(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(54)【発明の名称】監視及び/又は治療のための皮下デバイス
(51)【国際特許分類】
A61N 1/39 20060101AFI20221221BHJP
A61N 1/05 20060101ALI20221221BHJP
A61N 1/365 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
A61N1/39
A61N1/05
A61N1/365
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022526733
(86)(22)【出願日】2020-11-09
(85)【翻訳文提出日】2022-06-01
(86)【国際出願番号】 US2020059733
(87)【国際公開番号】W WO2021096816
(87)【国際公開日】2021-05-20
(32)【優先日】2019-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521497822
【氏名又は名称】マニカ インスティテュート リミティッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Manicka Institute LLC
【住所又は居所原語表記】10544 Hawthorn Trail, Woodbury, MN 55129 US
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】マニカ, ヤシーンダー, ディー.
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053CC02
4C053JJ13
4C053JJ23
4C053KK02
(57)【要約】
皮下に埋め込み可能なデバイスは、筋肉、骨及び/又は第1の組織に皮下に埋め込み可能なデバイスを固定するように構成されたクリップと、クリップに取り付けられた近位端及びクリップから離れて延び臓器、神経及び/又は第2の組織に接触するように構成された遠位端を有する第1のプロングと、を含む。第1のプロング上の第1の電極は、臓器、神経及び/又は第2の組織に接触するように構成される。第1の電極に導電的に接続されたワイヤは、外部デバイスに接続されるように構成され、外部デバイスは、皮下に埋め込み可能なデバイスを当該外部デバイスに電気的に接続するために、患者の身体の外部に配置される。
【選択図】
図39A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前記皮下に埋め込み可能なデバイスを筋肉、骨及び/又は第1の組織に固定するように構成されたクリップと、
前記クリップに取り付けられた近位端と、前記クリップから離れて延び、臓器、神経及び/又は第2の組織に接触するように構成された遠位端とを有するプロングと、
前記臓器、前記神経及び/又は前記第2の組織に接触するように構成された前記第1のプロング上の第1の電極と、
前記第1の電極に導電的に接続されると共に、前記皮下に埋め込み可能なデバイスを外部デバイスに電気的に接続するために患者の身体の外部に配置された前記外部デバイスに接続されるように構成されたワイヤと、
を備える、皮下に埋め込み可能なデバイス。
【請求項2】
前記クリップは、前記デバイスを患者の剣状突起及び/又は胸骨に取り付けるように構成される、請求項1に記載の皮下に埋め込み可能なデバイス。
【請求項3】
前記クリップは、
上部と、
底部と、
前記上部と前記底部との間に延び、前記上部を前記底部に接続するスプリング部と、
を更に備え、
前記スプリング部は湾曲しており、前記クリップは前記クリップの前記上部を前記クリップが固定される前記骨、前記筋肉及び/又は前記第1の組織に押し付けるためのスプリングとして作用するように構成される、請求項1に記載の皮下に埋め込み可能なデバイス。
【請求項4】
前記第1のプロングの前記近位端は、前記クリップの溝内に配置され取り付けられる、請求項1に記載の皮下に埋め込み可能なデバイス。
【請求項5】
前記第1のプロングは、
前記第1のプロングの前記近位端上のベース部と、
前記ベース部から離れて延びるアーム部と、
前記アーム部から延び前記第1のプロングの前記遠位端で終端する接触部と、
を備える、請求項1に記載の皮下に埋め込み可能なデバイス。
【請求項6】
前記第1のプロングの前記ベース部は、前記クリップに取り付けられる、請求項5に記載の皮下に埋め込み可能なデバイス。
【請求項7】
管腔が前記第1のプロングを通って延び、前記ワイヤは前記第1の電極から前記管腔を通り前記第1のプロングの前記近位端の開口から外へ延びる、請求項5に記載の皮下に埋め込み可能なデバイス。
【請求項8】
前記第1の電極は、前記第1のプロングの前記接触部上に配置される、請求項5に記載の皮下に埋め込み可能なデバイス。
【請求項9】
前記第1のプロングは、前記心臓の右心室、前記心臓の左心室、前記心臓の右心房又は前記心臓の左心房に接触するように構成される、請求項1に記載の皮下に埋め込み可能なデバイス。
【請求項10】
前記ワイヤは、前記第1の電極を前記外部デバイスに電気的に接続する、請求項1に記載の皮下に埋め込み可能なデバイス。
【請求項11】
前記臓器、前記神経及び/又は前記第2の組織に接触するように構成された、前記第1のプロング上の第2の電極を更に備える、請求項1に記載の皮下に埋め込み可能なデバイス。
【請求項12】
前記ワイヤは、前記第2の電極を前記外部デバイスに電気的に接続するために、前記第2の電極に導電的に接続される、請求項11に記載の皮下に埋め込み可能なデバイス。
【請求項13】
前記第1のプロングの前記遠位端は心臓に接触するように構成され、
前記クリップに取り付けられた近位端と、前記クリップから離れて延び前記心臓の下に配置されるように構成された遠位端とを有する第2のプロングと、
前記第2のプロングの前記遠位端上の除細動器コイルと、
を更に備える、請求項1に記載の皮下に埋め込み可能なデバイス。
【請求項14】
前記除細動器コイルは前記第1の電極と共に第1のベクトルを生成し、前記第1のベクトルは前記心臓を通過する、請求項13に記載の皮下に埋め込み可能なデバイス。
【請求項15】
システムであって、
前記皮下に埋め込み可能なデバイスを筋肉、骨及び/又は第1の組織に固定するように構成されたクリップと、
前記クリップに取り付けられた近位端と、前記クリップから離れて延び心臓に接触するように構成された遠位端とを有する第1のプロングと、
前記心臓に接触するように構成された、前記第1のプロング上の第1の電極と、
前記第1の電極に導電的に接続されたワイヤと、
患者の身体の外部に配置された外部デバイスと、
を備える皮下に埋め込み可能なデバイスを備え、
前記ワイヤは、前記皮下に埋め込み可能なデバイスを前記外部デバイスに電気的に接続するために、前記外部デバイスに電気的に接続される、システム。
【請求項16】
前記クリップは、前記デバイスを患者の剣状突起及び/又は胸骨に取り付けるように構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記クリップは、
上部と、
底部と、
前記上部と前記底部との間に延び、前記上部を前記底部に接続するスプリング部と、
を更に備え、
前記スプリング部は湾曲しており、前記クリップが前記クリップの前記上部を前記クリップが固定される前記骨、前記筋肉及び/又は前記第1の組織に押し付けるためのスプリングとして作用するように構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記外部デバイスは、
前記第1の電極と電気的に連通しており、前記第1の電極を介して前記心臓からの電気信号を感知するように構成された、感知回路と、
前記第1の電極と電気的に連通し、前記第1の電極を介して前記心臓に電気刺激を送達するように構成された、前記ハウジング内の治療回路と、
を更に備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記皮下に埋め込み可能なデバイスは、
前記心臓に接触するように構成された、前記第1のプロング上の第2の電極、
を更に備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記外部デバイスは、
前記第1の電極及び前記第2の電極と電気的に連通しており、前記第1の電極及び/又は前記第2の電極を介して前記心臓からの電気信号を感知するように構成された、感知回路と、
前記第1の電極及び前記第2の電極と電気的に連通し、前記第1の電極及び/又は前記第2の電極を介して前記心臓に電気刺激を送達するように構成された、前記ハウジング内の治療回路と、
を更に備える、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記皮下に埋め込み可能なデバイスは、
前記クリップに取り付けられた近位端と、前記クリップから離れて延び前記心臓の下に配置されるように構成された遠位端とを有する第2のプロングと、
前記第2のプロングの前記遠位端上の除細動器コイルと、
を更に備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項22】
前記外部デバイスは、
前記第1の電極と電気的に連通しており、前記第1の電極を介して前記心臓からの電気信号を感知するように構成された、感知回路と、
前記第1の除細動器コイル及び前記第1の電極と電気的に連通しており、前記第1の除細動器コイルを介して前記心臓にショックを送達するように構成された、前記ハウジング内の治療回路と、
を更に備え、
前記除細動器コイルは前記第1の電極と共に第1のベクトルを生成し、前記第1のベクトルは前記心臓を通過する、請求項21に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、2019年11月11日に出願された「監視及び/又は治療のための皮下デバイス」という名称の米国特許出願第16/680,375号の優先権を主張する。当該出願は、2018年7月31日に出願された「監視及び/又は治療のための皮下デバイス」という名称の米国特許出願第16/051,451号の一部継続出願である。両出願の開示は、その全体が参照により組み込まれる。
この出願は、2018年7月31日に出願された「皮下デバイス」という名称の米国特許出願第16/051,410号に関連し、その開示は、その全体が参照により組み込まれる。
この出願は、2018年7月31日に出願された「注入可能な皮下デバイス」という名称の米国特許出願第16/051,446号に関連し、その開示は、その全体が参照により組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、埋め込み型医療機器、特に皮下デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
埋め込み型医療機器は、体内に埋め込まれる医療機器を含む。埋め込み型医療機器の例は、とりわけ、心臓モニタ、ペースメーカ及び埋め込み型除細動器を含み得る。これらの埋め込み型医療機器は、身体から信号を受信し、それらを診断目的のために使用することができる。これらの埋め込み型医療機器は、電気刺激を伝達したり、あるいは、治療目的のために薬剤を身体に送達したりすることもできる。例えば、ペースメーカは、患者の心拍数を感知し、心臓の拍動が速すぎるか遅すぎるかを判定し、心臓の種々の心腔を速めたり遅くしたりするために電気刺激を心臓に伝達することができる。埋め込み型除細動器は、患者の心拍数を感知し、律動不整を検出し、電気ショックを患者に伝達することができる。
【0004】
従来から、心臓モニタ、ペースメーカ及び埋め込み型除細動器は、電気回路を収容するハウジングを含む。リード線の近位端はハウジングに接続され、リード線の遠位端は心臓の内部又はその上に配置される。リード線の遠位端は、信号を受信及び送信することができる電極を含む。心臓モニタ、ペースメーカ及び埋め込み型除細動器のような埋め込み型医療機器は、通常、当該医療機器を体内に埋め込むための侵襲的手術を必要とする。
【発明の概要】
【0005】
皮下に埋め込み可能なデバイスは、筋肉、骨及び/又は第1の組織に皮下に埋め込み可能なデバイスを固定するように構成されたクリップと、クリップに取り付けられた近位端及びクリップから離れて延び臓器、神経及び/又は第2の組織に接触するように構成された遠位端を有する第1のプロングと、を含む。第1のプロング上の第1の電極は、臓器、神経及び/又は第2の組織に接触するように構成される。第1の電極に導電的に接続されたワイヤは、外部デバイスに接続されるように構成され、外部デバイスは、皮下に埋め込み可能なデバイスを当該外部デバイスに電気的に接続するために、患者の身体の外部に配置される。
【0006】
システムは、皮下に埋め込み可能なデバイスと、患者の身体の外部に配置された外部デバイスと、を含む。皮下に埋め込み可能なデバイスは、筋肉、骨及び/又は第1の組織に皮下に埋め込み可能なデバイスを固定するように構成されたクリップと、クリップに取り付けられた近位端及びクリップから離れて延び心臓に接触するように構成された遠位端を有する第1のプロングと、を含む。第1のプロング上の第1の電極は心臓に接触するように構成され、ワイヤは第1の電極に導電的に接続される。ワイヤは、皮下に埋め込み可能なデバイスを外部デバイスに電気的に接続するために、当該外部デバイスに電気的に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
(皮下デバイス100)
【
図1】皮下デバイスの第1の実施形態の斜視図である。
【
図2】構造的身体構成要素に固定された皮下デバイスの第1の実施形態の側面図である。
【
図3A】皮下デバイスの第1の実施形態のハウジングの側面図である。
【
図3B】皮下デバイスの第1の実施形態のハウジングの上面図である。
【
図3C】皮下デバイスの第1の実施形態のハウジングの底面図である。
【
図3D】皮下デバイスの第1の実施形態のハウジングの後面図である。
【
図3E】
図3Dの線3E-3Eに沿った、皮下デバイスの第1の実施形態のハウジングの断面図である。
【
図4A】皮下デバイスの第1の実施形態のクリップの上面図である。
【
図4B】皮下デバイスの第1の実施形態のクリップの底面図である。
【
図4C】皮下デバイスの第1の実施形態のクリップの側面図である。
【
図4D】皮下デバイスの第1の実施形態のクリップの正面図である。
【
図4E】皮下デバイスの第1の実施形態のクリップの後面図である。
【
図5A】皮下デバイスの第1の実施形態のプロングの側面図である。
【
図5B】皮下デバイスの第1の実施形態のプロングの上面図である。
【
図6A】皮下デバイスの第1の実施形態の側面図である。
【
図6B】皮下デバイスの第1の実施形態の上面図である。
【
図6C】皮下デバイスの第1の実施形態の底面図である。
【
図6D】皮下デバイスの第1の実施形態の後面図である。
【
図6E】皮下デバイスの第1の実施形態の正面図である。
【
図7】皮下デバイスの第1の実施形態の機能ブロック図である。
【
図8】剣状突起及び胸骨の上に配置された皮下デバイスの第1の実施形態の斜視図である。
【
図9A】剣状突起及び胸骨の上に配置された皮下デバイスの第1の実施形態の斜視図であり、心臓上におけるプロングの配置を示している。
【
図9B】剣状突起及び胸骨の上に配置された皮下デバイスの第1の実施形態の破断正面図であり、心臓上におけるプロングの配置を示している。
【
図9C】剣状突起及び胸骨の上に配置された皮下デバイスの第1の実施形態の破断斜視図であり、心臓上におけるプロングの配置を示している。(外科用器具200)
【
図10A】第1の位置にある外科用器具の斜視図である。
【
図10B】第1の位置にある外科用器具の断面図である。
【
図14A】第2の位置にある外科用器具の斜視図である。
【
図14B】第2の位置にある外科用器具の断面図である。(方法300)
【
図15】外科用器具を用いて皮下デバイスの第1の実施形態を埋め込むための方法を示すフローチャートである。
【
図16A】外科用器具内の第1の位置にある皮下デバイスの第1の実施形態の斜視図である。
【
図16B】外科用器具内の第1の位置にある皮下デバイスの第1の実施形態の断面図である。
【
図17A】皮下デバイスが埋め込まれているときの、外科用器具内の第2の位置にある皮下デバイスの第1の実施形態の斜視図である。
【
図17B】皮下デバイスが埋め込まれているときの、外科用器具内の第2の位置にある皮下デバイスの第1の実施形態の断面図である。
【
図17C】皮下デバイスが埋め込まれているときの、外科用器具内の第2の位置にある皮下デバイスの第1の実施形態の断面図である。
【
図18A】皮下デバイスが埋め込まれているときの、外科用器具内の第3の位置にある皮下デバイスの第1の実施形態の斜視図である。
【
図18B】皮下デバイスが埋め込まれているときの、外科用器具内の第3の位置にある皮下デバイスの第1の実施形態の断面図である。
【
図19】外科用器具から展開された後の皮下デバイスの第1の実施形態の斜視図である。(皮下デバイス400)
【
図20】皮下デバイスの第2の実施形態の斜視図である。(皮下デバイス500)
【
図21A】皮下デバイスの第3の実施形態の斜視図である。
【
図21B】皮下デバイスの第3の実施形態の側面図である。(皮下デバイス600)
【
図22A】皮下デバイスの第4の実施形態の斜視図である。
【
図22B】皮下デバイスの第4の実施形態の上面図である。
【
図22C】皮下デバイスの第4の実施形態の底面図である。
【
図22D】皮下デバイスの第4の実施形態の側面図である。
【
図22E】皮下デバイスの第4の実施形態の後面図である。
【
図23A】剣状突起及び胸骨の上に配置された皮下デバイスの第4の実施形態の斜視図であり、肺上におけるプロングの配置を示している。
【
図23B】剣状突起及び胸骨の上に配置された皮下デバイスの第4の実施形態の正面図であり、肺上におけるプロングの配置を示している。
【
図23C】剣状突起及び胸骨の上に配置された皮下デバイスの第4の実施形態の側面図であり、肺上におけるプロングの配置を示している。(皮下デバイス700)
【
図24A】皮下デバイスの第5の実施形態の上面図である。
【
図24B】皮下デバイスの第5の実施形態の底面図である。
【
図24C】皮下デバイスの第5の実施形態の側面図である。
【
図24D】皮下デバイスの第5の実施形態の正面図である。
【
図25A】剣状突起及び胸骨の上に配置された皮下デバイスの第5の実施形態の正面図であり、心臓の周りにおけるプロングの配置を示している。
【
図25B】剣状突起及び胸骨の上に配置された皮下デバイスの第5の実施形態の斜視図であり、心臓の周りにおけるプロングの配置を示している。(皮下デバイス800)
【
図26】皮下デバイスの第6の実施形態の斜視図である。(皮下デバイス900)
【
図27】皮下デバイスの第7の実施形態の斜視図である。
【
図28】剣状突起及び胸骨上に配置された皮下デバイスの第7の実施形態の破断斜視図であり、心臓上におけるプロングの配置を示している。(皮下デバイス1000)
【
図29】皮下デバイスの第8の実施形態の斜視図である。(皮下デバイス1100)
【
図30】皮下デバイスの第9の実施形態の斜視図である。(皮下デバイス1200)
【
図31A】皮下デバイスの第10の実施形態の斜視図である。
【
図31B】皮下デバイスの第10の実施形態の側面図である。
【
図31C】皮下デバイスの第10の実施形態の上面図である。
【
図31D】皮下デバイスの第10の実施形態の正面図である。
【
図31E】皮下デバイスの第10の実施形態の後面図である。
【
図32A】剣状突起及び胸骨の上に配置された皮下デバイスの第10の実施形態の破断斜視図であり、心臓上におけるプロングの配置を示している。
【
図32B】剣状突起及び胸骨の上に配置された皮下デバイスの第10の実施形態の破断正面図であり、心臓上におけるプロングの配置を示している。
【
図32C】剣状突起及び胸骨の上に配置された皮下デバイスの第10の実施形態の破断正面図であり、心臓上におけるプロングの配置を示している。(皮下デバイス1300)
【
図33】皮下デバイスの第11の実施形態の斜視図である。(皮下デバイス1400)
【
図34A】皮下デバイスの第12の実施形態の斜視図である。
【
図34B】皮下デバイスの第12の実施形態の斜視図である。
【
図34C】皮下デバイスの第12の実施形態の側面図である。(皮下デバイス1500)
【
図35A】皮下デバイスの第13の実施形態の斜視図である。
【
図35B】皮下デバイスの第13の実施形態の斜視図である。
【
図35C】皮下デバイスの第13の実施形態の底面図である。
【
図35D】皮下デバイスの第13の実施形態の側面図である。
【
図35E】皮下デバイスの第13の実施形態の後面図である。
【
図35F】皮下デバイスの第13の実施形態の正面図である。
【
図36A】皮下デバイスの第13の実施形態の概略図である。
【
図36B】皮下デバイスの第13の実施形態の一部を側方から示す断面図である。
【
図36C】皮下デバイスの第13の実施形態の一部を下方から示す断面図である。
【
図37】剣状突起及びの胸骨上に配置された皮下デバイスの第13の実施形態の斜視図である。(皮下デバイス1600)
【
図38】構造的身体構成要素に固定された皮下デバイスの第14の実施形態の側面図である。
【
図39A】皮下デバイスの第14の実施形態の斜視図である。
【
図39B】皮下デバイスの第14の実施形態の側面図である。
【
図39C】皮下デバイスの第14の実施形態のクリップ及びプロングの後面図である。
【
図40】剣状突起及び/又は胸骨に固定された皮下デバイスの第14の実施形態の側面図である。(皮下デバイス1700)
【
図41】構造的身体構成要素に固定された皮下デバイスの第15の実施形態の側面図である。(皮下デバイス1800)
【
図42A】皮下デバイスの第16の実施形態の斜視図である。
【
図42B】皮下デバイスの第16の実施形態のクリップ、第1のプロング及び第2のプロングの後面図である。
【
図43】剣状突起及び/又は胸骨に固定された皮下デバイスの第16の実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
一般に、本開示は、監視、診断及び治療の目的のために患者に注入され得る皮下デバイスに関する。皮下デバイスは、当該皮下デバイスの電気回路を収容するハウジングと、ハウジングの上面上のクリップと、ハウジングから離れるように延びる1つ以上のプロングとを含む。クリップは、皮下デバイスを筋肉、骨又は組織に取り付け、固定するように構成される。プロングはハウジングから離れるように延び、プロングの遠位端は、皮下デバイスから離れた臓器、神経又は組織と接触する。
【0009】
皮下デバイスは、監視デバイス、診断デバイス、ペースメーカ、埋め込み型除細動器、一般的な臓器/神経/組織刺激器、及び/又は、薬剤送達デバイスであり得る。監視デバイスは、患者の生理学的パラメータを監視することができる。診断デバイスは、診断目的のために患者の生理学的パラメータを測定することができる。ペースメーカ及び埋め込み型除細動器は、患者の心拍数を感知し、異常が検出された場合、患者の心臓に治療用電気刺激を与えることができる。ペースメーカは、徐脈、頻脈、心房粗動及び心房細動のような不整脈に反応して、心臓に電気刺激を与える。ペースメーカによって与えられる電気刺激は、患者の心拍数を調節するために心筋を収縮させる。埋め込み型除細動器は、いずれも心臓突然死を引き起こす可能性のある心室細動及び心室頻拍に反応して、心臓に電気刺激を与える。埋め込み型除細動器は、電気的除細動又は除細動を患者の心臓に与える。電気的除細動は、患者の心拍数を回復するために、心臓周期と同期した特定の瞬間に心臓に電気刺激を与えることを含む。電気的除細動は、心室頻拍が検出された場合に、患者の心拍数を回復させるために使用することができる。心室細動が検出された場合は、除細動が必要である。除細動は、患者の心拍数を回復するために、心臓周期における適切な瞬間に心臓に大きな電気刺激を与えることを含む。埋め込み型除細動器は、患者の心臓の複数の心腔にペーシングを与えることもできる。一般的な臓器/神経/組織刺激器は、治療目的で患者の臓器、神経又は組織に電気刺激を与えることができる。薬剤送達デバイスは、患者の臓器、神経又は組織に、標的治療薬剤又は全身治療薬剤を提供することができる。
【0010】
本開示に記載される皮下デバイスは、いくつかの実施形態において、患者の剣状突起及び/又は患者の胸骨の遠位端に固定され得る。剣状突起は、胸骨の下部の突起である。出生時、剣状突起は軟骨突起である。剣状突起は経時的に骨化し、線維性連結を伴って胸骨に融合する。皮下デバイスは、当該皮下デバイスのハウジングが剣状突起及び胸骨の下に配置されるように、剣状突起に固定され得る。一部の患者では、剣状突起が欠損しており、小さく、狭く又は引き伸ばされている。そのような場合、皮下デバイスは、患者の胸骨の遠位端に直接的に取り付けられ得る。皮下デバイスが剣状突起及び/又は胸骨に固定されると、皮下デバイスの1つ以上のプロングが前縦隔内へ延びる。
【0011】
皮下デバイスの様々な実施形態を、以下で詳細に説明する。皮下デバイスの様々な実施形態は、以下を含み得る:シングルプロング心臓モニタリングデバイス、マルチプロング心臓モニタリングデバイス、肺モニタリングデバイス、単腔ペースメーカ、二腔ペースメーカ、三腔ペースメーカ、心房除細動器、シングルベクトル心室除細動器、マルチベクトル心室除細動器、及び、埋め込み型薬剤ポンプ及び/又は薬剤送達デバイスこれらの実施形態は例として含まれており、限定することを意図していない。皮下デバイスは、任意の適切な設計を有することができ、他の実施形態では任意の適切な目的のために使用することができる。各実施形態の特徴は、明示的な別段の開示がない限り、任意の他の実施形態の特徴と組み合わされ及び/又は置換され得る。更に、実施形態の多くは、複数の目的のために使用することができる。例えば、除細動器デバイスは、監視及びペーシングのために使用することもできる。皮下デバイスを患者の体内に埋め込むための外科用器具及び方法も説明する。
【0012】
(皮下デバイス100)
図1は、皮下デバイス100の斜視図である。
図2は、構造的身体構成要素Aに固定された皮下デバイス100の側面図である。皮下デバイス100は、ハウジング102、クリップ104及びプロング106を含む。
図2は、構造的身体構成要素A及び遠隔身体構成要素Bを示す。
【0013】
皮下デバイス100は、構造的身体構成要素Aに固定される医療機器である。構造的身体構成要素Aは、患者の筋肉、骨又は組織であり得る。皮下デバイス100は、監視デバイス、診断デバイス、治療デバイス又はそれらの任意の組み合わせであり得る。例えば、皮下デバイス100は、患者の心拍数を監視し、患者の心臓の不整脈を診断し、患者の心臓に治療用電気刺激を与えることができるペースメーカデバイスであり得る。皮下デバイス100はハウジング102を含む。ハウジング102は、電源、コントローラ、メモリ、トランシーバ、センサ、感知回路、治療回路、及び/又は、医療機器の任意の他の構成要素を収容することができる。ハウジング102はまた、ハウジング102を取り囲む組織の電気的活動又は生理学的パラメータを感知することができ、及び/又は、ハウジング102を取り囲む組織に治療用電気刺激を与えることができる、1つ以上の電極を含み得る。
【0014】
クリップ104はハウジング102に取り付けられる。クリップ104は、皮下デバイス100を構造的身体構成要素Aに固定するように構成される。クリップ104は、構造的身体構成要素Aの周りで前進させられるにつれて拡張する。クリップ104は、受動クリップ又は能動クリップであり得る。受動クリップは、骨、筋肉又は組織に取り付けるために、クランプ構成要素の剛性のみを使用する。この剛性は、設計又は埋め込み処置中の能動的クリンピングの結果であり得る。能動クリップは、クリップを骨、筋肉又は組織に固定するために、縫合糸、歯(tines)、ピン又はスクリューのような能動的な固定方法を付加的に使用してもよい。
図1~2に示された実施形態において、クリップ104は、拡張されて構造的身体構成要素Aに取り付けられる際に、構造的身体構成要素Aにテンションをかけるバネ付勢を有する。クリップ104のバネ付勢によって、皮下デバイス100は構造的身体構成要素Aに固定される。クリップ104は、クリップ104を取り囲む組織の電気的活動又は生理学的パラメータを感知することができ、及び/又は、クリップ104を取り囲む組織に治療用電気刺激を与えることができる、1つ以上の電極を含み得る。
【0015】
プロング106は、皮下デバイス100のハウジング102に接続され、そこから離れるように延びる。プロング106は、構造的身体構成要素Aから離れて配置された遠隔身体構成要素Bと接触するように構成される。遠隔身体構成要素Bは、患者の臓器、神経又は組織であり得る。例えば、遠隔身体構成要素Bは、心臓、肺又は体内の任意の他の適切な臓器を含み得る。プロング106は、遠隔身体構成要素Bの電気的活動又は生理学的パラメータを感知することができ、及び/又は、遠隔身体構成要素Bに治療用電気刺激を与えることができる、1つ以上の電極を含む。
【0016】
一例において、皮下デバイス100はペースメーカであることができ、皮下デバイス100のプロング106上の1つ以上の電極は、心臓の電気的活動を感知することができる。感知された電気的活動は、皮下デバイス100のハウジング102内の感知回路及びコントローラに伝達され得る。コントローラは患者の心拍数を決定することができ、不整脈があるかどうかを検出することができる。不整脈が検出された場合、コントローラは、心臓に治療用電気刺激を与えるために、治療回路に命令を送ることができる。このように、皮下デバイス100は、監視デバイス、診断デバイス及び治療デバイスとして機能する。
【0017】
皮下デバイス100を、以下の
図3A~9との関連で、より詳細に説明する。皮下デバイス100は、以下の
