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特表2022-554375胃内滞留システム用の高分子リンカー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(54)【発明の名称】胃内滞留システム用の高分子リンカー
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/34 20170101AFI20221221BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20221221BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20221221BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20221221BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20221221BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20221221BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
A61K47/34
A61K45/00
A61K47/38
A61K47/10
A61K47/14
A61K47/02
A61K9/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022526258
(86)(22)【出願日】2020-11-06
(85)【翻訳文提出日】2022-07-04
(86)【国際出願番号】 US2020059537
(87)【国際公開番号】W WO2021092487
(87)【国際公開日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】62/933,226
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518137726
【氏名又は名称】リンドラ セラピューティクス, インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100134784
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和美
(72)【発明者】
【氏名】ジュアン ジャラミロ モンテスコ
(72)【発明者】
【氏名】マーリーン シュワルツ
(72)【発明者】
【氏名】ローズマリー カナスティー
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド オルトルーター
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス デ ラ トール
(72)【発明者】
【氏名】ソニア ホラー
(72)【発明者】
【氏名】タイラー グラント
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ シムセス
(72)【発明者】
【氏名】エリック ピーク
(72)【発明者】
【氏名】エリカ レイ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
【Fターム(参考)】
4C076AA53
4C076AA67
4C076BB01
4C076DD29U
4C076DD38
4C076DD47
4C076EE22
4C076EE23
4C076EE24
4C076EE33
4C076EE49
4C076FF31
4C084AA17
4C084NA12
4C084NA13
(57)【要約】
胃内滞留システム、および胃内滞留システムを用いて薬物を個体に送達する方法を本明細書に記載する。この胃内滞留システムは、時間依存性高分子リンカーおよび/もしくは腸溶性高分子リンカー、または時間依存性かつ腸溶性の二面性の高分子リンカーを含んでもよい。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーはPLGAを含み、必要に応じてPLAまたは担持重合体を含む。腸溶性高分子リンカーは腸溶性重合体を含み、必要に応じてPCLまたはTPUなどの担持重合体を含む。時間依存性高分子リンカーは、本明細書に記載の分解(すなわち曲げ弾性率の損失)特性に従い個体の胃内で分解してもよく、腸溶性高分子リンカーは、本明細書に記載の別の分解(すなわち曲げ弾性率の損失)特性に従い個体の腸内で分解してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
担持重合体および薬剤を含む1つ以上の第1の構造部材を含む胃内滞留システムであって、前記1つ以上の第1の構造部材は高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられており、前記高分子リンカーはポリ(乳酸-co-グリコリド)(PLGA)および少なくとも1種の追加のリンカー重合体を含み、
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で30日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断し、
該胃内滞留システムは、少なくとも24時間の期間、胃内に保持される、胃内滞留システム。
【請求項2】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で30日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する、請求項1に記載の胃内滞留システム。
【請求項3】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で30日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する、請求項1に記載の胃内滞留システム。
【請求項4】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で30日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する、請求項1に記載の胃内滞留システム。
【請求項5】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で30日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の90%以上を失うか、あるいは破断する、請求項1に記載の胃内滞留システム。
【請求項6】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で21日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する、請求項1~5のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項7】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で21日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する、請求項1~5のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項8】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で21日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する、請求項1~5のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項9】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で21日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する、請求項1~5のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項10】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で21日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の90%以上を失うか、あるいは破断する、請求項1~5のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項11】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で14日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する、請求項1~10のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項12】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で14日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する、請求項1~10のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項13】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で14日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する、請求項1~10のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項14】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で14日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する、請求項1~10のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項15】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で14日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の90%以上を失うか、あるいは破断する、請求項1~10のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項16】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で7日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する、請求項1~15のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項17】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で7日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する、請求項1~15のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項18】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で7日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する、請求項1~15のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項19】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で7日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する、請求項1~15のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項20】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で7日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の90%以上を失うか、あるいは破断する、請求項1~15のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項21】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する、請求項1~20のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項22】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する、請求項1~20のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項23】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する、請求項1~20のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項24】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する、請求項1~20のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項25】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の90%以上を失うか、あるいは破断する、請求項1~20のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項26】
前記少なくとも1種の追加のリンカー重合体は、ポリ乳酸(PLA)、担持重合体、ポリカプロラクトン(PCL)、または熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項27】
前記担持重合体はPCLを含み、前記少なくとも1種の追加のリンカー重合体はPCLを含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項28】
前記担持重合体はTPUを含み、前記少なくとも1種の追加のリンカー重合体はTPUを含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項29】
前記少なくとも1種の追加のリンカー重合体はPLAを含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項30】
前記担持重合体はPCLまたはTPUを含む、請求項29に記載の胃内滞留システム。
【請求項31】
担持重合体および薬剤を含む1つ以上の第1の構造部材を含む胃内滞留システムであって、前記1つ以上の第1の構造部材は高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられており、前記高分子リンカーは、
(a)ポリ(乳酸-co-グリコリド)(PLGA)、および
(b)ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、または熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含み、
該胃内滞留システムは、少なくとも24時間の期間、胃内に保持される、胃内滞留システム。
【請求項32】
前記担持重合体はPCLを含み、前記高分子リンカーはPLGAおよびPCLを含む、請求項31に記載の胃内滞留システム。
【請求項33】
前記担持重合体はTPUを含み、前記高分子リンカーはPLGAおよびTPUを含む、請求項31に記載の胃内滞留システム。
【請求項34】
前記高分子リンカーは、前記PLGAおよび前記PLAを含む、請求項31に記載の胃内滞留システム。
【請求項35】
前記担持重合体は、TPUまたはPCLを含む、請求項34に記載の胃内滞留システム。
【請求項36】
前記PLGAは、ポリ(D,L-乳酸-co-グリコリド)(PDLG)を含む、請求項1~35のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項37】
前記PLGAは酸末端PLGAを含む、請求項1~36のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項38】
前記PLGAはエステル末端PLGAを含む、請求項1~37のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項39】
前記PLGAは、酸末端PLGAおよびエステル末端PLGAを約1:9~約9:1の比で含む、請求項1~38のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項40】
前記高分子リンカーは約70重量%以下のPLGAを含む、請求項1~39のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項41】
前記高分子リンカーは約30重量%~約70重量%のPLGAを含む、請求項1~40のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項42】
前記高分子リンカーは、腸溶性重合体をさらに含む、請求項1~41のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項43】
前記腸溶性重合体は、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)を含む、請求項42に記載の胃内滞留システム。
【請求項44】
前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する、請求項1~43のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項45】
前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する、請求項1~43のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項46】
前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する、請求項1~43のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項47】
前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する、請求項1~43のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項48】
前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で1日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する、請求項1~47のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項49】
前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で1日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する、請求項1~47のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項50】
前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で1日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する、請求項1~47のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項51】
前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で1日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する、請求項1~47のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項52】
前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の10%超だけの曲げ弾性率を失う、請求項1~43のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項53】
前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の20%超だけの曲げ弾性率を失う、請求項1~43のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項54】
前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の40%超だけの曲げ弾性率を失う、請求項1~43のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項55】
前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の60%超だけの曲げ弾性率を失う、請求項1~43のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項56】
前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の80%超だけの曲げ弾性率を失う、請求項1~43のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項57】
前記1つ以上の第1の構造部材は、前記高分子リンカーおよび第2の高分子リンカーを介して前記第2の構造部材に取り付けられ、前記第2の高分子リンカーは腸溶性高分子を含む、請求項1~56のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項58】
前記第2の高分子リンカーは、TPU、PCL、またはPLGAをさらに含む、請求項57に記載の胃内滞留システム。
【請求項59】
前記第2の高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する、請求項57または58に記載の胃内滞留システム。
【請求項60】
担持重合体および薬剤を含む1つ以上の第1の構造部材を含む胃内滞留システムであって、前記1つ以上の第1の構造部材は高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられており、前記高分子リンカーは、
(a)熱可塑性ポリウレタン(TPU)またはポリ(乳酸-co-グリコリド)(PLGA)、および
(b)腸溶性重合体を含み、
前記高分子リンカーは、pH6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断し、
該胃内滞留システムは、少なくとも24時間の期間、胃内に保持される、胃内滞留システム。
【請求項61】
前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する、請求項60に記載の胃内滞留システム。
【請求項62】
前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する、請求項60に記載の胃内滞留システム。
【請求項63】
前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する、請求項60に記載の胃内滞留システム。
【請求項64】
前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で1日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する、請求項60~63のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項65】
前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で1日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する、請求項60~63のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項66】
前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で1日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する、請求項60~63のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項67】
前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で1日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する、請求項60~63のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項68】
前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の10%超だけの曲げ弾性率を失う、請求項60に記載の胃内滞留システム。
【請求項69】
前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の20%超だけの曲げ弾性率を失う、請求項60に記載の胃内滞留システム。
【請求項70】
前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の40%超だけの曲げ弾性率を失う、請求項60に記載の胃内滞留システム。
【請求項71】
前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の60%超だけの曲げ弾性率を失う、請求項60に記載の胃内滞留システム。
【請求項72】
前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の80%超だけの曲げ弾性率を失う、請求項60に記載の胃内滞留システム。
【請求項73】
前記担持重合体はTPUを含み、前記1種以上の高分子リンカーはTPUを含む、請求項60~72のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項74】
前記高分子リンカーはPLGAを含む、請求項60~72のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項75】
前記高分子リンカーは、ポリ乳酸(PLA)をさらに含む、請求項74に記載の胃内滞留システム。
【請求項76】
前記PLGAはポリ(D,L-乳酸-co-グリコリド)(PDLG)である、請求項74または75に記載の胃内滞留システム。
【請求項77】
前記PLGAは酸末端PLGAを含む、請求項74~76のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項78】
前記PLGAはエステル末端PLGAを含む、請求項74~77のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項79】
前記PLGAは、酸末端PLGAおよびエステル末端PLGAを約1:9~約9:1の比で含む、請求項74~78のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項80】
前記高分子リンカーは約70重量%以下のPLGAを含む、請求項74~79のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項81】
前記高分子リンカーは約30重量%~約70重量%のPLGAを含む、請求項74~80のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項82】
前記腸溶性重合体は、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)を含む、請求項60~81のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項83】
前記高分子リンカーは約20重量%~約80重量%の腸溶性重合体を含む、請求項60~82のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項84】
前記高分子リンカーは約0.5重量%~約20重量%の可塑剤を含む、請求項1~83のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項85】
前記可塑剤は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)、クエン酸ブチルトリエチル(TBC)、セバシン酸ジブチル(DBS)、トリアセチン、クエン酸トリエチル(TEC)、ポロキサマー、またはコハク酸D-α-トコフェリルポリエチレングリコールを含む、請求項84に記載の胃内滞留システム。
【請求項86】
担持重合体および薬剤を含む1つ以上の第1の構造部材を含む胃内滞留システムであって、前記1つ以上の第1の構造部材は、リンカー重合体および約0.5重量%~約20重量%の可塑剤を含む高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられており、
該胃内滞留システムは、少なくとも24時間の期間、胃内に保持される、胃内滞留システム。
【請求項87】
前記高分子リンカーは約0.5%~約12%の可塑剤を含む、請求項86に記載の胃内滞留システム。
【請求項88】
前記リンカー重合体は腸溶性重合体を含む、請求項86または87に記載の胃内滞留システム。
【請求項89】
前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する、請求項88に記載の胃内滞留システム。
【請求項90】
前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する、請求項88に記載の胃内滞留システム。
【請求項91】
前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する、請求項88に記載の胃内滞留システム。
【請求項92】
前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する、請求項88に記載の胃内滞留システム。
【請求項93】
前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で1日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する、請求項88~92のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項94】
前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で1日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する、請求項88~92のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項95】
前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で1日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する、請求項88~92のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項96】
前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で1日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する、請求項88~92のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項97】
前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の10%超だけの曲げ弾性率を失う、請求項88に記載の胃内滞留システム。
【請求項98】
前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の20%超だけの曲げ弾性率を失う、請求項88に記載の胃内滞留システム。
【請求項99】
前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の40%超だけの曲げ弾性率を失う、請求項88に記載の胃内滞留システム。
【請求項100】
前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の60%超だけの曲げ弾性率を失う、請求項88に記載の胃内滞留システム。
【請求項101】
前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の80%超だけの曲げ弾性率を失う、請求項88に記載の胃内滞留システム。
【請求項102】
前記腸溶性重合体は、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)を含む、請求項88~101のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項103】
前記高分子リンカーは約20重量%~約80重量%の腸溶性重合体を含む、請求項88~102のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項104】
前記リンカー重合体は前記担持重合体を含む、請求項86~103のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項105】
前記担持重合体はポリカプロラクトン(PCL)または熱可塑性ポリウレタン(TPU)である、請求項104に記載の胃内滞留システム。
【請求項106】
前記リンカー重合体は、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、または熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含む、請求項86~103のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項107】
前記リンカー重合体は時間依存性分解性重合体を含む、請求項86~106のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項108】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で30日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する、請求項86~107のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項109】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で30日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する、請求項86~107のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項110】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で30日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する、請求項86~107のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項111】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で30日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する、請求項86~107のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項112】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で30日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の90%以上を失うか、あるいは破断する、請求項86~107のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項113】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で21日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する、請求項86~112のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項114】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で21日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する、請求項86~112のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項115】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で21日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する、請求項86~112のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項116】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で21日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する、請求項86~112のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項117】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で21日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の90%以上を失うか、あるいは破断する、請求項86~112のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項118】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で14日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する、請求項86~117のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項119】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で14日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する、請求項86~117のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項120】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で14日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する、請求項86~117のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項121】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で14日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する、請求項86~117のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項122】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で14日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の90%以上を失うか、あるいは破断する、請求項86~117のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項123】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で7日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する、請求項86~122のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項124】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で7日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する、請求項86~122のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項125】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で7日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する、請求項86~122のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項126】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で7日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する、請求項86~122のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項127】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で7日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の90%以上を失うか、あるいは破断する、請求項86~122のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項128】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する、請求項86~127のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項129】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する、請求項86~127のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項130】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する、請求項86~127のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項131】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する、請求項86~127のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項132】
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の90%以上を失うか、あるいは破断する、請求項86~127のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項133】
前記時間依存性分解性重合体はポリ(乳酸-co-グリコリド)(PLGA)を含む、請求項107~132のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項134】
前記PLGAは、ポリ(D,L-乳酸-co-グリコリド)(PDLG)を含む、請求項133に記載の胃内滞留システム。
【請求項135】
前記PLGAは酸末端PLGAを含む、請求項133または134に記載の胃内滞留システム。
【請求項136】
前記PLGAはエステル末端PLGAを含む、請求項133~135のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項137】
前記PLGAは、酸末端PLGAおよびエステル末端PLGAを約1:9~約9:1の比で含む、請求項133~136のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項138】
前記高分子リンカーは約70重量%以下のPLGAを含む、請求項133~137のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項139】
前記高分子リンカーは、約30%~約70%のPLGAを含む、請求項133~138のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項140】
前記可塑剤は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)、クエン酸ブチルトリエチル(TBC)、セバシン酸ジブチル(DBS)、トリアセチン、クエン酸トリエチル(TEC)、ポロキサマー、またはコハク酸D-α-トコフェリルポリエチレングリコールを含む、請求項86~139のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項141】
担持重合体および薬剤を含む1つ以上の第1の構造部材を含む胃内滞留システムであって、前記1つ以上の第1の構造部材は高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられており、前記高分子リンカーは、
(a) pH非依存性分解性重合体、および
(b)腸溶性重合体を含み、
該胃内滞留システムは、少なくとも24時間の期間、胃内に保持される、胃内滞留システム。
【請求項142】
前記高分子リンカーは、担持重合体をさらに含む、請求項141に記載の胃内滞留システム。
【請求項143】
前記担持重合体はTPUまたはPCLである、請求項142に記載の胃内滞留システム。
【請求項144】
前記pH非依存性分解性重合体はPLGAを含む、請求項141~143のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項145】
前記PLGAはポリ(D,L-乳酸-co-グリコリド)(PDLG)である、請求項144に記載の胃内滞留システム。
【請求項146】
前記PLGAは酸末端PLGAを含む、請求項144または145に記載の胃内滞留システム。
【請求項147】
前記PLGAは、エステル末端PLGAを含む、請求項144~146のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項148】
前記PLGAは、酸末端PLGAおよびエステル末端PLGAを約1:9~約9:1の比で含む、請求項144~147のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項149】
前記高分子リンカーは約70重量%以下のPLGAを含む、請求項144~148のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項150】
