(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(54)【発明の名称】体腔を閉塞するための塞栓デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 17/12 20060101AFI20221221BHJP
【FI】
A61B17/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022526758
(86)(22)【出願日】2020-11-06
(85)【翻訳文提出日】2022-06-24
(86)【国際出願番号】 US2020059499
(87)【国際公開番号】W WO2021096782
(87)【国際公開日】2021-05-20
(32)【優先日】2019-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595148888
【氏名又は名称】ストライカー コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Stryker Corporation
【住所又は居所原語表記】2825 Airview Boulevard Kalamazoo MI 49002 (US)
(71)【出願人】
【識別番号】521535973
【氏名又は名称】ストライカー ヨーロピアン オペレーションズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Stryker European Operations Limited
【住所又は居所原語表記】Anngrove, IDA Business & Technology Park, Carrigtwohill, County Cork, T45HX08 Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ハンクン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD53
4C160DD63
4C160DD70
(57)【要約】
体腔内に配置するための塞栓デバイスにおいて、室温にあるときに線形構成を有する細長部材を具え、細長部材は、体温に反応して第1の三次元構造を形成するように構成される。細長部材は、第1区画、第2区画、および第3区画を含み、第2区画は、第1区画と第3区画との間に位置する。第1区画および第3区画は、体温に反応してそれぞれの形状を変化させるように構成される。第1区画と第3区画との間に位置する第2区画は、体温に依存しない形状を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体腔内に配置するための塞栓デバイスにおいて、
室温にあるときに線形構成を有する細長部材を具え、当該細長部材は、体温に反応して第1の三次元構造を形成するように構成されており、
前記細長部材は第1区画、第2区画、および第3区画を含み、前記第2区画は前記第1区画と前記第3区画との間に位置し、
前記第1区画および前記第3区画は、体温に反応してそれぞれの形状を変化させるように構成され、
前記第1区画と前記第3区画との間に位置する前記第2区画は、体温に依存しない形状を有することを特徴とする塞栓デバイス。
【請求項2】
体温に反応して、前記第1区画はループの第1の部分を形成するように構成され、前記第3区画は前記ループの第2の部分を形成するように構成される、請求項1に記載の塞栓デバイス。
【請求項3】
それぞれ体温に反応して、前記第1区画は第1のループを形成するように構成され、前記第3区画は第2のループを形成するように構成される、請求項1に記載の塞栓デバイス。
【請求項4】
前記第1区画が第1の長さを有し、前記第2区画が第2の長さを有し、前記第3区画が第3の長さを有し、前記第2区画の第2の長さが前記第1区画の第1の長さよりも短く、さらに前記第3区画の第3の長さよりも短い、請求項1に記載の塞栓デバイス。
【請求項5】
前記第1区画と前記第3区画との間の前記第2区画の第2の長さは、前記第1区画の第1の長さの50%未満であり、かつ前記第3区画の第3の長さの50%未満である、請求項4に記載の塞栓デバイス。
【請求項6】
前記細長部材が遠位端と、当該遠位端と反対側の近位端とを有し、前記塞栓デバイスさらに前記近位端を含む第4区画を具え、当該第4区画は室温にあるときにマルテンサイトであり、前記第4区画が体温にあるときにもマルテンサイトである、請求項1~5のいずれか一項に記載の塞栓デバイス。
【請求項7】
前記第1区画は、当該第1区画が室温にあるときはマルテンサイトであり、前記第1区画が体温にあるときはオーステナイトである、請求項1~6のいずれか一項に記載の塞栓デバイス。
【請求項8】
前記第2区画は、当該第2区画が室温であるときはマルテンサイトであり、前記第2区画が体温にあるときはマルテンサイトである、請求項1~7のいずれか一項に記載の塞栓デバイス。
【請求項9】
前記三次元構造は複数のループを含み、前記第1区画、前記第2区画、および前記第3区画は、前記複数のループのうちの1つのループのそれぞれの部分を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の塞栓デバイス。
【請求項10】
前記細長部材が、前記複数のループのうちの別の1つのループのそれぞれの部分を含む第4区画、第5区画、および第6区画をさらに含み、
前記第5区画は前記第4区画と前記第6区画との間にあり、
前記第4区画および前記第6区画は、体温に応じてそれぞれの形状を変化させるように構成され、
前記第4区画と前記第6区画との間に位置する前記第5区画は、体温に依存しない形状を有する、請求項9に記載の塞栓デバイス。
【請求項11】
体腔内に配置するための塞栓デバイスにおいて、
室温にあるときに線形構成を有する細長部材を具え、当該細長部材は、体温に反応して第1の三次元構造を形成するように構成されており、
前記細長部材は第1区画、第2区画、および第3区画を含み、前記第2区画は前記第1区画と前記第3区画との間に位置し、
前記第1区画は、当該第1区画が室温にあるときはマルテンサイトであり、前記第1区画が体温にあるときはオーステナイトであり、
前記第2区画は、当該第2区画が室温にあるときにマルテンサイトであり、また前記第2区画が体温にあるときにもマルテンサイトであることを特徴とする塞栓デバイス。
【請求項12】
体温に反応して、前記第1区画がループの第1の部分を形成するように構成され、前記第3区画が前記ループの第2の部分を形成するように構成される、請求項11に記載の塞栓デバイス。
【請求項13】
体温に反応して、前記第1区画が第1のループを形成するように構成され、前記第3区画が第2のループを形成するように構成される、請求項11に記載の塞栓デバイス。
【請求項14】
前記第1区画が第1の長さを有し、前記第2区画が第2の長さを有し、前記第3区画が第3の長さを有し、
前記第2区画の第2の長さは前記第1区画の第1の長さよりも短く、また前記第3区画の第3の長さよりも短い、請求項11に記載の塞栓デバイス。
【請求項15】
前記第1区画と前記第3区画との間にある前記第2区画の第2の長さは、前記第1区画の第1の長さの50%未満であり、かつ前記第3区画の第3の長さの50%未満でもある、請求項14に記載の塞栓デバイス。
【請求項16】
細長部材が遠位端と、当該遠位端とは反対側の近位端とを有し、
前記塞栓デバイスが、前記近位端を含む第4区画をさらに含み、
前記第4区画は室温のときにマルテンサイトであり、前記第4区画が体温のときにもマルテンサイトである、請求項11~15のいずれか一項に記載の塞栓デバイス。
【請求項17】
前記三次元構造が複数のループを含み、前記第1区画、前記第2区画、および前記第3区画が、前記複数のループのうちの1つのループのそれぞれの部分を含む、請求項11~16のいずれか一項に記載の塞栓デバイス。
【請求項18】
前記細長部材がさらに、前記ループのうちの別の1つのループのそれぞれの部分を含む第4区画、第5区画、および第6区画を含み、
前記第5区画は前記第4区画と前記第6区画との間にあり、
前記第4区画および前記第6区画は、前記第4区画および前記第6区画が室温にあるときにマルテンサイトであり、前記第4区画および前記第6区画が体温にあるときにオーステナイトであり、
前記第5区画は、当該第5区画が室温にあるときにはマルテンサイトであり、また前記第5区画が体温にあるときにもオーステナイトである、請求項17に記載の塞栓デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の分野は、体腔を閉塞するための医療機器および方法に関し、具体的には、動脈瘤を閉塞するための医療機器および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]動脈瘤は血管が膨張し、破裂、凝固、解離の可能性があり健康にリスクをもたらす。脳動脈瘤の破裂は脳卒中を引き起こし、腹部動脈瘤の破裂はショック症状を引き起こす。脳動脈瘤は通常、発作や出血の結果として患者に検知され、重大な罹患率または死亡率をもたらし得る。