図3A~9の説明において、監視、診断及び治療のために使用され得るペースメーカとして説明される。皮下デバイス100はまた、代替的な実施形態において、監視、診断、又は、これら2つの組み合わせのためにのみ使用され得る。更に、皮下デバイス100は、単極ペースメーカ又は双極ペースメーカであり得る。
【0018】
図3Aは、皮下デバイス100のハウジング102の側面図である。
図3Bは、皮下デバイス100のハウジング102の上面図である。
図3Cは、皮下デバイス100のハウジング102の底面図である。
図3Dは、皮下デバイス100のハウジング102の後面図である。
図3Eは、皮下デバイス100のハウジング102の断面図である。ハウジング102は、第1の面110、第2の面112、上面114、底面116、前端118、後端120、曲面122、凹部124、ポート126、チャネル128、第1のガイド130、第2のガイド132、電極134及び電極136を含む。
【0019】
ハウジング102は、第1の面110、第2の面112、上面114、底面116、前端118及び後端120を含む。第1の面110は、第2の面112の反対側であり;上面114は底面116の反対側であり;前端118は後端120の反対側である。ハウジング102は、図示された実施形態では実質的に長方形である。代替の実施形態において、ハウジング102は円錐、錐台又は円筒として成形され得る。ハウジング102は、ステンレス鋼、チタン、ニチノール、エポキシ、シリコーン、金属補強材を有するポリウレタン、又は、非多孔インプラントに適した任意の他の材料から製作され得る。ハウジング102はまた、外部コーティングを含むことができる。曲面122は、ハウジング102の前端118に隣接してハウジング102の上面114に配置される。曲面122は、皮下デバイス100のハウジング102の先細りの前端118を作り出す。代替の実施形態において、ハウジング102の前端118は楔形であり得る。ハウジング102の先細りの前端118は、ハウジング102の前端118が患者の体内の組織を通って押し進むのを助け、埋め込み又は注入プロセス中に皮下デバイス100をより容易に前進させることを可能とする。
【0020】
ハウジング102は、上面114に凹部124を含む。凹部124は、ハウジング102の後端120に隣接してハウジング102の上面114上でハウジング102内に延びる溝である。皮下デバイス100(
図1~2に示す)のクリップ104の一部は、クリップ104をハウジング102に取り付けるために凹部124内に配置される。代替の実施形態において、凹部124がハウジング102上に含まれなくてもよく、クリップ104はハウジング102の上面114に溶接され又はヘッダに接続されてもよい。ハウジング102は、更に、後端120にポート126含む。ポート126は、ハウジング102の後端120でハウジング102内に延びる穴である。皮下デバイス100(
図1~2に示す)のプロング106の近位端は、プロング106をハウジング102に取り付けるためにポート126内に配置される。代替の実施形態において、ポート126はヘッダ内に配置され得る。ハウジング102はまた、後端120及び底面116にチャネル128を含む。チャネル128は、ハウジング102の後端120及び底面116でハウジング102内に延びる溝である。チャネル128は、皮下デバイス100が収容位置にあるとき、皮下デバイス100(
図1~2に示す)のプロング106の一部を受容するように構成される。
【0021】
ハウジング102はまた、第1の面110上に第1のガイド130を含み、第2の面112上に第2のガイド132を含む。第1のガイド130は、ハウジング102の第1の面110から外へ延びる突起部である。第2のガイド132は、ハウジング102の第2の面112から外へ延びる突起部である。第1のガイド130及び第2のガイド132は、皮下デバイス100を患者に埋め込むために使用される外科用器具を介して皮下デバイス100のハウジング102を案内するように構成される。
【0022】
ハウジング102は、更に、ハウジング102の前端118に電極134を含み、ハウジング102の後端120に電極136を含む。
図3A~3Eに示された実施形態においては、ハウジング102上に配置された2つの電極134及び136が存在する。代替の実施形態において、任意の数の電極をハウジング102上に配置することができ、又は、ハウジング102は電極を含まないことができる。電極134及び電極136は、ハウジング102を取り囲む組織の電気的活動又は生理学的パラメータを感知するように配置される。電極134及び電極136はまた、ハウジング102を取り囲む組織に治療用電気刺激を与えることができる。
【0023】
図4Aは、皮下デバイス100のクリップ104の上面図である。
図4Bは、皮下デバイス100のクリップ104の底面図である。
図4Cは、皮下デバイス100のクリップ104の側面図である。
図4Dは、皮下デバイス100のクリップ104の正面図である。
図4Eは、皮下デバイス100のクリップ104の後面図である。クリップ104は、上部140、底部142、スプリング部144、先端146、開口148、スロット150及び電極152を含む。
【0024】
クリップ104は、上部140、底部142及びスプリング部144を含む。上部140は、クリップ104の上部を形成する平坦部であり、底部142はクリップ104の底部を形成する平坦部である。底部142は、皮下デバイス100(
図1~3Eに示す)のハウジング102に取り付けられるように構成される。スプリング部144は、クリップ104の後端に配置された湾曲した部位であり、上部140と底部142との間で延在し、これらを接続する。クリップ104は、ステンレス鋼、チタン、ニチノール、エポキシ、シリコーン、金属補強材を有するポリウレタン、又は、非多孔インプラントに適した任意の他の材料から製作され得る。
【0025】
クリップ104の上部140は、クリップ104の前端に隣接して先端146を含む。上部140は、上部140の中央から先端146まで先細りになっている。クリップ104の上部140の先端146の先細りは、クリップ104が患者の筋肉、骨又は組織に固定されているときに、クリップ104が組織を通って押し進むのを助ける。クリップ104の上部140の先端146の先細りが組織を通る経路を作り出すので、外科医は患者の組織を通る経路を切開する必要がない。
【0026】
上部140は、更に、開口148を含む。開口148は、上部140を通って延びている。
図3A~3Eに示す実施形態においては、上部140に2つの開口148があるが、代替の実施形態においては、任意の数の開口148があってもよい。開口148は、皮下デバイス100を筋肉、骨又は組織に固定するために、クリップ104が患者の筋肉、骨又は組織に縫合され得るよう構成される。更に、開口148は、皮下デバイス100を筋肉、骨又は組織に固定するために、歯、ピン又はスクリューのような、付加的な固定機構を受容することができる。これらの付加的な固定機構は、生体吸収性材料から製作することができる。クリップ104は、スロット150も含む。スロット150は、クリップ104のスプリング部144を通って延びる開口である。スロット150は、皮下デバイス100を患者に埋め込むために用いられる外科用器具のブレードを受容するように構成される。
【0027】
スプリング部144はクリップ104のためのスプリングとして作用し、テンション下にある。上部140はテンションアームとして作用し、スプリング部144からの力は、上部140に伝えられこれを押し下げる。その自然な状態において、スプリング部144のバネ付勢は、上部140の先端146をクリップ104の底部142に向かって押し付ける。上部140の先端146は持ち上げることができ、クリップ104を患者の筋肉、骨又は組織の上に配置することができる。クリップ104が患者の筋肉、骨又は組織の上に配置されると、スプリング部144のテンションは、上部140を筋肉、骨又は組織の上に押し付ける。このテンションが、クリップ104を筋肉、骨又は組織に固定する。クリップ104を骨、筋肉又は組織に固定するために、歯、ピン又はスクリューのような付加的な固定機構を使用することもできる。
【0028】
クリップ104はまた、クリップ104の上面140に電極152を含む。
図4A~4Eに示す実施形態においては、クリップ104に配置された単一の電極152が存在する。代替の実施形態において、任意の数の電極をクリップ104に配置することができ、又は、クリップ104は電極を含まないことができる。電極152は、クリップ104を取り囲む組織の電気的活動又は生理学的パラメータを感知するために、クリップ104の上部140に配置されている。電極152はまた、クリップ104を取り囲む組織に治療用電気刺激を与えることができる。
【0029】
図5Aは、皮下デバイス100のプロング106の側面図である。
図5Bは、皮下デバイス100のプロング106の上面図である。プロング106は、近位端160、遠位端162、ベース部164とスプリング部166、アーム部168、接触部170及び電極172を含む。
【0030】
プロング106は、近位端160と、近位端160の反対側の遠位端162とを含む。プロング106の近位端160は、張力緩和又は運動を支援するための付加的な材料を有することができる。プロング106は、ベース部164、スプリング部166、アーム部168及び接触部170を含む。ベース部164の第1の端部はプロング106の近位端160と整列され、ベース部164の第2の端部はスプリング部166の第1の端部に接続される。ベース部164は、ハウジング102(
図3D~3Eに示す)のポート126に配置された直線的な部位である。スプリング部166の第1の端部はベース部164の第2の端部に接続され、スプリング部166の第2の端部はアーム部168の第1の端部に接続される。アーム部168の第1の端部はスプリング部166の第2の端部に接続され、アーム部168の第2の端部は接触部170の第1の端部に接続される。アーム部168は、直線的な部位である。接触部170の第1の端部はアーム部168の第2の端部に接続され、接触部170の第2の端部はプロング106の遠位端162と整列される。接触部170は、遠隔身体構成要素B(
図2に示される)に接触するように配置され得る。スプリング部166は、プロング106のためのスプリングとして作用し、テンション下にある。アーム部168はテンションアームとして作用し、スプリング部166からの力は、アーム部168に伝えられこれを押し下げる。その自然な状態において、スプリング部166のバネ付勢は、プロング106の遠位端162をハウジング102の底面116から遠ざかる方向に押す。
【0031】
プロング106は、更に、電極172を含む。電極172は、
図5A~5Bに示す実施形態においては、遠位端162にあるものとして示される。代替の実施形態において、電極172は接触部170の任意の点に配置することができ、任意の形状及び構成を有することができる。更に、プロング106は、
図5A~5Bに示す実施形態においては、単一の電極172を有するものとして示される。プロング106は、代替の実施形態において、任意の数の電極を有することができる。電極172は、遠隔身体構成要素Bの電気的活動又は生理学的状態を感知するためにプロング106の遠位端162に配置されている。電極172は、遠隔身体構成要素Bに治療用電気刺激を与えることもできる。
図5A~5Bに示される実施形態では、プロング106は、遠隔身体構成要素Bの電気的活動又は生理学的状態を感知し、及び/又は、遠隔身体構成要素Bに治療用電気刺激を与えることが可能な電極173を、付加的に含む。
【0032】
プロング106は、皮下デバイス100が患者に埋め込まれるときに、体内の組織を通って押し進むことができるよう、硬い材料で製作されている。プロング106は、ニチノールとしても知られているニッケルチタンから製作することができる。ニチノールは超弾性を有する形状記憶合金であり、皮下デバイス100が患者に埋め込まれる際にプロング106が変形した場合、プロング106がその元の形状及び位置に戻ることを可能とする。プロング106はまた、シリコーン、ポリウレタン、ステンレス鋼、チタン、エポキシ、金属補強材を有するポリウレタン、又は、非多孔インプラントに適した任意の他の材料から製作され得る。一例として、プロング106は、ポリウレタン及びシリコーンから成り、バネ剛性を付与するために金属で補強された複合材料から製作することができる。
【0033】
プロング106のスプリング部166は、プロング106がひとたび体内に配置されると可撓性を有することを可能とする。例えば、遠隔身体構成要素Bが患者の心臓であり、プロング106の接触部170が心臓に対して配置される場合、プロング106のスプリング部166は、心臓が拍動するにつれて、プロング106が上下に移動することを可能とする。これは、プロング106の接触部170が心臓と接触しているときに、プロング106が心臓を穿刺又は損傷しないことを保障する。プロング106の遠位端162は、プロング106の接触部170が心臓と接触しているときに、プロング106が心臓を穿刺又は損傷することを防止するために、丸みを帯びた形状を有する。プロング106の全体的な軸方向の剛性は、プロング106が心臓を穏やかに押し、心臓が拍動するにつれて心臓と接触して上下に移動するものの、心膜組織又は心外膜組織を穿刺し又は引き裂くのに十分なほど硬くも鋭くもないように、調整することができる。
【0034】
図6Aは、皮下デバイス100の側面図である。
図6Bは、皮下デバイス100の上面図である。
図6Cは、皮下デバイス100の底面図である。
図6Dは、皮下デバイス100の後面図である。
図6Eは、皮下デバイス100の正面図である。皮下デバイス100は、ハウジング102、クリップ104及びプロング106を含む。ハウジング102は、第1の面110、第2の面112、上面114、底面116、前端118、後端120、曲面122、凹部124、ポート126、チャネル128、第1のガイド130、第2のガイド132、電極134及び電極136を含む。クリップ104は、上部140、底部142、スプリング部144、先端146、開口148、スロット150及び電極152を含む。プロング106は、近位端160、遠位端162、ベース部164とスプリング部166、アーム部168、接触部170及び電極172を含む。
【0035】
皮下デバイス100は、ハウジング102、クリップ104及びプロング106を含む。ハウジング102は、上記の
図3A~3Eを参照して詳細に説明されている。クリップ104は、上記の
図4A~4Eを参照して詳細に説明されている。プロング106は、上記の
図6A~6Bを参照して詳細に説明されている。
【0036】
クリップ104は、皮下デバイス100のハウジング102の上面114に接続されている。ハウジング102の凹部124は、クリップ104の底部142に適合するように成形される。底部142は、例えば溶接によって、ハウジング102の凹部124内に位置決めされ、これに接続される。クリップ104のスプリング部144は、ハウジング102の後面120と整列される。クリップ104の上部140は、ハウジング102の上面114に沿って延びる。クリップ104におけるバネ付勢は、クリップ104の先端146をハウジング102に向かって押し付ける。クリップ104は、患者の骨、筋肉又は組織上にクリップ104を配置するために、クリップ104の先端146を持ち上げることによって拡張され得る。クリップ104が患者の筋肉、骨又は組織上に配置されると、スプリング部144におけるテンションは、クリップ104の上部140を筋肉、骨又は組織上に押し下げる。このテンションが、クリップ104を、したがって皮下デバイス100を、筋肉、骨又は組織に固定する。
【0037】
プロング106は、皮下デバイス100のハウジング102の後面120に接続される。ハウジング102のポート126は、プロング106ベース部164に適合するように成形される。プロング106のベース部164は、ハウジング102のポート126内に配置される。プロング106のベース部164は、例えばフィードスルーを用いて、ハウジング102の内部構成要素に電気的に接続される。プロング106のベース部164はまた、ハウジング102のポート126内で気密に封止される。プロング106のスプリング部166は、ハウジング102の後面120の周りを湾曲し、アーム部168は、ハウジング102の底面116の下を延びる。アーム部168は、接触部170がハウジング102の前端118から外向きに配置されるよう、ハウジング102の前端118を通過して延びる。代替の実施形態において、プロング106は異なる形状及び長さを有することができる。更に、プロング106は、ハウジング102から任意の方向に延びることができる。
【0038】
皮下デバイス100は、
図6A~6Eにおいて展開位置で示される。皮下デバイス100が患者に埋め込まれるとき、皮下デバイス100は展開位置にある。展開位置では、プロング106はベース部164においてのみハウジング102と接触する。皮下デバイスはまた、収容位置を有する。皮下デバイス100が患者への送達の前に外科用器具に装填されるとき、皮下デバイス100は収容位置にある。収容位置において、プロング106のアーム部168は、ハウジング102のチャネル128内に配置される。皮下デバイス100が収容位置にあるとき、ハウジング102のチャネル128は、プロング106のアーム部168を、ハウジング102に関して中心位置で保持する。皮下デバイスが患者に埋め込まれるとき、皮下デバイス100は展開する。プロング106のスプリング部166のテンションは、アーム部168を、ハウジング102のチャンネル128から遠ざかるように外向きに押す。
【0039】
皮下デバイス100は、ペースメーカとして機能することができる。プロング106は、プロング106の接触部170が、心臓の右心室、左心室、右心房又は左心房と接触するように成形することができる。皮下デバイス100は、プロング106上の電極172と、ハウジング102上の電極134若しくは電極136のうちの一方又はクリップ104上の電極152とを利用して、単極ペースメーカとして機能することができる。更に、皮下デバイス100は、プロング106上の電極172と、やはりプロング106上に配置された第2の電極とを利用して、双極ペースメーカとして機能することができる。
【0040】
図7は、皮下デバイス100の機能ブロック図である。皮下デバイス100は、ハウジング102、感知回路180、コントローラ182、メモリ184、治療回路186、電極188、センサ190、トランシーバ192及び電源194を含む。
図7に示された皮下デバイス100の機能ブロック図は、ここに開示される皮下デバイスの全ての実施形態に当てはまる。
【0041】
ハウジング102は、感知回路180、コントローラ182、メモリ184及び治療回路186を収容する。感知回路180は、心臓から電気信号を受信し、当該電気信号をコントローラ182に伝送する。コントローラ182は電気信号を分析し、患者の心拍に不整脈があるかどうかを判定するために、メモリ184に記憶された命令を実行する。コントローラ182が不整脈ありと判断した場合、コントローラ182は、患者の心拍を調節するために電気刺激を心臓に送るよう、治療回路186に命令を送信する。感知回路180及び治療回路186は、共に電極188と通信する。電極188は、ハウジング102、クリップ104及び/又はプロング106内に配置されることができ、皮下デバイス100が患者に埋め込まれるとき、臓器、神経又は組織と接触する。電極188は、臓器、神経又は組織からの電気信号を感知し、心臓に電気刺激を与える。
【0042】
コントローラ182はまた、感知回路180を介してセンサ190と通信する。センサ190は、ハウジング102及び/又はプロング106内に配置することができる。センサ190は、患者の生理学的パラメータを決定するために、コントローラ182と共に使用され得る。コントローラ182は更に、ハウジング102内に配置されたトランシーバ192と通信する。トランシーバ192は、皮下デバイス100の外部から情報及び命令を受信し、皮下デバイス100内で収集された情報を皮下デバイス100の外部に送信することができる。電源194もハウジング102内に配置され、必要に応じて、ハウジング102、クリップ104及びプロング106内の構成要素に電力を供給する。電源194は、ハウジング102内の構成要素に電力を供給するバッテリであり得る。
【0043】
感知回路180は、プロング106を通ってハウジング102内に延びる導体を介して、電極188と電気的に結合されている。感知回路180は、電極188によって形成される感知ベクトルを受信するように構成されており、感知ベクトルをコントローラ182に伝送可能な電気信号に翻訳する。感知回路180は、電極(正端及び負端を含む)、アナログ回路、アナログ-デジタル変換器、アンプ、マイクロコントローラ及び電源を含む、任意の適切な回路であり得る。
【0044】
コントローラ182は、機能を実行し、及び/又は、皮下デバイス100内での実行のための命令を処理するように構成される。コントローラ182は、メモリ184に記憶された命令を処理することができる。コントローラ182の例は、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)又は他の同等の個別論理回路若しくは集積論理回路のうちの任意の1つ以上を含み得る。
【0045】
メモリ184は、動作中に皮下デバイス100内で情報を記憶するように構成することができる。メモリ184は、いくつかの例において、コンピュータ可読記憶媒体として記述される。いくつかの例において、コンピュータ可読記憶媒体は、非一時的な媒体を含み得る。用語「非一時的」は、記憶媒体が搬送波又は伝搬信号内で具現化されないことを示し得る。特定の例において、非一時的な記憶媒体は、経時的に変化し得るデータを記憶することができる(例えば、RAM又はキャッシュ内に)。いくつかの例において、メモリ184は一時記憶装置であり、メモリ184の主目的が長期的な記憶ではないことを意味する。メモリ184は、いくつかの例においては揮発性メモリとして記述され、皮下デバイス100への電力がオフにされたときに、メモリ184が記憶された内容を保持しないことを意味する。揮発性メモリの例は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)及び他の形態の揮発性メモリを含み得る。いくつかの例において、メモリ184は、コントローラ182による実行のためのプログラム命令を記憶するために使用される。メモリ184は、1つの例において、プログラム実行中に一時的に情報を記憶するために、皮下デバイス100上で動作するソフトウェア又はアプリケーションによって使用される。
【0046】
メモリ184は、いくつかの例において、コンピュータ可読記憶媒体をも含み得る。メモリ184は、揮発性メモリよりも大量の情報を記憶するように構成することができる。メモリ184は更に、情報の長期記憶のために構成することができる。いくつかの例において、メモリ184は、不揮発性記憶素子を含むことができる。そのような不揮発性記憶素子の例は、磁気ハードディスク、光ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、フラッシュメモリ、あるいは、電気的にプログラム可能なメモリ(EPROM)又は電気的に消去及びプログラム可能なメモリ(EEPROM)の形態を含み得る。
【0047】
コントローラ182は、感知回路180から電気信号を受信し、当該電気信号を分析し、患者の心拍に不整脈が存在するかどうかを判定するために、メモリ184に記憶された命令を実行することができる。不整脈が検出された場合、コントローラ182は、電極188を介して心臓に電気刺激を送達するように治療回路186に命令を送信することができる。
【0048】
治療回路186は、プロング106を通ってハウジング102内に延びる導体を介して、電極188と電気的に結合される。治療回路186は、電極188を介して心臓に電気刺激を送達するように構成される。治療回路186は、電気刺激を生成するためのキャパシタを含む。治療回路180は、マイクロコントローラ、電源、キャパシタ及びデジタル-アナログ変換器を含む任意の適切な回路であり得る。
【0049】
コントローラ182はまた、センサ190から情報を受信することができる。センサ190は、温度センサ、加速度計、圧力センサ、近接センサ、赤外線センサ、光学センサ及び超音波センサを含むがこれらに限定されない任意の適切なセンサを含み得る。センサ190からの情報によって、皮下デバイス100が患者の生理学的パラメータを感知することが可能となる。例えば、センサからのデータは、心拍数、心拍リズム、呼吸数、呼吸波形、活動、運動、姿勢、酸素飽和度、フォトプレチスモグラム(PPG)、血圧、中核体温、肺水腫及び肺湿潤を計算するために使用することができる。加速度計は、レート応答ペーシングにも使用することができる。
【0050】
皮下デバイス100はまた、トランシーバ192を含む。皮下デバイス100は、1つの例において、無線通信を介して外部デバイスと通信するためにトランシーバ192を利用する。皮下デバイス100は、第2の例において、無線通信を介して患者に埋め込まれた他のデバイスと通信するためにトランシーバ192を利用する。トランシーバ192は、イーサネット(登録商標)カード、光学トランシーバ、無線周波トランシーバ又は情報を送受信することができる任意の他のタイプのデバイスのような、ネットワークインターフェースカードであり得る。そのようなネットワークインターフェースの他の例は、Bluetooth(登録商標)、3G、4G、WiFi無線コンピューティングデバイス、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)、標準誘導結合、低周波医療周波数無線(MICS)、超広帯域無線、標準オーディオ及び超音波無線を含み得る。トランシーバ192が通信できる外部デバイスの例は、ラップトップコンピュータ、携帯電話(スマートフォンを含む)、タブレットコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、デスクトップコンピュータ、サーバー、メインフレーム、クラウドサーバー又は他のデバイスを含む。体内に埋め込まれた他のデバイスは、他のペースメーカ、埋め込み型電気的除細動器、神経刺激器のような他の埋め込み型医療機器を含み得る。トランシーバ192は、アンテナに接続することもできる。
【0051】
皮下デバイス100は、ハウジング102内に配置された電源194を含む。皮下デバイス100はまた、ワイヤレス結合又はRFを介して電力及びデータを皮下デバイス100に伝送する、ハウジング102の外側のバッテリ又はデバイスを含むことができる。更に、電源194は、再充電可能なバッテリであり得る。
【0052】
図7を参照して上述した皮下デバイス100の内部構成要素は、例示を意図したものである。皮下デバイス100は、より多くの、より少ない又は他の適切な構成要素を含むことができる。例えば、皮下デバイス100が診断のためにのみ使用される場合、皮下デバイス100は、治療回路186を含まない。更なる例として、皮下デバイス100は、センサ190なしでペースメーカとして機能することができる。
【0053】
図8は、剣状突起X及び胸骨Sの上に配置された皮下デバイス100の斜視図である。
図9Aは、剣状突起X及び胸骨Sの上に配置された皮下デバイス100の斜視図であり、心臓Hの上におけるプロング106の配置を示している。
図9Bは、剣状突起X及び胸骨Sの上に配置された皮下デバイス100の破断正面であり、心臓Hの上におけるプロング106の配置を示している。
図9Cは、剣状突起X及び胸骨Sの上に配置された皮下デバイス100の破断斜視図であり、心臓Hの上におけるプロング106の配置を示している。皮下デバイス100は、ハウジング102、クリップ104及びプロング106を含む。ハウジング102は、上面114、前端118及び曲面122を含む。クリップ104は、上部140、スプリング部144及び開口148を含む。プロング106は、遠位端162、スプリング部166、接触部170及び電極172を含む。
図8~9Cは、剣状突起X及び胸骨Sを示す。
図9A~9Cは、更に心臓H及び右心室RVを示す。
図9Bは肋骨Rも示す。
【0054】
図8~9Cは、剣状突起X及び胸骨Sを示す。
図9Bは、更に剣状突起X及び胸骨Sを肋骨Rとの関連において示す。皮下デバイス100は、患者の剣状突起X及び胸骨Sに固定することができる。剣状突起Xは、胸骨Sの下端から延びる突起である。皮下デバイス100が剣状突起Xに固定されると、皮下デバイス100のハウジング102は、部分的に患者の胸骨Sの下に配置される。一部の患者では、剣状突起Xが欠損し、小さく、狭く又は細長く、皮下デバイス100を胸骨Sの遠位端に直接的に取り付けることができる。皮下デバイスは、剣状突起X及び胸骨Sに固定される場合、患者の前縦隔に位置する。前縦隔は心膜の前方、胸骨Sの後方且つ胸郭面の下方にある領域である。前縦隔は、疎性結合組織、リンパ節及び胸骨下筋系を包含する。
【0055】
皮下デバイス100が剣状突起X及び胸骨Sの上に展開されると、皮下デバイス100のハウジング102及びプロング106は、前縦隔を通って移動する。ハウジング102の上面114上の曲面122は、皮下デバイス100が前縦隔内の組織を通って押し進むのを助けるために、ハウジング102の先細りの前端118を作り出す。更に、プロング106は、それが前縦隔内の組織を通って押し進むことを可能とするために、硬い材料から製作されている。
【0056】
皮下デバイス100は、クリップ104を用いて剣状突起X及び胸骨Sに固定することができる。クリップ104が剣状突起X上に配置されると、クリップ104の上部140は剣状突起X及び胸骨Sよりも上に配置される。クリップ104のスプリング部144は、クリップ104の上部140にテンションをかけ、上部140を剣状突起X及び胸骨Sの上に押し下げる。クリップ104は、皮下デバイス100を、剣状突起X及び胸骨S上の所定の位置に保持する。更に、クリップ104の上部140の開口148は、クリップ104を剣状突起X及び胸骨Sに縫合するために使用することができ、あるいは、開口148は、歯、ピン又はスクリューのような付加的な固定機構を受容することができる。これにより、皮下デバイス100は、更に剣状突起X及び胸骨Sに固定される。
