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  • 特表-抗BCMA剤のための投与レジメン 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(54)【発明の名称】抗BCMA剤のための投与レジメン
(51)【国際特許分類】
   C07K 19/00 20060101AFI20221221BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20221221BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20221221BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20221221BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20221221BHJP
   C07K 14/76 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
C07K19/00 ZNA
C07K16/28
C12N15/62 Z
C12N15/13
C12N15/12
C07K14/76
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022526108
(86)(22)【出願日】2020-05-08
(85)【翻訳文提出日】2022-05-18
(86)【国際出願番号】 EP2020062876
(87)【国際公開番号】W WO2021094000
(87)【国際公開日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】19208417.6
(32)【優先日】2019-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513105328
【氏名又は名称】アムジェン リサーチ (ミュニック) ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(71)【出願人】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュティークルマイヤー,ユリア
(72)【発明者】
【氏名】フーバー,ビルギット
(72)【発明者】
【氏名】ミネラ,アレグザンダー
(72)【発明者】
【氏名】ウプレティ,ビジャイ
【テーマコード(参考)】
4H045
【Fターム(参考)】
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA70
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、BCMA陽性新生物の治療のための抗BCMA剤の投与量及び投与に関する。より具体的には、本発明は、BCMA陽性新生物の治療又は改善での使用のための、BCMAに結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、本抗体コンストラクトの半減期を延長させるか又は促進する第3のドメインと、を含む抗体コンストラクトに関し、この抗体コンストラクトは、少なくとも1サイクルで指定用量で投与される。さらに、本発明は、指定された用量のこのような抗体コンストラクトを投与することを含むBCMA陽性新生物の治療のための方法、及びBCMA陽性新生物の治療のための薬剤の製造のためのこのような抗体コンストラクトの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
BCMA陽性新生物の治療又は改善での使用のための、BCMAに結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、抗体コンストラクトの半減期を延長する第3のドメインと、を含む抗体コンストラクトであって、少なくとも1サイクルにおいて800μg/日の最小用量で投与され、1サイクルが、前記抗体コンストラクトの少なくとも3回の個々の投与を含む、抗体コンストラクト。
【請求項2】
2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25回又はそれより多いサイクルにわたり投与される、請求項1に記載の抗体コンストラクト。
【請求項3】
1サイクルが、約25~30日、好ましくは26又は27日~約29日、より好ましくは約28日を有する、請求項1又は2に記載の抗体コンストラクト。
【請求項4】
800μg/日~12mg/日、例えば1000μg、1200μg、1500μg、1600μg、2000μg、2500μg、3000μg、3500μg、4000μg、4500μg、5000μg、5500μg、6000μg、6500μg、7000μg、7500μg、8000μg、8500μg、9000μg、9500μg、10mg、11mg又は12mg/日などの用量で投与される、請求項1~3の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項5】
初回サイクル中に1又は2つの用量段階で投与される、請求項1~4の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項6】
第1の用量が800μg/日~1200μg/日であり、任意選択的な第2の用量が、2500μg/日~5000μg/日、好ましくは約3000μg/日又は約4500μg/日であり、最終用量(目標用量)が、6500μg/日~12mg/日、例えば6500μg/日、7000μg/日、7500μg/日、8000μg/日、8500μg/日、9000μg/日、9500μg/日、10mg/日、11mg/日又は12mg/日である、請求項5に記載の抗体コンストラクト。
【請求項7】
前記初回サイクルが、前記抗体コンストラクトの、3~6回の個々の投与、好ましくは4又は5回の個々の投与を含むか又はそれからなる、請求項1~6の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項8】
第2のサイクル中及び任意選択的に何らかの続くサイクル中に一定用量で投与される、請求項2~7の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項9】
非経口的に、好ましくは静脈内、より好ましくは静脈内ボーラス注射、ボーラス注入又は短時間静脈内注入を介して投与される、請求項1~8の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項10】
前記BCMA陽性新生物が、多発性骨髄腫、再発性及び/又は難治性の多発性骨髄腫、重鎖多発性骨髄腫、軽鎖多発性骨髄腫、髄外骨髄腫、形質細胞腫、形質細胞白血病、ワルデンストローム大グロブリン血症及びくすぶり型骨髄腫からなる群から選択される、請求項1~9の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項11】
請求項1~10の何れか1項に記載の抗体コンストラクトであって、
a)前記抗体コンストラクトが単鎖ポリペプチドであり、
b)前記第1のドメインがscFvの形式であり、
c)前記第2のドメインがscFvの形式であり、及び/又は
d)前記第1のドメイン及び前記第2のドメインが、リンカー、好ましくはペプチドリンカー、より好ましくはグリシン/セリンリンカーを介して連結される、
抗体コンストラクト。
【請求項12】
請求項1~11の何れか1項に記載の抗体コンストラクトであって、
a)標的細胞の表面上のBCMAに結合するドメインを含む抗体若しくは抗体コンストラクトであって、前記ドメインが、配列番号171に示されるようなCDR-H1、配列番号172に示されるようなCDR-H2及び配列番号173に示されるようなCDR-H3を含むVH領域と、配列番号174に示されるようなCDR-L1、配列番号175に示されるようなCDR-L2及び配列番号176に示されるようなCDR-L3を含むVL領域と、を含む、抗体若しくは抗体コンストラクト;
b)標的細胞の表面上のBCMAに結合するドメインを含む抗体若しくは抗体コンストラクトであって、前記ドメインが、配列番号177に示されるようなVH領域と配列番号178に示されるようなVL領域とを含む、抗体若しくは抗体コンストラクト;
c)標的細胞の表面上のBCMAに結合するドメインを含む抗体コンストラクトであって、前記ドメインが、配列番号179に示されるようなアミノ酸配列を含む、抗体コンストラクト;又は
d)配列番号661に示されるようなアミノ酸配列を有する抗体コンストラクト
とBCMAへの結合について競合するか又はそれと同じBCMAのエピトープに結合する、抗体コンストラクト。
【請求項13】
請求項1~12の何れか1項に記載の抗体コンストラクトであって、
a)T細胞の表面上のCD3に結合するドメインを含む抗体若しくは抗体コンストラクトであって、前記ドメインが、配列番号636に示されるようなCDR-H1、配列番号637に示されるようなCDR-H2及び配列番号638に示されるようなCDR-H3を含むVH領域と、配列番号633に示されるようなCDR-L1、配列番号634に示されるようなCDR-L2、配列番号635に示されるようなCDR-L3を含むVL領域と、を含む、抗体若しくは抗体コンストラクト;
b)T細胞の表面上のCD3に結合するドメインを含む抗体若しくは抗体コンストラクトであって、前記ドメインが、配列番号639に示されるようなVH領域と配列番号641に示されるようなVL領域とを含む、抗体若しくは抗体コンストラクト;
c)T細胞の表面上のCD3に結合するドメインを含む抗体コンストラクトであって、前記ドメインが、配列番号642に示されるようなアミノ酸配列を含む、抗体コンストラクト;又は
d)配列番号661に示されるようなアミノ酸配列を有する抗体コンストラクト
とCD3への結合について競合するか又はそれと同じCD3のエピトープに結合する、抗体コンストラクト。
【請求項14】
BCMAに結合する前記第1のドメインが、
(1)配列番号1に示されるようなCDR-H1、配列番号2に示されるようなCDR-H2、配列番号3に示されるようなCDR-H3、配列番号4に示されるようなCDR-L1、配列番号5に示されるようなCDR-L2及び配列番号6に示されるようなCDR-L3;
(2)配列番号11に示されるようなCDR-H1、配列番号12に示されるようなCDR-H2、配列番号13に示されるようなCDR-H3、配列番号14に示されるようなCDR-L1、配列番号15に示されるようなCDR-L2及び配列番号16に示されるようなCDR-L3;
(3)配列番号21に示されるようなCDR-H1、配列番号22に示されるようなCDR-H2、配列番号23に示されるようなCDR-H3、配列番号24に示されるようなCDR-L1、配列番号25に示されるようなCDR-L2及び配列番号26に示されるようなCDR-L3;
(4)配列番号31に示されるようなCDR-H1、配列番号32に示されるようなCDR-H2、配列番号33に示されるようなCDR-H3、配列番号34に示されるようなCDR-L1、配列番号35に示されるようなCDR-L2及び配列番号36に示されるようなCDR-L3;
(5)配列番号41に示されるようなCDR-H1、配列番号42に示されるようなCDR-H2、配列番号43に示されるようなCDR-H3、配列番号44に示されるようなCDR-L1、配列番号45に示されるようなCDR-L2及び配列番号46に示されるようなCDR-L3;
(6)配列番号51に示されるようなCDR-H1、配列番号52に示されるようなCDR-H2、配列番号53に示されるようなCDR-H3、配列番号54に示されるようなCDR-L1、配列番号55に示されるようなCDR-L2及び配列番号56に示されるようなCDR-L3;
(7)配列番号61に示されるようなCDR-H1、配列番号62に示されるようなCDR-H2、配列番号63に示されるようなCDR-H3、配列番号64に示されるようなCDR-L1、配列番号65に示されるようなCDR-L2及び配列番号66に示されるようなCDR-L3;
(8)配列番号71に示されるようなCDR-H1、配列番号72に示されるようなCDR-H2、配列番号73に示されるようなCDR-H3、配列番号74に示されるようなCDR-L1、配列番号75に示されるようなCDR-L2及び配列番号76に示されるようなCDR-L3;
(9)配列番号81に示されるようなCDR-H1、配列番号82に示されるようなCDR-H2、配列番号83に示されるようなCDR-H3、配列番号84に示されるようなCDR-L1、配列番号85に示されるようなCDR-L2及び配列番号86に示されるようなCDR-L3;
(10)配列番号91に示されるようなCDR-H1、配列番号92に示されるようなCDR-H2、配列番号93に示されるようなCDR-H3、配列番号94に示されるようなCDR-L1、配列番号95に示されるようなCDR-L2及び配列番号96に示されるようなCDR-L3;
(11)配列番号101に示されるようなCDR-H1、配列番号102に示されるようなCDR-H2、配列番号103に示されるようなCDR-H3、配列番号104に示されるようなCDR-L1、配列番号105に示されるようなCDR-L2及び配列番号106に示されるようなCDR-L3;
(12)配列番号111に示されるようなCDR-H1、配列番号112に示されるようなCDR-H2、配列番号113に示されるようなCDR-H3、配列番号114に示されるようなCDR-L1、配列番号115に示されるようなCDR-L2及び配列番号116に示されるようなCDR-L3;
(13)配列番号121に示されるようなCDR-H1、配列番号122に示されるようなCDR-H2、配列番号123に示されるようなCDR-H3、配列番号124に示されるようなCDR-L1、配列番号125に示されるようなCDR-L2及び配列番号126に示されるようなCDR-L3;
(14)配列番号131に示されるようなCDR-H1、配列番号132に示されるようなCDR-H2、配列番号133に示されるようなCDR-H3、配列番号134に示されるようなCDR-L1、配列番号135に示されるようなCDR-L2及び配列番号136に示されるようなCDR-L3;
(15)配列番号141に示されるようなCDR-H1、配列番号142に示されるようなCDR-H2、配列番号143に示されるようなCDR-H3、配列番号144に示されるようなCDR-L1、配列番号145に示されるようなCDR-L2及び配列番号146に示されるようなCDR-L3;
(16)配列番号151に示されるようなCDR-H1、配列番号152に示されるようなCDR-H2、配列番号153に示されるようなCDR-H3、配列番号154に示されるようなCDR-L1、配列番号155に示されるようなCDR-L2及び配列番号156に示されるようなCDR-L3;
(17)配列番号161に示されるようなCDR-H1、配列番号162に示されるようなCDR-H2、配列番号163に示されるようなCDR-H3、配列番号164に示されるようなCDR-L1、配列番号165に示されるようなCDR-L2及び配列番号166に示されるようなCDR-L3;
(18)配列番号171に示されるようなCDR-H1、配列番号172に示されるようなCDR-H2、配列番号173に示されるようなCDR-H3、配列番号174に示されるようなCDR-L1、配列番号175に示されるようなCDR-L2及び配列番号176に示されるようなCDR-L3;
(19)配列番号181に示されるようなCDR-H1、配列番号182に示されるようなCDR-H2、配列番号183に示されるようなCDR-H3、配列番号184に示されるようなCDR-L1、配列番号185に示されるようなCDR-L2及び配列番号186に示されるようなCDR-L3;
(20)配列番号191に示されるようなCDR-H1、配列番号192に示されるようなCDR-H2、配列番号193に示されるようなCDR-H3、配列番号194に示されるようなCDR-L1、配列番号195に示されるようなCDR-L2及び配列番号196に示されるようなCDR-L3;
(21)配列番号201に示されるようなCDR-H1、配列番号202に示されるようなCDR-H2、配列番号203に示されるようなCDR-H3、配列番号204に示されるようなCDR-L1、配列番号205に示されるようなCDR-L2及び配列番号206に示されるようなCDR-L3;
(22)配列番号211に示されるようなCDR-H1、配列番号212に示されるようなCDR-H2、配列番号213に示されるようなCDR-H3、配列番号214に示されるようなCDR-L1、配列番号215に示されるようなCDR-L2及び配列番号216に示されるようなCDR-L3;
(23)配列番号221に示されるようなCDR-H1、配列番号222に示されるようなCDR-H2、配列番号223に示されるようなCDR-H3、配列番号224に示されるようなCDR-L1、配列番号225に示されるようなCDR-L2及び配列番号226に示されるようなCDR-L3;
(24)配列番号231に示されるようなCDR-H1、配列番号232に示されるようなCDR-H2、配列番号233に示されるようなCDR-H3、配列番号234に示されるようなCDR-L1、配列番号235に示されるようなCDR-L2及び配列番号236に示されるようなCDR-L3;
(25)配列番号241に示されるようなCDR-H1、配列番号242に示されるようなCDR-H2、配列番号243に示されるようなCDR-H3、配列番号244に示されるようなCDR-L1、配列番号245に示されるようなCDR-L2及び配列番号246に示されるようなCDR-L3;
(26)配列番号251に示されるようなCDR-H1、配列番号252に示されるようなCDR-H2、配列番号253に示されるようなCDR-H3、配列番号254に示されるようなCDR-L1、配列番号255に示されるようなCDR-L2及び配列番号256に示されるようなCDR-L3;
(27)配列番号261に示されるようなCDR-H1、配列番号262に示されるようなCDR-H2、配列番号263に示されるようなCDR-H3、配列番号264に示されるようなCDR-L1、配列番号265に示されるようなCDR-L2及び配列番号266に示されるようなCDR-L3;
(28)配列番号271に示されるようなCDR-H1、配列番号272に示されるようなCDR-H2、配列番号273に示されるようなCDR-H3、配列番号274に示されるようなCDR-L1、配列番号275に示されるようなCDR-L2及び配列番号276に示されるようなCDR-L3;
(29)配列番号281に示されるようなCDR-H1、配列番号282に示されるようなCDR-H2、配列番号283に示されるようなCDR-H3、配列番号284に示されるようなCDR-L1、配列番号285に示されるようなCDR-L2及び配列番号286に示されるようなCDR-L3;
(30)配列番号291に示されるようなCDR-H1、配列番号292に示されるようなCDR-H2、配列番号293に示されるようなCDR-H3、配列番号294に示されるようなCDR-L1、配列番号295に示されるようなCDR-L2及び配列番号296に示されるようなCDR-L3;
(31)配列番号301に示されるようなCDR-H1、配列番号302に示されるようなCDR-H2、配列番号303に示されるようなCDR-H3、配列番号304に示されるようなCDR-L1、配列番号305に示されるようなCDR-L2及び配列番号306に示されるようなCDR-L3;
(32)配列番号311に示されるようなCDR-H1、配列番号312に示されるようなCDR-H2、配列番号313に示されるようなCDR-H3、配列番号314に示されるようなCDR-L1、配列番号315に示されるようなCDR-L2及び配列番号316に示されるようなCDR-L3;
(33)配列番号321に示されるようなCDR-H1、配列番号322に示されるようなCDR-H2、配列番号323に示されるようなCDR-H3、配列番号324に示されるようなCDR-L1、配列番号325に示されるようなCDR-L2及び配列番号326に示されるようなCDR-L3;
(34)配列番号331に示されるようなCDR-H1、配列番号332に示されるようなCDR-H2、配列番号333に示されるようなCDR-H3、配列番号334に示されるようなCDR-L1、配列番号335に示されるようなCDR-L2及び配列番号336に示されるようなCDR-L3;
(35)配列番号341に示されるようなCDR-H1、配列番号342に示されるようなCDR-H2、配列番号343に示されるようなCDR-H3、配列番号344に示されるようなCDR-L1、配列番号345に示されるようなCDR-L2及び配列番号346に示されるようなCDR-L3;
(36)配列番号351に示されるようなCDR-H1、配列番号352に示されるようなCDR-H2、配列番号353に示されるようなCDR-H3、配列番号354に示されるようなCDR-L1、配列番号355に示されるようなCDR-L2及び配列番号356に示されるようなCDR-L3;
(37)配列番号361に示されるようなCDR-H1、配列番号362に示されるようなCDR-H2、配列番号363に示されるようなCDR-H3、配列番号364に示されるようなCDR-L1、配列番号365に示されるようなCDR-L2及び配列番号366に示されるようなCDR-L3;
(38)配列番号371に示されるようなCDR-H1、配列番号372に示されるようなCDR-H2、配列番号373に示されるようなCDR-H3、配列番号374に示されるようなCDR-L1、配列番号375に示されるようなCDR-L2及び配列番号376に示されるようなCDR-L3;
(39)配列番号381に示されるようなCDR-H1、配列番号382に示されるようなCDR-H2、配列番号383に示されるようなCDR-H3、配列番号384に示されるようなCDR-L1、配列番号385に示されるようなCDR-L2及び配列番号386に示されるようなCDR-L3;
(40)配列番号391に示されるようなCDR-H1、配列番号392に示されるようなCDR-H2、配列番号393に示されるようなCDR-H3、配列番号394に示されるようなCDR-L1、配列番号395に示されるようなCDR-L2及び配列番号396に示されるようなCDR-L3;
(41)配列番号401に示されるようなCDR-H1、配列番号402に示されるようなCDR-H2、配列番号403に示されるようなCDR-H3、配列番号404に示されるようなCDR-L1、配列番号405に示されるようなCDR-L2及び配列番号406に示されるようなCDR-L3;
(42)配列番号411に示されるようなCDR-H1、配列番号412に示されるようなCDR-H2、配列番号413に示されるようなCDR-H3、配列番号414に示されるようなCDR-L1、配列番号415に示されるようなCDR-L2及び配列番号416に示されるようなCDR-L3;
(43)配列番号421に示されるようなCDR-H1、配列番号422に示されるようなCDR-H2、配列番号423に示されるようなCDR-H3、配列番号424に示されるようなCDR-L1、配列番号425に示されるようなCDR-L2及び配列番号426に示されるようなCDR-L3;
(44)配列番号431に示されるようなCDR-H1、配列番号432に示されるようなCDR-H2、配列番号433に示されるようなCDR-H3、配列番号434に示されるようなCDR-L1、配列番号435に示されるようなCDR-L2及び配列番号436に示されるようなCDR-L3;
(45)配列番号441に示されるようなCDR-H1、配列番号442に示されるようなCDR-H2、配列番号443に示されるようなCDR-H3、配列番号444に示されるようなCDR-L1、配列番号445に示されるようなCDR-L2及び配列番号446に示されるようなCDR-L3;
(46)配列番号451に示されるようなCDR-H1、配列番号452に示されるようなCDR-H2、配列番号453に示されるようなCDR-H3、配列番号454に示されるようなCDR-L1、配列番号455に示されるようなCDR-L2及び配列番号456に示されるようなCDR-L3;
(47)配列番号461に示されるようなCDR-H1、配列番号462に示されるようなCDR-H2、配列番号463に示されるようなCDR-H3、配列番号464に示されるようなCDR-L1、配列番号465に示されるようなCDR-L2及び配列番号466に示されるようなCDR-L3;
(48)配列番号471に示されるようなCDR-H1、配列番号472に示されるようなCDR-H2、配列番号473に示されるようなCDR-H3、配列番号474に示されるようなCDR-L1、配列番号475に示されるようなCDR-L2及び配列番号476に示されるようなCDR-L3;
(49)配列番号481に示されるようなCDR-H1、配列番号482に示されるようなCDR-H2、配列番号483に示されるようなCDR-H3、配列番号484に示されるようなCDR-L1、配列番号485に示されるようなCDR-L2及び配列番号486に示されるようなCDR-L3;
(50)配列番号491に示されるようなCDR-H1、配列番号492に示されるようなCDR-H2、配列番号493に示されるようなCDR-H3、配列番号494に示されるようなCDR-L1、配列番号495に示されるようなCDR-L2及び配列番号496に示されるようなCDR-L3;
(51)配列番号501に示されるようなCDR-H1、配列番号502に示されるようなCDR-H2、配列番号503に示されるようなCDR-H3、配列番号504に示されるようなCDR-L1、配列番号505に示されるようなCDR-L2及び配列番号506に示されるようなCDR-L3;
(52)配列番号511に示されるようなCDR-H1、配列番号512に示されるようなCDR-H2、配列番号513に示されるようなCDR-H3、配列番号514に示されるようなCDR-L1、配列番号515に示されるようなCDR-L2及び配列番号516に示されるようなCDR-L3;及び
(53)配列番号521に示されるようなCDR-H1、配列番号522に示されるようなCDR-H2、配列番号523に示されるようなCDR-H3、配列番号524に示されるようなCDR-L1、配列番号525に示されるようなCDR-L2及び配列番号526に示されるようなCDR-L3
から選択される、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3を含むVH領域とCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3を含むVLと、を含む、請求項1~13の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項15】
BCMAに結合する前記第1のドメインが、配列番号7、17、27、37、47、57、67、77、87、97、107、117、127、137、147、157、167、177、187、197、207、217、227、237、247、257、267、277、287、307、317、327、337、347、357、367、377、387、397、407、417、427、437、447、457、467、477、487、497、507、517及び527に示されるものからなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH領域を含む、請求項1~14の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項16】
BCMAに結合する前記第1のドメインが、配列番号8、18、28、38、48、58、68、78、88、98、108、118、128、138、148、158、168、178、188、198、208、218、228、238、248、258、268、278、288、298、308、318、328、338、348、358、368、378、388、398、408、418、428、438、448、458、468、478、488、498、508、518及び528に示されるものからなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL領域を含む、請求項1~15の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項17】
BCMAに結合する前記第1のドメインが、
(1)配列番号7に示されるようなVH領域及び配列番号8に示されるようなVL領域;
(2)配列番号17に示されるようなVH領域及び配列番号18に示されるようなVL領域;
(3)配列番号27に示されるようなVH領域及び配列番号28に示されるようなVL領域;
(4)配列番号37に示されるようなVH領域及び配列番号38に示されるようなVL領域;
(5)配列番号47に示されるようなVH領域及び配列番号48に示されるようなVL領域;
(6)配列番号57に示されるようなVH領域及び配列番号58に示されるようなVL領域;
(7)配列番号67に示されるようなVH領域及び配列番号68に示されるようなVL領域;
(8)配列番号77に示されるようなVH領域及び配列番号78に示されるようなVL領域;
(9)配列番号87に示されるようなVH領域及び配列番号88に示されるようなVL領域;
(10)配列番号97に示されるようなVH領域及び配列番号98に示されるようなVL領域;
(11)配列番号107に示されるようなVH領域及び配列番号108に示されるようなVL領域;
(12)配列番号117に示されるようなVH領域及び配列番号118に示されるようなVL領域;
(13)配列番号127に示されるようなVH領域及び配列番号128に示されるようなVL領域;
(14)配列番号137に示されるようなVH領域及び配列番号138に示されるようなVL領域;
(15)配列番号147に示されるようなVH領域及び配列番号148に示されるようなVL領域;
(16)配列番号157に示されるようなVH領域及び配列番号158に示されるようなVL領域;
(17)配列番号167に示されるようなVH領域及び配列番号168に示されるようなVL領域;
(18)配列番号177に示されるようなVH領域及び配列番号178に示されるようなVL領域;
(19)配列番号187に示されるようなVH領域及び配列番号188に示されるようなVL領域;
(20)配列番号197に示されるようなVH領域及び配列番号198に示されるようなVL領域;
(21)配列番号207に示されるようなVH領域及び配列番号208に示されるようなVL領域;
(22)配列番号217に示されるようなVH領域及び配列番号218に示されるようなVL領域;
(23)配列番号227に示されるようなVH領域及び配列番号228に示されるようなVL領域;
(24)配列番号237に示されるようなVH領域及び配列番号238に示されるようなVL領域;
(25)配列番号247に示されるようなVH領域及び配列番号248に示されるようなVL領域;
(26)配列番号257に示されるようなVH領域及び配列番号258に示されるようなVL領域;
(27)配列番号267に示されるようなVH領域及び配列番号268に示されるようなVL領域;
(28)配列番号277に示されるようなVH領域及び配列番号278に示されるようなVL領域;
(29)配列番号287に示されるようなVH領域及び配列番号288に示されるようなVL領域;
(30)配列番号297に示されるようなVH領域及び配列番号298に示されるようなVL領域;
(31)配列番号307に示されるようなVH領域及び配列番号308に示されるようなVL領域;
(32)配列番号317に示されるようなVH領域及び配列番号318に示されるようなVL領域;
(33)配列番号327に示されるようなVH領域及び配列番号328に示されるようなVL領域;
(34)配列番号337に示されるようなVH領域及び配列番号338に示されるようなVL領域;
(35)配列番号347に示されるとおりのVH領域及び配列番号348に示されるとおりのVL領域;
