(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-05
(54)【発明の名称】フォトダイオード電流増幅器のための統合オフセット電圧のための装置
(51)【国際特許分類】
H03F 3/08 20060101AFI20221223BHJP
G01J 1/42 20060101ALI20221223BHJP
G01J 1/44 20060101ALI20221223BHJP
G01N 21/53 20060101ALI20221223BHJP
H03F 3/68 20060101ALI20221223BHJP
【FI】
H03F3/08
G01J1/42 C
G01J1/44 F
G01N21/53 C
H03F3/68
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022526065
(86)(22)【出願日】2020-11-05
(85)【翻訳文提出日】2022-07-04
(86)【国際出願番号】 US2020059009
(87)【国際公開番号】W WO2021092103
(87)【国際公開日】2021-05-14
(32)【優先日】2019-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【氏名又は名称】佐藤 仁
(71)【出願人】
【識別番号】390020248
【氏名又は名称】日本テキサス・インスツルメンツ合同会社
(72)【発明者】
【氏名】ティアンホン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】グラント エヴェン ファルケンバーグ
【テーマコード(参考)】
2G059
2G065
5J500
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB02
2G059CC19
2G059EE02
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2G065DA06
5J500AA01
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5J500LU07
5J500LV07
(57)【要約】
一例の装置は、第1の電圧源(280)、フォトダイオード(210)アノードに結合され、第1の電圧源に結合されるように適合される非反転入力と、フォトダイオード(210)カソードに結合されるように適合される反転入力と、出力とを有する第1の増幅器(220)、第1の増幅器反転入力及び第1の増幅器出力に結合される第1の抵抗器(222)、第1の増幅器の反転入力及び第1の増幅器出力の反転入力に結合される第1のコンデンサ(224)、及び、第1の電圧源(294)とは異なる第2の電圧源とを含む。非反転入力と、反転入力と、出力とを有する第2の増幅器(240)がある。非反転入力は第1の増幅器(220)の出力に結合され、反転入力は第2の電圧源(294)に結合され、反転入力と第2の増幅器(240)の出力に結合される第2の抵抗器(242)が存在する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路であって、
第1の電圧源と、
非反転入力、反転入力、及び出力を有する第1の増幅器であって、前記非反転入力が、フォトダイオードのアノードからの信号に結合されるように適合され、前記第1の電圧源に結合されており、前記反転入力が、前記フォトダイオードのカソードに結合されるように適合される、前記第1の増幅器と、
前記第1の増幅器の前記反転入力に結合される1つの端子と、前記第1の増幅器の前記出力に結合される別の端子とを有する第1の抵抗器と、
前記第1の増幅器の前記反転入力に結合される1つの端子と、前記第1の増幅器の前記出力に結合される別の端子とを有する第1のコンデンサと、
前記第1の電圧源とは異なる第2の電圧源と、
非反転入力、反転入力及び出力を有し、前記非反転入力が前記第1の増幅器の前記出力に結合され、前記反転入力が前記第2の電圧源に結合される第2の増幅器と、
前記第2の増幅器の前記反転入力に結合される1つの端子と、前記第2の増幅器の前記出力に結合される別の端子とを有する第2の抵抗器と、
