(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-04
(54)【発明の名称】人体内の医学的に能動的なインプラントを検出するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61N 1/372 20060101AFI20221222BHJP
A61B 5/33 20210101ALI20221222BHJP
【FI】
A61N1/372
A61B5/33 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022524192
(86)(22)【出願日】2020-09-24
(85)【翻訳文提出日】2022-04-25
(86)【国際出願番号】 EP2020076734
(87)【国際公開番号】W WO2021083586
(87)【国際公開日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】102019216780.2
(32)【優先日】2019-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517119556
【氏名又は名称】ニューロループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プラフタ,デニス
(72)【発明者】
【氏名】ケンネ,ニルス
【テーマコード(参考)】
4C053
4C127
【Fターム(参考)】
4C053KK10
4C127AA02
4C127BB05
4C127DD03
(57)【要約】
【解決課題】人体内に埋め込まれた、電気刺激が可能な医学的に能動的なインプラントを検出するための装置及び方法が記載される。さらに、医学的に能動的なインプラントの動作状態を決定するためのデバイスの使用が記載される。
【解決手段】
装置は、a)人間に接触しているか、又は接触させることができる、少なくとも2つの電極、b)少なくとも2つの電極に電気的に接続され、電圧タイミング信号を生成することができる電圧測定ユニット、c)電圧測定ユニットに接続される評価ユニットを含む。評価ユニットは、少なくとも2つの電極間で測定された電圧タイミング信号に基づいて電力スペクトル密度を決定するためのユニット、電力スペクトル密度内の局所最大値及びそれぞれに割り当てられたピーク周波数を決定するためのユニット、決定されたピーク周波数の最小公分母を決定するためのユニット、医学的に能動的なインプラントの刺激周波数に対応する決定された最小公分母、及び参照データベースに保存された情報に基づいて、データ比較を実行して比較結果を出力する比較ユニット、及び比較ユニットと通信して比較結果の関数としての信号を生成する信号ユニットとを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気刺激が可能な医学的に能動的なインプラントの人における存在を検出するための装置であって、前記装置は、
人と接触しているか、又は接触させることができる少なくとも2つの電極と、
前記少なくとも2つの電極に電気的に接続され、電圧タイミング信号を生成することができる電圧測定ユニットと、
前記電圧測定ユニットに接続される評価ユニットと
を含み、
前記評価ユニットは、
前記少なくとも2つの電極の間で測定された前記電圧タイミング信号に基づいて電力スペクトル密度(PSD)を決定するユニットと、
電力スペクトル密度内の局所最大値、及び前記局所最大値の各々に割り当てられる、いわゆるピーク周波数Pを決定するためのユニットと
決定されたピーク周波数Pの少なくとも一部の最小公分母を決定するためのユニットと、
医学的に能動的なインプラント構造の刺激周波数に対応する決定された最小公分母、及び参照データベースに保存された情報に基づいてデータ比較を行うと共に、比較結果を生成する比較ユニットと通信し、前記比較結果の関数としての信号を生成する信号ユニットと
を含む装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記電極は、皮膚接触電極として設計されることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の装置であって、
前記電極は標準ECG電極であることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の装置であって、
前記電力スペクトル密度(PSD)を決定するユニットがスペクトルアナライザであることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の装置であって、
ディジタル化された電圧タイミング信号を得るため、前記電圧測定ユニットがA/D変換器に接続され、その出力は少なくとも1つのディジタル信号プロセッサ又はマイクロコントローラの形態で設計された前記評価ユニットに接続される装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置であって、
