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特表2023-500232認知能力を変えるための方法及びシステム
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  • 特表-認知能力を変えるための方法及びシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-05
(54)【発明の名称】認知能力を変えるための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G09B 19/00 20060101AFI20221223BHJP
   A61G 10/02 20060101ALI20221223BHJP
【FI】
G09B19/00 Z
A61G10/02 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022524577
(86)(22)【出願日】2020-10-28
(85)【翻訳文提出日】2022-06-15
(86)【国際出願番号】 IL2020051120
(87)【国際公開番号】W WO2021084531
(87)【国際公開日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】270263
(32)【優先日】2019-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522166091
【氏名又は名称】アヴィヴ サイエンティフィック リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Aviv Scientific Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】プレミンガー,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ハダニー,アミル
【テーマコード(参考)】
4C341
【Fターム(参考)】
4C341KL04
4C341KL06
(57)【要約】
本開示は、認知能力を改善するための方法およびシステムに関する。より具体的には、本開示は、高圧条件下での認知訓練のための方法およびシステムに関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の認知能力を変える方法であって、
1又はそれ以上の処理サイクルによって前記対象を処理するステップを含み、
各処理サイクルは、高圧状態および酸素豊富な環境に前記対象を曝露することと、前記曝露の間に少なくとも1つの認知訓練タスクを実行することとを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
少なくとも2つの処理サイクルを含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、
5~120サイクルを含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法において、
処理条件が各処理サイクルにおいて同じであることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法において、
処理条件が処理サイクルごとに異なることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法において、さらに、
前記曝露の前に対象の認知能力を評価して第1のスコアを取得することを含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法において、さらに、
前記曝露の後の対象の認知能力を評価して第2のスコアを取得することを含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、
さらに、前記第1のスコアと第2のスコアとを比較して、対象の評価スコアを取得することを含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、
所定の処理サイクルに対する前記評価スコアが、1又はそれ以上の後続の処理サイクルにおける処理条件を決定することを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法において、
前記高圧状態が、約1.1絶対気圧(ATA)と約3.2ATAとの間の圧力に対象を曝すことを含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法において、
前記酸素豊富な環境が、約22体積%~約100体積%の酸素を含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法において、
各処理サイクルが約1分~200分の期間にわたって実施されることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の方法において、
各処理サイクルが、約1分~約240分の間の前記酸素豊富な環境への曝露の合計時間を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の方法において、
前記酸素豊富な環境への曝露が断続的に実行されることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、
前記酸素豊富な環境への曝露が、前記規定された期間の間に、前記規定された期間中のより低い酸素レベルの投与の間隔で実行されることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、
前記間隔が約10秒~約30分の間であることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の方法において、さらに、