【0003】
[0003]プラチナやステンレス鋼のマイクロコイル、ポリビニルアルコールスポンジ(Ivalone)、およびその他の機械的デバイスを含む、動脈瘤の治療に使用されてきたさまざまな材料およびデバイスがある。例えば、血管閉塞デバイスは、典型的にはカテーテルを介して人体の血管系内に配置される外科用器具またはインプラントであり、塞栓を形成することによって血管系のその部分を構成する血管を通る血流を遮断し、または血管に由来する動脈瘤内にそのような塞栓を形成する。
【0004】
[0004]血管閉塞デバイスがカテーテル内で運ばれる際に、血管閉塞デバイスは、カテーテルのプロファイルに一致するように弾性的に曲げられることがある。血管閉塞デバイスのこの弾性屈曲により、カテーテルの内面に対して様々な圧力点が生じ、これはカテーテルに対する血管閉塞デバイスの前進をより困難にするので望ましくない場合がある。場合によっては、血管閉塞デバイスを遠位に押すために、軸方向の力を大きくする必要がある。この軸方向の力を大きくすると、カテーテル内で血管閉塞デバイスが早期の座屈を引き起こす場合がある。
【0005】
[0005]また、血管閉塞デバイスは、カテーテルの外側に展開されると特定の三次元形状になる場合がある。展開された血管閉塞デバイスが硬すぎる場合、血管閉塞デバイスによって閉塞しようとする体腔の形状に適合しない可能性がある。一方、展開された血管閉塞デバイスが柔らかすぎる場合、血管閉塞デバイスがその形状を保持できず、意図せずに望ましくない形状に曲げられて、体腔を閉塞できなくなる可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
[0006]体腔内に配置するための塞栓デバイスにおいて、室温にあるときに線形構成を有する細長部材を具え、当該細長部材は体温に反応して第1の三次元構造を形成するように構成され、細長部材は、第1区画、第2区画、および第3区画を含み、第2区画は、第1区画と第3区画との間に位置し、第1区画および第3区画は、体温に反応してそれぞれの形状を変化させるように構成され、第1区画と第3区画との間に位置する第2区画は、体温に依存しない形状を有する。
【0007】
[0007]任意選択で、第1区画はループの第1の部分を形成するように構成され、第3区画は体温に反応してループの第2の部分を形成するように構成される。
【0008】
[0008]任意選択で、体温に応じて、第1区画は第1のループを形成するように構成され、第3区画は第2のループを形成するように構成される。
【0009】
[0009]任意選択で、第1区画は第1の長さを有し、第2区画は第2の長さを有し、第3区画は第3の長さを有し、第2区画の第2の長さは、第1区画の第1の長さよりも短く、また第3区画の第3の長さよりも短い。
【0010】
[0010]任意選択で、第1区画と第3区画の間にある第2区画の第2の長さは、第1区画の第1の長さの50%未満であり、また第3区画の第3の長さの50%未満でもある。
【0011】
[0011]任意選択で、細長部材は、遠位端および遠位端とは反対側の近位端を有し、塞栓デバイスは、近位端を含む第4区画をさらに含み、第4区画は、第4区画が室温にあるときにマルテンサイトであり、第4区画が体温にあるときにもマルテンサイトである。
【0012】
[0012]任意選択で、第1区画は、第1区画が室温にあるときはマルテンサイトであり、第1区画が体温にあるときはオーステナイトである。
【0013】
[0013]任意選択で、第2区画が室温のときに第2区画はマルテンサイトであり、第2区画が体温のときにはマルテンサイトである。
【0014】
[0014]任意選択で、三次元構造が複数のループを含み、第1区画、第2区画、および第3区画は、ループのうちの1つのループの一部である。
【0015】
[0015]任意選択で、細長部材は、ループのうちの別の1つのループの一部である第4区画、第5区画、および第6区画をさらに含み、第5区画は、第4区画と第6区画の間にあり、第4区画および第6区画は、体温に反応してそれぞれの形状を変化させるように構成され、第4区画と第6区画との間に位置する第5区画は、体温に依存しない形状を有する。
【0016】
[0016]体腔内に配置するための塞栓デバイスにおいて、室温にあるときに線形構成を有する細長部材を具え、細長部材は、体温に反応して第1の三次元構造を形成するように構成され、細長部材は、第1区画、第2区画、および第3区画を含み、第2区画は、第1区画と第3区画との間に位置し、第1区画は、第1区画が室温にあるときにマルテンサイトであり、第1区画が体温にあるときはオーステナイトであり、第2区画は、第2区画が室温にあるときにマルテンサイトであり、また第2区画が体温にあるときにもマルテンサイトである。
【0017】
[0017]任意選択で、体温に応じて、第1区画はループの第1の部分を形成するように構成され、第3区画は前記ループの第2の部分を形成するように構成される。
【0018】
[0018]任意選択で、体温に応じて、第1区画は第1のループを形成するように構成され、第3区画は第2のループを形成するように構成される。
【0019】
[0019]任意選択で、第1区画は第1の長さを有し、第2区画は第2の長さを有し、第3区画は第3の長さを有し、第2区画の第2の長さは、第1区画の第1の長さよりも短く、また第3区画の第3の長さよりも短い。
【0020】
[0020]任意選択で、第1区画と第3区画の間にある第2区画の第2の長さは、第1区画の第1の長さの50%未満であり、また第3区画の第3の長さの50%未満でもある。
【0021】
[0021]任意選択で、細長部材は、遠位端と、遠位端とは反対側の近位端とを有し、塞栓デバイスは、前記近位端を含む第4区画をさらに含み、第4区画は、室温にあるときはマルテンサイトであり、また第4区画が体温であるときもマルテンサイトである。
【0022】
[0022]任意選択で、三次元構造は複数のループを含み、第1区画、第2区画、および第3区画は、前記複数のループのうちの1つのループの一部である。
【0023】
[0023]任意選択で、細長部材は、複数のループのうちの別の1つのループの一部である第4区画、第5区画、および第6区画をさらに含み、第5区画は、第4区画と第6区画との間にあり、第4区画および第6区画は、第4区画および第6区画が室温にあるときはマルテンサイトであり、第4区画および第6区画が体温にあるときはオーステナイトであり、第5区画は、第5区画が室温にあるときにマルテンサイトであり、また第5区画が体温にあるときにもマルテンサイトである。
【0024】
[0024]細長部材を有する塞栓デバイスによって実行される体腔を閉塞する方法であって、細長部材は、第1区画、第2区画、および第3区画を含み、第2区画は、第1区画と第3区画との間にあり、体温に反応して細長部材の第1区画によって第1の形状変化を受けるステップと、力に応答して、細長部材の第2区画によって第2の形状変化を受けるステップと、体温に反応して、細長部材の第3区画によって第3の形状変化を受けるステップとを含む。
【0025】
[0025]任意選択で、第1区画は、第1区画が室温にあるときはマルテンサイトであり、第1区画が体温にあるときはオーステナイトでり、第2区画は、第2区画が室温にあるときにマルテンサイトであり、また第2区画が体温にあるときにもマルテンサイトである。
【0026】
[0026]任意選択で、体温に応じて、第1区画がループの第1の部分を形成し、第3区画がループの第2の部分を形成する。
【0027】
[0027]任意選択で、体温に応じて、第1区画が第1のループを形成し、第3区画が第2のループを形成する。
【0028】
[0028]任意選択で、第1区画は第1の長さを有し、第2区画は第2の長さを有し、第3区画は第3の長さを有し、第2区画の第2の長さは、第1区画の第1の長さよりも短く、また第3区画の第3の長さよりも短い。
【0029】
[0029]任意選択で、第1区画と第3区画の間にある第2区画の第2の長さは、第1区画の第1の長さの50%未満であり、また第3区画の第3の長さの50%未満でもある。
【0030】
[0030]任意選択で、細長部材は、遠位端および遠位端とは反対側の近位端を有し、塞栓デバイスは、前記近位端を含む第4区画をさらに含み、第4区画は、室温にあるときはマルテンサイトであり、また第4区画が体温にあるときもマルテンサイトである。
【0031】
[0031]任意選択で、三次元構造は複数のループを含み、第1区画、第2区画、および第3区画は、前記複数のループのうちの1つのループの一部である。
