IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 江▲蘇▼恒瑞医▲薬▼股▲フン▼有限公司の特許一覧 ▶ 上海恒瑞医薬有限公司の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-05
(54)【発明の名称】RORγモジュレーターの酸付加塩
(51)【国際特許分類】
   C07D 235/16 20060101AFI20221223BHJP
   A61K 31/4184 20060101ALI20221223BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20221223BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20221223BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20221223BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20221223BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20221223BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20221223BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20221223BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20221223BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20221223BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221223BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20221223BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20221223BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20221223BHJP
【FI】
C07D235/16 CSP
A61K31/4184
A61P1/04
A61P3/10
A61P9/00
A61P11/06
A61P13/12
A61P17/06
A61P19/02
A61P27/02
A61P31/00
A61P35/00
A61P35/02
A61P37/02
A61P37/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525442
(86)(22)【出願日】2020-10-30
(85)【翻訳文提出日】2022-04-28
(86)【国際出願番号】 CN2020125125
(87)【国際公開番号】W WO2021083311
(87)【国際公開日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】201911049930.5
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519352757
【氏名又は名称】江▲蘇▼恒瑞医▲薬▼股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU HENGRUI PHARMA CEUTICALS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】NO.7 KUNLUNSHAN ROAD, ECONOMIC AND TECHNOLOGICAL DEVELOPMENT ZONE, LIANYUNGANG, JIANGSU 222047, CHINA
(71)【出願人】
【識別番号】516174208
【氏名又は名称】上海恒瑞医薬有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI HENGRUI PHARMACEUTICAL CO., LTD
【住所又は居所原語表記】NO. 279 WENJING ROAD, MINHANG DISTRICT, SHANGHAI 200245, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】周 先▲強▼
(72)【発明者】
【氏名】杜 振▲興▼
(72)【発明者】
【氏名】王 捷
(72)【発明者】
【氏名】王 林
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086BC39
4C086GA13
4C086GA14
4C086GA15
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA02
4C086NA03
4C086ZA33
4C086ZA36
4C086ZA59
4C086ZA68
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA96
4C086ZB07
4C086ZB11
4C086ZB13
4C086ZB15
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZB32
4C086ZC35
(57)【要約】
RORγモジュレーターの酸付加塩である。具体的には、式IIに示される化合物の酸付加塩に関する。より具体的には、式IIに示される化合物の安息香酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、マレイン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、酢酸塩、及び式IIに示される化合物の結晶形安息香酸塩、無定形安息香酸塩、結晶形シュウ酸塩、無定形シュウ酸塩、無定形メタンスルホン酸塩、B結晶形マレイン酸塩、C結晶形マレイン酸塩、D結晶形マレイン酸塩、I結晶形臭化水素酸塩、α結晶形塩酸塩、β結晶形塩酸塩、γ結晶形塩酸塩、結晶形酢酸塩に関する。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸付加塩は、有機酸付加塩又は無機酸付加塩である、式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物。
【化1】
【請求項2】
前記有機酸付加塩は、安息香酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、マレイン酸塩又は酢酸塩から選ばれ、前記無機酸付加塩は、臭化水素酸塩又は塩酸塩から選ばれる、請求項1に記載の式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項3】
前記安息香酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩は、無定形物である、請求項2に記載の式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項4】
前記安息香酸塩は結晶形であり、そのX線粉末回折パターンは、5.305、7.411の回折角2θに特徴ピークを持っている、請求項2に記載の式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項5】
前記シュウ酸塩は結晶形であり、そのX線粉末回折パターンは、14.378、18.463、21.670の回折角2θに特徴ピークを持っている、請求項2に記載の式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項6】
前記マレイン酸塩はB結晶形であり、そのX線粉末回折パターンは、7.624、9.659、13.815、15.844、17.391の回折角2θに特徴ピークを持っている、請求項2に記載の式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項7】
前記マレイン酸塩はC結晶形であり、そのX線粉末回折パターンは、7.325、8.635、9.809、13.649、16.133、16.765、18.346の回折角2θに特徴ピークを持っている、請求項2に記載の式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項8】
前記マレイン酸塩はD結晶形であり、そのX線粉末回折パターンは、4.486、7.288、9.067、10.001、13.914、18.229、18.940の回折角2θに特徴ピークを持っている、請求項2に記載の式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項9】
前記臭化水素酸塩はI結晶形であり、そのX線粉末回折パターンは、8.128、12.579、16.414、17.075、17.780、20.733の回折角2θに特徴ピークを持っている、請求項2に記載の式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項10】
前記臭化水素酸塩はI結晶形であり、そのX線粉末回折パターンは、8.128、12.579、16.414、17.075、17.780、19.675、20.733、21.262、23.113、23.906、24.391、26.550、28.445、28.930、29.547の回折角2θに特徴ピークを持っている、請求項2に記載の式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項11】
前記臭化水素酸塩はI結晶形であり、そのX線粉末回折パターンは、8.128、11.918、12.579、16.414、17.075、17.780、18.750、19.675、20.733、21.262、23.113、23.906、24.391、26.550、28.445、28.930、29.547、30.958、32.236、33.382、38.670、39.640、40.830 、42.064、43.342、46.824、48.190、48.983、50.746の回折角2θに特徴ピークを持っている、請求項2に記載の式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項12】
前記塩酸塩はα結晶形であり、そのX線粉末回折パターンは、7.931、10.115、13.920、15.224、17.425、18.309の回折角2θに特徴ピークを持っている、請求項2に記載の式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項13】
前記塩酸塩はβ結晶形であり、そのX線粉末回折パターンは、5.386、8.191、12.688、16.607、20.036の回折角2θに特徴ピークを持っている、請求項2に記載の式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項14】
前記塩酸塩はγ結晶形であり、そのX線粉末回折パターンは、8.114、11.997、12.640、13.772、16.478、17.897、20.337の回折角2θに特徴ピークを持っている、請求項2に記載の式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項15】
前記酢酸塩は結晶形であり、そのX線粉末回折パターンは、11.651、12.495、15.636、15.965、18.075、20.935の回折角2θに特徴ピークを持っている、請求項2に記載の式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項16】
結晶形の2θ値の誤差範囲は±0.2である、請求項4~15のいずれか1項に記載の式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項17】
炭化水素系溶剤、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、ニトリル系溶剤、ハロゲン化炭化水素系溶剤、窒素含有溶剤、水又はジメチルスルホキシドの1種又は複数種から選ばれる適量の溶剤において、式IIに示される化合物を臭化水素酸と反応させ、晶体を析出するステップを含み、
前記炭化水素系溶剤は、n-ブタン、n-ペンタン、n-ヘキサン又はn-ヘプタンを含むが、これらに限定されず、
前記エーテル系溶剤は、テトラヒドロフラン、エーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、イソプロピルエーテル又は1,4-ジオキサンを含むが、これらに限定されず、
前記アルコール系溶剤は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-プロパノール、イソアミルアルコール又はトリフルオロエタノールを含むが、これらに限定されず、
前記エステル系溶剤は、酢酸エチル、酢酸イソプロピル又は酢酸ブチルを含むが、これらに限定されず、
前記ケトン系溶剤は、アセトン、アセトフェノン、4-メチル-2-ペンタノンを含むが、これらに限定されず、
前記ニトリル系溶剤は、アセトニトリル又はプロピオニトリルを含むが、これらに限定されず、
前記ハロゲン化炭化水素系溶剤は、クロロメタン、ジクロロメタン、クロロホルム又は四塩化炭素を含むが、これらに限定されず、
前記窒素含有溶剤は、ニトロメタン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドを含むが、これらに限定されない、
請求項9~11のいずれか1項に記載の式IIに示される化合物のI結晶形臭化水素酸塩の調製方法。
【請求項18】
前記溶剤は、メチルtert-ブチルエーテルとエタノールである、請求項17に記載の調製方法。
【請求項19】
請求項1~16のいずれか1項に記載の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物を含み、1種又は複数種の薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤を更に含む、薬物組成物。
【請求項20】
式IIに示される化合物の無定形物を含み、1種又は複数種の薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤を更に含む、薬物組成物。
【化2】
【請求項21】
請求項9~11のいずれか1項に記載のI結晶形臭化水素酸塩を含み、1種又は複数種の薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤を更に含む、薬物組成物。
【請求項22】
請求項1~16のいずれか1項に記載の式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物、及び、1種又は複数種の薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤により調製されて得られる、薬物組成物。
【請求項23】
式IIに示される化合物の無定形物、及び、1種又は複数種の薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤により調製されて得られる、薬物組成物。
【化3】
【請求項24】
請求項9~11のいずれか1項に記載のI結晶形臭化水素酸塩、及び、1種又は複数種の薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤により調製されて得られる、薬物組成物。
【請求項25】
請求項1~16のいずれか1項に記載の式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物を、少なくとも1種の薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤と混合させることを含む、薬物組成物の調製方法。
