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特表2023-500505身体保護具の製造方法及びその結果得られる身体保護
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  • 特表-身体保護具の製造方法及びその結果得られる身体保護 図1
  • 特表-身体保護具の製造方法及びその結果得られる身体保護 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-06
(54)【発明の名称】身体保護具の製造方法及びその結果得られる身体保護
(51)【国際特許分類】
   A42B 3/06 20060101AFI20221226BHJP
   A42B 3/12 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
A42B3/06
A42B3/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525812
(86)(22)【出願日】2020-11-03
(85)【翻訳文提出日】2022-06-20
(86)【国際出願番号】 ES2020070673
(87)【国際公開番号】W WO2021089897
(87)【国際公開日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】U201931804
(32)【優先日】2019-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519224306
【氏名又は名称】マット プロダクト アンド テクノジー,エスエル.
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 満
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【弁理士】
【氏名又は名称】名塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】カデンス バラリン,ハビエル
(72)【発明者】
【氏名】マテオ コディーナ,ザビエル
【テーマコード(参考)】
3B107
【Fターム(参考)】
3B107AA03
3B107BA05
3B107CA02
3B107DA01
(57)【要約】
身体保護具の製造方法及び身体保護の成果であって、熱可塑性材料で作られ、凹状内部(11)及び凸状外部(12)を画定する、最大5mmの厚さを有する構造シェル(10)を製造することと、構造シェル(10)の凹状内部(11)に重なる発泡ポリスチレン層(20)をオーバーモールド成形することと、構造シェル(10)に密接に接着させることによるその接着を製造することとを含み、構造シェル(10)は熱可塑性材料と熱可塑性材料の融点以下の温度で安定する強化繊維との混合物を、モールド内に分散配置する手段によって製造され、モールドの閉鎖及び加熱は強化繊維を損傷することなく熱可塑性材料の融解を引き起こし、その後、モールドを冷やし、強化繊維が埋め込まれた状態で熱可塑性材料を硬化させる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性材料で作られ、凹状内部(11)と凸状外部(12)とを画定する、最大厚さ5mmの構造シェル(10)の製造することと、
構造シェル(10)の凹状内部(11)に重なる発泡ポリスチレン層(20)をオーバーモールドし、前記構造シェル(10)への密接な接触による接着を生成すること
を有する、身体保護具の製造方法であって、
前記構造シェル(10)は、
型内への、熱可塑性材料と前記熱可塑性材料の融点以下または同一の温度で安定する強化繊維との混合物の分散配置と、
前記強化繊維を損傷することなく前記熱可塑性材料の融解を生じさせる、熱可塑性材料の融点より高い温度での型の加熱及び閉鎖と、
前記熱可塑性材料をそこに埋め込まれた前記強化繊維とともに硬化させて複合材料を形成する、その後の型の冷却と
により製造されることを特徴とする身体保護具の製造方法。
【請求項2】
前記熱可塑性材料が、ストランドの形状及び/又は前記強化繊維をコーティングする形状で前記型に入れられる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記熱可塑性材料(10)及び前記強化繊維が織布又は不織布に一体化されて前記型に入れられる、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
織布及び/又は不織布のオーバーラップ層が前記型入れられる、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
少なくとも前記構造シェル(10)の外面を構成する層は熱可塑性材料のストランドのみによって構成され、その凸状外面(12)よりもその凹状内面(11)においてより高い密度の強化繊維を有する構造シェル(10)を製造する、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記強化繊維は長繊維、又は30mmを超える長さの長繊維である、請求項1~4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
