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特表2023-500001海域天然ガスハイドレートの筒式採掘装置およびその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-04
(54)【発明の名称】海域天然ガスハイドレートの筒式採掘装置およびその方法
(51)【国際特許分類】
   E21B 43/00 20060101AFI20221222BHJP
   E21C 50/00 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
E21B43/00 A
E21C50/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021512862
(86)(22)【出願日】2021-01-04
(85)【翻訳文提出日】2021-03-08
(86)【国際出願番号】 CN2021070113
(87)【国際公開番号】W WO2022126801
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】202011506719.4
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519113491
【氏名又は名称】福州大学
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】呉 学震
(72)【発明者】
【氏名】李 大勇
(72)【発明者】
【氏名】蒋 宇静
【テーマコード(参考)】
2D065
【Fターム(参考)】
2D065FA12
2D065FA23
2D065FA35
2D065GA01
(57)【要約】
【課題】 海域天然ガスハイドレートの筒式採掘装置およびその方法を提供すること。
【解決手段】 採掘筒と、ウォーターポンプと、出砂防止装置と、気液リフトシステム等と、を備えた海域天然ガスハイドレートの筒式採掘装置およびその方法を提供する。本発明は、特別に設計された採掘筒およびその補助装置を介して、採掘筒を海底面下に沈めて、海底面下の深い所の天然ガスハイドレートを採掘し、ならびに採掘筒を回収することを実現する。在来の深海坑井掘削の採掘方法における坑井掘削および坑井完成コストが高く、プレーンコンクリート井筒が地層圧力作用下で損傷や崩壊および出砂しやすいという一連の課題を解決し、従来のキャッピング減圧法が海底表層のハイドレートしか採掘できず、採掘効率が低い制限性を克服する。本発明は海底面下の深い所の天然ガスハイドレートの採掘コストを大幅に削減することができるため、海域天然ガスハイドレートの商用化採掘にとって重要な意味を持つ。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海域天然ガスハイドレートの筒式採掘装置であって、海底下の地層に沈むことができる採掘筒と、ウォーターポンプと、出砂防止装置と、気液リフトシステムと、を備え、
前記採掘筒は、頂板と、垂直筒壁と、を備え、上側が閉鎖され、下側が開放された円筒状構造であり;前記ウォーターポンプは、筒体の内部空洞に連通され、前記ウォーターポンプを介して前記採掘筒内の液体を外部へ排出して前記採掘筒内の圧力を下げることで、地層中の前記採掘筒の沈下を制御して前記出砂防止装置および前記気液リフトシステムを海底下の天然ガスハイドレート貯留層および/または、天然ガスハイドレートとフリーガス混合層および/または、フリーガス層に運び;
前記採掘筒と前記出砂防止装置との間に少なくとも1つの空洞が形成され、前記出砂防止装置は液体および/またはガスが通過して前記空洞に入ることを可能にし、また土砂をろ過し;前記空洞は、少なくとも1つの通路に連通され;
前記気液リフトシステムは、少なくとも1つリフト動力装置を備え;前記気液リフトシステムの一端は前記空洞に接続され、他端が海面処理システムに接続されて、前記空洞内の液体および/またはガスを汲み上げ;汲み上げながら前記空洞の内圧を下げることで、周囲の地層圧力を下げ、天然ガスハイドレートの分解を促進し、分解によって形成された水と天然ガスは、圧力差の作用下で前記出砂防止装置を通って前記空洞に入り、したがって汲み上げて天然ガスハイドレートの採掘を実現する
ことを特徴とする海域天然ガスハイドレートの筒式採掘装置。
【請求項2】
前記通路は、水輸送管と、ガス輸送管と、を備え;前記水輸送管の一端は、前記リフト動力装置に接続され、他端が前記採掘筒の上部に接続され;前記ガス輸送管の一端は、前記空洞に接続され、他端が前記採掘筒の上部に接続することで、ガスを収集し;地層の圧力と重力の作用下で、地層流体が前記空洞に入り、前記空洞内の液体が下方に向かって移動し、前記リフト動力装置は、前記空洞内の液体を前記水輸送管に圧入すると共に汲み上げ;前記空洞内のガスは、前記ガス輸送管を通って上方に移動し;前記リフト動力装置は、電動ポンプであり、前記電動ポンプが電動水中遠心ポンプ、電動水中スクリューポンプ、泥水ポンプまたはこれらの組み合わせである
請求項1に記載の海域天然ガスハイドレートの筒式採掘装置。
【請求項3】
前記空洞は、前記採掘筒の前記垂直筒壁外側に設けられ;前記採掘筒は、開口部を設けた穴あき管壁を有し;前記出砂防止装置は、前記開口部内に設けられ、および/または前記開口部を覆い;前記穴あき管壁は、透水・保護機能を備え、液体およびガスを通過させ、前記出砂防止装置を地層圧力および流体侵食から保護し;ガスと液体は、前記穴あき管壁および前記出砂防止装置を通って前記垂直筒壁外側の前記空洞に入る
請求項2に記載の海域天然ガスハイドレートの筒式採掘装置。
【請求項4】
前記空洞は、前記採掘筒の内部空間に設けられ、前記内部空間内の地層がジェットドリルシステムによって筒から取り除かれ、前記採掘筒の頂板、前記垂直筒壁および前記閉鎖底部の内部によって前記空洞を形成し;前記垂直筒壁の下部位置に開口部が設けられ、前記出砂防止装置は前記開口部内に設けられ、および/または前記開口部を覆い;前記位置の垂直井壁は、透水・保護機能を備え、液体およびガスを通過させ、前記出砂防止装置を地層圧力および流体侵食から保護し;ガスと液体は、前記垂直井壁および前記出砂防止装置を通って前記採掘筒の前記内部空間に設けられた前記空洞に入る
請求項2に記載の海域天然ガスハイドレートの筒式採掘装置。
【請求項5】
前記ジェットドリルシステムは、前記頂板の下側に固定された伸縮ブームと、ドリルヘッドと、ジェットシステムと、泥水ポンプ輸送システムと、を備え;前記伸縮ブームは、前記ドリルヘッド、前記ジェットシステムの下端および前記泥水ポンプ輸送システムの下端を上下に移動させることができる伸縮端を有し;前記ドリルヘッドは、前記伸縮端の下端に固定され、前記ジェットシステムが前記伸縮ブームを通って前記ドリルヘッドまで延びる噴射管を備え;前記ドリルヘッドおよび前記ジェットシステムは、前記採掘筒の前記内部空間内の地層を岩片に破砕することができ;前記泥水ポンプ輸送システムは、岩片を前記採掘筒の外部に圧送するために用いられ、前記伸縮端に固定された泥水ポンプを備え、前記泥水ポンプの吐出口には前記採掘筒の前記頂板上部に延びる泥水排出管を有し;前記採掘筒が地層中の所定の位置に沈め、前記採掘筒の前記内部空間内の地層を筒から取り除いた後、固化材料を噴射して筒底を封止することで、閉鎖底部を形成するように前記ジェットシステムを制御し;前記泥水ポンプは、前記リフト動力装置として前記空洞内の液体を前記泥水排出管から排出し、前記空洞内のガスが前記ガス輸送管を介して上方に向かって移動される