【0032】
[0032]任意選択で、細長部材は、前記複数のループのうちの別のループの一部である第4区画、第5区画、および第6区画をさらに含み、第5区画は、第4区画と第6区画との間にあり、第4区画および第6区画は、第4区画および第6区画が室温にあるときはマルテンサイトであり、第4区画および第6区画が体温にあるときはオーステナイトであり、第5区画は、第5区画が室温にあるときにマルテンサイトであり、また第5区画が体温にあるときにもマルテンサイトである。
【0033】
[0033]以下の詳細な説明を読むと、他のさらなる態様と特徴が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
[0034]図面は、似た要素が共通の参照番号によって参照される実施形態の設計および有用性を示す。これらの図面は、必ずしも縮尺通りに描かれていない。上記および他の利点や目的がどのように得られるかをよりよく理解するために、添付の図面に示されている実施形態のより具体的な説明がなされる。これらの図面は例示的な実施形態のみを示しており、したがって特許請求の範囲を限定すると見なされるべきではない。
【0035】
【
図1】
図1は、塞栓デバイスを送達するためのカテーテルを有する医療デバイスを示す図である。
【
図2】
図2は、
図1の医療デバイスを示し、特に塞栓デバイスの遠位区画がカテーテル外に送達された状態を示す図である。
【
図3】
図3は、
図1の医療デバイスの一実施例を示し、特に室温におけるデバイスの形状を示す図である。
【
図4】
図4は、
図3の医療デバイスを示し、特に体温におけるデバイスの形状を示す図である。
【
図5】
図5は、
図1の医療デバイスの別の実施例を示し、特に室温におけるデバイスの形状を示す図である。
【
図6】
図6は、
図5の医療機器を示し、特に体温におけるデバイスの形状を示す図である。
【
図7】
図7は、応力-歪みグラフであり、特に熱サイクルの影響を示す図である。
【
図9】
図9は、塞栓デバイスを動脈瘤に送達する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
[0044]以下に、図面を参照しながら様々な実施形態について説明する。図面は縮尺通りに描かれておらず、同様の構造または機能の要素は、図面全体で同じ参照番号で表されていることに留意されたい。図面は、実施形態の説明を容易にすることのみを意図していることにも留意されたい。それらは、本発明の網羅的な説明として、または本発明の範囲の限定として意図されていない。さらに、図示された実施形態は、示されたすべての態様または利点を有する必要はない。特定の実施形態に関連して説明される態様または利点は、必ずしもその実施形態に限定されるものではなく、そのように図示されていない場合、またはそのように明示的に説明されていない場合でも、他の任意の実施形態で実施することができる。
【0037】
[0045]
図1は、塞栓デバイス100を体腔内に送達するためのカテーテル20を有する医療デバイス10を示す。カテーテル20は、遠位端22と、近位端24と、遠位端22と近位端24との間に延びるカテーテル本体26とを有する。塞栓デバイス100は、カテーテル20の管腔28内に収容される。医療デバイス10は、塞栓デバイス100をカテーテル20の管腔28から押し出すために管腔28に配置されたシャフト30をさらに含む。
【0038】
[0046]
図1に示すように、塞栓デバイス100は、遠位端104と、近位端106と、遠位端104と近位端106との間に延びる本体108とを有する細長部材102から作製される。塞栓デバイス100の細長部材102は、カテーテル20内で室温にあるとき、線形構成(例えば、直線的なプロファイル)を有する。細長部材102は、細長部材102が患者の体内でカテーテル20の外側に送達されたときに、体温に反応して三次元構造112を形成するように構成される(
図2)。
【0039】
[0047]
図3は、塞栓デバイス100の一実施例を示す。図示するように、塞栓デバイス100の細長部材102は、室温では比較的直線的な線形構成を有する。この細長部材102は、体温に反応して三次元構造を形成するように構成されている。したがって、カテーテル20内における細長部材102の直線的なプロファイルは、主に細長部材102が室温にあることによるものであり、カテーテル20による機械的な矯正が主原因ではない。この特徴は、細長部材102とカテーテル20の内壁との間の摩擦を低減し、塞栓デバイス100を遠位に容易に前進させることができるので有利である。この特徴により、必要に応じて、より長い塞栓デバイス100を提供することが可能になる。
【0040】
[0048]図示の実施形態では、細長部材102は、第1区画300と、第2区画302と、第3区画304とを有する。第2区画302は、第1区画300および第3区画304の間に位置する。第1区画300および第3区画304は、体温に反応してそれぞれの形状を変化させるように構成されている。第1区画300と第3区画304との間に位置する第2区画302の形状は体温に依存しない。
【0041】
[0049]本明細書で使用される「体温」という用語は、95F~107F(35℃~41.6667℃)の温度範囲、より好ましくは96F~100F(35.5556℃~37.7778℃)の温度範囲、またはより好ましくは97F~99F(36.1111℃~37.2222℃)の温度範囲などの温度範囲を指し得ることに留意されたい。また、本明細書で使用される場合、「室温」という用語は、体温とは異なる任意の温度を指し得る。例えば、室温は、体温よりも低い任意の温度であり得る。いくつかの実施形態では、室温は、体温より少なくとも10F低い、または体温より少なくとも20F低い任意の温度であり得る。
【0042】
[0050]図示の実施形態では、第1区画300は、当該第1区画300が室温であるときはマルテンサイトであり、第1区画300が体温にあるときはオーステナイトである。第2区画302は、当該第2区画302が室温であるときにマルテンサイトであり、第2区画302が体温にあるときにマルテンサイトである。第3区画304は、当該第3区画304が室温であるときはマルテンサイトであり、第3区画304が体温にあるときはオーステナイトである。したがって、第1および第3区画300、304は、室温にあるときに第1および第3区画300、304が比較的直線的なプロファイルを有し、体温に応答して第1および第3区画300、304がオーステナイトに変化可能となる、可逆的マルテンサイト区画である。他方、第2区画302は、室温および体温の両方において、第2区画302が比較的直線的なプロファイルを有し得る不可逆的マルテンサイト区画である。
【0043】
[0051]図示の実施形態では、第2区画302は、第1区画300および第3区画304よりも柔らかい。これにより、第2区画302は、第1および第3区画300、304と比較して、力に応答して容易に曲がることができる。
【0044】
[0052]本明細書で使用される場合、「直線的」という用語は、送達形状が展開形状の塞栓デバイス100の曲率よりも小さい曲率を有する限り、直線または曲線である塞栓デバイス100の送達形状を説明するために使用され得ることに留意されたい。
【0045】
[0053]
図4に示すように、細長部材102は、細長部材102が展開された後、体温に応答して複数のループ400を有する三次元構造112を形成するように構成される。図に示すように、第1区画300と、第2区画302と、第3区画304とは、ループ400のうちの1つの一部をなす。すなわち、体温に応答して、第1区画300がループ400の第1の部分を形成するように構成され、第3区画304が同じループ400の第2の部分を形成するように構成される。
【0046】
[0054]図示するように、細長部材102は、ループ400の別の1つの一部をなす第4区画410と、第5区画412と、第6区画414とをさらに含む。第5区画412は、第4区画410と第6区画414との間にある。第4区画410および第6区画414は、体温に応答してそれぞれの形状を変化させるように構成されている。第4区画410と第6区画414との間に位置する第5区画412の形状は体温に依存しない。いくつかの実施形態では、第4区画410および第6区画414は、第4区画410および第6区画414が室温にあるときにマルテンサイトであり、第4区画410および第6区画414が体温にあるときはオーステナイトである。第5区画412は、第5区画412が室温にあるときにマルテンサイトであり、また第5区画412が体温にあるときにもマルテンサイトである。
【0047】