【0057】
皮下デバイス100が剣状突起X及び胸骨Sに固定されると、プロング106はハウジング102から延び、患者の心臓Hと接触する。具体的には、プロング106の接触部170及び電極172が、心膜と接触する。心膜は、心臓Hを取り囲む線維性の嚢である。電極172は、心臓Hの右心室RVを取り囲む心膜の部位に配置される。電気信号を、プロング106の遠位端162の電極172から心膜及び心外膜を通じて心臓Hの心筋内に伝達することにより、電気刺激を心臓Hの右心室RVに印加することができ、その結果、心臓Hが収縮する。プロング106は、心臓Hの体表面心電図を決定するために、心臓Hからの電気信号を感知することもできる。
【0058】
心臓Hは、鼓動するにつれて垂直及び3次元のパターンで移動する。プロング106のスプリング部166は、心臓の鼓動につれてプロング106が心臓Hと共に移動できるよう、プロング106にある程度の柔軟性を与える。これにより、プロング106が心臓Hを穿刺又は損傷しないことが保障される。
【0059】
皮下デバイス100を剣状突起X及び胸骨Sに固定することにより、皮下デバイス100が患者の体内で移動しないことが保障される。皮下デバイス100の位置を体内で維持することにより、プロング106が適切に位置決めされ、心臓Hとの接触を失わないことが保証される。更に、皮下デバイス100は、患者の体内で移動しないため、患者の心拍数及び他の生理学的パラメータを正確かつ確実に決定することができる。例えば、心電図の形態は、患者の体内での皮下デバイス100の移動によって変化しない。
【0060】
皮下デバイス100は、皮下デバイス100が外科用器具を用いて剣状突起X上に注入される単純な手順で、埋め込むことができる。皮下デバイス100を埋め込むための外科的手順は、皮下デバイスが体内の皮下に置かれるので、従来のペースメーカデバイスに必要とされる外科的手順よりも、侵襲性が低い。患者の血管系内にリード線を配置する必要がなく、これにより患者に対する血栓症のリスクが低下する。皮下デバイス100を埋め込むための外科用器具及び方法を、以下でより詳細に説明する。
【0061】
(注入可能な器具200)
図10Aは、第1の位置にある外科用器具200の斜視図である。
図10Bは、第1の位置にある外科用器具200の断面斜視図である。外科用器具200は、本体202、スライダ204、ブレード206、ボルト208及びスクリュー210を含む。
【0062】
外科用器具200は、患者に医療機器を埋め込むために使用することができる。以下の説明では、皮下デバイス100(
図1~9に示す)を、外科用器具200を用いて患者に埋め込むことができるデバイスの一例として用いる。しかしながら、外科用器具200は、
図20~37に示される皮下デバイス400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400及び1500のいずれかを含む、任意の適切な医療機器を患者に埋め込むために使用することができる。
【0063】
外科用器具200は、外科用器具200を保持し操作するためにユーザによって把持され得る本体202を含む。外科用器具200は、更に、本体202に取り付けられたスライダ204及びブレード206を含む。ボルト208は、スライダ204を外科用器具200内の所定の位置に保持するために、本体202及びスライダ204を通って延びる。スライダ204は、皮下デバイスが外科用器具200内に収容されているとき、皮下デバイスを患者の体内に展開するように構成される。スクリュー210は、ブレード206を本体202に取り付けるために、ブレード206を貫通して本体202内に延びる。ブレード206は、外科用器具200の前端を越えて延びるように構成され、外科用器具200内に収容された皮下デバイスを患者の体内に展開する前に、組織を切り開くために使用することができる。代替の実施形態において、ブレード206は、外科用器具200に接続されていない別個のブレードであることができる。
【0064】
外科用器具200は、
図10A~10Bにおいて、第1の位置で示されている。第1の位置において、スライダ204は本体202に当接するように配置されており、皮下デバイス100(
図1~9に示される)を外科用器具200内に装填することができる。外科用器具200は、皮下デバイス100を患者の骨、筋肉又は組織の上に注入するために使用することができる。一例において、外科用器具200は、皮下デバイス100を患者の剣状突起及び胸骨の上に注入するために使用することができる。
【0065】
図11Aは、外科用器具200の本体202の斜視図である。
図11Bは、外科用器具200の本体202の側面図である。
図11Cは、外科用器具200の本体202の底面図である。
図11Dは、外科用器具200の本体202の正面図である。本体202は、ベース220、ハンドル222、上部アーム224、下部アーム226、スライダスロット228、ボルト孔230、ボルト孔232、ブレードスロット234、スクリュー孔236、ガイドトラック238、ガイドトラック240及びプロングトラック242を含む。
【0066】
本体202は、互いに一体化されて本体202を形成する、ベース220、ハンドル222、上部アーム224及び下部アーム226を含む。ベース220は、本体202の中央に支持部を形成する。ハンドル222は、ベース220の後端から離れるように延びる。ハンドル222は、外科用器具200の本体202を把持するために、ユーザによって把持され得る。上部アーム224及び下部アーム226は、ベース220の前端から離れるように延びる。上部アーム224はベース220の上面に配置され、下部アーム226はベース220の下面に配置される。本体202は、任意の適切な金属又はプラスチック材料から製作することができる。
【0067】
上部アーム224は、上部アーム224に開口を形成するスライダスロット228を含む。スライダスロット228は、外科用器具200(
図10A~10Bに示される)のスライダ204が、上部アーム224を通って摺動することができるように構成される。上部アーム224は、更に、上部アーム224の前端を貫通して延びるボルト孔230を含む。上部アーム224のボルト孔230は、外科用器具200(
図10A~10Bに示される)のボルト208を受容するように構成される。ボルト孔230は、ボルト208が本体202の前端と面一になるように、ボルト208の頭部を受容するように構成された凹部を有する。
【0068】
ベース210は、ベース210の上端内に延びるボルト孔232を含む。ベース210のボルト孔232は、外科用器具200(
図10A~10Bに示される)のボルト208を受容するように構成される。ボルト孔232は、ボルト208のネジ山を受容するために、ネジが切られている。ベース210は、更に、ベース210の中央に延びるブレードスロット234を含む。ベース210のブレードスロット234は、外科用器具200(
図10A~10Bに示される)のブレード206を受容するように構成される。ベース210はまた、ベース210の底面からベース210内に上方に延びるスクリュー孔236を含む。スクリュー孔236は、外科用器具200(
図10A~10Bに示される)のスクリュー210を受容するように構成される。ブレードスロット234は、スクリュー210がブレード206を通って延び、ブレード206を外科用器具200に取り付けることができるよう、スクリュー孔236内に延びる。
【0069】
下部アーム226は、第1のガイドトラック238及び第2のガイドトラック240を含む。第1のガイドトラック238は、下部アーム226の第1の側の内面に沿って延びる溝であり、第2のガイドトラック240は、下部アーム226の第2の側の内面に沿って延びる溝である。第1のガイドトラック238及び第2のガイドトラック240は、皮下デバイス100(
図3A~3D及び6A~6Eに示される)のハウジング102の第1のガイド130及び第2のガイド132をそれぞれ受容するように構成される。下部アーム226は、更に、プロングトラック242を含む。プロングトラック242は、下部アーム226の上面に沿って延びる溝である。プロングトラック242は、皮下デバイス100のプロング106を受け入れるように構成される。
【0070】
図12Aは、外科用器具200のスライダ204の斜視図である。
図12Bは、外科用器具200のスライダ204の正面図である。
図12Cは、外科用器具200のスライダ204の側面図である。
図12Dは、外科用器具200のスライダ204の底面図である。スライダ204は、ベース250、ノブ252、シャフト254、第1のガイド256、第2のガイド258、第3のガイド260、第4のガイド262、ボルト孔264、ブレードスロット266、第1の肩部268、第2の肩部270及びデバイスノッチ272を含む。
【0071】
スライダ204は、スライダ204を形成するために互いに一体化されたベース250、ノブ252及びシャフト254を含む。ベース250は、スライダ204の中央に支持部を形成する。ノブ252は、ベース250から上方に延びる。ノブ252は、外科用器具200内でスライダ204を摺動させるために、ユーザによって把持され得る。シャフト254は、ベース250から下方に延びる。
【0072】
ベース250は、ベース250の底面上に第1のガイド256及び第2のガイド258を含む。第1のガイド256はベース250の第1の側に配置され、ベース250の前端から後端まで延び、第2のガイド258はベース250の第2の側に配置され、ベース250の前端から後端まで延びる。シャフト254は、第3のガイド260及び第4のガイド262を含む。第3のガイド260は、シャフト254の第1の側で、シャフト254の前端から後端まで延び、第4のガイド262は、シャフト254の第2の側で、シャフト254の前端から後端まで延びる。第1のガイド256、第2のガイド258、第3のガイド260及び第4のガイド262は、スライダ204が外科用器具200(
図10A~10Bに示される)を通って摺動するときに摩擦を低減するように構成される。
【0073】
シャフト254はまた、スライダ204の前端から後端まで延びるボルト孔264を含む。ボルト孔264は、外科用器具200(
図10A~10Bに示される)のボルト208の一部を受容するように構成される。シャフト254は、更に、スライダ204の前端から後端まで延びるブレードスロット266を含む。ブレードスロット266は、外科用器具200(
図10A~10Bに示される)のブレード206の一部を受容するように構成される。シャフト254はまた、第1の肩部268及び第2の肩部270を含む。第1の肩部268はスライダ204の第1の側のリッジであり、第2の肩部270はスライダ204の第2の側のリッジである。第1の肩部268及び第2の肩部270は、本体202の下部アーム226に沿って摺動するように構成される。シャフト254は、付加的に、デバイスノッチ272を含む。デバイスノッチ272は、シャフト254の前端の溝である。デバイスノッチ272は、皮下デバイス100(
図1~9に示される)の一部を受容するように構成される。
【0074】
図13Aは、外科用器具200のブレード206の斜視図である。
図13Bは、外科用器具200のブレード206の側面図である。ブレード206は、ベース280、シャフト282、先端284及び開口286を含む。
【0075】
ブレード206は、ベース280、シャフト282及び先端284を含む。ベース280は、ブレード206の後端を形成する。シャフト282の後端は、ベース280に連結される。先端284は、シャフト282の前端に連結される。先端284は、ブレード先端である。ブレード206はまた、ブレード206のベース280を通って延びる開口286を含む。開口286は、外科用器具200にブレード206を取り付けるために、外科用器具200(
図10A~10Bに示される)のスクリュー210を受容するように構成される。
【0076】
図14Aは、外科用器具200の斜視図である。
図14Bは、外科用器具200の断面図である。外科用器具200は、本体202、スライダ204、ブレード206、ボルト208及びスクリュー210を含む。本体202は、ベース220、ハンドル222、上部アーム224、下部アーム226、スライダスロット228、ボルト孔230、ボルト孔232、ブレードスロット234、スクリュー孔236、ガイドトラック238、ガイドトラック240及びプロングトラック242を含む。スライダ204は、ベース250、ノブ252、シャフト254、第1のガイド256、第2のガイド258、第3のガイド260、第4のガイド262、ボルト孔264、ブレードスロット266、第1の肩部268、第2の肩部270及びデバイスノッチ272を含む。ブレード206は、ベース280、シャフト282、先端284及び開口286を含む。
【0077】
外科用器具200は、本体202、スライダ204、ブレード206、ボルト208及びスクリュー210を含む。本体202は、上記の
図11A~11Dを参照して説明されている。スライダ204は、上記の
図12A~12Dを参照して説明されている。ブレード206は、上記の
図13A~13Bを参照して説明されている。
【0078】
スライダ204は、外科用器具200の本体202のスライダスロット228内に配置され、そこで摺動可能である。スライダ204のベース250は、スライダ204が本体202のスライダスロット228を通って摺動するとき、本体202の上部アーム224に沿って摺動する。ボルト208は、本体202のボルト孔230、スライダ204のボルト孔264を通って、本体202のボルト孔232内へ延びる。スライダ204は、本体202のスライダスロット228を通って摺動するとき、ボルト208に沿って摺動することができる。代替の実施形態において、ボルト208は、スライダ204がその上を摺動することができるシャフト又は任意の他の適切な機構であることができる。更に、ブレード206は、スライダ204のブレードスロット266を通って延びる。スライダ204は、本体202のスライダスロット228を通って摺動するとき、ブレード206に沿って摺動することができる。スライダ204はまた、スライダ204が本体202のスライダスロット228を通って摺動するとき、下部アーム226の上側に当接し、それに沿って摺動する、第1の肩部268及び第2の肩部270を含む。
【0079】
スライダ204は、外科用器具200に予め装填されたデバイスを外科用器具200から外へ展開するために、外科医によって手で押されることができる機構である。代替の実施形態において、スライダ204は自動であることができ、外科用器具200に予め装填されたデバイスは外科用器具200から外へ自動的に展開され得る。
【0080】
ブレード206は、外科用器具200の本体202内に配置され、それに取り付けられる。ブレード206のベース250は、本体202のブレードスロット234内に配置され、その結果、ブレード206のベース250の開口286は、本体202のスクリュー孔236と整列される。スクリュー210は、ブレード206のベース280の開口286を通して挿入され、次いで、ブレード206を外科用器具200の本体202に取り付けるために、本体202のスクリュー孔236にねじ込まれ得る。ブレード206が外科用器具202に取り付けられると、ブレード206の先端284は、患者の体内の組織を切開するために外科医がブレード206の先端284を使用することができるように、外科用器具200の前端を越えて延びる。代替の実施形態において、ブレード206は、皮下デバイス100のために作り出されたポケットが正しい幅及び深さであることを保障するために、外科医が使用することができる鈍いエッジを含むことができる。
【0081】
外科用器具200は、皮下デバイス100を患者の体内に埋め込むために使用することができる。外科用器具200のスライダ204は、皮下デバイス100を患者の骨、筋肉又は組織に注入するための注入機構として作用する。外科用器具200が骨、筋肉又は組織に隣接して配置されると、外科医は、皮下デバイス100を骨、筋肉又は組織上に注入するために、外科用器具200のスライダ204を前方に押す。皮下デバイス100を骨、筋肉又は組織上に注入するための方法を、
図15~19を参照して以下でより詳細に説明する。
【0082】
(方法300)
図15は、外科用器具200を用いて皮下デバイス100を埋め込むための方法300を示すフローチャートである。
図16A~19は、皮下デバイス100が外科用器具200によって埋め込まれているときの、外科用器具200内の異なる位置における皮下デバイス100を示す。
図16Aは、外科用器具200内の第1の位置にある皮下デバイス100の斜視図である。
図16Bは、外科用器具200内の第1の位置にある皮下デバイス100の断面図である。
図17Aは、皮下デバイスが埋め込まれているときの、外科用器具200内の第2の位置にある皮下デバイス100の斜視図である。
図17Bは、皮下デバイス100が埋め込まれているときの、外科用器具200内の第2の位置にある皮下デバイス100の断面図である。
図17Cは、皮下デバイス100が埋め込まれているときの、外科用器具200内の第2の位置にある皮下デバイス100の断面図である。
図18Aは、皮下デバイス100が埋め込まれているときの、外科用器具200内の第3の位置にある皮下デバイス100の斜視図である。
図18Bは、皮下デバイス100が埋め込まれているときの、外科用器具200内の第3の位置にある皮下デバイス100の断面図である。
図19は、外科用器具200から展開された後の皮下デバイス100の斜視図である。皮下デバイス100は、ハウジング102、クリップ104及びプロング106を含む。クリップ104は、上部140と、底部142と、スプリング部144及びスロット150を含む。プロング106は、スプリング部144を含む。外科用器具200は、本体202、スライダ204、ブレード206、ボルト208及びスクリュー210を含む。本体202は、ベース220、ハンドル222及びスライダスロット228を含む。スライダ204は、シャフト254及びノブ252を含む。ブレード206は、先端284を含む。方法300は、ステップ302~314を含む。
【0083】
方法300は、ここでは、皮下デバイス100(
図1~9に示される)を患者の剣状突起及び胸骨上に埋め込むことに関連して説明される。しかしながら、方法300は、(
図20~37に示される皮下デバイス400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400及び1500のいずれかを含む)任意の適切な医療機器を患者の任意の骨、筋肉又は組織上に埋め込むために使用することができる。更に、方法300は、ここでは、皮下デバイス100を埋め込むために外科用器具200(
図10A~14Bに示される)を用いることに関連して説明される。しかしながら、皮下デバイス100を埋め込むために、任意の適切な外科用器具200を使用することができる。
【0084】
ステップ302は、剣状突起の下で患者に小さな切開を加えることを含む。患者は局所麻酔又は全身麻酔下にあり得る。外科医は、外科用メスを用いて、剣状突起の直下の皮膚を通して小さな切開を加えることができる。
【0085】
ステップ304は、小さな切開部を通して外科用器具200を挿入することを含む。外科用器具200には、
図16A~16Bに示されるように、小さな切開部を通して挿入されるとき、皮下デバイス100が予め装填される。外科用器具200に皮下デバイス100が予め装填される場合、外科用器具200は第1の位置にある。第1の位置において、外科用器具200のスライダ204のシャフト254は、外科用器具200の本体202のベース220に当接する。皮下デバイス100は、皮下デバイス100の前端が外科用器具200の前端と整列するように、外科用器具200内に装填される。皮下デバイス100の後端は、外科用器具200のスライダ204に当接する。皮下デバイス100のクリップ104のスプリング部144は、外科用器具200のスライダ204のデバイスノッチ272内に配置される。皮下デバイス100のハウジング102の第1のガイド130及び第2のガイド132は、それぞれ、外科用器具200の本体202のガイドトラック238及びガイドトラック240内に位置する。外科用器具200のブレード206は、皮下デバイス100のクリップ104のスロット150を通って延びる。ブレード206の先端284は、皮下デバイス100の前端を越えて延び、ブレード206の先端284が患者の組織を切断するために使用されることを可能とする。
【0086】
ステップ306は、外科用器具200を剣状突起及び胸骨の遠位端に前進させることを含む。外科用器具200の本体202のハンドル222を保持する外科医は、外科用器具200を患者の中に及び患者を通して移動させることができる。外科医は、外科用器具200を操作して、剣状突起及び胸骨の遠位端への経路を提供するために、外科用器具200のブレード206の先端284を使用して患者の組織を切断することができる。
【0087】
ステップ308は、外科用器具200のブレード206を用いて、剣状突起及び胸骨の遠位端から組織を除去することを含む。外科医は、外科用器具200を操作して、剣状突起及び胸骨の遠位端を露出すべく、外科用器具200のブレード206の先端284を使用して、剣状突起及び胸骨の遠位端の上の組織をそぎ落とすことができる。代替の実施形態において、外科医は、剣状突起及び胸骨の遠位端から組織をそぎ落とすために、外科用メス又は他の外科用器具を使用することができる。
【0088】
ステップ310は、皮下デバイス100を剣状突起及び胸骨の遠位端の上に展開するために、外科用器具200を配置することを含む。剣状突起及び胸骨の遠位端が露出された後、外科医は、外科用器具200のブレード206が剣状突起の上面及び胸骨の遠位端に当接するように配置されるよう、外科用器具200を患者の体内で配置することができる。この位置において、皮下デバイス100のプロング206は、剣状突起及び胸骨の遠位端の下に配置される。更に、外科医は、プロング106が心膜、脂肪、筋肉又は組織と良好に接触することを保障するために、外科用器具200を用いて皮下デバイス100の位置を調整することができる。
【0089】
ステップ312は、外科用器具200を用いて、剣状突起及び胸骨の遠位端の上に皮下デバイス100を押すことを含む。皮下デバイス100は、外科用器具200のスライダ204を押すことによって、外科用器具200から、剣状突起及び胸骨の遠位端の上に押し出される。
図17A~17Cは、第2の位置にある外科用器具200を示す。第2の位置において、外科用器具200のスライダ204は、外科用器具200の本体202のスライダスロット228を通って半分だけ押されている。更に、第2の位置において、皮下デバイス100は、外科用器具200から部分的に押し出されている。
図18A~18Bは、第3の位置にある外科用器具200を示す。第3の位置において、外科用器具200のスライダ204は、外科用器具200の本体202のスライダスロット228の前端まで押されている。更に、第3の位置において、皮下デバイス100は、外科用器具200からほぼ完全に押し出されている。
【0090】
外科医は、外科用器具200の本体202のスライダスロット228に沿って、外科用器具200のスライダ204のノブ252を押す。スライダ204が外科用器具200を通って押されると、皮下デバイス100は外科用器具200から押し出される。皮下デバイス100が外科用器具200から押し出されると、皮下デバイス100のハウジング102の第1のガイド130及び第2のガイド132は、
図17Cに示されるように、それぞれ、外科用器具200の本体202のガイドトラック238及びガイドトラック240に沿って摺動する。皮下デバイス100が外科用器具200から押し出されると、皮下デバイス100は、患者の剣状突起及び胸骨の遠位端の上に押される。代替の実施形態において、外科用器具200は、皮下デバイス100を外科用器具200から剣状突起及び胸骨の遠位端の上に自動的に前進させるように構成することができる。
【0091】
ステップ314は、剣状突起及び胸骨の遠位端の上に皮下デバイス100を固定することを含む。皮下デバイス100が外科用器具200から押し出されると、皮下デバイス100のクリップ104の上部140は、剣状突起及び胸骨の遠位端の上部に押され、皮下デバイス100のクリップ104の下部142、ハウジング102及びプロング106は、剣状突起及び胸骨の遠位端の下に押される。皮下デバイス100は、皮下デバイス100のクリップ104のスプリング部144が剣状突起に当接するまで、剣状突起及び胸骨の遠位端の上に押される。皮下デバイス100のクリップ104のスプリング部144のテンションは、皮下デバイス100のクリップ104の上部140を、剣状突起及び胸骨の遠位端の上に押し下げる。このテンションは、皮下デバイス100を、剣状突起及び胸骨の遠位端の上に固定する。
【0092】
皮下デバイス100が外科用器具200内に収容されると、皮下デバイス100のプロング106は皮下デバイス100のハウジング102のチャネル128内に配置される。皮下デバイス100が展開され、剣状突起及び胸骨の遠位端に固定されると、プロング106のスプリング部166はアーム部168及び接触部170を下方へ、ハウジング102から遠ざかるように押す。皮下デバイス100が剣状突起及び胸骨の遠位端の上に埋め込まれると、プロング106は、前縦隔内の組織を通って押し進む。皮下デバイス100が剣状突起及び胸骨の遠位端の上に埋め込まれるとき、プロング106の接触部170は、心臓の右心室上に配置されなければならない。外科医は、皮下デバイス100の埋め込み中に、必要に応じて、プロング106の配置をチェックし、調整することができる。
【0093】
ステップ316は、患者の小さな切開部から外科用器具200を除去することを含む。皮下デバイス100が剣状突起及び胸骨の遠位端の上に固定された後、外科用器具200は、
図19に示されるように、患者の小さな切開部から除去され得る。外科用器具200が除去されるとき、皮下デバイス100は、剣状突起及び胸骨の遠位端に固定されたままである。
【0094】
皮下デバイス100は、クリップ104のスプリング部144からクリップ104の上部140に加えられているテンションのため、剣状突起及び胸骨の遠位端に固定されたままである。クリップ104のテンションは、皮下デバイス100が動く危険性をほとんど伴わずに、剣状突起及び胸骨の遠位端の上の所定の位置に皮下デバイス100を保持する。手術後2~4週間で、線維症が皮下デバイス100の周囲に発症し始める。皮下デバイス100の周囲で発症する線維症は、更に皮下デバイス100を患者の体内の所定の位置に更に保持する。
【0095】
皮下デバイス100を、手術後2~4週間以内に患者から除去する必要がある場合、皮下デバイス100の周囲で線維症が形成される前であれば、外科医は、剣状突起の下に小さな切開を加え、小さな切開部を通して器具を挿入して皮下デバイス100を患者から引き出すことができる。この器具は、皮下デバイス100のクリップ104の上部140を持ち上げ、皮下デバイス100のクリップ104を剣状突起及び胸骨の遠位端から引き離し、これにより、皮下デバイス100を患者から除去する。皮下デバイス100を除去するために用いられる器具は、皮下デバイス100を挿入するために用いられるものと同じ器具であってもよいし、別個の器具であってもよい。
【0096】
皮下デバイス100の周りに線維症が形成された後に皮下デバイス100を患者から除去する必要がある場合、外科医は、外科用メス及び他の外科用器具を使用して、皮膚、組織及び線維症を切断し、皮下デバイス100にアクセスすることができる。次いで、外科医は、任意の適切な器具を使用して、患者から皮下デバイス100を除去することができる。
【0097】
方法300は、非侵襲性の手術である。リード線が、侵襲性の技術を用いて患者の血管系に埋め込まれることはない。むしろ、皮下デバイス100は、外科用器具200を用いて剣状突起及び胸骨の遠位端に固定され、プロング106は前縦隔を通って延びて心臓に接触する。これにより、感染のリスク、手術中の合併症及びデバイスの不具合の可能性が低下する。方法300は、患者の体内の任意の骨、筋肉又は組織上に皮下デバイス100を埋め込むために使用することができる。代替の実施形態において、従来の外科的方法を含む任意の適切な方法、及び、任意の適切な器具を使用して、皮下デバイス100を埋め込むことができる。
【0098】
以下の
図20~37は、皮下デバイス100の異なる実施形態を示す。これらの実施形態は、例示的であることが意図される。皮下デバイス100は、任意の適切な設計及び機能を有し得る。以下の
図20~37に示される実施形態の各々は、
図10A~14Bに示される外科用器具200を用いて、及び/又は、
図15~19に示される方法300を用いて、患者に埋め込まれ得る。以下の
図20~37に示される皮下デバイス100の異なる実施形態に示されるように、皮下デバイス100は、任意の適切な数のプロング106を含むことができる。プロング106は、患者の体内に位置決めされ、及び/又は、患者の体内の様々な臓器、神経及び組織に接触するよう、任意の適切な長さ及び形状を有することができる。更に、皮下デバイス100は、監視デバイス、診断デバイス、ペースメーカデバイス、除細動器デバイス又はそれらの任意の組合せとして機能することができる。
【0099】
(皮下デバイス400)
図20は、皮下デバイス400の斜視図である。皮下デバイス400は、ハウジング402、クリップ404及びプロング406を含む。ハウジング402は、第1の面410、第2の面412、上面414、底面416、前端418、後端420、曲面422、凹部424、ポート426、チャネル428、第1のガイド430(
