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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-10
(54)【発明の名称】テトラベナジン経皮送達デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4745 20060101AFI20221227BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20221227BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20221227BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20221227BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
A61K31/4745
A61K9/70 401
A61K9/08
A61K47/32
A61P25/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523672
(86)(22)【出願日】2020-10-21
(85)【翻訳文提出日】2022-06-01
(86)【国際出願番号】 US2020056559
(87)【国際公開番号】W WO2021081022
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】62/924,325
(32)【優先日】2019-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】522160262
【氏名又は名称】シンケイ セラピューティクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ラヴァル,クルナル
(72)【発明者】
【氏名】ボルサディア,スレシュ
(72)【発明者】
【氏名】タン,ホック,エス.
(72)【発明者】
【氏名】パテル,カルパナ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA14
4C076AA72
4C076BB13
4C076BB15
4C076BB16
4C076BB31
4C076CC01
4C076DD45S
4C076EE07A
4C076EE09A
4C076EE12Q
4C076EE27A
4C076EE48A
4C076FF31
4C076FF36
4C076FF51
4C076FF67
4C076FF68
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA10
4C086CB18
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA32
4C086MA63
4C086MA66
4C086NA06
4C086NA10
4C086NA12
4C086ZA02
4C086ZC41
(57)【要約】
本明細書で提供されるのは、多動性運動障害の処置のための、テトラベナジン及び/または重水素化テトラベナジンの送達、例えば、経皮送達などの持続的または実質的に持続的な送達に関連する組成物、送達デバイス、及び方法である。テトラベナジン、重水素化テトラベナジン、またはそれらの組合せを含む経皮送達デバイス、テトラベナジン及び/または重水素化テトラベナジンを含む医薬組成物、それらを調製する方法、及び、例えば、多動性運動障害の処置のためのそれらの使用方法も提供される。
【選択図】なし



【特許請求の範囲】
【請求項1】
多動性運動障害の処置を必要とする対象における多動性運動障害を処置する方法であって、R,R-テトラベナジンを含む活性成分を含む医薬組成物を前記対象に投与することを含み、前記投与は、初回通過代謝をバイパスし、例えば、実質的に一定の速度で、約0.1mg/日~約20mg/日のR,R-テトラベナジンを、好ましくは、約0.5mg/日~約10mg/日のR,R-テトラベナジン、約0.5mg/日~約8mg/日のR,R-テトラベナジン、または約2mg/日~約6mg/日のR,R-テトラベナジンを、前記対象に送達する、例えば、持続的または実質的に持続的に送達する、前記方法。
【請求項2】
前記投与が、前記医薬組成物を前記対象の皮膚に適用して、約0.1mg/日~約20mg/日のR,R-テトラベナジンを、好ましくは約0.5mg/日~約10mg/日のR,R-テトラベナジン、約0.5mg/日~約8mg/日のR,R-テトラベナジン、または約2mg/日~約6mg/日のR,R-テトラベナジンを、前記対象に経皮送達することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記医薬組成物が、接着剤(好ましくは感圧接着剤)中に分散された前記活性成分を含む、例えば、経皮送達デバイスにおける接着剤組成物を含み、前記接着剤組成物を前記対象に適用して、約0.1mg/日~約20mg/日のR,R-テトラベナジンを、適用後最長24時間、適用後最長48時間、適用後最長96時間、または適用後最長1週間、実質的に一定の速度で送達する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記接着剤組成物が、非反応性アクリレート感圧接着剤中に分散された前記活性成分を含み、好ましくは、前記活性成分は、約1重量%~約20重量%、例えば、約2重量%~約7重量%の量であり、前記非反応性アクリレート感圧接着剤は、約50重量%~約97重量%の量である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記接着剤組成物が、没食子酸プロピルなどの没食子酸抗酸化剤をさらに含む、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記接着剤組成物が、周囲温度で2週間常温保存した後の薬物結晶の形成を防止するのに有効な量で、結晶化阻害剤をさらに含む、請求項3~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記接着剤組成物が、ポリビニルピロリドンポリマー(例えば、Kollidon K30またはK90F(BASFによって製造された)、Plasdone K20/32またはPlasdoneK90(Ashland Chemicalによって製造された))、架橋ポリビニルピロリドンポリマー(例えば、Kollidon CL)、ポリビニルピロリドンコポリマー(例えば、Plasdone S-630Copovidone (Asland))、セルロース系ポリマー(例えば、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース)、ポリカルボン酸ポリマー(例えば、Cabopol(Lubrizolによって製造された))、ポリメタクリレート(例えば、Plastoid B、Eudragit E100、Eudragit L100-55 (Evonikによって製造された))、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル、及びポリビニルカプロラクタム系グラフトコポリマー(PVAc-PVCap-PEG)(例えば、Soluplus(BASF)、ならびにそれらの組合せ、から選択される結晶化阻害剤をさらに含む、請求項3~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記医薬組成物中の唯一の活性成分が、テトラベナジンの実質的に純粋なR,R-異性体である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記多動性運動障害が、ハンチントン病、ウィルソン病、トゥレット症候群、レストレスレッグス症候群、遅発性ジスキネジア、チック、運動障害性脳性麻痺/脳性麻痺、他のジストニア及びジスキネジア障害、ならびにそれらの組合せから選択される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記投与が、前記対象の摂食状態に関係なく行われる、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記対象が高代謝者である、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
多動性運動障害の処置を必要とする対象における多動性運動障害を処置する方法であって、R,R-テトラベナジンを含む活性成分を含む医薬組成物を前記対象に投与することを含み、前記投与によって、R,R-テトラベナジン、R,R,R-ジヒドロテトラベナジン(HTBZ)及びS,R,R-HTBZの治療上有効な血漿濃度を提供し、R,R-テトラベナジンの最大血漿濃度の、R,R,R-HTBZ及びS,R,R-HTBZの組合せ最大血漿濃度に対する比、すなわち、R,R-テトラベナジンのCmax/(R,R,R-HTBZのCmax+S,R,R-HTBZのCmax)は、約1:1~約1:5の範囲にあり、またはR,R-テトラベナジンの定常状態血漿濃度の、R,R,R-HTBZ及びS,R,R-HTBZの組合せ定常状態血漿濃度に対する比、すなわち、R,R-テトラベナジンのCss/(R,R,R-HTBZのCss+S,R,R-HTBZのCss)は、約1:1~約1:5の範囲にあり、好ましくは、R,R,R-HTBZのS,R,R-HTBZに対する最大血漿濃度または定常状態血漿濃度の比は、約1:5~約1:30(例えば、約1:10~約1:20)の範囲であり、例えば、R,R-テトラベナジン:R,R,R-HTBZ:S,R,R-HTBZの最大血漿濃度(Cmax)または定常状態血漿濃度(Css)の比は、約17~40:3~10:50~80であり、好ましくは、SRR-HTBZのAUC0-∞のR,R-テトラベナジンのAUC0-∞に対する比が、約1~約15、例えば、約1.5~約11であり、及び/またはRRR-HTBZのAUC0-∞のR,R-テトラベナジンのAUC0-∞に対する比が、約0.1~約0.75、例えば約0.15~約0.5であり、好ましくは、前記投与によって、検出可能なS,S-テトラベナジン、R,S,S-HTBZ、またはS,S,S-HTBZは提供されない、前記方法。
