(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(54)【発明の名称】背景からの被写体の抽出
(51)【国際特許分類】
H04N 5/232 20060101AFI20221221BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20221221BHJP
G03B 15/02 20210101ALI20221221BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20221221BHJP
G03B 35/02 20210101ALI20221221BHJP
G02B 7/28 20210101ALI20221221BHJP
G06T 7/13 20170101ALI20221221BHJP
【FI】
H04N5/232 290
H04N5/225 600
G03B15/02 G
G03B15/00 Q
G03B35/02
G02B7/28 N
G06T7/13
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022526778
(86)(22)【出願日】2020-12-10
(85)【翻訳文提出日】2022-05-10
(86)【国際出願番号】 US2020064306
(87)【国際公開番号】W WO2021119308
(87)【国際公開日】2021-06-17
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】596102126
【氏名又は名称】ソニー ピクチャーズ エンターテインメント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】サウアーマン フィリックス
【テーマコード(参考)】
2H059
2H151
5C122
5L096
【Fターム(参考)】
2H059AA10
2H151CE23
5C122DA03
5C122DA16
5C122EA42
5C122EA55
5C122FA18
5C122FB17
5C122FH03
5C122FH11
5C122FH14
5C122GG04
5L096AA02
5L096AA03
5L096AA06
5L096BA08
5L096CA05
5L096DA01
5L096FA06
5L096GA40
(57)【要約】
被写体のビデオキャプチャは、第1のカメラを使用して、前記被写体のビデオデータをキャプチャするステップと、第1及び第2のカメラが同じ視野を共有するように、前記第1のカメラにリンクされる第2のカメラを使用して、前記被写体の赤外線(IR)ビデオデータをキャプチャするステップであって、前記第2のカメラは、前記被写体の前記IRビデオデータをキャプチャするためのIR光に感応する、ステップと、少なくとも1つのIR光源で前記被写体を照明するステップと、前記第1のカメラからの前記ビデオデータ及び前記第2のカメラからの前記IRビデオデータを処理して、前記IRビデオデータを使用して、前記ビデオデータにおいて前記照明された被写体の輪郭を識別するステップと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体のビデオキャプチャのための方法であって、前記方法は、
第1のカメラを使用して、前記被写体のビデオデータをキャプチャするステップと、
前記第1のカメラにリンクされる第2のカメラを使用して、前記被写体の赤外線(IR)ビデオデータをキャプチャするステップであって、
前記第2のカメラは、前記被写体の前記IRビデオデータをキャプチャするためのIR光に感応する、ステップと、
少なくとも1つのIR光源で前記被写体を照明するステップと、
前記第1のカメラからの前記ビデオデータ及び前記第2のカメラからの前記IRビデオデータを処理して、前記IRビデオデータを使用して、前記ビデオデータにおいて前記照明された被写体の輪郭を識別するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1のカメラは、画像キャプチャのために使用される少なくとも1つのRGBカラーカメラを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2のカメラは、前記被写体の前記IRビデオデータをキャプチャするための少なくとも1つのIRセンサを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のカメラは、ビームスプリッタによって、前記第2のカメラにリンクされることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ビームスプリッタは、前記第1のカメラ上の全ての画素が前記第2のカメラ上の対応物も有するように、前記第1のカメラと前記第2のカメラとを位置合わせできるようにすることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのIR光源が前記被写体の背面を照明するように、前記被写体の背後及び周囲に、前記少なくとも1つのIR光源を位置決めするステップ、