前記処理サイクルの前に圧縮段階を含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、
前記圧縮が、約0.1m/分~約2m/分の間の速度で実行されることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載の方法において、さらに、
前記処理サイクルの後に減圧段階を含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、
前記減圧が、約0.1m/分から約2m/分の間の速度で実行されることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか一項に記載の方法において、
前記少なくとも1つの認知訓練タスクは、言語記憶タスク、非言語記憶タスク、即時記憶タスク、遅延記憶タスク、情報処理速度タスク、注意タスク、実行機能タスク、運動タスク、視覚知覚タスク、マルチタスク割り当て、視覚空間タスク、言語タスク、ナビゲーションタスク、インテリジェンスタスク、作業記憶タスク、タスク切り替え、応答抑制タスク、精神運動速度タスク、言語機能タスク(流暢さ/命名/語彙)、応答時間、二重決定、持続的注意、分割注意、選択的注意、作業記憶、長期記憶、推論、聴覚処理、およびそれらの組み合わせから選択される1又はそれ以上のタスクであることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか一項に記載の方法において、
前記処理サイクルが、さらに、前記高圧条件下及び前記酸素豊富な環境下で実行される少なくとも1つの物理的訓練タスクを含むことを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか一項に記載の方法において、対象が脳損傷の病歴を有することを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法において、
前記脳損傷が、脳卒中、外傷性脳損傷(TBI)、虚血、低酸素症、代謝障害による損傷、毒性曝露による損傷、および感染から選択されることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項1~22のいずれか一項に記載の方法において、
対象が神経変性疾患、認知症、又は軽度認知障害に罹患していることを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項1~22のいずれか一項に記載の方法において、
対象が加齢に関連する認知機能低下を患っていることを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項1~22のいずれか一項に記載の方法において、
対象が脳性麻痺に罹患していることを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項1~22のいずれか一項に記載の方法において、
対象が発達異常を患っていることを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項1~22のいずれか一項に記載の方法において、
対象が健康な対象であることを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項1~29のいずれか一項に記載の方法で使用するためのシステムにおいて、前記システムは、
少なくとも1人の対象を収容し、その対象に高圧状態を適用するように構成された少なくとも1つの高圧チャンバと、
前記チャンバ内に酸素豊富な環境を形成することを可能にし、及び/又は前記対象に前記酸素豊富な環境を施すように構成された少なくとも1つの制御可能な酸素投与ユニットと、
対象が前記少なくとも1つの認知訓練タスクを実行することを可能にするように構成された前記チャンバ内の認知訓練の少なくとも1つの手段と、
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項31】
請求項30に記載のシステムにおいて、さらに、
対象が少なくとも1つの物理的訓練タスクを実行することを可能にするように構成された、前記チャンバ内の少なくとも1つの物理的訓練の手段を含むことを特徴とするシステム。
【請求項32】
請求項30または31に記載のシステムにおいて、さらに、
対象の少なくとも1つの物理的パラメータを監視するための少なくとも1つの監視ユニットを含むことを特徴とするシステム。
【請求項33】
請求項30~32のいずれか一項に記載のシステムにおいて、さらに、
前記システムを操作および制御するための少なくとも1つのコントローラを含むことを特徴とするシステム。
【請求項34】
請求項30~33のいずれか一項に記載のシステムにおいて、
前記チャンバが2又はそれ以上の対象を収容するように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項35】
請求項34に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも1つの制御可能な酸素投与ユニットが、制御可能な酸素豊富な環境を各対象に施すように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項36】
請求項35に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも1つの制御可能な酸素投与ユニットが、各対象のそれぞれに異なる酸素豊富な環境を施すように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項37】
請求項34~36のいずれか一項に記載のシステムにおいて、