【請求項13】
前記投与により、初回通過代謝をバイパスして、例えば、実質的に一定の速度で、R,R-テトラベナジンを前記対象に持続的または実質的に持続的に送達する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記医薬組成物が、経皮的、静脈内、皮下、筋肉内、またはデポーを介して投与される、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記医薬組成物が経皮投与される、請求項12または13に記載の方法。
【請求項16】
前記医薬組成物が、1日1回、1日超に1回、例えば、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、1週間に1回、または1週間超に1回、投与される、請求項12~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
請求項12~16のいずれか1項に記載の方法であって、前記医薬組成物が、1回投与される場合、4日間、約2mg/日のR,R-テトラベナジンの用量を提供するように処方され、前記医薬組成物を投与して、以下を特徴とする、前記対象における薬物動態プロファイルを提供することを含む、前記方法。
a)約10時間~約24時間、例えば約20時間のR,R-テトラベナジンの平均Tmax
b)R,R-テトラベナジンの平均Tmaxより遅いR,R,R-HTBZの平均Tmax及びS,R,R-HTBZの平均Tmax
c)約300pg/ml~約700pg/mlのR,R-テトラベナジンの平均Cmax
d)約60pg/ml~約200pg/mlのR,R,R-HTBZの平均Cmax
e)約1000pg/ml~約3000pg/mlのS,R,R-HTBZの平均Cmax
f)約20ng*時間/ml~約50ng*時間/mlのR,R-テトラベナジンの平均AUC0-96
g)約4ng*時間/ml~約12ng*時間/mlのR,R,R-HTBZの平均AUC0-96;及び/または
h)約70ng*時間/ml~約200ng*時間/mlのS,R,R-HTBZの平均AUC0-96
【請求項18】
請求項12~16のいずれか1項に記載の方法であって、前記医薬組成物が、1回投与される場合、少なくとも1日、例えば2日、3日、4日間、または1週間、約4~6mg/日のR,R-テトラベナジンの用量を提供するように処方され、前記医薬組成物を投与して、以下を特徴とする、前記対象における薬物動態プロファイルを提供することを含む、前記方法。
a)約10時間~約24時間、例えば約20時間のR,R-テトラベナジンの平均Tmax
b)R,R-テトラベナジンの平均Tmaxより遅いR,R,R-HTBZの平均Tmax及びS,R,R-HTBZの平均Tmax
c)約600pg/ml~約2100pg/mlのR,R-テトラベナジンの平均Cmax
d)約120pg/ml~約600pg/mlのR,R,R-HTBZの平均Cmax
e)約2000pg/ml~約9000pg/mlのS,R,R-HTBZの平均Cmax
f)約40ng*時間/ml~約150ng*時間/mlのR,R-テトラベナジンの平均AUC0-96
g)約8ng*時間/ml~約36ng*時間/mlのR,R,R-HTBZの平均AUC0-96;及び/または
h)約140ng*時間/ml~約600ng*時間/mlのS,R,R-HTBZの平均AUC0-96
【請求項19】
請求項12~16のいずれか1項に記載の方法であって、前記医薬組成物が、1回投与される場合、少なくとも1日、例えば2日、3日、4日間、または1週間、約1~10mg/日のR,R-テトラベナジンの用量を提供するように処方され、前記医薬組成物を投与して、以下を特徴とする、前記対象における薬物動態プロファイルを提供することを含む、前記方法。
a)約10時間~約24時間、例えば約20時間のR,R-テトラベナジンの平均Tmax
b)R,R-テトラベナジンの平均Tmaxより遅いR,R,R-HTBZの平均Tmax及びS,R,R-HTBZの平均Tmax
c)約150pg/ml~約3500pg/mlのR,R-テトラベナジンの平均Cmax
d)約30pg/ml~約1000pg/mlのR,R,R-HTBZの平均Cmax
e)約500pg/ml~約15ng/mlのS,R,R-HTBZの平均Cmax
f)約10ng*時間/ml~約250ng*時間/mlのR,R-テトラベナジンの平均AUC0-96
g)約2ng*時間/ml~約60ng*時間/mlのR,R,R-HTBZの平均AUC0-96;及び/または
h)約35ng*時間/ml~約1000ng*時間/mlのS,R,R-HTBZの平均AUC0-96
【請求項20】
前記投与によって、(1)第1の期間中、前記第1の期間の第1の時点で、R,R-テトラベナジンの最大血漿濃度である約150pg/ml~約3500pg/mlに到達し、前記第1の期間は、最初の投与の時からその後約24時間までであること;及び任意選択で(2)前記第1の時点の後、R,R-テトラベナジンの血漿濃度は、約24時間、約48時間、約72時間、約96時間、またはそれ以上の持続期間、実質的に一定のままであり、好ましくは、R,R-テトラベナジンの平均終末相半減期は、約8.5時間±40%CVであること、を特徴とする、前記対象における薬物動態プロファイルが提供される、請求項12~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の時点から24時間後のR,R-テトラベナジンの前記血漿濃度が、前記第1の時点における前記血漿濃度の約50%~約200%、例えば、約75%~約150%である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記医薬組成物が、接着剤(好ましくは感圧接着剤)中に分散された前記活性成分を含む、例えば、経皮送達デバイスにおける接着剤組成物を含む、請求項12~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記接着剤組成物が、非反応性アクリレート感圧接着剤中に分散された前記活性成分を含み、好ましくは、前記活性成分は、約1重量%~約20重量%、例えば、約2重量%~約7重量%の量であり、前記非反応性アクリレート感圧接着剤は、約50重量%~約97重量%の量である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記接着剤組成物が、没食子酸プロピルなどの没食子酸抗酸化剤をさらに含む、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
前記接着剤組成物が、周囲温度で2週間常温保存した後の薬物結晶の形成を防止するのに有効な量で、結晶化阻害剤をさらに含む、請求項22~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記接着剤組成物が、ポリビニルピロリドンポリマー(例えば、Kollidon K30またはK90F(BASFによって製造された)、Plasdone K20/32またはPlasdoneK90(Ashland Chemicalによって製造された))、架橋ポリビニルピロリドンポリマー(例えば、Kollidon CL)、ポリビニルピロリドンコポリマー(例えば、Plasdone S-630Copovidone (Asland))、セルロース系ポリマー(例えば、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース)、ポリカルボン酸ポリマー(例えば、Cabopol(Lubrizolによって製造された))、ポリメタクリレート(例えば、Plastoid B、Eudragit E100、Eudragit L100-55 (Evonikによって製造された))、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル、及びポリビニルカプロラクタム系グラフトコポリマー(PVAc-PVCap-PEG)(例えば、Soluplus(BASF)、ならびにそれらの組合せ、から選択される結晶化阻害剤をさらに含む、請求項22~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記医薬組成物中の唯一の活性成分が、テトラベナジンの実質的に純粋なR,R-異性体である、請求項12~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記多動性運動障害が、ハンチントン病、ウィルソン病、トゥレット症候群、レストレスレッグス症候群、遅発性ジスキネジア、チック、運動障害性脳性麻痺/脳性麻痺、他のジストニア及びジスキネジア障害、ならびにそれらの組合せから選択される、請求項12~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記投与が、前記対象の摂食状態に関係なく行われる、請求項12~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記対象が高代謝者である、請求項12~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
