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特表2023-500467フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物製造用組成物およびその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-06
(54)【発明の名称】フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物製造用組成物およびその用途
(51)【国際特許分類】
   A23K 10/30 20160101AFI20221226BHJP
   A23K 20/189 20160101ALI20221226BHJP
   A23K 20/147 20160101ALI20221226BHJP
   A23J 3/16 20060101ALN20221226BHJP
【FI】
A23K10/30
A23K20/189
A23K20/147
A23J3/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525054
(86)(22)【出願日】2020-10-30
(85)【翻訳文提出日】2022-04-27
(86)【国際出願番号】 KR2020015092
(87)【国際公開番号】W WO2021086138
(87)【国際公開日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】10-2019-0136872
(32)【優先日】2019-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507406611
【氏名又は名称】シージェイ チェルジェダン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ソ,ヒョジョン
(72)【発明者】
【氏名】イ,イン
(72)【発明者】
【氏名】ハン,スンウク
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソン・ボ
【テーマコード(参考)】
2B150
【Fターム(参考)】
2B150AA01
2B150AB02
2B150CE07
2B150DC23
2B150DF11
(57)【要約】
本発明はフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物製造用組成物、およびその用途に関するものであって、一例によるフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物製造用組成物を使用するか一例による製造方法によれば、効率的にフィチン酸を低減させた大豆タンパク濃縮物を製造することができて、動物が利用できるリンの含量を増加させることができ、低分子ペプチドの含量比率を増加させ、大豆タンパク濃縮物に対する動物の消化率を向上させることができ、一例によるフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物を含む飼料組成物は消化率に優れたものであり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大豆タンパク濃縮物およびフィターゼ(Phytase)を含み、
前記フィターゼの含量は前記大豆タンパク濃縮物の重量を基準にして0.005~0.5重量%であり、
全体組成物の重量を基準にして水分含量が40重量%以上であり、
pHが6.8以下である、フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物製造用組成物。
【請求項2】
前記フィターゼの含量は、前記大豆タンパク濃縮物の重量を基準にして0.025~0.5重量%である、請求項1に記載のフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物製造用組成物。
【請求項3】
前記水分含量は、全体組成物の重量を基準にして50重量%以上である、請求項1に記載のフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物製造用組成物。
【請求項4】
前記pHは、5.5以下である、請求項1に記載のフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物製造用組成物。
【請求項5】
請求項1~4のうちのいずれか一項による組成物を反応させる段階を含む、フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物の製造方法。
【請求項6】
前記段階で反応させた反応物を乾燥する段階を追加的に含む、請求項5に記載のフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物の製造方法。
【請求項7】
前記フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物は、フィチン酸を1.5重量%未満で含む、請求項5に記載のフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物の製造方法。
【請求項8】
前記フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物は、遊離リンを0.2~1重量%含む、請求項5に記載のフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物の製造方法。
【請求項9】
前記フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物は、全体ペプチドを基準にして30kDa未満のペプチドを15%~90%含む、請求項5に記載のフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物の製造方法。
【請求項10】
前記フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物は、動物飼料製造に使用するためのものである、請求項5に記載のフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物の製造方法。
【請求項11】
前記フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物は、原料として使用された大豆タンパク濃縮物よりリン消化率が増加されたものである、請求項5に記載のフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物の製造方法。
【請求項12】
請求項1~4のうちのいずれか一項による組成物を反応させて得られたフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物を含み、フィチン酸を1.5重量%未満で含む、フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物。
【請求項13】
遊離リンを0.2~1重量%含む、請求項12に記載のフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物。
【請求項14】
全体ペプチドを基準にして30kDa未満のペプチドを15%~90%含む、請求項12に記載のフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物。
【請求項15】
請求項12によるフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物を含む、飼料組成物。
【請求項16】
魚粉、小麦粉、大豆粕、大豆レシチン、魚油、ビタミン、およびミネラルからなる群より選択された1種以上を追加的に含む、請求項15に記載の飼料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物製造用組成物およびその用途に関するものである。
【背景技術】
【0002】
豆(大豆)タンパク質は低費用の植物性タンパク質であって、大豆自体を食べること以外に様々な形態に転換されて多様な食品加工製造に大豆粉(soy flour)、脱脂大豆ミール(defatted soy meal)、大豆タンパク濃縮物(soy protein concentrate)、分離大豆タンパク(soy protein isolate)、組織大豆タンパク(texturized soy protein)などの大豆タンパク質製品(soy protein product)が使用されている。このような大豆タンパク質製品は優れた栄養性、機能性および経済的理由で肉類、穀類、菓子類、飲料、離乳食、乳製品およびいわゆる次世代大豆食品(second generation soy food)のような多様な加工製品に添加物として使用され、多様な2次加工製品として製造される。
【0003】
しかし、大豆タンパク質は通常フィチン酸を含み、フィチン酸はカルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛のような栄養上重要な微量金属と結合して難溶性化合物を生成し、カルシウムなどの金属イオンを活性化因子とするα-アミラーゼとトリプシン、またはペプシンなどの消化酵素に対して阻害作用を有することが知られているため、食品から除去することが好ましい。
【0004】