図20には図示せず)、第2のガイド432、電極434及び電極146を含む。クリップ404は、上部440、底部442、スプリング部444、先端446、開口448、スロット450及び電極452を含む。プロング406は、近位端460(
図20には図示せず)、遠位端462、ベース部464、スプリング部466、アーム部468、接触部470及び電極472を含む。
【0100】
皮下デバイス400は、ハウジング402、クリップ404及びプロング406を含む。ハウジング402は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のハウジング102と同一の一般的な構造及び設計を有する。クリップ404は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のクリップ104と同一の一般的な構造及び設計を有する。ハウジング402及びクリップ404の部分を参照する参照番号は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のハウジング102及びクリップ104の部分を参照する参照番号と比較して、300だけ増分される。
【0101】
プロング406は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のプロング106と同一の部分を含み、プロング406の部分を参照する参照番号は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のプロング106の部分を参照する参照番号と比較して、300だけ増分される。しかしながら、プロング406は異なる形状を有する。スプリング部466及びアーム部468は、ハウジング402の第1の面410から離れて延びる。接触部470は、患者の心臓の左心室と接触するように構成された、プロング406の遠位端462に隣接するプロング406の部分である。接触部470上に配置された電極472はまた、患者の心臓の左心室と接触する。
【0102】
一例において、皮下デバイス400は、患者の剣状突起及び胸骨に固定することができる。クリップ404は、皮下デバイス400を剣状突起及び胸骨に固定するように構成される。クリップ404は、剣状突起及び胸骨の周りを摺動するにつれて拡張する。スプリング部444はクリップ404のためのスプリングとして作用し、テンション下にある。上部440はテンションアームとして作用し、スプリング部444からの力は、上部440に伝えられこれを押し下げる。クリップ404が剣状突起及び胸骨の上に配置されると、スプリング部444のテンションによって、上部440が剣状突起及び胸骨の上に押し下げられ、クリップ404が剣状突起及び胸骨に固定される。更に、縫合糸、歯、ピン又はスクリューを、クリップ404の上部440の開口448を通して挿入し、皮下デバイス400を剣状突起及び胸骨に更に固定することができる。
【0103】
皮下デバイス400は、電源、コントローラ、メモリ、トランシーバ、センサ、感知回路、治療回路、及び/又は、医療機器の任意の他の構成要素を含むことができる。
図20に示される実施形態では、皮下デバイス400が単腔ペースメーカであるように構成される。電極434、電極436、電極452及び電極472のいずれか1つ又は組み合わせは、心臓の電気的活動を感知することができる。感知された電気的活動は、皮下デバイス400のハウジング402内の感知回路及びコントローラに送信され得る。コントローラは患者の心拍数を決定することができ、不整脈があるかどうかを検出することができる。不整脈が検出された場合、コントローラは、心臓に治療用電気刺激を与えるために、治療回路に命令を送ることができる。具体的には、治療用電気刺激を左心室に与えることができる。このように、皮下デバイス400は、監視デバイス、診断デバイス及び治療デバイスとして機能する。代替の実施形態において、皮下デバイス400、監視デバイス、診断デバイス、治療デバイス又はそれらの任意の組合せとしてのみ機能することができる。
【0104】
(皮下デバイス500)
図21Aは、皮下デバイス500の斜視図である。
図21Bは、皮下デバイス500の側面図である。皮下デバイス500は、ハウジング502、クリップ504及びプロング506を含む。ハウジング502は、第1の面510、第2の面512、上面514、底面516、前端518、後端520、曲面522、凹部524、ポート526、チャネル528、第1のガイド530、第2のガイド532、電極534及び電極536を含む。クリップ504は、上部540、底部542、スプリング部544、先端546、開口548、スロット550及び電極552を含む。プロング506は、近位端560(
図21A~21Bには図示せず)、遠位端562、ベース部564、スプリング部566、アーム部分68、接触部570及び除細動器コイル574を含む。
【0105】
皮下デバイス500は、ハウジング502、クリップ504及びプロング506を含む。ハウジング502は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のハウジング102と同一の一般的な構造及び設計を有する。クリップ504は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のクリップ104と同一の一般的な構造及び設計を有する。ハウジング502及びクリップ504の部分を参照する参照番号は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のハウジング102及びクリップ104の部分を参照する参照番号と比較して、400だけ増分される。
【0106】
プロング506は概して、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のプロング106と同一の部分を含み、プロング506の部分を参照する参照番号は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のプロング106の部分を参照する参照番号と比較して、400だけ増分される。しかしながら、プロング406は異なる形状を有し、遠位端562に電極の代わりに除細動器コイル574を含む。スプリング部566及びアーム部568は、ハウジング502の底面520から離れて延びる。接触部570は、患者の心臓の下の組織と接触するように構成された、プロング506の遠位端562に隣接するプロング506の部分である。除細動器コイル574は、プロング506の遠位端562に隣接する接触部570上に配置される。電気信号が除細動器コイル574に送達されると、除細動器コイル574は、ハウジング502の前端518上の電極534と共にベクトルを生成する。図示の実施形態では、除細動器コイル574は負電極として機能し、電極534は正電極として機能する。しかしながら、代替の実施形態においては、これを逆にすることができる。プロング506は、遠位端562、したがって接触部570及び除細動器コイル574が心臓の下に位置するように配置される。したがって、除細動器コイル574と電極534との間に生成されるベクトルは、患者の心臓を通過して、患者の心臓に高電圧電気ショックを与える。
【0107】
一例において、皮下デバイス500は、患者の剣状突起及び胸骨に固定することができる。クリップ504は、皮下デバイス500を剣状突起及び胸骨に固定するように構成される。クリップ504は、剣状突起及び胸骨の周りを摺動するにつれて拡張する。スプリング部544はクリップ504のためのスプリングとして作用し、テンション下にある。上部540はテンションアームとして作用し、スプリング部544からの力は、上部540に伝えられこれを押し下げる。クリップ504が剣状突起及び胸骨の上に配置されると、スプリング部544のテンションによって、上部540が剣状突起及び胸骨の上に押し下げられ、クリップ504が剣状突起及び胸骨に固定される。更に、縫合糸、歯、ピン又はスクリューを、クリップ504の上部540の開口548を通して挿入し、皮下デバイス500を剣状突起及び胸骨に更に固定することができる。
【0108】
皮下デバイス500は、電源、コントローラ、メモリ、トランシーバ、センサ、感知回路、治療回路、及び/又は、医療機器の任意の他の構成要素を含むことができる。
図21A~21Bに示される実施形態では、皮下デバイス500が除細動器であるように構成される。電極534、電極536及び電極552のいずれか1つ又は組み合わせは、心臓の電気的活動を感知することができる。更に、除細動器コイル574は、心臓の電気的活動を感知する電極として作用することができる。感知された電気的活動は、皮下デバイス500のハウジング502内の感知回路及びコントローラに送信され得る。コントローラは患者の心拍数を決定することができ、異常があるかどうかを検出することができる。異常が検出された場合、コントローラは、除細動器コイル574を用いて心臓に高電圧電気ショックを与えるために、治療回路に命令を送ることができる。このように、皮下デバイス500は、監視デバイス、診断デバイス及び治療デバイスとして機能する。代替の実施形態において、皮下デバイス500は、監視デバイス、診断デバイス、治療デバイス又はそれらの任意の組合せとしてのみ機能することができる。
【0109】
(皮下デバイス600)
図22Aは、皮下デバイス600の斜視図である。
図22Bは、皮下デバイス600の上面図である。
図22Cは、皮下デバイス600の底面図である。
図22Dは、皮下デバイス600の側面図である。
図22Eは、皮下デバイス600の後面図である。
図23Aは、剣状突起X及び胸骨Sの上に配置された皮下デバイス600の斜視図であり、左肺LL及び右肺RLの上におけるプロング606A及び606Bの配置を示している。
図23Bは、剣状突起X及び胸骨Sの上に配置された皮下デバイス600の正面図であり、左肺LL及び右肺RLの上におけるプロング606A及び606Bの配置を示している。
図23Aは、剣状突起X及び胸骨Sの上に配置された皮下デバイス600の側面図であり、左肺LL及び右肺RLの上におけるプロング606A及び606Bの配置を示している。皮下デバイス600は、ハウジング602、クリップ604、プロング606A及びプロング606Bを含む。ハウジング602は、第1の面610、第2の面612、上面614、底面616、前端618、後端620、曲面622、凹部624、ポート626A、ポート626B、チャネル628A、チャネル628B、第1のガイド630、第2のガイド632、電極634及び電極636を含む。クリップ604は、上部640、底部642、スプリング部644、先端646、開口648、スロット650及び電極652を含む。プロング606Aは、近位端660A(
図22A~22Bには図示せず)、遠位端662A、ベース部664A、スプリング部666A、アーム部668A、接触部670A及び電極672Aを含む。プロング606Bは、近位端660B(
図22A~22Bには図示せず)、遠位端662B、ベース部664B、スプリング部666B、アーム部668B、接触部670B及び電極672Bを含む。
図23A~23Cは、剣状突起X、胸骨S、左肺LL及び右肺RLを示す。
図23Bは、肋骨Rも示す。
【0110】
皮下デバイス600は、ハウジング602、クリップ604、プロング606A及びプロング606Bを含む。ハウジング602は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のハウジング102と同一の一般的な構造及び設計を有する。しかしながら、ハウジング602は、ポート626A及びポート626Bを含む2つのポートと、チャネル628A及びチャネル628Bを含む2つのチャネルとを含む。ハウジング602の部分を参照する参照番号は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のハウジング102の部分を参照する参照番号と比較して、500だけ増分される。ポート626A及びポート626Bはハウジング602上で互いに隣接して配置され、チャネル628A及びチャネル628Bはハウジング602上で互いに隣接して配置される。プロング606Aはポート626Aに接続されるように構成され、皮下デバイス600が収容位置にあるとき、チャネル628A内に配置され得る。プロング606Bはポート626Bに接続されるように構成され、皮下デバイス600が収容位置にあるとき、チャネル628B内に配置され得る。
【0111】
クリップ604は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のクリップ104と同一の一般的な構造及び設計を有する。クリップ604の部分を参照する参照番号は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のクリップ104の部分を参照する参照番号と比較して、500だけ増分される。
【0112】
プロング606A及びプロング606Bはそれぞれ、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のプロング106と同じ部分を含み、プロング606A及びプロング606Bの部分を参照する参照番号は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のプロング106の部分を参照する参照番号と比較して、500だけ増分される。しかしながら、プロング606A及び606Bは、
図1~9Cに示されるプロング106とは異なる形状を有する。プロング606Aのスプリング部666A及びアーム部668Aは、ハウジング602の第1の面610から離れて延びる。接触部670Aは、患者の左肺LLと接触するように構成された、プロング606Aの遠位端662Aに隣接するプロング606Aの部分である。接触部670A上に配置された電極672Aも、左肺LLと接触する。プロング606Bのスプリング部666B及びアーム部668Bは、ハウジング602の第2の面612から離れて延びる。接触部670Bは、患者の右肺RLと接触するように構成された、プロング606Bの遠位端662Bに隣接するプロング606Bの部分である。接触部670B上に配置された電極672Bも、右肺RLと接触する。
【0113】
一例において、皮下デバイス600は、患者の剣状突起X及び胸骨Sに固定することができる。クリップ604は、皮下デバイス600を剣状突起X及び胸骨Sに固定するように構成される。クリップ604は、剣状突起X及び胸骨Sの周りを摺動するにつれて拡張する。スプリング部644はクリップ604のためのスプリングとして作用し、テンション下にある。上部640はテンションアームとして作用し、スプリング部644からの力は、上部640に伝えられこれを押し下げる。クリップ604が剣状突起X及び胸骨Sの上に配置されると、スプリング部644のテンションは上部640を剣状突起X及び胸骨Sの上に押し下げてクリップ604を剣状突起X及び胸骨Sに固定する。更に、縫合糸、歯、ピン又はスクリューを、クリップ604の上部640上の開口648を通して挿入し、皮下デバイス600を剣状突起X及び胸骨Sに更に固定することができる。
【0114】
皮下デバイス600は、電源、コントローラ、メモリ、トランシーバ、センサ、感知回路、電極、及び/又は、医療機器の任意の他の構成要素を含むことができる。
図22A~23Cに示される実施形態では、皮下デバイス600が肺モニタリング及び診断デバイスであるように構成される。電極634、電極636、電極652、電極672A及び電極672Bのいずれか1つ又は組み合わせは、左肺LL、右肺RL並びに左肺LL及び右肺RLを取り囲む組織の電気的活動を感知することができる。感知された電気的活動は、皮下デバイス600のハウジング602内の感知回路及びコントローラに送信され得る。コントローラは、監視及び診断の目的のために、患者の生理学的パラメータを決定することができる。このように、皮下デバイス600は、監視デバイス及び診断デバイスとして機能する。代替の実施形態において、皮下デバイス600は、監視デバイス又は診断デバイスとしてのみ機能することができる。
【0115】
(皮下デバイス700)
図24Aは、皮下デバイス700の上面図である。
図24Bは、皮下デバイス700の底面図である。
図24Cは、皮下デバイス700の側面図である。
図24Dは、皮下デバイス700の正面図である。
図25Aは、剣状突起X及び胸骨Sの上に配置された皮下デバイス700の正面図であり、心臓Hの周囲におけるプロング706A及び706Bの配置を示している。
図25Bは剣状突起X及び胸骨Sの上に配置された皮下デバイス700の斜視図であり、心臓Hの周囲におけるプロング706A及び706Bの配置を示している。皮下デバイス700は、ハウジング702、クリップ704、プロング706A及びプロング706Bを含む。ハウジング702は、第1の面710、第2の面712、上面714、底面716、前端718、後端720、曲面722、凹部724、ポート726A、ポート726B、チャネル728A、チャネル728B、第1のガイド730、第2のガイド732、電極734及び電極736を含む。クリップ704は、上部740、底部742、スプリング部744、先端746、開口748、スロット750及び電極752を含む。プロング706Aは、近位端760A(
図24A~25Bには図示せず)、遠位端762A、ベース部764A、スプリング部766A、アーム部768A、接触部770A及び電極772Aを含む。プロング706Bは、近位端760B(
図24A~25Bには図示せず)、遠位端762B、ベース部764B、スプリング部766B、アーム部768B、接触部770B及び電極772Bを含む。
図25A~25Bは、剣状突起X、胸骨S及び心臓Hを示す。
【0116】
皮下デバイス700は、ハウジング702、クリップ704、プロング706A及びプロング706Bを含む。ハウジング702は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のハウジング102と同一の一般的な構造及び設計を有する。しかしながら、ハウジング702は、ポート726A及びポート726Bを含む2つのポートと、チャネル728A及びチャネル728Bを含む2つのチャネルとを含む。ハウジング702の部分を参照する参照番号は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のハウジング102の部分を参照する参照番号と比較して、600だけ増分される。ポート726A及びポート726Bはハウジング702上で互いに隣接して配置され、チャネル728A及びチャネル728Bはハウジング702上で互いに隣接して配置される。プロング706Aはポート726Aに接続されるように構成され、皮下デバイス700が収容位置にあるとき、チャネル728A内に配置され得る。プロング706Bはポート726Bに接続されるように構成され、皮下デバイス700が収容位置にあるとき、チャネル728B内に配置され得る。
【0117】
クリップ704は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のクリップ104と同一の一般的な構造及び設計を有する。クリップ704の部分を参照する参照番号は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のクリップ104の部分を参照する参照番号と比較して、600だけ増分される。
【0118】
プロング706A及びプロング706Bはそれぞれ、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のプロング106と同じ部分を含み、プロング706A及びプロング706Bの部分を参照する参照番号は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のプロング106の部分を参照する参照番号と比較して、600だけ増分される。しかしながら、プロング706A及び706Bは、
図1~9Cに示されるプロング106とは異なる形状を有する。プロング706Aのスプリング部766A及びアーム部768Aは、ハウジング702の第1の面710から離れて延びる。接触部770Aは、患者の心臓Hを取り囲む組織と接触するように構成された、プロング706Aの遠位端762Aに隣接するプロング706Aの部分である。接触部770Aに配置された電極772Aも、患者の心臓Hを取り囲む組織と接触する。プロング706Bのスプリング部766B及びアーム部768Bは、ハウジング702の第2の面712から離れて延びる。接触部770Bは、患者の心臓Hを取り囲む組織と接触するように構成された、プロング706Bの遠位端762Bに隣接するプロング706Bの部分である。接触部770Bに配置された電極772Bも、患者の心臓Hを取り囲む組織と接触する。
【0119】
一例において、皮下デバイス700は、患者の剣状突起X及び胸骨Sに固定することができる。クリップ704は、皮下デバイス700を剣状突起X及び胸骨Sに固定するように構成される。クリップ704は、剣状突起X及び胸骨Sの周りを摺動するにつれて拡張する。スプリング部744はクリップ704のためのスプリングとして作用し、テンション下にある。上部740はテンションアームとして作用し、スプリング部744からの力は、上部740に伝えられこれを押し下げる。クリップ704が剣状突起X及び胸骨Sの上に配置されると、スプリング部744のテンションは上部740を剣状突起X及び胸骨Sの上に押し下げてクリップ704を剣状突起X及び胸骨Sに固定する。更に、縫合糸、歯、ピン又はスクリューを、クリップ704の上部740上の開口748を通して挿入し、皮下デバイス700を剣状突起X及び胸骨Sに更に固定することができる。
【0120】
皮下デバイス700は、電源、コントローラ、メモリ、トランシーバ、センサ、感知回路、電極、及び/又は、医療機器の任意の他の構成要素を含むことができる。
図24A~25Bに示される実施形態では、皮下デバイス700が心臓モニタリング及び診断デバイスであるように構成される。電極734、電極736、電極752、電極772A及び電極772Bのいずれか1つ又は組み合わせは、心臓Hを取り囲む組織の電気的活動を感知することができる。感知された電気的活動は、皮下デバイス700のハウジング702内の感知回路及びコントローラに伝達され得る。コントローラは、監視及び診断の目的のために、患者の生理学的パラメータを決定することができる。このように、皮下デバイス700は、監視デバイス及び診断デバイスとして機能する。代替の実施形態において、皮下デバイス700は、監視デバイス又は診断デバイスとしてのみ機能することができる。
【0121】
具体的には、
図24A~25Bに示す実施形態では、心臓Hの体表面心電図を、電極734、電極736、電極772A及び電極772Bを用いて決定することができる。第1のリード線は、皮下デバイス700のハウジング702上の電極734と電極736との間で決定され得る。第2のリード線、第1のプロング706A上の電極772Aと第2のプロング706B上の電極772Bとの間で決定され得る。次に、これら2つのリード線から収集された情報を外挿して、6つのリード線にわたる体表面心電図を与えることができる。皮下デバイス700を剣状突起X及び胸骨Sに固定することは、皮下デバイス700が体内で移動しておらず、心電図形態を変化させるため、体表面心電図の読みの一貫性及び正確性を可能とする。
【0122】
(皮下デバイス800)
図26は、皮下デバイス800の斜視図である。皮下デバイス800は、ハウジング802、クリップ804、プロング806A及びプロング806Bを含む。ハウジング802は、第1の面810、第2の面812、上面814、底面816、前端818、後端820、曲面822、凹部824、ポート826A、ポート826B、チャネル828A、チャネル828B、第1のガイド830(
図26には図示せず)、第2のガイド832、電極834及び電極836を含む。クリップ804は、上部840、底部842、スプリング部844、先端846、開口848、スロット850及び電極852を含む。プロング806Aは、近位端860A(
図26には図示せず)、遠位端862A、ベース部864A、スプリング部866A、アーム部868A、接触部870A及び電極872Aを含む。プロング806Bは、近位端860B(
図26には図示せず)、遠位端862B、ベース部864B、スプリング部866B、アーム部868B、接触部870B及び電極872Bを含む。
【0123】
皮下デバイス800は、ハウジング802、クリップ804、プロング806A及びプロング806Bを含む。ハウジング802は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のハウジング102と同一の一般的な構造及び設計を有する。しかしながら、ハウジング802は、ポート826A及びポート826Bを含む2つのポートと、チャネル828A及びチャネル828Bを含む2つのチャネルとを含む。ハウジング802の部分を参照する参照番号は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のハウジング102の部分を参照する参照番号と比較して、700だけ増分される。ポート826A及びポート826Bはハウジング802上で互いに隣接して配置され、チャネル828A及びチャネル828Bはハウジング802上で互いに隣接して配置される。プロング806Aはポート826Aに接続されるように構成され、皮下デバイス800が収容位置にあるとき、チャネル828A内に配置され得る。プロング806Bはポート826Bに接続されるように構成され、皮下デバイス800が収容位置にあるとき、チャネル828B内に配置され得る。
クリップ804は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のクリップ104と同一の一般的な構造及び設計を有する。クリップ804の部分を参照する参照番号は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のクリップ104の部分を参照する参照番号と比較して、700だけ増分される。
【0124】
プロング806A及びプロング806Bはそれぞれ、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のプロング106と同じ部分を含み、プロング806A及びプロング806Bの部分を参照する参照番号は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のプロング106の部分を参照する参照番号と比較して、700だけ増分される。しかしながら、プロング806Aは、
図1~9Cに示されるプロング106とは異なる形状を有する。プロング806Aのスプリング部866A及びアーム部868Aは、ハウジング802の第1の面810から離れて延びる。接触部870Aは、患者の心臓の左心室と接触するように構成された、プロング806Aの遠位端862Aに隣接するプロング806Aの部分である。接触部870Aに配置された電極872Aも、患者の心臓の左心室と接触する。プロング806Bは、
図1~9Cに示されるプロング106と同一の形状を有する。プロング806Bのスプリング部866B及びアーム部868Bは、ハウジング802の底面816の下に延びる。接触部870Bは、患者の心臓の右心室と接触するように構成された、プロング806Bの遠位端862Bに隣接するプロング806Bの部分である。接触部870Bに配置された電極872Bも、患者の心臓の右心室と接触する。
【0125】
一例において、皮下デバイス800は、患者の剣状突起及び胸骨に固定することができる。クリップ804は、皮下デバイス800を剣状突起及び胸骨に固定するように構成される。クリップ804は、剣状突起及び胸骨の周りを摺動するにつれて拡張する。スプリング部844はクリップ804のためのスプリングとして作用し、テンション下にある。上部840はテンションアームとして作用し、スプリング部844からの力は、上部840に伝えられこれを押し下げる。クリップ804が剣状突起及び胸骨の上に配置されると、スプリング部844のテンションによって、上部840が剣状突起及び胸骨の上に押し下げられ、クリップ804が剣状突起及び胸骨に固定される。更に、縫合糸、歯、ピン又はスクリューを、クリップ804の上部840の開口848を通して挿入し、皮下デバイス800を剣状突起及び胸骨に更に固定することができる。
【0126】
皮下デバイス800は、電源、コントローラ、メモリ、トランシーバ、センサ、感知回路、治療回路、及び/又は、医療機器の任意の他の構成要素を含むことができる。
図26に示す実施形態では、皮下デバイス800が二腔ペースメーカであるように構成される。電極834、電極836、電極852、電極872A及び電極872Bのいずれか1つ又は組み合わせは、心臓の電気的活動を感知することができる。感知された電気的活動は、皮下デバイス800のハウジング802内の感知回路及びコントローラに送信され得る。コントローラは患者の心拍数を決定することができ、不整脈があるかどうかを検出することができる。不整脈が検出された場合、コントローラは、心臓に治療用電気刺激を与えるために、治療回路に命令を送ることができる。具体的には、治療用電気刺激を右心室及び左心室に与えることができる。このように、皮下デバイス800は、監視デバイス、診断デバイス及び治療デバイスとして機能する。代替の実施形態において、皮下デバイス800は、監視デバイス、診断デバイス、治療デバイス又はそれらの任意の組合せとしてのみ機能することができる。
【0127】
(皮下デバイス900)
図27は、皮下デバイス900の斜視図である。
図28は、剣状突起X及び胸骨Sの上に配置された皮下デバイス900の破断斜視図であり、心臓Hの上におけるプロング906A及び906Bの配置を示している。皮下デバイス900は、ハウジング902、クリップ904、プロング906A及びプロング906Bを含む。ハウジング902は、第1の面910、第2の面912、上面914、底面916、前端918、後端920、曲面922、凹部924、ポート926A、ポート926B、チャネル928A、チャネル928B、第1のガイド930(
