(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(54)【発明の名称】伸縮性心電図(ECG)装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/257 20210101AFI20221221BHJP
A61B 5/28 20210101ALI20221221BHJP
A61B 5/308 20210101ALI20221221BHJP
A61B 5/332 20210101ALI20221221BHJP
【FI】
A61B5/257
A61B5/28
A61B5/308
A61B5/332
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022526264
(86)(22)【出願日】2020-11-05
(85)【翻訳文提出日】2022-07-01
(86)【国際出願番号】 US2020059124
(87)【国際公開番号】W WO2021092184
(87)【国際公開日】2021-05-14
(32)【優先日】2019-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】503115205
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】リウ, ユシン
(72)【発明者】
【氏名】バオ, ゼナン
(72)【発明者】
【氏名】カーン, ヤセル
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127JJ03
4C127LL15
(57)【要約】
【課題】
【解決手段】特定の実施例において、方法及び構造は、複数の伸縮性リードを有する装置を対象とし、複数の伸縮性リードのそれぞれは、対象の心臓に応じて生成される電気信号を受信し、受信した電気信号を複数の伸縮性リードのうちの対応する1つに伝える関連電極を備える。さらに、装置は、伸縮性基板、複数の伸縮性リード、及び複数の伸縮性リードのそれぞれに伝わった電気信号を収集するために配置される回路用の領域を有するパッチを一体化するパッチを備え、複数の伸縮性リードのそれぞれは、パッチの対象側にある。さらなる特定の実施例において、回路は、電気信号に基づく多誘導ECGを提供するために使用される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の伸縮性リードであって、それぞれ、対象の心臓に応じて生成される電気信号を受信し、受信した前記電気信号を前記複数の伸縮性リードの対応する1つに伝える関連電極を備える、複数の伸縮性リードと、
前記複数の伸縮性リードと一体である伸縮性基板と、前記複数の伸縮性リードのそれぞれに伝わった前記電気信号を収集するための回路を配置する回路領域と、を備えるパッチと、
を備え、
前記複数の伸縮性リードは、それぞれ、前記パッチの対象側にある、
装置。
【請求項2】
前記回路をさらに備え、
前記回路は、前記パッチの前記回路領域に固定され、前記複数の伸縮性リードに接続される、
請求項1の装置。
【請求項3】
前記伸縮性基板は、少なくとも1つの開口と、前記少なくとも1つの開口に重なる導電体と、を備え、
前記少なくとも1つの開口に重なる前記導電体は、受信した前記電気信号を、前記複数の伸縮性リードから前記回路領域に繋がる経路に伝える、
請求項1の装置。
【請求項4】
前記回路領域に固定される前記回路をさらに備え、
前記回路は、前記電気信号を増幅する、
請求項1の装置。
【請求項5】
前記回路領域に固定される前記回路をさらに備え、
前記回路は、設定可能又はプログラム可能な論理回路を有するコントローラと、複数の多チャンネル増幅器と、を備え
各前記多チャンネル増幅器は、前記コントローラにより提供される選択制御に応じて前記電気信号の1つを選択的に増幅する、及び/又はそれぞれがECGリードとして使用される一対の入力を有する、
請求項1の装置。
【請求項6】
前記回路領域に固定される前記回路の温度を感知する温度センサをさらに備える、請求項1の装置。
【請求項7】
前記パッチを前記対象に固定するための接着材料をさらに備え、
前記回路は、前記パッチが前記対象に固定されている時に、前記対象の温度を感知する温度センサを備える、
請求項1の装置。
【請求項8】
複数の前記電極は、パッチを介して対象に配置される4~9個の個別の電極であり、
前記パッチは、前記対象に装着された際、前記対象の皮膚上における面積が7平方インチ未満(例えば、1.5×3.0又は2.0×3.3のフォームファクタ)である、
請求項1の装置。
【請求項9】
前記回路は、ECG用に前記電気信号を調整及び増幅する、請求項1の装置。
【請求項10】
前記回路は、前記電気信号を調整及び増幅し、電気軸の偏位、広いQRS群、及び不整脈の1つ以上を感知する、請求項1の装置。
【請求項11】
前記パッチは、前記伸縮性基板を有する第1の材料層と、前記第1の材料層の一方の側にあり、前記複数の伸縮性リードを有する第2の材料層と、前記導電体が重なる状態で第1の材料層を通過するように形成される少なくとも1つの開口と、を備え、
前記中間体が、前記第1の材料層の他方の側に配置され、前記回路領域の前記回路に固定される、
請求項1の装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの開口は、前記導電体が前記電気信号を前記第1の材料層の前記一方の側から前記第1の材料層の前記他方の側に運ぶための誘電体及び経路として働く、請求項11の装置。
【請求項13】
前記基板は、ドロップキャストにより固体膜として形成され、
前記複数の電極及び前記複数の伸縮性リードは、スクリーンプリントされた導電インクであり、
前記回路は、前記第1の材料層の前記他方の側上の前記回路用のトレースとしてスクリーンプリントされた導電インクを含む、
請求項11の装置。
【請求項14】