(36)配列番号357に示されるようなVH領域及び配列番号358に示されるようなVL領域;
(37)配列番号367に示されるようなVH領域及び配列番号368に示されるようなVL領域;
(38)配列番号377に示されるようなVH領域及び配列番号378に示されるようなVL領域;
(39)配列番号387に示されるようなVH領域及び配列番号388に示されるようなVL領域;
(40)配列番号397に示されるようなVH領域及び配列番号398に示されるようなVL領域;
(41)配列番号407に示されるようなVH領域及び配列番号408に示されるようなVL領域;
(42)配列番号417に示されるようなVH領域及び配列番号418に示されるようなVL領域;
(43)配列番号427に示されるようなVH領域及び配列番号428に示されるようなVL領域;
(44)配列番号437に示されるようなVH領域及び配列番号438に示されるようなVL領域;
(45)配列番号447に示されるようなVH領域及び配列番号448に示されるようなVL領域;
(46)配列番号457に示されるようなVH領域及び配列番号458に示されるようなVL領域;
(47)配列番号467に示されるようなVH領域及び配列番号468に示されるようなVL領域;
(48)配列番号477に示されるようなVH領域及び配列番号478に示されるようなVL領域;
(49)配列番号487に示されるようなVH領域及び配列番号488に示されるようなVL領域;
(50)配列番号497に示されるようなVH領域及び配列番号498に示されるようなVL領域;
(51)配列番号507に示されるようなVH領域及び配列番号508に示されるようなVL領域;
(52)配列番号517に示されるようなVH領域及び配列番号518に示されるようなVL領域;及び
(53)配列番号527に示されるようなVH領域及び配列番号528に示されるようなVL領域
からなる群から選択されるVH領域及びVL領域を含む、請求項1~16の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項18】
BCMAに結合する前記第1のドメインが、配列番号9、19、29、39、49、59、69、79、89、109、129、139、149、159、169、179、189、199、209、219、229、239、249、259、269、279、289、299、309、319、329、339、349、359、369、379、389、399、409、419、429、439、449、459、469、479、489、499、519及び529からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むか又はそれからなる、請求項1~17の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項19】
CD3に結合する前記第2のドメインが、
(a)配列番号542に示されるようなCDR-L1、配列番号543に示されるようなCDR-L2及び配列番号544に示されるようなCDR-L3;
(b)配列番号599に示されるようなCDR-L1、配列番号600に示されるようなCDR-L2及び配列番号601に示されるようなCDR-L3;及び
(c)配列番号621に示されるようなCDR-L1、配列番号622に示されるようなCDR-L2及び配列番号623に示されるようなCDR-L3
からなる群から選択されるCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3を含むVL領域を含む、請求項1~18の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項20】
CD3に結合する前記第2のドメインが、
(a)配列番号534に示されるようなCDR-H1、配列番号535に示されるようなCDR-H2及び配列番号536に示されるようなCDR-H3;
(b)配列番号545に示されるようなCDR-H1、配列番号546に示されるようなCDR-H2及び配列番号547に示されるようなCDR-H3;
(c)配列番号557に示されるようなCDR-H1、配列番号558に示されるようなCDR-H2及び配列番号559に示されるようなCDR-H3;
(d)配列番号568に示されるようなCDR-H1、配列番号569に示されるようなCDR-H2及び配列番号570に示されるようなCDR-H3;
(e)配列番号579に示されるようなCDR-H1、配列番号580に示されるようなCDR-H2及び配列番号581に示されるようなCDR-H3;
(f)配列番号591に示されるようなCDR-H1、配列番号592に示されるようなCDR-H2及び配列番号593に示されるようなCDR-H3;
(g)配列番号602に示されるようなCDR-H1、配列番号603に示されるようなCDR-H2及び配列番号604に示されるようなCDR-H3;
(h)配列番号613に示されるようなCDR-H1、配列番号614に示されるようなCDR-H2及び配列番号615に示されるようなCDR-H3;
(i)配列番号624に示されるようなCDR-H1、配列番号625に示されるようなCDR-H2及び配列番号626に示されるようなCDR-H3;及び
(j)配列番号636に示されるようなCDR-H1、配列番号637に示されるようなCDR-H2及び配列番号638に示されるようなCDR-H3
からなる群から選択されるCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3を含むVH領域を含む、請求項1~19の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項21】
CD3に結合する前記第2のドメインが、
(a)配列番号531に示されるようなCDR-L1、配列番号532に示されるようなCDR-L2、配列番号533に示されるようなCDR-L3、配列番号534に示されるようなCDR-H1、配列番号535に示されるようなCDR-H2及び配列番号536に示されるようなCDR-H3;
(b)配列番号542に示されるようなCDR-L1、配列番号543に示されるようなCDR-L2、配列番号544に示されるようなCDR-L3、配列番号545に示されるようなCDR-H1、配列番号546に示されるようなCDR-H2及び配列番号547に示されるようなCDR-H3;
(c)配列番号554に示されるようなCDR-L1、配列番号555に示されるようなCDR-L2、配列番号556に示されるようなCDR-L3、配列番号557に示されるようなCDR-H1、配列番号558に示されるようなCDR-H2及び配列番号559に示されるようなCDR-H3;
(d)配列番号565に示されるようなCDR-L1、配列番号566に示されるようなCDR-L2、配列番号567に示されるようなCDR-L3、配列番号568に示されるようなCDR-H1、配列番号569に示されるようなCDR-H2及び配列番号570に示されるようなCDR-H3;
(e)配列番号576に示されるようなCDR-L1、配列番号577に示されるようなCDR-L2、配列番号578に示されるようなCDR-L3、配列番号579に示されるようなCDR-H1、配列番号580に示されるようなCDR-H2及び配列番号581に示されるようなCDR-H3;
(f)配列番号588に示されるようなCDR-L1、配列番号589に示されるようなCDR-L2、配列版号590に示されるようなCDR-L3、配列番号591に示されるようなCDR-H1、配列番号592に示されるようなCDR-H2及び配列番号593に示されるようなCDR-H3;
(g)配列番号599に示されるようなCDR-L1、配列番号600に示されるようなCDR-L2、配列番号601に示されるようなCDR-L3、配列番号602に示されるようなCDR-H1、配列番号603に示されるようなCDR-H2及び配列番号604に示されるようなCDR-H3;
(h)配列番号610に示されるようなCDR-L1、配列番号611に示されるようなCDR-L2、配列番号612に示されるようなCDR-L3、配列番号613に示されるようなCDR-H1、配列番号614に示されるようなCDR-H2及び配列番号615に示されるようなCDR-H3;
(i)配列番号621に示されるようなCDR-L1、配列番号622に示されるようなCDR-L2、配列番号623に示されるようなCDR-L3、配列番号624に示されるようなCDR-H1、配列番号625に示されるようなCDR-H2及び配列番号626に示されるようなCDR-H3;及び
(j)配列番号633に示されるようなCDR-L1、配列番号634に示されるようなCDR-L2、配列番号635に示されるようなCDR-L3、配列番号636に示されるようなCDR-H1、配列番号637に示されるようなCDR-H2及び配列番号638に示されるようなCDR-H3
からなる群から選択される、CDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3を含むVL領域とCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3を含むVH領域と、を含む、請求項1~20の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項22】
CD3に結合する前記第2のドメインが、配列番号550、配列番号551、配列番号584、配列番号585、配列番号629及び配列番号630に示されるものからなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL領域を含む、請求項1~21の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項23】
CD3に結合する前記第2のドメインが、配列番号537、配列番号538、配列番号548、配列番号549、配列番号560、配列番号561、配列番号571、配列番号572、配列番号582、配列番号583、配列番号594、配列番号595、配列番号605、配列番号606、配列番号616、配列番号617、配列番号627、配列番号628、配列番号639、配列番号640及び配列番号644に示されるものからなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH領域を含む、請求項1~22の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項24】
CD3に結合する前記第2のドメインが、
(a)配列番号539又は521に示されるようなVL領域及び配列番号537又は538に示されるようなVH領域;
(b)配列番号550又は521に示されるようなVL領域及び配列番号548又は549に示されるようなVH領域;
(c)配列番号562又は521に示されるようなVL領域及び配列番号560又は561に示されるようなVH領域;
(d)配列番号573又は521に示されるようなVL領域及び配列番号571又は572に示されるようなVH領域;
(e)配列番号584又は585に示されるようなVL領域及び配列番号582又は583に示されるようなVH領域;
(f)配列番号596又は521に示されるようなVL領域及び配列番号594又は595に示されるようなVH領域;
(g)配列番号607又は585に示されるようなVL領域及び配列番号605又は606に示されるようなVH領域;
(h)配列番号618又は521に示されるようなVL領域及び配列番号616又は617に示されるようなVH領域;
(i)配列番号629又は630に示されるようなVL領域及び配列番号627又は628に示されるようなVH領域;
(j)配列番号641又は630に示されるようなVL領域及び配列番号639又は640に示されるようなVH領域;及び
(k)配列番号645に示されるようなVL領域及び配列番号644に示されるようなVH領域
からなる群から選択されるVL領域及びVH領域を含む、請求項1~23の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項25】
CD3に結合する前記第2のドメインが、配列番号540、541、552、553、563、564、574、575、586、587、597、598、608、609、619、620、631、632、642、643及び646に示されるものからなる群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むか又はそれからなる、請求項1~24の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項26】
配列番号10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520及び530に示されるものからなる群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、請求項1~25の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項27】
N末端からC末端の順に、
(a)前記第1のドメイン;
(b)配列番号687、693及び694からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するペプチドリンカー;
(c)前記第2のドメイン;
(d)配列番号686、687、688、689、690、691、692、693又は694からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するペプチドリンカー;
(e)第1のポリペプチド単量体(ヒンジ、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含む);
(f)配列番号695、696、697、698又は699からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するペプチドリンカー;及び
(g)第2のポリペプチド単量体(ヒンジ、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含む)
を含む、請求項1~26の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項28】
N末端からC末端の順に、
(a)配列番号9、19、29、39、49、59、69、79、89、109、129、139、149、159、169、179、189、199、209、219、229、239、249、259、269、279、289、299、309、319、329、339、349、359、369、379、389、399、409、419、429、439、449、459、469、479、489、499、519及び529からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する第1のドメインであって;これらの配列内に含まれ、配列番号694を有するペプチドリンカーが、配列番号686~693及び695~699の何れか1つに置き換えられ得る、第1のドメイン;
(b)配列番号687、693及び694からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するペプチドリンカー;
(c)配列番号540、541、552、553、563、564、574、575、586、587、597、598、608、609、619、620、631、632、642、643及び646からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する第2のドメインであって;これらの配列内に含まれ、配列番号694を有するペプチドリンカーが、配列番号686~693及び695~699の何れか1つに置き換えられ得る、第2のドメイン;
(d)配列番号686、687、688、689、690、691、692、693及び694からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するペプチドリンカー;及び
(e)配列番号700~707からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する第3のドメイン
を含む、請求項1~27の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項29】
N末端からC末端の順に、
(a)配列番号10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520及び530に示されるものからなる群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチド;
(b)配列番号686に示されるようなアミノ酸配列を有するリンカー;及び
(c)配列番号700に示されるようなアミノ酸配列を有するポリペプチド
を含む、請求項1~28の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項30】
約75~約200kDa、約80~約175kDa、約85~約150kDa、約90~約130kDa、約95~約120kDa及び好ましくは約100~約115kDa又は約105~約110kDaの分子量を有する、請求項1~29の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項31】
排泄半減期(T1/2)が、約3~約14日、約4~約12日、約3又は4~約10日、約3又は4~約8日又は約5~約7日である、請求項1~30の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、BCMA陽性新生物の治療のための抗BCMA剤の投与量及び投与に関する。より具体的には、本発明は、BCMA陽性新生物の治療又は改善での使用のための、BCMAに結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、抗体コンストラクトの半減期を延長させるか又は促進する第3のドメインと、を含む抗体コンストラクトに関し、この抗体コンストラクトは、少なくとも1サイクルにおいて指定用量で投与される。さらに、本発明は、指定された用量のこのような抗体コンストラクトを投与することを含む、BCMA陽性新生物の治療のための方法及びBCMA陽性新生物の治療のための薬剤の製造のためのこのような抗体コンストラクトの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
多発性骨髄腫(MM)は、骨髄で増殖し、パラプロテインを放出する形質細胞の悪性腫瘍である。得られる臨床検査の状況としては、感染症、骨破壊、骨髄不全、腎不全及び高カルシウム血症が挙げられる。年齢調整された年間発生率は増加しており、100,000人あたりおよそ6人の新規症例がある。発生率は、米国の黒人集団で白人よりも2倍高い。MMに関する5年生存率は、1975年に新たに診断された患者の場合は約25%だったものが、2006年には約45%に上昇した。この改善は、主にプロテアソーム阻害剤及び免疫調節剤などの新薬によるものである。しかし、MMは、現在のアプローチでは治癒可能とみなされていない。プロテアソーム阻害剤及び免疫調節剤に無反応である患者は、全生存期間の中央値が9カ月と好ましくない転帰を示す。
【0003】
del17p13陽性MMの亜群など、リスクの高い集団では転帰が特に悪い。多くの薬剤がMM用に臨床開発中であるが、新しい治療選択肢が依然として必要とされている。症候性疾患を示す患者は、最初に一次導入療法で治療され、その後、適格な患者で自家幹細胞サポートを用いた高用量化学療法が行われる。集中治療の対象となる患者は、年齢(上限として65~75歳)、併存症なし及び腎機能に損傷がないことによって決定される。このレジメンは若く健康な患者の生存率を改善したが、奏効期間の中央値は、3年を超えず、10年を超えて疾患がないままである患者は、殆どいなかった。
【0004】
改善の深度を深め、期間を延長させるために、地固め及び維持アプローチが試験された。有効性又は忍容性がないために維持療法が困難であるため、誘導、地固め又は維持ジメンに新しい治療法を追加することにより、移植環境での生存転帰を改善する選択肢が依然としてある。高用量療法の対象とならない患者は、通常、移植候補者と同様の誘導レジメンを受ける。これらのレジメンには、プロテアソーム阻害剤であるボルテゾミブ又はメルファランに基づくサリドマイドとの組み合わせが含まれる。高齢患者におけるメルファラン-サリドマイド-プレドニゾン(MPT)全生存期間(OS)の中央値は、40カ月である。デキサメタゾンと組み合わせたレナリドマイドは、再発/難治性MMのための標準的なレジメンであるが、移植不適格患者では第1選択の設定に移行し得る。
【0005】
再発した状況における他の確立されたレジメンは、反復誘導レジメン又はボルテゾミブ若しくはアルキル化剤との免疫調節剤に基づくサルベージ組み合わせ療法である。再発疾患の患者において、転帰の改善(無進行生存率(PFS)及びOS)が必要である。確立された治療に応答せず、治療が進行している患者は、治療時にOSが9カ月、治療なしで3カ月という悲惨な転帰をもたらす。依然として対処されていないニーズは、これらの患者で最も高くなる。
【0006】
BiTE(登録商標)(二特異性T細胞エンゲージャー)抗体コンストラクトなどの二特異性分子は、標的細胞上の選択された腫瘍関連表面抗原に特異的である(少なくとも)1つの結合ドメイン及びT細胞上のT細胞受容体複合体のサブユニットであるCD3に特異的である第2の結合ドメインを有する組み換えタンパク質コンストラクトである。それらの特別な設計により、BiTE(登録商標)抗体コンストラクトは、T細胞を標的細胞と一過性に結び付け、同時に標的細胞に対するT細胞の固有の細胞溶解能を強力に活性化するのに比類なく適している。第一世代、所謂「カノニカル」(非半減期延長)のBiTE(登録商標)抗体コンストラクト(国際公開第99/54440号パンフレット及び同第2005/040220号パンフレットを参照)は、AMG103(ブリナツモマブ、抗CD19x抗CD3)及びAMG110(ソリトマブ、抗EpCAMx抗CD3)として臨床に用いられるようになった。第1世代のカノニカルBiTE(登録商標)抗体コンストラクトのさらなる開発は、ヒト及びカリスリクス・ジャチュス(Callithrix jacchus)、サグイヌス・オエディプス(Saguinus oedipus)又はサイミリ・スシウレウス(Saimiri sciureus)のCD3イプシロン鎖のN末端のコンテクスト非依存的なエピトープに結合する二特異性抗体コンストラクトを提供した(国際公開第2008/119567号パンフレット)。臨床試験されたこの新しいCD3イプシロン結合ドメインを含む第1のBiTE(登録商標)分子は、AMG330であった。
【0007】
国際公開第2008/119567号パンフレットに記載されるような抗体コンストラクトは、身体からの迅速なクリアランスを受けると考えられ;従って、それらは、体内の殆どの部分に迅速に到達可能であり、迅速に作製可能であり、取り扱いが容易である一方で、それらのインビボでの持続性が短いことによって、それらのインビボ適用が制限され得る。この比較的小さい分子のインビボ半減期は短いため、治療効果を達成するために持続静脈内注入による継続投与が使用された。しかし、このような持続静脈内注入は、患者にとって不便な類のものであり、従って、より好都合な代替的治療アプローチの場合、それぞれの疾患の治療においてより効果的であることが実証された化合物の選出を妨げ得る。これは、同様の治療効果を保持し、同時に、より長い半減期を含め、好ましい薬物動態学的特性を有する二特異性治療剤の開発につながった。従って、所謂カノニカルなBiTE(登録商標)分子の重要なさらなる開発は、抗体コンストラクトの半減期を延長させるか又は促進するさらなるドメインの付加であった。得られた分子は、「HLE」(半減期が延長された)BiTE(登録商標)分子とも呼ばれ、例えば国際公開第2017/134140号パンフレットを参照のこと。
【0008】
B細胞成熟抗原(BCMA、TNFRSF17、CD269)は、TNF受容体スーパーファミリに属する膜貫通型タンパク質である。BCMAの発現は、後期の形質細胞分化中に選択的に誘導され、ナイーブ及びメモリーB細胞に存在しない。BCMAがそのリガンド(B細胞活性化因子(BAFF)及び増殖誘導リガンド(APRIL))に結合すると、骨髄形質細胞及び形質芽細胞の生存が促進される。BCMAは、正常なB細胞の恒常性を維持しないが、長寿命の形質細胞の生存に必要である。BCMA-/-マウスでの研究では、長寿命の骨髄形質細胞の生存が損なわれていることが示されたが、B細胞の発達及び初期の体液性免疫反応は、野生型マウスと区別がつかなかった。BCMAのmRNA発現は、悪性形質細胞障害で高く上昇している。対照的に、正常組織でのmRNA発現は非常に低く、正常な長寿命の形質細胞が存在するリンパ組織に限定されている。BCMAタンパク質の発現は、形質細胞のみに制限されることが報告されている。BCMAの発現は、形質芽球及び長寿命の形質細胞に限定されており、他の正常なヒト組織で検出できない。BCMAは、MM細胞の細胞表面に普遍的に発現し、悪性形質細胞では、正常な形質細胞で観察されるレベルよりも比較的高いレベルで発現する。BCMAの発現とMMの病期、最後の治療への奏効及び診断からの時間との間に相関関係はない。T細胞も、骨髄細胞も、CD34+造血幹細胞もBCMAを発現しない。BCMAの選択的発現は、抗体ベース及びキメラ抗原受容体(CAR)ベースの治療法の非常に魅力的な標的になる。
【0009】
AMG420(以前のBI836909)は、標的細胞上のBCMA並びにT細胞上のCD3-イプシロンに結合するカノニカル二特異性T細胞エンゲージャーである。これは、CTLの細胞溶解活性を標的細胞に向けることにより、MM細胞などのBCMA陽性標的細胞と細胞傷害性Tリンパ球(CTL)との間の架け橋として機能する。AMG420は、2つの単鎖可変断片(scFv)からなり、一方は、BCMAに向けられ、他方は、CD3に向けられる。scFv断片の各々は、グリシン/セリンリンカーで接続されたVH及びVLドメインからなる。2つのscFv断片は、グリシン/セリンリンカーでも接続される。AMG 701などの半減期延長抗BCMA x 抗CD3抗体コンストラクトは、国際公開第2017/134134号パンフレットで詳述されている。特にこのような半減期延長抗BCMA x 抗CD3分子を用いた、BCMA陽性新生物の治療のための治療剤の開発に対する、継続中の未だ対処されていない医学的ニーズがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第99/54440号
【特許文献2】国際公開第2005/040220号
【特許文献3】国際公開第2008/119567号
【特許文献4】国際公開第2017/134140号
【特許文献5】国際公開第2017/134134号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書の記載に基づき、当業者であれば、単なる日常的な実験により、本明細書に記載の本発明の特定の実施形態に対する多くの均等物を認識又は確認することができるであろう。このような均等物は、続く項目により包含されるものとする。
【0012】
項目1.BCMA陽性新生物の治療又は改善での使用のための、BCMAに結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、抗体コンストラクトの半減期を延長させる第3のドメインと、を含む抗体コンストラクトであって、少なくとも1サイクルで800μg/日の最小用量で投与され、1サイクルが、前記抗体コンストラクトの少なくとも3回の個別の投与を含む、抗体コンストラクト。
【0013】
項目2.2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25回又はそれを超えるサイクルにわたり投与される、項目1に記載の抗体コンストラクト。
【0014】
項目3.1サイクルが約25~約30日、好ましくは約26又は27~約29日及びそれを超え、好ましくは約28日を有する、項目1又は2に記載の抗体コンストラクト。
【0015】
項目4.800μg/日~12mg/日、例えば1000μg、1200μg、1500μg、1600μg、2000μg、2500μg、3000μg、3500μg、4000μg、4500μg、5000μg、5500μg、6000μg、6500μg、7000μg、7500μg、8000μg、8500μg、9000μg、9500μg、10mg、11mg又は12mg/日などの用量で投与される、項目1~3の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【0016】
項目5.初回サイクル中に1又は2つの用量段階で投与される、項目1~4の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【0017】
項目6.第1の用量が800μg/日~1200μg/日であり、任意選択的な第2の用量が2500μg/日~5000μg/日、好ましくは約3000μg/日又は約4500μg/日であり、最終用量(目標用量)が6500μg/日~12mg/日、例えば6500μg/日、7000μg/日、7500μg/日、8000μg/日、8500μg/日、9000μg/日、9500μg/日、10mg/日、11mg/日又は12mg/日である、項目5に記載の抗体コンストラクト。
【0018】
項目7.前記最初のサイクルが、前記抗体コンストラクトの、3~6回の個別の投与、好ましくは4又は5回の個別の投与を含むか又はそれからなる、項目1~6の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【0019】
項目7a.800μg/日の前記第1の用量が第1日に投与される、項目6又は7に記載の抗体コンストラクト。
【0020】
項目7b.項目7aに記載の抗体コンストラクトであって、
a)前記目標用量が第8日(+/-1又は2日)、第15日(+/-1又は2日)及び第22日(+/-1又は2日)に投与され、前記目標用量が、3000μg/日~12mg/日、例えば3000μg、3500μg、4000μg、4500μg、5000μg、5500μg、6000μg、6500μg、7000μg、7500μg、8000μg、8500μg、9000μg、9500μg、10mg、11mg又は12mg/日である;
b)前記目標用量が、第4日又は第5日(+/-1又は2日)、第12日(+/-1又は2日)及び第19日(+/-1又は2日)に投与され、前記目標用量がa)のように定められる;
c)前記目標用量が、第3日又は第4日(+/-1又は2日)、第8日(+/-1又は2日)、第15日(+/-1又は2日)及び第22日(+/-1又は2日)に投与され、前記目標用量がa)のように定められる;又は
d)前記第2の用量が第3日又は第4日(+/-1又は2日)に投与され、前記目標用量が第8日(+/-1又は2日)、第15日(+/-1又は2日)及び第22日(+/-1又は2日)に投与され、前記第2の用量が2500μg/日~5000μg/日、好ましくは約3000μg/日又は約4500μg/日であり、前記目標用量が第2の用量よりも多く、a)のように定められる、
抗体コンストラクト。
【0021】
項目8.第2のサイクル中及び任意選択的に何らかの続くサイクル中に一定用量で投与される、項目2~7の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【0022】
項目8a.前記一定用量が、前記初回サイクル中に投与される最大用量(目標用量)である、項目8に記載の抗体コンストラクト。
【0023】
項目8b.前記第2のサイクル中及び任意選択的に何らかの続くサイクル中に週1回投与される、項目2~8aの何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【0024】