現在まで知られたフィチン酸の除去方法は、限外ろ過法、イオン交換樹脂法、化学的方法などがある。限外ろ過法では、操作中に膜表面にペプチドが溜まり、ろ過速度が遅くなるため定期的に洗浄を反復しなければならない短所がある。フィチン酸はリン酸残基を含んでおり、イオン交換樹脂法によって陰イオン交換樹脂でタンパク液を処理することによって除去することが可能であるが、大豆タンパク質はタンパク質樹脂への吸着も顕著なので、イオン交換樹脂法は操作が煩雑であり、およびタンパク質の数量減少を招く。化学的方法として、大豆タンパク質を塩酸あるいはトリクロロ酢酸などのような強酸あるいは水酸化ナトリウムなどのような強塩基で処理することによって抽出および除去することが可能であるが、この方法も製造操作が煩雑で、大量の廃液の処理に努力を要し、製造費用が上昇し、酸塩基処理によってタンパク質が変性してタンパク質の消化に否定的な影響を及ぼす。
【0005】
したがって、効率的に大豆タンパク濃縮物からフィチン酸を除去するのに使用できる組成物、およびフィチン酸が除去された大豆タンパク濃縮物の製造方法と、大豆タンパク濃縮物を用いて魚粉を代替することができる飼料組成物に対する開発が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0279367号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本出願の目的は、フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物製造用組成物を提供することである。
【0008】
本出願の他の目的は、フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物の製造方法を提供することである。
【0009】
本出願の他の目的は、前記フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物製造用組成物を反応させて製造したフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物を提供することである。
【0010】
本出願の他の目的は、前記フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物を含む飼料組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書で“大豆タンパク濃縮物(Soy Protein Concentrate;SPC)”とは、脱脂大豆から可溶性の非タンパク性物質を除去することによって大豆由来のタンパク質含量を濃縮させたものを意味し、大豆から食用油を作ってから残った副産物である大豆粕を原料にしてタンパク質含量を高めた高タンパク飼料原料として活用できる。大豆タンパク濃縮物は、発酵大豆粕と共に代表的な植物性高タンパク素材に分類され、既存の主要タンパク質源として使用されていた魚粉の代替素材としても可能である。例えば、大豆タンパク濃縮物は、脱脂大豆を等電点に近い水(pH4~5)または20~80%のエタノールで溶出し、水溶性および炭水化物のような非タンパク性物質を除去して、主にグロブリン性のタンパク質を濃縮して製造でき、大豆タンパク濃縮物は、水分を除去した乾物を基準にして50~90重量%のタンパク質を含む大豆タンパク質含有物であり得る。
【0012】
本明細書で、“約(about)”または“大略(approximately)”は、一般に与えられた値または範囲の上下20%以内、10%以内、5%以内、4%以内、3%以内、2%以内、1%以内、または0.5%以内の値または範囲を含む意味として解釈できる。
【0013】
本明細書で、“タンパク質溶解度”とは、タンパク質が水に溶ける程度を称し、親水性のアミノ酸が表面に多く存在するほど溶媒のイオングループと相互作用してタンパク質の溶解度を増加させる。
【0014】
本明細書で、“フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物”とは、フィチン酸含量が大豆タンパク濃縮物原料(またはフィターゼを含まない大豆タンパク濃縮物原料)より減少したものを意味する。
【0015】
一例によるフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物は、大豆タンパク濃縮物原料に対するフィチン酸含量が約35%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、75%以上または80%以上、0.1~100%、1~100%、10~100%、20~100%、25~100%、30~100%、35~100%、40~100%、50~100%、60~100%、65~100%、70~100%、0.1~90%、1~90%、10~90%、20~90%、25~90%、30~90%、35~90%、40~90%、50~90%、60~90%、65~90%、70~90%、0.1~85%、1~85%、10~85%、20~85%、25~85%、30~85%、35~85%、40~85%、50~85%、60~85%、65~85%、70~85%、0.1~80%、1~80%、10~80%、20~80%、25~80%、30~80%、35~80%、40~80%、50~80%、60~80%、65~80%、70~80%、0.1~75%、1~75%、10~75%、20~75%、25~75%、30~75%、35~75%、40~75%、50~75%、60~75%、65~75%、または70~75%減少されたものであり得る。
【0016】
フィチン酸(phytic acid)はIP6(myo-inositol hexaphosphate)であって、ミオ-イノシトール(myo-inositol)環と6個のリン酸基から構成されており、これらリン酸基は左右対称的についている。植物に存在し、特に穀類、豆科植物に含まれている。フィチン酸は、タンパク質と複合物を形成して大豆タンパク質の栄養学的価値を減少させ、カルシウム、鉄、亜鉛のような多価金属イオンの作用を低下させて人体内に吸収されることを妨害し、胃腸でペプシンまたはトリプシンなどが消化酵素活動を妨害するので、一例によるフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物は、フィチン酸含量が少なくて栄養学的に優れた食品添加物として有用に使用できる。
【0017】
以下、本発明をより詳しく説明する。
一様相は、大豆タンパク濃縮物およびフィターゼを含む、フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物製造用組成物(または大豆タンパク濃縮物のフィチン酸低減用組成物)を提供することができる。
【0018】
本明細書で、‘フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物製造用組成物’は、‘大豆タンパク濃縮物のフィチン酸低減用(減少用)組成物’と同一なものを意味することができる。
【0019】
一例によるフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物製造用組成物はフィターゼ(phytase)を含み、前記フィターゼの含量は前記大豆タンパク濃縮物(例えば、大豆タンパク濃縮物原料)の重量を基準にして0.001~10重量%、0.005~10重量%、0.01~10重量%、0.025~10重量%、0.03~10重量%、0.05~10重量%、0.075~10重量%、0.1~10重量%、0.25~10重量%、0.3~10重量%、0.5~10重量%、0.001~5重量%、0.005~5重量%、0.01~5重量%、0.025~5重量%、0.03~5重量%、0.05~5重量%、0.075~5重量%、0.1~5重量%、0.25~5重量%、0.3~5重量%、0.5~5重量%、0.001~1重量%、0.005~1重量%、0.01~1重量%、0.025~1重量%、0.03~1重量%、0.05~1重量%、0.075~1重量%、0.1~1重量%、0.25~1重量%、0.3~1重量%、0.5~1重量%、0.001~0.5重量%、0.005~0.5重量%、0.01~0.5重量%、0.025~0.5重量%、0.03~0.5重量%、0.05~0.5重量%、0.075~0.5重量%、0.1~0.5重量%、0.25~0.5重量%、0.3~0.5重量%、0.5~0.5重量%、0.001~0.3重量%、0.005~0.3重量%、0.01~0.3重量%、0.025~0.3重量%、0.03~0.3重量%、0.05~0.3重量%、0.075~0.3重量%、0.1~0.3重量%、0.25~0.3重量%、0.001~0.25重量%、0.005~0.25重量%、0.01~0.25重量%、0.025~0.25重量%、0.03~0.25重量%、0.05~0.25重量%、0.075~0.25重量%、または0.1~0.25重量%であり得る。
【0020】
前記フィターゼはフィチン酸を加水分解してミオイノシトールと無機リン酸を生成するリン酸加水分解酵素の一種であり、一例による、フィターゼを含む組成物は大豆タンパク濃縮物のフィチン酸含量を効果的に減少させることができる。
【0021】
前記範囲の含量でフィターゼを含む組成物の場合、フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物製造時、フィターゼ添加量に対するフィチン酸含量を効率的に減少させることができ、前記範囲でフィターゼを含む組成物は経済的にフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物を製造することができる。
【0022】
前記範囲でフィターゼを含むフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物製造用組成物は、前記範囲外にフィターゼを含む組成物より大豆タンパク濃縮物製造時に優秀に(顕著に)大豆タンパク濃縮物の(1)フィチン酸含量減少;(2)遊離リン含量増加;および/または(3)消化率増加を誘導することができる。
【0023】