多動性運動障害の処置を必要とする対象における多動性運動障害を処置する方法であって、経皮送達デバイス、好ましくは、薬物含有接着剤層を含む経皮送達デバイスを前記対象に適用することを含み、前記薬物含有接着剤層は、(1)R,R-テトラベナジンを含む活性成分と、(2)非反応性アクリレート感圧接着剤と;(3)任意の結晶化阻害剤と;(4)任意の抗酸化剤と、を含み、前記経皮送達デバイスは、R,R-テトラベナジン、R,R,R-ジヒドロテトラベナジン(HTBZ)及びS,R,R-HTBZの治療上有効な血漿濃度を提供し、R,R-テトラベナジンの最大血漿濃度の、R,R,R-HTBZ及びS,R,R-HTBZの組合せ最大血漿濃度に対する比、すなわち、R,R-テトラベナジンのCmax/(R,R,R-HTBZのCmax+S,R,R-HTBZのCmax)は、約1:1~約1:5の範囲にあり、またはR,R-テトラベナジンの定常状態血漿濃度の、R,R,R-HTBZ及びS,R,R-HTBZの組合せ定常状態血漿濃度に対する比、すなわち、R,R-テトラベナジンのCss/(R,R,R-HTBZのCss+S,R,R-HTBZのCss)は、約1:1~約1:5の範囲にあり、好ましくは、R,R,R-HTBZのS,R,R-HTBZに対する最大血漿濃度または定常状態血漿濃度の比は、約1:5~約1:30(例えば、約1:10~約1:20)の範囲であり、例えば、R,R-テトラベナジン:R,R,R-HTBZ:S,R,R-HTBZの最大血漿濃度または定常状態血漿濃度の比は、約17~40:3~10:50~80であり、好ましくは、SRR-HTBZのAUC0-∞のR,R-テトラベナジンのAUC0-∞に対する比が、約1~約15、例えば、約1.5~約11であり、及び/またはRRR-HTBZのAUC0-∞のR,R-テトラベナジンのAUC0-∞に対する比が、約0.1~約0.75、例えば約0.15~約0.5であり、好ましくは、前記投与によって、検出可能なS,S-テトラベナジン、R,S,S-HTBZ、またはS,S,S-HTBZは提供されない、前記方法。
【請求項32】
多動性運動障害の処置を必要とする対象における多動性運動障害を処置する方法であって、経皮送達デバイス、好ましくは、薬物含有接着剤層を含む経皮送達デバイスを前記対象に適用することを含み、前記薬物含有接着剤層は、(1)R,R-テトラベナジンを含む活性成分と、(2)非反応性アクリレート感圧接着剤と;(3)任意の結晶化阻害剤と;(4)任意の抗酸化剤と、を含み、前記経皮送達デバイスを適用して、約0.1mg/日~約20mg/日のR,R-テトラベナジン、好ましくは約0.5mg/日~約10mg/日のR,R-テトラベナジン、約0.5mg/日~約8mg/日のR,R-テトラベナジン、または約2mg/日~約6mg/日のR,R-テトラベナジンを、前記対象に経皮送達する、前記方法。
【請求項33】
多動性運動障害の処置を必要とする対象における多動性運動障害を処置する方法であって、経皮送達デバイス、好ましくは、薬物含有接着剤層を含む経皮送達デバイスを前記対象に適用することを含み、前記薬物含有接着剤層は、(1)R,R-テトラベナジンを含む活性成分と、(2)非反応性アクリレート感圧接着剤と;(3)任意の結晶化阻害剤と;(4)任意の抗酸化剤と、を含み、前記経皮送達デバイスを前記対象に適用して、少なくとも6時間、または少なくとも12時間、好ましくは少なくとも24時間、R,R-テトラベナジン、R,R,R-ジヒドロテトラベナジン(HTBZ)及びS,R,R-HTBZの治療上有効な血漿濃度を達成する、前記方法。
【請求項34】
多動性運動障害の処置を必要とする対象における多動性運動障害を処置する方法であって、経皮送達デバイス、好ましくは、薬物含有接着剤層を含む経皮送達デバイスを前記対象に適用することを含み、前記薬物含有接着剤層は、(1)R,R-テトラベナジンを含む活性成分と、(2)非反応性アクリレート感圧接着剤と;(3)任意の結晶化阻害剤と;(4)任意の抗酸化剤と、を含み、前記経皮送達デバイスを前記対象に適用して、少なくとも6時間、または少なくとも12時間、好ましくは少なくとも24時間の持続期間、150pg/mlを超えるR,R-テトラベナジンの実質的に一定の定常状態血漿濃度を達成する、前記方法。
【請求項35】
多動性運動障害の処置を必要とする対象における多動性運動障害を処置する方法であって、経皮送達デバイス、好ましくは、薬物含有薬物含有接着剤層を含む経皮送達デバイスを前記対象に適用することを含み、前記薬物含有接着剤層は、(1)重水素化R,R-テトラベナジンを含む活性成分と、(2)非反応性アクリレート感圧接着剤と;(3)任意の結晶化阻害剤と;(4)任意の抗酸化剤と、を含み、前記経皮送達デバイスは、重水素化R,R-テトラベナジン、重水素化R,R-テトラベナジンのジヒドロテトラベナジン代謝産物、重水素化R,R,R-HTBZ及び重水素化S,R,R-HTBZの治療上有効な血漿濃度を提供し、重水素化R,R-テトラベナジンの最大血漿濃度の、重水素化R,R,R-HTBZ及び重水素化S,R,R-HTBZの組合せ最大血漿濃度に対する比は、約1:1~約1:7.5の範囲にあり、または重水素化R,R-テトラベナジンの定常状態血漿濃度の、重水素化R,R,R-HTBZ及び重水素化S,R,R-HTBZの組合せ定常状態血漿濃度に対する比は、約1:1~約1:7.5の範囲にあり、好ましくは、重水素化R,R,R-HTBZの重水素化S,R,R-HTBZに対する最大血漿濃度または定常状態血漿濃度の比は、約1:5~約1:30(例えば、約1:10~約1:20)の範囲であり、好ましくは、前記投与によって、検出可能な重水素化S,S-テトラベナジン、重水素化R,S,S-HTBZ、または重水素化S,S,S-HTBZは提供されない、前記方法。
【請求項36】
多動性運動障害の処置を必要とする対象における多動性運動障害を処置する方法であって、経皮送達デバイス、好ましくは、薬物含有接着剤層を含む経皮送達デバイスを前記対象に適用することを含み、前記薬物含有接着剤層は、(1)重水素化R,R-テトラベナジンを含む活性成分と、(2)非反応性アクリレート感圧接着剤と;(3)任意の結晶化阻害剤と;(4)任意の抗酸化剤と、を含み、前記経皮送達デバイスを適用して、約0.1mg/日~約20mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、好ましくは約0.5mg/日~約10mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、約0.5mg/日~約8mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、または約2mg/日~約6mg/日の重水素化R,R-テトラベナジンを、前記対象に経皮送達する、前記方法。
【請求項37】
多動性運動障害の処置を必要とする対象における多動性運動障害を処置する方法であって、経皮送達デバイス、好ましくは、薬物含有接着剤層を含む経皮送達デバイスを前記対象に適用することを含み、前記薬物含有接着剤層は、(1)重水素化R,R-テトラベナジンを含む活性成分と、(2)非反応性アクリレート感圧接着剤と;(3)任意の結晶化阻害剤と;(4)任意の抗酸化剤と、を含み、前記経皮送達デバイスを対象に適用して、少なくとも6時間、または少なくとも12時間、好ましくは少なくとも24時間、重水素化R,R-テトラベナジン、重水素化R,R-テトラベナジンのジヒドロテトラベナジン代謝産物である、重水素化R,R,R-HTBZ及び重水素化S,R,R-HTBZの治療上有効な血漿濃度を達成する、前記方法。
【請求項38】
多動性運動障害の処置を必要とする対象における多動性運動障害を処置する方法であって、経皮送達デバイス、好ましくは、薬物含有接着剤層を含む経皮送達デバイスを前記対象に適用することを含み、前記薬物含有接着剤層は、(1)重水素化R,R-テトラベナジンを含む活性成分と、(2)非反応性アクリレート感圧接着剤と;(3)任意の結晶化阻害剤と;(4)任意の抗酸化剤と、を含み、前記経皮送達デバイスを対象に適用して、少なくとも6時間、または少なくとも12時間、好ましくは少なくとも24時間の持続期間、150pg/mlを超える重水素化R,R-テトラベナジンの実質的に一定の定常状態血漿濃度を達成する、前記方法。
【請求項39】
前記経皮送達デバイスが、1日1回、1日超に1回、例えば、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、1週間に1回、または1週間超に1回、適用される、請求項31~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記経皮送達デバイスが薬物含有接着剤層を含み、前記薬物含有接着剤層が、前記非反応性アクリレート感圧接着剤中に分散された前記活性成分を含み、好ましくは、前記活性成分は、約1重量%~約20重量%、例えば、約2重量%~約7重量%の量であり、前記非反応性アクリレート感圧接着剤は、約50重量%~約97重量%の量である、請求項31~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記経皮送達デバイスが、薬物含有接着剤層を含み、前記薬物含有接着剤層が没食子酸プロピルなどの没食子酸抗酸化剤をさらに含む、請求項31~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記経皮送達デバイスが、薬物含有接着剤層を含み、前記薬物含有接着剤層が、周囲温度で2週間常温保存した後の薬物結晶の形成を防止するのに有効な量で、結晶化阻害剤をさらに含む、請求項31~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記経皮送達デバイスが、薬物含有接着剤層を含み、前記薬物含有接着剤層が、ポリビニルピロリドンポリマー(例えば、Kollidon