IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-04
(54)【発明の名称】減圧療法治療システム
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20221222BHJP
   A61F 13/00 20060101ALI20221222BHJP
   A61F 13/06 20060101ALI20221222BHJP
   A61F 13/10 20060101ALI20221222BHJP
   A61F 13/08 20060101ALI20221222BHJP
   A61M 27/00 20060101ALN20221222BHJP
【FI】
A61H7/00 310E
A61F13/00 305
A61F13/06 A
A61F13/06 Z
A61F13/10 A
A61F13/10 S
A61F13/08
A61M27/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022524956
(86)(22)【出願日】2020-10-29
(85)【翻訳文提出日】2022-05-16
(86)【国際出願番号】 IB2020060151
(87)【国際公開番号】W WO2021084465
(87)【国際公開日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】62/929,215
(32)【優先日】2019-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/955,534
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508268713
【氏名又は名称】ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ジャハニアン,シャービン
(72)【発明者】
【氏名】ランドルフ,ラリー タブ
(72)【発明者】
【氏名】シモンズ,テイラー エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】カザラ,リチャード エム.
(72)【発明者】
【氏名】レーベイン,ジョナサン ジー.
【テーマコード(参考)】
4C100
4C267
【Fターム(参考)】
4C100AB02
4C100BA05
4C100BB05
4C100DA08
4C100DA10
4C267AA38
4C267CC06
4C267EE13
4C267GG08
4C267JJ05
(57)【要約】
治療システムは、減圧層を有するドレッシングと、ドレッシングを治療部位の周りに固着させ、その内に減圧層が位置する治療チャンバを画定する閉塞層とを含む。チャンバに流体的に結合された排気デバイスの動作は、減圧層を、組織部位から離れるように圧縮させ、結果として、引張力が治療部位上に付与される。組織部位のこの減圧は、血液及び他の流体の灌流を増加させ、有利には、治療部位での腫脹を低減することができる。治療部位の引揚げ度を増加させるために、減圧層は、有利には、治療システムの使用中に平行板効果を発揮するように構築されている。例えば、減圧層は、減圧層の組織に面する表面よりも減圧層の外向きに面する表面の近くに位置する剛性中心を有して構築されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
引揚力を患者の組織部位に適用するための装置であって、
実質的に気密のチャンバを画定するように組織部位の周りで患者に封止されるように構成された閉塞層と、
前記閉塞層によって画定された前記チャンバ内に、前記組織部位近接する場所に配設された減圧層であって、1つ以上の流路をその中を通って画定する圧縮性布を含む減圧層と、
前記閉塞層に沿って設けられたコネクタであって、前記チャンバを真空源に流体的に結合するように構成されたコネクタと
を備える装置において、
前記真空源の動作の際、前記減圧層は、前記組織部位から離れる方向に圧縮するように構成されている、装置。
【請求項2】
前記閉塞層は、患者に封止された際、前記組織部位を画定する四肢の周りに少なくとも360度延び、前記減圧層は、前記真空源の動作中に、半径方向外向き方向に圧縮するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記閉塞層は、患者に封止された際、前記組織部位を画定する四肢の周りに360度未満延びる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記減圧層は、マクロメッシュ材料を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記マクロメッシュ材料は、
上層と、
下層と、
前記上層と前記下層との間に延び前記上層と前記下層とを接続する複数のフィラメントと
を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記フィラメントは、前記真空源の動作前の前記上層と前記下層との間の距離が、前記真空源の動作中の前記上層と前記下層との間の距離よりも大きいように、可撓性である、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記上層は、前記下層に対して実質的に連続的に延びる、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記上層は、前記下層よりも高い剛性を有する、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
前記マクロメッシュ材料は、前記上層と前記下層との間に配設された第1の中間層を更に含み、前記第1の中間層は、前記下層よりも高い剛性を有する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の中間層は、前記上層と同じ材料を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記複数のフィラメントは、前記第1の中間層と、前記下層及び前記上層のうちの少なくとも一方との間に延びる、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記マクロメッシュ材料は、前記上層と前記第1の中間層との間に配設された第2の中間層を更に含み、前記第2の中間層は、前記第1の中間層よりも低い剛性を有する、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記マクロメッシュ材料は、前記下層と前記第1の中間層との間に配設された第2の中間層を更に含み、前記第2の中間層は、前記第1の中間層よりも低い剛性を有する、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記第2の中間層は、前記下層と同じ材料を含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記減圧層の質量中心は、前記減圧層の前記下面によりも前記減圧層の前記上面に近い、前記減圧層に沿う高さに位置する、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記装置は、前記減圧層の前記下面の下に位置する界面層を更に備え、前記界面層は、前記患者への前記閉塞層の封止の際、前記組織部位を囲む皮膚に接触する、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記界面層は、前記減圧層とは別個に設けられた個別の構造である、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記界面層は、前記減圧層及び前記閉塞層のうちの少なくとも一方に選択的に解放可能に取り付けられている、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記界面層は、前記減圧層に前記減圧層の下面に沿って取り付けられている、請求項16に記載の装置。
【請求項20】
前記界面層は、不織通気性布を含む、請求項16に記載の装置。