前記熱可塑性材料が、ポリエチレンテレフタレート、低品位溶融ポリエチレンテレフタレート、又は165℃と190℃との間に含まれる溶融温度を有する低品位溶融ポリエチレンテレフタレートで請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項8】
前記強化繊維は、繊維ガラス、炭素繊維、アラミド繊維又はそれらの組み合わせの中から選択される、請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
前記強化繊維が、前記構造シェル(10)の全重量の45%~65%を占める、請求項1~4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
前記構造シェルの製造に続いて、前記構造シェルを製造モールドから取り外すことなく、凹状内部(11)を画定するモールドの部分が取り外され、構造シェル(10)の凸状外部(12)を成形したモールドの部分と共に、構造シェルを含むオーバーモールドチャンバを画定する新しいモールド部分によって置き換えられ、ポリスチレン層が、前記オーバーモールドチャンバ内の構造シェル(10)の凹状内部(11)上にオーバーモールドされる、請求項1~6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項11】
熱可塑性材料で作られ、凹状内部(11)及び凸状外部(12)を画定する、最大5mmの厚さを有する構造シェル(10)と、
密接接触よって、その全表面にわたって前記構造シェル(10)の前記凹状内部(11)に重なり、接着されている発泡ポリスチレン層(20)から構成されること
を特徴とする、請求項1~10のいずれかの方法により製造される身体防護具。
【請求項12】
前記構造シェル(10)は、その凸状外面(12)よりもその凹状内面(11)においてより高い密度の強化繊維を有することを特徴とする請求項11に記載の身体防護具。
【請求項13】
前記熱可塑性物質が、165℃と190℃との間に含まれる融点を有する、ポリエチレンテレフタレート、低グレード融解ポリエチレンテレフタレート又は低グレード融解ポリエチレンテレフタレートである、請求項12又は13に記載の身体保護具。
【請求項14】
前記強化繊維が、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、又はそれらの組み合わせの中から選択される、請求項11~13のいずれか1項に記載の身体保護具。
【請求項15】
前記強化繊維が、長さ30mmを超える長繊維又は長繊維である、請求項11~14のいずれか1項に記載の身体保護具。
【請求項16】
前記強化繊維は前記複合材料内で織布又は不織布を形成する、請求項11~15のいずれか1項に記載の身体保護具。
【請求項17】
前記強化繊維が、前記構造シェル(10)の全重量の45%~65%を占める、請求項11~16のいずれか1項に記載の身体保護具。
【請求項18】
前記身体保護具が、ヘルメット、フルフェースヘルメット、肘パッド、リストガード、膝パッド、足首ガード、肩パッド、ブーツ又は手袋の少なくとも片方、脛ガード、腕又は前腕保護具、鼠径ガード、胸部又は背中保護具である、請求項7~11のいずれか1項に記載の身体保護具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造シェル(structural shell)及び発泡ポリスチレン層を含む本体保護の製造方法の分野、ならびにその結果得られる前記方法の本体保護に関するものである。ここで、シェルは、身体保護具の最も外側の層、すなわち衝撃を受ける最初の層であることが理解されるであろう。
【背景技術】
【0002】
構造シェルは衝撃に対する実質的な保護を提供し、衝撃表面の領域よりも広い領域にわたって応力を分散させ、それによって局所的な圧力を低減し、したがって、前記衝撃が前記身体保護具によって保護された使用者の身体の一部に引き起こす可能性のある直接的な損傷を低減することを目的とする硬質要素である。
【0003】
前記身体保護具は足首、膝、肘又は肩のような関節のための保護であってもよく、脚又は腕の長骨のための保護であってもよく、ブーツ又は手袋のパーツ(又は、片方/一部/parts)のような四肢のための保護であってもよく、又は胴体の一部のための保護であってもよいが、前記身体保護のための好ましい使用は使用者の頭部の保護のためのヘルメットの形状である。
【0004】
一般に、発泡ポリスチレン層は、ヘルメットに含まれる頭部を保護するために大きな衝撃のエネルギーを吸収するヘルメットの構造シェル内に配置される。
【0005】
より大きな面積にわたる力の分配は発泡ポリスチレン層のより大きな断面が衝撃の減速において作用することを可能にし、従って、減少した面積の表面との衝撃に対してアセンブリの機械的応答を均質化する。構造シェルは例えば、耐摩耗性のような他の機能も有する。
【0006】