前記認知訓練の少なくとも1つの手段は、各対象が少なくとも1つの認知訓練タスクを独立して実行することを可能にするように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項38】
請求項37に記載のシステムにおいて、
前記認知訓練の少なくとも1つの手段が、各対象が異なる認知訓練タスクを実行することを可能にするように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項39】
請求項30~38のいずれか一項に記載のシステムにおいて、
前記チャンバが、さらに、
少なくとも1つの圧縮サブチャンバと、少なくとも1つの訓練サブチャンバと、少なくとも1つの減圧サブチャンバとを含み、
前記少なくとも1つの圧縮サブチャンバ、前記少なくとも1つの訓練サブチャンバ、前記少なくとも1つの減圧サブチャンバは、対象はそれらの間を移動できるように互いにリンクされていることを特徴とするシステム。
【請求項40】
請求項39に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも1つの圧縮サブチャンバと、前記少なくとも1つの訓練サブチャンバ、前記少なくとも1つの減圧サブチャンバは、互いに一体であることを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、認知能力を改善するための方法およびシステムに関する。より具体的には、本開示は、高圧条件下での認知訓練のための方法およびシステムに関する。
【0002】
現在開示されている主題の背景として関連すると考えられる参考文献を以下に示す。
[1] Vadas et al., Frontiers in Integrative Neuroscience 2017, 11, 25
[2] Gill et al., J Appl Physiol 2014, 117(4), 406-412
[3] Ergen et al., Clin Neurophysiol 2017, 128(4), 579-588
[4] Yu et al., Clin Neurophysiol 2015, 126(11), 2058-2067
[5] Komiyama et al., Sci Rep 2017, 7(1), 10,000
[6] Su et al., Zhonghua Yu Fang 2016, 50(7), 600-604
[7] Bayer et al., Adv Gerontol 2017, 30(2), 255-261
[8] Malle et al., Aerosp Med Hum Perform 2016, 87(1), 3-12
[9] Goodwin et al., Neuroimage 2009, 47(2), 573-580
[10] Chung et al., Physiol Meas 2007, 28(4), 389-396
[11] Scholey et al., Physiol Behav 1999, 67(5), 783-789
[12] Scholey et al., Psychopharmacology 1998, 140(1), 123-126
[13] Tennstedt et al., J Aging Health 2013, 25(8), 3S-20S
[14] Ball et al., JAMA 2002, 288(18), 2271-2281
[15] Noice et al., J Aging Health 2004, 16(4), 562-585
[16] Neely et al., J Gerontol B 1995, 50(3), 134-140
[17] Unverzagt et al., J Int Neuropsychol Soc 2009, 13(6), 953-960
[18] Willis et al., JAMA 2006, 296(23), 2805-2814
[19] Wolinsky et al., J Gerontol A 2006, 61(12), 1324-1329
【0003】
本明細書における上記の参考文献の確認は、これらが現在開示されている発明の特許性に何らかの形で関連していることを意味するものとして推論されるべきではない。
【背景技術】
【0004】
減圧症や一酸化炭素中毒の影響の治療、動脈ガス塞栓症の治療、火傷患者の皮膚の成長の促進など、様々な状態の高圧治療は長年にわたって知られている。このような治療は、通常、患者をチャンバに収容することによって実行され、そこでは、制御された圧力の上昇を得ることができる。一部の治療プロトコルでは、高圧治療中に患者は酸素富化な環境にも晒される[1-12]。周囲条件での認知訓練は、さまざまな認知障害に苦しむ患者の認知機能を改善することが示されている[13-19]。今日まで、高圧治療条件に課せられた厳格な制約のため(通常、患者が移動する余地がほとんどない狭いチューブ状のチャンバで実行され、および/または酸素豊富な環境のために電気機器の挿入が妨げられる)、認知訓練などの高圧治療中に実行される追加の治療ルートの効果はまだ調査されていない。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、酸素豊富な環境での高圧曝露を高圧チャンバ内で実施される認知訓練と組み合わせることによって認知機能を変える(例えば、改善する)ための方法およびシステムに関する。そのような併用治療は、長期的な効果で認知機能を変えることを目的とし、すなわち、治療が実施された後にそのような変更を取得し、維持することを目的とする(すなわち、治療を実施した後、少なくとも一定期間、治療によって得られた認知機能に対する治療効果を維持する)。
【0006】
したがって、本開示の一態様によって提供される方法は、対象の認知能力を変える方法であって、1又はそれ以上の処理サイクルによって前記対象を処理するステップを含み、各処理サイクルは、高圧状態および酸素豊富な環境に前記対象を曝露することと、前記曝露の間に少なくとも1つの認知訓練タスクを実行することとを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、高圧条件および酸素豊富な環境への曝露を、前記曝露中に実行される少なくとも1つの認知訓練タスクと組み合わせると、認知能力の変化に相乗効果がもたらされる。