【請求項21】
前記閉塞層及び減圧層は、少なくとも第1の開放端を含む環状構造を画定するように互いに取り付けられており、前記環状構造は、患者の膝、足首、脚、腕、又は手のうちの1つへの取り付けのためのサイズを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記環状構造は、第2の開放端を更に含む袖状構造を画定する、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
組織部位での血液灌流及びリンパ流のうちの少なくとも一方を増加させるための装置であって、
周方向に延びる閉塞層であって、実質的に気密のチャンバを画定するように前記組織部位の周りで患者に封止されるように構成された閉塞層と、
前記閉塞層によって画定された前記チャンバ内に組織部位近接して配設されるように構成された下面を有する減圧層と、
前記チャンバを真空源に流体的に結合するように構成されたコネクタと
を備える装置において、
前記真空源の動作の際、前記減圧層は、前記組織部位から離れる方向に圧縮するように構成されている、装置。
【請求項24】
前記閉塞層は、ブーツ状構成又は手状構成のうちの一方を含む、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記減圧層の形状及びサイズは、前記閉塞層構成と同様である、請求項23に記載の装置。
【請求項26】
前記減圧層のサイズは、前記減圧層が前記閉塞層に対して同心であるように、前記閉塞層のサイズよりも小さい、請求項23に記載の装置。
【請求項27】
前記閉塞層は、ジッパー及びガセットのうちの少なくとも一方を含む、請求項24に記載の装置。
【請求項28】
前記減圧層は、第2のメッシュ層から可撓性層によって垂直にオフセットされた第1のメッシュ層を含み、前記第1のメッシュ層は、前記閉塞層と反対側に位置し、前記第2のメッシュ層は、前記組織部位と反対側に位置する、請求項23に記載の装置。
【請求項29】
前記第2のメッシュ層は、前記真空源の動作中に、前記第1のメッシュ層に向かって半径方向外向きに移動する、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記第1のメッシュ層は、前記第2のメッシュ層よりも高い密度を有する、請求項28に記載の装置。
【請求項31】
減圧療法を提供するための方法であって、
ドレッシングを、治療部位の上に延びる無傷の皮膚近接して取り付けることであって、前記ドレッシングは、
実質的に気密のチャンバを前記患者の前記皮膚と前記閉塞層の下面との間に画定するように構成された閉塞層と、
その中を通って延びる複数の流体流路を含む圧縮性の減圧層と
を含む、取り付けることと、
空気を前記チャンバから排出するように前記チャンバに流体的に結合された排気デバイスを動作させることと
を含む方法において、
前記チャンバからの空気の前記排出は、前記減圧層を、前記治療部位から離れる方向に圧縮させる、方法。
【請求項32】
前記治療部位から離れる方向への前記減圧層の圧縮は、前記無傷の皮膚を前記治療部位に対して外向き方向に引っ張るように構成されている、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記減圧層は、前記閉塞層に面する第1のメッシュ層と、前記組織部位に面する第2のメッシュ層とを含み、前記第2の層は、前記チャンバからの空気の前記排出の際、前記組織部位と反対の方向に前記第1の層に対して移動するように構成されている、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記第1の層は、前記第2の層よりも大きい密度を有する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
界面層を、前記治療部位の上に延びる前記無傷の皮膚近接して取り付けるステップを更に含む、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記閉塞層及び前記減圧層を取り付けることは、前記界面層を前記患者の前記皮膚に取り付けた後に起きる、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記閉塞層を取り付けることは、前記減圧層を取り付けた後に起きる、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記治療部位は、肢の骨折、捻挫した組織、及び挫傷した組織のうちの1つに対応する場所であり、前記チャンバからの空気の前記排出は、前記治療部位での腫脹を第1の腫脹度から第2の腫脹度に低減する、請求項31に記載の方法。
【請求項39】
前記治療部位は、前記第1の腫脹度から前記第2の腫脹度以下の腫脹度への前記治療部位での腫脹の前記低減の後に、外科的治療を受け、前記第1の腫脹度から前記第2の腫脹度への腫脹の前記低減は、空気を前記チャンバから排出するための前記排気デバイスの初回動作から3~7日後に起きる、請求項38に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている、2019年11月1日に出願された米国特許仮出願第62/929,215号及び2019年12月31日に出願された米国特許仮出願第62/955,534号に対する優先権の利益を主張する。
【0002】
外傷又はある病理(例えば、リンパ浮腫)に関連する腫脹は、様々な医学的合併症を引き起こし得る。例えば、腫脹は、不快感及び疼痛を引き起こし得、運動の範囲を制限し得る、又はそうでなければ患者の生活の質に悪影響を与え得る。腫脹はまた、下にある組織を医学的に撮像し、視認し、下にある組織にアクセスする医療提供者の能力を制限し得る、又はそうでなければ患者の治療に干渉し得、よって、患者の治癒及び回復の妨害を提起し得る。ある状況では、腫脹は、例えば、囲む筋肉組織の萎縮などのより重度の結果さえももたらし得る。
【0003】
組織部位に容易に適用され得、使用間に洗浄(又はそうでなければ滅菌)され得、組織部位での血液灌流及びリンパ流を増加させて腫脹を低減するための減圧療法を提供するように信頼性をもって繰り返して動作し得る、耐久性を有する再使用可能な治療システムを提供することが有利である。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一実施態様によれば、引揚力を患者の組織部位に適用するための装置は、閉塞層と、減圧層と、コネクタとを含む。閉塞層は、実質的に気密のチャンバを画定するように組織部位の周りで患者に封止されるように構成されている。減圧層は、閉塞層によって画定されたチャンバ内に、組織部位近接する場所に配設されている。減圧層は、1つ以上の流路をその中を通って画定する圧縮性布を含む。コネクタは、閉塞層に沿って設けられており、チャンバを真空源に流体的に結合するように構成されている。真空源の動作の際、減圧層は、組織部位から離れる方向に圧縮するように構成されている。
【0005】
いくつかの実施形態によれば、閉塞層は、患者に封止された際、組織部位を画定する四肢(又は他の解剖学的構造)の周りに少なくとも360度延び、減圧層は、真空源の動作中に、半径方向外向きに圧縮する。他の実施形態では、閉塞層は、患者に封止された際、組織部位を画定する四肢(又は他の解剖学的構造)の周りに360度未満延び、減圧層は、真空源の動作中に、上向き方向に圧縮する。
【0006】
いくつかの実施形態では、減圧層は、マクロメッシュ材料(例えば、マクロメッシュ布)から形成されている。マクロメッシュ材料は、任意選択で、上層と、下層と、上層と下層との間に延び上層と下層とを接続する複数のフィラメントとを含む。フィラメントは、真空源の動作前の上層と下層との間の距離が、真空源の動作中の上層と下層との間の距離よりも大きいように、可撓性である。
【0007】
様々な実施形態では、上層は、下層に対して実質的に連続的に延びる。上層は、下層よりも高い剛性及び高い密度のうちの少なくとも一方を有する。
【0008】
マクロメッシュ材料は、任意選択で、上層と下層との間に配設された第1の中間層を更に含む。第1の中間層は、下層よりも高い剛性及び高い密度のうちの少なくとも一方を有する。いくつかの実施形態では、第1の中間層は、上層と同じ材料から形成されている。複数のフィラメントが、第1の中間層と、下層及び上層のうちの少なくとも一方との間に延びる。
