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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-05
(54)【発明の名称】改善されたアルロースの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C12P 19/02 20060101AFI20221223BHJP
   C13B 10/02 20110101ALI20221223BHJP
   C13B 30/00 20110101ALI20221223BHJP
【FI】
C12P19/02
C13B10/02
C13B30/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525222
(86)(22)【出願日】2020-10-29
(85)【翻訳文提出日】2022-06-24
(86)【国際出願番号】 KR2020014966
(87)【国際公開番号】W WO2021086086
(87)【国際公開日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】10-2019-0137593
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0101994
(32)【優先日】2020-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500578515
【氏名又は名称】サムヤン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ジェギョン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジウォン
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ジョンスク
(72)【発明者】
【氏名】キム,ゴウン
(72)【発明者】
【氏名】ナム,チュンウ
(72)【発明者】
【氏名】パク,チョンジン
【テーマコード(参考)】
4B064
【Fターム(参考)】
4B064AF02
4B064CA21
4B064CB28
4B064CE10
4B064DA01
4B064DA10
(57)【要約】
本発明はアルロースの改善された製造方法に関するものであって、さらに詳しくは、製造工程で使用される原料基質として原料糖を活用して果糖-含有原料溶液を製造するものである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
砂糖を含有する砂糖製造用原料と転化酵素を用いて果糖とブドウ糖を含有する転化糖シロップ(invert syrup)を得て、果糖分離プロセスに投入して果糖-含有原料を製造する工程、および前記果糖-含有原料を用いてアルロース転換反応を行う工程を含む、アルロースの製造方法。
【請求項2】
前記製造方法は、デンプン由来ブドウ糖の異性化反応または砂糖製造用原料から砂糖を分離または精製する工程を含まない、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記果糖分離プロセスは、前記転化糖シロップにつき活性炭処理プロセス、イオン精製プロセス、擬似移動層(SMB)クロマトグラフィーを用いた高純度分離プロセスおよび濃縮プロセスからなる群より選択された1種以上を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記果糖分離プロセスは、前記転化糖シロップにつきイオン精製、擬似移動層(SMB)クロマトグラフィーを用いた高純度分離プロセスおよび濃縮プロセスを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記転化糖シロップは、果糖、ブドウ糖、および二糖類以上の糖類を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記転化糖シロップは、糖類固形分含量が10重量%以上である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記転化糖シロップは、果糖分離プロセスを経て、果糖-含有原料の全体糖類固形分含量を基準にして90重量%以上の果糖を含有する果糖-含有原料を製造するものである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記転化糖シロップの全体糖類固形分含量を基準にして、果糖およびブドウ糖の合計含量は90重量%以上である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
前記転化糖シロップに含まれている果糖およびブドウ糖の合計固形分含量100重量%を基準にして、果糖は40重量%以上およびブドウ糖は60重量%以下含まれる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
前記果糖-含有原料は、0.001~2.2mg/Lの5-HMFを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項11】
前記果糖-含有原料は、固形分含量基準で、DP3以上のオリゴ糖類含量が2.0重量%以下である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項12】
前記アルロース転換反応生成物は、0.001~5.7mg/Lの5-HMFを含むものである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項13】
前記砂糖製造用原料は、サトウキビまたはサトウダイコンの搾汁液、濃縮液、または前記搾汁液または濃縮液から糖蜜を除去して得られた結晶である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項14】
前記砂糖製造原料は、サトウキビまたはサトウダイコンの搾汁液または濃縮液から糖蜜を除去して得られた結晶を溶解したものである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項15】
前記転化糖シロップは、砂糖製造原料の搾汁液、濃縮液、または前記搾汁液または濃縮液から糖蜜を除去して得られた結晶を用いた転化酵素処理原料を、温度55~75℃およびpH4.0~5.0に調整し、転化酵素処理原料の固形分含量を基準にして0.01%~1.0重量%の転化酵素で処理して得られたものである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項16】
前記アルロース転換反応物は、果糖-含有原料を生物学的アルロース転換プロセスで処理して得られたものである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項17】
前記アルロース転換反応に投入される果糖-含有原料の果糖含量は、全体糖類固形分含量100重量%を基準にして85重量%以上である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項18】
前記アルロース転換反応は、アルロース転換率が15%~70%である生物学的触媒を使用する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項19】
前記アルロース分画を濃縮し、前記濃縮物からアルロースを結晶化してアルロース結晶と結晶化母液を得る工程を追加的に含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項20】
固形分含量基準で、1.0重量%以下の5-HMFを含むアルロース含有組成物。
【請求項21】
前記組成物は、0.001~5.7mg/Lの5-HMFを含むアルロース含有シロップである、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
砂糖を含有する砂糖製造用原料と転化酵素を用いて果糖とブドウ糖を含有する転化糖シロップ(invert syrup)を得て、果糖分離プロセスに投入して果糖-含有原料を製造する工程、および前記果糖-含有原料を用いてアルロース転換反応を行う工程を含む製造方法で製造されたものである、請求項20に記載のアルロース含有組成物。
【請求項23】
固形分含量基準で、アルロースを5重量%以上に含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項24】
固形分含量基準で、DP3以上のオリゴ糖類含量が2.0重量%以下である、請求項20に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルロースの改善された製造方法に関するものであって、さらに詳しくは、製造工程で使用される原料基質として原料糖を活用して果糖-含有原料溶液を製造することである。
【背景技術】
【0002】
アルロース(Pscicose)は果糖(D-fructose)のエピマーであって、希少糖と知られた機能性糖類の一種であり、砂糖の約60~70%の高い甘味度を示しながらも熱量はほぼゼロカロリーに近くて、糖尿病の予防および改善に効能があると知られている。また、アルロースは溶解性も優れると知られていて、食品への活用が注目されている素材の一つである。
【0003】
機能性甘味料として砂糖または果糖などを代替することができる脚光を浴びる糖類の一つとして、アルロースがある。アルロースは化学的または生物学的方法で製造できるが、アルロース転換工程に使用される反応原料である果糖含有溶液が、デンプンなどの分解から得られるブドウ糖を異性化反応で転換した果糖異性化反応物であるか、または砂糖を加水分解して得られることもある。砂糖原料を使用してアルロースを製造する場合、既存の原料糖から砂糖を作る工程が必要であり、砂糖製造工程で製造原価上昇および収率増加、複数工程の追加などの問題点がある。また、既存のトウモロコシから得られる異性化糖の場合、DP3以上の物質が含まれていて分離能に影響を与える問題もある。
