IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローカス バイオサイエンシーズ,インク.の特許一覧

特表2023-500336CRISPR-CASシステムを含むファージ組成物およびその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-05
(54)【発明の名称】CRISPR-CASシステムを含むファージ組成物およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20221223BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20221223BHJP
   C12N 15/34 20060101ALI20221223BHJP
   A23L 3/00 20060101ALI20221223BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20221223BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20221223BHJP
【FI】
C12N15/09 110
C12N7/01 ZNA
C12N15/34
A23L3/00
A61K35/76
A61P31/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525904
(86)(22)【出願日】2020-11-05
(85)【翻訳文提出日】2022-07-04
(86)【国際出願番号】 US2020059159
(87)【国際公開番号】W WO2021092210
(87)【国際公開日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】62/931,795
(32)【優先日】2019-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/088,394
(32)【優先日】2020-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520429509
【氏名又は名称】ローカス バイオサイエンシーズ,インク.
(74)【復代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】オースターアウト,デビッド ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ガロフォロ,ポール エム.
(72)【発明者】
【氏名】セル,カート
(72)【発明者】
【氏名】テュソン,ハンナ ヒューイット
【テーマコード(参考)】
4B021
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B021LW05
4B021LW10
4B065AA01Y
4B065AA98X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA31
4B065CA41
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC90
4C087MA16
4C087MA23
4C087MA31
4C087MA35
4C087MA52
4C087MA55
4C087MA59
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZB35
(57)【要約】
本明細書に開示されているのは、CRISPR-Casシステムを含むファージ組成物およびその使用方法である。特定の実施形態において、本明細書に開示されるのは、(a)CRISPRアレイ、(b)カスケードポリペプチド、および(c)Cas3ポリペプチドを含むI型CRISPR-Casシステムをコードする核酸配列を含むバクテリオファージである。いくつかの実施形態において、CRISPRアレイは、スペーサー配列および少なくとも1つのリピート配列を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの反復配列は、その5’末端またはその3’末端のいずれかでスペーサー配列に作動可能に連結されている。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バクテリオファージであって、
(a)CRISPRアレイ、
(b)カスケードポリペプチド、および
(c)Cas3ポリペプチドを含む、I型CRISPR-Casシステムをコードする核酸配列を含む、バクテリオファージ。
【請求項2】
前記CRISPRアレイがスペーサー配列および少なくとも1つのリピート配列を含む、請求項1に記載のバクテリオファージ。
【請求項3】
前記少なくとも1つのリピート配列が、その5’末端またはその3’末端のいずれかでスペーサー配列に作動可能に連結される、請求項2に記載のバクテリオファージ。
【請求項4】
前記スペーサー配列が、標的細菌中の標的ヌクレオチド配列に相補的である、請求項2-3のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項5】
前記標的ヌクレオチド配列がコード配列を含む、請求項4に記載のバクテリオファージ。
【請求項6】
前記標的ヌクレオチド配列が非コード配列または遺伝子間配列を含む、請求項4に記載のバクテリオファージ。
【請求項7】
前記標的ヌクレオチド配列がプロモーター配列の全部または一部を含む、請求項4に記載のバクテリオファージ。
【請求項8】
前記標的ヌクレオチド配列が、必須遺伝子の転写領域のコード鎖上に位置するヌクレオチド配列の全部または一部を含む、請求項5に記載のバクテリオファージ。
【請求項9】
前記必須遺伝子が、Tsf、acpP、gapA、infA、secY、csrA、trmD、ftsA、fusA、glyQ、eno、nusG、dnaA、dnaS、pheS、rplB、gltX、hisS、rplC、aspS、gyrB、glnS、dnaE、rpoA、rpoB、pheT、infB、rpsC、rplF、alaS、leuS、serS、rplD、gyrA、またはmetKである、請求項8に記載のバクテリオファージ。
【請求項10】
前記カスケードポリペプチドが、I-A型CRISPR-Casシステム、I-B型CRISPR-Casシステム、I-C型CRISPR-Casシステム、I-D型CRISPR-Casシステム、I-E型CRISPR-Casシステム、またはI-F型CRISPR-Casシステムのカスケード複合体を形成する、請求項1-9のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項11】
カスケード複合体が、
(i)Cas7ポリペプチド、Cas8a1ポリペプチドまたはCas8a2ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、Csa5ポリペプチド、Cas6aポリペプチド、Cas3’ポリペプチド、およびヌクレアーゼ活性を有さないCas3’’ポリペプチド(I-A型CRISPR-Casシステム)、
(ii)Cas6bポリペプチド、Cas8bポリペプチド、Cas7ポリペプチド、およびCas5ポリペプチド(I-B型CRISPR-Casシステム)、
(iii)Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Casシステム)、
(iv)Cas10dポリペプチド、Csc2ポリペプチド、Csc1ポリペプチド、Cas6dポリペプチド(I-D型CRISPR-Casシステム)、
(v)Cse1ポリペプチド、Cse2ポリペプチド、Cas7ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、およびCas6eポリペプチド(I-E型CRISPR-Casシステム)、
(vi)Csy1ポリペプチド、Csy2ポリペプチド、Csy3ポリペプチド、およびCsy4ポリペプチド(I-F型CRISPR-Casシステム)
を含む、請求項1-10のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項12】
Cas複合体が、Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Casシステム)を含む、請求項11に記載のバクテリオファージ。
【請求項13】
前記核酸配列がプロモーター配列をさらに含む、請求項1-12のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項14】
前記標的細菌が前記バクテリオファージの溶菌活性によってのみ殺傷される、請求項4-13のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項15】
前記標的細菌が前記CRISPR-Casシステムの活性によってのみ殺傷される、請求項4-14のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項16】
前記標的細菌が前記CRISPR-Casシステムの活性と組み合わせた前記バクテリオファージの溶菌活性によって殺傷される、請求項4-13のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項17】
前記標的細菌が、前記バクテリオファージの溶菌活性とは無関係に、前記CRISPR-Casシステムの活性によって殺傷される、請求項4-11のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項18】
前記CRISPR-Casシステムの活性が前記バクテリオファージの溶菌活性を補足または増強する、請求項4-13のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項19】
前記バクテリオファージの溶菌活性および前記CRISPR-Casシステムの活性が相乗的である、請求項17-18のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項20】
前記バクテリオファージの溶菌活性、前記CRISPR-Casシステムの活性、またはそれらの両方が前記バクテリオファージの濃度によって調節される、請求項14-19のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項21】
複数の細菌系統に感染する、請求項1-20のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項22】
前記標的細菌が、Acinetobacter種、Actinomyces種、Burkholderia cepacia複合体、Campylobacter種、Candida種、Clostridium difficile、Corynebacterium minutissium、Corynebacterium pseudodiphtheriae、Corynebacterium stratium、CorynebacteriumグループG1、CorynebacteriumグループG2、Enterobacteriaceae、Enterococcus種、Escherichia coli、Haemophilus influenzae、Klebsiella pneumoniae、Moraxella種、Mycobacterium tuberculosis複合体、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、非結核性mycobacteria種、Porphyromonas種、Prevotella melaninogenicus、Pseudomonas種、Salmonella typhimurium、Serratia marcescens、Staphylococcus aureus、Streptococcus agalactiae、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus salivarius、Streptococcus mitis、Streptococcus sanguis、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Vibrio cholerae、Coccidioides種、Cryptococcus種、Helicobacter felis、Helicobacter pylori、Clostridium bolteae、およびこれらの任意の組み合わせである、請求項4-21のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項23】
前記バクテリオファージが偏性溶菌性バクテリオファージである、請求項1-22のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項24】
前記バクテリオファージが溶菌性にされる溶原性(temperate)バクテリオファージである、請求項1-23のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項25】
前記溶原性バクテリオファージが、溶原性遺伝子の除去、置き換え、または不活性化によって溶菌性にされる、請求項24に記載のバクテリオファージ。
【請求項26】
前記バクテリオファージが、p1772、p2131、p2132、p2973、p4209、p1106、p1587、p1835、p2037、p2421、p2363、p004k、またはPB1である、請求項1-24のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項27】
前記核酸配列が必須でないバクテリオファージ遺伝子に挿入されている、請求項1-26のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項28】
医薬組成物であって、
(a)請求項1-27のいずれか一項に記載のバクテリオファージ、および
(b)薬学的に許容される賦形剤
を含む、医薬組成物。
【請求項29】
錠剤、液体、シロップ、経口製剤、静脈内製剤、鼻腔内製剤、眼製剤、耳製剤、皮下製剤、吸入可能な呼吸製剤、坐剤、およびそれらの任意の組み合わせの形態である、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
標的細菌を殺傷する方法であって、前記方法は、
(a)CRISPRアレイ、
(b)カスケードポリペプチド、および
(c)Cas3ポリペプチド
を含むI型CRISPR-Casシステムをコードする核酸配列を含むバクテリオファージを、前記標的細菌に導入する工程を含む、方法。
【請求項31】
前記CRISPRアレイがスペーサー配列および少なくとも1つのリピート配列を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記少なくとも1つのリピート配列が、その5’末端またはその3’末端のいずれかにおいてスペーサー配列に作動可能に連結される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記スペーサー配列が、標的細菌中の標的ヌクレオチド配列に相補的である、請求項30-32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記標的ヌクレオチド配列がコード配列を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記標的ヌクレオチド配列が非コード配列または遺伝子間配列を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記標的ヌクレオチド配列がプロモーター配列の全部または一部を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記標的ヌクレオチド配列が、必須遺伝子の転写領域のコード鎖上に位置するヌクレオチド配列の全部または一部を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記必須遺伝子が、Tsf、acpP、gapA、infA、secY、csrA、trmD、ftsA、fusA、glyQ、eno、nusG、dnaA、dnaS、pheS、rplB、gltX、hisS、rplC、aspS、gyrB、glnS、dnaE、rpoA、rpoB、pheT、infB、rpsC、rplF、alaS、leuS、serS、rplD、gyrA、またはmetKである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記カスケードポリペプチドが、I-A型CRISPR-Casシステム、I-B型CRISPR-Casシステム、I-C型CRISPR-Casシステム、I-D型CRISPR-Casシステム、I-E型CRISPR-Casシステム、またはTypeI-F型CRISPR-Casシステムのカスケード複合体を形成する、請求項30-38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
カスケード複合体が、
(i)Cas7ポリペプチド、Cas8a1ポリペプチドまたはCas8a2ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、Csa5ポリペプチド、Cas6aポリペプチド、Cas3’ポリペプチド、およびヌクレアーゼ活性を有さないCas3’’ポリペプチド(I-A型CRISPR-Casシステム)、
(ii)Cas6bポリペプチド、Cas8bポリペプチド、Cas7ポリペプチド、およびCas5ポリペプチド(I-B型CRISPR-Casシステム)、
(iii)Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Casシステム)、
(iv)Cas10dポリペプチド、Csc2ポリペプチド、Csc1ポリペプチド、Cas6dポリペプチド(I-D型CRISPR-Casシステム)、
(v)Cse1ポリペプチド、Cse2ポリペプチド、Cas7ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、およびCas6eポリペプチド(I-E型CRISPR-Casシステム)、
(vi)Csy1ポリペプチド、Csy2ポリペプチド、Csy3ポリペプチド、およびCsy4ポリペプチド(I-F型CRISPR-Casシステム)
を含む、請求項30-39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記カスケード複合体が、Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Casシステム)を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記核酸配列がプロモーター配列をさらに含む、請求項30-41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記標的細菌が、前記CRISPR-Casシステムの活性によってのみ殺傷される、請求項33-41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記標的細菌が、前記CRISPR-Casシステムの活性と組み合わせたバクテリオファージの溶菌活性によって殺傷される、請求項33-41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記標的細菌が、前記バクテリオファージの溶菌活性とは無関係に、前記CRISPR-Casシステムの活性によって殺傷される、請求項33-41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記CRISPR-Casシステムの活性が前記バクテリオファージの溶菌活性を補足または増強する、請求項33-41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記バクテリオファージの溶菌活性および前記CRISPR-Casシステムの活性が相乗的である、請求項33-41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記バクテリオファージの溶菌活性、前記CRISPR-Casシステムの活性、またはそれらの両方が、前記バクテリオファージの濃度によって調節される、請求項42-47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記バクテリオファージが複数の細菌系統に感染する、請求項30-48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記標的細菌が、Acinetobacter種、Actinomyces種、Burkholderia cepacia複合体、Campylobacter種、Candida種、Clostridium difficile、Corynebacterium minutissium、Corynebacterium pseudodiphtheriae、Corynebacterium stratium、CorynebacteriumグループG1、CorynebacteriumグループG2、Enterobacteriaceae、Enterococcus種、Escherichia coli、Haemophilus influenzae、Klebsiella pneumoniae、Moraxella種、Mycobacterium tuberculosis複合体、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、非結核性mycobacteria種、Porphyromonas種、Prevotella melaninogenicus、Pseudomonas種、Salmonella typhimurium、Serratia marcescens、Staphylococcus aureus、Streptococcus agalactiae、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus salivarius、Streptococcus mitis、Streptococcus sanguis、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Vibrio cholerae、Coccidioides種、Cryptococcus種、Helicobacter felis、Helicobacter pylori、Clostridium bolteae、およびこれらの任意の組み合わせである、請求項33-49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記バクテリオファージが偏性溶菌性バクテリオファージである、請求項30-50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記バクテリオファージが溶菌性にされる溶原性(temperate)バクテリオファージである、請求項30-50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記溶原性バクテリオファージが、溶原性遺伝子の除去、置き換え、または不活性化によって溶菌性にされる、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記バクテリオファージが、p1772、p2131、p2132、p2973、p4209、p1106、p1587、p1835、p2037、p2421、p2363、、p4209、p004k、またはPB1である、請求項30-53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記核酸配列が、必須ではないバクテリオファージ遺伝子の代わりに、またはそれに隣接して挿入される、請求項30-54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
細菌細胞の混合集団が前記標的細菌を含む、請求項30-55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
必要とする個体の疾患を治療する方法であって、前記方法は、I型CRISPR-Casシステムをコードする核酸配列を含むバクテリオファージを個体に投与する工程を含み、前記I型CRISPR-Casシステムは、
(a)CRISPRアレイ、
(b)カスケードポリペプチド、および
(c)Cas3ポリペプチド
を含む、方法。
【請求項58】
前記CRISPRアレイがスペーサー配列および少なくとも1つのリピート配列を含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記少なくとも1つのリピート配列が、その5’末端またはその3’末端のいずれかでスペーサー配列に作動可能に連結される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記スペーサー配列が、標的細菌中の標的ヌクレオチド配列に相補的である、請求項57-59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記標的ヌクレオチド配列がコード配列を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記標的ヌクレオチド配列が非コード配列または遺伝子間配列を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記標的ヌクレオチド配列がプロモーター配列の全部または一部を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項64】
前記標的ヌクレオチド配列が、必須遺伝子の転写領域のコード鎖上に位置するヌクレオチド配列の全部または一部を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項65】
前記必須遺伝子が、Tsf、acpP、gapA、infA、secY、csrA、trmD、ftsA、fusA、glyQ、eno、nusG、dnaA、dnaS、pheS、rplB、gltX、hisS、rplC、aspS、gyrB、glnS、dnaE、rpoA、rpoB、pheT、infB、rpsC、rplF、alaS、leuS、serS、rplD、gyrA、またはmetKである、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
カスケード複合体が、I-A型CRISPR-Casシステム、I-B型CRISPR-Casシステム、I-C型CRISPR-Casシステム、I-D型CRISPR-Casシステム、I-E型CRISPR-Casシステム、またはI-F型CRISPR-Casシステムのカスケードポリペプチドを含む、請求項57-65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
カスケード複合体が、
(i)Cas7ポリペプチド、Cas8a1ポリペプチドまたはCas8a2ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、Csa5ポリペプチド、Cas6aポリペプチド、Cas3’ポリペプチド、およびヌクレアーゼ活性を有さないCas3’’ポリペプチド(I-A型CRISPR-Casシステム)、
(ii)Cas6bポリペプチド、Cas8bポリペプチド、Cas7ポリペプチド、およびCas5ポリペプチド(I-B型CRISPR-Casシステム)、
(iii)Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Casシステム)、
(iv)Cas10dポリペプチド、Csc2ポリペプチド、Csc1ポリペプチド、Cas6dポリペプチド(I-D型CRISPR-Casシステム)、
(v)Cse1ポリペプチド、Cse2ポリペプチド、Cas7ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、およびCas6eポリペプチド(I-E型CRISPR-Casシステム)、
(vi)Csy1ポリペプチド、Csy2ポリペプチド、Csy3ポリペプチド、およびCsy4ポリペプチド(I-F型CRISPR-Casシステム)
を含む、請求項57-66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記カスケード複合体がCas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Casシステム)を含む、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記核酸配列がプロモーター配列をさらに含む、請求項57-68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記標的細菌が、CRISPR-Casシステムの活性によってのみ殺傷される、請求項60-69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記標的細菌が、前記CRISPR-Casシステムの活性と組み合わせた前記バクテリオファージの溶菌活性によって殺傷される、請求項60-69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記標的細菌が、前記バクテリオファージの溶菌活性とは無関係に、前記CRISPR-Casシステムの活性によって殺傷される、請求項60-69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記CRISPR-Casシステムの活性が前記バクテリオファージの溶菌活性を補足または増強する、請求項60-69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記バクテリオファージの溶菌活性および前記CRISPR-Casシステムの活性が相乗的である、請求項60-69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記バクテリオファージの溶菌活性、前記CRISPR-Casシステムの活性、またはそれらの両方が、前記バクテリオファージの濃度によって調節される、請求項60-74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記バクテリオファージが複数の細菌系統に感染する、請求項57-75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記バクテリオファージが偏性溶菌性バクテリオファージである、請求項57-76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記バクテリオファージが溶菌性にされる溶原性(temperate)バクテリオファージである、請求項57-77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記溶原性バクテリオファージが、溶原性遺伝子の除去、置き換え、または不活性化によって溶菌性にされる、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記バクテリオファージが、p1772、p2131、p2132、p2973、p4209、p1106、p1587、p1835、p2037、p2421、p2363、p4209、p004k、またはPB1である、請求項57-79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記核酸配列が、必須ではないバクテリオファージ遺伝子の代わりに、またはそれに隣接して挿入される、請求項57-80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記疾患が細菌感染症である、請求項57-81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記疾患を引き起こす標的細菌が、少なくとも1つの抗生物質に耐性である薬剤耐性細菌である、請求項60-82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記薬剤耐性細菌が少なくとも1つの抗生物質に耐性である、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記疾患を引き起こす標的細菌が多剤耐性細菌である、請求項60-84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記多剤耐性細菌が少なくとも1種の抗生物質に耐性である、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記抗生物質が、セファロスポリン、フルオロキノロン、カルバペネム、コリスチン、アミノグリコシド、バンコマイシン、ストレプトマイシン、またはメチシリンを含む、請求項83-86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記標的細菌が、Acinetobacter種、Actinomyces種、Burkholderia cepacia複合体、Campylobacter種、Candida種、Clostridium difficile、Corynebacterium minutissium、Corynebacterium pseudodiphtheriae、Corynebacterium stratium、CorynebacteriumグループG1、CorynebacteriumグループG2、Enterobacteriaceae、Enterococcus種、Escherichia coli、Haemophilus influenzae、Klebsiella pneumoniae、Moraxella種、Mycobacterium tuberculosis複合体、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、非結核性mycobacteria種、Porphyromonas種、Prevotella melaninogenicus、Pseudomonas種、Salmonella typhimurium、Serratia marcescens、Staphylococcus aureus、Streptococcus agalactiae、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus salivarius、Streptococcus mitis、Streptococcus sanguis、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Vibrio cholerae、Coccidioides種、Cryptococcus種、Helicobacter felis、Helicobacter pylori、Clostridium bolteae、およびこれらの任意の組み合わせである、請求項60-87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記疾患を引き起こす標的細菌がPseudomonasである、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記疾患を引き起こす標的細菌がP.aeruginosaである、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記投与する工程が、動脈内、静脈内、尿道内、筋肉内、経口、皮下、吸入、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項57-90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
前記個体が哺乳動物である、請求項57-91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
バクテリオファージであって、
(a)CRISPRアレイ、
(b)Cas5、Cas8cおよびCas7を含むカスケードポリペプチド、ならびに
(c)Cas3ポリペプチド
を含むI型CRISPR-Casシステムをコードする核酸配列を含む、バクテリオファージ。
【請求項94】
前記CRISPRアレイがスペーサー配列および少なくとも1つのリピート配列を含む、請求項93に記載のバクテリオファージ。
【請求項95】
前記少なくとも1つのリピート配列が、その5’末端またはその3’末端のいずれかで前記スペーサー配列に作動可能に連結される、請求項94に記載のバクテリオファージ。
【請求項96】
前記スペーサー配列が、細菌中の標的ヌクレオチド配列に相補的である、請求項93-95のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項97】
前記標的ヌクレオチド配列がコード配列を含む、請求項96に記載のバクテリオファージ。
【請求項98】
前記標的ヌクレオチド配列が非コード配列または遺伝子間配列を含む、請求項96に記載のバクテリオファージ。
【請求項99】
前記標的ヌクレオチド配列がプロモーター配列の全部または一部を含む、請求項96に記載のバクテリオファージ。
【請求項100】
前記標的ヌクレオチド配列が、必須遺伝子の転写領域のコード鎖上に位置するヌクレオチド配列の全部または一部を含む、請求項97に記載のバクテリオファージ。
【請求項101】
前記必須遺伝子が、Tsf、acpP、gapA、infA、secY、csrA、trmD、ftsA、fusA、glyQ、eno、nusG、dnaA、dnaS、pheS、rplB、gltX、hisS、rplC、aspS、gyrB、glnS、dnaE、rpoA、rpoB、pheT、infB、rpsC、rplF、alaS、leuS、serS、rplD、gyrA、またはmetKである、請求項98に記載のバクテリオファージ。
【請求項102】
前記核酸配列がプロモーター配列をさらに含む、請求項93-101のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項103】
前記標的細菌が、バクテリオファージの溶菌活性によってのみ殺傷される、請求項96-102のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項104】
前記標的細菌が、CRISPR-Casシステムの活性によってのみ殺傷される、請求項96-102のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項105】
前記標的細菌が、前記CRISPR-Casシステムの活性と組み合わせた前記バクテリオファージの溶菌活性によって殺傷される、請求項96-102のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項106】
前記標的細菌が、前記バクテリオファージの溶菌活性とは無関係に、前記CRISPR-Casシステムの活性によって殺傷される、請求項96-102のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項107】
前記CRISPR-Casシステムの活性が前記バクテリオファージの溶菌活性を補足または増強する、請求項96-102のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項108】
前記バクテリオファージの溶菌活性および前記CRISPR-Casシステムの活性が相乗的である、請求項105-107のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項109】
前記バクテリオファージの溶菌活性、前記CRISPR-Casシステムの活性、またはそれらの両方が、前記バクテリオファージの濃度によって調節される、請求項103-108のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項110】
前記バクテリオファージが複数の細菌系統に感染する、請求項93-109のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項111】
前記標的細菌が、Acinetobacter種、Actinomyces種、Burkholderia cepacia複合体、Campylobacter種、Candida種、Clostridium difficile、Corynebacterium minutissium、Corynebacterium pseudodiphtheriae、Corynebacterium stratium、CorynebacteriumグループG1、CorynebacteriumグループG2、Enterobacteriaceae、Enterococcus種、Escherichia coli、Haemophilus influenzae、Klebsiella pneumoniae、Moraxella種、Mycobacterium tuberculosis複合体、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、非結核性mycobacteria種、Porphyromonas種、Prevotella melaninogenicus、Pseudomonas種、Salmonella typhimurium、Serratia marcescens、Staphylococcus aureus、Streptococcus agalactiae、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus salivarius、Streptococcus mitis、Streptococcus sanguis、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Vibrio cholerae、Coccidioides種、Cryptococcus種、Helicobacter felis、Helicobacter pylori、Clostridium bolteae、およびこれらの任意の組み合わせである、請求項96-110のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項112】
前記バクテリオファージが偏性溶菌性バクテリオファージである、請求項93-111のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項113】
前記バクテリオファージが溶菌性にされる溶原性(temperate)バクテリオファージである、請求項93-111のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項114】
前記溶原性バクテリオファージが、溶原性遺伝子の除去、置き換え、または不活性化によって溶菌性にされる、請求項113に記載のバクテリオファージ。
【請求項115】
前記バクテリオファージが、p1772、p2131、p2132、p2973、p4209、p1106、p1587、p1835、p2037、p2421、p2363、p4209、p004k、またはPB1である、請求項93-114のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項116】
前記核酸配列が、必須ではないバクテリオファージ遺伝子に挿入される、請求項93-115のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項117】
医薬組成物であって、
(a)請求項93-116のいずれか一項に記載のバクテリオファージ、および
(b)薬学的に許容される賦形剤
を含む、医薬組成物。
【請求項118】
錠剤、液体、シロップ、経口製剤、静脈内製剤、鼻腔内製剤、眼製剤、耳製剤、皮下製剤、吸入可能な呼吸製剤、坐剤、およびそれらの任意の組み合わせの形態である、請求項117に記載の医薬組成物。
【請求項119】
必要とする表面を消毒する方法であって、前記方法は、
(d)CRISPRアレイ、
(e)カスケードポリペプチド、および
(f)Cas3ポリペプチド
を含むI型CRISPR-Casシステムをコードする核酸配列を含むバクテリオファージを前記表面に投与する工程を含む、方法。
【請求項120】
前記表面が、病院の表面、車両の表面、機器の表面、または工業的表面である、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
食品または栄養補助食品の汚染を防止する方法であって、前記方法は、
(g)CRISPRアレイ、
(h)カスケードポリペプチド、および
(i)Cas3ポリペプチド
を含むI型CRISPR-Casシステムをコードする核酸配列を含むバクテリオファージを、食品または栄養補助食品に投与する工程を含む、方法。
【請求項122】
前記食品または栄養補助食品が、ミルク、ヨーグルト、カード、チーズ、発酵乳、ミルクベースの発酵製品、アイスクリーム、発酵シリアルベースの製品、ミルクベースの粉末、乳児用調合乳または錠剤、液体懸濁液、乾燥経口サプリメント、湿式経口サプリメント、または乾燥経管栄養を含む、請求項121に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2019年11月6日に出願された米国特許出願第62/931,795号および2020年10月6日に出願された米国特許出願第63/088,394号の利益を主張し、これらは参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本明細書に開示されるのは、特定の実施形態において、CRISPR-Casシステムを含むファージ組成物およびその使用方法である。
【発明の概要】
【0003】
