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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-05
(54)【発明の名称】複合材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/52 20060101AFI20221223BHJP
   B29C 70/46 20060101ALI20221223BHJP
【FI】
B29C70/52
B29C70/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552689
(86)(22)【出願日】2020-11-12
(85)【翻訳文提出日】2022-07-11
(86)【国際出願番号】 US2020060182
(87)【国際公開番号】W WO2021097058
(87)【国際公開日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】62/934,158
(32)【優先日】2019-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.GORE-TEX
(71)【出願人】
【識別番号】522185656
【氏名又は名称】ニューヴォカス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】キールネン エリック ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ケラネン ケネス ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ケロ マシュー ポール
【テーマコード(参考)】
4F205
【Fターム(参考)】
4F205AC05
4F205AD16
4F205AJ08
4F205AR17
4F205HA05
4F205HA27
4F205HA37
4F205HB02
4F205HC02
4F205HF24
4F205HK04
4F205HM02
(57)【要約】
複数の繊維(5)を第1の温度に予熱するステップと、予熱された繊維を組立ライン(10)に沿って移動させるステップと、予熱された繊維の少なくとも1つに25センチポイズより低い粘度を有するバインダー(25)を塗布するステップと、予熱された繊維を受け取るように形作られたダイス(30)を提供するステップであって、ダイスが組立ラインの少なくとも一部に沿って予熱された繊維と一緒に移動するステップと、複数の繊維の温度を第1の温度と実質的に同様である温度に維持するステップと、温度を維持する間にダイスの中で複数の繊維を圧縮するステップと、を含む、構造部材の製造方法。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造部材を製造する方法であって、
30℃で25センチポイズ(cP)未満の粘度を有するバインダーを複数の繊維のうちの少なくとも1つに塗布するステップであって、前記バインダーが塗布される際、前記繊維が相隔たり且つ第1の領域に広がる、ステップと、
前記繊維を受け取るように配置された第1の直径の第1の部分と、前記第1の部分の下流に配置された第2の直径の第2の部分とを有するダイスを提供するステップであって、前記第1の直径が前記第2の直径より大きく、前記ダイスが前記第1の部分と前記第2の部分との間でテーパー付けされる、ステップと、
前記バインダーを塗布した後、前記複数の繊維を前記ダイスに沿って案内するステップと、
前記ダイスを用いて前記複数の繊維の間の距離を減少させるステップであって、前記複数の繊維の間の前記距離を減少させた後、前記繊維が前記第1の領域よりも小さい第2の領域に広がる、ステップと、
前記距離を減少させた後、前記複数の繊維を成形ステーションで成形するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記成形ステーションは、第1の成形ステーションであり、前記方法は、
前記第1の成形ステーションで前記繊維を成形した後、前記第1の成形ステーションから離間した第2の成形ステーションで前記複数の繊維を成形するステップと、
前記第2の成形ステーションで前記複数の繊維を成形した後、前記第1の成形ステーション及び前記第2の成形ステーションから離間した第3の成形ステーションで前記複数の繊維を成形するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の繊維を第1の温度まで予熱するステップと、
前記予熱された繊維を組立ラインに沿って移動させるステップと、
前記距離を減少させた後、前記複数の繊維の温度を前記第1の温度と実質的に同様の温度に維持するステップと、
前記成形ステーションで前記複数の繊維を成形する間、前記温度を維持するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記樹脂は、少なくとも1つの短鎖長モノマーを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ダイスは、多孔質材料を含み、それにより、空気を前記ダイスから逃すようにする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の繊維を前記成形ステーションから移動させるステップと、
前記複数の繊維を前記成形ステーションから移動させた後、前記複数の繊維を硬化させるステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ダイスを用いて前記複数の繊維の間の距離を減少させる前に、前記バインダーを前記ダイスに塗布するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
