(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-06
(54)【発明の名称】広い光検出面、広い視野および広い帯域を持つ光無線通信受信器
(51)【国際特許分類】
H04B 10/67 20130101AFI20221226BHJP
H01L 31/0232 20140101ALI20221226BHJP
H01L 31/10 20060101ALI20221226BHJP
H04B 10/11 20130101ALI20221226BHJP
【FI】
H04B10/67
H01L31/02 D
H01L31/10 G
H04B10/11
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525797
(86)(22)【出願日】2020-10-30
(85)【翻訳文提出日】2022-05-20
(86)【国際出願番号】 EP2020080594
(87)【国際公開番号】W WO2021084108
(87)【国際公開日】2021-05-06
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501276430
【氏名又は名称】テクニーシェ・ユニバーシタイト・アイントホーベン
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】クーネン、アントニウス マルセルス ヨゼフ
【テーマコード(参考)】
5F849
5K102
【Fターム(参考)】
5F849AA04
5F849BA30
5F849BB01
5F849EA04
5F849KA01
5F849KA13
5F849KA20
5F849XB01
5F849XB05
5K102AA21
5K102AB09
5K102PH38
(57)【要約】
【解決手段】光無線通信(OWC)受信器が示される。この光無線通信(OWC)受信器は、データで変調された入射光ビームを受信し、変調されたデータを備えた電気出力信号を出力するための光無線通信(OWC)受信器であって、入射光ビームを受信するように構成されたレンズと、レンズから一定の距離を置いて、レンズの焦点面またはその近辺に配置された複数のフォトダイオードと、増幅器と、を備える。複数のフォトダイオードの各々は、入射光ビームの一部を受信し、当該受信した入射光ビームの一部に相当する光子の光電流を生成するように構成される。複数(N個)のフォトダイオードは、(1、…、M)の行と、(1、…、K)の列と、からなる(N=M×K)2次元アレイに配置される。列(1、…、K)からの出力は結合され、これらの列からの光電流は足し合わされる。増幅器は、2次元アレイの列(1、…、K)からの結合された出力に接続され、足し合わされた光電流を増幅された電気出力信号に変換する。2次元アレイ(M×K)内の各フォトダイオード同士の相互接続は、少なくとも2個(1、…、K;ただしK≧2)の並列なフォトダイオードのブランチを形成する。並列なブランチの各々は、少なくとも2個(1、…、M;ただしM≧2)のフォトダイオードのカスケードを形成する。2次元アレイは、組み合わされたフォトダイオードの面を形成する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データで変調された入射光ビームを受信し、変調データを含む電気出力信号を出力するための光無線通信(OWC)受信器であって、
-入射光ビームを受信するように構成されたレンズと、
-レンズから一定の距離を置いて、前記レンズの焦点面またはその近辺に配置された複数のフォトダイオードと、
-増幅器と、
を備え、
前記複数のフォトダイオードの各々は、前記入射光ビームの一部を受信し、当該受信した入射光ビームの一部に相当する光子の光電流を生成するように構成され、
前記複数(N個)のフォトダイオードは、行(1、…、M)と、列(1、…、K)と、からなる2次元アレイ(N=M×K)内に配置され、
前記列(1、…、K)からの出力は結合され、これらの列からの光電流は足し合わされ、
前記増幅器は、前記2次元アレイの列(1、…、K)からの結合された出力に接続され、前記足し合わされた光電流を増幅された電気出力信号に変換し、
前記2次元アレイ(M×K)内の各フォトダイオード同士の相互接続は、少なくとも2個(1、…、K;ただしK≧2)の並列なフォトダイオードのブランチを形成し、
前記並列なブランチの各々は、少なくとも2個(1、…、M;ただしM≧2)のフォトダイオードのカスケードを形成し、
前記2次元アレイは、フォトダイオードの組み合わされた面を形成することを特徴とする光無線通信(OWC)受信器。
【請求項2】
前記2次元アレイ(N=M×K)に含まれる並列なブランチ(1、…、K)の数Kは、前記ブランチの各々に含まれるカスケード(1、…、M)の数Mより大きい(すなわちM<K)ことを特徴とする請求項1に記載の光無線通信(OWC)受信器。
