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特表2023-500002海域天然ガスハイドレートの侵入式採掘装置および採掘方法
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  • 特表-海域天然ガスハイドレートの侵入式採掘装置および採掘方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-04
(54)【発明の名称】海域天然ガスハイドレートの侵入式採掘装置および採掘方法
(51)【国際特許分類】
   E21B 43/00 20060101AFI20221222BHJP
   E21C 50/00 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
E21B43/00 A
E21C50/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021513455
(86)(22)【出願日】2021-01-04
(85)【翻訳文提出日】2021-03-10
(86)【国際出願番号】 CN2021070114
(87)【国際公開番号】W WO2022126802
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】202011499869.7
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519113491
【氏名又は名称】福州大学
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】呉 学震
(72)【発明者】
【氏名】蒋 宇静
(72)【発明者】
【氏名】李 大勇
【テーマコード(参考)】
2D065
【Fターム(参考)】
2D065FA12
2D065FA21
2D065FA31
2D065FA35
(57)【要約】
【課題】 海域天然ガスハイドレートの侵入式採掘装置およびその採掘方法を提供すること。
【解決手段】 海域天然ガスハイドレートの侵入式採掘装置およびその採掘方法に関し、侵入式構造体と、出砂防止装置と、気液リフトシステムと、を備え、前記侵入式構造体は重力アンカーであり、出砂防止装置および気液リフトシステムが侵入式構造体に取り付けられ、侵入式構造体と出砂防止装置との間に少なくとも1つの空洞が形成され、前記空洞は少なくとも1つの通路に連通され、前記侵入式構造体と出砂防止装置との間に少なくとも1つの空洞が形成され、前記空洞は少なくとも1つの通路に連通され、前記出砂防止装置は液体およびガスが通過して前記空洞に入ることを可能にし、また土砂をろ過し、気液リフトシステムは少なくとも1つリフト動力装置を備え、気液リフトシステムの一端が空洞に接続され、他端が管路を介して外部に出力する。この装置は、坑井掘削を必要とせず、侵入式構造体を利用して、天然ガスハイドレート貯留層または天然ガスハイドレート貯留層直下のフリーガス層に入り、減圧採掘および採掘システムの回収を実現でき、天然ガスハイドレートの採掘コストを大幅に削減できる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海域天然ガスハイドレートの侵入式採掘装置であって、侵入式構造体と、出砂防止装置と、気液リフトシステムと、を備え;
前記侵入式構造体は、重力アンカーであり、前記出砂防止装置および前記気液リフトシステムが前記侵入式構造体に取り付けられ;前記侵入式構造体は、海中に沈む過程で主に重力によって比較的大きな速度を生じ、前記気液リフトシステムおよび前記出砂防止装置を天然ガスハイドレート貯留層および/または、天然ガスハイドレートとフリーガス混合層および/または、フリーガス層に送り込み;
前記侵入式構造体と前記出砂防止装置との間に少なくとも1つの空洞が形成され、前記空洞は少なくとも1つの通路に連通され;前記出砂防止装置は、液体およびガスが通過して前記空洞に入ることを可能にし、また土砂をろ過し;
前記気液リフトシステムは、少なくとも1つリフト動力装置を備え;前記気液リフトシステムの一端は前記空洞に接続され、他端が管路を介して外部に出力し、前記空洞内の液体および/またはガスを汲み上げ;汲み上げながら前記空洞の内圧を下げることで、周囲の地層圧力を下げ、天然ガスハイドレートを天然ガスと水に分解するよう促進し、天然ガスと水は、圧力差の作用下で前記出砂防止装置を通って前記空洞に入り、したがって汲み上げて天然ガスハイドレートの採掘を実現する
ことを特徴とする海域天然ガスハイドレートの侵入式採掘装置。
【請求項2】
前記通路は、水輸送管と、ガス輸送管と、を備え、前記水輸送管の一端が前記リフト動力装置に接続され、他端が管路を介して外部に出力し、前記ガス輸送管の一端が前記空洞に接続され、他端が管路を介して外部に出力することで、ガスを収集し;地層の圧力と重力の作用下で、地層流体が前記空洞に入り、前記空洞内の液体が下方に向かって移動し、前記リフト動力装置は、前記空洞内の液体を前記水輸送管に圧入すると共に汲み上げ;前記空洞内のガスは、前記ガス輸送管を通って上方に移動する
請求項1に記載の海域天然ガスハイドレートの侵入式採掘装置。
【請求項3】
前記リフト動力装置は、前記空洞内に設置された電動ポンプであり、前記電動ポンプが電動水中遠心ポンプ、電動水中スクリューポンプまたは泥水ポンプであり、前記空洞内に電動遠心ポンプを設置し、前記電動ポンプの入力側が気液分離器の液体出口に接続され、前記電動ポンプの吐出口が水輸送管に接続される
請求項2に記載の海域天然ガスハイドレートの侵入式採掘装置。
【請求項4】
