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特表2023-500281レーザ衝撃波を使用して粒子を堆積するための機器および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-05
(54)【発明の名称】レーザ衝撃波を使用して粒子を堆積するための機器および方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 10/25 20210101AFI20221223BHJP
   C23C 24/08 20060101ALI20221223BHJP
   B22F 12/40 20210101ALI20221223BHJP
   B22F 12/90 20210101ALI20221223BHJP
   B22F 12/43 20210101ALI20221223BHJP
   B22F 10/31 20210101ALI20221223BHJP
   B22F 10/85 20210101ALI20221223BHJP
   B22F 12/17 20210101ALI20221223BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20221223BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20221223BHJP
   B29C 64/295 20170101ALI20221223BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20221223BHJP
   B05B 17/00 20060101ALI20221223BHJP
   B22F 12/41 20210101ALI20221223BHJP
   B29C 64/273 20170101ALI20221223BHJP
【FI】
B22F10/25
C23C24/08 B
C23C24/08 C
B22F12/40
B22F12/90
B22F12/43
B22F10/31
B22F10/85
B22F12/17
B33Y30/00
B33Y10/00
B29C64/295
B33Y50/02
B05B17/00
B22F12/41
B29C64/273
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525413
(86)(22)【出願日】2020-10-27
(85)【翻訳文提出日】2022-06-22
(86)【国際出願番号】 FR2020051941
(87)【国際公開番号】W WO2021084201
(87)【国際公開日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】1912143
(32)【優先日】2019-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514058706
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・ドゥ・ボルドー
(71)【出願人】
【識別番号】506316557
【氏名又は名称】サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック
(71)【出願人】
【識別番号】519400357
【氏名又は名称】エコール・ナシオナル・シュペリウール・ダール・エ・メティエ
(71)【出願人】
【識別番号】512082439
【氏名又は名称】アンスティテュ ポリテクニック ドゥ ボルドー
【氏名又は名称原語表記】Institut Polytechnique De Bordeaux
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ロビン・クローマー
【テーマコード(参考)】
4D074
4F213
4K018
4K044
【Fターム(参考)】
4D074AA01
4D074BB10
4D074FF01
4D074FF06
4D074FF09
4D074FF14
4F213AC04
4F213AP05
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL06
4F213WL43
4F213WL76
4F213WL85
4K018BB04
4K018EA51
4K018EA60
4K044AA01
4K044AA13
4K044AB06
4K044AB10
4K044BA08
4K044BA10
4K044BA12
4K044BB10
4K044BC01
4K044BC05
4K044BC09
4K044CA23
4K044CA25
4K044CA44
4K044CA53
4K044CA71
(57)【要約】
本発明は、受け基板(140)の堆積面(141)上に少なくとも1つの粒子(11)を衝撃波誘起噴霧することによって選択的に堆積するための機器(100)に関し、前記機器は、レーザビーム(103)を放出するように構成される少なくとも1つのレーザ発生源(101)であって、前記レーザビームが一連の光パルスでできている、レーザ発生源(101)と、-基板(140)が固定される基板キャリア(130)と、-レーザビームに向けられる第1の面(121)および基板の堆積面(141)に向けられる第2の面(122)を備える衝撃波生成層(120)と、-前記レーザビームを、生成層の第1の面(121)の合焦領域に向けて合焦するための光学系(102)とを備え、-前記第2の面(122)が複数の空洞(123)を備え、空洞の各々が少なくとも1つの粒子(11)を収容し、-基板(140)の堆積面(141)の方向に少なくとも1つの粒子(11)を噴霧するために、前記レーザビームが、生成層の第1の面(121)上の合焦領域にプラズマ(104)、および、生成層(120)内で生成層の第1の面から第2の面(122)に伝播する衝撃波(105)を生成するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受け基板(140)の堆積面(141)上に少なくとも1つの粒子(11)を衝撃波誘起噴霧することによって選択的に堆積するための機器(100)であって、