特定の実施形態において、本明細書に開示されるのは、(a)CRISPRアレイ、(b)カスケードポリペプチド、および(c)Cas3ポリペプチドを含む、I型CRISPR-Casシステムをコードする核酸配列を含むバクテリオファージである。いくつかの実施形態において、上記CRISPRアレイは、スペーサー配列および少なくとも1つのリピート配列を含む。いくつかの実施形態において、上記少なくとも1つのリピート配列は、その5’末端またはその3’末端のいずれかでスペーサー配列に作動可能に連結される。いくつかの実施形態において、上記スペーサー配列は、標的細菌における標的ヌクレオチド配列に相補的である。いくつかの実施形態において、上記標的ヌクレオチド配列は、コード配列を含む。いくつかの実施形態において、上記標的ヌクレオチド配列は、非コード配列または遺伝子間配列を含む。いくつかの実施形態において、上記標的ヌクレオチド配列は、プロモーター配列の全部または一部を含む。いくつかの実施形態において、上記標的ヌクレオチド配列は、必須遺伝子の転写領域のコード鎖上に位置するヌクレオチド配列の全部または一部を含む。いくつかの実施形態において、上記必須遺伝子は、Tsf、acpP、gapA、infA、secY、csrA、trmD、ftsA、fusA、glyQ、eno、nusG、dnaA、dnaS、pheS、rplB、gltX、hisS、rplC、aspS、gyrB、glnS、dnaE、rpoA、rpoB、pheT、infB、rpsC、rplF、alaS、leuS、serS、rplD、gyrA、またはmetKである。いくつかの実施形態において、上記カスケードポリペプチドは、I-A型CRISPR-Casシステム、I-B型CRISPR-Casシステム、I-C型CRISPR-Casシステム、I-D型CRISPR-Casシステム、I-E型CRISPR-Casシステム、またはI-F型CRISPR-Casシステムのカスケード複合体を形成する。いくつかの実施形態において、カスケード複合体は、(i)Cas7ポリペプチド、Cas8a1ポリペプチドまたはCas8a2ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、Csa5ポリペプチド、Cas6aポリペプチド、Cas3’ポリペプチド、およびヌクレアーゼ活性を有さないCas3’’ポリペプチド(I-A型CRISPR-Casシステム)、(ii)Cas6bポリペプチド、Cas8bポリペプチド、Cas7ポリペプチド、およびCas5ポリペプチド(I-B型CRISPR-Casシステム)、(iii)Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Casシステム)、(iv)Cas10dポリペプチド、Csc2ポリペプチド、Csc1ポリペプチド、Cas6dポリペプチド(I-D型CRISPR-Casシステム)、(v)Cse1ポリペプチド、Cse2ポリペプチド、Cas7ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、およびCas6eポリペプチド(I-E型CRISPR-Casシステム)、(vi)Csy1ポリペプチド、Csy2ポリペプチド、Csy3ポリペプチド、およびCsy4ポリペプチド(I-F型CRISPR-Casシステム)を含む。いくつかの実施形態において、Cas複合体は、Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Casシステム)を含む。いくつかの実施形態において、上記核酸配列は、プロモーター配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、上記標的細菌は、上記バクテリオファージの溶菌活性によってのみ殺傷される。いくつかの実施形態において、上記標的細菌は、上記CRISPR-Casシステムの活性によってのみ殺傷される。いくつかの実施形態において、上記標的細菌は、上記CRISPR-Casシステムの活性と組み合わせた上記バクテリオファージの溶菌活性によって殺傷される。いくつかの実施形態において、上記標的細菌は、上記バクテリオファージの溶菌活性とは無関係に、上記CRISPR-Casシステムの活性によって殺傷される。いくつかの実施形態において、上記CRISPR-Casシステムの活性は、上記バクテリオファージの溶菌活性を補足または増強する。いくつかの実施形態において、上記バクテリオファージの溶菌活性および上記CRISPR-Casシステムの活性は相乗的である。いくつかの実施形態において、上記バクテリオファージの溶菌活性、上記CRISPR-Casシステムの活性、またはそれらの両方は、上記バクテリオファージの濃度によって調節される。いくつかの実施形態において、上記バクテリオファージは、複数の細菌系統に感染する。いくつかの実施形態において、上記標的細菌は、Acinetobacter種、Actinomyces種、Burkholderia cepacia複合体、Campylobacter種、Candida種、Clostridium difficile、Corynebacterium minutissium、Corynebacterium pseudodiphtheriae、Corynebacterium stratium、CorynebacteriumグループG1、CorynebacteriumグループG2、Enterobacteriaceae、Enterococcus種、Escherichia coli、Haemophilus influenzae、Klebsiella pneumoniae、Moraxella種、Mycobacterium tuberculosis複合体、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、非結核性mycobacteria種、Porphyromonas種、Prevotella melaninogenicus、Pseudomonas種、Salmonella typhimurium、Serratia marcescens、Staphylococcus aureus、Streptococcus agalactiae、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus salivarius、Streptococcus mitis、Streptococcus sanguis、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Vibrio cholerae、Coccidioides種、Cryptococcus種、Helicobacter felis、Helicobacter pylori、Clostridium bolteae、およびこれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、上記バクテリオファージは、偏性溶菌性バクテリオファージである。いくつかの実施形態において、上記バクテリオファージは、溶菌性にされる溶原性(temperate)バクテリオファージである。いくつかの実施形態において、上記溶原性バクテリオファージは、溶原性遺伝子の除去、置き換え、または不活性化によって溶菌性にされる。いくつかの実施形態において、上記バクテリオファージは、p1772、p2131、p2132、p2973、p4209、p1106、p1587、p1835、p2037、p2421、p2363、p004k、またはPB1である。いくつかの実施形態において、上記核酸配列は、必須ではないバクテリオファージ遺伝子に挿入される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されているのは、(a)本明細書に記載のバクテリオファージ、および(b)薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物である。いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は、錠剤、液体、シロップ、経口製剤、静脈内製剤、鼻腔内製剤、眼製剤、耳製剤、皮下製剤、吸入可能な呼吸製剤、坐剤、およびそれらの任意の組み合わせの形態である。
【0004】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるのは、標的細菌を殺傷する方法であって、上記方法は、(a)CRISPRアレイ、(b)カスケードポリペプチド、および(c)Cas3ポリペプチドを含むI型CRISPR-Casシステムをコードする核酸配列を含むバクテリオファージを、上記標的細菌に導入する工程を含む。いくつかの実施形態において、上記CRISPRアレイは、スペーサー配列および少なくとも1つのリピート配列を含む。いくつかの実施形態において、上記少なくとも1つのリピート配列は、その5’末端またはその3’末端のいずれかにおいてスペーサー配列に作動可能に連結される。いくつかの実施形態において、上記スペーサー配列は、標的細菌における標的ヌクレオチド配列に相補的である。いくつかの実施形態において、上記標的ヌクレオチド配列は、コード配列を含む。いくつかの実施形態において、上記標的ヌクレオチド配列は、非コード配列または遺伝子間配列を含む。いくつかの実施形態において、上記標的ヌクレオチド配列は、プロモーター配列の全部または一部を含む。いくつかの実施形態において、上記標的ヌクレオチド配列は、必須遺伝子の転写領域のコード鎖上に位置するヌクレオチド配列の全部または一部を含む。いくつかの実施形態において、上記必須遺伝子は、Tsf、acpP、gapA、infA、secY、csrA、trmD、ftsA、fusA、glyQ、eno、nusG、dnaA、dnaS、pheS、rplB、gltX、hisS、rplC、aspS、gyrB、glnS、dnaE、rpoA、rpoB、pheT、infB、rpsC、rplF、alaS、leuS、serS、rplD、gyrA、またはmetKである。いくつかの実施形態において、上記カスケードポリペプチドは、I-A型CRISPR-Casシステム、I-B型CRISPR-Casシステム、I-C型CRISPR-Casシステム、I-D型CRISPR-Casシステム、I-E型CRISPR-Casシステム、またはI-F型CRISPR-Casシステムのカスケード複合体を形成する。いくつかの実施形態において、カスケード複合体は、(i)Cas7ポリペプチド、Cas8a1ポリペプチドまたはCas8a2ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、Csa5ポリペプチド、Cas6aポリペプチド、Cas3’ポリペプチド、およびヌクレアーゼ活性を有さないCas3’’ポリペプチド(I-A型CRISPR-Casシステム)、(ii)Cas6bポリペプチド、Cas8bポリペプチド、Cas7ポリペプチド、およびCas5ポリペプチド(I-B型CRISPR-Casシステム)、(iii)Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Casシステム)、(iv)Cas10dポリペプチド、Csc2ポリペプチド、Csc1ポリペプチド、Cas6dポリペプチド(I-D型CRISPR-Casシステム)、(v)Cse1ポリペプチド、Cse2ポリペプチド、Cas7ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、およびCas6eポリペプチド(I-E型CRISPR-Casシステム)、(vi)Csy1ポリペプチド、Csy2ポリペプチド、Csy3ポリペプチド、およびCsy4ポリペプチド(I-F型CRISPR-Casシステム)を含む。いくつかの実施形態において、上記カスケード複合体は、Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Casシステム)を含む。いくつかの実施形態において、上記核酸配列は、プロモーター配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、上記標的細菌は、上記CRISPR-Casシステムの活性によってのみ殺傷される。いくつかの実施形態において、上記標的細菌は、上記CRISPR-Casシステムの活性と組み合わせたバクテリオファージの溶菌活性によって殺傷される。いくつかの実施形態において、上記標的細菌は、バクテリオファージの溶菌活性とは無関係に、上記CRISPR-Casシステムの活性によって殺傷される。いくつかの実施形態において、上記CRISPR-Casシステムの活性は、上記バクテリオファージの溶菌活性を補足または増強する。いくつかの実施形態において、上記バクテリオファージの溶菌活性および上記CRISPR-Casシステムの活性は相乗的である。いくつかの実施形態において、上記バクテリオファージの溶菌活性、上記CRISPR-Casシステムの活性、またはそれらの両方は、上記バクテリオファージの濃度によって調節される。いくつかの実施形態において、上記バクテリオファージは、複数の細菌系統に感染する。いくつかの実施形態において、上記標的細菌は、Acinetobacter種、Actinomyces種、Burkholderia cepacia複合体、Campylobacter種、Candida種、Clostridium difficile、Corynebacterium minutissium、Corynebacterium pseudodiphtheriae、Corynebacterium stratium、CorynebacteriumグループG1、CorynebacteriumグループG2、Enterobacteriaceae、Enterococcus種、Escherichia coli、Haemophilus influenzae、Klebsiella pneumoniae、Moraxella種、Mycobacterium tuberculosis複合体、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、非結核性mycobacteria種、Porphyromonas種、Prevotella melaninogenicus、Pseudomonas種、Salmonella typhimurium、Serratia marcescens、Staphylococcus aureus、Streptococcus agalactiae、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus salivarius、Streptococcus mitis、Streptococcus sanguis、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Vibrio cholerae、Coccidioides種、Cryptococcus種、Helicobacter felis、Helicobacter pylori、Clostridium bolteae、およびこれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、上記バクテリオファージは、偏性溶菌性バクテリオファージである。いくつかの実施形態において、上記バクテリオファージは、溶菌性にされる溶原性(temperate)バクテリオファージである。いくつかの実施形態において、上記溶原性バクテリオファージは、溶原性遺伝子の除去、置き換え、または不活性化によって溶菌性にされる。いくつかの実施形態において、上記バクテリオファージは、p1772、p2131、p2132、p2973、p4209、p1106、p1587、p1835、p2037、p2421、p2363、p4209、p004k、またはPB1である。いくつかの実施形態において、上記核酸配列は、必須ではないバクテリオファージ遺伝子の代わりに、またはそれに隣接して挿入される。いくつかの実施形態において、細菌細胞の混合集団は上記標的細菌を含む。
【0005】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるのは、必要とする個体の疾患を治療する方法であって、上記方法は、I型CRISPR-Casシステムをコードする核酸配列を含むバクテリオファージを個体に投与する工程を含み、上記I型CRISPR-Casシステムは、(a)CRISPRアレイ、(b)カスケードポリペプチド、および(c)Cas3ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、上記CRISPRアレイは、スペーサー配列および少なくとも1つのリピート配列を含む。いくつかの実施形態において、上記少なくとも1つのリピート配列は、その5’末端またはその3’末端のいずれかでスペーサー配列に作動可能に連結される。いくつかの実施形態において、上記スペーサー配列は、標的細菌中の標的ヌクレオチド配列に相補的である。いくつかの実施形態において、上記標的ヌクレオチド配列は、コード配列を含む。いくつかの実施形態において、上記標的ヌクレオチド配列は、非コード配列または遺伝子間配列を含む。いくつかの実施形態において、上記標的ヌクレオチド配列は、プロモーター配列の全部または一部を含む。いくつかの実施形態において、上記標的ヌクレオチド配列は、必須遺伝子の転写領域のコード鎖上に位置するヌクレオチド配列の全部または一部を含む。いくつかの実施形態において、上記必須遺伝子は、Tsf、acpP、gapA、infA、secY、csrA、trmD、ftsA、fusA、glyQ、eno、nusG、dnaA、dnaS、pheS、rplB、gltX、hisS、rplC、aspS、gyrB、glnS、dnaE、rpoA、rpoB、pheT、infB、rpsC、rplF、alaS、leuS、serS、rplD、gyrA、またはmetKである。いくつかの実施形態において、カスケード複合体は、I-A型CRISPR-Casシステム、I-B型CRISPR-Casシステム、I-C型CRISPR-Casシステム、I-D型CRISPR-Casシステム、I-E型CRISPR-Casシステム、またはI-F型CRISPR-Casシステムのカスケードポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、カスケード複合体は、(i)Cas7ポリペプチド、Cas8a1ポリペプチドまたはCas8a2ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、Csa5ポリペプチド、Cas6aポリペプチド、Cas3’ポリペプチド、およびヌクレアーゼ活性を有さないCas3’’ポリペプチド(I-A型CRISPR-Casシステム)、(ii)Cas6bポリペプチド、Cas8bポリペプチド、Cas7ポリペプチド、およびCas5ポリペプチド(I-B型CRISPR-Casシステム)、(iii)Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Casシステム)、(iv)Cas10dポリペプチド、Csc2ポリペプチド、Csc1ポリペプチド、Cas6dポリペプチド(I-D型CRISPR-Casシステム)、(v)Cse1ポリペプチド、Cse2ポリペプチド、Cas7ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、およびCas6eポリペプチド(I-E型CRISPR-Casシステム)、(vi)Csy1ポリペプチド、Csy2ポリペプチド、Csy3ポリペプチド、およびCsy4ポリペプチド(I-F型CRISPR-Casシステム)を含む。いくつかの実施形態において、上記カスケード複合体は、Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Casシステム)を含む。いくつかの実施形態において、上記核酸配列は、プロモーター配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、上記標的細菌は、CRISPR-Casシステムの活性によってのみ殺傷される。いくつかの実施形態において、上記標的細菌は、上記CRISPR-Casシステムの活性と組み合わせた上記バクテリオファージの溶菌活性によって殺傷される。いくつかの実施形態において、上記標的細菌は、バクテリオファージの溶菌活性とは無関係に、上記CRISPR-Casシステムの活性によって殺傷される。いくつかの実施形態において、上記CRISPR-Casシステムの活性は、バクテリオファージの溶菌活性を補足または増強する。いくつかの実施形態において、上記バクテリオファージの溶菌活性およびCRISPR-Casシステムの活性は相乗的である。いくつかの実施形態において、上記バクテリオファージの溶菌活性、上記CRISPR-Casシステムの活性、またはそれらの両方は、上記バクテリオファージの濃度によって調節される。いくつかの実施形態において、上記バクテリオファージは、複数の細菌系統に感染する。いくつかの実施形態において、上記バクテリオファージは、偏性溶菌性バクテリオファージである。いくつかの実施形態において、上記バクテリオファージは、溶菌性にされる溶原性(temperate)バクテリオファージである。いくつかの実施形態において、上記溶菌性バクテリオファージは、溶原性遺伝子の除去、置き換え、または不活性化によって溶菌性にされる。いくつかの実施形態において、上記バクテリオファージは、p1772、p2131、p2132、p2973、p4209、p1106、p1587、p1835、p2037、p2421、p2363、p4209、p004k、またはPB1である。いくつかの実施形態において、上記核酸配列は、必須ではないバクテリオファージ遺伝子の代わりに、またはそれに隣接して挿入される。いくつかの実施形態において、上記疾患は細菌感染症である。いくつかの実施形態において、上記疾患を引き起こす標的細菌は、少なくとも1つの抗生物質に耐性である薬剤耐性細菌である。いくつかの実施形態において、上記薬剤耐性菌は、少なくとも1つの抗生物質に耐性である。いくつかの実施形態において、上記疾患を引き起こす標的細菌は、多剤耐性細菌である。いくつかの実施形態において、上記多剤耐性細菌は、少なくとも1つの抗生物質に対して耐性がある。いくつかの実施形態において、上記抗生物質は、セファロスポリン、フルオロキノロン、カルバペネム、コリスチン、アミノグリコシド、バンコマイシン、ストレプトマイシン、またはメチシリンを含む。いくつかの実施形態において、細菌感染を引き起こす上記標的細菌は、Acinetobacter種、Actinomyces種、Burkholderia cepacia複合体、Campylobacter種、Candida種、Clostridium difficile、Corynebacterium minutissium、Corynebacterium pseudodiphtheriae、Corynebacterium stratium、CorynebacteriumグループG1、CorynebacteriumグループG2、Enterobacteriaceae、Enterococcus種、Escherichia coli、Haemophilus influenzae、Klebsiella pneumoniae、Moraxella種、Mycobacterium tuberculosis複合体、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、非結核性mycobacteria種、Porphyromonas種、Prevotella melaninogenicus、Pseudomonas種、Salmonella typhimurium、Serratia marcescens、Staphylococcus aureus、Streptococcus agalactiae、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus salivarius、Streptococcus mitis、Streptococcus sanguis、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Vibrio cholerae、Coccidioides種、Cryptococcus種、Helicobacter felis、Helicobacter pylori、Clostridium bolteae、およびこれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、上記疾患を引き起こす標的細菌はPseudomonasである。いくつかの実施形態において、上記疾患を引き起こす標的細菌はP.aeruginosaである。いくつかの実施形態において、上記投与する工程は、動脈内、静脈内、尿道内、筋肉内、経口、皮下、吸入、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、個体は哺乳動物である。
【0006】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるのは、バクテリオファージであって、CRISPRアレイ;Cas5、Cas8cおよびCas7を含むカスケードポリペプチド;ならびにCas3ポリペプチドを含むI型CRISPR-Casシステムをコードする核酸配列を含む、バクテリオファージである。いくつかの実施形態において、上記CRISPRアレイは、スペーサー配列および少なくとも1つのリピート配列を含む。いくつかの実施形態において、上記少なくとも1つのリピート配列は、その5’末端またはその3’末端のいずれかで上記スペーサー配列に作動可能に連結される。いくつかの実施形態において、上記スペーサー配列は、上記標的細菌における標的ヌクレオチド配列に相補的である。いくつかの実施形態において、上記標的ヌクレオチド配列は、コード配列を含む。いくつかの実施形態において、上記標的ヌクレオチド配列は、非コード配列または遺伝子間配列を含む。いくつかの実施形態において、上記標的ヌクレオチド配列は、プロモーター配列の全部または一部を含む。いくつかの実施形態において、上記標的ヌクレオチド配列は、必須遺伝子の転写領域のコード鎖上に位置するヌクレオチド配列の全部または一部を含む。いくつかの実施形態において、上記必須遺伝子は、Tsf、acpP、gapA、infA、secY、csrA、trmD、ftsA、fusA、glyQ、eno、nusG、dnaA、dnaS、pheS、rplB、gltX、hisS、rplC、aspS、gyrB、glnS、dnaE、rpoA、rpoB、pheT、infB、rpsC、rplF、alaS、leuS、serS、rplD、gyrA、またはmetKである。いくつかの実施形態において、上記核酸配列は、プロモーター配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、上記標的細菌は、バクテリオファージの溶菌活性によってのみ殺傷される。いくつかの実施形態において、上記標的細菌は、CRISPR-Casシステムの活性によってのみ殺傷される。いくつかの実施形態において、上記標的細菌は、CRISPR-Casシステムの活性と組み合わせたバクテリオファージの溶菌活性によって殺傷される。いくつかの実施形態において、上記標的細菌は、上記バクテリオファージの溶菌活性とは無関係に、上記CRISPR-Casシステムの活性によって殺傷される。いくつかの実施形態において、上記CRISPR-Casシステムの活性は、上記バクテリオファージの溶菌活性を補足または増強する。いくつかの実施形態において、上記バクテリオファージの溶菌活性および上記CRISPR-Casシステムの活性は相乗的である。いくつかの実施形態において、上記バクテリオファージの溶菌活性、上記CRISPR-Casシステムの活性、またはそれらの両方は、上記バクテリオファージの濃度によって調節される。いくつかの実施形態において、上記バクテリオファージは、複数の細菌系統に感染する。いくつかの実施形態において、上記標的細菌は、Acinetobacter種、Actinomyces種、Burkholderia cepacia複合体、Campylobacter種、Candida種、Clostridium difficile、Corynebacterium minutissium、Corynebacterium pseudodiphtheriae、Corynebacterium stratium、CorynebacteriumグループG1、CorynebacteriumグループG2、Enterobacteriaceae、Enterococcus種、Escherichia coli、Haemophilus influenzae、Klebsiella pneumoniae、Moraxella種、Mycobacterium tuberculosis複合体、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、非結核性mycobacteria種、Porphyromonas種、Prevotella melaninogenicus、Pseudomonas種、Salmonella typhimurium、Serratia marcescens、Staphylococcus aureus、Streptococcus agalactiae、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus salivarius、Streptococcus mitis、Streptococcus sanguis、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Vibrio cholerae、Coccidioides種、Cryptococcus種、Helicobacter felis、Helicobacter pylori、Clostridium bolteae、およびこれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、上記バクテリオファージは、偏性溶菌性バクテリオファージである。いくつかの実施形態において、上記バクテリオファージは、溶菌性にされる溶原性(temperate)バクテリオファージである。いくつかの実施形態において、上記溶原性バクテリオファージは、溶原性遺伝子の除去、置き換え、または不活性化によって溶菌性にされる。いくつかの実施形態において、上記バクテリオファージは、p1772、p2131、p2132、p2973、p4209、p1106、p1587、p1835、p2037、p2421、p2363、p4209、p004k、またはPB1である。いくつかの実施形態において、上記核酸配列は、必須ではないバクテリオファージ遺伝子に挿入される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるのは、医薬組成物であって、(a)本明細書中に記載されるバクテリオファージ、および(b)薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物である。いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は、錠剤、液体、シロップ、経口製剤、静脈内製剤、鼻腔内製剤、眼製剤、耳製剤、皮下製剤、吸入可能な呼吸製剤、坐剤、およびそれらの任意の組み合わせの形態である。
【0007】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるのは、必要とする表面を消毒する方法であって、上記方法は、(d)CRISPRアレイ、(e)カスケードポリペプチド、および(f)Cas3ポリペプチドを含むI型CRISPR-Casシステムをコードする核酸配列を含むバクテリオファージを表面に投与する工程を含む。いくつかの実施形態において、上記表面は、病院の表面、車両の表面、機器の表面、または工業的表面である。
【0008】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるのは、食品または栄養補助食品の汚染を防止する方法であって、上記方法は、(a)CRISPRアレイ、(b)カスケードポリペプチド、および(c)Cas3ポリペプチドを含むI型CRISPR-Casシステムをコードする核酸配列を含むバクテリオファージを、食品または栄養補助食品に投与する工程を含む。いくつかの実施形態において、食品または栄養補助食品は、ミルク、ヨーグルト、カード、チーズ、発酵乳、ミルクベースの発酵製品、アイスクリーム、発酵シリアルベースの製品、ミルクベースの粉末、乳児用調合乳または錠剤、液体懸濁液、乾燥経口サプリメント、湿式経口サプリメント、または乾燥経管栄養を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示の新規の特徴は、添付の特許請求の範囲に具体的に記載されている。本開示の特徴および利点のより良好な理解は、本開示の原理が利用される例示的な実施形態を説明する以下の詳細な説明、および添付の図面を参照することによって得られる。
図1A】crアレイ2の配列および配置を示す。
図1B】crアレイ3の配列および配置を示す
図1C】crアレイ3の配列および配置を示す
図1D】crアレイ4の配列および配置を示す。
図1E】crアレイ5の配列および配置を示す。
図2A】(上のパネル)は、形質転換体の数によって測定される、内因性CRISPR-Cas3システムを使用してcrRNAを含むプラスミドで2つのP.aeruginosa系統を形質転換する効果をコロニー形成単位(CFU)で示す。下のパネルは、3つのスペーサーを含むcrRNAと外因性のI-C型Casオペロンの両方を含むプラスミドでP.aeruginosaを形質転換する効果を示し、これは、検出限界よりも少ない形質転換体を生じる。
図2B】P.aeruginosa b1121系統のCasオペロンヌル変異体への形質転換1mLあたりに得られた細菌形質転換体の数を示す。アレイ1は細菌ゲノムを標的とし、一方アレイ2は非標的対照である。異なるプラスミドは、モル濃度によって空のベクター対照プラスミドに対して正規化された。
図2C】rpoBまたはftsAまたは3スペーサーアレイであるアレイ3またはアレイ4を標的とする個々のスペーサーを、内因性I-C型Casオペロンを含むか(b1121)または含まない(b1121 cas KO)P.aeruginosa系統に形質転換する効果を示す。
図3A】野生型ファージp1772およびその操作されたバリアントのゲノムの概略図を示す。ゲノム軸の下のバーは、削除および置き換えされたゲノムの領域を示す。ファージゲノムの下の概略図は、削除された領域のWTファージ遺伝子を置き換えるために使用されたDNAを図示する。アレイ1、アレイ3、およびアレイ4は細菌ゲノムを標的とし、I-C型Casオペロンの存在下で細菌を殺傷する。アレイ2のスペーサーは標的化されていないが、このアレイは3つの標的化アレイと構造的に同じである。
図3B】摂氏37度で5回または10回継代した後のp1772e005(標的化crアレイ1+Casシステム)の配列を比較する。CRISPR-Cas3を発現する操作されたファージの安定性を示すヌクレオチドレベルでの挿入物に違いは観察されなかった。
図4】CRISPR-Cas3で操作されたファージが構造変化を示さないことを例示する。TEMで画像化した場合、p1772wt(野生型)、p1772e004(Casシステムのみ)、およびp1772e005(標的化crアレイ+Casシステム)の間に大きな形態学的差異はなかった。
図5A】完全な構築物のファージが、異なるCasタイプのバリアントにおいて野生型親ファージと同様に増幅し、同様の宿主範囲を保持することを例示する。I-F型Casシステムを含むP.aeruginosa系統におけるp1772wt(野生型)、p1772e004(Casシステム)、およびp1772e005(標的化crアレイ1+Casシステム)のインビトロ増幅力価を示す。
図5B】完全な構築物のファージが、異なるCasタイプのバリアントにおいて野生型親ファージと同様に増幅し、同様の宿主範囲を保持することを例示する。I-C型Casシステムを含むP.aeruginosa系統におけるp1772wtおよびp1772e005のインビトロ増幅力価を示す。
図5C】完全な構築物のファージが、異なるCasタイプのバリアントにおいて野生型親ファージと同様に増幅し、同様の宿主範囲を保持することを例示する。P.aeruginosaの44系統に対するp1772wt、p1772e004、およびp1772e005の宿主範囲を示す。(ファージの存在下でのAUC)/(ファージの非存在下でのAUC)が0.65未満の場合、ファージは特定の系統に感染していると見なされる。
図6A】外因性CRISPR-Cas3システムがファージゲノムから効率的に発現していることを例示する。p1772の操作されたバリアントに挿入されたスペーサーアレイおよびCasオペロンの概略図を示す。
図6B】外因性CRISPR-Cas3システムがファージゲノムから効率的に発現していることを例示する。1600分にわたってp1772wt(野生型)またはp1772e005(標的化crアレイ1+Casシステム)に感染したP.aeruginosa系統b1121におけるcrアレイ、Cas3およびCas8の発現を示す。
図6C】外因性CRISPR-Cas3システムがファージゲノムから効率的に発現していることを例示する。1600分にわたってp1772wt(野生型)またはp1772e005(標的化crアレイ1+Casシステム)に感染したP.aeruginosa系統b1121におけるcrアレイ、Cas3およびCas8の発現を示す。
図6D】外因性CRISPR-Cas3システムがファージゲノムから効率的に発現していることを例示する。1600分にわたってp1772wt(野生型)またはp1772e005(標的化crアレイ1+Casシステム)に感染したP.aeruginosa系統b1121におけるcrアレイ、Cas3およびCas8の発現を示す。
図6E】外因性CRISPR-Cas3システムがファージゲノムから効率的に発現していることを例示する。p1772e005、p2131e002(標的化crアレイ1+Casシステム)およびp2132e002(標的化crアレイ1+Casシステム)に感染してから1時間後および24時間後のCas3の発現を示す。
図7】P.aeruginosa上にp1772wt(野生型)またはp1772e005(標的化crアレイ1+Casシステム)をプレーティングすることから生じるプラークを示す。
図8A】プレートベースのキルアッセイの結果を例示する。p1772wt(野生型)、p1772e004(Casシステムのみ)、p1772e006(標的化crアレイ1のみ)、およびp1772e005(標的化crアレイ1+Casシステム)を、感染多重度(MOI)100~0.0000954でP.aeruginosaと混合した。
図8B図8Aのように設定されたプレートの一部をより大きな倍率で示す。
図8C】MOI 1.5でp1772wt、p1772e008(非標的化crアレイ2+Casシステム)、p1772e006、およびp1772e005に感染したP.aeruginosaの相対蛍光ユニットの定量化を示す。
図9A】MOI 1で接種されたときのP.aeruginosa系統b1121におけるp1772wt(野生型)、p1772e004(Casシステムのみ)、p1772e005(標的化crアレイ1+Casシステム)およびp1772e06(標的化crアレイ1のみ)の24時間にわたる増殖を示す。
図9B】MOI 10で接種されたときのP.aeruginosa系統b1121におけるp1772wt、p1772e004、p1772e005、およびp1772e006の24時間にわたる増殖を示す。
図9C】MOI 100で接種されたときのP.aeruginosa系統b1121のp1772e006におけるp1772wt、p1772e004、p1772e005の24時間にわたる増殖を示す。
図10A】MOI 100から0.0001までにおける、p1772wt(野生型)、p1772e008(非標的化crアレイ2+Casシステム)、p1772e006(標的化crアレイ1のみ)、およびpArray3(標的化crアレイ3+Casシステム)と混合されたP.aeruginosa培養物の寒天プレート上での増殖を示す。
図10B】MOI 100から0.0001までにおける、p1772wt、p1772e008、p1772e006、およびpArray4(標的化crアレイ4+Casシステム)と混合したP.aeruginosa培養物の寒天プレート上での増殖を示す。
図10C図10Aの挿入図であり、0.0244(上段)および0.00610(下段)のMOIにおけるpArray3と比較したp1772e06の拡大を示す。
図10D図10Aの約1.5のMOIにおけるファージによる感染後の細菌からの蛍光シグナルの定量化である。
図10E図10Bの約1.5のMOIにおけるファージによる感染後の細菌からの蛍光シグナルの定量化である。
図11A】異なるプロモーターを有するp1772バリアントと混合されたP.aeruginosa培養物の寒天プレート上での増殖を示す。p1772wt(野生型)および同じcrアレイ 1およびCasシステムを含むバリアントと混合したP.aeruginosa培養物の寒天プレート上での増殖を示し、ここで、このCasシステムは異なるプロモーターによって駆動され、MOIは100~0.00001であった。
図11B】異なるプロモーターを有するp1772バリアントと混合されたP.aeruginosa培養物の寒天プレート上での増殖を示す。図11AからのMOI 1.5での細胞の蛍光の定量化を示す。
図12図12Aは、1.5のMOIでp2132wt(野生型)およびp2132e002(crアレイ1+Casシステムを標的とする)と混合されたP.aeruginosa培養物の寒天プレート上での増殖の蛍光の定量化を示す。図12Bは、1.5のMOIでp2973wt(野生型)およびp2973e002(標的化crアレイ1+Casシステム)と混合されたP.aeruginosa培養物の寒天プレート上での増殖からの蛍光の定量化を示す。
図13】異なるファージバリアントを混合したP.aeruginosa培養物の異なる系統の寒天プレート上での増殖を示す。p4209wt(野生型)およびp4209e002(標的化crアレイ1+Casシステム)を、b2550(I-E型Cas)、b2631(I-F型Cas)、b2816(I-E/I-F型Cas)、およびb2825(アクティブなI型Casなし)系統のP.aeruginosaと混合し、0時間、3時間、または24時間のインキュベーション後にプレートした。
図14】複数のP.aeruginosa系統におけるcrアレイ/Cas挿入物の有効性を示す。p4209wt(野生型)、p4209e001(Casシステムのみ)およびp4209e002(標的化crアレイ1+Casシステム)は、b2550(I-E型Cas)、b2631(I-F型Cas)、b2816(I-E/I-F型Cas)、およびb2825(活性型のI型Casなし)のP.aeruginosa系統上でプラーク形成された。
図15A図15A-15Dは、p1772wt(野生型)とp1772e005(標的化crアレイ1+Casシステム)を比較したインビボでの有効性の結果を例示する。図15Aは、図15B-15Dの実験設定を示す概略図である。
図15B図15A-15Dは、p1772wt(野生型)とp1772e005(標的化crアレイ1+Casシステム)を比較したインビボでの有効性の結果を例示する。図15Bは、マウス大腿筋に注射されたときのファージの有効性を示す。左のパネルは、感染6時間後に回収されたコロニー形成単位(CFU)の数を示す。右のパネルは、感染6時間後に回収されたプラーク形成単位(PFU)の数を示す。
図15C図15A-15Dは、p1772wt(野生型)とp1772e005(標的化crアレイ1+Casシステム)を比較したインビボでの有効性の結果を例示する。cccp1772wt(野生型)とp1772e005(標的化crアレイ1+Casシステム)を比較したインビボでの有効性の結果を例示する。図15Cは、マウスの大腿筋に注射されたときのファージの有効性を示し、感染8時間後および24時間後に回収されたCFU(上)およびPFU(下)の数を示す。
図15D図15A-15Dは、p1772wt(野生型)とp1772e005(標的化crアレイ1+Casシステム)を比較したインビボでの有効性の結果を例示する。図15Dは、静脈内投与されたときのファージの有効性を示し、感染9時間後、12時間後、15時間後および24時間後に回収されたCFU(上)およびPFU(下)の数を示す。
図15E図15Eは、図15Fの実験設定を示す。
図15F図15Fは、p1772wtおよびp1772e005による治療の用量反応を示し、感染8時間後および24時間後に回収されたCFU(上)およびPFU(下)の量を示す。データは平均±SEMとして示される。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。多重比較を使用した一元配置ANOVA(分散分析)、またはテューキー検定を使用した二元配置ANOVA。
図16】野生型ファージp004kおよびその操作されたバリアントp004ke007のゲノムの概略図である。ゲノム軸の下のバーは、削除および置き換えされたゲノムの領域を示す。ファージゲノムの下の概略図は、削除された領域においてWTファージ遺伝子を置き換えるために使用されたDNAを例証する。
図17A図17は、E.coliにおけるcrアレイ/Casシステム挿入物の有効性を例証する。図17Aは、大腸菌の3つの系統(b3402、b3418、またはb4098)と混合したp004kwt(野生型)およびp004ke007(crアレイ5+Casシステム)の寒天プレート上での増殖を示す。
図17B図17は、E.coliにおけるcrアレイ/Casシステム挿入物の有効性を例証する。図17B-17Dは、それぞれ、b3402、b3418、およびb4098における細胞増殖の光学密度の定量化である。
図17C図17は、E.coliにおけるcrアレイ/Casシステム挿入物の有効性を例証する。図17B-17Dは、それぞれ、b3402、b3418、およびb4098における細胞増殖の光学密度の定量化である。
図17D図17は、E.coliにおけるcrアレイ/Casシステム挿入物の有効性を例証する。図17B-17Dは、それぞれ、b3402、b3418、およびb4098における細胞増殖の光学密度の定量化である。
図18】CRISPR-Cas3操作された参照ファージPB1e002(crアレイ1+Casシステム)がp1772e005(crアレイ1+Casシステム)と協調して作用することを例示する。
図19】異なるスペーサー配列を含む挿入物でPseudomonasをトランスフェクトした後に産生された形質転換体の数を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明
特定の実施形態において、本明細書に開示されるのは、(a)CRISPRアレイ(crアレイとも称する)、(b)カスケードポリペプチド、および(c)Cas3ポリペプチドを含む、I型CRISPR-Casシステムをコードする核酸配列を含むバクテリオファージである。また、本明細書に開示されるのは、特定の実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージを含む医薬組成物である。本明細書でさらに開示されるのは、特定の実施形態において、(a)CRISPRアレイ、(b)カスケードポリペプチド、および(c)Cas3ポリペプチドを含む、I型CRISPR-Casシステムをコードする核酸配列を含むバクテリオファージを標的細菌に導入する工程を含む、標的細菌を殺傷する方法である。さらに本明細書に開示されるのは、特定の実施形態において、必要とする個体の疾患を治療する方法であり、この方法は、(a)CRISPRアレイ、(b)カスケードポリペプチド、および(c)Cas3ポリペプチドを含む、I型CRISPR-Casシステムをコードする核酸配列を含むバクテリオファージを個体に投与する工程を含む。
【0011】
特定の用語
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書の開示の説明に使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本開示を限定することを意図するものではない。
【0012】
文脈が別のことを示さない限り、本明細書に記載の本開示の様々な特徴は、任意の組み合わせで使用することができることが具体的に意図されている。さらに、本開示はまた、いくつかの実施形態において、本明細書に記載される任意の特徴または特徴の組み合わせが除外または省略されることを企図する。例証するために、組成物が成分A、BおよびCを含むと明細書に述べられている場合、A、BもしくはCのいずれか、またはそれらの組み合わせのいずれかが、単独でまたは任意の組み合わせで、省略され、特許請求されないことが具体的に意図される。
【0013】
当業者は、文献における一貫性の欠如および用語を統一するための当技術分野における継続的な努力のために、様々なCRISPR-Casシステムおよびそれらの構成要素を指定するそのような用語の互換性を理解する。
【0014】
明細書中の説明および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数形も含むことを意図している。また、本明細書で使用される場合、「および/または」は、関連する列挙された項目の1つ以上のありとあらゆる可能な組み合わせ、ならびに代替(「または」)で解釈される場合の組み合わせの欠如を指し、包含する。
【0015】
