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特表2023-500170薄膜圧力センサ及びそのレイアウト方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-04
(54)【発明の名称】薄膜圧力センサ及びそのレイアウト方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 9/04 20060101AFI20221222BHJP
   G01L 7/08 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
G01L9/04
G01L7/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542669
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(85)【翻訳文提出日】2022-07-11
(86)【国際出願番号】 CN2021074355
(87)【国際公開番号】W WO2022121099
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】202011426956.X
(32)【優先日】2020-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522277353
【氏名又は名称】湖南啓泰伝感科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUNAN CHNTEK SENSOR TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.22, Dingsheng Road, Liuyang High-tech Industrial Development Zone Changsha, Hunan 410323, China
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】王 国秋
(72)【発明者】
【氏名】黄 堅
(72)【発明者】
【氏名】陳 ▲崔▼
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055CC02
2F055EE11
(57)【要約】
本発明は薄膜圧力センサ及びそのレイアウト方法を開示し、本発明による薄膜圧力センサは、フラットダイヤフラムとフラットダイヤフラムに設けられた薄膜状の第1の感知ユニットを備え、前記第1の感知ユニットはフラットダイヤフラムの円形変形領域の円心Oの周りに配置されたm本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線を備え、且つその一側のm/2本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線を直列接続して第2の誘導抵抗R2を形成し、他側のm/2本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線を直列接続して第4の誘導抵抗R4を形成し、mは4の倍数であり、レイアウト方法は、第1の感知ユニットをレイアウトするステップを含む。本発明はフラットダイヤフラムの径方向の歪みと接線方向の歪みを十分に利用し、薄膜圧力センサの検出感度を向上させ、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線の両側に発生した歪みの差が小さく、抵抗線がねじれにくいため、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線とフラットダイヤフラムの長期的かつ安定した組み合わせを保持するのに役に立ち、耐用年数がより長く、構造がより堅固で信頼性が高い。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラットダイヤフラム、及びフラットダイヤフラムに設けられた薄膜状の第1の感知ユニットを備える薄膜圧力センサであって、
前記第1の感知ユニットはフラットダイヤフラムの円形変形領域の円心Oの周りに配置されたm本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線を備え、
且つその一側のm/2本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線を直列接続して第2の誘導抵抗R2を形成し、
他側のm/2本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線を直列接続して第4の誘導抵抗R4を形成し、
mは4の倍数であることを特徴とする薄膜圧力センサ。
【請求項2】
前記らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線は複数本の直線抵抗線を順次に直列接続するように形成され、隣接する2本の直線抵抗線のうちの円心O側から離れる直線抵抗線がX軸の正方向に対する角度θは、
θ=arctan(Y/Y)を満たし、
上記式では、arctanはアークタンジェント関数であり、Y、Yはそれぞれ円心O側から離れる直線抵抗線と円心O側に近い直線抵抗線の両方の交差位置の径方向の歪みYと接線方向の歪みYの両方の合成ベクトルのx軸成分、y軸成分である、ことを特徴とする請求項1に記載の薄膜圧力センサ。
【請求項3】
前記フラットダイヤフラムに薄膜状の第2の感知ユニットが更に設けられ、前記第2の感知ユニットは円心Oの周りに第1の感知ユニットの外側に対称的に配布される第1の誘導抵抗R1と第3の誘導抵抗R3を備え、第1の誘導抵抗R1と第3の誘導抵抗R3はいずれも延長線が円心Oを通るn本の放射状線を含み、n本の放射状線は直列に接続され、且つ第1の誘導抵抗R1、第2の誘導抵抗R2、第3の誘導抵抗R3、第4の誘導抵抗R4は順次にエンドツーエンドで接続されてホイートストンブリッジを形成し、且つ任意の隣接する2つの抵抗の間に端子台が引き出される、ことを特徴とする請求項2に記載の薄膜圧力センサ。
【請求項4】
請求項2に記載の薄膜圧力センサのレイアウト方法であって、
第1の感知ユニットをレイアウトする以下のステップを含み、
A1)円心Oを円心とする補助円R上でm個の点M~Mを均等にマークし、m個の点M~Mのうちの任意の点Mに対して、点Mに対応するリストListiを空にするように初期化し、点Mから開始する端点Qを決定し、端点Qの位置をリストListiに加え、端点Qでの径方向の歪みYと接線方向の歪みYの両方の合成ベクトルの角度θを計算し、更新回数Uが1であり、
A2)U回目の更新を実行し、各端点Qを角度θとステップサイズδで外へ延伸して新しい位置を取得し、それをリストListiに加え、端点Qでの径方向の歪みYと接線方向の歪みYの両方の合成ベクトルの角度θを計算し、リストListiにおける端点Qの軌跡からなるらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sの長さ及びm本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線S1~Smの全長を計算し、更新回数Uが2であると、リストListiにおける端点Qの最初の2つの位置に基づき第2の誘導抵抗R2、第4の誘導抵抗R4の各対のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線の間に一本の近位端遷移アークをレイアウトし、一本の近位端遷移アークの長さを計算し、さらにm/2本の近位端遷移アークの全長を決定し、m本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線の全長とm/2本の近位端遷移アークの全長の和は2×L2/m以上であるかどうかを判断し、ここで、L2は第2の誘導抵抗R2または第4の誘導抵抗R4の設計全長であり、そうであると、m本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗S~Sの最初のレイアウトが完了すると判定し、ステップA3)にジャンプして実行し、そうでないと、更新回数Uに1を足し、ステップA2)にジャンプして実行し、最初のレイアウトを実行し続け、
A3)各端点Qの新しい位置に基づき第2の誘導抵抗R2、第4の誘導抵抗R4の各対のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線の間に一本の遠位端遷移アークをレイアウトし、一本の遠位端遷移アークの長さLを計算し、さらに、(m/2-2)本の遠位端遷移アークの全長を決定し、
A4)m本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗S~Sの全長、m/2本の近位端遷移アークの全長、(m/2-2)本の遠位端遷移アークの全長を加算して2で割り、第2の誘導抵抗R2または第4の誘導抵抗R4の推定全長L2’を取得し、
A5)設計全長L2と推定全長L2’を比較し、設計全長L2は推定全長L2’よりも大きいと、本回の比較結果Bを「>」とし、設計全長L2は推定全長L2’に等しいと、本回の比較結果Bを「=」とし、設計全長L2は推定全長L2’より小さいと、本回の比較結果Bを「<」とし、前回の比較結果Bi-1を読み取り、前回の比較結果Bi-1がないと、「None」とし、
A6)本回の比較結果Bは「>」であり且つ前回の比較結果Bi-1は「>」または「None」であると、各端点Qを対応するリストListiで1ステップ戻し、更新回数Uから1を引いて、ジャンプしてステップA3)を実行し、そうでないと、ジャンプして次のステップを実行し、
A7)本回の比較結果Bは「<」であり且つ前回の比較結果Bi-1は「<」または「None」であると、更新回数Uに1を足し、ジャンプしてステップA2)を実行し、そうでないと、各の端点Qの検索が完了すると判定し、m本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線S~Sのレイアウトが完了する、ことを特徴とする薄膜圧力センサのレイアウト方法。
【請求項5】
前記の端点Qでの径方向の歪みYと接線方向の歪みYの両方の合成ベクトルの角度θを計算するステップは、端点Qでの径方向の歪みYと接線方向の歪みYを計算し、径方向の歪みYと接線方向の歪みYをそれぞれx,y軸の両方向の成分に分解してから、合成して合成ベクトルのx軸成分Y、y軸成分Y及び角度θを取得するステップを含み、ここで、端点Qでの径方向の歪みYと接線方向の歪みYを計算する関数式は
=k(r -3Rq
=k(r -Rq)であり、
上記式では、kは材料とプロセス係数であり、rはフラットダイヤフラム上の変形領域の半径であり、Rqは円心Oに対する端点Qの距離であり、径方向の歪みY、接線方向の歪みYをx,y軸の両方向の成分にそれぞれ分解する関数式は、
j,x=k(r -3Rq)×cos(β)
j,y=k(r -3Rq)×sin(β)
q,x=k(r -Rq)×sin(β)
q,y=k(r -Rq)×cos(β)であり、
上記式では、βは端点Qの極角であり、Yj,x,Yj,yはそれぞれ径方向の歪みYのx,y軸の2方向の成分であり、Yq,x,Yq,yはそれぞれ接線方向の歪みYのx,y軸の2方向の成分であり、
合成して得られた合成ベクトルのx軸成分Y、y軸成分Y及び角度θの関数式は、
=Yj,x+Yq,x=k(r -3Rq)×cos(β)+k(r -Rq)×sin(β)
=Yj,y+Yq,y=Yj,y=k(r -3Rq)×sin(β)+k(r -Rq)×cos(β)
θ=arctan(Y/Y)であり、
上記式では、arctanはアークタンジェント関数であり、
且つステップA2)では、各端点Qを角度θ、ステップサイズδで外へ延伸して新しい位置を取得するステップは、まず、合成ベクトルの角度θとステップサイズδに基づき端点Qのx軸座標Q、y軸座標Qを更新し、次に、更新後のx軸座標Q、y軸座標Qに基づき端点Qの新しい位置の極座標を計算するステップを含み、端点Qのx軸座標Q、y軸座標Qを更新する関数式は、
=Q+δcos(θ)
=Q+δsin(θ)であり、
上記式では、δはステップサイズであり、θは径方向の歪みYと接線方向の歪みYとの両方の合成ベクトルの角度であり、
端点Qの新しい位置の極座標を計算する関数式は、
β=arctan(Q/Q
であり、
上記式では、βは端点Qの新しい位置の極角であり、Rは端点Qの新しい位置の極径であり、arctanはアークタンジェント関数である、ことを特徴とする請求項4に記載の薄膜圧力センサのレイアウト方法。
【請求項6】
ステップA2)ではリストListiにおける端点Qの前の2つの位置に基づき第2の誘導抵抗R2、第4の誘導抵抗R4の各対のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線の間に一本の近位端遷移アークをレイアウトするステップは、以下のステップを含み、
B1)この対のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線に対して、渦巻き方向側に位置するらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線SのリストListiにおける第1の要素Listi[0]かららせん状に回転するマルチセグメント抵抗線SのListi[0]とListi[1]との間の線分に垂直である法線を描画し、該法線と他のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sは点Fに交差し、
B2)リストListiにおける第1の要素Listi[0]、点Fの間の線分を直径として半径がrの半円を構成し、該半円を該らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線S、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sの間の近位端遷移アークとし、
B3)らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sに対して、点F、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線SのリストListjにおける第1の要素Listj[0]に対応する位置の間の線分をレイアウトから削除し、