【請求項26】
式IIに示される化合物の無定形物を、少なくとも1種の薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤と混合させることを含む、薬物組成物の調製方法。
【化4】
【請求項27】
RORγにより仲介される疾患又は病状を治療するための薬物の調製における、請求項1~16のいずれか1項に記載の式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物、又は請求項19~24のいずれか1項に記載の薬物組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願日が2019年10月31日である中国特許出願CN201911049930.5の優先権を主張する。また、上記中国特許出願の全文は本願に援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、薬物化学分野に属し、RORγモジュレーター(式IIに示される化合物)の酸付加塩に関する。
【背景技術】
【0003】
核受容体は、発育、免疫及び細胞代謝を調節するリガンド調節転写因子であり、ヒト疾患の主な薬物標的カテゴリの1つである。レチノイド関連のオーファン受容体γ(RORγ)タンパク質は、核受容体のNR1サブファミリーのメンバーであり、典型的な核受容体ドメイン構造を持っており、DNA結合ドメイン、リガンド結合ドメイン、ヒンジドメイン及び活性化機能2ドメインで構成されている(Benoit Gら, Pharmacological Reviews, 58(4): 798-836, 2006; Zhang, Y., et al., Acta Pharmacogica Sinica, 36: 71-87, 2015)。二量体として結合される他の大部分の核受容体とは対照的に、RORγは単量体として認識して結合されている。それは、特定のDNA配列に結合され、通常TAAA/TNTAGGTCAで構成され、ROR応答エレメント(RORE)と呼ばれる。
【0004】
RORγ1及びRORγ2(RORγtとも呼ばれる)の2つのサブタイプのRORγがある。それらは、同じRORC遺伝子によって、他のプロモーターの選択によって生成される(Villey Iら, Eur.J. Immunol., 29(12): 4072-80, 1999年)。RORγの2つのサブタイプ(RORγ1及びRORγt)は、同じmRNAで生成され、同じリガンド結合ドメインを持っているため、それらのタンパク質N末端のみが異なっている(Jetten, A. M., 2009; Ivanov, I. I. et al., 2006)。小分子阻害剤はリガンド結合ドメインに結合して、受容体の機能を阻害するため、RORγの2つのサブタイプに対して選択性を達成することができず、この両方とも、サブタイプに関係なく、RORγ小分子阻害剤(又はレギュレーター)と呼ばれる。
【0005】
RORγのその2つのサブタイプは、組織発現分布が大きく異なっている。RORγtは主に、胸腺及び幾つかの免疫細胞で発現されるが、RORγ1は、胸腺、肝臓、筋肉、精巣、膵臓、前立腺、心臓等、多くの組織で発現される(Jetten, A. M., 2009; Zhang, Y. et al., 2015)。RORγ1の機能の1つは、人間の体内時計を調節し、概日リズムの調節に関与することであると文献に報告されている(Jetten, A. M., 2009)。タイプ17のヘルパー免疫調節T細胞(TH17)は、自己免疫疾患の主な原因である(Ivanov, I. I. et al., 2006)。RORγの2つのサブタイプの両方とも、Th17細胞で発現され、タイプ17のヘルパー免疫調節T細胞の分化を調節し、遺伝子転写を誘導する(Ruan, Q., et al., 2011)。サイトカインIL-6及びTGF-βは、未分化CD4 Tヘルパー細胞をTh17細胞に分化するように誘導し、Th17細胞は高レベルのRORγtを発現し、未分化CD4 Tヘルパー細胞におけるIL-23受容体遺伝子の転写を誘導し、IL23受容体は更にTH17細胞の生成を促進して安定させ、正のフィードバックループの一部を形成する(Ivanov, I. I. et al., 2006; Jetten, A. M., 2009)。同時に、RORγtは、サイトカインIL-17A、IL-17F、IL-21及びIL-22等の炎症誘発性エフェクターサイトカインの遺伝子転写を誘導し、炎症過程を促進することができる。RORγtと同様に、RORγ1もTh17細胞である程度発現され、タイプ17のヘルパー免疫調節T細胞(TH17)の分化を調節し、遺伝子転写を誘導することもできる(Ruan, Q., et al., 2011)。RORγの薬理学的拮抗作用は、自己免疫性疾患に対して治療の可能性があり、小分子阻害剤の魅力的な標的となっている。
【0006】
RORγは、関節リウマチ、乾癬、多発性硬化症、炎症性腸疾患、クローン病、シェーグレン症候群、喘息等の幾つかの疾患の発症機序における重要なメディエーターとして特定されている。(Loutenら, J.Allergy Clin.Immunol., 123: 1004-1011, (2009); Annuziato, F., et al, Nat.Rev.Rheumatol., 5(6): 325-331,2009; Lizuka, M., et al., J.Immunol., 194: 56-67, 2014)。慢性ドライアイ、川崎病、粘膜リーシュマニア症及び橋本甲状腺炎等の他の幾つかの疾患は、IL-17、IL-22、IL-23等のTh17の割合の増加及び/又はTh17マーカーサイトカインのレベルの上昇を特徴としている。(Chen, Y.ら, Mucosal.Immunol., 7(1): 38-45, 2014; Jia, S., et al., Clin.Exp.Immunol., 162: 131-137, 2010; Boaventura, VSら, Eur.J.Immunol., 40: 2830-2836, 2010; Figueroa-Vega, N.ら, J.Clin.Endocrinol.Metab., 95: 953-62, 2010)。上記の各例において、いずれもRORαの同時阻害によって阻害効果を増強することができる。RORγt阻害剤は、乾癬や関節リウマチ等の自己免疫疾患の治療のために現在開発中である。Jun R. HuhとDan R. Littman,Eur. J. Immunol.,42(9):2232-2237(2012)、WO2012 / 027965、WO2013 / 029338とUS2015 / 291607を参照する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2012/027965号
【特許文献2】国際公開第2013/029338号
【特許文献3】米国公開第2015/291607号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Pharmacological Reviews, 58(4): 798-836, 2006
【非特許文献2】Acta Pharmacogica Sinica, 36: 71-87, 2015
【非特許文献3】Eur.J. Immunol., 29(12): 4072-80, 1999年
【非特許文献4】J.Allergy Clin.Immunol., 123: 1004-1011, (2009)
【非特許文献5】Nat.Rev.Rheumatol., 5(6): 325-331,2009
【非特許文献8】J.Immunol., 194: 56-67, 2014
【非特許文献9】Mucosal.Immunol., 7(1): 38-45, 2014
【非特許文献10】Clin.Exp.Immunol., 162: 131-137, 2010
【非特許文献11】Eur.J.Immunol., 40: 2830-2836, 2010
【非特許文献12】J.Clin.Endocrinol.Metab., 95: 953-62, 2010
【非特許文献13】Eur. J. Immunol.,42(9):2232-2237(2012)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
出願番号がPCT/US19/30526である出願において、構造が式IIの化合物に示されるRORγのモジュレーターを提供する。
【0010】
【化1】
【課題を解決するための手段】
【0011】
当該出願の全文が本明細書に組み込まれている。
【0012】
(発明の概要)
本開示は、式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物を提供し、前記酸付加塩は有機酸付加塩又は無機酸付加塩である。
【0013】
本開示は、式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物の調製方法に更に関し、前記酸付加塩は有機酸付加塩又は無機酸付加塩であり、前記方法は、一定量の式IIに示される化合物を、炭化水素系溶剤、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、ニトリル系溶剤、ハロゲン化炭化水素系溶剤、窒素含有溶剤、水又はジメチルスルホキシドの1種又は複数種から選ばれる適量の溶剤及び有機酸又は無機酸と混合させ、一定の時間反応させ、式IIに示される化合物の対応する酸の塩を得ることを含む。
【0014】
幾つかの実施形態において、前記有機酸付加塩は、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、安息香酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、ピルビン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、クエン酸塩、4-ニトロ安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、1,2-エチレンスルホン酸塩、β-ナフタレンスルホン酸塩、リンゴ酸塩、プロピオール酸塩、2-ブチン酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、酢酸ビニル、酒石酸塩、フマル酸塩、イセチオン酸塩、マレイン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、パモ酸塩、サリチル酸塩、ガラクタル酸塩、グルコヘプトネート、マンデル酸塩、1,2-エタンジスルホン酸塩、シュウ酸塩、トリフルオロ酢酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、アジピン酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、ブチン-1,4-ジオエート、ヘキシン-1,6-ジオエート、ヒドロキシル酢酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、2-フェノキシ安息香酸塩、2-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸塩、アセト酢酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ホウ酸塩、クロロ安息香酸塩、カンフォレート、イタコン酸塩、カンファースルホン酸塩、トルエート、ジニトロ安息香酸塩、スルファミン酸塩、ガラクツロン酸塩、シクロペンチルプロピオン酸塩、ドデシル硫酸塩、アクリレート、シクロペンタンプロピオン酸塩、グリセロホスフェート、メトキシ安息香酸塩、ジグルコネート、グルコネート、ヘプタノエート、カプロエート、トリメチルアセテート、グルクロネート、ラウリン酸塩、フタル酸塩、フェニル酢酸塩、ラウリル硫酸塩、2-アセトキシ安息香酸塩、ニコチン酸塩、桂皮酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ペクチン酸塩、フタル酸塩、グルタル酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、フェニル酢酸塩、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、イソ酪酸塩、ピバル酸塩、ピクリン酸塩、ステアリン酸塩、2,2-ジクロロ酢酸塩、アシル化アミノ酸塩、アルギン酸塩、4-アセチルアミノベンゼンスルホン酸塩、カプリン酸塩、コール酸塩、カプリル酸塩、ノナン酸塩、シクラミン酸塩、フタル酸塩、システイン塩酸塩、ソルビン酸塩、グリシン塩酸塩、1,5-ナフタレンジスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、シスチン二塩酸塩、ウンデカン酸塩、ポリビニルスルホン酸塩、スルホサリチル酸塩、フェニル酪酸塩、4-ヒドロキシ酪酸塩、ポリエチレン硫酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩又は吉草酸塩のうちの少なくとも1種から選ばれる。
【0015】
幾つかの実施形態において、前記無機酸付加塩は、塩酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、ピロ硫酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、過塩素酸塩、過硫酸塩、半硫酸塩、重硫酸塩、チオシアン酸塩、リン酸塩、ピロリン酸塩又はメタリン酸塩のうちの少なくとも1種から選ばれる。
【0016】
幾つかの実施形態において、前記有機酸付加塩は、安息香酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、マレイン酸塩又は酢酸塩のうちの少なくとも1種から選ばれてもよく、前記有機酸付加塩は、塩酸塩又は臭化水素酸塩から選ばれてもよい。
【0017】
本開示は、式IIに示される化合物の結晶形安息香酸塩、無定形安息香酸塩、結晶形シュウ酸塩、無定形シュウ酸塩、無定形メタンスルホン酸塩、B結晶形マレイン酸塩、C結晶形マレイン酸塩、D結晶形マレイン酸塩、I結晶形臭化水素酸塩、α結晶形塩酸塩、β結晶形塩酸塩、γ結晶形塩酸塩、結晶形酢酸塩及びその調製方法を提供する。
【0018】
本開示は、式IIに示される化合物の無定形物を提供し、前記無定形物のXRPDパターンは顕著な鋭い回折ピークを持っていない。好ましくは、前記無定形物は図1に示されるXRPDパターンを持っている。
【0019】
本開示は、式IIに示される化合物の安息香酸塩を提供する。
【0020】
幾つかの実施形態において、前記安息香酸塩は無定形物であり、前記無定形物のXRPDパターンは顕著な鋭い回折ピークを持っていない。好ましくは、前記無定形物は図2に示されるXRPDパターンを持っている。
【0021】
幾つかの実施形態において、前記安息香酸塩は結晶形であり、そのX線粉末回折パターンは、5.305、7.411の回折角2θに特徴ピークを持っている。
【0022】
更に、前記結晶形安息香酸塩のX線粉末回折パターンは、5.305、7.411、22.031の回折角2θに特徴ピークを持っている。
【0023】
更に、前記結晶形安息香酸塩のX線粉末回折パターンは、5.305、7.411、19.140、22.0314の回折角2θに特徴ピークを持っている。
【0024】
本開示は、式IIに示される化合物のシュウ酸塩を提供する。
【0025】
幾つかの実施形態において、前記シュウ酸塩は無定形物であり、前記無定形物のXRPDパターンは顕著な鋭い回折ピークを持っていない。好ましくは、前記無定形物は図5に示されるXRPDパターンを持っている。
【0026】
幾つかの実施形態において、前記シュウ酸塩は結晶形であり、そのX線粉末回折パターンは、14.378、18.463、21.670の回折角2θに特徴ピークを持っている。
