(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-06
(54)【発明の名称】癌の治療のための抗CD27抗体の投薬計画
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20221226BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221226BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221226BHJP
A61K 31/282 20060101ALI20221226BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20221226BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20221226BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20221226BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20221226BHJP
【FI】
A61K39/395 U
A61P35/00
A61K39/395 D
A61P43/00 121
A61K31/282
A61K31/519
A61K45/00
C07K16/28 ZNA
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525094
(86)(22)【出願日】2020-10-29
(85)【翻訳文提出日】2022-06-24
(86)【国際出願番号】 US2020057817
(87)【国際公開番号】W WO2021087016
(87)【国際公開日】2021-05-06
(32)【優先日】2019-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522242018
【氏名又は名称】メルク・シャープ・アンド・ドーム・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】チャータッシュ,エリオット・ケー
(72)【発明者】
【氏名】ビービ,エイミー・エム
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ジャイソン・ケー
(72)【発明者】
【氏名】ドブレンコフ,コンスタンティン
(72)【発明者】
【氏名】リー,クレア・エイチ
(72)【発明者】
【氏名】ヴネク,リチャード
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
4C206
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA16
4C084MA66
4C084NA05
4C084ZA082
4C084ZB261
4C084ZC442
4C084ZC452
4C084ZC751
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4C086AA01
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4C086MA04
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4C086NA05
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4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206JB16
4C206KA01
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4C206MA36
4C206MA86
4C206NA05
4C206ZB26
4C206ZC75
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA09
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、抗CD27抗体を単独療法として又はその組合せの一部として投与することによる、癌の治療方法に関する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重鎖および軽鎖を含む抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントの約2mg~約700mgを患者に投与することを含む、患者における癌の治療方法であって、
ここで、軽鎖は、それぞれ配列番号4、5および6のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRを含み、そして、重鎖は、それぞれ配列番号1、2および3のアミノ酸配列を含む重鎖CDRを含む、前記方法。
【請求項2】
抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが、静脈内注入により投与される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
患者に2mgの抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
患者に7mgの抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される、請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
患者に20mgの抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される、請求項1または2記載の方法。
【請求項6】
患者に30mgの抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される、請求項1または2記載の方法。
【請求項7】
患者に70mgの抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される、請求項1または2記載の方法。
【請求項8】
患者に200mgの抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される、請求項1または2記載の方法。
【請求項9】
患者に700mgの抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される、請求項1または2記載の方法。
【請求項10】
患者に約30mg、約200mgまたは約200mg~約700mgの用量の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される、請求項1記載の方法。
【請求項11】
患者に抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントを、第1日に、そしてその後は約3週間~約6週間後に少なくとも1回投与される、請求項1~10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが重鎖および軽鎖を含み、そしてここで、重鎖が、配列番号7を含む重鎖可変領域を含み、そして、軽鎖が、配列番号9を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが重鎖および軽鎖を含み、そしてここで、重鎖が配列番号8のアミノ酸配列を含み、そして、軽鎖が配列番号10のアミノ酸配列を含む、請求項1~12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
抗CD27抗体が患者に投与される、請求項1~11のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体またはその抗原結合性フラグメントと共投与される、請求項1~14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
抗CD27抗体が、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体またはその抗原結合性フラグメントと共製剤化される、請求項1~14のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
抗PD-1抗体またはその抗原結合性フラグメントが、ヒトPD-1に特異的に結合し、ヒトPD-1へのヒトPD-L1の結合を遮断する、請求項15または16記載の方法。
【請求項18】
抗PD-1抗体またはその抗原結合性フラグメントが、ヒトPD-1へのヒトPD-L2の結合をも遮断する、請求項17記載の方法。
【請求項19】
抗PD-1抗体またはその抗原結合性フラグメントが、(a)配列番号11、12および13の軽鎖CDR、ならびに、(b)配列番号16、17および18の重鎖CDRを含む、請求項18記載の方法。
【請求項20】
抗PD-1抗体が重鎖および軽鎖を含み、そしてここで、重鎖が、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、そして、軽鎖が、配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
抗PD-1抗体が重鎖および軽鎖を含み、そしてここで、重鎖が配列番号20のアミノ酸配列を含み、そして、軽鎖が配列番号15のアミノ酸配列を含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
抗PD-1抗体がペンブロリズマブである、請求項15記載の方法。
【請求項23】
抗PD-1抗体がペンブロリズマブ変異体である、請求項15記載の方法。
【請求項24】
抗PD-1抗体がニボルマブである、請求項15記載の方法。
【請求項25】
抗PD-L1抗体が、アテゾリズマブ、デュルバルマブまたはアベルマブである、請求項15記載の方法。
【請求項26】
抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが、3週間ごとに(Q3W)投与される、請求項1~25のいずれか1項記載の方法。
【請求項27】
抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが、6週間ごとに(Q6W)投与される、請求項1~25のいずれか1項記載の方法。
【請求項28】
抗PD-1抗体が、静脈内注入により200mgで第1日に、そしてその後は3週間に1回投与される、請求項15~27のいずれか1項記載の方法。
【請求項29】
抗PD-1抗体が、を静脈内注入により400mgで第1日に、そしてその後は6週間に1回投与される、請求項15~27のいずれか1項記載の方法。
【請求項30】
抗CD27抗体が患者に投与される、請求項15~27のいずれか1項記載の方法。
【請求項31】
抗PD-1抗体が、重鎖および軽鎖を含むヒト化抗PD-1抗体であり、そしてここで、重鎖は、それぞれ配列番号16、17および18の重鎖CDRを含む重鎖可変領域を含み、そして、軽鎖は、それぞれ配列番号11、12および13のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRを含む軽鎖可変領域を含み、そして、抗CD27抗体が、重鎖および軽鎖を含むヒト化抗CD27抗体であり、そしてここで、重鎖は、それぞれ配列番号1、2および3のアミノ酸配列を含む重鎖CDRを含む重鎖可変領域を含み、そして、軽鎖は、それぞれ配列番号4、5および6のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRを含む軽鎖可変領域を含む、請求項15または16記載の方法。
【請求項32】
抗PD-1抗体が重鎖および軽鎖を含み、そしてここで、重鎖は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、そして、軽鎖は、配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み、そして、抗CD27抗体が重鎖および軽鎖を含み、そしてここで、重鎖は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、そして、軽鎖は、配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項15または16記載の方法。
【請求項33】
抗PD-1抗体が重鎖および軽鎖を含み、そしてここで、重鎖は配列番号20のアミノ酸配列を含み、そして、軽鎖は配列番号15のアミノ酸配列を含み、そして、抗CD27抗体が重鎖および軽鎖を含み、そしてここで、重鎖は配列番号8のアミノ酸配列を含み、そして、軽鎖は配列番号10のアミノ酸配列を含む、請求項15または16記載の方法。
【請求項34】
抗PD-1抗体が、静脈内注入により200mgで第1日に、そしてその後は3週間に1回投与され、そして、抗CD27抗体が、静脈内注入により30mgで第1日に、そしてその後は3週間に1回投与される、請求項15、16または31~33のいずれか1項記載の方法。
【請求項35】
抗PD-1抗体が、静脈内注入により400mgで第1日に、そしてその後は6週間に1回投与され、そして、抗CD27抗体が、静脈内注入により30mgで第1日に、そしてその後は6週間に1回投与される、請求項15、16または31~33のいずれか1項記載の方法。
【請求項36】
抗PD-1抗体が、抗CD27抗体と共製剤化される、請求項31~35のいずれか1項記載の方法。
【請求項37】
癌が固形腫瘍を含む、請求項1~36のいずれか1項記載の方法。
【請求項38】
癌が、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、非扁平上皮非小細胞肺癌(NSCLC)および子宮内膜癌からなる群から選択される、請求項1~37のいずれか1項記載の方法。
【請求項39】
該方法が、カルボプラチンおよび/またはペメトレキセドを投与することを更に含む、請求項1~39のいずれか1項記載の方法。
【請求項40】
患者が、以前に抗PD-1もしくは抗PD-L1療法で治療されていない、または以前の抗PD-1もしくは抗PD-L1療法を受けている間に進行性であることが確認されている、請求項1~38のいずれか1項記載の方法。
【請求項41】
患者が、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントの前に鎮痛薬および/または抗ヒスタミン薬を投与される、請求項1~38のいずれか1項記載の方法。
【請求項42】
癌の治療における療法における使用のための、請求項1~41のいずれか1項記載の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントの使用。
【請求項43】
抗CD27抗体または抗原結合性フラグメントが、薬学的に許容される担体または希釈剤と組合される、請求項42記載の使用。
【請求項44】
少なくとも1つの治療用物質を更に含む、請求項42または43記載の使用。
【請求項45】
前記の少なくとも1つの治療用物質が、前記請求項のいずれか1項における抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体またはその抗原結合性フラグメントである、請求項44記載の使用。
【請求項46】
抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体またはその抗原結合性フラグメントと共投与される、請求項45記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は2019年11月1日付出願の米国仮特許出願第62/929,538(その全体を参照により本明細書に組み入れることとする)からの優先権を主張するものである。
【0002】
発明の分野
本発明は、がん(以下、癌と表記される)の治療に有用な抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントの投与計画に関する。特に、本発明は、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントを投与することを含む単独療法における投与計画、そしてまた、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントと、少なくとも1つの追加的な治療用物質、例えば、プログラム死(Programmed Death)1タンパク質(PD-1)またはプログラム死リガンド(Programmed Death Ligand)1(PD-L1)に対する抗体とを投与することを含む併用療法における投与計画に関する。
【背景技術】
【0003】
腫瘍壊死因子(TNF)受容体ファミリースーパーメンバーである分化抗原群(CD)27は、ヒトT細胞上の膜分子として特定された(van Lierら,1987,J.Immunol.139:1589-96)。現在の証拠によると、CD27は、TNFファミリーメンバーである単一リガンドCD70を有する(Goodwinら,1993,Cell 73:447-56)。
【0004】
CD27は専ら造血細胞、特にリンパ球系列の造血細胞、すなわち、Tリンパ球(T細胞)、Bリンパ球(B細胞)およびナチュラルキラー(NK)細胞により発現される。CD27は、最初は、T細胞受容体(TCR)刺激に対する増殖応答を増強するヒトT細胞共刺激分子として定められていた(van Lierら,1987,J.Immunol.139:1589-96)。CD27のリガンドであるCD70の存在はCD27媒介性共刺激の時機および持続性を決定する。
【0005】
未成熟樹状細胞におけるCD70のトランスジェニック発現は、ウイルスまたは腫瘍に対する免疫寛容をCD8+ T細胞応答性に変換するのに十分であった。同様に、アゴニスト性可溶性CD70は、そのようなペプチド免疫化の際にCD8+ T細胞応答を促進し(Rowleyら,2004,J Immunol 172:6039-6046)、CD70トランスジェニックマウスにおいて、TCR刺激に応答するCD4+およびCD8+ エフェクター細胞形成が著しく促進された(Arensら,2001,Immunity 15:801-12;Tesselaarら,2003,Nat Immunol 4:49-54;Kellerら,2008,Immunity 29:334-346)。マウスリンパ腫モデルにおいて、CD70遺伝子導入または抗マウスCD27抗体の注射の際に腫瘍拒絶が改善された(Arensら,2003,J Exp Med 199:1595-1605;Frenchら,2007,Blood 109:4810-15;SakanishiおよびYagita,2010,Biochem.Biophys.Res.Comm.393:829-835;ならびにPCT公開番号WO 2008/051424;WO 2012/004367)。
【0006】
PCT公開番号WO2012/004367に、免疫応答のCD27媒介性共刺激を活性化するために架橋を必要としない最初の抗ヒトアゴニスト抗体(hCD27.15と称される)が記載されている。また、架橋の際にCD27を活性化する1F5と称される抗ヒトCD27抗体が開示された(PCT公開番号WO2011/130434およびVitaleら,Clin.Cancer Res,2012,18(14):3812-3821を参照されたい)。しかし、カニクイザル由来のA59T SNPおよびCD27を有するヒトCD27に結合する能力を含む、改善された特性を有する抗ヒトCD27抗体を開発することが当技術分野において尚も必要とされている。
【0007】
抗CD27抗体の単独療法または抗PD-1もしくは抗PD-L1療法との併用療法の投与計画の選択は、該物質の血清または組織代謝回転速度、症状のレベル、該物質の免疫原性、抗薬物抗体エンドポイント、および治療される個体の標的細胞、組織または器官の利用可能性、ならびに安全性を含む幾つかの要因に左右される。抗薬物抗体の形成は治療量での薬物曝露を混乱させる可能性があり、その後の注入関連毒性を刺激しうる。また、抗CD27および/または抗PD-1/抗PD-L1治療は、免疫刺激と、安全性に影響を及ぼすサイトカイン放出の可能性とをもたらしうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO2008/051424号
【特許文献2】WO 2012/004367号
【特許文献3】WO2011/130434号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】J.Immunol.139:1589-96、1987
【非特許文献2】Cell 73:447-56、1993
【非特許文献3】J Immunol 172:6039-6046、2004
【非特許文献4】Immunity 15:801-12、2001
【非特許文献5】Nat Immunol 4:49-54、2003
【非特許文献6】Immunity 29:334-346、2008
【非特許文献7】J Exp Med 199:1595-1605、2003
【非特許文献8】Blood 109:4810-15、2007
【非特許文献9】Biochem.Biophys.Res.Comm.393:829-835、2010
【非特許文献10】Clin.Cancer Res,18(14):3812-3821、2012
【発明の概要】
【0010】
発明の概括
本発明の1つの態様は、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントを対象または患者に投与することを含む、対象または患者における癌の治療方法を提供する。種々の実施形態において、抗体はヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体である。種々の実施形態において、抗体は、単離された抗体である。
【0011】
種々の実施形態において、抗体またはその抗原結合性フラグメントは重鎖および軽鎖を含み、ここで、重鎖は配列番号1、2および3のアミノ酸配列の重鎖相補性決定領域(CDR)を含み、軽鎖は配列番号4、5および6のアミノ酸配列の軽鎖CDRを含む。例えば、軽鎖は3つのCDRを含み、重鎖は3つのCDRを含む。該方法の種々の実施形態において、重鎖CDR1は配列番号1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号4のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号5のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3は配列番号6のアミノ酸配列を含む。例えば、重鎖が含む重鎖CDR1は配列番号1のアミノ酸配列からなり、重鎖CDR2は配列番号2のアミノ酸配列からなり、重鎖CDR3は配列番号3のアミノ酸配列からなり、軽鎖CDR1は配列番号4のアミノ酸配列からなり、軽鎖CDR2は配列番号5のアミノ酸配列からなり、軽鎖CDR3は配列番号6のアミノ酸配列からなる。
【0012】
種々の実施形態において、抗体またはその抗原結合性フラグメントは重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。種々の実施形態において、重鎖可変領域は配列番号1、2および3のアミノ酸配列の3つのCDRを含み、軽鎖は配列番号4、5および6のアミノ酸配列の3つの軽鎖CDRを含む。
【0013】
該方法の種々の実施形態において、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは静脈内注入により投与される。種々の実施形態において、静脈内注入は、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントの前に鎮痛薬および/または抗ヒスタミン剤を投与することを含む。種々の実施形態において、鎮痛薬および/または抗ヒスタミン薬は抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントの投与の3時間未満、2.5時間未満、2時間未満、1.5時間未満または1時間未満前に投与される。種々の実施形態において、抗ヒスタミン薬はジフェンヒドラミンである。例えば、ジフェンヒドラミンは約50mgの用量で投与される。例えば、ジフェンヒドラミンは経口投与される。種々の実施形態において、鎮痛薬はアセトアミノフェンである。例えば、アセトアミノフェンは約500~約1000mgの用量で投与される。種々の実施形態において、アセトアミノフェンは経口投与される。
【0014】
該方法の種々の実施形態において、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは1回投与される。該方法の種々の実施形態において、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは少なくとも1回投与される。該方法の種々の実施形態において、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは複数回、例えば2回、3回、4回、5回またはそれ以上投与される。
【0015】
種々の実施形態において、抗体またはその抗原結合性フラグメントは1用量で投与される。例えば、対象または患者に約2mg、約7mg、約20mg、約30mg、約70mg、約200mgまたは約700mgの用量が投与される。種々の実施形態において、抗体またはその抗原結合性フラグメントは複数用量で投与される。
【0016】
種々の実施形態において、抗体またはその抗原結合性フラグメントは約2mg~約700mgの用量で投与される。例えば、対象または患者に約2mg、約7mg、約20mg、約30mg、約70mg、約200mgまたは約700mgが投与される。該方法の種々の実施形態において、対象または患者に2mgの抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。該方法の種々の実施形態において、対象または患者に7mgの抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。該方法の種々の実施形態において、対象または患者に20mgの抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。該方法の種々の実施形態において、対象または患者に30mgの抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。該方法の種々の実施形態において、対象または患者に70mgの抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。該方法の種々の実施形態において、対象または患者に200mgの抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。該方法の種々の実施形態において、対象または患者に700mgの抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。該方法の種々の実施形態において、対象または患者に約200mg~約700mgの用量の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。該方法の種々の実施形態において、対象または患者に約30mg~約700mgの用量の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。該方法の種々の実施形態において、対象または患者に約30mg、約200mgまたは約200mg~約700mgの用量の抗CD27抗体または抗原結合性フラグメントが投与される。該方法の種々の実施形態において、対象または患者に約30mg~約200mgの用量の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。該方法の種々の実施形態において、対象または患者に約70mg~約200mgの用量の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。
【0017】
該方法の種々の実施形態において、対象または患者に第1日に、そしてその後は3週間に1回、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。種々の実施形態において、対象または患者に単独療法として抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。種々の実施形態において、対象または患者に併用療法として抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。
【0018】
該方法の種々の実施形態において、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは重鎖および軽鎖を含み、ここで、重鎖は、配列番号7および配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は、配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0019】
該方法の種々の実施形態において、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは重鎖および軽鎖を含み、ここで、重鎖は配列番号8のアミノ酸配列を含み、軽鎖は配列番号10のアミノ酸配列を含む。
【0020】
該方法の種々の実施形態において、抗CD27抗体は対象または患者に投与される。種々の実施形態において、対象または患者に単独療法として抗CD27抗体が投与される。種々の実施形態において、対象または患者に併用療法として抗CD27抗体が投与される。例えば、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体またはその抗原結合性フラグメントと同時投与される。該方法の種々の実施形態において、抗CD27抗体は抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体またはその抗原結合性フラグメントと共に製剤化(処方)される。
【0021】
該方法の種々の実施形態において、抗PD-1抗体またはその抗原結合性フラグメントはヒトPD-1に特異的に結合し、ヒトPD-1へのヒトPD-L1の結合を遮断する。該方法の種々の実施形態において、抗PD-1抗体またはその抗原結合性フラグメントはまた、ヒトPD-1へのヒトPD-L2の結合を遮断する。該方法の種々の実施形態において、抗PD-1抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(a)配列番号16、17および18のアミノ酸配列を含む重鎖CDR、ならびに(b)配列番号11、12および13のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRを含む。
【0022】
該方法の種々の実施形態において、抗PD-1抗体またはその抗原結合性フラグメントは重鎖および軽鎖を含み、ここで、重鎖は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は、配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。該方法の種々の実施形態において、抗PD-1抗体は重鎖および軽鎖を含み、ここで、重鎖は配列番号20のアミノ酸配列を含み、軽鎖は配列番号15のアミノ酸配列を含む。
【0023】
該方法の種々の実施形態において、抗PD-1抗体はペンブロリズマブである。該方法の種々の実施形態において、抗PD-1抗体はペンブロリズマブ変異体である。
【0024】
該方法の種々の実施形態において、抗PD-1抗体はニボルマブである。該方法の種々の実施形態において、抗PD-L1抗体はアテゾリズマブ、デュルバルマブまたはアベルマブである。
【0025】
該方法の種々の実施形態において、抗PD-1抗体は静脈内注入により200mgで第1日に、そしてその後は3週間に1回投与される。該方法の種々の実施形態において、抗PD-1抗体は静脈内注入により400mgで第1日に、そしてその後は6週間に1回投与される。
【0026】
該方法の種々の実施形態において、抗PD-1抗体は、重鎖および軽鎖を含むヒト化抗PD-1抗体であり、ここで、軽鎖は、配列番号11、12および13のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRを含む軽鎖可変領域を含み、重鎖は、配列番号16、17および18のアミノ酸配列を含む重鎖CDRを含む重鎖可変領域を含み、抗CD27抗体は、重鎖および軽鎖を含むヒト化抗CD27抗体であり、ここで、重鎖は、配列番号1、2および3のアミノ酸配列を含む重鎖CDRを含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は、配列番号4、5および6のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRを含む軽鎖可変領域を含む。
【0027】
該方法の種々の実施形態において、抗PD-1抗体は重鎖および軽鎖を含み、ここで、重鎖は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は、配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み、抗CD27抗体は重鎖および軽鎖を含み、ここで、重鎖は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は、配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0028】
該方法の種々の実施形態において、抗PD-1抗体は重鎖および軽鎖を含み、ここで、重鎖は配列番号20のアミノ酸配列を含み、軽鎖は配列番号15のアミノ酸を含み、抗CD27抗体は重鎖および軽鎖を含み、ここで、重鎖は配列番号8のアミノ酸配列を含み、軽鎖は、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0029】
該方法の種々の実施形態において、抗PD-1抗体は静脈内注入により200mgで第1日に、そしてその後は3週間に1回投与され、抗CD27抗体は静脈内注入により200mgで第1日に、そしてその後は3週間に1回投与される。
【0030】
該方法の種々の実施形態において、対象または患者に第1日に、そしてその後は2、3週間または数週間に少なくとも1回、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。例えば、対象または患者に第1日および約3週間~約6週間後に抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。該方法の種々の実施形態において、対象または患者に第1日に、そしてその後は3週間ごとに、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。該方法の種々の実施形態において、対象または患者に第1日に、そしてその後は6週間ごとに、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。
【0031】
該方法の種々の実施形態において、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは重鎖および軽鎖を含み、ここで、重鎖は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は、配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0032】
該方法の種々の実施形態において、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは重鎖および軽鎖を含み、ここで、重鎖は配列番号8のアミノ酸配列を含み、軽鎖は配列番号10のアミノ酸配列を含む。
【0033】
該方法の種々の実施形態において、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体またはその抗原結合性フラグメントと共に投与される。
【0034】
該方法の種々の実施形態において、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体またはその抗原結合性フラグメントと共に製剤化される。該方法の種々の実施形態において、抗PD-1抗体またはその抗原結合性フラグメントはヒトPD-1に特異的に結合し、ヒトPD-1へのヒトPD-L1の結合を遮断する。
【0035】
該方法の種々の実施形態において、抗PD-1抗体またはその抗原結合性フラグメントはまた、ヒトPD-1へのヒトPD-L2の結合を遮断する。該方法の種々の実施形態において、抗PD-1抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(a)配列番号11、12および13のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR、および(b)配列番号16、17および18のアミノ酸配列を含む重鎖CDRを含む。
【0036】
該方法の種々の実施形態において、抗PD-1抗体は重鎖および軽鎖を含み、ここで、重鎖は、配列番号19のアミノ酸配列含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は、配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0037】
該方法の種々の実施形態において、抗PD-1抗体は重鎖および軽鎖を含み、ここで、重鎖は配列番号20のアミノ酸配列を含み、軽鎖は配列番号15のアミノ酸配列を含む。
【0038】
該方法の種々の実施形態において、抗PD-1抗体はペンブロリズマブである。該方法の種々の実施形態において、抗PD-1抗体はペンブロリズマブ変異体である。
【0039】
該方法の種々の実施形態において、抗PD-1抗体はニボルマブである。
【0040】
該方法の種々の実施形態において、抗PD-1抗体および抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは共投与される。該方法の種々の実施形態において、抗PD-1抗体および抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは共製剤化される。
【0041】
該方法の種々の実施形態において、抗PD-L1抗体はアテゾリズマブ、デュルバルマブまたはアベルマブである。
【0042】
該方法の種々の実施形態において、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは3週間ごとに(Q3W)投与される。
【0043】
該方法の種々の実施形態において、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは6週間ごとに(Q6W)投与される。
【0044】
種々の実施形態において、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは注入剤として投与される。種々の実施形態において、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは或る期間にわたって注入剤として投与される。例えば、期間は少なくとも約30分、約45分、約60分または約90分である。種々の実施形態において、期間は90分である。
【0045】
種々の実施形態において、抗PD-1抗体またはその抗原結合性フラグメントは注入剤として投与される。種々の実施形態において、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは或る期間にわたって注入剤として投与される。例えば、期間は少なくとも約30分である。種々の実施形態において、期間は30分である。
【0046】
種々の実施形態において、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントはバイアルから投与される。例えば、バイアルの容量は約1ミリリットル(mLまたはml)である。
【0047】
種々の実施形態において、バイアル中の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントの濃度は約50mg/mlである。
【0048】
該方法の種々の実施形態において、抗PD-1抗体は静脈内注入により200mgで第1日に、そしてその後は3週間に1回投与される。該方法の種々の実施形態において、抗PD-1抗体は静脈内注入により400mgで第1日に、そしてその後は6週間に1回投与される。
【0049】
該方法の種々の実施形態において、抗CD27抗体は対象または患者に投与される。該方法の種々の実施形態において、該抗CD27抗原結合性フラグメントは対象または患者に投与される。
【0050】
該方法の種々の実施形態において、抗PD-1抗体は、重鎖および軽鎖を含むヒト化抗PD-1抗体であり、ここで、重鎖は、配列番号16、17および18のアミノ酸配列を含む重鎖CDRを含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は、配列番号11、12および13のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRを含む軽鎖可変領域を含み、抗CD27抗体は、重鎖および軽鎖を含むヒト化抗CD27抗体でり、ここで、重鎖は、配列番号1、2および3のアミノ酸配列を含む重鎖CDRを含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は、配列番号4、5および6のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRを含む軽鎖可変領域を含む。
【0051】
該方法の種々の実施形態において、抗PD-1抗体は重鎖および軽鎖を含み、ここで、重鎖は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は、配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み、抗CD27抗体は重鎖および軽鎖を含み、ここで、重鎖は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は、配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0052】
該方法の種々の実施形態において、抗PD-1抗体は重鎖および軽鎖を含み、ここで、重鎖は配列番号20のアミノ酸配列を含み、軽鎖は配列番号15のアミン酸配列を含み、抗CD27抗体は重鎖および軽鎖を含み、ここで、重鎖は配列番号8のアミノ酸配列を含み、軽鎖は、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0053】
該方法の種々の実施形態において、抗PD-1抗体は静脈内注入により200mgで第1日に、そしてその後は3週間に1回投与され、抗CD27抗体は静脈内注入により30mgで第1日に、そしてその後は3週間に1回投与される。
【0054】
該方法の種々の実施形態において、抗PD-1抗体は静脈内注入により400mgで第1日に、そしてその後は6週間に1回投与され、抗CD27抗体は静脈内注入により30mgで第1日に、そして6週間に1回投与される。
【0055】
該方法の種々の実施形態において、抗PD-1抗体は抗CD27抗体と共に製剤化される。