投与量または期間などの測定可能な値を指すときに本明細書で使用される「約」という用語は、指定された量の±20%、±10%、±5%、±1%、+0.5%、また±0.1%でさえの変動を指す。本明細書で使用される場合、「XとYの間」および「約XとYの間」などの語句は、XおよびYを含むと解釈されるべきである。本明細書で使用される場合、「約XとYの間」などの語句は「約Xと約Yの間」を意味し、「約XからYまで」などの語句は「約Xから約Yまで」を意味する。
【0016】
本明細書で使用される「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、および「含むこと」、「含有する(include)」、「含有すること(includes)」、「有する(have)」および「有すること(having)」という用語は、言及された特徴、工程、操作、要素、および/または構成要素の存在を特定するが、1つ以上の他の機能、工程、操作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または追加を排除するものではない。
【0017】
本明細書で使用される場合、「から本質的になる」という移行句は、特許請求の範囲が、特許請求の範囲に列挙された特定の材料または工程、および特許請求された開示の基本的かつ新規な特性に実質的に影響を及ぼさないものを包含すると解釈されるべきであることを意味する。したがって、本開示の請求項において使用される場合の「から本質的になる」という用語は、「含む」と等価であると解釈されることを意図するものではない。
【0018】
本明細書で使用される「からなる」および「からなり」という用語は、他に直接述べられていない、いかなる機能、工程、操作、要素、および/または構成要素も除外する。「からなる」の使用は、その節に記載されている機能、工程、操作、要素、および/または構成要素のみの範囲内に限定し、他の機能、工程、操作、要素、および/または構成要素を全体として特許請求の範囲から除外する。
【0019】
「相補的」または「相補性」という用語は、本明細書で使用される場合、塩基対形成による、許容される塩および温度条件下でのポリヌクレオチドの自然な結合を指す。例えば、配列「A-G-T」は相補的配列「T-C-A」に結合する。2つの一本鎖分子間の相補性は「部分的」であり、ヌクレオチドの一部のみが結合するか、または一本鎖分子間に完全な相補性が存在する場合に完全である。核酸鎖間の相補性の程度は、核酸鎖間のハイブリダイゼーションの効率および強度に顕著な影響を及ぼす。
【0020】
「相補性」は、本明細書で使用される場合、コンパレーターヌクレオチド配列との100%の相補性または同一性を意味するか、またはそれは、100%未満の相補性(例えば、約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%などの相補性)を意味する。相補的または相補可能は、変異に対して「相補的」または変異を「相補すること」の観点で使用することもできる。
【0021】
本明細書で使用される場合、「CRISPRファージ」、「CRISPR増強ファージ」、および「crファージ」という用語は、CRISPR-Casシステムの少なくとも1つの構成要素をコードする少なくとも1つの異種ポリヌクレオチドを含むバクテリオファージDNAを含むバクテリオファージ粒子を指す(例えば、CRISPRアレイ、crRNA、例えば、標的化crRNAの挿入を含むP1バクテリオファージ)。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、CRISPR-Casシステムの少なくとも1つの転写活性化因子をコードする。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、CRISPR-Casシステムの抗CRISPRポリペプチドの少なくとも1つの成分をコードする。
【0022】
本明細書で使用される場合、2つの核酸分子、ヌクレオチド配列またはタンパク質配列の状況における「実質的に同一」または「実質的な同一性」という語句は、以下の配列比較アルゴリズムのいずれかを使用して、または目視検査によって測定されるような、最大の一致のために比較および整列された場合に、少なくとも約50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、および/または100%のヌクレオチドまたはアミノ酸残基の同一性を有する2つ以上の配列または部分配列を指す。いくつかの実施形態において、実質的な同一性は、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、96%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する2つ以上の配列または部分配列を指す。配列比較のために、通常、1つの配列が参照配列として機能し、これに対してテスト配列が比較される。配列比較アルゴリズムを使用する場合、テスト配列と参照配列がコンピューターに入力され、必要に応じて部分配列座標が指定され、配列アルゴリズムプログラムパラメーターが指定される。次に、配列比較アルゴリズムは、指定されたプログラムパラメータに基づいて、参照配列に対するテスト配列の配列同一性パーセントを計算する。
【0023】
比較ウィンドウを整列させるための配列の最適な整列は、SmithおよびWatermanの局所相同性アルゴリズム、NeedlemanおよびWunschの相同性整列アルゴリズム、PearsonおよびLipmanの類似性方法の検索などのツールによって、および任意選択で、GCG(登録商標)Wisconsin Package(登録商標)(Accelrys Inc.,San Diego,CA)の一部として利用可能なGAP、BESTFIT、FASTA、TFASTAなどのこれらのアルゴリズムのコンピューター化された実装によって行われる。テスト配列と参照配列の整列されたセグメントの「同一性の割合」は、2つの整列された配列によって共有される同一の構成要素の数を、参照配列セグメント内の構成要素の総数、つまり参照配列全体、または参照配列のより小さな定義された部分で除算したものである。配列同一性パーセントは、同一性の割合に100を掛けたものとして表される。1つ以上のポリヌクレオチド配列の比較は、完全長ポリヌクレオチド配列またはその一部、あるいはより長いポリヌクレオチド配列に対するものである。いくつかの場合において、「同一性パーセント」は、翻訳されたヌクレオチド配列についてはBLASTXバージョン2.0を使用し、ポリヌクレオチド配列についてはBLASTNバージョン2.0を使用して決定される。
【0024】
本明細書で使用される場合、「標的ヌクレオチド配列」とは、標的遺伝子の部分(すなわち、ゲノム内の標的領域、またはプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列に隣接する「プロトスペーサー配列」)を指し、これは、CRISPRアレイのスペーサー配列に対して、完全に相補的または実質的に相補的である(例えば、少なくとも70%相補的(例えば、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上))。
【0025】
本明細書で使用される場合、「プロトスペーサー隣接モチーフ」または「PAM」という用語は、スペーサー配列に一致するヌクレオチド配列に隣接する標的DNA分子上に存在するDNA配列を指す。このモチーフは、スペーサー配列がその領域に相補的である結果として結合する領域の隣の標的遺伝子において見られ、スペーサーヌクレオチド配列との塩基対形成が始まる点を特定する。必要である正確なPAM配列は、異なるCRISPR-Casシステム間で各々変動する。PAMの非限定的な例には、CCA、CCT、CCG、TTC、AAG、AGG、ATG、GAG、および/またはCCが含まれる。いくつかの場合において、I型システムにおいて、PAMはスペーサーに一致する配列のすぐ5’に位置し、したがってスペーサーヌクレオチド配列と塩基対を形成する配列に対して3’に位置し、カスケードによって直接認識される。いくつかの場合において、B。halodurans I-C型システムについては、PAMはYYCであり、ここで、YはTまたはCのいずれかであり得る。いくつかの場合において、P.aeruginosa I-C型システムについては、PAMはTTCである。一旦、同族のプロトスペーサーとPAMが認識されると、Cas3が動員され、次いで標的DNAが切断および分解される。II型システムについては、Cas9/sgRNAがRループを形成して、ガイドRNAとゲノムのWatson-Crick対形成を通して特定のDNA配列を調べるために、PAMが必要とされる。PAM特異性は、Cas9タンパク質のDNA結合特異性の関数である(例えば、Cas9のC末端におけるプロトスペーサー隣接モチーフ認識ドメイン)。
【0026】
本明細書で使用される場合、「遺伝子」という用語は、mRNA、tRNA、rRNA、miRNA、抗マイクロRNA、調節RNAなどを生成するために使用することができる核酸分子を指す。遺伝子は、機能的なタンパク質または遺伝子産物を産生するために使用できる場合とできない場合がある。遺伝子には、コード領域と非コード領域(例えば、イントロン、調節エレメント、プロモーター、エンハンサー、終結配列、および/または5’および3’非翻訳領域)の両方が含まれる。遺伝子は「単離された」ものであり、これは、その天然状態の核酸に関連して通常見出される成分を実質的または本質的に含まない核酸を意味する。そのような成分には、他の細胞材料、組換え産生からの培養培地、および/または核酸を化学的に合成する際に使用される様々な化学物質が含まれる。
【0027】
「治療する」、「治療すること」、または「治療」という用語によって、対象の状態の重症度が減少されるか、少なくとも部分的に改善または修正されること、ならびに、少なくとも1つの臨床症状における、ある程度の軽減、緩和または減少が達成されること、ならびに/あるいは疾患もしくは状態の進行の遅延、および/または疾患もしくは病気の発症の遅延が存在することが意図される。感染、疾患または状態に関して、この用語は、感染、疾患または状態の症状または他の徴候の減少を指す。いくつかの実施形態において、治療は、感染、疾患または状態の症状または他の徴候の少なくとも約5%、例えば、約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%以上の減少を提供する。
【0028】
「予防する」、「予防すること」、および「予防」という用語(およびそれらの文法的変形)は、対象における感染、疾患、状態、および/もしくは臨床症状の発症の予防および/もしくは遅延、ならびに/または、疾患、状態、および/もしくは臨床症状の発症前に本明細書に開示された方法を実施しない場合に起こるであろうものと比較した、感染、疾患、状態および/または臨床症状の発症の重症度の低下を指す。したがって、いくつかの実施形態において、感染を防ぐために、食品、表面、医療器具およびデバイスは、本明細書に開示される組成物を用いて、および本明細書に開示される方法によって処理される。
【0029】
本明細書で使用される「感染症」、「疾患」、または「状態」に関する用語は、対象における任意の不都合な、ネガティブな、または有害な生理学的状態を指す。いくつかの実施形態において、「感染症」、「疾患」、または「状態」の原因は、対象内および/または対象上の標的細菌集団の存在である。いくつかの実施形態において、細菌集団は、1つ以上の標的細菌種を含む。いくつかの実施形態において、細菌集団中の1つ以上の細菌種は、1つ以上の細菌の1つ以上の系統を含む。いくつかの実施形態において、標的細菌集団は、急性または慢性である「感染」、「疾患」、または「状態」を引き起こす。いくつかの実施形態において、標的細菌集団は、局所的または全身性である「感染」、「疾患」、または「状態」を引き起こす。いくつかの実施形態において、標的細菌集団は、特発性である「感染」、「疾患」、または「状態」を引き起こす。いくつかの実施形態において、標的細菌集団は、呼吸器吸入、摂取、皮膚および創傷感染症、血流感染症、中耳感染症、胃腸管感染症、腹膜感染症、尿路感染症、泌尿生殖器管感染症、口腔軟組織感染症、腹腔内感染症、表皮または粘膜吸収、眼感染症(コンタクトレンズレンズ汚染を含む)、心内膜炎、嚢胞性線維症における感染症、関節プロテーゼ、歯科用インプラント、カテーテルおよび心臓インプラントなどの留置医療機器の感染、性的接触、ならびに/または院内および換気装置に関連する細菌性肺炎を含むがこれらに限定されない手段を通じて獲得される「感染症」、「疾患」、または「状態」を引き起こす。
【0030】
本明細書で使用される「個体」または「対象」という用語は、細菌が関与する感染症、疾患、または状態を有するか、または細菌に感受性である任意の動物を含む。したがって、いくつかの実施形態において、対象は、哺乳動物、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、甲殻類、または軟体動物である。哺乳動物の対象には、ヒト、非ヒト霊長類(例えば、ゴリラ、サル、ヒヒ、およびチンパンジーなど)、イヌ、ネコ、ヤギ、ウマ、ブタ、ウシ、ヒツジなど、および実験動物(例えば、ラット、モルモット、マウス、アレチネズミ、ハムスターなど)が含まれるが、これらに限定されない。鳥類の対象には、ニワトリ、アヒル、シチメンチョウ、ガチョウ、ウズラ、キジ、ペットとして飼われている鳥(インコ、オウム、コンゴウインコ、コカトゥー、カナリアなど)が含まれるが、これらに限定されない。魚類の対象には、水産養殖で使用される種(マグロ、サケ、ティラピア、ナマズ、コイ、トラウト、タラ、バス、スズキ、フエダイなど)が含まれるが、これらに限定されない。甲殻類の対象には、水産養殖で使用される種(例えば、エビ、クルマエビ、ロブスター、ザリガニ、カニなど)が含まれるが、これらに限定されない。軟体動物の対象には、水産養殖で使用される種(例えば、アワビ、ムール貝、カキ、アサリ、ホタテなど)が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、適切な対象は、雄性および雌性の両方、ならびに胚性(例えば、子宮内または卵内)、乳児、若年、青年、成人および老人の対象を含む、任意の年齢の対象を含む。いくつかの実施形態において、対象はヒトである。
【0031】
本明細書で使用される場合、核酸配列の文脈で「単離された」という用語は、その天然の環境から離れて存在する核酸配列である。
【0032】
本明細書で使用される場合、「発現カセット」は、関心対象のヌクレオチド配列を含む組換え核酸分子(例えば、本明細書に開示される組換え核酸分子およびCRISPRアレイ)を意味し、ここで、ヌクレオチド配列は、少なくとも対照配列(例えば、プロモーター)と作動可能に関連している。
【0033】
本明細書で使用される場合、「キメラ」は、少なくとも2つの構成要素が異なる供給源(例えば、異なる生物、異なるコード領域)に由来する核酸分子またはポリペプチドを指す。
【0034】
本明細書で使用される場合、「選択可能なマーカー」は、発現されたときにマーカーを発現する宿主細胞に別個の表現型を付与し、したがってそのような形質転換細胞を、マーカーを有さないものと区別することを可能にするヌクレオチド配列を意味する。
【0035】
本明細書で使用される場合、「ベクター」は、核酸(または複数の核酸)を細胞に移入し、送達し、または導入するための組成物を指す。
【0036】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」とは、生物学的ではなく、または他の方法で望ましくない材料を意味し、すなわち、この材料は、毒性などの望ましくない、いかなる生物学的効果も引き起こすことなく対象に投与される。
【0037】
本明細書で使用される場合、「バイオフィルム」という用語は、多糖のマトリックスに埋め込まれた微生物の蓄積を意味する。バイオフィルムは、固体の生物学的または非生物学的表面に形成され、医学的に重要であり、体内の微生物感染の80%以上を占める。
【0038】
本明細書で使用される場合、「インビボ」という用語は、対象の体内で起こる事象を説明するために使用される。
【0039】
本明細書で使用される場合、「インビトロ」という用語は、材料が得られる生物学的供給源から分離されるように、実験用試薬を保持するための容器に含まれて起こる事象を説明するために使用される。インビトロアッセイは、生細胞または死細胞が利用される細胞ベースのアッセイを包含することができる。インビトロアッセイはまた、無傷の細胞が利用されない無細胞アッセイを包含することができる。
【0040】
CRISPR/CASシステム
CRISPR-Casシステムは、細菌および古細菌に見出される自然に適応性のある免疫システムである。CRISPRシステムは、獲得免疫の一形態を提供する、侵入するファージやプラスミドに対する防御に関与するヌクレアーゼシステムである。一連のcas遺伝子およびそれらの系統発生的関係に基づいた、CRISPR-Casシステムの多様性が存在する。少なくとも6つの異なる型(IからVI)が存在し、I型は細菌と古細菌の両方で同定されたすべてのシステムの50%以上を表す。いくつかの実施形態において、I型、II型、II型、IV型、V型、またはVI型のCRISPR-Casシステムが本明細書で使用される。
【0041】
I型システムは、I-A型、I-B型、I-C型、I-D型、I-E型、I-F型、およびI-U型を含む7つのサブタイプに分けられる。I型CRISPR-Casシステムには、カスケードと呼ばれるマルチサブユニット複合体(抗ウイルス防御に関連する複合体用)、Cas3(標的DNAの分解の原因となるヌクレアーゼ、ヘリカーゼ、およびエキソヌクレアーゼ活性を有するタンパク質)、およびcrRNAをコードするCRISPRアレイ(カスケード複合体を安定化し、カスケードとCas3をDNA標的に方向付ける)が含まれる。カスケードはcrRNAと複合体を形成し、タンパク質-RNA対は、crRNA配列の5’末端と事前定義されたプロトスペーサーとの間の相補的な塩基対形成によってそのゲノム標的を認識する。この複合体は、crRNA内にコードされた領域および病原体ゲノム内のプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を介して、病原体DNAの相同遺伝子座に方向付けられる。塩基対形成は、crRNAと標的DNA配列の間で起こり、コンフォメーション変化を引き起こす。I-E型システムにおいて、PAMはカスケード内のCasAタンパク質によって認識され、次に隣接するDNAを巻き戻して、標的とcrRNAのスペーサー部分との間の塩基対形成の程度を評価する。十分な認識により、カスケードはCas3を動員および活性化する。次に、Cas3は非標的鎖にニックを入れ、この鎖を3’から5’の方向に分解し始める。
【0042】
I-C型システムにおいて、タンパク質Cas5、Cas8c、およびCas7は、カスケードエフェクター複合体を形成する。Cas5はプレ-crRNA(これは、マルチスペーサーアレイ、または2つのリピート間の単一スペーサーの形をとることができる)を処理して、残りのリピート配列と線形スペーサーから形成されたヘアピン構造で形作られる個々のcrRNAを生成する。次に、エフェクター複合体は処理されたcrRNAに結合し、DNAをスキャンしてPAM部位を特定する。I-C型システムにおいて、PAMはCas8cタンパク質によって認識され、次いでこれは、DNA二重鎖をほどくように作用する。PAMの3’の配列がエフェクター複合体に結合しているcrRNAスペーサーと一致する場合、複合体のコンフォメーション変化が起こり、Cas3がその部位に動員される。次に、Cas3は非標的鎖にニックを入れ、DNAの分解を開始する。
【0043】
いくつかの実施形態において、CRISPR-Casシステムは、標的細菌に対して内因性である。いくつかの実施形態において、CRISPR-Casシステムは、標的細菌に対して外因性である。いくつかの実施形態において、CRISPR-Casシステムは、I型CRISPR-Casシステムである。いくつかの実施形態において、CRISPR-Casシステムは、I-A型CRISPR-Casシステムである。いくつかの実施形態において、CRISPR-Casシステムは、I-B型CRISPR-Casシステムである。いくつかの実施形態において、CRISPR-Casシステムは、I-C型CRISPR-Casシステムである。いくつかの実施形態において、CRISPR-Casシステムは、P.aeruginosaに由来するI-C型CRISPR-Casシステムである。いくつかの実施形態において、CRISPR-Casシステムは、I-D型CRISPR-Casシステムである。いくつかの実施形態において、CRISPR-Casシステムは、I-E型CRISPR-Casシステムである。いくつかの実施形態において、CRISPR-Casシステムは、I-F型CRISPR-Casシステムである。いくつかの実施形態において、CRISPR-Casシステムは、I-U型CRISPR-Casシステムである。いくつかの実施形態において、CRISPR-Casシステムは、II型CRISPR-Casシステムである。いくつかの実施形態において、CRISPR-Casシステムは、III型CRISPR-Casシステムである。
【0044】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるCRISPRアレイのプロセシングは、以下のプロセスを含むが、これらに限定されない:1)プレ-crRNAをコードする核酸の転写、2)カスケードおよび/または、Cas6などのカスケードの特定のメンバーによるプレ-crRNAの認識、および(3)カスケードまたはCas6などのカスケードのメンバーによるプレ-crRNAの成熟型crRNAへのプロセシング。いくつかの実施形態において、I型CRISPRシステムの作用機序は、以下のプロセスを含むが、これらに限定されない:4)カスケードとの成熟crRNA複合体形成、5)複合体化した成熟crRNA/カスケード複合体による標的認識、および6)DNA分解をもたらす標的におけるヌクレアーゼ活性。
【0045】
CRISPRファージ
本明細書に開示されるのは、特定の実施形態において、CRISPR-Casシステムを含むバクテリオファージ組成物およびその使用方法である。
【0046】
バクテリオファージまたは「ファージ」は、一群の細菌ウイルスを表し、環境源から操作または供給される。個々のバクテリオファージの宿主範囲は通常狭く、このことは、ファージは細菌種の1つの系統または少数の系統に非常に特異的であり、この特異性により抗菌作用が独特になることを意味する。バクテリオファージは、宿主の細胞機構に応じて複製する細菌ウイルスである。バクテリオファージは、一般的に、ライフスタイルに応じて毒性または溶原性ファージに分類される。溶菌性バクテリオファージとしても知られる毒性バクテリオファージは、溶菌性複製のみを受けることができる。溶菌性バクテリオファージは宿主細胞に感染し、複製を何度も繰り返し、細胞溶解を引き起こして新しく作られたバクテリオファージ粒子を放出する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される溶菌性バクテリオファージは、それらの複製能力を保持している。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される溶菌性バクテリオファージは、細胞溶解を引き起こすそれらの能力を保持している。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される溶菌性バクテリオファージは、それらの複製能力および細胞溶解を引き起こす能力の両方を保持している。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、CRISPRアレイを含む。いくつかの実施形態において、CRISPRアレイは、細胞溶解を複製および/または引き起こすバクテリオファージの能力に影響を及ぼさない。テンペレート(temperate)または溶原性(lysogenic)バクテリオファージは、細菌ゲノムに組み込まれるか、染色体外プラスミドとして維持されるかのいずれかで、ファージが複製を停止し、宿主細胞内に安定して存在する溶原性を受ける可能性がある。溶原性(temperate)ファージも、対応する溶菌性バクテリオファージと同様に溶菌性複製を受ける可能性がある。溶原性ファージが溶解的に複製するか、感染時に溶原性を示すかは、増殖条件や細胞の生理学的状態を含むさまざまな要因に依存する。溶原性ファージがゲノムに組み込まれている細菌細胞は、溶原性細菌または溶原菌と呼ばれる。有害条件への曝露は、溶原性ファージの再活性化、溶原性状態の終了、およびファージによる溶菌性複製の再開を引き起こす可能性がある。このプロセスは誘導と呼ばれる。溶原状態の終了に有利な有害条件には、乾燥、UVまたは電離放射線への曝露、および変異原性化学物質への曝露が含まれる。これは、ファージ遺伝子の発現、組み込みプロセスの逆転、および溶菌増殖につながる。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される溶原性バクテリオファージは、溶菌性にされる。「溶原性遺伝子」という用語は、その遺伝子産物が溶原性ファージの溶原性を促進する任意の遺伝子を指す。溶原性遺伝子は、バクテリオファージの宿主ゲノムへの組み込みを促進するインテグラーゼタンパク質の場合のように、直接促進することができる。溶原性遺伝子は、溶菌性複製に必要な遺伝子の転写を防ぎ、溶原性の維持を促進するCI転写調節因子の場合のように、間接的に溶原性を促進することもできる。
【0047】
バクテリオファージは、3つの一般的なアプローチを使用して合成DNAをパッケージ化し、送達する。第1のアプローチでは、合成DNAは、通常は選択可能なマーカーを含む、標的化された様式でバクテリオファージゲノムに組換えられる。第2のアプローチでは、ファージ内の制限部位を使用して、インビトロで合成DNAを導入する。第3のアプローチでは、一般に、ファージパッケージング部位および溶菌性複製起点をコードするプラスミドがバクテリオファージ粒子のアセンブリーの一部としてパッケージングされる。得られるプラスミドは新造された(coined)「ファージミド」と呼ばれる。
【0048】
ファージは、進化の理由から、所与の細菌系統に限定されている。いくつかの場合において、それらの遺伝物質を不適合系統に注入することは逆効果である。したがって、ファージは、限られた断面の細菌系統に特異的に感染するように進化してきた。しかし、遺伝物質を広範囲の細菌に注入するファージがいくつか発見されている。古典的な例はP1ファージであり、これはさまざまな範囲のグラム陰性菌にDNAを注入することが示されている。
【0049】
本明細書に開示されるのは、いくつかの実施形態において、第1のスペーサー配列をコードする第1の核酸配列、またはそこから転写されるcrRNAを含むバクテリオファージであり、第1のスペーサー配列は、標的細菌中の標的遺伝子からの標的ヌクレオチド配列に相補的である。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、第1のスペーサー配列をコードする第1の核酸配列、またはそこから転写されるcrRNAを含み、第1のスペーサー配列は、バクテリオファージが溶菌性にされるという条件で、標的細菌中の標的遺伝子からの標的ヌクレオチド配列に相補的である。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは溶原性バクテリオファージである。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、溶原性遺伝子の除去、置き換え、または不活性化によって溶菌性にされる。いくつかの実施形態において、溶原性遺伝子は、バクテリオファージにおける溶原性サイクルの維持において役割を果たす。いくつかの実施形態において、溶原性遺伝子は、バクテリオファージにおける溶原性サイクルを確立することにおいて役割を果たす。いくつかの実施形態において、溶原性遺伝子は、溶原性サイクルの確立と、バクテリオファージにおける溶原性サイクルの維持の両方において役割を果たす。いくつかの実施形態において、溶原性遺伝子は、リプレッサー遺伝子である。いくつかの実施形態において、溶原性遺伝子は、cIリプレッサー遺伝子である。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、溶原性遺伝子の調節エレメントの除去によって溶菌性にされる。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、溶原性遺伝子のプロモーターの除去によって溶菌性にされる。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、溶原性遺伝子の機能的エレメントの除去によって溶菌性にされる。いくつかの実施形態において、溶原性遺伝子は、活性化因子遺伝子である。いくつかの実施形態において、溶原性遺伝子は、cII遺伝子である。いくつかの実施形態において、溶原性遺伝子は、lexA遺伝子である。いくつかの実施形態において、溶原性遺伝子は、int(インテグラーゼ)遺伝子である。いくつかの実施形態において、2つ以上の溶原性遺伝子は、バクテリオファージ溶原性サイクルの停止および/または溶菌サイクルの誘導を引き起こすために、除去、置き換え、または不活性化される。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、溶原性遺伝子に向けられた第2のスペーサーを含む第2のCRISPRアレイを介して溶菌性にされる。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、1つ以上の溶菌性遺伝子の挿入によって溶菌性にされる。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、溶菌サイクルの誘導に寄与する1つ以上の遺伝子の挿入によって溶菌性にされる。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、溶菌サイクルの誘導に寄与する1つ以上の遺伝子の発現を変化させることによって溶菌性にされる。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、表現型的に、溶原性バクテリオファージから溶菌性バクテリオファージに変化する。いくつかの実施形態において、表現型の変化は、溶原性が不可能であるため、バクテリオファージを溶菌性にするための自己標的化CRISPR-Casシステムを介する。いくつかの実施形態において、自己標的化CRISPR-Casは、プロファージゲノムからの自己標的化crRNAを含み、溶原菌を殺傷する。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、環境変化によって溶菌性にされる。いくつかの実施形態において、環境変化には、温度、pH、または栄養素の変化、抗生物質、過酸化水素、外来DNA、またはDNA損傷剤への曝露、有機炭素の存在、および重金属(例えば、クロム(VI)の形で)の存在が含まれるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、溶菌性にされるバクテリオファージは、溶原性状態に戻ることが防止される。いくつかの実施形態において、溶菌性にされるバクテリオファージは、追加のCRIPSRアレイを導入することによって、溶原性状態に戻ることが防止される。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、バクテリオファージの溶菌活性および/またはCRISPRアレイの活性によって引き起こされる細胞死を超えて、標的細菌にいかなる新たな特性も付与しない。さらに本明細書で開示されるのは、いくつかの実施形態において、第1のスペーサー配列をコードする第1の核酸配列またはそこから転写されるcrRNAを含む溶原性バクテリオファージであり、第1のスペーサー配列は、バクテリオファージは溶菌性にされるという条件下で、標的細菌中の標的遺伝子からの標的ヌクレオチド配列に相補的である。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、複数の細菌系統に感染する。いくつかの実施形態において、標的ヌクレオチド配列は、標的遺伝子のプロモーター配列の全部または一部を含む。いくつかの実施形態において、標的ヌクレオチド配列は、標的遺伝子の転写領域のコード鎖上に位置するヌクレオチド配列の全部または一部を含む。いくつかの実施形態において、標的ヌクレオチド配列は、標的細菌の生存に必要とされる必須遺伝子の少なくとも一部を含む。いくつかの実施形態において、必須遺伝子は、Tsf、acpP、gapA、infA、secY、csrA、trmD、ftsA、fusA、glyQ、eno、nusG、dnaA、dnaS、pheS、rplB、gltX、hisS、rplC、aspS、gyrB、glnS、dnaE、rpoA、rpoB、pheT、infB、rpsC、rplF、alaS、leuS、serS、rplD、gyrA、またはmetKである。いくつかの実施形態において、標的ヌクレオチド配列は、非必須遺伝子内にある。いくつかの実施形態において、標的ヌクレオチド配列は、非コード配列である。いくつかの実施形態において、非コード配列は遺伝子間配列である。いくつかの実施形態において、スペーサー配列は、標的細菌において高度に保存された配列の標的ヌクレオチド配列に相補的である。いくつかの実施形態において、スペーサー配列は、標的細菌に存在する配列の標的ヌクレオチド配列に相補的である。いくつかの実施形態において、スペーサー配列は、必須遺伝子のプロモーター配列の全部または一部を含む標的ヌクレオチド配列に相補的である。いくつかの実施形態において、第1の核酸配列は、少なくとも1つのリピート配列を含む第1のCRISPRアレイを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのリピート配列は、その5’末端またはその3’末端のいずれかで第1のスペーサー配列に作動可能に連結される。いくつかの実施形態において、標的細菌は、C.difficileである。
【0050】
いくつかの実施形態において、バクテリオファージまたはファージミドDNAは、溶原性(lysogenic)またはテンペレート(temperate)バクテリオファージに由来する。いくつかの実施形態において、バクテリオファージまたはファージミドには、P1ファージ、M13ファージ、λファージ、T4ファージ、T7ファージ、T7mファージ、φC2ファージ、φCD27ファージ、φNM1ファージ、Bc431 v3ファージ、φ10ファージ、φ25ファージ、φ151ファージ、A511様ファージ、B054、0176様ファージ、またはCampylobacterファージ(NCTC12676およびNCTC12677など)が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、φCD146 C.difficileバクテリオファージである。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、φCD24-2 C.difficileバクテリオファージである。
【0051】
いくつかの実施形態において、複数のバクテリオファージが一緒に使用される。いくつかの実施形態において、一緒に使用される複数のバクテリオファージは、サンプルまたは対象内の同じまたは異なる細菌を標的とする。いくつかの実施形態において、一緒に使用されるバクテリオファージは、T4ファージ、T7ファージ、T7mファージ、または本明細書に記載のバクテリオファージの任意の組み合わせを含む。
【0052】
いくつかの実施形態において、関心対象のバクテリオファージは、環境源または商業研究ベンダーから得られる。いくつかの実施形態において、得られたバクテリオファージは、細菌のライブラリーおよびそれらの関連系統に対する溶菌活性についてスクリーニングされる。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、スクリーニングされた細菌において一次耐性を生成するそれらの能力について、細菌のライブラリーおよびそれらの関連系統に対してスクリーニングされる。
【0053】
いくつかの実施形態において、核酸は、バクテリオファージゲノムに挿入される。いくつかの実施形態において、核酸は、crアレイ、Casシステム、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、核酸は、関心対象のオペロンの末端の転写ターミネーター部位でバクテリオファージゲノムに挿入される。いくつかの実施形態において、核酸は、1つ以上の除去された非必須遺伝子の置き換えとしてバクテリオファージゲノムに挿入される。いくつかの実施形態において、核酸は、1つ以上の除去された溶原性遺伝子の置き換えとしてバクテリオファージゲノムに挿入される。いくつかの実施形態において、非必須および/または溶原性遺伝子の核酸による置き換えは、バクテリオファージの溶菌活性を増強する。いくつかの実施形態において、非必須および/または溶原性遺伝子の核酸による置き換えは、溶原性バクテリオファージを溶菌性にする。
【0054】
いくつかの実施形態において、核酸は、第1の位置でバクテリオファージゲノムに導入され、一方、1つ以上の非必須および/または溶原性遺伝子は、別個の位置でバクテリオファージゲノムから別個に除去および/または不活化される。いくつかの実施形態において、1つ以上の非必須および/または溶原性遺伝子の除去は、溶原性バクテリオファージを溶菌性バクテリオファージにする。同様に、いくつかの実施形態において、1つ以上の溶菌性遺伝子がバクテリオファージに導入されて、非溶菌性の溶原性バクテリオファージを溶菌性バクテリオファージにする。
【0055】
いくつかの実施形態において、1つ以上の非必須および/または溶原性遺伝子の置き換え、除去、不活性化、またはそれらの任意の組み合わせは、化学的、生化学的、および/または任意の適切な方法によって達成される。いくつかの実施形態において、1つ以上の溶菌性遺伝子の挿入は、任意の適切な化学的、生化学的、および/または相同組換えによる物理的方法によって達成される。
【0056】
いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、φCD146 C.difficileバクテリオファージである。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、φCD24-2 C.difficileバクテリオファージである。
【0057】
いくつかの実施形態において、バクテリオファージから除去および/または置き換えされる非必須遺伝子は、バクテリオファージの生存に必須ではない遺伝子である。いくつかの実施形態において、バクテリオファージから除去および/または置き換えされる非必須遺伝子は、溶菌サイクルの誘導および/または維持に必須ではない遺伝子である。いくつかの実施形態において、バクテリオファージから除去および/または置き換えされる非必須遺伝子は、φCD146 C.difficileバクテリオファージからのgp49である。いくつかの実施形態において、バクテリオファージから除去および/または置き換えされる非必須遺伝子は、φCD24-2 C.difficileバクテリオファージからのgp75である。
【0058】
本明細書に開示されるのは、特定の実施形態において、完全な外因性CRISPR-Casシステムを含むバクテリオファージである。いくつかの実施形態において、CRISPR-Casシステムは、I型CRISPR-Casシステム、II型CRISPR-Casシステム、III型CRISPR-Casシステム、IV型CRISPR-Casシステム、V型CRISPR-Casシステム、またはVI型CRISPR-Casシステムである。特定の実施形態において、本明細書に開示されるのは、(a)CRISPRアレイ、(b)カスケードポリペプチド、および(c)Cas3ポリペプチドを含むI型CRISPR-Casシステムをコードする核酸配列を含むバクテリオファージである。
【0059】
CRISPRアレイ
いくつかの実施形態において、CRISPRアレイ(crアレイ)は、スペーサー配列および少なくとも1つのリピート配列を含む。いくつかの実施形態において、CRISPRアレイは、処理された成熟crRNAをコードする。いくつかの実施形態において、成熟crRNAは、ファージまたは標的細菌に導入される。いくつかの実施形態において、内因性または外因性のCas6は、CRISPRアレイを成熟型crRNAにプロセシングする。いくつかの実施形態において、外因性Cas6は、ファージに導入される。いくつかの実施形態において、ファージは、外因性Cas6を含む。いくつかの実施形態において、外因性Cas6は、標的細菌に導入される。
【0060】
いくつかの実施形態において、CRISPRアレイは、スペーサー配列を含む。いくつかの実施形態において、CRISPRアレイは、少なくとも1つのリピート配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのリピート配列は、その5’末端またはその3’末端のいずれかでスペーサー配列に作動可能に連結される。いくつかの実施形態において、CRISPRアレイは任意の長さであり、1つ以上の必須遺伝子を標的とすることによって標的細菌の所望のレベルの殺傷を達成するために必要なリピートヌクレオチド配列と交互になっている任意の数のスペーサーヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態において、CRISPRアレイは、1から約100のスペーサーヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなり、それぞれがその5’末端およびその3’末端でリピートヌクレオチド配列に連結される。いくつかの実施形態において、CRISPRアレイは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、またはそれ以上のスペーサーヌクレオチド配列を含むか、本質的になるか、またはそれからなる。
【0061】
スペーサー配列
いくつかの実施形態において、スペーサー配列は、標的細菌における標的ヌクレオチド配列に相補的である。いくつかの実施形態において、標的ヌクレオチド配列は、コード領域である。いくつかの実施形態において、コード領域は必須遺伝子である。いくつかの実施形態において、コード領域は、非必須遺伝子である。いくつかの実施形態において、標的ヌクレオチド配列は、非コード配列である。いくつかの実施形態において、非コード配列は遺伝子間配列である。いくつかの実施形態において、スペーサー配列は、標的細菌において高度に保存された配列の標的ヌクレオチド配列に相補的である。いくつかの実施形態において、スペーサー配列は、標的細菌に存在する配列の標的ヌクレオチド配列に相補的である。いくつかの実施形態において、スペーサー配列は、必須遺伝子のプロモーター配列の全部または一部を含む標的ヌクレオチド配列に相補的である。いくつかの実施形態において、スペーサー配列は、標的ヌクレオチド配列と比較して、1つ、2つ、3つ、4つ、または5つのミスマッチを含む。いくつかの実施形態において、ミスマッチは隣接している。いくつかの実施形態において、ミスマッチは連続していない。いくつかの実施形態において、スペーサー配列は、標的ヌクレオチド配列に対して70%の相補性を有する。いくつかの実施形態において、スペーサー配列は、標的ヌクレオチド配列に対して80%の相補性を有する。いくつかの実施形態において、スペーサー配列は、標的ヌクレオチド配列に対して85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の相補性である。いくつかの実施形態において、スペーサー配列は、標的ヌクレオチド配列に対して100%の相補性を有する。いくつかの実施形態において、スペーサー配列は、長さが少なくとも約8ヌクレオチドから約150ヌクレオチドである標的ヌクレオチド配列の領域にわたって完全な相補性または実質的な相補性を有する。いくつかの実施形態において、スペーサー配列は、長さが少なくとも約20ヌクレオチドから約100ヌクレオチドである標的ヌクレオチド配列の領域にわたって完全な相補性または実質的な相補性を有する。いくつかの実施形態において、スペーサー配列の5’領域は、標的ヌクレオチド配列に対して100%相補的であり、一方、スペーサーの3’領域は、標的ヌクレオチド配列に対して実質的に相補的であり、したがって、標的ヌクレオチドに対するスペーサー配列の全体的な相補性は100%未満である。例えば、いくつかの実施形態において、20ヌクレオチドスペーサー配列(シード領域)の3’領域の最初の7、8、9、10、11、12、13、14、15、16ヌクレオチドは、標的ヌクレオチド配列に対して100%相補的であり、一方、スペーサー配列の5’領域の残りのヌクレオチドは、標的ヌクレオチド配列に対して実質的に相補的である(例えば、少なくとも約70%相補的である)。いくつかの実施形態において、スペーサー配列の3’末端の最初の7から12ヌクレオチドは、標的ヌクレオチド配列に100%相補的であり、一方、スペーサー配列の5’領域の残りのヌクレオチドは、標的ヌクレオチド配列に対して実質的に相補的である(例えば、少なくとも約50%相補的(例えば、50%、55%、60%、65%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上))。いくつかの実施形態において、スペーサー配列の3’末端の最初の7から10ヌクレオチドは、標的ヌクレオチド配列に対して75%-99%相補的であり、一方、スペーサー配列の5’領域の残りのヌクレオチドは、標的ヌクレオチド配列に対して少なくとも約50%から約99%相補的である。いくつかの実施形態において、スペーサー配列の3’末端の最初の7から10ヌクレオチドは、標的ヌクレオチド配列に対して100%相補的であり、一方、スペーサー配列の5’領域の残りのヌクレオチドは、実質的に相補的である(例えば、少なくとも標的ヌクレオチド配列に対して約70%相補的)。いくつかの実施形態において、スペーサー配列の最初の10ヌクレオチド(シード領域内)は、標的ヌクレオチド配列に対して100%相補的であり、一方、スペーサー配列の5’領域の残りのヌクレオチドは、実質的に相補的である(例えば、標的ヌクレオチド配列に対して少なくとも約70%相補的)。いくつかの実施形態において、スペーサー配列の5’領域(例えば、5’末端の最初の8ヌクレオチド、5’末端の最初の10ヌクレオチド、5’末端の最初の15ヌクレオチド、5’末端の最初の20ヌクレオチド)は、標的ヌクレオチド配列に対して約75%以上の相補性(75%から約100%の相補性)を有し、一方、スペーサー配列の残りは、標的ヌクレオチド配列に対して約50%以上の相補性を有する。いくつかの実施形態において、スペーサー配列の5’末端の最初の8ヌクレオチドは、標的ヌクレオチド配列に対して100%の相補性を有するか、または1つまたは2つの変異を有し、したがって、標的ヌクレオチド配列に対して、それぞれ、約88%相補的または約75%相補的であり、一方。スペーサーヌクレオチド配列の残りは、標的ヌクレオチド配列に対して少なくとも約50%以上相補的である。
【0062】
