(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-04
(54)【発明の名称】負荷時タップ切換器
(51)【国際特許分類】
H01F 29/04 20060101AFI20221222BHJP
H01F 29/02 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
H01F29/04 502C
H01F29/02 C
H01F29/04 502M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022524205
(86)(22)【出願日】2020-09-17
(85)【翻訳文提出日】2022-04-25
(86)【国際出願番号】 EP2020075967
(87)【国際公開番号】W WO2021094015
(87)【国際公開日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】102019130457.1
(32)【優先日】2019-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390035459
【氏名又は名称】マシイネンフアブリーク・ラインハウゼン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】シュースター・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ライト・アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ケレンドルファー・ゲオルク
(57)【要約】
タップ付変圧器1の巻線タップN1,...,NJ,...,NNの間を無中断で切り換える負荷時タップ切換器10であって、選択された巻線タップNJへの無電力状態での事前選択を実行する少なくとも一つの選択器ユニット30と、それまでの巻線タップNJ-1から事前選択されたNJへの本来の負荷切換を実行する少なくとも一つの負荷切換器ユニット40と、第一の歯車31及び第二の歯車41を備え、この第一の歯車31が選択器ユニット30に割り当てられ、この第二の歯車が負荷切換器ユニット40に割り当てられている少なくとも一つの歯車伝動装置50と、モーター駆動部70により操作される駆動シャフト60とを有し、これらの第一の歯車31と第二の歯車41は、これらの歯車31,41が同時に操作可能なように、互いに直に機械的にリンク接続されており、この駆動シャフト60は、第一の歯車31又は第二の歯車41を駆動することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タップ付変圧器(1)の巻線タップ(N
1,...,N
J,...,N
N)の間を無中断で切り換える負荷時タップ切換器(10)であって、
選択された巻線タップ(N
J)への無電力状態での事前選択を実行する少なくとも一つの選択器ユニット(30)と、
それまでの巻線タップ(N
J-1)から事前選択された(N
J)への本来の負荷切換を実行する少なくとも一つの負荷切換器ユニット(40)と、
第一の歯車(31)及び第二の歯車(41)を備え、この第一の歯車(31)が選択器ユニット(30)に割り当てられ、この第二の歯車が負荷切換器ユニット(40)に割り当てられている少なくとも一つの歯車伝動装置(50)と、
モーター駆動部(70)により操作される駆動シャフト(60)と、
を有する負荷時タップ切換器において、
これらの第一の歯車(31)と第二の歯車(41)は、これらの歯車(31,41)が同時に操作可能なように、互いに直に機械的に係合接続されていることを特徴とする負荷時タップ切換器。
【請求項2】
請求項1に記載の負荷時タップ切換器(10)において、
前記の少なくとも一つの選択器ユニット(30)、少なくとも一つの負荷切換器ユニット(40)、少なくとも一つの歯車伝動装置(50)及び駆動シャフト(60)が負荷時タップ切換器(10)の筐体(11)内に配置されていることを特徴とする負荷切換器ユニット。
【請求項3】
請求項1に記載の負荷時タップ切換器(10)において、
前記の第一の歯車(31)が、第一の歯車シャフト(32)に相対回転しないように軸支され、前記の第二の歯車(41)が、第二の歯車シャフト(42)に相対回転しないように軸支されていることを特徴とする負荷切換器ユニット。
【請求項4】
請求項3に記載の負荷時タップ切換器(10)において、
前記の第一の歯車(32)が第一の歯車軸線(
図5参)(31)の周りを回転可能であり、前記の第二の歯車(41)が第二の歯車軸線(43)の周りを回転可能であり、