【0056】
該方法の種々の実施形態において、癌は固形腫瘍癌であり、および/または少なくとも1つの固形腫瘍もしくは複数の固形腫瘍の存在により特徴付けられる。該方法の種々の実施形態において、癌は少なくとも1つの進行固形腫瘍の存在により特徴付けられる。該方法の種々の実施形態において、癌は、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、非扁平上皮非小細胞肺癌(NSCLC)および子宮内膜癌からなる群から選択される。
【0057】
種々の実施形態において、該方法は、カルボプラチンおよび/またはペメトレキセドを投与することを更に含む。種々の実施形態において、該方法は、カルボプラチンとペメトレキセドとの組合せを投与することを更に含む。例えば、カルボプラチンおよびペメトレキセドは抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントの後に(PD-1抗体または抗原結合性フラグメントと共にまたは組合せて)投与される。
【0058】
該方法の種々の実施形態において、対象または患者は以前に抗PD-1または抗PD-L1療法で治療されていない、あるいは以前の抗PD-1または抗PD-L1療法を受けた際に進行性であることが確認されている。
【0059】
該方法の種々の実施形態において、患者に、抗体またはその抗原結合性フラグメントを投与する前に、前投与される。種々の実施形態において、前投与は、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントの前に、鎮痛薬および/または抗ヒスタミン薬を投与することを含む。種々の実施形態において、鎮痛薬および/または抗ヒスタミン薬は抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントの投与の3時間未満、2.5時間未満、2時間未満、1.5時間未満または1時間未満前に投与される。種々の実施形態において、抗ヒスタミン薬はジフェンヒドラミンである。例えば、前投与は、ジフェンヒドラミンを約50mgの用量で投与することを含む。例えば、投与は経口投与である。種々の実施形態において、鎮痛薬はアセトアミノフェンである。例えば、前投与は、アセトアミノフェンを約500~約1000mgの用量で投与することを含む。種々の実施形態において、投与は経口投与である。
【0060】
本発明の1つの態様は、対象または患者における癌の治療における使用のための抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントを提供する。種々の実施形態において、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは重鎖および軽鎖を含み、ここで、重鎖は配列番号1、2および3のアミノ酸配列を含む重鎖CDRを含み、軽鎖は、配列番号4、5および6のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRを含む。例えば、軽鎖は3つのCDRを含み、重鎖は3つのCDRを含む。該使用の種々の実施形態において、重鎖CDR1は配列番号1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号4のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号5のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3は配列番号6のアミノ酸配列を含む。例えば、重鎖CDR1は配列番号1のアミノ酸配列からなり、重鎖CDR2は配列番号2のアミノ酸配列からなり、重鎖CDR3は配列番号3のアミノ酸配列からなり、軽鎖CDR1は配列番号4のアミノ酸配列からなり、軽鎖CDR2は配列番号5のアミノ酸配列からなり、軽鎖CDR3は配列番号6のアミノ酸配列からなる。
【0061】
種々の実施形態において、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、ここで、重鎖可変領域は、配列番号1、2および3のアミノ酸配列を含む重鎖CDRを含み、軽鎖可変領域は、配列番号4、5および6のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRを含む。例えば、軽鎖可変領域は3つのCDRを含み、重鎖可変領域は3つのCDRを含む。該使用の種々の実施形態において、重鎖可変領域CDR1は配列番号1のアミノ酸配列を含み、重鎖可変領域CDR2は配列番号2のアミノ酸配列を含み、重鎖可変領域CDR3は配列番号3のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域CDR1は配列番号4のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域CDR2は配列番号5のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域CDR3は配列番号6のアミノ酸配列を含む。例えば、重鎖可変領域CDR1は配列番号1のアミノ酸配列からなり、重鎖可変領域CDR2は配列番号2のアミノ酸配列からなり、重鎖可変領域CDR3は配列番号3のアミノ酸配列からなり、軽鎖可変領域CDR1は配列番号4のアミノ酸配列からなり、軽鎖可変領域CDR2は配列番号5のアミノ酸配列からなり、軽鎖可変領域CDR3は配列番号6のアミノ酸配列からなる。
【0062】
種々の実施形態において、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは静脈内注入により投与される。種々の実施形態において、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは静脈内注入のために製剤化(処方)される。種々の実施形態において、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは1回投与される。種々の実施形態において、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは複数回投与される。種々の実施形態において、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントはQ3Wで投与される。種々の実施形態において、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントはQ6Wで投与される。
【0063】
種々の実施形態において、静脈内注入は、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントの前に鎮痛薬および/または抗ヒスタミン剤を投与することを含む。種々の実施形態において、抗ヒスタミン薬はジフェンヒドラミンである。種々の実施形態において、鎮痛薬および/または抗ヒスタミン薬は抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントの投与の3時間未満、2.5時間未満、2時間未満、1.5時間未満または1時間未満前に投与される。例えば、ジフェンヒドラミンは約50mgの用量で投与される。例えば、ジフェンヒドラミンは経口投与される。種々の実施形態において、鎮痛薬はアセトアミノフェンである。例えば、アセトアミノフェンは約500~約1000mgの用量で投与される。種々の実施形態において、アセトアミノフェンは経口投与される。
【0064】
種々の実施形態において、抗体またはその抗原結合性フラグメントは1用量で投与される。例えば、対象または患者に約2mg、約7mg、約20mg、約30mg、約70mg、約200mgまたは約700mgの用量で投与される。種々の実施形態において、抗体またはその抗原結合性フラグメントは複数用量で投与される。例えば、対象または患者に、そのような使用のために、合計で約2mg、約7mg、約20mg、約30mg、約70mg、約200mgまたは約700mgとなる複数用量で投与される。
【0065】
種々の実施形態において、抗体またはその抗原結合性フラグメントは約2mg~約700mgの用量で投与される。例えば、対象または患者に、そのような使用のために、約2mg、約7mg、約20mg、約30mg、約70mg、約200mgまたは約700mgの抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。種々の実施形態において、対象または患者に2mgの抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。種々の実施形態において、対象または患者に7mgの抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。種々の実施形態において、対象または患者に20mgの抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。種々の実施形態において、対象または患者に30mgの抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。種々の実施形態において、対象または患者に70mgの抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。種々の実施形態において、対象または患者に200mgの抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。該使用の種々の実施形態において、対象または患者に700mgの抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。種々の実施形態において、対象または患者に約200mg~約700mgの用量の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。種々の実施形態において、対象または患者に約30mg~約700mgの用量の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。種々の実施形態において、対象または患者に約30mg、約200mgまたは約200mg~約700mgの用量の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。種々の実施形態において、対象または患者に約30mg~約200mgの用量の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。
【0066】
該使用の種々の実施形態において、対象または患者に、そのような使用のために、第1日に、そしてその後は3週間に1回、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。種々の実施形態において、対象または患者に単独療法として抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。種々の実施形態において、対象または患者に併用療法として抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。
【0067】
種々の実施形態において、そのような使用のための抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは重鎖および軽鎖を含み、ここで、重鎖は配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は、配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0068】
種々の実施形態において、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは重鎖および軽鎖を含み、ここで、重鎖は配列番号8のアミノ酸配列を含み、軽鎖は配列番号10のアミノ酸配列を含む。
【0069】
種々の実施形態において、そのような使用のために抗CD27抗体または抗原結合性フラグメントが対象または患者に投与される。種々の実施形態において、対象または患者に単独療法として抗CD27抗体または抗原結合性フラグメントが投与される。種々の実施形態において、対象または患者に併用療法として抗CD27抗体または抗原結合性フラグメントが投与される。例えば、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体またはその抗原結合性フラグメントと共に投与される。該使用の種々の実施形態において、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体またはその抗原結合性フラグメントと共に製剤化される。
【0070】
種々の実施形態において、そのような使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合性フラグメントはヒトPD-1に特異的に結合し、ヒトPD-1へのヒトPD-L1の結合を遮断する。種々の実施形態において、抗PD-1抗体またはその抗原結合性フラグメントはまた、ヒトPD-1へのヒトPD-L2の結合を遮断する。種々の実施形態において、抗PD-1抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(a)配列番号16、17および18のアミノ酸配列を含む重鎖CDR、ならびに(b)配列番号11、12および13のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRを含む。
【0071】
種々の実施形態において、抗PD-1抗体は重鎖および軽鎖を含み、ここで、重鎖は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は、配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。種々の実施形態において、抗PD-1抗体は重鎖および軽鎖を含み、ここで、重鎖は配列番号20のアミノ酸配列を含み、軽鎖は配列番号15のアミノ酸配列を含む。
【0072】
種々の実施形態において、そのような使用のための抗PD-1抗体はペンブロリズマブである。種々の実施形態において、そのような使用のための抗PD-1抗体はペンブロリズマブ変異体である。
【0073】
種々の実施形態において、そのような使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合性フラグメントおよび抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは共投与される。種々の実施形態において、そのような使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合性フラグメントおよび抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは共製剤化される。該使用の種々の実施形態において、そのような使用のための抗PD-1抗体はニボルマブである。種々の実施形態において、そのような使用のための抗PD-L1抗体はアテゾリズマブ、デュルバルマブまたはアベルマブである。
【0074】
種々の実施形態において、抗PD-1抗体またはその抗原結合性フラグメントは静脈内注入により200mgで第1日に、そしてその後は3週間に1回投与される。種々の実施形態において、抗PD-1抗体またはその抗原結合性フラグメントは静脈内注入により400mgで第1日に、そしてその後は6週間に1回投与される。
【0075】
種々の実施形態において、そのような使用のための抗PD-1抗体は、重鎖および軽鎖を含むヒト化抗PD-1抗体であり、ここで、軽鎖は配列番号11、12および13のアミノ酸配列を含む重鎖CDRを含む軽鎖可変領域を含み、重鎖は、配列番号16、17および18のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRを含む重鎖可変領域を含み、抗CD27抗体は、重鎖および軽鎖を含むヒト化抗CD27抗体であり、ここで、重鎖は、配列番号1、2および3のアミノ酸配列を含む重鎖CDRを含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は、配列番号4、5および6のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRを含む軽鎖可変領域を含む。
【0076】
種々の実施形態において、抗PD-1抗体は重鎖および軽鎖を含み、ここで、重鎖は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は、配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み、抗CD27抗体は重鎖および軽鎖を含み、ここで、重鎖は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は、配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0077】
種々の実施形態において、そのような使用のための抗PD-1抗体は重鎖および軽鎖を含み、ここで、重鎖は配列番号15のアミノ酸配列を含み、軽鎖は配列番号20のアミノ酸配列を含み、抗CD27抗体は重鎖および軽鎖を含み、ここで、重鎖は配列番号8のアミノ酸配列を含み、軽鎖は、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0078】
種々の実施形態において、そのような使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合性フラグメントは静脈内注入により200mgで第1日に、そしてその後は3週間に1回投与され、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは静脈内注入により200mgで第1日に、そしてその後は3週間に1回投与される。
【0079】
種々の実施形態において、対象または患者に抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが第1日に、そしてその後は毎週または数週間に少なくとも1回投与される。例えば、対象または患者に抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが第1日に、そして約3週間~約6週間後に投与される。
【0080】
種々の実施形態において、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは重鎖および軽鎖を含み、ここで、重鎖は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は、配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0081】
種々の実施形態において、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは重鎖および軽鎖を含み、ここで、重鎖は配列番号8のアミノ酸配列を含み、軽鎖は配列番号10のアミノ酸配列を含む。
【0082】
種々の実施形態において、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは、抗PD-1抗体もしくはその抗原結合性フラグメントまたは抗PD-L1抗体もしくはその抗原結合性フラグメントと共投与される。
【0083】
種々の実施形態において、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは、抗PD-1抗体もしくはその抗原結合性フラグメントまたは抗PD-L1抗体もしくはその抗原結合性フラグメントと共に投与される。
【0084】
種々の実施形態において、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは、抗PD-1抗体もしくはその抗原結合性フラグメントまたは抗PD-L1抗体もしくはその抗原結合性フラグメントと共製剤化される。
【0085】
種々の実施形態において、そのような使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合性フラグメントはヒトPD-1に特異的に結合し、ヒトPD-1へのヒトPD-L1の結合を遮断する。
【0086】
種々の実施形態において、そのような使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合性フラグメントはまた、ヒトPD-1へのヒトPD-L2の結合を遮断する。
【0087】
種々の実施形態において、抗PD-1抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(a)配列番号11、12および13のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR、ならびに(b)配列番号16、17および18のアミノ酸配列を含む重鎖CDRを含む。
【0088】
種々の実施形態において、抗PD-1抗体またはその抗原結合性フラグメントは重鎖および軽鎖を含み、ここで、重鎖は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は、配列番号14を含む軽鎖可変領域を含む。
【0089】
種々の実施形態において、そのような使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合性フラグメントは重鎖および軽鎖を含み、ここで、重鎖は配列番号20のアミノ酸配列を含み、軽鎖は配列番号15のアミノ酸配列を含む。
【0090】
種々の実施形態において、そのような使用のための抗PD-1抗体はペンブロリズマブである。種々の実施形態において、そのような使用のための抗PD-1抗体はペンブロリズマブ変異体である。
【0091】
種々の実施形態において、そのような使用のための抗PD-1抗体はニボルマブである。
【0092】
種々の実施形態において、そのような使用のための抗PD-L1抗体はアテゾリズマブ、デュルバルマブまたはアベルマブである。
【0093】
種々の実施形態において、そのような使用のための抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントはQ3Wで投与される。
【0094】
種々の実施形態において、そのような使用のための抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントはQ6Wで投与される。
【0095】
種々の実施形態において、そのような使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合性フラグメントは静脈内注入により200mgで第1日に、そしてその後は3週間に1回投与される。種々の実施形態において、そのような使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合性フラグメントは静脈内注入により400mgで第1日に、そしてその後は6週間に1回投与される。
【0096】
種々の実施形態において、そのような使用のための抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは対象または患者に投与される。種々の実施形態において、そのような使用のためのその抗CD27抗原結合性フラグメントは対象または患者に投与される。
【0097】
種々の実施形態において、そのような使用のための抗PD-1抗体は、重鎖および軽鎖を含むヒト化抗PD-1抗体であり、ここで、重鎖は、配列番号16、17および18のアミノ酸配列を含む重鎖CDRを含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は、配列番号11、12および13のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRを含む軽鎖可変領域を含み、抗CD27抗体は、重鎖および軽鎖を含むヒト化抗CD27抗体であり、ここで、重鎖は、配列番号1、2および3のアミノ酸配列を含む重鎖CDRを含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は、配列番号4、5および6のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRを含む軽鎖可変領域を含む。
【0098】
種々の実施形態において、そのような使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合性フラグメントは重鎖および軽鎖を含み、ここで、重鎖は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は、配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み、抗CD27抗体またはその抗原結合断片は重鎖および軽鎖を含み、ここで、重鎖は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は、配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0099】
種々の実施形態において、そのような使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合性フラグメントは重鎖および軽鎖を含み、ここで、重鎖は配列番号20のアミノ酸配列を含み、軽鎖は配列番号15のアミノ酸配列を含み、抗CD27抗体またはその抗原結合断片は重鎖および軽鎖を含み、ここで、重鎖は配列番号8のアミノ酸配列を含み、軽鎖は、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0100】
種々の実施形態において、そのような使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合性フラグメントは静脈内注入により200mgで第1日に、そしてその後は3週間に1回投与され、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは静脈内注入により30mgで第1日に、そしてその後は3週間に1回投与される。
【0101】
種々の実施形態において、そのような使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合性フラグメントは静脈内注入により400mgで第1日に、そしてその後は6週間に1回投与され、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは静脈内注入により30mgで第1日に、そしてその後は6週間に1回投与される。
【0102】
種々の実施形態において、そのような使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合性フラグメントは抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントと共製剤化される。種々の実施形態において、そのような使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合性フラグメントは抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントと共投与される。
【0103】
種々の実施形態において、そのような使用のための癌は少なくとも1つの固形腫瘍の存在によって特徴付けられる。例えば、少なくとも1つの固形腫瘍は進行固形腫瘍である。種々の実施形態において、癌は、TNBC、NSCLCおよび子宮内膜癌からなる群から選択される。
【0104】
種々の実施形態において、該使用はそのような使用のためにカルボプラチンおよび/またはペメトレキセドを更に含む。種々の実施形態において、該使用はそのような使用のためのカルボプラチンとペメトレキセドとの組合せを更に含む。
【0105】
種々の実施形態において、そのような使用のための対象または患者は以前に抗PD-1または抗PD-L1療法で治療されていない、あるいは以前の抗PD-1または抗PD-L1療法を受けた際に進行性であることが確認されている。
【0106】
本発明の1つの態様は、本明細書に記載されている抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは、表1に記載されている少なくとも1つの配列を含む)の約2mg~約700mgと、製薬上許容される賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。例えば、対象または患者に約2mg、約7mg、約20mg、約30mg、約70mg、約200mgまたは約700mgの抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。種々の実施形態において、医薬組成物は、本明細書に記載されている抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体またはその抗原結合性フラグメント、例えば、表2に記載されているペンブロリズマブ抗体の200mgを更に含む。種々の実施形態において、PD-1抗体ペンブロリズマブは静脈内注入により200mgで第1日に、そしてその後は3週間に1回投与され、抗CD27抗体は静脈内注入により30mgで第1日に、そしてその後は3週間に1回投与される。種々の実施形態において、抗PD-1抗体ペンブロリズマブは静脈内注入により400mgで第1日に、そしてその後は6週間に1回投与され、抗CD27抗体は静脈内注入により30mgで第1日に、そして6週間に1回投与される。種々の実施形態において、抗PD-1抗体は抗CD27抗体と共製剤化される。本発明の1つの態様は、本明細書に記載されている抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体またはその抗原結合性フラグメントは、表1に記載されている少なくとも1つの配列を含む)をコードする単離されたポリヌクレオチドと、材料または流体(例えば、製薬上許容される担体バッファーおよび/または希釈剤)とを含む医薬組成物を提供する。
【0107】
本発明の1つの態様は、本明細書に記載されている抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは、表1に記載されている少なくとも1つの配列を含む)の約2mg~約700mgと、使用説明とを含むキットを提供する。
【0108】
本発明の1つの態様は、本明細書に記載されている抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは、表1に記載されている少なくとも1つの配列を含む)の約2mg~約700mgと、使用説明とを含むキットを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【
図1A】
図1Aおよび
図1Bは、RECIST v1.1による研究者の評価に基づき、標的病変のベースラインからの変化率が最も高い対象(被験者)の各ウォーターフォールプロットである[ベースラインにおいて測定可能な疾患を有し、1以上の評価可能なベースライン後標的病変イメージング評価/測定を有する患者において評価された(抗体hCD27.131A単独療法の場合はn=25、抗体hCD27.131Aとペンブロリズマブとの併用療法の場合はn=19)]。各バーは個々の対象を表す。
【
図1B】
図1Aおよび
図1Bは、RECIST v1.1による研究者の評価に基づき、標的病変のベースラインからの変化率が最も高い対象(被験者)の各ウォーターフォールプロットである[ベースラインにおいて測定可能な疾患を有し、1以上の評価可能なベースライン後標的病変イメージング評価/測定を有する患者において評価された(抗体hCD27.131A単独療法の場合はn=25、抗体hCD27.131Aとペンブロリズマブとの併用療法の場合はn=19)]。各バーは個々の対象を表す。
【
図2A】
図2Aおよび
図2Bは、対象の標的病変におけるベースラインに対する経時的(週)な変化(%、パーセンテージ)を示すグラフである。対象は抗体hCD27.131A単独療法、または抗体hCD27.131Aとペンブロリズマブとを含む併用療法のいずれかで治療されていた。標的病変のベースラインからの変化率はRECIST v1.1による研究者の評価に基づいている。全ての患者は1以上のベースライン後標的病変測定を有していた。クロスオーバーした患者に関しては、クロスオーバー前の応答のみを含めた。2019年3月29日以前に最初の投薬を受けた患者のみを含めた。
【
図2B】
図2Aおよび
図2Bは、対象の標的病変におけるベースラインに対する経時的(週)な変化(%、パーセンテージ)を示すグラフである。対象は抗体hCD27.131A単独療法、または抗体hCD27.131Aとペンブロリズマブとを含む併用療法のいずれかで治療されていた。標的病変のベースラインからの変化率はRECIST v1.1による研究者の評価に基づいている。全ての患者は1以上のベースライン後標的病変測定を有していた。クロスオーバーした患者に関しては、クロスオーバー前の応答のみを含めた。2019年3月29日以前に最初の投薬を受けた患者のみを含めた。
【
図3A】
図3Aおよび
図3Bは、固形腫瘍を有する患者の編集データプロット、ならびにRECIST v1.1による研究者の評価に基づく応答および治療期間を示す。実施例1に記載されているとおり、抗体hCD27.131Aの特定の用量を、単独で(
図3A)、または200mgのペンブロリズマブとの併用療法で(
図3B)、患者に投与した。曝露および応答持続時間の結果はRECIST v1.1による研究者の評価に基づいていた。クロスオーバーした
図3Aにおける患者に関しては、クロスオーバー前の応答のみを含めた。クロスオーバーした
図3Bにおける患者に関しては、クロスオーバー後の応答データのみを含めた。
【
図3B】
図3Aおよび
図3Bは、固形腫瘍を有する患者の編集データプロット、ならびにRECIST v1.1による研究者の評価に基づく応答および治療期間を示す。実施例1に記載されているとおり、抗体hCD27.131Aの特定の用量を、単独で(
図3A)、または200mgのペンブロリズマブとの併用療法で(
図3B)、患者に投与した。曝露および応答持続時間の結果はRECIST v1.1による研究者の評価に基づいていた。クロスオーバーした
図3Aにおける患者に関しては、クロスオーバー前の応答のみを含めた。クロスオーバーした
図3Bにおける患者に関しては、クロスオーバー後の応答データのみを含めた。
【
図4】
図4は、単独療法として又は200mgのペンブロリズマブと組合されて抗体hCD27.131Aが投与された対象からのサンプルにおいて分析された代表的なCD3+ CD4+細胞上の利用可能なCD27受容体の割合を経時的に示す組合せ試験群の集約グラフである。対象に2mg、7mg、20mg、70mgまたは200mgのいずれかのhCD27.131A抗体が投与された。C1D1前投与からの変化率(%) - 平均+/-SE。
【
図5A】
図5A~Cは、単独療法として又は200mgのペンブロリズマブと組合されて抗体hCD27.131Aが投与された対象からのサンプルにおいて分析された走化性サイトカインMIP-1β(
図5A)、CD3+ CD4+ CD25+ CD127- FOXP3+ 制御性T細胞(
図5B)およびCD3+ CD4+ HLA- DR+ T細胞(
図5C)の変化を経時的に示す組合せ試験群の一連の集約グラフである。対象に2mg、7mg、20mg、70mgまたは200mgのいずれかの抗体hCD27.131Aが投与された。MIP-1bに関するC1D1前投与からの平均倍率変化 - +/- SE。制御性T細胞およびHLADR+ T細胞に関するC1D1前投与からの変化率(%) - 平均+/-SE。
【
図5B】
図5A~Cは、単独療法として又は200mgのペンブロリズマブと組合されて抗体hCD27.131Aが投与された対象からのサンプルにおいて分析された走化性サイトカインMIP-1β(
図5A)、CD3+ CD4+ CD25+ CD127- FOXP3+ 制御性T細胞(
図5B)およびCD3+ CD4+ HLA- DR+ T細胞(
図5C)の変化を経時的に示す組合せ試験群の一連の集約グラフである。対象に2mg、7mg、20mg、70mgまたは200mgのいずれかの抗体hCD27.131Aが投与された。MIP-1bに関するC1D1前投与からの平均倍率変化 - +/- SE。制御性T細胞およびHLADR+ T細胞に関するC1D1前投与からの変化率(%) - 平均+/-SE。
【
図5C】
図5A~Cは、単独療法として又は200mgのペンブロリズマブと組合されて抗体hCD27.131Aが投与された対象からのサンプルにおいて分析された走化性サイトカインMIP-1β(
図5A)、CD3+ CD4+ CD25+ CD127- FOXP3+ 制御性T細胞(
図5B)およびCD3+ CD4+ HLA- DR+ T細胞(
図5C)の変化を経時的に示す組合せ試験群の一連の集約グラフである。対象に2mg、7mg、20mg、70mgまたは200mgのいずれかの抗体hCD27.131Aが投与された。MIP-1bに関するC1D1前投与からの平均倍率変化 - +/- SE。制御性T細胞およびHLADR+ T細胞に関するC1D1前投与からの変化率(%) - 平均+/-SE。
【
図6A】
図6Aおよび
図6Bは、サイクル1における2mg~700mgの静脈内投与後のhCD27.131Aの血清濃度を経時的に示すグラフである。抗体hCD27.131Aの算術平均が公称時間においてプロットされている。
【
図6B】
図6Aおよび
図6Bは、サイクル1における2mg~700mgの静脈内投与後のhCD27.131Aの血清濃度を経時的に示すグラフである。抗体hCD27.131Aの算術平均が公称時間においてプロットされている。
【
図7】
図7は、漸増用量の抗体hCD27.131Aとペンブロリズマブとの併用療法の後のRECIST v1.1による研究者の評価に基づく、標的病変におけるベースラインからの変化率が最も高い対象のウォーターフォールプロットである[ベースラインにおいて測定可能な疾患を有し、1以上の評価可能なベースライン後標的病変イメージング評価/測定を有する患者において評価された(N=30は用量漸増部分の初期治療段階における併用療法に関するFAS集団であり、N=40は用量漸増部分におけるクロスオーバー期の併用療法に関するFAS集団である)]。40名の患者のうち、27名は、用量漸増部分の初期治療段階における併用療法を受けた患者であり、13名の患者は、用量漸増部分のクロスオーバー期における併用療法を受けた患者であった。各バーは個々の対象を表す。
【
図8】
図8は、漸増用量の抗体hCD27.131Aとペンブロリズマブとの併用療法の後のRECIST v1.1による研究者の評価に基づく、標的TNBC病変におけるベースラインからの変化率が最も高い対象のウォーターフォールプロットである[ベースラインにおいて測定可能な疾患を有し、1以上の評価可能なベースライン後標的病変イメージング評価/測定を有する患者において評価された(抗体hCD27.131Aとペンブロリズマブとの併用療法の場合はn=22;FAS集団)]。各バーは個々の対象を表す。
【0110】
詳細な説明
略語
本発明の詳細な説明および実施例の全体を通して、以下の略語が使用される。
【0111】
略語/用語: 定義
ADA: 抗薬物抗体
ADCC: 抗体依存性細胞傷害
AE: 有害事象
AJCC: 米国癌合同委員会(American Joint Committee on Cancer)
ALT: アラニンアミノトランスフェラーゼ
ANC: 好中球絶対数
aPTT: 活性化部分トロンボプラスチン時間
ASaT: 治療を受けた全対象
ASCO: 米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology)
AST: アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ
AUC: 曲線下面積
BCG: カルメット・ゲラン桿菌(Bacillus Calmette-Guerin)
β-hCG: β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン
CBR: 臨床利益率
CDC: 補体依存性細胞傷害
CDR: 免疫グロブリン可変領域内の相補性決定領域
CHO: チャイニーズハムスター卵巣
Cmax: 最大濃度
Cmin: 最小濃度
CNS: 中枢神経系
CR: 完全応答
CRC: 結腸直腸癌
CRF: 症例報告書
CSF: コロニー刺激因子
CSR: 臨床研究報告
CT: コンピューター断層撮影
CTCAE: 有害事象共通用語規準
CTLA-4: 細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4
D: 次の低用量に減少させる
DCR: 病勢コントロール率
DFS: 無病生存期間
DILI: 薬物誘発性肝障害
DLT: 用量制限毒性
DNA: デオキシリボ核酸
DOR: 応答持続時間
DSDR: 永続的安定疾患率
DU: 許容できない毒性用量
ECG: 心電図
ECI: 臨床的に注目すべきイベント
ECOG: 東部共同腫瘍学グループ(Eastern Cooperative Oncology Group)
eCRF: 電子的症例報告書
ELISA: 酵素結合免疫吸着アッセイ
EMA: 欧州医薬品庁(European Medicines Agency)
FAS: 完全分析セット
FBR: 将来の生物医学研究
FDAA: 食品医薬品局改正法(Food and Drug Administration Amendments Act)
FFPE: ホルマリン固定、パラフィン包埋
FR: 抗体フレームワーク領域:CDR領域以外の免疫グロブリン可変領域
FSH: 卵胞刺激ホルモン
GCP: 臨床試験実施基準
GFR: 糸球体濾過率
GGT: ガンマグルタミルトランスフェラーゼ
GI: 胃腸(消化器)癌
GU: 泌尿生殖器癌
HBsAg: B型肝炎表面抗原
HCV: C型肝炎ウイルス
HIV: ヒト免疫不全ウイルス
HRT: ホルモン補充療法
HRP: 西洋ワサビペルオキシダーゼ
IB: 治験薬概要書
IC50: 50%阻害をもたらす濃度
ICF: 同意説明(インフォームドコンセント)文書
ICH: 医薬品規制調和国際会議
iCPD: iRECISTにより確認された進行性疾患
IEC: 独立倫理委員会
IFN: インターフェロン
Ig: 免疫グロブリン
IHC: 免疫組織化学
IL: インターロイキン
IM: 筋肉内
INR: 国際標準化比
irAE: 免疫関連有害事象
irRC: 免疫関連応答基準
IRB: 治験審査委員会
iRECIST: 免疫療法に関する修正RECIST1.1
iSD: iRECIST安定疾患
iUPD: iRECISTで未確認の進行性疾患
IV: 静脈内
IVRS: 対話型音声応答システム
IWRS: 自動ウェブ応答システム
Kabat: Elvin A.Kabat((1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.)によって創始された免疫グロブリンアラインメントおよび番号付け系(ナンバリングシステム)
LDH: 乳酸デヒドロゲナーゼ
M1a: 単一転移部位
M1b: 腹膜または複数転移部位
mAbまたはMabまたはMAb: モノクローナル抗体
MASCC: 多国籍癌支援ケア協会(Multinational Association of Supportive Care in Cancer)
MRI: 磁気共鳴画像法
mRNA: メッセンジャーリボ核酸
MSD: Merck & Co.,Inc.の子会社であるMerck Sharp & Dohme Corp.