前記侵入式構造体は、上から下へ順に連結された連結部材と、本体部材と、頭部部材と、を備え、前記連結部材がアンカー索に連結され、前記頭部部材が円錐状または円弧キャップ状を呈し、前記本体部材が柱状を呈し、少なくとも1つの穴あき管壁を備え、前記穴あき管壁の内側には空洞が設けられ、前記穴あき管壁に前記空洞に連通する開口部が設けられ;前記出砂防止装置は、前記開口部内に設けられ、および/または前記開口部を覆い、前記本体部材の上端外周に複数の側翼板が均等に配置され、前記穴あき管壁は透水・保護機能を備え、液体およびガスを通過させ、前記出砂防止装置を地層圧力および流体侵食から保護し;ガスと液体は、前記穴あき管壁および前記出砂防止装置を通って空洞に入る
請求項1に記載の海域天然ガスハイドレートの侵入式採掘装置。
【請求項5】
前記出砂防止装置は、出砂防止スクリーンメッシュ、出砂防止スクリーンパイプ、機械的スクリーンパイプ、礫出砂防止層または柔軟な織物出砂防止材料層である
請求項4に記載の海域天然ガスハイドレートの侵入式採掘装置。
【請求項6】
前記侵入式構造体上には、前記侵入式構造体に埋め込まれたジェットパイプと、前記侵入式構造体の外面に配置された複数の噴射口と、を備えたジェット流注入システムが設けられ、各前記噴射口が前記ジェットパイプに連通され、前記ジェットパイプの入口が管路を介して外部の高圧源に接続されている
請求項4に記載の海域天然ガスハイドレートの侵入式採掘装置。
【請求項7】
前記侵入式構造体には、充水充填膨張ブラダー本体と、前記空洞内に設けられた電磁弁付き注水管路と、を備えた膨張ブラダー閉鎖システムが設けられ、前記充水充填膨張ブラダー本体がリング状を呈し、前記侵入式構造体の外周上部に固定され、前記注水管路の一端が前記電動ポンプに接続され、他端が前記充水充填膨張ブラダー本体に接続され、前記水充填膨張ブラダー本体に注水された後、天然ガスハイドレート貯留層と密着し、前記注水管路は前記電動ポンプを注水動力として利用し、一部の地層流体を前記水充填膨張ブラダー本体に注入し、いくつかの地質条件下で、前記自己侵入構造の外周と周囲地層との間に水流路が存在する可能性があり、その水とガスの流動は前記空洞内の減圧採掘効果に影響を与える可能性があり、前記膨張ブラダー閉鎖システムは上述の影響を軽減できる
請求項4に記載の海域天然ガスハイドレートの侵入式採掘装置。
【請求項8】
前記侵入式構造体の内壁には、電気加熱装置が設置されている
請求項4に記載の海域天然ガスハイドレートの侵入式採掘装置。
【請求項9】
前記侵入式構造体内の下端にボーリングロッドを垂直に取り付けるか、または前記空洞内の下端に垂直の穴部を設け、前記穴部内に前記ボーリングロッドが設けられ、前記侵入式構造体内に電動伸縮ロッドが取り付けられ、前記ボーリングロッドが前記電動伸縮ロッドの末端に取り付けられ;前記ボーリングロッドは、開口部を設けた透水管壁を備え、前記透水管壁内に出砂防止装置が設置され、前記出砂防止装置内の中央部に流路が設けられ、前記流路が前記空洞に連通し、前記ボーリングロッドの潜行深度は前記侵入式構造体の深さよりも深いため、より深い所の地層流体を前記空洞に導き、採掘範囲および効率を高めることができる
請求項4に記載の海域天然ガスハイドレートの侵入式採掘装置。
【請求項10】
請求項4に記載の海域天然ガスハイドレートの侵入式採掘装置を用いた採掘方法であって、
以下のステップ(1)~(3):
(1)採掘区域を選択し、採掘装置を配置するステップ、
(2)海底上側の一定の距離から侵入式構造体を吊り下ろし、侵入式構造体は気液リフトシステムおよび出砂防止装置を天然ガスハイドレート貯留層および/または、天然ガスハイドレートとフリーガス混合層および/または、フリーガス層に送り込むステップ、
(3)気液リフトシステムを介して空洞内の液体を汲み上げ、空洞内部の圧力を下げることで、周囲の地層圧力を下げ、周囲地層中の天然ガスハイドレートの分解を促進し、分解された天然ガスと水は、圧力差の作用下で引き続き空洞に入り、したがって液体と天然ガスを同時に汲み上げるステップ
を含む
ことを特徴とする海域天然ガスハイドレートの侵入式採掘装置を用いた採掘方法。
【請求項11】
天然ガスハイドレートの採掘過程で、一定の範囲内の天然ガスハイドレート採掘を終え、またはガス生産効率が一定の値に低下すると、ハイドレート貯留層の厚さが比較的大きい場合は、侵入式構造体を徐々に吊り上げることで、天然ガスハイドレート貯留層を下から上に徐々採掘することを実現し;または地層中に位置する侵入式構造体を引き出して、採掘装置を回収するか、または新しい採掘区域に移して上記ステップ(2)~(3)を続行する
請求項10に記載の海域天然ガスハイドレートの侵入式採掘装置を用いた採掘方法。
【請求項12】
ステップ(2)の後に、膨張ブラダー閉鎖システムを起動して、水充填膨張ブラダー本体に注水して膨らせることで、天然ガスハイドレート貯留層と密着し、侵入式構造体の外周と周囲地層との間に水流路を閉鎖することで、ジェット流注入システムを介して周囲地層内に固体粒子を含む高圧水を注入し;高圧水の作用下で、天然ガスハイドレート貯留層に亀裂が発生し、そしてジェット流注入システムをオフにし;固体粒子は、亀裂に充填されて完全に閉じられないようにし、浸透通路を形成し、採掘効率のアップおよび採掘範囲の広げが可能である
請求項10に記載の海域天然ガスハイドレートの侵入式採掘装置を用いた採掘方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海域天然ガスハイドレートの侵入式採掘装置および採掘方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天然ガスハイドレートは、高い採掘潜在力と資源価値を有するグリーンエネルギーである。現在、減圧法と減圧法に基づく改善案は、海域での天然ガスハイドレートの産業化試験採掘を実現するための最善の方法であり、他の方法が主に減圧法のガス増産またはガス生産安定化のための補助手段として使用されていると一般的に考えられている。
【0003】