提案される身体保護具は、例えば、自動車、オートバイ又は他の車両のための自動車ヘルメット、自転車用ヘルメット、スキーヘルメット、山登り、スカイダイビング、パラグライディングのような冒険活動用ヘルメット、例えばホッケー野球、アメリカンフットボールのためのスポーツ用ヘルメット、建設現場や採鉱用のワークヘルメット、ならびに肘パッド、リストガード、膝パッド、足首ガード、肩パッド、ブーツ又はグローブの少なくとも片方、脛ガード、腕又は前腕保護、鼠径ガード、胸又は背中保護などの他の身体保具護であってもよい。
【0007】
身体保護具として知られているものには、衝撃を吸収するために内部に接着された発泡ポリスチレン層を有するシェルが含まれている。
【0008】
ヘルメットの類型及び満たされるべき試験規則に基づくと、衝撃に耐えかつ保護することが意図された構造シェル、と摩耗に対する保護のみを提供するが衝撃に対する保護は提供しない非構造シェル(non-structural shell)が存在する。
【0009】
非構造シェルは、通常、非常に限定された厚さ、概して1mm未満の厚さを有する。一般に、これらの非構造シェルは、真っ直ぐな薄いシート(又は、板)の熱成形方法によって製造される。このタイプの非構造シェルは、衝撃を吸収するのに適した材料、一般的には発泡ポリスチレン又はポリスチレン発泡体で作られたヘルメットの下層への衝撃に対する構造的抵抗性に依拠する。
【0010】
自転車用ヘルメットの分野ではその上に発泡ポリスチレン層がオーバーモールドされる非構造シェルの使用が一般的であり、これはこのオーバーモールドプロセスのおかげで、非構造シェルに密接に接触して取り付けられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記非構造シェルはまた、ポリカーボネートで製造されることが多く、ポリカーボネートは発泡ポリスチレンのオーバーモールドプロセス中に到達する温度よりもはるかに高い溶融温度を有し、その結果、材料はオーバーモールドプロセス中に変化はしないが、発泡ポリスチレンのポリカーボネートへの接着には限界があり、最終的には時間が経つにつれて剥離することが多い。
【0012】
構造シェルは、通常数ミリメートルの高い厚さを有する。最も一般的な実施形態では構造シェルがプラスチック材料、概して熱可塑性材料で作られ、これは射出によって容易に製造することができ、安価で迅速な製造を可能にするが、十分な構造強度を達成するためにかなりの厚さを必要とし、長期間にわたり着用するには不快であり得るか、競技スポーツ下又は高いパフォーマンスを要求される状況において不利を伴う、高重量の構造シェルを製造する。
【0013】
低重量の構造シェルが必要とされる場合には、複合材料から製造された構造シェルがより薄い厚さで、したがってより軽い重量で十分な構造保護を提供することが知られている。
【0014】
これらの複合構造シェルは熱硬化性マトリックス、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル又はビニルエステルと組み合わされたガラス及び/又は炭素繊維を含む。前記熱硬化性材料は硬化した後に熱を加えて溶融又は軟化させることができず、したがって、これらの構造シェルが発泡ポリスチレンのオーバーモールドプロセスに使用される場合、熱硬化性マトリックスとの接着が高いレベルで達成されることもなく、達成される接着性もあまり高くなく、剥離が発生し易いが、それらも変更されない。
【0015】
また、前記複合構造シェルの製造は強化繊維を含まないプラスチック材料で作られた構造シェルの製造よりも高価であり、その結果、それらのコストを低減することを可能にする解決策が必要とされる。
【0016】
フルフェースヘルメットを構成する構造シェルを有する身体保護具の分野では、これらのヘルメットが有する閉鎖形状のために、必要とされる成形型は非常に複雑であるので、発泡ポリスチレン(expanded polystyrene)は構造シェルの内部の上にオーバーモールドされないが、発泡ポリスチレン層はむしろ別々に製造され、その後、構造シェルの凹状内部にもたらされ、接着される。この解決策は構造シェルと発泡ポリスチレン層との間の接触を、接着剤が配置される数箇所のみに限定されるようにし、その結果、前記層はその表面全体にわたって接着されず、したがって、このタイプのヘルメットでは構造シェルの強度及び剛性が発泡ポリスチレン層を含む場合には改善されない。換言すれば、構造シェルと衝撃吸収材料とによって形成されるアセンブリの機械的特性は、互いに接着されていない2つの重なり合う材料で作られたシステムの典型的なものである。さらに、2つの構成要素の挿入及び接着プロセスは、自動化され得ず、その結果、ヘルメットの最終コストを増加させる。
【0017】
発泡ポリスチレン層を別々に製造し、その後、接着剤によって合成材料で作られた構造シェルへの接着を進める場合、構造シェルの機械的特性が改善されないという前述の制限があり、それらは、互いに接着されていない2つの重なり合う材料で作られた典型的なシステムのものである。
【0018】
【0019】
【0020】
したがって、発泡ポリスチレン層にしっかりと取り付けることができ、その強度がさらに改善される、高強度、軽量、及び低コストの構造シェルを有するヘルメットを得ることを可能にする解決策が必要とされる。
【0021】