レーザビーム(103)を放出するように構成される少なくとも1つのレーザ発生源(101)であって、前記レーザビームが一連の光パルスでできている、レーザ発生源(101)と、
前記基板(140)が固定される基板キャリア(130)と、
前記レーザビームに向けられる第1の面(121)および前記基板の前記堆積面(141)に向けられる第2の面(122)を備える衝撃波生成層(120)と、
前記レーザビームを、前記生成層の前記第1の面(121)の合焦領域に向けて合焦するための光学系(102)と
を備え、
前記第2の面(122)が複数の空洞(123)を備え、前記空洞の各々が少なくとも1つの粒子(11)を収容し、
前記受け基板(140)の前記堆積面(141)の方向に少なくとも1つの粒子(11)を噴出するために、前記レーザビームが、前記生成層の前記第1の面(121)上の前記合焦領域にプラズマ(104)、および、前記生成層(120)内で前記生成層の前記第1の面(121)から前記第2の面(122)に伝播する衝撃波(105)を生成するように構成される、機器(100)。
【請求項2】
前記レーザビームの波長で透過性があり前記生成層の前記第1の面(121)をカバーする閉込め層(110)をさらに備え、前記閉込め層が、前記生成層(120)の前記第1の面(121)のレベルで生成した前記プラズマを閉じ込めるように構成される、請求項1に記載の堆積機器。
【請求項3】
前記閉込め層がガラスの層または水の層である、請求項2に記載の堆積機器。
【請求項4】
前記閉込め層が、両端を含めて200μmから5000μmの間である厚さを有する、請求項2または3に記載の堆積機器。
【請求項5】
前記レーザビームのエネルギーレベルを指令するように構成される前記レーザ発生源を制御するためのシステム(170)をさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の堆積機器。
【請求項6】
前記制御システム(170)が、前記粒子のサイズ、前記粒子の材料、前記受け基板の材料、前記生成層の材料、および前記生成層の厚さの関数としてデジタルモデルに基づいて、前記レーザビームの最適なエネルギーレベルを決定するように構成されるコンピュータを備える、請求項5に記載の堆積機器。
【請求項7】
前記基板(140)を加熱するための加熱手段(180)をさらに備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の堆積機器。
【請求項8】
前記基板の温度を測定するように構成される温度センサ(181)をさらに備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の堆積機器。
【請求項9】
ビデオカメラなどの画像取得システムをさらに備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の堆積機器。
【請求項10】
前記レーザ発生源(101)が、両端を含めて1ナノ秒から5ナノ秒の間であるパルス持続時間を有し、両端を含めて1ジュールから10ジュールの間であるエネルギーレベルを有する一連の光パルスでできているレーザビームを放出するように構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の堆積機器。
【請求項11】
各空洞(123)が少なくとも2つの筐体を備え、前記筐体の各々が粒子を収容する、請求項1から10のいずれか一項に記載の堆積機器。
【請求項12】
前記粒子が、両端を含めて5μmから100μmの間である直径を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の堆積機器。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の堆積機器(100)を使用して粒子を堆積する方法(200)であって、
第1のステップ(E1)において、一連の光パルスでできているレーザビーム(103)を生成するステップと、
第2のステップ(E2)において、前記レーザビームを前記生成層(120)の前記第1の面(121)に向け、前記生成層の前記第1の面上の合焦領域のレベルに前記レーザビームを合焦させるステップと、
第3のステップ(E3)において、前記レーザビームの前記エネルギーレベルを、前記衝撃波生成層の前記第1の面のレベルでプラズマを生成するような様式に調整するステップと、
第4のステップ(E4)において、前記生成層(120)中に衝撃波を生成するステップであって、前記衝撃波が、前記第1の面から前記生成層の前記第2の面の方向に伝播して、前記基板(140)の前記堆積面(141)の方向に少なくとも1つの粒子を噴出する、ステップと
を含む方法(200)。
【請求項14】
前記レーザビームの前記エネルギーレベルが、前記粒子のサイズ、前記粒子の材料、前記受け基板の材料、前記生成層の材料、前記生成層の厚さの関数としてデジタルモデルに基づいて計算される、請求項13に記載の堆積方法。