B4)リストListjから点Fに最も近い要素Listj[z]を検索し、インデックス番号zを抽出し、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sから長さz×δを引いて、L=(r×π)に基づき計算してらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線S、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sの間の近位端遷移アークの長さLを取得し、rは近位端遷移アークの半径であり、δはステップサイズである、ことを特徴とする請求項4に記載の薄膜圧力センサのレイアウト方法。
【請求項7】
ステップA3)では、各端点Qの新しい位置に基づき第2の誘導抵抗R2、第4の誘導抵抗R4の各対のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線の間に一本の遠位端遷移アークをレイアウトするステップは、以下のステップを含み、
C1)この対のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線に対して、渦巻き方向側から背離するらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線SのリストListiにおける最後の要素Listi[U-1]に対応する位置を開始点としてらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線SのListi[U-2]とListi[U-1]との間の線分に垂直である法線を描画し、該法線と他のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sは点Fに交差し、
C2)最後の要素Listi[U-1]、点Fの間の線分を直径として半径がrの半円を構成し、該半円を該らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sとらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sとの間の遠位端遷移アークとし、
C3)らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sに対して、点F、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線SのリストListjにおける最後の要素Listj[U-1]の間の線分をレイアウトから削除し、
C4)リストListjから点Fに最も近い要素を検索して要素Listj[z]を取得し、要素Listj[z]に対応するインデックス番号zを抽出し、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sから長さ(U-1-z2)×δを引いて、L=(r×π)に基づき計算してらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sとらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sとの間の遠位端遷移アークの長さLを取得し、rは遠位端遷移アークの半径であり、Uは更新回数であり、δはステップサイズである、ことを特徴とする請求項4に記載の薄膜圧力センサのレイアウト方法。
【請求項8】
第1の誘導抵抗R1と第3の誘導抵抗R3をレイアウトする以下のステップを更に含み、
D1)放射状線の間の角度αを初期化し、リストListを空に初期化し、
D2)角度αに基づき放射状線の数N、放射状線の近位端から円心Oまでの距離r及び歪み量Yを決定し、角度α、放射状線の数N、放射状線の近位端から円心Oまでの距離r及び歪み量Yをスーパー要素に構成してリストListに加え、角度αに対応する歪み量Yを元の歪み量Yとし、
D3)現在の角度αに予め設定された増分値Δαを足して増分角度αを取得し、リストListに増分角度αの値に対応するスーパー要素が存在するかどうかを判断し、存在すると、該スーパー要素における歪み量を増分角度αに対応する第1の歪み量Yに直接割り当て、存在しないと、増分角度αに基づき放射状線の数N、放射状線の近位端から円心Oまでの距離r及び歪み量Yを決定し、角度α、放射状線の数N、放射状線の近位端から円心Oまでの距離r及び歪み量Yをスーパー要素に構成してリストListに加え、増分角度αに対応する歪み量Yを第1の歪み量Yとし、現在の角度αから予め設定された増分値Δαを引いて減分角度αを取得し、リストListに減分角度αの値に対応するスーパー要素が存在するかどうかを判断し、存在すると、該スーパー要素における歪み量を減分角度αに対応する第2の歪み量Yに直接割り当て、存在しないと、減分角度αに基づき放射状線の数N、放射状線の近位端から円心Oまでの距離r及び歪み量Yを決定し、角度α、放射状線の数N、放射状線の近位端から円心Oまでの距離r及び歪み量Yをスーパー要素に構成してリストListに加え、減分角度αに対応する歪み量Yを第2の歪み量Yとし、
D4)元の歪み量Y、第1の歪み量Y、第2の歪み量Yの大きさを比較し、第1の歪み量Yは同時に元の歪み量Y及び第2の歪み量Y以上である場合、現在の角度αの値を増分角度αに更新し、ジャンプしてステップD3)を実行し、第2の歪み量Yは同時に元の歪み量Y及び第1の歪み量Y以上である場合、現在の角度αの値を減分角度αに更新し、ジャンプしてステップD3)を実行し、元の歪み量Yは同時に第1の歪み量Y及び第2の歪み量Y以上である場合、角度αの値の検索を停止し、現在の角度αに対応するスーパー要素を結果として出力し、退出する、ことを特徴とする請求項4に記載の薄膜圧力センサのレイアウト方法。
【請求項9】
前記の放射状線の数N、放射状線の近位端から円心Oまでの距離r及び歪み量Yを決定するステップは、以下のステップを含み、
E1)r=d/(2×sin(α/2))に基づき放射状線の円心O側に近い端点から円心Oまでの距離rを計算し、dは放射状線の間の最短距離であり、αは放射状線の数N、放射状線の近位端から円心Oまでの距離r及び歪み量Yを決定する目標角であり、
E2)下記式によって放射状線の円心O側に近い端点から円心Oまでの距離rを修正し、
上記式では、rは第1の誘導抵抗R1、第3の誘導抵抗R3の両方が円心Oを円心とする円形の境界線を位置決めするための半径であり、Δ1はマージンパラメータであり、
E3)偶数である適切な放射状線の数Nを検索し、第1の誘導抵抗R1と第3の誘導抵抗R3の長さが両方とも設計全長L1に近くなるようにし、
E4)放射状線の数Nに基づき放射状線の近位端から円心Oまでの距離rを更新するとともに、放射状線の円心O側に近い端点から円心Oまでの距離rを更新する関数式は
=(N×r+(r×sin(α/2)×π×N/2)-L1)/(N-sin(α/2)×π×(N/2-1))であり、
上記式では、Nは放射状線の数であり、rはフラットダイヤフラム上の変形領域の半径であり、rは修正後の放射状線の円心O側に近い端点から円心Oまでの距離であり、αは目標角であり、L1は第1の誘導抵抗R1または第3の誘導抵抗R3の全長であり、
E5)距離rに基づき放射状線の初期の歪み量Yを計算し、現在の角度α、距離r、放射状線の数N、歪み量Yをスーパー要素に構成してリストListに加え、且つ歪み量Yの計算関数式は、
であり、
上記式では、Yは計算して得られた歪み量であり、Nは放射状線の数であり、pは圧力強度であり、uはフラットダイヤフラムの弾性材料のポアソン比であり、Eは弾性率であり、hはフラットダイヤフラムの厚さであり、rはフラットダイヤフラム上の変形領域の半径であり、rは放射状線の円心O側に近い端点から円心Oまでの距離であり、rはフラットダイヤフラム上の変形領域の内部にはr、rの間に位置するある目標位置がフラットダイヤフラム円心Oに対する半径である、ことを特徴とする請求項8に記載の薄膜圧力センサのレイアウト方法。
【請求項10】
ステップE3)は、以下のステップを含み、
E3.1)r=r×sin(α/2)、r=r×sin(α/2)に基づき内半円Cnの半径r、外半円Cwの半径rを計算し、rはフラットダイヤフラム上の変形領域の半径であり、rは放射状線の円心O側に近い端点から円心Oまでの距離であり、αは目標角であり、放射状線は内半円Cnと外半円Cwの間に位置し、
E3.2)指定された区間から偶数である放射状線の数Nの値をランダムに選択し、
E3.3)下記式によって推定長さL1’を計算し、
L1’=N×(r-r)+(r×π×N/2)+(r×π×(N/2-1))
上記式では、Nは放射状線の数であり、rはフラットダイヤフラム上の変形領域の半径であり、rは修正後の放射状線の円心O側に近い端点から円心Oまでの距離であり、rは外半円Cwの半径であり、rは内半円Cnの半径であり、
E3.4)推定長さL1’と設計全長L1の両方の間の差(L1’-L1)を計算し、設計全長L1とは、第1の誘導抵抗R1または第3の誘導抵抗R3の設計全長を指し、差(L1’-L1)は0以上で且つ予め設定された閾値Δ2よりも小さいと、放射状線の数Nの検索が終了すると判断し、ジャンプしてステップE4)を実行し、そうでないと、ジャンプして次のステップを実行し、
E3.5)差(L1’-L1)が0より小さいであるかどうかを判断し、そうであると、放射状線の数量Nの値をN=N+2に更新し、ジャンプしてステップE3.3)を実行し、そうでないと、差(L1’-L1)は予め設定された閾値Δ2以上であると、放射状線の数量Nの値をN=N-2に更新し、ジャンプしてステップE3.3)を実行する、ことを特徴とする請求項9に記載の薄膜圧力センサのレイアウト方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薄膜抵抗歪み圧力センサ(薄膜圧力センサと略称)に関し、具体的に薄膜圧力センサ及びそのレイアウト方法に関する。
【背景技術】
【0002】
センサは、新技術革命と情報社会の重要な技術基礎であり、通信技術及びコンピュータ技術とともに情報産業の3つの柱を形成し、インテリジェントな製造と産業自動化のレベルを向上させるための重要なコア技術の1つである。圧力センサは測定される圧力をそれに対応する、正確に処理しやすい電力(例えば電流、電圧等)出力に変換する測定装置であり、幅広く使用されていた。圧力センサの動作プロセスは、一般的に、弾性センシング素子により圧力または圧力強度を歪み量または変位量等に変換し、次に、様々な形態の変換素子と合わせて、非電力を電力に変換し、最後に電気信号を理想的な信号に変調して出力する。弾性素子と変換素子の品質の良否はセンサの性能及び精度に影響を直接及ぼす。抵抗圧力センサは非電気的な物理量の圧力を抵抗変化に変換するものであり、現在、最も広く使用されているセンサの1つである。構造が簡単で、使用しやすく、動的及び静的測定に適するユニークな利点を有する。抵抗歪み圧力センサは、ワイヤー抵抗歪み圧力センサ、フォイル抵抗歪み圧力センサ及び薄膜抵抗歪み圧力センサの3つの段階を経る。ワイヤー抵抗歪み圧力センサとフォイル抵抗歪み圧力センサにおいて、変換素子とセンシング素子が緊密に結合しなく、機械的特性が低く、ヒステリシスやクリープ等の現象が発生しやすく、且つ安定性が悪く、徐々に薄膜抵抗歪み圧力センサによって置き換えられる。
【0003】
薄膜抵抗歪み圧力センサ(薄膜圧力センサと略称)は、センシング素子として性能に優れた金属弾性基板を使用して、基板に一層の金属薄膜が直接スパッタリングされ、次に、フォトリソグラフィなどの技術によって抵抗に製造され、該抵抗は変換素子として使用される。変換素子として薄膜抵抗を備えたセンサでは、その変換原理は金属線の抵抗歪み効果に基づくものである。所謂歪み効果とは、金属導体(抵抗線、薄膜抵抗ストリップなど)は圧力の作用で変形(伸長または圧縮)し、抵抗値が変形に伴って変化する物理現象を指す。現在、薄膜圧力センサはフラットダイヤフラムとフラットダイヤフラム上に配置された薄膜状の誘導抵抗を備えるが、誘導抵抗は、一般に簡単な直線で配線するため、感度が低いという問題がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的問題は、従来の技術における上記の問題に対して、薄膜圧力センサ及びそのレイアウト方法を提供することであり、本発明はフラットダイヤフラムの径方向の歪みと接線方向の歪みを十分に利用し、薄膜圧力センサの検出感度を向上させ、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線の両側に発生した歪みの差が小さく、抵抗線がねじれにくいため、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線とフラットダイヤフラムの長期的かつ安定した組み合わせを保持するのに役に立ち、耐用年数がより長く、構造がより堅固で信頼性が高い。
上記の技術的問題を解決するために、本発明に用いられる技術的解決手段は以下の通りである。
【0005】
薄膜圧力センサであって、フラットダイヤフラムとフラットダイヤフラムに設けられた薄膜状の第1の感知ユニットとを備え、前記第1の感知ユニットはフラットダイヤフラムの円形変形領域の円心Oの周りに配置されたm本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線を備え、且つその一側のm/2本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線を直列接続して第2の誘導抵抗R2を形成し、他側のm/2本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線を直列接続して第4の誘導抵抗R4を形成し、mは4の倍数である。
【0006】
選択可能に、前記らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線は複数本の直線抵抗線を順次に直列接続するように形成され、隣接する2本の直線抵抗線のうちの円心O側から離れる直線抵抗線はX軸の正方向に対する角度θが、
θ=arctan(Y/Y)を満たし、
【0007】
上記式では、arctanはアークタンジェント関数であり、Y、Yはそれぞれ円心O側から離れる直線抵抗線と円心O側に近い直線抵抗線の両方の交差位置の径方向の歪みYと接線方向の歪みYの両方の合成ベクトルのx軸成分、y軸成分である。
【0008】
選択可能に、前記フラットダイヤフラムに薄膜状の第2の感知ユニットが更に設けられ、前記第2の感知ユニットは円心Oの周りに第1の感知ユニットの外側に対称的に配布される第1の誘導抵抗R1と第3の誘導抵抗R3を備え、第1の誘導抵抗R1と第3の誘導抵抗R3はいずれも延長線が円心Oを通るn本の放射状線を含み、n本の放射状線の間に直列に接続され、且つ第1の誘導抵抗R1、第2の誘導抵抗R2、第3の誘導抵抗R3、第4の誘導抵抗R4は順次にエンドツーエンドで接続されてホイートストンブリッジを形成し、且つ任意の隣接する2つの抵抗の間に端子台が引き出される。
なお、本発明は前記の薄膜圧力センサのレイアウト方法をさらに提供し、第1の感知ユニットをレイアウトする以下のステップを含む。
【0009】
A1)円心Oを円心とする補助円R上でm個の点M~Mを均等にマークし、m個の点M~Mのうちの任意の点Mに対して、点Mに対応するリストListiを空にするように初期化し、点Mから開始する端点Qを決定し、端点Qの位置をリストListiに加え、端点Qでの径方向の歪みYと接線方向の歪みYの両方の合成ベクトルの角度θを計算し、更新回数Uが1である。
【0010】
A2)U回目の更新を実行し、各端点Qを角度θとステップサイズδで外へ延伸して新しい位置を取得し、それをリストListiに加え、端点Qでの径方向の歪みYと接線方向の歪みYの両方の合成ベクトルの角度θを計算し、リストListiにおける端点Qの軌跡からなるらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sの長さ及びm本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線S1~Smの全長を計算し、更新回数Uが2であると、リストListiにおける端点Qの最初の2つの位置に基づき第2の誘導抵抗R2、第4の誘導抵抗R4の各対のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線の間に一本の近位端遷移アークをレイアウトし、一本の近位端遷移アークの長さを計算し、さらにm/2本の近位端遷移アークの全長を決定し、m本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線の全長とm/2本の近位端遷移アークの全長の和は2×L2/m(L2は第2の誘導抵抗R2または第4の誘導抵抗R4の設計全長である)以上であるかどうかを判断し、そうであると、m本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗S~Sの最初のレイアウトが完了すると判定し、ステップA3)にジャンプして実行し、そうでないと、更新回数Uに1を足し、ステップA2)にジャンプして実行し、最初のレイアウトを実行し続ける。
【0011】
A3)各端点Qの新しい位置に基づき第2の誘導抵抗R2、第4の誘導抵抗R4の各対のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線の間に一本の遠位端遷移アークをレイアウトし、一本の遠位端遷移アークの長さLを計算し、さらに、(m/2-2)本の遠位端遷移アークの全長を決定する。
【0012】
A4)m本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗S~Sの全長、m/2本の近位端遷移アークの全長、(m/2-2)本の遠位端遷移アークの全長を加算して2で割り、第2の誘導抵抗R2または第4の誘導抵抗R4の推定全長L2’を取得する。
【0013】
A5)設計全長L2と推定全長L2’を比較し、設計全長L2は推定全長L2’よりも大きいと、本回の比較結果Bを「>」とし、設計全長L2は推定全長L2’に等しいと、本回の比較結果Bを「=」とし、設計全長L2は推定全長L2’より小さいと、本回の比較結果Bを「<」とし、前回の比較結果Bi-1を読み取り、前回の比較結果Bi-1がないと、「None」とする。
【0014】
A6)本回の比較結果Bは「>」であり且つ前回の比較結果Bi-1は「>」または「None」であると、各端点Qを対応するリストListiで1ステップ戻し、更新回数Uを1で引き、ジャンプしてステップA3)を実行し、そうでないと、ジャンプして次のステップを実行する。
【0015】
A7)本回の比較結果Bは「<」であり且つ前回の比較結果Bi-1は「<」または「None」であると、更新回数Uに1を足し、ジャンプしてステップA2)を実行し、そうでないと、各の端点Qの検索が完了すると判定し、m本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線S~Sのレイアウトが完了する。
【0016】
選択可能に、前記の端点Qでの径方向の歪みYと接線方向の歪みYの両方の合成ベクトルの角度θを計算するステップは、端点Qでの径方向の歪みYと接線方向の歪みYを計算し、径方向の歪みYと接線方向の歪みYをそれぞれx,y軸の両方向の成分に分解してから、合成して合成ベクトルのx軸成分Y、y軸成分Y及び角度θを取得するステップを含み、ここで、端点Qでの径方向の歪みYと接線方向の歪みYを計算する関数式は、
=k(r -3Rq
=k(r -Rq)であり、
【0017】
上記式では、kは材料とプロセス係数であり、rはフラットダイヤフラム上の変形領域の半径であり、Rqは円心Oに対する端点Qの距離であり、径方向の歪みY、接線方向の歪みYをx,y軸の両方向の成分にそれぞれ分解する関数式は、
j,x =k(r -3Rq)×cos(β)
j,y=k(r -3Rq)×sin(β)
q,x =k(r -Rq)×sin (β)
q,y=k(r -Rq)×cos(β)であり、
【0018】
上記式では、βは端点Qの極角であり、Yj,x,Yj,yはそれぞれ径方向の歪みYのx,y軸の2方向の成分であり、Yq,x,Yq,yはそれぞれ接線方向の歪みYのx,y軸の2方向の成分であり、
合成して得られた合成ベクトルのx軸成分Y、y軸成分Y及び角度θの関数式は、
= Yj,x + Yq,x= k(r -3Rq)×cos(β) + k(r -Rq)×sin (β)
= Yj,y + Yq,y= Yj,y=k(r -3Rq)×sin(β) + k(r -Rq)×cos(β)
θ=arctan(Y/Y)であり、
上記式では、arctanはアークタンジェント関数であり、
【0019】
且つステップA2)では、各端点Qを角度θ、ステップサイズδで外へ延伸して新しい位置を取得するステップは、まず、合成ベクトルの角度θとステップサイズδに基づき端点Qのx軸座標Q、y軸座標Qを更新し、次に、更新後のx軸座標Q、y軸座標Qに基づき端点Qの新しい位置の極座標を計算するステップを含み、端点Qのx軸座標Q、y軸座標Qを更新する関数式は、
=Q+δcos(θ)
=Q+δsin(θ)であり、
上記式では、δはステップサイズであり、θは径方向の歪みYと接線方向の歪みYとの両方の合成ベクトルの角度であり、
端点Qの新しい位置の極座標を計算する関数式は、
β=arctan(Q/Q
であり、
上記式では、βは端点Qの新しい位置の極角であり、Rは端点Qの新しい位置の極径であり、arctanはアークタンジェント関数である。
【0020】
選択可能に、ステップA2)ではリストListiにおける端点Qの前の2つの位置に基づき第2の誘導抵抗R2、第4の誘導抵抗R4の各対のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線の間に一本の近位端遷移アークをレイアウトするステップは、以下のステップを含む。
【0021】
B1)この対のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線に対して、渦巻き方向側に位置するらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線SのリストListiにおける第1の要素Listi[0]かららせん状に回転するマルチセグメント抵抗線SのListi[0]とListi[1]との間の線分に垂直である法線を描画し、該法線と他のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sは点Fに交差する。
【0022】
B2)リストListiにおける第1の要素Listi[0]、点Fの間の線分を直径として半径がrの半円を構成し、該半円を該らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線S、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sの間の近位端遷移アークとする。
【0023】
B3)らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sに対して、点F、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線SのリストListjにおける第1の要素Listj[0]に対応する位置の間の線分をレイアウトから削除する。
【0024】
B4)リストListjから点Fに最も近い要素Listj[z]を検索し、インデックス番号zを抽出し、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sから長さz×δを引いて、L=(r×π)に基づき計算してらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線S、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sの間の近位端遷移アークの長さLを取得し、rは近位端遷移アークの半径であり、δはステップサイズである。
【0025】
選択可能に、ステップA3)では、各端点Qの新しい位置に基づき第2の誘導抵抗R2、第4の誘導抵抗R4の各対のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線の間に一本の遠位端遷移アークをレイアウトするステップは、以下のステップを含む。
【0026】
C1)この対のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線に対して、渦巻き方向側から背離するらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線SのリストListiにおける最後の要素Listi[U-1]に対応する位置を開始点としてらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線SのListi[U-2]とListi[U-1]との間の線分に垂直である法線を描画し、該法線と他のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sは点Fに交差する。
【0027】
C2)最後の要素Listi[U-1]、点Fの間の線分を直径として半径がrの半円を構成し、該半円を該らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sとらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sとの間の遠位端遷移アークとする。
【0028】
C3)らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sに対して、点F、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線SのリストListjにおける最後の要素Listj[U-1]の間の線分をレイアウトから削除する。
【0029】
C4)リストListjから点Fに最も近い要素を検索して要素Listj[z]を取得し、要素Listj[z]に対応するインデックス番号zを抽出し、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sから長さ(U-1-z2)×δを引いて、L=(r×π)に基づき計算してらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sとらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sとの間の遠位端遷移アークの長さLを取得し、rは遠位端遷移アークの半径であり、Uは更新回数であり、δはステップサイズである。
選択可能に、第1の誘導抵抗R1と第3の誘導抵抗R3をレイアウトする以下のステップを更に含む。
D1)放射状線の間の角度αを初期化し、リストListを空に初期化する。
【0030】
D2)角度αに基づき放射状線の数N、放射状線の近位端から円心Oまでの距離r及び歪み量Yを決定し、角度α、放射状線の数N、放射状線の近位端から円心Oまでの距離r及び歪み量Yをスーパー要素に構成してリストListに加え、角度αに対応する歪み量Yを元の歪み量Yとする。
【0031】
D3)現在の角度αに予め設定された増分値Δαを足して増分角度αを取得し、リストListに増分角度αの値に対応するスーパー要素が存在するかどうかを判断し、存在すると、該スーパー要素における歪み量を増分角度αに対応する第1の歪み量Yに直接割り当て、存在しないと、増分角度αに基づき放射状線の数N、放射状線の近位端から円心Oまでの距離r及び歪み量Yを決定し、角度α、放射状線の数N、放射状線の近位端から円心Oまでの距離r及び歪み量Yをスーパー要素に構成してリストListに加え、増分角度αに対応する歪み量Yを第1の歪み量Yとし、現在の角度αから予め設定された増分値Δαを引いて減分角度αを取得し、リストListに減分角度αの値に対応するスーパー要素が存在するかどうかを判断し、存在すると、該スーパー要素における歪み量を減分角度αに対応する第2の歪み量Yに直接割り当て、存在しないと、減分角度αに基づき放射状線の数N、放射状線の近位端から円心Oまでの距離r及び歪み量Yを決定し、角度α、放射状線の数N、放射状線の近位端から円心Oまでの距離r及び歪み量Yをスーパー要素に構成してリストListに加え、減分角度αに対応する歪み量Yを第2の歪み量Yとする。
【0032】
D4)元の歪み量Y、第1の歪み量Y、第2の歪み量Yの大きさを比較し、第1の歪み量Yは同時に元の歪み量Y及び第2の歪み量Y以上である場合、現在の角度αの値を増分角度αに更新し、ジャンプしてステップD3)を実行し、第2の歪み量Yは同時に元の歪み量Y及び第1の歪み量Y以上である場合、現在の角度αの値を減分角度αに更新し、ジャンプしてステップD3)を実行し、元の歪み量Yは同時に第1の歪み量Y及び第2の歪み量Y以上である場合、角度αの値の検索を停止し、現在の角度αに対応するスーパー要素を結果として出力し、退出する。