K30またはK90F(BASFによって製造された)、Plasdone K20/32またはPlasdoneK90(Ashland Chemicalによって製造された))、架橋ポリビニルピロリドンポリマー(例えば、Kollidon CL)、ポリビニルピロリドンコポリマー(例えば、Plasdone S-630Copovidone (Asland))、セルロース系ポリマー(例えば、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース)、ポリカルボン酸ポリマー(例えば、Cabopol(Lubrizolによって製造された))、ポリメタクリレート(例えば、Plastoid B、Eudragit E100、Eudragit L100-55 (Evonikによって製造された))、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル、及びポリビニルカプロラクタム系グラフトコポリマー(PVAc-PVCap-PEG)(例えば、Soluplus(BASF)、ならびにそれらの組合せ、から選択される結晶化阻害剤をさらに含む、請求項31~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記経皮送達デバイスにおける、例えば、前記薬物含有接着剤層における唯一の活性成分が、適用可能な場合、テトラベナジンの実質的に純粋なR,R-異性体またはテトラベナジンの実質的に純粋な重水素化R,R-異性体である、請求項31~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記多動性運動障害が、ハンチントン病、ウィルソン病、トゥレット症候群、レストレスレッグス症候群、遅発性ジスキネジア、チック、運動障害性脳性麻痺/脳性麻痺、他のジストニア及びジスキネジア障害、ならびにそれらの組合せから選択される、請求項31~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記投与が、前記対象の摂食状態に関係なく行われる、請求項31~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記対象が高代謝者である、請求項31~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
多動性運動障害を処置するための医薬組成物を同定する方法であって、初回通過代謝をバイパスして、R,R-テトラベナジンを対象に持続的または実質的に持続的に送達する試験医薬組成物を前記対象に投与すること、ならびにR,R-テトラベナジン、R,R,R-ジヒドロテトラベナジン(HTBZ)及びS,R,R-HTBZの治療上有効な血漿濃度を提供する医薬組成物を同定することを含み、R,R-テトラベナジンの最大血漿濃度の、R,R,R-HTBZ及びS,R,R-HTBZの組合せ最大血漿濃度に対する比は、約1:1~約1:5の範囲にあり、またはR,R-テトラベナジンの定常状態血漿濃度の、R,R,R-HTBZ及びS,R,R-HTBZの組合せ定常状態血漿濃度に対する比は、約1:1~約1:5の範囲にあり、好ましくは、R,R,R-HTBZのS,R,R-HTBZに対する最大血漿濃度または定常状態血漿濃度の比は、約1:5~約1:30(例えば、約1:10~約1:20)の範囲であり、好ましくは、前記同定された医薬組成物の投与によって、検出可能なS,S-テトラベナジン、R,S,S-HTBZ、またはS,S,S-HTBZは提供されない、前記方法。
【請求項49】
多動性運動障害を処置するための医薬組成物を同定する方法であって、初回通過代謝をバイパスする試験医薬組成物を対象に投与すること、及び約2mg/日の用量を4日間提供するように投与された場合に、以下を特徴とする、前記対象における薬物動態プロファイルを提供する医薬組成物を同定することを含む、前記方法。
a)約10時間~約24時間、例えば約20時間のR,R-テトラベナジンの平均Tmax
b)R,R-テトラベナジンの平均Tmaxより遅いR,R,R-HTBZの平均Tmax及びS,R,R-HTBZの平均Tmax
c)約300pg/ml~約700pg/mlのR,R-テトラベナジンの平均Cmax
d)約60pg/ml~約200pg/mlのR,R,R-HTBZの平均Cmax
e)約1000pg/ml~約3000pg/mlのS,R,R-HTBZの平均Cmax
f)約20ng*時間/ml~約50ng*時間/mlのR,R-テトラベナジンの平均AUC0-96
g)約4ng*時間/ml~約12ng*時間/mlのR,R,R-HTBZの平均AUC0-96;及び/または
h)約70ng*時間/ml~約200ng*時間/mlのS,R,R-HTBZの平均AUC0-96
【請求項50】
多動性運動障害を処置するための医薬組成物を同定する方法であって、初回通過代謝をバイパスする試験医薬組成物を前記対象に投与すること、及び約4~6mg/日の用量を少なくとも1日、例えば2日、3日、4日間、または1週間提供するように投与された場合に、以下を特徴とする、前記対象における薬物動態プロファイルを提供する医薬組成物を同定することを含む、前記方法。
a)約10時間~約24時間、例えば約20時間のR,R-テトラベナジンの平均Tmax
b)R,R-テトラベナジンの平均Tmaxより遅いR,R,R-HTBZの平均Tmax及びS,R,R-HTBZの平均Tmax
c)約600pg/ml~約2100pg/mlのR,R-テトラベナジンの平均Cmax
d)約120pg/ml~約600pg/mlのR,R,R-HTBZの平均Cmax
e)約2000pg/ml~約9000pg/mlのS,R,R-HTBZの平均Cmax
f)約40ng*時間/ml~約150ng*時間/mlのR,R-テトラベナジンの平均AUC0-96
g)約8ng*時間/ml~約36ng*時間/mlのR,R,R-HTBZの平均AUC0-96;及び/または
h)約140ng*時間/ml~約600ng*時間/mlのS,R,R-HTBZの平均AUC0-96
【請求項51】
多動性運動障害を処置するための医薬組成物を同定する方法であって、初回通過代謝をバイパスする試験医薬組成物を対象に投与すること、及び約1~10mg/日の用量を少なくとも1日、例えば2日、3日、4日間、または1週間提供するように投与された場合に、以下を特徴とする、前記対象における薬物動態プロファイルを提供する医薬組成物を同定することを含む、前記方法。
a)約10時間~約24時間、例えば約20時間のR,R-テトラベナジンの平均Tmax
b)R,R-テトラベナジンの平均Tmaxより遅いR,R,R-HTBZの平均Tmax及びS,R,R-HTBZの平均Tmax
c)約150pg/ml~約3500pg/mlのR,R-テトラベナジンの平均Cmax
d)約30pg/ml~約1000pg/mlのR,R,R-HTBZの平均Cmax
e)約500pg/ml~約15ng/mlのS,R,R-HTBZの平均Cmax
f)約10ng*時間/ml~約250ng*時間/mlのR,R-テトラベナジンの平均AUC0-96
g)約2ng*時間/ml~約60ng*時間/mlのR,R,R-HTBZの平均AUC0-96;及び/または
h)約35ng*時間/ml~約1000ng*時間/mlのS,R,R-HTBZの平均AUC0-96
【請求項52】
多動性運動障害を処置するための医薬組成物を同定する方法であって、初回通過代謝をバイパスする試験医薬組成物を対象に投与すること、及び(1)第1の期間中、前記第1の期間の第1の時点で、R,R-テトラベナジンの最大血漿濃度である約150pg/ml~約3500pg/mlに到達し、前記第1の期間は、最初の投与の時からその後約24時間までであること;及び任意選択で(2)前記第1の時点の後、R,R-テトラベナジンの血漿濃度は、約24時間、約48時間、約72時間、約96時間、またはそれ以上の持続期間、実質的に一定のままであり、好ましくは、R,R-テトラベナジンの平均終末相半減期は、約8.5時間±40%CVであること、を特徴とする、前記対象における薬物動態プロファイルを提供する医薬組成物を同定することを含む、前記方法。
【請求項53】
請求項48~52に記載の方法のいずれかによって同定された医薬組成物。
【請求項54】
多動性運動障害の処置を必要とする対象における多動性運動障害を処置する方法であって、治療有効量の請求項53に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項55】
前記多動性運動障害が、ハンチントン病、ウィルソン病、トゥレット症候群、レストレスレッグス症候群、遅発性ジスキネジア、チック、運動障害性脳性麻痺/脳性麻痺、他のジストニア及びジスキネジア障害、ならびにそれらの組合せから選択される、請求項54に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年10月22日出願の米国仮出願第62/924,325号の利益を主張するものであり、その内容は参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0002】
種々の実施形態では、本発明は、一般に、テトラベナジン及び/または重水素化テトラベナジンの送達、例えば、経皮送達などの持続的または実質的に持続的な送達に関する。種々の実施形態では、本発明はまた、医薬組成物及び送達デバイス、例として、テトラベナジン及び/または重水素化テトラベナジンを含む経皮送達デバイス、テトラベナジン及び/または重水素化テトラベナジンを含む医薬組成物、それらの調製方法、及びそれらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