項目9.非経口的に、好ましくは静脈内、より好ましくは静脈内ボーラス注射、ボーラス注入又は短時間静脈内注入を介して投与される、項目1~8の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【0025】
項目10.前記BCMA陽性新生物が、多発性骨髄腫、再発性及び/又は難治性多発性骨髄腫、重鎖多発性骨髄腫、軽鎖多発性骨髄腫、髄外骨髄腫、形質細胞腫、形質細胞白血病、ワルデンストローム大グロブリン血症並びにくすぶり型骨髄腫からなる群から選択される、項目1~9の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【0026】
項目10a.前記BCMA陽性新生物が多発性骨髄腫である、項目10に記載の抗体コンストラクト。
【0027】
項目10b.前記多発性骨髄腫が、再発性及び/又は難治性多発性骨髄腫、重鎖多発性骨髄腫、軽鎖多発性骨髄腫、髄外多発性骨髄腫及びくすぶり型多発性骨髄腫からなる群から選択される、項目10aに記載の抗体コンストラクト。
【0028】
項目11.項目1~9の何れか1項に記載の抗体コンストラクトであって、
a)前記抗体コンストラクトが単鎖ポリペプチドであり、
b)前記第1のドメインがscFvの形式であり、
c)前記第2のドメインが、scFvの形式であり、及び/又は
d)前記第1のドメイン及び前記第2のドメインが、リンカー、好ましくはペプチドリンカー、より好ましくはグリシン/セリンリンカーを介して接続される、
抗体コンストラクト。
【0029】
項目12.次のもの:
a)標的細胞の表面上のBCMAに結合するドメインを含む抗体若しくは抗体コンストラクトであって、前記ドメインが、配列番号171に示されるようなCDR-H1、配列番号172に示されるようなCDR-H2及び配列番号173に示されるようなCDR-H3を含むVH領域と、配列番号174に示されるようなCDR-L1、配列番号175に示されるようなCDR-L2及び配列番号176に示されるようなCDR-L3を含むVL領域と、を含む、抗体若しくは抗体コンストラクト;
b)標的細胞の表面上のBCMAに結合するドメインを含む抗体若しくは抗体コンストラクトであって、前記ドメインが、配列番号177に示されるようなVH領域と、配列番号178に示されるようなVL領域と、を含む、抗体若しくは抗体コンストラクト;
c)標的細胞の表面上のBCMAに結合するドメインを含む抗体コンストラクトであって、前記ドメインが、配列番号179に示されるようなアミノ酸配列を含む、抗体コンストラクト;又は
d)配列番号661に示されるようなアミノ酸配列を有する抗体コンストラクト
とBCMAへの結合に関して競合するか、又はそれと同じBCMAのエピトープに結合する、項目1~11の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【0030】
項目13.次のもの:
a)T細胞の表面上のCD3に結合するドメインを含む抗体若しくは抗体コンストラクトであって、前記ドメインが、配列番号636に示されるようなCDR-H1、配列番号637に示されるようなCDR-H2及び配列番号638に示されるようなCDR-H3を含むVH領域と、配列番号633に示されるようなCDR-L1、配列番号634に示されるようなCDR-L2、配列番号635に示されるようなCDR-L3を含むVL領域と、を含む、抗体若しくは抗体コンストラクト;
b)T細胞の表面上のCD3に結合するドメインを含む抗体若しくは抗体コンストラクトであって、前記ドメインが、配列番号639に示されるようなVH領域と、配列番号641に示されるようなVL領域と、を含む、抗体若しくは抗体コンストラクト;
c)T細胞の表面上のCD3に結合するドメインを含む抗体コンストラクトであって、前記ドメインが、配列番号642に示されるようなアミノ酸配列を含む、抗体コンストラクト;又は
d)配列番号661に示されるようなアミノ酸配列を有する抗体コンストラクト
とCD3への結合に関して競合するか、又はそれと同じCD3のエピトープに結合する、項目1~12の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【0031】
項目14.BCMAに結合する前記第1のドメインが、
(1)配列番号1に示されるようなCDR-H1、配列番号2に示されるようなCDR-H2、配列番号3に示されるようなCDR-H3、配列番号4に示されるようなCDR-L1、配列番号5に示されるようなCDR-L2及び配列番号6に示されるようなCDR-L3;
(2)配列番号11に示されるようなCDR-H1、配列番号12に示されるようなCDR-H2、配列番号13に示されるようなCDR-H3、配列番号14に示されるようなCDR-L1、配列番号15に示されるようなCDR-L2及び配列番号16に示されるようなCDR-L3;
(3)配列番号21に示されるようなCDR-H1、配列番号22に示されるようなCDR-H2、配列番号23に示されるようなCDR-H3、配列番号24に示されるようなCDR-L1、配列番号25に示されるようなCDR-L2及び配列番号26に示されるようなCDR-L3;
(4)配列番号31に示されるようなCDR-H1、配列番号32に示されるようなCDR-H2、配列番号33に示されるようなCDR-H3、配列番号34に示されるようなCDR-L1、配列番号35に示されるようなCDR-L2及び配列番号36に示されるようなCDR-L3;
(5)配列番号41に示されるようなCDR-H1、配列番号42に示されるようなCDR-H2、配列番号43に示されるようなCDR-H3、配列番号44に示されるようなCDR-L1、配列番号45に示されるようなCDR-L2及び配列番号46に示されるようなCDR-L3;
(6)配列番号51に示されるようなCDR-H1、配列番号52に示されるようなCDR-H2、配列番号53に示されるようなCDR-H3、配列番号54に示されるようなCDR-L1、配列番号55に示されるようなCDR-L2及び配列番号56に示されるようなCDR-L3;
(7)配列番号61に示されるようなCDR-H1、配列番号62に示されるようなCDR-H2、配列番号63に示されるようなCDR-H3、配列番号64に示されるようなCDR-L1、配列番号65に示されるようなCDR-L2及び配列番号66に示されるようなCDR-L3;
(8)配列番号71に示されるようなCDR-H1、配列番号72に示されるようなCDR-H2、配列番号73に示されるようなCDR-H3、配列番号74に示されるようなCDR-L1、配列番号75に示されるようなCDR-L2及び配列番号76に示されるようなCDR-L3;
(9)配列番号81に示されるようなCDR-H1、配列番号82に示されるようなCDR-H2、配列番号83に示されるようなCDR-H3、配列番号84に示されるようなCDR-L1、配列番号85に示されるようなCDR-L2及び配列番号86に示されるようなCDR-L3;
(10)配列番号91に示されるようなCDR-H1、配列番号92に示されるようなCDR-H2、配列番号93に示されるようなCDR-H3、配列番号94に示されるようなCDR-L1、配列番号95に示されるようなCDR-L2及び配列番号96に示されるようなCDR-L3;
(11)配列番号101に示されるようなCDR-H1、配列番号102に示されるようなCDR-H2、配列番号103に示されるようなCDR-H3、配列番号104に示されるようなCDR-L1、配列番号105に示されるようなCDR-L2及び配列番号106に示されるようなCDR-L3;
(12)配列番号111に示されるようなCDR-H1、配列番号112に示されるようなCDR-H2、配列番号113に示されるようなCDR-H3、配列番号114に示されるようなCDR-L1、配列番号115に示されるようなCDR-L2及び配列番号116に示されるようなCDR-L3;
(13)配列番号121に示されるようなCDR-H1、配列番号122に示されるようなCDR-H2、配列番号123に示されるようなCDR-H3、配列番号124に示されるようなCDR-L1、配列番号125に示されるようなCDR-L2及び配列番号126に示されるようなCDR-L3;
(14)配列番号131に示されるようなCDR-H1、配列番号132に示されるようなCDR-H2、配列番号133に示されるようなCDR-H3、配列番号134に示されるようなCDR-L1、配列番号135に示されるようなCDR-L2及び配列番号136に示されるようなCDR-L3;
(15)配列番号141に示されるようなCDR-H1、配列番号142に示されるようなCDR-H2、配列番号143に示されるようなCDR-H3、配列番号144に示されるようなCDR-L1、配列番号145に示されるようなCDR-L2及び配列番号146に示されるようなCDR-L3;
(16)配列番号151に示されるようなCDR-H1、配列番号152に示されるようなCDR-H2、配列番号153に示されるようなCDR-H3、配列番号154に示されるようなCDR-L1、配列番号155に示されるようなCDR-L2及び配列番号156に示されるようなCDR-L3;
(17)配列番号161に示されるようなCDR-H1、配列番号162に示されるようなCDR-H2、配列番号163に示されるようなCDR-H3、配列番号164に示されるようなCDR-L1、配列番号165に示されるようなCDR-L2及び配列番号166に示されるようなCDR-L3;
(18)配列番号171に示されるようなCDR-H1、配列番号172に示されるようなCDR-H2、配列番号173に示されるようなCDR-H3、配列番号174に示されるようなCDR-L1、配列番号175に示されるようなCDR-L2及び配列番号176に示されるようなCDR-L3;
(19)配列番号181に示されるようなCDR-H1、配列番号182に示されるようなCDR-H2、配列番号183に示されるようなCDR-H3、配列番号184に示されるようなCDR-L1、配列番号185に示されるようなCDR-L2及び配列番号186に示されるようなCDR-L3;
(20)配列番号191に示されるようなCDR-H1、配列番号192に示されるようなCDR-H2、配列番号193に示されるようなCDR-H3、配列番号194に示されるようなCDR-L1、配列番号195に示されるようなCDR-L2及び配列番号196に示されるようなCDR-L3;
(21)配列番号201に示されるようなCDR-H1、配列番号202に示されるようなCDR-H2、配列番号203に示されるようなCDR-H3、配列番号204に示されるようなCDR-L1、配列番号205に示されるようなCDR-L2及び配列番号206に示されるようなCDR-L3;
(22)配列番号211に示されるようなCDR-H1、配列番号212に示されるようなCDR-H2、配列番号213に示されるようなCDR-H3、配列番号214に示されるようなCDR-L1、配列番号215に示されるようなCDR-L2及び配列番号216に示されるようなCDR-L3;
(23)配列番号221に示されるようなCDR-H1、配列番号222に示されるようなCDR-H2、配列番号223に示されるようなCDR-H3、配列番号224に示されるようなCDR-L1、配列番号225に示されるようなCDR-L2及び配列番号226に示されるようなCDR-L3;
(24)配列番号231に示されるようなCDR-H1、配列番号232に示されるようなCDR-H2、配列番号233に示されるようなCDR-H3、配列番号234に示されるようなCDR-L1、配列番号235に示されるようなCDR-L2及び配列番号236に示されるようなCDR-L3;
(25)配列番号241に示されるようなCDR-H1、配列番号242に示されるようなCDR-H2、配列番号243に示されるようなCDR-H3、配列番号244に示されるようなCDR-L1、配列番号245に示されるようなCDR-L2及び配列番号246に示されるようなCDR-L3;
(26)配列番号251に示されるようなCDR-H1、配列番号252に示されるようなCDR-H2、配列番号253に示されるようなCDR-H3、配列番号254に示されるようなCDR-L1、配列番号255に示されるようなCDR-L2及び配列番号256に示されるようなCDR-L3;
(27)配列番号261に示されるようなCDR-H1、配列番号262に示されるようなCDR-H2、配列番号263に示されるようなCDR-H3、配列番号264に示されるようなCDR-L1、配列番号265に示されるようなCDR-L2及び配列番号266に示されるようなCDR-L3;
(28)配列番号271に示されるようなCDR-H1、配列番号272に示されるようなCDR-H2、配列番号273に示されるようなCDR-H3、配列番号274に示されるようなCDR-L1、配列番号275に示されるようなCDR-L2及び配列番号276に示されるようなCDR-L3;
(29)配列番号281に示されるようなCDR-H1、配列番号282に示されるようなCDR-H2、配列番号283に示されるようなCDR-H3、配列番号284に示されるようなCDR-L1、配列番号285に示されるようなCDR-L2及び配列番号286に示されるようなCDR-L3;
(30)配列番号291に示されるようなCDR-H1、配列番号292に示されるようなCDR-H2、配列番号293に示されるようなCDR-H3、配列番号294に示されるようなCDR-L1、配列番号295に示されるようなCDR-L2及び配列番号296に示されるようなCDR-L3;
(31)配列番号301に示されるようなCDR-H1、配列番号302に示されるようなCDR-H2、配列番号303に示されるようなCDR-H3、配列番号304に示されるようなCDR-L1、配列番号305に示されるようなCDR-L2及び配列番号306に示されるようなCDR-L3;
(32)配列番号311に示されるようなCDR-H1、配列番号312に示されるようなCDR-H2、配列番号313に示されるようなCDR-H3、配列番号314に示されるようなCDR-L1、配列番号315に示されるようなCDR-L2及び配列番号316に示されるようなCDR-L3;
(33)配列番号321に示されるようなCDR-H1、配列番号322に示されるようなCDR-H2、配列番号323に示されるようなCDR-H3、配列番号324に示されるようなCDR-L1、配列番号325に示されるようなCDR-L2及び配列番号326に示されるようなCDR-L3;
(34)配列番号331に示されるようなCDR-H1、配列番号332に示されるようなCDR-H2、配列番号333に示されるようなCDR-H3、配列番号334に示されるようなCDR-L1、配列番号335に示されるようなCDR-L2及び配列番号336に示されるようなCDR-L3;
(35)配列番号341に示されるようなCDR-H1、配列番号342に示されるようなCDR-H2、配列番号343に示されるようなCDR-H3、配列番号344に示されるようなCDR-L1、配列番号345に示されるようなCDR-L2及び配列番号346に示されるようなCDR-L3;
(36)配列番号351に示されるようなCDR-H1、配列番号352に示されるようなCDR-H2、配列番号353に示されるようなCDR-H3、配列番号354に示されるようなCDR-L1、配列番号355に示されるようなCDR-L2及び配列番号356に示されるようなCDR-L3;
(37)配列番号361に示されるようなCDR-H1、配列番号362に示されるようなCDR-H2、配列番号363に示されるようなCDR-H3、配列番号364に示されるようなCDR-L1、配列番号365に示されるようなCDR-L2及び配列番号366に示されるようなCDR-L3;
(38)配列番号371に示されるようなCDR-H1、配列番号372に示されるようなCDR-H2、配列番号373に示されるようなCDR-H3、配列番号374に示されるようなCDR-L1、配列番号375に示されるようなCDR-L2及び配列番号376に示されるようなCDR-L3;
(39)配列番号381に示されるようなCDR-H1、配列番号382に示されるようなCDR-H2、配列番号383に示されるようなCDR-H3、配列番号384に示されるようなCDR-L1、配列番号385に示されるようなCDR-L2及び配列番号386に示されるようなCDR-L3;
(40)配列番号391に示されるようなCDR-H1、配列番号392に示されるようなCDR-H2、配列番号393に示されるようなCDR-H3、配列番号394に示されるようなCDR-L1、配列番号395に示されるようなCDR-L2及び配列番号396に示されるようなCDR-L3;
(41)配列番号401に示されるようなCDR-H1、配列番号402に示されるようなCDR-H2、配列番号403に示されるようなCDR-H3、配列番号404に示されるようなCDR-L1、配列番号405に示されるようなCDR-L2及び配列番号406に示されるようなCDR-L3;
(42)配列番号411に示されるようなCDR-H1、配列番号412に示されるようなCDR-H2、配列番号413に示されるようなCDR-H3、配列番号414に示されるようなCDR-L1、配列番号415に示されるようなCDR-L2及び配列番号416に示されるようなCDR-L3;
(43)配列番号421に示されるようなCDR-H1、配列番号422に示されるようなCDR-H2、配列番号423に示されるようなCDR-H3、配列番号424に示されるようなCDR-L1、配列番号425に示されるようなCDR-L2及び配列番号426に示されるようなCDR-L3;
(44)配列番号431に示されるようなCDR-H1、配列番号432に示されるようなCDR-H2、配列番号433に示されるようなCDR-H3、配列番号434に示されるようなCDR-L1、配列番号435に示されるようなCDR-L2及び配列番号436に示されるようなCDR-L3;
(45)配列番号441に示されるようなCDR-H1、配列番号442に示されるようなCDR-H2、配列番号443に示されるようなCDR-H3、配列番号444に示されるようなCDR-L1、配列番号445に示されるようなCDR-L2及び配列番号446に示されるようなCDR-L3;
(46)配列番号451に示されるようなCDR-H1、配列番号452に示されるようなCDR-H2、配列番号453に示されるようなCDR-H3、配列番号454に示されるようなCDR-L1、配列番号455に示されるようなCDR-L2及び配列番号456に示されるようなCDR-L3;
(47)配列番号461に示されるようなCDR-H1、配列番号462に示されるようなCDR-H2、配列番号463に示されるようなCDR-H3、配列番号464に示されるようなCDR-L1、配列番号465に示されるようなCDR-L2及び配列番号466に示されるようなCDR-L3;
(48)配列番号471に示されるようなCDR-H1、配列番号472に示されるようなCDR-H2、配列番号473に示されるようなCDR-H3、配列番号474に示されるようなCDR-L1、配列番号475に示されるようなCDR-L2及び配列番号476に示されるようなCDR-L3;
(49)配列番号481に示されるようなCDR-H1、配列番号482に示されるようなCDR-H2、配列番号483に示されるようなCDR-H3、配列番号484に示されるようなCDR-L1、配列番号485に示されるようなCDR-L2及び配列番号486に示されるようなCDR-L3;
(50)配列番号491に示されるようなCDR-H1、配列番号492に示されるようなCDR-H2、配列番号493に示されるようなCDR-H3、配列番号494に示されるようなCDR-L1、配列番号495に示されるようなCDR-L2及び配列番号496に示されるようなCDR-L3;
(51)配列番号501に示されるようなCDR-H1、配列番号502に示されるようなCDR-H2、配列番号503に示されるようなCDR-H3、配列番号504に示されるようなCDR-L1、配列番号505に示されるようなCDR-L2及び配列番号506に示されるようなCDR-L3;
(52)配列番号511に示されるようなCDR-H1、配列番号512に示されるようなCDR-H2、配列番号513に示されるようなCDR-H3、配列番号514に示されるようなCDR-L1、配列番号515に示されるようなCDR-L2及び配列番号516に示されるようなCDR-L3;並びに
(53)配列番号521に示されるようなCDR-H1、配列番号522に示されるようなCDR-H2、配列番号523に示されるようなCDR-H3、配列番号524に示されるようなCDR-L1、配列番号525に示されるようなCDR-L2及び配列番号526に示されるようなCDR-L3
から選択される、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3を含むVH領域とCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3を含むVL領域と、を含む、項目1~13の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【0032】
項目15.BCMAに結合する前記第1のドメインが、配列番号7、17、27、37、47、57、67、77、87、97、107、117、127、137、147、157、167、177、187、197、207、217、227、237、247、257、267、277、287、307、317、327、337、347、357、367、377、387、397、407、417、427、437、447、457、467、477、487、497、507、517及び527に示されるものからなる群から選択される、好ましくは配列番号177である、アミノ酸配列を有するVH領域を含む、項目1~14の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【0033】
項目16.BCMAに結合する前記第1のドメインが、配列番号8、18、28、38、48、58、68、78、88、98、108、118、128、138、148、158、168、178、188、198、208、218、228、238、248、258、268、278、288、298、308、318、328、338、348、358、368、378、388、398、408、418、428、438、448、458、468、478、488、498、508、518及び528に示されるものからなる群から選択される、好ましくは配列番号178である、アミノ酸配列を有するVL領域を含む、項目1~15の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【0034】
項目17.BCMAに結合する前記第1のドメインが、
(1)配列番号7に示されるようなVH領域及び配列番号8に示されるようなVL領域;
(2)配列番号17に示されるようなVH領域及び配列番号18に示されるようなVL領域;
(3)配列番号27に示されるようなVH領域及び配列番号28に示されるようなVL領域;
(4)配列番号37に示されるようなVH領域及び配列番号38に示されるようなVL領域;
(5)配列番号47に示されるようなVH領域及び配列番号48に示されるようなVL領域;
(6)配列番号57に示されるようなVH領域及び配列番号58に示されるようなVL領域;
(7)配列番号67に示されるようなVH領域及び配列番号68に示されるようなVL領域;
(8)配列番号77に示されるようなVH領域及び配列番号78に示されるようなVL領域;
(9)配列番号87に示されるようなVH領域及び配列番号88に示されるようなVL領域;
(10)配列番号97に示されるようなVH領域及び配列番号98に示されるようなVL領域;
(11)配列番号107に示されるようなVH領域及び配列番号108に示されるようなVL領域;
(12)配列番号117に示されるようなVH領域及び配列番号118に示されるようなVL領域;
(13)配列番号127に示されるようなVH領域及び配列番号128に示されるようなVL領域;
(14)配列番号137に示されるようなVH領域及び配列番号138に示されるようなVL領域;
(15)配列番号147に示されるようなVH領域及び配列番号148に示されるようなVL領域;
(16)配列番号157に示されるようなVH領域及び配列番号158に示されるようなVL領域;
(17)配列番号167に示されるようなVH領域及び配列番号168に示されるようなVL領域;
(18)配列番号177に示されるようなVH領域及び配列番号178に示されるようなVL領域;
(19)配列番号187に示されるようなVH領域及び配列番号188に示されるようなVL領域;
(20)配列番号197に示されるようなVH領域及び配列番号198に示されるようなVL領域;
(21)配列番号207に示されるようなVH領域及び配列番号208に示されるようなVL領域;
(22)配列番号217に示されるようなVH領域及び配列番号218に示されるようなVL領域;
(23)配列番号227に示されるようなVH領域及び配列番号228に示されるようなVL領域;
(24)配列番号237に示されるようなVH領域及び配列番号238に示されるようなVL領域;
(25)配列番号247に示されるようなVH領域及び配列番号248に示されるようなVL領域;
(26)配列番号257に示されるようなVH領域及び配列番号258に示されるようなVL領域;
(27)配列番号267に示されるようなVH領域及び配列番号268に示されるようなVL領域;
(28)配列番号277に示されるようなVH領域及び配列番号278に示されるようなVL領域;
(29)配列番号287に示されるようなVH領域及び配列番号288に示されるようなVL領域;
(30)配列番号297に示されるようなVH領域及び配列番号298に示されるようなVL領域;
(31)配列番号307に示されるようなVH領域及び配列番号308に示されるようなVL領域;
(32)配列番号317に示されるようなVH領域及び配列番号318に示されるようなVL領域;
(33)配列番号327に示されるようなVH領域及び配列番号328に示されるようなVL領域;
(34)配列番号337に示されるようなVH領域及び配列番号338に示されるようなVL領域;
(35)配列番号347に示されるようなVH領域及び配列番号348に示されるようなVL領域;
(36)配列番号357に示されるようなVH領域及び配列番号358に示されるようなVL領域;
(37)配列番号367に示されるようなVH領域及び配列番号368に示されるようなVL領域;
(38)配列番号377に示されるようなVH領域及び配列番号378に示されるようなVL領域;
(39)配列番号387に示されるようなVH領域及び配列番号388に示されるようなVL領域;
(40)配列番号397に示されるようなVH領域及び配列番号398に示されるようなVL領域;
(41)配列番号407に示されるようなVH領域及び配列番号408に示されるようなVL領域;
(42)配列番号417に示されるようなVH領域及び配列番号418に示されるようなVL領域;
(43)配列番号427に示されるようなVH領域及び配列番号428に示されるようなVL領域;
(44)配列番号437に示されるようなVH領域及び配列番号438に示されるようなVL領域;
(45)配列番号447に示されるようなVH領域及び配列番号448に示されるようなVL領域;
(46)配列番号457に示されるようなVH領域及び配列番号458に示されるようなVL領域;
(47)配列番号467に示されるようなVH領域及び配列番号468に示されるようなVL領域;
(48)配列番号477に示されるようなVH領域及び配列番号478に示されるようなVL領域;
(49)配列番号487に示されるようなVH領域及び配列番号488に示されるようなVL領域;
(50)配列番号497に示されるようなVH領域及び配列番号498に示されるようなVL領域;
(51)配列番号507に示されるとおりのVH領域及び配列番号508に示されるとおりのVL領域;
(52)配列番号517に示されるようなVH領域及び配列番号518に示されるようなVL領域;並びに
(53)配列番号527に示されるようなVH領域及び配列番号528に示されるようなVL領域
からなる群から選択されるVH領域及びVL領域を含む、項目1~16の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【0035】
項目18.BCMAに結合する前記第1のドメインが、配列番号9、19、29、39、49、59、69、79、89、109、129、139、149、159、169、179、189、199、209、219、229、239、249、259、269、279、289、299、309、319、329、339、349、359、369、379、389、399、409、419、429、439、449、459、469、479、489、499、519及び529からなる群から選択され、好ましくは配列番号179である、アミノ酸配列を有するポリペプチドを含むか又はそれからなる、項目1~17の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【0036】
項目19.CD3に結合する第2のドメインが、
(a)配列番号542に示されるようなCDR-L1、配列番号543に示されるようなCDR-L2及び配列番号544に示されるようなCDR-L3;
(b)配列番号599に示されるようなCDR-L1、配列番号600に示されるようなCDR-L2及び配列番号601に示されるようなCDR-L3;及び
(c)配列番号621に示されるようなCDR-L1、配列番号622に示されるようなCDR-L2及び配列番号623に示されるようなCDR-L3
からなる群から選択されるCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3を含むVL領域を含む、項目1~18の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【0037】
項目20.CD3に結合する前記第2のドメインが、
(a)配列番号534に示されるようなCDR-H1、配列番号535に示されるようなCDR-H2及び配列番号536に示されるようなCDR-H3;
(b)配列番号545に示されるようなCDR-H1、配列番号546に示されるようなCDR-H2及び配列番号547に示されるようなCDR-H3;
(c)配列番号557に示されるようなCDR-H1、配列番号558に示されるようなCDR-H2及び配列番号559に示されるようなCDR-H3;
(d)配列番号568に示されるようなCDR-H1、配列番号569に示されるようなCDR-H2及び配列番号570に示されるようなCDR-H3;
(e)配列番号579に示されるようなCDR-H1、配列番号580に示されるようなCDR-H2及び配列番号581に示されるようなCDR-H3;
(f)配列番号591に示されるようなCDR-H1、配列番号592に示されるようなCDR-H2及び配列番号593に示されるようなCDR-H3;
(g)配列番号602に示されるようなCDR-H1、配列番号603に示されるようなCDR-H2及び配列番号604に示されるようなCDR-H3;
(h)配列番号613に示されるようなCDR-H1、配列番号614に示されるようなCDR-H2及び配列番号615に示されるようなCDR-H3;
(i)配列番号624に示されるようなCDR-H1、配列番号625に示されるようなCDR-H2及び配列番号626に示されるようなCDR-H3;並びに
(j)配列番号636に示されるようなCDR-H1、配列番号637に示されるようなCDR-H2及び配列番号638に示されるようなCDR-H3
からなる群から選択されるCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3を含むVH領域を含む、項目1~19の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【0038】
項目21.CD3に結合する前記第2のドメインが、
(a)配列番号531に示されるようなCDR-L1、配列番号532に示されるようなCDR-L2、配列番号533に示されるようなCDR-L3、配列番号534に示されるようなCDR-H1、配列番号535に示されるようなCDR-H2及び配列番号536に示されるようなCDR-H3;
