悪性腫瘍など)の発症を延ばす、妨げる、減速する、遅延させる、安定化する、抑制するおよび/または延期することを意味する。この遅延は、疾患の病歴および/または治療される個体に依存して、様々な長さの時間であり得る。明らかなように、十分なまたは有意な遅延は、事実上、個体が疾患を発症しないという点で予防を包含することができる。例えば、転移の発生などの後期B細胞リンパ腫は、遅延され得る。
【0518】
本明細書で使用される「予防」は、疾患の素因を有する可能性があるが、まだ疾患と診断されていない対象における疾患の発生または再発に関して予防を提供することを含む。いくつかの態様では、提供される細胞および組成物は、疾患の発症を遅らせるため、または疾患の進行を減速するために使用される。
【0519】
本明細書で使用される場合、機能または活性を「抑制する」ことは、関心対象の条件またはパラメーターを除いて同じ条件と比較した場合、あるいは別の条件と比較した場合に、機能または活性を低減することである。例えば、腫瘍の成長を抑制する細胞は、細胞の非存在下での腫瘍の成長速度と比較して、腫瘍の成長速度を低下させる。
【0520】
投与の文脈における、剤、例えば操作された細胞もしくは抗PD-L1もしくは抗原結合断片、またはその薬学的製剤もしくは組成物の「有効量」は、治療結果または予防結果などの所望の結果を達成するために、必要な投与量/量および必要な期間で有効な量を指す。
【0521】
剤、例えば操作された細胞もしくは抗PD-L1もしくは抗原結合断片、またはその薬学的製剤もしくは組成物の「治療有効量」は、所望の治療結果を達成するため、例えば疾患、状態もしくは障害の治療のため、および/または治療の薬物動態学的もしくは薬力学的効果を達成するために、必要な投与量および必要な期間で有効な量を指す。治療有効量は、対象の病状、年齢、性別および体重、ならびに投与される免疫調節ポリペプチドまたは操作された細胞などの因子に応じて異なり得る。いくつかの態様では、提供される方法は、化合物A、操作された細胞(例えば細胞療法)、または有効量、例えば治療有効量の組成物を投与する工程を含む。
【0522】
「予防有効量」は、所望の予防的結果を達成するために、必要な投与量で必要な期間にわたって有効な量を示す。典型的には、しかし必ずしもそうであるとは限らないが、予防的用量が、疾患に先立って、または疾患のより初期の段階で対象において使用されるので、予防有効量は治療有効量より少ないであろう。
【0523】
「薬学的製剤」という用語は、調製物であって、その中に含有される有効成分の生物学的活性が有効であることを可能にするような形態であり、かつ、製剤が投与されるであろう対象に対して許容できないほどに毒性であるさらなる成分を何ら含有しない調製物を示す。
【0524】
「薬学的に許容される担体」は、対象にとって非毒性である、有効成分以外の薬学的製剤中の成分を示す。薬学的に許容される担体には、緩衝剤、賦形剤、安定剤、または防腐剤が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0525】
本明細書で使用される場合、単数形である「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈がそうでないことを明確に示す場合を除き、複数形の言及物を包含する。例えば、「1つの(aまたはan)」は、「少なくとも1つの」または「1つもしくは複数の」を意味する。本明細書に記載される局面および変形は、「からなる」および/または「から本質的になる」局面および変形を含むことが理解される。
【0526】
本開示の全体を通して、請求項に記載される主題の様々な局面が範囲形式で示される。範囲形式での記載は単に便宜および簡潔性のためであり、請求項に記載される主題の範囲に関して柔軟性のない限定として解釈されるべきではないことが理解されるべきである。したがって、範囲の記載は、可能な部分範囲ならびにその範囲内の個々の数値をすべて具体的に開示していると見なされるべきである。例えば、値の範囲が与えられる場合、その範囲の上限と下限との間におけるそれぞれの中間の値、およびその指定された範囲における任意の他の指定された値または中間の値が、請求項に記載される主題の範囲内に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限がこれらのより小さい範囲に独立して含まれてもよく、これらもまた、指定された範囲における任意の具体的に除外された限界点に従うことを条件にして、請求項に記載される主題の範囲内に包含される。指定された範囲が限界点の一方または両方を含む場合、そのような含まれた限界点のどちらかまたは両方を除外する範囲もまた、請求項に記載される主題の範囲内に含まれる。これは範囲の幅に関わりなく適用される。
【0527】
「約」という用語は、本明細で使用される場合、この技術分野における当業者には容易に理解されるそれぞれの値についての通常の誤差範囲を指す。「約」を伴って値またはパラメーターが本明細書で言及される場合、その値またはパラメーターそのものに向けられる態様が含まれる(記載される)。例えば、「約X」に言及する記載には、「X」の記載が含まれる。
【0528】
本明細書で使用される場合、ヌクレオチド位置またはアミノ酸位置が、開示された配列(例えば配列表に示される配列など)におけるヌクレオチド位置またはアミノ酸位置「に対応する」という記述は、GAPアルゴリズムなどの標準的なアラインメントアルゴリズムを使用して同一性を最大にするように開示された配列と整列したときに特定されるヌクレオチド位置またはアミノ酸位置を指す。配列を整列することにより、当業者は、例えば、保存されたアミノ酸残基および同一のアミノ酸残基をガイドとして使用して、対応する残基を特定することができる。通常、対応する位置を特定するために、アミノ酸の配列は、最も高水準の一致が得られるように整列される(例えば、Computational Molecular Biology, Lesk, A.M., ed., Oxford University Press, New York,1988;Biocomputing:Informatics and Genome Projects, Smith, D.W., ed., Academic Press, New York, 1993;Computer Analysis of Sequence Data, Part I, Griffin, A.M. and Griffin, H.G., eds., Humana Press, New. Jersey, 1994;Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press,1987;およびSequence Analysis Primer, Gribskov, M. and Devereux, J., eds., M Stockton Press, New York,1991;Carrillo et al.(1988)SIAM J Applied Math 48:1073参照)。
【0529】
「ベクター」という用語は、本明細書で使用される場合、連結される別の核酸を増やすことができる核酸分子を指す。この用語には、自己複製する核酸構造体としてのベクターならびに導入されている宿主細胞のゲノムに組み込まれるベクターが含まれる。ある特定のベクターは、機能的に連結される核酸の発現を指示することができる。そのようなベクターは、本明細書では「発現ベクター」と呼ばれる。ベクターの中には、レトロウイルスベクター、例えばガンマレトロウイルスベクターおよびレンチウイルスベクターなどのウイルスベクターがある。
【0530】
「宿主細胞」、「宿主細胞株」および「宿主細胞培養物」という用語は交換可能に使用され、外因性核酸が導入されている細胞を指し、そのような細胞の子孫を含む。宿主細胞には、「形質転換体」および「形質転換細胞」が含まれ、これらには、初代形質転換細胞および、継代数に関わりなく、それに由来する子孫が含まれる。子孫は、核酸含有量が親細胞と完全に同一でなくてもよく、変異を含有する場合がある。最初に形質転換された細胞においてスクリーニングまたは選択されたのと同じ機能または生物学的活性を有する変異子孫が本明細書に含まれる。
【0531】
本明細書で使用される場合、細胞または細胞の集団が特定のマーカーについて「陽性」であるという記述は、特定のマーカー、典型的には表面マーカーが細胞表面または細胞内に検出可能に存在することを指す。表面マーカーに言及する場合、この用語は、フローサイトメトリーによって、例えばマーカーに特異的に結合する抗体を用いて染色し、該抗体を検出することによって検出される表面発現の存在を指し、染色は、他の点では同一の条件下でアイソタイプ適合対照を用いて同じ手順を実施して検出される染色を実質的に上回るレベルで、かつ/またはマーカーについて陽性であることが知られている細胞についてのレベルと実質的に同様のレベルで、かつ/またはマーカーについて陰性であることが知られている細胞についてのレベルよりも実質的に高いレベルで、フローサイトメトリーによって検出可能である。