前記高分子リンカーは約30重量%~約70重量%のPLGAを含む、請求項144~149のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項151】
前記腸溶性重合体は、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)を含む、請求項141~150のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項152】
前記高分子リンカーは約20重量%~約80重量%の腸溶性重合体を含む、請求項141~151のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項153】
前記高分子リンカーは約0.5重量%~約20重量%の可塑剤を含む、請求項141~152のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項154】
前記可塑剤は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)、クエン酸ブチルトリエチル(TBC)、セバシン酸ジブチル(DBS)、トリアセチン、クエン酸トリエチル(TEC)、ポロキサマー、またはコハク酸D-α-トコフェリルポリエチレングリコールを含む、請求項153に記載の胃内滞留システム。
【請求項155】
前記高分子リンカー中の材料が均質に配合されている、請求項1~154のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項156】
前記高分子リンカーは実質的に前記薬剤を含まない、請求項1~155のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項157】
前記高分子リンカーは、色吸収色素をさらに含む、請求項1~156のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項158】
前記色吸収色素は酸化鉄を含む、請求項157に記載の胃内滞留システム。
【請求項159】
複数の第1の構造部材を含み、
各第1の構造部材は、別個の高分子リンカーを介して前記第2の構造部材に取り付けられ、
前記第2の構造部材は、弾性中心部材であり、
該胃内滞留システムは、投与中は折り畳まれて物理的に拘束されるように構成され、拘束の除去時に開いた保持形状を取るように構成され、かつ
前記折り畳まれた形状と前記開いた保持形状との間の変化は、滞留構造が前記折り畳まれた形状にあるときに弾性変形を受け、前記胃内滞留構造が前記開いた保持形状を取るときに反動する前記弾性中心部材により媒介される、
請求項1~158のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項160】
該胃内滞留システムは、胃で分解するように構成されたカプセル内に拘束される、請求項159に記載の胃内滞留システム。
【請求項161】
前記薬剤は薬物である、請求項1~160のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項162】
前記第2の構造部材は弾性体である、請求項1~161のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項163】
前記第2の構造部材は中心弾性体であり、前記1つ以上の第1の構造部材は前記中心弾性体から放射状に突出するアームである、請求項1~162のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項164】
該胃内滞留システムは少なくとも48時間の期間、胃内に保持される、請求項1~163のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項165】
該胃内滞留システムは少なくとも3日の期間、胃内に保持される、請求項1~163のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項166】
該胃内滞留システムは少なくとも7日の期間、胃内に保持される、請求項1~163のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項167】
該胃内滞留システムは少なくとも14日の期間、胃内に保持される、請求項1~163のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項168】
該胃内滞留システムは少なくとも30日の期間、胃内に保持される、請求項1~163のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
【請求項169】
請求項1~168のいずれか一項に記載の胃内滞留システムを個体の胃内に配備することを含む、前記個体に薬剤を送達する方法。
【請求項170】
前記個体はヒトである、請求項169に記載の方法。
【請求項171】
高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられた1つ以上の第1の構造部材を含み、前記高分子リンカーは、68~72重量%のポリ(乳酸-co-グリコリド)(PLGA)および28~32重量%のポリ乳酸を含み、前記PLGAは65:35の乳酸対グリコール酸比を有する、胃内滞留システム。
【請求項172】
高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられた1つ以上の第1の構造部材を含み、前記高分子リンカーは、68~72重量%のポリ(乳酸-co-グリコリド)(PLGA)および28~32重量%のポリ乳酸を含み、前記PLGAは75:25の乳酸対グリコール酸比を有する、胃内滞留システム。
【請求項173】
高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられた1つ以上の第1の構造部材を含み、前記高分子リンカーは、48~52重量%のポリ(乳酸-co-グリコリド)(PLGA)および48~52重量%のポリ乳酸(PLA)を含み、前記PLGAは75:25の乳酸対グリコール酸比を有する、胃内滞留システム。
【請求項174】
高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられた1つ以上の第1の構造部材を含み、前記高分子リンカーは、22~26重量%のポリ(乳酸-co-グリコリド)(PLGA)、54~58重量%のポリ乳酸(PLA)、および18~22重量%の熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含み、前記PLGAは65:35の乳酸対グリコール酸比を有する、胃内滞留システム。
【請求項175】
高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられた1つ以上の第1の構造部材を含み、前記高分子リンカーは、22~26重量%のポリ(乳酸-co-グリコリド)(PLGA)、54~58重量%のポリ乳酸(PLA)、および18~22重量%の熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含み、前記PLGAは75:25の乳酸対グリコール酸比を有する、胃内滞留システム。
【請求項176】
高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられた1つ以上の第1の構造部材を含み、前記高分子リンカーは、38~42重量%のポリ(乳酸-co-グリコリド)(PLGA)、38~42重量%のポリ乳酸(PLA)、および18~22重量%のTPUを含み、前記PLGAは75:25の乳酸対グリコール酸比を有する、胃内滞留システム。
【請求項177】
高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられた1つ以上の第1の構造部材を含み、前記高分子リンカーのガラス転移温度は、水性環境で7~14日後に体温未満まで低下する、胃内滞留システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2019年11月8日出願の米国仮特許出願第62/933,226号の優先権を主張する。同出願の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載]
本発明は、米国国立衛生研究所から授与されたR01 AI131416の下で政府の支援を受けて行われたものである。政府は、本発明について一定の権利を有する。
【0003】
本発明は、薬物の胃徐放性のための胃内滞留システムおよびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0004】
胃内滞留システムは、数日から数週間、またはさらに長期間にわたって胃に留まる薬剤の送達システムであり、その間に薬物または他の薬剤はシステムから溶出して胃腸管で吸収されることができる。このようなシステムの例は、国際特許出願第WO 2015/191920号、第WO 2015/191925号、第WO 2017/070612号、WO 2017/100367号、および第WO 2017/205844号に記載されている。これらの文献はそれぞれ、参照により本明細書に組み込まれる。滞留期間中、システムは薬剤、たとえば1種以上の薬物を放出する。
【0005】
胃内滞留システムは、典型的には嚥下されるか別の投与方法(たとえば、栄養管または胃管)で胃に導入されるカプセルで患者の胃に投与されるように設計される。カプセルが胃で溶けると、システムは拡張あるいは展開して、所望の滞留期間(3日間、7日間、2週間など)にわたり胃内に留まって幽門括約筋の通過に抵抗する大きさになる。このためには、所望の滞留期間にわたる機械的安定性が必要である。滞留期間中、システムは薬剤、たとえば1種以上の薬物を、好ましくは最小限の爆発的放出で放出するが、このためには所望の放出特性を付与するために薬剤の担持材料を慎重に選択する必要がある。胃内に滞留している間、システムは食物または他の胃内容物の正常な通過を妨げてはならない。システムは、所望の滞留時間が終了すると胃から出て患者から容易に排出されなければならない。システムが胃から小腸に早く通過してしまった場合、腸閉塞を引き起こしてはならず、やはり患者から容易に排出されなければならない。これらの特性により、システムを構成する材料、ならびにシステムの寸法および配置を慎重に選択する必要がある。
【0006】
本発明は、システムに用いられる材料やシステム構造の複雑な調整を可能にする胃内滞留システムの設計および製造における進歩について記載する。
【0007】
本明細書で特定引用により言及されるすべての刊行物、特許、特許出願、および公開特許出願の開示内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0008】
本明細書では、時間依存性高分子リンカーおよび/または腸溶性高分子リンカーを含む胃内滞留システムを、胃内滞留システムを用いて患者を治療する方法と共に記載する。時間依存性高分子リンカーは水性条件で分解し、胃内滞留に関するタイマーとなる。腸溶性高分子リンカーは小腸で急速に分解し、腸閉塞のリスクを制限する安全機構となる。
【0009】
本明細書では、担持重合体および薬剤を含む1つ以上の第1の構造部材を含む胃内滞留システムであって、前記1つ以上の第1の構造部材は高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられており、前記高分子リンカーはポリ(乳酸-co-グリコリド)(PLGA)および少なくとも1種の追加のリンカー重合体を含み、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で30日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断し、該胃内滞留システムは、少なくとも24時間の期間、胃内に保持される、胃内滞留システムについて記載する。
【0010】
上記の胃内滞留システムの実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で30日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で30日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で30日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で30日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の90%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で21日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で21日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で21日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で21日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で21日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の90%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で14日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で14日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で14日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で14日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で14日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の90%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で7日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で7日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で7日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で7日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で7日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の90%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の90%以上を失うか、あるいは破断する。
【0011】
前記胃内滞留システムの実施態様によっては、前記少なくとも1種の追加のリンカー重合体は、ポリ乳酸(PLA)、担持重合体、ポリカプロラクトン(PCL)、または熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含む。実施態様によっては、前記担持重合体はPCLを含み、前記少なくとも1種の追加のリンカー重合体はPCLを含む。実施態様によっては、前記担持重合体はTPUを含み、前記少なくとも1種の追加のリンカー重合体はTPUを含む。実施態様によっては、前記少なくとも1種の追加のリンカー重合体はPLAを含む。実施態様によっては、前記担持重合体はPCLまたはTPUを含む。
【0012】
本明細書では、担持重合体および薬剤を含む1つ以上の第1の構造部材を含む胃内滞留システムであって、前記1つ以上の第1の構造部材は高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられており、前記高分子リンカーは、(a)ポリ(乳酸-co-グリコリド)(PLGA)、および(b)ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、または熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含み、該胃内滞留システムは、少なくとも24時間の期間、胃内に保持される、胃内滞留システムについても記載する。
【0013】
前記胃内滞留システムの実施態様によっては、前記担持重合体はPCLを含み、前記高分子リンカーはPLGAおよびPCLを含む。実施態様によっては、前記担持重合体はTPUを含み、前記高分子リンカーはPLGAおよびTPUを含む。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、前記PLGAおよび前記PLAを含む。実施態様によっては、前記担持重合体は、TPUまたはPCLを含む。
【0014】
上記のいずれかの胃内滞留システムの実施態様によっては、前記PLGAは、ポリ(D,L-乳酸-co-グリコリド)(PDLG)を含む。実施態様によっては、前記PLGAは酸末端PLGAを含む。実施態様によっては、前記PLGAはエステル末端PLGAを含む。実施態様によっては、前記PLGAは、酸末端PLGAおよびエステル末端PLGAを約1:9~約9:1の比で含む。実施態様によっては、前記高分子リンカーは約70重量%以下のPLGAを含む。実施態様によっては、前記高分子リンカーは約30重量%~約70重量%のPLGAを含む。
【0015】
上記のいずれかの胃内滞留システムの実施態様によっては、前記高分子リンカーは、腸溶性重合体をさらに含む。実施態様によっては、前記腸溶性重合体は、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)を含む。実施態様によっては、前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で1日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で1日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で1日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で1日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の10%超だけの曲げ弾性率を失う。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の20%超だけの曲げ弾性率を失う。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の40%超だけの曲げ弾性率を失う。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の60%超だけの曲げ弾性率を失う。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の80%超だけの曲げ弾性率を失う。
【0016】
上記のいずれかの胃内滞留システムの実施態様によっては、前記1つ以上の第1の構造部材は、前記高分子リンカーおよび第2の高分子リンカーを介して前記第2の構造部材に取り付けられ、前記第2の高分子リンカーは腸溶性高分子を含む。実施態様によっては、前記第2の高分子リンカーは、TPU、PCL、またはPLGAをさらに含む。実施態様によっては、前記第2の高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する。
【0017】
本明細書ではさらに、担持重合体および薬剤を含む1つ以上の第1の構造部材を含む胃内滞留システムであって、前記1つ以上の第1の構造部材は高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられており、前記高分子リンカーは、(a)熱可塑性ポリウレタン(TPU)またはポリ(乳酸-co-グリコリド)(PLGA)、および(b)腸溶性重合体を含み、前記高分子リンカーは、pH6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断し、該胃内滞留システムは、少なくとも24時間の期間、胃内に保持される、胃内滞留システムについても記載する。
【0018】
実施態様によっては、前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で1日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で1日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で1日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で1日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の10%超だけの曲げ弾性率を失う。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の20%超だけの曲げ弾性率を失う。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の減少の40%超だけの曲げ弾性率を失う。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の60%超だけの曲げ弾性率を失う。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の80%超だけの曲げ弾性率を失う。
【0019】
実施態様によっては、前記担持重合体はTPUを含み、前記1種以上の高分子リンカーはTPUを含む。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、ポリ乳酸(PLA)をさらに含む。実施態様によっては、前記高分子リンカーはPLGAを含む。実施態様によっては、前記PLGAはポリ(D,L-乳酸-co-グリコリド)(PDLG)である。実施態様によっては、前記PLGAは酸末端PLGAを含む。実施態様によっては、前記PLGAはエステル末端PLGAを含む。実施態様によっては、前記PLGAは、酸末端PLGAおよびエステル末端PLGAを約1:9~約9:1の比で含む。実施態様によっては、前記高分子リンカーは約70重量%以下のPLGAを含む。実施態様によっては、前記高分子リンカーは約30重量%~約70重量%のPLGAを含む。
【0020】
実施態様によっては、前記腸溶性重合体は、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)を含む。
【0021】
実施態様によっては、前記高分子リンカーは約20重量%~約80重量%の腸溶性重合体を含む。
【0022】
上記のいずれかの胃内滞留システムの実施態様によっては、前記高分子リンカーは約0.5重量%~約20重量%の可塑剤を含む。実施態様によっては、前記可塑剤は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)、クエン酸ブチルトリエチル(TBC) 、セバシン酸ジブチル(DBS)、トリアセチン、クエン酸トリエチル(TEC)、ポロキサマー、またはコハク酸D-α-トコフェリルポリエチレングリコールを含む。
【0023】
本明細書では、担持重合体および薬剤を含む1つ以上の第1の構造部材を含む胃内滞留システムであって、前記1つ以上の第1の構造部材は、リンカー重合体および約0.5重量%~約20重量%の可塑剤を含む高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられており、該胃内滞留システムは、少なくとも24時間の期間、胃内に保持される、胃内滞留システムについても記載する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは約0.5%~約12%の可塑剤を含む。実施態様によっては、前記リンカー重合体は腸溶性重合体を含む。
【0024】
上記の胃内滞留システムの実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で1日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で1日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で1日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で1日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の10%超だけの曲げ弾性率を失う。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の20%超だけの曲げ弾性率を失う。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の40%超だけの曲げ弾性率を失う。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の60%超だけの曲げ弾性率を失う。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の80%超だけの曲げ弾性率を失う。
【0025】
上記の胃内滞留システムの実施態様によっては、前記腸溶性重合体は、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)を含む。
【0026】
上記の胃内滞留システムの実施態様によっては、前記高分子リンカーは約20重量%~約80重量%の腸溶性重合体を含む。
【0027】
上記の胃内滞留システムの実施態様によっては、前記リンカー重合体は前記担持重合体を含む。実施態様によっては、前記担持重合体はポリカプロラクトン(PCL)または熱可塑性ポリウレタン(TPU)である。実施態様によっては、前記リンカー重合体は、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、または熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含む。
【0028】
上記の胃内滞留システムの実施態様によっては、前記リンカー重合体は時間依存性分解性重合体を含む。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で30日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で30日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で30日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で30日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で30日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の90%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で21日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で21日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で21日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で21日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で21日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の90%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で14日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で14日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で14日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で14日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で14日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の90%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で7日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で7日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で7日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で7日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で7日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の90%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の90%以上を失うか、あるいは破断する。
【0029】
上記の胃内滞留システムの実施態様によっては、前記時間依存性分解性重合体はポリ(乳酸-co-グリコリド)(PLGA)を含む。実施態様によっては、前記PLGAは、ポリ(D,L-乳酸-co-グリコリド)(PDLG)を含む。実施態様によっては、前記PLGAは酸末端PLGAを含む。実施態様によっては、前記PLGAはエステル末端PLGAを含む。実施態様によっては、前記PLGAは、酸末端PLGAおよびエステル末端PLGAを約1:9~約9:1の比で含む。実施態様によっては、前記高分子リンカーは約70重量%以下のPLGAを含む。実施態様によっては、前記高分子リンカーは、約30%~約70%のPLGAを含む。
【0030】
上記の胃内滞留システムの実施態様によっては、前記可塑剤は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)、クエン酸ブチルトリエチル(TBC)、セバシン酸ジブチル(DBS)、トリアセチン、クエン酸トリエチル(TEC)、ポロキサマー、またはコハク酸D-α-トコフェリルポリエチレングリコールを含む。
【0031】
本明細書ではさらに、担持重合体および薬剤を含む1つ以上の第1の構造部材を含む胃内滞留システムであって、前記1つ以上の第1の構造部材は高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられており、前記高分子リンカーは、(a) pH非依存性分解性重合体、および(b)腸溶性重合体を含み、該胃内滞留システムは、少なくとも24時間の期間、胃内に保持される、胃内滞留システムについて記載する。
【0032】
上記の胃内滞留システムの実施態様によっては、前記高分子リンカーは、担持重合体をさらに含む。実施態様によっては、前記担持重合体はTPUまたはPCLである。
【0033】
上記の胃内滞留システムの実施態様によっては、前記pH非依存性分解性重合体はPLGAを含む。実施態様によっては、前記PLGAはポリ(D,L-乳酸-co-グリコリド)(PDLG)である。実施態様によっては、前記PLGAは酸末端PLGAを含む。実施態様によっては、前記PLGAは、エステル末端PLGAを含む。実施態様によっては、前記PLGAは、酸末端PLGAおよびエステル末端PLGAを約1:9~約9:1の比で含む。実施態様によっては、前記高分子リンカーは約70重量%以下のPLGAを含む。実施態様によっては、前記高分子リンカーは約30重量%~約70重量%のPLGAを含む。
【0034】
上記の胃内滞留システムの実施態様によっては、前記腸溶性重合体は、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)を含む。
【0035】
上記の胃内滞留システムの実施態様によっては、前記高分子リンカーは約20重量%~約80重量%の腸溶性重合体を含む。
【0036】
上記の胃内滞留システムの実施態様によっては、前記高分子リンカーは約0.5重量%~約20重量%の可塑剤を含む。実施態様によっては、前記可塑剤は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)、クエン酸ブチルトリエチル(TBC)、セバシン酸ジブチル(DBS)、トリアセチン、クエン酸トリエチル(TEC)、ポロキサマー、またはコハク酸D-α-トコフェリルポリエチレングリコールを含む。
【0037】
上記のいずれかの胃内滞留システムの実施態様によっては、前記高分子リンカー中の材料が均質に配合されている。
【0038】
上記のいずれかの胃内滞留システムの実施態様によっては、前記高分子リンカーは実質的に前記薬剤を含まない。
【0039】
上記のいずれかの胃内滞留システムの実施態様によっては、前記高分子リンカーは、色吸収色素をさらに含む。実施態様によっては、前記色吸収色素は酸化鉄を含む。
【0040】
上記のいずれかの胃内滞留システムの実施態様によっては、該システムは複数の第1の構造部材を含み、各第1の構造部材は、別個の高分子リンカーを介して前記第2の構造部材に取り付けられ、前記第2の構造部材は、弾性中心部材であり、該胃内滞留システムは、投与中は折り畳まれて物理的に拘束されるように構成され、拘束の除去時に開いた保持形状を取るように構成され、かつ前記折り畳まれた形状と前記開いた保持形状との間の変化は、滞留構造が前記折り畳まれた形状にあるときに弾性変形を受け、前記胃内滞留構造が前記開いた保持形状を取るときに反動する前記弾性中心部材により媒介される。実施態様によっては、該胃内滞留システムは、胃で分解するように構成されたカプセル内に拘束される。
【0041】
上記のいずれかの胃内滞留システムの実施態様によっては、前記薬剤は薬物である。
【0042】
上記のいずれかの胃内滞留システムの実施態様によっては、前記第2の構造部材は弾性体である。
【0043】
上記のいずれかの胃内滞留システムの実施態様によっては、前記第2の構造部材は中心弾性体であり、前記1つ以上の第1の構造部材は前記中心弾性体から放射状に突出するアームである。
【0044】
上記のいずれかの胃内滞留システムの実施態様によっては、該胃内滞留システムは少なくとも48時間の期間、胃内に保持される。実施態様によっては、該胃内滞留システムは少なくとも3日の期間、胃内に保持される。実施態様によっては、該胃内滞留システムは少なくとも7日の期間、胃内に保持される。実施態様によっては、該胃内滞留システムは少なくとも14日の期間、胃内に保持される。実施態様によっては、該胃内滞留システムは少なくとも30日の期間、胃内に保持される。
【0045】
本明細書ではさらに、上記の胃内滞留システムのうちのいずれかの胃内滞留システムを個体の胃内に配備することを含む、前記個体に薬剤を送達する方法について記載する。実施態様によっては、前記個体はヒトである。
【0046】
上記および本明細書に記載された実施態様のいずれかの構成は、適切かつ実用的な場合には、上記および本明細書に記載された他の実施態様のいずれかと組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1A図1Aは、本明細書に記載される胃内滞留システムの例示的な星形構成を示す。
【0048】
図1B図1Bは、本明細書に記載される胃内滞留システムの別の例示的な星形構成を示す。
【0049】
図1C図1Cは、本明細書に記載される胃内滞留システムの例示的な環状構成を示す。
【0050】
図1D図1Dは、本明細書に記載される胃内滞留システムの別の例示的な環状構成を示す。
【0051】
図2A図2Aは、高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられた構造部材の例示的な構成を含む胃内滞留システムの一部を示す。
【0052】
図2B図2Bは、高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられた構造部材の別の例示的構成を含む胃内滞留システムの一部を示す。
【0053】
図2C図2Cは、高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられた構造部材の別の例示的構成を含む胃内滞留システムの一部を示す。
【0054】
図2D図2Dは、2つの高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられた構造部材の例示的な構成を含む胃内滞留システムの一部を示す。
【0055】
図2E図2Eは、2つの高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられた構造部材の別の例示的構成を含む胃内滞留システムの一部を示す。
【0056】
図2F図2Fは、2つの高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられた構造部材の別の例示的構成を含む胃内滞留システムの一部を示す。
【0057】
図2G図2Gは、2つの高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられた構造部材の別の例示的構成を含む胃内滞留システムの一部を示す。
【0058】
図2H図2Hは、2つの高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられた構造部材の別の例示的構成を含む胃内滞留システムの一部を示す。
【0059】
図2I図2Iは、2つの高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられた構造部材の別の例示的構成を含む胃内滞留システムの一部を示す。
【0060】
図2J図2Jは、2つの高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられた構造部材の別の例示的構成を含む胃内滞留システムの一部を示す。
【0061】
図2K図2Kは、2つの高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられた構造部材の別の例示的構成を含む胃内滞留システムの一部を示す。
【0062】
図3図3 は、胃内滞留システムを形成するために複数の部品を一つに接着する例示的な方法を示す。
【0063】
図4】図 4 は、3点曲げ試験を用いて材料の曲げ弾性率を試験する方法を示す。
【0064】
図5図5は、絶食状態の模擬胃液(FaSSGF)中で様々な時間依存性高分子リンカーを恒温放置した後の曲げ弾性率の結果を、様々な時点で示す。
【0065】
図6図6は、様々な時間依存性高分子リンカーをFaSSGF中で様々な時点で恒温放置した後の曲げ弾性率の結果を示す。
【0066】
図7図7は、異なる量のPLGAを含む時間依存性高分子リンカーをFaSSGF中で3日および18日恒温放置した後の曲げ弾性率の結果を示す。
【0067】
図8図8は、異なるpH 値を有する水溶液中でpH 非依存型時間依存性高分子リンカーを経時的に恒温放置した後の曲げ弾性率の結果を示す。
【0068】
図9図9は、FaSSGFまたは絶食状態の模擬腸液(FaSSIF)中で経時的に恒温放置した腸溶性高分子リンカーの曲げ弾性率を比較する。
【0069】
図10図10は、FaSSIF中で恒温放置した後の異なる量のHPMCASを含む腸溶性高分子リンカーの曲げ弾性率を経時的に比較する。
【0070】
図11図11は、FaSSGFまたはFaSSIF中で恒温放置した後の、異なる量のプロピレングリコールを含む腸溶性高分子リンカーの曲げ弾性率を比較する。
【0071】
図12図12は、FaSSGFまたはFaSSIF中で恒温放置した後の腸溶性重合体(HPMCAS)およびpH 非依存型分解性重合体(PLGA)を含む時間依存性兼腸溶性の二機能高分子リンカーの曲げ弾性率を時間と共に比較する。
【0072】
図13A図13Aは、担持重合体(基材重合体)、時間依存性高分子リンカー、および可塑剤を有するまたは可塑剤内に腸溶性リンカーを含む様々な材料のメルトフローインデックスを示す。
【0073】
図13B図13Bは、120℃および2.16 kgの荷重で測定した、異なる量の可塑剤を有する腸溶性高分子リンカー材料のメルトフローインデックスを示す。
【0074】
図14A図14Aは、異なる量の可塑剤を有する腸溶性高分子リンカーを時間依存性リンカーに接合した後の結合の引張強さの変化を示す。
【0075】
図14B図14Bは、異なる量の可塑剤を有する腸溶性高分子リンカーを時間依存性リンカーに接合する結合の引張強さを示す。丸で示した値は、増加した可塑剤がPCLとHPMCASの両方を置き換えた材料を表し、四角で示した値は、一定量のPCLを有する材料を表す。
【0076】
図15A図15Aは、FaSSGFまたはFaSSIF中で恒温放置した後の様々な腸溶性高分子リンカー材料の曲げ弾性率を示す。
【0077】
図15B図15Bは、FaSSGFまたはFaSSIF中で恒温放置した後の60%のHPMCASおよび40%のTPUを含む腸溶性高分子リンカー材料の曲げ弾性率を、時間の関数として示す。
【0078】
図16図16は、異なる量で担持(すなわち、基部)重合体と混合された腸溶性重合体を有する胃内滞留システムの胃内滞留時間を示す。
【0079】
図17A図17Aは、星状体の胃内滞留システムを保持する周期的に恒温放置された非平面圧縮(CINC)試験装置を示す。
【0080】
図17B図17Bは、周期的加振非平面圧縮(CINC)試験装置の内部側面図であり、星状体アームが配置されるスロットを示す。
【0081】
図18図18は、リンカーの変形の程度を追跡するために測定される角度を示す、応力緩和試験手順を要約する概略図である。パネルAは応力緩和試験前、パネルBは圧縮および恒温放置(4時間)、パネルCは試験後のリンカー変形の測定角を示す。
【0082】
図19A図19Aおよび図19Bは、応力緩和「窓」試験結果を示す。表10に記載された3つの異なるリンカーについて、図19Aは、星状体アームにおける窓試験後のアーム角度の経時的な%差を表示し、図19Bは、回復後のアーム角度の%差も含む。このデータは、星状体、ひいてはリンカーの挙動における明確な区別を実証する。
図19B図19Aおよび図19Bは、応力緩和「窓」試験結果を示す。表10に記載された3つの異なるリンカーについて、図19Aは、星状体アームにおける窓試験後のアーム角度の経時的な%差を表示し、図19Bは、回復後のアーム角度の%差も含む。このデータは、星状体、ひいてはリンカーの挙動における明確な区別を実証する。
【0083】
図20図20は、時限リンカーを有する星状体の、時間依存性で、調整可能な応力緩和挙動を示す。時限リンカー1について概説された特性は、7.2 ± 3.2日の胃内滞留と関連し、時限リンカー2について概説された特性は、19.3 ± 3.9日の胃内滞留と関連する。
【0084】
図21図21は、FaSSGF対FaSSIFにおける、数日にわたる星状体変形後応力緩和試験の結果を示す。このデータは、代表的な腸溶性リンカー1を用いて収集された。
【0085】
図22A図22Aおよび図22Bは、関連媒体における代表的な時限リンカーおよび腸溶性リンカーの減衰を示す図である。図22Aは、絶食状態の模擬胃液中の時限リンカー1、2、および3の3点曲げ弾性率を示す。図22Bは、絶食状態の模擬胃液または絶食状態の模擬腸液における腸溶性リンカー1、2、および3の3点曲げ弾性率を示す。
図22B図22Aおよび図22Bは、関連媒体における代表的な時限リンカーおよび腸溶性リンカーの減衰を示す図である。図22Aは、絶食状態の模擬胃液中の時限リンカー1、2、および3の3点曲げ弾性率を示す。図22Bは、絶食状態の模擬胃液または絶食状態の模擬腸液における腸溶性リンカー1、2、および3の3点曲げ弾性率を示す。[発明の詳細な説明]
【0086】
本明細書では、胃内滞留システム、胃内滞留システムを作製する方法、および胃内滞留システムを使用して個体に薬物を送達する方法について記載する。胃内滞留システムは、1種以上の高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられた1つ以上の薬物含有構造部材を含む。薬物含有部材を第2の部材と接続する高分子リンカーは、腸溶性リンカー(すなわち、胃内環境で分解するよう構成されている)、時間依存性リンカー(すなわち、胃内環境で時間が経つと分解するよう構成されている)、またはその両方(すなわち、腸溶性リンカーの性質と時間依存性リンカーの性質をもつ)であってもよい。胃内滞留システムのいくつかの実施態様は、1つ以上の薬物含有部材を第2の部材と接続する2種の高分子リンカー(腸溶性リンカーおよび時間依存性リンカーを含む)を含む。必要に応じて、スペーサー要素が第1および第2の高分子リンカーを直接接触しないように分離してもよい。
【0087】
胃内滞留システムは個体の胃内に配備され、薬物含有部材に含まれる薬物は胃内滞留期間、たとえば約24時間以上にわたって胃内滞留システムから胃内環境に拡散する。薬物が胃内滞留システムから尽きると、胃内滞留システムは安全に胃腸系から出なければならない。胃を出るのにかかる時間の量は、システムが出るのが早すぎる(意図した滞留期間中の薬物送達が不十分になる可能性がある)、あるいは遅すぎる(胃閉塞または薬物の過剰送達を引き起こす可能性がある)ことがないように信頼性がなければならない。さらに、胃内滞留システムは腸に移動する場合、腸閉塞を避けるために急速に分解しなければならない。したがって、本明細書に記載の胃内滞留システムの高分子リンカーを、意図した胃内滞留期間が終了すると個体の胃から腸へ通過することができるように(時間依存性リンカー)、あるいは腸内環境で急速に分解し通過することができるように(腸溶性リンカー)構成してもよい。
【0088】
胃内滞留システムの部品(たとえば薬物含有構造部材または他の構造部材、リンカーなど)は、たとえば熱結合工程(たとえば、レーザービーム溶着または赤外線(IR)溶着)により結合される。この工程は、意図される機能特性(たとえば、薬物溶出、腸での弱化もしくは破断、または時間依存的な弱化もしくは破断)が異なる異種材料を結合する。ただし、胃内滞留中に意図せず破断しない強力な結合で材料を結合しなければならない。本明細書でさらに説明するように、高分子リンカーに(1)ある量の可塑剤、(2)色吸収色素、および/または(3)結合された構造要素に含まれる担持重合体のうちの1種以上を含めることにより、構造要素と高分子リンカーとの間の結合強度を強化してもよい。
定義
【0089】
本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、他に示されない限り、または文脈から明らかに指示されない限り、複数参照の場合を含む。
【0090】
本明細書において、数値が用語「約」を用いて表現される場合、指定された値および指定された値に適度に近い値の両方が含まれるものとする。例えば、「約50℃」という表現は、50℃の開示そのものと、50℃に近い値の両方を含む。したがって、「約X」という表現は、値Xそのものに関する説明を含む。また、「約50℃~60℃」、「約50℃~60℃」のように範囲を示す場合は、各端点で指定された値も含まれ、各端点または両端点に近い値も含まれるものとする。つまり、「約50℃~60℃」は、「50℃~60℃」と「約50℃~約60℃」の両方を記載することと同等である。
【0091】
「薬剤」は、患者、個体、または対象において治療的、診断的、または栄養的な使用を意図した任意の物質である。薬剤には、薬物、栄養素、ビタミン、およびミネラルが含まれるが、これらに限定されない。
【0092】
「ほぼ一定の血漿レベル」は、胃内滞留システムが胃内に常駐する期間にわたって測定された平均血漿レベルの2倍以内(すなわち、平均血漿レベルの50%と200%との間)に留まる血漿レベルをいう。
【0093】
材料またはシステムを説明するために使用される場合、「生体適合性」は、材料またはシステムが、ヒトなどの生物と接触したときに、有害反応を誘発しない、または最小限の許容できる有害反応しか引き起こさないことを示す。胃内滞留システムの文脈では、生体適合性は胃腸管の環境で評価される。
【0094】
「担持重合体」は、胃内滞留システムで使用するために薬物などの薬剤とブレンドするのに適した重合体である。
【0095】
本明細書で使用される粒子の「直径」は、粒子の最も長い寸法を意味する。
【0096】
「分散剤」は、薬剤の粒子径の最小化およびキャリア重合体マトリックス中の薬剤粒子の分散を助ける物質と定義される。すなわち、分散剤は、システムの作製中に粒子の凝集または軟凝集を最小化または防止するのに役立つ。このように、分散剤は、抗凝集剤活性および抗軟凝集剤活性を有し、キャリア重合体マトリックス中の薬剤粒子の均一な分布を維持するのに役立つ。