を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
壁及び床にIR吸収性材料を取り付けるステップ、
を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のカメラから前記被写体までの距離を測定するステップと、
前記距離及びコントラスト検出を使用して、前記輪郭の前記識別を強調するステップと、
を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ビデオキャプチャのためのシステムであって、前記システムは、
レンズを有し、被写体のビデオデータをキャプチャするための少なくとも1つのカメラと、
前記少なくとも1つのカメラの前記レンズに接続されて、前記少なくとも1つのカメラから前記被写体までのフォーカス距離を測定するためのエンコーダと、
前記少なくとも1つのカメラにリンクされる少なくとも1つのIRセンサであって、前記少なくとも1つのIRセンサは、前記被写体のIRビデオデータをキャプチャするためのIR光に感応する、少なくとも1つのIRセンサと、
少なくとも1つのIR光源と、
前記少なくとも1つのカメラ及び前記少なくとも1つのIRセンサに接続されて、前記少なくとも1つのカメラからの前記ビデオデータ及び前記少なくとも1つのIRセンサからの前記IRビデオデータを処理して、前記IRビデオデータを使用して、前記ビデオデータにおいて前記被写体の輪郭を識別するように構成されるビデオプロセッサと、
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのカメラ及び前記少なくとも1つのIRセンサの各々が同じ視野を有するように、前記被写体からの光を2つに分岐するためのビームスプリッタ、
を更に含むことを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つのカメラ上の全ての画素が前記少なくとも1つのIRセンサ上の対応物を有するように、前記ビームスプリッタを位置合わせすることを特徴とする、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記被写体の背後及び周囲から前記被写体を照明するように、前記少なくとも1つのIR光源を位置決めすることを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記被写体の背面を照明して前記被写体の良好な輪郭を提供するように、前記少なくとも1つのIR光源を設定することを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
壁及び床に取り付けられるIR吸収性材料、
を更に含むことを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
フォーカス距離を使用して、前記被写体を強調して環境から前記被写体を分離するためのサブプロセッサ、
を更に含むことを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項16】
前記フォーカス距離でコントラスト検出を実行するためのサブプロセッサ、
を更に含むことを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項17】
被写体のビデオをキャプチャするためのコンピュータプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータプログラムは実行可能命令を含み、前記実行可能命令は、コンピュータに、
第1のカメラを使用して、前記被写体のビデオデータをキャプチャすることと、
前記第1のカメラにリンクされる第2のカメラを使用して、前記被写体のIRビデオデータをキャプチャすることであって、
前記第2のカメラは、前記被写体の前記IRビデオデータをキャプチャするためのIR光に感応する、ことと、
少なくとも1つのIR光源に前記被写体を照明するように命令することと、
前記第1のカメラからの前記ビデオデータ及び前記第2のカメラからの前記IRビデオデータを処理して、前記IRビデオデータを使用して、前記ビデオデータにおいて前記照明された被写体の輪郭を識別することと、