【0009】
マクロメッシュ材料は、任意選択で、上層と第1の中間層との間に配設された第2の中間層を更に含む。第2の中間層は、第1の中間層よりも低い剛性及び低い密度のうちの少なくとも一方を有する。
【0010】
他の実施形態では、マクロメッシュ材料は、任意選択で、下層と第1の中間層との間に配設された第2の中間層を更に含む。第2の中間層は、第1の中間層よりも低い剛性及び低い密度のうちの少なくとも一方を有する。様々な実施形態では、第2の中間層は、下層と同じ材料から形成されている。
【0011】
減圧層の質量中心は、減圧層の下面によりも減圧層の上面に近い、減圧層に沿う高さに位置し得る。
【0012】
任意選択の界面層は、減圧層の下面の下に位置する。界面層は、患者への閉塞層の封止の際、組織部位を囲む皮膚に接触する。界面層は、不織通気性布を含み得る。界面層は、減圧層とは別個に設けられた個別の構造であり得る。界面層は、任意選択で、減圧層及び閉塞層のうちの少なくとも一方に選択的に解放可能に取り付けられている。いくつかの実施形態では、界面層は、減圧層に減圧層の下面に沿って取り付けられている。
【0013】
いくつかの実施形態では、閉塞層及び減圧層は、少なくとも第1の開放端を含む環状構造を画定するように互いに取り付けられている。環状構造は、患者の膝、足首、脚、腕、又は手のうちの1つへの取り付けのためのサイズを有する。いくつかの実施形態では、環状構造は、任意選択で、第2の開放端を更に含む袖状構造を画定する。
【0014】
本開示の一実施態様によれば、組織部位での血液灌流及びリンパ流のうちの少なくとも一方を増加させるための装置は、周方向に延びる閉塞層と、減圧層と、コネクタとを含む。閉塞層は、実質的に気密のチャンバを画定するように組織部位の周りで患者に封止されるように構成されている。減圧層は、閉塞層によって画定されたチャンバ内に、組織部位近接して配設されるように構成された下面を有する。コネクタは、チャンバを真空源に流体的に結合するように構成されている。真空源の動作の際、減圧層は、組織部位から離れる方向に圧縮するように構成されている。
【0015】
閉塞層は、任意選択で、ブーツ状構成又は手状構成のうちの一方を含む。減圧層の形状及びサイズは、閉塞層構成と同様であり得る。減圧層のサイズは、減圧層が閉塞層に対して同心であるように、閉塞層のサイズよりも小さい。いくつかの実施形態では、閉塞層は、ジッパー及びガセットのうちの少なくとも一方を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、減圧層は、第2のメッシュ層から可撓性層によって垂直にオフセットされた第1のメッシュ層を含む。第1のメッシュ層は、閉塞層と反対側に位置し、第2のメッシュ層は、組織部位と反対側に位置する。第2のメッシュ層は、真空源の動作中に、第1のメッシュ層に向かって半径方向外向きに移動し得る。第1のメッシュ層は、第2のメッシュ層よりも高い密度を有し得る。
【0017】
本開示の一実施態様によれば、減圧療法を提供するための方法は、ドレッシングを、治療部位の上に延びる無傷の皮膚近接して取り付けることを含む。ドレッシングは、実質的に気密のチャンバを患者の皮膚と閉塞層の下面との間に画定するように構成された閉塞層と、その中を通って延びる複数の流体流路を含む圧縮性の減圧層とを含む。チャンバに流体的に結合された排気デバイス(air displacement device)は、空気をチャンバから排出するように動作する。チャンバからの空気の排出は、減圧層を、組織部位から離れる方向に圧縮させる。組織部位から離れる方向への減圧層の圧縮は、無傷の皮膚を治療部位に対して外向き方向に引っ張るように構成されている。
【0018】
減圧層は、任意選択で、閉塞層に面する第1のメッシュ層と、治療部位に面する第2のメッシュ層とを含む。第2の層は、チャンバからの空気の排出の際、治療部位と反対の方向に第1の層に対して移動するように構成されている。いくつかの実施形態では、第1の層は、第2の層よりも大きい密度及び大きい剛性のうちの少なくとも一方を有する。
【0019】
任意選択の界面層は、治療部位の上に延びる無傷の皮膚近接して取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、閉塞層及び減圧層は、界面層を患者に取り付けた後に患者の皮膚に取り付けられる。閉塞層は、減圧層を患者に取り付けた後に患者に取り付けられ得る。
【0020】
治療部位は、任意選択で、肢の骨折、捻挫した組織、挫傷した組織のうちの少なくとも1つに対応する場所である。チャンバからの空気の排出は、治療部位での腫脹を第1の腫脹度から第2の腫脹度に低減する。いくつかの実施形態では、治療部位は、第1の腫脹度から第2の腫脹度以下の腫脹度への治療部位での腫脹の低減の後に、外科的治療を受ける。第1の腫脹度から第2の腫脹度への腫脹の低減は、空気をチャンバから排出するための排気デバイスの初回動作から3~7日後に起きる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】例示的な一実施形態による、減圧治療システムのドレッシングの部分断面図を示す、減圧治療システムの側面図である。
【0022】
図2図1の線2-2に沿う断面図である。
【0023】
図3】例示的な一実施形態による、減圧治療システムのドレッシングの分解斜視図である。
【0024】
図4A】例示的な一実施形態による、減圧治療システムのドレッシングの減圧層の圧潰の概略図である。
【0025】
図4B】例示的な一実施形態による、減圧治療システムのドレッシングの減圧層の圧潰の概略図である。
【0026】
図5】例示的な一実施形態による、減圧治療システムのドレッシングの減圧層を形成する材料の斜視図である。
【0027】
図6A】例示的な一実施形態による減圧層の断面図である。
図6B】例示的な一実施形態による減圧層の断面図である。
図6C】例示的な一実施形態による減圧層の断面図である。
図6D】例示的な一実施形態による減圧層の断面図である。
図6E】例示的な一実施形態による減圧層の断面図である。
図6F】例示的な一実施形態による減圧層の断面図である。
【0028】
図7】例示的な一実施形態による減圧治療システムの使用中の、図6A図6Eの例示的な減圧層の性能と網状発泡体ベースの減圧層の性能との比較を示す表である。
【0029】
図8A】例示的な一実施形態による、減圧治療システムのドレッシングの斜視図である。
【0030】
図8B】例示的な一実施形態による、患者に取り付けられている図8Aのドレッシングの斜視図である。
【0031】
図8C】例示的な一実施形態による、患者に取り付けられた図8Aのドレッシングの斜視図である。
【0032】
図9A】例示的な一実施形態による、減圧治療システムのドレッシングの斜視図である。
【0033】
図9B】例示的な一実施形態による、患者に取り付けられた図9Aのドレッシングの斜視図である。
【0034】
図10】例示的な一実施形態による、減圧治療システムのドレッシングの斜視図である。
【0035】
図11A】例示的な一実施形態による、減圧治療システムのドレッシングの分解斜視図である。
【0036】
図11B】例示的な一実施形態による、患者に取り付けられた図11Aのドレッシングの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
ある例示的な実施形態を詳細に示す図面を参照する前に、本開示は、説明に記載されている又は図面に示されている詳細又は方法に限定されないことを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、単に説明のためであり、限定として解釈されるべきでないことを理解されたい。
【0038】
概して図を参照して、真空を、様々なタイプの治療組織部位(例えば、骨組織、脂肪組織、筋肉組織、神経組織、皮膚組織、血管組織、結合組織、軟骨、腱、靭帯など)の上に延びる又は当該治療組織部位を囲む無傷の皮膚に適用するための減圧療法治療システムについて、様々な実施形態により記載する。治療システムによって提供される無傷の皮膚への真空の適用は、引張(例えば、引揚)力を無傷の皮膚に付与し、これは、治療組織部位を減圧し、これによって、治療組織部位での血液灌流及び他の流体の灌流(例えば、リンパ流)を増加させる。