【0097】
「弾性重合体」または「弾性体」は、一定期間、加えられた力で元の形状から変形することができ、その後、加えられた力が除かれると、実質的に元の形状に戻る重合体である。
【0098】
「賦形剤」は、薬剤の処方に添加される、薬剤そのものではない任意の物質である。賦形剤には、結合剤、被覆剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、香料、流動促進剤、滑沢剤、および防腐剤が含まれるが、これらに限定されるものではない。分散剤という特定の範疇は、賦形剤のより一般的な範疇に含まれる。
【0099】
材料の「曲げ弾性率」は、3点曲げ試験により測定される材料の曲げ変形における応力の歪みに対する比として計算される材料に固有の特性である。本明細書では、リンカーを胃内滞留システムの部品として説明するが、高分子材料の材料の曲げ弾性率を、単独で測定してもよい。例えば、胃内滞留システムの高分子リンカーは曲げ弾性率を測定するには短すぎるかもしれないが、曲げ弾性率を正確に決定するために同じ材料のより長い試料を使用してもよい。曲げ弾性率の測定に用いる長い試料は、胃内滞留システムに用いられる高分子リンカーと同じ断面寸法(形状およびサイズ)であることが望ましい。曲げ弾性率は、ASTM規格の3点曲げ試験(ASTM D790)に準拠して、支持体間の距離を10 mmとし、さらに断面が長方形でない材料に対応するように修正した3点曲げ試験を用いて測定する。高分子リンカーの断面の最長対称線を垂直に置き、下向きに力を加えて曲げ弾性率を測定することが望ましい。高分子リンカーの断面の最長の対称線が一本の平坦な辺に垂直な場合、一本の平坦な辺を上方に位置させることが好ましい。高分子リンカーの断面が三角形の場合、三角形の頂点が下向きになるようにする。下向きに力を加えながら、力と変位を測定し、直線領域での傾きを求め、曲げ弾性率を算出する。
【0100】
「個体」、「患者」、または「被験者」は、哺乳類、好ましくはヒト、またはイヌやネコなどの家畜を指す。最も好ましい実施態様によっては、患者、個体、または対象は、ヒトである。
【0101】
本明細書に開示されるシステムの「予防的使用」は、上に定義されるように、疾患または障害を抑制するのに本明細書に開示されるシステムのうちの1つ以上を使用することと定義される。薬剤の「予防的に有効な量」は、患者に投与された場合に、疾患もしくは障害の臨床的な発現を抑制するのに、または疾患もしくは障害の有害な症状の発現を抑制するのに十分な薬剤の量である。予防的に有効な量を、1回で投与することも、分割して複数回投与することもできる。
【0102】
「同じ重合体種」の2種の重合体は、平均重量、平均分子量、固有粘度、単量体比(共重合体の場合)または他の物性は異なってもよいが、単数または複数(共重合体の場合)の同じ単量体単位で構成される2種の重合体を指す。
【0103】
本明細書に開示されるシステムおよび方法による疾患または障害の「抑制」は、疾患または障害の臨床的な発現を抑制するため、または疾患または障害の有害な症状の発現を抑制するために、追加の薬剤とともに、または追加の薬剤なしで、それを必要とする患者に対して本明細書に開示されるシステムのうちの1つ以上を投与することであると定義する。治療と抑制の違いは、治療は疾患または障害の有害な症状が患者に現れた後に行われ、抑制は疾患または障害の有害な症状が患者に現れる前に行われることである。抑制は、部分的、実質的に全体的、または全体的に行われる。一部の疾患または障害は遺伝するため、遺伝子スクリーニングは、疾患または障害のリスクを有する患者を同定するために使用できる。次に、本明細書に開示されたシステムおよび方法は、あらゆる有害な症状の出現を抑制するために、疾患または障害の臨床症状を発症するリスクのある無症状の患者を治療するのに使用できる。
【0104】
本明細書に開示されるシステムの「治療的使用」は、上に定義されるように、疾患または障害を治療するのに本明細書に開示されるシステムのうちの1つ以上を使用することと定義される。薬剤などの治療剤の「治療有効量」は、患者に投与された場合、疾患もしくは障害または疾患もしくは障害のうちの1つ以上の症状のいずれかを低減もしくは除去するか、疾患もしくは障害または疾患もしくは障害の1つ以上の症状の進行を遅らせるか、または疾患もしくは障害または疾患もしくは障害の1つ以上の症状の重症度を低減するのに十分な薬剤の量である。治療上有効な量は、単回投与として患者に投与でき、または分割して複数回投与できる。
【0105】
本明細書に開示されたシステムおよび方法による疾患または障害の「治療」とは、疾患もしくは障害、または疾患もしくは障害の1つ以上の症状のいずれかを軽減もしくは除去するため、または疾患もしくは障害もしくは疾患もしくは障害の1つ以上の症状の進行を遅らせるため、または疾患もしくは障害もしくは疾患もしくは障害の1つ以上の症状の重症度を軽減するために、追加の薬剤と共にまたは追加せずに、それを必要とする患者に、本明細書に開示されるシステムのうちの1つ以上を投与することと定義される。
【0106】
時間依存性重合体または時間依存性リンカーなどの「時間依存性」材料は、胃内滞留システムが胃内に配備された場合に時間が経つと分解する材料である。
【0107】
第1の材料の絶対的な数値的特性が、「Y」の値を有する第2の材料の対応する絶対的な数値的特性に対して「X%以内」と記載される場合、第1の材料の絶対的な数値的特性は(Y-(YのX%))~(Y+ (YのX%))の範囲に含まれ得るという意味だと理解される。たとえば、ある材料が、第1の条件で恒温放置した後に、第2の条件で恒温放置した後のその材料の曲げ弾性率に対して30%以内の曲げ弾性率を有すると記載され、第2の条件で恒温放置した後の材料が1000 MPaの曲げ弾性率を有する場合、第1の条件で恒温放置した後の材料は700 MPa~1300 MPaの曲げ弾性率を有し得る。第1の材料の絶対的な数値的特性が、「Y」の値を有する第2の材料の対応する絶対的な数値的特性に対して「X%超」と記載される場合、第1の材料の絶対的な数値的特性は(Y+ (YのX%))を超えるという意味だと理解される。たとえば、ある材料が、第1の条件で恒温放置した後に、第2の条件で恒温放置した後のその材料の曲げ弾性率の30%超の曲げ弾性率を有すると記載され、第2の条件で恒温放置した後の材料が1000 MPaの曲げ弾性率を有する場合、第1の条件で恒温放置した後の材料は1300 MPaの曲げ弾性率を有する。同様に、第1の材料の絶対的な数値的特性が、「Y」の値を有する第2の材料の対応する絶対的な数値的特性に対して「X%未満」と記載される場合、第1の材料の絶対的な数値的特性は(Y- (YのX%))を超えるという意味だと理解される。たとえば、ある材料が、第1の条件で恒温放置した後に、第2の条件で恒温放置した後のその材料の曲げ弾性率の30%未満の曲げ弾性率を有すると記載され、第2の条件で恒温放置した後の材料が1000 MPaの曲げ弾性率を有する場合、第1の条件で恒温放置した後の材料は700 MPa未満の曲げ弾性率を有する。
【0108】
第1の材料の相対的な数値的特性が、「Y%」の値を有する第2の材料の対応する相対的な数値的特性に対して「X%以内」と記載される場合、第1の材料の相対的な数値的特性は(Y-X) %~(Y+ X) %の範囲に含まれ得る(ただし、下限は0%未満にはなり得ず、上限は100%を超えることはあり得ない)という意味だと理解される。たとえば、ある材料が、第1の条件で恒温放置した後に、第2の条件で恒温放置した後に減少するその材料の曲げ弾性率に対して10%以内の曲げ弾性率を失うと記載され、第2の条件で恒温放置した後にその材料が曲げ弾性率の50%を失う場合、第1の条件で恒温放置した後の材料は、その曲げ弾性率の40%~60%を失う。第1の材料の相対的な数値的特性が、「Y%」の値を有する第2の材料の対応する相対的な数値的特性に対して「X%超」と記載される場合、第1の材料の相対的な数値的特性は(Y+ X) %を超える(ただし、上限の相対的な数値的特性は100%を超えることはあり得ない)という意味だと理解される。たとえば、ある材料が、第1の条件で恒温放置した後に、第2の条件で恒温放置した後に減少するその材料の曲げ弾性率に対して10%超の曲げ弾性率を失うと記載され、第2の条件で恒温放置した後にその材料が曲げ弾性率の50%を失う場合、第1の条件で恒温放置した後の材料は、その曲げ弾性率の60%超を失う。同様に、第1の材料の相対的な数値的特性が、「Y%」の値を有する第2の材料の対応する相対的な数値的特性の「X%未満」と記載される場合、第1の材料の相対的な数値的特性は(Y-X) %未満である(ただし、下限の相対的な数値的特性は0%未満にはなり得ない)という意味だと理解される。たとえば、ある材料が、第1の条件で恒温放置した後に、第2の条件で恒温放置した後に減少するその材料の曲げ弾性率の10%未満の曲げ弾性率を失うと記載され、第2の条件で恒温放置した後にその材料が曲げ弾性率の50%を失う場合、第1の条件で恒温放置した後の材料は、その曲げ弾性率の40%未満を失う。
【0109】
半径方向力圧縮試験。絞り機構を用いた半径方向力圧縮試験は、無傷の胃内滞留システムを、幽門を通過するのに十分小さい構成に圧縮するのに必要な力を定量するために使用される。半径方向力圧縮を測定するために使用される器具(すなわち、絞り試験器)は、BlockwiseのModel RLU124 Twin-Cam(登録商標)放射方向圧縮装置を備えたModel TTR2 引っ張り試験機、60 mm(直径)×124 mm(長さ)である。測定される胃内滞留システムは、胃内滞留システムの平面が絞り円筒軸と平行になるように絞り試験器に配置する。6本のアームを含む星形の胃内滞留システムを試験する場合、4本のアーム先端を絞り試験器の内壁に接触させ、2本のアームが上向きに、2本のアームが下向きに角度をつけるように配置する。さらに2本のアームは、絞り円筒軸と平行になるようにする。絞り機構の直径が減少すると、半径方向の力が胃内滞留システムに加えられる。所定の力の測定値は、胃内滞留システムを対応する絞り機構の直径まで圧縮するのに必要な力である。
【0110】
引き抜き力試験。胃内滞留システム用のフィラメントの接着強度は、引き抜き力試験で試験することができる。前述したように、フィラメントは、アームの遠位端に取り付けられてもよい。単一のフィラメントが2つ以上のアームを接続する場合、フィラメントは、胃内滞留システムが胃の力によって曲げられるときに、フィラメントに沿ったアームの並進を防止するために、各アームの遠位端に接続されてもよい。したがって、本明細書に記載の引き抜き力試験は、フィラメントをアームの遠位端から分離するのに必要な力を定量することができる。6本のアームとフィラメント付の胃内滞留システムを調製し、弾性体コアを6つの部分に切断してアームを分離した。フィラメントは、各アームの間で切断した。各アーム先端からフィラメントを引き抜くのに必要な引張力を、インストロン3340シリーズ万能試験機を用いて、アームの基部とフィラメントの一端を把持することにより測定した。
【0111】
二重漏斗耐久性試験。二重漏斗試験は、胃内滞留システムの耐久性および/または故障モードを定量するために使用される。胃内滞留システムの耐久性は、胃内滞留システムの繰り返される胃波/力(および幽門の早期通過)による早期の破断または弱化を防止するのに役立つ。二重漏斗試験を用いて胃内滞留システムを試験するには、試験するシステムをその中心(すなわちコア)でリニアアクチュエータに取り付けられたリングにより把持する。胃内滞留システムを上下に動かして円錐形の空洞に入れ、胃内滞留システムのアームをコアに対して前後に曲げることを繰り返す。円錐形の空洞は、円錐の頂点が互いに対向し、各円錐の基部が互いに近接するように、互いに向かい合っている。この上方および下方への運動は、数百サイクル、または胃内滞留システムが破断するまで繰り返される。異なる特定の破断モードは、接続点(例えば、アーム-コア間または第1セグメント-第2セグメント間)での破断またはシリコーンコアの引き裂きを含む。破断までのサイクル数および胃内滞留システムを曲げるのに必要な力は定量されてもよい。試験は、胃内滞留システムを水性媒体(例えば、模擬胃液)中に浸漬し、体温で行ってもよい。
【0112】
平面円周曲げ耐久性試験(Planar Circumferential Bend Durability Test)。平面周方向試験は、胃内滞留システムの耐久性および/または故障モードを定量するのに使用される。特に、平面周方向曲げ耐久性試験は、胃内滞留システムのアームと接触する4つのグリップをそれぞれ有するパック上に胃内滞留システムを位置付けることで、胃内滞留システムを試験することができる。グリップは回転アクチュエータに接続されており、アームに円周方向に力を加える。この運動により、アームは胃内滞留システムの平面内で広がる。この動作は、数百サイクル、または胃内滞留システムが壊れるまで繰り返される。異なる特定の破断モードは、接続点(例えば、アーム-コア間または第1セグメント-第2セグメント間)での破断またはシリコーンコアの引き裂きを含む。破断までのサイクル数および胃内滞留システムを曲げるのに必要な力は、定量されてもよい。試験は、胃内滞留システムを水性媒体(例えば、模擬胃液)中に浸漬し、体温で行ってもよい。
【0113】
メルトフローインデックス(MFI)。メルトフローインデックス(MFI)は、低せん断における粘度の測定値であり、設定温度および加えた重量で10分間にダイを流れる材料のグラム数で測定される。これらの測定は、Ray-Ran 6MPCA Advanced Melt Flow Systemを用い、2.16 kgの重量(ただし、標準化された重量の範囲とすることができる)で、ASTM D1238 "Standard Test Method for Melt Flow Rates of Thermoplastics by Extrusion Plastometer" の手順Aに従って実施される。
【0114】
引張試験。特注グリップ(図C)を有するインストロン機を用いて、 (1) 各種恒温放置液中、(2) 数回の恒温放置、(3) 室温または体温(37-40℃)での、恒温放置星状体部品の任意の組み合わせの間の結合の極限引張強度(UTS)を評価することができる。低い極限引張強度は、星形の潜在的な破断点を示す。処方および実験過程の最適化により、引張強度を最大にし、理想的な星状体性能を実現することができる。 三角形の断面を持つ星状体アームを試験するために、1枚の平板と1枚の切り欠きを持つ特注グリップを使用することができる。三角形のアームの頂点が切り欠きに収まるようにし、板からの圧力を三角形のアームの長さ方向の3つの面により均等に分散させることができるようにした。引張試験は、インストロン3342シリーズを用いて実施した。3.33 mmの三角形の底面を有するホットメルト押出成形され、熱的に接合された一連の正三角柱を、空気圧作動により把持する。クロスヘッドを、試験材料の弾力性に応じて、5~500 mm/分で上方に移動する。測定器は力(N)対変位( mm)を記録し、最大力を界面の断面積で割って極限引張強度(応力)を計算する。
【0115】
薬物放出速度試験。薬物の放出速度を、絶食状態模擬胃液(FaSSGF)中で試験する。FaSSGFは、製造者の説明書(biorelevant.com)に従って、以下のように調製した。975 mLの脱イオン水と25 mLの1N塩酸を1Lのガラス製媒体瓶で混合した。必要に応じて1N HClまたはNaOHを用いてpHを1.6に調整した。2.0gのNaClを添加し、混合した。使用直前に、60 mgのBiorelevant粉末を溶液に混合した。FaSSGFの組成は、タウロコール酸(0.08 mM)、リン脂質(0.02 mM)、ナトリウム(34 mM)、塩化物(59 mM)であった。担持重合体--薬剤組成物は、重合体粉末と活性医薬品成分をブレンドし、押し出すことで薬剤を担持した重合体アームに形成された。アームは、フィルム重合体を適切な溶媒、典型的には酢酸エチルまたはアセトンに溶解し、フィルム重合体の溶液でアームをパンコートまたはディップコートして放出速度調節重合体フィルムで被覆した。次に、被覆されたアームを、FaSSGFを含む容器に入れ、37℃で恒温放置され、典型的には、7日間にわたって少なくとも4回採取する。薬物含有量をHPLCで測定した。試料を、分析前に4℃3日以内で保存した。各測定時点において、シンク状態を維持するために、放出媒体の全量を37℃に予め平衡化された新鮮な溶液と交換した。
【0116】
本明細書で開示する数値範囲に関して、ある成分について開示された任意の上限値を、その成分について開示された任意の下限値と組み合わせて、範囲を提供できる(ただし、上限値は、それが組み合わせられる下限値よりも大きいことが条件である)。開示された上限値および下限値のこれらの組み合わせのそれぞれは、本明細書で明示的に想定されている。例えば、ある成分の配合量の範囲を10%~30%、10%~12%、15%~20%とした場合、10%~20%、15%~30%も想定されるが、15%の下限値と12%の上限値の組み合わせは不可能であるため、想定されない。
【0117】
特に指定しない限り、組成物中の成分のパーセントは、重量パーセント、または重量/重量パーセントとして表される。当然だが、組成物中の相対的な重量パーセントについて述べる場合は、組成物中の全ての成分の合計重量パーセントを100と仮定する。さらに、任意の特定の成分の重量パーセントがその成分について指定された範囲の限界の外にならない限り、組成物中の成分の重量パーセントが合計100に結合するように、1種以上の成分の相対重量パーセントを上方または下方に調整できるものとする。
【0118】
本明細書に記載される実施態様の中には、それらの様々な要素に関して「含む」または「含み」が使用される。代替的な実施態様によっては、それらの要素は、それらの要素に使用される経過句「から本質的になる」または「から本質的になり」と共に記載できる。さらなる代替的な実施態様によっては、それらの要素は、それらの要素に使用される経過句「を含む」または「からなり」と共に記載できる。したがって、例えば、組成物または方法がAおよびBを含むとして本明細書に開示されている場合、「AおよびBから本質的になる」というその組成物または方法に対する代替実施態様、および「AおよびBを含む」というその組成物または方法に対する代替実施態様も、本明細書に開示されていると見なされる。同様に、それらの様々な要素に関して「本質的にを含む」または「を含む」として記載される実施態様は、それらの要素に使用される「を含む」も含む。最後に、それらの様々な要素に関して「本質的にを含む」として援用される実施態様は、それらの要素に使用される「を含む」を含むも含み、それらの様々な要素に関して「を含む」として記述される実施態様は、それらの要素に使用される「から本質的になる」としても記述されることができる。
【0119】
組成物またはシステムが、列挙された要素から「本質的になる」と記載されている場合、組成物またはシステムは、明示的に列挙された要素を含み、治療される状態に実質的に影響を与えない他の要素(状態の治療用の組成物について)、または記載されたシステムの性質(システムを構成する組成物について)を含むことができる。しかし、組成物またはシステムは、明示的に列挙された要素以外に、処置される状態に実質的に影響する他の要素を含まないか(システムを処置するための組成物の場合)、またはシステムの特性に実質的に影響する他の要素を含まない(システムを構成する組成物の場合)、または、組成物またはシステムが、処置される状態またはシステムの特性に実質的に影響し得る、列挙した要素以外の追加の要素を含む場合、組成物またはシステムが、処置される状態またはシステムの特性に実質的に影響するだけの追加の要素、濃度または量を含んでいないかのいずれかである。ある方法が、列挙された工程から「本質的になる」と記載されている場合、その方法は列挙された工程を含み、その方法で処理される状態またはその方法で生成されるシステムの特性に重大な影響を与えない他の工程を含むことができるが、その方法は、明示的に列挙した工程以外に処理される状態または生成するシステムに重大な影響を与える他の工程を含まない。
【0120】
本開示は、いくつかの実施態様を提供する。任意の実施態様からの任意の構成は、可能な場合、他の任意の実施態様からの任意の構成と組み合わせることができることが企図される。この態様では、開示された構成のハイブリッド構成は、本開示の範囲内である。
【0121】
ここに開示された実施態様および方法に加えて、胃内滞留システムの追加の実施態様、ならびにそのようなシステムを製造および使用する方法は、国際特許出願WO2015/191920、WO2015/191925、WO2017/070612、WO2017/100367、およびWO2017/20584に開示され、それぞれ参照によりその全体が本書に組み込まれるものとする。
胃内滞留システムの全体的な構成
【0122】
本明細書に記載の胃内滞留システムは、1種以上の高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられた1つ以上の薬物含有構造部材を含む。薬物含有部材を第2の構造部材に結合するのに用いられる高分子リンカーは、腸溶性高分子リンカーであっても時間依存性高分子リンカーであってもよく、腸溶性でも時間依存性でもある高分子リンカーであってもよい。胃内滞留システムは胃内滞留期間(たとえば、少なくとも24時間)にわたって個体の胃内に留まるように構成され、その間に時間依存性高分子リンカーは分解する(すなわち、時間依存性高分子リンカーの曲げ弾性率が低下する)か、あるいは破断する。時間依存性高分子リンカーが弱化あるいは破断することにより、胃内滞留システムは個体の腸へと通過することができる。それに加えて、あるいはその代わりに、胃内滞留システムは、胃を通過した後に(早く通過してしまった場合でも、意図した胃内滞留期間の後であっても)個体の腸で分解する(すなわち、腸溶性高分子リンカーの曲げ弾性率が低下する)あるいは破断する腸溶性高分子リンカーを含んでもよい。
【0123】
胃内滞留システムを様々な構成で調製することができる。胃内滞留システムの「星状体」構成は「星形」(または「星」)の構成としても知られる。星状体システム100の例を図1Aに模式的に示す。複数のアーム(これは、「細長い部材」とも呼ばれる)(そのようなアーム102の1つだけが、明確にするために付番されている)が、第2の構造部材、すなわち中心弾性体104に取り付けられている。アーム102は、リンカー領域として機能する高分子リンカー106(ここでも、明確にするために1つの高分子リンカーのみが付番されている)を介して中心弾性体104に接合されている。高分子リンカー106は、腸溶性リンカーまたは時間依存性リンカーであってもよく、または両方の特性を有していてもよい(すなわち、時間依存性および腸溶性の両方である)。この構成で、中心弾性体でシステムを折り畳むか、または圧縮することができる。折り畳まれると、システムの全長が約2分の1になり、経口投与に適したカプセルなどの容器に都合よく入れることができる。カプセルが胃に到達すると、カプセルは溶解し、胃内滞留システムが放出される。その後、胃内滞留システムは圧縮されていない状態に展開し、所望の滞留期間、胃内に滞留する。
【0124】
図1Bは、アーム116を中心部材118に接合する2つの高分子リンカー112および114を有する星状体システム110の別の実施態様を示する。2つの高分子リンカーは、一つに直接接合されてもよいし、図示のように、それぞれが第1の高分子リンカー112と第2の高分子リンカー114とを分離する結合部材120に直接接合されてもよい。中心部材118に近接する第1の高分子リンカー112が腸溶性リンカーで、中心部材118から遠位にある第2の高分子リンカー114が時間依存性リンカーであってもよい。あるいは、中心部材118に近接した第1の高分子リンカー112が時間依存性リンカー、中心部材118から遠位の第2の高分子リンカー114が腸溶性リンカーであってもよい。複数のアームが中心構造部材118に取り付けられ、そこから放射状に突出している。
【0125】
星状体システムは、患者の胃に投与するための胃内滞留システムとして記述でき、弾性体部品ならびにこの弾性体部品に取り付けられ、担持重合体および薬剤またはその塩を含む3つの担持重合体-薬剤部品(すなわち「アーム」または「細長い部材」を含む。各担持重合体-薬剤部品は近位端および遠位端を含むアームであり、各アームの近位端は1つ以上の高分子リンカーを介して弾性体部品に取り付けられて弾性体部品から放射状に突出し、各アームはその遠位端を弾性体部品に取り付けられずに、近位端よりも弾性体成分からの半径距離で大きい位置に配置される。高分子リンカーは、腸溶性リンカーまたは時間依存性リンカーでもよい。アームは、高分子リンカーを介してまたは追加の境界高分子セグメントを介して、中心弾性体に取り付けることができる。星形構成において、胃内滞留システムは、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ7つ、8つ、9つ、または10つ、またはそれ以上のアームを有することができる。アームは、中心弾性体の周りに等間隔に配置されてもよく、N個のアームがある場合、隣接するアームの間に約360/N度の角度が存在することになる。
【0126】
図1Cは、環状構成における胃内滞留システム130の別の可能な全体構成を示す。第1のアーム132は、高分子リンカー134を介して第2の細長いセグメント136に接合されている。第2のアームは、例えば、弾性部材であってもよく、これにより、環状のシステムをコンパクトな状態に構成できる。
【0127】
図1Dは、環状構成における別の胃内滞留システム140を示す。システム140は、第1の高分子リンカー144および第2の高分子リンカー148を介して、別のアーム150(例えばリング構造の周囲)に取り付けられたアーム142を含む。第1の高分子リンカー144と第2の高分子リンカー148は、互いに直接接合されてもよいし、結合部材146を介して接合されてもよい。アーム150は、アーム142と同じでも異なっていてもよい。例えば、アーム142は担持重合体と薬剤を含んでもよく、アーム150はリングを圧縮した状態に構成できるようにする弾性部材である。別の例では、結合部材146は、リングを圧縮された状態に構成させる弾性部材であってよい。
【0128】
図2A~2Kは、第1の構造部材(例えば薬剤および担持重合体を含んでもよいアーム)を第2の構造部材(例えば、星形構成における中心部材などの弾性部材)に取り付けるための例示的な構成を示す図である。さらに説明するように、例示的な構成は、1つまたは2つの高分子リンカーを含んでもよく、ゼロ、1つ、2つ、または3つの結合部材を含んでもよい。さらに、アームは、1つ以上のセグメントを含んでもよく、このセグメントは、活性セグメントまたは非活性セグメントを含んでもよい。
【0129】
図2Aは、第2の構造部材203(例えば中心部材または中心弾性部材)に直接取り付けられている高分子リンカー202(腸溶性リンカー、時間依存性リンカー、または時間依存性兼腸溶性の二機能高分子リンカーであってもよい)であるアーム201を含む胃内滞留システムの一部分を示す。アーム201は、担持重合体および薬剤を含むことができる。実施態様によっては、高分子リンカー202は、アーム201と同じ担持重合体または同じ種類の担持重合体を含む。
【0130】
図2Bは、薬剤および担持重合体を含む活性セグメント205および担持重合体を含むが薬剤を実質的に含まない不活性セグメント206を含むアーム204を含む胃内滞留システムの一部である。アーム204は、高分子リンカー207(例えば腸溶性リンカー、時間依存性リンカー、または時間依存性兼腸溶性の二機能高分子リンカーであってもよい)を介して第2の構造部材208(中心部材、または中心弾性部材)に取り付けられる。活性セグメント205は、高分子リンカー207に対して遠位であり、不活性セグメント206は、高分子リンカー207に対して近位で、直接付けられており、高分子リンカー207は、第2の構造部材208に直接付けられている。実施態様によっては、高分子リンカー207は、不活性セグメント206と同じ担持重合体または同じ種類の担持重合体を含む。
【0131】
図2Cは、高分子リンカー210(腸溶性リンカー、時間依存性リンカー、または時間依存性兼腸溶性の二機能高分子リンカーであってもよい)に直接取り付けられているアーム209を含む胃内滞留システムの一部を示し、このアームは結合部材211に直接的に取り付けられ、この結合部材は第2の構造部材212(例えば中心部材または中心弾性部材)に直接取り付けられている。アーム209は、担持重合体および薬剤を含むことができる。実施態様によっては、高分子リンカー210は、アーム209と同じ担持重合体または同じ種類の担持重合体を含む。実施態様によっては、結合部材211および高分子リンカー210は、アーム209と同じ担持重合体または同じ種類の担持重合体を含む。
【0132】
図 2Dは、第1の高分子リンカー214(腸溶性リンカーまたは時間依存性リンカーであってもよい)に直接取り付けられたアーム213を含む胃内滞留システムの一部分を示し、このリンカーは第2の高分子リンカー215(第1の高分子リンカー214が時間依存性リンカーなら腸溶性リンカーであり、第1の高分子リンカー214が腸溶性リンカーなら時間依存性リンカー)に直接取り付けられ、このリンカーは第2の構造部材216(例えば中心部材または中心弾性部材)に直接取り付けられている。アーム213は、担持重合体および薬剤を含むことができる。実施態様によっては、第1の高分子リンカー214は、アーム213と同じ担持重合体または同じ種類の高分子リンカーを含む。実施態様によっては、第1の高分子リンカー214および第2の高分子リンカー215は、アーム213と同じ担持重合体または同じ種類の担持重合体を含む。
【0133】
図2Eは、アーム217を含む胃内滞留システムの一部を示し、このアームは、連結部材218に直接取り付けられ、この連結部材は第1の高分子リンカー219に直接取り付けられ、この高分子リンカーは第2の高分子リンカー220に直接取り付けられ、この高分子リンカーは第2の構造部材221に直接取り付けられている。アーム217は、担持重合体と薬剤を含む。第1の高分子リンカー219は、腸溶性リンカーまたは時間依存性リンカーであってもよく、第2の高分子リンカー220は、時間依存性リンカー(第1の高分子リンカー219が腸溶性リンカーである場合)または腸溶性リンカー(第1の高分子リンカー219が時間依存性リンカーである場合)であってよい。第2の構造部材221は、例えば、胃内滞留システムの中心部材(例えば中心弾性部材)であってもよい。結合部材218は、担持重合体(例えばアーム217と同一または同種の担持重合体でもよい)を含むことができ、第1の高分子リンカー219および/または第2の高分子リンカー220は、同一または同種の担持重合体を含むことができる。
【0134】
図2Fは、アーム222を含む胃内滞留システムの一部を示し、このアームは第1の高分子リンカー223に直接取り付けられ、このリンカーは結合部材224に直接的に取り付けられ、この部材は第2の高分子リンカー225に直接取り付けられ、このリンカーは第2の構造部材226に直接取り付けられている。アーム222は、担持重合体と薬剤を含む。第1の高分子リンカー223は腸溶性リンカーまたは時間依存性リンカーであってもよく、第2の高分子リンカー225は時間依存性リンカー(第1の高分子リンカー223が腸溶性リンカーである場合)または腸溶性リンカー(第1の高分子リンカー223が時間依存性リンカーである場合)であってよい。第2の構造部材226は、例えば、胃内滞留システムの中心部材(例えば中心弾性部材)であってもよい。実施態様によっては、第1の高分子リンカー223は、アーム222に存在する担持重合体と同じまたは同種の担持重合体を含む。第1の高分子リンカー223と第2の高分子リンカー225との間に配置された結合部材224は、担持重合体(これは、アーム222に存在する担持重合体と同一または同種でよい)を含むことができ、第1の高分子リンカー223および/または第2の高分子リンカー225は、結合部材224と同一または同種の担持重合体を含むことができる。
【0135】
図2Gは、アーム227を含む胃内滞留システムの一部分を示す。このアームは第1の高分子リンカー228に直接取り付けられ、この高分子リンカーは第2の高分子リンカー229に直接取り付けられ、この高分子リンカーは結合部材230に直接取り付けられ、この結合部剤は第2の構造部材231に直接取り付けられている。アーム227は、担持重合体と薬剤を含む。第1の高分子リンカー228は、腸溶性リンカーまたは時間依存性リンカーでもよく、第2の高分子リンカー229は、時間依存性リンカー(第1の高分子リンカー228が腸溶性リンカーの場合)または腸溶性リンカー(第1の高分子リンカー228が時間依存性リンカーの場合)であってよい。第2の構造部材231は、例えば、胃内滞留システムの中心部材(例えば中心弾性部材)であってもよい。実施態様によっては、第1の高分子リンカー228は、アーム227と同じまたは同じ種類の担持重合体を含む。結合部材230は、担持重合体(これは、アーム227における担持重合体と同じまたは同種でもよい)を含むことができ、第1の高分子リンカー228および/または第2の高分子リンカー229は、結合部材230と同じまたは同種の担持重合体を含むことができる。
【0136】
図2Hは、アーム232を含む胃内滞留システムの一部を示し、このアームは、第1結合部材233に直接取り付けられ、この第1結合部材は第1高分子リンカー234に直接取り付けられ、この高分子リンカーは第2結合部材235に直接取り付けられ、この結合部材は第2高分子リンカー236に直接取り付けられ、この高分子リンカーは第2構造部材237に直接取り付けられている。アーム232は、担持重合体と薬剤を含む。第1の高分子リンカー234は、腸溶性リンカーまたは時間依存性リンカーであってもよく、第2の高分子リンカー236は、時間依存性リンカー(第1の高分子リンカー234が腸溶性リンカーの場合)または腸溶性リンカー(第1の高分子リンカー234が時間依存性リンカーの場合)であってよい。第2の構造部材237は、例えば、胃内滞留システムの中心部材(例えば中心弾性部材)であってもよい。実施態様によっては、第1の高分子リンカー234および/または第2の高分子リンカー236は、アーム232と同じまたは同種の担持重合体を含む。実施態様によっては、第1の結合部材233および/または第2の結合部材235は、担持重合体(これは、アーム232における担持重合体と同じまたは同種でよい)を含み、第1の高分子リンカー234および/または第2の高分子リンカー236は、第1の結合部材233および/または第2の結合部材235と同じまたは同種の担持重合体を含んでもよい。
【0137】
図2Iは、アーム238を含む胃内滞留システムの一部分を示し、このアームは第1の結合部材239に直接取り付けられ、この結合部剤は第2の高分子リンカー240に直接取り付けられ、このリンカーは第2の高分子リンカー241に直接取り付けられ、この高分子リンカーは第2の結合部材242に直接取り付けられ、この結合部材は第2の構造部材243に直接取り付けられている。アーム238は、担持重合体と薬剤を含む。第1の高分子リンカー240は、腸溶性リンカーまたは時間依存性リンカーでもよく、第2の高分子リンカー241は、時間依存性リンカー(第1の高分子リンカー240が腸溶性リンカーの場合)または腸溶性リンカー(第1の高分子リンカー240が時間依存性リンカーの場合)でもよい。第2の構造部材243は、例えば、胃内滞留システムの中心部材(例えば中心弾性部材)でもよい。実施態様によっては、第1の高分子リンカー240および/または第2の高分子リンカー241は、アーム238と同じまたは同種の担持重合体を含む。実施態様によっては、第1の結合部材239および/または第2の結合部材242は、担持重合体(これは、アーム238における担持重合体と同一または同種でよい)を含むことができ、第1の高分子リンカー240および/または第2の高分子リンカー241は、第1の結合部材239および/または第2の結合部材242と同一または同種の担持重合体を含むことができる。
【0138】
図2Jは、アーム244を含む胃内滞留システムの一部分を示すが、このアームは第1の高分子リンカー245に直接取り付けられ、この高分子リンカーは第1の結合部材246に直接取り付けられ、この結合部剤は、第2の高分子リンカーー247に直接取り付けられ、この高分子リンカーは第2の結合部材248に直接取り付けられ、この結合部剤は第1の構造部材249に直接取り付けられている。アーム244は、担持重合体と薬剤を含む。第1の高分子リンカー245は腸溶性リンカーまたは時間依存性リンカーでもよく、第2の高分子リンカー247は、時間依存性リンカー(第1の高分子リンカー245が腸溶性リンカーの場合)または腸溶性リンカー(第1の高分子リンカー245が時間依存性リンカーの場合)でもよい。第2の構造部材249は、例えば、胃内滞留システムの中心部材(例えば中心弾性部材)でもよい。実施態様によっては、第1の高分子リンカー245および/または第2の高分子リンカー247は、アーム244と同じまたは同種の担持重合体を含む。実施態様によっては、第1の結合部材246および/または第2の結合部材248は、担持重合体(これは、アーム244における担持重合体と同じまたは同種でよい)を含むことができ、第1の高分子リンカー245および/または第2の高分子リンカー247は、第1の結合部材246および/または第2の結合部材248と同じまたは同種の担持重合体を含むことができる。
【0139】
図2Kは、アーム250を含む胃内滞留システムの一部を示し、このアームは、第1結合部材251に直接取り付けられ、この第1結合部材は第1高分子リンカー252に直接取り付けられ、この高分子リンカーは第2結合部材253に直接取り付けられ、この結合部剤は第2高分子リンカー254に直接取り付けられ、この高分子リンカーは第3結合部材255に直接取り付けられ、この結合部剤は第2構造部材256に直接取り付けられている。アーム250は、担持重合体と薬剤を含む。第1の高分子リンカー252は、腸溶性リンカーまたは時間依存性リンカーでもよく、第2の高分子リンカー254は、時間依存性リンカー(第1の高分子リンカー252が腸溶性リンカーの場合)または腸溶性リンカー(第1の高分子リンカー252が時間依存性リンカーの場合)でもよい。第2の構造部材256は、例えば、胃内滞留システムの中心部材(例えば中心弾性部材)でもよい。実施態様によっては、第1の高分子リンカー252および/または第2の高分子リンカー254は、アーム250と同じまたは同種の担持重合体を含む。実施態様ではは、第1の結合部材251および/または第2の結合部材253および/または第3の結合部材255は、担持重合体(これは、アーム250における担持重合体と同一または同種でよい)を含み、第1の高分子リンカー252および/または第2の高分子リンカー254は、第1の結合部材251および/または第2の結合部材253および/または第3の結合部材255と同一または同種の担持重合体を含んでもよい。
高分子リンカー
【0140】
薬剤含有構造部材は、1つ以上のリンカーを介して第2の構造部材(例えば弾性中心部材であってもよい中心部材)に取り付けられる。高分子リンカーは、薬剤含有構造部材と直接結合してもよいし、結合部材を介して薬剤含有構造部材と結合してもよい。同様に、高分子リンカーは、第2構造部材と直接結合していてもよく、または結合部材を介して結合していてもよい。薬剤含有構造部材が2つ以上の高分子リンカーを介して第2の構造部材に接続されている実施態様によっては、高分子リンカーは互いに直接結合してもよいし、結合部材を介して結合してもよい。腸溶性リンカーおよび時間依存性リンカーの一方または両方が使用されてもよく、あるいは高分子リンカーが腸溶性リンカーおよび時間依存性リンカーの両方として機能してもよい。
【0141】
高分子リンカーは、典型的には、幅が約100ミクロン~約3ミリメートル、例えば、約200 μm~約3000 μm、約300 μm~約3000 μm、約400 μm~約3000 μm、約500 μm~約3000 μm、約600 μm~約3000 μm、約700 μm~約3000 μm、約800 μm~約3000 μm、約900 μm~約3000 μm、約1000 μm~約 3000 μm、約 1100 μm~約 3000 μm、約 1200 μm~約 3000 μm、約1300 μm~約 3000 μm、約1400 μm~約 3000 μm、約1500 μm~約3000 μm、約1600 μm~約3000 μm、約1700 μm~約3000 μm、約1800 μm~約3000 μm、約1900 μm~約3000 μm、約2000 μm~約3000 μm、約2100 μm~約3000 μm、約2200 μm~約 3000 μm、約2300 μm~約 3000 μm、約2400 μm~約 3000 μm、約2500 μm~約 3000 μm、約2600 μm~約 3000 μm、約2700 μm~約 3000 μm、約2800 μm~約 3000 μm、または約2900 μm~約 3000 μm、または約100 μm~約200 μm、約200 μm~約300 μm、約300 μm~約400 μm、約400 μm~約500 μm、約500 μm~約600 μm、約600 μm~約700 μm、約700 μm~約800 μm、約800 μm~約900 μm、約900 μm~約 1000 μm、約 1000 μm~約 1100 μm、約 1100 μm~約 1200 μm、約 1200 μm~約1300 μm、約1300 μm~約1400 μm、約1400 μm~約1500 μm、約1500 μm~約1600 μm。約1600 μm~約1700 μm、約1700 μm~約1800 μm、約1800 μm~約1900 μm、約1900 μm~約2000 μm、約2000 μm~約2100 μm、約2100 μm~約2200 μm、約2200 μm~約2300 μm、約2300 μm~約2400 μm、約2400 μm~約2500 μm、約2500 μm~約2600 μm、約2600 μm~約2700 μm、約2700 μm~約2800 μm、約2800 μm~約2900 μm、約2900 μm~約 3000 μmである。高分子リンカーは、幅が約100 μm、約200 μm、約300 μm、約400 μm、約500 μm、約600 μm、約700 μm、約800 μm、約900 μm、約1000 μm、約1100 μm、約1200 μm、約1300 μm、約1400 μm、約1500 μm、約1600 μm、約1700 μm。約1800 μm、約1900 μm、約2000 μm、約2100 μm、約2200 μm、約2300 μm、約2400 μm、約2500 μm、約2600 μm、約2700 μm、約2800 μm、約2900 μm、約3000 μmで、それぞれの値はプラスまたはマイナス50 μm(±50 μm)であってもよい。
【0142】
高分子リンカーの断面は、丸形(すなわち、円形)、楕円形、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、または他の任意の高分子形状であってもよい。実施態様によっては、高分子リンカーの断面は、高分子リンカーに取り付けられた薬剤含有構造部材の断面と同じ形状である。実施態様によっては、高分子リンカーの断面は、薬剤含有構造部材の断面よりも大きな面積、薬剤含有構造部材の断面よりも小さな面積、または付着した薬剤含有構造部材の断面とほぼ同じ面積を有する。
時間依存型崩壊性マトリックス(時間依存性リンカー)
【0143】
時間依存性リンカーは、胃内滞留システムが個体の胃内に展開されるときなど、水性条件下で予測可能な時間依存性の方法で分解する。時間依存性高分子リンカーは、胃内滞留システムの胃内滞留時間を制御する。時間依存性高分子リンカーは、時間の経過とともに徐々に分解、溶解、機械的弱化、または破壊するように設計されている。所望の滞留期間の後、時間依存性高分子リンカーは、胃内滞留システムが幽門弁を通過し、胃内環境を出て小腸に入り、最終的に体外に排出できる程度に分解、溶解、解離、または機械的に弱化、あるいは破断する。
【0144】
時間依存性高分子リンカーは、好ましくは、pH 非依存型分解性重合体を含み、これは水性条件でpH 非依存型またはほぼpH 非依存型の様式で分解される。例示的なpH 非依存型分解性重合体には、PLGA、PLA、PCL、ポリジオキサノン、セルロース、またはそれらのブレンドもしくは共重合体が含まれる。実施態様によっては、pH 非依存型分解性重合体は、PLGAである。pH 非依存型分解性重合体は、例えば、pH 6.5、37℃で3日間絶食状態腸液(FaSSIF)などの水溶液中で恒温放置した後の曲げ弾性率が、pH 1.6、37℃で3日間FaSSGFなどの水溶液中で恒温放置した後の曲げ弾性率の30%以内、20%以内、15%以内、10%以内、または5%以内である重合体であってもよい。実施態様によっては、pH 非依存型分解性重合体は、pH 6.5、37℃で5日間絶食状態腸液(FaSSIF)などの水溶液中で恒温放置した後の曲げ弾性率が、pH 1.6、37℃で5日間FaSSGFなどの水溶液中で恒温放置した後の曲げ弾性率の30%以内、20%以内、15%以内、10%以内、または5%以内である。実施態様によっては、pH 非依存型分解性重合体は、pH 6.5、37℃で7日間絶食状態腸液(FaSSIF)などの水溶液中で恒温放置した後の曲げ弾性率が、pH 1.6、37℃で7日間FaSSGFなどの水溶液中で恒温放置した後の曲げ弾性率の30%以内、20%以内、15%以内、10%以内、または5%以内である。実施態様によっては、pH 非依存型分解性重合体は、pH 6.5、37℃で10日間絶食状態腸液(FaSSIF)などの水溶液中で恒温放置した後の曲げ弾性率が、pH 1.6、37℃で10日間FaSSGFなどの水溶液中で恒温放置した後の曲げ弾性率の30%以内、20%以内、15%以内、10%以内、または5%以内である。実施態様によっては、pH 非依存型分解性重合体は、pH 6.5、37℃で14日間絶食状態腸液(FaSSIF)などの水溶液中で恒温放置した後の曲げ弾性率が、pH 1.6、37℃で14日間FaSSGFなどの水溶液中で恒温放置した後の曲げ弾性率の30%以内、20%以内、15%以内、10%以内、または5%以内である。実施態様によっては、pH 非依存型分解性重合体は、pH 6.5、37℃で18日間絶食状態腸液(FaSSIF)などの水溶液中で恒温放置した後の曲げ弾性率が、pH 1.6、37℃で18日間FaSSGFなどの水溶液中で恒温放置した後の曲げ弾性率の30%以内、20%以内、15%以内、10%以内、または5%以内である。実施態様によっては、pH 非依存型分解性重合体は、pH 6.5、37℃で18日間絶食状態腸液(FaSSIF)などの水溶液中で恒温放置した後の曲げ弾性率が、pH 1.6、37℃で21日間FaSSGFなどの水溶液中で恒温放置した後の曲げ弾性率の30%以内、20%以内、15%以内、10%以内、または5%以内である。実施態様によっては、pH 非依存型分解性重合体は、pH 6.5、37℃で18日間絶食状態腸液(FaSSIF)などの水溶液中で恒温放置した後の曲げ弾性率が、pH 1.6、37℃で28日間FaSSGFなどの水溶液中で恒温放置した後の曲げ弾性率の30%以内、20%以内、15%以内、10%以内、または5%以内である。
【0145】
時間依存性高分子リンカーの弱化または劣化は、所定の条件(例えば、腸内条件または胃内条件)下での高分子リンカーの曲げ弾性率の損失または破断を参照して測定できる。時間依存性リンカーは、選択された胃内滞留期間にわたって胃内環境で弱まり、胃内滞留システムが胃を出ることができるように十分に弱くなるか破断する。胃の条件は、絶食状態模擬胃液(FaSSGF)などの水溶液を使用して、pH 1.6、37℃で模倣されてもよい。例えば、実施態様によっては、高分子リンカーはFaSSGFなどの水溶液中で、pH 1.6、37℃で3日間恒温放置した後、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上の曲げ弾性率を失うか破断する。実施態様によっては、高分子リンカーはFaSSGFなどの水溶液中でpH 1.6、37℃で5日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上を失うか破断する。実施態様によっては、高分子リンカーはFaSSGFなどの水溶液中でpH 1.6、37℃で7日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上を失うか破断する。実施態様によっては、高分子リンカーはFaSSGFなどの水溶液中でpH 1.6、37℃で10日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上を失うか破断する。実施態様によっては、高分子リンカーはFaSSGFなどの水溶液中でpH 1.6、37℃で14日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上を失うか破断する。実施態様によっては、高分子リンカーはFaSSGFなどの水溶液中でpH 1.6、37℃で18日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上を失うか破断する。実施態様によっては、高分子リンカーはFaSSGFなどの水溶液中でpH 1.6、37℃で21日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上を失うか破断する。実施態様によっては、高分子リンカーはFaSSGFなどの水溶液中でpH 1.6、37℃で24日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上を失うか破断する。実施態様によっては、高分子リンカーはFaSSGFなどの水溶液中でpH 1.6、37℃で30日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上を失うか破断する。実施態様によっては、高分子リンカーはFaSSGFなどの水溶液中でpH 1.6、37℃で45日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上を失うか破断する。実施態様によっては、高分子リンカーはFaSSGFなどの水溶液中でpH 1.6、37℃で60日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上を失うか破断する。
