(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-05
(54)【発明の名称】ミクロフィブリル化セルロースおよびリサイクルセルロース材料を含むバインダ組成物および方法
(51)【国際特許分類】
D21H 11/18 20060101AFI20221223BHJP
D21H 11/14 20060101ALI20221223BHJP
D21H 15/02 20060101ALI20221223BHJP
【FI】
D21H11/18
D21H11/14
D21H15/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520719
(86)(22)【出願日】2020-10-29
(85)【翻訳文提出日】2022-04-18
(86)【国際出願番号】 IB2020000910
(87)【国際公開番号】W WO2021090059
(87)【国際公開日】2021-05-14
(32)【優先日】2019-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516341914
【氏名又は名称】ファイバーリーン テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】アイルランド,ショーン
(72)【発明者】
【氏名】スクセ,デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ラーソン,トーマス,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ジン
【テーマコード(参考)】
4L055
【Fターム(参考)】
4L055AA11
4L055AC09
4L055AF09
4L055AF46
4L055AG04
4L055AG11
4L055AG12
4L055AG16
4L055AG17
4L055AG26
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4L055AG47
4L055AG50
4L055AG96
4L055AH10
4L055AH18
4L055AH37
4L055BE11
4L055CA10
4L055CA13
4L055CA16
4L055EA03
4L055EA05
4L055EA07
4L055EA08
4L055EA32
4L055FA13
4L055GA22
(57)【要約】
リサイクルセルロース含有材料、ミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料を含むバインダ組成物、ならびに任意で1つ以上の添加物を含むシートまたはボードを製造する方法であって、シートまたはボードは、ミクロフィブリル化セルロースなしで同等な方法で調製したボードと比べて増加した弾性率および破壊係数を有する、方法、ならびにそれから製造されるボード、パネルおよび建造品。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リサイクルセルロース含有材料、ミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料を含むバインダ組成物、ならびに任意で1つ以上の添加物を含むボードまたはシートを製造する方法であって、
(a)リサイクルセルロース含有材料の第1の水性スラリーを提供するまたは得るステップであって、前記水性スラリーは、0.1wt%~10wt%の濃度で解砕される、ステップ;
(b)ミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料の第2の水性スラリーを提供するまたは得るステップであって、前記1つ以上の無機微粒子材料対ミクロフィブリル化セルロースの比は、約99:5:0.5~約0.5:99.5であり、前記ミクロフィブリル化セルロースは、バージンパルプまたはリサイクルセルロース含有材料から得られる、ステップ;
(c)0.1~25wt%の濃度でリサイクルセルロース含有材料の前記第1の水性スラリーとミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料の第2の水性スラリーを混合する、およびいずれかの任意的な添加物を添加するステップであって、前記混合物は、0.5wt%~35wt%のミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料を含む、ステップ;
(d)適当なサイズの型または成形具にステップ(c)の前記混合物をポンピングするステップであって、前記型または成形具は、プレスを任意で含む、ステップ;
(e)前記ボードまたはシートを濾水するおよび/またはプレスするかつ乾燥させるステップであって、前記ボードまたはシートは、ミクロフィブリル化セルロースなしで同等な方法で調製されたボードまたはシートと比べて増加された弾性率および破壊係数を有する、ステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記リサイクルセルロース含有材料は、古い段ボールである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記リサイクルセルロース含有材料は、再生パルプまたは製紙工場損紙および/または産業廃棄物、または製紙工場からの鉱物フィラーおよびセルロース材料に富む紙ストリーム、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の水性スラリーは、1、2、3または4wt%の濃度で解砕される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記解砕は、砕解機において実施される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記解砕は、パルパーにおいて実施される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記解砕は、精製機において実施される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
前記解砕は、前記リサイクルセルロース含有材料のCSFが約20~約700となるまで実施される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
前記解砕は、デフレーカー中で前記スラリーを処理することをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上の無機微粒子材料対ミクロフィブリル化セルロースの比は、約80:20である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上の無機微粒子材料対ミクロフィブリル化セルロースの比は、約50:50である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つ以上の無機微粒子材料は、カオリンである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つ以上の無機微粒子材料は、炭酸カルシウムである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項14】
前記炭酸カルシウムは、沈降炭酸カルシウムである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記炭酸カルシウムは、重質炭酸カルシウムである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記炭酸カルシウムは、沈降炭酸カルシウムおよび重質炭酸カルシウムの混合物である、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つ以上の無機微粒子材料は、カオリンおよび炭酸カルシウムの混合物である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つ以上の無機微粒子材料は、カオリン、重質炭酸カルシウムおよび沈降炭酸カルシウムの混合物である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つ以上の無機微粒子材料は、炭酸マグネシウム、ドロマイト、セッコウ、ハロイサイト、ボールクレー、メタカオリン、完全焼成カオリン、タルク、雲母、パーライト、珪藻土、水酸化マグネシウム、アルミニウム三水和物、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの無機微粒子材料のいくつかまたは全ては、ステップ(a)の前記リサイクルセルロース含有材料と共に添加される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項21】
前記ミクロフィブリル化セルロースは、さらしまたは未さらし広葉樹、針葉樹クラフトまたは亜硫酸パルプを含むバージンパルプから作られる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項22】
前記ミクロフィブリル化セルロースは、リサイクルセルロース含有材料から作られる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項23】
ステップ(c)の前記混合物は、5wt%のミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項24】
ステップ(c)の前記混合物は、10wt%のミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項25】
ステップ(c)の前記混合物は、15wt%のミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項26】
前記ボードまたはシートは、圧縮成形を使用して構造用部品の形状に成形され;前記構造用部品は、家具においてまたはオフィス構造において使用される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項27】
前記構造用部品は、カウチ、椅子、またはリクライナーのためのフレームの一部である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記構造用部品は、机、収納家具、戸棚ユニット、またはモジュール式の家具ユニットである、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記ボードまたはシートは、留め具を受け取るための改善された強度を有する、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記ボードまたはシートは、天井タイル、壁板、または断熱ボードである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項31】
前記ボードまたはシートは、1つ以上の添加物を使用して製造されるフォームである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項32】
前記ボードまたはシートは、1つ以上の添加物を使用して製造される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項33】
前記添加物は、歩留向上剤、濾水剤、形成剤、サイズ剤またはレベリング剤である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記歩留向上剤は、中~高電荷密度の、非常に高分子量の、カチオン性ポリマーから選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記濾水剤は、ベントナイトもしくはシリカなどの微小粒子、または中~高電荷密度の、非常に高分子量のカチオン性ポリマーから選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記形成剤は、アニオン性もしくは非イオン性の分散剤、例えば、ポリエチレンオキシドまたはアニオン性ポリアクリルアミドから選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記サイズ剤は、加工デンプン、表面サイジングのための親水コロイド、内添サイジングのためのアルキルコハク酸無水物、アルキルケテンダイマーおよびロジンから選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記水性スラリーは、0.5wt%~5wt%の濃度で解砕される、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項39】
前記1つ以上の無機微粒子材料対ミクロフィブリル化セルロースの比は、約80:20~約50:50である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項40】
リサイクルセルロース含有材料の前記スラリーとミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料の第2の水性スラリーは、0.5~10wt%の濃度で混合される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項41】
前記混合物は、0.5wt%~10wt%のミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項42】
前記ボードまたはシートは、ミクロフィブリル化セルロースなしで同等な方法で調製されたボードと比較して少なくとも5%の増加された弾性率および/または少なくとも5%の増加された破壊係数を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項43】
前記ボードまたはシートは、ミクロフィブリル化セルロースなしで同等な方法で調製されたボードと比較して少なくとも10%の増加された弾性率および/または少なくとも10%の増加された破壊係数を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項44】
前記ボードまたはシートは、ミクロフィブリル化セルロースなしで同等な方法で調製されたボードと比較して少なくとも15%の増加された弾性率および/または少なくとも15%の増加された破壊係数を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項45】
前記ボードまたはシートは、ミクロフィブリル化セルロースなしで同等な方法で調製されたボードと比較して少なくとも20%の増加された弾性率および/または少なくとも20%の増加された破壊係数を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項46】
前記ボードまたはシートは、ミクロフィブリル化セルロースなしで同等な方法で調製されたボードと比較して少なくとも25%の増加された弾性率および/または少なくとも25%の増加された破壊係数を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項47】
前記ミクロフィブリル化セルロースは、約20~約50の繊維峻度を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項48】
前記ボードまたはシートは、1~25mmの厚さを有する、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項49】
前記ボードまたはシートは、2~5mmの厚さを有する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記ボードまたはシートは、3~4mmの厚さを有する、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記ボードまたはシートは、5~10mmの厚さを有する、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記ボードまたはシートは、10~15mmの厚さを有する、請求項48に記載の方法。
【請求項53】
前記ボードまたはシートは、5~20mmの厚さを有する、請求項48に記載の方法。
【請求項54】
前記ボードまたはシートは、20~25mmの厚さを有する、請求項48に記載の方法。
【請求項55】
前記ボードまたはシートは、2つ以上の層を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項56】
前記添加物は、デンプンである、請求項32に記載の方法。
【請求項57】
前記添加物は、ロジンである、請求項32に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リサイクルセルロース含有材料、ミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料を含むバインダ組成物、ならびに任意で1つ以上の添加物を含むボードまたはシートを製造する方法に関する。
【0002】
本発明はまた、ミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料を含むバインダ組成物、および、リサイクルセルロース含有材料、例えば再生パルプ(例えば古い段ボール)、または製紙工場損紙および/または産業廃棄物、または製紙工場からの鉱物フィラーおよびセルロース材料に富む紙ストリームおよびそれらの組み合わせを含むボードおよびシートを製造するためにそのようなバインダ組成物を使用する方法、ならびに、そのようなリサイクルセルロース含有材料およびバインダ組成物から製造される材料複合物、ボード、パネル、シートおよび建造品に関する。
【0003】
そのような方法から得られる最終製品は、ミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料を含むバインダ組成物なしで製造された最終製品と比較して、改善された弾性率(「MOE」)および破壊係数(「MOR」)を含む、より良好な物理的性質を有する。