【請求項3】
前記2次元アレイ(N=M×K)に含まれる並列なブランチ(1、…、K)の数Kは、前記ブランチの各々に含まれるカスケード(1、…、M)の数Mより小さい(すなわちM>K)ことを特徴とする請求項1に記載の光無線通信(OWC)受信器。
【請求項4】
前記2次元アレイ(N=M×K)に含まれる並列なブランチ(1、…、K)の数Kは、前記ブランチの各々に含まれるカスケード(1、…、M)の数Mに等しい(すなわちM=K)ことを特徴とする請求項1に記載の光無線通信(OWC)受信器。
【請求項5】
前記レンズは、受信した光ビームを、前記組み合わされたフォトダイオードの面より広い領域の面に照射することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の光無線通信(OWC)受信器。
【請求項6】
前記フォトダイオードの2次元アレイの行および列を定義する当該2次元アレイ(N=M×K)は、前記フォトダイオードの相互接続を含み、
各行(1、…、M)を定義する前記相互接続の各々は、各列(1、…、K)を定義する相互接続でもあることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の光無線通信(OWC)受信器。
【請求項7】
前記2次元アレイの各行は、前記各行のフォトダイオードに平行に配置された抵抗をさらに備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の光無線通信(OWC)受信器。
【請求項8】
前記抵抗の各々は、前記フォトダイオードの2次元アレイの外部に配置されることを特徴とする請求項7に記載の光無線通信(OWC)受信器。
【請求項9】
前記抵抗の各々は、前記フォトダイオードの2次元アレイの内部で集積化されることを特徴とする請求項7に記載の光無線通信(OWC)受信器。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の光無線通信(OWC)受信器を備えた光無線通信(OWC)システム。
【請求項11】
請求項1から9のいずれかに記載の光無線通信(OWC)受信器を複数備えた請求項10に記載の光無線通信(OWC)システム。
【請求項12】
請求項1から9のいずれかに記載の光無線通信(OWC)受信器を備えた光無線通信(OWC)システムであって、
可視光スペクトル、赤外光スペクトル、近赤外光スペクトルまたは紫外光スペクトルのいずれかの波長の電磁波を用いた光通信に使われる光無線通信(OWC)システム。
【請求項13】
請求項1から9のいずれかに記載の光無線通信(OWC)受信器を備えた光無線通信(OWC)システムであって、
無線LANネットワーク、無線パーソナルネットワークまたは車両ネットワークのいずれかに使われる光無線通信(OWC)システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に光無線通信に関する。より具体的には、広い光検出器表面領域および広い帯域を持つ無線通信受信器に関する。
【背景技術】
【0002】
無線周波数(RF)ベースの通信の利用および技術革新は絶え間なく発達している一方、その人気ゆえに、無線スペクトルの輻輳が起きている。光無線通信(OWC)は、信号を伝えるために、誘導されない可視、赤外(IR)または紫外(UV)光を使う光通信の1つである。OWCは、急速に産業上の関心を集めている。これは、(可視)光(約400-700nmの波長領域にある)が、少なくとも320THzの帯域と、長距離光ファイバ通信(1500-1600nm)で通常使われるスペクトルを実現することによる。これらの値は、将来のTHz無線技術で実現できるものより高い。
【0003】
OWCは、無線LANネットワークを含む広いアプリケーション領域の中でも、特に無線パーソナルエリアネットワークおよび車両ネットワークで使うことができる。可視光領域で動作するOWCネットワークは、一般に可視光通信(VLC)システムと呼ばれる。通信データは、光の出力や人間の目に特段の影響を与えずに、高速で可視光をパルス化することで変調される。VLCシステムは、LED照明システムでピギーバックされてもよい。なぜならLEDの出力光は、照明目的に限らず、データ変調に使われてもよいからである。しかし、LEDは基本的にそのような目的で設計されていないので、実現可能な帯域は限られる。
【0004】
赤外(IR)領域および近IR領域で動作するOWCシステムは、高データレートとの間に、プロトコル-トランスペアレントなリンクを与える。こうしたOWCシステムは、ユーザのデバイスにオンデマンドで導かれる赤外線ビームを使う。これは、高プライバシーな特性を持つデバイスの間に、大容量かつ輻輳のない無線リンクを確立することができる。なぜならこうしたビームは、共有されることがなく、さらに当該ビーム内のフットプリントに含まれないユーザからはアクセスできないからである。
