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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-05
(54)【発明の名称】多層押出物の製造装置及び方法。
(51)【国際特許分類】
   B29C 48/30 20190101AFI20221223BHJP
   B29C 48/20 20190101ALI20221223BHJP
   B29C 48/255 20190101ALI20221223BHJP
   B29C 48/25 20190101ALI20221223BHJP
   B29C 48/92 20190101ALI20221223BHJP
   B29C 48/49 20190101ALI20221223BHJP
【FI】
B29C48/30
B29C48/20
B29C48/255
B29C48/25
B29C48/92
B29C48/49
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521514
(86)(22)【出願日】2020-10-05
(85)【翻訳文提出日】2022-05-13
(86)【国際出願番号】 IB2020059320
(87)【国際公開番号】W WO2021070031
(87)【国際公開日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】102019000018530
(32)【優先日】2019-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509238432
【氏名又は名称】サチミ、コオペラティバ、メッカニーチ、イモラ、ソチエタ、コオペラティバ
【氏名又は名称原語表記】SACMI COOPERATIVA MECCANICI IMOLA SOCIETA’ COOPERATIVA
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100225543
【弁理士】
【氏名又は名称】上原 真
(72)【発明者】
【氏名】ファブリツィオ プッチ
(72)【発明者】
【氏名】フィオレンツォ パリネッロ
【テーマコード(参考)】
4F207
【Fターム(参考)】
4F207AJ08
4F207AR07
4F207KA01
4F207KA17
4F207KB27
4F207KL65
4F207KL93
4F207KM15
(57)【要約】
外側材料よりなる少なくとも2つの層(5)の間に中間材料(7)が挿入される多層押出物(2)を製造するための装置が提供される。この製造装置は、外側材料の各側流(F1、F2)を流すための第1のダクト(4a)及び第2のダクト(4b)を含むダクト手段(4)を備える。ダクト手段(4)は、少なくとも中間材料(7)を含む中心流(40)を流すための更なるダクト(6)も含む。製造装置は、中心流(40)が前進方向(A)に前進している間に少なくとも中心流(40)と相互作用する少なくとも1つの妨害要素(8a、8b;28a、28b;80a、80b)を更に備える。妨害要素(8a、8b;28a、28b;80a、80b)は、中心流(40)を前進方向(A)において予め設定した間隔で妨害するように、前進方向(A)に対して横向きの成分をもって移動可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側材料で作られる少なくとも2つの層(5)の間に挿入される中間材料(7)を含む多層押出物(2)を製造する装置であって、前記装置は、前記外側材料の各側流(F1、F2)が流れることができる第1のダクト(4a)及び第2のダクト(4b)を含むダクト手段(4)を備え、前記ダクト手段(4)は、少なくとも前記中間材料(7)を含む中心流(40)が流れることができる更なるダクト(6)も含み、前記装置は、前記中心流(40)が前進方向(A)に前進している間に少なくとも前記中心流(40)と相互作用する少なくとも1つの妨害要素(8a、8b;28a、28b;80a、80b)を更に備え、前記少なくとも1つの妨害要素(8a、8b;28a、28b;80a、80b)は、予め設定した間隔で前記中心流(40)を前記前進方向(A)において妨害するように、前記前進方向(A)に対して横向きの成分をもって移動可能である、装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの妨害要素(8a、8b;28a、28b;80a、80b)は、予め設定した間隔で前記中心流(40)を前記前進方向(A)において中断するように構成され、その結果、前記多層押出物(2)は、前記中間材料(7)が存在する複数の部分(15)を有し、前記複数の部分(15)は、前記中間材料(7)が存在しない更なる部分(16)と交互になる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記移動は直線的な前後移動であり、前記直線的な前後移動によって、前記少なくとも1つの妨害要素(8a、8b;28a、28b;80a、80b)が、第1の作動位置(P1)と第2の作動位置(P2)の間で変位可能である、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの妨害要素(8a、8b;28a、28b;80a、80b)と連携して作動して前記第2の作動位置(P2)における前記中心流(40)を妨害する接触要素を更に備える、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの妨害要素(8a、8b;28a、28b;80a、80b)は、前記第2の作動位置(P2)において前記接触要素に当接し、その結果、前記更なるダクト(6)を遮断して中心流(40)を中断するように構成される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記接触要素は、前記前進方向(A)に対して横方向に、かつ直線的な前後移動で移動可能な別の妨害要素(8a、8b;28a、28b;80a、80b)であり、前記少なくとも1つの妨害要素(8a、8b;28a、28b;80a、80b)及び他方の妨害要素(8a、8b;28a、28b;80a、80b)は、前記第1の作動位置(P1)に到達するために互いに離れるように移動し、あるいは前記第2の作動位置(P2)に到達するために互いに向かって移動するように構成される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記他方の妨害要素(8a、8b;28a、28b;80a、80b)は、前記更なるダクト(6)の末端部に関して前記少なくとも1つの妨害要素(8a、8b;28a、28b;80a、80b)と対称的に配置され、前記他方の妨害要素は、前記少なくとも1つの妨害要素に対して面対称に移動可能である、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記多層押出物(2)用の送出ダクト(9)を更に備え、前記少なくとも1つの妨害要素(8a、8b;28a、28b)は、少なくとも第1の作動位置(P1)と第2の作動位置(P2)の間で選択される作動位置において、前記第1のダクト(4a)及び/又は前記第2のダクト(4b)を前記送出ダクト(6)と連通させるための通路孔(10)を有する、請求項3から7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記通路孔(10)は、前記第1の作動位置(P1)及び前記第2の作動位置(P2)の両方において、前記外側材料を含む各側流(F1、F2)が前記送出ダクト(9)に到達できるようになるような断面を有する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
