(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-06
(54)【発明の名称】ハンドリングシステム
(51)【国際特許分類】
B25J 9/02 20060101AFI20221226BHJP
B22F 3/035 20060101ALI20221226BHJP
B30B 15/32 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
B25J9/02 Z
B22F3/035 F
B30B15/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022524285
(86)(22)【出願日】2020-10-26
(85)【翻訳文提出日】2022-05-12
(86)【国際出願番号】 EP2020080070
(87)【国際公開番号】W WO2021083842
(87)【国際公開日】2021-05-06
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510250087
【氏名又は名称】オスターヴァルダー アーゲー
【氏名又は名称原語表記】OSTERWALDER AG
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186716
【氏名又は名称】真能 清志
(72)【発明者】
【氏名】エイドリアン ユンカー
(72)【発明者】
【氏名】パスカル ルッツ
【テーマコード(参考)】
3C707
4E090
4K018
【Fターム(参考)】
3C707AS05
3C707BS01
3C707CV03
3C707CW03
3C707MT04
4E090FA09
4E090FA10
4E090HA06
4K018CA18
(57)【要約】
プレス装置から成形部品を取り出す外すためのハンドリングシステム(1)であり、該システムは、制御装置と、リニア軸システム(10)と、ガイドキャリッジ(24)とを備え、前記リニア軸システム(10)は、少なくとも1つのリニアガイド(12)と、前記少なくとも1つのリニアガイド(12)の方向に互いに独立して移動可能な第1のガイドスライド(14)及び第2のガイドスライド(16)とを備え、前記ガイドキャリッジ(24)は前記第1のガイドスライド(14)及び前記第2のガイドスライド(16)に変位可能に保持され、前記少なくとも1つのリニアガイド(12)の方向と角度αを成す方向に移動可能である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレス装置から成形部品を取り出す外すためのハンドリングシステム(1)であって、
制御装置と、
少なくとも1つのリニアガイド(12)と、前記少なくとも1つのリニアガイド(12)の方向に互いに独立して移動可能な第1のガイドスライド(14)及び第2のガイドスライド(16)とを備えたリニア軸システム(10)と、
前記第1のガイドスライド(14)及び前記第2のガイドスライド(16)に変位可能に保持されたガイドキャリッジであって、前記少なくとも1つのリニアガイド(12)の方向と角度αを成す方向に移動可能であるガイドキャリッジ(24)と、
を含むことを特徴とする、ハンドリングシステム(1)。
【請求項2】
前記第1のガイドスライド(14)は、第1のガイド手段(30)によって前記ガイドキャリッジ(24)に変位可能に接続され、前記第2のガイドスライド(16)は、第2のガイド手段(40)によって前記ガイドキャリッジ(24)に変位可能に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載のハンドリングシステム(1)。
【請求項3】
前記ガイド手段(30、40)は、それぞれリニアガイド(32、42)と、そのガイド内で直線的に変位可能なレール(34、44)とを含み、それによって、前記第1のガイド手段(30)及び前記第2のガイド手段(40)が、前記少なくとも1つのリニアガイド(12)の方向に対して異なる方向に配置されていることを特徴とする、請求項2に記載のハンドリングシステム(1)。
【請求項4】