【0146】
特定の胃内滞留システムでは、持続的な胃内滞留が望まれ、時間依存性高分子リンカーの迅速な分解はあまり好まれない。したがって、実施態様によっては、高分子リンカーはFaSSGFなどの水溶液中でpH 1.6、37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の約80%以下、約70%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、または約30%以下が失われる。実施態様によっては、高分子リンカーはFaSSGFなどの水溶液中でpH 1.6、37℃で5日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の約80%以下、約70%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、または約30%以下が失われる。実施態様によっては、高分子リンカーはFaSSGFなどの水溶液中でpH 1.6、37℃で7日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の約80%以下、約70%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、または約30%以下が失われる。実施態様によっては、高分子リンカーはFaSSGFなどの水溶液中でpH 1.6、37℃で10日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の約80%以下、約70%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、または約30%以下が失われる。実施態様によっては、高分子リンカーはFaSSGFなどの水溶液中でpH 1.6、37℃で14日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の約80%以下、約70%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、または約30%以下が失われる。
【0147】
時間依存性高分子リンカーの分解特性は、時間依存性高分子リンカー中の時間依存型分解性重合体の量に基づいて構成される。例えば、より多量のポリ(乳酸-co-グリコリド)(PLGA)は、延長された胃内滞留期間にわたってより大きな曲げ弾性率の損失をもたらすかもしれないが、胃内滞留システムを胃内に保持するために短時間で十分な構造完全性を保持できる。例として、実施態様によっては、高分子リンカーはFaSSGFなどの水溶液中でpH 1.6で37℃、3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の約80%以下、約70%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、または約30%以下を失い、H 1.6で37℃で7日間FaSSGFのような水溶液で恒温放置した後、その曲げ弾性率の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上を失うか破断する。
【0148】
実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーはpH 非依存型であり、高分子リンカーは水性条件でpH 非依存型またはほぼpH 非依存型の様式で分解される。pH 非依存型時間依存性高分子リンカーは、例えば、pH 6.5、37℃で3日間絶食状態腸液(FaSSIF)などの水溶液中で恒温放置した後の曲げ弾性率が、pH 1.6、37℃で3日間FaSSGFなどの水溶液中で恒温放置した後の曲げ弾性率の30%、20%、15%、10%、または5%の範囲内である時間依存性高分子リンカーでもよい。実施態様によっては、pH 非依存型時間依存性高分子リンカーは、pH 6.5、37℃で5日間絶食状態腸液(FaSSIF)などの水溶液中で恒温放置した後の曲げ弾性率が、pH 1.6、37℃で5日間FaSSGFなどの水溶液中で恒温放置した後の曲げ弾性率の30%以内、20%以内、15%以内、10%以内、または5%以内である。実施態様によっては、pH 非依存型時間依存性高分子リンカーは、pH 6.5、37℃で7日間絶食状態腸液(FaSSIF)などの水溶液中で恒温放置した後の曲げ弾性率が、pH 1.6、37℃で7日間FaSSGFなどの水溶液中で恒温放置した後の曲げ弾性率の30%以内、20%以内、15%以内、10%以内、または5%以内である。実施態様によっては、pH 非依存型時間依存性高分子リンカーは、pH 6.5、37℃で10日間絶食状態腸液(FaSSIF)などの水溶液中で恒温放置した後の曲げ弾性率が、pH 1.6、37℃で10日間FaSSGFなどの水溶液中で恒温放置した後の曲げ弾性率の30%以内、20%以内、15%以内、10%以内、または5%以内である。実施態様によっては、pH 非依存型時間依存性高分子リンカーは、pH 6.5、37℃で14日間絶食状態腸液(FaSSIF)などの水溶液中で恒温放置した後の曲げ弾性率が、pH 1.6、37℃で14日間FaSSGFなどの水溶液中で恒温放置した後の曲げ弾性率の30%以内、20%以内、15%以内、10%以内、または5%以内である。実施態様によっては、pH 非依存型時間依存性高分子リンカーは、pH 6.5、37℃で18日間絶食状態腸液(FaSSIF)などの水溶液中で恒温放置した後の曲げ弾性率が、pH 1.6、37℃で18日間FaSSGFなどの水溶液中で恒温放置した後の曲げ弾性率の30%以内、20%以内、15%以内、10%以内、または5%以内である。
【0149】
実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーは、初期曲げ弾性率が、約100 MPa~約2500 MPa、例えば、約100 MPa~約250 MPa。約250 MPa~約500 MPa、約500 mPa~約750 MPa、約750 MPa~約1000 MPa、約1000 MPa~約1250 MPa、約1250 MPa~約1500 MPa、約1500 MPa~約2000 MPa、または約2000 MPa~約2500 MPaのように、約100 MPa~約2500 MPaの初期曲げ弾性率を有する。
【0150】
時間依存性高分子リンカーは、ポリ(乳酸-co-グリコリド)(PLGA)および少なくとも1つの追加のリンカー高分子を含むことができ、好ましくは共に均質に混合される。例えば、PLGAおよび追加のリンカー高分子は、混合物が押出され、押出された材料が高分子リンカーに対して所望のサイズに切断される前に、共に均質に混合される。PLGAは水性環境で分解可能なため、高分子リンカー中のPLGAの量は、高分子リンカーの時間依存性分解特性、ひいては胃内滞留システムに影響を及ぼす。高分子リンカー中のPLGAの重量パーセントが高いほど、一般に、水性(例えば、胃)環境における高分子リンカーの弱体化すなわち分解が速くなる。同様に、PLGAの重量パーセントが低いと、水性環境における高分子リンカーの弱体化すなわち分解が遅くなる。任意の量のPLGAを高分子リンカーに使用でき、その量は所望の分解特性に基づいて選択される。例えば、実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーは、約99%以下、約98%以下、約95%以下、約90%以下、約85%以下、約80%以下、約75%以下、約70%以下、約65%以下、約60%以下、約55%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下、または約10%以下(重量比)のPLGAを含む。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーは、約99%以上、約98%以上、約95%以上、約90%以上、約85%以上、約80%以上、約75%以上、約70%以上、約65%以上、約60%以上、約55%以上、約50%以上、約40%以上、約30%以上、約20%以上、または約10%以上(重量比)のPLGAを含む。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーは、約0.1%~約10%のPLGA、約10%~約20%のPLGA、約20%~約30%のPLGA、約30%~約40%のPLGA、約40%~約50%のPLGA、約50%~約60%のPLGA、約60%~約70%のPLGA、約70%~約80%のPLGA、約80%~約90%のPLGA、または約90%~約99.9%のPLGAを含む。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーは、約30%以下のPLGAを含む。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーは、約70%のPLGAまたはそれ以上を含む。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーは、約30%~約70%のPLGAを含む。
【0151】
高分子リンカー中のPLGAは、ポリ(D,L-乳酸-co-グリコリド)(PDLG)、ポリ(D-乳酸-co-グリコリド)、および/またはポリ(L-乳酸-co-グリコリド)を含んでよいが、PDLGであることが好ましい。共重合体中のラクチド単量体のグリコリド単量体に対する比は、約5:95~約95:5、例えば、約5:95~約10:90、約10:90~約20:80、約20:80~約35:65、約35:65~約50:50、約50:50~約65:35、約65:35~約80:20、約80:20~約90:10、または約90:10~約95:5であってよい。
【0152】
PLGAの分子量もまた、重合体分解の速度、ひいては曲げ弾性率の損失速度に影響を及ぼし、高分子量重合体はよりゆっくりと分解する(ひいては曲げ弾性率を失う)。実施態様によっては、PLGAの質量加重分子量(Mw)は、約5,000 Da~約250,000 Da、例えば、約5,000 Da~約10,000 Da、約10,000~約20,000 Da、約20,000 Da~約30,000 Da、約30,000 Da~約50,000 Da、約50,000 Da~約100,000 Da、約100,000 Da~約150,000 Da、約150,000 Da~約200,000 Da、または約200,000 Da~約250,000 Daである。実施態様によっては、PLGAの固有粘度(25℃のCHCl3中で測定)は、約0.1 dl/g~約1.5 dl/g、例えば、約0.1 dl/g~約0.15 dl/g、約0.15 dl/g~約0.25 dl/g、約0.25 dl/g~約0.5 dl/g、約0.5 dl/g~約0.75 dl/g、約0.75 dl/g~約1.0 dl/g、約 1.0 dl/g~約 1.25 dl/g、約 1.25 dl/g~約 1.5 dl/g の間にある。
【0153】
エステル末端PLGAに対する酸末端PLGAの量または比は、時間依存性高分子リンカーの分解すなわち弱化速度にも影響し、酸末端PLGAの割合が高いほど、エステル末端PLGAの割合が高い場合に比べて分解すなわち弱化速度が大きくなる。実施態様によっては、PLGAは、酸末端PLGAを含む、から本質的になる、またはを含む。実施態様ではでは、PLGAは、エステル末端PLGAを含む、から本質的になる、またはを含む。実施態様によっては、PLGAは、酸末端PLGAとエステル末端PLGAのブレンを含む。例えば、実施態様によっては、PLGAは、約1:9~約9:1の比の酸末端PLGAとエステル末端PLGAのブレンド(例えば、約1:9~約1:8、約1:8~約1:7、約1:7~約1:6、約1:6~約1:5、約1:5~約1:4、約1:4~約1:3、約1:3~約1:2、約1:2~約1:1、約1:1~約2:1、約2:1~約3:1、約3:1~約4:1、約4:1~約5:1、約5:1~約6:1、約6:1~約7:1、約7:1~約8:1、約8:1~約9:1、約9:1、約8:1、約7:1、約6:1、約5:1、約4:1、約3:1、約2:1、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、または約1:9)を含む。実施態様によっては、PLGAは、約1:1の比の酸末端PLGAとエステル末端PLGAのブレンドを含む。
【0154】
実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーのPLGAは、ラクチド単量体のグリコリド単量体に対する比が約50:50であり、0.16 dl/g~0.24 dl/gの固有粘度を有する酸末端ポリ(D,L-乳酸-co-グリコリド)を含む(例えば、それぞれCorbionから入手できるPurasorb(登録商標) PDLG 5002AまたはPurasorb(登録商標) PDLG 5002A Yという商品名で販売されているPLGA)。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーのPLGAは、ラクチド単量体のグリコリド単量体に対する比が約50:50であり、0.16 dl/g~0.24 dl/gの固有粘度を有するポリ(D,L-乳酸-co-グリコリド)を含む(例えば、Corbionから入手できる、Purasorb(登録商標)PDLG 5002の商品名の下で販売されているPLGA)。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーのPLGAは、ラクチド単量体のグリコリド単量体に対する比が約50:50のポリ(D,L-乳酸-co-グリコリド)を含む(例えば、Corbionから入手できるPurasorb(登録商標) PDLG 5004の商標名で販売されているPLGA)。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーのPLGAは、ラクチド単量体のグリコリド単量体に対する比が約50:50の酸末端ポリ(D,L-乳酸-co-グリコリド)を含む(例えば、Corbionから入手できるPurasorb(登録商標) PDLG 5004Aという商標名で販売されているPLGA)。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーのPLGAは、ラクチド単量体のグリコリド単量体に対する比が約50:50であり、0.8 dl/g~1.2 dl/gの固有粘度を有するポリ(D,L-乳酸-co-グリコリド)を含む(例えば、Corbionから入手できるPurasorb(登録商標) PDLG 5010の商標の下で販売されているPLGA)。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーのPLGAは、ラクチド単量体のグリコリド単量体に対する比が約55:45であり、0.4 dl/g~0.6 dl/gの固有粘度を有するポリ(D,L-乳酸-co-グリコリド)を含む(例えば、Corbionから入手できるPurasorb(登録商標) PDLG 5505Gという商品名の下で販売されているPLGA)。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーのPLGAは、ラクチド単量体のグリコリド単量体に対する比が約75:25であり、0.16 dl/g~0.24 dl/gの固有粘度を有する酸末端ポリ(D,L-乳酸-co-グリコリド)を含む(例えば、Corbionから入手できるPurasorb(登録商標) PDLG 7502Aという商品名で販売されているPLGA)。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーのPLGAは、ラクチド単量体のグリコリド単量体乳酸比が約75:25であり、0.16 dl/g~0.24 dl/gの固有粘度を有するポリ(D,L-乳酸-co-グリコリド)(Corbionから入手できるPurasorb(登録商標) PDLG 7502の商品名で販売されているPLGA)を含む。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーのPLGAは、ラクチド単量体のグリコリド単量体に対する比が約75:25であり、0.65 dl/g~0.95 dl/gの固有粘度を有するポリ(D,L-乳酸-co-グリコリド)(例えば、Corbionから入手できる、Purasorb(登録商標) PDLG 7507 Yという商品名で販売されているPLGA)を含む。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーのPLGAは、ラクチド単量体のグリコリド単量体に対する比が約75:25であり、0.56 dl/g~0.84 dl/gの固有粘度を有するポリ(D,L-乳酸-co-グリコリド)を含む(例えばCorbionから入手できるPurasorb(登録商標) PDLG 7507の商品名の下で販売されているPLGA)。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーのPLGAは、ラクチド単量体のグリコリド単量体に対する比が約75:25であり、0.85 dl/g~1.05 dl/gの固有粘度を有するポリ(D,L-乳酸-co-グリコリド)(例えば、Corbionから入手できるPurasorb(登録商標) PDLG 7510という商品名で販売されているPLGA)を含む。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーのPLGAは、ラクチド単量体のグリコリド単量体に対する比が約65:35であり、0.32 dl/g~0.44 dl/gの固有粘度を有するポリ(D,L-乳酸-co-グリコリド)(Evonikから入手できるResomer(登録商標) RG 653 Hという商品名で販売されているPLGA)を含む。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーのPLGAは、上記PDLG重合体の2つ以上の混合物を含む。例として、実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーのPLGAは、(a)ラクチド単量体のグリコリド単量体に対する比が約50:50(例えば、Corbionから入手可能なPurasorb(登録商標) PDLG 5004という商品名で販売されている例えばPLGA)のポリ(D,L-乳酸-co-グリコリド)の混合物を、および(b)ラクチド単量体のグリコリド単量体も対する比が約50:50の酸末端ポリ(D,L-乳酸-co-グリコリド)(例えば、Corbionから入手可能なPurasorb(登録商標) PDLG 5004Aという商品名で販売されているPLGA)の混合物を含む。
【0155】
高分子リンカーに含まれる1つ以上の追加のリンカー重合体は、好ましくはPLGAと均質に混合される。実施態様によっては、1種以上の追加のリンカー重合体は、PLGAと混和性である。1つ以上の追加のリンカー重合体は、非分解性重合体(すなわち、胃環境または腸内環境、またはpH 1.6(胃環境を表す)もしくはpH 6.5(腸内環境を表す)の水溶液において分解されない)で、時間依存性高分子リンカーが胃内滞留期間に切断しない程度の量で時間依存性高分子リンカーに存在してもよい。
【0156】
直接隣接する部材への高分子リンカーの結合は、少なくとも1種の重合体が隣接する部材と時間依存性高分子リンカーの両方に共通である場合に、改善されることがある。すなわち、時間依存性リンカーにおける1種以上の追加のリンカー重合体の1つは、胃内滞留システムの直接隣接する部材(または必要に応じて、両方の直接隣接する部材)中の少なくとも1種の重合体と同じ(または同じ重合体種)であってもよい。例えば、時間依存性高分子リンカーが担持重合体を含む構造部材に直接結合される場合、実施態様によっては、1種以上の追加のリンカー重合体はまた、同じまたは異なる濃度で(時間依存性高分子リンカーにおけるPLGAに加えて)担持重合体を含む。例示的な担持重合体には、本明細書に記載される他のもののうち、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、および熱可塑性ポリウレタン(TPU)が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0157】
実施態様によっては、1つ以上の追加のリンカー重合体は、PLA、例えば、担持重合体に関して本明細書に記載されているようなPLAである。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーは、約99%以下、約98%以下、約95%以下、約90%以下、約85%以下、約80%以下、約75%以下、約70%以下、約65%以下、約60%以下、約55%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下、または約10%以下(重量で)、PLAを含む。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーは、約99%以上、約98%以上、約95%以上、約90%以上、約85%以上、約80%以上、約75%以上、約70%以上、約65%以上、約60%以上、約55%以上、約50%以上、約40%以上、約30%以上、約20%以上、または約10%以上(重量比)のPLAを含む。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーは、約0.1%~約10%のPLA、約10%~約20%のPLA、約20%~約30%のPLA、約30%~約40%のPLA、約40%~約50%のPLA、約50%~約60%のPLA、約60%~約70%のPLA、約70%~約80%のPLA、約80%~約90%のPLA、または約90%~約99.9%のPLAを含む。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーは、約30%以下のPLAを含む。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーは、約70%それ以上のPLAを含む。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーは、約30%~約70%のPLAを含む。PLGAは、PLAと共にさらに含まれてもよく、時間依存性高分子リンカーの残部を構成できるが、追加の薬剤(可塑剤、着色剤、または他の薬剤がさらに含まれてもよい)が含まれてもよい。
【0158】
実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーは、重量で10~90%、20~80%、30~70%、40~60%、45~55%、48~52%、または50%のPLAを含む。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーは、重量で10~50%、20~40%、25~35%、28~32%、または30%のPLAを含む。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーは、重量で10~40%、15~35%、20~28%、22~26%、または24%のPLAを含む。
【0159】
実施態様によっては、1種以上の追加のリンカー重合体は、PCLを含む。時間依存性高分子リンカーは、胃内滞留システムの他の部材(例えば薬物と担持重合体を含む構造部材、結合部材、腸溶性高分子リンカー、または中心構造部材)に直接接合または結合してもよく、この部材はPCLを含んでもよく、これは時間依存性高分子リンカー中のPCLと同じであっても、高分子リンカー中のPCLと異なるものでもよく、同じ濃度でも異なる濃度でもよい。時間依存性高分子リンカー中のPCLと、時間依存性リンカーに直接接合または結合した他の部材とが異なる場合、例えば、PCLの重量平均分子量、PCLの固有粘度、またはPCLの割合(例えば、2種以上のPCL重合体のブレンドを使用する場合)等が異なっていてもよい。
【0160】
実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーは、約99%以下、約98%以下、約95%以下、約90%以下、約85%以下、約80%以下、約75%以下、約70%以下、約65%以下、約60%以下、約55%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下または約10%以下(重量比)のPCLを含む。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーは、約99%以上、約98%以上、約95%以上、約90%以上、約85%以上、約80%以上、約75%以上、約70%以上、約65%以上、約60%以上、約55%以上、約50%以上、約40%以上、約30%以上、約20%以上、または約10%以上(重量比)のPCLを含む。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーは、約0.1%~約10%のPCL、約10%~約20%のPCL、約20%~約30%のPCL、約30%~約40%のPCL、約40%~約50%のPCL、約50%~約60%のPCL、約60%~約70%のPCL、約70%~約80%のPCL、約80%~約90%のPCL、または約90%~約99.9%のPCLを含む。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーは、約30%以下のPLAを含む。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーは、約70%のPLAまたはそれ以上を含む。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーは、約30%~約70%のPCLを含む。PLGAは、PCLと共にさらに含まれてもよく、時間依存性高分子リンカーの残部まで構成できるが、追加の薬剤(例えば可塑剤、着色剤、または他の薬剤)がさらに含まれてもよい。
【0161】
実施態様によっては、1種以上の追加のリンカー重合体は、TPUを含む。時間依存性高分子リンカーは、胃内滞留システムの他の部材(例えば薬物と担持重合体を含む構造部材、結合部材、腸溶性高分子リンカー、または中心構造部材)に直接接合または結合されてもよく、この部材もTPUを含み、これは時間依存性高分子リンカーにおけるものと同じTPUでも、高分子リンカーにおけるものと異なるTPUでもよく、同じ濃度または異なる濃度であることができる。時間依存性高分子リンカー中の異なるTPUと、時間依存性リンカーに直接接合または結合された他の部材とは、例えば、TPUの重量平均分子量、TPUの固有粘度、またはTPUの割合(例えば、2種以上のTPU重合体のブレンドが用いられる場合)において異なってもよい。適切な市販のTPU重合体としては、Pathway(登録商標) TPU重合体(The Lubrizol Corporation)、Tecoflex(登録商標)(The Lubrizol Corporation)、Tecophilic(登録商標)(The Lubrizol Corporation)、Carbothane(登録商標)(The Lubrizol Corporation)、Texin(登録商標)(Covestro)およびNEUSoft(登録商標)(PolyOne)などが挙げられ得る。
【0162】
実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーは、重量で約99%以下、約98%以下、約95%以下、約90%以下、約85%以下、約80%以下、約75%以下、約70%以下、約65%以下、約60%以下、約55%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下、または約10%以下のTPUを含む。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーは、重量で約99%以上、約98%以上、約95%以上、約90%以上、約85%以上、約80%以上、約75%以上、約70%以上、約65%以上、約60%以上、約55%以上、約50%以上、約40%以上、約30%以上、約20%以上、または約10%以上のTPUを含む。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーは、約0.1%~約10%のTPU、約10%~約20%のTPU、約20%~約30%のTPU、約30%~約40%のTPU、約40%~約50%のTPU、約50%~約60%のTPU、約60%~約70%のTPU、約70%~約80%のTPU、約80%~約90%のTPU、または約90%~約99.9%のTPUを含む。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーは、約30%以下のTPUを含む。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーは、約70%以上のTPUを含む。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーは、約30%~約70%のTPUを含む。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーは、約30%~約70%のPLAを含む。PLGAは、TPUと共にさらに含まれてもよく、時間依存性高分子リンカーの残部まで構成できるが、追加の薬剤(可塑剤、色吸収染料、または他の薬剤がさらに含まれてもよい)が含まれることもある。
【0163】
時間依存性高分子リンカーは、1種以上の可塑剤をさらに含んでもよく、これは、押し出された高分子リンカー材料を所望のサイズに切断するのを助け、時間依存性高分子リンカーを胃内滞留システムの他の成分に結合または付着させるのを助けることができる。例示的な可塑剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)、クエン酸ブチルトリエチル(TBC)、セバシン酸ジブチル(DBS)、トリアセチン、クエン酸トリエチル(TEC)、ポロキサマー(例えば、Poloxamer 407、「P407」)、またはコハク酸D-α-トコフェリルポリエチレングリコールがあるが、それだけに限定されるものではない。用語「ポリエチレングリコール」は、本明細書において、用語「ポリエチレンオキシド」および「PEO」と交換可能に使用される。実施態様によっては、ポリエチレングリコールの分子量は、約200 Da~約8,000,000 Da(8000Kまたは8000 kDaとも呼ばれる)、例えば、約200 Da~約400 Da、約400 Da~約800 Da、約800 Da~約1600 Da、約1600 Da~約2500 Da、約2500 Da~約5000 Da.約5000 Da~約10K、約10K~約20K、約20K~約50K、約50K~約100K、約100K~約200K、約200K~約400K、約400K~約800K、約800K~約1000K、約1000K~約2000K、約2000K~約4000K、約4000K~約6000Kまたは約6000K~約8000Kである。実施態様によっては、高分子リンカーは最大20%の可塑剤、例えば、最大18%の可塑剤、最大15%の可塑剤、最大12%の可塑剤、最大10%の可塑剤、最大8%の可塑剤、最大6%の可塑剤、最大4%の可塑剤、最大3%の可塑剤、最大2%の可塑剤、または最大1%の可塑剤を含む。実施態様によっては、高分子リンカーは約0.5%~約20%の可塑剤、例えば、約0.5%~約1%、約1%~約2%、約2%~約3%、約3%~約5%、約5%~約7%、約7%~約10%、約10%~約12%、約12%~約15%、約15%~約18%、または約18%~約20%可塑剤を含む。
【0164】
実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーは、色吸収色素(着色剤または顔料とも称される)を含む。色吸収色素は、他の胃内滞留システムの部品への高分子リンカーの結合または付着を強化するために含まれてもよい。色吸収色素は、レーザー溶着、赤外線溶着、または他の熱誘発性付着の間に熱を吸収でき、これにより、得られる結合の引張強度が増加する。例示的な色吸収色素には、酸化鉄およびカーボンブラックが含まれる。時間依存性高分子リンカーは、最大約5%、例えば最大約4%、最大約3%、最大約2%、最大約1%、最大約0.5%、最大約0.3%、最大約0.2%、または最大約0.1%の量の色吸収色素を含んでもよい。
【0165】
時間依存性高分子リンカーは、必要に応じて、1つ以上の追加の賦形剤を含む。例えば、時間依存性高分子リンカーは、糖(例えば、ラクトース、スクロース、グルコース)、塩(例えば、NaCl)、デンプングリコール酸ナトリウム(SSG)、または他の任意の適切な物質のようなポロゲンを含んでもよい。ポロゲンは、水性環境において迅速に溶解してもよく、これにより、水溶液は、高分子リンカーの内側部分との接触を促進できる。他の賦形剤としては、ビタミンEコハク酸塩またはケイ化二酸化ケイ素(例えば、Cab-O-Sil)などの流動助剤を挙げることができ、これらは、押出前の材料の取り扱いを容易にするために重合体ブレンドに含まれることがある。
【0166】
時間依存性高分子リンカーの一例では、高分子リンカーは、約75%~約90%のPLGAと約10%~約25%のPLA(例えば、約85%のPLGAと約15%のPLA)を含む。PLAは、例えば、PLDLまたはPDLであってもよい。PLGAは、例えば、ラクチド単量体対グリコリド単量体比が約50:50~約75:25(例えば約65:35)であるポリ(D,L-乳酸-co-グリコリド)でもよく、かつ/あるいは約0.1 dl/g~約0.7 dl/g(例えば約0.3 dl/g~約0.5 dl/g)の間の固有の粘度を有していてもよい。
【0167】
時間依存性高分子リンカーの別の例では、高分子リンカーは、約40%~約70%のPLGAと約30%~約60%の担持重合体(例えば、約55%のPLGAと約45%のPLA)を含む。担持重合体は、例えば、TPUまたはPCLでもよい。PLGAは、例えば、(1)ラクチド単量体のグリコリド単量体に対する比が約65:35~約95:5(例えば約75:25)のポリ(D,L-乳酸-co-グリコリド)でよく、かつ/あるいは約0.1 dl/g~約0.5 dl/g(例えば約0.15 dl/g~約0.25 dl/g)の固有粘度を有していてもよい;(2)ラクチド単量体のグリコリド単量体に対する比が約25:75~約75:25(例えば約50:50)のポリ(D,L-乳酸-co-グリコリド)かつ/あるいは約0.5 dl/g~約1.5 dl/g(例えば約0.8 dl/g~約1.2 dl/g)の間の固有粘度を有してもよい;あるいは(3)ラクチド単量体のグリコリド単量体に対する比が約65:35~約95:5(例えば約75:25)のポリ(D,L-乳酸-co-グリコリド)、かつ/あるいは約0.3 dl/g~約1.2 dl/g(例えば約0.5 dl/g~約0.9 dl/g)の間の固有粘度を有してもよい。
【0168】
時間依存性高分子リンカーの別の例では、高分子リンカーは、約35%~約65%(例えば約50%)の担持重合体、約35%~約65%(例えば約53%)のPDLG、および約2%のポリエチレングリコール(例えばポリエチレングリコール100K)を含み、必要に応じてさらに酸化鉄(例えば約0.01%~約0.25%の酸化鉄)を含む。担持重合体は、例えば、TPUまたはPCLであってもよい。
【0169】
時間依存性高分子リンカーの別の例では、高分子リンカーは、約35%~約45%(例えば約40%)の担持重合体(例えばTPUまたはPCL)、および約55%~約65%(例えば約60%)のPLGAを含む。PLGAは、例えば、酸末端化PLGAであってもよい。
【0170】
時間依存性高分子リンカーの別の例では、高分子リンカーは、約40%~約50%(例えば約45%)の担持重合体(例えばTPUまたはPCL)、約48%~約58%(例えば約53%)のPLGA、および約1%~約3%(例えば約2%)のポリエチレングリコール(例えば約100Kポリエチレングリコール)を含む。PLGAは、例えば、酸末端化PLGAであってもよい。
【0171】
時間依存性高分子リンカーの別の例では、高分子リンカーは、約40%~約50%(例えば約45%)の担持重合体(例えばTPUまたはPCL)および約48%~約58%(例えば約53%)のPLGAを含み、PLGAは酸末端PLGAおよびエステル末端PLAGを約4:1~約1:1、例えば約2:1の比で含む。必要なら、高分子リンカーは、約1%~約3%(例えば約2%)のポリエチレングリコール(例えばポリエチレングリコール100K)および/または酸化鉄(例えば、約0.01%~約0.2%、なかでも約0.05%~約0.1%)を含む。
【0172】
時間依存性高分子リンカーの別の例では、高分子リンカーは、約45%~約55%(例えば約50%)の担持重合体(例えばTPUまたはPCL)、および約45%~約55%(例えば約50%)のPLGAを含む。PLGAは、例えば、酸末端化PLGAでもよい。
【0173】
時間依存性高分子リンカーの別の例では、高分子リンカーは、約45%~約55%(例えば約50%)の担持重合体(例えばTPUまたはPCL)、約40%~約50%(例えば約45%)のPLGA、および約2%~約7%(例えば約5%)のポリエチレン酸化物(例えばポリエチレングリコール100K)を含む。PLGAは、例えば、酸末端化PLGAでもよい。
【0174】
一部の実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーは、重量で約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、または約80%以上のPLGAを含んでもよい。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーは、重量で約90%以下、約80%以下、約70%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、または約20%以下のPLGAを含んでもよい。
【0175】
実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーは、重量で50~90%、60~80%、65~75%、68~72%、または70%のPLGAを含んでもよい。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーは、重量で40~72%、45~67%、50~62%、54~58%、または56%のPLGAを含んでもよい。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーは、重量で30~70%、40~60%、45~55%、48~52%、または50%のPLGAを含んでもよい。実施態様によっては、時間依存性高分子リンカーは、重量で20~60%、30~50%、35~45%、38~42%、または40%のPLGAを含んでもよい。
【0176】
実施態様によっては、PLGAを含む時間依存性高分子リンカーは、5:95、10:90、15:85、20:80、25:75、30:70、35:65、40:60、45:55、50:50、55:45、60:40、65:35、70:30、75:25、80:20、85:15、90:10または95:5の乳酸/グリコール酸比を含むことができる。
胃内滞留時間
【0177】
システムの胃内滞留時間は、胃内滞留システム中の時間依存性高分子リンカーの分解または弱体化、または破断の速度で制御される。時間依存性高分子リンカーのより速い分解または弱体化、または破断は、胃からのシステムのより速い通過に繋がる。胃内滞留システムの滞留時間は、システムの胃への投与と、システムの胃からの出口との間の時間として定義される。一実施態様においては、胃内滞留システムは、約24時間、または約24時間までの滞留時間を有する。一実施態様においては、胃内滞留システムは、約48時間の滞留時間、または約48時間までの滞留時間を有する。一実施態様においては、胃内滞留システムは、約72時間の滞留時間、または約72時間までの滞留時間を有する。一実施態様においては、胃内滞留システムは、約96時間の滞留時間、または約96時間までの滞留時間を有する。一実施態様においては、胃内滞留システムは、約5日間の滞留時間、または最大約5日間の滞留時間を有する。一実施態様においては、胃内滞留システムは、約6日間の滞留時間、または約6日間までの滞留時間を有する。一実施態様においては、胃内滞留システムは、約7日(約1週間)の滞留時間、または約7日(約1週間)までの滞留時間を有する。一実施態様においては、胃内滞留システムは、約10日の滞留時間、または最大約10日の滞留時間を有する。一実施態様においては、胃内滞留システムは、約14日(約2週間)の滞留時間、または最大で約14日(約2週間)の滞留時間を有する。
【0178】
一実施態様においては、胃内滞留システムは、約24時間~約7日の間の滞留時間を有する。一実施態様においては、胃内滞留システムは、約48時間~約7日の間の滞留時間を有する。一実施態様においては、胃内滞留システムは、約72時間~約7日の間の滞留時間を有する。一実施態様においては、胃内滞留システムは、約96時間~約7日の間の滞留時間を有する。一実施態様においては、胃内滞留システムは、約5日間と約7日間との間の滞留時間を有する。一実施態様においては、胃内滞留システムは、約6日間と約7日間との間の滞留時間を有する。
【0179】
一実施態様においては、胃内滞留システムは、約24時間~約10日の間の滞留時間を有する。一実施態様においては、胃内滞留システムは、約48時間~約10日の間の滞留時間を有する。一実施態様においては、胃内滞留システムは、約72時間~約10日の間の滞留時間を有する。一実施態様においては、胃内滞留システムは、約96時間~約10日の間の滞留時間を有する。一実施態様においては、胃内滞留システムは、約5日~約10日の間の滞留時間を有する。一実施態様においては、胃内滞留システムは、約6日~約10日の間の滞留時間を有する。一実施態様においては、胃内滞留システムは、約7日間と約10日間との間の滞留時間を有する。
【0180】
一実施態様においては、胃内滞留システムは、約24時間~約14日の間の滞留時間を有する。一実施態様においては、胃内滞留システムは、約48時間~約14日の間の滞留時間を有する。一実施態様においては、胃内滞留システムは、約72時間~約14日の間の滞留時間を有する。一実施態様においては、胃内滞留システムは、約96時間~約14日の間の滞留時間を有する。一実施態様においては、胃内滞留システムは、約5日~約14日の間の滞留時間を有する。一実施態様においては、胃内滞留システムは、約6日~約14日の間の滞留時間を有する。一実施態様においては、胃内滞留システムは、約7日間と約14日間との間の滞留時間を有する。一実施態様においては、胃内滞留システムは、約10日間と約14日間との間の滞留時間を有する。
【0181】
胃内滞留システムは、システムが胃内に滞留する滞留時間または滞留期間の少なくとも一部の間に、治療上有効な量の薬剤(またはその塩)を放出する。一実施態様においては、システムは、滞留時間の少なくとも約25%の間、治療上有効な量の薬剤(またはその塩)を放出する。一実施態様においては、システムは、滞留時間の少なくとも約50%の間、治療上有効な量の薬剤(またはその塩)を放出する。一実施態様においては、システムは、滞留時間の少なくとも約60%の間に治療上有効な量の薬剤(またはその塩)を放出する。一実施態様においては、システムは、滞留時間の少なくとも約70%の間に治療上有効な量の薬剤(またはその塩)を放出する。一実施態様においては、システムは、滞留時間の少なくとも約75%の間に治療上有効な量の薬剤(またはその塩)を放出する。一実施態様においては、システムは、滞留時間の少なくとも約80%の間、治療上有効な量の薬剤(またはその塩)を放出する。一実施態様においては、システムは、滞留時間の少なくとも約85%の間、治療上有効な量の薬剤(またはその塩)を放出する。一実施態様においては、システムは、滞留時間の少なくとも約90%の間、治療上有効な量の薬剤(またはその塩)を放出する。一実施態様においては、システムは、滞留時間の少なくとも約95%の間、治療上有効な量の薬剤(またはその塩)を放出する。一実施態様においては、システムは、滞留時間の少なくとも約98%の間、治療上有効な量の薬剤(またはその塩)を放出する。一実施態様においては、システムは、滞留時間の少なくとも約99%の間に治療上有効な量の薬剤(またはその塩)を放出する。
腸内崩壊性マトリックス(腸溶性リンカー)
【0182】
胃内滞留システムが無傷のまま小腸に早期に通過する場合、腸閉塞を避けるために、システムをはるかに急速に分解するように設計できる。これは、腸内環境内で弱まるか分解する追加のリンカー重合体(例えば担持重合体)に加えて、腸溶性重合体を含む腸溶性高分子リンカーを使用することで容易に達成される。腸溶性重合体は、胃で遭遇する酸性のpH レベルには比較的耐性があるが、十二指腸で見られる高いpH レベルでは急速に溶ける。腸溶性高分子リンカーを安全な要素として使用することで、無傷の胃内滞留システムが小腸に望ましくない形で移行するのを防ぐことができる。腸溶性高分子リンカーの使用はまた、胃内滞留システムをその設計滞留時間前に除去する方法を提供する。システムを除去する必要がある場合、患者は重炭酸ナトリウム溶液などの弱アルカリ性溶液を飲むか、水和水酸化マグネシウム(マグネシアミルク)または炭酸カルシウムなどの制酸剤を服用すれば、胃内のpH レベルを上昇させ腸溶性高分子リンカーの迅速な分解を引き起こすことができる。
【0183】
腸溶性高分子リンカーの弱化または劣化は、所定の条件(例えば、腸内条件または胃内条件)下での高分子リンカーの曲げ弾性率の損失または破断を基準にして測定できる。腸溶性リンカーは、腸内環境では比較的早く弱くなり、分解または破断するが、胃内環境ではその曲げ弾性率の多くを保持する。胃の条件は、pH 1.6で37℃のFaSSGFなどの水溶液を使用して模倣してもよく、腸の条件は、pH 6.5で37℃のFaSSIFなどの水溶液を使用して模倣してもよい。例えば、実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーはFaSSIFなどの水溶液中でpH 6.5、37℃で12時間恒温放置した後、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上の曲げ弾性率を失うか破断する。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーはFaSSIFなどの水溶液中で、pH 6.5、37℃で24時間恒温放置した後、その曲げ弾性率の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上を失うか破断する。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーはFaSSIFなどの水溶液中でpH 6.5、37℃で2日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上を失うか破断する。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーはFaSSIFなどの水溶液中でpH 6.5、37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上を失うか破断する。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーはFaSSIFなどの水溶液中で、pH 6.5、37℃で4日間恒温放置した後、その曲げ弾性率または破断の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上を消失させる。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーはFaSSIFなどの水溶液中で、pH 6.5、37℃で5日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上を失うか破断する。