【背景技術】
【0004】
中質繊維板(MDF)は、解繊硬材および軟材ならびにワックスおよび樹脂などの他の構成成分から製造される工業的木製品である。MDFボードは、多くの最終用途、例えば、家具および家具の構成要素、ならびに内装建材の製造において使用される普遍的な複合製品である。
【0005】
MDFボードは、高い温度および圧力を適用することによりパネルに形成される。MDFボードは、合板より高密度であり、パーティクルボードより強く、高密度である。しかしながら、切断されると、MDFは、ちり粒子を空気中に放出し、潜在的にガス状ホルムアルデヒド(MDF中の繊維を結合させるために使用される樹脂中で典型的には使用される)を放出する。MDFボードに関連する環境への懸念は、それらの製造において使用されるバインダ(上述のとおり、典型的にはホルムアルデヒドを含む)と関連する。ホルムアルデヒドは、何年間もガスとして出て行く可能性があり、MDFをコーティングしてホルムアルデヒドが出て行くのを防止することは、この問題をとじこめるにすぎない。埋め立て地が、MDF材料のための通常の降り場であり;よって、汚染物質がMDFから何年間も浸出し続ける可能性があり、地下水が汚染される可能性がある。
【0006】
他方、セルロースパルプを含む物品、例えば古い段ボール(OCC)のリサイクリングが、また、環境課題として新たに出現している。好適な複合材料が、再生パルプまたは製紙工場損紙および/または産業廃棄物、または、製紙工場からの鉱物フィラーおよびセルロース材料に富む紙ストリーム(集合的に「リサイクルセルロース含有材料」と呼ばれる)から生成でき、そのようなリサイクルセルロース含有材料およびミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含むバインダ組成物から成形性ボードおよびシート材料が製造されるならば、そのようなプロセスは、コスト効率の良い、環境に配慮したMDF製品の代わりを達成できるであろう。
【0007】
先行技術のミクロフィブリル化セルロースを製造する方法は、リファイニング、ミリング、ビーティングおよびホモジナイズ、ならびにリファイニングによる、例えば、押出機による機械的解砕を含む。これらの機械的対策は、予備ステップとしての化学または化学酵素処理により増強され得る。セルロース繊維のミクロフィブリル化の様々な公知の方法は、米国特許第6,602,994B1号において、例えばホモジナイズ、蒸気爆発、加圧-減圧、衝撃、粉砕、超音波、マイクロ波爆発、ミリングおよびこれらの組み合わせを含むものとして要約されている。WO2007/001229号は、酵素処理、および、選択方法として、セルロース繊維をMFCに変えるための遷移金属の存在下での酸化を開示する。酸化ステップ後、材料は、機械的手段により解砕される。機械的処理および化学的処理の組み合わせもまた、使用され得る。使用できる化学薬品の例は、化学反応によりセルロース繊維を改変するものまたは例えば、化学薬品の繊維上/中へのグラフトまたは吸着によりセルロース繊維を改変するもののいずれかである。
【0008】
ミクロフィブリル化セルロース(「MFC」)を生成する様々な方法が、当技術分野で知られている。粉砕手順により生成されるミクロフィブリル化セルロースを含むある方法および組成物が、WO-A-2010/131016号において記載される。Husband, J. C., Svending, P., Skuse, D. R., Motsi, T., Likitalo, M., Coles, A., FiberLean Technologies Ltd., 2015, “Paper filler composition”、PCT国際出願第WO-A-2010/131016号。そのようなミクロフィブリル化セルロースを含む紙製品は、優れた紙特性、例えば紙破裂および引張強度を示すことが示されている。WO-A-2010/131016号において記載される方法はまた、ミクロフィブリル化セルロースの経済的な生成を可能にする。
【0009】
WO2007/091942A1号は、化学パルプが最初に精製され、次いで1つ以上の木材分解酵素で処理され、最後にホモジナイズされて、最終生成物としてMFCを生成するプロセスを記載する。パルプの濃度は、好ましくは0.4~10%であると教示される。利点は、高圧フルイダイザーまたはホモジナイザーにおける目詰りの回避であると言われている。
【0010】
WO2010/131016号は、無機微粒子材料ありまたはなしでのミクロフィブリル化セルロースの生成のための粉砕手順を記載する。そのような粉砕手順は、以下で記載される。WO-A-2010/131016号(その内容はこれによりその全体が参照により組み込まれる)で明記されるプロセスの一実施形態では、プロセスは、セルロース繊維の機械的解砕を利用して、ミクロフィブリル化セルロース(「MFC」)をコスト効率良く、大規模に、セルロース前処理の必要なしで生成させる。方法の一実施形態は、撹拌媒体デトライター(stirred media detritor)粉砕技術を使用し、これは粉砕媒体ビーズを撹拌することにより繊維をMFCに解砕させる。このプロセスにおいて、炭酸カルシウムまたはカオリンなどの鉱物が粉砕助剤として添加され、必要とされるエネルギーを著しく低減する。Husband, J. C., Svending, P., Skuse, D. R., Motsi, T., Likitalo, M., Coles, A., FiberLean Technologies Ltd., 2015, “Paper filler composition”、米国特許US9127405B2号。
【0011】
撹拌媒体ミルは、運動エネルギーを小さな粉砕媒体ビーズに伝達する回転羽根車から構成され、ビーズがせん断、圧縮、および衝撃力の組み合わせにより充填物を粉砕する。様々な粉砕装置が、本明細書で開示された方法によりMFCを生成するために使用でき、例えば、タワーミル、選別グラインディングミル、または撹拌媒体デトライターを含む。
【発明の概要】
【0012】
本明細書の記載、図、実施例および特許請求の範囲に従い、発明者らは、リサイクルセルロース含有材料、ミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料を含むバインダ組成物、ならびに任意で1つ以上の添加物を含むボードおよびシートの製造のためのプロセス、ならびに、様々なボード、パネルおよび建造品におけるボードおよびシートの使用を見出した。
【0013】
本発明は、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料(時として、本明細書では、「鉱物と呼ばれる」)を含むバインダ組成物のリサイクルセルロース含有材料中での使用に基づいて、そのようなボードおよびシートを含む最終製品の最終生産のためにそのようなリサイクルセルロース含有材料からボードおよびシートを調製する。そのような最終製品としては、例えば、家具および家具構成要素が挙げられ、机、収納家具、戸棚ユニット、モジュール式の家具ユニット、カウチ、椅子、リクライナーおよび多くの他の家具品目を含む。他の可能性のある最終用途適用としては、内装建材が挙げられ、例えば、天井タイル、壁板および断熱ボードを含む。
【0014】
発明の別の態様は、リサイクルセルロース含有材料中でのミクロフィブリル化セルロースを含み、無機微粒子材料(時として、本明細書では、「鉱物」と呼ばれる)を有しないバインダ組成物の使用に基づいて、そのようなボードおよびシートを含む最終製品の最終生産のためにそのようなリサイクルセルロース含有材料からボードおよびシートを調製する。そのような最終製品としては、例えば、家具および家具構成要素が挙げられ、机、収納家具、戸棚ユニット、モジュール式の家具ユニット、カウチ、椅子、リクライナーおよび多くの他の家具品目を含む。他の可能性のある最終用途適用としては、内装建材が挙げられ、例えば、天井タイル、壁板および断熱ボードを含む。
【0015】
本プロセスの利点は、リサイクルセルロース含有材料からのボードおよびシートの生成であり、それらは、それらの耐用年数の終わりにそれら自体リサイクルでき、よって、本発明のボードおよびシートから作られた物品に円形ライフサイクルを提供する。埋め立て地のみへの影響は、巨大なものになるであろう。
【0016】
発明の別の態様では、リサイクルセルロース含有材料は、バインダ組成物において使用されるミクロフィブリル化セルロースの生成において使用でき、これにより、リサイクルセルロース含有材料を利用し、最終用途製品(これもまた、リサイクルされ得る)を生成させる環境目標をさらに達成する。
【0017】
よって、発明のプロセスにより生成されるボードおよびシートにおいて使用されるミクロフィブリル化セルロースは、リサイクルセルロース含有材料または例えば、リサイクルセルロース含有材料を含むバージンパルプのいずれかから生成され得る。どちらの場合にも、最終製品は、完全にリサイクル可能な様式で生成させることができる。
【0018】
さらなる態様では、バインダ組成物は、調製され、再生パルプまたは製紙工場損紙および/または産業廃棄物、または製紙工場からの鉱物フィラーおよびセルロース材料に富む紙ストリームを含むリサイクルセルロース含有材料中で使用されてよく、それらは、さらなる最終用途適用のためのボードまたはシートに加工される。加工としては、例えば、圧縮成形およびプレス成形が挙げられる。
【0019】
本開示の別の態様では、好ましい最終用途適用は、セルロース含有ボード、シートおよび建造品の製造である。これらは、家具および家具構成要素ならびに様々な型の建造品、例えば、天井タイル、壁板および断熱ボードの製作を含む。
【0020】
本開示の態様および実施形態の一実施形態では、ボードおよびシートは、圧縮成形を使用して、構造用部品の形状に成形できる。構造用部品は、家具またはオフィス構造において使用され得る。構造用部品の例としては、カウチ、椅子、またはリクライナーのためのフレームの一部が挙げられ、一方、オフィス構造の例としては、キュービクル壁または掲示板が挙げられる。他の例は、この記載後の特許請求の範囲および実施例において同定される。
【0021】
本開示の態様および実施形態の一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、当技術分野で知られている様式で、例えば、機械的方法、例えばリファイニング、ホモジナイズ、粉砕、解繊により、または任意で他の化学または酵素手段を使用して、調製され得る。
【0022】
本発明の別の態様は、リサイクルセルロース含有材料、ミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料を含むバインダ組成物、ならびに任意で1つ以上の添加物を含むボードまたはシートを製造する方法であり、方法は下記ステップを含む:
(a)リサイクルセルロース含有材料の第1の水性スラリーを提供するまたは得るステップであって、水性スラリーは、0.1wt%~10wt%の濃度で解砕される、ステップ;
(b)ミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料の第2の水性スラリーを提供するまたは得るステップであって、1つ以上の無機微粒子材料対ミクロフィブリル化セルロースの比は、約99:5:0.5~約0.5:99.5であり、ミクロフィブリル化セルロースは、バージンパルプまたはリサイクルセルロース含有材料から得られる、ステップ;
(c)リサイクルセルロース含有材料の第1の水性スラリーならびにミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料の第2の水性スラリーを0.1~25wt%の濃度で混合し、いずれかの任意的な添加物を添加するステップであって、混合物は、0.5wt%~25wt%のミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料を含む、ステップ;
(d)ステップ(c)の混合物を適当なサイズの型または成形具にポンピングするステップであって、型または成形具は、任意でプレスを含む、ステップ;
(e)ボードまたはシートを濾水および/またはプレスし乾燥させるステップであって、ボードまたはシートは、ミクロフィブリル化セルロースなしで同等な方法で調製したボードまたはシートと比べて増加した弾性率および破壊係数を有する、ステップ。
【0023】
本発明のさらなる態様は、リサイクルセルロース含有材料、ミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料を含むバインダ組成物、ならびに任意で1つ以上の添加物を含むボードまたはシートを製造する方法であり、方法は下記ステップを含む:
(a)古い段ボールの第1の水性スラリーを提供するまたは得るステップであって、水性スラリーは、0.1wt%~10wt%の濃度で解砕される、ステップ;
(b)ミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料の第2の水性スラリーを提供するまたは得るステップであって、1つ以上の無機微粒子材料対ミクロフィブリル化セルロースの比は、約99.5:0:5~約0.5:99.5であり、ミクロフィブリル化セルロースは、バージンパルプまたはリサイクルセルロース含有材料から得られる、ステップ;
(c)リサイクルセルロース含有材料の第1の水性スラリーならびにミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料の第2の水性スラリーを0.1~25wt%の濃度で混合しいずれかの任意的な添加物を添加するステップであって、混合物は、0.5wt%~25wt%のミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料を含む、ステップ;
(d)ステップ(c)の混合物を適当なサイズの型または成形具にポンピングするステップであって、型または成形具は、任意でプレスを含む、ステップ;
(e)ボードを濾水および/またはプレスし乾燥させるステップであって、ボードは、ミクロフィブリル化セルロースなしで同等な方法で調製したボードと比べて増加した弾性率および破壊係数を有する、ステップ。
【0024】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、リサイクルセルロース含有材料は、再生パルプまたは製紙工場損紙および/または産業廃棄物、または製紙工場からの鉱物フィラーおよびセルロース材料に富む紙ストリーム、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0025】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、リサイクルセルロース含有材料は、古い段ボールである。
【0026】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、第1の水性スラリーは、約1、2、3または4wt%の濃度で解砕される。
【0027】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、ステップ(c)の混合物は、約0.5wt%、約1wt%、約2wt%、約3wt%、約4wt%、約5wt%、約6wt%、約7wt%、約8wt%、約9wt%、約10wt%、約11wt%、約12wt%、約13wt%、約14wt%、約15wt%、約16wt%、約17wt%、約18wt%、約19wt%、約20wt%、約21wt%、約22wt%、約23wt%、約24wt%、または約25wt%のミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料を含む。
【0028】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、乾燥ベースで紙料の乾燥固体1トンあたり、5-100kg、好ましくは10-80kg、より好ましくは15-70kg、最も好ましくは15-50kgの量で添加される。
【0029】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースおよび添加物は、ミクロフィブリル化セルロース、1つ以上の無機微粒子材料および強度添加物(2-6重量%、より好ましくは3-5重量%の濃度で抄紙機の濃い紙料流に添加される)の予混合物である。
【0030】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、解砕は、砕解機、精製機またパルパーにおいてまたは当技術分野で知られている他の同等の手段により実施され得る。
【0031】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、解砕は、リサイクルセルロース含有材料のCSFが約20-700CSFとなるまで実施される。
【0032】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、解砕は、スラリーをデフレーカー内で処理することをさらに含む。
【0033】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、1つ以上の無機微粒子材料対ミクロフィブリル化セルロースの比は、約80:20~約50:50である。
【0034】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、1つ以上の無機微粒子材料対ミクロフィブリル化セルロースの比は、約80:20、約85:15、または約90:10、または約91:9、または約92:8、または約93:7、または約94:6、または約95:5、または約96:4、または約97:3、または約98:2、または約99:1、または約50:50である。
【0035】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、共粉砕される混合物中の無機微粒子材料およびセルロースパルプの量は、無機微粒子材料の乾燥重量およびパルプ中の乾燥繊維の量に基づき、約99.5:0.5~約0.5:99.5の比で変動し得る。