を行わせる、
ことを特徴とする非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項18】
前記第1のカメラ及び前記第2のカメラの各々が同じ視野を有するように前記被写体からの光を2つに分岐するように、ビームスプリッタに命令すること、
を前記コンピュータに行わせる実行可能命令を更に含む、
ことを特徴とする、請求項17に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項19】
前記第1のカメラのレンズに接続されるエンコーダを使用して、前記第1のカメラから前記被写体までのフォーカス距離を測定することと、
前記フォーカス距離でコントラスト検出を実行することと、
を前記コンピュータに行わせる実行可能命令を更に含む、
ことを特徴とする、請求項17に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項20】
前記コントラスト検出を使用して、前記輪郭の前記識別を強調すること、
を前記コンピュータに行わせる実行可能命令を更に含む、
ことを特徴とする、請求項19に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示は、被写体及び環境のビデオデータをキャプチャすることに関し、具体的には、ビデオデータをキャプチャして、グリーンスクリーンの必要なく環境から被写体を抽出することに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] ビデオ制作のための従来のシステムでは、グリーンスクリーンを使用して、被写体を抽出する。しかしながら、グリーンスクリーンの使用は、照明がバランスの良いものではない場合、結果が不自然に見える場合があり、プロセスは費用がかかり面倒である可能性があるという不利益がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003] 本開示は、被写体及び環境のビデオデータをキャプチャして、グリーンスクリーンの必要なく環境から被写体を抽出することを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004] 1つの実装では、被写体のビデオキャプチャのための方法を開示する。前記方法は、第1のカメラを使用して、前記被写体のビデオデータをキャプチャするステップと、前記第1のカメラにリンクされる第2のカメラを使用して、前記被写体の赤外線(IR)ビデオデータをキャプチャするステップであって、前記第2のカメラは、前記被写体の前記IRビデオデータをキャプチャするためのIR光に感応する、ステップと、少なくとも1つのIR光源で前記被写体を照明するステップと、前記第1のカメラからの前記ビデオデータ及び前記第2のカメラからの前記IRビデオデータを処理して、前記IRビデオデータを使用して、前記ビデオデータにおいて前記照明された被写体の輪郭を識別するステップと、を含む。
【0005】
[0005] 1つの実装では、前記第1のカメラは、画像キャプチャのために使用される少なくとも1つのRGBカラーカメラを含む。1つの実装では、前記第2のカメラは、前記被写体の前記IRビデオデータをキャプチャするための少なくとも1つのIRセンサを含む。1つの実装では、前記第1のカメラは、ビームスプリッタによって、前記第2のカメラにリンクされる。1つの実装では、前記ビームスプリッタは、前記第1のカメラ上の全ての画素が前記第2のカメラ上の対応物も有するように、前記第1のカメラと前記第2のカメラとを位置合わせできるようにする。1つの実装では、前記方法は、前記少なくとも1つのIR光源が前記被写体の背面を照明するように、前記被写体の背後及び周囲に、前記少なくとも1つのIR光源を位置決めするステップ、を更に含む。1つの実装では、前記方法は、壁及び床にIR吸収性材料を取り付けるステップ、を更に含む。1つの実装では、前記方法は、前記第1のカメラから前記被写体までの距離を測定するステップと、前記距離及びコントラスト検出を使用して、前記輪郭の前記識別を強調するステップと、を更に含む。
【0006】
[0006] 別の実装では、ビデオキャプチャのためのシステムを開示する。前記システムは、レンズを有し、被写体のビデオデータをキャプチャするための少なくとも1つのカメラと、前記少なくとも1つのカメラの前記レンズに接続されて、前記少なくとも1つのカメラから前記被写体までのフォーカス距離を測定するためのエンコーダと、前記少なくとも1つのカメラにリンクされる少なくとも1つのIRセンサであって、前記少なくとも1つのIRセンサは、前記被写体のIRビデオデータをキャプチャするためのIR光に感応する、少なくとも1つのIRセンサと、少なくとも1つのIR光源と、前記少なくとも1つのカメラ及び前記少なくとも1つのIRセンサに接続されて、前記少なくとも1つのカメラからの前記ビデオデータ及び前記少なくとも1つのIRセンサからの前記IRビデオデータを処理して、前記IRビデオデータを使用して、前記ビデオデータにおいて前記被写体の輪郭を識別するように構成されるビデオプロセッサと、を含む。