【0532】
本明細書で使用される場合、細胞または細胞の集団が特定のマーカーについて「陰性」であるという記述は、特定のマーカー、典型的には表面マーカーが細胞表面または細胞内に実質的に検出可能に存在しないことを指す。表面マーカーに言及する場合、この用語は、フローサイトメトリーによって、例えばマーカーに特異的に結合する抗体を用いて染色し、該抗体を検出することによって検出される表面発現の非存在を指し、染色は、他の点では同一の条件下でアイソタイプ適合対照を用いて同じ手順を実施して検出される染色を実質的に上回るレベルで、かつ/またはマーカーについて陽性であることが知られている細胞についてのレベルよりも実質的に低いレベルで、かつ/またはマーカーについて陰性であることが知られている細胞についてのレベルと比較して実質的に同様のレベルで、フローサイトメトリーによって検出されない。
【0533】
本明細書で使用される場合、アミノ酸配列(参照ポリペプチド配列)に関して使用されるときの「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」および「同一性パーセント」は、最大の配列同一性パーセントを達成するように配列を整列し、必要に応じてギャップを導入した後、かつ、どのような保存的置換も配列同一性の一部として考慮せずに、参照ポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一である候補配列(例えば対象抗体または断片)中のアミノ酸残基の百分率として定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するためのアラインメントは、当技術分野の技能の範囲内である様々な方法で、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して達成することができる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列を整列するための適切なパラメーターを決定することができる。
【0534】
アミノ酸置換は、ポリペプチド中のあるアミノ酸を別のアミノ酸で置き換えることを含み得る。置換は、保存的アミノ酸置換または非保存的アミノ酸置換であり得る。アミノ酸置換は、関心対象の結合分子、例えば抗体、および所望の活性、例えば保持された/改善された抗原結合、減少した免疫原性、または改善されたADCCもしくはCDCについてスクリーニングされる生成物に導入され得る。
【0535】
アミノ酸は一般に、以下の一般的な側鎖特性に従って分類され得る:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖の配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0536】
いくつかの態様では、保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを同じクラスの別のメンバーと交換することを含み得る。いくつかの態様では、非保存的アミノ酸置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスと交換することを含み得る。
【0537】
本明細書で使用される場合、組成物は、細胞を含む、セレブロンを標的とする2つまたはそれ以上の生成物、物質、または化合物の任意の混合物を指す。組成物は、溶液、懸濁液、液体、粉末、ペースト、水性、非水性、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0538】
本明細書で使用される場合、「対象」は、ヒトまたは他の動物などの哺乳動物であり、典型的にはヒトである。
【0539】
VII. 例示的な態様
提供される態様の中には、以下のものがある:
1. B細胞悪性腫瘍を治療する方法であって、以下の工程:(a)B細胞悪性腫瘍を有する対象に、CD19に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を投与する工程;ならびに
(b)続いて、以下の構造:
を有する(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を、該対象に投与する工程
を含み、化合物の投与が、T細胞療法の投与後21日以内に開始し(または開始され)、かつ
化合物が約0.1mg~約1.0mg/日で最大連続3週間毎日投与される、第1の投与期間、
第1の投与期間の終了時から始まる、化合物が投与されない少なくとも1週間の休止期間、および
化合物が各4週間サイクルに約0.1mg~約1.0mg/日で連続3週間毎日投与される4週間サイクルを含む、第2の投与期間
を含むサイクリングレジメンで実施される、方法。
2. B細胞悪性腫瘍を治療する方法であって、以下の構造:
を有する(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を、対象に投与する工程を含み、該対象が、化合物の投与の前に、CD19に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を投与されており、化合物の投与が、T細胞療法の投与後21日以内に開始し(または開始され)、かつ
化合物が約0.1mg~約1.0mg/日で最大連続3週間毎日投与される、第1の投与期間、
第1の投与期間の終了時から始まる、化合物が投与されない少なくとも1週間の休止期間、および
化合物が各4週間サイクルに約0.1mg~約1.0mg/日で連続3週間毎日投与される4週間サイクルを含む、第2の投与期間
を含むサイクリングレジメンで実施される、方法。
3. 化合物が、第1の投与期間に0.3mg~0.6mgまたは約0.3mg~約0.6mgの量で投与される、態様1または態様2の方法。
4. 化合物が、第2の投与期間に0.3mg~0.6mgまたは約0.3mg~約0.6mgの量で投与される、態様1~3のいずれかの方法。
5. 第2の投与期間が、T細胞療法の投与の開始後3ヶ月または約3ヶ月または3ヶ月超にわたる、態様1~4のいずれかの方法。
6. 第2の投与期間が、T細胞療法の投与の開始後3ヶ月または約3ヶ月にわたる、態様1~5のいずれかの方法。
7. 化合物の投与が、対象におけるT細胞療法のピーク拡大時またはそれより前に開始される、態様1~6のいずれかの方法。
8. T細胞療法のピーク拡大が、T細胞療法の投与後11日または約11日から15日または約15日の間である、態様7の方法。
9. 第1の投与期間が、T細胞療法の投与後1日または約1日から15日または約15日の間(両端の値を含む)に開始する、態様1~8のいずれかの方法。
10. 第1の投与期間が、T細胞療法の投与後1日または約1日から11日または約11日の間(両端の値を含む)に開始する、態様1~9のいずれかの方法。
11. 第1の投与期間が、T細胞療法の投与後8日または約8日から15日または約15日の間(両端の値を含む)に開始する、態様1~9のいずれかの方法。
12. 第1の投与期間が、T細胞療法の投与の1日後または約1日後に開始する、態様1~10のいずれかの方法。
13. 第1の投与期間が、T細胞療法の投与の8日後または約8日後に開始する、態様1~11のいずれかの方法。
14. 第1の投与期間が、T細胞療法の投与の15日後または約15日後に開始する、態様1~9および11のいずれかの方法。
15. 休止期間が、T細胞療法の投与後21日目に開始する、態様1~14のいずれか1つの方法。
16. 対象のB細胞血球数レベルが第1の投与期間の前に測定されたレベルと同じまたはほぼ同じレベルに回復するまで、休止期間が続く、態様1~15のいずれか1つの方法。
17. 休止期間が約1週間である、態様1~16のいずれか1つの方法。
18. 第2の投与期間が、T細胞療法の投与の29日後に開始する、態様1~17のいずれか1つの方法。
19. 化合物が、0.3mgまたは約0.3mgの量で第1の投与期間に投与され、かつ/または第2の投与期間に投与される、態様1~18のいずれかの方法。
20. 化合物が、0.3mgまたは約0.3mgの量で第1の投与期間に投与され、かつ第2の投与期間に投与される、態様1~18のいずれかの方法。
21. 化合物が、0.45mgまたは約0.45mgの量で第1の投与期間に投与され、かつ/または第2の投与期間に投与される、態様1~18のいずれかの方法。