一例で、前記フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物製造用組成物の水分含量は、全体組成物の重量を基準にして20重量%以上、30重量%以上、40重量%以上、45重量%以上、50重量%以上、55重量%以上、95重量%以下、90重量%以下、85重量%以下、80重量%以下、75重量%以下、70重量%以下、65重量%以下、60重量%以下、30~95重量%、35~95重量%、40~95重量%、45~95重量%、50~95重量%、55~95重量%、30~90重量%、35~90重量%、40~90重量%、45~90重量%、50~90重量%、55~90重量%、30~85重量%、35~85重量%、40~85重量%、45~85重量%、50~85重量%、55~85重量%、30~80重量%、35~80重量%、40~80重量%、45~80重量%、50~80重量%、55~80重量%、30~75重量%、35~75重量%、40~75重量%、45~75重量%、50~75重量%、55~75重量%、30~70重量%、35~70重量%、40~70重量%、45~70重量%、50~70重量%、55~70重量%、30~65重量%、35~65重量%、40~65重量%、45~65重量%、50~65重量%、55~65重量%、30~60重量%、35~60重量%、40~60重量%、45~60重量%、50~60重量%、55~60重量%、30~55重量%、35~55重量%、40~55重量%、45~55重量%、または50~55重量%であり得る。
【0024】
前記範囲の水分含量を有するフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物製造用組成物は、前記範囲外に水分含量を有する組成物より大豆タンパク濃縮物製造時に優秀に(顕著に)大豆タンパク濃縮物の(1)フィチン酸含量減少;(2)遊離リン含量増加;および/または(3)消化率増加を誘導することができる。
【0025】
一例で、前記フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物製造用組成物のpHは、7以下、6.8以下、6.5以下、6以下、5.5以下、5以下、4.75以下、4.5以下、4以下、1以上、1.5以上、2以上、2.5以上、3以上、3.5以上、4以上、4.5以上、pH2~7、pH2.5~7、pH3~7、pH3.5~7、pH4~7、pH4.25~7、pH4.5~7、pH2~6.8、pH2.5~6.8、pH3~6.8、pH3.5~6.8、pH4~6.8、pH4.25~6.8、pH4.5~6.8、pH2~6.5、pH2.5~6.5、pH3~6.5、pH3.5~6.5、pH4~6.5、pH4.25~6.5、pH4.5~6.5、pH2~6、pH2.5~6、pH3~6、pH3.5~6、pH4~6、pH4.25~6、pH4.5~6、pH2~5.5、pH2.5~5.5、pH3~5.5、pH3.5~5.5、pH4~5.5、pH4.25~5.5、pH4.5~5.5、pH2~5、pH2.5~5、pH3~5、pH3.5~5、pH4~5、pH4.25~5、pH4.5~5、pH2~4.75、pH2.5~4.75、pH3~4.75、pH3.5~4.75、pH4~4.75、pH4.25~4.75、pH4.5~4.75、pH2~4.5、pH2.5~4.5、pH3~4.5、pH3.5~4.5、pH4~4.5、またはpH4.25~4.5であり得る。
【0026】
前記範囲のpHを有するフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物製造用組成物は、前記範囲外にpHを有する組成物より大豆タンパク濃縮物製造時に優秀に(顕著に)大豆タンパク濃縮物の(1)フィチン酸含量減少;(2)遊離リン含量増加;および/または(3)消化率増加を誘導することができる。
【0027】
一例によれば、前記フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物製造用組成物を反応させ、乾燥してフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物を製造することができる。一例によるフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物製造用組成物は、効果的にフィチン酸を低減させながらも、低タンパクペプチドの比率を増加させて、動物の消化率を増加させ、品質管理が容易な大豆タンパク濃縮物を製造することができ、これは飼料に添加されて動物の消化率を増加させ、追加的なリンの添加が無くてもリンの含量を増加させることができる。
【0028】
他の様相は、前記フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮用組成物を反応させる段階を含む、フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物の製造方法を提供する。
【0029】
前記フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物製造用組成物を反応させることは、20~80℃、25~80℃、30~80℃、40~80℃、50~80℃、55~80℃、20~70℃、25~70℃、30~70℃、40~70℃、50~70℃、55~70℃、20~65℃、25~65℃、30~65℃、40~65℃、50~65℃、55~65℃、20~60℃、25~60℃、30~60℃、40~60℃、50~60℃、または55~60℃の温度で、
0.5~24時間、1~24時間、2~24時間、3~24時間、4~24時間、0.5~18時間、1~18時間、2~18時間、3~18時間、4~18時間、0.5~12時間、1~12時間、2~12時間、3~12時間、4~12時間、0.5~8時間、1~8時間、2~8時間、3~8時間、4~8時間、0.5~6時間、1~6時間、2~6時間、3~6時間、または4~6時間、前記組成物をインキュベーション(または反応)させることであり得る。
【0030】
前記範囲内の条件で酵素反応させれば、大豆タンパク濃縮物のタンパク質変性が無くても、効果的にフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物を製造することができる。
【0031】
前記製造方法は、前記段階で反応させた反応物を乾燥する段階を追加的に含むことができる。前記乾燥は、常温通風乾燥、熱風乾燥、真空乾燥、噴霧乾燥、および/または凍結乾燥の方法で行うことができる。前記乾燥工程によってフィターゼの酵素反応は終結できる。
【0032】
前記製造方法は、前記乾燥段階後に乾燥された大豆タンパク濃縮物を粉砕する段階を追加的に含むことができ、前記粉砕段階は大豆タンパク濃縮物を用いようとする目的によって多様な大きさで粉砕することができ、例えば、ハンマーミルを用いて粉砕することができる。
【0033】
他の様相は、下記段階を含む、フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物の製造方法を提供することができる:
大豆タンパク濃縮物に酸を添加して大豆タンパク濃縮物のpHを6.8以下に調節する段階;およびフィターゼおよび水を添加して大豆タンパク濃縮物の最終水分含量を40重量%以上に調節する段階。
【0034】
他の様相は、大豆タンパク濃縮物にフィターゼ、水、および/または酸を含む混合物を添加して大豆タンパク濃縮物の水分含量を40重量%以上に調節し、大豆タンパク濃縮物のpHを6.8以下に調節する段階を含む、フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物の製造方法を提供することができる。
【0035】
他の様相は、大豆タンパク濃縮物にフィターゼ、水、および/または酸を含む混合物を添加して大豆タンパク濃縮物のpHを6.8以下に調節し、追加的にフィターゼおよび/または水を添加して大豆タンパク濃縮物の最終水分含量を40重量%以上に調節する段階を含む、フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物の製造方法を提供することができる。
【0036】
一例によれば、前記水分含量および/またはpHを調節する前の原料になる大豆タンパク濃縮物は、同一な品質を維持することができるように同一な地域から持続的に同一な種類の大豆の供給を受けて用いることができる。例えば、大豆タンパク濃縮物の準備は、大豆タンパクをアルコールで水洗しヘキサン(Hexane)などの有機溶媒を使用して大豆油を抽出した後、残った脱脂大豆粕からアルコールを追加的にさらに添加してタンパク以外の水溶性および非水溶性の炭水化物のような非タンパク成分を除去して行うことができる。
【0037】
一例によれば、前記水分含量を調節する段階は、大豆タンパク濃縮物にフィターゼおよび水を添加して行うか、大豆タンパク濃縮物に水を添加して行うことができる。前記水分含量を調節する段階は、大豆タンパク濃縮物の水分含量を全体組成物の重量(例えば、添加されたフィターゼ、水、および/または酸を含む大豆タンパク濃縮物の総重量)を基準にして、20重量%以上、30重量%以上、40重量%以上、45重量%以上、50重量%以上、55重量%以上、95重量%以下、90重量%以下、85重量%以下、80重量%以下、75重量%以下、70重量%以下、65重量%以下、60重量%以下、30~95重量%、35~95重量%、40~95重量%、45~95重量%、50~95重量%、55~95重量%、30~90重量%、35~90重量%、40~90重量%、45~90重量%、50~90重量%、55~90重量%、30~85重量%、35~85重量%、40~85重量%、45~85重量%、50~85重量%、55~85重量%、30~80重量%、35~80重量%、40~80重量%、45~80重量%、50~80重量%、55~80重量%、30~75重量%、35~75重量%、40~75重量%、45~75重量%、50~75重量%、55~75重量%、30~70重量%、35~70重量%、40~70重量%、45~70重量%、50~70重量%、55~70重量%、30~65重量%、35~65重量%、40~65重量%、45~65重量%、50~65重量%、55~65重量%、30~60重量%、35~60重量%、40~60重量%、45~60重量%、50~60重量%、55~60重量%、30~55重量%、35~55重量%、40~55重量%、45~55重量%、または50~55重量%に調節することであり得る。