前記パッチの前記回路領域に固定され、前記複数の伸縮性リードに接続される前記回路と、
前記電気信号に由来する調整済信号を受信する受信機、及び前記調整済み信号を保存するメモリ回路を備えるデータ収集信号処理回路と、
さらに備える請求項1の装置。
【請求項15】
前記データ収集信号処理回路は、ユーザインターフェースと共に実装され、ECGに関連する情報を提供するように構成されるコンピュータ回路を備える又はその一部である、請求項14の装置。
【請求項16】
前記回路領域の前記回路であって、前記電気信号を各前記電極に対して選択的に処理又は調整するコントローラを備える前記回路と、
前記パッチから離れている論理回路と、
をさらに備える、請求項1の装置。
【請求項17】
前記パッチは、導電性のポリマー材料により形成される伸縮性基板を有し、
前記複数の伸縮性リードは、スクリーンプリントされた導電インクから形成され、
前記回路は、前記第1の材料層の前記他方の側上の前記回路用のトレースとしてスクリーンプリントされた導電インクを含む、
請求項11の装置。
【請求項18】
前記電極に導電接着剤が取り付けられ、
前記基板上の前記電極に垂直な領域に絶縁接着剤が取り付けられる、
請求項1の装置。
【請求項19】
センサ回路であって、
開口を有する伸縮性基板と、
対象に接触する及び又は前記対象の心臓により発せられる電気信号を捕捉するように構成及び配置され、アレイ中に配置される複数の電極と、前記複数の電極を前記開口の第1の穴に接続する第1のインターコネクトと、を備える第1の導電伸縮性基板と、
前記開口の第2の穴に接続される第2のインターコネクトを備える第2の導電伸縮性基板と、
センサ装置を前記対象に取り付けるように構成及び配置され、前記第1の導電伸縮性基板に取り付けられる接着材料と、を備えるセンサ回路と、
前記複数の電極により捕捉される前記電気信号を取得し、前記電気信号に基づいて多リードECGを提供するように、前記センサ回路と共に構成及び配置される処理回路と、
を備え、
前記開口は、前記複数の電極、前記第1のインターコネクト、及び前記第2のインターコネクトを電気的に接続する、
装置。
【請求項20】
パッチが、複数の伸縮性リードに一体化され、回路を配置するために回路領域を備える複数の伸縮性基板を備え、
前記伸縮性基板を有する前記パッチの一部である前記複数の伸縮性リードにそれぞれ関連する電極を使用することにより、対象の心臓に応じて生成される電気信号を受信し、受信した前記電気信号を前記パッチの対象側を向く前記複数の伸縮性リードの対応する1つに伝え、
前記回路を使用して前記複数の伸縮性リードにそれぞれ伝えられた前記出電気信号を収集する、
方法。
【請求項21】
前記回路を使用して、設定可能及び/又はプログラム可能なユーザ設定に応じて前記電気信号の異なる1つを増幅することをさらに備える、請求項20の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の様態は、装着型の心電図(ECG)装置を対象とする。
【背景技術】
【0002】
心電図(ECG)は、心臓繊維の脱分極を引き起こす活動電位の伝播により生成される、心臓から発される電気信号を測定する。生理学的には、確立された従来の胸の位置からの心臓の電気信号の間に心臓において膜貫通イオン電流が生成される。心臓の脱分極は、左心房に向かって左に及び房室(AV)結節に向かって下に広がる前に、右心房において洞房(SA)結節で強く起こる。房室結節により遅延した後、脱分極の刺激は、ヒス束を通過し、左右脚内、プルキンエ線維に伝わり、左右の心室を活動させる。
【0003】
各心周期の間、イオン電流は、心臓の中及びその周囲に、患者の身体の前胸部領域、皮膚から左前胸部の胸骨の右下及び左下に広がり、末端に配置されるECG電極により検知可能な電界を生成する。心臓の電気的活動は、PQRSTU波形によるECGトレースで視覚的に表され、これは、ECGの記録の後に心拍及び生理を導き出すために解釈される。P波は、心房の電気的活動を表し、QRSTU成分は、心室の電気的活動を表す。特に、P波は、心房の収縮を引き起こす、心房の脱分極を表す。
【0004】
ECGモニタリングに基づくP波の分析は、しばしば心律動の正確な診断のための重要な視点であり、不整脈の原因となる箇所及び経路の識別に注目する。特定の不整脈は、臨床的に検知することが困難なことがある。心律動の異常は、しばしば散発的であり、病院で従来の12誘導心電図を測定する間に起きるとは限らない。これを解決するために、従来の多誘導ホルター心電図によるモニタリング及び診断は24~48時間装着することが求められるが、これは、使用者に大きな不便を強いる。
【発明の概要】
【0005】
本開示により提示される様々な実施例/実施形態は、上記及び/又は他の課題を解決することを対象とし、それらは、以下の開示により明らかとなり得る。
【0006】
本開示の特定の実施例の様態は、比較的厳しい装着環境における長期間のECGモニタリング及び関連診断を提供するために、従来のECGモニタリング技術を改善可能な、電極及び回路を備えるウェアラブルかつ伸縮性の装置を含む方法及び装置を対象とする。
【0007】
本開示の1つの詳細な実施例は、複数の伸縮性リードを有するパッチを備える装置及び関連方法を対象とし、複数の伸縮性リードのそれぞれは、対象の心臓に応じて生成される電気信号を受信し、受信した電気信号を複数の伸縮性リードのうちの対応する1つに伝える関連電極を備える。パッチは、伸縮性基板、複数の伸縮性リード、及びパッチを一体化し、複数の伸縮性リードのそれぞれに伝わった電気信号を収集するために配置される回路用の領域を有する。また、動作中、複数の伸縮性リードは、それぞれ、パッチの対象側にある。さらなる特定の実施例において、回路は、電気信号に基づく多誘導ECGを提供するために使用される。
【0008】
上記の様態に基づいてよい他の特定の実施例において、複数の電極は、パッチを介して対象に配置される4~9個の個別の電極であり、パッチは、対象に装着された際、対象の皮膚上における面積が7平方インチ未満(例えば、1.5×3.0又は2.0×3.3のフォームファクタ)であってよい。