構造部材を製造する方法であって、
複数の繊維を第1の温度まで予熱するステップと、
前記予熱された繊維を組立ラインに沿って移動させるステップと、
前記予熱された繊維の少なくとも1つに、30℃で25センチポイズ(cP)未満の粘度を有するバインダーを塗布するステップであって、前記バインダーが塗布される際、前記繊維が相隔たり且つ第1の領域に広がる、ステップと、
前記バインダーを塗布した後、前記予熱された繊維をダイスに沿って案内するステップと、
前記ダイスを用いて前記複数の繊維の間の距離を減少させるステップであって、前記複数の繊維の間の距離を減少させた後、前記繊維が前記第1の領域よりも小さい第2の領域に広がる、ステップと、
前記距離を減少させた後、前記複数の繊維の前記温度を、前記第1の温度と実質的に同様の第2の温度に維持するステップと、
前記温度を維持する間に、成形ステーションで前記複数の繊維を成形するステップと、
を含む、方法。
【請求項9】
前記樹脂は、少なくとも1つの短鎖長モノマーを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ダイスは、多孔質材料を含み、それにより、空気を前記ダイスから逃すようにする、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記ダイスを用いて前記複数の繊維の間の前記距離を減少させる前に、前記バインダーを前記ダイスに塗布するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記バインダーを塗布するステップは、前記複数の繊維のうちの少なくとも1つに前記バインダーを噴射するステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記バインダーを塗布するステップは、加圧チャンバーから前記バインダーを押し出し、前記押し出されたバインダーを通して前記少なくとも1つの繊維を引き込むステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記バインダーを塗布するステップは、前記複数の繊維のうちの少なくとも1つに前記バインダーを噴射するステップと、加圧チャンバーから前記バインダーを押し出し、前記押し出されたバインダーを通して前記少なくとも1つの繊維を引き込むステップとを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
連続構造部材を製造する方法であって、
複数の繊維を第1の温度まで予熱するステップと、
前記予熱された繊維を組立ラインに沿って移動させるステップと、
前記予熱された繊維の少なくとも1つに30℃で25センチポイズ(cP)未満の粘度を有するバインダーを塗布するステップと、
前記予熱された繊維を受け取るように形作られたダイスを提供するステップであって、前記ダイスが、前記組立ラインの少なくとも一部に沿って前記予熱された繊維と一緒に移動する、ステップと、
前記複数の繊維の温度を、前記第1の温度と実質的に同様の温度に維持するステップと、
前記温度を維持する間に、前記ダイスの中で前記複数の繊維を圧縮するステップと、
を含む、方法。
【請求項16】
前記ダイスを用いて前記複数の繊維の間の距離を減少させる前に、前記バインダーを前記ダイスに塗布するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記バインダーを塗布するステップは、前記複数の繊維のうちの少なくとも1つに前記バインダーを噴射するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記バインダーを塗布するステップは、加圧チャンバーから前記バインダーを押し出すステップと、前記押し出されたバインダーを通して前記少なくとも1つの繊維を引き込むステップとを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記バインダーは、少なくとも1つの短鎖長モノマーを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記ダイスは、多孔質材料を含み、それにより、空気を前記ダイスから逃すようにする、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年11月12日出願の米国仮特許出願第62/934,158号の優先権を主張し、その開示内容全体は、引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、複合材料の製造方法に関し、より具体的には、繊維強化ポリマー材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
繊維強化ポリマーは、通常、樹脂などのバインダーによって提供される、マトリックスによって結合された繊維材料を含む。従来、繊維強化ポリマーは、引き抜き成形プロセスを使用して製造され、その一例が図1に示されている。
【0004】