【0039】
治療システムの動作から生じる治療組織部位の減圧は、有利には、組織部位での腫脹を低減するために使用され得る。治療システムは、医療状況及び非医療状況の両方における使用のために構成されており、様々な異なる状態の結果として起きる腫脹を治療するために使用され得る。例えば、治療システムは、傷害、酷使、根底にある医学的状態(例えば、リンパ浮腫)などから生じる腫脹を治療するために、家庭状況において患者によって使用され得る。
【0040】
更に他の実施形態では、治療システムはまた、例えば、患者の術前及び/又は術後ケア中に腫脹を低減するために、医療状況において使用され得る。例えば、手術前に(例えば、骨折、浮腫、組織捻挫、組織挫傷などによって引き起こされる)治療部位での腫脹を低減することは、有利には、標的手術部位での下にある組織へのアクセスを容易にし得、手術時間を低減し得、及び/又は外科的治療の結果を改善し得る。外科的治療の前の本明細書に記載の実施形態のうちのいずれかによる治療システムの使用は、有利には、腫脹を治療する従来の方法を使用して腫脹を低減するのに必要とされる時間と比較して、標的手術部位での腫脹を許容可能な腫脹度に低減させるのに必要とされる時間を減少させ得る。例えば、治療システムの使用は、治療システムを使用する治療の開始から3~7日以内に、腫脹を許容可能な腫脹度に低減し得る。
【0041】
腫脹を低減するための治療システムの使用に加えて、治療システムによって提供される減圧療法はまた、有利には、様々な他の医学的状態又は病気の治療において使用され得る。1つの非限定的な例として、治療システムは、(例えば、組織部位での捻挫又は他のストレスの結果として起きる)疼痛及び/又は炎症の急性治療のために使用され得る。更に他の状況では、治療システムは、治療組織部位での血液灌流及び/又はリンパ流を増加させて、(例えば、運動競技トレーニング又は他の激しい活動後の)酷使の効果を最小にするために使用され得る。
【0042】
図1を参照すると、治療システム10は、概して、治療組織部位を囲む場所で患者に取り付けられるように構成されたドレッシング100と、負圧源をドレッシング100と治療組織部位との間に画定された治療チャンバに提供するように構成された排気デバイス200(例えば、真空源、負圧ポンプなど)とを備える。排気デバイス200の動作の際、患者の無傷の皮膚とドレッシング100との間に画定された治療チャンバは、減圧チャンバとして機能し、減圧チャンバにおいて、空気が治療チャンバから排出されたとき、皮膚及び下にある組織は、(図2の矢印によって代表的に示す)外向きの引張(例えば、引揚)力を受ける。ドレッシング100及び排気デバイス200の一方又は両方に結合された任意選択のコントローラは、治療システム10を使用して治療部位への減圧療法の適用を制御し得る。
【0043】
図1の治療システム10の実施形態によって示すように、ドレッシング100及び排気デバイス200は、任意選択で、互いに遠く離れて位置する個別の別個の構成要素として設けられている。このような実施形態では、排気デバイス200は、外部チューブ205を介して治療チャンバに流体的に及び封止して結合されている。ドレッシング100を通って延びる開口111の周りに封止して取り付けられた任意選択のコネクタポート90は、治療チャンバと排気デバイス200との間の流体接続を容易にし得る。他の実施形態(例えば、ドレッシング100が患者に巻き付けられるように構成されている実施形態)では、他のコネクタポート構造及び/又は構成が、排気デバイス200とドレッシング100とを封止して係合する及び流体的に結合するために使用され得る。図11Bに示すように、更に他の実施形態では、排気デバイス200は、任意選択で、モジュール300内に一体化されており、モジュール300は、一体化された自己完結型一体式の治療システム10を画定するように、ドレッシング100に固定的に又は取り外し可能に取り付けられている。
【0044】
独立型減圧療法デバイスとしての治療システム10の使用に加えて、様々な実施形態では、治療システム10は、1つ以上の追加の治療システムと共に使用され得る(及び、任意選択で、1つ以上の追加の治療システム内に一体化され得る)。例えば、治療システム10は、引張力を、治療組織部位を囲む無傷の皮膚上に付与するために使用されるとして記載されているが、いくつかの実施形態では、治療システム10は、引張力を創傷上に付与するために使用され得る。いくつかのこのような実施形態では、治療システム10は、任意選択で、陰圧創傷閉鎖法システム(「Negative Pressure Wound Therapy(NPWT)」システム)の創傷ドレッシングの頂上に適用されている(又は、NPWTシステムの創傷ドレッシング内に一体化されている)。更に他の実施形態では、治療システム10は、例えば、熱治療システム、骨折を治療するように構成されたシステムなどの様々な他の治療システムと共に使用され得る。
【0045】
ドレッシング
図3を参照すると、ドレッシング100は、概して、可撓性の閉塞層110と、その中を通って延びる複数の流体流路を含む圧縮性の減圧層120(例えば、マニホールド層(manifolding layer)、マクロメッシュ層、圧縮性層、圧潰性層など)とを含む。閉塞層110は、治療組織部位を囲む治療チャンバを画定するように、(例えば、任意選択の封止部材を使用して)患者に取り付けられるように構成されている。患者へのドレッシング100の取り付けの際、減圧層120は、治療チャンバ内に配置されており、治療組織部位に沿って延びる。任意選択の界面層130は、患者の皮膚と減圧層120との間に延びる。
【0046】
治療システム10の動作中に、排気デバイス200の開始の際に起こる治療チャンバからの空気の排出は、閉塞層110及び減圧層120を、治療組織部位を囲む無傷の皮膚に向かって引きつけさせる。排気デバイス200によって適用された真空が、空気のほとんどを治療チャンバから除去されると、治療チャンバへの負圧の継続の適用は、圧縮性の減圧層120を、減圧層120自体上に圧潰(例えば、圧縮)させる。治療チャンバへの負圧のこの持続する適用、及び減圧層120の圧潰は、治療組織部位での無傷の皮膚を、(例えば、図2の矢印で示すように)外向きに引っ張らせ、これによって、治療組織部位の皮下部分における血液灌流及びリンパ流を刺激する。
【0047】
A.閉塞層
閉塞層110は、治療組織部位を包囲する(例えば、囲む、上に延びる、被覆するなど)ように患者の皮膚に封止されるように構成されている。例えば、閉塞層110が、袖状構造、ブーツ状構造、若しくは他の環状構造によって、及び/又は解剖学的構造に巻き付けられるように構成されたシート状構造若しくはテープ状構造によって画定されているいくつかの実施形態では、閉塞層110は、患者の肢、四肢、又は他の解剖学的構造の周りに約360度延びる(すなわち、取り囲む)、又は360度超延びる(すなわち、閉塞層110は、閉塞層110自体に巻き付く)。他の実施形態(例えば、膝、肩、肘などの治療中に)では、閉塞層110は、任意選択で、患者の解剖学的構造の周りに360度未満(例えば、180度未満)延びるシート状構造によって画定されている。
【0048】
排気デバイス200の動作の際、閉塞層110と患者の皮膚との間の封止された取り付けは、封止された減圧治療チャンバを形成し、減圧治療チャンバを介して、負圧は、治療組織部位に伝達される。開口111は、任意選択で、閉塞層110を通って画定されており、開口111を介して、治療チャンバは、治療システム10の排気デバイス200に流体的に結合されている。代替的に、治療チャンバは、患者の皮膚と閉塞層110の下面との間に介在するコネクタを介して真空源に流体的に結合されている。
【0049】
閉塞層110は、治療システム10の使用中に治療チャンバ内の所望の真空を維持することが可能である様々な材料から形成され得る。閉塞層110は、任意選択で、水分(例えば、発汗)が治療システム10の使用中に治療組織部位から蒸発することを可能にするために、高MVTRを有する材料から形成されている。閉塞層110のために選択される材料はまた、有利には、閉塞層110が治療システム10の長期間の使用に耐えることを可能にするのに十分に強固であり弾性を有する。閉塞層110が再使用可能である実施形態では、閉塞層110を形成する材料はまた、任意選択で、閉塞層110が使用間に清浄化(例えば、洗浄)されることを可能にするのに十分な耐久性を有する。