前記評価ユニットは、少なくともディジタル化された前記電圧タイミング信号を記憶することができるメモリユニットを含むことを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の装置であって、前記評価ユニットは前記電圧タイミング信号から導出可能であり、前記医学的に能動的なインプラントによって生成され得る刺激パルスに関連する情報を決定するためのユニットを含み、かつ、情報刺激パルス形態、刺激パルス対称性、刺激パルス幅、刺激パルス振幅、刺激パルス数、刺激パルスの時間シーケンス、及び刺激パルスと心拍との時間相関からの少なくとも1つの情報を含むことを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の装置であって、
前記比較ユニットは、メモリユニットに記憶された前記電圧タイミング信号及び/又はそれから導出された情報を、既知の医学的インプラントの前記電圧タイミング信号及び/又はそれから導出された情報に対応する参照データベース内の情報と比較することを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項6~8のいずれか1項に記載の装置であって、
前記比較ユニットは、記憶された前記電圧タイミング信号及び/又はそれから導出された情報と、既知の医学的インプラントの前記電圧タイミング信号及び/又はそれから導出された情報との間の関数パターン比較を実行することを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の装置であって、
前記信号ユニットが、視覚的及び/又は音響的に知覚可能な信号ユニットであることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の装置であって、
前記電圧測定ユニットは少なくとも3つの電極に電気的に接続され、前記評価ユニットは、前記少なくとも3つの電極の間で測定された電圧に基づいて、医学的に能動的なインプラントの位置特定を実行する三角測量ユニットを備えることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の、未知の能動的な医学的インプラントを、その同定のために検出するための装置の使用。
【請求項13】
メモリユニットに記憶された電圧タイミング信号及び/又はそれから導出された情報を、インプラントの故障のない又は欠陥のある状態、一般的な又はインプラント固有の許容範囲の定義に関する参照データベースに記憶された、分類された情報と比較することによって、能動的な医学的インプラントの動作状態を決定するための、請求項1から11のいずれか1項に記載の装置の使用。
【請求項14】
人の中に存在する医学的に能動的なインプラントを検出するための方法であって、
前記人と電気的に接触する少なくとも2つの電極によって電圧測定を実行して電圧タイミング信号を得るステップと、
測定した電圧タイミング信号のスペクトル解析を行って電力スペクトル密度を得るステップと、
前記電力スペクトル密度(PSD)内の局所最大値、及びそれぞれに割り当てられたいわゆるピーク周波数Pを決定するステップと、
医学的に能動的なインプラントの刺激周波数に相当する決定されたピーク周波数(P)の最小公分母を決定するステップと、
前記刺激周波数を参照データと比較して比較結果を得るステップと、
前記比較結果に基づいて医学的に能動的なインプラントを特定するステップと
を含む方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記電圧タイミング信号に基づいて、前記医学的に能動的なインプラントによって生成される刺激パルスに関連し、かつ、刺激パルス形態、刺激パルス対称性、刺激パルス幅、刺激パルス振幅、刺激パルス数、刺激パルスの時間シーケンス、及び刺激パルスと心拍との時間相関からの情報の中から少なくとも1つの部分を含む情報が導出されることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、前記電圧タイミング信号から導出された情報が参照データと比較され、前記医学的に能動的なインプラントを識別するために使用される比較結果を得ることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項15~16のいずれか1項に記載の方法であって、
前記医学的に能動的なインプラントの動作状態を判定するために使用される比較結果を得るために、前記電圧タイミング信号から導出された情報が前記参照データと比較される方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体内に埋め込まれた、電気的シミュレーションが可能な医学的に能動的なインプラントを検出するための装置及び方法に関し、さらに、医学的に能動的なインプラントの動作状態を決定するためのデバイスの使用が記載される。