図27には図示せず)、第2のガイド932、電極934及び電極936を含む。クリップ904は、上部940、底部942、スプリング部944、先端946、開口948、スロット950及び電極952を含む。プロング906Aは、近位端960A(
図27~28には図示せず)、遠位端962A、ベース部964A、スプリング部966A、アーム部968A、接触部970A及び電極972Aを含む。プロング906Bは、近位端960B(
図27~28には図示せず)、遠位端962B、ベース部964B、スプリング部966B、アーム部968B、接触部970B及び電極972Bを含む。
図28は、剣状突起X、胸骨S、心臓H、右心室RV及び右心房RAを示す。
【0128】
皮下デバイス900は、ハウジング902、クリップ904、プロング906A及びプロング906Bを含む。ハウジング902は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のハウジング102と同一の一般的な構造及び設計を有する。しかしながら、ハウジング902は、ポート926A及びポート926Bを含む2つのポートと、チャネル928A及びチャネル928Bを含む2つのチャネルとを含む。ハウジング902の部分を参照する参照番号は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のハウジング102の部分を参照する参照番号と比較して、800だけ増分される。ポート926A及びポート926Bは互いに隣接して配置され、チャネル928A及びチャネル928Bは互いに隣接して配置される。プロング906Aはポート926Aに接続されるように構成され、皮下デバイス900が収容位置にあるとき、チャネル928A内に配置され得る。プロング906Bはポート926Bに接続されるように構成され、皮下デバイス900が収容位置にあるとき、チャネル928B内に配置され得る。
【0129】
クリップ904は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のクリップ104と同一の一般的な構造及び設計を有する。クリップ904の部分を参照する参照番号は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のクリップ104の部分を参照する参照番号と比較して、800だけ増分される。
【0130】
プロング906A及びプロング906Bはそれぞれ、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のプロング106と同じ部分を含み、プロング906A及びプロング906Bの部分を参照する参照番号は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のプロング106の部分を参照する参照番号と比較して、800だけ増分される。プロング906Aは、
図1~9Cに示されるプロング106と同一の形状を有する。プロング906Aのスプリング部966A及びアーム部968Aは、ハウジング902の底面916の下に延びる。接触部970Aは、患者の心臓Hの右心室RVと接触するように構成された、プロング906Aの遠位端962Aに隣接するプロング906Aの部分である。接触部970Aに配置された電極972Aも、患者の心臓Hの右心室RVと接触する。しかしながら、プロング906Bは、
図1~9Cに示されるプロング106とは異なる形状を有する。プロング906Bのスプリング部966B及びアーム部968Bは、ハウジング902の第2の面912から離れて延びる。接触部970Bは、患者の心臓Hの右心室RAと接触するように構成された、プロング906Bの遠位端962Bに隣接するプロング906Bの部分である。接触部970Bに配置された電極972ABも、患者の心臓Hの右心室RAと接触する。
【0131】
一例において、皮下デバイス900は、患者の剣状突起X及び胸骨Sに固定することができる。クリップ904は、皮下デバイス900を剣状突起X及び胸骨Sに固定するように構成される。クリップ904は、剣状突起X及び胸骨Sの周りを摺動するにつれて拡張する。スプリング部944はクリップ904のためのスプリングとして作用し、テンション下にある。上部940はテンションアームとして作用し、スプリング部944からの力は、上部940に伝えられこれを押し下げる。クリップ904が剣状突起X及び胸骨Sの上に配置されると、スプリング部944のテンションは上部940を剣状突起X及び胸骨Sの上に押し下げてクリップ904を剣状突起X及び胸骨Sに固定する。更に、縫合糸、歯、ピン又はスクリューを、クリップ904の上部940上の開口948を通して挿入し、皮下デバイス900を剣状突起X及び胸骨Sに更に固定することができる。
【0132】
皮下デバイス900は、電源、コントローラ、メモリ、トランシーバ、センサ、感知回路、治療回路、及び/又は、医療機器の任意の他の構成要素を含むことができる。
図27~28に示す実施形態では、皮下デバイス900が二腔ペースメーカであるように構成される。電極934、電極936、電極952、電極972A及び電極972Bのいずれか1つ又は組み合わせは、心臓Hの電気的活動を感知することができる。感知された電気的活動は、皮下デバイス900のハウジング902内の感知回路及びコントローラに伝達され得る。コントローラは患者の心拍数を決定することができ、不整脈があるかどうかを検出することができる。不整脈が検出された場合、コントローラは心臓Hに治療用電気刺激を与えるように治療回路に命令を送ることができる。具体的には、右心室及び右心房に治療用電気刺激を与えることができる。このように、皮下デバイス900は、監視デバイス、診断デバイス及び治療デバイスとして機能する。代替の実施形態において、皮下デバイス900は、監視デバイス、診断デバイス、治療デバイス又はそれらの任意の組合せとしてのみ機能することができる。
【0133】
(皮下デバイス1000)
図29は、皮下デバイス1000の斜視図である。皮下デバイス1000は、ハウジング1002、クリップ1004、プロング1006A及びプロング1006Bを含む。ハウジング1002は、第1の面1010、第2の面1012、上面1014、底面1016、前端1018、後端1020、曲面1022、凹部1024、ポート1026A、ポート1026B、チャネル1028A、チャネル1028B、第1のガイド1030(
図29には図示せず)、第2のガイド1032、電極1034及び電極1036を含む。クリップ1004は、上部1040、底部1042、スプリング部1044、先端1046、開口1048、スロット1050及び電極1052を含む。プロング1006Aは、近位端1060A(
図29には図示せず)、遠位端1062A、ベース部1064A、スプリング部1066A、アーム部1068A、接触部1070A及び電極1072Aを含む。プロング1006Bは、近位端1060B(
図29には図示せず)、遠位端1062B、ベース部1064B、スプリング部1066B、アーム部1068B、接触部1070B及び電極1072Bを含む。
【0134】
皮下デバイス1000は、ハウジング1002、クリップ1004、プロング1006A及びプロング1006Bを含む。ハウジング1002は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のハウジング102と同一の一般的な構造及び設計を有する。しかしながら、ハウジング1002は、ポート1026A及びポート1026Bを含む2つのポートと、チャネル1028A及びチャネル1028Bを含む2つのチャネルとを含む。ハウジング1002の部分を参照する参照番号は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のハウジング102の部分を参照する参照番号と比較して、900だけ増分される。ポート1026A及びポート1026Bはハウジング1002上で互いに隣接して配置され、チャネル1028A及びチャネル1028Bはハウジング1002上で互いに隣接して配置される。プロング1006Aはポート1026Aに接続されるように構成され、皮下デバイス1000が収容位置にあるとき、チャネル1028A内に配置され得る。プロング1006Bはポート1026Bに接続されるように構成され、皮下デバイス1000が収容位置にあるとき、チャネル1028B内に配置され得る。
【0135】
クリップ1004は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のクリップ104と同一の一般的な構造及び設計を有する。クリップ1004の部分を参照する参照番号は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のクリップ104の部分を参照する参照番号と比較して、900だけ増分される。
【0136】
プロング1006A及びプロング1006Bはそれぞれ、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のプロング106と同じ部分を含み、プロング1006A及びプロング1006Bの部分を参照する参照番号は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のプロング106の部分を参照する参照番号と比較して、900だけ増分される。しかしながら、プロング1006A及び1006Bは、
図1~9Cに示されるプロング106とは異なる形状を有する。プロング1006Aのスプリング部1066A及びアーム部1068Aは、ハウジング1002の第1の面1010から離れて延びる。接触部1070Aは、患者の心臓の左心室と接触するように構成された、プロング1006Aの遠位端1062Aに隣接するプロング1006Aの部分である。接触部1070Aに配置された電極1072Aも、患者の心臓の左心室とも接触する。プロング1006Bのスプリング部1066B及びアーム部1068Bは、ハウジング1002の第2の面1012から離れて延びる。接触部1070Bは、患者の心臓の右心房と接触するように構成された、プロング1006Bの遠位端1062Bに隣接するプロング1006Bの部分である。接触部1070Bに配置された電極1072Bも、患者の心臓の右心房と接触する。
【0137】
一例において、皮下デバイス1000は、患者の剣状突起及び胸骨に固定することができる。クリップ1004は、皮下デバイス1000を剣状突起及び胸骨に固定するように構成される。クリップ1004は、剣状突起及び胸骨の周りを摺動するにつれて拡張する。スプリング部1044はクリップ1004のためのスプリングとして作用し、テンション下にある。上部1040はテンションアームとして作用し、スプリング部1044からの力は、上部1040に伝えられこれを押し下げる。クリップ1004が剣状突起及び胸骨の上に配置されると、スプリング部1044のテンションによって、上部1040が剣状突起及び胸骨の上に押し下げられ、クリップ1004が剣状突起及び胸骨に固定される。更に、縫合糸、歯、ピン又はスクリューを、クリップ1004の上部1040の開口1048を通して挿入し、皮下デバイス1000を剣状突起及び胸骨に更に固定することができる。
【0138】
皮下デバイス1000は、電源、コントローラ、メモリ、トランシーバ、センサ、感知回路、治療回路、及び/又は、医療機器の任意の他の構成要素を含むことができる。
図29に示す実施形態では、皮下デバイス1000が二腔ペースメーカであるように構成される。電極1034、電極1036、電極1052、電極1072A及び電極1072Bのいずれか1つ又は組み合わせは、心臓の電気的活動を感知することができる。感知された電気的活動は、皮下デバイス1000のハウジング1002内の感知回路及びコントローラに送信され得る。コントローラは患者の心拍数を決定することができ、不整脈があるかどうかを検出することができる。不整脈が検出された場合、コントローラは、心臓に治療用電気刺激を与えるために、治療回路に命令を送ることができる。具体的には、治療用電気刺激を左心室及び右心房に与えることができる。このように、皮下デバイス1000は、監視デバイス、診断デバイス及び治療デバイスとして機能する。代替の実施形態において、皮下デバイス1000、監視デバイス、診断デバイス、治療デバイス又はそれらの任意の組合せとしてのみ機能することができる。
【0139】
(皮下デバイス1100)
図30は、皮下デバイス1100の斜視図である。皮下デバイス1100は、ハウジング1102、クリップ1104、プロング1106A及びプロング1106Bを含む。ハウジング1102は、第1の面1110、第2の面1112、上面1114、底面1116、前端1118、後端1120、曲面1122、凹部1124、ポート1126A、ポート1126B、チャネル1128A、チャネル1128B、第1のガイド1130(
図30には図示せず)、第2のガイド1132、電極1134及び電極1136を含む。クリップ1104は、上部1140、底部1142、スプリング部1144、先端1146、開口1148、スロット1150及び電極1152を含む。プロング1106Aは、近位端1160A(
図30には図示せず)、遠位端1162A、ベース部1164A、スプリング部1166A、アーム部1168A、接触部1170A及び電極1172Aを含む。プロング1106Bは、近位端1160B(
図30には図示せず)、遠位端1162B、ベース部1164B、スプリング部1166B、アーム部1168B、接触部1170B及び電極1172Bを含む。
【0140】
皮下デバイス1100は、ハウジング1102、クリップ1104、プロング1106A及びプロング1106Bを含む。ハウジング1102は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のハウジング102と同一の一般的な構造及び設計を有する。しかしながら、ハウジング1102は、ポート1126A及びポート1126Bを含む2つのポートと、チャネル1128A及びチャネル1128Bを含む2つのチャネルとを含む。ハウジング1102の部分を参照する参照番号は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のハウジング102の部分を参照する参照番号と比較して、1000だけ増分される。ポート1126A及びポート1126Bはハウジング1102上で互いに隣接して配置され、チャネル1128A及びチャネル1128Bはハウジング1102上で互いに隣接して配置される。プロング1106Aはポート1126Aに接続されるように構成され、皮下デバイス1100が収容位置にあるとき、チャネル1128A内に配置され得る。プロング1106Bはポート1126Bに接続されるように構成され、皮下デバイス1100が収容位置にあるとき、チャネル1128B内に配置され得る。
【0141】
クリップ1104は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のクリップ104と同一の一般的な構造及び設計を有する。クリップ1104の部分を参照する参照番号は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のクリップ104の部分を参照する参照番号と比較して、1000だけ増分される。
【0142】
プロング1106A及びプロング1106Bは概して、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のプロング106と同じ部分を含み、プロング1106A及びプロング1106Bの部分を参照する参照番号は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のプロング106の部分を参照する参照番号と比較して、1000だけ増分される。プロング1106Aは、
図1~9Cに示されるプロング106と同一の形状を有する。スプリング部1166A及びアーム部1168Aは、ハウジング1102の底面1120から離れて延びる。接触部1170Aは、患者の心臓の右心室と接触するように構成された、プロング1106Aの遠位端1162Aに隣接するプロング1106Aの部分である。接触部1170Aに配置された電極1172Aも、患者の心臓の右心室と接触する。しかしながら、プロング1106Bは、
図1~9Cに示されるプロング106とは異なる形状を有し、電極の代わりに除細動器コイル1174Bを含む。スプリング部1166B及びアーム部1168Bは、ハウジング1102の底面1120から離れて延びる。接触部1170Bは、患者の心臓の下の組織と接触するように構成された、プロング1106Bの遠位端1162Bに隣接するプロング1106Bの部分である。除細動器コイル1174Bは、プロング1106Bの遠位端1162Bに隣接する接触部1170B上に配置される。電気信号が除細動器コイル1174Bに送達されると、除細動器コイル1174Bは、ハウジング1102の前端1118の電極1134と共にベクトルを生成する。図示の実施形態では、除細動器コイル1174Bは負電極として機能し、電極1134は正電極として機能する。しかしながら、代替の実施形態においては、これを逆にすることができる。プロング1106Bは、遠位端1162B、したがって接触部1170B及び除細動器コイル1174Bが心臓の下に位置するように配置される。したがって、除細動器コイル1174Bと電極1134との間に生成されるベクトルは、患者の心臓を通過して、患者の心臓に高電圧電気ショックを与える。
【0143】
一例において、皮下デバイス1100は、患者の剣状突起及び胸骨に固定することができる。クリップ1104は、皮下デバイス1100を剣状突起及び胸骨に固定するように構成される。クリップ1104は、剣状突起及び胸骨の周りを摺動するにつれて拡張する。スプリング部1144はクリップ1104のためのスプリングとして作用し、テンション下にある。上部1140はテンションアームとして作用し、スプリング部1144からの力は、上部1140に伝えられこれを押し下げる。クリップ1104が剣状突起及び胸骨の上に配置されると、スプリング部1144のテンションによって、上部1140が剣状突起及び胸骨の上に押し下げられ、クリップ1104が剣状突起及び胸骨に固定される。更に、縫合糸、歯、ピン又はスクリューを、クリップ1104の上部1140の開口1148を通して挿入し、皮下デバイス1100を剣状突起及び胸骨に更に固定することができる。
【0144】
皮下デバイス1100は、電源、コントローラ、メモリ、トランシーバ、センサ、感知回路、治療回路、及び/又は、医療機器の任意の他の構成要素を含むことができる。
図30に示す実施形態では、皮下デバイス1100が単腔ペースメーカ及び除細動器であるように構成される。電極1134、電極1136、電極1152及び電極1172Aのいずれか1つ又は組み合わせは、心臓の電気的活動を感知することができる。更に、除細動器コイル1174Bは、心臓の電気的活動を感知する電極として作用することができる。感知された電気的活動は、皮下デバイス1100のハウジング1102内の感知回路及びコントローラに送信され得る。コントローラは患者の心拍数を決定することができ、不整脈又は異常があるかどうかを検出することができる。不整脈が検出された場合、コントローラは、電極1172Aによって心臓に治療用刺激を与えるために、治療回路に命令を送ることができる。異常が検出された場合、コントローラは、除細動器コイル1174Bによって心臓に高電圧電気ショックを与えるために、治療回路に命令を送ることができる。このように、皮下デバイス1100は、監視デバイス、診断デバイス及び治療デバイスとして機能する。代替の実施形態において、皮下デバイス1100は、監視デバイス、診断デバイス、治療デバイス又はそれらの任意の組合せとしてのみ機能することができる。
【0145】
(皮下デバイス1200)
図31Aは、皮下デバイス1200の斜視図である。
図31Bは、皮下デバイス1200の側面図である。
図31Cは、皮下デバイス1200の上面図である。
図31Dは、皮下デバイス1200の正面図である。
図31Eは、皮下デバイス1200の後面図である。
図32Aは、剣状突起X及び胸骨Sの上に配置された皮下デバイス1200の破断斜視図であり、心臓Hの上におけるプロング1206A、1206B及び1206Cの配置を示している。
図32Bは、剣状突起X及び胸骨Sの上に配置された皮下デバイス1200の破断正面図であり、心臓Hの上におけるプロング1206A、1206B及び1206Cの配置を示している。
図32Cは、剣状突起X及び胸骨Sの上に配置された皮下デバイス1200の破断正面図であり、心臓Hの上におけるプロング1206A、1206B及び1206Cの配置を示している。皮下デバイス1200は、ハウジング1202、クリップ1204、プロング1206A、プロング1206B及びプロング1206Cを含む。ハウジング1202は、第1の面1210、第2の面1212、上面1214、底面1216、前端1218、後端1220、曲面1222、凹部1224、ポート1226A、ポート1226B、ポート1226C、チャネル1228A、チャネル1228B、チャネル1228C、第1のガイド1230、第2のガイド1232、電極1234及び電極1236を含む。クリップ1204は、上部1240、底部1242、スプリング部1244、先端1246、開口1248、スロット1250及び電極1252を含む。プロング1206Aは、近位端1260A(
図31A~32Cには図示せず)、遠位端1262A、ベース部1264A、スプリング部1266A、アーム部1268A、接触部1270A及び電極1272Aを含む。プロング1206Bは、近位端1260B(
図31A~32Cには図示せず)、遠位端1262B、ベース部1264B、スプリング部1266B、アーム部1268B、接触部1270B及び電極1272Bを含む。プロング1206Cは、近位端1260C(
図31A~32Cには図示せず)、遠位端1262C、ベース部1264C、スプリング部1266C、アーム部1268C、接触部1270C及び電極1272Cを含む。
図32A~32Cは、剣状突起X、胸骨S、心臓H、左心室LV、右心室RV及び右心房RAを示す。
図32Cは、肋骨Rも示す。
【0146】
皮下デバイス1200は、ハウジング1202、クリップ1204、プロング1206A、プロング1206B及びプロング1206Cを含む。ハウジング1202は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のハウジング102と同一の一般的な構造及び設計を有する。しかしながら、ハウジング1202は、ポート1226A、ポート1226B及びポート1226Cを含む3つのポートと、チャネル1228A、チャネル1228B及びチャネル1228Cを含む3つのチャネルとを含む。ハウジング1202の部分を参照する参照番号は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のハウジング102の部分を参照する参照番号と比較して、1100だけ増分される。ポート1226A、ポート1226B及びポート1226Cはハウジング1202上で互いに隣接して配置され、チャネル1228A、チャネル1228B及びチャネル1228Cはハウジング1202上で互いに隣接して配置される。プロング1206Aはポート1226Aに接続されるように構成され、皮下デバイス1200が収容位置にあるとき、チャネル1228A内に配置され得る。プロング1206Bはポート1226Bに接続されるように構成され、皮下デバイス1200が収容位置にあるとき、チャネル1228B内に配置され得る。プロング1206Cはポート1226Cに接続されるように構成され、皮下デバイス1200が収容位置にあるとき、チャネル1228C内に配置され得る。
【0147】
クリップ1205は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のクリップ104と同一の一般的な構造及び設計を有する。クリップ1204の部分を参照する参照番号は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のクリップ104の部分を参照する参照番号と比較して、1100だけ増分される。
【0148】
プロング1206A、プロング1206B及びプロング1206Cはそれぞれ、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のプロング106と同じ部分を含み、プロング1206A、プロング1206B及びプロング1206Cの部分を参照する参照番号は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のプロング106の部分を参照する参照番号と比較して、1100だけ増分される。しかしながら、プロング1206A及び1206Cは、
図1~9Cに示されるプロング106とは異なる形状を有する。プロング1206Aのスプリング部1266A及びアーム部1268Aは、ハウジング1202の第1の面1210から離れて延びる。接触部1270Aは、患者の心臓Hの左心室LVと接触するように構成された、プロング1206Aの遠位端1262Aに隣接するプロング1206Aの部分である。接触部1270Aに配置された電極1272Aも、患者の心臓Hの左心室LVと接触する。プロング1206Cのスプリング部1266C及びアーム部1268Cは、ハウジング1202の第2の面1212から離れて延びる。接触部1270Cは、患者の心臓Hの右心房RAと接触するように構成された、プロング1206Cの遠位端1262Cに隣接するプロング1206Cの部分である。接触部1270Cに配置された電極1272Cも、患者の心臓Hの右心房RAと接触する。プロング1206Bは、
図1~9Cに示されるプロング106と同一の形状を有する。プロング1206Bのスプリング部1266B及びアーム部1268Bは、ハウジング1202の底面1216の下に延びる。接触部1270Bは、患者の心臓Hの右心室RVと接触するように構成された、プロング1206Bの遠位端1262Bに隣接するプロング1206Bの部分である。接触部1270Bに配置された電極1272Bも、患者の心臓Hの右心室RVと接触する。
【0149】
一例において、皮下デバイス1200は、患者の剣状突起X及び胸骨Sに固定することができる。クリップ1204は、皮下デバイス1200を剣状突起X及び胸骨Sに固定するように構成される。クリップ1204は、剣状突起X及び胸骨Sの周りを摺動するにつれて拡張する。スプリング部1244はクリップ1204のためのスプリングとして作用し、テンション下にある。上部1240はテンションアームとして作用し、スプリング部1244からの力は、上部1240に伝えられこれを押し下げる。クリップ1204が剣状突起X及び胸骨Sの上に配置されると、スプリング部1244のテンションは上部1240を剣状突起X及び胸骨Sの上に押し下げてクリップ1204を剣状突起X及び胸骨Sに固定する。更に、縫合糸、歯、ピン又はスクリューを、クリップ1204の上部1240上の開口1248を通して挿入して、皮下デバイス1200を剣状突起X及び胸骨Sに更に固定することができる。
【0150】
皮下デバイス1200は、電源、コントローラ、メモリ、トランシーバ、センサ、感知回路、治療回路、及び/又は、医療機器の任意の他の構成要素を含むことができる。
図31A~32Cに示す実施形態では、皮下デバイス1200が三腔ペースメーカであるように構成される。電極1234、電極1236、電極1252、電極1272A、電極1274B及び電極1274Cのいずれか1つ又は組み合わせは、心臓Hの電気的活動を感知することができる。感知された電気的活動は、皮下デバイス1200のハウジング1202内の感知回路及びコントローラに伝達され得る。コントローラは患者の心拍数を決定することができ、不整脈があるかどうかを検出することができる。不整脈が検出された場合、コントローラは心臓Hに治療用電気刺激を与えるように治療回路に命令を送ることができる。具体的には、右心室、左心室及び右心房に治療用電気刺激を与えることができる。このように、皮下デバイス1200は、監視デバイス、診断デバイス及び治療デバイスとして機能する。代替の実施形態において、皮下デバイス1200は、監視デバイス、診断デバイス、治療デバイス又はそれらの任意の組合せとしてのみ機能することができる。
【0151】
(皮下デバイス1300)
図33は、皮下デバイス1300の斜視図である。皮下デバイス1300は、ハウジング1302、クリップ1304、プロング1306A、プロング1306B及びプロング1306Cを含む。ハウジング1302は、第1の面1310、第2の面1312、上面1314、底面1316、前端1318、後端1320、曲面1322、凹部1324、ポート1326A、ポート1326B、ポート1326C、チャネル1328A(
図33には図示せず)、チャネル1328B、チャネル1328C、第1のガイド1330(
図33には図示せず)、第2のガイド1332、電極1334及び電極1336を含む。クリップ1304は、上部1340、底部1342、スプリング部1344、先端1346、開口1348、スロット1350及び電極1352を含む。プロング1306Aは、近位端1360A(
図33には図示せず)、遠位端1362A、ベース部1364A、スプリング部1366A、アーム部1368A、接触部1370A及び電極1372Aを含む。プロング1306Bは、近位端1360B(
図33には図示せず)、遠位端1362B、ベース部1364B、スプリング部1366B、アーム部1368B、接触部1370B及び電極1372Bを含む。プロング1306Cは、近位端1360C(
図33には図示せず)、遠位端1362C、ベース部1364C、スプリング部1366C、アーム部1368C、接触部1370C及び除細動器コイル1374Cを含む。
【0152】