請求項4に記載の海域天然ガスハイドレートの筒式採掘装置。
【請求項6】
前記採掘装置は、噴射ポンプと、採掘筒に埋め込まれた配管と、前記採掘筒の外面に配置された噴射口と、を備えたジェット流注入システムをさらに含み、各前記噴射口が前記噴射管に連通され、前記噴射ポンプが前記噴射管を介して前記噴射口から水、温海水、二酸化炭素、または化学抑制剤を地層に噴射する
請求項1に記載の海域天然ガスハイドレートの筒式採掘装置。
【請求項7】
前記採掘装置は、水充填膨張ブラダー本体と、注水システムと、を備えた膨張ブラダー閉鎖システムをさらに含み、前記注水システムが前記水充填膨張ブラダー本体に注水し、前記水充填膨張ブラダー本体がリング状を呈し、前記採掘筒の外周上部に固定され、前記水充填膨張ブラダー本体が注水された後、前記天然ガスハイドレート貯留層に密着される
請求項1に記載の海域天然ガスハイドレートの筒式採掘装置。
【請求項8】
前記採掘装置は、電磁誘導コイルと、電磁加熱コントローラと、を備えた補助加熱システムをさらに含み、前記電磁誘導コイルが前記採掘筒の筒体を取り囲み、前記電磁加熱コントローラが前記電磁誘導コイルを制御して、前記採掘筒を発熱させることで、前記天然ガスハイドレート貯留層を大規模に加熱する
請求項1に記載の海域天然ガスハイドレートの筒式採掘装置。
【請求項9】
前記採掘装置は、拡張採掘システムをさらに含み、前記拡張採掘システムが採掘筒の底部に固定された垂直ボーリングロッドであり、前記ボーリングロッドが透水管壁と、透水管壁内の出砂防止装置と、前記出砂防止装置の中央部に位置する水流路で構成され;前記ボーリングロッドの潜行深度は、前記採掘筒の深さよりも深いため、より深い所の地層流体を前記空洞に導き、採掘範囲および効率を高めることができ;前記ボーリングロッドには、電動シリンダまたは油圧シリンダを装備して前記ボーリングロッドの上下移動を駆動することもできる
請求項1に記載の海域天然ガスハイドレートの筒式採掘装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の採掘装置を利用し、以下のステップ(1)~ステップ(3):
(1)採掘区域を選択し、海面輸送船で採掘筒を採掘海域に曳航し、アンカー索で吊り下ろして海底に係留させるステップ、
(2)ウォーターポンプを介して前記採掘筒内の液体を外側に排出させて前記採掘筒の内圧を下げ、前記採掘筒が圧力差の作用下で沈下し、前記採掘筒は出砂防止装置および気液リフトシステムを天然ガスハイドレート貯留層および/または、天然ガスハイドレートとフリーガス混合層および/または、フリーガス層に運ぶステップ、
(3)前記気液リフトシステムを介して、前記採掘筒と前記出砂防止装置で形成された空洞内の液体および/またはガスを汲み上げ、前記空洞内部の圧力を下げることで、周囲の地層圧力を下げ、周囲地層中の天然ガスハイドレートの分解を促進し、分解によって形成された水と天然ガスは、圧力差の作用下で前記出砂防止装置を通って前記空洞に入り、したがって液体と天然ガスを前記採掘筒の外部に汲み上げて天然ガスハイドレートの採掘を実現するステップ
を含む
ことを特徴とする海域天然ガスハイドレートの井筒式採掘方法。
【請求項11】
前記空洞が前記採掘筒の内部空間に設けられている場合、前記採掘筒の沈下を制御する過程で、ジェットドリルシステムにより前記採掘筒内の岩体を破砕して筒外側に排出し;前記採掘筒が地層中の所定の位置に沈め、前記採掘筒の前記内部空間内の地層を筒から取り除いた後、固化材料を噴射して筒底を封止することで、閉鎖底部を形成するように前記ジェットシステムを制御し;封止を終え後で採掘する時、泥水ポンプは、リフト動力装置として前記空洞内の液体を泥水排出管から排出し、前記空洞内のガスがガス輸送管を介して上方に向かって移動される
請求項10に記載の海域天然ガスハイドレートの井筒式採掘方法。
【請求項12】
一定の範囲内の天然ガスハイドレート採掘を終え、またはガス生産効率が一定の値に低下すると、気液の汲み上げを停止し、前記ウォーターポンプを介して前記採掘筒内に水を圧送し、前記採掘筒の内圧が筒外の圧力よりも高くなり、前記採掘筒が圧力差の作用およびアンカー索システムの吊り上げ作用下で、泥線より上に上昇することで、前記採掘筒を回収するか、または新しい採掘区域に移して採掘し続ける
請求項10に記載の海域天然ガスハイドレートの井筒式採掘方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海域天然ガスハイドレートの筒式採掘装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天然ガスハイドレートは、その膨大な埋蔵量により石油、石炭、天然ガスなどの従来のエネルギー源に取って代わる大きな可能性を秘めていると考えられている。天然ガスハイドレートの採掘原理には、減圧、熱刺激、化学試薬置換と固体流動化、および上記の手法の組み合わせが挙げられる。現在、減圧法と減圧法に基づく改善案は、海域での天然ガスハイドレートの産業化試験採掘を実現するための最善の方法であり、他の方法が主に減圧法のガス増産またはガス生産安定化のための補助手段として使用されていると一般的に考えられている。
【0003】
天然ガスハイドレート採掘の具体的実施に関して、従来の採掘方法は、坑井掘削法と表層採掘に分けることができる。坑井掘削法による採掘とは、ドリルシップリグで深海の海底に井戸を掘削し、井筒内の圧力を下げて減圧または固体流動化採掘することを意味する。この方法は、海底から10m~500mの深いところに存在する天然ガスハイドレートの採掘を実現できる。表面採掘法とは、採掘機械や装置を海底の表面に直接下ろして、塊状の天然ガスハイドレートを直接収集するか、保護カバーを介して部分的に減圧して天然ガスに変換することを意味し、主に海底下数メートルの深度内の天然ガスハイドレートの採掘に用いられる。
【0004】
坑井掘削技術に基づく関連採掘方法は、次の通り挙げられる。(1)坑井掘削減圧採掘法:「非特許文献1」、「特許文献1」、「特許文献2」、「特許文献3」など。(2)坑井掘削固体流動化採掘法:「非特許文献2」、「特許文献4」および「特許文献5」。
【0005】
現在、世界では、日本での2回の坑井掘削減圧法、中国での2回の坑井掘削減圧法および1回の坑井掘削固体流動化法などを含む海域天然ガスハイドレート試験採掘実施に成功した事例は、いずれも坑井掘削技術を使用している。しかし、井筒周辺の天然ガスハイドレートの分解により、貯留層の強度が大幅に低下し、大きな地層応力作用において出砂現象が生じたことにより、井筒が不安定になり、長期的に安定した採掘が困難になる。この問題は、国内外の海域天然ガスハイドレートの坑井掘削法による多くの試験採掘で現れていた。なお、坑井掘削技術に基づく採掘法で採掘された天然ガスの価値は、坑井掘削のコストをカバーするにはほど遠いため、現在商用化の採掘はまだ実現されていない。
