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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-06
(54)【発明の名称】掌蹠角化症の治療方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20221226BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20221226BHJP
   A61K 31/517 20060101ALI20221226BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20221226BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20221226BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20221226BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20221226BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20221226BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20221226BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20221226BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20221226BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20221226BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20221226BHJP
   A61B 17/54 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P17/00
A61K31/517
A61K31/5377
A61K31/506
A61K9/06
A61K9/08
A61K9/12
A61K9/70 401
A61K47/10
A61K47/20
A61K47/32
A61K47/12
A61B17/54
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525777
(86)(22)【出願日】2020-11-05
(85)【翻訳文提出日】2022-05-24
(86)【国際出願番号】 IL2020051153
(87)【国際公開番号】W WO2021090322
(87)【国際公開日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】62/931,252
(32)【優先日】2019-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512080295
【氏名又は名称】ソル - ゲル テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルキン、モシェ
(72)【発明者】
【氏名】ジゲルボイム、マーセル
(72)【発明者】
【氏名】レヴィ-ハシャム、オフラ
(72)【発明者】
【氏名】ノブ、オリ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4C160
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076AA12
4C076AA24
4C076AA72
4C076BB31
4C076CC18
4C076DD38
4C076DD39R
4C076DD41R
4C076DD55N
4C076EE09P
4C076FF12
4C076FF34
4C076FF35
4C076FF39
4C076FF67
4C084AA17
4C084AA19
4C084AA20
4C084AA22
4C084AA23
4C084AA24
4C084MA02
4C084MA13
4C084MA17
4C084MA27
4C084MA28
4C084MA32
4C084MA63
4C084NA05
4C084NA06
4C084NA10
4C084NA11
4C084ZA891
4C084ZA892
4C084ZC421
4C084ZC422
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC37
4C086BC42
4C086BC46
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA12
4C086GA13
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA13
4C086MA17
4C086MA27
4C086MA28
4C086MA32
4C086MA63
4C086NA05
4C086NA06
4C086NA10
4C086NA11
4C086ZA89
4C086ZC42
4C086ZC75
4C160FF21
4C160MM16
4C160MM22
(57)【要約】
本発明は、いくつかの実施形態において、掌蹠角化症(PPK)の治療、予防、または緩和を必要とする患者における、その治療、予防、または緩和の方法に関連し、該方法は、デブリドマンステップの後に、少なくとも1つの上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤を含む組成物の局所投与を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
掌蹠角化症(PPK)の治療、予防、または緩和を必要とする患者におけるその治療、予防、または緩和の方法であって、
(a)前記患者の罹患PPK表面領域のデブリドマンを行うデブリドマンステップと、
(b)前記デブリドマンステップ(a)の後に、少なくとも1つの上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤を含む治療有効量の局所組成物を、前記罹患PPK表面領域に局所投与する局所投与ステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記局所組成物が、少なくとも1週間投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記局所組成物が、12週間、1日1回投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記デブリドマンが、前記PPKに罹患した生存不能または不要な組織の物理的または機械的除去によって実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記物理的または機械的除去が、メス、モノフィラメントパッド、鉗子、またははさみを使用することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記デブリドマンが、皮膚移植技術を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記皮膚移植技術が、前記罹患PPK表面領域への化学薬剤の適用と組み合わされるか、またはその後に実施される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記物理的または機械的除去が、前記罹患PPK表面領域への化学薬剤の適用後に実施される、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記デブリドマンステップ(a)が、前記罹患PPK表面領域への化学薬剤の適用と組み合わせた超音波処理を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記デブリドマンが、化学薬剤を適用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記化学薬剤が、尿素、サリチル酸、乳酸、レチノイド、ソラレン、副腎皮質ステロイド、創傷清拭剤、それらの誘導体、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項7~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記化学薬剤が、尿素、サリチル酸、乳酸、レチノイド、ソラレン、副腎皮質ステロイド、またはそれらの任意の組み合わせと、創傷清拭剤との組み合わせを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記創傷清拭剤が、デブリダーゼ、植物調製物、ブロメライン、アナナイン、システインプロテアーゼ前駆体、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記局所組成物が、前記EGFRおよび前記化学薬剤を含む組み合わせ生成物であるか、または前記EGFRおよび前記化学薬剤が、順次または同時に投与される、請求項7~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記局所組成物が、治療有効量の少なくとも1つの浸透促進剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの浸透促進剤が、DMSO、エタノール、イソプロピルアルコール、ジメチルイソソルビド、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸、ポリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリコフロール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの浸透促進剤の量が、約10%~約98%w/wの少なくとも1つの浸透促進剤である、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つのEGFR阻害剤が、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、オシメルチニブ、ブリグチニブ、それらの塩、水和物、または溶媒和物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つのEGFR阻害剤が、エルロチニブ塩酸塩である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記局所組成物が、少なくとも1つの溶媒をさらに含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つの溶媒が、DMSO、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、ジメチルイソソルビド、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸、ポリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、グリコフロール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つの浸透促進剤が、二重機能性を有し、溶媒としても作用し得る、請求項15または16に記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つのEGFR阻害剤の量が、約0.1%w/w~約1%w/w、約1%w/w~約3%w/w、約3%w/w~約5%w/w、または約5%w/w~約10%w/wである、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つのEGFR阻害剤がエルロチニブ塩酸塩であり、その量が0.75%w/wである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記局所組成物が、保湿剤、皮膚保護剤、尿素、乳酸アンモニウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの成分を、約0.01%w/w~約1%w/w、約1%w/w~約3%w/w、または約3%w/w~約5%w/wの濃度でさらに含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記局所組成物が、タピナロフ、ヤヌスキナーゼ阻害剤(JAK阻害剤)、ホスホジエステラーゼ-4阻害剤(PDE4阻害剤)、副腎皮質ステロイド、カルシポトリエン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの追加の活性剤を、約0.01%w/w~約1%w/w、約1%w/w~約3%w/w、または約3%w/w~約5%w/wの濃度でさらに含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記局所組成物が、メナジオン、ケトコナゾール、ダプソン、セビメリン、スピロノラクトン、トレチノイン、ピメクロリムス、テトラサイクリン、日焼け止め剤、ドキシサイクリン、上皮増殖因子(EGF)、リコピン、スレオロン、シントマイシン、エリスロマイシン、ビタミンK3、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの追加の活性剤を、約0.01%%w/w~約1%w/w、約1%w/w~約3%w/w、約3%w/w~約5%w/wまたは約5%w/w~約10%w/wの濃度でさらに含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記局所組成物が、ゲル、ヒドロゲル、クリーム、軟膏、ローション、スプレー、シャンプー、パッチ、またはフォームである、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも1つのEGFR阻害剤が、前記局所組成物中に部分的または完全に可溶化される、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記少なくとも1つのEGFR阻害剤がエルロチニブ塩酸塩であり、前記局所組成物が局所ゲルとして製剤化される、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記局所組成物が、約0.75%w/wのエルロチニブ塩酸塩、および約10%~約98%w/wの少なくとも1つの浸透促進剤を含み、前記局所組成物がゲルとして製剤化される、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
約0.75%w/wのエルロチニブ塩酸塩、約70%w/wのDMSO、約25%のプロピレングリコール、約0.5%w/wの2-フェノキシエタノール、約0.25%w/wのメチルパラベン、および約3%w/wのCarbopol 980を含み、前記局所組成物がゲルとして製剤化される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記少なくとも1つのEGFR阻害剤および前記少なくとも1つの追加の活性剤が、相加効果または相乗効果を示す、請求項26または27に記載の方法。
【請求項34】
少なくとも1つのEGFR阻害剤を含む前記局所組成物の局所投与による前記PPKの治療、予防または緩和が、同じEGFR阻害剤量の全身投与と比較して、皮膚副作用を誘発しないか、または低減された皮膚副作用を誘発する、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記PPKが、後天性または遺伝性である、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記PPKが、びまん性、限局性、線状、または点状PPKである、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記点状PPKが、点状掌蹠角化症1型(PPPK-1)である、請求項36に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いくつかの実施形態において、掌蹠角化症(PPK)の治療、予防、または緩和を必要とする患者におけるその治療、予防、または緩和の方法に関連し、該方法は、デブリドマンステップの後に、少なくとも1つの上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤を含む組成物の局所投与を含む。
【背景技術】
【0002】
上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤薬物
【0003】
エルロチニブ、ゲフィチニブ、オシメルチニブ、およびブリグチニブ等の上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤薬物は、EGFRを標的とし、いくつかの形態のがん(肺、結腸)の全身治療に使用される。
【0004】