選択可能に、前記の放射状線の数N、放射状線の近位端から円心Oまでの距離r及び歪み量Yを決定するステップは、以下のステップを含む。
【0033】
E1)r=d/(2×sin(α/2))に基づき放射状線の円心O側に近い端点から円心Oまでの距離rを計算し、dは放射状線の間の最短距離であり、αは放射状線の数N、放射状線の近位端から円心Oまでの距離r及び歪み量Yを決定する目標角である。
E2)下記式によって放射状線の円心O側に近い端点から円心Oまでの距離rを修正する。
【0034】
上記式では、rは第1の誘導抵抗R1、第3の誘導抵抗R3の両方が円心Oを円心とする円形の境界線を位置決めするための半径であり、Δ1はマージンパラメータである。
E3)偶数である適切な放射状線の数Nを検索し、第1の誘導抵抗R1と第3の誘導抵抗R3の長さが両方とも設計全長L1に近くなるようにする。
【0035】
E4)放射状線の数Nに基づき放射状線の近位端から円心Oまでの距離rを更新するとともに、放射状線の円心O側に近い端点から円心Oまでの距離rを更新する関数式は
=(N×r+(r×sin(α/2)×π×N/2)-L1)/(N-sin(α/2)×π×(N/2-1))であり、
【0036】
上記式では、Nは放射状線の数であり、rはフラットダイヤフラム上の変形領域の半径であり、rは修正後の放射状線の円心O側に近い端点から円心Oまでの距離であり、αは目標角であり、L1は第1の誘導抵抗R1または第3の誘導抵抗R3の全長である。
【0037】
E5)距離rに基づき放射状線の初期の歪み量Yを計算し、現在の角度α、距離r、放射状線の数N、歪み量Yをスーパー要素に構成してリストListに加え、且つ歪み量Yの計算関数式は、
であり、
【0038】
上記式では、Yは計算して得られた歪み量であり、Nは放射状線の数であり、pは圧力強度であり、uはフラットダイヤフラムの弾性材料のポアソン比であり、Eは弾性率であり、hはフラットダイヤフラムの厚さであり、rはフラットダイヤフラム上の変形領域の半径であり、rは放射状線の円心O側に近い端点から円心Oまでの距離であり、rはフラットダイヤフラム上の変形領域の内部にはr、rの間に位置するある目標位置がフラットダイヤフラム円心Oに対する半径である。
選択可能に、ステップE3)は、以下のステップを含む。
【0039】
E3.1)r=r×sin(α/2)、r=r×sin(α/2)に基づき内半円Cnの半径r、外半円Cwの半径rを計算し、rはフラットダイヤフラム上の変形領域の半径であり、rは放射状線の円心O側に近い端点から円心Oまでの距離であり、αは目標角であり、放射状線は内半円Cnと外半円Cwの間に位置する。
E3.2)指定された区間から偶数である放射状線の数Nの値をランダムに選択する。
E3.3)下記式によって推定長さL1’を計算し、
L1’=N×(r-r)+(r×π×N/2)+(r×π×(N/2-1))
【0040】
上記式では、Nは放射状線の数であり、rはフラットダイヤフラム上の変形領域の半径であり、rは修正後の放射状線の円心O側に近い端点から円心Oまでの距離であり、rは外半円Cwの半径であり、rは内半円Cnの半径である。
【0041】
E3.4)推定長さL1’と設計全長L1の両方の間の差(L1’-L1)を計算し、設計全長L1とは、第1の誘導抵抗R1または第3の誘導抵抗R3の設計全長を指し、差(L1’-L1)は0以上で且つ予め設定された閾値Δ2よりも小さいと、放射状線の数Nの検索が終了すると判断し、ジャンプしてステップE4)を実行し、そうでないと、ジャンプして次のステップを実行する。
【0042】
E3.5)差(L1’-L1)が0より小さいであるかどうかを判断し、そうであると、放射状線の数量Nの値をN=N+2に更新し、ジャンプしてステップE3.3)を実行し、そうでないと、差(L1’-L1)は予め設定された閾値Δ2以上であると、放射状線の数量Nの値をN=N-2に更新し、ジャンプしてステップE3.3)を実行する。
従来の技術と比べて、本発明は以下の利点を有する。
【0043】
1、本発明の第1の感知ユニットは、フラットダイヤフラムの円形変形領域の円心Oの周りに配置されたm本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線を備え、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線はらせん状に回転する構造で配置され、その一側のm/2本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線を直列接続して第2の誘導抵抗R2を形成し、他側のm/2本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線を直列接続して第4の誘導抵抗R4を形成することによって、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線のレイアウトは径方向の歪みと接線方向の歪みの合成方向に沿って配線され、圧力の作用下で抵抗線に最大の正歪みが発生し、これにより、第1の感知ユニットの圧力検出感度を効果的に向上させることができる。
【0044】
2、本発明の第1の感知ユニットは、フラットダイヤフラムの円形変形領域の円心Oの周りに配置されたm本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線を備え、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線はらせん状に回転する構造で配置され、該レイアウト構造によって、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線の両側に発生する歪みの差がより小さく、抵抗線がねじれにくいため、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線とフラットダイヤフラムの長期的かつ安定した組み合わせを保持するのに役に立ち、耐用年数がより長く、構造がより堅固で信頼性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明の実施例における薄膜圧力センサの断面構造模式図である。
図2】本発明の実施例における第1の感知ユニットの平面構造模式図である。
図3】本発明の実施例におけるらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線のうちの隣接する2本の直線抵抗線の構造模式図である。
図4】本発明の実施例における第1の感知ユニットと第2の感知ユニットの平面構造模式図である。
図5】本発明の実施例におけるレイアウト方法によって第1の感知ユニットをレイアウトする基本的なフローチャートである。
図6】本発明の実施例におけるレイアウト方法によって近位端遷移アークをレイアウトする原理模式図である。
図7】本発明の実施例におけるレイアウト方法によって遠位端遷移アークをレイアウトする原理模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1及び図2に示すように、本実施例は薄膜圧力センサを提供し、フラットダイヤフラム(図1の符号1で示す)とフラットダイヤフラムに設けられた薄膜状の第1の感知ユニット(図1の符号2で示す)を備え、第1の感知ユニットは、フラットダイヤフラムの円形変形領域の円心Oの周りに配置されたm本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線を備え、その一側のm/2本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線を直列接続して第2の誘導抵抗R2を形成し、他側のm/2本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線を直列接続して第4の誘導抵抗R4を形成し、mは4の倍数である。図2を参照して、一選択可能な実施形態として、本実施例において、mの取る値は12であり、12本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線であり、その一側の6本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線を直列接続して第2の誘導抵抗R2(その端子がそれぞれR2_1とR2_2である)を形成し、他側の6本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線を直列接続して第4の誘導抵抗R4(その端子がそれぞれR4_1とR4_2である)を形成し、なお、mの取る値は4の他の倍数を選択してもよい。
【0047】
図1を参照して、取付の簡便のため、フラットダイヤフラムの周りに周囲固定支持構造が設けられる。図2を参照して、一選択可能な実施形態として、本実施例におけるm本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線の渦巻き方向は逆時計回り方向であり、なお、必要に応じて時計回り方向にしてもよい。
【0048】
図3を参照して、一選択可能な実施形態として、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線は複数本の直線抵抗線を順次に直列接続して形成され、隣接する2本の直線抵抗線のうちの円心O側から遠い直線抵抗線がX軸正方向に対する角度θは、
θ=arctan(Y/Y)を満たし、
【0049】
上記式では、arctanはアークタンジェント関数であり、Y、Yはそれぞれ円心O側から遠い直線抵抗線、円心O側に近い直線抵抗線の両方の交差位置(図3における点Qを参照)の径方向の歪みY、接線方向の歪みYの両方の合成ベクトルのx軸成分、y軸成分である。
【0050】
上記の構造により、圧力の作用下でのエラストマーダイヤフラムの機械的特性に応じて、薄膜抵抗をエラストマーダイヤフラム歪みの合成方向に沿ってレイアウトし、エラストマーダイヤフラムの変形を最大限に利用し、センサの感度を向上させる。図3を参照して、LとLはらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線における隣接する2本の直線抵抗線であり、Lは円心O側に近い直線抵抗線であり、Lは円心O側から遠い直線抵抗線である場合、円心O側から遠い直線抵抗線LはX軸正方向に対する角度θを図3に示す。該角度θを設置することによって、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線の直線抵抗線の両側に発生した歪みが同じであり、抵抗線のねじれがなく、抵抗線と基板の長期的かつ安定した組み合わせを保持することに役に立つ。
【0051】
なお、一側のm/2本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線を直列接続して第2の誘導抵抗R2を形成し、他側のm/2本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線を直列接続して第4の誘導抵抗R4を形成する場合、必要に応じて直線、円弧線または他の形態の配線で接続することができる。図2を参照して、一選択可能な実施形態として、薄膜圧力センサの検出感度を向上させ、アンチサージ能力、動的信号感知能力を向上させるために、本実施例において、隣接するらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線は遷移アークによって接続される。識別を容易にするために、円心O側に近い遷移アークを近位端遷移アークとし、円心O側から遠い遷移アークを遠位端遷移アークとする。
【0052】
さらに、一選択可能な実施形態として、薄膜圧力センサの検出感度を向上させるために、本実施例において、フラットダイヤフラムに薄膜状の第2の感知ユニットが更に設けられ、図4に示すように、第2の感知ユニットは円心Oの周りに第1の感知ユニットの外側に対称的に配置される第1の誘導抵抗R1と第3の誘導抵抗R3を備え、第1の誘導抵抗R1と第3の誘導抵抗R3はいずれも延長線が円心Oを通るn本の放射状線を含み、n本の放射状線は直列に接続され、且つ第1の誘導抵抗R1、第2の誘導抵抗R2、第3の誘導抵抗R3、第4の誘導抵抗R4は順次にエンドツーエンドで接続されてホイートストンブリッジを形成し、且つ任意の隣接する2つの抵抗の間に端子台が引き出される。第1の誘導抵抗R1と第3の誘導抵抗R3は第1の感知ユニットの外側に対称的に配置され、且つ延長線が円心Oを通るn本の放射状線を含むため、圧力の作用下で、抵抗線に負の径方向の歪みと正の接線方向の歪みが発生し、両方の歪みによって抵抗値が小さくなる。第1の感知ユニットの第2の誘導抵抗R2、第4の誘導抵抗R4は内側にレイアウトされ、径方向の歪みと接線方向の歪みの合成方向に沿って配線され、圧力の作用下で抵抗線に最大の正の歪みが発生する。該レイアウトの場合、抵抗線の両側に発生した歪みが同じであり、抵抗線のねじれがなく、抵抗線とフラットダイヤフラムの長期的かつ安定した組み合わせを保持するのに役に立つ。
【0053】
図4を参照して、一選択可能な実施形態として、薄膜圧力センサの検出感度を向上させ、アンチサージ能力、動的信号感知能力を向上させるために、本実施例において、n本の放射状線は遷移アークによって接続される。識別を容易にするために、円心O側に近い遷移アークを内側円弧線とし、円心O側から遠い遷移アークを外側円弧線とする。
【0054】
図4を参照して、配線を容易にするために、本実施例において、第1の誘導抵抗R1、第2の誘導抵抗R2、第3の誘導抵抗R3、第4の誘導抵抗R4のうちの任意の隣接するものの間にリードブリッジによって端子台が引き出される。一選択可能な実施形態として、薄膜圧力センサの検出感度を向上させ、アンチサージ能力、動的信号感知能力を向上させるために、本実施例において、第1の誘導抵抗R1、第2の誘導抵抗R2、第3の誘導抵抗R3、及び第4の誘導抵抗R4とリードブリッジとの接続部にいずれも滑らかな遷移部が設けられ、リードブリッジとパッドとはリード線によって接続される。第1の誘導抵抗R1、第2の誘導抵抗R2、第3の誘導抵抗R3、第4の誘導抵抗R4に対して、全体として基本的に同じ幅、同じ厚さの薄膜抵抗構造であり、リードブリッジとの接続部のみで滑らかな遷移部によって部分の線幅が変化する。
フラットダイヤフラムの円形変形領域の径方向の歪みεの計算関数式は下記式に示すように、