テトラベナジンは、小胞モノアミン輸送体2(VMAT2)阻害剤である。テトラベナジンは、ハンチントン病に関連する舞踏病の処置に適応される経口使用用のXenazine(登録商標)錠として、米国食品医薬品局(FDA)によって承認された。Xenazine(登録商標)錠の活性成分は、(3R,11bR)-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-2H-ベンゾ[a]キノリジン-2-オン (以下、「R,R-テトラベナジンまたはR,R-TBZ」)、及び(3S,11bS)-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-2H-ベンゾ[a]キノリジン-2-オン (以下、「S,S-テトラベナジンまたはS,S-TBZ」)のラセミ混合物である。
【化1】
【0004】
2017年に、FDAは、ハンチントン病に関連する舞踏病の処置にも適応される経口使用のためのAustedo(商標)錠として、重水素化テトラベナジンである、デューテトラベナジンを承認した。Austedo(商標)錠の活性成分は、選択的に重水素置換された安定な非放射性同位体形態のテトラベナジンで、テトラベナジンにおいて、2つのO結合メチル基の6つの水素原子が重水素原子に置き換えられている(つまり、-OCD部分ではなく-OCH部分)。Austedo(商標)錠の活性成分もラセミ混合物である。
【発明の概要】
【0005】
種々の実施形態では、本発明は、例えば、持続的または実質的に持続的な手法で、初回通過代謝をバイパスし、対象へテトラベナジン及び/または重水素化テトラベナジンを送達することに関連するような医薬組成物、薬物送達デバイス、調製方法、及び、そのようなものの使用方法を目的とする。理論に拘束されることを望むものではないが、本明細書に記載の経皮送達などの、本明細書に記載のテトラベナジン及び/または重水素化テトラベナジンの送達は、従来の経口送達に勝る多くの利点、例として、初回通過代謝を回避すること、低いピーク対トラフ比の薬物動態プロファイルを提供すること、単回適用による複数日の治療が可能になること、吸収に対する食物の影響を回避すること、必要に応じてパッチを取り除くことによって治療を中止すること、及び患者のコンプライアンスが容易になることなど、を提供することができる。さらに、テトラベナジンまたはデューテトラベナジンの等用量の経口投与と比較して、本明細書に記載の経皮送達などの本明細書の送達は、テトラベナジンまたは重水素化テトラベナジン及び/またはその代謝産物の血漿レベルの個体間変動を低下させることができ、及び/または、例えば、治療的有効性を低下させることもなく、テトラベナジンまたは重水素化テトラベナジン及び/またはその代謝産物のCmaxを低下させる(例えば、10%、40%、60%、またはそれ以上)ことができる。さらに、本明細書における経皮送達などの送達は、CYP2D6の発現に基づいて、低代謝者(PM)、中間代謝者(IM)、または高代謝者(EM)として遺伝子型特定された対象に、同様に投与することができる。さらに、Xenazine(登録商標)及びAustedo(商標)処置とは異なり、本明細書のR,R-TBZ経皮送達システム(TDDS)は、投与前に遺伝子型特定する必要なしに(より高い用量でも)対象に投与することができる。本明細書に詳述されるように、代謝群効果のほとんどは、本明細書のR,R-TBZ TDDSの投与からは予想されないであろうオフターゲット結合によるものである。これらの利点により、最終的に、テトラベナジン及び/または重水素化テトラベナジン(例えば、デューテトラベナジン)の投与レジメンを簡素化することができ、例えば、遺伝子型分析を実施する必要性を最小限に抑えるか、排除することができ、及び/または用量関連の副作用を減らすことができる。
【0006】
いくつかの実施形態では、本開示は、多動性運動障害(hyperkinetic movement disorder)の処置を必要とする対象(例えば、ヒト対象)における多動性運動障害を処置する方法を提供する。いくつかの実施形態では、この方法は、R,R-テトラベナジンを含む活性成分を含む医薬組成物を対象に投与することを含み、投与は初回通過代謝をバイパスし、約0.1mg/日~約20mg/日のR,R-テトラベナジンを対象に送達する、例えば、持続的または実質的に持続的に送達する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、経皮的、静脈内、皮下、筋肉内、またはデポーを介して投与される。いくつかの特定の実施形態では、投与は初回通過代謝をバイパスし、約0.1mg/日~約20mg/日のR,R-テトラベナジンを対象に経皮送達する。いくつかの実施形態では、投与は、対象の皮膚に医薬組成物を適用して、約0.1mg/日~約20mg/日のR,R-テトラベナジンを対象に経皮送達することを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の唯一の活性成分は、テトラベナジンの実質的に純粋なR,R-異性体である。いくつかの実施形態では、投与によって、本明細書に記載されている適用可能な薬物動態(PK)プロファイルのいずれか、例えば、R,R-テトラベナジン、R,R,R-ジヒドロテトラベナジン(HTBZ)及びS,R,R-HTBZについて本明細書に記載されている血漿濃度プロファイルに関連するPKプロファイル、を提供することができる。いくつかの実施形態では、投与によって、対象の血漿中に、検出可能な量のテトラベナジンのS,S-異性体またはその代謝産物、例えばS,S,S-HTBZ及びR,S,S-HTBZは提供されない。この方法に好適な医薬組成物、薬物送達デバイス、投与レジメン、及び対象には、本明細書に記載されているもののいずれかが含まれる。例えば、いくつかの実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の接着剤組成物のいずれかであり得、これは、本明細書に記載の経皮送達デバイスのいずれかに含めることができる。医薬組成物は、任意の頻度で必要な限り、対象に投与することができる。いくつかの実施形態では、医薬組成物の各投与は、例えば、約0.1mg/日~約20mg/日のR,R-テトラベナジンを、約8時間、約12時間、約24時間、約36時間、約48時間、約72時間、約96時間、約120時間、約144時間、約168時間、約192時間、または記載値間の任意の範囲で、持続的または実質的に持続的に、対象に送達することができる。いくつかの実施形態では、投与は、対象の摂食状態に関係なく実施することができる。本明細書に記載されている用量及び/または血漿曝露の範囲は、成人患者ならびに小児及び青年期の患者に好適であり得る。しかし、当業者によって理解されるように、特定の対象のための所望の用量及び/または血漿曝露は、対象の年齢及び体重を考慮して調整してもよい。いくつかの実施形態では、対象は、小児及び青年期の患者(例えば、6歳から18歳)である。いくつかの実施形態では、投与は、対象の遺伝子型に関係なく実施することができ、例えば、対象は、高代謝者であり得る。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、ハンチントン病、ウィルソン病、トゥレット症候群、レストレスレッグス症候群、遅発性ジスキネジア、チック、運動障害性脳性麻痺/脳性麻痺、他のジストニア及びジスキネジア障害、ならびにそれらの組合せであり得る。
【0007】
本開示のいくつかの実施形態はまた、多動性運動障害の処置を必要とする対象における多動性運動障害を処置する方法であって、R,R-テトラベナジンを含む活性成分を含む医薬組成物を対象に投与することを含み、投与によって、所望のPKプロファイルが提供される、方法を目的とする。いくつかの実施形態では、PKプロファイルは、投与によって、R,R-テトラベナジン、R,R,R-HTBZ及びS,R,R-HTBZの治療上有効な血漿濃度が提供され、R,R-テトラベナジンの最大血漿濃度の、R,R,R-HTBZ及びS,R,R-HTBZの組合せ最大血漿濃度に対する比は、約1:1~約1:5(例えば、約1:1、約1:1.2、約1:1.5、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、または記載値間の任意の範囲、例えば、約1:1~約1:3、約1:2~約1:4など)の範囲にある、ことを特徴とする。いくつかの実施形態では、PKプロファイルは、投与によって、R,R-テトラベナジン、R,R,R-HTBZ及びS,R,R-HTBZの治療上有効な血漿濃度が提供され、R,R-テトラベナジンの定常状態血漿濃度の、R,R,R-HTBZ及びS,R,R-HTBZの組合せ定常状態血漿濃度に対する比は、約1:1~約1:5(例えば、約1:1、約1:1.2、約1:1.5、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、または記載値間の任意の範囲、例えば、約1:1~約1:3、約1:2~約1:4など)の範囲にある、ことを特徴とする。いくつかの実施形態では、投与によって、対象の血漿中に、検出可能なS,S-テトラベナジン、R,S,S-HTBZ、またはS,S,S-HTBZは提供されない。いくつかの実施形態では、PKプロファイルは、R,R-テトラベナジンの血漿濃度が第1の期間中に上昇し、第1の期間の第1の時点で、最大濃度である約150pg/ml~約3500pg/mlに達し、第1の期間は、時間0(医薬組成物の投与時間)からその約24時間後までであることを特徴とする。いくつかの実施形態では、PKプロファイルは、R,R-テトラベナジンの平均終末相半減期が約8.5時間±40%CVであることを特徴とする。