(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(54)【発明の名称】胃内滞留システムのための放出速度調節フィルム用製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 47/34 20170101AFI20221221BHJP
A61K 9/22 20060101ALI20221221BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20221221BHJP
A61K 31/505 20060101ALI20221221BHJP
A61K 31/5415 20060101ALI20221221BHJP
A61K 31/343 20060101ALI20221221BHJP
A61K 31/4365 20060101ALI20221221BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20221221BHJP
A61K 31/522 20060101ALI20221221BHJP
A61K 31/7052 20060101ALI20221221BHJP
A61K 31/5575 20060101ALI20221221BHJP
A61K 31/49 20060101ALI20221221BHJP
A61K 31/357 20060101ALI20221221BHJP
A61K 31/13 20060101ALI20221221BHJP
A61K 31/445 20060101ALI20221221BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20221221BHJP
A61K 31/351 20060101ALI20221221BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20221221BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20221221BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20221221BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20221221BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20221221BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20221221BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20221221BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20221221BHJP
A61P 25/36 20060101ALI20221221BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20221221BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20221221BHJP
C07D 239/42 20060101ALN20221221BHJP
C07D 417/12 20060101ALN20221221BHJP
C07D 307/87 20060101ALN20221221BHJP
C07D 495/04 20060101ALN20221221BHJP
C07J 5/00 20060101ALN20221221BHJP
C07D 473/18 20060101ALN20221221BHJP
C07H 17/00 20060101ALN20221221BHJP
C07D 453/04 20060101ALN20221221BHJP
C07D 493/18 20060101ALN20221221BHJP
C07D 211/32 20060101ALN20221221BHJP
C07D 471/04 20060101ALN20221221BHJP
C07D 309/10 20060101ALN20221221BHJP
【FI】
A61K47/34
A61K9/22
A61K47/10
A61K31/505
A61K31/5415
A61K31/343
A61K31/4365
A61K31/573
A61K31/522
A61K31/7052
A61K31/5575
A61K31/49
A61K31/357
A61K31/13
A61K31/445
A61K31/519
A61K31/351
A61P29/00
A61P25/18
A61P25/04
A61P25/28
A61P11/06
A61P3/06
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P25/20
A61P25/36
A61P31/12
A61P31/04
C07D239/42 Z
C07D417/12
C07D307/87
C07D495/04 105A
C07J5/00
C07D473/18
C07H17/00
C07D453/04
C07D493/18
C07D211/32
C07D471/04 117A
C07D309/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022526285
(86)(22)【出願日】2020-11-06
(85)【翻訳文提出日】2022-07-04
(86)【国際出願番号】 US2020059536
(87)【国際公開番号】W WO2021092486
(87)【国際公開日】2021-05-14
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518137726
【氏名又は名称】リンドラ セラピューティクス, インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100134784
【氏名又は名称】中村 和美
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド オルトルーター
(72)【発明者】
【氏名】アリシャ ウェイト
(72)【発明者】
【氏名】ソームヤ ムアシー
(72)【発明者】
【氏名】タミー タイ
(72)【発明者】
【氏名】エステレ ベギン
【テーマコード(参考)】
4C057
4C063
4C065
4C071
4C076
4C086
4C091
4C206
【Fターム(参考)】
4C057BB02
4C057CC03
4C057DD01
4C057KK30
4C063AA01
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4C063EE01
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4C065CC01
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4C065LL04
4C065PP13
4C065PP18
4C071AA01
4C071AA03
4C071AA07
4C071BB01
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4C071GG06
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4C086ZC39
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4C091BB05
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4C206AA02
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4C206MA72
4C206NA12
4C206ZA05
4C206ZA08
4C206ZA16
4C206ZA18
4C206ZA59
4C206ZA96
4C206ZB15
4C206ZB33
4C206ZB35
4C206ZC33
4C206ZC39
(57)【要約】
本明細書で提供されるのは、放出速度調節フィルムを有する胃内滞留システム、またはアーム(細長い部材)もしくは胃内滞留システムのセグメントなどの胃内滞留システムの部品である。放出速度調節フィルムは、胃内滞留システムからの薬剤(治療薬、診断薬、または栄養剤など)の放出に対する良好な制御を提供する。本明細書に開示される放出速度調節フィルムは、胃内滞留システムの熱補助組み立ての間にその放出特性が変化しにくい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胃内滞留システムで使用されるアームであって、
担持重合体、
少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩、および
該アームの表面の少なくとも一部に被覆された放出速度調節フィルム、
を含み、前記放出速度調節フィルムは、ポリ-D,L-ラクチド(PDL)およびポリ-D,L-ラクチド/グリコリド(PDLG)を含む、アーム。
【請求項2】
前記PDLは、約1 dl/g~約4 dl/gの固有粘度を有するPDLを含む、請求項1に記載のアーム。
【請求項3】
前記PDLGは、約0.1 dl/g~約3 dl/g、0.1 dl/g~約1.5 dl/g、または0.1 dl/g~約0.5 dl/gの固有粘度を有するPDLGを含む、請求項1に記載のアーム。
【請求項4】
PDL:PDLG比が約2:1~約1:2(重量/重量)である、請求項1~3のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項5】
PDL:PDLG比が約1.25:1~約1:1.25(重量/重量)である、請求項1~3のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項6】
PDL:PDLG比が約1:1(重量/重量)である、請求項1~3のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項7】
前記放出速度調節フィルムはポロゲンを実質的に含まない、請求項1~6のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項8】
前記放出速度調節フィルムの添加による該アームの重量の増加が、被覆されていない該アームの重量の約2%~約6%である、請求項1~7のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項9】
水性媒体中での該アームからの薬剤の放出速度が、少なくとも96時間にわたって実質的に直線的である、請求項1~8のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項10】
該アームからの薬剤の放出速度が、熱サイクルの前後で実質的に同じである、請求項1~9のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のアームを含む、胃内滞留システム。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか一項に記載の1つ以上のアーム、および
中心弾性重合体部品を含む胃内滞留システムであって、
前記1つ以上のアームは、それぞれ別個のリンカー部品を介して前記中心弾性重合体部品に接続されており、
該胃内滞留システムは、投与中に折り畳まれて物理的に拘束されるように構成され、拘束の除去時に開いた保持形状をとるように構成され、
折り畳まれた形状と開いた保持形状との間の変化が、該胃内滞留システムが折り畳まれた形状にあるときに弾性変形を受け、該胃内滞留システムが開いた保持形状をとるときに反動する弾性重合体部品によって媒介され、かつ
前記リンカーは、胃環境中で分解、溶解、解離、または機械的に弱化し、保持形状の完全性を喪失し胃腔外へ排出される、胃内滞留システム。
【請求項13】
胃内滞留システムで使用されるアームであって、
担持重合体、
少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩、および
アームの表面の少なくとも一部に被覆された放出速度調節フィルム、
を含み、前記放出速度調節フィルムは、高分子量ポリカプロラクトン(PCL-HMW)および低分子量ポリカプロラクトン(PCL-LMW)を含む、
アーム。
【請求項14】
前記PCL-HMWは、M
n約75,000~M
n約250,000のPCL、約1.0 dl/g~約2.4 dl/gの固有粘度を有するPCL、約1.2 dl/g~約2.4 dl/gの固有粘度を有するPCL、または約1.6 dl/g~約2.4 dl/gの固有粘度を有するPCLを含む請求項13のアーム。
【請求項15】
前記PCL-LMWは、M
n約10,000~M
n約20,000のPCL、または約0.1 dl/g~約0.8 dl/gの固有粘度を有するPCLを含む請求項13または請求項14記載のアーム。
【請求項16】
前記PCL-HMWは、M
n約75,000~M
n約250,000のPCL、約1.0 dl/g~約2.4 dl/gの固有粘度を有するPCL、約1.2 dl/g~約2.4 dl/gの固有粘度を有するPCL、または約1.6 dl/g~約2.4 dl/gの固有粘度を有するPCLを含み、かつ前記PCL-LMWは、M
n約 10,000 ~M
n約 20,000 のPCL、または約0.1 dl/g~約0.8 dl/gの固有粘度を有するPCLを含む請求項13のアーム。
【請求項17】
(PCL-HMW):(PCL-LMW)比が、約1:4~約95:5(重量/重量)である、請求項13~16のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項18】
(PCL-HMW):(PCL-LMW)比が、約2:3~約95:5(重量/重量)である、請求項13~16のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項19】
(PCL-HMW):(PCL-LMW)比が、約3:1~約95:5(重量/重量)である、請求項13~16のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項20】
(PCL-HMW):(PCL-LMW)比が約9:1(重量/重量)である、請求項13~16のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項21】
( PCL-HMW):(PCL-LMW)比が約1:3(重量/重量)である、請求項13~16のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項22】
(PCL-HMW):(PCL-LMW)比が約4:6(重量/重量)である、あるいは(PCL-HMW):(PCL-LMW)比が約6:4(重量/重量)である、請求項13~16のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項23】
(PCL-HMW):(PCL-LMW)比が約1:1(重量/重量)である、請求項13~16のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項24】
(PCL-HMW):(PCL-LMW)比が約3:1(重量/重量)である、請求項13~16のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項25】
(PCL-HMW):(PCL-LMW)比が約85:15(重量/重量)である、請求項13~16のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項26】
前記放出速度調節フィルムはポロゲンを実質的に含まない、請求項13~16のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項27】
前記放出速度調節フィルムの添加によるアームの重量の増加が、被覆されていないアームの重量の約2%~約6%である、請求項13~26のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項28】
水性媒体中の該アームからの薬剤の放出速度が、少なくとも96時間にわたって実質的に直線的である、請求項13~27のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項29】
該アームからの薬剤の放出速度が、熱サイクルの前後で実質的に同じである、請求項13~28のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項30】
請求項13~29のいずれか一項に記載のアームを含む、胃内滞留システム。
【請求項31】
胃内滞留システムであって、
請求項13~29のいずれか一項に記載の1つ以上のアーム、および
中心弾性重合体部品、を含み
前記1つ以上のアームは、それぞれ別個のリンカー部品を介して前記中心弾性重合体部品に接続されており、
該胃内滞留システムは、投与中に折り畳まれて物理的に拘束されるように構成され、拘束の除去時に開いた保持形状を取るように構成され、
折り畳まれた形状と開いた保持形状との間の変化が、該胃内滞留システムが折り畳まれた形状にあるときに弾性変形を受け、胃内滞留システムが開いた保持形状をとるときに反動する弾性重合体部品によって媒介され、かつ
前記リンカーは、胃環境で分解、溶解、解離、または機械的に弱化し、保持形状の完全性を喪失し、胃腔外へ排出される、胃内滞留システム。
【請求項32】
胃内滞留システムで使用されるアームであって、
担持重合体、
少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩、および
該アームの表面の少なくとも一部に被覆された放出速度調節フィルム、を含み、
前記放出速度調節フィルムは、ポリ-D,L-ラクチド(PDL)を含む、アーム。
【請求項33】
前記PDLは、約1 dl/g~約5 dl/gまたは約1.6 dl/g~約2.4 dl/gの固有粘度を有するPDLを含む、請求項32に記載のアーム。
【請求項34】
前記放出速度調節フィルムは、ポリカプロラクトン(PCL)をさらに含む、請求項32または請求項33に記載のアーム。
【請求項35】
前記放出速度調節フィルムは、ポリカプロラクトン(PCL)およびポリエチレングリコール(PEG)をさらに含む、請求項32または請求項33に記載のアーム。
【請求項36】
前記放出速度調節フィルムは、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリエチレングリコール(PEG)およびポリプロピレングリコール(PPG)をさらに含む、請求項32または請求項33に記載のアーム。
【請求項37】
前記PCLは、M
n約75,000~M
n約250,000のPCLを含む、請求項34~36のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項38】
前記PEGは、M
n約800~M
n約20,000のPEGを含む、請求項35~37のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項39】
前記PPGは、少なくともM
n約2,500を有するPPGを含む、請求項36~38のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項40】
前記PPGは、M
n約2,500~M
n約6,000のPPGを含む、請求項36~38のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項41】
PDL:PCL比が約9:27(重量/重量)である、請求項34~39のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項42】
PDL:PCL比が約36:9(重量/重量)である、請求項34~39のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項43】
PDL:PCL:PEG比が約9:27:4(重量/重量/重量)である、請求項36~39のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項44】
PDL:PCL:PEGの比が約36:9:5(重量/重量/重量)である、請求項36~39のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項45】
前記放出速度調節フィルムはポロゲンを実質的に含まない、請求項32~44のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項46】
前記放出速度調節フィルムの添加によるアームの重量の増加が、被覆されていないアームの重量の約2%~約6%である、請求項32~45のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項47】
水性媒体中の該アームからの薬剤の放出速度が、少なくとも96時間にわたって実質的に直線的である、請求項32~46のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項48】
該アームからの薬剤の放出速度が、熱サイクルの前後で実質的に同じである、請求項32~47のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項49】
請求項32~48のいずれか一項に記載のアームを含む、胃内滞留システム。
【請求項50】
請求項32~48のいずれか一項に記載の1つ以上のアーム、および
中心弾性重合体部品を含む胃内滞留システムであって、
前記1つ以上のアームは、それぞれ、別個のリンカー部品を介して前記中心弾性重合体部品に接続されており、
該胃内滞留システムは、投与中に折り畳まれて物理的に拘束されるように構成され、拘束の除去時に開いた保持形状を取るように構成されており、
折り畳まれた形状と開いた保持形状との間の変化が、該胃内滞留システムが折り畳まれた形状にあるときに弾性変形を受け、該胃内滞留システムが開いた保持形状をとるときに反動する弾性重合体部品によって媒介され、かつ
前記リンカーは、胃環境で分解、溶解、解離、または機械的に弱化し、保持形状の完全性を喪失し、胃腔外へ排出される、胃内滞留システム。
【請求項51】
胃内滞留システムで使用されるアームであって、
担持重合体、
少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩、および
該アームの表面の少なくとも一部に被覆された放出速度調節フィルム、を含み、
前記放出速度調節フィルムは、ポリカプロラクトン(PCL)を含む、アーム。
【請求項52】
前記PCLは、M
n約75,000~M
n約250,000のPCLを含む、請求項51に記載のアーム。
【請求項53】
前記放出速度調節フィルムはポリエチレングリコール(PEG)をさらに含む、請求項51または請求項52に記載のアーム。
【請求項54】
前記放出速度調節フィルムは、ポリエチレングリコール(PEG)およびポリプロピレングリコール(PPG)をさらに含む、請求項51または請求項52に記載のアーム。
【請求項55】
前記PEGはM
n約800~約1,200のPEGを含む、請求項53~54のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項56】
前記PPGは、M
n約2,500~M
n約6,000のPPGを含む、請求項54~55のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項57】
前記PCLは重量で前記放出速度調節フィルムの約15%~約80%を構成し、前記PEGは重量で前記放出速度調節フィルムの約5%~約15%を構成し、および/または前記PPGは重量で前記放出速度調節フィルムの約5%~約15%を構成する、請求項54~55のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項58】
前記放出速度調節フィルムはポロゲンを実質的に含まない、請求項51~57のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項59】
前記放出速度調節フィルムの添加によるアームの重量の増加が、被覆されていないアームの重量の約2%~約6%である、請求項51~58のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項60】
水性媒体中の該アームからの薬剤の放出速度が、少なくとも96時間にわたって実質的に直線的である、請求項51~59のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項61】
該アームからの薬剤の放出速度が、熱サイクルの前後で実質的に同じである、請求項51~60のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項62】
請求項51~61のいずれか一項に記載のアームを含む、胃内滞留システム。
【請求項63】
請求項51~61のいずれか一項に記載の1つ以上のアーム、および
中心弾性重合体部品を含む胃内滞留システムであって、
前記1つ以上のアームは、それぞれ、別個のリンカー部品を介して前記中心弾性重合体部品に接続され、
該胃内滞留システムは、投与中に折り畳まれて物理的に拘束されるように構成され、拘束の除去時に開いた保持形状を取るように構成され、
折り畳まれた形状と開いた保持形状との間の変化が、該胃内滞留システムが折り畳まれた形状にあるときに弾性変形を受け、胃内滞留システムが開いた保持形状をとるときに反動する弾性重合体部品によって媒介され、かつ
前記リンカーは、胃環境で分解、溶解、解離、または機械的に弱化し、保持形状の完全性を喪失し、胃腔外へ排出される、胃内滞留システム。
【請求項64】
胃内滞留システムで使用されるアームであって、
担持重合体、
少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩、および
該アームの表面の少なくとも一部に被覆された放出速度調節フィルムを含み、
前記放出速度調節フィルムは、高分子量ポリ-D,L-ラクチド(PDL-HMW)および低分子量ポリ-D,L-ラクチド(PDL-LMW)を含む、アーム。
【請求項65】
前記PDL-HMWは、約1.6 dl/g~約2.4 dl/gの固有粘度のPDLを含む、請求項64に記載のアーム。
【請求項66】
前記PDL-LMWは、約0.5 dl/g~約1.5 dl/gの固有粘度のPDLを含む、請求項64または請求項65に記載のアーム。
【請求項67】
前記PDL-HMWは約2 dl/gの固有粘度中点を有するPDLを含み、前記PDL-LMWは約1.5 dl/gの固有粘度中点を有するPDLを含む、請求項64に記載のアーム。
【請求項68】
(PDL-HMW):(PDL-LMW)比が、約5:95~約95:5(重量/重量)である、請求項64~67のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項69】
(PDL-HMW):(PDL-LMW)比が、約2:3~約95:5(重量/重量)である、請求項64~67のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項70】
(PDL-HMW):(PDL-LMW)比が、約3:1~約95:5(重量/重量)である、請求項54~67のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項71】
(PDL-HMW):(PDL-LMW)比が、約9:1(重量/重量)である、請求項64~67のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項72】
前記放出速度調節フィルムは、ポリカプロラクトン(PCL)およびポリエチレングリコール(PEG)をさらに含む、請求項64または請求項65に記載のアーム。
【請求項73】
前記PCLはM
n約80,000~M
n約200,000のPCLを含む、請求項72に記載のアーム。
【請求項74】
前記PEGは、M
n約1,000~M
n約20,000のPEGを含む、請求項72または73に記載のアーム。
【請求項75】
(PDL-HMW+PDL-LMW)は、重量で前記放出速度調節フィルムの約15%~約80%を構成し、前記PCLは、重量で前記放出速度調節フィルムの約15%~約75%を構成し、前記PEGは重量で前記放出速度調節フィルムの約5%~約15%を構成する、請求項72~74のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項76】
(PDL-HMW+PDL-LMW):PCL:PEG比が約9:27:4(重量/重量/重量)である、請求項72~74のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項77】
(PDL-HMW+PDL-LMW):PCL:PEG比が、約36:9:5(重量/重量/重量)である、請求項72~74のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項78】
前記放出速度調節フィルムは、ポロゲンを実質的に含まない、請求項64~77のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項79】
前記放出速度調節フィルムの添加による該アームの重量の増加が、被覆されていないアームの重量の約2%~約6%である、請求項64~78のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項80】
水性媒体中の該アームからの薬剤の放出速度が、少なくとも96時間にわたって実質的に直線的である、請求項64~79のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項81】
該アームからの薬剤の放出速度が、熱サイクルの前後で実質的に同じである、請求項64~80のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項82】
請求項64~81のいずれか一項に記載のアームを含む、胃内滞留システム。
【請求項83】
請求項64~81のいずれか一項に記載の1つ以上のアーム、および
中心弾性重合体部品を含む胃内滞留システムであって、