【0005】
OWCは、RFベースの通信システムに比べ、大きな利点を持つ。前述のようにOWCシステムは大きな潜在帯域を持つが、それ以上に、光スペクトルには規制がなくライセンスを必要としない。光は壁に侵入できないので、OWCシステムはプライバシーおよびセキュリティに優れる。
【0006】
こうした利点は別として、OWCシステムには、いくつかの技術的課題がある。例えば、細い光ビームを個別に効率的に方向づけることや、繊細で精密な位置調整を必要とすることなくユーザデバイスに向けて光受信器を調整することなどである。こうした繊細で精密な位置調整はユーザデバイスを複雑化し、コスト増加を招くからである。
【0007】
エタンデュの基本的な物理法則によれば、断面開口領域と立体角との積は限定される。すなわち一方を増やせば、他方は減る。例えば、集光力を高めるためには大口径のレンズを使うことができるが、このレンズは小さな高速の光検出器にフォーカスする。これは、OWCシステムで光受信器を作るとき、通常取られるアプローチである。しかし、入射光のレンズに対する小さな角度オフセットは、フォーカスされたビームを微小な検出器に対して外側にシフトさせる。これにより、受光に損失が発生する。このシフトは、レンズの焦点距離に比例する。大口径のレンズは、通常長い焦点距離を持つ。従って開口が大きいほど、許されるビーム角度オフセット(従って、限られた視野角(FoV))は小さなものとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って本開示の目的は、従来のOWC受信器に比べ、帯域を狭めることなく、広い光検出面および広い視野角を持つ、改良されたOWC受信器を与えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様では、光無線通信(OWC)受信器が与えられる。この光無線通信(OWC)受信器は、データで変調された入射光ビームを受信し、変調データを含む電気出力信号を出力するための光無線通信(OWC)受信器であって、
-入射光ビームを受信するように構成されたレンズと、
-レンズから一定の距離を置いて、前記レンズの焦点面またはその近辺に配置された複数のフォトダイオードと、
-増幅器と、
を備え、
前記複数のフォトダイオードの各々は、前記入射光ビームの一部を受信し、当該受信した入射光ビームの一部に相当する光子の光電流を生成するように構成され、
前記複数(N個)のフォトダイオードは、行(1、…、M)と、列(1、…、K)と、からなる2次元アレイ(N=M×K)内に配置され、
前記列(1、…、K)からの出力は結合され、これらの列からの光電流は足し合わされ、
前記増幅器は、前記2次元アレイの列(1、…、K)からの結合された出力に接続され、前記足し合わされた光電流を増幅された電気出力信号に変換し、
前記2次元アレイ(M×K)内の各フォトダイオード同士の相互接続は、少なくとも2個(1、…、K;ただしK≧2)の並列なフォトダイオードのブランチを形成し、
前記並列なブランチの各々は、少なくとも2個(1、…、M;ただしM≧2)のフォトダイオードのカスケードを形成し、
前記2次元アレイは、フォトダイオードの組み合わされた面を形成することを特徴とする。
【0010】
本発明者は、受信器の帯域を狭めることなく、フォトダイオードの面を拡大できること、従って開口を拡大できることに気がついた。これは、本開示の第1の態様に従えば、レンズと、複数のフォトダイオード(レンズから一定の距離を置いて、レンズの焦点面またはその近辺(好ましくは、レンズの手前)に配置された複数のフォトダイオード)と、を備えたOWC受信器によって実現することができる。特に、複数のフォトダイオードの各々は、入射光ビームの一部を受信し、当該受信した入射光ビームの一部に相当する光子の光電流を生成するように構成される。複数(N個)のフォトダイオードは、行(1、…、M)と、列(1、…、K)と、からなる2次元アレイ(N=M×K)内に配置される。列(1、…、K)からの出力は結合され、これらの列からの光電流は足し合わされる。これらの足し合わされた光電流は、アンプ、特にトランスインピーダンス・アンプに入力される。増幅器は、2次元アレイの列(1、…、K)からの結合された出力に接続され、足し合わされた光電流を、増幅された電気出力信号に変換する。
【0011】
本発明者は、以下のことに気がついた。すなわち、2次元アレイ(M×K)内の各フォトダイオード同士の相互接続が少なくとも2個(1、…、K;ただしK≧2)の並列なフォトダイオードのブランチを形成し、並列なブランチの各々が少なくとも2個(1、…、M;ただしM≧2)のフォトダイオードのカスケードを形成すると、以下のような受信器を得ることができる。すなわち、並列なブランチの数およびブランチごとのフォトダイオードの数を定義する相互接続を規定することにより、光検出面および帯域を調整可能な受信器である。本開示に係る2次元アレイを備えた受信器は、N=M×K個のフォトダイオード(従って、単一のフォトダイオードよりN倍大きい光検出面を備えた結合光検出器)で生成される出力信号を生成する。この場合、単一のフォトダイオードを備えた受信器に比べ、低周波数では、検出信号はK倍大きく、受信器の帯域はM/K倍大きい。この点については、後で詳述する。