これらの第一と第二の歯車軸線(33,43)が定義された角度(α)で交差することを特徴とする負荷切換器ユニット。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の負荷時タップ切換器(10)において、
前記の第一の歯車(31)と第二の歯車(41)が傘歯車として構成されていることを特徴とする負荷切換器ユニット。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の負荷時タップ切換器(10)において、
前記の駆動シャフト(60)が、クラッチ(63)を介して、第一の歯車シャフト(32)又は第二の歯車シャフト(42)と相対回転しないように接続可能であることを特徴とする負荷切換器ユニット。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の負荷時タップ切換器(10)において、
前記の駆動シャフト(60)が、第一の歯車(31)を駆動する場合には第一の歯車軸線(33)上に配置され、第二の歯車(41)を駆動する場合には第二の歯車軸(43)上に配置されることを特徴とする負荷切換器ユニット。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の負荷時タップ切換器(10)において、
前記のモーター駆動部(70)が、伝動装置モジュール(71)を用いて負荷時タップ切換器(10)の筐体(11)に固定できることを特徴とする負荷切換器ユニット。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の負荷時タップ切換器(10)において、
前記のモーター駆動部(70)と別個に構成されたスイッチボックス(72)を更に有することを特徴とする負荷切換器ユニット。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の負荷時タップ切換器(10)において、
第二と第三の選択器ユニット(81,91)と、
第二と第三の負荷切換器ユニット(82,92)と、
第二と第三の駆動シャフト(80,90)と、
第二と第三の歯車伝動装置(83,93)と、
を有し、
この第二の駆動シャフト(80)が、第二の歯車伝動装置(83)を介して第二の選択器ユニット(81)と第二の負荷切換器ユニット(82)を操作し、
この第三の駆動シャフト(90)が、第三の歯車伝動装置(93)を介して第三の選択器ユニット(91)と第三の負荷切換器ユニット(92)を操作することを特徴とする負荷切換器ユニット。
【請求項11】
請求項10に記載の負荷時タップ切換器(10)において、
前記の駆動シャフト(60,80,90)は、前記の駆動シャフト(60)が前記の歯車伝動装置(50)を介して第二の駆動シャフト(80)を駆動し、第二の駆動シャフト(80)が第二の歯車伝動装置(83)を介して第三の駆動シャフト(90)を駆動するように互いに機械的に連結されていることを特徴とする負荷切換器ユニット。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の負荷時タップ切換器(10)において、
前記の第二の駆動シャフト(80)と第三の駆動シャフト(90)が共通の軸線(A)上に存在することを特徴とする負荷切換器ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タップ付変圧器の異なる巻線タップの間の無中断による負荷切換を実行する負荷時タップ切換器に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の負荷時タップ切換器は、通常変圧器の切り換え先の各巻線タップを無電力状態で事前選択する選択器と、それまでの巻線タップから事前選択された新しい巻線タップへの本来の負荷切換を実行する負荷切換器とから構成される。その切換は、モーター駆動部と駆動シャフトにより始動される、選択器及び負荷切換器の異なる開閉器と接点の機械的な操作によって行われる。更に、モーター駆動部と、モーター制御部が中に在るスイッチボックスと一緒に負荷時タップ切換器を外部から変圧器筐体に取り付けること(所謂「付加切換器」)が従来技術により周知である。
【0003】
特許文献1は、変圧器のオイルタンクの壁の側面側に装着された容器内の三相負荷時タップ切換器を開示している。その負荷時タップ切換器は、可動選択器接点により無電力状態で変圧器の巻線タップを事前選択する選択器と、本来の負荷切換を実行する二つの真空開閉器を備えた負荷切換器とを有する。歯車伝動装置を介して、選択器と負荷切換器の個々の開閉素子と接点素子が操作されている。