【0007】
[0007] 1つの実装では、前記システムは、前記少なくとも1つのカメラ及び前記少なくとも1つのIRセンサの各々が同じ視野を有するように、前記被写体からの光を2つに分岐するためのビームスプリッタ、を更に含む。1つの実装では、前記少なくとも1つのカメラ上の全ての画素が前記少なくとも1つのIRセンサ上の対応物を有するように、前記ビームスプリッタを位置合わせする。1つの実装では、前記被写体の背後及び周囲から前記被写体を照明するように、前記少なくとも1つのIR光源を位置決めする。1つの実装では、前記被写体の背面を照明して前記被写体の良好な輪郭を提供するように、前記少なくとも1つのIR光源を設定する。1つの実装では、前記システムは、壁及び床に取り付けられるIR吸収性材料、を更に含む。1つの実装では、前記システムは、フォーカス距離を使用して、前記被写体を強調して環境から前記被写体を分離するためのサブプロセッサ、を更に含む。1つの実装では、前記システムは、前記フォーカス距離でコントラスト検出を実行するためのサブプロセッサ、を更に含む。
【0008】
[0008] 別の実装では、被写体のビデオをキャプチャするためのコンピュータプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体を開示する。前記コンピュータプログラムは実行可能命令を含み、前記実行可能命令は、コンピュータに、第1のカメラを使用して、前記被写体のビデオデータをキャプチャすることと、前記第1のカメラにリンクされる第2のカメラを使用して、前記被写体のIRビデオデータをキャプチャすることであって、前記第2のカメラは、前記被写体の前記IRビデオデータをキャプチャするためのIR光に感応する、ことと、少なくとも1つのIR光源に前記被写体を照明するように命令することと、前記第1のカメラからの前記ビデオデータ及び前記第2のカメラからの前記IRビデオデータを処理して、前記IRビデオデータを使用して、前記ビデオデータにおいて前記照明された被写体の輪郭を識別することと、を行わせる。
【0009】
[0009] 1つの実装では、前記コンピュータ可読記憶媒体は、前記第1のカメラ及び前記第2のカメラの各々が同じ視野を有するように前記被写体からの光を2つに分岐するように、ビームスプリッタに命令すること、を前記コンピュータに行わせる実行可能命令を更に含む。1つの実装では、前記コンピュータ可読記憶媒体は、前記第1のカメラのレンズに接続されるエンコーダを使用して、前記第1のカメラから前記被写体までのフォーカス距離を測定することと、前記フォーカス距離でコントラスト検出を実行することと、を前記コンピュータに行わせる実行可能命令を更に含む。1つの実装では、前記コンピュータ可読記憶媒体は、前記コントラスト検出を使用して、前記輪郭の前記識別を強調すること、を前記コンピュータに行わせる実行可能命令を更に含む。
【0010】
[0010] 本開示の態様を一例として示す本明細書からは、他の特徴及び利点も明らかになるはずである。
【0011】
[0011] 同じ部分を同じ参照数字によって示す添付図面を検討することにより、本開示の詳細をその構造及び動作の両方に関して部分的に収集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の1つの実装による、被写体のビデオキャプチャのための方法のフロー図である。
【
図2】本開示の1つの実装による、被写体のビデオキャプチャのためのシステムのブロック図である。
【
図3A】本開示の実装による、コンピュータシステム及びユーザの図である。
【
図3B】本開示の実装による、被写体抽出アプリケーションをホストするコンピュータシステムを示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0016] 上記のように、ビデオ制作において被写体を抽出するためにグリーンスクリーンを使用することは、照明がバランスのとれたものではない場合、結果が不自然に見える場合があるという不利益がある。更に、プロセスは、費用がかかり面倒である可能性がある。
【0014】