【0027】
更に、前記結晶形シュウ酸塩のX線粉末回折パターンは、14.378、18.463、21.670、23.075の回折角2θに特徴ピークを持っている。
【0028】
更に、前記結晶形シュウ酸塩のX線粉末回折パターンは、14.378、18.463、21.670、23.075、28.127の回折角2θに特徴ピークを持っている。
【0029】
本開示は、式IIに示される化合物のメタンスルホン酸塩を提供する。
【0030】
幾つかの実施形態において、前記メタンスルホン酸塩は無定形物であり、前記無定形物のXRPDパターンは顕著な鋭い回折ピークを持っていない。好ましくは、前記無定形物は図7に示されるXRPDパターンを持っている。
【0031】
本開示は、式IIに示される化合物のマレイン酸塩を提供する。
【0032】
幾つかの実施形態において、前記マレイン酸塩はB結晶形であり、そのX線粉末回折パターンは、7.624、9.659、13.815、15.844、17.391の回折角2θに特徴ピークを持っている。
【0033】
更に、前記B結晶形マレイン酸塩のX線粉末回折パターンは、7.624、9.659、13.815、15.844、17.391、21.802の回折角2θに特徴ピークを持っている。
【0034】
更に、前記B結晶形マレイン酸塩のX線粉末回折パターンは、7.624、9.659、13.815、15.844、17.391、18.619、21.802の回折角2θに特徴ピークを持っている。
【0035】
更に、前記B結晶形マレイン酸塩のX線粉末回折パターンは、7.624、9.659、13.815、15.844、17.391、18.619、21.802、23.667、26.441の回折角2θに特徴ピークを持っている。
【0036】
幾つかの実施形態において、前記マレイン酸塩はC結晶形であり、そのX線粉末回折パターンは、7.325、8.635、9.809、13.649、16.133、16.765、18.346の回折角2θに特徴ピークを持っている。
【0037】
更に、前記C結晶形マレイン酸塩のX線粉末回折パターンは、7.325、8.635、9.809、13.649、16.133、16.765、18.346、21.689、23.586の回折角2θに特徴ピークを持っている。
【0038】
更に、前記C結晶形マレイン酸塩のX線粉末回折パターンは、7.325、8.635、9.809、11.661、13.649、16.133、16.765、18.346、21.689、23.586、25.303の回折角2θに特徴ピークを持っている。
【0039】
幾つかの実施形態において、前記マレイン酸塩はD結晶形であり、そのX線粉末回折パターンは、4.486、7.288、9.067、10.001、13.914、18.229、18.940の回折角2θに特徴ピークを持っている。
【0040】
更に、前記D結晶形マレイン酸塩のX線粉末回折パターンは、4.486、5.998、7.288、9.067、10.001、13.914、15.026、16.227、18.229、18.940の回折角2θに特徴ピークを持っている。
【0041】
更に、前記D結晶形マレイン酸塩のX線粉末回折パターンは、4.486、5.998、7.288、9.067、10.001、13.914、15.026、16.227、18.229、18.940、23.076、25.612、28.102の回折角2θに特徴ピークを持っている。
【0042】
本開示は、式IIに示される化合物の臭化水素酸塩を提供する。
【0043】
幾つかの実施形態において、前記臭化水素酸塩はI結晶形であり、そのX線粉末回折パターンは、8.128、12.579、16.414、17.075、17.780、20.733の回折角2θに特徴ピークを持っている。
【0044】
更に、前記I結晶形臭化水素酸塩のX線粉末回折パターンは、8.128、12.579、16.414、17.075、17.780、19.675、20.733、21.262、23.113、23.906、24.391、26.550、28.445、28.930、29.547の回折角2θに特徴ピークを持っている。
【0045】
更に、前記I結晶形臭化水素酸塩のX線粉末回折パターンは、8.128、11.918、12.579、16.414、17.075、17.780、18.750、19.675、20.733、21.262、23.113、23.906、24.391、26.550、28.445、28.930、29.547、30.958、32.236、33.382、38.670、39.640、40.830、42.064、43.342、46.824、48.190、48.983、50.746の回折角2θに特徴ピークを持っている。
【0046】
本開示は、式IIに示される化合物の塩酸塩を提供する。
【0047】
幾つかの実施形態において、前記塩酸塩はα結晶形であり、そのX線粉末回折パターンは、7.931、10.115、13.920、15.224、17.425、18.309の回折角2θに特徴ピークを持っている。
【0048】
更に、前記α結晶形塩酸塩のX線粉末回折パターンは、7.931、10.115、12.166、13.920、15.224、16.041、16.315、16.748、17.425、18.309、22.340、23.359、24.570の回折角2θに特徴ピークを持っている。
【0049】
更に、前記α結晶形塩酸塩のX線粉末回折パターンは、7.931、10.115、12.166、13.920、15.224、16.041、16.315、16.748、17.425、18.309、19.624、20.235、21.491、22.340、23.359、23.905、24.570の回折角2θに特徴ピークを持っている。更に、前記α結晶形塩酸塩のX線粉末回折パターンは、7.931、10.115、12.166、13.920、15.224、16.041、16.315、16.748、17.425、18.309、19.624、20.235、21.491、22.340、23.359、23.905、24.570、25.320、25.811、26.096、27.624、28.213、29.190、29.760、31.266、31.795、32.324、35.906、37.291の回折角2θに特徴ピークを持っている。
【0050】
幾つかの実施形態において、前記塩酸塩はβ結晶形であり、そのX線粉末回折パターンは、5.386、8.191、12.688、16.607、20.036の回折角2θに特徴ピークを持っている。
【0051】
更に、前記β結晶形塩酸塩のX線粉末回折パターンは、5.386、8.191、10.818、12.688、13.980、14.915、16.607、20.036、21.372の回折角2θに特徴ピークを持っている。
【0052】
更に、前記β結晶形塩酸塩のX線粉末回折パターンは、5.386、8.191、10.818、12.688、13.980、14.915、16.607、18.076、19.056、20.036、21.372、22.040、23.465、24.355、25.869、26.582、27.383、29.253、29.832、30.946、31.480、32.504、33.439の回折角2θに特徴ピークを持っている。
【0053】
幾つかの実施形態において、前記塩酸塩はγ結晶形であり、そのX線粉末回折パターンは、8.114、11.997、12.640、13.772、16.478、17.897、20.337の回折角2θに特徴ピークを持っている。
【0054】
更に、前記γ結晶形塩酸塩のX線粉末回折パターンは、8.114、11.997、12.640、13.772、16.478、17.897、20.337、21.422、23.228、24.472の回折角2θに特徴ピークを持っている。
【0055】
更に、前記γ結晶形塩酸塩のX線粉末回折パターンは、8.114、11.997、12.640、13.772、16.478、17.897、19.671、20.337、21.422、22.156、23.228、24.472、25.882、27.567、28.277、29.830、31.160、32.269、33.334の回折角2θに特徴ピークを持っている。
【0056】
本開示は、式IIに示される化合物の酢酸塩を提供する。
【0057】
幾つかの実施形態において、前記酢酸塩は結晶形であり、そのX線粉末回折パターンは、11.651、12.495、15.636、15.965、18.075、20.935の回折角2θに特徴ピークを持っている。
【0058】
更に、前記結晶形酢酸塩のX線粉末回折パターンは、11.651、12.495、14.323、15.121、15.636、15.965、18.075、19.247、19.903、20.935の回折角2θに特徴ピークを持っている。
【0059】
更に、前記結晶形酢酸塩のX線粉末回折パターンは、11.651、12.495、14.323、15.121、15.636、15.965、18.075、19.247、19.903、20.935、22.107、22.998、23.842、24.733、25.530、26.843、28.719、29.750、30.829、32.142、35.143、39.973の回折角2θに特徴ピークを持っている。
【0060】
本開示は、式IIに示される化合物の安息香酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、マレイン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩又は酢酸塩の調製方法に更に関すし、前記方法は、一定量の式IIに示される化合物を、炭化水素系溶剤、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、ニトリル系溶剤、ハロゲン化炭化水素系溶剤、窒素含有溶剤、水又はジメチルスルホキシドの1種又は複数種から選ばれる適量の溶剤及び安息香酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、マレイン酸、臭化水素酸、塩酸又は酢酸と混合して反応させ、式IIに示される化合物の対応する酸の塩を得ることを含み、
前記炭化水素系溶剤は、n-ブタン、n-ペンタン、n-ヘキサン又はn-ヘプタンを含むが、これらに限定されず、
前記エーテル系溶剤は、テトラヒドロフラン、エーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、イソプロピルエーテル又は1,4-ジオキサンを含むが、これらに限定されず、
前記アルコール系溶剤は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-プロパノール、イソアミルアルコール又はトリフルオロエタノールを含むが、これらに限定されず、
前記エステル系溶剤は、酢酸エチル、酢酸イソプロピル又は酢酸ブチルを含むが、これらに限定されず、
前記ケトン系溶剤は、アセトン、アセトフェノン、4-メチル-2-ペンタノンを含むが、これらに限定されず、
前記ニトリル系溶剤は、アセトニトリル又はプロピオニトリルを含むが、これらに限定されず、
前記ハロゲン化炭化水素系溶剤は、クロロメタン、ジクロロメタン、クロロホルム又は四塩化炭素を含むが、これらに限定されず、
前記窒素含有溶剤は、ニトロメタン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドを含むが、これらに限定されない。
【0061】
幾つかの実施形態において、式IIに示される化合物の無定形物の調製方法は、一定量の式IIに示される化合物に適量の溶剤を加え、固体が析出し、濾過し、乾燥し、式IIに示される化合物の無定形物を得ることを含む。特定の実施形態において、前記溶剤は、イソプロピルエーテル、トルエン又は酢酸イソプロピル/n-ヘキサン(V:V=1:3)から選ばれてもよい。
【0062】
幾つかの実施形態において、式IIに示される化合物の無定形物の調製方法は、一定量の式IIに示される化合物を高速液体クロマトグラフィーにより精製して式IIに示される化合物の無定形物を得る(溶出系が炭酸水素アンモニウム/水/アセトニトリルである)ことを含む。
【0063】
幾つかの実施形態において、式IIに示される化合物の無定形物の調製方法は、一定量の式IIに示される化合物に、イソプロピルエーテル、トルエン、酢酸イソプロピル及びn-ヘキサン(V:V=1:3)の混合溶液から選ばれる適量の溶剤を加え、固体が析出し、濾過し、乾燥し、式IIに示される化合物の無定形物を得ることを含み、前記無定形物の析出方法は、室温での固体析出、冷却による固体析出、溶剤の揮発による固体析出から選ばれる。
幾つかの実施形態において、式IIに示される化合物の無定形物の調製方法は、一定量の式IIに示される化合物に適量のイソプロピルエーテル、トルエン又は酢酸イソプロピル及びn-ヘキサン(V:V=1:3)の混合溶液を加え、昇温して溶解し又は完全に溶解せず、室温に降温し、撹拌して固体が析出し、濾過し、乾燥し、式IIに示される化合物の無定形物を得ることを含む。
【0064】
本開示は、式IIに示される化合物の安息香酸塩無定形物又は結晶形の調製方法に更に関し、前記方法は、一定量の式IIに示される化合物に適量の溶剤と安息香酸を加え、固体が析出し、濾過し、乾燥し、式IIに示される化合物の安息香酸塩無定形物又は結晶形を得ることを含む。特定の実施形態において、前記溶剤はn-ヘキサン又はメチルtert-ブチルエーテルである。
【0065】
本開示は、式IIに示される化合物のシュウ酸塩無定形物又は結晶形の調製方法に更に関し、前記方法は、一定量の式IIに示される化合物に適量の溶剤とシュウ酸を加え、固体が析出し、濾過し、乾燥し、式IIに示される化合物のシュウ酸塩無定形物又は結晶形を得ることを含む。特定の実施形態において、前記溶剤はn-ヘキサン又はメチルtert-ブチルエーテルである。
【0066】
本開示は、式IIに示される化合物の無定形メシル酸塩の調製方法に更に関し、前記方法は、一定量の式IIに示される化合物に適量の溶剤とメタンスルホン酸を加え、固体が析出し、濾過し、乾燥し、式IIに示される化合物の無定形メシル酸塩を得ることを含む。特定の実施形態において、前記溶剤はメチルtert-ブチルエーテルである。
【0067】
本開示は、式IIに示される化合物のマレイン酸塩のB結晶形、C結晶形、D結晶形の調製方法に更に関し、前記方法は、一定量の式IIに示される化合物に適量の溶剤とマレイン酸を加え、固体が析出し、濾過し、乾燥し、式IIに示される化合物のマレイン酸塩のB結晶形、C結晶形又はD結晶形を得ることを含む。特定の実施形態において、前記溶剤はメチルtert-ブチルエーテルである。
【0068】
本開示は、式IIに示される化合物のI結晶形臭化水素酸塩の調製方法に更に関し、前記方法は、炭化水素系溶剤、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、ニトリル系溶剤、ハロゲン化炭化水素系溶剤、窒素含有溶剤、水又はジメチルスルホキシドの1種又は複数種から選ばれる適量の溶剤において、式IIに示される化合物を臭化水素酸と反応させ、晶体を析出するステップを含み、
【0069】
前記炭化水素系溶剤は、n-ブタン、n-ペンタン、n-ヘキサン又はn-ヘプタンを含むが、これらに限定されず、
前記エーテル系溶剤は、テトラヒドロフラン、エーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、イソプロピルエーテル又は1,4-ジオキサンを含むが、これらに限定されず、
前記アルコール系溶剤は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-プロパノール、イソアミルアルコール又はトリフルオロエタノールを含むが、これらに限定されず、
前記エステル系溶剤は、酢酸エチル、酢酸イソプロピル又は酢酸ブチルを含むが、これらに限定されず、
前記ケトン系溶剤は、アセトン、アセトフェノン、4-メチル-2-ペンタノンを含むが、これらに限定されず、
前記ニトリル系溶剤は、アセトニトリル又はプロピオニトリルを含むが、これらに限定されず、