【0038】
一例によれば、前記大豆タンパク濃縮物の水分含量を調節する段階で、水分含量は通常使用できる方法で測定でき、例えば、乾燥法(例えば、常圧加熱乾燥法、および/または高温加熱乾燥法など)、蒸留法、電気水分計法、近赤外線分光吸収法、ガスクロマトグラフィー法、核磁気共鳴吸収法、容量滴定法、および/または電量滴定法を通じて行うことができる。水分含量が調節される前の大豆タンパク濃縮物(または大豆タンパク濃縮物原料)の水分含量は、5~30重量%、5~25重量%、5~20重量%、5~15重量%、5~12重量%、5~10重量%、6~9重量%、7~8重量%、15~25重量%、20~25重量%、または20~30重量%であり得る。
【0039】
一例によれば、大豆タンパク濃縮物のpHを調節する段階でpHは、7以下、6.8以下、6.5以下、6以下、5.5以下、5以下、4.75以下、4.5以下、4以下、1以上、1.5以上、2以上、2.5以上、3以上、3.5以上、4以上、4.5以上、pH2~7、pH2.5~7、pH3~7、pH3.5~7、pH4~7、pH4.25~7、pH4.5~7、pH2~6.8、pH2.5~6.8、pH3~6.8、pH3.5~6.8、pH4~6.8、pH4.25~6.8、pH4.5~6.8、pH2~6.5、pH2.5~6.5、pH3~6.5、pH3.5~6.5、pH4~6.5、pH4.25~6.5、pH4.5~6.5、pH2~6、pH2.5~6、pH3~6、pH3.5~6、pH4~6、pH4.25~6、pH4.5~6、pH2~5.5、pH2.5~5.5、pH3~5.5、pH3.5~5.5、pH4~5.5、pH4.25~5.5、pH4.5~5.5、pH2~5、pH2.5~5、pH3~5、pH3.5~5、pH4~5、pH4.25~5、pH4.5~5、pH2~4.75、pH2.5~4.75、pH3~4.75、pH3.5~4.75、pH4~4.75、pH4.25~4.75、pH4.5~4.75、pH2~4.5、pH2.5~4.5、pH3~4.5、pH3.5~4.5、pH4~4.5、またはpH4.25~4.5に調節できる。
【0040】
一例で、大豆タンパク濃縮物のpHを調節する段階で添加される酸は、塩酸、硫酸、硝酸および/または酢酸であってもよく、水溶液形態であり得る。
【0041】
一具体例によれば、100gの大豆タンパク濃縮物原料のpHを4.5に調節するために1N HCl 40ml(または100%HCl 1.458g)、pH4.75に調節するために1N HCl 33.5ml(または100% HCl 1.221g)、pH5に調節するために28ml(または100% HCl 1.021g)、pH5.5に調節するために1N HCl 15ml(または100% HCl 0.547g)を添加することができ、原料のpHによって添加される酸の種類および量は変更できる。
【0042】
一例によれば、pHが調節される前の大豆タンパク濃縮物(または大豆タンパク濃縮物の原料)のpHは、5~8、6~7.5、6.5~7、または6.5~6.8であり得る。
【0043】
一例によれば、前記製造方法は、前記水分含量およびpHが調節された大豆タンパク濃縮物を反応(インキュベーション)させる段階、乾燥させる段階、および/または粉砕する段階を追加的に含むことができる。反応、乾燥、および/または粉砕段階については前述の通りである。
【0044】
一例によれば、前記“水分含量およびpHが調節された大豆タンパク濃縮物”は、前記“フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物製造用組成物”と同一なものであり得る。
【0045】
一例によれば、前記フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物は、フィチン酸を2重量%未満、1.9重量%未満、1.8重量%未満、1.7重量%未満、1.6重量%未満、1.5重量%未満、1.4重量%未満、1.3重量%未満、1.2重量%未満、1.1重量%未満、1重量%未満、0.7重量%未満、0.6重量%未満、0.5重量%未満、0.4重量%未満、0.3重量%未満、0.2重量%未満、2重量%以下、1.9重量%以下、1.8重量%以下、1.7重量%以下、1.6重量%以下、1.5重量%以下、1.4重量%以下、1.3重量%以下、1.2重量%以下、1.1重量%以下、1重量%以下、0.7重量%以下、0.6重量%以下、0.5重量%以下、0.4重量%以下、0.3重量%以下、0.2重量%以下、0.01~2重量%、0.05~2重量%、0.1~2重量%、0.2~2重量%、0.3~2重量%、0.01~1.5重量%、0.05~1.5重量%、0.1~1.5重量%、0.2~1.5重量%、0.3~1.5重量%、0.01~1重量%、0.05~1重量%、0.1~1重量%、0.2~1重量%、0.3~1重量%、0.01~0.8重量%、0.05~0.8重量%、0.1~0.8重量%、0.2~0.8重量%、0.3~0.8重量%、0.01~0.7重量%、0.05~0.7重量%、0.1~0.7重量%、0.2~0.7重量%、0.3~0.7重量%、0.01~0.6重量%、0.05~0.6重量%、0.1~0.6重量%、0.2~0.6重量%、0.3~0.6重量%、0.01~0.5重量%、0.05~0.5重量%、0.1~0.5重量%、0.2~0.5重量%、0.3~0.5重量%、0.01~0.4重量%、0.05~0.4重量%、0.1~0.4重量%、0.2~0.4重量%、0.3~0.4重量%、0.01~1.6重量%、0.1~1.5重量%、0.1~1.4重量%、0.1~1重量%、0.1~0.5重量%、0.1~0.4重量%、0.1~0.3重量%、0.2~1.4重量%、0.3~1.4重量%、0.2~1.2重量%、0.2~1重量%、0.2~0.8重量%、0.2~0.6重量%、0.2~0.5重量%、0.2~0.4重量%、0.5~0.5重量%、0.3~0.4重量%、0.4~2重量%、0.4~1.5重量%、0.4~1重量%、0.4~0.8重量%、0.4~0.7重量%、0.4~0.6重量%、または0.4~0.5重量%で含むことができる。前記フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物に含まれるフィチン酸の含量は、フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物の総重量を基準(または乾燥された形態のフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物の粉末重量を基準)としたものであり得る。
【0046】
一例によれば、前記フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物は、遊離リンを0.1~2重量%、0.2~2重量%、0.3~2重量%、0.4~2重量%、0.5~2重量%、0.4~2重量%、0.1~1.5重量%、0.2~1.5重量%、0.3~1.5重量%、0.4~1.5重量%、0.5~1.5重量%、0.4~1.5重量%、0.1~1重量%、0.2~1重量%、0.3~1重量%、0.4~1重量%、0.5~1重量%、0.4~1重量%、0.1~0.8重量%、0.2~0.8重量%、0.3~0.8重量%、0.4~0.8重量%、0.5~0.8重量%、0.4~0.8重量%、0.1~0.7重量%、0.2~0.7重量%、0.3~0.7重量%、0.4~0.7重量%、0.5~0.7重量%、0.4~0.7重量%、0.1~0.6重量%、0.2~0.6重量%、0.3~0.6重量%、0.4~0.6重量%、0.5~0.6重量%、または0.4~0.6重量%含むことができる。前記フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物に含まれる遊離リンの含量は、フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物の総重量を基準(または乾燥された形態のフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物の粉末重量を基準)にしたものであり得る。
【0047】
一例によれば、前記フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物は、乾燥された粉末を基準にして、ペプチド(タンパク)を40~95重量%、45~95重量%、50~90重量%、55~80重量%、50~70重量%、50~60重量%、または60~70重量%含むものであり得る。
【0048】
一例によれば、前記フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物が含むペプチド含量は、原料として使用された大豆タンパク濃縮物と類似しており、全体ペプチドに対する低分子ペプチド(例えば、30kDa未満のペプチド)の含量の比率が原料として使用された大豆タンパク濃縮物より高くてもよい。一例によるフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物が含む低分子ペプチド(例えば、30kDa未満のペプチド)の含量は原料より増加し、前記方法で製造されたフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物は消化率に優れたものであり得る。
【0049】