【0012】
本明細書では、複数のフォトダイオードを新規な方法で組み合わせることを提案する。これにより、接続されて(または組み合わされて)形成された光検出面を拡大できる一方、帯域の拡大も実現される。このように得られた広い検出面により、入射ビームから受信される光の量(これは通常、単一フォトダイオードの場合よりもはるかに多い)を増やすことができる。さらにレンズシステムと組み合わせることにより、OWC受信器の開口角(FoV)も増やすことができる。提案されるフォトダイオードのアレイまたはマトリックス(この内部で、フォトダイオードの光検出面、すなわち活性領域が拡大される)により、複雑な高周波回路や追加的な調整制御アルゴリズムを必要とすることなく、OWC受信器の感度と帯域との間にトレードオフを得ることができる。
【0013】
提案するOWC受信器は、高速データで変調された入射光ビームを受信し、これを電気出力信号に変換する。このためにOWC受信器は、電気増幅器(特に、トランスインピーダンス・アンプ。これは、足し合わされた光信号を増幅器の出力信号に変換する)の前段のフォトダイオードを利用する。ビームの径は通常、フォトダイオードの活性領域よりはるかに大きい。従って、フォトダイオードの出力信号を最大化するためには、フォトダイオードは、入射ビームのパワーをできるだけ多く取得する必要がある。光ビームは最初にレンズで捕らえられ、その後フォトダイオードに照射される。取得された光ビームのパワーを最大化し、当該ビームに対する精密な角度調整をなくすために、OWC受信器は、広い開口断面積と広い視野(FoV。従って広い角度領域)を持つことが提案される。光検出領域は複数の個別のフォトダイオードを組み合わせて形成されるので、個々の光検出活性領域は小さい。これは、典型的には、OWCが広い帯域を持つことを必要とする。
【0014】
複数のフォトダイオードを並列に配置することにより、集められて生成される光電流は増す。しかしながら、これにより必然的にキャパシタンスも追加されることとなり、全体的な帯域は減る。複数のフォトダイオードを直列に配置することにより、そのキャパシタンスも直列に配置され、その結果帯域が増える。しかしながら、光電流を増やすことはできない。このオプションは通常は否定される。なぜなら、理想的なフォトダイオードは電流源として機能し、通念上、電流源は直列に配置できないからである。ここで典型的なフォトダイオードは完全な電流源ではなく、限られた並列抵抗を持つことに気がつくと、直列に配置したフォトダイオードを並列に組み合わせることが提案できる。このようにして、第1の態様に係る、M×Kの相互接続したフォトダイオードの2次元アレイまたはマトリックスが提案される。このアレイは、好ましくは、単一チップに集積化される。
【0015】
アレイの各フォトダイオードは、漏れ電流を説明する(通常は大きい)抵抗、逆バイアスされたフォトダイオード接合部のキャパシタンス、熱効果によって発生する(通常は小さい)暗電流の電流源および光電流(これは、(フォトダイオードの活性領域に衝突した光ビーム部分への反応である)自体を表す電流源からなる等価回路で表すことができる。
【0016】
既知のテブナンおよびノートンの定理を適用することにより、M×Kのフォトダイオードのアレイ全体を、単一の等価フォトダイオード回路を使って表すことができる。その出力電流および内部インピーダンスZ
totは以下のように表される。ここでa
m、k
 ̄は、(m、k)番目のフォトダイオードに到達した光ビームパワーの平均割合を示す。
【数1】
トランスインピーダンス・プレアンプ(TIA)または他の好適な(プレ)アンプを用いて、光受信器にフォトダイオードマトリックスを適用すると、そのω=0(DC)に近いトランスインピーダンス
Z
T=v
out(t)/i
tot(t)
およびそのω
-3dB帯域(R
s<<R
d)は以下のようになる。
【数2】
これは、単一フォトダイオードでは以下のようになる。
【数3】
【0017】
従って、(Rd>>Rs、Rp>>ZT/(1+A)と仮定すると)M×Kフォトダイオードマトリックスを使った受信器の-3dB帯域は、よい近似で、単一フォトダイオードを使った受信器の帯域より(M/K)倍広いこととなる。提案するM×Kフォトダイオードマトリックスを用いると、生成される電流は
iout≒K・R・a ̄・P(t)