式(2)
ε=3p(1-μ)(R-3r)/(8Eh
【0055】
上記式では、pは変形領域の内部のある目標位置の圧力強度であり、μはフラットダイヤフラム1に使用される弾性材料のポアソン比であり、Rは円形変形領域の半径であり、rは変形領域の内部のある目標位置が円心Oに対する半径であり、Eは弾性率であり、hはフラットダイヤフラム1の厚さである。式(2)によって、フラットダイヤフラムの径方向の歪みの臨界線を計算することができ、該臨界線は
式(3)
-3r=0を満たし、
上記の約束条件に従って、臨界線が半径
【0056】
である円を取得できる。本実施例において、第1の誘導抵抗R1と第3の誘導抵抗R3は臨界線の外側にレイアウトされ、第2の誘導抵抗R2と第4の誘導抵抗R4は臨界線の内側にレイアウトされ、且つ第1の誘導抵抗R1と第3の誘導抵抗R3はX軸で対称的に分布する。
なお、本実施例は以上の薄膜圧力センサのレイアウト方法をさらに提供し、図5に示すように、第1の感知ユニットをレイアウトする以下のステップを含む。
【0057】
A1)円心Oを円心とする補助円R上でm個の点M~Mを均等にマークし、m個の点M~Mのうちの任意の点Mに対して、点Mに対応するリストListiを空にするように初期化し、点Mから開始する端点Qを決定し、端点Qの位置をリストListiに加え、端点Qでの径方向の歪みYと接線方向の歪みYの両方の合成ベクトルの角度θを計算し、更新回数Uが1である。
【0058】
A2)U回目の更新を実行し、各端点Qを角度θとステップサイズδで外へ延伸して新しい位置を取得し、それをリストListiに加え、端点Qでの径方向の歪みYと接線方向の歪みYの両方の合成ベクトルの角度θを計算し、リストListiにおける端点Qの軌跡からなるらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sの長さ及びm本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線S1~Smの全長を計算し、更新回数Uが2であると、リストListiにおける端点Qの最初の2つの位置に基づき第2の誘導抵抗R2、第4の誘導抵抗R4の各対のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線の間に一本の近位端遷移アークをレイアウトし、一本の近位端遷移アークの長さを計算し、さらにm/2本の近位端遷移アークの全長を決定し、m本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線の全長とm/2本の近位端遷移アークの全長の和は2×L2/m(L2は第2の誘導抵抗R2または第4の誘導抵抗R4の設計全長である)以上であるかどうかを判断し、そうであると、m本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗S~Sの最初のレイアウトが完了すると判定し、ステップA3)にジャンプして実行し、そうでないと、更新回数Uに1を足し、ステップA2)にジャンプして実行し、最初のレイアウトを実行し続ける。
【0059】
A3)各端点Qの新しい位置に基づき第2の誘導抵抗R2、第4の誘導抵抗R4の各対のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線の間に一本の遠位端遷移アークをレイアウトし、一本の遠位端遷移アークの長さLを計算し、さらに、(m/2-2)本の遠位端遷移アークの全長を決定する。
【0060】
A4)m本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗S~Sの全長、m/2本の近位端遷移アークの全長、(m/2-2)本の遠位端遷移アークの全長を加算して2で割り、第2の誘導抵抗R2または第4の誘導抵抗R4の推定全長L2’を取得する。
【0061】
A5)設計全長L2と推定全長L2’を比較し、設計全長L2は推定全長L2’よりも大きいと、本回の比較結果Bを「>」とし、設計全長L2は推定全長L2’に等しいと、本回の比較結果Bを「=」とし、設計全長L2は推定全長L2’より小さいと、本回の比較結果Bを「<」とし、前回の比較結果Bi-1を読み取り、前回の比較結果Bi-1がないと、「None」とする。
【0062】
A6)本回の比較結果Bは「>」であり且つ前回の比較結果Bi-1は「>」または「None」であると、各端点Qを対応するリストListiで1ステップ戻し、更新回数Uから1を引いて、ジャンプしてステップA3)を実行し、そうでないと、ジャンプして次のステップを実行する。
【0063】
A7)本回の比較結果Bは「<」であり且つ前回の比較結果Bi-1は「<」または「None」であると、更新回数Uに1を足し、ジャンプしてステップA2)を実行し、そうでないと、各の端点Qの検索が完了すると判定し、m本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線S~Sのレイアウトが完了する。
【0064】
上記ステップA1)~A7)では、m本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線の全長、m/2本の近位端遷移アークの全長の和は2×L2/m以上になる前に遠位端遷移アークをレイアウトして計算する必要がないため、計算量が小さく、計算効率が高い利点を有する。なお、端点Qを更新するたびに、遠位端遷移アークのレイアウト計算を実行する方法を採用してもよく、具体的なステップは、以下を含む。
【0065】
A1’)円心Oを円心とする補助円R上でm個の点M~Mを均等にマークし、m個の点M~Mのうちの任意の点Mに対して、点Mに対応するリストListiを空にするように初期化し、Mから開始する端点Qを決定し、端点Qの位置をリストListiに加え、端点Qでの径方向の歪みYと接線方向の歪みYの両方の合成ベクトルの角度θを計算し、更新回数Uが1である。
【0066】
A2’)U回目の更新を実行し、各端点Qを角度θとステップサイズδで外へ延伸して新しい位置を取得し、それをリストListiに加え、端点Qでの径方向の歪みYと接線方向の歪みYの両方の合成ベクトルの角度θを計算し、リストListiにおける端点Qの軌跡からなるらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sの長さ及びm本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線S1~Smの全長を計算する。
【0067】
A3’)更新回数Uが2であると、リストListiにおける端点Qの最初の2つの位置に基づき第2の誘導抵抗R2、第4の誘導抵抗R4の各対のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線の間に一本の近位端遷移アークをレイアウトし、一本の近位端遷移アークの長さを計算し、さらにm/2本の近位端遷移アークの全長を決定し、各端点Qの新しい位置に基づき第2の誘導抵抗R2、第4の誘導抵抗R4の各対のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線の間に一本の遠位端遷移アークをレイアウトし、一本の遠位端遷移アークの長さLを計算する。
【0068】
A4’)m本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗S~Sの全長、m/2本の近位端遷移アークの全長、(m/2-2)本の遠位端遷移アークの全長を加算して2で割り、第2の誘導抵抗R2または第4の誘導抵抗R4の推定全長L2’を取得する。
【0069】
A5’)設計全長L2と推定全長L2’を比較し、設計全長L2は推定全長L2’以上であると、各端点Qの検索が完了すると判定し、m本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線S~Sのレイアウトが完了し、そうでないと、更新回数Uに1を足し、ジャンプしてステップA2’)を実行する。
【0070】
本実施例において、端点Qでの径方向の歪みYと接線方向の歪みYの両方の合成ベクトルの角度θを計算するステップは、端点Qでの径方向の歪みYと接線方向の歪みYを計算し、径方向の歪みYと接線方向の歪みYをそれぞれx,y軸の両方向の成分に分解してから、合成して合成ベクトルのx軸成分Y、y軸成分Y及び角度θを取得するステップを含み、ここで、端点Qでの径方向の歪みYと接線方向の歪みYを計算する関数式は、
式(4)
=k(r -3Rq
式(5)
=k(r -Rq
【0071】
上記式では、kは材料とプロセス係数であり、rはフラットダイヤフラム上の変形領域の半径であり、Rqは円心Oに対する端点Qの距離であり、径方向の歪みY、接線方向の歪みYをx,y軸の両方向の成分にそれぞれ分解する関数式は、
式(6)
j,x =k(r -3Rq)×cos(β)
式(7)
j,y=k(r -3Rq)×sin(β)
式(8)
q,x =k(r -Rq)×sin (β)
式(9)
q,y=k(r -Rq)×cos(β)
【0072】
上記式では、βは端点Qの極角であり、Yj,x,Yj,yはそれぞれ径方向の歪みYのx,y軸の2方向の成分であり、Yq,x,Yq,yはそれぞれ接線方向の歪みYのx,y軸の2方向の成分であり、
合成して得られた合成ベクトルのx軸成分Y、y軸成分Y及び角度θの関数式は、
式(10)
=Yj,x+Yq,x=k(r -3Rq)×cos(β)+k(r -Rq)×sin(β)
式(11)
=Yj,y+Yq,y=Yj,y=k(r -3Rq)×sin(β)+k(r -Rq)×cos(β)
式(1)
θ=arctan(Y/Y
上記式では、arctanはアークタンジェント関数であり、
【0073】
且つステップA2)では、各端点Qを角度θ、ステップサイズδで外へ延伸して新しい位置を取得するステップA2)は、まず、合成ベクトルの角度θとステップサイズδに基づき端点Qのx軸座標Q、y軸座標Qを更新し、次に、更新後のx軸座標Q、y軸座標Qに基づき端点Qの新しい位置の極座標を計算するステップを含み、端点Qのx軸座標Q、y軸座標Qを更新する関数式は、
式(12)
=Q+δcos(θ)
式(13)
=Q+δsin(θ)
上記式では、δはステップサイズであり、θは径方向の歪みYと接線方向の歪みYとの両方の合成ベクトルの角度であり、
端点Qの新しい位置の極座標を計算する関数式は、
式(14)
β=arctan(Q/Q
式(15)
上記式では、βは端点Qの新しい位置の極角であり、Rは端点Qの新しい位置の極径であり、arctanはアークタンジェント関数である。
【0074】
本実施例において、ステップA2)ではリストListiにおける端点Qの前の2つの位置に基づき第2の誘導抵抗R2、第4の誘導抵抗R4の各対のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線の間に一本の近位端遷移アークをレイアウトするステップは、 以下のステップを含む。
【0075】
B1)この対のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線に対して、渦巻き方向側に位置するらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線SのリストListiにおける第1の要素Listi[0]かららせん状に回転するマルチセグメント抵抗線SのListi[0]とListi[1]との間の線分に垂直である法線を描画し、該法線と他のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sは点Fに交差する。
【0076】
B2)リストListiにおける第1の要素Listi[0]、点Fの間の線分を直径として半径がrの半円を構成し、該半円を該らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線S、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sの間の近位端遷移アークとする。
【0077】
B3)らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sに対して、点F、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線SのリストListjにおける第1の要素Listj[0]に対応する位置の間の線分をレイアウトから削除する。
【0078】
B4)リストListjから点Fに最も近い要素Listj[z]を検索し、インデックス番号zを抽出し、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sから長さz×δを引いて、L=(r×π)に基づき計算してらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線S、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sの間の近位端遷移アークの長さLを取得し、rは近位端遷移アークの半径であり、δはステップサイズである。
【0079】