【0184】
実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーはFaSSGFなどの水溶液中、pH 1.6で37℃、3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上を保持する。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーはFaSSGFなどの水溶液中でpH 1.6、37℃で5日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上を保持する。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーはFaSSGFなどの水溶液中でpH 1.6、37℃で7日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上を保持する。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーはFaSSGFなどの水溶液中でpH 1.6、37℃で10日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上を保持する。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーはFaSSGFなどの水溶液中でpH 1.6、37℃で14日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上を保持する。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーはFaSSGFなどの水溶液中でpH 1.6、37℃で18日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上を保持する。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーはFaSSGFなどの水溶液中でpH 1.6、37℃で21日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上を保持する。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーはFaSSGFなどの水溶液中でpH 1.6、37℃で24日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上を保持する。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーはFaSSGFなどの水溶液中でpH 1.6、37℃で30日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上を保持する。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーはFaSSGFなどの水溶液中でpH 1.6、37℃で45日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上を保持する。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーはFaSSGFなどの水溶液中でpH 1.6、37℃で60日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上を保持する。
【0185】
実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーはFaSSIFなどのpH 6.5の水溶液中で37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率または破断の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上を失うか破断し、かつ腸溶性高分子リンカーは、FaSSIFなどの水溶液中でpH 1.6の水溶液中で37℃7日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上を保持する。
【0186】
腸溶性高分子リンカーは、胃の条件よりも腸の条件の方が早くまたは大きく弱くなる。例えば、実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは、pH 6.5のFaSSIFなどの水溶液中で12時間恒温放置した後、その曲げ弾性率を、約5%超、約10%超、約15%超、約20%超、約25%超、約30%超、約35%超、約40%超、約50%超、約55%超、約60%超、約65%超、約70%超、約75%超、約80%超、約85%超、約90%超、約95%超失うか、pH 1.6のFaSSGFなどの水溶液をで12時間恒温放置した後約5%~約10%、約10%~約15%、約15%~約20%、約20%~約25%、約25%~約30%、約30%~約35%、約35%~約40%、約40%~約45%、約45%~約50%、約50%~約55%、約55%~約60%、約60%~約65%、約65%~約70%、約70%~約75%、約75%~約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、または約90%~約95%、またはこれらの範囲の任意の連続した組み合わせだけ失う。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは、pH 6.5のFaSSIFなどの水溶液中で12時間恒温放置した後、その曲げ弾性率を約5%超、約10%超、約15%超、約20%超、約25%超、約30%超、約35%超、約40%超、約50%超、約55%超、約60%超、約65%超、約70%超、約75%超、約80%超、約85%超、約90%超、約95%超失うか、pH 1.6のFaSSGFなどの水溶液をで24時間恒温放置した後の曲げ弾性率の約5%~約10%、約10%~約15%、約15%~約20%、約20%~約25%、約25%~約30%、約30%~約35%、約35%~約40%、約40%~約45%、約45%~約50%、約50%~約55%、約55%~約60%、約60%~約65%、約65%~約70%、約70%~約75%、約75%~約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、または約90%~約95%、またはこれらの範囲の連続した組み合わせを失う。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは、pH 6.5のFaSSIFなどの水溶液中で12時間で恒温放置した後、その曲げ弾性率を約5%超、約10%超、約15%超、約20%超、約25%超、約30%超、約35%超、約40%超、約50%超、約55%超、約60%超、約65%超、約70%超、約75%超、約80%超、約85%超、約90%超、約95%超を失うか、pH 1.6のFaSSGFなどの水溶液を36時間恒温放置した後の曲げ弾性率の約5%~約10%、約10%~約15%、約15%~約20%、約20%~約25%、約25%~約30%、約30%~約35%、約35%~約40%、約40%~約45%、約45%~約50%、約50%~約55%、約55%~約60%、約60%~約65%、約65%~約70%、約70%~約75%、約75%~約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、または約90%~約95%、またはその範囲の連続した組み合わせを失う。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは、pH 6.5のFaSSIFなどの水溶液中で12時間恒温放置した後、その曲げ弾性率を約5%超、約10%超、約15%超、約20%超、約25%超、約30%超、約35%超、約40%超、約50%超、約55%超、約60%超、約65%超、約70%超、約75%超、約80%超、約85%超、約90%超、約95%超を失うか、pH 1.6のFaSSGFなどの水性溶液で2日間恒温放置した後の曲げ弾性率の約5%~約10%、約10%~約15%、約15%~約20%、約20%~約25%、約25%~約30%、約30%~約35%、約35%~約40%、約40%~約45%、約45%~約50%、約50%~約55%、約55%~約60%、約60%~約65%、約65%~約70%、約70%~約75%、約75%~約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、または約90%~約95%、またはこれらの範囲の連続した組み合わせを失う。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは、pH 6.5のFaSSIFなどの水溶液中で12時間恒温放置した後、その曲げ弾性率を約5%超、約10%超、約15%超、約20%超、約25%超、約30%超、約35%超、約40%超、約50%超、約55%超、約60%超、約65%超、約70%超、約75%超、約80%超、約85%超、約90%超、約95%超を失うか、pH 1.6のFaSSGFなどの水性溶液で3日間恒温放置した後の曲げ弾性率の約5%~約10%、約10%~約15%、約15%~約20%、約20%~約25%、約25%~約30%、約30%~約35%、約35%~約40%、約40%~約45%、約45%~約50%、約50%~約55%、約55%~約60%、約60%~約65%、約65%~約70%、約70%~約75%、約75%~約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、または約90%~約95%、またはこれらの範囲の連続した組み合わせを失う。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは、pH 6.5のFaSSIFなどの水溶液中で12時間恒温放置した後、その曲げ弾性率を約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%超失うか、pH 1.6のFaSSGFなどの水溶液で4日間恒温放置した後の曲げ弾性率の約5%~約10%、約10~約15%、約15~約20%、約20~約25%、約25%~約30%、約30%~約35%、約35%~約40%、約40%~約45%、約45%~約50%、約50%~約55%、約55%~約60%、約60%~約65%、約65%~約70%、約70%~約75%、約75%~約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、または約90%~約95%、またはこれらの範囲の連続した組み合わを失う。
【0187】
実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは約100 MPa~約2500 MPa、例えば約100 MPa~約250 MPa、約250 MPa~約500 MPa、約500 mPa~約750 MPa、約750 MPa~約1000 MPa、約1000 MPa~約1250 MPa、約1250 MPa~約1500 MPa、約1500 MPa~約2000 MPa、または約2000 MPa~約2500 MPa等の初期曲げ弾性率を有する。
【0188】
本発明で使用できる例示的な腸溶性重合体を、その溶解pH と共に腸溶性重合体表(表1)に記載する。(Mukherji, Gour and Clive G. Wilson,"Enteric Coating for Colonic Delivery(大腸送達のための腸溶性被覆)," Chapter 18 of Modified-Release Drug Delivery Technology(変性放出薬物送達技術の第18章)(editors Michael J. Rathbone, Jonathan Hadgraft, Michael S. Roberts), Drugs and the Pharmaceutical Sciences(医薬品と薬学Volume 126, New York. Marcel Dekker、2002)を参照のこと。好ましくは、約5または約5.5を超えないpH で溶解する腸溶性重合体を使用する。ポリ(メタクリル酸-co-アクリル酸エチル)(商品名EUDRAGIT L 100-55で販売;EUDRAGITはEvonik Rohm GmbH, Darmstadt, Germanyの登録商標)は、好ましい腸溶性重合体である。別の好ましい腸溶性重合体は、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hypromellose acetate succinateまたはHPMCAS;Ashland, Inc., Covington, Kentucky, USA)であり、これは、約5.5~約7.0の調整可能なpH カットオフを有する。酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、およびフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースもまた、適切な腸溶性重合体である。
【表1】
【0189】
腸溶性高分子リンカーに含まれる腸溶性重合体の量は、所望のリンカーの弱化または分解特性に基づいて選択できる。例えば、高分子リンカーは、約1%~約99%の腸溶性重合体、例えば、約1%~約5%の腸溶性重合体、約5%~約10%の腸溶性重合体、約10%~約20%の腸溶性重合体、約20%~約30%の腸溶性重合体、約30%~約40%の腸溶性重合体、約40%~約50%の腸溶性重合体、約50%~約60%の腸溶性重合体、約60%~約70%の腸溶性重合体、約70%~約80%の腸溶性重合体、約80%~約90%の腸溶性重合体または約90%~約99%の腸溶性重合体などを含むことができる。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは20%未満の腸溶性重合体を含む。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは15%未満の腸溶性重合体を含む。実施態様によっては、腸溶性リンカーは、10%未満の腸溶性重合体を含む。実施態様によっては、腸溶性リンカーは、80%以上の腸溶性重合体含む。実施態様によっては、腸溶性リンカーは、85%以上の腸溶性重合体含む。実施態様によっては、腸溶性リンカーは、90%超の腸溶性重合体含む。実施態様によっては、腸溶性リンカーは、約20%~約80%の腸溶性重合体を含む。
【0190】
実施態様によっては、腸溶性重合体は、(酢酸/コハク酸)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)を含む。例えば、実施態様によっては、高分子リンカーは約1%~約99%のHPMCAS、例えば、約1%~約5%のHPMCAS、約5%~約10%のHPMCAS、約10%~約20%のHPMCAS、約20%~約30%のHPMCAS、約30%~約40%のHPMCAS、約40%~約50%のHPMCAS、約50%~約60%のHPMCAS、約60%~約70%のHPMCAS、約70%~約80%のHPMCAS、約80%~約90%のHPMCASまたは約90%~約99%のHPMCASを含む。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは20%未満のHPMCASを含む。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは15%未満のHPMCAS含む。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは10%未満のHPMCASを含む。実施態様によっては、腸溶性リンカーは80%超のHPMCASを含む。実施態様によっては、腸溶性リンカーは85%超のHPMCAS含む。実施態様によっては、腸溶性リンカーは90%超のHPMCAS含む。実施態様によっては、腸溶性リンカーは約20%~約80%のHPMCAS含む。
【0191】
腸溶性重合体は、腸溶性リンカー中の1種以上の追加の重合体(例えば1種以上の担持重合体)と好ましくは均質な混合物に結合される。例えば、腸溶性重合体および追加のリンカー重合体を、混合物を押出し、押出された材料を高分子リンカーに対して所望のサイズに切断する前に、共に均質に混合してもよい。実施態様によっては、1種以上追加のリンカー重合体は、腸溶性重合体と混和性である。1種以上の追加のリンカー重合体は、非分解性重合体(すなわち、胃内環境または腸内環境、またはpH 1.6(胃環境を表す)もしくはpH 6.5(腸内環境を表す)の水溶液中で分解しない)でよい。
【0192】
直接隣接する部材への高分子リンカーの結合は、少なくとも1種の重合体が隣接する部材と腸溶性高分子リンカーの両方に共通であれば、改善される場合がある。すなわち、腸溶性リンカーにおける1種以上の追加のリンカー重合体の1つは、胃内滞留システムの直接隣接する部材(または必要なら、両方の直接隣接する部材)の少なくとも1種の重合体と同じ(または同じ重合体種)であってよい。例えば、腸溶性高分子リンカーが担持重合体含む構造部材に直接結合される場合、実施態様によっては、1種以上の追加のリンカー重合体はまた、同じまたは異なる濃度で(時間依存性高分子リンカー中のPLGAに加えて)担持重合体を含む。例示的な担持重合体には、本明細書に記載される他のもののうち、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、および熱可塑性ポリウレタン(TPU)が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0193】
実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーにおける1種以上の追加のリンカー重合体は、PLA、例えば、担持重合体に関して本明細書に記載されているようなPLAである。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは、重量で約99%以下、約98%以下、約95%以下、約90%以下、約85%以下、約80%以下、約75%以下、約70%以下、約65%以下、約60%以下、約55%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下、または約10%以下のPLAを含む。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは重量で約99%以上、約98%以上、約95%以上、約90%以上、約85%以上、約80%以上、約75%以上、約70%以上、約65%以上、約60%以上、約55%以上、約50%以上、約40%以上、約30%以上、約20%以上、または約10%以上のPLAを含む。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは、約0.1%~約10%のPLA、約10%~約20%のPLA、約20%~約30%のPLA、約30%~約40%のPLA、約40%~約50%のPLA、約50%~約60%のPLA、約60%~約70%のPLA、約70%~約80%のPLA、約80%~約90%のPLA、または約90%~約99.9%のPLAを含む。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは、約30%以下のPLAを含む。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは約70%以上のPLAを含む。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは約30%~約70%のPLAを含む。腸溶性重合体(例えばHPMCAS)は、PLAと共にさらに含まれ、腸溶性高分子リンカーの残部まで構成できるが、追加の薬剤(例えば可塑剤、着色剤、または他の薬剤)がさらに含まれる場合もある。
【0194】
実施態様によっては、腸溶性リンカーにおける1種以上追加のリンカー重合体はPCLを含む。腸溶性高分子リンカーは、胃内滞留システムの他の部材(例えば薬物と担体重合体と含む構造部材、結合部材、時間依存性高分子リンカー、または中心構造部材)に直接接合または結合してもよく、この部材はPCLを含んでいてもよく、これは腸溶性高分子リンカー中のものと同じPCLであっても、腸溶性高分子リンカー中のものとは異なるPCLでもよく、同じ濃度でも異なる濃度であってもよい。腸溶性高分子リンカー中のPCLと、腸溶性リンカーに直接接合または結合した他の部材とが異なる場合、例えば、PCLの重量平均分子量、PCLの固有粘度、またはPCLの割合(例えば、2種以上のPCL重合体をブレンドして使用する場合)などが異なる場合がある。
【0195】
実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは重量で約99%以下、約98%以下、約95%以下、約90%以下、約85%以下、約80%以下、約75%以下、約70%以下、約65%以下、約60%以下、約55%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下または約10%以下のPCLを含む。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは重量で約99%以上、約98%以上、約95%以上、約90%以上、約85%以上、約80%以上、約75%以上、約70%以上、約65%以上、約60%以上、約55%以上、約50%以上、約40%以上、約30%以上、約20%以上、または約10%以上のPCLを含む。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは約0.1%~約10%のPCL、約10%~約20%のPCL、約20%~約30%のPCL、約30%~約40%のPCL約40%~約50%のPCL、約50%~約60%のPCL、約60%~約70%のPCL、約70%~約80%のPCL、約80%~約90%のPCL、または約90%~約99.9%のPCLを含む。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは約30%以下のPLAを含む。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは約70%のPLAまたはそれ以上を含む。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは約30%~約70%のPCLを含む。腸溶性重合体(例えばHPMCAS)は、PCLと共にさらに含まれ、腸溶性高分子リンカーの残部まで構成できるが、追加の薬剤(例えば可塑剤、着色剤、または他の薬剤)がさらに含まれる場合もある)。
【0196】
実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーにおける1種以上追加のリンカー重合体はTPUを含む。腸溶性高分子リンカーは、胃内滞留システムの他の部材(例えば薬物と担持重合体含む構造部材、結合部材、時間依存性高分子リンカー、または中心構造部材)に直接接合または結合してもよく、この部材はTPUを含んでもよく、このTPUは腸溶性高分子リンカーにおけるものと同じTPUでも、腸溶性高分子リンカーにおけるものとは異なるTPUでもよく、同じ濃度でも異なる濃度であってもよい。腸溶性高分子リンカー中の異なるTPUと、腸溶性リンカーに直接接合または結合した他の部材とは、例えば、TPUの重量平均分子量、TPUの固有粘度、またはTPUの割合(例えば、2種以上のTPU重合体のブレンドを使用する場合)が異なっていてもよい。適切な市販TPU重合体には、Pathway(商標) TPU重合体(The Lubrizol Corporation)、Tecoflex(商標) (The Lubrizol Corporation)、Tecophilic(商標) (The Lubrizol Corporation)、Carbothane(商標) (The Lubrizol Corporation)、Texin(登録商標) (Covestro)およびNEUSoft(商標) (PolyOne)などが挙げられる。さらに、高分子リンカーに適した種類のTPU重合体としては、脂肪族TPU、脂肪族ポリエーテルTPU、芳香族TPU、ポリカーボネートポリウレタンなどを挙げることができる。
【0197】
実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは重量で約99%以下、約98%以下、約95%以下、約90%以下、約85%以下、約80%以下、約75%以下、約70%以下、約65%以下、約60%以下、約55%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下または約10%以下のTPUを含む。実施態様によっては、重量で腸溶性高分子リンカーは、約99%以上、約98%以上、約95%以上、約90%以上、約85%以上、約80%以上、約75%以上、約70%以上、約65%以上、約60%以上、約55%以上、約50%以上、約40%以上、約30%以上、約20%以上、または約10%以上のTPUを含む。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは約0.1%~約10%のTPU、約10%~約20%のTPU、約20%~約30%のTPU、約30%~約40%のTPU、約40%~約50%のTPU、約50%~約60%のTPU、約60%~約70%のTPU、約70%~約80%のTPU、約80%~約90%のTPU、または約90%~約99.9%のTPUを含む。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは約30%以下のTPUを含む。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは約70%以上のTPUを含む。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは約30%~約70%のTPUを含む。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは約30%~約70%のPLAを含む。腸溶性重合体(例えばHMPCAS)は、TPUと共にさらに含まれてもよく、腸溶性高分子リンカーの残部まで構成することができるが、追加の薬剤(例えば可塑剤、色吸収色素、または他の薬剤)がさらに含まれてもよい。
【0198】
実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは重量で1~40%、5~35%、10~30%、15~25%、18~22%、または20%のTPUを含んでもよい。
【0199】
腸溶性高分子リンカーは、1種以上の可塑剤をさらに含んでもよく、これは、押出高分子リンカー材料を所望のサイズに切断するのを助け、腸溶性高分子リンカーを胃内滞留システムの他の成分に結合または付着させるのを助けることができる。例示的な可塑剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)、クエン酸トリエチルブチル(TBC、セバシン酸ジブチル(DBS)、トリアセチン、クエン酸トリエチル(TEC)、ポロキサマー(例えば、Poloxamer 407、または「P407」)、またはコハク酸D-α-トコフェリルポリエチレングリコールがあるが、これらに制限されない。実施態様によっては、ポリエチレングリコールの分子量は、約200 Da~約8,000,000 Da(8000Kまたは8000 kDaとも呼ばれる)、例えば、約200 Da~約400 Da、約400 Da~約800 Da、約800 Da~約1600 Da、約1600 Da~約2500 Da、約2500 Da~約5000 Da,約5000 Da~約10K、約10K~約20K、約20K~約50K、約50K~約100K、約100K~約200K、約200K~約400K、約400K~約800K、約800K~約1000K、約1000K~約2000K、約2000K~約4000K、約4000K~約6000K、または約6000K~約8000Kである。実施態様によっては、高分子リンカーは最大20%の可塑剤、例えば、最大18%の可塑剤、最大15%の可塑剤、最大12%の可塑剤、最大10%の可塑剤、最大8%の可塑剤、最大6%の可塑剤、最大4%の可塑剤、最大3%の可塑剤、最大2%の可塑剤、または最大1%の可塑剤を含む。実施態様によっては、高分子リンカーは約0.5%~約15%の可塑剤、例えば、約0.5%~約1%、約1%~約2%、約2%~約3%、約3%~約5%、約5%~約7%、約7%~約10%、約10%~約12%、約12%~約15%、約15%~約18%、または約18%~約20%の可塑剤を含む。
【0200】
実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは色吸収色素(着色剤または顔料とも呼ばれる)を含む。色吸収色素は、他の胃内滞留システム部品への高分子リンカーの結合または付着を強化するために含まれてもよい。色吸収色素は、レーザー溶着、赤外線溶着、または他の熱誘発性付着の間に熱を吸収でき、これにより、得られる結合の引張強度が増加する。例示的な色吸収染料には、酸化鉄およびカーボンブラックが含まれる。腸溶性高分子リンカーは、最大約5%、例えば最大約4%、最大約3%、最大約2%、最大約1%、最大約0.5%、最大約0.3%、最大約0.2%、または最大約0.1%の量の色吸収性色素を含んでもよい。
【0201】
腸溶性高分子リンカーは、必要に応じて1種以上の追加の賦形剤を含む。例えば、腸溶性高分子リンカーは、ポロゲン、具体的には、糖(例えば、ラクトース、スクロース、グルコース)、塩(例えば、NaCl)、デンプングリコール酸ナトリウム(SSG)、または他の任意の適切な物質を含んでもよい。ポロゲンは、水性環境において迅速に溶解してもよく、これにより、水溶液は、高分子リンカーの内側部分との接触を促進できる。他の賦形剤としては、ビタミンEコハク酸塩またはケイ化二酸化ケイ素(例えば、Cab-O-Sil)などの流動助剤を挙げることができ、これらは、押出前の材料の取り扱いを容易にするために重合体ブレンドに含まれることがある。
【0202】
実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは約30%~約80%のHPMCASおよび約20%~約70%の担持重合体(例えばTPUまたはPCL)を含む。必要なら、腸溶性高分子リンカーは、プロピレングリコール(例えば、約10%~約14%のプロピレングリコール)をさらに含む。
【0203】
実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは約55%~約65%(例えば約60%)のHPMCASおよび約35%~約45%(例えば約40%)の担持重合体(例えばTPUまたはPCL)を含む。
【0204】
実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは約35%~約45%(例えば約40%)のHPMCAS、約45%~約55%(例えば約50%)の担持重合体(例えばTPUまたはPCL)、およびプロピレングリコール(例えば約8%~約12%のプロピレングリコール、具体的には約10%のプロピレングリコール)を含む。
【0205】
実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは約43%~約53%(例えば約48%)のHPMCAS、約35%~約45%(例えば約40%)の担持重合体(例えばTPUまたはPCL)、およびプロピレングリコール(例えば約10%~約14%プロピレングリコール、具体的には約12%プロピレングリコール)を含む。
【0206】
実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは約51%~約61%(例えば約56%)のHPMCAS、約25%~約35%(例えば約30%)の担持重合体(例えばTPUまたはPCL)、およびプロピレングリコール(例えば約12%~約16%プロピレングリコール、具体的には約14%プロピレングリコール)を含む。
【0207】
実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは約52%~約62%(例えば約57%)のHPMCAS、約35%~約45%(例えば約40%)の担持重合体(例えばTPUまたはPCL)、およびプロピレングリコール(例えば約1%~約5%のプロピレングリコール、具体的には約3%のプロピレングリコール)を含む。
【0208】
実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは約49%~約59%(例えば約54%)のHPMCAS、約35%~約45%(例えば約40%)の担持重合体(例えばTPUまたはPCL)、およびプロピレングリコール(例えば約4%~約8%のプロピレングリコール、具体的には約6%のプロピレングリコール)を含む。
【0209】
実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは約45%~約55%(例えば約50%)のHPMCASおよび約45%~約55%(例えば約55%)の担持重合体(例えばTPUまたはPCL)を含む。必要に応じて、腸溶性高分子リンカーは、酸化鉄、例えば約0.01%~約0.2%(具体的には約0.05%~約0.1%)の酸化鉄をさらに含む。
【0210】
実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは約55%~約65%(例えば約60%)のHPMCASおよび約35%~約45%(例えば約40%)の担持重合体(例えばTPUまたはPCL)を含む。必要に応じて、腸溶性高分子リンカーは、酸化鉄、例えば約0.01%~約0.2%(具体的には約0.05%~約0.1%)の酸化鉄をさらに含む。
【0211】
実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは約53%~約63%(例えば約58%)のHPMCAS、約33%~約43%(例えば約38%)の担持重合体(例えばTPUまたはPCL)、および約2%~約6%(例えば約4%)のポリエチレングリコール(例えばポリエチレングリコール100K)を含む。必要に応じて、腸溶性高分子リンカーは、酸化鉄をさらに含み、例えば約0.01%~約0.2%(具体的には約0.05%~約0.1%)の酸化鉄を含む。
【0212】
実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは約31%~約41%(例えば約36%)のHPMCAS、約31%~約41%(例えば約36%)の担持重合体(例えばTPUまたはPCL)、および約23%~約33%(例えば約28%)のTECを含む。必要に応じて、腸溶性高分子リンカーは、酸化鉄をさらに含み、例えば約0.01%~約0.2%(具体的には約0.05%~約0.1%)の酸化鉄を含む。
【0213】
実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは約59%~約69%(例えば約64%)のHPMCAS、約29%~約39%(例えば約34%)の担持重合体(例えばTPUまたはPCL)、および約1%~約3%(例えば約2%)のポロキサマー(例えばP407)を含む。必要に応じて、腸溶性高分子リンカーは、酸化鉄をさらに含み、例えば約0.01%~約0.2%(具体的には約0.05%~約0.1%)の酸化鉄を含む。
【0214】
実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは約59%~約69%(例えば約64%)のHPMCAS、約29%~約39%(例えば約34%)の担持重合体(例えばTPUまたはPCL)および約1%~約3%(例えば約2%)のポリエチレングリコール(例えばポリエチレングリコール100K)を含む。必要に応じて、腸溶性高分子リンカーは、酸化鉄をさらに含み、例えば約0.01%~約0.2%(具体的には約0.05%~約0.1%)酸化鉄を含む。
【0215】
実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは約65%~約75%(例えば約70%)のHPMCASおよび約25%~約35%(例えば約30%)の担持重合体(例えばTPUまたはPCL)を含む。必要に応じて、腸溶性高分子リンカーは、酸化鉄、例えば約0.01%~約0.2%(具体的には約0.05%~約0.1%)酸化鉄をさらに含む。
【0216】
実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは約79%~約89%(例えば約84%)のHPMCAS、約9%~約19%(例えば約14%)の担持重合体(例えばTPUまたはPCL)、および約1%~約3%(例えば約2%)のポリエチレングリコール(例えばポリエチレングリコール100K)を含む。必要に応じて、腸溶性高分子リンカーは、酸化鉄をさらに含み、例えば約0.01%~約0.2%(具体的には約0.05%~約0.1%)の酸化鉄を含む。
【0217】
実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは約70%~約80%(例えば約75%)のHPMCAS、約10%~約20%(例えば約15%)の担持重合体(例えばTPUまたはPCL)、および約5%~約15%(例えば約10%)のTECを含む。必要に応じて、腸溶性高分子リンカーは、酸化鉄をさらに含み、例えば約0.01%~約0.2%(具体的には約0.05%~約0.1%)の酸化鉄を含む。
時間依存性兼腸溶性の二機能高分子リンカー
【0218】
実施態様によっては、胃内滞留システムは時間依存性および腸溶性の両方の機能を有する高分子リンカーを含む。すなわち、時間依存性兼腸溶性の二機能高分子リンカーは、胃環境および腸環境の両方で弱化または分解するが、リンカーの弱化および分解は、胃環境よりも腸環境においてより速い。この種のリンカーは、例えば、例えばPLGAのpH非依存性分解性重合体とHPMCASなどの腸溶性重合体の混合物を含むことで得られる。
【0219】
例えば、実施態様によっては、高分子リンカーはpH 6.5のFaSSIFなどの水溶液中で、37℃で12時間恒温放置した後、その曲げ弾性率の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上を失うか破断し、pH 1.6のFaSSGFなどの水溶液中で37℃12時間恒温放置した後、その曲げ弾性率の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上を保持し、pH 1.6のFaSSGFなどの水溶液中で37℃7日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上を失う。実施態様によっては、pH 6.5のFaSSIFなどの水溶液中で37℃24時間恒温放置した後、高分子リンカーは、その曲げ弾性率の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上を失うか破断し、pH 1.6 のFaSSGFなどの水溶液中で37℃24時間恒温放置後の恒温放置した後、その曲げ弾性率の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上を保持し、またpH 1.6のFaSSGFなどの水溶液中で37℃7日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上を失う。
【0220】
実施態様によっては、時間依存性兼腸溶性の二機能高分子リンカーは、初期曲げ弾性率が、約100 MPa~約2500 MPa、例えば、約100 MPa~約2500 MPa、約100 MPa~約250 MPa。約250 MPa~約500 MPa、約500 MPa~約750 MPa、約750 MPa~約1000 MPa、約1000 MPa~約1250 MPa、約1250 MPa~約1500 MPa、約1500 MPa~約2000 MPa、または約2000 MPa~約2500 MPaである。
【0221】
実施態様によっては、時間依存性兼腸溶性の二機能高分子リンカーは、PLGAを含む。時間依存性兼腸溶性の二機能高分子リンカーに含まれるPLGAの例は、時間依存性高分子リンカーに関連して上述したとおりである。実施態様によっては、時間依存性兼腸溶性の二機能高分子リンカーは、重量で約60%以下、約55%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下、または約10%以下のPLGAを含む。実施態様によっては、時間依存性兼腸溶性の二機能高分子リンカーは、重量で約50%以上、約40%以上、約30%以上、約20%以上、または約10%以上のPLGAを含む。実施態様によっては、時間依存性兼腸溶性の二機能高分子リンカーは、約5%~約60%のPLGA、例えば、約5%~約10%のPLGA、約10%~約20%のPLGA、約20%~約30%のPLGA、約30%~約40%のPLGA、約40%~約50%のPLGA、または約50%~約60%のPLGAを含む。
【0222】
実施態様によっては、時間依存性兼腸溶性の二機能高分子リンカーは、重量で約60%以下、約55%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下、または約10%以下のHPMCASなどの腸溶性重合体を含む。実施態様によっては、時間依存性兼腸溶性の二機能高分子リンカーは、重量で約50%以上、約40%以上、約30%以上、約20%以上、または約10%以上のPLGAを含む。実施態様によっては、時間依存性兼腸溶性の二機能高分子リンカーは、約5%~約60%のHPMCASなどの腸溶性重合体、例えば、約5%~約10%、約10%~約20%、約20%~約30%、約30%~約40%、約40%~約50%、または約50%~約60%のHPMCASなどの腸溶性重合体を含む。
【0223】
実施態様によっては、時間依存性兼腸溶性の二機能高分子リンカーは、約40%~約80%のHPMCASおよび約20%~約60%のPLGAを含む。必要に応じて、高分子リンカーは、例えば約5%~約40%の担持重合体(例えばPLA、TPU、またはPCL)をさらに含む。
構造部材
【0224】
胃内滞留システムは、1つ以上の構造部材(たとえば「アーム」)を含み、この構造部材は、1種以上の高分子リンカー(たとえば、時間依存性高分子リンカー、腸溶性高分子リンカー、時間依存性高分子リンカーおよび腸溶性高分子リンカーの両方、または時間依存性かつ腸溶性の二面性の高分子リンカー)を介して第2の部材(たとえば中心部材であり、中心部材は弾性体部材であってもよい)に取り付けられている。構造部材は、担持重合体および薬剤(薬物など)を含む。実施態様によっては、構造部材は複数のセグメントに分割されている。たとえば、構造部材は、1つ以上の活性セグメント(たとえば、薬剤を含むセグメント)および1つ以上の不活性セグメントを含んでもよい。2つ以上の活性セグメントを有する実施態様は、同一または異なる活性セグメント(たとえば、第1の薬剤を含む第1の活性セグメントおよび第2の薬剤を含む第2の活性セグメント)を有してもよい。実施態様によっては、活性セグメントおよび不活性セグメントは一般的な担持重合体または一般的な種類の担持重合体を含む。
【0225】
胃内滞留システムのセグメントおよびアームは、円形の断面(この場合、セグメントは円柱状)、多角形の断面(三角形の断面、長方形の断面、もしくは正方形の断面を有するセグメントなど)、またはパイ形の断面(この場合、セグメントは円柱の断片である)を有してもよい。生体内での安全性を高めるために、多角形またはパイ形の断面を持つセグメント、および胃組織と接触する円柱状の断片の端の鋭い辺に丸みをつけて、丸みを帯びた角および辺にしてもよい。すなわち、交差する辺または面の間を鋭角状に移行するのではなく、弧を用いて、ある辺または面から別の辺または面に移行する。したがって、「三角形の断面」は、概ね三角形の形状、たとえば角が丸みを帯びた三角形の断面を包含する。三角形の断面を持つアームは辺に丸みをつけたアームを包含し、アームの端の角は丸みを帯びている。丸みを帯びた角および辺を、面取り角、面取りされた角、面取り辺、または面取りされた辺ともいう。セグメントおよびアームの断面は、アームを第2の(たとえば中心)部材に取り付けるのに使用される1種以上の高分子リンカーの断面と一致してもよい。
担持重合体-薬剤セグメント(薬剤溶出性セグメント)
【0226】
担持重合体-薬剤セグメントまたは薬剤溶出セグメントは、胃内滞留システムが胃内に存在する期間中、制御された方法で薬剤を放出する。担持重合体を薬剤とブレンドしてセグメントに形成し、その後、本明細書に記載される他の部品と組み立てて胃内滞留システムを製造する。この混合物を、システムにおいて担持重合体-薬剤部品として使用するための所望の形状に形成することができる。薬剤を担持重合体に混ぜ合わせて担持重合体-薬物混合物を形成した後、混ぜ合わせられた混合物全体に薬物または薬物塩を分配あるいは分散する。賦形剤、酸化防止剤、または他の成分を担持重合体-薬物配合物に含ませる場合、混ぜ合わせられた混合物全体にそれらも分配あるいは分散する。
【0227】
担持重合体-薬剤セグメントに含めてもよい担持重合体の例を本明細書でさらに詳細に説明する。
【0228】
胃腸管に投与あるいは胃腸管を介して投与することができる薬剤を本発明の胃内滞留システムに使用することができる。薬剤を担持重合体、および担持重合体の任意の賦形剤または他の添加剤と混ぜ合わせ、胃内滞留システムに使用するセグメントに形成する。薬剤としては、薬物、プロドラッグ、生物学的製剤、および病気または傷害に対して有益な効果を生むために投与することができるその他の任意の物質が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の胃内滞留システムに使用することができる薬剤としては、ロスバスタチンなどのスタチン;メロキシカムなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAID);エスシタロプラム、シタロプラムなどの選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI);クロピドグレルなどの抗凝血剤;プレドニゾンなどのステロイド;アリピプラゾール、リスペリドンなどの抗精神病薬;ブプレノルフィンなどの鎮痛薬;ナロキソンなどのオピオイド拮抗薬;モンテルカストなどの抗喘息薬;メマンチンなどの抗認知症薬;ジゴキシンなどの強心配糖体;タムスロシンなどのアルファ遮断薬;エゼチミブなどのコレステロール吸収阻害剤;コルヒチンなどの抗痛風治療薬;ロラタジン、セチリジンなどの抗ヒスタミン薬;ロペラミドなどのオピオイド;オメプラゾールなどのプロトンポンプ阻害剤;エンテカビルなどの抗ウイルス剤;ドキシサイクリン、シプロフロキサシン、アジスロマイシンなどの抗生剤;抗マラリア剤;レボチロキシン;メタドン、バレニクリンなどの薬物乱用治療薬;避妊薬;カフェインなどの刺激物質;ならびに葉酸、カルシウム、ヨウ素、鉄、亜鉛、チアミン、ナイアシン、ビタミンC、ビタミンD、ビオチン、植物抽出物、植物ホルモン、その他のビタミンやミネラルなどの栄養素が挙げられる。本発明の胃内滞留システムにおいて薬剤として使用することができる生物学的製剤としては、タンパク質、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、およびホルモンが挙げられる。薬剤の例示的なクラスには、鎮痛剤、抗痛剤、抗炎症剤、抗うつ剤、抗てんかん剤、抗精神病剤、神経保護剤、抗癌剤などの抗増殖剤、抗ヒスタミン剤、抗片頭痛剤、ホルモン、プロスタグランジン、抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗寄生虫剤などの抗菌剤、抗ムスカリン剤、抗不安剤、静菌剤、免疫抑制剤、鎮静剤、催眠剤、抗精神病薬、気管支拡張剤、抗喘息薬、循環器系薬剤、麻酔薬、抗凝固剤、酵素阻害剤、ステロイド剤、ステロイドまたは非ステロイド系抗炎症剤、副腎皮質ホルモン、ドーパミン作動薬、電解質、胃腸薬、筋弛緩剤、栄養剤、ビタミン、副交感神経刺激剤、興奮剤、鎮痛剤、抗不随意運動薬 および抗マラリア薬(キニーネ、ルメファントリン、クロロキン、アモジアキン、ピリメタミン、プログアニル、クロルプログアニル・ダプソン、スルホンアミド(スルファドキシン、スルファメトキシピリダジンなど)、メフロキン、アトバコン、プリマキン、ハロファントリン、ドキシサイクリン、クリンダマイシン、アルテミシニン、およびアルテミシニン誘導体(アルテメター、ジヒドロアルテミシニン、アルテエーテル、アルテスネートなど)が含まれるが、これらに限定されない。用語「薬剤」は、前述の物質の塩、溶媒和物、多形体、および共結晶を含む。特定の実施態様によっては、薬剤は、セチリジン、ロスバスタチン、エスシタロプラム、シタロプラム、リスペリドン、オランザピン、ドネペジル、およびイベルメクチンを含む群から選択される。別の実施態様によっては、薬剤は、抗精神病薬、またはメマンチンなどの抗認知症薬など、神経精神疾患の治療に使用されるものである。
