(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-04
(54)【発明の名称】水素の電気化学的発生のための電極
(51)【国際特許分類】
C25B 11/081 20210101AFI20221222BHJP
C25B 11/052 20210101ALI20221222BHJP
C25B 11/061 20210101ALI20221222BHJP
C25B 1/34 20060101ALI20221222BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20221222BHJP
C25B 1/04 20210101ALI20221222BHJP
C25B 9/19 20210101ALI20221222BHJP
【FI】
C25B11/081
C25B11/052
C25B11/061
C25B1/34
C25B9/00 C
C25B1/04
C25B9/00 A
C25B9/19
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022524982
(86)(22)【出願日】2020-10-27
(85)【翻訳文提出日】2022-06-22
(86)【国際出願番号】 EP2020080130
(87)【国際公開番号】W WO2021083862
(87)【国際公開日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】102019000020026
(32)【優先日】2019-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507128654
【氏名又は名称】インドゥストリエ・デ・ノラ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】カルデラーラ, アリーチェ
(72)【発明者】
【氏名】イアコペッティ, ルチャーノ
【テーマコード(参考)】
4K011
4K021
【Fターム(参考)】
4K011AA44
4K011DA01
4K011DA02
4K021AA01
4K021AA03
4K021AB01
4K021BA02
4K021BA17
4K021DB19
4K021DC03
(57)【要約】
本発明は、水素発生のための工業的電気化学的プロセスにおいて使用するのに適した、ルテニウム、及びアルカリ土類金属の群から選択される少なくとも1つの他の元素を含有する、触媒コーティングを含む電極に関し、同電極を製造する方法に関する。触媒コーティングは、金属全量を基準として93~99wt-%のルテニウム及び1~7wt-%のアルカリ土類金属を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性基材と、ルテニウム及びアルカリ土類金属の群から選択される少なくとも1つの他の元素を含む少なくとも1つの触媒コーティングとを含む、電気化学的プロセスにおけるガス発生のための電極であって、触媒コーティングが金属全量を基準として93~99wt-%のルテニウム、及びアルカリ土類金属の群から選択される1~7wt-%の金属を含む、電極。
【請求項2】
アルカリ土類金属の群から選択される金属が、ストロンチウム、カルシウム、又はバリウムである、請求項1に記載の電極。
【請求項3】
触媒コーティングが5g/m
2と15g/m
2との間ルテニウム添加量を有する、請求項1又は2に記載の電極。
【請求項4】
前記導電性基材がニッケルである、請求項1から3のいずれか一項に記載の電極。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の電極の調製のための方法であって、
a. ルテニウムの前駆体、及びアルカリ土類金属の群から選択される前記金属の前駆体を含有する溶液を導電性基材に塗布する工程であり、前記溶液が金属全量を基準として93~99wt-%のルテニウム、及びアルカリ土類金属の群から選択される1~7wt-%の前記金属を含む、導電性基材に塗布する工程と、
b. その後の、30~80℃での乾燥及び450~600℃での熱分解を行う工程と、
c. 5g/m
2と15g/m
2との間のルテニウムの比添加量を有する触媒コーティングが得られるまで工程(a)及び(b)を繰り返す工程と
を含む、方法。
【請求項6】