前記ハロゲン化炭化水素系溶剤は、クロロメタン、ジクロロメタン、クロロホルム又は四塩化炭素を含むが、これらに限定されず、
前記窒素含有溶剤は、ニトロメタン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドを含むが、これらに限定されない。
【0070】
幾つかの実施形態において、式IIに示される化合物のI結晶形臭化水素酸塩の調製方法において、前記溶剤はメチルtert-ブチルエーテルとエタノールである。
【0071】
本開示は、式IIに示される化合物のI結晶形臭化水素酸塩の調製方法に更に関し、前記方法は、一定量の式IIに示される化合物を適量の溶剤及び臭化水素酸と混合させ、固体が析出し、濾過し、乾燥し、式IIに示される化合物のI結晶形臭化水素酸塩を得ることを含む。特定の実施形態において、前記溶剤はメチルtert-ブチルエーテルとエタノールである。
【0072】
本開示は、式IIに示される化合物の塩酸塩のα結晶形、β結晶形、γ結晶形の調製方法に更に関し、前記方法は、一定量の式IIに示される化合物に適量の溶剤と塩酸を加え、固体が析出し、濾過し、乾燥し、式IIに示される化合物の塩酸塩のα結晶形、β結晶形又はγ結晶形を得ることを含む。特定の実施形態において、前記溶剤はメチルtert-ブチルエーテルである。
【0073】
本開示は、式IIに示される化合物のγ結晶形塩酸塩の調製方法に更に関し、前記方法は、一定量の式IIに示される化合物のβ結晶形をDVS機器(DVSパラメータ:dm/dt=0.002, 50-95-0-95-50%RH, Max360 min, 25℃)に入れ、式IIに示される化合物のγ結晶形塩酸塩を得ることを含む。
【0074】
本開示は、式IIに示される化合物の結晶形酢酸塩の調製方法に更に関し、前記方法は、一定量の式IIに示される化合物に適量の溶剤と酢酸を加え、固体が析出し、濾過し、乾燥し、式IIに示される化合物の結晶形酢酸塩を得ることを含む。特定の実施形態において、前記溶剤は水とエタノールである。
【0075】
特定の実施形態において、本開示に記載の式IIに示される化合物の無定形物、式IIに示される化合物の安息香酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、マレイン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、酢酸塩、及び式IIに示される化合物の結晶形安息香酸塩、無定形安息香酸塩、結晶形シュウ酸塩、無定形シュウ酸塩、無定形メタンスルホン酸塩、B結晶形マレイン酸塩、C結晶形マレイン酸塩、D結晶形マレイン酸塩、I結晶形臭化水素酸塩、α結晶形塩酸塩、β結晶形塩酸塩、γ結晶形塩酸塩又は結晶形酢酸塩の調製過程に使用される溶剤は、炭化水素系溶剤、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、ニトリル系溶剤、ハロゲン化炭化水素系溶剤、窒素含有溶剤、水、ジメチルスルホキシドの1種又は複数種から選ばれる。前記炭化水素系溶剤は、n-ブタン、n-ペンタン、n-ヘキサン又はn-ヘプタンを含むが、これらに限定されず、前記エーテル系溶剤は、エーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、イソプロピルエーテル又は1,4-ジオキサンを含むが、これらに限定されず、前記アルコール系溶剤は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-プロパノール、イソアミルアルコール又はトリフルオロエタノールを含むが、これらに限定されず、前記エステル系溶剤は、酢酸エチル、酢酸イソプロピル又は酢酸ブチルを含むが、これらに限定されず、前記ケトン系溶剤は、アセトン、アセトフェノン、4-メチル-2-ペンタノンを含むが、これらに限定されず、前記ニトリル系溶剤は、アセトニトリル、プロピオニトリルを含むが、これらに限定されず、前記ハロゲン化炭化水素系溶剤は、クロロメタン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム又は四塩化炭素を含むが、これらに限定されず、前記窒素含有溶剤は、ニトロメタン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドを含むが、これらに限定されない。
【0076】
本開示に記載の式IIに示される化合物の無定形物又は式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物の固体形態の析出方法は、室温での固体析出、冷却による固体析出、溶剤の揮発による固体析出から選ばれる。
【0077】
特定の実施形態において、本開示に記載の式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物の固体形態は、式IIに示される化合物の結晶形安息香酸塩、無定形安息香酸塩、結晶形シュウ酸塩、無定形シュウ酸塩、無定形メタンスルホン酸塩、B結晶形マレイン酸塩、C結晶形マレイン酸塩、D結晶形マレイン酸塩、I結晶形臭化水素酸塩、α結晶形塩酸塩、β結晶形塩酸塩、γ結晶形塩酸塩、結晶形酢酸塩を指す。
本開示に記載の化合物の結晶形の結晶化法は、室温での結晶化、冷却による結晶化、揮発による結晶化又は種結晶の誘導添加による結晶化から選ばれ、前記化合物の結晶形は、式IIに示される化合物の結晶形安息香酸塩、結晶形シュウ酸塩、B結晶形マレイン酸塩、C結晶形マレイン酸塩、D結晶形マレイン酸塩、I結晶形臭化水素酸塩、α結晶形塩酸塩、β結晶形塩酸塩、γ結晶形塩酸塩、結晶形酢酸塩から選ばれる。
【0078】
本開示は、式IIに示される化合物の安息香酸塩無定形物又は結晶形の調製方法に更に関し、前記方法は、一定量の式IIに示される化合物に適量のn-ヘキサン又はメチルtert-ブチルエーテルを加え、安息香酸を加え、50℃の条件下で一晩撹拌し、濾過し、乾燥し、式IIに示される化合物の安息香酸塩無定形物又は結晶形を得ることを含む。
【0079】
本開示は、式IIに示される化合物のシュウ酸塩無定形物又は結晶形の調製方法に更に関し、前記方法は、一定量の式IIに示される化合物に適量のメチルtert-ブチルエーテル又はn-ヘキサンを加え、シュウ酸を加え、50℃の条件下で一晩撹拌し、濾過し、乾燥し、式IIに示される化合物のシュウ酸塩無定形物又は結晶形を得ることを含む。
【0080】
本開示は、式IIに示される化合物の無定形メシル酸塩の調製方法に更に関し、前記方法は、一定量の式IIに示される化合物に適量のメチルtert-ブチルエーテルを加え、メタンスルホン酸を加え、50℃の条件下で一晩撹拌し、濾過し、乾燥し、式IIに示される化合物の無定形メシル酸塩を得ることを含む。
【0081】
本開示は、式IIに示される化合物のB結晶形マレイン酸塩の調製方法に更に関し、前記方法は、一定量の式IIに示される化合物に適量のメチルtert-ブチルエーテルを加え、マレイン酸を加え、50℃の条件下で600 rpmで10分間~10時間撹拌し、濾過し、乾燥し、式IIに示される化合物のB結晶形マレイン酸塩を得ることを含む。
【0082】
本開示は、式IIに示される化合物のB結晶形マレイン酸塩の調製方法に更に関し、前記方法は、一定量の式IIに示される化合物に適量のメチルtert-ブチルエーテルを加え、マレイン酸を加え、50℃の条件下で600 rpmで10分間、20分間、30分間、1時間又は2時間撹拌し、濾過し、乾燥し、式IIに示される化合物のB結晶形マレイン酸塩を得ることを含む。
本開示は、式IIに示される化合物のC結晶形マレイン酸塩の調製方法に更に関し、前記方法は、一定量の式IIに示される化合物に適量のメチルtert-ブチルエーテルを加え、マレイン酸を加え、50℃の条件下で600 rpmで12時間~36時間撹拌し、濾過し、乾燥し、式IIに示される化合物のC結晶形マレイン酸塩を得ることを含む。
【0083】
本開示は、式IIに示される化合物のC結晶形マレイン酸塩の調製方法に更に関し、前記方法は、一定量の式IIに示される化合物に適量のメチルtert-ブチルエーテルを加え、マレイン酸を加え、50℃の条件下で600 rpmで1日間撹拌し、濾過し、乾燥し、式IIに示される化合物のC結晶形マレイン酸塩を得ることを含む。
【0084】
本開示は、式IIに示される化合物のD結晶形マレイン酸塩の調製方法に更に関し、前記方法は、一定量の式IIに示される化合物に適量のメチルtert-ブチルエーテルを加え、マレイン酸を加え、50℃の条件下で600 rpmで48時間~72時間撹拌し、濾過し、乾燥し、式IIに示される化合物のD結晶形マレイン酸塩を得ることを含む。
【0085】
本開示は、式IIに示される化合物のD結晶形マレイン酸塩の調製方法に更に関し、前記方法は、一定量の式IIに示される化合物に適量のメチルtert-ブチルエーテルを加え、マレイン酸を加え、50℃の条件下で600 rpmで3日間撹拌し、濾過し、乾燥し、式IIに示される化合物のD結晶形マレイン酸塩を得ることを含む。
【0086】
本開示は、式IIに示される化合物のI結晶形臭化水素酸塩の調製方法に更に関し、前記方法は、一定量の式IIに示される化合物に適量のメチルtert-ブチルエーテルを加え、臭化水素酸又は臭化水素酸とエタノールとの混合溶液を加え、25℃の条件下で600 rpmで12時間~72時間撹拌し、濾過し、乾燥し、式IIに示される化合物のI結晶形臭化水素酸塩を得ることを含む。
【0087】
本開示は、式IIに示される化合物のI結晶形臭化水素酸塩の調製方法に更に関し、前記方法は、一定量の式IIに示される化合物に適量のメチルtert-ブチルエーテルを加え、臭化水素酸を加え、25℃の条件下で600 rpmで3日間撹拌し、濾過し、乾燥し、式IIに示される化合物のI結晶形臭化水素酸塩を得ることを含む。
【0088】
本開示は、式IIに示される化合物のI結晶形臭化水素酸塩の調製方法に更に関し、前記方法は、一定量の式IIに示される化合物に適量のメチルtert-ブチルエーテルを加え、臭化水素酸とエタノールとの混合溶液(体積比は1:1、1:50、1:99から選ばれてよい)を加え、25℃の条件下で600 rpmで一晩又は3日間撹拌し、濾過し、乾燥し、式IIに示される化合物のI結晶形臭化水素酸塩を得ることを含む。
【0089】
本開示は、式IIに示される化合物のα結晶形塩酸塩の調製方法に更に関し、前記方法は、一定量の式IIに示される化合物に適量のメチルtert-ブチルエーテルを加え、濃塩酸を加え、50℃の条件下で12時間~48時間撹拌し、濾過し、乾燥し、式IIに示される化合物のα結晶形塩酸塩を得ることを含む。
【0090】
本開示は、式IIに示される化合物のα結晶形塩酸塩の調製方法に更に関し、前記方法は、一定量の式IIに示される化合物に適量のメチルtert-ブチルエーテルを加え、濃塩酸を加え、50℃の条件下で2日間撹拌し、濾過し、乾燥し、式IIに示される化合物のα結晶形塩酸塩を得ることを含む。
【0091】
本開示は、式IIに示される化合物のβ結晶形塩酸塩の調製方法に更に関し、前記方法は、一定量の式IIに示される化合物に適量のメチルtert-ブチルエーテルを加え、エタノール塩酸溶液を加え、固体が析出し、濾過し、乾燥し、式IIに示される化合物のβ結晶形塩酸塩を得ることを含む。
【0092】
本開示は、式IIに示される化合物のβ結晶形塩酸塩の調製方法に更に関し、前記方法は、一定量の式IIに示される化合物に適量のメチルtert-ブチルエーテルを加え、エタノール塩酸溶液(濃塩酸:エタノール=1:99、均一に振とうする)を加え、25℃で1時間撹拌し、50℃の条件下で2日間撹拌し、濾過し、乾燥し、式IIに示される化合物のβ結晶形塩酸塩を得ることを含む。
【0093】
本開示は、式IIに示される化合物の結晶形酢酸塩の調製方法に更に関し、前記方法は、一定量の式IIに示される化合物に適量の水を加え、エタノール醋酸溶液を加え、固体が析出し、濾過し、乾燥し、式IIに示される化合物の結晶形酢酸塩を得ることを含む。
本開示は、式IIに示される化合物の結晶形酢酸塩の調製方法に更に関し、前記方法は、一定量の式IIに示される化合物に適量の水を加え、エタノール醋酸溶液(精密にピペットされた0.1 mlの醋酸に9.9 mlのエタノールを加えて、均一に振とうする)を加え、50℃の条件下で一晩撹拌し、濾過し、乾燥し、式IIに示される化合物の結晶形酢酸塩を得ることを含む。
【0094】
本開示は、式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物又は式IIに示される化合物の無定形物を含み、1種又は複数種の薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤を更に含む薬物組成物に更に関する。
【0095】
本開示は、式IIに示される化合物のI結晶形臭化水素酸塩を含み、1種又は複数種の薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤を更に含む薬物組成物に更に関する。
【0096】
本開示は、式IIに示される化合物の無定形物又は式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物、及び、1種又は複数種の薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤により調製されて得られる薬物組成物に更に関する。
【0097】
本開示は、式IIに示される化合物のI結晶形臭化水素酸塩、及び、1種又は複数種の薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤により調製されて得られる薬物組成物に更に関する。
【0098】
本開示は、式IIに示される化合物の無定形物又は式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物、及び、任意選択の1種又は複数種の薬用担体及び/又は希釈剤を含む薬物組成物に更に関する。前記薬物組成物は、薬学的に許容可能な任意の剤形に調製することができる。例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、顆粒剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤、注射剤(この製剤は、本開示に記載の式IIに示される化合物の無定形物又は式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物により調製されて得られるもの、又は、注射剤自体が本開示に記載の式IIに示される化合物の無定形又は式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物を含むものであり、注射液、注射用無菌粉末及び注射用濃溶液を含む)、坐剤、吸入剤又は噴霧剤に調製することができる。
【0099】
本開示は、本開示の式IIに示される化合物の無定形物又は式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物を、少なくとも1種の薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤と混合させることを含む薬物組成物の調製方法に更に関する。
また、本開示に記載の薬物組成物は、例えば経口、非経口、直腸、肺内又は局所投与等の任意の適切な投与方式によって、そのような治療を必要とする患者又は被験者に投与することができる。経口投与に使用される場合、前記薬物組成物は、錠剤、カプセル剤、丸剤、顆粒剤等の経口固体製剤、若しくは、経口溶液剤、経口懸濁剤、シロップ剤等の経口液体製剤のような経口製剤に調製することができる。経口製剤に調製される場合、前記薬物製剤は、適切な充填剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤等を含んでもよい。非経口投与に使用される場合、前記薬物製剤は、注射液、注射用無菌粉末及び注射用濃溶液を含む注射剤に調製することができる。注射剤に調製される場合、前記薬物組成物は、従来の製薬分野における通常の方法によって調製することができる。注射剤を調製する場合、前記薬物製剤に添加剤を添加しなくてもよいし、薬物の特性に応じて適切な添加剤を添加してもよい。直腸投与に使用される場合、前記薬物製剤は、坐剤等に調製することができる。肺内投与に使用される場合、前記薬物製剤は、吸入剤又は噴霧剤等に調製することができる。特定の実施形態において、本開示の式IIに示される化合物の無定形物又は式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物は、治療及び/又は予防有効量で薬物組成物又は薬物内に存在する。特定の実施形態において、本開示に記載の式IIに示される化合物の無定形物又は式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物は、単位剤量の形式で薬物組成物又は薬物内に存在する。