となる(暗電流を無視する)。すなわちこれは、単一フォトダイオードの場合よりK倍大きい。特に正方形のM×Mフォトダイオードマトリックス(すなわち、M=Kの場合)をTIAの前段に置くと、得られる帯域は単一フォトダイオードの場合と同じだが、活性領域はM2倍大きくなり、出力信号はM倍大きくなる。従って、アレイの行および列の数を調整することによって、帯域と活性領域とが設定可能なOWC受信器を得ることができる。
【0018】
ある例では、2次元アレイ(N=M×K)に含まれる並列なブランチ(1、…、K)の数Kは、ブランチの各々に含まれるカスケード(1、…、M)の数Mより大きい(すなわちM<K)。
【0019】
並列なブランチの数が多くなるようにマトリックスを設定すると(すなわち、フォトダイオード間の相互接続により)、集められて生成される光電流は、M=Kの場合より多くなる。しかし、必然的にキャパシタンスの数も増え、その結果、全体的な帯域はM=Kの場合より狭くなる。
【0020】
ある例では、2次元アレイ(N=M×K)に含まれる並列なブランチ(1、…、K)の数Kは、ブランチの各々に含まれるカスケード(1、…、M)の数Mより小さい(すなわちM>K)。
【0021】
各ブランチに含まれるフォトダイオードのカスケード(1、…、M)の数が多くなるようにマトリックスを設定すると(すなわち、フォトダイオード間の相互接続により)、キャパシタンスは直列となり、従って帯域も増える。フォトダイオードを直列に接続することは、通常は望ましくないと考えられる。なぜなら、理想的なフォトダイオードは電流源として機能し、電流源は通念上直列に配置できないからである。ここで本発明者は、典型的なフォトダイオードは完全な電流源ではなく、限られた並列抵抗を持つことに気がついた。そして、直列に配置したフォトダイオードを並列に組み合わせるオプションを考案した。従って本開示での提案は、M×Kの相互接続したフォトダイオードの2次元マトリックスであり、好ましくは単一チップに集積化されるものである。
【0022】
ある例では、2次元アレイ(N=M×K)に含まれる並列なブランチ(1、…、K)の数Kは、ブランチの各々に含まれるカスケード(1、…、M)の数Mに等しい(すなわちM=K)。
【0023】
ある例では、レンズが、受信した光ビームを、フォトダイオードの2次元アレイの組み合わされた面より広い領域の面に照射する。
【0024】
ある例では、フォトダイオードの2次元アレイの行および列を定義する当該2次元アレイ(N=M×K)は、フォトダイオードの相互接続を含み、各行(1、…、M)を定義する相互接続の各々は、各列(1、…、K)を定義する相互接続でもある。
【0025】
ある例では、2次元アレイの各行は、各行のフォトダイオードに平行に配置された抵抗をさらに備える。
【0026】
ある例では、抵抗の各々は、フォトダイオードの2次元アレイの外部に配置される。
【0027】
ある例では、抵抗の各々は、フォトダイオードの2次元アレイの内部で集積化される。
【0028】
第2の態様では、光無線通信(OWC)システムが与えられる。このシステムは、前述の光無線通信(OWC)受信器を備える。
【0029】
第3の態様では、光無線通信(OWC)システムは、可視光スペクトル、赤外光スペクトル、近赤外光スペクトルまたは紫外光スペクトルのいずれかの波長の電磁波を用いた光通信に使われる。
【0030】
第4の態様では、光無線通信(OWC)システムは、無線LANネットワーク、無線パーソナルネットワークまたは車両ネットワークのいずれかに使われる。
【0031】
当業者は、本開示の第1の態様のすべての例および利点が本開示の第2の態様にも同様に適用できることを理解するだろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1A】本開示に係るOWC受信器の視野半角αを示す。直径D
1、焦点距離fのレンズを通った光ビームは、直径D
2のフォトダイオード(PD)に角度αで到達し、これを照射する。フォトダイオードは、レンズの焦点面に対して、距離xデフォーカスされている。
【
図1B】フォトダイオード上でビームスポットを照射する様子を示す。デフォーカスされた半径R
c=D
c/2のスポットが、半径R
2=D
2/2のフォトダイオードを照射する。
【
図2A】デフォーカスパラメータpに対する入射光ビームの視野半角αを示す(pは、p=x/fで定義される)。レンズの直径D
1=10mmであり、レンズの焦点距離f=5mmであり、フォトダイオードの直径D
2は様々な値を取る。
【
図2B】デフォーカスパラメータpに対する入射光ビームの光検出割当Tを示す。(pは、p=x/fで定義される)。レンズの直径D
1=10mmであり、レンズの焦点距離f=5mmであり、フォトダイオードの直径D
2は様々な値を取る。
【
図5】並列に配置したN個のフォトダイオードの等価回路の例を示す。
【
図6】直列に配置したN個のフォトダイオードの等価回路の例を示す。
【
図7】直列に配置したN個の各フォトダイオードのDCバイアス電圧V
nを示す(n=1、…、N)。
【
図8】各列に平行に抵抗R