【0009】
上記の方法及び装置に関するさらなる特定の実施例において、伸縮性基板は、少なくとも1つの開口と、少なくとも1つの開口に重なる導電体と、を備え、少なくとも1つの開口に重なる導電体は、受信した電気信号を、複数の伸縮性リードから、回路領域に繋がる経路に伝える。さらなる関連する実施例において、回路は、設定可能又はプログラム可能な論理回路を有するコントローラと、複数の多チャンネル増幅器と、を備え、各多チャンネル増幅器は、コントローラにより提供される選択制御に応じて電気信号の1つを選択的に増幅する、及び/又は各多チャンネル増幅器は、それぞれがECGリード(例えば、リードI、リードII、及び/又はリードIII)として使用される一対の入力を有する。
【0010】
1つ以上の上記の実施例に基づいて、パッチは、伸縮性基板を有する第1の材料層と、第1の材料層の一方の側にあり、複数の伸縮性リードを有する第2の材料層と、導電体が重なる状態で第1の材料層を通過するように形成される少なくとも1つの開口と、をさらに備え、インターコネクトが、第1の材料層の他方の側に配置され、回路領域の回路に固定されてよい。
【0011】
システムに基づくアプローチによれば、1つ以上の上記の実施例は、電気信号に由来する調整済信号を受信する受信機と、調整済み信号を保存するメモリ回路と、を備えるデータ収集信号処理回路をさらに備える。データ収集信号処理回路は、ユーザインターフェースと共に実装され、ECGに関連する情報を提供するように構成されるコンピュータ回路として備えられてよい。
【0012】
さらなる特定の実施例において、上記の装置及び方法は、複数のリード/電極及び回路を使用して、電気信号を調整及び増幅し、電気軸の偏位、広いQRS群、不整脈の1つ以上を感知する。
【0013】
上記の具体的な実施例に組み合わせて及び関連して、パッチは、基板がドロップキャストにより固体膜として形成され、複数の電極及び複数の伸縮性リードがスクリーンプリントされた導電インクであり、回路が第1の材料層の他方の側上の回路用のトレースとしてスクリーンプリントされた導電インクを含むような製造から明らかである特定の特徴を示すように製造される及び/又は特徴付けられてよい。
【0014】
上記の説明は、本開示の各様態、実施形態、又は実施例の全てを説明することを意図しない。以下の図面及び詳細な説明も様々な実施形態を例示する。
【0015】
本開示によれば、実験例を含む様々な例示的な実施形態は、付された図面と共に、以下の詳細な説明を考慮して完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本開示の特定の例示的な様態を示す、装置の横断面図の例を示す図である。
【0017】
【
図2】
図2は、本開示の特定の例示的な様態に係る、
図1に示される種類の装置を通る心臓由来の電気信号の経路の例を示す、
図1の別図である。
【0018】
【
図3】
図3は、本開示の様々な例示的な実施形態に係る、センサ装置の製造方法の例を示す。
【0019】
【
図4】
図4A及びBは、それぞれ、本開示の様々な例示的な実施形態に係る、多誘導電極構造を形成するために使用されてよい2つの設計を示す。
【0020】
【
図5】
図5A及び5Bは、それぞれ、本開示の様々な例示的な実施形態に係る、
図4A及び
図4Bに示されるような電極構造に関する材料ベースの構造を形成するために使用されてよい2つの設計を示す。
【0021】
【
図6】
図6A、6B、及び6Cは、本開示の様々な例示的な実施形態に係る、実験的に開発された及び/又はより詳細なシステムに関するシステムを直接示す図であり、
図6Aは、心臓の問題をモニタリング/評価するために対象上で使用され得るパッチを示し、
図6Bは、システムにおいて使用される回路の配置を示し、
図6Cは、
図6A及び
図6Bと組み合わせて、電気信号を収集及び提供するために使用され得るマルチチャンネル増幅及び/又は調整を示す。
【0022】
本明細書に記載される様々な実施形態は、変更及び代替的な形態が可能であり、その様態を、図面において例示し、詳細に説明する。しかしながら、本開示は、以下に説明される特定の実施形態に限定することを意図していない。一方で、本開示は、特許請求の範囲によって画定される技術的範囲を含む、本開示の技術的範囲内の全ての応用例、均等例及び代替例を包含するものである。また、本明細書において用いる用語「例」は、説明を目的とするもので、限定を目的としていない。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示の様態は、多誘導心電図(ECG)を捕捉するセンサ装置を含む、様々な異なる種類の装置、システム、及び方法に適用可能である。限定されるわけではないが、様々な様態が、この文脈を使用する例を通して理解され得る。
【0024】
従って、以下の説明において、様々な特定の詳細が、本明細書に示される特定の実施例を説明するために記載される。しかしながら、1つ以上の他の実施例及び/又はその変更例は以下の特定の詳細によらず実施可能であること、当業者にとって理解される。例えば、既存の特徴は、本明細書の実施例の説明が不明瞭とならないように詳細には説明されない。図示を容易にするため、同一の要素及び/又は同一の要素の追加例を参照するために異なる図において同一の暗示及び/又は参照番号が使用される。また、いくつかの場合において様態及び/又は特徴は個別の図において説明されるが、1つの図又は実施形態の様態及び/又は特徴は、その組み合わせが明示的に示されていない及び/又は組み合わせとして明示的に説明されていなかったとしても、別の図又は実施形態の様態及び/又は特徴と組み合わされてよいことが理解され、当該組み合わせは、様態及び/又は特徴が有する部品に関わらず同時に使用される様態及び/又は特徴を含んでよい(優先権を主張し、可能な限りその主題全体が参照として組み入れられる、2019年11月5日に出願されたUS仮出願番号62/930,985の様態/特徴の1つ以上を含むがそれに限定されない)。