前記1つ以上のアームは、それぞれ、別個のリンカー部品を介して前記中心弾性重合体部品に接続され、
該胃内滞留システムは、投与中に折り畳まれて物理的に拘束されるように構成され、拘束の除去時に開いた保持形状をとるように構成され、
折り畳まれた形状と開いた保持形状との間の変化が、該胃内滞留システムが折り畳まれた形状にあるときに弾性変形を受け、胃内滞留システムが開いた保持形状をとるときに反動する弾性重合体部品によって媒介され、かつ
前記リンカーは、胃環境で分解、溶解、解離、または機械的に弱化し、保持形状の完全性を喪失し、胃腔外へ排出される、胃内滞留システム。
【請求項84】
前記放出速度調節フィルムは、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール(PEG-PPG-PEG)ブロック共重合体をさらに含む、請求項32、51、または64のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項85】
前記PEG-PPG-PEGブロック共重合体は、M
n約14,000~約15,000のPEG-PPG-PEGブロック共重合体を含む、請求項84に記載のアーム。
【請求項86】
前記PEG-PPG-PEGブロック共重合体は、約75%~約90%のエチレングリコールを含む、請求項84または請求項85に記載のアーム。
【請求項87】
前記放出速度調節フィルムはPDLおよびPEG-PPG-PEGブロック共重合体を含み、(PDL):(PEG-PPG-PEGブロック共重合体)比が約85:15~約95:5(重量/重量)である、請求項84~86のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項88】
前記放出速度調節フィルムは、PDL-HMW+PDL-LMWおよびPEG-PPG-PEGブロック共重合体を含み、(PDL-HMW+PDL-LMW):(PEG-PPG-PEGブロック共重合体)比が約85:15~約95:5(重量/重量)である、請求項84~86のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項89】
前記放出速度調節フィルムはPCLおよびPEG-PPG-PEGブロック共重合体を含み、(PCL):(PEG-PPG-PEGブロック共重合体)比が約85:15~約95:5(重量/重量)である、請求項84~86のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項90】
前記放出速度調節フィルムはPDLおよびPEG-PPG-PEGブロック共重合体を含み、(PDL):(PEG-PPG-PEGブロック共重合体)比が約9:1(重量/重量)である、請求項84~86のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項91】
塩基放出速度調節フィルムは、PDL-HMW+PDL-LMWおよびPEG-PPG-PEGブロック共重合体を含み、(PDL-HMW+PDL-LMW):(PEG-PPG-PEGブロック共重合体)比が約9:1(重量/重量)である、請求項84~86のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項92】
前記放出速度調節フィルムが、PCLおよびPEG-PPG-PEGブロック共重合体を含み、(PCL):(PEG-PPG-PEGブロック共重合体)比が約9:1(重量/重量)である、請求項84~86のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項93】
前記放出速度調節フィルムは、ポロゲンを実質的に含まない、請求項84~92のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項94】
前記放出速度調節フィルムの添加による該アームの重量の増加が、被覆されていないアームの重量の約2%~約6%である、請求項84~93のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項95】
水性媒体中の該アームからの薬剤の放出速度が、少なくとも96時間の期間にわたって実質的に直線的である、請求項84~94のいずれか1項に記載のアーム。
【請求項96】
該アームからの薬剤の放出速度が、熱サイクルの前後で実質的に同じである、請求項84~95のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項97】
請求項84~96のいずれか一項に記載のアームを含む、胃内滞留システム。
【請求項98】
請求項84~96のいずれか一項に記載の1つ以上のアーム、および
中心弾性重合体部品を含む胃内滞留システムであって、
前記1つ以上のアームはそれぞれ、別個のリンカー部品を介して中心弾性重合体部品に接続されており、
該胃内滞留システムは、投与中に折り畳まれて物理的に拘束されるように構成され、拘束の除去時に開いた保持形状を取るように構成され、
折り畳まれた形状と開いた保持形状との間の変化が、該該胃内滞留システムが折り畳まれた形状にあるときに弾性変形を受け、該胃内滞留システムが開いた保持形状をとるときに反動する弾性重合体部品によって媒介され、かつ
前記リンカーは、胃環境で分解、溶解、解離、または機械的に弱化し、保持形状の完全性を喪失し、胃腔外へ排出される、胃内滞留システム。
【請求項99】
前記放出速度調節フィルムは、ポリエチレングリコール(PEG)をさらに含む、請求項32に記載のアーム。
【請求項100】
前記放出速度調節フィルムは、ポリプロピレングリコール(PPG)をさらに含む、請求項32に記載のアーム。
【請求項101】
前記放出速度調節フィルムは、ポリエチレングリコール(PEG)およびポリプロピレングリコール(PPG)をさらに含む、請求項32、51、または64のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項102】
前記PDLは、重量で、前記放出速度調節フィルムの約75%~約95%を構成し、前記PEGは、重量で、前記放出速度調節フィルムの約3%~約10%を構成し、前記PPGは、重量で、前記放出速度調節フィルムの約1%~約7%を構成する、請求項101に記載のアーム。
【請求項103】
前記放出速度調節フィルムは、PDL、PEG、およびPPGを含み、(PDL):(PEG):(PPG)比は、重量で約90:(6+2/3):(3+1/3)重量である、請求項101に記載のアーム。
【請求項104】
前記放出速度調節フィルムは、PDL、PEG、およびPPGを含み、(PDL):(PEG):(PPG)比が重量で約27:2:1である、請求項101に記載のアーム。
【請求項105】
前記放出速度調節フィルムは、PCL、PEG、およびPPGを含み、(PCL):(PEG):(PPG)比が重量で約27:2:1である、請求項101に記載のアーム。
【請求項106】
前記放出速度調節フィルムは、(PDL-HMW+PDL-LMW)、PEG、およびPPGを含み、(PDL-HMW+PDL-LMW):(PEG):(PPG)比が重量で約27:2:1である、請求項101に記載のアーム。
【請求項107】
前記PEGは、M
n約800~約1,200のPEGを含む、請求項99または101~106のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項108】
前記PPGは、M
n約2,500~M
n約6,000のPPGを含む、請求項100~106のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項109】
前記放出速度調節フィルムは、ポロゲンを実質的に含まない、請求項99~108のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項110】
前記放出速度調節フィルムの添加による該アームの重量の増加が、被覆されていないアームの重量の約2%~約6%である、請求項99~109のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項111】
水性媒体中の該アームからの薬剤の放出速度が、少なくとも96時間にわたって実質的に直線的である、請求項99~110のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項112】
該アームからの薬剤の放出速度が、熱サイクルの前後で実質的に同じである、請求項99~111のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項113】
請求項99~112のいずれか一項に記載のアームを含む、胃内滞留システム。
【請求項114】
請求項99~112のいずれか一項に記載の1つ以上のアーム、および
中心弾性重合体部品 を含む胃内滞留システムであって、
前記1つ以上のアームは、それぞれ、別個のリンカー部品を介して前記中心弾性重合体部品に接続され、
該胃内滞留システムは、投与中に折り畳まれて物理的に拘束されるように構成され、拘束の除去時に開いた保持形状を取るように構成され、
折り畳まれた形状と開いた保持形状との間の変化が、該該胃内滞留システムが折り畳まれた形状にあるときに弾性変形を受け、該胃内滞留システムが開いた保持形状をとるときに反動する弾性重合体部品によって媒介され、かつ
前記リンカーは、胃環境で分解、溶解、解離、または機械的に弱化し、保持形状の完全性を喪失し、胃腔外へ排出される、胃内滞留システム。
【請求項115】
胃内滞留システムで使用されるアームであって、
担持重合体、
少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩、および
該アームの表面の少なくとも一部に被覆された放出速度調節フィルムを含み、
前記放出速度調節フィルムは、ポリ-D-ラクチド-ポリカプロラクトン共重合体(PDL-PCL共重合体)を含む、アーム。
【請求項116】
PDLは、前記PDL-PCL共重合体の約15%~約90%を構成する、請求項115に記載のアーム。
【請求項117】
PDLは、前記PDL-PCL共重合体の約15%~約35%を構成する、請求項115に記載のアーム。
【請求項118】
PDLは、前記PDL-PCL共重合体の約70%~約90%を構成する、請求項115に記載のアーム。
【請求項119】
前記PDL-PCL共重合体は、約0.6 dl/g~約4 dl/g、好ましくは約0.6 dl/g~約2 dl/gの固有粘度を有するPDL-PCL共重合体を含む、請求項115~118のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項120】
前記放出速度調節フィルムは、PEGをさらに含む、請求項115~119のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項121】
前記PEGは、約800~約1,200の平均分子量のPEGを含む、請求項120に記載のアーム。
【請求項122】
前記PDL-PCL共重合体は、重量で前記放出速度調節フィルムの約75%~約95%を構成し、前記PEGは、重量で前記放出速度調節フィルムの約5%~約25%を構成する、請求項120または請求項121に記載のアーム。
【請求項123】
前記PDL-PCL共重合体は、重量で前記放出速度調節フィルムの約90%を構成し、前記PEGは、重量で前記放出速度調節フィルムの約10%を構成する、請求項120または請求項121に記載のアーム。
【請求項124】
(a) PDLは、前記PDL-PCL共重合体の約25%を構成する、あるいは
(b) PDLは、前記PDL-PCL共重合体の約80%を構成する、請求項115に記載のアーム。
【請求項125】
前記放出速度調節フィルムは、ポロゲンを実質的に含まない、請求項115~124のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項126】
前記放出速度調節フィルムの添加による該アームの重量の増加が、被覆されていないアームの重量の約2%~約6%である、請求項115~125のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項127】
水性媒体中の該アームからの薬剤の放出速度が、少なくとも96時間の期間にわたって実質的に直線的である、請求項115~126のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項128】
該アームからの薬剤の放出速度が、熱サイクルの前後で実質的に同じである、請求項115~127のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項129】
請求項115~128のいずれか一項に記載のアームを含む、胃内滞留システム。
【請求項130】
請求項115~129のいずれか一項に記載の1つ以上のアーム、および
中心弾性重合体部品を含む胃内滞留システムであって、
前記1つ以上のアームは、それぞれ、別個のリンカー部品を介して前記中心弾性重合体部品に接続され、
該胃内滞留システムは、投与中に折り畳まれて物理的に拘束されるように構成され、拘束の除去時に開いた保持形状をとるように構成され、
折り畳まれた形状と開いた保持形状との間の変化が、該該胃内滞留システムが折り畳まれた形状にあるときに弾性変形を受け、該胃内滞留システムが開いた保持形状をとるときに反動する弾性重合体部品によって媒介され、かつ
前記リンカーは、胃環境で分解、溶解、解離、または機械的に弱化し、保持形状の完全性を喪失し、胃腔外へ排出される、胃内滞留システム。
【請求項131】
前記放出速度調節フィルムは、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール(PEG-PPG-PEG)ブロック共重合体をさらに含む、請求項115~123のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項132】
前記PEG-PPG-PEGブロック共重合体は、M
n約14,000~約15,000のPEG-PPG-PEGブロック共重合体を含む、請求項131に記載のアーム。
【請求項133】
前記PEG-PPG-PEGブロック共重合体は、約75%~約90%のエチレングリコールを含む、請求項131または請求項132に記載のアーム。
【請求項134】
(PDL-PCL共重合体):(PEG-PPG-PEGブロック共重合体)比が、約85:15~約95:5(重量/重量)である、請求項131~133のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項135】
(PDL-PCL共重合体):(PEG-PPG-PEGブロック共重合体)比が、約9:1(重量/重量)である、請求項131~133のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項136】
(a) PDLは、前記PDL-PCL共重合体の約25%を構成する、あるいは
(b) PDLは、前記PDL-PCL共重合体の約80%~約90%を構成する、請求項131~135のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項137】
前記放出速度調節フィルムは、ポロゲンを実質的に含まない、請求項131~136のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項138】
前記放出速度調節フィルムの添加による該アームの重量の増加が、被覆されていないアームの重量の約2%~約6%である、請求項131~137のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項139】
水性媒体中の該アームからの薬剤の放出速度が、少なくとも96時間の期間にわたって実質的に直線的である、請求項131~138のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項140】
該アームからの薬剤の放出速度が、熱サイクルの前後で実質的に同じである、請求項131~139のいずれか一項に記載のアーム。
【請求項141】
請求項131~140のいずれか一項に記載のアームを含む、胃内滞留システム。
【請求項142】
請求項131~140のいずれか一項に記載の1つ以上のアーム、および
中心弾性重合体部品を含む胃内滞留システムであって、
前記1つ以上のアームは、それぞれ、別個のリンカー部品を介して前記中心弾性重合体部品に接続されており、
該胃内滞留システムは、投与中に折り畳まれて物理的に拘束されるように構成され、拘束の除去時に開いた保持形状を取るように構成され、
折り畳まれた形状と開いた保持形状との間の変化が、該該胃内滞留システムが折り畳まれた形状にあるときに弾性変形を受け、該胃内滞留システムが開いた保持形状をとるときに反動する弾性重合体部品によって媒介され、かつ
前記リンカーは、胃環境で分解、溶解、解離、または機械的に弱化し、保持形状の完全性を喪失し、胃腔外へ排出される、胃内滞留システム。
【請求項143】
前記放出速度調節フィルムはパンコーティングによって塗布される、請求項1~142のいずれか一項に記載のアームまたは胃内滞留システム。
【請求項144】
前記放出速度調節フィルムはディップコーティングによって塗布される、請求項1~142のいずれか一項に記載のアームまたは胃内滞留システム。
【請求項145】
前記少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩は、薬物、プロドラッグ、生物学的製剤、スタチン、ロスバスタチン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、メロキシカム、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSR)、エスシタロプラム、シタロプラム、血液サラサラ薬、クロピドグレル、ステロイド剤、プレドニゾン、抗精神病薬、アリピプラゾール、リスペリドン、鎮痛剤、ブプレノルフィン、オピオイド拮抗剤、ナロキソン、抗喘息剤、モンテルカスト、抗認知症剤、メマンチン、心配糖体、ジゴキシン、αブロッカー、タムスロシン、コレステロール吸収阻害剤、エゼチミブ、痛風治療薬、コルヒチン、抗ヒスタミン薬、ロラタジン、セチリジン、オピオイド、ロペラミド、プロトンポンプ阻害薬、オメプラゾール、抗ウイルス剤、エンテカビル、抗生物質、ドキシサイクリン、シプロフロキサシン、アジスロマイシン、抗マラリア薬、レボチロキシン、物質乱用治療薬、メタドン、バレニクリン、避妊薬、興奮剤、カフェイン、栄養素、葉酸、カルシウム、ヨウ素、鉄、亜鉛、チアミン、ナイアシン、ビタミンC、ビタミンD、ビオチン、植物エキス、植物ホルモン、ビタミン類、ミネラル類、タンパク質、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ホルモン、抗炎症剤、解熱剤、抗うつ剤、抗てんかん剤、抗精神病剤、神経保護剤、抗増殖剤、抗がん剤、抗偏頭痛剤、プロスタグランジン、抗菌剤、抗真菌剤、抗寄生虫剤、抗ムスカリン剤、抗不安剤、静菌剤、免疫抑制剤、鎮静剤、催眠剤、気管支拡張剤、心臓血管薬、麻酔剤、抗凝固剤。酵素阻害剤、副腎皮質ホルモン、ドーパミン作動性、電解質、胃腸薬、筋弛緩剤、副交感神経刺激剤、抗不整脈薬、キニーネ、ルメファントリン、クロロキン、アモジアキン、ピリメタミン、プログアニル、クロルプログアニル-ダプソン、スルホンアミド、スルファドキシン、スルファメトキシピリダジン、メフロキン、アトバコン、プリマキン、ハロファントリン、ドキシサイクリン、クリンダマイシン、アルテミシン、アルテミシン誘導体、アルテムテル、ジヒドロアルテミシン、アルテテル、またはアーデスネートのうちの1種以上を含む、請求項1~144のいずれか一項に記載のアームまたは胃内滞留システム。
【請求項146】
前記少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩はメマンチンを含む、請求項1~144のいずれか一項に記載のアームまたは胃内滞留システム。
【請求項147】
前記少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩は、ドネペジルを含む、請求項1~144のいずれか一項に記載のアームまたは胃内滞留システム。
【請求項148】
前記少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩は、メマンチンおよびドネペジルを含む、請求項1~144のいずれか一項に記載のアームまたは胃内滞留システム。
【請求項149】
前記少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩は、リスペリドンを含む、請求項1~144のいずれか一項に記載のアームまたは胃内滞留システム。
【請求項150】
前記少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩は、ダパグリフロジンを含む、請求項1~144のいずれか一項に記載のアームまたは胃内滞留システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互参照]
本出願は、2019年11月8日に出願された米国仮特許出願第62/933,313号の優先権の利益を主張するものである。その出願の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、医薬品の徐放のために長期間胃内に留まるシステム、およびその使用方法、並びにそのようなシステムと共に使用される放出速度調節フィルムに関する。
【背景技術】
【0003】
胃内滞留システムは、数日から数週間、またはさらに長期間にわたって胃内に留まる薬剤の送達システムであり、その間に時限薬剤または他の薬剤がシステムから溶出して胃腸管で吸収される。例えば、このようなシステムは、国際特許出願番号WO2015/191920、WO2015/191925、WO2017/070612、WO2017/100367、およびWO2017/205844に記載されている。これらのシステムは、担持重合体薬剤ブレンドから時間をかけて徐々に薬剤を放出して送達し、システムが胃に滞留する間に薬剤または薬剤を放出する。所望の放出速度を達成するには、胃内滞留システムで使用される材料を慎重に選択する必要がある。国際特許出願第WO2018/227147号は、システムからの放出動態に対する良好な制御を提供する、胃内滞留システムのための放出速度調節フィルム用材料の選択について記載する。放出速度調節フィルムは、薬剤放出を制御するために、胃内滞留システムの薬剤含有部分の表面に配置することができる。担持重合体薬剤ブレンド表面の被覆として放出速度調節重合体フィルムを使用すると、いくつかの重要な利点が得られる。放出速度調節重合体フィルムは、胃液との最初の接触時に薬剤の爆発的放出を減少させ、滞留中の薬剤放出の直線的性を改善し、これにより胃の滞留システムからの投薬のより良い調節を提供する。放出速度調整重合体フィルムの組成物の中には、そのようなフィルムがないシステムと比較して、アルコールに暴露されたときの爆発的放出を著しく減少させるものもある。
【0004】
放出速度調節フィルムは比較的薄く、フィルムで被覆された担持重合体薬剤ブレンド部品を胃内滞留システムに組み立てると、フィルムは破壊される可能性がある。胃内滞留システムの組み立ては、熱補助組み立てにより行うことができ、そのような熱補助組み立ての間にフィルムの放出速度調節特性の喪失を防ぐことが特に重要である。本開示は、熱補助組み立ての間のそのような破壊に抵抗する、胃内滞留システムに使用される改良された放出速度調節フィルムを提供する。
【発明の概要】
【0005】
胃内滞留システムは、一般に、いくつかの異なる部品から作られる。このような部品の例としては、胃内滞留システムの細長い部材または「アーム」、例えば星形胃内滞留システムのアームを挙げることができる。
【0006】
アームは、担持重合体、薬剤(例えば、薬物)、および様々な賦形剤を含んでもよい。次いで、放出速度調節フィルムは、放出の動態を制御するためにアームの表面に配置される。胃内滞留システムの他の部品としては、中心弾性体などの1つ以上の弾性体部品、および種々の部品を連結するリンカーまたは崩壊性マトリックスなどを挙げることができる。様々な部品の接続は、他の部品に接続されることになる部品の少なくとも1つの加熱、時には接続される部品の全ての加熱により、しばしば行われる。加熱は、加熱されたプラテンとの接触、赤外線放射源の使用、赤外線レーザーの使用、または他の熱生成、熱放射、または熱伝達装置の使用により達成される。胃内滞留システムの様々な部品は、このような熱による組み立ての間、その特性が変化しにくいものでなければならない。
【0007】
放出速度調整フィルムは、比較的薄いフィルムである。胃内滞留システムの薬剤含有部分(星形システムのアームなど)が放出速度調節フィルムを担持する場合、熱補助組み立ての間にフィルムの放出速度調節特性の喪失を防ぐことが特に重要である。本開示は、胃内滞留システムで使用される改良された放出速度調節フィルムを提供する。改良された放出速度調節フィルムの1側面は、熱補助組み立て中の破壊に対する抵抗力が増加し、組み立て後のシステムの薬剤含有部品からの薬剤の放出特性が、組み立て前のシステムの薬剤含有部品からの薬剤の放出特性と実質的に同じになるようにすることである。
【0008】
本開示は、胃内滞留システムを患者に投与する方法をさらに含み、本明細書に開示される胃内滞留システムの任意の実施態様によっては圧縮状態で含む容器を患者に投与することを含み、容器が患者の胃に入り、胃に入った後に溶解して、その後その非圧縮状態を採用する胃内滞留システムを放出させる。好ましくは、患者はヒトである。胃内滞留システムを含む容器は、嚥下により、栄養チューブにより、または胃瘻チューブにより投与される。
【0009】
本発明は、放出速度調節重合体フィルムで覆われたセグメントを有する胃内滞留システムを提供する。本発明はまた、胃内滞留システムに使用するのに適した放出速度調節重合体フィルムで覆われたアームを提供する。本発明はまた、放出速度調節重合体フィルムで覆われたセグメントを有する胃内滞留システムのアームを提供する。本発明はまた、胃内滞留システムでの使用に適した放出速度調節重合体フィルムで覆われたセグメントを提供する。セグメント、アーム、および胃内滞留システムの製造方法も提供される。胃内滞留システムの使用方法もまた提供される。
【0010】
実施態様によっては、本発明は、胃内滞留システムで使用されるアームであって、担持重合体、少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩、およびアームの表面の少なくとも一部に被覆された放出速度調節フィルムを含み、放出速度調節フィルムはポリ-D,L-ラクチド(PDL)およびポリ-D,L-ラクチド/グリコリド(PDLG)を含む、アームを提供する。 実施態様によっては、PDLは、約1 dl/g~約5 dl/g、約1 dl/g~約4 dl/g、または約1.6 dl/g~約2.4 dl/gの固有粘度を有するPDLを含む。実施態様によっては、PDLGは、約0.1 dl/g~約3 dl/g、約0.1 dl/g~約1.5 dl/g、または約0.1 dl/g~約0.5 dl/gの固有粘度を有するPDLGを含む。本明細書に開示されるアームのいずれか1つに従う実施態様によっては、PDL:PDLG比は、約2:1~約1:2(重量/重量)である。実施態様によっては、PDL:PDLG比は、約1.25:1~約1:1.25(重量/重量)である。実施態様によっては、PDL:PDLG比は、約1:1(重量/重量)である。実施態様によっては、放出速度調節フィルムは、ポロゲンを実質的に含まない。本明細書に開示されるアームのいずれか1つに従う実施態様によっては、前記放出速度調節フィルムの添加によるアームの重量の増加は、被覆されていないアームの重量の約2%~約6%である。実施態様によっては、水性媒体中のアームからの薬剤の放出速度は、少なくとも96時間中に実質的に直線的である。実施態様によっては、アームからの薬剤の放出速度は、熱サイクルの前後で実質的に同じである。実施態様によっては、本発明は本明細書に開示されるアームのいずれか1つを含む胃内滞留システムを提供する。実施態様によっては、本発明は本明細書に開示されたアームのいずれか1つ以上および中心弾性重合体部品を含む胃内滞留システムを提供し、1つ以上のアームはそれぞれ、別個のリンカー部品を介して中心弾性重合体部品に接続されており、胃内滞留システムは、投与中に折りたたまれて物理的に拘束され、拘束が解除されると開いた保持形状になるよう構成され、折り畳まれた形状と開いた保持形状との間の変化は、該胃内滞留システムが折り畳まれた形状にあるときに弾性変形を受け、胃内滞留システムが開いた保持形状を取るときに反動する弾性重合体部品によって媒介され、かつ前記リンカーは、胃環境で分解、溶解、解離、または機械的に弱化し、保持形状の完全性を喪失し胃腔外へ排出される。実施態様によっては、放出速度調節フィルムは、パンコーティングによって塗布される。実施態様によっては、放出速度調節フィルムは、ディップコーティングによって塗布される。実施態様によっては、少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩は、メマンチンを含む。実施態様によっては、少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩は、ドネペジルを含む。実施態様によっては、少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩は、メマンチンおよびドネペジルを含む。実施態様によっては、少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩は、リスペリドンを含む。実施態様によっては、少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩は、ダパグリフロジンを含む。
【0011】