この利点及び他の利点は、以下の提案された製品から得られる。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、第1の実施形態によれば、ある意味それ自体は従来技術として知られている身体保護具の以下のステップから成る製造方法に関するものである。:
・熱可塑性材料で作られ、凹状の内部と凸状の外部とを画定する、最大厚さ5mmの構造シェルを製造する;
・構造シェルの凹状内部に重なるように発泡ポリスチレン層をオーバーモールドし、構造シェルに密接に接触するような接着を生成する。
【0023】
構造シェルというのは、事故の際に直接衝撃を受ける、身体保護具の最外層であることが理解されるであろう。前記構造シェルは、保護されるべき使用者の身体部分を収容するように意図されたヘルメットの内部に対応する凹状内部として定義する。
【0024】
前記凹状内部には発泡ポリスチレン層が重ね合わされ、これは構造シェルの下で、使用者の身体部分を取り囲でいる。
【0025】
前記発泡ポリスチレン層は衝撃が激しい場合には歪んで押しつぶされ、使用者の身体部分に伝達されないエネルギーを吸収し、同様に、頭が受ける最大加速度が減少するようにストローク減速度を管理し、かくしてそれを保護する。
【0026】
構造シェルの内面上の前記発泡ポリスチレン層をオーバーモールド手段で製造する工程によって、前記発泡ポリスチレン層の構造シェルの凹状内部への、前記表面間に隙間又は離間も接着剤などの介在物質も無い密接な接触、すなわち、シェルの凹状内部に対向して接続された発泡ポリスチレン層の外面のすべて、による接着を生成し、発泡ポリスチレン層は、構造シェルの凹状内面に存在するあらゆるノック、レリーフ、又はテクスチャーの内側に含まれる。
【0027】
この密接な接着は、構造シェルの内面(又は、アーチ腹部/intrados)上に発泡スチロール層をオーバーモールドする工程によって達成される。この製造方法は構造シェルを製造することと、それを型に入れることと、型を閉じることと、前記閉じた型の内側に予備発泡ポリスチレンと100℃と130℃との間で構成された温度の蒸気から成る物質を入れることと、発泡剤(expanding agent)によって、構造シェルの凹状の内面に対して自身を順応させるように成型する発泡ポリスチレンの発泡を引き起こし、したがって、接着剤なしに密接に接着されたままであることとを含む。
【0028】
発泡ポリスチレン層と構造シェルとが、それらの間に接着剤が存在しないにもかかわらず密接に付着したままであるというこの特徴は、一方では組み立て工程又は接着剤の塗布が必要とされず、労力及び時間を節約するので、製造コストを低減することを可能にする。
【0029】
さらに、両方の要素の間の密着はまた、それらが構造的に協働することを可能にし、これはヘルメットの最終強度を増加させること、その機能性を改善すること、又は発泡ポリスチレン層との密着取り付けによって提供される構造補強のおかげで強度を失うことなく構造シェルの厚さを減少させることを可能にし、これは材料及び重量を減少させることを可能にし、したがって、特に競技又は高性能用途のために、コストを減少させ、その性能を改善することを可能にする。
【0030】
本発明は、従来技術では知られていない方法で、構造シェルの製造ステップが、熱可塑性材料の溶融温度以下または同一の温度で安定な強化繊維と熱可塑性材料の混合物の型内での分散配置と、強化繊維を損傷することなく熱可塑性材料の溶融を引き起こさせる熱可塑性材料の溶融温度超での型の閉鎖及び加熱と、その後の型の冷却と、その中に埋め込まれた強化繊維を有する熱可塑性材料の硬化することでの複合材料の形成を含むことを提案する。
【0031】
加熱によって繰り返し溶融することができるプラスチックである熱可塑性プラスチックは、発泡ポリスチレンとの大きな接着性を示し、その結果、このタイプの熱可塑性材料を使用すると、ヘルメットの構造的一体性が大幅に改善される。
【0032】
強化繊維は構造シェルの強度を増大させ、これは、構造シェルの強度を再び増大させることを可能にするか、又は強度を維持することを可能にし、構造シェルの厚さを減少させ、構造シェルをより軽量かつより安価にする。
【0033】
したがって、熱可塑性繊維及び強化繊維を含む複合材料から作られた構造シェルの使用と、構造シェルの凹状内部に密接に接触することによって接着された発泡ポリスチレン層の使用との組み合わせは他の公知のヘルメットと全く同じ強さであるが、より薄くかつより軽い構造シェルを有するヘルメットを得ることを可能にするか、又は同じ重量で公知の他のヘルメットよりも強いヘルメットを得ることを可能にし、そのすべてが適度な製造コストであるため、従来技術の公知のヘルメットよりも良好な性能及びより良好な価格を有するヘルメットを提供する。
【0034】
本方法のさらなる実施形態によれば、熱可塑性材料は、ストランド(strand)の形状及び/又は強化繊維のコーティングの形状で型に入れられる。好ましくは、熱可塑性材料及び強化繊維は織布又は不織布に含まれて型に入れられる。
【0035】
前記織布及び/又は不織布は、型に入れられて重なり合う層を形成してもよい。そのような場合、少なくとも構造シェルの外側を構成する層は、熱可塑性材料でできたストランドのみによって構成され、その凸状の外側よりもその凹状の内側においてより高い密度の強化繊維を有する構造シェルを製造することが提案される。