【0025】
本開示の1つの特定の実施形態と一致する実施例において、多層伸縮性センサ装置は、複数の伸縮性リードを有するパッチを備え、各伸縮性リードは、対象の心臓に応じて生成される電気信号を受信し、受信した電気信号を複数の伸縮性リードのうちの対応する1つに伝える関連電極を備える。パッチは、伸縮性基板、対象に対向する1つの層上の複数の伸縮性リード、及びパッチを一体化し、伸縮性基板に設けられる開口(又はビア)を通して各伸縮性リードに伝わった電気信号を収集するための回路用の他方の側の領域を有する。様々な関連する代替実施形態において、開口は、電気信号を運ぶ1つ以上の導電トレースを画定するために使用されてよく、導電トレースと、部材に絶縁体が充填された開口を製造するため製造工程中に少なくとも部分的に絶縁体が充填された開口又は絶縁体として空気を使用する空いた開口のいずれかとの間の絶縁分離をもたらすために使用されてよい。
【0026】
別の特定の実施例に関連して、本開示の特定の様態は、伸縮性電極材料を使用して形成され、例えばより快適かつより強固である小さなフォームファクタ(例えば、1.5×3.0又は2.0×3.5の長方形パッチ等の約3.5~10平方面積を有するフォームファクタ)を備えるウェアラブル軽量パッチベースの装置を使用する特定のECG関連イベントを検知及び/又は記録することを含む広範囲の医療状態の検知に使用可能な複数のECGモニタリードを有する、多誘導で小さくバンデージ様のECGモニタリング装置を対象とする。例えば、単誘導ECGと多誘導ECGを比較すると、単誘導ECGの一致度は、「ゴールドスタンダード」とみなされる従来の多誘導心臓モニタリングの50%以下であり得る。さらに、単誘導ECGは心室性期外収縮(PVC)等のいくつかの不整脈を見逃し得るため、多数の医師は、単誘導ECGと比較して多誘導ECGを好む。
【0027】
より具体的な実施例において、そのような小さな寸法により、複数の電極は、従来のホルターECG(すなわち、人の心臓の電気的活動をモニタリングするポータブルEKG装置)又は標準誘導ECGよりも短い間隔で配置される。処理回路は、複数の電極からのECGベクトルを従来のホルターECG又は標準誘導ECGに関連するECGベクトルに変換する(例えば、短い間隔の電極からのECGベクトルを大きく離れた又は広い間隔の電極からのECGベクトルに変換する)ことにより、多誘導ECGを判定できる。
【0028】
また、本開示によれば、様々な実施形態は、対象(例えば、人間の患者)が便利に装着可能であり、対象の心臓の追跡に対する適応性を向上させる例示的な感知装置を対象とする。不整脈の発生はしばしば不定期であるため、本開示の特定の実施例は、ECG信号を継続的にモニタリングして心臓の活動の瞬間的な異常を捕捉するための、快適に装着可能なパッチを対象とする。上記の課題の解決に関連して、本開示に係る特定の例示的な実施形態は、例えばパッチを形成するために用いられる材料及びパッチに一体化される関連材料により示される伸縮能力に起因し得る快適さにより、(長期間にわたり装着される装置に関連して)信号の高感知精度及び患者のパッチモニタリングに対する適応性の向上をもたらす。他の製品は一般人に対するスクリーニングのためには有用な道具であり得るが、それらの多くは、適切な不整脈診断について高精度ではなく、皮膚とその上に装着される構造との間の張力により不快感をともなう可能性があり、この張力は患者に必要な適応性に悪影響を与えると理解される。さらに、本開示の実施例では、大きさ並びに患者の体に痒み及び/又は装置が残らないことにより、より向上及び改善された適応性が実現される。他の実施例として、長期間にわたり装着される上記の装置に基づき使用方法は、短期間のモニタリングを原因とする誤診断による手術を最小限にすること、及び/又はそれまでの治療に対して心臓がどのように反応するかのモニタリングに装着された装置を使用し、長期間にわたる治療を提供及び変更することを含む。
【0029】
様々な様態において、センサ装置は、伸縮性の材料により形成され、複数のリードを有する。センサ装置は、対象に取り付けられ、対象から多誘導ECGをモニタリングするために使用される。特定の様態において、センサ装置は、電気軸の偏位、広いQRS群、及び/又はPVC等の不整脈の検知のために使用される。
【0030】
センサ装置は、センサ回路と、処理回路と、を備えてよい。センサ回路は、対象の皮膚表面に接触可能な複数の電極を備えてよく、複数の電極は、相互接続されて複数のリードを形成する。センサ回路は、開口が形成された伸縮性基板と、開口に重なる第1及び第2の導電伸縮性基板と、を備えてよい。第1の導電伸縮性基板は、アレイに配置される複数の電極と、複数の電極を開口の第1の端又は穴に結合する第1のインターコネクトと、を備える。第2の導電伸縮性基板は、開口の第1の端又は穴に結合する第2のインターコネクトを備える。開口は、複数の電極、第1のインターコネクト、及び第2のインターコネクトの間に電気的接続を提供する。センサ回路は、さらに、第1の導電伸縮性基板に結合し、センサ装置を対象に取り付ける接着材料を備えてよい。接着材料は、他の皮膚表面よりも複数の電極に接触するように配置される。
【0031】
処理回路は、ボンディングコンタクト150、250を介して第2のインターコネクトに結合される(フレキシブルICチップを備える、又はフレキシブルICチップを必要としない程度に小さい)プリント回路基板(PCB)又はフレキシブル回路基板(FCB)160、260を備える。処理回路は、複数の電極により捕捉される対象の心臓から発せられる電気信号を取得し、それに基づいて多誘導ECGを提供する。
【0032】
図1は、ボンディングコンタクト150、250及び回路構造160、260の使用に関して
図2と異なる。
図1において、ボンディングコンタクト150は、センサ回路又はパッチを固定するために取り付けられる前の回路構造160の下に示され、