【背景技術】
【0002】
様々な疾患を治療するための能動的インプラントは、より多くの医療分野で使用されている。純粋に機械的なサポート機能及び搬送機能を典型的に有する純粋に受動的なインプラントとは対照的に、能動的なインプラントは、器官機能をサポートするための電気信号を検出し、刺激目的のためにそれらを局所的に生成及び印加することが通常可能である電子構成要素を備える。したがって、このような能動的なインプラントの存在により、対応する臨床的兆候の存在が示される。患者を巻き込む緊急事態の場合、埋め込み能動インプラントの臨床兆候を知ることにより、緊急処置に必要な変更を加えることができる。このため、患者もはや自分で情報を提供することができない状況においてさえ、医療従事者が能動的なインプラントの存在を知ることが重要である。
【0003】
欧州医療装置規則の第18条2項によれば、医学的に能動的なインプラントを有する患者には、それぞれのインプラントを識別することができるインプラントカードの発行を受ける。したがって、インプラントに関する情報は、患者が依然としてこれと通信することができ、及び/又はカードが携帯されている場合にのみ利用可能である。医療法インプラントを検出するためのデバイス及び方法は、特許文献1~4に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0293714号明細書
【特許文献2】米国特許第4291703号明細書
【特許文献3】米国特許公報第5406955号明細書
【特許文献4】米国特許公報第9788756号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、人体内に埋め込まれた、電気的シミュレーションが可能な医学的に能動的なインプラントを検出するための装置及び方法を提案することであり、その結果、非侵襲的な方法で、人体と通信する必要なしに能動的なインプラントが存在するかどうか、及び存在する場合、これがどのタイプのインプラントを含むかを迅速かつ確実に決定することができる。より詳細には、検出されたインプラントを、その刺激パターンによって識別し、その動作状態を評価することができるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の基礎を形成する課題に対する解決手段は、請求項1に記載されている。請求項12及び13の主題は、インプラントの動作状態の識別及び決定のためのデバイスの使用を包含する。請求項14の主題は、この解決手段による方法である。有利的に発明概念を更に発展させる特徴は、従属請求項の要旨、更には実施の形態に記載されており、特に、図示で例示されたされた実施の形態を参照して記載されている。
【0007】
電気刺激が可能な医学的に能動的なインプラントの人における存在を検出するための本解決策による装置は、少なくとも2つの電極を備える。この少なくとも2つの電極は、人と接触しているか、又は接触するようにされる少なくとも2つの電極と、少なくとも当該少なくとも2つの電極と接続され電圧タイミング信号を生成可能にされた電圧測定ユニットと、電圧測定ユニットに接続され、電圧タイミング信号に基づいて、能動的なインプラントの存在を証明する情報、及び能動的なインプラントの性質又はタイプを導出することができる評価ユニットとを備える。このために、評価ユニットは、少なくとも2つの電極間で測定された電圧タイミング信号に基づいて、好ましくはスペクトルアナライザの形で電力スペクトル密度を検出するユニットを含む。これに使用されるのは、電力スペクトル密度内の局所最大値、及び各々に割り当てられたいわゆるピーク周波数を決定するためのユニット、及び決定されたピーク周波数の中で最小公分母を決定するためのユニットである。
【0008】
最後に、評価ユニットは、医学的に能動的なインプラントの刺激周波数に対応して決定された最小公分母と、参照データベースに記憶された情報とに基づいてデータ比較を実行し、比較結果を生成する比較ユニットを備える。比較結果の関数として、比較ユニットと通信する信号ユニットが信号を生成する。
【0009】
解決手段の基礎を形成する測定原理は、本質的に、人の少なくとも2つの所定の皮膚表面領域の間で電圧測定を実行し、それによって得られた電圧信号を時間及びスペクトルに関して分析することにある。また、人の皮膚に適用可能な接着性電極の使用に加えて、標準的なECG装置に関連して通常使用されるように、一時的な負圧によって接着する電極も適している。
【0010】
電圧測定のための適切な接触領域は、好ましくは頭部、首、上半身、鼠径部、又は脚の領域であり、より好ましくは、既知の心臓の誘発電位の等電位面に沿った領域である。人に適用される少なくとも2つの電極は、電気的に、すなわちワイヤによって、電圧測定ユニットに接続される。電圧測定ユニットは、別個の構成要素として、又はアセンブリ内の一体部分として収容される。また、電圧測定ユニットは、ピックアップされた電圧タイミング信号のスペクトル調査及び評価のためのいくつかの構成要素からなる評価ユニットを備える。このアセンブリは、既存の医療診断装置に一体化されたモジュラーインサートとして、又は手作業による現場使用のための携帯型ユニットとして設計することができる。