実施態様によっては、本発明は胃内滞留システムで使用されるアームを提供する。このアームは担持重合体、少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩、および該アームの表面の少なくとも一部に被覆された放出速度調節フィルムを含み、放出速度調節フィルムは高分子量ポリカプロラクトン(PCL-HMW)および低分子量ポリカプロラクトン(PCL-LMW)を含む。実施態様によっては、PCL-HMWは、Mn約75,000~Mn約250,000のPCL、または約1.0 dl/g~約2.4 dl/g、約1.2 dl/g~約2.4 dl/g、若しくは約1.6 dl/g~約2.4 dl/gの固有粘度を有するPCLを含む。実施態様によっては、PCL-LMWは、Mn約10,000~Mn約20,000のPCL、または約0.1 dl/g~約0.8 dl/gの固有粘度を有するPCLを含む。実施態様によっては、PCL-HMWは、Mn約 75,000~Mn約 250,000のPCL、または約1.0 dl/g~約2.4 dl/g、約 1.2 dl/g~約 2.4 dl/g、もしくは約1.6 dl/g~約2.4 dl/gの固有粘度を有するPCLを含み、かつPCL-LMWは、Mn約10,000~Mn約20,000のPCL、または約0.1 dl/g~約0.8 dl/gの固有粘度を有するPCLを含む。実施態様によっては、(PCL-HMW):(PCL-LMW)比は、約1:4~約95:5(重量/重量)の間にある。実施態様によっては、(PCL-HMW):(PCL-LMW)比は、約2:3~約95:5(重量/重量)である。実施態様によっては、(PCL-HMW):(PCL-LMW)比は、約3:1~約95:5(重量/重量)である。実施態様によっては、(PCL-HMW):(PCL-LMW)比は、約9:1(重量/重量)である。実施態様によっては、放出速度調節フィルムは、ポロゲンを実質的に含まない。本明細書に開示されたアームのいずれか1つに従う実施態様によっては、前記放出速度調節フィルムの添加によるアームの重量の増加は、被覆されていないアームの重量の約2%~約6%である。実施態様によっては、水性媒体中のアームからの薬剤の放出速度は、少なくとも96時間にわたって実質的に直線的である。実施態様によっては、アームからの薬剤の放出速度は、熱サイクルの前後で実質的に同じである。実施態様によっては、本発明は、本明細書に開示されるアームのいずれか1つを含む胃内滞留システムを提供する。実施態様によっては、本発明は、本明細書に開示されたアームのいずれか1つ以上と中心弾性重合体部品とを含む胃内滞留システムを提供し、1つ以上のアームはそれぞれ、別個のリンカー部品を介して中心弾性重合体部品に接続されており、胃内滞留システムは、投与中に折りたたまれて物理的に拘束されるように構成され、拘束の除去時に開いた保持形状をとるよう構成され、折り畳まれた形状と開いた保持形状との間の変化は、該胃内滞留システムが折り畳まれた形状にあるときに弾性変形を受け、胃内滞留システムが開いた保持形状を取るときに反動する弾性重合体部品によって媒介され、かつ前記リンカーは、胃環境で分解、溶解、解離、または機械的に弱化し、保持形状の完全性を喪失し胃腔外へ排出される。実施態様によっては、放出速度調節フィルムは、パンコーティングによって塗布される。実施態様によっては、放出速度調節フィルムは、ディップコーティングによって塗布される。実施態様によっては、少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩は、メマンチンを含む。実施態様によっては、少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩は、ドネペジルを含む。実施態様によっては、少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩は、リスペリドンを含む。実施態様によっては、少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩は、ダパグリフロジンを含む。
【0012】
実施態様によっては、本発明は、胃内滞留システムで使用されるアームを提供する。このアームは担持重合体、少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩、およびアームの表面の少なくとも一部に被覆された放出速度調節フィルムを含み、放出速度調節フィルムはポリ-D,L-ラクチド(PDL)を含む。実施態様によっては、PDLは、約1 dl/g~約5 dl/g、または約1 dl/g~約4 dl/gの固有粘度を有するPDLを含む。実施態様によっては、PDLは、約1.6 dl/g~約2.4 dl/gの固有粘度を有するPDLを含む。実施態様によっては、放出速度調節フィルムは、ポリカプロラクトン(PCL)およびポリエチレングリコール(PEG)をさらに含む。実施態様によっては、PCLは、Mn約75,000~Mn約250,000のPCLを含む。実施態様によっては、PEGは、Mn約800~Mn約20,000のPEGを含む。本明細書に開示されたアームのいずれか1つによる実施態様によっては、PDLは、重量で、放出速度調節フィルムの約15%~約80%を構成し、PCLは、重量で、放出速度調節フィルムの約15%~約75%を構成し、PEGは、重量で、放出速度調節フィルムの約5%~約15%を構成する。実施態様によっては、PDL:PCL:PEGの比は、約9:27:4(重量/重量/重量)である。実施態様によっては、PDL:PCL:PEGの比は、約36:9:5(重量/重量/重量)である。実施態様によっては、放出速度調節フィルムはポロゲンを実質的に含まない。本明細書に開示されるアームのいずれか1つによる実施態様によっては、前記放出速度調節フィルムの添加によるアームの重量の増加は、被覆されていないアームの重量の約2%~約6%である。実施態様によっては、水性媒体中のアームからの薬剤の放出速度は、少なくとも96時間にわたって実質的に直線的である。実施態様によっては、アームからの薬剤の放出速度は、熱サイクルの前後で実質的に同じである。実施態様によっては、本発明は、本明細書に開示されるアームのいずれか1つを含む胃内滞留システムを提供する。実施態様によっては、本発明は、本明細書に開示されたアームのいずれか1つと中心弾性重合体部品とを含む胃内滞留システムを提供し、ここで、1つ以上のアームはそれぞれ、別個のリンカー部品を介して中心弾性重合体部品に接続されており、胃内滞留システムは、投与中に折りたたまれて物理的に拘束されるように構成されており、拘束が解除されると開いた状態の保持形状にするように構成されており、胃内滞留システムは、投与中に折りたたまれるように構成されている。ここで、折り畳まれた形状と開いた保持形状との間の変化は、該胃内滞留システムが折り畳まれた形状にあるときに弾性変形を受け、胃内滞留システムが開いた保持形状をとるときに反動する弾性高分子部品によって媒介され、さらに前記リンカーは、胃環境で分解、溶解、解離または機械的に弱化し、保持形状の完全性を喪失し胃腔外へ排出される。
【0013】
本明細書に記載のアームのいずれか1つによる実施態様によっては、放出速度調節フィルムは、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール(PEG-PPG-PEG)ブロック共重合体をさらに含む。実施態様によっては、PEG-PPG-PEGブロック共重合体は、Mn約14,000~約15,000のPEG-PPG-PEGブロック共重合体を含む。実施態様によっては、PEG-PPG-PEGブロック共重合体は、約75%~約90%のエチレングリコールを含む。実施態様によっては、(PDL):(PEG-PPG-PEGブロック共重合体)比は、約85:15~約95:5(重量/重量)である。実施態様によっては、(PDL):(PEG-PPG-PEGブロック共重合体)比は、約9:1(重量/重量)である。実施態様によっては、放出速度調節フィルムは、ポロゲンを実質的に含まない。本明細書に記載のアームのいずれか1つによる実施態様によっては、前記放出速度調節フィルムの添加によるアームの重量の増加は、未被覆アームの重量の約2%~約6%である。実施態様によっては、水性媒体中のアームからの薬剤の放出速度は、少なくとも96時間にわたって実質的に直線的である。実施態様によっては、アームからの薬剤の放出速度は、熱サイクルの前後で実質的に同じである。実施態様によっては、本発明は、本明細書に開示されるアームのいずれか1つを含む胃内滞留システムを提供する。実施態様によっては、本発明は、本明細書に開示されるいずれかのアームの1つ以上および中心弾性重合体部品を含む胃内滞留システムを提供し、ここで、1つ以上のアームは、別個のリンカー部品を介して中心弾性重合体部品にそれぞれ接続されており、胃内滞留システムは、投与中に折りたたまれて物理的に拘束されるように構成され、拘束が解除されると開いた滞留形状にするように構成され、折り畳まれた形状と開いた保持形状との間の変化は、該胃内滞留システムが折り畳まれた形状にあるときに弾性変形を受け、胃内滞留システムが開いた保持形状をとるときに反動する弾性高分子部品によって媒介され、さらに前記リンカーは、胃環境で分解、溶解、解離または機械的に弱化し、保持形状の完全性を喪失し胃腔外へ排出される。実施態様によっては、放出速度調節フィルムは、パンコーティングによって塗布される。実施態様によっては、放出速度調節フィルムは、ディップコーティングによって塗布される。実施態様によっては、少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩は、メマンチンを含む。実施態様によっては、少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩は、ドネペジルを含む。実施態様によっては、少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩は、メマンチンおよびドネペジルを含む。実施態様によっては、少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩は、リスペリドンを含む。実施態様によっては、少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩は、ダパグリフロジンを含む。
【0014】
本明細書に記載されたアームのいずれか1つによる実施態様によっては、放出速度調節フィルムは、ポリエチレングリコール(PEG)をさらに含む。本明細書に記載されたアームのいずれか1つによる実施態様によっては、放出速度調節フィルムは、ポリプロピレングリコール(PPG)をさらに含む。本明細書に記載されたアームのいずれか1つによる実施態様によっては、放出速度調節フィルムは、ポリエチレングリコール(PEG)およびポリプロピレングリコール(PPG)をさらに含む。実施態様によっては、PDLは、重量で、放出速度調節フィルムの約75%~約95%を構成し、PEGは、重量で、放出速度調節フィルムの約3%~約10%を構成し、PPGは、重量で、放出速度調節フィルムの約1%~約7%を構成する。実施態様によっては、(PDL):(PEG):(PPG)比は、約90:(6と2/3):(3と1/3)の重量比である。実施態様によっては、PEGは、分子量約800~約1,200のPEGを含む。実施態様によっては、PPGは、少なくともMn約2,500のPPGを含む。実施態様によっては、PPGは、Mn約2,500~Mn約6,000のPPGを含む。実施態様によっては、放出速度調節フィルムは、ポロゲンを実質的に含まない。本明細書に記載のアームのいずれか1つによる実施態様によっては、前記放出速度調節フィルムの添加によるアームの重量の増加は、未被覆アームの重量の約2%~約6%である。実施態様によっては、水性媒体中のアームからの薬剤の放出速度は、少なくとも96時間にわたって実質的に直線的である。実施態様によっては、アームからの薬剤の放出速度は、熱サイクルの前後で実質的に同じである。実施態様によっては、本発明は、本明細書に開示されたアームのうちのいずれか1つを含む胃内滞留システムを提供する。実施態様によっては、本発明は、本明細書に開示されたアームのうちのいずれか1つ以上および中心弾性重合体部品を含む胃内滞留システムを提供する。1つ以上のアームは、それぞれ、別個のリンカー部品を介して中心弾性重合体部品に接続されており、胃内滞留システムは、投与中に折りたたまれて物理的に拘束され、拘束が解除されると開いた保持形状にするよう構成されており、折り畳まれた形状と開いた保持形状との間の変化は、該胃内滞留システムが折り畳まれた形状にあるときに弾性変形を受け、胃内滞留システムが開いた保持形状をとるときに反動する弾性高分子部品によって媒介され、さらに前記リンカーは、胃環境で分解、溶解、解離または機械的に弱化し、保持形状の完全性を喪失し胃腔外へ排出される。実施態様によっては、放出速度調節フィルムは、パンコーティングによって塗布される。実施態様によっては、放出速度調節フィルムは、ディップコーティングによって塗布される。実施態様によっては、少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩は、メマンチンを含む。実施態様によっては、少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩は、ドネペジルを含む。実施態様によっては、少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩は、メマンチンおよびドネペジルを含む。実施態様によっては、少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩は、リスペリドンを含む。実施態様によっては、少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩は、ダパグリフロジンを含む。
【0015】
実施態様によっては、本発明は、胃内滞留システムで使用されるアームを提供する。このアームは担持重合体、少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩、およびアームの表面の少なくとも一部に被覆された放出速度調節フィルムを含み、この放出速度調節フィルムはポリ-D-ラクチド-ポリカプロラクトン共重合体(PDL-PCL共重合体)を含む。実施態様によっては、PDLは、PDL-PCL共重合体の約15%~約90%を構成する。実施態様によっては、PDLは、PDL-PCL共重合体の約15%~約35%を構成する。実施態様によっては、PDLは、PDL-PCL共重合体の約70%~約90%を構成する。実施態様によっては、PDL-PCL共重合体は、約0.6 dl/g~約4 dl/g、約0.6 dl/g~約2 dl/g、または約0.6 dl/g~約1 dl/gの固有粘度を有するPDL-PCL共重合体を含む。本明細書に記載のアームのいずれか1つによる実施態様によっては、放出速度調節フィルムは、PEGをさらに含む。実施態様によっては、PEGは、約800~約1,200の間の平均分子量のPEGを含む。実施態様に依っては、PDL-PCL共重合体は重量で放出速度調節フィルムの約75%~約95%を構成し、PEGは重量で放出速度調節フィルムの5%~25%を構成する。実施態様によっては、PDL-PCL共重合体は放出速度調節フィルムの約90%を構成し、PEGは重量で放出速度調節フィルムの約10%を構成する。実施態様によっては、放出速度調節フィルムは、ポロゲンを実質的に含まない。本明細書に記載のアームのいずれか1つによる実施態様によっては、前記放出速度調節フィルムの添加によるアームの重量の増加は、被覆されていないアームの重量の約2%~約6%である。実施態様によっては、水性媒体中のアームからの薬剤の放出速度は、少なくとも96時間にわたって実質的に直線的である。実施態様によっては、アームからの薬剤の放出速度は、熱サイクルの前後で実質的に同じである。実施態様によっては、本発明は、本明細書に開示されるアームのいずれか1つを含む胃内滞留システムを提供する。実施態様によっては、本発明は、本明細書に開示されるいずれかのアームの1つ以上と、中心弾性重合体部品とを含む胃内滞留システムを提供し、ここで、1つ以上のアームは、別個のリンカー部品を介して中心弾性重合体部品にそれぞれ接続されており、胃内滞留システムは、投与中に折りたたまれて物理的に拘束されるように構成されて、拘束が解除されると開いた滞留形状にするように構成されており、折り畳まれた形状と開いた保持形状との間の変化は、該胃内滞留システムが折り畳まれた形状にあるときに弾性変形を受け、胃内滞留システムが開いた保持形状をとるときに反動する弾性高分子部品によって媒介され、前記リンカーは、胃環境で分解、溶解、解離または機械的に弱化し、保持形状の完全性を喪失し胃腔外へ排出される。実施態様によっては、放出速度調節フィルムは、パンコーティングによって塗布される。実施態様によっては、放出速度調節フィルムは、ディップコーティングによって塗布される。実施態様によっては、少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩は、メマンチンを含む。実施態様によっては、少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩は、ドネペジルを含む。実施態様によっては、少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩は、メマンチンおよびドネペジルを含む。実施態様によっては、少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩は、リスペリドンを含む。実施態様によっては、少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩は、ダパグリフロジンを含む。
【0016】
本明細書に記載されたアームまたは胃内滞留システムのいずれか1つによる実施態様によっては、放出速度調節フィルムは、パンコーティングによって塗布される。本明細書に記載されたアームまたは胃内滞留システムのいずれか1つによる実施態様によっては、放出速度調節フィルムは、ディップコーティングによって塗布される。
【0017】
本明細書に記載のアームまたは胃内滞留システムのいずれか1つによる実施態様によっては、少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩は、1種以上の薬剤、プロドラッグ、生物製剤、スタチン、ロスバスタチン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、メロキシカム、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSR)、エスシタロプラム、シタロプラム、血液希釈剤、クロピドグレル、ステロイド、プレドニゾン、抗精神病薬、アリピプラゾール、リスペリドン、鎮痛薬、ブプレノルフィン、オピオイド拮抗薬、ナロキソン、抗喘息薬、モンテルカスト、抗認知症薬、メマンチン、心臓配糖体、ジゴキシン、α遮断薬、タムスロシン、コレステロール吸収阻害薬、エゼチミブ、痛風治療薬、コルヒチン、抗ヒスタミン薬、ロラタジン、セチリジン、オピオイド、ロペラミド、プロトンポンプ阻害剤、オメプラゾール、抗ウイルス剤、エンテカビル、抗生物質、ドキシサイクリン、シプロフロキサシン、アジスロマイシン、抗マラリア剤、レボチロキシン、物質乱用治療薬、メタドン、バレニクリン、避妊薬、覚醒剤、カフェイン、栄養素、葉酸、カルシウム、ヨウ素、鉄、亜鉛、チアミン、ナイアシン、ビタミンC、ビタミンD、ビオチン、植物抽出物、植物ホルモン、ビタミン、ミネラル、タンパク質、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ホルモン、抗炎症剤、解熱剤、抗うつ剤、抗てんかん剤、抗精神病薬、神経保護剤、抗増殖剤、抗癌剤、抗偏頭痛剤、プロスタグランジン、抗菌剤、抗真菌剤、抗寄生虫剤、抗ムスカリン剤、抗不安剤、静菌剤、免疫抑制剤、鎮静剤、催眠剤、気管支拡張剤、循環器系薬剤、麻酔剤、抗凝固剤、酵素阻害剤、副腎皮質ホルモン剤、ドーパミン作動剤、電解質、胃腸薬、筋弛緩剤、副交感神経刺激剤、肛門疾患、抗不眠剤、キニン、ルメファントリン、クロロキン、アモディアキネ 、ピリメタミン、プログアニル、クロルプログアニル-ダプソン、スルホンアミド、スルファドキシン、スルファメトキシピリダジン、メフロキン、アトバコン、プリマキン、ハロファントリン、ドキシサイクリン、クリンダマイシン、アルテミシン、アルテミシン誘導体、アルテムテル、ジヒドロアルテミシン、アルテテル、またはアーデスネートを含む。 実施態様によっては、少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩はメマンチンを含む。実施態様によっては、少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩はドネペジルを含む。実施態様によっては、少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩はメマンチンおよびドネペジルを含む。実施態様によっては、少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩はリスペリドンを含む。実施態様によっては、少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩はダパグリフロジンを含む。
【0018】
放出速度調節重合体フィルム、または放出速度調節重合体フィルムで覆われたセグメントの実施態様のいずれかにおいて、放出速度調節重合体フィルムは薬剤を含まない、すなわち、フィルムは治療、診断、または栄養の使用を目的とするいかなる物質も含まない。
【0019】
放出速度調節重合体フィルム、または放出速度調節重合体フィルムで覆われたセグメントの実施態様のいずれかにおいて、放出速度調節重合体フィルムは、それが覆う担持重合体薬剤セグメントの強度に実質的に加わらない。
【0020】
本明細書に開示された任意の実施態様からの任意の構成は、可能な場合、本明細書に開示された他の任意の実施態様からの任意の特徴と組み合わせることができるものとする。この態様において、開示された構成のハイブリッド構成は、本開示の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、溶着条件に曝露前および曝露後の薬剤担持アームからのドネペジル(DNP)およびメマンチン(MEM)の薬剤放出曲線を示す。
【0022】
【
図2】
図2は、溶着条件への曝露前および曝露後のドネペジル担持アーム(DN34)からのドネペジルの薬物放出曲線を示す。
【0023】
【
図3】
図3は、溶着条件への曝露前および曝露後のドネペジル担持アーム(DN34)からのドネペジルの薬物放出曲線を示す。
【0024】
【
図4】
図4は、溶着条件への曝露前および曝露後の、メマンチン担持アーム(M116)からのメマンチンの薬物放出曲線を示す。
【0025】
【
図5】
図5は、溶着条件への曝露前および曝露後のメマンチン担持アーム(M122)からのメマンチンの薬物放出曲線を示す。
【0026】
【
図6】
図6は、溶着条件への曝露前および曝露後のメマンチン担持アーム(M122)からのメマンチンの薬物放出曲線を示す。
【0027】
【
図7】
図7は、溶着条件への曝露前および曝露後の薬物担持アームからのドネペジル(DNP)およびメマンチン(MEM)の薬物放出曲線を示す。
【0028】
【
図8A】
図8Aは、溶着条件への曝露前および曝露後の薬物担持アームからのメマンチン(MEM)の薬物放出曲線を示す。
【0029】
【
図8B】
図8Bは、溶着条件への曝露前および曝露後の薬物担持アームからのドネペジル(DNP)の薬物放出曲線を示す。
【0030】
【
図9】
図9は、異なる被覆重量での、溶着条件への曝露前および曝露後の、薬剤担持アームからのメマンチンの薬剤放出曲線を示す。
【0031】
【
図10】
図10は、薬物担持アームの10 mmのうち4 mmにIR(赤外線)を照射した、溶着条件への曝露前後の、被覆薬物担持アームおよび被覆されていない薬物担持アームからのダパグリフロジン(DAPA)の薬物放出曲線を示す。
【0032】
【
図11】
図11は、薬物担持アームの15 mmのうち15 mmにIRを照射した、溶着条件への曝露前後の被覆薬物担持アームからのダパグリフロジン(DAPA)の薬物放出曲線を示す。
【0033】
【
図12】
図12は、不活性セグメントが薬物含有アームのいずれかの端部に溶着され、薬物含有アームセグメントの4 mmのうち4 mmを含むアームの15 mmのうち15 mmにIRが照射された、溶着前および溶着後の被覆薬物含有アームからのダパグリフロジン(DAPA)の薬剤放出曲線を示す。
【0034】
【
図13】
図13は、胃内滞留システムを形成するために複数の部品を一つに接着する例示的な方法を示す。
【0035】
【0036】
【
図14B】
図14Bは、圧縮状態すなわち折り畳み状態の胃内滞留システムの星形構造を示す。
【0037】
【発明を実施するための形態】
【0038】
発明の詳細な説明
定義
【0039】
「担持重合体」は、胃内滞留システムで使用するために薬物などの薬剤とブレンドするのに適した重合体である。
【0040】
「薬剤」は、患者、個体、または対象において治療的、診断的、または栄養的な使用を意図した任意の物質である。薬剤には、薬物、栄養素、ビタミン、およびミネラルが含まれるが、これらに限定されない。
【0041】
「分散剤」は、薬剤の粒子径の最小化およびキャリア重合体マトリックス中の薬剤粒子の分散を助ける物質と定義される。すなわち、分散剤は、システムの作製中に粒子の凝集または軟凝集を最小化または防止するのに役立つ。このように、分散剤は、抗凝集剤活性および抗軟凝集剤活性を有し、キャリア重合体マトリックス中の薬剤粒子の均一な分布を維持するのに役立つ。
【0042】
「賦形剤」は、薬剤の処方に添加される、薬剤そのものではない任意の物質である。賦形剤には、結合剤、被覆剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、香料、流動促進剤、滑沢剤、および防腐剤が含まれるが、これらに限定されるものではない。分散剤という特定の範疇は、賦形剤のより一般的な範疇に含まれる。
【0043】
「弾性重合体」または「弾性体」は、一定期間、加えられた力で元の形状から変形することができ、その後、加えられた力が除かれると、実質的に元の形状に戻る重合体である。
【0044】
「ほぼ一定の血漿レベル」は、胃内滞留システムが胃内に常駐する期間にわたって測定された平均血漿レベルの2倍以内(すなわち、平均血漿レベルの50%と200%との間)に留まる血漿レベルをいう。
【0045】
「実質的に一定の血漿レベル」は、胃内滞留システムが胃内に常駐する期間にわたって測定された平均血漿レベルの±25%以内に留まる血漿レベルをいう。
【0046】
材料またはシステムを説明するために使用される場合、「生体適合性」は、材料またはシステムが、ヒトなどの生物と接触したときに、有害反応を誘発しない、または最小限の許容できる有害反応しか引き起こさないことを示す。胃内滞留システムの文脈では、生体適合性は胃腸管の環境で評価される。
【0047】
「患者」、「個体」、または「被験者」は、哺乳類、好ましくはヒト、またはイヌやネコなどの家畜を指す。最も好ましい実施態様によっては、患者、個体、または対象は、ヒトである。
【0048】
本明細書に開示されたシステムおよび方法による疾患または障害の「治療」とは、疾患もしくは障害、または疾患もしくは障害の1つ以上の症状のいずれかを軽減もしくは除去するため、または疾患もしくは障害もしくは疾患もしくは障害の1つ以上の症状の進行を遅らせるため、または疾患もしくは障害もしくは疾患もしくは障害の1つ以上の症状の重症度を軽減するために、追加の薬剤と共にまたは追加せずに、それを必要とする患者に、本明細書に開示されるシステムのうちの1つ以上を投与することと定義される。本明細書に開示されるシステムおよび方法による疾患または障害の「抑制」は、疾患または障害の臨床的な発現を抑制するため、または疾患または障害の有害な症状の発現を抑制するために、追加の薬剤とともに、または追加の薬剤なしで、それを必要とする患者に対して本明細書に開示されるシステムのうちの1つ以上を投与することであると定義する。治療と抑制の違いは、治療は疾患または障害の有害な症状が患者に現れた後に行われ、抑制は疾患または障害の有害な症状が患者に現れる前に行われることである。抑制は、部分的、実質的に全体的、または全体的に行われる。一部の疾患または障害は遺伝するため、遺伝子スクリーニングは、疾患または障害のリスクを有する患者を同定するために使用できる。次に、本明細書に開示されたシステムおよび方法は、あらゆる有害な症状の出現を抑制するために、疾患または障害の臨床症状を発症するリスクのある無症状の患者を治療するのに使用できる。
【0049】
本明細書に開示されるシステムの「治療的使用」は、上に定義されるように、疾患または障害を治療するのに本明細書に開示されるシステムのうちの1つ以上を使用することと定義される。薬剤などの治療剤の「治療有効量」は、患者に投与された場合、疾患もしくは障害または疾患もしくは障害のうちの1つ以上の症状のいずれかを低減もしくは除去するか、疾患もしくは障害または疾患もしくは障害の1つ以上の症状の進行を遅らせるか、または疾患もしくは障害または疾患もしくは障害の1つ以上の症状の重症度を低減するのに十分な薬剤の量である。治療上有効な量は、単回投与として患者に投与でき、または分割して複数回投与できる。
【0050】
本明細書に開示されるシステムの「予防的使用」は、上に定義されるように、疾患または障害を抑制するのに本明細書に開示されるシステムのうちの1つ以上を使用することと定義される。薬剤の「予防的に有効な量」は、患者に投与された場合に、疾患もしくは障害の臨床的な発現を抑制するのに、または疾患もしくは障害の有害な症状の発現を抑制するのに十分な薬剤の量である。予防的に有効な量を、1回で投与することも、分割して複数回投与することもできる。
【0051】
本明細書に開示されるシステムの「治療的使用」は、上に定義されるように、疾患または障害を治療するのに本明細書に開示されるシステムのうちの1つ以上を使用することと定義される。薬剤などの治療剤の「治療有効量」は、患者に投与された場合、疾患もしくは障害または疾患もしくは障害のうちの1つ以上の症状のいずれかを低減もしくは除去するか、疾患もしくは障害または疾患もしくは障害の1つ以上の症状の進行を遅らせるか、または疾患もしくは障害または疾患もしくは障害の1つ以上の症状の重症度を低減するのに十分な薬剤の量である。治療上有効な量は、単回投与として患者に投与でき、または分割して複数回投与できる。
【0052】
本明細書に開示されるシステムの「予防的使用」は、上に定義されるように、疾患または障害を抑制するのに本明細書に開示されるシステムのうちの1つ以上を使用することと定義される。薬剤の「予防的に有効な量」は、患者に投与された場合に、疾患もしくは障害の臨床的な発現を抑制するのに、または疾患もしくは障害の有害な症状の発現を抑制するのに十分な薬剤の量である。予防的に有効な量を、1回で投与することも、分割して複数回投与することもできる。
【0053】
本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、他に示されない限り、または文脈から明らかに指示されない限り、複数参照の場合を含む。
【0054】