二次ダクト(4c)が前記第1のダクト(4a)から分岐し、更なる二次ダクト(4d)が前記第2のダクト(4b)から分岐し、前記少なくとも1つの遮断要素(8a、8b)は更なる通路孔(20)を有し、前記更なる通路孔(20)は、前記第1の作動位置(P1)において、前記二次ダクト(4c)及び/又は前記更なる二次ダクト(4d)を前記送出ダクト(9)と連通させ、前記第2の作動位置(P2)において、前記二次ダクト(4c)及び/又は前記更なる二次ダクト(4d)を遮断するように構成される、請求項8又は9に記載の装置。
【請求項11】
前記通路孔(10)は、前記第2の作動位置(P2)において、前記第1のダクト(4a)及び/又は前記第2のダクト(4b)を前記送出ダクト(6)と連通させるように構成され、前記少なくとも1つの遮断要素(28a、28b)は、前記第1の作動位置(P1)において、それぞれ前記外側材料の側流(F1、F2)を中断するように構成される、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記更なるダクト(6)は、前記中間材料(7)を含む多層中心流(40)を受け入れるように構成され、前記中間材料(7)は、外側材料(5)で作られる少なくとも2つの層の間に挿入される、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第1のダクト(4a)及び前記第2のダクト(4b)が前記更なるダクト(6)に接合される接合領域(8)を更に備え、前記少なくとも1つの遮断要素(80a、80b)は、前記接合領域(8)の上流であって前記接合領域(8)から離れた位置に配置され、その結果、前記第1のダクト(4a)内及び/又は前記第2のダクト(4b)内を流れる前記外側材料と相互作用することなく、予め設定した間隔で中心流(40)を妨害する、請求項1から7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記更なるダクト(6)の少なくとも終端部は軸線(X)に沿って延び、前記第1のダクト(4a)及び前記第2のダクト(4b)は軸線(X)の両側に形成され、前記第1のダクト(4a)及び前記第2のダクト(4b)は、それぞれ軸線(A1、A2)に沿って延びる末端部(13)を有し、前記軸線(A1、A2)は、前記軸線(X)と、90°未満、好ましくは45°以下の対応する角度(K1、K2)をなす、請求項1から13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記中間材料(7)が存在しない又は最小限の量だけ存在する領域で前記多層押出物(2)を切断することによって、前記多層押出物(2)から多層ドーズ(3)を分離する分離要素を更に備える、請求項1から14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
外側材料で作られる少なくとも2つの層(5)の間に挿入される中間材料(7)を含む多層押出物(2)を製造する方法であって、
・前記外側材料の少なくとも2つの側流(F1、F2)を供給するステップと、
・少なくとも前記中間材料(7)を含む中心流(40)を供給するステップと、
・中心流(40)が前進方向(A)に前進している間に少なくとも前記中心流(40)と相互作用する少なくとも1つの妨害要素(8a、8b;28a、28b;80a、80b)を提供するステップと、
を備え、
前記少なくとも1つの妨害要素(8a、8b;28a、28b;80a、80b)は、予め設定した間隔で前記前進方向(A)に流れる前記中心流(40)を妨害するように、前記前進方向(A)に対して横向きの成分をもって移動する、方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの妨害要素(8a、8b;28a、28b;80a、80b)は、前記前進方向(A)に対して横方向に配列された方向(D1、D2)に沿った直線的な前後移動で移動して、前記前進方向(A)の前記中心流(40)を中断し、あるいは流動可能にする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記中心流(40)は、前記外側材料で作られる2つの層の間に挿入される前記中間材料を含む多層流であり、前記少なくとも1つの妨害要素(28a、28b)は、第1の作動位置(P1)と第2の作動位置(P2)の間を移動し、前記第1の作動位置(P1)では、前記少なくとも1つの妨害要素(28a、28b)が、前記側流(F1、F2)を遮断しながら前記中心流(40)を通過させ、前記第2の作動位置(P2)では、前記少なくとも1つの遮断要素(28a、28b)が、前記側流(F1、F2)を通過させながら前記中心流(40)を中断する、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの妨害要素(8a、8b)は、第1の作動位置(P1)と第2の作動位置(P2)の間を移動し、前記第1の作動位置(P1)では、前記少なくとも1つの妨害要素(8a、8b)が、前記中心流(40)と前記側流(F1、F2)の両方を通過させ、前記第2の作動位置(P2)では、前記少なくとも1つの妨害要素(8a、8b)が、前記側流(F1、F2)を通過させながら前記中心流(40)を中断する、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの妨害要素(80a、80b)は、前記側流(F1、F2)が妨害されない状態を保ち、前記少なくとも1つの妨害要素(80a、80b)は、第1の作動位置(P1)と第2の作動位置(P2)の間を移動し、前記第1の作動位置(P1)では、前記少なくとも1つの妨害要素(80a、80b)が前記中心流(40)を通過させ、前記第2の作動位置(P2)では、前記少なくとも1つの妨害要素(80a、80b)が前記中心流(40)を中断する、請求項16又は17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層ドーズを得るために、すなわち、少なくとも2種の異なる高分子材料で作られた複数の層を有するドーズを得るための多層押出物を製造する装置及び方法に関する。これらの多層ドーズは、容器、キャップ、容器用のプリフォーム、コーヒー又は粉末状若しくは顆粒状の他の製品用のカプセル等を得るために、圧縮成形工程において使用されることが想定される。