【0006】
表面採掘理論に基づく関連技術は、次の通り挙げられる。(1)キャッピング減圧法:非特許文献3、特許文献6、特許文献7等の方法は、海底に設置された円錐形キャッピングのような装置で天然ガスハイドレートまたはその分解生成物を収集する。(2)機械収集法:特許文献8、特許文献9および特許文献10等の方法は、海底に設置された採掘機で塊状の天然ガスハイドレートを収集する。
【0007】
表面採掘理論に基づく関連技術は、まだ理論的模索段階にある。海底の表層に直接賦存する天然ガスハイドレートの割合が非常に少なく、賦存が分散しているため、期待される生産効率が低く、運用範囲が限られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】中国特許番号第CN107676058B号 「海洋天然ガスハイドレートの泥水置換採掘および採掘装置」
【特許文献2】中国特許番号第「CN109763794B号 「海洋ハイドレート多分岐水平井戸減圧加熱複合採掘法」
【特許文献3】中国特許番号第CN101672177B号 「海底天然ガスハイドレート採掘法」
【特許文献4】中国特許番号第「CN106939780B号 「海底浅層非成層岩天然ガスハイドレートの固体流動化採掘装置および方法」
【特許文献5】中国特許番号第CN110700801B号 「天然ガスハイドレート固体流動化採掘などのための自動ジェット破砕工具など」
【特許文献6】中国特許番号第CN105781497A号 「海底天然ガスハイドレート採取装置」
【特許文献7】中国特許番号第CN111648749A号 「天然ガスハイドレートの移動ライザーパイプ型採掘システムおよび採掘方法」
【特許文献8】中国特許番号第CN103628880B号 「深海海底浅層非成層岩地層における天然ガスハイドレートのグリーン採掘システム」
【特許文献9】中国特許番号第CN104265300B号 「海底表層における天然ガスハイドレート採掘方法および採掘装置」
【特許文献10】中国特許番号第CN104948143B号 「海底表層における天然ガスハイドレート採掘方法および採掘装置」
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】「葉建良ら、中国南シナ海における天然ガスハイドレート第2回試験採掘の主要進展、中国地質、2020」
【非特許文献2】「周守為ら、世界初の海洋ガスハイドレート固体流動化試験採掘工程パラメータ最適化設計、天然ガス産業、2017年」
【非特許文献3】「黎偉ら、天然ガスハイドレートキャッピング減圧装置の採掘メカニズムに関する研究、応用力学学報、2020」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、海底の非表層天然ガスハイドレート採掘に用いられ、従来の坑井掘削減圧法の採掘技術に存在する問題点を改善し、海域天然ガスハイドレートが通常粘土質シルトまたは泥質堆積物中に賦存するという特徴に基づいて井戸を掘削せずに海底の深い所に入って減圧採掘できることで低コスト、高効率の減圧採掘装置および採掘方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するために以下のような技術的手段を講じた。
海底下の地層に沈むことができる採掘筒と、ウォーターポンプと、出砂防止装置と、気液リフトシステムと、を備えた海域天然ガスハイドレートの筒式採掘装置であって、
前記採掘筒は、頂板と、垂直筒壁と、を備え、上側が閉鎖され、下側が開放された円筒状構造であり;前記ウォーターポンプは、筒体の内部空洞に連通され、ウォーターポンプを介して採掘筒内の液体を外部へ排出して採掘筒内の圧力を下げることで、地層中の前記採掘筒の沈下を制御して前記出砂防止装置および前記気液リフトシステムを海底下の天然ガスハイドレート貯留層および/または、天然ガスハイドレートとフリーガス混合層および/または、フリーガス層に運び;
前記採掘筒と前記出砂防止装置との間に少なくとも1つの空洞が形成され、前記出砂防止装置は液体および/またはガスが通過して前記空洞に入ることを可能にし、また土砂をろ過し;前記空洞は、少なくとも1つの通路に連通され;
前記気液リフトシステムは、少なくとも1つリフト動力装置を備え;気液リフトシステムの一端は前記空洞に接続され、他端が海面処理システムに接続されて、前記空洞内の液体および/またはガスを汲み上げ;汲み上げながら空洞の内圧を下げることで、周囲の地層圧力を下げ、天然ガスハイドレートの分解を促進し、分解によって形成された水と天然ガスは、圧力差の作用下で出砂防止装置を通って空洞に入り、したがって汲み上げて天然ガスハイドレートの採掘を実現する。
【0012】
さらに、前記通路は、水輸送管と、ガス輸送管と、を備え;前記水輸送管の一端は、リフト動力装置に接続され、他端が採掘筒の上部に接続され;前記ガス輸送管の一端は、空洞に接続され、他端が採掘筒の上部に接続することで、ガスを収集し;地層の圧力と重力の作用下で、地層流体が空洞に入り、空洞内の液体が下方に向かって移動し、リフト動力装置は、空洞内の液体を水輸送管に圧入すると共に汲み上げ;空洞内のガスは、ガス輸送管を通って上方に移動し;前記リフト動力装置は、電動ポンプであり、前記電動ポンプが電動水中遠心ポンプ、電動水中スクリューポンプ、泥水ポンプまたはこれらの組み合わせである。
【0013】
さらに、前記空洞は、採掘筒の垂直筒壁外側に設けられ;前記採掘筒は、開口部を設けた穴あき管壁を有し;前記出砂防止装置は、開口部内に設けられ、および/または開口部を覆い;穴あき管壁は、透水・保護機能を備え、液体およびガスを通過させ、出砂防止装置を地層圧力および流体侵食から保護し;ガスと液体は、穴あき管壁および出砂防止装置を通って垂直筒壁外側の空洞に入る。
【0014】
さらに、前記空洞は、採掘筒の内部空間に設けられ、内部空間内の地層がジェットドリルシステムによって筒から取り除かれ、採掘筒の頂板、垂直筒壁および閉鎖底部の内部によって空洞を形成し;垂直筒壁の下部位置に開口部が設けられ、前記出砂防止装置は開口部内に設けられ、および/または開口部を覆い;前記位置の垂直井壁は、透水・保護機能を備え、液体およびガスを通過させ、出砂防止装置を地層圧力および流体侵食から保護し;ガスと液体は、垂直井壁および出砂防止装置を通って採掘筒の内部空間に設けられた空洞に入る。
【0015】