図6に示すように、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sとらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sの間の近位端遷移アークを例として、ステップは、以下のステップを含み、(1)渦巻き方向側のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sの第1の要素List1[0](即ちM)かららせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sの第1の要素List1[0]と第2の要素List1[1]との間の線分に垂直である法線を描画し、該法線とらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sは点Fに交差し(本実施例において、逆時計回り方位にあるらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sの近位端(即ちM)を法線の開始点として選択する。らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sがらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sの逆時計回り方向にあるため、法線がらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sの近位端から開始し、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sと交差する)、(2)要素List1[0]と点Fを端点として、要素List1[0]と点Fとの間の線分を直径として半円を描き、該半円はらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sとらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sとの間の近位端遷移アークであり、その半径長さをrとし、(3)らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sに対して、点Fとらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線SのリストListmにおける第1の要素Listm[0](即ちM)に対応する位置との間の線分をレイアウトから削除(図6の点線部分を参照)し、(4)リストListmから点Fと最も近い要素を検索して要素Listm[z]を取得し、要素Listm[z]に対応するインデックス番号zを抽出し、Listm[z]が点Fに最も近いと仮定すると、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sの長さから(z×δ)を引く必要があり(概算)、例えば図ではListm[1]が点Fに最も近く、即ちらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sの長さからδを引く必要があり、ステップサイズδの取る値が小さいほど、該概算値の誤差が小さく、L=(r×π)に基づき計算してらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sとらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sとの間の近位端遷移アークの長さLを取得し、rは近位端遷移アークの半径であり、δはステップサイズである。
【0080】
本実施例において、ステップA3)では、各端点Qの新しい位置に基づき第2の誘導抵抗R2、第4の誘導抵抗R4の各対のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線の間に一本の遠位端遷移アークをレイアウトするステップは、以下のステップを含む。
【0081】
C1)この対のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線に対して、渦巻き方向側から背離するらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線SのリストListiにおける最後の要素Listi[U-1]に対応する位置を開始点としてらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線SのListi[U-2]とListi[U-1]との間の線分に垂直である法線を描画し、該法線と他のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sは点Fに交差する。
【0082】
C2)最後の要素Listi[U-1]、点Fの間の線分を直径として半径がrの半円を構成し、該半円を該らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sとらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sとの間の遠位端遷移アークとする。
【0083】
C3)らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sに対して、点F、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線SのリストListjにおける最後の要素Listj[U-1]の間の線分をレイアウトから削除する。
【0084】
C4)リストListjから点Fに最も近い要素を検索して要素Listj[z]を取得し、要素Listj[z]に対応するインデックス番号zを抽出し、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sから長さ(U-1-z2)×δを引いて、L=(r×π)に基づき計算してらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sとらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sとの間の遠位端遷移アークの長さLを取得し、rは遠位端遷移アークの半径であり、Uは更新回数であり、δはステップサイズである。
【0085】
図7を参照して、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sとらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sとの間の遠位端遷移アークを例として、ステップは、以下のステップを含み、(1)本実施例において、この対のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線に対して、渦巻き方向側から背離するらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sをらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sとして渦巻き方向側から背離するらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線SのリストList1における最後の要素List1[U-1](Q)を開始点としてらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線SのList1[U-2]とList1[U-1]との間の線分に垂直である法線を描画し、該法線と他のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sは点Fに交差し、(2)最後の要素List1[U-1]、点Fの間の線分を直径として半径がrの半円を構成し、該半円を該らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sとらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sとの間の遠位端遷移アークとし、(3)らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sに対して、点F、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線SのリストList2における最後の要素List2[U-1]の間の線分をレイアウトから削除し、(4)リストList2から点Fに最も近い要素を検索して要素List2[z]を取得し、要素List2[z]に対応するインデックス番号zを抽出し、List2[z]が点Fに最も近いと仮定すると、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sの長さから(U-1-z)×δを引く必要がある(概算)。L=(r×π)に基づき計算してらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sとらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sとの間の遠位端遷移アークの長さLを取得する。
第1の感知ユニットの抵抗は以下のいくつかの部分を含むべきであり、
第1の部分は、m本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線の元の長さがU×δ×mである。
【0086】
第2の部分は、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線の削除長さ(負数)であり、(1)近位端遷移アークを計算する場合、各対のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線(各近位端遷移アークに対応する)において、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sから長さ(z×δ)を引く必要があり、近位端遷移アークの数がm/2本であるため、m本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線から合計で(z×δ)×m/2を引く必要がある。(2)遠位端遷移アークを計算する場合、各対のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線(各遠位端遷移アークに対応する)において、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sから長さ(U-1-z)×δを引く必要があり、遠位端遷移アークの数は(m/2-2)本であるため、m本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線から合計で(U-1-z)×δ×(m/2-2)を引く必要がある。
第3の部分は、m/2本の近位端遷移アークの全長がL×m/2である。
第4の部分は、(m/2-2)本の遠位端遷移アークの全長がL×(m/2-2)である。
第1の感知ユニットの抵抗は、
(U×δ×m)+(L-z×δ)×m/2+(L-(U-1-z)×δ)×(m/2-2)として示されることができる。
【0087】
したがって、ステップA4)では、m本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗S~Sの全長、m/2本の近位端遷移アークの全長、(m/2-2)本の遠位端遷移アークの全長を加算して2で割ることによって、第2の誘導抵抗R2または第4の誘導抵抗R4の推定全長L2’を取得する関数式は
L2’=((U×δ×m)+(L-z×δ)×m/2+(L-(U-1-z)×δ)×(m/2-2))/2である。
【0088】
一選択可能な実施形態として、本実施例において、ステップA3)の前に第2の誘導抵抗R2または第4の誘導抵抗R4の設計全長L2を計算する以下のステップ(第2の誘導抵抗R2を例とする)を更に含み、(1)第2の誘導抵抗R2に圧力が印加されていない場合の抵抗値R2を取得し、(2)薄膜抵抗の製造プロセスに従って、第2の誘導抵抗R2の厚さh、薄膜の抵抗率ρを取得し、第2の誘導抵抗R2の抵抗線の幅wを取得し、(3)L2=R2×(w×h)/ρに従って第2の誘導抵抗R2の設計全長L2を計算する。
【0089】
一選択可能な実施形態として、本実施例において、ステップA1)の前に補助円Rを決定するステップを更に含み、任意の隣接するらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線の間の最短距離をdとし、dは約束条件2w<dを満たさなければならなく、ここで、wは抵抗線の線幅であり、補助円Rの半径rは約束条件
≧d/(2×cos(360/2m))
を満たさなければならないように推定できる。
上記式では、mはらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線の総数である。一定のマージンを保持するために、本実施例において、補助円Rの半径r
≧d/(2×cos(360/2m))
であると決定する。
【0090】
本実施例において、ステップA1)では円心Oを円心とする補助円Rにm個の点M~Mを均一にマークし、Mは極座標0°方向に位置し、Mは極座標360°/m方向に位置し、これに従って類推する。
【0091】
一選択可能な実施形態として、本実施例において、ステップA2)におけるステップサイズδの取る値は<L2/1000であり、ここで、L2は第2の誘導抵抗R2または第4の誘導抵抗R4の設計全長である。
【0092】
ステップA7)において、Bが「>」を取る場合、Bi-1が「<」または 「=」を取る場合、渦巻き線の遠位端の前縁端点Q...Qの検索を停止し、Bが「<」を取る場合、Bi-1が「<」または「None」を取る場合、渦巻き線の遠位端の前縁端点Q...Qの検索を停止し、Bが「=」を取る場合、渦巻き線の遠位端の前縁端点Q...Qの検索を停止する。
【0093】
なお、一選択可能な実施形態として、本実施例の薄膜圧力センサのレイアウト方法は、第1の誘導抵抗R1と第3の誘導抵抗R3をレイアウトする以下のステップを更に含む。
D1)放射状線の間の角度αを初期化し、リストListを空に初期化する。
【0094】
D2)角度αに基づき放射状線の数N、放射状線の近位端から円心Oまでの距離r及び歪み量Yを決定し、角度α、放射状線の数N、放射状線の近位端から円心Oまでの距離r及び歪み量Yをスーパー要素に構成してリストListに加え、角度αに対応する歪み量Yは元の歪み量Yである。
【0095】
D3)現在の角度αに予め設定された増分値Δαを足して増分角度αを取得し、リストListに増分角度αの値に対応するスーパー要素が存在するかどうかを判断し、存在すると、該スーパー要素における歪み量を増分角度αに対応する第1の歪み量Yを直接割り当て、存在しないと、増分角度αに基づき放射状線の数N、放射状線の近位端から円心Oまでの距離r及び歪み量Yを決定し、角度α、放射状線の数N、放射状線の近位端から円心Oまでの距離r及び歪み量Yをスーパー要素に構成してリストListに加え、増分角度αに対応する歪み量Yは第1の歪み量Yであり、現在の角度αから予め設定された増分値Δαを引いて減分角度αを取得し、リストListに減分角度αの値に対応するスーパー要素が存在するかどうかを判断し、存在すると、該スーパー要素における歪み量を減分角度αに対応する第2の歪み量Yに直接割り当て、存在しないと、減分角度αに基づき放射状線の数N、放射状線の近位端から円心Oまでの距離r及び歪み量Yを決定し、角度α、放射状線の数N、放射状線の近位端から円心Oまでの距離r及び歪み量Yをスーパー要素に構成してリストListに加え、減分角度αに対応する歪み量Yを第2の歪み量Yとする。