工程(a)に先行する初期処理工程を含み、前記初期処理工程が15分以上の時間及び450℃以上の温度において前記導電性基材を熱処理することで構成される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
イオン交換膜又は隔壁により隔てられたアノード区画及びカソード区画を含む、アルカリ塩化物溶液の電気分解のためのセルであって、カソード区画が請求項1から4のいずれか一項に記載の電極を備えている、セル。
【請求項8】
セルのモジュール配置を含む、アルカリブラインから出発して塩素及びアルカリを製造するための電解装置であって、請求項7に記載の各セルが備えられている、電解装置。
【請求項9】
隔壁により隔てられたアノード区画及びカソード区画を含む、水の電気分解による水素の製造のための電解装置であって、カソード区画が請求項1から4のいずれか一項に記載の電極を備えている、電解装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素発生のための工業的電気化学的プロセスにおいて使用されるのに適した電極、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、電解プロセスにおいて使用されるのに適した電極、特に工業電解プロセスにおける水素発生に適したカソードに関する。塩素及びアルカリを同時に製造するためのアルカリブラインの電気分解、並びに水の電解プロセスは、水素のカソードでの発生を伴う工業電解の用途の最も典型的な例であるが、電極は特定の使用に限定されない。
【0003】
上記のような電解プロセスの産業において、競争力はいくつかの要因に関連しており、そのうちの主なものは、グローバルプロセスの電圧に直接関連する、エネルギー消費の削減である。
【0004】
アルカリブラインの電解の膜プロセスにおいて、例えばグローバル電圧は、抵抗降下及び物質輸送と関連した要因、イオン交換膜及び電解質の抵抗、並びに塩素及び水素ガス発生反応の過電圧によって決まる。
【0005】
工業的な実施において、これらの過電圧は電気化学反応が起きる電極上に塗布される適切な触媒の使用によって最小化され制御される。この目的のために、例えば、ルテニウム二酸化物に基づく触媒コーティングを備えた、ニッケル、ニッケル合金、銅、又は鋼などの金属基材から成るカソードを使用することが可能である。
【0006】
このタイプのカソードは一般に優れたカソード過電圧によって特徴づけられる。しかし、恐らく基材へのコーティングの接着性が乏しいために、それらは寿命が限られている。さらに、これらのタイプのコーティングは、運転休止の場合に工業電解装置において生じる電流反転への耐性の問題を完全に未解決のままにする。プラセオジム、セリウム、又はランタンなどの希土類の群からの元素を触媒層の配合物へ加えることにより、基材上の触媒コーティングの接着性は部分的に改善することができる。これらのコーティングを有するカソードは通常の運転条件下で十分に耐久性があることが分かる。その上、金属基材と触媒コーティングとの間に白金系層を挟むことにより、これらの電極の強度を高めることが可能である。
【0007】
白金及びロジウムに基づく第1の相並びに保護機能を有するパラジウムを含む第2の相の、2つの別個の相から成る金属基材に触媒コーティングを塗布することにより、電流反転への耐性のさらなる改善を得ることができる。しかし、このタイプの配合物は、かなり高い製造コストを決定づけるほどの、触媒相における白金及びロジウムの高い添加量を必要とする。
【0008】
US3,990,957Aは、水性アルカリ金属塩化物電解質を電気分解するためのガス発生カソードを記載している。カソードは、ペロブスカイト形成白金族金属及びアルカリ土類金属のオキシ化合物の触媒層を導電性基材上に含む。典型的なオキシ化合物としては、ルテニウム酸カルシウム又はルテニウム酸ストロンチウムが挙げられる。
【0009】
WO2019/175280A1は、ドープRu-Ti触媒組成物を備えた活性層を含む、電気塩素化プロセスのための電極を記載している。
【0010】
US4,300,992Aは、金属基板と、ルテニウムの酸化物、及び例えばカルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、又は亜鉛の酸化物、及びクロム、モリブデン、タングステン、セレン又はテルルの酸化物から成る、基板の表面上に形成された金属酸化物層とを含む、水溶液電解において使用するための活性カソードを記載している。
【0011】