いくつかの実施形態において、スペーサー配列は、長さが約15ヌクレオチドから約150ヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、スペーサーヌクレオチド配列は、長さが約15ヌクレオチドから約100ヌクレオチドである(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100ヌクレオチド以上)。いくつかの実施形態において、スペーサーヌクレオチド配列は、約8から約150ヌクレオチド、約8から約100ヌクレオチド、約8から約50ヌクレオチド、約8から約40ヌクレオチド、約8から約30ヌクレオチド、約8から約25ヌクレオチド、約8から約20ヌクレオチド、約10から約150ヌクレオチド、約10から約100ヌクレオチド、約10から約80ヌクレオチド、約10から約50ヌクレオチド、約10から約40ヌクレオチド、約10から約30ヌクレオチド、約10から約25ヌクレオチド、約10から約20ヌクレオチド、約15から約150ヌクレオチド、約15から約100ヌクレオチド、約15から約50ヌクレオチド、約15から約40ヌクレオチド、約15から約30ヌクレオチド、約20から約150ヌクレオチドヌクレオチド、約20から約100ヌクレオチドヌクレオチド、約20から約80ヌクレオチドヌクレオチド、約20から約50ヌクレオチドヌクレオチド、約20から約40ヌクレオチド、約20から約30ヌクレオチド、約20から約25ヌクレオチド、少なくとも約8ヌクレオチド、少なくとも約10ヌクレオチド、少なくとも約15ヌクレオチド、少なくとも約20ヌクレオチド、少なくとも約25ヌクレオチド、少なくとも約30ヌクレオチド、少なくとも約32ヌクレオチド、少なくとも約35ヌクレオチド、少なくとも約40ヌクレオチド、少なくとも約44ヌクレオチド、少なくとも約50ヌクレオチド、少なくとも約60ヌクレオチド、少なくとも約70ヌクレオチド、少なくとも約80ヌクレオチド、少なくとも約90ヌクレオチド、少なくとも約100ヌクレオチド、少なくとも約110ヌクレオチド、少なくとも約120ヌクレオチド、少なくとも約130ヌクレオチド、少なくとも約140ヌクレオチド、少なくとも約150ヌクレオチドの長さ、またはそれ以上、およびその中の任意の値または範囲である。いくつかの実施形態において、P.aeruginosa I-C型Casシステムは、約30から39ヌクレオチド、約31から約38ヌクレオチド、約32から約37ヌクレオチド、約33から約36ヌクレオチド、約34から約35ヌクレオチド、または約35ヌクレオチドのスペーサー長を有する。いくつかの実施形態において、P.aeruginosa I-C型 Casシステムは、約34ヌクレオチドのスペーサー長を有する。いくつかの実施形態において、P.aeruginosa I-C型Casシステムは、少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約21、少なくとも約22、少なくとも約23、少なくとも約24、少なくとも約25、少なくとも約26、少なくとも約27、少なくとも約29、少なくとも約29、少なくとも約30、少なくとも約31、少なくとも約32、少なくとも約33、少なくとも約34、少なくとも約、少なくとも約35、少なくとも約36、少なくとも約37、少なくとも約38、少なくとも約39、少なくとも約20、少なくとも約41、少なくとも約42、少なくとも約43、少なくとも約44、少なくとも約45、または約45ヌクレオチド超のスペーサー長を有する。
【0063】
いくつかの実施形態において、スペーサー配列は、配列番号12-22のいずれか1つに対して、少なくともまたは約70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を含む。いくつかの場合において、スペーサー配列は、配列番号12-22のいずれか1つに対して少なくともまたは約95%の相同性を含む。いくつかの場合において、スペーサー配列は、配列番号12-22のいずれか1つに対して少なくともまたは約97%の相同性を含む。いくつかの場合において、スペーサー配列は、配列番号12-22のいずれか1つに対して少なくともまたは約99%の相同性を含む。いくつかの場合において、スペーサー配列は、配列番号12-22のいずれか1つに対して100%の相同性を含む。いくつかの場合において、スペーサー配列は、配列番号12-22のいずれか1つの、少なくともまたは約3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、または。の34を超えるヌクレオチドを有する少なくとも一部を含む。
【0064】
「配列同一性」という用語は、2つのポリヌクレオチド配列が、比較のウィンドウにわたって同一である(すなわち、ヌクレオチド対ヌクレオチドベースで)ことを意味する。「配列同一性のパーセンテージ」という用語は、比較のウィンドウ全体で2つの最適に整列された配列を比較すること、同一の核酸塩基(例えば、A、T、C、G、U、またはI)が存在する位置の数を決定することによって、両方の配列で発生して一致する位置の数を算出すること、一致する位置の数を比較ウィンドウ内の位置の総数(つまり、ウィンドウサイズ)で除算すること、および結果に100を掛けて配列の同一性のパーセンテージを算出することによって計算される。
【0065】
2つのタンパク質間の「相同性」または「類似性」という用語は、アミノ酸配列および1つのタンパク質配列のその保存されたアミノ酸置き換え物を第2のタンパク質配列と比較することによって決定される。類似性は、当技術分野でよく知られている手順、例えば、BLASTプログラム(Basic Local Alignment Search Tool at the National Center for Biological Information)によって決定され得る。
【0066】
いくつかの実施形態において、CRISPRアレイの2つ以上のスペーサー配列の同一性は同じである。いくつかの実施形態において、CRISPRアレイの2つ以上のスペーサー配列の同一性は異なる。いくつかの実施形態において、CRISPRアレイの2つ以上のスペーサー配列の同一性は異なるが、1つ以上の標的ヌクレオチド配列に相補的である。いくつかの実施形態において、CRISPRアレイの2つ以上のスペーサー配列の同一性は異なり、重複する配列である1つ以上の標的ヌクレオチド配列に相補的である。いくつかの実施形態において、CRISPRアレイの2つ以上のスペーサー配列の同一性は異なり、重複する配列ではない1つ以上の標的ヌクレオチド配列に相補的である。いくつかの実施形態において、標的ヌクレオチド配列は、生物のゲノム中のPAM配列(標的領域のすぐ3’に位置するPAM配列)に直接隣接して位置する長さ約10から約40の連続したヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、標的ヌクレオチド配列は、PAM(プロトスペーサー隣接モチーフ)に隣接して位置しているか(located adjacent)または側面に隣接している(flanked)。いくつかの実施形態において、CRISPRアレイの2つ以上の配列は、配列番号12-22のいずれか1つに対して、少なくともまたは約70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を含む。いくつかの場合において、CRISPRアレイの2つ以上の配列は、配列番号12-22のいずれか1つに対して少なくともまたは約95%の相同性を含む。いくつかの場合において、CRISPRアレイの2つ以上の配列は、配列番号12-22のいずれか1つに対して少なくともまたは約97%の相同性を含む。いくつかの場合において、CRISPRアレイの2つ以上の配列は、配列番号12-22のいずれか1つに対して少なくともまたは約99%の相同性を含む。いくつかの場合において、CRISPRアレイの2つ以上の配列は、配列番号12-22のいずれか1つに対して100%の相同性を含む。いくつかの場合において、CRISPRアレイの2つ以上の配列は、配列番号12-22のいずれか1つの少なくともまたは約3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34ヌクレオチド、または34を超えるヌクレオチドを有する部分を少なくとも含む。
【0067】
いくつかの実施形態において、CRISPRアレイは、配列番号12-15のいずれか1つに対して、少なくともまたは約70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を含む第1のスペーサー配列、配列番号16-18のいずれか1つに対して、少なくともまたは約70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を含む第2のスペーサー配列、配列番号19-21のいずれか1つに対して、少なくともまたは約70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を含む第3のスペーサー配列を含み、ここで、
上記第1のスペーサー配列、第2のスペーサー配列、および第3のスペーサー配列は0から8ヌクレオチドの修飾を含む。いくつかの場合において、第1のスペーサー配列は、配列番号12-15のいずれか1つに対して少なくともまたは約97%の相同性を含み、第2のスペーサー配列は、配列番号16-18のいずれか1つに対して少なくともまたは約97%の相同性を含み、そして第3のスペーサー配列は、配列番号20-23のいずれか1つに対して少なくともまたは約97%の相同性を含む。いくつかの場合において、第1のスペーサー配列は、配列番号12-15のいずれか1つに対して少なくともまたは約99%の相同性を含み、第2のスペーサー配列は、配列番号16-18のいずれか1つに対して少なくともまたは約99%の相同性を含み、そして第3のスペーサー配列は、配列番号19-21のいずれか1つに対して少なくともまたは約99%の相同性を含む。いくつかの場合において、第1のスペーサー配列は、配列番号12-15のいずれか1つに対して少なくともまたは約100%の相同性を含み、第2のスペーサー配列は、配列番号16-19のいずれか1つに対して少なくともまたは約100%の相同性を含み、そして第3のスペーサー配列は、配列番号19-21のいずれか1つに対して少なくともまたは約100%の相同性を含む。
【0068】
いくつかの実施形態において、CRISPRアレイは、配列番号12に対して少なくともまたは約70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する第1のスペーサー配列、配列番号16に対して少なくともまたは約70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を含む第2のスペーサー配列、配列番号20に対して少なくともまたは約70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を含む第3のスペーサー配列を含み、ここで、上記第1のスペーサー配列、第2のスペーサー配列、および第3のスペーサー配列は0~8ヌクレオチド修飾を含む、。いくつかの場合において、第1のスペーサー配列は、配列番号12に対して少なくともまたは約97%の相同性を含み、第2のスペーサー配列は、配列番号16に対して少なくともまたは約97%の相同性を含み、そして第3のスペーサー配列は、配列番号19に対して少なくともまたは約97%の相同性を含む。いくつかの場合において、第1のスペーサー配列は、配列番号12に対して少なくともまたは約99%の相同性を含む。第2のスペーサー配列は、配列番号16に対して少なくともまたは約99%の相同性を含む。第3のスペーサー配列は、配列番号19に対して少なくともまたは約99%の相同性を含む。いくつかの場合において、第1のスペーサー配列は、配列番号12に対して少なくともまたは約100%の相同性を含み、第2のスペーサー配列は、配列番号16に対して少なくともまたは約100%の相同性を含み、そして第3のスペーサー配列は、配列番号19に対して少なくともまたは約100%の相同性を含む。
【0069】
いくつかの実施形態において、CRISPRアレイは、配列番号13に対して少なくともまたは約70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を含む第1のスペーサー配列、配列番号17に対して少なくともまたは約70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を含む第2のスペーサー配列、および配列番号20に対して少なくともまたは約70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を含む第3のスペーサー配列を含み、ここで、上記第1のスペーサー配列、第2のスペーサー配列、および第3のスペーサー配列は0~8ヌクレオチド修飾を含む。いくつかの場合において、第1のスペーサー配列は、配列番号13に対して少なくともまたは約97%の相同性を含み、第2のスペーサー配列は、配列番号17に対して少なくともまたは約97%の相同性を含み、そして第3のスペーサー配列は、配列番号20に対して少なくともまたは約97%の相同性を含む。いくつかの場合において、第1のスペーサー配列は、配列番号13に対して少なくともまたは約99%の相同性を含み、第2のスペーサー配列は、配列番号17に対して少なくともまたは約99%の相同性を含み、そして第3のスペーサー配列は、配列番号20に対して少なくともまたは約99%の相同性を含む。いくつかの場合において、第1のスペーサー配列は、配列番号13に対して少なくともまたは約100%の相同性を含み、第2のスペーサー配列は、配列番号17に対して少なくともまたは約100%の相同性を含み、そして第3のスペーサー配列は、配列番号20に対して少なくともまたは約100%の相同性を含む。
【0070】
いくつかの実施形態において、CRISPRアレイは、配列番号14に対して少なくともまたは約70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を含む第1のスペーサー配列、配列番号18に対して少なくともまたは約70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を含む第2のスペーサー配列、および配列番号21に対して少なくともまたは約70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を含む第3のスペーサー配列を含み、ここで、上記第1のスペーサー配列、第2のスペーサー配列、および第3のスペーサー配列は、0~8ヌクレオチド修飾を含む。いくつかの場合において、第1のスペーサー配列は、配列番号14に対して少なくともまたは約97%の相同性を含み、第2のスペーサー配列は、配列番号18に対して少なくともまたは約97%の相同性を含み、そして第3のスペーサー配列は、配列番号21に対して少なくともまたは約97%の相同性を含む。いくつかの場合において、第1のスペーサー配列は、配列番号14に対して少なくともまたは約99%の相同性を含み、第2のスペーサー配列は、配列番号18に対して少なくともまたは約99%の相同性を含み、そして第3のスペーサー配列は、配列番号21に対して少なくともまたは約99%の相同性を含む。いくつかの場合において、第1のスペーサー配列は、配列番号14に対して少なくともまたは約100%の相同性を含み、第2のスペーサー配列は、配列番号18に対して少なくともまたは約100%の相同性を含み、そして第3のスペーサー配列は、配列番号21に対して少なくともまたは約100%の相同性を含む。
【0071】
PAM配列は、その領域に対して相補的であることの結果としてスペーサー配列が結合する領域の隣の標的遺伝子に見出され、スペーサーヌクレオチド配列との塩基対形成が開始する点を特定する。必要である正確なPAM配列は、異なるCRISPR-Casシステムごとに変動し、確立されたバイオインフォマティクスと実験の手順によって識別される。PAMの非限定的な例には、CCA、CCT、CCG、TTC、AAG、AGG、ATG、GAG、および/またはCCが含まれる。I型システムの場合、PAMはスペーサーに一致する配列のすぐ5’に位置し、したがってスペーサーヌクレオチド配列と塩基対を形成する配列の3’に位置し、カスケードによって直接認識される。一旦プロトスペーサーが認識されると、カスケードは一般にエンドヌクレアーゼCas3を動員し、標的DNAを切断および分解する。II型システムの場合、Cas9/sgRNAがRループを形成して、ガイドRNAとゲノムのWatson-Crickペアリングを介して特定のDNA配列を調べるには、PAMが必要である。PAM特異性は、Cas9タンパク質のDNA結合特異性の関数である(例えば、Cas9のC末端にあるプロトスペーサー隣接モチーフ認識ドメイン)。
【0072】
いくつかの実施形態において、殺傷される細菌中の標的ヌクレオチド配列は、関心対象の任意の必須の標的ヌクレオチド配列である。いくつかの実施形態において、標的ヌクレオチド配列は、必須ではない配列である。いくつかの実施形態において、標的ヌクレオチド配列は、必須遺伝子のプロモーターをコードするヌクレオチド配列またはその相補体の全部または一部を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態において、スペーサーヌクレオチド配列は、必須遺伝子のプロモーターまたはその一部に相補的である。いくつかの実施形態において、標的ヌクレオチド配列は、必須遺伝子のコード鎖または非コード鎖に位置するヌクレオチド配列の全部または一部を含む。いくつかの実施形態において、標的ヌクレオチド配列は、必須遺伝子の転写領域のコーディング上に位置するヌクレオチド配列の全部または一部を含む。
【0073】
いくつかの実施形態において、必須遺伝子は、その生存のために決定的に重要である生物の任意の遺伝子である。しかし、必須であることは、生物が住んでいる状況に大きく依存する。例えば、デンプンを消化するために必要とされる遺伝子は、デンプンが唯一のエネルギー源である場合にのみ必須である。いくつかの実施形態において、標的ヌクレオチド配列は、標的遺伝子のプロモーター配列の全部または一部を含む。いくつかの実施形態において、標的ヌクレオチド配列は、標的遺伝子の転写領域のコード鎖上に位置するヌクレオチド配列の全部または一部を含む。いくつかの実施形態において、標的ヌクレオチド配列は、標的細菌の生存に必要とされる必須遺伝子の少なくとも一部を含む。いくつかの実施形態において、必須遺伝子は、Tsf、acpP、gapA、infA、secY、csrA、trmD、ftsA、fusA、glyQ、eno、nusG、dnaA、dnaS、pheS、rplB、gltX、hisS、rplC、aspS、gyrB、glnS、dnaE、rpoA、rpoB、pheT、infB、rpsC、rplF、alaS、leuS、serS、rplD、gyrA、またはmetK。いくつかの実施形態において、非必須遺伝子は、生存にとって決定的に重要ではない生物の任意の遺伝子である。しかし、本質的でないことは、生物が生きている状況に大きく依存する。
【0074】
いくつかの実施形態において、関心対象の標的ヌクレオチド配列の非限定的な例には、転写調節因子、翻訳調節因子、ポリメラーゼ遺伝子、代謝酵素、トランスポーター、RNase、プロテアーゼ、DNA複製酵素、DNA修飾または分解酵素、調節RNA、転移RNA、またはリボソームRNAをコードする標的ヌクレオチド配列が含まれる。いくつかの実施形態において、標的ヌクレオチド配列は、細胞分裂、細胞構造、代謝、運動性、病原性、毒性、または抗生物質耐性に関与する遺伝子に由来する。いくつかの実施形態において、標的ヌクレオチド配列は、その機能がまだ特徴付けられていない仮想の遺伝子に由来する。したがって、例えば、これらの遺伝子は、任意の細菌からの任意の遺伝子である。
【0075】
完全な構築物ファージのための適切なスペーサー配列は、代表的なゲノムの検索セットを位置付けすること、関連するパラメーターでゲノムを検索すること、CRISPR操作ファージにおける使用のためのスペーサーの品質を決定することによって特定され得る。
【0076】
最初に、代表的なゲノムの適切な検索セットが位置付けされ、関心対象の生物/種/標的のために取得される。代表的なゲノムのセットは、NCBI genbankまたはPATRICデータベースを含むがこれらに限定されない、さまざまなデータベースで見つけることができる。NCBI genbankは、利用可能な最大のデータベースの1つであり、これまでに配列決定されたほぼすべての生物の参照ゲノムと提出されたゲノムの混合物が含まれている。具体的には、病原性原核生物の場合、PATRIC(Pathosystems Resource Integration Center)データベースは、ゲノムの追加の包括的なリソースを提供し、臨床的に関連する系統および医薬品に関連するゲノムに焦点を当てる。上記のデータベースは両方とも、FTP(ファイル転送プロトコル)サーバーを介したゲノムの一括ダウンロードを許容し、迅速かつプログラム可能なデータセットの取得を可能にしている。
【0077】
次に、適切なスペーサー配列を位置付けするために、関連するパラメーターを用いてゲノムを検索する。ゲノムは、順方向と逆方向の両方の相補鎖の方向で最初から最後まで読み取られ、PAM(Protospacer Adjacent Motif)部位を含むDNAの連続したストレッチを位置付けすることができる。スペーサー配列は、PAM部位に3’または5’で隣接するN長のDNA配列になり(CRISPRシステム型によって異なる)、ここで、Nは関心対象のCasシステムに固有であり、一般的に事前に知られている。PAM配列とスペーサー配列の特性評価は、Casシステムの発見と初期調査中に実行し得る。観察されたすべてのPAM隣接スペーサーは、ダウンストリームで使用するためにファイルおよび/またはデータベースに保存し得る。必要とされる正確なPAM配列は、異なるCRISPR-Casシステム間で変動し、確立されたバイオインフォマティクスおよび実験の手順によって識別される。
【0078】
次に、CRISPR操作されたファージで使用するためのスペーサーの品質が決定される。観察された各スペーサーは、それらが存在する評価されたゲノムの数を決定するために評価され得る。観察されたスペーサーは、それらが所与の各ゲノムにおいて何回存在し得るかを見るために評価され得る。Casシステムは、変異が発生した場合に標的部位を認識できない可能性があり、追加の「バックアップ」部位の各々が、適切な非変異標的位置存在する可能性を増大するために、ゲノムあたり1つより多く存在するスペーサーは有利であり得る。観察されたスペーサーは、それらがゲノムの機能的に注釈が付けられた領域で発生するかどうかを決定するために評価され得る。そのような情報が利用可能である場合、機能注釈をさらに評価して、ゲノムのそれらの領域が生物の生存および機能に「必須」であるかどうかを決定し得る。関心対象となるすべてまたはほぼすべての評価済みゲノム(>=99%)に存在するスペーサーに焦点を当てることにより、スペーサーの選択は多くの標的化ゲノムに対して広く適用可能であり得る。保存されたスペーサーの大規模な選択プールが存在する場合、既知の機能を有するゲノムの領域で発生するスペーサーが優先され、それらのゲノム領域が生存に「必須」であり、ゲノムあたりに1回以上存在する場合は優先度が高くなる。
【0079】
完全構築物ファージのためのスペーサー配列が、いくつかの実施形態において、検証される。いくつかの実施形態において、第1の工程は、関心対象の生物、種、または標的の中で複製するプラスミドを同定することを含む。いくつかの実施形態において、プラスミドは、選択可能なマーカーを有する。いくつかの実施形態において、選択可能なマーカーは、抗生物質耐性遺伝子である。いくつかの実施形態において、発現カセットは、選択可能なマーカーのためのヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態において、選択可能なマーカーは、アデニンデアミナーゼ(ada)、ブラストサイジンSデアミナーゼ(Bsr、BSD)、ブレオマイシン結合タンパク質(Ble)、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(neo)、ヒスチジノールデヒドロゲナーゼ(hisD)、グルタミンシンテターゼ(GS)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(dhfr)、シトシンデアミナーゼ(codA)、ピューロマイシンN-アセチルトランスフェラーゼ(Pac)、またはハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ(Hph)、アンピシリン、クロラムフェニコール、カナマイシン、テトラサイクリン、ポリミキシンB、エリスロマイシン、カルベニシリン、ストレプトマイシン、スペクチノマイシン、ピューロマイシンN-アセチルトランスフェラーゼ、(Pac)、またはゼオシン(Sh bla)である。いくつかの実施形態において、選択可能なマーカーは、チミジル酸シンターゼ、チミジンキナーゼ、ジヒドロ葉酸レダクターゼ、またはグルタミンシンテターゼに関与する遺伝子である。いくつかの実施形態において、選択可能なマーカーは、蛍光タンパク質をコードする遺伝子である。
【0080】
いくつかの実施形態において、第2の工程は、Casシステムをコードする遺伝子が関心対象の生物、種、または標的において発現されるように、Casシステムをコードする遺伝子をプラスミドに挿入することを含む。いくつかの実施形態において、プロモーターは、Casシステムの上流に提供される。いくつかの実施形態において、プロモーターは、Casシステムの発現を駆動するために、関心対象の生物、種、または標的によって認識される。例示的なプロモーターには、L-アラビノース誘導性(araBAD、PBAD)プロモーター、任意のlacプロモーター、L-ラムノース誘導性(rhaPBAD)プロモーター、T7 RNAポリメラーゼプロモーター、trcプロモーター、tacプロモーター、ラムダファージプロモーター(pLpL-9G-50)、アンヒドロテトラサイクリン誘導性(tetA)プロモーター、trp、Ipp、phoA、recA、proU、cst-1、cadA、nar、Ipp-lac、cspA、11-lacオペレーター、T3-lacオペレーター、T4遺伝子32、T5-lacオペレーター、nprM-lacオペレーター、Vhb、プロテインA、コリネバクテリア-E.coli様プロモーター、thr、horn、ジフテリア毒素プロモーター、sig A、sig B、nusG、SoxS、katb、a-アミラーゼ(Pamy)、Ptms、P43(2つの重複するRNAポリメラーゼσ因子認識部位、σΑ、σΒで構成される)、Ptms、P43、rplK-rplA、フェレドキシンプロモーター、および/またはキシロースプロモーター)が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、プロモーターは、BBa_J23102、BBa_J23104、またはBBa_J23109である。いくつかの実施形態において、プロモーターは、内因性CRISPRプロモーター、内因性Casオペロンプロモーター、p16、plpp、またはptatなどの生物、種、または標的細菌に由来するものである。いくつかの実施形態において、プロモーターは、gp105またはgp245のプロモーターなどのファージプロモーターである。いくつかの実施形態において、リボソーム結合部位(RBS)が、プロモーターとCasシステムとの間に提供される。いくつかの実施形態において、RBSは、関心対象の生物、種、または標的によって認識される。
【0081】
いくつかの実施形態において、第3の工程は、プラスミドにゲノム標的化スペーサーを提供することを含む。いくつかの実施形態において、ゲノム標的化スペーサーは、バイオインフォマティクスを使用して同定される。いくつかの実施形態において、ゲノム標的化スペーサーは、リピート-スペーサー-リピートの上流に提供される。いくつかの実施形態において、プロモーターが提供される。いくつかの実施形態において、プロモーターは、crRNAの発現を駆動するために、関心対象の生物、種、または標的によって認識される。いくつかの実施形態において、第3の工程のためのクローニングは、クローンニングされるスペーサーによって標的化されない生物または種を使用することを含む。
【0082】
いくつかの実施形態において、第4の工程は、Casシステムを発現するプラスミドに非標的スペーサーを提供することを含む。いくつかの実施形態において、非標的スペーサーは、配列がランダムであることを含む。いくつかの実施形態において、非標的スペーサーは、関心対象の生物、種、または標的のゲノムにおける標的化部位を含まない配列を含む。いくつかの実施形態において、非標的スペーサー配列は、バイオインフォマティクスを使用して、関心対象の生物、種、または標的のゲノムにおいて標的部位を含まないことが決定される。いくつかの実施形態において、非標的スペーサー配列は、リピート-スペーサー-リピートの上流に提供される。いくつかの実施形態において、プロモーターが提供される。いくつかの実施形態において、プロモーターは、crRNAの発現を駆動するために、関心対象の生物、種、または標的によって認識される。
【0083】
いくつかの実施形態において、第5の工程は、生成された各スペーサーの有効性を決定することを含む。いくつかの実施形態において、殺傷効力が決定される。いくつかの実施形態において、細菌ゲノムを標的とする際の各スペーサーの有効性が決定される。いくつかの実施形態において、スペーサーを含むプラスミドは、非標的スペーサーを含むプラスミドと比較した場合に、約0.5倍、約1倍、5倍、10倍、20倍、40倍、60倍、80倍、または最大約100倍の移動速度の減少を含む。
【0084】
リピートヌクレオチド配列
いくつかの実施形態において、CRISPRアレイのリピートヌクレオチド配列は、CRISPR-Casシステムの任意の既知のリピートヌクレオチド配列のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態において、リピートヌクレオチド配列は、CRISPR-Casシステム(例えば、内部ヘアピン)からのネイティブリピートの二次構造を含む合成配列のものである。いくつかの実施形態において、リピートヌクレオチド配列は、CRISPR-Casシステムの既知のリピートヌクレオチド配列に基づいて互いに異なる。いくつかの実施形態において、リピートヌクレオチド配列はそれぞれ、CRISPR-Casシステム(例えば、内部ヘアピン)からのネイティブリピートの別個の二次構造から構成される。いくつかの実施形態において、リピートヌクレオチド配列は、CRISPR-Casシステムで操作可能な別個のリピートヌクレオチド配列の組み合わせである。
【0085】
いくつかの実施形態において、スペーサー配列は、その5’末端でリピート配列の3’末端に連結される。いくつかの実施形態において、スペーサー配列は、その5’末端で、リピート配列の3’末端の約1から約8、約1から約10、または約1から約15ヌクレオチドに連結される。いくつかの実施形態において、リピート配列の約1から約8、約1から約10、約1から約15ヌクレオチドは、リピート配列の3’末端の一部である。いくつかの実施形態において、スペーサーヌクレオチド配列は、その3’末端でリピート配列の5’末端に連結される。いくつかの実施形態において、スペーサーは、その3’末端で、リピート配列の5’末端の約1から約8、約1から約10、または約1から約15ヌクレオチドに連結される。いくつかの実施形態において、リピート配列の約1から約8、約1から約10、約1から約15ヌクレオチドは、リピート配列の5’末端の一部である。
【0086】
いくつかの実施形態において、スペーサーヌクレオチド配列は、その5’末端で第1のリピート配列に連結され、その3’末端で第2のリピート配列に連結されて、リピート-スペーサー-リピート配列を形成する。いくつかの実施形態において、スペーサー配列は、その5’末端で第1のリピート配列の3’末端に連結され、その3’末端で第2のリピート配列の5’に連結され、ここで、スペーサー配列および第2のリピート配列が反復されて、nが1から100までの任意の整数であるようにリピート-(スペーサー-リピート)n配列を形成する。いくつかの実施形態において、リピート-(スペーサー-リピート)n配列は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、またはそれ以上、のスペーサーヌクレオチド配列を含み、これらから本質的になり、またはこれらからなる。
【0087】
いくつかの実施形態において、リピート配列は、野生型CRISPR遺伝子座からのリピート配列と同一であるか、または実質的に同一である。いくつかの実施形態において、リピート配列は、表3に見出されるリピート配列である。いくつかの実施形態において、リピート配列は、本明細書に記載の配列である。いくつかの実施形態において、リピート配列は、野生型リピート配列の一部(例えば、野生型リピート配列の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、またはそれ以上の連続ヌクレオチド)を含む。いくつかの実施形態において、リピート配列は、少なくとも1つのヌクレオチド(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、またはそれ以上のヌクレオチド、またはその中の任意の範囲)を含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態において、リピート配列は、最大約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100ヌクレオチドを含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態において、リピート配列は、約20から40、21から40、22から40、23から40、24から40、25から40、26から40、27から40、28から40、29から40、30から30、31から40、32から40、33から40、34から40、35から40、36から40、37から40、38から40、39から40、20から39、20から38、20から37、20から36、20から35、20から34、20から33、20から32、20から31、20から30、20から29、20から28、20から26、20から25、20から24、20から23、20から22、または20から21ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、リピート配列は、約20から35、21から35、22から35、23から35、24から35、25から35、26から35、27から35、28から35、29から35、30から30、31から35、32から35、33から35、34から35、25から40、25から39、25から38、25から37、25から36、25から35、25から34、25から33、25から32、25から31、25から30、25から29、25から28、25から26ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、システムは、P.aeruginosa I-C型Casシステムである。いくつかの実施形態において、P.aeruginosaI-C型Casシステムは、約25から38ヌクレオチドのリピート長を有する。
【0088】
いくつかの実施形態において、リピート配列は、配列番号24-28のいずれか1つに対して、少なくともまたは約70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を含む。いくつかの場合において、リピート配列は、配列番号24-28のいずれか1つに対して少なくともまたは約95%の相同性を含む。いくつかの場合において、リピート配列は、配列番号24-28のいずれか1つに対して少なくともまたは約97%の相同性を含む。いくつかの場合において、リピート配列は、配列番号24-28のいずれか1つに対して少なくともまたは約99%の相同性を含む。いくつかの場合において、リピート配列は、配列番号24-28のいずれか1つに対して100%の相同性を含む。いくつかの場合において、リピート配列は、配列番号24-28のいずれか1つの少なくともまたは約3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、または32を超えるヌクレオチドを有する部分を少なくとも含む。
【0089】
転写活性化因子
いくつかの実施形態において、核酸配列は、転写活性化因子をさらに含む。いくつかの実施形態において、コードされた転写活性化因子は、標的細菌内の関心対象の遺伝子の発現を調節する。いくつかの実施形態において、転写活性化因子は、外因性であるか内因性であるかに関わらず、標的細菌内の関心対象の遺伝子の発現を活性化する。いくつかの実施形態において、転写活性化因子は、標的細菌内の1つ以上の阻害要素の活性を破壊することによって、標的細菌内の関心対象の発現遺伝子を活性化する。いくつかの実施形態において、阻害要素は、転写抑制因子を含む。いくつかの実施形態において、阻害要素は、グローバル転写抑制因子を含む。いくつかの実施形態において、阻害要素は、ヒストン様核様体構造化(H-NS)タンパク質またはそのホモログまたは機能的断片である。いくつかの実施形態において、阻害要素は、ロイシン応答性調節タンパク質(LRP)である。いくつかの実施形態において、阻害要素は、CodYタンパク質である。
【0090】
いくつかの細菌において、CRISPR-Casシステムは、ほとんどの環境条件下で、発現が不十分であり、サイレントであると見なされる。これらの細菌においては、CRISPR-Casシステムの調節は、転写調節因子、例えば、宿主ゲノムの転写調節に広く関与しているヒストン様核様体構造化(H-NS)タンパク質の活性の結果である。H-NSは、DNAの曲がりを生じるATに富む部位に沿った多量体化によって宿主の転写調節に対する制御を発揮する。E.coliなどの一部の細菌では、CRISPR-Cas3オペロンの調節はH-NSによって調節されている。
【0091】
同様に、いくつかの細菌では、CRISPR-Casシステムの抑制は、阻害要素、例えば、ロイシン応答性調節タンパク質(LRP)によって制御される。LRPは、転写開始部位の上流および下流領域への結合に関与する。特に、CRISPR-Casシステムの発現調節におけるLRPの活性は、細菌によって異なる。種間抑制活性が広いH-NSとは異なり、LRPは宿主のCRISPR-Casシステムの発現を示差的に調節することが示されてきた。そのため、いくつかの場合において、LRPはさまざまな細菌においてCRISPR-Casシステムの発現を調節する宿主特異的な手段を反映する。
【0092】
いくつかの場合において、CRISPR-Casシステムの抑制はまた、抑制性要素CodYによって制御される。CodYは、DNA結合を介して作用するGTP感知転写リプレッサーである。GTPの細胞内濃度は、環境の栄養状態の指標として機能する。通常の培養条件下では、GTPは豊富であり、CodYと結合して転写活性を抑制する。しかし、GTP濃度が低下すると、CodYはDNAの結合活性が低下し、以前は抑制されていた遺伝子の転写が起こる。そのため、CodYは厳格なグローバル転写リプレッサーとして機能する。
【0093】
いくつかの実施形態において、転写活性化因子は、LeuOポリペプチド、その任意のホモログまたは機能的フラグメント、LeuOコード配列、またはLeuOをアップレギュレートする薬剤である。いくつかの実施形態において、転写活性化因子は、LeuOの任意のオルソログまたは機能的同等物を含む。いくつかの細菌では、LeuOは、細菌の環境栄養状態に応答するグローバル転写調節因子として作用することにより、H-NSに反対に作用する。通常の状態では、LeuOの発現は不十分である。しかし、アミノ酸の飢餓および/または細菌のライフサイクルにおける定常期の到達下では、LeuOはアップレギュレーションされる。LeuOの発現の増加は、重複するプロモーター領域においてこれはH-NSに拮抗することをもたらし、遺伝子発現に影響を及ぼす。LeuOの過剰発現は、CRISPR-Casシステムの発現をアップレギュレートする。E.coliおよびS.typhimuriumにおいて、LeuOはCasAの上流におけるLeuOとH-NSの結合配列と予想されているcasABCDEオペロンの発現増加を促進する。
【0094】
いくつかの実施形態において、LeuOの発現は、阻害要素の破壊をもたらす。いくつかの実施形態において、LeuOの発現による阻害要素の破壊は、CRISPR-Casシステムの転写抑制を取り除く。いくつかの実施形態において、LeuOの発現は、H-NSの活性に起因するCRISPR-Casシステムの転写抑制を取り除く。いくつかの実施形態において、LeuOの発現による阻害要素の破壊は、CRISPR-Casシステムの発現の増加を引き起こす。いくつかの実施形態において、LeuOの発現によって引き起こされる阻害要素の破壊によるCRISPR-Casシステムの発現の増加は、CRISPRアレイを含む核酸配列のCRISPR-Casプロセシングの増加を引き起こす。いくつかの実施形態において、LeuOの発現による阻害要素の破壊によるCRISPR-Casシステムの発現の増加は、CRISPRアレイを含む核酸配列のCRISPR-Casプロセシングの増加を引き起こし、その結果、細菌に対するCRISPRアレイの致死性のレベルを増加させる。いくつかの実施形態において、転写活性化因子は、バクテリオファージおよび/またはCRISPR-Casシステムの活性の増加を引き起こす。
【0095】
調節エレメント
いくつかの実施形態において、核酸配列は、様々な生物または細胞における発現のための様々なプロモーター、ターミネーターおよび他の調節エレメントと作動可能に関連している。いくつかの実施形態において、核酸配列は、リーダー配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、核酸配列は、プロモーター配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのプロモーターおよび/またはターミネーターは、CRISPRアレイに作動可能に連結される。本開示を用いて有用な任意のプロモーターが使用され、例えば、本明細書に開示されるように、関心対象の生物で機能するプロモーター、ならびに構成的、誘導性、発生調節、組織特異的/好ましいプロモーターなどが含まれる。本明細書で使用される調節エレメントは、内因性または異種である。いくつかの実施形態において、対象生物に由来する内因性調節エレメントは、それが自然に生じない遺伝的状況に挿入され(例えば、自然界に見られるものとは異なるゲノム内の位置)、それにより、組換えまたは非ネイティブ核酸を生成する。
【0096】
いくつかの実施形態において、核酸配列の発現は、構成的であり、誘導可能であり、時間的に調節され、発達的に調節され、または化学的に調節される。いくつかの実施形態において、核酸配列の発現は、核酸配列を関心対象の生物において機能的なプロモーターに作動可能に連結することによって、構成的にされ、誘導可能にされ、時間的に調節され、発達的に調節され、または化学的に調節される。いくつかの実施形態において、抑制は、核酸配列を、関心対象の生物において機能的である誘導性プロモーターに作動可能に連結することによって可逆的にされる。本明細書に開示されるプロモーターの選択は、発現のための量的、時間的および空間的要件に応じて、また形質転換される宿主細胞に応じて変化する。
【0097】
本明細書に開示される方法、バクテリオファージおよび組成物と共に使用するための例示的なプロモーターには、細菌において機能的であるプロモーターが含まれる。例えば、L-アラビノース誘導性(araBAD、PBAD)プロモーター、任意のlacプロモーター、L-ラムノース誘導性(rhaPBAD)プロモーター、T7 RNAポリメラーゼプロモーター、trcプロモーター、tacプロモーター、ラムダファージプロモーター(pLpL-9G-50)、アンヒドロテトラサイクリン-誘導性(tetA)プロモーター、trp、Ipp、phoA、recA、proU、cst-1、cadA、nar、Ipp-lac、cspA、11-lacオペレーター、T3-lacオペレーター、T4遺伝子32、T5-lacオペレーター、nprM-lacオペレーター、Vhb、プロテインA、コリネバクテリア-E.coli様プロモーター、thr、horn、ジフテリア毒素プロモーター、sig A、sig B、nusG、SoxS、katb、a-アミラーゼ(Pamy)、Ptms、P43(2つの重複するRNAポリメラーゼσ因子認識部位、σΑ、σΒで構成される)、Ptms、P43、rplK-rplA、フェレドキシンプロモーター、および/またはキシロースプロモーターである。いくつかの実施形態において、プロモーターは、BBa_J23102プロモーターである。いくつかの実施形態において、プロモーターは、BBa_J23104、BBa_J23109などの広範囲の細菌で機能する。いくつかの実施形態において、プロモーターは、内因性CRISPRプロモーター、内因性Casオペロンプロモーター、p16、plpp、またはptatなどの標的細菌に由来するものである。いくつかの実施形態において、プロモーターは、gp105またはgp245のプロモーターなどのファージプロモーターである。
【0098】
いくつかの実施形態において、プロモーターは、配列番号1-11のいずれか1つに対して、少なくともまたは約70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を含む。いくつかの場合において、プロモーターは、配列番号1-11のいずれか1つに対して少なくともまたは約95%の相同性を含む。いくつかの場合において、プロモーターは、配列番号1-11のいずれか1つに対して少なくともまたは約97%の相同性を含む。いくつかの場合において、プロモーターは、配列番号1-11のいずれか1つに対して少なくともまたは約99%の相同性を含む。いくつかの場合において、プロモーターは、配列番号1-11のいずれか1つに対して100%の相同性を含む。いくつかの場合において、プロモーターは、配列番号1-11のいずれか1つの、少なくともまたは約3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50ヌクレオチド、または50を超えるヌクレオチドを有する部分を少なくとも含む。いくつかの場合において、プロモーターは、配列番号1-11のいずれか1つの、少なくともまたは約50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215ヌクレオチド、または215を超えるヌクレオチドを有する部分を少なくとも含む。
【0099】
いくつかの実施形態において、誘導性プロモーターが使用される。いくつかの実施形態において、化学調節プロモーターが、外因性化学調節因子の適用を通じて、生物における遺伝子の発現を調節するために使用される。化学調節プロモーターの使用は、例えば、生物が誘導化学物質で処理される場合にのみ、核酸配列によってコードされるRNAおよび/またはポリペプチドが合成されることを可能にする。化学物質誘導性プロモーターが使用されるいくつかの実施形態において、化学物質の適用は遺伝子発現を誘導する。化学的に抑制可能なプロモーターが使用されるいくつかの実施形態において、化学物質の適用が遺伝子発現を抑制する。いくつかの実施形態において、プロモーターは、光誘導性プロモーターであり、特定の波長の光の適用が遺伝子発現を誘導する。いくつかの実施形態において、プロモーターは、光抑制性プロモーターであり、特定の波長の光の適用が遺伝子発現を抑制する。
【0100】
発現カセット
いくつかの実施形態において、核酸配列は、発現カセットであるか、または発現カセット内にある。いくつかの実施形態において、発現カセットは、本明細書に開示される核酸配列を発現するように設計される。いくつかの実施形態において、核酸配列は、CRISPR-Casシステムの構成要素をコードする発現カセットである。いくつかの実施形態において、核酸配列は、I型CRISPR-Casシステムの構成要素をコードする発現カセットである。いくつかの実施形態において、核酸配列は、操作可能なCRISPR-Casシステムをコードする発現カセットである。いくつかの実施形態において、核酸配列は、カスケードおよびCas3を含む、I型CRISPR-Casシステムの操作可能な構成要素をコードする発現カセットである。いくつかの実施形態において、核酸配列は、crRNA、カスケードおよびCas3を含む、I型CRISPR-Casシステムの操作可能な構成要素をコードする発現カセットである。
【0101】