一例によれば、前記フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物は、前記濃縮物に含まれる全体ペプチドを基準にして30kDa未満のペプチドを、10%~95%、15%~90%、15%~85%、15%~80%、20%~90%、20%~80%、30%~90%、30%~80%、30%~70%、30%~65%、30%~60%、30%~55%、30%~50%、30%~45%、30%~40%、20%~40%、または25%~40%で含むことができる。
【0050】
一例によれば、前記フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物は、前記濃縮物に含まれる全体ペプチドを基準にして30kDa未満のペプチドを、10~95重量%、15~90重量%、15~85重量%、15~80重量%、20~90重量%、20~80重量%、30~90重量%、30~80重量%、30~70重量%、30~65重量%、30~60重量%、30~55重量%、30~50重量%、30~45重量%、30~40重量%、20~40重量%、または25~40重量%で含むことができる。
【0051】
前記ペプチドは、多様な組み合わせのアミノ酸がペプチド結合による重合物を形成しているものを意味する。低分子ペプチドは分子量(Molecular Weight)が小さいペプチドであって、消化時に吸収を容易なようにして動物飼料として適用時に消化率を増加させることができるという長所がある。飼料内の低分子ペプチドの含量が高いほど動物の消化率を向上させることができる。一例で、前記低分子ペプチドは、40kDa未満、30kDa未満、または25kDa未満の分子量を有するペプチドを意味することができる。
【0052】
一例による大豆タンパク濃縮物製造用組成物を使用して製造された、フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物は、これに含まれるペプチドのうちの30kDa未満のペプチド含量比率が増加して、一例による大豆タンパク濃縮物製造用組成物を使用するか、一例による製造方法によれば、消化率が向上した大豆タンパク濃縮物およびこれを含む飼料組成物を製造することができる。一例によれば、フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物のタンパク質分子量分布図を測定するためにGPC(Gel Permeation Chromatography)が使用できる。
【0053】
一例によれば、前記フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物は、動物飼料製造に使用するためのものであり得る。
【0054】
前記動物は、哺乳類、家禽類、魚類および/または甲殻類であり得る。前記哺乳類は豚、牛、馬、鹿、ヤギ、犬、猫、および/またはウサギを含み、前記家禽類は鶏、鴨、ガチョウ、および/または七面鳥を含み、前記魚類および甲殻類は鱒、サケ、および/または海老を含むことができる。
【0055】
一例で、前記フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物は、原料として使用された大豆タンパク濃縮物より消化率(例えば、リン消化率)が増加したものであり得る。
【0056】
本明細書で“消化率”は、胃腸管または胃腸管の特定分節、例えば小腸から消える栄養分(栄養素)の分率を意味することができ、“栄養素消化率”および/または“栄養分消化率”と同一な意味として使用できる。栄養分消化率は、対象体に投与されるものと対象体の大便で排出されるものの間の差、または対象体に投与されるものと胃腸管の特定分節、例えば、回腸の消化物に残留するものの間の差で測定できる。一例で、栄養分消化率は、一定期間の排泄物(糞)の総収集による栄養分摂取と排泄された栄養分の間の差で測定でき;または動物によって吸収されない不活性マーカー(または指示剤)を使用して、全体胃腸管または胃腸管分節で消えた栄養分の量を計算して測定できる。このような不活性マーカー(または指示剤)は、チタンジオキシド、クロムオキシド(酸化クロム)、および/または酸不溶性灰分であり得る。一例で、消化率は、飼料内栄養分の百分率または飼料内栄養分の質量単位当たり消化可能な栄養分の質量単位として表現できる。一例で、栄養分消化率は、デンプン消化率、脂肪消化率、タンパク質消化率、ミネラル消化率、リン消化率、および/またはアミノ酸消化率を含むことができる。
【0057】
一例で、栄養素消化率は、下記数式1によって計算でき、下記栄養素はデンプン、炭水化物、脂肪、タンパク質、ミネラル、および/またはリンであり得る。
【0058】
(数式1)
栄養素消化率=100×(1-(飼料の指示剤量/糞の指示剤量)×(糞の栄養素含量/飼料の栄養素含量))
【0059】
他の様相は、前記製造方法で製造されたフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物を提供することができる。
【0060】
他の様相は、前記フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物製造用組成物を反応させて得られたフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物を提供することができる。
【0061】
他の様相は、前記フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物製造用組成物を反応させ乾燥して得られたフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物を提供することができる。
【0062】
前記フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物については前述の通りである。前記組成物を反応およびまたは乾燥させることについては前述の通りである。
【0063】
一例によるフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物は、代表的な植物性高タンパク素材であって主要タンパク質源として使用されていた魚粉の代替素材として活用できる。魚粉(fish meal)の場合、原材料の魚の漁獲量によって価格変動が激しく、魚状態によって品質を均一に維持するのが難しい反面、大豆タンパク濃縮物は植物性原料の大豆から作って品質管理が可能であり、相対的に需給量の変動性が低くて安定した価格で活用できる。既存の大豆タンパク濃縮物はタンパク質のサブユニットからなる分子量1,000kDa以上の高分子タンパク質および消化を阻害する多様な抗栄養因子(anti-nutritional factor、ANF)を複数含むので、大豆タンパク濃縮物には動物の消化能力を阻害させる要因が存在したが、一例によるフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物は原料よりフィチン酸含量が低く、低タンパクペプチドの含量が高く、消化率が増加できる。
【0064】
他の様相は、前記フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物を含む飼料組成物を提供することができる。他の様相は、前記製造方法によって製造されたフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物を含む飼料組成物を提供することができる。前記飼料組成物に含まれる‘フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物’については前述の通りである。
【0065】
本出願で、“飼料組成物”とは、個体の生命を維持し前記個体を飼育することに必要な有機または無機栄養素を供給する物質を意味する。前記飼料組成物は、飼料を摂取する個体が必要とするエネルギー、タンパク質、脂質、ビタミン、鉱物質など栄養素を含むことができ、特にこれに制限されないが、穀物類、根果類、食品加工副産物類、藻類、繊維質類、油脂類、デンプン類、夕顔類、穀物副産物類などの植物性飼料またはタンパク質類、無機物類、油脂類、鉱物性類、単細胞タンパク質、動物性プランクトン類、魚粉などの動物性飼料になり得る。本出願で前記飼料組成物は飼料に添加される物質(即ち、飼料添加剤)、飼料原料または個体に給与される飼料自体を全て含む概念である。
【0066】
前記個体は飼育対象を意味するものであって、本出願の飼料を摂取することができる生命体であれば制限なく含まれる。一例による飼料組成物は、哺乳類、家禽類、魚類、および/または甲殻類を含む多数の動物食餌、即ち、飼料に適用することができる。前記哺乳類は豚、牛、馬、鹿、ヤギ、犬、猫、および/またはウサギを含み、前記家禽類は鶏、鴨、ガチョウ、および/または七面鳥を含み、前記魚類および甲殻類は鱒、サケ、および/または海老を含むことができる。
【0067】
一例によれば、前記飼料組成物は投与のためにフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物以外に追加的にクエン酸、フマル酸、アジピン酸、乳酸などの有機酸;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、重合リン酸塩などのリン酸塩;およびポリフェノール、カテキン、トコフェロール、ビタミンC、緑茶抽出物、キトサン、タンニン酸などの天然抗酸化剤のうちの1種以上を混合して使用することができ、必要によって抗インフルエンザ剤、緩衝液、および/または静菌剤など他の通常の添加剤を添加することができる。また、希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤、および/または潤滑剤を付加的に添加して水溶液、懸濁液、乳濁液などのような注射用剤形、カプセル、顆粒または錠剤に製剤化することができる。
【0068】