[0055]いくつかの実施形態では、細長部材102は、3つの区画の複数のセットを含むことができ、3つの区画の各セットは、三次元構造112のループ(または他の所望の曲線形状)を形成するように構成される。3つの区画の各セットにおいて、最初と最後の区画は、体温に反応して形状が変化するように構成され、第1および第3区画の間にある第2区画は、体温に依存しない形状を有する。したがって、細長部材102が患者の外部から患者の体内に送達されるとき、細長部材102は、室温から体温への温度変化を受ける。その結果、細長部材102の各セットの第1区画および第3区画は、体温に応答して形状が変化し、細長部材102の各セットの第2区画は、体温に反応せず体温によって形が変わることはない。
【0048】
[0056]いくつかの実施形態では、第1区画300は第1の長さを有し、第2区画302は第2の長さを有し、第3区画304は第3の長さを有する。第2区画302の第2の長さは、第1区画300の第1の長さよりも短く、また第3区画304の第3の長さよりも短い。例えば、第1区画300と第3区画304との間にある第2区画203の第2の長さは、第1区画の第1の長さの50%未満で、また第3区画の第3の長さの50%未満であり得る。
【0049】
[0057]上記の実施形態では、第2区画302は、第1区画300と第3区画304との間にあり、3つの区画300、302、304はすべて1つのループの一部であると記載されている。他の実施形態では、第2区画302は他の位置に配置されてもよい。例えば、他の実施形態では、第2区画302はループの一端の近くに配置されてもよい。その場合、第1および第3区画300、304のそれぞれの長さが互いに異なってもよい。別の例として、他の実施形態では、第2区画302は2つのループの間に配置されてもよい。この場合、体温に応答して、第1区画300が第1のループを形成するように構成され、第3区画304が第2のループを形成するように構成される。2つのループ(第1および第3区画300、304によって形成)の間に位置する第2区画302は、体温に応答して形状を変化させない。代わりに、第2区画302は、力に応答して形状を変化させるように構成されてもよい。場合によっては、第2区画302は、2つのループの間の変曲点に配置されてもよい。
【0050】
[0058]また、他の実施形態では、各ループ400につき1つの不可逆的マルテンサイト区画(例えば、区画302)のみを有する代わりに、塞栓デバイス100は、各ループ400につき複数の不可逆的マルテンサイト区画を有してもよい。
【0051】
[0059]本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態では、塞栓デバイス100は任意選択で、その近位端にさらなる区画を含むことができる。
図5は、塞栓デバイス100の別の例を示す。この塞栓デバイス100は、塞栓デバイス100がその近位端にさらなる区画500を含むことを除いて、
図3~4を参照して説明した塞栓デバイス100と同様である。
図5に示すように、塞栓デバイス100は、第1、第2、および第3区画300、302、304を含み、その説明は同様である。しかしながら、この塞栓デバイス100は、細長部材102の近位端に第4区画500をさらに含む。第4区画500は、体温に応答して形状が変化しない。
図6に示すように、塞栓デバイス100が体温にさらされたら、細長部材102の長さの大部分が形状を変化させて三次元構造112を形成する。しかしながら、第4区画500は真っ直ぐのままであり、その形状を変えない。代わりに、第4区画500は、力に応答して形状が変化するように構成される。例えば、第4区画500を有する塞栓デバイス100が動脈瘤に送達される際に、第4区画500がカテーテル20から押し出されるときに、動脈瘤の内壁、または動脈瘤の内部にすでに送達された塞栓デバイス100の他の部分が第4区画500に力をかけることがある。これにより、第4区画500が曲がることになる。いくつかの実施形態では、第4区画500は、当該第4区画が室温にあるときにマルテンサイトであり、第4区画500が体温にあるときにもマルテンサイトである。また、いくつかの実施形態では、第4区画500は、形状記憶特性を有する区画(例えば、第1区画300、第3区画302など)よりも柔らかい。したがって、第4区画500は、外力が加えられたときに、より容易に曲がることができる。これにより、外力の方向および大きさに応じて、第4区画500を任意の形状に形成することができる。場合によっては、第4区画500は、動脈瘤などの体腔内の空間を充填する充填目的で構成されてもよい。いくつかの実施形態では、第4区画500は、先行するループ400の長さよりも大きい長さを有してもよい。例えば、第4区画500は、先行するループ400を形成する区画の長さの1倍、2倍、3倍または4倍の長さを有し得る。
【0052】
[0060]いくつかの実施形態では、第4区画500は、区画302と同じ材料から作製することができ、区画302と同じ機械的特性を有し得る。他の実施形態では、第4区画500は、区画302よりも柔らかくてもよい。
【0053】
[0061]図示の実施形態では、三次元構造112のループ400は、それぞれの変曲点で接続されており、これによって隣接するループ400が逆湾曲(reverse curvatures)を形成することができる。他の実施形態では、三次元構造112の隣接するループ400は、逆湾曲を形成しなくてもよい。さらに、他の実施形態ではループの代わりに、第1の三次元構造112がループではない形状を有する他の構造要素を有してもよい。
【0054】
[0062]いくつかの実施形態では、三次元構造112のループ400の曲率は同じであり得る。他の実施形態では、ループ400の1つまたは複数が、三次元構造112内のループ400の別の1つとは異なってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、三次元構造112は、第1の曲率を有する第1のループ400と、当該第1のループ400の近位にある第2のループ400とを有し、この第2のループ400が第1のループ400の第1の曲率より高い第2の曲率を有することができる。他の実施形態では、三次元構造112は、第1の曲率を有する第1のループ400と、当該第1のループ400の近位にある第2のループ400を有し、この第2のループ400が第1のループ400の第1の曲率よりも低い第2の曲率を有してもよい。本明細書で用いられる場合、「曲率」は1/Rとして定義することができ、ここでRは曲線に関連する最小の曲率半径であり得る。
【0055】
[0063]いくつかの実施形態では、三次元構造112は、それぞれのループ寸法の変化が10%を超えず、好ましくは5%を超えない、少なくとも2つのループ400(例えば、少なくとも2つの隣接するループ400)を有する。例えば一実施形態では、三次元構造112は、同じループ寸法(例えば、ループ幅または直径)を有するループ400を有し得る。他の実施形態では、三次元構造112は、それぞれのループ寸法が10%を超えて異なるループ400を有してもよい。
【0056】
[0064]さらに、いくつかの実施形態では、三次元構造112内のループ400は、遠位から近位方向への細長部材102の長さに沿ってそれぞれのループ寸法が減少する。この特徴は、細長部材102が前のものと異なる小さい充填構造を形成し、それによって後続の充填構造が前のものの内部にフィットできるようになるので有利である。
【0057】
[0065]いくつかの実施形態では、塞栓デバイス100の第1の部分は第1の幅を有し、この第1の部分に近接する塞栓デバイス100の第2の部分は、第1の幅よりも小さい第2の幅を有し得る。代替的または追加的に、塞栓デバイス100の第1の部分は第1の厚さを有し、塞栓デバイス100の第2の部分は、第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有してもよい。一実施形態では、細長部材102を編組構造とし、塞栓デバイス100の第2の部分は、第1の部分の編組を形成するために用いる繊維のストランドの数と比較して、より少ない繊維のストランドを使用して第2の部分の編組を形成することによってより狭い幅および/または厚さを達成してもよい。あるいは、塞栓デバイス100の第2の部分は、第2の部分を形成するために用いた部材の一部を切除または切削することによって(例えば、レーザーカッタ、グラインダなどを使用して)、より狭い幅(または厚さ)にしてもよい。別の代替案として、塞栓デバイス100の第1および第2の部分は、それぞれの断面寸法が異なる別個の部材から形成されてもよい。そのような場合、部材は、例えば接着剤、溶接、融接、機械的カプラなどを使用して、互いに固定することができる。「幅」および「厚さ」という用語は、長方形や楕円形の断面など、場合によっては断面の長い方の寸法および短い方の寸法を指す場合があることに留意されたい。ただし、これらの用語のいずれかを使用しても、断面が細長い形状であることを意味するものではない。例えば、断面の幅または厚さは、円形断面、正方形断面、六角形断面、五角形断面などの断面寸法を指してもよい。