[0017] 本開示の特定の実装は、被写体及び環境のビデオデータをキャプチャして、グリーンスクリーンの必要なく環境から被写体を抽出するための技術を実装するための方法及びシステムを提供する。このような1つの実装では、このシステムは、動的照明又は極めて低い光状況に影響されない方法を使用する。
【0015】
[0018] 以下の説明を読んだ後には、様々な実装及び用途における本開示の実施方法が明らかになるであろう。本明細書では本開示の様々な実装について説明するが、これらの実装は、限定ではなく一例として提示するものにすぎないと理解されたい。したがって、様々な実装についての詳細な説明は、本開示の範囲又は外延を限定するものとして解釈すべきではない。
【0016】
[0019] 1つの実装では、ビデオシステムは、ビデオ制作又はスタジオ環境で使用され、画像キャプチャのための少なくとも1つのカメラと、少なくとも1つのセンサと、カメラデータ及びセンサデータを処理するための少なくとも1つのプロセッサとを含む。
【0017】
[0020] 1つの実装では、ビデオデータをキャプチャするための技術は、(a)メインキャプチャカメラのイメージプレーンから被写体までのフォーカス距離をリアルタイムで決定すること、(b)画素間の一致のために、IR感応カメラをメインキャプチャカメラにリンクすること、(c)被写体を照明するために、被写体の周囲及び背後にIR光源を位置決めすること、及び(d)フォーカス距離を使用して、かつソフトウェアソリューションを使用して更に画定及び最適化することによって、被写体のエッジを画定して環境から被写体を抽出すること、を含む。
【0018】
[0021] 1つの実装では、ビデオデータをキャプチャするための技術のパート(a)は、メインキャプチャカメラからのリアルタイムのフォーカス距離を測定することを含む。これは、適切なレンズマッピングを含むメインキャプチャカメラのレンズ上のエンコーダを使用して行うことができる。
【0019】
[0022] 1つの実装では、ビデオデータをキャプチャするための技術のパート(b)は、例えばビームスプリッタによって、IR光にのみ感応する第2のカメラをメインキャプチャカメラにリンクすることを含む。別の実装では、メインキャプチャカメラは、RGB画像センサとして構成され、第2のカメラは、IR画像センサとして構成される。1つの実装では、RGB画像センサ上の全ての画素又はセンセル(sensel)がIR画像センサ上の対応物も有するように、RGB画像センサとIR画像センサとを位置合わせする。
【0020】
[0023] 1つの実装では、ビデオデータをキャプチャするための技術のパート(c)は、IR光源が被写体の背面を照明して被写体の良好な輪郭を提供するように、被写体の背後及び周囲にIR光源を位置決めして、光源を設定することを含む。すなわち、カメラと(単複の)IR光源との間に、被写体を位置決めする。1つの実装では、壁及び床にIR吸収性材料を取り付けて、反射を最小にして、背景のIR照明を実質的に低減する。別の実装では、壁及び床以外のオブジェクトが、同様の特性(例えば吸光性)を備えることができる。例えば、オブジェクトは、カーテン状のオブジェクトを含むことができる。更に別の実装では、オブジェクトの表面に、IR吸収特性を付与することができる。更なる実装では、望ましい位置にシャワーカーテン状のオブジェクトを配置して、可視光を透過するが、IR光を遮断することができる。これらの設定は、被写体のエッジを明瞭に画定して、IR光スペクトル内の背景から分離できるようにすることができる。
【0021】
[0024] 1つの実装では、ビデオデータをキャプチャするための技術のパート(d)は、フォーカス距離及びソフトウェアソリューションを使用して、被写体の画定及び環境からの被写体の分離を強調することを含む。このプロセスを支援するために、被写体に焦点が合っていて、画像のシャープ領域も最も高いコントラスト量を含む領域であると仮定する。したがって、必要な場合には、(フォーカス距離での)コントラスト検出及び/又は機械学習を使用して、いかなる望ましくないジオメトリ又はアーチファクトも除去することができる。したがって、上記の強化された技術を使用して、高品質のIRマットを作成して、画像解像度が十分に高い場合には、背景から被写体の毛髪でさえも分離することができる。
【0022】
[0025]
図1は、本開示の1つの実装による、被写体のビデオキャプチャのための方法100のフロー図である。
図1に示す実装では、ステップ110において、レンズを有する第1のカメラを使用して、被写体のビデオデータをキャプチャする。1つの実装では、第1のカメラは、画像キャプチャのために使用される少なくとも1つのRGBカラーカメラを表す。ステップ120において、第1のカメラのレンズに接続されるエンコーダを使用して、第1のカメラから被写体までの距離を測定する。
【0023】