【0002】
本発明による装置及び方法を使用して得られるドーズは、例えば、気体及び/又は酸素及び/又は光に対するバリア特性を有する材料で作られた中心層を含み、中心層は、ドーズから形成される物体に所望の機械的及び美的特性を与えるように構成される少なくとも2つの外層の間に挿入されてもよい。あるいは、中心層が、リサイクルされた高分子材料で作られ、未使用の高分子材料製の少なくとも2つの層の間に挿入されてもよい。
【背景技術】
【0003】
多層ドーズの圧縮成形による多層物質の製造は公知である。従来技術の多層ドーズは通常、高分子材料製の少なくとも1つの中心層と2つの外層を連続的に押出し、多層ドーズを分離するために予め設定した間隔で切断されるように構成された多層押出物を供給することによって得られる。多層ドーズを得るための切断作業は、ブレードを使用して、中心層と周辺層の両方を切断して行われる。このようにして、平行六面体の形状を有し、より大きな面に対して平行な平面内に中心層があり、少なくとも2つのより小さな面に中心層が現れる多層ドーズを、より小さな面に沿って多層押出物を切断して多層ドーズを形成して、製造することが可能である。
【0004】
中心層は、多層ドーズによって画定される平行六面体の面の表面に現れるので、中心層はまた、多層ドーズを圧縮成形することによって形成される物体の外面にも現れる可能性がある。このことは、とりわけいくつかの種類の物体では望ましくない。なぜなら、中心層が物体の表面上で見える場合、物体の外観を悪くし、またその特性のいくつかを損なう恐れがあるからである。
【0005】
したがって、中心層は、ドーズの外層の間に包まれ、多層ドーズから得られる物体の外面に現れないことが望ましい。
【0006】
このことは、中心層がリサイクルされた材料から形成される場合のように、中心層がドーズの大部分を占める場合に特に当てはまる。この場合、中心層は、ドーズの体積の50~70%を占めることがある。
【0007】
中心層がドーズの外層の間に包まれるようにするために、中心層を断続的に押出し、一方で外層を連続的に押出すことが可能である。このようにして得られるものは、中心層が外層の間に挿入され、ある部分には中心層のみが存在し、他の部分には外層のみが存在する多層押出物である。そのような多層押出物を外層のみが存在する部分で切断すれば、ドーズが多層押出物から分離された部分であっても外層が中心層を覆う多層ドーズを得ることが可能である。
【0008】
特許文献1は、バルブのロッドが係合する通路孔を通って中心層の材料が断続的に押し出される装置の実施例を開示している。ロッドは、通路孔に沿って摺動して、通路孔の一端に配置された開口部から中心層の材料が流出することを可能にし、あるいは防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許第0232902号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の装置の欠点は、中心層の材料が断続的に押し出されることであり、この欠点はかなり複雑である。特にこのような装置は、特許文献1のバルブのロッドのような切断要素を必要とし、この切断要素は、正しく作動させるために非常に小さな公差で製造しなければならず、また押出しを行う間は極めて正確に制御しなければならない。
【0011】
本発明の目的は、多層ドーズ、特に複数の高分子材料を含む多層ドーズを得るための従来技術の装置及び方法を改善することである。この多層ドーズは、次に圧縮成形工程において成形されることが想定される。
【0012】
更なる目的は、多層ドーズの中心層を形成するための材料がドーズの外面に限定的に現れる、又はドーズの外面に全く現れない多層ドーズを得ることができる装置及び方法を提供することである。
【0013】
別の目的は、2つ以上の外層の間にできるだけ収容される中心層を有する多層ドーズを製造することができ、簡単に構築することができる装置を提供することである。
【0014】
別の目的は、2つ以上の外層の間にできるだけ収容される中心層を有する多層ドーズを製造することができ、簡単に作動させることができる装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の態様では、外側材料で作られる少なくとも2つの層の間に挿入される中間材料を含む多層押出物を製造する装置が提供される。この製造装置は、外側材料の各側流を流すための第1及び第2のダクトを含むダクト手段を備える。このダクト手段は、少なくとも中間材料を含む中心流を流すための更なるダクトも含む。製造装置は、中心流が前進方向に前進している間に少なくとも中心流と相互作用する少なくとも1つの妨害要素を更に備え、当該少なくとも1つの妨害要素は、予め設定した間隔で中心流を前進方向において妨害するように、進行方向に対して横向きの成分をもって移動可能である。
【0016】
妨害要素のおかげで、前進方向において中心流を周期的に中断し、又は少なくとも制限して、中間材料の厚さが多層押出物の全長にわたって一様ではない多層押出物を生成することができる。より具体的には、妨害要素によって、中間材料が存在しない、又は中間材料の厚さが非常に薄い領域を有する多層押出物を製造することができる。次の工程の間に多層押出物が上述の領域で切断される場合、中間材料がドーズの表面に現れない、又はわずかな量だけドーズの表面に現れる多層ドーズが得られる。このようにして得られた多層ドーズを圧縮成形することによって、品質の良好な物体を製造することができる。
【0017】
更に、妨害要素を中心流の前進方向に対して横向きの成分をもって移動させることにより、特許文献1に記載されている装置よりも構造的及び機能的に簡単な装置を得ることができる。実際、関連する通路孔内で前進方向に対して平行に摺動することによって中間材料の流れを中断するために特許文献1のロッドが必要とする小さな公差及び移動精度に結びついた困難さが排除される。
【0018】
一実施形態では、少なくとも1つの妨害要素は、予め設定した間隔で中心流を前進方向において中断するように構成される。
【0019】
こうして、多層押出物は、中間材料が存在する複数の部分を有し、この複数の部分は、中間材料が存在しない複数の更なる部分と交互になる。
【0020】
このようにして、ドーズの表面のうちドーズが多層押出物から分離される部分に中間材料が現れない多層ドーズを得ることが可能である。
【0021】
一実施形態では、少なくとも1つの妨害要素の移動は、前進方向に対して横方向、例えば垂直方向に沿った摺動移動である。
【0022】
これにより、構築や作動の点で簡単な装置を得ることができる。
【0023】
一実施形態では2つの妨害要素が設けられ、各妨害要素は、前進方向に対して横向きの成分をもって移動可能である。この2つの妨害要素は、前進方向に対して平行な軸線に関して中心流の両側で相互作用するように構成され、その結果、予め設定した間隔で中心流を前進方向において妨害する。
【0024】