【0036】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、組成物は、大きすぎて150μmの公称開口サイズ、例えば、125μm、106μm、または90μm、または74μm、または63μm、または53μm、45μm、または38μmの公称開口サイズを有するBSSシーブ(BS1796による)を通過できない繊維を含まない。1つの実施形態では、水性懸濁液は、125μmの公称開口を有するBSSシーブを使用してスクリーニングされる。
【0037】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料ならびに他の任意的な添加物の水性スラリーおよび懸濁液は、分散剤、殺生物剤、懸濁助剤、塩(複数可)および他の添加物、例えば、デンプンまたはカルボキシメチルセルロースまたはポリマーを含んでよく、それらは粉砕中または後の、鉱物粒子および繊維の相互作用を促進できる。
【0038】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、補強剤、例えば固定または両性デンプン、キチン、グアーガム、カルボキシメチルセルロース、およびそれらの任意の混合物が、任意で使用され得る。例示的な補強剤としては、下記が挙げられる:ウェットエンドジャガイモデンプン(Chemigate社から市販、製品名Raisamyl(商標)50021)。様々なカチオン性クックアップデンプンが当技術分野で知られており、例えば、SOLBOND(商標)などのSolam製デンプンであり、ジャガイモに基づくSOLBOND PC(商標)、エンドウマメに基づくSOLBOND LC(商標)、コムギに基づくSOLBOND WC(商標)、ジャガイモおよびコムギに基づくSOLBOND PWC(商標)、ジャガイモおよびエンドウマメに基づくSOLBOND SBC(商標)およびSOLBOND N(商標)、冷水溶性カチオン性デンプンが挙げられる。使用できる他のデンプンとしては、Maize Stach BP(未加工天然デンプン)およびPearl Dent Unmodified Starchが挙げられる。当技術分野で知られているカチオン性デンプンの別の形態は、SMS社から入手可能なExcelcat 300(商標)カチオン性デンプンである。当技術分野で知られているアニオン性デンプンは、Anchor(商標)LR Acid Modified Com Starchである。
【0039】
当技術分野で知られている固定剤としては、下記が挙げられ:CATIOFAST(商標)(159、160、BP Liquid)、FP、GM、PR8154S、SF、VFH、VLH、VLW、VMPおよびVSH、それらはBTCから入手可能である。
【0040】
化学薬品分布
強度添加物は、紙強度、例えば圧縮強度、破裂強度および引張破壊強度を改善する化学薬品である。強度添加物は、繊維のバインダとして作用し、よって、繊維間の相互連結も増加させる。
【0041】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、補強剤、例えば、カチオン性ポリアクリルアミド(C-PAM)、グリオキサール化ポリアクリルアミド(G-PAM)、両性ポリアクリルアミド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(ポリ-DADMAC)、ポリアクリルアミド(PAAE)、ポリビニルアミン(PVAm)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレンイミン(PEI)またはこれらのポリマーの2つ以上の混合物から選択される1つ以上の合成ポリマーが、任意で使用され得る。
【0042】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、合成ポリマーは、メタクリルアミドまたはアクリルアミドおよび少なくとも1つのカチオン性モノマーのコポリマーであってよい。例示的な合成補強剤は、Fb46(Kemira社から市販、製品名Fennobond(商標)46(カチオン性ポリアクリルアミド系樹脂))である。
【0043】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、添加物は、中間分子質量または低分子質量カチオン性、アニオン性、双性イオンまたは両性凝固剤であってよい。
【0044】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、100,000-20,000,000g/mol、典型的には300,000-8,000,000g/mol、より典型的には300,000-1,500,000g/molの範囲の平均分子量を有する合成補強助剤が、任意で使用され得る。
【0045】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、補強剤は、乾燥ベースで紙料の乾燥固体1トンあたり5-100kg、好ましくは10-80kg、より好ましくは15-70kg、最も好ましくは15-50kgの量で添加される。
【0046】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、カチオン性保持ポリマーは、4,000,000-18,000,000Da、好ましくは4,000,000-12,000,000Da、より好ましくは7,000000-10,000,000Daの平均分子量を有する、および/または、0.2-2.5meq/g、好ましくは0.5-1.5meq/g、より好ましくは0.7-1.2meq/gの電荷密度を有するカチオン性ポリアクリルアミドである。
【0047】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、無機微粒子材料は、少なくとも約10重量%、例えば少なくとも約20重量%、例えば少なくとも約30重量%、例えば少なくとも約40重量%、例えば少なくとも約50重量%、例えば少なくとも約60重量%、例えば少なくとも約70重量%、例えば少なくとも約80重量%、例えば少なくとも約90重量%、例えば少なくとも約95重量%、または例えば約100%の粒子が2μm未満の球相当径(e.s.d.)を有するような粒子サイズ分布を有し得る。
【0048】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、添加物は、微小粒子、例えば、ベントナイト(Kemira社から市販、製品名Altonit(商標)SF)、シリカ(Kemira社から市販、製品名Fennosil(商標)517)であってよい。当技術分野で知られている他のベントナイトとしては、BTC Chemical Distributionから入手可能なCEDOSORB(商標)(E43、M18、M2およびVR1)、ならびに、BTC Chemical Distributionから入手可能なHYDROCOL(商標)(BU、HBB、OC、OM2、OM@LS、OM6、OM6LS、ACKおよびSH)が挙げられる。
【0049】
「微小粒子」という用語はこの明細書では、ナノサイズまたはマイクロサイズの固体、不水溶性、無機粒子を含む。コロイド微小粒子の典型的な平均粒径は、10-6mm~10-3mmである。
【0050】
微小粒子は、無機コロイド微小粒子を含む。好ましくは、無機コロイド微小粒子は、シリカ系微小粒子、天然ケイ酸塩微小粒子、合成ケイ酸塩微小粒子、またはそれらの混合物を含む。典型的な天然ケイ酸塩微小粒子は、例えばベントナイト、ヘクトライト、バーミキュライト、バイデライト(baidelite)、サポナイトおよびソーコナイトである。典型的な合成ケイ酸塩微小粒子は、例えば、ヒュームドまたは合金シリカ、シリカゲルおよび合成金属ケイ酸塩、例えばMgおよびAl型のケイ酸塩である。
【0051】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、微小粒子は、シリカ系微小粒子、天然ケイ酸塩微小粒子、例えばベントナイトまたはヘクトライト、合成ケイ酸塩微小粒子、またはそれらの混合物である。別の実施形態では、微小粒子は、シリカ系微小粒子またはベントナイトである。典型的には、シリカ系微小粒子は、乾燥ベースで紙料の乾燥固体1トンあたり、0.1-4kg、好ましくは0.2-2kg、より好ましくは0.3-1.5kg、さらにより好ましくは0.33-1.5kg、さらにいっそう好ましくは0.33-1kg、最も好ましくは0.33-0.8kgの量で添加される。
【0052】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、シリカ系微小粒子は、乾燥ベースで紙料の乾燥固体1トンあたり、少なくとも0.33kg、好ましくは0.33-4kg、より好ましくは0.33-2kg、最も好ましくは0.33-1.5kgの量で添加される。
【0053】
典型的には天然または合成ケイ酸塩系微小粒子は、乾燥ベースで紙料の乾燥固体1トンあたり、0.1-10kg、好ましくは1-8kg、より好ましくは2-5kgの量で添加される。
【0054】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、無機微粒子材料は、Malvern Mastersizer S機により測定される、少なくとも約10体積%、例えば少なくとも約20体積%、例えば少なくとも約30体積%、例えば少なくとも約40体積%、例えば少なくとも約50体積%、例えば少なくとも約60体積%、例えば少なくとも約70体積%、例えば少なくとも約80体積%、例えば少なくとも約90体積%、例えば少なくとも約95体積%、または例えば約100体積%の粒子が2μm未満の球相当径(e.s.d.)を有するような粒子サイズ分布を有し得る。
【0055】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、レーザー光散乱が、Malvern Insitec装置を用いて実施され得る。
【0056】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、無機微粒子材料は、アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウムである。無機微粒子材料は、重質炭酸カルシウム(GCC)または沈降炭酸カルシウム(PCC)、またはGCCおよびPCCの混合物であってもよい。別の実施形態では、無機微粒子材料は、天然板状鉱物、例えば、カオリンである。無機微粒子材料は、カオリンおよび炭酸カルシウムの混合物、例えば、カオリンおよびGCCの混合物、またはカオリンおよびPCCの混合物、またはカオリン、GCCおよびPCCの混合物であってよい。
【0057】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、少なくとも1つ以上の無機微粒子材料は、炭酸マグネシウム、ドロマイト、セッコウ、ハロイサイト、ボールクレー、メタカオリン、完全焼成カオリン、タルク、雲母、パーライト、珪藻土、水酸化マグネシウム、アルミニウム三水和物、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0058】
発明の態様の、本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、少なくとも1つの無機微粒子材料のいくつかまたは全ては、ステップ(a)のリサイクルセルロース含有材料と共に添加される。
【0059】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースの水性懸濁液は、処理されて、水の少なくとも一部または実質的に全てを除去し、部分的に乾燥された、または本質的に完全に乾燥された生成物を形成する。例えば、水性懸濁液中の少なくとも約10体積%の水が、水性懸濁液から除去され得、例えば、水性懸濁液中の少なくとも約20体積%、または少なくとも約30体積%、または少なくとも約40体積%、または少なくとも約50体積%、または少なくとも約60体積%、または少なくとも約70体積%または少なくとも約80体積%または少なくとも約90体積%、または少なくとも約100体積%の水が、除去され得る。任意の好適な技術を使用して、例えば、プレスありまたはなしでの重力または真空支援濾水により、または蒸発により、または濾過により、またはこれらの技術の組み合わせにより、水を水性懸濁液から除去できる。部分的に乾燥された、または本質的に完全に乾燥された生成物は、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料ならびに乾燥前に水性懸濁液に添加されている可能性のある任意の他の任意的な添加物を含むであろう。部分的に乾燥された、または本質的に完全に乾燥された生成物は、本明細書で記載されるように、任意で再水和され、ボードまたはシート組成物および他の紙製品に組み込まれてよい。
【0060】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、部分的に乾燥された、または本質的に完全に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料は、米国特許第10,435,482号(その内容は、これにより、それらの全体として参照により組み込まれる)にしたがい調製され得る。ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料、ならびに任意的な添加物の水性懸濁液は、本明細書における手順により調製され、次いで、1つまたは複数の手段(例えば、ベルトプレス、または高圧自動化ベルトプレス、または遠心分離機、チューブプレス、スクリュープレスまたはロータリプレスによる脱水を含む)により脱水されて、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料ならびに任意的な添加物の脱水組成物を生成し、この脱水組成物は次いで、流動床乾燥機、マイクロ波もしくは高周波乾燥機、またはホットスエプトミル(hot swept mill)または乾燥機、セルミルまたはマルチローターセルミルの1つ以上により、または、フリーズドライにより乾燥されて、乾燥された、または部分的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料組成物および任意的な添加物を生成し、これは次いで、当技術分野で知られている手段により再分散され得る。
【0061】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、微小粒子を使用して、紙料の脱水特性を改善できる。微小粒子の機能は、高分子電解質架橋からの水の放出と関連すると考えられ、それらを収縮させ、異なる繊維または微細粒子上で吸着される巨大分子を含む架橋内のリンクとして機能する。これらの効果は、水が繊維の周りを流れるためのより多くの流線型経路を形成する。初回通過保持を促進する微小粒子の傾向は、初期脱水率に対しプラス効果を有する傾向がある。
【0062】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、乾燥された、または部分的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料組成物ならびに任意的な添加物組成物は、WO2018/193314号(その内容は、これにより、それらの全体として参照により組み込まれる)で明記される手順にしたがい再分散され得る。
【0063】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、脱水した、部分的に乾燥された、または本質的に完全に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料組成物ならびに任意的な添加物の再分散は、下記により実施され得る:ある量の好適な分散液を少なくとも第1および第2の入口ならびに出口を有するタンクに添加することであって、タンクは、出口に取り付けられたミキサおよびポンプをさらに含む、添加すること;(b)ある量の脱水した、部分的に乾燥された、または本質的に完全に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースを、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料組成物および任意的な添加物の液体組成物を0.5~5%繊維固体の所望の固体濃度で得るのに十分な量で第1の入口を通してタンクに添加すること;分散液および脱水した、部分的に乾燥された、または本質的に完全に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースをミキサを用いてタンク中で混合して、ミクロフィブリル化セルロースを部分的に脱凝集および再分散させ、流動性スラリーを形成させること;流動性スラリーを、フローセルの入口へとポンプを用いてポンピングすることであって、フローセルは、再循環ループおよび直列の1つ以上の超音波処理プローブおよび少なくとも第1および第2の出口を含み、フローセルの第2の出口は、タンクの第2の入口に連結され、これにより所望の期間および/または総エネルギーの間スラリーに超音波エネルギーの連続適用を提供する連続再循環ループを提供し、フローセルは、第2の出口に加減弁を含んで再循環されるスラリーの背圧を生成し、さらにステップ(c)のミクロフィブリル化セルロースを含む液体組成物は、再循環ループを通して0~4バールの動作圧でかつ20℃~50℃の温度で、連続して再循環される、ポンピングすること;(e)19~100kHzの周波数範囲で、使用される超音波処理器の物理的限界に対し60%まで、100%まで、または200%までの振幅で1~120分間、200~10,000kWh/tの超音波エネルギー入力をスラリーに超音波処理プローブにより連続して適用すること;(f)好適な保持容器中にフローセルの第1の出口から増強された引張強度および/または粘度特性を有するミクロフィブリル化セルロースを含む再分散された懸濁液を収集すること。
【0064】
本発明のさらなる態様では、ボードまたはシートは、圧縮成形を使用して構造用部品の形状に成形され;構造用部品は、家具またはオフィス構造において使用される。
【0065】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、構造用部品は、カウチ、椅子、またはリクライナーのためのフレームの一部である。