【0036】
強化繊維は、長い繊維であることが好ましく、又は30mmより長い繊維である。
【0037】
強化繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、又はそれらの組み合わせの中から選択されることが好ましい。
【0038】
熱可塑性物質は、好ましくは、165℃と190℃との間に含まれる融点を有するポリエチレンテレフタレート、低グレード融解ポリエチレンテレフタレート、又は低グレード融解ポリエチレンテレフタレートであることも提案される。
【0039】
強化繊維は、構造シェルの全重量の45%~65%を構成することも提案されている。
【0040】
本方法の一実施形態によれば、構造シェルの製造に続いて、製造モールドから前記構造シェルを取り外すことなく、凹状内部を画定するモールドの部分が取り除かれ、構造シェルの凸状外部を成形したモールドの部分とともに、構造シェルを含むオーバーモールドチャンバを画定するモールドの新しい部分によって置き換えられ、発泡ポリスチレン層が、前記オーバーモールドチャンバ内の構造シェルの凹状内部上にオーバーモールドされる。
【0041】
これにより、製造に必要な工具を減らすことができ、製造に必要な作業の数を減らすことができ、したがって、前記製造を高速化することができる。
【0042】
本発明は本発明の第2態様によれば、前述の方法によって得られるそれ自体は公知である、
・熱可塑性材料で作られ、凹状の内側と凸状の外側を画定する、最大厚さ5mmの構造シェル;
・構造シェルの凹状内部に密接に接触することによって、その表面全体にわたって重なり、接着した発泡ポリスチレン層
を有する身体防護具に関する。
【0043】
提案された身体保護具は、従来技術では知られていない方法で、以下の特徴をさらに含む:
【0044】
構造シェルは、熱可塑性材料の溶融温度以下または同一の温度で安定な予め設定された溶融温度を有する熱可塑性材料と、その中に埋め込まれた強化繊維とを含む複合材料から作られる。
【0045】
身体保護具の別の実施形態によれば、構造シェルは、その凸状の外側よりもその凹状の内側において、より高い密度の強化繊維を有する可能性があることが提案される。これにより、強化繊維を凹状内部の表面に露出させることができ、又は少なくとも前記凹状内部の表面仕上げに影響を及ぼして、発泡ポリスチレン層の接着性を改善することを可能にする小さな突起又は孔を生成することができ、一方、前記欠陥は構造シェルの凸状外部では回避される。
【0046】
これは例えば、異なる強化繊維密度を有する2つの重なり合う層から出発して構造シェルを製造し、典型的には、それを閉じる前に前記層(複数)を型内に配置し、熱可塑性材料の溶融に進むことによって達成することができる。
【0047】
本発明の一実施形態によれば、熱可塑性物質は、PETの頭字語で一般的に知られているポリエチレンテレフタレートである。
【0048】
好ましくは低グレードの溶融ポリエチレンテレフタレート、例えば、165℃と190℃との間に含まれる融点を有するものが使用され、これはシェルの成形工程に有利であり、その製造を速め、そのコストを低減する。
【0049】
ポリエチレンテレフタレート又は低グレード溶融ポリエチレンテレフタレートで作られた構造シェルは、密接に接着するために必要な発泡ポリスチレン層のオーバーモールドプロセス中に、加えられる熱によって歪みを呈するであろう。しかしながら、前記熱可塑性材料内に強化繊維を含めることは、この問題を防止し、したがって、この熱可塑性材料を、間に接着剤を介在させずに、密接に接触させることによって取り付けられた発泡ポリスチレン層と組み合わせて使用することを可能にする。
【0050】
強化繊維は、好ましくはガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、又はそれらの組み合わせの中から選択することができる。このタイプの繊維は熱可塑性材料の溶融を必要とする構造シェルの製造プロセス中であっても変化せず、この場合、前記強化繊維は構造シェルの成形のために型内に埋め込まれる。
【0051】
好ましくは、前記強化繊維が例えば、30mmを超える長さを有する長い繊維であり、構造シェルのより大きな強化を可能にする。
【0052】
長い繊維の使用は、それらの長さのために互いに絡み合うので、前記長い繊維は流動することができず、鋳型内に均一な様式で正確に分配されたままであるので、熱可塑性材料が構造シェルの製造のために鋳型内に射出されることを妨げる。この理由のために、この種の繊維の使用は、前記強化繊維が型を閉じる前にそれらの最終位置で型内に堆積され、構造シェルの製造のために熱可塑性材料を溶融することを必要とする。
【0053】
典型的には、強化繊維が織布、すなわち、緯糸及び経糸構造を有する布を形成し、したがって、不織布の反対側を形成する。にもかかわらず、不織布の使用も考慮される。
【0054】
前記布帛は、構造シェルを得るために型を閉じて加熱する前に型内に堆積されるものである。
【0055】