を含む、集積回路。
【請求項2】
請求項1に記載の集積回路であって、前記第1の電圧源が第3の抵抗器を介して前記第1の増幅器の前記非反転入力に結合され、前記第2の電圧源が第4の抵抗器を介して前記第2の増幅器の前記反転入力に結合される、集積回路。
【請求項3】
請求項2に記載の集積回路であって、
前記第1の電圧源が分圧回路によって生成され、前記分圧回路が、
第3の電圧源に結合される1つの端子と、前記第1の電圧源に結合される別の端子とを有する第5の抵抗器と、
前記第1の電圧源に結合される1つの端子と、接地に結合される別の端子とを有する第6の抵抗器と、
を含む、
集積回路。
【請求項4】
請求項3に記載の集積回路であって、
前記第2の電圧源が分圧器回路によって生成され、前記分圧回路が、
前記第1の電圧源に結合される1つの端子と、前記第2の電圧源に結合される別の端子とを有する第7の抵抗と、
前記第7の抵抗に結合される1つの端子と、接地に結合される別の端子とを有する第8の抵抗と、
を含む、
集積回路。
【請求項5】
請求項4に記載の集積回路であって、前記第6の抵抗器及び前記第8の抵抗器が、トランジスタを介して接地に結合される、集積回路。
【請求項6】
請求項1に記載の集積回路であって、前記第9の抵抗器が、前記第1段増幅器の前記反転端子と前記非反転端子との間に結合される、集積回路。
【請求項7】
請求項6に記載の集積回路であって、第2のコンデンサが、前記第1段増幅器の前記反転端子と前記非反転端子との間に結合される、集積回路。
【請求項8】
請求項2に記載の集積回路であって、前記第3の抵抗器と並列に結合される第3のコンデンサが存在する、集積回路。
【請求項9】
請求項8に記載の集積回路であって、前記第2の増幅器の前記出力に結合される第1の端子と、第2の端子と、を有する第10の抵抗器が存在する、集積回路。
【請求項10】
請求項9に記載の集積回路であって、前記接地に結合される一方の端子と、前記第10の抵抗器の前記第2の端子に結合される他方の端子と、を有する第4のコンデンサが存在する、集積回路。
【請求項11】
請求項4に記載の集積回路であって、前記第1の電圧源が前記第2の電圧源よりも電圧が高い、集積回路。
【請求項12】
請求項11に記載の集積回路であって、前記第1の電圧源と前記第2の電圧源との間の電圧の差が5mVである、集積回路。
【請求項13】
請求項2に記載の集積回路であって、前記第2の抵抗器が可変抵抗器である、集積回路。
【請求項14】
プロセスであって、
第1の増幅器の反転入力でフォトダイオードのカソードから第1の信号を受け取ることと、
前記第1の増幅器の非反転入力でフォトダイオードのアノードから第2の信号を受信することと、
第1の電圧源を前記第1の増幅器の非反転入力に結合することと、
前記第1の増幅器の出力を第2の増幅器の非反転入力で受け取ることと、
前記第1の電圧源とは異なる第2の電圧源を前記第2の増幅器の反転入力に結合することと、
を含む、プロセス。
【請求項15】
請求項14に記載のプロセスであって、前記第1の電圧源が、第1の抵抗器の一方の端子を第3の電圧源に結合し、他方の端子を前記第1の電圧源に結合し、第2の抵抗器の一方の端子を前記第1の電圧源に結合し、他方の端子を接地することによって導出される、プロセス。
【請求項16】
請求項15に記載のプロセスであって、前記第2の電圧源が、第3の抵抗器の一方の端子を前記第1の電圧源に結合し、他方の端子を前記第2の電圧源に結合し、第4の抵抗器の一方の端子を前記第2の電圧源に結合し、他方の端子を接地に結合することによって導出される、プロセス。
【請求項17】
請求項16に記載のプロセスであって、前記第2の抵抗器及び前記第4の抵抗器が、トランジスタを介して接地に結合される、プロセス。
【請求項18】
請求項17に記載のプロセスであって、前記第1の増幅器及び前記第2の増幅器がオフであるときに前記トランジスタがオフになる、プロセス。
【請求項19】
請求項14に記載のプロセスであって、前記第2の増幅器の出力がローパスフィルタされる、プロセス。
【請求項20】
請求項14に記載のプロセスであって、前記第2の増幅器が可変利得増幅器である、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