【請求項15】
ステップE1からE4を繰り返して、基板の前記堆積面の校正領域上に少なくとも1つの粒子を堆積するステップと、
前記基板の前記堆積面上での前記粒子の前記衝突領域の少なくとも1つの画像を取得するステップと、
前記粒子の、および前記受け基板の前記堆積面の前記衝突領域の塑性変形を、前記レーザビームの前記エネルギーレベルの関数として評価するステップと、
前記レーザビームの最適なエネルギーレベルを決定するステップと
を含む、前記レーザビームの前記エネルギーレベルの校正の予備的ステップ(E0)をさらに含む、請求項13または14に記載の堆積方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ衝撃波を使用して噴霧することによって粒子を堆積するための機器に関する。本発明は、レーザ衝撃波を使用して噴霧することによって粒子を堆積するための方法にも関する。より正確には、本発明の方法は、目標の領域の、局所的表面処理または機能付与を行う目的、または、目標領域への堆積を並置することにより3次元部品を作る目的で、目標の特定領域上に正しい位置および正しい速度で粒子毎に噴霧することによって、実行することにある。
【0002】
本発明は、特に、基板または部品上で微視的および/またはメゾスコピックスケールでの複雑なパターンの作成に適用される。
【0003】
本発明は、たとえば付加製造によって作成された部品の表面の粗さを低減するために、目標領域中に粒子毎に噴霧することにより堆積することによってコーティングの表面の標的処理にも適用される。
【0004】
本発明の技術分野は、レーザ支援噴霧の分野として、一般的な様式で規定することができる。
【背景技術】
【0005】
数十マイクロメートルから数百、それどころか数千マイクロメートルの厚さを有する厚いコーティング層の基板または部品上の堆積を作成するために、自動車、航空機などの多くの産業分野で熱噴霧を使用することが知られている。
【0006】
図1は、堆積される材料のための入口2およびエネルギー源のための入口3を備える、従来技術の熱噴霧器1の例を図示する。熱射出は、噴霧気体と呼ばれる気体4の中に、微粒子7の形で堆積される材料を導入することにある。気体は、微粒子7がコーティングされる部分へと加速し加熱し移送するため使用され、微粒子7は、基板5の表面6に衝突することになる。これらの微粒子7は、初期状態では固体であるが、噴霧気体の中に進んだ後は、液体、半溶融、またはそれどころか固体状態であってよい。したがって、基板上に噴霧される粒子は、粒子の運動状態、気体の中に進んだ後の粒子の状態、粒子の温度、基板の材料などに依存して、様々な方法で粉砕されて散布される。基板上の粒子の蓄積によって、これらの粒子を積み重ねることによりコーティングを実行することが可能になる。
【0007】
熱噴霧によって、堆積物を作成するための多くの方法がある。1つの知られている技法は、金属コーティングまたはセラミックコーティングを作成することを可能にするプラズマ噴霧である。プラズマ噴霧は、より詳細には、様々な幾何形状およびサイズの部品をコーティングするための、セラミックコーティングの堆積のために使用される。プラズマ噴霧は、堆積される材料を、それらが加熱されて基板に向けて加速されるプラズマ媒体の中に粒子の形で噴出することにある。コーティングは、基板に衝突する、溶融または部分的に溶融した粒子を連続的に積み重ねることによって構築され、粒子は、基板で冷やされる。コーティングの厚さは、一般的に、両端を含めて500μmから1mmの間である。
【0008】
別の知られている技法は、冷間噴霧(CS)プロセスである。金属粉末は、新しい部品または修理される部品である目標上に、加圧気体(最高50バールおよび1100℃)によって非常に高速で噴霧される。鼓型チューブ(デラバルタイプ)によって、気体の温度および圧力を、運動エネルギーへと変換し、超音速へとその加速を推進し、100℃未満の温度にそれを冷却することが可能になる。スプレーノズルの高圧領域の中に噴出される粉末は、1200m/sに達する場合がある速度に加速される。衝突における粒子の変形によって、非常に密な構造で非常に良好な接着性を有するコーティングを得ることが可能になる。
【0009】
熱噴霧技法では、基板上のコーティング層の良好な機械的接着性を得るために、粒子を固着させることができるよう基板の表面上に凹凸を作り出すため、砂、コランダム、および/または氷などの研磨材料を使用して表面を準備することが必要である。仕様に対して十分な範囲の接着性を規定するために、一般的に、堆積の前に、知られた方法である接着試験が実行される。実際に、接着性が並である場合、堆積期間に基板の表面に粒子を付着させることができない、または、得られたコーティングが、たとえば、部品の製造期間に容易に取れてしまう可能性がある。表面準備技法は、基板の表面上に残留物をもたらす場合があり、したがって、すべての基板またはすべての部品に好適であるわけではない。
【0010】
さらに、プラズマ噴霧は、約10マイクロメートルより大きい粒径を有する付加材料として粉末を使用する。ナノメートルまたはミクロンの構造物を得る場合には、このことによって、基本粒子のサイズの縮小が必要になる。さらに、ベクトルガスによって、プラズマジェットの中に粒子を噴出するには、粒子が噴霧気体の中に良好に浸透するのを可能にするため、粒子の運動の量が、噴霧気体のものと一致する、または、後者より少なくともわずかに大きいことが必要になる。したがって、粒子の質量が減少する場合、目標上への粒子の最適な噴霧軌道を得るために、ジェットの中の粉末の分散が制限されるように、粒子サイズの分布および噴出パラメータ(気体流量、噴出器直径、およびジェットに対する噴出器の位置)の良好な制御が必要になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