図2において、回路構造260及びボンディングコンタクト250は、上記のように電気信号を感知するために使用される位置において互いに固定されている。
【0033】
さらに、本開示によれば、特定の様態は、
図1及び2のセンサ装置の例の断面図に関連して例示される、センサ回路及び感知回路を備えるセンサ装置を対象とする。
図1及び2の構造の様態は、同様の参照番号により説明される(例えば、基板110、開口120、及び下部インターコネクト130は、それぞれ、基板210、開口220、下部インターコネクト230に対応する)。
図1及び2により示される特定の例において、センサ装置は、伸縮性であり、開口又はビア120、220を有する基板110、210を備える。任意に、伸縮性基板110、210は、第1及び第2の導電伸縮性部分を備えることを特徴としてよく、第1の部分は、コアにあって、装置において使用される様々な材料及び回路を一体化するために十分な構造を提供し、第2の基板部分110a、210aは、コアの下にあり、パッチ又は感知装置の患者又は対象に対向する側に対して接着性及び強度の向上をもたらす。
【0034】
各基板部分は、基板110、210と一体化された材料ベースの装置全体の1つ以上の層を備える実施例を参照して理解されてよい。下部(例えば、患者に対向する側)において、第1の導電伸縮性部分は、アレイに配置される複数の電極と、複数の電極を開口120、220内の代表的な導電トレース135(
図1)等の導電トレースに接続される関連する第1のインターコネクトと、を備える。さらなる様々な実施形態において、各電極に関連する複数の導電経路を格納するために1つ以上の大開口が使用されてよく、各大開口は、複数の電極にそれぞれ接続される複数の導電トレース(例えば、リードの一部)を備える。様々な実施例において、1つの開口は、2個、3個、4個、又は6個の電極に関連する各リード用の複数の導電トレースを備え、別の実施例において、各開口が全6個の電極に関連するリード用の3個の導電トレースを格納できるように、2個の開口が使用されてよい。さらに概して、1つの実施例において、各開口が、患者に対向する全N個(あるいはN個以上)の電極に関連するリード用のN個(あるいはN個以上)の導電トレースを格納できるように、N個の開口が使用されてよく、Nは、1以上(かつ現実的には約11未満)の整数である。
【0035】
そのような1個の電極が125、225として図示され、1つのインターコネクトが130、230として図示される。例えば、インターコネクト130を使用して、
図1の右側において、リード130aがインターコネクト130に対応する。複数の電極は、対象に接触する及び/又は胸部において対象の心臓(又は対象の他の神経領域)により発せられる電気信号を捕捉する。患者に対向する側の反対にある反対側又は上側において、第2の導電伸縮性基板部分は、上側からの開口120、220内の導電トレース135(例えば、
図1)等の対応する導電トレースに接続される、インターコネクト140、240等の第2のインターコネクトを備える。
【0036】
開口は、複数の電極(例えば、
図1の125)の1つ以上とインターコネクト140上に回路が位置する基板の上側と電気的に接続するための経路を提供してよい。
図1及び2において、インターコネクト140、240上に、接着材料がボンディングコンタクト150、250として実装される。(電気信号を調整及び/又は増幅するために少なくともアナログフロントエンド回路を含む等の)センサ回路は、ボンディングコンタクト150、250を介してインターコネクト140、240に接続されてよい回路構造又は回路盤160、260を使用して実装されてよく、それにより、その接着材料がセンサ装置を対象に接続される又は取り付けられる。例えば、回路構造又は回路盤は、しばしばPCB又はFCBとして知られるプリント及び/又はフレキシブル回路盤であってよい。処理回路は、複数の電極により捕捉された電気信号を捕捉し、電気信号に基づいた多誘導ECG信号を提供する。
【0037】
多数の実施形態において、処理回路及び/又は追加の論理回路は、ECGベクトルと重み係数とのセットを追跡及び評価することにより、及び/又は実験的に取得された心臓データのより大きなセットに対してECGベクトルのセットを分析するための人工知能(AI)実験的モデルに基づいて若しくは当該実験的モデルを使用して、電気信号に応じるように構成及び配置される。当該処理回路は、上記のようなPCB又はFCBベースの回路及び/又は従来のように信号を受信及び処理するようにプログラムされたCPU又はスマートフォン等の他の遠隔用の回路の一部であってよい。遠隔用の回路は、無線接続(例えば、Bluetooth又は赤外線)又は有線接続されてよい。
【0038】
様々なより詳細な/実験的な実施例において、そのような一体化された構造を提供するために、異なる材料が使用されてよい。
図1を例示に使用するが、以下は非限定的な例である。基板110は、伸縮性ポリマー(例えば、Proflex SEBS、ポリウレタン又はPMMA由来のポリマー(Kuraray LAシリーズ))を用いて形成されてよく、第2の基板部分110aは、伸縮接着性ポリマー材料由来の層(例えば、MG7-9850(接着性を提供)及び/又は強化用のPDMSの混合物)(1つの例において、Dragon Skin 0010が第2の基板部分110aに有用であった)。開口120の側壁に沿うトレース135は、上側インターコネクト140及び電極125と同様に、心臓からECG分析のために収集され得るような低レベルの電気信号を著しく妨げないように、導電性の伸縮性ポリマー又は十分な導電性を有する材料を含む材料の伸縮性混合物の1つ以上を用いて形成されてよい。ボンディングコンタクト150は、市販の粘着テープ(例えば、ACFテープ)等の異方性の導電材料の1つ以上を用いて形成されてよい。
【0039】