引き抜き成形プロセスにおいて、引き込まれる繊維5は、一組の駆動ローラー20などの引き抜き機構15によって、生産ライン10を通って引き寄せられる。繊維5は、様々なバインダーのうちの1つを含む溶液槽25の中に引き込まれる。湿潤状態になると、繊維5は、固定ダイス30を通って引き込まれ、このダイスは、バインダーの硬化を開始するために1又は2以上の加熱ゾーンを有することができる。引き抜き成形プロセスにおいて、ダイス30は、いくつかの機能を果たす。これは、繊維5の湿潤を促進するための圧力を引き起こし、バインダー及び繊維5を加熱し、バインダーの硬化を制御し、引き抜き成形品の最終形状を制御する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バインダーは、化学反応(硬化、架橋、乾燥など)によって決まる硬化特性を有する。これらの硬化特性は、バインダーの化学反応、プロセス温度、及びプロセス温度での滞留時間の関数である。生産速度が増加するにつれて、バインダーの適切な硬化を確保することは、ますます困難になる。
【0006】
図1に示す従来の引き抜き成形プロセスは、プロセスの速度を大幅に妨げる固有の制約を有する。ダイス30の長さは、プロセスの速度に対する直接の制約であり、プロセス温度、プロセス摩擦、及びプロセスガスの除去は他の制限的な制約を与える。バインダー溶液槽25は、それ自体の欠点を示し、これは、マルチパートの反応性バインダーの混合及び維持の困難性、過度の廃棄物の量、及び溶液槽25を満たすのに通常必要とされる大量のバインダーに起因する高い運転コストを含む。従来、1又は2以上の速硬化性熱硬化性ポリマー及び/又は多成分熱硬化性ポリマーがバインダーの一部分として利用される場合、少なくとも上記に記載の理由のために、繊維強化製品を製造することは、費用効果に劣っていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
いくつかの実施形態において、本発明は、構造部材を製造する方法を提供する。本方法は、複数の繊維を第1の温度に予熱するステップと、予熱された繊維を組立ラインに沿って移動させるステップと、予熱された繊維の少なくとも1つにバインダーを塗布するステップとを含み、バインダーが塗布される際に、繊維は、相隔たりかつ第1の領域に広がる。バインダーは、25センチポイズ(cP)未満の粘度を有する。本方法は、予熱された繊維を受け取るように配置された第1の直径の第1の部分と、第1の部分の下流に配置された第2の直径の第2の部分とを有するダイス(die)を提供するステップをさらに含み、第1の直径は、第2の直径より大きく、ダイスは、第1の部分と第2の部分との間でテーパー付けされる。本方法は、バインダーを塗布した後、複数の繊維をダイスに沿って案内するステップをさらに含む。本方法は、ダイスを用いて複数の繊維の間の距離を減少させるステップをさらに含み、複数の繊維の間の距離を減少させた後、繊維は、第1の領域よりも小さい第2の領域に広がり、減少させた後、複数の繊維の温度を第1の温度と実質的に同様である温度に維持するステップをさらに含む。本方法は、温度を維持する間に、第1の成形ステーションで複数の繊維を成形するステップと、温度を維持する間に、第1の成形ステーションから離間した第2の成形ステーションで複数の繊維を成形するステップと、温度を維持する間に、第1の成形ステーション及び第2の成形ステーションから離間した第3の成形ステーションで複数の繊維を成形するステップと、をさらに含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、本発明は、構造部材を製造する方法を提供する。本方法は、複数の繊維を第1の温度に予熱するステップと、予熱された繊維を組立ラインに沿って移動させるステップと、予熱された繊維の少なくとも1つにバインダーを塗布するステップとを含み、バインダーが塗布される際に、繊維は、相隔たりかつ第1の領域に広がる。バインダーは、25センチポイズ(cP)未満の粘度を有する。バインダーを塗布するステップは、複数の繊維のうちの少なくとも1つにバインダーを噴射するステップと、加圧チャンバーからバインダーを押し出し、押し出されたバインダーを通して少なくとも1つの繊維を引き込むステップのうちの少なくとも1つのステップを含む。本方法は、バインダーを塗布した後、予熱された繊維をダイスに沿って案内するステップと、ダイスを用いて複数の繊維の間の距離を減少させるステップをさらに含み、複数の繊維の間の距離を減少させた後、繊維は、第1の領域より小さい第2の領域に広がる。本方法は、減少させた後、複数の繊維の温度を第1の温度と実質的に同様である温度に維持するステップをさらに含む。本方法は、温度を維持する間に、第1の成形ステーションを用いて複数の繊維を成形するステップと、温度を維持する間に、第1の成形ステーションから離間する第2の成形ステーションを用いて複数の繊維を成形するステップと、温度を維持する間に、第1の成形ステーション及び第2の成形ステーションから離間する第3の成形ステーションを用いて複数の繊維を成形するステップと、をさらに含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、本発明は、連続構造部材を製造する方法を含む。本方法は、複数の繊維を第1の温度に予熱するステップと、予熱された繊維を組立ラインに沿って移動させるステップと、予熱された繊維の少なくとも1つに25センチポイズ(cP)未満の粘度を有するバインダーを塗布するステップと、予熱された繊維を受け取るように形作られたダイスを提供するステップであって、ダイスが組立ラインの少なくとも一部に沿って予熱された繊維と一緒に移動するステップと、複数の繊維の温度を第1の温度と実質的に同様である温度に維持するステップと、温度を維持する間にダイス内で複数の繊維を圧縮するステップと、を含む。
【0010】
本発明の他の特徴及び態様は、以下の詳細な説明及び添付の図面を考慮することにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一般的な引き抜き成形プロセスの概略図である。