【0004】
砂糖原料を使用してアルロースを製造する場合、既存の原料糖から砂糖を作る工程を除去することができるようになり、トウモロコシから得られる異性化糖の場合、DP3以上の物質も存在して、分離能に影響を与えることもある。また、最近、ブドウ糖および果糖トウモロコシシロップおよびその他のサトウキビ供給源の海外製造企業との価格競争によって原料費用が製造原価に負担をかけていて、より低廉な原料および工程でアルロースを製造する必要性がある。
【0005】
アルロース製造工程でアルロース転換反応生成物にはアルロース含量が低くて製品化または結晶化のためにアルロース純度を増加させる必要があり、このために精製および濃縮する工程が必要である。また、アルロースは結晶粉末に対する要求があるが、アルロースは結晶性が低くて結晶化しにくい。また、アルロース濃縮物またはアルロース結晶化溶液に不純物を含む場合、製品品質確保のために不純物を除去する必要があり、特に一部不純物はアルロース結晶化または結晶成長の妨害になることもある。
【0006】
したがって、より低廉な原料および工程で効率的なアルロース製造工程を提供し、アルロース溶液に含まれている不純物の含量またはアルロース製造過程で不純物の生成を最少化するアルロース製造方法が切実に必要であるのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一例は、砂糖原料を活用してアルロース純度および収率を向上させ原料の利用率を高めるために、砂糖原料を活用して製造された果糖-含有原料をアルロース製造工程の原料として投入してアルロースを製造する方法、およびこれに使用される装置を提供する。
【0008】
本発明の追加一例は、従来の砂糖を使用してアルロースを製造するかデンプンを用いた異性化果糖を使用する場合に比べて、砂糖製造工程およびブドウ糖製造工程を省略することができて工程を単純化し、低価の原料を活用することができて生産費用を減少することができる、原料糖を活用して製造された果糖-含有原料をアルロース製造工程の原料として投入してアルロースを製造する方法、およびこれに使用される装置を提供する。
【0009】
本発明のまた他の一例は、従来のデンプンを用いた異性化糖に含まれているDP3以上のオリゴ糖類およびその他の不純物の含量を減少させてアルロースシロップまたは粉末に含まれている不純物含量を制御した、原料糖を活用して製造された果糖-含有原料をアルロース製造工程の原料として投入してアルロースを製造する方法、およびこれに使用される装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、砂糖製造用原料を用いて高純度果糖を直接製造してアルロース製造の原料として活用してアルロース純度および収率を向上させ生成されたアルロースに含まれている不純物を減少するために、原料糖から生成された転化糖を果糖分離プロセスに投入して果糖-含有原料を製造する方法およびこれに使用される装置を提供する。
【0011】
アルロースの生物学的製造方法は、果糖エピマー転換反応で製造し分離および精製する工程を含み、アルロース製造原料である果糖または果糖-含有原料は従来のデンプン由来果糖の場合、デンプンの分解によるブドウ糖製造、ブドウ糖の異性化反応による果糖製造、および果糖分離および精製工程を含み、砂糖由来果糖の場合、原料糖のような砂糖製造用原料から砂糖を分離および精製する工程、砂糖の分解によるブドウ糖および果糖を製造する工程および果糖分離と精製工程を含む。即ち、デンプン由来果糖は直接原料はブドウ糖を含むデンプン由来異性化糖であり、砂糖由来果糖は原料糖などの砂糖製造用原料から分離、精製および結晶化された砂糖であり、これら果糖製造原料を製造するための前段階が必須である。
【0012】
したがって、従来のデンプン由来果糖または砂糖由来果糖の場合、工程の当初原料から直接果糖を製造することができず、果糖製造のための原料として、デンプン由来果糖はブドウ糖製造工程を含み、砂糖由来果糖は砂糖分解工程を追加的に含まなければならない少なくとも2段階工程を行わなければならないので、工程が複雑であり工程収率が低まり、各工程で副産物が発生するという問題点がある。
【0013】
また、デンプン由来果糖は果糖製造工程の前段階反応であるブドウ糖製造工程でDP3以上の不純物を複数含んでいて果糖分離および精製を難しくし、デンプン由来果糖を用いてアルロースを生産する場合、アルロース転換反応生成物にもDP3以上の不純物が含まれることがあってアルロース分離および精製工程を難しく複雑なようにすることがある。砂糖由来果糖を製造するための前段階反応である砂糖精製工程は、例えば、原料糖を溶かして砂糖として結晶化する過程において副産物除去のための複数の工程が必要となる。
【0014】
よって、本発明による果糖製造用原料は別途の異性化糖または砂糖を製造する工程を含まず、砂糖製造用原料、例えば、サトウキビ、サトウダイコン原料の搾汁液(juice)、濃縮液、または前記搾汁液または濃縮液から糖蜜を除去して得られた結晶溶解液を用いて直接転化酵素を処理し果糖を分離および精製する工程を行うことができて、果糖製造用原料を製造する前段階反応が必要でなくて工程を単純化することができる。
【0015】
アルロースはpHが低く温度が高いほど不安定であって、実際生産工程中、特に濃縮工程でアルロースの含量が変化する。このような問題は、高純度のアルロース純度を低めるようにして結晶化工程に多くの影響を与えるようになる。実際、この過程でアルロースの含量が減少しながら付加的に生成されるアルロース転換物(Impurity)の含量が増加し、この成分がアルロース結晶粒子が成長するのにInhibitorとして作用することが分かり、これによって結晶粒子の粒度と結晶収率に大きな影響を与える。よって、本発明は、アルロース生産過程でアルロース以外の不純物を調節して、アルロース結晶粒子の形状、構造および大きさ、結晶純度、結晶生成速度、および結晶収率を向上させることができる。前記不純物は、アルロース変性体、アルロース変性重合体、またはアルロースが分解される過程で生成されて転換された中間体物質であってもよく、ヒドロキシメチルフルフラール(Hydroxymethylfurfural、HMF)、さらに好ましくは5-HMFを含む。
【0016】
本発明によって、アルロース転換反応生成物に含まれている不純物、例えば、5-HMFが生成されないか生成を最少化した条件でアルロースの生産、分離および/または精製工程を行って、アルロースシロップに含まれる不純物の含量を減少させ、これによって結晶化原液の不純物含量を減少させて結晶成長を妨げる不純物の含量を低めて結晶形状と結晶収率を向上させることができる。
【0017】
本発明によって砂糖製造用原料を用いて高純度果糖を直接製造し、これを活用してアルロースを製造する場合、アルロース転換反応の原料になる果糖-含有原料は0.001~2.2mg/L、例えば、2.2mg/L以下、2.1mg/L以下、2.0mg/L以下、1.9mg/L以下、1.8mg/L以下、1.7mg/L以下、1.6mg/L以下、1.5mg/L以下、1.4mg/L以下、1.3mg/L以下、1.2mg/L以下、1.1mg/L以下、1.0mg/L以下、0.9mg/L以下、0.8mg/L以下、0.7mg/L以下、0.6mg/L以下であってもよく、具体的には、前記果糖-含有原料は45~55重量%の固形分含量を有するものであってもよい。
【0018】
前記アルロース転換反応生成物をSMBを用いた高純度分離およびイオン精製工程を行った後に得られるアルロースシロップは、0.001~5.7mg/L、例えば、5.7mg/L以下、5.6mg/L以下、5.5mg/L以下、5.25mg/L以下、5.0mg/L以下、4.7mg/L以下、4.5mg/L以下、4.25mg/L以下、4.0mg/L以下、3.7mg/L以下、3.5mg/L以下、3.25mg/L以下、3.0mg/L以下、2.7mg/L以下、2.5mg/L以下、2.25mg/L以下、2.0mg/L以下、1.7mg/L以下、1.5mg/L以下、または1.25mg/L以下の5-HMF含量を有するものであってもよい。具体的には、前記果糖-含有原料は70~75重量%の固形分含量を有するものであってもよい。
【0019】
アルロースに含まれている固形分の総含量100重量%を基準にして、ヒドロキシメチルフルフラールの含量を、0.01重量%以下、0.05重量%以下、0.06重量%以下、0.07重量%以下、0.08重量%以下、0.085重量%以下、0.09重量%以下、または0.095重量%以下に含むか、例えば含まなくてもよい。前記ヒドロキシメチルフルフラールは、5-ヒドロキシメチルフルフラールであってもよい。
【0020】
砂糖製造用原料からアルロースを製造する場合、従来に使用するデンプン由来異性化糖または砂糖分解物を製造する工程を行う必要なく直接的に酵素反応および脱色、ろ過、精製を直ちに行うようになって、既存の工程で発生する製品の損失および不必要工程を減らすことができるようになる。デンプン由来異性化糖は、原料で含まれるDP3以上の物質によって分離能が原料糖由来果糖-含有基質に比べて低下し、砂糖分解物の場合、砂糖製造に行われる不必要な工程を除去する長所を有するようになる。
【0021】
本発明の一例は、砂糖を含有する砂糖製造用原料と転化酵素を用いて果糖とブドウ糖を含有する転化糖シロップ(invert syrup)を得て、果糖分離プロセスに投入して果糖-含有原料を製造する工程、および前記果糖-含有原料を用いてアルロース転換反応を行う工程を含む、アルロースの製造方法に関するものである。前記製造方法は、デンプン由来ブドウ糖の異性化反応または砂糖製造用原料から砂糖を分離または精製する工程を含まない。
【0022】
前記果糖分離プロセスは、前記転化糖シロップにつき活性炭処理プロセス、イオン精製プロセス、擬似移動層(SMB)クロマトグラフィーを用いた高純度分離プロセスおよび濃縮プロセスからなる群より選択された1種以上を含むものであってもよく、例えば、前記果糖分離プロセスは、前記転化糖シロップにつきイオン精製、擬似移動層(SMB)クロマトグラフィーを用いた高純度分離プロセスおよび濃縮プロセスを含むことができる。
【0023】