回路構造のセンサ回路は、低インピーダンスの導電性ヒドロゲル(ECH)電極を有し、フレキシブル超極薄プリント回路基板(PCB)を用いて実装されてよい。例えば、当該PCBは、Bluetoothを介してスマートフォンに等、別の装置に接続するように設計されてよく、それにより、対象(例えば、患者)は、捕捉したデータを容易に保存又は医者と共有できる。ECH電極アレイ用の多用途製造処置により、多誘導電極を専用の位置に作ることができる。当該ECH電極は、イオン性及び導電性の両方を備える二重導体であり、従って、単一の材料により、従来のECG電極に現在使用される2要素の金属/ゲル電極に置き換えることができ、同時に低インピーダンスを提供できる。ECH材料の低インピーダンスは、良好な信号対ノイズ比を維持したまま、ECG電極の小型化を可能にする。多リードECGトレース(例えば、2-9)は低パワーアナログフロントエンドにより記録できる。
【0040】
使用の際、伸縮性材料により形成され、複数のリードを備えるセンサ装置は、接着剤を使用して対象に取り付けられ(
図1の下部)、対象から多誘導ECGをモニタリングするように構成される。特定の例示的な実施形態において、センサ装置は、電気軸の偏位、広いQRS群、PVC等の不整脈を感知できる。別の関連する特定の実施例において複数の電極は、従来のホルターECG又は標準リードECGのそれらよりも短い間隔で患者に取り付けられる。処理回路は、複数の電極からのECGベクトルを従来のホルターECG又は標準誘導ECGに関連するECGベクトルに変換する(例えば、短い間隔の電極からのECGベクトルを大きく離れた又は広い間隔の電極からのECGベクトルに変換する)ことにより、多誘導ECGを判定できる。変換は、実験的に取得された心臓データのより大きなセットに対してECGベクトルのセットを分析するための機械学習機能及び/又は人工知能(AI)モデルに基づいて又はそれらを使用して行われてよい。
【0041】
(図示されるPCB又はFCBのような)処理回路は、各電極により捕捉された電気信号を取得し、電気信号に基づいて多誘導ECGを提供するように構成されてよい。各リードは、空間における2つ(又はそれ以上)の点において測定された電位の差を示し、ECG曲線又は信号に影響するグラフ又はベクトルとして示されてよい。
【0042】
図3は、
図1及び2に関連して説明されるような様々な実施形態、及び/又は伸縮性材料を使用して作られる別のパッチ又は皮膚装着センサ装置を含む以下の例示的な実施形態等の他の実施形態に係る、センサ装置の製造方法の例を示す。従って、以下の例示的な実施形態は、上記のように、(例えば、掘削による成形の後、又は開口の領域を塞ぐポストを使用した後の成形により設けられる)少なくとも1つの開口を有する伸縮性基板を備える。さらに、例示的な実施形態は、(例えば、下部電極を有する)第1の導電伸縮性基板と、(例えば、上側インターコネクトを有する)第2の導電伸縮性基板と、を備え、第1の導電伸縮性基板は、電気信号を開口に導くためにアレイ内に配置される複数の電極を備える。電極は、対象に接触する、及び/又は十分に近い状態で対象の皮膚の隣に取り付けられ、それにより、対象の心臓から放たれる電気信号を捕捉できる。接着材料が、バンドエイドと同様に、センサ装置を対象に接続させる及び/又は取り付けるために使用され、実装方法に応じて、電極は、接着材料により覆われてよく、覆われなくてもよい。上記の実施例及び他の関連する実施形態において、接着材料(例えば、テープ又はフィルム)は、電極の隣の領域に又は電極に対して垂直に適用される又は取り付けられてよい。この方法により、1つの接着材料が絶縁領域を覆い、別の接着材料が電極用の領域を覆ってよい。これは、
図4A乃至5Bに示される図から理解可能である。
【0043】
実施例のフレキシブルコア部を形成するステップの例が
図3に示される。
図3のステップ1において、伸縮性基板がドロップキャストされ、ステップ2において、基板が取り外される。特定の実験的な実施形態において、20%トルエンにProflex SEBS又はSEBS 1062を溶解させ、その溶液をガラススライド(例えば、3インチ×2インチのスライド)上にドロップキャストする。この方法において、SEBS基板層は、ガラススライドから容易に取り外されてよい。ステップ3において、伸縮性基板の第1の側上に導電インクが形成(例えば、スクリーンプリント)され、第1の導電伸縮性基板が形成される。特定の実験的な実施形態において、下部インターコネクト用の(PET製)マスクを切るためにメカニカルカッターが使用されてよく、伸縮性導電体(例えば、Dupont PE874)がスクリーンプリントされて、下部インターコネクトが形成されてよい。基板は、10分間、110℃で、ホットプレート上で加熱(例えば、逆加熱)されてよい。ステップ4において、ビアを機械的に掘削する等により、開口(例えば、ビア)が形成されてよい。例えば、3mm経の穿孔機が伸縮性基板上に円形の穴又はビアを切り入れるために使用されてよい。しかしながら、上記のように、開口は、ステップ1に一部においてポストにより形成されてよい。特定の実施形態において、パンチ/穴は、SEBS基板及びプリント伸縮性導電体の両方(例えば、伸縮性基板及び第1の導電伸縮性基板の両方)を貫通してよい。
【0044】
ステップ5において、伸縮性基板の第2の側上に導電インクが形成(例えば、スクリーンプリント)され、第2の導電伸縮性基板が形成される。伸縮性基板はひっくり返され、、上部インターコネクト(例えば、第2の導電伸縮性基板)用の(PET製)マスクを切るためにメカニカルカッターが使用されてよい。導電伸縮性基板(例えば、Dupont PE874)は、伸縮性導電体をスクリーンプリントして上部インターコネクトを形成することにより形成されてよい。基板は、10分間、110℃で、ホットプレート上で加熱(例えば、逆加熱)されてよい。
【0045】