[0026] 1つの実装では、次に、ステップ130において、第1のカメラにリンクされる第2のカメラを使用して、被写体のIRビデオデータをキャプチャする。1つの実装では、第2のカメラは、IR光に感応するものであり、被写体のIRビデオデータをキャプチャするための少なくとも1つのIRセンサを表す。1つの実装では、第1のカメラは、ビームスプリッタによって、第2のカメラにリンクされる。1つの実装では、第1のカメラ上の全ての画素又はセンセル(sensel)が第2のカメラ上の対応物も有するように、第1のカメラと第2のカメラとを位置合わせする。
【0024】
[0027] 1つの実装では、ステップ140において、少なくとも1つのIR光源で被写体を照明する。このステップは、IR光源が被写体の背面を照明して被写体の良好な輪郭を提供するように、被写体の背後及び周囲にIR光源を位置決めして、光源を設定することを更に含むことができる。すなわち、カメラと(単複の)IR光源との間に、被写体を位置決めする。壁及び床にIR吸収性材料を取り付けて、反射を最小にする。したがって、この設定は、被写体のエッジを明瞭に画定して、IR光スペクトル内の背景から分離できるようにする。
【0025】
[0028] ステップ150において、(例えば少なくとも1つのプロセッサを使用して)第1のカメラからのビデオデータ及び第2のカメラからのIRビデオデータを処理して、IRビデオデータを使用して、ビデオデータにおいて照明された被写体の輪郭を識別する。このステップは、フォーカス距離及びソフトウェアソリューションを使用して、被写体の画定及び環境からの被写体の分離を強調することを更に含むことができる。このプロセスを支援するために、被写体に焦点が合っていて、画像のシャープ領域も最も高いコントラスト量を含む領域であると仮定する。したがって、必要な場合には、コントラスト検出及び/又は機械学習を使用して、いかなる望ましくないジオメトリ又はアーチファクトも除去することができる。したがって、上記の強化された技術を使用して、高品質のIRマットを作成して、画像解像度が十分に高い場合には、背景から被写体の毛髪でさえも分離することができる。
【0026】
[0029]
図2は、本開示の1つの実装による、被写体のビデオキャプチャのためのシステム200のブロック図である。
図2に示す実装では、システム200は、少なくとも1つのカメラ230と、少なくとも1つのIRセンサ240と、少なくとも1つのIR光源210、212、214、216と、プロセッサ250とを含む。
【0027】
[0030] 1つの実装では、カメラ230は、被写体のビデオデータをキャプチャする。カメラ230は、レンズを含む。1つの実装では、カメラ230のレンズに接続されるエンコーダ232を使用して、カメラ230のイメージプレーンから被写体260までのフォーカス距離を測定する。1つの実装では、IRセンサ240は、カメラ230にリンクされて、被写体260のIRビデオデータをキャプチャするために使用される。1つの実装では、カメラ230は、ビームスプリッタ220によって、IRセンサ240にリンクされる。ビームスプリッタ220は、カメラ230及びIRセンサ240の各々が同じ視野を有するように、被写体260からの光を2つに分岐する。1つの実装では、カメラ230上の全ての画素がIRセンサ240上の対応物も有するように、カメラ230とIRセンサ240とを位置合わせする。
【0028】
[0031] 1つの実装では、IR光源210、212、214、216は、被写体の前方から(
図2の光源214を参照)を含めて、被写体の背後及び周囲から被写体を照明する。光源210、212、214、216が被写体の背面を照明して被写体の良好な輪郭を提供するように、光源210、212、214、216を設定する。すなわち、カメラ230/センサ240とIR光源210、212、214、216との間に、被写体を位置決めすることができる。壁及び床にIR吸収性材料を取り付けて、反射を最小にする。したがって、この設定は、被写体のエッジを明瞭に画定して、IR光スペクトル内の背景から分離できるようにする。
【0029】
[0032] 1つの実装では、プロセッサ250は、カメラ230からのビデオデータ及びIRセンサ240からのIRビデオデータを処理して、(IRビデオデータを使用してビデオデータにおいて)照明された被写体の輪郭を識別する。測定されたフォーカス距離を使用して、被写体の画定及び環境からの被写体の分離を強調する。1つの実装では、プロセッサ250は、フォーカス距離を使用して、被写体の強調及び環境からの被写体の分離を行うためのサブプロセッサ252を含む。このプロセスを支援するために、被写体に焦点が合っていて、画像のシャープ領域も最も高いコントラスト量を含む領域であると仮定する。したがって、1つの実装では、サブプロセッサ252は、フォーカス距離でコントラスト検出を実行する。サブプロセッサ252は、必要な場合には、機械学習を実行して、いかなる望ましくないジオメトリ又はアーチファクトも除去することもできる。