【0050】
図3に示すように、いくつかの実施形態では、閉塞層110は、患者へのドレッシング100の取り付け中に、他の構成要素(例えば、減圧層120、界面層130など)と一体化されたドレッシング100の個別の別個の構成要素として設けられている。いくつかのこのような実施形態では、閉塞層110には、任意選択で、閉塞層110の下面に沿って接着剤が設けられている。(閉塞層110が封止部材と一体化されている)このような剥離及び適用配置(peel-and-place arrangement)は、ドレッシング100が患者の解剖学的構造(例えば、足、脚、腕など)に迅速に巻き付けられる(又はそうでなければ、取り付けられる)ことを可能にして、患者へのドレッシング100の迅速な取り付けを可能にする。図8A図9A、及び図10の代表的な実施形態を参照すると、他の実施形態では、閉塞層110は、代替的に、減圧層120と取り外し可能に又は固定的に一体化されている。
【0051】
閉塞層110のために使用され得る材料の非限定的な例としては、ポリウレタンフィルム(例えば、ESTANE 5714F)、ポリアルコキシアルキルアクリレート及びメタクリレートなどを含むがこれらに限定されない他のポリマーフィルム(例えば、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれている2002年11月22日に出願された英国特許出願公開第1280631(A)号に記載されているポリマーフィルム)、積層布(例えば、ポリルレタン積層布、発泡ポリテトラフルオロエチレン積層布など)、ポリマー被覆布、様々な合成繊維から作製された布などが挙げられる。
【0052】
B.減圧層
減圧層120(例えば、マニホールド層、マクロメッシュ層、圧縮性層、圧潰性層など)は、引張力又は引揚力を治療組織部位での皮膚上に付与するように構成されている。減圧層120は、複数の流体流路(例えば、経路、通路、細孔など)をその中を通って含む(又は画定する)材料から形成されている。減圧層120の流体流路は、治療システム10の動作中に治療組織部位への負圧の持続する伝達(例えば、マニホールド(manifolding))を可能にする。流体流路のうちのいくつか又は全ては、任意選択で、治療組織部位に提供される又は治療組織部位から除去される流体(例えば、空気)の分配を改善させるために相互接続されている。減圧層120は、空気流を流体流路を通って少なくとも最大約150mmHgの負圧で提供するのに十分な剛性を有する圧縮性材料から形成されている。
【0053】
図2を参照すると、空気が治療システム10の動作中に治療チャンバから排出されたとき、ドレッシング100の剛性に対してより大きい、治療組織部位の下にある皮膚/筋肉/骨の剛性は、閉塞層110を、減圧層120の外向きに面する表面125(例えば、上面、外面、組織部位と反対側を向く表面など)に対して引きつけさせ、また、減圧層120の組織に面する表面127(例えば、下面、内面など)を、治療組織部位での皮膚に向かって及び治療組織部位での皮膚に対して(直接的に、又は任意選択の界面層130を介して間接的に)引きつけさせる。空気が治療チャンバから実質的に排出されると、治療チャンバへの真空の継続の適用は、圧縮性の減圧層120の圧潰をもたらす。
【0054】
減圧層120が圧潰する(例えば、圧縮する)方向(すなわち、外向き/内向き、上向き/下向き、組織部位から離れて/組織部位に向かって、半径方向に、垂直方向になど)は、減圧層120の構築に依存して変化する。単一層を含み、均一な密度を有する材料から形成された減圧層120が真空に応答して圧潰することが、代表的に図4Aに示されている。図4Aの矢印によって示すように、減圧層120の外向きに面する表面125よりも、組織に面する表面127の近くに位置する剛性中心を有するこのような減圧層120は、減圧層120の外向きに面する表面125が減圧層120の組織に面する表面127に向かって引きつけられるように圧縮する。
【0055】
硬質材料から形成された外側部分(すなわち、組織部位と反対側に面する外向きに面する表面125隣接する減圧層120の部分)と、より軟質の材料から形成された内側部分(すなわち、組織に面する表面127隣接する減圧層120の部分)とを含む減圧層120が真空に応答して圧潰することが、図4Bに示されている。図4Aに示す代表的な減圧層120とは対照的に、減圧層120の組織に面する表面127よりも外向きに面する表面125の近くに位置する剛性中心によって画定された図4Bに示すような減圧層120は、治療システム10の使用中に真空を受けると、平行板効果(parallel plate effect)を経験する。図4Bの矢印によって示すように、減圧層120のより軟質の内側半部分が2つのより硬質の構造(すなわち、治療組織部位の下にある皮膚/筋肉/骨、及び減圧層120の比較的より硬い外側半部分)間に挟まれているこの配置は、減圧層120が圧潰したとき、減圧層120の組織に面する表面127が減圧層120の外向きに面する表面125に向かって引きつけられることをもたらす。減圧層120のこのような外向きに向けられた圧潰の結果として治療組織部位での皮膚上に付与される引張力は、治療組織部位でのリンパ流及び血液灌流を向上させるのに有効である。
【0056】
組織部位でのリンパ流及び血液灌流への平行板効果の影響を考慮して、減圧層120は、有利には、減圧層120の剛性中心が、減圧層120)の組織に面する表面127よりも、外向きに面する表面125の近くに位置するように構築されている。減圧層120はまた、有利には、減圧層120が患者に固着されることを可能にしドレッシング100が治療システム10の使用中にそれに取り付けられている身体部分の運動の範囲を可能にするのに十分な可撓性を有する材料から構築されている。
【0057】
減圧層120はまた、有利には、治療システム10の動作の過程(例えば、最大1週間又は1週間超の期間)にわたる減圧層120への負圧の繰り返しの適用に耐えるのに十分な構造統合性及び弾性を有して形成されている。同じ患者又は他の患者での治療システム10の再使用を容易にするために、減圧層120は、追加的に任意選択で、減圧層120が使用間に洗浄されることを可能にする耐久性を有して構築されている。
【0058】
図5を参照すると、増加した引張力を組織治療部位での皮膚上に付与するように構成された可撓性、弾性、及び耐久性を有する減圧層120の構築が、例示的な一実施形態により示されている。図5の減圧層120の実施形態では、減圧層120は、下層123と、上層121と、中間層122とを含むマクロメッシュ材料によって画定されている。組織治療システム10内への減圧層120の一体化の際、下層123の下面は、減圧層120の組織に面する表面127(例えば、下面、内面、半径方向内向きに延びる表面など)を画定し、上層121の上面は、減圧層120の外向きに面する表面125(例えば、上面、外面、半径方向外向きに延びる表面など)を画定する。上層121及び下層123は、互いに垂直にオフセットされており、中間層122(例えば、コネクタ層)を介して互いに相互接続されている。
【0059】
減圧層120を形成するマクロメッシュ材料を画定する上層121及び下層123は、様々な異なる材料によって画定され得る。減圧層120に所望の弾性度及び耐久性度を提供するために、上層121及び下層123のうちの一方又は両方は、織物材料から形成されている。織物は、減圧層120の所望の特性に依存して、様々な異なる織りパターン又は不織パターン、重量、密度、繊維、剛性などによって画定され得る。様々な実施形態によれば、上層121及び下層123のうちの一方又は両方は、ポリマー又はナイロン材料(例えば、ポリマー又はナイロンメッシュ)から形成されている。
【0060】