ステップ6において、接着材料は、レーザーエッチング又は機械的にカットされる。特定の実験的な実施形態において、これは、個別の基板に対して150torr、200ワット、45秒の酸素プラズマ処理と、ガラス上にデキストラン(水中に5%)をスピンコーティングとを含み、外面層を形成する。接着ポリマー(例えば、MG7-9850)は、以下の:MG7-9850-PartA:MG7-9850-PartB:DragonSkin-PartA:DragonSkin-PartB=1:1:0.02:0.02(重量比)の比の例によりPDMSと混合されてよく、5分間、3000rpmで化合物を混合するためにスピードミックスが使用されてよく、混合化合物は、デキストランでコーティングされたガラススライド上で1分間、2000rpmでスピンコーティングされ、一晩乾燥される又は1時間、70℃で乾燥されてよい。ガラス/デキストラン/接着剤は、ステップ5から基板に接着されてよい。接着の後、基板及び接着されたガラス/デキストラン/接着剤は、(一時間以内に)ガラス上から接着剤が除去するため、DI水内に配置されてよい。
【0046】
ステップ7において、接着層は、伸縮性基板及び第1の導電伸縮性基板の一部等、センサ回路に移動してよい。例えば、異方性導電テープが、上部インターコネクトのコンタクトを貼るために使用されてよく、コンタクトは、FCB又はPCBを取り付けるために使用されてよい。ステップ8は、第2の導電伸縮性基板に近接するセンサ回路に接着されるそのようなPCB又はFCBを示す。
【0047】
図4A及びB並びに
図5A及び5Bは、上記の
図3の方法の例に説明されるような、電極の製造と組み合わせて使用されてよいマスクの例を示す。
図3のステップ3と組み合わせて、
図4A及び4Bは、それぞれ、(6個の電極に接続される長軸の外観の平行ペアにより示される)アレイが6つの電極及び関連するインターコネクト又はリードを有する第1の導電伸縮性基板を形成するために使用されてよい代替的なポテンシャル(例えば、PET)マスクのペアを示す。上記の回路領域は、アレイの周囲の1つ以上の位置の上/下に位置する(例えば、
図4A及び4Bの図の中央)。
図3のステップ3に関連して、
図5A及び5Bは、患者に取り付けられる6個の電極用のスクリーンプリントを備える第2の導電伸縮性基板を形成するために使用されてよい異なる代替的な(例えば、PET)マスクを示す。当該図においては6個の電極が使用されるが、本開示と一致する別の特定の実施例によれば、それ以上又はそれ以下の数の電極が使用されてよく、そのようなパターン化された電極は、パッチ又は感知装置の制約に限定されない1つ以上の追加の電極/リードと組み合わされて使用されてよい。特定の実施例において、
図4A乃至5Bによる6個の代わりに、3個~7個又は9個の電極が使用されてよい。加えて、電極に配置、電極間の距離、及び/又は電極の数は、モニタリング及び/又は検知される不整脈の状態の種類に基づいて調整されてよい。
【0048】
図6A乃至6Cは、本開示に係る、実験的に開発された及び/又はより詳細な例を図示する収集分析システムの一部として対象の皮膚表面に取り付けられるセンサ装置の例を示す。
図6Aにおいて、センサ装置又はパッチが接着材料を介して患者の胸に取り付けられ、患者の心臓から発せられた、センサ装置の電極により捕捉される電気信号から多誘導ECGをモニタリングするために使用される。
図6Aに示されるセンサ装置又はパッチは、胸の関連領域に取り付けられる6つの電極と、センサ装置及び/又は患者の胸部領域の温度を追跡するためのサーミスタ又は他の温度感知装置、調整(例えば、ノイズのフィルタリング及び/又は信号の増幅)のためのFDGアナログフロントエンド(AFE)回路、並びに調整された電気信号を外部CPU又はスマートフォン等のPDA(携帯情報端末)に無線送信するためのBluetoothシステムオンチップを備えるパッチに搭載された回路と、を備える。
【0049】
図6Bは、パッチにおいて使用されるそのような回路の配置を示し、
図6Cは、
図6A及び
図6Bに関連して、電気信号を収集及び提供するために使用され得るマルチチャンネル増幅/調整回路(例えば、二重入力バッファ型増幅器)を示す。マルチチャンネル増幅/調整回路は、コントローラ(例えば、Bluetoothシステムオンチップ)により提供され得る両方の入力から信号を1つ選択する選択入力に関連してよく、それに代替して又はそれと組み合わせて、多チャンネル増幅/調整回路は、3つのECGリードの1つの電気信号を調整及び/又は増幅するために二重入力を備えるバッファアンプを備えてよく、図示される3つの当該バッファアンプは、3つのECGリードI、リードII、及びリードIIIについてそれぞれ電気信号を調整及び/又は増幅するために同時に使用され、各リードは、
図6Cの右端に示される異なるECG関連信号に関連する。
【0050】
特定の実験的例示的実施形態において、データの例が得られた。より詳細には、(例えば、
図1A及び1B並びにその他の実施例と組み合わせて)
図6A、6B、及び6Cのシステムを使用して得られた上記の様々な実施形態に係るセンサ装置によりモニタリングされたECG信号は、患者が歩行又は着席している時に取得され、処理回路により、洞律動を分類して出力するために使用される。
【0051】
本開示の上記の特定の様態を使用して、大きな利点を実現するために特定の実施例を使用可能である。例えば、そのような利点は、多誘導ECGについて継続的にモニタリングを行う、ほとんど知覚できないバンデージ様の電子センサを提供する伸縮性電子技術を含む。そのようなバンデージ様の装置の実現性は、3~7グラム(例えば、平均5グラム)の重量及び小サイズ(例えば、5cm幅、8cm長、0.2cm厚)を有する試作例により実験的に確立され、それにより、従来の持続性不整脈検知方法と比較して、少なくとも10分の1薄く、6分の1重量が軽い正確に感知可能なフレキシブル装置が実装できることが分かった。さらに、快適さを向上させ、ECGにおける信号の記録をより安定させるための特定の実施例において、伸縮性バンドエイドの全材料は、伸縮性材料から形成される。また、ポータブル又はウェアラブル単誘導ECGパッチが知られているが、自動アルゴリズム分析及び医者による解釈の両方に使用され得る追加の(別の)ECGリードを使用する場合と比較して重要な情報が見逃され得る。例えば、単誘導と比較して、多誘導による記録において、電気軸の偏位の検知、異常/広いQRS群のより改善された検知、及び心室性期外収縮(PVC)等の特定の種類の不整脈の検知を可能にする。