【0058】
[0066]また、いくつかの実施形態では、三次元構造112の(隣接するループ400間の)角度は、細長部材102の長さに沿って遠位から近位の方に漸進的に減少してもよい。この特徴は、細長部材102の遠位部分が体腔の周囲に沿った三次元構造112の第1の部分を形成し、また、細長部材102の近位部分が三次元構造112の第1の部分内にフィットし得る三次元構造112の第2の部分を形成することを実現できるので有利である。一実施形態では、細長部材102の第1の部分が、第1の複数のループ400の隣接するループ同士の間に第1の複数の角度を有する第1の複数のループ400を形成するように構成され、細長部材102の第2の部分が、第2の複数のループ400の隣接するループ同士の間に第2の複数の角度を有する第2の複数のループ400を形成するように構成され得る。第1の複数の角度は互いに同じであってよく、第2の複数の角度は互いに同じであってよい。ただし、第1の複数の角度は、第2の複数の角度よりも大きくすることができる。
【0059】
[0067]上述のように、いくつかの実施形態では、細長部材102は、細長部材102の遠位端から近位端まで、隣接するループ間の角度を漸減させてもよい。これにより、細長部材102は体腔を「外側から内側へ」充填することができ、それによって動脈瘤の内側空間よりも前に体腔内の外側空間が最初に充填される。他の実施形態では、細長部材102は、細長部材102の遠位端から近位端まで、隣接するループ間の角度を漸増させてもよい。これにより、細長部材102は体腔を「内側から外側へ」充填することができ、それによって体腔内の外部空間よりも前に体腔内の内部空間が最初に充填される。
【0060】
[0068]いくつかの実施形態では、塞栓デバイス100の細長部材102は編組構造であり得る。一実施形態では、細長部材102は、24本の繊維のストランドを編組して形成され得る。あるいは、他の数の繊維のストランドを使用して、細長部材を形成してもよい。また、いくつかの実施形態では、細長部材102の近位部分を、細長部材102の遠位部分と比較してより多くのストランドを使用して形成してもよい。他の実施形態では、細長部材102の遠位部分を、細長部材102の近位部分と比較してより多くのストランドを使用して形成してもよく、それによって近位部分と比較して遠位部分をより堅くすることができる。
【0061】
[0069]他の実施形態では、塞栓デバイス100の細長部材102はコイルであり得る。このような場合、細長部材102はコイルである一次形状を有し、その後にコイルを曲げて所望の二次形状(展開形状)を形成したものであり得る。
【0062】
[0070]さらなる実施形態では、塞栓デバイス100の細長部材102は、中実の連続部材であってもよい。このような場合、中実の連続部材は一次形状が直線的であり、この中実の連続部材を曲げて所望の二次形状(展開形状)を形成することができる。
【0063】
[0071]本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態において、塞栓デバイス100の細長部材102の長さは、15cm~50cm、または25cm~45cm、または30~40cmのいずれかであり得る。他の実施形態では、塞栓デバイス100の細長部材102の長さは、15cm未満、または40cm以上であってよい。
【0064】
[0072]また、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態において、塞栓デバイス100の細長部材102は、任意の適切な材料から作製することができる。非限定的な例により、塞栓デバイス100の細長部材102は、ニチノール(商標)、AuPt、ステンレス鋼、白金、他の金属、他の合金、またはこれらの任意の組み合わせから作製され得る。
【0065】
[0073]いくつかの実施形態では、細長部材102のそれぞれの前の部分は、細長部材102の後の部分を収容し得る充填構造を形成する。これにより、構造のさまざまな層を入れ子構成で動脈瘤に漸次送達して、動脈瘤の周辺から中心に向かって動脈瘤を充填することができる。いくつかの実施形態では、伸長部材102の第1の部分がループの第1のセットを有し、この第1の部分の近位にある伸長部材102の第2の部分がループの第2のセットを有し、この第2の部分の近位にある伸長部材102の第3の部分がループの第3のセットを有することができる。ループの第1のセットは、同じサイズのループ幅、または遠位から近位方向にサイズが減少するループ幅を有し得る。同様に、ループの第2のセットは、サイズが同じであるか、または遠位から近位方向にサイズが減少するループ幅を有し得る。また、ループの第3のセットは、サイズが同じであるか、または遠位から近位方向にサイズが減少するループ幅を有し得る。さらに、いくつかの実施形態では、伸長部材102の後続部分の第1の(すなわち、遠位の)ループは、伸長部材102の前の部分の最後の(すなわち、近位の)ループの幅よりも小さい幅を有し得る。あるいは、他の実施形態では、伸長部材102の後続部分の第1の(すなわち、遠位の)ループは、伸長部材102の前の部分の最後の(すなわち、近位の)ループの幅よりも大きい幅を有し得る。
【0066】
[0074]本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態において、塞栓デバイス100は任意選択で、塞栓デバイス100の遠位端に遠位ループをさらに含むことができ、この遠位ループは、当該遠位ループに近位のループの75%小さい直径を有する。本明細書で使用される場合、ループの「直径」は、必ずしもループが円形であることを意味するものではなく、「直径」という用語は、形状が円形であろうとなかろうとループの幅を指し得る。例えば、ループの直径は、場合によってはループの最大幅を指す。
【0067】
[0075]また、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態では、塞栓デバイス100は、任意選択で、塞栓デバイス100の遠位端に遠位コイルをさらに含むことができる。一実施形態では、塞栓デバイス100の細長部材102が編組から形成される場合、遠位コイルは、編組の1つまたは複数のストランドから形成され得る。別の実施形態では、別個のコイルが遠位コイルとして提供され、そして細長部材102の遠位端に取り付けられてもよい。
【0068】
[0076]さらに、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態では、塞栓デバイス100は、任意選択で、塞栓デバイス100の近位端に近位コイルをさらに含むことができる。一実施形態では、塞栓デバイス100の細長部材102が編組から形成される場合、近位コイルは、編組の1つまたは複数のストランドから形成され得る。別の実施形態では、別個のコイルが近位コイルとして提供され、そして細長部材102の近位端に取り付けられてもよい。この近位コイルは、塞栓デバイス100からシャフト30への剛性遷移を提供し得るので有利である。
【0069】
[0077]また、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態では、塞栓デバイス100の近位部分は、塞栓デバイス100の遠位部分の剛性(例えば、曲げ剛性および/または軸方向剛性)とは異なる剛性(例えば、曲げ剛性および/または軸方向剛性)を有してもよい。いくつかの実施形態では、塞栓デバイス100の近位部分の柱強度(column strength)は、塞栓デバイス100の遠位部分とは異なる柱強度を有し得る。例えば、塞栓デバイス100の近位部分の柱強度は、塞栓デバイス100の近位部分の柱強度よりも高くてもよい。これは、塞栓デバイス100が座屈することなくカテーテル20の内側で遠位に押すことができるため有利である。柱強度および/または剛性の相対的な差は、細長部材102の長さに沿って、冶金的熱処理条件を用いて断面寸法を変化させ、および/または編組構造のストランド数を変化させることによって達成することができる。
【0070】