局所使用のために米国で販売されているEGFR阻害剤薬物は存在しない。EGFR阻害剤エルロチニブは、経口錠剤(Tarceva)として販売されている。同様に、ゲフィチニブ(Iressa)、オシメルチニブ(Tigresso)、およびブリグチニブ(Alunbrig)は、経口錠剤として販売されている。
【0005】
EGFR阻害剤による治療は、ざ瘡様発疹、丘疹膿疱性発疹、頭髪成長異常、顔毛成長異常、毛髪成長異常、睫毛成長異常、化膿性肉芽腫および毛細血管拡張症を伴うまたは伴わない爪囲炎等の皮膚状態を誘発することが知られている。
【0006】
掌蹠角化症(PPK)
【0007】
掌蹠角化症(PPK)は、手掌および足底の角質増殖が認められる遺伝性および後天性の角質化障害の多様な群を表す。遺伝性PPKは、その形態および分布に従って、大きく4つのカテゴリーに分類される。
・掌蹠表面の均一な発症を特徴とするびまん性PPK
・主に圧点上の角質増殖の局所領域を特徴とする限局性PPK
・下にある腱に対応して指の手掌面および手掌で主に認識される線状病変からなる線状PPK、および
・点状PPKは、掌蹠表面の小さな(1~10mm)角化性丘疹を特徴とする。
【0008】
点状掌蹠角化症1型
【0009】
点状掌蹠角化症1型(PPPK-1)は、手掌および足底に発症する複数の角化性丘疹を特徴とする稀な常染色体優性の遺伝性皮膚疾患であり、主にアフリカ系の皮膚の皺に見ることができる。点状掌蹠角化症1型の徴候および症状は、10~30歳の間に明らかになる傾向がある。症状は、手のひらおよび足の裏の厚くなった皮膚の、複数の小さな硬い、丸い隆起を含む。これらの隆起が集合して圧点上で胼胝を形成する場合があり、疼痛を引き起こし得る。それらはまた、歩行を困難にし得るか、または手もしくは指の動きを損なう場合がある。症状は、時間とともに悪化する傾向があり、手作業または損傷によって悪化する可能性がある。病変は、半透明であり得るか、または経時的に不透明もしくはいぼ状になり得る、ピンポイントの硬い丘疹として始まる。これにより、PPPK-1は、限局性PPKまたはびまん性PPKとは異なる臨床的外観を有する。機械的に刺激された領域では、集密的な胼胝様斑が見られる場合があり、痛みを伴うことがある。他の角化症とは異なり、小児期の病変は稀であり、通常、青年期および成人期に発症する。
【0010】
PPKを有する対象によって経験される疼痛は、PPKに罹患した領域の物理的デブリドマン後に少なくとも一時的に低減し得るが、疼痛は通常、極めて短期間(6週間超)後に戻ってくる(Redmond et al.J.Am.Podiatr.Med.Assoc.89(10):515-519,1999)。
【0011】
効率的かつ患者に優しい掌蹠角化症の治療、予防、または緩和の方法の満たされていない必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
一態様において、本発明は、掌蹠角化症(PPK)の治療、予防、または緩和を必要とする患者におけるその治療、予防、または緩和の方法であって、
(a)患者の罹患PPK表面領域のデブリドマンを行うデブリドマンステップと、
(b)上記デブリドマンステップ(a)の後に、少なくとも1つの上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤を含む治療有効量の局所組成物を、罹患PPK表面領域に局所投与する局所投与ステップと、を含む、方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
一態様において、本発明は、掌蹠角化症(PPK)の治療、予防、または緩和を必要とする患者におけるその治療、予防、または緩和の方法であって、
(a)患者の罹患PPK表面領域のデブリドマンを行うデブリドマンステップと、
(b)上記デブリドマンステップ(a)の後に、少なくとも1つの上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤を含む治療有効量の局所組成物を、罹患PPK表面領域に局所投与する局所投与ステップと、を含む、方法を提供する。
【0014】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤を含む局所組成物は、少なくとも1週間投与される。いくつかの実施形態において、局所組成物は、12~14週間、好ましくは12週間投与される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤を含む局所組成物は、12週間、1日1回投与される。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0015】
一実施形態において、少なくとも1つのEGFR阻害剤を含む組成物の局所投与によるPPKの治療、予防または緩和は、同じEGFR阻害剤量の全身投与と比較して、皮膚副作用を誘発しないか、または低減された皮膚副作用を誘発する。エルロチニブ(経口錠剤)の副作用の非限定的な例としては、感染、結膜炎、下痢、呼吸困難、角結膜炎、悪心、そう痒、皮膚発疹、口内炎、拒食症、および乾皮症が挙げられる。
【0016】
一実施形態において、「デブリドマン」という用語は、死滅した、損傷した、感染した、または過剰な組織等の生存不能な組織の除去を指す。創傷清拭プロセス(「デブリドマン」)は、生存不能または不要な組織の物理的または機械的除去によって実施される。いくつかの実施形態において、生存不能または不要な組織は、PPKから生じ、かつ/またはPPKの症状であり、すなわち、それらはPPKに罹患している。いくつかの実施形態において、デブリドマンは、PPKに罹患した生存不能または不要な組織の物理的または機械的除去によって実施される。
【0017】
一実施形態において、本発明の方法のデブリドマンステップは、当該技術分野で既知の任意の手順によって実施される。別の実施形態において、物理的または機械的除去は、メス、モノフィラメントパッド、鉗子、はさみ、または当該技術分野で既知の任意の他の医療装置、デバイスもしくはツールを使用することを含む。別の実施形態において、デブリドマンステップは、皮膚移植技術を含む(例えば、足底の中間層皮膚移植片:Wang et al.;Ann.Plast.Surg.2018 Feb;80(2S Suppl 1):S55-S58、その内容は参照により本明細書に組み込まれる)。別の実施形態において、物理的または機械的除去および皮膚移植技術は、罹患PPK表面領域への化学薬剤の適用と組み合わされるか、またはその後に実施される。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。いくつかの実施形態において、皮膚移植技術は、該罹患PPK表面領域への化学薬剤の適用と組み合わされるか、またはその後に実施される。
【0018】
別の実施形態において、物理的または機械的除去は、罹患PPK表面領域に化学薬剤を適用した後に実施される。デブリドマンステップは、化学薬剤を適用することを含む。
【0019】
別の実施形態において、本明細書で使用される「化学薬剤を適用すること」は、死滅した、損傷した、感染した、もしくは過剰な組織を化学薬剤(例えば、化学薬剤を含む組成物)に浸漬すること、または組織に化学薬剤を注射すること、または罹患PPK表面領域に化学薬剤を塗布すること、または当該技術分野で既知の任意の他の適用方法として定義される。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0020】
別の実施形態において、本発明の方法で使用される化学薬剤は、尿素(Mulay et al.AMA Arch Derm.1958;78(6):758、その内容は参照により本明細書に組み込まれる)、サリチル酸、乳酸、レチノイド、ソラレン、副腎皮質ステロイド(Patel et al.;Am J Clin Dermatol 2007;8(1):1-11、その内容は参照により本明細書に組み込まれる)、創傷清拭剤、それらの誘導体、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0021】
別の実施形態において、副腎皮質ステロイドの非限定的な例としては、コルチゾール、
コルチコステロン、コルチゾン、チキソコルトール、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ブデソニド、デソニド、トリアムシノロン、ベタメタゾン、モメタゾン、プレドニカルベート、およびアルドステロン、ならびにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0022】