光電煙感知器システムは、光源と光感知器を、周囲の光を遮るように設計された遮光環境で用いる。光検出器は、フォトダイオードに入射する光の強度に比例する電流を出力するフォトダイオードである。光源は、赤外光、可視光、又は紫外光を放射し得る。煙検出器システムの構成要素は、外部からの周囲光を除外するが、十分な空気の流れを可能にするように設計されるチャンバの内部に配置される。
【0002】
煙検出器のための光源は、平行光を光センサに対してある角度で放射するように配置される。煙微粒子が存在しない通常動作中は、光は直線状に進むため、光源からの光はフォトダイオードに入射せず、決してフォトダイオード検出器に向かって下向きに曲がることはない。しかし、煙が空気チャンバに入ると、煙粒子が光ビームを散乱させ、光の一部を光検出器上に偏向させる。光が光検出器に当たると、フォトダイオードは、フォトダイオード上に反射された光の量に比例した電流を出力する。
【発明の概要】
【0003】
この概要は、提供される図面を含む詳細な説明において以下でさらに記載される、記載される概念を簡略化された形態で紹介するために提供されている。本概要は、特許請求される主題の範囲を限定しない。
【0004】
記載される実施例は、非反転入力、反転入力、及び出力を有する第1段増幅器を含む装置を説明する。非反転入力は、フォトダイオードのアノードに結合されるように構成され、第1段バイアス電圧源に結合される。反転入力はフォトダイオードのカソードに結合されるように適合され、フィードバック抵抗器の第1の端子と、フィードバックコンデンサの第1の端子とに結合されている。出力は、フィードバック抵抗器の第2の端子とフィードバックコンデンサの第2の端子とに結合される。
【0005】
この装置はまた、非反転入力、反転入力、及び出力を有する第2段増幅器を含む。非反転入力は、第1段増幅器の出力に結合される。反転入力は、フィードバック抵抗器の第1の端子及び第2段バイアス電圧源に結合される。出力は、フィードバック抵抗器の第2の端子に結合される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】接地を基準にしている2段光増幅器を備える、従来技術の光電煙検出器増幅器回路の一例についてのブロック図を示す。
【0007】
【
図2】請求項に係る2つのバイアス電圧基準を有する2段光増幅器を備える光電煙検出器増幅回路の一例についてのブロック図を示す。
【0008】
様々な図面において、同様の符号は同様の要素を示す。本記載の1つ又は複数の実施例の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載される。図は、一定の縮尺で描かれておらず、単に明細書を例示するために提供されるに過ぎない。特定の詳細、関係、及び方法は、説明の理解を提供するために記載される。説明及び図面から、ならびに特許請求の範囲から、他の特徴及び利点も明らかであり得る。
【発明を実施するための形態】
【0009】
光電煙検出器システムにおいて煙粒子からフォトダイオード検出器上に偏向される光の量は少ない。その結果、清浄な空気状態と煙の存在との間のフォトダイオードから出力される電流の差は、典型的にはナノアンペアの範囲内にある。光電煙検出システムが検出することを意図している煙粒子から散乱される光に加えて、フォトダイオードが迷光の周囲光を拾うこともある。これは、フォトダイオードの出力にベースライン電流を加える。迷光のない環境では、フォトダイオード出力のベースライン信号レベルをナノアンペア以下とし得る。
【0010】
この小さな光電流は、高利得低雑音増幅器を用いて電圧に変換される。少なくとも1つの実施例において、増幅器の出力は、マイクロコントローラ内のアナログデジタルコンバータ(ADC)に結合させ得る。周囲光の寄与を低減するために、マイクロコントローラ内のデータに対して動作が行なわれてもよい。増幅器は常に、フォトダイオードに入射する周囲光から生じるベースライン電流が存在しないときにナノアンペア未満の信号が検出され得る線形領域で動作することが望ましい。
【0011】