【0100】
本開示は、RORγにより仲介される疾患又は病状を治療するための薬物の調製における、式IIに示される化合物の無定形物、又は式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物、又は、それらを含む薬物組成物又はそれらにより調製された薬物組成物の使用に更に関する。前記RORγにより仲介される疾患又は病状は、炎症、自己免疫疾患及び癌を含むが、これらに限定されず、そのうち、炎症及び自己免疫疾患は、関節炎、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、乾癬、乾癬性関節炎、骨関節炎、局所化膿性、潰瘍性大腸炎、強直性脊椎炎、自己免疫性糖尿病、I型糖尿病、自己免疫性眼疾患、自己免疫性甲状腺疾患、I型免疫性分泌過多症候群、II型自己免疫性多内分泌症候群、多発性硬化症、炎症性腸疾患、炎症性腸症候群、若年性特発性関節炎、シェーグレン症候群、クローン病、喘息、川崎病、橋本甲状腺炎、感染症、強直性脊椎炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺疾患、糸球体腎炎、心筋炎、甲状腺炎、ドライアイ、ブドウ膜炎、ベーチェット病、喘息、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、移植片拒絶反応、多発性筋炎、移植片対宿主病(GVHD)、にきび、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス、強皮症、気管支炎、皮膚筋炎及びアレルギー性鼻炎を含むが、これらに限定されない。そのうち、癌は、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、滑膜肉腫、乳癌、子宮頸癌、結腸癌、肺癌、胃癌、直腸癌、膵臓癌、脳癌、皮膚癌、口腔癌、前立腺癌、骨癌、腎臓癌、卵巣癌、膀胱癌、肝臓癌、卵管腫瘍、卵巣腫瘍、腹膜腫瘍、メラノーマ、固形腫瘍、神経膠腫、神経膠芽細胞腫、肝細胞癌、マストイド腎臓腫瘍、頭頸部腫瘍、白血病、リンパ腫、骨髄腫及び非小細胞肺癌を含むが、これらに限定されない。
【0101】
発明の詳細
本願の明細書及び特許請求の範囲において、別途説明がない限り、本明細書で使用される科学や技術名詞は、当業者によって一般的に理解される意味を有する。しかし、本開示をより良く理解できるように、以下に幾つかの関連する用語の定義及び解釈が提供される。また、本願により提供される用語の定義及び解釈が当業者によって一般的に理解される意味と矛盾する場合、本願により提供される用語の定義及び解釈が優先するものとする。
本開示に記載の「エーテル系溶剤」は、テトラヒドロフラン、エーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、イソプロピルエーテル又は1,4-ジオキサンを含むが、これらに限定されない。
【0102】
本開示に記載の「アルコール系溶剤」の具体的な例は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-プロパノール、イソアミルアルコール又はトリフルオロエタノールを含むが、これらに限定されない。
【0103】
本開示に記載の「エステル系溶剤」は、酢酸エチル、酢酸イソプロピル又は酢酸ブチルを含むが、これらに限定されない。
【0104】
本開示に記載の「ケトン系溶剤」の具体的な例は、アセトン、アセトフェノン、4-メチル-2-ペンタノンを含むが、これらに限定されない。
【0105】
本開示に記載の「ニトリル系溶剤」の具体的な例は、アセトニトリル又はプロピオニトリルを含むが、これらに限定されない。
【0106】
本開示に記載の「ハロゲン化炭化水素系溶剤」の具体的な例は、クロロメタン、ジクロロメタン、クロロホルム又は四塩化炭素を含むが、これらに限定されない。
【0107】
本開示に記載の「炭化水素系溶剤」の具体的な例は、n-ブタン、n-ペンタン、n-ヘキサン又はn-ヘプタンを含むが、これらに限定されない。
【0108】
本開示に記載の「X線粉末回折パターン又はXRPD」は、Cu-Kα線回折によって得られる。
【0109】
本開示に記載の「示差走査熱量測定分析又はDSC」は、サンプルの昇温又は恒温中、熱効果に関連する全ての物理的変化及び化学的変化を特徴付け、サンプルの相転移情報を取得するために、サンプルと参照物との間の温度差及び熱流差を測定することを指す。
【0110】
本開示に記載の「2θ又は2θ角度」は回折角を指し、θはブラッグ角であり、単位は°又は度であり、前記2θの誤差範囲は±0.3、±0.2又は±0.1であり得る。
【発明の効果】
【0111】
本発明の有益な効果
本開示により提供される式IIに示される化合物の無定形物、式IIに示される化合物の安息香酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、マレイン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、酢酸塩、及び式IIに示される化合物の結晶形安息香酸塩、無定形安息香酸塩、結晶形シュウ酸塩、無定形シュウ酸塩、無定形メタンスルホン酸塩、B結晶形マレイン酸塩、C結晶形マレイン酸塩、D結晶形マレイン酸塩、I結晶形臭化水素酸塩、α結晶形塩酸塩、β結晶形塩酸塩、γ結晶形塩酸塩及び結晶形酢酸塩は、薬物の開発過程における、RORγモジュレーターとして使用可能な式IIに示される化合物の選択可能な固体形態を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0112】
図1】式IIに示される化合物の無定形物のXRPDパターンである。
図2】式IIに示される化合物の無定形安息香酸塩のXRPDパターンである。
図3】式IIに示される化合物の結晶形安息香酸塩のXRPDパターンである。
図4】式IIに示される化合物の結晶形安息香酸塩のDSCスペクトルである。
図5】式IIに示される化合物の無定形シュウ酸塩のXRPDパターンである。
図6】式IIに示される化合物の結晶形シュウ酸塩のXRPDパターンである。
図7】式IIに示される化合物の無定形メタンスルホン酸塩のXRPDパターンである。
図8】式IIに示される化合物のB結晶形マレイン酸塩のXRPDパターンである。
図9】式IIに示される化合物のB結晶形マレイン酸塩のDSCスペクトルである。
図10】式IIに示される化合物のB結晶形マレイン酸塩のTGAスペクトルである。
図11】式IIに示される化合物のB結晶形マレイン酸塩のDVS吸湿スペクトルである。
図12】式IIに示される化合物のB結晶形マレイン酸塩のDVS検出前後のXRPD比較図である。
図13】式IIに示される化合物のC結晶形マレイン酸塩のXRPDパターンである。
図14】式IIに示される化合物のC結晶形マレイン酸塩のDSCスペクトルである。
図15】式IIに示される化合物のC結晶形マレイン酸塩のTGAスペクトルである。
図16】式IIに示される化合物のD結晶形マレイン酸塩のXRPDパターンである。
図17】式IIに示される化合物のD結晶形マレイン酸塩のDSCスペクトルである。
図18】式IIに示される化合物のD結晶形マレイン酸塩のTGAスペクトルである。
図19】式IIに示される化合物のI結晶形臭化水素酸塩のXRPDパターンである。
図20】式IIに示される化合物のI結晶形臭化水素酸塩のDSCスペクトルである。
図21】式IIに示される化合物のI結晶形臭化水素酸塩のTGAスペクトルである。
図22】式IIに示される化合物のI結晶形臭化水素酸塩のDVS吸湿スペクトルである。
図23】式IIに示される化合物のI結晶形臭化水素酸塩のDVS検出前後のXRPD比較図である。
図24】式IIに示される化合物のα結晶形塩酸塩のXRPDパターンである。
図25】式IIに示される化合物のα結晶形塩酸塩のDSCスペクトルである。
図26】式IIに示される化合物のα結晶形塩酸塩のTGAスペクトルである。
図27】式IIに示される化合物のα結晶形塩酸塩のDVS吸湿スペクトルである。
図28】式IIに示される化合物のα結晶形塩酸塩のDVS検出前後のXRPD比較図である。
図29】式IIに示される化合物のβ結晶形塩酸塩のXRPDパターンである。
図30】式IIに示される化合物のβ結晶形塩酸塩のDSCスペクトルである。
図31】式IIに示される化合物のβ結晶形塩酸塩のTGAスペクトルである。
図32】式IIに示される化合物のβ結晶形塩酸塩のDVS吸湿スペクトルである。
図33】式IIに示される化合物のβ結晶形塩酸塩のDVS検出前後のXRPD比較図である。
図34】式IIに示される化合物のγ結晶形塩酸塩のXRPDパターンである。
図35】式IIに示される化合物の結晶形酢酸塩のXRPDパターンである。
図36】式IIに示される化合物の結晶形酢酸塩のDSCスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0113】
以下、実施例と組み合わせて本開示をより詳しく説明するが、本開示の実施例は、本開示の技術案を説明するものに過ぎず、本開示の実質や範囲を限定するものではない。
【0114】
実験で使用した機器の試験条件:
化合物の構造は核磁気共鳴(NMR)及び/又は質量分析(MS)によって決定される。NMRシフト(δ)は10-6(ppm)の単位で示されている。NMRの測定は核磁気共鳴装置Bruker AVANCE-400を使用し、測定溶剤は重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO-d6)、重水素化クロロホルム(CDCl3)、重水素化メタノール(CD3OD)であり、内部標準はテトラメチルシラン(TMS)である。
【0115】
MSの測定はFINNIGAN LCQAd(ESI)質量分析計(製造メーカー:Thermo,型番:Finnigan LCQ advantage MAX)を使用する。
【0116】
HPLCの測定はアジレント1200DAD高圧液体クロマトグラフ(Sunfire C18 150×4.6 mmカラム)及びWaters 2695-2996高圧液体クロマトグラフ(Gimini C18 150×4.6 mmカラム)を使用する。
【0117】
XRPDはX線粉末回折検出である。測定はBRUKER D8型X線回折計を使用する。具体的な収集情報:Cuアノード(40 kV, 40 mA),Cu-Kα線(λ=1.5418 Å)。走査方法:?/2?,走査範囲:10~48°。
【0118】
DSCは示差走査熱量測定である。測定はMETTLER TOLEDO DSC 3+示差走査熱量計を使用する。昇温速度は10℃/分、具体的な温度範囲は対応するスペクトルを参照し(一般的には、25~300又は25~350℃である)、窒素ガスのパージ速度は50 mL/分である。
【0119】
TGAは熱重量分析である。検出はMETTLER TOLEDO TGA 2型熱重量分析計を使用する。昇温速度は10℃/分、具体的な温度範囲は対応するスペクトルを参照し(一般的には、25~300℃である)、窒素ガスのパージ速度は20 mL/分である。
【0120】
DVSは動的水分吸着である。Surface Measurement Systems advantage 2を使用する。25℃で、湿度は50%から始まり、ステップ10%で0%~95%の湿度範囲を考察し、判定基準は、勾配毎の質量変化dM/dTが0.002より小さく、TMAXが360 minより小さく、2回サイクルすることである。
【0121】
実施例に係る反応進行の監視には薄層クロマトグラフィー(TLC)が用いられ、反応で使用する展開溶剤、化合物を精製するために使用するカラムクロマトグラフィーの溶離剤系及び薄層クロマトグラフィーの展開溶剤系は、A:n-ヘキサン/酢酸エチル系を含み、溶剤の体積比は化合物の極性によって調整されてもよいし、少量のトリエチルアミン及び酢酸等の塩基性又は酸性試薬を加えて調整されてもよい。
【0122】
比較例1:式IIに示される化合物の調製例(出願番号がPCT/US19/30526である出願の実施例152と153の調製方法)
(S)-3-(6-クロロ-5-(2-(ジフルオロメトキシ)フェニル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-3-(4-((シクロプロピルメチル)スルホニル)フェニル)プロピオンアミドの調製
(R)-3-(6-クロロ-5-(2-(ジフルオロメトキシ)フェニル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-3-(4-((シクロプロピルメチル)スルホニル)フェニル)プロピオンアミドの調製
【化2】
【0123】
ステップ1:6-クロロ-2’-(ジフルオロメトキシ)-[1,1’-ジフェニル]-3,4-ジアミンの調製
4-ブロモ-5-クロロベンゼン-1,2-ジアミン(1.5 g, 6.78 mmol)、2-(2-(ジフルオロメトキシ)フェニル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(2.2 g, 8.15 mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(620 mg)、トリ-tert-ブチルホスフィンテトラフルオロボレート(393 mg)、炭酸ナトリウム(1.7 g, 13.7 mmol)、1,4-ジオキサン(50 mL)及び水(10 mL)の混合物の酸素を除去し、90℃に加熱し、撹拌して3時間反応させる。反応液を減圧下で濃縮させ、残留物をISCO固体カラムに直接ロードし、n-ヘキサン/酢酸エチルの混合溶剤で溶出し、白色固体生成物(1.0 g, 収率51.9%)を得る。MS(+)ES: 285(M+H)+。
【0124】
ステップ2:4-((4-アミノ-6-クロロ-2’-(ジクロロメトキシ)-[1,1’ジフェニル]-3-イル)アミノ)-3-(4-((シクロプロピルメチル)スルホニル)フェニル)-4-オキソ酪酸エチルの調製
4-((5-アミノ-2-クロロ-2’-(ジクロロメトキシ)-[1,1’ジフェニル]-4-イル)アミノ)-3-(4-((シクロプロピルメチル)スルホニル)フェニル)-4-オキソ酪酸エチルの調製
6-クロロ-2’-(ジフルオロメトキシ)-[1,1’-ジフェニル]-3,4-ジアミン(543 mg, 1.9 mmol)、2-(4-((シクロプロピルメチル)スルホニル)フェニル)-4-エトキシ-4-オキソ酪酸(500 mg, 1.47 mmol)及びDMF(5 mL)溶液にEDCl(560 mg, 2.93 mmol)、HOBT(447 mg, 2.93 mmol)及びDIPEA(380 mg, 2.94 mmol)を加え、反応液を室温で2時間撹拌する。反応液を5 gのシリカゲルで吸着し、シリカゲルカラムにロードし、45%の酢酸エチルのn-ヘキサン溶液で溶出し、4-((4-アミノ-6-クロロ-2’-(ジクロロメトキシ)-[1,1’ジフェニル]-3-イル)アミノ)-3-(4-((シクロプロピルメチル)スルホニル)フェニル)-4-オキソ酪酸エチル及び4-((5-アミノ-2-クロロ-2’-(ジクロロメトキシ)-[1,1’ジフェニル]-4-イル)アミノ)-3-(4-((シクロプロピルメチル)スルホニル)フェニル)-4-オキソ酪酸エチルの混合物を得て、白色固体である(600 mg, 収率:62.3%)。MS(ESI): 607(M+H)+.