天然ガスハイドレート採掘の具体的実施に関して、従来の採掘方法は、坑井掘削法と表層採掘に分けることができる。坑井掘削法による採掘とは、ドリルシップリグで深海の海底に井戸を掘削し、井筒内の圧力を下げて減圧または固体流動化採掘することを意味する。この方法は、海底から10m~500mの深いところに存在する天然ガスハイドレートの採掘を実現できる。表面採掘法とは、採掘機械や装置を海底の表面に直接下ろして、塊状の天然ガスハイドレートを直接収集するか、保護カバーを介して部分的に減圧して天然ガスに変換することを意味し、主に海底下数メートルの深度内の天然ガスハイドレートの採掘に用いられる。
【0004】
坑井掘削技術に基づく関連採掘方法は、次の通り挙げられる。(1)坑井掘削減圧採掘法:「非特許文献1」、「特許文献1」、「特許文献2」、「特許文献3」など。(2)坑井掘削固体流動化採掘法:「非特許文献2」、「特許文献4」および「特許文献5」。
【0005】
現在、世界では、日本での2回の坑井掘削減圧法、中国での2回の坑井掘削減圧法および1回の坑井掘削固体流動化法などを含む海域天然ガスハイドレート試験採掘実施に成功した事例は、いずれも坑井掘削技術を使用している。しかし、井筒周辺の天然ガスハイドレートの分解により、貯留層の強度が大幅に低下し、大きな地層応力作用において出砂現象が生じたことにより、井筒が不安定になり、長期的に安定した採掘が困難になる。この問題は、国内外の海域天然ガスハイドレートの坑井掘削法による多くの試験採掘で現れていた。なお、坑井掘削技術に基づく採掘法で深海掘削船を使用する必要があり、レンタル料1日につき約700万人民元、掘削サイクルが30日で、コストが約2億人民元で、採掘された天然ガスの価値は、坑井掘削のコストをカバーするにはほど遠いため、現在商用化の採掘はまだ実現されていない。
【0006】
表面採掘理論に基づく関連技術は、次の通り挙げられる。(1)キャッピング減圧法:非特許文献3、特許文献6、特許文献7等の方法は、海底に設置された円錐形キャッピングのような装置で天然ガスハイドレートまたはその分解生成物を収集する。(2)機械収集法:特許文献8、特許文献9および特許文献10等の方法は、海底に設置された採掘機で塊状の天然ガスハイドレートを収集する。
【0007】
表面採掘理論に基づく関連技術は、まだ理論的模索段階にある。海底の表層に直接賦存する天然ガスハイドレートの割合が非常に少なく、賦存が分散しているため、期待される生産効率が低く、運用範囲が限られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】中国特許番号第CN107676058B号 「海洋天然ガスハイドレートの泥水置換採掘および採掘装置」
【特許文献2】中国特許番号第「CN109763794B号 「海洋ハイドレート多分岐水平井戸減圧加熱複合採掘法」
【特許文献3】中国特許番号第CN101672177B号 「海底天然ガスハイドレート採掘法」
【特許文献4】中国特許番号第「CN106939780B号 「海底浅層非成層岩天然ガスハイドレートの固体流動化採掘装置および方法」
【特許文献5】中国特許番号第CN110700801B号 「天然ガスハイドレート固体流動化採掘などのための自動ジェット破砕工具など」
【特許文献6】中国特許番号第CN105781497A号 「海底天然ガスハイドレート採取装置」
【特許文献7】中国特許番号第CN111648749A号 「天然ガスハイドレートの移動ライザーパイプ型採掘システムおよび採掘方法」
【特許文献8】中国特許番号第CN103628880B号 「深海海底浅層非成層岩地層における天然ガスハイドレートのグリーン採掘システム」
【特許文献9】中国特許番号第CN104265300B号 「海底表層における天然ガスハイドレート採掘方法および採掘装置」
【特許文献10】中国特許番号第CN104948143B号 「海底表層における天然ガスハイドレート採掘方法および採掘装置」
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】「葉建良ら、中国南シナ海における天然ガスハイドレート第2回試験採掘の主要進展、中国地質、2020」
【非特許文献2】「周守為ら、世界初の海洋ガスハイドレート固体流動化試験採掘工程パラメータ最適化設計、天然ガス産業、2017年」
【非特許文献3】「黎偉ら、天然ガスハイドレートキャッピング減圧装置の採掘メカニズムに関する研究、応用力学学報、2020」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来の坑井掘削減圧法の採掘技術に存在する問題点を改善し、海域天然ガスハイドレートが通常粘土質シルトまたは泥質堆積物中に賦存するという特徴に基づいて海域天然ガスハイドレートの侵入式採掘装置およびその採掘方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するために以下のような技術的手段を講じた。
海域天然ガスハイドレートの侵入式採掘装置であって、侵入式構造体と、出砂防止装置と、気液リフトシステムと、を備え;
前記侵入式構造体は、重力アンカーであり、出砂防止装置および気液リフトシステムが侵入式構造体に取り付けられ;
前記侵入式構造体と出砂防止装置との間に少なくとも1つの空洞が形成され、前記空洞は少なくとも1つの通路に連通され;
前記気液リフトシステムは、少なくとも1つリフト動力装置を備え;気液リフトシステムの一端は前記空洞に接続され、他端が管路を介して外部に出力することを特徴とする。
【0012】
さらに、前記通路は、水輸送管と、ガス輸送管と、を備え、水輸送管の一端がリフト動力装置に接続され、他端が管路を介して外部に出力し、ガス輸送管の一端が空洞に接続され、他端が管路を介して外部に出力する。
【0013】
さらに、前記リフト動力装置は、空洞内に設置された電動ポンプであり、前記電動ポンプが電動水中遠心ポンプ、電動水中スクリューポンプまたは泥水ポンプであり、前記空洞内に電動遠心ポンプを設置し、電動ポンプの入力側が気液分離器の液体出口に接続され、電動ポンプの吐出口が水輸送管に接続される。