いくつかの実施形態において、関心対象の核酸配列を含む発現カセットはキメラであり、これは、その構成要素の少なくとも1つが、他の構成要素の少なくとも1つに関して異種であることを意味する。いくつかの実施形態において、発現カセットは天然に存在するが、異種発現に有用な組換え形態で得られている。
【0102】
いくつかの実施形態において、発現カセットは、選択された宿主細胞において機能的である転写および/または翻訳終結領域(すなわち、終結領域)を含む。いくつかの実施形態において、終結領域は、関心対象の異種核酸配列を超えた転写の終結、および正しいmRNAポリアデニル化に関与する。いくつかの実施形態において、終結領域は、転写開始領域に天然であるか、関心対象の作動可能に連結された核酸配列に対してネイティブであるか、宿主細胞に対してネイティブであるか、または別の供給源に由来する(すなわち、プロモーターに対して、関心対象の核酸配列に対して、宿主に対して、またはそれらの任意の組み合わせに対して、外来性または異種である)。いくつかの実施形態において、ターミネーターは、本明細書に開示される核酸配列に作動可能に連結される。
【0103】
いくつかの実施形態において、発現カセットは、選択可能なマーカーのためのヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列は、マーカーが、選択剤(例えば、抗生物質)を使用することによるなどの化学的手段によって選択される形質を付与するかどうか、またはマーカーは、スクリーニングによる(例えば、蛍光)などの観察もしくはテストを通じて特定される単なる特性であるかに依存して、選択可能であるか、またはスクリーニング可能なマーカーのいずれかをコードする。
【0104】
ベクター
発現カセットに加えて、本明細書に開示される核酸配列(例えば、CRISPRアレイを含む核酸配列)は、ベクターに関連して使用される。ベクターは、移入、送達、または導入されるヌクレオチド配列を含む核酸分子を含む。ベクターの一般的なクラスの非限定的な例には、二本鎖または一本鎖の線状または環状の、自己伝達性または可動性である場合とそうでない場合がある、ウイルスベクター、プラスミドベクター、ファージベクター、ファージミドベクター、コスミドベクター、フォスミドベクター、バクテリオファージ、人工染色体、またはアグロバクテリウムバイナリベクターである。ベクターは、細胞ゲノムに組み込まれるか、または染色体外に存在するかのいずれかによって、原核生物または真核生物の宿主を形質転換する(例えば、複製起点を有する自律複製プラスミド)。さらに、シャトルベクターが含まれ、これは、天然にまたは設計により、2つの異なる宿主生物において複製することができるDNAビヒクルを意味する。いくつかの実施形態において、シャトルベクターは、放線菌および細菌および/または真核生物において複製する。いくつかの実施形態において、ベクター中の核酸は、宿主細胞における転写のための適切なプロモーターまたは他の調節エレメントの制御下にあり、そしてそれらに作動可能に連結される。いくつかの実施形態において、ベクターは、複数の宿主において機能する二機能性発現ベクターである。
【0105】
コドン最適化
いくつかの実施形態において、核酸配列は、関心対象の任意の種における発現のためにコドン最適化されている。コドン最適化には、種固有のコドン使用表を使用したコドン使用バイアスのヌクレオチド配列の変更が含まれる。コドン使用表は、関心対象の種で最も高度に発現している遺伝子の配列分析に基づいて生成される。ヌクレオチド配列が核内で発現される場合、コドン使用表は、関心対象の種について高度に発現された核遺伝子の配列分析に基づいて生成される。ヌクレオチド配列の修飾は、種特異的コドン使用表をネイティブなポリヌクレオチド配列に存在するコドンと比較することによって決定される。ヌクレオチド配列のコドン最適化は、ネイティブなヌクレオチド配列に対して、100%未満の同一性(例えば、50%、60%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%などの同一性)を有するヌクレオチド配列であるが、それでも、元のヌクレオチド配列によってコードされるものと同じ機能を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列をもたらす。いくつかの実施形態において、本開示の核酸配列は、関心対象の生物/種における発現のために最適化されたコドンである。
【0106】
形質転換
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される核酸配列、および/または発現カセットは、一過性におよび/または安定して、宿主生物のゲノムに組み込まれる。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される核酸配列および/または発現カセットは、当業者に知られている任意の方法によって細胞に導入される。形質転換の例示的な方法には、コンピテントセルのエレクトロポレーションによる形質転換、コンピテントセルによる受動的取り込み、コンピテントセルの化学的形質転換、ならびに核酸の細胞への導入をもたらす任意の他の電気的、化学的、物理的(機械的)および/または生物学的メカニズムが含まれる。それらの任意の組み合わせを含むセルに。いくつかの実施形態において、細胞の形質転換は、核形質転換を含む。いくつかの実施形態において、細胞の形質転換は、プラスミド形質転換および接合を含む。
【0107】
いくつかの実施形態において、1つより多くの核酸配列が導入される場合、ヌクレオチド配列は、単一の核酸構築物の一部として、または別個の核酸構築物として組み立てられ、同じかまたは異なる核酸構築物上に位置する。いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列は、単一の形質転換事象において、または別個の形質転換事象において、関心対象の細胞に導入される。
【0108】
I型CRISPR-Casシステム
いくつかの実施形態において、I型CRISPR-Casシステムは、I-A型システム、I-B型システム、I-C型システム、I-D型システム、I-E型システム、またはI-F型システムである。いくつかの実施形態において、I型CRISPR-Casシステムは、I-A型システムである。いくつかの実施形態において、I型CRISPR-Casシステムは、I-B型システムである。いくつかの実施形態において、I型CRISPR-Casシステムは、I-C型システムである。いくつかの実施形態において、I型CRISPR-Casシステムは、I-D型システムである。いくつかの実施形態において、I型CRISPR-Casシステムは、I-E型システムである。いくつかの実施形態において、I型CRISPR-Casシステムは、I-F型システムである。いくつかの実施形態において、I型CRISPR-Casシステムは、カスケードポリペプチドを含む。I型カスケードポリペプチドは、CRISPRアレイをプロセシングして、プロセシングされたRNAを生成し、これは、プロセシングされたRNAのスペーサーに相補的な標的配列に複合体を結合するために使用される。いくつかの実施形態において、I型カスケード複合体は、I-A型カスケードポリペプチド、I-B型カスケードポリペプチド、I-C型カスケードポリペプチド、I-D型カスケードポリペプチド、I-E型カスケードポリペプチド、I-F型カスケードポリペプチド、またはI-U型カスケードポリペプチドである。
【0109】
いくつかの実施形態において、I型カスケード複合体は、(a)Cas7(Csa2)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Cas8a1(Csx13)ポリペプチドまたはCas8a2(Csx9)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Cas5ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Csa5ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Cas6aポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Cas3’ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、およびヌクレアーゼ活性を有さないCas3’’ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(I-A型)、(b)Cas6bポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Cas8b(Csh1)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Cas7(Csh2)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、およびCas5ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(I-B型)、(c)Cas5dポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Cas8c(Csd1)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、およびCas7(Csd2)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(I-C型)、(d)Casl Od(Csc3)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Csc2ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Csc1ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、およびCas6dポリペプチド(I-D型)をコードするヌクレオチド配列、(e)Cse1(CasA)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Cse2(CasB)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Cas7(CasC)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Cas5(CasD)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、およびヌクレオチドCas6e(CasE)ポリペプチドをコードする配列(I-E型)、および/または(f)Cys1ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Cys2ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Cas7(Cys3)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、およびCas6fポリペプチド(I-F型)をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0110】
いくつかの実施形態において、I型CRISPR-Casシステムは、標的細菌に対して外因性である。
【0111】
標的細菌
いくつかの実施形態において、標的細菌は、標的細菌の1つ以上の種を含む。いくつかの実施形態において、標的細菌は、標的細菌の1つ以上の系統を含む。いくつかの実施形態において、標的細菌の非限定的な例には、Escherichia spp.、Salmonella spp.、Bacillus spp.、Corynebacterium spp.、Clostridium spp.、Clostridioides spp.、Pseudomonas spp.、Lactococcus spp.、Acinetobacter spp.、Mycobacterium spp.、Myxococcus spp.、Staphylococcus spp.、Streptococcus spp.、Enterococcus spp.、Bacteroides spp.、Fusobacterium spp.、Actinomyces spp.、Porphyromonas spp.、またはcyanobacteriaが含まれる。いくつかの実施形態において、細菌の非限定的な例には、Escherichia coli、Salmonella enterica、Bacillus subtilis、Clostridium acetobutylicum、Clostridium ljungdahlii、Clostridioides difficile、Clostridium bolteae、Acinetobacter baumannii、Mycobacterium tuberculosis、Mycobacterium abscessus、Mycobacterium intracellulare、Mycobacterium fortuitum、Mycobacterium chelonae、Mycobacterium avium、Mycobacterium gordonae、Myxococcus xanthus、Streptococcus pyogenes、またはcyanobacteriaが含まれる。いくつかの実施形態において、細菌の非限定的な例には、Staphylococcus aureus、メチシリン耐性Staphylococcus aureus、Streptococcus pneumoniae、カルバペネム耐性Enterobacteriaceae、拡張スペクトルベータラクタマーゼ(ESBL)産生Enterobacteriaceae、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus salivarius、Corynebacterium minutissimum、Corynebacterium pseudodiphtheriticum、Corynebacterium striatum、CorynebacteriumグループG1、CorynebacteriumグループG2、Streptococcus mitis、Streptococcus sanguinis、Klebsiella pneumoniae、Pseudomonas aeruginosa、Burkholderia cepacia、Serratia marcescens、Haemophilus influenzae、Moraxella sp.、Neisseria meningitidis、Neisseria gonorrhoeae、Salmonella typhimurium、Actinomyces israelii.、Porphyromonas gingivalis.、Prevotella melaninogenicus、Helicobacter pylori、Helicobacter felis、Enterococcus faecalis、Enterococcus faecium、Enterococcus gallinarum、Bacteroides fragilis、Bacteroides thetaiotaomicron、Fusobacterium nucleatum、Ruminococcus gnavus、またはCampylobacter jejuniが含まれる。細菌のさらなる非限定的な例には、Lactobacillus spp.およびBifidobacterium spp.を含むがこれに限定されない乳酸菌、Geobacter spp.、Clostridium spp.、もしくはRalstonia eutrophaを含むがこれらに限定されない合成液体燃料(electrofuel)細菌系統、または、例えば、植物および動物に対して病原性である細菌が含まれる。いくつかの実施形態において、細菌はPseudomonas aeruginosaである。いくつかの実施形態において、細菌はEscherichia coliである。いくつかの実施形態において、細菌はClostridioides difficileである。いくつかの実施形態において、細菌はStaphylococcus aureusである。いくつかの実施形態において、細菌はKlebsiella pneumoniaeである。いくつかの実施形態において、細菌はEnterococcus faecalisである。いくつかの実施形態において、細菌はEnterococcus faeciumである。いくつかの実施形態において、細菌はBacteroides fragilisである。いくつかの実施形態において、細菌はBacteroides thetaiotaomicronである。いくつかの実施形態において、細菌はFusobacterium nucleatumである。いくつかの実施形態において、細菌はEnterococcus gallinarumである。いくつかの実施形態において、細菌はRuminococcus gnavusである。いくつかの実施形態において、細菌はAcinetobacter baumanniiである。いくつかの実施形態において、細菌はMycobaterium tuberculosisである。いくつかの実施形態において、細菌はStreptococcus pneumoniaeである。いくつかの実施形態において、細菌はHaemophilus influenzaeである。いくつかの実施形態において、細菌はNeisseria gonorrhoeaeである。
【0112】
いくつかの実施形態において、標的細菌は、感染または疾患を引き起こす。いくつかの実施形態において、感染または疾患は、急性または慢性である。いくつかの実施形態において、感染または疾患は、局所的または全身性である。いくつかの実施形態において、感染または疾患は特発性である。いくつかの実施形態において、感染または疾患は、呼吸器吸入、摂取、皮膚および創傷感染症、血流感染症、中耳感染症、胃腸管感染症、腹膜感染症、尿路感染症、泌尿生殖器管感染症、口腔軟組織感染症、腹腔内感染症、表皮または粘膜吸収、眼感染症(コンタクトレンズレンズ汚染を含む)、心内膜炎、嚢胞性線維症における感染症、関節プロテーゼ、歯科用インプラント、カテーテルおよび心臓インプラントなどの留置医療機器の感染、性的接触、ならびに/または院内および換気装置に関連する細菌性肺炎を含むがこれらに限定されない手段を通じて獲得される。いくつかの実施形態において、標的細菌は、尿路感染症を引き起こす。いくつかの実施形態において、E.coliは、尿路感染症を引き起こす。いくつかの実施形態において、標的細菌は、炎症性疾患を引き起こし、および/または悪化させる。いくつかの実施形態において、標的細菌は、自己免疫疾患を引き起こし、および/または悪化させる。いくつかの実施形態において、標的細菌は、炎症性腸疾患(IBD)を引き起こし、および/または悪化させる。いくつかの実施形態において、E.coliは、炎症性腸疾患(IBD)を引き起こす。いくつかの実施形態において、標的細菌は、乾癬を引き起こし、および/または悪化させる。いくつかの実施形態において、標的細菌は、乾癬性関節炎(PA)を引き起こし、および/または悪化させる。いくつかの実施形態において、標的細菌は、関節リウマチ(RA)を引き起こし、および/または悪化させる。いくつかの実施形態において、標的細菌は、全身性エリテマトーデス(SLE)を引き起こし、および/または悪化させる。いくつかの実施形態において、標的細菌は、多発性硬化症(MS)を引き起こし、および/または悪化させる。いくつかの実施形態において、標的細菌は、グレーブス病を引き起こし、および/または悪化させる。いくつかの実施形態において、標的細菌は、橋本甲状腺炎を引き起こし、および/または悪化させる。いくつかの実施形態において、標的細菌は、重症筋無力症を引き起こし、および/または悪化させる。いくつかの実施形態において、標的細菌は、血管炎を引き起こし、および/または悪化させる。いくつかの実施形態において、標的細菌は、癌を引き起こし、および/または悪化させる。いくつかの実施形態において、標的細菌は、癌の進行を引き起こし、および/または悪化させる。いくつかの実施形態において、標的細菌は、癌転移を引き起こし、および/または悪化させる。いくつかの実施形態において、標的細菌は、癌治療に対する耐性を引き起こし、および/または悪化させる。いくつかの実施形態において、癌に対処するために使用される療法には、化学療法、免疫療法、ホルモン療法、標的薬物療法、および/または放射線療法が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、癌は、肛門、膀胱、血液および血液成分、骨、骨髄、脳、乳房、子宮頸部、結腸および直腸、食道、腎臓、喉頭、リンパ系、筋肉(すなわち、軟組織)、口腔および咽頭、卵巣、膵臓、前立腺、皮膚、小腸、胃、精巣、甲状腺、子宮、および/または外陰部を含むがこれらに限定されない器官で発生する。いくつかの実施形態において、標的細菌は、中枢神経系(CNS)の障害を引き起こし、および/または悪化させる。いくつかの実施形態において、標的細菌は、注意欠陥/多動性障害(ADHD)を引き起こし、および/または悪化させる。いくつかの実施形態において、標的細菌は、自閉症を引き起こし、および/または悪化させる。いくつかの実施形態において、標的細菌は、双極性障害を引き起こし、および/または悪化させる。いくつかの実施形態において、標的細菌は、大うつ病性障害を引き起こし、および/または悪化させる。いくつかの実施形態において、標的細菌は、てんかんを引き起こし、および/または悪化させる。いくつかの実施形態において、標的細菌は、アルツハイマー病、ハンチントン病、および/またはパーキンソン病を含むがこれらに限定されない神経変性障害を引き起こし、および/または悪化させる。
【0113】
嚢胞性線維症および嚢胞性線維症に関連する気管支拡張症は、Pseudomonas aeruginosaによる感染に関連している。例えば、P.Farrell,et al,Radiology,Vol.252,No.2、pp.534-543(2009)を参照。いくつかの実施形態において、1つ以上のバクテリオファージは、嚢胞性線維症または嚢胞性線維症に関連する気管支拡張症を有する患者に投与される。いくつかの実施形態において、2つ以上のバクテリオファージの組み合わせが、嚢胞性線維症または嚢胞性線維症に関連する気管支拡張症を有する患者に投与される。いくつかの実施形態において、嚢胞性線維症または嚢胞性線維症に関連する気管支拡張症を有する患者へのバクテリオファージの投与は、患者における細菌負荷の減少をもたらす。いくつかの実施形態において、細菌負荷の減少は、嚢胞性線維症または嚢胞性線維症に関連する気管支拡張症を有する患者の臨床的改善をもたらす。
【0114】
非嚢胞性線維症気管支拡張症は、P.aeruginosaによる感染に関連している。例えば、R.Wilson,et al,Respiratory Medicine、Vol.117,pp.179-189(2016)を参照。いくつかの実施形態において、1つ以上のバクテリオファージは、非嚢胞性線維症気管支拡張症を有する患者に投与される。いくつかの実施形態において、2つ以上のバクテリオファージの組み合わせが、非嚢胞性線維症気管支拡張症の患者に投与される。いくつかの実施形態において、非嚢胞性線維症気管支拡張症を有する患者へのバクテリオファージの投与は、患者における細菌負荷の減少をもたらす。いくつかの実施形態において、細菌負荷の減少は、非嚢胞性線維症気管支拡張症の患者の臨床的改善をもたらす。
【0115】
バクテリオファージ
いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、偏性溶菌性バクテリオファージである。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、溶原性遺伝子が保持されている溶原性バクテリオファージである。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、いくつかの溶原性遺伝子が除去、置き換え、または不活化された溶原性バクテリオファージである。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、溶原性遺伝子が除去、置き換え、または不活性化され、それによってバクテリオファージを溶菌性にする溶原性バクテリオファージである。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、p2131、p2132、p2973、p4209、p1106、p1587、p1835、p2037、p2421、p2363、p1772、PB1、p004k、またはp004exを含むがこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、Pseudomonas spp.を標的とするp1772、p2131、p2132、p2973、p4209、p1106、p1587、p1835、p2037、p2421、p2363、またはPB1である。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、Escherichia spp.を標的とするp004kまたはp00exである。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、Pseudomonas spp.を標的とする。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはPseudomonas aeruginosaを標的とする。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、p004k、またはp00exを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、Escherichia spp.を標的とする。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、Escherichia coli.を標的とする。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはStaphylococcus spp.を標的とする。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはStaphylococcus aureusを標的とする。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはKlebsiella spp.を標的とする。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはKlebsiella pneumoniaeを標的とする。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはEnterococcus spp.を標的とする。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはEnterococcus faeciumを標的とする。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはEnterococcus faecalisを標的とする。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはEnterococcus gallinarumを標的とする。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはClostridioides spp.を標的とする。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはClostridioides difficileを標的とする。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはBacteroides spp.を標的とする。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはBacteroides fragilisを標的とする。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはBacteroides thetaiotaomicronを標的とする。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはFusobacterium spp.を標的とする。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはFusobacterium nucleatumを標的とする。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはStreptococcus spp.を標的とする。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはStreptococcus pneumoniaeを標的とする。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはAcinetobacter spp.を標的とする。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはAcinetobacter baumanniiを標的とする。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはMycobacterium spp.を標的とする。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはMycobacterium tuberculosisを標的とする。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはHaemophilus spp.を標的とする。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはHaemophilus influenzaeを標的とする。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはNeisseria spp.を標的とする。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはNeisseria gonorrhoeaeを標的とする。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはRuminococcus spp.を標的とする。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはRuminococcus gnavusを標的とする。
【0116】
いくつかの実施形態において、関心対象のバクテリオファージは、環境源から、または商業的研究ベンダーから得られる。いくつかの実施形態において、得られたバクテリオファージは、細菌のライブラリーおよびそれらの関連系統に対する溶菌活性についてスクリーニングされる。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、スクリーニングされた細菌において一次耐性を生成するそれらの能力について、細菌のライブラリーおよびそれらの関連系統に対してスクリーニングされる。
【0117】
挿入部位
いくつかの実施形態において、バクテリオファージへの核酸配列の挿入は、バクテリオファージの溶菌活性を保存する。いくつかの実施形態において、核酸配列は、バクテリオファージゲノムに挿入される。いくつかの実施形態において、核酸配列は、関心対象のオペロンの末端の転写ターミネーター部位でバクテリオファージゲノムに挿入される。いくつかの実施形態において、核酸配列は、1つ以上の除去された非必須遺伝子の置き換えとしてバクテリオファージゲノムに挿入される。いくつかの実施形態において、核酸配列は、1つ以上の除去された溶原性遺伝子の置き換えとしてバクテリオファージゲノムに挿入される。いくつかの実施形態において、非必須および/または溶原性遺伝子の核酸配列による置き換えは、バクテリオファージの溶菌活性に影響を及ぼさない。いくつかの実施形態において、非必須および/または溶原性遺伝子の核酸配列による置き換えは、バクテリオファージの溶菌活性を保存する。いくつかの実施形態において、非必須および/または溶原性遺伝子の核酸配列による置き換えは、バクテリオファージの溶菌活性を増強する。いくつかの実施形態において、非必須および/または溶原性遺伝子の核酸配列による置き換えは、溶原性バクテリオファージを溶菌性にする。
【0118】
いくつかの実施形態において、核酸配列は、第1の位置でバクテリオファージゲノムに導入され、一方、1つ以上の非必須および/または溶原性遺伝子は、別個の位置でバクテリオファージゲノムから別個に除去および/または不活化される。いくつかの実施形態において、核酸配列は、第1の位置でバクテリオファージに導入され、一方、1つ以上の非必須および/または溶原性遺伝子は、複数の別個の位置でバクテリオファージゲノムから別々に除去および/または不活化される。いくつかの実施形態において、1つ以上の非必須および/または溶原性遺伝子の除去および/または不活性化は、バクテリオファージの溶菌活性に影響を及ぼさない。いくつかの実施形態において、1つ以上の非必須および/または溶原性遺伝子の除去および/または不活性化は、バクテリオファージの溶菌活性を保存する。いくつかの実施形態において、1つ以上の非必須および/または溶原性遺伝子の除去は、溶原性バクテリオファージを溶菌性バクテリオファージにする。
【0119】
いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、前述の手段のいずれかによって溶菌性にされた溶原性バクテリオファージである。いくつかの実施形態において、溶原性バクテリオファージは、1つ以上の溶原性遺伝子の除去、置き換え、または不活性化によって溶菌性にされる。いくつかの実施形態において、バクテリオファージの溶菌活性は、少なくとも1つの溶原性遺伝子の除去、置き換え、または不活性化によるものである。いくつかの実施形態において、溶原性遺伝子は、バクテリオファージにおける溶原性サイクルの維持において役割を果たす。いくつかの実施形態において、溶原性遺伝子は、バクテリオファージにおける溶原性サイクルを確立することにおいて役割を果たす。いくつかの実施形態において、溶原性遺伝子は、溶原性サイクルの確立およびバクテリオファージにおける溶原性サイクルの維持の両方において役割を果たす。いくつかの実施形態において、溶原性遺伝子は、リプレッサー遺伝子である。いくつかの実施形態において、溶原性遺伝子は、cIリプレッサー遺伝子である。いくつかの実施形態において、溶原性遺伝子は、活性化因子(アクチベーター)遺伝子である。いくつかの実施形態において、溶原性遺伝子は、cII遺伝子である。いくつかの実施形態において、溶原性遺伝子は、lexA遺伝子である。いくつかの実施形態において、溶原性遺伝子は、int(インテグラーゼ)遺伝子である。いくつかの実施形態において、2つ以上の溶原性遺伝子は、バクテリオファージ溶原性サイクルの停止および/または溶菌サイクルの誘導を引き起こすために、除去、置き換え、または不活性化される。いくつかの実施形態において、溶原性バクテリオファージは、1つ以上の溶菌性遺伝子の挿入によって溶菌性にされる。いくつかの実施形態において、溶原性バクテリオファージは、溶菌サイクルの誘導に寄与する1つ以上の遺伝子の挿入によって溶菌性にされる。いくつかの実施形態において、溶原性バクテリオファージは、溶菌サイクルの誘導に寄与する1つ以上の遺伝子の発現を変化させることによって溶菌性にされる。いくつかの実施形態において、溶原性バクテリオファージは、表現型的に、溶原性バクテリオファージから溶菌性バクテリオファージに変化する。いくつかの実施形態において、溶原性バクテリオファージは、環境変化によって溶菌性にされる。いくつかの実施形態において、環境変化には、温度、pH、または栄養素の変化、抗生物質、過酸化水素、外来DNA、またはDNA損傷剤への曝露、有機炭素の存在、および重金属(例えば、クロム(VI)の形で)の存在が含まれるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、溶菌性にされた溶原性バクテリオファージは、溶原性状態に戻ることが防止される。いくつかの実施形態において、溶菌性にされた溶原性バクテリオファージは、最初に導入されたCRISPRアレイの自己標的化活性によって溶原性状態に戻ることが防止される。いくつかの実施形態において、溶菌性にされた溶原性バクテリオファージは、追加のCRISPRアレイを導入することによって溶原性状態に戻ることが防止される。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、バクテリオファージの溶菌活性および/または第1もしくは第2のCRISPRの活性によって引き起こされる細胞死を超えた標的細菌へのいかなる新たな特性も付与しない。
【0120】
いくつかの実施形態において、1つ以上の非必須および/または溶原性遺伝子の置き換え、除去、不活性化、またはそれらの任意の組み合わせは、化学的、生化学的、および/または任意の適切な方法によって達成される。いくつかの実施形態において、1つ以上の溶菌性遺伝子の挿入は、相同組換えによる任意の適切な化学的、生化学的、および/または物理的方法によって達成される。
【0121】
非必須遺伝子
いくつかの実施形態において、バクテリオファージから除去および/または置き換えされる非必須遺伝子は、バクテリオファージの生存に必須ではない遺伝子である。いくつかの実施形態において、バクテリオファージから除去および/または置き換えされる非必須遺伝子は、溶菌サイクルの誘導および/または維持に必須でない遺伝子である。いくつかの実施形態において、バクテリオファージから除去および/または置き換えされる非必須遺伝子は、T4 E.coliバクテリオファージからのhoc遺伝子である。いくつかの実施形態において、除去および/または置き換えされる非必須遺伝子には、T7 E.coliバクテリオファージからのgp0.7、gp4.3、gp4.5、gp4.7、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。いくつかの実施形態において、除去および/または置き換えされる非必須遺伝子は、T7m E.coliバクテリオファージからのgp0.6、gp0.65、gp0.7、gp4.3、gp4,5、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0122】
抗菌剤およびペプチド
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、抗菌ペプチド、抗菌ペプチドの機能的断片、または溶菌性遺伝子を発現するようにさらに遺伝子改変される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、本明細書に開示される少なくとも1つの抗菌剤またはペプチドを発現する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、核酸配列のタンパク質産物がファージ耐性細菌を標的とする酵素製剤(enzybiotic)をコードする核酸配列を含む。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、バイオフィルムマトリックスを分解(breaking down)または分解(degrading)することを補助する酵素をコードする核酸を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、DispersonDアミノペプチダーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、シクロデキストリン グリコシルトランスフェラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エステラーゼ、アルファ-ガラクトシダーゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、アルファ-グルコシダーゼ、ベータ-グルコシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ、インベルターゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、マンノシダーゼ、オキシダーゼ、ペクチン分解酵素、ペプチドグルタミナーゼ、ペルオキシダーゼ、フィターゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、タンパク質分解酵素、リボヌクレアーゼ、トランスグルタミナーゼ、キシラナーゼまたはリアーゼをコードする核酸を含む。いくつかの実施形態において、酵素は、セルラーゼAとも呼ばれるグリコシルヒドロキシラーゼ5ファミリーの酵素などの、セルラーゼのグリコシルヒドロキシラーゼファミリーなどのセルラーゼ;ポリグルコサミン(PGA)デポリメラーゼ;および結腸酸デポリメラーゼ(colonic acid depolymerases)、例えば、1,4-L-フコダイス加水分解酵素コラン酸(colanic acid)を分解する1,4-ベータ-フコシド加水分解酵素、解重合アルギナーゼ、DNaseI、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、本明細書に開示される酵素を分泌する。
【0123】
いくつかの実施形態において、抗菌剤またはペプチドは、本明細書に開示されるバクテリオファージによって発現および/または分泌される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、アンピシリン、ペニシリン、ペニシリン誘導体、セファロスポリン、モノバクタム、カルバペネム、オフロキサシン、シプロフラキサシン、レボフロキサシン、ガチフロキサシン、ノルフロキサシン、ロメフロキサシン、トロバフロキサシン、モキシフロキサシン、スパフロキサシン、ゲミフロキサシン、パズフロキサシン、または任意の本明細書に開示される抗生物質などの抗生物質を分泌および発現する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、抗菌ペプチドをコードする核酸配列を含み、抗菌ペプチドを発現するか、または標的細菌の殺傷を補助もしくは増強するペプチドを分泌する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、ペプチドをコードする核酸配列、抗菌ペプチドをコードする核酸配列を含み、あるいは抗菌ペプチドを発現するか、または第1のおよび/もしくは第2のI型CRISPR-Casシステムの活性を補助または増強するペプチドを分泌する。
【0124】
使用方法
本明細書に開示されるのは、特定の実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージのいずれかを標的細菌に導入する工程を含む、標的細菌を殺傷する方法である。
【0125】
本明細書でさらに開示されるのは、特定の実施形態において、必須遺伝子に標的ヌクレオチド配列を含む第1の細菌種と、必須遺伝子に標的ヌクレオチド含まない第2の細菌種とを有する細菌細胞の混合集団を改変する方法であって、この方法は、本明細書に開示されるバクテリオファージのいずれかを細菌細胞の混合集団に導入する工程を含む。
【0126】
また、本明細書に開示されるのは、特定の実施形態において、必要とする個体の疾患を治療する方法であり、この方法は、本明細書に開示されるバクテリオファージのいずれかを個体に投与する工程を含む。
【0127】
いくつかの実施形態において、標的細菌は、バクテリオファージの溶菌活性によってのみ殺傷される。いくつかの実施形態において、標的細菌は、CRISPR-Casシステムの活性によってのみ殺傷される。いくつかの実施形態において、標的細菌は、CRISPR-CasシステムによるCRISPRアレイのプロセシングによって殺傷されて、CRISPR-Casベースのエンドヌクレアーゼ活性を方向付けることが可能であるプロセシングされたcrRNA、および/または細菌の標的遺伝子の標的ヌクレオチド配列での切断を生じる。
【0128】
いくつかの実施形態において、標的細菌は、I型CRISPR-Casシステムの活性と組み合わせたバクテリオファージの溶菌活性によって殺傷される。いくつかの実施形態において、標的細菌は、バクテリオファージの溶菌活性とは無関係に、I型CRISPR-Casシステムの活性によって殺傷される。いくつかの実施形態において、I型CRISPR-Casシステムの活性は、バクテリオファージの溶菌活性を補足または増強する。
【0129】
いくつかの実施形態において、バクテリオファージの溶菌活性およびI型CRISPR-Casシステムの活性は相乗的である。いくつかの実施形態において、バクテリオファージの溶菌活性は、バクテリオファージの濃度によって調節される。いくつかの実施形態において、I型CRISPR-Casシステムの活性は、バクテリオファージの濃度によって調節される。
【0130】
いくつかの実施形態において、細菌の相乗的殺傷は、細菌に投与されるバクテリオファージの濃度を増加させることによって、第1のCRISPR-Casシステムの活性よりもバクテリオファージの溶菌活性による殺傷を優先するように調節される。いくつかの実施形態において、細菌の相乗的殺傷は、細菌に投与されるバクテリオファージの濃度を減少させることによって、CRISPR-Casシステムの活性よりもバクテリオファージの溶菌活性による殺傷を優先しないように調節される。いくつかの実施形態において、低濃度で、溶菌複製は、標的細菌の増幅および殺傷を可能にする。いくつかの実施形態において、高濃度では、ファージの増幅は必要とされない。いくつかの実施形態において、細菌の相乗的殺傷は、バクテリオファージの溶菌活性よりもCRISPR-Casシステムの活性による殺傷を優先するように、スペーサーの数、長さ、組成、同一性、またはそれらの任意の組み合わせを変更することによって調節され、その結果、CRISPRアレイの致死性を増加させる。いくつかの実施形態において、細菌の相乗的殺傷は、バクテリオファージの溶解活性よりもCRISPR-Casシステムの活性による殺傷を優先しないように、スペーサーの数、長さ、組成、同一性、またはそれらの任意の組み合わせを変えることによって調節され、その結果、CRISPRアレイの致死性を低下させる。
【0131】
投与経路と投与量
本明細書に開示される組成物の投与量および投与期間は、対象の年齢、対象の体重、およびファージの耐性を含む様々な要因に依存する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、動脈内、静脈内、尿道内、筋肉内、経口、皮下、吸入、またはそれらの任意の組み合わせで患者に投与される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、経口投与によって患者に投与される。
【0132】