これにより、中心流、ひいては中間材料を正確かつ効果的に制御することができる。
【0025】
本発明の第2の態様では、外側材料で作られる少なくとも2つの層の間に挿入される中間材料を含む多層押出物を製造する方法が提供される。この方法は、
・外側材料の少なくとも2つの側流を供給するステップと、
・少なくとも中間材料を含む中心流を供給するステップと、
・中心流が前進方向に前進している間に少なくとも中心流と相互作用する少なくとも1つの妨害要素を提供するステップと、
を備える。少なくとも1つの妨害要素は、予め設定した間隔で前進方向に流れる中心流を妨害するように、前進方向に対して横向きの成分をもって移動する。
【0026】
本発明の第2の態様によって提供される方法によれば、本発明の第1の態様による装置を参照して前述した利点を得ることができる。
【0027】
本発明は、添付図面を参照することでより良く理解しかつ実施することができ、添付図面は、本発明のいくつかの実施例、すなわち非限定的な実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】多層押出物を押し出すための共押出装置の第1の作動位置における概略断面図である。
図2図1の共押出装置の第2の作動位置における概略断面図である。
図3図1及び2の共押出機を使用して得られる多層押出物を一部破断して示す概略側面図である。
図4図3の多層押出物を切断することによって得られる多層ドーズの拡大断面図である。
図5図4のB方向から見たドーズを一部破断して示す断面図である。
図6】代替実施形態による共押出装置の第1の作動位置における概略断面図である。
図7図6の共押出装置の第2の作動位置における概略断面図である。
図8】代替実施形態による共押出装置の第1の作動位置における概略断面図である。
図9図8の共押出装置の第2の作動位置における概略断面図である。
図10】代替実施形態による共押出装置の第1の作動位置における概略断面図である。
図11図10の共押出装置の更なる作動位置における概略断面図である。
図12図10の共押出装置の第2の作動位置における概略断面図である。
図13】代替実施形態による共押出装置の第1の作動位置における概略断面図である。
図14図13の共押出装置の第2の作動位置における概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1及び2は、図3に示す多層押出物2を製造するための共押出装置1の内部を示す。その多層押出物2からは、図4及び図5に示す種類の多層ドーズ3を分離することが可能である。
【0030】
多層ドーズ3は、圧縮成形によって物体を得るために加工されるように構成される。多層ドーズ3から得ることができる物体は、容器、特に、しかし限定はしないが、粉末コーヒーや、水又は水蒸気によって抽出可能な他の成分を含むように構成されるカプセルであってもよい。あるいは、多層ドーズ3を使用して、キャップ、ガスケット、あるいはブロー成形又は延伸ブロー成形によって容器に加工するためのプリフォームを製造することができる。より一般的には、ドーズ3から得られる物体は、例えば凹部又は平坦な構造を有する任意の物体であってもよい。
【0031】
共押出装置1は、例えば少なくとも1つの金型を備える圧縮成形装置に含まれる。金型は、雄型部及び雌型部を有する。各金型は、対応するドーズ3を圧縮成形することによって物体を製造するように構成されてもよい。金型は、軸線、例えば垂直軸の周りを回転可能なカルーセルによって支持されてもよい。共押出装置1と金型の間に図示していない搬送装置が介在してもよく、この搬送装置は、各ドーズが金型の内側に放出されるように、多層ドーズを次々に収集してそれらを金型に搬送するのに適していてもよい。そのため搬送装置は、1つ以上の搬送要素を備え、各搬送要素が多層押出物2から分離されたドーズ3を受け取る収集位置と、各搬送要素が金型内にドーズ3を放出する放出位置との間の経路に沿って移動可能な構成としてもよい。搬送要素が移動可能な経路は、閉じた経路、例えば円形であってもよい。圧縮成形装置は、予め設定した間隔で多層押出物2を切断することによって、多層押出物2からドーズ3を分離するための分離要素を更に備えてもよい。分離要素は、ドーズを金型に向けて搬送する搬送要素に一体化されてもよく、搬送要素とは別個であってもよい。
【0032】
図1及び図2に示すように、共押出装置1は、外側材料で作られる少なくとも2つの層5及び中間材料7を供給するダクト手段4を備える。図示の例において、ダクト手段4は、第1のダクト4a及び第2のダクト4bを備え、これらの各ダクトを通って、層5を形成するための外側材料が流れることができる。より具体的には、第1の側流F1が第1のダクト4aを流れ、第1の側流F1は、2つの層5のうち一方の層を形成するための外側材料を含む。第2の側流F2は第2のダクト4bを流れ、第2の側流F2は、他方の層5を形成するための外側材料を含む。第1のダクト4a及び第2のダクト4bは、それぞれ押出機(図示せず)に接続されてもよく、各押出機は、層5の外側材料を供給するのに適している。
【0033】
また、ダクト手段4は、中間材料7を含む中心流40を流すための更なるダクト6を備える。多層押出物2において、中間材料7は、外側材料で作られる層5同士の間に挿入される。
【0034】
図示の例では、中間材料7のみが更なるダクト6を通過する。換言すれば、中心流40は中間材料7のみを含む。
【0035】
更なるダクト6は更なる押出機(図示せず)に接続される。更なる押出機は、更なるダクト6の中に中間材料7を供給する機能を有する。
【0036】
ダクト4手段におけるダクト、すなわち、第1のダクト4a、第2のダクト4b及び更なるダクト6は、長方形又は正方形の断面を有してもよい。
【0037】
中間材料7は、高分子材料、特に酸素、及び/又は気体、及び/又は香り、及び/又は光に対するバリア特性を有する高分子材料であってもよく、例えばEVOHであってもよい。この場合、中間材料7は、ドーズ3から形成される物質に所望の障壁特性を与えるのに適している。
【0038】
代替実施形態では、中間材料7が、例えば層5を形成する外側材料と同じ種類のリサイクルされた高分子材料であってもよい。
【0039】
層5を形成する外側材料は、ドーズ3から形成される物質に所望の美的特性及び機械的特性、特に所望の機械的強度を与えるための材料であってもよい。例えば、層5を形成する外側材料は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ乳酸(PLA)又はその他の材料であってもよい。
【0040】
層5を形成する外側材料は、中間材料7とは異なっていてもよい。あるいは、層5を形成する外側材料は、中間材料7と同じ種類であってもよい。後者の場合、中間材料7はリサイクルされた高分子材料であるが、層5を形成する外側材料は未使用の高分子材料である。
【0041】
これらの層5は同じ材料から形成されてもよく、又は一方の層5が他方の層5とは異なる材料で作られてもよい。
【0042】
これらの層5は同じ厚さを有してもよく、又は一方の層5が他方の層5とは異なる厚さを有してもよい。