【0125】
ステップ3:3-(6-クロロ-5-(2-(ジフルオロメトキシ)フェニル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-3-(4-((シクロプロピルメチル)スルホニル)フェニル)プロピオン酸エチルの調製
4-((4-アミノ-6-クロロ-2’-(ジクロロメトキシ)-[1,1’ジフェニル]-3-イル)アミノ)-3-(4-((シクロプロピルメチル)スルホニル)フェニル)-4-オキソ酪酸エチル及び4-((5-アミノ-2-クロロ-2’-(ジクロロメトキシ)-[1,1’ジフェニル]-4-イル)アミノ)-3-(4-((シクロプロピルメチル)スルホニル)フェニル)-4-オキソ酪酸エチルの混合物(800 mg)の酢酸(15 mL)溶液を80℃に加熱し、撹拌して2時間反応させる。反応液を減圧下で濃縮させ、得られた残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、60%の酢酸エチルのn-ヘキサン溶液で溶出し、3-(6-クロロ-5-(2-(ジクロロメトキシ)フェニル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-3-(4-((シクロプロピルメチル)スルホニル)フェニル)プロピオン酸エチルを得て、灰白色固体である(600 mg, 収率:77.3%)。MS (ESI): 589(M+H) +.
【0126】
ステップ4:(S)-3-(6-クロロ-5-(2-(ジフルオロメトキシ)フェニル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-3-(4-((シクロプロピルメチル)スルホニル)フェニル)プロピオンアミドの調製
(R)-3-(6-クロロ-5-(2-(ジフルオロメトキシ)フェニル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-3-(4-((シクロプロピルメチル)スルホニル)フェニル)プロピオンアミドの調製
3-(6-クロロ-5-(2-(ジフルオロメトキシ)フェニル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-3-(4-((シクロプロピルメチル)スルホニル)フェニル)プロピオン酸エチル(400 mg, 0.68 mmol)のメタノール(5 mL)溶液に7 Nのアンモニアメタノール溶液(4.8 mL,33.9 mmol)を加え、反応液を60℃に昇温し、撹拌して12時間反応させる。反応液を減圧下で濃縮させ、粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、溶出系はn-ヘキサンと酢酸エチルであり、3-(6-クロロ-5-(2-(ジフルオロメトキシ)フェニル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-3-(4-((シクロプロピルメチル)スルホニル)フェニル)プロピオンアミド(177 mg)を得る。
【0127】
キラル分割し(分離条件:CHIRALCEL OZ-H(OZH00CD-VC005), 0.46 cm I.D.×15 cm L;流動相:100%のメタノール;流速:1.0 mL/分)、対応する成分を収集し、減圧下で濃縮させ、タイトルの化合物(67 mg, 60 mg)を得る。
【0128】
単一成分化合物(保持時間が短い)
【0129】
MS (+) ES: 560 (M+H)+
【0130】
キラル分析方法:
保持時間は3.919分間、キラル純度は100%である(カラム:OD Phenomenex Lux Cellulose-1 150*4.6 mm, 5 μm;流動相:エタノール/n-ヘキサン=80:20(v:v))。
【0131】
1H NMR (400 mHz, CD3OD): 7.92 (d, 8.0Hz, 2H), 7.51-7.49 (s, 1H), 7.65 (d, 8.0 Hz, 2 H), 7.56-7.54 (m, 1H), 7.48-7.44 (m, 1H), 7.33-7.32 (m, 2H), 7.28-7.26 (d, 8.0Hz, 1H), 6.86 (d, 8.0Hz, 1H), 4.96-4.92 (t, 8.0Hz, 1H), 3.41-3.35 (dd, 8.0Hz, 1H), 3.13-3.11 (d, 8.0Hz, 2H), 3.12-3.06 (dd, 8.0Hz, 1H), 0.93-0.91 (m, 1H), 0.52-0.50 (d, 8.0Hz, 2H), 0.13-0.11 (d, 8.0Hz, 2H).
【0132】
単一成分化合物(保持時間が長く、式IIに示される化合物)
【0133】
MS (+) ES: 560 (M+H)+
【0134】
キラル分析方法:
保持時間は8.942分間、キラル純度は100%である(カラム:OD Phenomenex Lux Cellulose-1 150*4.6 mm, 5 μm;流動相:エタノール/n-ヘキサン=80:20(v:v))。
【0135】
1H NMR (400 mHz, CD3OD): 7.92 (d, 8.0Hz, 2H), 7.51-7.49 (s, 1H), 7.65 (d, 8.0 Hz, 2 H), 7.56-7.54 (m, 1H), 7.48-7.44 (m, 1H), 7.33-7.32 (m, 2H), 7.28-7.26 (d, 8.0Hz, 1H), 6.86 (d, 8.0Hz, 1H), 4.96-4.92 (t, 8.0Hz, 1H), 3.41-3.35 (dd, 8.0Hz, 1H), 3.13-3.11 (d, 8.0Hz, 2H), 3.12-3.06 (dd, 8.0Hz, 1H), 0.93-0.91 (m, 1H), 0.52-0.50 (d, 8.0Hz, 2H), 0.13-0.11 (d, 8.0Hz, 2H).
【0136】
試験実施例1:LanthaScreen TR-FRET RORγ-LBDとコアクチベーターペプチドの生化学的実験
【0137】
材料と試薬
1. RORγLBD-GST tagged(Cat No. RORC-114H,Creative Biomart)
2. Fluorescein-D22 coactivator,(Cat No. PV4386,Invitrogen)
3. LanthaScreenTM Tb anti-GST antibody(カタログ番号PV3550,Invitrogen)
4. TR-FRET coregulatory buffer D(Cat No,PV4420,Invitrogen)
5. DTT(Cat No. P2325,Fisher)
6. 384ウェルアッセイプレート(Cat No. 6008280,Perkin Elmer)
7. Tecan Infinite M1000プレートリーダー(Tecan)
【0138】
実験ステップ
1 MのDTTをTR-FRET Coregulator Buffer Dに最終濃度5 mMのDTTになるように加えることによって、Complete TR-FRET Coregulator BufferDを調製する。Complete TR-FRET Coregulator Buffer Dで化合物を希釈する。最高用量は3 μM、7倍希釈し、合計7用量である。384ウェルプレートの各ウェルに10 μLを加える。陰性対照及び陽性対照に対して、10 μLのComplete TR-FRET Coregulator Buffer Dを加える。
【0139】
Complete TR-FRET Coregulator Buffer Dを使用してRORγ LBD溶液を調製する。各反応におけるRORγ LBD溶液の最終濃度は25 ngであある。5 μLのComplete TR-FRET Coregulator Buffer Dが添加された陰性ウェルを除いて、5 μLのRORγ LBD溶液を384ウェルアッセイプレートの全てのウェルに添加する。
【0140】
Complete TR-FRET Coregulator Buffer Dを使用して、0.6 μMのFluorescein-D22と8 nMのTbanti-GST antibodyを含む溶液を調製し、次に調製された溶液5 μLを、それぞれ384ウェルアッセイプレートの全てのウェルに加える。
【0141】
384ウェルプレートをプレートシェーカー上で穏やかに混合し、室温下で遮光で1時間反応させる。蒸発を防ぐために、プラスチックフィルムで384ウェルプレートを密封する。
【0142】
Tecan Infinite M1000プレートリーダーで波長520 nmと495 nmの値を読み取る。GraphPad Prismを使用して、化合物濃度の対数と阻害率との関係をプロットすることによって、IC50値を計算する。表1に化合物のIC50値が示される。
【0143】
試験実施例2:ヒト末梢血単核細胞におけるIL-17Aサイトカイン産生の阻害の測定
【0144】
実験材料と機器
1. Human PBMC(Stemcell, Cat No. 70025.1)
2. Lymphocyte medium(Zenbio, Cat No. LYMPH-1)
3. TexMACS (Miltenyi Biotec, Cat No. 130-097-196)
4. Human Cytostim (Miltenyi Biotec, Cat No. 130-092-173)
5. Human IL- 17 ELISA,ヒトIL-17 ELISA(酵素結合免疫吸着)キット(R&D Systems, D1700)
6. 96ウェル細胞培養プレート(Fisher Scientific, Cat No. 07-200-80)
7. Tecan SPARKプレートリーダー(Tecan)
【0145】
実験ステップ
凍結保存したヒト末梢血単核細胞(PBMC)を予熱したリンパ球培地で迅速に回復させ、1000 rpmで10分間遠心分離し、細胞培養上清を除去し、細胞をTexMACS培地に穏やかに懸濁させて細胞をカウントする。T細胞活性化試薬cytostim(10 μL/mL)を細胞懸濁液に比例で添加し、次に1×105末梢血単核細胞/ウェルの密度で細胞を96ウェル細胞培養プレートに播種する。TexMACS培地を使用して、試験される化合物を勾配で希釈し、2~3個の平行ウェルで各実験ウェルにそれぞれ加える。バックグラウンドの読み取り値を得るために、cytostimを含まず、細胞のみを含む陰性対照ウェルを準備する。細胞培養プレートを5%の二酸化炭素を含む37℃のインキュベーターに入れて3日間インキュベートする。薬物処理の3日後、細胞培養上清液を収集し、懸濁物を遠心分離によって除去する。次にIL-17A ELISAキットを使用して上清液中のIL-17Aを定量する。GraphPad Prism 6. 0のlog(inhibitor)vs. response -- Variable slope(four parameters)アルゴリズムを使用して、化合物抑制率のIC50値を計算する。阻害率の計算式は以下のようである。
【0146】
【数1】
【0147】
計算式において、Inhibition%は阻害率で、OD(NC)はcytostim無し且つ化合物無しの陰性対照の細胞の読み取り値で、OD(PC)はcytostim有り且つ化合物無しの陽性対照の細胞の読み取り値で、OD(compound)はcytostim有り且つ化合物有りの細胞の読み取り値である。
【0148】
【表1】
【0149】
実施例1:式IIに示される化合物の無定形物の調製
式IIに示される化合物(30 mg, 53.57 μmol)をイソプロピルエーテル(1.5 mL)に加え、70℃に加熱し、不透明の白色懸濁液になり、徐々に室温に降温し、16時間撹拌し、濾過し、濾過ケーキを収集し、真空で乾燥し、生成物を得る(20 mg, 収率:66%)。この生成物は無定形物であり、XRPDパターンは図1に示される。
【0150】
実施例2:式IIに示される化合物の無定形物の調製
式IIに示される化合物(30 mg, 53.57 μmol)をトルエン(1.5 mL)に加え、70℃に加熱し、透明になるように撹拌し、徐々に室温に降温し、壁に固体が析出し、室温で16時間撹拌し、濾過し、濾過ケーキを収集し、真空で乾燥し、生成物を得る(20 mg, 収率:66%)。X線粉末回折により検出され、この生成物は無定形物である。
【0151】
実施例3:式IIに示される化合物の無定形物の調製
式IIに示される化合物(30 mg, 53.57 μmol)を1.5 mLの酢酸イソプロピルとn-ヘキサン(V:V=1:3)の混合溶液に加え、70℃に加熱し、粘着性固体があり、徐々に室温に降温し、固体が析出し、室温で16時間撹拌し、濾過し、濾過ケーキを収集し、真空で乾燥し、生成物を得る(20 mg, 収率:66%)。X線粉末回折により検出され、この生成物は無定形物である。