皮下デバイス1300は、ハウジング1302、クリップ1304、プロング1306A、プロング1306B及びプロング1306Cを含む。ハウジング1302は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のハウジング102と同一の一般的な構造及び設計を有する。しかしながら、ハウジング1302は、ポート1326A、ポート1326B及びポート1326Cを含む3つのポートと、チャネル1328A、チャネル1328B及びチャネル1328Cを含む3つのチャネルとを含む。ハウジング1302の部分を参照する参照番号は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のハウジング102の部分を参照する参照番号と比較して、1200だけ増分される。ポート1326A、ポート1326B及びポート1326Cはハウジング1302上で互いに隣接して配置され、チャネル1328A、チャネル1328B及びチャネル1328Cはハウジング1302上で互いに隣接して配置される。プロング1306Aはポート1326Aに接続されるように構成され、皮下デバイス1300が収容位置にあるとき、チャネル1328A内に配置され得る。プロング1306Bはポート1326Bに接続されるように構成され、皮下デバイス1300が収容位置にあるとき、チャネル1328B内に配置され得る。プロング1306Cはポート1326Cに接続されるように構成され、皮下デバイス1300が収容位置にあるとき、チャネル1328C内に配置され得る。
【0153】
クリップ1304は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のクリップ104と同一の一般的な構造及び設計を有する。クリップ1304の部分を参照する参照番号は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のクリップ104の部分を参照する参照番号と比較して、1200だけ増分される。
【0154】
プロング1306A、プロング1306B及びプロング1306Cは概して、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のプロング106と同じ部分を含み、プロング1306A、プロング1306B及びプロング1306Cの部分を参照する参照番号は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のプロング106の部分を参照する参照番号と比較して、1200だけ増分される。しかしながら、プロング1306A及びプロング1306Cは、
図1~9Cに示されるプロング106とは異なる形状を有し、プロング1306Cは電極の代わりに除細動器コイル1374Cを含む。スプリング部1366A及びアーム部1368Aは、ハウジング1302の第1の面1310から離れて延びる。接触部1370Aは、患者の心臓の左心室と接触するように構成された、プロング1306Aの遠位端1362Aに隣接するプロング1306Aの部分である。接触部1370Aに配置された電極1372Aも、患者の心臓の左心室と接触する。スプリング部1366C及びアーム部1368Cは、ハウジング1302の底面1320から離れて延びる。接触部1370Bは、患者の心臓の下の組織と接触するように構成された、プロング1306Cの遠位端1362Cに隣接するプロング1306Cの部分である。除細動器コイル1374Cは、プロング1306Cの遠位端1362Cに隣接する接触部1370C上に配置される。電気信号が除細動器コイル1374Cに送達されると、除細動器コイル1374Cは、ハウジング1302の前端1318の電極1334と共にベクトルを生成する。図示の実施形態では、除細動器コイル1374Cは負電極として機能し、電極1334は正電極として機能する。しかしながら、代替の実施形態においては、これを逆にすることができる。プロング1306Cは、遠位端1362C、したがって接触部1370C及び除細動器コイル1374Cが心臓の下に位置するように配置される。したがって、除細動器コイル1374Cと電極1334との間に生成されるベクトルは、患者の心臓を通過して、患者の心臓に高電圧電気ショックを与える。プロング1306Bは、
図1~9Cに示されるプロング106と同一の形状を有する。スプリング部1366B及びアーム部1368Bは、ハウジング1302の底面1320から離れて延びる。接触部1370Bは、患者の心臓の左心室と接触するように構成された、プロング1306Bの遠位端1362Bに隣接するプロング1306Bの部分である。接触部1370Bに配置された電極1372Bも、患者の心臓の左心室と接触する。
【0155】
一例において、皮下デバイス1300は、患者の剣状突起及び胸骨に固定することができる。クリップ1300は、皮下デバイス1300を剣状突起及び胸骨に固定するように構成される。クリップ1304は、剣状突起及び胸骨の周りを摺動するにつれて拡張する。スプリング部1344はクリップ1304のためのスプリングとして作用し、テンション下にある。上部1340はテンションアームとして作用し、スプリング部1344からの力は、上部1340に伝えられこれを押し下げる。クリップ1304が剣状突起及び胸骨の上に配置されると、スプリング部1344のテンションによって、上部1340が剣状突起及び胸骨の上に押し下げられ、クリップ1304が剣状突起及び胸骨に固定される。更に、縫合糸、歯、ピン又はスクリューを、クリップ1304の上部1340の開口1348を通して挿入し、皮下デバイス1300を剣状突起及び胸骨に更に固定することができる。
【0156】
皮下デバイス1300は、電源、コントローラ、メモリ、トランシーバ、センサ、感知回路、治療回路、及び/又は、医療機器の任意の他の構成要素を含むことができる。
図33に示す実施形態では、皮下デバイス1300が二腔ペースメーカ及び除細動器であるように構成される。電極1334、電極1336、電極1352、電極1372A及び電極1372Bのいずれか1つ又は組み合わせは、心臓の電気的活動を感知することができる。更に、除細動器コイル1374Cは、心臓の電気的活動を感知する電極として作用することができる。感知された電気的活動は、皮下デバイス1300のハウジング1302内の感知回路及びコントローラに送信され得る。コントローラは患者の心拍数を決定することができ、不整脈又は異常があるかどうかを検出することができる。不整脈が検出された場合、コントローラは、電極1372A及び電極1372Bによって心臓に治療用電気刺激を与えるために、治療回路に命令を送ることができる。具体的には、治療用電気刺激を右心室及び左心室に与えることができる。異常が検出された場合、コントローラは、除細動器コイル1374Cによって心臓に高電圧電気ショックを与えるために、治療回路に命令を送ることができる。このように、皮下デバイス1300は、監視デバイス、診断デバイス及び治療デバイスとして機能する。代替の実施形態において、皮下デバイス1300は、監視デバイス、診断デバイス、治療デバイス又はそれらの任意の組合せとしてのみ機能することができる。
【0157】
(皮下デバイス1400)
図34Aは、皮下デバイス1400の斜視図である。
図34Bは、皮下デバイス1400の斜視図である。
図34Cは、皮下デバイス1400の側面図である。皮下デバイス1400は、ハウジング1402、クリップ1404、プロング1406A、プロング1406B、プロング1406C及びプロング1406Dを含む。ハウジング1402は、第1の面1410、第2の面1412、上面1414、底面1416、前端1418、後端1420、曲面1422、凹部1424、ポート1426A、ポート1426B、ポート1426C、ポート1426D、チャネル1428A(
図34A~34Cには図示せず)、チャネル1428B、チャネル1428C、チャネル1428D、第1のガイド1430、第2のガイド1432、電極1434及び電極1436を含む。クリップ1404は、上部1440、底部1442、スプリング部1444、先端1446、開口1448、スロット1450及び電極1452を含む。プロング1406Aは、近位端1460A(
図34A~34Cには図示せず)、遠位端1462A、ベース部1464A、スプリング部1466A、アーム部1468A、接触部1470A及び除細動器コイル1474Aを含む。プロング1406Bは、近位端1460B(
図34A~34Cには図示せず)、遠位端1462B、ベース部1464B、スプリング部1466B、アーム部1468B、接触部1470B及び除細動器コイル1474Bを含む。プロング1406Cは、近位端1460C(
図34A~34Cには図示せず)、遠位端1462C、ベース部1464C、スプリング部1466C、アーム部1468C、接触部1470C及び電極1474Cを含む。プロング1406Dは、近位端1460D(
図34A-34Cには図示せず)、遠位端1462D、ベース部1464D、スプリング部1466D、アーム部1468D、接触部1470D及び除細動器コイル1474Dを含む。
【0158】
皮下デバイス1400は、ハウジング1402、クリップ1404、プロング1406A、プロング1406B、プロング1406C及びプロング1406Dを含む。ハウジング1402は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のハウジング102と同一の一般的な構造及び設計を有する。しかしながら、ハウジング1402は、ポート1426A、ポート1426B、ポート1426C及びポート1426Dを含む4つのポートと、チャネル1428A、チャネル1428B、チャネル1428C及びチャネル1428Dを含む4つのチャネルとを含む。ハウジング1402の部分を参照する参照番号は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のハウジング102の部分を参照する参照番号と比較して、1300だけ増分される。ポート1426A、ポート1426B、ポート1426C及びポート1426Dはハウジング1402上で互いに隣接して配置され、チャネル1428A、チャネル1428B、チャネル1428C及びチャネル1428Dはハウジング1402上で互いに隣接して配置される。プロング1406Aはポート1426Aに接続されるように構成され、皮下デバイス1400が収容位置にあるとき、チャネル1428A内に配置され得る。プロング1406Bはポート1426Bに接続されるように構成され、皮下デバイス1400が収容位置にあるとき、チャネル1428B内に配置され得る。プロング1406Cはポート1426Cに接続されるように構成され、皮下デバイス1400が収容位置にあるとき、チャネル1428C内に配置され得る。プロング1406Dはポート1426Dに接続されるように構成され、皮下デバイス1400が収容位置にあるとき、チャネル1428D内に配置され得る。
【0159】
クリップ1404は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のクリップ104と同一の一般的な構造及び設計を有する。クリップ1404の部分を参照する参照番号は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のクリップ104の部分を参照する参照番号と比較して、1300だけ増分される。
【0160】
プロング1406A、プロング1406B、プロング1406C及びプロング1406Dは概して、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のプロング106と同じ部分を含み、プロング1406A、プロング1406B、プロング1406C及びプロング1406Dの部分を参照する参照番号は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のプロング106の部分を参照する参照番号と比較して、1300だけ増分される。しかしながら、プロング1406A、プロング1406B及びプロング1406Dは、
図1~9Cに示されるプロング106とは異なる形状を有し、電極の代わりに除細動器コイル1474A、除細動器コイル1474B、除細動器コイル1474C及び除細動器コイル1474Dを含む。
【0161】
スプリング部1466A及びアーム部1468Aは、ハウジング1402の第1の面1410から離れて延びる。接触部1470Aは、ハウジング1402の第1の面1410上の組織と接触するように構成された、プロング1406Aの遠位端1462Aに隣接するプロング1406Aの部分である。除細動器コイル1474Aは、プロング1406Aの遠位端1462Aに隣接する接触部1470BAに配置される。除細動器コイル1474Aは、除細動器コイル1474Bと共にベクトルを生成するように構成される。スプリング部1466D及びアーム部1468Dは、ハウジング1402の第2の面1412に沿って延びる。接触部1470Dは、ハウジング1402の第2の面1412上の組織と接触するように構成された、プロング1406Dの遠位端1462Dに隣接するプロング1406Dの部分である。除細動器コイル1474Dは、プロング1406Dの遠位端1462Dに隣接する接触部1470D上に配置される。除細動器コイル1474Dは、除細動器コイル1474Bと共にベクトルを生成するように構成される。
【0162】
スプリング部1466B及びアーム部1468Bは、ハウジング1402の底面1420から離れて延びる。接触部1470Bは、患者の心臓の下の組織と接触するように構成された、プロング1406Bの遠位端1462Bに隣接するプロング1406Bの部分である。除細動器コイル1474Bは、プロング1406Bの遠位端1462Bに隣接する接触部1470B上に配置される。電気信号が除細動器コイル1474Bに送られると、除細動器コイル1474Bは、ハウジング1402の前端1418の電極1434と共に第1のベクトルを、プロング1406A上の除細動器コイル1474Aと共に第2のベクトルを、プロング1406D上の除細動器コイル1474D共にと第3のベクトルを、それぞれ生成する。図示の実施形態では、除細動器コイル1474Bは負電極として機能し、電極1434、除細動器コイル1474A及び除細動器コイル1474Dは正電極として機能する。しかしながら、代替の実施形態においては、これを逆にすることができる。プロング1406Bは、遠位端1462B、したがって接触部1470B及び除細動器コイル1474Bが心臓の下に位置するように配置される。したがって、除細動器コイル1474Bと、電極1434、除細動器コイル1474A及び除細動器コイル1474Dとの間に生成されるベクトルは、患者の心臓を通過して、患者の心臓に高電圧電気ショックを与える。
【0163】
プロング1406Cは、
図1~9Cに示されるプロング106と同一の形状を有する。スプリング部1466C及びアーム部1468Cは、ハウジング1402の底面1420から離れて延びる。接触部1470Cは、患者の心臓の左心室と接触するように構成された、プロング1406Cの遠位端1462Cに隣接するプロング1406Cの部分である。接触部1470Cに配置された電極1472Cも、患者の心臓の左心室と接触する。
【0164】
一例において、皮下デバイス1400は、患者の剣状突起及び胸骨に固定することができる。クリップ1404は、皮下デバイス1400を剣状突起及び胸骨に固定するように構成される。クリップ1404は、剣状突起及び胸骨の周りを摺動するにつれて拡張する。スプリング部1444はクリップ1404のためのスプリングとして作用し、テンション下にある。上部1440はテンションアームとして作用し、スプリング部1444からの力は、上部1440に伝えられこれを押し下げる。クリップ1404が剣状突起及び胸骨の上に配置されると、スプリング部1444のテンションによって、上部1440が剣状突起及び胸骨の上に押し下げられ、クリップ1404が剣状突起及び胸骨に固定される。更に、縫合糸、歯、ピン又はスクリューを、クリップ1404の上部1440の開口1448を通して挿入し、皮下デバイス1400を剣状突起及び胸骨に更に固定することができる。
【0165】
皮下デバイス1400は、電源、コントローラ、メモリ、トランシーバ、センサ、感知回路、治療回路、及び/又は、医療機器の任意の他の構成要素を含むことができる。
図34A-34Cに示す実施形態では、皮下デバイス1400が単腔ペースメーカ及びマルチベクトル除細動器であるように構成される。電極1434、電極1436、電極1452及び電極1472Cのいずれか1つ又は組み合わせは、心臓の電気的活動を感知することができる。更に、除細動器コイル1474A、除細動器コイル1474B及び除細動器コイル1474Dは、心臓の電気的活動を感知する電極として作用することができる。感知された電気的活動は、皮下デバイス1400のハウジング1402内の感知回路及びコントローラに送信され得る。コントローラは患者の心拍数を決定することができ、不整脈又は異常があるかどうかを検出することができる。不整脈が検出された場合、コントローラは、電極1472Cによって心臓に治療用電気ショックを与えるために、治療回路に命令を送ることができる。異常が検出された場合、コントローラは、除細動器コイル1474Bによって心臓に高電圧電気ショックを与えるために、治療回路に命令を送ることができる。このように、皮下デバイス1400は、監視デバイス、診断デバイス及び治療デバイスとして機能する。代替の実施形態において、皮下デバイス1400、監視デバイス、診断デバイス、治療デバイス又はそれらの任意の組合せとしてのみ機能することができる。
【0166】
(皮下デバイス1500)
図35Aは、皮下デバイス1500の斜視図である。
図35Bは、皮下デバイス1500の斜視図である。
図35Cは、皮下デバイス1500の底面図である。
図35Dは、皮下デバイス1500の側面図である。
図35Eは、皮下デバイス1500の後面図である。
図35Fは、皮下デバイス1500の正面図である。
図36Aは、皮下デバイス1500の概略図である。
図36Bは、皮下デバイス1500の一部を側方から示す断面図である。
図36Cは、皮下デバイス1500の一部を下方から示す断面図である。
図37は、剣状突起X及び胸骨Sの上に配置された皮下デバイス1500の斜視図である。皮下デバイス1500は、ハウジング1502、クリップ1504、プロング1506A及びプロング1506Bを含む。ハウジング1502は、第1の面1510、第2の面1512、上面1514、底面1516、前端1518、後端1520、曲面1522、凹部1524、ポート1526A、ポート1526B、第1のガイド1530、第2のガイド1532、電極1534及び電極1536を含む。クリップ1504は、上部1540、底部1542、スプリング部1544、先端1546、開口1548、スロット1550及び電極1552を含む。プロング1506Aは、近位端1560A、遠位端1562A、ベース部1564A、スプリング部1566A、アーム部1568A、接触部1570A、開口1576A及び管腔1578Aと含む。プロング1506Bは、近位端1560B、遠位端1562B、ベース部1564B、スプリング部1566B、アーム部1568B、開口1576B及び管腔1578Bを含む。皮下デバイス1500は更に、薬剤貯槽1580、薬剤ポンプ1582、流体コネクタ1584、流体コネクタ1586、流体コネクタ1588、電子部品1590及びバッテリ1592を含む。
図37は、剣状突起X及び胸骨Sを示す。
【0167】
皮下デバイス1500は、ハウジング1502、クリップ1504、プロング1506A及びプロング1506Bを含む。ハウジング1502は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のハウジング102と同一の一般的な構造及び設計を有する。しかしながら、ハウジング1502は、ポート1526A及びポート1526Bを含む2つのポートを含む。ハウジング1502の部分を参照する参照番号は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のハウジング102の部分を参照する参照番号と比較して、1400だけ増分される。ポート1526A及びポート1526Bは、ハウジング1502上で互いに隣接して配置される。プロング1506Aは、ポート1526Aに接続されるように構成される。プロング1506Bは、ポート1526Bに接続されるように構成される。
【0168】
クリップ1504は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のクリップ104と同一の一般的な構造及び設計を有する。クリップ1504の部分を参照する参照番号は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のクリップ104の部分を参照する参照番号と比較して、1400だけ増分される。
【0169】
プロング1506A及びプロング1506Bは概して、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のプロング106と同じ部分を含み、プロング1506A及びプロング1506Bの部分を参照する参照番号は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のプロング106の部分を参照する参照番号と比較して、1400だけ増分される。しかしながら、プロング1506A及びプロング1506Bは
図1~9Cに示されるプロング106とは異なる形状を有し、開口1576A及び管腔1578A、並びに、開口1576B及び管腔1578Bをそれぞれ含む。スプリング部1566A及びアーム部1568Aは、ハウジング1502の底面1516の下に延びる。接触部1570Aは、患者の臓器、神経又は組織と接触するように構成された、プロング1506Aの遠位端1562Aに隣接するプロング1506Aの部分である。プロング1506Aは遠位端1562Aに開口1576Aを有し、近位端1560Aから遠位端1562Aまで延びる管腔1578Aを含む。スプリング部1566B及びアーム部1568Bは、ハウジング1502の底面1520に沿って上方へ延びる。プロング1506Bは遠位端1562Bに開口1576Bを有し、近位端1560Bから遠位端1562Bまで延びる管腔1578Bを含む。
【0170】
一例において、皮下デバイス1500は、患者の剣状突起X及び胸骨Sに固定することができる。クリップ1504は、皮下デバイス1500を剣状突起X及び胸骨Sに固定するように構成される。クリップ1504は、剣状突起X及び胸骨Sの周りを摺動するにつれて拡張する。スプリング部1544はクリップ1504のためのスプリングとして作用し、テンション下にある。上部1540はテンションアームとして作用し、スプリング部1544からの力は、上部1540に伝えられこれを押し下げる。クリップ1504が剣状突起X及び胸骨Sの上に配置されると、スプリング部1544のテンションは上部1540を剣状突起X及び胸骨Sの上に押し下げてクリップ1504を剣状突起X及び胸骨Sに固定する。更に、縫合糸、歯、ピン又はスクリューを、クリップ1504の上部1540上の開口1548を通して挿入し、皮下デバイス1500を剣状突起X及び胸骨Sに更に固定することができる。
【0171】
皮下デバイス1500は、電源、コントローラ、メモリ、トランシーバ、センサ、感知回路、治療回路、及び/又は、医療機器の任意の他の構成要素を含むことができる。
図35A~37に示す実施形態では、皮下デバイス1500が薬剤送達デバイスであるように構成される。
図36A~36Cに示されるように、皮下デバイス1500は、ハウジング1502内に配置された薬剤貯槽1580及び薬剤ポンプ1582を含む。薬剤貯槽1580は、薬剤貯槽1580をプロング1506Bに流体的に接続する流体コネクタ1584と、薬剤貯槽1580を薬剤ポンプ1582に流体的に接続する流体コネクタ1586とを含む。薬剤ポンプ1582はまた、薬剤ポンプ1582をプロング1506Aに流体的に接続する流体コネクタ1588を含む。薬剤は、プロング1506Bの開口1576Bに挿入され、次いで、プロング1506Bの管腔1578Bを通って薬剤貯槽1580に移動することができる。このようにして、薬剤貯槽1580は、必要に応じて補充され、再充填され得る。注射器を開口1578Bに配置して、薬剤をプロング1506Bに注入することができる。次いで、薬剤貯槽1580内の薬剤は、薬剤ポンプ1582によって薬剤貯槽1580から送出され得る。薬剤ポンプ1582は、薬剤貯槽1580内の薬剤を、流体コネクタ1586、薬剤ポンプ1582及び流体コネクタ1588を通じて、プロング1506A中に送出する。プロング1506A内の薬剤は、プロング1506Aの管腔1578Aを通って移動し、開口1576Aにおいてプロング1506Aを出ることができる。開口1576Aは、臓器、神経又は組織に接触するように配置され、その結果、薬剤が臓器、神経又は組織に適用され得る。
図36A~36Cはまた、コントローラ、メモリ、トランシーバ、センサ、感知回路、治療回路、電極、及び/又は、医療機器の任意の他の構成要素を含み得る電子部品1590と、バッテリ1592とを示す。バッテリ1592は、電子部品1590及び薬剤ポンプ1592を含む皮下デバイス1500に電力を供給する。電子部品1590は特に、プログ1506Aを通して患者に薬剤を投与するために薬剤ポンプ1592に信号を送ることができる治療回線を含み得る。このように、皮下デバイス1500は、臓器、神経又は組織に標的治療薬剤又は全身治療薬剤を提供することができる薬剤送達デバイスとして機能する。標的治療薬剤又は全身治療薬剤の提供は、癌、糖尿病及び高血圧を治療するために用いることができる。癌を標的治療薬剤又は全身治療薬剤で治療することにより、副作用を軽減することができる。代替の実施形態において、皮下デバイス1500は、それが監視及び診断デバイス、ペースメーカデバイス又は除細動器デバイスとしても機能することを可能にする構成要素を含むことができる。
【0172】
皮下デバイス100、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400及び1500は、以下を含む皮下デバイスの種々の実施形態を開示する:シングルプロング心臓モニタリングデバイス、マルチプロング心臓モニタリングデバイス、肺モニタリングデバイス、単腔ペースメーカ、二腔ペースメーカ、三腔ペースメーカ、心房除細動器、シングルベクトル心室除細動器、マルチベクトル心室除細動器、及び、埋め込み型薬剤ポンプ及び/又は薬剤送達デバイスペースメーカの実施形態の各々は、監視及び診断デバイス及び/又は薬剤送達デバイスとしても機能することができ、除細動器の実施形態の各々は、監視及び診断デバイス、ペースメーカデバイス及び/又は薬剤送達デバイスとしても機能することができ、薬剤送達の実施形態の各々は、監視及び診断デバイス、ペースメーカデバイス及び/又は除細動器デバイスとしても機能することができる。更に、各実施形態の特徴は、明示的な別段の開示がない限り、任意の他の実施形態の特徴と組み合わされ及び/又は置換され得る。
【0173】
(皮下デバイス1600)
図38は、構造的身体構成要素Aに固定された皮下デバイス1600の側面図である。皮下デバイス1600は、クリップ1604、プロング1606、ワイヤ1608及びコネクタ1609を含む。
図38は、構造的身体構成要素A、遠隔身体構成要素B、皮膚SK及び外部デバイスEDをも示す。
【0174】
皮下デバイス1600は、構造的身体構成要素Aに固定されるように構成された医療機器である。構造的身体構成要素Aは、患者の筋肉、骨又は組織であり得る。皮下デバイス1600は、監視デバイス、診断デバイス、治療デバイス又はそれらの任意の組み合わせであり得る。皮下デバイス1600は、短い期間患者に埋め込まれ、その後容易に患者から除去され得る、一時的な医療機器であるように構成される。
図38に示されるように、皮下デバイス1600のクリップ1604及びプロング1606は、患者の身体の内部に配置される。ワイヤ1608は、患者の身体の内部のプロング1606から、患者の皮膚SKを通って、患者の身体の外部へ延びる。コネクタ1609は、患者の身体の外部に配置される。皮下デバイス1600は、患者の身体の外部に配置された外部デバイスEDに導電的に接続される。
【0175】
皮下デバイス1600は、クリップ1604を含む。クリップ1604は、皮下デバイス1600を構造的身体構成要素Aに固定するように構成される。クリップ1604は、構造的身体構成要素Aの周りで前進させられるにつれて拡張する。クリップ1604は、受動クリップ又は能動クリップであり得る。受動クリップは、骨、筋肉又は組織に取り付けるために、クランプ構成要素の剛性のみを使用する。この剛性は、設計又は埋め込み処置中の能動的クリンピングの結果であり得る。能動クリップは、クリップを骨、筋肉又は組織に固定するために、縫合糸、歯、ピン又はスクリューのような能動的な固定方法を付加的に使用してもよい。
図38に示される実施形態では、クリップ1604はバネ付勢を有し、当該バネ付勢は、拡張されて構造的身体構成要素A上に取り付けられた時、当該構造的身体構成要素にテンションをかける。クリップ1604のバネ付勢は、皮下デバイス1600を構造的身体構成要素Aに固定する。
【0176】
プロング1606は、皮下デバイス1600のクリップ1604に接続され、そこから離れるように延びる。プロング1606は、構造的身体構成要素Aから離れて配置された遠隔身体構成要素Bと接触するように構成される。遠隔身体構成要素Bは、患者の臓器、神経又は組織であり得る。例えば、遠隔身体構成要素Bは、心臓、肺又は体内の任意の他の適切な臓器を含み得る。プロング1606は、遠隔身体構成要素Bの電気的活動又は生理学的パラメータを感知することができ、及び/又は、遠隔身体構成要素Bに治療用電気刺激を与えることができる、1つ以上の電極を含む。
【0177】