図2】本発明のいくつかの実施形態による組立ラインの概略図である。
図3図2の組立ラインの一部の斜視図である。
図4図2の組立ラインの一部の斜視図である。
図5図2の組立ラインで使用するための一実施形態によるバインダー塗布アセンブリを示す。
図6図2の組立ラインで使用するためのいくつかの実施形態によるバインダー塗布アセンブリを示す。
図7図2の組立ラインで使用するためのいくつかの実施形態によるバインダー塗布アセンブリを示す。
図8図2の組立ラインの別の部分のうちの斜視図であり、湿潤繊維の長さの周りに巻かれているダイスを示す。
図9】湿潤繊維の長さの周りに巻かれているダイスの斜視図である。
図10図2の組立ラインの成形ステーションの端面図である。
図11】いくつかの実施形態による成形ステーションの概略図である。
図12】いくつかの実施形態による成形ステーションの概略図である。
図13】いくつかの実施形態による成形ステーションの概略図である。
図14】いくつかの実施形態による成形ステーションの概略図である。
図15】いくつかの実施形態による成形ステーションの概略図である。
図16】いくつかの実施形態による成形ステーションの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の何らかの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用が、以下の説明に記述される又は以下の図面に示されている構造の詳細及び構成要素の配置に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施又は実行することが可能である。また、本明細書で使用される表現及び用語は、説明のためのものであり、限定するものと見なすべきではないことを理解されたい。
【0013】
図2及び図3は、繊維強化ポリマー(FRP)構造用複合材料(すなわちマトリックス複合材料)を製造するための組立ライン100を示す。構造用複合材料は、鉄筋、I形梁、Cチャンネル、管体、構造用積層体など、多種多様な構造部材を形成することができる。図示の組立ライン100は、ロービングステーション105、バインダー塗布ステーション110、及び複数の成形ステーション115を含む。いくつかの実施形態において、追加のステーション又は代替のステーションは、組立ライン100内に含めることができる。組立ライン100は、概して直線状であり、これに沿って構造用複合材料が製造される中心軸120を定める(図3)。本明細書でより詳細に説明するように、組立ライン100は、FRP構造用複合材料を高速で連続的に製造することを可能にする。
【0014】
ロービングステーション105は、構造用複合材料に含まれることになる繊維130の撚糸又は粗紡を支持して分配する複数のスプール又はボビン125を含む。図示の実施形態において、繊維130は、玄武岩を含むが、繊維130は、ガラス、アラミド、炭素、又は他の何らかの所望の繊維材料を含むことができる。ボビン125は、繊維送り速度を制御する動力駆動システムと結合することができる。このような実施形態において、繊維130上に一貫性のある張力を維持するために、ダンサー又は他の自動張力制御装置(図示せず)を提供することができる。
【0015】
ボビン125から分配された後、繊維130は、バインダー塗布ステーション110(図3及び図4)において湿潤のために繊維130を配置するガイドアセンブリ135を通過する。いくつかの実施形態において、ガイドアセンブリ135は、湿潤のための比較的大きな矩形の表面積を提供するために、繊維130を平面内で配置することができる。もしくは、ガイドアセンブリ135は、繊維130を、円筒形、管状、又は螺旋状パターンなど、他のパターンの中に配置することができる。
【0016】
いくつかの実施形態において、ロービングステーション105は、繊維130がバインダー塗布ステーション110に分配される前に、繊維130を所望の温度に予熱するための1又は2以上の加熱素子(図示せず)を含む。加熱素子は、ボビン125の内部に配置すること又はボビン125の外部に配置することもできる。例えば、加熱空気は、繊維130がロービングステーション105を離れる際に、繊維130に向けることができる。繊維130を予熱するステップは、以下により詳細に説明するように、バインダー塗布ステーション110において必要とされるエネルギー入力を低減することができ、バインダー硬化プロセスを安定化させるのを助けることができる。
【0017】
繊維の比較的小さな直径に起因して(ダイス及び成形ステーションにおけるグループ化された繊維の直径と比較した場合)、個々の繊維を予熱するために必要な時間及び/又はエネルギーは、成形ステーションの1又は2以上のグループ化された繊維を加熱するために必要とされるであろうものより少ない。成形ステーションは、予熱された繊維の高い温度を維持するように動作可能である。いくつかの実施形態において、バインダーは、繊維130に塗布される前に加熱される。
【0018】
図2及び図3を参照すると、バインダー塗布ステーション110は、ガイドアセンブリ135を出る繊維130がバインダー塗布ステーション110に引き込まれ、樹脂などのバインダーで湿潤されるように、ロービングステーション105の下流に配置される。いくつかの実施形態において、バインダーは、極めて低粘度の短鎖長モノマー又はジシクロペンタジエン(DCPD)又はトリシクロペンタジエン(TCPD)などのモノマーの組合せである。いくつかの実施形態において、バインダーは、2成分のmDIベースのエラストマーなど、1又は2以上の低粘度ポリウレタンポリマー及びシステムを含む。他の実施形態において、熱硬化性ポリマー、例えば、フェノール樹脂又はエポキシ樹脂である。他の実施形態において、バインダーは、ポリエステル、ビニールエステル、ポルトランドセメント、又は他の何らかの適切なバインダーを含むことができる。