別の実施形態において、レチノイドの非限定的な例としては、レチノール、トレチノイン、イソトレチノイン、アリトレチノイン、アダパレン、ベキサロテン、タザロテン、エトレチネート、アシトレチン、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0023】
別の実施形態において、化学薬剤は、尿素、サリチル酸、乳酸、レチノイド、ソラレン、副腎皮質ステロイド、またはそれらの任意の組み合わせと、創傷清拭剤との組み合わせを含む。別の実施形態において、ソラレンは、UVA治療と併せて使用される。別の実施形態において、創傷清拭剤の非限定的な例としては、デブリダーゼ、植物調製物、ブロメライン、アナナイン、システインプロテアーゼ前駆体、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる(米国特許第7,128,719号、第8,119,124号および第8,540,983号、ならびに米国公開第2019/030140号、その内容は参照により本明細書に組み込まれる)。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0024】
いくつかの実施形態において、デブリドマンステップは、罹患PPK表面領域への化学薬剤の適用と組み合わせた超音波処理を含む。別の実施形態において、デブリドマンステップは、化学薬剤、例えば、創傷清拭剤の適用と組み合わせた超音波処理を含む(米国特許第7,128,719号、その内容は参照により本明細書に組み込まれる)。別の実施形態において、デブリドマンステップは、化学薬剤、例えば、アナナイン、システインプロテアーゼ前駆体、ブロメライン、またはそれらの任意の組み合わせ等の創傷清拭剤を適用することを含む(米国特許第8,119,124号および第8,540,983号、ならびに米国公開第2019/030140号、その内容は参照により本明細書に組み込まれる)。別の実施形態において、デブリドマンステップは、ブロメライン、アナナイン、および水溶性ゲル化剤を含むヒドロゲル組成物を適用することを含む(米国公開第2019/142910号)。
【0025】
別の実施形態において、本発明の方法のステップ(b)で使用される局所組成物は、EGFRおよび化学薬剤を含む組み合わせ生成物であるか、またはEGFRおよび化学薬剤は、順次または同時に(別個の生成物として)投与され、EGFRおよび化学薬剤は上記の通りである。別の実施形態において、物理的、機械的除去または皮膚移植技術は、組み合わせ生成物、EGFRまたは化学薬剤を投与する前または後に実施される。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0026】
一実施形態において、本発明の方法内で使用される局所組成物は、治療有効量の少なくとも1つの浸透促進剤をさらに含む。別の実施形態において、少なくとも1つの浸透促進剤は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エタノール、イソプロピルアルコール、ジメチルイソソルビド、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸、ポリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリコフロール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0027】
別の実施形態において、少なくとも1つの浸透促進剤の量は、約10%~約98%w/wの少なくとも1つの浸透促進剤である。別の実施形態において、少なくとも1つの浸透促進剤の量は、約10%~約90%w/wの少なくとも1つの浸透促進剤である。別の実施形態において、少なくとも1つの浸透促進剤の量は、約10%~約80%w/wの少なくとも1つの浸透促進剤である。別の実施形態において、少なくとも1つの浸透促進剤の量は、約10%~約50%w/wの少なくとも1つの浸透促進剤である。別の実施形態において、少なくとも1つの浸透促進剤の量は、約10%~約30%w/wの少なくとも1つの浸透促進剤である。別の実施形態において、少なくとも1つの浸透促進剤の量は、約30%~約98%w/wの少なくとも1つの浸透促進剤である。別の実施形態において、少なくとも1つの浸透促進剤の量は、約50%~約98%w/wの少なくとも1つの浸透促進剤である。別の実施形態において、少なくとも1つの浸透促進剤の量は、約70%~約98%w/wの少なくとも1つの浸透促進剤である。別の実施形態において、少なくとも1つの浸透促進剤は、二重機能性を有し、溶媒としても作用し得る。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0028】
一実施形態において、上記の局所組成物中の少なくとも1つのEGFR阻害剤は、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、オシメルチニブ、およびブリグチニブ、それらの塩、水和物、または溶媒和物、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される。別の実施形態において、少なくとも1つのEGFR阻害剤は、エルロチニブ塩酸塩である。別の実施形態において、少なくとも1つのEGFR阻害剤の量は、約0.1%w/w~約10%w/wである。別の実施形態において、少なくとも1つのEGFR阻害剤の量は、約0.1%w/w~約1%w/wである。別の実施形態において、少なくとも1つのEGFR阻害剤の量は、約0.1%w/w~約2%w/wである。別の実施形態において、少なくとも1つのEGFR阻害剤の量は、約1%w/w~約3%w/wである。別の実施形態において、少なくとも1つのEGFR阻害剤の量は、約3%w/w~約5%w/wである。別の実施形態において、少なくとも1つのEGFR阻害剤の量は、約3%w/w~約7%w/wである。別の実施形態において、少なくとも1つのEGFR阻害剤の量は、約5%w/w~約10%w/wである。別の実施形態において、少なくとも1つのEGFR阻害剤は、エルロチニブ塩酸塩であり、その量は0.5%w/wである。別の実施形態において、少なくとも1つのEGFR阻害剤は、エルロチニブ塩酸塩であり、その量は0.75%w/wである。別の実施形態において、少なくとも1つのEGFR阻害剤は、エルロチニブ塩酸塩であり、その量は1%w/wである。別の実施形態において、少なくとも1つのEGFR阻害剤は、エルロチニブ塩酸塩であり、その量は1.25%w/wである。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0029】
当業者であれば、EGFR阻害剤の「薬学的に許容される塩」が、いくつかの実施形態において、EGFR阻害剤化合物と酸または塩基との反応によって形成され得ることを理解するであろう。「薬学的に許容される塩」という用語は、生物学的にまたはその他の点で望ましくない、遊離塩基または遊離酸の生物学的有効性および特性を保持する塩を包含し得る。塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、ならびに酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、オキシ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、N-アセチルシステイン等の有機酸で形成される。他の塩は、当業者に既知であり、本明細書で提供される本発明の化合物に従って使用するために容易に適合させることができる。
【0030】
本明細書で提供される化合物の好適な薬学的に許容されるアミンの塩は、無機酸または有機酸から調製され得る。いくつかの実施形態において、アミンの無機塩の例は、重硫酸塩、ホウ酸塩、臭化物、塩化物、ヘミ硫酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、2-ヒドロキシエチルスルホン酸塩(ヒドロキシエタンスルホン酸塩)、ヨウ素酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、硝酸塩、過硫酸塩、リン酸塩、硫酸塩、スルファミン酸、スルファニル酸塩、スルホン酸(アルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、ハロゲン置換アルキルスルホン酸塩、ハロゲン置換アリールスルホン酸塩)、スルホン酸塩、およびチオシアン酸塩である。
【0031】