光電流増幅器で起こりうる問題は、信号入力がなくてもその出力が飽和し得ることである。この飽和は、増幅器固有のオフセット電圧がその増幅器によって増幅されるために発生し得、これにより、増幅器出力が供給レール電圧又は接地のいずれかに留まる原因となり得る。増幅器の出力が飽和すると、入力の小さな変動が見えなくなったり出力で測定可能になったりする。
【0012】
図1は、接地を基準とした2段光増幅器を備える光電煙検出器増幅回路100の一例についてのブロック図を図示する。調整電流源108によって給電される発光ダイオード(LED)102が、煙検出器空気チャンバ内に光を発する。LED102からの光は、赤外線であってもよく又は可視光であってもよい。隔離バリア160が、LED102からの光を直接受けないようにフォトダイオード110を遮蔽する。煙検出器空気チャンバに入る空気に煙が含まれていないとき、LED102からの光は、フォトダイオード110に到達する経路を有さない。
【0013】
しかしながら、煙が煙検出器空気チャンバに入ると、煙粒子162が隔離バリア160を越えて空間に入り込む可能性がある。LED102からの光の一部は煙粒子162で反射し、フォトダイオード110上に反射し、隔離バリア160をバイパスする。煙粒子162の濃度が高いほど、より多くのLED102からの光が、フォトダイオード110上に反射される。その結果、フォトダイオード110は、隔離バリア160の近傍の煙粒子162の濃度に比例した電流を発する。煙粒子162でフォトダイオード110上に反射するLED102からの光の量は小さいため、フォトダイオード110によって発せられる電流は小さい。この小さな光電流は、高利得で低雑音の増幅器によって電圧に変換されて、その信号がデジタルコンバータによって読み取り可能となる。
【0014】
フォトダイオード110のカソードは、抵抗器112の第1の端子、コンデンサ114の第1の端子、及び増幅器120の反転入力に結合される。フォトダイオード110のアノードは、抵抗器112の第2の端子、コンデンサ114の第2の端子、及び増幅器120の非反転入力に結合される。抵抗器122とコンデンサ124とが並列に接続されており、増幅器120の反転入力と増幅器120の出力との間にフィードバックループを提供する。
【0015】
増幅器120の非反転入力と接地との間に並列に接続された抵抗器126とコンデンサ128もある。これは、接地における増幅器120のための入力基準電圧を提供する。
【0016】
増幅器120の出力は、増幅器140の非反転入力に結合される。抵抗器146が、増幅器140の反転入力と接地との間に結合される。可変抵抗器142が、増幅器140の出力と増幅器140の反転入力との間のフィードバックループにおいて結合され、増幅器140を可変利得増幅器とする。少なくとも一例において、可変抵抗器142の値は制御レジスタを用いてプログラムされ得る。
【0017】
増幅器140の出力はADCに結合され得る。増幅器出力は、ローパスフィルタを介してADCに結合されてもよい。抵抗器148が、増幅器140の出力とコンデンサ150に結合され、コンデンサ150は接地にも結合されて、共にローパスフィルタを構成する。
【0018】
増幅器120及び増幅器140はいずれも接地を基準にしており、これは場合によっては問題につながる可能性がある。線形増幅器は、負になり得る入力オフセット電圧を有する可能性がある。増幅器入力が接地を基準にしている場合、信号入力がなくても、増幅器出力が接地で飽和することがある。これにより、フォトダイオードからのナノアンペア電流などの小さな入力信号が、増幅器が飽和している場合に出力が入力と共に変化しないために、測定可能になるのを防ぐことができる。
【0019】
図2は、2つの基準を有する2段光電煙検出器増幅器回路の一実施例のためのブロック図を図示する。2つの基準電圧源のための電圧は、増幅器の飽和を避ける目的で、各増幅器の入力オフセット電圧を低減するように選択される。
【0020】
図2を参照すると、PREF280及びGREF294の2段のための2つの別個の基準電圧を有する2段階光増幅器回路200を備える光電煙検出器増幅器回路の一実施例が示される。LED202が、調節された電流源208によって給電され、煙検出器空気チャンバ内に光を発する。フォトダイオード210が、その上に入射する光の強度に比例した電流を出力する。