MSI: マイクロサテライト不安定性
MTD: 最大耐量
mTPI: 修正毒性確率間隔
NCBI: 国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)
NCI: 国立癌研究所(National Cancer Institute)
NK: ナチュラルキラー
NOAEL: 有害作用は観察されなかった
NSAID: 非ステロイド性抗炎症薬
NSCLC: 非小細胞肺癌
ORR: 客観的応答率
OS: 全生存期間
OTC: 店頭薬
PBMC: 末梢血単核細胞
PD: 薬力学
PD: 進行性疾患
PD-1: プログラム細胞死1
PD-L1: プログラム細胞死リガンド1
PD-L2: プログラム細胞死リガンド2
PFS: 無増悪生存期間
PK: 薬物動態
PP: パー・プロトコル(プロトコル遵守)
PR: 部分的応答
PT: プロトロンビン時間
PTT: 部分トロンボプラスチン時間
Q2W: 2週間に1回投与
Q3W: 3週間に1回投与
Q6W: 6週間に1回投与
QD: 1日1回投与
RECIST: 固形癌効果判定基準
RECIST: 固形癌効果判定基準バージョン1.1
RNA: リボ核酸
RP2D: 推奨フェーズ2用量
SAE: 重篤な有害事象
SAP: 統計分析計画
SD: 安定疾患
SEB: スタフィロコッカスエンテロトキシンB
SGOT: 血清グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ
SGPT: 血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ
SNP: 一塩基多型
SoA: 活動のスケジュール
sSAP: 補足統計分析計画
STS: 軟部肉腫
T1/2またはT1/2: 半減期
TCR: T細胞受容体
TNBC: トリプルネガティブ乳癌
TNF: 腫瘍壊死因子
TSH: 甲状腺刺激ホルモン
TT: 破傷風トキソイド
V領域: 異なる抗体間で配列が可変性であるIg鎖のセグメント。それは軽鎖のKabat残基107および重鎖の113に伸長する。
VH: 免疫グロブリン重鎖可変領域
VK: 免疫グロブリンカッパ軽鎖可変領域
ULN: 正常値の上限
WOCBP: 出産可能性のある女性
【0112】
定義
本発明がより容易に理解されうるように、幾つかの科学技術用語を以下に具体的に定義する。本明細書中の他の箇所で特に定義されていない限り、本明細書中で用いる他の全ての科学技術用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解される意味を有する。
【0113】
添付の特許請求の範囲を含む本明細書において用いる単数形の語は、文脈に明らかに矛盾しない限り、その対応複数対象物を含む。
【0114】
動物、ヒト、実験対象、細胞、組織、器官または生物学的流体に適用される「投与」は、動物、ヒト、対象、細胞、組織、器官または生物学的流体との外因性医薬、治療用物質、診断剤または組成物の接触を意味する。細胞への投与は、細胞との試薬の接触、および細胞に接触している流体との試薬の接触を含む。「投与」は、試薬、診断剤、結合性化合物または別の細胞による、例えば細胞の、インビトロおよびエクスビボ(ex vivo)投与をも意味する。
【0115】
「バイオマーカー」は、特定の状態の存在または進行の可能性または治療の成功を反映する、客観的に測定される指標、化合物または分子である。バイオマーカーは医薬品開発において長い間使用されており、新たな有効性バイオマーカーの発見および検証は、予測疾患モデルを改善し、医薬品開発に伴う時間およびコストを削減し、実験薬を臨床的治療薬に変換する成功率を増加させることが期待される。更に、バイオマーカーは疾患発生、病態変化ならびに疾患制御における行動変容および治療法の有効性の早期発見において貴重である。
【0116】
「治療する」または「治療」は、本発明の抗体または抗原結合性フラグメントのいずれかを含有する組成物のような治療用物質を、該治療用物質が治療活性を示す癌の疾患症状の1以上を有する又は該疾患を有する疑いのある対象または患者に内的または外的に投与することを意味する。該物質は、いずれかの臨床的に測定可能な度合によるそのような症状の退縮の誘導またはそのような症状または徴候の進行の抑制により、治療対象または集団における1以上の疾患症状または疾患徴候を軽減するのに有効な量で投与される。いずれかの特定の疾患症状または疾患徴候を軽減するのに有効な治療用物質の量は患者の病態、年齢および体重、ならびに対象において所望の応答を惹起する薬物の能力のような要因によって変動しうる。疾患症状または疾患徴候が軽減したかどうかは、その症状またはその徴候の重症度または進行状態を(ある期間にわたって)評価するために医師または他の熟練した医療提供者によって典型的に用いられるいずれかの臨床的尺度により評価されうる。本発明の種々の実施形態においては、抗体または抗原結合性フラグメントおよび医薬組成物は全ての患者における標的疾患症状、標的疾患徴候、複数の徴候もしくは効果、または有害作用の軽減において有効であるとは限らないかもしれないが、それは、当技術分野で公知のいずれかの統計的検定、例えばスチューデントt検定、カイ2検定、マン(Mann)およびホイットニー(Whitney)によるU検定、クルスカル-ワリス(Kruskal-Wallis)検定(H検定)、ヨンケーレ-テルプストラ(Jonckheere-Terpstra)検定およびウィルコクソン(Wilcoxon)検定により決定された場合に、統計的に有意な患者の数(例えば、数日、数か月または数年のような期間にわたる患者の数)において、そのような症状、徴候、複数の徴候または効果を軽減するべきである。例えば、本明細書に開示されている種々の実施形態においては、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、hCD27.131A)は、活動性疾患(例えば、癌)を有する対象または患者に投与され、治療有効量は、測定される症状を、ある期間にわたって、ある程度または割合(例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%)で低減するであろう。
【0117】
本明細書中で用いる「抗体」なる語は、所望の生物活性を示す任意の形態の抗体を意味する。したがって、それは最も広い意味で用いられ、具体的には、モノクローナル抗体(2つの軽鎖と2つの重鎖とを含む完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、ヒト化抗体、完全ヒト抗体およびキメラ抗体を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0118】
一般に、基本的な抗体構造単位は四量体を含む。各四量体は、ポリペプチド鎖の、2つの同一ペアを含み、各ペアは1つの「軽」鎖(約25kDa)および1つの「重」鎖(約50~70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、主に抗原認識をもたらす約100~110個またはそれ以上のアミノ酸の可変領域を含む。重鎖のカルボキシ末端部分は、エフェクター機能を主にもたらす定常領域を定めうる。典型的には、ヒト軽鎖はカッパおよびラムダ軽鎖として分類される。更に、ヒト重鎖は、典型的には、ミュー、デルタ、ガンマ、アルファまたはイプシロンとして分類され、それぞれIgM、IgD、IgG、IgAおよびIgEとして、抗体のアイソタイプを定める。軽鎖および重鎖においては、可変領域および定常領域は約12個以上のアミノ酸の「J」領域により連結されており、重鎖は約10個以上のアミノ酸の「D」領域をも含む。全般的には、Fundamental Immunology Ch.7(Paul,W.編,2nd ed.Raven Press,N.Y.(1989))を参照されたい。
【0119】
各軽/重鎖ペアの可変領域は抗体結合部位を形成する。したがって、一般に、無傷抗体は2つの結合部位を有する。二官能性または二重特異性抗体の場合を除き、それらの2つの結合部位は一般に同じである。
【0120】
典型的には、重鎖および軽鎖の両方の可変ドメインは、比較的保存されたフレームワーク領域(FR)内に位置する、相補性決定領域(CDR)とも称される3つの超可変領域を含む。CDRは、通常、特定のエピトープへの結合が可能になるように、フレームワーク領域により整列されている。一般に、軽鎖および重鎖の両方の可変ドメインは、N末端からC末端方向に、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4を含む。各ドメインへのアミノ酸の帰属は、一般に、Sequences of Proteins of Immunological Interest,Kabatら;National Institutes of Health,Bethesda,Md.;5th ed.;NIH Publ.No.91-3242(1991);Kabat(1978)Adv.Prot.Chem.32:1-75;Kabatら(1977)J.Biol.Chem.252:6609-6616;Chothiaら(1987)J Mol.Biol.196:901-917またはChothiaら(1989)Nature 342:878-883の定義に基づいている。
【0121】
特に示されていない限り、本明細書中で用いる「抗体フラグメント」、「その抗原結合性フラグメント」、「抗原結合性フラグメント」または「抗原結合フラグメント」は、抗体の抗原結合性フラグメント、すなわち、完全長抗体により結合される抗原に特異的に結合する能力を保有する抗体フラグメント、例えば、1以上のCDR領域を保有するフラグメントを意味する。抗体結合性フラグメントの例には、Fab、Fab’、F(ab’)2およびFvフラグメント;ジアボディ;単鎖(一本鎖)抗体分子、例えばscFv;抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0122】
「Fabフラグメント」は1個の軽鎖ならびに1個の重鎖の可変領域およびCH1から構成される。Fab分子の重鎖は別の重鎖分子とはジスルフィド結合を形成し得ない。「Fabフラグメント」は抗体のパパイン切断の産物でありうる。
【0123】
「Fc」領域は、抗体のCH3およびCH2ドメインを含む2個の重鎖フラグメントを含有する。それらの2個の重鎖フラグメントは2以上のジスルフィド結合により、およびCH3ドメインの疎水性相互作用により結合している。
【0124】
「Fab’フラグメント」は1個の軽鎖、ならびにVHドメインおよびCH1ドメインを含有する1個の重鎖の部分またはフラグメント、そしてまた、CH1およびCH2ドメイン間の領域を含有し、その結果、2個のFab’フラグメントの、2個の重鎖間で、鎖間ジスルフィド結合が形成されて、F(ab’)2分子を形成しうる。
【0125】
「F(ab’)2フラグメント」は、2個の軽鎖、ならびにCH1およびCH2ドメイン間の定常領域の部分を含有する2個の重鎖を含有し、その結果、それらの2個の重鎖の間で鎖間ジスルフィド結合が形成される。したがって、F(ab’)2フラグメントは、それらの2個の重鎖の間のジスルフィド結合により連結された2個のFab’フラグメントから構成される。「F(ab’)2フラグメント」は抗体のペプシン切断の産物でありうる。
【0126】
「Fv領域」は重鎖および軽鎖の両方からの可変領域を含むが、定常領域を欠いている。
【0127】
「単鎖Fv(一本鎖Fv)」または「scFv」抗体なる語は、抗体のVHドメインとVLドメインとを含む抗体フラグメントを意味し、ここで、これらのドメインは単一ポリペプチド鎖内に存在する。一般に、Fvポリペプチドは更に、VHドメインとVLドメインとの間にポリペプチドリンカーを含み、これは、scFvが抗原結合のための望ましい構造を形成することを可能にする。scFvの総説として、Pluckthun(1994)THE PHARMACOLOGY OF MONOCLONAL ANTIBODIES,vol.113,RosenburgおよびMoore編,Springer-Verlag,New York,pp.269-315を参照されたい。また、国際特許出願公開番号WO 88/01649ならびに米国特許第4,946,778号および第5,260,203号も参照されたい。
【0128】
「二価抗体」は2つの抗原結合部位を含む。幾つかの場合には、それらの2つの結合部位は、同じ抗原特異性を有する。しかし、二価抗体は二重特異性でありうる(後記を参照されたい)。
【0129】
作用物質(例えば、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントおよび追加的な治療用物質、例えばPD-1抗体またはその抗原結合性フラグメントなどの)に関して本明細書において用いる「共投与」は、重複する治療活性を有するように該物質を投与することを意味し、それらの物質を同時に対象に投与することを必ずしも意味しない。該物質は投与前に物理的に組合されていても、組合されていなくてもよい。1つの実施形態においては、該物質は対象に同時またはほぼ同時に投与される。例えば、別々のバイアル内に含有される抗PD-1抗体および抗CD27抗体または抗原結合性フラグメントは、液体溶液の場合、同じ静脈内注入バッグまたは注射装置内に混合され、同時に患者に投与される。
【0130】
本明細書中で用いる「共製剤化される」または「共製剤化」または「共製剤」または「共処方」は、単一のバイアルまたは容器(例えば、注射装置)内で一緒に製剤化(処方)され、組合せ製品として貯蔵される少なくとも2つの作用物質(例えば、異なる抗体または抗原結合性フラグメント)に関するものであり、それらは別々に製剤化(処方)され貯蔵され、ついで投与前に混合され又は別々に投与されるのではない。1つの実施形態においては、共製剤は、本明細書に記載されている2つの異なる抗体またはその抗原結合性フラグメント、例えば、本明細書に記載されている抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントおよび本明細書に記載されているPD-1抗体または抗原結合性フラグメントを含有する。
【0131】
本明細書中で用いる「ジアボディ」なる語は、2つの抗原結合部位を有する小さな抗体フラグメントを意味し、該フラグメントは、同一ポリペプチド鎖内で軽鎖可変ドメイン(VL)に連結された重鎖可変ドメイン(VH)(VH-VLまたはVL-VH)を含む。同一鎖上で2つのドメイン間のペア形成を可能にするには短すぎるリンカーを使用することにより、それらのドメインは別の鎖の相補的ドメインとペア形成することを強要され、2つの抗原結合部位を生成する。ジアボディは、例えばEP 404,097;WO 93/11161;およびHollingerら(1993)Proc.Natl.Acad Sci.USA 90:6444-6448に、より詳細に記載されている。操作された抗体変異体の総説としては、全般的には、HolligerおよびHudson(2005)Nat.Biotechnol.23:1126-1136を参照されたい。
【0132】
典型的には、何らかの方法で修飾された本明細書中で用いる抗体または抗原結合性フラグメントは、その活性がモル基準で表された場合、(親抗体と比較した場合に)その結合活性の少なくとも10%を保有する。好ましくは、本発明の抗体または抗原結合性フラグメントは親抗体としてのCD27結合アフィニティの少なくとも20%、50%、70%、80%、90%、95%または100%またはそれ以上を保有する。また、本発明の抗体または抗原結合性フラグメントは、その生物活性を実質的に改変しない保存的または非保存的アミノ酸置換(抗体の「保存的変異体」または「機能保存変異体」と称される)を含みうると意図される。
【0133】
「単離(された)」抗体またはその抗原結合性フラグメントは、それらが産生された細胞または細胞培養からの他の生物学的分子を少なくとも部分的に含有しない。そのような生物学的分子には、核酸、タンパク質、脂質、炭水化物、または細胞残渣および増殖培地のような他の物質が含まれる。単離された抗体またはその抗原結合性フラグメントは更に、宿主細胞からの又はその増殖培地の生物学的分子のような発現系成分を少なくとも部分的に含有しない。一般に、「単離(された)」なる語は、そのような生物学的分子の完全な非存在、または水、バッファーもしくは塩の非存在、または該抗体もしくはフラグメントを含む医薬製剤の成分を指すものではない。
【0134】
本明細書中で用いる「キメラ抗体」は、一次抗体からの可変ドメインと二次抗体からの定常ドメインとを有する抗体であり、ここで、一次抗体および二次抗体は、異なる種に由来する(米国特許第4,816,567号およびMorrisonら,(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851-6855)。典型的には、可変ドメインは実験動物(「親抗体」)、例えば齧歯類から得られ、定常ドメイン配列はヒト抗体から得られ、その結果、生じるキメラ抗体は、ヒト対象において有害免疫応答を惹起する可能性が親(例えば、マウス)抗体より低いであろう。
【0135】
本発明は抗CD27ヒト化抗体およびその抗原結合性フラグメント(例えば、ヒト化されたラットまたはマウス抗体)の使用およびそれらの使用方法を含む。本発明はhCD27.131A抗体の任意のヒト化形態を含む。本明細書中で用いる「131A抗体」および「hCD27.131A」は、本明細書に記載されている抗体、例えば、配列番号7のVH領域と配列番号9のVL領域とを含む抗体を意味するものとして互換的に用いられる。
【0136】
本明細書中で用いる「ヒト化抗体」なる語は、ヒト抗体および非ヒト(例えば、マウスまたはラット)抗体の両方からの配列を含有する抗体の形態を意味する。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、ここで、超可変ループの全て又は実質的に全ては非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、フレームワーク(FR)領域の全て又は実質的に全てはヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体は、所望により、ヒト免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部(例えば、Fcドメイン)を含みうる。ヒト化抗体の更なる詳細は、例えば、Jonesら,Nature,321:522-525(1986);Reichmannら,Nature,332:323-329(1988);Presta,Curr.Op.Struct.Biol.,2:593-596(1992);およびClark,Immunol.Today 21:397-402(2000)を参照されたい。
【0137】
本明細書中で用いる「フレームワーク」または「FR」なる語は、本明細書においてCDR残基として定義されている超可変領域残基以外の可変ドメイン残基を意味する。
【0138】
本明細書中で用いる「超可変領域」なる語は、抗原結合をもたらす、抗体またはその抗原結合性フラグメントのアミノ酸残基を意味する。超可変領域はCDR(すなわち、軽鎖可変ドメイン内のCDRL1、CDRL2およびCDRL3ならびに重鎖可変ドメイン内のCDRH1、CDRH2およびCDRH3)からのアミノ酸残基を含む。Kabatら(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(配列により抗体のCDR領域を定めている)を参照されたい。また、ChothiaおよびLesk(1987)J.Mol.Biol.196:901-917(構造により抗体のCDR領域を定めている)も参照されたい。
【0139】
「単離された核酸分子」または「単離されたポリヌクレオチド」は、該単離ポリヌクレオチドが天然で見出される場合のポリヌクレオチドの全部または一部を伴っておらず、あるいはそれが天然で連結していないポリヌクレオチドに連結している、ゲノム、mRNA、cDNAもしくは合成由来またはそれらの何らかの組合せのDNAまたはRNAを意味する。本開示の目的においては、特定のヌクレオチド配列を「含む核酸分子」は無傷染色体を含まない、と理解されるべきである。特定されている核酸配列を「含む」単離された核酸分子は、特定されている配列に加えて、10個まで又は更には20個まで又はそれ以上の他のタンパク質またはその一部もしくは断片のコード配列を含むことが可能であり、あるいは、挙げられている核酸配列のコード領域の発現を制御する機能的に連結された調節配列を含むことが可能であり、および/あるいは、ベクター配列を含むことが可能である。
【0140】
「制御配列」なる語は、特定の宿主生物における機能的に連結されたコード配列の発現に必要なDNA配列を意味する。原核生物に適した制御配列には、例えば、プロモーター、所望により、オペレーター配列、およびリボソーム結合部位が含まれる。真核細胞はプロモーター、ポリアデニル化シグナルおよびエンハンサーを用いることが公知である。
【0141】
核酸またはポリヌクレオチドが「機能的に連結」されていると言えるのは、それが別の核酸配列に対して機能的な関係で配置されている場合である。例えば、プレ配列または分泌リーダーのDNAがポリペプチドのDNAに機能的に連結されていると言えるのは、それが、該ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現される場合であり、プロモーターまたはエンハンサーがコード配列に機能的に連結されていると言えるのは、それが該配列の転写に影響を及ぼす場合であり、あるいはリボソーム結合部位がコード配列に機能的に連結されていると言えるのは、翻訳を促進するようにそれが位置している場合である。一般に(しかし常にそうである必要はないが)、「機能的に連結(されている)」は、連結されているDNA配列が連続的であり、分泌リーダーの場合には、連続的であり、かつ、リーディングフェーズにおけるものであることを意味する。しかし、エンハンサーは連続的である必要はない。連結は簡便な制限部位における連結により達成される。そのような部位が存在しない場合には、通常の慣例に従って合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーが使用される。
【0142】
本明細書中で用いる「細胞」、「細胞系」および「細胞培養」なる表現は互換的に用いられ、全てのそのような表現は後代を含む。したがって、「形質転換体」および「形質転換細胞」なる語は、導入(トランスファー)の数には無関係に、初代対象細胞、およびそれに由来する培養を含む。また、意図的または偶発的な突然変異ゆえに、全ての後代が厳密に同一のDNA含量を有するわけではないと理解される。元の形質転換細胞においてスクリーニングされたものと同じ機能または生物活性を有する突然変異体後代も含まれる。異なる名称が意図される場合、それは文脈から明らかであろう。
【0143】
本明細書中で用いる「生殖系列配列」は未再構成免疫グロブリンDNA配列の配列を意味する。いずれかの適切な未再構成免疫グロブリン配列源が使用されうる。ヒト生殖系列配列は、例えば、National Institute of Arthritis and Musculoskeletal and Skin Diseases of the United States National Institutes of Healthのウェブサイト上でJOINSOLVER生殖系列データベースから得られうる。マウス生殖系列配列は、例えば、Giudicelliら,(2005)Nucleic Acids Res.33:D256-D261に記載されているとおりに得られうる。
【0144】
本明細書中で用いる「治療有効量」は、癌(例えば、固形腫瘍の存在により特徴付けられる癌)の増殖(成長)を抑制、遅延または低減する場合に、対象への単一または複数用量の投与(例えば、30分間のような或る期間にわたる注入治療、またはボーラスおよび/もしくは維持用量)に際して、単独療法として又は他の有効成分(例えば、PD-1抗体またはその抗原結合性フラグメント)と組合された場合に有効である治療用物質(例えば、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント、例えばhCD27.131A)の量を意味する。治療的有効(である)はまた、治療用途に適した抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(単独療法として又は他の活性剤と組合せて使用される場合)の量に関するものであると意図される。種々の実施形態において、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントの治療有効量は、治療用物質(例えば、抗PD-1抗体、例えば、ペンブロリズマブ)と組合せて固形腫瘍癌を治療するために必要とされる抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントの量である。
【0145】
本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合性フラグメントのいずれかの治療的有効用量(例えば、表1を参照されたい)は、単独で又は追加的な治療用物質と組合せて、細胞、組織または対象に投与可能であり、疾患、例えば癌の症状の1以上または癌の進行における測定可能な改善を引き起こすのに有効である。治療的有効用量は、症状の少なくとも部分的な改善、例えば腫瘍の退縮または排除、腫瘍成長の欠如、生存期間の延長をもたらすのに十分な該抗体またはそのフラグメントの量でありうる。有効用量は、単独で投与される個々の有効成分に適用される場合には、その成分のみに関するものである。有効用量は、組合せ体に適用される場合には、連続投与または同時投与のいずれで併用(組合せ)投与されるかにかかわらず、治療効果をもたらす有効成分の量と組合されうる。治療用物質の有効量は、少なくとも10%、通常は少なくとも20%、好ましくは少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも40%、最も好ましくは少なくとも50%の、バイオマーカー、尺度またはパラメータの改善をもたらしうる。有効量はまた、疾患の重症度を評価するために主観的尺度が用いられる場合には、主観的尺度における改善をもたらしうる。
【0146】
癌と診断された又は癌を有する疑いのある対象に適用される「腫瘍」は任意のサイズの悪性または潜在的に悪性の新生物または組織塊を意味し、原発腫瘍および続発新生物を含む。固形腫瘍は、嚢胞または液体領域を通常は含有しない組織の異常な成長または塊である。種々のタイプの固形腫瘍が、それらを形成する細胞のタイプにちなんで命名されている。固形腫瘍の例としては、肉腫、癌腫およびリンパ腫が挙げられる。白血病(血液の癌)は、一般に、固形腫瘍を形成しない(National Cancer Institute,Dictionary of Cancer Terms)。
【0147】
「固形腫瘍癌」なる語は、悪性腫瘍が別の位置に存在し嚢胞および/または液体領域を含有しない、癌疾患として定義される。固形腫瘍は良性(癌ではない)または悪性(癌)でありうる。膀胱癌、乳癌、結腸および直腸癌(結腸直腸癌)、子宮内膜癌、腎臓(腎細胞)癌、肺癌、膵臓癌、前立腺癌および甲状腺癌は、異なるタイプの固形腫瘍癌の非限定的な例である。白血病は、固形腫瘍癌ではない癌の一例である。米国特許第10,451,626号を参照されたい。
【0148】
抗CD27抗体の物理的および機能的特性
本発明は、特定された構造的および機能的特徴を有する抗CD27抗体およびその抗原結合性フラグメント、ならびに疾患(例えば、癌)の治療または予防における該抗体またはその抗原結合性フラグメントの使用方法を提供する。「本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント」には、本明細書に記載されている任意の抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、以下に示されているhCD27.131AまたはPCT公開番号WO2018/058022に開示されているそのヒト化形態)あるいはその変異体(例えば、配列変異体または機能的変異体);以下の表1に記載されている(下線および強調表示で示された)CDRの任意の1以上を含む任意の抗体またはその抗原結合性フラグメントが含まれる。
【0149】
【0150】
【0151】
前記のとおり、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントのいずれかと同じエピトープに結合する抗体およびそのフラグメントも本発明の一部として使用されうる。1つの実施形態においては、本発明は、例えば、配列番号7のアミノ酸配列を含む可変重鎖と配列番号9のアミノ酸配列を含む可変軽鎖とを含む抗体または抗原結合性フラグメントのような、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合性フラグメントと同じヒトCD27のエピトープに結合する抗体またはその抗原結合性フラグメントを提供する。もう1つの実施形態においては、本発明は、配列番号7のアミノ酸配列を含む可変重鎖と配列番号9のアミノ酸配列を含む可変軽鎖とを含む抗体と同じヒトCD27のエピトープに結合する抗体またはその抗原結合性フラグメントを提供する。標的抗原上の抗体エピトープを位置決定(マッピング)するための幾つかの方法が利用可能であり、それらには、H/D-Ex、質量分析、X線結晶解析、ペプスキャン(pepscan)分析、アラニンスキャニング、ヒドロキシルラジカルフットプリンティングおよび部位特異的突然変異誘発が含まれる。例えば、タンパク質分解および質量分析と組合されたHDX(水素重水素交換)が、特異的抗原Y上の抗体のエピトープを決定するために用いられうる。HDX-MSは、D2O中で単独で又はその抗体の存在下で種々の時間間隔でインキュベートされた場合の、抗原による重水素取り込みの度合の正確な測定および比較に基づいている。重水素は露出領域内のタンパク質のアミドバックボーン上の水素と交換されるが、抗体に結合した抗原の領域は保護され、タンパク質分解断片のLC-MS/MSによる分析の後で僅かな交換しか又は交換を全く示さないであろう。1つの実施形態においては、CD27またはその断片と抗CD27抗体またはそのフラグメントとの間の複合体のX線結晶構造を解析し、抗CD27抗体残基から4オングストローム以内の1以上のCD27残基を特定することにより、エピトープを決定する。もう1つの実施形態においては、エピトープは、例えば、抗CD27抗体残基とのファンデルワールス、極性相互作用、塩橋または水素結合接触を有するCD27残基を含む。もう1つの実施形態においては、CD27残基の突然変異誘発(例えば、アラニンスキャニング)を行い、該突然変異誘発の結果としての抗CD27抗体への結合の喪失を分析することにより、エピトープを決定する。
【0152】
「保存的に修飾された変異体」または「保存的置換」は、タンパク質におけるアミノ酸が、類似特性(例えば、電荷、側鎖サイズ、疎水性/親水性、バックボーンコンホメーションおよび剛性など)を有する他のアミノ酸で置換されることを意味し、該変化は、しばしば、該タンパク質の生物活性を変化させることなく施されうる。一般に、ポリペプチドの非必須領域における単一アミノ酸置換は生物活性を実質的に変化させない、と当業者は認識している(例えば、Watsonら(1987)Molecular Biology of the Gene,The Benjamin/Cummings Pub.Co.,p.224(4th Ed.)を参照されたい)。また、構造的または機能的に類似したアミノ酸の置換は、生物活性を損なう可能性がより低い。例示的な保存的置換を表3に示す。
【0153】
【0154】
該抗体の機能保存的変異体も、本明細書に記載されている方法および使用において有用であると想定される。本明細書中で用いる「機能保存的変異体」は、抗原アフィニティおよび/または特異性のような所望の特性を変化させることなく、1以上のアミノ酸残基が改変されている、抗体またはそのフラグメントを意味する。
【0155】
そのような変異体は、類似特性を有するアミノ酸でのアミノ酸の置換、例えば、表3の保存的アミノ酸置換を含むが、これらに限定されるものではない。また、また、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個まで又はそれ以上のアミノ酸置換を有する、本発明の抗CD27抗体のVLドメイン(例えば、配列番号9)を含む単離されたポリペプチド、および本発明の抗CD27抗体のVHドメインを含む単離されたポリペプチド(例えば、配列番号7)を提供する。
【0156】
もう1つの実施形態においては、本明細書に記載されているVLドメインまたはVHドメインの1以上に対して少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%、80%または75%の配列同一性を有するVLドメインおよびVHドメインを有し、CD27への特異的結合を示し、ヒトCD27に結合する抗体またはその抗原結合性フラグメントも、本明細書に記載されている方法および使用において使用されうる。もう1つの実施形態においては、本発明の結合性抗体またはその抗原結合性フラグメントは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25個まで又はそれ以上のアミノ酸置換を有するVLおよびVHドメイン(シグナル配列を有する及び有さない)を含み、CD27への特異的結合を示す。
【0157】
ポリヌクレオチドおよびポリペプチド
本発明は更に、本発明の抗CD27抗体およびその抗原結合性フラグメントのポリペプチドまたは免疫グロブリン鎖のいずれかをコードするポリヌクレオチドを含む、癌の治療のための方法および使用を含む。例えば、本発明は、表1に記載されているアミノ酸を有する抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0158】
1つの実施形態においては、本明細書に記載されている単離された抗体またはその抗原結合性フラグメントのポリペプチド鎖をコードする単離されたポリヌクレオチド、例えばDNAを提供する。1つの実施形態においては、単離されたポリヌクレオチドは、本発明による少なくとも1つの成熟免疫グロブリン軽鎖可変(VL)ドメインおよび/または本発明による少なくとも1つの成熟免疫グロブリン重鎖可変(VH)ドメインを含む抗体またはその抗原結合性フラグメントをコードする。幾つかの実施形態においては、単離されたポリヌクレオチドは単一ポリヌクレオチド分子上で軽鎖と重鎖との両方をコードし、他の実施形態においては、軽鎖および重鎖は別々のポリヌクレオチド分子上でコードされる。もう1つの実施形態においては、ポリヌクレオチドは更にシグナル配列をコードする。
【0159】
1つの実施形態においては、本発明は、CDR-H1(配列番号1)、CDR-H2(配列番号2)およびCDR-H3(配列番号3)を含むVHドメインまたはその抗原結合性フラグメントをコードする単離されたポリヌクレオチドを含む方法および使用を含む。1つの実施形態においては、本発明は、CDR-L1(配列番号4)、CDR-L2(配列番号5)およびCDR-L3(配列番号6)を含むVLドメインまたはその抗原結合性フラグメントをコードする単離されたポリヌクレオチドを含む方法および使用を含む。1つの実施形態においては、本発明は、配列番号7のアミノ酸配列を含むVHドメインをコードする単離されたポリヌクレオチドを含む、癌を治療するための方法および使用を含む。1つの実施形態においては、本発明は、配列番号9のアミノ酸配列を含むVLドメインをコードする単離されたポリヌクレオチドを含む、癌を治療するための方法および使用を含む。1つの実施形態においては、本発明は、配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖をコードする単離されたポリヌクレオチドを含む、癌を治療するための方法および使用を含む。1つの実施形態においては、本発明は、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖をコードする単離されたポリヌクレオチドを含む。
【0160】
本発明はまた、本発明の単離されたポリヌクレオチドを含むベクター、例えば発現ベクター、例えばプラスミドを含む、癌を治療するための方法および使用を提供し、ここで、該ポリヌクレオチドは、宿主細胞がベクターでトランスフェクトされた場合に宿主細胞により認識される制御配列に機能的に連結されている。また、本発明のベクターを含む宿主細胞を提供する。また、本明細書に開示されている抗体またはその抗原結合性フラグメントまたはポリペプチド(例えば、表1)の製造方法も提供し、該製造方法は、該抗体またはその抗原結合性フラグメントの免疫グロブリン鎖をコードする発現ベクターまたは核酸を含有する宿主細胞を培地内で培養し、抗原またはその抗原結合性フラグメントを宿主細胞または培地から単離することを含む、
また、本発明は、BLASTアルゴリズムにより比較を行った場合に、本発明で提供される抗体のアミノ酸配列に対して少なくとも約75%同一である、80%同一である、より好ましくは少なくとも約90%同一である、最も好ましくは少なくとも約95%(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、100%)同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、例えば免疫グロブリンポリペプチドを含み、ここで、該アルゴリズムのパラメーターは、それぞれの参照配列の全長にわたってそれぞれの配列間で最大マッチが得られるように選択される(例えば、予想閾値:10;ワードサイズ:3;クエリ範囲内の最大マッチ:0;BLOSUM62マトリックス;ギャップコスト:存在11、伸長1;条件付き組成スコアマトリックス補正(conditional compositional score matrix adjustment))。
【0161】
配列同一性は、2つの配列が最適にアライメントされた場合に2つのポリペプチドのアミノ酸が同等位置において同一である度合を意味する。
【0162】
以下の参考文献は、配列分析にしばしば使用されるBLASTアルゴリズムに関するものである:BLASTアルゴリズム:Altschulら(2005)FEBS J.272(20):5101-5109;Altschul,S.F.ら(1990)J.Mol.Biol.215:403-410;Gish,W.ら(1993)Nature Genet.3:266-272;Madden,T.L.ら(1996)Meth.Enzymol.266:131-141;Altschul,S.F.ら(1997)Nucleic Acids Res.25:3389-3402;Zhang,J.ら(1997)Genome Res.7:649-656;Wootton,J.C.ら(1993)Comput.Chem.17:149-163;Hancock,J.M.ら(1994)Comput.Appl.Biosci.10:67-70;アライメント・スコアリング・システム:Dayhoff,M.O.ら,“A model of evolutionary change in proteins”,Atlas of Protein Sequence and Structure.(1978)vol.5,suppl.3.M.O.Dayhoff(編),pp.345-352,Natl.Biomed.Res.Found.,Washington,DC;Schwartz,R.M.ら,“Matrices for detecting distant relationships”,Atlas of Protein Sequence and Structure.(1978)vol.5,suppl.3.“M.O.Dayhoff(編),pp.353-358,Natl.Biomed.Res.Found.,Washington,DC;Altschul,S.F.(1991)J.Mol.Biol.219:555-565;States,D.J.ら(1991)Methods 3:66-70;Henikoff,S.ら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915-10919;Altschul,S.F.ら(1993)J.Mol.Evol.36:290-300;アライメント統計学:Karlin,S.ら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264-2268;Karlin,S.ら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873-5877;Dembo,A.ら(1994)Ann.Prob.22:2022-2039;およびAltschul,S.F.“Evaluating the statistical significance of Multiple distinct local alignments”.Theoretical and Computational Methods in Genome Research(S.Suhai編),(1997)pp.1-14,Plenum,New York。
【0163】
結合アフィニティ
限定的なものではなく一例に過ぎないが、癌を治療するための方法および使用は、本明細書に開示されている抗体およびその抗原結合性フラグメント(例えば、配列番号19または配列番号20のアミノ酸配列を含む)を投与することを含み、ここで、該抗体およびその抗原結合性フラグメントは、CD27-Fc融合タンパク質またはヒトCD27A59T-Fc融合タンパク質を使用する測定において表面プラズモン共鳴(例えば、BIACORE)または類似技術(例えば、KinExaまたはOCTET)により測定された場合に約10×10-9M以下の二価KD値でヒトCD27またはCD27A59Tに結合しうる。癌を治療するための方法および使用は、本明細書に開示されている抗体およびその抗原結合性フラグメントを投与することを含み、ここで、該抗体およびその抗原結合性フラグメントは、CD27タンパク質またはペプチド、例えばCD27-Fc融合タンパク質またはヒトCD27A59T-Fc融合タンパク質を使用する測定において表面プラズモン共鳴(例えば、BIACORE)または類似技術(例えば、KinExaまたはOCTET)により測定された場合に約5×10-9~約10×10-9Mの二価KD値(すなわち、1×10-9M以下のKD値)でヒトCD27またはCD27A59Tに結合しうる。
【0164】
免疫細胞活性化
幾つかの実施形態においては、癌を治療するための方法および使用は、免疫細胞の活性を増強する抗体またはその抗原結合性フラグメントを投与することを含む。免疫細胞の活性の増強は、当技術分野で公知のいずれかの方法を用いて検出されうる。1つの実施形態においては、免疫細胞の活性の増強は、免疫細胞の増殖を測定することにより検出されうる。
【0165】
抗体およびその抗原結合性フラグメントの製造方法
本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、表1)の製造方法を本明細書に記載する。例えば、該方法は、該抗体またはそのフラグメントを発現するハイブリドーマ細胞をそのような発現に好ましい条件下で培養し、所望により、該抗体またはフラグメントを該ハイブリドーマおよび/または増殖培地(例えば、細胞培養培地)から単離することを含む。
【0166】