【0019】
バインダーは、20℃~55℃の範囲の温度で25センチポイズ(cP)未満の粘度を有する。いくつかの実施形態において、バインダーは、20℃~55℃で20センチポイズ未満の粘度を有する。いくつかの実施形態において、バインダーは、20℃~55℃で15センチポイズ未満の粘度を有する。いくつかの実施形態において、バインダーは、20℃~55℃で10センチポイズ未満の粘度を有する。
【0020】
極めて低粘度のバインダーは、繊維130の間ですぐに広がり、摩擦剤(traction agent)を必要とせずに高速で組立ライン100を通して繊維130と一緒に移動する。これにより、超高速でも一貫性のある最終製品が得られる。
【0021】
バインダー塗布ステーション110は、所望の量のバインダーを正確に計量して繊維に塗布するように動作可能である。具体的には、繊維に対するバインダーの所望の比率に応じて、適切な量のバインダーを繊維に直接塗布することができる。これは、図1に示す繊維に塗布されるバインダーの量を制御しないバインダー溶液槽とは正反対である。余分なバインダーは、除去する必要があり、結果的に、より多くの廃棄物が生じる。また、バインダー溶液槽全体は、適切な温度に維持する必要があり、これは特に加熱されたバインダーの一部が繊維から除去される場合、余分なバインダーを加熱するために、エネルギーの無駄となる。また、繊維とバインダーの比率が制御されていないため、バインダー溶液槽で製造される製品は、一貫性のない可能性がある。本発明において、繊維に塗布されるバインダーの量は、製造される製品の所望の品質と一貫性を保証するように制御することができる。
【0022】
図3-5は、バインダー塗布ステーション110の1つの実施形態を示す。図示の実施形態において、バインダー塗布ステーション110は、加圧ウェル140を含む。加圧ウェル140は、ホッパー又は貯蔵容器(図2)などのバインダー供給源145からバインダーを受け取る。ウェル140は、これを介してバインダーを注入することができる入口開口部155を有するエンドプレート150を含む(図5)。次に、バインダーは、加圧下で、入口開口部155から半径方向外向きに延びる複数の溝160を通って押し出される。溝160は、エンドプレート150の外周部に配置された湿潤領域165と連通する。
【0023】
動作時、バインダーは、溝160を通って湿潤領域165の中に連続的に押し出される。繊維130は、バインダーで湿潤されるように湿潤領域165を通過し、マトリックス複合材料の形成が始まる。図示の実施形態において、エンドプレート150は、約180度だけ互いにオフセットした2つの湿潤領域165を含む。従って、繊維130は、同時に湿潤されている2つの経路に沿って配置することができる。繊維130にバインダーを完全に塗布するのを促進するために、繊維130は、湿潤領域165を通って移動する間に相隔たる。他の実施形態において、エンドプレート150は、任意の数の湿潤領域を含むことができる。ウェル140の作動圧力、溝160の数及び大きさは、所望の湿潤速度を提供するために可変とすることができる。
【0024】
図6及び7は、別の実施形態によるバインダー塗布ステーション110aの一部を示す。バインダー塗布ステーション110aは、本明細書に記載される実施形態のいずれかで利用することができる。いくつかの実施形態において、バインダー塗布ステーション110aは、他の実施形態において図示及び説明されたバインダー塗布ステーションに加えて利用されるのに対して、他の実施形態において、バインダー塗布ステーション110aは、他の実施形態において図示及び説明されたバインダー塗布ステーションの場所で利用される。図示の実施形態において、バインダー塗布ステーション110aは、引き込まれる繊維130を、概してテーパー状又は円錐状の装置の中に案内するダイス170を含む。ダイス170は、長手方向に(すなわち、中心軸120に沿って)移動することができる。この移動は、引き込まれる繊維130を概して連続した壁又はシートに形成するのを容易にすることができる。バインダー塗布ステーション110aは、バインダー供給源145(図2)からバインダーを受け取り、引き込まれる繊維130に対してバインダーの流れを噴射するように動作可能な噴射ノズル175を含む。ノズル175の位置は、バインダーの噴射特性を調整するために長手方向に変更することができる。
【0025】
さらに別の代替的な実施形態において、バインダー塗布ステーションは、バインダー溶液槽を含むことができる。溶液槽を通過した後、繊維130は、バインダーを機械的に撹拌して、これを通過する繊維に物理的に押し込むための一連の並列ローラーを通ることができる。含浸繊維のバインダー含有量は、ワイパー及び/又はローラーを使用して制御することができる。加えて、バインダー含有量は、繊維130の一部を、バインダー溶液槽をバイパスするように向けることによって制御することができる。
【0026】
この代替実施形態において、組立ライン100は、バインダー塗布ステーションと1又は2以上の成形ステーション115との間に、バインダー含浸繊維130を加熱し、湿潤プロセスを終了し、硬化プロセスを開始し、湿潤繊維を粗く形成するためのオーブンバンチャーステーションをさらに含むことができる。加えて、オーブンバンチャーステーションは、ロービングステーション105からバインダー塗布ステーションを通って繊維を引き抜くための1又は2以上の駆動ローラーを含むことができる。
【0027】