【0004】
負荷時タップ切換器では、動作中に、例えば、負荷時タップ切換器に対する要件の変更のために、或いは負荷時タップ切換器の数十年の長さに渡る動作寿命後とそれに伴う劣化現象により、負荷時タップ切換器を交換する必要が生じ得る。古い負荷時タップ切換器を新しい負荷時タップ切換器に交換する場合、負荷時タップ切換器に対する技術的な要件の他に、一般的に負荷時タップ切換器のために限定された、或いは定義されたスペースしか利用できないので、使用場所での状況、特に、スペース的な状況にも注目すべきである。
【0005】
新しい変圧器に負荷時タップ切換器を配備する場合、一般的に先ずは負荷時タップ切換器が変圧器に取り付けられ、次に、変圧器が負荷時タップ切換器と一緒に使用場所又はエンドユーザーに運搬される。その運搬は、例えば、貨車又はトラックで行われ、その結果、負荷時タップ切換器とそれに付属するスイッチボックスを備えたモーター駆動部を含む変圧器に対して限定されたスペースしか利用できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】英国特許公開第1114868号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のことから、本発明の課題は、省スペースで、現場でのスペース的な状況に適合可能な形で変圧器に取り付けることができる負荷時タップ切換器に関する改善された方式を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、独立請求項の対象によって解決される。更なる実施構成は、従属請求項の対象である。
【0009】
本発明による負荷時タップ切換器は、タップ付変圧器の巻線タップの間を無中断で切り換える負荷時タップ切換器を有する。この負荷時タップ切換器は、選択された巻線タップへの無電力状態での事前選択を実行する少なくとも一つの選択器ユニットと、第一の歯車及び第二の歯車を備え、この第一の歯車が選択器ユニットに割り当てられ、この第二の歯車が負荷切換器ユニットに割り当てられた少なくとも一つの歯車伝動装置と、モーター駆動部により操作される駆動シャフトとを有する。この場合、第一の歯車と第二の歯車は、これらの歯車が同時に操作可能なように、互いに直に機械的に係合接続されている。そのため、第一の歯車が駆動歯車となり、第二の歯車が被動歯車となるか、或いはその逆となる。歯車を直に機械的に連結することによって、選択器ユニットと負荷切換器ユニットが駆動シャフトによって同様に集中的に操作される。この「直に」とは、具体的には歯車の間に介在部品が無いことを意味する。
【0010】
この歯車伝動装置の伝達比は、有利には、i=1である。モーター駆動部としては、全ての形式のモーター、例えば、直流で動作するモーター、交流で動作するモーター、制御式及び非制御式モーターシステムが考えられる。
【0011】
この改善された方式は、負荷時タップ切換器、特に、駆動シャフトの駆動運動を選択器と負荷切換器の操作手段に同様に伝達する伝動装置の構造的な実施形態により、駆動シャフトとモーター駆動部が可変形態で配置できるとの利点を有する。これは、使用場所への変圧器の運搬時の限定されたスペースの利用可能性又は使用場所、例えば、変電所又はガス絶縁式開閉設備でのスペース的な状況に柔軟に対処することを可能にする。
【0012】
一つの考え得る実施構成では、これらの少なくとも一つの選択器ユニット、少なくとも一つの負荷切換器ユニット、少なくとも一つの歯車伝動装置及び駆動シャフトが負荷時タップ切換器の筐体内に配置される。この筐体は、有利には、外部に対して密閉されている。
【0013】
一つの考え得る実施構成では、第一の歯車が第一の歯車シャフトに相対回転しないように軸支され、第二の歯車が第二の歯車シャフトに相対回転しないように軸支される。
【0014】
一つの考え得る実施構成では、第一の歯車と第一の歯車シャフトが一体的に構成され、第二の歯車と第二の歯車シャフトが一体的に構成される。
【0015】
一つの考え得る実施構成では、第一の歯車シャフトが第一の歯車軸の周りを回転可能であり、第二の歯車シャフトが第二の歯車軸の周りを回転可能であり、これらの第一と第二の歯車軸が、定義された角度で交差する。有利には、これらの第一と第二の歯車軸が、90°の角度で交差する。
【0016】
一つの考え得る実施構成では、第一の歯車と第二の歯車がそれぞれ傘歯車として構成される。
【0017】
一つの考え得る実施構成では、この傘歯車の基本形状が、噛合する輪郭面を有する切頭円錐として構成される。この噛合部は、直線的な噛合部及び/又は傾斜した噛合部として構成することができる。一つの考え得る実施構成では、第一と第二の傘歯車は、この噛合部の先端で合致する。