さらに、前記ジェットドリルシステムは、前記頂板の下側に固定された伸縮ブームと、ドリルヘッドと、ジェットシステムと、泥水ポンプ輸送システムと、を備え;前記伸縮ブームは、前記ドリルヘッド、前記ジェットシステムの下端および前記泥水ポンプ輸送システムの下端を上下に移動させることができる伸縮端を有し;前記ドリルヘッドは、伸縮端の下端に固定され、前記ジェットシステムが伸縮ブームを通ってドリルヘッドまで延びる噴射管を備え;前記ドリルヘッドおよび前記ジェットシステムは、採掘筒の内部空間内の地層を岩片に破砕することができ;前記泥水ポンプ輸送システムは、岩片を採掘筒の外部に圧送するために用いられ、伸縮端に固定された泥水ポンプを備え、前記泥水ポンプの吐出口には採掘筒の頂板上部に延びる泥水排出管を有し;採掘筒が地層中の所定の位置に沈め、採掘筒の内部空間内の地層を筒から取り除いた後、固化材料を噴射して筒底を封止することで、閉鎖底部を形成するようにジェットシステムを制御し;泥水ポンプは、リフト動力装置として空洞内の液体を泥水排出管から排出し、空洞内のガスがガス輸送管を介して上方に向かって移動される。
【0016】
さらに、前記採掘装置は、噴射ポンプと、採掘筒に埋め込まれた配管と、採掘筒の外面に配置された噴射口と、を備えたジェット流注入システムをさらに含み、各噴射口が噴射管に連通され、前記噴射ポンプが噴射管を介して噴射口から水、温海水、二酸化炭素、または化学抑制剤を地層に噴射する。
【0017】
さらに、前記採掘装置は、水充填膨張ブラダー本体と、注水システムと、を備えた膨張ブラダー閉鎖システムをさらに含み、前記注水システムが水充填膨張ブラダー本体に注水し、前記水充填膨張ブラダー本体がリング状を呈し、採掘筒の外周上部に固定され、水充填膨張ブラダー本体が注水された後、天然ガスハイドレート貯留層に密着される。
【0018】
さらに、前記採掘装置は、電磁誘導コイルと、電磁加熱コントローラと、を備えた補助加熱システムをさらに含み、電磁誘導コイルが採掘筒の筒体を取り囲み、電磁加熱コントローラが電磁誘導コイルを制御して、採掘筒を発熱させることで、天然ガスハイドレート貯留層を大規模に加熱する。
【0019】
さらに、前記採掘装置は、拡張採掘システムをさらに含み、前記拡張採掘システムが採掘筒の底部に固定された垂直ボーリングロッドであり、ボーリングロッドが透水管壁と、透水管壁内の出砂防止装置と、出砂防止装置の中央部に位置する水流路で構成され;ボーリングロッドの潜行深度は、採掘筒の深さよりも深いため、より深い所の地層流体を空洞に導き、採掘範囲および効率を高めることができ;前記ボーリングロッドには、電動シリンダまたは油圧シリンダを装備してボーリングロッドの上下移動を駆動することもできる。
【0020】
本発明は、前記採掘装置を利用し、以下のステップ(1)~ステップ(3)を含む、海域天然ガスハイドレートの井筒式採掘方法も提案される。
(1)採掘区域を選択し、海面輸送船で採掘筒を採掘海域に曳航し、アンカー索で吊り下ろして海底に係留させるステップ、
(2)ウォーターポンプを介して前記採掘筒内の液体を外側に排出させて採掘筒の内圧を下げ、採掘筒が圧力差の作用下で沈下し、前記採掘筒は出砂防止装置および気液リフトシステムを天然ガスハイドレート貯留層および/または、天然ガスハイドレートとフリーガス混合層および/または、フリーガス層に運ぶステップ、
(3)気液リフトシステムを介して、前記採掘筒と前記出砂防止装置で形成された空洞内の液体および/またはガスを汲み上げ、空洞内部の圧力を下げることで、周囲の地層圧力を下げ、周囲地層中の天然ガスハイドレートの分解を促進し、分解によって形成された水と天然ガスは、圧力差の作用下で出砂防止装置を通って空洞に入り、したがって液体と天然ガスを採掘筒の外部に汲み上げて天然ガスハイドレートの採掘を実現するステップ。
【0021】
さらに、空洞が採掘筒の内部空間に設けられている場合、採掘筒の沈下を制御する過程で、ジェットドリルシステムにより採掘筒内の岩体を破砕して筒外側に排出し;採掘筒が地層中の所定の位置に沈め、採掘筒の内部空間内の地層を筒から取り除いた後、固化材料を噴射して筒底を封止することで、閉鎖底部を形成するようにジェットシステムを制御し;封止を終え後で採掘する時、泥水ポンプは、リフト動力装置として空洞内の液体を泥水排出管から排出し、空洞内のガスがガス輸送管を介して上方に向かって移動される。
【0022】
さらに、一定の範囲内の天然ガスハイドレート採掘を終え、またはガス生産効率が一定の値に低下すると、気液の汲み上げを停止し、前記ウォーターポンプを介して採掘筒内に水を圧送し、採掘筒の内圧が筒外の圧力よりも高くなり、採掘筒が圧力差の作用およびアンカー索システムの吊り上げ作用下で、泥線より上に上昇することで、採掘筒を回収するか、または新しい採掘区域に移して採掘し続ける。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、特別に設計された採掘筒およびその補助装置を介して、採掘筒を海底面下に沈めて、海底面下の深い所の天然ガスハイドレートを採掘し、ならびに採掘筒を回収することを実現する。従来技術と比較して、本発明は、次の有利な効果を有する。(1)施工過程では、深海掘削船を必要としないので、本発明は在来の深海坑井掘削の採掘方法における坑井掘削および坑井完成コストが高いという課題を解決する。(2)採掘筒の本体が高強度のプレハブ構造を採用し、本発明は在来のコンクリート井筒が地層圧力作用下で損傷や崩壊しやすい問題を克服し、出砂防止装置が合金構造の保護下で在来の井筒出砂破壊問題を徹底に解決する。(3)従来のキャッピング減圧法が海底表層のハイドレートしか採掘できず、採掘効率が低い制限性と比較して、本発明の長い垂直筒壁は採掘システムを海底面下の深い所の天然ガスハイドレート貯留層に運ぶことができ、かつ採掘システムが垂直筒壁に配置され、キャッピング内部採掘に比べて有効採掘面積を大幅に増やすことができることで、採掘効率および生産量を向上させることができる。上記をまとめて、本発明は海底面下の深い所の天然ガスハイドレートの採掘コストを大幅に削減することができるため、海域天然ガスハイドレートの商用化採掘にとって重要な意味を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の海域天然ガスハイドレートの筒式採掘装置の全体図である。
図2】本発明の第1の好ましい実施形態に係る採掘装置の出砂防止装置が開口部に設けられている場合の外観図である。
図3】本発明の第1の好ましい実施形態に係る採掘装置の出砂防止装置が開口部を覆う場合の外観図である。
図4】本発明の第1の好ましい実施形態に係る採掘装置の出砂防止装置が開口部を覆って微調整した後の外観図である。
図5】本発明の第2の好ましい実施形態に係る採掘装置の施工過程の外観図である。
図6】本発明の第2の好ましい実施形態に係る採掘装置の出砂防止装置が開口部を覆う場合の模式図である。
図7】本発明の第2の好ましい実施形態に係る採掘装置の出砂防止装置が開口部内に設けられている場合の模式図である。
図8】本発明に係るジェット流注入システムの好ましい実施形態を示す図である。
図9】本発明に係る膨張ブラダー閉鎖システムの好ましい実施形態を示す図である。
図10】本発明に係る補助加熱システムの好ましい実施形態を示す図である。
図11】本発明に係る拡張採掘システムの好ましい実施形態を示す図である。