前記リニア軸システム(10)は、前記第1のガイドスライド(14)を備えた第1のリニア軸(100)と、前記第2のガイドスライド(16)を備えた第2のリニア軸(102)を含み、前記第1のリニア軸(100)と前記第2のリニア軸(102)は互いに平行に配置されたXリニア軸(100、102)として設計され、それによって、前記第1のガイドスライド(14)及び前記第2のガイドスライド(16)に変位可能に保持された前記ガイドキャリッジ(24)がXZ平面に配置されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のハンドリングシステム(1)。
【請求項5】
前記制御装置は、前記第1のガイドスライド(14)及び前記第2のガイドスライド(16)を、互いに同期してまたは相対的に、前記少なくとも1つのリニアガイド(12)の方向に沿って所定の位置へ移動させるために設けられていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のハンドリングシステム(1)。
【請求項6】
前記第1のガイドスライド(14)及び前記第2のガイドスライド(16)を相対的に移動させる場合に、これらに変位可能に保持された前記ガイドキャリッジ(24)が前記少なくとも1つのリニアガイド(12)の方向に垂直な方向で調整可能な動きを実行することを特徴とする、請求項5に記載の処理システム(1)。
【請求項7】
前記ガイドキャリッジ(24)は、リニア軸、回転軸(60)及び/または機能手段と組み合わされるように設計されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載のハンドリングシステム(1)。
【請求項8】
少なくとも1つの機能要素(70)が前記ガイドキャリッジ(24)に交換可能に収容されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載のハンドリングシステム(1)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの機能要素(70)が成形部品の把持要素(72)として設計されていることを特徴とする、請求項8に記載のハンドリングシステム(1)。
【請求項10】
把持要素(72)として設計された前記機能要素(70)は、それにより把持した成形部品の向きを変えることができるように、D軸(60)によって回転可能であることを特徴とする、請求項9に記載のハンドリングシステム(1)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの機能素子(70)は洗浄要素(74)であることを特徴とする、請求項8~10のいずれか1項に記載のハンドリングシステム(1)。
【請求項12】
前記ハンドリングシステム(1)は、粉末プレスから成形部品をピックアップ位置でピックアップし、それをピックアップ位置から堆積位置へ輸送し、それを堆積位置で下すことを特徴とする、前記請求項1~11のいずれか1項に記載のハンドリングシステム。
【請求項13】
前記堆積位置は計量施設であることを特徴とする、請求項12に記載のハンドリングシステム(1)。
【請求項14】
前記堆積位置はワークピースキャリアであることを特徴とする、請求項12に記載のハンドリングシステム(1)。
【請求項15】
自重補償(80)が前記第1のガイドスライド(14)及び/または前記第2のガイドスライド(16)に設けられていることを特徴とする、請求項1~14のいずれか1項に記載のハンドリングシステム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形部品、特にプレス可能な材料の成形部品をプレス装置から取り出し、それを載置所に移送してそこに載置するためのハンドリングシステムに関する。載置所は、特にワークピースキャリアとすることができる。
【背景技術】
【0002】
ハンドリングシステムまたは位置決め装置は、プレス装置、特に粉末プレスから成形部品を取り出し、移送するものとして知られており、これらの装置は本質的に粉末及び/または粒状の材料を使用して粉末プレスでプレスされた成形部品またはグリーン成形体を取り出し、それらをさらなる処理のために移送するものである。特に、グリーン成形体は、次の焼結プロセスに送られ、そこで高温下で焼結されて、均質で緻密な成形部品が形成される。プレスプロセス後に、プレスまたはブランクとしても知られるグリーン成形体は、一般に、プレス装置の下部ツールまたは下部パンチ構体の上にあり、そこからグリッパーまたはハンドリングシステムの適切な要素によってピックアップされ、載置所に輸送され、そこに載置される。グリーン成形体は、一般に、多かれ少なかれ複雑なフィリグリー形状をしており、この段階では最小限の固さまたは硬さを特徴とする。したがって、グリーン成形体の把持や持ち上げ、運搬、載置などの取り扱い作業は、ある程度の動的応答も必要とされるが、できるだけ正確かつ少ない振動で行う必要がある。