GB1260645Aは、白金金属及びアルカリ土類金属又は希土類金属を含む導電性オキシ化合物を含むコーティングを有する導電性アノードを記載している。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、上記の問題を解決することを目的とし、低い水素過電圧及び電解が中断された場合の電流反転に対する良好な耐性によって特徴づけられるカソードに関する。本発明はまた、同カソードを製造する方法及び同カソードを含有する電解装置にも関する。
【0013】
本発明の様々な態様は、添付の特許請求の範囲において述べられる。
【0014】
第1の態様において、本発明は、ルテニウム、及びアルカリ土類金属の群から選択される少なくとも1つの他の元素を含む少なくとも1つの触媒コーティングを備えた、導電性基材を含む電極に関する。
【0015】
発明者らは驚くことに、ルテニウムを主に含む触媒コーティングへアルカリ土類金属の群に属する元素を添加すると、水素発生反応の触媒活性に関して予想外に改善された性能を得ることが可能になることに気づいた。
【0016】
触媒コーティング中に存在する元素は金属の形態又は酸化物の形態であってもよいことを理解するべきである。
【0017】
上記の触媒コーティングは、金属全量を基準として93~99重量%(すなわち93~99wt-%)のルテニウム、及びアルカリ土類金属の群から選択される1~7重量%(すなわち1~7wt-%)の金属を含む。これは水素過電圧のさらなる改善を可能にする。
【0018】
発明者らは、そのような触媒コーティングが、既知の技術の他の配合物で一般に見られるよりもはるかに短い時間でセルの性能が定常状態に達するのを可能にすることも見出した。
【0019】
本発明をいかなる特定の理論に限定することも望まないが、これは、触媒コーティング中の適度なパーセンテージのアルカリ土類金属が遷移金属酸化物と化合して、得られる酸化物の化学量論を改変させる特殊な構造を形成し、その酸化物をより活性にするという事実に起因する可能性がある。
【0020】
さらなる実施形態によれば、本発明は、アルカリ土類金属がストロンチウム、カルシウム、及びバリウムの間で選択される電極に関する。
【0021】
発明者らは、このタイプの配合物が、一方ではルテニウム二酸化物のみに基づく先行技術の配合物と比較して電流反転へのより良好な耐性をもたらし、他方では、例えばルテニウムなどの貴金属及び希土類を含むが貴金属の比添加量が実質的に削減されている配合物と匹敵することに気づいた。実際に、消費された貴金属の量のパーセンテージで表される、電極の消費率の低下が驚くことに見られ、これは電流反転への優れた耐性を示す。発明者らは、ストロンチウム、カルシウム、及びバリウムなどのアルカリ土類金属が貴金属を安定化させると思われることを見出した。
【0022】
さらなる実施形態において、触媒コーティングは5g/m2と15g/m2との間のルテニウムの比添加量を有する。発明者らは、示される触媒コーティングの場合、削減されたルテニウム添加量が、ルテニウム系触媒コーティングの先行技術においては見られない優れた触媒活性と併せた、電流反転への良好な耐性を与えるのに十分以上であることを見出した。
【0023】
本発明による電極のさらなる実施形態において、好ましい導電性基材はニッケルである。
【0024】
さらなる態様において、本発明は、電解セルにおけるガス生成物の発生のための、例えばアルカリブラインの電解セル又は水の電気分解における水素発生のための電極を調製する方法であって、この方法は以下の工程:
(a)ルテニウムの前駆体及びアルカリ土類金属の群から選択される前記金属の前駆体を含有する溶液を導電性基材に塗布する工程と、
(b)その後の、30~80℃での乾燥及び450~600℃での熱分解を行う工程と
を含み、5g/m2と15g/m2との間ルテニウムの比添加量を有する触媒コーティングが得られるまで(a)及び(b)の工程を繰り返す、方法に関する。前駆体溶液は、上記の電極コーティングを得ることを可能にする濃度でルテニウム及びアルカリ土類金属を含む。したがって、前駆体溶液は、金属全量を基準として93~99wt-%のルテニウム及びアルカリ土類金属の群から選択される1~7wt-%の金属を含む。
【0025】
上記の方法の実施形態によれば、前記方法は工程(a)の前に初期処理工程を含み、前記初期処理工程は15分以上の時間及び450℃以上の温度における前記導電性基材の熱処理を含む。
【0026】