ワイヤ1608は、プロング1606上の1つ以上の電極から、プロング1606内の1つ以上の管腔を通り、プロング1606の近位端から外へ延びる。ワイヤ1608は、プロング1606から離れ患者の皮膚SK内の経皮ポートを通って延びる。コネクタ1609は、患者の身体の外部に配置されたワイヤ1608の近位端に接続される。コネクタ1609は、如何なる電気コネクタであってもよい。コネクタ1609は、患者の身体の外部に配置された外部デバイスEDに接続されるように構成される。外部デバイスは、コントローラ、感知回路、治療回路、メモリ、電源、トランシーバ、ディスプレイスクリーン、及び/又は、医療機器の任意の他の構成要素を含み得る。外部デバイスEDは、プロング1606上の1つ以上の電極から信号を受信し、プロング1606上の1つ以上の電極に電気信号を送達するように構成される。
【0178】
皮下デバイス1600は、他の手術を受けている間に患者に埋め込まれ得る。例えば、開心術の終わりに、外科医は、皮下デバイス1600を筋肉、骨及び/又は第1の組織に固定するために、クリップ1604を筋肉、骨及び/又は第1の組織の周囲に配置することができる。患者の切開部は手術に続いて閉じられるので、ワイヤ1609は、患者の皮膚SKの切開部を取って延びるように配置され得る。代替的に、皮下デバイス1600は、患者の皮膚SKに小さな切開部を作ることにより患者に埋め込まれることができ、その時、皮下デバイス1600を患者の体内に挿入し、皮下デバイス1600を筋肉、骨及び/又は第1の組織に固定するために、外科用器具が使用され得る。ワイヤ1609は、患者の皮膚SKに作られた小さな切開部を通って延びることができる。
【0179】
一例において、皮下デバイス1600は一時的なペースメーカであることができ、皮下デバイス1600のプロング1606上の1つ以上の電極は、心臓の電気的活動を感知することができる。感知された電気的活動は、外部デバイスED内の感知回路及びコントローラに伝達され得る。コントローラは患者の心拍数を決定することができ、不整脈があるかどうかを検出することができる。不整脈が検出された場合、コントローラは、プロング1606上の1つ以上の電極を通じて心臓に治療用電気刺激を与えるために、治療回路に命令を送ることができる。このように、皮下デバイス1600は、監視デバイス、診断デバイス及び治療デバイスとして機能する。皮下デバイス1600は、外部デバイスEDによって制御される。外部デバイスEDは、感知デバイス、ペースメーカデバイス、除細動器デバイス、又は、皮下デバイス1600から信号を受信し、皮下デバイス1600へ信号を送信するために、当該皮下デバイス1600に電気的に接続され得る任意のデバイスであることができる。
【0180】
皮下デバイス1600を、以下の
図39A~40との関連で、より詳細に説明する。皮下デバイス1600は、以下の
図39A~40の説明において、監視、診断及び治療のために使用され得る一時的なペースメーカとして説明される。皮下デバイス1600はまた、代替の実施形態において、監視、診断、又は、これら2つの組み合わせのためにのみ使用され得る。更に、皮下デバイス1600は、単極ペースメーカ又は双極ペースメーカであり得る。
【0181】
図39Aは、皮下デバイス1600の斜視図である。
図39Bは、皮下デバイス1600の側面図である。
図39Cは、皮下デバイス1600のクリップ1604及びプロング1606の後面図である。皮下デバイス1600は、クリップ1604、プロング1606、ワイヤ1608及びコネクタ1609を含む。クリップ1604は、上部1640、底部1642、スプリング部1644、先端1646、開口1648、スロット1650及び溝1651を含む。プロング1606は、近位端1660、遠位端1662、ベース部1664、アーム部1668、接触部1670、開口1671、電極1672及び電極1673を含む。
【0182】
皮下デバイス1600は、患者に埋め込まれるクリップ1604及びプロング1606を含む。ワイヤ1608は、プロング1606の近位端を通って延び、コネクタ1609で終端する。ワイヤ1608は、患者の皮膚のポートを通って経皮的に延びるように構成される。コネクタ1609は、患者の身体の外部に配置された外部デバイスに接続されるように構成される。
【0183】
クリップ1604は、上部1640、底部1642及びスプリング部1644を含む。上部1640は、クリップ1604の上部を形成する平坦部であり、底部1642はクリップ1604の底部を形成する平坦部である。スプリング部1644は、クリップ1604の後端に配置された湾曲した部位であり、上部1640と底部1642との間で延在し、これらを接続する。クリップ1604は、ステンレス鋼、チタン、ニチノール、エポキシ、シリコーン、金属補強材を有するポリウレタン、又は、非多孔インプラントに適した任意の他の材料から製作され得る。
【0184】
クリップ1604の上部1640は、クリップ1604の前端に隣接して先端1646を含む。上部1640は、上部1640の中央から先端1646まで先細りになっている。クリップ1604の上部1640の先端1646の先細りは、クリップ1604が患者の筋肉、骨又は組織に固定されているときに、クリップ1604が組織を通って押し進むのを助ける。クリップ1604の上部1640の先端1646の先細りは、クリップ1604が骨、筋肉又は組織に固定されるときに、組織を通る経路を生成する。
【0185】
上部1640は、任意に、開口1648を含み得る。開口1648は、上部1640を通って延びている。
図39A~39Cに示す実施形態においては、上部1640に2つの開口1648があるが、代替の実施形態においては、任意の数の開口1648があってもよい。開口1648は、皮下デバイス1600を筋肉、骨又は組織に固定するために、クリップ1604が患者の筋肉、骨又は組織に縫合され得るよう構成される。更に、開口1648は、皮下デバイス1600を筋肉、骨又は組織に固定するために、歯、ピン又はスクリューのような、付加的な固定機構を受容することができる。これらの付加的な固定機構は、生体吸収性材料から製作することができる。クリップ1604は、スロット1650も含む。スロット1650は、クリップ1604のスプリング部1644を通って延びる開口である。スロット1650は、皮下デバイス1600を患者に埋め込むために用いられ得る外科用器具のブレードを受容するように構成される。
【0186】
底部1642は、溝1651をも含む。底部1642は上部1640よりも厚く、溝1651は底部1642の下側の前端から後端まで延びる。溝1651は、プロング1606を受容するように構成される。プロング1606は、溝1651でクリップ1604に取り付けられ、溝1651の前端から後端まで延びる。プロング1606は、接着剤、機械的なラッチ又は他の任意の適切な取り付け手段を用いて、溝1651に取り付けられ得る。
【0187】
スプリング部1644はクリップ1604のためのスプリングとして作用し、テンション下にある。上部1640はテンションアームとして作用し、スプリング部1644からの力は、上部1640に伝えられこれを押し下げる。その自然な状態において、スプリング部1644のバネ付勢は、上部1640の先端1646をクリップ1604の底部1642に向かって押し付ける。上部1640の先端1646は持ち上げることができ、クリップ1604を患者の筋肉、骨又は組織の上に配置することができる。クリップ1604が患者の筋肉、骨又は組織の上に配置されると、スプリング部1644のテンションは、上部1640を筋肉、骨又は組織の上に押し付ける。このテンションが、クリップ1604を筋肉、骨又は組織に固定する。クリップ1604を骨、筋肉又は組織に固定するために、歯、ピン又はスクリューのような付加的な固定機構を使用することもできる。
【0188】
プロング1606は、近位端1660と、近位端1660の反対側の遠位端1662とを含む。プロング1606の近位端1660は、張力緩和又は運動を支援するための付加的な材料を有することができる。プロング1606は、ベース部1664、アーム部1668及び接触部1670を含む。ベース部1664の第1の端部はプロング1606の近位端1660と整列され、ベース部1664の第2の端部はアーム部1668の第1の端部に接続される。ベース部1664は、クリップ1604の溝1651に配置され取り付けられた直線的な部分である。アーム部1668の第1の端部はベース部1664の第2の端部に接続され、アーム部1668の第2の端部は接触部1670の第1の端部に接続される。接触部1670の第1の端部はアーム部1668の第2の端部に接続され、接触部1670の第2の端部はプロング1606の遠位端1662と整列される。接触部1670は、遠隔身体構成要素に接触するように配置され得る。
【0189】
1つ以上の管腔がプロング1606を通って延び、当該管腔を通ってワイヤ1608が延びる。開口1671がプロング1606の近位端1660を通って延び、プロング1606内の1つ以上の管腔へのアクセスを提供する。プロング1606は、更に、電極1672及び電極1673を含む。プロング1606は、電極1672及び電極1673のそれぞれに対応する1つの管腔を含むことができる。電極1672及び電極1673は、リング電極又はディスク電極であり得る。電極1672は、
図39A~39Cに示す実施形態においては、遠位端1662にあるものとして示される。電極1673は、
図39A~39Cに示す実施形態においては、遠位端1662上で電極1672に隣接して配置されるものとして示される。代替の実施形態において、電極1672及び電極1673は接触部1670の任意の点に配置することができ、任意の形状及び構成を有することができる。更に、プロング1606は、代替の実施形態において、単一の電極又は2つより多くの電極を有することができる。電極1672及び電極1673は、遠隔身体構成要素の電気的活動又は生理学的状態を感知するために、プロング1606の接触部1670上に配置される。電極1672及び電極1673はまた、遠隔身体構成要素に治療用電気刺激を与えることができる。
【0190】
プロング1606は、皮下デバイス1600が患者に埋め込まれるときに、体内の組織を通って押し進むことができるよう、硬い材料で製作されている。プロング1606は、ニチノールとしても知られているニッケルチタンから製作することができる。ニチノールは超弾性を有する形状記憶合金であり、皮下デバイス1600が患者に埋め込まれる際にプロング1606が変形した場合、プロング1606がその元の形状及び位置に戻ることを可能とする。プロング1606はまた、シリコーン、ポリウレタン、ステンレス鋼、チタン、エポキシ、金属補強材を有するポリウレタン、又は、非多孔インプラントに適した任意の他の材料から製作され得る。一例として、プロング1606は、ポリウレタン及びシリコーンから成り、バネ剛性を付与するために金属で補強された複合材料から製作することができる。
【0191】
ワイヤ1608は、プロング1606の近位端1660の開口1671を通って、及び、プロング1606内の1つ以上の管腔を通って延びる。
図39A~39Cに示される実施形態では、プロング1606は2つの管腔を含み、ワイヤ1608はプロング1606内で2つのリードに分かれる。第1のリードは電極1672に接続するために第1の管腔を通って延び、第2のリードは、電極1673に接続するために第2の管腔を通って延びる。2つのリードはワイヤ1608を形成し、ワイヤ1608は、プロング1606の近位端1660の開口1671を通って延びる。ワイヤ1608は、開口1671内で気密に封止される。代替の実施形態では、ワイヤ1608又はワイヤ1608の1つ以上のリードが、電極1672及び電極1673と接触するプロング1606内に形成される導電性リードと接触してもよい。
【0192】
クリップ1604は、
図1~9Cに示される皮下デバイス100のクリップ104に関して説明されたのと同様の方法で、筋肉、骨及び/又は組織に固定され得る。更に、皮下デバイス1600は、本明細書では単一のプロング1606を有するものとして記載される。代替の実施形態では、皮下デバイス1600は任意の数のプロングを含むことができ、それらのプロングは任意の形状を有することができる。例えば、皮下デバイス1600は、
図1~37を参照して示され説明された任意のプロングを含むことができる。
【0193】
図40は、剣状突起X及び/又は胸骨Sに固定された皮下デバイス1600の側面図である。皮下デバイス1600は、クリップ1604、プロング1606、ワイヤ1608及びコネクタ1609を含む。クリップ1604は、上部1640、底部1642、スプリング部1644、先端1646、開口1648(
図40に図示せず)、スロット1650(
図40に図示せず)及び溝1651(
図40に図示せず)を含む。プロング1606は、近位端1660、遠位端1662、ベース部1664、アーム部1668、接触部1670、開口1671(
図40に図示せず)、電極1672及び電極1673を含む。
図40はまた、剣状突起X、胸骨S、心臓H、皮膚SK及び外部ペースメーカEPを示す。
【0194】
皮下デバイス1600は、
図38~39Cを参照して上述したように、クリップ1604、プロング1606、ワイヤ1608及びコネクタ1609を含む。
図40に示す実施形態では、皮下デバイス1600は一時的なペースメーカデバイスであり、それは、外部ペースメーカEPと接続した状態で、患者の心拍数を監視し、患者の心臓の不整脈を診断し、患者の心臓に治療用電気刺激を提供することができる。一時的なペースメーカデバイスは、手術後、緊急事態又は心臓モニタリング及び/又はペーシングが短期間、典型的には1日から30日の範囲で必要とされる他の任意の時に、患者に埋め込まれ得る。従来、一時的なペースメーカは、患者の心臓に接続され、外部ペーシング装置に接続されるために患者の皮膚の経皮ポートを通って延びるリードを含む。
【0195】
図40に示すように、クリップ1604は、剣状突起X及び胸骨Sに固定される。皮下デバイス1600は、他の手術、例えば開心術中に、外科医によって剣状突起X及び胸骨Sに固定され得る。皮下デバイス1600はまた、
図10A~14Bに示される外科用器具200と同様の外科用器具、及び、
図15~19を参照して説明された方法300と同様の方法を使用して、剣状突起X及び胸骨Sに固定され得る。外科用器具は、皮下デバイス1600の形状に適応するように設計することができ、皮下デバイス1600を外科用器具から剣状突起X及び胸骨S上に押し出すように構成することができる。
【0196】
クリップ1604が剣状突起X及び胸骨Sに固定されると、プロング1606はクリップ1604から離れて延び、心臓Hに接触する。プロング1606は、プロング1606の接触部1670が、心臓Hの右心室、左心室、右心房又は左心房に接触するように成形され得る。プロング1606上の電極1672及び電極1673は、心臓Hからの電気信号を感知し及び/又は心臓Hに治療信号を送達するために、心臓Hに接触する。ワイヤ1608は、電極1672及び電極1673から、プロング1606内の管腔を通って、患者の皮膚SKの経皮ポートから外へ延びる。コネクタ1609は、ワイヤ1608の近位端に接続され、患者の身体の外部に配置される。コネクタ1609は、外部ペースメーカEPに接続され、皮下デバイス1600を外部ペースメーカEPに電気的に接続する。コネクタ1609及び外部ペースメーカEPは、標準的な電気コネクタ、ワニ口クリップ又は他の接続機構を使用して接続され得る。
【0197】
図40に示される実施形態において、皮下デバイス1600は双極ペースメーカとして機能し、電極1672又は電極1673の一方は正電極として機能し、電極1672又は電極1673の他方は負電極として機能する。代替の実施形態では、皮下デバイス1600は単極ペースメーカとして機能することができ、プロング1606上の単一の電極が第1の電極として機能し、クリップ1604は第2の電極として機能する。
【0198】
クリップ1604及びプロング1606は、皮下デバイス1600が患者の小さな切開部から引き出され得るよう、狭くなるように設計される。具体的には、クリップ1604は、剣状突起Xよりも薄くなるように設計され得る。皮下デバイス1600が患者から除去されるべき場合、クリップ1604及びプロング1606が切開部を通って引かれ得るよう、それを通ってワイヤ1608が延びる経皮ポートは僅かに開かれ得る。
【0199】
外部ペースメーカEPは、患者がポケット内で持ち歩くことができるか、又は、患者の胸部にテープで留められ得る小型デバイスであることができる。代替的に、外部ペースメーカEPは、テーブル又は他の支持構造上に支持されるより大きなデバイスであることができる。外部ペースメーカEPは、電源、コントローラ、メモリ、トランシーバ、感知回路、治療回路、及び/又は、医療機器の任意の他の構成要素を含むことができる。外部ペースメーカEPは、コネクタ1609を介して、皮下デバイス1600に電気的に接続される。
図40に示される実施形態では、電極1672及び電極1673のいずれか1つ又は組み合わせが、心臓Hの電気的活動を感知することができる。感知された電気的活動は、外部ペースメーカEP内の感知回路及びコントローラに送信され得る。コントローラは患者の心拍数を決定することができ、不整脈があるかどうかを検出することができる。不整脈が検出された場合、コントローラは、電極1672A及び/又は電極1672Bを介して心臓Hに治療用電気刺激を与えるために、治療回路に命令を送ることができる。このように、皮下デバイス1600は、監視デバイス、診断デバイス及び治療デバイスとして機能する。代替の実施形態において、皮下デバイス1600、監視デバイス、診断デバイス、治療デバイス又はそれらの任意の組合せとしてのみ機能することができる。患者がペーシング治療をもはや必要としない場合、皮下デバイス1600は、容易に患者から除去され得る。
【0200】
(皮下デバイス1700)
図41は、剣状突起X及び/又は胸骨Sに固定された皮下デバイス1700の側面図である。皮下デバイス1700は、クリップ1704、プロング1706、ワイヤ1708及びコネクタ1709を含む。クリップ1704は、上部1740、底部1742、スプリング部1744、先端1746、開口1748(
図41に図示せず)、スロット1750(
図41に図示せず)及び溝1751(
図41に図示せず)を含む。プロング1706は、近位端1760、遠位端1762、ベース部1764、アーム部1768、接触部1770、開口1771(
図41に図示せず)及び電極1772を含む。
図41はまた、剣状突起X、胸骨S、心臓H、皮膚SK及び外部ペースメーカEPを示す。
【0201】
皮下デバイス1700は、クリップ1704、プロング1706、ワイヤ1708及びコネクタ1709を含む。コネクタ1709は、皮下デバイス1700を外部ペースメーカEPに電気的に接続するように構成される。
図41に示されるように、皮下デバイス1700のクリップ1704及びプロング1706は、患者の身体の内部に配置される。ワイヤ1708は、患者の身体の内部のプロング1706から、患者の皮膚SKを通って、患者の身体の外部へ延びる。コネクタ1709は、患者の身体の外部に配置される。皮下デバイス1700は、患者の身体の外部に配置された外部ペースメーカEPに導電的に接続される。
【0202】
クリップ1704は、
図38~40に示される皮下デバイス1600のクリップ1604と同一の一般的な構造及び設計を有する。クリップ1704の部分を参照する参照番号は、
図38~40に示される皮下デバイス1600のクリップ1604の部分を参照する参照番号と比較して、100だけ増分される。
【0203】
プロング1706は、
図38~40に示される皮下デバイス1600のプロング1606と同一の部分を含み、プロング1706の部分を参照する参照番号は、
図38~40に示される皮下デバイス1600のプロング1606の部分を参照する参照番号と比較して、100だけ増分される。しかしながら、プロング1706は異なる形状を有し、単一の電極のみを含む。アーム部1768は、クリップ1706から離れて延びるにつれて、凸形状に下向きに徐々に湾曲する。接触部1770は心臓Hと接触するように構成されたプロング1706の遠位端1762に隣接するプロング1706の部分である。電極1772は、接触部1770上に配置され、心臓Hと接触する。
【0204】
図41に示される実施形態において、皮下デバイス1700は、患者の剣状突起X及び胸骨Sに固定され得る。クリップ1704は、皮下デバイス1700を剣状突起X及び胸骨Sに固定するように構成される。クリップ1704は、剣状突起X及び胸骨Sの周りに配置されるにつれて拡張する。スプリング部1744はクリップ1704のためのスプリングとして作用し、テンション下にある。上部1740はテンションアームとして作用し、スプリング部1744からの力は、上部1740に伝えられこれを押し下げる。クリップ1704が剣状突起X及び胸骨Sの上に配置されると、スプリング部1744のテンションは上部1740を剣状突起X及び胸骨Sの上に押し下げてクリップ1704を剣状突起X及び胸骨Sに固定する。更に、縫合糸、歯、ピン又はスクリューを、クリップ1704の上部1740上の開口1748を通して挿入し、皮下デバイス1700を剣状突起X及び胸骨Sに更に固定することができる。
【0205】
図41に示される実施形態では、皮下デバイス1700は単極ペースメーカとして機能し、クリップ1704は正電極として機能し、プロング1706上の電極1772は負電極として機能する。代替の実施形態では、皮下デバイス1700はプロング1706上に2つの電極を有することができ、双極ペースメーカとして機能することができる。
【0206】
外部ペースメーカEPは、患者がポケット内で持ち歩くことができるか、又は、患者の胸部にテープで留められ得る小型デバイスであることができる。代替的に、外部ペースメーカEPは、テーブル又は他の支持構造上に支持されるより大きなデバイスであることができる。外部ペースメーカEPは、電源、コントローラ、メモリ、トランシーバ、感知回路、治療回路、及び/又は、医療機器の任意の他の構成要素を含むことができる。外部ペースメーカEPは、コネクタ1709を介して、皮下デバイス1700に電気的に接続される。
図41に示す実施形態では、電極1772は心臓Hの電気的活動を感知することができる。感知された電気的活動は、外部ペースメーカEP内の感知回路及びコントローラに送信され得る。コントローラは患者の心拍数を決定することができ、不整脈があるかどうかを検出することができる。不整脈が検出された場合、コントローラは、電極1772を介して心臓Hに治療用電気刺激を与えるために、治療回路に命令を送ることができる。本実施形態では、電極1772は負電極として機能し、クリップ1704は正電極として機能する。このように、皮下デバイス1700は、監視デバイス、診断デバイス及び治療デバイスとして機能する。代替の実施形態において、皮下デバイス1700、監視デバイス、診断デバイス、治療デバイス又はそれらの任意の組合せとしてのみ機能することができる。患者がペーシング治療をもはや必要としない場合、皮下デバイス1700は、容易に患者から除去され得る。
【0207】
(皮下デバイス1800)
図42Aは、皮下デバイス1800の斜視図である。
図42Bは、皮下デバイス1800のクリップ1804、第1のプロング1806A及び第2のプロング1806Bの後面図である。
図43は、剣状突起X及び/又は胸骨Sに固定された皮下デバイス1800の側面図である。皮下デバイス1800は、クリップ1804、プロング1806A、プロング1806B、ワイヤ1808及びコネクタ1809を含む。クリップ1804は、上部1840、底部1842、スプリング部1844、先端1846、開口1848、スロット1850、溝1851A及び溝1851Bを含む。プロング1806Aは、近位端1860A、遠位端1862A、ベース部1864A、アーム部1868A、接触部1870A、開口1871A、電極1872A及び電極1873Aを含む。プロング1806Bは、近位端1860B、遠位端1862B、ベース部1864B、アーム部1868B、接触部1870B、開口1871B及び除細動器コイル1874Bを含む。
図43はまた、剣状突起X、胸骨S、心臓H、皮膚SK及び外部除細動器EFを示す。
【0208】
皮下デバイス1800は、一時的な除細動器デバイスである。心筋梗塞を経験した患者及び/又は血管形成術を受けた患者は、30~60日の期間、突然の心停止のリスクがある。皮下デバイス1800は、心筋梗塞及び/又は血管形成術に続いて患者の心臓を監視するために、一時的に患者に埋め込まれ得る。治療がもはや必要とされない場合、皮下デバイス1800は、患者の小さな切開部を通して除去され得る。
【0209】
皮下デバイス1800は、クリップ1804、プロング1806A、プロング1806B、ワイヤ1808及びコネクタ1809を含む。コネクタ1809は、皮下デバイス1800を外部除細動器EFに電気的に接続するように構成される。
図43に示されるように、皮下デバイス1800のクリップ1804、プロング1806A及びプロング1806Bは、患者の身体の内部に配置される。ワイヤ1808は、患者の身体の内部のプロング1806A及びプロング1806Bから、患者の皮膚SKを通って、患者の身体の外部へ延びる。コネクタ1809は、患者の身体の外部に配置される。皮下デバイス1800は、患者の身体の外部に配置された外部除細動器EFに導電的に接続される。
【0210】
クリップ1804は、
図38~40に示される皮下デバイス1600のクリップ1604と同一の一般的な構造及び設計を有する。しかしながら、クリップ1804は、溝1851A及び溝1851Bを含む2つの溝を含む。クリップ1804の部分を参照する参照番号は、
図38~40に示される皮下デバイス1600のクリップ1604の部分を参照する参照番号と比較して、200だけ増分される。溝1851A及び溝1851Bは、クリップ1804上で互いに隣接して配置される。プロング1806Aは、プロング1806Aをクリップ1804に取り付けるために、溝1851A内に配置され取り付けられるように構成される。プロング1806Bは、プロング1806Bをクリップ1804に取り付けるために、溝1851B内に配置され取り付けられるように構成される。
【0211】
プロング1806A及びプロング1806Bは概して、
図38~40に示される皮下デバイス1600のプロング1606と同じ部分を含み、プロング1806A及びプロング1806Bの部分を参照する参照番号は、
図38~40に示される皮下デバイス1600のプロング1606の部分を参照する参照番号と比較して、200だけ増分される。プロング1806Aは、
図38~40に示されるプロング1606と同一の形状を有する。アーム部1868Bは、クリップ1804から離れて延びる。接触部1870Aは、心臓Hと接触するように構成されたプロング1806Aの遠位端1862Aに隣接するプロング1806Aの部分である。接触部1870A上に配置された電極1872A及び電極1873Aも、心臓Hと接触する。しかしながら、プロング1806Bは、
図38~40に示されるプロング1606とは異なる形状を有し、電極の代わりに除細動器コイル1874Bを含む。アーム部1868Bは、クリップ1804から離れて延びる。接触部1870Bは、心臓Hより下の組織と接触するように構成されたプロング1806Bの遠位端1862Bに隣接するプロング1806Bの部分である。除細動器コイル1874Bは、プロング1806Bの遠位端1862Bに隣接する接触部1870B上に配置される。電気信号が除細動器コイル1874Bに送達されると、除細動器コイル1874Bは、プロング1806A上の電極1872Aと共にベクトルを生成する。図示の実施形態では、除細動器コイル1874Bは負電極として機能し、電極1872Aは正電極として機能する。しかしながら、代替の実施形態においては、これを逆にすることができる。プロング1806Bは、遠位端1862B、したがって接触部1870B及び除細動器コイル1874Bが心臓の下に位置するように配置される。したがって、除細動器コイル1874Bと電極1872Aとの間に生成されるベクトルは、心臓Hを通過して心臓Hに高電圧電気ショックを提供する。除細動器コイル1874B及び電極1872Aは、ベクトルが心臓Hの心室を通過するように配置され得る。更に、除細動器コイル1874B及び電極1872Aが心臓Hに近接しているため、心臓Hにショックを与えるために必要とされるエネルギーは比較的低い。
【0212】
図43に示される実施形態において、皮下デバイス1800は、患者の剣状突起X及び胸骨Sに固定され得る。クリップ1804は、皮下デバイス1800を剣状突起X及び胸骨Sに固定するように構成される。クリップ1804は、剣状突起X及び胸骨Sの周りに配置されるにつれて拡張する。スプリング部1844はクリップ1804のためのスプリングとして作用し、テンション下にある。上部1840はテンションアームとして作用し、スプリング部1844からの力は、上部1840に伝えられこれを押し下げる。クリップ1804が剣状突起X及び胸骨Sの上に配置されると、スプリング部1844のテンションは上部1840を剣状突起X及び胸骨Sの上に押し下げてクリップ1804を剣状突起X及び胸骨Sに固定する。更に、縫合糸、歯、ピン又はスクリューを、クリップ1804の上部1840上の開口1848を通して挿入し、皮下デバイス1800を剣状突起X及び胸骨Sに更に固定することができる。
【0213】
外部除細動器EFは、電源、コントローラ、メモリ、トランシーバ、感知回路、治療回路、及び/又は、医療機器の任意の他の構成要素を含むことができる。
図43に示す実施形態では、皮下デバイス1800が単腔ペースメーカ及び除細動器であるように構成される。電極1872A及び電極1873Aのいずれか1つ又は組み合わせは、心臓の電気的活動を感知することができる。更に、除細動器コイル1874Bは、心臓の電気的活動を感知する電極として作用することができる。感知された電気的活動は、外部除細動器EF内の感知回路及びコントローラに伝達され得る。コントローラは患者の心拍数を決定することができ、不整脈又は異常があるかどうかを検出することができる。不整脈が検出された場合、コントローラは、電極1872A及び電極1872Bによって心臓に治療用刺激を与えるために、治療回路に命令を送ることができる。異常が検出された場合、コントローラは、除細動器コイル1874Bによって心臓に高電圧電気ショックを与えるために、治療回路に命令を送ることができる。このように、皮下デバイス1800は、監視デバイス、診断デバイス及び治療デバイスとして機能する。代替の実施形態において、皮下デバイス1800は、監視デバイス、診断デバイス、治療デバイス又はそれらの任意の組合せとしてのみ機能することができる。患者が監視及び除細動器治療をもはや必要としない場合、皮下デバイス1800は、容易に患者から除去され得る。