【0066】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、構造用部品は、机、収納家具、戸棚ユニット、またはモジュール式の家具ユニットの一部である。
【0067】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、ボードまたはシートは、留め具を受けるための改善された強度を有する。
【0068】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、ボードまたはシートは、天井タイル、壁板、または断熱ボードである。
【0069】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、ボードまたはシートは、多層構造を有し、または積層ボードまたはシートであり得る。
【0070】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、ボードまたはシートは、1つ以上の添加物を使用して製造される。
【0071】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、添加物は、歩留向上剤、濾水剤、形成剤、サイズ剤またはレベリング剤である。
【0072】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、歩留向上剤は、中~高電荷密度の、非常に高分子量の、カチオン性ポリマー(例えば、Solenis, Wilmington, DE, USAから入手可能なPerForm(商標)PC930)から選択される。
【0073】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、形成剤は、アニオン性または非イオン性である分散剤から選択される(例えば、ポリエチレンオキシド、アニオン性ポリアクリルアミド
【0074】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、サイズ剤は、紙用サイズ剤(加工デンプン、または表面サイジングのための他の親水コロイド;内添サイジングのためのアルキルコハク酸無水物、アルキルケテンダイマーおよびロジン)から選択される。当技術分野で知られているサイズ剤の例は、下記である:SAB(商標)(それぞれ、ADITYA BIRLA CHEMICALSから入手可能な、18および18/50、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、pH中性紙用サイジングおよびポリ塩化アルミニウム(PAC)、pH酸性紙用サイジング)。他の入手可能なサイズ剤としては、BASOPLAST(商標)(250D、270D、285S、420G、450G、88Cone.、および90Cone.)が挙げられ、それらはBASFから入手可能である。Kemira Oyjから入手できるFENNOSIZE(商標)(AS、G、KDおよびRS)およびSolenis(Wilmington, DE, USA)から入手できるHERCON(商標)WI155もまた、入手可能である。
【0075】
当技術分野で知られている他の添加物は、下記である:商標FENNOPOL(商標)8635で販売されているアニオン性ポリアクリルアミドのマイクロポリマー、Kemira OyjからFENNOTECH(商標)として入手可能な脱気剤および消泡剤、および、Kemira Oyjから入手可能なFennoPol(商標)(カチオン性ポリアクリルアミド)、FennoSil(商標)(アニオン性マイクロまたは直鎖ポリマアクリルアミド)、FennoLite(商標)(ベントナイト)およびFennoSil(商標)(シリカゾル)技術)を含む多成分保持システム。
【0076】
最後に、いくつかのさらなる添加物としては、Akzo NobelからLEVASIL(商標)RD2180として入手可能なコロイダルシリカおよびNalcoからNALCO(商標)74528として入手可能な凝固剤が挙げられ得る。
【0077】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、シートまたはボードは、レベリング剤を含み得る。
【0078】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、ボードまたはシートは、1つ以上の添加物を用いて製造されたフォームである。例示的な添加物は、発泡パーライトである。追加の薬剤添加物は、発泡剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムまたはベーキングパウダーである。
【0079】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、ボードまたはシートは、ミクロフィブリル化セルロースなしで同等な方法で調製したボードと比較して、少なくとも5%の増加した弾性率および/または少なくとも5%の増加した破壊係数を有する。
【0080】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、ボードまたはシートは、ミクロフィブリル化セルロースなしで同等な方法で調製したボードと比較して、少なくとも10%の増加した弾性率および/または少なくとも10%の増加した破壊係数を有する。
【0081】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、ボードまたはシートは、ミクロフィブリル化セルロースなしで同等な方法で調製したボードと比較して、少なくとも15%の増加した弾性率および/または少なくとも15%の増加した破壊係数を有する。
【0082】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、ボードまたはシートは、ミクロフィブリル化セルロースなしで同等な方法で調製したボードと比較して、少なくとも20%の増加した弾性率および/または少なくとも20%の増加した破壊係数を有する。
【0083】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、ボードまたはシートは、ミクロフィブリル化セルロースなしで同等な方法で調製したボードと比較して、少なくとも25%の増加した弾性率および/または少なくとも25%の増加した破壊係数を有する。
【0084】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、ボードまたはシートは、ミクロフィブリル化セルロースなしで同等な方法で調製したボードと比較して、少なくとも30%の増加した弾性率および/または少なくとも30%の増加した破壊係数を有する。
【0085】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、約20~約50の繊維峻度(fibre steepness)を有する。別の実施形態では、繊維峻度範囲は、約25~約45である。さらなる実施形態では、繊維峻度範囲は、約30~約40である。
【0086】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、ボードまたはシートは、1~25mmの厚さを有する。
【0087】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、ボードまたはシートは、2~5mmの厚さを有する。
【0088】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、ボードまたはシートは、3~4mmの厚さを有する。
【0089】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、ボードまたはシートは、5~10mmの厚さを有する。
【0090】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、ボードまたはシートは、10~15mmの厚さを有する。
【0091】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、ボードまたはシートは、20~25mmの厚さを有する。
【0092】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、添加物は、デンプンまたはカルボキシメチルセルロースである。
【0093】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、添加物は、ロジンである。
【0094】
本明細書で開示される原理ならびにその利点のより完全な理解のために、添付の図面と併用して解釈される下の記載について言及する。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【
図1A】時間経過に伴う濾液質量の変化(
図1A)および時間経過に伴うボードの水負荷の変化(
図1B)のプロットである。
【
図1B】時間経過に伴う濾液質量の変化(
図1A)および時間経過に伴うボードの水負荷の変化(
図1B)のプロットである。
【
図4】MOR対ボード密度のプロットである。破線は視線誘導のための線形フィッティング曲線である。
【
図5】
図5A-
図5D。初期濾水率(
図5A)、正規化濾水時間(
図5B)、含水量(
図5C)および乾燥速度定数(
図5D)に対するミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料投与の効果のプロットである。
【
図7】MOR対ボード密度のプロットである。破線は視線誘導のための線形フィッティング曲線である。
【
図8】ミクロフィブリル化セルロースと表示された鉱物の様々な組み合わせのMPにおけるMOR値のプロットである。
【
図9】実施例2における試料についての生成条件および試験室試験結果の概要である。
【発明を実施するための形態】
【0096】
本明細書で提供される表題、見出しおよび小見出しは、本開示の様々な態様を制限するものと解釈されるべきではない。したがって、下記で規定される用語は、明細書をその全体として参照することにより、より詳しく規定される。本明細書で引用される全ての参考文献はそれらの全体が、参照により組み込まれる。
【0097】
本発明は、ミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料をそのようなシートまたはボードにおけるバインダ組成物として含むシートまたはボードの調製に関し、そのようなボードは、再生パルプまたは製紙工場損紙および/または産業廃棄物、または製紙工場からの鉱物フィラーおよびセルロース材料に富む紙ストリームから製造され、任意でミクロフィブリル化セルロースはまた、再生パルプまたは製紙工場損紙および/または産業廃棄物、または製紙工場からの鉱物フィラーおよびセルロース材料に富む紙ストリームから調製され得る。本発明はさらに、家具および家具のための構成要素を含むボード製品の製造における、上記シートまたはボードの使用に関し、ミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料のバインダ組成物は、そのようなシートまたはボードから作られた複合材料の密度および/またはボード強度を改善する。
【0098】
別に規定されない限り、本明細書で使用される科学および技術用語は、当業者により普通に理解される意味を有するであろう。さらに、文脈により別段要求されない限り、単数用語は複数形を含み、複数用語は単数形を含む。
【0099】
本出願では、「または」の使用は、別記されない限り「および/または」を意味する。多数項従属クレームとの関連では、「または」の使用は、1を超える上記独立または従属クレームに選択的にのみ、再び言及する。
【0100】
この明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「1つの(a、an)」および「その(the)」、および任意の単語のいずれの単数使用も、明確にかつ明白に1つの指示対象に制限されない限り、複数の指示対象を含むことも、さらに注意すべきである。
【0101】
本発明は、下記定義を参照して最も明らかに理解される:
【0102】
「約」という用語は、本明細書では、およそ、の辺り、大体、またはおおよそを意味するために使用される。「約」という用語が数値範囲と併せて使用される場合、それは、明記される数値の上下の境界を拡大することによりその範囲を修飾する。一般に、「約」という用語は、明言された値の上下10%の分散だけ数値を修飾するために本明細書で使用される。
【0103】
本明細書で用いられる、「備える(comprising)」(および備える(comprising)の任意の形態、例えば「comprise」、「comprises」、および「comprised」)、「有する(having)」(および有する(having)の任意の形態、例えば「have」および「has」)、「含む(including)」(および含む(including)の任意の形態、例えば「includes」および「include」)、または「含有する(containing)」(および含有する(containing)の任意の形態、例えば「contains」および「contain」)という用語は、包括的で、または制限がなく、追加の、列挙されていない要素または方法ステップを排除しない。加えて、「備える(comprising)」という用語と併せて使用される用語はまた、「から構成される」または「から本質的に構成される」という用語と併せて使用できることが理解される。
【0104】
本明細書で用いられる、「含む」という用語およびその文法的変形は、非限定的であることが意図され、そのため、リストでの項目の記述は、列挙される項目に置換または付加できる他の同様の項目を排除しない。
【0105】
本明細書で用いられる、「X~Yの整数」という句は、終点を含む任意の整数を意味する。例えば、「1~5の整数」という句は、1、2、3、4、または5を意味する。
【0106】
本明細書で用いられる、「生分解性」という用語は、本明細書で使用されるように、環境に有害な影響がなしに、水および/または自然に見出される酵素により経時的に分解できる組成物を示す。本開示の組成物は、ASTMD6868-11「Standard Specification for Labeling of End Items that Incorporate Plastics and Polymers as Coatings or Additives」(ASTM International, West Conshohocken, PA)の要求を満たす特性を示す。あるいは、本開示の組成物は、ASTM D6400-04--「Specification for Compostable Plastics」(ASTM International, West Conshohocken, PA)の要求を満たす特性を示す。
【0107】
本明細書で用いられる「補強剤」という用語は、生分解性組成物に組み入れられると、補強剤を有しない組成物を使用して形成される同様の複合物が示す特性(複数可)と比べて、それから形成される複合物の特性(複数可)の1つ以上を改善する、材料を説明する。これらの特性(複数可)としては、限定されないが、最大荷重での応力、破壊応力、破壊ひずみ、モジュラス、弾性率、破壊係数、または靱性が挙げられる。
【0108】
リサイクルセルロース含有材料という用語は、再生パルプまたは製紙工場損紙および/または産業廃棄物、または製紙工場からの鉱物フィラーおよびセルロース材料に富む紙ストリームを意味する。
【0109】
本発明は、WO-A-2010/131016号(その全内容はこれにより参照により組み込まれる)で記載される方法および組成物の改変、例えば、改善に関する。
【0110】
WO-A-2010/131016号は、セルロースを含む繊維材料を、任意で粉砕媒体および無機微粒子材料の存在下で、例えば、粉砕することにより、ミクロフィブリル化することを含む、ミクロフィブリル化セルロースを調製するためのプロセスを開示する。紙中でフィラーとして、例えば、従来の鉱物フィラーの代わりとして、または部分的な代わりとして使用されると、任意で無機微粒子材料と組み合わせて、上記プロセスにより得られたミクロフィブリル化セルロースは、紙の破裂強度特性を改善した。すなわち、排他的に鉱物フィラーが充填された紙と比べて、ミクロフィブリル化セルロースが充填された紙は、改善された破裂強度を有することが見出された。言い換えれば、ミクロフィブリル化セルロースフィラーは、紙破裂強度を増強する属性を有することが見出された。その発明の1つの特に有利な実施形態では、セルロースを含む繊維材料が、任意で無機微粒子材料と組み合わせて、粉砕媒体の存在下で粉砕されて、20~約50の繊維峻度を有するミクロフィブリル化セルロースを得た。
【0111】
WO-A-2010/131016号において記載される方法は、セルロースを含む繊維基材を、微粒子粉砕媒体(粉砕の完了後除される)の存在下で粉砕することによりミクロフィブリル化するステップを含む。「ミクロフィブリル化する」は、セルロースのミクロフィブリルが、ミクロフィブリル化前のパルプの繊維と比べて、個々の種として、または小さな凝集体として解放される、または部分的に解放されるプロセスを意味する。製紙における使用に好適な典型的なセルロース繊維(すなわち、ミクロフィブリル化前パルプ)は、数百または数千の個々のセルロース繊維のより大きな凝集体を含む。セルロースをミクロフィブリル化することにより、特定の特性および性質、例えば本明細書で記載される特性および性質が、ミクロフィブリル化セルロースおよびミクロフィブリル化セルロースを含む組成物に付与される。
【0112】
セルロースを含む繊維基材(本明細書では「セルロースを含む繊維基材」、「セルロース繊維」、「繊維状セルロース原料」、「セルロース原料」および「セルロース含有繊維(または繊維状」、などと様々に呼ばれる)は、再生パルプまたは製紙工場損紙および/または産業廃棄物、または製紙工場からの鉱物フィラーおよびセルロース材料に富む紙ストリームに由来し得る。
【0113】