いくつかの実施形態において、アミンの有機塩の例は、脂肪族、環状脂肪族、芳香族、芳香脂肪族、複素環、カルボン酸およびスルホン酸のクラスの有機酸から選択され得、その例は、酢酸塩、アルギニン、アスパラギン酸塩、アスコルビン酸塩、アジピン酸塩、アントラル酸塩、アルゲン酸塩、アルカンカルボン酸塩、置換アルカンカルボン酸塩、アルギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、重炭酸塩、重酒石酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、エデト酸カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、クラブラン酸塩、桂皮酸塩、ジカルボン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシルスルホン酸塩、二塩酸塩、デカン酸塩、エナント酸塩、エタンスルホン酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシル酸塩、フマル酸塩、ギ酸塩、フッ化物、ガラクツロン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グルセプト酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、グルタル酸塩、グルタミン酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、ヒドロキシカルボン酸、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、フッ化水素酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、メチレンビス(ベータ-オキシナフトエート)、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メタンスルホン酸塩、臭化メチル、硝酸メチル、メチルスルホン酸塩、マレイン酸一カリウム、ムケート、モノカルボン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、ナプシル酸塩、N-メチルグルカミン、オキサル酸塩、オクタン酸塩、オレイン酸塩、パモ酸塩、フェニル酢酸塩、ピクリン酸塩、フェニル安息香酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、フタル酸塩、フェニル酢酸塩、ペクチン酸塩、フェニルプロピオン酸塩、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、ピルビン酸塩、キナ酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、ステアリン酸塩、スルファニル酸塩、塩基性酢酸塩、酒石酸塩、テオフィリン酢酸塩、p-トルエンスルホン酸塩(トシル酸塩)、トリフルオロ酢酸塩、テレフタル酸塩、タンニン酸塩、テオクル酸塩、トリハロ酢酸塩、トリエチオダイド、トリカルボン酸塩、ウンデカン酸塩、および吉草酸塩である。
【0032】
様々な実施形態において、リン酸塩の無機塩の例は、アンモニウム;リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムを含むアルカリ金属;カルシウム、マグネシウム、アルミニウムを含むアルカリ土類金属;亜鉛、バリウム、コリン、四級アンモニウムから選択され得る。
【0033】
いくつかの実施形態において、塩は、従来の手段によって、例えば、生成物の遊離塩基または遊離酸形態を、適切な酸または塩基の1つ以上の均等物と、塩が不溶性である溶媒もしくは培地中で、または真空で除去される水等の溶媒中で反応させることによって、または凍結乾燥によって、または既存の塩のイオンを別のイオンもしくは好適なイオン交換樹脂と交換することによって、形成され得る。
【0034】
一実施形態において、上記の局所組成物は、少なくとも1つの溶媒tをさらに含む。別の実施形態において、少なくとも1つの溶媒は、DMSO、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、ジメチルイソソルビド、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸、ポリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、グリコフロール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0035】
いくつかの実施形態において、上記の局所組成物は、保湿剤、皮膚保護剤、尿素、乳酸アンモニウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの成分を、約0.01%w/w~約1%w/w、約1%w/w~約3%w/w、または約3%w/w~約5%w/wの濃度でさらに含む。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0036】
別の実施形態において、本明細書に記載の掌蹠角化症(PPK)の治療、予防、または緩和の方法は、少なくとも1つの上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤を含む局所組成物の、それを必要とする患者における罹患表面領域への局所投与ステップを含む。
【0037】
いくつかの実施形態において、上記の局所組成物は、第1群からの少なくとも1つの追加の活性剤をさらに含み、少なくとも1つの追加の活性剤は、約0.01%w/w~約1%w/w、約1%w/w~約3%w/w、または約3%w/w~約5%w/wの濃度の、タピナロフ、ヤヌスキナーゼ阻害剤(JAK阻害剤)、ホスホジエステラーゼ-4阻害剤(PDE4阻害剤)、副腎皮質ステロイド、カルシポトリエン、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0038】
別の実施形態において、JAK阻害剤の非限定的な例としては、ルキソリチニブ、オクラシチニブ、ペフィシチニブ、ウパダシチニブ、フィルゴチニブ、モメロチニブ、パクリチニブ、トファシチニブ、ククルビタシン-I、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0039】
別の実施形態において、PDE4阻害剤の非限定的な例としては、アプレミラスト、クリサボロール、ジアゼパム、ルテオリン、ピクラミラスト、ロフルミラスト、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。別の実施形態において、少なくとも1つのEGFR阻害剤および該少なくとも1つの追加の活性剤は、相加効果または相乗効果を示す。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0040】
いくつかの実施形態において、上記の局所組成物は、第2群からの少なくとも1つの追加の活性剤をさらに含み、少なくとも1つの追加の活性剤は、約0.01%w/w~約1%w/w、約1%w/w~約3%w/w、約3%w/w~約5%w/wまたは約5%w/w~約10%w/wの濃度の、メナジオン、ケトコナゾール、ダプソン、セビメリン、スピロノラクトン、トレチノイン、ピメクロリムス、テトラサイクリン、日焼け止め剤、ドキシサイクリン、上皮増殖因子(EGF)、リコピン、スレオロン、シントマイシン、エリスロマイシン、ビタミンK3、およびそれらの組み合わせから選択される。一実施形態では、少なくとも1つのEGFR阻害剤および該少なくとも1つの追加の活性剤は、相加効果または相乗効果を示す。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0041】
いくつかの実施形態において、局所組成物は、第1群の少なくとも1つの活性薬剤と組み合わせて、少なくとも1つの上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤を含む。いくつかの実施形態において、局所組成物は、第2群の少なくとも1つの活性薬剤と組み合わせて、少なくとも1つの上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤を含む。
【0042】
いくつかの実施形態において、局所組成物は、第1群および第2群の少なくとも1つの活性薬剤と組み合わせて、少なくとも1つの上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤を含む。
【0043】