pが配置された、フォトダイオードの2次元マトリックスの例を示す。
【
図9】複数のフォトダイオードを直列/並列に配置した2次元マトリックスを示す(M個のフォトダイオードを直列に配置して組を作り、このM個のフォトダイオードからなるK個の組を並列に配置する)。
【
図10】OWC受信器(N=M×Kのフォトダイオードの2次元アレイをトランスインピーダンス・アンプの前段に置いたもの)の周波数特性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1に示すように、提案するOWC受信器は、高速データで変調された入射光ビームを受信し、これを電気出力信号に変換する。このためにOWC受信器は、電気増幅器の前段のフォトダイオードを利用する。一般に光ビームの直径は、フォトダイオードの活性領域よりはるかに大きい。従ってフォトダイオードの信号を最大化するためには、入射ビームのパワーをできるだけ多く取得する必要がある。
図1に示されるように、光ビームは最初にレンズで捕らえられ、その後フォトダイオードに照射される。取得された光ビームのパワーを最大化し、当該ビームに対する細心の角度調整をなくすためには、OWC受信器は、広い開口断面積と広い視野(FoV。従って広い角度領域)を持つ必要がある。しかし高速データを扱うためには、OWC受信器は、は広い帯域を持つ必要もある。通常、これを狭い光検出活性領域を持つフォトダイオードで実現しなければならない。
【0034】
フォトダイオードがビームのフォーカスされていないスポットで完全に覆われている場合は、D
c=pΔD
1>D
2が成り立つ。この場合、フォトダイオード中心に対するスポット中心の変位Δは以下を満たす必要がある(デフォーカスパラメータp=x/f、ただし0≦p≦1)。
【数4】
【0035】
スポットP
spotにおける全光パワーのうち、フォトダイオードに入射した光パワーP
detは以下で表される。
【数5】
【0036】
【0037】
図2Aに示すように、FoV半角αは、デフォーカスパラメータpの増加とともに増加する。すなわち、直径D
2=0.2mmのフォトダイオードは曲線211で示され、直径0.4mmのフォトダイオードは曲線212で示され、直径0.8mmのフォトダイオードは曲線213で示され、直径1.0mmのフォトダイオードは曲線214で示される。FoVは、フォトダイオードの直径の増加とともに若干減少する。一方
図2Bに示すように、光検出パワーは、フォトダイオードの直径の増加とともに大きく増加する。
図2Bには、入射光ビームのうち、光検出されたものの割合Tが、デフォーカスパラメータpに対して示される。ただしpは、p=x/fで定義される。ここでレンズの直径D
1はD
1=1mmであり、レンズの焦点距離fはf=5mmである。フォトダイオードの直径D
2については、D
2=1.0mmの場合が曲線221で示され、D
2=0.8mmの場合が曲線222で示され、D
2=0.4mmの場合が曲線223で示され、D
2=0.2mmの場合が曲線224で示される。
【0038】
[単一フォトダイオード]
図3(左側)は、単一フォトダイオードの電気回路を示す。この電気回路は、直列抵抗R
sと、並列抵抗R
dと、キャパシタンスC
dと、暗電流i
d(t)と、光電流i
s(t)と、を含む。典型的にp-i-nフォトダイオードは、真性領域全体にかかる逆電圧によってバイアスされる。そして光子がこの領域を通過すると、電子-ホールのペアが生成される。これらはそれぞれ、電場に起因して、フォトダイオードのアノードおよびカソード端子に移動する。このようにして光電流i
s(t)が生成される。(通常は小さな)並列抵抗R
dは、フォトダイオードチップへの結合ワイヤを含む。(大きな)並列抵抗R
dは、漏れ電流を含む。(小さな)暗電流i
d(t)は、熱効果によって発生する。光電流は、i
s(t)=R・a・P(t)である。Rは、フォトダイオードの感度(単位はA/W)である。aは、光ビームの瞬時パワーのうち、フォトダイオードの活性領域で検出される割合である。
【0039】
テブナンの定理を適用すると、
図3(中央)に示すように、フォトダイオードは、電圧源e(t)と、直列インピーダンスZと、を備えた等価回路で示すことができる。代替的に、ノートンの定理を適用することにより、
図3(右側)に示すように、フォトダイオードは、電流源i
tot(t)および同じインピーダンスZ
tot=Zを並列にしたものの等価回路で示すことができる。
【数7】
【0040】
[光受信器]
光検出後に信号を処理すために、フォトダイオードの後段に電子高周波低雑音増幅器が適用される。この既知の典型的な例は、トランスインピーダンス・アンプ(TIA)である。
図4に、その回路構成を模式的に示す(Aは、アンプのオープンループ利得である。Z
tは、フィードバックインピーダンスである)。増幅はトランスインピーダンスZ
Tで表され、以下のようになる。
【数8】