さらなる態様において、本発明は、イオン交換膜又は隔壁により隔てられたアノード区画及びカソード区画を含む、アルカリ塩化物溶液の電気分解のためのセルであって、カソード区画が水素発生のためのカソードとして使用される上記の形態の1つで記載されるような電極を備えている、セルに関する。
【0027】
さらなる態様において、本発明は、イオン交換膜又は隔壁により隔てられたアノード区画及びカソード区画を有する電解セルのモジュール配置を含む、アルカリブラインから塩素及びアルカリを製造するための電解装置であって、カソード区画がカソードとして使用される上記のような形態の1つである電極を含む、電解装置に関する。
【0028】
さらなる態様において、本発明は、隔壁により隔てられたアノード区画及びカソード区画を含む、水の電気分解により水素を製造するための電解装置であって、カソード区画が上記のような形態の1つである電極を備えている、電解装置に関する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態を実証するために盛り込まれ、その実行可能性は主張される有用物の分野で広く検証されている。下記の実施例に記載される組成物及び技術は、発明者らが本発明の実施において良好な機能を見出した組成物及び技術に相当することが当業者にとって依然として明らかなままとなる。しかし、当業者は本明細書に照らして、本発明の範囲から逸脱せずに同一又は同様の結果を依然としてもたらしながら、記載される様々な実施形態に様々な変更を加えることができることも理解することになる。
【実施例】
【0030】
実施例1
寸法が100mm×100mm×0.89mmであるニッケルメッシュに、コランダムによるサンドブラストプロセス、HCl中のエッチング加工、及び当技術分野において既知の手順に従った熱処理による応力緩和を施した。
【0031】
金属全量を基準として95%Ru及び5%Srに相当する重量パーセンテージとして表される組成を有する、ルテニウム及びストロンチウム前駆体を含有する100mlの溶液を調製した。
【0032】
次いで溶液をブラッシングにより6層でニッケルメッシュに塗布した。
【0033】
各コーティングの後、40~60℃で約10分乾燥を行い、次いで500℃で10分熱処理を行った。次の層を塗布する前に毎回メッシュを空冷した。
【0034】
8g/m2に相当するRuの全添加量に到達するまでこの手順を繰り返した。
【0035】
このようにして得られた電極は試料E1として識別された。
【0036】
実施例2
寸法が100mm×100mm×0.89mmであるニッケルメッシュに、コランダムによるサンドブラストプロセス、HCl中のエッチング加工、及び当技術分野において既知の手順に従った熱処理による応力緩和を施した。
【0037】
金属全量を基準として97%Ru及び3%Srに相当する重量パーセンテージとして表される組成を有する、ルテニウム及びストロンチウム前駆体を含有する100mlの溶液を調製した。
【0038】
次いで溶液をブラッシングにより6層でニッケルメッシュに塗布した。
【0039】
各コーティングの後、40~60℃で約10分乾燥を行い、次いで500℃で10分熱処理を行った。次の層を塗布する前に毎回メッシュを空冷した。
【0040】
11g/m2に相当するRuの全添加量に到達するまでこの手順を繰り返した。
【0041】
このようにして得られた電極は試料E2として識別された。
【0042】
実施例3
寸法が100mm×100mm×0.89mmであるニッケルメッシュに、コランダムによるサンドブラストプロセス、HCl中のエッチング加工、及び当技術分野において既知の手順に従った熱処理による応力緩和を施した。
【0043】
金属全量を基準として96%Ru及び4%Srに相当する重量パーセンテージとして表される組成を有する、ルテニウム及びストロンチウム前駆体を含有する100mlの溶液を調製した。
【0044】
次いで溶液をブラッシングにより6層でニッケルメッシュに塗布した。
【0045】
各コーティングの後、40~60℃で約10分乾燥を行い、次いで500℃で10分熱処理を行った。次の層を塗布する前に毎回メッシュを空冷した。
【0046】
7g/m2に相当するRuの全添加量に到達するまでこの手順を繰り返した。
【0047】
このようにして得られた電極は試料E3として識別された。
【0048】
反例1
寸法が100mm×100mm×0.89mmであるニッケルメッシュに、コランダムによるサンドブラストプロセス、HCl中のエッチング加工、及び当技術分野において既知の手順に従った熱処理による応力緩和を施した。