別の実施形態において、本明細書に記載の掌蹠角化症(PPK)の治療、予防、または緩和の方法は、少なくとも1つの上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤を含む局所組成物の、それを必要とする患者における罹患表面領域への局所投与ステップを含む。いくつかの実施形態において、局所投与は、少なくとも1つの上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤、第1群の少なくとも1つの活性剤、第2群の少なくとも1つの活性剤、またはそれらの任意の組み合わせを投与することを含み、少なくとも1つの上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤、第1群の少なくとも1つの活性剤、第2群の少なくとも1つの活性剤のそれぞれは、別個の組成物として投与される。別の実施形態において、少なくとも1つの上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤と第1群の少なくとも1つの活性剤とは、組み合わせ組成物として製剤化される。別の実施形態において、少なくとも1つの上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤と第2群の少なくとも1つの活性剤とは、組み合わせ組成物として製剤化される。
【0044】
いくつかの実施形態において、本発明の方法に使用される局所組成物は、ゲル、クリーム、軟膏、ヒドロゲル、乳剤、エリキシル、懸濁剤、チンキ、ペースト、エアロゾル、皮脂抑制剤、ローション、スプレー、シャンプー、パッチ、フォーム、または局所投与に好適な任意の他の製剤である。別の実施形態において、局所組成物は、ゲル、ローション、クリーム、またはフォームである。別の実施形態において、皮脂抑制剤は、アゼライン酸、サリチル酸、硫黄、ニコチンアミド、L-カルニチン、およびそれらの組み合わせから選択される成分を含み得る。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0045】
いくつかの実施形態において、上記の局所組成物中の少なくとも1つのEGFR阻害剤は、部分的または完全に可溶化される。
【0046】
いくつかの実施形態において、上記の局所組成物中の少なくとも1つのEGFR阻害剤は、エルロチニブ塩酸塩であり、組成物は局所ゲルとして製剤化される。
【0047】
一実施形態において、上記に記載の組成物は、約0.75%w/wのエルロチニブ塩酸塩、および約10%~約98%w/wの少なくとも1つの浸透促進剤を含み、組成物はゲルとして製剤化される。別の実施形態において、組成物は、約0.75%w/wのエルロチニブ塩酸塩、約70%w/wのDMSO、約25%のプロピレングリコール、約0.5%w/wの2-フェノキシエタノール、約0.25%w/wのメチルパラベン、および約3%w/wのCarbopol 980を含み、組成物はゲルとして製剤化される。
【0048】
一実施形態において、上記の組成物は、約0.1%w/w~約1%w/w、約1%w/w~約3%w/w、約3%w/w~約5%w/w、または約5%w/w~約10%w/wのエルロチニブ塩酸塩、約0.01%w/w~約1%w/w、約1%w/w~約3%w/w、または約3%w/w~約5%w/wのタピナロフ、および約10%~約98%w/wの少なくとも1つの浸透促進剤を含む。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0049】
一実施形態において、上記の組成物は、約0.1%w/w~約1%w/w、約1%w/w~約3%w/w、約3%w/w~約5%w/w、または約5%w/w~約10%w/wのエルロチニブ塩酸塩、約0.01%w/w~約1%w/w、約1%w/w~約3%w/w、または約3%w/w~約5%w/wのトファシチニブクエン酸塩、および約10%w/w~約98%w/wの少なくとも1つの浸透促進剤を含む。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0050】
一実施形態において、上記の組成物は、約0.1%w/w~約1%w/w、約1%w/w~約3%w/w、約3%w/w~約5%w/w、または約5%w/w~約10%w/wのエルロチニブ塩酸塩、約0.01%w/w~約1%w/w、約1%w/w~約3%w/w、または約3%w/w~約5%w/wのアプレミラスト、および約10%w/w~約98%w/wの少なくとも1つの浸透促進剤を含む。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0051】
一実施形態において、上記の組成物は、0.75%のエルロチニブHClおよび70%のDMSOを含む局所ゲル組成物である。
【0052】
一実施形態において、上記の組成物は、0.5%のエルロチニブHClおよび70%のDMSOを含む局所ゲル組成物である。
【0053】
一実施形態において、上記の組成物は、0.5%のエルロチニブHClおよび45.5%のDMSOを含む局所ゲル組成物である。
【0054】
一実施形態において、上記の組成物は、0.5%のエルロチニブHClおよび50%のEtOH 70%を含む局所ゲル組成物である。
【0055】
一実施形態において、上記の組成物は、1.25%のエルロチニブHClおよび95%のDMSOを含む局所ゲル組成物である。
【0056】
一実施形態において、上記の組成物は、1%のエルロチニブHCl、49%のPEG-400、および30%のPEG-3350を含む局所ゲル組成物である。
【0057】
一実施形態において、上記の組成物は、1%のエルロチニブHClおよび1%のタピナロフを含む局所ゲル組成物である。
【0058】
一実施形態において、上記の組成物は、0.75%のエルロチニブHClおよび0.5%のトファシチニブクエン酸塩を含む局所ゲル組成物である。
【0059】
一実施形態において、上記の組成物は、0.75%のエルロチニブHClおよび0.5%のアプレミラストを含む局所ゲル組成物である。
【0060】
いくつかの実施形態において、PPKは、後天性または遺伝性である。いくつかの実施形態において、PPKは、びまん性、限局性、線状、または点状PPKである。別の実施形態において、点状PPKは、点状掌蹠角化症1型(PPPK-1)である。いくつかの実施形態において、PPKは、表皮剥離性掌蹠角化症(EPPK)、点状PPK(非限定的な例としては、I型、II型、III型が挙げられる)、びまん性PPK(非限定的な例としては、Vorner型PPK、長島型PPK、Bothnian型PPK、Greither型PPK、Sybery症候群、Gamborg Nielsen型PPK、肢端角化症、Huriez症候群が挙げられる)、びまん性指端断節性PPK、限局性PPK(非限定的な例としては、貨幣状PPKが挙げられる)、線状PPK(非限定的な例としては、線状PPK I、線状PPK II、線状PPK IIIが挙げられる)を含む。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。いくつかの実施形態において、PPKは、ケラチン、デスモソーム、ギャップ接合部、コネクシン、ロリクリン、またはそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを有する患者において観察される。いくつかの実施形態において、聴覚喪失を伴うPPKは、GJB2またはMT-TS1遺伝子に変異を有する患者において観察される。いくつかの実施形態において、聴覚喪失を伴うPPKは、GJB2またはMT-TS1遺伝子の変異によって引き起こされる。いくつかの実施形態において、表皮剥離性掌蹠角化症(EPPK)は、ケラチン9の変異によって引き起こされる。いくつかの実施形態において、PPKおよび聴覚喪失は、ミトコンドリアA7445Gの変異を有する系統の患者において観察される。いくつかの実施形態において、PPKおよび聾唖は、ヘテロ接合性ミスセンス変異に起因するCx26の機能的欠損を有する患者において観察される。いくつかの実施形態において、線状PPK 1型(PPKS)は、染色体18q12上のDSG1遺伝子(125670)におけるヘテロ接合性変異によって引き起こされる。いくつかの実施形態において、PPKS II型(PPKS2;612908)は、6番染色体上のDSP遺伝子(125647)の変異によって引き起こされる。いくつかの実施形態において、PPKS III型(PPKS3;607654)は、染色体12q上のケラチン-1遺伝子(KRT1;139350)の変異によって引き起こされる。いくつかの実施形態において、長島型掌蹠角化症(PPKN)は、染色体18q21上のSERPINB7遺伝子(603357)におけるホモ接合性または複合ヘテロ接合性変異によって引き起こされる。
【0061】
いくつかの実施形態において、上記の方法は、以下の適応症の治療に使用される:胼胝、鶏眼、乾癬、疣贅、爪疾患、および爪真菌症、爪甲鉤弯症、緑色爪症候群、爪ジストロフィー、またはそれらの任意の組み合わせ等の疾患。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0062】