図2、4、8、及び9を参照すると、組立ライン100は、湿潤繊維130がバインダー塗布ステーション110を出る際に、湿潤繊維130の周りに巻き付けられる連続的に適合する並進ダイス180をさらに含む。図示のダイス180は、ロール185(図4)から送り込まれた細長い一片の紙である。紙製のダイス180は、湿潤繊維130に隣接した中心軸120に沿って進み、一連のテフロンガイドプレート190は、ダイスが湿潤繊維130を完全に取り囲んで包むまで、湿潤繊維130の周りにダイス180を徐々に丸める(図8及び図9)。湿潤繊維130がダイス180の第1の部分又は入口195に入ると、繊維130は、比較的大きな矩形領域から、入口195でのダイスの直径に対応するより小さな概して円形の領域に圧縮される。
【0028】
ダイス180は、残りの組立ライン100を通して、湿潤繊維130と一緒に進む。以下により詳細に説明するように、ダイス180は、湿潤繊維130が成形ステーション115に付着するのを阻止することにより、成形ステーション115を通る湿潤繊維130の移動を容易にする。加えて、ダイス180は、硬化中に湿潤繊維130を拘束し、バインダーと繊維130の混合を容易にして完全な湿潤を保証し、さらに一貫性のある硬化圧力及び温度を維持するのを助ける。
【0029】
組立ライン100及び他の何らかの連続的なFRP製造プロセスのプロセス速度又は製品生産率は、以下の式に準ずる。
プロセス速度=ダイス長さ/樹脂硬化時間
【0030】
連続的に適合する並進ダイス180は、湿潤繊維130と共に移動するので、一般的な引き抜き成形プロセス(図1)で用いられる固定ダイス30よりも何倍も長くすることができる。従って、組立ライン100は、一般的な引き抜き成形プロセスのプロセス速度よりも何倍も大きいプロセス速度で動作することができる。例えば、並進ダイスが2,000フィートの長さを有し、バインダーが硬化するのに2分を要する場合、組立ライン100は、毎分1,000フィートの可能性のあるプロセス速度を有することになる。いくつかの実施形態において、組立ライン100は、毎分約20フィートより大きなプロセス速度を有するように構成される。他の実施形態において、組立ライン100は、毎分約20フィートと毎分約50フィートとの間のプロセス速度を有するように構成される。他の実施形態において、組立ライン100は、毎分約50フィートと毎分約100フィートとの間のプロセス速度を有するように構成される。他の実施形態において、組立ライン100は、毎分約100フィートと毎分約250フィートとの間のプロセス速度を有するように構成されている。他の実施形態において、組立ライン100は、毎分約100フィートと毎分約500フィートとの間のプロセス速度を有するように構成される。他の実施形態において、組立ライン100は、毎分約100フィートと毎分約1000フィートとの間のプロセス速度を有するように構成される。他の実施形態において、組立ライン100は、毎分約20フィートと毎分約100フィートとの間のプロセス速度を有するように構成される。他の実施形態において、組立ライン100は、毎分約20フィートと毎分約1,000フィートとの間のプロセス速度を有するように構成される。他の実施形態において、組立ライン100は、毎分約100フィートと毎分約1,000フィートとの間のプロセス速度を有するように構成される。
【0031】
紙製のダイス180は、完成した構造用複合材料からのダイス180の除去を容易にするために、シリコーンなどの離型剤でコーティングすることができる。さらに、紙製のダイス180は、ガス及び蒸気がダイス180を通って放出されることを可能にするために、比較的、多孔質とすることができる。もしくは、ダイス180は、実質的に気密性とすることができる。
【0032】
ダイス180は、様々な方法で湿潤繊維130に塗布される他の基材又は材料の組合せを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態において、ダイス180は、湿潤繊維130に塗布され、その後、紫外線、温度、化学反応剤、又は他の適切な手段を使用して固化又は硬化される粉末又は液体(例えば、溶融ワックス)を含むことができる。他の実施形態において、ダイス180は、GORE-TEXなどの蒸気放出微小孔膜を含むことができる。他の実施形態において、ダイス180は、織物又は繊維マットなどのマクロ孔材料を含むことができる。さらに他の実施形態において、ダイス180は、非犠牲ステンレス鋼、炭素鋼カバー、又は銅などの1又は2以上の金属膜を含むことができる。
【0033】
いくつかの実施形態において、ダイス180は、ダイス180をマトリックス複合材に結合させるためにバインダーによって湿潤され、結果的にダイス180の全て又は一部を含む一体型構造を作ることができる。従って、ダイス材料は、追加の所望の特性を有する生成された構造用複合材料を提供するように選択することができる。例えば、ダイス180は、さもなければ非導電性の複合材料に導電性を与えるために、導電性材料を含むことができる。ダイス材料は、その特定の用途(例えば、鉄筋コンクリート)への構造用複合材料(例えば、鉄筋)の統合を容易にするために、外部結合成分(例えば、ポルトランドセメント)に対する親和性を有することができる。
【0034】
ここで図2から4を参照すると、成形ステーション115は、バインダー塗布ステーション110の下流に配置される。図示の実施形態において、組立ライン100は、中心軸120(図2)に沿って離間する第1、第2、及び第3の成形ステーション115を含む。他の実施形態において、組立ライン100は、任意の数の成形ステーション115を含むことができる。
【0035】