本明細書において、数値が用語「約」を用いて表現される場合、指定された値および指定された値に適度に近い値の両方が含まれるものとする。例えば、「約50℃」という表現は、50℃の開示そのものと、50℃に近い値の両方を含む。したがって、「約X」という表現は、値Xそのものに関する説明を含む。また、「約50℃~60℃」、「約50℃~60℃」のように範囲を示す場合は、各端点で指定された値も含まれ、各端点または両端点に近い値も含まれるものとする。つまり、「約50℃~60℃」は、「50℃~60℃」と「約50℃~約60℃」の両方を記載することと同等である。
【0055】
本明細書で開示する数値範囲に関して、ある成分について開示された任意の上限値を、その成分について開示された任意の下限値と組み合わせて、範囲を提供できる(ただし、上限値は、それが組み合わせられる下限値よりも大きいことが条件である)。開示された上限値および下限値のこれらの組み合わせのそれぞれは、本明細書で明示的に想定されている。例えば、ある成分の配合量の範囲を10%~30%、10%~12%、15%~20%とした場合、10%~20%、15%~30%も想定されるが、15%の下限値と12%の上限値の組み合わせは不可能であるため、想定されない。
【0056】
特に指定しない限り、組成物中の成分のパーセントは、重量パーセント、または重量/重量パーセントとして表される。当然だが、組成物中の相対的な重量パーセントについて述べる場合は、組成物中の全ての成分の合計重量パーセントを100と仮定する。さらに、任意の特定の成分の重量パーセントがその成分について指定された範囲の限界の外にならない限り、組成物中の成分の重量パーセントが合計100に結合するように、1種以上の成分の相対重量パーセントを上方または下方に調整できるものとする。
【0057】
本明細書に記載される実施態様の中には、それらの様々な要素に関して「含む」または「含み」が使用される。代替的な実施態様によっては、それらの要素は、それらの要素に使用される経過句「から本質的になる」または「から本質的になり」と共に記載できる。さらなる代替的な実施態様によっては、それらの要素は、それらの要素に使用される経過句「を含む」または「からなり」と共に記載できる。したがって、例えば、組成物または方法がAおよびBを含むとして本明細書に開示されている場合、「AおよびBから本質的になる」というその組成物または方法に対する代替実施態様、および「AおよびBを含む」というその組成物または方法に対する代替実施態様も、本明細書に開示されていると見なされる。同様に、それらの様々な要素に関して「本質的にを含む」または「を含む」として記載される実施態様は、それらの要素に使用される「を含む」も含む。最後に、それらの様々な要素に関して「本質的にを含む」として援用される実施態様は、それらの要素に使用される「を含む」を含むも含み、それらの様々な要素に関して「を含む」として記述される実施態様は、それらの要素に使用される「から本質的になる」としても記述されることができる。
【0058】
組成物またはシステムが、列挙された要素から「本質的になる」と記載されている場合、組成物またはシステムは、明示的に列挙された要素を含み、治療される状態に実質的に影響を与えない他の要素(状態の治療用の組成物について)、または記載されたシステムの性質(システムを構成する組成物について)を含むことができる。しかし、組成物またはシステムは、明示的に列挙された要素以外に、処置される状態に実質的に影響する他の要素を含まないか(システムを処置するための組成物の場合)、またはシステムの特性に実質的に影響する他の要素を含まない(システムを構成する組成物の場合)、または、組成物またはシステムが、処置される状態またはシステムの特性に実質的に影響し得る、列挙した要素以外の追加の要素を含む場合、組成物またはシステムが、処置される状態またはシステムの特性に実質的に影響するだけの追加の要素、濃度または量を含んでいないかのいずれかである。ある方法が、列挙された工程から「本質的になる」と記載されている場合、その方法は列挙された工程を含み、その方法で処理される状態またはその方法で生成されるシステムの特性に重大な影響を与えない他の工程を含むことができるが、その方法は、明示的に列挙した工程以外に処理される状態または生成するシステムに重大な影響を与える他の工程を含まない。
【0059】
本開示は、いくつかの実施態様を提供する。任意の実施態様からの任意の構成は、可能な場合、他の任意の実施態様からの任意の構成と組み合わせることができることが企図される。この態様では、開示された構成のハイブリッド構成は、本開示の範囲内である。
【0060】
ここに開示された実施態様および方法に加えて、胃内滞留システムの追加の実施態様、ならびにそのようなシステムを製造および使用する方法は、国際特許出願WO2015/191920、WO2015/191925、WO2017/070612、WO2017/100367、およびWO 2017/205844に開示され、これらは参照によりその全体が本書に組み込まれるものとする。
【0061】
【0062】
PLURONIC(登録商標)は、ポリオキシアルキレンエーテルに関するBASF Corporationの登録商標である。
放出速度制御重合体フィルム
【0063】
本開示は、薬物などの薬剤を放出する胃内滞留システムの部品に被覆できる放出速度調節重合体フィルムを提供する。本明細書に開示される放出速度調節重合体フィルムで被覆された部品は、胃内滞留システムの熱補助組み立ての間に生じる熱への曝露の前と後で、実質的に同じ放出速度特性を有する。本開示はまた、特に、胃内滞留システム、胃内滞留システムのアーム(細長い部材)、ならびに胃内滞留システムおよび胃内滞留システムのアームに使用されるセグメントであって、このような放出速度調節フィルムで被覆されたものを提供する。
【0064】
実施態様によっては、本明細書に開示される胃内滞留システムのいずれかの放出速度調節フィルムは、胃内滞留システムの腸溶性リンカー、時間依存性リンカー、崩壊性マトリクス、または他のリンカーを覆わない。放出速度調節重合体フィルムが、連結重合体、腸溶性重合体、腸溶性リンカー、時間依存性リンカー、崩壊性重合体、崩壊性マトリックス、または他のリンカーなどの1つ以上のリンカーを含むアームの表面に被覆される場合、フィルムはリンカーを被覆しない。これは、アームを構成することになるセグメントに放出速度調節フィルムを塗布し、次に塗布されたセグメントをリンカーまたは崩壊性マトリックスで連結してアームを形成することで容易に達成される。したがって、担持重合体薬剤(または薬剤塩)を含むセグメントは放出速度調節フィルムで被覆されるが、リンカーまたは崩壊性マトリックスは放出速度調節フィルムで被覆されない。
【0065】
フィルムは、典型的には、胃内滞留システムのセグメントに貼り付けられる。フィルムはまた、中心弾性体への多セグメントアームの取り付けの前に、多セグメントアームに適用され得る。フィルムはまた、非セグメント化アーム(すなわち、1つのセグメントのみを含むアーム)に、非セグメント化アームを中心弾性体に取り付ける前に貼り付けることができる。セグメント化されていないアームは、直接または崩壊性マトリックスや連結重合体などのリンカーを介して中心弾性体に取り付けることができる。胃内滞留システムのセグメントの一例が
図14Aに示されており、セグメント102およびセグメント103は、リンカー104で連結され、中心弾性体106に取り付けられている。セグメント102および104は、担持重合体および薬剤(例えば薬剤)を含む。胃内滞留システムのセグメントに放出速度調節重合体フィルムを使用することで、本明細書に記載の有利な特性を得ることができる。
【0066】
以下に説明するように、所望の薬剤放出特性を生成するために、フィルムのいくつかのパラメーターを調整できる。
放出速度制御重合体フィルムの化学組成について
【0067】
放出速度調節重合体フィルムを形成するために、PCL、PDL、PDLG、PDL-PCL共重合体、およびPVAcを含む様々な重合体を使用できる。これらの重合体の混合物も使用できる。基材重合体に追加の重合体または他の化合物を配合でき、例えば、コポビドン、ポビドン、ポリエチレングリコール、プルロニックL-31(PEG-PPG-PEGブロック共重合体)、ポリプロピレングリコール、ポリカプロラトントリオール、プルロニックF-108(PEG-PPG-PEGブロック共重合体)、ポリ-D-ラクチド-ポリカプロラクトン共重合体(25: 75)、ポリ-D-ラクチド-ポリカプロラクトン共重合体(80:20)、プロピレングリコール、架橋ポビドン、ポリ酢酸ビニルを含む。以下の重合体の比率は、重量(即ち、重量/重量)で表される。
【0068】
重合体は、その数平均分子量、Mnで特徴付けることができる。例えば、高分子量のポリカプロラクトンが望まれる場合、約150,000~約250,000、約175,000~約225,000、または約200,000の数平均分子量を有するポリカプロラクトンを使用できる。低分子量のポリカプロラクトンが望まれる場合、約10,000~約30,000、約15,000~約30,000、約10,000~約25,000、約10,000~約20,000、約12,000~約18,000、または約15,000の数平均分子量を有するポリカプロラクトンを使用できる。
【0069】
重合体は、Mark-Houwink式で分子量と相関する固有粘度でも特徴付けることができる。例えば、約1.0 dl/g~約2.5 dl/gまたは約1.5 dl/g~約2.1 dl/gの固有粘度を有するポリカプロラクトンを使用できる。固有粘度は、25℃の CHCl3中で測定できる。高分子量PCLが望まれる用途では、固有粘度を約1.5 dl/g~約1.9 dl/gにするか、固有粘度を中点の約1.7 dl/gにすることができる。低分子量PCLが望まれる用途では、固有粘度を約0.2 dl/g~約0.4 dl/gにするか、または固有粘度を約0.2 dl/gま~0.4 dl/gの中点にすることができる。
【0070】
ポリ-D,L-ラクチド(PDL)は、単独でまたは1種以上の他の重合体と組み合わせて、有用な重合体である。一実施態様においては、約1 dl/g~約5 dl/gの固有粘度を有するPDLを使用できる。一実施態様においては、約1 dl/g~約4 dl/gの固有粘度を有するPDLを使用できる。一実施態様においては、約1 dl/g~約3 dl/gの固有粘度を有するPDLを使用できる。一実施態様においては、約1 .6 dl/g~約2.4 dl/gの固有粘度を有するPDLを使用できる。別の実施態様によっては、約2.0 dl/gの固有粘度の中点を有するPDLを使用できる。一実施態様においては、約1.3 dl/g~約1.7 dl/gの固有粘度を有するPDLを使用できる。別の実施態様によっては、約1.5 dl/gの固有粘度の中点を有するPDLを使用できる。
【0071】
PDLと組み合わせることができる重合体は、ポリ-D,L-ラクチド/グリコリド(PDLG)を含む。一実施態様においては、約0.1 dl/g~約3 dl/g、約0.1 dl/g~約1.5 dl/g、または約0.1 dl/g~約0.5 dl/gの固有粘度を有するPDLGがPDLと組み合わせて使用される。使用されるPDL:PDLG比は約9:1~約1:3、例えば約2:1~約1:2、約1.25:1~約1:1.25、または約1:1である。
【0072】
PDLと組み合わせることができる別の重合体は、ポリカプロラクトン(PCL)、例えば、分子量Mn約75,000~Mn約250,000のPCLである。
【0073】
PDLと組み合わせることができる別の重合体は、ポリエチレングリコール(PEG)、例えば分子量Mn約800~Mn約20,000のPEGである。
【0074】
PDLと組み合わせることができるさらに別の重合体は、ポリプロピレングリコール(PPG)、例えば、少なくとも約2,500のMnを有するPPG、具体的には約2,500~約6,000のMnを有するPPGである。
【0075】
PCLおよびPEGの両方をPDLと組み合わせて、PDL:PCL:PEGフィルムを形成できる。一実施態様においては、PDLは放出速度調節フィルムの約15%~約80%を構成し、PCLは放出速度調節フィルムの約15%~約75%を構成し、PEGは放出速度調節フィルムの約5%~約15%(重量比)を構成してもよい。例示的な比は、PDL:PCL:PEGの比は約9:27:4(重量/重量/重量)であり、PDL:PCL:PEGの比は約36:9:5(重量/重量/重量)である。
【0076】
PDL:PEG:PPGの組み合わせも使用できる。一実施態様においては、PDLは放出速度調節フィルムの約75%~約95%を構成でき、PEGは放出速度調節フィルムの約3%~約10%を構成でき、PPGは放出速度調節フィルムの約1%~約7%を構成できる(重量比)。
【0077】
PDLはまた、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール(PEG-PPG-PEG)ブロック共重合体、例えば、約75%~約90%のエチレングリコールを含むPEG-PPG-PEGブロック共重合体と結合させることもできる。一実施態様においては、PEG-PPG-PEGブロック共重合体は、約14,000~約15,000の分子量Mnを有することもできる。
【0078】
この組み合わせの例示的な比率には、(PDL):(PEG-PPG-PEGブロック共重合体)比率が約85: 15~約95:5(重量/重量)、および約9:1(重量/重量)の(PDL):(PEG-PPG-PEGブロック共重合体)比がある。
【0079】
PDL-PCL共重合体、すなわちポリ-D-ラクチド-ポリカプロラクトン共重合体も、放出速度調節重合体フィルムとして使用できる。共重合体の相対組成は、共重合体中の約15%のPDLモノマーと約85%のPCLモノマーから約95%のPDLモノマーと約5%のPCLモノマーまで、広範囲である。他の範囲、例えば、約15:85~約35:65、または約25:75のPDLモノマー:PCLモノマーおよび約70:30~約90:10、または約80:20のPDLモノマー:PCLモノマーも使用できる。PDL-PCL共重合体は、約0.4 dl/g~約1.2 dl/g、例えば約0.6 dl/g~約1 dl/gの固有粘度を有することができる。
【0080】
PEGをPDL-PCL共重合体と組み合わせて、(PDL-PCL共重合体):PEGを含む放出速度調節重合体フィルムを形成することもできる。PDL-PCL共重合体は放出速度調節フィルムの約75重量%~約95重量%を構成し、PEGは放出速度調節フィルムの約5重量%~約25重量%を構成でき、例えばPDL-PCL共重合体は放出速度調節フィルムの約90重量%、PEGは放出速度調節フィルムの約10重量%を含むことができる。
【0081】
高分子量ポリ-D,L-ラクチド(PDL-HMW)および低分子量ポリ-D,L-ラクチド(PDL-LMW)を含む放出速度調節フィルムも使用することができる。PDL-HMWは、約1.6 dl/g~約5 dl/g、約1.6 dl/g~約4 dl/g、または約1.6 dl/g~約2.4 dl/gの固有粘度のPDLを含むことができる。PDL-LMWは、約0.5 dl/g~約1.5 dl/gの固有粘度のPDLを含むことができる。PDL-HMW/PDL-LMWフィルムには、PCLおよび/またはPEGを添加することができる。
【0082】
別の実施態様では、ポリ-D,L-ラクチドを成分として記載する本明細書に開示される実施態様のいずれかまたは全てにおいて、ポリ-D,L-ラクチドの代わりにポリ-L-ラクチドを使用することができる。
【0083】
別の実施態様では、ポリ-D,L-ラクチドを成分として記載する本明細書に開示される実施態様のいずれかまたは全てにおいて、ポリ-D,L-ラクチドの代わりにポリ-D-ラクチドを使用することができる。
【0084】
ポリカプロラクトンは、放出速度調節フィルムとして使用できる。そのような処方の1つは、高分子量ポリカプロラクトン(PCL-HMW)および低分子量ポリカプロラクトン(PCL-LMW)の両方を含むものである。PCL-HMWは、Mn約75,000~Mn約250,000のPCL、または約1.0 dl/g~約2.4 dl/gの固有粘度を有するPCL、または1.2 dl/g~約2.4 dl/gの固有粘度を有するPCL、または約1.6 dl/g~約2.4 dl/gの固有粘度を有するPCLを含むことができる。PCL-LMWは、Mn約10,000~Mn約20,000のPCL、または約0.1 dl/g~約0.8 dl/gの固有粘度を有するPCLを含むことができる。( PCL-HMW):(PCL-LMW)の比は、約1:4~約95:5、約2:3~約95:5、約3:1~約95:5、または約9:1の範囲でよい。
熱処理中の均一な放出速度調節重合体フィルムの利点
【0085】
胃内滞留システムは、しばしば、アームおよびリンカーなどの個々の部品を加熱し、加熱された部品を共に押圧することで組み立てられる。赤外線溶着または加熱プラテンとの接触のような技術が、個々の部品の加熱に使用され、次いで、部品を結合するために共に押圧される。
【0086】
実施態様によっては、放出速度調節重合体フィルムを、すべての熱補助組立工程が完了した後に胃内滞留システムに被覆する。全ての熱補助組立工程の後にフィルムを被覆することで、加熱過程中のフィルムの破壊が防止される。しかしながら、他の実施態様によっては、放出速度調節重合体フィルムを、全ての熱補助組み立て工程が完了する前に、胃内滞留システムの部品に被覆する。これらの実施態様によっては、熱補助組立工程中の熱の使用で、放出速度調節重合体フィルムの放出速度特性が変化しないことが重要である。
【0087】
本開示の一側面は、均一な放出速度調節重合体フィルムを使用することである。均一なフィルムは、単一の重合体を含んでもよいし、可塑剤、浸透性成分、またはタック防止剤などの他の添加剤とともに、複数の重合体から構成されてもよい。しかし、フィルム中のすべての成分は、胃内滞留システムの任意の部品を被覆した後のフィルムが本質的に均一になるように、均一な混合物に共にブレンドされる。このような均一なフィルムの使用は、任意の熱補助組み立て工程による放出速度調節重合体フィルムの放出速度特性の変化を著しく低減または防止するので有利である。
【0088】
実施態様によっては、本明細書に開示される被覆されたセグメントまたはアームからの薬剤の放出速度は、熱補助組立前の被覆されたセグメントまたはアームからの薬剤の放出速度と比較して、熱補助組立後に約20%未満変化する。実施態様によっては、本明細書に開示されるような被覆されたセグメントまたはアームからの薬剤の放出速度は、熱補助組立前の被覆されたセグメントまたはアームからの薬剤の放出速度と比較して、熱補助組立後に約15%未満変化する。実施態様によっては、本明細書に開示されるような被覆されたセグメントまたはアームからの薬剤の放出速度は、熱補助組立前の被覆されたセグメントまたはアームからの薬剤の放出速度と比較して、熱補助組立後に約10%未満変化する。実施態様によっては、本明細書に開示されるような被覆されたセグメントまたはアームからの薬剤の放出速度は、熱補助組立前の被覆されたセグメントまたはアームからの薬剤の放出速度と比較して、熱補助組立後に約5%未満変化する。比較放出速度は、被覆セグメントまたは被覆アームをFaSSGF中で37℃恒温放置し、約1日目、約4日目、または約7日目;または約1日目、約4日目、および約7日目のうちの任意の2日;または約1日目、約4日目、および約7日目の3日すべてで薬剤の累積放出量を測定して測定できる。
【0089】
熱サイクルとは、放出速度調節重合体フィルムで被覆されたアームなどのアームを、熱補助組立、熱溶着、IR溶着、または熱補助組立、熱溶着、IR溶着と同様の条件を用いるなどの熱に暴露し、その後、アームを冷却することである。比較放出速度は、上記および実施例で示したように、熱サイクルの前後で測定できる。
【0090】
WO2018/227147に開示された放出速度調節重合体フィルムの中には、放出速度調節重合体フィルムから溶け出し、フィルムに孔を形成する粒子形態の添加剤であるポロゲンを含有するものがある。ポロゲンの例には、塩化ナトリウム、スクロース、または粒子状の水溶性高分子材料が含まれる。ポロゲンの使用は、ポロゲン粒子またはドメインが放出速度調節重合体フィルムに埋め込まれている、不均一な(不均質な)放出速度調節フィルムとなる。そのようなポロゲン含有フィルムは、熱補助組立工程の間に破壊される可能性がある。したがって、一実施態様において、本開示の放出速度調節重合体フィルムは、ポロゲンを含まない。
可塑剤などの添加剤による放出速度調整重合体フィルム
【0091】
可塑剤も、放出速度調節重合体フィルムの特性をさらに調整するために添加することができる。使用できる可塑剤には、フタル酸エステル、リン酸エステル、クエン酸エステル、酒石酸エステル、アジピン酸エステル、セバシン酸エステル、スルホンアミド、コハク酸エステル、グリコラート、グリセロラート、安息香酸エステル、ミリスチン酸エステルおよびハロゲン化フェニルの類が含まれる。具体的に使用できる可塑剤としては、トリアセチン、クエン酸トリエチル、PEG、ポロキサマー、クエン酸トリブチル、セバシン酸ジブチルが挙げられる。特に、トリアセチン、クエン酸トリエチル(TEC)が有用である。
【0092】
可塑剤は、放出速度調節重合体フィルムの重量で約1%~約35%、約1%~約30%、約1%~約25%、約1%~約20%、約1%~約15%、約1%~約10%、約1%~約8%、約1%~約5%、約1~約3%、約5%~約40%、約10%~約40%、約15%~約40%、約20%~約40%、約25%~約40%、約30%~約40%、約10%~約30%、約15%~約30%、約20%~約30%、約25%~約30%、または約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%または約40%になるように添加することができる。可塑剤の好ましい範囲は、放出速度調節重合体フィルムの重量に対して、約5%~約20%、より好ましくは約10%~約20%である。
【0093】
放出速度調節重合体フィルムには、加工助剤も添加することができる。ステアリン酸マグネシウム、タルク、またはモノステアリン酸グリセロールなどのタック防止剤を、フィルムの加工を補助するために添加することができる。このようなタック防止剤は、約0.5%~約5%、約1%~約3%、または約2%の量で添加することができる。
フィルムの厚み
【0094】
放出速度調節重合体フィルムは、それらが覆う胃内滞留システムの担持重合体-薬剤セグメントに比べて非常に薄いことが好ましい。こうすると、担持重合体-薬剤セグメントに水が拡散し、かつセグメントから薬剤が拡散できるようになる。
【0095】
放出速度調節重合体フィルムの厚さは、約1マイクロメートル~約40マイクロメートル、約1マイクロメートル~約30マイクロメートル、または約1マイクロメートル~約25マイクロメートルの間にすることができる。フィルムは、典型的には、約1マイクロメートル~約20マイクロメートルの間、例えば、約1マイクロメートル~約15マイクロメートル、約1マイクロメートル~約10マイクロメートル、約1マイクロメートル~約5マイクロメートル、約1マイクロメートル~約4マイクロメートル。約1マイクロメートル~約3マイクロメートル、約1マイクロメートル~約2マイクロメートル、約2マイクロメートル~約10マイクロメートル、約5マイクロメートル~約20マイクロメートル、約5マイクロメートル~約10マイクロメートル、約10マイクロメートル~約15マイクロメートル、または約15マイクロメートル~約20マイクロメートルである。
【0096】
さらなる実施態様では放出速度調節重合体フィルムは、それが覆う担持重合体-薬剤セグメントの強度を実質的に増加しない。さらなる実施態様において、放出速度調節重合体フィルムは、セグメントの強度を約20%未満、約10%未満、約5%未満、または約1%未満増加する。セグメントの強度は、WO2017/070612の実施例18およびWO2017/100367の実施例13に記載の4点曲げ屈曲試験(ASTM D790)により測定できる。
フィルムの重量
【0097】
放出速度調節重合体フィルムは、被覆前の担持重合体-薬剤アームまたはアームセグメントの重量の約0.1%~20%の量を、あるいは被覆前の担持重合体-薬剤アームまたはアームセグメントの重さの約0.1%~15%、約0.1%~10%の、約0.1%~約8%の、約0.1%~約5%の、約0.1%~約4%の、約0.1%~約3%の、約0.1%~約2%、約0.1%~約1%、約0.5%~約10%の、約05%~約8%の、約0.5%~約5%、約0.5%~約4%、約0.5%~約3%、約0.5%~約2%、約0.5%~約1%、約1%~約10%、約1%~約8%、約1%~約5%、約1%~約4%、約1%~約3%、または約1%~約2%の量を胃内滞留システムの担持重合体-薬剤アームまたはアームセグメントに被覆する。フィルムは、被覆前の胃内滞留システムの担持重合体-薬剤アームまたはアームセグメントの重量の約1%~約20%の量を、例えば約1%~約10%、約1%~約7%、約1%~約5%、または約2%~約5%、具体的には被覆前の担持重合体-薬剤アームまたはアームセグメントの重量の1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、または10%を被覆できる。
胃内滞留システム用セグメントへの放出速度調整重合体フィルムの塗布
【0098】
放出速度調節重合体フィルムは、様々な技法を用いて胃内滞留システムで使用されるセグメントに塗布ことができる。技術のうちのいくつかは、担持重合体および薬剤を含むセグメントを、放出速度調節重合体フィルムの処方溶液で被覆し、フィルム被覆されたセグメントを生成することを含む。フィルム被覆されたセグメントは、その後乾燥される。
【0099】
対象物にフィルムを被覆する様々な方法は当技術分野で知られており、ディップコーティング、パンコーティング、スプレーコーティング、および流動床被覆が含まれる。流動床被覆は、Wurster被覆または空気懸濁液被覆としても知られている。これらの被覆方法については、重合体および必要なら任意の可塑剤を含む放出速度調節重合体フィルムの処方を溶液として調製する。重合体フィルム処方の溶液に使用される溶媒は、典型的には、酢酸エチル、ジクロロメタン、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、またはそれらの任意の組み合わせなどの有機溶媒である。好ましくは、米国食品医薬品局からのガイダンス(URL www.fda.gov/downloads/drugs/guidances/ucm073395.pdf)に記載されている第3種溶媒(エタノール、アセトン、酢酸エチルを含む)を使用する。しかし、処方に必要であれば第2種溶媒(ジクロロメタン、メタノールを含む)を使用することもできる。第1種および第4種溶剤は、第3種または第2種溶剤で処方を調製できない場合にのみ使用する。
【0100】
放出速度調節重合体フィルムは、共押出しによってセグメント上に統合することもでき、この場合、セグメント処方は、放出速度調節重合体フィルムの周囲の薄層と共押出しされる。
【0101】
以下の実施例は、放出速度調節重合体フィルムを有するセグメントの調製にこれらの被覆技術のうちのいくつかの使用について述べる。
全体のシステム構成
【0102】
本開示は、特に、放出速度調整フィルムを被覆した、胃内滞留システム、胃内滞留システムのアーム、並びに胃内滞留システムおよび胃内滞留システムのアームで使用されるセグメントを提供する。ここに考察されるように、放出速度調節フィルムは、多くの利点を提供する。
【0103】
胃内滞留システムは、種々の構成で調製することができる。胃内滞留システムの「星状体」構成は、「星形」(または「アスタリスク」)構成としても知られている。星状体システム100の一例を
図14Aに模式的に示す。複数のアーム(「細長い部材」とも呼ばれる、明確化のために1つアーム108のみが番号付けされている)、がディスク状の中心弾性体106に固定されている。
図14Aに描かれたアームは、セグメント102および103を含み、リンカー領域として機能する連結重合体またはリンカー領域104(ここでも、明瞭化のために部品は1つのアームに番号が付けられている)によって接合されている。この構成により、システムを中心弾性体で折り畳むかまたは圧縮することができる。
図14Bは、
図14Aの胃内滞留システムの折り畳まれた構成190を示す(明瞭化のために、
図14Bには2つのアームのみが図示されている)。
図14Bのセグメント192および193、リンカー領域194、弾性体196、およびアーム198は、それぞれ、
図14Aのセグメント102および103、リンカー領域104、弾性体106、およびアーム108に対応する。折り畳まれた場合、システムの全長は約半分に減少し、システムは、経口投与に適したカプセルなどの容器に都合よく入れることができる。カプセルが胃に到達すると、カプセルは溶解し、胃内滞留システムが放出される。その後、胃内滞留システムは圧縮されていない状態に展開し、所望の滞留期間、胃内に滞留する。
【0104】
リンカー領域104は、
図14Aにおいてセグメント102および103よりもわずかに大きい直径で示されているが、アーム102-104-103全体が滑らかな外面を有するように、セグメントと同じ直径であってもよい。
【0105】
実施態様によっては、星状体システムは、リンカー領域によって中心弾性体に取り付けられる、1つのセグメントのみを含むアームを有していてもよい。これは、セグメント103が省略された
図14Aに対応する。セグメント102を含む単一セグメントのアームは、リンカー104を介して中心弾性体106に直接取り付けられる。リンカーは、連結重合体または崩壊性マトリックスを含んでもよい。
【0106】
このように、星状体システムは、少なくとも3つのアームを構成し、ここで1つ以上のアームは、本明細書に記載されるような放出速度調節重合体フィルムで被覆され、中心弾性重合体部品を構成する。1つ以上のアームは、それぞれ別個のリンカー部品を介して中心弾性重合体部品に接続されている。胃内滞留システムは、投与中に折り畳まれて物理的に拘束されるように構成され、拘束が取り除かれると開いた保持形状をとるように構成される。折り畳まれた形状と開いた保持形状との間の変化は、該胃内滞留システムが折り畳まれた形状にあるときに弾性変形を受け、胃の居住系が開いた保持形状をとるときに反動する弾性高分子部品によって媒介される。リンカーは胃の環境下で分解、溶解、解離、または機械的に弱化し、保持形状の完全性を喪失し、胃腔外へ排出される。
【0107】
図14Cは、胃内滞留システムの別の可能な全体構成120を示し、これはリング構成である。セグメント122は、連結重合体またはリンカー領域124によって結合されている(明確化のために、1つのセグメントおよび1つのカップリング連結のみが番号付けされている)。この設計における連結重合体/リンカー領域は、カプセルなどの容器に配置するためにリングをねじり圧縮状態にできるように、弾性体としても機能する必要がある。描かれているセグメントは、胃内滞留システムのこのリング構成におけるアームを構成する。