また、前記布帛はそれが織布であろうと不織布であろうと、強化繊維に加えて、構造シェルの製造のために型を閉じて加熱する前に、強化繊維の熱可塑性繊維又は熱可塑性コーティングを含むことが提案される。このようにして、鋳型内に強化繊維を配置すると同時に、熱可塑性材料も配置され、これは、構造シェルを成形し、その中に埋め込まれた強化繊維を残すために溶融する。
【0056】
強化繊維は、構造シェルの全重量の45%~65%を構成することが提案されている。
【0057】
典型的には、発泡ポリスチレン層が10mm、好ましくは少なくとも15mmの最小厚さを有する。
【0058】
好ましくは、提案される身体保護具がヘルメット、又はフルフェースヘルメット、肘パッド、リストガード、膝パッド、足首ガード、肩パッド、ブーツ又は手袋の少なくとも片方、脛ガード、腕又は前腕保護具、鼠径部ガード、胸部又は背中保護具である。
【0059】
本発明の他の特徴は、例示的な実施形態の以下の詳細な説明で明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0060】
上記及び他の利点及び特徴は、添付の図面を参照した例示的な実施形態の以下の詳細な説明から完全に理解されるであろう:
図1図1は、ヘルメットがフルフェースヘルメットであるとした実施形態に従って提案される構造シェルの斜視図を示す;
図2図2は、図1に示すような構造用ヘルメットにより形成され、発泡ポリスチレン層が構造用シェルの凹状内部に密着して貼り付けられたフルフェースヘルメットの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0061】
添付の図面は、本発明の例示的で非限定的な特徴を有する代表的な実施形態を示す。
【0062】
図1には構造シェル10が示されており、この例では、フルフェースヘルメット用の構造シェルが示されている。このシェルは、そこを通して使用者の頭部を挿入するための下方開口部と、使用者がそれを通して見ることができるようなバイザ前方開口部とを含んでいる。
【0063】
明らかに、本発明は図示されていない他のタイプのヘルメット、例えば、非フルフェースヘルメット、又は例えば、自転車用ヘルメットのような通気開口を有するヘルメットにも適用可能である。
【0064】
構造シェル10はヘルメットの使用者の頭部と少なくとも部分的に対向し、その頭部を取り囲むように意図された凹状内部11と、露出したままで衝撃を最初に受ける凸状外部12とを画定する。
【0065】
構造シェル10は複合材料、すなわち、強化繊維が埋め込まれた熱可塑性材料を一体化した複合材料から作られる。
【0066】
提案されたヘルメットは図2に示すように、構造シェル10内に位置する発泡ポリスチレン層20も含む。
【0067】
発泡ポリスチレン層20は介在接着剤を必要としない密着手段によって構造シェル10の凹状内部11に付着される;すなわち、構造シェル10と発泡ポリスチレン層20との間に隙間、空間又は離隔が存在しない。これは、構造シェル10上に発泡ポリスチレン層20をオーバーモールドすることによって達成される。
【0068】
この実施形態では、構造シェルが2mm~4mmの厚さを有することが提案される。
【0069】
好ましい実施形態によれば、構造シェル10を一体化する熱可塑性材料は一般にPETとして知られるポリエチレンテレフタレートであり、強化繊維は、長いガラス繊維、炭素繊維もしくはアラミド繊維、又はそれらの混合物ある。
【産業上の利用可能性】
【0070】
ポリエチレンテレフタレートは安価で、靭性があり、耐久性があり、製造が容易であり、また、発泡ポリスチレン層20と密接に優れた接着を可能にする。ポリエチレンテレフタレート内に埋め込まれた強化繊維はその構造強度を増大させるとともに、発泡ポリスチレン層のオーバーモールド工程中に熱による歪みを受けることを防止する。
【0071】
また、165℃~190℃Cの間に融点を有する熱可塑性物質である低品位融解ポリエチレンテレフタレートを使用することが好ましく、この低融点により、強度を損なうことなく、製造費用を低減し、製造を迅速化することができる。強化繊維によって提供される安定性のおかげで、低品位溶融ポリエチレンテレフタレートは、発泡ポリスチレン層20の動作中に歪まない。

図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2022-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性材料で作られ、凹状内部(11)と凸状外部(12)とを画定する、最大厚さ5mmの構造シェル(10)の製造することと、
構造シェル(10)の凹状内部(11)に重なる発泡ポリスチレン層(20)をオーバーモールドし、前記構造シェル(10)への密接な接触による接着を生成すること
を有する、身体保護具の製造方法であって、
前記構造シェル(10)は、
型内への、熱可塑性材料と前記熱可塑性材料の融点以下または同一の温度で安定する強化繊維との混合物の分散配置と、
前記強化繊維を損傷することなく前記熱可塑性材料の融解を生じさせる、熱可塑性材料の融点より高い温度での型の加熱及び閉鎖と、
前記熱可塑性材料をそこに埋め込まれた前記強化繊維とともに硬化させて複合材料を形成する、その後の型の冷却と
により製造され、
前記熱可塑性材料(10)及び前記強化繊維が織布又は不織布に一体化されて前記型に入れられ、