22. 化合物が、0.45mgまたは約0.45mgの量で第1の投与期間に投与され、かつ第2の投与期間に投与される、態様1~18のいずれかの方法。
23. 化合物が、0.6mgまたは約0.6mgの量で第1の投与期間に投与され、かつ/または第2の投与期間に投与される、態様1~18のいずれかの方法。
24. 化合物が、0.6mgまたは約0.6mgの量で第1の投与期間に投与され、かつ第2の投与期間に投与される、態様1~18のいずれかの方法。
25. 化合物が、(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンの薬学的に許容される塩であるか、またはそれを含む、態様1~24のいずれかの方法。
26. 化合物が、(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンの水和物であるか、またはそれを含む、態様1~24のいずれかの方法。
27. 化合物が、(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンの溶媒和物であるか、またはそれを含む、態様1~24のいずれかの方法。
28. 化合物が、(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンであるか、またはそれを含む、態様1~24のいずれかの方法。
29. 対象が、3ヶ月より前または約3ヶ月より前に、治療後に完全奏効(CR)を達成したか、または治療後に癌が進行したかもしくは寛解の後に再発した場合、第2の投与期間が、T細胞療法の投与の開始後3ヶ月または約3ヶ月にわたる、態様1~5および7~28のいずれかの方法。
30. 対象が3ヶ月で完全奏効(CR)を達成した場合、期間が、T細胞療法の投与の開始後3ヶ月または約3ヶ月にわたる、態様29の方法。
31. 第2の投与期間が、T細胞療法の投与の開始後6ヶ月または約6ヶ月にわたる、態様1~5および7~28のいずれかの方法。
32. 対象が、6ヶ月より前または約6ヶ月より前に、治療後に完全奏効(CR)を達成したか、または治療後に癌が進行したかもしくは寛解の後に再発した場合、第2の投与期間が、T細胞療法の投与の開始後6ヶ月または約6ヶ月にわたる、態様1~5および7~28のいずれかの方法。
33. 対象が6ヶ月で完全奏効(CR)を達成した場合、期間が、T細胞療法の投与の開始後6ヶ月または約6ヶ月にわたる、態様32の方法。
34. 対象が期間の終了前の時点で完全奏効(CR)を達成した場合でも、第2の投与が継続される、態様1~33のいずれかの方法。
35. 化合物の投与の開始時点で、対象がT細胞療法の投与後に重篤な毒性を示さない、態様1~34のいずれかの方法。
36. 重篤な毒性が、重度のサイトカイン放出症候群(CRS)であり、任意でグレード3もしくはそれより高い、長期のグレード3もしくはそれより高い、またはグレード4もしくは5のCRSである;および/または
重篤な毒性が、重度の神経毒性、任意でグレード3もしくはそれより高い、長期のグレード3もしくはそれより高い、またはグレード4もしくは5の神経毒性である、
態様35の方法。
37. 対象が化合物の投与後に毒性、任意で血液毒性を示す場合、化合物の投与が一時中断され、かつ/またはサイクリングレジメンが変更される、態様1~36のいずれか1つの方法。
38. 毒性が、重度の好中球減少症、任意で発熱性好中球減少症、長期のグレード3またはそれより高い好中球減少症から選択される、態様37の方法。
39. 化合物の投与が、対象がもはや毒性を示さなくなった後に再開される、態様37または38の方法。
40. 癌がB細胞悪性腫瘍である、態様1~39のいずれか1つの方法。
41. B細胞悪性腫瘍がリンパ腫である、態様40の方法。
42. リンパ腫が非ホジキンリンパ腫(NHL)である、態様41の方法。
43. NHLが、侵襲性NHL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、任意で形質転換した無痛性のDLBCL-NOS;EBV陽性DLBCL-NOS;T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫;原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL);濾胞性リンパ腫(FL)、任意で濾胞性リンパ腫グレード3B(FL3B);ならびに/またはDLBCL組織学を伴うMYCおよびBCL2および/もしくはBCL6再構成を有する高悪性度B細胞リンパ腫(ダブル/トリプルヒット)を含む、態様42の方法。
44. 対象が、1未満または1の東部共同腫瘍学グループパフォーマンスステータス(ECOG)を有すると同定されているかまたは同定されたことがある、態様1~43のいずれか1つの方法。
45. 化合物が経口投与される、態様1~44のいずれかの方法。
46. CD19がヒトCD19である、態様1~45のいずれかの方法。
47. キメラ抗原受容体(CAR)が、CD19に特異的に結合する細胞外抗原認識ドメインと、ITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、態様1~46のいずれかの方法。
48. 細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3ゼータ(CD3ζ)鎖、任意でヒトCD3ゼータ鎖のシグナル伝達ドメインを含む、態様47の方法。
49. キメラ抗原受容体(CAR)が共刺激シグナル伝達領域をさらに含む、態様47または態様48の方法。
50. 共刺激シグナル伝達領域が、CD28または4-1BB、任意でヒトCD28またはヒト4-1BBのシグナル伝達ドメインを含む、態様49の方法。
51. 共刺激ドメインが、ヒト4-1BBのシグナル伝達ドメインであるか、またはそれを含む、態様49または態様50の方法。
52. CARが、CD19に特異的なscFvと;膜貫通ドメインと;任意で4-1BB、任意でヒト4-1BBであるかもしくはそれを含む、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと;任意でCD3ゼータシグナル伝達ドメイン、任意でヒトCD3ゼータシグナル伝達ドメインであるかもしくはそれを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含み、かつ任意で、CARが膜貫通ドメインとscFvとの間にスペーサーをさらに含む、
態様1~51のいずれかの方法。
53. CARが、順に、CD19に特異的なscFvと;膜貫通ドメインと;任意で4-1BBシグナル伝達ドメイン、任意でヒト4-1BBシグナル伝達ドメインであるかもしくはそれを含む、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと;任意でCD3ゼータシグナル伝達ドメイン、任意でヒトCD3ゼータシグナル伝達ドメインである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含む、
態様1~52のいずれかの方法。
54. CARが、順に、CD19に特異的なscFvと;スペーサーと;膜貫通ドメインと;任意で4-1BBシグナル伝達ドメインである共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと;任意でCD3ゼータシグナル伝達ドメインであるかもしくはそれを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含む、態様1~53のいずれかの方法。
55. スペーサーが、免疫グロブリンヒンジもしくはその修飾型の全部もしくは一部を含むかもしくはそれからなる、または約15アミノ酸もしくはそれ未満を含むポリペプチドスペーサーである、態様52~54のいずれかの方法。
56. スペーサーが、免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4ヒンジ、もしくはその修飾型の全部もしくは一部を含むかもしくはそれからなり、および/または約15アミノ酸もしくはそれ未満を含む、態様52~55のいずれかの方法。
57. スペーサーが、12アミノ酸長もしくは約12アミノ酸長であり、および/または免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4、もしくはその修飾型の全部もしくは一部を含むかもしくはそれからなる、態様55または態様56の方法。
58. スペーサーが、SEQ ID NO:1の配列、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34によってコードされる配列、またはそれらと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の配列同一性を有する該配列のいずれかの変異体を有するかもしくはそれからなる、態様52~57のいずれかの方法。