リサイクルセルロースパルプは、cm3でカナダ標準ろ水度(CSF)として当技術分野で報告される、任意のあらかじめ決められたろ水度に、ビーティングされ得(例えばValleyビーターにおいて)および/または別様に精製され得る(例えば、円錐またはプレート精製機における処理)。CSFは、パルプの懸濁液が濾水され得る速度により測定される、パルプのろ水度または濾水率についての値を意味し、この試験は、T227cm-09TAPPI標準に従い実施される。例えば、セルロースパルプは、ミクロフィブリル化される前に約10cm3以上のカナダ標準ろ水度を有し得る。リサイクルセルロースパルプは、約700cm3以下の、例えば、約650cm3以下、または約600cm3以下、または約550cm3以下、または約500cm3以下、または約450cm3以下、または約400cm3以下、または約350cm3以下、または約300cm3以下、または約250cm3以下、または約200cm3以下、または約150cm3以下、または約100cm3以下、または約50cm3以下のCSFを有し得る。リサイクルセルロースパルプは、約20~約700のCSFを有し得る。リサイクルセルロースパルプは次いで、当技術分野でよく知られている方法により脱水され得、例えば、パルプは、少なくとも約10%の固体、例えば少なくとも約15%の固体、または少なくとも約20%の固体、または少なくとも約30%の固体、または少なくとも約40%の固体を含むウェットシートを得るために、スクリーンを通して濾過されてよい。再生パルプは、精製されていない状態で、すなわちビーティングされず、または脱水されずに、または別様に精製されて使用され得る。
【0114】
一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースはまた、再生パルプまたは製紙工場損紙および/または産業廃棄物、または製紙工場からの鉱物フィラーおよびセルロース材料に富む紙ストリームから調製され得る。
【0115】
セルロースを含む繊維基材、乾燥状態のセルロースを含む繊維基材が、粉砕容器に添加され得る。例えば、乾燥損紙が、グラインダー容器に直接添加され得る。グラインダー容器内の水性環境が次いで、パルプの形成を促進する。
【0116】
好ましい実施形態では、OCCベールが、水と共にパルパー中で分散され、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の水性バインダ組成物が、添加される。OCCおよびバインダ組成物が次いで、紙料タンクに移され、次いで希釈され、ヘッドタンクにポンピングされ、そこでサイズ剤が添加され得る。例示的なサイズ剤は、C-PAMであるが、しかしながら、他のサイズ剤が、明細書のどこかで記載されるように使用され得る。OCCパルプおよびバインダ組成物は次いで、ボードモールドに移される。ウェットボードが、コンベヤーテーブルによりプレスセクション中に移動され、そこで、ボードが、プレスされ、次いで装置の乾燥セクションにおいて乾燥される。白水が、再循環される。
【0117】
無機微粒子材料
無機微粒子材料は、存在する場合、例えば、アルカリ土類金属炭酸塩または硫酸塩、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、セッコウ、含水カンダイトクレイ例えばカオリン、ハロイサイトまたはボールクレー、無水(焼成)カンダイトクレイ例えばメタカオリンまたは完全焼成カオリン、タルク、雲母、パーライトまたは珪藻土、または水酸化マグネシウム、またはアルミニウム三水和物、またはそれらの組み合わせであってよい。
【0118】
方法において使用するための好ましい無機微粒子材料は、炭酸カルシウムである。以後、発明は、炭酸カルシウムの観点から、および炭酸カルシウムが処理されおよび/または扱われる態様に関連して、記載される傾向がある可能性がある。発明は、そのような実施形態に制限されると解釈されるべきではない。
【0119】
本発明で使用される微粒子炭酸カルシウムは、天然源から粉砕により得ることができる。重質炭酸カルシウム(GCC)は典型的には、白亜、大理石または石灰石などの鉱物源を押し潰し、次いで粉砕することにより得られ、それに、所望の微粉度を有する生成物が得るための、粒子サイズ分類ステップが続く。漂白、浮選および磁気分離などの他の技術もまた、所望の微粉度および/または色を有する生成物を得るために使用され得る。微粒子固体材料は、自発的に、すなわち固体材料の粒子自体間の、または、その代わりに、粉砕される炭酸カルシウム由来の異なる材料の粒子を含む微粒子粉砕媒体の存在下での摩滅により、粉砕され得る。これらのプロセスは、分散剤および殺生物剤の存在と共に、またはなしで実施され得、それらはプロセスの任意の段階で添加され得る。
【0120】
沈降炭酸カルシウム(PCC)は、本発明において微粒子炭酸カルシウム源として使用でき、かつ当技術分野で使用可能な公知の方法のいずれかにより生成され得る。TAPPI Monograph Series No 30、“Paper Coating Pigments”、34-35ページは、製紙業における使用のための製品を調製する際に使用するのに好適であるが、本発明の実施においてもまた使用され得る、沈降炭酸カルシウムを調製するための3つの主な商業的プロセスを記載する。全ての3つのプロセスにおいて、炭酸カルシウム供給材料、例えば石灰石が最初に焼成されて、生石灰を生成し、生石灰は次いで、水中で消和されて、水酸化カルシウムまたは石灰乳を生じる。第1のプロセスにおいて、石灰乳は、二酸化炭素ガスにより直接炭酸塩化される。このプロセスは、副産物が形成されないという利点を有し、それは炭酸カルシウム生成物の特性および純度を制御することが比較的容易である。第2のプロセスでは、石灰乳はソーダ灰と接触させられて、複分解により、炭酸カルシウムの沈殿、および、水酸化ナトリウムの溶液を生成する。水酸化ナトリウムは、このプロセスが商業的に使用される場合、炭酸カルシウムから実質的に完全に分離され得る。第3の主な商業的プロセスでは、石灰乳は最初に、塩化アンモニウムと接触させられて、塩化カルシウム溶液およびアンモニアガスを得る。塩化カルシウム溶液は次いで、ソーダ灰と接触させられて、複分解により、沈降炭酸カルシウムおよび塩化ナトリウムの溶液を生じる。結晶は、使用される特定の反応プロセスによって、様々な異なる形状およびサイズで生成させることができる。PCC結晶の3つの主な形態は、アラゴナイト、菱面体および偏三角面体であり、それらの全ては、その混合物を含み、本発明における使用に好適である。
【0121】
炭酸カルシウムの湿式粉砕は、炭酸カルシウムの水性懸濁液の形成を含み、これは次いで、任意で好適な分散剤の存在下にて、粉砕され得る。炭酸カルシウムの湿式粉砕についてのより多くの情報については、例えば、EP-A-614948号(その内容は参照によりその全体が組み込まれる)を参照してもよい。
【0122】
状況次第で、他の鉱物の微量添加が含まれてよく、例えば、カオリン、焼成カオリン、ウォラストナイト、ボーキサイト、タルクまたは雲母の1つ以上もまた存在してよい。
【0123】
本発明の無機微粒子材料が天然源から得られる場合、いくつらの鉱物不純物が粉砕材料を汚染する可能性がある。例えば、天然起源の炭酸カルシウムは、他の鉱物と関連して存在し得る。よって、いくつかの実施形態では、無機微粒子材料は、ある量の不純物を含む。しかしながら、一般に、発明において使用される無機微粒子材料は、約5重量%未満、好ましくは約1重量%未満の他の鉱物不純物を含むであろう。
【0124】
本発明の方法のミクロフィブリル化ステップ中に使用される無機微粒子材料は好ましくは、粒子の少なくとも約10重量%が2μm未満の球相当径(e.s.d.)を有する、例えば、粒子の少なくとも約20重量%、または少なくとも約30重量%、または少なくとも約40重量%、または少なくとも約50重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約70重量%、または少なくとも約80重量%、または少なくとも約90重量%、または少なくとも約95重量%、または約100%が2μm未満のe.s.dを有する、粒子サイズ分布を有する。
【0125】
別記されない限り、無機微粒子材料について本明細書で言及される粒子サイズ特性は、本明細書で「Micromeritics Sedigraph 5100ユニット」と呼ばれる、Micromeritics Instruments Corporation, Norcross, Ga., USA(電話:+1 770 662 3620;ウェブサイト:www.micromeritics.com)により提供されるSedigraph 5100機を使用して、水性媒質中で完全に分散された条件での微粒子材料の沈降により、よく知られた様式で測定される通りである。そのような機械は、測定値および、所定のe.s.d値未満の、当技術分野において「球相当径」(e.s.d)と呼ばれるサイズを有する粒子の累積重量パーセンテージのプロットを提供する。平均粒子サイズd50は、粒子の50重量%がd50値未満の球相当径を有する、粒子e.s.dのこのように決定された値である。
【0126】
あるいは、表明された場合、無機微粒子材料について本明細書で言及される粒子サイズ特性は、Malvern Instruments Ltdにより提供されるMalvern Mastersizer S機を使用して、レーザー光散乱の技術分野で採用されるよく知られた従来の方法により(または本質的に同じ結果を与える他の方法により)測定される通りである。レーザー光散乱技術では、粉末、懸濁液およびエマルジョンでの粒子のサイズは、Mie理論の適用に基づき、レーザービームの回折を使用して測定できる。そのような機械は、測定値および所定のe.s.d値未満の、当技術分野において「球相当径」(e.s.d)と呼ばれるサイズを有する粒子の累積体積パーセンテージのプロットを提供する。平均粒子サイズd50は、粒子の50体積%がd50値未満の球相当径を有する、粒子e.s.dのこのように決定された値である。
【0127】
別記されない限り、ミクロフィブリル化セルロース材料の粒子サイズ特性は、Malvern Instruments Ltdにより提供されるMalvern InsitecL機を使用して、レーザー光散乱の技術分野で採用されるよく知られた従来の方法により(または本質的に同じ結果を与える他の方法により)測定される通りである。
【0128】
Malvern Mastersizer S機を使用して、無機粒子材料およびミクロフィブリル化セルロースの混合物の粒子サイズ分布を特徴付けるために使用される手順の詳細は、下記で提供される。
【0129】
使用のための別の好ましい無機微粒子材料は、カオリン粘土である。発明は、そのような実施形態に制限されると解釈されるべきではない。よって、いくつかの実施形態では、カオリンは、未処理形態で使用される。
【0130】
この発明で使用されるカオリン粘土は、天然源、すなわち生天然カオリン粘土鉱物由来の被処理材料であり得る。被処理カオリン粘土は典型的には、少なくとも約50重量%のカオリナイトを含み得る。例えば、ほとんどの商業的に処理されたカオリン粘土は、約75重量%超のカオリナイトを含み、約90%超、場合によっては約95重量%超のカオリナイトを含み得る。
【0131】
本発明で使用されるカオリン粘土は、生天然カオリン粘土鉱物から、当業者によく知られている1つ以上の他のプロセスにより、例えば、公知のリファイニングまたは選鉱ステップにより調製され得る。
【0132】
例えば、粘土鉱物は、還元型漂白剤、例えば亜ジチオン酸ナトリウムを用いて漂白され得る。亜ジチオン酸ナトリウムが使用される場合、漂白粘土鉱物は、亜ジチオン酸ナトリウム漂白ステップ後に、任意で脱水され、任意で洗浄され、再び任意で脱水され得る。
【0133】
粘土鉱物は、例えば、当技術分野でよく知られた綿状沈殿、浮選、または磁気分離技術により不純物を除去するように処理され得る。あるいは、発明の第一の態様において使用される粘土鉱物は、固体の形態で、または水性懸濁液として未処理のままであってもよい。
【0134】
本発明で使用される微粒子カオリン粘土を調製するためのプロセスはまた、1つ以上の破砕ステップ、例えば、粉砕またはミリングを含み得る。粗カオリンの軽い破砕を使用して、その好適な層間剥離を得る。破砕は、プラスチック(例えばナイロン)のビーズまたは顆粒、砂またはセラミック粉砕もしくはミリング助剤の使用により実施され得る。粗カオリンは、よく知られた手順を使用して精製されて、不純物を除去し、物理的性質を改善し得る。カオリン粘土は、公知の粒子サイズ分類手順、例えば、スクリーニングおよび遠心分離(または両方)により処理されて、所望のd50値または粒子サイズ分布を有する粒子を得る。
【0135】
ミクロフィブリル化セルロース
ミクロフィブリル化セルロースは、セルロースを含み、これは、繰り返しグルコースユニットを含む天然起源のポリマーである。MFCとも表される「ミクロフィブリル化セルロース」という用語は、この明細書では、ミクロフィブリル化/ミクロフィブリルセルロースおよびナノフィブリル化/ナノフィブリルセルロース(NFC)(この材料はまた、ナノセルロースとも呼ばれる)を含む。
【0136】
「ミクロフィブリル化する」は、セルロースのミクロフィブリルが、ミクロフィブリル化前パルプの繊維と比べて、個々の種としてまたは小さな凝集体として解放される、または部分的に解放されるプロセスを意味する。製紙における使用に好適な典型的なセルロース繊維(すなわち、ミクロフィブリル化前パルプ)は、数百または数千の個々のセルロース繊維のより大きな凝集体を含む。
【0137】
ミクロフィブリル化セルロースは、酵素または化学的前処理ありまたはなしで、機械的せん断により曝露された可能性のあるセルロース繊維の外層をはぎ取ることにより調製される。当技術分野で知られている、ミクロフィブリル化セルロースを調製する多くの方法が存在する。
【0138】
一般に、ミクロフィブリル化プロセスは、1つの態様では、セルロースを含む繊維基材を無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化することを含む。本方法の特定の実施形態によれば、ミクロフィブリル化ステップは、ミクロフィブリル化剤として作用する無機微粒子材料の存在下で実施される。
【0139】
ある実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースを含む組成物は、セルロースを含む繊維基材を粉砕媒体の存在下でミクロフィブリル化することを含むプロセスにより得られる。プロセスは便宜的に、水性環境において実施される。
【0140】
好ましい実施形態では、セルロースを含む繊維基材は、リサイクルセルロース含有材料、すなわち、再生パルプまたは製紙工場損紙および/または産業廃棄物、または製紙工場からの鉱物フィラーおよびセルロース材料に富む紙ストリーム、またはそれらの組み合わせに由来し得る。
【0141】
ミクロフィブリル化は、ミクロフィブリル化前のセルロースのミクロフィブリル化を促進するように作用する粉砕媒体の存在下で実施される。加えて、無機微粒子材料は、ミクロフィブリル化剤として作用でき、すなわち、セルロース開始材料は、無機微粒子材料の存在下で同時処理、例えば、共粉砕される場合、比較的より低いエネルギー入力でミクロフィブリル化させることができる。
【0142】
セルロースを含む繊維基材は、パルプ(すなわち、水中にセルロース繊維を含む懸濁液)の形態であってよく、これは任意の好適な化学的または機械的処理、またはそれらの組み合わせにより調製され得る。
【0143】
別記されない限り、ミクロフィブリル化セルロース材料の粒子サイズ特性は、Malvern Instruments Ltdにより提供されるMalvern Mastersizer S機を使用して、レーザー光散乱の技術分野で採用されるよく知られた従来の方法により(または本質的に同じ結果を与える他の方法により)測定される通りである。
【0144】
Malvern Mastersizer S機を使用して無機粒子材料およびミクロフィブリル化セルロースの混合物の粒子サイズ分布を特徴づけるために使用される手順の詳細は、下記で提供される。
【0145】
セルロースを含む繊維基材は、無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化されて、レーザー光散乱により測定されるように、約5μm~約500μmの範囲のd50を有するミクロフィブリル化セルロースを得る。セルロースを含む繊維基材は、無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化されて、約400μm以下の、例えば約300μm以下、または約200μm以下、または約150μm以下、または約125μm以下、または約100μm以下、または約90μm以下、または約80μm以下、または約70μm以下、または約60μm以下、または約50μm以下、または約40μm以下、または約30μm以下、または約20μm以下、または約10μm以下のd50を有するミクロフィブリル化セルロースを得る。
【0146】
セルロースを含む繊維基材は、無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化されて、約0.1-500μmの範囲のモード繊維粒子サイズ、および、0.25-20μmの範囲のモード無機微粒子材料粒子サイズを有するミクロフィブリル化セルロースを得る。セルロースを含む繊維基材は、無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化されて、少なくとも約0.5μm、例えば少なくとも約10μm、または少なくとも約50μm、または少なくとも約100μm、または少なくとも約150μm、または少なくとも約200μm、または少なくとも約300μm、または少なくとも約400μmのモード繊維粒子サイズを有するミクロフィブリル化セルロースを得る。
【0147】
セルロースを含む繊維基材は、無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化されて、Malvernにより測定される、約10以上の繊維峻度を有するミクロフィブリル化セルロースを得る。繊維峻度、すなわち、繊維の粒子サイズ分布の峻度は、下記式により決定される:
峻度=100×(d30/d70)
【0148】
ミクロフィブリル化セルロースは、約100以下の繊維峻度を有し得る。ミクロフィブリル化セルロースは、約75以下、または約50以下、または約40以下、または約30以下の繊維峻度を有し得る。ミクロフィブリル化セルロースは、約20~約50、または約25~約40、または約25~約35、または約30~約40の繊維峻度を有し得る。
【0149】