代替的に、単一フォトダイオードモデルは以下のようになる。
【数9】
低周波数受信トランスインピーダンスと、-3dB受信器の帯域は、それぞれ以下のようになる。
【数10】
【0041】
[並列の複数フォトダイオード]
活性領域を広げるために、N個のフォトダイオードを並列につなぐこともできる。
図5に、このような並列配置の回路モデルを示す。
図3(右側)の単一フォトダイオードの電流源モデルは、これらをN個並列に接続したものに拡張される。これは、単に電流を追加し、インピーダンスをNで割ればよいことを意味する。
【数11】
【0042】
この分析から、等価キャパシタンスはCeq≒N・Cdおよび生成された光電流はitot(t)≒N・a ̄・R・P(t)であることが分かる。このとき、各フォトダイオードは、ビームのパワーの割合anで照射される。a ̄=(1/N)Σn=1
Nanは、単一フォトダイオードに入射するビームパワーの平均割合を表す。従って生成される光電流は、個々のフォトダイオードで生成される平均電流のN倍である。
【0043】
トランスインピーダンス・アンプにN個の並列なフォトダイオードを適用すると、そのトランスインピーダンスは、以下のようになる。
【数12】
【0044】
従って低周波数受信利得および-3dB受信器の帯域は、それぞれ以下のようになる。
【数13】
【0045】
単一フォトダイオード受信器に対して、生成される光電流はN倍となる。従って、参照トランスインピーダンスZ
T,,refを定義することができる。これは、フォトダイオードa ̄・R・P(t)ごとに平均光生成電流により生成されたものとして、出力信号v
out(t)を表す。
【数14】
【0046】
従って、N個のフォトダイオードを並列に備えた受信器で生成された出力信号は、単一フォトダイオードを備えた受信器で生成されたもののN倍大きいものとなる。しかし、受信器の帯域はN倍小さいものとなる。
【0047】
[直列の複数フォトダイオード]
代替的に、N個の個別のフォトダイオードを直列につなげることにより、活性領域を広げることができる。
図6に、このようなフォトダイオードのカスケード接続の等価回路を示す。
図3(中央)の単一フォトダイオードの場合と等価な電流源を適用すると、このカスケードは
図6(左側)で示される。n番目のフォトダイオードはビームパワーP(t)の割合a
nを受けるので、光電流はi
s,n(t)=a
n・R・P(t)となる。従ってテブナンは再び(
図3(中央)と同様に)、直列インピーダンスZを持つ電圧源e
n(t)として表すことができる。
図6(中央)に示すように、この電圧源の直列接続およびインピーダンスは、総和を取って、それぞれ単一電圧源e
tot(t)および単一直列インピーダンスN×Zとすることができる。ノートンに従えば、これは単一の電流源i
tot(t)および同じインピーダンスZ
tot=Zを並列にしたもので表すことができる。その関係は以下で表される。
【数15】
a ̄=(1/N)Σ
n=1
Na
nは、単一フォトダイオードに入射するビームパワーの平均割合を表す。R
sが小さくR
dが大きいと仮定すると、等価キャパシタンスはC
eq≒C
d/Nと考えることができる。従って、N個のフォトダイオードのカスケード接続により、等価キャパシタンスをN倍小さくすることができる。一方、低周波数(ω<<1)で生成される光電流i
tot(t)はi
tot(t)≒a ̄・R・P(t)である(これは、すべてのフォトダイオードがビームのパワーの同じ割合で照射されたとき、個々のフォトダイオードで生成される電流に等しい)。
【0048】
トランスインピーダンス・アンプのスキームでフォトダイオードの直列接続を適用すると、以下のようになる。
【数16】
【0049】
従って、低周波数受信利得および-3dB受信器の帯域は、それぞれ以下のようになる。
【数17】
【0050】
生成される光電流は、単一フォトダイオード受信器の場合と等しい。従って、参照トランスインピーダンスZ
T,refを定義することができる。これは、出力信号を、平均信号により生成されたものとして表す。
【数18】
従って、N個のフォトダイオードを直列に備えた受信器で生成された出力信号は、単一フォトダイオードを備えた受信器で生成されたものと等しい。しかし、受信器の帯域はN倍大きいものとなる。
【0051】
十分な検出および帯域性能を達成するには、各フォトダイオードは十分な逆電圧でバイアスする必要がある。このため、直列につないだフォトダイオードnの逆電圧Vn(n=1、…、N)を評価する必要がある。これは、フォトダイオードの特性および生成される光電流に応じて、感度に関する若干の非対称性を含む。
【0052】
入射光によりフォトダイオードn(これは、電圧V
nで逆バイアスされる)の活性領域で生成されたDC電流I
nは、以下のようになる。
【数19】
I
onはフォトダイオードの暗電流、R
nはフォトダイオードの抵抗、P