織布及び/又は不織布の重ね合わせ層が前記型内に入れられ、
少なくとも前記構造シェル(10)の外面を構成する層は熱可塑性材料のストランドのみによって構成され、その凸状外面(12)よりもその凹状内面(11)においてより高い密度の強化繊維を有する構造シェル(10)を製造すること、
を特徴とする身体保護具の製造方法。
【請求項2】
前記熱可塑性材料が、ストランドの形状及び/又は前記強化繊維をコーティングする形状で前記型に入れられる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記熱可塑性材料が、ポリエチレンテレフタレート、低品位溶融ポリエチレンテレフタレート、又は165℃と190℃との間に含まれる溶融温度を有する低品位溶融ポリエチレンテレフタレートで請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記強化繊維は、繊維ガラス、炭素繊維、アラミド繊維又はそれらの組み合わせの中から選択される、請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
前記強化繊維が、前記構造シェル(10)の全重量の45%~65%を占める、請求項1~4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
前記構造シェルの製造に続いて、前記構造シェルを製造型から取り外すことなく、凹状内部(11)を画定する型の部分が取り外され、構造シェル(10)の凸状外部(12)を成形した型の部分と共に、構造シェルを含むオーバーモールドチャンバを画定する新しい型部分によって置き換えられ、ポリスチレン層が、前記オーバーモールドチャンバ内の構造シェル(10)の凹状内部(11)上にオーバーモールドされる、請求項1~6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
熱可塑性材料で作られ、凹状内部(11)及び凸状外部(12)を画定する、最大5mmの厚さを有する構造シェル(10)と、
密接な接触よって、その全表面にわたって前記構造シェル(10)の前記凹状内部(11)に重なり、接着されている発泡ポリスチレン層(20)から構成される身体防護具であって、
前記構造シェル(10)は、所定の融点を有する熱可塑性材料と前記熱可塑性材料の融点以下の温度で安定な強化繊維との混合物からなり、
前記強化繊維は前記複合材料内で織布又は不織布を形成し、
前記構造シェル(10)は、その凸状外面(12)よりもその凹状内面(11)においてより高い密度の強化繊維を有すること
を特徴とする、請求項1~6のいずれかの方法により製造される身体防護具。
【請求項8】
前記熱可塑性物質が、165℃と190℃との間に含まれる融点を有する、ポリエチレンテレフタレート、低グレード融解ポリエチレンテレフタレート又は低グレード融解ポリエチレンテレフタレートである、請求項7に記載の身体保護具。
【請求項9】
前記強化繊維が、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、又はそれらの組み合わせの中から選択される、請求項7又は8に記載の身体保護具。
【請求項10】
前記強化繊維が、長さ30mmを超える長繊維又は長繊維である、請求項7~9のいずれか1項に記載の身体保護具。
【請求項11】
前記強化繊維が、前記構造シェル(10)の全重量の45%~65%を占める、請求項7~10のいずれか1項に記載の身体保護具。
【請求項12】
前記身体保護具が、ヘルメット、フルフェースヘルメット、肘パッド、リストガード、膝パッド、足首ガード、肩パッド、ブーツ又は手袋の少なくとも片方、脛ガード、腕又は前腕保護具、鼠径ガード、胸部又は背中保護具である、請求項7~11のいずれか1項に記載の身体保護具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
欧州特許第2808160号は外側開口部を有する内部空洞を備えた熱可塑性マトリックス複合材料で作られた本体を製造することを特に目的とする製造方法を開示しており、前記空洞は、少なくとも1つの凹状湾曲壁と、2つの対向する壁の間の内部空洞の最大寸法よりも小さい寸法又は幅を有する外側開口部とを備える。特に、前記中空体は、例えばオートバイ用ヘルメットのような保護ヘルメットのシェル、又は非常に硬い履物を必要とするスポーツをするためのスポーツ用履物、例えば、スキーブーツの構造部品であってもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
欧州特許第1627575号は下部又は基部12a及び顎プロテクタ13を有する気泡12を形成する外側シェル11と、気泡の基部12a及び顎プロテクタ13の内部及びそこから距離をおいて配置された環状バンド又はストリップ20と、気泡の内面又は中間環状ギャップ又は空間14(図4)に注入された発泡ポリスチレンの層30とを含むヘルメット10を開示しており、この中間環状ギャップ又は空間14は、内側が環状バンド20によって、外側が気泡の基部12a及び顎プロテクタ13によって境界付けられている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