減圧層120に、所望のオフセットされた剛性中心(すなわち、減圧層120の外向きに面する表面125の近くに位置する剛性中心)を提供するために、上層121は、下層123と異なる材料から形成されている、下層123と異なる構築を有する、又はそうでなければ下層123と異なる。例えば、上層121は、下層123のために使用される材料よりも大きい剛性を有する材料から形成されている。上層121及び/又は下層123に選択される材料は、減圧層120に追加の所望の特徴を提供するために、任意選択で、コーティング(例えば、抗菌コーティング、疎水性コーティングなど)を含み得る。
【0061】
中間層122は、様々な異なる材料から形成され得る。図5に示すように、様々な実施形態によれば、中間層122は、減圧層120が治療システム10の使用中に1回以上の回数で圧潰する(例えば、圧縮する、又はそうでなければ上層121と下層123との間の距離を低減させる)ことを可能にする、耐久性、弾性及び可撓性を有する(例えば、圧潰性、偏向性、屈曲性、圧縮性など)複数のフィラメント繊維129から形成されている。中間層122を形成するフィラメント繊維129は、様々な糸タイプ(例えば、モノフィラメント、マルチフィラメント、紡糸など)、直径、長さ、材料、重量、デニール、密度、剛性などによって画定され得る。フィラメント繊維129の選択及び配置は、マニホールド層の所望の特徴に基づいて変化し得る。例えば、中間層122を形成するフィラメント繊維129の長さ及び密度は、減圧層120の所望の剛性に基づいて変化し得る。
【0062】
治療システム10の動作中に皮膚上に付与される引張力度への図5の二層の減圧層120の配置の様々な特性を変化させる効果について、図6A図6F及び図7を参照して説明する。図6A図6Eに示す減圧層120の実施形態の非限定的な特性は、図7の表に提供されている。
【0063】
概して、例えば、図5の実施形態によって代表的に示すようなマクロメッシュ構成を含む減圧層120は、単層の均一な密度の網状発泡材料から形成された減圧層120よりも大きい剛性によって画定されている。したがって、図7の表に示すように、たとえ二層の減圧層120が、(例えば、図6A及び図6Bの実施形態によって示すように)減圧層120の中心に(又は実質的に中心に)位置する剛性中心によって画定されている場合でも、二層の減圧層120の構造は、単層の均一な密度の網状発泡体材料から形成された減圧層と比較して、治療組織部位での血液灌流及びリンパ流の向上を提供する。
【0064】
例えば、図7の表に示すように、一実施形態では、高密度及び/又は高剛性の(例えば、約3.4のデニールを有するポリエステル材料から形成された)上層121及び下層123を有するマクロメッシュ構成を含む図6Aに示すような減圧層120の実施形態は、単層の均一な密度の網状発泡体材料から形成された減圧層と比較して、治療組織部位での灌流度及び流れ度を約10.5%増加させ得る。また、図7の表に示すように、一実施形態では、低密度及び/又は低剛性の(例えば、約1.5のデニールを有するポリエステル材料から形成された)上層121及び下層123を有するマクロメッシュ構成を含む図6Bに示すような減圧層120の実施形態は、単層の均一な密度の網状発泡体材料から形成された減圧層と比較して、治療組織部位での灌流度及び流れ度を約7.7%増加させ得る。
【0065】
図7の表に要約するように図6A及び図6Bの減圧層120の例の性能の比較によって示すように、例えば、図6Aの実施形態によって示すような減圧層120の実質的に同様の上層121及び下層123を形成するために使用される材料の密度(及び剛性)を増加させることは、(例えば、図6Bの実施形態によって代表的に示すような)より低い密度(及びより低い剛性)の材料からそれぞれが形成されている上層121及び下層123を有する二層の減圧層120の実施形態と比較して、増加した引張力を提供する。
【0066】
図7の表に示すように、より高い密度(及びより高い剛性)の材料から形成された上層121と、より低い密度(及びより低い剛性)の材料から形成された下層123とを含み、したがって、減圧層120の外向きに面する表面125の近くに位置する剛性中心によって画定されている、図6Cに代表的に示すような二層の減圧層120の配置は、例えば、図6A及び図6Bの減圧層の実施形態などの、同じ密度(及び同じ剛性)を有する材料から形成された上層121及び下層123の両方を有して形成された減圧層120と比較して、増加した引張力を治療組織部位上に付与する。例えば、(高密度/高剛性の上層121及び下層123から形成されている)図6Aの減圧層120の実施形態の発泡体よりも10.5%の改善、及び(低密度/低剛性の上層121及び下層123から形成されている)図6Bの減圧層120の実施形態の発泡体よりも7.7%の改善と比較して、高密度及び/又は高剛性の上層121と、低密度及び/又は低剛性の下層123とを有する減圧層の実施形態(例えば、図6Cの実施形態)は、単層の均一な密度の網状発泡体材料から形成された減圧層と比較して、灌流及び流れにおいて24.6%の改善を発揮する。
【0067】
図7に示すように、図6Cの減圧層120の実施形態の下層123及び上層121のために使用される材料と同様に、図6Dの減圧層120の実施形態は、高密度(及び高剛性)の材料から形成されており、減圧層120の下層123はまた、低密度(及びより低い剛性)の材料から形成されている。しかしながら、図6Cの減圧層120の実施形態は、連続的に延びる上層121を含むが、図6Dの減圧層120の実施形態の上層121は、代わりに、高密度(及び高剛性)の材料のストリップによって画定されており、ストリップは、上層121がそれに沿って延びない中間層122の部分によって互いに分離されている。
【0068】
図6Dの減圧層120の実施形態の中断された上層121の構成の結果として、図6Dの減圧層120の剛性中心は、減圧層120の外向きに面する表面125によりも、組織に面する表面127の近くに位置する。図7に示すように、減圧層120の組織に面する表面127の近くに位置する図6Dの減圧層120の剛性中心の効果は、図6Dの減圧層120の実施形態が、均一な密度の単層の網状発泡体ベースの減圧層よりも更により少ない引張力を治療組織部位での皮膚上に付与することである。したがって、図7の表に示すように、図6Dの配置などの減圧層の配置は、単層の均一な密度の網状発泡体材料から形成された減圧層と比較して、16.1%の治療組織部位での灌流及び流れの減少をもたらし得る。
【0069】
減圧層120によって皮膚上に付与される引張力度は、減圧層120の組織に面する表面127からの剛性中心の距離を最大にするように減圧層120を構築することによって更に増強され得る。図6Cを参照して記載されているように、この距離を最大にするための1つのこのような選択肢は、減圧層120の下層123の剛性に対して減圧層120の上層121の剛性を増加させることである。図7に示し図6E及び図6Fの実施形態によって示すように、治療システム10の使用中に皮膚上に付与される引張力を増加させるための追加の選択肢は、減圧層120の厚さ(すなわち、外向きに面する表面125と組織に面する表面127との間の距離)を増加させることである。
【0070】
図6E及び図6Fの実施形態によって代表的に示すように、減圧層120の厚さの増加は、(上層121又は下層123と同様の)1つ以上の追加の織物層128を減圧層120の構造内に組み込むことによって達成され得る。図6E及び図6Fに示すように、これらの追加の1つ以上の層128は、1つ以上の追加の中間層122を介して減圧層120の構造内に一体化され得る。減圧層120によって皮膚上に付与される引張力を最大にするために、追加の織物層128は、有利には、減圧層120の剛性中心を、外向きに面する表面125の近くに維持する様式で、減圧層120内に一体化されている。例えば、図6Eの実施形態によって示すように、減圧層120は、図6Bの減圧層120の外向きに面する表面125に沿って結合された又はそうでなければ取り付けられた)図6Aの減圧層120を含み得る。表7に示すように、図6Eの実施形態によって示すこのような多層の減圧層120の構成は、単層の均一な密度の網状発泡体材料から形成された減圧層と比較して、51.2%の治療組織部位での灌流及び流れの増加を提供し得る。
【0071】
C.界面層