原則として、従来技術の解決策では、たとえば、特にミクロンの空間分解能での、部品の特定の領域における粒子毎噴霧による選択的堆積が可能にならない。
【0012】
さらに、従来技術の解決策では、たとえば、多相コーティングを生成するような様式で、目標領域上で局所的に異なる材料を堆積することが可能にならない。多相コーティングという言葉によって、少なくとも2つの異なる材料または少なくとも2つの材料相で形成される複合コーティングを意味する。
【0013】
さらに、本発明が改善することを意図する別の問題は、ノズルからの粒子の堆積にリンクした難点に関する。実際に、高い空間分解能を得るために、ノズルの部分および粒子の密度を制御することが必要である。
【0014】
また、本発明は、基板の表面の準備に頼ることなく、優れた、または改善した接着特性を有する微細構造コーティングを得るために、基板および部品上で材料の粒子毎の堆積を高精度で実行することを可能にする機器および方法を提案することによって、従来技術の欠点を改善することを意図する。特に、本発明の機器および方法によって、特に粒子毎の集合体に基づいた複合多相パターンを形成するような様式での、広範囲な材料の堆積が可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
受け基板の堆積面上に少なくとも1つの粒子を衝撃波誘起噴霧することによって選択的に堆積するための機器が提案され、前記機器が、
-レーザビームを放出するように構成される少なくとも1つのレーザ発生源であって、前記レーザビームが一連の光パルスでできている、レーザ発生源と、
-基板が固定される基板キャリアと、
-レーザビームに向けられる第1の面および基板の堆積面に向けられる第2の面を備える衝撃波生成層と、
-前記レーザビームを、生成層の第1の面の合焦領域に向けて合焦するための光学系と
を備え、
-前記第2の面が複数の空洞を備え、空洞の各々が少なくとも1つの粒子を収容し、
-基板の堆積面の方向に少なくとも1つの粒子を噴出するために、前記レーザビームが、生成層の第1の面上の合焦領域にプラズマ、および、生成層内で生成層の第1の面から第2の面に伝播する衝撃波を生成するように構成される。
【0016】
本開示の意味における「粒子」という言葉によって、金属粒子、特にミクロン粒子を意味する。
【0017】
ミクロン粒子という言葉によって、両端を含めて1μmから100μmの間であるサイズを有する粒子を意味する。
【0018】
本発明による機器および方法によって、有利なことに、基板の表面上で粒子毎の、選択的な様式での粒子を堆積するためのレーザ衝撃波技法の使用、および粒子から形成される3次元部品の目標領域における構築が可能になる。
【0019】
本開示で提案される解決策のおかげで、粒子の機械的固着に有利に働く表面の粗さを増加させるために、サンドブラストなどといった、事前の基板の表面の準備を実行するのは、もはや必要がない。言い換えると、コーティングと基板の間の接着性を確実にするため、基板の表面の状態を変更する必要がもはやない。このために、たとえば、壊れやすい部品、特に医療用部品または宝飾部品上の、粒子の堆積物を作成することが可能である。
【0020】
本発明による機器および方法によって、有利なことに、複雑な形状の基板もしくは部品上にミクロンスケールでパターンを作成すること、または、基板の対象の区域を局所的に機能的にすることが可能になる。
【0021】
基板の堆積面上に1つずつ粒子を噴霧するために、キャリアガスの使用をなくし、プラズマによって発生した衝撃波だけを使用することによって、提案される技術的解決策により、従来技術でのように粒子の運動量を制御することおよびノズルの部分を制御することにリンクした技術的制約および問題を回避すること、基板の表面の性質、粒子の性質、基板の形状および幾何形状が何であれ堆積を可能にすることが可能になる。
【0022】
1つずつ選択的な様式での粒子の堆積のおかげで、既存の金属部品の目標領域上に2Dもしくは3Dミクロンパターンを構築すること、または、互いの上の粒子の蓄積によって部品を得ることが可能である。
【0023】
本開示によって提案される解決策によって、付加製造によって得られる部品の表面粗さを扱うことも可能になる。実際に、付加製造プロセスによって得られる部品は、一般的に、数マイクロメートルから数十マイクロメートルの、外形の算術的粗さ(Ra)を有する。この粗さは、付加製造プロセスに特有の連続する層の積み重ね、さらにまた部品の表面上で一緒に凝集した粉末の粒子の存在に関連する。本発明の方法によって、表面粗さを低減させるために、部品の材料と同じ性質の粒子の堆積を、粗い領域中で1つずつ行うことが可能になる。
【0024】
提案される解決策によって、部品の疲労特性を改善するために、部品の目標領域の密度を上げることがやはり可能になる。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、機器は、レーザビームの波長で透過性があり生成層の第1の面をカバーする閉込め層をさらに備え、前記閉込め層が、生成層の第1の面のレベルで生成したプラズマを閉じ込めるように構成される。この閉込め層は、ガラスの層または水の層である。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、機器は、レーザビームのエネルギーレベルを指令するように構成される、レーザ発生源を制御するためのシステムをさらに備える。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、制御システムは、粒子のサイズ、粒子の材料、受け基板の材料、生成層の材料、および生成層の厚さの関数としてデジタルモデルに基づいて、レーザビームの最適なエネルギーレベルを決定するように構成されるコンピュータを備える。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、機器は、基板を加熱するための加熱手段をさらに備える。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、機器は、基板の温度を測定するように構成される温度センサをさらに備える。