【0008】
本開示の文脈内で、変えるという用語(またはその任意の言語的変化)は、対象の認知能力に対するまたは結果として生じる少なくとも1つの所望の効果の誘導を包含することを意味する。したがって、本明細書に開示される方法によって対象を治療することは、治療自体によって、または認知能力の変化をもたらす関連メカニズムを誘発することによって、認知能力に関連する少なくとも1つの効果を誘発、増強、改善、阻止または減少させることができる。この用語はまた、認知障害に関連する望ましくない症状を改善し、それらが発生する前にそのような症状の発現を防ぎ、認知障害の進行を遅らせ、認知障害に関連する症状の悪化を遅らせ、認知障害の進行性慢性期に引き起こされる不可逆的な損傷を遅らせ、上記の進行段階の開始を遅らせ、認知障害の重症度を軽減し、脳損傷からの回復を改善し、正常な認知機能を改善し、または上記の2つ以上の組み合わせを包含することを意味する。
【0009】
いくつかの実施形態では、この方法は、対象の認知能力を改善または強化する。
【0010】
他の実施形態では、この方法は、少なくとも1つの認知機能障害に関連する少なくとも1つの症状を軽減または阻む。
【0011】
さらに他の実施形態では、この方法は、認知訓練を実行するため、および/または前記1つまたは複数の治療サイクルのセットを完了するために、対象の適合性を高める。
【0012】
認知能力(または本開示で交換可能に使用される認知機能)という用語は、対象が規定された精神的タスクを実行することを可能にする、知覚、思考、推論、記憶、感覚、想像力などを含む精神的または知的プロセスを包含することを意味する。例示的な非限定的な認知機能は、言語記憶、非言語記憶、即時記憶、遅延記憶、情報処理速度、注意、実行機能、運動機能、視覚、マルチタスク、視覚空間認識、言語表現、ナビゲーション、インテリジェンス、作業記憶、タスク切り替え、反応抑制、精神運動速度、言語の流暢さ、物の命名、語彙の識別などである。
【0013】
本開示の方法は、治療される対象を高圧および酸素豊富な状態(高圧酸素治療-HBOT)に曝露することを含み、その間、少なくとも1つの認知課題が対象によって実行される。
【0014】
高圧状態とは、被験者が加圧環境、つまり標準大気圧を超える圧力が存在する環境(>1気圧)にさらされることを指す。このような高圧状態は、対象がそこにいる間に制御された圧力増加を可能にするチャンバである高圧チャンバを利用することによって得ることができる。このような高圧チャンバは、例えば、単一の対象を収容するのに適しているか、または2つ以上の対象を同時に収容するのに適している。
【0015】
いくつかの実施形態では、高圧条件は、対象を約1.1絶対気圧(ATA)と約3.2ATAとの間の圧力に曝すことを含む。他の実施形態では、高圧状態は、対象を約1.2ATAから約3ATAの間の圧力に曝すことを含む。
【0016】
圧力の上昇とともに、対象は、酸素豊富な環境にさらされ、これは、いくつかの実施形態では、約22体積%~100体積%の間の酸素を含む環境である。他の実施形態では、酸素豊富な環境は、約25体積%、30体積%、35体積%、40体積%、45体積%、50体積%、55体積%、60体積%、65体積%、70体積%、75体積%、80体積%、85体積%、90体積%、95体積%、98体積%、さらには100体積%の酸素を含む。いくつかの他の実施形態では、酸素豊富な環境は、約30体積%~約100体積%の間、約40体積%~約100体積%の間、50体積%~100体積%の間、さらには60体積%~100体積%の間を含む。
【0017】
他の実施形態では、酸素豊富な環境は、大気圧より上で提供される約21体積%の酸素を含む。
【0018】
酸素豊富な環境は、高圧チャンバの全容積で提供することができ、または、例えば個人用マスク、フード、カニューレなどを介して、チャンバ内の各対象に個別に施すことができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、酸素豊富な環境における酸素のレベルは、治療サイクルを通して一定に維持される。
【0020】
他の実施形態では、前記酸素豊富な環境への曝露は断続的に行われる。このような実施形態では、前記酸素豊富な環境への曝露は、前記規定された期間の間に、より低い酸素レベル(例えば、21体積%の酸素または周囲空気)を施す間隔とともに、規定された期間中に実施される。そのような間隔は、例えば、酸素豊富な環境の投与の間の約10秒~30分の間である。いくつかの実施形態では、間隔は、約1分~約10分の間である。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、各治療サイクルは、約1分から200分の間の前記酸素豊富な環境への曝露の合計(経過)時間を含む。他の実施形態では、前記曝露の合計時間は、約10分~180分の間、約10分~160分の間、約10分~140分の間、または約10分~120分の間でさえあり得る。いくつかの他の実施形態では、前記曝露の合計時間は、約20分~200分の間、約30分~180分の間、約40分~160分の間、約50分~140分の間、または約60分~120分の間でさえあり得る。
【0022】