より細かい鉱物ピークを、測定されたデータ点に適合でき、分布から数学的に減算して繊維ピークを残し、これを、累積分布に変換できる。同様に、繊維ピークを、原分布から数学的に減算でき、鉱物ピークを残し、これもまた、累積分布に変換できる。両方のこれらの累積曲線は次いで、平均粒子サイズ(d50)および分布の峻度(d30/d70×100)を計算するために使用できる。示差曲線を次いで、鉱物および繊維部分の両方についてのモード粒子サイズを見出すために使用できる。
【0150】
ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の水性懸濁液の調製
一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料ならびに他の任意的な添加物の水性懸濁液は、下記のように生成され得る。他の任意的な添加物としては、分散剤、殺生物剤、懸濁助剤、塩(複数可)および他の添加物、例えば、デンプンまたはカルボキシメチルセルロースまたはポリマーが挙げられ、それらは、粉砕中にまたは粉砕後に鉱物粒子および繊維の相互作用を促進できる。
【0151】
無機微粒子材料は、粒子の少なくとも約10重量%、例えば少なくとも約20重量%、例えば少なくとも約30重量%、例えば少なくとも約40重量%、例えば少なくとも約50重量%、例えば少なくとも約60重量%、例えば少なくとも約70重量%、例えば少なくとも約80重量%、例えば少なくとも約90重量%、例えば少なくとも約95重量%、または例えば約100%が2μm未満のe.s.dを有するような粒子サイズ分布を有し得る。別の実施形態では、無機微粒子材料は、Malvern Mastersizer S機により測定される、粒子の少なくとも約10体積%、例えば少なくとも約20体積%、例えば少なくとも約30体積%、例えば少なくとも約40体積%、例えば少なくとも約50体積%、例えば少なくとも約60体積%、例えば少なくとも約70体積%、例えば少なくとも約80体積%、例えば少なくとも約90体積%、例えば少なくとも約95体積%、または例えば約100体積%が2μm未満のe.s.dを有するような粒子サイズ分布を有し得る。
【0152】
共粉砕される混合物中の無機微粒子材料およびセルロースパルプの量は、無機微粒子材料の乾燥重量およびパルプ中の乾燥繊維の量に基づき、約99.5:0.5~約0.5:99.5の比、例えば、無機微粒子材料の乾燥重量およびパルプ中の乾燥繊維の量に基づき、約99.5:0.5~約50:50の比で変動し得る。例えば、無機微粒子材料および乾燥繊維の量の比は、約99.5:0.5~約70:30であってよい。一実施形態では、無機微粒子材料対乾燥繊維の比は、約80:20、または例えば、約85:15、または約90:10、または約91:9、または約92:8、または約93:7、または約94:6、または約95:5、または約96:4、または約97:3、または約98:2、または約99:1である。好ましい実施形態では、無機微粒子材料対乾燥繊維の重量比は、約95:5である。別の好ましい実施形態では、無機微粒子材料対乾燥繊維の重量比は、約90:10である。別の好ましい実施形態では、無機微粒子材料対乾燥繊維の重量比は、約85:15である。別の好ましい実施形態では、無機微粒子材料対乾燥繊維の重量比は、約80:20である。
【0153】
一実施形態では、組成物は、大きすぎて150μmの公称開口サイズ、例えば、125μm、106μm、または90μm、または74μm、または63μm、または53μm、45μm、または38μmの公称開口サイズを有するBSSシーブ(BS1796による)を通過できない繊維を含まない。1つの実施形態では、水性懸濁液は、125μmの公称開口を有するBSSシーブを使用してスクリーニングされる。
【0154】
よって、粉砕またはホモジナイズ後の水性懸濁液中のミクロフィブリル化セルロースの量(すなわち、重量%)は、粉砕またはホモジナイズされた懸濁液が処理されて選択されたサイズを超える繊維を除去する場合、パルプ中の乾燥繊維の量より少ない可能性があることが理解されるであろう。よって、グラインダーまたはホモジナイザーに送られるパルプおよび無機微粒子材料の相対量は、選択されたサイズを超える繊維が除去された後に水性懸濁液中で必要とされるミクロフィブリル化セルロースの量により調整されてよい。
【0155】
一実施形態では、無機微粒子材料は、アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウムである。無機微粒子材料は、重質炭酸カルシウム(GCC)または沈降炭酸カルシウム(PCC)、またはGCCおよびPCCの混合物であってよい。別の実施形態では、無機微粒子材料は、天然板状鉱物、例えば、カオリンである。無機微粒子材料は、カオリンおよび炭酸カルシウムの混合物、例えば、カオリンおよびGCCの混合物、またはカオリンおよびPCCの混合物、またはカオリン、GCCおよびPCCの混合物であってよい。
【0156】
よって、1つの実施形態によれば、セルロースを含む繊維基材および無機微粒子材料は、水性環境において少なくとも約4wt%の初期固体量で存在し、その少なくとも約2重量%がセルロースを含む繊維基材である。いくつかの実施形態では、初期固体量は、少なくとも約0.25wt%、0.5wt%、1wt%、1.5wt%、2wt%、2,5wt%、3wt%、4wt%、5wt%であってよい。いくつかの実施形態では、初期固体量は、少なくとも約6wt%、7wt%、8wt%、9wt%または約10wt%であってよい。少なくとも約5重量%の初期固体量は、セルロースを含む繊維基材であり得る。
【0157】
別の実施形態では、水性懸濁液は、処理されて、水の少なくとも一部または実質的に全てを除去し、部分的に乾燥された、または本質的に完全に乾燥された生成物を形成する。例えば、水性懸濁液中の少なくとも約10体積%の水が、水性懸濁液から除去され得、例えば、水性懸濁液中の少なくとも約20体積%、または少なくとも約30体積%、または少なくとも約40体積%、または少なくとも約50体積%、または少なくとも約60体積%、または少なくとも約70体積%または少なくとも約80体積%または少なくとも約90体積%、または少なくとも約100体積%の水が、除去され得る。任意の好適な技術を使用して、例えば、重力または真空支援濾水(プレスありまたはなし)により、または蒸発により、または濾過により、またはこれらの技術の組み合わせにより、水性懸濁液から水を除去できる。
【0158】
ボードのプレスは、ボードを強化し含水量を減少するために水圧プレスの一つ(例えば、ピストンプレス)を用いて、例えば、1~150バールの異なる圧力下で実施され得る。このプロセスにおける水の温度は、10~90℃の範囲であってよく-より高い温度は、乾燥機前に、濾水を加速しボードの固体を増加させると予想される。プレスセクションは、フルスケール機上で水圧プレスモールドまたはシリンダープレスを用いて達成され得る。
【0159】
乾燥プロセスはオーブン中にて高温で(典型的には、100℃超)実施され、これは約130℃であり得る。より大きな規模では、これは、ガス蒸気(熱乾燥)、真空乾燥、伝導乾燥(例えばロール乾燥)または赤外乾燥により実施できるであろう。
【0160】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、セルロースを含む繊維基材は、水性環境において約5wt%未満、または約4wt%未満、または約3wt%未満、または約2wt%未満、または約1.5wt%未満、または約1wt%未満、または約0.5wt%未満の初期固体量で存在する。
【0161】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、方法において使用されるエネルギーの総量は、セルロースを含む繊維基材中の乾燥繊維1メートルトンあたり約10,000kWh未満、またはセルロースを含む繊維基材中の乾燥繊維1メートルトンあたり約5,000kWh未満、またはセルロースを含む繊維基材中の乾燥繊維1メートルトンあたり約3,000kWh未満、またはセルロースを含む繊維基材中の乾燥繊維1メートルトンあたり約2,500kWh未満、またはセルロースを含む繊維基材中の乾燥繊維1メートルトンあたり約2,000kWh未満である。
【0162】
所望の水性懸濁液組成物を得るための典型的な粉砕プロセスにおける総エネルギー入力は典型的には、無機微粒子フィラーの乾燥重量に基づいて、約100~1500kWht-1であってよい。総エネルギー入力は、約1000kWht-1未満、例えば、約800kWht-1未満、約600kWht-1未満、約500kWht-1未満、約400kWht-1未満、約300kWht-1未満、または約200kWht-1未満であってよい。
【0163】
セルロースパルプは、それが無機微粒子材料の存在下で共粉砕される場合、比較的低いエネルギー入力でミクロフィブリル化できる。セルロースを含む繊維基材中の乾燥繊維1メートルトンあたりの総エネルギー入力は、約10,000kWht-1未満、例えば、約9000kWht-1未満、または約8000kWht-1未満、または約7000kWht-1未満、または約6000kWht-1未満、または約5000kWht-1未満、例えば約4000kWht-1未満、約3000kWht-1未満、約2000kWht-1未満、約1500kWht-1未満、約1200kWht-1未満、約1000kWht-1未満、または約800kWht-1未満である。総エネルギー入力は、ミクロフィブリル化される繊維基材中の乾燥繊維の量、ならびに任意で粉砕速度および粉砕期間によって変化する。
【0164】
粉砕される材料の懸濁液は比較的高い粘度を有し得るので、好適な分散剤が好ましくは、粉砕前に懸濁液に添加され得る。分散剤は、例えば、水溶性縮合リン酸塩、ポリケイ酸もしくはその塩、または高分子電解質、例えば、80,000以下の数平均分子量を有するポリ(アクリル酸)もしくはポリ(メタクリル酸)の水溶性塩であってよい。使用される分散剤の量は一般に、乾燥無機微粒子固体材料の重量に基づき0.1~2.0重量%の範囲である。懸濁液は好適に、4℃~100℃の範囲の温度で粉砕され得る。
【0165】
ミクロフィブリル化ステップ中に含まれ得る他の添加物としては、下記が挙げられる:カルボキシメチルセルロース、両性カルボキシメチルセルロース、酸化剤、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)、TEMPO誘導体、および木材分解酵素。
【0166】
生分解性組成物はまた任意で、再生可能複合物による吸湿を阻止する防湿剤を含み得る。この防湿剤はまた、タンパク質の使用に起因する匂いを減少させ得る。防湿剤は、任意の公知のワックスまたは油であってよい。あるいは、防湿剤は、植物系、石油系、または動物系ワックスまたは油である。植物系防湿剤は、カルナウバワックス、ティーツリー油、大豆ワックス、大豆油、ラノリン、パーム油、パームろう、ピーナッツ油、ひまわり油、ナタネ油、キャノーラ油、藻類油、ヤシ油、およびカルナウバ油を含む群から選択され得る。石油系防湿剤は、パラフィンワックス、パラフィン油および鉱物油を含む群から選択され得る。動物系防湿剤は、蜜ろうおよび鯨油を含む群から選択され得る。
【0167】
粉砕される材料の懸濁液のpHは、約7または約7超(すなわち、塩基性)であってよく、例えば、懸濁液のpHは、約8、または約9、または約10、または約11であってよい。粉砕される材料の懸濁液のpHは、約7未満(すなわち、酸性)であってよく、例えば、懸濁液のpHは、約6、または約5、または約4、または約3であってよい。
【0168】
粉砕される材料の懸濁液のpHは、適切な量の酸または塩基の添加により調整できる。好適な塩基は、アルカリ金属水酸化物、例えばNaOHなどを含んだ。他の好適な塩基は、炭酸ナトリウムおよびアンモニアである。好適な酸は、無機酸、例えば塩酸および硫酸、または有機酸を含んだ。例示的な酸は、オルトリン酸である。
【0169】
例示的な実施形態では、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料は、米国特許第10,435,482号(その内容は、これにより、それらの全体として参照により組み込まれる)にしたがい調製され得る。ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料、および任意的な添加物の水性懸濁液は、ここで調製され得、次いで例えば、ベルトプレス、または高圧自動化ベルトプレス、または遠心分離機、チューブプレス、スクリュープレスまたはロータリプレスによる脱水を含む、1つまたは複数の手段により脱水されて、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料および任意的な添加物の脱水組成物を生成し、この脱水組成物は次いで、流動床乾燥機、マイクロ波もしくは高周波乾燥機、またはホットセプトミル(hot sept mill)または乾燥機、セルミルまたはマルチローターセルミルの1つ以上により、または凍結乾燥により乾燥されて、乾燥された、または部分的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料組成物および任意的な添加物を生成し、それは次いで、当技術分野で知られている手段により再分散され得る。
【0170】
一実施形態では、乾燥された、または部分的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料組成物および任意的な添加物組成物は、WO2018/193314号(その内容は、これにより、それらの全体として参照により組み込まれる)にしたがい再分散され得る。
【0171】
一実施形態では、脱水した、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料組成物および任意的な添加物の再分散は、下記により実施され得る:ある量の好適な分散液を少なくとも第1および第2の入口ならびに出口を有するタンクに添加することであって、タンクは、出口に取り付けられたミキサおよびポンプをさらに含む、添加すること;(b)ある量の脱水した、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースをタンクに第1の入口を通して、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料組成物および任意的な添加物の液体組成物を0.5~5%繊維固体の所望の固体濃度で得るのに十分な量で添加すること;分散液および脱水した、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースをタンク内でミキサを用いて混合して、ミクロフィブリル化セルロースを部分的に脱凝集および再分散させ、流動性スラリーを形成させること;流動性スラリーを、ポンプを用いてフローセルの入口にポンピングすることであって、フローセルは、再循環ループおよび直列の1つ以上の超音波処理プローブおよび少なくとも第1および第2の出口を含み、フローセルの第2の出口は、タンクの第2の入口に連結され、これによりスラリーに所望の期間および/または総エネルギーの間超音波エネルギーの連続適用を提供する連続再循環ループを提供し、フローセルは、第2の出口に加減弁を含んで、再循環されるスラリーの背圧を生成し、さらにステップ(c)のミクロフィブリル化セルロースを含む液体組成物は、再循環ループを通して0~4バールの動作圧でかつ20℃~50℃の温度で、連続して再循環される、ポンピングすること;(e)19~100kHzの周波数範囲で、および使用される超音波処理器の物理的限界に対し60%まで、100%まで、または200%までの振幅で、超音波処理プローブにより連続して、1~120分間、200~10,000kWh/tの超音波エネルギー入力をスラリーに適用すること;(f)好適な保持容器中にフローセルの第1の出口から、増強された引張強度および/または粘度特性を有するミクロフィブリル化セルロースを含む再分散された懸濁液を収集すること。
【0172】
ホモジナイズ
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、セルロースを含む繊維基材のミクロフィブリル化は、セルロースパルプおよび無機微粒子材料の混合物が加圧され(例えば、約500バールの圧力まで)、次いでより低い圧力のゾーンに渡される方法により、無機微粒子材料の存在下で湿潤条件下にて実施され得る。セルロース繊維のミクロフィブリル化を引き起こすように、混合物が低圧ゾーンに渡される速度は、十分高く、低圧ゾーンの圧力は、十分低い。例えば、圧力降下は、狭い入口オリフィスとずっと大きな出口オリフィスを有する環状開口に混合物を通すことにより、実施され得る。混合物がより大きな体積(すなわち、より低い圧力ゾーン)へと加速する時の圧力の劇的な減少は、キャビテーションを誘導し、これがミクロフィブリル化を引き起こす。一実施形態では、セルロースを含む繊維基材のミクロフィブリル化は、無機微粒子材料の存在下で湿潤条件下にてホモジナイザー中で実施され得る。ホモジナイザー中で、セルロースパルプ-無機微粒子材料混合物が、加圧され(例えば、約500バールの圧力へと)、小さなノズルまたはオリフィスを通過させられる。混合物は、約100~約1000バールの圧力へと、例えば、300バール以上、または約500以上、または約200バール以上、または約700バール以上の圧力へと加圧され得る。ホモジナイズは、繊維を高せん断力に供し、そのため加圧されたセルロースパルプがノズルまたはオリフィスを出て行く時、キャビテーションが、パルプ中のセルロース繊維のミクロフィブリル化を引き起こす。追加の水が、ホモジナイザーを通る懸濁液の流動性を改善するために添加され得る。ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む得られた水性懸濁液は、ホモジナイザーの入口に、ホモジナイザー複数回通過のために送り戻され得る。好ましい実施形態では、無機微粒子材料は、天然板状鉱物、例えばカオリンである。そのようなものとして、ホモジナイズは、セルロースパルプのミクロフィブリル化を促進するだけでなく、板状無機微粒子材料の層間剥離も促進する。
【0173】