【0096】
D4)元の歪み量Y、第1の歪み量Y、第2の歪み量Yの大きさを比較し、第1の歪み量Yは同時に元の歪み量Y及び第2の歪み量Y以上である場合、現在の角度αの値を増分角度αに更新し、ジャンプしてステップD3)を実行し、第2の歪み量Yは同時に元の歪み量Y及び第1の歪み量Y以上である場合、現在の角度αの値を減分角度αに更新し、ジャンプしてステップD3)を実行し、元の歪み量Yは同時に第1の歪み量Y及び第2の歪み量Y以上である場合、角度αの値の検索を停止し、現在の角度αに対応するスーパー要素を結果として出力し、退出する。
本実施例において、放射状線の数N、放射状線の近位端から円心Oまでの距離r及び歪み量Yを決定するステップは以下を含む。
【0097】
E1)r=d/(2×sin(α/2))に基づき放射状線の円心O側に近い端点から円心Oまでの距離rを計算し、dは放射状線の間の最短距離であり、αは放射状線の数N、放射状線の近位端から円心Oまでの距離r及び歪み量Yを決定する目標角である。
E2)下記式によって放射状線の円心O側に近い端点から円心Oまでの距離rを修正し、
【0098】
上記式では、rは第1の誘導抵抗R1、第3の誘導抵抗R3の両方が円心Oを円心とする円形の境界線を位置決めするための半径であり、Δ1はマージンパラメータである。
E3)偶数である適切な放射状線の数Nを検索し、第1の誘導抵抗R1と第3の誘導抵抗R3の長さが両方とも設計全長L1に近くなるようにする。
【0099】
E4)放射状線の数Nに基づき放射状線の近位端から円心Oまでの距離rを更新するとともに、放射状線の円心O側に近い端点から円心Oまでの距離rを更新する関数式は
=(N×r+(r×sin(α/2)×π×N/2)-L1)/(N-sin(α/2)×π×(N/2-1))であり、
【0100】
上記式では、Nは放射状線の数であり、rはフラットダイヤフラム上の変形領域の半径であり、rは修正後の放射状線の円心O側に近い端点から円心Oまでの距離であり、αは目標角であり、L1は第1の誘導抵抗R1または第3の誘導抵抗R3の全長である。
【0101】
E5)距離rに基づき放射状線の初期の歪み量Yを計算し、現在の角度α、距離r、放射状線の数N、歪み量Yをスーパー要素に構成してリストListに加え、且つ歪み量Yの計算関数式は、
であり、
【0102】
上記式では、Yは計算して得られた歪み量であり、Nは放射状線の数であり、pは圧力強度であり、uはフラットダイヤフラムの弾性材料のポアソン比であり、Eは弾性率であり、hはフラットダイヤフラムの厚さであり、rはフラットダイヤフラム上の変形領域の半径であり、rは放射状線の円心O側に近い端点から円心Oまでの距離であり、rはフラットダイヤフラム上の変形領域の内部にはr、rの間に位置するある目標位置がフラットダイヤフラム円心Oに対する半径である。
本実施例において、ステップE3)は以下のステップを含む。
【0103】
E3.1)r=r×sin(α/2)、r=r×sin(α/2)に基づき内半円Cnの半径r、外半円Cwの半径rを計算し、rはフラットダイヤフラム上の変形領域の半径であり、rは放射状線の円心O側に近い端点から円心Oまでの距離であり、αは目標角であり、放射状線は内半円Cnと外半円Cwの間に位置する。
【0104】
E3.2)指定された区間から偶数である放射状線の数Nの値をランダムに選択し、例えば、本実施例において、具体的に、10~20から偶数の放射状線の数Nの値をランダムに選択する。
E3.3)下記式によって推定長さL1’を計算し、
L1’=N×(r-r)+(r×π×N/2)+(r×π×(N/2-1))
【0105】
上記式では、Nは放射状線の数であり、rはフラットダイヤフラム上の変形領域の半径であり、rは修正後の放射状線の円心O側に近い端点から円心Oまでの距離であり、rは外半円Cwの半径であり、rは内半円Cnの半径である。
【0106】
E3.4)推定長さL1’と設計全長L1の両方の間の差(L1’-L1)を計算し、設計全長L1とは、第1の誘導抵抗R1または第3の誘導抵抗R3の設計全長を指し、差(L1’-L1)は0以上で且つ予め設定された閾値Δ2よりも小さいと、放射状線の数Nの検索が終了すると判断し、ジャンプしてステップE4)を実行し、そうでないと、ジャンプして次のステップを実行する。
【0107】
E3.5)差(L1’-L1)が0より小さいであるかどうかを判断し、そうであると、放射状線の数量Nの値をN=N+2に更新し、ジャンプしてステップE3.3)を実行し、そうでないと、差(L1’-L1)は予め設定された閾値Δ2以上であると、放射状線の数量Nの値をN=N-2に更新し、ジャンプしてステップE3.3)を実行する。ここで、予め設定された閾値Δ2>0であり、予め設定されたパラメータである。
【0108】
一選択可能な実施形態として、本実施例において、第1の誘導抵抗R1または第3の誘導抵抗R3の設計全長L1を計算するステップ(第1の誘導抵抗R1を例とする)を更に含み、(1)設計指標に従って、第1の誘導抵抗R1の圧力が印加されていない場合の抵抗値R1を取得し、(2)薄膜抵抗の製造プロセスに従って、薄膜抵抗R1の厚さhs、薄膜の抵抗率ρを取得し、抵抗線の幅wを取得し、(3)L1 =R1×(w×hs)/ρに従って第1の誘導抵抗R1の設計全長L1を計算する。
【0109】
なお、本実施例は薄膜圧力センサのレイアウトシステムをさらに提供し、コンピュータ機器を備え、該コンピュータ機器は互いに接続されたマイクロプロセッサとメモリを少なくとも備え、該マイクロプロセッサは、前記の薄膜圧力センサのレイアウト方法のステップを実行するようにプログラミングまたは配置される。
【0110】
なお、本実施例は薄膜圧力センサのレイアウトシステムをさらに提供し、コンピュータ機器を備え、該コンピュータ機器は互いに接続されたマイクロプロセッサとメモリを少なくとも備え、該メモリに、前記の薄膜圧力センサのレイアウト方法を実行するようにプログラミングまたは配置されるコンピュータプログラムが記憶される。
【0111】
なお、本実施例はコンピュータ可読記憶媒体をさらに提供し、該コンピュータ可読記憶媒体に、前記の薄膜圧力センサのレイアウト方法を実行するようにプログラミングまたは配置されるコンピュータプログラムが記憶される。
【0112】
当業者が理解すべきであるように、本願の実施例は、方法、システム、またはコンピュータプログラム製品として提供されることができる。したがって、本願は、完全なハードウェア実施例、完全なソフトウェア実施例、またはソフトウェアとハードウェアを組み合わせた実施例の形態を採用することができる。また、本願は、コンピュータで使用可能なプログラムコードを含む1つまたは複数のコンピュータ可読記憶媒体(ディスクメモリ、CD-ROM、光学メモリ等を含むが、これらに制限されない)に実施されたコンピュータプログラム製品の形態を採用してもよい。本願は、本願の実施例による方法、機器(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート及び/又はプロセッサにより実行される命令に従ってフローチャートにおける1つのフローまたは複数のフロー及び/又はブロック図における1つのブロックまたは複数のブロックに指定された機能を実現するための装置を参照するものである。これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラミング可能なデータ処理装置が特定の方法で動作するようにガイドすることができるコンピュータ可読メモリに記憶されることもでき、その結果、該コンピュータ可読メモリに記憶される命令に命令装置を備える製造品を発生させ、該命令装置はフローチャートにおける1つのフローまたは複数のフロー及び/又はブロック図における1つのブロックまたは複数のブロックに指定された機能を実現する。これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラミング可能なデータ処理装置にロードされてもよく、その結果、コンピュータまたは他のプログラミング可能な装置に一連の操作ステップを実行させ、コンピュータにより実現される処理を発生させ、これにより、コンピュータまたは他のプログラミング可能な機器に実行される命令は、フローチャートにおける1つのフローまたは複数のフロー及び/又はブロック図における1つのブロックまたは複数のブロックに指定され機能を実現するためのステップを提供する。
【0113】
以上は本発明の好ましい実施形態に過ぎず、本発明の保護範囲は、上記実施例に制限されず、本発明の構想の下での技術的手段はいずれも本発明の保護範囲に属する。指摘する必要があるものとして、当業者にとって、本発明の原理から逸脱しない限り、いくつかの改良と修正を行うことができ、これらの改良と修正は本発明の保護範囲と見なされるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-07-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラットダイヤフラム、及びフラットダイヤフラムに設けられた薄膜状の第1の感知ユニットを備える薄膜圧力センサであって、
前記第1の感知ユニットはフラットダイヤフラムの円形変形領域の円心Oの周りに配置されたm本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線を備え、
且つその一側のm/2本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線を直列接続して第2の誘導抵抗R2を形成し、
他側のm/2本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線を直列接続して第4の誘導抵抗R4を形成し、
mは4の倍数であり、
前記らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線は複数本の直線抵抗線を順次に直列接続するように形成され、隣接する2本の直線抵抗線のうちの円心O側から離れる直線抵抗線がX軸の正方向に対する角度θは、
θ=arctan(Y /Y )を満たし、
上記式では、arctanはアークタンジェント関数であり、Y 、Y はそれぞれ円心O側から離れる直線抵抗線と円心O側に近い直線抵抗線の両方の交差位置の径方向の歪みY と接線方向の歪みY の両方の合成ベクトルのx軸成分、y軸成分である、ことを特徴とする薄膜圧力センサ。
【請求項2】
前記フラットダイヤフラムに薄膜状の第2の感知ユニットが更に設けられ、前記第2の感知ユニットは円心Oの周りに第1の感知ユニットの外側に対称的に配布される第1の誘導抵抗R1と第3の誘導抵抗R3を備え、第1の誘導抵抗R1と第3の誘導抵抗R3はいずれも延長線が円心Oを通るn本の放射状線を含み、n本の放射状線は直列に接続され、且つ第1の誘導抵抗R1、第2の誘導抵抗R2、第3の誘導抵抗R3、第4の誘導抵抗R4は順次にエンドツーエンドで接続されてホイートストンブリッジを形成し、且つ任意の隣接する2つの抵抗の間に端子台が引き出される、ことを特徴とする請求項に記載の薄膜圧力センサ。
【請求項3】
請求項に記載の薄膜圧力センサのレイアウト方法であって、
第1の感知ユニットをレイアウトする以下のステップを含み、
A1)円心Oを円心とする補助円R上でm個の点M~Mを均等にマークし、m個の点M~Mのうちの任意の点Mに対して、点Mに対応するリストListiを空にするように初期化し、点Mから開始する端点Qを決定し、端点Qの位置をリストListiに加え、端点Qでの径方向の歪みYと接線方向の歪みYの両方の合成ベクトルの角度θを計算し、更新回数Uが1であり、
A2)U回目の更新を実行し、各端点Qを角度θとステップサイズδで外へ延伸して新しい位置を取得し、それをリストListiに加え、端点Qでの径方向の歪みYと接線方向の歪みYの両方の合成ベクトルの角度θを計算し、リストListiにおける端点Qの軌跡からなるらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sの長さ及びm本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線S1~Smの全長を計算し、更新回数Uが2であると、リストListiにおける端点Qの最初の2つの位置に基づき第2の誘導抵抗R2、第4の誘導抵抗R4の各対のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線の間に一本の近位端遷移アークをレイアウトし、一本の近位端遷移アークの長さを計算し、さらにm/2本の近位端遷移アークの全長を決定し、m本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線の全長とm/2本の近位端遷移アークの全長の和は2×L2/m以上であるかどうかを判断し、ここで、L2は第2の誘導抵抗R2または第4の誘導抵抗R4の設計全長であり、そうであると、m本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗S~Sの最初のレイアウトが完了すると判定し、ステップA3)にジャンプして実行し、そうでないと、更新回数Uに1を足し、ステップA2)にジャンプして実行し、最初のレイアウトを実行し続け、
A3)各端点Qの新しい位置に基づき第2の誘導抵抗R2、第4の誘導抵抗R4の各対のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線の間に一本の遠位端遷移アークをレイアウトし、一本の遠位端遷移アークの長さLを計算し、さらに、(m/2-2)本の遠位端遷移アークの全長を決定し、
A4)m本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗S~Sの全長、m/2本の近位端遷移アークの全長、(m/2-2)本の遠位端遷移アークの全長を加算して2で割り、第2の誘導抵抗R2または第4の誘導抵抗R4の推定全長L2’を取得し、
A5)設計全長L2と推定全長L2’を比較し、設計全長L2は推定全長L2’よりも大きいと、本回の比較結果Bを「>」とし、設計全長L2は推定全長L2’に等しいと、本回の比較結果Bを「=」とし、設計全長L2は推定全長L2’より小さいと、本回の比較結果Bを「<」とし、前回の比較結果Bi-1を読み取り、前回の比較結果Bi-1がないと、「None」とし、