図12】本発明に係る拡張採掘システムのボーリングロッドの好ましい実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下は、添付図面および具体的実施形態を参照しつつ本発明をさらに詳細に説明する。
【0026】
図1乃至図7に示すように、海域天然ガスハイドレートの筒式採掘装置は、海底下の地層に沈むことができる採掘筒1と、ウォーターポンプ2と、出砂防止装置3と、気液リフトシステムと、を備えた。
【0027】
前記採掘筒1は、頂板と、垂直筒壁と、を備え、上側が閉鎖され、下側が開放された円筒状構造であり;前記ウォーターポンプ2が頂板に設けられ、前記ウォーターポンプは、筒体の内部空洞に連通され、ウォーターポンプを介して採掘筒内の液体を外部へ排出して採掘筒内の圧力を下げることで、地層中の前記採掘筒の沈下を制御して前記出砂防止装置および前記気液リフトシステムを海底下の天然ガスハイドレート貯留層Bおよび/または、天然ガスハイドレートとフリーガス混合層および/または、フリーガス層Cに運び;
前記採掘筒と前記出砂防止装置との間に少なくとも1つの空洞31が形成され、前記出砂防止装置3は液体および/またはガスが通過して前記空洞に入ることを可能にし、また土砂をろ過し;前記空洞には、2つの通路、すなわち水輸送通路51およびガス輸送通路52が設けられる。
【0028】
前記気液リフトシステムは、リフト動力装置41と、気液分離装置42と、を備え;気液分離装置は、リフト動力装置の入口に設けられ、液体とガスが空洞内で重力によって分離された後、液体とガスが二次分離し、ガスがリフト動力装置に入らないようにする役割を果たし;気液リフトシステムの一端は前記空洞に接続され、他端が海面処理システムに接続されて、前記空洞内の液体および/またはガスを汲み上げ;汲み上げながら空洞の内圧を下げることで、周囲の地層圧力を下げ、天然ガスハイドレートの分解を促進し、分解によって形成された水と天然ガスは、圧力差の作用下で出砂防止装置を通って空洞に入り、したがって汲み上げて天然ガスハイドレートの採掘を実現する。
【0029】
一般的に、水輸送管51の一端は、リフト動力装置41に接続され、他端が採集筒の上部に接続され;ガス輸送管52の一端は、空洞31に接続され、他端が採集筒の上部に接続することで、ガスを収集し;地層の圧力と重力の作用下で、地層流体が空洞に入り、空洞内の液体が下方に向かって移動し、リフト動力装置は、空洞内の液体を水輸送管に圧入すると共に汲み上げ;空洞内のガスは、ガス輸送管を通って上方に移動し;前記リフト動力装置41は、電動ポンプであり、前記電動ポンプが電動水中遠心ポンプ、電動水中スクリューポンプ、泥水ポンプまたはこれらの組み合わせである。
【0030】
第1の好ましい実施形態として、図2乃至図4に示すように、前記空洞31は、採掘筒の垂直筒壁外側に設けられ;前記採掘筒は、開口部を設けた穴あき管壁11を有し;図2内では出砂防止装置3が、開口部内に設けられ;図3および図4内では出砂防止装置3が開口部を覆い、空洞31内に透水性支持部材12が設けられ、透水性支持部材は、液体とガスを水平方向と垂直方向の両方に通過させ、グリッド構造に類似し、出砂防止装置を支持と保護でき;穴あき管壁は、透水・保護機能を備え、液体およびガスを通過させ、出砂防止装置を地層圧力および流体侵食から保護し;ガスと液体は、穴あき管壁および出砂防止装置を通って垂直筒壁外側の空洞に入る。
【0031】
第2の実施形態として、図5乃至図7に示すように、前記空洞31は、採掘筒の内部空間に設けられ、内部空間内の地層がジェットドリルシステムによって筒から取り除かれ、採掘筒の頂板、垂直筒壁および閉鎖底部の内部によって空洞を形成し;垂直筒壁の下部位置に開口部が設けられ;図5内では、前記出砂防止装置が開口部を覆い、図6内では前記出砂防止装置が開口部内に設けられ;前記位置の垂直井壁は、透水・保護機能を備え、液体およびガスを通過させ、出砂防止装置を地層圧力および流体侵食から保護し;ガスと液体は、垂直井壁および出砂防止装置を通って採掘筒の内部空間に設けられた空洞に入る。
【0032】
採掘装置の第2の実施形態において筒体内にあるジェットドリルシステムも設けられ;前記ジェットドリルシステムは、前記頂板の下側に固定された伸縮ブームと、ドリルヘッドと、ジェットシステムと、泥水ポンプ輸送システムと、を備え;前記伸縮ブームは、前記ドリルヘッド、前記ジェットシステムの下端および前記泥水ポンプ輸送システムの下端を上下に移動させることができる伸縮端を有し;前記ドリルヘッドは、伸縮端の下端に固定され、前記ジェットシステムが伸縮ブームを通ってドリルヘッドまで延びる噴射管を備え;前記ドリルヘッドおよび前記ジェットシステムは、採掘筒の内部空間内の地層を岩片に破砕することができ;前記泥水ポンプ輸送システムは、岩片を採掘筒の外部に圧送するために用いられ、伸縮端に固定された泥水ポンプを備え、前記泥水ポンプの吐出口には採掘筒の頂板上部に延びる泥水排出管を有し;採掘筒が地層中の所定の位置に沈め、採掘筒の内部空間内の地層を筒から取り除いた後、固化材料を噴射して筒底を封止することで、閉鎖底部を形成するようにジェットシステムを制御し、採掘筒の頂板、垂直筒壁、および閉鎖底部の内部によって空洞を形成し;採掘する時、泥水ポンプは、リフト動力装置として空洞内の液体を泥水排出管によって排出し、空洞内のガスがガス輸送管を介して上方に向かって移動され、本実施例において、前記ドリルヘッドは電動、空気圧または油圧の方式で地層を破砕することができ、前記泥水ポンプの吸込側が内部空間内に位置するため、破砕した岩片を排出できる。
【0033】
上記の2つの解決手段は、好ましい実施例に過ぎ、実際に運用する時、いずれかの1つまたはそれらの組み合わせ、あるいは容易に想到し得る変形例を選択することができる。
【0034】
別の解決手段として、前記気液リフトシステムのリフト動力装置41は、前記ウォーターポンプ2を直接用いる。
【0035】
上記実施例において、前記採掘筒の外形は、等径円筒形または不等径円筒形、あるいは周囲スカートを備えた円筒形または多角形筒形であり;採掘筒の本体は、鋼材、鉄筋コンクリートなどの高強度のプレハブ構造を用いるため、全体的な強度と剛性が高く、高い地盤応力条件下で損傷しないように確保し;採掘筒には、アンカー索に連結された連結部材14も設けられ;採掘筒は、筒の内側と外側の圧力差及び重力によって沈む以外に、採掘筒の潜行深度と速度を上げることができる高周波振動装置を設けることもでき;採掘筒の頂部には、透水性開口部および透水性開口部を閉じるためのキャップを有し、採掘筒が海水に沈むときにキャップを開くと、採掘筒の沈下抵抗を減らすことができ、採掘筒は着底した後、キャップを閉じる。
【0036】
採掘装置が動作しているとき、採掘筒は海面支援システムを利用して施工する必要があり、海面支援システムが船舶107または海上プラットフォームなどの海面輸送装置を用いる。前記海面処理システムは、ガス乾燥装置と、ガス圧縮装置と、ガス貯蔵タンクとを備え、海面支援システムに設けられ、天然ガスを処理、貯蔵、輸送するために用いられる。アンカー索システム108は、採掘筒を吊り下ろし、吊り上げおよび移動するために用いられ、索と、索制御装置と、を備え、索の一端が採掘筒の頂部に接続され、他端が索制御装置に接続され;索制御装置は海面支援システムに設けられる。海面支援システムおよび海面処理システムは、石油とガス採掘後の処理設備である。