いくつかの実施形態では、PKプロファイルは、第1の期間の後、R,R-テトラベナジンの血漿濃度が、約24時間、約48時間、約72時間、約96時間、またはそれ以上などの持続期間、実質的に一定のままであるということを、さらに特徴とする。いくつかの実施形態では、PKプロファイルは、投与によって、少なくとも6時間、または少なくとも12時間、好ましくは少なくとも24時間の持続期間、150pg/mlを超える(例えば、約150pg/ml~約3500pg/ml)R,R-テトラベナジンの実質的に一定の定常状態血漿濃度が提供されることを特徴とする。他の新規PKプロファイルが本明細書に記載されている。この方法に好適な医薬組成物、薬物送達デバイス、投与レジメン、及び対象には、本明細書に記載されているもののいずれかが含まれる。いくつかの実施形態では、投与は、初回通過代謝をバイパスし、例えば、実質的に一定の速度で、R,R-テトラベナジンを対象に送達する、例えば、持続的または実質的に持続的に送達する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、経皮投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載されている接着剤組成物のいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、投与は、対象の摂食状態に関係なく実施することができる。いくつかの実施形態では、対象は、小児及び青年期の患者(例えば、6歳から18歳)である。いくつかの実施形態では、投与は、対象の遺伝子型に関係なく実施することができ、例えば、対象は、高代謝者であり得る。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、ハンチントン病、ウィルソン病、トゥレット症候群、レストレスレッグス症候群、遅発性ジスキネジア、チック、運動障害性脳性麻痺/脳性麻痺、他のジストニア及びジスキネジア障害、ならびにそれらの組合せであり得る。
【0008】
本開示のいくつかの実施形態は、例えば、多動性運動障害を処置するための、重水素化テトラベナジン(例えば、R,R-デューテトラベナジン)の送達、例えば持続的または実質的に持続的な送達を目的とする。いくつかの実施形態では、この方法は、重水素化R,R-テトラベナジン(例えば、R,R-デューテトラベナジン)を含む活性成分を含む医薬組成物を対象に投与することを含み、投与は初回通過代謝をバイパスし、約0.1mg/日~約20mg/日の重水素化R,R-テトラベナジンを対象に送達する、例えば、持続的または実質的に持続的に送達する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、経皮的、静脈内、皮下、筋肉内、またはデポーを介して投与される。いくつかの特定の実施形態では、投与は初回通過代謝をバイパスし、約0.1mg/日~約20mg/日の重水素化R,R-テトラベナジンを対象に経皮送達する。いくつかの実施形態では、投与は、対象の皮膚に医薬組成物を適用して、約0.1mg/日~約20mg/日の重水素化R,R-テトラベナジンを対象に経皮送達することを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の唯一の活性成分は、重水素化テトラベナジンの実質的に純粋なR,R-異性体、例えば実質的に純粋なR,R-デューテトラベナジンのである。いくつかの実施形態では、投与によって、対象の血漿中に、検出可能な量の重水素化テトラベナジンのS,S-異性体及び/またはその代謝産物を提供しない。いくつかの実施形態では、投与は、本明細書に記載されている適用可能な薬物動態(PK)プロファイルのいずれか、例えば、重水素化R,R-テトラベナジン、重水素化R,R,R-HTBZ及び重水素化S,R,R-HTBZについて本明細書に記載されている血漿濃度プロファイルに関連するPKプロファイル、を提供することができる。この方法に好適な医薬組成物、薬物送達デバイス、投与レジメン、及び対象には、本明細書に記載されているもののいずれかが含まれる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載されている接着剤組成物のいずれかであり得る。医薬組成物は、任意の頻度で必要な限り、対象に投与することができる。いくつかの実施形態では、医薬組成物の各投与は、約0.1mg/日~約20mg/日の重水素化R,R-テトラベナジンを、約8時間、約12時間、約24時間、約36時間、約48時間、約72時間、約96時間、約120時間、約144時間、約168時間、約192時間、または記載値間の任意の範囲で、例えば、持続的または実質的に持続的に、対象に送達することができる。いくつかの実施形態では、投与は、対象の摂食状態に関係なく実施することができる。いくつかの実施形態では、対象は、小児及び青年期の患者(例えば、6歳から18歳)である。いくつかの実施形態では、投与は、対象の遺伝子型に関係なく実施することができ、例えば、対象は、高代謝者であり得る。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、ハンチントン病、ウィルソン病、トゥレット症候群、レストレスレッグス症候群、遅発性ジスキネジア、チック、運動障害性脳性麻痺/脳性麻痺、他のジストニア及びジスキネジア障害、ならびにそれらの組合せであり得る。本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて、重水素化テトラベナジンは、R,R-デューテトラベナジンなどのデューテトラベナジンであり得る。
【0009】
本開示のいくつかの実施形態はまた、多動性運動障害の処置を必要とする対象における多動性運動障害を処置する方法であって、重水素化R,R-テトラベナジンを含む活性成分を含む医薬組成物を対象に投与することを含み、投与によって、所望のPKプロファイルが提供される、方法を目的とする。いくつかの実施形態では、PKプロファイルは、投与によって、重水素化R,R-テトラベナジン、重水素化R,R,R-HTBZ及び重水素化S,R,R-HTBZの治療上有効な血漿濃度が提供され、重水素化R,R-テトラベナジンの最大血漿濃度の、重水素化R,R,R-HTBZ及びS,R,R-HTBZの組合せ最大血漿濃度に対する比は、約1:1~約1:7.5の範囲にあることを特徴とする。いくつかの実施形態では、PKプロファイルは、投与によって、重水素化R,R-テトラベナジン、重水素化R,R,R-HTBZ及び重水素化S,R,R-HTBZの治療上有効な血漿濃度が提供され、重水素化R,R-テトラベナジンの定常状態血漿濃度の、重水素化R,R,R-HTBZ及びS,R,R-HTBZの組合せ定常状態血漿濃度に対する比は、約1:1~約1:7.5の範囲にあることを特徴とする。いくつかの実施形態では、投与によって、対象の血漿中に、検出可能な重水素化S,S-テトラベナジン、重水素化R,S,S-HTBZ、または重水素化S,S,S-HTBZは提供されない。いくつかの実施形態では、PKプロファイルは、重水素化R,R-テトラベナジンの血漿濃度が第1の期間中に上昇し、第1の期間の第1の時点で、最大濃度である約150pg/ml~約3500pg/mlに達し、第1の期間は、時間0(医薬組成物の投与時間)からその約24時間後までであることを特徴とする。いくつかの実施形態では、PKプロファイルは、重水素化R,R-テトラベナジンの平均終末相半減期が約8.5時間±40%CVであることを特徴とする。いくつかの実施形態では、PKプロファイルは、第1の期間の後、R,R-テトラベナジンの血漿濃度が、約24時間、約48時間、約72時間、約96時間、またはそれ以上などの持続期間、実質的に一定のままであることを、さらに特徴とする。いくつかの実施形態では、PKプロファイルは、投与によって、少なくとも6時間、または少なくとも12時間、好ましくは少なくとも24時間の持続期間、150pg/mlを超える(例えば、約150pg/ml~約3500pg/ml)重水素化R,R-テトラベナジンの実質的に一定の定常状態血漿濃度が提供されることを特徴とする。他の新規PKプロファイルが本明細書に記載されている。この方法に好適な医薬組成物、薬物送達デバイス、投与レジメン、及び対象には、本明細書に記載されているもののいずれかが含まれる。いくつかの実施形態では、投与は、初回通過代謝をバイパスし、例えば、実質的に一定の速度で、重水素化R,R-テトラベナジンを対象に送達する、例えば、持続的または実質的に持続的に送達する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、経皮投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載されている接着剤組成物のいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、投与は、対象の摂食状態に関係なく実施することができる。いくつかの実施形態では、対象は、小児及び青年期の患者(例えば、6歳から18歳)である。いくつかの実施形態では、投与は、対象の遺伝子型に関係なく実施することができ、例えば、対象は、高代謝者であり得る。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、ハンチントン病、ウィルソン病、トゥレット症候群、レストレスレッグス症候群、遅発性ジスキネジア、チック、運動障害性脳性麻痺/脳性麻痺、他のジストニア及びジスキネジア障害、ならびにそれらの組合せであり得る。本明細書に記載の実施形態のいずれにおいても、重水素化テトラベナジンは、R,R-デューテトラベナジンなどのデューテトラベナジン(duetetrabenazine)であり得る。
【0010】