一実施形態において、本発明の方法は、局所EGFR阻害剤投与に反応して、薬物関連の重篤な有害事象または一過性の重篤な有害事象を有しない。
【0063】
一実施形態において、本発明の方法は、信頼区間(CI)によって示されるように、ベースラインを考慮してビヒクル(対照)処置と比較すると、処置終了時の足底皮膚の厚さの最小変化をもたらす。別の実施形態において、信頼区間は、少なくとも75%である。別の実施形態において、信頼区間は、少なくとも80%である。別の実施形態において、信頼区間は、少なくとも85%である。別の実施形態において、信頼区間は、少なくとも90%である。別の実施形態において、信頼区間は、少なくとも95%である。別の実施形態において、信頼区間は、少なくとも99%である。信頼区間は、F分布と二項分布との関係に基づく、Clopper and Pearson(Biometrika 26:404-413,1934)の方法によって計算される「正確な」信頼区間を用いて計算される。
【0064】
一実施形態において、本発明の方法により、PRO(患者報告アウトカム)アンケートによって測定される、少なくとも「最小限の改善」を報告する対象の割合に少なくとも75%の信頼区間(CI)が得られる。別の実施形態において、信頼区間は、少なくとも80%である。別の実施形態において、信頼区間は、少なくとも85%である。別の実施形態において、信頼区間は、少なくとも90%である。別の実施形態において、信頼区間は、少なくとも95%である。別の実施形態において、信頼区間は、少なくとも99%である。信頼区間は、F分布と二項分布との関係に基づく、Clopper and Pearson(Biometrika 26:404-413,1934)の方法によって計算される「正確な」信頼区間を用いて計算される。
【0065】
一実施形態において、本発明の方法により、ビヒクル(対照)群と比較して、8週間の時点での足底皮膚の厚さにおける対象内の数値差に、少なくとも75%の信頼区間(CI)が得られる。別の実施形態において、信頼区間は、少なくとも80%である。別の実施形態において、信頼区間は、少なくとも85%である。別の実施形態において、信頼区間は、少なくとも90%である。別の実施形態において、信頼区間は、少なくとも95%である。別の実施形態において、信頼区間は、少なくとも99%である。信頼区間は、F分布と二項分布との関係に基づく、Clopper and Pearson(Biometrika 26:404-413,1934)の方法によって計算される「正確な」信頼区間を用いて計算される。
【0066】
一実施形態において、本発明の方法は、信頼区間(CI)によって示されるように、12週目と24週目の時点で実薬群の足底皮膚の厚さに対象内で有意差がないことを示す。別の実施形態において、信頼区間は、少なくとも75%である。別の実施形態において、信頼区間は、少なくとも80%である。別の実施形態において、信頼区間は、少なくとも85%である。別の実施形態において、信頼区間は、少なくとも90%である。別の実施形態において、信頼区間は、少なくとも95%である。別の実施形態において、信頼区間は、少なくとも99%である。信頼区間は、F分布と二項分布との関係に基づく、Clopper and Pearson(Biometrika 26:404-413,1934)の方法によって計算される「正確な」信頼区間を用いて計算される。
【0067】
一実施形態において、本発明の方法により、ビヒクル(対照)群と比較して、12週目および24週目の時点での実薬群の足底皮膚の厚さにおける対象内の数値差に、少なくとも75%の信頼区間(CI)がもたらされる。別の実施形態において、信頼区間は、少なくとも80%である。別の実施形態において、信頼区間は、少なくとも85%である。別の実施形態において、信頼区間は、少なくとも90%である。別の実施形態において、信頼区間は、少なくとも95%である。別の実施形態において、信頼区間は、少なくとも99%である。信頼区間は、F分布と二項分布との関係に基づく、Clopper and Pearson(Biometrika 26:404-413,1934)の方法によって計算される「正確な」信頼区間を用いて計算される。
【0068】
いくつかの実施形態において、本発明の方法内の局所組成物の投与頻度は、経験的に決定することができる。一実施形態において、投与の非限定的な例としては、1日1回、1日2回、毎週、隔週、および毎月が挙げられる。別の実施形態において、投与は、1日1回または1日2回である。別の実施形態において、投与は、1日1回である。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0069】
いくつかの実施形態において、本発明の方法内の局所組成物の投与量頻度を経時的に徐々に減少させて、6ヶ月、1年、5年、10年以上、最長では生涯投与といった長期間、好適な安定した用量で維持してPPKの症状を抑制することができる。一実施形態において、投与量の投与は、1日2回から開始して、1日1回、週2回、週1回、2週間に1回、または2週間に1回よりも少ない頻度であってもよい。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0070】
いくつかの実施形態において、薬学的および/または皮膚科的に許容されるビヒクルが、上記の組成物内に見出される。一般に、皮膚を水和させるのを助ける皮膚軟化剤または潤滑ビヒクルが、皮膚を乾燥させるエタノール等の揮発性ビヒクルよりも好ましい。ヒトの皮膚に使用する組成物を調製するための好適な基剤またはビヒクルの例は、ワセリン、ワセリンと揮発性シリコーン、ラノリン、コールドクリームおよび親水性軟膏である。別の実施形態において、局所適用に好適な薬学的および皮膚科学的に許容されるビヒクルとしては、ローション、クリーム、フォーム、溶液、ゲル、パッチ等が挙げられる。一般に、ビヒクルは、本質的に有機性であるかまたは水性エマルジョンのいずれかであり、その中で微粉化、分散、懸濁、または溶解され得る選択された活性剤に適応することが可能である。ビヒクルは、薬学的に許容される皮膚軟化剤、保湿剤(乳酸、乳酸アンモニウムおよび尿素を含む)、着色剤、芳香剤、乳化剤、増粘剤、植物油、精油、酸化亜鉛および溶媒を含み得る。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0071】
定義
【0072】
本明細書で使用される場合、「薬学的に活性な薬剤」または「活性剤」または「医薬品有効成分」または「API」という用語は、互換的であり、成分が生物学的に活性な医薬品であり、そのため規制当局によって承認されているか、または承認可能であることを意味する。
【0073】
本明細書で数値範囲が示される場合は常に、示される範囲内に列挙される任意の数(分数または整数)を含むことを意味する。第1の指示数と第2の指示数「との間の範囲」、および第1の指示数「から」第2の指示数「までの範囲」という句は、本明細書で互換的に使用され、第1および第2の指示数、ならびにそれらの間のすべての分数および整数を含むことを意味する。
【0074】
本明細書に開示される寸法および値は、列挙される正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。代わりに、別途指定されない限り、そのような各寸法は、列挙される値およびその値の周りの機能的に同等の範囲の両方を意味することが意図される。例えば、「10μm」として開示される寸法は、「約10μm」を意味することが意図される。
【0075】
本明細書で使用される「約」という用語は、当業者によって決定される特定の値の許容誤差範囲内を意味し、これは、値がどのように測定または決定されるか、すなわち、測定システムの限界に部分的に依存するであろう。例えば、「約」は、所与の値の最大10%、より好ましくは最大5%、さらにより好ましくは最大1%の範囲を意味することができる。特定の値が本出願および特許請求の範囲に記載される場合、別途記載のない限り、「約」という用語の意味は、その特定の値の許容誤差範囲内にある。
【0076】
「含む(comprise)」、「含むこと(comprising)」、「含む(includes)」、「含むこと(including)」、「有すること(having)」という用語およびそれらの活用形は、「それらを含むが限定されない」ことを意味する。
【0077】
「からなる」という用語は、「~を含み、それらに限定される」ことを意味する。
【0078】
「本質的に~からなる」という用語は、組成物、方法、またはマイクロカプセルが、追加の成分、ステップおよび/または部を含み得るが、追加の成分、ステップおよび/または部が、特許請求される組成物、方法、または構造の基本的および新規の特性を実質的に変化させないことを意味する。