【0229】
実施態様によっては、薬剤またはその塩(例えば、薬物)は、アームまたはセグメントの重量で約10%~約40%を占め、したがって、担持重合体および担持重合体に配合されるアームまたはセグメントの他の成分は、共にアームまたはセグメントの残部の重量を構成する。実施態様によっては、薬剤またはその塩は、重量でアームまたはセグメントの約10%~約35%、約10%~約30%、約10%~約25%、約10%~約20%、約10%~約15%、約15%~約40%、約20%~約40%、約25%~約40%、約30%~約40%、約35%~約40%、15%~約35%、約20%~約35%または約25%~約40%を構成する。
【0230】
他の賦形剤を担持重合体に添加して、薬剤の放出を調節してもよい。そのような賦形剤を、約1%~15%、好ましくは約5%~10%、より好ましくは約5%または約10%の量で添加してもよい。このような賦形剤の例としては、Poloxamer 407 (Kolliphor P407として入手可能、Sigmaカタログ番号62035)、ポリエチレングリコール-block-ポリプロピレングリコール-block-ポリエチレングリコール、CAS番号9003-11-6;H-(OCH2CH2)x-(O-CH(CH3)CH2)y-(OCH2CH2)z-OH (xおよびzは約101であり、yは約56である);Pluronic P407;Eudragit E、Eudragit EPO(Evonikから入手可能);ヒプロメロース(Sigmaから入手可能、カタログ番号H3785)、Kolliphor RH40(Sigmaから入手可能、カタログ番号07076)、ポリビニルカプロラクタム、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール(PEG)、およびSoluplus(BASFから入手可能、ポリビニルカプロラクタム、ポリ酢酸ビニル、およびポリエチレングリコールの共重合体)が挙げられる。好ましい可溶性賦形剤には、Eudragit E、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、およびポリビニルアルコール(PVA)が含まれる。好ましい不溶性賦形剤には、Eudragit RSおよびEudragit RLが含まれる。好ましい不溶性膨潤性賦形剤としては、クロスポビドン、クロスカルメロース、酢酸コハク酸ヒプロメロース(HPMCAS)、およびカーボポールが挙げられる。EUDRAGIT RSおよびEUDRAGIT RLは、Evonik(Darmstadt、ドイツ)のアクリル酸エチル、メタクリル酸メチルおよび第4級アンモニウム基を有するメタクリル酸エステル(メタクリル酸トリメチルアンモニオエチル塩化物)の共重合体の登録商標で、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸トリメチルアンモニウムニオエチルのモル比は、EUDRAGIT RLで約1:2:0.2、Eudragit(登録商標) RSでは約1:2:0.1である。好ましい不溶性で膨潤性の賦形剤としては、クロスポビドン、クロスカルメロース、酢酸コハク酸ヒプロメロース(HPMCAS)、カーボポール、およびジオキサノンとエチレングリコールの線状ブロック共重合体、ラクチドとエチレングリコールの線状ブロック共重合体、ラクチド、エチレングリコール、炭酸トリメチル、およびカプロラクトンの線状ブロック共重合体;ラクチド、グリコリド、およびエチレングリコールの線状ブロック共重合体;グリコリド、ポリエチレングリコール、およびエチレングリコールの線状ブロック共重合体、例えば、ジオキサノン(80%)とエチレングリコール(20%)の線状ブロック共重合体、ラクチド(60%)とエチレングリコール(40%)の線状ブロック共重合体;ラクチド(68%)、エチレングリコール(20%)、炭酸トリメチル(10%)、およびカプロラクトン(2%)の線状ブロック共重合体、ラクチド(88%)、グリコリド(8%)、エチレングリコール(4%)の線状ブロック共重合体、ならびにグリコリド(67%)、ポリエチレングリコール(28%)、エチレングリコール(5%)の線状ブロック共重合体が挙げられる。
不活性セグメント
【0231】
胃内滞留システムのアームは、薬剤を含まない、あるいは実質的に含まない1つ以上の不活性セグメントを含んでもよい。薬剤を「実質的に含まない」は、薬剤が存在しないこと、あるいは、隣接部材からの拡散もしくは隣接部材との結合、または胃内滞留システムの通常の取扱い、包装、もしくは保管により存在し得る微量の薬剤は存在するが、不活性セグメントの形成に用いられる重合体または他の材料には薬剤は含まれないことを意味する。
【0232】
不活性セグメントは担持重合体を含んでもよく、これは、本明細書に記載の活性な担持重合体-薬剤セグメントまたは1種以上の高分子リンカーに用いられるのと同じ担持重合体(もしくは同じ種類の担持重合体)であっても異なる担持重合体(もしくは異なる種類の担持重合体)であってもよい。模範的な担持重合体を本明細書にさらに記載する。実施態様によっては、不活性セグメントに含まれる担持重合体は熱可塑性ポリウレタン(TPU)である。実施態様によっては、不活性セグメントに含まれる担持重合体はポリカプロラクトン(PCL)である。
担持重合体
【0233】
好ましくは、担持重合体は以下の性質を持つ。ホットメルト押出または3D印刷技術を用いる押出ができるように、担持重合体は熱可塑性であるべきである。また、求められる形状に押出できるように、担持重合体は十分に高い溶融強度および粘度を有するべきである。製造中に薬剤または薬物が高温にさらされるのを避けるために、担持重合体は低い融点を有するべきである(たとえば、約120℃未満)。所望の滞留期間の間、胃内で破断するのを避けるために、担持重合体は十分な機械的強度(ヤング率、圧縮強度、引張強度)を有するべきである。担持重合体は、薬剤、治療薬、薬物、賦形剤、分散剤、および他の添加剤との安定な配合物を形成することができるべきである。
【0234】
本発明に用いるのに適した模範的な担持重合体としては、限定されないが、親水性セルロース誘導体(たとえば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ナトリウム-カルボキシメチルセルロース)、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルピロリドン、エチレン/ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、カルボキシビニル重合体(カルボマー)、Carbopol(登録商標) 酸性カルボキシ重合体、ポリカルボフィル、ポリエチレンオキシド(Polyox WSR)、多糖類およびその誘導体、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコール、キトサン、アルギン酸塩、ペクチン、アカシア、トラガカンス、グアーガム、ローカストビーンガム、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、デキストラン、天然ガム、寒天、アガロース、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、フコイダン、フルセララン、ラミナラン、イバラノリ属、キリンサイ属、アラビアガム、ガティガム、カラヤガム、アルビノガラクタン、アミロペクチン、ゼラチン、ジェラン、ヒアルロン酸、プルラン、スクレログルカン、キサンタン、キシログルカン、無水マレイン酸共重合体、エチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリメタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸アンモニオ共重合体(Eudragit RLまたはEudragit RSなど)、ポリ(アクリル酸エチル-メタクリル酸メチル)(Eudragit NE)、Eudragit E(メタクリル酸ジメチルアミノエチルおよび中性メチルアクリル酸エステルに基づく陽イオン性共重合体)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチルなどのポリメタクリル酸/ポリエタクリル酸エステル、ポリカプロラクトンなどのポリラクトン、ポリ[ビス-(p-カルボキシフェノキシ)-プロパン無水物]、ポリテレフタル酸無水物などのポリ無水物、ポリリジン、ポリグルタミン酸などのポリペプチド、DETOSUとジオール(たとえばヘキサンジオール、デカンジオール、シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコールなど)との共重合体などのポリ(オルトエステル)(米国特許第4,304,767号に記載・開示されるポリオルトエステルは参照により本明細書に組み込まれる)、デンプン、特にアルファ化デンプン、およびデンプン系の重合体、カルボマー、マルトデキストリン、アミロマルトデキストリン、デキストラン、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)、ポリエチレンイミン、ポリウレタン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)、ポリヒドロキシアルカノアート、ポリヒドロキシブチラート、ならびにそれらの共重合体、混合物、配合物、および組合せが挙げられる。ポリカプロラクトン(PCL)が好ましい担持重合体である。別の実施態様では、ポリジオキサノンを担持重合体として用いる。胃内滞留システムの実施態様のいずれかにおいて、胃内滞留システムに用いられる担持重合体は、ポリカプロラクトン、たとえば約60キロダルトン(kDa)~約100 kDa、75 kDa~85 kDa、または約80 kDa、または約45 kDa~約55 kDa、または約50k Da~約110,000 kDa、または約80 kDa~約110,000kDaの数平均分子量(Mn)範囲を有する線状ポリカプロラクトンを含んでもよい。
【0235】
実施態様によっては、担持重合体はポリ乳酸(PLA)を含む。PLAはポリ(L-ラクチド)、ポリ(D-ラクチド)、ポリ(D,L-ラクチド)、またはそれらの組合せもしくはそれらの共重合体(L-ラクチド/D,L-ラクチド共重合体(PLDL)もしくはL-ラクチド/D-ラクチド共重合体 (PLD)など)を含んでもよく、それらから本質的になってもよく、あるいはそれらからなってもよい。実施態様によっては、このPLAの固有粘度(CHCl3中25℃で測定)は、約0.1 dl/g~約6.5 dl/g、たとえば、約0.1 dl/g~約0.15 dl/g、約0.15 dl/g~約0.25 dl/g、約0.25 dl/g~約0.5 dl/g、約0.5 dl/g~約0.75 dl/g、約0.75 dl/g~約1.0 dl/g、約1.0 dl/g~約1.25 dl/g、約1.25 dl/g~約1.5 dl/g、約1.5 dl/g~約2.0 dl/g、約2.0~約2.5 dl/g、約2.5 dl/g~約3.0 dl/g、約3.0 dl/g~約3.5 dl/g、約3.5 dl/g~約4.0 dl/g、約4.0 dl/g~約4.5 dl/g、約4.5 dl/g~約5.0 dl/g、約5.0 dl/g~約5.5 dl/g、約5.5 dl/g~約6.0 dl/g、または約6.0 dl/g~約6.5 dl/gである。実施態様によっては、PLDL共重合体中のL-ラクチド単量体のD,L-ラクチド単量体に対する比は、約5:95~約95:5、たとえば、約5:95~約10:90、約10:90~約20:80、約20:80~約35:65、約35:65~約50:50、約50:50~約65:35、約65:35~約80:20、約80:20~約90:10、または約90:10~約95:5の範囲である。実施態様によっては、PLD共重合体中のL-ラクチド単量体のD-ラクチド単量体に対する比は、約5:95~約95:5、たとえば、約5:95~約10:90、約10:90~約20:80、約20:80~約35:65、約35:65~約50:50、約50:50~約65:35、約65:35~約80:20、約80:20~約90:10、または約90:10~約95:5の範囲である。実施態様によっては、PLAは0.9 dl/g~1.2 dl/gの固有粘度(CHCl3中25℃で測定)を持つポリ(L-ラクチド)(たとえば、Purasorb(登録商標) PL10の商品名で販売されている重合体)を含む。実施態様によっては、PLAは1.5 dl/g~2.0 dl/gの固有粘度(CHCl3中25℃で測定)を持つポリ(L-ラクチド)(たとえば、Purasorb(登録商標) PL18の商品名で販売されている重合体)を含む。実施態様によっては、PLAは2.0 dl/g~2.7 dl/gの固有粘度(CHCl3中25℃で測定)を持つポリ(L-ラクチド)(たとえば、Purasorb(登録商標) PL24の商品名で販売されている重合体)を含む。実施態様によっては、PLAは2.7 dl/g~3.6 dl/gの固有粘度(CHCl3中25℃で測定)を持つポリ(L-ラクチド)(たとえば、Purasorb(登録商標) PL32の商品名で販売されている重合体)を含む。実施態様によっては、PLAは3.2 dl/g~4.3 dl/gの固有粘度(CHCl3中25℃で測定)を持つポリ(L-ラクチド)(たとえば、Purasorb(登録商標) PL38の商品名で販売されている重合体)を含む。実施態様によっては、PLAは4.3 dl/g~5.5 dl/gの固有粘度(CHCl3中25℃で測定)を持つポリ(L-ラクチド)(たとえば、Purasorb(登録商標) PL49の商品名で販売されている重合体)を含む。実施態様によっては、PLAは5.5 dl/g~7.5 dl/gの固有粘度(CHCl3中25℃で測定)を持つポリ(L-ラクチド)(たとえば、Purasorb(登録商標) PL65の商品名で販売されている重合体)を含む。実施態様によっては、PLAは2.0 dl/g~2.8 dl/gの固有粘度(CHCl3中25℃で測定)を持つポリ(D-ラクチド)(たとえば、Purasorb(登録商標) PD24の商品名で販売されている重合体)を含む。実施態様によっては、PLAは3.2 dl/g~4.3 dl/gの固有粘度(CHCl3中25℃で測定)を持つポリ(D-ラクチド)(たとえば、Purasorb(登録商標) PD38の商品名で販売されている重合体)を含む。実施態様によっては、PLAは0.4 dl/g~0.6 dl/gの固有粘度(CHCl3中25℃で測定)を持つポリ(D,L-ラクチド)(たとえば、Purasorb(登録商標) PDL05の商品名で販売されている重合体)を含む。実施態様によっては、PLAは1.6 dl/g~2.4 dl/gの固有粘度(CHCl3中25℃で測定)を持つポリ(D,L-ラクチド)(たとえば、Purasorb(登録商標) PDL20の商品名で販売されている重合体)を含む。実施態様によっては、PLAは3.5 dl/g~5.5 dl/gの固有粘度(CHCl3中25℃で測定)を持つポリ(D,L-ラクチド)(たとえば、Purasorb(登録商標) PDL45の商品名で販売されている重合体)を含む。実施態様によっては、PLAは約70:30のL-ラクチド:D,L-ラクチド比、2.0 dl/g~2.8 dl/gの固有粘度(CHCl3中25℃で測定)を持つPLDL(たとえば、Purasorb(登録商標) PLDL 7024の商品名で販売されている重合体)を含む。実施態様によっては、PLAは約70:30のL-ラクチド:D,L-ラクチド比、2.3 dl/g~3.3 dl/gの固有粘度(CHCl3中25℃で測定)を持つPLDL(たとえば、Purasorb(登録商標) PLDL 7028の商品名で販売されている重合体)を含む。実施態様によっては、PLAは約70:30のL-ラクチド:D,L-ラクチド比、3.3 dl/g~4.3 dl/gの固有粘度(CHCl3中25℃で測定)を持つPLDL(たとえば、Purasorb(登録商標) PLDL 7038の商品名で販売されている重合体)を含む。実施態様によっては、PLAは約70:30のL-ラクチド:D,L-ラクチド比、5.5 dl/g~6.5 dl/gの固有粘度(CHCl3中25℃で測定)を持つPLDL(たとえば、Purasorb(登録商標) PLDL 7060の商品名で販売されている重合体)を含む。実施態様によっては、PLAは約80:20のL-ラクチド:D,L-ラクチド比、3.3 dl/g~4.3 dl/gの固有粘度(CHCl3中25℃で測定)を持つPLDL(たとえば、Purasorb(登録商標) PLDL 8038の商品名で販売されている重合体)を含む。実施態様によっては、PLAは約80:20のL-ラクチド:D,L-ラクチド比、5.2 dl/g~6.3 dl/gの固有粘度(CHCl3中25℃で測定)を持つPLDL(たとえば、Purasorb(登録商標) PLDL 8058の商品名で販売されている重合体)を含む。
【0236】
実施態様によっては、担持重合体はPCLである。たとえば、実施態様によっては、PCLは、約1.5~約1.9 dl/gの固有粘度を有する(たとえば、商品名Purasorb(登録商標) PC 17で販売されている、Corbionから入手可能なPCL)である。
第2の構造部材および中心部材
【0237】
構造部材は、第2の構造部材、たとえば中心部材に取り付けられる。すなわち、1つ以上の構造部材が中心部材からたとえば星状体の構成で放射状に広がっていてもよい。第2の構造部材または中心部材は弾性体部材であってもよい。これにより、胃内滞留システムは折り畳まれた縮小構成(たとえば胃内滞留システムの送達中)および拡張構成(たとえば胃内滞留中)の間で構成することができる。
【0238】
この弾性体部材を弾性体重合体で作製してもよい。弾性体重合体は一般には腸溶性重合体ではないが、望ましくかつ実用的である場合には、中心弾性体重合体をこのような腸溶性重合体で作製してもよい。
【0239】
弾性体部材の押込み硬度は剤形の折り畳み力と、それが胃内に留まるかどうかを決定する。好ましい範囲は約60~約90Aである。圧縮構成でカプセル内に保存したときに胃内滞留システムが永久変形しないように、圧縮永久ひずみは可能な限り低くすべきである。好ましい範囲は約10%~約20%の範囲である。これらの要件を満たす材料はDow Corningの液体シリコーンゴムのQP1シリーズである。中心弾性体を有する任意の実施態様でQP1-270 (押込み硬度70A)液体シリコーンゴムを用いることができる。
【0240】
弾性体(弾性重合体、弾性体重合体、または張力重合体ともいう)により、胃内滞留システムを(たとえば折り畳む、あるいは押し込めることで)圧縮し、圧縮されたシステムを含む容器またはカプセルの嚥下による胃への投与に適した形態にすることができる。カプセルが胃内で溶けると、胃内滞留システムは拡張し、所望のシステム滞留期間の間、システムが患者の幽門括約筋を通過できないような形状になる。したがって、弾性体は、妥当な貯蔵寿命の間カプセル内に圧縮構成で保存することができ、カプセルから放出されると元の形状またはほぼ元の形状に拡張することができなければならない。一実施態様では、弾性体はシリコーン弾性体である。一実施態様では、弾性体は液体シリコーンゴム(LSR)、たとえばDow Corning QP-1液体シリコーンゴムキットで販売されているものなどで形成される。一実施態様では、弾性体は、架橋ポリカプロラクトンである。一実施態様では、弾性体は腸溶性重合体、たとえば腸溶性重合体の表(表1)に列挙されているものなどである。実施態様によっては、システムに用いられる連結重合体も弾性体である。弾性体は、胃内滞留システムの星形すなわち星状体設計の中心重合体としての使用に好ましい。
【0241】
使用することができる弾性体の例としては、Dow Corning QP-1キットを使用して形成されたものなどのシリコーン、ウレタン架橋ポリカプロラクトン、ポリ(アクリロイル6-アミノカプロン酸)(PA6ACA)、ポリ(メタクリル酸-co-アクリル酸エチル)(EUDRAGIT L 100-55)、およびポリ(アクリロイル6-アミノカプロン酸)(PA6ACA)とポリ(メタクリル酸-co-アクリル酸エチル)(EUDRAGIT L 100-55)の混合物が挙げられる。
他の結合部材
【0242】
胃内滞留システムの各部品は、直接または1つ以上の結合部材を介して取り付けられる。結合部材は不活性(すなわち、薬剤を含まないまたは実質的に含まない)でもよいが、担持重合体を含んでもよく、これは、隣接する部材(またはセグメント)に含まれる担持重合体と同じ(または同種)であっても、隣接する部材(またはセグメント)に含まれる担持重合体と異なる(または異種)担持重合体でもよい。
【0243】
実施態様によっては、結合部材はアームの第1のセグメントをアームの第2のセグメントから分離させる。例えば、実施態様によっては、結合部材はアームの活性なセグメントをアームの非活性なセグメントから分離させる。2つのセグメントを分離する結合部材は、2つのセグメントの間に直接挟まれてもよい。実施態様によっては、第1のセグメント、第2のセグメント、および2つのセグメントを分離する(2つのセグメントと直接接するするような)結合部材は、PCL、TPU、PLA、または本明細書に記載の他の担持重合体などの、同じ担持重合体を含む。
【0244】
実施態様によっては、結合部材が、高分子リンカー(例えば時間依存性高分子リンカー、腸溶性高分子リンカー、または時間依存性兼腸溶性の二機能高分子リンカー)からアームを分離させる。高分子リンカーをアームから分離する結合部材は、アームおよび高分子リンカーと直接的に結合できる。実施態様によっては、結合部材は界面接合部においてアームと同じ(または同じ種類)の担持重合体を含み、および/または高分子リンカーと同じ(または同じタイプ)の担持重合体を含む(すなわち、高分子リンカー中の1種以上の追加の重合体は、一般の担持重合体または一般の担持重合体種であよい)。例えば、実施態様によっては、アーム、高分子リンカー、およびアーム間の結合部材は、PCLを含む。実施態様によっては、アーム、高分子リンカー、およびアーム間の結合部材は、TPUかを含む。実施態様によっては、アーム、高分子リンカー、およびアーム間の結合部材は、PLAを含む。
【0245】
実施態様によっては、結合部材で、第1の高分子リンカーを第2の高分子リンカーから分離する。第1の高分子リンカーを第2の高分子リンカーから分離する結合部材は、両方の高分子リンカーと直接的に接続してもよい。実施態様によっては、第1および第2の高分子リンカーならびに高分子リンカー間の結合部材は、PCL、TPU、またはPLAなどの一般の重合体(または一般の種類の重合体)を含む。
【0246】
実施態様によっては、結合部材で高分子リンカーを第2の構造部材(例えば中心弾性部材)から分離させる。結合部材は、例えば、第2の構造部材および高分子リンカーの両方と直接接してもよい。
例示的な胃内滞留システム
【0247】
以下の胃内滞留システムは、本明細書に記載のシステムの特定の実施態様をより具体的に説明するための例示的なものである。これらの例は例示に過ぎないので、本明細書に記載される胃内滞留システムを限定することを意図していない。当業者は、提供された開示に鑑みて、胃内滞留システムの追加の構成を思いつくことができる。
【0248】
胃内滞留システムの一例では、このシステムは、薬物と均質に混合された担持重合体を含む活性セグメントを含む複数の構造部材、pH非依存性分解性重合体(例えばPLGA)を含む時間依存性高分子リンカーを介して中心弾性体部材に取り付けられ、そこから放射状に延びるアーム、および少なくとも1つの付加的な重合体(例えばPLAまたは担持重合体)を含み、時間依存性高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中で37℃、14日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか破断し、かつ胃内滞留システムは少なくとも24時間の期間胃内に滞留する。実施態様によっては、pH非依存性分解性重合体は、酸末端PLGA、エステル末端PLGA、またはそれらの混合物を含む。実施態様によっては、高分子リンカーは70%以下のPLGA(例えば約30%~約70%のPLGA)を含む。必要に応じて、時間依存性高分子リンカーは可塑剤、例えば約0.5%~約20%の可塑剤(具体的には約0.5%~約12%の可塑剤)を含む。
【0249】
胃内滞留システムの別の例では、このシステムは、薬物と均一に混合された担持重合体を含む活性セグメント、ならびにpH非依存性の分解性重合体(例えばPLGA)および担持重合体を含む時間依存性の高分子リンカーを介して中心弾性部材に取り付けられ、そこから放射状に延びるアームを含む複数の構造部材を含む。時間依存性高分子リンカーは、薬物と均一に混合された担持重合体を含む構造部材のセグメントに直接結合され、時間依存性高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中で37℃14日間恒温放置した後にその曲げ弾性率の80%以上を失うかまたは破断し、さらに胃内滞留システムは少なくとも24時間の期間胃内に滞留する。実施態様によっては、pH非依存性分解性重合体は、酸末端PLGA、エステル末端PLGA、またはそれらの混合物を含む。実施態様によっては、高分子リンカーは70%以下のPLGA(例えば約30%~約70%のPLGA)を含む。必要に応じて、時間依存性高分子リンカーは、可塑剤、例えば約0.5%~約20%の可塑剤(具体的には約0.5%~約12%の可塑剤)を含む。
【0250】
胃内滞留システムの別の例では、このシステムは、結合部材および薬物と均一に混合された担持重合体を含む活性セグメントを含む複数の構造部材、pH非依存性分解性重合体(例えばPLGA)時間依存性高分子リンカーを介して中心弾性部材に取り付けられ、そこから放射状に延在するアーム、および担持重合体を含む。時間依存性高分子リンカーは、結合部材に直接結合され、この結合部材は、活性セグメントを時間依存性高分子リンカーから分離し、時間依存性高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中で37℃14日間恒温放置した後にその曲げ弾性率の80%以上を失うかまたは破断し、胃内滞留システムは、少なくとも24時間の期間胃内に滞留する。実施態様によっては、pH非依存性分解性重合体は、酸末端PLGA、エステル末端PLGA、またはそれらの混合物を含む。実施態様によっては、高分子リンカーは70%以下のPLGA(例えば約30%~約70%のPLGA)を含む。必要に応じて、時間依存性高分子リンカーは、可塑剤、例えば約0.5%~約20%の可塑剤(具体的には約0.5%~約12%の可塑剤)を含む。
【0251】
胃内滞留システムの別の例では、このシステムは、薬物と均質に混合されたPCL重合体を含む活性セグメントを含む複数の構造部材、pH非依存性分解性重合体(例えばPLGA)およびPCLを含む時間依存性高分子リンカーを介して中心弾性部材に取り付けられ、そこから放射状に延びるアームを含む。時間依存性高分子リンカーはpH 1.6の水溶液中で37℃14日間の恒温放置後に屈曲率の80%以上を失うか破断し、胃内滞留システムは少なくとも24時間の期間胃内に滞留する。実施態様によっては、pH非依存性分解性重合体は、酸末端PLGA、エステル末端PLGA、またはそれらの混合物を含む。実施態様によっては、高分子リンカーは70%以下のPLGA(例えば約30%~約70%のPLGA)を含む。必要に応じて、時間依存性高分子リンカーは、可塑剤、例えば約0.5%~約20%の可塑剤(具体的には約0.5%~約12%の可塑剤)を含む。
【0252】
胃内滞留システムの別の例では、このシステムは、薬物と均質に混合されたPCLを含む活性セグメントを含む複数の構造部材、およびpH非依存性分解性重合体(例えばPLGA)およびPCLを含む時間依存性高分子リンカーを介して中心弾性部材に取り付けられ、そこから放射状に延びるアームを含む。時間依存性高分子リンカーは、薬物と均一に混合されたPCLを含む構造部材のセグメントに直接結合され、時間依存性高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中で37℃14日間恒温放置した後に、曲げ弾性率の80%以上を失うか破断し、胃内滞留システムは少なくとも24時間の期間胃内に滞留する。実施態様によっては、pH非依存性分解性重合体は、酸末端PLGA、エステル末端PLGA、またはそれらの混合物を含む。実施態様によっては、高分子リンカーは70%以下のPLGA(例えば約30%~約70%のPLGA)を含む。必要に応じて、時間依存性高分子リンカーは、可塑剤、例えば約0.5%~約20%の可塑剤(具体的には約0.5%~約12%の可塑剤)を含む。
【0253】
胃内滞留システムの別の例では、このシステムは、PCLを含む結合部材、薬物と均質に混合された担持重合体を含む活性セグメントを含む複数の構造部材、ならびにpH非依存性分解性重合体(例えばPLGA)およびPCLを含む時間依存性高分子リンカーを介して中心弾性部材に取り付けられ、そこから放射状に延在するアームを含む。時間依存性高分子リンカーは、構造部材の結合部材に直接結合され、結合部材は活性セグメントを時間依存性高分子リンカーから分離し、時間依存性高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中で37℃14日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか破断し、胃内滞留システムは少なくとも24時間の期間胃内に滞留する。実施態様によっては、pH非依存性分解性重合体は、酸末端PLGA、エステル末端PLGA、またはそれらの混合物を含む。実施態様によっては、高分子リンカーは70%以下のPLGA(例えば約30%~約70%のPLGA)を含む。必要に応じて、時間依存性高分子リンカーは、可塑剤、例えば約0.5%~約20%の可塑剤(具体的には約0.5%~約12%の可塑剤)を含む。
【0254】
胃内滞留システムの別の例では、このシステムは、薬物と均質に混合されたTPU重合体を含む活性セグメントを含む複数の構造部材、およびpH非依存分解性重合体(例えばPLGA)およびTPUを含む時間依存性高分子リンカーを介して中心弾性部材に取り付けられ、そこから放射状に延びるアームを含む。時間依存性高分子リンカーはpH 1.6の水溶液中で37℃14日間恒温放置後に曲げ弾性率の80%以上を失うか破断し、胃内滞留システムは少なくとも24時間の期間胃内に滞留する。実施態様によっては、pH非依存性分解性重合体は、酸末端PLGA、エステル末端PLGA、またはそれらの混合物を含む。実施態様によっては、高分子リンカーは70%以下のPLGA(例えば約30%~約70%のPLGA)を含む。必要に応じて、時間依存性高分子リンカーは、可塑剤、例えば約0.5%~約20%の可塑剤(具体的には約0.5%~約12%の可塑剤)を含む。
【0255】
胃内滞留システムの別の例では、このシステムは、薬物と均質に混合されたTPUを含む活性セグメントを含む複数の構造部材、およびpH非依存分解性重合体(例えばPLGA)およびTPUを含む時間依存高分子リンカーを介して中心弾性部材に取り付けられ、そこから放射状に延びているアームを含む。時間依存性高分子リンカーは、薬物と均一に混合されたTPUを含む構造部材のセグメントに直接結合され、時間依存性高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中で37℃14日間恒温放置した後に、曲げ弾性率の80%以上を失うか破断し、胃内滞留システムは少なくとも24時間の期間胃内に滞留する。実施態様によっては、pH非依存性分解性重合体は、酸末端PLGA、エステル末端PLGA、またはそれらの混合物を含む。実施態様によっては、高分子リンカーは70%以下のPLGA(例えば約30%~約70%のPLGA)を含む。必要に応じて、時間依存性高分子リンカーは、可塑剤、例えば約0.5%~約20%の可塑剤(具体的には約0.5%~約12%の可塑剤)を含む。
【0256】
胃内滞留システムの別の例では、このシステムは、TPUを含む結合部材および薬剤と均質に混合された担持重合体を含む活性セグメントを含む複数の構造部材、ならびにpH非依存性分解性重合体(例えばPLGA)およびTPUを含む時間依存性高分子リンカーを介して中心弾性部材に取り付けられ、そこから放射状に延びているアームを含む。時間依存性高分子リンカーは構造部材の結合部材に直接結合され、結合部材は活性セグメントを時間依存性高分子リンカーから分離し、時間依存性高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中で37℃14日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか破断、そして胃内滞留システムは少なくとも24時間の期間胃内に滞留する。実施態様によっては、pH非依存性分解性重合体は、酸末端PLGA、エステル末端PLGA、またはそれらの混合物を含む。実施態様によっては、高分子リンカーは70%以下のPLGA(例えば約30%~約70%のPLGA)を含む。必要に応じて、時間依存性高分子リンカーは、可塑剤、例えば約0.5%~約20%の可塑剤(具体的には約0.5%~約12%の可塑剤)を含む。
【0257】
胃内滞留システムの別の例では、このシステムは、薬剤と均一に混合された担持重合体を含む活性セグメントを含む複数の構造部材、ならびにpH非依存性分解性重合体(例えばPLGA)およびPLAを含む時間依存性高分子リンカーを介して中心弾性部材に取り付けられ、そこから放射状に延びるアームを含む。胃内滞留システムは少なくとも24時間の間胃内に滞留する。実施態様によっては、pH非依存性分解性重合体は、酸終端PLGA、エステル終端PLGA、またはそれらの混合物を含む。実施態様によっては、高分子リンカーは70%以下のPLGA(例えば約30%~約70%のPLGA)を含む。必要に応じて、時間依存性高分子リンカーは、可塑剤、例えば約0.5%~約20%の可塑剤(具体的には約0.5%~約12%の可塑剤)を含む。
【0258】
胃内滞留システムの別の例では、このシステムは、薬剤と均質に混合されたPCLを含む活性セグメントを含む複数の構造部材、ならびにpH非依存性分解性重合体(例えばPLGA)およびPCLを含む時間依存性高分子リンカーを介して中心弾性部材に取り付けられ、そこから放射状に延びるアームを含む、胃内滞留システムは少なくとも24時間の間胃内に滞留する。実施態様によっては、pH非依存性分解性重合体は、酸終端PLGA、エステル終端PLGA、またはそれらの混合物を含む。実施態様によっては、高分子リンカーは70%以下のPLGA(例えば約30%~約70%のPLGA)を含む。必要に応じて、時間依存性高分子リンカーは、可塑剤、例えば約0.5%~約20%の可塑剤(具体的には約0.5%~約12%の可塑剤)を含む。
【0259】
胃内滞留システムの別の例では、このシステムは、薬物と均質に混合されたTPUを含む活性セグメントを含む複数の構造部材、ならびにpH非依存性分解性重合体(例えばPLGA)およびTPUを含む時間依存性高分子リンカーを介して中心弾性部材に取り付けられそこから放射状に延びる。胃内滞留システムは少なくとも24時間の間胃内に滞留する。実施態様によっては、pH非依存性分解性重合体は、酸末端PLGA、エステル末端PLGA、またはそれらの混合物を含む。実施態様によっては、高分子リンカーは70%以下のPLGA(例えば約30%~約70%のPLGA)を含む。必要に応じて、時間依存性高分子リンカーは、可塑剤、例えば約0.5%~約20%の可塑剤(具体的には約0.5%~約12%の可塑剤)を含む。
【0260】
胃内滞留システムの別の例では、このシステムは、薬物と均質に混合された担持重合体を含む活性セグメントを含む複数の構造部材、ならびにpH非依存分解性重合体(例えばPLGA)およびPLAを含む時間依存性高分子リンカーを介して中心弾性部材に取り付けられ、そこから放射状に延びるアームを含む。時間依存性高分子リンカーは、薬物と均質に混合された担持重合体を含む構造部材のセグメントに直接結合され、胃内滞留システムは、少なくとも24時間の期間胃内に滞留する。実施態様によっては、pH非依存性分解性重合体は、酸終端PLGA、エステル終端PLGA、またはそれらの混合物を含む。実施態様によっては、高分子リンカーは70%以下のPLGA(例えば約30%~約70%のPLGA)を含む。必要に応じて、時間依存性高分子リンカーは、可塑剤、例えば約0.5%~約20%の可塑剤(具体的には約0.5%~約12%の可塑剤)を含む。
【0261】
胃内滞留システムの別の例では、このシステムは、薬物と均質に混合されたPCLを含む活性セグメントを含む複数の構造部材、ならびにpH非依存分解性重合体(例えばPLGA)およびPCLを含む時間依存性高分子リンカーを介して中心弾性部材に取り付けられ、そこから放射状に延びるアームを含む。時間依存性高分子リンカーは、薬物と均質に混合されたPCLを含む構造部材のセグメントに直接結合され、胃内滞留システムは少なくとも24時間の期間胃内に滞留する。実施態様によっては、pH非依存性分解性重合体は、酸終端PLGA、エステル終端PLGA、またはそれらの混合物を含む。実施態様によっては、高分子リンカーは70%以下のPLGA(例えば約30%~約70%のPLGA)を含む。必要に応じて、時間依存性高分子リンカーは、可塑剤、例えば約0.5%~約20%の可塑剤(具体的には約0.5%~約12%の可塑剤)を含む。
【0262】
胃内滞留システムの別の例では、このシステムは、薬物と均質に混合されたTPUを含む活性セグメントを含む複数の構造部材、ならびにpH非依存分解性重合体(例えばPLGA)およびTPUを含む時間依存性高分子リンカーを介して中心弾性部材に取り付けられ、そこから放射状に延びるアームを含む。時間依存性高分子リンカーは、薬物と均質に混合されたTPUを含む構造部材のセグメントに直接結合され、胃内滞留システムは少なくとも24時間の期間胃内に滞留する。実施態様によっては、pH非依存性分解性重合体は、酸終端PLGA、エステル終端PLGA、またはそれらの混合物を含む。実施態様によっては、高分子リンカーは70%以下のPLGA(例えば約30%~約70%のPLGA)を含む。必要に応じて、時間依存性高分子リンカーは、可塑剤、例えば約0.5%~約20%の可塑剤(具体的には約0.5%~約12%の可塑剤)を含む。
【0263】
胃内滞留システムの別の例では、このシステムは、結合部材および薬剤と均質に混合された担持重合体を含む活性セグメントを含む複数の構造部材、ならびにpH非依存型分解性重合体(例えばPLGA)およびPLAを含む時間依存性高分子リンカーを介して中心弾性部材に取り付けられ、そこから放射状に延びるアームを含む。時間依存性高分子リンカーは結合部材に直接結合され、結合部材は活性セグメントを時間依存性高分子リンカーから分離し、胃内滞留システムは少なくとも24時間の期間胃の中に滞留する。実施態様によっては、pH非依存型分解性重合体は、酸末端PLGA、エステル末端PLGA、またはそれらの混合物を含む。実施態様によっては、高分子リンカーは70%以下のPLGA(例えば約30%~約70%のPLGA)を含む。必要に応じて、時間依存性高分子リンカーは、可塑剤、例えば約0.5%~約20%の可塑剤(具体的には約0.5%~約12%の可塑剤)を含む。
【0264】
胃内滞留システムの別の実施例では、このシステムは、PCLを含む結合部材および薬剤と均一に混合された担持重合体を含む活性セグメントを含む複数の構造部材、ならびにpH非依存性分解性重合体(例えばPLGA)およびPCLを含む時間依存性高分子リンカーを介して中心弾性部材に取り付けられ、そこから放射状に延びるアームを含む。時間依存性高分子リンカーは、結合部材に直接結合され、結合部材は活性セグメントを時間依存性高分子リンカーから分離し、胃内滞留システムは少なくとも24時間の期間胃内に滞留する。実施態様によっては、pH非依存性分解性重合体は、酸末端PLGA、エステル末端PLGA、またはそれらの混合物を含む。実施態様によっては、高分子リンカーは70%以下のPLGA(例えば例えば約30%~約70%のPLGA)を含む。必要に応じて、時間依存性高分子リンカーは、可塑剤、例えば約0.5%~約20%の可塑剤(具体的には約0.5%~約12%の可塑剤)を含む。
【0265】
胃内滞留システムの別の実施例では、このシステムは、TPUを含む結合部材および薬剤と均質に混合された担持重合体を含む活性セグメントを含む複数の構造部材、ならびにpH非依存分解性重合体(例えばPLGA)およびTPUを含む時間依存性高分子リンカーを介して中心弾性部材に取り付けられ、そこから放射状に延びるアームを含む。時間依存性高分子リンカーは、結合部材に直接結合され、結合部材は活性セグメントを時間依存性高分子リンカーから分離し、胃内滞留システムは少なくとも24時間の期間胃の中に滞留する。実施態様によっては、pH非依存性分解性重合体は、酸末端PLGA、エステル末端PLGA、またはそれらの混合物を含む。実施態様によっては、高分子リンカーは70%以下のPLGA(例えば約30%~約70%PLGA)を含む。必要に応じて、時間依存性高分子リンカーは、可塑剤、例えば約0.5%~約20%の可塑剤(具体的には約0.5%~約12%の可塑剤)を含む。
【0266】
胃内滞留システムの別の例では、このシステムは、薬物と均一に混合されたTPUを含む活性セグメントを含む複数の構造部材、ならびに腸溶性重合体およびTPUを含む腸溶性高分子リンカーを介して中心弾性部材に取り付けられ、そこから放射状に延びるアームを含む。高分子リンカーはpH 6.5の水溶液中で37℃3日間恒温放置した後に、曲げ弾性率の80%以上を失うか破断し、胃内滞留システムは少なくとも24時間の間胃内に滞留する。実施態様によっては、腸溶性重合体は、HMPCASである。必要に応じて、腸溶性高分子リンカーは、可塑剤、例えば約0.5%~約20%の可塑剤(具体的には約0.5%~約12%の可塑剤)を含む。
【0267】
胃内滞留システムの別の例では、このシステムは、薬物と均一に混合されたTPUを含む活性セグメントを含む複数の構造部材、ならびに腸溶性重合体およびTPUを含む腸溶性高分子リンカーを介して中心弾性部材に取り付けられ、そこから放射状に延びるアームを含む。腸溶性高分子リンカーはTPUを含む活性セグメントに直接結合され、高分子リンカーはpH 6.5の水溶液中で37℃3日間恒温放置した後に、曲げ弾性率の80%以上を失うか破断し、胃内滞留システムは少なくとも24時間の期間胃内に滞留する。実施態様によっては、腸溶性重合体は、HMPCASである。必要に応じて、腸溶性高分子リンカーは、可塑剤、例えば約0.5%~約20%の可塑剤(具体的には約0.5%~約12%の可塑剤)を含む。
【0268】
胃内滞留システムの別の例では、このシステムは、TPUを含む結合部材および薬物と均一に混合された担持重合体を含む活性セグメントを含む複数の構造部材、ならびに腸溶性重合体とTPUを含む腸溶性高分子リンカーを介して中心弾性部材に取り付けられ、そこから放射状に延びるアームを含、腸溶性高分子リンカーは結合部材に直接結合され、高分子リンカーはpH 6.5の水溶液中で37℃3日間恒温放置した後に、曲げ弾性率の80%以上を失うか破断し、胃内滞留システムは少なくとも24時間の期間胃内に滞留する。実施態様によっては、腸溶性重合体は、HMPCASである。必要に応じて、腸溶性高分子リンカーは、可塑剤、例えば約0.5%~約20%の可塑剤(具体的には約0.5%~約12%の可塑剤)を含む。
【0269】
胃内滞留システムの別の例では、システムは、薬剤と均一に混合された担持重合体を含む活性セグメントを含む複数の構造部材を含み、アームは、腸溶性重合体およびPLGAを含む腸溶性高分子リンカーを介して中心弾性部材に取り付けられ、そこから放射状に延び、高分子リンカーはpH 6.5の水溶液中で37℃3日間恒温放置後にその曲げ弾性率の80%以上を失うか、または破断し、胃内滞留システムは少なくとも24時間の期間胃内に滞留する。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは担持重合体を含む。実施態様によっては、担持重合体はPCLであり、腸溶性高分子リンカーはPCLを構成する。実施態様によっては、担持重合体はTPUであり、腸溶性高分子リンカーはTPUを構成する。実施態様によっては、腸溶性重合体は、HMPCASである。実施態様によっては、pH非依存性分解性重合体は、酸末端PLGA、エステル末端PLGA、またはそれらの混合物を含む。実施態様によっては、高分子リンカーは70%以下のPLGA(例えば約30%~約70%のPLGA)を含む。必要に応じて、腸溶性高分子リンカーは、約0.5%~約20%の可塑剤(例えば約0.5%~約12%の可塑剤)を含む。
【0270】
胃内滞留システムの別の例では、このシステムは、薬剤と均一に混合された担持重合体を含む活性セグメントを含む複数の構造部材、ならびに腸溶性重合体およびPLGAを含む腸溶性高分子リンカーを介して中心弾性部材に取り付けられ、そこから放射状に延びるアームを含む。腸溶性高分子リンカーは、担持重合体を構成する活性セグメントに直接結合しており、高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中で37℃3日間恒温放置した後にその曲げ弾性率の80%以上を失うかまたは破断し、胃内滞留システムは少なくとも24時間の期間胃内に滞留する。実施態様によっては、腸溶性重合体は、HMPCASである。実施態様によっては、腸溶性高分子リンカーは担持重合体を含む。実施態様によっては、担持重合体はPCLであり、腸溶性高分子リンカーはPCLを含む。実施態様によっては、担持重合体はTPUであり、腸溶性高分子リンカーはTPUを含む。実施態様によっては、pH非依存性分解性重合体は、酸末端PLGA、エステル末端PLGA、またはそれらの混合物を含む。実施態様によっては、高分子リンカーは70%以下のPLGA(例えば約30%~約70%のPLGA)を含む。必要に応じて、腸溶性高分子リンカーは、可塑剤、例えば、約0.5%~約20%の可塑剤(具体的には約0.5%~約12%の可塑剤)を含む。
【0271】
胃内滞留システムの別の例では、このシステムは、結合部材および薬物と均一に混合された担持重合体を含む活性セグメントを含む複数の構造部材、ならびに腸溶性重合体およびPLGAを含む腸溶性高分子リンカーを介して中心弾性部材に取り付けられ放射方向に伸びるアームを含む。腸溶性高分子リンカーは結合部材に直接結合され、高分子リンカーはpH 6.5の水溶液中で37℃3日間恒温放置した後に、曲げ弾性率の80%以上を失うか破断し、胃内滞留システムは少なくとも24時間の期間胃内に滞留する。実施態様によっては、腸溶性重合体はHMPCASである。実施態様によっては、結合部材および腸溶性高分子リンカーは担持重合体を含む。実施態様によっては、結合部材および腸溶性高分子リンカーはPCLを含む。実施態様によっては、結合部材および腸溶性高分子リンカーはTPUを含む。実施態様によっては、pH非依存性分解性重合体は、酸末端PLGA、エステル末端PLGA、またはそれらの混合物を含む。実施態様によっては、高分子リンカーは70%以下のPLGA(例えば約30%~約70%のPLGA)を含む。必要に応じて、腸溶性高分子リンカーは、可塑剤、例えば約0.5%~約20%の可塑剤(具体的には約0.5%~約12%の可塑剤)を含む。
システムの寸法
【0272】
システムは、患者がシステムを飲み込むことができる(あるいは別の手段、たとえば栄養管または胃管によりシステムを胃に導入するための)寸法の圧縮状態を取ることができなければならない。一般に、カプセルなどの容器によりシステムを圧縮状態に保つ。胃に入ると、システムは容器から放出され、非圧縮状態、すなわち、システムが幽門括約筋を通過するのを防いでシステムを胃内に保持できるようにする寸法を有する拡張構造を取る。
【0273】
したがって、システムは、製薬に一般に用いられる種類の標準の大きさのカプセルに配置できる必要がある。米国で使用される標準のカプセルの大きさをカプセル表に示す(表2)。これらはカプセルの外寸であり、カプセルの製造業者によって寸法が若干異なるため、システムは示された外径よりも約0.5~1 mm小さく、カプセル表(表2)に示された長さよりも約1~2 mm短い構成を取ることができる必要がある。
【表2】
【0274】
当技術分野で周知の材料、たとえばゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースでカプセルを作製することができる。一実施態様では、胃内環境では溶けるが口腔または食道環境では溶けない材料でカプセルを作製し、胃に到達する前にシステムが早く放出されてしまうのを防ぐ。
【0275】
一実施態様では、カプセルに収めるためにシステムを折り畳む、あるいは押し込めて圧縮状態にする。カプセルが胃の中で溶けると、システムは、たとえば図1A~1Dに示す方式で胃内での保持に適した構成を取る。
【0276】
