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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-06
(54)【発明の名称】自動装填用遠心分離機
(51)【国際特許分類】
   B04B 7/02 20060101AFI20221226BHJP
   B04B 5/02 20060101ALI20221226BHJP
   B04B 7/06 20060101ALI20221226BHJP
   B04B 11/00 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
B04B7/02 Z
B04B5/02 Z
B04B7/06 Z
B04B11/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022524631
(86)(22)【出願日】2020-10-09
(85)【翻訳文提出日】2022-06-27
(86)【国際出願番号】 EP2020078392
(87)【国際公開番号】W WO2021094038
(87)【国際公開日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】102019130524.1
(32)【優先日】2019-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508291836
【氏名又は名称】アンドレアス ヘティック ゲーエムベーハー アンド カンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ホーネック
(72)【発明者】
【氏名】ライナー プリラ
(72)【発明者】
【氏名】クラウス-ギュンター エベレ
【テーマコード(参考)】
4D057
【Fターム(参考)】
4D057AC01
4D057AC05
4D057AD01
4D057AE11
4D057BA06
4D057BA21
4D057BC03
4D057BD00
(57)【要約】
遠心分離機(10)は、ロータ軸(42)を中心に回転可能に駆動される駆動シャフト(44)と、前記駆動シャフトに共同回転するために着脱自在に連結され、遠心分離する媒体用容器の取付具を有するロータ(46)と、遠心分離機(10)を区画する側部の外壁(14、16、18、20)および天井を有し、少なくとも1つの前記外壁(14)が必要に応じて前記ロータ(46)を搭載するための横向きの側部開口(28)を有するハウジング(12)と、前記駆動シャフト(44)が突き出て、前記ロータ(46)を収容する安全容器(50)と、前記安全容器(50)を少なくとも部分的に囲み、前記側部開口(28)を閉鎖するように、前記側部開口(28)を有した隣接する前記外壁(14)の形状に少なくとも適合している、保護壁(34)とを備える。前記安全容器(50)と前記保護壁(34)は、互いに固く接続された安全ユニット(68)を形成しており、前記安全ユニット(68)は、前記保護壁(34)を閉鎖位置から開放位置にまたはその逆に移動させ前記保護壁(34)が前記側部開口を開閉するように、調整機構(104)と動作可能に接続されて動くことが可能であり、前記側部開口(28)は、天井(22)まで延在して前記天井(22)の天井開口(30)に隣接し、前記側部開口および前記天井開口が装填・非装填開口(32)を形成し、さらなる閉鎖壁(36)によって前記天井開口(30)を開閉する第2の調整機構(106)が用いられる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.ロータ軸(42)を中心に回転可能に駆動される駆動シャフト(44)と、
b.前記駆動シャフトに共同回転するために着脱自在に連結され、遠心分離する媒体用容器の取付具を有するロータ(46)と、
c.遠心分離機(10)を区画する側部の外壁(14、16、18、20)および天井を有し、少なくとも1つの前記外壁(14)が必要に応じて前記ロータ(46)を搭載するための横向きの側部開口(28)を有するハウジング(12)と、
d.前記駆動シャフト(44)が突き出て、前記ロータ(46)を収容する安全容器(50)と、
e.前記安全容器(50)を少なくとも部分的に囲み、前記側部開口(28)を閉鎖するように、前記側部開口(28)を有した隣接する前記外壁(14)の形状に少なくとも適合している、保護壁(34)とを備え、