【0108】
星状体構成の一実施態様においては、セグメント102および103は、薬剤または薬物とブレンドされた担持重合体を含む。環状構成の一実施態様において、セグメント122は、薬剤または薬物とブレンドされた担持重合体を含む。
放出特性の評価
【0109】
セグメント、アーム、および胃内滞留システムからの薬剤の放出特性は、様々な検定で評価できる。薬剤放出の検定は、実施例に詳細に記載されている。セグメント、アーム、および胃内滞留システムからの生体内の薬剤の放出は、セグメント、アーム、または胃内滞留システムを、蒸留水、0.1N HCl、緩衝液、絶食状態模擬胃液(FaSSGF)、または摂食状態模擬胃液(FeSSGF)などの液体に浸して測定することができる。空腹時模擬胃液(FaSSGF)は、放出の検定に好ましい水性媒体である。模擬胃液とは、絶食状態模擬胃液(FaSSGF)または摂食状態模擬胃液(FeSSGF)のいずれかを示し、模擬胃液(SGF)で測定することが制限されている場合、その制限は、絶食状態模擬胃液(FaSSGF)または摂食状態模擬胃液(FeSSGF)のどちらかが成立すれば満たされることになる。例えば、あるセグメントが模擬胃液中で最初の24時間に少なくとも10%の薬剤を放出すると示された場合、そのセグメントが絶食状態模擬胃液中で最初の24時間に少なくとも10%の薬剤を放出する場合、またはそのセグメントが摂食状態の模擬胃液中で最初の24時間に少なくとも10%の薬剤を放出する場合、この制限が成立する。放出速度は、任意の所望の温度で測定することができ、典型的には約35℃から約40℃の範囲にあり、例えば37℃の正常体温のような温度である。放出速度は、例えば、約30分、約1、2、3、4、5、6、10、12、15、18、20、または24時間、約1、2、3、4、5、6、または7日、約1、2、3、または4週間、または約1ヶ月などの任意の望ましい期間にわたって測定するできる。放出速度を比較するために生体外試験を行う場合、比較溶液は、室温、25℃、または37℃などの一定温度に保たれる。室温(周囲温度)は、測定または比較にとって好ましい温度である。一実施態様においては、周囲温度は20℃より下がらず、25℃を超えない(ただし、20℃と25℃の間で変動することがある)。通常の人間の体温(37℃)は、測定または比較のための別の好ましい温度である。
【0110】
放出速度は、アルコール飲料の消費を模擬するように設計された環境など、特定の条件を試験するように設計された環境で測定することもできる。そのような環境は、本明細書に記載の水溶液のいずれか1種とエタノールとの混合物、例えば、本明細書に記載の水溶液のいずれか1種を約60%とエタノールを約40%の混合物を含み得る。異なる水性媒体(すなわち、異なる環境)への連続的な曝露もまた、放出速度の測定に使用することができる。
【0111】
絶食状態模擬胃液(FaSSGF)は、通常、Biorelevant粉末(biorelevant.com; Biorelevant.com Ltd, London, United Kingdom)を用いて調製される。FaSSGFがBiorelevantの「処方」に従って調製される場合、それは、タウロコール酸塩(0.08 mM)、リン脂質(0.02 mM)、ナトリウム(34 mM)、および塩化物(59 mM)を有するpH 1.6の水性溶液である。
【0112】
生体内試験は、イヌ(例えば、ビーグル犬やハウンド犬)およびブタのような動物で実施することができる。生体内試験には胃内滞留システムが使用される、というのは個々のセグメントまたはアームは動物の胃に保持されないはずだからである。血液試料は適切な時点で得ることができ、所望により、胃内容物はカニューレまたは他の技術により採取することができる。
【0113】
適切な法律、規制、機関指針に従って実施されるヒトでの臨床試験もまた、生体の内データを提供する。
放出特性
【0114】
放出速度調節重合体フィルムを有するセグメントの直線的な増加特性は、同じ担持重合体-薬剤組成を有するが放出速度調節重合体フィルムを欠くセグメントを超える有利な放出特性を提供する。例えば、担持重合体、薬剤またはその塩、および薬剤の放出速度を制御するように構成された放出速度調節重合体フィルムを含む胃内滞留システムのセグメントは、模擬胃液中での7日間の恒温放置の間、5日目に放出される薬剤またはその塩の量が2日目に放出される薬剤またはその塩の量の少なくとも約40%となるように放出速度調節重合体フィルムが構成されている放出特性を有することできる。すなわち、7日間の恒温放置期間にわたって、96~120時間(5日目)に放出される薬剤またはその塩の量は、恒温放置の24~48時間(2日目)の間に放出される薬剤またはその塩の量の少なくとも約40%である。実施態様によっては、5日目の放出は、2日目に放出される薬剤または塩の量の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%である。実施態様によっては、5日目の放出は、2日目に放出された薬剤または塩の量の少なくとも約40%~約90%、少なくとも約50%~約90%、少なくとも約60%~約90%、少なくとも約70%~約90%、少なくとも約80%~約90%、または少なくとも約40%~約100%である。これらの実施態様のいずれかにおいて、薬剤の総量の少なくとも約5%が2日目に放出され、薬剤の総量の少なくとも約5%が5日目に放出される、薬剤の総量の少なくとも約5%が2日目に放出され、薬剤の総量の少なくとも約7%が5日目に放出される、または薬剤の総量の少なくとも約7%が2日目に放出され、薬剤の総量の少なくとも約7%が5日目に放出される。"薬剤の総量 "とは、セグメント中に元々存在する薬剤の量を意味する。
【0115】
別の実施態様によっては、担持重合体、薬剤またはその塩、および薬剤の放出速度を制御するように構成された放出速度調節重合体フィルムを含む胃内滞留システムのセグメントは、放出速度調節重合体フィルムが、模擬胃液中での7日間の恒温放置にわたって、7日目に放出される薬剤またはその塩の量は、1日目に放出される薬剤またはその塩の少なくとも約20%となるように構成される放出特性を有することができる。すなわち、7日間の恒温放置期間にわたって、時間144~168(7日目)に放出される薬剤またはその塩の量は、恒温放置の時間0~24(1日目)の間に放出される薬剤またはその塩の量の少なくとも約20%である。実施態様によっては、7日目にわたる放出は、1日目に放出される薬剤または塩の量の少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、または少なくとも約70%である。実施態様によっては、7日目の放出は、1日目に放出された薬剤または塩の量の少なくとも約20%~約70%、少なくとも約30%~約70%、少なくとも約40%~約70%、少なくとも約50%~約70%、少なくとも約60%~約70%、または少なくとも約20%~約100%である。これらの実施態様のいずれかにおいて、薬剤の総量の少なくとも約7%が1日目に放出され、薬剤の総量の少なくとも約4%が7日目に放出される、薬剤の総量の少なくとも約4%が1日目に放出され、薬剤の総量の少なくとも約4%が7日目に放出される、あるいは薬剤の総量の少なくとも約7%が1日目に放出され、薬剤の総量の少なくとも約7%が7日目に放出される。"薬剤の総量 "は、セグメント中に元々存在する薬剤の量を指す。
【0116】
本明細書に開示されるような放出速度調節重合体フィルムを有するセグメントは、模擬胃液に最初に浸漬したときに、爆発的放出をより低くすることもできる。一実施態様においては、胃内滞留システムのセグメントは担持重合体および薬剤またはその塩を含み、このセグメントは薬剤の放出速度を制御するように構成された放出速度調節重合体フィルムを有する。放出速度調節重合体フィルムは、最初の24時間にわたる模擬胃液中のセグメントからの薬剤の放出が、最初の6時間にわたる模擬胃液中の第2のセグメントからの薬剤の放出より少なくとも約40%低いように構成される放出特性を持つ。第2のセグメントは、担持重合体と薬剤またはその塩の同じ組み合わせを含むが放出速度調節重合体フィルムを持っていない。7日間にわたる模擬胃液中の重合体フィルムを有するセグメントからの薬剤の放出が、i)7日間にわたる重合体フィルムを欠く第2のセグメントからの薬剤の放出の少なくとも約60%、またはii)セグメント中に元々存在する薬剤の総量の少なくとも60%のいずれかである。さらなる実施態様において、模擬胃液中のフィルムを有するセグメントからの最初の24時間にわたる薬剤の放出は、模擬胃液中のフィルムを欠く第2のセグメントからの最初の6時間にわたる薬剤の放出より少なくとも約40%低い、約40%~約50%低い、約40%~約60%低い、または約40%~約70%低い。一方、7日間にわたる模擬胃液中のフィルムを有するセグメントからの薬剤の放出は、i)7日間にわたる模擬胃液中の重合体フィルムを欠く第2のセグメントからの薬剤の放出の少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または約60%~約80%、またはii)セグメント中にもともと存在する薬剤の総量の少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または約60%~約80%、のいずれかである。さらなる実施態様において、7日間にわたる模擬胃液中のフィルムを有するセグメントからの薬剤の放出は、i)7日間にわたる模擬胃液中のフィルムを有さないセグメントからの薬剤の放出の少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、または少なくとも約80%(例えば、約60%~約70%、約60%~約80%、約60%~約90%など。または約60%~約99%)、またはii)セグメント中に元々存在する薬剤の総量の少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、または少なくとも約80%(約60%~約70%、約60%~約80%、約60%~約90%、または約60%~約99%など)である。
【0117】
放出速度調節重合体フィルム被覆を有するセグメントからの薬剤の放出の直線性もまた改善される。一実施態様において、は胃内滞留システムのセグメントは担持重合体および薬剤またはその塩を含み、セグメントは薬剤の放出速度を制御するように構成された放出速度調節重合体フィルムを有し次のような放出特性を持つ。放出速度調節重合体フィルムは、薬剤の放出速度の最適な線形回帰モデルが模擬胃液中で7日間の初期期間にわたって少なくとも約0.8、少なくとも約0.85、または少なくとも約0.9の決定係数R2を有する(ここで、7日間の初期期間は、セグメントが最初に模擬胃液中に浸漬された開始時間から測定される。すなわち、7日間の期間は、t=0または放出特性の原点を含む)し、セグメントは7日間の期間の約40%~約60%の時間内に薬剤またはその塩を約30%~約70%放出するように構成される。
【0118】
一実施態様においては、胃内滞留システムのセグメントは担持重合体および薬剤またはその塩を含む。セグメントは薬剤の放出速度を制御するように構成された放出速度調節重合体フィルムを有し、放出速度調節重合体フィルムが、7日間のうちの任意の1日間の放出速度が7日間の平均日量合計放出から約50%以下、約40%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下または約10%以下変化するよう構成された放出特性を有することができる。
セグメントおよびアーム用担持重合体(担持重合体-薬剤成分)
【0119】
本明細書に開示された放出速度調節重合体フィルムに使用するのに適した例示的な担持重合体は、限定するものではないが、以下のものを含む:親水性セルロース誘導体(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース)、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ナトリウム-カルボキシメチルセルロース)、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルピロリドン、エチレン/ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、カルボキシビニル重合体(カルボマー)、酸性カルボキシ重合体カーボポール(登録商標)、ポリカルボフィル、ポリエチレンオキシド(ポリオックスWSR)、多糖類およびその誘導体、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコール、キトサン、アルギナート、ペクチン、アカシア、トラガカント、グアーガム、ローカストビーンガム、ビニルピロリドン-酢酸ビニル共重合体、デキストラン、天然ガム、寒天、アガロース、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、フコイダン、ファーセララン、ラミナラン、ハイプネア、ユーシュマ、アラビアゴム、ガティゴム、カラヤゴム、アルビノグラクタン、アミロペクチン、ゼラチン、ジェラン、ヒアルロン酸、プルラン、スクレログルカン、キサンタン、キシログルカン、無水マレイン酸共重合体、無水エチレンマレイン酸共重合体、ポリメタクリル酸ヒドロキシエチル、アンモニオメタクリラート共重合体(例えばEudragit RLまたはEudragit RS)、ポリ(アクリル酸エチル-メタクリル酸メチル)(Eudragit NE)、Eudragit E(アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルと中性アクリル酸メチルエステルに基づく陽イオン性共重合体)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸エステル/ポリエタクリル酸エステル(例えばポリメタクリル酸、メタクリル酸メチル、およびアクリル酸エチル)、ポリ(カプロラクトン)などのポリラクトン、ポリ[ビス(p-カルボキシフェノキシ)-プロパン無水物]、ポリ(テレフタル酸無水物)などのポリ無水物、ポリリジン、ポリグルタミン酸などのポリペプチド、DETOSUとヘキサンジオール、デカンジオール、シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのジオールとの共重合体などのポリ(オルト)エステル、および参照によりここに組み込まれる、米国特許第4,304,767.に記載および開示されたそれらのポリオルソエステル、デンプン、特に事前ゼラチン化デンプン、およびデンプン系重合体、カルボマー、マルトデキストリン、アミロマルトデキストリン、デキストラン、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)、ポリエチレンイミン、ポリウレタン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸-co-グリコール酸(PLGA)、ポリヒドロキシアルカノアート、ポリヒドロキシブチラート、およびそれらの共重合体、混合物、ブレンド、および組み合わせを含む。ポリカプロラクトン(PCL)は、有用な担持重合体である。別の実施態様によっては、ポリジオキサノンが担持重合体として使用される。胃内滞留システムの実施態様のいずれかにおいて、胃内滞留システムに用いられる担持重合体はポリカプロラクトン、例えば、約60キロダルトン(kDa)~約100 kDa、75 kDa~85 kDa、約80 kDa、約45 kDa~約55 kDa、約50 kDa~約110,000万 kDa、または約80 kDa~約110,000万 kDaの間の数平均分子量(Mn)の範囲を有する直鎖状ポリカプロクトンを含む。
【0120】
他の賦形剤を薬剤の放出を調節するために担体重合体に添加することができる。そのような賦形剤は、約1%~15%、好ましくは約5%~10%、より好ましくは約5%または約10%の量で添加することができる。そのような賦形剤のさらなる例としては、ポロキサマー407(Kolliphor P407として入手可能、Sigma Cat# 62035)、ポリエチレングリコール-block-ポリプロピレングリコール-block-ポリエチレングリコール、CAS No. 9003-11-6;H-(OCH2CH2)x-(O-CH(CH3)CH2)y-(OCH2CH2)z-OHここでxおよびzは約101、yは約56);Pluronic P407;Eudragit E、Eudragit EPO(メタクリル酸ジメチルミノエチル-メタクリル酸ブチル-メタクリル酸メチル共重合体:Evonikから入手可能)、ヒプロメロース(Sigmaから入手可能、Cat# H3785)、Kolliphor RH40(Sigmaから入手可能、Cat# 07076)、ポリビニルカプロラクタム、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール(PEG)、PDO(ポリジキサノン)、コリドンVA64(コポピドン;ビニルピロリドン-酢酸ビニル共重合体、質量比 6:4)、およびSoluplus(BASFから入手可能)、ポリビニルカプロラクタム、ポリ酢酸ビニル、およびポリエチレングリコールの共重合体が挙げられる。好ましい可溶性賦形剤には、Eudragit E、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、およびポリビニルアルコール(PVA)が含まれる。好ましい不溶性賦形剤には、Eudragit RSおよびEudragit RLが含まれる。好ましい不溶性膨潤性賦形剤としては、クロスポビドン、クロスカルメロース、酢酸コハク酸ヒプロメロース(HPMCAS)、およびカーボポールが挙げられる。EUDRAGIT RSおよびEUDRAGIT RLは、Evonik(Darmstadt、ドイツ)のアクリル酸エチル、メタクリル酸メチルおよび第4級アンモニウム基を有するメタクリル酸エステル(メタクリル酸トリメチルアンモニオエチル塩化物)の共重合体の登録商標で、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸トリメチルアンモニウムニオエチルのモル比は、EUDRAGIT RLで約1:2:0.2、Eudragit(登録商標) RSでは約1:2:0.1である。好ましい不溶性で膨潤性の賦形剤としては、クロスポビドン、クロスカルメロース、酢酸コハク酸ヒプロメロース(HPMCAS)、カーボポール、およびジオキサノンとエチレングリコールの線状ブロック共重合体、ラクチドとエチレングリコールの線状ブロック共重合体、ラクチド、エチレングリコール、炭酸トリメチル、およびカプロラクトンの線状ブロック共重合体;ラクチド、グリコリド、およびエチレングリコールの線状ブロック共重合体;グリコリド、ポリエチレングリコール、およびエチレングリコールの線状ブロック共重合体、例えば、ジオキサノン(80%)とエチレングリコール(20%)の線状ブロック共重合体、ラクチド(60%)とエチレングリコール(40%)の線状ブロック共重合体;ラクチド(68%)、エチレングリコール(20%)、炭酸トリメチル(10%)、およびカプロラクトン(2%)の線状ブロック共重合体、ラクチド(88%)、グリコリド(8%)、エチレングリコール(4%)の線状ブロック共重合体、ならびにグリコリド(67%)、ポリエチレングリコール(28%)、エチレングリコール(5%)の線状ブロック共重合体が挙げられる。
【0121】
胃内滞留システムのセグメントで使用できる賦形剤のさらなる例を、以下の賦形剤表に示す。
【表2】
胃内滞留システムに使用される薬剤
【0122】
胃腸管にまたはそれを介して投与することができる薬剤は、本明細書に開示されるような胃内滞留システムに使用することができる。薬剤は、担持重合体、および担持重合体に対する他の賦形剤または他の添加剤とブレンドされ、胃内滞留システムで使用されるセグメントに形成される。薬剤には、薬物、プロドラッグ、生物処方、および病気または傷害に対して有益な効果をもたらすために投与することができる他の任意の物質が含まれるが、これらに限定されない。本明細書に開示される胃内滞留システムで使用できる薬剤には、ロスバスタチンなどのスタチン類、メロキシカムなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、エスキタロプラムおよびシタロプラムなどの選択的セロトニン再取込阻害薬(SSRI)、クロピドグレルなどの血液薄層剤、プレドニンなどのステロイド剤、アリピプラゾール、リスペリドンなどの抗精神病薬、ブプレノルフィンなどの鎮痛剤、ナロキソンなどのオピオイド拮抗剤、モンテルカストなどの抗喘息薬、メマンチンなどの抗痴呆薬、ジゴキシンなどの心配糖体、タムスロシンなどのαブロッカー、エゼチミブなどのコレステロール吸収阻害剤、コルヒチンなどの痛風治療剤、ロラタジン、セチリジンなどの抗ヒスタミン剤、ロペラミドなどのオピオイド、オメプラゾールなどのプロトンポンプ阻害剤、エンテカビルなどの抗ウイルス剤、ドキシサイクリン、シプロフロキサシン、アジスロマイシンなどの抗生物質、抗マラリア剤、レボチロキシン、メタドンやバレニクリンなどの物質乱用治療薬、避妊薬、カフェインなどの興奮剤、葉酸、カルシウム、ヨウ素、鉄、亜鉛、チアミン、ナイアシン、ビタミンC、ビタミンD、ビオチン、植物エキス、植物ホルモン、その他のビタミンやミネラルなどの栄養分が含まれるが、これらに限定されるものではない。本明細書に開示される胃内滞留システムで薬剤として使用することができる生物処方には、タンパク質、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、およびホルモンが含まれる。薬剤の例示的なクラスには、鎮痛剤、抗痛剤、抗炎症剤、抗うつ剤、抗てんかん剤、抗精神病剤、神経保護剤、抗癌剤などの抗増殖剤、抗ヒスタミン剤、抗片頭痛剤、ホルモン、プロスタグランジン、抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗寄生虫剤などの抗菌剤、抗ムスカリン剤、抗不安剤、静菌剤、免疫抑制剤、鎮静剤、催眠剤、抗精神病薬、気管支拡張剤、抗喘息薬、循環器系薬剤、麻酔薬、抗凝固剤、酵素阻害剤、ステロイド剤、ステロイドまたは非ステロイド系抗炎症剤、副腎皮質ホルモン、ドーパミン作動薬、電解質、胃腸薬、筋弛緩剤、栄養剤、ビタミン、副交感神経刺激剤、興奮剤、鎮痛剤、抗不随意運動薬 および抗マラリア薬(キニーネ、ルメファントリン、クロロキン、アモジアキン、ピリメタミン、プログアニル、クロルプログアニル・ダプソン、スルホンアミド(スルファドキシン、スルファメトキシピリダジンなど)、メフロキン、アトバコン、プリマキン、ハロファントリン、ドキシサイクリン、クリンダマイシン、アルテミシニン、およびアルテミシニン誘導体(アルテメター、ジヒドロアルテミシニン、アルテエーテル、アルテスネートなど)が含まれるが、これらに限定されない。。用語「薬剤」は、前述の物質の塩、溶媒和物、多形体、および共結晶を含む。特定の実施態様によっては、薬剤は、セチリジン、ロスバスタチン、エスシタロプラム、シタロプラム、リスペリドン、オランザピン、ドネペジル、およびイベルメクチンを含む群から選択される。別の実施態様によっては、薬剤は、抗精神病薬、またはメマンチンなどの抗認知症薬など、神経精神疾患の治療に使用されるものである。
アームとセグメントの薬剤担持
【0123】
アーム、またはアームを構成するセグメントは、薬剤またはその薬学的に許容される塩を含む。実施態様によっては、薬剤またはその塩(例えば、薬物)は、アームまたはセグメントの重量で約10%~約40%を占め、したがって、担持重合体および担持重合体に配合されるアームまたはセグメントの他の成分は、共にアームまたはセグメントの残部の重量を構成する。実施態様によっては、薬剤またはその塩は、重量でアームまたはセグメントの約10%~約35%、約10%~約30%、約10%~約25%、約10%~約20%、約10%~約15%、約15%~約40%、約20%~約40%、約25%~約40%、約30%~約40%、約35%~約40%、15%~約35%、約20%~約35%または約25%~約40%を構成する。
【0124】
実施態様によっては、アーム、またはアームを構成するセグメント中の薬剤の重量は、約20%~約60%、約25%~約60%、約30%~約60%、約35%~約60%、約20%~約50%、約20%~約40%、または約25%~約50%を占める。
【0125】
実施態様によっては、アーム、またはアームが構成されるセグメント中の薬剤の重量は、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、または約60%を占めるることができる。実施態様によっては、アーム、またはアームを構成するセグメント中の薬剤の重量は、約40%~約60%、約45%~約60%、約50%~約60%、約55%~約60%、約40%~約55%、約40%~約50%、または約40%~約45%をしめるることができる。実施態様によっては、アーム、またはアームを構成するセグメント中の薬剤の重量は、約25%~約60%、約30%~約60%、または約35%~約60%を占めることができる。実施態様によっては、アーム、またはアームを構成するセグメント中の薬剤の重量は、約51%~約60%、約52%~約60%、約53%~約60%、約54%~約60%、約55%~約60%、約56%~約60%、または約57%~約60%を占めることができる。実施態様によっては、薬剤またはその薬学的に許容される塩は、担持重合体の重量の約67%~約150%の間の重量で存在する。
胃内滞留システムに使用される分散剤
【0126】
分散剤は、担持重合体-薬剤アーム中の薬剤の分布を改善し、より一貫した放出特性を提供する目的で、胃内滞留システムで使用することができる。使用できる分散剤の例としては、二酸化ケイ素(シリカ、SiO2)(親水性ヒュームドシリカを含む)、ステアリン酸カルシウムおよびステアリン酸マグネシウムなどのステアリン酸塩、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース、疎水性コロイドシリカ、ヒプロメロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、リン脂質、ポリオキシエチレンステアラート、酢酸亜鉛、アルギン酸、レシチン、脂肪酸、ラウリル硫酸ナトリウム、酸化アルミニウムなどの無害な金属酸化物、 多孔質無機材料、極性無機材料を用いることができる。親水性フュームド二酸化ケイ素は、好ましい分散剤である。特に有用な二酸化ケイ素の1つは、Cabot Corporation(米国マサチューセッツ州ボストン)から登録商標CAB-O-SIL(登録商標) M-5P(CAS# 112945-52-5)で販売されており、これは約200 m2/g±15 m2/gのBET表面積を有する親水性ヒュームド二酸化ケイ素で、45ミクロンふるいにかけたこの製品のメッシュ滞留物は約0.02%未満である。典型的な一次凝集体のサイズは約150~約300 nmで、個々の粒子サイズは約5 nm~50 nmの範囲内の可能性がある。
【0127】
薬剤物質に対する分散剤の重量/重量比は、約0.1%~約5%、約0.1%~約4%、約0.1%~約3%、約0.1%~約2%、約0.1%~約1%、約1%~約5%、約1%~約4%、約1%~約3%、約1%~約2%、約2%~約4%、約2%~約3%、約3%~約4%、約4%~約5%、または約0.1%、約0.5%、約1%、約 2%、約 3%、約 4 %または約 5%とすることができる。
【0128】
分散剤は、担持重合体-薬剤成分の約0.1%~約4%、例えば約0.1%~約3.5%、約0.1%~約3%、約0.1%~約2.5%、約0.1%~約2%、約0.1%~約1.5%、約0.1~約1%、約0.1~約0.5%、または約0.2~約0.8%を構成することができる。
胃内滞留システムに使用される安定剤
【0129】
多くの薬剤は、胃の中に存在し得る活性酸素種にさらされると、酸化分解を受けやすい。システムに含まれる薬剤は、このように、システムの胃内での長時間の滞留、およびシステムからの薬剤の長時間の放出期間に酸化する可能性がある。従って、システム中に、安定剤、例えばトコフェロール、α-トコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、およびフマル酸を含む酸化防止剤を、担持重合体-薬剤成分の約0.1%~約4%、例えば約0.1%~約3.5%、約0.1%~約3%、約0.1%~約2.5%、約0.1%~約2%、約0.1%~約1.5%、約0.1%~約1%、約0.1%~約0.5%、または約0.2%~約0.8%含むのが望ましい。酸化防止安定剤としては、ビタミンE、トコフェロール、ビタミンEエステル、トコフェロールエステル、アスコルビン酸、またはカロチン、例えばα-トコフェロール、ビタミンEコハク酸塩、α-トコフェロールコハク酸、ビタミンE酢酸、α-トコフェロール酢酸、ビタミンEニコチン酸、α-トコフェロールニコチン酸、ビタミンEリノール酸、またはα-トコフェロールリノール酸などが使用できる。
【0130】
低pHでのpH-感受性薬剤の劣化を低減または防止するためにシステムに含めることができる緩衝剤またはpH-安定剤化合物には、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、および炭酸水素ナトリウムが含まれる。これらは、通常、約2重量/重量%までの量で使用される。緩衝剤またはpH -安定剤化合物は、担持重合体-薬剤成分の約0.1%~約4%、例えば約0.1%~約3.5%、約0.1%~約3%、約0.1%~約2.5%、約0.1%~約2%、約0.1%~約1.5%、約0.1%~約1%、約0.1%~約0.5%、または約0.2%~約0.8%を構成することができる。抗酸化安定剤、pH安定剤、および/または他の安定剤化合物は、担持重合体、薬剤、または担持重合体-薬剤混合物に配合することができ、その結果、最終セグメントまたはアームに抗酸化安定剤、pH安定剤、および/または他の安定剤化合物が存在することになる。
滞留時間
【0131】