【0152】
実施例4:式IIに示される化合物の無定形物の調製
式IIに示される化合物(5 g, 8.93 mmol)を高速液体クロマトグラフィー(Waters-2767, 溶出系:炭酸水素アンモニウム、水、アセトニトリル)により精製し、生成物を得る(2.5 g, 収率:50%)。X線粉末回折により検出され、この生成物は無定形物である。
【0153】
実施例5:式IIに示される化合物の無定形物の影響因子実験
式IIに示される化合物の無定形物(実施例4)のサンプルをオープンフラットで置き、加熱(40℃、60℃)、光照(4500 Lux)、高湿(RH 75%、RH 90%)の条件下でサンプルの安定性を考察し、サンプリング考察期間は30日である。
【0154】
実験結果:
【0155】
【表2】
【0156】
実験結論:
表2の影響因子実験結果により、光照、高温40℃、高温60℃、高湿75%、高湿90%の条件下で30日間置いたところ、式IIに示される化合物の無定形物の化学的安定性に優れることが示されている。
【0157】
実施例6:式IIに示される化合物の無定形物サンプルの長期加速安定性実験
式IIに示される化合物の無定形物(実施例4)の安定性を3カ月間の長期(25℃、60%RH)、加速(40℃、75%RH)の条件下で考察した。
【0158】
実験結果
【0159】
【表3】
【0160】
表3の長期加速安定性実験結果により、式IIに示される化合物の無定形物が、3カ月間の長期(25℃、60%RH)、加速(40℃、75%RH)の安定性条件下で化学的安定性に優れることが示されている。
【0161】
実施例7:式IIに示される化合物の無定形安息香酸塩の調製
10 mgの式IIに示される化合物を秤量し、0.5 mlのn-ヘキサンを加え、2.3 mgの安息香酸を加え、50℃の条件下で一晩撹拌し、吸引濾過し、40℃で1時間乾燥させ、生成物を得る。X線粉末回折により検出され、この生成物は式IIに示される化合物の無定形安息香酸塩に定義され、XRPDパターンは図2に示される。
【0162】
実施例8:式IIに示される化合物の結晶形安息香酸塩の調製
10 mgの式IIに示される化合物を秤量し、0.5 mlのメチルtert-ブチルエーテルを加え、2.3 mgの安息香酸を加え、50℃の条件下で一晩撹拌し、吸引濾過し、40℃で1時間乾燥させ、生成物を得る。X線粉末回折により検出され、この生成物は式IIに示される化合物の結晶形安息香酸塩に定義され、XRPDパターンは図3に示される。DSCスペクトルは図4に示され、第1吸熱ピークのピーク値は178.46℃であり、第2吸熱ピークのピーク値は237.42℃である。
【0163】
【表4】
【0164】
実施例9:式IIに示される化合物の無定形シュウ酸塩の調製
10 mgの式IIに示される化合物を秤量し、0.5 mlのメチルtert-ブチルエーテルを加え、2 mgのシュウ酸を加え、50℃の条件下で一晩撹拌し、吸引濾過し、サンプルを40℃で1時間乾燥させ、生成物を得る。X線粉末回折により検出され、この生成物は式IIに示される化合物の無定形シュウ酸塩に定義され、XRPDパターンは図5に示される。
【0165】
実施例10:式IIに示される化合物の結晶形シュウ酸塩の調製
10 mgの式IIに示される化合物を秤量し、0.5 mlのn-ヘキサンを加え、2 mgのシュウ酸を加え、50℃の条件下で一晩撹拌し、吸引濾過し、サンプルを40℃で1時間乾燥させ、生成物を得る。X線粉末回折により検出され、この生成物は式IIに示される化合物の結晶形シュウ酸塩に定義され、XRPDパターンは図6に示される。
【0166】
【表5】
【0167】
実施例11:式IIに示される化合物の無定形メタンスルホン酸塩の調製
10 mgの式IIに示される化合物を秤量し、0.5 mlのメチルtert-ブチルエーテルを加え、1.8 μLのメタンスルホン酸を加え、50℃の条件下で一晩撹拌し、吸引濾過し、40℃で1時間乾燥させ、生成物を得る。X線粉末回折により検出され、この生成物は式IIに示される化合物の無定形メタンスルホン酸塩に定義され、XRPDパターンは図7に示される。
【0168】
実施例12:式IIに示される化合物のB結晶形マレイン酸塩の調製
100 mgの式IIに示される化合物と22 mgのマレイン酸を秤量し、5 mlのメチルtert-ブチルエーテルを加え、50℃の条件下で、600 rpmで30分間撹拌し、溶液が懸濁状になり、吸引濾過し、40℃の条件下で1時間乾燥させ、生成物を得る。X線粉末回折により検出され、この生成物は式IIに示される化合物のB結晶形マレイン酸塩に定義され、XRPDパターンは図8に示される。DSCスペクトルは図9に示され、第1吸熱ピークのピーク値は138.04℃である。TGAスペクトルは図10に示される。
【0169】
DVSの特性評価:
B結晶形マレイン酸塩サンプルは、25℃の条件下で、20.0%RH~80.0%RHの間で、湿度の増加に伴って吸水量も増加し、重量変化は1.731%であり、吸湿重量増加は2%未満であるが、0.2%以上であるため、このサンプルはわずかな吸湿性がある。通常の保管条件(25℃、湿度60%)での吸水率は約1.438%であり、加速試験条件(即ち湿度70%)での吸水率は約1.809%であり、極端条件(即ち湿度90%)での吸水率は約3.077%である。
【0170】
DVS前後のX線粉末回折の比較図により、DVS前後に結晶形が形質転換されないことが示されている。DVSスペクトルは図11に示され、DVS検出前後のX線粉末回折の比較図は図12に示される。
【0171】
【表6】
【0172】
実施例13:式IIに示される化合物のB結晶形マレイン酸塩の調製
100 mgの式IIに示される化合物と22 mgのマレイン酸を秤量し、5 mlのメチルtert-ブチルエーテルを加え、50℃の条件下で、600 rpmで10分間撹拌し、溶液が懸濁状になり、吸引濾過し、40℃の条件下で1時間乾燥させ、生成物を得る。X線粉末回折により検出され、この生成物は式IIに示される化合物のB結晶形マレイン酸塩である。
【0173】
実施例14:式IIに示される化合物のB結晶形マレイン酸塩の調製
100 mgの式IIに示される化合物と22 mgのマレイン酸を秤量し、5 mlのメチルtert-ブチルエーテルを加え、50℃の条件下で、600 rpmで20分間撹拌し、溶液が懸濁状になり、吸引濾過し、40℃の条件下で1時間乾燥させ、生成物を得る。X線粉末回折により検出され、この生成物は式IIに示される化合物のB結晶形マレイン酸塩である。
【0174】
実施例15:式IIに示される化合物のB結晶形マレイン酸塩の調製
100 mgの式IIに示される化合物と22 mgのマレイン酸を秤量し、5 mlのメチルtert-ブチルエーテルを加え、50℃の条件下で、600 rpmで1時間撹拌し、溶液が懸濁状になり、吸引濾過し、40℃の条件下で1時間乾燥させ、生成物を得る。X線粉末回折により検出され、この生成物は式IIに示される化合物のB結晶形マレイン酸塩である。
【0175】
実施例16:式IIに示される化合物のB結晶形マレイン酸塩の調製
100 mgの式IIに示される化合物と22 mgのマレイン酸を秤量し、5 mlのメチルtert-ブチルエーテルを加え、50℃の条件下で、600 rpmで2時間撹拌し、溶液が懸濁状になり、吸引濾過し、40℃の条件下で1時間乾燥させ、生成物を得る。X線粉末回折により検出され、この生成物は式IIに示される化合物のB結晶形マレイン酸塩である。
【0176】
実施例17:式IIに示される化合物のC結晶形マレイン酸塩の調製
100 mgの式IIに示される化合物と22 mgのマレイン酸を秤量し、5 mlのメチルtert-ブチルエーテルを加え、50℃の条件下で、600 rpmで1日間撹拌し、溶液が懸濁状になり、吸引濾過し、40℃の条件下で1時間乾燥させ、生成物を得る。X線粉末回折により検出され、この生成物は式IIに示される化合物のC結晶形マレイン酸塩に定義され、XRPDパターンは図13に示される。DSCスペクトルは図14に示され、第1吸熱ピークのピーク値は154.58℃である。TGAスペクトルは図15に示される。
【0177】
【表7】
【0178】
実施例18:式IIに示される化合物のD結晶形マレイン酸塩の調製
100 mgの式IIに示される化合物と22 mgのマレイン酸を秤量し、5 mlのメチルtert-ブチルエーテルを加え、50℃の条件下で、600 rpmで3日間撹拌し、溶液が懸濁状になり、吸引濾過し、40℃の条件下で1時間乾燥させ、生成物を得る。X線粉末回折により検出され、この生成物は式IIに示される化合物のD結晶形マレイン酸塩に定義され、XRPDパターンは図16に示される。DSCスペクトルは図17に示され、第1吸熱ピークのピーク値は159.27℃である。TGAスペクトルは図18に示される。
【0179】
【表8】
【0180】
実施例19:式IIに示される化合物のI結晶形臭化水素酸塩の調製
100 mgの式IIに示される化合物を秤量し、5 mlのメチルtert-ブチルエーテル、20 μLの臭化水素酸を加え、25℃の条件下で600 rpmで3日間撹拌し、吸引濾過し、40℃の条件下で1時間乾燥させ、生成物を得る。X線粉末回折により検出され、この生成物は式IIに示される化合物のI結晶形臭化水素酸塩に定義され、XRPDパターンは図19に示される。DSCスペクトルは図20に示され、第1吸熱ピークのピーク値は201.73℃である。TGAスペクトルは図21に示される。
【0181】
DVSの特性評価:
I結晶形臭化水素酸塩サンプルは、25℃の条件下で、20.0%RH~80.0%RHの間で、湿度の増加に伴って吸水量も増加し、重量変化は0.636%であり、吸湿重量増加は2%未満であるが、0.2%以上であるため、このサンプルはわずかな吸湿性がある。通常の保管条件(25℃、湿度60%)での吸水率は約0.589%であり、加速試験条件(即ち湿度70%)での吸水率は約0.702%であり、極端条件(即ち湿度90%)での吸水率は約1.094%である。
【0182】
0%~95%の湿度変化過程において、このサンプルの脱着過程と吸着過程は基本的に一致している。DVS前後のX線粉末回折の比較図により、DVS前後に結晶形が形質転換されないことが示されている。DVSスペクトルは図22に示され、DVS検出前後のX線粉末回折の比較図は図23に示される。
【0183】
【表9】
【0184】
実施例20:式IIに示される化合物のI結晶形臭化水素酸塩の調製
100 mgの式IIに示される化合物を秤量し、5 mlのメチルtert-ブチルエーテル、500 μLの臭化水素酸とエタノールの混合溶液(体積比1:50)を加え、25℃の条件下で600 rpmで3日間撹拌し、吸引濾過し、40℃の条件下で1時間乾燥させ、生成物を得る。X線粉末回折により検出され、この生成物は式IIに示される化合物のI結晶形臭化水素酸塩である。
【0185】
実施例21:式IIに示される化合物のI結晶形臭化水素酸塩の調製
100 mgの式IIに示される化合物を秤量し、5 mlのメチルtert-ブチルエーテル、40 μLの臭化水素酸とエタノールの混合溶液(体積比1:1)を加え、25℃の条件下で600 rpmで3日間撹拌し、吸引濾過し、40℃の条件下で1時間乾燥させ、生成物を得る。X線粉末回折により検出され、この生成物は式IIに示される化合物のI結晶形臭化水素酸塩である。
【0186】
実施例22:式IIに示される化合物のI結晶形臭化水素酸塩の調製
100 mgの式IIに示される化合物を秤量し、15 mlのメチルtert-ブチルエーテル、1000 μLの臭化水素酸とエタノールの混合溶液(体積比1:99)を加え、25℃の条件下で600 rpmで一晩撹拌し、吸引濾過し、40℃の条件下で1時間乾燥させ、生成物を得る。X線粉末回折により検出され、この生成物は式IIに示される化合物のI結晶形臭化水素酸塩である。
【0187】
実施例23:式IIに示される化合物のI結晶形臭化水素酸塩の調製
100 mgの式IIに示される化合物を秤量し、5 mlのメチルtert-ブチルエーテル、1000 μLの臭化水素酸とエタノールの混合溶液(体積比1:99)を加え、25℃の条件下で600 rpmで一晩撹拌し、吸引濾過し、40℃の条件下で1時間乾燥させ、生成物を得る。X線粉末回折により検出され、この生成物は式IIに示される化合物のI結晶形臭化水素酸塩である。
【0188】
実施例24:式IIに示される化合物のα結晶形塩酸塩の調製