[0078]また、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態において、細長部材102が編組構造である場合、細長部材102の長さに沿って剛性を変えるために、部材102の長さに沿ったストランドの編組角度を変えるようにしてもよい。例えばいくつかの実施形態では、細長部材102の近位部分および細長部材102の遠位部分は同じ数のストランドを有し得るが、近位部分のストランドの編組角度(例えば、部材102の長手方向軸に対してストランドが形成する角度)は、遠位部分のストランドの編組角よりも大きく、それによって細長部材102の近位部分を細長部材102の遠位部分よりも堅くすることができる。他の実施形態では、細長部材102の遠位部分のストランドの編組角度が、細長部材102の近位部分のストランドの編組角度よりも大きく、それによって細長部材102の第2の部分を細長部材102の第1の部分よりも柔らかくしてもよい。また、いくつかの実施形態では、部材102の長さに沿ってストランドの編組角度が徐々に変化してもよい。
【0071】
[0079]さらに、いくつかの実施形態では、三次元構造が第1の複数のループ400を含み、ここで第1の複数のループ400のそれぞれのループのループ幅、ループ曲率、編組幅、編組角度、またはこれらの任意の組み合わせが、三次元構造112を形成する細長部材102の長さに沿って増加または減少する。
【0072】
[0080]さらに、いくつかの実施形態では、三次元構造112は、複数のループ400を含み、ここで複数のループ400の隣接するループ間の角度が、三次元構造112を形成する細長部材102の長さに沿って増加または減少する。
【0073】
[0081]さらに、塞栓デバイス100は、本明細書に記載の例に限定されず、塞栓デバイス100は、他の実施形態において他の構成を有し得ることに留意されたい。例えば、他の実施形態では、塞栓デバイス100は本明細書に記載されているものとは異なる他の三次元構造を形成するように構成されてもよい。
【0074】
[0082]さらなる実施形態では、塞栓デバイス100は、体腔の周辺部から中心部に向かって体腔を充填するように構成されておらず、また、体腔の中心部から周辺部に向かって体腔を充填するように構成されてもいない。代わりに、塞栓デバイスは、体腔の一方の側から反対側に向かって体腔を充填するように構成することができる。あるいは、塞栓デバイスは、ランダムな方法で体腔を充填するように構成され得る。
【0075】
[0083]塞栓デバイス100を形成するために様々な技術を使用することができる。いくつかの実施形態では、細長部材102は、1つまたは複数のマンドレルの周りに巻き付けられて、所望の形状を形成することができる。マンドレルは、細長部材102がその周りに巻きつくように構成された複数の支柱を含み得る。支柱のサイズによって、形成されるループのループサイズが決まる。また、支柱の相対的な向きによって、形成されるループ間の相対的な角度が決まる。細長部材102がマンドレルの周りに巻き付けられた後、細長部材102は化学的に処理および/または熱処理されて、細長部材102の展開形状を達成し、および/または細長部材102の異なる部分に異なる機械的特性を提供し得る。
【0076】
[0084]いくつかの実施形態では、細長部材102の長さに沿って異なる区画が異なる相転移温度(phase transition temperatures)を有するように、制御された加熱および/または局所加熱を行うようにしてもよい。これは、例えばレーザー加熱によって行うことができる。特に、細長部材102の長さに沿った第1の区画セット(例えば、区画302、412など)に第1の熱処理条件を適用して、それらの転移温度が体温(37℃)よりも高くなるようにすることができる。したがって、これらの区画は、デバイスが治療部位に配備されたときにマルテンサイト相を保持することになる。すなわち、マルテンサイトからオーステナイトへの相転移がないため、これらは不可逆的マルテンサイト区画であるとみなすことができる。対照的に、第2の区画セット(例えば、区画300、304、410、414など)に第2の熱処理条件を適用して、それらの転移温度が体温(37℃)よりも低くなるようにしてもよい。これらの区画は、塞栓デバイス100が治療部位に配備されたときに、マルテンサイトからオーステナイトへ相転移することになる。これらは可逆的なマルテンサイト区画とみなされる。一般に、熱誘起マルテンサイトは双晶マルテンサイトとして生じ、双晶マルテンサイト構造は、材料が転移温度に達してマルテンサイト状態で材料が変形することにより、非双晶マルテンサイト構造に変化し得る。
【0077】
[0085]他の実施形態では、細長部材102の長さに沿って異なる区画に変形歪み制御(deformation strain control)を適用してもよい。特に、歪みがマルテンサイト相の回復可能限界を超えるように第1の区画セット(例えば、区画302、412など)に第1の歪み条件を適用し、これにより塞栓デバイスが治療部位に配備されたときにマルテンサイト相がオーステナイト相に移行できないようにすることができる。これらの区画は常にマルテンサイト相を保持するため、不可逆的マルテンサイト区画とみなされる。他方、歪みレベルがそれらの回復可能限界内にあるように第2の区画セット(例えば、区画300、304、410、414など)に第2の歪み条件を適用し、これにより塞栓デバイス100が治療部位に配備されたときにマルテンサイト相がオーステナイト相に移行するようにすることができる。したがって、これらの区画は可逆的マルテンサイト区画とみなされる。
【0078】
[0086]他の実施形態では、細長部材102の他の部分を化学的および/または熱処理する間、細長部材102の一部を遮蔽材料によって覆うようにしてもよい。これにより、細長部材102の異なる部分を、異なる機械的特性を有するように形成することができる。例えば、この技術を使用して、細長部材102の長さに沿って不可逆的マルテンサイト区画と可逆的マルテンサイト区画を作製することができる。
【0079】
[0087]さらなる実施形態では、細長部材102の長さに沿って不可逆的マルテンサイト区画と可逆的マルテンサイト区画を作成するために、上記の技術の組み合わせを使用してもよい。
【0080】
[0088]他の実施形態では、細長部材を成形するための他の技術を使用して塞栓デバイス100を形成してもよい。
【0081】
[0089]細長部材102が、展開形状(例えば、
図4および
図6に示される例)を有するとともに、細長部材102の長さに沿って不可逆的マルテンサイト区画(例えば、区画302、412など)と可逆的マルテンサイト区画(例えば、区画300、304、410、414など)の両方を有するように形成された後、細長部材102は、(例えば、
図3および
図5に示される例のように)送達形状を形成するようにさらに処理され得る。いくつかの実施形態において、このことは、熱サイクルを使用して達成され得る。例えば、細長部材102(展開形状を有するようにすでに形成されている)を、形成されるべき所望の送達形状に配置しながら加熱と冷却を繰り返すようにしてもよい。1つの手法では、細長部材102は、繰り返し加熱および冷却にかけながら、直線的なプロファイルで張力をかけるようにしてもよい。いくつかの実施形態では、加熱は、細長部材102を80℃より高い、より好ましくは90℃より高い(例えば、100℃)、またはより好ましくは100℃より高い温度に加熱することができる。また、いくつかの実施形態では、冷却は、細長部材102を10℃未満、より好ましくは0℃未満、またはより好ましくは-10℃未満の温度に冷却するようにしてもよい。この技術を使用して、塞栓デバイス100が室温にあるときに第1の形状(送達形状)を有し、塞栓デバイス100が患者の体内に配備され体温にあるときに第2の形状(展開形状)を有するように塞栓デバイス100を作成することができる。
図7は、特に熱サイクルの効果を示す応力-歪みグラフである。グラフから分かるように、細長部材102が加熱および冷却されると、熱応力が細長部材102に加えられ、それによって細長部材102の応力-歪み曲線がシフトする。加熱および冷却を追加のサイクルで繰り返すと、追加の熱応力が細長部材102に加えられ、それによって応力-歪み曲線がさらにシフトする。
【0082】
[0090]塞栓デバイス100が送達形状から展開形状に変化する転移温度は、材料組成および/または製造プロセスを使用して選択的に構成できることに留意されたい。例えば、完成品が所望の転移温度を有するように、特定の所与の材料に対する製造プロセスについてオーステナイト仕上げ温度を選択することができる。
【0083】
[0091]
図8A~8Bは、動脈瘤700を治療するために
図1の医療機器10を使用する方法を示す。医療機器10を使用する場合、まず切開を通してカテーテル20を患者の血管702に挿入する。次に、カテーテル20の遠位端22が動脈瘤700に到達するまでカテーテル20を遠位に前進させる。
【0084】
[0092]いくつかの実施形態では、カテーテル20は操縦可能であり得る。例えば、カテーテル20は、カテーテル20の遠位端22を1つまたは複数の方向に操舵するように構成された1つまたは複数の操舵ワイヤを含むことができる。他の実施形態では、カテーテル20は操舵可能でなくてもよい。その代わりに、まずガイドワイヤを使用して標的部位にアクセスすることができる。次に、カテーテル20をガイドワイヤ上に配置し、ガイドワイヤを用いて遠位に前進させることができる。この場合、カテーテル20は、ガイドワイヤを収容するための別個のチャネルを含み得る。