胃内滞留システムの滞留時間は、システムの胃への投与と、システムの胃からの出口との間の時間として定義される。一実施態様においては、胃内滞留システムは、約24時間、または約24時間までの滞留時間を有する。一実施態様においては、胃内滞留システムは、約48時間の滞留時間、または約48時間までの滞留時間を有する。一実施態様においては、胃内滞留システムは、約72時間の滞留時間、または約72時間までの滞留時間を有する。一実施態様においては、胃内滞留システムは、約96時間の滞留時間、または約96時間までの滞留時間を有する。一実施態様においては、胃内滞留システムは、約5日間の滞留時間、または最大約5日間の滞留時間を有する。一実施態様においては、胃内滞留システムは、約6日間の滞留時間、または約6日間までの滞留時間を有する。一実施態様においては、胃内滞留システムは、約7日(約1週間)の滞留時間、または約7日(約1週間)までの滞留時間を有する。一実施態様においては、胃内滞留システムは、約10日の滞留時間、または最大約10日の滞留時間を有する。一実施態様においては、胃内滞留システムは、約14日(約2週間)の滞留時間、または最大で約14日(約2週間)の滞留時間を有する。一実施態様では、胃内滞留システムは、約21日(約3週間)の滞留時間、または最大約21日(約3週間)の滞留時間を有する。一実施態様では、胃内滞留システムは、約28日(約4週間)の滞留時間、または最大約28日(約4週間)の滞留時間を有する。一実施態様では、胃内滞留システムは、約1ヶ月の滞留時間、または最大約1ヶ月の滞留時間を有する。
【0132】
胃内滞留システムは、システムが胃内に滞留する滞留時間または滞留期間の少なくとも一部の間に、治療上有効な量の薬剤(またはその塩)を放出する。一実施態様においては、システムは、滞留時間の少なくとも約25%の間、治療上有効な量の薬剤(またはその塩)を放出する。一実施態様においては、システムは、滞留時間の少なくとも約50%の間、治療上有効な量の薬剤(またはその塩)を放出する。一実施態様においては、システムは、滞留時間の少なくとも約60%の間に治療上有効な量の薬剤(またはその塩)を放出する。一実施態様においては、システムは、滞留時間の少なくとも約70%の間に治療上有効な量の薬剤(またはその塩)を放出する。一実施態様においては、システムは、滞留時間の少なくとも約75%の間に治療上有効な量の薬剤(またはその塩)を放出する。一実施態様においては、システムは、滞留時間の少なくとも約80%の間、治療上有効な量の薬剤(またはその塩)を放出する。一実施態様においては、システムは、滞留時間の少なくとも約85%の間、治療上有効な量の薬剤(またはその塩)を放出する。一実施態様においては、システムは、滞留時間の少なくとも約90%の間、治療上有効な量の薬剤(またはその塩)を放出する。一実施態様においては、システムは、滞留時間の少なくとも約95%の間、治療上有効な量の薬剤(またはその塩)を放出する。一実施態様においては、システムは、滞留時間の少なくとも約98%の間、治療上有効な量の薬剤(またはその塩)を放出する。一実施態様においては、システムは、滞留時間の少なくとも約99%の間に治療上有効な量の薬剤(またはその塩)を放出する。
放射線不透過性
【0133】
システムは必要ならX線不透過性にし、腹部X線により位置を特定できるようにしてもよい。実施態様によっては、システムの構築に使用される材料の1種以上は、X線視覚化に対して十分に放射線不透過性である。他の実施態様では、放射線不透過性物質は、システムの1つ以上の材料に添加、システムの1つ以上の材料に被覆、またはシステムの小さな部分に添加される。適切な放射線不透過性物質の例は、硫酸バリウム、亜炭酸ビスマス、オキシ塩化ビスマス、および三酸化ビスマスである。これらの物質は、担持重合体からの薬物放出、または他のシステム重合体の所望の特性が変化しないように、胃内滞留システムを構築するのに用いられる重合体にブレンドされないことが好ましい。また、システム部品のごく一部にタングステンなどの金属条やチップを使用することも可能である。
熱補助組立、赤外線溶着によるシステムの製造・組立
【0134】
胃内滞留システムの部品は、米国特許第10,182,985号、および公開特許出願US 2018/0311154 A1、US 2019/0262265 A1、US 2019/0231697 A1、US 2019/0254966 A1、およびWO 2018/227147に開示されているように、共押出または三次元印刷などの様々な方法によって製造することができる。
【0135】
図13は、胃内滞留システムを形成するために部品を一つに結合する例示的な方法を示す。予め切断された高分子リンカー(腸溶性リンカーまたは時間依存性リンカーなど)を、弾性中心部材にレーザーまたはIR溶着する。例えば、材料をホットメルトで押し出し、所望の長さに切断して高分子リンカーを形成できる。次に、薬剤を混合した担持重合体を含むホットメルト押出しアーム(細長い部材)を高分子リンカーにレーザーまたはIR溶着し、それにより胃内滞留システムの星状構造を形成する。
【0136】
熱補助組立は、接合される表面を加熱されたプラテンと接触させて、赤外線ランプなどの赤外線放射源を用いて、赤外線レーザーを用いて、または他の熱生成、熱放射、もしくは熱伝達装置を用いて達成することができる。US 2019/0262265 A1の実施例12~14は、熱板または赤外線ランプの使用など、胃内滞留システムの部品を加熱する方式を記載している。加熱された表面は、その後、共に加圧され、その後、冷却される。
【0137】
赤外線溶着は、第1の部品の第1の表面と第2の部品の第2の表面を接触させ、2つの表面間の接触を維持するために力または圧力を加えながら、接触面の領域に赤外線を照射し、その後、取り付けられた部品を冷却することで行うことができる(加えられた力または圧力は、冷却過程中に必要に応じて保持される)。
胃内滞留システムを用いる治療方法
【0138】
胃内滞留システムは、長期間にわたる薬物または薬剤の投与を必要とする病気の治療に使用することができる。好ましい実施態様において、胃内滞留システムは、ヒトに投与される。数ヶ月、数年、または無期限に服用される薬剤または薬物の長期投与の場合、週1回または2週間に1回など、定期的に胃内滞留システムを投与することにより、患者は服薬遵守および利便性でかなり便利になる。したがって、本明細書に開示される胃内滞留システムは、3日に1回、5日に1回、週に1回、10日に1回、または2週に1回投与することができる。投与頻度は、投与される胃内滞留システムの設計された胃内滞留期間と一致するように時間設定され、胃内滞留システムがその滞留期間後に胃から抜けるのとほぼ同時に、新しい胃内滞留システムを投与するようにする。
胃内滞留型システムの溶解特性、生体利用度および薬物動態
【0139】
溶解:本明細書に記載の胃内滞留システムは、長期間にわたる薬剤またはその薬学的に許容される塩を安定して放出する。システムは、胃内滞留期間中に治療上有効な量の薬剤またはその塩を放出するように設計されている。薬剤(またはその塩)の放出は、生体外または生体内で測定し、特定の環境における所定の滞留システムからの薬剤(またはその塩)の溶解特性(溶出特性、放出速度)を確立することができる。溶解特性は、所定の時間内に系から溶出する系に存在する薬剤(またはその塩)の元の量の割合として特定することができる。
【0140】
したがって、実施態様によっては、胃内滞留システムに含まれる薬剤(またはその塩)は、所定の環境で0時間から24時間の間に10~20%放出される溶解特性を有することができる。すなわち、胃内滞留システムを目的の環境に最初に導入した後の24時間の間に、系に含まれる最初の薬剤(またはその塩)の10~20%が系から溶出する。
【0141】
興味のある環境は、1)患者の胃(すなわち、生体内環境)でも2)模擬胃液(すなわち、生体外環境)でもよい。
【0142】
本明細書に開示される胃内滞留システムは、該システムの投与後のAUCinfによって測定されるように、薬剤(またはその塩)の従来の経口製剤の生体利用度と比較して高い生体利用度を提供する。また、本システムは、薬剤(またはその塩)の血漿レベルを実質的に一定に維持する。
【0143】
放出に関連するパラメータには、胃内滞留システムの滞留期間での放出の直線性、滞留期間での放出の標準偏差(これは放出の直線性に関係し、標準偏差がゼロであれば、滞留期間全体にわたって放出が直線的であることを示す)、滞留の最初の6時間での放出(すなわち、投与初期の爆発的放出)、および滞留期間にわたる薬剤(またはその塩)の全放出が含まれる。好ましい滞留期間は7日間であるが、他の期間、例えば2、3、4、5、6、8、9、10、11、12、13、または14日間が有用である。
【0144】
滞留期間中の薬剤(またはその塩)放出の直線性とは、滞留の各24時間の間に放出される量のことである。7日間の滞留期間では、ほぼ同量の薬剤(またはその塩)が毎日放出される、すなわち、薬剤(またはその塩)放出の直線性が最大になることが望ましい。これにより、滞留期間中の1日当たりの薬剤または薬剤塩放出の標準偏差が最小になる。実施態様によっては、胃内放出システムは、滞留期間中に、約100%未満、約90%未満、約80%未満、約70%未満、約60%未満、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、または約5%未満の1日当たりの薬剤(またはその塩)放出の変動(または標準偏差)を有する。実施態様によっては、滞留期間は、約3日、約7日、約10日、または約2週間とすることができる。
【0145】
爆発的放出、すなわち滞留の初期期間(胃内滞留システムの投与後6時間、12時間、または24時間など)における放出を最小限に抑えることは、予測可能で安定した放出特性を維持するのに望ましい。Tを滞留期間中の薬剤(またはその塩)の総放出量(質量単位)とし、Dを滞留期間の日数とすると、完全な直線的放出とは、1日に約T/D質量の薬剤(またはその塩)が放出されることを意味する。爆発的放出が測定される期間が最初の6時間の場合、直線的放出特性は、最初の6時間の間に放出される薬剤(またはその塩)の0.25×T/Dの質量になる。D日間の滞留期間中に放出される薬剤(またはその塩)の総量のパーセンテージでは、直線的放出は1日あたり薬剤(またはその塩)の約100/D %となり、最初の6時間での直線的放出は25/D %となる。(ここで、100%は初期製剤に含まれる薬剤(またはその塩)の量に関係なく放出される薬剤(またはその塩)の総量を示す)。したがって、7日間の滞留期間では、最初の6時間の線放出は、7日間で放出される薬剤(またはその塩)の総量の約3.6%になる。
【0146】
実施態様によっては、投与後の最初の6時間の滞留中に、胃内滞留システムは、D日間の滞留期間中に放出される薬剤(またはその塩)Tの総質量の約0.2~約2倍のT/D、またはD日間の滞留期間中に放出される薬剤(またはその塩)Tの総質量の約0.2~約1.75倍のT/D、またはD日間の滞留期間中に放出される薬剤(またはその塩)Tの総質量の約0.2~約1.5倍のT/D、またはD日間の滞留期間中に放出された薬剤(またはその塩)Tの総質量の約0.2~約1.25倍のT/DのT/D、またはD日間の滞留期間中に放出された薬剤(またはその塩)Tの総質量の約0.2~約1倍のT/D、またはD日間の滞留期間中に放出された薬剤(またはその塩)Tの総質量の約0.2~約0.8倍のT/D、または約0.2~約0.75倍のT/D、または約0.2~約0.7倍のT/D、または約0.2~約0.6倍のT/D、または約0.2~約0.5倍のT/D、または約0.2~約0.4倍のT/D、または約0.2~約0.3倍のT/D、または約0.25~約2倍のT/D、または約0.3~約2倍のT/D、または約0.4~約2倍のT/D、または約0.5~約2倍のT/D、または約0.6~約2倍のT/D、または約0.7~約2倍のT/D、または0.25~約1.5倍のT/D、または約0.3~約1.5倍のT/D、または約0.4~約1.5倍のT/D、または約0.5~約1.5倍のT/D、または約0.6~約1.5倍のT/D、または約0.7~約1.5倍のT/D、または約0.25~約1.25倍のT/D、または約0.3~約1.25倍のT/D、または約0.4~約1.25倍のT/D、または約0.5~約1.25倍のT/D、または約0.6~約1.25倍のT/D、または約0.7~約1.25倍のT/D、または約0.25~約1倍のT/D、または約0.3~約1倍のT/D、または約0.4~約1倍のT/D、または約0.5~約1倍のT/D、または約0.6~約1倍のT/D、または約0.7~約1倍のT/D、または約0.25倍のT/D、または約0.25~0.8倍のT/D、または約0.3~約0.8倍のT/D、または約0.4~約0.8倍のT/D、または約0.5~約0.8倍のT/D、または約0.6~約0.8倍のT/D、または0.7~約0.8倍のT/D、または約0.8倍のT/D、または約1倍のT/D、または約1.25倍のT/D、または約1.5倍のT/D、または約2倍のT/Dを放出する。
【0147】
胃内滞留システムの実施態様によっては、投与後の最初の6時間の滞留中に、胃内滞留システムは、滞留期間中に放出される薬剤(またはその塩)の総質量の約2%~約10%、または約3%~約10%、または約4%~約10%、または約5%~約10%、または約6%~約10%、または約7%~約10%、または約8%~約10%、または約9%~約10%、または約2%~約9%、または約2%~約8%、または約2%~約7%、または約2%~約6%、または約2%~約5%、または約2%~約4%、または約2%~約3%を放出する。
【0148】
胃内滞留システムの実施態様によっては、胃内滞留システムが約7日間の滞留期間を有する場合、投与後の最初の6時間の間、胃内滞留システムは、7日間の滞留期間中に放出される薬剤(またはその塩)の総質量の約2%~約10%、または約3%~約10%、または約4%~約10%、または約5%~約10%、または約6%~約10%、または約7%~約10%、または約8%~約10%、または約9%~約10%、または約2%~約9%、または約2%~約8%、または約2%~約7%、または約2%~約6%、または約2%~約5%、または約2%~約4%、または約2%~約3%を放出する。
【0149】
実施態様によっては、投与後の最初の24時間の滞留期間中に、胃内滞留システムは、滞留期間中に放出される薬剤(またはその塩)の総質量の約10%~約35%、または約10%~約30%、または約10%~約25%、または約10%~約20%、または約10%~約15%、または約15%~約35%、または約15%~約35%、または約15%~約30%、または約20%~30%、または25%~35%、または約25%~約30%、または約30%~約35%を放出する。
【0150】
胃内滞留システムが約7日間の滞留期間を有する実施態様によっては、投与後の最初の24時間の滞留中に、胃内滞留システムは、7日間の滞留期間中に放出される薬剤(またはその塩)の総質量の約10%~約35%、または約10%~約30%、または約10%~約25%、または約10%~約20%、または約10%~約15%、または約15%~約35%、または約15%~約35%、または約15%~約30%、または約20%~約30%、または25%~約35%、または約25%~約30%、または約30%~約35%をを放出する。
キットおよび製造品目
【0151】
さらに、本明細書に開示されるような胃内滞留システムを用いて患者を治療するキットを提供する。このキットは、例えば、所望の総治療時間期間中に患者に定期的に投与するのに十分な数の胃内滞留システムを含むことができる。日単位の総治療時間が(T-total)であり、胃内滞留システムが(D日)の滞留時間を有する場合、キットは、((T total)÷(D日))(整数値に丸められた)に等しい数の胃内滞留システムを、D日毎の投与のために含む。あるいは、日数での総治療時間が(T-total)であり、胃内滞留システムが(E日)の有効放出期間を有する場合、キットは、((T total)÷(E日))に等しい数の胃内滞留システムを含み、E日ごとの投与に使用される。キットは、例えば、容器(ここで、容器はカプセルであってもよい)内の複数の胃内滞留システムを含んでもよく、必要に応じて、投与計画、治療期間、または胃内滞留システムおよび/または胃内滞留システムに含まれる薬剤若しくは薬物の使用に関連する他の情報に関する印刷物またはコンピュータ可読説明書を含んでもよい。例えば、患者に処方される総治療期間が1年であり、胃内滞留システムが1週間の滞留時間または1週間の有効放出期間を有する場合、キットは52カプセルを含み、各カプセルは1つの胃内滞留システムを含み、1週間に1回同じ日(例えば、毎週土曜日)にカプセルを飲み込むように指示することができる。
【0152】
所望の総治療期間中に患者に定期的に投与するのに十分な数の胃内滞留システムを含み、必要に応じて、投与計画、治療期間、または胃内滞留システムおよび/または胃内滞留システムに含まれる薬剤若しくは薬物の使用に関連する他の情報に関する指示を含む、製造物品も本開示に含まれる。製造物品を、適切な包装,例えば、所定の間隔で胃内滞留システムを投与する際に患者を補助するディスペンサー、トレイ、または他の包装で提供してもよい。
【実施例】
【0153】
本明細書に開示される技術は、以下の非限定的な例によってさらに説明される。
実施例1:FaSSGFの調製
【0154】
FaSSGFを、製造元の説明書(biorelevant.com)に従い、以下のように調製した。975 mLの脱イオン水と25 mLの1N塩酸を1Lのガラス製培地瓶内で混合した。必要に応じて1N HClまたはNaOHでpHを1.6に調整した。2.0gのNaClを添加・混合した。使用直前に60 mgのBiorelevant粉末を溶液に混合した。FaSSGFの組成は、タウロコール酸(0.08 mM)、リン脂質(0.02 mM)、ナトリウム(34 mM)、塩化物(59 mM)である。
例2: ディップコーティングによる高薬物担持製剤の放出速度制御
薬物アーム処方の調製
非PCL粉末を全て配合し、水を加えて湿式造粒した。その後、乾燥した顆粒をPCL粉末とブレンドし、二軸押出機を用いて混合押出しを行った。続いて、二軸押出機を用いて異形押出を行った。ディップコーティング実験には、表1に記載のDNP34およびM116アーム処方を使用した。
【表3】
【0155】
ディップコーティング:ディップコーティング溶液を以下のように調製した。各コーティング溶液の固形分をガラスバイアルに直接秤量した。適切な固形分含量(%w/v)になるように溶媒を添加した。溶液を、固形物が溶解するか均一に懸濁するまで、65℃および300 rpmで撹拌した。コーティング溶液の例示的な組成を表2に示す。全てのディップコーティング処方を、酢酸エチル中で溶液として、または(ポロゲンのような不溶性成分を有する被覆処方のための)安定な懸濁液として調製した。PEG 10Kを含む溶液を5%w/vの固形分に調製し、K90Fを含む懸濁液を6~8w/vに調製した以外は、全ての溶液と懸濁液を8%w/vの固形分に調製した。薬剤アームを鉗子で把持し、コーティング溶液に完全に浸漬した後、直ちに取り出した。被覆されたアームを一晩ヒュームフード内で乾燥した。すべてのディップコーティング実験に使用したPDLはCorbion Purasorb PDL20、すなわち2.0 dl/gの固有粘度(1.6 dl/gから2.4 dl/gの範囲)を有するPDLであった。すべてのディップコーティング実験に使用したPDLGはCorbion Purasorb PDLG 5004A、すなわち0.4 dl/gの固有粘度の中間点を有するD,L-ラクチドとグリコリド(50/50モル比)の酸末端共重合体であった。ディップコーティングでは、PCL HMWは80 kDまたはCHCl
3中で2.07 dL/g、PCL LMWは14 kDであった。PDL-PCL2575はLactel(登録商標)(固有粘度0.70-0.90 dl/gの25:75ポリ(D,L-ラクチド-co-ε-カプロラクトン))で、PDL-PCL8020はLactel(登録商標)(固有粘度 0.70-0.90 dl/gの80:20 ポリ(D,L-ラクチド-co-ε-カプロラクトン))であった。
【表4-1】
【表4-2】
【0156】
生体外放出:各処方をDN34薬剤アームに塗布し、7日間の絶食状態模擬胃液(FaSSGF)中での放出性を評価した。放出速度は、ドネペジルについて以下に示す手順で評価した。
実施例3:パンコーティングは高薬物担持および低薬物担持の処方の放出速度制御を提供する
【0157】
薬物アーム処方の調製。表1に示す下線部の薬物を、以下の手順のいずれかを用いて、薬物担持アームにそれぞれ配合した。
【0158】
手順1:すべての非API粉末を、視覚的に均一な混合物が得られるまで手でバッグブレンドした。APIを添加し、混合物を、再び視覚的に均一な混合物が得られるまでさらにバッグブレンドした。配合物押出を、140℃の二軸押出機を用いて行った。異形断面押出は、二軸押出機を用い、所望の形状を維持するために120℃から100℃の温度勾配を付けて行った。
【0159】
手順2:すべての非API粉末を、目視で均一な混合物が得られるまで手でバッグブレンドした。APIを添加し、混合物を、再び視覚的に均一な混合物が得られるまでさらにバッグブレンドした。配合物押出は、二軸押出機および115~130℃の温度勾配を用いて実施した。異形断面押出は、単軸押出機および50~80℃の温度勾配を使用して行った。
【0160】
手順3:全ての非PCL粉末をブレンドし、水で湿式造粒した。次いで、乾燥した顆粒をPCL粉末とブレンドし、二軸押出機を用いて配合物押出を行った。続いて、二軸押出機を用いて異形断面押出を行った。
【0161】
手順4:各原料を、他のすべての非PCL粉末と独立して造粒した。混合粉末を、水を用いてブレンド湿式造粒した。次いで、メマンチンを含む乾燥顆粒、ドネペジルを含む乾燥顆粒、およびPCL粉末をブレンドし、二軸押出機を用いて配合物押出を行った。続いて、単軸押出機を用いて異形断面押出を行った。使用したアーム処方を表1に示す。
【0162】
パンコーティング液の例示的な組成を表3に示す。パンコーティング手順を、以下の記載に従って実施した。
ポリ乳酸系フィルム
【0163】
ポリ乳酸系重合体の溶液を、純乾燥アセトン中で、1.5~3.3%w/vの固形濃度に調製した。溶液は、以下に記載する2つの方法のうちの1つで調製し、各方法は、フィルム被覆工程および薬物放出の両方で同等の性能を示した。
【0164】
方法1:PDL20を-20℃の冷凍機から取り出し、少なくとも2時間室温に平衡化させた。溶液調製用の攪拌棒とガラス瓶をアセトンで3回洗浄した。洗浄溶媒をデカンテーションし、蒸発させた。所望の質量の半分のアセトンを、攪拌棒とともにガラス瓶に入れ、室温で180~200 RPMで攪拌するように設定した。処方に必要なPDL20の全質量を、撹拌しているアセトンにゆっくりと添加した。その後、ガラス瓶に蓋をし、パラフィルムで密封し、一晩撹拌した。その後、溶液を沈降させた。微粒子が観察された場合、溶液をデカントし、再計量した。その後、追加の所望の質量のアセトンを溶液に添加した。PDLG5002Aを-20℃冷凍機から取り出し、少なくとも2時間室温に平衡化させた。処方に必要なPDLG5002Aの全質量を、PDL20およびアセトンを含む攪拌溶液にゆっくりと添加した。次いで、この溶液を室温で180~200 RPMで少なくとも30分間攪拌するように設定した。ステアリン酸マグネシウムを攪拌溶液に1回分添加し、室温下で180~200 RPMで少なくとも10分間攪拌して、均質な分散を達成した。この懸濁液を秤量し、必要に応じてアセトンを加えた。
【0165】
方法2:PDL20を-20℃の冷凍機から取り出し、少なくとも2時間室温に平衡化させた。溶液調製用のガラス瓶と羽根車をアセトンで3回洗浄した。洗浄溶媒をデカンテーションし、蒸発させた。所望の質量のアセトンをガラス瓶に入れ、室温で500 RPMで攪拌するように設定した。処方に必要なPDL20の全質量を、撹拌中のアセトンにゆっくりと添加した。その後、ガラス瓶に蓋をし、パラフィルムで密閉し、少なくとも2時間撹拌した。その後、溶液を沈降させた。微粒子が観察された場合、溶液をデカントし、再秤量し、必要であればアセトンで満たした。PDLG5002Aを-20℃の冷凍機から取り出し、少なくとも2時間室温に平衡化した。処方に必要なPDLG5002Aの全質量を、PDL20およびアセトンを含む攪拌溶液にゆっくりと添加した。この溶液を室温で少なくともさらに30分間500 RPMで攪拌した。ステアリン酸マグネシウムを、攪拌を続けながら溶液の1部に添加した。得られた懸濁液を少なくとも5分間攪拌して、均一な分散を達成した。次いで、懸濁液を秤量し、必要に応じてアセトンを加えた。
【0166】
PDLG5002Aの代わりに他の追加重合体を用いてPDL20コーティング溶液を調製するために、方法1および方法2と同様の手順を使用した。
【0167】
別に、プラセボアームと薬物アームの合計480 gの混合物を調製した。薬物含有アームの量は、約1重量%~25重量%であった。
【0168】
次に、噴霧中に攪拌棒で撹拌中のコーティング溶液を、メーカー提供の噴霧ノズルを備えたLDCS Hi-Coater 医薬品パンコーター(フロイント・ベクター、マリオン、アイオワ、米国)を用いてプラセボと薬剤を装填したアームの混合物に塗布した。以下の条件を使用した:入口空気温度(48℃)、排気空気温度(36-38℃)、空気流(50 CFM)、パン走行速度(22 RPM)、霧化圧力(20 PSI)、パターン圧力(18 PSI)。A-Pharm-Line社のアセトン耐性チューブを内蔵の蠕動ポンプで使用し、50gの純乾燥アセトンで予備洗浄を行った。その後、プラセボと薬物アームの混合物をパンに装填した。溶液は12分間隔で塗布され、その後5分間回転させた。この手順は、約1-6%(重量/重量)の所望の質量増加が達成されるまで繰り返された。質量増加は、噴霧された溶液の量に基づいて決定された。所望の量の溶液が噴霧された後、残留アセトンを追い出すために、アームを周囲条件で少なくとも2時間乾燥した。蒸発後、薬物放出試験に使用するまで、アームを乾燥剤で密閉して保管した。
【0169】
全てのパンコーティング実験に使用したPDLは、Corbion Purasorb PDL20、すなわち2.0 dl/g(範囲1.6 dl/g~2.4 dl/g)の固有粘度を有するPDLであった。すべてのパンコーティング実験に使用したPDLGは、Corbion Purasorb PDLG 5004A(D,L-ラクチドとグリコリドの50/50モル比の酸末端共重合体、0.4 dl/gの固有粘度の中間点を有する)、またはCorbion Purasorb PDLG 5002A(D,L-ラクチドとグリコリドの50/50モル比の酸末端共重合体、0.2 dl/gの固有粘度の中間点を有する)であった。
ポリカプロラクトン系フィルム
【0170】
ポリカプロラクトン系重合体を含む溶液を、固形分濃度3.3%w/vの純乾燥酢酸エチル溶液に調製した。
【0171】
溶液調製用のガラス瓶と羽根車を酢酸エチルで3回洗浄した。洗浄溶媒をデカンテーションし、蒸発させた。所望の質量の酢酸エチルをガラス瓶に秤量した。固体PCLを秤量し、酢酸エチルの入ったガラス瓶に添加した。次に、ボトルを約45℃に設定した熱板上に置き、オーバーヘッド攪拌機(IKA Works Inc.、Wilmington、NC、USA)を用いて500~550 RPMで攪拌するように設定した。その後、ボトルに蓋をし、約30分間攪拌した。PCLが完全に溶解したら、攪拌を続けながらコリドンVA64を添加した。VA64が可溶化したら、加熱を停止し、ホットプレートを取り出した。ステアリン酸マグネシウムを添加し、懸濁液を室温に冷却するまで攪拌を続けた。VA64の代わりに他の酢酸エチル可溶性成分を用いて、この方法と同様の手順でPCL塗布溶液を調製した。
【0172】
別に、合計約485gのプラセボアームと薬物アームの混合物を調製した。薬物含有アームの量は、約1重量%~25重量%であった。
【0173】
次に、噴霧中に攪拌棒で撹拌中の塗布溶液を、メーカー提供の噴霧ノズルを備えたLDCS Hi-Coater 医薬品パンコーター(フロイント・ベクター、マリオン、アイオワ、米国)を用いてプラセボと薬剤の混合物を装填したアームに塗布した。以下の条件を使用した:吸気温度(50℃)、排気温度(40-42℃)、気流(50 CFM)、パン運転速度(22 RPM)、噴霧圧力(20-22 PSI)、パターン圧力(18-20 PSI)。酢酸エチル耐性チューブを内蔵型蠕動ポンプで使用し、約50 mlの純溶媒で予備洗浄を行った。その後、プラセボと薬物の混合物のアームをパンに装填した。溶液を5分間隔で塗布し、その後3分間回転させた。この手順を、約1-6%(重量/重量)の所望の質量増加が達成されるまで繰り返した。質量増加を、パン内のプラセボおよび薬剤アームに噴霧された溶液に基づいて決定した。被覆後、アームを薬物放出試験に使用するまで周囲条件で保存した。パンコーティングに使用したPCLについて、高分子量PCL (PCL HMW)は1.7 dl/gの固有粘度を有し、低分子量PCL (PCL LMW)は0.8 dl/g以下、最も典型的には0.4 dl/g以下の固有粘度を有していた。
【表5】
実施例4:パンコートまたはディップコートされた薬剤アームの体外薬物放出検定および溶着条件への暴露
【0174】
生体外放出:被覆薬剤アームに対する薬剤の生体外放出は、各種薬剤について以下のように実施した。
【0175】
ダパグリフロジン放出を測定するために、絶食状態模擬胃液 (FaSSGF; biorelevant.com LTD, London, UK) を製造者の指示に従い調製した。個々の被覆された薬剤アームを、10 mLのFaSSGFとともに平底20 mLガラスシンチレーションバイアルに入れた。各バイアルを200 RPM、37℃のInnova43振盪恒温装置(Eppendorf AG, Hamburg, Germany)内に直立させた。FaSSGF中の薬物含量を、少なくとも7日間に少なくとも4回、HPLCで分析した。試料を、分析前に4℃で3日以上保存した。各測定時点にシンク条件を維持するために、放出媒体の全量を37℃に予め平衡化された新鮮な溶液と交換した。
【0176】
ドネペジル放出を測定するために、絶食状態模擬胃液(FaSSGF; biorelevant.com LTD, London, UK)を製造者の指示書に従って調製した。個々の被覆された薬剤アームを、10 mLのFaSSGFとともに円錐底15 mLポリプロピレンチューブに入れた。各チューブを、200 RPMおよび37℃でInnova43振盪恒温装置(Eppendorf AG、Hamburg、Germany)内に直立に置いた。FaSSGF中の薬物含量を、少なくとも7日間に少なくとも4回、HPLCで分析した。試料を、分析前に4℃で3日以上保存した。各測定時点にシンク条件を維持するために、放出媒体の全量を37℃に予め平衡化された新鮮な溶液と交換した。
【0177】
メマンチン放出を測定するために、絶食状態模擬胃液(FaSSGF; biorelevant.com LTD, London, UK)を製造者の説明書に従って調製した。個々の被覆された薬物アームを、10mLのFaSSGFと共に円錐底15mLポリプロピレンチューブに入れた。各チューブを、200 RPM、37℃でInnova43振盪インキュベーター(Eppendorf AG, Hamburg, Germany)内に直立に置いた。FaSSGF中の薬物含量を、少なくとも7日間に少なくとも4回、プレカラム誘導体化したHPLCで分析した。試料を、分析前に4℃で3日以上保存した。各測定時点においてシンク条件を維持するために、放出媒体の全量を37℃に予め平衡化された新鮮な溶液と交換した。