【0014】
さらに、前記侵入式構造体は、上から下へ順に連結された連結部材と、本体部材と、頭部部材と、を備え、連結部材がアンカー索に連結され、頭部部材が円錐状または円弧キャップ状を呈し、本体部材が柱状を呈し、少なくとも1つの穴あき管壁を備え、穴あき管壁の内側には空洞が設けられ、穴あき管壁に空洞に連通する開口部が設けられ;出砂防止装置は、開口部内に設けられ、および/または開口部を覆い、本体部材の上端外周に複数の側翼板が均等に配置される。
【0015】
さらに、前記出砂防止装置は、出砂防止スクリーンメッシュ、出砂防止スクリーンパイプ、機械的スクリーンパイプ、礫出砂防止層または柔軟な織物出砂防止材料層である。
【0016】
さらに、前記侵入式構造体上には、侵入式構造体に埋め込まれたジェットパイプと、侵入式構造体の外面に配置された複数の噴射口と、を備えたジェット流注入システムが設けられ、各噴射口がジェットパイプに連通され、ジェットパイプの入口が管路を介して外部の高圧源に接続されている。
【0017】
さらに、前記侵入式構造体には、充水充填膨張ブラダー本体と、空洞内に設けられた電磁弁付き注水管路と、を備えた膨張ブラダー閉鎖システムが設けられ、充水充填膨張ブラダー本体がリング状を呈し、侵入式構造体の外周上部に固定され、注水管路の一端が電動ポンプに接続され、他端が充水充填膨張ブラダー本体に接続される。
【0018】
さらに、前記侵入式構造体の内壁には、電気加熱装置が設置されている。
【0019】
さらに、前記侵入式構造体内の下端にボーリングロッドを垂直に取り付けるか、または空洞内の下端に垂直の穴部を設け、穴部内にボーリングロッドが設けられ、侵入式構造体内に電動伸縮ロッドが取り付けられ、ボーリングロッドが電動伸縮ロッドの末端に取り付けられ;前記ボーリングロッドは、開口部を設けた透水管壁を備え、透水管壁内に出砂防止装置が設置され、出砂防止装置内の中央部に流路が設けられ、流路が空洞に連通する。
【0020】
海域天然ガスハイドレートの侵入式採掘装置の採掘方法であって、以下のステップ(1)~(3)を含む。
(1)採掘区域を選択し、採掘装置を配置するステップ、
(2)海底上側の一定の距離から侵入式構造体を吊り下ろし、侵入式構造体は気液リフトシステムおよび出砂防止装置を天然ガスハイドレート貯留層および/または、天然ガスハイドレートとフリーガス混合層および/または、フリーガス層に送り込むステップ、
(3)気液リフトシステムを介して空洞内の液体を汲み上げ、空洞内部の圧力を下げることで、周囲の地層圧力を下げ、周囲地層中の天然ガスハイドレートの分解を促進し、分解された天然ガスと水は、圧力差の作用下で引き続き空洞に入り、したがって液体と天然ガスを同時に汲み上げるステップ。
【0021】
さらに、天然ガスハイドレートの採掘過程で、一定の範囲内の天然ガスハイドレート採掘を終え、またはガス生産効率が一定の値に低下すると、ハイドレート貯留層の厚さが比較的大きい場合は、侵入式構造体を徐々に吊り上げることで、天然ガスハイドレート貯留層を下から上に徐々採掘することを実現し;または地層中に位置する侵入式構造体を引き出して、採掘装置を回収するか、または新しい採掘区域に移して上記ステップ(2)~(3)を続行する。
【0022】
さらに、ステップ(2)の後に、膨張ブラダー閉鎖システムを起動して、水充填膨張ブラダー本体に注水して膨らせることで、天然ガスハイドレート貯留層と密着し、侵入式構造体の外周と周囲地層との間に水流路を閉鎖することで、ジェット流注入システムを介して周囲地層内に固体粒子を含む高圧水を注入し;高圧水の作用下で、天然ガスハイドレート貯留層に亀裂が発生し、そしてジェット流注入システムをオフにし;固体粒子は、亀裂に充填されて完全に閉じられないようにし、浸透通路を形成し、採掘効率のアップおよび採掘範囲の広げが可能である。
【0023】
従来技術と比較して、本発明は、以下の有利な効果を有する。
坑井掘削を必要とせず、侵入式構造体を利用して、天然ガスハイドレート貯留層または天然ガスハイドレート貯留層直下のフリーガス層に入り、減圧採掘および採掘システムの回収を実現でき、従来の坑井掘削採掘方法における坑井掘削完了コストが非常に高く、地層の不安定性による井筒の容易な崩壊、地層圧力下での出砂防止構造の容易な破壊などの一連の難題が解決され、天然ガスハイドレートの採掘コストを大幅に削減することができるため、海域天然ガスハイドレートの商用化採掘にとって重要な意味を持つ。
【0024】
以下は、添付図面を参照しつつ本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】採掘装置の全体図である。
図2】侵入式構造体の構造模式図である。
図3】本体部材の第1実施形態の構造模式図である。
図4】本体部材の第2実施形態の構造模式図である。
図5】本体部材の第3実施形態の構造模式図である。
図6】ジェット流注入システムの構造模式図である。
図7】膨張ブラダー閉鎖システムの構造模式図である。
図8】電気加熱装置の設置構造模式図である
図9】ボーリングロッドの設置構造模式図である。
図10】ボーリングロッドの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下は、添付図面および具体的実施形態を参照しつつ本発明をさらに説明する。
【0027】
図1乃至図10に示すように、海域天然ガスハイドレートの侵入式採掘装置であって、侵入式構造体1と、出砂防止装置2と、気液リフトシステムと、を備え;
前記侵入式構造体は、重力アンカーであり、出砂防止装置および気液リフトシステムが侵入式構造体に取り付けられ;侵入式構造体は、海中に沈む過程で主に重力によって比較的大きな速度を生じ、前記気液リフトシステムおよび前記出砂防止装置を天然ガスハイドレート貯留層および/または、天然ガスハイドレートとフリーガス混合層および/または、フリーガス層に送り込み;