一例によれば、前記飼料組成物は補助成分としてアミノ酸、無機塩類、ビタミン、抗酸化剤、抗真菌剤、抗菌剤などのような各種補助剤、粉砕または破砕された小麦、麦、トウモロコシなどの植物性タンパク質飼料、血粉、肉粉、魚粉などの動物性タンパク質飼料、動物性脂肪および植物性脂肪のような主成分以外にも栄養補充剤、成長促進剤、消化吸収促進剤、および/または疾病予防剤と共に使用できる。
【0069】
一例による飼料組成物を飼料添加物として使用する場合、前記飼料組成物をそのまま添加するか他の成分と共に使用でき、通常の方法によって適切に使用できる。飼料組成物の投与形態は非毒性の製薬上許容可能な担体と組み合わせて即時放出または徐放性剤形に製造することができる。このような食用担体は、トウモロコシデンプン、ラクトース、スクロース、プロピレングリコールであり得る。固体型担体の場合には錠剤、散剤、トローチ剤などの投与形態であり、液体型担体の場合にはシロップ剤、液体懸濁液剤、エマルジョン剤、溶液剤などの投与形態であり得る。また、投与剤は、保存剤、潤化剤、溶液促進剤、安定化剤を含有することができる。
【0070】
一例による飼料組成物は、前記フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物を乾燥重量基準にして1kg当り約1~500g、または100~500gの量で含むことができる。
【0071】
一例で、前記飼料組成物は、前記フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物以外に魚粉、小麦粉、大豆粕、大豆レシチン、魚油、ビタミン、およびミネラルからなる群より選択された1種以上を追加的に含むことができる。例えば、一例による飼料組成物は、前記フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物を10~50重量部、魚粉を10~40重量部、小麦粉を10~40重量部、大豆粕を10~30重量部、大豆レシチンを0.1~10重量部、漁油を0.1~10重量部、ビタミンを0.01~1重量部、およびミネラルを0.01~1重量部で含むことができる。
【0072】
一例で、前記ビタミンは、アスコルビン酸(Ascorbic acid)、DL-パントテン酸カルシウム(dl-Calcium pantothenate)、コリンバイトレート(Choline bitrate)、イノシトール(Inositol)、メナジオン(Menadion)、ナイアシン(Niacin)、塩酸ピリドキシン(Pyridoxine HCl)、リボフラビン(Riboflavin)、ビタミンB1(Thiamine mononitrate)、DL-アルファ-トコフェロールアセテート(dl-α-Tocopherol acetate)、レチニルアセテート(Retinyl acetate)、ビオチン(Biotin)、葉酸(Folic acid)、および/またはコバラミン(Cobalamin)であり得る。一例で、前記ミネラルは、NaCl、
Fe-Citrate、MnSO、FeSO、CuSO、ヨード酸カルシウム(Calciumiodate)、MgO、および/またはNaSeOであり得る。
【0073】
一例によれば、前記フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物を追加の飼料原料および補助成分と混合した後にマッシュで供給するか、追加加工工程を通じてペレット化、膨張化、および/または押出工程を経ることができる。
【0074】
一例による飼料組成物は、消化率が原料の大豆タンパク濃縮物および/または魚粉より同等以上に優れたものであり得る。例えば、飼料組成物は、消化率(例えば、リン消化率)が60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、60%~99.9%、60%~99%、60%~95%、60%~90%、60%~85%、65%~99.9%、65%~99%、65%~95%、65%~90%、65%~85%、70%~99.9%、70%~99%、70%~95%、70%~90%、70%~85%、75%~99.9%、75%~99%、75%~95%、75%~90%、75%~85%、80%~99.9%、80%~99%、80%~95%、80%~90%、または80%~85%であり得る。前記リン消化率は数式1または数式3によって計算されたものであり得る。
【0075】
他の様相は、前記フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物を含む、消化率(例えば、リン消化率)促進(または増加)のための飼料用組成物(例えば、飼料添加剤)を提供することができる。
【0076】
他の様相は、前記フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物を含む、魚粉(fish meal)代替用飼料用組成物(例えば、飼料添加剤)を提供することができる。
【0077】
他の様相は、一例による飼料添加剤および/または飼料組成物を動物に投与する段階を含む、消化率(例えば、リン消化率)増加方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0078】
一例によるフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物製造用組成物を使用するか一例による製造方法によれば、効率的にフィチン酸を低減させた大豆タンパク濃縮物を製造することができ、動物が利用できるリンの含量を増加させることができ、低分子ペプチドの含量比率を増加させて大豆タンパク濃縮物に対する動物の消化率を向上させることができ、一例によるフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物を含む飼料組成物は消化率が優れたものであり得る。
【発明を実施するための形態】
【0079】
以下、実施例を通じて本発明をより詳細に説明する。しかし、これら実施例は本発明を例示的に説明するためのものであって、本発明の範囲がこれら参考例および実施例に限定されるのではない。
【実施例
【0080】
〔実施例1〕
フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物の製造方法
大豆タンパク濃縮物原料はCJ Selecta自社系列会社から需給されたX-soy600製品を使用した。
【0081】
大豆タンパク濃縮物原料を105℃ドライオーブンで一晩(overnight)乾燥した後、乾燥前/後の重量を測定することによって当該原料の水分含量を測定した。原料のpHは、原料と水(90重量%)を混合して10重量%溶液を作ってこれに対するpHを測定した。大豆タンパク濃縮物原料はタンパクを約60重量%含み、水分含量は約7~8重量%であり、pHは6.5~6.8であった。
【0082】
原料の水分含量およびpHを確認した後、各酵素反応条件に合うように添加される加水量と塩酸の量を計算した。最終水分含量は下記数式2のように計算し、下記数式2で添加される塩酸の量は目標にしようとするpHによって計算された。
【0083】
(数式2)
最終水分含量%(重量%)=(原料重量(g)×原料の水分含量%(重量%)+添加される加水量(g)+添加される塩酸量(g))/(原料重量(g)+添加される加水量(g)+添加される塩酸量(g))×100
【0084】
大豆タンパク濃縮物原料に塩酸および/または水を添加して大豆タンパク濃縮物を含む組成物の水分含量は、組成物の総重量に対して40~60重量%、pH4.5~6.8に調節した。前記大豆タンパク濃縮物を含む組成物のpH調節のために塩酸を使用し、原料pH6.8反応物には水のみ添加した。本実施例では1N HClを使用して反応原料のpHを調節した。100gの大豆タンパク濃縮物原料のpHを4.5に調節するために1N HCl 40ml、pH4.75に調節するために1N HCl 33.5ml、pH5に調節するために28ml、pH5.5に調節するために1N HCl 15mlを添加した。フィターゼ(Phytase;ビジョンバイオケム)は前記大豆タンパク濃縮物を含む組成物の水分含量を調節するために添加される水に共に混合して添加し(大豆タンパク濃縮物原料基準にして0.005~0.05重量%)、これを60℃の反応温度で2時間~8時間反応させてフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物を製造した。
【0085】
また、添加されるフィターゼ濃度による効果を比較するために、水分60重量%(全体組成物基準)、およびフィターゼを多様な濃度(大豆タンパク濃縮物原料重量基準にして0.005重量%~0.5重量%)で含み、pH4.5に調節された、大豆タンパク濃縮物を含む組成物を反応させて多様な含量でフィチン酸が減少された大豆タンパク濃縮物を製造した。
【0086】
当該反応終了後、全ての試料は凍結乾燥によって乾燥および粉砕して、粉末形態にフィチン酸が減少された大豆タンパク濃縮物を製造した。
【0087】
〔実施例2〕
フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物のフィチン酸含量および遊離リン含量測定
前記実施例1の方法のように、製造したフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物に対して、フィチン酸分析キット(Phytic Acid Assay Kit;Megazyme)を使用して製造会社のマニュアルのとおりフィチン酸含量を測定した。
【0088】
フィタナゼの含量および反応時間による大豆タンパク濃縮物のフィチン酸含量を確認するために、(全体組成物を基準にして)60重量%で水分を含み、(原料重量を基準にして)0.005重量%~0.5重量%の範囲でフィターゼを含み、pHが4.5である、大豆タンパク濃縮物を含む組成物を2~4時間反応させて製造した、フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物に対するフィチン酸含量(重量%;フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物の乾物重量基準)を下記表1に記載した。