前記安全容器(50)および前記保護壁(34)は、互いに固く接続された安全ユニット(68)を形成しており、前記安全ユニット(68)は、前記保護壁(34)を閉鎖位置から開放位置にまたはその逆に移動させ前記保護壁(34)が前記側部開口を開閉するように、調整機構(104)と動作可能に接続されて動くことが可能であり、前記側部開口(28)は、天井(22)まで延在して前記天井(22)の天井開口(30)に隣接し、前記側部開口および前記天井開口が装填・非装填開口(32)を形成し、さらなる閉鎖壁(36)によって前記天井開口(30)を開閉する第2の調整機構(106)が用いられる、ことを特徴とする自動装填用遠心分離機。
【請求項2】
請求項1に記載の自動装填用遠心分離機において、
前記第1および第2の調整機構は、互いに機械的に結合されることで、前記保護壁(34)および前記閉鎖壁(36)の開閉動作を調整する、ことを特徴とする自動装填用遠心分離機。
【請求項3】
請求項2に記載の自動装填用遠心分離機において、
前記第1および第2の調整機構(104、106)は、互いに機械的に結合されている、ことを特徴とする自動装填用遠心分離機。
【請求項4】
請求項3に記載の自動装填用遠心分離機において、
前記第1および第2の調整機構(104、106)は、開放動作中、前記保護壁(34)が最初に開放し、いくらかの時間遅延の後、前記閉鎖壁(36)が開放し、閉鎖動作中、前記閉鎖壁(36)が最初に閉鎖し、いくらかの時間遅延の後、前記保護壁(34)が閉鎖するように、互いに結合されている、ことを特徴とする自動装填用遠心分離機。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の自動装填用遠心分離機において、
前記閉鎖壁(36)は、それが並進的に、特にロータ軸(42)に対して直角に変位できるように取り付けられている、ことを特徴とする自動装填用遠心分離機。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1つに記載の自動装填用遠心分離機において、
前記閉鎖壁(36)は、閉鎖位置で前記側面開口(28)内に延びるように設計され、それにより、特に、前記遠心分離機(10)の外側の前記保護壁(34)と平面を形成する、ことを特徴とする自動装填用遠心分離機。
【請求項7】
請求項6に記載の自動装填用遠心分離機において、
前記閉鎖位置では、前記閉鎖壁(36)と前記保護壁(34)は、特定の領域で重なり、この目的のために、前記保護壁(34)は、前記閉鎖壁(36)の一部がかみ合う肩を有する、ことを特徴とする自動装填用遠心分離機。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1つに記載の自動装填用遠心分離機において、
前記ハウジング(12)の前記閉鎖壁(36)に吸気口(40)と前記天井(22)に吸気口(38)が設けられており、これらの開口部は前記閉鎖位置で互いに整列している、ことを特徴とする自動装填用遠心分離機。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1つに記載の自動装填用遠心分離機において、
前記閉鎖壁(36)に閉鎖位置の方向に作用するばね(94)が設けられ、その結果、前記閉鎖壁(36)は、ばね(94)の力に逆らって開かれる、ことを特徴とする自動装填用遠心分離機。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1つに記載の自動装填用遠心分離機において、
前記閉鎖壁(36)は、板金でできている、ことを特徴とする自動装填用遠心分離機。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか1つに記載の自動装填用遠心分離機において、
前記保護壁(34)は、前記安全容器(50)を円周方向に完全に囲む保護ハウジング(62)の一部である、ことを特徴とする自動装填用遠心分離機。
【請求項12】
請求項11に記載の自動装填用遠心分離機において、
前記保護ハウジング(62)は、その高さに亘って水平方向に完全に閉じられている、ことを特徴とする自動装填用遠心分離機。
【請求項13】
請求項11または12に記載の自動装填用遠心分離機において、
前記保護ハウジング(62)は、板金でできている、ことを特徴とする自動装填用遠心分離機。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れか1つに記載の自動装填用遠心分離機において、
前記安全容器(50)は、板金でできている、ことを特徴とする自動装填用遠心分離機。
【請求項15】
請求項1乃至14の何れか1つに記載の自動装填用遠心分離機において、
前記安全容器(50)は、回転対称形であり、特に半径方向の高さに亘って閉じられている、ことを特徴とする自動装填用遠心分離機。
【請求項16】
請求項1乃至15の何れか1つに記載の自動装填用遠心分離機において、
前記閉鎖壁(36)は、閉鎖位置において、前記閉鎖壁(36)が前記安全容器(50)を完全に覆うように寸法が定められている、ことを特徴とする自動装填用遠心分離機。