いくつかの実施形態において、10から1020PFUの間のファージの用量が与えられる。いくつかの実施形態において、10から1010PFUの間のファージの用量が与えられる。いくつかの実施形態において、10から1020PFUの間のファージの用量が与えられる。いくつかの実施形態において、10から1010PFUの間のファージの用量が与えられる。例えば、いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、10から1011PFUの間の量の組成物中に存在する。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、約10、10、10、10、10、10、10、1010、1011、1012、1013、1014、1015、1016、1017、1018、1019、1020、1021、1022、1023、l024PFU以上の量で組成物中に存在する。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、10PFU未満の量で組成物中に存在する。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、10から10、10と10、10と1010、または10と1011PFUの間で量の組成物中に存在する。
【0133】
いくつかの実施形態において、バクテリオファージまたは混合物は、1日に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24回、それを必要とする対象に投与される。いくつかの実施形態において、バクテリオファージまたは混合物は、週に少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21回、それを必要とする対象に投与される。いくつかの実施形態において、バクテリオファージまたは混合物は、1ヶ月に少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90回、それを必要とする対象に投与される。いくつかの実施形態において、バクテリオファージまたは混合物は、2、4、6、8、10、12、14、18、20、22、または24時間毎に、それを必要とする対象に投与される。
【0134】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組成物(バクテリオファージ)は、疾患または状態の発生前、発生中、または発生後に投与される。いくつかの実施形態において、バクテリオファージを含む組成物を投与するタイミングは変化する。いくつかの実施形態において、医薬組成物は予防薬として使用され、疾患または状態の発生を予防するために、状態または疾患の傾向がある対象に継続的に投与される。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、症状の発症中または発症後できるだけ早く対象に投与される。いくつかの実施形態において、組成物の投与は、症状の発症の最初の48時間以内、症状の発症の最初の24時間以内、症状の発症の最初の6時間以内、または症状の発症の3時間以内に開始される。いくつかの実施形態において、組成物の最初の投与は、本明細書に記載の任意の製剤を使用する本明細書に記載の任意の経路によるなど、実用的な任意の経路を介する。いくつかの実施形態において、組成物は、疾患または状態の発症が検出されたかまたは疑われた後、実行可能であるとすぐに、そして疾患の治療に必要な期間、例えば、約1ヶ月から約3ヶ月までなどで投与される。いくつかの実施形態において、治療の長さは、対象ごとに異なる。
【0135】
細菌感染
本明細書に開示されるのは、特定の実施形態において、細菌感染を治療する方法である。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、ヒトまたは動物の対象において、本明細書に開示されるように、細菌によって媒介されるかまたは引き起こされる疾患または状態を治療または予防する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、ヒトまたは動物の対象において、本明細書に開示されるように、細菌によって引き起こされるまたは悪化する疾患または状態を治療または予防する。このような細菌は、通常、腸、口腔、肺、脇腹、眼、膣、肛門、耳、鼻、または喉の組織を含む対象の組織と接触している。いくつかの実施形態において、細菌感染は、細菌の活性を調節することによって、および/または細菌を直接殺傷することによって治療される。
【0136】
いくつかの実施形態において、標的細菌の非限定的な例には、Escherichia spp.、Salmonella spp.、Bacillus spp.、Corynebacterium Clostridium spp.、Clostridium spp.、Pseudomonas spp.、Clostridium spp.、Lactococcus spp.、Acinetobacter spp.、Mycobacterium spp.、Myxococcus spp.、Staphylococcus spp.、Streptococcus spp.、またはcyanobacteriaが含まれる。いくつかの実施形態において、細菌の非限定的な例には、Escherichia coli、Salmonella enterica、Bacillus subtilis、Clostridium acetobutylicum、Clostridium ljungdahlii、Clostridioides difficile、Acinetobacter baumannii、Mycobacterium tuberculosis、Myxococcus xanthus、Staphylococcus aureus、Streptococcus pyogenes、またはcyanobacteriaが含まれる。いくつかの実施形態において、細菌の非限定的な例には、Staphylococcus aureus、メチシリン耐性Staphylococcus aureus、Streptococcus pneumonia、カルバペネム耐性Enterobacteriaceae、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus salivarius、Corynebacterium minutissimum、Corynebacterium pseudodiphtheriticum、Corynebacterium striatum、CorynebacteriumグループG1、CorynebacteriumグループG2、Streptococcus pneumonia、Streptococcus mitis、Streptococcus sanguis、Escherichia coli、Klebsiella pneumoniae、Pseudomonas aeruginosa、Burkholderia cepacia、Serratia marcescens、Haemophilus influenzae、Moraxella sp.、Neisseria meningitidis、Neisseria gonorrhoeae、Salmonella typhimurium、Actinomyces spp.、Porphyromonas spp.、Prevotella melaninogenicus、Helicobacter pylori、Helicobacter felis、またはCampylobacter jejuniが含まれる。さらなる細菌の非限定的な例には、Lactobacillus spp.およびBifidobacterium spp.を含むがこれに限定されない乳酸菌、Geobacter spp.、Clostridium spp.、もしくはRalstonia eutrophaを含むがこれらに限定されない合成液体燃料(electrofuel)細菌系統、または、例えば、植物および動物に対して病原性である細菌が含まれる。いくつかの実施形態において、細菌はEscherichia coliである。いくつかの実施形態において、細菌はClostridium difficileである。いくつかの実施形態において、細菌はPseudomonas aeruginosaである。
【0137】
いくつかの実施形態において、細菌集団に存在する1つ以上の標的細菌は病原性である。いくつかの実施形態において、病原性細菌は尿路病原性である。いくつかの実施形態では、病原性細菌は尿路病原性大腸菌(UPEC)である。いくつかの実施形態において、病原性細菌は下痢原性である。いくつかの実施形態において、病原性細菌は糖尿病誘発性大腸菌(DEC)である。いくつかの実施形態において、病原性細菌は志賀毒素産生性である。いくつかの実施形態において、病原性細菌は志賀毒素産生大腸菌(E.coli)(STEC)である。いくつかの実施形態において、病原性細菌は志賀毒素産生性である。いくつかの実施形態において、病原性細菌は志賀毒素産生大腸菌(STEC)である。いくつかの実施形態において、病原性細菌は様々な0抗原:H抗原血清型大腸菌である。いくつかの実施形態において、病原性細菌は腸内病原性である。いくつかの実施形態において、病原性細菌は、腸内病原性大腸菌(EPEC)である。
【0138】
いくつかの実施形態において、病原性細菌は、CD043、CD05、CD073、CD093、CD180、CD106、CD128、CD199、CD111、CD108、CD25、CD148、CD154、FOBT195、CD03、CD038、CD112、CD196、CD105、UK1、UK6、BI-9、CD041、CD042、CD046、CD19、またはR2029lを含むC.difficileの様々な系統である。
【0139】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるバクテリオファージは、対象の胃腸管における感染症、疾患、または状態を治療するために使用される。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、対象のマイクロバイオームまたは腸内細菌叢内の標的細菌を調節および/または殺傷するために使用される。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、対象のマイクロバイオームまたは腸内細菌叢内の複数の細菌から1つ以上の標的細菌を選択的に調節および/または殺傷するために使用される。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、対象のマイクロバイオームまたは腸内細菌叢内の複数の細菌から1つ以上の標的腸内病原性細菌を選択的に調節および/または殺傷するために使用される。いくつかの実施形態において、標的腸内病原性細菌は、腸内病原性大腸菌(EPEC)である。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、対象のマイクロバイオームまたは腸内細菌叢内の複数の細菌から1つまたは複数の標的下痢原性細菌を選択的に調節および/または殺傷するために使用される。いくつかの実施形態において、標的下痢原性細菌は、下痢原性大腸菌(E.coli)(DEC)である。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、対象のマイクロバイオームまたは腸内細菌叢内の複数の細菌から1つまたは複数の標的Shiga毒素産生細菌を選択的に調節および/または殺傷するために使用される。いくつかの実施形態において、標的のShiga毒素産生細菌は、Shiga毒素産生大腸菌(STEC)である。
【0140】
いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、CD043、CD05、CD073、CD093、CD180、CD106、CD128、CD199、CD111、CD108、CD25、CD148、CD154、FOBT195、CD03、CD038、CD112、CD196、CD105、UK1、UK6、BI-9、CD041、CD042、CD046、CD19、またはR2029lを含む対象のマイクロバイオームまたは腸内細菌叢内の1つ以上の標的腸内病原性C.difficile細菌株を選択的に調節および/または殺傷するために使用される。
【0141】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるバクテリオファージは、対象の尿路における感染症、疾患、または状態を治療するために使用される。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、対象の尿路細菌叢内の標的細菌を調節および/または殺傷するために使用される。尿路細菌叢には、Staphylococcus epidermidis、Enterococcus faecalis、および一部のアルファ溶血性Streptococciが含まれるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、対象の尿路細菌叢内の複数の細菌から1つ以上の標的尿路病原性細菌を選択的に調節および/または殺傷するために使用される。いくつかの実施形態において、標的細菌は、尿路病原性大腸菌(UPEC)である。
【0142】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、対象の皮膚上の感染症、疾患、または状態を治療するために使用される。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、対象の皮膚上の標的細菌を調節および/または殺傷するために使用される。
【0143】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるバクテリオファージは、対象の粘膜上の感染症、疾患、または状態を治療するために使用される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、対象の粘膜上の標的細菌を調節および/または殺傷するために使用される。
【0144】
いくつかの実施形態において、病原性細菌は抗生物質耐性である。一実施形態では、病原性細菌は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(MRSA)である。
【0145】
いくつかの実施形態において、細菌集団に存在する1つ以上の標的細菌は、バイオフィルムを形成する。いくつかの実施形態において、バイオフィルムは、病原性細菌を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、バイオフィルムを処置するために使用される。
【0146】
いくつかの実施形態において、標的細菌の非限定的な例には、Escherichia spp.、Salmonella spp.、Bacillus spp.、Corynebacterium Clostridium spp.、Clostridium spp.、Pseudomonas spp.、Clostridium spp.、Lactococcus spp.、Acinetobacter spp.、Mycobacterium spp.、Myxococcus spp.、Staphylococcus spp.、Streptococcus spp.、またはcyanobacteriaが含まれる。いくつかの実施形態において、細菌の非限定的な例には、Escherichia coli、Salmonella enterica、Bacillus subtilis、Clostridium acetobutylicum、Clostridium ljungdahlii、Clostridioides difficile、Acinetobacter baumannii、Mycobacterium tuberculosis、Myxococcus xanthus、Staphylococcus aureus、Streptococcus pyogenes、またはcyanobacteriaが含まれる。いくつかの実施形態において、細菌の非限定的な例には、Staphylococcus aureus、メチシリン耐性Staphylococcus aureus、Streptococcus pneumonia、カルバペネム耐性Enterobacteriaceae、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus salivarius、Corynebacterium minutissimum、Corynebacterium pseudodiphtheriticum、Corynebacterium striatum、CorynebacteriumグループG1、CorynebacteriumグループG2、Streptococcus pneumonia、Streptococcus mitis、Streptococcus sanguis、Escherichia coli、Klebsiella pneumoniae、Pseudomonas aeruginosa、Burkholderia cepacia、Serratia marcescens、Haemophilus influenzae、Moraxella sp.、Neisseria meningitidis、Neisseria gonorrhoeae、Salmonella typhimurium、Actinomyces spp.、Porphyromonas spp.、Prevotella melaninogenicus、Helicobacter pylori、Helicobacter felis、またはCampylobacter jejuniが含まれる。さらなる細菌の非限定的な例には、Lactobacillus spp.およびBifidobacterium spp.を含むがこれに限定されない乳酸菌、Geobacter spp.、Clostridium spp.、もしくはRalstonia eutrophaを含むがこれらに限定されない合成液体燃料(electrofuel)細菌系統、または、例えば、植物および動物に対して病原性である細菌が含まれる。いくつかの実施形態において、細菌はEscherichia coliである。いくつかの実施形態において、細菌はClostridium difficileである。
【0147】
いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、にきびおよび他の関連する皮膚感染症を治療する。
【0148】
いくつかの実施形態において、標的細菌は、多剤耐性(MDR)細菌株である。MDR株は、少なくとも1つの抗生物質に耐性のある細菌株である。いくつかの実施形態において、細菌株は、セファロスポリン、フルオロキノロン、カルバペネム、コリスチン、アミノグリコシド、バンコマイシン、ストレプトマイシン、およびメチシリンなどの抗生物質クラスに耐性がある。いくつかの実施形態において、細菌株は、セフトビプロール、セフタロリン、クリンダマイシン、ダルババンシン、ダプトマイシン、リネゾリド、ムピロシン、オリタバンシン、テジゾリド、テラバンシン、チゲサイクリン、バンコマイシン、アミノグリコシド、カルバペネム、セフタジジム、セフェピム、セフトビプロール、フルオロキノロン、ピペラシリン、チカルシリン、リネゾリド、ストレプトグラミン、チゲサイクリン、ダプトマイシン、などの抗生物質またはそれらの任意の組み合わせに耐性がある。MDR株の例には、バンコマイシン耐性Enterococci(VRE)、メチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA)、拡張スペクトルβ-ラクタマーゼ(ESBL)産生グラム陰性菌、およびKlebsiella pneumoniae carbapenemase(KPC)産生グラム陰性菌、およびEnterobacter種E.coli、Klebsiella pneumoniae、Acinetobacter baumannii、またはPseudomonas aeruginosaなどの多剤耐性グラム陰性桿菌(MDR GNR)MDRGN細菌が含まれる。
【0149】
いくつかの実施形態では、標的細菌はKlebsiella pneumoniaeである。いくつかの実施形態では、標的細菌はStaphylococcus aureusである。いくつかの実施形態では、標的細菌はEnterococciである。いくつかの実施形態では、標的細菌はAcinetobacterである。いくつかの実施形態では、標的細菌はPseudomonasである。いくつかの実施形態では、標的細菌はEnterobacterである。いくつかの実施形態では、標的細菌はClostridium difficileである。いくつかの実施形態において、標的細菌は、E.coliである。いくつかの実施形態において、標的細菌は、クロストリジウム・ボルテエ(Clostridium bolteae)である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法および組成物は、獣医および医療用途、ならびに研究用途で使用するためのものである。
【0150】
マイクロバイオーム
「マイクロバイオーム」、「マイクロバイオータ」、および「微生物生息地」は、本明細書以下で交換可能に使用され、対象の体表面、空洞、および体液上またはその中に生息する微生物の生態学的群集を指す。マイクロバイオームの生息地の非限定的な例には、腸、結腸、皮膚、皮膚表面、皮膚孔、膣腔、臍帯領域、結膜領域、腸領域、胃、鼻腔および通路、胃腸管、泌尿生殖器管、唾液、粘液、および糞便が含まれる。いくつかの実施形態では、マイクロバイオームは、細菌、古細菌、原生生物、真菌、およびウイルスを含むがこれらに限定されない微生物材料を含む。いくつかの実施形態では、微生物材料は、グラム陰性菌を含む。いくつかの実施形態では、微生物材料は、グラム陽性菌を含む。いくつかの実施形態では、微生物材料は、Proteobacteria、Actinobacteria、Bacteroidetes、またはFirmicutesを含む。
【0151】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるバクテリオファージは、対象のマイクロバイオーム内の標的細菌を調節または殺傷するために使用される。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、CRISPR-Casシステム、溶解活性、またはそれらの組み合わせによって、マイクロバイオーム内の標的細菌を調節および/または死滅させるために使用される。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、対象のマイクロバイオーム内の標的細菌を調節および/または殺傷するために使用される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、対象のマイクロバイオーム内の複数の細菌から1つ以上の標的細菌を選択的に調節および/または殺傷するために使用される。いくつかの実施形態において、標的細菌は、大腸菌(E.coli)である。いくつかの実施形態では、大腸菌は多剤耐性(MDR)系統である。いくつかの実施形態において、E.coliは、拡張スペクトルベータラクタマーゼ(ESBL)系統である。いくつかの実施形態において、E.coliは、カルバペネム耐性系統である。いくつかの実施形態において、E.coliは、非多剤耐性(非MDR)系統である。いくつかの実施形態において、E.coliは、非カルバペネム耐性系統である。いくつかの実施形態において、病原性細菌は尿路病原性である。いくつかの実施形態において、病原性細菌は、尿路病原性大腸菌(UPEC)である。いくつかの実施形態において、病原性細菌は下痢原性である。いくつかの実施形態において、病原性細菌は、下痢原性大腸菌(DEC)である。いくつかの実施形態において、病原性細菌は、志賀毒素産生性である。いくつかの実施形態において、病原性細菌は、Shiga毒素産生大腸菌(STEC)である。いくつかの実施形態において、病原性細菌は、様々なO抗原:H抗原血清型E.coliである。いくつかの実施形態において、病原性細菌は腸内病原性である。いくつかの実施形態において、病原性細菌は、腸内病原性E.coli(EPEC)である。
【0152】
いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、対象の胃腸管の微生物叢または腸内細菌叢内の標的の単一または複数の細菌を調節または殺傷するために使用される。ミクロビオームまたは腸内細菌叢の改変(例えば、腸内毒素症)は、糖尿病、精神障害、潰瘍性大腸炎、結腸直腸癌、自己免疫障害、肥満、糖尿病、中枢神経系の疾患および炎症性腸疾患などの健康状態のリスクを高める。胃腸管の疾患および状態に関連し、バクテリオファージによって調節または殺傷される例示的な細菌には、E.coliの菌系統、亜菌系統、およびエンテロタイプが含まれる。
【0153】
いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、CD043、CD05、CD073、CD093、CD180、CD106、CD128、CD199、CD111、CD108、CD25、CD148、CD154、FOBT195、CD03、CD038、CD112、CD196、CD105、UK1、UK6、BI-9、CD041、CD042、CD046、CD19、またはR2029lを含む対象のマイクロバイオーム内の1つ以上の標的腸内病原性C.difficile細菌株を選択的に調節および/または殺傷するために使用される。
【0154】
いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、対象の胃腸管のマイクロバイオームまたは腸内細菌叢内の標的の単一または複数の細菌を調節または殺傷するために使用される。マイクロバイオームまたは腸内細菌叢の改変(例えば、腸内毒素症)は、糖尿病、精神障害、潰瘍性大腸炎、結腸直腸癌、自己免疫障害、肥満、糖尿病、中枢神経系の疾患および炎症性腸疾患などの健康状態のリスクを高める。胃腸管の疾患および状態に関連し、バクテリオファージによって調節または殺傷さられる細菌の例示的なリストには、enterobacteriaceae、pasteurellaceae、fusobacteriaceae、neisseriaceae、veillonellaceae、gemellaceae、bacteriodales、clostridiales、erysipelotrichaceae、bifidobacteriaceae bacteroides、faecalibacterium、roseburia、blautia、ruminococcus、coprococcus、streptococcus、dorea、blautia、ruminococcus、lactobacillus、enterococcus、streptococuccus、escherichia coli、fusobacterium nucleatum、haemophilus parainfluenzae(pasteurellaceae)、veillonella parvula、eikenella corrodens(neisseriaceae)、gemella moribillum、bacteroides vulgatus、bacteroides caccae、bifidobacterium bifidum、bifidobacterium longum、bifidobacterium adolescentis、bifidobacterium dentum、blautia hansenii、ruminococcus gnavus、Clostridium nexile、faecalibacterium prausnitzii、ruminoccus torques、clostridium bolteae、eubacterium rectale、roseburia intestinalis、coprococcus comes、actinomyces、lactococcus、roseburia、streptococcus、blautia、dialister、desulfovibrio、escherichia、lactobacillus、coprococcus、clostridium、bifidobacterium、klebsiella、granulicatella、eubacterium、anaerostipes、parabacteroides、coprobacillus、gordonibacter、collinsella、bacteroides、faecalibacterium、anaerotruncus、alistipes、haemophilus、anaerococcus、veillonella、arevotella、akkermansia、bilophila、sutterella、eggerthella、holdemania、gemella、peptoniphilus、rothia、enterococcus、pediococcus、citrobacter、odoribacter、enterobacteria、fusobacterium、およびproteusが含まれる。
【0155】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるバクテリオファージは、健康なマイクロバイオームを促進するために対象に投与される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、対象のマイクロバイオームの健康を促進するマイクロバイオーム組成物に回復するために対象に投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるバクテリオファージを含む組成物は、プレバイオティクスまたは第3の薬剤を含む。いくつかの実施形態において、マイクロバイオーム関連の疾患または障害は、本明細書に開示されるバクテリオファージによって治療される。
【0156】
環境療法
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるバクテリオファージは、食品および農業の衛生(肉、果物および野菜の衛生を含む)、病院の衛生、家庭の衛生、車両および設備の衛生、工業的衛生などのためにさらに使用される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、抗生物質耐性または他の望ましくない病原体を、医学、獣医、畜産、または、細菌がヒトもしくは動物に感染する任意の追加の環境から除去するために使用される。
【0157】
医療機関でのファージの環境への適用は、消毒が困難または不可能な病原体による院内感染の潜在的な原因である、内視鏡などの機器やICUなどの環境向けである。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるファージは、一般的に使用される消毒剤に対して耐性となる細菌属が生息する機器または環境を処理するために使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるファージ組成物は、無生物を消毒するために使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される環境は、ファージ力価を有する水溶液で噴霧、塗装、または注がれる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の溶液は、10-1020の間のプラーク形成単位(PFU)/mlを含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、バクテリオファージの環境への分布を容易にするために、乾燥分散剤を含むエアロゾル化剤によって適用される。いくつかの実施形態では、物体は、本明細書に開示されるバクテリオファージを含む溶液に浸漬される。
【0158】
衛生
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、様々な分野において、衛生剤として使用される。「ファージ」または「バクテリオファージ」という用語が使用され得るが、適切な場合、この用語は、単一のバクテリオファージ、バクテリオファージ混合物などの複数のバクテリオファージ、およびバクテリオファージと、消毒剤、洗剤、界面活性剤、水などの薬剤との混合物を含むと広く解釈されるべきであることに留意されるべきである。
【0159】
いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、手術室、病室、待合室、実験室、または他の雑多な病院設備を含む病院施設を消毒するために使用される。いくつかの実施形態では、この機器は、心電計、呼吸器、心臓血管補助装置、大動脈内バルーンポンプ、注入装置、他の患者ケア装置、テレビ、モニター、リモコン、電話、ベッドなどを含む。いくつかの状況において、バクテリオファージはエアロゾルキャニスターを介して適用される。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、トランスファービヒクルで物体上のファージを拭くことによって適用される。
【0160】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のバクテリオファージは、患者ケアデバイスと組み合わせて使用される。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、従来の換気装置または呼吸療法装置と組み合わせて使用されて、患者間の内面および外面を洗浄する。換気装置の例には、手術中の換気をサポートするデバイス、無能力の患者の換気をサポートするデバイス、および同様の機器が含まれる。いくつかの実施形態において、従来の治療法には、自動または電動装置、または救急治療室や救急車で一般的に見られるような手動のバッグタイプの装置が含まれる。いくつかの実施形態において、呼吸療法は、慢性閉塞性肺疾患または喘息で一般的に使用される気管支拡張薬などの薬物を導入するための吸入器、または持続的気道陽圧装置などの気道開存性を維持するための装置を含む。
【0161】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のバクテリオファージは、髄膜炎または腸管感染症などの伝染性の高い細菌性疾患が存在する領域において、表面を洗浄し、コロニー形成した人々を治療するために使用される。
【0162】
いくつかの実施形態において、給水は、本明細書に開示される組成物で処理される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、汚染された水、貯水槽、井戸、貯水池、貯蔵タンク、水道、導管、および同様の配水装置に見られる水を処理するために使用される。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、水、油、冷却液、および他の液体が収集プールに蓄積する工業用貯蔵タンクに適用される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、細菌の増殖を低減するために、定期的に工業用貯蔵タンクに導入される。
【0163】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、家、アパート、マンション、コンドミニアム、寮、または任意の生活領域などの生活領域を消毒するために使用される。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、劇場、コンサートホール、美術館、駅、空港、ペット用ベッドなどのペットエリア、またはトイレなどの公共エリアを消毒するために使用される。この能力において、バクテリオファージは、ポンプ噴霧器、エアゾール容器、噴出ボトル、事前に湿らせたタオルなどを含む従来の装置から分配され、消毒される領域に直接適用される(例えば、噴霧される)か、またはタオル、スポンジなどの輸送ビヒクルを介して、その領域に移される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるファージは、台所、寝室、浴室、ガレージ、地下室などを含む、家の様々な部屋に適用される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるファージは、従来のクリーナーと同じ方法である。いくつかの実施形態において、ファージは、従来のクリーナーが適切なバクテリオファージの生物学的活性を維持するように製剤化されるという条件で、従来のクリーナーと組み合わせて(その前に、その後に、または同時に)適用される。
【0164】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、紙製品の処理中または処理の完了後のいずれかで、紙製品の成分に添加される。本明細書に開示されるバクテリオファージが添加される紙製品には、ペーパータオル、トイレットペーパー、ウェットティッシュが含まれるがこれらに限定されない。
【0165】
食品安全
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のバクテリオファージは、汚染を防止するために、任意の食品または栄養補助食品に使用される。食品または医薬品の例としては、牛乳、ヨーグルト、カード、チーズ、発酵乳、牛乳ベースの発酵製品、アイスクリーム、発酵シリアルベースの製品、牛乳ベースの粉末、乳児用調合乳または錠剤、液体懸濁液、乾燥経口サプリメント、湿式経口サプリメント、またはドライチューブ給餌である。
【0166】
バクテリオファージの衛生に関する幅広い概念は、他の農業用途や生物にも適用できる。生産品は、果物や野菜、乳製品、その他の農産物を含む農産物を含む。例えば、切りたての農産物は、病原菌で汚染された加工工場に頻繁に到着する。これは、追跡可能な食品媒介性疾患の発生につながった。いくつかの実施形態において、バクテリオファージ調製物の農産物への適用は、食品媒介性疾患に関連する細菌の種に対して特異性を有する単一のファージまたはファージ混合物の適用を通じて、食品媒介性疾患の可能性を実質的に低減または排除する。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、その時点での細菌汚染を低減するために、またはその後の時点での汚染から保護するために、生産および処理の様々な段階で適用される。
【0167】
いくつかの実施形態において、特定のバクテリオファージは、レストラン、食料品店、農産物流通センターでの農産物に適用される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、サラダバーの果物および野菜の内容物に定期的または継続的に適用される。いくつかの実施形態において、サラダバーへの、または食品の外部を消毒するためのバクテリオファージの適用は、ミスト化またはスプレープロセスまたは洗浄プロセスである。
【0168】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のバクテリオファージは、肉、農産物、果物や野菜のカット、および他の食品を含むパッケージを含むマトリックスまたは支持媒体で使用される。いくつかの実施形態において、包装に適したポリマーは、バクテリオファージ調製物で含浸される。
【0169】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のバクテリオファージは、農家および家畜飼料において使用される。いくつかの実施形態において、家畜を飼育している農場では、家畜は、飲料水、食物、またはその両方にバクテリオファージが提供される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のバクテリオファージは、死骸に噴霧され、と畜場を消毒するために使用される。
【0170】
農産物の生物的防除剤として特定のバクテリオファージを使用すると、多くの利点が得られる。例えば、バクテリオファージは、一般的な化学消毒剤のように天然の微生物叢の生態学的バランスを乱すことはない、対象となる食品由来の病原菌を特異的に溶解する、天然の無毒な製品であるが、しかしこれは、標的化された食品由来の病原体を特異的に溶解する。バクテリオファージは、化学消毒剤とは異なり、宿主細菌とともに進化する天然物であるため、最近出現した耐性菌に対して活性のある新しいファージが必要に応じて迅速に特定されるのに対して、新しい効果的な消毒剤の特定ははるかに長いプロセスであり、数年である。
【0171】
医薬組成物
本明細書に開示されるのは、特定の実施形態において、(a)本明細書に開示されるような核酸配列、および(b)薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物である。また、本明細書に開示されるのは、特定の実施形態において、(a)本明細書に開示されるようなバクテリオファージ、および(b)薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物である。明細書にさらに開示されるのは、特定の実施形態において、(a)本明細書に開示されるような組成物、および(b)薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物である。
【0172】
いくつかの実施形態において、本開示は、細菌、古細菌感染症を治療するために、または領域を消毒するための、医薬組成物およびそれを投与する方法を提供する。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、薬学的に許容される担体中に上記で論じられた試薬のいずれかを含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物または方法は、尿路感染症(UTI)および/または炎症性疾患(例えば、炎症性腸疾患(IBD))を治療する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物または方法は、クローン病を治療する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物または方法は、潰瘍性大腸炎を治療する。
【0173】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組成物は、薬剤、医薬剤、担体、アジュバント、分散剤、希釈剤などを含む。
【0174】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、適切な方法に従って、医薬担体中での投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、本開示による医薬組成物の製造において、バクテリオファージは、とりわけ、許容可能な担体と混合される。いくつかの実施形態において、担体は、固体(粉末を含む)または液体、あるいはそれらの両方であり、好ましくは、単位用量組成物として製剤化される。いくつかの実施形態において、1つ以上のバクテリオファージは、薬学の任意の適切な方法によって調製される、本明細書に開示される組成物に組み込まれる。
【0175】
いくつかの実施形態において、対象をインビボで治療する方法であって、本明細書に開示されるバクテリオファージを含む医薬組成物を薬学的に許容される担体中で投与することを含み、医薬組成物は治療有効量で投与される。いくつかの実施形態において、バクテリオファージの必要とするヒト対象または動物へのその投与は、当該技術分野で知られている任意の手段による。
【0176】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、経口投与用である。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、カプセル、錠剤、および散剤などの固体剤形、またはエリキシル、シロップ、および懸濁液などの液体剤形で投与される。いくつかの実施形態において、口腔(舌下)投与に適した組成物および方法は、フレーバーベース、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガカント中にバクテリオファージを含むロゼンジ、ならびに、ゼラチンとグリセリンまたはスクロースとアカシアなどの不活性塩基にバクテリオファージを含むトローチを含む。
【0177】
いくつかの実施形態において、本開示の方法および組成物は、バクテリオファージの滅菌水性および非水性注射溶液を含む非経口投与に適している。いくつかの実施形態において、これらの調製物は、意図されたレシピエントの血液と等張である。いくつかの実施形態において、これらの調製物は、組成物を、意図されたレシピエントの血液と等張にする抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、および溶質を含む。いくつかの実施形態において、水性および非水性の滅菌懸濁液は、懸濁剤および増粘剤を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組成物は、単位用量または複数用量の容器、例えば密封されたアンプルおよびバイアルに提示され、例えば、使用直前に注射用の生理食塩水または水滅菌液体担体の添加のみを必要とする凍結乾燥(凍結乾燥)状態で保存される。
【0178】
いくつかの実施形態において、直腸投与に適した方法および組成物は、単位用量坐剤として提示される。いくつかの実施形態において、これらは、バクテリオファージを1つ以上の従来の固体担体、例えば、カカオバターと混合し、次いで、得られた混合物を成形することによって調製される。いくつかの実施形態において、皮膚への局所適用に適した方法および組成物は、軟膏、クリーム、ローション、ペースト、ゲル、スプレー、エアロゾル、または油の形態である。いくつかの実施形態において、使用される担体には、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール、経皮増強剤、およびそれらの2つ以上の組み合わせが含まれる。
【0179】
いくつかの実施形態において、経皮投与に適した方法および組成物は、レシピエントの表皮と長期間密接に接触したままであるように適合された別個のパッチとして提示される。
【0180】
いくつかの実施形態において、対象の鼻投与に適した、または他の方法で肺に投与される方法および組成物は、例えば、対象が吸入するバクテリオファージ組成物を含む呼吸可能な粒子のエアロゾル懸濁液によって投与される任意の適切な手段を含む。いくつかの実施形態において、呼吸可能な粒子は液体または固体である。本明細書で使用される場合、「エアロゾル」は、細気管支または鼻腔に吸入することができる任意のガス媒介懸濁相を含む。いくつかの実施形態において、液体粒子のエアロゾルは、圧力駆動エアロゾルネブライザーまたは超音波ネブライザーなどの任意の適切な手段によって生成される。いくつかの実施形態において、組成物を含む固体粒子のエアロゾルは、製薬分野で知られている技術によって、任意の固体粒子状薬剤エアロゾル発生器で生成される。
【0181】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージを物体または対象の表面に投与するために適した方法および組成物は、水溶液を含む。いくつかの実施形態において、そのような水溶液は、物体または対象の表面に噴霧される。いくつかの実施形態において、水溶液を使用して、細菌を含む異物の破片を形成する対象の物理的創傷を洗浄および清浄にする。
【0182】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、治療上有効な量で対象に投与される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される少なくとも1つのバクテリオファージ組成物は、医薬製剤として製剤化される。いくつかの実施形態において、製剤は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20以上のバクテリオファージを含む。本明細書に開示される。いくつかの場合において、医薬製剤は、本明細書に記載のバクテリオファージと、賦形剤、希釈剤、または担体のうちの少なくとも1つを含む。
【0183】