【0089】
表1で‘原料’はフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物を製造するために使用された大豆タンパク濃縮物原料を意味し、原料の水分含量は約7~8重量%であり、pHは6.5~6.8であり、フィターゼは含まれていない。下記表1で組成物に含まれている0.005%~0.5%はフィターゼの含量(大豆タンパク濃縮物原料の重量を基準にした重量%)を意味する。
【0090】
【表1】
【0091】
上記表1に示されているように、実施例1で製造された組成物は、原料に対するフィチン酸含量が顕著に減少した。
【0092】
また、前記実施例1の方法のように製造したフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物(フィターゼを大豆タンパク濃縮物原料の重量を基準にして0.05重量%、水分を全体組成物の重量を基準にして60重量%で含み、pHが4.5である、大豆タンパク濃縮物を含む組成物を4時間反応して製造)およびフィチン酸が低減されなかった大豆タンパク濃縮物(対照群)に対して、遊離リン含量(重量%;フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物の乾物重量基準)、およびPO 含量(重量%;フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物の乾物重量基準)を測定して、これを表2に記載した。
【0093】
遊離リンはmegazyme kit分析過程を経て導出された吸光度値に基づいて算出し、これはkit分析過程でフィチン酸抽出液にフィターゼやホスファターゼのような酵素作用なく元の試料に遊離されているリン含量を意味する。吸光度は655nmで測定され、kit上遊離リン吸光度を総リンの吸光度値に入力し、遊離リンの吸光度値を0として計算して、リン含量を計算した。即ち、遊離リン吸光度から計算されるリンの含量を確認して遊離リン自体の含量を導出した。
【0094】
PO は特定溶媒に溶解されて出るリンの陰イオン形態であって、抽出溶媒および方法によってその結果値が異なることがあるが、水を溶媒にして常温抽出と加熱過程を経た熱水抽出の二つの方法を用いてPO 含量を測定した。常温抽出物は試料(フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物を含む組成物)と水を一定倍数で希釈して常温で20分間抽出し、熱水抽出物は常温抽出後に沸騰水で20分間追加的に抽出した。当該抽出物は遠心分離後に上澄液を試料にしてイオンクロマトグラフィーでPO 含量を測定した。
【0095】
【表2】
【0096】
表2に示されているように、大豆タンパク濃縮物(対照群)は遊離リンを0.08~0.09重量%(フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物の乾物基準)内外で含み、PO 含量は常温抽出、熱水抽出の二つの抽出方法で回収された試料で全て0.2重量%(フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物の乾物基準)内外であるのを確認することができた。遊離リンはリン含量自体を意味し、イオンクロマトグラフィーを通じて測定されたPO 含量はリンだけでなく酸素(O)分子含量が共に反映されている。表2に示されているように、フィチン酸が減少された大豆タンパク濃縮物が含む遊離リンは約0.5重量%であって、対照群に比べてリン含量が約5~6倍増加した。また、フィチン酸が減少された大豆タンパク濃縮物のPO 含量は抽出方法によって微量の差はあるが、1.53~1.64重量%内外であるので、対照群に比べて7~8倍PO 含量が増加した。
【0097】
したがって、実施例1の方法で製造された、フィチン酸が減少された大豆タンパク濃縮物は、動物の飼料消化吸収過程で容易に用いられる形態のリンの含量が顕著に増加したことを確認することができた。
【0098】
Phosphateは配合飼料でリンの含量を補充するために用いられる添加物であって、mono-、di-、tri-calcium phosphateなどが多く用いられている。フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物はこのようなphosphate形態のリン含量を増加させてタンパク質給源以外にもその他の成分の栄養学的価値を増大させ、全体配合飼料においてリン給源の添加物使用を減らすことができる経済的効果を与えることができるはずである。
【0099】
また、フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物を製造するための組成物の水分含量およびpHによる効果を確認した。したがって、前記実施例1の方法と同様に大豆タンパク濃縮物原料を含み、全体組成物を基準にして水分を40~60重量%含み、フィターゼを大豆タンパク濃縮物の原料を基準にして0.05重量%含み、pHが4.5~6.8である、大豆タンパク濃縮物を含む組成物を60℃で2~8時間反応させ、乾燥および粉砕して粉末形態のフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物を製造し、これに対する遊離リンの含量(重量%;フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物の乾物重量基準)を前記方法のように測定して表3に示し、フィチン酸含量(重量%:フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物の乾物重量基準)を前記方法のように測定して表4に示した。
【0100】
【表3】
【0101】
表3に示されているように、一例によるフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物を製造するための組成物は遊離リン含量を増加させることができ、一例によるフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物において遊離リン含量が顕著に増加したことを確認することができた。
【0102】
【表4】
【0103】
上記表4に示されているように、一例によるフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物を製造するための組成物はフィチン酸含量を減少させることができ、一例によるフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物においてフィチン酸含量が顕著に減少したのを確認することができた。
【0104】
〔実施例3〕
フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物の特性分析
前記実施例1の方法のように製造されたフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物(フィターゼを大豆タンパク濃縮物原料を基準にして0.05重量%、水分を全体組成物基準にして60重量%含み、pHが4.5~6.8である、大豆タンパク濃縮物を含む組成物を4時間反応させた後に乾燥して製造)に対して、タンパク分解度(Gel Permeation Chromatography;GPC)、タンパク質含量(重量%:フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物の乾物重量基準)、フィチン酸含量(重量%:フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物の乾物重量基準)を測定してこれを表5に示した。
【0105】
フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物に含まれるタンパク質含量(重量%)は、ケルダール機器分析法によって測定された。
【0106】
GPCは試料(フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物)約100mgを8Mウレア溶液5mlと混合した後、超音波処理して遠心分離(8000rpm、10分)し、その後、回収した上澄液をサンプルにしてGPCカラムで分析した。分析結果導出時、分子量が互いに異なる標準タンパク質を分析して溶出遅延時間(retention time;RT)を確認して分子量とRTとの相関関係から標準曲線を算出し、これによって測定しようとする試料内のタンパク質分子量の分布図を導出することができた。具体的に、30kDa未満のタンパク質が検出されるRTを測定し、フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物が含む30kDa未満のタンパク質の比率は、全体クロマトグラム面積のうちの30kDa未満を示すRT区間での面積の比率で計算し、これを表5に記載した。この時、前記結果のうち、8Mウレア抽出溶媒のピークが現れるRT区間からは全体クロマトグラムから除外した後、全体面積を計算した。
【0107】
表5に示されているように、大豆タンパク濃縮物(対照群、原料)は約2重量%(乾物重量基準)のフィチン酸を含んでおり、実施例2に示されているように、一例による方法で製造したフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物のフィチン酸含量は減少した。
【0108】