【0018】
一つの考え得る実施構成では、第一と第二の歯車は、同形に構成される。
【0019】
一つの考え得る実施構成では、この駆動シャフトは、クラッチを介して第一の歯車シャフト又は第二の歯車シャフトと相対回転しないように接続可能である。有利には、このクラッチは、複数のクラッチ板を備えたクラッチとして構成される。
【0020】
一つの考え得る実施構成では、この駆動シャフトは、第一の歯車を駆動する場合には第一の歯車軸及び/又は第一の歯車シャフトの延伸部に配置され、第二の歯車を駆動する場合には第二の歯車軸及び/又は第二の歯車シャフトの延伸部に配置される。
【0021】
一つの考え得る実施構成では、このモーター駆動部は、伝動装置モジュールを用いて負荷時タップ切換器の筐体に固定される。この伝動装置モジュールは、更に、密閉モジュールとして構成されて、負荷時タップ切換器の筐体の内部空間を外部に対して密閉すると規定することができる。
【0022】
一つの考え得る実施構成では、この負荷時タップ切換器は、更に、スイッチボックスを有し、その中には、モーター駆動部の制御部が配置されており、このスイッチボックスは、モーター駆動部に対して別個に、即ち、空間的に分離された形で構成される。有利には、このスイッチボックスは、ケーブルを介してモーター駆動部と接続される。
【0023】
一つの考え得る実施構成では、このスイッチボックスは、タップ付変圧器の筐体、負荷時タップ切換器の筐体及び好適な固定手段の中の一つ以上に固定される。この好適な固定手段は、例えば、タップ付変圧器の使用場所における壁であるとすることができる。
【0024】
一つの考え得る実施構成では、この負荷時タップ切換器は、三相負荷時タップ切換器として構成され、相毎に、それぞれ一つの選択器ユニット、一つの負荷切換器ユニット、一つの駆動シャフト及び一つの歯車伝動装置を有する、即ち、全部で三つの選択器ユニット、三つの負荷切換器ユニット、三つの駆動シャフト及び三つの歯車伝動装置を有する。
【0025】
一つの考え得る実施構成では、この負荷時タップ切換器は、それ故第一、第二及び第三の選択器ユニットと、第一、第二及び第三の負荷切換器ユニットと、第一、第二及び第三の駆動シャフトと、第一、第二及び第三の歯車伝動装置とを有する。この第一の駆動シャフトは、第一の歯車伝動装置を介して第一の選択器ユニットと第一の負荷切換器ユニットを操作する。この第二の駆動シャフトは、第二の歯車伝動装置を介して第二の選択器ユニットと第二の負荷切換器ユニットを操作する。この第三の駆動シャフトは、第三の歯車伝動装置を介して第三の選択器ユニットと第三の負荷切換器ユニットを操作する。
【0026】
一つの考え得る実施構成では、これらの駆動シャフトは、第一の駆動シャフトが第一の歯車伝動装置を介して第二の駆動シャフトを駆動し、第二の駆動シャフトが第二の歯車伝動装置を介して第三の駆動シャフトを駆動するように互いに機械的に連結される。
【0027】
一つの考え得る実施構成では、これらの歯車伝動装置は、傘歯車伝動装置として構成される。
【0028】
一つの考え得る実施構成では、これらの第二と第三の駆動シャフトは、共通の軸上に存在する。
【0029】
一つの考え得る実施構成では、これらの第一、第二及び第三の駆動シャフトは共通の軸上に存在する。
【0030】
一つの考え得る実施構成では、この負荷時タップ切換器の各相は、それぞれ第一の歯車と第二の歯車を有するとともに、それぞれ第一の歯車シャフトと第二の歯車シャフトを有する。
【0031】
一つの考え得る実施構成では、二つの駆動シャフトの間に、少なくとも一つの第二の歯車シャフトが配置される。
【0032】
一つの考え得る実施構成では、これらの駆動シャフトと第二の歯車シャフトは、少なくとも一つのクラッチを介して相対回転しないように互いに接続される。
【0033】
以下において、実施例に基づき図面を参照して本発明を詳しく説明する。同じであるか、機能的に同じである、或いは同じ効果を奏する構成要素は、同じ符号を付与することができる。同じ構成要素又は同じ機能を有する構成要素は、場合によっては、最初に出現する図面に関してのみ説明される。この説明は、必ずしもそれに続く図面において繰り返されない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】従来技術に基づく一つの実施例の負荷時タップ切換器を備えたタップ付変圧器の模式的な構造図
【
図3A】改善された方式による負荷時タップ切換器の一つの実施例の平面図
【
図3B】改善された方式による負荷時タップ切換器の別の実施例の平面図
【
図4A】改善された方式による負荷時タップ切換器の更に別の実施例の平面図