前記侵入式構造体と前記出砂防止装置との間に少なくとも1つの空洞21が形成され、前記空洞は少なくとも1つの通路に連通され;前記出砂防止装置は、液体およびガスが通過して前記空洞に入ることを可能にし、また土砂をろ過し;
前記気液リフトシステムは、少なくとも1つリフト動力装置31を備え;気液リフトシステムの一端は空洞に接続され、他端が管路を介して外部に出力し、空洞内の液体および/またはガスを汲み上げ;汲み上げながら空洞の内圧を下げることで、周囲の地層圧力を下げ、天然ガスハイドレートを天然ガスと水に分解するよう促進し、天然ガスと水は、圧力差の作用下で出砂防止装置を通って空洞に入り、したがって汲み上げて天然ガスハイドレートの採掘を実現することを特徴とする。
【0028】
本実施例において、前記通路は、水輸送管41と、ガス輸送管42と、を備え、水輸送管の一端がリフト動力装置に接続され、他端が管路を介して外部に出力し、ガス輸送管の一端が空洞に接続され、他端が管路を介して外部に出力することで、ガスを収集し;地層の圧力と重力の作用下で、地層流体が空洞に入り、空洞内の液体が下方に向かって移動し、リフト動力装置は、空洞内の液体を水輸送管に圧入すると共に汲み上げ;空洞内のガスは、ガス輸送管を通って上方に移動し、汲み上げながら空洞の内圧を下げることで、周囲の地層圧力を下げ、天然ガスハイドレートを天然ガスと水に分解するよう促進し、天然ガスと水は、圧力差の作用下で出砂防止装置を通って空洞に入り、したがって汲み上げて天然ガスハイドレートの採掘を実現する。
【0029】
本実施例において、前記リフト動力装置は、空洞内に設置された電動ポンプであり、前記電動ポンプが電動水中遠心ポンプ、電動水中スクリューポンプまたは泥水ポンプであり、前記空洞内に電動遠心ポンプを設置し、電動ポンプの入力側が気液分離器の液体出口に接続され、電動ポンプの吐出口が水輸送管に接続され;気液分離装置32は、液体とガスが空洞内で重力によって分離された後、液体とガスが二次分離し、ガスがリフト動力装置に入らないようにする役割を果たす。もちろん、出口は1つだけでもよく、液体とガスを同じパイプに一緒に汲み上げて出力した後、気液分離装置によって液体とガスを分離する。
【0030】
本実施例において、前記侵入式構造体は、上から下へ順に連結された連結部材と、本体部材11と、頭部部材13と、を備え、連結部材12がアンカー索54に連結され、頭部部材が円錐状または円弧キャップ状を呈し、侵入式構造体の沈下抵抗を減らすために用いられ、本体部材が柱状を呈し、少なくとも1つの穴あき管壁111を備え、穴あき管壁の内側には空洞が設けられ、穴あき管壁に空洞に連通する開口部が設けられ;出砂防止装置は、開口部内に設けられ、および/または開口部を覆い、本体部材の上端外周に複数の側翼板14が均等に配置され、側翼板が侵入式構造体の沈下姿勢を調整し、ぶれを減らすために用いられ;穴あき管壁は、透水・保護機能を備え、液体およびガスを通過させ、出砂防止装置を地層圧力および流体侵食から保護し;ガスと液体は、穴あき管壁および出砂防止装置を通って空洞に入る。
【0031】
図3に示すように、本体部材の第1の実施形態は、出砂防止装置が穴あき管壁の内壁を覆い、穴あき管壁に開口部を設け;図4に示すように、本体部材の第2の実施形態は、穴あき管壁に開口部を設け、出砂防止装置が開口部内に設けられ;図5に示すように、本体部材の第3の実施形態は、出砂防止装置が穴あき管壁の内壁を覆い、穴あき管壁に開口部を設け、かつ本体部材の全体的な構造強度を高めるため、空洞内に中央の重り114が設けられている。上記の3つの実施形態は、本発明の好ましい実施例であり、それらの本質を変えない他の実施形態もまた、本発明の保護範囲に網羅されるべきである。
【0032】
本実施例において、前記出砂防止装置は、出砂防止スクリーンメッシュ、出砂防止スクリーンパイプ、機械的スクリーンパイプ、礫出砂防止層または柔軟な織物出砂防止材料層、または上記の少なくとも2つを組み合わせて構成された複合出砂防止部材である。
【0033】
本実施例において、前記侵入式構造体上には、侵入式構造体に埋め込まれたジェットパイプ61と、侵入式構造体の外面に配置された複数の噴射口62と、を備えたジェット流注入システムが設けられ、各噴射口がジェットパイプに連通され、ジェットパイプの入口が管路を介して外部の高圧源に接続され、高圧源は海上プラットフォームまたは船舶に設置された噴射ポンプであり、噴射ポンプが噴射管を介して噴射口から水、温海水、二酸化炭素、または化学抑制剤を地層に噴射する。
【0034】
ジェット流注入システムは、次の役割を果たしている。(1)天然ガスハイドレートの分解範囲が不十分な場合、侵入式構造体周囲の貯留層に水を噴射し、そのウォーターカット作用が分解界面を増加し、採掘効率をアップでき;(2)天然ガスハイドレート貯留層の硬度が比較的大きい場合において、侵入式構造体が所定の深さに到達できないときは、侵入式構造体の下部に水を噴射し、そのウォーターカット作用が侵入式構造体をさらに潜行させることができ;(3)温海水または二酸化炭素、あるいは化学抑制剤を採掘範囲に注入して、天然ガスハイドレートの分解効率を向上でき;(4)注水は、採掘装置周囲の細砂を減らし、それによって浸透性を向上でき;(5)貯留層の上部に二酸化炭素を注入でき、二酸化炭素と周囲の水の固結が貯留層の上部地層強度を高めることで、貯留層の安定性を向上することができる。
【0035】