(b)配列番号542に示されるようなCDR-L1、配列番号543に示されるようなCDR-L2、配列番号544に示されるようなCDR-L3、配列番号545に示されるようなCDR-H1、配列番号546に示されるようなCDR-H2及び配列番号547に示されるようなCDR-H3;
(c)配列番号554に示されるようなCDR-L1、配列番号555に示されるようなCDR-L2、配列番号556に示されるようなCDR-L3、配列番号557に示されるようなCDR-H1、配列番号558に示されるようなCDR-H2及び配列番号559に示されるようなCDR-H3;
(d)配列番号565に示されるようなCDR-L1、配列番号566に示されるようなCDR-L2、配列番号567に示されるようなCDR-L3、配列番号568に示されるようなCDR-H1、配列番号569に示されるようなCDR-H2及び配列番号570に示されるようなCDR-H3;
(e)配列番号576に示されるようなCDR-L1、配列番号577に示されるようなCDR-L2、配列番号578に示されるようなCDR-L3、配列番号579に示されるようなCDR-H1、配列番号580に示されるようなCDR-H2及び配列番号581に示されるようなCDR-H3;
(f)配列番号588に示されるようなCDR-L1、配列番号589に示されるようなCDR-L2、配列番号590に示されるようなCDR-L3、配列番号591に示されるようなCDR-H1、配列番号592に示されるようなCDR-H2及び配列番号593に示されるようなCDR-H3;
(g)配列番号599に示されるようなCDR-L1、配列番号600に示されるようなCDR-L2、配列番号601に示されるようなCDR-L3、配列番号602に示されるようなCDR-H1、配列番号603に示されるようなCDR-H2及び配列番号604に示されるようなCDR-H3;
(h)配列番号610に示されるようなCDR-L1、配列番号611に示されるようなCDR-L2、配列番号612に示されるようなCDR-L3、配列番号613に示されるようなCDR-H1、配列番号614に示されるようなCDR-H2及び配列番号615に示されるようなCDR-H3;
(i)配列番号621に示されるようなCDR-L1、配列番号622に示されるようなCDR-L2、配列番号623に示されるようなCDR-L3、配列番号624に示されるようなCDR-H1、配列番号625に示されるようなCDR-H2及び配列番号626に示されるようなCDR-H3;及び
(j)配列番号633に示されるようなCDR-L1、配列番号634に示されるようなCDR-L2、配列番号635に示されるようなCDR-L3、配列番号636に示されるようなCDR-H1、配列番号637に示されるようなCDR-H2及び配列番号638に示されるようなCDR-H3
からなる群から選択される、CDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3を含むVL領域とCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3を含むVH領域と、を含む、項目1~20の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【0039】
項目22.CD3に結合する前記第2のドメインが、配列番号550、配列番号551、配列番号584、配列番号585、配列番号629及び配列番号630に示されるものからなる群から選択される、好ましくは配列番号629である、アミノ酸配列を有するVL領域を含む、項目1~21の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【0040】
項目23.CD3に結合する前記第2のドメインが、配列番号537、配列番号538、配列番号548、配列番号549、配列番号560、配列番号561、配列番号571、配列番号572、配列番号582、配列番号583、配列番号594、配列番号595、配列番号605、配列番号606、配列番号616、配列番号617、配列番号627、配列番号628、配列番号639、配列番号640及び配列番号644に示されるものからなる群から選択される、好ましくは配列番号639である、アミノ酸配列を有するVH領域を含む、項目1~22の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【0041】
項目24.CD3に結合する前記第2のドメインが、
(a)配列番号539又は521に示されるようなVL領域及び配列番号537又は538に示されるようなVH領域;
(b)配列番号550又は521に示されるようなVL領域及び配列番号548又は549に示されるようなVH領域;
(c)配列番号562又は521に示されるようなVL領域及び配列番号560又は561に示されるようなVH領域;
(d)配列番号573又は521に示されるようなVL領域及び配列番号571又は572に示されるようなVH領域;
(e)配列番号584又は585に示されるようなVL領域及び配列番号582又は583に示されるようなVH領域;
(f)配列番号596又は521に示されるようなVL領域及び配列番号594又は595に示されるようなVH領域;
(g)配列番号607又は585に示されるようなVL領域及び配列番号605又は606に示されるようなVH領域;
(h)配列番号618又は521に示されるようなVL領域及び配列番号616又は617に示されるようなVH領域;
(i)配列番号629又は630に示されるようなVL領域及び配列番号627又は628に示されるようなVH領域;
(j)配列番号641又は630に示されるようなVL領域及び配列番号639又は640に示されるようなVH領域;及び
(k)配列番号645に示されるようなVL領域及び配列番号644に示されるようなVH領域
からなる群から選択されるVL領域及びVH領域を含む、項目1~23の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【0042】
項目25.CD3に結合する前記第2のドメインが、配列番号540、541、552、553、563、564、574、575、586、587、597、598、608、609、619、620、631、632、642、643及び646に示されるものからなる群から選択される、好ましくは配列番号642である、アミノ酸配列を有するポリペプチドを含むか又はそれからなる、項目1~24の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【0043】
項目26.配列番号10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520及び530に示されるものからなる群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、項目1~25の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【0044】
項目27.N末端からC末端の順に、
(a)第1のドメイン;
(b)配列番号687、693及び694からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するペプチドリンカー;
(c)第2のドメイン;
(d)配列番号686、687、688、689、690、691、692、693又は694からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するペプチドリンカー;
(e)第1のポリペプチド単量体(ヒンジ、CH2及びCH3ドメインを含む);
(f)配列番号695、696、697、698又は699からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するペプチドリンカー;及び
(g)第2のポリペプチド単量体(ヒンジ、CH2及びCH3ドメインを含む)
を含む、項目1~26の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【0045】
項目28.N末端からC末端の順に、
(a)配列番号9、19、29、39、49、59、69、79、89、109、129、139、149、159、169、179、189、199、209、219、229、239、249、259、269、279、289、299、309、319、329、339、349、359、369、379、389、399、409、419、429、439、449、459、469、479、489、499、519及び529からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する第1のドメインであって、これらの配列内に含まれ、配列番号694を有するペプチドリンカーが、配列番号686~693及び695~699の何れか1つに置き換えられ得る、第1のドメイン;
(b)配列番号687、693及び694からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するペプチドリンカー;
(c)配列番号540、541、552、553、563、564、574、575、586、587、597、598、608、609、619、620、631、632、642、643及び646からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する第2のドメインであって、これらの配列内に含まれ、配列番号694を有するペプチドリンカーが、配列番号686~693及び695~699の何れか1つにより置き換えられ得る第2のドメイン;
(d)配列番号686、687、688、689、690、691、692、693及び694からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するペプチドリンカー;及び
(e)配列番号700~707からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する第3のドメイン
を含む、項目1~27の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【0046】
項目29.N末端からC末端の順に、
(a)配列番号10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520及び530に示されるものからなる群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチド;
(b)配列番号686に示されるようなアミノ酸配列を有するリンカー;
(c)配列番号700に示されるようなアミノ酸配列を有するポリペプチド
を含む、項目1~28の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【0047】
項目30.分子量が約75~約200kDa、約80~約175kDa、約85~約150kDa、約90~約130kDa、約95~約120kDa、好ましくは約100~約115kDa又は約105~約110kDaである、項目1~29の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【0048】
項目31.排泄半減期(T1/2)が約3~約14日、約4~約12日、約3又は4~約10日、約3又は4~約8日、又は約5~約7日である、項目1~30の何れか1項に記載の抗体コンストラクト。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1図1は、AMG 701の代表的な用量探索を示す。
図2図2は、第1週段階投与最適化プロトコールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
故に、本発明の目的は、BCMA陽性新生物においてポジティブな有効性シグナルを生じさせながら、好ましい安全性及び忍容性プロファイルをもたらす、半減期が延長された抗BCMAx抗CD3抗体コンストラクトに対する投与スキームを提供することである。
【0051】
従って、本発明は、BCMA陽性新生物の治療又は改善での使用のための、BCMAに結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、抗体コンストラクトの半減期を延長させる第3のドメインと、を含む抗体コンストラクトに関し、この抗体コンストラクトは、少なくとも1サイクルにおいて800μg/日の最小用量で投与され、1サイクルは、本抗体コンストラクトの少なくとも3回の個々の投与を含む。
【0052】
さらに、本発明は、それを必要とする対象にBCMAに結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、抗体コンストラクトの半減期を延長させる第3のドメインと、を含む抗体コンストラクトを投与することを含む、BCMA陽性新生物の治療又は改善のための方法に関し、この抗体コンストラクトは、800μg/日の最小用量で少なくとも1サイクル投与され、1サイクルは、本抗体コンストラクトの少なくとも3回の個々の投与を含む。
【0053】
本発明は、BCMA陽性新生物の治療用の薬剤の製造のための、BCMAに結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、抗体コンストラクトの半減期を延長させる第3のドメインと、を含む抗体コンストラクトの使用にさらに関し、この抗体コンストラクトは、800μg/日の最小用量で少なくとも1サイクル投与され、1サイクルは、本抗体コンストラクトの少なくとも3回の個々の投与を含む。
【0054】
本発明は、BCMA陽性新生物の治療又は改善のための、BCMAに結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、抗体コンストラクトの半減期を延長させる第3のドメインと、を含む抗体コンストラクトの使用にも関し、この抗体コンストラクトは、800μg/日の最小用量で少なくとも1サイクル投与され、1サイクルは、本抗体コンストラクトの少なくとも3回の個々の投与を含む。
【0055】
「新生物」は、組織の異常な増殖であり、必ずしもそうとは限らないが、通常は腫瘤を形成する。また、腫瘤を形成する場合、それは、一般に「腫瘍」と呼ばれる。脳腫瘍では、細胞の無制御な分裂は、新生物の腫瘤のサイズが拡大することを意味し、頭蓋内腔などの閉鎖空間では、腫瘤が脳の空間に浸潤して脳を押しのけ、脳組織の圧迫及び頭蓋内圧の上昇及び実質の破壊につながるため、これは、急速に問題化する。本発明によれば、「新生物」又は「腫瘍」という用語は、本明細書に記載の抗体コンストラクトによる治療から利益を得るであろう状態も指す。これには、哺乳類において対象の状態(新生物又は腫瘍)の素因になる病理学的状態を含めた慢性及び急性障害又は疾患が含まれる。
【0056】
新生物又は腫瘍は、良性、潜在的に悪性(前癌性)又は悪性(癌性)であり得る。悪性新生物/腫瘍は一般に癌と呼ばれる。これらは、通常、周囲組織に浸潤してそれを破壊し、転移を形成することもあり、即ち身体の他の部分、組織又は器官に広がる。「原発腫瘍」は、腫瘍進行が始まり、進行して癌性腫瘤をもたらす解剖学的部位で成長する腫瘍である。例えば、脳腫瘍は、脳内で異常細胞が形成されたときに生じる。殆どの癌は、その原発部位で発達するが、次に身体の他の部分(例えば組織及び器官)に転移を形成するか又は広がる。これらのさらなる腫瘍は、二次性腫瘍である。殆どの癌は、身体の他の部分に広がった後でもその原発部位にちなんで呼ばれ続ける。
【0057】
リンパ腫及び白血病は、造血性新生物又はリンパ系新生物である。形質細胞骨髄腫としても知られる多発性骨髄腫(MM)は、通常は抗体を産生する白血球の一タイプである形質細胞の癌である。本発明の目的のために、リンパ腫及び白血病並びにMMも「腫瘍」、「癌」又は「新生物」という用語に包含される。リンパ腫は、リンパ球から発生する血液癌の群である(白血球のタイプ)。白血病は、通常、骨髄で始まり、多数の異常な白血球をもたらす癌の群である。これらの白血球は、完全には発達しておらず、芽球又は白血病細胞と呼ばれている。リンパ腫及び白血病は、造血組織及びリンパ組織の腫瘍のより広範な群の一部である。
【0058】
本発明の目的のために、「新生物」、「腫瘍」及び「癌」という用語は、同義的に使用され得、これらは、原発腫瘍/癌及び二次性腫瘍/癌(又は「転移」)の両方並びに腫瘤形成新生物(腫瘍)及びリンパ系新生物(例えばリンパ腫及び白血病)を含み、MRDも含む。
【0059】
「微小残存病変」(MRD)という用語は、癌処置後、例えば患者が改善状態(患者に疾患の症状又は徴候がない)にある場合、患者に残る少数の残存癌細胞の存在に対するエビデンスを指す。極めて少数の残存癌細胞は通常、常法手段により検出され得ず、なぜなら、癌の評価又は検出に使用される標準検査は、MRDを検出するには感度が不十分であるからである。最近では、フローサイトメトリー、PCR及び次世代シーケンシングなどの極めて高感度の分子生物学的MRD検査が利用可能である。これらの検査では、ときに百万個の正常細胞中の僅か1個の癌細胞ほどの組織試料中の最小限レベルの癌細胞を測定し得る。本発明に関連して、新生物の「予防」、「処置」又は「改善」という用語は、MRDが検出されたか否かに関わらず、「MRDの予防、処置又は改善」も包含することが想定される。
【0060】
BCMA陽性新生物は、B細胞新生物又は形質細胞新生物であることが想定される。Bリンパ球としても既知であるB細胞は、リンパ球サブタイプの白血球の一種である。B細胞は、抗体を分泌することにより、適応免疫系の体液性免疫成分で機能する。加えて、B細胞は、抗原を提示し(これらはプロフェッショナル抗原提示細胞としても分類される)、サイトカインを分泌する。哺乳動物では、B細胞は、殆どの骨の中心にある骨髄で成熟する。B細胞は、他の2つのクラスのリンパ球(T細胞及びナチュラルキラー(NK)細胞)と異なり、細胞膜上でB細胞受容体(BCR)を発現する。BCRは、B細胞が特定の抗原に結合することを可能にし、それに対して抗体反応を開始する。形質細胞は、形質B細胞、プラズマ細胞又はエフェクターB細胞とも呼ばれ、大量の抗体を分泌する白血球である。形質細胞は、通常、血漿及びリンパ系により輸送される。形質細胞は、骨髄に由来する。B細胞は、前駆B細胞の受容体に厳密にモデル化される抗体分子を産生する形質細胞に分化する。血液及びリンパ液に放出されると、これらの抗体分子は、標的抗原に結合し、その中和又は破壊を開始する。
【0061】
細胞表面でのBCMAの発現レベルは、例えば、フローサイトメトリー分析により決定され得る。BCMA発現の分析のために選択される細胞の亜集団(例えば、B細胞、形質細胞、MM細胞、CD138+細胞)は、例えば、抗BCMA抗体、続いて二次抗体で染色され、次いでFACSアッセイで分析され得る。BCMA陰性細胞株(K562、A549、TC71、CCRF-CEMなど)が対照として使用され得る。FACSアッセイのシフト(BCMA陰性細胞株が0%BCMA発現を定義している)は、分析対象の細胞がBCMA陽性であることを示す。低発現、中発現又は高発現など、異なるレベルのBCMA発現が表面細胞に存在し得る。Quinn et al.,Blood(2011) 117:890-901及びSanchez et al,Br J Heamatol 2012 Jul 18も参照のこと。
【0062】
「BCMA陽性新生物」又は「(BCMA陽性)B細胞新生物若しくは形質細胞新生物」は、多発性骨髄腫、再発性及び/若しくは難治性の多発性骨髄腫、重鎖多発性骨髄腫、軽鎖多発性骨髄腫、髄外骨髄腫(髄外形質細胞腫、髄外多発性骨髄腫)、形質細胞腫、形質細胞性白血病、ワルデンストローム大グロブリン血症(リンパ形質細胞性リンパ腫)並びにくすぶり型骨髄腫(くすぶり型多発性骨髄腫)を含むが限定されない群から選択され得る。従って、本開示は、本明細書に記載された多発性骨髄腫(MM)、形質細胞腫、形質細胞白血病及びワルデンストローム大グロブリン血症の治療又は改善において使用するための抗体コンストラクトにも関する。MMは、再発性及び/又は難治性の多発性骨髄腫、重鎖多発性骨髄腫、軽鎖多発性骨髄腫、髄外多発性骨髄腫並びにくすぶり型多発性骨髄腫からなるか又はそれらを含む群から選択され得る。
【0063】
本発明の抗体コンストラクト(及びこのような抗体コンストラクトを含む医薬組成物)は、それを必要としている対象における、本明細書に記載されるとおりのBCMA陽性新生物の治療、改善及び/又は予防において有用である。「治療」という用語は、治療的処置及び予防的又は防止的手段の両方を指す。治療には、BCMA陽性新生物の1つ以上の症状又は疾患に罹患し易い素因を根治させ、治癒させ、軽減し、緩和し、改変し、修復し、改善し、向上させるか、又はBCMA陽性新生物に作用することを目的とした、本明細書に記載されるようなBCMA陽性新生物、このような新生物の症状又はこのような新生物に罹患し易い素因を有する、必要としている患者の身体又は患者若しくは対象からの摘出組織若しくは細胞への抗体コンストラクト(又はこのような抗体コンストラクトを含む医薬組成物)の投与が含まれる。
【0064】
「必要としている対象」、「患者」又は「治療を必要としている」者という用語は、BCMA陽性新生物を既に有する者並びにMRDの状況にある者及び新生物を予防すべき者を含む。これらの用語は、予防的処置又は治療的処置の何れかを受けるヒト及び他の哺乳類対象も含む。
【0065】
「改善」という用語は、本明細書で使用される場合、患者の疾患状態(BCMA陽性新生物である疾患)の、それを必要としているこのような患者又は対象への本発明による抗体コンストラクトの投与による何らかの改善を指す。このような改善は、患者の疾患の進行の減速若しくは停止として、及び/又は、疾患症状の重症度の低下、無疾患症状期間の頻度若しくは持続時間の延長又は疾患に起因する機能障害若しくは能力障害の予防として、見られ得る。
【0066】
「予防」という用語は、本明細書で使用される場合、それを必要としている対象への本発明による抗体コンストラクトの投与によって本明細書に指定されるような疾患の発生又は再発が回避されることを意味する。
【0067】
多発性骨髄腫の場合、多くの臓器がこの疾患により影響を受け得るため、症状及び徴候は大きく異なる。多発性骨髄腫の一般的な症状としては、高カルシウム濃度、腎不全、貧血及び骨病変(ともに「CRAB」の特徴)が挙げられる。進行したMMでは、骨痛、出血及び頻繁な感染症が起こり得る。厄介な問題としては、アミロイド症も挙げられる。国際骨髄腫ワーキンググループ(IMWG)は、典型的なCRABの特徴に加えて、3つの「骨髄腫診断事象」(MDE)を教示するMMの診断基準を確立した:
・骨髄検査で60%以上のクローン形質細胞
・腫瘍由来軽鎖の絶対レベルが少なくとも100mg/Lである場合、腫瘍由来/非腫瘍由来の血清遊離軽鎖比が100以上(患者の「腫瘍由来」遊離軽鎖-カッパ又はラムダの何れか-は通常の基準範囲を上回り;「非腫瘍由来」遊離軽鎖は典型的には、通常の範囲又はそれを下回るものである)
・サイズが少なくとも5mm以上であるMRI(磁気共鳴画像法)上の複数の限局性病変
【0068】
これらのマーカーの少なくとも1つの存在は、症状又はCRABの特徴の有無に関係なく、多発性骨髄腫の診断に十分であるとみなされる。また、Palumbo A.J Clin Oncol.2014 Feb 20;32(6):587-600も参照のこと。
【0069】
骨痛は、患者のほぼ70%に影響を及ぼし、最も一般的な症状である。それは、通常、脊椎及び肋骨と関連する。椎骨の関与は、脊髄圧迫又は後弯症につながり得る。骨髄腫骨疾患は、骨髄間質による核因子κBリガンド(RANKL)の受容体活性化因子の過剰発現によるものである。RANKLは、骨を再吸収する破骨細胞を活性化する。結果として生じる骨病変は、本質的に融解性であり(即ちそれらは破壊を引き起こす)、単純なX線写真で最もよく見られる。骨の破壊は、血中へのカルシウムの放出にもつながり、高カルシウム血症及びそれに関連する症状を引き起こす。
【0070】
骨髄腫で見られる貧血は通常、正球性及び正色素性である。これは、腫瘍細胞の浸潤による正常な骨髄の置換及びサイトカインによる正常な赤血球産生(造血)の阻害に起因する。
【0071】
骨髄生検を実施して、形質細胞が占める骨髄のパーセンテージを推定し得る。このパーセンテージは、MMのための診断基準で使用される。通常、MM患者は、≧10%のクローン骨髄形質細胞を有する。免疫組織化学(表面タンパク質に対する抗体を使用して特定の細胞型を染色する)は、細胞質及びときに細胞表面で免疫グロブリンを発現する形質細胞を検出し得;例えば、骨髄腫細胞は、典型的には、マーカーCD56、CD38、CD138、CD319に陽性であるが、MMを定義又は識別するために他のマーカーも含まれ得る。
【0072】
所謂「パラプロテイン」(骨髄腫タンパク質、モノクローナルタンパク質又はM蛋白とも呼ばれる)は、典型的にはMMにおいて、形質細胞の異常なモノクローナル増殖によって過剰に産生される異常な免疫グロブリン断片である。理論的には、MM患者は、全てのクラスの免疫グロブリンを産生し得るが、IgGパラプロテインが最も一般的であり、IgA及びIgMがそれに続き、一方でIgD及びIgE骨髄腫は非常に稀である。加えて、抗体軽鎖及び/又は重鎖は、単独で:カッパ若しくはラムダ軽鎖又は5種類の重鎖(アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン又はミュー(μ)-重鎖)の何れかで分泌され得る。このパラプロテインの増殖は、免疫機能の障害、異常に高い血液粘度及び腎臓損傷を含め、身体に対していくつかの有害な影響を及ぼす。パラプロテインのエビデンスがない患者は、「非分泌性」骨髄腫(免疫グロブリンを産生しない)を有し得;それらは、全てのMM患者の約3%を占める。真の非分泌性MMを有する患者を除いて、血清及び/又は尿のパラプロテインの存在はMMの指標である。患者の尿及び/又は血清中のパラプロテインの定量的測定は、診断を確立するため及び/又は疾患を監視するために使用され得る。
【0073】
腎不全は、急性及び慢性の両方で発症し得る。MMの腎不全の最も一般的な原因は、悪性細胞から分泌されるタンパク質によるものである。骨髄腫細胞は、様々な種類のモノクローナルタンパク質、最も一般的には免疫グロブリン(抗体)及び遊離軽鎖を産生し、その結果、血中に異常に高いレベルのこれらのタンパク質(パラプロテイン)をもたらす。これらのタンパク質のサイズに応じて、それらは、腎臓により排出され得るが、腎臓もそれらの影響によって損傷を受け得る。さらに、骨吸収の増加は、高カルシウム血症をもたらし、腎石灰化症を引き起こし、それにより腎不全の一因となる。
【0074】
MMで発生する最も一般的な感染症は、肺炎及び腎盂腎炎である。感染リスクの上昇は、免疫不全によるものである。総免疫グロブリンレベルは、典型的には、MMで上昇するが、抗体の大部分は、クローン形質細胞からの効果のないモノクローナル抗体である。
【0075】
本発明によるBCMA陽性新生物の治療又は改善における抗体コンストラクトの投与は、
・治療開始前、即ち抗体コンストラクトの最初の投与前の尿及び/又は血清中のパラプロテイン又は遊離軽鎖レベルと比較して、尿及び/又は血清中のパラプロテイン又は遊離軽鎖のレベルをそれぞれ少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%又は少なくとも約90%低下させ(この特定の文脈において、「~の前」は、1、2、4、6、8若しくは12時間前以内、1、2、3、4、5若しくは6日前以内、1、2、3若しくは4週間前以内又は1、2、3若しくは4カ月前以内を意味する);
・治療開始前、即ち抗体コンストラクトの最初の投与前の骨髄中の形質細胞のパーセンテージと比較して、骨髄中の形質細胞のパーセンテージを少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%又は少なくとも約90%低下させ(この特定の文脈において、「~の前」は、1、2、4、6、8若しくは12時間前以内、1、2、3、4、5若しくは6日前以内、1、2、3若しくは4週間前以内又は1、2、3若しくは4カ月前以内を意味する);
・治療開始前、即ち抗体コンストラクトの最初の投与前の症状と比較して、上記の症状の何れかを、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%又は少なくとも約90%軽減させることを誘発し(この特定の文脈において、「~の前」は、症状に応じて、1、2、4、6、8若しくは12時間前以内、1、2、3、4、5若しくは6日前以内、1、2、3若しくは4週間前以内又は1、2、3若しくは4カ月前以内を意味する);
・未治療の患者又は未治療の細胞と比較して、腫瘍成長又は腫瘍細胞増殖を、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%又は少なくとも約90%阻害し;及び/又は
・未治療の患者又は未治療の細胞と比較して、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%又は少なくとも約90%のBCMA陽性新生物の細胞の溶解を誘発することが想定される。
【0076】
腫瘍成長/腫瘍細胞増殖を阻害するか又は細胞融解を誘発する本発明の抗体コンストラクトの能力は、ヒト腫瘍での有効性を予測する動物モデル又はインビトロ若しくはエクスビボ研究(抗体コンストラクトによって誘発された多発性骨髄腫患者のBM吸引物からの自己T細胞によるBCMA陽性細胞の枯渇など)で評価され得る。抗体コンストラクトの有効性評価は、さらに以下のように実施され得る:腫瘍の評価は、骨髄腫の関与率の分析、FISH(蛍光インシトゥハイブリッド形成)並びに骨髄(BM)の核型分析によって行い得る。BM核型分析及びFISHに対するデータは、BM試料から取得され得る。血清タンパク電気泳動(SPEP)及び尿タンパク質電気泳動(UPEP)は、血清/尿のM蛋白の測定を可能にする。免疫固定は、血清及び/又は尿のM蛋白を検出する別の手段である。血清遊離軽鎖アッセイ及び比率分析が実施でされ得ることも想定される。遊離軽鎖(FLC)多発性骨髄腫の場合、FLCは、血清及び尿において分析され得る(sFLC及びuFLC)。腫瘍由来/非腫瘍由来FLCのレベル、モノクローナルラムダ-FLC/カッパ-FLCの比率及びモノクローナルカッパ-FLC/ラムダ-FLCの比率が決定され得る。さらに、定量的及び定性的な免疫グロブリン(Ig)も分析され得、血清中のベータ-2ミクログロブリンが評価され得る。骨格調査及び形質細胞腫の評価が実施され得ることも想定される。全身MRI又はPET/CTを使用した髄外再発を評価するためのスクリーニング画像分析が実施され得る。骨病変の評価に適した画像として、CTスキャン、MRI、PET、PET-CT又は他の標準治療法が挙げられるが限定されない。最小の残存疾患は、次世代シーケンシング(NGS)に基づくアッセイによって測定されることも想定される。この目的のために、完全な奏効者であると思われる対象から骨髄吸引液が回収され得る。BM MRD試料が回収されるのと同時に血漿試料が対象からさらに回収され、ctDNA(循環腫瘍DNA)でのMRD検出の実現可能性を評価し得る。MRD奏効は、必要に応じて、cytIgλ、cytIgκ、CD19、CD56又はCD138、CD38及びCD45に対する抗体を使用して、FACSあたり骨髄中の<1個の腫瘍細胞/10個の正常細胞として定義され得る。本発明の一実施形態では、これらのマーカーは、本発明に関連して、腫瘍細胞を定義するための十分条件である。
【0077】
本発明による抗体コンストラクトの投与に対する患者又は対象の応答は、以下の方法の1つで測定されることが想定される:
・尿及び/又は結晶中のパラプロテイン(M蛋白)若しくは遊離軽鎖の定量的測定;
・骨髄中の形質細胞のパーセンテージの決定;及び/又は
・髄外症状の画像診断(CT、MRI)。
【0078】