板状無機微粒子材料、例えばカオリンは、少なくとも約10の、例えば、少なくとも約15、または少なくとも約20、または少なくとも約30、または少なくとも約40、または少なくとも約50、または少なくとも約60、または少なくとも約70、または少なくとも約80、または少なくとも約90、または少なくとも約100の形状係数を有することが理解される。形状係数は、本明細書で使用されるように、米国特許第5,576,617号(参照により本明細書に組み込まれる)において記載される導電率法、装置、および式を使用して測定される様々なサイズおよび形状の粒子の集団についての粒径対粒子厚さの比の尺度である。
【0174】
板状無機微粒子材料、例えばカオリンの懸濁液は、、セルロースを含む繊維基材の不在下であらかじめ決められた粒子サイズ分布へとホモジナイザー中で処理されてよく、その後、セルロースを含む繊維材料が、無機微粒子材料の水性スラリーに添加され、合わされた懸濁液が、上で記載される通りにホモジナイザー中で処理される。ホモジナイズプロセスは、所望のレベルのミクロフィブリル化が得られるまで、1回以上のホモジナイザー通過を含み、続けられる。同様に、板状無機微粒子材料は、あらかじめ決められた粒子サイズ分布へとグラインダー中で処理され、次いで、セルロースを含む繊維材料と合わせられ、続いてホモジナイザー中で処理され得る。例示的なホモジナイザーは、Manton Gaulin(APV)ホモジナイザーである。
【0175】
ミクロフィブリル化ステップが実施された後、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液は、スクリーニングされて、あるサイズを超える繊維を除去し、かつ粉砕媒体を除去する。例えば、懸濁液は、シーブを通過しない繊維を除去するために、選択された公称開口サイズを有するシーブを使用するスクリーニングに供されてよい。公称開口サイズは、正方形開口の反対側の公称中央分離または円形開口の公称直径を意味する。シーブは、150μmの公称開口サイズ、例えば、公称開口サイズ125μm、または106μm、または90μm、または74μm、または63μm、または53μm、45μm、または38μmを有するBSSシーブ(BS1796による)であってよい。1つの実施形態では、水性懸濁液は、125μmの公称開口を有するBSSシーブを使用してスクリーニングされる。水性懸濁液は次いで、任意で脱水され得る。
【0176】
ミクロフィブリル化セルロースを調製する別の方法が、US20190127911号において開示される。ミクロフィブリル化セルロースおよびフィラー材料を含む、実質的に乾燥した複合材料は、フィラー材料を上記ミクロフィブリル化セルロースの繊維またはフィブリル上に沈殿させること、および水性媒体を提供することにより調製される。プロセスは、水性媒体のpHを低下させること、次いで、pHの低下のステップ前または後に、水性媒体を実質的に乾燥した複合材料と混合することを含む。フィラー材料は次いで、ミクロフィブリル化セルロースから放出される。
【0177】
セルロースパルプは次いで、当技術分野でよく知られている方法により脱水され得、例えば、パルプは、少なくとも約10%の固体、例えば少なくとも約15%の固体、または少なくとも約20%の固体、または少なくとも約30%の固体、または少なくとも約40%の固体を含むウェットシートを得るためにスクリーンに通して濾過される。パルプは、精製されない状態で、すなわち、ビーティング、または脱水されずに、または別様に精製されて使用され得る。
【0178】
セルロースを含む繊維基材が、粉砕容器に乾燥状態で添加され得る。例えば、乾燥損紙が、グラインダー容器に直接添加され得る。グラインダー容器内の水性環境は次いで、パルプの形成を促進する。
【0179】
ミクロフィブリル化のステップは、精製機を含むが限定されない、任意の好適な装置中で実施され得る。1つの実施形態では、ミクロフィブリル化ステップは、湿式粉砕条件下にて粉砕容器中で実施される。別の実施形態では、ミクロフィブリル化ステップは、ホモジナイザー中で実施される。
【0180】
本開示の上記態様および実施形態の一実施形態では、高固体形態のミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料(この場合、水が部分的に、または本質的に完全に除去されている)は、遠隔製造所に輸送でき、次いで、高固体バインダ組成物を好適な分散剤中に再分散することにより、または、WO2018/193314号、Microfibrillated Cellulose with Enhanced Properties and Method of Making Same、およびWO2017/182883号、Redispersed Microfibrillated Cellulose(これによりその全体が参照により組み込まれる)に記載される他の手段により処理できる。
【0181】
再生パルプならびにミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含むバインダ組成物を含む成形性シート材料の特性は、当技術分野で知られている下記方法にしたがい、最適に試験される。
サイズおよび厚さ(BS EN324-1)
密度/密度変化(BS EN323)
曲げ強さ/曲げ弾性曲げ剛さ/剛性(BS EN310)
内部結合強度(BS EN319)
寸法安定性(BS EN318)
厚さの膨潤(BS EN317)
含水量(BS EN322)
機械加工性/直角度/エッジ真直度(BS EN324-2)
ねじ引き抜き抵抗(BS EN320)
ホルムアルデヒド可能性(BS EN120)
【0182】
実施例
【0183】
この発明がより完全に理解できるように、下記の実施例が明記される。これらの実施例は、発明の実施形態を説明することを目的とし、決して発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。
【0184】
実施例1.古い段ボール(「OCC」)ならびにミクロフィブリル化セルロース(「MFC」)および任意で1つ以上の無機微粒子材料を含むバインダ組成物を含むボードの製造
パルプの総パーセンテージ計算
合計%POPを、下記のように決定した。
【0185】
%POP(パルプのパーセンテージ)は、繊維である総固体のパーセンテージ質量である。
【0186】
空のるつぼの重さを、小数第4位まで(「dp」)量った(W1)。%の固体を決定した直後に、>1gオーブン乾燥生成物を、るつぼに添加し、4dpまで重さを量った(W2)。長い柄のトングを使用して、るつぼを、950℃の炉に30分間入れ、次いで取り出し、デシケーター中で冷却させ、その後、重さを再び4dpまで量った(W3)。
【0187】
%POPは、下記のように計算される。
【0188】
パルプのパーセンテージ「%POP」は、繊維である総固体のパーセンテージ質量として表され、下記により与えられる:
例えば、MFCがカオリンを用いてフィブリル化される場合
POP%=((W2-W1)-((W3-W1))/((1-LOI)))/((W2-W1))×100
ここで、
W1=4.1で記録されるるつぼの重量
W2=4.2で記録されるオーブン乾燥生成物+るつぼの重量
W3=4.4で記録される灰+るつぼの重量
LOI=点火因子による損失(割合として表される-例えば10%は0.1として表されるはずである)
カオリンでは、950℃での点火因子による典型的な損失は、0.14である
タルクでは、950℃での点火因子による典型的な損失は、0.08である
焼成粘土では、950℃での点火因子による典型的な損失は、ゼロである
理想的には、試料が作製される特定の鉱物試料のLOIが測定されるべきであるが、これが入手不可能でない場合、典型的な値を、代わりに使用できる。
標準偏差は、%POPについて0.5である。
【0189】
古い段ボール(「OCC」)(製品コードDSB205618、DS Smith)を、大きな砕解機中で5wt%濃度にて12リットルで20分間、精製した。バインダ組成物は、50%パーセンテージのパルプ(POP)のIntramax(商標)57(IMAX57;Imerys Minerals Limited、英国から入手可能)およびFiberLean(商標)ミクロフィブリル化セルロース(MFC)を含んだ。IMAX57は、紙フィラーグレードカオリンである。バインダ組成物を、4600rpmで30分間遠心分離し、遠心分離したバインダ組成物の総固体量を、水分バランスにより測定した。0.1wt%アニオン性有機ポリマー歩留向上剤(PERFORM(商標)PC930、Solenis, Wilmington, DE, USAから入手可能)組成物を、蒸留水を用いて、回転羽根車を使用して調製した。
【0190】
ボードスラリーの組成物は、精製されたOCCパルプおよび/または50パーセンテージのパルプ(POP)でMFC(FiberLean(商標))(下記表1を参照されたい)、すなわち、50:50比でMFCおよび粘土を含んだ。よって、10wt%の50 POP MFCおよび粘土では、5wt%のMFCおよび5wt%の粘土が存在する。類似的に、20wt%の50 POP MFC/粘土は、10wt%MFCおよび10wt%粘土を含む。4wt%濃度で得られたスラリーを、乾燥ボード質量に対する凝集剤(0.2wt%投与量のアニオン性有機ポリマー歩留向上剤(PERFORM(商標)PC930)(Solenis)と混合し、次いで、550mlの総体積でピストンプレスに注ぎ入れた。5つの圧力条件を使用してボードを生成した:40バール、60バール、80バール、100バールおよび120バール。
【0191】
ミクロフィブリル化セルロース、OCCおよび添加物を、ピストンシリンダ中に投入し、もう一方の端の濾水ガーゼに対して空気式ピストンにより圧縮した。そのように形成されたディスクを、抜き出し、乾燥させ、試験した。装置から濾水される速度は、印加圧力の関数であり、重要なパラメータである。なぜなら、これは、生成率および乾燥コストに影響するからである。
【表1】
【0192】
2組のボードを、各組成物につて各プレス圧力で製造した。ピストンプレスから生成された流出水の速度を、記録プログラム、例えば、RS componentsから入手可能なRS COMプログラムに関係するバランスを使用して記録した。RS COMは、マスバランスからのデータをコンピュータ内のファイルに記録するために使用される市販のソフトウェアである。
【0193】
初期濾水率を、各ボードについての時間に対する質量のプロットの初期勾配グラジエントにより決定し、濾水時間を、質量変化が1g s-1より小さくなった時に決定した(
図1Aおよび1B)。ピストンプレス中のウェットボードの滞留時間は、5分未満であった。
【0194】
ウェットボードの重さを、はかりで0.01gの精度まで量った。各圧力で製造した2組のボードの1つを、130℃で予熱したオーブンに一晩入れた。他のボードを、ある水分バランスで乾燥させ、収集した乾燥動力学データを使用して、各ボードについての乾燥速度を同定した(
図1B)。
【0195】
試験
プレスボードの固体量
ピストンプレスからウェットプレスボードを収集した後、ウェットボードの質量(mwet)を記録し、その後ウェットボードをオーブンまたは水分バランスに入れた。乾燥ボードの重量(mdry)を、デシケーター内での冷却後に記録した。ウェットボードの固体量を、式1に基づいて計算した。
【0196】
【0197】
ボード密度
乾燥ボードの質量を得た(上記)。ボードの厚さを、デジタルキャリパーにより測定し(h)、結果は、2組の測定値の平均である。ボードを、7cmの直径(D)を有する
図2で示されるような均一な円形ディスクと仮定した。よって、ボード密度を、式2によりg・cm
-3で計算した。
【数2】
【0198】
図2A-Cは、100バールでピストンプレスされたボードの光学画像を示し;画像は、(
図2A)濾布側、(
図2B)ピストン側、および(
図2C)断面である。
【0199】
曲げ測定を、Tinius Olsen H10KSベンチトップテスターで実施した。支持スパンは64mmであり、試験速度は2mm/分であった。乾燥させたボードを、幅1.5cmのストリップへと切断し、50%RH、23℃で1時間調整し、その後、試験した。試験結果は、各試料の2組の測定に基づいた。実験を、50%RH、23℃で実施した。
【0200】
弾性率(MOE)は、材料の剛性であり、応力がそれに適用された時に弾力的に変形されることに対する物体の抵抗を測定する。破壊係数(MOR、曲げ強度)は、曲げ破損での極限応力である。
【0201】
水取り込みおよび厚さ膨張試験
ボードを、15mmストリップに切断し、各ボードからの最も小さい片を、試験に使用した。初期質量(m
0)を、はかりで±0.01gの精度まで記録し、厚さ(h
0)を、IP54デジタルキャリパーにより±0.01mmの精度まで測定し、次いで、全ての試料を、それらが完全に沈められるように、蒸留水で満たした大きなトレーに同じ配向で入れた。標本を、損傷を低減するために縁によってのみ取り扱った。標本を、24時間後トレーから取り出し、乾燥ラック上に置いた。ウェットボードの対応する厚さ(h
1)および質量(m
1)を記録し、水取り込み(式3)および厚さ膨張(式4)を計算した。
【数3】
【0202】
結果
ボード特性に対するピストン圧力の効果
初期研究を、ボード形成および対応する特性に対するピストンプレス圧力の効果を理解するために、100wt%OCCを使用して実施した。いくつかの観察結果が、
図3から得られる。
【0203】
初期濾水率は、全圧力範囲にわたって比較的一定であった-同様の水チャネル構造が、濾水プロセスの始めで形成した(
図3A)。
【0204】
正規化濾水時間は、圧力の増加と共に増加した-ボードの底層は、より高い圧力では透過性がより低くなる。(
図3B)
【0205】
含水量は、より高い圧力ではわずかに増加した-より多くの水が、より高い圧力での底層のより低い透過性のためにボード中に保持された(
図3C)。
【0206】
乾燥させたボードの密度は、圧力の増加と共に減少した-より高いピストンプレスでより多くの水が除去されたので、より多くの間隙が最終ボード中で生成し、より低い密度をもたらした(
図3D)。
【0207】
曲げ強さに対するボード密度の効果
(i)MORと密度の間の相関を理解するため、ならびに、(ii)ミクロフィブリル化セルロースあり/なしでのボード強度を比較するために、ピストンプレスされたボード全てのMOR結果を、対応するボード密度に対してプロットする。いくつかの観察結果が、
図4から得られる。
【0208】
MOR値は、ボード密度の増加と共に増加した-MORデータは線形フィッティング曲線を用いるとかなりノイズが多く見え、これは悪いボード形成に起因したものであろう。
【0209】
ピストンプレスから作られたボード密度は、全ての3つの組成物について0.66-0.75g/cm-3の範囲であった-この研究では、ミクロフィブリル化セルロースがボード密度を改善できたということは明らかでなかった。
【0210】
ミクロフィブリル化セルロースの添加は、MORを著しく改善した。
【0211】
ボード形成に対するミクロフィブリル化セルロースの効果
50%POPミクロフィブリル化セルロースの添加は、
図5において、ミクロフィブリル化セルロースの投与量が10wt%未満であった場合(5wt%ミクロフィブリル化セルロース)、ボード形成プロセス(濾水および乾燥)にほとんど影響しないことが示された。ミクロフィブリル化セルロース投与の効果を、初期濾水率(
図5A)、正規化濾水時間(
図5B)、含水量(
図5C)および乾燥速度定数(
図5D)に対し示す。
【0212】
ボード特性に対するミクロフィブリル化セルロースの効果
50%POP FiberLeanミクロフィブリル化セルロースの添加は、ボードの機械的性能を徐々に改善することが示された(
図6Aおよび
図6B)が、それは、ボードの耐水性には影響しなかった(
図6Cおよび
図6D)。
図6A-D。MOE(
図6A)、MOR(
図6B)、水取り込み(
図6C)および厚さ膨張(
図6D)に対するミクロフィブリル化セルロース投与の効果。
【0213】
結果は、改善されたボード曲げ強さを有するMFCを含むボードを生成する実現可能性を証明した。
【0214】
結果
実施例1の表1において特定される実験についてのデータを、下記表2~4において報告する。
【0215】
曲げ強さに対するボード密度の効果
(i)MORと密度の間の相関を理解するため、ならびに、(ii)ミクロフィブリル化セルロースあり/なしでのボード強度を比較するために、全てのピストンプレスされたボードのMOR結果を、対応するボード密度に対しプロットする。いくつかの観察結果が、
図7から得られる。
図7:MOR対ボード密度。破線は、視線誘導のための線形フィッティング曲線である。
【0216】
この研究は、少なくとも6mmの合理的な厚さを有する小さなボードを生成する実現可能性を証明した。初期結果は、ミクロフィブリル化セルロースがボード強度を改善する添加物として使用できたことを示した。
【0217】
MOR値は、ボード密度の増加と共に増加した。ミクロフィブリル化セルロースの添加は、MORを著しく改善した。
【0218】
OCCから製造された試験ボードを、表1で特定される実験について、下記表2-4で報告する。OCCを用いてミクロフィブリル化セルロースなしで作製したボードについての結果を、下記表2において報告する。OCCならびに10wt%および20wt%の2つの投与量の50%POPミクロフィブリル化セルロースおよび粘土を用いて製造された試験ボードの結果を、下記表3および4において示す。
【表2】
【0219】
ミクロフィブリル化セルロースを10wt%で組み入れた試験ボードを、下記表3において報告する。
【表3】
【0220】
ミクロフィブリル化セルロースを20wt%で組み入れた試験ボードを、下記表4において報告する。
【表4】
【0221】
実施例2を、実施例1の手順にしたがい実施した。実施例2についてのデータを、下記表5において報告する。
【表5】
【0222】
実施例3
実施例3を、ミクロフィブリル化セルロースを再生パルプから以下で明記される手順に従い調製したことを除き、実施例1の材料および手順にしたがい実施した。
【0223】
最適粉砕パラメータ(4%総固体、50%POP、42%MVC、50kW/m3)を、155kgの3つのムライト媒体を充填したスーパーミル(パイロット撹拌媒体デトライター(SMD)グラインダー)を使用する一連の較正グラインドを実行することにより確立した。様々な較正グラインドのための生成プロセスは、古い段ボールパルプをND1500(粘土フィラー)と共に、50%POPを標的として、共粉砕することを含み、変数は媒体体積濃度、総固体のパーセンテージおよび比エネルギー入力である。