【0030】
[0033]
図3Aは、本開示の実装による、コンピュータシステム300及びユーザ302の図である。ユーザ302は、コンピュータシステム300を使用して、
図1の方法100及び
図2のシステム200に関して図示及び説明されるような被写体抽出のためのアプリケーション390を実装する。
【0031】
[0034] コンピュータシステム300は、
図3Bの被写体抽出アプリケーション390を記憶して実行する。更に、コンピュータシステム300は、ソフトウェアプログラム304と通信することができる。ソフトウェアプログラム304は、被写体抽出アプリケーション390のためのソフトウェアコードを含むことができる。ソフトウェアプログラム304は、以下で更に説明するように、CD、DVD又はストレージドライブなどの外部媒体にロードすることができる。
【0032】
[0035] 更に、コンピュータシステム300は、ネットワーク380に接続することができる。ネットワーク380は、様々な異なるアーキテクチャ、例えば、クライアント-サーバアーキテクチャ、ピアツーピアネットワークアーキテクチャ、又は他のタイプのアーキテクチャにおいて接続することができる。例えば、ネットワーク380は、被写体抽出アプリケーション390内で使用されるエンジン及びデータを協調させるサーバ385と通信することができる。また、ネットワークは、異なるタイプのネットワークとすることができる。例えば、ネットワーク380は、インターネット、ローカルエリアネットワーク又はローカルエリアネットワークの任意の変形、ワイドエリアネットワーク、メトロポリタンエリアネットワーク、イントラネット又はエクストラネット、又は無線ネットワークとすることができる。
【0033】
[0036]
図3Bは、本開示の実装による、被写体抽出アプリケーション390をホストするコンピュータシステム300を示す機能ブロック図である。コントローラ310はプログラマブルプロセッサであり、コンピュータシステム300及びそのコンポーネントの動作を制御する。コントローラ310は、メモリ320又は内蔵コントローラメモリ(図示せず)から(例えば、コンピュータプログラムの形で)命令をロードして、これらの命令を実行してシステムを制御して、例えば、被写体及び環境のビデオデータをキャプチャするためのデータ処理を提供する。その実行において、コントローラ310は、被写体抽出アプリケーション390にソフトウェアシステムを提供して、例えば、グリーンスクリーンの必要なく環境から被写体を抽出する。代替的に、このサービスは、コントローラ310又はコンピュータシステム300において別個のハードウェアコンポーネントとして実装することができる。
【0034】
[0037] メモリ320は、コンピュータシステム300の他のコンポーネントによって使用するためにデータを一時的に記憶する。1つの実装では、メモリ320はRAMとして実装される。1つの実装では、メモリ320は、また、フラッシュメモリ及び/又はROMなどの長期又は永久メモリを含む。
【0035】
[0038] ストレージ330は、コンピュータシステム300の他のコンポーネントによって使用するために、データを一時的に又は長期間にわたって記憶する。例えば、ストレージ330は、被写体抽出アプリケーション390によって使用されるデータを記憶する。1つの実装では、ストレージ330は、ハードディスクドライブである。
【0036】
[0039] メディアデバイス340は、リムーバブルメディアを受け入れて、挿入されたメディアに対してデータの読み出し及び/又は書き込みを行う。1つの実装では、例えば、メディアデバイス340は、光ディスクドライブである。
【0037】
[0040] ユーザインターフェイス350は、コンピュータシステム300のユーザからユーザ入力を受け取ってユーザ302に情報を提示するためのコンポーネントを含む。1つの実装では、ユーザインターフェイス350は、キーボード、マウス、オーディオスピーカ、及びディスプレイを含む。コントローラ310は、ユーザ302からの入力を使用して、コンピュータシステム300の動作を調整する。
【0038】
[0041] I/Oインターフェイス360は、1又は2以上のI/Oポートを含み、外部記憶又は補足装置(例えば、プリンタ又はPDA)などの対応するI/Oデバイスに接続する。1つの実装では、I/Oインターフェイス360のポートは、USBポート、PCMCIAポート、シリアルポート、及び/又はパラレルポートなどのポートを含む。別の実装では、I/Oインターフェイス360は、外部装置と無線で通信するための無線インターフェイスを含む。