【0049】
金属全量を基準として83%Ru及び17%Prに相当する重量パーセンテージとして表される組成を有する、ルテニウム及びプラセオジム前駆体を含有する100mlの溶液を調製した。
【0050】
次いで溶液をブラッシングにより8層でニッケルメッシュに塗布した。
【0051】
各コーティングの後、40~60℃で約10分乾燥を行い、次いで500℃で10分熱処理を行った。次の層を塗布する前に毎回メッシュを空冷した。
【0052】
11g/m2に相当するRuの全添加量に到達するまでこの手順を繰り返した。
【0053】
このようにして得られた電極は試料CE1として識別された。
【0054】
反例2
寸法が100mm×100mm×0.89mmであるニッケルメッシュに、コランダムによるサンドブラストプロセス、HCl中のエッチング加工、及び当技術分野において既知の手順に従った熱処理による応力緩和を施した。
【0055】
金属全量を基準として83%Ru及び17%Prに相当する重量パーセンテージとして表される組成を有する、ルテニウム及びプラセオジム前駆体を含有する100mlの溶液を調製した。
【0056】
次いで溶液をブラッシングにより10層でニッケルメッシュに塗布した。
【0057】
各コーティングの後、40~60℃で約10分乾燥を行い、次いで500℃で10分熱処理を行った。次の層を塗布する前に毎回メッシュを空冷した。
【0058】
11.5g/m2に相当するRuの全添加量に到達するまでこの手順を繰り返した。
【0059】
このようにして得られた電極は試料CE2として識別された。
【0060】
反例3
寸法が100mm×100mm×0.89mmであるニッケルメッシュに、コランダムによるサンドブラストプロセス、HCl中のエッチング加工、及び当技術分野において既知の手順に従った熱処理による応力緩和を施した。
【0061】
ルテニウム前駆体を含有する100mlの溶液を調製した。
【0062】
次いで溶液をブラッシングにより14層でニッケルメッシュに塗布した。
【0063】
各コーティングの後、40~60℃で約10分乾燥を行い、次いで500℃で10分熱処理を行った。次の層を塗布する前に毎回メッシュを空冷した。
【0064】
14g/m2に相当するRuの全添加量に到達するまでこの手順を繰り返した。
【0065】
このようにして得られた電極は試料CE3として識別された。
【0066】
90℃の温度で32%NaOHが供給される実験室セルにおいて、水素発生下で、上記の実施例の試料に性能試験を施し、さらに一部の試料にはその後-1~+0.5V/NHEの範囲の電位において10mV/sのスキャン速度でサイクリックボルタンメトリー試験を施した。
【0067】
表1は、6kA/m
2の電流密度で測定され、抵抗降下値について補正された、初期カソード電位を示す。
【0068】
表2は、3kA/m
2の電流密度で測定される、初期カソード電位、及び反転への耐性の指標であるサイクリックボルタンメトリーの25サイクル後(25CV)のカソード電位を示す。
【0069】
表3は、定常状態のセル性能に達する時間、及び残留貴金属のパーセンテージとして表され電流反転への耐性のさらなる指標として表される電極の消費率を示す。0.2dm
2に相当する活性カソード面積を有する実験室用膜セルを使用して8kA/m
2において(加速試験)4,000時間の活動の後(HOL)、データを得た。210g/lのNaClアノード液、32重量%のNaOHカソード液により、T=89℃において試験を行った。
【0070】
先の説明は、本発明の目的から逸脱することなく様々な実施形態に応じて使用することができる、本発明を限定することを意図しておらず、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲により一義的に定義される。
【0071】
本出願の明細書及び特許請求の範囲において、「含む」及び「含有する」という用語並びに「含んでいる」及び「含有している」のようなそれらの変形体は、他のさらなる要素、成分、又は工程の存在を排除することを意図しない。
【0072】
文献の考察、文献、材料、装置、物品などは、本発明の背景を提供するという唯一の目的のために本文に盛り込まれる。しかし、この出願に添付される特許請求の範囲の各々の優先日より前にこの事柄又はその一部が本発明に関連する分野における一般知識を構成したと理解するべきではない。
【国際調査報告】