【
図4B】改善された方式による負荷時タップ切換器の更に別の実施例の平面図
【
図6A】改善された方式による一つの実施例の負荷時タップ切換器を備えたタップ付変圧器の模式図
【
図6B】改善された方式による一つの実施例の負荷時タップ切換器を備えたタップ付変圧器の別の模式図
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、付加切換器として構成された一つの実施例の周知の負荷時タップ切換器10を備えたタップ付変圧器1の模式図を図示している。この負荷時タップ切換器10は、選択器30と負荷切換器40を有し、スペース的にスイッチボックス72内に制御部が収容されたモーター駆動部70によって駆動される。これらの負荷時タップ切換器10、モーター駆動部70及びスイッチボックス72は、一つの筐体11内に配置されている。
【0036】
図2は、異なる巻線タップN
1,...,N
J,...,N
Nを備えたタップ付変圧器1(
図1を参照)の制御巻線2を模式的に図示している。これらの巻線タップN
1,...,N
J,...,N
Nは、負荷時タップ切換器10によってスイッチオン又はスイッチオフされる。このスイッチオフ又はスイッチオンは、例えば、選択器30、負荷切換器40などの任意の手段により実現することができる。負荷時タップ切換器10の操作は、モーター駆動部70によって行われる。
【0037】
図3Aは、改善された方式による負荷時タップ切換器10の一つの実施例を平面図で図示している。この負荷時タップ切換器10は、筐体11と、タップ付変圧器1の制御巻線2の選択された巻線タップN
1,...,N
J,...,N
N(
図2を参照)を無電力状態で事前選択する選択器ユニット30と、制御巻線のそれまでの巻線タップN
Jから(図示されていない)事前選択された巻線タップN
J+1への本来の負荷切換を実行する負荷切換器ユニット40と、傘歯車伝動装置として構成され、第一の傘歯車31と第二の傘歯車41を備えた歯車伝動装置50とを有する。これらの傘歯車31と41は、噛合する輪郭面を備えた切頭円錐として、金属材料、有利には、鋼鉄から構成されている。これらの歯車は、噛合する輪郭面で互いに噛み合い、その結果、これらの傘歯車31と41は、直に、即ち、介在部品無しに互いに機械的に係合接続されている。第一の傘歯車31は、選択器ユニット30に割り当てられており、そのユニットを操作し、第二の傘歯車41は、負荷切換器ユニット40に割り当てられており、そのユニットを操作する。更に、この負荷時タップ切換器10は、第一の端部61が傘歯車伝動装置50と接続され、第二の端部62がモーター駆動部70と接続された駆動シャフト60を有する。この駆動シャフト60は、有利には、絶縁材料から構成される。このモーター駆動部70は、駆動シャフト60の延伸部に対する伝動装置モジュール71,特に、筐体11の内部空間を外部に対して密閉している密閉モジュールを用いて、筐体11の側面側に固定されている。この実施構成では、駆動シャフト60は、傘歯車41を、即ち、負荷切換器ユニット40を直に駆動する。この傘歯車31と傘歯車41の間の機械的な係合接続のために、傘歯車41の回転運動が、傘歯車31に直に伝達され、その結果、選択器ユニット30は、負荷切換器ユニット40と同様に操作される。
【0038】
図3Bは、改善された方式による負荷時タップ切換器10の別の実施例を平面図で図示している。この実施構成では、駆動シャフト60は、傘歯車31を、即ち、選択器ユニット30を直に駆動する。この傘歯車41と傘歯車41の間の機械的な係合接続のために、負荷切換器ユニット40が、選択器ユニット30と同様に操作される。このモーター駆動部70は、駆動シャフト60の延伸部に対する伝動装置ユニット71を用いて、筐体11の正面側に固定されている。
【0039】
図4Aは、改善された方式による負荷時タップ切換器10の更に別の実施例を平面図で図示している。ここでは、負荷時タップ切換器10は、例えば、三相負荷時タップ切換器として構成されており、従って、全部で三つの選択器ユニット30,81,91、三つの負荷切換器ユニット40,82,92、三つの駆動シャフト60,80,90及び三つの歯車伝動装置50,83,93を有する。この駆動シャフト60は、歯車伝動装置50を介して選択器ユニット30と負荷切換器ユニット40を操作し、この駆動シャフト80は、歯車伝動装置83を介して選択器ユニット81と負荷切換器ユニット82を操作し、この駆動シャフト90は、歯車伝動装置93を介して選択器ユニット91と負荷切換器ユニット92を操作する。