【0178】
熱曝露:滞留システムの組み立てが被覆に及ぼす影響を試験するために、薬剤を装填したアームを、剤形および剤形部品(すなわち、複合アーム)の組み立てに用いられるのと同じ過程または類似の過程に熱曝露した。溶着作業を、溶着温度、加圧力、および材料の位置合わせを制御できる特注の治具を用いて実施した。典型的な熱補助組立品では、薬剤を装填したアームの照射は約60~160℃の温度に達し、最も一般的には120℃以下である。一般的な熱補助組立では、アームの片面または両面に15~60 psiの圧力が加えられる。アームを、a) 星状体システムの調製に用いたのと同じ溶着条件を用いて、アームを液体シリコーンゴム(LSR)コアに溶着し、星状体から切断して体外放出試験を行うこと、あるいはb) 複合アーム(すなわち、不活性-活性-不活性セグメント)の調製に使用した溶着条件と同一の溶着条件、すなわち星状体システムの調製に使用した溶着条件と非常に類似した溶着条件により、IRおよび圧力に曝露した。あるいは、アームをLSRコアと同じ条件で溶着することができるが、プレースホルダとしてアルミニウムコアインサートを使用する。これらのシナリオは、動物またはヒトへの投与用の星型剤形の調製に匹敵し、薬剤アームが部分的にしかIRに暴露されない場合である。シナリオb)では、アーム全体がIRに暴露される「最悪のケース」のシナリオを表し、何も取り付けずにIRと圧力に暴露することができる(これは星状体の組み立てを代表するものではない)。
【0179】
溶着後、全ての薬物担持アームを少なくとも一晩室温で保存し、薬物放出を評価する前に完全な再結晶を促進した。薬物の生体外放出を、個々のバイアル内の単一の(「分離された」)アームに対して実施した。
実施例5:低担持メマンチン/ドネペジル処方(MD01)を用いた溶着型胃内滞留システムの薬物放出速度に及ぼすPC30被覆の影響
【0180】
滞留システムにおけるメマンチンおよびドネペジル薬物放出に対する候補PCL系被覆の効果を解明するために、MD01用の薬物アームを調製し、実施例3に記載の手順に従ってPC30(60:40重量/重量、Corbion PC17:CorbionPC04+固形物の重量で2%のステアリン酸Mg)でパンコートし、典型的な組立と同様にIR曝露にかけ、以下に記載のように体外薬物放出試験を行った。Corbion PC17は、1.7 dl/g(範囲1.5~1.9 dl/g)の固有粘度中点を有する高分子量PCLであり、Corbion PC04は、0.4 dl/g(範囲0.35 dl/g~0.43 dl/g)の固有粘度中点を有する低分子量PCLである。
【0181】
生体外放出:MD01を、7日間の絶食状態模擬胃液(FaSSGF)での放出について評価した。体外放出の評価には、一般に約25~150 mgの薬剤アームを使用し、最も典型的には約100 mgのアームを使用した。キャリア重合体-薬剤処方を薬剤アームに加工し、PC30でパンコートし、実施例4に従って、溶着条件(14 mmの薬剤アームのうち4~7 mmにIR曝露)への曝露前および曝露後の薬剤放出動態を評価した。コート重量増加は、PC30被覆されたアームで約5.2%であった。累積薬物放出をプロットしたものを
図1に示す。
【0182】
図1に示すように、メマンチンおよびドネペジルの両方の放出を、PC30の酢酸エチル塗布溶液でMD01薬剤アームをパンコートして7日の間に達成された線形放出速度で示されるように、適切な放出速度調節フィルムの使用で調節・制御することができた。
図1はさらに、被覆されたアームの溶着条件への曝露が、少なくとも7日間にわたる線形薬物放出速度に影響しないことを示し、PC30被覆処方により与えられる放出調節が、胃内滞留システム組み立てに用いられる溶着過程により悪影響を受けないことを示す。
実施例6:低担持ドネペジル処方(DNP34)を用いる溶着型胃内滞留システムの薬物放出速度に及ぼすPC25およびPC26被覆の影響
【0183】
滞留システムにおけるドネペジル薬物放出に対する候補PCL系被覆の効果を解明するために、DNP34用の薬物アームを調製し、実施例3に記載したように、PC25(50:50重量/重量、Corbion PC17:Corbion PC02;+固形分重量で2%のステアリン酸Mg)、PC26(75:25 重量/重量、Corbion PC17:Corbion PC04;+固形分重量で2%のステアリン酸Mg)、または対照被覆PC17(75:25重量/重量、Corbion PC17:VA64; +固形分重量で2%のステアリン酸Mg)でパンコーティングを施した。典型的な組み立てと同様にIR曝露にかけ、以下に述べるように体外薬剤放出を試験した。Corbion PC17は固有粘度の中点が1.7 dl/gの高分子量PCLであり、Corbion PC02およびCorbion PC04は固有粘度の中点が0.2 dl/g(PC02)および0.4dl/g(PC04)の低分子量PCLである。
【0184】
生体外放出:DNP34の7日間の絶食状態模擬胃液(FaSSGF)中の放出を評価した。約25~150 mg、典型的には約100 mgの重量の一般的な範囲内の薬物アームを、生体外放出の評価に使用した。薬剤アームを、PC25、PC26、またはPC17でパンコートし、実施例4に従って、溶着条件(14 mmの薬剤アームのうち4~7 mmにIR曝露)への曝露の前および後の薬剤放出動態を評価した。被膜重量増加は、PC25で約2.7%、PC26で約2.5%、PC17で約3.3%であった。PC25またはP26被覆による累積薬剤放出量を、PC17被覆によるものと比較し、それぞれ
図2および
図3に示した。
【0185】
図2および
図3に示すように、PC17の酢酸エチル塗布溶液でDNP34薬剤アームをパンコートして、ドネペジルの線形放出が7日間にわたって達成することができた。しかし、PC17を被覆したDNP34薬剤アームに溶着条件を与えると、放出動態は大きくシフトした。対照的に、ドネペジルの放出は、PC25またはPC26の酢酸エチル中塗布溶液でDNP34薬剤アームをパンコートして7日間にわたって達成された線形放出速度(
図2、
図3)が示すように、適切な放出速度調節フィルムを使用して調節および制御することができた。ここで、被覆されたアームの溶着条件への曝露は、少なくとも7日間にわたる線形薬剤放出速度に影響を与えず、PC25またはPC26被覆処方(それぞれ
図58、
図59)により与えられる放出調節は、胃内滞留システム組み立てに用いられる溶着過程に悪影響を受けないことを示す。
【0186】
PC17被覆は、細孔形成剤VA64(コポビドン;ビニルピロリドン-酢酸ビニル共重合体)を含み、不均質な被覆を形成すると考えられている。この不均質な被膜は、熱補助組立時や熱補助組立時の熱曝露と同様の手順で破壊され、熱曝露前の被覆薬剤アームからの放出速度と熱曝露後の被覆薬剤アームとの間に大きな差異を引き起こす。これらの結果は、不均質な被覆を引き起こすポロゲンや他の要素を含まない、均質な放出率調整フィルムを使用することの利点を実証している。
実施例7:低担持メマンチン処方(MEM116)を用いた溶着型胃内滞留システムの薬物放出速度に及ぼすPC28被覆の影響
【0187】
滞留システムにおけるメマンチン薬物放出に対する候補PCL系被覆の効果を解明するために、実施例3に記載したように、MEM116用の薬物アームをPC28(50:50重量/重量、Corbion PC17:Corbion PC04;+固形分重要で2%のステアリン酸Mg)、または対照被覆PC17(75:25 重量/重量、Corbion PC17:VA64;+固形分重量で2%のステアリン酸Mg)を用いて調製し、典型的な組み立てと同様にIR曝露を施し、以下に記載するように生体外薬剤放出を試験した。Corbion PC17は高分子量PCLであり、一方Corbion PC04は低分子量PCLである。
【0188】
生体外放出:MEM116の7日間の絶食状態模擬胃液(FaSSGF)中の放出について評価した。約25~150 mg、典型的には約100 mgの重量の一般的な範囲内の薬物アームを、生体外放出評価に使用した。薬剤アームを、PC17またはPC28でパンコートし、実施例4に従って、溶着条件(14 mmの薬剤アームのうち4~7 mmにIR曝露)への曝露前および曝露後の薬剤放出動態を評価した。PC28の場合、被膜重量増加率は3%であった。PC28被覆による累積薬物放出量をPC17被覆によるものと比較し、
図4に示した。
【0189】
図4に示すように、PC17の酢酸エチル塗布溶液でMEM116薬剤アームをパンコートして、メマンチンの線形放出を7日間にわたって達成することができた。しかし、PC17被覆されたMEM116薬剤アームに溶着条件を与えると、放出動態は大きくシフトした。対照的に、メマンチンの放出を、適切な放出速度調節フィルムの使用にで調節および制御することができ、これは、PC28の酢酸エチル塗布溶液でMEM116薬剤アームをパンコートすることで7日間にわたって達成された線形放出速度(
図4)で示され、被覆したアームの溶着条件への曝露は、少なくとも7日間にわたって線形薬剤放出速度にほとんど影響を及ぼさず、PC28被覆処方により与えられる放出調節が胃内滞留システム組み立てに用いられる溶着過程に悪影響を受けないことが示された(
図4)。
【0190】
先の例と同様に、PC17被覆は細孔形成剤VA64(コポビドン、ビニルピロリドン-酢酸ビニル共重合体)を含み、不均質な被覆を形成すると考えられている。この不均質な被膜は、熱補助組立時や熱補助組立時の熱曝露と同様の手順で破壊され、熱曝露前の被覆薬剤アームからの放出速度と熱曝露後の被覆薬剤アームとの間に大きな差異が生じる。これらの結果から、不均質な被覆を形成するポロゲンや他の元素を含まない均質な放出速度調整フィルムを使用することの利点が実証される。
実施例8:高担持メマンチン製剤(MEM122)を用いる溶着型胃内滞留システムの薬物放出速度に及ぼすPC25およびPC28被覆の影響
【0191】
滞留システムにおけるメマンチンおよびドネペジル薬物放出に対する候補PCL系被覆の効果を解明するために、MEM122用の薬物アームを用意し、実施例3に記載の手順に従って、PC25(50:50 重量/重量、Corbion PC17:Corbion PC02;+固形分重量で2%のステアリン酸Mg)またはPC28(50:50重量/重量、Corbion PC17:Corbion PC04;+固形分重量で2%のステアリン酸Mg)を用いてパンコートし、典型的な組み立てに類似したIR曝露を行い、以下に記載のように生体外薬剤放出を試験した。
【0192】
生体外放出:MEM122の7日間の絶食状態模擬胃液(FaSSGF)中の放出を評価した。約25~150 mg、典型的には約100 mgの重量の一般的な範囲内の薬物アームを生体外放出の評価に使用した。薬剤アームを、PC25またはPC28でパンコートし、実施例4に従って、溶着条件(14 mmの薬剤アームのうち4~7 mmにIR曝露)への曝露の前後で薬剤放出動態を評価した。被覆重量は、PC25およびPC28の両方とも約4.5%であった、累積薬剤放出をプロットし、それぞれ
図5および
図6に示した。
【0193】
図5および
図6に示すように、メマンチンの放出は、適切な放出速度調節フィルムの使用により調節および制御される。
実施例9:低担持メマンチン/ドネペジル処方(MD01)を用いた溶着型胃内滞留システムの薬物放出速度に及ぼすPC26被覆の影響
【0194】
レジデンス系におけるメマンチンおよびドネペジル薬物放出に対する候補PCL系被覆の効果を解明するために、MD01用の薬物アームを調製し、実施例3に記載の手順に従ってPC26(75:25 重量/重量, Corbion PC17: Corbion PC04; + 固形重量で2%のステアリン酸Mg)でパンコートして、典型的な組み立てと同様のIR曝露にかけ、以下に記載のように体外薬物放出を試験した。Corbion PC17は高分子量PCLであり、Corbion PC04は低分子量PCLである。
【0195】
生体外放出:MD01の7日間絶食状態模擬胃液(FaSSGF)での放出を評価した。約25~150 mg、典型的には約100 mgの重量の一般的な範囲内の薬剤アームを生体外放出の評価に使用した。薬剤アームをPC26でパンコートし、実施例4に従って溶着条件(14 mmの薬剤アームのうち4~7 mmにIR曝露)に曝露する前および後の薬剤放出動態を評価した。累積薬剤放出量をプロットし、
図7に示した。
【0196】
図7に示すように、メマンチンおよびドネペジルの両方の放出は、適切な放出速度調節フィルムの使用により調節および制御される。
図7はさらに、被覆されたアームの溶着条件への曝露が、少なくとも7日間にわたって薬物放出速度に影響を及ぼさなかったことを示し、PC26被覆処方により与えられる放出調節が、胃内滞留システム組み立てに使用される溶着過程により悪影響を受けないことを示す。
実施例10:低担持メマンチン/ドネペジル処方(MD01)を用いた溶着型胃内滞留システムの薬物放出速度に対するPC26による段階的な被覆の効果
【0197】
PC26被覆(75:25重量/重量、Corbion PC17:Corbion PC04;+固形物の重量で2%のステアリン酸Mg)が、滞留システムにおけるメマンチンおよびドネペジルの薬物放出にどのように影響するかを解明するために、MD01用の薬剤アームを準備し、約3%、3.5%、5.5%または7%~7.5%の被覆重量増加を達成すべく実施例3記載のようにPC26でパンコートし、典型的な組み立てにおけるのと同様のIR曝露に供し、続いて以下に記載のように生体外薬剤放出試験を実施した。
【0198】
生体外放出:MD01は、7日間絶食状態模擬胃液(FaSSGF)での放出を評価した。約25~150 mg、典型的には約100 mgの重量の一般的な範囲内の薬物アームを生体外放出の評価に使用した。薬剤アームをPC26でパンコートし、実施例4に従って溶着条件(14 mmの薬剤アームのうち4~7 mmにIR曝露)に曝露する前および後の薬剤放出動態を評価した。それぞれのグループの薬剤アームの平均の被覆による重量増加は、
図8Aおよび
図8Bに表示される通りであった。この被覆による重量増加でのPC26被覆による累積薬物放出を比較し、
図8A(メマンチン放出)および
図8B(ドネペジル放出)に示した。
【0199】
図8Aおよび
図8Bに示すように、メマンチンおよびドネペジルの両方の放出が、選択した被覆質量での適切な放出速度調節フィルムの使用により調節および制御することが出来た。質量増加3%のPC26被覆は、4日目まで線形放出動態を示し、その時点でほとんどの薬物が放出された。3.5%の質量増加した被覆では、両薬剤はより緩やかに放出した。5.5%および7%の質量増加した被覆は、メマンチンおよびドネペジルの両方について線形放出動態を示したが、累積薬物放出は比較的低い(それぞれ、
図8Aおよび
図8B)。
図8Aおよび
図8Bはさらに、被覆されたアームの熱曝露が少なくとも7日間にわたって薬物放出速度に実質的に影響しないことを示し、PC26被覆処方により与えられる放出調節(3%~7.5%の被覆重量増加で)が胃内滞留システム組み立てに用いられる溶着過程により悪影響を受けないことを示す。
実施例11:低担持メマンチン処方(MEM116)を用いた溶着型胃内滞留システムの薬物放出速度に対するPC27による段階的被覆の効果
【0200】
PC27処方(40:60重量/重量、Corbion PC17:Corbion PC02;+固形分重量で2%のステアリン酸Mg)による漸増被覆が滞留システムにおけるメマンチン薬物放出にどのように影響するかを解明するために、MEM116用の薬剤アームを準備し、約2%、3%、または4.5%の被覆重量増加を達成するように実施例3で述べたようにPC27でパンコートし、典型的な組立と同様にIR曝露にかけ、続いて以下に述べたように体外薬剤放出試験を実施した。
【0201】
生体外放出:MEM116を、7日間の絶食状態模擬胃液(FaSSGF)中での放出を評価した。約25~150 mg、典型的には約100 mgの重量の一般的な範囲内の薬物アームを生体外放出の評価に使用した。薬剤アームはPC27でパンコートし、実施例4に従って溶着条件(14 mmの薬剤アームのうち4~7 mmにIR曝露)に曝露する前と後の薬剤放出動態について評価した。それぞれのグループの薬剤アームの平均被膜重量増加量は、
図9に表示の通りであった。図示の被覆重量増加におけるPC27被覆を用いた累積薬剤放出は、
図9に示す通りである。
【0202】
図9に示すように、メマンチンの放出は、選択された被覆質量での適切な放出速度調節フィルムの使用により調節および制御された。4.5%の質量増加でのPC27被覆は、メマンチンについて線形放出動態をもたらした。
実施例12:ダパグリフロジン処方(D138)を用いた溶着型胃内滞留システムの薬物放出速度に及ぼすPDL/PDLG5002A被覆の影響
【0203】
滞留システムにおけるダパグリフロジン薬物放出に対する候補PDL系被覆の効果を解明するために、D138用の薬剤処方棒状体(一体物)を調製し、実施例3に記載の手順に従ってPDL/PDLG5002A(1:1 重量/重量、PDL20:PDLG5002A;+固形物の重量で2%のステアリン酸Mg)でパンコートし、典型的な組立と同様にIR曝露にかけ、以下に記載のように生体外薬剤放出を試験した。
【0204】
生体外放出:D138の、7日間の絶食状態模擬胃液(FaSSGF)中での放出を評価した。約25~150 mg、典型的には約100 mgの重量の一般的な範囲内の薬物アームを生体外放出の評価に使用した。薬物アームは、(i)被覆ありまたはなし、および(ii)溶着条件への曝露(10 mmの薬物アームのうち4 mmへのIR曝露)前後に調製し、実施例4に従って薬物放出動態を評価した。累積薬物放出をプロットし、
図10に示した(UNC-NW mono=被覆なし、非溶着一体物;C-NW mono=被覆あり、非溶着一体物;UNC-W mono=被覆なし、溶着一体物;C-W mono=被覆あり、溶着一体物)。
【0205】
図10はさらに、被覆された一体物の溶着条件への曝露が、溶着条件に曝露されない被覆された一体物と比較して、少なくとも7日間にわたって薬物放出速度に影響しないことを示し、PDL/PDLG5002A被覆処方により与えられる放出調節が胃内滞留システム組み立てに用いられる溶着過程により悪影響を受けないことを示す。
実施例13:ダパグリフロジン処方(D138)を用いた溶着型胃内滞留システムの薬物放出速度に及ぼすPDL/PDLG5002A被覆の影響
【0206】
PDL/PDLG5002A被覆が過度の熱曝露に耐え、曝露前の薬物放出特性と同様のダパグリフロジン薬物放出特性を依然として保持できるかどうかを決定するために、D138用の薬剤一体物を準備し、実施例3に記載の手順に従って、PDL/PDLG5002A(1:1重量/重量、PDL20:PDLG5002A;+固形分重量で2%のステアリン酸Mg)をパンコートし、典型的な組立工程で蒙る曝露を超えるIR曝露を行い、以下に記載のように生体外薬剤放出を試験した。
【0207】
生体外放出:D138の7日間の絶食状態模擬胃液(FaSSGF)中での放出を評価した。約25~150 mg、典型的には約100 mgの重量の一般的な範囲内の薬物アームを生体外放出の評価に使用した。薬物アームを調製し、典型的な組み立てのための溶着における暴露を超えるIR曝露(15 mmの薬物アームのうちの15 mmへのIR曝露)ありまたはなしでPDL/PDLG5002Aでパンコートし、実施例4に従って薬物放出動態を評価した。累積薬物放出量をプロットし、
図11に示した。
【0208】
図11は、被覆された一体物の典型的な組み立て中に経験されるIR照射を超える溶着条件への曝露が、少なくとも7日間にわたって薬剤放出速度に実質的に影響しなかったことを示し、PDL/PDLG5002A被覆処方により与えられる放出調節は、典型的な胃内滞留システム組み立て工程における溶着過程、またはIR照射へのさらなる曝露が典型的な組み立て過程中に起こる曝露よりも組み立て手順により悪影響を受けないことを示す。
実施例14:溶着への過度な曝露を受けたダパグリフロジン処方(D138)の胃内滞留システムにおける薬物放出速度に対するPDL/PDLG5002A被覆の影響
【0209】
PDL/PDLG5002A被覆が、薬物アーム組み立てにおける溶着への過度の曝露に耐え、なお曝露前の薬物放出特性と同様の薬物放出特性を保持できるかどうかを決定するために、D138ならびに不活性アーム-部品を含む複合薬物アームを調製し、実施例3に記載の手順に従って、PDL/PDLG5002A(1:1 重量/重量、PDL20:PDLG5002A;+固形分重量で2%のステアリン酸Mg)をパンコートし、典型的な組み立てにおける暴露を超えるIR曝露を行い、以下に記載のように生体外薬剤放出試験を実施した。
【0210】
生体外放出:D138の7日間の絶食状態模擬胃液(FaSSGF)中での放出を評価した。約25~150 mg、典型的には約100 mgの重量の一般的な範囲内の薬物アームを生体外放出の評価に使用した。D138含有複合薬物アームを調製し、典型的な組み立てのための溶着における暴露を超えるIR曝露(15 mmの薬物アームのうちの15 mmへのIR曝露)を伴うかまたは伴わないPDL/PDLG5002Aでパンコートし、実施例4に従って薬物放出動態を評価した。累積薬物放出をプロットし、
図12に示した(C-W comp=被覆・溶着複合アーム;C-NW comp=被覆・非溶着複合アーム)。
【0211】
図12は、被覆複合アームの典型的な組み立てにおける暴露を超えるIR照射を伴う溶着条件への曝露が、薬剤放出速度に有意に影響しなかったことを示し、PDL/PDLG5002A被覆処方により与えられる放出調節は、典型的な胃内滞留システムにおける溶着過程、またはIR照射へのさらなる曝露が典型的な組み立て過程中に生じる曝露よりも生じる組み立て手順に悪影響を受けないことを示す。
例示的な実施態様
【0212】
実施態様1 胃内滞留システムで使用されるアームであって、
担持重合体、
少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩、および
該アームの表面の少なくとも一部に被覆された放出速度調節フィルム、
を含み、前記放出速度調節フィルムは、ポリ-D,L-ラクチド(PDL)およびポリ-D,L-ラクチド/グリコリド(PDLG)を含む、アーム。
【0213】
実施態様2 前記PDLは、約1 dl/g~約4 dl/gの固有粘度を有するPDLを含む、実施態様1に記載のアーム。
【0214】
実施態様3 前記PDLGは、約0.1 dl/g~約3 dl/g、0.1 dl/g~約1.5 dl/g、または0.1 dl/g~約0.5 dl/gの固有粘度を有するPDLGを含む、実施態様1に記載のアーム。
【0215】
実施態様4 PDL:PDLG比が約2:1~約1:2(重量/重量)である、実施態様1~3のいずれか一項に記載のアーム。
【0216】
実施態様5 PDL:PDLG比が約1.25:1~約1:1.25(重量/重量)である、実施態様1~3のいずれか一項に記載のアーム。
【0217】
実施態様6 PDL:PDLG比が約1:1(重量/重量)である、実施態様1~3のいずれか一項に記載のアーム。
【0218】
実施態様7 前記放出速度調節フィルムはポロゲンを実質的に含まない、実施態様1~6のいずれか一項に記載のアーム。
【0219】
実施態様8 前記放出速度調節フィルムの添加による該アームの重量の増加が、被覆されていない該アームの重量の約2%~約6%である、実施態様1~7のいずれか一項に記載のアーム。
【0220】
実施態様9 水性媒体中での該アームからの薬剤の放出速度が、少なくとも96時間にわたって実質的に直線的である、実施態様1~8のいずれか一項に記載のアーム。
【0221】
実施態様10 該アームからの薬剤の放出速度が、熱サイクルの前後で実質的に同じである、実施態様1~9のいずれか一項に記載のアーム。
【0222】
実施態様11 実施態様1~10のいずれか一項に記載のアームを含む、胃内滞留システム。
【0223】
実施態様12 実施態様1~10のいずれか一項に記載の1つ以上のアーム、および
中心弾性重合体部品を含む胃内滞留システムであって、
前記1つ以上のアームは、それぞれ別個のリンカー部品を介して前記中心弾性重合体部品に接続されており、
該胃内滞留システムは、投与中に折り畳まれて物理的に拘束されるように構成され、拘束の除去時に開いた保持形状をとるように構成され、
折り畳まれた形状と開いた保持形状との間の変化が、該胃内滞留システムが折り畳まれた形状にあるときに弾性変形を受け、該胃内滞留システムが開いた保持形状をとるときに反動する弾性重合体部品によって媒介され、かつ
前記リンカーは、胃環境中で分解、溶解、解離、または機械的に弱化し、保持形状の完全性を喪失し胃腔外へ排出される、胃内滞留システム。
【0224】
実施態様13 胃内滞留システムで使用されるアームであって、
担持重合体、
少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩、および
アームの表面の少なくとも一部に被覆された放出速度調節フィルム、
を含み、前記放出速度調節フィルムは、高分子量ポリカプロラクトン(PCL-HMW)および低分子量ポリカプロラクトン(PCL-LMW)を含む、
アーム。
【0225】
実施態様14 前記PCL-HMWは、Mn約75,000~Mn約250,000のPCL、約1.0 dl/g~約2.4 dl/gの固有粘度を有するPCL、約1.2 dl/g~約2.4 dl/gの固有粘度を有するPCL、または約1.6 dl/g~約2.4 dl/gの固有粘度を有するPCLを含む実施態様13のアーム。
【0226】
実施態様15 前記PCL-LMWは、Mn約10,000~Mn約20,000のPCL、または約0.1 dl/g~約0.8 dl/gの固有粘度を有するPCLを含む実施態様13または実施態様14記載のアーム。
【0227】
実施態様16 前記PCL-HMWは、Mn約75,000~Mn約250,000のPCL、約1.0 dl/g~約2.4 dl/gの固有粘度を有するPCL、約1.2 dl/g~約2.4 dl/gの固有粘度を有するPCL、または約1.6 dl/g~約2.4 dl/gの固有粘度を有するPCLを含み、かつ前記PCL-LMWは、Mn約 10,000 ~Mn約 20,000 のPCL、または約0.1 dl/g~約0.8 dl/gの固有粘度を有するPCLを含む実施態様13のアーム。
【0228】
実施態様17 (PCL-HMW):(PCL-LMW)比が、約1:4~約95:5(重量/重量)である、実施態様13~16のいずれか一項に記載のアーム。
【0229】
実施態様18 (PCL-HMW):(PCL-LMW)比が、約2:3~約95:5(重量/重量)である、実施態様13~16のいずれか一項に記載のアーム。
【0230】
実施態様19 (PCL-HMW):(PCL-LMW)比が、約3:1~約95:5(重量/重量)である、実施態様13~16のいずれか一項に記載のアーム。
【0231】
実施態様20 (PCL-HMW):(PCL-LMW)比が約9:1(重量/重量)である、実施態様13~16のいずれか一項に記載のアーム。
【0232】
実施態様21 ( PCL-HMW):(PCL-LMW)比が約1:3(重量/重量)である、実施態様13~16のいずれか一項に記載のアーム。
【0233】
実施態様22 (PCL-HMW):(PCL-LMW)比が約4:6(重量/重量)である、あるいは(PCL-HMW):(PCL-LMW)比が約6:4(重量/重量)である、実施態様13~16のいずれか一項に記載のアーム。
【0234】
実施態様23 (PCL-HMW):(PCL-LMW)比が約1:1(重量/重量)である、実施態様13~16のいずれか一項に記載のアーム。
【0235】
実施態様24 (PCL-HMW):(PCL-LMW)比が約3:1(重量/重量)である、実施態様13~16のいずれか一項に記載のアーム。
【0236】
実施態様25 (PCL-HMW):(PCL-LMW)比が約85:15(重量/重量)である、実施態様13~16のいずれか一項に記載のアーム。
【0237】
実施態様26 前記放出速度調節フィルムはポロゲンを実質的に含まない、実施態様13~16のいずれか一項に記載のアーム。
【0238】
実施態様27 前記放出速度調節フィルムの添加によるアームの重量の増加が、被覆されていないアームの重量の約2%~約6%である、実施態様13~26のいずれか一項に記載のアーム。
【0239】
実施態様28 水性媒体中の該アームからの薬剤の放出速度が、少なくとも96時間にわたって実質的に直線的である、実施態様13~27のいずれか一項に記載のアーム。
【0240】
実施態様29 該アームからの薬剤の放出速度が、熱サイクルの前後で実質的に同じである、実施態様13~28のいずれか一項に記載のアーム。
【0241】
実施態様30 実施態様13~29のいずれか一項に記載のアームを含む、胃内滞留システム。
【0242】
実施態様31 胃内滞留システムであって、
実施態様13~29のいずれか一項に記載の1つ以上のアーム、および
中心弾性重合体部品、を含み
前記1つ以上のアームは、それぞれ別個のリンカー部品を介して前記中心弾性重合体部品に接続されており、
該胃内滞留システムは、投与中に折り畳まれて物理的に拘束されるように構成され、拘束の除去時に開いた保持形状を取るように構成され、
折り畳まれた形状と開いた保持形状との間の変化が、該胃内滞留システムが折り畳まれた形状にあるときに弾性変形を受け、胃内滞留システムが開いた保持形状をとるときに反動する弾性重合体部品によって媒介され、かつ
前記リンカーは、胃環境で分解、溶解、解離、または機械的に弱化し、保持形状の完全性を喪失し、胃腔外へ排出される、胃内滞留システム。
【0243】
実施態様32 胃内滞留システムで使用されるアームであって、
担持重合体、
少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩、および
該アームの表面の少なくとも一部に被覆された放出速度調節フィルム、を含み、
前記放出速度調節フィルムは、ポリ-D,L-ラクチド(PDL)を含む、アーム。
【0244】
実施態様33 前記PDLは、約1 dl/g~約5 dl/gまたは約1.6 dl/g~約2.4 dl/gの固有粘度を有するPDLを含む、実施態様32に記載のアーム。
【0245】
実施態様34 前記放出速度調節フィルムは、ポリカプロラクトン(PCL)をさらに含む、実施態様32または実施態様33に記載のアーム。
【0246】
実施態様35 前記放出速度調節フィルムは、ポリカプロラクトン(PCL)およびポリエチレングリコール(PEG)をさらに含む、実施態様32または実施態様33に記載のアーム。
【0247】
実施態様36 前記放出速度調節フィルムは、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリエチレングリコール(PEG)およびポリプロピレングリコール(PPG)をさらに含む、実施態様32または実施態様33に記載のアーム。