【請求項17】
請求項1乃至16の何れか1つに記載の自動装填用遠心分離機において、
前記閉鎖壁(36)は、閉鎖位置において、前記閉鎖壁(36)が前記保護ハウジング(62)を完全に覆うように寸法が決められている、ことを特徴とする自動装填用遠心分離機。
【請求項18】
請求項1乃至17の何れか1つに記載の自動装填用遠心分離機において、
閉鎖位置では、前記安全容器(50)および/または前記保護ハウジング(62)は、前記閉鎖壁(36)に対して密封的に支持する、ことを特徴とする自動装填用遠心分離機。
【請求項19】
請求項18に記載の自動装填用遠心分離機において、
前記安全容器(50)および/または前記保護ハウジング(62)は、閉鎖位置で前記閉鎖壁(36)に面するそれぞれの側にシール(70)を有する、ことを特徴とする自動装填用遠心分離機。
【請求項20】
請求項1乃至19の何れか1つに記載の自動装填用遠心分離機において、
前記閉鎖壁(36)は、横方向下向きに延在し、前記第2の調整機構(106)に結合された支持壁(74)を有する、ことを特徴とする自動装填用遠心分離機。
【請求項21】
請求項1乃至20の何れか1つに記載の自動装填用遠心分離機において、
前記第1の調整機構(104)は、前記遠心分離機(10)の下部で、前記安全ユニット(68)の側面に関節方式で係合し駆動され、水平方向に変位可能なスライドキャリッジ(82、84)に結合される少なくとも1つのプッシュロッド(80)を有する、ことを特徴とする自動装填用遠心分離機。
【請求項22】
請求項21に記載の自動装填用遠心分離機において、
前記第2の調整機構(104)は、前記スライディングキャリッジ(82、84)の領域内に少なくとも1つのドライバ(96)を含み、前記スライディングキャリッジ(82、84)が所定の距離にわたって変位したときに作動可能に結合している、ことを特徴とする自動装填用遠心分離機。
【請求項23】
請求項22に記載の自動装填用遠心分離機において、
前記所定の距離は、閉鎖位置で前記側部開口(28)に突出する前記閉鎖壁(36)の部分の高さに依存する、ことを特徴とする自動装填用遠心分離機。
【請求項24】
請求項1乃至23の何れか1つに記載の自動装填用遠心分離機において、
前記安全容器(50)は、前記駆動シャフト(44)に対する前記安全ユニット(68)の開閉動作を可能にする中央の凹部(52)を有する、ことを特徴とする自動装填用遠心分離機。
【請求項25】
請求項24に記載の自動装填用遠心分離機において、
前記駆動シャフト(44)を囲み、閉鎖位置で中央の凹部(52)を覆い、前記駆動シャフト(44)の通路を除いて、前記安全容器(50)および前記閉鎖壁(36)と共に、ロータチャンバ(72)とロータ(46)とを完全に区画する安全カバー(54)が設けられている、ことを特徴とする自動装填用遠心分離機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分で特定された形式の自動装填用遠心分離機に関する。
【背景技術】
【0002】
自動システムでは、自動的に開閉する装填開口部を有する遠心分離機が使用される。これにより、ロボットを用いて自動的に装填および非装填(ロードおよびアンロード)することができます。特にマイクロプレートが荷台(キャリア)として使用される運用では、いわゆるスカラロボットは水平方向にしか動作しないため、水平または横方向の供給が一般的である。
【0003】
特許文献1には、自動装填用の一般的な遠心分離機が開示されている。この遠心分離機は、ロータ軸を中心に回転可能に駆動される駆動シャフトを備えている。ロータは、駆動シャフトに配置され、共同回転するために駆動シャフトに着脱自在に連結され、遠心分離する媒体用容器のための取付具を有している。さらに、遠心分離機は、遠心分離機を区画する外壁および天井を有するハウジングを備えている。1つの外壁には、必要に応じてロータを装填(ローディング)するために横向きの開口部が設けられている。さらに、駆動シャフトが同軸に突出するハウジング内に安全容器が設けられている。安全容器は、ロータ軸に関しておよびロータ軸に沿って、ロータを完全に囲む。安全容器は、保護壁によって囲まれており、保護壁は、隣接するハウジングの外壁の形状に適合しており、閉鎖位置では、側部開口の領域で外壁を閉鎖する。この場合、安全容器とそれを囲む保護壁は、固く相互接続されており、ハウジング内に配置された安全ユニットを形成している。安全ユニットは、保護壁がハウジングの外壁の側部開口を開閉するように、ハウジングに対して安全ユニットを移動させることできる調整機構と協働する。したがって、保護壁は閉鎖位置から開放位置にまたはその逆に移動することができる。
【0004】