いくつかの実施形態において、医薬製剤は、賦形剤を含む。賦形剤は、Handbook of Pharmaceutical Excipients,American Pharmaceutical Association(1986)に記載されており、これらには、溶媒、分散媒体、希釈剤、またはその他の液体ビヒクル、分散または懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘または乳化剤、が含まれるが、これらに限定されない。薬剤、保存剤、固体結合剤、および潤滑剤が挙げられるがこれらに限定されない。
【0184】
適切な賦形剤の非限定的な例には、緩衝剤、保存剤、安定剤、結合剤、圧縮剤、潤滑剤、キレート剤、分散促進剤、崩壊剤、香味剤、甘味料、着色剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0185】
いくつかの実施形態において、賦形剤は、緩衝剤である。適切な緩衝剤の非限定的な例には、クエン酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、重炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、および重炭酸カルシウムが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、医薬製剤は、以下の列挙された任意の1つ以上の緩衝剤を含む:重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、水酸化マグネシウム、乳酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、メタリン酸カリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、酢酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、および他のカルシウム塩。
【0186】
いくつかの実施形態において、賦形剤は保存剤である。適切な保存剤の非限定的な例には、アルファ-トコフェロールおよびアスコルビン酸塩などの抗酸化剤、ならびにパラベン、クロロブタノール、およびフェノールなどの抗菌剤が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、抗酸化剤には、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸、アスコルビン酸、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、亜硫酸ナトリウム、p-アミノ安息香酸、グルタチオン、没食子酸プロピル、システイン、メチオニン、エタノールおよびN-アセチルシステインが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、保存剤は、バリダマイシンA、TL-3、オルトバナジン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、N-a-トシル-Phe-クロロメチルケトン、N-a-トシル-Lys-クロロメチルケトン、アプロチニン、フェニルメチルスルホニルフルオリド、ジイソプロピルフルオロホスフェート、プロテアーゼ阻害剤、還元剤、アルキル化剤、抗菌剤、オキシダーゼ阻害剤、または他の阻害剤を含む。
【0187】
いくつかの実施形態において、医薬製剤は、賦形剤として結合剤を含む。適切な結合剤の非限定的な例には、デンプン、アルファ化デンプン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルオキソアゾリドン、ポリビニルアルコール、C12-C18脂肪酸アルコール、ポリエチレングリコール、ポリオール、糖類、オリゴ糖類、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0188】
いくつかの実施形態において、製剤に使用される結合剤は、ジャガイモデンプン、コーンスターチ、コムギデンプンなどのデンプン;ショ糖、グルコース、デキストロース、ラクトース、マルトデキストリンなどの糖;天然および合成ガム;ゼラチン;微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースなどのセルロース誘導体。ポリビニルピロリドン(ポビドン);ポリエチレングリコール(PEG);ワックス;炭酸カルシウム;リン酸カルシウム;ソルビトール、キシリトール、マンニトールなどのアルコール、および水またはそれらの組み合わせから選択される。
【0189】
いくつかの実施形態において、医薬製剤は、賦形剤として潤滑剤を含む。適切な潤滑剤の非限定的な例には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、水素化植物油、ステロテックス(sterotex)、ポリオキシエチレンモノステアレート、タルク、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、および軽質鉱物油が含まれる。いくつかの実施形態において、医薬製剤中にある潤滑剤は、金属ステアリン酸塩(ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウムなど)、脂肪酸エステル(ステアリルフマル酸ナトリウムなど)、脂肪酸(ステアリン酸など)、脂肪アルコール、ベヘン酸グリセリル、ミネラルオイル、パラフィン、水素化植物油、ロイシン、ポリエチレングリコール(PEG)、金属ラウリル硫酸塩(ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウムなど)、塩化ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、タルクまたはそれらの組み合わせから選択される。
【0190】
いくつかの実施形態において、賦形剤は、香味料を含む。いくつかの実施形態において、香味料は、天然油植物、葉、花、および果物からの抽出物、ならびにそれらの組み合わせを含む。
【0191】
いくつかの実施形態において、賦形剤は甘味料を含む。適切な甘味料の非限定的な例には、グルコース(コーンシロップ)、デキストロース、転化糖、フルクトース、およびそれらの混合物(担体として使用されない場合);サッカリンおよびナトリウム塩などのそのさまざまな塩;アスパルテームなどのジペプチド甘味料;ジヒドロカルコン化合物、グリチルリチン;Stevia Rebaudiana(ステビオシド);スクラロースなどのスクロースのクロロ誘導体;ならびにソルビトール、マンニトール、シリトール(sylitol)などの糖アルコールが含まれる。
【0192】
いくつかの場合において、医薬製剤は着色剤を含む。適切な着色剤の非限定的な例には、食品、薬物および化粧品の色(FD&C)、薬物および化粧品の色(D&C)、および外部の薬物および化粧品の色(Ext.D&C)が含まれる。
【0193】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬製剤は、キレート剤を含む。いくつかの実施形態において、キレート剤は、エチレンジアミン-N,N,N’、N’-四酢酸(EDTA)、EDTAの二ナトリウム塩、三ナトリウム塩、四ナトリウム塩、二カリウム塩、三カリウム塩、二リチウム塩および二アンモニウム塩;EDTAのバリウム、カルシウム、コバルト、銅、ジスプロシウム、ユーロピウム、鉄、インジウム、ランタン、マグネシウム、マンガン、ニッケル、サマリウム、ストロンチウム、または亜鉛のキレートを含む。
【0194】
いくつかの場合において、医薬製剤は希釈剤を含む。希釈剤の非限定的な例には、水、グリセロール、メタノール、エタノール、および他の同様の生体適合性希釈剤が含まれる。いくつかの実施形態において、希釈剤は、酢酸、クエン酸、マレイン酸、塩酸、リン酸、硝酸、硫酸、または同様のものなどの水性酸である。
【0195】
いくつかの実施形態において、医薬製剤は、界面活性剤を含む。いくつかの実施形態において、界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベート)、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ドキュセートナトリウム、四級アンモニウム化合物、L-ロイシンなどのアミノ酸、脂肪酸の糖エステル、脂肪酸のグリセリド、またはそれらの組み合わせから選択されるが、これらに限定されない。
【0196】
いくつかの場合において、医薬製剤は追加の薬剤を含む。いくつかの実施形態において、追加の医薬製剤は抗生物質である。いくつかの実施形態において、抗生物質は、アミノグリコシド、アンサマイシン、カルバセフェム、カルバペネム、セファロスポリン(第1、第2、第3、第4および第5世代セファロスポリンを含む)、リンコサミド、マクロライド、モノバクタム、ニトロフラン、キノロン、ペニシリン、スルホンアミド、ポリペプチドまたはテトラサイクリンからなる群のものである。
【0197】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抗生物質は、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、トブラマイシンまたはパロモマイシンなどのアミノグリコシドである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抗生物質は、ゲルダナマイシンまたはハービマイシンなどのアンサマイシンである。
【0198】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抗生物質は、ロラカルベフなどのカルバセフェムである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抗生物質は、エルタペネム、ドリペネム、イミペネム/シラスタチンまたはメロペネムなどのカルバペネムである。
【0199】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗生物質は、セファドロキシル、セファゾリン、セファレキシン、セファロチンもしくはセファロチンなどのセファロスポリン(第1世代)、またはセファクロル、セファマンドール、セフォキシチン、セフプロジルもしくはセフロキシムなどのセファロスポリン(第2世代)である。いくつかの実施形態において、抗生物質は、セフィキシム、セフジニル、セフジトレン、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフポドキシム、セフチブテン、セフチゾキシムおよびセフトリアキソンなどのセファロスポリン(第3世代)、またはセフェピムもしくはセフトビプロールなどのセファロスポリン(第4世代)である。
【0200】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗生物質は、クリンダマイシンおよびアジスロマイシンなどのリンコサミド、またはアジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、トロレアンドマイシン、テリスロマイシンおよびスペクチノマイシンなどのマクロライドである。
【0201】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抗生物質は、アズトレオナムなどのモノバクタム、またはフラゾリドンまたはニトロフラントインなどのニトロフランである。
【0202】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗生物質は、アモキシシリン、アンピシリン、アズロシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、メズロシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリンGまたはV、ピペラシリン、テモシリンおよびチカールなどのペニシリンである。
【0203】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗生物質は、マフェニド、スルホナミドクリソイジン、スルファセタミド、スルファジアジン、スルファジアジン銀、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール、スルファニルイミド、スルファサラジン、スルフィソキサゾール、トリメトプリム、またはトリメトプリム-スルファメトキサゾール(コ-トリモキサゾール)(TMP-SMX)などのスルホンアミドである。
【0204】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗生物質は、シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ナリジキシン酸、ノルフロキサシン、オフロキサシン、トロバフロキサシン、グレパフロキサシン、スパルフロキサシンおよびテマフロキサシンなどのキノロンである。
【0205】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抗生物質は、バシトラシン、コリスチンまたはポリミキシンBなどのポリペプチドである。
【0206】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抗生物質は、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリンまたはオキシテトラサイクリンなどのテトラサイクリンである。
【0207】
番号付きの実施形態
番号付きの実施形態1は、(a)CRISPRアレイ、(b)カスケードポリペプチド、および(c)Cas3ポリペプチドを含むI型CRISPR-Casシステムをコードする核酸配列を含むバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態2は、CRISPRアレイがスペーサー配列および少なくとも1つのリピート配列を含む、実施形態1のバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態3は、少なくとも1つのリピート配列がその5’末端またはその3’末端のいずれかでスペーサー配列に作動可能に連結される、実施形態2のバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態4は、スペーサー配列が標的細菌中の標的ヌクレオチド配列に相補的である、実施形態1-3のいずれか1つのバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態5は、標的ヌクレオチド配列がコード配列を含む、実施形態1-4のバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態6は、標的ヌクレオチド配列が非コード配列または遺伝子間配列を含む、実施形態1-5のバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態7は、標的ヌクレオチド配列がプロモーター配列の全部または一部を含む、実施形態1-6のバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態8は、標的ヌクレオチド配列が必須遺伝子の転写領域のコード鎖上に位置するヌクレオチド配列の全部または一部を含む、実施形態1-7のバクテリオファージを含む。番号付けされた実施形態9は、必須遺伝子がTsf、acpP、gapA、infA、secY、csrA、trmD、ftsA、fusA、glyQ、eno、nusG、dnaA、dnaS、pheS、rplB、gltX、hisS、rplC、aspS、gyrB、glnS、dnaE、rpoA、rpoB、pheT、infB、rpsC、rplF、alaS、leuS、serS、rplD、gyrA、またはmetKである、実施形態1-8のバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態10は、カスケードポリペプチドがI-A型CRISPR-Casシステム、I-B型CRISPR-Casシステム、I-C型CRISPR-Casシステム、I-D型CRISPR-Casシステム、I-E型CRISPR-Casシステム、またはI-F型CRISPR-Casシステムのカスケード複合体を形成する、実施形態1-9のいずれか1つのバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態11は、カスケード複合体が以下を含む、実施形態1-10のいずれか1つのバクテリオファージを含む:(i)Cas7ポリペプチド、Cas8a1ポリペプチドまたはCas8a2ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、Csa5ポリペプチド、Cas6aポリペプチド、Cas3’ポリペプチド、およびヌクレアーゼ活性を持たないCas3’’ポリペプチド(I-A型CRISPR-Casシステム);(ii)Cas6bポリペプチド、Cas8bポリペプチド、Cas7ポリペプチド、およびCas5ポリペプチド(I-B型CRISPR-Casシステム);(iii)Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Casシステム);(iv)Cas10dポリペプチド、Csc2ポリペプチド、Csc1ポリペプチド、Cas6dポリペプチド(I-D型CRISPR-Casシステム);(v)Cse1ポリペプチド、Cse2ポリペプチド、Cas7ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、およびCas6eポリペプチド(I-E型CRISPR-Casシステム;(vi)Csy1ポリペプチド、Csy2ポリペプチド、Csy3ポリペプチド、およびCsy4ポリペプチド(I-F型CRISPR-Casシステム)。番号付きの実施形態12は、Cas複合体が、Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Casシステム)を含む、実施形態1-11のバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態13は、核酸配列はプロモーター配列をさらに含む、実施形態1-12のいずれか1つのバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態14は、標的細菌がバクテリオファージの溶菌活性によってのみ殺傷される、実施形態1-13のいずれか1つのバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態15は、標的細菌がCRISPR-Casシステムの活性によってのみ殺傷される、実施形態1-14のいずれか1つのバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態16は、標的細菌がCRISPR-Casシステムの活性と組み合わせたバクテリオファージの溶菌活性によって殺傷される、実施形態1-15のいずれか1つのバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態17は、バクテリオファージの溶菌活性とは無関係に、標的細菌がCRISPR-Casシステムの活性によって殺傷される、実施形態1-16のいずれか1つのバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態18は、CRISPR-Casシステムの活性がバクテリオファージの溶菌活性を補足または増強する、実施形態1-17のいずれか1つのバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態19は、バクテリオファージの溶菌活性およびCRISPR-Casシステムの活性が相乗的である、実施形態1-18のいずれか1つのバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態20は、バクテリオファージの溶菌活性、CRISPR-Casシステムの活性、またはそれらの両方がバクテリオファージの濃度によって調節される、実施形態1-19のいずれか1つのバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態21は、バクテリオファージが複数の細菌系統に感染する、実施形態1-20のいずれか1つのバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態22は、実施形態1-21のいずれか1つのバクテリオファージを含み、標的細菌は、Acinetobacter種、Actinomyces種、Burkholderia cepacia複合体、Campylobacter種、Candida種、Clostridium difficile、Corynebacterium minutissium、Corynebacterium pseudodiphtheriae、Corynebacterium stratium、CorynebacteriumグループG1、CorynebacteriumグループG2、Enterobacteriaceae、Enterococcus種、Escherichia coli、Haemophilus influenzae、Klebsiella pneumoniae、Moraxella種、Mycobacterium tuberculosis複合体、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、非結核性mycobacteria種、Porphyromonas種、Prevotella melaninogenicus、Pseudomonas種、Salmonella typhimurium、Serratia marcescens、Staphylococcus aureus、Streptococcus agalactiae、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus salivarius、Streptococcus mitis、Streptococcus sanguis、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Vibrio cholerae、Coccidioides種、Cryptococcus種、Helicobacter felis、Helicobacter pylori、Clostridium bolteae、およびそれらの任意の組み合わせである。番号付きの実施形態23は、バクテリオファージが偏性溶菌性バクテリオファージである、実施形態1-22のいずれか一項に記載のバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態24は、バクテリオファージが溶菌性にされる溶原性バクテリオファージである、実施形態1-23のいずれか1つのバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態25は、溶原性遺伝子の除去、置き換え、または不活性化によって溶原性バクテリオファージが溶菌性にされる、実施形態1-24のバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態26は、バクテリオファージがp1772、p2131、p2132、p2973、p4209、p1106、p1587、p1835、p2037、p2421、p2363、p004k、またはPB1である、実施形態1-25のいずれか1つのバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態27は、核酸配列が必須でないバクテリオファージ遺伝子に挿入されている、実施形態1-26のいずれか1つのバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態28は、(a)実施形態1-27のいずれか1つのバクテリオファージ。(b)薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を含む。番号付きの実施形態29は、医薬組成物が錠剤、液体、シロップ、経口製剤、静脈内製剤、鼻腔内製剤、眼製剤、耳製剤、皮下製剤、吸入可能な呼吸製剤、坐剤、およびそれらの任意の組み合わせの形態である、実施形態1-28の医薬組成物を含む。番号付きの実施形態30は、(a)CRISPRアレイ、(b)カスケードポリペプチド、および(c)Cas3ポリペプチドを含むI型CRISPR-Casシステムをコードする核酸配列を含むバクテリオファージを、標的細菌に導入する工程を含む、標的細菌を殺傷する方法を含む。番号付きの実施形態31は、CRISPRアレイがスペーサー配列および少なくとも1つのリピート配列を含む、実施形態1-30の方法を含む。番号付きの実施形態32は、少なくとも1つのリピート配列がその5’末端またはその3’末端のいずれかでスペーサー配列に作動可能に連結される、実施形態1-31の方法を含む。番号付きの実施形態33は、スペーサー配列が標的細菌中の標的ヌクレオチド配列に相補的である、実施形態1-32のいずれか1つに記載の方法を含む。番号付きの実施形態34は、標的ヌクレオチド配列がコード配列を含む、実施形態1-33の方法を含む。番号付きの実施形態35は、標的ヌクレオチド配列が非コード配列または遺伝子間配列を含む、実施形態1-34の方法を含む。番号付きの実施形態36は、標的ヌクレオチド配列がプロモーター配列の全部または一部を含む、実施形態1-35の方法を含む。番号付きの実施形態37は、標的ヌクレオチド配列が、必須遺伝子の転写領域のコード鎖上に位置するヌクレオチド配列の全部または一部を含む、実施形態1-36の方法を含む。番号付きの実施形態38は、必須遺伝子がTsf、acpP、gapA、infA、secY、csrA、trmD、ftsA、fusA、glyQ、eno、nusG、dnaA、dnaS、pheS、rplB、gltX、hisS、rplC、aspS、gyrB、glnS、dnaE、rpoA、rpoB、pheT、infB、rpsC、rplF、alaS、leuS、serS、rplD、gyrA、またはmetKである実施形態1-37の方法を含む。番号付きの実施形態39は、カスケードポリペプチドがI-A型CRISPR-Casシステム、I-B型CRISPR-Casシステム、I-C型CRISPR-Casシステム、I-D型CRISPR-Casシステム、I-E型CRISPR-Casシステム、またはI-F型CRISPR-Casシステムのカスケード複合体を形成する、実施形態1-38のいずれか1つの方法を含む。番号付きの実施形態40は、カスケード複合体が以下を含む、実施形態1-39のいずれか1つの方法を含む:(i)Cas7ポリペプチド、Cas8a1ポリペプチドまたはCas8a2ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、Csa5ポリペプチド、Cas6aポリペプチド、Cas3’ポリペプチド、およびヌクレアーゼ活性を有さないCas3’ ’ポリペプチド(I-A型CRISPR-Casシステム);(ii)Cas6bポリペプチド、Cas8bポリペプチド、Cas7ポリペプチド、およびCas5
ポリペプチド(I-B型CRISPR-Casシステム);(iii)Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Casシステム)。(iv)Cas10dポリペプチド、Csc2ポリペプチド、Csc1ポリペプチド、Cas6dポリペプチド(I-D型CRISPR-Casシステム);(v)Cse1ポリペプチド、Cse2ポリペプチド、Cas7ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、およびCas6eポリペプチド(I-E型CRISPR-Casシステム);(vi)Csy1ポリペプチド、Csy2ポリペプチド、Csy3ポリペプチド、およびCsy4ポリペプチド(I-F型CRISPR-Casシステム)。番号付きの実施形態41は、カスケード複合体が、Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Casシステム)を含む、実施形態1-40の方法を含む。番号付きの実施形態42は、核酸配列がプロモーター配列をさらに含む、実施形態1-41のいずれか1つの方法を含む。番号付きの実施形態43は、標的細菌が、CRISPR-Casシステムの活性によってのみ殺傷される、実施形態1-42のいずれか1つに記載の方法を含む。番号付きの実施形態44は、標的細菌が、CRISPR-Casシステムの活性と組み合わせたバクテリオファージの溶菌活性によって殺傷される、実施形態1-43のいずれか1つに記載の方法を含む。番号付きの実施形態45は、バクテリオファージの溶菌活性とは無関係に、標的細菌がCRISPR-Casシステムの活性によって殺傷される、実施形態1-43のいずれか1つに記載の方法を含む。番号付きの実施形態46は、CRISPR-Casシステムの活性がバクテリオファージの溶菌活性を補足または増強する、実施形態1-45のいずれか1つに記載の方法を含む。番号付きの実施形態47は、バクテリオファージの溶菌活性およびCRISPR-Casシステムの活性が相乗的である、実施形態1-46のいずれか1つに記載の方法を含む。番号付きの実施形態48は、バクテリオファージの溶菌活性、CRISPR-Casシステムの活性、またはそれらの両方がバクテリオファージの濃度によって調節される、実施形態1-47のいずれか1つの方法を含む。番号付きの実施形態49は、バクテリオファージが複数の細菌系統に感染する、実施形態1-48のいずれか1つの方法を含む。番号付きの実施形態50は、標的細菌が、Acinetobacter種、Actinomyces種、Burkholderia cepacia複合体、Campylobacter種、Candida種、Clostridium difficile、Corynebacterium minutissium、Corynebacterium pseudodiphtheriae、Corynebacterium stratium、CorynebacteriumグループG1、CorynebacteriumグループG2、Enterobacteriaceae、Enterococcus種、Escherichia coli、Haemophilus influenzae、Klebsiella pneumoniae、Moraxella種、Mycobacterium tuberculosis複合体、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、非結核性mycobacteria種、Porphyromonas種、Prevotella melaninogenicus、Pseudomonas種、Salmonella typhimurium、Serratia marcescens、Staphylococcus aureus、Streptococcus agalactiae、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus salivarius、Streptococcus mitis、Streptococcus sanguis、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Vibrio cholerae、Coccidioides種、Cryptococcus種、Helicobacter felis、Helicobacter pylori、Clostridium bolteae、およびこれらの任意の組み合わせである、実施形態1-19のいずれか1つの方法を含む。番号付きの実施形態51は、バクテリオファージが偏性溶菌性バクテリオファージである、請求項30-50のいずれか1つの方法を含む。番号付きの実施形態52は、バクテリオファージが溶菌性にされる溶原性バクテリオファージである、実施形態1-51のいずれか1つの方法を含む。番号付きの実施形態53は、溶原性遺伝子の除去、置き換え、または不活性化によって溶原性バクテリオファージが溶菌性にされる、実施形態1-52の方法を含む。番号付きの実施形態54は、バクテリオファージがp1772、p2131、p2132、p2973、p4209、p1106、p1587、p1835、p2037、p2421、p2363、p4209、p004k、またはPB1である、実施形態1-53のいずれか1つの方法を含む。番号付きの実施形態55は、核酸配列が、必須でないバクテリオファージ遺伝子の代わりにまたは隣接して挿入される、実施形態1-54のいずれか1つに記載の方法を含む。番号付きの実施形態56は、細菌細胞の混合集団が標的細菌を含む、実施形態1-55のいずれか1つの方法を含む。番号付きの実施形態57は、必要とする個体の疾患を治療する方法を含み、この方法は、(a)CRISPRアレイ、(b)カスケードポリペプチド、および(c)Cas3ポリペプチドを含むI型CRISPR-Casシステムをコードする核酸配列を含むバクテリオファージを個体に投与する工程を含む。番号付きの実施形態58は、CRISPRアレイがスペーサー配列および少なくとも1つのリピート配列を含む、実施形態1-57の方法を含む。番号付きの実施形態59は、少なくとも1つのリピート配列がその5’末端またはその3’末端のいずれかでスペーサー配列に作動可能に連結される、実施形態1-58の方法を含む。番号付きの実施形態60は、スペーサー配列が標的細菌中の標的ヌクレオチド配列に相補的である、実施形態1-59のいずれか1つに記載の方法を含む。番号付きの実施形態61は、標的ヌクレオチド配列がコード配列を含む、実施形態1-60の方法を含む。番号付きの実施形態62は、標的ヌクレオチド配列が非コード配列または遺伝子間配列を含む、実施形態1-61の方法を含む。番号付きの実施形態63は、標的ヌクレオチド配列がプロモーター配列の全部または一部を含む、実施形態1-62の方法を含む。番号付きの実施形態64は、標的ヌクレオチド配列が、必須遺伝子の転写領域のコード鎖上に位置するヌクレオチド配列の全部または一部を含む、実施形態1-63の方法を含む。番号付きの実施形態65は、必須遺伝子がTsf、acpP、gapA、infA、secY、csrA、trmD、ftsA、fusA、glyQ、eno、nusG、dnaA、dnaS、pheS、rplB、gltX、hisS、rplC、aspS、gyrB、glnS、dnaE、rpoA、rpoB、pheT、infB、rpsC、rplF、alaS、leuS、serS、rplD、gyrA、またはmetKである実施形態1-64の方法を含む。番号付きの実施形態66は、カスケード複合体が、I-A型CRISPR-Casシステム、I-B型CRISPR-Casシステム、I-C型CRISPR-Casシステム、I-D型CRISPR-Casシステム、I-E型CRISPR-Casシステム、またはI-F型CRISPR-Casシステムのカスケードポリペプチドを含む、実施形態1-65のいずれか1つの方法を含む。番号付きの実施形態67は、カスケード複合体が以下を含む、実施形態1-66のいずれか1つの方法を含む:(i)Cas7ポリペプチド、Cas8a1ポリペプチドまたはCas8a2ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、Csa5ポリペプチド、Cas6aポリペプチド、Cas3’ポリペプチド、およびヌクレアーゼ活性を有さないCas3’ ’ポリペプチド(I-A型CRISPR-Casシステム);(ii)Cas6bポリペプチド、Cas8bポリペプチド、Cas7ポリペプチド、およびCas5ポリペプチド(I-B型CRISPR-Casシステム);(iii)Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Casシステム);(iv)Cas10dポリペプチド、Csc2ポリペプチド、Csc1ポリペプチド、Cas6dポリペプチド(I-D型CRISPR-Casシステム);(v)Cse1ポリペプチド、Cse2ポリペプチド、Cas7ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、およびCas6eポリペプチド(I-E型CRISPR-Casシステム);(vi)Csy1ポリペプチド、Csy2ポリペプチド、Csy3ポリペプチド、およびCsy4ポリペプチド(I-F型CRISPR-Casシステム)。番号付きの実施形態68は、カスケード複合体が、Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Casシステム)を含む、実施形態1-67の方法を含む。番号付きの実施形態69は、核酸配列がプロモーター配列をさらに含む、実施形態1-68のいずれか1つに記載の方法を含む。番号付きの実施形態70は、標的細菌がCRISPR-Casシステムの活性によってのみ殺傷される、実施形態1-69のいずれか1つに記載の方法を含む。番号付きの実施形態71は、標的細菌が、CRISPR-Casシステムの活性と組み合わせたバクテリオファージの溶菌活性によって殺傷される、実施形態1-70のいずれか1つに記載の方法を含む。番号付きの実施形態72は、バクテリオファージの溶菌活性とは無関係に、標的細菌がCRISPR-Casシステムの活性によって殺傷される、実施形態1-71のいずれか1つに記載の方法を含む。番号付きの実施形態73は、CRISPR-Casシステムの活性がバクテリオファージの溶菌活性を補足または増強する、実施形態1-72のいずれか1つに記載の方法を含む。番号付きの実施形態74は、バクテリオファージの溶菌活性およびCRISPR-Casシステムの活性が相乗的である、実施形態1-73のいずれか1つに記載の方法を含む。番号付きの実施形態75は、バクテリオファージの溶菌活性、CRISPR-Casシステムの活性、またはそれらの両方がバクテリオファージの濃度によって調節される、実施形態1-74のいずれか1つの方法を含む。番号付きの実施形態76は、バクテリオファージが複数の細菌系統に感染する、実施形態1-75のいずれか1つの方法を含む。番号付きの実施形態77は、バクテリオファージが偏性溶菌性バクテリオファージである、実施形態1-76のいずれか1つに記載の方法を含む。番号付きの実施形態78は、バクテリオファージが溶菌性にされる溶原性(temperate)バクテリオファージである、実施形態1-77のいずれか1つに記載の方法を含む。番号付きの実施形態79は、溶原性バクテリオファージが、溶原性遺伝子の除去、置き換え、または不活性化によって溶菌性にされる、実施形態1-78の方法を含む。番号付きの実施形態80は、バクテリオファージがp1772、p2131、p2132、p2973、p4209、p1106、p1587、p1835、p2037、p2421、p2363、p4209、p004k、またはPB1である、実施形態1-79のいずれか1つの方法を含む。番号付きの実施形態81は、核酸配列が必須でないバクテリオファージ遺伝子の代わりに、または隣接して挿入される、実施形態1-80のいずれか1つに記載の方法を含む。番号付きの実施形態82は、疾患が細菌感染
症である、実施形態1-81のいずれか1つの方法を含む。番号付きの実施形態83は、疾患を引き起こす標的細菌が、少なくとも1つの抗生物質に耐性である薬剤耐性細菌である、実施形態1-82のいずれか1つに記載の方法を含む。番号付きの実施形態84は、薬剤耐性細菌が少なくとも1つの抗生物質に耐性である、実施形態1-83の方法を含む。番号付きの実施形態85は、疾患を引き起こす標的細菌が多剤耐性細菌である、実施形態1-84のいずれか1つに記載の方法を含む。番号付きの実施形態86は、多剤耐性細菌が少なくとも1種の抗生物質に耐性である、実施形態1-85の方法を含む。番号付きの実施形態87は、抗生物質がセファロスポリン、フルオロキノロン、カルバペネム、コリスチン、アミノグリコシド、バンコマイシン、ストレプトマイシン、またはメチシリンを含む、実施形態1-86のいずれか1つに記載の方法を含む。番号付きの実施形態88は、細菌感染を引き起こす標的細菌が、Acinetobacter種、Actinomyces種、Burkholderia cepacia複合体、Campylobacter種、Candida種、Clostridium difficile、Corynebacterium minutissium、Corynebacterium pseudodiphtheriae、Corynebacterium stratium、CorynebacteriumグループG1、CorynebacteriumグループG2、Enterobacteriaceae、Enterococcus種、Escherichia coli、Haemophilus influenzae、Klebsiella pneumoniae、Moraxella種、Mycobacterium tuberculosis複合体、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、非結核性mycobacteria種、Porphyromonas種、Prevotella melaninogenicus、Pseudomonas種、Salmonella typhimurium、Serratia marcescens、Staphylococcus aureus、Streptococcus agalactiae、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus salivarius、Streptococcus mitis、Streptococcus sanguis、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Vibrio cholerae、Coccidioides種、Cryptococcus種、Helicobacter felis、Helicobacter pylori、Clostridium bolteae、およびこれらの任意の組み合わせである、番号付きの実施形態89は、疾患を引き起こす標的細菌がPseudomonasである、実施形態1-88の方法を含む。番号付きの実施形態90は、疾患を引き起こす標的細菌がP.aeruginosaである、実施形態1-89の方法を含む。番号付きの実施形態91は、投与が、動脈内、静脈内、尿道内、筋肉内、経口、皮下、吸入、またはそれらの任意の組み合わせである、実施形態1-90のいずれか1つの方法を含む。番号付きの実施形態92は、個体が哺乳動物である、実施形態1-91のいずれか1つの方法を含む。番号付きの実施形態93は、実施形態1-92のバクテリオファージを含み、バクテリオファージは、以下を含むI型CRISPR-Casシステムをコードする核酸配列を含む:(a)CRISPRアレイ、(b)Cas5、Cas8cおよびCas7を含むカスケードポリペプチド、および(c)Cas3ポリペプチド。番号付きの実施形態94は、CRISPRアレイがスペーサー配列および少なくとも1つのリピート配列を含む、実施形態1-93のバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態95は、少なくとも1つのリピート配列がその5’末端またはその3’末端のいずれかでスペーサー配列に作動可能に連結される、実施形態1-94のバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態96は、スペーサー配列が標的細菌中の標的ヌクレオチド配列に相補的である、実施形態1-95のいずれか1つのバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態97は、実施形態1-96のバクテリオファージを含み、ここで、標的ヌクレオチド配列は、コード配列を含む。番号付きの実施形態98は、標的ヌクレオチド配列が非コード配列または遺伝子間配列を含む、実施形態1-97のバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態99は、標的ヌクレオチド配列がプロモーター配列の全部または一部を含む、実施形態1-98のバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態100は、標的ヌクレオチド配列が必須遺伝子の転写領域のコード鎖上に位置するヌクレオチド配列の全部または一部を含む、実施形態1-99のバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態101は、必須遺伝子がTsf、acpP、gapA、infA、secY、csrA、trmD、ftsA、fusA、glyQ、eno、nusG、dnaA、dnaS、pheS、rplB、gltX、hisS、rplC、aspS、gyrB、glnS、dnaE、rpoA、rpoB、pheT、infB、rpsC、rplF、alaS、leuS、serS、rplD、gyrA、またはmetKである、実施形態1-100のバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態102は、核酸配列がプロモーター配列をさらに含む、実施形態1-101のいずれか1つのバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態103は、標的細菌がバクテリオファージの溶菌活性によってのみ殺傷される、実施形態1-102のいずれか1つのバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態104は、標的細菌がCRISPR-Casシステムの活性によってのみ殺傷される、実施形態1-103のいずれか1つのバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態105は、標的細菌がCRISPR-Casシステムの活性と組み合わせたバクテリオファージの溶菌活性によって殺傷される、実施形態1-104のいずれか1つのバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態106は、バクテリオファージの溶菌活性とは無関係に、標的細菌がCRISPR-Casシステムの活性によって殺傷される、実施形態1-105のいずれか1つのバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態107は、CRISPR-Casシステムの活性がバクテリオファージの溶菌活性を補足または増強する、実施形態1-106のいずれか1つのバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態108は、バクテリオファージの溶菌活性およびCRISPR-Casシステムの活性が相乗的である、実施形態1-107のいずれか1つのバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態109は、バクテリオファージの溶菌活性、CRISPR-Casシステムの活性、またはそれらの両方がバクテリオファージの濃度によって調節される、実施形態1-108のいずれか1つのバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態110は、バクテリオファージが複数の細菌系統に感染する、実施形態1-109のいずれか1つのバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態111は、実施形態1-110のいずれか1つのバクテリオファージを含み、標的細菌は、Acinetobacter種、Actinomyces種、Burkholderia cepacia複合体、Campylobacter種、Candida種、Clostridium difficile、Corynebacterium minutissium、Corynebacterium pseudodiphtheriae、Corynebacterium stratium、CorynebacteriumグループG1、CorynebacteriumグループG2、Enterobacteriaceae、Enterococcus種、Escherichia coli、Haemophilus influenzae、Klebsiella pneumoniae、Moraxella種、Mycobacterium tuberculosis複合体、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、非結核性mycobacteria種、Porphyromonas種、Prevotella melaninogenicus、Pseudomonas種、Salmonella typhimurium、Serratia marcescens、Staphylococcus aureus、Streptococcus agalactiae、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus salivarius、Streptococcus mitis、Streptococcus sanguis、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Vibrio cholerae、Coccidioides種、Cryptococcus種、Helicobacter felis、Helicobacter pylori、Clostridium bolteae、およびこれらの任意の組み合わせである、番号付きの実施形態112は、バクテリオファージが偏性溶菌性バクテリオファージである、実施形態1-111のいずれか1つのバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態113は、バクテリオファージが溶菌性にされる溶原性(temperate)バクテリオファージである、実施形態1-112のいずれか1つのバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態114は、溶原性遺伝子の除去、置き換え、または不活性化によって溶原性バクテリオファージが溶菌性にされる、実施形態1-113のバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態115は、バクテリオファージがp1772、p2131、p2132、p2973、p4209、p1106、p1587、p1835、p2037、p2421、p2363、p4209、p004k、またはPB1である、実施形態1-114のいずれか1つのバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態116は、核酸配列が、必須でないバクテリオファージ遺伝子に挿入される、実施形態1-115のいずれか1つのバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態117は、(a)実施形態1-116のいずれか1つのバクテリオファージ、および(b)薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を含む。番号付きの実施形態118は、錠剤、液体、シロップ、経口製剤、静脈内製剤、鼻腔内製剤、眼製剤、耳製剤、皮下製剤、吸入可能な呼吸器製剤、坐剤、およびそれらの任意の組み合わせの形態である、実施形態117の医薬組成物を含む。番号付きの実施形態119は、必要とする表面を消毒する方法を含み、この方法は、(d)CRISPRアレイ、(e)カスケードポリペプチド、および(f)Cas3ポリペプチドを含む、I型CRISPR-Casシステムをコードする核酸配列を含むバクテリオファージを表面に投与する工程を含み、ここで、バクテリオファージは、実施形態1-118のいずれか1つのバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態120は、表面が病院の表面、車両の表面、機器の表面、または工業用表面である、実施形態119の方法を含む。番号付きの実施形態121は、食品または栄養補助食品の汚染を防止する方法を含み、この方法は、食品または栄養補助食品に、(g)CRISPRアレイ、(h)カスケードポリペプチド、および(i)Cas3ポリペプチドを含むI型CRISPR-Casシステムをコードする核酸配列を含むバクテリオファージを投与する工程を含み、バクテリオファージは実施形態1-120のバクテリオファージを含む。番号付きの実施形態122は、食品また