容器から放出されると、システムは、胃内滞留システムが幽門括約筋を通過するのを防ぐのに適した寸法を有する非圧縮状態を取る。一実施態様では、システムは少なくとも2つの垂直寸法を有し、それぞれ少なくとも2 cmの長さである。すなわち、胃内滞留システムは少なくとも2つの垂直方向に少なくとも約2 cmの長さを有する。別の実施態様では、非圧縮状態のシステムの周囲は、平面に投影したときにそれぞれ少なくとも2 cmの長さの2つの垂直寸法を有する。この2つの垂直寸法は、独立して約2 cm~約7 cm、約2 cm~約6 cm、約2 cm~約5 cm、約2 cm~約4 cm、約2 cm~約3 cm、約3 cm~約7 cm、約3 cm~約6 cm、約3 cm~約5 cm、約3 cm~約4 cm、約4 cm~約7 cm、約4 cm~約6 cm、約4 cm~約5 cm、または約4 cm~約4 cmの長さを有してもよい。これらの寸法は、胃内滞留システムが幽門括約筋を通過するのを防ぐ。N個のアーム(Nは3以上、たとえばN = 6)を有する星形の重合体の場合、アームは、システムが少なくとも2つの垂直寸法を有し、それぞれが上記の長さになるような寸法を有してもよい。胃内滞留システムの保持を促すためにこれらの2つの垂直寸法を上記のように選択する。
放射線不透過性
【0277】
必要であれば、腹部X線により配置することができるように、システムは放射線不透過性であってもよい。実施態様によっては、システムの構築に用いられる材料のうちの1種以上は、X線で視覚化するのに十分に放射線不透過性である。他の実施態様では、放射線不透過性物質をシステムの1種以上の材料に追加するか、システムの1種以上の材料に被覆するか、システムのわずかな部分に追加する。好適な放射線不透過性物質の例は、硫酸バリウム、次炭酸ビスマス、塩化酸化ビスマス、および三酸化ビスマスである。担持重合体からの薬物放出または他のシステム重合体の所望の特性を変えないように、胃内滞留システムの構築に用いられる重合体にこれらの材料を配合しないことが好ましい。システムの部品のわずかな部分にタングステンなどの金属ストライピングまたはチップを用いてもよい。
胃内滞留システムの製造
システム部品の製造
【0278】
胃内滞留システムの部品、たとえば構造部材(もしくは部材セグメント)、リンカー、および/または他の連結部材をホットメルト押出または共押出および/または三次元印刷によって製造することができる。市販の装置を所望の構成のための専用の共押出機の配管および専用の型と組み合わせて用いて、胃内滞留システムの部品の共押出を行うことができる。共押出用の最初の供給原料は、重合体または重合体配合物(たとえば、腸溶性重合体、時間依存性重合体、または薬剤、薬剤塩、薬物、賦形剤などの1種と担持重合体、腸溶性重合体、もしくは時間依存性重合体との配合物)である。製造されるセグメントまたはアームの1つの領域に使用される重合体または成分をホットメルト押出により混合しペレット化する。このように形成した重合体ペレットを単軸押出機の上のホッパーに入れ、乾燥させて表面の水分を除去する。ペレットを重量測定して個々の単軸押出機に供給し、そこで溶融・加圧して共押出する。
【0279】
次に、必要とされる形状を形成する複数のチャネルを有する専用設計の型に適切な溶融重合体をポンプで送る。複合重合体ブロックを冷却(水冷、空冷、またはその両方)し、所望の形状(三角柱、角柱、円柱の断片(パイ形のくさび)などの形状が挙げられるが、これらに限定されない)に切断あるいは型抜きする。一般に約0.2 mm~約2.0 mmの厚さに材料を押出する。
【0280】
本発明の実施態様によっては、胃内滞留システムの細長い部材すなわち「アーム」全体をアームの共押出により作製することが考えられる。本発明の実施態様によっては、胃内滞留システムの細長い部材すなわち「アーム」のセグメントをアームのセグメントの共押出により作製することが考えられる。実施態様によっては、厚板構成などのバルク構成の担持重合体-薬剤または担持重合体-薬剤塩配合物とリンカー材料の隣接部分を共押出してアームまたはそのセグメントを作製する。共押出に続いて、バルク構成を、アームまたはそのセグメントの所望の形状を有する断片に切断してもよい。共押出に続いて、バルク構成の一部を、アームまたはそのセグメントの所望の形状を有する断片に圧縮成形してもよい。
【0281】
実施態様によっては、担持重合体-薬剤または担持重合体-薬剤塩配合物およびリンカー材料の隣接部分をスラブ構成などのバルク構成で共押出すると同時に、担持重合体-薬剤または担持重合体-薬剤塩配合物、リンカー材料、または担持重合体-薬剤(もしくは薬剤塩)配合物およびリンカー材料の両方に含まれる追加の重合体も共押出してアームまたはそのセグメントを作製する。共押出に続いて、バルク構成を、アームまたはそのセグメントの所望の形状を有する断片に切断してもよい。共押出に続いて、バルク構成の一部を、アームまたはそのセグメントの所望の形状を有する断片に圧縮成形してもよい。
【0282】
可塑剤、たとえば特にプロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)、クエン酸トリエチルブチル(TBC)、セバシン酸ジブチル(DBS)、トリアセチン、クエン酸トリエチル(TEC)、ポロキサマー(たとえばPoloxamer 407すなわち「P407」)、またはコハク酸D-α-トコフェリルポリエチレングリコールは、共押出される重合体配合物に含まれてもよく、これは押出された材料を所望の大きさまたは形状に切断するのを補助することができる。実施態様によっては、ポリエチレングリコールの分子量は約200 Da~約8,000,000 Da (8000Kまたは8000 kDaともいう)、たとえば、約200 Da~約400 Da、約400 Da~約800 Da、約800 Da~約1600 Da、約1600 Da~約2500 Da、約2500 Da~約5000 Da、約5000 Da~約10K、約10K~約20K、約20K~約50K、約50K~約100K、約100K~約200K、約200K~約400K、約400K~約800K、約800K~約1000K、約1000K~約2000K、約2000K~約4000K、約4000K~約6000K、または約6000K~約8000Kである。実施態様によっては、共押出された重合体は最大20%の可塑剤、たとえば最大18%の可塑剤、最大15%の可塑剤、最大12%の可塑剤、最大10%の可塑剤、最大8%の可塑剤、最大6%の可塑剤、最大4%の可塑剤、最大3%の可塑剤、最大2%の可塑剤、または最大1%の可塑剤を含んでもよい。実施態様によっては、共押出された重合体は約0.5%~約15%の可塑剤、たとえば約0.5%~約1%、約1%~約2%、約2%~約3%、約3%~約5%、約5%~約7%、約7%~約10%、約10%~約12%、約12%~約15%、約15%~約18%、または約18%~約20%の可塑剤を含む。
システム部品の組み立て
【0283】
胃内滞留システムまたは重合体組立品の様々な部品は、様々な方法で互いに取り付けることができる。取り付けのための1つの便利な方法は熱溶着であり、これは、第1の部品の第1の表面を第1の温度で加熱して第1の加熱表面を提供し、第2の部品の第2の表面を第2の温度で加熱して第2の加熱表面を提供し、次に第1の加熱表面を第2の加熱表面に接触させる(または同等に、第2の加熱表面を第1の加熱表面に接触させる)ことを含む。第1の温度と第2の温度は同じでもよいし、 第1の温度と第2の温度は、溶着される第1の部品と第2の部品の特性で異なってもよい。第1の面の加熱または第2の面の加熱は、それぞれの面をそれぞれの温度で金属プラテン(平板状の金属板)に接触させることで行うことができる。製造を容易にするために、プラテンの第1の端部が第1の温度で、プラテンの第2の端部が第2の温度の二重温度プラテンを使用でき、第1の表面をプラテンの第1の端部に押し付け、第2の表面をプラテンの第2の端部に押し付け、その後プラテンを取り外し、得られた第1の加熱面を、得られた第2の加熱面と接触させることができる。接触した加熱面は、冷却後の密着性を確保するために、ある程度の力または圧力で押し付けられる(加えられた力または圧力は、冷却過程中も必要に応じて維持される)。熱溶着は、熱融着とも呼ばれる。
【0284】
胃内滞留システムの様々な部品、すなわち重合体組立品を取り付けるための別の方法は、赤外線溶着である。赤外線溶着は、第1の部品の第1の表面と第2の部品の第2の表面を接触させ、2つの表面間の接触を維持するために力または圧力を加えながら、接触面の領域に赤外線を照射し、その後、取り付けられた部品の冷却(加えられた力または圧力は必要に応じて冷却過程中も維持される)することで実行される。
【0285】
各溶着工程の後、溶着部の強度を高めるために熱処理工程を必要に応じて採用できる。溶着された第1および第2の部品は、第3の温度に設定されたオーブン内に溶着された部品を置いて熱処理できる(部品が熱溶着された場合、第3の温度は第1の温度と同じ、第2の温度と同じ、または熱溶着で使用した第1の温度および第2の温度と異なってもよい)。溶着された第1の部品および第2の部品は、溶着された領域に赤外線を照射して赤外線熱処理を行うことができる。赤外線熱処理は、第1の部品と第2の部品の全てが加熱されるオーブン中の熱処理とは異なり、局所的に照射できるという利点がある。
【0286】
溶着と熱処理の任意の組み合わせを使用できる。部品の熱溶着の後に熱溶着のオーブンでの熱処理を行うことができ、部品の熱溶着の後に熱溶着の赤外線熱処理を行うことができ、部品の赤外線溶着の後に赤外線溶着のオーブンでの熱処理を行うことができ、あるいは部品の赤外線溶着の後に赤外線溶着の赤外線熱処理を行うことができる。
【0287】
図3は、胃内滞留システムを形成するために部品を一つに結合する例示的な方法を示す。予め切断された高分子リンカー(例えば腸溶性リンカーまたは時間依存性リンカー)が、弾性体中心部剤にレーザーまたはIR溶着される。高分子リンカーは、例えば、材料をホットメルトで押し出し、所望の長さに切断することで形成できる。次に、薬剤と混合された担持重合体を含むホットメルト押出されたアームが、高分子リンカーにレーザーまたはIR溶着され、それで胃内滞留システムの星状構造が形成される。
【0288】
胃内滞留システム部品を互いに強固に取り付けることで、個人の胃内に展開されたときに最適なシステム性能を得ることができる。システム部品の不十分な溶着または他の取り付け状態では、システム部品間の界面を切断する可能性があり、これは、システムの一部または全部が、所望の胃内滞留期間の完了前に幽門弁を通過して腸に入る原因となり得る。システム部品の取り付けを強化するためのいくつかの機構が特定されており、そのうちの任意の1つ以上が、本明細書に記載の高分子リンカー(例えば、時間依存性高分子リンカーおよび/または腸溶高分子リンカー)などの胃内システム部品のいずれかに利用され得る。
【0289】
システム部品に可塑剤を含有させて、その部品のすぐ隣の部品への付着(例えば溶着)を強化できる。例えば、可塑剤は、高分子リンカー(例えば時間依存性リンカー、腸溶性リンカー、または二重時間依存性および腸溶性リンカー)に含まれ、高分子リンカーとすぐ隣接する部品(担持重合体および薬剤(またはその活性または不活性セグメント)を含む構造部材、結合部材、別の高分子リンカー、または第2の構造部材(例えば弾性体中心部材))の間の溶着界面を強化しても良い。特定の実施態様によっては、可塑剤が多すぎると、可塑剤の量が少ない場合と比較して、溶着界面が弱くなる可能性がある。したがって、実施態様によっては、システム部品(例えば高分子リンカー)中の可塑剤は、最大20%の可塑剤、例えば、最大18%の可塑剤、最大15%の可塑剤、最大12%の可塑剤、最大10%の可塑剤、最大8%の可塑剤、最大6%の可塑剤、最大4%の可塑剤、最大3%の可塑剤、最大2%の可塑剤、または最大1%の可塑剤の量が含まれる。実施態様によっては、システム部品(例えば高分子リンカー)は、約0.5%~約15%の可塑剤、例えば、約0.5%~約1%、約1%~約2%、約2%~約3%、約3%~約5%、約5%~約7%、約7%~約10%、約10%~約12%、約12%~約15%、約15%~約18%、または約18%~約20%の可塑剤が含まれる。例示的な可塑剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)、クエン酸トリエチルブチル(TBC)、セバシン酸ジブチル(DBS)、トリアセチン、クエン酸トリエチル(TEC)、ポロキサマー(例えば、Poloxamer 407、「P407」)、コハク酸D-α-トコフェリルポリエチレングリコールがあげられる。実施態様によっては、ポリエチレングリコールの分子量は、約200 Da~約8,000,000 Da(8000Kまたは8000 kDaとも呼ばれる)、例えば約200 Da~約400 Da、約400 Da~約800 Da、約800 Da~約1600 Da、約1600 Da~約2500 Da、約2500 Da~約5000 Da,約5000 Da~約10K、約10K~約20K、約20K~約50K、約50K~約100K、約100K~約200K、約200K~約400K、約400K~約800K、約800K~約1000K、約1000K~約2000K、約2000K~約4000K、約4000K~約6000K、または約6000K~約8000Kである。
【0290】
システム部品に色吸収剤を含有させると、システム部品のすぐ隣の部品への取り付け(例えば溶着)を強化できる。溶着は、赤外線エネルギーを用いるなどして、構成部品を加熱することを含む。色吸収剤は、熱を吸収し、黒体放射として作用して、溶着された接合部に頭部を均一に分布させることができるので、溶着部の強度および耐久性を向上させることができる。例示的な色吸収剤としては、酸化鉄、カーボンブラックなどが挙げられる。
【0291】
胃内滞留システムの接合された部品間に一般の重合体(例えば一般の担持重合体)または一般の種類の重合体(例えば一般の種類の担持重合体)を含めると、直接隣接する部品間の溶着接合部の強度を向上させることができる。例として、実施態様によっては、高分子リンカー(例えば時間依存性リンカー、腸溶性高分子リンカー、または二重時間依存性および腸溶性高分子リンカー)は、直接隣接する部品を持つ一般の重合体または一般の種類の重合体(担持重合体および薬剤(またはその活性セグメントもしくは不活性セグメント)を含む構造部材、結合部材、別の高分子リンカー、または第2の構造部材(例えば弾性体中心部材)を含む。一般の重合体は、例えば、PCLまたはある種のPCL、TPUまたはある種のTPU、またはPLAまたはある種のPLAでもよい。
【0292】
直接隣接するまたは溶着された部品は、溶着温度で類似のメルトフローインデックスを有してもよく、その場合、接合された胃内滞留システム部品間の溶着を強化できる。メルトフローインデックスは、設定温度および設定荷重で10分間に毛管を流れる材料のグラム数で決定される粘度の測定値である。メルトフローインデックスは、例えば、ASTM D1238に記載の方法に従って、2.16 kgの荷重を使用して測定できる。実施態様によっては、互いに溶着された2つの胃内滞留システム部品のメルトフローインデックスは、2つの部品のうちのメルトフローインデックスの低い方に対して、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、または10%以下だけ異なる。実施態様によっては、2つの部品の溶着温度は、約120℃~約200℃、例えば約120℃~約140℃、約140℃~約160℃、約160℃~約180℃、または約180℃~約200℃の間である。
胃内滞留システムを用いた治療方法
【0293】
胃内滞留システムを用いて、長期間にわたる薬物または薬剤の投与を必要とする状態を治療することができる。好ましい実施態様では、胃内滞留システムをヒトに投与する。数ヶ月、数年、または無期限に服用される薬剤または薬物の長期投与の場合、胃内滞留システムを定期的に(週に1回または2週間に1回など)投与することは患者の投薬遵守および利便性に大きな利点を提供することができる。したがって、3日毎に1回、5日毎に1回、週に1回、10日に1回、または2週間に1回、本発明の胃内滞留システムを投与してもよい。胃内滞留システムがその滞留期間後に胃から出るのとほぼ同時に新しい胃内滞留システムを投与するように、投与する胃内滞留システムの設計胃内滞留期間と一致するよう投与頻度を時間調整する。
【0294】
胃内滞留システムを患者に投与すると、システムは胃内滞留期間にわたって薬剤または薬物を持続放出する。胃内滞留期間後、システムは分解して胃から出る。したがって、胃内滞留期間が1週間のシステムの場合、患者は毎週新しいシステムを飲み込む(あるいは他の方法で胃に投与される)。したがって、一実施態様では、所望の合計治療期間「合計T」(合計Tは日単位の所望の治療の長さである)にわたって「日数D」(日数Dは日単位の胃内滞留期間である)の胃内滞留期間を有する本発明の胃内滞留システムを用いる、システム中の薬剤または薬物による患者の治療方法は、所望の合計治療期間にわたってD日毎に経口投与または他の方法で新しい胃内滞留システムを患者の胃に導入することを含む。患者に投与する胃内滞留システムの数は、「合計T)を「D日」で割った数である。たとえば、患者の1年間の治療(合計T = 365日)が望ましく、システムの胃内滞留期間が7日(日数D = 7日)である場合、7日毎に1回新しいシステムを投与するため、365日間で約52個の胃内滞留システムを患者に投与することになる。
【0295】
あるいは、患者は胃内滞留システムの有効放出期間の終了時に新しい胃内滞留システムを飲み込んで(あるいは他の方法で胃に投与されて)もよい。「有効放出期間」または「有効放出時間」は、胃内滞留システムがシステムに含まれる有効量の薬剤を放出する時間である。したがって、一実施態様では、所望の合計治療期間「合計T」(合計Tは日単位の所望の治療の長さである)にわたって「日数E」(日数Eは日単位の有効放出期間である)の有効放出期間を有する本発明の胃内滞留システムを用いる、システム中の薬剤による患者の治療方法は、所望の合計治療期間にわたってE日毎に経口投与または他の手段で新しい胃内滞留システムを患者の胃に導入することを含む。患者に投与する胃内滞留システムの数は、「合計T」を「E日」で割った数である。たとえば、患者の1年間の治療(合計T = 365日)が望ましく、システムの有効放出期間が7日(日数E = 7日)である場合、7日毎に1回新しいシステムを投与するため、365日間で約52個の胃内滞留システムを患者に投与することになる。
キットおよび製造品
【0296】
本発明の胃内滞留システムで患者を治療するためのキットも本明細書で提供する。キットは、たとえば、所望の合計治療期間にわたって患者に定期的に投与するのに十分な数の胃内滞留システムを含んでもよい。日単位の合計治療期間が「合計T」で胃内滞留システムが「D日」の胃内滞留期間を有する場合、D日毎の投与のため、キットは(「合計T」÷「D日」)(整数に四捨五入)に等しい数の胃内滞留システムを含む。あるいは、日単位の合計治療期間が「合計T」で胃内滞留システムが「E日」の有効放出期間を有する場合、E日毎の投与のため、キットは(「合計T」÷「E日」)(整数に四捨五入)に等しい数の胃内滞留システムを含む。キットは、たとえば、容器に数個の胃内滞留システムを含んでもよい(容器はカプセルであってもよい)し、必要に応じて、印刷された、あるいはコンピュータで読み取り可能な投与計画、治療期間、あるいは胃内滞留システムの使用および/または胃内滞留システムに含まれる薬剤もしくは薬物に関する他の情報の指示も含んでもよい。たとえば、患者の所定の合計治療期間が1年間で、胃内滞留システムが1週間の滞留期間または1週間の有効放出期間を有する場合、キットはそれぞれ1個の胃内滞留システムを含む52個のカプセルを、週に1回同じ日(たとえば毎週土曜日)に1個のカプセルを飲むという指示と共に含んでもよい。
【0297】
所望の合計治療期間にわたって患者に定期的に投与するのに十分な数の胃内滞留システムを含み、必要に応じて投与計画、治療期間、あるいは胃内滞留システムの使用および/または胃内滞留システムに含まれる薬剤もしくは薬物に関する他の情報についての指示も含む製造品も本発明に含まれる。製造品を適切な包装、たとえばディスペンサー、トレイ、または患者が所定の間隔で胃内滞留システムを投与するのを補助する他の包装で供給してもよい。
例示的な実施態様
【0298】
以下の実施態様は例示であり、本明細書に記載の本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0299】
実施態様1 担持重合体および薬剤を含む1つ以上の第1の構造部材を含む胃内滞留システムであって、前記1つ以上の第1の構造部材は高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられており、前記高分子リンカーはポリ(乳酸-co-グリコリド)(PLGA)および少なくとも1種の追加のリンカー重合体を含み、
前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で30日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断し、
該胃内滞留システムは、少なくとも24時間の期間、胃内に保持される、胃内滞留システム。
【0300】
実施態様2 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で30日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様1に記載の胃内滞留システム。
【0301】
実施態様3 前記高分子リンカーは、pH 1 6の水溶液中37℃で30日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様1に記載の胃内滞留システム。
【0302】
実施態様4 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で30日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様1に記載の胃内滞留システム。
【0303】
実施態様5 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で30日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の90%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様1に記載の胃内滞留システム。
【0304】
実施態様6 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で21日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様1~5のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0305】
実施態様7 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で21日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様1~5のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0306】
実施態様8 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で21日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様1~5のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0307】
実施態様9 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で21日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様1~5のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0308】
実施態様10 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で21日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の90%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様1~5のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0309】
実施態様11 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で14日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様1~10のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0310】
実施態様12 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で14日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様1~10のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0311】
実施態様13 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で14日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様1~10のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0312】
実施態様14 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で14日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様1~10のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0313】
実施態様15 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で14日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の90%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様1~10のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0314】
実施態様16 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で7日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様1~15のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0315】
実施態様17 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で7日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様1~15のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0316】
実施態様18 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で7日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様1~15のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0317】
実施態様19 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で7日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様1~15のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0318】
実施態様20 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で7日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の90%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様1~15のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0319】
実施態様21 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様1~20のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0320】
実施態様22 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様1~20のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0321】
実施態様23 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様1~20のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0322】
実施態様24 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様1~20のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0323】
実施態様25 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の90%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様1~20のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0324】
実施態様26 前記少なくとも1種の追加のリンカー重合体は、ポリ乳酸(PLA)、担持重合体、ポリカプロラクトン(PCL)、または熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含む、実施態様1~25のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0325】
実施態様27 前記担持重合体はPCLを含み、前記少なくとも1種の追加のリンカー重合体はPCLを含む、実施態様1~25のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0326】
実施態様28 前記担持重合体はTPUを含み、前記少なくとも1種の追加のリンカー重合体はTPUを含む、実施態様1~25のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0327】
実施態様29 前記少なくとも1種の追加のリンカー重合体はPLAを含む、実施態様1~25のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0328】
実施態様30 前記担持重合体はPCLまたはTPUを含む、実施態様29に記載の胃内滞留システム。
【0329】
実施態様31 担持重合体および薬剤を含む1つ以上の第1の構造部材を含む胃内滞留システムであって、前記1つ以上の第1の構造部材は高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられており、前記高分子リンカーは、
(a)ポリ(乳酸-co-グリコリド)(PLGA)、および
(b)ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、または熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含み、
該胃内滞留システムは、少なくとも24時間の期間、胃内に保持される、胃内滞留システム。
【0330】
実施態様32 前記担持重合体はPCLを含み、前記高分子リンカーはPLGAおよびPCLを含む、実施態様31に記載の胃内滞留システム。
【0331】
実施態様33 前記担持重合体はTPUを含み、前記高分子リンカーはPLGAおよびTPUを含む、実施態様31に記載の胃内滞留システム。
【0332】
実施態様34 前記高分子リンカーは、前記PLGAおよび前記PLAを含む、実施態様31に記載の胃内滞留システム。
【0333】
実施態様35 前記担持重合体は、TPUまたはPCLを含む、実施態様34に記載の胃内滞留システム。
【0334】
実施態様36 前記PLGAは、ポリ(D,L-乳酸-co-グリコリド)(PDLG)を含む、実施態様1~35のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0335】
実施態様37 前記PLGAは酸末端PLGAを含む、実施態様1~36のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0336】
実施態様38 前記PLGAはエステル末端PLGAを含む、実施態様1~37のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0337】
実施態様39 前記PLGAは、酸末端PLGAおよびエステル末端PLGAを約1:9~約9:1の比で含む、実施態様1~38のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0338】
実施態様40 前記高分子リンカーは約70重量%以下のPLGAを含む、実施態様1~39のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0339】
実施態様41 前記高分子リンカーは約30重量%~約70重量%のPLGAを含む、実施態様1~40のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0340】
実施態様42 前記高分子リンカーは、腸溶性重合体をさらに含む、実施態様1~41のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0341】
実施態様43 前記腸溶性重合体は、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)を含む、実施態様42に記載の胃内滞留システム。
【0342】
実施態様44 前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様1~43のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0343】
実施態様45 前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様1~43のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0344】
実施態様46 前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様1~43のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0345】
実施態様47 前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様1~43のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0346】
実施態様48 前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で1日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様1~47のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0347】
実施態様49 前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で1日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様1~47のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0348】
実施態様50 前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で1日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様1~47のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0349】
実施態様51 前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で1日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様1~47のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0350】
実施態様52 前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の10%超だけの曲げ弾性率を失う、実施態様1~43のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0351】
実施態様53 前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の20%超だけの曲げ弾性率を失う、実施態様1~43のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0352】
実施態様54 前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の40%超だけの曲げ弾性率を失う、実施態様1~43のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0353】
実施態様55 前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の60%超だけの曲げ弾性率を失う、実施態様1~43のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0354】
実施態様56 前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の80%超だけの曲げ弾性率を失う、実施態様1~43のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0355】
実施態様57 前記1つ以上の第1の構造部材は、前記高分子リンカーおよび第2の高分子リンカーを介して前記第2の構造部材に取り付けられ、前記第2の高分子リンカーは腸溶性高分子を含む、実施態様1~56のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0356】
実施態様58 前記第2の高分子リンカーは、TPU、PCL、またはPLGAをさらに含む、実施態様57に記載の胃内滞留システム。
【0357】
実施態様59 前記第2の高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様57または58に記載の胃内滞留システム。
【0358】
実施態様60 担持重合体および薬剤を含む1つ以上の第1の構造部材を含む胃内滞留システムであって、前記1つ以上の第1の構造部材は高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられており、前記高分子リンカーは、
(a)熱可塑性ポリウレタン(TPU)またはポリ(乳酸-co-グリコリド)(PLGA)、および
(b)腸溶性重合体を含み、
前記高分子リンカーは、pH6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断し、
該胃内滞留システムは、少なくとも24時間の期間、胃内に保持される、胃内滞留システム。
【0359】
実施態様61 前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様60に記載の胃内滞留システム。
【0360】
実施態様62 前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様60に記載の胃内滞留システム。
【0361】
実施態様63 前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様60に記載の胃内滞留システム。
【0362】
実施態様64 前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で1日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様60~63のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0363】
実施態様65 前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で1日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様60~63のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0364】
実施態様66 前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で1日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様60~63のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0365】
実施態様67 前記高分子リンカーはさらに、pH 6.5の水溶液中37℃で1日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様60~63のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0366】
実施態様68 前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の10%超だけの曲げ弾性率を失う、実施態様60に記載の胃内滞留システム。
【0367】
実施態様69 前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の20%超だけの曲げ弾性率を失う、実施態様60に記載の胃内滞留システム。
【0368】
実施態様70 前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の40%超だけの曲げ弾性率を失う、実施態様60に記載の胃内滞留システム。
【0369】
実施態様71 前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の60%超だけの曲げ弾性率を失う、実施態様60に記載の胃内滞留システム。
【0370】
実施態様72 前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の80%超だけの曲げ弾性率を失う、実施態様60に記載の胃内滞留システム。
【0371】
実施態様73 前記担持重合体はTPUを含み、前記1種以上の高分子リンカーはTPUを含む、実施態様60~72のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0372】
実施態様74 前記高分子リンカーはPLGAを含む、実施態様60~72のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0373】
実施態様75 前記高分子リンカーは、ポリ乳酸(PLA)をさらに含む、実施態様74に記載の胃内滞留システム。
【0374】
実施態様76 前記PLGAはポリ(D,L-乳酸-co-グリコリド)(PDLG)である、実施態様74または75に記載の胃内滞留システム。
【0375】
実施態様77 前記PLGAは酸末端PLGAを含む、実施態様74~76のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0376】
実施態様78 前記PLGAはエステル末端PLGAを含む、実施態様74~77のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0377】
実施態様79 前記PLGAは、酸末端PLGAおよびエステル末端PLGAを約1:9~約9:1の比で含む、実施態様74~78のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0378】
実施態様80 前記高分子リンカーは約70重量%以下のPLGAを含む、実施態様74~79のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0379】
実施態様81 前記高分子リンカーは約30重量%~約70重量%のPLGAを含む、実施態様74~80のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0380】
実施態様82 前記腸溶性重合体は、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)を含む、実施態様60~81のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0381】
実施態様83 前記高分子リンカーは約20重量%~約80重量%の腸溶性重合体を含む、実施態様60~82のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0382】
実施態様84 前記高分子リンカーは約0.5重量%~約20重量%の可塑剤を含む、実施態様1~83のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0383】
実施態様85 前記可塑剤は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)、クエン酸ブチルトリエチル(TBC)、セバシン酸ジブチル(DBS)、トリアセチン、クエン酸トリエチル(TEC)、ポロキサマー、またはコハク酸D-α-トコフェリルポリエチレングリコールを含む、実施態様84に記載の胃内滞留システム。
【0384】
実施態様86 担持重合体および薬剤を含む1つ以上の第1の構造部材を含む胃内滞留システムであって、前記1つ以上の第1の構造部材は、リンカー重合体および約0.5重量%~約20重量%の可塑剤を含む高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられており、
該胃内滞留システムは、少なくとも24時間の期間、胃内に保持される、胃内滞留システム。
【0385】
実施態様87 前記高分子リンカーは約0.5%~約12%の可塑剤を含む、実施態様86に記載の胃内滞留システム。
【0386】
実施態様88 前記リンカー重合体は腸溶性重合体を含む、実施態様86または87に記載の胃内滞留システム。
【0387】
実施態様89 前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様88に記載の胃内滞留システム。
【0388】
実施態様90 前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様88に記載の胃内滞留システム。
【0389】
実施態様91 前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様88に記載の胃内滞留システム。
【0390】
実施態様92 前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様88に記載の胃内滞留システム。
【0391】
実施態様93 前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で1日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様88~92のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0392】
実施態様94 前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で1日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様88~92のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0393】