他の形式のロボットシステムがますます使用されており、遠心分離機は、より大きな開口断面積を有していること、または垂直方向に装填されることが必要である。しかしながら、遠心分離機は、破損した場合にロータチャンバを完全かつ安全に密閉する機能を備えている必要があり、安全ユニットは、破損したロータによって動かされた部品が遠心分離機の内部に完全に保持されることを確保する。
【0005】
特許文献2には、一緒になって装填用開口を形成する側部開口および天井開口を備えた遠心分離機が開示されている。ただし、装填用開口は、回転機構によって移動可能なハッチによってのみ回転可能に閉じることができる。ハッチは、少なくとも装填用開口の形状を有し、ハウジングの天井と安全容器の側壁に隣接しており、天井と側壁の壁の厚さによってオフセットされている。この設計の欠点は、ハウジングを除いて、安全容器を囲む保護壁がないことと、ハッチの操作に関して設計に柔軟性がないことである。別の欠点は、安全容器の外周にハッチ開口部が設けられていることである。つまり、破損したロータの部品が衝突した場合に最も大きな応力が作用する領域であり、安全容器の安定性が大幅に低下する。その結果、必要な安全基準を達成することができない。遠心分離機は、ロータの低速回転用にのみ設計されている。この開口部の別の欠点は、ハッチと安全容器との隙間に乱気流が発生し、その結果、運転時の騒音レベルが増大することである。
【0006】
特許文献3には、装填用(ローディング)の側部開口を備えた遠心分離機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】DE102013104141A1
【特許文献2】WO2013/003692A1
【特許文献3】US9446417B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、特に高速回転する遠心分離機において、装填用開口の柔軟な開口部が確保されるように、請求項1の前提部分で特定された形式の遠心分離機を改良し、上記の欠点を回避しつつ、遠心分離機の高い安定性と高い安全基準を確保することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1の前提部分の特徴と併せて、請求項1の特徴部分によって達成される。
【0010】
従属の請求項は、本発明の有利なさらなる実施形態に関する。
【0011】
本発明は、装填開口を閉じるための2つの部分からなる壁形状の閉鎖要素に関連して側部開口の隣に天井開口を設けることにより、安全な遠心分離機の設計オプション、特に遠心分離機の弱点、即ち装填開口の設計オプションが増加するという認識に基づく。
【0012】
したがって、本発明は、天井まで延びる側部開口を備えている。これに隣接して、天井に天井開口が設けられ、側部開口および天井開口によって形成された装填用開口が得られ、天井開口は、第2の調整機構によってさらなる閉鎖壁を介して開閉するようになっている。これにより、遠心分離機の安全性を損なうことなく、より大きな装填用開口を必要とするロボット、特に、装填および非装填(荷積みおよび荷下ろし)のために斜め上方のスペースを必要とするロボットの使用が可能になる。
【0013】
好ましくは、第1および第2の閉鎖機構は、保護壁および閉鎖壁のそれぞれの開閉動作が調整されるように、互いに結合されている。
【0014】
このような結合は、電気的または機械的な性質のものであり得る。機械的結合の場合、第1および第2の調整機構は、開放動作では、保護壁が最初に開き、次に少し遅れて閉鎖壁が開くように、閉鎖動作では、閉鎖壁が最初に閉じ、次に少し遅れて保護壁が閉じるように、互いに結合されている。これには、閉鎖位置での装填用開口の領域の安定性を高めるための追加の構造的対策が可能になるという利点がある。
【0015】
好ましくは、閉鎖壁は、並進運動で、特にロータ軸に対して直角に、変位することができるように取り付けられている。これには、閉鎖壁を移動させるために必要なスペースが少なくて済むという利点がある。
【0016】
閉鎖壁の安定性を高めるために、後者は、閉鎖位置において側部開口まで延びるように設計されており、それによって、特に、外側の保護壁と平面を形成する。
【0017】
装填用開口の領域における閉鎖位置での安定性および安全性は、閉位置では閉鎖壁と保護壁の一部が重なるという事実によっても向上する。そのため、保護壁は、閉鎖壁の特定の領域と係合する肩部を有している。
【0018】
運転時に冷却を行うために、吸気口が閉鎖壁に設けられ、吸気口がハウジングの天井に設けられ、これらの開口は、閉鎖位置において互いに直線的に並んでいる。したがって、動作時、空気は、最初に、閉鎖壁の吸気口を介して、ハウジングの天井の吸気口を通ってロータチャンバに流入する。
【0019】