59. 共刺激ドメインが、SEQ ID NO:12またはそれと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の配列同一性を有するその変異体を含む、態様52~58のいずれかの方法。
60. 一次シグナル伝達ドメインが、それらと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性を有するSEQ ID NO:13またはSEQ ID NO:14またはSEQ ID NO:15を含む、態様52~59のいずれかの方法。
61. scFvが、RASQDISKYLN(SEQ ID NO:35)のCDRL1配列、SRLHSGV(SEQ ID NO:36)のCDRL2配列、および/もしくはGNTLPYTFG(SEQ ID NO:37)のCDRL3配列、ならびに/またはDYGVS(SEQ ID NO:38)のCDRH1配列、VIWGSETTYYNSALKS(SEQ ID NO:39)のCDRH2配列、および/もしくはYAMDYWG(SEQ ID NO:40)のCDRH3配列を含む、態様52~60のいずれかの方法。
62. scFvが、FMC63の可変重鎖領域およびFMC63の可変軽鎖領域ならびに/またはFMC63のCDRL1配列、FMC63のCDRL2配列、FMC63のCDRL3配列、FMC63のCDRH1配列、FMC63のCDRH2配列、およびFMC63のCDRH3配列を含み、任意で、scFvが、SEQ ID NO:41を含むVH、およびSEQ ID NO:42として示されるアミノ酸配列を含むVLを含む、態様52~61のいずれかの方法。
63. scFvが、SEQ ID NO:43に示されるアミノ酸の配列を有する、態様52~61のいずれかの方法。
64. 遺伝子操作されたT細胞の用量が、1×105~5×108もしくは約1×105~5×108の総CAR発現T細胞、1×106~2.5×108もしくは約1×106~2.5×108の総CAR発現T細胞、5×106~1×108もしくは約5×106~1×108の総CAR発現T細胞、1×107~2.5×108もしくは約1×107~2.5×108の総CAR発現T細胞、または5×107~1×108もしくは約5×107~1×108の総CAR発現T細胞(それぞれ両端の値を含む)を含む、態様1~63のいずれかの方法。
65. 遺伝子操作されたT細胞の用量が、少なくとも1×105もしくは少なくとも約1×105のCAR発現細胞、少なくとも2.5×105もしくは少なくとも約2.5×105のCAR発現細胞、少なくとも5×105もしくは少なくとも約5×105のCAR発現細胞、少なくとも1×106もしくは少なくとも約1×106のCAR発現細胞、少なくとも2.5×106もしくは少なくとも約2.5×106のCAR発現細胞、少なくとも5×106もしくは少なくとも約5×106のCAR発現細胞、少なくとも1×107もしくは少なくとも約1×107のCAR発現細胞、少なくとも2.5×107もしくは少なくとも約2.5×107のCAR発現細胞、少なくとも5×107もしくは少なくとも約5×107のCAR発現細胞、少なくとも1×108もしくは少なくとも約1×108のCAR発現細胞、少なくとも2.5×108もしくは少なくとも約2.5×108のCAR発現細胞、または少なくとも5×108もしくは少なくとも約5×108のCAR発現細胞を含む、態様1~64のいずれかの方法。
66. 遺伝子操作されたT細胞の用量が、5×107または約5×107の総CAR発現T細胞を含む、態様1~65のいずれかの方法。
67. 遺伝子操作されたT細胞の用量が、1×108または約1×108のCAR発現細胞を含む、態様1~65のいずれかの方法。
68. 細胞の用量が非経口的に、任意で静脈内に投与される、態様1~67のいずれかの方法。
69. T細胞が、対象から得られた初代T細胞である、態様1~68のいずれかの方法。
70. T細胞が対象に対して自己由来である、態様1~69のいずれかの方法。
71. T細胞が対象に対して同種異系である、態様1~70のいずれかの方法。
72. 遺伝子操作されたT細胞の用量が、CARを発現するCD4+T細胞およびCARを発現するCD8+T細胞を含み、用量の投与が複数の別個の組成物を投与する工程を含み、該複数の別個の組成物が、CD4+T細胞およびCD8+T細胞の一方を含む第1の組成物およびCD4+T細胞またはCD8+T細胞のもう一方を含む第2の組成物を含む、態様1~71のいずれかの方法。
73. 第1の組成物と第2の組成物が、0~12時間の間隔で、0~6時間の間隔で、もしくは0~2時間の間隔で投与されるか、または第1の組成物の投与と第2の組成物の投与が同じ日に実施され、約0~約12時間の間隔で、約0~約6時間の間隔で、もしくは約0~2時間の間隔で実施され、および/または
第1の組成物の投与の開始と第2の組成物の投与の開始が、約1分~約1時間の間隔で、もしくは約5分~約30分の間隔で実施される、
態様72の方法。
74. 第1の組成物と第2の組成物が、2時間以下、1時間以下、30分以下、15分以下、10分以下、または5分以下の間隔で投与される、態様72または態様73の方法。
75. 第1の組成物がCD4+T細胞を含む、態様72~74のいずれかの方法。
76. 第1の組成物がCD8+T細胞を含む、態様72~74のいずれかの方法。
77. 第1の組成物が第2の組成物の前に投与される、態様72~76のいずれかの方法。
78. 投与の前に、対象が、フルダラビンおよび/またはシクロホスファミドの投与を含むリンパ球除去療法で前処置されている、態様1~77のいずれかの方法。
79. 投与の直前に、フルダラビンおよび/またはシクロホスファミドの投与を含むリンパ球除去療法を対象に投与する工程をさらに含む、態様1~77のいずれか1つの方法。
80. リンパ球除去療法が、約200~400mg/m2、任意で300mg/m2もしくは約300mg/m2のシクロホスファミド(両端の値を含む)、および/または約20~40mg/m2、任意で30mg/m2のフルダラビンの2~4日間、任意で3日間の毎日の投与を含むか、またはリンパ球除去療法が、約500mg/m2のシクロホスファミドの投与を含む、態様78または態様79の方法。
81. リンパ球除去療法が、300mg/m2もしくは約300mg/m2のシクロホスファミドおよび約30mg/m2のフルダラビンの3日間の毎日の投与を含む、および/または
リンパ球除去療法が、500mg/m2もしくは約500mg/m2のシクロホスファミドおよび約30mg/m2のフルダラビンの3日間の毎日の投与を含む、態様78~80のいずれか1つの方法。
82. 対象がヒトである、態様1~81のいずれか1つの方法。
83. 前記方法に従って治療される対象の少なくとも35%、少なくとも40%、もしくは少なくとも50%が、6ヶ月もしくは6ヶ月超または9ヶ月もしくは9ヶ月超にわたって、持続性であるか、またはCRを達成する対象の少なくとも60、70、80、90、もしくは95%において持続性である完全奏効(CR)を達成する;ならびに/または
6ヶ月までにCRを達成する対象の少なくとも60%、70%、80%、90%、もしくは95%が、3ヶ月もしくは3ヶ月超および/または6ヶ月もしくは6ヶ月超および/または9ヶ月もしくは9ヶ月超にわたって、応答性のままであるか、CRのままであるか、および/または生存するかもしくは進行なしに生存する;ならびに/または
前記方法に従って治療される対象の少なくとも50%、少なくとも60%、または少なくとも70%が、客観的奏効(OR)を達成し、任意で、ORが、6ヶ月もしくは6ヶ月超または9ヶ月もしくは9ヶ月超にわたって、持続性であるか、またはORを達成する対象の少なくとも60、70、80、90、もしくは95%において持続性である;ならびに/または
6ヶ月までにORを達成する対象の少なくとも60、70、80、90、もしくは95%が、3ヶ月もしくは3ヶ月超および/または6ヶ月もしくは6ヶ月超にわたって、応答性のままであるかまたは生存する、
態様1~82のいずれかの方法。
84. 細胞の用量の投与時または投与の直前に、対象が、NHLのための1つまたは複数の以前の療法、任意でCARを発現する細胞の別の用量以外の1つ、2つまたは3つの以前の療法による治療後に寛解の後に再発したか、または該療法に難治性になった、態様42~83のいずれかの方法。
85. 細胞の用量の投与時または投与の前に、
対象が、ダブル/トリプルヒットリンパ腫を有しているかもしくは有すると同定されたことがある;
対象が、化学療法抵抗性リンパ腫、任意で化学療法抵抗性DLBCLを有しているかもしくは有すると同定されたことがある;および/または