【0043】
層5と中間材料7の間には、1つ以上の更なる層、例えば層5と中間材料7の間の接着力を改善するのに適した接着性又は相溶性高分子材料で作られた層を挿入することが可能である。
【0044】
更なるダクト6の少なくとも一部は、直線状でありかつ軸線Xに沿って延びていてもよい。第1のダクト4a及び第2のダクト4bは、軸線Xの両側に配置される。図示の例では、第1のダクト4a及び第2のダクト4bが軸線Xに対して対称に配置されているが、この条件は必須ではない。
【0045】
中間材料7を含む中心流40は、図示の例では軸線Xに平行な前進方向Aに沿って前進しながら、更なるダクト6内を流れる。
【0046】
更なるダクト6、第1のダクト4a及び第2のダクト4bは、送出ダクト9内で合流し、送出ダクト9の中で中間材料7が層5の外側材料に接合されて、多層押出物2を形成する。少なくとも導入延伸部において、送出ダクト9は軸線Xに沿って延びることができるが、この条件は必須ではない。
【0047】
第1のダクト4a及び第2のダクト4bはそれぞれ、横方向に、特に軸線Xに対して垂直方向に延びる導入部12を有していてもよい。
【0048】
第1のダクト4a及び第2のダクト4bはそれぞれ、送出ダクト9内で合流する末端部13を有することができる。末端部13は、軸線Xに対して斜めに延びていてもよい。
【0049】
図1及び2に示すように、共押出装置1は、中心流40が更なるダクト6の内部を前進方向Aに前進している間に少なくとも中間材料7を含む中心流40と相互作用する少なくとも1つの妨害要素を備える。図示の例では、妨害要素は、更なるダクト6のうち軸線Xに沿って向けられる部分の下流と、送出ダクト9のうち軸線Xに沿って向けられる部分の上流に配置される。
【0050】
図示の例では2つの妨害要素8a、8bが設けられており、これらの妨害要素は、更なるダクト6の両側に配置されている。しかしながら、この条件は必須ではなく、図示していない実施形態では、単一の妨害要素であっても十分な場合もある。
【0051】
以下でより詳細に説明するように、妨害要素8a、8bは、中心流40が前進方向Aに前進している間に、中間材料7を含む中心流40と相互作用するように構成される。
【0052】
より詳細には、妨害要素8a、8bは、更なるダクト6のうち軸線Xに沿って延びている部分に設けられる。
【0053】
妨害要素8a、8bは、第1のダクト4a、第2のダクト4b及び更なるダクト6が送出ダクト9内で合流する接合領域8の上流の位置に配置される。
【0054】
妨害要素8a、8bはそれぞれ、前進方向Aに対して横向きの成分をもって移動可能であり、図示の例では、この移動は、前進方向Aに対して横方向、例えば垂直方向に配列された方向に沿った並進移動である。
【0055】
換言すれば、各妨害要素8a、8bは、それぞれ方向D1、D2に沿って移動可能である。
【0056】
方向D1及びD2は互いに整列しているが、妨害要素8a、8bは、互いに接近又は離間するように移動する。
【0057】
言い換えれば、各妨害要素8a、8bの移動は、直線移動、すなわち直線的な前後移動である。
【0058】
したがって、妨害要素8a、8bはスライダのような形状である。
【0059】
より詳細には、妨害要素8a、8bは、図1に示す第1の作動位置P1と、図2に示す第2の作動位置P2の間で移動可能である。
【0060】
各妨害要素8a、8bは、層5の外側材料を通過させるための通路孔10を有する。各通路孔10は、第1のダクト4a及び第2のダクト4bがそれぞれの通路孔10内に開口するように、対応する妨害要素8a、8bの厚さ方向に、例えば軸線Xに対して斜めの方向に沿って延びている。
【0061】
通路孔10の横方向の寸法は、妨害要素8a、8bの上流のダクト4a、4bの横方向の寸法よりもわずかに小さくてもよいが、この条件は必須ではない。
【0062】
また各妨害要素8a、8bは、他方の妨害要素8b、8aの対応する接触面11に当接するのに適した接触面11を有する。接触面11は平面であってもよく、特に軸線Xに平行な平面内で延びていてもよい。
【0063】
各妨害要素8a、8bは、更なるダクト6を一時的に少なくとも部分的に閉鎖するための閉鎖面14によって、送出ダクト9とは反対側で区切られる。閉鎖面14は、軸線Xに対して横方向に、特に垂直方向に延びていてもよい。2つの妨害要素8a、8bの閉鎖面14は、同一平面内にあってもよい。
【0064】
第1の作動位置P1では、図1に示すように、妨害要素8a、8bが互いに離れている。より詳細には、接触面11は互いに接触していない。このことは、更なるダクト6が開口しており、中間材料7を含む中心流40は送出ダクト9に流入できることを意味する。特に、中心流40は、妨害要素8a、8bの接触面11の間に画定された空間を通って、妨害要素8a、8bの下流に流れる。
【0065】
層5を形成するための外側材料は、第1のダクト4a及び第2のダクト4bを流れ、対応する通路孔10を通過してから、送出ダクト9に到達する。ここで、層5を形成するための外側材料が中間材料7の側面で位置合わせされて、多層押出物2のうち、2つの層5の間に中間材料7が挿入される部分15が作成される。
【0066】
妨害要素8a、8bは、予め設定した時間間隔で、それぞれ方向D1及びD2に沿って、すなわち中心流40の前進方向Aに対して横方向(より正確には垂直方向)に、互いに向かって移動させられる。このようにして、図2に示すように、第2の作動位置P2に到達し、そこでは妨害要素8a、8bが互いに接触している。特に、第2の作動位置P2では、妨害要素8a、8bの接触面11が互いに対して位置合わせされている。この位置において、図示の例で共通の閉鎖面を画定する閉鎖面14は、中間材料7を含む中心流40を中断する。このようにして、妨害要素4a、4bは、中間材料7が送出ダクト9に到達することを防止する。すなわち、妨害要素8a、8bは、中間材料7と相互作用して、送出ダクト9に向かう中間材料7が通過することを阻止する。
【0067】
これに対し、側流F1、F2は送出ダクト9に向かって流れ続ける。なぜなら、通路孔10は、妨害要素8a、8bの第1の作動位置P1にあった位置からずれているが、妨害要素8a、8bの上流に配置された第1のダクト4a及び第2のダクト4bの各領域を送出ダクト9と連通させ続けるからである。この位置では、層5を形成するための外側材料のみが送出ダクト9に流入し、このようにして、多層押出物2のうち中間材料7が存在しない更なる部分16が形成される。
【0068】
次に、方向D1、D2に沿って妨害要素8a、8bを移動させることによって、妨害要素8a、8bが、再び互いから離れるように移動して第1の作動位置P1に再び到達し、その結果、中間材料7は、送出ダクト9への流入を再開することができる。
【0069】
要するに、第1の作動位置P1では、妨害要素8a、8bは、中間材料7を含む中心流40が送出ダクト9に流入することを可能にする。これに対し、第2の作動位置P2では、妨害要素8a、8bは、遮断要素として機能して、送出ダクト9に向かう中間材料7を含む中心流40を阻止する。
【0070】