nはフォトダイオードnへの入射光パワーである(R
n・P
n<I
n<R
n・P
n+I
on;室温でkT/q>>25mVである点に注意する)。
【0053】
図7に、直列に接続したN個のフォトダイオードと、この直列接続全体に印加したバイアス電圧V
bと、を示す。ここには、フォトダイオードに並列につないだ抵抗R
dおよび直列につないだ抵抗R
sが含まれる(
図3も参照)。
【0054】
直列接続のフォトダイオードにより生成された電流Iについては、以下が成り立つ。
【数20】
これは、典型的な逆バイアス条件V
n>>kT/qのもとで、以下の近似がよく成り立つ。
【数21】
【0055】
従って、次式が成り立つ。
【数22】
これは、典型的な条件R
d>>R
sのもとで、以下の近似がよく成り立つ。
【数23】
【0056】
従って全バイアス電圧V
bは、N個のフォトダイオードに均等に分配される。従って各フォトダイオードのバイアス電圧はV
b/Nである。ここで各フォトダイオードnに電圧偏差が発生する可能性がある。これは、「並列抵抗R
d」と「各フォトダイオードにおける暗電流I
onと光電流との差」との積R
n・P
nである。すべてのフォトダイオードを同じチップ上に集積化することで、これらの差は小さくなるだろう。(例えば各ダイオードに外部抵抗を並列につなぐことで)R
dを下げることにより、各バイアス電圧偏差を低減することができる(十分な性能を発揮するのに必要であれば)。この様子は、
図8において、マトリックス内の各ダイオードの行の外に抵抗R
pが接続されていることにより示されている。
【0057】
[2次元マトリックスにおける直列/並列の複数フォトダイオード]
フォトダイオードをM×Kの2次元マトリックスに配置することを提案する。
図9に示すように、これは、M個のフォトダイオードを直列に接続した組を、K組並列に接続したものに相当する。
【0058】
テブナン等価回路において電流源i
totおよびインピーダンスZ
totを決定する関係式は、以下の通りである(前述の直列および並列接続した1次元フォトダイオード構造の分析結果を使う)。
【数24】
演算子「//」は、「並列接続すること」を意味する。例えば、
Z
a//Z
b=Z
a・Z
b/(Z
a+Z
b)
である。トランスインピーダンス・アンプにおいて2次元マトリックスフォトダイオードを適用すると、以下のようになる。
【数25】
【0059】
低周波数受信利得および-3dB受信器の帯域は、それぞれ以下のようになる。
【数26】
直列に接続されたフォトダイオードの組をK組並列接続したもので生成される光電流は、単一フォトダイオードを備えた受信器のK倍である。このとき、各直列接続の組が生成する光電流は、単一フォトダイオードの場合に等しい。従って、参照トランスインピーダンスZ
T,refは以下の通りである。
【数27】
【0060】
従って、N=M×N個のフォトダイオードからなる2次元マトリックス(この光検出領域全体は、単一フォトダイオードに比べてN倍大きい)を備えた受信器で生成される出力信号は、低周波数で、単一のフォトダイオードを備えた受信器に比べてK倍大きく、受信帯域はM/K倍大きい。
【0061】
図10に、OWC受信器(N=M×N個のフォトダイオードの2次元アレイからなる)の周波数特性901、902、903、904の振る舞いを示す。
Z
T,ref=v
out(t)/i
PD(t)
は、トランスインピーダンス・アンプの出力電圧v
out(t)と、フォトダイオードごとに生成された平均光電流i
PD(t)=a ̄・R・P(t)と、の比を表す。この振る舞いは、
図10では対数-対数スケールで示される。すなわち、縦軸、横軸とも対数軸である。図示されるように、K=Mのとき、帯域は単一のフォトダイオード(N=1)の場合と同じである。
【0062】
単一のフォトダイオード905と比較すると、フォトダイオードの数が一定であってK>Mであれば(曲線902参照)、帯域はM/K倍小さくなり、利得はK倍大きくなる。逆にNが一定であってK<Nであれば(曲線904参照)、帯域は増えるが、利得は減る。
【0063】
単一のフォトダイオード905と比較すると、K=Mのフォトダイオードの2次元アレイを適用することにより(曲線903参照)、フォトダイオードの活性領域を広げることができる。一方このとき、帯域は変わらず、OWCの出力信号は強くなる。K>Mの場合(曲線902参照)、K=M(曲線903参照)の場合に比べ、出力電圧はさらに増え、帯域は減る。逆にK<Mの場合(曲線904参照)、出力電圧は減り、帯域は増える。
【0064】
以上、いくつかの実施の形態に従い、本発明を説明した。これらは例示を目的とし、限定を目的としない。従って本発明は詳細な実装において多くの変形が可能であり、これは本明細書から当業者が想到できるものである。こうした変形はすべて、請求項および法的にその均等と定義される本発明および思想の範囲内にある。
【国際調査報告】