100 mgの式IIに示される化合物を秤量し、5 mlのメチルtert-ブチルエーテル及び15.6 μLの濃塩酸を加え、50℃の条件下で2日間撹拌し、40℃で1時間乾燥させ、生成物を得る。X線粉末回折により検出され、この生成物は式IIに示される化合物のα結晶形塩酸塩に定義され、XRPDパターンは図24に示される。DSCスペクトルは図25に示され、第1吸熱ピークのピーク値は192.13℃である。TGAスペクトルは図26に示される。
【0189】
DVSの特性評価:
サンプルは、25℃の条件下で、20.0%RH~80.0%RHの間で、湿度の増加に伴って吸水量も増加し、重量変化は0.549%であり、吸湿重量増加は2%未満であるが、0.2%以上であるため、このサンプルはわずかな吸湿性がある。通常の保管条件(25℃、湿度60%)での吸水率は約0.463%であり、加速試験条件(即ち湿度70%)での吸水率は約0.574%であり、極端条件(即ち湿度90%)での吸水率は約1.040%である。
【0190】
0%~95%の湿度変化過程において、このサンプルの脱着過程と吸着過程は基本的に一致している。DVS前後のX線粉末回折の比較図により、DVS前後に結晶形が形質転換されないことが示されている。DVSスペクトルは図27に示され、DVS検出前後のX線粉末回折の比較図は図28に示される。
【0191】
【表10】
【0192】
実施例25:式IIに示される化合物のβ結晶形塩酸塩の調製
100 mgの式IIに示される化合物を秤量し、5 mlのメチルtert-ブチルエーテル及び0.6 mlのエタノール塩酸溶液(0.1 mlの濃塩酸に9.9 mlのエタノールを加えて、均一に振とうする)を加え、25℃で1時間撹拌し、50℃の条件下で2日間撹拌し、吸引濾過し、40℃で2時間乾燥させ、生成物を得る。X線粉末回折により検出され、この生成物は式IIに示される化合物のβ結晶形塩酸塩に定義され、XRPDパターンは図29に示される。DSCスペクトルは図30に示され、第1吸熱ピークのピーク値は194.04℃である。TGAスペクトルは図31に示される。
【0193】
DVSの特性評価:
サンプルは、25℃の条件下で、20.0%RH~80.0%RHの間で、湿度の増加に伴って吸水量も増加し、重量変化は1.235%であり、吸湿重量増加は2%未満であるが、0.2%以上であるため、このサンプルはわずかな吸湿性がある。通常の保管条件(25℃、湿度60%)での吸水率は約1.755%であり、加速試験条件(即ち湿度70%)での吸水率は約1.954%であり、極端条件(即ち湿度90%)での吸水率は約2.534%である。
【0194】
0%~95%の湿度変化過程において、このサンプルの1回の脱着過程と吸着過程は基本的に一致しているが、1回目と2回目のサイクルの脱着過程と吸着過程は一致することができない。DVS前後のX線粉末回折の比較図により、DVS前後に結晶形が形質転換されたことが示されている。DVSスペクトルは図32に示され、DVS検出前後のX線粉末回折の比較図は図33に示される。
【0195】
【表11】
【0196】
実施例26:式IIに示される化合物のγ結晶形塩酸塩の調製
少量の式IIに示される化合物のβ結晶形塩酸塩をDVS機器(DVSパラメータ:dm/dt=0.002, 50-95-0-95-50%, Max360 min, 25℃)に入れ、最終サンプルはX線粉末回折により検出され、この生成物は式IIに示される化合物のγ結晶形塩酸塩に定義され、XRPDパターンは図34に示される。
【0197】
【表12】
【0198】
実施例27:式IIに示される化合物の結晶形酢酸塩の調製
20 mgの式IIに示される化合物を秤量し、1 mlの水を加え、モル比1:1のエタノール酸溶液(精密にピペットされた0.1 mlの醋酸に9.9 mlのエタノールを加えて、均一に振とうする)を加え、50℃の条件下で一晩撹拌し、吸引濾過し、40℃の条件下で1時間乾燥させ、生成物を得る。X線粉末回折により検出され、この生成物は式IIに示される化合物の結晶形酢酸塩に定義され、XRPDパターンは図35に示される。DSCスペクトルは図36に示され、第1吸熱ピークのピーク値は206.96℃であり、第1放熱ピークのピーク値は213.49℃であり、第2吸熱ピークのピーク値は246.30℃である。
【0199】
【表13】
【0200】
実施例28:式IIに示される化合物のα結晶形塩酸塩、I結晶形臭化水素酸塩の影響因子安定性研究
式IIに示される化合物のα結晶形塩酸塩及びI結晶形臭化水素酸塩をオープンフラットで置き、光照(4500 Lux)、高温(40℃、60℃)、高湿(RH 75%、RH 92.5%)の条件下でサンプルの安定性をそれぞれ考察し、サンプリング考察期間は30日である。
【0201】
【表14】
【0202】
結論:
影響因子実験により、光照、40℃と60℃の高温、75%と92.5%の高湿条件下で、式IIに示される化合物のα結晶形塩酸塩、I結晶形臭化水素酸塩が優れた物理的及び化学的安定性を有することが示されている。
【0203】
実施例29:式IIに示される化合物のα結晶形塩酸塩、I結晶形臭化水素酸塩の長期/加速安定性研究
式IIに示される化合物のα結晶形塩酸塩を、それぞれ25℃、60%RH及び40℃、75%RHの条件下で置き、その安定性を考察する。
【0204】
【表15】
【0205】
長期/加速安定性実験により、式IIに示される化合物のα結晶形塩酸塩が、6カ月間の長期加速の安定性条件下で物理的及び化学的安定性に優れることが示されている。
【0206】
式IIに示される化合物のI結晶形臭化水素酸塩を、それぞれ25℃、60%RH及び40℃、75%RHの条件下で置き、その安定性を考察する。
【0207】
【表16】
【0208】
長期/加速安定性実験により、式IIに示される化合物のI結晶形臭化水素酸塩が、6カ月間の長期加速の安定性条件下で物理的及び化学的安定性に優れることが示されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
【手続補正書】
【提出日】2022-06-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸付加塩は、有機酸付加塩又は無機酸付加塩である、式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物。
【化1】
【請求項2】
前記有機酸付加塩は、安息香酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、マレイン酸塩又は酢酸塩から選ばれ、前記無機酸付加塩は、臭化水素酸塩又は塩酸塩から選ばれる、請求項1に記載の式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項3】
前記安息香酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩は、無定形物である、請求項2に記載の式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項4】
前記臭化水素酸塩はI結晶形であり、そのX線粉末回折パターンは、8.128、12.579、16.414、17.075、17.780、20.733の回折角2θに特徴ピークを持っている、請求項2に記載の式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項5】
前記臭化水素酸塩はI結晶形であり、そのX線粉末回折パターンは、8.128、12.579、16.414、17.075、17.780、19.675、20.733、21.262、23.113、23.906、24.391、26.550、28.445、28.930、29.547の回折角2θに特徴ピークを持っている、請求項2に記載の式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項6】
前記臭化水素酸塩はI結晶形であり、そのX線粉末回折パターンは、8.128、11.918、12.579、16.414、17.075、17.780、18.750、19.675、20.733、21.262、23.113、23.906、24.391、26.550、28.445、28.930、29.547、30.958、32.236、33.382、38.670、39.640、40.830 、42.064、43.342、46.824、48.190、48.983、50.746の回折角2θに特徴ピークを持っている、請求項2に記載の式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項7】
前記塩酸塩はα結晶形であり、そのX線粉末回折パターンは、7.931、10.115、13.920、15.224、17.425、18.309の回折角2θに特徴ピークを持っている、請求項2に記載の式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項8】
結晶形の2θ値の誤差範囲は±0.2である、請求項4~7のいずれか1項に記載の式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項9】
炭化水素系溶剤、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、ニトリル系溶剤、ハロゲン化炭化水素系溶剤、窒素含有溶剤、水又はジメチルスルホキシドの1種又は複数種から選ばれる適量の溶剤において、式IIに示される化合物を臭化水素酸と反応させ、晶体を析出するステップを含み、
前記炭化水素系溶剤は、n-ブタン、n-ペンタン、n-ヘキサン又はn-ヘプタンを含むが、これらに限定されず、
前記エーテル系溶剤は、テトラヒドロフラン、エーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、イソプロピルエーテル又は1,4-ジオキサンを含むが、これらに限定されず、
前記アルコール系溶剤は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-プロパノール、イソアミルアルコール又はトリフルオロエタノールを含むが、これらに限定されず、
前記エステル系溶剤は、酢酸エチル、酢酸イソプロピル又は酢酸ブチルを含むが、これらに限定されず、
前記ケトン系溶剤は、アセトン、アセトフェノン、4-メチル-2-ペンタノンを含むが、これらに限定されず、
前記ニトリル系溶剤は、アセトニトリル又はプロピオニトリルを含むが、これらに限定されず、
前記ハロゲン化炭化水素系溶剤は、クロロメタン、ジクロロメタン、クロロホルム又は四塩化炭素を含むが、これらに限定されず、
前記窒素含有溶剤は、ニトロメタン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドを含むが、これらに限定されない、
請求項4~6のいずれか1項に記載の式IIに示される化合物のI結晶形臭化水素酸塩の調製方法。
【請求項10】
前記溶剤は、メチルtert-ブチルエーテルとエタノールである、請求項に記載の調製方法。
【請求項11】
請求項1~のいずれか1項に記載の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物を含み、1種又は複数種の薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤を更に含む、薬物組成物。
【請求項12】
式IIに示される化合物の無定形物を含み、1種又は複数種の薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤を更に含む、薬物組成物。
【化2】
【請求項13】
請求項4~6のいずれか1項に記載のI結晶形臭化水素酸塩を含み、1種又は複数種の薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤を更に含む、薬物組成物。
【請求項14】
請求項1~のいずれか1項に記載の式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物を、少なくとも1種の薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤と混合させることを含む、薬物組成物の調製方法。
【請求項15】
式IIに示される化合物の無定形物を、少なくとも1種の薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤と混合させることを含む、薬物組成物の調製方法。
【化3】
【請求項16】
RORγにより仲介される疾患又は病状を治療するための薬物の調製における、請求項1~のいずれか1項に記載の式IIに示される化合物の酸付加塩又は酸付加塩の薬学的に許容可能な溶媒和物、又は請求項11~13のいずれか1項に記載の薬物組成物の使用。
【国際調査報告】