【0037】
もちろん、前記海域天然ガスハイドレートの筒式採掘装置は、電力供給システムと、制御システムと、をさらに備え、電力供給システムが採掘作業に電力を供給し、制御システムが各装置の運転を制御する。前記採掘筒は、温度センサー、圧力センサー、水流量計およびガス流量計等の測定素子をさらに設けてもよい。
【0038】
前記海域天然ガスハイドレートの筒式採掘装置は、回転バケット潜行補助システムをさらに備え;前記回転バケット潜行補助システムは、回転バケットと、モータと、を備え;前記回転バケットは、リンク状であり、その直径が採掘筒の開口部の直径と同じであり、上側が凹凸溝を介して採掘筒の筒体最下端に嵌着され、その上側歯車がモータの動力出力軸の歯車と噛合し、その下側歯車が地層を掻き取り、圧迫するために用いられ;天然ガスハイドレート貯留層の硬度が比較的大きくしなることや、採掘筒の潜行過程で硬い障害物に遭遇すると、モータは回転バケットを駆動して圧迫および掻き取り作用により採掘筒下側の地層を破砕し、採掘筒の潜行を補助できる。
【0039】
図8に示すように、上記の実施例のいずれかを踏まえ、前記海域天然ガスハイドレートの筒式採掘装置は、駆動装置と、配管と、噴射口と、を備えたジェット流注入システムをさらに備え、前記駆動装置がジェット流注入システムにジェット動力を提供し;前記ジェット流注入システムは、次の目的で使用される。(1)天然ガスハイドレートの分解範囲が不十分な場合、採掘筒周囲の貯留層に水を噴射し、そのウォーターカット作用が分解界面を増加し、採掘効率をアップでき;(2)天然ガスハイドレート貯留層の硬度が比較的大きい場合において、採掘筒が従来方法により所定の深さに到達しにくいときは、採掘筒の下部に水を噴射し、そのウォーターカット作用が採掘筒をさらに潜行させることができ;(3)温海水または二酸化炭素、あるいは化学抑制剤を採掘範囲に注入して、天然ガスハイドレートの分解を促進し;(4)注水は、採掘装置周囲の細砂を減らし、それによって浸透性を向上でき;(5)貯留層の上部に二酸化炭素を注入し、二酸化炭素と周囲の水が二酸化炭素水和物を形成すると、貯留層の上部地層強度を高めることで、貯留層の安定性を向上することができる。
【0040】
図9に示すように、上記の実施例のいずれかを踏まえ、前記海域天然ガスハイドレートの筒式採掘装置は、水充填膨張ブラダー本体と、注水システムと、を備えた膨張ブラダー閉鎖システムをさらに備え;前記注水システムが管路に連通して水充填膨張ブラダー本体に注水し;前記水充填膨張ブラダー本体は、採掘筒の周りに固定され、水充填膨張ブラダー本体に注水された後、天然ガスハイドレート貯留層と密着し;注水システムは、気液リフトシステムのリフト動力装置を注水動力として利用し、補助管を介して一部の地層流体を水充填膨張ブラダー本体に注入し;いくつかの地質条件下で、採掘筒の外周と周囲地層との間に水流路が存在する可能性があり、その水とガスの流動は筒内の減圧採掘効果に影響を与える可能性があり、膨張ブラダー閉鎖システムは上述の影響を軽減でき;膨張ブラダー閉鎖システムは、ジェット流注入システムと協働して水圧破砕して採掘範囲を広げることもできる。具体的に、水充填膨張ブラダー本体と天然ガスハイドレート貯留層との密着を通じて、構造体の外周と周囲地層との間に水流路を閉鎖することで、ジェット流注入システムを介して周囲地層内に固体粒子を含む高圧水を注入し;高圧水の作用下で、天然ガスハイドレート貯留層に亀裂が発生し、そしてジェット流注入システムをオフにし;固体粒子は、亀裂に充填されて完全に閉じられないようにし、浸透通路を形成し、採掘効率のアップおよび採掘範囲の広げが可能である。
【0041】
図10に示すように、上記の実施例のいずれかを踏まえ、前記海域天然ガスハイドレートの筒式採掘装置は、補助加熱システムをさらに備え、前記補助加熱システムが電熱線加熱、電磁加熱、マイクロ波加熱方式を含み得;補助加熱システムは、天然ガスハイドレートの分解速度を上げ、ハイドレートの二次生成を防止することができ;電磁加熱の解決手段において、前記補助加熱システムは、電磁誘導コイルと、電磁加熱コントローラと、を備え、電磁誘導コイルが採掘筒の筒体を取り囲み、採掘筒が主に鋼材で構成される特徴を利用して電磁加熱コントローラが電磁誘導コイルを制御して、採掘筒を発熱してより高い熱変換と伝達効率を有させることで、天然ガスハイドレート貯留層を大規模に加熱し、天然ガスハイドレートの分解速度を上げ、ハイドレートの二次生成を防止することができ;在来型井筒内には大きな鋼構造がなく、電磁原理による天然ガスハイドレート貯留層の大規模な加熱をすることは困難である。
【0042】
図11乃至図12に示すように、前記海域天然ガスハイドレートの筒式採掘装置は、拡張採掘システムをさらに含み、前記拡張採掘システムが採掘筒の底部に固定された垂直ボーリングロッドであり、ボーリングロッドが透水管壁と、透水管壁内の出砂防止装置と、出砂防止装置の中央部に位置する水流路で構成され;ボーリングロッドの潜行深度は、採掘筒の深さよりも深いため、より深い所の地層流体を空洞に導き、採掘範囲および効率を高めることができ;前記ボーリングロッドには、電動シリンダまたは油圧シリンダを装備してボーリングロッドの上下移動を駆動することもできる。
【0043】
上記採掘装置の第1の実施形態を利用する採掘方法の好ましい実施例1は、以下のステップ(1)~(3)を含む。
(1)採掘区域を選択し、海面支援システム、アンカー索システムの支援下で、採掘筒を吊り下ろし、海底に係留させるステップ、
(2)前記ウォーターポンプを介して前記採掘筒内の液体を外側に排出させて採掘筒の内圧を下げ、採掘筒が圧力差の作用下で沈下し、前記採掘筒は出砂防止装置および気液リフトシステムを天然ガスハイドレート貯留層および/または、天然ガスハイドレートとフリーガス混合層および/または、フリーガス層に運ぶステップ、
(3)気液リフトシステムを介して、前記採掘筒と前記出砂防止装置で形成された空洞内の液体および/またはガスを汲み上げ、空洞内部の圧力を下げることで、周囲の地層圧力を下げ、周囲地層中の天然ガスハイドレートの分解を促進し、分解によって形成された水と天然ガスは、圧力差の作用下で出砂防止装置を通って空洞に入り、したがって液体と天然ガスを同時に汲み上げ、液体を海底または海面処理システムに汲み上げ、ガスを海面処理システムに汲み上げて、天然ガスハイドレートの採掘を実現し;一定の範囲内の天然ガスハイドレート採掘を終え、またはガス生産効率が一定の値に低下すると、気液の汲み上げを停止し、前記ウォーターポンプを介して採掘筒内に水を圧送し、採掘筒の内圧が筒外の圧力よりも高くなり、採掘筒が圧力差の作用およびアンカー索システムの吊り上げ作用下で、泥線より上に上昇することで、採掘筒を回収するか、または新しい採掘区域に移して採掘し続けるステップ。
【0044】
上記採掘装置の第2の実施形態を利用する採掘方法の好ましい実施例2は、以下のステップ(1)~(3)を含む。