前記転化糖シロップは、果糖、ブドウ糖および二糖類以上の糖類を含むことができ、本発明の一例で、前記砂糖製造用原料から製造された前記果糖-含有原料は、糖類固形分含量基準で、DP3以上のオリゴ糖類含量が2.0重量%以下であってもよい。前記転化糖シロップは、糖類固形分含量が10重量%以上であってもよく、また、果糖分離プロセスを経て、果糖-含有原料の全体糖類固形分含量を基準にして果糖含量90重量%以上の果糖-含有原料を製造するものであってもよい。
【0024】
前記転化糖シロップの全体糖類固形分含量を基準にして、果糖およびブドウ糖の合計含量は90重量%以上であってもよく、詳しくは、前記転化糖シロップに含まれている果糖およびブドウ糖の合計固形分含量100重量%を基準にして、前記果糖は40重量%以上、および前記ブドウ糖は60重量%以下に含まれるものであってもよい。
【0025】
前記製造方法で得られる前記果糖-含有原料は、0.001~2.2mg/Lの5-HMFを含むことができ、前記アルロース転換反応生成物は、0.001~5.7mg/Lの5-HMFを含むものであってもよい。
【0026】
前記アルロース転換反応物は、果糖-含有原料を生物学的アルロース転換工程で処理して得られたものであってもよく、前記アルロース転換反応に投入される果糖-含有原料の果糖含量は、全体糖類固形分含量100重量%を基準にして85重量%以上であってもよい。
【0027】
本発明のまた他の一例は、1.0重量%以下の5-HMFを含むアルロース含有組成物に関するものであって、固形分含量基準で、アルロースを5重量%以上に含むことができ、固形分含量基準で、DP3以上のオリゴ糖類含量が、2.0重量%以下、1.5重量%以下、1.0重量%以下、0.5重量%以下、0.1重量%以下、0.05重量%以下、0.01重量%以下、0.005重量%以下、0.001重量%以下、または0.0001重量%以下、好ましくは含まないものであってもよい。
【0028】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明による原料糖を用いたアルロース製造方法は、砂糖製造用原料を用いた果糖含有産物を製造する工程を含む。
【0029】
前記砂糖製造用原料を用いた果糖含有産物の製造する工程は、前記原料糖を転化酵素と接触させて原料糖内含まれている砂糖を加水分解してグルコースおよび果糖の混合物に転換させて果糖-含有産物、例えば、転化シロップ(invert syrup)を製造する工程である。転化酵素(Invertase)を用いて二糖類以上の含量が低いように、例えば、全体糖類固形分含量100重量%を基準にして、10重量%以下、9重量%以下、8重量%以下、7重量%以下、6重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、3重量以下、2重量%以下、1重量%以下、または0.5重量%以下になるようにブドウ糖と果糖に完全に加水分解させて果糖およびブドウ糖を含有する転化糖シロップ(invert syrup)を製造する。
【0030】
本発明の一実施形態による果糖製造工程を具体的に説明すれば、果糖は砂糖を含む原料糖から得られる。これによって、ブドウ糖、果糖、砂糖のように分離および精製された原料の代わりに、原料糖を使用して高い収率のアルロースを製造し、不純物、例えば、5-HMFを含まないアルロース製造方法を提供して、非常に低い費用で高収率でアルロースの大量生産を可能にすることができる。
【0031】
前記転化工程(inverting step)は、砂糖をブドウ糖と果糖に分解する酵素、前記酵素を生産する微生物(例えば、菌体、菌体の破砕物、微生物培養物、および微生物培養物の上澄液を含む)を含む生触媒と原料糖を接触させる工程、例えば、前記生触媒と原料糖を混合する工程または前記生触媒が固定化された担体に原料糖を接触させる工程によって行うことができる。
【0032】
具体的に、砂糖製造用原料溶液を反応タンクに入れ、水を注入して固形分含量30重量%以上、例えば35~45重量%、好ましくは40重量%で転化酵素処理原料を製造し、前記転化酵素処理原料の温度を55~75℃、好ましくは60℃に調節し、塩酸を添加してpH4.0~5.5、好ましくはpH4.5に調節した後に、転化酵素(Invertase)を固形分に対比して0.01~5.0重量%、例えば0.01%~1重量%を添加し、16~48時間または20~28時間加水分解を行うことができる。
【0033】
前記転化酵素は、砂糖をブドウ糖と果糖に分解する酵素であれば全て使用することができ、例えば、sumizyme INV-L(HBI ENZYME INC)であってもよいが、これに限定されない。
【0034】
本明細書でアルロース転換反応のための果糖-含有原料を製造するための原料は、砂糖製造のための原料として、サトウキビ、サトウダイコン原料の搾汁液(juice)、濃縮液、または前記搾汁液または濃縮液から糖蜜を除去して得られた結晶などを含む。転化糖は、砂糖製造原料、例えば原料糖を高温で酸加水分解するかインベルターゼ(invertase)の酵素処理で加水分解して、原料糖に含まれている砂糖がブドウ糖と果糖に分解されたものを意味する。本発明の出発物質は、好ましくは、サトウキビを加圧した後に得られたサトウキビまたはサトウダイコンのジュースまたは搾汁液(例えば、加工なく抽出される)である。
【0035】
本発明に適用可能な原料糖は、市販製品を使用するか、サトウキビまたはサトウダイコンを搾汁または搾汁液の追加加工を経て製造したものであってもよい。例えば、サトウキビ搾汁液を製造する工程は、サトウキビ幹をそのまま、または切断して搾汁液を製造し、搾汁液に石灰を添加して不純物をろ過すると同時にpHを高めてタンパク質、脂肪、浮遊物質を沈殿させて不純物を除去する。前記不純物が除去された搾汁液を加熱して濃縮する工程を追加的に行うことができ、遠心分離して結晶と糖蜜を分離して得られた結晶を使用することができる。
【0036】
例えば、サトウキビを搾汁してサトウキビジュースを得て、前記搾汁液をろ過して不純物を除去して製造することができ、選択的に濃縮工程を行うこともできる。固形物だけでなく可溶性物質を除去して酵素を汚染および効率を減少させることがある物質を除去する工程のみ処理することで十分である。酵素転換工程を行う前に、製造された転化糖(invert syrup)は、微生物の生長を抑制し運送費用を減らすために固形分含量68重量%に追加濃縮を行うことができる。
【0037】
前記サトウキビ搾汁液は、約16~23重量%の糖類含量を有し、前記糖類中の90重量%以上が砂糖(sucrose)である。転化酵素で処理する原料は、固形分含量35~65重量%、例えば45~60重量%(またはブリックス)の原料糖溶液であってもよい。
【0038】
前記加水分解完了転化糖液(invert syrup)または転化酵素の処理で生成された果糖-含有産物は、糖類固形分含量が、10重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上、45重量%以上、50重量%以上、または55重量%以上であってもよく、例えば30~80重量%、35重量%~80重量%、40重量%~80重量%、45重量%~80重量%、50重量%~80重量%、55重量%~80重量%、30~75重量%、35重量%~75重量%、40重量%~75重量%、45重量%~75重量%、50重量%~75重量%、55重量%~75重量%、30~70重量%、35重量%~70重量%、40重量%~70重量%、45重量%~70重量%、50重量%~70重量%、55重量%~70重量%、30~65重量%、35重量%~65重量%、40重量%~65重量%、45重量%~65重量%、50重量%~65重量%、55重量%~65重量%、30~60重量%、35重量%~60重量%、40重量%~60重量%、45重量%~60重量%、50重量%~60重量%、または55重量%~60重量%であってもよい。
【0039】
前記転化酵素処理産物に含まれている糖類は果糖とブドウ糖が主成分であり、残り二糖類以上の糖類を含むことができる。前記果糖とブドウ糖の合計含量は、全体糖類固形分含量100重量%を基準にして、90重量%以上、91重量%以上、92重量%以上、93重量%以上、94重量%以上、95重量%以上、96重量%以上、97重量以上、98重量%、99重量%以上または99.5重量%以上であってもよく、ブドウ糖と果糖を除いた残りの糖類、例えば二糖類以上の糖類は全体糖類固形分含量100重量%を基準にして、10重量%以下、9重量%以下、8重量%以下、7重量%以下、6重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、3重量以下、2重量%以下、1重量%以下、または0.5重量%以下であってもよく、例えば、0.5~1.0重量%であってもよい。
【0040】