対象が、以前の療法に応答して完全寛解(CR)を達成しなかった、
態様42~84のいずれかの方法。
86. 化合物の投与が、
対象のCAR発現T細胞における枯渇表現型を逆転させる;
対象のCAR発現T細胞における枯渇表現型の発症を予防する、阻害する、もしくは遅延させる;
対象のCAR発現T細胞における枯渇表現型のレベルもしくは程度を低下させる;または
枯渇表現型を有する、対象におけるCAR発現T細胞の総数の割合を低下させる、
態様1~85のいずれかの方法。
87. 化合物の投与の開始が、T細胞療法の投与に続いて行われ、化合物の投与またはその開始の後、対象が、該対象におけるCAR発現T細胞の抗原特異的または腫瘍特異的な活性または機能の回復または救済を示し、任意で、回復、救済および/または化合物の投与の開始が、対象または対象の血液中のCAR発現T細胞が枯渇表現型を示した後の時点においてである、態様1~86のいずれかの方法。
88. 化合物の投与が、
(a)化合物の投与がない場合と比較して、T細胞をCD19抗原もしくは抗原受容体特異的作用物質に曝露した後、任意で前記CARを発現するT細胞を含む、対象におけるナイーブT細胞もしくは非枯渇T細胞の抗原特異的活性もしくは抗原受容体駆動活性の増加をもたらすため;または
(b)化合物の投与がない場合と比較して、T細胞をCD19抗原もしくは抗原受容体特異的作用物質に曝露した後、任意で前記CARを発現するT細胞を含む、対象におけるナイーブT細胞もしくは非枯渇T細胞における枯渇表現型の発症を予防する、阻害する、もしくは遅延させるため;または
(c)前記対象の前記投与がない場合と比較して、対象において、任意で前記CARを発現するT細胞を含む、枯渇T細胞における枯渇表現型を逆転させるため
に有効な量、頻度、および/または持続時間での投与を含む、態様1~87のいずれかの方法。
89. 化合物の投与が、
(i)活性の前記増加をもたらすため、ならびに
(ii)前記枯渇表現型の発症を予防する、阻害、するもしくは遅延させる、および/または前記枯渇表現型を逆転させるため
に有効な量、頻度および/または持続時間での投与を含む、態様88の方法。
90. 対象におけるT細胞が前記CARを発現するT細胞を含み、かつ/または前記抗原がCD19である、態様88または89の方法。
91. T細胞またはT細胞の集団に関して、枯渇表現型が以下を含む、態様86~90のいずれかの方法:
同じ条件下での参照T細胞集団と比較して、1つまたは複数の枯渇マーカー、任意で2、3、4、5または6つの枯渇マーカーの、1つもしくは複数のT細胞上の表面発現のレベルもしくは程度の増加、または表面発現を示すT細胞の前記集団の割合の増加;または
同じ条件下での参照T細胞集団と比較して、CD19抗原もしくは抗原受容体特異的作用物質に曝露されたときに前記T細胞もしくはT細胞の集団が示す活性のレベルもしくは程度の減少。
92. レベル、程度、または割合の増加が、1.2倍超もしくは約1.2倍超、1.5倍超もしくは約1.5倍超、2.0倍超もしくは約2.0倍超、3倍超もしくは約3倍超、4倍超もしくは約4倍超、5倍超もしくは約5倍超、6倍超もしくは約6倍超、7倍超もしくは約7倍超、8倍超もしくは約8倍超、9倍超もしくは約9倍超、10倍超もしくは約10倍超、またはそれ以上である、態様91の方法。
93. レベル、程度、または割合の減少が、1.2倍超もしくは約1.2倍超、1.5倍超もしくは約1.5倍超、2.0倍超もしくは約2.0倍超、3倍超もしくは約3倍超、4倍超もしくは約4倍超、5倍超もしくは約5倍超、6倍超もしくは約6倍超、7倍超もしくは約7倍超、8倍超もしくは約8倍超、9倍超もしくは約9倍超、10倍超もしくは約10倍超、またはそれ以上である、態様91の方法。
94. 参照T細胞集団が、非枯渇表現型を有することが公知のT細胞の集団であるか、ナイーブT細胞の集団であるか、セントラルメモリーT細胞の集団であるか、または任意で枯渇した表現型を有する1つもしくは複数のT細胞が由来する対象と同じ対象に由来する、もしくは同じ種の、ステムセントラルメモリーT細胞の集団である、態様91~93のいずれかの方法。
95. 参照T細胞集団が、(a)枯渇した表現型を有する1つもしくは複数のT細胞が由来する対象の血液から単離されたバルクT細胞を含む対象適合集団であり、任意でバルクT細胞がCARを発現しない;および/または(b)CARを発現するT細胞の用量の投与を受ける前に、枯渇した表現型を有する1つもしくは複数のT細胞が由来する対象から得られる、態様91~94のいずれかの方法。
96. 参照T細胞集団が、対象へのその投与の前に、T細胞療法の試料を含む組成物、またはCARを発現するT細胞を含む薬学的組成物であり、任意で該組成物が凍結保存試料である、態様91~95のいずれかの方法。
97. 1つまたは複数の枯渇マーカーが阻害性受容体である、態様91~96のいずれかの方法。
98. 1つまたは複数の枯渇マーカーが、PD-1、CTLA-4、TIM-3、LAG-3、BTLA、2B4、CD160、CD39、VISTA、およびTIGITの中から選択される、態様91~97のいずれかの方法。
99. 活性が、炎症性サイトカインの1つまたは組み合わせの増殖、細胞毒性または産生の1つまたは複数であり、任意でサイトカインの1つまたは組み合わせが、IL-2、IFN-γおよびTNF-αからなる群より選択される、態様91~98のいずれかの方法。
100. CD19抗原または抗原受容体特異的作用物質への曝露が、CD19抗原または抗原受容体特異的作用物質、任意でCARの抗原結合ドメインに結合する作用物質とのインキュベーションを含む、態様91~99のいずれかの方法。
101. CD19抗原または抗原受容体特異的作用物質への曝露が、T細胞を、CD19抗原を発現する標的細胞、任意で癌細胞に曝露することを含む、態様100の方法。
【実施例
【0540】
VIII. 実施例
以下の実施例は、例示目的のためだけに含まれ、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0541】
実施例1:化合物Bおよび化合物Aの存在下での抗CD19 CAR発現T細胞におけるAiolosおよびIkaros転写因子の薬力学的応答の評価
抗CD19 CAR発現T細胞を含有するT細胞組成物を、3人の健常ヒト成人ドナー由来の白血球アフェレーシス試料から、試料からのT細胞(CD4+およびCD8+細胞を含む)の免疫親和性に基づく選択を含むプロセスによって作製し、それぞれCD8+およびCD4+細胞が濃縮された2つの組成物を得た。細胞を、(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオン(化合物A)または3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(化合物B)の存在下でインキュベートし、転写因子IkarosおよびAiolosの発現を評価した。
【0542】
濃縮されたCD4+およびCD8+組成物の細胞を、抗CD3/抗CD28ビーズで別々に活性化し、抗CD19 CARをコードするベクターでレンチウイルス形質導入に供した。抗CD19 CARは、マウス抗体由来の抗CD19 scFv(FMC63由来の可変領域)、免疫グロブリン由来のスペーサー、CD28由来の膜貫通ドメイン、4-1BB由来の共刺激領域、およびCD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインを含んだ。ウイルスベクター中の発現構築物は、T2Aリボソームスキップ配列によってCAR配列から分離された、CAR発現の代理マーカーとして機能する切断型受容体をコードする配列をさらに含んだ。次いで、形質導入された集団を、細胞拡大のための刺激試薬の存在下で別々にインキュベートした。拡大したCD8+およびCD4+細胞を製剤化し、別々に凍結保存し、保管した。各ドナーからの凍結保存したCD4+およびCD8+抗CD19 CAR発現細胞を解凍し、使用前に約1:1のCAR+CD4+:CD8+比で合わせた。
【0543】
生成したCAR+T細胞組成物の約2.5×105個の細胞を、1μg/mlのCAR特異的抗イディオタイプ抗体を用いて、10~10000nMの範囲の濃度の3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(化合物B)もしくは(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオン(化合物A)、またはビヒクル対照の存在下で、37℃、5%CO2で一晩刺激した。一晩インキュベートした後、抗CD19 CAR発現T細胞を抗体で染色し、フローサイトメトリーによって分析して、蛍光強度中央値(MFI)によって測定した場合のCD4+CAR+細胞またはCD8+CAR+細胞におけるIkarosおよびAiolosの細胞内レベルを評価した。IkarosおよびAiolosの蛍光強度中央値(MFI)を正規化し、ビヒクル対照に対する百分率として計算した。