本発明の一実施形態では、閉鎖壁がばねのばね力に抗して開くように、閉鎖壁を閉鎖位置の方向へ付勢するばねが設けられている。これにより、運転時に常に閉鎖位置が維持され、装填用開口の意図しない開放が回避される。
【0020】
好ましくは、閉鎖壁は板金で形成されている。これにより、コンパクトで安価な設計が可能になり、故障が発生した場合に衝撃部品のエネルギを吸収するのに十分な変形が可能になる。安全容器は、深絞りされた板金部品で作ることもできる。これにより、飛び散る部品の運動エネルギが変形エネルギに変換される。
【0021】
保護壁は、安全容器を囲む保護ハウジングの一部にすることができる。これにより、小型な遠心分離機の設計が可能になり、安全性がさらに向上する。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、保護ハウジングがその高さ方向に亘って水平方向に完全に閉じられている場合、破損した場合の安全性に関して非常に有利である。換言すれば、外周には装填および非装填を行うための開口または凹部が設けられていない。したがって、破損した場合に遠心分離機の最も大きな応力が作用する領域、即ち、破損したロータの破片が当たる領域は、ハッチ開口によって弱められることはない。
【0023】
好ましくは、保護ハウジングは、破損した場合に良好なエネルギ吸収特性を有する板金でできている。したがって、簡単な方法で、運動エネルギが変形エネルギに変換される。代替または追加として、安全容器は板金で形成することもできる。
【0024】
本発明の有利なさらなる実施形態によれば、安全容器は回転対称形である。安全容器は、半径方向の高さ全体に亘って閉じることができる。その結果、安全容器は、凹部や開口によって損なわれることのない高い強度を有する。
【0025】
安全性をさらに高めるために、閉鎖壁は、閉鎖位置において、閉鎖壁が安全容器を完全に覆う、および/または、閉鎖壁が保護ハウジングを完全に覆うように、寸法が設定されている。そこから上に向かって、ロータの内部をシールドし、破損した場合にロータから飛び散る部品のエネルギ吸収装置として機能する、ハウジングの閉鎖壁と天井の両方が設けられている。
【0026】
閉鎖位置では、安全容器および/または保護ハウジングは、閉鎖壁に対して密閉的に静止する。したがって、ロータチャンバ内の流れが漏れの可能性によって影響を受けるのを防ぐことができる。
【0027】
好ましくは、この目的のために、安全容器および/または保護ハウジングは、閉鎖位置において閉鎖壁に面する側にシールを備えている。
【0028】
安全性の向上は、第2の調整機構に結合されたそれぞれの横方向に下向きに延びる支持壁を有する閉鎖壁によっても達成することができる。支持壁は、閉鎖壁と一体的に形成され、後者と同じ材料で形成されていることが好ましい。
【0029】
本発明の一実施形態では、第1の調整機構は、安全ユニットと関節式で横方向に係合し、遠心分離機の底部において水平方向に変位可能なスライドキャリッジと関節式で結合される少なくとも1つのプッシュロッドを有する。これにより、調整機構に必要な質量を底部近くに配置することができる。
【0030】
好ましくは、第2の調整機構は、スライドキャリッジの領域に少なくとも1つの駆動輪を有し、これは、スライドキャリッジが所定の距離だけ変位したときに作動可能に結合する。とりわけ、所定の距離は、閉鎖位置において側部開口内に突出する閉鎖壁の部分の高さに依存する。
【0031】
安全容器は、駆動シャフトに対して開閉動作を可能にする中央の凹部を有してもよい。駆動シャフトを囲み、閉鎖位置で中央の凹部を覆い、安全容器および閉鎖壁と共に、駆動シャフトの通路を除いて、ロータチャンバをロータで完全に区画する安全カバーを設けることもできる。
【0032】
本発明の追加の利点、特徴、および可能な用途は、以下の説明から明らかになり、ここで、図面に示されている実施形態を参照する。
【0033】
説明、特許請求の範囲、および図面全体を通して、これらの用語および関連する参照符号は、以下の参照符号のリストにリストされているように用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、装填開口がほぼ開いている状態の本発明による遠心分離機を斜め上から視て示す斜視図である。
図2図2は、装填開口が閉じられた状態の図1の遠心分離機を示す斜視図である。
図3図3は、装填開口が閉じられた状態の図1の遠心分離機を示す縦断面図である。
図4図4は、装填開口が開いている状態の図1の遠心分離機を示す斜視図である。
図5図5は、安全ユニットおよび閉鎖壁が閉鎖位置にある図1の遠心分離機を、ハウジング、駆動輪およびロータを省略して示す側面図である。
図6図6は、安全ユニットおよび閉鎖壁が閉鎖位置から開放位置に移動する際の第1の中間位置にある図5の側面図である。