【0003】
スカラロボットまたは多軸アームロボットを備えた、または直列に配置されたリニア軸も備えたシステムが、グリーン成形体の自動ハンドリングで知られている。ハンドリングは、可能な限り多くの自由度で並進及び/または回転運動シーケンスを実行できるようにするために、リニア軸及び/または関節式アーム軸として及び/または回転軸として設計された幾つかの移動装置によって実行される。個々のリニア軸及び/または関節軸が互いに補完してシリアルキネマティックシステムを形成し、それによって1つの軸が1つまたは複数の他の軸によってサポートされる場合、移動される質量は合計される。したがって、質量慣性が増加し、精度偏差及び/または振動も増加する。
【0004】
ドイツ国特許DE 100 02 981から、プレスで製造された焼結材料またはプレス可能なセラミック材料からなるグリーン成形体のためのハンドリングシステムが知られており、そのシステムは、水平Yリニア軸に水平に配置されたXリニア軸が移動可能に配置され、そのXリニア軸に、垂直方向にも移動できるグリッパー付きのアームが配置されている。直列に配置されたリニア軸を持つ他のシステムと同様に、第1のリニア軸が第2のリニア軸に配置され、第2のリニア軸が第3のリニア軸に配置され、いくつかの独立したリニアドライブが設けられる場合、不利な質量比が生じ、リニア軸の1つが移動するときでも特定の加速度慣性の影響がある。したがって、従来のハンドリングシステムで加速及び減速される質量は、輸送される成形部品の質量とは大きく相違することが多い。さらに、このようなハンドリングシステムの所要設置スペースは大きく、これは、粉末プレスの空間的に制限された周辺において不利である。さらに、例えば、キャリアの正確なローディングのために、良好なアクセシビリティと大きなアクセス可能載置面がハンドリングシステムに必要とされる。
【0005】
本発明の目的は、成形部品の損傷を回避しつつ、異なる形状の繊細な物体の正確で高度に動的なハンドリング、すなわち、ピックアップ、輸送、及び載置を可能にする成形部品のハンドリングシステムを開発することにある。さらに、ハンドリングシステムは、プレス装置、例えば粉末プレスの領域内に、把持及び/または処理装置を備え、最大の柔軟性及びさらに優れたアクセシビリティ及び広い移動可能領域を有するモジュール構造とすべきである。
【0006】
これらの目的は、請求項1に記載のハンドリングシステムによって達成される。このハンドリングシステムの有利な詳細は、従属請求項及びその記載に明示されている。
【発明の概要】
【0007】
以下では、デカルト座標系に従って、X方向は、成形部品がピックアップ位置から載置所に直線的に輸送される水平方向として理解されたい。この方向と直角に、Y方向は水平に延びる。Y方向はX方向と、水平X-Y平面を成す。Z方向は、水平面に垂直に伸びる垂直方向として指定される。一般に、リニアガイドとリニアガイドに沿って平行移動し得るガイドスライドを備えた駆動リニア軸がリニアユニットとして指定され、また、回転要素がそれぞれ回転軸、例えば、C軸またはD軸として、指定される。
【0008】
本発明によるハンドリングシステムは、成形部品、またはそれぞれグリーン成形体のハンドリングに関連して、及びプレス装置に関連して、以下に説明されるが、他の成形部品またはそれぞれの要素のピックアップ、輸送、及び載置にも使用することができ、したがってプレス装置と組み合わせて使用することができるだけではない。
【0009】
本発明によるハンドリングシステムは、水平及び/または垂直方向の任意の2軸移動が、2つの独立したドライブによって及び移動伝達手段との動作接続において可能であるという原理に基づいている。
【0010】