【0544】
化合物Bまたは化合物Aのいずれかとのインキュベーション後に、抗CD19で刺激したCAR発現T細胞において、細胞内IkarosおよびAiolos発現の濃度依存的減少が観察された(図1)。AiolosおよびIkarosの発現を減少させるためのEC50を、阻害剤の非存在下でAiolosまたはIkarosのMFIをその最大MFIの50%に減少させる阻害剤の濃度から決定されるように計算した。化合物Bおよび化合物AのEC50値を、5人のドナーの平均として表E1に示す(95%信頼区間に基づいてドナー間の範囲を示す)。結果は、CAR発現T細胞におけるIkarosおよびAiolosの化合物媒介性分解において、化合物Aが化合物Bよりも約10~20倍強力であることを示す。
【0545】
(表E1)CAR+T細胞におけるAiolosおよびIkarosのEC50(nM)。
【0546】
実施例2:長期刺激後のCAR T機能に対する免疫調節化合物の評価
抗CD19 CAR発現T細胞組成物(1:1の比で組み合わされたCD4+およびCD8+T細胞を含有する)を、実質的に実施例1に記載されるように3人の異なる健常ドナーから作製した。
【0547】
慢性刺激の影響を評価するために、抗CD19 CAR発現T細胞を、30μg/mLのプレート結合抗イディオタイプ(抗ID)抗体とのインキュベーションによって6日間にわたって刺激した(例えば国際公開公報第2018/023100号参照)。6日目の培養物から採取した細胞、または慢性的に刺激されていない同じドナーからの新たに解凍した抗CD19 CAR発現細胞を、K562.CD19標的細胞と5日間共培養し、細胞溶解活性およびサイトカイン産生能を評価した。図2Aに示されるように、IFN-γおよびIL-2分泌のレベルが、同じドナーからの新たに解凍した抗CD19 CAR発現T細胞によるサイトカイン産生と比較して、慢性刺激された細胞(例えば枯渇表現型を示す)では低下した。慢性刺激された抗CD19 CAR発現細胞による細胞溶解活性もまた、腫瘍細胞数の減少によって証明されるように、新たに解凍した細胞と比較して低下した(図2B)。結果は、6日間培養物がCAR-T細胞を慢性刺激条件に供し、T細胞の枯渇状態をもたらしたという結論と一致した。細胞を慢性刺激条件に供するために、CAR+T細胞を30μg/mLのプレート結合抗イディオタイプ(抗ID)抗体(例えば国際公開公報第2018/023100号参照)と共にインキュベートし、滴定量の3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(化合物B)または(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオン(化合物A)の存在下で37℃で6日間インキュベートした。
【0548】
培養中のT細胞の増殖を評価し、3人のドナーについて図2Cに示す(平均±SEM)。示されるように、免疫調節化合物の存在はCAR T細胞数を減少させた。生存率を、処理の6日目に、生/死染料を使用したフローサイトメトリーによって評価した。図2D(平均±SEM)に示されるように、3μg/mLの抗ID(左のパネル)または30μg/mLの抗ID(右のパネル)のいずれかで刺激を行った場合、免疫調節化合物は細胞生存率に影響を及ぼさなかった。合わせると、結果は、細胞生存率に影響を及ぼすことなく、細胞倍加に対する免疫調節化合物の効果を実証する。
【0549】
細胞周期に対する可能性のある効果を解明するために、3日間の刺激および免疫調節化合物での処理後2時間のEDU取り込みを使用して細胞周期を決定した。図2Eの結果は、免疫調節化合物による処理が細胞周期のG1期にあるCAR T細胞の割合を増加させたことを示す。漸増濃度の免疫調節化合物における細胞周期のG1期にある細胞の割合を図2Fに示す(左のパネル3μg/mL抗ID、右のパネル30μg/mL抗ID)。理論に拘束されることを望まないが、免疫調節化合物で処理した場合の細胞周期のG1期にあるCAR T細胞の蓄積は、免疫調節化合物が慢性刺激中の枯渇の開始を制限する機構の1つを説明し得る。
【0550】
30μg/mLの抗IDで24時間または72時間刺激したCAR T細胞における細胞内サイトカインレベルを決定した。T細胞を、ゴルジ阻害剤の存在下で抗ID結合ビーズと共に4時間培養した。IFNγ、パーフォリン、グランザイムB、およびIL-2の細胞内サイトカインレベルを、フローサイトメトリーによって決定した。図2Gに示されるように、免疫調節化合物による細胞の処理は、平均蛍光強度によって決定されるように、エフェクターサイトカイン(IFNγ、パーフォリン、グランザイムB)の細胞内発現を増加させたが、IL-2産生には有意な変化がなかった。サイトカインについて陽性の細胞の割合を測定した場合、同様の結果が観察された。
【0551】
実施例3:長期刺激中の同時処理後のCAR T機能に対する免疫調節化合物の効果
抗CD19 CAR発現T細胞を、実質的に実施例1に記載されるように作製した。細胞を慢性刺激条件に供するために、CAR+T細胞を、(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオン(化合物A)またはビヒクル対照の存在下で、30μg/mLのプレート結合抗イディオタイプ(抗ID)抗体(例えば国際公開公報第2018/023100号参照)で6日間刺激して、慢性刺激を誘導した。6日間の培養期間後、抗CD19 CAR発現T細胞を培養物から取り出し、別段の指示がない限り2.5:1のエフェクター対標的比で、0.001μM~10μMの範囲の濃度の化合物Aまたはビヒクル対照の存在下で、10日間まで、CD19(K562.CD19)、Raji腫瘍細胞、およびGranta-519腫瘍細胞で形質導入されたK562細胞と共にインキュベートした(CAR-T細胞を再チャレンジするため)。K562.CD19、Raji、およびGranta-519腫瘍細胞を染料で標識して、アッセイ中の顕微鏡法による腫瘍細胞溶解のモニタリングを可能にした。慢性刺激条件に供されていない、新たに解凍した抗CD19 CAR発現T細胞を、対照としてスフェロイドと並行してインキュベートした。細胞を、細胞溶解機能、CAR T細胞数、およびサイトカイン産生について様々な時点で評価した。
【0552】
化合物Aでの同時処理による長期の慢性刺激後、CAR T細胞を、CD19発現標的細胞による再チャレンジ後のIkaros発現またはCAR T機能について評価した。
【0553】
A. Ikaros発現
化合物A(1nM、10nM、または100nM)の存在下で慢性刺激に供したCAR T細胞におけるIkarosの発現を、Ikarosに対する抗体を用いた細胞内フローサイトメトリー分析によって測定した。図3Aに示されるように、100nMの化合物Aで処理した慢性刺激細胞ではIkaros発現の減少が維持されたが、10nMでは維持されなかった。
【0554】
B. 細胞溶解活性
化合物A(0.001μMまたは0.01μM)の存在下で同時に抗IDで6日間刺激したCAR T細胞を、化合物なしで洗浄し、化合物Aの非存在下で1:1のエフェクター対標的(E:T)比でCD19+腫瘍細胞と共培養した。評価したCD19+腫瘍細胞には、CD19(K562.CD19)を形質導入されたK562細胞、Raji細胞、またはGranta-519細胞が含まれた。図3Bに示されるように、経時的な腫瘍細胞数によって測定される細胞溶解活性は、CD19発現標的細胞による再チャレンジ前の化合物の非存在下(対照)と比較して、化合物Aの存在下で同時にインキュベートされた慢性刺激細胞で改善された。これらの結果は、免疫調節化合物が慢性刺激に応答して枯渇した表現型の発生を低減または防止することができるという所見と一致する。
【0555】
C. スフェロイド腫瘍成長アッセイ
化合物A(0.001μMまたは0.01μM)の存在下で同時に抗IDで6日間刺激したCAR T細胞を、Granta-519腫瘍スフェロイドとのインキュベーションによって共培養し、CAR T細胞の細胞溶解機能およびサイトカイン機能を様々な時点で評価した。比較のために、1μMまたは0.1μMの化合物Bの存在下で抗IDで同様に慢性刺激した細胞についても、細胞溶解活性を評価した。CAR-T細胞との共培養後の様々な時点での腫瘍スフェロイドサイズの平均測定値をモニターした。図3Cに示されるように、抗IDによる慢性刺激中の化合物Aの同時処理は、Granta-519スフェロイド成長を減少させるための改善された細胞溶解機能を有するCAR T細胞を産生した。9日後の平均腫瘍体積を図3Dに示しており、これは、化合物AがGranta-519腫瘍スフェロイドに対するCAR-T細胞の細胞溶解機能を有意に増加させたことを実証する。図3Eは、慢性刺激および化合物Aとの同時インキュベーション後に抗CD19 CAR T細胞と共培養したとき、9日目に3次元スフェロイドとして成長したGranta-519腫瘍細胞の代表的な画像を示す。細胞溶解機能の改善は、化合物Bよりも化合物Aとの同時処理でより大きかった(図3C)。