高圧および高酸素状態への曝露中(および時には酸素豊富な環境への曝露の間の期間)、少なくとも1つの認知訓練タスクが対象によって実行されている。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの認知訓練タスクは、応答時間、二重決定、持続的注意、分割注意、選択的注意、作業記憶、長期記憶、推論、聴覚処理、言語記憶タスク、非言語記憶タスク、即時記憶タスク、遅延記憶タスク、情報処理速度タスク、注意タスク、実行機能タスク、運動タスク、視覚知覚タスク、マルチタスクの割り当て、視覚空間タスク、言語タスク、ナビゲーションタスク、インテリジェンスタスク、作業記憶タスク、タスク切り替え、反応抑制タスク、精神運動速度タスク、言語機能タスク(流暢さ/命名/語彙)、その他、およびそれらの組み合わせから選択される1つまたは複数のタスクである。認知訓練または認知タスクは、任意の適切な手段、例えば、オペレータとの対話、専用のデバイスまたはツールとの対話、事前に決定されたテストまたは割り当ての実行などによって実行される。
【0023】
この方法は、典型的には、少なくとも2つの治療サイクルの間、いくつかの実施形態によって5~120サイクルの間で実行される。サイクルは毎日実行することができる(すなわち、1日あたり1サイクル)。代替的に、治療サイクルは、2日ごと、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと、毎週、隔週などで実行され得る。施術者にとって明らかであるように、本明細書に開示される方法はまた、治療サイクルの任意の連続シーケンス、例えば、数日間の休息が続く数日サイクル(例えば、5日間のサイクルの後に2日間の休息が続くシーケンス)を含む。サイクル数は、所望の認知能力の修正のレベルに応じて、および/または対象の医学的/認知的履歴または状態に応じて変化する可能性があることに留意されたい。
【0024】
いくつかの実施形態では、治療条件(すなわち、圧力、体積%の酸素、認知訓練タスクのタイプなど)は、各治療サイクルにおいて同じである。他の実施形態では、治療条件はサイクルごとに異なる。さらなる実施形態では、治療条件は、対象の状態および認知能力の変化のレベルに応じて変化し得ることに留意されたい。例えば、所与の一連の条件でいくつかのサイクルを実行し、その後に異なる一連の治療条件でいくつかのサイクルを実行することができる。
【0025】
各治療サイクルは、いくつかの実施形態により、約1分~200分の期間で実施される。
【0026】
この方法は、いくつかの実施形態によれば、第1の認知能力スコアを得るために、治療条件への前記曝露の前に対象の認知能力を評価することをさらに含む。さらなる実施形態では、この方法は、第2の認知能力スコアを得るために、治療条件への前記曝露後の前記対象の認知能力を評価することをさらに含む。第1のスコアと第2のスコアを比較する(または第1及び第2のスコアに適切なアルゴリズムを適用する)ことで、対象の評価/査定スコアを取得して、対象の進行状況を判断できる。認知能力の評価は、治療サイクル中いつでも実施することができる。いくつかの実施形態では、所与の治療サイクル(又はいくつかのサイクルのシーケンスの後)の評価スコアは、例えば、ベースラインスコア、治療サイクル中の進行中のスコア、同じ年齢層の相対スコアなどの1又はそれ以上と比較して、1又はそれ以上の後続の治療サイクルにおける治療条件を決定する。
【0027】
スコアという用語は、対象の認知能力を評価できる、関連する測定可能または評価可能な値、すなわち定量的または定性的な値を指すことを意味する。
【0028】
この方法は、前記治療サイクルの前に圧縮段階をさらに含み、圧縮は、通常、約0.1m/分~約2m/分の間の速度で実施される。この方法はまた、前記処理サイクル後の減圧段階を含み、これは、典型的には、約0.1m/分~約2m/分の間の減圧速度で実施される。
【0029】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの治療サイクルは、前記高圧条件下および酸素豊富な環境下で実行される少なくとも1つの身体訓練タスクをさらに含む。身体訓練は、例えば、サイクリング、ウォーキング、パワーウォーキング、ランニング、ジャンプ、ウェイトリフティング、ハンドサイクリングなどといった、それ自体が知られている任意の適切な身体訓練である。本開示の文脈では、認知訓練に加えて身体訓練を利用して、1又はそれ以上の認知機能の修正を得ることができることに留意されたい。
【0030】
対象は通常、成人または小児のいずれかの人間である(小児は18歳未満の対象を指す)。対象は健康であるか、1またはそれ以上の認知障害または損傷に苦しんでいるか、または脳損傷の病歴を有する。いくつかの実施形態において、対象は、脳損傷、例えば、脳卒中、外傷性脳損傷(TBI)、虚血、出血性損傷、外傷性損傷、無酸素症、低酸素症、代謝障害による損傷、毒性曝露による損傷、および感染の病歴を有する。他の実施形態では、対象は、神経変性疾患、認知症、または軽度認知障害に苦しんでいる。他のいくつかの実施形態では、対象は、加齢に関連する認知機能の低下に苦しんでいる。さらなる実施形態では、対象は脳性麻痺を患っている。さらに別の実施形態では、対象は異常な発達に苦しんでいる。さらにいくつかの他の実施形態によれば、対象は健康な対象である。さらなる実施形態によれば、対象は、障害について事前に診断されているか、または診断されていない。さらに別の実施形態によれば、対象はプロのアスリートである(すなわち、治療は、アスリートの身体的パフォーマンスではなく、アスリートの認知的および精神的パフォーマンスを改善するように調整される)。
【0031】
また本開示は、本明細書に記載の方法を操作するためのシステムを提供する。したがって、別の態様では、本開示の方法で使用するためのシステムが提供される。
【0032】
本開示のさらなる態様は、本明細書に記載の方法を操作するためのシステムであり、このシステムは、少なくとも1人の対象を収容し、その対象に高圧状態を適用するように構成された少なくとも1つの高圧チャンバと、チャンバ内に酸素豊富な環境を形成することを可能にし、及び/又は対象に前記酸素豊富な環境を施すように構成された少なくとも1つの制御可能な酸素投与ユニットと、対象が少なくとも1つの認知訓練タスクを実行することを可能にするように構成されたチャンバ内の認知訓練の少なくとも1つの手段とを含む。
【0033】