【0011】
電圧測定ユニットによって記録される電圧タイミング信号は、少なくとも100Hzのサンプリング周波数fs、好ましくは1MHz~1GHzのサンプリング周波数で記録され、好ましくはメモリユニット内に記憶される。また、データ比較のための情報が、メモリユニット又は参照データベースの形のさらなるメモリユニットに記憶される。
【0012】
電圧測定ユニットによって供給されるアナログ電圧タイミング信号のディジタル信号プロセッシング及び記憶のために、アナログ電圧タイミング信号は、アナログ/ディジタル変換器によってディジタル信号に変換され、ディジタル信号は評価ユニットに供給される。評価ユニットの個々の構成要素は、本質的にディジタル信号プロセッサ及び/又はマイクロコントローラに基づく。
【0013】
このために、第1の構成要素として、評価ユニットは、0からfs/2の間の可能な周波数範囲内で、電圧タイミング信号の周波数関連電力のスペクトルパワー密度を表す電力スペクトル密度を決定するためのユニットを想定している。電力スペクトル密度の決定後、局所最大値を決定するユニットとして知られる第2の構成要素において、電力スペクトル密度内の局所最大値のスペクトル位置決めが決定される。この位置決めは、各々の場合に、いわゆるピーク周波数によって特徴付けられる。局所最大値の決定のための可能な基準は、例えば、ある周波数幅(例えば2Hz)内の電力スペクトル密度が、ピーク周波数の周囲で例えば3dBだけ減少したことである。
【0014】
その後、以前に決定されたピーク周波数の中から、評価ユニットの第3の構成要素である最小公分母を決定するためのユニットを用いて、人体内の医学的に能動的なインプラントの刺激周波数に対応する、決定されたピーク周波数の少なくとも大部分の中から最小公分母が決定される。刺激周波数、及び刺激周波数のすべての高調波の振幅は、更なる処理及び更なる情報アクセスのためにメモリユニットに記憶される。
【0015】
決定されたピーク周波数の中から最小公分母の決定が不可能である場合、これは、能動的なインプラントが人体内に存在しないこと、又は現在のインプラントが能動的なでないか、又は機能不能であることを示すものとみなすことができる。この場合、最小公分母を決定するためのユニットは信号を生成する。その信号は、適切に符号化された形態では、医者又はユーザに装置を知らせるために、信号ユニット、例えばディスプレイによって示すことができる。
【0016】
一方、決定されたピーク周波数の中で最小公分母を決定することが可能であれば、これは、測定された刺激周波数によって体内で刺激する能動インプラントの存在を示すものであると考えられる。アセンブリに設けられた更なる構成要素、いわゆる比較器ユニットを用いて、少なくとも決定された刺激周波数、及び参照データベースに記憶された情報に基づいて、比較結果をもたらすデータ比較が実行される。その結果に応じて、光学的に、音響的に又は触覚的に知覚可能な信号が信号ユニットによって生成され、これにより、ユーザは、能動的なインプラントの存在、及びその動作状態についてだけでなく、その性質又はタイプについても通知される。これにより、考えられ得る基礎となる臨床的徴候についても通知される。好ましくは、信号ユニットが英数字を示すディスプレイとして設計される。
【0017】
参照データベースに記憶された情報の適切な分類、例えば、欠陥のない又は欠陥のある状態、並びに、一般的な又はインプラント固有の許容範囲の定義によって、医学的に能動的なインプラントの存在が検出された場合に、その動作状態についてのステートメントを行うこともできる。有利には、未知のインプラントの性質又はタイプを決定する信頼性を改善するために、測定され、場合によっては記憶された電圧タイミング信号から導出され得るさらなる情報も使用され、比較器ユニットによって参照データベースに記憶された対応する情報と比較される。
【0018】
追加情報の適切な例は、測定された電圧タイミング信号の配列に加え、刺激形態、刺激パルス幅、刺激パルス対称性、刺激パルス数、刺激パルス振幅及び時間列、及び心拍に対する刺激パルスの時間相関など、医学的に能動的なインプラントの刺激特性に関する収集可能又は導出可能な情報である。決定された刺激周波数及びその高調波の領域における電力スペクトル密度の時間経過から、特徴的な刺激パターンが抽出され、適切な参照データと比較され得る。能動的なインプラントが例えば心臓ペースメーカーである場合、この関連刺激パターンは、心拍動と同期する短い刺激パルスによって特徴付けられる。
【0019】