図7図7は、安全ユニットおよび閉鎖壁が閉鎖位置から開放位置に移動する際の第2の中間位置にある図6の側面図である。
図8図8は、開放位置にある安全ユニットおよび閉鎖壁を示す図7の側面図である。
図9図9は、閉鎖位置にある第1および第2の調整機構のスライドキャリッジを示す斜視図である。
図10図10は、安全ユニットおよび閉鎖壁が閉鎖位置から開放位置に移動する際の第1の中間位置にある図9の側面図である。
図11図11は、安全ユニットおよび閉鎖壁が閉鎖位置から開放位置に移動する際の第2の中間位置にある図9の斜視図であり、
図12図12は、開放位置にある安全ユニットおよび閉鎖壁を示す図9の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図に示されているのは、自動装填および自動非装填(自動ロードおよび自動アンロード)のための本発明による遠心分離機10の実施形態である。遠心分離機10は、前壁14、後壁16、左側壁18、および右側壁20を有するハウジング12を備えている。図3および図4に示すように、ハウジング12の上部は、天井22によって閉塞されており、ハウジング12の下部は、ベースプレート24に固く接続されている。図3および図4を参照されたい。ベースプレート24の各コーナー領域は、足26、即ち、合計4つの足26を備えている。
【0036】
ハウジング12は、前壁14と天井22との間の中央領域にそれぞれ隣接する長方形の凹部28および凹部30を有し、これらは一緒になって、遠心分離機10の装填・非装填開口32を形成している。
【0037】
装填・非装填開口32は、閉鎖されるように構成されている。より具体的には、前壁14の凹部28は保護壁34によって閉鎖され、凹部30は閉鎖壁36によって閉鎖される。
【0038】
図2に示すように、天井22に凹部30と隣接する吸気口38が設けられており、この吸気口38は、装填・非装填開口32が閉鎖されたときに、閉鎖壁36の別の吸気口40と整列している。
【0039】
特に図3および図4から分かるように、遠心分離機10は、ロータ軸42を中心に回転可能に取り付けられた駆動シャフト44を有している。ロータ46は、駆動シャフト44と共に回転するために、駆動シャフト44に着脱自在に連結されている。ロータ46は、ハンガー47を備えており、そのハンガー47の上に、遠心分離される液体で満たされた多数のウェルを有するプレート48(例えば、マイクロタイタープレート、ディープウェルプレート)が存在している。これらの充填されたプレートは、ロボットによって、遠心分離機に導入され、およびそこから取り出される。
【0040】
安全容器50は、回転対称形であり、ロータ46をその全高に亘っておよびその上下を超えて半径方向に囲んでいる。安全容器50の底部には円形の凹部52が設けられており、この凹部52は、以下でより詳細に説明するが、傾くことができるような寸法になっている。図3に示すように、凹部52は、安全容器50が遠心分離機10の動作状態にあるとき、回転対称形のカバー54によって閉鎖されている。
【0041】
カバー54は、ねじ58を介してドライブハウジング56に同軸に接続されている。ドライブハウジング56において、駆動シャフト44は、回転可能に取り付けられ、駆動モータ60によって駆動される。ドライブハウジング56は、ベースプレート24に固く固定されており、カバー54もドライブハウジング56を介して同様に固定されている。カバー54は、駆動シャフト44に接触することなく駆動シャフト44を囲んでいる。カバー54の上方で、ロータ46は駆動シャフト44に取り付けられている。運転時、ロータ46が取り付けられた駆動シャフト44は、カバーおよびドライブハウジング56に対して回転する。
【0042】
安全容器50は、長方形状に形成された保護ハウジング62によって囲まれている。保護ハウジング62は、保護壁34によって形成される端面を備えている。さらに、左右の側壁64、並びに後壁66が設けられている。保護ハウジング62は、安全容器50と共に、安全ユニット68を形成している。安全容器50の上端には、周囲シール70が設けられている。
【0043】
図3に示すように、安全ユニット68が遠心分離機10の動作位置にあるとき、シール70は閉鎖壁36とシール係合している。この位置では、閉鎖壁36、安全容器50およびカバー54によって区画閉鎖されるロータ内部72が形成される。ロータ46を備えた駆動シャフト44は、ロータ内部72に係合している。
【0044】