実施態様95 前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で1日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様88~92のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0394】
実施態様96 前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で1日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様88~92のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0395】
実施態様97 前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の10%超だけの曲げ弾性率を失う、実施態様88に記載の胃内滞留システム。
【0396】
実施態様98 前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の20%超だけの曲げ弾性率を失う、実施態様88に記載の胃内滞留システム。
【0397】
実施態様99 前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の40%超だけの曲げ弾性率を失う、実施態様88に記載の胃内滞留システム。
【0398】
実施態様100 前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の60%超だけの曲げ弾性率を失う、実施態様88に記載の胃内滞留システム。
【0399】
実施態様101 前記高分子リンカーは、pH 6.5の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後に、pH 1.6の水溶液中で3日間恒温放置した後に減少する曲げ弾性率の80%超だけの曲げ弾性率を失う、実施態様88に記載の胃内滞留システム。
【0400】
実施態様102 前記腸溶性重合体は、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)を含む、実施態様88~101のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0401】
実施態様103 前記高分子リンカーは約20重量%~約80重量%の腸溶性重合体を含む、実施態様88~102のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0402】
実施態様104 前記リンカー重合体は前記担持重合体を含む、実施態様86~103のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0403】
実施態様105 前記担持重合体はポリカプロラクトン(PCL)または熱可塑性ポリウレタン(TPU)である、実施態様104に記載の胃内滞留システム。
【0404】
実施態様106 前記リンカー重合体は、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、または熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含む、実施態様86~103のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0405】
実施態様107 前記リンカー重合体は時間依存性分解性重合体を含む、実施態様86~106のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0406】
実施態様108 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で30日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様86~107のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0407】
実施態様109 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で30日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様86~107のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0408】
実施態様110 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で30日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様86~107のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0409】
実施態様111 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で30日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様86~107のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0410】
実施態様112 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で30日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の90%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様86~107のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0411】
実施態様113 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で21日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様86~112のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0412】
実施態様114 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で21日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様86~112のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0413】
実施態様115 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で21日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様86~112のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0414】
実施態様116 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で21日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様86~112のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0415】
実施態様117 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で21日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の90%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様86~112のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0416】
実施態様118 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で14日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様86~117のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0417】
実施態様119 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で14日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様86~117のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0418】
実施態様120 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で14日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様86~117のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0419】
実施態様121 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で14日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様86~117のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0420】
実施態様122 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で14日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の90%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様86~117のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0421】
実施態様123 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で7日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様86~122のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0422】
実施態様124 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で7日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様86~122のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0423】
実施態様125 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で7日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様86~122のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0424】
実施態様126 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で7日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様86~122のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0425】
実施態様127 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で7日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の90%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様86~122のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0426】
実施態様128 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の20%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様86~127のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0427】
実施態様129 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の40%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様86~127のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0428】
実施態様130 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の60%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様86~127のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0429】
実施態様131 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の80%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様86~127のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0430】
実施態様132 前記高分子リンカーは、pH 1.6の水溶液中37℃で3日間恒温放置した後、その曲げ弾性率の90%以上を失うか、あるいは破断する、実施態様86~127のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0431】
実施態様133 前記時間依存性分解性重合体はポリ(乳酸-co-グリコリド)(PLGA)を含む、実施態様107~132のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0432】
実施態様134 前記PLGAは、ポリ(D,L-乳酸-co-グリコリド)(PDLG)を含む、実施態様133に記載の胃内滞留システム。
【0433】
実施態様135 前記PLGAは酸末端PLGAを含む、実施態様133または134に記載の胃内滞留システム。
【0434】
実施態様136 前記PLGAはエステル末端PLGAを含む、実施態様133~135のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0435】
実施態様137 前記PLGAは、酸末端PLGAおよびエステル末端PLGAを約1:9~約9:1の比で含む、実施態様133~136のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0436】
実施態様138 前記高分子リンカーは約70重量%以下のPLGAを含む、実施態様133~137のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0437】
実施態様139 前記高分子リンカーは、約30%~約70%のPLGAを含む、実施態様133~138のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0438】
実施態様140 前記可塑剤は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)、クエン酸ブチルトリエチル(TBC)、セバシン酸ジブチル(DBS)、トリアセチン、クエン酸トリエチル(TEC)、ポロキサマー、またはコハク酸D-α-トコフェリルポリエチレングリコールを含む、実施態様86~139のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0439】
実施態様141 担持重合体および薬剤を含む1つ以上の第1の構造部材を含む胃内滞留システムであって、前記1つ以上の第1の構造部材は高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられており、前記高分子リンカーは、
(a) pH非依存性分解性重合体、および
(b)腸溶性重合体を含み、
該胃内滞留システムは、少なくとも24時間の期間、胃内に保持される、胃内滞留システム。
【0440】
実施態様142 前記高分子リンカーは、担持重合体をさらに含む、実施態様141に記載の胃内滞留システム。
【0441】
実施態様143 前記担持重合体はTPUまたはPCLである、実施態様142に記載の胃内滞留システム。
【0442】
実施態様144 前記pH非依存性分解性重合体はPLGAを含む、実施態様141~143のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0443】
実施態様145 前記PLGAはポリ(D,L-乳酸-co-グリコリド)(PDLG)である、実施態様144に記載の胃内滞留システム。
【0444】
実施態様146 前記PLGAは酸末端PLGAを含む、実施態様144または145に記載の胃内滞留システム。
【0445】
実施態様147 前記PLGAは、エステル末端PLGAを含む、実施態様144~146のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0446】
実施態様148 前記PLGAは、酸末端PLGAおよびエステル末端PLGAを約1:9~約9:1の比で含む、実施態様144~147のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0447】
実施態様149 前記高分子リンカーは約70重量%以下のPLGAを含む、実施態様144~148のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0448】
実施態様150 前記高分子リンカーは約30重量%~約70重量%のPLGAを含む、実施態様144~149のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0449】
実施態様151 前記腸溶性重合体は、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)を含む、実施態様141~150のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0450】
実施態様152 前記高分子リンカーは約20重量%~約80重量%の腸溶性重合体を含む、実施態様141~151のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0451】
実施態様153 前記高分子リンカーは約0.5重量%~約20重量%の可塑剤を含む、実施態様141~152のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0452】
実施態様154 前記可塑剤は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)、クエン酸ブチルトリエチル(TBC)、セバシン酸ジブチル(DBS)、トリアセチン、クエン酸トリエチル(TEC)、ポロキサマー、またはコハク酸D-α-トコフェリルポリエチレングリコールを含む、実施態様153に記載の胃内滞留システム。
【0453】
実施態様155 前記高分子リンカー中の材料が均質に配合されている、実施態様1~154のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0454】
実施態様156 前記高分子リンカーは実質的に前記薬剤を含まない、実施態様1~155のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0455】
実施態様157 前記高分子リンカーは、色吸収色素をさらに含む、実施態様1~156のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0456】
実施態様158 前記色吸収色素は酸化鉄を含む、実施態様157に記載の胃内滞留システム。
【0457】
実施態様159 複数の第1の構造部材を含み、
各第1の構造部材は、別個の高分子リンカーを介して前記第2の構造部材に取り付けられ、
前記第2の構造部材は、弾性中心部材であり、
該胃内滞留システムは、投与中は折り畳まれて物理的に拘束されるように構成され、拘束の除去時に開いた保持形状を取るように構成され、かつ
前記折り畳まれた形状と前記開いた保持形状との間の変化は、滞留構造が前記折り畳まれた形状にあるときに弾性変形を受け、前記胃内滞留構造が前記開いた保持形状を取るときに反動する前記弾性中心部材により媒介される、
実施態様1~158のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0458】
実施態様160 該胃内滞留システムは、胃で分解するように構成されたカプセル内に拘束される、実施態様159に記載の胃内滞留システム。
【0459】
実施態様161 前記薬剤は薬物である、実施態様1~160のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0460】
実施態様162 前記第2の構造部材は弾性体である、実施態様1~161のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0461】
実施態様163 前記第2の構造部材は中心弾性体であり、前記1つ以上の第1の構造部材は前記中心弾性体から放射状に突出するアームである、実施態様1~162のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0462】
実施態様164 該胃内滞留システムは少なくとも48時間の期間、胃内に保持される、実施態様1~163のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0463】
実施態様165 該胃内滞留システムは少なくとも3日の期間、胃内に保持される、実施態様1~163のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0464】
実施態様166 該胃内滞留システムは少なくとも7日の期間、胃内に保持される、実施態様1~163のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0465】
実施態様167 該胃内滞留システムは少なくとも14日の期間、胃内に保持される、実施態様1~163のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0466】
実施態様168 該胃内滞留システムは少なくとも30日の期間、胃内に保持される、実施態様1~163のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
【0467】
実施態様169 実施態様1~168のいずれか1つに記載の胃内滞留システムを個体の胃内に配備することを含む、前記個体に薬剤を送達する方法。
【0468】
実施態様170 前記個体はヒトである、実施態様169に記載の方法。
【0469】
実施態様171 高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられた1つ以上の第1の構造部材を含み、前記高分子リンカーは、68~72重量%のポリ(乳酸-co-グリコリド)(PLGA)および28~32重量%のポリ乳酸を含み、前記PLGAは65:35の乳酸対グリコール酸比を有する、胃内滞留システム。
【0470】
実施態様172 高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられた1つ以上の第1の構造部材を含み、前記高分子リンカーは、68~72重量%のポリ(乳酸-co-グリコリド)(PLGA)および28~32重量%のポリ乳酸を含み、前記PLGAは75:25の乳酸対グリコール酸比を有する、胃内滞留システム。
【0471】
実施態様173 高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられた1つ以上の第1の構造部材を含み、前記高分子リンカーは、48~52重量%のポリ(乳酸-co-グリコリド)(PLGA)および48~52重量%のポリ乳酸(PLA)を含み、前記PLGAは75:25の乳酸対グリコール酸比を有する、胃内滞留システム。
【0472】
実施態様174 高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられた1つ以上の第1の構造部材を含み、前記高分子リンカーは、22~26重量%のポリ(乳酸-co-グリコリド)(PLGA)、54~58重量%のポリ乳酸(PLA)、および18~22重量%の熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含み、前記PLGAは65:35の乳酸対グリコール酸比を有する、胃内滞留システム。
【0473】
実施態様175 高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられた1つ以上の第1の構造部材を含み、前記高分子リンカーは、22~26重量%のポリ(乳酸-co-グリコリド)(PLGA)、54~58重量%のポリ乳酸(PLA)、および18~22重量%の熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含み、前記PLGAは75:25の乳酸対グリコール酸比を有する、胃内滞留システム。
【0474】
実施態様176 高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられた1つ以上の第1の構造部材を含み、前記高分子リンカーは、38~42重量%のポリ(乳酸-co-グリコリド)(PLGA)、38~42重量%のポリ乳酸(PLA)、および18~22重量%のTPUを含み、前記PLGAは75:25の乳酸対グリコール酸比を有する、胃内滞留システム。
【0475】
実施態様177 高分子リンカーを介して第2の構造部材に取り付けられた1つ以上の第1の構造部材を含み、前記高分子リンカーのガラス転移温度は、水性環境で7~14日後に体温未満まで低下する、胃内滞留システム。
【実施例
【0476】
以下の非限定的な実施例により本明細書に開示の技術をさらに例示する。
【0477】
以下の実施例では、胃内条件をシミュレートするために絶食状態の模擬胃液(FaSSGF)を参照する。2 gのNaClを0.9 Lの精製水に溶解し、HClを用いて溶液のpHを1.6に調整してFaSSGFを調製した。次いで室温の精製水で容量を1.0 Lにし、0.06 gのFaSSGF Biorelevent粉末を1 LのHCl/NaCl溶液に加えた。
【0478】
腸内条件をシミュレートするために絶食状態の腸液(FaSSIF)を用いた。0.21 gのNaOH、1.98 gのNaH2PO4、および3.09 gのNaClの精製水(0.45 L)溶液からなる緩衝液を調製した後に1 NのNaOHを用いて溶液のpHを6.5に調整してFaSSIFを調製した。次いで容量を0.5 Lにした。次に、1.12 gのFaSSIF Biorelevent粉末を0.5 Lの緩衝液に加え、完全に溶けるまで撹拌した。室温の緩衝液を用いて容量を1 Lにした後、2時間放置してから使用した。
【0479】
改訂ASTM D790規格に準拠した3点曲げ試験を用いて試料の曲げ弾性率を決定した。図4は、3点曲げ試験を用いて材料の曲げ弾性率を試験することができる方法を示す。Instronの機械3342シリーズと三角形の専用に作られた母材を用いて、試験条件(たとえばFaSSIFまたはFaSSGF)で恒温放置した後の試料の曲げ弾性率を評価した。試料の曲げ弾性率を試験するために、三角形の頂点を下に向け、平らな底面を上に向けて、試料を専用のグリップに置いた。試料に上から圧力を加え、ロードセルを用いて力(N/mm)を測定した。ロードセルにより作成した荷重変位曲線の直線領域の傾きで、曲げ弾性率をN/mm単位で決定した。
実施例1:時間依存性高分子リンカー
【0480】
表3に示すように、85%PLGAおよび15%PLAを含む3種類の時間依存性高分子リンカーの試料を形成した。試料をFaSSGF中で約37~40℃、3、5、10、または18日間恒温放置してから、3点曲げ試験を用いて曲げ弾性率を測定した。結果を図5に示すが、FaSSGF中で試料種3は試料種2よりも速く劣化し、試料種1よりも速く劣化する。
【表3】
【0481】
また、表4に示すように、55%のPLGAおよび45%のPCLを含む時間依存性高分子リンカー試料も試験した。試料を約37~40℃のFaSSGF中で7、14、21、29、または63日間恒温放置してから、曲げ弾性率を3点曲げ試験で測定した。結果を図6に示すが、FaSSGF中で試料種1は試料種2よりも速く劣化し、試料種3よりも速く劣化する。
【表4】
【0482】
時間依存性高分子リンカーの曲げ弾性率の損失は、リンカー中のPLGA重合体の量を増減させて調整することができる。PLGAの量が多いと、試料の劣化が速くなる。Resomer(登録商標) RG 653H を 55%、70%、または 85% 含む試料(残部は Purasorb(登録商標) PLDL 7024)を FaSSGF で 3 日間または 18 日間恒温放置してから曲げ弾性率を測定した。結果は図7に示すとおりで、高分子リンカー中のPLGAの割合が高いほど、模擬胃内条件での分解が速くなる。
【0483】
PLGAとPCLを含む時間依存性高分子リンカーの試料を、pH 1.6、3.0、4.5、または7.0の水溶液中で3、7、10、14、または18日間恒温放置して、時間依存性高分子リンカーのpH非依存性を試験した。例示的な試料は、44.95%のPCL、53%のPurasorb(登録商標) PDLG 5004A、2%の100Kポリエチレングリコール、および0.05%の酸化鉄を含み、種々のpH条件および時間の長さで恒温放置した後の試料の曲げ弾性率を図8に示す。図8に示すように、試料の時間依存性高分子リンカーの分解は、概ねpHに依存せず、PLGAが水性条件でpHに依存せず、時間依存的に分解する。
実施例2:腸溶性高分子リンカー
【0484】
腸溶性高分子リンカーを、胃では全く分解されないか限定的に分解されるだけで、腸で迅速に分解されるように設計した。腸溶性重合体を使用して、腸溶性高分子リンカーの所望の結果を得た。
【0485】
例示的な腸溶性高分子リンカーを、60%のHPMCAS MGおよび40%のPathways(商標) 72AE TPUを含む重合体ブレンドのホットメルト押出しで形成した。試料の曲げ弾性率oを、FaSSGF (pH 1.6)またはFaSSIF (pH 6.5)のいずれかで恒温放置前または3日間もしくは7日間恒温放置した後に測定した。腸溶性高分子リンカー試料は、図9に示すように、模擬腸内条件(FaSSIF)で実質的に分解したが、模擬胃内条件(FaSSGF)ではほとんど分解されなかった。
【0486】
高分子リンカー中の腸溶性重合体量の関数としての腸溶性高分子リンカー分解の速度を、表5に示すように、腸溶性重合体の量を変化させた試料を形成することで試験した。試料をFaSSIF中で恒温放置し、曲げ弾性率を恒温放置前、恒温放置3日後、または恒温放置7日後に測定した。図10に示すように、腸溶性重合体、すなわちHPMCASの量が大きいほど、模擬腸内条件で腸溶性高分子リンカー試料がより速く分解した。
【表5】
【0487】
腸溶性高分子リンカー中のプロピレングリコールの効果、およびpH依存性への効果は、表6に示すように、腸溶性高分子リンカー試料中のプロピレングリコールの量を変え、模擬胃条件(FaSSGF)または模擬腸条件(FaSSIF)で3日間恒温放置した後の曲げ弾性率の変化を測定して試験された。結果は図11に示されており、プロピレングリコールの量が多いほど、模擬腸内条件下での腸溶性高分子リンカーの分解を促進することができるが、プロピレングリコールの濃度が高い試料は腸溶性重合体(HPMCAS)の量が少ないにもかかわらず、模擬胃内条件での分解速度に影響しない。
【表6】
【0488】
高分子リンカー試料中に、pH非依存性分解性重合体、すなわちPLGAを腸溶性重合体、すなわちHPMCASとともに含むことにより、時間依存性兼腸溶性の二機能高分子リンカーを形成した。pH非依存性分解性重合体は、胃の条件を含む任意のpHで高分子リンカーを弱め、腸溶性重合体は、腸の条件で分解を加速させる。
【0489】
60%のHPMCAS MGと40%のPLGA(即ち、Resomer(登録商標) RG 653H)の均質な混合物をホットメルト押出しして、時間依存性兼腸溶性の二機能高分子リンカーを形成した。試料の曲げ弾性率を、恒温放置前、またはFaSSGFもしくはFaSSIF中で3日間、5日間、もしくは7日間恒温放置した後に測定した。結果は図12に示されており、時間依存性兼腸溶性の二機能高分子リンカーは、模擬胃内条件ではゆっくりと分解するが、模擬腸内条件では速やかに分解する。
実施例4:基材重合体に接合されたリンカー材料の溶着強度
【0490】
胃内滞留システム剤形の部品を、ホットメルト押出で製造し、サイズに切断し、かつ熱接着により一つに接合した。熱接着プロセスは、選択された部品を所望の構成でネストに装填し、全ての界面が接触するように半径方向に圧力をかけ、部品の露出した側を赤外線(IR)放射に暴露することを含んでいた。重合体鎖が接合界面を交差して流れ、隣接する部品の鎖と交わることができるところまで加熱されると、強い熱結合が形成される。重合体ブレンドはそれぞれ独自の吸収性と伝導性を持っているため、IR照射で材料が到達する温度は材料ごとに異なる。平均の処理過程の温度を、2つの材料の界面に直接挿入された熱電対を用いて測定した。
【0491】
関連する温度範囲における溶融粘度を決定するために、キャピラリーレオメーターを用いて材料特性を評価した。予備粘度データを用いて層の再調合を、すなわち溶融粘度を下げるための可塑剤の添加、およびIR吸収特性を変えるための着色剤の添加をおこなった。層間の接着強度を、2つの部品を引き離すのに必要な力を測定する引張試験で評価した。この試験を、特注グリップを使用したインストロン万能試験機で実施した。
【0492】
この過程中に到達した平均ピーク温度は約 110℃であった。これらの測定のばらつきは、熱電対の正確な位置決めを含む様々な要因から生じる。材料は片側からIRにさらされるため、材料の導電率は温度が平衡するまでの時間に影響する。
【0493】
メルトフローインデックス(溶融流動指数)。メルトフローインデックス(MFI)は、ある温度と負荷で10分間に特定のキャピラリーを流れる材料のグラム数で決まる粘度の測定値である。熱結合は層界面で重合体鎖が交錯して形成されるため、この相互作用を促進し、強い結合を形成するためには、メルトフローインデックスを同程度にすることが重要である。2種の高分子リンカー処方は、非常に異なるMFIを有する。例示的な試験済み腸溶性高分子リンカー(34%PCL、64%HPMCAS、2%P407)は、120℃に加熱されるまで2.16 kg荷重下で全く流動しないが、例示的な時間依存性高分子リンカー(45%PCL、35%Purasorb(登録商標) PDLG 5004A、18%Purasorb(登録商標) PDLG 5004、2%100Kポリエチレングリコール)および純粋キャリア重合体(100% PCL)の流動度は著しく高い(図13A)。腸溶性高分子リンカーの配合を表14のように調整してポリエチレングリコールの量を変え、120℃でのメルトフローインデックスを測定した(図13B、表7の試料1~5を示す)。ポリエチレングリコール(可塑剤)の量を増やすと、メルトフローインデックスも増加することがわかった。
【表7】
【0494】
引張強度。インストロン機および特注グリップを用いて、溶着材料間の接合部の極限引張強度(UTS)を評価した。クロスヘッドは試験材料の弾力性に応じて5~500 mm/分で上方に移動する。試験機は荷重(N)対変位(mm)を記録し、最大荷重を界面の断面積で割って極限引張強度(応力)を計算することができる。極限引張強度が低いということは、胃内滞留システムに潜在する破断箇所を示す。図14Aに示すように、表7に示す腸溶性高分子材料と時間依存性リンカーとの間の結合の引張強度を測定した。
【0495】
腸溶性高分子リンカー処方に可塑剤を含むと、プロセス関連温度での流動(図13B)および腸溶性高分子リンカーと接合した時間依存性リンカーとの間の結合の引張強度(図14A)が増加した。腸溶性高分子リンカーがより高い量の可塑剤を含むと、結合の引張強度が低下したが、腸溶性高分子リンカーおよび結合した時間依存性リンカーの両方に共通するキャリア重合体(例えば、PCL)の量を増やすことでこの低下をいくらか回復することができる(図14B参照、PCLの量を変えた表7の試料4および5と並んで、それぞれが34%のPCLを有する表7の試料1、6および7、の引張強度を示す)。
実施例5:腸溶性高分子リンカー
【0496】
20%、40%、または60%のHPMCASを80%、60%、または40%のPathways(登録商標) 72AE TPUと混合して腸重合性リンカー材料を形成した。この重合体材料をFaSSIFまたはFaSSGF中で37℃3日間恒温放置した。材料の曲げ弾性率を測定した結果を図15Aに示す。60%のHPMCASおよび40%のTPUを含む材料の曲げ弾性率を、37℃でFaSSIFまたはFaSSGF中で0日、および3日間または7日間恒温放置した後に測定した結果を図15Bに示す。
【0497】
腸溶性高分子リンカー材料試料をFaSSIF中で低温破砕および恒温放置してHPMCASを可溶化した。試料に対して走査型電子顕微鏡観察(SEM)を行い、表8に示すように、浸出したHPMCASによって残されたドメインを、ImageJを用いて円として大きさを決め、平均ドメインサイズ(μm)として報告した。HPMCAS担持60%では、HPMCASドメインサイズの桁違いの増大が観察され、マトリックスからのHPMCASの溶出が改善された。
【表8】
【0498】
胃内滞留システムの部品は、米国特許第10,182,985号、および公開特許出願US 2018/0311154 A1、US 2019/0262265 A1、US 2019/0231697 A1、US 2019/0254966 A1、およびWO2018/227147に開示されているように、共押出または三次元印刷などの様々な方法で製造することができる。
【0499】
星状体投与形態の胃内滞留システムを、前臨床薬理学および毒性学の評価に一般的に受け入れられているモデルであるイヌで評価した。星状体システムを含むカプセルを、12時間絶食させた後のイヌに投与した。胃内滞留システムは喉の奥に設置され、餌を追いかける形で投与された。投与後1時間以内と1週間毎日、腹部背面X線写真を撮影した。胃内滞留システムが1週間以上体内に留まった場合は、胃内滞留システムが通過するまで週3回X線撮影を行った。胃内滞留システムに埋め込まれた6個の鋼基準(steel fiducial)により、各胃内滞留システムの位置(胃または下部消化管)および無傷度を解析することができた。
【0500】
星状体剤形中の(a)15%のPCLと85%のHPMCAS、(b)30%のPCLと70%のHPMCAS、(c)40%のPCLと50%のHPMCAS、または(d)50%のPCLと50%のHPMCASを含む腸溶性高分子リンカーを犬モデルで試験した。腸溶性高分子リンカーは、星状体剤形の胃内滞留システムのPCL結合部材に溶着された.犬モデルにおける胃内滞留を、図16に示したが、これは、40%または50%のPCLを含む剤形が、より少量のPCLを含む腸溶性リンカーよりも長期間、胃内滞留に耐えたことを実証している。腸溶性高分子リンカー中のPCLの量が多いほど、高分子リンカーとPCL結合部材との溶着強度が向上し、その結果、胃内滞留はより長くなった。
【0501】
イヌモデルにおける胃内滞留性を、PCL系胃内滞留システムを用いて追加の高分子リンカーについても試験した(すなわち、PCLを含む胃内滞留システム部品に高分子リンカーを溶着した)。リンカー材料のPCL薬剤アームへの溶着性を、結合の引張強度に基づいて決定し、一方、犬モデルにおける胃内滞留性を、腹部背面X線により上述のとおり検討した。高分子リンカー材料をFaSSIFおよびFaSSGFに恒温放置して腸溶特性を生体外で測定した。曲げ弾性率がFaSSIF中で恒温放置した後に減少するがFaSSGF中で減少しない場合、その材料の腸溶性特性を定性的に良好(+++または++++)と判定した。曲げ弾性率が低下しないか、わずかにしか低下しない場合、その材料の腸溶性特性を定性的に悪い(+または++)と判定した。試験した腸溶性高分子リンカーとその結果を表8に、試験した時間依存性高分子リンカーとその結果を表8に示す。
【表9】
【0502】
腸溶性高分子リンカー中のHPMCASの量が多い(表8の試料8~10)場合、非常に良好な腸溶特性が得られるが、腸溶性高分子リンカーとPCL成分の間の溶着は弱く、破断して早期に胃の外に出る危険性があることが判明した。PCLを適度に含む試料(表9の試料3~6)では可塑剤の添加により、高分子リンカーとPCL成分との溶着性が向上した。P407を含む試料5では、製品製造時の高分子リンカーの切断性が向上した。
【表10】
【0503】
表9に示すすべての時間依存性高分子リンカーは、胃内滞留システムのPCL成分に良好な強度で溶着した。PEOを2%添加すると、製造時の重合体混合物の流動性が向上したが(表9の試料2)、PEOを多く添加すると、胃内滞留時間が短くなった(表9の試料5)。
【0504】
1つの腸溶性高分子リンカーと1つの時間依存性リンカーを有する胃内滞留システムも、犬モデルで試験した。組み合わせシステム1は、表9の試料2による時間依存性高分子リンカー(単独で7.6日の平均胃内滞留)、および表8の試料3による腸溶性高分子リンカー(単独で9.5日の平均胃内滞留)を含み、平均胃内滞留日数8.3日を有した(標準偏差は2.1日)。組み合わせシステム2は、表9の試料3による時間依存性高分子リンカー(平均胃内滞留日数8日)および表8の試料5による腸溶性高分子リンカーを含み、平均胃内滞留日数は8.5日(標準偏差1.5日)であった。組み合わせシステム3は、表9の試料2による時間依存性高分子リンカー(平均胃内滞留日数7.6日)および表8の試料5による腸溶性高分子リンカー(平均胃内滞留日数4.0日)を含み、平均胃内滞留日数が3.7日(標準偏差1.2日)であった。
実施例7:様々な条件での崩壊性マトリックスの機械的試験
【0505】
崩壊性マトリックスの環状恒温放置非平面圧縮(CINC)試験:CINC試験装置は、加熱された水性流体中に浸漬された星状体を保持するように設計されている。水中に沈めている間、星状体は、図17Aに示すように、2つの対向する支持具により圧縮される。これらの支持具のそれぞれは、長さ41.24 mmの溝からなる(図17B参照)。両溝は水平面内にあり、互いに向かい合っている。星状体を、2本のアームの先端を各支持具に入れ、対向する4本のアームで星状体を支持し、2本のアームは支持しないまま、装置内に配置する。支持具が完全に開いている間、星状体は支持具溝と同じ(水平)平面にある。作動時には、一方の支持具が他方の支持具に向かって移動し、星状体を圧縮する。支持具の往復運動により、星状体コアの力が星状体を溝に保持する。アームの先端は溝内で自由に動くことができ、アーム間の角度を変えることができる。アームの先端を除いて、星状体は垂直面内では拘束されない。
【0506】
星状体を、絶食状態模擬胃液(FaSSGF)を含む瓶の中で37℃で恒温放置した。各時点で星状体を瓶から取り出し、拭き取って乾燥させ、写真撮影した。CINC試験装置をFaSSGFで満たし、37℃に予熱した。星状体をCINC試験装置に入れ、10分間平衡化させた。その後、星状体をCINC試験装置で50サイクル運転した。各サイクルは、保持具を開位置にして1.88秒保持、閉位置へ0.85秒移動、閉位置で1.88秒保持、その後開位置へ0.85秒復帰という構成であった。開位置では溝の最深部の間隔は38.64 mm、閉位置では溝の間隔は21.64 mmであった。CINC試験後、星状体の水分を拭き取り、写真撮影を行った。各圧縮サイクルの前後に、星状体が破断する兆候(曲げ、溶着部の剥離、アームの破断)がないか観察した。その後、星状体を、次の時点まで37℃で恒温放置されたFaSSGFの瓶に戻した。星状体は、破断するか、固定具で保持できないほど損傷するまで、同じ手順で試験される。故障モードと故障のタイミング(日数、圧縮サイクル数)が報告される。
【0507】
表9は、CINCで試験した際の代表的なリンカーの結果を示す。定性的な結果は、予想される胃残留性をランク付けすることができる。
【表11】
【0508】
応力緩和「窓」試験。星状体内のリンカーの応力緩和を、恒温放置生体関連媒体を用いた長時間の圧縮後の星状体アームの材料変形および回復を測定する「窓」試験を用いて評価した。
【0509】
リンカーで組み立てられた星状体(図18、パネルA参照)を、試験の前に37℃で生物関連媒体(FaSSGFまたはFaSSIF)中に恒温放置した。各時点で、星状体を写真撮影し、次いで手動で圧縮し、恒温放置中に星状体を圧縮された位置に保持するプラスチック製「窓」形固定具の区画内に配置した(図18、パネルBのように)。圧縮された星状体を含む固定具を、37℃で4時間、生物関連媒体を含む密閉容器内に置いた(再び図18、パネルBを参照)。次いで、星状体を固定具から取り出し、写真撮影し、次の時点まで恒温放置するために(圧縮せずに)生物関連媒体に戻した。アームの角度の変化を、ImageJなどの画像解析ソフトウェアで測定し、曲がったアームと隣接する圧縮されていないアームとの間の角度として報告した(図18、パネルCを参照)。3つの異なるリンカーについての結果を、図19Aおよび図19Bに示す。
【0510】
使用された窓形固定具は、それぞれ長さ50 mm×幅15 mm×深さ15 mmのコンパートメントの配列を含んでいた。Formlabs Form 2プリンタを用いて、透明な光重合性樹脂で3Dプリントされたが、耐久性のある任意の材料で作ることができる。
【0511】
表11に記載の3つの異なるリンカーについて、図19Aは、星状体アームにおける窓試験後のアーム角度の時間に対する%差を表示し、図19Bはまた、回復後のアーム角度の%差も含む。このデータは、星状体、ひいてはリンカーの挙動における明確な区別を実証している。
【0512】
星状変形後の応力緩和:所定日数にわたる星状体変形後の応力緩和時間を図20に示す。時限リンカーを有する星状体は、時間依存の、調整可能な応力緩和挙動を示す。時限リンカー1について概説した特性は、7.2±3.2日の胃内滞留と関連し、時限リンカー2について概説した特性は、19.3±3.9日の胃内滞留と関連する。図21は、FaSSGF対FaSSIFにおける所定日数にわたる星状体変形後応力緩和試験を示す。このデータは、代表的な腸溶性リンカー1を用いて収集された。
【0513】
3点曲げ試験:関連媒体における代表的な時限リンカーおよび腸溶性リンカーの減衰を示す腸溶性およびタイミングマトリックスの3点曲げ試験を、図22A(時限リンカー)および図22B(腸溶性リンカー)に示す。
【0514】
表10は、3点曲げ試験、応力緩和試験、CINC試験における代表的な時限リンカーの比較、およびこれらのパラメーターと胃内滞留の関係を示す。リンカーの曲げ、変形、および破断を捕らえる機械的試験は、異なるリンカー配合を組み込んだ星状体の胃内滞留期間の格付け順を予測するために一緒に分析される。
【表12】
【0515】
表11は、3点曲げおよび応力緩和試験における代表的な腸溶性リンカーに関するデータを示す。異なるpH媒体における腸溶性リンカーの軟化および変形を捕らえる機械的試験を、pH応答性を評価するために使用する。記載された3つのリンカーはすべて胃のpHで10日以上剛性を維持するが、腸溶性リンカー1および2は腸溶性リンカー3よりも腸のpHでより容易に軟化し、したがって腸でより容易に軟化することが予想される。
【表13】
【0516】
前述の発明は、理解を明確にする目的で、例示および実施例によりある程度詳細に説明されているが、特定の変更および修正が実施されることは、当業者には明らかである。従って、説明および実施例は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図2K
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16
図17A
図17B
図18
図19A
図19B
図20
図21
図22A
図22B
【国際調査報告】