本発明のいくつかの特定の実施形態は、テトラベナジンまたは重水素化テトラベナジンの、それを必要とする対象への経皮送達を目的とする。経皮医薬組成物及び経皮送達デバイスもまた、本開示の新規な態様である。
【0011】
いくつかの実施形態では、本発明は、テトラベナジン及び/または重水素化テトラベナジン(例えば、デューテトラベナジン)を含む経皮送達デバイスを提供する。種々の実施形態では、本発明はまた、テトラベナジン及び/または重水素化テトラベナジン(例えば、デューテトラベナジン)を含む医薬組成物(例えば、接着剤組成物)を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、テトラベナジン及び/または重水素化テトラベナジン(例えば、デューテトラベナジン)を含む経皮送達デバイスまたは医薬組成物を調製または使用する方法を、さらに提供する。
【0012】
典型的には、経皮送達デバイスは、バッキング層と、薬物層であって、テトラベナジン、重水素化テトラベナジン、またはそれらの組合せから選択される、例えば、薬物層の約2重量%~約30重量%の量の薬物を含む、薬物層と、活性表面積を画定する接着剤層と、を含む。経皮送達デバイスは、一般に、ある特定のフラックス特性、例えば、本明細書で定義されるもののいずれかを有するように設計されている。典型的には、経皮送達デバイスは、約5cm~約300cm、例えば、約10cm~約100cmの範囲の活性表面積を有することができる。
【0013】
本明細書の経皮送達デバイスは、特定のパッチ設計に限定されない。例えば、本明細書の経皮送達デバイスは、薬物含有接着剤パッチ(drug-in-adhesive)、薬物含有リザーバパッチ(drug-in-reservoir)、マイクロニードルパッチ、または化学的もしくは物理的増強様式を含有し得る別のパッチ設計であり得る。いくつかの実施形態では、経皮送達デバイスは、薬物含有接着剤パッチ、例えば、単層DIAパッチであり得る。いくつかの実施形態では、経皮送達デバイスは、2つ以上の薬物層、例えば、2つ以上の薬物含有接着剤層を含むことができる。いくつかの実施形態では、経皮送達デバイスは、薬物含有リザーバパッチであり得、例えば、薬物層は、テトラベナジン及び/または重水素化テトラベナジンを含むリザーバである。
【0014】
薬物層は、テトラベナジン、重水素化テトラベナジン、またはそれらの組合せを含むことができる。本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて、薬物層は、薬物含有接着剤層であり得る。本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて、薬物層は、テトラベナジン、例えば、実質的に純粋なR,R-テトラベナジンを含むことができる。いくつかの実施形態では、テトラベナジン(例えば、実質的に純粋なR,R-テトラベナジン)は、薬物層中の唯一の活性成分である。本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて、薬物層は、デューテトラベナジン、例えば、実質的に純粋なR,R-デューテトラベナジンを含むことができる。いくつかの実施形態では、デューテトラベナジン(例えば、実質的に純粋なR,R-デューテトラベナジン)は、薬物層中の唯一の活性成分である。いくつかの実施形態では、薬物層は、テトラベナジン、重水素化テトラベナジン、またはそれらの組合せを、薬物層の約2重量%~約30重量%(例えば、約2重量%、約2.5重量%、約5重量%、約8重量%、約10重量%、約15重量%、約18重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、または記載値間の任意の範囲)の量で含む。いくつかの特定の実施形態では、薬物層は、テトラベナジン、重水素化テトラベナジン、またはそれらの組合せを、薬物層の約2重量%、約2.5重量%、約5重量%、約8重量%、約10重量%、約15重量%、または約20重量%の量で含む。いくつかの実施形態では、薬物層は、例えば、皮膚透過促進剤、湿潤剤、可塑剤、抗酸化剤、抗刺激剤、ゲル形成剤、薬物放出調整剤、溶媒、結晶化阻害剤、及び追加の活性成分から選択される1つまたは複数の他の成分を任意に含むことができる。いくつかの実施形態では、薬物層は、被覆重量が約0.1g/cm~約0.90g/cm(例えば、約0.1g/cm~約0.5g/cm)の活性表面積を有することができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、薬物層は、接着剤(例えば、感圧接着剤)中に分散した(例えば、均質に分散した)テトラベナジン、重水素化テトラベナジン、またはそれらの組合せを含む。好適な感圧接着剤が本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、感圧接着剤は、ポリイソブチレン(PIB)接着剤、シリコーンポリマー接着剤(例えば、Bio-7-4202)、アクリレートコポリマー接着剤(例えば、DuroTak 87-2287)、またはそれらの組合せを含み得る。いくつかの実施形態では、感圧接着剤は、非反応性アクリレート接着剤、例えば、反応性水素部分を含む官能基を有していないアクリレート接着剤、またはエポキシ、-OH、-COOH、及びそれらの組合せから選択される官能基を有していないアクリレート接着剤であり得る。
【0016】
接着剤層を、典型的には、経皮送達デバイスが所望の期間、使用者の皮膚に接着することができるように処方する。例えば、いくつかの実施形態では、経皮送達デバイスは、約8時間、約12時間、約18時間、約24時間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、もしくは約7日、またはそれ以上の間、使用者の皮膚に持続的に接着することができる。
【0017】
本発明のある特定の実施形態はまた、接着剤組成物を目的とする。いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、接着剤中に、テトラベナジン、重水素化テトラベナジン(例えば、デューテトラベナジン)、及びそれらの組合せから選択される薬物を含む。いくつかの実施形態では、薬物は、接着剤(例えば、感圧接着剤)中に均質に分散している。いくつかの実施形態では、感圧接着剤は、非反応性アクリレート接着剤、例えば、反応性水素部分を含む官能基を有していないアクリレート接着剤、またはエポキシ、-OH、-COOH、及びそれらの組合せから選択される官能基を有していないアクリレート接着剤であり得る。いくつかの実施形態では、感圧接着剤は、ポリイソブチレン(PIB)接着剤、シリコーンポリマー接着剤、アクリレートコポリマー接着剤、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、接着剤組成物の約2重量%~約30重量%の量のテトラベナジン(例えば、実質的に純粋なR,R-テトラベナジン)を含む。いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、接着剤組成物の約2重量%~約30重量%の量のデューテトラベナジン(例えば、実質的に純粋なR,R-デューテトラベナジン)を含む。いくつかの実施形態では、活性成分は、約2重量%~約7重量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、透過促進剤を含まず、例えば、ミリスチン酸イソプロピルを含まない。しかし、いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、透過促進剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、抗酸化剤、例えば没食子酸プロピルなどの没食子酸抗酸化剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、ポリビニルピロリドンポリマー、架橋ポリビニルピロリドンポリマー、ポリビニルピロリドンコポリマー、セルロース系ポリマー、ポリカルボン酸ポリマー、ポリメタクリレート、ポリエチレングリコール、ポリビニルアセテート、及びポリビニルカプロラクタム系グラフトコポリマー(PVAc-PVCap-PEG)、またはそれらの組合せなどの結晶化阻害剤を含み得る。いくつかの好ましい実施形態では、接着剤組成物は、ブチルメタクリレートとメチルメタクリレートとのコポリマーである結晶化阻害剤を含む。いくつかの好ましい実施形態では、接着剤組成物は、ポリエチレングリコール、ポリビニルアセテート、及びポリビニルカプロラクタム系グラフトコポリマーである結晶化阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、約8時間、約12時間、約18時間、約24時間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、もしくは約7日、またはそれ以上から選択される長期間にわたって、使用者の皮膚に持続的に接着することができる。本明細書に記載の接着剤組成物は、経皮送達デバイスに使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、経皮送達デバイスは、本明細書に記載の接着剤組成物のいずれかと、バッキング層と、剥離ライナーと、を含み得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、本発明は、テトラベナジン、重水素化テトラベナジン、またはそれらの組合せを、それを必要とする対象(例えば、ヒト対象)に経皮投与する方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、経皮送達デバイスまたは医薬組成物(例えば、接着剤組成物)のいずれかを、対象、例えば対象の皮膚に適用することを含む。いくつかの実施形態では、投与によって、本明細書に記載されている所望の1日量のいずれか、及び/または本明細書に提供されているPKプロファイルのいずれか(該当する場合)が提供される。