前記転化酵素処理産物に含まれているブドウ糖と果糖含量は、転化酵素の作用によって原料に含まれている砂糖を分解して同量のブドウ糖と果糖を生成するのでブドウ糖と果糖含量は重量比で1:1であるので、前記果糖とブドウ糖の合計含量100重量%を基準にして50重量%の含量で含まれてもよく、または転化酵素を処理する前の原料糖に含まれているブドウ糖と果糖の含量によって砂糖分解で得られる同量のブドウ糖と果糖含量を足して最終転化生成物に含まれているブドウ糖および果糖含量が決定できるので、前記転化酵素処理産物に含まれているブドウ糖と果糖含量は、前記果糖とブドウ糖の合計含量100重量%を基準にして、果糖含量は例えば、40重量%以上、42.5重量%以上、45重量%以上、46重量%以上、47重量%以上、47.5重量%以上、48重量%以上、48.5重量%以上、49重量%以上、49.5重量%以上、50重量%以上、51重量%以上、52重量%以上、53重量%以上、54重量%以上、55重量%以上、56重量%以上、57重量%以上、58重量%以上、または59重量%以上であってもよく、例えば40~60重量%、42.5~60重量%、45~60重量%、46~60重量%、47~60重量%、47.5~60重量%、48~60重量%、48.5~60重量%、49~60重量%、49.5~60重量%、50~60重量%、51~60重量%、52~60重量%、53~60重量%、54~60重量%、55~60重量%、56~60重量%、57~60重量%、58~60重量%、59重量%~60重量%、40~55重量%、42.5~55重量%、45~55重量%、46~55重量%、47~55重量%、47.5~55重量%、48~55重量%、48.5~55重量%、49~55重量%、49.5~55重量%、50~55重量%、51~55重量%、52~55重量%、53~55重量%、54~55重量%、40~54重量%、42.5~54重量%、45~54重量%、46~54重量%、47~54重量%、47.5~54重量%、48~54重量%、48.5~54重量%、49~54重量%、49.5~54重量%、50~54重量%、51~54重量%、52~54重量%、53~54重量%、40~53重量%、42.5~53重量%、45~53重量%、46~53重量%、47~53重量%、475~53重量%、48~53重量%、48.5~53重量%、49~53重量%、49.5~53重量%、50~53重量%、51~53重量%、52~53重量%、40~52重量%、42.5~52重量%、45~52重量%、46~52重量%、47~52重量%、47.5~52重量%、48~52重量%、48.5~52重量%、49~52重量%、49.5~52重量%、50~52重量%、51~52重量%、40~51重量%、42.5~51重量%、45~51重量%、46~51重量%、47~51重量%、47.5~51重量%、48~51重量%、48.5~51重量%、49~51重量%、49.5~51重量%、50~51重量%、40~50重量%、42.5~50重量%、45~50重量%、46~50重量%、47~50重量%、47.5~50重量%、48~50重量%、48.5~50重量%、49~50重量%、49.5~50重量%、40~49重量%、42.5~49重量%、45~49重量%、46~49重量%、47~49重量%、47.5~49重量%、48~49重量%、48.5~49重量%、40~48.5重量%、42.5~48.5重量%、45~48.5重量%、46~48.5重量%、47~48.5重量%、47.5~48.5重量%、48~48.5重量%、40~48重量%、42.5~48重量%、45~48重量%、46~48重量%、47~48重量%、47.5~48重量%、40~47重量%、42.5~47重量%、45~47重量%、46~47重量%、40~46重量%、42.5~46重量%、45~46重量%、40~45重量%、または42.5~45重量%であってもよい。前記果糖とブドウ糖の合計含量100重量%を基準にして、ブドウ糖含量は果糖含量の残量であってもよい。
【0041】
(2)果糖含有産物から高純度果糖を得る工程
固形分含量35~45重量%の原料糖溶液を転化酵素(Invertase)を用いて酵素加水分解して得られた果糖およびブドウ糖混合液を、脱色工程、イオン精製工程および濃縮工程に付して、果糖43~48重量%の原料シロップを製造する工程である。
【0042】
前記脱色工程は、アルロース溶液に活性炭を接触させて温度40~50℃で0.5~5時間反応した後に、前記活性炭を含む反応液を固液分離工程を行って濾液を得て、不純物はろ過残留物として除去できる。前記ろ過は、フィルタープレスのようなろ過装備を用いて行うことができる。
【0043】
前記活性炭反応工程で選択的に攪拌することができ、前記反応液の攪拌速度は5~500rpm、好ましくは50~300rpmであってもよい。前記攪拌速度は、活性炭の分散程度および攪拌に所要される費用を考慮して適切に選択することができる。活性炭と反応液の接触時間は、活性炭の分散程度および不純物の除去効率などを考慮して適切に選択することができ、例えば、0.5~5時間、好ましくは0.5~2時間であってもよく、接触時間が短ければ不純物除去、例えば脱色が十分に行われないことがあり、接触時間が長ければ主要成分の破壊および褐変が起こることがある。
【0044】
前記活性炭処理工程に使用された前記活性炭は、石炭系または木質系由来であってもよく、活性炭の気孔粒径サイズによって選択的に不純物を除去することもできる。
【0045】
前記イオン精製工程は、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂、および陽イオンと陰イオン交換樹脂が混合された樹脂からなる群より選択された1種のイオン樹脂を用いて行うことができ、前記アルロース転換産物のイオン精製工程を同様に果糖のイオン精製工程に適用することができる。
【0046】
一具体例で、果糖-含有原料を製造する方法は、(1)原料糖を転化酵素で処理してブドウ糖と果糖を含む混合液を製造する転化工程;(2)前記転化産物をイオン精製および擬似移動層(simulated moving bed、SMB)クロマトグラフィーを用いた分離に付して、果糖分画とラフィネートを得る果糖分離プロセスを含む果糖-含有原料を製造する工程を含む。
【0047】
本明細書で、用語“ラフィネート(raffinate)”とは、抽残液とも言い、分離工程に投入された原料が分離工程を通過して得られる産物には分離工程で含量を高めようとする目的物質を含む目的分画と、分離工程で除去または含量を減少しようとする物質などを含む残留液を含み、前記残留液をラフィネートという。
【0048】
アルロース転換反応の基質である果糖-含有原料は、原料糖に転化酵素を接触させて果糖を含有する転化糖シロップを製造し、前記転化糖シロップから高純度果糖を分離する工程を行うことができる。
【0049】
前記転化糖シロップから高純度果糖を分離する工程は、まず、(A)原料糖と転化触媒を使用して果糖を含有する転化糖シロップを製造する転化工程、(B)前記転化糖シロップを果糖製造の分離工程である第一次イオン精製、SMBクロマトグラフィーを用いた分離および第二次イオン精製からなる群より選択された1種以上の工程で行うことができ、追加的に活性炭処理およびろ過処理工程を行うことができる。
【0050】
本発明の果糖製造工程は、連続式と配置式の両方とも使用可能であり、一実施形態によれば連続式工程を使用することができるが、これに制限されるわけではない。
【0051】
本発明の一例で、果糖反応物を分離および濃縮するために、工程(A)で得られた転化糖反応物を第一次イオン精製およびSMBクロマトグラフィー分離工程に付すことができる。前記果糖製造の分離工程は、通常の果糖製造の分離工程と同様な方法、工程および反応条件で行うことができる。前記第一次イオン精製およびSMBクロマトグラフィーは、前記(2)項目のアルロース転換反応物の分離工程で記述したところと実質的に同一である。
【0052】
本発明の果糖製造の分離工程は、第一次イオン精製、SMBクロマトグラフィー分離、第二次イオン精製および濃縮工程を含むことができ、選択的に果糖異性化反応物の不純物を除去する工程は、脱塩工程、脱色工程または脱色と脱塩工程を行うことができる。前記不純物を除去する工程は、ろ過を用いた不溶性物質の除去工程、および活性炭を用いた脱色工程、有色成分とイオン成分などの不純物を除去するためにイオン交換樹脂が充填されたカラムに通液させて行うことができる。前記果糖異性化反応物の不純物を除去する工程を経て、果糖含量40~44重量%の果糖シロップを得る。
【0053】
その後、擬似移動層吸着分離方法(simulated moving bed、SMB)を用いてブドウ糖ラフィネートと果糖分画を得て、前記果糖分画を第二次イオン精製および濃縮工程に付して、全体固形分100重量%を基準にして、固形分濃度45~55重量%の果糖溶液を得ることができる。
【0054】
前記ブドウ糖と果糖の分離のためには、前記アルロース転換反応物の分離工程で使用したSMBクロマトグラフィー分離工程と実質的に同一に行うことができ、例えば220~320μmの粒度を有するカルシウム(Ca)型強酸性陽イオン樹脂を使用することができる。前記高純度分離工程の温度は40~60℃、例えば60℃で行うことができる。
【0055】
本発明の果糖製造工程は、連続式と配置式の両方とも使用可能であり、好ましくは連続式工程である。以下、本発明による果糖ラフィネート再循環を通じた果糖製造工程を各工程別に詳しく記述しようとする。
【0056】
第一次イオン精製方法で、有色およびイオン成分などの不純物を除去するためにアルロース製造の第一次イオン精製と同一または異なる方法で行うことができ、同一種類または異なる種類のイオン交換樹脂が充填された分離塔を一つまたは二つ以上使用して行うことができる。前記イオン精製工程は、イオン精製に使用される樹脂の物性およびイオン精製効率を考慮して工程条件を設定して行うことができる。
【0057】
前記不純物を除去する工程は、不溶性物質の除去工程、および活性炭を用いた脱色工程、有色成分とイオン成分などの不純物を除去するためにイオン交換樹脂が充填されたカラムに通液させて行うことができる。例えば、高純度分離工程で得られた果糖分画を、第二次イオン精製、および濃縮工程を行って目的とする果糖含量を有する果糖原料を製造することができる。
【0058】
本発明の果糖製造工程に含まれている濃縮工程は、多様な方法で濃縮して果糖含量を85重量%以上に含むようにする。例えば、擬似移動層吸着分離方法で得られた果糖分画、例えば固形分濃度20~30重量%を濃縮工程を通じて固形分濃度45~55重量%で濃縮することができる。前記果糖製造工程で濃縮する工程は、70~85℃の温度下で10~15分間濃縮することを含むことができる。前記濃縮は、連続真空濃縮装置(Falling Film Evaporator)または薄膜真空濃縮器(Thin Film Evaporator)を用いて、減圧または真空条件下で濃縮することができる。前記果糖製造工程で濃縮する工程は、70~85℃の温度下で10~15分間濃縮することを含むことができる。
【0059】
(3)果糖液を用いてアルロース含有産物を得る工程
本発明によるアルロース製造方法において、原料糖から得られる転化糖シロップから果糖を分離した高純度果糖液をアルロース転換反応の基質として使用することである。
【0060】
一具体例で、アルロース製造方法は、(1)果糖-含有原料でアルロース転換反応物を製造するアルロース転換工程;(2)前記転換反応物をイオン精製および擬似移動層(simulated moving bed、SMB)クロマトグラフィーを用いた分離を行ってアルロース分画と果糖ラフィネートを得るアルロース分離工程を含む。前記アルロース製造方法は、(3)アルロース製造の分離工程で得られる前記アルロース分画をイオン精製、濃縮および結晶化するアルロース結晶化工程を追加的に含むことができる。