一方、能動インプラントが血圧を低下させるための刺激装置である場合、関連する刺激信号は、時間の観点から連続的に現れる傾向がある刺激信号によって特徴付けられる。さらに好ましい実施形態では、電圧ユニットが人の皮膚表面の異なる領域に配置される少なくとも3つの電極に電気的に接続される。少なくとも3つの電圧タイミング信号を測定する結果として得られる可能性によって、三角測量測定によって、人体内の医学的に能動的なインプラントの位置を決定することができる。このために、評価ユニットは三角測量ユニットを含み、三角測量ユニットは、少なくとも3つの電極間で測定された電圧に基づいて、医学的に能動的なインプラントの位置特定を実行する。
【0020】
好ましくは評価ユニットの全ての構成要素、すなわち、電力スペクトル密度を決定するためのユニット、電力スペクトル密度内の局所最大値を決定するためのユニット、最小公分母を決定するためのユニット、刺激パルス特性を決定するためのユニット、及び比較ユニットはデジタルプロセッサ又はマイクロコントローラの形態であり、それぞれの機能はソフトウェアベースの評価及び決定規則によってあらかじめ定義されている。
【0021】
本解決策による装置の実施形態のさらなる好ましい形態は、インタフェースを提供する。このインタフェースを通じて、ECG装置からの電圧タイミング信号を評価ユニットに直接供給することができ、人体内に配置される可能性がある能動的インプラントの検出及び識別のために使用することができる。
【0022】
この場合、電極はECG装置の一部である。また、ECG測定ユニットを適切に追加することによって、本解決策による装置が、人の心電図の測定及び記録全体を引き継ぎ、その結果、ECG電圧タイミング信号に基づく可能な能動的なインプラントの検出及び識別を、標準的なECG監視を実行しながら実行することができることも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】能動的な医学的インプラントの検出及び識別のための本発明に係る装置の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を、一般的な発明概念を限定することなく、実施形態の一例として、図面を参照して説明する。
図1は、薬剤ラックへのモジュール式挿入ユニットとして、又は携帯可能に使用可能な機能ユニットとして構成することができるアセンブリBを示す。本装置は少なくとも2つの電極E1、E2に接続されるが、所望に応じてn個の電極に拡張することができ、n個の電極はそれぞれ、解放可能な方法で人の皮膚表面にしっかりと取り付けられるように設計される。
【0025】
電極E1、E2間の電圧を記録するためにアセンブリBには電圧測定ユニット1が設けられている。電圧測定ユニット1は、電極E1、E2間の電位差を時間分解して記録し、電圧タイミング信号Sを生成する。アナログ電圧タイミング信号Sはアナログ/ディジタル変換器A/Dによってディジタル電圧タイミング信号に変換され、これは、さらなる評価又は評価のために、アセンブリBの一部である評価ユニット2、及メモリユニット7の両方に供給される。
【0026】
評価ユニット2内には電力スペクトル密度を決定するためのユニット3が設けられている。このユニットでは、電力スペクトル密度PSDを得るために、プロセッサでサポートされる、測定された電圧タイミング信号Sのスペクトル解析が行われる。加えて、評価ユニット2は電力スペクトル密度PSD内の局所最大値を決定するユニット4を含んでおり、その各々に、いわゆるピーク周波数Pが割り当てられる。更なるユニット5において、得られた又は決定されたピーク周波数Pに対して、いわゆる刺激周波数fに対応する最小公分母が決定される。
【0027】
比較ユニット6により、メモリユニット7に記憶された参照データRDと、少なくとも決定された刺激周波数fとに基づく比較が実行され、比較結果が得られる。任意には、比較を実行するために、比較器ユニット6は、電圧タイミング信号S及び/又はディジタル化された電圧タイミング信号から抽出することができる追加の情報、例えば、医学的に能動的なインプラントの刺激パルスのパルス形態、それらのパルス対称性、パルス幅、パルス振幅、パルス数、パルスタイミング、及び心拍との時間相関を提供することができる。
さらなる情報に関しては、対応する参照データが比較のためにメモリユニットに記憶される。
【0028】
比較結果VEの関数として、比較ユニット6は信号SXを生成する。信号SXは信号ユニット8に供給される。比較結果VEは、信号SXに応じて、視覚的、音響的及び/又は触覚的に現れる。好ましくは、信号ユニット8はディスプレイであり、これにより、検出された能動的なインプラント又はその動作状態に関する情報、ならびに基礎となる可能な臨床的徴候を、英数字の形態で示し得る。
【符号の説明】
【0029】
B…アセンブリ
1…電圧測定ユニット
3…電力スペクトル密度を決定するためのユニット
4…電力スペクトル密度の中の局所最大値を決定するためのユニット
5…決定されたピーク周波数の最小公分母を決定するためのユニット
6…比較ユニット
7…メモリユニット
8…信号ユニット
PSD…電力スペクトル密度
P…ピーク周波数
f…刺激周波数
RD…参照データ
VE…比較結果
SX…結果信号
【国際調査報告】