【0052】
本開示のパッチ様の実施形態の例により定義される小さな領域内に配置される電極と君合わせて、2入力増幅器を使用するさらなる/関連する利点が、患者の胸において互いに遠く離れて配置される従来のECG電極の使用に対して評価される。例えば、RL、LL、RA、LAを含む4つの標準四肢電極は、しばしば、標準リードI、II、及びIII測定について使用され、2つが肩のそれぞれに、他の2つが上ももに離れて配置される。ECGベクトルは、電極の各ペアの電位差により測定可能である。従来の標準リードI、II、及びIIIは、それぞれ、2つの肩に関連する電極のペア、右肩及び左ももに関連する別のペア、並びに左肩及び左ももに関連する3つ目のペア(三角形の3つ目の辺)による三角形の電極配置により表される。本開示に係る上記の実施形態の1つの例を使用すると、ECGパッチは、電極アレイと、ECGパッチ上の電極間の小さい間隔から測定されるECGベクトルにより実現される。パッチ上において測定された(近接)ベクトルは、リードI近接、リードII近接、及びリードIII近接と称され、これらは、変位距離の単数を使用する上記の三角形を含む配置に直接対応する。パッチの使用されていない角の電極は、参照用の電極として使用されてよい。
【0053】
近接ベクトルを提供するECGパッチに関連する上記の例を使用すると、(例えば、本開示の
図1乃至2に示される)感知装置の使用方法は、各ベクトルを重み付け係数(割り当てられた重みは、それぞれ、検知されたベクトルが信号強度の観点において十分強い可能性、及び/又は実験的データにおける期待されるデータと合致する可能性に基づいてよい)により追跡及び記録し、その後、実験的に取得された心臓データ(例えば、前回の医療検診により、特定の心臓状態/2及び/又は2+ディメンションテーブルにおいてモデル化されるような健康な心臓を持つ患者の例から収集されたデータ)のより大きなセットに対してベクトルのセットを分析することにより、各電極から受信した(ベクトルとして処理される)電気信号に応答するように構成される論理回路(例えば、CPU)を使用することを含む。関連するより詳細な実施形態において、上記の手法は、階層構造の実験的データを使用する(例えば、心臓に特有の生理学的類似性/人口統計を有する臨床的相関を示す要素に基づいて整理される)。ベクトルのセットの分析に基づいて、装置の一部である全電極以下から発展したベクトルに注目するための(AIの一部としての)さらなる収集及び分析が調整される。これらの文脈及び/又はAI手法から、パッチ又は感知装置は、文献において知られる又は報告されている可能性のある心臓の状態を評価及び診断するために使用されてよい。例えば、(異常な心臓軸を表す)ベクトルの方向は、以下の異なる状況下で変化する。(i)心臓自体が回転し(右心室過負荷)、それと共に軸が回転する。(ii)心室肥大の場合に、軸がより大きい電気的活動に向かってずれ、ベクトルが肥大した組織に向かって回転し得る。(iii)梗塞した組織が電気的に死亡し、電気的活動が記録されず、QRSベクトルが梗塞した組織から離れる。(iv)伝導の問題において、軸がさらにずれる可能性があり、右心室が左心室よりも後に脱分極すると、軸は右に回転する(RBBB)。これは、右心室が後に収縮し、従ってカムも後に終了するからである。通常、ベクトルは左心室に影響されるが、RBBBにおいて、右心室のみがベクトルを決定する。
【0054】
従って、上記は、本開示の特定の実施形態の例に係る方法から評価され得る状態の例である。実施形態は上記の状況に限定されず、他の実施形態の例も考慮される。
【0055】
詳細な例として、上記の図及び記載は、構造及び装置の製造に使用され得る特定の様態(及びいくつかの場合においてその利点)を説明するための補助として提供されることが認識及び理解される。これらの構造及び装置は、他の装置と同様に、各図面に関連して説明される例示的な構造及び装置を含み、当該説明される実施形態は、上記の仮出願の付録にも見られ、上記に説明される他の装置及び実施例により調整される及び/又は組み合わせられてよい1つ以上の関連する様態を備える。
【0056】
また、当業者は、本開示において使用される様々な用語を、その通常の意味において理解できる。例えば、本明細書は、層、ブロック、モジュール、装置、システム、ユニット、コントローラ、及び/又は他の種類の回路型の図等の用語として又はそれらを使用して説明される様々な半導体材料/回路により、実施例を実施するために有用な様態を説明及び/又は図示できる。そのような(半導体構造の一部を含む)半導体及び/又は半導体材料、並びに回路要素及び/又は関連する回路は、特定の実施例がどのような形式又は構造、ステップ、機能、動作、活動、その他により実行されるかを説明するために、他の要素共に使用されてよい。また、本明細書において、上/下、左/右、頂部/底部、上方/下方等の配置を説明する用語は、図に示される要素の相対的な位置を参照するために使用されることが理解される。用語は、表記を便利にするためのみに使用され、実際において、本開示の構造は、図に示される配置とは異なる配置であり得ることが理解される。従って、用語は、限定的に解釈されるべきではない。
【0057】
上記の説明及び図示に基づいて、当業者にとって、本明細書に図示及び説明される例示的な実施形態及び実施例に厳密に従うことなく様々な実施形態に対して様々な調整及び変更を加えることができる点、容易に理解される。例えば、図面に説明される方法は、本明細書の実施形態の1つ以上の様態のまま、又はそれ以上の工程数若しくはそれ以下の工程数の、様々な順番で実行される工程を含んでよい。
【国際調査報告】