【0061】
本発明のアルロース製造工程は、連続式と配置式工程を全て使用可能であり、一実施形態によれば連続式工程を使用することができるが、これに制限されるわけではない。
【0062】
本発明による果糖分離プロセスで得られる最終産物をアルロース転換反応のための反応原料としてアルロース製造工程に投入する。高純度分離工程を経て得られた果糖分画の果糖含量は85重量%以上であり、濃縮工程を経て得られる最終産物の果糖含量は85~95重量%または85~99重量%であってもよい。前記アルロース転換反応に投入される果糖原料は、果糖含量が85重量%以上、例えば85重量%~99重量%であり、単糖類および二糖類の含量は5重量%以下、例えば1重量%~5重量%であってもよい。具体的な一例で、HPLC測定時、2BX(20g/L)で見ればブドウ糖(50%)基準10g/Lであり、HMFは0.01g/L基準に設定時、0.05%重量と確認することができる。
【0063】
本発明は、アルロース転換工程の原料基質として原料糖を用いて果糖-含有原料を使用することによってアルロースの生産収率を最大に高めてアルロースの製造原価を低めることができる。また、アルロース製造工程で、原料糖から直接的に果糖-含有原料を製造することによって、砂糖を用いて果糖-含有原料を製造するための従来の方法で別途に砂糖製造工程および砂糖分解処理装置が必要でなくて、工程設計および運営の面で有利である。
【0064】
一具体例で、アルロース製造方法は、果糖-含有原料でアルロース転換反応物を製造するアルロース転換工程、および前記転換反応物をイオン精製および擬似移動層(simulated moving bed、SMB)クロマトグラフィーを用いた分離を行ってアルロース分画とラフィネートを得るアルロース分離工程を含む。本発明のアルロース製造工程は、連続式と配置式工程を全て使用可能であり、一実施形態によれば連続式工程を使用することができるが、これに制限されるわけではない。
【0065】
アルロース転換工程は、アルロース転換反応を行って果糖-含有原料からアルロースを転換する工程であって、工程の産物として果糖から転換されたアルロースを含有する反応液を得る。
【0066】
本発明の一具体例で、生物学的方法によってアルロースを製造する方法としては、アルロースエピマー化酵素を生産する菌株またはアルロースエピマー化酵素をコードする遺伝子が導入された組み換え菌株を培養し、これから得られたアルロースエピマー化酵素を果糖-含有原料と反応して生産することができる。前記アルロースエピマー化酵素は液相反応または固定化酵素を用いた固相反応で行うことができる。
【0067】
または、アルロースエピマー化酵素を生産する菌株またはアルロースエピマー化酵素をコードする遺伝子が導入された組み換え菌株を得て、菌株の菌体、前記菌株の培養物、前記菌株の破砕物、および前記破砕物または培養物の抽出物からなる群より選択された1種以上を含むアルロース生産用組成物を、果糖-含有原料と反応して製造できる。アルロースエピマー化酵素を生産する菌株の菌体を用いてアルロースを製造する場合、液相反応または固定化菌体を用いた固相反応で行うことができる。
【0068】
本発明の具体的一例で、アルロースエピマー化酵素を生産する菌株は高い安定性を有しながらも高収率で果糖からアルロースを転換することができるか、アルロースエピマー化酵素を生産することができる菌株であってもよく、前記菌株は自然から分離した菌株またはその突然変異菌株であるnon-GMO菌株、またはアルロースエピマー化酵素をコードする遺伝子を宿主細胞に導入した組み換え菌株であってもよい。本発明の一例では、前記non-GMO菌株としては、知られている多様な菌株を使用することができる。前記組み換え菌株は、多様な宿主細胞、例えば大腸菌、バシラス属菌株、サルモネラ属菌株およびコリネバクテリウム属菌株などを使用することができるが、好ましくは、GRAS菌株であるコリネバクテリウム属菌株であってもよく、コリネバクテリウムグルタミカムであってもよい。
【0069】
本発明の一例によるアルロース転換工程は、生物学的方法で行い、例えば、固相反応の場合、前記アルロースエピマー化酵素または菌体を担体に固定化しカラムに充填させる工程、および前記充填されたカラムに果糖溶液を供給する工程をさらに含むことができる。酵素や菌体が固定化された担体を充填させるカラムおよび前記カラムに充填させる方法は、本発明の属する技術分野の当業者が使用された酵素や菌体、または固定化担体によって適したものとして容易に選択して行うことができる。本発明の一具体例で、前記固定化された酵素または菌体をカラムに充填させて、充填床カラム(packed-bed column)を製造することができる。充填床カラムに基質である果糖溶液を供給することによって、酵素反応、即ち、果糖のアルロースへの転換を行うことができる。
【0070】
前記アルロースの転換反応において、不純物生成を防止または減少させるために防止または減少させる方法の一例は、アルロース生産工程を、pHは4以上および/または温度は70℃以下で行う方法であってもよい。具体的に、前記反応は、pH4.5~7.5、例えば、pH4.7~7.0、またはpH5.0~6.0またはpH5.0~5.5の条件下で行うことができる。また、前記反応は、30℃以上、例えば40℃以上の温度条件下で行うことができる。前記果糖をアルロースに転換させる酵素(例えば、エピメラーゼ)は、金属イオンによって活性化が調節されるので、前記アルロース生産において、金属イオンを添加すると果糖からアルロースへの転換効率、即ち、アルロース生産率が増加できる。したがって、前記アルロース生産用組成物は、銅イオン、マンガンイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、亜鉛イオン、ニッケルイオン、コバルトイオン、鉄イオン、アルミニウムイオンなどからなる群より選択された1種以上の金属イオンを追加的に含むものであってもよい。
【0071】
アルロースおよびその製造方法に関する詳しい技術内容は、韓国公開特許第2014-0021974号、韓国公開特許第2014-0054997号、韓国公開特許第2014-0080282号、または韓国登録特許第10-1318422号に記載されている。
【0072】
本発明によるアルロース転換工程に投入される果糖原料は、生物学的方法または化学的方法で製造でき、好ましくは生物学的方法である。前記果糖原料は、原料糖を生物学的または化学的に加水分解してブドウ糖と果糖を含むシロップを製造し、果糖を分離してアルロース転換工程に投入される果糖原料として使用することができる。
【0073】
前記アルロース生産方法において、効率的なアルロース生産のために、基質として使用される果糖の濃度は、全体反応物基準で、85w/v%以上、90w/v%以上、または95w/v%以上であってもよく、例えば85~99w/v%、88~99w/v%、88~99w/v%、85~87%(w/v)、88~90%(w/v)、91~93%(w/v)、94~99%(w/v)または97~99%(w/v)であってもよい。果糖の濃度は、工程の経済性および果糖の溶解性を考慮して決定することができ、前記果糖は、緩衝溶液または水(例えば、蒸留水)に溶解された溶液状態で使用できる。
【0074】
(4)アルロース含有産物から高純度アルロースを得る工程(アルロース転換反応物の分離工程)
本発明の一例で、アルロース転換工程で得られる産物は、原料基質である果糖と生産物であるアルロースを含む混合物であり、高純度分離工程を経るにつれて目的物質であるアルロースの含量が増加されたアルロース分画と残留液を得て、残留液にはアルロース転換反応の基質である果糖が多量含まれるので、果糖ラフィネートを意味することができる。
【0075】
本発明によるアルロース製造工程は、前記アルロース転換反応生成物をイオン精製および擬似移動層(SMB)クロマトグラフィー分離工程を含むアルロース転換反応生成物の分離工程を含むことができる。具体的な一例で、前記アルロース転換反応生成物をSMBクロマトグラフィー分離に付して、転換反応物よりアルロース含量が高いアルロース分画と果糖ラフィネートに分離し、前記アルロース分画はアルロース濃縮工程または結晶化工程に投入され、果糖ラフィネートは果糖製造工程に投入されて再循環する。
【0076】
前記アルロース分画内アルロースの含量は、85重量%以上、例えば85重量%~95%(w/w)以上になるように分離/精製するものを含むことができる。
【0077】
前記アルロース製造工程で、イオン精製工程は、反応物内に含まれているイオンを除去する工程であって、SMBクロマトグラフィー分離工程以前および/または以後に行うことができる。前記SMBクロマトグラフィー分離を行う前にイオン精製工程を行う第一次イオン精製は、下記アルロース分画の第二次イオン精製と同一または異なる方法で行うことができ、例えば、同一種類または異なる種類のイオン交換樹脂が充填された分離塔を一つまたは二つ以上使用して行うことができる。前記イオン精製工程は、イオン精製に使用される樹脂の物性およびイオン精製効率を考慮して、35~50℃温度、例えば、38~58℃で行うことができる。
【0078】
本発明の一例で、前記アルロース転換反応物の第一次イオン精製工程を行う前に、選択的にアルロース転換反応物を活性炭で処理する工程を追加的に行うこともできる。前記活性炭処理は、不純物として作用するか、アルロースの変性を誘導することがある高分子または低分子有機物、有色イオン性物質またはタンパク質などを吸着させて除去することである。前記活性炭処理工程に使用された前記活性炭は、石炭系または木質系由来であってもよく、活性炭の気孔粒径サイズによって選択的に不純物を除去することもできる。前記活性炭工程は、アルロース溶液に活性炭を接触させて温度40~50℃で0.5~5時間反応した後に、前記活性炭を含む反応液を固液分離工程を行って濾液を得て、不純物はろ過残留物として除去できる。前記ろ過は、フィルタープレスのようなろ過装備を用いて行うことができる。
【0079】