層5の外側材料は、妨害要素8a、8bの下流に流れ、それにより、第1の作動位置P1と第2の作動位置P2の両方において送出ダクト9に到達する。
【0071】
通路孔10は、第1の作動位置P1と第2の作動位置P2の間にある中間作動位置にあっても、第1のダクト4a及び第2のダクト4bを送出ダクト9と連通させ、同時に妨害要素8a、8bは、互いに向かって及び/又は互いから離れるように移動する。
【0072】
既に説明したように、第1のダクト4a及び第2のダクト4bの末端部13は、更なるダクト6に対して斜めに配置されている。より具体的には、図2に示すように、第1のダクト4a及び第2のダクト4bの末端部13は、送出ダクト9内に開口し、それぞれ軸線A1、A2に沿って延在する。軸線A1、A2はそれぞれ、更なるダクト6、特に更なるダクト6の軸線Xと、90°未満、好ましくは45°未満の対応する角度K1、K2をなす。図示の例では角度K1、K2が互いに等しいが、この条件は必須ではない。
【0073】
これにより、中間材料7を含む中心流40が中断されたとき(第2の作動位置P2で起こる)、層5を形成するための外側材料は、流れが遮断されたばかりの中間材料7の後端に対して可能な限り後ろの位置で、送出ダクト9内に導入される。
【0074】
これは、層5を形成するための外側材料が、先に送出ダクト9に挿入された中間材料7を横方向に押し潰すのを防止することを目的としている。さもないと、多層押出物2において中間材料7が連続する端部同士の間で、不正確な分離を引き起こす恐れがある。
【0075】
図1及び図2に示す共押出装置1によって、図3に示す多層押出物2を得ることができる。この多層押出物2では、層5同士の間に中間材料7が存在しかつ挿入されている部分15と、中間材料7が存在しない更なる部分16が、規則的に交互に配置されている。
【0076】
中間材料7が存在しない更なる部分16で多層押出物2を切断することにより、図4に示す種類の多層ドーズ3を得ることができる。この多層ドーズ3では、中間材料7がドーズ3の外面に現れず、ドーズ3は外面で切断されて多層押出物2から分離される。
【0077】
より具体的には、ドーズ3は、長さL、幅W、厚さTを有する平行六面体の形状を有する。幅W及び厚さTは共押出装置1の出口の寸法によって決定され、この出口は、図示の例において長方形の断面を有する。これに対し、長さLは、多層押出物2の2つの連続する切断の間の間隔、より正確には、2つの連続する切断の間に経過する時間内に共押出装置1の出口から出て来る多層押出物2の長さに依存する。
【0078】
ドーズ3は、2つの切断面17によって区切られ、切断面17に沿って切断されて多層押出物2から分離される。これらの切断面17は、ドーズ3の長さLに等しい距離だけ離れて互いに対して位置合わせされる。
【0079】
またドーズ3は、より大きな2つの平面18と、より小さな2つの平面19によって区切られる。2つの平面18は、平行でかつ互いに厚さTに等しい距離だけ離れている平面内に存在する。2つの平面19は、平行でかつ互いに幅Wに等しい距離だけ離れている平面内に存在する。
【0080】
切断作業によって、ドーズ3が多層押出物2から分離される。この切断作業は、多層押出物2のうち中間材料7が存在しない更なる部分16で行われるため、中間材料7は切断面17に現れない。
【0081】
更に、第1のダクト4a、第2のダクト4b、更なるダクト6、及び送出ダクト9を適切に寸法設定することによって、より小さな平面19にも中間材料7が現れないようにすることが可能である。
【0082】
このようにして、層5の外側材料によって中間材料7が完全に取り囲まれるドーズ3が得られる。
【0083】
図6及び図7は、代替実施形態による共押出装置21を示す。図1及び図2に示す共押出装置1と共押出装置21の共通部分については、図1及び図2で使用した同一の参照番号で示し、再び詳細には説明しない。
【0084】
共押出装置21は、主にダクト4手段の構成が異なるため、共押出装置1と異なる。特に、二次ダクト4cは、妨害要素8aの上流で第1のダクト4aから分岐し、第1のダクト4aが送出ダクト9内に開口する領域の下流で送出ダクト9内に開口する。同様に、更なる二次ダクト4dは、妨害要素8bの上流で第2のダクト4bから分岐し、第2のダクト4bが送出ダクト9内に開口する領域の下流で送出ダクト9内に開口する。
【0085】
各妨害要素8a、8bは通路孔10を有し、この通路孔10は、それぞれ第1のダクト4a及び第2のダクト4bを流れる外側材料が送出ダクト9に到達できるように適している。更に、各妨害要素8a、8bは更なる通路孔20を有し、この通路孔20は、それぞれ二次ダクト4c及び二次ダクト4d内に存在する外側材料が送出ダクト9に到達することを選択的に可能にするのに適している。より詳細には、層5を形成するための外側材料は、第1のダクト4a内及び第2のダクト4b内を流れる。その外側材料の一部は、ある位置で、それぞれ二次ダクト4c内及び更なる二次ダクト4d内に分流され、残りの部分は、第1のダクト4a内及び第2のダクト4b内を流れ続ける。中間材料7を含む中心流40は、代わりに更なるダクト6を通過する。
【0086】
妨害要素8a、8bは、中間材料7を含む中心流40の前進方向A、すなわち軸線Xに対して横方向、特に垂直方向に配列された方向D1及びD2にそれぞれ沿った直線的な前後移動で、図1及び図2を参照して前述したものに従って移動可能である。更なるダクト6の少なくとも一部は、軸線Xに沿って延びており、妨害要素8a、8bにまたがって配置される。より詳細には、妨害要素8a、8bは、図6に示す第1の作動位置P1と、図7に示す第2の作動位置P2の間で移動可能である。第1の作動位置P1では、妨害要素8a、8bが互いに離れているので、それらの接触面11の間には、中間材料7を含む中心流40が通過できる空間が画定される。すなわち、第1の作動位置P1では、妨害要素8a、8bが、更なるダクト6を開いたままにする。その位置では、層5を形成するための外側材料は、通路孔10と更なる通路孔20の両方を通って妨害要素8a、8bの下流に流れることができる。実際には、第1の作動位置P1において、通路孔10は、層5を形成するための外側材料が第1のダクト4a及び第2のダクト4bを通って送出ダクト9に到達できるように、第1のダクト4a及び第2のダクト4bに配置されている。同様に、第1の作動位置P1において、更なる通路孔20は、二次ダクト4c及び更なる二次ダクト4dも中断されないように、二次ダクト4c及び更なる二次ダクト4dに配置されている。
【0087】
第2の作動位置P2では、妨害要素8a、8bが互いに接触している、すなわち、それらの接触面11が互いに当接している。このようにして、妨害要素8a、8bは、更なるダクト6の断面で更なるダクト6を閉鎖し、それにより、中間材料7を含む中心流40が送出ダクト9に到達することを防止する。通路孔10は、妨害要素8a、8bが第1の作動位置P1にあるときの位置に対して横方向にずれた位置にあるが、第1のダクト4a及び第2のダクト4bを依然として開いたままにすることができる。このようにして、層5を形成するための外側材料は、第1のダクト4a及び第2のダクト4bを通って送出ダクト9に流入し続けることができる。これに対し、二次ダクト4c及び更なる二次ダクト4dは、妨害要素8a、8bによって遮断される。これにより、妨害要素8a、8bの上流にある二次ダクト4c、4d内に存在する、層5を形成するための外側材料が送出ダクト9に流入することが防止される。