【0248】
実施態様37 前記PCLは、Mn約75,000~Mn約250,000のPCLを含む、実施態様34~36のいずれか一項に記載のアーム。
【0249】
実施態様38 前記PEGは、Mn約800~Mn約20,000のPEGを含む、実施態様35~37のいずれか一項に記載のアーム。
【0250】
実施態様39 前記PPGは、少なくともMn約2,500を有するPPGを含む、実施態様36~38のいずれか一項に記載のアーム。
【0251】
実施態様40 前記PPGは、Mn約2,500~Mn約6,000のPPGを含む、実施態様36~38のいずれか一項に記載のアーム。
【0252】
実施態様41 PDL:PCL比が約9:27(重量/重量)である、実施態様34~39のいずれか一項に記載のアーム。
【0253】
実施態様42 PDL:PCL比が約36:9(重量/重量)である、実施態様34~39のいずれか一項に記載のアーム。
【0254】
実施態様43 PDL:PCL:PEG比が約9:27:4(重量/重量/重量)である、実施態様36~39のいずれか一項に記載のアーム。
【0255】
実施態様44 PDL:PCL:PEGの比が約36:9:5(重量/重量/重量)である、実施態様36~39のいずれか一項に記載のアーム。
【0256】
実施態様45 前記放出速度調節フィルムはポロゲンを実質的に含まない、実施態様32~44のいずれか一項に記載のアーム。
【0257】
実施態様46 前記放出速度調節フィルムの添加によるアームの重量の増加が、被覆されていないアームの重量の約2%~約6%である、実施態様32~45のいずれか一項に記載のアーム。
【0258】
実施態様47 水性媒体中の該アームからの薬剤の放出速度が、少なくとも96時間にわたって実質的に直線的である、実施態様32~46のいずれか一項に記載のアーム。
【0259】
実施態様48 該アームからの薬剤の放出速度が、熱サイクルの前後で実質的に同じである、実施態様32~47のいずれか一項に記載のアーム。
【0260】
実施態様49 実施態様32~48のいずれか一項に記載のアームを含む、胃内滞留システム。
【0261】
実施態様50 実施態様32~48のいずれか一項に記載の1つ以上のアーム、および
中心弾性重合体部品を含む胃内滞留システムであって、
前記1つ以上のアームは、それぞれ、別個のリンカー部品を介して前記中心弾性重合体部品に接続されており、
該胃内滞留システムは、投与中に折り畳まれて物理的に拘束されるように構成され、拘束の除去時に開いた保持形状を取るように構成されており、
折り畳まれた形状と開いた保持形状との間の変化が、該胃内滞留システムが折り畳まれた形状にあるときに弾性変形を受け、該胃内滞留システムが開いた保持形状をとるときに反動する弾性重合体部品によって媒介され、かつ
前記リンカーは、胃環境で分解、溶解、解離、または機械的に弱化し、保持形状の完全性を喪失し、胃腔外へ排出される、胃内滞留システム。
【0262】
実施態様51 胃内滞留システムで使用されるアームであって、
担持重合体、
少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩、および
該アームの表面の少なくとも一部に被覆された放出速度調節フィルム、を含み、
前記放出速度調節フィルムは、ポリカプロラクトン(PCL)を含む、アーム。
【0263】
実施態様52 前記PCLは、Mn約75,000~Mn約250,000のPCLを含む、実施態様51に記載のアーム。
【0264】
実施態様53 前記放出速度調節フィルムはポリエチレングリコール(PEG)をさらに含む、実施態様51または実施態様52に記載のアーム。
【0265】
実施態様54 前記放出速度調節フィルムは、ポリエチレングリコール(PEG)およびポリプロピレングリコール(PPG)をさらに含む、実施態様51または実施態様52に記載のアーム。
【0266】
実施態様55 前記PEGはMn約800~約1,200のPEGを含む、実施態様53~54のいずれか一項に記載のアーム。
【0267】
実施態様56 前記PPGは、Mn約2,500~Mn約6,000のPPGを含む、実施態様54~55のいずれか一項に記載のアーム。
【0268】
実施態様57 前記PCLは重量で前記放出速度調節フィルムの約15%~約80%を構成し、前記PEGは重量で前記放出速度調節フィルムの約5%~約15%を構成し、および/または前記PPGは重量で前記放出速度調節フィルムの約5%~約15%を構成する、実施態様54~55のいずれか一項に記載のアーム。
【0269】
実施態様58 前記放出速度調節フィルムはポロゲンを実質的に含まない、実施態様51~57のいずれか一項に記載のアーム。
【0270】
実施態様59 前記放出速度調節フィルムの添加によるアームの重量の増加が、被覆されていないアームの重量の約2%~約6%である、実施態様51~58のいずれか一項に記載のアーム。
【0271】
実施態様60 水性媒体中の該アームからの薬剤の放出速度が、少なくとも96時間にわたって実質的に直線的である、実施態様51~59のいずれか一項に記載のアーム。
【0272】
実施態様61 該アームからの薬剤の放出速度が、熱サイクルの前後で実質的に同じである、実施態様51~60のいずれか一項に記載のアーム。
【0273】
実施態様62 実施態様51~61のいずれか一項に記載のアームを含む、胃内滞留システム。
【0274】
実施態様63 実施態様51~61のいずれか一項に記載の1つ以上のアーム、および
中心弾性重合体部品を含む胃内滞留システムであって、
前記1つ以上のアームは、それぞれ、別個のリンカー部品を介して前記中心弾性重合体部品に接続され、
該胃内滞留システムは、投与中に折り畳まれて物理的に拘束されるように構成され、拘束の除去時に開いた保持形状を取るように構成され、
折り畳まれた形状と開いた保持形状との間の変化が、該胃内滞留システムが折り畳まれた形状にあるときに弾性変形を受け、胃内滞留システムが開いた保持形状をとるときに反動する弾性重合体部品によって媒介され、かつ
前記リンカーは、胃環境で分解、溶解、解離、または機械的に弱化し、保持形状の完全性を喪失し、胃腔外へ排出される、胃内滞留システム。
【0275】
実施態様64 胃内滞留システムで使用されるアームであって、
担持重合体、
少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩、および
該アームの表面の少なくとも一部に被覆された放出速度調節フィルムを含み、
前記放出速度調節フィルムは、高分子量ポリ-D,L-ラクチド(PDL-HMW)および低分子量ポリ-D,L-ラクチド(PDL-LMW)を含む、アーム。
【0276】
実施態様65 前記PDL-HMWは、約1.6 dl/g~約2.4 dl/gの固有粘度のPDLを含む、実施態様64に記載のアーム。
【0277】
実施態様66 前記PDL-LMWは、約0.5 dl/g~約1.5 dl/gの固有粘度のPDLを含む、実施態様64または実施態様65に記載のアーム。
【0278】
実施態様67 前記PDL-HMWは約2 dl/gの固有粘度中点を有するPDLを含み、前記PDL-LMWは約1.5 dl/gの固有粘度中点を有するPDLを含む、実施態様64に記載のアーム。
【0279】
実施態様68 (PDL-HMW):(PDL-LMW)比が、約5:95~約95:5(重量/重量)である、実施態様64~67のいずれか一項に記載のアーム。
【0280】
実施態様69 (PDL-HMW):(PDL-LMW)比が、約2:3~約95:5(重量/重量)である、実施態様64~67のいずれか一項に記載のアーム。
【0281】
実施態様70 (PDL-HMW):(PDL-LMW)比が、約3:1~約95:5(重量/重量)である、実施態様54~67のいずれか一項に記載のアーム。
【0282】
実施態様71 (PDL-HMW):(PDL-LMW)比が、約9:1(重量/重量)である、実施態様64~67のいずれか一項に記載のアーム。
【0283】
実施態様72 前記放出速度調節フィルムは、ポリカプロラクトン(PCL)およびポリエチレングリコール(PEG)をさらに含む、実施態様64または実施態様65に記載のアーム。
【0284】
実施態様73 前記PCLはMn約80,000~Mn約200,000のPCLを含む、実施態様72に記載のアーム。
【0285】
実施態様74 前記PEGは、Mn約1,000~Mn約20,000のPEGを含む、実施態様72または73に記載のアーム。
【0286】
実施態様75 (PDL-HMW+PDL-LMW)は、重量で前記放出速度調節フィルムの約15%~約80%を構成し、前記PCLは、重量で前記放出速度調節フィルムの約15%~約75%を構成し、前記PEGは重量で前記放出速度調節フィルムの約5%~約15%を構成する、実施態様72~74のいずれか一項に記載のアーム。
【0287】
実施態様76 (PDL-HMW+PDL-LMW):PCL:PEG比が約9:27:4(重量/重量/重量)である、実施態様72~74のいずれか一項に記載のアーム。
【0288】
実施態様77 (PDL-HMW+PDL-LMW):PCL:PEG比が、約36:9:5(重量/重量/重量)である、実施態様72~74のいずれか一項に記載のアーム。
【0289】
実施態様78 前記放出速度調節フィルムは、ポロゲンを実質的に含まない、実施態様64~77のいずれか一項に記載のアーム。
【0290】
実施態様79 前記放出速度調節フィルムの添加による該アームの重量の増加が、被覆されていないアームの重量の約2%~約6%である、実施態様64~78のいずれか一項に記載のアーム。
【0291】
実施態様80 水性媒体中の該アームからの薬剤の放出速度が、少なくとも96時間にわたって実質的に直線的である、実施態様64~79のいずれか一項に記載のアーム。
【0292】
実施態様81 該アームからの薬剤の放出速度が、熱サイクルの前後で実質的に同じである、実施態様64~80のいずれか一項に記載のアーム。
【0293】
実施態様82 実施態様64~81のいずれか一項に記載のアームを含む、胃内滞留システム。
【0294】
実施態様83 実施態様64~81のいずれか一項に記載の1つ以上のアーム、および
中心弾性重合体部品を含む胃内滞留システムであって、
前記1つ以上のアームは、それぞれ、別個のリンカー部品を介して前記中心弾性重合体部品に接続され、
該胃内滞留システムは、投与中に折り畳まれて物理的に拘束されるように構成され、拘束の除去時に開いた保持形状をとるように構成され、
折り畳まれた形状と開いた保持形状との間の変化が、該胃内滞留システムが折り畳まれた形状にあるときに弾性変形を受け、胃内滞留システムが開いた保持形状をとるときに反動する弾性重合体部品によって媒介され、かつ
前記リンカーは、胃環境で分解、溶解、解離、または機械的に弱化し、保持形状の完全性を喪失し、胃腔外へ排出される、胃内滞留システム。
【0295】
実施態様84 前記放出速度調節フィルムは、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール(PEG-PPG-PEG)ブロック共重合体をさらに含む、実施態様32、51、または64のいずれか一項に記載のアーム。
【0296】
実施態様85 前記PEG-PPG-PEGブロック共重合体は、Mn約14,000~約15,000のPEG-PPG-PEGブロック共重合体を含む、実施態様84に記載のアーム。
【0297】
実施態様86 前記PEG-PPG-PEGブロック共重合体は、約75%~約90%のエチレングリコールを含む、実施態様84または実施態様85に記載のアーム。
【0298】
実施態様87 前記放出速度調節フィルムはPDLおよびPEG-PPG-PEGブロック共重合体を含み、(PDL):(PEG-PPG-PEGブロック共重合体)比が約85:15~約95:5(重量/重量)である、実施態様84~86のいずれか一項に記載のアーム。
【0299】
実施態様88 前記放出速度調節フィルムは、PDL-HMW+PDL-LMWおよびPEG-PPG-PEGブロック共重合体を含み、(PDL-HMW+PDL-LMW):(PEG-PPG-PEGブロック共重合体)比が約85:15~約95:5(重量/重量)である、実施態様84~86のいずれか一項に記載のアーム。
【0300】
実施態様89 前記放出速度調節フィルムはPCLおよびPEG-PPG-PEGブロック共重合体を含み、(PCL):(PEG-PPG-PEGブロック共重合体)比が約85:15~約95:5(重量/重量)である、実施態様84~86のいずれか一項に記載のアーム。
【0301】
実施態様90 前記放出速度調節フィルムはPDLおよびPEG-PPG-PEGブロック共重合体を含み、(PDL):(PEG-PPG-PEGブロック共重合体)比が約9:1(重量/重量)である、実施態様84~86のいずれか一項に記載のアーム。
【0302】
実施態様91 塩基放出速度調節フィルムは、PDL-HMW+PDL-LMWおよびPEG-PPG-PEGブロック共重合体を含み、(PDL-HMW+PDL-LMW):(PEG-PPG-PEGブロック共重合体)比が約9:1(重量/重量)である、実施態様84~86のいずれか一項に記載のアーム。
【0303】
実施態様92 前記放出速度調節フィルムが、PCLおよびPEG-PPG-PEGブロック共重合体を含み、(PCL):(PEG-PPG-PEGブロック共重合体)比が約9:1(重量/重量)である、実施態様84~86のいずれか一項に記載のアーム。
【0304】
実施態様93 前記放出速度調節フィルムは、ポロゲンを実質的に含まない、実施態様84~92のいずれか一項に記載のアーム。
【0305】
実施態様94 前記放出速度調節フィルムの添加による該アームの重量の増加が、被覆されていないアームの重量の約2%~約6%である、実施態様84~93のいずれか一項に記載のアーム。
【0306】
実施態様95 水性媒体中の該アームからの薬剤の放出速度が、少なくとも96時間の期間にわたって実質的に直線的である、実施態様84~94のいずれか1項に記載のアーム。
【0307】
実施態様96 該アームからの薬剤の放出速度が、熱サイクルの前後で実質的に同じである、実施態様84~95のいずれか一項に記載のアーム。
【0308】
実施態様97 実施態様84~96のいずれか一項に記載のアームを含む、胃内滞留システム。
【0309】
実施態様98 実施態様84~96のいずれか一項に記載の1つ以上のアーム、および
中心弾性重合体部品を含む胃内滞留システムであって、
前記1つ以上のアームはそれぞれ、別個のリンカー部品を介して中心弾性重合体部品に接続されており、
該胃内滞留システムは、投与中に折り畳まれて物理的に拘束されるように構成され、拘束の除去時に開いた保持形状を取るように構成され、
折り畳まれた形状と開いた保持形状との間の変化が、該該胃内滞留システムが折り畳まれた形状にあるときに弾性変形を受け、該胃内滞留システムが開いた保持形状をとるときに反動する弾性重合体部品によって媒介され、かつ
前記リンカーは、胃環境で分解、溶解、解離、または機械的に弱化し、保持形状の完全性を喪失し、胃腔外へ排出される、胃内滞留システム。
【0310】
実施態様99 前記放出速度調節フィルムは、ポリエチレングリコール(PEG)をさらに含む、実施態様32に記載のアーム。
【0311】
実施態様100 前記放出速度調節フィルムは、ポリプロピレングリコール(PPG)をさらに含む、実施態様32に記載のアーム。
【0312】
実施態様101 前記放出速度調節フィルムは、ポリエチレングリコール(PEG)およびポリプロピレングリコール(PPG)をさらに含む、実施態様32、51、または64のいずれか一項に記載のアーム。
【0313】
実施態様102 前記PDLは、重量で、前記放出速度調節フィルムの約75%~約95%を構成し、前記PEGは、重量で、前記放出速度調節フィルムの約3%~約10%を構成し、前記PPGは、重量で、前記放出速度調節フィルムの約1%~約7%を構成する、実施態様101に記載のアーム。
【0314】
実施態様103 前記放出速度調節フィルムは、PDL、PEG、およびPPGを含み、(PDL):(PEG):(PPG)比は、重量で約90:(6+2/3):(3+1/3)重量である、実施態様101に記載のアーム。
【0315】
実施態様104 前記放出速度調節フィルムは、PDL、PEG、およびPPGを含み、(PDL):(PEG):(PPG)比が重量で約27:2:1である、実施態様101に記載のアーム。
【0316】
実施態様105 前記放出速度調節フィルムは、PCL、PEG、およびPPGを含み、(PCL):(PEG):(PPG)比が重量で約27:2:1である、実施態様101に記載のアーム。
【0317】
実施態様106 前記放出速度調節フィルムは、(PDL-HMW+PDL-LMW)、PEG、およびPPGを含み、(PDL-HMW+PDL-LMW):(PEG):(PPG)比が重量で約27:2:1である、実施態様101に記載のアーム。
【0318】
実施態様107 前記PEGは、Mn約800~約1,200のPEGを含む、実施態様99または101~106のいずれか一項に記載のアーム。
【0319】
実施態様108 前記PPGは、Mn約2,500~Mn約6,000のPPGを含む、実施態様100~106のいずれか一項に記載のアーム。
【0320】
実施態様109 前記放出速度調節フィルムは、ポロゲンを実質的に含まない、実施態様99~108のいずれか一項に記載のアーム。
【0321】
実施態様110 前記放出速度調節フィルムの添加による該アームの重量の増加が、被覆されていないアームの重量の約2%~約6%である、実施態様99~109のいずれか一項に記載のアーム。
【0322】
実施態様111 水性媒体中の該アームからの薬剤の放出速度が、少なくとも96時間にわたって実質的に直線的である、実施態様99~110のいずれか一項に記載のアーム。
【0323】
実施態様112 該アームからの薬剤の放出速度が、熱サイクルの前後で実質的に同じである、実施態様99~111のいずれか一項に記載のアーム。
【0324】
実施態様113 実施態様99~112のいずれか一項に記載のアームを含む、胃内滞留システム。
【0325】
実施態様114 実施態様99~112のいずれか一項に記載の1つ以上のアーム、および
中心弾性重合体部品 を含む胃内滞留システムであって、
前記1つ以上のアームは、それぞれ、別個のリンカー部品を介して前記中心弾性重合体部品に接続され、
該胃内滞留システムは、投与中に折り畳まれて物理的に拘束されるように構成され、拘束の除去時に開いた保持形状を取るように構成され、
折り畳まれた形状と開いた保持形状との間の変化が、該該胃内滞留システムが折り畳まれた形状にあるときに弾性変形を受け、該胃内滞留システムが開いた保持形状をとるときに反動する弾性重合体部品によって媒介され、かつ
前記リンカーは、胃環境で分解、溶解、解離、または機械的に弱化し、保持形状の完全性を喪失し、胃腔外へ排出される、胃内滞留システム。
【0326】
実施態様115 胃内滞留システムで使用されるアームであって、
担持重合体、
少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩、および
該アームの表面の少なくとも一部に被覆された放出速度調節フィルムを含み、
前記放出速度調節フィルムは、ポリ-D-ラクチド-ポリカプロラクトン共重合体(PDL-PCL共重合体)を含む、アーム。
【0327】
実施態様116 PDLは、前記PDL-PCL共重合体の約15%~約90%を構成する、実施態様115に記載のアーム。
【0328】
実施態様117 PDLは、前記PDL-PCL共重合体の約15%~約35%を構成する、実施態様115に記載のアーム。
【0329】
実施態様118 PDLは、前記PDL-PCL共重合体の約70%~約90%を構成する、実施態様115に記載のアーム。
【0330】
実施態様119 前記PDL-PCL共重合体は、約0.6 dl/g~約4 dl/g、好ましくは約0.6 dl/g~約2 dl/gの固有粘度を有するPDL-PCL共重合体を含む、実施態様115~118のいずれか一項に記載のアーム。
【0331】
実施態様120 前記放出速度調節フィルムは、PEGをさらに含む、実施態様115~119のいずれか一項に記載のアーム。
【0332】
実施態様121 前記PEGは、約800~約1,200の平均分子量のPEGを含む、実施態様120に記載のアーム。
【0333】
実施態様122 前記PDL-PCL共重合体は、重量で前記放出速度調節フィルムの約75%~約95%を構成し、前記PEGは、重量で前記放出速度調節フィルムの約5%~約25%を構成する、実施態様120または実施態様121に記載のアーム。
【0334】
実施態様123 前記PDL-PCL共重合体は、重量で前記放出速度調節フィルムの約90%を構成し、前記PEGは、重量で前記放出速度調節フィルムの約10%を構成する、実施態様120または実施態様121に記載のアーム。
【0335】
実施態様124 (a) PDLは、前記PDL-PCL共重合体の約25%を構成する、あるいは
(b) PDLは、前記PDL-PCL共重合体の約80%を構成する、実施態様115に記載のアーム。
【0336】
実施態様125 前記放出速度調節フィルムは、ポロゲンを実質的に含まない、実施態様115~124のいずれか一項に記載のアーム。
【0337】
実施態様126 前記放出速度調節フィルムの添加による該アームの重量の増加が、被覆されていないアームの重量の約2%~約6%である、実施態様115~125のいずれか一項に記載のアーム。
【0338】
実施態様127 水性媒体中の該アームからの薬剤の放出速度が、少なくとも96時間の期間にわたって実質的に直線的である、実施態様115~126のいずれか一項に記載のアーム。
【0339】
実施態様128 該アームからの薬剤の放出速度が、熱サイクルの前後で実質的に同じである、実施態様115~127のいずれか一項に記載のアーム。
【0340】
実施態様129 実施態様115~128のいずれか一項に記載のアームを含む、胃内滞留システム。
【0341】
実施態様130 実施態様115~129のいずれか一項に記載の1つ以上のアーム、および
中心弾性重合体部品を含む胃内滞留システムであって、
前記1つ以上のアームは、それぞれ、別個のリンカー部品を介して前記中心弾性重合体部品に接続され、
該胃内滞留システムは、投与中に折り畳まれて物理的に拘束されるように構成され、拘束の除去時に開いた保持形状をとるように構成され、
折り畳まれた形状と開いた保持形状との間の変化が、該該胃内滞留システムが折り畳まれた形状にあるときに弾性変形を受け、該胃内滞留システムが開いた保持形状をとるときに反動する弾性重合体部品によって媒介され、かつ
前記リンカーは、胃環境で分解、溶解、解離、または機械的に弱化し、保持形状の完全性を喪失し、胃腔外へ排出される、胃内滞留システム。
【0342】
実施態様131 前記放出速度調節フィルムは、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール(PEG-PPG-PEG)ブロック共重合体をさらに含む、実施態様115~123のいずれか一項に記載のアーム。
【0343】
実施態様132 前記PEG-PPG-PEGブロック共重合体は、Mn約14,000~約15,000のPEG-PPG-PEGブロック共重合体を含む、実施態様131に記載のアーム。
【0344】
実施態様133 前記PEG-PPG-PEGブロック共重合体は、約75%~約90%のエチレングリコールを含む、実施態様131または実施態様132に記載のアーム。
【0345】
実施態様134 (PDL-PCL共重合体):(PEG-PPG-PEGブロック共重合体)比が、約85:15~約95:5(重量/重量)である、実施態様131~133のいずれか一項に記載のアーム。
【0346】
実施態様135 (PDL-PCL共重合体):(PEG-PPG-PEGブロック共重合体)比が、約9:1(重量/重量)である、実施態様131~133のいずれか一項に記載のアーム。
【0347】
実施態様136 (a) PDLは、前記PDL-PCL共重合体の約25%を構成する、あるいは
(b) PDLは、前記PDL-PCL共重合体の約80%~約90%を構成する、実施態様131~135のいずれか一項に記載のアーム。
【0348】
実施態様137 前記放出速度調節フィルムは、ポロゲンを実質的に含まない、実施態様131~136のいずれか一項に記載のアーム。
【0349】
実施態様138 前記放出速度調節フィルムの添加による該アームの重量の増加が、被覆されていないアームの重量の約2%~約6%である、実施態様131~137のいずれか一項に記載のアーム。
【0350】
実施態様139 水性媒体中の該アームからの薬剤の放出速度が、少なくとも96時間の期間にわたって実質的に直線的である、実施態様131~138のいずれか一項に記載のアーム。
【0351】
実施態様140 該アームからの薬剤の放出速度が、熱サイクルの前後で実質的に同じである、実施態様131~139のいずれか一項に記載のアーム。
【0352】
実施態様141 実施態様131~140のいずれか一項に記載のアームを含む、胃内滞留システム。
【0353】
実施態様142 実施態様131~140のいずれか一項に記載の1つ以上のアーム、および
中心弾性重合体部品を含む胃内滞留システムであって、
前記1つ以上のアームは、それぞれ、別個のリンカー部品を介して前記中心弾性重合体部品に接続されており、
該胃内滞留システムは、投与中に折り畳まれて物理的に拘束されるように構成され、拘束の除去時に開いた保持形状を取るように構成され、
折り畳まれた形状と開いた保持形状との間の変化が、該該胃内滞留システムが折り畳まれた形状にあるときに弾性変形を受け、該胃内滞留システムが開いた保持形状をとるときに反動する弾性重合体部品によって媒介され、かつ
前記リンカーは、胃環境で分解、溶解、解離、または機械的に弱化し、保持形状の完全性を喪失し、胃腔外へ排出される、胃内滞留システム。
【0354】
実施態様143 前記放出速度調節フィルムはパンコーティングによって塗布される、実施態様1~142のいずれか一項に記載のアームまたは胃内滞留システム。
【0355】
実施態様144 前記放出速度調節フィルムはディップコーティングによって塗布される、実施態様1~142のいずれか一項に記載のアームまたは胃内滞留システム。
【0356】
実施態様145 前記少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩は、薬物、プロドラッグ、生物学的製剤、スタチン、ロスバスタチン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、メロキシカム、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSR)、エスシタロプラム、シタロプラム、血液サラサラ薬、クロピドグレル、ステロイド剤、プレドニゾン、抗精神病薬、アリピプラゾール、リスペリドン、鎮痛剤、ブプレノルフィン、オピオイド拮抗剤、ナロキソン、抗喘息剤、モンテルカスト、抗認知症剤、メマンチン、心配糖体、ジゴキシン、αブロッカー、タムスロシン、コレステロール吸収阻害剤、エゼチミブ、痛風治療薬、コルヒチン、抗ヒスタミン薬、ロラタジン、セチリジン、オピオイド、ロペラミド、プロトンポンプ阻害薬、オメプラゾール、抗ウイルス剤、エンテカビル、抗生物質、ドキシサイクリン、シプロフロキサシン、アジスロマイシン、抗マラリア薬、レボチロキシン、物質乱用治療薬、メタドン、バレニクリン、避妊薬、興奮剤、カフェイン、栄養素、葉酸、カルシウム、ヨウ素、鉄、亜鉛、チアミン、ナイアシン、ビタミンC、ビタミンD、ビオチン、植物エキス、植物ホルモン、ビタミン類、ミネラル類、タンパク質、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ホルモン、抗炎症剤、解熱剤、抗うつ剤、抗てんかん剤、抗精神病剤、神経保護剤、抗増殖剤、抗がん剤、抗偏頭痛剤、プロスタグランジン、抗菌剤、抗真菌剤、抗寄生虫剤、抗ムスカリン剤、抗不安剤、静菌剤、免疫抑制剤、鎮静剤、催眠剤、気管支拡張剤、心臓血管薬、麻酔剤、抗凝固剤。酵素阻害剤、副腎皮質ホルモン、ドーパミン作動性、電解質、胃腸薬、筋弛緩剤、副交感神経刺激剤、抗不整脈薬、キニーネ、ルメファントリン、クロロキン、アモジアキン、ピリメタミン、プログアニル、クロルプログアニル-ダプソン、スルホンアミド、スルファドキシン、スルファメトキシピリダジン、メフロキン、アトバコン、プリマキン、ハロファントリン、ドキシサイクリン、クリンダマイシン、アルテミシン、アルテミシン誘導体、アルテムテル、ジヒドロアルテミシン、アルテテル、またはアーデスネートのうちの1種以上を含む、実施態様1~144のいずれか一項に記載のアームまたは胃内滞留システム。
【0357】
実施態様146 前記少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩はメマンチンを含む、実施態様1~144のいずれか一項に記載のアームまたは胃内滞留システム。
【0358】
実施態様147 前記少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩は、ドネペジルを含む、実施態様1~144のいずれか一項に記載のアームまたは胃内滞留システム。
【0359】
実施態様148 前記少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩は、メマンチンおよびドネペジルを含む、実施態様1~144のいずれか一項に記載のアームまたは胃内滞留システム。
【0360】
実施態様149 前記少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩は、リスペリドンを含む、実施態様1~144のいずれか一項に記載のアームまたは胃内滞留システム。
【0361】
実施態様150 前記少なくとも1種の薬剤またはその薬学的に許容される塩は、ダパグリフロジンを含む、実施態様1~144のいずれか一項に記載のアームまたは胃内滞留システム。
【0362】
本明細書で識別引用されるすべての出版物、特許、特許出願、および公開特許出願の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。ユニフォーム・リソース・ロケータ(URL)の先頭に "World-Wide-Web "を使用したWebサイトの参照は、"World-Wide-Web "を "www "に置き換えることによりアクセスすることができる。
【0363】
前述の発明は、理解を明確にする目的で、例示および実施例によりある程度詳細に説明されているが、特定の変更および修正が実施されることは、当業者には明らかである。従って、説明および実施例は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【国際調査報告】