【0556】
サイトカイン(IFNγ、IL-2およびTNFα)を、CD19腫瘍スフェロイドと5日間共培養した上記の慢性刺激CAR T細胞の上清から測定した。対照細胞(化合物A免疫調節化合物で同時処理しなかった慢性刺激細胞)と比較したlog2倍率変化を図3Fに示す。図3Gは、3人のドナーおよび2つの独立した実験からのプールしたデータから決定した、5日間の共培養後に測定された上清からの平均IFNγ濃度を示す(各処理間の統計学的に有意な差を*P<.05、***P<.001、および****P<.0001として示す)。示されるように、化合物Aで同時処理した慢性刺激細胞とインキュベートした培養物において、IFNγの統計学的に有意な増加があった。
【0557】
結果は、慢性刺激中などの枯渇を促進することができる状態の間、免疫調節化合物の存在が、CAR T細胞の機能を改善または保存し、CAR T細胞の枯渇を制限、低減、または防止することができることをさらに裏付ける。合わせると、上記の結果は、CAR抗原に応答してなどの、潜在的に枯渇を引き起こし得る条件下を含む、CAR T細胞機能を改善するための化合物Aのような免疫調節化合物の使用を支持する。化合物Aによるそのような効果は、他の免疫調節化合物よりも優れている可能性があり、Ikaros分解に対する化合物Aの10~20倍の効力のために、より低い用量でも達成することができる。
【0558】
D. 遺伝子発現
上記の共培養の5日後に腫瘍スフェロイドから選別した抗CD19 CAR T細胞の遺伝子発現解析を、長期刺激したCAR発現T細胞または長期刺激を受けていないCAR発現T細胞から単離したRNAから調製した相補的DNA(cDNA)試料に対するRNA配列決定(RNA-seq)によって解析した。RNA-seqのライブラリーを、Illumina NextSeqシステムで配列決定した。リードをヒト参照ゲノムGRCh38にマッピングし、遺伝子発現レベルをArray Studioで定量化した。差次的発現(DE、RNA-seq用)分析を、DESeq2を使用して行った。
【0559】
図3Hのボルケーノプロットは、長期刺激および化合物Aとのその後のインキュベーションの両方の後の抗CD19 CAR-T細胞における遺伝子発現の、長期刺激アッセイにおいて慢性刺激されなかった抗CD19 CAR+T細胞と比較した、慢性刺激された抗CD19 CAR+T細胞における遺伝子発現(x軸)に対する慢性刺激対照(y軸)についてのlog2倍率変化(log2FC)を示す。図3Iは、慢性刺激および慢性刺激中の10nMの化合物Aによって誘導された遺伝子発現プロファイル(log2倍率変化)に対する効果の比較を示す。左上象限の点は慢性刺激によって誘導された遺伝子を表し、右下象限の点は化合物Aによって逆転された遺伝子を表す。
【0560】
差次的に発現された遺伝子の経路濃縮分析を、clusterProfilerを使用して行った。図3Jは、Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes(KEGG)の経路濃縮分析を示し、T細胞機能に関連する経路が強調されている。KEGGを使用した抗CD19 CAR T細胞RNA-seqデータの経路分析は、T細胞機能に関与する経路が濃縮されていることを明らかにした。これらの結果は、慢性刺激後、T細胞機能に関与する経路に関与する遺伝子の発現変化が、化合物Aとの同時処理で化合物Aによって逆転され得るという所見と一致する。
【0561】
実施例4:長期刺激後のCAR T機能を救済するための免疫調節化合物の効果
実施例1に記載されるように作製した3人のドナー由来の抗CD19 CAR発現T細胞を、慢性刺激を誘導するための条件下で刺激し(低機能の枯渇したT細胞を産生するため)、その後、(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオン(化合物A)またはビヒクル対照で処理(救済)した。実質的に実施例3に記載されるように、ただし化合物Aの非存在下で、30μg/mLのプレート結合抗イディオタイプ(抗ID)抗体でCAR T細胞を6日間刺激することによって、長期の慢性刺激を実施した。慢性刺激後、CAR-T細胞を化合物Aの存在下でCD19発現標的細胞で再チャレンジし、細胞溶解活性またはサイトカイン産生を評価した。
【0562】
A. 細胞溶解活性
抗IDで6日間刺激したCAR T細胞を、化合物A(0.001μMまたは0.01μM)の存在下で1:1のエフェクター対標的(E:T)比で、CD19+腫瘍細胞と共培養した。評価したCD19+腫瘍細胞には、CD19(K562.CD19)を形質導入されたK562細胞、Raji細胞、またはGranta-519細胞が含まれた。図4Aに示されるように、慢性刺激した細胞を、化合物の非存在下(対照)と比較して、化合物Aの存在下でCD19発現細胞で再チャレンジしたとき、経時的な腫瘍細胞数によって測定される細胞溶解活性の統計学的に有意な改善があった。これらの結果は、免疫調節化合物が慢性刺激によって引き起こされる枯渇した表現型を救済することができるという所見と一致する。
【0563】
B. スフェロイド腫瘍成長アッセイ
抗IDで6日間刺激したCAR T細胞を、化合物A(0.001μMまたは0.01μM)の存在下または非存在下で、Granta-519腫瘍スフェロイドとのインキュベーションによって共培養した。細胞を、細胞溶解機能およびサイトカイン機能について様々な時点で評価した。比較のために、同様に抗IDで慢性的に刺激し、続いて1μMまたは0.1μMの化合物Bの存在下で共培養した細胞についても、細胞溶解活性を評価した。CAR-T細胞との共培養後9日目の腫瘍スフェロイドサイズの平均測定値を評価した。図4Bに示されるように、化合物Aによる救済処理は、CAR T細胞の細胞溶解性を改善して、Granta-519スフェロイド成長を減少させた。細胞溶解機能の改善は、化合物Bよりも化合物Aによる救済処理後により大きかった。サイトカイン(IFNγ、IL-2、およびTNFα)を、CD19腫瘍スフェロイドと5日間共培養した上記の慢性刺激CAR T細胞の上清から測定した。対照細胞(免疫調節化合物で処理しなかった慢性刺激細胞)と比較したlog2倍率変化を、図4Cに示す。示されるように、CD19発現腫瘍スフェロイドによる再チャレンジ中に化合物Aでその後処理した慢性刺激細胞とインキュベートした培養物において、IFNγの統計学的に有意な増加があった。
【0564】
A549.CD19腫瘍スフェロイドモデルをさらに使用して、化合物のT細胞調節活性を解明した。A549.CD19腫瘍スフェロイド成長は、免疫調節化合物による単剤療法処理に非感受性である。抗IDで6日間刺激したCAR T細胞を、化合物A(0.001μM、0.01μM、または0.1μM)の存在下で、A549.CD19腫瘍スフェロイドとのインキュベーションによって共培養した。CAR-T細胞との共培養後9日目の腫瘍スフェロイドサイズの平均測定値を評価した。図5Aに示されるように、化合物Aによる救済処理は、CAR T細胞の細胞溶解性を改善して、A549.CD19スフェロイド成長を減少させた。5日目に測定した、腫瘍スフェロイドとの共培養物中のCAR T細胞の数は、化合物Aによる処理で増加した(図5B)。図5Cは、慢性的に刺激した抗CD19 CAR T細胞との9日間の共培養および化合物Aの救済インキュベーション後のGranta-519スフェロイドおよびA549.CD19スフェロイドの代表的な画像を示す。図5Dは、抗CD19 CAR T細胞および化合物Aとの共培養後の経時的な腫瘍スフェロイドサイズの平均測定値を示す。
【0565】
サイトカイン(IFNγ、IL-2、およびTNFα)を、CD19腫瘍スフェロイドと5日間共培養した上記の慢性刺激CAR T細胞の上清から測定した。対照細胞(免疫調節化合物で同時処理しなかった慢性刺激細胞)と比較したlog2倍率変化を図5Eに示す。示されるように、CD19発現腫瘍スフェロイドによる再チャレンジ中に化合物Aでその後処理した慢性刺激細胞とインキュベートした培養物において、IFNγの統計学的に有意な増加があった。図5Fは、3人のドナーおよび2つの独立した実験からのデータからプールした5日目の共培養物上清から測定した平均IFNγ濃度を示す(各処理間の統計学的に有意な差を、*P<.05および****P<.0001として示す)。