【0039】
[0042] ネットワークインターフェイス370は、イーサネット接続をサポートするRJ-45又は「Wi-Fi」インターフェイス(802.11を含むが、これに限定されるわけではない)などの有線及び/又は無線ネットワーク接続を含む。
【0040】
[0043] コンピュータシステム300は、コンピュータシステムに典型的な追加のハードウェア及びソフトウェア(例えば、電力、冷却、オペレーティングシステム)を含むが、これらのコンポーネントは、簡略化のために、
図3Bに具体的に示されていない。他の実装では、コンピュータシステムの異なる構成を使用することができる(例えば、異なるバス又はストレージ構成又はマルチプロセッサ構成)。
【0041】
[0044] 開示した実装についての本明細書の説明は、当業者が本開示を実施又は利用できるように行ったものである。当業者には、これらの実装の多数の修正が容易に明らかになると思われ、また本明細書で定義した原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく他の実装にも適用することができる。例えば、ビデオ制作に加えて、ライブプリビジュアライゼーション及びポストビジュアライゼーションのための映画、ライブプリビジュアライゼーション及びポストビジュアライゼーションのためのテレビ番組、任意のスタジオ環境における放送、及びバーチャルプロダクション全般などの他の用途に、本システム及び方法の実装を適用して適合させることができる。
【0042】
[0045] 他の変形も可能である。例えば、ビデオキャプチャの被写体に、システムがイメージプレーンからのフォーカス距離を常に追跡できるようにする装置を取り付ける。代替的に、フォーカス距離を全く別個に測定する。この別個の測定は、被写体のIRキー抽出から独立したメインカメラのフォーカス制御を可能にする。更なる変形及び実装も可能である。例えば、映画又はテレビジョンのためのビデオ制作に加えて、バーチャルプロダクション(例えば仮想現実環境)、放送ビデオ(例えばスポーツ、天気等)、通常グリーンスクリーン又はクロマキーを使用する、又はいくつかの状況/シーンのためにグリーンスクリーンを使用するがその他では使用しないビデオ又は画像キャプチャなどの他の用途に、本システム及び方法の実装を適用して適合させることができる。いくつかの実装では、グリーンスクリーンを除去することによって、そうでなければ、グリーンスクリーンを使って行う時に制限される動的及び/又は劇的照明をより優先することができる。したがって、本開示は、本明細書に示す実装に限定されることを意図するものではなく、本明細書で開示した原理及び新規の特徴と一致する最も広い範囲が与えられるべきである。
【0043】
[0046] 上記の各実施例の全ての特徴が、本開示の特定の実装において必ずしも必要というわけではない。更に、本明細書で提示した説明及び図面は、本開示が広く意図する主題を表すものであると理解されたい。更に、本開示の範囲は、当業者にとって明らかになり得る他の実装を完全に含み、したがって、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲以外のものによって限定されるものではないと理解されたい。
【符号の説明】
【0044】
100 被写体のビデオキャプチャのための方法
110 レンズを有する第1のカメラを使用して、被写体のビデオデータをキャプチャ
120 第1のカメラのレンズに接続されるエンコーダを使用して、第1のカメラから被写体までの距離を測定
130 第1のカメラにリンクされる第2のカメラを使用して、被写体のIRビデオデータをキャプチャ
140 少なくとも1つのIR光源で被写体を照明
150 第1のカメラからのビデオデータ及び第2のカメラからのIRビデオデータを処理して、IRビデオデータを使用して、ビデオデータにおいて照明された被写体の輪郭を識別
200 被写体のビデオキャプチャのためのシステム
210,212,214,216 IR光源
220 ビームスプリッタ
230 カメラ
232 エンコーダ
240 IRセンサ
250 プロセッサ
252 サブプロセッサ
260 被写体
300 コンピュータシステム
302 ユーザ
304 ソフトウェアプログラム
310 コントローラ
320 メモリ
330 ストレージ
340 メディアデバイス
350 ユーザインターフェイス
360 I/Oインターフェイス
370 ネットワークインターフェイス
380 ネットワーク
385 サーバ
390 被写体抽出アプリケーション
【国際調査報告】