本明細書に開示されている抗CD27抗体は組換え法によって(例えば、大腸菌(E.coli)/T7発現系、哺乳類細胞発現系または下等真核生物発現系において)も製造されうる。本発明の抗体免疫グロブリン分子(例えば、VHまたはVL)をコードする核酸をpET系プラスミド内に挿入し、大腸菌(E.coli)/T7系内で発現させることが可能である。例えば、抗体またはその抗原結合性フラグメントまたはその免疫グロブリン鎖を宿主細胞(例えば、細菌宿主細胞、例えば、大腸菌(E.coli)、例えば、BL21またはBL21DE3)内で発現させるための方法を本明細書に記載する。種々の実施形態においては、該方法は、T7プロモーターに機能的に連結された免疫グロブリン鎖をコードするポリヌクレオチドをも含む細胞内でT7 RNAポリメラーゼを発現させることを含む。例えば、細菌宿主細胞、例えば大腸菌(E.coli)は、lacプロモーターに機能的に連結されたT7 RNAポリメラーゼ遺伝子をコードするポリヌクレオチドを含み、イソプロピル-ベータ-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)の存在下の宿主細胞のインキュベーションにより、該ポリメラーゼおよび該鎖の発現が誘導される。
【0167】
当技術分野で公知である組換え抗体を製造するための幾つかの方法が存在する。抗体の組換え製造のための方法の一例は米国特許第4,816,567号に開示されている。
【0168】
形質転換は、ポリヌクレオチドを宿主細胞内に導入するためのいずれかの公知方法により行われうる。哺乳類細胞内に異種ポリヌクレオチドを導入するための方法は当技術分野でよく知られており、デキストラン媒介性トランスフェクション、リン酸カルシウム沈降、ポリブレン媒介性トランスフェクション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リポソーム内へのポリヌクレオチドの封入、遺伝子銃注入および核内へのDNAの直接マイクロインジェクションを包含する。また、ウイルスベクターにより哺乳類細胞内に核酸分子を導入することが可能である。細胞を形質転換する方法は当技術分野でよく知られている。例えば、米国特許第4,399,216号、第4,912,040号、第4,740,461号および第4,959,455号を参照されたい。
【0169】
本明細書は、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントまたはその免疫グロブリン鎖の組換え製造方法であって、該抗体またはフラグメントの免疫グロブリン鎖(例えば、重鎖および/または軽鎖免疫グロブリン)の1以上をコードするポリヌクレオチドを導入し、そのような発現に好ましい条件下で宿主細胞(例えば、CHOまたはピチア(Pichia)またはピチア・パストリス(Pichia pastoris))を培養し、所望により、宿主細胞から、および/または宿主細胞を増殖させた培地から、該抗体またはフラグメントまたは鎖を単離することを含む製造方法を記載する。抗CD27抗体は、米国特許第6,331,415号に記載されている方法のいずれかによっても合成されうる。
【0170】
本明細書に開示されている抗体またはそのフラグメントまたは免疫グロブリン鎖の発現のための宿主としての、哺乳類細胞を含む真核宿主細胞および原核宿主細胞は当技術分野でよく知られており、American Type Culture Collection(ATCC)から入手可能な多数の不死化細胞系を包含する。これらは、とりわけ、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NSO、SP2細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(例えば、Hep G2)、A549細胞、3T3細胞、HEK-293細胞および多数の他の細胞系を包含する。哺乳類宿主細胞はヒト、マウス、ラット、イヌ、サル、ブタ、ヤギ、ウシ、ウマおよびハムスター細胞を包含する。特に好ましい細胞系は、どの細胞系が高い発現レベルを有するのかを決定することにより選択される。使用されうる他の細胞系としては、昆虫細胞系、例えばSf9細胞、両生類細胞、細菌細胞、植物細胞および真菌細胞が挙げられる。真菌細胞には、例えば以下のものを含む酵母および糸状菌細胞が含まれる:ピチア・パストリス(Pichia pastoris)、ピチア・フィンランディカ(Pichia finlandica)、ピチア・トレハロフィラ(Pichia trehalophila)、ピチア・コクラメ(Pichia koclamae)、ピチア・メンブラネファシエンス(Pichia membranaefaciens)、ピチア・ミヌタ(Pichia minuta)[オガタエア・ミヌタ(Ogataea minuta)、ピチア・リンドネリ(Pichia lindneri)]、ピチア・オプンチエ(Pichia opuntiae)、ピチア・テルモトレランス(Pichia thermotolerans)、ピチア・サリクタリア(Pichia salictaria)、ピチア・グエルクウム(Pichia guercuum)、ピチア・ピエペリ(Pichia pijperi)、ピチア・スチプティス(Pichia stiptis)、ピチア・メタノリカ(Pichia methanolica)、ピチア属種(Pichia sp.)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス属種(Saccharomyces sp.)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、クライベロミセス属種(Kluyveromyces sp.)、クライベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、トリコデルマ・レーゼイ(Trichoderma reesei)、クリソスポリウム・ルックノウエンス(Chrysosporium lucknowense)、フザリウム属種(Fusarium sp.)、フザリウム・グラミネウム(Fusarium gramineum)、フザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)、フィスコミトレラ・パテンス(Physcomitrella patens)およびニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa).ピチア属種(Pichia sp.)、任意のサッカロミセス属種(Saccharomyces sp.)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、任意のクライベロミセス属種(Kluyveromyces sp.)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、任意のアスペルギルス属種(Aspergillus sp.)、トリコデルマ・レーゼイ(Trichoderma reesei)、クリソスポリウム・ルックノウエンス(Chrysosporium lucknowense)、任意のフザリウム属種(Fusarium sp.)、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、およびニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)。重鎖またはその抗原結合性部分もしくはフラグメント、軽鎖および/またはその抗原結合性フラグメントをコードする組換え発現ベクターを哺乳類宿主細胞内に導入する場合、宿主細胞における抗体もしくはフラグメントもしくは鎖の発現、または宿主細胞が培養される培地内への分泌を可能にするのに十分な時間にわたって宿主細胞を培養することにより、該抗体を製造する。
【0171】
抗体およびその抗原結合性フラグメントおよび免疫グロブリン鎖は、標準的なタンパク質精製方法を用いて培地から回収されうる。更に、抗体およびその抗原結合性フラグメントおよび免疫グロブリン鎖(またはそれに由来する他の部分)の発現を本明細書に記載する。該発現は、例えば、幾つかの公知技術を用いて増強されうる生産細胞系から達成される。例えば、グルタミンシンテターゼ遺伝子発現系(GS系)は、一定条件下で発現を増強するための一般的アプローチである。GS系は欧州特許第0 216 846号および第0 323 997号ならびに欧州特許出願第89303964.4号において全体的または部分的に考察されている。哺乳類宿主細胞(例えば、CHO)はグルタミンシンテターゼ遺伝子を欠いており、グルタミンの非存在下の培地内で増殖されるが、この場合、免疫グロブリン鎖をコードするポリヌクレオチドは、宿主細胞における該遺伝子の欠如を相補するグルタミンシンテターゼ遺伝子を含む。
【0172】
一般に、個々の細胞系またはトランスジェニック動物において産生される糖タンパク質は、該細胞系またはトランスジェニック動物において産生される糖タンパク質に特徴的なグリコシル化パターンを有する。したがって、抗体の個々のグリコシル化パターンは、該抗体を製造するために使用される個々の細胞系またはトランスジェニック動物に左右される。しかし、本発明で提供される核酸分子によりコードされる、または本発明で提供されるアミノ酸を含む全ての抗体は、該抗体が有しうるグリコシル化パターンには無関係に、本発明を構成する。同様に、特定の実施形態においては、非フコシル化N-グリカンのみを含むグリコシル化パターンを有する抗体が有利でありうる。なぜなら、これらの抗体は、インビトロおよびインビボの両方において、それらのフコシル化対応物より高い効力を典型的に示すことが示されているからである(例えば、Shinkawaら,J.Biol.Chem.278:3466-3473(2003);米国特許第6,946,292号および第7,214,775号を参照されたい)。非フコシル化N-グリカンを有するこれらの抗体が免疫原性である可能性は低い。なぜなら、それらの炭水化物構造は、ヒト血清IgGにおいて存在する集団の正常成分であるからである。
【0173】
本明細書は、CD27および別の抗原、例えばPD-1またはPD-L1に対する結合特異性を有する二重特異性および二官能性抗体ならびにそれらの抗原結合性フラグメント、ならびにそれらの使用方法を記載する。本発明の1つの実施形態においては、抗CD27鎖は、表1に記載されているVH/VL配列のいずれか1つを含み、例えば、抗PD1鎖は、表1および/または表2に示されている配列番号14および19のアミノ酸配列または配列番号15および20のアミノ酸配列(または該配列のいずれかの抗原結合性フラグメント)を含む。二重特異性または二官能性抗体は、2つの異なる重鎖/軽鎖ペアおよび2つの異なる結合部位を有する人工ハイブリッド抗体である。二重特異性抗体は、ハイブリドーマの融合またはFab’フラグメントの連結を含む種々の方法により製造されうる。例えば、Songsivilaiら(1990)Clin.Exp.Immunol.79:315-321;Kostelnyら(1992)J.Immunol.148,1547-1553を参照されたい。また、二重特異性抗体は「ジアボディ」(Holligerら(1993)PNAS USA 90:6444-6448)または「ジャヌシン(Janusin)」(Trauneckerら(1991)EMBO J.10:3655-3659およびTrauneckerら(1992)Int.J.Cancer Suppl.7:51-52)として形成されうる。
【0174】
本発明は更に、本明細書に開示されている抗CD27抗体の抗CD27抗原結合性フラグメントを投与することを含む方法および使用を含む。その抗体フラグメントにはF(ab)2フラグメントが含まれ、これは例えばペプシンによるIgGの酵素的切断により製造されうる。Fabフラグメントは、例えば、ジチオトレイトールまたはメルカプトエチルアミンでのF(ab)2の還元により製造されうる。
【0175】
免疫グロブリンは、それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、種々のクラスに帰属されうる。幾つかの実施形態においては、種々の定常ドメインが、本発明で提供されるCDRに由来するヒト化VLおよびVH領域に付加されうる。免疫グロブリンの、少なくとも5つの主要クラス、すなわち、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMが存在し、これらの幾つかは更に、サブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4;IgA1およびIgA2に分類されうる。抗体のこれらのクラスまたはサブクラスのいずれかの抗体および抗原結合性フラグメントが使用され、投与されうる。
【0176】
種々の実施形態における抗体または抗原結合性フラグメントは重鎖定常領域、例えばヒト定常領域、例えばγ1、γ2、γ3もしくはγ4ヒト重鎖定常領域またはそれらの変異体を含む。もう1つの実施形態においては、抗体またはその抗原結合性フラグメントは、軽鎖定常領域、例えばヒト軽鎖定常領域、例えばラムダもしくはカッパヒト軽鎖領域またはそれらの変異体を含む。例えば、限定的なものではないが、ヒト重鎖定常領域はγ4であることが可能であり、ヒト軽鎖定常領域はカッパであることが可能である。もう1つの実施形態においては、抗体のFc領域は、Ser228Pro突然変異を有するγ4である(Schuurman,Jら,Mol.Immunol.38:1-8,2001)。
【0177】
種々の実施形態において本明細書に記載されている方法および使用は、IgG1サブタイプの重鎖定常領域を含む抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントを投与することを含む。
【0178】
抗体の改変
モノクローナル抗体の可変ドメイン内のフレームワーク残基に対する修飾を含むように、例えば、抗体またはそのフラグメントの特性を改善するために、抗CD27抗体およびその抗原結合性タンパク質が、改変(操作)された抗体である実施形態が更に含まれる。典型的には、そのようなフレームワーク修飾は、抗体またはそのフラグメントの免疫原性を低下させるために行われる。これは通常、親(例えば、げっ歯類)抗体またはそのフラグメントにおける可変ドメイン内の非CDR残基(すなわち、フレームワーク残基)を、該抗体が使用されることになる種の免疫レパトワからの類似残基、例えば、ヒト用治療用物質の場合にはヒト残基で置換することにより達成される。そのような抗体またはそのフラグメントは「ヒト化」抗体またはそのフラグメントと称される。幾つかの実施形態においては、改変(例えば、ヒト化)抗体の特異性を変化させ、またはアフィニティを増強することが望ましい。1つのアプローチは、1以上のフレームワーク残基を対応生殖系列配列へと「復帰突然変異(backmutate)」させることである。より詳細には、体細胞突然変異を受けた抗体またはそのフラグメントは、該抗体が由来する生殖系列配列とは異なるフレームワーク残基を含有しうる。そのような残基は、該抗体またはそのフラグメントのフレームワーク配列を、該抗体またはそのフラグメントが由来する生殖系列配列と比較することにより特定されうる。もう1つのアプローチは、該改変(例えば、ヒト化)抗体の位置の1以上において元の親(例えば、げっ歯類)残基へと復帰させること、例えば、フレームワーク残基の置換の過程において喪失した可能性がある結合アフィニティを回復させることである(例えば、米国特許第5,693,762号、米国特許第5,585,089号および米国特許第5,530,101号を参照されたい)。
【0179】
ある実施形態においては、抗CD27抗体およびその抗原結合性フラグメントを、それらの特性を改善するためにフレームワークおよび/またはCDRにおける修飾を含むように、操作(例えば、ヒト化)する。そのような操作される変化は分子モデリングに基づくことが可能である。抗体の構造的特徴を理解するために、親(非ヒト)抗体配列の可変領域に関する分子モデルを構築し、それを使用して、抗原と相互作用しうる抗体上の潜在的領域を特定することが可能である。通常のCDRは免疫グロブリン配列のアライメントおよび可変領域の特定に基づく。Kabatら,(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Kabatら;National Institutes of Health,Bethesda,Md.;5th ed.;NIH Publ.No.91-3242;Kabat(1978)Adv.Prot.Chem.32:1-75;Kabatら,(1977)J.Biol.Chem.252:6609-6616。Chothiaらは抗体の結晶構造におけるループのコンホメーションを注意深く調べ、超可変ループを提示した。Chothiaら,(1987)J Mol.Biol.196:901-917またはChothiaら,(1989)Nature 342:878-883。「CDR」および「超可変ループ」として分類されている領域の間には変異が存在する。後の研究(Raghunathanら,(2012)J.Mol Recog.25,3,103-113)は幾つかの抗体-抗原結晶複合体を分析し、抗体内の抗原結合性領域が「CDR」残基または「超可変」ループに必ずしも厳密には合致しないことを観察した。抗原に潜在的に結合しうる領域の選択を導くために、非ヒト抗体の可変領域に関する分子モデルが使用されうる。実際、モデルに基づく潜在的抗原結合領域は通常の「CDR」または「超可変」ループとは異なる。市販の科学用ソフトウェア、例えばMOE(Chemical Computing Group)が分子モデリングのために使用されうる。フレームワーク内およびCDR内の両方の非ヒト配列との最良マッチに基づいて、ヒトフレームワークが選択されうる。VH内のFR4(フレームワーク4)に関しては、ヒト生殖系列におけるVJ領域を対応非ヒト領域と比較する。VLにおけるFR4(フレームワーク4)の場合、ヒト生殖系列配列のJ-カッパおよびJ-ラムダ領域を対応非ヒト領域と比較する。適切なヒトフレームワークが特定されたら、選択されたヒトフレームワーク内にCDRをグラフティングする。幾つかの場合には、VL-VH境界における或る残基が非ヒト(親)配列の場合と同様に保持されうる。CDRのコンホメーション、ひいては抗原への結合を潜在的に改変しうる残基を特定するためにも、分子モデルが使用されうる。幾つかの場合には、これらの残基は非ヒト(親)配列の場合と同様に保持される。望ましくない効果、例えばグリコシル化、脱アミド化および酸化をもたらしうる溶媒露出アミノ酸を特定するためにも、分子モデルが使用されうる。これらの潜在的問題を排除/最小化するために、設計段階の初期に、デベロパビリティフィルターが導入されうる。
【0180】
もう1つのタイプのフレームワーク修飾は、フレームワーク領域内または更には1以上のCDR領域内の1以上の残基を突然変異させて、T細胞エピトープを除去し、それにより抗体の潜在的免疫原性を低下させることを含む。このアプローチは「脱免疫化(deimmunization)」とも称され、米国特許第7,125,689号に更に詳細に記載されている。
【0181】
特定の実施形態においては、脱アミド化または異性化を避けるために、最終的な抗体の、より高い化学的安定性を得るために、露出側鎖を含有する或るアミノ酸を別のアミノ酸残基へと変化させることが望ましいであろう。アスパラギンの脱アミド化はNG、DG、NG、NS、NA、NT、QGまたはQS配列上で生じ、イソアスパラギン酸残基の生成をもたらす可能性があり、該残基はポリペプチド鎖内にねじれ(キンク)を導入し、その安定性を低下させる(イソアスパラギン酸効果)。DG、DS、DAまたはDT配列においては異性化が生じうる。ある実施形態においては、該抗体は脱アミド化またはアスパラギン異性部位を含有しない。
【0182】
例えば、特にCDR内の、いずれかのAsn-Gly配列におけるイソアスパルタートの形成の可能性を低減するために、アスパラギン(Asn)残基はGlnまたはAlaへと改変されうる。
【0183】
同様の問題はAsp-Gly配列においても生じうる。ReissnerおよびAswad(2003)Cell.Mol.Life Sci.60:1281。イソアスパルタート形成は抗体のその標的抗原への結合を減弱し、または完全に阻止しうる。Presta(2005)J.Allergy Clin.Immunol.116:731,p.734を参照されたい。
【0184】
1つの実施形態においては、該アスパラギンはグルタミン(Gln)へと改変される。小さなアミノ酸がアスパラギンまたはグルタミンに隣接して存在する場合にはより高い率で生じる脱アミド化の可能性を低減するために、アスパラギン(Asn)またはグルタミン(Gln)残基に隣接したアミノ酸を改変することも望ましいかもしれない。Bischoff & Kolbe(1994)J.Chromatog.662:261を参照されたい。また、抗原結合アフィニティを低減しうる、そしてまた、最終抗体調製物における分子不均一性に寄与しうるメチオニン硫黄の酸化の可能性を低減するために、CDR内のいずれかのメチオニン残基(典型的には溶媒露出Met)がLys、Leu、AlaまたはPheまたは他のアミノ酸へと改変されうる(同誌)。また、Asn-Proペプチド結合の潜在的な切断を妨げ又は最小にするために、CDRにおいて見出されるいずれかのAsn-Proの組合せをGln-Pro、Ala-ProまたはAsn-Alaへと改変することが望ましいかもしれない。ついで、そのような置換を有する抗体をスクリーニングして、該置換がCD27に対する抗体のアフィニティもしくは特異性または他の所望の生物活性を、許容し得ないレベルに低減しないことを確認する。
【0185】
【0186】
Fc領域の抗体改変
本明細書に開示されている抗体(例えば、ヒト化抗体)およびその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131A)はまた、Fc領域内の修飾を含むように、典型的には、該抗体の特性、例えば血清半減期、補体固定、Fc受容体結合および/またはエフェクター機能(例えば、抗原依存性細胞傷害性)の1以上を変化させるために改変(操作)されうる。更に、本明細書に開示されている抗体およびその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aおよびそのヒト化形態)は化学的に修飾可能であり(例えば、1以上の化学的部分が該抗体に結合可能である)、あるいは、再び該抗体またはそのフラグメントの特性の1以上を改変するために、そのグリコシル化を改変するように修飾されうる。これらの実施形態のそれぞれは後記に更に詳細に記載されている。Fc領域内の残基の番号付けはKabatのEUインデックスのものである。本明細書に開示されている抗体およびその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aおよびそのヒト化形態)はまた、改変されたエフェクター機能をもたらすための、修飾(または遮断)されたFc領域を有する抗体およびフラグメントをも含む。例えば、米国特許第5,624,821号;およびPCT公開番号WO2003/086310、WO2005/120571、WO2006/0057702を参照されたい。そのような修飾は、診断および療法における可能な有益な効果を伴って、免疫系の種々の反応を増強または抑制するために用いられうる。Fc領域の改変には、アミノ酸変化(置換、欠失および挿入)、グリコシル化または脱グリコシル化および複数のFcの付加が含まれる。Fcに対する変化はまた、治療用抗体における抗体の半減期を改変することが可能であり、それほど頻繁でない投与ならびにそれによる便利さの向上および物資の使用の減少を可能にする。Presta(2005)J.Allergy Clin.Immunol.116:731,p.734-35を参照されたい。
【0187】
1つの実施形態においては、本明細書に記載されている抗体および抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aおよびそのヒト化形態)は、重鎖定常領域のヒンジ領域内の228位に対応する位置におけるセリンからプロリンへの突然変異(S228P;EUインデックス)を含むIgG4アイソタイプ抗体またはそのフラグメントである。この突然変異はヒンジ領域内の重鎖間ジスルフィド架橋の不均一性を排除することが報告されている(Angalら,前掲;241位はKabat番号付け系に基づく)。
【0188】
本発明の1つの実施形態においては、CH1のヒンジ領域は、該ヒンジ領域内のシステイン残基の数が増加または減少するように修飾される。このアプローチは米国特許第5,677,425号に更に詳細に記載されている。CH1のヒンジ領域内のシステイン残基の数は、例えば、軽鎖および重鎖の集合を促進させるために、または抗体の安定性を増強もしくは低減するために改変される。
【0189】
もう1つの実施形態においては、抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aおよびそのヒト化形態)のFcヒンジ領域は、該抗体またはそのフラグメントの生物学的半減期を減少させるために突然変異される。より詳細には、該抗体またはそのフラグメントが、天然FcヒンジドメインSpA結合と比べて低減したスタヒロコッカスプロテインA(SpA)結合を示すように、Fc-ヒンジフラグメントのCH2-CH3ドメイン境界領域内に1以上のアミノ酸突然変異が導入される。このアプローチは米国特許第6,165,745号に更に詳細に記載されている。
【0190】
もう1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aおよびそのヒト化形態)は、その生物学的半減期を増加させるために修飾される。種々のアプローチが可能である。例えば、米国特許6,277,375号に記載されているとおり、以下の突然変異の1以上が導入されうる:T252L、T254S、T256F。あるいは、米国特許第5,869,046号および第6,121,022号に記載されているとおり、生物学的半減期を増加させるために、該抗体は、IgGのFc領域のCH2ドメインの2つのループから取られたサルベージ(salvage)受容体結合性エピトープを含有するようにCH1またはCL領域内で改変されうる。
【0191】
更に他の実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントのエフェクター機能を改変するために、少なくとも1つのアミノ酸残基を異なるアミノ酸残基で置換することにより、Fc領域を改変する。例えば、該抗体がエフェクターリガンドに対する改変されたアフィニティを有し、親抗体の抗原結合能を保有するように、アミノ酸残基234、235、236、237、297、318、320および322から選択される1以上のアミノ酸が、異なるアミノ酸残基で置換されうる。アフィニティが改変されるエフェクターリガンドは、例えば、Fc受容体または補体のC1成分でありうる。このアプローチは米国特許第5,624,821号および第5,648,260号に更に詳細に記載されている。
【0192】
もう1つの例においては、該抗体がC1q結合の変化および/または補体依存性細胞傷害性(CDC)の低減もしくは消失を示すように、アミノ酸残基329、331および332から選択される1以上のアミノ酸が、異なるアミノ酸残基で置換されうる。このアプローチは米国特許第6,194,551号に更に詳細に記載されている。
【0193】
もう1つの例においては、アミノ酸231位および239位における1以上のアミノ酸残基を改変して、それにより、補体を固定する該抗体の能力を改変する。このアプローチはPCT公開WO94/29351に更に詳細に記載されている。
【0194】
更にもう1つの例においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aおよびそのヒト化形態)が抗体依存性細胞傷害性(ADCC)をもたらす能力を低減するために、および/またはFcγ受容体に対する該抗体またはそのフラグメントのアフィニティを低減するために、以下の位置における1以上のアミノ酸を修飾することにより、Fc領域を修飾する:238、239、243、248、249、252、254、255、256、258、264、265、267、268、269、270、272、276、278、280、283、285、286、289、290、292、293、294、295、296、298、301、303、305、307、309、312、315、320、322、324、326、327、329、330、331、333、334、335、337、338、340、360、373、376、378、382、388、389、398、414、416、419、430、434、435、437、438または439位。このアプローチはPCT公開WO 00/42072に更に詳細に記載されている。更に、FcγRI、FcγRII、FcγRIIIおよびFcRnに対するヒトIgG1上の結合部位が位置決定されており、改善した結合を示す変異体が記載されている(Shieldsら(2001)J.Biol.Chem.276:6591-6604を参照されたい)。
【0195】
本発明の1つの実施形態においては、エフェクター機能を該抗体(例えば、抗体hCD27.131A)がもたらす能力を低減するために、および/または抗炎症特性を増強するために、残基243および264を修飾することにより、Fc領域を修飾する。1つの実施形態においては、243位および264位における残基をアラニンへと変化させることにより、該抗体またはそのフラグメントのFc領域を修飾する。1つの実施形態においては、エフェクター機能を該抗体またはそのフラグメントがもたらす能力を低減するために、および/または抗炎症特性を増強するために、残基243、264、267および328を修飾することにより、Fc領域を修飾する。
【0196】
エフェクター機能の改変
幾つかの実施形態においては、エフェクター機能をもたらす該抗体もしくはその抗原結合性フラグメントの能力を増強もしくは低減するために、および/またはFcガンマ受容体(FcγR)へのそれらの結合を増強/低減するために、抗CD27抗体のFc領域を修飾する。
【0197】
本明細書中で用いる「エフェクター機能」なる語は、抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)、補体依存性細胞傷害活性(CDC)媒介性応答、Fc媒介性食作用または抗体依存性細胞食作用(ADCP)、およびFcRn受容体を介した抗体リサイクリングの1以上を意味すると意図される。
【0198】
抗体結合性タンパク質の定常領域と種々のFc受容体(FcR)[FcガンマR1(CD64)、FcガンマRII(CD32)およびFcガンマRIII(CD16)を含む]との間の相互作用は抗原結合性タンパク質のエフェクター機能、例えばADCCおよびCDCをもたらすと考えられている。Fc受容体は抗体架橋にも重要であり、これは抗腫瘍免疫に重要でありうる。
【0199】
エフェクター機能は、例えば、ADCCエフェクター機能を測定するための、ナチュラルキラー細胞へのFcガンマRIIIの結合または単球/マクロファージへのFcガンマRIの結合による方法を含む幾つかの方法で測定されうる。例えば、本発明の抗原結合性タンパク質はナチュラルキラー細胞アッセイにおいてADCCエフェクター機能に関して評価されうる。そのようなアッセイの例はShieldsら,2001 J.Biol.Chem.,Vol.276,p 6591-6604;Chappelら,1993 J.Biol.Chem.,Vol 268,p 25124-25131;Lazarら,2006 PNAS,103;4005-4010において見出されうる。
【0200】
残基Asn297におけるグリコシル化の改変または特異的突然変異を含有するヒトIgG1定常領域はFc受容体への結合を低減することが示されている。他の場合には、突然変異はADCCおよびCDCを増強することも示されている(Lazarら,PNAS 2006,103;4005-4010;Shieldsら,J Biol Chem 2001,276;6591-6604;Nechanskyら,Mol Immunol,2007,44;1815-1817)。
【0201】
本発明の1つの実施形態においては、そのような突然変異は、239、332および330位(IgG1)または他のIgGアイソタイプにおける同等位置から選択される位置の1以上に存在する。適切な突然変異の例としては、S239DおよびI332EおよびA330Lが挙げられる。1つの実施形態においては、本明細書に記載されている本発明の抗原結合性タンパク質は239および332位において突然変異しており(例えば、S239DおよびI332E)、またはもう1つの実施形態においては、それは、239および332および330から選択される3以上の位置において突然変異している(例えば、S239DおよびI332EおよびA330L(EUインデックスの番号付け))。
【0202】
もう1つの実施形態においては、抗原結合性タンパク質がエフェクター機能の増強を示すようにグリコシル化プロファイルの改変を有する重鎖定常領域を含む抗体またはその抗原結合性フラグメントを提供する。例えば、この場合、該抗体はADCCの増強またはCDCの増強を示し、あるいはそれはADCCおよびCDCエフェクター機能の両方の増強を示す。グリコシル化プロファイルの改変を有する抗原結合性タンパク質を製造するための適切な方法の例はPCT公開番号WO2003011878およびWO2006014679ならびに欧州特許出願番号EP1229125に記載されている。
【0203】
もう1つの態様においては、本発明は「非フコシル化」または「アフコシル化(afucosylated)」抗体を提供する。非フコシル化抗体は、フコース残基を有さないFcの複合型N-グリカンのトリ-マンノシルコア構造を含有する。Fc N-グリカンからのコアフコース残基を欠くこれらの糖操作抗体は、FcガンマRIIIa結合能の増強により、フコシル化等価体より強力なADCCを示しうる。
【0204】
抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントの製造方法も記載する。例えば、該製造方法は、a)本明細書に記載されている単離された核酸を含む発現ベクターを含み、アルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼを含まない組換え宿主細胞を培養し、b)抗原結合性タンパク質を回収する工程を含む。該組換え宿主細胞は、通常、アルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子を含有していなくてもよく(例えば、酵母宿主細胞、例えば、ピチア属種(Pichia sp.))、あるいはアルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼを不活性化するように遺伝的に修飾されていてもよい。アルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼをコードするFUT8遺伝子を不活性化するように遺伝的に修飾された組換え宿主細胞が入手可能である。例えば、BioWa,Inc.(Princeton,N.J.)から入手可能なPOTELLIGENT(商標)技術システムを参照されたい。それにおいては、FUT8遺伝子の機能的コピーを欠くCHOK1SV細胞が、機能的FUT8遺伝子を含有する細胞において産生される同一モノクローナル抗体と比べて増強した抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を示すモノクローナル抗体を産生する。POTELLIGENT(商標)技術システムの種々の態様がUS7214775、US6946292、WO0061739およびWO0231240に記載されている。他の適切なシステムも当業者に認識されるであろう。
【0205】
そのような修飾は単独で用いられうるだけでなく、エフェクター機能を更に増強または低減するために互いに組合せて用いられうることも当業者に明らかであろう。
【0206】
修飾グリコシル化を有する抗体の製造
更にもう1つの実施形態においては、該抗体または抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aおよびその変異体形態)は特定のグリコシル化パターンを含む。例えば、アフコシル化または非グリコシル化(アグリコシル化)(aglycosylated)抗体またはそのフラグメント(すなわち、該抗体は、それぞれ、フコースまたはグリコシル化を欠く)が製造されうる。抗体またはそのフラグメントのグリコシル化パターンは、例えば、CD27抗原に対する抗体またはそのフラグメントのアフィニティまたはアビディティを増強するために改変されうる。そのような修飾は、例えば、該抗体またはそのフラグメント配列内のグリコシル化部位の1以上を改変することにより達成されうる。例えば、可変領域フレームワークグリコシル化部位の1以上の除去をもたらし、それによりその部位におけるグリコシル化を排除する1以上のアミノ酸置換が施されうる。そのような非グリコシル化は抗原に対する該抗体またはそのフラグメントのアフィニティまたはアビディティを増強しうる。例えば、米国特許第5,714,350号および第6,350,861号を参照されたい。
【0207】
抗体および抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aおよびそのヒト化形態)は更に、哺乳類またはヒト様グリコシル化パターンを有する糖タンパク質を産生するように遺伝的に操作された下等真核宿主細胞、特に真菌宿主細胞、例えば酵母および糸状菌において産生されるものを含む(例えば、Choiら(2003)Proc.Natl.Acad.Sci.100:5022-5027;Hamiltonら(2003)Science 301:1244-1246;Hamiltonら(2006)Science 313:1441-1443;Nettら,Yeast 28(3):237-52(2011);Hamiltonら,Curr Opin Biotechnol.Oct;18(5):387-92(2007)を参照されたい)。現在使用されている哺乳類細胞系と比較した場合の、これらの遺伝的に修飾された宿主細胞の格別な利点は、該細胞内で産生される糖タンパク質のグリコシル化プロファイルの制御が可能なことであり、その結果、特定のN-グリカン構造が優勢な糖タンパク質の組成物が製造されうる(例えば、米国特許第7,029,872号および米国特許第7,449,308号を参照されたい)。これらの遺伝的に修飾された宿主細胞は、特定のN-グリカン構造を主に有する抗体を製造するために使用されている(例えば、Liら(2006)Nat.Biotechnol.24:210-215を参照されたい)。
【0208】
特定の実施形態においては、該抗体およびその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131A)は更に、二分岐および多アンテナ(multiantennary)種を含むフコシル化および非フコシル化ハイブリッドおよび複合N-グリカン(例えば、GlcNAc(1-4)Man3GlcNAc2;Gal(1-4)GlcNAc(1-4)Man3GlcNAc2;NANA(1-4)Gal(1-4)GlcNAc(1-4)Man3GlcNAc2のようなN-グリカンを含むが、これらに限定されるものではない)を含む、下等真核宿主細胞において産生されるものを含む。
【0209】
特定の実施形態においては、該抗体およびその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131A)は、GlcNAcMan5GlcNAc2;GalGlcNAcMan5GlcNAc2;およびNANAGalGlcNAcMan5GlcNAc2からなる群から選択される少なくとも1つのハイブリッドN-グリカンを有する抗体またはフラグメントを含む。特定の態様においては、該ハイブリッドN-グリカンは該組成物中の主要N-グリカン種である。
【0210】
特定の実施形態においては、該抗体およびその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aおよびそのヒト化形態)は、GlcNAcMan3GlcNAc2;GalGlcNAcMan3GlcNAc2;NANAGalGlcNAcMan3GlcNAc2;GlcNAc2Man3GlcNAc2;GalGlcNAc2Man3GlcNAc2;Gal2GlcNAc2Man3GlcNAc2;NANAGal2GlcNAc2Man3GlcNAc2;およびNANA2Gal2GlcNAc2Man3GlcNAc2からなる群から選択される少なくとも1つの複合N-グリカンを有する抗体およびフラグメントを含む。特定の態様においては、該複合N-グリカンは該組成物中の主要N-グリカン種である。更に詳細な態様においては、該複合N-グリカンは、該組成物中の複合N-グリカンの約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、98%、99%または100%を構成する特定のN-グリカン種である。1つの実施形態においては、本発明で提供される抗体およびその抗原結合性フラグメントは複合N-グリカンを含み、ここで、複合N-グリカンの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、98%、99%または100%は構造NANA2Gal2GlcNAc2Man3GlcNAc2を含み、ここで、そのような構造はアフコシル化されている。そのような構造は、例えば、操作されたピチア・パストリス(Pichia pastoris)宿主細胞において産生されうる。
【0211】
特定の実施形態においては、該N-グリカンはフコシル化されている。一般に、該フコースは、該N-グリカンの還元末端におけるGlcNAcとのα1,3-結合、該N-グリカンの還元末端におけるGlcNAcとのα1,6-結合、該N-グリカンの非還元末端におけるGalとのα1,2-結合、該N-グリカンの非還元末端におけるGlcNAcとのα1,3-結合、または該N-グリカンの非還元末端におけるGlcNAcとのα1,4-結合で存在する。
【0212】
したがって、前記の糖タンパク質組成物の特定の態様においては、該グリコフォーム(glycoform)は、Man5GlcNAc2(Fuc)、GlcNAcMan5GlcNAc2(Fuc)、Man3GlcNAc2(Fuc)、GlcNAcMan3GlcNAc2(Fuc)、GlcNAc2Man3GlcNAc2(Fuc)、GalGlcNAc2Man3GlcNAc2(Fuc)、Gal2GlcNAc2Man3GlcNAc2(Fuc)、NANAGal2GlcNAc2Man3GlcNAc2(Fuc)およびNANA2Gal2GlcNAc2Man3GlcNAc2(Fuc)からなる群から選択されるグリコフォームを与えるα1,3-結合またはα1,6-結合フコース;GlcNAc(Fuc)Man5GlcNAc2、GlcNAc(Fuc)Man3GlcNAc2、GlcNAc2(Fuc1-2)Man3GlcNAc2、GalGlcNAc2(Fuc1-2)Man3GlcNAc2、Gal2GlcNAc2(Fuc1-2)Man3GlcNAc2、NANAGal2GlcNAc2(Fuc1-2)Man3GlcNAc2およびNANA2Gal2GlcNAc2(Fuc1-2)Man3GlcNAc2からなる群から選択されるグリコフォームを与えるα1,3-結合またはα1,4-結合フコース;あるいはGal(Fuc)GlcNAc2Man3GlcNAc2、Gal2(Fuc1-2)GlcNAc2Man3GlcNAc2、NANAGal2(Fuc1-2)GlcNAc2Man3GlcNAc2およびNANA2Gal2(Fuc1-2)GlcNAc2Man3GlcNAc2からなる群から選択されるグリコフォームを与えるα1,2-結合フコースで存在する。
【0213】
更に詳細な態様においては、該抗体(例えば、ヒト化抗体)またはその抗原結合性フラグメントは、Man8GlcNAc2、Man7GlcNAc2、Man6GlcNAc2、Man5GlcNAc2、Man4GlcNAc2、またはMan3GlcNAc2 N-グリカン構造からなるN-グリカン(これらに限定されるものではない)を含む高マンノースN-グリカンを含む。
【0214】
前記の更に詳細な態様においては、該複合N-グリカンは更に、フコシル化および非フコシル化二分岐および多アンテナ種を含む。
【0215】