プレス装置から成形部品を取り出すためのハンドリングシステムが開示され、該システムは、制御装置と、少なくとも1つのリニアガイド及び該少なくとも1つのリニアガイドの方向に互いに独立して移動可能な第1のガイドスライド及び第2のガイドスライドを備えたリニア軸システムと、第1のガイドスライド及び第2のガイドスライドに変位可能に保持されたガイドキャリッジであって、前記少なくとも1つのリニアガイドの方向と角度αを成す方向に移動可能であるガイドキャリッジと、を含む。
【0011】
前記ハンドリングシステムの一実施形態では、前記第1のガイドスライドは、第1のガイド手段によって前記ガイドキャリッジに変位可能に接続され、前記第2のガイドスライドは、第2のガイド手段によって前記ガイドキャリッジに変位可能に接続されている。前記ガイド手段は、それぞれリニアガイドと、その中に直線的に変位可能なレールとを含む。前記第1のガイド手段及び前記第2のガイド手段は、前記少なくとも1つのリニアガイドの方向に対して異なる方向に配置されている。
【0012】
本発明によるハンドリングシステムの前記制御装置は、前記ハンドリングシステムの動きを協調制御するように設定され、関連するプレス装置の制御によって提供することもできる。
【0013】
前記ハンドリングシステムの好ましい実施形態では、前記リニア軸システムは、前記第1のガイドスライドを備えた第1のリニア軸と、前記第2のガイドスライドを備えた第2のリニア軸を含み、それらの軸は互いに平行に配置される。例えばXリニア軸として、例えばXリニアガイドを備えたXリニア軸として設計され、それにより、それぞれのガイドスライドは、制御装置による制御によって、前記リニアガイドの方向に互いに独立して移動され得る。この説明した実施形態では、平行なリニア軸のガイドスライドに移動可能に保持されたガイドキャリッジは、X-Z平面内に配置され、この平面内で移動可能である。
【0014】
ガイドスライドは同期してまたは互いに相対的に移動可能であり、後者の場合、ガイドスライドはリニアガイドの方向に互いにオフセットして移動する。このリニアガイドの方向に沿ったガイドスライドの相対的な移動とともに、ガイドスライドに接続されたガイドキャリッジの位置は、その結果生じるリニアガイドの方向とこの方向に垂直の方向、たとえば、X及びZ方向の動きの重ね合わせによって決まる。特に、リニア軸システムにおける2つの平行な独立したリニア軸の配置は、とりわけ有利な重量配分のために、それにより動かされるガイドキャリッジ及びとりわけ、その上でピックアップすることができる要素の動きに関して非常に動的であることを証明している。
【0015】
互いに平行な2つのリニア軸の異なる配置が考えられる。平行なリニア軸を互いに隣接して配置して、ガイドスライドを外側リニアガイドに沿って移動可能にすることができる。あるいは、平行なリニア軸を互いに間隔を置いて配置して、ガイドスライドを対向する内側リニアガイドの間で移動可能にすることができる。
【0016】
本発明によるハンドリングシステムにおいて、ガイドキャリッジは、ガイドスライドにスライド可能に接続され、それにより、リニア軸を有するガイドスライドと共に移動可能なガイドキャリッジは、リニアガイドの方向、例えばX方向と、この方向に直角の方向、特にZ方向により決まる平面、したがってX-Z平面内で移動可能である。ガイドキャリッジは、例えば、少なくとも1つのサイド部材及び1つのクロス部材を備えたフレーム状にすることができ、それにより、少なくとも1つのサイド部材はガイドスライドに適切な方法で、例えば、その上で変位可能なガイド手段によって接続される。
【0017】
ガイド手段は、ガイドキャリッジが、少なくとも1つのリニアガイドにより決まる方向に対してある角度で延びる方向への移動を行うように設計されている。この目的のために、ガイド手段は、レールを直線的に変位可能に案内する少なくとも1つのリニアガイドを含むことが定められている。リニアガイドは、サイド部材またはそれぞれのガイドスライドのいずれかに配置することができる。したがって、その中でスライド可能に案内されるレールは、その後、ガイドスライドまたはガイドキャリッジのサイド部材のいずれかに設けられる。
【0018】