閉鎖壁36のそれぞれの側部には、ベースプレート24の方向に延びる側壁74が設けられている。図7図12に示すように、側壁74はそれぞれ、その下部において、ベースプレート24と平行に、遠心分離機10の長手方向に延びるガイドレール76に挿入され、ガイドレールにボルトで固定される。したがって、閉鎖壁36および側壁74は、ガイドレールに沿って変位させることができる追加のハウジングユニット78を形成する。より具体的には、閉鎖壁36は、ハウジング12の上部22の真下に配置されている。
【0045】
図5図8は、遠心分離機10をその動作位置(図2図3図5を参照)から装填・非装填の位置(図1図4図8を参照)に移動させるために、安全ユニット68と閉鎖壁36を有する追加のハウジングユニット78とがどのように動かされるかを詳細に示している。安全ユニット68の開放運動を開始するために、保護ハウジング62の各側壁64の内側で、プッシュロッド80は、継手80aを介して、側壁64の上部領域の自由端で繋がっている。プッシュロッド80は、ガイドレール76まで延在し、ガイドレール76に変位可能に取り付けられたスライドキャリッジ82内で関節式に係合している。
【0046】
次に、スライドキャリッジ82は、別のガイドレール86に案内される別のスライドキャリッジ84と係合する。追加のガイドレール86は、ガイドレール76と平行に延びている。以下で詳細に説明するように、スライドキャリッジ82および追加のスライドキャリッジ84は、互いに結合されている。
【0047】
追加のスライドキャリッジ84は、ねじ付きスピンドル88に接続されている。次に、ねじ付きスピンドル88が駆動輪90に接続される。駆動輪90は、ねじ付きスピンドル88を駆動し、それを回転させる。これにより、追加のキャリッジ84がねじ付きスピンドル88に係合し、そのねじ山が追加のガイドレール86に沿って並進的に移動する結果となる。
【0048】
側壁64の内側の継手80aから離れた側で、ほぼ同じ高さの動作位置にヒンジ92が設けられており、それによって安全ユニット68が固定軸を中心に旋回可能に取り付けられる。ヒンジ92は、より明確には、ここには示されていない支持アームを介してベースプレート24に接続されている。
【0049】
第1のスライドキャリッジ82は、コイルばね94に接続されており、コイルばね94は、第1のスライドキャリッジ82から離れた側にある追加のハウジングユニット78の側壁74と係合する。したがって、閉鎖壁36は、コイルばね94によって動作位置の方向に保持され、即ち、閉鎖壁36はコイルばね94の力によって作用される。
【0050】
スライドキャリッジ82、84、ガイドレール76、86、およびねじ付きスピンドル88からなる構造は、追加のハウジングユニット78の両側壁74に存在する。駆動輪90のみが片側にのみ存在し、それは歯付きベルトを介して追加のねじ付きスピンドル88に接続されている。結果として、両方のねじ付きスピンドル88は同期して駆動され、したがって、両方の側壁74上のスライドキャリッジ82、84を動かす。
【0051】
特に図3図4図6図8から分かるように、閉鎖壁36の自由端は、それが部分的に凹部28内に延びるように形成されている。さらに、保護壁34の関連領域には肩が設けられ、その結果、保護壁34および閉鎖壁36は、動作位置で重なる(図3および図5参照)。
【0052】
図9図12は、第1のガイドレール76および第2のガイドレール86をより詳細に示している。各側壁74は、第1のガイドレール76と係合する。そのベースに関して、第1のガイドレール76は、側壁74と平行に延びている。ガイドレール76の領域において、側壁74は、ドライバ96を備えている。ドライバ96は、スライドキャリッジ84が所定の距離を移動するまで、ドライバ96に関連し第2のスライドキャリッジ84と接続された止め具98が、ドライバ96と係合しないように、スライドキャリッジ82および84に対して配置されている。
【0053】
第2のガイドレール86は、本質的に、第2のスライドキャリッジ84が配置されている2つのガイドロッドからなる。第2のガイドレール86のベースは、ベースプレート24と平行である。
【0054】
第1のスライドキャリッジ82は、第1のガイドレール76と係合する。第2のスライドキャリッジ84は、L字型の支持構造を有し、その上部は、コイルばね94の一端に接続されている。プッシュロッド80用の継手100は、支持構造から垂直に突き出ている。止め具98の裏側は、継手100の形状に適合されている。
【0055】
図5および図9は、遠心分離機10がその動作位置にある状態を示している。閉鎖壁36は、天井22の凹部30を閉鎖し、保護壁34は、前壁14の凹部28を閉鎖し、装填・非装填開口32が閉じられる。遠心分離機10は、遠心分離によってロータ46内のサンプル容器に導入された媒体を処理する準備ができている。
【0056】