本発明は、BCMA陽性新生物の治療又は改善での使用のための、BCMAに結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、抗体コンストラクトの半減期を延長させる第3のドメインと、を含む抗体コンストラクトを提供し、この抗体コンストラクトは、800μg/日の最小用量で少なくとも1サイクルにおいて投与され、1サイクルは、本抗体コンストラクトの少なくとも3回の個々の投与を含む。
【0079】
本発明の抗体コンストラクトは、少なくとも1サイクルで投与されるが、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25回又はそれを超えるサイクルなどのより多い投与サイクルも想定される。「少なくとも1サイクル」という用語は、「1回以上のサイクル」を意味する。本発明によれば、「1サイクル」は、約25~約30日又は31日、約26又は27~約29日、好ましくは約28日又は4週間の期間に対応する。サイクルは、「第1日」に本発明の抗体コンストラクトの最初の投与で始まる。1サイクルは、すぐにその後のサイクルが続き得るが、2つのサイクルの間の投与がない期間も想定される。異なる投与サイクルは、完全に同一である必要はない。特に、初回のサイクルは、特に本抗体コンストラクトの用量に関して、続くサイクルと異なり得ることが想定される。
【0080】
「…の最小用量」という用語は、「少なくとも…の用量」を意味する。本抗体コンストラクトの用量は800μg/日~12mg/日である。これは、1000μg、1200μg、1500μg、1600μg、2000μg、2500μg、3000μg、3500μg、4000μg、4500μg、5000μg、5500μg、6000μg、6500μg、7000μg、7500μg、8000μg、8500μg、9000μg、9500μg、10mg、11mg又は12mg/日であり得る。
【0081】
初回サイクルで投与しようとする本抗体コンストラクトの用量(1日用量)は、そのサイクルを通じて安定であり得るか、又は1若しくは2段階で増量させ得る。この文脈において、「安定」又は「サイクルを通じて安定」とは、1日に投与しようとする用量(800μgなど)が、そのサイクル内で各投与において同一である/一定であることを意味する。それに対して、「段階」又は「用量段階」は、1回の投与から次の投与へ、投与しようとする用量(1日用量)の増量があることを意味する。サイクル内の1つの用量段階は、1日に第1の用量が投与され、続いて、その後の日に第2の(より高い)用量が投与されることを意味する。従って、サイクル内の2用量段階は、第1の用量に、第1の用量よりも多い第2の用量が続き、この第2の用量に、第2の用量よりも多い第3の用量が続くことを意味する。1又は2段階がある場合、(少なくとも)最初のサイクルで投与しようとする最終用量は、所謂「目標用量」である。目標用量は、6500μg/日~12mg/日であると想定される。目標用量は、例えば6500μg、7000μg、7500μg、8000μg、8500μg、9000μg、9500μg、10mg、11mg又は12mg/日であり得る。目標用量は、初回サイクルの第3日、第4日、第5日、第6日、第7日、第8日、第9日又は第10日に達成されると想定される。初回サイクルに1つ又は2つの段階がある場合、第1日に投与しようとする第1の用量は800μg~1200μg/日であることが想定される。初回サイクルに2つの段階がある場合、投与しようとする第2の用量は、2500μg~5000μg/日、好ましくは約3000μg又は約4500μg/日であると想定される。初回サイクルに2つの段階がある場合、第2の用量は第3、第4又は第5日に投与されることが想定される。
【0082】
1サイクルは、本抗体コンストラクトの少なくとも3回の個々の投与、好ましくは4回の個々の投与を含む。これは、必要とする対象が、サイクル中に少なくとも3回、好ましくは4回、本発明の抗体コンストラクトを受けることを意味する。例えば、サイクルが4週間からなる場合、必要とする対象に本抗体コンストラクトを週1回投与し得る。「個々の投与」は故に、1日での上で定められるような指定される用量の投与を意味する。1サイクル内に、このような個々の投与の後に、本抗体コンストラクトが投与されない期間(通常は少なくとも1日)が続く。初回サイクルが、本抗体コンストラクトの3~6回の個々の投与、好ましくは4回又は5回の個々の投与を含むか又はそれからなることも想定される。初回サイクル内の少なくとも2回又は3回の投与は目標用量であることが想定される。
【0083】
初回サイクルにおいて、第1日(d1)に本抗体コンストラクトが投与されることが想定される。初回サイクル中のさらなる又は続く投与日はd3又はd4又はd5であると想定される。さらなる投与日はd7又はd8又はd9であると想定される。さらなる投与日は、d11又はd12又はd13であることが想定される。さらなる投与日は、d14又はd15又はd16であることが想定される。さらなる投与日は、d18又はd19又はd20であることが想定される。さらなる投与日は、d21又はd22又はd23であることが想定される。
【0084】
一実施形態によれば、初回サイクルは、第1日での本抗体コンストラクトの800μgの投与で始まる。さらなる実施形態によれば、初回サイクルでの本抗体コンストラクトの投与は、次のように続く:
e)第8日(+/-1又は2日)、第15日(+/-1又は2日)及び第22日(+/-1又は2日)での目標用量の投与、ここで目標用量は、例えば3000μg、3500μg、4000μg、4500μg、5000μg、5500μg、6000μg、6500μg、7000μg、7500μg、8000μg、8500μg、9000μg、9500μg、10mg、11mg又は12mg/日であり得る;
f)第4日又は第5日(+/-1又は2日)、第12日(+/-1又は2日)及び第19日(+/-1又は2日)での目標用量の投与、ここで目標用量はa)で定められるとおりであり得る;
g)第3日又は第4日(+/-1又は2日)、第8日(+/-1又は2日)、第15日(+/-1又は2日)及び第22日(+/-1又は2日)での目標用量の投与、ここで目標用量はa)で定められるとおりであり得る;又は
h)第3日又は第4日(+/-1又は2日)での第2の用量(800μg/日より高い)及び第8日(+/-1又は2日)、第15日(+/-1又は2日)及び第22日(+/-1又は2日)での目標用量の投与。第2の用量は、2500μg~5000μg/日、好ましくは約3000μg又は約4500μg/日であり、目標用量はa)で定められるとおりであり得、第2の用量よりも多くなければならないことが想定される。
【0085】
一定用量(一定の1日用量)で第2のサイクル中及び任意選択的に何らかの続くサイクル中に本抗体コンストラクトが投与されることが想定される。第2のサイクル及び任意選択的に何らかの続くサイクルに対して、用量段階は想定されない。第2のサイクルで開始して、本抗体コンストラクトは目標用量で投与されることが想定される。目標用量は6500μg~12mg/日であると想定される。目標用量は、例えば6500μg、7000μg、7500μg、8000μg、8500μg、9000μg、9500μg、10mg、11mg又は12mg/日であり得る。第2のサイクルで開始して、本抗体コンストラクトが週単位の間隔で投与されることが想定される。例えば、第2のサイクル及び何らかの続くサイクルでの投与は、d1、d8(+/-1又は2日)、d15(+/-1又は2日)及びd22(+/-1又は2日)である。
【0086】
好ましい投与スキームを図1及び2で示す。
【0087】
本発明の抗体コンストラクトは、約75~約200kDa、約80~約175kDa、約85~約150kDa、約90~約130kDa、約95~約120kDa、好ましくは約100~約115kDa又は約105~約110kDaの分子量を有することが想定される。
【0088】
本発明の抗体コンストラクトは、本コンストラクトの半減期又は排泄半減期を延長させるか又は促進するドメイン(「第3のドメイン」)を含む。「延長させる」又は「促進する」という用語は、このようなドメイン(「HLEドメイン」)を含まない抗体コンストラクトに関して又はそれと比較して定義され得る。本発明の抗体コンストラクトの半減期又は排泄半減期が、第3のドメインを含まない抗体コンストラクトの半減期又は排泄半減期よりも少なくとも2倍長いか又は少なくとも5倍長いか又は少なくとも10倍長いか又は少なくとも20倍長いことが想定される。
【0089】
或いは第3のドメインは、約3~約14日、約4~約12日、約3又は4~約10日、約3又は4~約8日又は約5~約7日の「半減期」又は「終末半減期」又は「排泄半減期」(T1/2)を有する本発明の抗体コンストラクトを提供するドメインとして定義され得る。「半減期」は、ある分量がその初期値の半分に減るまでに要する時間である。医科学は、ヒト身体での、例えば血清中又は血漿中での物質又は薬物(ここでは抗体コンストラクト)の半減期に言及する。従って、「半減期」は「血清半減期」又は「血漿半減期」と呼ばれることもある。これは、対象の血清/血漿中での投与された抗体コンストラクトの濃度を測定することにより決定され得る。典型的には、投与された物質/薬物の排出又は除去は、代謝、排泄などの生物学的過程を通じた、また腎臓及び肝臓の機能も関わる、身体の清浄作用を指す。「排泄半減期」は、薬物(ここでは本発明の抗体コンストラクト)の濃度がその元の値の半分に到達するのに必要な時間として定義され得る。
【0090】
本発明の抗体コンストラクトは一般的に、特定の経路及び投与方法のために設計される。薬理学における投与経路は、物質が体内に取り込まれる経路である。投与経路は一般に、物質が適用される場所によって分類され、これらは、局所的(局部的)、経腸(系全体にわたる物質の効果であるが、消化管を通じて送達される)又は非経口(物質の全身的作用であるが、消化管以外の経路により送達される)であり得る。本発明に関連して、投与経路としては、局所、経腸及び非経口経路が挙げられる。薬物投与経路を選択するための理由は、次のような様々な要因によって左右される:
・薬物の物理的及び化学的性質。物理的性質は、固体、液体及び気体である。化学的性質は、溶解性、安定性、pH、刺激性などである。
・所望の作用部位:作用は、局所的であり、接近し易い場合もあれば又は全身的であり、接近しにくい場合もある。
・異なる経路からの薬物の吸収の程度の割合。
・患者の状態。
【0091】
本発明の抗体コンストラクト(及びこの抗体コンストラクトを含む医薬組成物)は、非経口投与に対して特に有用である。非経口投与は、一般に、局所投与又は経腸投与よりも迅速に作用し、多くの場合、バイオアベイラビリティが最大100%と非常に高くなる(特にIV投与の場合)。一般に、非経口投与としては、静脈内(IV)、脳内、動脈内、腹腔内、骨内及び膀胱内送達が挙げられるが限定されない。
【0092】
本発明による投与は、好ましくは静脈内である。非経口又は静脈内投与は、注射(例えば、針及びシリンジを使用)又は注入(例えば、カテーテル及びポンプシステムを介して)によって実施され得る。従って、本発明による投与は、静脈内注射又は静脈内注入によるものであることが想定される。通常、IV注入は、ライン、ポート若しくはカテーテル(小さく柔軟なチューブ)、例えば中心静脈アクセス又は大静脈に留置されるカテーテルである中心静脈カテーテル(CVC)など、又は末梢静脈に留置されるカテーテルである末梢静脈カテーテル(PVC)を介して投与される。一般に、カテーテル又はラインは、頸部の静脈(内頸静脈)、胸部の静脈(鎖骨下静脈又は腋窩静脈)、鼠径部の静脈(大腿静脈)に、又は腕の静脈(PICCライン又は末梢静脈挿入式中心カテーテルとしても知られる)を通じて、配置され得る。中心IVラインは、静脈を通して進められ、大きい中心静脈、通常は上大静脈、下大静脈又はさらに心臓の右心房に流入するカテーテルを有する。末梢静脈(PIV)ラインは、末梢静脈(腕、手、脚及び足の静脈)において使用される。ポートは、外部コネクタがない中心静脈ラインであり;代わりに、これは、シリコーンゴムで被覆され、皮膚の下に埋め込まれる小型リザーバを有する。薬剤は、皮膚に小さい針を刺し、シリコーンを突き刺してリザーバに入れることにより、断続的に投与される。針が引き抜かれると、リザーバカバーは、それ自体を再封止する。カバーは、その寿命中に何百もの針刺しを許容し得る。
【0093】
本発明は、本発明の抗体コンストラクトのボーラス投与を提供する。ボーラスとは、特定の無視できる時間内、一般的には1~30分以内に個別の量の薬剤、薬物又は他の化合物を投与することである。多くの場合、ボーラス投与は静脈内でなされる。ボーラスは通常、注射(例えば静脈内ボーラス注射)により投与されるが、ボーラス注入(例えば静脈内ボーラス注入)も可能である。短時間注入とは、比較的少量(50mL~500mL又は100mL~250mLなど)の注入(通常はIV注入)であり、これが、最大3時間、通常30~60分又は60分間にわたって投与される。本抗体コンストラクトの短時間(短時間IV)注入が本発明により想定される。
【0094】
静脈内「断続注入」とは、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22又は24時間ごとなど、所定の間隔において、20~120分又は30~60分などの設定された期間にわたって一定量の薬剤を注入することである。目的は、定期的に少量の薬を投与することである。断続的投薬は、何らかの他の形態の輸液と同様に、重力によって又は輸液ポンプとしても知られる電子輸液装置(EID)を介して投与され得る。
【0095】
注入の場合、輸液ポンプを使用して、薬剤(抗体コンストラクト)を患者の循環器系に注入し得る。ポンプは一般的に静脈内で使用されるが、ポンプによる動脈及び硬膜外注入も可能である。注入のための溶液は、IV注入のためのバッグで調製され、注入ラインを介して送達され得る。輸液ポンプは、手動で実施した場合に信頼できない方法で液体を投与し得る。例えば、1時間あたり僅か0.1mLの注射、1分ごとの注射、1時間あたりの最大数までの繰り返しボーラスによる注射又は1日の時間帯によって体積が変動する液体を投与し得る。重力によってもたらされる圧力のみを使用して注入を行うことも可能である。本発明による注入の異なるタイプとしては、ボーラス注入、短時間注入及び断続注入が挙げられるが限定されない。故に、本発明の抗体コンストラクトは、例えばボーラス投与(ボーラス注射又はボーラス注入)として、注射として、又は短時間注入として、例えば約30分~約90分又は約60分間にわたり、投与され得る。
【0096】
医薬組成物は、医療機器を用いて投与され得る。医薬組成物を投与するための医療機器の例は、米国特許第4,475,196号明細書;同第4,439,196号明細書;同第4,447,224号明細書;同第4,447,233号明細書;同第4,486,194号明細書;同第4,487,603号明細書;同第4,596,556号明細書;同第4,790,824号明細書;同第4,941,880号明細書;同第5,064,413号明細書;同第5,312,335号明細書;同第5,312,335号明細書;同第5,383,851号明細書;及び同第5,399,163号明細書に記載されている。
【0097】
本発明に関して、特に初回サイクル中、本抗体コンストラクトの各投与(又は「個々の投与」)前に前投薬が施されることが想定される。この特定の文脈において、「~の前」とは、本抗体コンストラクトの投与24時間、18時間、12時間、6時間、5時間、4時間又は3時間前以内及び好ましくは120、90、60又は30分前以内を意味することが想定される。前投薬は、本抗体コンストラクトの投与30~120分前又は30~60分前に投与され得る。同時投薬は、初回サイクルでの抗体コンストラクトの投与開始と同時に又はその後に、及び、任意選択的に、患者により必要とされる場合、続くサイクルの1回以上での本抗体コンストラクトの投与開始と同時に又はその後にも投与されることも想定される。この特定の文脈において、「~の後」とは、抗体コンストラクトの投与開始後の24時間、18時間、12時間、6時間、5時間、4時間又は3時間以内及び好ましくは120、90、60、30、20、15又は10分以内を意味することが想定される。同時投薬は、例えば、抗体コンストラクトの投与開始の10~120分後、10~60分後、10~30分後又は15~20分後に投与され得る。前投薬又は同時投薬の目的は、例えば、注入関連反応の重症度を予防又は軽減することであり得る。前投薬は、同時投薬よりも好ましい。
【0098】
前投薬又は同時投薬には、次の何れか1つ又は組み合わせが含まれ得る:
・パラセタモール(アセトアミノフェン、APAP)又は均等物;好ましくは経口(p.o.)又は静脈内投与され;好ましくは100~4000mg、好ましくは200~3000mg又は300~2500mg又は400~2000mg又は500~1500mg、好ましくは600~1400mg、700~1300mg、800~1200mg、900~1100mg又は約1000mgの用量でパラセタモール(又は均等な投薬及び/若しくは別の投与経路のための均等な用量)がp.o.投与される。当業者は、パラセタモール均等物を特定する方法を知っている。これらには、イブプロフェン(例えば、100~3200mg、好ましくは200~3000mg又は300~2500mg又は400~2000mg、好ましくは500~1500mg、600~1200mg、700~1000mg、750~900mg又は約800mgの用量で投与される)及びメタミゾール(例えば、100~4000mg、好ましくは200~3000mg又は300~2500mg又は400~2000mg又は約500~1000mgの用量で投与される)が挙げられるが限定されない。
・メペリジン、ジピロン、ヒドロモルフォン、フェンタニル及びトラマドールから選択される1つ以上の鎮痛剤
・抗ヒスタミン薬。好ましくは経口又は静脈内投与され、好ましくはジフェンヒドラミン50mgをi.v.投与するのと同等である用量で投与される。当業者は、抗ヒスタミン剤を特定する方法を知っている。これらとしては、アザタジン(最大用量、例えば4mg/日)、ブロムフェニラミン(最大用量、例えば30mg/日)、セチリジン(最大用量、例えば15mg/日)、クロルフェニラミン(最大用量、例えば30mg/日)、クレマスチン(最大用量、例えば10mg/日)、シプロヘプタジン(最大用量、例えば15mg/日)、デスロラタジン(最大用量、例えば7mg/日)、デキスクロルフェニラミン(最大用量、例えば15mg/日)、ジフェンヒドラミン(最大用量、例えば350/日)、ドキシルアミン(最大用量、例えば180mg/日)、フェキソフェナジン(最大用量、例えば200mg/日)、ロラタジン(最大用量、例えば15mg/日)、フェニンダミン(最大用量、例えば180mg/日)などの経口、非経口又は直腸経路の抗ヒスタミン剤が挙げられるが限定されない。
・グルココルチコイド、好ましくは経口又は静脈内投与され、好ましくは2~20mg又は4~16mg又は6~12mg又は8mgのデキサメタゾンi.v.と同等の用量で投与されるもの(グルココルチコイドの効力を基準とする当量)。
【0099】
上記で挙げられる全ての4つの物質又は物質群は、前投薬若しくは同時投薬又は2つの物質のみの組み合わせ若しくは3つの物質の組み合わせ又は4つの物質の1つのみとして投与され得る。第2のサイクルの開始前に投与されるグルココルチコイド(GC)用量は、初回サイクルの開始前に投与されるGCの用量と同一であり得るか、又は初回サイクルの開始前に投与される用量の約50%に減少させ得るか、又は第2の(及び/又は何れかの後続の可能性がある)サイクルに対しては省略され得ることが想定される。例えば、本発明による抗体コンストラクトが最初のサイクル中に注入関連反応の有意な兆候なしに十分に許容される場合、GC用量の低減が適用される場合がある。3番目及び何れかの後続のサイクルを開始する前に用量をさらに減少させ得ることがさらに想定される。代わりに、GCは、最初のサイクルの開始前に前投薬(及び潜在的に同時投薬)として投与されるが、GCの前投薬又は同時投薬は、2番目、3番目、4番目及び/又は5番目のサイクルで投与されない。一般に、本発明の実施形態に従って用いられる前投薬又は同時投薬の用量は、個々の患者の状況に依存するであろう。
【0100】
グルココルチコイドは、ステロイドホルモンのクラスであるコルチコステロイドのクラスである。グルココルチコイドは、グルココルチコイド受容体に結合するコルチコステロイドである。あまり一般的でない同義語は、グルココルチコステロイドである。コルチゾール(薬剤として使用される場合、ヒドロコルチゾンとして知られている)は、最も重量なヒトグルココルチコイドである。様々な合成グルココルチコイドは、コルチゾールよりもはるかに強力であり、治療上の使用のために作製されている。それらは、薬物動態学(例えば、吸収係数、半減期、分布容積、クリアランス)及び薬力学(例えば、グルココルチコイドの効力又は鉱質コルチコイドの効力)の両方で異なる。コルチゾールは、グルココルチコイドの効力の比較基準である。一般的に処方されている代替ステロイド均等物の一例は、プレドニゾン(5mg)=コルチゾン(25mg)=デキサメタゾン(0.75mg)=ヒドロコルチゾン(20mg)=メチルプレドニゾロン(4mg)であり得る。これらの用量は、グルココルチコイドの全身投与と均等な薬理学的用量を示す。様々な物質の半減期を示す別のコルチコステロイド比較チャートは、例えば、www.nadf.us/downloads/adrenalhormone.pdf.中に見出すことができる。コルチコステロイド変換計算機又は当量の表がインターネットで利用可能である。
【0101】
本実施形態で前投薬又は同時投薬として使用されるGCの例としては、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、ベクロメタゾン、ブデソニド、トリアムシノロン、クロプレドノール、デフラザコート、フルオコルトロン、コルチバゾール、パラメタゾン、フルチカゾン、プロピオン酸フルチカゾン、トリアムシノロンアセトニド並びにそれらの組み合わせ及び/又は薬学的に許容可能な誘導体が挙げられるが限定されない。本発明に関連して、異なるGCを単独で又は組み合わせて使用し得る。デキサメタゾン、プレドニゾン及びプレドニゾロンは、GCの好ましい実施形態である。
【0102】
既に「グルココルチコイド」として分類されているか又は分類される予定の全ての物質は、本発明に関連しても同様に使用され得ることが想定される。そのような将来のグルココルチコイドには、グルココルチコイド受容体に特異的に結合して活性化する化合物が含まれる。「GC受容体に特異的に結合する」という用語は、本発明によれば、GC(又はGCのように作用すると想定される化合物)が、一般的にタンパク質/受容体(即ち非特異的結合)との会合と比較して、統計的に有意な程度までGC受容体(NR3C1としても知られる)と会合する(例えば相互作用する)ことを意味する。GC受容体がグルココルチコイドと結合する場合、その主な作用機序は、遺伝子転写の調節である。GCの非存在下において、グルココルチコイド受容体(GR)は、熱ショックタンパク質90(hsp90)、熱ショックタンパク質70(hsp70)及びタンパク質FKBP52(FK506-結合タンパク質52)を含む様々なタンパク質と複合体を形成したサイトゾルに存在する。GCのグルココルチコイド受容体との結合により、熱ショックタンパク質の放出がもたらされる。従って、将来のGC又はGCの薬学的に許容される誘導体若しくは塩は、GC受容体に結合し、上記の熱ショックタンパク質を放出できることが想定される。次いで、活性化されたGR複合体は、核内の抗炎症タンパク質の発現を上方制御するか、又はサイトゾルから核への他の転写因子の移行を防ぐことにより、サイトゾル中の炎症誘発性タンパク質の発現を抑制する。
【0103】
本発明の抗体コンストラクトは、BCMAに結合する第1のドメイン、CD3に結合する第2のドメイン及び抗体コンストラクトの半減期を延長(又は促進する)第3のドメインを含む。
【0104】
「抗体コンストラクト」という用語は、構造及び/又は機能が抗体(例えば、完全長免疫グロブリン分子)の構造及び/又は機能に基づく分子を指す。従って、抗体コンストラクトは、その標的又は抗原に免疫特異的に結合し、及び/又は抗体の重鎖可変領域(VH)及び/又は軽鎖可変領域(VL)に由来するか若しくはそれらであるドメインを含む。さらに、本発明による抗体コンストラクトは、免疫特異的標的結合を可能にする抗体の最小限の構造要件を含む。この最小限の要件は、例えば、少なくとも3つの軽鎖CDR(即ちVL領域のCDR1、CDR2及びCDR3)及び/又は3つの重鎖CDR(即ちVH領域のCDR1、CDR2及びCDR3)、好ましくは6つ全てのCDRの存在により定義され得る。
【0105】
本発明による「抗体」の定義内で、ラクダ科動物抗体及びバイオテクノロジー又はタンパク質工学の方法又は工程によって作製される他の免疫グロブリンも含め、全長抗体である。こうした完全長抗体は、例えば、モノクローナル、組み換え、キメラ、脱免疫化、ヒト化及びヒト抗体並びにマウス、ハムスター、ウサギ、ラット、ヤギ又は非ヒト霊長類などの他の種からの抗体であり得る。
【0106】
本発明の「抗体コンストラクト」は、それが天然に存在するような完全長免疫グロブリンの一般的な構造を有し得る。例えば、抗体コンストラクトは、(少なくとも)2つの完全長抗体重鎖及び2つの完全長抗体軽鎖を含み得る。しかし、本発明による抗体コンストラクトが、BCMAに結合する1つのドメインと、CD3に結合する別のドメインとを含むことを考えれば、これは、天然に存在せず、天然に存在する産物とその機能が著しく異なる。従って、本発明の抗体コンストラクトは、特異性が異なる少なくとも2つの個別の結合ドメインを含む人工「ハイブリッド」分子である。
【0107】
本発明の「抗体コンストラクト」は、VH、VHH、VL、(s)dAb、Fv、軽鎖(VL-CL)、Fd(VH-CH1)、重鎖、Fab、Fab’、F(ab’)又は「r IgG」(重鎖と軽鎖とからなる「半抗体」)など、完全長抗体の断片も含み得る。本発明による抗体コンストラクトは、抗体変異体又は抗体誘導体とも称される抗体の修飾断片も含み得る。例として下記が挙げられるが限定されない:scFv、di-scFv又はbi(s)-scFv、scFv-Fc、scFv-ジッパー、scFab、Fab、Fab、ダイアボディ、単鎖ダイアボディ、タンデムダイアボディ(Tandab’s)、タンデムdi-scFv、タンデムtri-scFv、下記:(VH-VL-CH3)、(scFv-CH3)、((scFv)-CH3+CH3)、((scFv)-CH3)又は(scFv-CH3-scFv)のような構造により例示される「ミニボディ」、マルチボディ、例えばトリアボディ又はテトラボディなど、及び単一ドメイン抗体、例えば他の可変領域又はドメインと無関係に抗原又は標的に特異的に結合する、VHH、VH又はVLであり得る1つの可変領域のみを含むナノボディ又は単一可変ドメイン抗体など。本発明による抗体コンストラクトのさらなる可能な形式は、クロスボディ、マキシボディ、ヘテロFcコンストラクト、モノFcコンストラクト及びscFcコンストラクトである。
【0108】
さらに、「抗体コンストラクト」という用語の定義には、2、3個又はそれを超える抗原構造に異なる結合ドメインを介して特異的に結合する二価及び多価/多原子価コンストラクトが含まれる。従って、抗体コンストラクトは、特異性よりも大きい結合価を有することもあり、例えばそれが第1の標的(BCMA)に対して2個の結合ドメインを有し、第2の標的(CD3)に対して1個の結合ドメインを有する場合又はその逆の場合であり、この場合、コンストラクトは、三価であり且つ二重特異性である。さらに、「抗体コンストラクト」という用語の定義には、1本のポリペプチド鎖(単鎖ポリペプチド)のみからなる分子並びに、2本、3本、4本又はそれより多くのポリペプチド鎖(これらの鎖は、同一であり得るか(ホモ二量体、ホモ三量体若しくはホモオリゴマー)又は異なり得る(ヘテロ二量体、ヘテロ三量体若しくはヘテロオリゴマー))からなる分子が含まれる。上記で特定された抗体及びその断片、変異体、誘導体及びこれらに由来する抗体コンストラクトの例は、とりわけ、Harlow and Lane,Antibodies:A laboratory manual,CSHL Press(1988);Kontermann and Duebel,Antibody Engineering,Springer,2nd ed.2010;and Little,Recombinant Antibodies for Immunotherapy,Cambridge University Press 2009で説明されている。本発明の抗体コンストラクトは、単鎖抗体コンストラクト/単鎖ポリペプチドであることが想定される。
【0109】
「結合ドメイン」又は「~に結合するドメイン」という用語は、本発明に関連して、標的又は抗原(ここでは、第1のドメインの場合にBCMA及び第2のドメインの場合にCD3)上の所与のエピトープに免疫特異的に結合する/それと相互作用する/それを認識する抗体コンストラクトのドメインを特徴付ける。第1のドメインの構造及び機能(BCMAへの結合)及びまた好ましくは第2のドメインの構造及び/又は機能(CD3への結合)は、抗体、例えば完全長免疫グロブリン分子の構造及び/又は機能に基づく。従って、「結合ドメイン」又は「~に結合するドメイン」は、免疫特異的標的結合を可能にする抗体の最小限の構造要件を含み得る。第1のドメインのこの最小限の構造要件は、例えば、少なくとも3つの軽鎖CDR(即ちVL領域のCDR1、CDR2及びCDR3)及び/又は3つの重鎖CDR(即ちVH領域のCDR1、CDR2及びCDR3)、好ましくは6つ全てのCDRの存在によって定義され得る。第2のドメインも、免疫特異的標的結合を可能にする抗体のこの最小限の構造要件を含むことが想定される。より好ましくは、第2のドメインも少なくとも3つの軽鎖CDR(即ちVL領域のCDR1、CDR2及びCDR3)及び/又は3つの重鎖CDR(即ちVH領域のCDR1、CDR2及びCDR3)、好ましくは6つ全てのCDRを含む。「~に結合するドメイン」(又は「結合ドメイン」)は、典型的には抗体軽鎖可変領域(VL)と抗体重鎖可変領域(VH)とを含み得;しかし、それが両方を含む必要はなく、VH又はVLの一方のみを含み得る。Fd断片は、例えば、インタクトな抗原結合ドメインの一部の抗原結合機能を保持していることが多い。
【0110】
「~に結合するドメイン」(又は「結合ドメイン」)の形式の例としては、完全長抗体、完全長抗体の断片(VH、VHH、VLなど)、(s)dAb、Fv、軽鎖(VL-CL)、Fd(VH-CH1)、重鎖、Fab、Fab’、F(ab’)又は「rIgG」(「半抗体」)、抗体変異体又は誘導体、例えばscFv、di-scFv又はbi(s)-scFv、scFv-Fc、scFv-ジッパー、scFab、Fab、Fab、ダイアボディ、単鎖ダイアボディ、タンデムダイアボディ(Tandab’s)、タンデムdi-scFv、タンデムtri-scFv、「ミニボディ」((VH-VL-CH3)、(scFv-CH3)、((scFv)-CH3+CH3)、((scFv)-CH3)又は(scFv-CH3-scFv)などの形式から選択される)、トリアボディ又はテトラボディなどのマルチボディ及びVHH、VH又はVLであり得る1つのみの可変領域を含むナノボディ又は単可変ドメイン抗体などの単ドメイン抗体が挙げられるが限定されない。「~に結合するドメイン」(又は「結合ドメイン」)の形式のさらなる例として、下記が挙げられる:(1)VL、VH、CL及びCH1を含む抗体断片又は抗体変異体(例えばFab);(2)2個の連結されたFab断片を含む抗体断片又は抗体変異体(例えば、F(ab’));(3)VH及びCHを含む抗体断片又は抗体変異体(例えばFd);(4)VL及びCLを含む抗体断片又は抗体変異体(例えば軽鎖);(5)VL及びVHを含む抗体断片又は抗体変異体(例えばFv);(5)VHドメインを有するdAb断片(Ward et al.,(1989)Nature 341:544-546);(6)重鎖及び/又は軽鎖の少なくとも3つの単離されたCDRを含む抗体変異体;並びに(7)単鎖Fv(scFv)。本発明による抗体コンストラクト又は結合ドメインの実施形態の例は、例えば、国際公開第00/006605号パンフレット、同第2005/040220号パンフレット、同第2008/119567号パンフレット、同第2010/037838号パンフレット、同第2013/026837号パンフレット、同第2013/026833号パンフレット、米国特許出願公開第2014/0308285号明細書、同第2014/0302037号明細書、国際公開第2014/144722号パンフレット、同第2014/151910号パンフレット及び同第2015/048272号パンフレットで説明されている。