本明細書中で用いる「N-グリカン」および「グリコフォーム(糖形態)」なる語は互換的に用いられ、N-結合オリゴ糖を意味し、例えば、ポリペプチドのアスパラギン残基にアスパラギン-N-アセチルグルコサミン結合により結合しているN-結合オリゴ糖を意味する。N-結合糖タンパク質は、タンパク質中のアスパラギン残基のアミド窒素に結合したN-アセチルグルコサミン残基を含有する。糖タンパク質上で見出される主な糖としては、グルコース、ガラクトース、マンノース、フコース、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)およびシアル酸(例えば、N-アセチル-ノイラミン酸(NANA))が挙げられる。糖基のプロセシングは翻訳と同時にERの内腔において生じ、翻訳後はN-結合糖タンパク質のためにゴルジ装置において継続する。
【0216】
N-グリカンはMan3GlcNAc2の共通の五糖コアを有する(「Man」はマンノースを意味し、「Glc」はグルコースを意味し、「NAc」はN-アセチルを意味し、GlcNAcはN-アセチルグルコサミンを意味する)。通常、N-グリカン構造は、非還元末端を左側に、そして還元末端を右側にして表される。N-グリカンの還元末端は、該タンパク質上のグリコシル化部位を含むAsn残基に結合している末端である。N-グリカンは、「トリマンノースコア」、「五糖コア」または「少(pauci)マンノースコア」とも称されるMan3GlcNAc2(「Man3」)コア構造に付加される周辺糖(例えば、GlcNAc、ガラクトース、フコースおよびシアル酸)を含む分岐(アンテナ)の数において異なる。N-グリカンは、その分岐(分枝)構成成分に従い分類される(例えば、高マンノース、複合またはハイブリッド)。「高マンノース」型N-グリカンは5個以上のマンノース残基を有する。「複合」型N-グリカンは、典型的には、「トリマンノース」コアの1,6マンノースアームに結合した少なくとも1つのGlcNAcと、1,3マンノースアームに結合した少なくとも1つのGlcNAcとを有する。複合N-グリカンは、シアル酸または誘導体(例えば、「NANA」または「NeuAc」が挙げられ、ここで、「Neu」はノイラミン酸を意味し、「Ac」はアセチルを意味する)で修飾されていてもよいガラクトース(「Gal」)またはN-アセチルガラクトサミン(「GalNAc」)残基をも有しうる。複合N-グリカンは、コアフコース(「Fuc」)および「二分岐(bisecting)」GlcNAcを含む鎖内置換をも有しうる。複合N-グリカンはまた、「トリマンノース・コア」上に複数のアンテナを有することが可能であり、これは、しばしば、「多アンテナグリカン」と称される。「ハイブリッド」N-グリカンは、トリマンノースコアの1,3マンノースアームの末端における少なくとも1つのGlcNAcと、トリマンノースコアの1,6マンノースアーム上の0個以上のマンノースとを有する。前記の種々のN-グリカンは「グリコフォーム(糖形態)」とも称される。
【0217】
複合N-グリカンに関しては、「G-2」、「G-1」、「G0」、「G1」、「G2」、「A1」および「A2」なる語は以下を意味する。「G-2」は、Man3GlcNAc2として特徴づけられうるN-グリカン構造を意味し、「G-1」なる語は、GlcNAcMan3GlcNAc2として特徴づけられうるN-グリカン構造を意味し、「G0」なる語は、GlcNAc2Man3GlcNAc2として特徴づけられうるN-グリカン構造を意味し、「G1」なる語は、GalGlcNAc2Man3GlcNAc2として特徴づけられうるN-グリカン構造を意味し、「G2」なる語は、Gal2GlcNAc2Man3GlcNAc2として特徴づけられうるN-グリカン構造を意味し、「A1」なる語は、NANAGal2GlcNAc2Man3GlcNAc2として特徴づけられうるN-グリカン構造を意味し、「A2」なる語は、NANA2Gal2GlcNAc2Man3GlcNAc2として特徴づけられうるN-グリカン構造を意味する。特に示されていない限り、「G-2」、「G-1」、「G0」、「G1」、「G2」、「A1」および「A2」なる語は、N-グリカンの還元末端においてGlcNAc残基に結合したフコースを欠くN-グリカン種を意味する。該用語が「F」を含む場合、「F」は、該N-グリカン種が該N-グリカンの還元末端においてGlcNAc残基上にフコース残基を含有することを示す。例えば、G0F、G1F、G2F、A1FおよびA2Fは全て、該N-グリカンが、該N-グリカンの還元末端においてGlcNAc残基に結合したフコース残基を更に含むことを示す。酵母および糸状菌のような下等真核生物は、通常、フコースを有するN-グリカンを産生しない。
【0218】
多アンテナN-グリカンに関しては、「多アンテナN-グリカン」なる語は、該N-グリカンの1,6アームおよび1,3アームの非還元末端を含む各マンノース残基上のGlcNAc残基、または該N-グリカンの1,6アームおよび1,3アームの非還元末端を含むマンノース残基のそれぞれにおけるGlcNAc残基を更に含むN-グリカンを意味する。したがって、多アンテナN-グリカンは、式GlcNAc(2-4)Man3GlcNAc2、Gal(1-4)GlcNAc(2-4)Man3GlcNAc2、またはNANA(1-4)Gal(1-4)GlcNAc(2-4)Man3GlcNAc2により特徴づけられうる。「1-4」なる語は1、2、3または4個の残基を意味する。
【0219】
二分岐N-グリカンに関しては、「二分岐N-グリカン」なる語は、GlcNAc残基が該N-グリカンの還元末端においてマンノース残基に結合している、N-グリカンを意味する。二分岐N-グリカンは式GlcNAc3Man3GlcNAc2により特徴付けられることが可能であり、ここで、各マンノース残基はその非還元末端においてGlcNAc残基に結合している。これに対して、多アンテナN-グリカンがGlcNAc3Man3GlcNAc2として特徴付けられる場合、該式は、2つのGlcNAc残基が、N-グリカンの、2つのアームの一方の非還元末端において、マンノース残基に結合しており、1つのGlcNAc残基が、該N-グリカンの他方のアームの非還元末端において、マンノース残基に結合していることを示す。
【0220】
抗体の物理的特性
本明細書に開示されている抗体およびその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131A)は更に、軽鎖または重鎖免疫グロブリン可変領域内に1以上のグリコシル化部位を含有しうる。そのようなグリコシル化部位は抗原結合の変化による該抗体のpKの変化または該抗体もしくはそのフラグメントの免疫原性の増強をもたらしうる(Marshallら(1972)Annu Rev Biochem 41:673-702;GalaおよびMorrison(2004)J Immunol 172:5489-94;Wallickら(1988)J Exp Med 168:1099-109;Spiro(2002)Glycobiology 12:43R-56R;Parekhら(1985)Nature 316:452-7;Mimuraら(2000)Mol Immunol 37:697-706)。グリコシル化は、N-X-S/T配列を含有するモチーフにおいて生じることが公知である。
【0221】
各抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131A)は、一般には6~9.5のpH範囲内である特有の等電点(pI)を有する。IgG1抗体のpIは典型的には7~9.5のpH範囲内であり、IgG4抗体のpIは典型的には6~8のpH範囲内である。
【0222】
各抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aおよび他のそのヒト化形態)は特徴的な融解温度を有し、より高い融解温度は、より大きなインビボ総安定性を示す(Krishnamurthy RおよびManning MC(2002)Curr Pharm Biotechnol 3:361-71)。一般に、TM1(初期アンフォールディングの温度)は60℃より高い、65℃より高い、または70℃より高いことが可能である。抗体またはそのフラグメントの融点は、示差走査熱量測定(Chenら,2003,Pharm Res 20:1952-60;Ghirlandoら,1999,Immunol Lett 68:47-52)または円二色性(Murrayら,2002,J.Chromatogr Sci 40:343-9)を用いて測定されうる。
【0223】
もう1つの実施形態においては、急速に分解しない抗体およびその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aおよび他のそのヒト化形態)を選択する。抗体またはそのフラグメントの分解は、キャピラリー電気泳動(CE)およびMALDI-MS(Alexander AJおよびHughes DE(1995)Anal Chem 67:3626-32)を用いて測定されうる。
【0224】
もう1つの実施形態においては、望ましくない免疫応答の誘発および/または変化した若しくは好ましくない薬物動態特性を招きうる凝集作用が最小である抗体(例えば、抗体hCD27.131Aおよび他のそのヒト化形態)およびその抗原結合性フラグメントを選択する。一般に、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下または5%以下の凝集を示す抗体およびフラグメントが許容される。凝集は、サイズ排除カラム(SEC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)および光散乱を含む幾つかの技術により測定されうる。
【0225】
抗体コンジュゲート
本明細書に開示されている抗CD27抗体およびその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aおよび他のその抗原結合性フラグメント)は化学的部分にコンジュゲート化(結合)されることも可能である。化学的部分は、とりわけ、重合体、放射性核種または細胞毒性因子でありうる。特定の実施形態においては、化学的部分は、対象の体内の該抗体またはそのフラグメントの半減期を増加させる重合体である。適切な重合体には、ポリエチレングリコール(PEG)(例えば、2kDa、5kDa、10kDa、12kDa、20kDa、30kDaまたは40kDaの分子量を有するPEG)、デキストランおよびモノメトキシポリエチレングリコール(mPEG)(これらに限定されるものではない)を包含する親水性重合体が含まれるが、これらに限定されるものではない。Leeら(1999)(Bioconj.Chem.10:973-981)はPEGコンジュゲート化一本鎖抗体を開示している。Wenら,(2001)(Bioconj.Chem.12:545-553)は、放射性金属キレーター(ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA))に結合したPEGに対して抗体をコンジュゲート化することを開示している。
【0226】
本明細書に開示されている抗体およびその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aおよびそのヒト化形態)はまた、例えば99Tc、90Y、111In、32P、14C、125I、3H、131I、11C、15O、13N、18F、35S、51Cr、57To、226Ra、60Co、59Fe、57Se、152Eu、67CU、217Ci、211At、212Pb、47Sc、109Pd、234Thおよび40K、157Gd、55Mn、52Trおよび56Feのような標識に対してコンジュゲート化されうる。
【0227】
本明細書に開示されている抗体および抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントおよびそのヒト化形態)は、例えば、その生物学的(例えば、血清)半減期を増加させるために、ペグ化(PEGylate)されることも可能である。抗体またはそのフラグメントをペグ化するためには、典型的には、1以上のPEG基が該抗体または抗体フラグメントに結合する条件下、該抗体またはそのフラグメントを、反応性形態のポリエチレングリコール(PEG)、例えば、PEGの反応性エステルまたはアルデヒド誘導体と反応させる。特定の実施形態においては、ペグ化は、反応性PEG分子(または類似反応性水溶性重合体)とのアルキル化反応またはアシル化反応により行われる。本明細書中で用いる「ポリエチレングリコール」なる語は、他のタンパク質を誘導体化するために使用されているPEGの形態のいずれか、例えばモノ(C1-C10)アルコキシ-またはアリールオキシ-ポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコール-マレイミドを含むと意図される。ある実施形態においては、ペグ化されるべき抗体またはそのフラグメントは非グリコシル化抗体またはそのフラグメントである。タンパク質をペグ化するための方法は当技術分野で公知であり、本発明の抗体に適用されうる。例えば、EP 0 154 316およびEP 0 401 384を参照されたい。
【0228】
本明細書に開示されている抗体および抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメント)は、蛍光または化学発光標識、例えば発蛍光団、例えば希土類キレート、フルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、イソチオシアナート、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルアルデヒド、フルオレスカミン、152Eu、ダンシル、ウンベリフェロン、ルシフェリン、ルミナール標識、イソルミナール標識、芳香族アクリジニウムエステル標識、イミダゾール標識、アクリジミウム塩標識、シュウ酸エステル標識、エクオリン標識、2,3-ジヒドロフタラジンジオン、ビオチン/アビジン、スピン標識および安定フリーラジカルに対してコンジュゲート化されることも可能である。
【0229】
該抗体およびその抗原結合性フラグメントは、細胞毒性因子、例えばジフテリア毒素、シュードモナス・エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデッシンA鎖、アルファ-サルシン、アレウリテス・フォルディ(Aleurites fordii)タンパク質および化合物(例えば、脂肪酸)、ジアンシン(dianthin)タンパク質、フィトイアッカ・アメリカナ(Phytoiacca americana)タンパク質PAPI、PAPIIおよびPAP-S、モモルディカ・カランチア(momordica charantia)インヒビター、クルシン、クロチン、サポナリア・オフィシナリス(saponaria officinalis)インヒビター、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシンおよびエノマイシンにコンジュゲート化されることも可能である。
【0230】
本発明の抗体およびその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131A)を種々の部分にコンジュゲート化するための当技術分野で公知のいずれかの方法が利用可能であり、該方法は、Hunterら(1962)Nature 144:945;Davidら(1974)Biochemistry 13:1014;Painら(1981)J.Immunol.Meth.40:219;およびNygren,J.(1982)Histochem.and Cytochem.30:407に記載されている方法を包含する。抗体およびフラグメントをコンジュゲート化するための方法は常套手段であり、当技術分野において非常によく知られている。
【0231】
抗CD27抗体の治療用途
更に、本明細書に開示されている単離された抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメント)での、治療を要するヒト対象を含む対象の治療方法を提供する。本発明の1つの実施形態においては、そのような対象は癌に罹患しており、他の何らかの障害を有しうる。
【0232】
本発明の種々の実施形態においては、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは、固形腫瘍および/または固形腫瘍の存在により特徴付けられる癌を有する患者を治療するために使用される。種々の実施形態における固形腫瘍は組織の異常塊である。固形腫瘍は良性または悪性でありうる。種々のタイプの固形腫瘍が、それらを形成する細胞のタイプにちなんで命名されている。固形腫瘍の例としては、肉腫、癌腫およびリンパ腫が挙げられる。白血病(血液の癌)は、一般に、固形腫瘍を形成しない。種々の実施形態においては、固形腫瘍は嚢胞または液体領域を通常は含有しない。例示的な固形腫瘍には以下のものが含まれるが、それらに限定されるものではない:肉腫および癌腫、例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨形成性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮細胞肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄質癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝細胞癌、胆管癌、脈絡膜癌、精上皮腫、胚性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、多形性神経膠芽細胞腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、黒色腫、神経芽細胞腫および網膜芽細胞腫。
【0233】
1つの実施形態においては、本明細書に開示されている本発明の抗体または抗原結合性フラグメント、組成物および方法により治療されうる癌には以下のものが含まれるが、それらに限定されるものではない:肺癌、膵臓癌、結腸癌、結腸直腸癌、骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病、甲状腺癌、骨髄異形成症候群、膀胱癌、表皮癌、黒色腫(メラノーマ)、乳癌、前立腺癌、頭頸部癌、卵巣癌、脳癌、間葉系由来の癌(例えば、肉腫)、神経芽細胞腫、腎臓癌、肝細胞腫、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫および未分化甲状腺癌。
【0234】
「対象」は哺乳動物、例えばヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、マウス、ラット、サル[例えば、カニクイザル、例えば、マカカ・ファシクラリス(Macaca fascicularis)]またはウサギである。本発明の好ましい実施形態においては、対象はヒト対象である。
【0235】
「患者」は、疾患(例えば、癌)もしくは病態の治療が望まれる、または臨床試験、疫学研究に参加している、または対照として用いられるの任意の単一の対象を意味し、ヒトおよび哺乳動物獣医患者、例えばウシ、ウマ、イヌおよびネコを包含する。
【0236】
「組合される」なる語は、本発明の方法において投与される成分、例えば抗CD27抗体(例えば、ヒト化抗体hCD27.131A)またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたは別のそのヒト化形態の抗原結合性フラグメント)が、抗癌剤(抗癌物質)と共に、同時運搬のために単一組成物へと製剤化されることが可能であり、あるいは2以上の組成物(例えば、キット)に別々に製剤化されることが可能であることを示す。各成分は、その他の成分が投与される時点とは異なる時点で対象に投与されうる。例えば、各投与は、ある期間にわたって、幾つかの間隔をあけて非同時(例えば、別々または連続的)に行われうる。更に、そのような別々の成分は、同じ経路または異なる経路によって対象に投与されうる。
【0237】
特定の実施形態においては、本明細書に開示されている抗体またはその抗原結合性フラグメントは、例えば本明細書に記載されている癌のようないずれかの疾患を治療または予防するために、そのような治療または予防を要する対象において、単独で、または他の追加的な治療用物質および/もしくは治療手技と組合せて使用されうる。追加的な治療用物質と組合されたそのような抗体およびそのフラグメントを含む組成物、例えば、薬学的に許容される担体を含む医薬組成物も、本発明の一部である。
【0238】
したがって、本発明は、追加的な治療用物質または治療手技と所望により組合されていてもよい、本明細書に開示されている抗体またはその抗原結合性フラグメントの有効量を対象に投与することを含む、対象(例えば、ヒト対象/患者)における癌を治療する方法または使用を提供する。本発明はまた、追加的な治療用物質または治療手技と所望により組合されていてもよい、本明細書に開示されている抗体またはその抗原結合性フラグメントの有効量を対象に投与することを含む、ヒト対象における癌の治療方法を提供する。本発明はまた、免疫細胞の活性を増強する方法を提供し、該方法は、それを要する対象に、本明細書に開示されている抗体またはその抗原結合性フラグメントの有効量を投与することを含む。もう1つの実施形態においては、本発明は、単独療法としての癌の治療における使用のための、または免疫細胞の活性の増強における使用のための、または追加的な治療用物質と組合された癌の治療における使用のための、本発明の抗体またはその抗原結合性フラグメントを提供する。もう1つの実施形態においては、本発明は、免疫細胞活性化を増強する医薬の製造のための、または単独療法として癌を治療する医薬の製造のための、または追加的な治療用物質と組合せて癌を治療する医薬の製造のための、本発明の抗体またはその抗原結合性フラグメントの使用を提供する。もう1つの実施形態においては、本発明は、癌の治療のための、または免疫細胞の活性の増強のための、または別の障害の治療のための、本発明の抗体またはその抗原結合性フラグメントと追加的な治療用物質との組合せ(併用)を提供する。
【0239】
本発明のもう1つの実施形態においては、抗CD27抗体または抗原結合性フラグメントで治療される対象は癌に罹患している。1つの実施形態においては、癌は固形腫瘍である。種々の実施形態において、癌は骨肉腫、横紋筋肉腫、神経芽細胞腫、腎臓癌、白血病、腎移行細胞癌、膀胱癌、ウィルムス癌/腫瘍、卵巣癌、膵臓癌、乳癌、前立腺癌、骨癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、胃癌、結腸直腸癌、子宮頸癌、滑膜肉腫、頭頸部癌、扁平上皮癌、多発性骨髄腫、腎細胞癌、網膜芽細胞腫、肝芽腫、肝細胞癌、黒色腫、腎臓のラブドイド腫瘍、ユーイング肉腫、軟骨肉腫、脳癌、神経膠芽腫、髄膜腫、下垂体腺腫、前庭神経鞘腫、原始神経外胚葉性腫瘍、髄芽腫、星細胞腫、退形成性星細胞腫、乏突起膠腫、上衣腫、脈絡叢乳頭腫、真性多血症、血小板血症、特発性筋線維症、軟部組織肉腫、甲状腺癌、子宮内膜癌、カルチノイド癌または肝臓癌、乳癌または胃癌である。本発明の1つの実施形態においては、癌は、例えば前記の種々のものの、転移癌である。
【0240】
本発明の抗体または抗原結合性フラグメント、組成物および方法により治療されうる癌には以下のものが含まれるが、それらに限定されるものではない:心臓:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫および奇形腫;肺:気管支原性癌(扁平上皮細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞(細気管支)癌、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨腫過誤腫、中皮腫;胃腸:食道(扁平上皮癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(腺管腺癌、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、VIP産生腫瘍)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫) 結腸直腸;尿生殖路:腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍[腎芽腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱および尿道(扁平上皮癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、精巣(腺癌、奇形腫、胎児性癌、奇形癌、絨毛癌、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫);肝臓:肝癌(肝細胞癌)、胆管癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫;骨:骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網細胞肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫瘍脊索腫、骨軟骨腫(骨軟骨性外骨腫)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫および巨細胞腫瘍;神経系:頭蓋(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣細胞腫、胚細胞腫[松果腫]、多形神経膠芽腫、乏突起膠腫、シュワン細胞腫、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);婦人科:子宮(子宮内膜癌)、子宮頸部(子宮頸癌、前腫瘍子宮頸部異形成)、卵巣(卵巣癌[漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、未分類癌腫]、顆粒膜嚢細胞腫瘍、セルトリライディッヒ細胞腫、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰部(扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、黒色腫)、膣(明細胞癌、扁平上皮癌、ブドウ状肉腫(胎児性横紋筋肉腫)、卵管(癌腫)、乳房;血液学:血液(骨髄性白血病[急性および慢性]、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫];皮膚:悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮癌、カポジ肉腫、奇形腫異形成母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬;ならびに副腎:神経芽腫。したがって、本明細書に記載されている「癌細胞」なる語は、前記状態のいずれかに罹患した細胞を含む。
【0241】
他の実施形態においては、本発明は、追加的な治療用物質または治療手技と所望により組合されていてもよい本発明の抗体もしくはその抗原結合性フラグメントまたは発現ベクターまたは宿主細胞の有効量を投与することを含む、ヒト対象における癌、感染または感染症の治療方法を提供する。
【0242】
特定の実施形態においては、本明細書に開示されている抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aおよびそのヒト化形態)は、単独で、または腫瘍ワクチンと組合せて使用されうる。腫瘍ワクチンの例には以下のものが含まれるが、それらに限定されるものではない:ヒトパピローマウイルス(HPV)感染により引き起こされる癌に対するワクチン、例えばGardasil(登録商標)、Gardasil(登録商標)およびCervarix(登録商標);B型肝炎ウイルスにより引き起こされる肝癌を予防するワクチン、例えばEngerix-B(登録商標)およびRecombivaxHB(登録商標);免疫応答を誘発する腫瘍溶解性ウイルス療法、例えばImlygic(登録商標);DNAワクチン、例えばSynchotrope MA2MプラスミドDNAワクチンおよびZYC101;マンマグロビン-a DNAワクチン(Clinical Cancer Res.2014 20(23):5964-75を参照されたい);ベクターに基づくワクチン、例えばPSA-TRICOM(プロストバック(prostvac))、PANVAC-VF、リステリア・モノシトゲネス(Listeria monocytogenes)に基づくPSAワクチン(Therapeutic Advances in Vaccines,2014,2(5)137-148を参照されたい)、リステリア-メソテリン(Listeria-mesothelin)アデノ(Adeno)-CEA;同種ワクチン、例えばGVAX、BLP-25(抗アンカラムチン1)、ベラゲンプマツセル(Belagenpumatucel)-L、TG4010、CIMAvax上皮増殖因子ワクチン、NY-ESO、GM.CD40L-CCL21;自己ワクチン、例えばアデノ(Adeno)-CD40L、BCG、INGN-225、樹状細胞ワクチン、例えばProvenge(登録商標)(シプロイセル(Sipuleucel)-T)、rF-CEA-MUC1-TRICOM(パンバック(panvac)-DC);抗原ワクチン、例えばMUC-1(スチムバックス(stimuvax))、NY-ESO-1、GP-100、MAGE-A3(黒色腫抗原コード遺伝子A3)、INGN-225(Pharmacology & Therapeutics 153(2015)1-9を参照されたい)。
【0243】
種々の実施形態において、抗体またはその抗原結合性フラグメントは1用量で投与される。例えば、対象または患者に約2mg、約7mg、約20mg、約30mg、約70mg、約200mgまたは約700mgの用量が投与される。種々の実施形態において、抗体またはその抗原結合性フラグメントは複数用量で投与される。
【0244】
種々の実施形態において、抗体またはその抗原結合性フラグメントは約2mg~約700mgの用量で投与される。例えば、対象または患者に約2mg、約7mg、約20mg、約30mg、約70mg、約200mgまたは約700mgが投与される。該方法の種々の実施形態において、対象または患者に2mgの抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。該方法の種々の実施形態において、対象または患者に7mgの抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。該方法の種々の実施形態において、対象または患者に20mgの抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。該方法の種々の実施形態において、対象または患者に30mgの抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。該方法の種々の実施形態において、対象または患者に70mgの抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。該方法の種々の実施形態において、対象または患者に200mgの抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。該方法の種々の実施形態において、対象または患者に700mgの抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。該方法の種々の実施形態において、対象または患者に約200mg~約700mgの用量の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。該方法の種々の実施形態において、対象または患者に約30mg~約700mgの用量の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。該方法の種々の実施形態において、対象または患者に約30mg、約200mgまたは約200mg~約700mgの用量の抗CD27抗体または抗原結合性フラグメントが投与される。該方法の種々の実施形態において、対象または患者に約30mg~約200mgの用量の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。該方法の種々の実施形態において、対象または患者に約70mg~約200mgの用量の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントが投与される。
【0245】
特定の実施形態においては、本明細書に開示されている抗体またはその抗原結合性フラグメントは、単独で、または化学療法剤(化学療法物質)と組合せて使用されうる。
【0246】
特定の実施形態においては、本明細書に開示されている抗体またはその抗原結合性フラグメントは、単独で、または放射線療法と組合せて使用されうる。
【0247】
特定の実施形態においては、本明細書に開示されている抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントおよびそのヒト化形態)は、単独で、または標的化療法と組合せて使用されうる。標的化療法の例には以下のものが含まれる:ホルモン療法、シグナル伝達インヒビター(例えば、EGFRインヒビター、例えば、セツキシマブ(cetuximab)(Erbitux)およびエルロチニブ(erlotinib)(Tarceva));HER2インヒビター(例えば、トラスツズマブ(trastuzumab)(Herceptin)およびペルツズマブ(pertuzumab)(Perjeta));BCR-ABLインヒビター(例えば、イマチニブ(imatinib)(Gleevec)およびダサチニブ(dasatinib)(Sprycel));ALKインヒビター(例えば、クリゾチニブ(crizotinib)(Xalkori)およびセリチニブ(ceritinib)(Zykadia));BRAFインヒビター(例えば、ベムラフェニブ(vemurafenib)(Zelboraf)およびダブラフェニブ(dabrafenib)(Tafinlar))、遺伝子発現モジュレーター、アポトーシス誘導物質(例えば、ボルテゾミブ(bortezomib)(Velcade)およびカルフィルゾミブ(carfilzomib)(Kyprolis))、血管新生インヒビター(例えば、ベバシズマブ(bevacizumab)(Avastin)およびラムシルマブ(ramucirumab)(Cyramza)、毒素に結合したモノクローナル抗体(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン(brentuximab vedotin)(Adcetris)およびアド-トラスツズマブ・エムタンシン(ado-trastuzumab emtansine)(Kadcyla))。
【0248】
特定の実施形態においては、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aおよびそのヒト化形態)は、抗癌治療用物質、免疫調節薬、例えば免疫調節受容体インヒビター、例えば、該受容体に特異的に結合する抗体またはその抗原結合性フラグメントと組合せて使用されうる。
【0249】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aおよびそのヒト化形態)は以下のものの1以上と組合せて使用される:抗PD1抗体、抗PDL1抗体、抗TIGIT抗体、抗CTLA4抗体、抗CS1抗体(例えば、エロツズマブ(elotuzumab))、抗KIR2DL1/2/3抗体(例えば、リリルマブ(lirilumab))、抗CD137抗体(例えば、ウレルマブ(urelumab))、抗GITR抗体(例えば、TRX518)、抗PD1抗体[例えば、ペンブロリズマブ(pembrolizumab)、ニボルマブ(nivolumab)、ピジリズマブ(pidilizumab)(CT-011)]、抗PD-L1抗体[例えば、BMS-936559、ドゥルバルマブ(Durvalumab)、MSB0010718CまたはMPDL3280A]、抗PD-L2抗体、抗ILT1抗体、抗ILT2抗体、抗ILT3抗体、抗ILT4抗体、抗ILT5抗体、抗ILT6抗体、抗ILT7抗体、抗ILT8抗体、抗CD40抗体、抗OX40抗体、抗ICOS、抗SIRPα、抗KIR2DL1抗体、抗KIR2DL2/3抗体、抗KIR2DL4抗体、抗KIR2DL5A抗体、抗KIR2DL5B抗体、抗KIR3DL1抗体、抗KIR3DL2抗体、抗KIR3DL3抗体、抗NKG2A抗体、抗NKG2C抗体、抗NKG2E抗体、抗4-1BB抗体(例えば、PF-05082566)、抗TSLP抗体、抗IL-10抗体、IL-10またはペグ化(PEGylated)IL-10、あるいはそのような標的の任意の小さな有機分子インヒビター。
【0250】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントおよびそのヒト化形態)は抗PD1抗体(例えば、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、ピジリズマブ(CT-011))と組合せて使用される。
【0251】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントおよびそのヒト化形態)は抗PDL1抗体[例えば、BMS-936559、ドゥルバルマブ(Durvalumab)、MSB0010718CまたはMPDL3280A]と組合せて使用される。
【0252】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントまたはそのヒト化形態)は抗CTLA4抗体と組合せて使用される。
【0253】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントまたはそのヒト化形態)は抗CS1抗体と組合せて使用される。
【0254】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントまたはそのヒト化形態)は抗KIR2DL1/2/3抗体と組合せて使用される。
【0255】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントまたはそのヒト化形態)は抗CD137(例えば、ウレルマブ(urelumab))抗体と組合せて使用される。
【0256】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントまたはそのヒト化形態)は抗GITR(例えば、TRX518)抗体と組合せて使用される。
【0257】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントまたはそのヒト化形態)は抗PD-L2抗体と組合せて使用される。
【0258】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントまたはそのヒト化形態)は抗ITL1抗体と組合せて使用される。
【0259】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントまたはそのヒト化形態)は抗ITL2抗体と組合せて使用される。
【0260】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントまたはそのヒト化形態)は抗ITL3抗体と組合せて使用される。
【0261】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントまたはそのヒト化形態)は抗ITL4抗体と組合せて使用される。
【0262】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントまたはそのヒト化形態)は抗ITL5抗体と組合せて使用される。
【0263】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントまたはそのヒト化形態)は抗ITL6抗体と組合せて使用される。
【0264】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントまたはそのヒト化形態)は抗ITL7抗体と組合せて使用される。
【0265】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントまたはそのヒト化形態)は抗ITL8抗体と組合せて使用される。
【0266】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントまたはそのヒト化形態)は抗CD40抗体と組合せて使用される。
【0267】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントまたはそのヒト化形態)は抗OX40抗体と組合せて使用される。
【0268】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントまたはそのヒト化形態)は抗KIR2DL1抗体と組合せて使用される。
【0269】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントまたはそのヒト化形態)は抗KIR2DL2/3抗体と組合せて使用される。
【0270】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントまたはそのヒト化形態)は抗KIR2DL4抗体と組合せて使用される。
【0271】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントまたはそのヒト化形態)は抗KIR2DL5A抗体と組合せて使用される。
【0272】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントまたはそのヒト化形態)は抗KIR2DL5B抗体と組合せて使用される。
【0273】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントまたはそのヒト化形態)は抗KIR3DL1抗体と組合せて使用される。
【0274】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントまたはそのヒト化形態)は抗KIR3DL2抗体と組合せて使用される。
【0275】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントまたはそのヒト化形態)は抗KIR3DL3抗体と組合せて使用される。
【0276】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントまたはそのヒト化形態)は抗NKG2A抗体と組合せて使用される。
【0277】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントまたはそのヒト化形態)は抗NKG2C抗体と組合せて使用される。
【0278】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントまたはそのヒト化形態)は抗ICOS抗体と組合せて使用される。
【0279】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントまたはそのヒト化形態)は抗SIRPα抗体と組合せて使用される。
【0280】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントまたはそのヒト化形態)は抗4-1BB抗体と組合せて使用される。
【0281】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントまたはそのヒト化形態)は抗IL-10抗体と組合せて使用される。