【0085】
[0093]カテーテル20の遠位端22が望ましく配置された後、次にシャフト30(
図1に示す)を、塞栓デバイス100の第1の遠位部分がカテーテル20の外に出るまで、塞栓デバイス100を遠位に押すように前進させる(
図8A)。塞栓デバイス100は、カテーテル20の内部で室温にあるとき、直線的なプロファイルを有する。この直線的なプロファイルは、塞栓デバイス100が室温にあることによるものであり、カテーテル20による機械的な矯正によるものではない。したがって、塞栓デバイス100を遠位に容易に進めることができる。この特徴により、必要に応じて、より長い塞栓デバイス100を送達することもできる。図示するように、細長部材102の第1の部分は、細長部材102の第1の部分がカテーテル20の外で非拘束となったとき、体温に反応してその比較的真っ直ぐな形状から三次元構造112の第1の部分を形成するように変化する。特に、細長部材102に沿った可逆的マルテンサイト区画(例えば、区画300、304、410、414など)は、体温に反応して相変化してオーステナイト区画になる。これらのオーステナイト区画は、細長部材102の展開された部分に送達形状を提供するように曲線状のプロファイルを有する。細長部材102に沿った不可逆的マルテンサイト区画(例えば、区画302、412など)は、マルテンサイト相のままである。これらの不可逆的マルテンサイト区画は、可逆的マルテンサイト区画に比べて柔らかいため、力に応じて曲げやすくなる。したがって、三次元構造112の第1の部分が動脈瘤に送達されると、三次元構造112のループが動脈瘤の壁に向かって押され、これにより不可逆的マルテンサイト区画に力を加えられる。これら区画は、力に応答して曲がり、それによって三次元構造112の送達された第1の部分が動脈瘤700の形状によりよく適合できるようになる。
【0086】
[0094]図示の例では、三次元構造112の第1の部分は、動脈瘤の内壁に対応する形状を有する。
図8Aで破線によって概略的に表される三次元構造112の第1の部分は、送達される塞栓デバイス100の後続の部分を収容するための空洞118を規定するフレームを提供する。図示のように、三次元構造112の第1の部分はまた、動脈瘤700のネック部704にまたがる足場を提供し、これは空洞118に送達される塞栓デバイス100の細長部材102の後続部分を収容する助けとなる。
【0087】
[0095]次に、シャフト30をさらに前進させて、塞栓デバイス100の後続部分をカテーテル20から押し出すことができる(
図8B)。図示するように、後続部分は、この後続部分がカテーテル20の外側で非拘束状態となったら、三次元構造112の第2の部分を形成する。三次元構造112の第2の部分は、三次元構造112の第1の部分によって画定された空洞118内の空間の少なくとも一部を充填し得る形状を有する。図示するように、三次元構造112の第1の部分によって提供される動脈瘤のネック部704にまたがる足場は、三次元構造112の第2の部分が三次元構造112の第1の部分の空洞118から動脈瘤の外に脱出または脱落するのを防ぐ。
【0088】
[0096]三次元構造112の第1の部分に関して同様に説明したように、三次元構造112の第2の部分について、細長部材102に沿った可逆的マルテンサイト区画は、体温に反応してオーステナイト区画になるように相変化する。これらのオーステナイト区画は、細長部材102の展開された部分に送達形状を提供するために曲線状のプロファイルを有する。一方、細長部材102に沿った不可逆的マルテンサイト区画は、マルテンサイト相のままである。これらの不可逆的マルテンサイト区画は、可逆的マルテンサイト区画に比べて柔らかいため、力に応じて曲がりやすい。したがって、三次元構造112の第2の部分が動脈瘤の中に送達されると、三次元構造112のループが動脈瘤の壁に向かって(または三次元構造112の第1の部分に向かって)押され、不可逆的マルテンサイト区画に力を加える。これらの区画は力に応答して曲がり、それによって送達された三次元構造112の第2の部分が、充填される空洞の形状によりよく適合することを可能にする。
【0089】
[0097]いくつかの実施形態では、シャフト30の遠位端は、細長部材102の近位端に当接し、細長部材102の近位端に機械的に取り付けられていない。そのような場合、細長部材102の近位端がカテーテル20から押し出されるとすぐに、細長部材102は、医療機器10の残りの部分から切り離されるようになる。他の実施形態では、シャフト30の遠位端は、細長部材102の近位端をシャフト30から切り離すように動作可能な機械的コネクタを介するなどして、細長部材102の近位端に機械的に接続することができる。さらなる実施形態では、シャフト30の遠位端は、電流の印加に反応して崩壊し得るリンクなどの分解可能なリンクを介して、細長部材102の近位端に機械的に接続されてもよい。機械的コネクタおよび分解可能なリンクは当技術分野で周知であり、したがって、これ以上詳細には説明しない。
【0090】
[0098]上記の実施形態に示されるように、この塞栓デバイス100は、柔らかい個々の個別の不可逆的マルテンサイト区画が塞栓デバイス100にある程度の柔軟性を与えており、それによって塞栓デバイス100が力に応答して容易に曲がるので有利である。塞栓デバイス100の特定の個別の部分(不可逆的マルテンサイト区画)はより容易に曲げることができるが、塞栓デバイス100の他の大部分(すなわち、可逆的マルテンサイト区画)は、不可逆的マルテンサイト区画と比較して比較的剛性のままであり、それによって塞栓デバイス100の大部分の形状が体腔内に維持されることが可能になる。さらに、塞栓デバイス100は、カテーテル20内の送達形状が展開形状と比較して比較的直線的であることも有利な点である。これにより、塞栓デバイス100は、大きな軸方向の押圧力を使用することなく、カテーテル20に対して遠位方向に容易に進めることができ、塞栓デバイス100がカテーテル20内で座屈するリスクを低減することができる。
【0091】
[0099]いくつかの実施形態では、複数の塞栓デバイス100がそれぞれ異なる長さで提供されてもよい。そのような場合、動脈瘤を治療するために塞栓デバイス100の1つが選択される前に、医師が治療される動脈瘤のサイズを測定してもよい。例えば、医師は、動脈瘤の1つまたは複数の画像を使用して測定を行い、動脈瘤のサイズを判定することができる。サイズは、動脈瘤の断面寸法、動脈瘤の断面積、動脈瘤の体積などであり得る。動脈瘤のサイズを判定した後、動脈瘤のサイズに基づいて塞栓デバイス100の1つを選択することができる。例えば、大きな動脈瘤を閉塞するために、より長い塞栓デバイス100を選択することができる。
【0092】
[00100]
図9は、体腔を閉塞する方法800を示す。この方法800は、細長部材を有する塞栓デバイスによって実行され、細長部材は、第1区画、第2区画、および第3区画を有し、第2区画は、第1区画と第3区画との間にある。方法800は、体温に反応して、細長部材の第1区画が第1の形状変化を受けるステップと(アイテム802)、力に応答して細長部材の第2区画が第2の形状変化を受けるステップと(アイテム804)、体温に応じて、細長部材の第3区画が第3の形状変化を受けるステップと(アイテム806)を含む。
【0093】
[00101]いくつかの実施形態では、方法800の塞栓デバイスは、本明細書に記載の塞栓デバイス100であり得る。
【0094】
[00102]必要に応じて、この方法において、第1区画は、当該第1区画が室温にあるときはマルテンサイトであり、第1区画が体温にあるときはオーステナイトであり、そして第2区画は、当該第2区画が室温にあるときにマルテンサイトであり、第2区画が体温にあるときにもマルテンサイトである。
【0095】
[00103]任意選択で、この方法において、体温に反応して、第1区画がループの第1の部分を形成し、第3区画がループの第2の部分を形成する。
【0096】
[00104]任意選択で、この方法において、体温に反応して、第1区画が第1のループを形成し、第3区画が第2のループを形成する。
【0097】
[00105]任意選択で、この方法において、第1区画は第1の長さを有し、第2区画は第2の長さを有し、第3区画は第3の長さを有する。ここで、第2区画の第2の長さは、第1区画の第1の長さよりも短く、また、第3区画の第3の長さよりも短い。
【0098】
[00106]任意選択で、この方法において、第1区画と第3区画との間にある第2区画の第2の長さは、第1区画の第1の長さの50%未満であり、また、第3区画の第3の長さの第3の長さの50%未満である。