【0021】
LED202によって発せられる光は、赤外線であってもよく、又は可視光であってもよい。隔離バリア260が、LED202からの光を直接受けないようにフォトダイオード210を遮蔽する。煙検出器に入る空気に煙が存在しない場合、LED202からの光は、フォトダイオード210に到達する経路を有さない。
【0022】
煙が煙検出器空気チャンバに入ると、煙粒子262が隔離バリア260の周りの空間内に入り込む可能性がある。LED202からの光の一部は、煙粒子262でフォトダイオード210上へと反射し、隔離バリア260をバイパスし得る。そのため、煙粒子262は、LED202からの光の一部がフォトダイオード210に到達するための経路を提供する。煙粒子262の濃度が高いほど、LED202からのより多くの光がフォトダイオード210上に反射される。その結果、フォトダイオード210は、隔離バリア260の近傍の煙粒子262の濃度に比例した電流を発する。煙粒子262でフォトダイオード210上へ反射するLED202からの光の量は小さいので、フォトダイオード210によって発せられる電流も小さい。この小さな光電流は、高利得で低雑音の増幅器によって電圧に変換されて、信号がデジタルコンバータによって読み取り可能となる。
【0023】
フォトダイオード210のカソードは、抵抗器212の第1の端子、コンデンサ214の第1の端子、及び増幅器220の反転入力に結合される。フォトダイオード210のアノードは、抵抗器212の第2の端子、コンデンサ214の第2の端子、及び増幅器220の非反転入力に結合される。増幅器220の反転入力と増幅器220の出力との間には、抵抗器222とコンデンサ224とが並列に接続されている。
【0024】
増幅器220及び240などの線形増幅器は、入力オフセット電圧を有し得る。入力オフセット電圧が負の場合、増幅器入力接地を基準にしている場合、入力オフセット電圧は、増幅器への入力信号なしで接地において増幅器の出力を飽和させることがある。これは、増幅器220に入力されている光電流などの小さな入力信号が、入力が変更しても出力が変更しないので測定可能であることを妨げる可能性がある。本発明の一実施例において、2つの電圧基準が生成され、1つは各増幅段の入力用である。2つの基準電圧の値は、各増幅器の入力オフセット電圧を打ち消すように選択される。
【0025】
抵抗器226とコンデンサ228とが、増幅器220の非反転入力に結合されるそれらの端子の1つと並列に接続されている。抵抗器226とコンデンサ228の他方の端子は、増幅器220のための入力基準電圧を提供するノードPREF280に結合される。
【0026】
増幅器220の出力は、増幅器240の非反転入力に結合される。可変抵抗器242が、増幅器240の出力と増幅器240の反転入力との間のフィードバックループにおいて結合され、増幅器240を可変利得増幅器とする。少なくとも一実施例において、可変抵抗器242の値は、制御レジスタを用いてプログラムされ得る。代替の実施例において、抵抗器242が固定値抵抗器であってもよい。
【0027】
抵抗器246の1つの端子は、増幅器240の反転入力に結合される。抵抗器246の他方の端子は、増幅器240のための入力基準電圧を提供するノードGREF294に結合される。
【0028】
増幅器240の出力はADCに結合され得る。増幅器出力は、ローパスフィルタを介してADCに結合されてもよい。抵抗器248が、増幅器240の出力と、コンデンサ250の1つの端子とに結合される。コンデンサ250の他方の端子は接地に結合される。抵抗器248とコンデンサ250が共に、増幅器240の出力のためのローパスフィルタを形成する。抵抗器248とコンデンサ250が共に結合されるノードは、ADCに結合され得る信号252を提供する。
【0029】
PREF280及びGREF294は、それぞれ、増幅器220及び増幅器240に対して入力基準電圧を供給するノードである。それらはVDD290から導き出される。VDD290は、内部電圧レギュレータにより供給される基準電圧である。一実施例において、VDD290の電圧は2.3ボルトである。抵抗器282の一方の端子はVDD290に結合され、他方の端子はPREFノード280に結合される。
【0030】