また、165℃~190℃Cの間に融点を有する熱可塑性物質である低品位融解ポリエチレンテレフタレートを使用することが好ましく、この低融点により、強度を損なうことなく、製造費用を低減し、製造を迅速化することができる。強化繊維によって提供される安定性のおかげで、低品位溶融ポリエチレンテレフタレートは、発泡ポリスチレン層20の動作中に歪まない。
下記は、本願の出願当初に記載の発明である。
<請求項1>
熱可塑性材料で作られ、凹状内部(11)と凸状外部(12)とを画定する、最大厚さ5mmの構造シェル(10)の製造することと、
構造シェル(10)の凹状内部(11)に重なる発泡ポリスチレン層(20)をオーバーモールドし、前記構造シェル(10)への密接な接触による接着を生成すること
を有する、身体保護具の製造方法であって、
前記構造シェル(10)は、
型内への、熱可塑性材料と前記熱可塑性材料の融点以下または同一の温度で安定する強化繊維との混合物の分散配置と、
前記強化繊維を損傷することなく前記熱可塑性材料の融解を生じさせる、熱可塑性材料の融点より高い温度での型の加熱及び閉鎖と、
前記熱可塑性材料をそこに埋め込まれた前記強化繊維とともに硬化させて複合材料を形成する、その後の型の冷却と
により製造されることを特徴とする身体保護具の製造方法。
<請求項2>
前記熱可塑性材料が、ストランドの形状及び/又は前記強化繊維をコーティングする形状で前記型に入れられる、請求項1に記載の製造方法。
<請求項3>
前記熱可塑性材料(10)及び前記強化繊維が織布又は不織布に一体化されて前記型に入れられる、請求項2に記載の製造方法。
<請求項4>
織布及び/又は不織布のオーバーラップ層が前記型入れられる、請求項3に記載の製造方法。
<請求項5>
少なくとも前記構造シェル(10)の外面を構成する層は熱可塑性材料のストランドのみによって構成され、その凸状外面(12)よりもその凹状内面(11)においてより高い密度の強化繊維を有する構造シェル(10)を製造する、請求項4に記載の製造方法。
<請求項6>
前記強化繊維は長繊維、又は30mmを超える長さの長繊維である、請求項1~4のいずれかに記載の製造方法。
<請求項7>
前記熱可塑性材料が、ポリエチレンテレフタレート、低品位溶融ポリエチレンテレフタレート、又は165℃と190℃との間に含まれる溶融温度を有する低品位溶融ポリエチレンテレフタレートで請求項1又は2に記載の製造方法。
<請求項8>
前記強化繊維は、繊維ガラス、炭素繊維、アラミド繊維又はそれらの組み合わせの中から選択される、請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
<請求項9>
前記強化繊維が、前記構造シェル(10)の全重量の45%~65%を占める、請求項1~4のいずれかに記載の製造方法。
<請求項10>
前記構造シェルの製造に続いて、前記構造シェルを製造モールドから取り外すことなく、凹状内部(11)を画定するモールドの部分が取り外され、構造シェル(10)の凸状外部(12)を成形したモールドの部分と共に、構造シェルを含むオーバーモールドチャンバを画定する新しいモールド部分によって置き換えられ、ポリスチレン層が、前記オーバーモールドチャンバ内の構造シェル(10)の凹状内部(11)上にオーバーモールドされる、請求項1~6のいずれかに記載の製造方法。
<請求項11>
熱可塑性材料で作られ、凹状内部(11)及び凸状外部(12)を画定する、最大5mmの厚さを有する構造シェル(10)と、
密接接触よって、その全表面にわたって前記構造シェル(10)の前記凹状内部(11)に重なり、接着されている発泡ポリスチレン層(20)から構成されること
を特徴とする、請求項1~10のいずれかの方法により製造される身体防護具。
<請求項12>
前記構造シェル(10)は、その凸状外面(12)よりもその凹状内面(11)においてより高い密度の強化繊維を有することを特徴とする請求項11に記載の身体防護具。
<請求項13>
前記熱可塑性物質が、165℃と190℃との間に含まれる融点を有する、ポリエチレンテレフタレート、低グレード融解ポリエチレンテレフタレート又は低グレード融解ポリエチレンテレフタレートである、請求項12又は13に記載の身体保護具。
<請求項14>
前記強化繊維が、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、又はそれらの組み合わせの中から選択される、請求項11~13のいずれか1項に記載の身体保護具。
<請求項15>
前記強化繊維が、長さ30mmを超える長繊維又は長繊維である、請求項11~14のいずれか1項に記載の身体保護具。
<請求項16>
前記強化繊維は前記複合材料内で織布又は不織布を形成する、請求項11~15のいずれか1項に記載の身体保護具。
<請求項17>
前記強化繊維が、前記構造シェル(10)の全重量の45%~65%を占める、請求項11~16のいずれか1項に記載の身体保護具。
<請求項18>
前記身体保護具が、ヘルメット、フルフェースヘルメット、肘パッド、リストガード、膝パッド、足首ガード、肩パッド、ブーツ又は手袋の少なくとも片方、脛ガード、腕又は前腕保護具、鼠径ガード、胸部又は背中保護具である、請求項7~11のいずれか1項に記載の身体保護具。
【国際調査報告】