(1)採掘区域を選択し、海面支援システム、アンカー索システムの支援下で、採掘筒を吊り下ろし、海底に係留させるステップ、
(2)前記ウォーターポンプを介して前記採掘筒内の液体を外側に排出させて採掘筒の内圧を下げ、採掘筒が圧力差の作用下で沈下し、採掘筒の沈下を制御する過程で、ジェットドリルシステムにより採掘筒内の岩体を破砕して筒外側に排出し;前記採掘筒は出砂防止装置および気液リフトシステムを天然ガスハイドレート貯留層および/または、天然ガスハイドレートとフリーガス混合層および/または、フリーガス層に運ぶステップ、
(3)採掘筒が地層中の所定の位置に沈め、採掘筒の内部空間内の地層を筒から取り除いた後、固化材料を噴射して筒底を封止することで、閉鎖底部を形成するようにジェットシステムを制御し;封止を終え後で採掘する時、泥水ポンプは、リフト動力装置として空洞内の液体を泥水排出管から排出し、空洞内部の圧力を下げることで、周囲の地層圧力を下げ、周囲地層中の天然ガスハイドレートの分解を促進し、分解によって形成された水と天然ガスは、圧力差の作用下で出砂防止装置を通って空洞に入ることで、空洞内の液体を海底または海面処理システムに汲み上げ、ガスがガス輸送管で上方に向かって移動されて海面処理システムに入り、天然ガスハイドレートの採掘を実現する。
【0045】
ハイドレート貯留層の厚さが比較的大きい場合は、多段で採掘でき、筒内の液体をポンプで出し入れすることで、採掘筒を上下に移動するよう制御でき、それにより下から上または上から下に多段採掘する。
【0046】
ハイドレート貯留層直上の地層が比較的軟らかい場合は、ステップ(2)とステップ(3)との間にジェット流注入システムを利用して採掘筒の上側および/または周囲に二酸化炭素を注入し、二酸化炭素と周囲の水が二酸化炭素水和物を形成し、地層の安定性を向上させることができる。
【0047】
気液リフトシステムのオン/オフを制御することにより、空洞内の水圧を制御でき、生産速度を調整し、生産能力を安定させるため、所定の圧力まで一度減圧でき、段階的に数回減圧することもできる。気液リフトシステムを断続的にオンにして断続的な採掘を選択でき;貯留層の温度が低すぎる場合、温度が再び上昇すると、採掘効率を向上させることができる。
【0048】
前記ジェット流注入システムおよび膨張ブラダー閉鎖システムの協働により、採掘範囲で水圧破砕を実施して天然ガスハイドレート貯留層に亀裂を生じさせ、採掘効率がさらに向上する。
【0049】
膨張ブラダー閉鎖システムを起動して、水充填膨張ブラダー本体に注水して膨らせることで、天然ガスハイドレート貯留層と密着し、構造体の外周と周囲地層との間に水流路を閉鎖することで、ジェット流注入システムを介して周囲地層内に固体粒子を含む高圧水を注入し;高圧水の作用下で、天然ガスハイドレート貯留層に亀裂が発生し、そしてジェット流注入システムをオフにし;固体粒子は、亀裂に充填されて完全に閉じられないようにし、浸透通路を形成し、採掘効率のアップおよび採掘範囲の広げが可能である。
【0050】
複数の採掘装置が同時に採掘し、グループ採掘を形成し、各採掘装置で収集された天然ガスを中継ステーションで収集された後、一緒に海面処理システムに汲み上げる。
【0051】
グループ採掘の時、隣り合う採掘装置の間の協働により水圧破砕増産することができ、隣り合う採掘装置の間の協働により加熱増産することもでき、すなわち一部の採掘装置が天然ガスハイドレート貯留層を加熱し、隣り合う別の部分の装置が採掘し、互いに交代することもできる。
【0052】
本発明で開示される上記の技術的手段のいずれかで位置関係または形状を示すための用語は、それに近似する、類似する、またはそれに近い状態あるいは形状を含む。以上の実施例は、本発明の技術的手段を説明するためにのみ使用され、それを限定するものではない。本発明の技術的手段の精神から逸脱することなく、本発明の具体的実施形態を修正するか、または一部の技術的特徴を均等範囲内で置き換えるのはすべて、本発明の保護を求める技術的手段の範囲内に網羅される。
【符号の説明】
【0053】
101 伸縮ブーム
102 泥水ポンプ
103 ドリルヘッド
104 ジェットシステム
105 泥水排出管
106 閉鎖底部
107 船舶
108 アンカー索システム
1 採掘筒
11 穴あき管壁
12 透水性支持部材
13 透水性開口部とキャップ
14 連結部材
2 ウォーターポンプ
3 出砂防止装置
31 空洞
41 リフト動力装置
42 気液分離装置
51 水輸送管
52 ガス輸送管
61 ジェット流注入システムの配管
62 ジェット流注入システムの噴射口
71 水充填膨張ブラダー本体
81 電磁誘導コイル
91 拡張採掘システムのボーリングロッド
92 拡張採掘システムの電動シリンダまたは油圧シリンダ
931 ボーリングロッドの透水管壁
932 ボーリングロッドの出砂防止装置
933 ボーリングロッドの水流路
A 天然ガスハイドレート直上地層
B 天然ガスハイドレート貯留層
C 天然ガスハイドレート貯留層直下のフリーガス層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2021-11-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海域天然ガスハイドレートの筒式採掘装置であって、海底下の地層に沈むことができる採掘筒と、ウォーターポンプと、出砂防止装置と、気液リフトシステムと、を備え、
前記採掘筒は、頂板と、垂直筒壁と、を備え、上側が閉鎖され、下側が開放された円筒状構造であり;前記ウォーターポンプは、筒体の内部空洞に連通され、前記ウォーターポンプを介して前記採掘筒内の液体を外部へ排出して前記採掘筒内の圧力を下げることで、地層中の前記採掘筒の沈下を制御して前記出砂防止装置および前記気液リフトシステムを海底下の天然ガスハイドレート貯留層および/または、天然ガスハイドレートとフリーガス混合層および/または、フリーガス層に運び;
前記採掘筒と前記出砂防止装置の組み合わせで少なくとも1つの空洞が形成され、前記出砂防止装置は液体および/またはガスが通過して前記空洞に入ることを可能にし、また土砂をろ過し;前記空洞は、少なくとも1つの通路に連通され;
前記気液リフトシステムは、少なくとも1つリフト動力装置を備え;前記気液リフトシステムの一端は前記空洞に接続され、他端が海面処理システムに接続されて、前記空洞内の液体および/またはガスを汲み上げ;汲み上げながら前記空洞の内圧を下げることで、周囲の地層圧力を下げ、天然ガスハイドレートの分解を促進し、分解によって形成された水と天然ガスは、圧力差の作用下で前記出砂防止装置を通って前記空洞に入り、したがって汲み上げて天然ガスハイドレートの採掘を実現