【0079】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上そうでないことが明確に示されない限り、複数形の指示対象を含む。例えば、「化合物」または「少なくとも1つの化合物」という用語は、それらの混合物を含む複数の化合物を含んでもよい。
【0080】
本明細書で使用される「方法」という用語は、化学、薬理学、生物学、生化学、および医学の実践者に既知の、または彼らに既知の方法、手段、技術、および手順から容易に開発される方法、手段、技術、および手順を含むが、これらに限定されない、所定のタスクを達成するための方法、手段、技術、および手順を指す。
【0081】
明確にするために、別個の実施形態の文脈に記載されている、本発明の特定の特徴は、単一の実施形態に組み合わせて提供されてもよいことを理解されたい。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈に記載されている、本発明の様々な特徴も、別個に、または任意の好適な部分的組み合わせで、または本発明の任意の他の記載されている実施形態において好適であるように提供されてもよい。様々な実施形態の文脈に記載されている特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしでは動作不能でない限り、それらの実施形態の本質的な特徴とみなされるべきではない。
【実施例
【0082】
以下の例において、溶液を指すすべての%値は(w/w)である。分散液(懸濁液)を指すすべての%値は(w/w)である。別途指示されない限り、以下の例で使用されるすべての溶液は、示される成分の水溶液を指す。
【0083】
実施例1
【0084】
0.75%局所エルロチニブHClゲル組成物の調製および安定性
【0085】
0.75%エルロチニブ、70%DMSO。
【0086】
【表1】
【0087】
手順:
・エルロチニブ塩酸塩をDMSOに40℃で溶解した
・メチルパラベンを撹拌下で添加した
・Carbopolを撹拌下で添加した
・2-フェノキシエタノールをプロピレングリコールに溶解して添加した
・製剤を撹拌して均質化し、均質なゲルを得た。
【0088】
【表2】
【0089】
実施例2
【0090】
0.5%局所エルロチニブHClゲル組成物の調製および安定性
【0091】
0.5%エルロチニブ、70%DMSO。
【0092】
【表3】
【0093】
手順:
・エルロチニブ塩酸塩をDMSOに40℃で溶解した
・メチルパラベンを撹拌下で添加した
・Carbopolを撹拌下で添加した
・2-フェノキシエタノールをプロピレングリコールに溶解して添加した
・製剤を撹拌して均質化し、均質なゲルを得た。
【0094】
【表4】
【0095】
実施例3
【0096】
0.5%局所エルロチニブHClゲル組成物の調製および安定性
【0097】
0.5%エルロチニブ、45.5%DMSO
【0098】
【表5】
【0099】
手順:
・エルロチニブ塩酸塩をDMSOに40℃で溶解した
・メチルパラベンを撹拌下で添加した
・Carbopolを撹拌下で添加した
・2-フェノキシエタノールをプロピレングリコールに溶解して添加した
・製剤を撹拌して均質化し、均質なゲルを得た。
【0100】
【表6】
【0101】
実施例4
【0102】
0.5%局所エルロチニブHClゲル組成物の調製および安定性
【0103】
0.5%エルロチニブ、50%EtOH 70%
【0104】
【表7】
【0105】
手順:
・エルロチニブ塩酸塩をEtOHに40℃で溶解した
・メチルパラベンを撹拌下で添加した
・Carbopolを撹拌下で添加した
・2-フェノキシエタノールをプロピレングリコールに溶解して添加した
・製剤を撹拌して均質化し、均質なゲルを得た。
【0106】
【表8】
【0107】
実施例5
【0108】
1.25%局所エルロチニブHClゲル組成物の調製および安定性
【0109】
1.25%エルロチニブ、95%DMSO;
【0110】
【表9】
【0111】
実施例6
【0112】
1%局所エルロチニブHClゲル組成物の調製および安定性
【0113】
1%エルロチニブ、49%PEG-400、30%PEG-3350
【0114】
【表10】
【0115】
手順:
・ポリエチレングリコール、PEG-400、およびPEG-3350を70%で撹拌して均質な液体を得た
・エルロチニブ塩酸塩を撹拌下で添加した
・Carbopolを撹拌下で添加して均質化した。
・2-フェノキシエタノールをプロピレングリコールに溶解して添加した
・製剤を室温まで冷却した。
【0116】
実施例7
【0117】
1%エルロチニブHCl+1%タピナロフ局所ゲルの調製および安定性
【0118】
【表11】
【0119】
手順:
・エルロチニブ塩酸塩をDMSOに40℃で溶解する
・タピナロフを撹拌下で添加する
・メチルパラベンを撹拌下で添加する
・Carbopolを撹拌下で添加する
・2-フェノキシエタノールをプロピレングリコールに溶解して添加する
・製剤を撹拌して均質化し、均質なゲルを得る。
【0120】
実施例8
【0121】
1%エルロチニブHCl+0.5%トファシチニブクエン酸塩局所ゲルの調製
【0122】
【表12】
【0123】
手順:
・エルロチニブ塩酸塩をDMSOに40℃で溶解する
・トファシチニブクエン酸塩を撹拌下で添加する
・メチルパラベンを撹拌下で添加する
・Carbopolを撹拌下で添加する
・2-フェノキシエタノールをプロピレングリコールに溶解して添加する
・製剤を撹拌して均質化し、均質なゲルを得る。
【0124】
実施例9
【0125】
1%エルロチニブHCl+0.5%アプレミラスト局所ゲル組成物の調製
【0126】
【表13】
【0127】
手順:
・エルロチニブ塩酸塩をDMSOに40℃で溶解する
・アプレミラストを撹拌下で添加する
・メチルパラベンを撹拌下で添加する
・Carbopolを撹拌下で添加する
・2-フェノキシエタノールをプロピレングリコールに溶解して添加する
・製剤を撹拌して均質化し、均質なゲルを得る。
【0128】
実施例10
【0129】
塩酸エルロチニブ0.75%ゲルを使用したPPKの治療
【0130】
治験デザイン
【0131】
これは2部構成の試験である。第1部は、被験者内ビヒクル対照試験の単一盲検であり、第2部は、12週間の経過観察期間である。第1部では、18歳の被験者が、点状掌蹠角化症変異(AAGAB変異)であると遺伝的に確認された後にのみ、試験への参加が許可される。適格な被験者は、エルロチニブ塩酸塩ゲル0.75%、およびそのビヒクルゲルを用いた毎日の治療のために登録される。第2部では、被験者は、さらに12週間にわたって4週間ごとに評価される。
【0132】
投与量
【0133】
被験者は、足底全体に沿って12週間、1日1回治験薬を適用する。被験者は、指定された脚に治験薬を適用し、もう一方の脚にビヒクル物質を適用する。
【0134】
臨床アウトカム評価
【0135】
有効性の判定は、疾患の徴候および症状の重症度の改善に基づいている。症状は、治験責任医師および被験者の両方によって評価される。治験責任医師は、超音波検査によって足の裏の外層皮膚の厚さ測定等の徴候/症状を判定する。被験者によって測定される治療有効性は、ビヒクル対照と比較した、経時的な疼痛およびPRO(患者報告アウトカム;下記参照)アンケートによる改善に関する被験者報告を含む。足に関するさらなる評価は、ベースライン時(デブリドマン処置後)に開始して、すべての治験来院時に、角質増殖または胼胝、裂開、肥厚、粗さ、および鱗屑の程度を4ポイントスケール[0(なし);1(軽度);2(中等度)および3(重度)]でスコアリングすることにより、治験責任医師によって行われる。
【0136】
治験責任医師による皮膚安全性評価
【0137】
治験責任医師による皮膚安全性評価は、ベースラインを開始する各治験来院時に実施され、乾燥度および鱗屑を0(なし)~3(重度)の範囲のスケールで評価することにより局所治療領域の皮膚反応を評価する。評価者は、直接評価によって各変数のスコアを決定する。
【0138】
治験責任医師による副作用の評価
【0139】
治験責任医師は、各治験来院時に、乾皮症、丘疹膿疱性皮膚発疹、および爪囲炎といった、EGFR阻害剤の一般的な副作用の有無を評価する。
【0140】
被験者による局所忍容性の評価
【0141】
ベースラインを開始する各治験来院時に、被験者は、かゆみおよび灼痛/刺痛を0(なし)~3(重度)の範囲のスケールで評価することによって、治療領域の局所忍容性を評価するように求められる。被験者は、過去24時間にわたる経験に基づいて各変数を採点するように求められる。
【国際調査報告】