【0111】
「~に(特異的又は免疫特異的に)結合する」、「~を(特異的又は免疫特異的に)認識する」又は「~と(特異的又は免疫特異的に)反応する」という用語は、本発明によれば、抗体コンストラクト又は結合ドメインが、標的分子(抗原)、ここではそれぞれBCMA及びCD3上の所与のエピトープと相互作用するか又は(免疫)特異的に相互作用することを意味する。この相互作用又は会合は、代替的物質(非標的分子)よりも、特異的な標的上のエピトープに対してより高頻度に、より迅速に、より長い持続期間で、より高い親和性で又は上述の何らかの組み合わせで生じる。しかし、異なる種における相同タンパク質間の配列類似性のため、その標的(ヒト標的など)に免疫特異的に結合する抗体コンストラクト又は結合ドメインは、異なる種(非ヒト霊長類など、例えばマカク)からの相同標的分子と交差反応し得る。従って、「特異的/免疫特異的結合」という用語は、抗体コンストラクト又は結合ドメインによる複数の種におけるエピトープ又は構造的に関連性のあるエピトープへの結合を含み得る。
【0112】
本発明に関連して、「エピトープ」という用語は、結合ドメインによって認識される/免疫特異的に認識される抗原の一部又は領域を指す。「エピトープ」は、抗原性であり、従って、エピトープという用語は、ときに「抗原構造」又は「抗原決定基」とも称される。結合ドメインのうち、エピトープに結合する部分は、パラトープと呼ばれる。特異的結合は、結合ドメイン及び抗原のアミノ酸配列における特異的モチーフによって達成されると考えられる。従って、結合は、その一次、二次及び/又は三次構造の結果として且つ前記構造の潜在的な二次修飾の結果として実現する。パラトープがその抗原決定基と特異的に相互作用すると、前記部位が抗原に単純に結合し得る。一部の場合において、代わりに又は加えて、特異的相互作用により、例えば抗原の立体構造変化の誘導、抗原のオリゴマー形成などに起因してシグナルが惹起され得る。
【0113】
タンパク質抗原のエピトープは、その構造及びパラトープとの相互作用に基づいて、立体エピトープ及び線状エピトープという2つのカテゴリーに分類される。立体エピトープは、抗原のアミノ酸配列の不連続なセクションで構成される。これらのエピトープは、抗原の三次元表面特性及び形状又は三次構造(折り畳み)に基づいてパラトープと相互作用する。エピトープの立体構造の決定方法として、X線結晶学、二次元核磁気共鳴(2D-NMR)分光法並びに部位特異的スピン標識及び電子常磁性共鳴(EPR)分光法が挙げられるが限定されない。対照的に、線状エピトープは、その一次構造に基づいてパラトープと相互作用する。線状エピトープは、抗原からの連続アミノ酸配列により形成され、典型的にはユニークな配列において少なくとも3個又は少なくとも4個のアミノ酸配列を含み、より一般的には少なくとも5個又は少なくとも6個又は少なくとも7個、例えば約8~約10個のアミノ酸を含む。
【0114】
結合ドメインと標的抗原のエピトープとの間の相互作用は、結合ドメインがエピトープ/標的抗原(ここではそれぞれBCMA及びCD3)に対して認識可能な又は有意な親和性を呈することを示す。一般的には、それは、標的抗原(ここではBCMA/CD3)以外のタンパク質又は抗原に対して-上記で考察した、例えば他の種由来の相同標的との交差反応性があったとしても-有意な親和性をさらに呈しない。「有意な親和性」としては、≦10-6Mの親和性(解離定数、KD)での結合が挙げられる。好ましくは、結合は、結合親和性が≦10-7M、≦10-8M、≦10-9M、≦10-10M又はさらに≦10-11M若しくは≦10-12Mのとき、特異的とみなされる。結合ドメイン(免疫)が標的と特異的に反応又は結合するか否かは、例えば、その所望の標的タンパク質又は抗原に対する前記結合ドメインの親和性を非標的タンパク質又は抗原(ここではそれぞれBCMA又はCD3以外のタンパク質)に対する前記結合ドメインの親和性と比較することにより、容易に試験し得る。好ましくは、本発明の抗体コンストラクトは、それぞれBCMA又はCD3以外のタンパク質又は抗原に有意に結合しない(即ち、第1のドメインは、BCMA以外のタンパク質に結合せず、第2のドメインは、CD3以外のタンパク質に結合しない)。例えば、本発明の抗体コンストラクト(より具体的にはその第1のドメイン)は、ヒトBAFF-R及び/若しくはヒトTACIに有意に結合、相互作用、認識又は交差反応しないことが想定される。
【0115】
BCMAに対する本発明の抗体コンストラクトの平衡解離定数(KD)は、例えば、国際公開第2013/072406号パンフレットに記載されているように、スキャッチャード又はビアコア分析によって決定され得る。CD3のKD値は、例えば、国際公開第2013/072406号パンフレットに記載されているように、例えば表面プラズモン共鳴分析によって決定され得る。本発明の抗体コンストラクトは、2桁若しくは1桁のナノモル範囲又は3桁若しくはさらに2桁のピコモル範囲でBCMA及び/又はCD3のKD値を有することが想定される。
【0116】
「有意に結合しない」という用語は、本発明の抗体コンストラクト又は結合ドメインがBCMA又はCD3以外のタンパク質又は抗原に結合せず、即ちBCMA又はCD3のそれぞれに対する結合を100%とした場合、BCMA又はCD3以外のタンパク質又は抗原に対して30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、特に好ましくは9%、8%、7%、6%又は5%以下の反応性を示すことを意味する。
【0117】
本発明の抗体コンストラクトの一実施形態によれば、第1及び/又は第2のドメインは、scFvの形式である(単鎖可変断片)。scFvは実際、抗体の断片ではないが、代わりに、短いリンカーペプチドで連結される、免疫グロブリンの重鎖(VH)及び軽鎖(VL)の可変領域の融合タンパク質である。リンカーは通常、柔軟性のためにグリシンリッチであり、溶解性のためにセリン又はスレオニンリッチである。このscFvは、定常領域の除去及びリンカーの導入にもかかわらず、元の免疫グロブリンの特異性を保持するように設計される。scFvでは、VH領域及びVL領域は、(N末端からC末端に)VH-VL又はVL-VHの順序で配置される。第1及び/又は第2の結合ドメインのVH領域及びVL領域は、リンカー、好ましくはペプチドリンカーを介して連結されることが想定される。第1及び/又は第2のドメインの一実施形態によれば、VH領域がリンカーのN末端側に位置し、VL領域がリンカーのC末端側に位置する。抗体コンストラクトの第1のドメイン及び第2のドメインがリンカー、好ましくはペプチドリンカーを介して接続されることがさらに想定される。リンカーは、好ましくは、ペプチドリンカー、より好ましくは短鎖ペプチドリンカーである。配列番号686~699において例を示す。これに関連して、「短鎖」リンカーは、2~50アミノ酸、好ましくは3~35、4~30、5~25、6~20又は6~17アミノ酸を有する。1つの結合ドメインの2つの可変領域間のリンカーは、2つの結合ドメイン間のリンカーと異なる長さを有し得る(例えばより長い場合がある)。例えば、1つの結合ドメインの2つの可変領域間のリンカーは、7~15個のアミノ酸、好ましくは9~13個のアミノ酸長を有し得、2つの結合ドメイン間のリンカーは、3~10個のアミノ酸、好ましくは4~8個のアミノ酸長を有し得る。ペプチドリンカーは、配列番号687、689~699に示されるものなど、グリシン/セリンリンカーであることがさらに想定される。
【0118】
本発明の抗体コンストラクトについて、
a)本抗体コンストラクトが単鎖ポリペプチドであり、
b)第1のドメインがscFvの形式であり、
c)第2のドメインがscFvの形式であり、及び/又は
d)第1のドメイン及び第2のドメインが、リンカー、好ましくはペプチドリンカー、より好ましくはグリシン/セリンリンカーを介して連結されることが想定される。
【0119】
本発明の抗体コンストラクトの第1のドメインは、BCMA(B細胞成熟抗原、TNFRSF17、CD269)に結合する。より好ましくは、これは、標的細胞の表面上のBCMAに結合する。「標的細胞」は、その表面上にBCMAを発現する何れかの原核細胞又は真核細胞であり得る。好ましくは、標的細胞は、特定のBCMA発現癌若しくは腫瘍細胞又はBCMA陽性新生物の細胞など、ヒト又は動物の体の一部の細胞である。第1のドメインは、ヒトBCMA、好ましくは標的細胞の表面上のヒトBCMAに結合することがさらに想定される。また、第1のドメインは、マカクBCMA、好ましくは標的細胞の表面上のマカクBCMAに結合することが想定される。好ましいアミノ酸配列は、ヒトBCMAについて配列番号647で、マカクBCMAについて配列番号648で、ヒトBCMAの細胞外ドメインについて配列番号649で、マカクBCMAの細胞外ドメインについて配列番号650で示される。
【0120】
本発明の一実施形態では、抗体コンストラクトの第1のドメインは、BCMAのエピトープクラスター3に結合する。より好ましくは、ヒトBCMAのエピトープクラスター3に結合する。ヒトBCMAのエピトープクラスター3についての好ましいアミノ酸配列は、配列番号651に示される。BCMAの前記エピトープクラスター3に結合するドメインを有する抗体コンストラクトは、国際公開第2013/072406号パンフレットで詳述される。これらの抗体コンストラクトは、国際公開第2013/072406号パンフレットにおいて、非常に有益なエピトープ/活性の関係があることが示されている。
【0121】
BCMAエピトープマッピングの方法は、国際公開第2013/072406号パンフレットで使用されており、以下で説明される:(それぞれが連続アミノ酸ストレッチの形態である)ヒトBCMAの細胞外ドメイン内の1つ以上の予め定められた領域は、げっ歯類BCMA分子(マウスBCMAなどであるが、他のげっ歯類種も、結合ドメインが使用されるげっ歯類種と交差反応性でない限り、考えられ得る)の対応する領域と交換/置換される。これらのヒトBCMA/げっ歯類(ネズミ)BCMAキメラを宿主細胞(CHO細胞など)の表面上に発現させる。FACS分析を介して抗体又は抗体コンストラクトの結合を試験し得る。このキメラ分子への抗体若しくは抗体コンストラクトの結合が完全になくなる場合又は大幅な結合の低下が認められる場合、このキメラ分子から取り除かれたヒトBCMAの領域が免疫特異的エピトープ-パラトープ認識に関連すると結論付け得る。(ヒトBCMAへの結合を100%として)前記結合の低下は、ヒト(野生型)BCMAへの結合と比較して、好ましくは少なくとも10%、20%、30%、40%又は50%;より好ましくは少なくとも60%、70%又は80%、最も好ましくは90%、95%又はさらに100%である。代わりに又はさらに、上述のエピトープマッピング分析は、BCMAの細胞外ドメインの配列に1つ以上の点突然変異を導入することにより修正され得る。
【0122】
本発明の抗体コンストラクトについて、BCMAに結合する第1のドメインは、
(1)配列番号1に示されるようなCDR-H1、配列番号2に示されるようなCDR-H2、配列番号3に示されるようなCDR-H3、配列番号4に示されるようなCDR-L1、配列番号5に示されるようなCDR-L2及び配列番号6に示されるようなCDR-L3;
(2)配列番号11に示されるようなCDR-H1、配列番号12に示されるようなCDR-H2、配列番号13に示されるようなCDR-H3、配列番号14に示されるようなCDR-L1、配列番号15に示されるようなCDR-L2及び配列番号16に示されるようなCDR-L3;
(3)配列番号21に示されるようなCDR-H1、配列番号22に示されるようなCDR-H2、配列番号23に示されるようなCDR-H3、配列番号24に示されるようなCDR-L1、配列番号25に示されるようなCDR-L2及び配列番号26に示されるようなCDR-L3;
(4)配列番号31に示されるようなCDR-H1、配列番号32に示されるようなCDR-H2、配列番号33に示されるようなCDR-H3、配列番号34に示されるようなCDR-L1、配列番号35に示されるようなCDR-L2及び配列番号36に示されるようなCDR-L3;
(5)配列番号41に示されるようなCDR-H1、配列番号42に示されるようなCDR-H2、配列番号43に示されるようなCDR-H3、配列番号44に示されるようなCDR-L1、配列番号45に示されるようなCDR-L2及び配列番号46に示されるようなCDR-L3;
(6)配列番号51に示されるようなCDR-H1、配列番号52に示されるようなCDR-H2、配列番号53に示されるようなCDR-H3、配列番号54に示されるようなCDR-L1、配列番号55に示されるようなCDR-L2及び配列番号56に示されるようなCDR-L3;
(7)配列番号61に示されるようなCDR-H1、配列番号62に示されるようなCDR-H2、配列番号63に示されるようなCDR-H3、配列番号64に示されるようなCDR-L1、配列番号65に示されるようなCDR-L2及び配列番号66に示されるようなCDR-L3;
(8)配列番号71に示されるようなCDR-H1、配列番号72に示されるようなCDR-H2、配列番号73に示されるようなCDR-H3、配列番号74に示されるようなCDR-L1、配列番号75に示されるようなCDR-L2及び配列番号76に示されるようなCDR-L3;
(9)配列番号81に示されるようなCDR-H1、配列番号82に示されるようなCDR-H2、配列番号83に示されるようなCDR-H3、配列番号84に示されるようなCDR-L1、配列番号85に示されるようなCDR-L2及び配列番号86に示されるようなCDR-L3;
(10)配列番号91に示されるようなCDR-H1、配列番号92に示されるようなCDR-H2、配列番号93に示されるようなCDR-H3、配列番号94に示されるようなCDR-L1、配列番号95に示されるようなCDR-L2及び配列番号96に示されるようなCDR-L3;
(11)配列番号101に示されるようなCDR-H1、配列番号102に示されるようなCDR-H2、配列番号103に示されるようなCDR-H3、配列番号104に示されるようなCDR-L1、配列番号105に示されるようなCDR-L2及び配列番号106に示されるようなCDR-L3;
(12)配列番号111に示されるようなCDR-H1、配列番号112に示されるようなCDR-H2、配列番号113に示されるようなCDR-H3、配列番号114に示されるようなCDR-L1、配列番号115に示されるようなCDR-L2及び配列番号116に示されるようなCDR-L3;
(13)配列番号121に示されるようなCDR-H1、配列番号122に示されるようなCDR-H2、配列番号123に示されるようなCDR-H3、配列番号124に示されるようなCDR-L1、配列番号125に示されるようなCDR-L2及び配列番号126に示されるようなCDR-L3;
(14)配列番号131に示されるようなCDR-H1、配列番号132に示されるようなCDR-H2、配列番号133に示されるようなCDR-H3、配列番号134に示されるようなCDR-L1、配列番号135に示されるようなCDR-L2及び配列番号136に示されるようなCDR-L3;
(15)配列番号141に示されるようなCDR-H1、配列番号142に示されるようなCDR-H2、配列番号143に示されるようなCDR-H3、配列番号144に示されるようなCDR-L1、配列番号145に示されるようなCDR-L2及び配列番号146に示されるようなCDR-L3;
(16)配列番号151に示されるようなCDR-H1、配列番号152に示されるようなCDR-H2、配列番号153に示されるようなCDR-H3、配列番号154に示されるようなCDR-L1、配列番号155に示されるようなCDR-L2及び配列番号156に示されるようなCDR-L3;
(17)配列番号161に示されるようなCDR-H1、配列番号162に示されるようなCDR-H2、配列番号163に示されるようなCDR-H3、配列番号164に示されるようなCDR-L1、配列番号165に示されるようなCDR-L2及び配列番号166に示されるようなCDR-L3;
(18)配列番号171に示されるようなCDR-H1、配列番号172に示されるようなCDR-H2、配列番号173に示されるようなCDR-H3、配列番号174に示されるようなCDR-L1、配列番号175に示されるようなCDR-L2及び配列番号176に示されるようなCDR-L3;
(19)配列番号181に示されるようなCDR-H1、配列番号182に示されるようなCDR-H2、配列番号183に示されるようなCDR-H3、配列番号184に示されるようなCDR-L1、配列番号185に示されるようなCDR-L2及び配列番号186に示されるようなCDR-L3;
(20)配列番号191に示されるようなCDR-H1、配列番号192に示されるようなCDR-H2、配列番号193に示されるようなCDR-H3、配列番号194に示されるようなCDR-L1、配列番号195に示されるようなCDR-L2及び配列番号196に示されるようなCDR-L3;
(21)配列番号201に示されるようなCDR-H1、配列番号202に示されるようなCDR-H2、配列番号203に示されるようなCDR-H3、配列番号204に示されるようなCDR-L1、配列番号205に示されるようなCDR-L2及び配列番号206に示されるようなCDR-L3;
(22)配列番号211に示されるようなCDR-H1、配列番号212に示されるようなCDR-H2、配列番号213に示されるようなCDR-H3、配列番号214に示されるようなCDR-L1、配列番号215に示されるようなCDR-L2及び配列番号216に示されるようなCDR-L3;
(23)配列番号221に示されるようなCDR-H1、配列番号222に示されるようなCDR-H2、配列番号223に示されるようなCDR-H3、配列番号224に示されるようなCDR-L1、配列番号225に示されるようなCDR-L2及び配列番号226に示されるようなCDR-L3;
(24)配列番号231に示されるようなCDR-H1、配列番号232に示されるようなCDR-H2、配列番号233に示されるようなCDR-H3、配列番号234に示されるようなCDR-L1、配列番号235に示されるようなCDR-L2及び配列番号236に示されるようなCDR-L3;
(25)配列番号241に示されるようなCDR-H1、配列番号242に示されるようなCDR-H2、配列番号243に示されるようなCDR-H3、配列番号244に示されるようなCDR-L1、配列番号245に示されるようなCDR-L2及び配列番号246に示されるようなCDR-L3;
(26)配列番号251に示されるようなCDR-H1、配列番号252に示されるようなCDR-H2、配列番号253に示されるようなCDR-H3、配列番号254に示されるようなCDR-L1、配列番号255に示されるようなCDR-L2及び配列番号256に示されるようなCDR-L3;
(27)配列番号261に示されるようなCDR-H1、配列番号262に示されるようなCDR-H2、配列番号263に示されるようなCDR-H3、配列番号264に示されるようなCDR-L1、配列番号265に示されるようなCDR-L2及び配列番号266に示されるようなCDR-L3;
(28)配列番号271に示されるようなCDR-H1、配列番号272に示されるようなCDR-H2、配列番号273に示されるようなCDR-H3、配列番号274に示されるようなCDR-L1、配列番号275に示されるようなCDR-L2及び配列番号276に示されるようなCDR-L3;
(29)配列番号281に示されるようなCDR-H1、配列番号282に示されるようなCDR-H2、配列番号283に示されるようなCDR-H3、配列番号284に示されるようなCDR-L1、配列番号285に示されるようなCDR-L2及び配列番号286に示されるようなCDR-L3;
(30)配列番号291に示されるようなCDR-H1、配列番号292に示されるようなCDR-H2、配列番号293に示されるようなCDR-H3、配列番号294に示されるようなCDR-L1、配列番号295に示されるようなCDR-L2及び配列番号296に示されるようなCDR-L3;
(31)配列番号301に示されるようなCDR-H1、配列番号302に示されるようなCDR-H2、配列番号303に示されるようなCDR-H3、配列番号304に示されるようなCDR-L1、配列番号305に示されるようなCDR-L2及び配列番号306に示されるようなCDR-L3;
(32)配列番号311に示されるようなCDR-H1、配列番号312に示されるようなCDR-H2、配列番号313に示されるようなCDR-H3、配列番号314に示されるようなCDR-L1、配列番号315に示されるようなCDR-L2及び配列番号316に示されるようなCDR-L3;
(33)配列番号321に示されるようなCDR-H1、配列番号322に示されるようなCDR-H2、配列番号323に示されるようなCDR-H3、配列番号324に示されるようなCDR-L1、配列番号325に示されるようなCDR-L2及び配列番号326に示されるようなCDR-L3;
(34)配列番号331に示されるようなCDR-H1、配列番号332に示されるようなCDR-H2、配列番号333に示されるようなCDR-H3、配列番号334に示されるようなCDR-L1、配列番号335に示されるようなCDR-L2及び配列番号336に示されるようなCDR-L3;
(35)配列番号341に示されるようなCDR-H1、配列番号342に示されるようなCDR-H2、配列番号343に示されるようなCDR-H3、配列番号344に示されるようなCDR-L1、配列番号345に示されるようなCDR-L2及び配列番号346に示されるようなCDR-L3;
(36)配列番号351に示されるようなCDR-H1、配列番号352に示されるようなCDR-H2、配列番号353に示されるようなCDR-H3、配列番号354に示されるようなCDR-L1、配列番号355に示されるようなCDR-L2及び配列番号356に示されるようなCDR-L3;
(37)配列番号361に示されるようなCDR-H1、配列番号362に示されるようなCDR-H2、配列番号363に示されるようなCDR-H3、配列番号364に示されるようなCDR-L1、配列番号365に示されるようなCDR-L2及び配列番号366に示されるようなCDR-L3;
(38)配列番号371に示されるようなCDR-H1、配列番号372に示されるようなCDR-H2、配列番号373に示されるようなCDR-H3、配列番号374に示されるようなCDR-L1、配列番号375に示されるようなCDR-L2及び配列番号376に示されるようなCDR-L3;
(39)配列番号381に示されるようなCDR-H1、配列番号382に示されるようなCDR-H2、配列番号383に示されるようなCDR-H3、配列番号384に示されるようなCDR-L1、配列番号385に示されるようなCDR-L2及び配列番号386に示されるようなCDR-L3;
(40)配列番号391に示されるようなCDR-H1、配列番号392に示されるようなCDR-H2、配列番号393に示されるようなCDR-H3、配列番号394に示されるようなCDR-L1、配列番号395に示されるようなCDR-L2及び配列番号396に示されるようなCDR-L3;
(41)配列番号401に示されるようなCDR-H1、配列番号402に示されるようなCDR-H2、配列番号403に示されるようなCDR-H3、配列番号404に示されるようなCDR-L1、配列番号405に示されるようなCDR-L2及び配列番号406に示されるようなCDR-L3;
(42)配列番号411に示されるようなCDR-H1、配列番号412に示されるようなCDR-H2、配列番号413に示されるようなCDR-H3、配列番号414に示されるようなCDR-L1、配列番号415に示されるようなCDR-L2及び配列番号416に示されるようなCDR-L3;
(43)配列番号421に示されるようなCDR-H1、配列番号422に示されるようなCDR-H2、配列番号423に示されるようなCDR-H3、配列番号424に示されるようなCDR-L1、配列番号425に示されるようなCDR-L2及び配列番号426に示されるようなCDR-L3;
(44)配列番号431に示されるようなCDR-H1、配列番号432に示されるようなCDR-H2、配列番号433に示されるようなCDR-H3、配列番号434に示されるようなCDR-L1、配列番号435に示されるようなCDR-L2及び配列番号436に示されるようなCDR-L3;
(45)配列番号441に示されるようなCDR-H1、配列番号442に示されるようなCDR-H2、配列番号443に示されるようなCDR-H3、配列番号444に示されるようなCDR-L1、配列番号445に示されるようなCDR-L2及び配列番号446に示されるようなCDR-L3;
(46)配列番号451に示されるようなCDR-H1、配列番号452に示されるようなCDR-H2、配列番号453に示されるようなCDR-H3、配列番号454に示されるようなCDR-L1、配列番号455に示されるようなCDR-L2及び配列番号456に示されるようなCDR-L3;
(47)配列番号461に示されるようなCDR-H1、配列番号462に示されるようなCDR-H2、配列番号463に示されるようなCDR-H3、配列番号464に示されるようなCDR-L1、配列番号465に示されるようなCDR-L2及び配列番号466に示されるようなCDR-L3;
(48)配列番号471に示されるようなCDR-H1、配列番号472に示されるようなCDR-H2、配列番号473に示されるようなCDR-H3、配列番号474に示されるようなCDR-L1、配列番号475に示されるようなCDR-L2及び配列番号476に示されるようなCDR-L3;
(49)配列番号481に示されるようなCDR-H1、配列番号482に示されるようなCDR-H2、配列番号483に示されるようなCDR-H3、配列番号484に示されるようなCDR-L1、配列番号485に示されるようなCDR-L2及び配列番号486に示されるようなCDR-L3;
(50)配列番号491に示されるようなCDR-H1、配列番号492に示されるようなCDR-H2、配列番号493に示されるようなCDR-H3、配列番号494に示されるようなCDR-L1、配列番号495に示されるようなCDR-L2及び配列番号496に示されるようなCDR-L3;
(51)配列番号501に示されるようなCDR-H1、配列番号502に示されるようなCDR-H2、配列番号503に示されるようなCDR-H3、配列番号504に示されるようなCDR-L1、配列番号505に示されるようなCDR-L2及び配列番号506に示されるようなCDR-L3;
(52)配列番号511に示されるようなCDR-H1、配列番号512に示されるようなCDR-H2、配列番号513に示されるようなCDR-H3、配列番号514に示されるようなCDR-L1、配列番号515に示されるようなCDR-L2及び配列番号516に示されるようなCDR-L3;並びに
(53)配列番号521に示されるようなCDR-H1、配列番号522に示されるようなCDR-H2、配列番号523に示されるようなCDR-H3、配列番号524に示されるようなCDR-L1、配列番号525に示されるようなCDR-L2及び配列番号526に示されるようなCDR-L3
から選択される、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3を含むVH領域とCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3を含むVL領域と、を含むことがさらに想定される。
【0123】
また、本発明の抗体コンストラクトについて、BCMAに結合する第1のドメインは、配列番号8、18、28、38、48、58、68、78、88、98、108、118、128、138、148、158、168、178、188、198、208、218、228、238、248、258、268、278、288、298、308、318、328、338、348、358、368、378、388、398、408、418、428、438、448、458、468、478、488、498、508、518及び528に示されるものからなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL領域を含むことが想定される。第1のドメインは、配列番号178に示されるようなアミノ酸配列を有するVL領域を含むことが想定される。
【0124】
さらに、BCMAに結合する第1のドメインは、配列番号7、17、27、37、47、57、67、77、87、97、107、117、127、137、147、157、167、177、187、197、207、217、227、237、247、257、267、277、287、307、317、327、337、347、357、367、377、387、397、407、417、427、437、447、457、467、477、487、497、507、517及び527に示されるものからなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH領域を含むことが想定される。第1のドメインは、配列番号177に示されるようなアミノ酸配列を有するVH領域を含むことが想定される。
【0125】
また、本発明の抗体コンストラクトについて、BCMAに結合する第1のドメインが、
(1)配列番号7に示されるようなVH領域及び配列番号8に示されるようなVL領域;
(2)配列番号17に示されるようなVH領域及び配列番号18に示されるようなVL領域;
(3)配列番号27に示されるようなVH領域及び配列番号28に示されるようなVL領域;
(4)配列番号37に示されるようなVH領域及び配列番号38に示されるようなVL領域;
(5)配列番号47に示されるようなVH領域及び配列番号48に示されるようなVL領域;
(6)配列番号57に示されるようなVH領域及び配列番号58に示されるようなVL領域;
(7)配列番号67に示されるようなVH領域及び配列番号68に示されるようなVL領域;
(8)配列番号77に示されるようなVH領域及び配列番号78に示されるようなVL領域;
(9)配列番号87に示されるようなVH領域及び配列番号88に示されるようなVL領域;
(10)配列番号97に示されるようなVH領域及び配列番号98に示されるようなVL領域;
(11)配列番号107に示されるようなVH領域及び配列番号108に示されるようなVL領域;
(12)配列番号117に示されるようなVH領域及び配列番号118に示されるようなVL領域;
(13)配列番号127に示されるようなVH領域及び配列番号128に示されるようなVL領域;
(14)配列番号137に示されるようなVH領域及び配列番号138に示されるようなVL領域;
(15)配列番号147に示されるようなVH領域及び配列番号148に示されるようなVL領域;
(16)配列番号157に示されるようなVH領域及び配列番号158に示されるようなVL領域;
(17)配列番号167に示されるようなVH領域及び配列番号168に示されるようなVL領域;
(18)配列番号177に示されるようなVH領域及び配列番号178に示されるようなVL領域;
(19)配列番号187に示されるようなVH領域及び配列番号188に示されるようなVL領域;
(20)配列番号197に示されるようなVH領域及び配列番号198に示されるようなVL領域;
(21)配列番号207に示されるようなVH領域及び配列番号208に示されるようなVL領域;
(22)配列番号217に示されるようなVH領域及び配列番号218に示されるようなVL領域;
(23)配列番号227に示されるようなVH領域及び配列番号228に示されるようなVL領域;