成形ステーション115の各々は、繊維130に接触して成形を行う少なくとも1つのガイドを含む。いくつかの実施形態において、ガイドは、繊維130を受け取り、成形を行う大きさの1又は2以上のスロットを有する1又は2以上のローラーを含むことができる。いくつかの実施形態において、ガイドは、繊維130を受け取り、成形を行う大きさの1又は2以上の開口部を有する1又は2以上の固定又は回転ダイスを含むことができる。ローラー内のスロット及び固定ダイス内の開口部の各々は、繊維130を異なる形状及びサイズに形作るために異なる形状及びサイズを有することができる。
【0036】
図示の成形ステーション115の各々は、複数のローラー200を含む。ローラー200は、二つ一組で配置され、各々は、溝205を含み、これを通ってダイスで巻かれた繊維130は、巻き取られて成形される(図10)。いくつかの実施形態において、一組のローラー200は、異なる方向に位置することができる。例えば、一組のローラー200は、水平方向と垂直方向との間で交互に配置することができる。ローラー200の一部又は全ては、組立ライン100を通してダイス180及び繊維130を引き込むために可変速駆動モーターを使用して駆動することができる。
【0037】
さらに図2及び3を参照すると、各成形ステーション115は、プロセス温度の正確な制御を可能にするために、熱伝達パネル(図示せず)をさらに含むことができる。例えば、各成形ステーション115は、プロセス速度に対応する速度でバインダーを硬化させ、安定した、制御された温度で湿潤繊維130を維持するように制御することができる。具体的な温度は、使用されるバインダーのタイプ及び組立ラインのプロセス速度によって決まる。いくつかの実施形態では、フェノール樹脂がバインダーとして使用され、繊維は約160℃の温度に維持される。いくつかの実施形態では、バインダーとしてエポキシ樹脂が使用され、繊維は、約50℃から約90℃の温度に維持される。従って、バインダー硬化プロセスは、成形された湿潤繊維130が成形ステーション115を移動する間に完了することができる。
【0038】
プロセス温度は、ダイス180の長さに沿って硬化速度を高める又は低下させるために、各成形ステーション115の長さに沿って複数のゾーンで制御することができる。ローラー200は、必要とされる硬化圧力を提供するためにダイス180に圧力をかける。ダイス180及び繊維130が隣接する成形ステーション115の間を通過する際に、製品は、必要に応じて冷却することができ(隣接する成形ステーション115間の周囲環境への暴露によって、或いは制御された冷却ゾーンを通して)、ガス又は蒸気副生成物は、ダイス180を通して放出することができる。これは、固定ダイス30(図1)が一般的に不浸透性であるため、一般的な引き抜き成形プロセスでは不可能である。いくつかの実施形態において、1又は2以上の成形ステーション115は、ダイス180及び繊維130をバインダーのガラス転移温度未満の温度まで冷却する。従って、成形ステーション115から分配されたダイス180及び繊維130は、その形状を維持することができる。他の実施形態において、ダイス180及び繊維130は、ダイス180及び繊維130が成形ステーション115を出てダイス180及び繊維130の所望の最終形状及び/又は何らかの表面構成(例えば、リブ、突起、陥凹部、及び/又は他の適切な表面構成など)への最終操作を可能にすることが終わるまで、ガラス転移温度未満に冷却されることはない。
【0039】
一般的なプロセスにおいて、組立ラインの全長に沿って繊維の適切な支持が提供されるように、何らかのステーションの間の間隔は、最小にする必要がある。対照的に、図示の成形ステーション115は、ダイス180が成形ステーション115の間で繊維130に十分な支持を提供するために、ダイスの流れ方向に所定の距離で相隔たっている。各成形ステーション115の間の間隔は、ダイス180及び繊維130からの空気及び水の放出を可能にする。さらに、相隔たる成形ステーション115は、成形ステーション115が直接隣接している場合よりも長い距離にわたって延在する。成形ステーション115の全距離の増加は、成形ステーション115内でまだ部分的に又は完全に硬化する間に、ダイス180が高速で成形ステーション115を通って移動するのを可能にする。従って、より多くの成形ステーション115及び相隔たる成形ステーション115を使用することによって、プロセス速度を増加させることができ、結果的に生産性及び収益性を高くすることができる。また、各成形ステーション115の間の距離は、成形アセンブリの全長にわたって成形ステーションが隣接する配置と比較すると、アセンブリの構築及び設置の資本コストを減少させる。成形ステーション115は、モジュール式とすることができ、1又は2以上の成形ステーション115は、実質的な生産ロスなしで、追加、除去、又は修理することができる。組立ライン全体の生産をシャットダウンする代わりに(単一の、固定ダイスを利用するユニットに対して必要とされるような)、生産は、1又は2以上の成形ステーション115の追加、除去、又は交換を可能にするために短期間のシャットダウンになるであろう。除去された成形ステーション115は、組立ラインが動作している間に、修理又は保管することができる。
【0040】
図11から16を参照すると、成形ステーション115の1又は2以上は、ダイス180及び繊維130を動的に操作して、完全な湿潤及び均質な硬化を促進することもできる。湿潤は、マトリックス複合材料の断面積を動的に変更することによって引き起こされるせん断粘度変化によって改善される。さらなるマトリックス複合材料のせん断混合は、成形ステーション115によって塗布される機械的圧力を選択的に増減させることによって引き起こすことができる。いくつかの実施形態において、成形ステーション115は、硬化時の繊維130の柔軟性を改善するために、繊維130の不完全なウェットアウトをもたらすように構成することができる。