それぞれ選択器ユニット30,81,91、負荷切換器ユニット40,82,92、駆動シャフト60,80,90及び歯車伝動装置50,83,93に区分可能な三つの相は、全て一つの筐体11内に配置されている。これらの駆動シャフト60,80,90は、共通の軸A上に配置されており、第一の駆動シャフト60が歯車伝動装置50を介して第二の駆動シャフト80を駆動し、第二の駆動シャフト80が更に第二の歯車伝動装置83を介して第三の駆動シャフト90を駆動するように互いに機械的に連結されている。第一の駆動シャフト60は、その駆動シャフト60の延伸部に対して筐体11の側面に配置されたモーター駆動部70によって駆動される。この駆動シャフトは、駆動運動を歯車伝動装置50に伝達する。そのため、それぞれ選択器ユニット30,81,91と、それぞれ負荷切換器ユニット40,82,92とを備えた三つの相の全ては、駆動シャフト60によって集中的に駆動される。
【0040】
図5Aには、
図3Aと4Aの負荷時タップ切換器10の詳細図が図示されており、傘歯車伝動装置50を介した第一の駆動シャフト60と第二の駆動シャフト80の間の機械的な連結形態を図示している。
図4Aによる実施構成では、第二の駆動シャフト80と第三の駆動シャフト90の間の連結形態は同形に構成されている。第一の傘歯車31は、第一の歯車シャフト32に相対回転しないように配置され、第二の傘歯車41は、第二の歯車シャフト42に相対回転しないように配置されている。これらの歯車シャフト32と42は、有利には、金属材料、例えば、鋼鉄から構成される。第一の歯車シャフト32は、歯車軸33の周りを回転可能は形で軸支され、第二の歯車シャフト42は、歯車軸43の周りを回転可能な形で軸支されている。これらの第一の歯車軸33と第二の歯車軸43は、一つの平面内において、定義された角度αで交差し、この角度は、有利には、直角として構成される。この選択器ユニット30は駆動器34を有し、この駆動器は、第一の歯車シャフト32と相対回転しないように接続されており、タップ付変圧器1の制御巻線2の(図示されていない)巻線タップN
1,...,N
J,...,N
N(
図2を参照)と接触する(図示されていない)可動選択器接点を操作する。この負荷切換器ユニット40は、制御巻線2の一つの巻線タップN
Jから事前選択された(図示されていない)巻線タップN
J+1への本来の負荷切換を実行する(図示されていない)開閉素子のための操作手段44を有する。この操作手段44は、歯車シャフト42と相対回転しないように接続されたカム円板44として構成され、このカム円板の回転により、(図示されている)開閉素子が、例えば、レバー機構を介して開閉される。この(図示されていない)開閉素子は、有利には、真空開閉管として構成することができる。例えば、真空開閉管毎に、一つのカム円板44が配備される。この駆動シャフト60は、第二の歯車シャフト42の延伸部に対して第二の歯車軸43に沿って配置されており、その第一の端部61がクラッチ63を介して第二の歯車シャフト42と相対回転しないように接続されている。駆動シャフト60の第二の端部62には、モーター駆動部70が、配置されており、クラッチ64を介して駆動シャフト60を駆動する。駆動シャフト60と歯車シャフト42の360°以内の回転により、負荷切換器ユニット40の操作と、(傘歯車41と31の連結による)選択器ユニット30の操作が実行される。駆動シャフト60と80の間の運動の伝達は、クラッチ63と第二の歯車シャフト42を介して、並びに駆動シャフト80を第二の歯車シャフト42と相対回転しないように接続する別のクラッチ84を介して行われる。有利には、これらのクラッチ62,64及び84は、それぞれ二つのクラッチ板を有する。しかし、基本的に如何なる形式の軸継手も採用することができる。
【0041】
図4Bは、改善された方式による負荷時タップ切換器10の別の実施例を平面図で図示している。この負荷時タップ切換器10も、例えば、三相切換器として構成されている。この実施構成では、モーター駆動部70は、
図3Bに図示された実施構成と同様に、駆動シャフト60の延伸部に対して、筐体11の正面側に配置されている、即ち、駆動シャフト60は、以下において、
図5Bの記述に基づき、より詳しく説明する通り、第一の歯車31を直に駆動する。第二の駆動シャフト80と第三の駆動シャフト90の間の連結形態は、
図5Aに図示された配置形態と同様に構成される。
【0042】
図5Bは、
図3Bと4Bの負荷時タップ切換器10の詳細図を図示している。ここでは、駆動シャフト60が、第一の歯車シャフト32の延伸部に対して第一の歯車軸33に沿って配置されており、その第一の端部61が、クラッチ63を介して第一の歯車シャフト32と相対回転しないように接続されている。従って、駆動シャフト60は、第一の歯車31を直に駆動し、この歯車は、更に第二の歯車シャフト42に相対回転しないように配置された第二の歯車41に運動を伝達する。このクラッチ84を介して、回転運動が第二の歯車シャフト42から第二の駆動シャフト80に伝達される。