任意選択の界面層130(すなわち、皮膚接触層)は、患者へのドレッシング100の取り付けの際、患者の皮膚隣接して配設されている。界面層130は、様々な理由でドレッシング100内に組み込まれてもよく、様々な異なる特徴によって画定されてもよい。例えば、界面層130は、治療システム10の使用中の不快感及び刺激を減少させ、冷却を提供し、液体を皮膚から吸い上げ、抗菌バリアとして機能し、減圧層120と皮膚との間に摩擦を生じさせて、減圧層120によって皮膚上に付与される引揚力を向上させるなどのように構成され得る。
【0072】
界面層130を形成する材料は、界面層130の所望の特徴に基づいて選択され得る。概して、任意選択の界面層130は、皮膚と減圧層120との間の流れを妨げず皮膚を刺激しない軽量の薄い材料から構築されている。図11Aに示すように、いくつかの実施形態では、界面層130は、例えば、不織通気性布などの織物又は他の多孔質材料を含み得る。図3に示すように、他の実施形態では、界面層130は、その中を通って形成された複数の穿孔又は穴を含む閉塞材料から形成され得る。界面層130はまた、任意選択で、界面層130の再使用を可能にするのに十分な耐久性及び弾性を有して形成されている。
【0073】
界面層130は、様々な配置によりドレッシング100内に一体化され得る。いくつかの実施形態では、界面層130は、全体的に、減圧層120とは別個に減圧層120から取り外されて設けられている。いくつかのこのような実施形態では、界面層130は、治療組織部位(例えば、患者の脚又は腕)上に及び治療組織部位の周りに摺動されるソックス又は袖として設けられ得る。所望の位置に位置すると、ドレッシング100の減圧層120の構成要素及び閉塞層110の構成要素は、患者に取り付けられる。このような分離した配置は、有利には、ユーザが、ドレッシング100の残りの構成要素の取り付け前に、界面層130が皮膚に沿って張って円滑に置かれてあることを確認することを可能にし、よって、治療システム10の使用中の界面層130に沿う皺から生じる挟み込みのリスクを最小にする。
【0074】
代替的に、界面層130は、例えば図8Aの実施形態によって示すように、減圧層120の組織に面する表面127に沿って部分的に又は全体的に取り付けられている。いくつかの実施形態では、界面層130は、減圧層120に取り外し可能に取り付けられており、界面層130が、所望に応じて(例えば、治療システム10の再使用の前に界面層130を洗浄するために)取り外されることを可能にする。他の実施形態では、界面層130は、代わりに、減圧層120の下面の全体又は一部分(例えば、周縁部)に(例えば、熱接着によって、接着剤を介して、超音波溶接を介してなど)固定的に固着されている。界面層130及び減圧層120のこのような固定的取り付けは、有利には、界面層130と減圧層120との間の緩んだ箇所の存在を最小にし得、これは、隆起及び気泡の発生を低減し得、これによって、治療システム10の動作中の挟み込みのリスクを最小にし得る。
【0075】
D.封止部材
ドレッシング100の封止部材は、閉塞層110と下にある表面(例えば、皮膚、患者に巻き付けられた閉塞層110の一区画、任意選択の界面層130など)との間に封止(例えば、液密)取り付けを提供するために使用され、封止取り付けは、真空が組織治療部位を囲む治療チャンバ内に生成及び維持されることを可能にする。有利には、封止部材は、所望の負圧を治療チャンバ内に治療システム10の使用期間にわたって連続的又は断続的に維持するのに十分に堅牢であるように構造化されている。封止部材は、有利には、自己接着性であり、例えば、皮膚、任意選択で含まれている界面層130、減圧層120、閉塞層110などを含む様々な異なる表面への液密取り付けを提供することができる。封止部材が再使用可能である実施形態では、封止部材は、有利には、滅菌可能である。代替的に、封止部材は、新しい封止部材が治療システム10の後続の使用ごとに使用され得るように、交換可能(例えば、取り外し可能)であってもよい。
【0076】
封止部材は、多様な様々な封止構造又は様々な封止構造の組み合わせによって画定され得る。図9Bに示すように、封止部材は、任意選択で、ドレッシング100の他の構成要素とは別個に設けられた個別の構成要素(複数可)を含み得る。例えば、封止部材は、ドレッシング100を患者に固着させるために閉塞層110の上層の全体又は外周に沿って適用されたテープ状又はフィルム状構造141(例えば、熱可塑性エラストマーゲルストリップ、シリコーン/アクリル三層(trilaminate)フィルムなど)を含み得る。他の実施形態では、封止部材は、代替的に又は追加的に、閉塞層110の下面の全体若しくは周囲に沿って(例えば、一体化されて)設けられている又は閉塞層110の下面の全体若しくは周囲間に配設されている、ワイパー封止143(例えば、図1を参照されたい)、接着剤(例えば、アクリル又はシリコーン接着剤)、又は他の封止構造(例えば、ガスケット)を含む。
【0077】
様々な実施形態では、封止部材によって提供される封止取り付けは、患者へのドレッシング100の取り付け後に、ドレッシング100の頂上に位置する、フックアンドパイルファスナー、粘着包帯、キャストプロテクタ、又は他の構造によって補強され得る及び/又は隠され得る。
【0078】
ドレッシング構成
ドレッシング100のサイズ、形状、及び構成は、例えば、治療されている治療組織部位、治療されている患者、提供されている治療の期間などを含む様々な要因に依存して変化し得る。治療システム10の所望の使用に依存して変化し得るドレッシング100の追加的な特徴は、例えば、特定の治療部位へのドレッシング100の調整度、ドレッシング100が患者に取り付けられる程度、患者へのドレッシング100の取り付けを容易にする特徴の組み込み、ドレッシング100の構成要素の一体化度などを含む。
【0079】
図9A及び図10に示すように、様々な実施形態によれば、ドレッシング100は、肢又は他の四肢の全体の周りに少なくとも360度周方向に延びるように構成された閉鎖環状構造を画定する。取り付けの際、ドレッシング100は、四肢を部分的に又は全体的に包囲する。
【0080】
いくつかの実施形態では、環状ドレッシング100は、第1の開放端と第2の開放端との間に延びる、概して管状の形状を有する袖状構造によって画定されている。他の実施形態では、袖状環状ドレッシング100は、第1の開放端と第2の開放端との間に延び、患者の特定の四肢の周りへの取り付けのための形状、サイズ及び外形を有する。例えば、図9A及び図10を参照すると、いくつかの実施形態では、ドレッシング100は、足を受容する構成されたオープントゥ(open-toe)ブーツ構造を画定する。他の実施形態では、環状ドレッシング100は、ユーザの四肢(例えば、手、足、断端(stump)など)の一部分(又は全体)を受容するように構成された受容部分を画定する。受容部分は、環状ドレッシング100によって画定された単一の開放端を介してアクセス可能である。環状ドレッシング100によって画定された受容部分は、概して円筒の形状を有してもよく、又は任意選択で、患者の特定の四肢を受容するための形状、サイズ及び外形を有する構造を画定してもよい。例えば、ドレッシング100は、患者の手を受容するための手袋又はミトン(mitten)構造を含んでもよく、又は患者の足を受容するためのソックス又はクローズドトゥ(closed-toe)ブーツ構造を含んでもよい。特定の治療組織部位へのドレッシング100のこのようなカスタマイズは、有利には、治療組織部位へのドレッシング100の気密取り付けを容易にし得る。環状に延びるドレッシング100は、任意選択で、療法システムを使用する治療中に少なくとも部分的な屈曲度又は運動度を可能にするように構成された折り目及び/又は他の関節特徴を含む。
【0081】
ドレッシング100が、1つの開放端又は2つの開放端を有する環状に延びる構造によって画定されており、環状に延びる構造が、患者の一部分を包囲する又はそうでなければ取り囲むように構成されている実施形態では、ドレッシング100は、ドレッシング100が患者の周りへのドレッシング100の適用中に伸張することを可能にする材料から形成され得る。代替的に又は追加的に、ドレッシング100は、任意選択で、患者の周りへのドレッシング100の適用を容易にするように構成された1つ以上の特徴を含む。例えば、図10に示すように、ドレッシング100は、任意選択で、スリットの長さに沿って部分的に又は全体的に延びるスリットを含む。嵌合係合要素151(例えば、嵌合ジッパー歯、フックアンドパイルなど)は、任意選択で、縁部が互いに選択的に結合及び分離されることを可能にするために、スリットを画定する縁部のそれぞれの長さに沿って設けられている。いくつかのこのような実施形態では、縁部の一方又は両方が、任意選択で、縁部から内向きに離間する1つ以上の場所で互いに概して平行に離間する複数の同様又は同一の係合要素を含み、よって、ドレッシング100の直径が必要に応じて調節されることを可能にする。