【0041】
いくつかの実施形態において、ガイドは、ダイス180の長さにわたって加えられた機械的圧力を漸進的に増加させるように構成することができる。いくつかの実施形態において、圧力の増加は、長さに沿って減少する直径を備えた開口部を有するテーパー状の固定ダイスを通って繊維130を移動させることによって引き起こされる。他の実施形態において、機械的圧力の増加は、一連の固定ダイスの各々が漸進的により小さな開口部を有する一連の固定ダイスを通って繊維130を移動させることによって引き起こすことができる。いくつかの実施形態において、固定ダイス内の孔は、ダイス180及び繊維130の断面形状を動的に変更するために、異なる形状及びサイズの開口部を有することができる。
【0042】
図11に示される実施形態において、ローラー200は、ダイス180の長さにわたって加えられる機械的圧力を漸進的に増加させるように構成される。このため、ダイス180の断面積は、各連続する対のローラー200を通して減少させることができる。これは、繊維130の完全な湿潤及び圧縮を促進する。他の実施形態において、ローラー200は、ダイス180及び繊維130の断面形状を動的に変更するように構成することができる(図12から15)。例えば、ダイス180は、さらなるせん断混合を促進するために、交互のローラー対200において異なる方向を想定する卵型に巻くことができる(図12)。もしくは、ダイス180は、楕円形、円形、長方形、正方形、三角形などの、様々な他の形状に巻くことができる(例えば、図13参照)。他の実施形態において、1又は2以上の成形ステーション115は、中心軸120の周りでダイス180及び繊維130をねじることができる(図14)。さらに他の実施形態において、1又は2以上の成形ステーション115は、ダイス180の断面積を交互に増減させることができる(図15)。さらに他の実施形態において、ローラー200は、ダイス180及び繊維130にうねりをもたらすためにオフセットすることができる(図16)。成形ステーション115の各々は、ローラー200及び/又は固定ダイスの異なる配置及び構成を有することができる。
【0043】
いくつかの実施形態において、組立ライン100は、複合材構造体(図2)の硬化面を熱的に摩耗させるための消散ステーション210をさらに含むことができる。消散ステーション210は、ダイスを除去するために、繊維の一部を露出させるために、及び/又はポルトランドセメントのような外部結合成分に関して親和性を有することができる炭素質チャーを提供するために用いることができる。
【0044】
いくつかの実施形態において、組立ライン100は、後硬化ステーション215をさらに含むことができる。後硬化ステーション215は、何らかの必要な二次硬化時間及び温度制御を提供するための1又は2以上の加熱素子を含むことができる。さらに、後硬化ステーション215は、構造用複合材料を所望の最終形状に成形するために動作可能な1又は2以上の機械加工デバイスを含むことができる。例えば、構造用複合材料は、C型溝形鋼、螺旋形状、又は他の望ましい形状に曲げる、又は切断する、又は折り畳むことができる。
【0045】
いくつかの実施形態において、組立ライン100は、包装ステーション220をさらに含むことができる。包装ステーション220は、販売及び出荷のために構造用複合材料を所望の長さに切断するように動作可能な1又は2以上の切断デバイスを含むことができる。構造用複合材料は、製品情報、ブランド情報、又は他の指標がマーク付けされ、その後、出荷のために包装することができる。
【0046】
動作時、複数の繊維130は、ロービングステーション105から分配され、組立ライン100に沿ってバインダー塗布ステーション110まで移動する。繊維130は、バインダー塗布ステーション110に入る際に一般的に相隔たっており。繊維130は、第1の比較的大きな表面積に広がるようになっている。バインダーで湿潤された後、湿潤繊維130は、バインダー塗布ステーション110に近接するダイス180の第1の部分195に案内され、ダイス180は、湿潤繊維130の周りに巻きつくように丸められる。ダイス180が湿潤繊維130の周りに巻き付けられると、繊維130は、一緒に圧縮される。ダイス180によって包み込まれた湿潤繊維130は、次に、成形ステーション115に送り込まれる。
【0047】
成形ステーション115において、ダイス180及び湿潤繊維130は、バインダーと繊維130を混合し、製品形状を形成するために、対のローラー200又は固定ダイスなどのガイドの間で圧縮される。ダイス180は、バインダーがローラー200及び/又は固定ダイスに付着するのを防ぐために、湿潤繊維130をローラー200及び/又は固定ダイスから隔離する。熱は、バインダーの硬化を促進するために、成形ステーション115の全体に加えられる。隣接する各成形ステーションの間をダイス180が移動する際に、マトリックスは、冷却されること及び/又はガス及び蒸気の副産物を放出することができる。
【0048】
いくつかの実施形態において、砂は、硬化が完了する前又は後に、ダイス180及び/又は繊維130に加えることができる。砂は、繊維130及びバインダーの最終複合材料と、最終複合材料が結合される材料、例えばコンクリートとの間の物理的結合特性を改善するように選択することができる。
【0049】
本発明の様々な特徴は、次の特許請求の範囲に記載される。
【符号の説明】
【0050】
5 繊維
10 生産ライン
15 引き抜き機構
20 駆動ローラー
25 溶液槽
30 ダイス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】