本発明の一例で、SMBクロマトグラフィーを用いた高純度分離工程は、分離過程で相変化がなくて物質の安定性確保に容易な分離方法である。このような吸着分離方法のうち、液相吸着分離方法としてはクロマトグラフィー分離方法が多く使用されている。このうち、擬似移動層吸着分離方法(simulated moving bed、SMB)は、1961年米国特許第2,985,589号で提案された分離技術であって、複数のカラムを用いて連続的に分離することによって既存の回分式クロマトグラフィーに比べて純度および生産性に優れ、少ない溶媒の使用が可能であるという長所を有する。前記擬似移動層(SMB)吸着分離工程は、分離対象混合物の注入とラフィネートおよび抽出物の生産が連続的に行われる工程である。
【0080】
SMBの基本原理は、カラムの間の位置を一定時間間隔で動くことによって固定相と移動相の向流の流れを模倣し、連続的な分離を可能にすることである。吸着剤との親和力が弱くて速く動く物質は、液相の流れ方向に動いてextractに集まり、吸着剤との親和力が強くて遅く動く物質は、固定相の流れ方向に動いてラフィネート(raffinate)に集まる。カラムは連続的に連結されており、入口は混合物と移動相、出口は目的抽出物(extract)とラフィネートから構成される。
【0081】
前記SMBで分離樹脂として単糖分離工程にも広く使用されている塩が添加された強酸の陽イオン交換樹脂を使用するので、分離工程を行った後に得られる産物には金属イオンが含まれる。前記強酸の陽イオン交換樹脂の例は、カルシウム活性基が付着された陽イオン交換樹脂であってもよい。
【0082】
図1は、一般的な擬似移動層(SMB)吸着分離装置の工程図を示す。一般的な擬似移動層(SMB)吸着分離装置は、一つまたはそれ以上のカラムから構成された四つの区間と各区間の間に位置した脱着剤(desorbent)流入ポート、強吸着質である抽出物(extract)排出ポート、分離対象混合物(feed)流入ポート、および弱吸着質であるラフィネート(raffinate)排出ポートから構成される。類似移動層(SMB)吸着分離装置を使用した混合物の分離方法は、芳香族炭化水素の混合物の分離、エチルベンゼンの分離工程、キラル化合物の分離工程などに適用でき、医薬品製造過程中の最終産物あるいは中間物質であるラセミ混合医薬品の分離工程などに適用できる。
【0083】
前記高純度分離工程は、45~70℃温度、例えば50~65℃で行うことができる。
【0084】
(5)アルロースの濃縮または結晶化工程
本発明のアルロース製造工程で、SMBクロマトグラフィーを用いた高純度分離工程で得られたアルロース分画は、アルロース濃縮工程を経て液状シロップとして製品化するか、アルロース結晶化工程を経てアルロース結晶として製品化することができる。
【0085】
前記工程(4)でSMBクロマトグラフィー分離工程で得られたアルロース分画をイオン精製し濃縮して得られた濃縮物を製造する工程である。前記濃縮物はアルロースシロップ製品として使用されるか、結晶化工程に投入されてアルロース結晶として製造できる。
【0086】
本発明の一例で、前記SMBクロマトグラフィーを用いた高純度分離工程で得られたアルロース分画を第二次イオン精製工程に付すことができ、前記分離工程で行った第一次イオン精製と同一または異なる方法で行うことができる。
【0087】
アルロース結晶を得るためのアルロース溶液中のアルロースの含量は、過飽和状態で高濃度で含まれなければならないが、アルロース転換反応物のアルロースの含量は低いため直接結晶化を行うことができず、結晶化工程前にアルロース含量を増加させるために精製し、所望の水準まで濃縮する工程を行わなければならない。
【0088】
本発明の一具体例で、前記精製されたアルロース溶液を濃縮させる工程は、40~75℃または55~75℃温度で行うことができる。濃縮液の温度が75℃より高まれば、D-アルロースの熱変性が起こることがあり、40℃より低まれば、所望の水準の濃縮を達成しにくい。濃縮が行われるにつれて蒸発熱によって反応物の温度が急激に増加するので、濃縮液の温度を75℃以下に維持しながら速かに濃縮しなければならない。
【0089】
本発明の一具体例で、アルロースの熱変性および所望の水準の濃縮を達成するために、55~75℃温度、好ましくは60~70℃範囲で濃縮することができる。前記濃縮工程は、所望の濃縮水準を達成するまで1回または2回以上繰り返して行うことができる。
【0090】
具体的に、前記SMBクロマトグラフィー分離工程で得られたアルロース分画の濃縮工程は多様な方法で行うことができ、濃縮物の固形分含量が70ブリックス以上になるようにすることができる。例えば、擬似移動層吸着分離方法で得られたアルロース分画(例えば、固形分含量20~30重量%)を濃縮工程を通じて固形分含量70ブリックス以上に濃縮することができる。前記アルロース濃縮物の固形分含量は、70ブリックス以上、例えば、70ブリックス~85ブリックスであってもよい。不純物生成防止または減少させるために、前記濃縮工程は、SMBクロマトグラフィー分離工程で得られたアルロース分画を40~70℃以下の温度条件で行うことができ、選択的に前記濃縮工程を少なくとも2段階以上に分けて行うことができる。例えば、前記濃縮工程を2段階に分けて行う場合には、アルロースシロップを30~50Bx濃度になるように一次濃縮を行い、一次濃縮液を再び60~85Bx濃度に二次濃縮を行うことができる。
【0091】
前記アルロース製造工程で、濃縮する工程は55~75℃温度範囲で10~15分間濃縮することを含むことができる。前記濃縮は、連続真空濃縮装置(Falling Film Evaporator)または薄膜真空濃縮器(Thin Film Evaporator)を用いて、減圧または真空条件下で濃縮することができる。
【0092】
前記アルロース濃縮物に含まれているアルロース含量は前記SMBクロマトグラフィー分離工程で得られたアルロース分画のアルロース含量と変動が殆どなく、固形分含量が増加して以後結晶化工程を行うことができるようにする。前記アルロース濃縮物に含まれているアルロース含量は、固形分総含量100重量%を基準にして、94重量%以上、95重量%以上、96重量%以上、97重量%以上、98重量%以上または99重量%以上であってもよい。
【0093】
前記アルロース結晶化工程は、前記高純度分離工程で得られたアルロース分画を第二次イオン精製する工程、前記イオン精製されたアルロース分画を濃縮する工程、前記濃縮物からアルロースを結晶化してアルロース結晶とアルロース結晶化母液を得る工程を含む。前記アルロース分離工程の具体的な例は、第一次イオン精製、高純度クロマトグラフィー分離、第二次イオン精製、濃縮および結晶化工程を含むことができ、選択的にアルロース転換反応物を脱塩工程、脱色工程または脱色と脱塩工程に付すことができる。
【0094】
前記アルロース分画内アルロースの含量は、85重量%以上、90重量%以上、91重量%以上、92重量%以上、93重量%以上、94重量%以上または95重量%以上、例えば85重量%~99.9%(w/w)以上になるように分離/精製することを含むことができる。
【0095】
前記アルロース結晶に含まれているアルロースの純度は、90重量%以上、95重量%以上、または99重量%以上であり、前記結晶化母液内アルロース含量は、85重量%以上、90重量%以上、93重量%以上、または95重量%以上、例えば85重量%~95重量%であってもよい。
【0096】
本発明の方法によって得られたアルロースは、通常の方法によって精製および/または結晶化でき、このような精製および結晶化は当業者に通常の技術に属する。例えば、遠心分離、ろ過、結晶化、イオン交換クロマトグラフィーおよびこれらの組み合わせからなる群より選択された一つ以上の方法によって行うことができる。
【0097】
一例で、前記SMBクロマトグラフィーを用いた高純度分離工程で得られたアルロース分画を第二次イオン精製することができ、前記アルロースの分離工程で使用した第一次イオン精製と同一または異なる方法で行うことができる。
【0098】
本発明によるD-アルロース結晶を製造する方法は、精製されたD-アルロース溶液を濃縮させる工程を含むことができる。アルロース結晶を得るためのアルロース溶液中のアルロースの含量は、70重量%以上でなければならない。アルロースエピマー化酵素によって製造されたアルロース溶液中のアルロースの純度は、20~30重量%程度と低いため直接結晶化を行うことができず、結晶化工程前にアルロースを精製し、所望の水準まで濃縮しなければならない。本発明の一具体例で、アルロースの熱変性および所望の水準の濃縮を達成するために、55~75℃温度範囲で濃縮することができる。前記濃縮工程は、所望の濃縮水準を達成するまで1回または2回以上繰り返して行うことができる。
【0099】
前記冷却させて結晶化する工程は、熱交換器を通じて10~25℃温度範囲に急速に冷却させた後、昇温と冷却を反復的に行って結晶成長を誘導させることを含むことができる。
【0100】
本発明によるD-アルロース結晶を製造する方法は、前記結晶化工程で得られたアルロース結晶を遠心分離によって回収し、脱イオン水で洗浄した後、乾燥させる工程をさらに含むことができる。
【0101】
本発明による一例は、生物学的触媒を用いて果糖原料からアルロース転換反応を行うアルロース転換反応器、活性基が付着された陽イオン交換樹脂が充填されたカラムを含み、原料投入口、およびアルロース分画と果糖ラフィネートを排出する排出口を備えた擬似移動層(simulated moving bed、SMB)クロマトグラフィー分離機を含むアルロース製造装置に関するものである。
【0102】
前記果糖分離装置は転化反応物をイオン精製するイオン交換樹脂が充填されたカラムを備えたイオン精製機、活性基が付着された陽イオン交換樹脂が充填されたカラムを含み、イオン精製機を通過した反応物を投入する投入口、果糖分画とラフィネートを排出する排出口を備えた擬似移動層(simulated moving bed、smb)クロマトグラフィー分離機、前記分離機から排出された果糖分画を濃縮する濃縮器、および前記濃縮器から排出された果糖-含有原料をアルロース製造装置に提供するための高純度果糖液製造装置とアルロース製造装置を連結する連結部を含むことができる。
【発明の効果】
【0103】