遠心分離プロセスが完了し、遠心分離機10が装填および/または非装填がされると、装填・非装填開口32を開く必要がある。この目的のために、保護壁34および安全ユニット68は、駆動輪90によって、スライドキャリッジ84と共にスライドキャリッジ82を右に動かすことにより、最初に下向きに傾斜される。これにより、プッシュロッド80が回転し、安全ユニット68が固定ヒンジ92の周りに折りたたまれる。これは、閉鎖壁36と保護壁34の重なり合う部分を最初に離すために必要である。動作位置から装填・非装填位置への移動中のこの第1の中間位置を図6および図10に示す。この場合、スライドキャリッジ82は、止め具98がドライバ96に当たるまで、追加のスライドキャリッジ84と共に動かされる。保護壁34と閉鎖壁36はもはや重ならない。
【0057】
次のステップでは、安全ユニット68は、安全ユニット68がその前部下端および保護壁34の下端が静止支持体102上に載るまで、ヒンジ92の周りで保護壁34と共に旋回する。支持体102はベースプレート24にしっかりと接続されている。安全ユニット68の旋回は、スライドキャリッジ82がスライドキャリッジ84と共に動くことによって開始される。このプロセスでは、プッシュロッド80は継手100の周りを旋回する。同時に、追加のハウジングユニット78は、安全ユニット68の前端が支持体102上に載るまで、スライドキャリッジ82および84と共に移動する。この状況を、図1図7図11に示す。
【0058】
次のステップでは、それ以上の旋回が不可能になるため、スライドキャリッジ84がさらに移動し、スライドキャリッジ82が停止する。プッシュロッド80および安全ユニット68を備えたスライドキャリッジ82は、ヒンジ92によって保持されている。駆動輪90によって駆動されて、スライドキャリッジ84は、装填・非装填位置に移動し続け、同様に、閉鎖壁36および2つの側壁74からなる追加のハウジングユニット78も移動する。この状況を、図4図8図12に示す。
【0059】
ねじ付きスピンドル88とモータによって駆動されるスライドキャリッジ84は、第1のスライドキャリッジを駆動し(左側のドライバ機能)、時間遅延を伴って閉鎖壁も駆動する(右側のドライバ機能)。
左側のドライバ機能:容器を閉じた状態から最後の位置で開いた状態に下げる。
右側のドライバ機能:閉鎖壁を移動。
【0060】
手順:
フェーズ1:第1のベアリング82を駆動->安全ユニット68を傾け、閉鎖壁36を閉じて静止
フェーズ2:第1のベアリング82を駆動->安全ユニット68を傾け、閉鎖壁36を駆動
フェーズ3:第1のベアリング82が停止し、安全ユニットが終了位置に到達し、閉鎖壁36がさらに終了位置に移動
【0061】
したがって、保護壁34および閉鎖壁36の動きは調整され、互いに結合される。開放動作の間、保護壁34が最初に開放し、次に、いくらかの時間遅延の後、閉鎖壁36が開放する。閉鎖動作の間、閉鎖壁36が最初に閉鎖し、次に、いくらかの時間遅延の後、保護壁34が閉鎖する。
【0062】
開放動作の間、閉鎖壁36は、ガイドレール76と平行に並進的に移動し、そのため、ロータ軸42に対して直角に移動する。
【0063】
保護ハウジング62および安全容器50、保護壁34、ならびに閉鎖壁36もまた、板金で形成されている。より具体的には、保護ハウジング62と安全容器50の両方は、水平方向の高さに亘って、閉じられている。
【0064】
動作/閉鎖位置では、閉鎖壁36は安全容器50を完全に覆う。
【符号の説明】
【0065】
10 遠心分離機
12 ハウジング
14 端壁
16 後壁
18 側壁、左
20 側壁、右
22 天井
24 ベースプレート
26 足
28 凹部
30 凹部
32 遠心分離機10の装填用および非装填用開口
34 凹部28を閉じる保護壁
36 凹部30を閉じる閉鎖壁
38 天井22の吸気口
40 閉鎖壁36の追加吸気口
42 ロータ軸
44 駆動シャフト
46 ロータ
47 ロータ46の吊り手
48 空洞のあるプレート
50 安全容器
52 安全容器の凹部
54 凹部52のカバー
56 ドライブハウジング
58 ねじ
60 駆動モータ
62 保護ハウジング
64 保護ハウジング62の側壁
66 後壁
68 安全容器50と保護ハウジング62からなる安全ユニット
70 安全容器50のシール
72 ロータ内部
74 閉鎖壁に接続された側壁
76 ガイドレール
78 閉鎖壁36と2つの側壁74からなる追加ハウジングユニット
80 プッシュロッド
80a プッシュロッド80の継手
82 第1のスライドキャリッジ
84 追加の第2のスライドキャリッジ
86 追加ガイドレール
88 ねじ付きスピンドル
90 駆動輪
92 ヒンジ
94 コイルばね
96 ドライバ
98 止め具
100 第1のスライドキャリッジのプッシュロッド80用の継手
102 支持体

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】