【0224】
試料についての生成条件および試験室試験結果の概要を、
図9に列挙する。
【0225】
古い段ボール(OCC)(製品コードDSB205618、DS Smith)を、大きな砕解機において5wt%濃度の12リットルで20分間精製した。バインダ組成物は、Imerys Minerals Limitedから入手可能なIntramax(商標)57(IMAX57)および明細書で明記される粉砕手順にしたがい再生パルプから製造されたミクロフィブリル化セルロースの、50%パーセンテージのパルプ(POP)を含んだ。IMAX57は、紙フィラーグレードカオリンである。バインダ組成物を、4600rpmで30分間遠心分離し、遠心分離したバインダ組成物の総固体を、水分バランスにより測定した。0.1wt%のアニオン性有機ポリマー歩留向上剤(Solenis, Wilmington, DE, USAから入手可能なPERFORM PC930)組成物を、蒸留水を用いて回転羽根車を使用して調製した。
【0226】
ボードスラリーの組成物は、精製されたOCCパルプおよびOCCパルプならびに再生パルプから製造されたミクロフィブリル化セルロースを含んだ。4wt%濃度で得られたスラリーを、凝集剤(乾燥ボード質量に対しアニオン性有機ポリマー歩留向上剤(PERFORM PC930)の0.2wt%投与量)と混合し、次いで、ピストンプレスに550mlの総体積で注ぎ入れた。5つの圧力条件を使用してボードを生成した:40バール、60バール、80バール、100バールおよび120バール。
【0227】
再生パルプから製造されたミクロフィブリル化セルロース、OCCおよび添加物を、ピストンシリンダ中に投入し、空気式ピストンによりもう一方の端の濾水ガーゼに対し圧縮した。そのように形成させたディスクを、取り出し、乾燥させ、試験した。水が装置から排出する速度は、印加圧力の関数であり、これは、生成率および乾燥コストに影響するので重要なパラメータである。MFCおよびOCCボードを、ボードがOCCのみを含んでいることを除き同等な手順を用いて製造されたボードと比較した。
【0228】
結果
OCCおよび再生パルプから製造されたミクロフィブリル化セルロースから作られたボードは、同じ手順を用いて製造されたがミクロフィブリル化セルロースの添加がない対照ボードと比較して、厚さの低減、密度の増加、ならびにMOEおよびMORの実質的な改善を示した。結果を、下記表6に提示する。
【表6】
【0229】
実施例4
ボードを、実施例2にしたがい、しかしながら90wt%OCCおよび10wt%オフィス用紙の混合物、ならびに再生パルプから製造されたミクロフィブリル化セルロース(50%POP;フィラーはND1500カオリン粘土(Imerys、U.K.)であった)を10wt%の投与量で使用して、製造した。MFCおよびOCCボードを、ボードがOCCのみを含んだことを除き同等な手順を用いて製造されたボードと比較した。
【0230】
結果
ボードは、同等な手順を用いて再生パルプから製造されたミクロフィブリル化セルロースなしで製造された対照ボードと比較して、同等な厚さ、密度の増加ならびにMOEおよびMORの実質的な増加を示した。
【0231】
【0232】
実施例5
ボードを、実施例2にしたがいパルパーを用いて製造された90wt%のOCCおよび再生パルプから製造された10wt%のミクロフィブリル化セルロース(50%POP;フィラーはND1500カオリン粘土(Imerys、U.K.)であった)から製造した。MFCおよびOCCボードを、ボードがOCCのみを含んだことを除き同等な手順を用いて製造されたボードと比較した。
【0233】
結果
ボードは、同等な手順を用いて再生パルプから製造されたミクロフィブリル化セルロースなしで製造された対照ボードと比較して、厚さの増加、密度の増加ならびにMOEおよびMORの実質的な増加を示した。
【0234】
【0235】
実施例6
ボードを、実施例2にしたがい3wt%濃度でディスクリファイナーを用いて製造された90wt%のOCCおよび再生パルプから製造された10wt%のミクロフィブリル化セルロース(50%POP;フィラーはND1500カオリン粘土(Imerys、U.K.)であった)から製造した。MFCおよびOCCボードを、ボードがOCCのみを含んだことを除き同等な手順を用いて製造されたボードと比較した。
【0236】
結果
ボードは、同等な手順を用いて再生パルプから製造されたミクロフィブリル化セルロースなしで製造された対照ボードと比較して、厚さの増加、密度の減少およびMORの実質的な増加を示した。
【0237】
【0238】
実施例7では、再生パルプを精製する程度を、カナダ標準ろ水度(CSF)測定(TAPPI試験方法T 227 om-17)により決定した。収集した試料を、0.3wt%濃度に希釈し、温度を、記録し、次いで1リットルの希釈物を、CSFテスターを通過させた。側面出口から排出された水の体積は、mlのCSF値に対応し、測定値を次いで、温度に従い較正した。再生パルプのろ水度を、下記表10で報告する。
【表10】
【0239】
実施例8
ボードを、デフレーカーを使用して生成されたOCCから作製した。試験ボードは、デフレーカーを使用して生成された82wt%のOCCおよび、33%パーセンテージのパルプ(POP)で再生パルプから製造された18wt%のミクロフィブリル化セルロースを含み;フィラーは、Imerys Minerals Limited(U.K.)製のIC60炭酸カルシウムであった。ミクロフィブリル化セルロースの共処理において使用した鉱物は、67wt%のレベルの炭酸カルシウム(IC60)であった。MFCおよびOCCボードを、ボードがOCCのみを含んだことを除き同等な手順を用いて製造されたボードと比較した。
【0240】
結果
実施例2にしたがいOCCおよび33wt%のパルプでミクロフィブリル化したセルロースから製造したボードは、厚さおよび密度の増加ならびにMORおよびMOEの実質的な増加を示した。試験の結果を、下記表11に提示する。
【表11】
【0241】
実施例9
ボードを、実施例3にしたがい20wt%パーセンテージのパルプのミクロフィブリル化セルロースおよび再生パルプから製造されたミクロフィブリル化セルロース(20%POP フィラーはImerys U.K.製のND1500カオリン粘土であった)から作製した。MFCおよびOCCボードを、ボードがOCCのみを含んだことを除き同等な手順を用いて製造されたボードと比較した。
【0242】
結果
ボードは、同等な厚さおよび密度を示した。しかしながら、ボードは、MOEおよびMORの実質的な増加を示した。実施例9の結果を、下記表12に提示する。
【表12】
【0243】
実施例10
ボードを、実施例2の手順にしたがいOCCおよび再生パルプから調製したミクロフィブリル化セルロース(50%POP、Imerys UK製のフィラーND1500粘土)および50wt%のSnowcal60重質炭酸カルシウムおよび50wt%のPCC-Sからなる追加のフィラーを使用して製造した。MFCおよびOCCボードを、ボードがOCCのみを含んだことを除き同等な手順を用いて製造されたボードと比較した。
【0244】
結果
ボードは、厚さの低減、密度の増加ならびにMOEおよびMOR値の実質的な増加を示した。結果を、下記表13に提示する。
【表13】
【0245】
実施例11
OCCボードを、実施例2にしたがい再生パルプから製造されたミクロフィブリル化セルロース(50%POP、Imerys U.K.製のフィラーND1500粘土)ありおよびなしで表14で示される鉱物を用いて製造した。追加のフィラーを、表14にしたがい使用される鉱物型に対応して使用した。使用した鉱物は、アルミニウム三水和物(ATH)、ベントナイト、タルク(Luzenac、Imerys、フランス)、雲母、沈降炭酸カルシウム、パーライト、メタカオリン、焼成カオリン、ボールクレー、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、珪藻土、ドロマイトおよびハロイサイトを含んだ。MFCおよびOCCボードを、ボードがOCCのみを含んだことを除き同等な手順を用いて製造されたボードと比較した。
【0246】
結果
ドロマイトおよびハロイサイトを除いて、ボードは、特定の鉱物を含み、ミクロフィブリル化セルロースは、MOEおよびMORの両方の実質的な増加を示した。ドロマイトの場合、MOEは、ミクロフィブリル化セルロースを有しない対照ボードに匹敵し、一方MOEは、ハロイサイトおよびミクロフィブリル化セルロースを使用したボードについて実質的に増加した。結果は、様々な鉱物を含むボードの機械的性能(MOE/MOR)を改善するためにMFCを使用する実行可能性を示す。結果を、下記表14および
図8に示す。
【表14】
【0247】
実施例12
ボードを、90wt%のOCCおよび5wt%の針葉樹さらしクラフトバージンパルプから調製したミクロフィブリル化セルロース(50%POP、Imerys Minerals Limited(U.K.)製のフィラーIC60炭酸カルシウム)および5wt%の、Imerys Minerals Limited(U.K.)製の重質炭酸カルシウム(IC60)からなる追加のフィラーから調製した。MFCおよびOCCボードを、ボードがOCCのみを含んだことを除き同等な手順を用いて製造されたボードと比較した。
【0248】
結果
ボードは、対照ボードと同等な厚さおよび密度を示し、一方ミクロフィブリル化セルロースを含むボードは、MOEおよびMORの実質的な増加を示した。結果を、下記表15に提示する。
【表15】
【0249】
実施例13
70wt%、80wt%、90wt%および100wt%のレベルでOCCを含むボードを、5wt%、10wt%および15wt%のレベルで再生パルプから調製したミクロフィブリル化セルロース(50%POP、Imerys UK製のフィラーND1500カオリン粘土)を投与して調製した。MFCおよびOCCボードを、ボードがOCCのみを含んだことを除き同等な手順を用いて製造されたボードと比較した。
【0250】
結果
ミクロフィブリル化セルロースを用いて作製したOCCボードは、ミクロフィブリル化セルロースを有しない100wt%のOCCの対照ボードと比較して、より低い厚さを有したが、密度が増加した。しかしながら、ミクロフィブリル化セルロース含有ボードは、MOEおよびMORの実質的な増加を示した。結果を、下記表16に示す。
【表16】
【0251】
実施例14
低密度ボードを、90wt%のOCC、実施例2の手順にしたがい製造した再生パルプからの5wt%のミクロフィブリル化セルロース(50%POP、フィラー:Imerys UK製のND1500粘土)および、Imerys Minerals Limited(U.K.)製のND1500カオリン粘土からなる5wt%の追加のフィラーを用いて、プレスなしで作製した。低密度OCCボードを、40バールでプレスした、90wt%のOCC、実施例2の手順にしたがい製造した再生パルプからの5wt%のミクロフィブリル化セルロースおよび、ND1500カオリン粘土からなる5wt%の追加のフィラーを含むボードと比較した。
【0252】
結果
結果は、MOEおよびMORの実質的な増加がボードのプレスで実現されることを示す。結果は、軽量材料絶縁体などの用途で使用できる低密度のボードを調製できることも示す。結果を、下記表17で報告する。
【表17】
【0253】
実施例15
再生パルプからの5wt%のミクロフィブリル化セルロース(50%POP、フィラー:Imerys U.K.製のND1500粘土)と1%固体に希釈されたSigma Aldrich製の非イオン性ポリオキシエチレンの分散助剤、または1%固体に希釈されたアニオン性ポリアクリルアミド(Kemira Oy)のいずれか、およびImerys製のND1500カオリン粘土からなる追加のフィラーを含む90wt%OCCのボードを、製造した。形成剤を、乾燥ボード質量に基づいて0.1wt%で投与した。対照ボードは、100wt%のOCCから構成され、形成剤を有しなかった。
【0254】
結果
実験ボードは、対照の100wt%のOCCボードよりも低い厚さ、かつ大きな密度を示した。実験ボードはどちらも、OCC対照ボードと比較してMOEおよびMORの実質的な増加を示した。結果を、下記表18において報告する。
【表18】
【0255】
実施例16
【0256】
90wt%のOCCおよび、再生パルプからの10wt%のミクロフィブリル化セルロース(50%POP、フィラー:Imerys U.K.製のND1500粘土)を含むボードを、100wt%のOCCからなる対照ボードと比較した。ミクロフィブリル化セルロースを、実施例4の手順にしたがい再生パルプから調製した。サイズ剤Aquapel(商標)F315、16wt%固体(Solenis)を、乾燥ボード質量に対し0.5wt%のレベルで添加した。
【0257】
結果
実験ボードは、厚さがより小さかったが、密度がより大きかった。実験ボードは、MOEおよびMOR値の実質的な増加を示した。実験ボードは、対照ボードより低い水取り込みおよび実質的に少ない膨潤を示した。結果を、下記表19において報告する。
【表19】
【0258】
実施例17
針葉樹さらしクラフトパルプバージンパルプ(50%POP、フィラー:ImerysU.K.製のND1500粘土)および再生パルプ(50%POP、フィラー:Imerys U.K.製のND1500粘土)から実施例4にしたがい製造したミクロフィブリル化セルロースの繊維峻度を、下記表20で報告する。ミクロフィブリル化セルロースについてのd
30、d
50、d
70およびd
90値もまた、報告する。
【表20】
【0259】
実施例18
2つのボードの積層板を、この実施例において調製した。多層ボードを、90wt%のOCC、実施例2にしたがい再生パルプから調製した5wt%のミクロフィブリル化セルロース(50%POP、フィラー:Imerys U.K.製のND1500粘土)および、Imerys製のND1500カオリン粘土からなる5wt%追加のフィラーから調製した。実験ボードを、100wt%のOCCで作製したボードと比較した。
【0260】
結果
実験多層ボードは、厚さおよび密度の低減、ならびにMOEおよびMOR値の実質的な増加を示した。データを、下記表21において報告する。
【表21】
【0261】
実施例19
【0262】
80wt%のOCC、実施例2の手順にしたがい再生パルプから調製した10wt%のミクロフィブリル化セルロース(50%POP、フィラー:Imerys U.K.製のND1500粘土)、カオリンからなる5wt%の追加のフィラーおよび5wt%の天然デンプンから調製したボードを、100wt%のOCCまたは80wt%のOCCのいずれかと、10wt%のカオリンフィラーおよび10wt%の天然デンプンを含む対照ボードと比較した。実験ボードは、追加のフィラーおよび天然デンプンを含む対照ボードと同等な厚さおよび密度を示したが、100wt%のOCCから作られた対照ボードと比較して厚さの低減および密度の増加を示した。MOEおよびMOR値の実質的な増加が、両方の対照ボードと比較して示された。結果を、下記表22で報告する。
【表22】
【0263】
実施例20
90wt%のOCCおよび、実施例2の手順にしたがい再生パルプから製造された10wt%のミクロフィブリル化セルロース(50%POP、フィラー:Imerys U.K.製のND1500粘土)ならびに1:1比で30%の固体へと一緒に希釈されたロジンおよびミョウバン(aklum)から作られたボードを、100wt%のOCCから製造した対照ボードと比較した。ロジンおよびミョウバン混合物の投与は、乾燥ボード質量に対し2.6wt%であった。
【0264】
結果
実験ボードは、サイズ剤なしで作製した対照ボードと比較して厚さの低減および密度の増加を示した。実験ボードは、実験ボードと比較してMOEおよびMOR値の実質的な増加を示した。結果を、下記表23で示す。
【表23】
【0265】
上記実施形態および利点は例示にすぎず、本発明を制限するものと解釈されるべきではない。また、本発明の実施形態の記載は実例であり、特許請求の範囲を制限することを意図しない。多くの代替、改変および変更が当業者には明らかである。
【0266】
発明についてその詳細な説明と共に記載してきたが、上記記載は本発明の範囲を説明するものであり、これを制限するものではないことが意図されており、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲により規定されることが理解されるべきである。他の態様、利点、および改変は下記特許請求の範囲内にある。
【0267】
この明細書において記載される様々な実施形態を組み合わせて、さらなる実施形態を提供できる。実施形態の態様は、必要に応じて、様々な特許、出願および公報の概念を採用するように改変でき、いっそうさらなる実施形態が提供される。
【0268】
本明細書で引用される各および全ての特許、特許出願、公報、および受入番号の開示内容は、これにより、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0269】
本開示について様々な実施形態を参照して開示してきたが、他の実施形態およびこれらの変更が当業者により、本開示の真の精神および範囲から逸脱せずに考案され得ることは明らかである。添付の特許請求の範囲は、そのような実施形態および等価の変更全てを含むと解釈されることが意図される。一般に、下記特許請求の範囲では、使用される用語は特許請求の範囲を明細書および特許請求の範囲で開示される特定の実施形態に制限すると解釈されるべきではないが、全ての可能な実施形態を、そのような特許請求の範囲が付与される等価物の全範囲と共に含むと解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は本開示により制限されない。
【0270】
上記明細書は、当業者が実施形態を実施できるのに十分であると考えられる。上記記載および実施例は、ある実施形態を詳述し、発明者らにより企図される最良の形式を記載する。しかしながら、上記がどんなに詳細に本文において現れたとしても、実施形態は多くの様式で実施でき、添付の特許請求の範囲および任意のその等価物にしたがい解釈されるべきであることが認識されるであろう。
【0271】
本出願において記載される参考文献は、それらの文脈に基づき明らかになるそれらの意図された目的のために、それらの全体が参照により組み込まれる。
【国際調査報告】