は栄養補助食品が、ミルク、ヨーグルト、カード、チーズ、発酵乳、ミルクベースの発酵製品、アイスクリーム、発酵シリアルベースの製品、ミルクベースの粉末、乳児用調合乳または錠剤、液体懸濁液、乾燥経口サプリメント、湿式経口サプリメント、または乾燥経管栄養給餌を含む、実施形態112の方法を含む。
【実施例
【0208】
実施例1:本願において使用される操作されたファージ
バクテリオファージは、crアレイおよびCas構築物を含むように設計した。表1Aは、以下の応用において使用されるファージの成分を示す。表1Bは、crアレイとCasプロモーターの両方の発現を駆動するように使用されるプロモーターの配列を示す。表1Cは、特定の部位を標的とするために使用されるcrアレイのスペーサー配列の配列を示す。さらに、図1A-1Dは、以下の実施例で使用されるcrアレイ2-crアレイ5の配列およびアラインメントを示す。crアレイ3とPseudomonasI型CCRISPR挿入物を組み合わせた完全な配列を図1Eおよび表1Dに示す。
【0209】
【表1】





【0210】
実施例2:外因性CasオペロンおよびcrRNAスペーサーは細菌を殺傷した。
機能的なI-C型Casオペロンを有するP.aeruginosa系統を、CasのみまたはcrRNAを含むプラスミドで形質転換した。内因性のI-C型Casシステムの存在下では、crRNAの発現は、細菌を自己標的化して自身のDNAを分解させる。形質転換体の数は、プラスミドに特異的な抗生物質選択を用いて寒天プレート上で増殖するコロニーの数を計数することによって決定した。コロニーを形成できる唯一の細菌は、プラスミドを獲得し、自己標的化を生き残る細菌である。これらのデータは、図2Aに示すように、外因性Cas発現が内因性システムよりも自己標的化を改善し、内因性システムが存在しない場合に機能することを示す。上の2つのパネルは、Casのみのプラスミド、単一の標的化スペーサーを含むプラスミド、または3スペーサー標的化アレイを含むプラスミドを、内因性のI-C型Casシステムを含む系統に形質転換した結果を示す。この実験設定では、個々のスペーサーまたはアレイが内因性のCasシステムと作用し、ほとんどの形質転換体を殺傷するのに十分であった。下のパネルは、外因性のI-C型CasオペロンをcrRNAプラスミドに追加すると、形質転換に際しての殺傷がさらに促進され、存在する細菌のレベルが検出レベルを下回っていることを示す。
【0211】
プラスミドを、機能的なI-C型Casオペロンを含まないP.aeruginosa系統に形質転換した。形質転換されたプラスミドは、スペーサーアレイのみ、またはスペーサーアレイとI-C型Casオペロンのいずれかを発現した。図2Bは、P.aeruginosa b1121系統のCasオペロンヌル変異体への形質転換1mLあたりに得られた細菌形質転換体の数を示す。アレイ1は細菌を標的とし、一方アレイ2は非標的対照である。異なるプラスミドは、モル濃度によって空のベクター対照プラスミドに対して正規化された。細胞をCasと標的化アレイ1の両方で形質転換した場合、検出された形質転換体の数が減少した。標的化アレイ1のみ、またはCasと非標的化アレイ2でトランスフェクトされた細胞は、空のベクターを受容した形質転換体の数と比較した場合、形質転換体の数の減少を示さなかった。
【0212】
個々のスペーサーまたは固有のアレイを含むプラスミドを、内因性I-C型Casシステムを有するP.aeruginosa系統b1121、または同じ系統のCasオペロンヌルバリアントに形質転換した。細胞死はb1121トランスフェクト細胞で観察されたが、Casオペロンヌル変異体では観察されなかった。これらのデータは、図2Cに示すように、rpoBとftsA、ならびにアレイ3およびアレイ4を標的とする個々のスペーサーが、内因性のI-C型Casシステムと連携して細胞を殺傷することができることを示す。
【0213】
実施例3:CRISPR-Cas完全構築物で操作されたファージの安定性
図3Aは、野生型ファージp1772およびその操作されたバリアントのゲノムの概略図を示す。ゲノム軸の下のバーは、削除および置き換えされたゲノムの領域を示す。ファージゲノムの下の概略図は、削除された領域のWTファージ遺伝子を置き換えるために使用されたDNAを図示する。CRISPRアレイcrアレイ1、crアレイ3、およびcrアレイ4は細菌を標的とし、活性I-C型Casシステムの存在下で細菌を殺傷することが期待される。crアレイ2は非標的化スペーサーから作られているが、構造的には3つの標的化アレイと同じであり、I型Cas特異的自己標的化活性を示すための対照として機能する。
【0214】
CRISPR-Cas3構築物を保有するファージを連続的に継代して、ファージゲノムに含まれるリピートの安定性を評価した。p1772e005は、P.aeruginosa系統b1126(I-F型系統)で連続増幅された。増幅1-8は、1工程の増幅として実行され、ここでは、50μLの細菌の一晩培養物を15mLのファルコンチューブ内の5mLのLBに添加し、続いて1μLの以前の溶解物を直ちに添加した。混合物は、振とうインキュベーター内で37℃にて10-16時間増殖させた。インキュベーション後、ファージと細菌の混合物を5,000rcfで10分間遠心分離し、上清を0.45μmシリンジフィルターでろ過し、4℃で保存した。増幅9では、増幅8の連続10倍希釈液を、b1121系統またはb1126系統の軟寒天オーバーレイにスポットした。各プレートからの単一のプラークをピペットで拾い上げて200μLのPBSに取り、増幅9を得た。10マイクロリットルの増幅9を、50μLのb1121またはb1126に一晩添加し、5mLのLBに加え、約16時間増殖させた後、遠心分離およびろ過を行った。サンガー配列決定のために、操作部位に隣接するプライマーを使用して溶解物からPCRによってファージDNAを増幅した。サンガー法およびNGS法は、ファージゲノムにロードした場合のCRISPR-Cas3構築物の安定性および完全性を確認した(図3Bを参照)。
【0215】
実施例4.CRISPR構築物を使用したバクテリオファージの形態
1.5mLの粗溶菌物を4℃および24,000×gで1時間遠心分離した。上清の一部(約1.4mL)を穏やかに廃棄し、残りの溶解物に1mLの酢酸アンモニウム(0.1M、pH 7.5)を加え、遠心分離した。この工程は2回実行した。洗浄されたファージサンプルは、ネガティブ染色透過型電子顕微鏡法によって可視化された。グロー放電されたformvar/カーボンコーティングされた400メッシュの銅グリッド(Ted Pella,Inc.,Redding,CA)を25μLのサンプル懸濁液の液滴に5分間浮かせ、2滴の脱イオン水にすばやく移し、続いて、2%酢酸ウラニル水溶液の液滴を30秒間染色する。グリッドを濾紙でブロットし、風乾した。サンプルは、80kVで動作するJEOL JEM-1230透過型電子顕微鏡を使用して観察され、画像は、Gatan Microscopy Suite3.0ソフトウェアを備えたGatan Orius SC1000 CCDカメラを使用して撮影された。結果を図4に例示する。改変後のファージ形態に明らかな観察可能な変化はなかった。
【0216】
実施例5.CRISPR-Cas完全構築物で操作されたファージの増幅
p1772wt(野生型)および操作されたバリアントp1772e004(Casシステムのみ)およびp1772e005(標的化crアレイ1+Casシステム)を、感染多重度(MOI)1で指数関数的に増殖するb1126の培養物と混合した。感染後0分、15分、30分、1時間、2時間、4時間、7時間10分、および24時間後に、プラーク形成ユニット(PFU)の列挙(図5A-5B)ならびにRNAの単離および定量化のためにサンプルを収集した。PFUの列挙のために、各時点で収集されたサンプルを0.45μmフィルターでろ過して、ファージを宿主細菌から分離した。スライド3に記載したように、軟寒天オーバーレイを調製した。ファージサンプルの10倍段階希釈液をオーバーレイにスポットし、37℃でインキュベートした。翌日、プラークをカウントし、最初のサンプルのPFU/mLを計算するために使用した。これらのデータに基づくと、ファージ増殖パターンに有意差は観察されず、各ファージは同様の最大力価に達した。
【0217】
p1772wt、p1772e004、およびp1772e005を1e6の粒子数に希釈し、個々のファージを使用して、0.01のMOIで34の異なる細菌のパネルに感染させた。600nmの波長での光学密度(OD)の読み取り値は、20時間の時間経過にわたって1時間ごとにキャプチャされた。得られたOD読み取り値を使用して、3つのファージのうちの1つの存在下で細菌増殖曲線を生成した。積分を使用して、各増殖曲線についての曲線下面積(AUC)を計算し、ここで、ファージ添加に際してAUCが小さいほど、細菌負荷が減少していることを示す。宿主範囲は、培養物のOD600(濁度)を経時的に監視して、グラフの下部に示される導入ファージの開始量(1ミリリットルあたりのプラーク形成単位での入力ファージ力価)で細菌増殖曲線を取得することによって決定した。ファージの存在下と非存在下で、特定の系統のAUCを比較した。図5Cは、ファージの存在下での系統成長のAUC計算を、ファージの非存在下での系統成長のAUCで除算した、AUC比を例示する。各行は、固有の細菌系統を表す。ヒートマップの値が暗いほど、細菌負荷が大幅に減少していることを示す。(ファージの存在下でのAUC)/(ファージの非存在下でのAUC)が0.65未満の場合、ファージは所与の系統に感染すると見なされた。AUC比のヒートマップは、操作されたファージバリアントがこのアッセイで野生型の親に匹敵する宿主範囲を有していたことを示す。p1772wt、p1772e004、およびp1772e005の宿主範囲は互いに類似しており、アッセイの誤差の範囲内であった。プラークによるAUCヒットの宿主範囲確認は、WTとCRISPR-Cas3の間に違いがないことを示す。
【0218】
表2は、2つの独特な完全構築物を含む操作されたファージpArray3(pアレイ3)(crアレイ3+Casシステムを標的とする)およびpArray4(pアレイ4)(crアレイ4+Casシステムを標的とする)の代表的な増殖実験からのデータを示す。このアッセイでは、LB増殖培地に細菌の単一コロニーを接種すること、および「入力PFU/mL」列に示されるようにファージを添加することにより、増幅を行った。増幅を一晩インキュベートした。インキュベーション後、細菌を濾過により除去し、溶菌物中のファージ力価を軟寒天オーバーレイ法により定量化した。溶解物の力価は「出力PFU/mL」の列に示される。これらのデータは、操作されたファージが効果的に複製されたことを示す。これらのデータは、タイトレーションアッセイの相対的な精度も示す。
【0219】
【表2】
【0220】
実施例6.操作されたファージにおけるCRISPR-Casシステムの発現
この実施例は、Casシステムおよびcrアレイがファージゲノムから首尾よく発現されたことを示す。図6Aは、p1772および本明細書に記載の他のファージに操作されたスペーサーアレイ(crアレイ)およびCasオペロンの配置を示す。矢印は、遺伝子発現の定量的逆転写PCR(qRT-PCR)分析に使用されるプライマー対の結合位置を表す。
【0221】
Casオペロンを含まないp1772wt(野生型)を対照として使用した。RNA単離のために、各時点で収集されたサンプルをRNAprotectに直接追加した。サンプルを室温で5分間インキュベートし、5000×gで10分間遠心分離し、上清を廃棄した。ペレットは-80℃で保存した。次に、Qiagen RNeasy Mini Kitを使用してRNAを単離した。BioRad iScript cDNA合成キットを使用してcDNAを合成した。qRT-PCRは、BioRad SsoAdvanced Universal SYBR Green Supermixを使用して実行された。すべてのデータは、2つの生物学的複製の平均であった。倍率変化は2-ΔΔCtであり、ハウスキーピング遺伝子としてP.aeruginosa遺伝子rpsHを使用し、各データポイントを同じ時点で対照のみの細胞と比較した。
【0222】
図6B-6Dは、ファージp1772の異なるバリアントによるP.aeruginosa系統の感染後の示されたRNAの相対的発現レベルを示す。これらのグラフのデータは、ファージが存在しないビヒクル対照と比較した発現の倍数変化として表されている。各時点は、その時点の感染していない対照に対して正規化した。細菌のハウスキーピング遺伝子rpsHを使用してサンプルを正規化することにより、細菌濃度の変化を説明した。これらのデータは、ファージがP.aeruginosaに感染している間にcrアレイ、Cas3、およびCas8c転写物を生成することを示す。パネルB-Dで使用された細菌宿主は内因性Casオペロンを含んでいたため、p1772e005(標的化crアレイ1+Casシステム)とp1772wtの間の違いは、内因性発現を超えたファージを介した発現の増加を表す。
【0223】
図6Eは、異なる操作されたファージゲノムからのcas3 mRNAの相対的発現を示す。これらのデータは、感染後1時間で、他の2つの操作されたファージ、p2131e002(標的化crアレイ1+Casシステム)およびp2132e002(標的化crアレイ1+Casシステム)よりもp1772e005からのcas3発現が多いことを示す。しかし、感染後24時間で、ファージはほぼ同じ量のcas3を発現した。これらのデータは、cas3 RNAの発現をファージgDNAの量と比較すること、および感染後1時間でp1772e005に正規化することによって計算された。これらのアッセイで使用された細菌系統はCasヌルであったため、内因性cas3発現による寄与は存在しない。
【0224】
実施例7.CRISPR-Cas完全構築物で操作した場合のファージ溶菌活性
上部寒天オーバーレイは、p1772インジケーター系統b1121の飽和一晩培養物100μLを、10mM MgClおよび10mM CaClを含有するLB中の6mLの0.375%寒天と混合することによって調製した。上部寒天が固化した後、p1772wt(野生型)とp1772e004(Casシステムのみ)およびp1772e005(標的化crアレイ1+Casシステム)の連続10倍希釈系列の2μL液滴を上部寒天の表面にスポットした。プレートを37℃で約18時間インキュベートし、Keyence BZ-X800顕微鏡を使用して4倍および10倍の倍率で画像化した。図7は、p1772ファージの改善されたプラーク形態を図示する。野生型ファージの形態は、かすんでいるプラークを生成することが観察されたが、操作されたバリアントp1772e005は、かすんでいるハローを有するが中央が透明である同様のサイズのプラークを生成した。このデータは、p1772e005がp1772wtよりも完全に細菌を殺傷したことを示唆する。
【0225】
実施例8:crアレイおよびCasオペロンを含むファージは、crアレイのみを含むファージよりも細菌を殺傷するのに効果的であった
p1772野生型および操作されたファージは、対数増殖において細菌と混合され、LB寒天上の2μlのスポットで直ちにプレーティングされた。ファージと細菌の比率は、細菌の量が各希釈で一定に保たれるように希釈系列を通して変更されたが、ファージの量は1対4希釈であった。最高希釈では、感染多重度(MOI)は100であり、これは、細菌あたり約100個のファージが存在したことを意味する。図8Aでは、これらのスポット中で増殖する細菌コロニーがほとんどないか、または全くないことによって示されるように、p1772e005(標的化crアレイ1+Casシステム)とp1772e006(標的化crアレイ1のみ)の両方が、一晩のインキュベーション後にI-C型系統に存在する細菌の大部分を一貫して殺傷したのに対して、野生型ファージは細菌コロニー形成を制御しなかった。したがって、野生型およびp1772e004(Casシステムのみ)は、MOIが100であっても、細菌の複製を制御できなかった。図8Bは、細菌の内因性Casシステムに起因して、p1772e006がこの細菌系統の野生型よりも効果的に細菌を殺傷したが、しかし、外因性のCasシステム(p1772e005)も含むファージほどには効果的ではないようであったことを示す。これは、インキュベーション時間が長くなると、p1772e005よりもp1772e006にさらされたスポットでより多くの細菌がコロニーを形成するためである。
【0226】
図8Cは、図8A-8Bで実施された同じタイプのアッセイからの単一のMOIの定量化である。図8A-8Bとは対照的に、パネルCの細菌系統は、内因性のCasシステムを有していなかったが、mCherry遺伝子のゲノムに統合されたコピーを有していた。プレートを画像化し、各スポットの蛍光を定量化した。1.5のMOIの結果が示されるが、0.4より上のMOIはすべて、1.5のMOIと一致する結果を有する。内因性Casシステムがないため、crアレイのみのファージ(p1772e006)は野生型ファージと同様に挙動した。非標的crアレイ(p1772e008)を含む完全に操作されたファージもまた、野生型と比較して改善されなかった。しかし、標的化crアレイ(p1772e005)を含む完全に操作されたファージは、他のどのファージバリアントよりも大幅に細胞増殖を抑制した。このデータは、完全に操作されたバリアントが、効果的であるために内因性のCasシステムを必要としなかったことを示す。
【0227】
活性な内因性I-C型Casシステムを有するP.aeruginosa系統(b1121)を対数増殖期中期まで増殖させ、示された感染多重度(MOI)で液体培養物中のファージに感染させた。すべての場合において、ファージは、図9A-9Cに示されるように、細菌を首尾よく殺傷し、これは、感染していない対照と比較して回収されたコロニー形成単位(CFU)/mLの減少によって示された。p1772e005(標的化crアレイ1+Casシステム)とp1772e006(crアレイ1のみを標的とする)の両方が、野生型ファージよりも効率的に細菌を殺傷した。p1772e004(Casシステムのみ)は、p1772wt(野生型)または自己標的バリアントと比較して改善された活性を有さず、このことは、自己標的crRNAとI型CRISPR-Cas構成要素の両方がファージの効力を改善するために必要であったことを実証する。特に、p1772e006およびp1772e005は同じレベルで殺傷し、このことは、操作されたファージバリアントが、互換性のある活性なCasシステムの存在下でファージからの細菌標的化Casシステムの発現によって殺傷することができたことを実証する。これらの図の点線は、アッセイの検出限界(LOD)を表す。コロニーが得られなかったサンプルはLODに表示される。
【0228】
実施例9:複数の異なるP.aeruginosa標的化スペーサーはファージの有効性を改善した
p1772野生型および操作されたファージバリアントは、対数増殖においてmCherry発現細菌と混合し、そしてLB寒天上に直ちにプレーティングした。ファージの希釈系列を実行することによってファージ対細菌の比率を変更し、その結果、細菌の量は各スポットで一定のままであったが、ファージの量は変化した。感染多重度(MOI)が最も高かったのは100であり、これは、細菌あたり約100個のファージが存在することを意味する。一晩のインキュベーション後、明視野およびmCherry蛍光によってプレートを画像化することによって細菌の増殖を記録した。これらの画像に基づいてサンプルの定量化を行った。
【0229】
5つの異なるファージバリアントを使用して、外因性I-C型Casシステム(p1772e008)を有する非標的性crRNA、外因性CRISPR-Casシステム(p1772e006)を伴わない自己標的化crRNAのみ、外因性のI-C型Casシステムとともに送達される2つの異なる自己標的化crアレイ(pArray3およびpArray4)、および親の野生型ファージ(p1772wt)を送達する溶菌性ファージの効果を決定した。これらのアッセイにおいて、内因性Casシステムを欠くP.aeruginosa系統および示されたファージを、示された比率で組み合わせ、すぐにLBプレートにプレーティングした。これらのアッセイで使用された宿主細菌系統はCasヌルであり、相対蛍光の測定を通じて細菌の観察と定量化を容易にするために、染色体に組み込まれたmCherry遺伝子を有していた。結果を図10A-10Bに示す。暗いスポットはより高い細菌増殖を表す。各画像の右側の数字は感染多重度(MOI)を表す。最高のMOIでは、1つの細菌ごとに約100のファージが存在した。これらのプレート画像は、より高いMOIでは、ファージpArray3およびpArray4(両方とも活性なI-C型Casシステムをコードするp1772ファージであり、それぞれが3つの異なる自己標的スペーサーで構成される固有のcrアレイを備えている)が、P.aeruginosaをp1772wt、Casオペロンと非標的化スペーサーを含むファージ(p1772e008)、またはcrアレイを含むが外因性Casシステムを含まないp1772(p1772e006)よりも効果的に殺傷したことを示す。予想通り、細菌には内因性のCasシステムがないため、crRNAのみのファージ(p1772e006)はファージの効力を改善しなかった。
【0230】
図10Cは、図10Aのボックスのより高解像度の図であり、完全に操作されたファージ(pArray3)と、crアレイのみを有し、Casオペロンを含まないファージ(p1772e06)との間の違いを強調している。下の行(MOI 0.00610)では、pArray3はp1772e006よりも明確なプラークを形成した(すなわち、pArray3サンプルのスポットはより明るかった)。上の行(MOI 0.0244)では、pArray3はp1772e006よりもより良好に細菌の増殖を抑制した(暗いスポット)。
【0231】
図10D-Eは、存在する蛍光細菌の相対量を定量化する、図10Aおよび図10Bに示される同じプレートの対応する蛍光画像の下の第4行(MOI-1.5)の定量化を示す。明視野画像と一致して、MOIが約1.5の場合、pArray3およびpArray4で処理されたサンプルは、野生型ファージまたは非標的化(p1772e008)およびcrアレイのみで操作されたファージ(p1772e006)で処理されたサンプルよりも有意に少ない蛍光シグナル(生存細菌細胞の喪失を示す)を示した。
【0232】
実施例10:casオペロンの発現を駆動するさまざまなプロモーターを用いるcrアレイ/Cas挿入物の有効性。
p1772野生型および操作されたファージバリアントは、対数増殖においてmCherry発現細菌と混合され、そしてLB寒天上にすぐにプレーティングした。ファージの希釈系列を実施することによってファージ対細菌の比率を変更したので、バクテリオファージの量は各スポットで一定のままであったが、ファージの量は変化した。感染多重度(MOI)が最も高かったのは100であり、このことは、細菌あたり約100個のファージが存在していたことを意味する。一晩のインキュベーション後、明視野およびmCherry蛍光によってプレートを画像化することによって細菌の増殖を記録した。これらの画像に基づいてサンプルの定量化を行った。図11Aは、異なるプロモーターによって発現されるCasシステムおよびcrアレイを含むファージのp1772野生型および複数の操作されたバリアントによる細菌の殺傷を示す。すべての操作されたファージバリアントは、p1772e005と同じ構造を有し(図3Aを参照)、Casオペロンの発現を駆動するプロモーターの同一性のみが異なる。p1772e016は、P.aeruginosaの内因性I-CCasシステムを駆動するプロモーターを使用した。p1772e005、p1772e017、p1772e021はすべて、E.coliプロモーターまたはE.coli細菌プロモーターの誘導体を使用した。p1772e018、p1772e022、およびp1772e023はすべて、P.aeruginosaの細菌プロモーターを使用した。p1772e019およびp1772e020は、P.aeruginosaファージプロモーターを使用した。両方のプレートは同じアッセイからのものであり、対照(p1772wtおよびp1772e005)は、スポットをプレーティングする前の同じファージと細菌の混合物からのものである。使用した細菌宿主系統は、染色体からmCherryを発現するCas-ヌルP.aeruginosa系統であった。個々の画像は、4倍の対物レンズと明視野照明を使用して取得され、次にステッチされて、ここに示される画像が取得された。図11Bは、図11Aに示されるのと同じプレートの対応する蛍光画像の下の4列目(MOI-1.5)の定量化を示す。全体的な有効性の違いは、p1772wtと比較して有意に少ない蛍光シグナル(生存可能な細菌細胞の喪失を示す)によって示される、使用された異なるプロモーター間で観察された。
【0233】
実施例11:複数の異なるファージが対数減少の有効性を改善した
野生型および操作されたファージバリアントを、対数増殖においてmCherry発現細菌と混合し、そしてLB寒天上に直ちにプレーティングした。示される結果は、感染多重度(MOI)1.5からのものであり、単一の細菌あたり約1.5個のファージが存在したことを意味する。一晩のインキュベーション後、mCherry蛍光についてプレートを画像化することにより細菌の増殖を記録した。図12A-12Bに示される定量化は、これらの画像に基づいて、サンプルに対して実行した。2つの独特な野生型ファージ(p2131およびp2973)と、Casシステムおよびcrアレイ1(p2132e002およびp2973e002)を含むそれらの操作された対応物をテストした。約1.5のMOIで、操作されたファージは野生型ファージよりもはるかに少ない生存細菌を有していた。これらの結果は、ファージが送達するCasシステムが複数の独特なファージにおいて機能することを示す。
【0234】
実施例12:代替ファージおよびPseudomonas系統におけるスペーサーアレイ/Cas挿入物の有効性
Pseudomonas系統のパネルに対して、p4209wt(野生型)およびp4209e002(標的化crアレイ1+Casシステム)を用いて実施した。簡単に説明すると、対数増殖期の初期細菌培養物をファージと混合して、図に記載されている最終力価を得た。サンプルを直ちにプレーティングし(t=0時間)、その後37℃で3時間および24時間インキュベートした。プレートを画像化し、野生型と完全な構築物のバリアントの違いを表にまとめた。p4209野生型および操作されたファージバリアントは、対数増殖で細菌と混合し、すぐにLB寒天培地にプレーティングしたか、またはプレーティング前に液体中で示された時間インキュベートした。バクテリオファージの希釈系列を実施することにより、バクテリオファージに対するファージの比率を変更し、その結果、バクテリオファージの量は各スポットで一定に保たれるが、ファージの量は変化する。バクテリオファージと細菌の相対的な比率は、細菌が複製されてファージに屈するにつれて、実験の過程でシフトした。一晩のインキュベーション後、プレートを画像化することにより細菌の増殖を記録した。画像の各セットの上部にあるラベルは、その画像に示される細菌系統のCasタイプを示す。図13Aはこのアッセイの結果を示す。系統b2550では、すべての時点で、p4209e002は、同じ力価のp4209wtと比較して、1×10PFU/mLの力価で細菌の増殖を完全に阻害した。t=0hのb2631系統では、1×10PFU/mLの力価でp4209e002の増殖は観察されなかったが、同じ力価のp4209wtでは増殖が目に見えて大きかった。t=3hの同じ系統では、どの力価でもp4209e002の増殖は観察されなかったが、すべての力価でp4209wtの目に見える増殖が存在した。t=0hのb2816系統では、1×10PFU/mLの力価のp4209e002の方が、同じ力価のp4209wtよりもわずかに少ない増殖が観察された。t=3hの同じ系統では、1×10PFU/mLの力価でp4209e002の増殖はほとんど観察されなかったが、同じ力価のp4209wtでは有意な増殖が存在した。t=0hのb2825系統では、1×10PFU/mLの力価でp4209e002の増殖は観察されなかったが、同じ力価のp4209wtで有意な増殖が観察された。t=3hの同じ系統では、1×10PFU/mLおよび1×10PFU/mLの力価でp4209e002のある程度の増殖が観察されたが、同じ力価のp4209wtでは目に見えて多い増殖が存在した。まとめると、これらのデータは、独特なファージp4209e002が、いくつかの無関係なP.aeruginosa系統に対してCasおよびcrRNAスペーサー活性を改善したことを示す。
【0235】
p4209wt、p4209e001(Casシステムのみ)、およびp4209e002(標的化crアレイ1+Casシステム)を複数の細菌系統でプラーク形成させ、プラーク化の効率を調べた。P.aeruginosa b1121系統は、すべての変異系統を同等にサポートし、力価の基準として提供されている。P.aeruginosab2631系統では、野生型バリアントは有意に減少したレベルでプラーク形成し、Casのみのバリアントはまったくプラーク形成せず、完全に操作されたバリアントはb1121と比較して効率を損なうことなくプラーク形成した。P.aeruginosa b2816系統では、野生型もCasのみのバリアントもいかなる活性の証拠も示さなかったが、完全に操作されたバリアントはクリアリングゾーンを生成した。P.aeruginosa b2825系統では、野生型およびCasのみのバリアントではプラーク化効率が大幅に低下したが、完全に操作されたバリアントではb1121と同等の効率が維持された。b2631とb2825の両方は、有害な影響を有する操作事象(Casシステムの挿入)の例、すなわち、プラーク形成の効率の低下(b2631)またはプラークの透明度の低下(b2825)のいずれかを示す。どちらの場合も、標的化crアレイ(Casシステムの活性を有効にする)を追加すると、活性の減少をレスキューするのみならず、野生型の親で見られるよりも活性を改善した。プレート画像の下部にあるラベルは、その画像に示される細菌系統と、それに含まれる内因性Casシステムのタイプを示す。これらの結果は、Casシステムおよび標的化crアレイが、さまざまな細菌系統を複製して殺傷するファージの能力を改善したことをさらに裏付けている。
【0236】
実施例13.インビボ有効性研究
図15Aは、p1772wt(野生型)およびp1772e005(crアレイ1+Casシステムを標的とする)を用いたインビボ有効性モデリングのために利用される材料および方法を概説する。Envigoからの雌性ICRマウスは、-4日目と-1日目の2回のシクロホスファミド(それぞれ150mg/kgと100mg/kg)の腹腔内注射を介して好中球減少症にした。好中球減少症の誘発に続いて、マウスは、単回の筋肉内注射によってP.aeruginosa b1121に感染させた。以前のモデル開発は、~5e6 CFUがこの特定の系統の理想的な接種材料であると判断した。感染後(p.i)3時間で、感染した大腿部に、ビヒクル(1×TBS+10mM塩)、p1772wt、またはp1772e005のいずれかを1回筋肉内注射することにより、マウスを治療した。左下の表は、各実験で感染した各大腿部に送達された合計PFUの詳細を示す。マウスを安楽死させ、接種後の示された時点で大腿筋を採取した。大腿部はビーズビーターシステムを使用して均質化した。ホモジネートを段階的に希釈し、CFU定量のためにプレーティングした。ホモジネートはまた0.45μmフィルターでろ過した。ろ液を段階的に希釈し、pFU定量のためにb1121オーバーレイプレートにプレーティングした。すべてのCFUおよびPFU測定値はg組織に対して正規化された。
【0237】
細菌コロニー形成単位(CFU)およびファージプラーク形成単位(PFU)の両方が、各実験について示される。図15B-15Cは、ファージが筋肉内投与されたマウスにおけるファージの有効性を示す。示された時点で大腿筋組織を採取した。両方の複製は、完全に操作されたファージが野生型ファージよりもコロニー形成を大幅に減少させることを示す。図15Dは、ファージが静脈内投与されたマウスにおけるファージの有効性を示す。示された時点で大腿筋組織を採取した。完全に操作されたファージは、野生型ファージよりも大幅に細菌を破壊する。まとめると、図15B-15Dからのこれらのデータは、さまざまな経路で送達されたファージが大腿部に入り、細菌を殺傷することを示す。すべての時点で、完全に操作されたファージで処理されたマウスの大腿組織のCFU/gは、野生型ファージで処理されたマウスよりも低い。図15Eは、マウス感染モデルにおけるファージ処理の用量反応を確立するモデルの実験計画を示す概略図である。この実験は、図15Aに示されるものと同様に実施されたが、現在の標準治療を表す抗生物質治療群が追加で含む。ファージの投与量も、異なるグループ間で力価測定される。
【0238】
図15Fは、マウスにおける異なる用量のファージまたは抗生物質による治療の結果を示す。全体として、これらのデータは、操作されたp1772e005がp1772wtよりもマウス感染モデルにおいて効果的であることを示す。さらに、操作されたファージは、与えられた抗生物質治療よりも優れた性能を示した。パネルB-DおよびFでは、データは平均±SEMとして示される。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001である。統計的有意性は、多重比較を伴う一元配置分散分析(ANOVA)またはテューキーの検定を伴う二元配置分散分析(ANOVA)を使用して決定される。
【0239】
実施例14:大腸菌における標的化crアレイ
図16は、野生型ファージp004kおよびその操作されたバリアントp004ke07のゲノムの概略図を示す。ゲノム軸の下のバーは、削除および置き換えされたゲノムの領域を示す。ファージゲノムの下の概略図は、削除された領域のWTファージ遺伝子を置き換えるために使用されたDNAを図示する。
【0240】
大腸菌ファージp004k-wt(野生型)およびp004ke007(標的化crアレイ5+Casシステム)を、細菌が対数増殖している間に示された細菌系統と混合し、接種の3時間後にLB寒天上にプレーティングした。ファージの希釈系列を実施することによってファージ対細菌の比率を変更したので、細菌の量は各スポットで一定のままであったが、ファージの量は変化した。細菌が複製されてファージに屈するにつれて、ファージと細菌の相対的な比率は実験の過程でシフトしたので、そのため、MOIはリストしていない。画像の各セットの上部にあるラベルは、表示される系統を示す。
【0241】
このアッセイにおいて、ファージは、対数増殖中期において、示された細菌培養物と1:1で混合されて、画像の左側に記載された最終的なファージ力価を得た。図17Aに示すように、バクテリオファージ混合物を3時間インキュベートし、次いで、2μlの培養物をLBプレートにスポットした。ファージを生き残った細菌は複製して目に見えるコロニーを形成するので、細菌が少ないほどファージの殺傷がより良好である。このアッセイでは、操作されたファージはすべての希釈で野生型よりも細菌をより良好に殺傷するように見えたが、1×10希釈は各E.coli系統で最も視覚的に顕著であった。図17B-17Dは、図17Aの画像の定量化を示す。定量化は、各スポットの相対光学密度を比較することによって決定した(本質的に、各スポットがどれだけ暗いか、暗いスポットはより多くの細胞増殖を示す)。まとめると、これらのデータは、Casシステムと細菌ゲノムを標的とするcrアレイを含む操作されたファージが、複数の系統で野生型ファージの親よりも殺傷を改善したことを示す。これらのデータは、外因性Casシステムを発現するファージが多様なヒト病原体に対するファージを改善することを実証する。
【0242】
実施例15.インビボ有効性研究
b1121の培養物を一晩増殖させ、LB+10mM MgCl+10mM CaClに逆希釈し、そして0.45のOD600まで増殖させた。培養物を分割し、LB/塩(細胞のみの対照)、p1772e005(MOI=0.1)、PB1e002(MOI=0.1)、またはp1772e005+PB1e002のカクテル(ファージあたりMOI=0.1)のいずれかで処理した。すべてのサンプルをマイクロタイタープレート内で37℃にて24時間振とうしながらインキュベートし、630nmにおけるODを10分ごとに測定した。データは、12回の繰り返しの平均として表示される。エラーバーは標準偏差を表す。データは、2つの完全な構築物ファージのカクテルが、どちらかのファージ自体よりも培養のリバウンドを大幅に抑制することを示す。図18Aは、p1772e005とPB1e002の間の協調性を示す。
【0243】
実施例16:異なるリピート配列の活性
P.aeruginosa培養の培養物を、異なるリピート配列を含むベクターで形質転換した。ベクターは、空のベクターpUCP19(空のベクター)であるか、またはPseudomonas I型CCasシステムと表3にリストされたリピート配列に隣接するgyrB遺伝子を標的とするスペーサーを含むpUCP19ベクターを含んだ。アリコートは各テスト条件から取り、希釈し、そして列挙された細菌CFUにスポットする。
【0244】
【表3】
【0245】
このアッセイの結果を図19に示す。特定の配列は、異なる数の形質転換体をもたらした。リピート1とリピート3はどちらも、空のベクターまたはリピート2、4、もしくは5で形質転換された細菌よりも少ない数の形質転換体を生じた。これは、リピート配列の配列がPseudomonas培養におけるファージ標的化の有効性に影響を与えることを示す。
【0246】
実施例17:標的細菌を標的とするスペーサー配列の設計および検証
スペーサーの設計
スペーサー配列は、以下のプロトコルを使用して設計される。最初に、関心対象の生物/種/標的についての代表的なゲノムの適切な検索セットが取得される。適切なデータベースの例には、NCBI GenBankおよびPATRIC(Pathosystems Resource Integration Center)データベースが含まれる。ゲノムはFTP(ファイル転送プロトコル)サーバーを介して一括でダウンロードされ、迅速かつプログラムされたデータセットの取得が可能になる。
【0247】
ゲノムは、適切なスペーサー配列を位置決めするために関連するパラメーターで検索される。ゲノムは、順方向と逆方向の両方の相補方向で最初から最後まで読み取られることができ、PAM(Protospacer Adjacent Motif)部位を含むDNAの連続したストレッチを位置決めことができる。スペーサー配列は、PAM部位に3’で隣接するN長のDNA配列であり、Nは関心対象のCasシステムに特異的であり、一般に事前に知られている。PAM配列およびスペーサー配列の特性評価は、一般的に、Casシステムの発見と初期研究中に実施される。観察されたすべてのPAM隣接スペーサーは、ダウンストリーム使用のためにファイルおよび/またはデータベース化するために保存できる。
【0248】
次に、CRISPR操作されたファージにおける使用のためのスペーサーの品質は、以下のプロセスを使用して決定される。まず、観察された各スペーサーを評価して、それらが存在する評価済みゲノムの数を決定できる。さらに、観察されたスペーサーを評価して、特定の各ゲノムに存在する可能性のある回数を確認できる。ゲノムごとに1つより多くの位置に存在するスペーサーは、変異が発生した場合にCasシステムが標的部位を認識できない可能性があり、追加の「バックアップ」部位ごとに、適切な非変異標的位置が存在する可能性が高まるため、有利な場合がある。観察されたスペーサーは、それらがゲノムの機能的に注釈が付けられた領域で発生するかどうかを決定するために評価することができる。そのような情報が利用できる場合、機能的な注釈付けをさらに評価して、ゲノムのそれらの領域が生物の生存および機能のために「必須」であるかどうかを判断できる。関心対象である、すべてまたはほぼすべての評価されたゲノム(>=99)に存在するスペーサーに焦点を当てることで、スペーサーの選択を正当化するための幅広い適用性が保証される。保存されたスペーサーの大規模な選択プールが存在する場合、既知の機能を有するゲノムの領域に存在するスペーサーが優先され、それらのゲノム領域が生存に「必須」であり、ゲノムごとに1回より多く存在する場合は優先度が高くなる。
【0249】
スペーサーの検証
次に、同定されたスペーサー配列は、以下の手順を完了することによって検証することができる。最初に、関心対象の生物において複製し、選択可能なマーカー(例えば、抗生物質耐性遺伝子)を有するプラスミドが同定される。Casシステムをコードする遺伝子は、関心対象の生物で発現するようにプラスミドに挿入される。Casシステムの上流には、Casシステムの発現を駆動するために関心対象の生物によって認識されるプロモーターが含まれている。プロモーターとCasシステムの間に、関心対象の生物によって認識されるリボソーム結合部位(RBS)が含まれている。
【0250】
次に、生物情報学的に同定されたゲノム標的化スペーサーを、Casシステムを発現するプラスミドに挿入する。リピート-スペーサー-リピートの上流には、crRNAの発現を駆動するために関心対象の生物によって認識されるプロモーターが含まれている。そのようなプロモーターの例を表1Bに示す。このクローニングは、クローニングされるスペーサーによって標的とされない生物または系統において実施する必要がある。
【0251】
次に、非標的化スペーサーを、Casシステムを発現するプラスミドに挿入する。このスペーサーの配列はランダムに生成され、その後、関心対象の生物のゲノムに標的部位がないことを生物情報学的に確認することができる。リピート-スペーサー-リピートの上流には、crRNAの発現を駆動するために関心対象の生物によって認識されるプロモーターが含まれている。
【0252】
次に、試験された各スペーサーの殺傷効力が決定される。表4にリストされているプラスミドは、同じモル濃度に正規化されている。各プラスミドは、形質転換、コンジュゲーション、またはプラスミドを細胞に導入するための他の方法によって、関心対象の生物に移入される。形質転換された細胞は、適切な選択培地(例えば、抗生物質を含む寒天)にプレーティングされる。コロニーへの細胞増殖に続いて、それぞれの異なるプラスミド移入から生じたコロニーが数えられる。非標的化スペーサーを含む対照プラスミドよりも有意に低い移入率を有する標的化スペーサーを含むプラスミドは、細菌ゲノムを標的化することに成功していると考えられる。
【0253】
【表4】
【0254】
本開示の好ましい実施形態が本明細書に示され、説明されてきたが、そのような実施形態が例としてのみ提供されることは当業者には明らかである。多数の変形、変更、および置き換えが、本開示から逸脱することなく、当技術分野の当業者に行われる。本明細書に記載の本開示の実施形態に対する様々な代替案が、本開示の実施において使用され得ることが理解されるべきである。以下の特許請求の範囲は、開示の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲内の方法および構造、ならびにそれらの同等物は、それによって網羅されることが意図されている。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図1J
図1K
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図15F
図16
図17A
図17B
図17C
図17D
図18
図19
【配列表】
2023500336000001.app
【国際調査報告】