【0088】
第1の作動位置P1では、中間材料7及び層5を形成するための外側材料の両方が送出ダクト9に流入して、多層押出物2の部分15を生成する。更に、送出ダクト9内に到達する、外層5を形成するための材料は、第1のダクト4a及び第2のダクト4b、並びに二次ダクト4c及び更なる二次ダクト4dの両方から到達する。
【0089】
第2の作動位置P2では、層5を形成するための外側材料のみが、第1のダクト4a及び第2のダクト4bから到達し、送出ダクト9に流入する。実際には、妨害要素8a、8bは、更なるダクト6を通る材料の流れと、二次ダクト4c及び更なる二次ダクト4dを通る材料の流れの両方を遮断する。その結果、多層押出物2のうち中間材料7が存在しない更なる部分16が形成される。
【0090】
共押出装置21によって、共押出装置1で得られるものと同様の多層押出物2を得ることができる。しかしながら、4つのダクト4a、4b、4c、4d及び更なるダクト6を備えるダクト4手段では、層5を形成するための外側材料の流れの制御を改善することができる。
【0091】
図8及び図9は、代替実施形態による共押出装置31を示す。共押出装置31は、主に妨害要素の位置が異なる点において、前述した実施形態とは異なる。具体的には、共押出装置31は、前述の実施形態の妨害要素8a、8bの位置の上流の位置に配置された2つの妨害要素80a、80bを備える。より詳細には、妨害要素80a、80bは、中間材料7を含む中心流40とのみ相互作用するが、層5を形成するための外側材料には作用しないように構成される。
【0092】
妨害要素80a、80bは、更なるダクト6に沿って位置合わせされ、軸線Xに対して横方向に、特に垂直方向に直線移動可能である。更なるダクト6の少なくとも一部は、軸線Xに沿って、すなわち、中間材料7を含む中心流40の前進方向Aに対して横方向に、特に垂直方向に延びている。
【0093】
妨害要素80a、80bは、図8に示す第1の作動位置P1と、図9に示す第2の作動位置P2の間で、互いに整列している方向D1、D2に沿ってそれぞれ移動可能である。第1の作動位置P1では、妨害要素80a、80bが互いに離れているので、それらの接触面11の間には、中間材料7を含む中心流40のための通路が画定される。換言すれば、第1の作動位置P1では、更なるダクト6は中断されず、中間材料7は送出ダクト9に到達することができる。
【0094】
第1のダクト4a及び第2のダクト4bが妨害要素80a、80bの下流に配置されているので、妨害要素80a、80bはこれらのダクトと相互作用しない。その結果、第1のダクト4a及び第2のダクト4bは常に開いている、すなわち、これらのダクトは送出ダクト9と常に連通している。
【0095】
図9に示す第2の作動位置P2に到達するために、妨害要素80a、80bは、更なるダクト6内に中間材料7を含む中心流40の前進方向Aに対して横方向に、特に垂直方向に摺動することによって移動する。このようにして、妨害要素80a、80bは、接触面11を接触させるように、互いに向かって移動する。この位置では、更なるダクト6がその断面を閉鎖され、中心流40が中断される、すなわち、中間材料7はもはや送出ダクト9に到達しない。
【0096】
層5を形成するための外側材料は、妨害要素80a、80bによる影響を全く受けずに、送出ダクト9に到達し続ける。このようにして、多層押出物2の更なる部分16が形成される。
【0097】
図8及び図9を参照して説明した実施形態によって、図3に示す種類の多層押出物2を非常に簡単に形成することができる。実際には、層5を形成するための外側材料の通路孔がないので、妨害要素80a、80bは構造に関して非常に単純である。
【0098】
図10~12は、代替実施形態による共押出装置41を示す。この実施形態には、4つの妨害要素、すなわち、図1及び図2に示す対応する妨害要素と構造的及び機能的に類似する2つの妨害要素8a、8bと、図8及び図9に示す対応する妨害要素と構造的及び機能的に類似する2つの更なる妨害要素80a、80bが存在する。
【0099】
妨害要素8a、8bは、中間材料7と層5を形成するための外側材料の両方が流れる領域に配置される。更なる妨害要素80a、80bは、前進方向Aについて妨害要素8a、8bの上流に配置され、中間材料7を含む中心流40とのみ相互作用する。言い換えれば、妨害要素8a、8bは、更なるダクト6、第1のダクト4a及び第2のダクト4bが送出ダクト9内で合流する位置の付近の領域に配置される。これに対し、更なる妨害要素80a、80bは、第1のダクト4a及び第2のダクト4bが更なるダクト6からもっと離れている領域に設けられる。
【0100】
更なるダクト6の延伸部22は、更なる妨害要素80a、80bと妨害要素8a、8bの間に設けられる。
【0101】
図1、2、8及び9を参照して既に説明したように、妨害要素8a、8b及び更なる妨害要素80a、80bは、中間材料7を含む中心流40の前進方向Aに対して横方向に、特に垂直方向に配置された方向にそれぞれ沿って直線的に前後に摺動可能である。
【0102】
より詳細には、妨害要素8a、8b及び更なる妨害要素80a、80bは、図10に示す第1の作動位置P1、図12に示す第2の作動位置P2、及び図11に示す更なる作動位置P3に配置することができる。
【0103】
第1の作動位置P1では、妨害要素8a、8bが互いに離れており、その結果、更なるダクト6が妨害されない状態が保たれ、同時に、第1のダクト4a及び第2のダクト4bから到達する、層5を形成するための外側材料が送出ダクト9に流入することができる。また、更なる妨害要素80a、80bが互いに離れているので、更なるダクト6は、妨害要素8a、8bの上流でも閉鎖されない。このようにして、中間材料7を含む中心流40と、層5を形成するための外側材料の両方が送出ダクト9に到達し、多層押出物2の部分15を生成する。
【0104】
更なる作動位置P3では、遮断要素8a、8bは依然として互いに離れており、その結果、層5を形成するための外側材料と、中間材料7を含む中心流40が両方とも通過できる。これに対し、更なる妨害要素80a、80bは互いに接触し、その結果、妨害要素8a、8bの上流で、更なるダクト6内の中心流40を中断する。この位置では、層5を形成するための外側材料と、更なるダクト6の延伸部22内に存在する中間材料7とが、送出ダクト9に流入する。このようにして、多層押出物2の部分15が完成する。
【0105】