【0214】
(可能な実施形態の説明)
以下は、本発明の可能な実施形態の非排他的な説明である。
【0215】
皮下に埋め込み可能なデバイスは、ハウジングと、ハウジングの上面に取り付けられたクリップと、電極とを含む。クリップは、デバイスを筋肉、骨及び/又は第1の組織に固定するように構成される。電極は、臓器、神経、第1の組織及び/又は第2の組織に接触するように構成される。ハウジング内の回路は、電極を介して臓器、神経、第1の組織及び/又は第2の組織からの電気信号を感知し、電極を介して臓器、神経、第1の組織及び/又は第2の組織に電気刺激を送達し、及び/又は、臓器、神経、第1の組織及び/又は第2の組織に標的治療薬剤又は全身治療薬剤を提供するために薬剤ポンプに信号を送達するように構成された電極と、電気的に連通している。
【0216】
前段落のデバイスは、任意選択で付加的に及び/又は代替的に、以下の特徴、構成及び/又は追加の構成要素のうちの任意の1つ又は複数を含むことができる:
【0217】
クリップは、デバイスを患者の剣状突起及び/又は胸骨に取り付けるように構成される。
【0218】
クリップは、ハウジングに対して、当該クリップが剣状突起及び/又は胸骨に取り付けられたときに、デバイスのハウジングが患者の剣状突起及び/又は胸骨の下に配置されるように構成される。
【0219】
電極は、ハウジング上に配置される。
【0220】
ハウジングは、当該ハウジングの上面に凹部を更に含み、クリップは、当該凹部内に配置される。
【0221】
クリップは、ハウジングの上面に溶接される。
【0222】
クリップは、上部と、底部と、上部と底部との間で延びてこれらを接続するスプリング部とを含む。
【0223】
電極は、クリップの上部に配置される。
【0224】
スプリング部は湾曲しており、クリップが、クリップの上部を骨、筋肉及び/又はそれが固定される第1の組織の上に押し付けるよう、スプリングとして作用するように構成される。
【0225】
クリップは、クリップの上部を通って延びる第1の開口及び第2の開口を更に含み、第1の開口及び第2の開口は、クリップが固定される骨、筋肉及び/又は第1の組織にデバイスを固定するために、縫合糸、歯、ピン又はスクリューを受容するように構成される。
【0226】
デバイスは、ハウジングに取り付けられた近位端と、ハウジングから離れて延び、臓器、神経及び/又は第2の組織に接触するように構成された遠位端とを有するプロングを更に含み、電極は、プロングの遠位端上に配置される。
【0227】
ハウジングは、当該ハウジングの後端から前端まで延びる、当該ハウジングの底面上のチャネルを更に含み、デバイスが収容位置にあるとき、プロングはチャネル内に配置される。
【0228】
プロングは、当該プロングの近位端上のベース部と、ベース部から延びるスプリング部と、スプリング部から延びるアーム部と、アーム部から延びプロングの遠位端で終端する接触部とを更に含む。
【0229】
ハウジングは、当該ハウジングの後面にポートを更に含み、プロングのベース部は、当該ポート内に配置される。
【0230】
スプリング部は湾曲しており、プロングのためのスプリングとして作用するように構成される。
【0231】
電極は、プロングの接触部上に配置される。
【0232】
プロングの近位端から遠位端まで延びる管腔は、プロングの遠位端が接触している臓器、神経及び/又は第2の組織に標的治療薬剤又は全身治療薬剤を提供するように構成される。
【0233】
皮下に埋め込み可能なデバイスは、ハウジングと、ハウジングの上面に取り付けられたクリップと、ハウジングに取り付けられた近位端及びハウジングから離れて延びる遠位端を有するプロングと、電極とを含む。クリップは、デバイスを筋肉、骨及び/又は第1の組織に固定するように構成される。プロングは、臓器、神経及び/又は第2の組織に接触するように構成される。電極は、臓器、神経、第1の組織及び/又は第2の組織に接触するように構成される。ハウジング内の回路は、電極を介して臓器、神経、第1の組織及び/又は第2の組織からの電気信号を感知し、電極を介して臓器、神経、第1の組織及び/又は第2の組織に電気刺激を送達し、及び/又は、臓器、神経、第1の組織及び/又は第2の組織に標的治療薬剤又は全身治療薬剤を提供するために薬剤ポンプに信号を送達するように構成された電極と、電気的に連通している。
【0234】
前段落のデバイスは、任意選択で、付加的に及び/又は代替的に、以下の特徴、構成及び/又は追加の構成要素のうちの任意の1つ又は複数を含むことができる:
【0235】
クリップは、デバイスを患者の剣状突起及び/又は胸骨に取り付けるように構成される。
【0236】
クリップは、ハウジングに対して、当該クリップが剣状突起及び/又は胸骨に取り付けられたときに、デバイスのハウジングが患者の剣状突起及び/又は胸骨の下に配置されるように構成される。
【0237】
クリップは、上部と、底部と、上部と底部との間で延びてこれらを接続するスプリング部とを更に含む。
【0238】
スプリング部は湾曲しており、クリップが、クリップの上部を骨、筋肉及び/又はそれが固定される第1の組織の上に押し付けるよう、スプリングとして作用するように構成される。
【0239】
クリップは、クリップの上部を通って延びる第1の開口及び第2の開口を更に含み、第1の開口及び第2の開口は、クリップが固定される骨、筋肉及び/又は第1の組織にデバイスを固定するために、縫合糸、歯、ピン又はスクリューを受容するように構成される。
【0240】
プロングは、当該プロングの近位端上のベース部と、ベース部から延びるスプリング部と、スプリング部から延びるアーム部と、アーム部から延びプロングの遠位端で終端する接触部とを更に含む。
【0241】
ハウジングは、当該ハウジングの後面にポートを更に含み、プロングのベース部は、当該ポート内に配置される。
【0242】
スプリング部は湾曲しており、プロングのためのスプリングとして作用するように構成される。
【0243】
電極は、プロングの接触部上に配置される。
【0244】
電極は、心臓と接触するように構成される。
【0245】
電極は、心臓に治療用刺激を与えるように構成される。
【0246】
プロングの近位端から遠位端まで延びる管腔は、プロングの遠位端が接触している臓器、神経及び/又は第2の組織に標的治療薬剤又は全身治療薬剤を提供するように構成される。
【0247】
デバイスを骨、筋肉又は組織に固定するように構成されたクリップを有するデバイスを、患者の骨、筋肉及び/又は組織に注入し固定する方法は、患者に切開を加えることを含む。デバイスが予め装填された器具は、切開部を通して挿入される。器具は、デバイスが固定されるべき骨、筋肉及び/又は組織まで前進させられる。デバイスのクリップは、器具を用いて、骨、筋肉及び/又は組織に押し付けられる。デバイスは、当該デバイスのクリップを用いて、骨、筋肉及び/又は組織に固定される。
【0248】
前段落のデバイスは、任意選択で、付加的に及び/又は代替的に、以下の特徴、構成及び/又は追加の構成要素のうちの任意の1つ又は複数を含むことができる:
【0249】
患者に切開を加えることは、患者の剣状突起及び/又は胸骨の下に切開を加えることを含む。
【0250】
器具を骨、デバイスが固定される筋肉、及び/又は組織まで前進させることは、器具を剣状突起及び/又は胸骨まで前進させることを含む。
【0251】
方法は、器具上のブレード及び/又は器具から分離されたブレードを用いて、剣状突起及び/又は胸骨から組織を除去することを更に含む。
【0252】
方法は、デバイスを剣状突起及び/又は胸骨上に展開するために器具を配置することを更に含む。
【0253】
デバイスのクリップを骨、筋肉及び/又は組織に押し付けることは、デバイスのクリップを剣状突起及び/又は胸骨に押し付けることを含む。
【0254】
デバイスのクリップを骨、筋肉及び/又は組織に押し付けることは、デバイスのクリップの上部を剣状突起及び/又は胸骨の上に押し付け、デバイスのハウジングを剣状突起及び/又は胸骨の下に押し付けることを含む。
【0255】
デバイス上のクリップを用いてデバイスを骨、筋肉及び/又は組織に固定することは、デバイス上のクリップを用いてデバイスを剣状突起及び/又は胸骨に固定することを含む。
【0256】
方法は更に、患者の切開部から器具を除去することを含む。
【0257】
デバイス上のクリップは、上部と底部との間で延びるスプリング部を有する。
【0258】
スプリング部は、クリップの上部にテンションをかけてデバイスを剣状突起及び/又は胸骨に固定するバネ付勢を有する。
【0259】
器具を用いてデバイスのクリップを骨、筋肉及び/又は組織に押し付けることは、器具からデバイスを展開するために器具のスライダを前方に押すことを含む。
【0260】
デバイスは、当該デバイスが器具を通って押し出されるとき、器具のガイドトラックを通って移動するガイドを有する。
【0261】
方法は、患者の剣状突起及び胸骨の下の組織を通してデバイスのプロングを押すことを更に含む。
【0262】
方法は、クリップの開口を通って延びる縫合糸、歯、ピン及び/又はスクリューを用いて、骨、筋肉及び/又は組織にデバイスを固定することを更に含む。
【0263】
外科用器具を用いて注入され、筋肉、骨及び/又は第1の組織に固定され得る、皮下に埋め込み可能なデバイスは、ハウジングと、ハウジング上のガイドと、ハウジングの上面に取り付けられたクリップと、電極とを含む。ガイドは、外科用器具を介してデバイスを案内するように構成される。クリップは、デバイスを筋肉、骨又は第1の組織に固定するように構成される。電極は、臓器、神経、第1の組織及び/又は第2の組織に接触するように構成される。ハウジング内の回路は、電極を介して臓器、神経、第1の組織及び/又は第2の組織からの電気信号を感知し、電極を介して臓器、神経、第1の組織及び/又は第2の組織に電気刺激を送達し、及び/又は、臓器、神経、第1の組織及び/又は第2の組織に標的治療薬剤又は全身治療薬剤を提供するために薬剤ポンプに信号を送達するように構成された電極と、電気的に連通している。
【0264】
前段落のデバイスは、任意選択で、付加的に及び/又は代替的に、以下の特徴、構成及び/又は追加の構成要素のうちの任意の1つ又は複数を含むことができる:
【0265】
クリップは、デバイスのハウジングが患者の剣状突起及び/又は胸骨の下に配置されるように、デバイスを患者の剣状突起及び/又は胸骨に取り付けるように構成される。
【0266】
ハウジングは、当該ハウジングの前端に隣接して当該ハウジングの上面に曲面を有し、当該ハウジングの前端にテーパを形成している。
【0267】
ハウジング上のガイドは、ハウジングの第1の面上の第1のガイドと、ハウジングの第2の面上の第2のガイドとを含み、第1のガイド及び第2のガイドは、外科用器具のガイドトラック内にデバイスを取り付け、当該ガイドトラックを通してデバイスをガイドするように構成される。
【0268】
クリップは、上部と、底部と、上部と底部との間で延びてこれらを接続するスプリング部とを更に含む。
【0269】
クリップの上部は、前端で先端に向かって先細りになっている。
【0270】
クリップは、スプリング部を通って延びるスロットを更に含み、当該スロットは、外科用器具のブレードを受容するように構成される。
【0271】
デバイスは、ハウジングに取り付けられた近位端と、ハウジングから離れて延び、臓器、神経及び/又は第2の組織に接触するように構成された遠位端とを有するプロングを更に含む。
【0272】
ハウジングは、当該ハウジングの後端から前端まで延びる、当該ハウジングの底面上のチャネルを更に含み、デバイスが外科用器具内の収容位置に配置されたとき、第1のプロングはチャネル内に配置される。
【0273】
外科用器具を用いて皮下に埋め込み可能なデバイスを筋肉、骨及び/又は第1の組織に注入し固定するためのシステムは、デバイス及び外科用器具を含む。デバイスは、ハウジングと、ハウジングの上面に取り付けられたクリップと、電極とを含む。クリップは、デバイスを筋肉、骨又は第1の組織に固定するように構成される。電極は、臓器、神経、第1の組織及び/又は第2の組織に接触するように構成される。ハウジング内の回路は、電極を介して臓器、神経、第1の組織及び/又は第2の組織からの電気信号を感知し、電極を介して臓器、神経、第1の組織及び/又は第2の組織に電気刺激を送達し、及び/又は、臓器、神経、第1の組織及び/又は第2の組織に標的治療薬剤又は全身治療薬剤を提供するために薬剤ポンプに信号を送達するように構成された電極と、電気的に連通している。外科用器具は、その内部にデバイスが配置され得る本体と、本体内に配置され本体内で摺動可能なスライダとを含む。スライダは、デバイスを外科用器具から押し出すように構成される。
【0274】
前段落のデバイスは、任意選択で、付加的に及び/又は代替的に、以下の特徴、構成及び/又は追加の構成要素のうちの任意の1つ又は複数を含むことができる:
【0275】
デバイスのハウジング上のガイドは、外科用器具の本体のガイドトラック内に配置可能であり、それに沿って移動可能である。
【0276】
デバイスは、ハウジングに取り付けられた近位端と、ハウジングから離れて延び、外科用器具の本体のプロングトラック内に配置可能であり、それに沿って移動可能な遠位端とを有するプロングを含む。
【0277】
外科用器具は、外科用器具の本体に取り付けられたブレードを含み、当該ブレードはデバイスが外科用器具内に収容されたとき、デバイスのクリップのスロットを通って延びる。
【0278】
スライダは、本体の上部アーム内のスライダスロット内に配置され、それを通ってスライドする。
【0279】
デバイスは、本体の下部アーム内に配置され、それを通ってスライドする。
【0280】
皮下に埋め込み可能なデバイスは、ハウジングと、ハウジングの上面に取り付けられたクリップと、ハウジングに取り付けられた近位端及びハウジングから離れて延びる遠位端を有する第1のプロングと、第1のプロング上の電極とを含む。クリップは、デバイスを筋肉、骨及び/又は組織に固定するように構成される。第1のプロングは、心臓に接触するように構成される。第1の電極は、心臓に接触するように構成される。ハウジング内の感知回路は、心臓からの電気信号を感知するように構成され、ハウジング内の治療回路は、第1の電極と電気的に連通しており、第1の電極を通して心臓に電気刺激を送達するように構成される。
【0281】
前段落のデバイスは、任意選択で、付加的に及び/又は代替的に、以下の特徴、構成及び/又は追加の構成要素のうちの任意の1つ又は複数を含むことができる:
【0282】
クリップは、デバイスを患者の剣状突起及び/又は胸骨に取り付けるように構成される。
【0283】
クリップは、上部と、底部と、上部と底部との間に延び、上部を底部に接続するスプリング部とを更に含み、スプリング部は湾曲しており、クリップがクリップの上部をクリップが固定される骨、筋肉及び/又は組織に押し付けるためのスプリングとして作用するように構成される。
【0284】
感知回路は、第1の電極と電気的に連通しており、第1の電極を介して心臓からの電気信号を感知することができる。
【0285】
感知回路は、第1のプロング、ハウジング及び/又はクリップ上の第2の電極と電気的に連通しており、第2の電極を介して心臓からの電気信号を感知することができる。
【0286】
第1のプロングは、心臓の右心室、心臓の左心室、心臓の右心房又は心臓の左心房に接触するように構成される。
【0287】
治療回路は、標的治療薬剤又は全身治療薬剤を臓器、神経、第1の組織及び/又は第2の組織に提供するために、薬剤ポンプに信号を送達するように構成される。
【0288】
デバイスは、ハウジングに取り付けられた近位端と、ハウジングから離れて延び心臓に接触するように構成された遠位端とを有する第2のプロングと、治療回路と電気的に連通し、心臓に電気刺激を送達するように構成された第2のプロング上の第2の電極とを更に含む。
【0289】
第1のプロングは心臓の右心室に接触するように構成され、第2のプロングは心臓の左心室に接触するように構成され、第1のプロングは心臓の左心室に接触するように構成され、第2のプロングは心臓の右心房に接触するように構成され、及び/又は、第1のプロングが心臓の右心室に接触するように構成され、第2のプロングが心臓の右心房に接触するように構成される。
【0290】
デバイスは、ハウジングに取り付けられた近位端と、ハウジングから離れて延び心臓に接触するように構成された遠位端とを有する第3のプロングと、治療回路と電気的に連通し、心臓に電気刺激を送達するように構成された第3のプロング上の第3の電極とを更に含む。
【0291】
第1のプロングは心臓の右心室に接触するように構成され、第2のプロングは心臓の左心室に接触するように構成され、第3のプロングは心臓の右心房に接触するように構成される。
【0292】
皮下に埋め込み可能なデバイスは、ハウジングと、ハウジングの上面に取り付けられたクリップと、ハウジングに取り付けられた近位端及びハウジングから離れて延びる遠位端を有する第1のプロングと、第1のプロングの遠位端上の第1の除細動器コイルと、ハウジングの前端上の第1の電極とを含む。クリップは、デバイスを筋肉、骨及び/又は組織に固定するように構成される。第1のプロングは、心臓の下に配置されるように構成される。ハウジング内の感知回路は、第1の電極と電気的に連通しており、第1の電極を介して心臓からの電気信号を感知するように構成される。ハウジング内の治療回路は、第1の除細動器コイル及び第1の電極と電気的に連通しており、第1の除細動器コイルを介して心臓にショックを送達するように構成される。
【0293】
前段落のデバイスは、任意選択で、付加的に及び/又は代替的に、以下の特徴、構成及び/又は追加の構成要素のうちの任意の1つ又は複数を含むことができる:
【0294】
クリップは、デバイスを患者の剣状突起及び/又は胸骨に取り付けるように構成される。
【0295】
クリップは、上部と、底部と、上部と底部との間に延び、上部を底部に接続するスプリング部とを更に含み、スプリング部は湾曲しており、クリップがクリップの上部をクリップが固定される骨、筋肉及び/又は組織に押し付けるためのスプリングとして作用するように構成される。
【0296】
第1の除細動器コイルは第1の電極と共に第1のベクトルを生成し、第1のベクトルは心臓を通過する。
【0297】
デバイスは、ハウジングに取り付けられた近位端と、ハウジングの第1の面上に配置されるように構成された、ハウジングから離れて延びる遠位端とを有する第2のプロングと、ハウジングに取り付けられた近位端と、ハウジングの第2の面上に配置されるように構成された、ハウジングから離れて延びる遠位端とを有する第3のプロングと、第2のプロングの遠位端上の第2の除細動器コイルと、第3のプロングの遠位端上の第3の除細動器コイルとを更に含む。
【0298】
第1の除細動器コイルは、第1の電極と共に第1のベクトルを、第2の除細動器コイルと共に第2のベクトルを、第3の除細動器コイルと共に第3のベクトルを、それぞれ生成し、第1のベクトル、第2のベクトル及び第3のベクトルは心臓を通過する。
【0299】
デバイスは、ハウジングに取り付けられた近位端と、ハウジングから離れて延び心臓に接触するように構成された遠位端とを有する第2のプロングと、治療回路と電気的に連通し、心臓に電気刺激を送達するように構成された第2のプロング上の第2の電極とを更に含む。
【0300】
第2のプロングは、心臓の右心室、心臓の左心室、心臓の右心房又は心臓の左心房に接触するように構成される。
【0301】
皮下に埋め込み可能なデバイスは、ハウジングと、ハウジングの上面に取り付けられたクリップと、ハウジングに取り付けられた近位端及びハウジングから離れて延びる遠位端を有する第1のプロングと、ハウジングに取り付けられた近位端及びハウジングから離れて延びる遠位端を有する第2のプロングと、第1のプロング上の第1の電極と、第2のプロング上の第2の電極とを含む。クリップは、デバイスを筋肉、骨及び/又は第1の組織に固定するように構成される。第1のプロングは、第1の臓器及び/又は第2の組織に接触するように構成される。第2のプロングは、第1の臓器、第2の臓器、第2の組織及び/又は第3の組織に接触するように構成される。第1の電極は、第1の臓器及び/又は第2の組織に接触するように構成される。第2の電極は、第1の臓器、第2の臓器、第2の組織及び/又は第3の組織に接触するように構成される。ハウジング内の感知回路は、第1の電極及び第2の電極と電気的に連通しており、第1の臓器、第2の臓器、第2の組織及び/又は第3の組織からの電気信号を感知するように構成される。
【0302】
前段落のデバイスは、任意選択で、付加的に及び/又は代替的に、以下の特徴、構成及び/又は追加の構成要素のうちの任意の1つ又は複数を含むことができる:
【0303】
クリップは、デバイスを患者の剣状突起及び/又は胸骨に取り付けるように構成される。
【0304】
クリップは、上部と、底部と、上部と底部との間に延び、上部を底部に接続するスプリング部とを更に含み、スプリング部は湾曲しており、クリップがクリップの上部をクリップが固定される骨、筋肉及び/又は第1の組織に押し付けるためのスプリングとして作用するように構成される。
【0305】
第1のプロングは右肺に接触するように構成され、第2のプロングは左肺に接触するように構成され、第1のプロング及び第2のプロングは心臓に接触するように構成され、及び/又は、第1のプロング及び第2のプロングは心臓を取り囲む組織に接触するように構成される。
【0306】
デバイスは更に、感知回路と電気的に連通しており、温度センサ、加速度計、圧力センサ、近接センサ、赤外線センサ、光センサ、超音波センサ、データ蓄積装置及びこれらの組み合わせから成る群から選択されるセンサを含む。
【0307】
センサは、ハウジング、第1のプロング又は第2のプロング上に配置される。
【0308】
皮下に移植可能なデバイスは、ハウジングと、ハウジングの上面に取り付けられたクリップと、ハウジング内に薬剤貯槽を有する薬剤ポンプと、プロングを通って延び、ハウジング及び薬剤ポンプに取り付けられた近位端及びハウジングから離れて延びる遠位端を有する管腔を有するプロングと、を含む。クリップは、デバイスを筋肉、骨及び/又は第1の組織に固定するように構成される。プロングは、臓器、神経及び/又は第2の組織に接触するように構成される。薬剤ポンプと電気的に連通するハウジング内の回路は、プロングを通って走る管腔を通じて臓器、神経、第1の組織及び/又は第2の組織に標的治療薬剤又は全身治療薬剤を提供するために、薬剤ポンプに信号を送達するように構成される。
【0309】
前段落のデバイスは、任意選択で、付加的に及び/又は代替的に、以下の特徴、構成及び/又は追加の構成要素のうちの任意の1つ又は複数を含むことができる:
【0310】
クリップは、デバイスを患者の剣状突起及び/又は胸骨に取り付けるように構成される。
【0311】
クリップは、上部と、底部と、上部と底部との間に延び、上部を底部に接続するスプリング部とを更に含み、スプリング部は湾曲しており、クリップがクリップの上部をクリップが固定される骨、筋肉及び/又は第1の組織に押し付けるためのスプリングとして作用するように構成される。
【0312】
ハウジング内のポートは、薬剤貯槽に流体的に接続し、薬剤貯槽が補充されることを可能にするように構成される。
【0313】
ハウジング、クリップ及び/又はプロング上に配置された電極は、回路と電気的に連通し、臓器、神経、神経、第1の組織及び/又は第2の組織からの電気信号を感知するように構成され、及び/又は、臓器、神経、第1の組織及び/又は第2の組織に電気刺激を送達するように構成される。
【0314】
皮下に埋め込み可能なデバイスは、筋肉、骨及び/又は第1の組織に皮下に埋め込み可能なデバイスを固定するように構成されたクリップと、クリップに取り付けられた近位端及びクリップから離れて延び臓器、神経及び/又は第2の組織に接触するように構成された遠位端を有する第1のプロングと、を含む。第1のプロング上の第1の電極は、臓器、神経及び/又は第2の組織に接触するように構成される。第1の電極に導電的に接続されたワイヤは、外部デバイスに接続されるように構成され、外部デバイスは、皮下に埋め込み可能なデバイスを当該外部デバイスに電気的に接続するために、患者の身体の外部に配置される。
【0315】
前段落のデバイスは、任意選択で、付加的に及び/又は代替的に、以下の特徴、構成及び/又は追加の構成要素のうちの任意の1つ又は複数を含むことができる:
【0316】
クリップは、デバイスを患者の剣状突起及び/又は胸骨に取り付けるように構成される。
【0317】
クリップは、上部と、底部と、上部と底部との間に延び、上部を底部に接続するスプリング部とを更に含み、スプリング部は湾曲しており、クリップがクリップの上部をクリップが固定される骨、筋肉及び/又は第1の組織に押し付けるためのスプリングとして作用するように構成される。
【0318】
第1のプロングの近位端は、クリップの溝内に配置され取り付けられる。
【0319】
第1のプロングは、第1のプロングの近位端上のベース部と、ベース部から離れて延びるアーム部と、アーム部から延び第1のプロングの遠位端で終端する接触部と、を含む。
【0320】
第1のプロングのベース部は、クリップに取り付けられる。
【0321】
管腔は第1のプロングを通って延び、ワイヤは第1の電極から管腔を通り第1のプロングの近位端の開口から外へ延びる。
【0322】
第1の電極は、第1のプロングの接触部上に配置される。
【0323】
第1のプロングは、心臓の右心室、心臓の左心室、心臓の右心房又は心臓の左心房に接触するように構成される。
【0324】
ワイヤは、第1の電極を外部デバイスに電気的に接続する。
【0325】
デバイスは、更に、臓器、神経及び/又は第2の組織に接触するように構成された第1のプロング上の第2の電極を含む。
【0326】
ワイヤは、第2の電極を外部デバイスに電気的に接続するために、第2の電極に導電的に接続される。
【0327】
第1のプロングの遠位端は心臓に接触するように構成され、デバイスは、更に、クリップに取り付けられた近位端及びクリップから離れて延び心臓の下に配置されるように構成された遠位端を有する第2のプロングと、第2のプロングの遠位端上の除細動器コイルと、を含む。
【0328】
除細動器コイルは第1の電極と共に第1のベクトルを生成し、第1のベクトルは心臓を通過する。
【0329】
システムは、皮下に埋め込み可能なデバイスと、患者の身体の外部に配置された外部デバイスと、を含む。皮下に埋め込み可能なデバイスは、筋肉、骨及び/又は第1の組織に皮下に埋め込み可能なデバイスを固定するように構成されたクリップと、クリップに取り付けられた近位端及びクリップから離れて延び心臓に接触するように構成された遠位端を有する第1のプロングと、を含む。第1のプロング上の第1の電極は心臓に接触するように構成され、ワイヤは第1の電極に導電的に接続される。ワイヤは、皮下に埋め込み可能なデバイスを外部デバイスに電気的に接続するために、当該外部デバイスに電気的に接続される。
【0330】
前段落のデバイスは、任意選択で、付加的に及び/又は代替的に、以下の特徴、構成及び/又は追加の構成要素のうちの任意の1つ又は複数を含むことができる:
【0331】
クリップは、デバイスを患者の剣状突起及び/又は胸骨に取り付けるように構成される。
【0332】
クリップは、上部と、底部と、上部と底部との間に延び、上部を底部に接続するスプリング部とを更に含み、スプリング部は湾曲しており、クリップがクリップの上部をクリップが固定される骨、筋肉及び/又は第1の組織に押し付けるためのスプリングとして作用するように構成される。
【0333】
外部デバイスは、更に、第1の電極と電気的に連通し第1の電極を介して心臓からの電気信号を感知するように構成された感知回路と、第1の電極と電気的に連通し第1の電極を介して心臓に電気刺激を送達するように構成されたハウジング内の治療回路と、を含む。
【0334】
デバイスは、更に、心臓に接触するように構成された第1のプロング上の第2の電極を含む。
【0335】
外部デバイスは、更に、第1の電極及び第2の電極と電気的に連通し第1の電極及び/又は第2の電極を介して心臓からの電気信号を感知するように構成された感知回路と、第1の電極及び第2の電極と電気的に連通し第1の電極及び/又は第2の電極を介して心臓に電気刺激を送達するように構成されたハウジング内の治療回路と、を含む。
【0336】
デバイスは、更に、クリップに取り付けられた近位端及びクリップから離れて延び心臓の下に配置されるように構成された遠位端を有する第2のプロングと、第2のプロングの遠位端上の除細動器コイルと、を含む。
【0337】
外部デバイスは、更に、第1の電極と電気的に連通し第1の電極を介して心臓からの電気信号を感知するように構成された感知回路と、第1の除細動器コイル及び第1の電極と電気的に連通し第1の除細動器コイルを介して心臓にショックを送達するように構成されたハウジング内の治療回路と、を含み、除細動器コイルは第1の電極と共に第1のベクトルを生成し、第1のベクトルは心臓を通過する。
【0338】
例示的な実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができ、構成要素の代わりに均等物を用いることができることが、当業者には理解されよう。加えて、その本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況又は材料を本発明の教示に適合させるために、多くの変更を行うことができる。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲に含まれる全ての実施形態を含むことが意図される。
【国際調査報告】