【0030】
本発明の別の実施形態によれば、機器は、ビデオカメラなどの画像取得システムをさらに備える。
【0031】
以下の項で開示される特徴を、任意選択で採用することができる。特徴は、互いに独立に、または互いと組み合わせて採用することができる。
-閉込め層が、両端を含めて200μmから5000μmの間である厚さを有する。
-衝撃波生成層が、両端を含めて200μmから3000μmの間である厚さを有する。
-レーザ発生源が、両端を含めて1ナノ秒から5ナノ秒の間であるパルス持続時間を有し、両端を含めて1ジュールから10ジュールの間であるエネルギーレベルを有する一連の光パルスでできているレーザビームを放出するように構成される。
-各空洞が少なくとも2つの筐体を備え、筐体の各々が粒子を収容する。
-粒子が、両端を含めて5μmから100μmの間である直径を有する。
【0032】
別の態様によれば、本発明は、上で記載した堆積機器を使用して粒子を堆積する方法であって、以下のステップ、すなわち、
-第1のステップ(E1)において、一連の光パルスでできているレーザビームを生成するステップと、
-第2のステップ(E2)において、レーザビームを生成層の第1の面に向け、生成層の第1の面上の合焦領域のレベルにレーザビームを合焦させるステップと、
-第3のステップ(E3)において、レーザビームのエネルギーレベルを、衝撃波生成層の第1の面のレベルでプラズマを生成するような様式に調整するステップと、
-第4のステップ(E4)において、生成層中に衝撃波を生成するステップであって、衝撃波が、第1の面から生成層の第2の面の方向に伝播して、基板の堆積面の方向に少なくとも1つの粒子を噴出する、ステップと
を備える方法をやはり提案する。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、レーザビームのエネルギーレベルは、粒子のサイズ、粒子の材料、受け基板の材料、生成層の材料、生成層の厚さの関数としてデジタルモデルに基づいて計算される。
【0034】
本発明の別の実施形態によれば、方法は、以下のステップ、すなわち
-ステップE1からE4を繰り返して、基板の堆積面の校正領域上に少なくとも1つの粒子を堆積するステップと、
-基板の堆積面上での前記粒子の衝突領域の少なくとも1つの画像を取得するステップと、
-粒子の、および基板の堆積面の衝突領域の塑性変形を、レーザビームのエネルギーレベルの関数として評価するステップと、
-レーザビームの最適なエネルギーレベルを決定するステップと
を備える、レーザビームのエネルギーレベルの校正の予備的ステップ(E0)をさらに備える。
【0035】
本発明の他の特徴、詳細、および利点は、以下の詳細な説明を読み、添付図面を分析して明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】従来技術の熱粒子噴霧デバイスを示す図である。
図2】レーザ衝撃波噴霧による粒子の選択的堆積のための、本発明の一実施形態による機器を示す図である。
図3図2の機器によって作成されるパターンの例を示す図である。
図4】目標の表面上での粒子の衝突における粒子の状態を示す概略図である。
図5】4つの粒子から構成されるパターンの表面の、光学顕微鏡を通して観測された3D画像であって、パターンが、本発明の一実施形態による機器によって作成された3D画像である。
図6】粒子を堆積する、本発明の一実施形態による方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以降の図および記載は、本質的に、ある種の性質の要素を含む。したがって、それらは、本発明をより良好に説明するだけでなく、必要に応じてその規定を与えることにも役立つ。
【0038】
図2において、レーザ衝撃波誘起噴霧による選択的堆積のための、本発明の一実施形態による機器100が示されている。本実施形態によれば、機器は、以下のパラメータ、すなわち、レーザの波長、周波数、エネルギー、直径、およびパルス持続時間によって規定されるレーザビーム103を放出するように構成されるレーザ発生源101を備える。レーザ発生源のパラメータは、好ましくは、パラメータのうちの少なくとも1つ、特に、そのエネルギーレベルを調整するように設定することができる。
【0039】
例として、特に、500m/sの速度で4つの粒子を堆積するため粒子堆積機器を使用する例(図5)では、レーザパルスの流れは、1064nmの波長で40nsに等しい持続時間を有する。レーザビームは、10Jのエネルギーで放出される。
【0040】
機器は、機器によって噴霧される粒子を受け取ることが意図される受け基板140が固定される基板キャリア130をやはり備える。より正確には、受け基板は、レーザビームに向けられる第1の自由な堆積面141、および支持体に固定される第2の面を備える。支持体は、粒子の堆積の位置を動かすため、レーザビームの方向に垂直な水平面(X,Y)で動く可動プレート上に取り付けられる。支持体130は、粒子と堆積面の間の接着性を最大化するような様式で、レーザビームに垂直に堆積面に提供するため3つの方向に向けることができる。さらに、この種類の支持体によって、複雑なパターンを作成するのが可能になる。