少なくとも1つのリニアガイドの方向と別の方向とにより決まる平面、例えばXZ平面内でのガイドキャリッジの移動のために、ガイドキャリッジをそれぞれのガイドスライドと可動接続のためのガイド手段を互いに異なる方向に配置する必要がある。したがって、例えば、ガイド手段を、ガイドスライドの1つをZ方向の少なくとも1つのサイド部材と変位可能接続するために配置することができ、この実施形態では、このガイド手段はガイドスライドの方向と90°の角度を成す。他のガイドスライドをサイド部材に変位可能に接続するための他のガイド手段は、Xリニア軸の方向に対して90°未満の角度、好ましくは角度αを成す。好ましい実施形態では、ガイド手段は、少なくとも1つのリニアガイドの方向と同じ大きさであるが符号が異なる角度を形成するように配置される。
【0019】
2つのサイド部材を備えたフレーム状のガイドキャリッジを備えた一実施形態では、ガイドスライドの1つとガイドキャリッジのサイド部材の1つとの変位可能な接続の安定性を高めるために、リニアガイドの方向に対してある角度で互いに平行に配向された2つのガイド手段が設けられる。
【0020】
ハンドリングシステムの一実施形態では、制御装置は、ガイドスライドを同期してまたは相対的に少なくとも1つのリニアガイドの方向に沿って所定の位置へと移動させるように構成される。
【0021】
2つのガイドスライドが少なくとも1つのリニアガイドに沿って、例えば少なくとも1つのXリニア軸に沿って、同期して移動される場合、その上に配置されたガイドキャリッジの直進運動のみがX方向に起こる。これは、例えば、成形部品の取り出し点またはピックアップ点から載置点までのリニア輸送路に相当し、よって載置点は、計量施設、または後続プロセスのために、成形部品をパレタイズするワークピースキャリアにすることができる。パレタイズは、一般に、複数回のピックアップとセットダウン操作を必要とし、それにより、プロセスのこの段階での壊れやすい成形部品の把持とセットダウンの繰り返しは、損傷のリスクが高くなるため、正確に実行する必要がある。これは、本発明によるハンドリングシステムの軽量構造と、それに接続できる把持要素の動きの正確な制御によって達成される。
【0022】
少なくとも1つのリニアガイドに沿ったガイドスライドの相対的な動きによって、例えば、ガイドスライドが同期して動かされるのではなく、X線軸の方向に互いにオフセットされるとき、ガイドスライドにスライド可能に接続されたガイドキャリッジは、垂直リフトのために垂直方向に移動される。リニアガイドの方向に沿ったガイドスライドの相対的な移動によって、ガイドキャリッジはガイドスライドとガイドキャリッジとの間を接続するガイド手段の向きにより調整可能な方向に沿って、リニアガイドに対してそれ自体を変位する。これにより、ガイドキャリッジは、たとえばZ方向に調整及び配置可能になり、つまり、垂直リフトを実行する。それにより、選択された構成によってリニアガイドの方向とガイド手段の向きとの間で調整することができる角度αは垂直リフトにとって決定的に重要である。
【0023】
ガイドキャリッジは、ハンドリングシステムによって実行されるハンドリング操作に応じて、モジュール方式で、さらなるリニア軸、回転軸、及び/または機能的手段と組み合わせることができる。好ましい実施形態では、C軸は、ガイドキャリッジに収容することができ、その軸は、Z方向に延在し、より詳細に説明されるように、機能要素を回転可能に保持するように設定される。したがって、機能要素は、Z方向を中心に旋回または回転させることができる。
【0024】
一実施形態では、本発明によるハンドリングシステムは、例えばC軸上に機能要素を交換可能に収容するように設定され、それにより、機能要素自体は異なるタイプのものとすることができ、他のリニア軸または回転軸を含むこともできる。したがって、これにより、受け入れ可能な機能要素の少なくとも1つを回転させることができるように、さらにD軸を設けることができ、その結果、例えば、把持した成形部品の向きを変えることができる。
【0025】
一実施形態では、少なくとも1つの交換可能な機能要素は、例えば、粉末プレスのパンチアセンブリから成形部品をピックアップするために、把持要素として設計することができる。適切なグリップ要素は、回転、旋回、または傾動のための追加機能を備えた、真空、吸引、穴またはピンサーグリッパとして設計することができる。さらに、C軸の回転によって加工位置に持ち込むことができるさらなる機能要素を設けることができる。例えば、そのような機能要素は、グリーン成形体または成形部品の取り外し後に、粉末プレスのパンチ配列の成形部品製造用の金型を洗浄するように設定される洗浄要素として設計することができる。
【0026】