本実施例において、前記侵入式構造体には、充水充填膨張ブラダー本体と、空洞内に設けられた電磁弁付き注水管路と、を備えた膨張ブラダー閉鎖システムが設けられ、充水充填膨張ブラダー本体71がリング状を呈し、侵入式構造体の外周上部に固定され、注水管路の一端が電動ポンプに接続され、他端が充水充填膨張ブラダー本体に接続される。水充填膨張ブラダー本体に注水された後、天然ガスハイドレート貯留層と密着し、注水管路は、電動ポンプを注水動力として利用し、一部の地層流体を水充填膨張ブラダー本体に注入し、いくつかの地質条件下で、自己侵入構造の外周と周囲地層との間に水流路が存在する可能性があり、その水とガスの流動は空洞内の減圧採掘効果に影響を与える可能性があり、膨張ブラダー閉鎖システムは上述の影響を軽減でき;水を充填した後の水充填膨張ブラダー本体は、沈下通路内の流体干渉を防ぐために使用でき;膨張ブラダー閉鎖システムは、ジェット流注入システムと協働して水圧破砕して採掘範囲を広げることもできる。
【0036】
本実施例において、前記侵入式構造体の内壁には、電気加熱装置81が設置され、電気加熱装置は金属材料で作られた侵入式構造体を発熱させることで、天然ガスハイドレート貯留層を大規模に加熱し、天然ガスハイドレートの分解速度を上げ、ハイドレートの二次生成を防止することができる。電気加熱装置は、電磁誘導コイルおよび電磁加熱コントローラであり得、侵入式構造体が主に鋼材で構成される特徴を利用し、電磁誘導コイルが侵入式構造体を取り囲み、電磁加熱コントローラが電磁誘導コイルを制御して、侵入式構造体を発熱させ;この解決手段は、より高い熱変換と伝達効率を有する。在来型井筒内には大きな鋼構造がなく、電磁原理による天然ガスハイドレート貯留層の大規模な加熱をすることは困難である。
【0037】
本実施例において、前記侵入式構造体内の下端にボーリングロッド91を垂直に取り付けるか、または空洞内の下端に垂直の穴部を設け、穴部内にボーリングロッドが設けられ、侵入式構造体内に電動伸縮ロッド92が取り付けられ、ボーリングロッドが電動伸縮ロッドの末端に取り付けられ;前記ボーリングロッドは、開口部を設けた透水管壁911を備え、透水管壁内に出砂防止装置912が設置され、出砂防止装置内の中央部に流路913が設けられ、流路が空洞に連通する。ボーリングロッドの潜行深度は、侵入式構造体の深さよりも深いため、より深い所の地層流体を空洞に導き、採掘範囲および効率を高めることができる。
【0038】
本実施例において、採掘装置が動作しているとき、海面支援システム51、海面処理システム52、アンカー索係留システム53、電力供給システムおよび制御システムを備えた海上プラットフォームまたは船舶の補助を借りる必要があり;海面処理システムは、海面支援システムに設けられ、電動ポンプの吐出口が海面処理システムに接続され、かつ海面処理システムが例えば貯蔵タンクで、天然ガスハイドレートの粒子を収集、処理および保管するために用いられ;海面処理システムは、ガス乾燥装置、ガス圧縮装置、およびガス貯蔵タンクまたはガス輸送管が挙げられ;前記アンカー索係留システムは、侵入式構造体を天然ガスハイドレート貯留層までに吊り下ろすこと、および天然ガスハイドレートの採掘完了後侵入式構造体を抜き取るために用いられ;前記アンカー索係留システムは、索と、索制御装置と、を備え、索の一端が侵入式構造体の連結部材に連結され、他端が索制御装置に連結され;索制御装置は、海面支援システムに設けられ、索の投げと回収を制御でき;電力供給システムは、ケーブルを通じて各電気機器・部品に給電し、採掘作業に電力を供給し、制御システムが各装置の運転を制御し;なお、温度センサー、圧力センサー、水流量計およびガス流量計等の監視測定器を設けることもできる。
【0039】
海域天然ガスハイドレートの侵入式採掘装置の採掘方法であって、以下のステップ(1)~(3)を含む。
(1)採掘区域を選択し、採掘装置を配置するステップ、
(2)海底上側の一定の距離から侵入式構造体を吊り下ろし、侵入式構造体は気液リフトシステムおよび出砂防止装置を天然ガスハイドレート貯留層および/または、天然ガスハイドレートとフリーガス混合層および/または、フリーガス層に送り込むステップ、
(3)気液リフトシステムを介して空洞内の液体を汲み上げ、空洞内部の圧力を下げることで、周囲の地層圧力を下げ、周囲地層中の天然ガスハイドレートの分解を促進し、分解された天然ガスと水は、圧力差の作用下で引き続き空洞に入り、したがって液体と天然ガスを同時に汲み上げるステップ。
【0040】
本実施例において、天然ガスハイドレートの採掘過程で、一定の範囲内の天然ガスハイドレート採掘を終え、またはガス生産効率が一定の値に低下すると、ハイドレート貯留層の厚さが比較的大きい場合は、侵入式構造体を徐々に吊り上げることで、天然ガスハイドレート貯留層を下から上に徐々採掘することを実現し;または地層中に位置する侵入式構造体を引き出して、採掘装置を回収するか、または新しい採掘区域に移して上記ステップ(2)~(3)を続行する。
【0041】
本実施例において、ステップ(2)の後に、膨張ブラダー閉鎖システムを起動して、水充填膨張ブラダー本体に注水して膨らせることで、天然ガスハイドレート貯留層と密着し、侵入式構造体の外周と周囲地層との間に水流路を閉鎖することで、ジェット流注入システムを介して周囲地層内に固体粒子を含む高圧水を注入し;高圧水の作用下で、天然ガスハイドレート貯留層に亀裂が発生し、そしてジェット流注入システムをオフにし;固体粒子は、亀裂に充填されて完全に閉じられないようにし、浸透通路を形成し、採掘効率のアップおよび採掘範囲の広げが可能である。
【0042】
本実施例において、ハイドレート貯留層直上の地層が比較的軟らかい場合は、ステップ(2)とステップ(3)との間にジェット流注入システムを利用して侵入式構造体の上側および/または周囲に二酸化炭素を注入し、二酸化炭素と周囲の水が二酸化炭素水和物を形成し、地層の安定性を向上させることができる。
【0043】
本実施例において、気液リフトシステムのオン/オフを制御することにより、空洞内の水圧を制御でき、空洞内の圧力は、所定の採掘圧力に達するまで1回下げまたは数回下げることができ;採掘過程で、貯留層の温度が低すぎる場合は、気液リフトシステムを一時的に停止させ、温度が再び上昇すると、高効率の断続的な採掘を実現する。
【0044】