【0043】
図6Aは、改善された方式による一つの実施例の負荷時タップ切換器10を備えたタップ付変圧器1の模式図を図示している。この実施構成では、負荷時タップ切換器10は、付加切換器として実現されており、筐体11内に収容されて、変圧器筐体3の外で変圧器筐体に配置されている。このモーター駆動部70は、負荷時タップ切換器10の筐体11の側面側に取り付けられている。それに付属するスイッチボックス72が、変圧器筐体3に装着されて、ケーブル73を介してモーター駆動部70と接続されている。
【0044】
図6Bは、改善された方式による一つの実施例の負荷時タップ切換器10を備えたタップ付変圧器1の別の模式図を図示している。この実施構成では、モーター駆動部70は、負荷時タップ切換器10の筐体11の正面側に取り付けられている。それに付属するスイッチボックス72が、同じく負荷時タップ切換器10の筐体11の正面側に配置されて、ケーブル73を介してモーター駆動部70と接続されている。
【0045】
しかし、スイッチボックス72の配置構成は、図示された実施例に限定されない。スイッチボックス72は、柔軟なケーブル接続のために、例えば、ケーブル長及び/又は駆動方式に依存する、負荷時タップ切換器10に対して所定の間隔内に、基本的に変圧器の使用場所の何処にも、例えば、手近な壁に固定することができる。
【0046】
この改善された方式による負荷時タップ切換器10を用いて、使用場所への運搬時又は直に使用場所における異なるスペース的な前提条件に柔軟に対処することが可能である。モーター駆動部は、可変形態により負荷時タップ切換器の筐体の正面側又は側面側に装着することができる。同様に、スイッチボックスは、可変形態によりモーター駆動部と負荷時タップ切換器から分離して配置可能である。これは、例えば、場合によっては、新しい負荷時タップ切換器に対して、変圧器筐体への装着のために限定されたスペースしか、例えば、その前に古い負荷時タップ切換器が占めていたスペースしか利用可能でないために、古い負荷時タップ切換器を新しい物に交換する場合に有利である。更に、この改善された方式は、例えば、負荷時タップ切換器を備えた変圧器を運搬する場合に有利である。特に、付加切換器では、その場合にはモーター駆動部とスイッチボックスが付属する負荷時タップ切換器が、追加のスペースを必要とする。この改善された方式により、例えば、貨車又はトラックにおいて利用可能なスペースを出来る限り活用して、負荷時タップ切換器を変圧器と共に省スペース形態で運搬することが可能である。更に、この改善された方式では、付属するスイッチボックスは、別個に運搬して、漸く後から使用場所の好適な位置(
図6Aと6Bを参照)に取り付けることもでき、その結果、その場合でも、運搬時及び使用場所での異なるスペース的な状況に柔軟に対処することができる。
【0047】
本開示とそれに付属する多数の利点は、前の記述によって理解されるものと考える。更に、開示された対象から逸脱すること無く、或いは全ての材料的な利点を放棄すること無く、構成要素の形状、構造及び配置構成の様々な変更を実施できることは明らかである。ここで述べた実施構成は、単に説明するためのものであり、そのような変更は、後述する請求項に包含される。更に、本発明は、後述する請求項によって定義されるものと理解されたい。
【符号の説明】
【0048】
1 タップ付変圧器
2 タップ付変圧器1の制御巻線
3 変圧器筐体
10 負荷時タップ切換器
11 筐体
30 選択器ユニット
31 第一の歯車
32 第一の歯車シャフト
33 第一の歯車軸
34 選択器ユニット30の駆動器
40 負荷切換器ユニット
41 第二の歯車
42 第二の歯車シャフト
43 第二の歯車軸
44 負荷切換器ユニット40のカム円板/操作手段
50 歯車伝動装置
60 駆動シャフト
61 駆動シャフト60の第一の端部
62 駆動シャフト60の第二の端部
63 第一の端部61におけるクラッチ
64 第二の端部62におけるクラッチ
70 モーター駆動部
71 伝動装置モジュール
72 スイッチボックス
73 ケーブル
80 第二の駆動シャフト
81 第二の選択器ユニット
82 第二の負荷切換器ユニット
83 第二の歯車伝動装置
84 クラッチ
90 第三の駆動シャフト
91 第三の選択器ユニット
92 第三の負荷切換器ユニット
93 第三の歯車伝動装置
α 角度
A 軸
N1,...,NJ,...,NN タップ付変圧器1の巻線タップ
【国際調査報告】