好ましくは、ハンドリングシステムは、成形部品をピックアップ所でプレス装置から取り出し、それをピックアップ位置から載置所に輸送し、載置所に配置された手段で載置するように設定される。これにより、載置所は計量施設にすることができる。あるいは、載置所はワークピースキャリアにすることができる。したがって、ハンドリングシステムは、成形部品の把持、持ち上げ、回転、位置決め、及び載置を、高い繰り返し、位置決め、及びシーケンス精度で可能にし、それにより多種多様な部品を高いサイクルタイムで移動させることができる。
【0027】
ハンドリングシステムの一実施形態によれば、機能的手段またはその上に移動可能に取り付けられた少なくとも1つの機能的要素のY軸方向の位置決めは、X方向の移動とC軸及び/またはD軸周りの回転の重ね合わせから実行される。好ましくは、C軸は、任意の方法で置かれた成形部品または一般に部品をピックアップ位置でピックアップし、それらを載置所で適切な位置及び配列に置くように設定される。さらに、D軸は、C軸によって生じる成形部品の向きの変化を実質的に補正するように設定すること、またはそれぞれ、成形部品を例えばキャリアパレット上に決定可能な向きで正確な位置に置くことができるように設定することができる。
【0028】
好ましくは、位置を決定するための検出手段または検出システムをそれぞれ設けることができ、それらは、例えば、平行なリニア軸のX方向の位置を捕捉し、角度αを考慮して信号を処理することによって、X方向及びZ方向の機能手段の位置を検出する。これは、一般に精度が低いガイドスライドの間接的な位置決定よりも優れている。
【0029】
一実施形態によれば、ハンドリングシステムは、自重補償のための手段を含むことができる。本発明によるハンドリングシステムの好ましい実施形態では、空気圧または油圧装置が、スライド上に配置された要素の自重補償のためにガイドスライドに設けられる。これにより、対応する手段を、例えば、ガイド手段に平行に、及び/またはリニア軸に平行に、異なる方向で配置することができる。ガイドスライドの重量及びそれに作用する負荷重量に加えて、機能手段を備えたガイドキャリッジ及び/またはC軸及び/またはD軸の質量も補正される。したがって、これらの質量は、リニア軸、特にXリニア軸のドライブによって保持されない。これにより、ドライブが動的な駆動トルクに加えて連続的なトルクを加える必要がなくなり、好ましくない場合に駆動力が大幅に増加するのを防ぐことができる。
【0030】
成形部品用の本発明によるハンドリングシステムの設計によれば、制御装置と、リニア軸システムを備え、リニア軸システムは、少なくとも1つのリニアガイドと、2つのガイドスライドを含み、2つのガイドスライドは、少なくとも1つのリニアガイド沿って互いに独立して、また相対的に移動可能であり、関連する要素の動きがより動的に行われやすくなっている。このハンドリングシステムの設計は、あまり設置スペースを必要とせず、最大のフレキシビリティを有するため、他の機器と簡単に組み合わせることができる。特に、プレス装置に関連してパンチ構成から成形部品を取り除くために使用することは、本発明によるハンドリングシステムのコンパクトな設計のために有利であり、さらに、広い移動可能領域の良好なアクセス可能性及び到達可能性を提供する。
【0031】
本発明によるハンドリングシステムによれば、組み込まれた機能要素の空間方向における協調並進及び/または回転運動を、制御ユニットの制御下で実行することができる。従来設けられていたZリニア軸がないことは、慣性の点だけでなく、ケーブルやスペース要件の点でハンドリングシステムの周辺部が簡素化されるという利点が提供される。特に、Zリニア軸の案内誤差を回避することができ、この誤差は、X方向及び/またはY方向の偏差に加えて、配置される機能要素のオフセットを引き起こし得る。
【0032】
さまざまなドライブユニットを使用して、リニア軸及び/または回転軸を駆動することができる。たとえば、高い移動速度と長い移動距離のためのベルト軸、精度を高めるためのスピンドル軸、及びダイナミクス、精度、同期に関する特別な要件のためのリニアモータ軸が知られている。リニアモータの使用は最高の加速を可能にし、複数回のハンドリングに対してサイクルタイムが短縮される。
【0033】
ガイドスライドは、リニア軸に設計された対応するガイドプロファイルに、ローラー、ボールレールガイド、またはスライドガイドによって移動可能に保持することができる。