【0082】
図9A及び図9Bに代表的に示すようなスリットの伸長度及び/又はスリットの包含を提供する材料からドレッシング100を構築することの代替として(又はこれに加えて)、ドレッシング100は、いくつかの実施形態では、ガセット153を含み、ガセット153は、ドレッシング100の開口の寸法を増加(又は減少)させるために、環状に延びるストラップ155(例えば、嵌合フックアンドパイルストラップなど)の締付けを介して放され得る(又は取り込まれ得る)。更に他の実施形態では、環状ドレッシング100の構成要素は、任意選択で、追加的に(又は代替的に)、ドレッシング100が、患者へのドレッシング100の取り付け中にドレッシング100の開口内への肢又は他の四肢の挿入を容易にするために、伸張及び拡張することを可能にする弾性材料から形成されている。
【0083】
他の実施形態によれば、ドレッシング100は、代替的に、可撓性シート状構造によって画定され得る。シート状ドレッシング100は、ある範囲の形状及びサイズで設けられ得る。図3の実施形態によって代表的に示すように、いくつかの実施形態では、シート状ドレッシング100は、任意選択で、特定の治療部位への適用のための形状及びサイズを有する。
【0084】
図8A及び図8Bに示すように、いくつかの実施形態では、シート状ドレッシング100は、患者の一部分(例えば、ふくらはぎ、手首、足首など)を実質的に(例えば、全体的に)取り囲むために、治療組織部位に巻き付けられ得る。例えば、シート状ドレッシング100は、患者の肢又は四肢に約360度以上巻き付けられるように構成され得る。代替的に、図11A及び図11Bに示すように、他の実施形態では、ドレッシング100を画定するシート状構造は、パッチとして患者に取り付けられ、パッチにおいて、シート状ドレッシング100の外周は、治療組織部位を取り囲むが、治療組織部位が位置すると共に患者の肢又は四肢を取り囲まない(例えば、ドレッシング100が膝又は肩の上に適用されたとき、例えば、ドレッシング100は、肢又は四肢の周りに360度未満延び得る)。いくつかのこのような実施形態では、(及び/又はドレッシング100の他の実施形態では)、ドレッシング100には、任意選択で、薄い半剛性の可撓性(例えば、屈曲性、賦形性など)補強層が設けられており、補強層は、シート状ドレッシング100が、ドレッシング100がそれに取り付ける治療組織部位の外形に一致するように適合されていることを可能にし、これによって、患者へのドレッシング100の取り付けを容易にする。図11A及び図11Bに示すように、シート状ドレッシング100は、任意選択で、療法システムを使用する治療中に少なくとも部分的な屈曲度又は運動度を可能にするように構成された折り目及び/又は他の関節特徴103を含む。
【0085】
更に他の実施形態によれば、ドレッシング100は、治療組織部位に巻き付けられ得る又は1つ以上のストリップとして治療組織部位の頂上に取り付けられ得る可撓性テープとして設けられてもよい。このようなテープ状のドレッシング100の配置は、治療システム10の取り付けを様々な異なる治療部位及び様々な異なる患者のためにカスタマイズする能力をユーザに提供し得る。いくつかの実施形態では、接着剤が、任意選択で、患者へのドレッシング100の取り付けを容易にするためにテープ状構造の外周に沿って設けられている。このような実施形態では、テープの隣接する区画(例えば、隣接する巻き付け又は隣接するストリップ)が重なり合うようなテープ状構造の適用は、ドレッシング100が、患者へのドレッシング100の追加の封止を必要とせずに患者に取り付けられることを可能にし得る。代替的に、追加の封止層(例えば、閉塞層110など)は、患者に適用されたテープ状のドレッシング100を囲むように、患者に取り付けられてもよい。
【0086】
ドレッシング100の上記の様々なに構成及び特徴は、ドレッシング100の構成要素のうちの全て又はいくつかのみに適用され得る。例えば、図1の実施形態によって代表的に示すように、いくつかの実施形態では、閉塞層110及び界面層130は、患者の足上に摺動されるように構成された環状構造によって画定され得、減圧層120は、閉塞層110の取り付けの前に閉塞層110に巻き付けられ得るテープ状構造を含む。
【0087】
例示的な実施形態の構成
本明細書で使用するとき、用語「約」、「およそ」、「実質的に」、及び同様の用語は、本開示の主題が属する技術分野の当業者によって一般的な受け入れられた使用と調和して広義の意味を有することが意図されている。これらの用語は、これらの特徴の範囲を提供されている正確な数値範囲に限定することなく、記載及び特許請求されているある特徴の説明を可能にすることが意図されていることが、本開示を概観する当業者には理解されよう。したがって、これらの用語は、記載及び特許請求されている主題の非実質的又は重要でない修正又は変更が、添付の特許請求の範囲に記載されている本開示の範囲内であると考えられることを示すものとして解釈されるべきである。
【0088】
様々な実施形態を記載するために本明細書で使用するとき、用語「例示的な」及び用語「例示的な」の変形は、このような実施形態が可能な実施形態の可能な例、表現、又は例示であることを示すことが意図されている(このような用語は、このような実施形態が必ずしも特別な又は最高の例であることを含意することは意図されていない)ことに留意されたい。
【0089】
本明細書で使用するとき、用語「結合された」及び用語「結合された」の変形は、2つの部材を互いに直接的又は間接的に連結することを意味する。このような連結は、静止(例えば、恒久的である又は固定されている)であってもよく、又は移動可能(例えば、取り外し可能又は解放可能)であってもよい。このような連結は、2つの部材が互いに直接的に結合されていること、2つの部材が別個の介在する部材及び互いに結合された任意の追加の中間部材を使用して互いに結合されていること、又は2つの部材が2つの部材のうちの1つと単一の集合型本体として一体的に形成された介在する部材を使用して互いに結合されていることで、達成されてもよい。「結合された」又は「結合された」の変形が追加の用語によって修飾されている(例えば、直接的に結合された)場合、上記に提供されている「結合された」の一般的定義は、追加の用語の通常語の意味によって修飾されており(例えば、「直接的に結合された」とは、別個の介在する部材なしの2つの部材の連結を意味する)、上記に提供されている「結合された」の一般的な定義よりも狭い定義をもたらす。このような結合は、機械的、電気的、又は流体的であってもよい。
【0090】
本明細書で使用されるとき、用語「又は」は、用語「又は」の包括的な意味で(用語「又は」の排他的な意味ではなく)使用され、このため、要素のリストを接続するために使用されるとき、用語「又は」は、リスト内の要素のうちの1つ、いくつか、又は全てを意味する。特に明記しない限り、句「X、Y、及びZのうちの少なくとも1つ」などの接続語は、要素がX、Y、Zのいずれか、X及びY、X及びZ、Y及びZ、又はX、Y、及びZ(すなわち、X、Y、及びZの任意の組み合わせ)であることを伝えると理解される。よって、特に指示がない限り、このような接続語は、一般に、ある実施形態が、Xの少なくとも1つ、Yの少なくとも1つ、及びZの少なくとも1つがそれぞれ存在することを必要とすることを意味することは意図されていない。
【0091】
本明細書における要素の位置への言及(例えば、「頂部」、「底部」、「上」、「下」)は、単に、図中の様々な要素の向きを記載するために使用される。様々な要素の向きは、他の例示的な実施形態に従って異なってもよく、このような変形形態は、本開示に包含されていることが意図されていることに留意されたい。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
【国際調査報告】