【0282】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントまたはそのヒト化形態)は抗TSLP抗体と組合せて使用される。
【0283】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントまたはそのヒト化形態)はIL-10またはペグ化IL-10と組合せて使用される。
【0284】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントまたはそのヒト化形態)は以下のものの1以上と組合せて使用される:インヒビター(例えば、小さな有機分子または抗体もしくはその抗原結合性フラグメント)、例えばMTOR(ラパマイシンの哺乳類標的)インヒビター、細胞毒性物質、白金物質、EGFRインヒビター、VEGFインヒビター、微小管安定化剤、タキサン、CD20インヒビター、CD52インヒビター、CD30インヒビター、RANK(核因子カッパBの受容体アクチベーター)インヒビター、STINGアゴニスト、CXCR2アンタゴニスト、RANKL(核因子カッパBリガンドの受容体アクチベーター)インヒビター、ERKインヒビター、MAPキナーゼインヒビター、AKTインヒビター、MEKインヒビター、PARPインヒビター、PI3Kインヒビター、HER1インヒビター、HER2インヒビター、HER3インヒビター、HER4インヒビター、Bcl2インヒビター、CD22インヒビター、CD79bインヒビター、ErbB2インヒビターまたはファルネシルタンパク質トランスフェラーゼインヒビター。
【0285】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはそのヒト化形態)は以下のものの任意の1以上と組合せて使用される:13-シス-レチノイン酸、3-[5-(メチルスルホニルピペラジンメチル)-インドリル]-キノロン、4-ヒドロキシタモキシフェン、5-デオキシウリジン、5’-デオキシ-5-フルオロウリジン、5-フルオロウラシル、6-メルカプトプリン、7-ヒドロキシスタウロスポリン、A-443654、アビラテロンアセタート(abirateroneacetate)、アブラキサン(abraxane)、ABT-578、アコルビフェン(acolbifene)、ADS-100380、ALT-110、アルトレタミン(altretamine)、アミホスチン(amifostine)、アミノグルテチミド(aminoglutethimide)、アムルビシン(amrubicin)、アムサクリン(Amsacrine)、アナグレリド(anagrelide)、アナストロゾール(anastrozole)、アンジオスタチン(angiostatin)、AP-23573、ARQ-197、アルゾキシフェン(arzoxifene)、AS-252424、AS-605240、アスパラギナーゼ、AT-9263、アトラセンタン(atrasentan)、アキシチニブ(axitinib)、AZD1115、カルメットゲラン桿菌(Bacillus Calmette-Guerin)(BCG)ワクチン、バタブリン(batabulin)、BC-210、ベソデュトクス(besodutox)、ベバシズマブ(bevacizumab)、ビカルタミド(bicalutamide)、Bio111、BIO140、ブレオマイシン、BMS-214662、BMS-247550、BMS-275291、BMS-310705、ボルテジミブ(bortezimib)、ブセレリン(buserelin)、ブスルファン(busulfan)、カルシトリオール(calcitriol)、カンプトテシン(camptothecin)、カネルチニブ(canertinib)、カペシタビン(capecitabine)、カルボプラチン(carboplatin)、カルムスチン(carmustine)、CC8490、セジラニブ(Cediranib)、CG-1521、CG-781、クラミドシン(chlamydocin)、クロラムブシル(chlorambucil)、クロロトキシン(chlorotoxin)、シレンジチド(cilengitide)、シミチジン(cimitidine)、シスプラチン、クラドリビン(cladribine)、クロドロナート(clodronate)、COL-3、CP-724714、シクロホスファミド、シプロテロン(cyproterone)、シプロテロンアセタート、シタラビン、シトシンアラビノシド、ダカルバジン(dacarbazine)、ダシノスタット(dacinostat)、ダクチノマイシン(dactinomycin)、ダロツズマブ(dalotuzumab)、ダヌセルチブ(danusertib)、ダサタニブ(dasatanib)、ダウノルビシン(daunorubicin)、デカタニブ(decatanib)、デグエリン(deguelin)、デニロイキン(denileukin)、デオキシコホルマイシン(deoxycoformycin)、デプシペプチド(depsipeptide)、ジアリールプロピオニトリル、ジエチルスチルベストロール(diethylstilbestrol)、ジフチトックス(diftitox)、ドセタキセル(docetaxel)、ドビチニブ(dovitinib)、ドキソルビシン(doxorubicin)、ドロロキシフェン(droloxifene)、エドテカリン(edotecarin)、イットリウム-90標識エドトレオチド(edotreotide)、エドトレオチド、EKB-569、EMD121974、エンドスタチン(endostatin)、エンザルタミド(enzalutamide)、エンザスタウリン(enzastaurin)、エピルビシン(epirubicin)、エピチロン(epithilone)B、ERA-923、エルビツクス(Erbitux)、エルロチニブ(erlotinib)、エストラジオール(estradiol)、エストラムスチン(estramustine)、エトポシド(etoposide)、エベロリムス(everolimus)、エキセメスタン(exemestane)、フィクラツズマブ(ficlatuzumab)、フィナステリド(finasteride)、フラボピリドール(flavopiridol)、フロクスウリジン(floxuridine)、フルダラビン(fludarabine)、フルドロコルチゾン(fludrocortisone)、フルオキシメステロン(fluoxymesterone)、フルタミド(flutamide)、FOLFOXレジメン、フルベストラント(Fulvestrant)、ガレテロン(galeterone)、ゲフィチニブ(gefitinib)、ゲムシタビン(gemcitabine)、ギマテカン(gimatecan)、ゴセレリン(goserelin)、酢酸ゴセレリン、ゴシポール(gossypol)、GSK461364、GSK690693、HMR-3339、ヒドロキシプロゲステロンカプロアート、ヒドロキシウレア、IC87114、イダルビシン(idarubicin)、イドキシフェン(idoxyfene)、イホスファミド(ifosfamide)、IM862、イマチニブ(imatinib)、IMC-1C11、INCB24360、INO1001、インターフェロン、インターロイキン12、イピリムマブ(ipilimumab)、イリノテカン(irinotecan)、JNJ-16241199、ケトコナゾール、KRX-0402、ラパチニブ(lapatinib)、ラソホキシフェン(lasofoxifene)、レトロゾール(letrozole)、ロイコボリン(leucovorin)、ロイプロリド(leuprolide)、酢酸ロイプロリド、レバミゾール(levamisole)、リポソーム封入パクリタキセル(paclitaxel)、ロムスチン(lomustine)、ロナファルニブ(lonafarnib)、ルカントン(lucanthone)、LY292223、LY292696、LY293646、LY293684、LY294002、LY317615、マリマスタット(marimastat)、メクロレタミン(mechlorethamine)、メドロキシプロゲステロンアセタート(medroxyprogesteroneacetate)、メゲストロールアセタート(megestrolacetate)、メルファラン(melphalan)、メルカプトプリン(mercaptopurine)、メスナ(mesna)、メトトレキセート(methotrexate)、ミトラマイシン(mithramycin)、マイトマイシン(mitomycin)、ミトタン(mitotane)、ミトキサントロン(mitoxantrone)、トザセルチブ(tozasertib)、MLN8054、ネオバスタット(neovastat)、ネラチニブ(neratinib)、ニューラジアブ(neuradiab)、ニロチニブ(nilotinib)、ニルチミド(nilutimide)、ノラトレキセド(nolatrexed)、NVP-BEZ235、オブリメルセン(oblimersen)、オクトレオチド(octreotide)、オファツムマブ(ofatumumab)、オラパリブ(olaparib)、オレゴボマブ(oregovomab)、オルテロネル(orteronel)、オキサリプラチン(oxaliplatin)、パクリタキセル(paclitaxel)、パルボシクリブ(palbociclib)、パミドロナート(pamidronate)、パニツムマブ(panitumumab)、パゾパニブ(pazopanib)、PD0325901、PD184352、PEG-インターフェロン、ペメトレキセド(pemetrexed)、ペントスタチン(pentostatin)、ペリホシン(perifosine)、フェニルアラニンマスタード(phenylalaninemustard)、PI-103、ピクチリシブ(pictilisib)、PIK-75、ピペンドキシフェン(pipendoxifene)、PKI-166、プリカマイシン(plicamycin)、ポルフィマー(porfimer)、プレドニゾン(prednisone)、プロカルバジン(procarbazine)、プロゲスチン(progestin)、PX-866、R-763、ラロキシフェン(raloxifene)、ラルチトレキセド(raltitrexed)、ラゾキシン(razoxin)、リダホロリムス(ridaforolimus)、リツキシマブ(rituximab)、ロミデプシン(romidepsin)、RTA744、ルビテカン(rubitecan)、スクリプタイド(scriptaid)、Sdx102、セリシクリブ(seliciclib)、セルメチニブ(selumetinib)、セマキサニブ(semaxanib)、SF1126、シロリムス(sirolimus)、SN36093、ソラフェニブ(sorafenib)、スピロノラクトン(spironolactone)、スクアラミン(squalamine)、SR13668、ストレプトゾシン(streptozocin)、SU6668、スベロイルアナリド(suberoylanalide)ヒドロキサム酸、スニチニブ(sunitinib)、合成エストロゲン、タランパネル(talampanel)、タリモゲン ラヘルパレプベック(talimogene laherparepvec)、タモキシフェン(tamoxifen)、テモゾロミド(temozolomide)、テムシロリムス(temsirolimus)、テニポシド(teniposide)、テスミリフェン(tesmilifene)、テストステロン、テトランドリン(tetrandrine)、TGX-221、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、チシリムマブ(ticilimumab)、チピファルニブ(tipifarnib)、チボザニブ(tivozanib)、TKI-258、TLK286、トポテカン(topotecan)、クエン酸トレミフェン(toremifene)、トラベクテジン(trabectedin)、トラスツズマブ(trastuzumab)、トレチノイン(tretinoin)、トリコスタチン(trichostatin)A、トリシリビンホスファート(triciribinephosphate)一水和物、トリプトレリン(triptorelin)パモアート、TSE-424、ウラシルマスタード、バルプロ酸、バルルビシン(valrubicin)、バンデタニブ(vandetanib)、バタラニブ(vatalanib)、VEGFトラップ、ビンブラスチン(vinblastine)、ビンクリスチン(vincristine)、ビンデシン(vindesine)、ビノレルビン(vinorelbine)、ビタキシン(vitaxin)、ビテスパン(vitespan)、ボリノスタット(vorinostat)、VX-745、ウォートマンニン(wortmannin)、Xr311、ザノリムマブ(zanolimumab)、ZK186619、ZK-304709、ZM336372、ZSTK474。
【0286】
本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントと組合せて使用される適切な抗癌物質(抗癌因子)の非限定的な例には、以下のような癌および腫瘍性疾患に対する細胞増殖抑制物質、細胞毒性物質、標的化治療用物質(例えば、小分子、生物製剤、siRNAおよびマイクロRNA)が含まれる。
【0287】
1)代謝拮抗剤(例えば、メトクストレキサート、5-フルオロウラシル、ゲムシタビン、フルダラビン、カペシタビン);
2)アルキル化剤、例えばテモゾロミド、シクロホスファミド;
3)DNA相互作用性またはDNA損傷性物質、例えばシスプラチン、オキサリプラチン、ドキソルビシン;
4)電離放射線、例えば放射線療法;
5)トポイソメラーゼIIインヒビター、例えばエトポシド、ドキソルビシン;
6)トポイソメラーゼIインヒビター、例えばイリノテカン、トポテカン;
7)チューブリン相互作用物質、例えばパクリタキセル、ドセタキセル、アブラキサン、エポチロン;
8)キネシン紡錘体タンパク質インヒビター;
9)紡錘体チェックポイントインヒビター;
10)ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)インヒビター、例えばオラパリブ、ニラパリブおよびベリパリブ;
11)マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)インヒビター;
12)プロテアーゼインヒビター、例えばカテプシンDおよびカテプシンKインヒビター;
13)プロテオソームまたはユビキチン化インヒビター、例えばボルテゾミブ;
14)突然変異体p53の、その野生型p53活性を回復させるためのアクチベーター;
15)アデノウイルス-p53;
16)Bcl-2インヒビター、例えばABT-263;
17)熱ショックタンパク質(HSP)モジュレーター、例えばゲルダナマイシンおよび17-AAG;
18)ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)インヒビター、例えばボリノスタット(SAHA);
19)性ホルモン調節物質;
a.抗エストロゲン、例えばタモキシフェン、フルベストラント;
b.選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、例えばラロキシフェン;
c.抗アンドロゲン、例えばビカルタミド、フルタミド;
d.LHRHアゴニスト、例えばロイプロリド;
e.5α-レダクターゼインヒビター、例えばフィナステリド;
f.チトクロームP450 C17リアーゼ(CYP450c17;17αCとも称される);
g.アロマターゼインヒビター、例えばレトロゾール、アナストロゾール、エキセメスタン;
20)EGFRキナーゼインヒビター、例えばゲフチニブ、エルロチニブ、ラプチニブ;
21)二重erbB1およびerbB2インヒビター、例えばラパチニブ;
22)多標的化キナーゼ(セリン/スレオニンおよび/またはチロシンキナーゼ)インヒビター;
a.ABLキナーゼインヒビター、イマチニブおよびニロチニブまたはダサチニブ;
b.VEGFR-1、VEGFR-2、PDGFR、KDR、FLT、c-Kit、Tie2、Raf、MEKおよびERKインヒビター、例えばスニチニブ、ソラフェニブ、バンデタニブ、パゾパニブ、PLX-4032、アキシチニブ、PTK787またはGSK-1120212;
c.ポロ様キナーゼインヒビター;
d.オーロラキナーゼインヒビター;
e.JAKインヒビター;
f.c-METキナーゼインヒビター;
g.PI3KまたはmTORインヒビター、例えばGDC-0941、BEZ-235、BKM-120およびAZD-8055;
h.ラパマイシンおよびその類似体、例えばテムシロリムス、エベロリムスおよびデフォロリムス;
i.STING(インターフェロン遺伝子の刺激因子)アゴニスト;
j.CXCR(CXCケモカイン受容体)インヒビター、CXCR2アンタゴニスト;
23)および他の抗癌物質(抗腫瘍物質としても公知である)には以下のものが含まれるが、それらに限定されるものではない:アラ(ara)-C、アドリアマイシン、サイトキサン、カルボプラチン、ウラシルマスタード、クロルメチン、イフォスフミド、メルファラン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスホラミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、フロクスウリジン、シタラビン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、フルダラビンリン酸塩、ペントスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ナベルビン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、テニポシド、シタラビン、ペメトレキセド、イダルビシン、ミトラマイシン、デオキシコホルマイシン、マイトマイシン-C、L-アスパラギナーゼ、テニポシド、エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベストロール、テストステロン、プレドニゾン、フルオキシメステロン、ドロモスタノロンプロピオナート、テストラクトン、メゲストロールアセタート、メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、クロロトリアニセン、ヒドロキシプロゲステロン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、フルタミド メドロキシプロゲステロンアセタート、トレミフェン、ゴセレリン、カルボプラチン、ヒドロキシ尿素、アムサクリン、プロカルバジン、ミトタン、ミトキサントロン、レバミゾール、ドロロキサフィン、ヘキサメチルメラミン、ベキサール(Bexxar)、ゼバリン(Zevalin)、トリセノックス(Trisenox)、プロファイマー、チオテパ、アルトレタミン、ドキシル、オンタク、デポサイト、アラネスプ、ニューポジェン(Neupogen)、ニューラスタ(Neulasta)またはケピバンス(Kepivance);
24)ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼインヒビター、例えばSARASAR(商標)(4-[2-[4-[(11R)-3,10-ジブロモ-8-クロロ-6,11-ジヒドロ-5H-ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2-b]ピリジン-11-イル-]-1-ピペリジニル]-2-オキソエチル]-ピペリジンカルボキサミド、チピファルニブ;
25)インターフェロン、例えばイントロン(Intron)A、ペグ-イントロン(Peg-Intron);
26)抗erbB1抗体、例えばセツキシマブ、パニツムマブ;
27)抗erbB2抗体、例えばトラスツズマブ;
28)CD52抗体、例えばアレムツズマブ;
29)抗CD20抗体、例えばリツキシマブ;
30)抗CD33抗体、例えばゲムツズマブ オゾガマイシン;
31)抗VEGF抗体、例えばアバスチン(Avastin);
32)TRIALリガンド、例えばレキサツムマブ、マパツムマブおよびAMG-655;
33)抗CTLA-4抗体、例えばイピリムマブ;
34)CTA1、CEA、CD5、CD19、CD22、CD30、CD44、CD44V6、CD55、CD56、EpCAM、FAP、MHCII、HGF、IL-6、MUC1、PSMA、TAL6、TAG-72、TRAILR、VEGFR、IGF-2、FGFに対する抗体;
35)抗IGF-1R抗体、例えばダロツズマブおよびロバツムマブ(SCH717454)。
【0288】
「エストロゲン受容体モジュレーター」は、メカニズムには無関係に、受容体へのエストロゲンの結合を阻害または抑制する化合物を意味する。エストロゲン受容体モジュレーターの例には、タモキシフェン(tamoxifen)、ラロキシフェン(raloxifene)、ヨードキシフェン(idoxifene)、LY353381、LY117081、トレミフェン(toremifene)、フルベストラント(fulvestrant)、4-[7-(2,2-ジメチル-1-オキソプロポキシ-4-メチル-2-[4-[2-(1-ピペリジニル)エトキシ]フェニル]-2H-1-ベンゾピラン-3-イル]-フェニル-2,2-ジメチルプロパノアート、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン-2,4-ジニトロフェニル-ヒドラゾンおよびSH646が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0289】
「アンドロゲン受容体モジュレーター」は、メカニズムには無関係に、受容体へのアンドロゲンの結合を阻害または抑制する化合物を意味する。アンドロゲン受容体モジュレーターの例には、フィナステリド(finasteride)および他の5α-レダクターゼインヒビター、ニルタミド(nilutamide)、フルタミド(flutamide)、ビカルタミド(bicalutamide)、リアロゾール(liarozole)および酢酸アビラテロン(abiraterone)が含まれる。
【0290】
「レチノイド受容体モジュレーター」は、メカニズムには無関係に、受容体へのレチノイドの結合を阻害または抑制する化合物を意味する。そのようなレチノイド受容体モジュレーターの例には、ベキサロテン(bexarotene)、トレチノイン(tretinoin)、13-シス-レチノイン酸、9-シス-レチノイン酸、α-ジフルオロメチルオルニチン、ILX23-7553、トランス-N-(4’-ヒドロキシフェニル)レチナミドおよびN-4-カルボキシフェニルレチナミドが含まれる。
【0291】
「細胞毒性/細胞増殖抑制物質」は、主に細胞の機能を直接的に阻害することにより細胞死を引き起こす若しくは細胞増殖を抑制する又は細胞有糸分裂を抑制もしくは阻害する化合物を意味し、例えばアルキル化物質、腫瘍壊死因子、インターカレーター、低酸素活性化可能化合物、微小管インヒビター/微小管安定化物質、有糸分裂キネシンのインヒビター、ヒストンデアセチラーゼインヒビター、有糸分裂進行に関与するキナーゼのインヒビター、増殖因子およびサイトカインシグナル伝達経路に関与するキナーゼのインヒビター、代謝拮抗物質、生体応答調節物質、ホルモン/抗ホルモン治療用物質、造血成長因子、モノクローナル抗体標的化治療用物質、トポイソメラーゼインヒビター、プロテアソームインヒビター、ユビキチンリガーゼインヒビターおよびオーロラキナーゼインヒビターを包含する。
【0292】
細胞毒性/細胞増殖抑制物質の例には以下のものが含まれるが、それらに限定されるものではない:白金配位化合物、セルテネフ(sertenef)、カケクチン(cachectin)、イホスファミド(ifosfamide)、タソネルミン(tasonermin)、ロニダミン(lonidamine)、カルボプラチン(carboplatin)、アルトレタミン(altretamine)、プレドニムスチン(prednimustine)、ジブロモズルシトール(dibromodulcitol)、ラニムスチン(ranimustine)、ホテムスチン(fotemustine)、ネダプラチン(nedaplatin)、オキサリプラチン(oxaliplatin)、テモゾロミド(temozolomide)、ヘプタプラチン(heptaplatin)、エストラムスチン(estramustine)、トシル酸イムプロスルファン(improsulfan)、トロホスファミド(trofosfamide)、ニムスチン(nimustine)、塩化ジブロスピジウム(dibrospidium)、プミテパ(pumitepa)、ロバプラチン(lobaplatin)、サトラプラチン(satraplatin)、プロフィロマイシン(profiromycin)、シスプラチン(cisplatin)、イロフルベン(irofulven)、デキシホスファミド(dexifosfamide)、シス-アミンジクロロ(2-メチル-ピリジン)白金、ベンジルグアニン、グルホスファミド(glufosfamide)、GPX100、(トランス,トランス,トランス)-ビス-ミュー-(ヘキサン-1,6-ジアミン)-ミュー-[ジアミン-白金(II)]ビス[ジアミン(クロロ)白金(II)]テトラクロリド、ジアリジジニルスペルミン(diarizidinylspermine)、三酸化ヒ素、1-(11-ドデシルアミノ-10-ヒドロキシウンデシル)-3,7-ジメチルキサンチン、ゾルビシン(zorubicin)、イダルビシン(idarubicin)、ダウノルビシン(daunorubicin)、ビサントレン(bisantrene)、ミトザントロン(mitoxantrone)、ピラルビシン(pirarubicin)、ピナフィド(pinafide)、バルルビシン(valrubicin)、アムルビシン(amrubicin)、アンチネオプラストン(antineoplaston)、3’-デアミノ-3’-モルホリノ-13-デオキソ-10-ヒドロキシカルミノマイシン、アンナマイシン(annamycin)、ガラルビシン(galarubicin)、エリナフィド(elinafide)、MEN10755、4-デメトキシ-3-デアミノ-3-アジリジニル-4-メチルスルホニル-ダウノルビシン(WO 00/50032を参照されたい)。
【0293】
低酸素活性化可能化合物の一例としては、チラパザミン(tirapazamine)が挙げられる。
【0294】
プロテアソームインヒビターの例には、ラクタシスチン(lactacystin)およびMLN-341(Velcade)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0295】
微小管インヒビター/微小管安定化物質の例には一般にタキサンが含まれる。具体的な化合物には以下のものが含まれる:パクリタクセル(paclitaxel)(Taxol(登録商標))、硫酸ビンデシン(vindesine)、3’,4’-ジデヒドロ-4’-デオキシ-8’-ノルビンカロイコブラスチン(norvincaleukoblastine)、ドセタキソール(docetaxol)(Taxotere(登録商標))、リゾキシン(rhizoxin)、ドラスタチン(dolastatin)、ミボブリン(mivobulin)イセチオナート、オーリスタチン(auristatin)、セマドチン(cemadotin)、RPR109881、BMS184476、ビンフルニン(vinflunine)、クリプトフィシン(cryptophycin)、2,3,4,5,6-ペンタフルオロ-N-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、アンヒドロビンブラスチン(anhydrovinblastine)、N,N-ジメチル-L-バリル-L-バリル-N-メチル-L-バリル-L-プロリル-L-プロリン-t-ブチルアミド、TDX258、エポチロン(例えば、米国特許第6,284,781号および第6,288,237号を参照されたい)およびBMS188797。
【0296】
トポイソメラーゼインヒビターの幾つかの例としては、以下のものが挙げられる:トポテカン(topotecan)、ヒカプタミン(hycaptamine)、イリノテカン(irinotecan)、ルビテカン(rubitecan)、6-エトキシプロピオニル-3’,4’-O-エキソ-ベンジリデン-シャールトルーシン(chartreusin)、9-メトキシ-N,N-ジメチル-5-ニトロピラゾロ[3,4,5-kl]アクリジン-2-(6H)プロパンアミン、1-アミノ-9-エチル-5-フルオロ-2,3-ジヒドロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-1H,12H-ベンゾ[デ]ピラノ[3’,4’:b,7]-インドリジノール[1,2b]キノリン-10,13(9H,15H)ジオン,ルルトテカン(lurtotecan)、7-[2-(N-イソプロピルアミノ)エチル]-(20S)カンプトテシン(camptothecin)、BNP1350、BNPI1100、BN80915、BN80942、リン酸エトポシド(etoposide)、テニポシド(teniposide)、ソブゾキサン(sobuzoxane)、2’-ジメチルアミノ-2’-デオキシ-エトポシド(etoposide)、GL331、N-[2-(ジメチルアミノ)エチル]-9-ヒドロキシ-5,6-ジメチル-6H-ピリド[4,3-b]カルバゾール-1-カルボキサミド、アスラクリン(asulacrine)、(5a,5aB,8aa,9b)-9-[2-[N-[2-(ジメチルアミノ)エチル]-N-メチルアミノ]エチル]-5-[4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシフェニル]-5,5a,6,8,8a,9-ヘキソヒドロフロ(3’,4’:6,7)ナフト(2,3-d)-1,3-ジオキソール-6-オン、2,3-(メチレンジオキシ)-5-メチル-7-ヒドロキシ-8-メトキシベンゾ[c]-フェナントリジニウム、6,9-ビス[(2-アミノエチル)アミノ]ベンゾ[g]イソグイノリン-5,10-ジオン、5-(3-アミノプロピルアミノ)-7,10-ジヒドロキシ-2-(2-ヒドロキシエチルアミノメチル)-6H-ピラゾロ[4,5,1-デ]アクリジン-6-オン、N-[1-[2(ジエチルアミノ)エチルアミノ]-7-メトキシ-9-オキソ-9H-チオキサンテン-4-イルメチル]ホルムアミド、N-(2-(ジメチルアミノ)エチル)アクリジン-4-カルボキサミド、6-[[2-(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]-3-ヒドロキシ-7H-インデノ[2,1-c]キノリン-7-オンおよびジメスナ(dimesna)。
【0297】
有糸分裂キネシン、特にヒト有糸分裂キネシンKSPのインヒビターの例は特許公開番号WO03/039460、WO03/050064、WO03/050122、WO03/049527、WO03/049679、WO03/049678、WO04/039774、WO03/079973、WO03/099211、WO03/105855、WO03/106417、WO04/037171、WO04/058148、WO04/058700、WO04/126699、WO05/018638、WO05/019206、WO05/019205、WO05/018547、WO05/017190、US2005/0176776に記載されている。
【0298】
「ヒストンデアセチラーゼインヒビター」の例には、SAHA、TSA、オキサムフラチン(oxamflatin)、PXD101、MG98およびスクリプタイド(scriptaid)が含まれるが、これらに限定されるものではない。他のヒストンデアセチラーゼインヒビターに対する更なる言及は以下の文書に見出されうる:Miller,T.A.ら,J.Med.Chem.46(24):5097-5116(2003)。
【0299】
「有糸分裂の進行に関与するキナーゼのインヒビター」には、オーロラキナーゼのインヒビター、Polo様キナーゼ(PLK)のインヒビター(特にPLK-1のインヒビター)、bub-1のインヒビターおよびbub-R1のインヒビターが含まれるが、これらに限定されるものではない。「オーロラキナーゼインヒビター」の一例はVX-680である。
【0300】
「抗増殖性物質」には、以下のものが含まれるが、それらに限定されるものではない:アンチセンスRNAおよびDNAオリゴヌクレオチド、例えばG3139、ODN698、RVASKRAS、GEM231およびINX3001、ならびに抗代謝拮抗物質、例えばエノシタビン(enocitabine)、カルモフル(carmofur)、テガフル(tegafur)、ペントスタチン(pentostatin)、ドキシフルリジン(doxifluridine)、トリメトレキセート(trimetrexate)、フルダラビン(fludarabine)、カペシタビン(capecitabine)、ガロシタビン(galocitabine)、シタラビンオクホスファート(cytarabine ocfosfate)、ホステアビン(fosteabine)ナトリウム水和物、ラルチトレキセド(raltitrexed)、パルチトレキシド(paltitrexid)、エミテフル(emitefur)、チアゾフリン(tiazofurin)、デシタビン(decitabine)、ノラトレキセド(nolatrexed)、ペメトレキセド(pemetrexed)、ネルザラビン(nelzarabine)、2’-デオキシ-2’-メチリデンシチジン、2’-フルオロメチレン-2’-デオキシシチジン、N-[5-(2,3-ジヒドロ-ベンゾフリル)スルホニル]-N’-(3,4-ジクロロフェニル)尿素、N6-[4-デオキシ-4-[N2-[2(E),4(E)-テトラデカジエノイル]グリシルアミノ]-L-グリセロ-B-L-マンノ-ヘプトピラノシル]アデニン、アプリジン(aplidine)、エクテイナスシジン(ecteinascidin)、トロキサシタビン(troxacitabine)、4-[2-アミノ-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-3H-ピリミジノ[5,4-b][1,4]チアジン-6-イル-(S)-エチル]-2,5-チエノイル-L-グルタミン酸、アミノプテリン(aminopterin)、5-フルオロウラシル、アラノシン(alanosine)、11-アセチル-8-(カルバモイルオキシメチル)-4-ホルミル-6-メトキシ-14-オキサ-1,11-ジアザテトラシクロ(7.4.1.0.0)-テトラデカ-2,4,6-トリエン-9-イル酢酸エステル、スワインソニン(swainsonine)、ロメトレキソール(lometrexol)、デクスラゾキサン(dexrazoxane)、メチオニナーゼ(methioninase)、2’-シアノ-2’-デオキシ-N4-パルミトイル-1-B-D-アラビノフラノシルシトシン、3-アミノピリジン-2-カルボキサルデヒドチオセミカルバゾンおよびトラスツズマブ。
【0301】
モノクローナル抗体標的化治療用物質の例には、癌細胞特異的または標的細胞特異的モノクローナル抗体に細胞毒性物質または放射性同位体が結合している治療用物質が含まれる。具体例にはベキサール(Bexxar)が含まれる。
【0302】
「プレニル-タンパク質トランスフェラーゼインヒビター」は、ファルネシル-タンパク質トランスフェラーゼ(FPTアーゼ)、ゲラニルゲラニル-タンパク質トランスフェラーゼI型(GGPTアーゼ-I)およびゲラニルゲラニル-タンパク質トランスフェラーゼII型(GGPTアーゼ-II;Rab GGPTアーゼとも称される)を含むプレニル-タンパク質トランスフェラーゼ酵素の任意の1つ又は任意の組合せを阻害する化合物を意味する。
【0303】
プレニル-タンパク質トランスフェラーゼインヒビターの例は以下の刊行物および特許において見出されうる:WO 96/30343、WO 97/18813、WO 97/21701、WO 97/23478、WO 97/38665、WO 98/28980、WO 98/29119、WO 95/32987、米国特許第5,420,245号,米国特許第5,523,430号、米国特許第5,532,359号、米国特許第5,510,510号、米国特許第5,589,485号、米国特許第5,602,098号、欧州特許公開番号0 618 221、欧州特許公開番号0 675 112、欧州特許公開番号0 604 181、欧州特許公開番号0 696 593、WO 94/19357、WO 95/08542、WO 95/11917、WO 95/12612、WO 95/12572、WO 95/10514、米国特許第5,661,152号、WO 95/10515、WO 95/10516、WO 95/24612、WO 95/34535、WO 95/25086、WO 96/05529、WO 96/06138、WO 96/06193、WO 96/16443、WO 96/21701、WO 96/21456、WO 96/22278、WO 96/24611、WO 96/24612、WO 96/05168、WO 96/05169、WO 96/00736、米国特許第5,571,792号、WO 96/17861、WO 96/33159、WO 96/34850、WO 96/34851、WO 96/30017、WO 96/30018、WO 96/30362、WO 96/30363、WO 96/31111、WO 96/31477、WO 96/31478、WO 96/31501、WO 97/00252、WO 97/03047、WO 97/03050、WO 97/04785、WO 97/02920、WO 97/17070、WO 97/23478、WO 97/26246、WO 97/30053、WO 97/44350、WO 98/02436および米国特許第5,532,359号。血管新生に対するプレニル-タンパク質トランスフェラーゼインヒビターの役割の一例に関しては、European J.of Cancer,Vol.35,No.9,pp.1394-1401(1999)を参照されたい。
【0304】
「血管新生インヒビター」は、メカニズムには無関係に、新たな血管の形成を阻害する化合物を意味する。血管新生インヒビターの例には、以下のものが含まれるが、それらに限定されるものではない:チロシンキナーゼインヒビター、例えば、チロシンキナーゼ受容体Flt-1(VEGFR1)およびFlk-1/KDR(VEGFR2)のインヒビター、上皮由来、線維芽細胞由来または血小板由来増殖因子のインヒビター、MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)インヒビター、インテグリンブロッカー、インターフェロンα、インターロイキン-12、ペントサンポリスルファート、シクロオキシゲナーゼインヒビター、例えば非ステロイド抗炎症物質(NSAID)、例えばアスピリンおよびイブプロフェン、ならびに選択的シクロオキシゲナーゼ2インヒビター、例えばセレコキシブ(celecoxib)およびロフェコキシブ(rofecoxib)(PNAS,Vol.89,p.7384(1992);JNCI,Vol.69,p.475(1982);Arch.Opthalmol,Vol.108,p.573(1990);Anat.Rec,Vol.238,p.68(1994);FEBS Letters,Vol.372,p.83(1995);Clin,Orthop.Vol.313,p.76(1995);J.Mol.Endocrinol.,Vol.16,p.107(1996);Jpn.J.Pharmacol.,Vol.75,p.105(1997);Cancer Res.,Vol.57,p.1625(1997);Cell,Vol.93,p.705(1998);Intl.J.Mol.Med.,Vol.2,p.715(1998);J.Biol.Chem.,Vol.274,p.9116(1999))、ステロイド抗炎症物質(例えば、コルチコステロイド、ミネラルコルチコステロイド、デキサメタゾン(dexamethasone)、プレドニゾン(prednisone)、プレドニゾロン(prednisolone)、メチルプレド(methylpred)、ベタメタゾン(betamethasone))、カルボキシアミドトリアゾール、コムブレタスタチン(combretastatin)A-4、スクアラミン(squalamine)、6-O-クロロアセチル-カルボニル)-フマギロール(fumagillol)、サリドマイド(thalidomide)、アンジオスタチン(angiostatin)、トロポニン-1、アンジオテンシンIIアンタゴニスト(Fernandezら,J.Lab.Clin.Med.105:141-145(1985)を参照されたい)、およびVEGFに対する抗体(Nature Biotechnology,Vol.17,pp.963-968(October 1999);Kimら,Nature,362,841-844(1993);WO00/44777;およびWO00/61186を参照されたい)。
【0305】
血管新生インヒビターの他の例には、以下のものが含まれるが、それらに限定されるものではない:エンドスタチン(endostatin)、ウクライン(ukrain)、ランピルナーゼ(ranpirnase)、IM862、5-メトキシ-4-[2-メチル-3-(3-メチル-2-ブテニル)オキシラニル]-1-オキサスピロ[2,5]オクタ-6-イル(クロロアセチル)カルバマート、アセチルジナナリン(acetyldinanaline)、5-アミノ-1-[[3,5-ジクロロ-4-(4-クロロベンゾイル)-フェニル]メチル]-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミド、CM101、スクアラミン(squalamine)、コムブレタスタチン(combretastatin)、RPI4610、NX31838、硫酸化マンノペントースホスファート、7,7-(カルボニル-ビス[イミノ-N-メチル-4,2-ピロロカルボニルイミノ[N-メチル-4,2-ピロール]-カルボニルイミノ]-ビス-(1,3-ナフタレンジスルホナート)、および3-[(2,4-ジメチルピロール-5-イル)メチレン]-2-インドリノン(SU5416)。
【0306】
血管新生をモジュレーションまたは抑制し、本発明の化合物と組合せて使用されることも可能である他の治療用物質には、凝固および線維素溶解系をモジュレーションまたは抑制する物質が含まれる(Clin.Chem.La.Med.38:679-692(2000)における総説を参照されたい)。凝固および線維素溶解経路をモジュレーションまたは抑制するそのような物質の例には、ヘパリン(Thromb.Haemost.80:10-23(1998)を参照されたい)、低分子量ヘパリンおよびカルボキシペプチダーゼUインヒビター(活性トロンビン活性化可能線維素溶解インヒビター(TAFIa)のインヒビターとしても公知である)(Thrombosis Res.101:329-354(2001)を参照されたい)が含まれるが、これらに限定されるものではない。TAFIaインヒビターは米国特許出願(U.S.Ser.)番号60/310,927(2001年8月8日付け出願)および60/349,925(2002年1月18日付け出願)に記載されている。
【0307】
「受容体チロシンキナーゼ(RTK)を阻害する物質」は、RTKを阻害する、したがって、発癌および腫瘍進行に関与するメカニズムを阻害する化合物を意味する。そのような物質には、c-Kit、Eph、PDGF、Flt3およびc-Metのインヒビターが含まれる。他の物質には、Bume-JensenおよびHunter,Nature,411:355-365,2001に記載されているRTKのインヒビターが含まれる。
【0308】