抵抗器286の一方の端子はPREFノード280に結合され、他方の端子はトランジスタ296のドレイン端子に結合される。トランジスタ296のソース端子は、接地に結合される。トランジスタ296のゲート端子は、増幅器イネーブル信号292に結合され、増幅器イネーブル信号292は、増幅器220及び240がオフになっているときにトランジスタ296をオン又はオフにして、VDD290からの電流引き込みを防止する。
【0031】
第1段増幅器220の入力基準電圧であるPREFノード280での電圧は、内部電圧レギュレータVDD290の出力からの電圧を分割することによって導出される。PREFノード280におけるこの入力基準電圧は、第1段増幅器220の出力が線形動作を維持し、入力信号が無くても飽和を回避することを可能にする。第2段増幅器240の入力基準電圧であるGREFノード294での電圧は、PREFノード280での電圧をさらに分割することによって導出される。GREFノード294での第2の基準電圧はPREFノード280での第1基準電圧を分割することによって生成されるので、GREFノード294はPREFノード280よりも低い電圧にあることが保証される。これにより、第2段増幅器240の出力が、第1基準電圧及び増幅器220及び増幅器240によって導入される任意のオフセットを上回ることが確実になる。その結果、増幅器220及び増幅器240の両方が、どのような増幅器利得が選択されても、線形動作領域に留まることができる。
【0032】
PREFノード280における電圧は、VDD290の電圧を分割する抵抗282及び抵抗286で構成される分圧器によって設定される。GREFノード294における電圧は、抵抗器288の抵抗値と比較した抵抗器282及び抵抗器284の抵抗値の合計で構成される分圧器によって設定される。一実施例では、VDD290における電圧が2.3Vであり、抵抗器282は200Kであり、抵抗器286は5Kであり、抵抗器284は4.44Kであり、抵抗器288は40Kである。これらの値を用いると、PREF280は50mVとなり、GREF294は45mVとなる。したがって、PREF280とGREF294の間の電圧の差は、本実施例では5mVである。
【0033】
5mVは、場合によっては増幅器220及び240の反転端子と非反転端子との間の最悪ケースのオフセット電圧であると予想されるので、この例のために5mVの電圧差が選択された。幾つかの実施例において、より低い電圧差を選択するとオフセットが適切に減少しない可能性があり、より高い電圧差を選択すると、幾つかの実施例では増幅器出力のダイナミックレンジが減少する可能性があるため、2つの基準電圧間の5mVの電圧差が望ましい場合がある。しかしながら、他の実施例において、PREF280とGREG284との間の電圧差が5mVよりも大きいか又は小さいことが望ましい場合がある。
【0034】
この例で与えられる抵抗値は、単に1つの可能な実施例である。この例におけるものとは異なる抵抗値を選択して、増幅器220又は増幅器240に対して異なる電圧利得を達成し得る。この例で与えられたものとは異なる抵抗値を用いて、PREFノード280又はGREFノード284で異なる基準電圧を生成することもできる。
【0035】
本記載の目的のために、或る要素が別の要素に「結合される」と言及される場合、それは他の要素に直接結合されてもよく、又は介在要素が存在してもよい。或る要素が別の要素に「直接結合」されていると言及される場合、他の介在要素は意図的に配置されない。「実質的に同じ」、「実質的に等しい」、及び「ほぼ同じ」という用語は、2つの物体間の定量的な関係を表す。この定量的な関係はこれら2つの物体が設計によって等しくなることを好むかもしれないが、製造プロセスによって一定量の変形が導入され得ることを予想している。
【0036】
動作は特定の順序で図面に示されているが、これはそのような順序が1つ又は複数の特許請求の範囲に記載されていない限り、所望の結果を達成するために、すべての例示された動作が実施されることを必要としない。幾つかの状況において、マルチタスク及び並列処理が好都合であり得る。また、上述の実施例における様々なシステム構成要素の分離は、すべての実施例におけるそのような分離を必要とはしない。
【国際調査報告】