本発明によるアルロースを製造する方法は、従来の砂糖を使用してアルロースを製造するかデンプンを用いた異性化果糖を用いる場合に比べて、砂糖製造工程およびブドウ糖製造過程を省略することができて工程を単純化し、低価の原料を活用することができて生産費用を減少することができ、従来のデンプンを用いた異性化糖に含まれているDP3以上のオリゴ糖類およびその他の不純物の含量を減少させてアルロースシロップまたは粉末に含まれている不純物含量を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
図1】本発明の一例によって原料糖由来果糖を用いて製造されたアルロース転換反応生成物のHPLC分析結果である。
図2】比較例1によってデンプン由来果糖を用いて製造されたアルロース転換反応生成物のHPLC分析結果である。
図3】原料糖を用いた砂糖製造工程で得られる試料のHPLC分析結果であって、各試料は原料糖溶液および砂糖製造用結晶化母液である。
図4】原料糖を用いた砂糖製造工程で得られる試料のHPLC分析結果であって、各試料は原料糖溶液および砂糖製造用結晶化母液である。
図5】原料糖を用いた砂糖製造工程で得られる試料のHPLC分析結果であって、各試料は原料糖溶液および砂糖製造用結晶化母液である。
図6】原料糖を用いた砂糖製造工程で得られる試料のHPLC分析結果であって、各試料は原料糖溶液および砂糖製造用結晶化母液である。
図7】原料糖を用いた砂糖製造工程で得られる試料のHPLC分析結果であって、各試料は原料糖溶液および砂糖製造用結晶化母液である。
図8】原料糖を用いた砂糖製造工程で得られる試料のHPLC分析結果であって、各試料は原料糖溶液および砂糖製造用結晶化母液である。
図9】原料糖を用いた砂糖製造工程で得られる試料のHPLC分析結果であって、各試料は原料糖溶液および砂糖製造用結晶化母液である。
図10】デンプン由来アルロースと原料糖由来アルロース溶液に対してHPLCを用いたHMF含量分析のための標準曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【実施例
【0105】
以下、本発明を下記の実施例によってさらに詳しく説明する。しかし、これら実施例は本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれら実施例によって限定されるのではない。
【0106】
実施例1: 砂糖製造用原料を用いたアルロース製造
原料糖220kgと蒸留水180kgと混合し、1N HClでpH4.12に調整して固形分含量55bxを有する反応液を製造し、前記反応液を用いて温度条件で0.1重量%の転化酵素(Invertase)(Sumizyme INV-L、オークゾーンバイオテック株式会社)を処理した。前記処理液を24時間反応してブドウ糖50.0重量%および果糖48.6重量%を含む反応産物液を得た。前記原料糖はサトウキビから製造されたものであって、砂糖含量98.5%のものである。
前記反応産物液を温度80℃で活性炭1.0重量%で処理して30分間脱色し、活性炭をろ過して脱色処理を行った。前記脱色処理された反応産物液を、陽イオン交換樹脂(SCRB)、陰イオン交換樹脂(AMP24)および陽イオンと陰イオン交換樹脂が混合された樹脂(MB)に時間当りイオン交換樹脂2倍体積の速度で通液させて、有色およびイオン成分などの不純物を除去した。前記不純物を除去した産物を、カルシウム(Ca2+)タイプのイオン交換樹脂で充填されたクロマトグラフィーを用いて果糖分画のための高純度分離工程(SMB)を行って、固形分含量中の果糖含量を85重量%の果糖分画を得た。前記果糖分画を濃縮して、50重量%の固形分含量および98.1重量%の果糖含量を有する果糖液を得た。
前記製造された果糖原料を用いて、アルロースを製造した。具体的に、前記製造された50重量%の固形分含量および98.1重量%の果糖含量を有する果糖液を用いて流量3.8m3/hrでアルロース転換工程と分離工程を行った。アルロース転換工程を経て得られた反応物のアルロース含量は20~23重量%であり、イオン精製後、45~50重量%の濃度で分離工程を通過した。Ca+ type分離(SMB)樹脂を用いて分離時発生されるラフィネートは、時間当り3m3ずつ発生した。
前記アルロース転換工程は、アルロース酵素が固定された塔に果糖液を通液させて、21.8重量%アルロース含量の低純度アルロースを得ており、具体的に韓国登録特許第10-1318422号に記載された製造方法によって生物学的方法で果糖基質からアルロースシロップを製造した。
その後、低純度アルロースを陰イオン交換樹脂および陽イオンと陰イオン交換樹脂が混合された樹脂に通液させてイオン樹脂を通液した低純度アルロースを得た。前記樹脂を通液した低純度アルロースに対して、カルシウム(Ca2+)タイプのイオン交換樹脂で充填されたクロマトグラフィーを用いて高純度のアルロース分画を分離して、アルロース含量95重量%以上の高純度アルロースを製造した。前記高純度アルロースを陰イオン交換樹脂および陽イオンと陰イオン交換樹脂が混合された樹脂に通液させてイオン精製された高純度アルロースを得た。前記得られたイオン精製された高純度アルロースを濃縮して、固形分含量72ブリックス(Brix)を有し、純度98.5重量%の高純度アルロース濃縮液を製造した。
【0107】
比較例1: デンプン由来アルロース製造および5-HMF含量分析
本比較例でアルロースシロップの製造方法は実質的に実施例1のアルロース転換工程および分離工程を行ったが、但し、アルロース転換反応の基質として、果糖含量90重量%で含むデンプン由来果糖原料から、50mM PIPES緩衝溶液pH7.5および60℃条件下で反応させて、固形分含量72ブリックス(Brix)を有するアルロース純度97.5重量%のアルロース濃縮液を得た。
前記デンプン由来果糖はトウモロコシデンプンを30~35重量%になるように水と混合した後、酵素加水分解を行ってブドウ糖含量88重量%以上の糖化液を得た。その後、前記糖化液を真空ドラムろ過を行って不溶性物質を除去して果糖異性化反応物(果糖含量42重量%シロップ)を得た。前記果糖異性化工程を通過した反応生成物(果糖含量42重量%シロップ)を、強酸性樹脂、弱塩基性樹脂、および強酸性樹脂と弱塩基性混合樹脂から構成された第一次イオン精製工程で通液してイオン精製を経て固形分50重量%に濃縮後、SMBクロマトグラフィー工程を通過させた。SMB工程を行って果糖分画を得て、前記果糖分画を第二次イオン精製および濃縮工程を行って固形分含量50ブリックス(Brix)および果糖含量90重量%の果糖-含有原料溶液を得た。
前記果糖-含有溶液を用いて、実施例1のアルロース生産工程と実質的に同様な方法でアルロース転換反応物製造、イオン精製、Ca+ type分離(SMB)樹脂を用いた分離工程、イオン精製、および濃縮工程を行ってアルロースを製造した。前記最終得られたアルロース溶液は、固形分含量72ブリックス(Brix)およびアルロース純度最大99重量%(工程上では95~99%)の高純度アルロース濃縮液を製造した。
【0108】
試験例1: 砂糖製造用原料由来アルロースの5-HMF含量分析
(1)分析試料製造
実施例1で製造したアルロース製造用原料基質である高純度果糖液(試料1)、および濃縮工程を行った高純度アルロース(試料2)を含む二つのサンプルを準備し、精製水を添加して5ブリックス(Brix)に希釈して5-HMF分析のための分析試料を製造した。
【0109】
(2)分光光度計を用いた分析
分光光度計を用いた5-HMF含量の測定方法として、前記分析試料を1ml quartz cuvetに入れて、280nmの吸光度と250nmの吸光度をSpectrophotometerで測定し、数式1で計算して試料内の5-HMF含量を得た。前記分光光度計を用いた5-HMF含量の測定結果およびHPLC分析を用いた5-HMF含量の測定結果を表1に示す。下記数式1でA(280nm)およびA(250nm)は、280nmまたは250nmでそれぞれ測定された吸光度数値である。前記分光光度計を用いた5-HMF含量の測定結果を下記表1に示す。
【0110】
【数1】
【0111】
下記表1の分光光度計を用いた5-HMF含量の測定結果によれば、アルロース転換反応の基質である果糖が原料糖から製造された実施例1の試料1はHMP含量が0.53(mg/L)であった。下記表2の比較例1によるデンプン由来果糖(対照試料1)は分光光度計分析結果HMPの含量が2.29(mg/L)であることを考慮すれば、実施例1の原料糖由来果糖基質のHMF含量が非常に低いのを確認した。
実施例1による試料1および試料2は、比較例1による対照試料1および2と顕著なHMFの含量差を見ることができた。したがって、本実施例によって砂糖製造用原料に由来した果糖-含有原料とこれを活用して製造されたアルロースシロップは、デンプン由来果糖-含有原料とこれを活用して製造されたアルロースシロップと比較して、果糖-含有原料で5-HMF含量差があるだけでなく、製造および分離されたアルロースシロップでもHMF含量の差があり、比較例に比べて顕著に低い状態を維持することを確認することができた。
【0112】
(3)HPLC分析
HPLC分析を用いた5-HMF含量の分析方法として、具体的に、前記製造された分析試料を、HPLC-UV分析条件として、C18(Shiseido、Capcell pak 4.6mmΦ×250mm)カラムを使用して30℃で、移動相として水90%(v/v)、メタノール10%(v/v)を0.6ml/min流速で流しながら行い、UV Detectorを使用して分析した。前記HPLC分析を用いた試料分析結果は、HPLC結果グラフで各ピークの面積を下記表1に示し、HPLC分析によるC18化合物(5-HMF)のピーク面積を用いて各試料に含まれているC18化合物(HMF)の相対的な含量を確認することができる。
【0113】
【表1】
【0114】
原料糖を用いたアルロース製造工程で得られた試料内の5-HMFの含量が、デンプン比較由来果糖を用いたアルロース製造工程で得られた試料と比較してさらに低いのを確認し、よって、実施例1による生産物のアルロース純度がさらに高いことが確認された。前記表1のHPLC分析によるC18面積を考慮するとき、試験例2で行ったHMF含量との差が顕著に多くあることを確認した。同一固形分のサンプルに対して測定したとき、HMFのピークが高く示され、面積を基に比較してみたとき、デンプン由来アルロースがHMFの量がさらに増加することが確認された。特に最後の濃縮工程を終えた後の試料2と対照試料2を確認してみれば、面積値の差が大きいことが確認された。