A6)本回の比較結果Bは「>」であり且つ前回の比較結果Bi-1は「>」または「None」であると、各端点Qを対応するリストListiで1ステップ戻し、更新回数Uから1を引いて、ジャンプしてステップA3)を実行し、そうでないと、ジャンプして次のステップを実行し、
A7)本回の比較結果Bは「<」であり且つ前回の比較結果Bi-1は「<」または「None」であると、更新回数Uに1を足し、ジャンプしてステップA2)を実行し、そうでないと、各の端点Qの検索が完了すると判定し、m本のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線S~Sのレイアウトが完了する、ことを特徴とする薄膜圧力センサのレイアウト方法。
【請求項4】
前記の端点Qでの径方向の歪みYと接線方向の歪みYの両方の合成ベクトルの角度θを計算するステップは、端点Qでの径方向の歪みYと接線方向の歪みYを計算し、径方向の歪みYと接線方向の歪みYをそれぞれx,y軸の両方向の成分に分解してから、合成して合成ベクトルのx軸成分Y、y軸成分Y及び角度θを取得するステップを含み、ここで、端点Qでの径方向の歪みYと接線方向の歪みYを計算する関数式は
=k(r -3Rq
=k(r -Rq)であり、
上記式では、kは材料とプロセス係数であり、rはフラットダイヤフラム上の変形領域の半径であり、Rqは円心Oに対する端点Qの距離であり、径方向の歪みY、接線方向の歪みYをx,y軸の両方向の成分にそれぞれ分解する関数式は、
j,x=k(r -3Rq)×cos(β)
j,y=k(r -3Rq)×sin(β)
q,x=k(r -Rq)×sin(β)
q,y=k(r -Rq)×cos(β)であり、
上記式では、βは端点Qの極角であり、Yj,x,Yj,yはそれぞれ径方向の歪みYのx,y軸の2方向の成分であり、Yq,x,Yq,yはそれぞれ接線方向の歪みYのx,y軸の2方向の成分であり、
合成して得られた合成ベクトルのx軸成分Y、y軸成分Y及び角度θの関数式は、
=Yj,x+Yq,x=k(r -3Rq)×cos(β)+k(r -Rq)×sin(β)
=Yj,y+Yq,y=Yj,y=k(r -3Rq)×sin(β)+k(r -Rq)×cos(β)
θ=arctan(Y/Y)であり、
上記式では、arctanはアークタンジェント関数であり、
且つステップA2)では、各端点Qを角度θ、ステップサイズδで外へ延伸して新しい位置を取得するステップは、まず、合成ベクトルの角度θとステップサイズδに基づき端点Qのx軸座標Q、y軸座標Qを更新し、次に、更新後のx軸座標Q、y軸座標Qに基づき端点Qの新しい位置の極座標を計算するステップを含み、端点Qのx軸座標Q、y軸座標Qを更新する関数式は、
=Q+δcos(θ)
=Q+δsin(θ)であり、
上記式では、δはステップサイズであり、θは径方向の歪みYと接線方向の歪みYとの両方の合成ベクトルの角度であり、
端点Qの新しい位置の極座標を計算する関数式は、
β=arctan(Q/Q
であり、
上記式では、βは端点Qの新しい位置の極角であり、Rは端点Qの新しい位置の極径であり、arctanはアークタンジェント関数である、ことを特徴とする請求項に記載の薄膜圧力センサのレイアウト方法。
【請求項5】
ステップA2)ではリストListiにおける端点Qの前の2つの位置に基づき第2の誘導抵抗R2、第4の誘導抵抗R4の各対のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線の間に一本の近位端遷移アークをレイアウトするステップは、以下のステップを含み、
B1)この対のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線に対して、渦巻き方向側に位置するらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線SのリストListiにおける第1の要素Listi[0]かららせん状に回転するマルチセグメント抵抗線SのListi[0]とListi[1]との間の線分に垂直である法線を描画し、該法線と他のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sは点Fに交差し、
B2)リストListiにおける第1の要素Listi[0]、点Fの間の線分を直径として半径がrの半円を構成し、該半円を該らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線S、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sの間の近位端遷移アークとし、
B3)らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sに対して、点F、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線SのリストListjにおける第1の要素Listj[0]に対応する位置の間の線分をレイアウトから削除し、
B4)リストListjから点Fに最も近い要素Listj[z]を検索し、インデックス番号zを抽出し、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sから長さz×δを引いて、L=(r×π)に基づき計算してらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線S、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sの間の近位端遷移アークの長さLを取得し、rは近位端遷移アークの半径であり、δはステップサイズである、ことを特徴とする請求項に記載の薄膜圧力センサのレイアウト方法。
【請求項6】
ステップA3)では、各端点Qの新しい位置に基づき第2の誘導抵抗R2、第4の誘導抵抗R4の各対のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線の間に一本の遠位端遷移アークをレイアウトするステップは、以下のステップを含み、
C1)この対のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線に対して、渦巻き方向側から背離するらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線SのリストListiにおける最後の要素Listi[U-1]に対応する位置を開始点としてらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線SのListi[U-2]とListi[U-1]との間の線分に垂直である法線を描画し、該法線と他のらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sは点Fに交差し、
C2)最後の要素Listi[U-1]、点Fの間の線分を直径として半径がrの半円を構成し、該半円を該らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sとらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sとの間の遠位端遷移アークとし、
C3)らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sに対して、点F、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線SのリストListjにおける最後の要素Listj[U-1]の間の線分をレイアウトから削除し、
C4)リストListjから点Fに最も近い要素を検索して要素Listj[z]を取得し、要素Listj[z]に対応するインデックス番号zを抽出し、らせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sから長さ(U-1-z2)×δを引いて、L=(r×π)に基づき計算してらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sとらせん状に回転するマルチセグメント抵抗線Sとの間の遠位端遷移アークの長さLを取得し、rは遠位端遷移アークの半径であり、Uは更新回数であり、δはステップサイズである、ことを特徴とする請求項に記載の薄膜圧力センサのレイアウト方法。
【請求項7】
第1の誘導抵抗R1と第3の誘導抵抗R3をレイアウトする以下のステップを更に含み、
D1)放射状線の間の角度αを初期化し、リストListを空に初期化し、
D2)角度αに基づき放射状線の数N、放射状線の近位端から円心Oまでの距離r及び歪み量Yを決定し、角度α、放射状線の数N、放射状線の近位端から円心Oまでの距離r及び歪み量Yをスーパー要素に構成してリストListに加え、角度αに対応する歪み量Yを元の歪み量Yとし、
D3)現在の角度αに予め設定された増分値Δαを足して増分角度αを取得し、リストListに増分角度αの値に対応するスーパー要素が存在するかどうかを判断し、存在すると、該スーパー要素における歪み量を増分角度αに対応する第1の歪み量Yに直接割り当て、存在しないと、増分角度αに基づき放射状線の数N、放射状線の近位端から円心Oまでの距離r及び歪み量Yを決定し、角度α、放射状線の数N、放射状線の近位端から円心Oまでの距離r及び歪み量Yをスーパー要素に構成してリストListに加え、増分角度αに対応する歪み量Yを第1の歪み量Yとし、現在の角度αから予め設定された増分値Δαを引いて減分角度αを取得し、リストListに減分角度αの値に対応するスーパー要素が存在するかどうかを判断し、存在すると、該スーパー要素における歪み量を減分角度αに対応する第2の歪み量Yに直接割り当て、存在しないと、減分角度αに基づき放射状線の数N、放射状線の近位端から円心Oまでの距離r及び歪み量Yを決定し、角度α、放射状線の数N、放射状線の近位端から円心Oまでの距離r及び歪み量Yをスーパー要素に構成してリストListに加え、減分角度αに対応する歪み量Yを第2の歪み量Yとし、
D4)元の歪み量Y、第1の歪み量Y、第2の歪み量Yの大きさを比較し、第1の歪み量Yは同時に元の歪み量Y及び第2の歪み量Y以上である場合、現在の角度αの値を増分角度αに更新し、ジャンプしてステップD3)を実行し、第2の歪み量Yは同時に元の歪み量Y及び第1の歪み量Y以上である場合、現在の角度αの値を減分角度αに更新し、ジャンプしてステップD3)を実行し、元の歪み量Yは同時に第1の歪み量Y及び第2の歪み量Y以上である場合、角度αの値の検索を停止し、現在の角度αに対応するスーパー要素を結果として出力し、退出する、ことを特徴とする請求項に記載の薄膜圧力センサのレイアウト方法。
【請求項8】
前記の放射状線の数N、放射状線の近位端から円心Oまでの距離r及び歪み量Yを決定するステップは、以下のステップを含み、
E1)r=d/(2×sin(α/2))に基づき放射状線の円心O側に近い端点から円心Oまでの距離rを計算し、dは放射状線の間の最短距離であり、αは放射状線の数N、放射状線の近位端から円心Oまでの距離r及び歪み量Yを決定する目標角であり、
E2)下記式によって放射状線の円心O側に近い端点から円心Oまでの距離rを修正し、
上記式では、rは第1の誘導抵抗R1、第3の誘導抵抗R3の両方が円心Oを円心とする円形の境界線を位置決めするための半径であり、Δ1はマージンパラメータであり、
E3)偶数である適切な放射状線の数Nを検索し、第1の誘導抵抗R1と第3の誘導抵抗R3の長さが両方とも設計全長L1に近くなるようにし、
E4)放射状線の数Nに基づき放射状線の近位端から円心Oまでの距離rを更新するとともに、放射状線の円心O側に近い端点から円心Oまでの距離rを更新する関数式は
=(N×r+(r×sin(α/2)×π×N/2)-L1)/(N-sin(α/2)×π×(N/2-1))であり、
上記式では、Nは放射状線の数であり、rはフラットダイヤフラム上の変形領域の半径であり、rは修正後の放射状線の円心O側に近い端点から円心Oまでの距離であり、αは目標角であり、L1は第1の誘導抵抗R1または第3の誘導抵抗R3の全長であり、
E5)距離rに基づき放射状線の初期の歪み量Yを計算し、現在の角度α、距離r、放射状線の数N、歪み量Yをスーパー要素に構成してリストListに加え、且つ歪み量Yの計算関数式は、
であり、
上記式では、Yは計算して得られた歪み量であり、Nは放射状線の数であり、pは圧力強度であり、uはフラットダイヤフラムの弾性材料のポアソン比であり、Eは弾性率であり、hはフラットダイヤフラムの厚さであり、rはフラットダイヤフラム上の変形領域の半径であり、rは放射状線の円心O側に近い端点から円心Oまでの距離であり、rはフラットダイヤフラム上の変形領域の内部にはr、rの間に位置するある目標位置がフラットダイヤフラム円心Oに対する半径である、ことを特徴とする請求項に記載の薄膜圧力センサのレイアウト方法。
【請求項9】
ステップE3)は、以下のステップを含み、
E3.1)r=r×sin(α/2)、r=r×sin(α/2)に基づき内半円Cnの半径r、外半円Cwの半径rを計算し、rはフラットダイヤフラム上の変形領域の半径であり、rは放射状線の円心O側に近い端点から円心Oまでの距離であり、αは目標角であり、放射状線は内半円Cnと外半円Cwの間に位置し、
E3.2)指定された区間から偶数である放射状線の数Nの値をランダムに選択し、
E3.3)下記式によって推定長さL1’を計算し、
L1’=N×(r-r)+(r×π×N/2)+(r×π×(N/2-1))
上記式では、Nは放射状線の数であり、rはフラットダイヤフラム上の変形領域の半径であり、rは修正後の放射状線の円心O側に近い端点から円心Oまでの距離であり、rは外半円Cwの半径であり、rは内半円Cnの半径であり、
E3.4)推定長さL1’と設計全長L1の両方の間の差(L1’-L1)を計算し、設計全長L1とは、第1の誘導抵抗R1または第3の誘導抵抗R3の設計全長を指し、差(L1’-L1)は0以上で且つ予め設定された閾値Δ2よりも小さいと、放射状線の数Nの検索が終了すると判断し、ジャンプしてステップE4)を実行し、そうでないと、ジャンプして次のステップを実行し、
E3.5)差(L1’-L1)が0より小さいであるかどうかを判断し、そうであると、放射状線の数量Nの値をN=N+2に更新し、ジャンプしてステップE3.3)を実行し、そうでないと、差(L1’-L1)は予め設定された閾値Δ2以上であると、放射状線の数量Nの値をN=N-2に更新し、ジャンプしてステップE3.3)を実行する、ことを特徴とする請求項に記載の薄膜圧力センサのレイアウト方法。
【国際調査報告】