本開示の文脈において、高圧チャンバという用語は、一つの場所のチャンバ(すなわち、単一のユーザの占有のための)または複数の場所のチャンバ(1人以上のユーザの占有のための)を包含することを意味する。チャンバは単一であるか、サブチャンバまたは処理ゾーンに分割されており、サブチャンバまたはゾーンに適用される条件は、別のサブチャンバまたはゾーンの条件と同じか又は異なる。
【0034】
いくつかの実施形態によれば、高圧チャンバは、さらに、少なくとも1つの圧縮サブチャンバと、少なくとも1つの訓練サブチャンバと、少なくとも1つの減圧サブチャンバとを含む。圧縮サブチャンバ、訓練サブチャンバ、減圧サブチャンバは、対象がそれらの間を移動できるように互いにリンクされており、例えばサブチャンバは、互いに一体である。
【0035】
いくつかの実施形態では、高圧チャンバは、治療される単一の対象を収容するように構成される。
【0036】
他の実施形態では、高圧チャンバは、その中で同時に治療される2つ以上の対象を収容するように構成される。そのような実施形態では、少なくとも1つの制御可能な酸素投与ユニットは、制御可能な酸素豊富な環境を各対象に施すように構成され、および/または異なる酸素豊富な環境を各対象に施すように構成される。
【0037】
認知訓練の少なくとも1つの手段は、いくつかの実施形態によれば、各対象が少なくとも1つの認知訓練タスクを独立して実行することを可能にするように構成される。認知訓練の少なくとも1つの手段は、各対象が、異なる認知訓練タスクを実行し得るように、および/またはチャンバ内の他の対象から独立して実行し得るように構成される。
【0038】
本システムは、さらに、対象が少なくとも1つの身体的訓練タスクを実行することを可能にするように構成された、チャンバ内の身体的訓練の少なくとも1つの手段を含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、本システムは、さらに、対象の少なくとも1つの身体的パラメータ(例えば、心拍数、酸素飽和度、血圧、グルコースレベル、様々なマーカおよび/または電解質など)を監視するための少なくとも1つの監視ユニットを含む。監視される身体的パラメータは、いくつかの実施形態によって、1またはそれ以上の後続の治療サイクルにおける状態を(少なくとも部分的に)決定するために使用される。
【0040】
さらなる実施形態では、本システムは、さらに、本システムを操作および制御するための少なくとも1つのコントローラを備える。
【0041】
また、本システムは、チャンバ内に1またはそれ以上の通信手段を備え、治療対象とチャンバの外側にいるオペレータが治療セッション中に互いに通信することを可能にする。
【0042】
また、本システムは、1またはそれ以上の娯楽および/またはインタラクティブな手段/ユニット、例えば、音楽プレーヤー、テレビ画面、コンピュータインタフェースなどを含む。
【0043】
本明細書で使用される場合、約という用語は、時間、圧力、体積%などといったパラメータの具体的に言及された値からの±10%の逸脱を包含することを意味する。
【0044】
本明細書で数値範囲が示されるときはいつでも、それは、示された範囲内の任意の引用された数字(分数または整数)を含むことを意味する。第1の数字と第2の数字との「間の範囲/範囲」という句、及び、第1の数字「から」第2の数字「までの範囲/範囲」という句は、本明細書では互換的に使用され、第1および第2の数字、及び、その間のすべての分数と整数を含むことを意味する。
【0045】
明確にするために別個の実施形態の文脈で説明される本開示に詳述される特定の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供され得ることに留意されたい。また逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で説明される様々な特徴は、別個に、又は任意の適切なサブコンビネーションで、又は本開示の他の説明される実施形態において適切であるように提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0046】
本明細書に開示される主題をよりよく理解し、それが実際にどのように実行され得るかを例示するために、ここで、添付の図面を参照して、非限定的な例としてのみ実施形態を説明する。
図1図1は、本開示の一実施形態による、本明細書に記載の方法を実行するのに適したシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下の説明では、本発明は、本明細書で説明される方法を実行するためのシステムの特定の実施形態を参照して、いくつかの詳細とともに示される。この説明は、記載されているように、その全範囲において本開示の例示的かつ非限定的なものである。
【0048】
図1を参照して、本開示の例示的なシステムの概略図が示されている。システム100は、複数のステーション104(この特定の非限定的な例では3つのステーション)を含む高圧チャンバ102を含んでいる。ステーション104のそれぞれは、治療される対象を収容するように構成される。ステーションは、例えば、座っている、立っている、または横たわっている場所であり、一度対象を収容すると、対象を高圧状態に曝すことを可能にし、対象は少なくとも1つの認知訓練タスクを実行することを可能にする。また、各ステーション104は、対象に酸素豊富な環境(すなわち、21体積%より高い酸素濃度を有する雰囲気)を提供するための手段(図示せず)を含んでおり、このような手段は、例えば、酸素マスク、フード、カニューレ等である。酸素供給手段は、供給ライン109を介して制御可能な酸素源108に接続されることで、各ステーション104について、集合的にまたは互いに独立して、酸素レベル、曝露期間、酸素曝露プロファイル/療法等の制御を可能にする。いくつかの構成では、システムはさらに、供給ライン111を介して各ステーションにリンクされた空気源110を提供し、必要な治療計画に応じて、酸素豊富な大気暴露期間の間に空気雰囲気(すなわち、約21体積%の酸素の非加圧空気)への対象の曝露を可能にする。