また、GPC分析結果、フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物に含まれるタンパク含量および30kDa未満のペプチド含量は、原料として使用された大豆タンパク濃縮物と類似しているか増加した。
【0109】
【表5】
【0110】
〔実施例4〕
フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物を含む飼料の仕様評価
本実施例で前記実施例1の方法のように製造されたフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物(フィターゼを大豆タンパク濃縮物原料を基準にして0.05重量%、水分を全体組成物基準にして60重量%含み、pHが4.5~6.8である、大豆タンパク濃縮物を含む組成物を4時間反応させた後に乾燥して製造)と、フィチン酸を含有していない魚粉の消化率を測定した。
【0111】
具体的に、バナメイエビ(全羅南道古城に位置したパルタックセウで購入)に2週間基礎飼料を供給して予備飼育し、飼育実験は4週間実施した。予備飼育されたバナメイエビ(平均魚体重14.6±0.34g)を10匹ずつ3反復で無作為配置し、下記表6に記載された組成を含む実験飼料を毎日4回ずつ魚体重の6%をそれぞれ供給して飼育し、飼育中に糞を採集した。実験期間中、各水槽はヒーターを使用して29±1℃で維持し、飼育水の塩分は33±1ppt範囲を維持させた。酸素供給量は6ppm、流水量は0.8L/minで同一に維持した。飼育実験のための実験飼料供給は毎日4回魚体重の6%を供給した。魚粉(Fish meal;Anchovy fish meal、ペルー)、小麦粉(Wheat flour)、大豆粕(Soybean meal)、大豆レシチン(Soybean lecithin)、魚油(Fish oil)、ビタミンミックス(Vitamin Mix)、ミネラルミックス(Mineral Mix)が飼料製造に使用された。使用したビタミンミックスの組成は次の通りである:(ビタミンミックス(mg/kg in diets):Ascorbic acid、300mg/kg;dl-Calcium pantothenate、150mg/kg;Choline bitrate、3000mg/kg;Inositol、150mg/kg;Menadion、6mg/kg;Niacin、150mg/kg;Pyridoxine HCl、15mg/kg;Riboflavin、30mg/kg;Thiamine mononitrate、15mg/kg;dl-a-Tocopherol acetate、201mg/kg;Retinyl acetate、6mg/kg;Biotin、1.5mg/kg;Folic acid、5.4mg/kg;Cobalamin、0.06)。使用したミネラルミックスの組成は次の通りである:(ミネラルミックス(mg/kg in diets):NaCl、437.4mg/kg;
1379.8mg/kg;
226.4mg/kg;Fe-Citrate、299mg/kg;MnSO、0.016mg/kg;FeSO、0.0378mg/kg;CuSO、0.00033mg/kg;Calciumiodate、0.0006;MgO、0.00135mg/kg;NaSeO、0.00025)。
【0112】
【表6】
【0113】
バナメイエビに供給された実験飼料と糞で、指示剤として使用された酸化クロム(chromium oxide)含量を測定して、飼料消化率を測定した。酸化クロム(指示剤)をモノクロム酸(monochromate形態に酸化させるためにサンプル(実験飼料または糞)5-10mgを秤量してガラス試験管に移し過塩素酸試薬(perchloric reagent)4mlを添加し、これを300℃で20分間加熱し、ガラスフラスコに移し、3次蒸留水を添加して試料の体積が25mlになるように合わせ、350nmで吸光度を測定した。飼料のリン消化率(%)は下記数式3を用いて栄養素としてリンの含量を求めて計算し、その結果を下記表7に示した。
【0114】
(数式3)
外観上消化率(Apparant Digestible Coefficient、ADC)=100×(1-(飼料の指示剤量/糞の指示剤量)×(糞の栄養素含量/飼料の栄養素含量))
【0115】
表7に示されているように、一例によるフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物を含む飼料(DPS)の場合、リン消化率は80.8%であり、フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物の代わりに魚粉を含む飼料(FM)の場合、リン消化率は81.4%であり、二つの飼料間の統計的有意差(p<0.05)がなくてリン消化率が同等水準であるのを確認することができた。このような結果から、一例によるフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物は魚粉を代替することができるタンパク質飼料として使用可能であるのが分かった。
【0116】
【表7】
【手続補正書】
【提出日】2022-04-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大豆タンパク濃縮物およびフィターゼ(Phytase)を含み、
前記フィターゼの含量は前記大豆タンパク濃縮物の重量を基準にして0.005~0.5重量%であり、
全体組成物の重量を基準にして水分含量が40重量%以上であり、
pHが6.8以下である、フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物製造用組成物。
【請求項2】
前記フィターゼの含量は、前記大豆タンパク濃縮物の重量を基準にして0.025~0.5重量%である、請求項1に記載のフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物製造用組成物。
【請求項3】
前記水分含量は、全体組成物の重量を基準にして50重量%以上である、請求項1または2に記載のフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物製造用組成物。
【請求項4】
前記pHは、5.5以下である、請求項1~3の何れか一項に記載のフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物製造用組成物。
【請求項5】
請求項1~4のうちのいずれか一項による組成物を反応させる段階を含む、フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物の製造方法。
【請求項6】
前記段階で反応させた反応物を乾燥する段階を追加的に含む、請求項5に記載のフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物の製造方法。
【請求項7】
前記フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物は、フィチン酸を1.5重量%未満で含む、請求項5または6に記載のフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物の製造方法。
【請求項8】
前記フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物は、遊離リンを0.2~1重量%含む、請求項5~7の何れか一項に記載のフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物の製造方法。
【請求項9】
前記フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物は、全体ペプチドを基準にして30kDa未満のペプチドを15%~90%含む、請求項5~8の何れか一項に記載のフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物の製造方法。
【請求項10】
前記フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物は、動物飼料製造に使用するためのものである、請求項5~9の何れか一項に記載のフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物の製造方法。
【請求項11】
前記フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物は、原料として使用された大豆タンパク濃縮物よりリン消化率が増加されたものである、請求項5~10の何れか一項に記載のフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物の製造方法。
【請求項12】
請求項1~4のうちのいずれか一項による組成物を反応させて得られたフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物を含み、フィチン酸を1.5重量%未満で含む、フィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物。
【請求項13】
遊離リンを0.2~1重量%含む、請求項12に記載のフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物。
【請求項14】
全体ペプチドを基準にして30kDa未満のペプチドを15%~90%含む、請求項12または13に記載のフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物。
【請求項15】
請求項12によるフィチン酸が低減された大豆タンパク濃縮物を含む、飼料組成物。
【請求項16】
魚粉、小麦粉、大豆粕、大豆レシチン、魚油、ビタミン、およびミネラルからなる群より選択された1種以上を追加的に含む、請求項15に記載の飼料組成物。
【国際調査報告】