前記通路は、水輸送管と、ガス輸送管と、を備え;前記水輸送管の一端は、前記リフト動力装置に接続され、他端が前記採掘筒の上部に接続され;前記ガス輸送管の一端は、前記空洞に接続され、他端が前記採掘筒の上部に接続することで、ガスを収集し;地層の圧力と重力の作用下で、地層流体が前記空洞に入り、前記空洞内の液体が下方に向かって移動し、前記リフト動力装置は、前記空洞内の液体を前記水輸送管に圧入すると共に汲み上げ;前記空洞内のガスは、前記ガス輸送管を通って上方に移動し;前記リフト動力装置は、電動ポンプであり、前記電動ポンプが電動水中遠心ポンプ、電動水中スクリューポンプ、泥水ポンプまたはこれらの組み合わせであり、
前記空洞は前記採掘筒の前記垂直筒壁外側又は前記採掘筒の内部空間に設けられ、
前記空洞は、前記採掘筒の前記垂直筒壁外側に設けられる時;前記採掘筒は、開口部を設けた穴あき管壁を有し;前記出砂防止装置は、前記開口部内に設けられ、および/または前記開口部を覆い;前記穴あき管壁は、透水・保護機能を備え、液体およびガスを通過させ、前記出砂防止装置を地層圧力および流体侵食から保護し;ガスと液体は、前記穴あき管壁および前記出砂防止装置を通って前記垂直筒壁外側の前記空洞に入り、
前記空洞は、前記採掘筒の内部空間に設けられる時、前記内部空間内の地層がジェットドリルシステムによって筒から取り除かれ、前記採掘筒の頂板、前記垂直筒壁および前記閉鎖底部の内部によって前記空洞を形成し;前記垂直筒壁の下部位置に開口部が設けられ、前記出砂防止装置は前記開口部内に設けられ、および/または前記開口部を覆い;前記位置の垂直井壁は、透水・保護機能を備え、液体およびガスを通過させ、前記出砂防止装置を地層圧力および流体侵食から保護し;ガスと液体は、前記垂直井壁および前記出砂防止装置を通って前記採掘筒の前記内部空間に設けられた前記空洞に入る
ことを特徴とする海域天然ガスハイドレートの筒式採掘装置。
【請求項2】
前記ジェットドリルシステムは、前記頂板の下側に固定された伸縮ブームと、ドリルヘッドと、ジェットシステムと、泥水ポンプ輸送システムと、を備え;前記伸縮ブームは、前記ドリルヘッド、前記ジェットシステムの下端および前記泥水ポンプ輸送システムの下端を上下に移動させることができる伸縮端を有し;前記ドリルヘッドは、前記伸縮端の下端に固定され、前記ジェットシステムが前記伸縮ブームを通って前記ドリルヘッドまで延びる噴射管を備え;前記ドリルヘッドおよび前記ジェットシステムは、前記採掘筒の前記内部空間内の地層を岩片に破砕することができ;前記泥水ポンプ輸送システムは、岩片を前記採掘筒の外部に圧送するために用いられ、前記伸縮端に固定された泥水ポンプを備え、前記泥水ポンプの吐出口には前記採掘筒の前記頂板上部に延びる泥水排出管を有し;前記採掘筒が地層中の所定の位置に沈め、前記採掘筒の前記内部空間内の地層を筒から取り除いた後、固化材料を噴射して筒底を封止することで、閉鎖底部を形成するように前記ジェットシステムを制御し;前記泥水ポンプは、前記リフト動力装置として前記空洞内の液体を前記泥水排出管から排出し、前記空洞内のガスが前記ガス輸送管を介して上方に向かって移動される
請求項に記載の海域天然ガスハイドレートの筒式採掘装置。
【請求項3】
前記採掘装置は、噴射ポンプと、採掘筒に埋め込まれた配管と、前記採掘筒の外面に配置された噴射口と、を備えたジェット流注入システムをさらに含み、各前記噴射口が前記噴射管に連通され、前記噴射ポンプが前記噴射管を介して前記噴射口から水、温海水、二酸化炭素、または化学抑制剤を地層に噴射する
請求項1に記載の海域天然ガスハイドレートの筒式採掘装置。
【請求項4】
前記採掘装置は、水充填膨張ブラダー本体と、注水システムと、を備えた膨張ブラダー閉鎖システムをさらに含み、前記注水システムが前記水充填膨張ブラダー本体に注水し、前記水充填膨張ブラダー本体がリング状を呈し、前記採掘筒の外周上部に固定され、前記水充填膨張ブラダー本体が注水された後、前記天然ガスハイドレート貯留層に密着される
請求項1に記載の海域天然ガスハイドレートの筒式採掘装置。
【請求項5】
前記採掘装置は、電磁誘導コイルと、電磁加熱コントローラと、を備えた補助加熱システムをさらに含み、前記電磁誘導コイルが前記採掘筒の筒体を取り囲み、前記電磁加熱コントローラが前記電磁誘導コイルを制御して、前記採掘筒を発熱させることで、前記天然ガスハイドレート貯留層を大規模に加熱する
請求項1に記載の海域天然ガスハイドレートの筒式採掘装置。
【請求項6】
前記採掘装置は、拡張採掘システムをさらに含み、前記拡張採掘システムが採掘筒の底部に固定された垂直ボーリングロッドであり、前記ボーリングロッドが透水管壁と、透水管壁内の出砂防止装置と、前記出砂防止装置の中央部に位置する水流路で構成され;前記ボーリングロッドの潜行深度は、前記採掘筒の深さよりも深いため、より深い所の地層流体を前記空洞に導き、採掘範囲および効率を高めることができ;前記ボーリングロッドには、電動シリンダまたは油圧シリンダを装備して前記ボーリングロッドの上下移動を駆動することもできる
請求項1に記載の海域天然ガスハイドレートの筒式採掘装置。
【請求項7】
請求項1ないしのいずれかに記載の採掘装置を利用し、以下のステップ(1)~ステップ(3):
(1)採掘区域を選択し、海面輸送船で採掘筒を採掘海域に曳航し、アンカー索で吊り下ろして海底に係留させるステップ、
(2)ウォーターポンプを介して前記採掘筒内の液体を外側に排出させて前記採掘筒の内圧を下げ、前記採掘筒が圧力差の作用下で沈下し、前記採掘筒は出砂防止装置および気液リフトシステムを天然ガスハイドレート貯留層および/または、天然ガスハイドレートとフリーガス混合層および/または、フリーガス層に運ぶステップ、
(3)前記気液リフトシステムを介して、前記採掘筒と前記出砂防止装置で形成された空洞内の液体および/またはガスを汲み上げ、前記空洞内部の圧力を下げることで、周囲の地層圧力を下げ、周囲地層中の天然ガスハイドレートの分解を促進し、分解によって形成された水と天然ガスは、圧力差の作用下で前記出砂防止装置を通って前記空洞に入り、したがって液体と天然ガスを前記採掘筒の外部に汲み上げて天然ガスハイドレートの採掘を実現するステップ
を含む
ことを特徴とする海域天然ガスハイドレートの井筒式採掘方法。
【請求項8】
前記空洞が前記採掘筒の内部空間に設けられている場合、前記採掘筒の沈下を制御する過程で、ジェットドリルシステムにより前記採掘筒内の岩体を破砕して筒外側に排出し;前記採掘筒が地層中の所定の位置に沈め、前記採掘筒の前記内部空間内の地層を筒から取り除いた後、固化材料を噴射して筒底を封止することで、閉鎖底部を形成するように前記ジェットシステムを制御し;封止を終え後で採掘する時、泥水ポンプは、リフト動力装置として前記空洞内の液体を泥水排出管から排出し、前記空洞内のガスがガス輸送管を介して上方に向かって移動される
請求項に記載の海域天然ガスハイドレートの井筒式採掘方法。
【請求項9】
一定の範囲内の天然ガスハイドレート採掘を終え、またはガス生産効率が一定の値に低下すると、気液の汲み上げを停止し、前記ウォーターポンプを介して前記採掘筒内に水を圧送し、前記採掘筒の内圧が筒外の圧力よりも高くなり、前記採掘筒が圧力差の作用およびアンカー索システムの吊り上げ作用下で、泥線より上に上昇することで、前記採掘筒を回収するか、または新しい採掘区域に移して採掘し続ける
請求項に記載の海域天然ガスハイドレートの井筒式採掘方法。
【国際調査報告】