(24)配列番号237に示されるようなVH領域及び配列番号238に示されるようなVL領域;
(25)配列番号247に示されるようなVH領域及び配列番号248に示されるようなVL領域;
(26)配列番号257に示されるようなVH領域及び配列番号258に示されるようなVL領域;
(27)配列番号267に示されるようなVH領域及び配列番号268に示されるようなVL領域;
(28)配列番号277に示されるようなVH領域及び配列番号278に示されるようなVL領域;
(29)配列番号287に示されるようなVH領域及び配列番号288に示されるようなVL領域;
(30)配列番号297に示されるようなVH領域及び配列番号298に示されるようなVL領域;
(31)配列番号307に示されるようなVH領域及び配列番号308に示されるようなVL領域;
(32)配列番号317に示されるようなVH領域及び配列番号318に示されるようなVL領域;
(33)配列番号327に示されるようなVH領域及び配列番号328に示されるようなVL領域;
(34)配列番号337に示されるようなVH領域及び配列番号338に示されるようなVL領域;
(35)配列番号347に示されるようなVH領域及び配列番号348に示されるようなVL領域;
(36)配列番号357に示されるようなVH領域及び配列番号358に示されるようなVL領域;
(37)配列番号367に示されるようなVH領域及び配列番号368に示されるようなVL領域;
(38)配列番号377に示されるようなVH領域及び配列番号378に示されるようなVL領域;
(39)配列番号387に示されるようなVH領域及び配列番号388に示されるようなVL領域;
(40)配列番号397に示されるようなVH領域及び配列番号398に示されるようなVL領域;
(41)配列番号407に示されるようなVH領域及び配列番号408に示されるようなVL領域;
(42)配列番号417に示されるようなVH領域及び配列番号418に示されるようなVL領域;
(43)配列番号427に示されるようなVH領域及び配列番号428に示されるようなVL領域;
(44)配列番号437に示されるようなVH領域及び配列番号438に示されるようなVL領域;
(45)配列番号447に示されるようなVH領域及び配列番号448に示されるようなVL領域;
(46)配列番号457に示されるようなVH領域及び配列番号458に示されるようなVL領域;
(47)配列番号467に示されるようなVH領域及び配列番号468に示されるようなVL領域;
(48)配列番号477に示されるようなVH領域及び配列番号478に示されるようなVL領域;
(49)配列番号487に示されるようなVH領域及び配列番号488に示されるようなVL領域;
(50)配列番号497に示されるようなVH領域及び配列番号498に示されるようなVL領域;
(51)配列番号507に示されるようなVH領域及び配列番号508に示されるようなVL領域;
(52)配列番号517に示されるようなVH領域及び配列番号518に示されるようなVL領域;及び
(53)配列番号527に示されるようなVH領域及び配列番号528に示されるようなVL領域
からなる群から選択されるVH領域及びVL領域を含むことも想定される。
【0126】
第1のドメインは、配列番号177に示されるようなアミノ酸配列を有するVH領域と配列番号178に示されるようなアミノ酸配列を有するVL領域とを含むことも想定される。
【0127】
本発明の抗体コンストラクトについて、BCMAに結合する第1のドメインが、配列番号9、19、29、39、49、59、69、79、89、109、129、139、149、159、169、179、189、199、209、219、229、239、249、259、269、279、289、299、309、319、329、339、349、359、369、379、389、399、409、419、429、439、449、459、469、479、489、499、519及び529からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むことも想定される。第1のドメインは、配列番号179に示されるようなアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むことが想定される。
【0128】
「T細胞」又はTリンパ球は、細胞介在性免疫において中心的な役割を果たすリンパ球の一種(それ自体白血球細胞の一種)である。T細胞には、それぞれ異なる機能を有するいくつかのサブセットが存在する。T細胞は、その細胞表面にT細胞受容体(TCR)が存在する点で、他のリンパ球、例えばB細胞及びNK細胞とは区別され得る。TCRは、主要組織適合抗原複合体(MHC)分子に結合した抗原の認識に関与し、2つの異なるタンパク質鎖から構成される。95%のT細胞において、TCRは、アルファ(α)鎖及びベータ(β)鎖からなる。TCRが抗原ペプチド及びMHC(ペプチド/MHC複合体)と結合すると、Tリンパ球は、関連酵素、共受容体、特化したアダプター分子及び活性化又は放出された転写因子が介在する一連の生化学的事象を通じて活性化される。
【0129】
「CD3」(分化クラスター3)は、4つの鎖で構成されるT細胞共受容体である。哺乳類では、CD3タンパク質複合体は、CD3γ(ガンマ)鎖、CD3δ(デルタ)鎖及び2つのCD3ε(イプシロン)鎖を含有する。これらの4つの鎖がT細胞受容体(TCR)及び所謂ζ(ゼータ)鎖と結び付いて「T細胞受容体複合体」を形成し、Tリンパ球において活性化シグナルを生成する。CD3γ(ガンマ)、CD3δ(デルタ)及びCD3ε(イプシロン)鎖は、免疫グロブリンスーパーファミリーの高度に関連性のある細胞表面タンパク質であり、それぞれが単一の細胞外免疫グロブリンドメインを含有する。CD3分子の細胞内テールは、免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)として知られる単一の保存モチーフを含有し、これは、TCRのシグナル伝達能に必須である。CD3イプシロン分子は、ヒトの第11染色体に存在するCD3E遺伝子によってコードされるポリペプチドである。
【0130】
T細胞上のCD3及び標的細胞上の標的タンパク質に結合する抗体コンストラクトによるT細胞の動員を介してリダイレクトされた標的細胞溶解には、概して、細胞溶解性シナプス形成並びにパーフォリン及びグランザイムの送達が関わる。結合したT細胞は、連続的な標的細胞の溶解が可能であり、ペプチド抗原のプロセシング及び提示又はクローナルなT細胞分化を妨げる免疫回避機構による影響を受けない(例えば国際公開第2007/042261号パンフレットを参照)。
【0131】
BCMAxCD3抗体コンストラクトが介在する細胞傷害性は、様々な方法で測定され得る。「最大半量有効濃度」(EC50)は、本発明の抗体コンストラクトなど、生物学的に活性な分子の効力の尺度として一般的に使用される。これは、モル濃度単位で表される。この場合の細胞傷害性の測定では、EC EC50値は、ベースラインと最大値との中間の細胞傷害性応答(標的細胞の溶解)を生じさせる抗体コンストラクトの濃度を指す。細胞傷害性アッセイにおけるエフェクター細胞は、例えば、刺激されたエンリッチ(ヒト)CD8陽性T細胞又は刺激されていない(ヒト)末梢血単核球(PBMC)であり得る。標的細胞は、細胞の表面上にBCMAを発現するはずである。好ましくは、標的細胞は、細胞の表面上に(少なくとも)BCMAの細胞外ドメインを発現する。標的細胞は、BCMA、例えばヒトBCMAを安定に又は一過性に遺伝子移入されている細胞株(CHOなど)であり得る。或いは、標的細胞は、ヒト多発性骨髄腫細胞株L363又はNCI-H929など、BCMA陽性の天然発現体である細胞株であり得る。
【0132】
細胞傷害性アッセイにおけるエフェクター対標的細胞(E:T)比は、通常、約10:1であるが、これはまた変動し得る。BCMAxCD3抗体コンストラクトの細胞傷害活性は、51-クロム遊離アッセイ(例えば約18時間の温置時間を伴う)又はFACSに基づく細胞傷害性アッセイ(例えば約48時間の温置時間を伴う)において測定され得る。温置時間(細胞傷害性反応)の修正も想定される。他の細胞傷害性測定方法は周知であり、MTT又はMTSアッセイ、生物発光アッセイを含めたATPベースのアッセイ、スルホローダミンB(SRB)アッセイ、WSTアッセイ、クローン形成アッセイ及びECIS技術を含む。
【0133】
一実施形態によれば、本発明のBCMAxCD3抗体コンストラクトが介在する細胞傷害活性は、FACSに基づく細胞傷害性アッセイにおいて測定される。BCMA×CD3抗体コンストラクトのEC50値は、≦5000pM又は≦4000pM、より好ましくは≦3000pM又は≦2000pM、さらにより好ましくは≦1000pM又は≦500pM、さらにより好ましくは≦400pM又は≦300pM、さらにより好ましくは≦200pM、さらにより好ましくは≦100pM、さらにより好ましくは≦50pM、さらにより好ましくは≦20pM又は≦10pM、最も好ましくは≦5pMであることが想定される。本発明の抗体コンストラクトは、FACSに基づく細胞傷害性アッセイにおいて測定した場合、3桁、2桁又は1桁のpg/ml範囲のEC50値を有することも想定される。アッセイは、標的細胞として、L363若しくはNCI-H929細胞株又はBCMA遺伝子移入CHO細胞及びエフェクター細胞として、刺激されたエンリッチ(ヒト)CD8陽性T細胞又は刺激されていない(ヒト)(PBMC)を用いて実施され得る。国際公開第2013/072406号パンフレットも参照のこと。
【0134】
本発明の抗体コンストラクトの第2のドメインは、CD3に結合する。より好ましくは、これは、T細胞の表面上のCD3に結合する。さらに、第2のドメインは、ヒトCD3、好ましくはT細胞の表面上のヒトCD3に結合することが想定される。また、第2のドメインは、CD3イプシロンに結合することも想定される。より好ましくは、これは、ヒトCD3イプシロン、例えばT細胞の表面上のヒトCD3イプシロンに結合する。ヒトCD3イプシロンの細胞外ドメインについて好ましいアミノ酸配列は、配列番号653に示される。
【0135】
本発明の一実施形態では、抗体コンストラクトの第2のドメインは、ヒトCD3イプシロン(又はT細胞の表面上のヒトCD3イプシロン)及びカリスリクス・ジャチュス(Callithrix jacchus)又はサイミリ・スシウレウス(Saimiri sciureus)CD3イプシロンに結合する。また、第2のドメインは、CD3イプシロンの細胞外エピトープ、好ましくはヒトCD3イプシロンの細胞外エピトープに結合することも想定される。また、第2のドメインは、ヒト及びマカク属(Macaca)CD3イプシロン鎖の細胞外エピトープに結合することも想定される。CD3イプシロンの1つの好ましいエピトープは、ヒトCD3イプシロン細胞外ドメインのアミノ酸残基1~27の範囲内に含まれる(配列番号654を参照されたい)。さらにより具体的には、エピトープは、少なくともアミノ酸配列Gln-Asp-Gly-Asn-Gluを含む。カリスリクス・ジャチュス(Callithrix jacchus)は、マーモセット科(Callitrichidae)に属する新世界霊長類である一方、サイミリ・スシウレウス(Saimiri sciureus)は、オマキザル科(Cebidae)に属する新世界霊長類である。このような特徴を有する結合体は国際公開第2008/119567号パンフレットに詳細に記載されている。
【0136】
(ヒト)CD3に対する又は具体的にはCD3イプシロンに対する抗体又は二特異性抗体コンストラクトは、当技術分野で公知であり、そのCDR、VH及びVL配列は、本発明の抗体コンストラクトの第2の結合ドメインに対するベースとしての役割を果たし得る。例えば、Kung et al.は、1979年、ヒトT細胞上のCD3(具体的にはCD3のイプシロン鎖)を認識する最初のmAbであるOKT3(Ortho Kung T3)の開発を報告した。OKT3(ムロモナブ)は、ヒトにおける治療に利用可能になった最初のマウス由来モノクローナル抗体であった。より新しい抗CD3モノクローナル抗体として、オテリキシズマブ(TRX4)、テプリズマブ(MGA031)、フォラルマブ及びビジリズマブが挙げられ、全て、CD3のイプシロン鎖を標的とする。(癌)標的及びCD3に対する二特異性抗体コンストラクトも開発及び(前)臨床試験が行われているところであり、そのCD3結合ドメイン(CDR、VH、VL)は、本発明の抗体コンストラクトの第2の結合ドメインのベースとしての役割を果たし得る。例として、ブリナツモマブ、ソリトマブ(MT110、AMG110)、カツマキソマブ、デュボルツキシズマブ、エルツマキソマブ、モスネツズマブ、FBTA05(Bi20、TPBs05)、CEA-TCB(RG7802、RO6958688)、AFM11及びMGD006(S80880)が挙げられるが限定されない。CD3結合ドメインの他の例は、例えば、米国特許第7,994,289 B2号明細書、同第7,728,114 B2号明細書、同第7,381,803 B1号明細書、同第6,706,265 B1号明細書で開示されている。
【0137】
本発明の抗体コンストラクトについて、CD3に結合する第2のドメインが、
(a)配列番号542に示されるようなCDR-L1、配列番号543に示されるようなCDR-L2及び配列番号544に示されるようなCDR-L3;
(b)配列番号599に示されるようなCDR-L1、配列番号600に示されるようなCDR-L2及び配列番号601に示されるようなCDR-L3;及び
(c)配列番号621に示されるようなCDR-L1、配列番号622に示されるようなCDR-L2及び配列番号623に示されるようなCDR-L3
から選択されるCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3を含むVL領域を含むことが想定される。
【0138】
本発明の抗体コンストラクトについて、CD3に結合する第2のドメインが、
(a)配列番号534に示されるようなCDR-H1、配列番号535に示されるようなCDR-H2及び配列番号536に示されるようなCDR-H3;
(b)配列番号545に示されるようなCDR-H1、配列番号546に示されるようなCDR-H2及び配列番号547に示されるようなCDR-H3;
(c)配列番号557に示されるようなCDR-H1、配列番号558に示されるようなCDR-H2及び配列番号559に示されるようなCDR-H3;
(d)配列番号568に示されるようなCDR-H1、配列番号569に示されるようなCDR-H2及び配列番号570に示されるようなCDR-H3;
(e)配列番号579に示されるようなCDR-H1、配列番号580に示されるようなCDR-H2及び配列番号581に示されるようなCDR-H3;
(f)配列番号591に示されるようなCDR-H1、配列番号592に示されるようなCDR-H2及び配列番号593に示されるようなCDR-H3;
(g)配列番号602に示されるようなCDR-H1、配列番号603に示されるようなCDR-H2及び配列番号604に示されるようなCDR-H3;
(h)配列番号613に示されるようなCDR-H1、配列番号614に示されるようなCDR-H2及び配列番号615に示されるようなCDR-H3;
(i)配列番号624に示されるようなCDR-H1、配列番号625に示されるようなCDR-H2及び配列番号626に示されるようなCDR-H3;及び
(j)配列番号636に示されるようなCDR-H1、配列番号637に示されるようなCDR-H2及び配列番号638に示されるようなCDR-H3
から選択されるCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3を含むVH領域を含むことも想定される。
【0139】
本発明の抗体コンストラクトについて、CD3に結合する第2のドメインが、
(a)配列番号531に示されるようなCDR-L1、配列番号532に示されるようなCDR-L2、配列番号533に示されるようなCDR-L3、配列番号534に示されるようなCDR-H1、配列番号535に示されるようなCDR-H2及び配列番号536に示されるようなCDR-H3;
(b)配列番号542に示されるようなCDR-L1、配列番号543に示されるようなCDR-L2、配列番号544に示されるようなCDR-L3、配列番号545に示されるようなCDR-H1、配列番号546に示されるようなCDR-H2及び配列番号547に示されるようなCDR-H3;
(c)配列番号554に示されるようなCDR-L1、配列番号555に示されるようなCDR-L2、配列番号556に示されるようなCDR-L3、配列番号557に示されるようなCDR-H1、配列番号558に示されるようなCDR-H2及び配列番号559に示されるようなCDR-H3;
(d)配列番号565に示されるようなCDR-L1、配列番号566に示されるようなCDR-L2、配列番号567に示されるようなCDR-L3、配列番号568に示されるようなCDR-H1、配列番号569に示されるようなCDR-H2及び配列番号570に示されるようなCDR-H3;
(e)配列番号576に示されるようなCDR-L1、配列番号577に示されるようなCDR-L2、配列番号578に示されるようなCDR-L3、配列番号579に示されるようなCDR-H1、配列番号580に示されるようなCDR-H2及び配列番号581に示されるようなCDR-H3;
(f)配列番号588に示されるようなCDR-L1、配列番号589に示されるようなCDR-L2、配列番号590に示されるようなCDR-L3、配列番号591に示されるようなCDR-H1、配列番号592に示されるようなCDR-H2及び配列番号593に示されるようなCDR-H3;
(g)配列番号599に示されるようなCDR-L1、配列番号600に示されるようなCDR-L2、配列番号601に示されるようなCDR-L3、配列番号602に示されるようなCDR-H1、配列番号603に示されるようなCDR-H2及び配列番号604に示されるようなCDR-H3;
(h)配列番号610に示されるようなCDR-L1、配列番号611に示されるようなCDR-L2、配列番号612に示されるようなCDR-L3、配列番号613に示されるようなCDR-H1、配列番号614に示されるようなCDR-H2及び配列番号615に示されるようなCDR-H3;
(i)配列番号621に示されるようなCDR-L1、配列番号622に示されるようなCDR-L2、配列番号623に示されるようなCDR-L3、配列番号624に示されるようなCDR-H1、配列番号625に示されるようなCDR-H2及び配列番号626に示されるようなCDR-H3;及び
(j)配列番号633に示されるようなCDR-L1、配列番号634に示されるようなCDR-L2、配列番号635に示されるようなCDR-L3、配列番号636に示されるようなCDR-H1、配列番号637に示されるようなCDR-H2及び配列番号638に示されるようなCDR-H3
から選択されるCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3を含むVL領域とCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3を含むVH領域と、を含むことがさらに想定される。
【0140】
本発明の抗体コンストラクトについて、CD3に結合する第2のドメインは、配列番号550、配列番号551、配列番号584、配列番号585、配列番号629及び配列番号630に示されるものからなる群から選択される、好ましくは配列番号629である、アミノ酸配列を有するVL領域を含むことも想定される。
【0141】
さらに、CD3に結合する第2のドメインは、配列番号537、配列番号538、配列番号548、配列番号549、配列番号560、配列番号561、配列番号571、配列番号572、配列番号582、配列番号583、配列番号594、配列番号595、配列番号605、配列番号606、配列番号616、配列番号617、配列番号627、配列番号628、配列番号639、配列番号640及び配列番号644に示されるものからなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH領域を含むことが想定される。
【0142】
本発明の抗体コンストラクトについて、CD3に結合する第2のドメインが、
(a)配列番号539又は521に示されるようなVL領域及び配列番号537又は538に示されるようなVH領域;
(b)配列番号550又は521に示されるようなVL領域及び配列番号548又は549に示されるようなVH領域;
(c)配列番号562又は521に示されるようなVL領域及び配列番号560又は561に示されるようなVH領域;
(d)配列番号573又は521に示されるようなVL領域及び配列番号571又は572に示されるようなVH領域;
(e)配列番号584又は585に示されるようなVL領域及び配列番号582又は583に示されるようなVH領域;
(f)配列番号596又は521に示されるようなVL領域及び配列番号594又は595に示されるようなVH領域;
(g)配列番号607又は585に示されるようなVL領域及び配列番号605又は606に示されるようなVH領域;
(h)配列番号618又は521に示されるようなVL領域及び配列番号616又は617に示されるようなVH領域;
(i)配列番号629又は630に示されるようなVL領域及び配列番号627又は628に示されるようなVH領域;
(j)配列番号641又は630に示されるようなVL領域及び配列番号639又は640に示されるようなVH領域;及び
(k)配列番号645に示されるようなVL領域及び配列番号644に示されるようなVH領域
からなる群から選択されるVL領域及びVH領域を含むことも想定される。
【0143】
本発明の抗体コンストラクトについて、CD3に結合する第2のドメインは、配列番号540、541、552、553、563、564、574、575、586、587、597、598、608、609、619、620、631、632、642、643及び646に示されるものからなる群から選択される、好ましくは配列番号642である、アミノ酸配列を有するポリペプチドを含むか又はそれからなることも想定される。
【0144】
本発明の抗体コンストラクトは、
a)T細胞の表面上のCD3に結合するドメインを含む抗体若しくは抗体コンストラクトであって、前記ドメインが、配列番号636に示されるようなCDR-H1、配列番号637に示されるようなCDR-H2及び配列番号638に示されるようなCDR-H3を含むVH領域と、配列番号633に示されるようなCDR-L1、配列番号634に示されるようなCDR-L2、配列番号635に示されるようなCDR-L3を含むVL領域と、を含む、抗体若しくは抗体コンストラクト;
b)T細胞の表面上のCD3に結合するドメインを含む抗体若しくは抗体コンストラクトであって、前記ドメインが、配列番号639に示されるようなVH領域と配列番号641に示されるようなVL領域とを含む、抗体若しくは抗体コンストラクト;
c)T細胞の表面上のCD3に結合するドメインを含む抗体コンストラクトであって、前記ドメインが、配列番号642に示されるようなアミノ酸配列を含む、抗体コンストラクト;又は
d)配列番号661に示されるようなアミノ酸配列を有する抗体コンストラクト
とCD3への結合について競合することも想定される。
【0145】
本発明の抗体コンストラクトは、
a)T細胞の表面上のCD3に結合するドメインを含む抗体若しくは抗体コンストラクトであって、前記ドメインが、配列番号636に示されるようなCDR-H1、配列番号637に示されるようなCDR-H2及び配列番号638に示されるようなCDR-H3を含むVH領域と、配列番号633に示されるようなCDR-L1、配列番号634に示されるようなCDR-L2、配列番号635に示されるようなCDR-L3を含むVL領域と、を含む、抗体若しくは抗体コンストラクト;
b)T細胞の表面上のCD3に結合するドメインを含む抗体若しくは抗体コンストラクトであって、前記ドメインが、配列番号639に示されるようなVH領域と配列番号641に示されるようなVL領域とを含む、抗体若しくは抗体コンストラクト;
c)T細胞の表面上のCD3に結合するドメインを含む抗体コンストラクトであって、前記ドメインが、配列番号642に示されるようなアミノ酸配列を含む、抗体コンストラクト;又は
d)配列番号661に示されるようなアミノ酸配列を有する抗体コンストラクト
と同じCD3のエピトープに結合することも想定される。
【0146】
さらに、本発明の抗体コンストラクトは、配列番号10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520及び530に示されるものからなる群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むことが想定される。本発明の抗体コンストラクトは、配列番号180に示されるようなアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むことが想定される。
【0147】
本発明の抗体コンストラクトは、配列番号10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520及び530に示されるものからなる群から選択されるアミノ酸配列を有し、そのN末端又はそのC末端で、好ましくはペプチド結合(アミド結合)を介してタンパク質精製タグで連結されているポリペプチドを含むか又はそれからなることも想定される。ポリペプチドのC末端におけるタンパク質精製タグの連結が好ましい。タンパク質精製タグは、短鎖ペプチドであることが想定される。例えば、短鎖ペプチドの長さは、2~30アミノ酸、4~25アミノ酸、5~20アミノ酸又は6~19アミノ酸であり得る。タンパク質精製タグの例としては、限定されないが、AU1エピトープ(例えば、配列番号666に示されるとおり)、AU5エピトープ(例えば、配列番号667に示されるとおり)、T7タグ(例えば、配列番号668に示されるとおり)、V5タグ(例えば、配列番号669に示されるとおり)、Bタグ(例えば、配列番号670に示されるとおり)、E2エピトープ(例えば、配列番号671に示されるとおり)、FLAGエピトープ/FLAGタグ(例えば、配列番号672に示されるとおり)、Glu-Gluタグ(例えば、配列番号673又は674に示されるとおり)、HAタグ、ヒスチジンアフィニティータグ(例えば、配列番号675に示されるとおり)、HSVエピトープ(例えば、配列番号676に示されるとおり)、KT3エピトープ(例えば、配列番号677に示されるとおり)、Mycエピトープ(例えば、配列番号678に示されるとおり)、ポリアルギニンタグ(5~6個のArg残基)、ポリアスパルテートタグ(5~16個のAsp残基)、ポリヒスチジンタグ(2~10個のHis残基、通常6個のHis残基、例えば配列番号662~665を参照)、ポリフェニルアラニンタグ(通常11個のPhe残基)、S1タグ(例えば、配列番号679に示されるとおり)、Sタグ(例えば、配列番号680に示されるとおり)、Strepタグ(例えば、配列番号681又は682に示されるとおり)、ユニバーサルタグ(例えば、配列番号683に示されるとおり)、VSV-G(例えば、配列番号684に示されるとおり)、プロテインC(例えば、配列番号685に示されるとおり)及びプロテインAが挙げられる。ヒスチジンタグ、特に6xHisタグ(配列番号663)が好ましい。
【0148】
本発明の抗体コンストラクトは、
a)標的細胞の表面上のBCMAに結合するドメインを含む抗体若しくは抗体コンストラクトであって、前記ドメインが、配列番号171に示されるようなCDR-H1、配列番号172に示されるようなCDR-H2及び配列番号173に示されるようなCDR-H3を含むVH領域と、配列番号174に示されるようなCDR-L1、配列番号175に示されるようなCDR-L2及び配列番号176に示されるようなCDR-L3を含むVL領域と、を含む、抗体若しくは抗体コンストラクト;
b)標的細胞の表面上のBCMAに結合するドメインを含む抗体若しくは抗体コンストラクトであって、前記ドメインが、配列番号177に示されるようなVH領域と配列番号178に示されるようなVL領域とを含む、抗体若しくは抗体コンストラクト;
c)標的細胞の表面上のBCMAに結合するドメインを含む抗体コンストラクトであって、前記ドメインが、配列番号179に示されるようなアミノ酸配列を含む、抗体コンストラクト;又は
d)配列番号661に示されるようなアミノ酸配列を有する抗体コンストラクト
と同じBCMAのエピトープに結合することも想定される。
【0149】
抗体、抗体コンストラクト又は結合ドメインが別の所与の抗体、抗体コンストラクト又は結合ドメインと標的細胞の表面上のBCMA/BCMAの同じエピトープに結合するか否かは、種々の分析、例えば国際公開第2013/072406号パンフレットに記載されるようなキメラ又は突然変異BCMA分子でのエピトープマッピングにより測定され得る。標的内のエピトープを同定するための別の可能性は、分析しようとする標的(ここではBCMA)内の各残基が例えば部位特異的突然変異誘発を介してアラニンにより置換されるアラニンスキャニングアッセイである(例えば、Morrison KL & Weiss GA.Curr Opin Chem Biol.2001 Jun; 5(3):302-7)を参照)。アラニンの他のアミノ酸の多くが有する二次構造基準を模倣するにもかかわらず、嵩高くなく、化学的に不活性なメチル官能基ゆえに、アラニンが使用される。変異残基のサイズの保存が所望される場合には、時としてバリン又はロイシンなどの嵩高いアミノ酸を使用し得る。アラニンスキャニングは通常、部位特異的突然変異誘発により達成されるか、又はPCRライブラリの作製により無作為に達成される。さらに、理論的アラニン置換に基づいて熱力学的パラメータを推定する計算的方法が開発されている。データは、IR、NMR分光法、数学的方法、バイオアッセイなどにより試験され得る。当然のことながら、CD3などの他の標的についても同じ分析を適用し得る。
【0150】
本発明の抗体コンストラクトは、
a)標的細胞の表面上のBCMAに結合するドメインを含む抗体若しくは抗体コンストラクトであって、前記ドメインが、配列番号171に示されるようなCDR-H1、配列番号172に示されるようなCDR-H2及び配列番号173に示されるようなCDR-H3を含むVH領域と、配列番号174に示されるようなCDR-L1、配列番号175に示されるようなCDR-L2及び配列番号176に示されるようなCDR-L3を含むVL領域と、を含む、抗体若しくは抗体コンストラクト;
b)標的細胞の表面上のBCMAに結合するドメインを含む抗体若しくは抗体コンストラクトであって、前記ドメインが、配列番号177に示されるようなVH領域と配列番号178に示されるようなVL領域とを含む、抗体若しくは抗体コンストラクト;
c)標的細胞の表面上のBCMAに結合するドメインを含む抗体コンストラクトであって、前記ドメインが、配列番号179に示されるようなアミノ酸配列を含む、抗体コンストラクト;又は
d)配列番号661に示されるようなアミノ酸配列を有する抗体コンストラクト
とBCMAへの結合に関して競合することも想定される。
【0151】
抗体又は抗体コンストラクトが別の所与の抗体又は抗体コンストラクトと標的細胞の表面上のBCMA/BCMAへの結合に関して競合するか否かは、競合ELISAなどの競合アッセイ又は細胞に基づく競合アッセイ(BCMAを自然に発現する細胞又はBCMAで安定的若しくは一時的に形質転換された細胞の何れかを使用する)で測定され得る。アビジンとカップリングされたマイクロ粒子(ビーズ)も使用し得る。アビジンでコーティングしたELISAプレートと同様に、ビオチン化タンパク質と反応させる際、これらのビーズのそれぞれを基材として使用し得、そこでアッセイを実施し得る。抗原でビーズ上をコーティングし、次に第1の抗体でプレコーティングする。第2の抗体を添加し、何らかのさらなる結合を決定する。フローサイトメトリーで読み取りを行う。「結合に関して競合する」という用語は、これに関連して、上記で開示されているアッセイの何れか1つにより決定された場合、2つの試験抗体間に少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%又は少なくとも90%の競合が生じることを意味する。当然ながら、CD3などの他の標的についても同じ分析を適用し得る。