【0049】
各ステーション104は、少なくとも1つの認知訓練手段106に関連付けられており、対象が少なくとも1つの認知訓練タスクを実行することを可能にする。電子/デジタル訓練手段の場合、認知訓練手段106は、ライン113(有線または無線であり得る)を介して制御システム112にリンクされ得る。制御システム112は、各対象の認知訓練割り当てを提供および操作することができ、対象からデータを収集し、時には、対象によって実行される認知訓練タスクを調整するために、対象から受け取ったデータを分析する。
【0050】
図1には示されていないが、前述のように、システムはさらに、監視ユニット、娯楽モジュール、物理的訓練手段といったさらなる機能を含んでいる。システムは、この特定の例では、1つの高圧チャンバを含むように示されているが、本開示の範囲内で、システムは、システム内の高圧状態を維持しながら、複数の連結されたチャンバまたはサブチャンバを含み得、それらの間の対象の自由な移行を可能にすることが企図される。 そのような各サブチャンバは、例えば、高圧および酸素に富む条件下で実施される異なるタイプの訓練または活動に専念することができる。
【実施例
【0051】
実施例1:認知訓練比較プロトコル1
認知訓練は、認知能力の向上および/または強化を目的として、高圧の酸素豊富な環境への曝露中に実施される。高圧酸素療法(HBOT)中に実施される認知訓練の相乗効果は、HBOTセッション間およびHBOTなしの認知訓練と比較して評価される。
【0052】
治療を受けている対象は、60~74歳の加齢に伴う機能低下のある患者である。対象のスクリーニング(包含基準)-コンピューター化された認知評価(たとえば、Neurotraxまたは他の適切な評価ツール)を使用して測定された、少なくとも1つの認知領域の平均を少なくとも1標準偏差(SD)下回っている。
【0053】
次のグループに従って、3つのグループがテストされ、各グループには10人の患者が含まれる。
1.グループ1:チャンバ内での認知訓練を伴うHBOT(毎日サイクルを行って60サイクル、すなわち、1日1サイクルで最大60日間)
2.グループ2(対照1):チャンバ外での認知訓練タスクを伴うHBOT(毎日サイクルを行って60サイクル)
3.グループ3(対照2):認知訓練タスクのみ(毎日サイクルを行って60サイクル)
【0054】
治療パラメータ:
●チャンバ内の圧力:2 ATA
●酸素レベル:100%
●合計時間:治療サイクルあたり120分
●酸素正味時間:1サイクルあたり90分
●マスクによる酸素豊富な環境の管理
●総サイクル数:60
●1週間あたりのサイクル数:5
●減圧速度:1m/min
●圧縮率:1m/min
●エアブレイク:酸素豊富な環境の投与の20分ごとに5分間のエアブレイク(21%酸素)
●認知訓練タスクの期間:1サイクルあたり25分
【0055】
認知訓練
以下から選択される少なくとも1つの認知タスク(しかしながら、これらに限定されない):
o記憶(言語的、非言語的、即時、遅延)
o情報処理速度
o注意
o実行機能
oモーター
o視覚
oマルチタスク
oナビゲーション
oインテリジェンス
oワーキングメモリー
oタスク切り替え
o応答阻害
o精神運動速度
o言語機能(流暢さ/命名/語彙)
o応答時間
o二重決定
o持続的な注意
o注意の分割
o選択的注意
o推論
o聴覚処理
【0056】
記憶スコアおよび/または情報処理速度スコアは、認知評価ツール(例えば、Neurotrax、BrainHQまたは他の適切な評価ツール)によって治療サイクルの前後に決定される。
【0057】
例2:認知訓練比較プロトコル2
認知訓練は、認知能力の向上および/または強化を目的として、高圧の酸素豊富な環境への曝露中に実施される。高圧酸素療法(HBOT)中に実施される認知訓練の相乗効果は、HBOTセッション間およびHBOTなしの認知訓練と比較して評価される。
【0058】
治療を受けている対象は、40~55歳の脳損傷(脳卒中/TBI)の患者である。対象のスクリーニング(包含基準)-コンピューター化された認知評価(Neurotrax、またはその他の適切な評価ツールなど)を使用して測定した場合、少なくとも1つの認知領域で平均を少なくとも1標準偏差(SD)下回っている。
【0059】
それぞれ5人の患者からなる2つのグループが、以下のグループに従ってテストされる。
1.グループ1:チャンバ内での認知訓練を伴うHBOT(毎日サイクルを行って60サイクル、例えば、1日1サイクルで60日間)
2.グループ2(対照1):チャンバ外での認知訓練を伴うHBOT(毎日サイクルを行って60サイクル)
3.グループ3(対照2):認知訓練タスクのみ(毎日サイクルを行って60サイクル)、または双方のグループが、グループ1とグループ2に分ける前に、HBOTなしで40~60セッションの認知訓練を実行する。
【0060】
治療パラメータ:
●チャンバ内の圧力:2ATA
●酸素レベル:100%
●合計時間:治療サイクルあたり120分
●酸素正味時間:1サイクルあたり90分
●マスクによる酸素豊富な環境の管理
●総サイクル数:60
●1週間あたりのサイクル数:5
●減圧速度:1m/min
●圧縮率:1m/min
●エアブレイク:酸素豊富な環境への投与の20分ごとに5分間のエアブレイク(21%酸素)
●認知訓練タスクの期間:1サイクルあたり20分
【0061】
模範的な認知訓練
o記憶(言語的、非言語的、即時、遅延)
o情報処理速度
【0062】
記憶スコアおよび/または情報処理速度スコアは、BRAINHQ(5サイクルごと)、Neurotrax(60サイクル後)、又はその他の適切な評価ツールによって、治療サイクルの前後に決定される。
図1
【手続補正書】
【提出日】2022-06-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の任意能力を変えるためのシステムにおいて、前記システムは、