【0041】
本開示において、堆積面141は、第1の層の粒子用の基板の表面、または、次の層の粒子用の受け基板上に堆積される層の表面に対応する。
【0042】
堆積機器100は、堆積面に垂直な軸Zに沿った焦点の調整を可能にする光学系102をさらに備える。
【0043】
レーザ発生源101および光学系102は、これ以上記載されない。というのは、それらは当業者に知られており、従来技術のものと同様であってよいためである。
【0044】
堆積機器は、少なくとも1つの粒子ドナー支持体150をやはり備える。
【0045】
図2に図示したように、本発明の一実施形態によれば、ドナー支持体150は、プラズマ閉込め層110および衝撃波生成層120を備える。
【0046】
閉込め層110は、レーザビームに向けられる第1の自由な面111および第2の面112を有する。衝撃波生成層120は、閉込め層110の第2の面112との接触界面を有する第1の面121および自由な第2の面122を有する。自由な第2の面122は、複数の空洞123を備え、空洞の各々が粒子11を収容するように構成される。
【0047】
こうして、プラズマ閉込め層110と衝撃波生成層120が、スタックの形で粒子ドナー支持体150を形成する。
【0048】
堆積機器は、ドナー支持体150が取外し可能に取り付けられる第2の可動プレート(図示せず)をやはり備え、可動プレートは、レーザビームの方向に垂直な水平面X、Yに動く。したがって、第2の可動プレートのおかげで、基板140の堆積面141の目標領域上に1つずつ粒子を選択的に噴霧するような様式で、レーザビームの焦点の位置を、衝撃波生成層120の第1の面121上で動かすことが可能になる。こうして、特定の1つの粒子11を選択し、その選択した粒子を堆積面の特定の領域上に噴霧することが可能になる。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、堆積機器は、複雑な形状を生成するために、マイクロメートル精度を有し6軸に関して方向付け可能なプレートを介した、受け基板140およびドナー基板150の運動の指令および制御のためのシステムを備える。
【0050】
本発明の別の実施形態によれば、堆積機器は、各プレート用の指令および制御システムを備える。
【0051】
閉込め層110は、レーザビームの波長で透過性がある材料でできている。この層は、同様に、容器中の水であってよい。光学系102は、レーザビーム103を、閉込め層を通して、衝撃波生成層の第1の面121上に合焦するように構成される。
【0052】
この閉込め層110の機能は、高圧を生成し、そのことによって、衝撃波生成層120の第1の面の圧力を増加させることを可能にするような様式で、界面121に生成したプラズマの体積の拡大を減速させることである。さらに、閉込め層の存在によって、圧力を印可する持続時間を増加することも可能になる。閉込め層110は、好ましくは、両端を含めて200μmから5000μmの間である厚さを有する。閉込め層は、誘電体層である。閉込め層は、好ましくはガラスでできている。閉込め層は、同様に蒸留水または透明な粘着テープの膜で置き換えることができる。
【0053】
衝撃波生成層120は、金属たとえばアルミニウム、または、レーザビームの波長で吸収性であるプラスチック材料でできている。衝撃波生成層120は、両端を含めて200μmから3000μmの間である厚さを有する。知られている物理現象によれば、短い持続時間で高パワーの光子パルスが生成層120の第1の面121上に合焦される場合、生成層の厚み内にレーザビームが浸入すると、レーザ材料相互作用が最初に反映され、レーザエネルギーを吸収する領域が作成される。固体中の光波の浸入の厚さは、数ナノメートルの程度のものである。パルスの持続時間が非常に短く、ビームのパワーが高いために、温度がこの領域でとても上昇し、生成層の材料の非常に薄い厚さが昇華する。次いでイオン化した蒸気がレーザビームと接触し、熱くて密なプラズマを生成し、プラズマは、パルスの持続時間を通してエネルギーを吸収し続ける。
【0054】
生成層の第1の面のレベルで生成されるプラズマの拡大によって、生成層の第1の面上に圧力が加わる。この面の圧力によって、衝撃波生成層120の厚さ内部に圧縮波が生成され、第2の面122の方向に伝播する数十ギガパスカルに届く可能性がある振幅を有する機械的衝撃波が生じる。この方法で作られた衝撃波は、生成層の第1の面121から生成層の第2の面122に局所的に伝播する。空洞に収容された粒子に圧力を加える衝撃波の効果のために、その粒子は、受け基板140の堆積面141の方向に噴霧される。
【0055】
粒子は、両端を含めて5μmから100μmの間である直径を有する。基板は、両端を含めて500μmから2000μmの間である厚さを有する。粒子は、1064nmの波長および、両端を含めて1nsから5nsの間であるパルス持続時間を有するレーザビームの生成を可能にするレーザ発生源を用いて堆積される。焦点におけるレーザビームの直径は、一般的に、両端を含めて500μmから2000μmの間である。レーザビームのエネルギーは、両端を含めて5ジュールから10ジュールの間である。
【0056】
図示されない本発明の別の実施形態によれば、空洞が複数の筐体を備えることができ、筐体の各々が粒子を受け取るようにサイズ決定される。
【0057】