【0099】
[00107]任意選択で、この方法において、細長部材は、遠位端と、この遠位端とは反対側の近位端とを有し、塞栓デバイスは、近位端を含む第4区画をさらに含む。この第4区画は、室温にあるときはマルテンサイトであり、第4区画が体温であるときもマルテンサイトである。
【0100】
[00108]任意選択で、この方法において、三次元構造は複数のループを含み、第1区画、第2区画、および第3区画は、ループのうちの1つの一部である。
【0101】
[00109]任意選択で、この方法において、細長部材は、ループの別の1つの一部である第4区画、第5区画、および第6区画をさらに含む。ここで、第5区画は、第4区画と第6区画との間にある。ここで、第4区画および第6区画は、第4区画および第6区画が室温にあるときはマルテンサイトであり、第4区画および第6区画が体温にあるときはオーステナイトである。ここで、第5区画は、第5区画が室温にあるときにマルテンサイトであり、第5区画が体温にあるときにもマルテンサイトである。
【0102】
[00110]以下の項目は、本明細書に記載の実施形態の例示的な特徴である。各項目は、それ自体が実施形態であり得るか、または実施形態の一部であり得る。一実施形態では、以下に記載される1つまたは複数の項目を他の項目と組み合わせてもよい。
【0103】
[00111]項目1:体腔内に配置するための塞栓デバイスにおいて、室温にあるときに線形構成を有する細長部材を具え、当該細長部材は体温に反応して第1の三次元構造を形成するように構成され、細長部材は、第1区画、第2区画、および第3区画を含み、第2区画は、第1区画と第3区画との間に位置し、第1区画および第3区画は、体温に反応してそれぞれの形状を変化させるように構成され、第1区画と第3区画との間に位置する第2区画は、体温に依存しない形状を有する。
【0104】
[00112]項目2:第1区画はループの第1の部分を形成するように構成され、第3区画は体温に反応してループの第2の部分を形成するように構成される。
【0105】
[00113]項目3:体温に応じて、第1区画は第1のループを形成するように構成され、第3区画は第2のループを形成するように構成される。
【0106】
[00114]項目4:第1区画は第1の長さを有し、第2区画は第2の長さを有し、第3区画は第3の長さを有し、第2区画の第2の長さは、第1区画の第1の長さよりも短く、また第3区画の第3の長さよりも短い。
【0107】
[00115]項目5:第1区画と第3区画の間にある第2区画の第2の長さは、第1区画の第1の長さの50%未満であり、また第3区画の第3の長さの50%未満でもある。
【0108】
[00116]項目6:細長部材は、遠位端および遠位端とは反対側の近位端を有し、塞栓デバイスは、近位端を含む第4区画をさらに含み、第4区画は、第4区画が室温にあるときにマルテンサイトであり、第4区画が体温にあるときにもマルテンサイトである。
【0109】
[00117]項目7:第1区画は、第1区画が室温にあるときはマルテンサイトであり、第1区画が体温にあるときはオーステナイト系である。
【0110】
[00118]項目8:第2区画が室温のときに第2区画はマルテンサイトであり、第2区画が体温のときにはマルテンサイトである。
【0111】
[00119]項目9:三次元構造が複数のループを含み、第1区画、第2区画、および第3区画は、ループのうちの1つのループの一部である。
【0112】
[00120]項目10:細長部材は、ループのうちの別の1つのループの一部である第4区画、第5区画、および第6区画をさらに含み、第5区画は、第4区画と第6区画の間にあり、第4区画および第6区画は、体温に反応してそれぞれの形状を変化させるように構成され、第4区画と第6区画との間に位置する第5区画は、体温に依存しない形状を有する。
【0113】
[00121]項目11:体腔内に配置するための塞栓デバイスにおいて、室温にあるときに線形構成を有する細長部材を具え、細長部材は、体温に反応して第1の三次元構造を形成するように構成され、細長部材は、第1区画、第2区画、および第3区画を含み、第2区画は、第1区画と第3区画との間に位置し、第1区画は、第1区画が室温にあるときにマルテンサイトであり、第1区画が体温にあるときはオーステナイトであり、第2区画は、第2区画が室温にあるときにマルテンサイトであり、また第2区画が体温にあるときにもマルテンサイトである。
【0114】
[00122]項目12:体温に応じて、第1区画はループの第1の部分を形成するように構成され、第3区画は前記ループの第2の部分を形成するように構成される。
【0115】
[00123]項目13:体温に応じて、第1区画は第1のループを形成するように構成され、第3区画は第2のループを形成するように構成される。
【0116】
[00124]項目14:第1区画は第1の長さを有し、第2区画は第2の長さを有し、第3区画は第3の長さを有し、第2区画の第2の長さは、第1区画の第1の長さよりも短く、また第3区画の第3の長さよりも短い。
【0117】
[00125]項目15:第1区画と第3区画の間にある第2区画の第2の長さは、第1区画の第1の長さの50%未満であり、また第3区画の第3の長さの50%未満でもある。
【0118】
[00126]項目16:細長部材は、遠位端と、遠位端とは反対側の近位端とを有し、塞栓デバイスは、前記近位端を含む第4区画をさらに含み、第4区画は、室温にあるときはマルテンサイトであり、また第4区画が体温であるときもマルテンサイトである。
【0119】
[00127]項目17:三次元構造は複数のループを含み、第1区画、第2区画、および第3区画は、前記複数のループのうちの1つのループの一部である。
【0120】
[00128]項目18:細長部材は、複数のループのうちの別の1つのループの一部である第4区画、第5区画、および第6区画をさらに含み、第5区画は、第4区画と第6区画との間にあり、第4区画および第6区画は、第4区画および第6区画が室温にあるときはマルテンサイトであり、第4区画および第6区画が体温にあるときはオーステナイトであり、第5区画は、第5区画が室温にあるときにマルテンサイトであり、また第5区画が体温にあるときにもマルテンサイトである。
【0121】
[00129]項目19:細長部材を有する塞栓デバイスによって実行される体腔を閉塞する方法であって、細長部材は、第1区画、第2区画、および第3区画を含み、第2区画は、第1区画と第3区画との間にあり、体温に反応して細長部材の第1区画によって第1の形状変化を受けるステップと、力に応答して、細長部材の第2区画によって第2の形状変化を受けるステップと、体温に反応して、細長部材の第3区画によって第3の形状変化を受けるステップとを含む。
【0122】
[00130]項目20:第1区画は、第1区画が室温にあるときはマルテンサイトであり、第1区画が体温にあるときはオーステナイトでり、第2区画は、第2区画が室温にあるときにマルテンサイトであり、また第2区画が体温にあるときにもマルテンサイトである。
【0123】
[00131]項目21:体温に応じて、第1区画がループの第1の部分を形成し、第3区画がループの第2の部分を形成する。
【0124】
[00132]項目22:体温に応じて、第1区画が第1のループを形成し、第3区画が第2のループを形成する。
【0125】
[00133]項目23:第1区画は第1の長さを有し、第2区画は第2の長さを有し、第3区画は第3の長さを有し、第2区画の第2の長さは、第1区画の第1の長さよりも短く、また第3区画の第3の長さよりも短い。
【0126】
[00134]項目24:第1区画と第3区画の間にある第2区画の第2の長さは、第1区画の第1の長さの50%未満であり、また第3区画の第3の長さの50%未満でもある。
【0127】
[00135]項目25:細長部材は、遠位端および遠位端とは反対側の近位端を有し、塞栓デバイスは、前記近位端を含む第4区画をさらに含み、第4区画は、室温にあるときはマルテンサイトであり、また第4区画が体温にあるときもマルテンサイトである。
【0128】
[00136]項目26:三次元構造は複数のループを含み、第1区画、第2区画、および第3区画は、前記複数のループのうちの1つのループの一部である。
【0129】
[00137]項目27:細長部材は、前記複数のループのうちの別のループの一部である第4区画、第5区画、および第6区画をさらに含み、第5区画は、第4区画と第6区画との間にあり、第4区画および第6区画は、第4区画および第6区画が室温にあるときはマルテンサイトであり、第4区画および第6区画が体温にあるときはオーステナイトであり、第5区画は、第5区画が室温にあるときにマルテンサイトであり、また第5区画が体温にあるときにもマルテンサイトである。
【国際調査報告】