本実施例において、複数の採掘装置が同時に採掘し、グループ採掘を形成し、各採掘装置で収集された天然ガスを中継ステーションで収集された後、一緒に海上プラットフォームまたは船舶の処理システムに汲み上げ;隣り合う採掘装置の間の協働により水圧破砕増産することができ、隣り合う採掘装置の間の協働により加熱増産することもでき、すなわち一部の採掘装置が天然ガスハイドレート貯留層を加熱し、隣り合う別の部分の装置が採掘する。
【0045】
本発明の設計は、坑井を掘らないことを前提に、侵入式構造体によって気液リフトシステムの一部構造および出砂防止装置を海底面下の深い所の天然ガスハイドレート貯留層に送り込み、減圧採掘および採掘装置の回収を実現できる。従来技術と比較して、本発明は、次の有利な効果を有する。(1)施工過程では、深海掘削船を必要としないので、在来の深海坑井掘削の採掘方法における坑井掘削および坑井完成コストが高いという課題を解決する。(2)侵入式構造体の本体が高強度のプレハブ構造を採用し、本発明は在来のコンクリート井筒が地層圧力作用下で損傷や崩壊しやすい問題を克服し、在来のプレーンコンクリート井筒が地層圧力作用下で損傷や崩壊しやすい問題を克服し、かつ出砂防止装置が高強度のプレハブ構造の保護下で在来の井筒出砂破壊問題を徹底に解決する。(3)従来のキャッピング減圧法が海底表層のハイドレートしか採掘できず、採掘効率が低い制限性と比較して、本発明の侵入式構造体は採掘システムを海底面下の深い所の天然ガスハイドレート貯留層に運ぶことができ、かつ比較的高い有効採掘面積を有する。上記をまとめて、本発明は海底面下の深い所の天然ガスハイドレートの採掘コストを大幅に削減することができるため、海域天然ガスハイドレートの商用化採掘にとって重要な意味を持つ。
【0046】
本願は、互いに固結されている部品または構造部材を開示あるいは関与した場合、特に明記しない限り、固結は取り外し可能な固結(例えばボルトまたはネジによる接続))として理解でき、また取り外し不可能な固結(例えばリベット、溶接)として理解することもできる。もちろん、相互固結を一体構造(例えば鋳造工程の一体成形で製造されるもの)に置き換えることもできる(ただち、一体成形工程を明らかに使用できないものが除外)。
【0047】
なお、本発明の説明において、用語「縦方向」、「横方向」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」などが示した方位又は位置関係は、図面に基づいて示した方位又は位置関係であり、単に本発明を簡単に説明しやすくするためであり、示された装置又は部材が必ず特定の方位を有し、または特定の方位で構成され操作することと指示又は示唆するものではないので、本発明に対する限定と理解してはいけない。
【0048】
上記の好ましい実施例は、本発明の目的、技術的手段および利点をさらに詳細に説明した。上記は、本発明の好ましい実施形態に過ぎず、本発明を限定することを意図しないことを理解されたい。本発明の精神および原理の範囲から逸脱することなく、いかなる改変、均等範囲内での置換、改善なども、本発明の保護範囲に網羅される。
【符号の説明】
【0049】
1 侵入式構造体
11 本体部材
111 穴あき管壁
112 開口部内管壁
113 出砂防止装置の穴あき管壁を固定するための端部部材
114 中央の重り
115 出砂防止装置の穴あき管壁を固定するための補助固定部材
12 連結部材
13 頭部部材
14 側翼板
2 出砂防止装置
21 空洞
31 リフト動力装置
32 気液分離器
41 水輸送管
42 ガス輸送管
5 海面
51 海面支援システム
52 海面処理システム
53 アンカー索係留システム
54 アンカー索
61 ジェットパイプ
62 噴射口
71 水充填膨張ブラダー本体
81 電磁誘導コイル
91 ボーリングロッド
911 ボーリングロッドの透水管壁
912 ボーリングロッドの出砂防止装置
913 流路
92 電動伸縮ロッド
A 天然ガスハイドレート直上地層
B 天然ガスハイドレート貯留層
C 天然ガスハイドレート貯留層直下のフリーガス層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2021-11-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海域天然ガスハイドレートの侵入式採掘装置であって、侵入式構造体と、出砂防止装置と、気液リフトシステムと、を備え;
前記侵入式構造体は、重力アンカーであり、前記出砂防止装置および前記気液リフトシステムが前記侵入式構造体に取り付けられ;前記侵入式構造体は、海中に沈む過程で主に重力によって比較的大きな速度を生じ、前記気液リフトシステムおよび前記出砂防止装置を天然ガスハイドレート貯留層および/または、天然ガスハイドレートとフリーガス混合層および/または、フリーガス層に送り込み;
前記侵入式構造体と前記出砂防止装置の組み合わせで少なくとも1つの空洞が形成され、前記空洞は少なくとも1つの通路に連通され;前記出砂防止装置は、液体およびガスが通過して前記空洞に入ることを可能にし、また土砂をろ過し;
前記気液リフトシステムは、少なくとも1つリフト動力装置を備え;前記気液リフトシステムの一端は前記空洞に接続され、他端が管路を介して外部に出力し、前記空洞内の液体および/またはガスを汲み上げ;汲み上げながら前記空洞の内圧を下げることで、周囲の地層圧力を下げ、天然ガスハイドレートを天然ガスと水に分解するよう促進し、天然ガスと水は、圧力差の作用下で前記出砂防止装置を通って前記空洞に入り、したがって汲み上げて天然ガスハイドレートの採掘を実現し、
前記通路は、水輸送管と、ガス輸送管と、を備え、前記水輸送管の一端が前記リフト動力装置に接続され、他端が管路を介して外部に出力し、前記ガス輸送管の一端が前記空洞に接続され、他端が管路を介して外部に出力することで、ガスを収集し;地層の圧力と重力の作用下で、地層流体が前記空洞に入り、前記空洞内の液体が下方に向かって移動し、前記リフト動力装置は、前記空洞内の液体を前記水輸送管に圧入すると共に汲み上げ;前記空洞内のガスは、前記ガス輸送管を通って上方に移動し、