有利な様式では、衝撃波生成層の自由な面122上の空洞の配置によって、堆積面上に写すのが望まれるパターンが直接形成される。したがって、粒子が受け基板の堆積面上に噴霧されると、堆積した粒子が直接必要なパターンを形成する。こうして粒子を噴霧することによって、それらを堆積し、同時にパターンを転写することが可能になる。
【0058】
空洞は、円形もしくは楕円形の断面、または他の幾何形状の断面を有する。空洞は、特に、知られているレーザテクスチャ処理によって作ることができる。この方法で生成した空洞は、粒子と同じ程度の大きさのミクロンの寸法を有する。
【0059】
したがって、本発明の機器によって、レーザ衝撃波を使用して、ドナー支持体から基板の堆積面上に、粒子毎堆積によってパターンを作ることが可能になる。
【0060】
パターンは、複数の粒子から形成される単一の層を備えることができる。パターンは、図2に図示されるような複数の層を同様に備えることができ、層の各々は、複数の粒子から形成される。
【0061】
本発明の一実施形態によれば、選択的堆積機器は、複数の粒子ドナー支持体150を支持するためのフレームを備え、支持体の各々が、1つのタイプの粒子および1つのパターンを備える。フレームは、X、Y、Z軸の系と関連する。様々な支持体がフレームに固定され、ドナー支持体を基板の堆積面の前に動かすような様式で、X方向およびY方向に動かされる。
【0062】
図3は、基板の堆積面141上に粒子の配列を形成する粒子のパターン10の例を図示する。この例によれば、パターンは、一定の間隔Lで配置される4つのタイプの粒子11A、11B、11C、11Dを備える。
【0063】
本発明の一実施形態によれば、図2が図示するように、レーザビーム103および粒子の噴霧の方向は、重力と反対の方向に向けられる。図2に図示される構成では、衝撃波生成層120の自由な面122は、基板の堆積面141の方向に、上向きに向けられる。噴霧期間に、粒子が収容された空洞から、粒子が、重力と反対方向の上向き方向に噴出される。したがって、この構成で、粒子を、衝撃波生成層の中の空洞に容易に保持することができる。閉込め層110が水から構成される状況では、衝撃波生成層が水の中に浸される。
【0064】
基板上の粒子の衝突の瞬間における粒子の最適な臨界速度の決定
基板への粒子の接着性は、コーティングの性能の決定における支配的な要因である。
【0065】
本開示の意味において「接着性」という言葉によって粒子と基板が結合される状態が意味される。
【0066】
基板上の粒子の接着性は、主に、粒子の衝突の臨界速度によって支配される。
【0067】
本開示の意味において「臨界速度」という言葉によって、それ未満では、粒子が基板に接着しない速度が意味される。
【0068】
最適な条件下では、衝突速度は、せん断力をもたらす。2つの固体材料間の摩擦およびそれらが受ける塑性変形によって、材料中の局所的な温度上昇が引き起こされる。粒子および基板の衝突領域は、粒子と基板間の結合を作り出す塑性変形を受ける。
【0069】
図4は、粒子11によって受ける塑性変形および基板140上の粒子の衝突の瞬間における基板の衝突領域142を概略的に図示する。基板の中への粒子の推進および衝突領域のレベルにおける中空領域143の形成で、接着性が反映される。
【0070】
基板への衝突の瞬間における高速で到達する粒子の挙動が、平面上への球体衝突について、有限要素計算によってシミュレーションされた。知られているモデルを使用して、基板上の粒子の衝突を、Johnson-Cookタイプの挙動法則によってモデル化した。このモデルに基づいて、基板上の粒子の衝突について粒子の塑性変形の現象をシミュレーションし、粒子のサイズ、粒子の材料、および基板の材料を備えるパラメータの関数として、基板上の粒子の接着性について最適な臨界運動速度を計算することが可能である。
【0071】
粒子の噴出速度の決定
基板上の粒子の接着を可能にする最適な臨界速度は、衝撃波の効果によって、粒子が空洞から噴出される速度に直接リンクされる。したがって噴出速度は、衝撃波生成層中のレーザビームによって生成される衝撃波にリンクされる。
【0072】
知られているモデルによれば、ユゴニオの関係式(媒体中の状態の保存則)、ミーグリューンアイゼンの状態方程式、および衝撃波の速度と材料の速度をリンクする直線関係式に基づいて、生成層中の衝撃波の伝播をモデル化することが可能である。したがって、これらの方程式に基づいて、レーザビームによって誘起される衝撃波の振幅、したがって、レーザビームによって作られるプラズマにより加えられる圧力の関数として粒子が噴出される速度を決定することが可能となった。このため、次いで、生成層の材料および生成層の厚さの関数として粒子を噴霧する最適な速度を得るために、レーザビームの最適なエネルギーレベルを決定することが可能である。
【0073】
したがって、衝撃波の効果および基板上の衝突の瞬間における粒子の臨界速度のため、粒子を噴霧する速度は、粒子のサイズ、粒子の材料、基板の材料、衝撃波生成層の厚さおよび材料、ならびにレーザビームのエネルギーレベルの関数として変化する。
【0074】
粒子と基板の堆積面の間に良好な接着性を得るために、粒子のサイズ、粒子の材料、受け基板の材料、生成層の厚さおよび材料を知ると、基板上の粒子の衝突の瞬間における粒子の臨界運動エネルギーを得るため、レーザビームのエネルギーレベルを調整することが可能である。
【0075】
図5は、レーザ衝撃波を使用してアルミニウム基板上に銅の4つの粒子を堆積する例を図示する。
【0076】
生成層110は、500μmの厚さを有するアルミニウム層である。閉込め層は、ガラスの層であり、5mmの厚さを有する。生成層の自由な面122は、各々が銅粒子を含む4つの空洞を含む。
【0077】