少なくとも1の対象を収容し、その対象に高圧状態を適用するように構成された少なくとも1つの高圧チャンバと、
前記チャンバ内に酸素豊富な環境を形成することを可能にし、及び/又は、前記対象に前記酸素豊富な環境を施すように構成された少なくとも1つの制御可能な酸素投与ユニットと、
対象が少なくとも1つの認知訓練タスクを実行することを可能にするように構成された前記チャンバ内の認知訓練の少なくとも1つの手段と、
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、さらに、
対象が少なくとも1つの物理的訓練タスクを実行することを可能にするように構成された、前記チャンバ内の少なくとも1つの物理的訓練の手段を含むことを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて、さらに、
対象の少なくとも1つの物理的パラメータを監視するための少なくとも1つの監視ユニットを含むことを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムにおいて、さらに、
前記システムを操作および制御するための少なくとも1つのコントローラを含むことを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記チャンバが2又はそれ以上の対象を収容するように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも1つの制御可能な酸素投与ユニットが、制御可能な酸素豊富な環境を各対象に施すように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも1つの制御可能な酸素投与ユニットが、各対象のそれぞれに異なる酸素豊富な環境を施すように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項5に記載のシステムにおいて、
前記認知訓練の少なくとも1つの手段が、各対象が少なくとも1つの認知訓練タスクを独立して実行することを可能にするように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のシステムにおいて、
前記認知訓練の少なくとも1つの手段が、各対象が異なる認知訓練タスクを実行することを可能にするように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記チャンバが、さらに、
少なくとも1つの圧縮サブチャンバと、少なくとも1つの訓練サブチャンバと、少なくとも1つの減圧サブチャンバとを含み、
前記少なくとも1つの圧縮サブチャンバ、前記少なくとも1つの訓練サブチャンバ、前記少なくとも1つの減圧サブチャンバは、対象はそれらの間を移動できるように互いにリンクされていることを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも1つの圧縮サブチャンバと、前記少なくとも1つの訓練サブチャンバ、前記少なくとも1つの減圧サブチャンバは、互いに一体であることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記システムが1又はそれ以上の処理サイクルを適用するように構成され、
それぞれの前記処理サイクルは、高圧状態および酸素豊富な環境に前記対象を曝露することと、前記曝露の間に少なくとも1つの認知訓練タスクを実行することとを含むことを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムにおいて、
処理条件が各処理サイクルにおいて同じであることを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項12に記載のシステムにおいて、
処理条件が処理サイクルごとに異なることを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項1に記載のシステムにおいて、さらに、
前記曝露の前に対象の認知能力を評価して第1のスコアを取得し、前記曝露の後の対象の認知能力を評価して第2のスコアを取得し、前記第1のスコアと前記第2のスコアを比較して、対象の評価スコアを取得するための手段を含むことを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも1つの認知訓練タスクは、言語記憶タスク、非言語記憶タスク、即時記憶タスク、遅延記憶タスク、情報処理速度タスク、注意タスク、実行機能タスク、運動タスク、視覚知覚タスク、マルチタスク割り当て、視覚空間タスク、言語タスク、ナビゲーションタスク、インテリジェンスタスク、作業記憶タスク、タスク切り替え、応答抑制タスク、精神運動速度タスク、言語機能タスク(流暢さ/命名/語彙)、応答時間、二重決定、持続的注意、分割注意、選択的注意、作業記憶、長期記憶、推論、聴覚処理、およびそれらの組み合わせから選択される1又はそれ以上のタスクであることを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項1に記載のシステムにおいて、対象が脳損傷の病歴を有することを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項17に記載のシステムにおいて、
前記脳損傷が、脳卒中、外傷性脳損傷(TBI)、虚血、低酸素症、代謝障害による損傷、毒性曝露による損傷、および感染から選択されることを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項1に記載のシステムにおいて、
対象が神経変性疾患、認知症、又は軽度認知障害、対象が加齢に関連する認知機能低下、脳性麻痺、発達異常を患っていることを特徴とするシステム。
【請求項20】
請求項1に記載のシステムにおいて、
対象が健康な対象であることを特徴とするシステム。
【国際調査報告】