「細胞増殖および生存シグナル伝達経路のインヒビター」は、細胞表面受容体の下流のシグナル伝達カスケードを阻害する化合物を意味する。そのような物質には以下のものが含まれる:セリン/トレオニンキナーゼのインヒビター(限定的なものではないが、例えばWO 02/083064、WO 02/083139、WO 02/083140、US 2004-0116432、WO 02/083138、US 2004-0102360、WO 03/086404、WO 03/086279、WO 03/086394、WO 03/084473、WO 03/086403、WO 2004/041162、WO 2004/096131、WO 2004/096129、WO 2004/096135、WO 2004/096130、WO 2005/100356、WO 2005/100344、US 2005/029941、US 2005/44294、US 2005/43361、60/734188、60/652737、60/670469に記載されているもののようなAktのインヒビターを含む)、Rafキナーゼのインヒビター(例えば、PLX-4032)、MEKのインヒビター(例えば、Arry-162、RO-4987655およびGSK-1120212)、mTORのインヒビター(例えば、AZD-8055、BEZ-235およびエベロリムス)およびPI3Kのインヒビター(例えば、GDC-0941、BKM-120)。
【0309】
前記で用いた「インテグリンブロッカー」は、αvβ3インテグリンへの生理学的リガンドの結合を選択的に拮抗、阻害または相殺する化合物、αvβ5インテグリンへの生理学的リガンドの結合を選択的に拮抗、阻害または相殺する化合物、αvβ3インテグリンとαvβ5インテグリンとの両方への生理学的リガンドの結合を拮抗、阻害または相殺する化合物、ならびに毛細血管内皮細胞上で発現される個々のインテグリンの活性を拮抗、阻害または相殺する化合物を意味する。この語は、αvβ6、αvβ8、α1β1、α2β1、α5β1、α6β1およびα6β4インテグリンのアンタゴニストをも意味する。この語はまた、αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α1β1、α2β1、α5β1、α6β1およびα6β4インテグリンの任意の組合せのアンタゴニストをも意味する。
【0310】
チロシンキナーゼインヒビターの幾つかの具体例には以下のものが含まれる:N-(トリフルオロメチルフェニル)-5-メチルイソオキサゾール-4-カルボキサミド、3-[(2,4-ジメチルピロール-5-イル)メチリデニル)インドリン-2-オン、17-(アリルアミノ)-17-デメトキシゲルダナマイシン(demethoxygeldanamycin)、4-(3-クロロ-4-フルオロフェニルアミノ)-7-メトキシ-6-[3-(4-モルホリニル)プロポキシル]キナゾリン、N-(3-エチニルフェニル)-6,7-ビス(2-メトキシエトキシ)-4-キナゾリンアミン、BIBX1382、2,3,9,10,11,12-ヘキサヒドロ-10-(ヒドロキシメチル)-10-ヒドロキシ-9-メチル-9,12-エポキシ-1H-ジインドロ[1,2,3-fg:3’,2’,1’-kl]ピロロ[3,4-i][1,6]ベンゾジアゾシン-1-オン、SH268、ゲニステイン(genistein)、STI571、CEP2563、4-(3-クロロフェニルアミノ)-5,6-ジメチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジンメタンスルホナート、4-(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)アミノ-6,7-ジメトキシキナゾリン、4-(4’-ヒドロキシフェニル)アミノ-6,7-ジメトキシキナゾリン、SU6668、STI571A、N-4-クロロフェニル-4-(4-ピリジルメチル)-1-フタラジンアミンおよびEMD121974。
【0311】
抗CD27抗体または抗原結合性フラグメントとPPAR-γ(すなわち、PPAR-ガンマ)アゴニストおよびPPAR-δ(すなわち、PPAR-デルタ)アゴニストとの組合せは或る悪性疾患の治療に有用でありうる。PPAR-γおよびPPAR-δは核ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γおよびδである。内皮細胞上のPPAR-γの発現および血管新生におけるその関与が文献において報告されている(J.Cardiovasc.Pharmacol.1998,31:909-913;J.Biol.Chem.1999,274:9116-9121;Murataら,Invest.Ophthalmol Vis.Sci.2000,41:2309-2317を参照されたい)。より最近になって、PPAR-γアゴニストはインビトロにおけるVEGFに対する血管新生応答を抑制することが示されており、トログリタゾン(troglitazone)およびマレイン酸ロシグリタゾン(rosiglitazone)の両方がマウスにおける網膜血管新生の発生を抑制する(Arch.Ophthamol.2001;119:709-717)。PPAR-γアゴニストおよびPPAR-γ/αアゴニストの例には、以下のものが含まれるが、それらに限定されるものではない:Lynparza(登録商標)、Rucaparib(登録商標)、Talazoparib(登録商標)、ニラパリブ(niraparib)、Veliparib(登録商標)、チアゾリジンジオン[例えば、DRF2725、CS-011、トログリタゾン(troglitazone)、ロシグリタゾン(rosiglitazone)およびピオグリタゾン(pioglitazone)]、フェノフィブレート(fenofibrate)、ジェムフィブロジル(gemfibrozil)、クロフィブレート(clofibrate)、GW2570、SB219994、AR-H039242、JTT-501、MCC-555、GW2331、GW409544、NN2344、KRP297、NP0110、DRF4158、NN622、GI262570、PNU182716、DRF552926、2-[(5,7-ジプロピル-3-トリフルオロメチル-1,2-ベンゾイソオキサゾール-6-イル)オキシ]-2-メチルプロピオン酸および2(R)-7-(3-(2-クロロ-4-(4-フルオロフェノキシ)フェノキシ)プロポキシ)-2-エチルクロマン-2-カルボン酸。
【0312】
本発明の抗体またはその抗原結合性フラグメントは、アロマターゼインヒビターと組合せて、乳癌を治療または予防するのにも有用でありうる。アロマターゼインヒビターの例には、アナストロゾール、レトロゾールおよびエキセメスタンが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0313】
本発明の抗体またはその抗原結合性フラグメントは、以下の化学療法剤と組合せて癌を治療するのにも有用でありうる:アバレリックス(abarelix)(Plenaxis depot(登録商標));アルデスロイキン(aldesleukin)(Prokine(登録商標));アルデスロイキン(Aldesleukin)(Proleukin(登録商標));アレムツズマブ(Alemtuzumabb)(Campath(登録商標));アリトレチノイン(alitretinoin)(Panretin(登録商標));アロプリノール(allopurinol)(Zyloprim(登録商標));アルトレタミン(altretamine)(Hexalen(登録商標));アミホスチン(amifostine)(Ethyol(登録商標));アナストロゾール(anastrozole)(Arimidex(登録商標));三酸化ヒ素(Trisenox(登録商標));アスパラギナーゼ(asparaginase)(Elspar(登録商標));アザシチジン(azacitidine)(Vidaza(登録商標));塩酸ベンダムスチン(bendamustine)(Treanda(登録商標));ベバクジマブ(bevacuzimab)(Avastin(登録商標));ベキサロテン(bexarotene)カプセル(Targretin(登録商標));ベキサロテン(bexarotene)ゲル(Targretin(登録商標));ブレオマイシン(bleomycin)(Blenoxane(登録商標));ボルテゾミブ(bortezomib)(Velcade(登録商標));ブレフェルジン(brefeldin)A;静脈内ブスルファン(busulfan)(Busulfex(登録商標));経口ブスルファン(busulfan)(Myleran(登録商標));カルステロン(calusterone)(Methosarb(登録商標));カペシタビン(capecitabine)(Xeloda(登録商標));カルボプラチン(carboplatin)(Paraplatin(登録商標));カルムスチン(carmustine)(BCNU(登録商標),BiCNU(登録商標));カルムスチン(carmustine)(Gliadel(登録商標));ポリフェプロサン(Polifeprosan)20インプラントと組合されたカルムスチン(carmustine)(Gliadel Wafer(登録商標));セレコキシブ(celecoxib)(Celebrex(登録商標));セツキシマブ(cetuximab)(Erbitux(登録商標));クロラムブシル(chlorambucil)(Leukeran(登録商標));シスプラチン(cisplatin)(Platinol(登録商標));クラドリビン(cladribine)(Leustatin(登録商標)、2-CdA(登録商標));クロファラビン(clofarabine)(Clolar(登録商標));シクロホスファミド(cyclophosphamide)(Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標));シクロホスファミド(cyclophosphamide)(Cytoxan Injection(登録商標));シクロホスファミド(cyclophosphamide)(Cytoxan Tablet(登録商標));シタラビン(cytarabine)(Cytosar-U(登録商標));シタラビン(cytarabine)リポソーム(DepoCyt(登録商標));ダカルバジン(dacarbazine)(DTIC-Dome(登録商標));ダクチノマイシン(dactinomycin)、アクチノマイシン(actinomycin)D(Cosmegen(登録商標));ダルテパリン(dalteparin)ナトリウム注射用(Fragmin(登録商標));ダルベポエチンアルファ(Darbepoetin alfa)(Aranesp(登録商標));ダサチニブ(dasatinib)(Sprycel(登録商標));ダウノルビシン(daunorubicin)リポソーム(DanuoXome(登録商標));ダウノルビシン,ダウノマイシン(daunomycin)(Daunorubicin(登録商標));ダウノルビシン,ダウノマイシン(Cerubidine(登録商標));デガレリックス(degarelix)(Firmagon(登録商標));デニロイキン・ジフチトックス(Denileukin diftitox)(Ontak(登録商標));デクスラゾキサン(dexrazoxane)(Zinecard(登録商標));塩酸デクスラゾキサン(Totect(登録商標));ジデムニン(didemnin)B;17-DMAG;ドセタキセル(docetaxel)(Taxotere(登録商標));ドキソルビシン(doxorubicin)(Adriamycin PFS(登録商標));ドキソルビシン(Adriamycin(登録商標),Rubex(登録商標));ドキソルビシン(Adriamycin PFS Injection(登録商標));ドキソルビシンリポソーム(Doxil(登録商標));プロピオン酸ドロモスタノロン(dromostanolone)(Dromostanolone(登録商標));プロピオン酸ドロモスタノロン(Masterone Injection(登録商標));エクリズマブ注射用(eculizumab injection)(Soliris(登録商標));エリオットB(Elliott’s B)溶液(Elliott’s B Solution(登録商標));エルトロンボパッグ(eltrombopag)(Promacta(登録商標));エピルビシン(epirubicin)(Ellence(登録商標));エポエチン(Epoetin)アルファ(epogen(登録商標));エルロチニブ(erlotinib)(Tarceva(登録商標));エストラムスチン(estramustine)(Emcyt(登録商標));エチニルエストラジオール;リン酸エトポシド(etoposide)(Etopophos(登録商標));エトポシド,VP-16(Vepesid(登録商標));エベロリムス(everolimus)錠剤(Afinitor(登録商標));エキセメスタン(exemestane)(Aromasin(登録商標));フェルモキシトール(ferumoxytol)(Feraheme Injection(登録商標));フィルグラスチム(Filgrastim)(Neupogen(登録商標));フロクスウリジン(floxuridine)(動脈内)(FUDR(登録商標));フルダラビン(fludarabine)(Fludara(登録商標));フルオロウラシル(fluorouracil),5-FU(Adrucil(登録商標));フルベストラント(fulvestrant)(Faslodex(登録商標));ゲフィニチブ(gefitinib)(Iressa(登録商標));ゲルダナマイシン(geldanamycin);ゲムシタビン(gemcitabine)(Gemzar(登録商標));ゲムツズマブ・オゾガマイシン(gemtuzumab ozogamicin)(Mylotarg(登録商標));酢酸ゴセレリン(goserelin)(Zoladex Implant(登録商標));酢酸ゴセレリン(Zoladex(登録商標));酢酸ヒストレリン(histrelin)(Histrelin implant(登録商標));ヒドロキシ尿素(Hydrea(登録商標));イブリツモマブ・チウキセタン(Ibritumomab Tiuxetan)(Zevalin(登録商標));イダルビシン(idarubicin)(Idamycin(登録商標));イホスファミド(ifosfamide)(IFEX(登録商標));メシル酸イマチニブ(imatinib)(Gleevec(登録商標));インターフェロンアルファ2a(Roferon A(登録商標));インターフェロンアルファ2b(Intron A(登録商標));イオベングアン(iobenguane)I 123注射用(AdreView(登録商標));イリノテカン(irinotecan)(Camptosar(登録商標));イキサベピロン(ixabepilone)(Ixempra(登録商標));イアパチニブ(Iapatinib)錠剤(Tykerb(登録商標));レナリドミド(lenalidomide)(Revlimid(登録商標));レトロゾール(letrozole)(Femara(登録商標));ロイコボリン(leucovorin)(Wellcovorin(登録商標),Leucovorin(登録商標));酢酸ロイプロイド(Leuprolide)(Eligard(登録商標));レバミソール(levamisole)(Ergamisol(登録商標));ロムスチン(lomustine),CCNU(CeeBU(登録商標));メクロレタミン(meclorethamine),ナイトロジェンマスタード(Mustargen(登録商標));酢酸メゲストロール(megestrol)(Megace(登録商標));メルファラン(melphalan),L-PAM(Alkeran(登録商標));メルカプトプリン,6-MP(Purinethol(登録商標));メスナ(mesna)(Mesnex(登録商標));メスナ(Mesnex tabs(登録商標));メトトレキセート(methotrexate)(Methotrexate(登録商標));メトクスサレン(methoxsalen)(Uvadex(登録商標));8-メトキシソラレン;マイトマイシン(mitomycin)C(Mutamycin(登録商標));ミトタン(mitotane)(Lysodren(登録商標));ミトザントロン(mitoxantrone)(Novantrone(登録商標));ミトラマイシン(mitramycin);フェンプロピオン酸ナンドロロン(nandrolone)(Durabolin-50(登録商標));ネララビン(nelarabine)(Arranon(登録商標));ニロチニブ(nilotinib)(Tasigna(登録商標));ノフェツモマブ(Nofetumomab)(Verluma(登録商標));オファツムマブ(ofatumumab)(Arzerra(登録商標));オプレルベキン(Oprelvekin)(Neumega(登録商標));オキサリプラチン(oxaliplatin)(Eloxatin(登録商標));パクリタクセル(paclitaxel)(Paxene(登録商標));パクリタクセル(Taxol(登録商標));パクリタクセルタンパク質結合粒子(Abraxane(登録商標));パリフェルミン(palifermin)(Kepivance(登録商標));パミドロナート(pamidronate)(Aredia(登録商標));パニツムマブ(panitumumab)(Vectibix(登録商標));パゾパニブ(pazopanib)錠剤(Votrienttm(登録商標));ペガデマーゼ(pegademase)(Adagen(Pegademase Bovine)(登録商標));ペガスパルガーゼ(pegaspargase)(Oncaspar(登録商標));ペグフィルグラスチム(Pegfilgrastim)(Neulasta(登録商標));ペメトレキセド(pemetrexed)二ナトリウム(Alimta(登録商標));ペントスタチン(pentostatin)(Nipent(登録商標));ピポブロマン(pipobroman)(Vercyte(登録商標));プレリキサホル(plerixafor)(Mozobil(登録商標));プリカマイシン(plicamycin),ミトラマイシン(mithramycin)(Mithracin(登録商標));ポルフィメル(porfimer)ナトリウム(Photofr
in(登録商標));プララトレキサート(pralatrexate)注射用(Folotyn(登録商標));プロカルバジン(procarbazine)(Matulane(登録商標));キナクリン(quinacrine)(Atabrine(登録商標));ラパマイシン(rapamycin);ラスブリカーゼ(Rasburicase)(Elitek(登録商標));塩酸ラロキシフェン(raloxifene)(Evista(登録商標));リツキシマブ(Rituximab)(Rituxan(登録商標));ロミデプシン(romidepsin)(Istodax(登録商標));ロミプロスチム(romiplostim)(Nplate(登録商標));サルグラモスチム(sargramostim)(Leukine(登録商標));サルグラモスチム(Sargramostim)(Prokine(登録商標));ソラフェニブ(sorafenib)(Nexavar(登録商標));ストレプトゾシン(streptozocin)(Zanosar(登録商標));マレイン酸スニチニブ(sunitinib)(Sutent(登録商標));タルク(Sclerosol(登録商標));タモキシフェン(tamoxifen)(Nolvadex(登録商標));テモゾロミド(temozolomide)(Temodar(登録商標));テムシロリムス(temsirolimus)(Torisel(登録商標));テニポシド(teniposide),VM-26(Vumon(登録商標));テストラクトン(testolactone)(Teslac(登録商標));チオグアニン,6-TG(Thioguanine(登録商標));チオプリン;チオテパ(Thioplex(登録商標));トポテカン(topotecan)(Hycamtin(登録商標));トレミフェン(toremifene)(Fareston(登録商標));トシツモマブ(Tositumomab)(Bexxar(登録商標));トシツモマブ/I-131トシツモマブ(Bexxar(登録商標));トランス-レチノイン酸;トラスツズマブ(Trastuzumab)(Herceptin(登録商標));トレチノイン(tretinoin),ATRA(Vesanoid(登録商標));トリエチレンメラミン(triethylenemelamine);ウラシルマスタード(Uracil Mustard)(Uracil Mustard Capsules(登録商標));バルルビシン(valrubicin)(Valstar(登録商標));ビンブラスチン(vinblastine)(Velban(登録商標));ビンクリスチン(vincristine)(Oncovin(登録商標));ビノレルビン(vinorelbine)(Navelbine(登録商標));ボリノスタット(vorinostat)(Zolinza(登録商標));ウォルトマンニン(wortmannin);およびゾレドロナート(zoledronate)(Zometa(登録商標))。
【0314】
1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはそのヒト化形態)は、以下のもの(それらに限定されるものではない)を含む1以上の抗嘔吐物質と組合せて使用される:カソピタント(casopitant)(Glaxo SmithKline)、ネツピタント(Netupitant)(MGI-Helsinn)および他のNK-1受容体アンタゴニスト、パロノセトロン(palonosetron)(MGI PharmaによりAloxiとして販売されている)、アプレピタント(aprepitant)(Merck and Co.;Rahway,NJによりEmendとして販売されている)、ジフェンヒドラミン(Pfizer;New York,NYによりBenadryl(登録商標)として販売されている)、ヒドロキシジン(Pfizer;New York,NYによりAtarax(登録商標)として販売されている)、メトクロプラミド(metoclopramide)(AH Robins Co,;Richmond,VAによりReglan(登録商標)として販売されている)、ロラゼパム(lorazepam)(Wyeth;Madison,NJによりAtivan(登録商標)として販売されている)、アルプラゾラム(alprazolam)(Pfizer;New York,NYによりXanax(登録商標)として販売されている)、ハロペリドール(Ortho-McNeil;Raritan,NJによりHaldol(登録商標)として販売されている)、ドロペリドール(droperidol)(Inapsine(登録商標))、ドロナビノール(dronabinol)(Solvay Pharmaceuticals,Inc.;Marietta,GAによりMarinol(登録商標)として販売されている)、デキサメタゾン(Merck and Co.;Rahway,NJによりDecadron(登録商標)として販売されている)、メチルプレドニゾロン(Pfizer;New York,NYによりMedrol(登録商標)として販売されている)、プロクロルペラジン(Glaxosmithkline;Research Triangle Park,NCによりCompazine(登録商標)として販売されている)、グラニセトロン(granisetron)(Hoffmann-La Roche Inc.;Nutley,NJによりKytril(登録商標)として販売されている)、オンダンセトロン(ondansetron)(Glaxosmithkline;Research Triangle Park,NCによりZofran(登録商標)として販売されている)、ドラセトロン(dolasetron)(Sanofi-Aventis;New York,NYによりAnzemet(登録商標)として販売されている)、トロピセトロン(tropisetron)(Novartis;East Hanover,NJによりNavoban(登録商標)として販売されている)。
【0315】
癌治療の他の副作用には、赤血球および白血球の欠乏症が含まれる。
【0316】
したがって、本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントまたはそのヒト化形態)は、そのような欠乏症を治療または予防する物質、例えばフィルグラスチム(filgrastim)、PEG-フィルグラスチム、エリスロポエチン、エポエチンアルファまたはダルベポエチンアルファと組合される。
【0317】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントまたはそのヒト化形態)は抗癌放射線療法と組合せて投与される。例えば、本発明の1つの実施形態においては、放射線療法は外部ビーム療法(体外照射療法)(EBT)であり、これは、腫瘍の位置に高エネルギーX線のビームを照射するための方法である。該ビームは患者の外部で(例えば、線形加速装置により)生成され、腫瘍部位を標的化する。これらのX線は癌細胞を破壊することが可能であり、注意深い治療計画は周辺の正常組織が損なわれないことを可能にする。患者の体内には放射能源は配置されない。本発明の1つの実施形態においては、放射線療法は、X線ではなく陽子を罹患組織に照射する原体(conformal)療法の一種である陽子線療法である。本発明の1つの実施形態においては、放射線療法は原体外部ビーム放射線療法であり、これは、放射線療法を個々の身体構造に適合させる先進技術を用いる方法である。本発明の1つの実施形態においては、放射線療法は密封小線源治療であり、この場合、放射線の余分の線量、つまりブーストを或る領域に与えるために通常使用される放射性物質が体内に一時的に配置される。
【0318】
本発明の1つの実施形態においては、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントまたはそのヒト化形態)と組合されて適用される外科手技は外科的腫瘍摘出術である。
【0319】
もう1つの実施形態においては、抗CD27特異的抗体またはその抗原結合性フラグメントを使用してエクスビボで増殖させた自己T細胞を患者に注入する。もう1つの実施形態においては、抗CD27特異的抗体またはその抗原結合性フラグメントと組合せて自己T細胞を患者に投与する。更にもう1つの実施形態においては、患者に癌ワクチンをワクチン接種し、抗CD27特異的抗体またはその抗原結合性フラグメントを使用してエクスビボで増殖させた自己T細胞を注入する。自己T細胞は、自己浸潤リンパ球、または腫瘍抗原に対する高アフィニティT細胞受容体で形質導入されたT細胞、またはT細胞シグナル伝達分子のエンドドメインを有するハイブリッド免疫グロブリン軽鎖から構成されるキメラ抗原受容体で形質導入されたT細胞でありうる。Kalos M.およびJune C.H.,Immunity,39,2013,p49-60;Wu R.ら,Cancer J.2012;18(2):160-175;およびJune,C.H.,J.Clin.Invest.117:1466-1476(2007)を参照されたい。
【0320】
医薬組成物および投与
本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aまたはその抗原結合性フラグメントおよびそのヒト化形態)の医薬組成物または無菌組成物を製造するためには、該抗体またはその抗原結合性フラグメントを、薬学的に許容される担体または賦形剤と混合する。例えば、Remington’s Pharmaceutical SciencesおよびU.S.Pharmacopeia:National Formulary,Mack Publishing Company,Easton,PA(1984)を参照されたい。
【0321】
治療用および診断用物質の製剤は、例えば凍結乾燥粉末、スラリー、水性の溶液または懸濁液の形態で、許容される担体、賦形剤または安定剤と混合することにより製造されうる(例えば、Hardmanら(2001)Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,McGraw-Hill,New York,NY;Gennaro(2000)Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Lippincott,Williams,and Wilkins,New York,NY;Avisら(編)(1993)Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications,Marcel Dekker,NY;Liebermanら(編)(1990)Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Marcel Dekker,NY;Liebermanら(編)(1990)Pharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems,Marcel Dekker,NY;WeinerおよびKotkoskie(2000)Excipient Toxicity and Safety,Marcel Dekker,Inc.,New York,NYを参照されたい)。
【0322】
単独で又は別の治療用物質と組合せて投与される該抗体またはその抗原結合性フラグメントの毒性および治療効力は、例えばLD50(集団の50%に致死的である用量)およびED50(集団の50%において治療的に有効である用量)を決定するための、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手法により決定されうる。毒性効果と治療効果との用量比は治療係数(LD50/ED50)である。これらの細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータは、ヒトにおける使用のための投与量の範囲の決定において使用されうる。そのような化合物の投与量は、好ましくは、毒性をほとんど又は全く伴わないED50を含む循環濃度の範囲内である。該投与量は、使用される剤形および投与経路に応じて、この範囲内で変動しうる。
【0323】
もう1つの実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントと組合せて、別の治療用物質を、Physicians’Desk Reference 2003(Thomson Healthcare;57th edition(2002年11月1日))に従い、対象に投与する。
【0324】
種々の実施形態において、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは約2mg~約700mgで投与される。例えば、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは約2mg、約7mg、20mg、30mg、70mg、200mgまたは約700mgで投与される。
【0325】
投与様式は様々でありうる。投与(例えば、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントおよびPD-1抗体またはその抗原結合性フラグメント)の経路には、経口、直腸、経粘膜、腸、非経口;筋肉内、皮下、皮内、髄内、鞘内、直接心室内、静脈内、腹腔内、鼻腔内、眼内、吸入、吹送、局所、皮膚、経皮または動脈内が含まれる。例えば、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは静脈内または皮下投与される。
【0326】
特定の実施形態においては、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントは、侵襲的経路、例えば注射により投与されうる。本発明の更なる実施形態においては、抗CD27抗体もしくはその抗原結合性フラグメントまたはその医薬組成物は静脈内、皮下、筋肉内、動脈内、腫瘍内に、または吸入、エアゾール運搬により投与される。非侵襲的経路(例えば、経口的、例えば、丸剤、カプセル剤または錠剤)による投与も本発明の範囲内である。
【0327】
該抗体もしくは抗原結合性フラグメント(例えば、抗体hCD27.131Aおよびそのヒト化形態)またはその医薬組成物のいずれかを含む容器(例えば、プラスチックまたはガラスバイアル、例えば、キャップまたはクロマトグラフィーカラム、中空穿孔針またはシリンジシリンダーを有するもの)が使用されうる。本発明はまた、本発明の抗体もしくは抗原結合性フラグメントまたはその医薬組成物のいずれかを含む注射装置を提供する。注射装置は、非経口経路、例えば筋肉内、皮下または静脈内経路により患者の体内に物質を導入する装置である。例えば、注射装置はシリンジ(例えば、医薬組成物が予め充填されたもの、例えば、自動注入装置)であることが可能であり、これは、例えば、注射すべき流体(例えば、抗体もしくはそのフラグメントまたはその医薬組成物)を保持するためのシリンダーまたは筒状物、該流体の注射のために皮膚および/または血管を穿刺するための針、ならびに該シリンダーから及び針穿孔を介して該流体を押出すプランジャーを含む。本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗体もしくはその抗原結合性フラグメントまたはその医薬組成物を含む注射装置は静脈内(IV)注射装置である。そのような装置は、カニューレまたはトロカール/針を介して患者の体内に導入される流体(例えば、生理食塩水;またはNaCl、乳酸ナトリウム、KCl、CaCl2を含み、所望によりグルコースを含む乳酸リンゲル液)を保持するためのバッグ(袋)またはリザーバ(貯蔵容器)に接続されうるチューブに接続されうるカニューレまたはトロカール/針の中に該抗体もしくはそのフラグメントまたはその医薬組成物を含む。本発明の1つの実施形態においては、トロカールおよびカニューレが対象の静脈内に挿入され、挿入カニューレからトロカールが取り外されたら、該抗体もしくはそのフラグメントまたはその医薬組成物が装置内に導入される。IV装置は、例えば、(例えば、手または腕における)末梢静脈内;上大静脈または下大静脈、または心臓の右心房(例えば、中央IV)内;あるいは鎖骨下、内頚、または大腿静脈に挿入されることが可能であり、例えば、それが上大静脈または右心房(例えば、中心静脈線)に達するまで、心臓に向けて進入可能である。本発明の1つの実施形態においては、注射装置は自動注入装置、ジェットインジェクターまたは外部注入ポンプである。ジェットインジェクターは、該抗体もしくはそのフラグメントまたはその医薬組成物を患者の体内へ導入するために、表皮に浸透する液体の高圧ナロー(narrow)ジェットを使用する。外部注入ポンプは、制御された量の該抗体もしくはそのフラグメントまたはその医薬組成物を患者の体内に運搬(送達)する医療装置である。外部注入ポンプは電気的または機械的に駆動されうる。ポンプは、ポンプによって異なる様態で作動する。例えば、シリンジポンプはシリンジのリザーバ内に流体を保持し、可動式ピストンが流体運搬を制御し、弾性(elastomeric)ポンプは伸縮性バルーンリザーバ内に流体を保持し、バルーンの弾性壁からの圧力が流体運搬を駆動する。蠕動ポンプにおいては、1組のローラーが可撓性チューブの或る長さを絞り込んで、流体を前方へ押出す。マルチチャネルポンプにおいては、流体は複数のリザーバから複数の速度で運搬されうる。
【0328】
本明細書に開示されている医薬組成物は、例えば米国特許第6,620,135号、第6,096,002号、第5,399,163号、第5,383,851号、第5,312,335号、第5,064,413号、第4,941,880号、第4,790,824号または第4,596,556号に開示されている装置のような無針(needleless)皮下注射装置によっても投与されうる。医薬組成物を含むそのような無針装置も本発明の一部である。本明細書に開示されている医薬組成物は注入によっても投与されうる。医薬組成物を投与するための良く知られたインプラントおよびモジュールの例には、米国特許第4,487,603号(これは、制御された速度で医薬を分注するための移植可能な微量注入ポンプを開示している)、米国特許第4,447,233号(これは、正確な注入速度で医薬を運搬するための医薬注入ポンプを開示している)、米国特許第4,447,224号(これは、連続的薬物運搬のための可変流量移植可能注入装置を開示している)、米国特許第4,439,196号(これは、マルチチャンバ・コンパートメントを有する浸透性薬物運搬系を開示している)に開示されているものが含まれる。多数の他のそのようなインプラント、運搬系およびモジュールは当業者によく知られており、本発明の医薬組成物を含むものは本発明の範囲内である。
【0329】
あるいは、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントを腫瘍内、例えばCD27+腫瘍内に直接注射することにより、全身的ではなく局所的に、該抗体またはそのフラグメントを投与することが可能である。更に、標的化薬物送達系において、例えば免疫病理により特徴づけられる腫瘍(例えばCD27+腫瘍)を標的化する例えば組織特異的抗体で被覆されたリポソームにおいて、該抗体またはそのフラグメントを投与することが可能である。該リポソームは、選択的に、罹患組織に標的化され、罹患組織により取り込まれる。そのような方法およびリポソームは本発明の一部である。
【0330】
投与計画は、治療用抗体またはその抗原結合性フラグメントの血清または組織代謝回転速度、症状の程度、治療用抗体の免疫原性、および生物学的マトリックスにおける標的細胞の接近可能性を含む幾つかの要因に左右される。好ましくは、投与計画は、望ましくない副作用を最小にすると同時に標的病態の改善をもたらす十分な治療用抗体またはそのフラグメントを運搬(送達)する。したがって、運搬される生物学的物質の量は、部分的には、個々の治療用抗体および治療される状態の重症度に左右される。治療用抗体またはフラグメントの適切な用量を選択する際の指針が利用可能である(例えば、Wawrzynczak(1996)Antibody Therapy,Bios Scientific Pub.Ltd,Oxfordshire,UK;Kresina(編)(1991)Monoclonal Antibodies,Cytokines and Arthritis,Marcel Dekker,New York,NY;Bach(編)(1993)Monoclonal Antibodies and Peptide Therapy in Autoimmune Diseases,Marcel Dekker,New York,NY;Baertら(2003)New Engl.J.Med.348:601-608;Milgromら(1999)New Engl.J.Med.341:1966-1973;Slamonら(2001)New Engl.J.Med.344:783-792;Beniaminovitzら(2000)New Engl.J.Med.342:613-619;Ghoshら(2003)New Engl.J.Med.348:24-32;Lipskyら(2000)New Engl.J.Med.343:1594-1602を参照されたい)。種々の実施形態においては、抗体またはその抗原結合性フラグメントの連続的曝露ではなく、短い反復的曝露を患者に与える。あるいは、連続的曝露を患者に与える。
【0331】
適切な用量の決定は、例えば、治療に影響を及ぼすことが当技術分野で知られている又は疑われているパラメータまたは因子を用いて、臨床家によりなされる。一般に、用量は最適用量より幾分少ない量から開始し、ついで、負の副作用と比較して所望または最適効果が得られるまで、それを少しずつ増量する。重要な診断尺度には、例えば炎症の症状の尺度、または産生される炎症性サイトカインのレベルが含まれる。一般に、使用される生物学的物質は、治療のために標的化される動物と同じ種から誘導され、それにより薬剤に対する免疫応答を最小化することが望ましい。ヒト対象の場合には、例えば、ヒト化抗体および完全ヒト抗体が望ましいかもしれない。
【0332】
本明細書に開示されている抗体またはその抗原結合性フラグメントは、連続的注入により、または例えば毎日、週1~7回、毎週、隔週、毎月、隔月、四半期ごと、半年ごと、毎年などで投与されうる。投与は、例えば、静脈内、皮下、局所的、経口的、鼻腔内、直腸、筋肉内、脳内、脊髄内に、または吸入により行われうる(例えば、Yangら,2003 New Engl.J.Med.349:427-434;Heroldら,2002 New Engl.J.Med.346:1692-1698;Liuら,1999 J.Neurol.Neurosurg.Psych.67:451-456;Portieljiら,2003 Cancer Immunol.Immunother.52:151-144を参照されたい)。投与はまた、対象の血清中の抗CD27抗体の所定目標濃度が得られるように行われうる。
【0333】
キット
更に、本明細書に記載されている抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、表1に記載されているもの)(これらに限定されるものではない)を、単独で、または本明細書に記載されている薬学的に許容される担体および/もしくは治療用物質(これらに限定されるものではない)を含む1以上の追加的成分と組合されて含む1以上の成分を含むキットを提供する。該抗体もしくはそのフラグメントおよび/または該治療用物質は、純粋な組成物として、または医薬組成物において薬学的に許容される担体と組合されて製剤化(処方)されうる。
【0334】
1つの実施形態においては、キットは、本発明の抗CD27抗体もしくはその抗原結合性フラグメントまたはその医薬組成物を1つの容器(例えば、無菌ガラスまたはプラスチックバイアル)内に含み、ならびに/または治療用物質およびその医薬組成物を別の容器(例えば、無菌ガラスまたはプラスチックバイアル)内に含む。
【0335】
もう1つの実施形態においては、キットは、単一の共通の容器内に、所望により医薬組成物において、一緒に製剤化される1以上の治療用物質と所望により組合されていてもよい、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントと薬学的に許容される担体とを含む本発明の組合せを含む。
【0336】
キットが対象への非経口投与のための医薬組成物を含む場合、キットは、そのような投与を行うための装置を含みうる。例えば、キットは前記の1以上の皮下針または他の注射装置を含みうる。
【0337】
キットは、キットにおける医薬組成物および剤形に関する情報を含む添付文書を含みうる。一般に、そのような情報は、封入されている医薬組成物および剤形を有効かつ安全に使用することにおいて患者および医師を補助する。例えば、本発明の組合せに関する以下の情報が添付文書(インサート)において供給されうる:薬物動態、薬力学、臨床試験、有効性パラメータ、適応症および用法、禁忌、警告、予防策、有害反応、過剰投薬、適切な投与量および投与、供給方法、適切な保存条件、参考資料、製造業者/流通業者情報ならびに特許情報。
【0338】
治療用キット
便宜上、本発明の抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントはキットにおいて提供可能であり、すなわち、治療用アッセイを行うための説明を伴う所定量の試薬のパッケージ化された組合せにおいて提供可能である。
【0339】
また、容器、例えばバイアルまたはボトル内にパッケージング(包装)された抗CD27抗体(例えば、ヒト化抗体)またはその抗原結合性フラグメントを含み、更に、容器に貼付またはパッケージングされたラベルを含むキットも提供し、ここで、ラベルは容器の内容物を記載しており、本明細書に記載の1以上の病態を治療するための容器の内容物の使用に関する指示および/または説明を提供する。
【0340】