【0152】
本明細書中に記載の抗体コンストラクトは、本抗体コンストラクトの半減期(又は「血清半減期」)を延長させるか又は促進する第3のドメインを含む。本発明の抗体コンストラクトの血清半減期を延長させる手段又はドメインの例としては、抗体コンストラクトに融合されるか又は他の方法で付加されたペプチド、タンパク質又はタンパク質のドメインが挙げられる。ペプチド、タンパク質又はタンパク質ドメインの群には、血清アルブミンなど、人体において好ましい薬物動態プロファイルで他のタンパク質に結合するペプチドが含まれる(国際公開第2009/127691号パンフレットを参照されたい)。このような半減期延長ペプチドの代替的な概念には、新生児Fc受容体(FcRn、国際公開第2007/098420号パンフレットを参照)に結合するペプチドが含まれ、これも本発明の抗体コンストラクトに対して使用され得る。タンパク質の大型ドメイン又は完全なタンパク質を付加する概念には、ヒト血清アルブミン、ヒト血清アルブミンの変異体又は突然変異体(国際公開第2011/051489号パンフレット、国際公開第2012/059486号パンフレット、国際公開第2012/150319号パンフレット、国際公開第2013/135896号パンフレット、国際公開第2014/072481号パンフレット、国際公開第2013/075066号パンフレットを参照)又はそのドメインの融合並びに免疫グロブリン定常領域(Fcドメイン)及びその変異体の融合が含まれる。Fcドメインのこのような変異体は、Fcに基づくドメインと呼ばれ、Fc受容体結合を消失させる(例えばADCC又はCDCを回避する)ために又は他の理由のために、二量体又は多量体の所望の対形成を可能にするように、さらに最適化/修飾し得る。人体における物質又は分子の半減期を延長させるための当技術分野において公知のさらなる概念は、そうした分子(本発明の抗体コンストラクトなど)のペグ付加である。
【0153】
一実施形態では、本発明による抗体コンストラクトは、コンストラクトの血清半減期の延長を目的として、融合パートナー(タンパク質、ポリペプチド又はペプチドなど)と(例えばペプチド結合を介して)連結される。これらの融合パートナー(「第3のドメイン」に相当する)は、ヒト血清アルブミン(「HSA」又は「HALB」)並びにその配列変異体、HSAに結合するペプチド、FcRnに結合するペプチド(「FcRn BP」)又は(抗体由来の)Fc領域を含むコンストラクトから選択され得る。一般に、融合パートナーは、本発明による抗体コンストラクトのN末端又はC末端に直接(例えばペプチド結合を介して)又は(GGGGS)n(式中、「n」は、2以上の整数、例えば2又は3又は4)などのペプチドリンカーを通じて、の何れかで連結され得る。適切なペプチドリンカーは、配列番号686~694で示される。
【0154】
さらなる実施形態によれば、本発明の抗体コンストラクトの第3のドメインは、それぞれヒンジ、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含む2つのペプチド単量体を含み、ここで前記2つのポリペプチド単量体は、ペプチドリンカーを介して互いに融合される。前記第3のドメインは、N末端からC末端の順に、「第1のポリペプチド単量体-リンカー‐第2のポリペプチド単量体」又はヒンジ-CH2-CH3-リンカー-ヒンジ-CH2-CH3を含むことが想定される。前記第3のドメインに使用され得るアミノ酸配列は、配列番号700~707に示される。前記ポリペプチド単量体のそれぞれは、配列番号708~715からなる群から選択されるアミノ酸配列又はそれらの配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有し得る。別の実施形態では、本発明の抗体コンストラクトの第1及び第2のドメインは、例えば配列番号686、687、688、689、690、691、692、693又は694からなる群から選択されるペプチドリンカーを介して第3のドメインに融合される。
【0155】
本発明によれば、「ヒンジ」は、IgGヒンジ領域である。この領域は、Kabat付番を用いた類推によって同定することができ、例えばKabat位置223~243を参照のこと。上記によれば、「ヒンジ」としての最小限の要件は、Kabat付番に基づくとき、D231~P243のIgG配列ストレッチに対応するアミノ酸残基である。「CH2」及び「CH3」(又は「CH2ドメイン」及び「CH3ドメイン」)という用語は、免疫グロブリン重鎖定常領域2及び3を指す。これらの領域も同様にKabat付番を用いた類推によって同定することができ、例えばCH2についてKabat位置244~360及びCH3についてKabat位置361~478を参照のこと。免疫グロブリン間には、そのIgGFc領域、IgGFc領域、IgGFc領域、IgGFc領域、IgM Fc領域、IgA Fc領域、IgD Fc領域及びIgE Fc領域に関して幾分かのばらつきがあることが理解される(例えばPadlan,Molecular Immunology,31(3),169-217(1993)を参照)。Fc領域という用語は、IgA、IgD及びIgGの最後の2つの重鎖定常領域並びにIgE及びIgMの最後の3つの重鎖定常領域を指す。Fc領域は、これらのドメインのN末端側にある可動性ヒンジも含み得る。IgA及びIgMについて、Fc領域は、J鎖を含み得る。IgGについて、Fc領域は、免疫グロブリンドメインCH2及びCH3並びに最初の2つのドメインとCH2との間のヒンジを含む。免疫グロブリンのFc領域の境界は変動し得、機能性ヒンジ、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含むヒトIgG重鎖Fc部分に対する例は、例えば、IgGについて、それぞれ(ヒンジドメインの)残基D231~(CH3ドメインのC末端の)P476又はD231~L476を含むものと定義し得、ここで付番はKabatに基づく。
【0156】
従って、本発明の抗体コンストラクトは、N末端からC末端の順に、
(a)第1のドメイン;
(b)配列番号687、693及び694からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するペプチドリンカー;
(c)第2のドメイン;
(d)配列番号686、687、688、689、690、691、692、693又は694からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するペプチドリンカー;
(e)第3のドメインの第1のポリペプチド単量体(ヒンジ、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含む);
(f)配列番号695、696、697、698又は699からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するペプチドリンカー;及び
(g)第3のドメインの第2のポリペプチド単量体(ヒンジ、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含む)
を含み得る。
【0157】
本発明の抗体コンストラクトは、N末端からC末端の順に、
f)配列番号9、19、29、39、49、59、69、79、89、109、129、139、149、159、169、179、189、199、209、219、229、239、249、259、269、279、289、299、309、319、329、339、349、359、369、379、389、399、409、419、429、439、449、459、469、479、489、499、519及び529からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する第1のドメインであって;これらの配列内に含まれ、配列番号694を有するペプチドリンカーが、配列番号686~693及び695~699の何れか1つにより置き換えられ得る、第1のドメイン;
(g)配列番号687、693及び694からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するペプチドリンカー;
(h)配列番号540、541、552、553、563、564、574、575、586、587、597、598、608、609、619、620、631、632、642、643及び646からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する第2のドメインであって;これらの配列内に含まれ、配列番号694を有するペプチドリンカーが、配列番号686~693及び695~699の何れか1つにより置き換えられ得る、第2のドメイン;
(i)配列番号686、687、688、689、690、691、692、693及び694からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するペプチドリンカー;及び
(j)配列番号700~707からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する第3のドメイン
を含むことも想定される。
【0158】
故に、一実施形態では、本発明の抗体コンストラクトは、N末端からC末端の順に、
(a)配列番号10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520及び530に示されるものからなる群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチド;
(b)配列番号686に示されるようなアミノ酸配列を有するリンカー;及び
(c)配列番号700に示されるようなアミノ酸配列を有する第3のドメイン
を含む。
【0159】
本発明の好ましい抗体コンストラクトは、配列番号661に示されるようなアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0160】
本発明の抗体コンストラクト又はその結合ドメインの1つ又は両方は、「ヒト化」又は「ヒト」であり得る。「ヒト化」抗体、その変異体又は断片、抗体コンストラクト及び結合ドメインは、主としてヒト配列の免疫グロブリンに基づき、これは、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小限の配列を含有する。殆どの場合、ヒト化抗体、その変異体又は断片、抗体コンストラクト及び結合ドメインは、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)に基づき、超可変領域又はCDRからの残基は、所望の特異性、親和性、能力及び/又は生物学的活性を有するげっ歯類(例えば、マウス、ハムスター、ラット又はウサギ)などの非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域又はCDR残基に置き換えられている。いくつかの例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基に置き換えられる。さらに、本明細書で使用されている「ヒト化」抗体、その変異体又は断片、抗体コンストラクト及び結合ドメインは、レシピエント抗体でもドナー抗体でも見られない残基も含み得る。これらの改変は、抗体性能をさらに改良して最適化するために行われる。ヒト化抗体、その変異体又は断片、抗体コンストラクト及び結合ドメインは、免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部分(例えばFc)も含み得、典型的にはヒト免疫グロブリンのものも含み得る。さらなる詳細については、Nature,321:522-525(1986);Reichmann et al.,Nature,332:323-329(1988);及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.,2:593-596(1992)を参照されたい。
【0161】
ヒト抗マウス抗体(HAMA)反応のため、この業界では、キメラ又は他のヒト化抗体/抗体コンストラクトが調製されるようになった。しかし、特に抗体又は抗体コンストラクトの慢性又は多用量利用において、ある種のヒト抗キメラ抗体(HACA)反応が観察されるであろうことが予想される。従って、HAMA又はHACA反応の懸念及び/又は効果を払拭するため、BCMAに対するヒト結合ドメイン及び/又はCD3に対するヒト結合ドメインを含む抗体コンストラクトを提供することが望ましいであろう。
【0162】
従って、一実施形態によれば、抗体コンストラクト、第1の結合ドメイン及び/又は第2の結合ドメインは、「ヒト」である。「ヒト抗体」、「ヒト抗体コンストラクト」及び「ヒト結合ドメイン」という用語には、例えば、Kabat et al.(1991)(前掲)により記載されるものを含め、当技術分野において公知のヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に実質的に対応する可変及び定常領域又はドメインなどの抗体由来領域をそれぞれ有する、抗体、抗体コンストラクト及び結合ドメインが含まれる。本発明のヒト抗体コンストラクト又は結合ドメインは、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでランダム又は部位特異的突然変異誘発により導入されるか、又はインビボで体細胞突然変異により導入される突然変異)を例えばCDR、詳細にはCDR3に含み得る。ヒト抗体コンストラクト又は結合ドメインは、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基に置き換えられた少なくとも1、2、3、4、5カ所又はそれを超える位置を有し得る。本明細書で使用されるとおりのヒト抗体、抗体コンストラクト及び結合ドメインの定義は、Xenomouseなどの技術又は系を用いて誘導し得るもののように、抗体の人工的及び/又は遺伝的に改変されていないヒト配列のみを含む完全ヒト抗体、抗体コンストラクト及び結合ドメインも企図する。
【0163】
少なくとも1つのヒト結合ドメインを含む抗体コンストラクトは、非ヒト、例えばげっ歯類(例えば、マウス、ラット、ハムスター又はウサギ)可変及び/又は定常領域を有する抗体又は抗体コンストラクトに関連する問題の一部を回避する。このようなげっ歯類由来のタンパク質の存在は、抗体若しくは抗体コンストラクトの急速なクリアランスにつながり得るか、又は患者による抗体若しくは抗体コンストラクトに対する免疫応答の発生につながり得る。げっ歯類由来の抗体コンストラクトの使用を回避するため、げっ歯類が完全ヒト抗体を産生するようにげっ歯類にヒト抗体機能を導入してヒト化又は完全ヒト抗体コンストラクトを作製し得る。
【0164】
いくつかの実施形態では、本発明の抗体コンストラクトは、「単離された」又は「実質的に純粋な」抗体コンストラクトである。「単離された」又は「実質的に純粋な」は、本明細書に開示される抗体コンストラクトの記載に使用される場合、その産生環境の成分から同定、分離及び/又は回収されている抗体コンストラクトを意味する。好ましくは、抗体コンストラクトは、その産生環境からの他の全ての成分とのつながりがないか又は実質的にない。組み換え遺伝子移入細胞から生じるものなど、その産生環境の夾雑成分は、抗体コンストラクトの診断又は治療使用を妨げ得る材料であり、酵素、ホルモン及び他のタンパク質性又は非タンパク質性化合物が挙げられ得る。単離された又は実質的に純粋な抗体コンストラクトは、状況に応じて、所与の試料における全タンパク質/ポリペプチド含量の5重量%~99.9重量%を占め得ることが理解される。所望の抗体コンストラクトは、誘導性プロモーター又は高発現プロモーターを使用することにより大幅に高い濃度で産生され得る。この定義には、当技術分野において公知の多様な生物及び/又は宿主細胞における抗体コンストラクトの産生が含まれる。特定の実施形態では、抗体コンストラクトは、(1)スピニングカップシークエネーターを用いることによりN末端又は内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで、又は(2)クマシーブルー若しくは好ましくは銀染色法を用いた非還元若しくは還元条件下でのSDS-PAGEによって均一になるまで精製されることになる。しかし、通常、単離された抗体コンストラクトは、少なくとも1つの精製工程によって調製されることになる。
【0165】
一実施形態によれば、抗体コンストラクト全体及び/又は結合ドメインは、1つ以上のポリペプチドの形態又はタンパク質の形態である。タンパク質性の部分に加えて、このようなポリペプチド又はタンパク質は、非タンパク質性の部分(例えば、化学的リンカー又は化学的架橋剤、例えばグルタルアルデヒド)を含み得る。
【0166】
ペプチドは、共有結合性ペプチド(アミド)結合によって連結されたアミノ酸単量体の短鎖である。従って、ペプチドは、広範な化学的クラスの生物学的オリゴマー及びポリマーに分類される。ペプチド又はポリペプチド鎖の一部であるアミノ酸は、「残基」と称され、連続番号が付され得る。環状ペプチドを除く全てのペプチドは、このペプチドの一端にN末端残基を有し、他端にC末端残基を有する。オリゴペプチドは、ごく少数のアミノ酸からなる(通常は2~20)。ポリペプチドは、より長い連続した非分枝ペプチド鎖である。ペプチドは、サイズに基づきタンパク質と区別され、任意の基準としておよそ50以下のアミノ酸を含むものと理解され得る。タンパク質は、通常、生物学的に機能的なように配置された1つ以上のポリペプチドからなる。ペプチド対ポリペプチド及びタンパク質に適用される実験技術の態様(例えば、電気泳動法、クロマトグラフィーなどの詳細)が異なると同時に、ペプチドをポリペプチド及びタンパク質と区別するサイズ境界は絶対的ではない。従って、本発明に関連して、「ペプチド」、「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、交換可能に使用され得、「ポリペプチド」という用語が好ましいことが多い。
【0167】
ポリペプチドは、複数のポリペプチド分子からなる多量体、例えば、二量体、三量体及びより高次のオリゴマーなど、をさらに形成し得る。このような二量体、三量体などを形成するポリペプチド分子は、同一であってもよいし又はなくてもよい。このため、より高次のそのような多量体の対応する構造は、ホモ二量体又はヘテロ二量体、ホモ三量体又はヘテロ三量体などと称される。ヘテロ多量体の一例は、その天然に存在する形態で2つの同一の軽ポリペプチド鎖と2つの同一の重ポリペプチド鎖とからなる抗体又は免疫グロブリン分子である。「ペプチド」、「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、天然の改変ペプチド/ポリペプチド/タンパク質も指し、ここで、改変は、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化及び同類のもののような翻訳後修飾により達成される。本明細書で言及される場合、「ペプチド」、「ポリペプチド」又は「タンパク質」は、ペグ化などの化学修飾を受けたものでもあり得る。このような修飾は、当技術分野で周知である。
【0168】
本発明の抗体コンストラクトは、典型的には、医薬組成物又は処方物中で処方される。医薬組成物の材料は、通常、投与部位に許容可能な濃度で処方される。従って、製剤及び組成物は、本発明に従って任意の好適な投与経路による送達のために設計され得る。
【0169】
本明細書で使用される場合、「医薬組成物」という用語は、患者、好ましくはヒト患者への投与に好適な組成物に関する。本発明の特に好ましい医薬組成物は通常、治療有効量である、1つ又は複数の本発明の抗体コンストラクトを含む。医薬組成物は、1つ以上の(薬学的に有効な)担体、安定剤、賦形剤、希釈剤、可溶化剤、界面活性剤、乳化剤、保存剤及び/又は補助剤の好適な製剤をさらに含み得る。本組成物の許容可能な構成成分は、典型的には、用いられる投薬量及び濃度で被投与者にとって無毒性である。本発明の医薬組成物としては、液体、凍結及び凍結乾燥組成物が挙げられるが限定されない。医薬組成物が凍結乾燥されている場合、凍結乾燥された材料は、投与前に適切な液体で再構成される。凍結乾燥された材料は、例えば、注射用静菌水(BWFI)、生理食塩水、リン酸緩衝食塩水(PBS)又はタンパク質が凍結乾燥前にあったのと同じ処方で再構成され得る。
【0170】
本組成物は、薬学的に許容可能な担体を含み得る。一般に、本明細書で使用されるとき、「薬学的に許容可能な担体」は、薬学的投与、詳細には非経口投与と適合性のあるあらゆる水性及び非水性溶液、滅菌溶液、溶媒、緩衝液、例えばリン酸緩衝食塩水(PBS)溶液、水、懸濁液、油/水エマルションなどのエマルション、各種湿潤剤、リポソーム、分散媒及びコーティングを意味する。医薬組成物におけるこのような媒体及び薬剤の使用は、当技術分野で周知であり、このような担体を含む組成物は、周知の従来法によって処方され得る。
【0171】
特定の実施形態は、本発明の抗体コンストラクトと、さらなる1つ以上の賦形剤と、を含む医薬組成物を提供する。賦形剤は、本発明の方法及び/又は粘度の調整など、製剤の物理的、化学的又は生物学的特性の調整など、多様な目的で使用して有効性を向上させ、及び/又は例えば製造、出荷、貯蔵、使用前準備、投与中及びその後に起こるストレスに起因する分解及び変質に対してこのような製剤及び工程を安定化させ得る。賦形剤は一般に、その最低有効濃度で使用されるべきである。
【0172】
特定の実施形態では、医薬組成物は、pH、オスモル濃度、粘度、清澄性、色、等張性、匂い、無菌性、安定性、溶解又は放出速度、吸着又は透過など、組成物の特定の特徴を修正、維持又は保存する目的で処方材料/物質も含有し得る(Remington’s Pharmaceutical Sciences,18”Edition,1990,Mack Publishing Companyを参照のこと)。
【0173】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」には、文脈上特に明確に指示されない限り、複数形の言及が含まれる。従って、例えば、「試薬」への言及には、そのような様々な試薬の1つ又は複数が含まれており、「方法」への言及には、本明細書で説明されている方法のために改変又は置換され得る、当業者にとって公知の均等な工程及び方法への言及が含まれる。
【0174】
別段の指示がない限り、一連の要素に先行する用語「少なくとも」は、その一連の中にある全ての要素に言及していると理解されるべきである。当業者は、本明細書で説明されている本発明の具体的な実施形態に対する多くの均等物を認識するか、又はルーチンに過ぎない実験を使用して確認し得るであろう。そのような均等物は、本発明に包含されることが意図されている。
【0175】
「及び/又は」という用語は、本明細書の何れの箇所で使用されるにしても、「及び」、「又は」及び「前記用語により接続される要素のあらゆる他の組み合わせ」の意味を含む。
【0176】
「約」又は「およそ」という用語は、本明細書で使用される場合、所与の値又は範囲の±20%以内、好ましくは±15%以内、より好ましくは±10%以内、最も好ましくは±5%以内を意味する。これには、具体的な値も含まれ、例えば、「約50」は、値「50」を含む。
【0177】
本明細書及び特許請求の範囲を通して、文脈上特に要求されない限り、「含む(comprise)」という語句、並びに「含む(comprises)」及び「含んでいる(comprising)」などの変化形は、記載されている完全体若しくは工程又は完全体若しくは工程の群を含むが、任意の他の完全体若しくは工程又は完全体若しくは工程の群を除外しないことを含意すると理解されるであろう。本明細書で使用される場合、「含んでいる(comprising)」という用語は、「含有している(containing)」という用語若しくは「含んでいる(including)」という用語又はときに本明細書で使用される場合に「有する(having)」という用語に置き換えられ得る。
【0178】
本明細書で使用される場合、「~からなる(consisting of)」は、請求項の構成要素で指定されていない如何なる構成要素、工程又は成分も除外する。本明細書で使用される場合、「本質的に~からなる(consisting essentially of)」は、請求項の基本的且つ新規の特徴に事実上影響を与えない材料又は工程を除外しない。
【0179】
本明細書における各例において、「含んでいる(comprising)」、「本質的に~からなる(consisting essentially of)」及び「~からなる(consisting of)」という用語の何れも、他の2つの用語の何れかに置き換えられ得る。
【0180】
上述の説明及び以下の例は、例示的構成を提供するが、しかし、本発明は、本明細書に記載される特定の方法論、技法、プロトコール、材料、試薬、物質等に限定されず、従って異なり得ることが理解されなければならない。本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲を限定することを意図しておらず、本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ定義される。本発明の態様は、独立請求項で提供される。本発明の一部の任意選択的な特徴は、従属請求項で提供される。
【0181】
本明細書の本文全体において引用されている全ての刊行物及び特許(全ての特許、特許出願、科学刊行物、製造業者の仕様書、説明書等を含む)は、上記であっても下記であっても、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書の如何なる内容も、本発明が先行発明によってこのような開示に先行する権利を有しないことを承認するものとして解釈すべきではない。参照により組み込まれる資料が本明細書と矛盾するか又は不一致となる範囲においては、本明細書が、如何なるこのような資料よりも優先される。
【0182】
本発明及びその利点のより適切な理解が以下の実施例から得られようが、本実施例は、例示目的で提供されるに過ぎない。この実施例は、本発明の範囲を何ら限定することを意図するものではなく、且つそのように解釈されるべきではない。
【実施例
【0183】
背景:多発性骨髄腫(MM)細胞上のBCMA及びT 細胞上のCD3に結合する、AMG 701、HLE BiTE(登録商標)分子は、MM臨床前モデルにおいて活性を有する。ヒトで最初のこの試験の目標は、再発/難治性(R/R)多発性骨髄腫の患者において安全性を評価し、AMG701の最大耐用量(MTD)を推定することを含む(NCT03287908)。
【0184】
方法:最初に単一患者コホート(5、15、45μg)、次に≧3名の患者のコホート(140、400、800、1200μg)及び場合によってはより高用量コホート(1600、3000、4500、6500、9000、12000μg)の最大10名の患者に、患者がベネフィットを得る限り、4週間サイクルでAMG701を毎週、短時間IV注入した。適格な患者は、プロテアソーム阻害剤、IMiD及び抗CD38 MAb(承認され、利用可能である場合)での≧2レジメンの治療後にMMが再発したか又はそれに不耐性のMM患者であった。単独の髄外疾患(その後の用量拡大では可能)、CNS併発、以前のBCMAに対する治療及び免疫抑制療法がある患者は除外した。1600μgでのサイトカイン放出症候群(CRS)のグレード3用量制限毒性(DLT)の後、全ての目標用量≧1200μgに対して、800μgの最初の慣らし用量を加え、続いて目標用量まで段階的に漸増させた。MRDは、FDA公認の次世代シーケンシングアッセイにより測定した場合の、<1/105細胞として定義された。
【0185】
結果(表2で示されるフォローアップの結果を含まない):47名の患者に、5~6500μgの範囲の用量でAMG 701を投与し、≧1200μgの目標用量への漸増のために800μgの慣らし用量を使用し;9000及び12000μgのさらなる計画された用量ではまだ患者が登録されておらず、図1も参照のこと。年齢の中央値は62歳であり、21名の患者(78%)が≧5レジメンの治療を以前受けていた。12名の患者が継続中であり、プロトコールに従い定義されるようなMTDにはまだ達していない。抗AMG701抗体は検出されなかった。奏効には、800μgでの1例のストリンジェント完全奏効(sCR)及び、4例の部分奏効(PR)、3000μgでの2例のPR、4500μgでの1例のPR及び6500μgでの1例のPR及び最小奏効が含まれた。CRの患者は、1カ月で最初のPRを有し、4.3カ月でsCRに深まり;この継続中の奏効は13.2カ月間継続しており、そのうち9.8カ月間がMRD陰性であった。4例のPRは、1~3.7カ月で始まり(最初に1カ月の時点で奏効を評価)、奏効は最長4カ月間継続した(3名は継続中)。
【0186】
結論:このFIH試験においては、用量漸増が継続中であり、MTDがまだ同定されておらず、CD3及びBCMAを標的とするHLE抗体コンストラクトであるAMG701は、以前にあらゆる治療を受けた(heavily pre-treated)R/R MMの患者において有望な活性を示した。
【0187】
表1:AMG701 FIH試験の結果。この表は、5、15及び45μgの単一患者コホート1~3を含まない。+は、奏効が継続中であることを示す。*1600μgの1名の患者、即ちCRSのDLTがある患者を除き、≧1200μgの用量を受けた患者は全て、第5又は8日に目標用量を受ける前に800μgの段階用量を受けた。第5日に目標用量を受けた患者数は次のとおりである:1600μg(n=3)、3000μg(n=2)及び4500μg(n=2);他の患者は全て、第8日に目標用量を受けた。
【0188】
【表1】
【0189】
表2:AMG 701 FIH試験の結果のフォローアップ。この表は、5、15及び45μgの単一患者コホート1~3を含まず、この表は、140μg~1600μgのコホート4~9を含まない(表1を参照)。表1におけるコホート6(800μg)のsCRレスポンダーの奏効持続時間は19.6+カ月である。+は、奏効が継続中であることを示す。この表2で示される患者は全て、第3、5又は8日に目標用量を受ける前に、800μgの段階用量を受けた。
【0190】
【表2】
【0191】
完全奏効のためのIMWG奏効基準(http://imwg.myeloma.org/international-myeloma-working-group-imwg-uniform-response-criteria-for-multiple-myeloma/も参照)は次のとおりである:
・血清及び尿におけるM蛋白免疫固定が陰性
・軟部組織形質細胞腫の消失、及び
・骨髄中の<5%の形質細胞。
【0192】
部分奏効についてのIMWG奏効基準は、次のとおりである:
・M蛋白電気泳動:血清M蛋白の≧50%減少及び24時間尿中M蛋白の≧90%の減少又は<200mg/24hまでの減少
・遊離軽鎖(FLC):血清及び尿M蛋白が測定不能である場合、M蛋白基準の代わりに、腫瘍由来及び非腫瘍由来FLCレベルの間の差を≧50%減少させる必要がある。
・血清及び尿M蛋白が測定不能であり、無血清光アッセイも測定不能である場合:ベースラインの骨髄形質細胞の割合が≧30%である場合は、M蛋白の代わりに形質細胞における≧50%減少が求められる。
・上で挙げられる基準に加えて、ベースラインで存在する場合、軟部組織の形質細胞腫の大きさを≧50%減少させることも求められる。
【0193】
非常に良好な部分奏効についてのIMWG奏効基準は、
・血清及び尿Mタンパクが免疫固定で検出できるが、電気泳動で検出できないか、又は血清Mタンパク+尿Mタンパクレベルの90%以上の減少が<100mg/24時間
である。
図1
図2
【配列表】
2022554362000001.app
【国際調査報告】