衝撃波によって、4つの粒子を堆積面上に噴霧することが可能になった。粒子の速度は、経験値である500m/sである。
【0078】
基板の堆積面上のレーザ衝撃波噴霧によって粒子を堆積する本発明の一実施形態にしたがった方法が、図6を参照して次いで以降で詳細に記載される。
【0079】
第1のステップ(E1)では、ビームの最適なエネルギーレベルが、コンピュータ中で、知られている数値モデルから計算される。このモデルでは、粒子のサイズ、粒子の材料、受け基板の材料、受け基板の厚さ、衝撃波生成層の厚さ、生成層の材料は知られているパラメータである。したがって、粒子と基板の堆積面の間に良好な接着性を得るために、基板上の粒子の衝突の瞬間における粒子の臨界運動エネルギーを得るため、レーザビームのエネルギーレベルを調整することが可能である。
【0080】
第2のステップ(E2)では、レーザ発生源の制御システムは、必要なパラメータ、すなわち、コンピュータにより送信されるエネルギーレベル、波長、パルス持続時間で、レーザビームを放出するようにレーザ発生源に指令する。レーザビームは、閉込め層を介して生成層の第1の面上に合焦される。本開示の図5に図示される例では、レーザ発生源は、たとえば、1064nmの波長で、5.1nsのパルス持続時間および1ジュールのエネルギーレベルを有して動作する。
【0081】
第3のステップ(E3)では、閉込め層110と衝撃波生成層120の間の界面の表面にプラズマが生成される。これは、生成層によるレーザビームのエネルギーの吸収の結果である。プラズマは、レーザビームの吸収の後の、極端に短い時間期間、典型的には数ナノ秒にわたって作られる。
【0082】
第4のステップ(E4)では、生成層中で衝撃波が生成され、粒子を担持する自由な第2の面122の方向に伝播する。この衝撃波は、生成層の表面上の、プラズマにより加えられる圧力の結果である。自由な面122に到達する衝撃波が、基板140の堆積面141の方向への、第2の面122の空洞に収容された粒子の噴霧を引き起こす。
【0083】
本発明の一実施形態によれば、方法は、粒子の臨界速度の校正の予備的ステップ(E0)を備え、臨界速度は、粒子と基板の間に良好な接着性を得るために、基板の堆積面上の粒子の衝突の瞬間における粒子の速度である。したがって、この校正ステップによって、試験基板上でレーザ衝撃波を使用して粒子を堆積する実験的な試験で、数値モデルを検証することが可能になる。この校正ステップは、校正専用の基板の特定領域上で実行することもできる。
【0084】
この予備的校正ステップは、数値モデルに基づいて計算されるレーザビームの異なるエネルギーレベルで、基板の堆積面の校正領域上に粒子を堆積するために、ステップE1からE4を繰り返すことにある。
【0085】
この予備的ステップでは、ステップE4に続けて、以下のステップがある。
-基板の堆積面上での前記粒子の衝突領域の少なくとも1つの画像を取得するステップ、次いで
-粒子の、および受け基板の堆積面の衝突領域の塑性変形を、レーザビームのエネルギーレベルの関数として評価するステップ、
-レーザビームの最適なエネルギーレベルを決定するステップ。
【0086】
本発明の第1の実施形態によれば、粒子堆積機器は、高速ビデオカメラなどの画像取得システムを備え、1000Hzと50000Hzの間のその画像取得周波数は、レーザ発生源のパルス周波数と同期される。画像取得システムによって、堆積手順期間に、計算されたレーザビームの様々なエネルギーレベルの関数としての、基板の堆積面上の粒子の衝突の直後の粒子の状態についての少なくとも1つの画像の、実時間取得が可能になる。
【0087】
粒子の状態の3次元特性によって、粒子の、および基板の堆積面の衝突領域の塑性変形の定性的制御、ならびに、粒子と基板の間の接着性の品質の評価が可能になる。予備的校正ステップによって、複雑なパターンまたは部品を形成するための、粒子を堆積するのに続けて使用されるレーザビームの最適なエネルギーレベルの決定が可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、特に、以下を作るための用途を見つけることができる。
-複雑な幾何形状を有する宝飾品
-医療用構成要素
-特に付加製造によって得られる部品の表面の粗さを低減するための、目標領域中の仕上げコーティング
-領域の物理的特性の変更を可能にするコーティング
-電気機能性コーティング
-抗腐食性コーティング
【0089】
非限定の例として、粒子は、以下でできていてよい。
-貴重な材料:金、銀、プラチナ、またはやや貴重な材料
-セラミック材料
-標準的金属
【0090】
非限定の例として、基板は、以下でできていてよい。
-貴重な材料:金、銀、プラチナ、またはやや貴重な材料
-金属
-複合材料
-セラミックス
【符号の説明】
【0091】
1 熱噴霧器
2 入口
3 入口
4 気体
5 基板
6 表面
7 微粒子
10 パターン
11 粒子
11A 粒子
11B 粒子
11C 粒子
11D 粒子
100 機器、堆積機器
101 レーザ発生源
102 光学系
103 レーザビーム
104 プラズマ
105 衝撃波
110 閉込め層、プラズマ閉込め層
111 第1の自由な面
112 第2の面
120 衝撃波生成層
121 第1の面、界面
122 第2の面、自由な第2の面、自由な面
123 空洞
130 基板キャリア、支持体
140 受け基板
141 堆積面、第1の自由な堆積面
142 衝突領域
143 中空領域
150 粒子ドナー支持体、ドナー基板
170 制御システム
180 加熱手段
181 温度センサ
200 方法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】