【0034】
本発明のさらなる利点及び詳細は、図を参照した異なる実施形態の以下の説明に見出される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】第1の実施形態における本発明によるハンドリングシステムの概略斜視図を示す。
【
図2】第2の実施形態における本発明によるハンドリングシステムの概略正面斜視図を示す。
【
図3】第3の実施形態における本発明によるハンドリングシステムの概略斜視図を示す。
【
図4】部分的に要素を除去して示す第3の実施形態による本発明によるハンドリングシステムの概略詳細図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1に示されるハンドリングシステム1は、装置、好ましくは上部及び下部パンチ配置を備えた、粉末状及び/または粒状のプレス可能な材料から成形部品を製造するためのプレス装置または粉末プレスにそれぞれ関連する。ハンドリングシステム1は、制御装置(図示せず)を含み、これは粉末プレスの制御装置でもあり得る。この制御装置により、リニア軸システムを制御することができ、このシステムは、
図1の第1の実施形態では、Xリニア軸10として指定されたリニア軸10と、X方向に延在するリニアガイド12とを含み、そのリニアガイド12に第1のガイドスライド14及び第2のガイドスライド16が配置される。第1のガイドスライド14及び第2のガイドスライド16は、制御装置によって互いに独立して制御され、リニアガイド12に沿って駆動され得る。したがって、第1のガイドスライド14及び第2のガイドスライド16は、同期して、すなわち同じ速度で、同じ距離dで移動させることができる。しかしながら、ハンドリングシステム1はまた、第1のガイドスライド14及び第2のガイドスライド16が互いに相対的に移動するように、またはそれぞれの終端位置にそれぞれ駆動し得るように設定され、X方向の距離dが第1及び第2のガイドスライド14、16間の所定の領域内で調整可能であるように設定される。
【0037】
第1のガイドスライド14及び第2のガイドスライド16に、サイド部材20が、第1のガイド手段30及び第2のガイド手段40によってスライド可能に保持される。
図1に示す実施形態では、第1のガイドスライド14に保持されたリニアガイド32と、そこにスライド可能に受け入れられ、サイド部材20に保持されたレール34を備える第1のガイド手段30がZ方向に配置され、レール34は、前記方向に直線的に移動可能である。第2のガイド手段40は、第2のガイドスライド16に保持されたリニアガイド42と、その中に案内されたレール44とを含み、これは、X方向に対して角度αに配向され、サイド部材20に支持される。
【0038】
サイド部材20は、ガイドキャリッジ24の一要素であり、C軸60の収容部50を提供するように設計されている。このC軸60は、接続要素62と動作可能に接続されている。機能要素70は、接続要素62に交換可能に取り付けることができ、これらの機能要素は、例えば、把持要素72として、または洗浄要素74としても設計され、C軸60と第1のガイドスライド14及び第2のガイドスライド16の動きによって、所望の位置に移動され得る。C軸60ならびに機能要素70は、必要に応じて、モジュール方式でハンドリングシステム1と組み合わせることができる。
【0039】
ハンドリングシステム1の第2の実施形態の詳細が
図2に示され、
図1の第1の実施形態と同じまたは同等の要素が同じ参照番号または記号で示されている。第2の実施形態では、リニア軸システム10は2つのリニア軸を含み、第1のXリニア軸100を形成する、第1のガイドスライド14を備えた第1のリニアガイド12.1と、第2のXリニア軸102を形成する、第2のガイドスライド16を備えた第2のリニアガイド12.2とを含む。2つのXリニア軸100及び102は、ある間隔で互いに平行に配置され、その結果生じる中間空間内にそれぞれのガイドスライド14、16が案内される。
【0040】
第1のサイド部材20.1が第1のガイドスライド14に、そして第2のサイド部材20.2が第2のガイドスライド16に、それぞれ第1のガイド手段30または第2のガイド手段40によって変位可能に保持される。第1のサイド部材20.1及び第2のサイド部材20.2は、少なくとも1つのクロス部材22とともにフレーム状のガイドキャリッジ24(図示せず)を形成し、そこにさらなる軸、例えばC軸60を収容することができる。