最後に、第2の作動位置P2では、妨害要素8a、8bは更なる妨害要素80a、80bと同様に互いに接触している。したがって、更なるダクト6は、妨害要素8a、8bに位置合わせされた断面及び更なる妨害要素80a、80bに位置合わせされた断面で閉鎖され、その結果、中間材料7を含む中心流40は、送出ダクト9に到達することができない。これに対し、層5の外側材料は、妨害要素8a、8bの通路孔10を通って送出ダクト9に流入することができる。たとえ妨害要素8a、8bの移動のせいで通路孔10が第1の作動位置P1及び更なる作動位置P3に対して(前進方向Aに対して横方向に沿って)ずれても、第2の作動位置P2においてさえも、第1のダクト4a及び第2のダクト4bが開かれていて、外側材料が送出ダクト9に到達できるように、通路孔10及びダクト4a、4bが寸法設定される。この条件では、層5を形成するための外側材料のみが送出ダクト9に流入する。このようにして、多層押出物2の更なる部分16が生成される。
【0106】
共押出装置41によって、排出ダクト9に向かう材料の流れの圧力、特に妨害要素8a、8bと更なる妨害要素80a、80bの両方が作用する中間材料7の圧力を最適に制御しながら、図3に示す種類の多層押出物2を得ることができる。
【0107】
図13及び14は、代替実施形態による共押出装置51を示す。共押出装置51は、図1及び図2に示す共押出装置1と、いくつかの点で構造的に類似する。
【0108】
また、共押出装置51は、外側材料を供給する第1のダクト4a及び第2のダクト4bを備えるダクト手段4を備える。また、ダクト手段4は、中心流40を通過させるための更なるダクト6を備える。
【0109】
第1のダクト4a、第2のダクト4b、及び更なるダクト6は、送出ダクト9内で合流する。
【0110】
更なるダクト6内では、中心流40が前進方向Aに流れる。送出ダクト9の付近の更なるダクト6の少なくとも端部は、軸線Xに沿って延在する。送出ダクト9の少なくとも導入部も、軸線Xに沿って延在する。
【0111】
また2つの妨害要素28a、28bも設けられており、これらの妨害要素28a、28bは、図示の例で、第1のダクト4a、第2のダクト4b、及び更なるダクト6が一緒に接合して送出ダクト9を形成する合流領域8のすぐ上流に配置されている。妨害要素28a、28bは、先の図を参照して既に説明したのと同様に、図13に示す第1の作動位置P1と、図14に示す第2の作動位置P2の間を前後に移動して直線的に移動可能である。
【0112】
前述した実施形態におけると同様に、妨害要素は板状である。
【0113】
妨害要素28a、28bは、それぞれ通路孔10を有する。先の図の例と同様に、これらの通路孔10は、軸線Xに対する第1のダクト4aの傾斜と第2のダクト4bの傾斜とそれぞれ実質的に等しい傾斜で軸線Xに対して傾斜して、妨害要素28a、28b内に延びている。
【0114】
図13及び図14に示す妨害要素28a、28bでは、軸線Xに沿って測定した厚さが、先の図に示す妨害要素の厚さよりも大きい。妨害要素28a、28はそれぞれ、接触面11によって部分的に区切られた互いに向かい合う端部を有する。また妨害要素28a、28bの互いに向かい合う端部は、対応する斜面41によっても区切られる。各斜面41は、対応する接触面11に隣接する位置で位置合わせされ、更なるダクト6の方を向いている。
【0115】
更なるダクト6は、外側材料で作られる2つの層5の間に挿入される中間材料7を含む中心流40を受け入れるように構成される。したがって中心流40は、前述の実施形態とは異なり多層流である。
【0116】
図13に示す第1の作動位置P1では、妨害要素28a、28bが互いに離れている。接触面11は互いに接触していない。したがって、接触面11の間には中心流40が流れることができる空間があり、この空間によって送出ダクト9に到達することができる。
【0117】
先の例と同様に、第1の作動位置P1における接触面11間の距離は、妨害要素の上流側の中心流40の厚さと実質的に等しい。
【0118】
これまでの実施形態とは対照的に、第1の作動位置P1において、妨害要素28a、28bの閉鎖面14は、それぞれ第1のダクト4a及び第2のダクト4bに対向している。このようにして、閉鎖面14は、第1のダクト4a及び第2のダクト4b内に存在する材料が送出ダクト9に到達することを防止する。したがって、第1のダクト4a及び第2のダクト4bは、送出ダクト9と流体連通していない。
【0119】
したがって、第1の作動位置P1では、妨害要素28a、28bは、それぞれ第1のダクト4a及び第2のダクト4bを遮断する遮断要素として機能する。
【0120】
妨害要素28b、28bが第1の作動位置P1にあるとき、多層押出物2のうち、中間材料7と層5を形成する外側材料の両方が存在する部分15は、このようにして得られる。これらの材料は両方とも、別のダクト6から到達する。
【0121】
第2の作動位置P2では、妨害要素28a、28bが互いに接触している。特に、接触面11は軸線Xに沿って互いに接触する。このようにして、更なるダクト6は、送出ダクト9から隔離される、すなわち、もはや送出ダクト9と流体連通していない。換言すれば、遮断要素28a、28bは更なるダクト6を遮断する。
【0122】
第2の作動位置P2では、通路孔10は、それぞれ第1のダクト4a及び第2のダクト4bを向いており、第1のダクト4a及び第2のダクト4bを出口ダクト9と流体連通させる。このようにして、第1のダクト4a及び第2のダクト4bから到達する外側材料は、送出ダクト9に流入することができる。ここで、遮断要素28a、28bによって更なるダクト6が閉鎖されるため中間材料7が存在しないので、外側材料は、互いに接触する2つの層5を形成する。このようにして、多層押出物2のうち中間材料7が存在しない更なる部分16が形成される。
【0123】
これまで説明した共押出装置の実施形態では、平行六面体の形状を有するドーズ3が常に参照されてきた。この形状は、多層押出物2が出て来る長方形状の出口を共押出装置が有するために実現可能である。直方体形状の特殊な場合は、立方体形状である。これは、ドーズ3が長さL、幅W及び厚さTが互いに等しい平行六面体、すなわち立方体の形状を有してもよいことを意味する。ドーズ3は、他の形状、例えば円筒形状であってもよい。
【0124】
これまで説明した共押出装置の実施形態では、妨害要素同士が互いに連携して作動し、予め設定した間隔で、中間材料7を含む中心流40を前進方向Aにおいて選択的に遮断する。
【0125】
また、中心流40を停止させるのではなく、中心流を制限する、すなわち、第2の作動位置P2においてさえも最低限の量の中間材料7を通過させることができる少なくとも1つの妨害要素を設けることも可能である。これにより、最低限の量の中間材料7が切断面17に現れるドーズ3を得ることができ、このドーズ3は、何らかの用途では許容可能であるかもしれない。
【0126】
前進方向Aは、少なくとも1つの妨害要素にまたがる位置に規定される。
【0127】
上記の実施例では、1対又は2対の妨害要素を備える共押出装置を参照した。理論的には、異なる数の妨害要素も可能である。例えば、必ずしも固定位置に配置される必要はないが、接触要素と連携して作動する単一の妨害要素も十分あり得る。
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【国際調査報告】