前記リフト動力装置は、前記空洞内に設置された電動ポンプであり、前記電動ポンプが電動水中遠心ポンプ、電動水中スクリューポンプまたは泥水ポンプであり、前記空洞内に電動遠心ポンプを設置し、前記電動ポンプの入力側が気液分離器の液体出口に接続され、前記電動ポンプの吐出口が水輸送管に接続され、
前記侵入式構造体は、上から下へ順に連結された連結部材と、本体部材と、頭部部材と、を備え、前記連結部材がアンカー索に連結され、前記頭部部材が円錐状または円弧キャップ状を呈し、前記本体部材が柱状を呈し、少なくとも1つの穴あき管壁を備え、前記穴あき管壁の内側には空洞が設けられ、前記穴あき管壁に前記空洞に連通する開口部が設けられ;前記出砂防止装置は、前記開口部内に設けられ、および/または前記開口部を覆い、前記本体部材の上端外周に複数の側翼板が均等に配置され、前記穴あき管壁は透水・保護機能を備え、液体およびガスを通過させ、前記出砂防止装置を地層圧力および流体侵食から保護し;ガスと液体は、前記穴あき管壁および前記出砂防止装置を通って空洞に入る
ことを特徴とする海域天然ガスハイドレートの侵入式採掘装置。
【請求項2】
前記出砂防止装置は、出砂防止スクリーンメッシュ、出砂防止スクリーンパイプ、機械的スクリーンパイプ、礫出砂防止層または柔軟な織物出砂防止材料層である
請求項に記載の海域天然ガスハイドレートの侵入式採掘装置。
【請求項3】
前記侵入式構造体上には、前記侵入式構造体に埋め込まれたジェットパイプと、前記侵入式構造体の外面に配置された複数の噴射口と、を備えたジェット流注入システムが設けられ、各前記噴射口が前記ジェットパイプに連通され、前記ジェットパイプの入口が管路を介して外部の高圧源に接続されている
請求項に記載の海域天然ガスハイドレートの侵入式採掘装置。
【請求項4】
前記侵入式構造体には、充水充填膨張ブラダー本体と、前記空洞内に設けられた電磁弁付き注水管路と、を備えた膨張ブラダー閉鎖システムが設けられ、前記充水充填膨張ブラダー本体がリング状を呈し、前記侵入式構造体の外周上部に固定され、前記注水管路の一端が前記電動ポンプに接続され、他端が前記充水充填膨張ブラダー本体に接続され、前記水充填膨張ブラダー本体に注水された後、天然ガスハイドレート貯留層と密着し、前記注水管路は前記電動ポンプを注水動力として利用し、一部の地層流体を前記水充填膨張ブラダー本体に注入し、いくつかの地質条件下で、前記自己侵入構造の外周と周囲地層との間に水流路が存在する可能性があり、その水とガスの流動は前記空洞内の減圧採掘効果に影響を与える可能性があり、前記膨張ブラダー閉鎖システムは上述の影響を軽減できる
請求項に記載の海域天然ガスハイドレートの侵入式採掘装置。
【請求項5】
前記侵入構造体の内壁には、電気加熱装置が設置されている
請求項に記載の海域天然ガスハイドレートの侵入式採掘装置。
【請求項6】
前記侵入構造体内の下端にボーリングロッドを垂直に取り付けるか、または前記空洞内の下端に垂直の穴部を設け、前記穴部内に前記ボーリングロッドが設けられ、前記侵入構造体内に電動伸縮ロッドが取り付けられ、前記ボーリングロッドが前記電動伸縮ロッドの末端に取り付けられ;前記ボーリングロッドは、開口部を設けた透水管壁を備え、前記透水管壁内に出砂防止装置が設置され、前記出砂防止装置内の中央部に流路が設けられ、前記流路が前記空洞に連通し、前記ボーリングロッドの潜行深度は前記侵入式構造体の深さよりも深いため、より深い所の地層流体を前記空洞に導き、採掘範囲および効率を高めることができる
請求項に記載の海域天然ガスハイドレートの侵入式採掘装置。
【請求項7】
請求項に記載の海域天然ガスハイドレートの侵入式採掘装置を用いた採掘方法であって、
以下のステップ(1)~(3):
(1)採掘区域を選択し、採掘装置を配置するステップ、
(2)海底上側の一定の距離から侵入式構造体を吊り下ろし、侵入式構造体は気液リフトシステムおよび出砂防止装置を天然ガスハイドレート貯留層および/または、天然ガスハイドレートとフリーガス混合層および/または、フリーガス層に送り込むステップ、
(3)気液リフトシステムを介して空洞内の液体を汲み上げ、空洞内部の圧力を下げることで、周囲の地層圧力を下げ、周囲地層中の天然ガスハイドレートの分解を促進し、分解された天然ガスと水は、圧力差の作用下で引き続き空洞に入り、したがって液体と天然ガスを同時に汲み上げるステップ
を含む
ことを特徴とする海域天然ガスハイドレートの侵入式採掘装置を用いた採掘方法。
【請求項8】
天然ガスハイドレートの採掘過程で、一定の範囲内の天然ガスハイドレート採掘を終え、またはガス生産効率が一定の値に低下すると、ハイドレート貯留層の厚さが比較的大きい場合は、侵入式構造体を徐々に吊り上げることで、天然ガスハイドレート貯留層を下から上に徐々採掘することを実現し;または地層中に位置する侵入式構造体を引き出して、採掘装置を回収するか、または新しい採掘区域に移して上記ステップ(2)~(3)を続行する
請求項に記載の海域天然ガスハイドレートの侵入式採掘装置を用いた採掘方法。
【請求項9】
ステップ(2)の後に、膨張ブラダー閉鎖システムを起動して、水充填膨張ブラダー本体に注水して膨らせることで、天然ガスハイドレート貯留層と密着し、侵入式構造体の外周と周囲地層との間に水流路を閉鎖することで、ジェット流注入システムを介して周囲地層内に固体粒子を含む高圧水を注入し;高圧水の作用下で、天然ガスハイドレート貯留層に亀裂が発生し、そしてジェット流注入システムをオフにし;固体粒子は、亀裂に充填されて完全に閉じられないようにし、浸透通路を形成し、採掘効率のアップおよび採掘範囲の広げが可能である
請求項に記載の海域天然ガスハイドレートの侵入式採掘装置を用いた採掘方法。
【国際調査報告】