【0041】
図2に示すように、第1のガイド手段30及び第2のガイド手段40は、それぞれがX方向と角度を成すように配置され、その角度は、例えば、量αであるが符号が異なる。しかしながら、第1及び第2のガイド手段30、40の間のそれぞれの角度は、X方向と異なる角度を成してもよい。
【0042】
ハンドリングシステム1の第3の実施形態が斜視図で概略的に示されており、このハンドリングシステム1は、2つの平行なXリニア軸100、102を含む。第1のガイドスライド14及び第2のガイドスライド16も示されており、それらは、第1のリニアガイド12.1または第2のリニアガイド12.2においてそれぞれ、X方向に沿って移動可能である。したがって、第1のガイドスライド14及び第2のガイドスライド16は、リニアガイド12.1または12.2にそれぞれ変位可能な方法で保持され、リニアガイド12.1及び12.2に平行に配置されるかそれらに統合された駆動ユニット、例えばリニアモータによって移動可能である。ガイドキャリッジ24は、Xリニア軸100、102によって移動可能である。
【0043】
ガイドキャリッジ24は、互いに平行に配置されたサイド部材20.1、20.2を含む一種のフレームとして設計されており、それらはそれぞれ、ガイド手段30,40によって、それぞれ第1のガイドスライド14または第2のガイドスライド16にスライド可能な方法で収容される。したがって、ガイドキャリッジ24は、X方向と角度αを成すXZ平面内で移動可能である。
【0044】
Xリニア軸100、102の位置決めは、例えば、平行な独立したXリニア軸100、102のそれぞれの現在位置を決定するために、走査ヘッド(図示せず)によって走査される、リニアガイド12.1または12.2に沿って付されたマークを参照して行うことができる。あるいは、Xリニア軸100、102の位置決めは、駆動装置を介して間接的に行うことができる。従来の位置コントローラを、それぞれの予め決定可能な目標位置を制御するために、すべての移動軸、すなわちリニア軸及び回転軸に使用して、それに接続された機能要素を位置決めすることもできる。
【0045】
さらに、リニア軸、回転軸または機能手段を、ガイドキャリッジ24に収容することもできる。収容部50に収容されたC軸60が示され、接続要素62によって、さらなる機能要素を交換可能に追加することができ、それらはC軸60によってZ方向を中心に回転する。機能要素の1つの所定の動きからのずれが修正されることにより、並進及び回転の自由度が、適切な基準システムに関連して適切な測定システムによって決定される。
【0046】
ガイドキャリッジ24は、本質的にX方向に沿って移動するが、本発明によるハンドリングシステムのおかげで、Z方向にも移動可能であり、このために別個のリニア軸を設けなくてもよい。2つの平行な独立したXリニア軸100、102の、またはそれらにスライド可能に収容された第1及び第2のガイドスライド14、16の相対移動は、ガイド手段30、40(図示せず)によってそれにスライド可能に接続されたサイド部材20.1、20.2の移動及びそれとともにX方向に対して角度αの方向に沿ったガイドキャリッジ24の移動を生成する。したがって、ガイドキャリッジ24は、この目的のために別のZリニア軸を必要とすることなく垂直リフトを実行する。
【0047】
ハンドリングシステム1の第3の実施形態の斜視図が
図4に示され、よりよい表示のためにいくつかの部品が省略されている。
図4に示す実例は、
図3の図にほぼ対応しており、ガイド手段30の配置を示すために、サイド部材20の1つ、すなわちサイド部材20.1が省略または概略的にのみ示されている。サイド部材20.1、20.2のそれぞれにおいて、2つのガイド手段30及び40は、それぞれ、互いに平行に配置され、これらは、X方向に対して各側で同じ大きさであるが、反対の符号の角度αを形成する。第2のガイド手段30、40による第1及び第2のガイドスライド14、16とそれぞれのサイド部材20.1、20.2との接続は、各側の移動動作、特に剛性を改善し、振動を防止する。さらに、リニア軸100、102に作用する重量を補正するために、サイド部材20.1、20.2のそれぞれに自重補償80が設けられる。
【国際調査報告】