【0566】
これらの結果は、化合物Aなどの免疫調節化合物が枯渇したCAR T細胞を救済するかまたは逆転させることができることをさらに裏付ける。この結果は、免疫調節化合物に感受性であることが公知のGrantaスフェロイドと、免疫調節化合物に耐性であるA549.CD19スフェロイドの両方を含む、生理学的に関連する3Dスフェロイド腫瘍培養モデルで観察された。評価したすべての免疫調節化合物がCAR T細胞機能を救済する能力を示すが、化合物Aは、化合物Bと比較して抗腫瘍機能を救済する優れた能力を示し、はるかに低い用量で効果が観察されたため、より強力であった。
【0567】
C. 遺伝子発現
RNA-seqによる遺伝子発現分析を、実質的に実施例3に記載されるように実施した。図5Gのボルケーノプロットは、慢性刺激中の各救済インキュベーションによって誘導された、差次的に発現された遺伝子を示す。図5Hは、10nMの化合物Aの救済処理によって誘導された遺伝子発現プロファイル(log2倍率変化)に対する効果の比較を示す。左上象限の点は慢性刺激によって誘導された遺伝子を表し、右下象限の点は化合物Aによって逆転された遺伝子を表す。図5Iは、KEGG経路濃縮分析を示し、T細胞機能および細胞周期に関連する経路が強調されている。
【0568】
これらの結果は、慢性刺激後、T細胞機能に関与する経路に関与する遺伝子の発現変化も、実施例3に記載される化合物Aとの同時処理後の結果と同様に、救済処理で化合物Aによって逆転され得るという所見と一致する。興味深いことに、救済実験のKEGG分析は、慢性刺激誘導遺伝子のセットが濃縮された特定の細胞増殖経路の変化が化合物Aによって逆転され得ることを見出した。
【0569】
実施例5:CAR T細胞耐性株における抗CD19 CAR T細胞機能に対する免疫調節化合物の効果
抗CD19 CAR T細胞を、(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオン(化合物A)(0.001μM、0.01μM、または0.1μM)の存在下で、1:1のエフェクター対標的(E:T)比で、RL CD19+腫瘍細胞と共培養した。急性細胞溶解活性を、経時的な腫瘍細胞数によって測定した。図6Aに示されるように、RL腫瘍細胞株は、0.01μMまたは0.1μM用量の化合物A単剤療法に対して感受性であった。化合物Aの存在下でのCAR T細胞とRL耐性腫瘍細胞との共培養は、細胞溶解性CAR T細胞機能を改善した。
【0570】
細胞溶解活性を、スフェロイドモデルにおいても評価した。約5,000個のRL細胞を、5,000個の抗CD19 CAR T細胞(1:1のE:T比)の添加の48時間前に播種した。抗CD19 CAR T細胞を、化合物B(1μM)または化合物A(0.001μM、0.01μM、もしくは0.1μM)の存在下で、RL腫瘍スフェロイドと共培養した。腫瘍サイズを、CAR T細胞とのインキュベーション後4日目に評価した。図6Bは、RL腫瘍スフェロイドが、特に化合物Bの1μM用量または化合物Aの0.01μMもしくは0.1μM用量で、免疫調節化合物に対して感受性であったことを示す。試験したすべての用量で、抗CD19 CAR T細胞と免疫調節化合物との組み合わせで、腫瘍サイズの減少が観察された。
【0571】
RL細胞をさらに使用して、抗CD19 CAR T細胞を枯渇から救済するかまたは逆転させる免疫調節化合物の能力を評価した。抗CD19 CAR発現T細胞を、慢性刺激を誘導する条件下で刺激し、その後、化合物B(1μM)または化合物A(0.001μM、0.01μM、もしくは0.1μM)、またはビヒクル対照で処理(救済)した。実質的に実施例3に記載されるように、30μg/mLのプレート結合抗イディオタイプ(抗ID)抗体でCAR T細胞を6日間刺激することによって、長期の慢性刺激を実施した。慢性刺激後、CAR-T細胞を化合物Bまたは化合物Aの存在下で、RL細胞と共に培養した。細胞溶解活性を、培養物中の腫瘍細胞数を測定することによって、経時的に評価した。図6Cに示されるように、化合物Bまたは化合物Aのいずれかによる救済処理は、CAR T細胞の細胞溶解活性を実質的に改善して、RL細胞の増殖を減少させた。これらの結果は、評価した免疫調節化合物が、慢性的に刺激された抗CD19 CAR T細胞を救済して、RL耐性株のクリアランスを可能にし得ることを実証した。
【0572】
実施例6:急性CAR T細胞機能に対する細胞免疫調節化合物の効果
抗CD19 CAR T細胞のエフェクターおよび増殖活性を、化合物Aの存在下または非存在下でのインキュベーション後に評価した。抗CD19 CAR+T細胞組成物を、実施例1に記載されるように作製した。
【0573】
A. サイトカイン産生
抗CD19 CAR T細胞を、ビヒクル対照(対照)または化合物Aで処理しながら、CARに対するアゴニスト抗体(30μg/mL;国際公開公報第2018/023100号)で刺激した。細胞内サイトカインを、処理の3日後に細胞内サイトカイン染色(ICS)を用いて測定した。図7Aは、培養物中のビヒクル対照と比較したサイトカインの平均蛍光強度(MFI)のlog2倍率変化に基づいて描かれたサイトカイン発現のヒートマップを示す。結果は、化合物Aが抗CD19 CAR T細胞によるエフェクターサイトカイン産生を増強することを実証する。
【0574】
B. 細胞溶解活性
化合物Aで3日間処理した後、抗CD19 CAR T細胞を、細胞溶解アッセイを用いてRajiまたはGranta-519リンパ腫細胞と共培養した。細胞溶解活性を評価するために、標的細胞をNucLight Red(NLR)で標識して、蛍光顕微鏡法による追跡を可能にした。殺傷活性を、動的蛍光顕微鏡法(INCUCYTE(登録商標)Live Cell Analysis System, Essen Bioscienceを使用)による経時的な蛍光シグナルの損失によって決定されるように、200時間にわたって生存可能な標的細胞の損失を測定することによって評価した。腫瘍細胞数を時間ゼロに対して正規化し、経時的に測定した(平均±SEM)。
【0575】
図7Bは、ビヒクル対照(化合物Aなし)および腫瘍のみと比較した、1nM、10nM、または100nMの化合物Aで処理した抗CD19 CAR T細胞の腫瘍細胞数を示す。結果は、抗CD19 CAR T細胞と化合物Aとのインキュベーションが、このアッセイにおいて標的細胞に対するそれらの細胞溶解活性を改善したことを示した。
【0576】
C. 増殖
抗CD19 CAR T細胞の細胞周期および増殖を、Click-iT(商標)EdU Cell Proliferation Kitを使用して細胞を標識することによって測定し、その後、調製した細胞をフローサイトメトリーによってDNA含有量について分析した。抗CD19 CAR T細胞の数を、IncuCyte(登録商標)Live-Cell Analysis Systemを使用して経時的に測定した。
【0577】
細胞数の分析に基づいて、図7Cは、ビヒクル対照(化合物Aなし)と比較した、1nM、10nM、または100nMの化合物Aとのインキュベーション後の抗CD19 CAR T細胞の倍率変化を示す。示されるように、化合物Aによる処理は、抗CD19 CAR T細胞の増殖を減少させた。増殖の減少に対する効果をさらに評価するために、フローサイトメトリーによってDNA含有量を分析することにより、細胞周期を測定した。図7Dは、G1期にある細胞の割合のプロットを示す(3人のドナーおよび2つの独立した実験からプールしたデータからの平均±SEM)。データは、化合物Aで処理したCAR T細胞において、G1期の細胞の割合の統計学的に有意な増加があることを示した(各処理間の統計学的に有意な差を、***P<.001および****P<.0001として示す)。
【0578】
D. 結論
この実施例における結果は、急性活性化中の化合物Aによる臨床的に適切な濃度での処理が、抗CD19 CAR T細胞のエフェクターサイトカイン産生および細胞溶解機能を増加させたが、増殖速度を遅らせたことを示した。
【0579】
本発明は、特定の開示された態様に範囲が限定されることを意図されず、それらは、例えば本発明の様々な局面を例示するために提供される。記載される組成物および方法に対する様々な改変が、本明細書における説明および教示から明らかになるであろう。そのような変形は、本開示の真の範囲および精神から逸脱することなく実施され得、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
【0580】
配列
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
【配列表】
2022554353000001.app
【国際調査報告】