1つの態様においては、キットは、癌を治療するためのものであり、抗CD27抗体(例えばヒト化抗体、例えば表1に記載されているもの)またはその抗原結合性フラグメントと、追加的な治療用物質またはワクチンとを含む。キットは、所望により、非経口投与用、例えば静脈内投与用のシリンジを更に含みうる。もう1つの態様においては、キットは抗CD27抗体(例えばヒト化抗体、例えば表1に記載されているもの)またはその抗原結合性フラグメントと、該抗体またはフラグメントを該ワクチンまたは追加的な治療用物質と共に使用することを説明する、容器に貼付またはパッケージングされたラベルとを更に含む。更にもう1つの態様においては、キットは該ワクチンまたは追加的な治療用物質と、該ワクチンまたは追加的な治療用物質を抗CD27抗体またはフラグメントと共に使用することを説明する、容器に貼付またはパッケージングされたラベルとを含む。特定の実施形態においては、抗CD27抗体およびワクチンまたは追加的な治療用物質は別個のバイアル内に存在し、または同じ医薬組成物中で一緒に組合されている。前記の腫瘍ワクチンに加えて、感染症用ワクチンが抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメントと組合せて使用可能であり、それらには、例えば、COMVAX(登録商標)、M-M-R(登録商標)II、PedvaxHIB(登録商標)、PNEUMOVAX(登録商標)23、ProQuad(登録商標)、RotaTeq(登録商標)、VARIVAX(登録商標)およびZOSTAVAX(登録商標)が挙げられる。
【0341】
併用(組合せ)療法の節において前記したとおり、2つの治療用物質の同時投与は、それらの物質がそれらの治療効果を奏する期間の重複が存在する限り、それらの物質が同時に又は同じ経路によって投与されることを要しない。異なる日または週の投与と同様に、同時または連続投与が想定される。
【0342】
本明細書に開示されている抗体、ペプチド、その抗原結合性フラグメントまたはポリヌクレオチドの少なくとも1つと、検出試薬または治療用物質として該組成物を使用するための説明とを含む、本明細書に開示されている治療用のものも製造されうる。そのようなキットにおいて使用される容器は、典型的には、検出用および/または治療用組成物の1以上が配置されうる、そして好ましくは、適切にアリコート化されうる、少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、シリンジまたは他の適切な容器を含みうる。第2の治療用物質も提供される場合には、キットは、この第2の検出用および/または治療用組成物が配置されうる第2の異なる容器をも含有しうる。あるいは、複数の化合物が単一医薬組成物において調製可能であり、単一収容手段、例えばバイアル、フラスコ、シリンジ、ボトルまたは他の適切な単一容器内にパッケージングされうる。本明細書に開示されているキットはまた、典型的には、商業的販売のために密封された、バイアルを収容するための手段、例えば、所望のバイアルが保持される射出成形またはブロー成形プラスチック容器を含む。放射能標識、発色性、蛍光性または他のタイプの検出可能な標識または検出手段がキット内に含まれる場合、標識剤は検出用または治療用組成物自体と同じ容器において提供されることが可能であり、あるいは、この第2の組成物が配置されうる、そして適切にはアリコート化されうる第2の異なる収容手段内に配置されうる。あるいは、検出試薬および標識は単一収容手段において調製されることが可能であり、ほとんどの場合、キットは、典型的には、商業的販売および/または簡便なパッケージングおよび運搬のために密封してバイアルを収容するための手段をも含む。
【0343】
本明細書に記載されている検出またはモニタリング方法を実施するための装置または器具をも提供する。そのような装置は、サンプルが入れられうるチャンバーまたはチューブ、サンプルの流れを装置に通すためのバルブまたはポンプを所望により含んでいてもよい流体処理系、血液から血漿または血清を分離するための所望により含まれていてもよいフィルター、捕捉剤または検出試薬の添加のための混合チャンバー、および捕捉剤免疫複合体に結合した検出可能な標識の量を検出するための所望により含まれていてもよい検出装置を含みうる。サンプルの流れは受動的(例えば、サンプルが適用されたら該装置の更なる操作を要しない毛管力、流体静力または他の力)または能動的(例えば、機械ポンプ、電気浸透ポンプ、遠心力または空気圧の増加により生じる力の適用によるもの)、または能動的力と受動的力との組合せでありうる。
【0344】
他の実施形態においては、プロセッサ、コンピュータ可読メモリおよびルーチンをも提供し、これは、該コンピュータ可読メモリ上で保存され、本明細書に記載されている方法のいずれかを実施するために該プロセッサ上で実行されるように適合化される。適切なコンピューティングシステム、環境および/または設定の例には、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ハンドヘルドまたはラップトップデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースシステム、セットトップボックス、プログラマブルコンシューマエレクトロニクス、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、前記のシステムまたはデバイスのいずれかを含む分散コンピューティング環境、あるいは当技術分野で公知のいずれかの他のシステムが含まれる。
【0345】
一般的方法
分子生物学における標準的な方法は、Sambrook,FritschおよびManiatis(1982 & 1989 2nd Edition,2001 3rd Edition)Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY;SambrookおよびRussell(2001)Molecular Cloning,3rded,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY;Wu(1993)Recombinant DNA,Vol.217,Academic Press,San Diego,CA.に記載されている。標準的な方法は、Ausbelら(2001)Current Protocols in Molecular Biology,VoIs.1-4,John Wiley and Sons,Inc.New York,NYにも記載されており、これは、細菌細胞におけるクローニングおよびDNA突然変異誘発(Vol.1)、哺乳類細胞および酵母におけるクローニング(Vol.2)、複合糖質およびタンパク質発現(Vol.3)、ならびにバイオインフォマティクス(Vol.4)を記載している。
【0346】
免疫沈降、クロマトグラフィー、電気泳動、遠心分離および結晶化を含むタンパク質精製のための方法が記載されている(Coliganら,2000 Current Protocols in Protein Science,Vol.1,John Wiley and Sons,Inc.,New York)。化学分析、化学修飾、翻訳後修飾、融合タンパク質の製造、タンパク質のグリコシル化が記載されている(例えば、Coliganら,2000 Current Protocols in Protein Science,Vol.2,John Wiley and Sons,Inc.,New York;Ausubelら,2001 Current Protocols in Molecular Biology,Vol.3,John Wiley and Sons,Inc.,NY,NY,pp.16.0.5-16.22.17;Sigma-Aldrich,Co.(2001)Products for Life Science Research,St.Louis,MO;pp.45-89;Amersham Pharmacia Biotech(2001)BioDirectory,Piscataway,N.J.,pp.384-391を参照されたい)。ポリクローナルおよびモノクローナル抗体の製造、精製およびフラグメント化が記載されている(Coliganら,2001 Current Protcols in Immunology,Vol.1,John Wiley and Sons,Inc.,New York;HarlowおよびLane(1999)Using Antibodies,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY;HarlowおよびLane,前掲)。リガンド/受容体相互作用を特徴づけるための標準的な技術が利用可能である(例えば、Coliganら,2001 Current Protcols in Immunology,Vol.4,John Wiley,Inc.,New Yorkを参照されたい)。
【0347】
モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体およびヒト化抗体は製造可能である(例えば、SheperdおよびDean(編)(2000)Monoclonal Antibodies,Oxford Univ.Press,New York,NY;KontermannおよびDubel(編)(2001)Antibody Engineering,Springer-Verlag,New York;HarlowおよびLane(1988)Antibodies A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,pp.139-243;Carpenterら,2000 J.Immunol.165:6205;Heら,1998 J.Immunol.160:1029;Tangら,1999 J.Biol.Chem.274:27371-27378;Bacaら,1997 J.Biol.Chem.272:10678-10684;Chothiaら,1989 Nature 342:877-883;FooteおよびWinter(1992)J.Mol.Biol.224:487-499;米国特許第6,329,511号を参照されたい)。
【0348】
ヒト化に代わる手段は、ファージ上で提示されるヒト抗体ライブラリー、またはトランスジェニックマウスにおけるヒト抗体ライブラリーを使用することである(Vaughanら,1996 Nature Biotechnol.14:309-314;Barbas,1995 Nature Medicine 1:837-839;Mendezら,1997 Nature Genetics 15:146-156;HoogenboomおよびChames,2000 Immunol.Today 21:371-377;Barbasら,2001 Phage Display:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York;Kayら,1996 Phage Display of Peptides and Proteins:A Laboratory Manual,Academic Press,San Diego,CA;de Bruinら,1999 Nature Biotechnol.17:397-399)。
【0349】
単鎖抗体およびジアボディが記載されている(例えば、Maleckiら,2002 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99:213-218;Conrathら,2001 J.Biol.Chem.276:7346-7350;Desmyterら,2001 J.Biol.Chem.276:26285-26290;HudsonおよびKortt,1999 J.Immunol.Methods 231:177-189;ならびに米国特許第4,946,778号を参照されたい)。二官能性抗体が提供される(例えば、Mackら,1995 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:7021-7025;Carter,2001 J.Immunol.Methods 248:7-15;Volkelら,2001 Protein Engineering 14:815-823;Segalら,2001 J.Immunol.Methods 248:1-6;Brennanら,1985 Science 229:81-83;Rasoら,1997 J.Biol.Chem.272:27623;Morrison,1985 Science 229:1202-1207;Trauneckerら,1991 EMBO J.10:3655-3659;ならびに米国特許第5,932,448号、第5,532,210号および第6,129,914号を参照されたい)。
【0350】
二重特異性抗体も提供される(例えば、Azzoniら,1998 J.Immunol.161:3493;Kitaら,1999 J.Immunol.162:6901;Merchantら,2000 J.Biol.Chem.74:9115;Pandeyら,2000 J.Biol.Chem.275:38633;Zhengら,2001 J.Biol Chem.276:12999;Propstら,2000 J.Immunol.165:2214;Long,1999 Ann.Rev.Immunol.17:875を参照されたい)。
【0351】
抗原の精製は抗体の製造に必要ではない。関心のある抗原を含有する細胞で動物を免疫化することが可能である。ついで免疫化動物から脾細胞を単離し、脾細胞を骨髄腫細胞系と融合させてハイブリドーマを得ることが可能である(例えば、Meyaardら,1997 Immunity 7:283-290;Wrightら,2000 Immunity 13:233-242;Prestonら,前掲;Kaithamanaら,1999 J.Immunol.163:5157-5164を参照されたい)。
【0352】
抗体は例えば小薬物分子、酵素、リポソームおよびポリエチレングリコール(PEG)にコンジュゲート化されうる。抗体は治療、診断、キットまたは他の目的に有用であり、例えば色素、放射性同位体、酵素または金属、例えばコロイド金に結合した抗体を包含する(例えば、Le Doussalら,1991 J.Immunol.146:169-175;Gibelliniら,1998 J.Immunol.160:3891-3898;HsingおよびBishop,1999 J.Immunol.162:2804-2811;Evertsら,2002 J.Immunol.168:883-889を参照されたい)。
【0353】
蛍光標識細胞分取検出系(FACS)を含むフローサイトメトリーのための方法が利用可能である(例えば、Owensら,1994 Flow Cytometry Principles for Clinical Laboratory Practice,John Wiley and Sons,Hoboken,NJ;Givan(2001)Flow Cytometry,2nd ed.;Wiley-Liss,Hoboken,NJ;Shapiro(2003)Practical Flow Cytometry,John Wiley and Sons,Hoboken,NJを参照されたい)。例えば診断試薬としての使用のための、核酸プライマーおよびプローブを含む核酸、ポリペプチドならびに抗体を修飾するのに適した蛍光試薬が利用可能である(Molecular Probes(2003)Catalogue,Molecular Probes,Inc.,Eugene,OR;Sigma-Aldrich(2003)Catalogue,St.Louis,MO)。
【0354】
免疫系の標準的な組織学的方法が記載されている(例えば、Muller-Harmelink(編)(1986)Human Thymus:Histopathology and Pathology,Springer Verlag,New York,NY;Hiattら(2000)Color Atlas of Histology,Lippincott,Williams,and Wilkins,Phila,PA;Louisら(2002)Basic Histology:Text and Atlas,McGraw-Hill,New York,NYを参照されたい)。
【0355】
例えば抗原断片、リーダー配列、タンパク質フォールディング、機能的ドメイン、グリコシル化部位および配列アライメントを決定するためのソフトウェアパッケージおよびデータベースが利用可能である(例えば、GenBank,Vector NTI(登録商標)Suite(Informax,Inc,Bethesda,MD);GCG Wisconsin Package(Accelrys,Inc.,San Diego,CA);DeCypher(登録商標)(TimeLogic Corp.,Crystal Bay,Nevada);Menneら,2000 Bioinformatics 16:741-742;Menneら,2000 Bioinformatics Applications Note 16:741-742;Wrenら,2002 Comput.Methods Programs Biomed.68:177-181;von Heijne,1983 Eur.J.Biochem.133:17-21;von Heijne,1986 Nucleic Acids Res.14:4683-4690を参照されたい)。
【0356】
実施例
実施例1:進行固形腫瘍を有する参加者における単独療法としての及びペンブロリズマブとの併用療法としてのCD-27抗体hCD27.131Aの第1相試験
多施設・多群・用量漸増・用量確認・用量拡大第1相試験を行った。ヒト化抗体hCD27.131Aは固形腫瘍の治療のために開発されている。この試験は抗体hCD27.131Aのヒトでの最初の研究であり、臨床的利益をもたらすことが知られている全ての治療を受けている又はそれらに対して不忍容である進行固形腫瘍を有する参加者において、単独療法として使用された場合およびペンブロリズマブと組合せて使用された場合の漸増用量の抗体hCD27.131Aの安全性、忍容性、薬物動態(PK)および薬力学(PD)を評価するために設計された。腫瘍サイズに対する抗体hCD27.131Aの効果を調べた。
【0357】
また、該試験の用量漸増/用量確認段階における群(Arm)3コホートは、非扁平上皮NSCLCを有する参加者において、ペンブロリズマブおよび標準化学療法と組合された抗体hCD27.131Aでの治療の安全性および忍容性を評価した。
【0358】
該試験の用量拡大段階は、本明細書に記載されている特定の腫瘍型において、単独療法として使用された場合およびペンブロリズマブと組合せて使用された場合の抗体hCD27.131Aの安全性および探索的(exploratory)有効性を更に調べた。表5を参照されたい。
【0359】
用量漸増/用量確認段階の参加者を以下の2つの治療群のうちの1つに割り当てた。
【0360】
・群1:漸増用量のヒト化抗体hCD27.131Aを単独療法として3週間に1回(Q3W)投与する;または
・群2:漸増用量のヒト化抗体hCD27.131Aを、200mgのペンブロリズマブと組合せて、共にQ3Wで投与する。
【0361】
抗体hCD27.131Aの6つの所定用量レベル、すなわち、2mg、7mg、20mg、70mg、200mgおよび700mgを、各群において、独立して試験した。群2におけるペンブロリズマブの用量は200mgで一定のままであった。全ての治療はIV注入でQ3Wで行った。
【0362】
登録された非扁平上皮NSCLCを有する用量漸増/用量確認段階の参加者を以下の群に割り当てた。
【0363】
・群3:30mgのヒト化抗体hCD27.131Aを、200mgのペンブロリズマブ、500mg/m2のペメトレキセドおよびAUC 5mg/mL/分のカルボプラチンと組合せて、全てQ3Wで投与する。
【0364】
トリプルネガティブ乳癌(TNBC)を有する用量拡大段階の参加者を以下の群に割り当てた。群2a:30mgのヒト化抗体hCD27.131Aを、200mgのペンブロリズマブと組合せて、共にQ3Wで投与する。
【0365】
子宮内膜癌を有する用量拡大段階の参加者を以下の群に割り当てた。
【0366】
・群1a:30mgのヒト化抗体hCD27.131Aを単独療法としてQ3Wで投与する。
【0367】
・群2b:30mgのヒト化抗体hCD27.131Aを、200mgのペンブロリズマブと組合せて、共にQ3Wで投与する。または群2c:30mgのヒト化抗体hCD27.131Aを、400mgのペンブロリズマブと組合せて、共に6週間に1回(Q6W)投与する。
【0368】
群1、2、3、1a、2aおよび2bにおける試験治療は、IV注入によりQ3Wで投与した。群2cにおける試験治療は、IV注入によりQ6Wで投与した。抗体hCD27.131Aは、全ての治療群において、約90分間にわたって投与した。進行中の試験からの予備的な安全性情報に基づいて、抗体hCD27.131Aで治療された全ての参加者に、抗体hCD27.131Aの注入の1.5時間(±30分)前に、以下のものを予防的に前投与した。
【0369】
・ジフェンヒドラミン(または同等用量の抗ヒスタミン薬)の50mgを経口投与する;および
・アセトアミノフェン(または同等用量の鎮痛薬)の500~1000mgを経口投与する。
【0370】
群2、3、2a、2bおよび2cにおいては、ペンブロリズマブ注入の完了の約30分後に、抗体hCD27.131Aを投与した。群3における注入の順序は以下のとおりであった:ペンブロリズマブ、抗体hCD27.131A、ペメトレキセド、ついでカルボプラチン。参加者はペメトレキセドおよびカルボプラチンに関する承認製品ラベルに従って前投与を受けたことが必要である。
【0371】
【0372】
群1aにおいては、抗体hCD27.131Aおよびペンブロリズマブを最大35サイクルにわたって投与した。群2aおよび2bにおいては、抗体hCD27.131Aを最長6か月間投与し、ペンブロリズマブを最大35サイクルにわたって投与する。群2cにおいては、抗体hCD27.131Aを最長6か月間投与し、ペンブロリズマブを最大18サイクルにわたって投与した。
【0373】
該試験に加わった18歳以上の進行固形腫瘍を有する男性および女性の参加者に関する目的およびエンドポイントの一覧を含む表6を以下に示す。
【0374】
【0375】
試験集団
同意書署名日において少なくとも18歳であった進行固形腫瘍を有する男性および女性の参加者をこの試験に登録した。
【0376】
プロトコルのウェイバー(waiver)または免除としても公知である、募集および登録の基準に対するプロトコル逸脱の将来的な承認は許可されなかった。
【0377】
包含基準
参加者は、以下の基準の全てに適合した場合にのみ、該試験に包含されるのに適格であった。
【0378】
参加者のタイプおよび疾患の特徴
1.a)用量漸増/確認段階(群1および2):病理学報告により組織学的または細胞学的に確認された進行/転移性固形腫瘍を有していた。そして、臨床的利益をもたらすことが知られている全ての治療を受けており、またはそれらに対して不忍容である。
【0379】
b)用量漸増/確認段階(群3):組織学的または細胞学的に確認された、ステージIV[現在のAJCC基準第8版(AJCC Cancer Staging Manual,8th Editionを参照されたい)によるM1aまたはM1b]の非扁平上皮NSCLCと診断された。
【0380】
注:混合腫瘍は優勢細胞型により分類された。小さな細胞要素が存在する場合には、参加者は不適格であった。
【0381】
参加者は未治療であったことが可能であり、あるいは1つの以前のレジメンを受け、進行したことが可能である。
【0382】
上皮増殖因子受容体(EGFR)または未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)突然変異腫瘍を有する参加者は、承認された標的化療法を受けたことが必要である。
【0383】
c)用量拡大段階(群2a):TNBCと診断された。参加者は、臨床的利益をもたらすことが知られている、転移性疾患に対する2つ以下の一連の治療を受けたこと、またはそれらに対して不忍容であったことが必要である。以前の治療は初期または転移性疾患に対するアントラサイクリンおよび/またはタキサンを含んでいたことが必要である。参加者はスクリーニング時に乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)<2×ULNを示したことが必要である。登録は、PD-1/PD-L1インヒビター治療に抵抗性*である最大7~10名の参加者に制限された。
【0384】
d)用量拡大段階(群1a、2bおよび2c):子宮内膜癌と診断された。参加者は、臨床的利益をもたらすことが知られている2つ以下の以前の一連の治療を受けたこと、またはそれらに対して不忍容であったことが必要である。以前の治療は、初期または転移性疾患に対する白金含有レジメンを含んでいたことが必要である。登録は、PD-1/PD-L1インヒビター治療に抵抗性*であった治療群当たり最大5~7名の参加者に制限された。
【0385】
* 参加者は、以下の基準の全てを満たした場合に、PD-1/PD-L1インヒビター治療抵抗性疾患を有すると見なされた。
【0386】
i.地域の規制当局が承認した用量およびスケジュールで、抗PD-1/PD-L1 mAbの少なくとも2用量の投与を受けていた。
【0387】
ii.抗PD-1/PD-L1 mABの投与後、RECIST1.1に従い定義される進行性疾患を有していた。進行性疾患の初期証拠は、急速な臨床的進行がない場合、最初に記録された進行性疾患の日から4週間以降に、二次評価により確認される必要があった。
【0388】
iii.抗PD-1/PD-L1 mAbの最後の投与から12週間以内に、記録された疾患進行を有していた。抗PD-1/PD-L1 mAbで再治療された参加者および抗PD-1/PD-L1 mAbで維持された参加者は、疾患進行と(抗PD1/PD-L1療法での)最終治療日との間で12週間以上が経過していれば、PD-1/PD-L1インヒビター抵抗性疾患を有するとは見なされなかった。
【0389】
2.現地の研究者/放射線科医により評価された場合に、RECIST1.1による測定可能な疾患を有していた。以前に照射された領域に位置する標的病変は、そのような病変において進行が示された場合、測定可能であると見なされるべきであった。
【0390】
3.適切な器官機能を有していた。検体は試験治療の最初の投与の前の7日以内に収集されるべきであった。
【0391】
除外基準
以下の基準のいずれかに適合する場合、参加者は該試験から除外された。
【0392】
医学的状態
1.二次悪性腫瘍の病歴を有していた。ただし、潜在的治療的処置が完了しており、2年間にわたり悪性腫瘍の証拠を有さない場合は除かれる。
【0393】
注:該時間要件は、皮膚の基底細胞癌、皮膚の扁平上皮癌、表在性膀胱癌、上皮内子宮頸癌または他の上皮内癌の根治的切除に成功した参加者における試験中の疾患には適用されなかった。
【0394】
2.臨床的に活動的な中枢神経系(CNS)転移および/または癌性髄膜炎を有していた。以前に治療された脳または髄膜転移を有する参加者は、以下の場合には、参加可能であり、治療に適格である:安定しており、無症候性である(治療の少なくとも4週間後に脳の磁気共鳴画像法[MRI]スキャンによる進行の証拠がない);新たな又は拡大する脳転移の証拠を有していない;試験治療開始前の4週間以内に評価された;および登録前の少なくとも2週間は、免疫抑制用量の全身ステロイドの投与に付されなかった。
【0395】
3.mAbおよび/または試験治療の他の成分による治療に対して重度の過敏反応を示した。
【0396】
4.全身的治療を要する活動性感染症を有していた。
【0397】
5.間質性肺疾患の病歴を有していた。
【0398】
6.ステロイドを要する(非感染性)肺炎の病歴または現在の肺炎を有していた。
【0399】
7.症候性腹水または胸水を有していた。これらの状態の治療(治療用の胸腔穿刺または穿刺術を含む)の後で臨床的に安定していた参加者はこの試験への参加から除外されなかった。
【0400】
8.以前に幹細胞または骨髄移植を受けていた。
【0401】
9.以前に実質臓器移植を受けていた。
【0402】
10.全身的治療(すなわち、疾患修飾剤、コルチコステロイドまたは免疫抑制薬の使用によるもの)を過去2年間に要した活動性自己免疫疾患を有していた。ただし、白斑または消散した小児喘息/アトピーは除かれる。副腎または下垂体機能不全に対するチロキシン、インスリンまたは生理的コルチコステロイド補充療法のような補充療法は全身的治療の一形態とは見なされず、許可された。非全身性ステロイドの使用は許可された。
【0403】
11.公知ヒト免疫不全ウイルス([HIV];HIV1または2抗体)ならびに/または活動性および急性のB型もしくはC型肝炎感染(例えば、HBsAg/HBV DNAまたはHCV RNAに関して陽性)を有していた。
【0404】
12.試験の結果を混乱させる、または試験の全期間中の参加者の参加を妨げる、または試験治療の投与を有害にする、または悪影響をモニターすることを困難にするいずれかの状態、療法または検査の異常の履歴または現在の証拠を有しており、その結果、試験を実施している研究者の見解において、参加することが参加者にとっての最大の利益にならない。
【0405】
13.著しい検出可能な感染を伴うことなく、大手術のいずれかの影響から完全には回復していなかった。全身麻酔を要した手術は治験治療開始の少なくとも2週間前に完了していたことが必要である。局所/硬膜外麻酔を要した手術は試験治療の最初の投与の少なくとも72時間前に完了していたことが必要であり、参加者は回復していたことが必要である。
【0406】
14.試験の要件に参加者が協力する能力を妨げる精神医学的または薬物乱用の既知障害を有していた。
【0407】
15.妊娠中または授乳中であった。あるいは、試験の予定期間内に子供を授かること又は子供の父親となることを期待していた。
【0408】
16.試験治療の最初の投与前の72時間以内に尿妊娠検査が陽性であったWOCBP(妊娠可能女性)。尿検査が陽性であった又は陰性と確認できなかった場合には、血清妊娠検査が必要であった。そのような場合、血清妊娠検査結果が陽性であれば、該参加者は参加から除外された。注意すべき点としては、スクリーニング妊娠検査から試験治療の最初の投与までに72時間が経過していた場合には、別の妊娠検査(尿または血清)を実施し、それが陰性でなければ、参加者は試験治療を受け始めることができなかった。
【0409】
事前/併用療法
17.試験治療の初回投与の前の4週間(緩和的放射線療法の場合は2週間)以内に化学療法、根治的放射線療法または生物学的癌治療を受けていた。あるいは、4週間以上前に投与された癌治療によるいずれかのAEから、CTCAEグレード<1またはそれより良好な状態に回復していなかった(これは、免疫関連AE[irAE]が残存している以前の免疫調節療法を受けた参加者を含んでいた)。内分泌irAEに対する継続的な補充ホルモン療法を受けている参加者はこの試験への参加から除外されるべきではなかった。
【0410】
18.この試験に参加している間にいずれかの他の形態の抗腫瘍療法を要すると予想された。
【0411】
19.CD27を標的化する別の薬剤による以前の治療を受けていた。
【0412】
20.別の刺激性T細胞受容体(例えば、OX-40、CD137)に対する薬剤による以前の治療を受けていた。
【0413】
21.補充用量を超える(例えば、プレドニゾン同等物の10mg/日を超える)慢性全身ステロイド療法またはいずれかの他の形態の免疫抑制薬を服用していた。気管支拡張薬、吸入ステロイドまたは局所ステロイド注射の断続的使用を要する反応性気道疾患を有する参加者はこの試験から除外されるべきではなかった。
【0414】
22.インフォームドコンセントに署名した時点でいずれかの違法薬物の常用者(「娯楽的使用」を含む)であった、または治療担当研究者の判断により、薬物乱用(アルコールを含む)の最近(過去1年以内)の履歴を有していた。
【0415】
23.試験治療の最初の投与の前の28日以内に生ウイルスワクチンを接種していた。生ワクチンの例には以下のものが含まれるが、それらに限定されるものではない:麻疹、流行性耳下腺炎、風疹、水痘/帯状疱疹(水ぼうそう)、黄色熱、狂犬病、桿菌カルメットゲラン(BCG)および腸チフスワクチン。生ウイルスを含まない季節性インフルエンザワクチンは許可された。生弱毒化ワクチンとしての鼻腔内インフルエンザワクチン(例えば、FluMist(登録商標))は許可されなかった。
【0416】
事前/同時臨床試験の経験
24.現在、治験剤の試験に参加して試験療法を受けている、または治験剤の治験に参加して試験療法を受けていた、または治験治療の初回投与の前の28日以内に治験装置を使用していた。
【0417】
注:治験のフォローアップ段階に入っていた参加者は、以前の治験剤の最終投与から4週間経過していれば、参加可能であった。
【0418】
群3において治療された参加者に関する追加的な除外基準:
25.試験治療の最初の投与の前の6か月以内に、30Gyを超える、肺への放射線療法を受けていた。
【0419】
26.5日間(ピロキシカムのような長時間作用型薬剤の場合は8日間)にわたり、1.3g/日以下のアスピリン用量以外のアスピリンまたは他の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を中断できなかった。
【0420】
27.葉酸またはビタミンB12補給を摂取できなかった、または摂取したがらなかった。
【0421】
考察/結果
主要な適格基準は、組織学的または細胞学的に確認された進行固形腫瘍、RECIST v1.1による測定可能な疾患、およびECOGPS<1を含んでいた。前記のとおり、抗体hCD27.131Aを単独で(用量範囲2~700mg)またはペンブロリズマブ(固定用量200mg)と共に試験した。抗体hCD27.131A単独療法後に疾患進行を示した患者は併用療法へのクロスオーバー(移行)に適格であった。主要目的は安全性および忍容性であった。RECIST v1.1に基づく研究者による客観的回答率も評価された。
【0422】
44名の患者の分析
最初に登録された44名の患者のうち、25名に抗体hCD27.131Aを投与し、19名に抗体hCD27.131Aとペンブロリズマブとを投与した。データが示したところによると、年齢の中央値は59.0歳で、それらの患者の61.4%が女性であり、47.7%がECOG PS1であり、13.6%が以前の免疫チェックポイントインヒビター療法を受けていた。表7Aおよび表7Bを参照されたい。
【0423】
【0424】
初期段階においては、抗体hCD27.131Aの投与を受けた3名の患者および抗体hCD27.131Aとペンブロリズマブとの投与を受けた1名の患者で用量制限毒性(DLT)が報告された。表8を参照されたい。観察されたDLTの全ては注入関連有害事象に関連していた。最大耐量が定められた。治療関連有害事象(TRAE)は40名の患者(90.9%)、抗体hCD27.131Aの投与を受けた22名の患者(88.0%)、および抗体hCD27.131Aとペンブロリズマブとの投与を受けた18名の患者(94.7%)で報告された。表8を参照されたい。最も一般的なTRAEは抗体hCD27.131Aでの治療による倦怠感(28.0%)および注入関連反応(28.0%)、ならびに抗体hCD27 131Aとペンブロリズマブとの併用療法による倦怠感(36.8%)および掻痒症(31.6%)であった。表9を参照されたい。グレード3~4のTRAEが10名の患者(22.7%)で報告され、TRAEは、抗体hCD27.131Aの投与を受けた6名の患者(24.0%)、および抗体hCD27.131Aとペンブロリズマブとの投与を受けた4名の患者(21.1%)で報告された。表10を参照されたい。グレード5の事象は観察されなかった。データは、確認された応答が存在したことを示している。1名の患者(4.0%)は抗体hCD27.131Aで部分奏効(PR)を達成し、1名の患者(5.3%)は抗体hCD27.131AとペンブロリズマブとでPRを達成した。最良の全体的応答の要約を表12に示す。患者は該治療に対して抗腫瘍応答を示すことが観察された。応答の持続時間を表11に示す。
【0425】
14名の患者が、抗体hCD27.131Aと抗体ペンブロリズマブとを含む併用療法を受けるためのクロスオーバー期に入った。クロスオーバー段階においては、DLTは報告されなかった。TRAEは12名の患者(85.7%)で報告された。最も一般的なTRAEは掻痒症(21.4%)、発疹(21.4%)および頭痛(14.3%)であった。1名の患者(7.1%)はアミラーゼ増加およびリパーゼ増加のグレード3~4のTRAEを報告した。グレード5の事象は観察されなかった。2名の患者(14.3%)が完全な反応を達成し、2名の患者(14.3%)がPRを達成した。
【0426】
したがって、初期データは、抗体hCD27.131Aによる単独での及びペンブロリズマブと組合せでの治療が、許容しうる安全性プロファイルを実証したことを示している。単独療法群と併用療法群との両方において、進行固形腫瘍を有する患者で初期抗腫瘍活性が観察された。
【0427】
【0428】
【0429】
【0430】
【0431】
【0432】
有効性、応答および抗腫瘍活性
hCD27.131A抗体(単独療法として又はペンブロリズマブとの併用療法としてのもの)の有効性および活性を分析した。単独療法群と併用療法群の両方において、進行固形腫瘍の患者で初期抗腫瘍活性が観察された。
図1Aおよび
図1Bは標的病変におけるベースラインからの最良の変化率を示す。
図2Aおよび
図2Bも参照されたい。応答の持続期間および最良の全体的応答の要約を表11および表12に示す。患者は、本明細書に記載されている単独療法および併用治療に対して応答を示すことが観察された。データが示すところによると、1名の患者は、抗体hCD27.131Aで治療された場合に、確認されたPRを達成し、1名の患者は、抗体hCD27.131Aペンブロリズマブでの併用治療で、確認されたPRを達成し、そしてクロスオーバー段階において、抗体hCD27.131Aとペンブロリズマブとの併用療法で、2名の患者が、確認されたCRを達成し、2名の患者が、確認されたPRを達成した。
【0433】
薬力学(PD)および薬物動態(PK)
抗体hCD27.131 Aで治療された被験者(対象)からの血清および血液サンプルを次いで、サイクル1の間に該抗体のPDおよびPKに関して分析した。データは、血液中のT細胞上のCD27受容体の利用可能性(アベイラビリティ)における、用量に比例する減少を示しており、抗体用量を増加させると、一般に、200mg以上で標的の飽和に近づく。
図4に示されている受容体利用可能性データも参照されたい。抗体hCD27.131Aの予備的PDプロファイルは、血清および血液において、以下を含むオントリートメント(on-treatment)免疫効果を誘発することも観察された:走化性ケモカインMIP-1βの一時的増加(
図5A);制御性T細胞を含むT細胞サブセットの減少(
図5B);およびHLA-DR+ 活性化T細胞の頻度の増加(
図5C)。
図6Aはサイクル1における2mg~700mgの抗体の静脈内投与後の抗体hCD27.131Aの血清濃度を示す。
図6Bも参照されたい。PK分析において計算された半減期(T 1/2)は、サイクル1において、20mgにおける4日から200mgにおける15日までの範囲であった。抗体hCD27.131A曝露の予備的PKプロファイルは、抗体の標的媒介性クリアランスが200mgで飽和することを示唆している。
【0434】
要約
結論として、抗体hCD27.131Aの単独療法、および抗体hCD27.131Aとペンブロリズマブとの併用治療は、十分に忍容(耐容)されることが観察された。データは、抗体hCD27.131A単独またはhCD27.131Aとペンブロリズマブとの併用療法のいずれかで治療された、進行固形腫瘍型を有する患者における、許容可能な薬力学的特性および薬物動態、そしてまた、有効な抗腫瘍活性を示している。抗体hCD27.131A単独療法のみで治療された患者、そしてまた、抗体hCD27.131Aとペンブロリズマブとの併用療法で治療された患者に関して、特異的腫瘍応答が観察された。単独療法から併用療法にクロスオーバーした患者において、応答が観察された。
図1Aおよび
図1Bならびに
図2Aおよび
図2Bは標的病変におけるベースラインからの最良の変化率を示す(RECIST v1.1,Investigator Review)。
図3Aおよび
図3Bは治療期間および応答の図を示す(RECIST v1.1,Investigator Review)。抗腫瘍活性(RECIST v1.1,Investigator Review)の要約を以下の表12に示す。表11も参照されたい。
【0435】
120名の患者データ分析
データ締切(カットオフ)日である2020年6月12日の時点で、120名の患者が登録し、そのうちの36名の被験者にヒト化抗体hCD27.131Aを2~700mgの用量レベルでQ3Wで単独療法として投与し、78名の被験者にヒト化抗体hCD27.131Aを2~200mgの用量レベルで、1)200mgのペンブロリズマブと組合せて(Q3W)、または2)400mgのペンブロリズマブと組合せて(Q6W)、投与し、6名の被験者に30mgのhCD27.131A抗体(Q3W)、ペンブロリズマブ(200mg、Q3W)および化学療法を投与し、20名の被験者に種々の用量レベル(クロスオーバー時の個々の用量のDLTクリアランスに応じて)のhCD27.131A抗体(Q3W)、ペンブロリズマブ(200mg、Q3W)を併用療法クロスオーバーで投与した。これらの患者に関するデータを収集し、分析した。例えば、8.3%は以前に免疫チェックポイントインヒビター療法を受けていた(表13)。前記のとおり、20名の患者がペンブロリズマブとの併用療法にクロスオーバーした。患者の初期診断を表14に示す。
【0436】
【0437】
【0438】
ヒトでのこの最初の研究においては、単独療法として及びペンブロリズマブと組合せて投与された抗CD27 hCD27.131A抗体は十分に忍容され、試験した全ての用量にわたって、対処可能な安全性を有していた。有害事象の要約を以下の表15に示す。データは、安全性プロファイルが許容しうるものであり、対処可能な薬物関連有害作用を有することを示している。
【0439】
【0440】
【0441】
【0442】
抗CD27h CD27.131A抗体とペンブロリズマブとの併用治療を受けた被験者に関するそれぞれの予め特定された用量レベルについて、用量漸増データを分析した。DLT分析も行った。表16を参照されたい。表16におけるDLTの要約は該試験の用量漸増部分における初期治療段階に関するデータを示す。該試験の用量漸増部分におけるクロスオーバー段階でDLTは観察されなかった。単独療法および併用療法の患者の傾向も分析した。応答の持続期間を表17に示す。ペンブロリズマブとの併用療法として漸増用量のhCD27.131A抗体の投与を受けた参加者におけるベースラインからの標的病変変化率の例示的ウォーターフォールプロットを
図7に示す。用量拡大部分の試験の一環として200mgのペンブロリズマブQ3Wと組合された30mgの抗体hCD27.131A Q3Wで治療されたTNBC患者に関する予備的有効性データが利用可能であった。RECIST 1.1(TNBCの場合:30mgの抗体hCD27.131A抗体Q3W + 200mgのペンブロリズマブQ3W)による研究者の評価に基づくベースラインからの最大標的病変変化の例示的ウォーターフォールプロットを
図8に示す。子宮内膜癌を有する患者に関する予備的有効性データも得られ、これらのデータは表18に含まれている。
【0443】
要約すると、研究者らは、hCD27.131A抗体で単独療法として及びペンブロリズマブとの併用療法として治療された被験者において、複数の治療群にわたって、抗腫瘍活性を観察した。単独療法から併用療法にクロスオーバーした患者において、応答が観察された。抗腫瘍活性(RECIST v1.1、Investigator)の要約を表18、表19および表20に示す。
【0444】
【0445】
【0446】
【配列表】
【国際調査報告】