したがって、原料糖由来アルロース製造時、従来のデンプン由来にアルロースに比べて純度が高く副産物が少ない高純度アルロースを製造することができる。
【0115】
試験例2: デンプン由来アルロースの副産物含量分析
(1)分析試料製造
比較例1で製造したアルロースを工程別に、試験例1の試料のように2種試料を得て、精製水を添加して5ブリックス(Brix)に希釈して分析試料を製造した。
具体的に、前記アルロースの製造工程中で、原料基質であるデンプンガラス高純度果糖液(対照試料1)および濃縮工程を行った高純度アルロース(対照試料2)を含む二つのサンプル群を採取し、5-HMF分析のために5ブリックス(Brix)に希釈して分析試料を製造した。
【0116】
(2)分光光度計を用いた分析
試験例1による分光光度計を用いた5-HMF含量の測定方法と実質的に同様な方法で分析試料を分析した。前記分光光度計を用いた5-HMF含量の測定結果を下記表2に示す。
原料糖由来果糖-含有原料とデンプン由来果糖-含有原料は、HMF含量での大きな差があるのを確認した。原料糖由来アルロースと対比してデンプン由来アルロースを製造するようになれば製造工程が多くなるようになって、HMFの量が原料糖由来アルロースに比べて多くなるようになる。このような例として、対照試料2と試料2を比較すれば、最終HMFの量の差を確認することができ、最終アルロースの純度でも原料糖由来が高いことが分かる。
したがって、原料糖由来アルロース製造時、既存のデンプン由来で作ったアルロースに比べて純度が高く副産物が少ない高純度アルロースを製造することができるのを確認した。
【0117】
(3)HPLC分析
試験例1によるHPLC分析を用いた5-HMF含量の分析方法と実質的に同様な方法で分析試料を分析した。前記HPLC分析を用いた試料分析結果はHPLC結果グラフで各ピークの面積を下記表2に示す。
【0118】
【表2】
【0119】
HPLCを活用してUV DetectorでHMFを測定することができ、原料糖由来アルロースとデンプン由来アルロースのHMFの相対的な差を比較するために同一濃度を設定してHPLCを測定し、その結果試料6と対照試料6を確認すれば、面積の差を確認することができ、HMFの量は面積に比例し、原料糖由来アルロースのHMFの量が少ないのを確認することができた。
【0120】
試験例3: 製造工程別アルロース産物の副産物含量分析
実施例1で製造したアルロース製造用原料基質である果糖液を得て、前記果糖液は固形分含量50ブリックスおよび98.1重量%の果糖含量を有する果糖液を試料6-1として分析に使用した。前記果糖液を用いたアルロース転換工程で得られたアルロース転換工程産物を試料6-2として使用し、前記アルロース転換工程産物をイオン精製した精製産物を試料6-3として使用し、前記イオン精製された精製産物をCa+ type分離(SMB)樹脂を用いて分離して得られたアルロース分画を試料6-4として使用し、前記アルロース分画を精製した精製物を試料6-5として使用し、前記精製物を濃縮して得られた固形分含量72ブリックス(Brix)の純度98.5重量%の高純度アルロース濃縮液を試料6-6として使用した。
比較例1によってアルロース製造用原料基質であるデンプン由来果糖液を得て、前記果糖液は固形分含量50ブリックスおよび90重量%の果糖含量を有する果糖液を対照試料6-1として分析に使用した。前記果糖液を用いたアルロース転換工程で得られたアルロース転換工程産物を対照試料6-2として使用し、前記アルロース転換工程産物をイオン精製した精製産物を対照試料6-3として使用し、前記イオン精製された精製産物をCa+ type分離(SMB)樹脂を用いて分離して得られたアルロース分画を対照試料6-4として使用し、前記アルロース分画を精製した精製物を対照試料6-5として使用し、前記精製物を濃縮して得られた固形分含量72ブリックス(Brix)の純度95重量%の高純度アルロース濃縮液を対照試料6-6として使用した。
前記製造された試料6-1~6-6および対照試料6-1~6-6に精製水を添加して5ブリックス(Brix)に希釈して5-HMF分析のための分析試料を製造した。前記5-HMF分析方法は試験例1の試料内の5-HMF含量分析方法と実質的に同様な方法でHPLC分析を行い、分析結果を下記表3に示す。下記表3で変化量(パーセント)は原料試料6-1または対照試料6-1に含まれているHMF含量を基準にして各試料に含まれているHMFの相対的な含量をパーセントで表わしたものである。前記HPLC分析に使用された標準曲線は図10に示す。
【0121】
【表3】
【0122】
上記表3は、原料糖を用いたアルロース製造工程で得られた試料内5-HMFの含量とデンプンを用いたアルロース製造工程で得られた試料内5-HMFの含量を、それぞれ製造工程別に採取した試料に対して行った。前記表3の結果によれば、HMFの含量は原料に起因するというよりは製品製造時工程を行うにつれて最終製品の副産物の含量が増加するということを把握することができる。一例として表3を確認すれば、原料の高果糖のHMF含量に比べて、製品のHMFの含量の差を確認することができ、したがって原料糖由来アルロースに製造時、副産物の含量を減らすことができるということを確認することができた。
【0123】
試験例4: アルロース産物の保管安定性分析
実施例1および比較例1で製造した高純度アルロースを試料として使用し、具体的に前記実施例1および比較例1で製造した最終アルロース溶液を固形分含量70ブリックス(Brix)およびpH4、5、6、および7に調整して分析試料を製造し10mlずつ取って分析に使用した。
前記分析試料をpH4、5、6、および7条件で以後70℃で24時間保管して苛酷試験を行い、アルロース含量および副産物の含量を測定するためにHPLC分析機器を使用した。HPLC分析条件は、C18(Shiseido、Capcell pak 4.6mmΦ×250mm)カラムを使用して30℃で、移動相として水90%(v/v)、メタノール10%(v/v)を0.6ml/min流速で流しながら行い、UV Detectorを使用して分析した。実施例1の試料に対するHPLC分析結果を図1に示し、比較例1の対照試料に対するHPLC分析結果を図2に示す。
図1のHPLC分析結果グラフに示したように、比較例1のデンプン由来アルロースに比べて、実施例1によるアルロース試料は保管条件で減少幅が少なく、副産物(5-HMF)の含量の増加幅も比較例1のデンプン由来アルロースに比べて少ないことが確認された。
図2のHPLC分析結果グラフに示したように、比較例1のデンプン由来アルロースは70℃で24時間の保管条件でアルロース含量の減少幅と副産物(5-HMF)の含量の増加幅が実施例1の原料糖由来アルロースに比べて非常に高く現れることを確認した。
したがって、デンプン由来アルロースに比べて原料糖由来アルロースの保管安定性が高いということを確認することができた。
【0124】
試験例5: アルロース産物のpH安定性分析
実施例1および比較例1で製造した高純度アルロースを試料として使用し、具体的に、前記実施例1および比較例1で製造した最終アルロース溶液を1N HClおよび1N NaOHを用いてpH4、5、6、および7に調整した後、70ブリックス(Brix)に固形分含量を調節し、それぞれpHをpH4、5、6、および7に調整して分析試料を製造し、分析試料10mlずつ取って分析実験に使用した。
その後、前記分析試料を70℃で24時間保管して苛酷試験を行い、その後、アルロース含量および副産物の含量を、試験例1のHPLC分析方法と実質的に同様な方法で分析した。実施例1の試料および比較例1の試料に対するHPLC分析結果を表4に示す。前記分析試料製造直後のアルロース含量を対照区として使用した。
【0125】
【表4】
【0126】
実施例1と比較例1で得られたアルロースシロップに対するpH条件による苛酷条件保管実験結果を比較すると、実施例1による原料糖由来アルロースの減少量が比較例1のデンプン由来アルロースに比べて少なくて、pH条件による保管安定性面で原料糖由来アルロースがさらに好ましいことが確認された。
【0127】
試験例6: 砂糖精製工程別副産物分析
既存の砂糖を製造する工程で、結晶化工程進行時、母液を再び再精製する工程で砂糖を製造しており、前記母液を得てHPLC方法で試験例2の分析条件と同一な条件で工程別副産物を分析した。具体的に、分析試料は原料糖、母液1、母液2、母液3、母液4であった。
原料糖は既存工程に入る前に採取して分析したものであり、この原料糖を溶かして結晶化工程を経ると砂糖が得られ、砂糖が得られて残った液を母液1とし、母液1を再び結晶化させると最初段階の結晶化よりは品質が低い砂糖が作られて残った液を母液2とする。このように2回さらに砂糖を結晶化して順次に得られた母液3と母液4を得た。砂糖を結晶化する工程で結晶化後に残った液を母液と称し、結晶化工程が行われるほど母液の不純物濃度はさらに濃くなる。したがって、既存原料糖を溶解して砂糖結晶化を行うと、製品として得られる砂糖を除いて残った母液で不純物が濃くなるようになる。
前記砂糖製造工程で得られた試料を分析した結果、多くの未知のピークが検出されており、このような物質は砂糖として製造されて残った物質であって廃水処理のような方法で捨てるようになって、以後環境問題を引き起こすことがある。砂糖からアルロースに移る場合、砂糖まで製造する工程で多量の副産物が発生するようになってアルロースを製造するまでの多くの副産物を処理しなければならない工程が必要となる。
図3図9に示したように、砂糖からアルロースに移る場合、砂糖まで製造する工程で多量の副産物が発生するようになってアルロースを製造するまでの多くの副産物を処理しなければならない工程が必要となる。実施例のように原料糖で直接アルロースを製造するようになると、このような工程を経ずに直接アルロースに移るため別に副産物が発生する工程がなくて有利である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】