【0019】
いくつかの実施形態では、本発明はまた、VMAT-2の阻害を必要とする対象におけるVMAT-2を阻害する方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、経皮送達デバイスまたは医薬組成物(例えば、接着剤組成物)のいずれかを、対象、例えば対象の皮膚に適用することを含む。いくつかの実施形態では、適用によって、本明細書に記載されている所望の1日量のいずれか、及び/または本明細書に提供されているPKプロファイルのいずれか(該当する場合)が提供される。
【0020】
いくつかの実施形態では、本発明はまた、小胞モノアミン輸送体アイソフォーム2(VMAT2)媒介性疾患または障害の処置を必要とする対象(例えば、ヒト対象)における、小胞モノアミン輸送体アイソフォーム2(VMAT2)媒介性疾患または障害を処置する方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、経皮送達デバイスまたは医薬組成物(例えば、接着剤組成物)のいずれかを、対象、例えば対象の皮膚に適用することを含む。いくつかの実施形態では、適用によって、本明細書に記載されている所望の1日量のいずれか、及び/または本明細書に提供されているPKプロファイルのいずれか(該当する場合)が提供される。
【0021】
いくつかの実施形態では、本開示は、多動性運動障害の処置を必要とする対象(例えば、ヒト対象)における多動性運動障害を処置する方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、治療有効量のテトラベナジン及び/または重水素化テトラベナジンを対象に経皮投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、経皮送達デバイスまたは医薬組成物(例えば、接着剤組成物)のいずれかを、対象、例えば対象の皮膚に適用することを含む。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、慢性多動性運動障害である。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、ハンチントン病に関連する舞踏病、ウィルソン病、トゥレット症候群、レストレスレッグス症候群、遅発性ジスキネジア、及び/またはチックである。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、ハンチントン病に関連する舞踏病である。いくつかの実施形態では、適用によって、本明細書に記載されている所望の1日量のいずれか、及び/または本明細書に提供されているPKプロファイルのいずれか(該当する場合)が提供される。
【0022】
いくつかの実施形態では、本開示はまた、多動性運動障害を処置するための医薬組成物を同定する方法を提供する。いくつかの実施形態では、この方法は、初回通過代謝をバイパスし、R,R-テトラベナジンを対象に持続的または実質的に持続的に送達する試験医薬組成物を対象に投与すること、及び本明細書に記載のPKプロファイルのいずれかを提供する医薬組成物を同定することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、多動性運動障害を処置するための経皮送達に好適な医薬組成物を同定するためのものである。いくつかの実施形態では、この方法は、ヒトの死体皮膚を使用してインビトロで試験接着剤組成物の皮膚フラックス特性を測定すること、及び本明細書に記載のインビトロフラックス特性のいずれかを提供する接着剤組成物を同定することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】異なる濃度(10%、15%、5%、及び2.5%)でテトラベナジンを含むDuro-Tak 87-2287接着剤のモノリシックマトリックスからヒト(黒人)の死体表皮を通るテトラベナジンのインビトロフラックスを示すグラフを提示する。
図2】5:95、10:90、25:75、及び50:50(Duro-Tak 87-2287対BIO-7-4202)を含むさまざまな比率のDuro-Tak 87-2287接着剤とBIO-7-4202との混合物のモノリシックマトリックスからヒトの死体表皮を通るテトラベナジンのインビトロフラックスを示すグラフを提示する。この図のすべてのマトリックスには、10%のテトラベナジンが含まれる。
図3】DuroTak 87-900Aを使用して調製されたパッチ製剤からヒトの死体表皮を通るテトラベナジンのインビトロフラックスを示すグラフを提示する。
図4-1】Aは、平均血漿濃度対時間プロットを示すグラフを提示する。このグラフには、組合せテトラベナジン(R,R-異性体、及びS,S-異性体を組み合わせた)濃度を使用した。Bは、R,R,R-HTBZの平均血漿濃度対時間プロットを示すグラフを提示する。
図4-2】Cは、S,R,R-HTBZの平均血漿濃度対時間プロットを示すグラフを提示する。Dは、総テトラベナジン(テトラベナジン、R,R,R-HTBZ、及びS,R,R-HTBZを含む)の平均血漿濃度対時間プロットを示すグラフを提示する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
Xenazine(登録商標)及びAustedo(商標)のFDA承認ラベルには、それぞれ、うつ病及び自殺傾向の潜在的なリスクに対するブラックボックス警告が含まれている。どちらの製品でも、実際の投与を監視して用量設定する必要がある。例えば、Xenazine(登録商標)ラベルは、1日あたり50mgを超える用量を必要とする患者の場合、患者が薬物代謝酵素CYP2D6について遺伝子型特定されて、低代謝者(PM)であるか高代謝者(EM)であるかを判断される必要があることを示している。低代謝者の場合、最大1日用量は、50mgだけであり、最大単回投与は25mgである。高代謝者または中間代謝者の場合、最大1日用量は100mgであり、最大単回投与は37.5mgである。同様に、Austedo(商標)ラベルにも、低代謝者の場合、最大1日用量は、2回の18mgの単回投与で、36mgだけが可能であると記載されている。
【0025】
最近の進歩にもかかわらず、テトラベナジン/デューテトラベナジンの投薬は依然として合併症を伴い、潜在的な用量関連の副作用を減らすための用量設定が行われる。したがって、新規のテトラベナジン製剤及び投与選択肢が必要である。
【0026】
種々の実施形態では、本発明は、例えば、持続的または実質的に持続的な手法で、初回通過代謝をバイパスし、対象へテトラベナジン及び/または重水素化テトラベナジンを送達することに関連するような医薬組成物、薬物送達デバイス、調製方法、及び、そのようなものの使用方法を目的とする。例えば、本発明のいくつかの実施形態は、テトラベナジン及び/または重水素化テトラベナジンの経皮送達を目的とする。本開示のいくつかの実施形態は、テトラベナジン及び/または重水素化テトラベナジンの静脈内、皮下、筋肉内、またはデポーを介した送達、例えば、実質的に一定の速度での持続送達などを目的とする。
【0027】
テトラベナジンの持続送達
本開示のいくつかの実施形態は、初回通過代謝をバイパスする、テトラベナジンの持続的または実質的に持続的な送達、経皮送達から得られる固有の薬物動態(PK)プロファイルに基づく。本明細書に詳述されるように、8mg/96時間の用量でのR,R-テトラベナジンの経皮送達は、健康な男性対象において、1日目から4日目までの絶食条件下で投与されたTBZ錠剤の1日3回投与(総投与量150mg)と比較して、SS異性体への相互変換を伴わずに、低用量で活性HTBZ異性体への代謝の程度が少ない、はるかに高い濃度のR,R-テトラベナジンが提供される。このデータは、経皮送達などの持続的または実質的な持続的送達方法によって、例えば、本明細書の多動性運動障害を処置するための治療有効血漿濃度のR,R-テトラベナジン、及びそのジヒドロ代謝産物、R,R,R-HTBZ及びS,R,R-HTBZを提供することができることを最初に示している。テトラベナジンのR,R-異性体として、R,R,R-HTBZ及びS,R,R-HTBZは、ドーパミンD1またはD2受容体などに対するオフターゲット結合が低いと考えられており、テトラベナジンのR,R-異性体を主要な活性成分として使用すると、Xenazine(登録商標)の活性成分であるテトラベナジンのラセミ混合物を使用する場合と比較して、副作用が少なくなる。さらに、PKデータは、本明細書の持続的送達方法により、テトラベナジンの用量当量経口送達と比較して、Cmaxが低下し、ピーク対トラフ比が低下した、R,R-テトラベナジン及びその活性ジヒドロ代謝産物の比較的安定な血漿濃度を提供することができ、したがって、多動性運動障害を有する対象を処置するのに有利であり得ることを示している。
【0028】
本明細書で例示されるPKデータは、経皮送達デバイスを使用することによって生成されるが、本開示は、経皮送達に限定されない。むしろ、本明細書に記載の方法のいずれかについて、本発明者らは、処置を必要とする対象に、本明細書に記載のPKプロファイルを生成する任意のテトラベナジン製剤または送達デバイスを投与することを具体的に企図する。本明細書に記載のPKプロファイルは、本開示の1つの新規な態様である。いくつかの実施形態では、PKプロファイルは、本明細書の経皮送達デバイスを適用することによって達成することができる。いくつかの実施形態では、PKプロファイルは、初回通過代謝をバイパスする任意の持続的または実質的に持続的な送達手段、例えば、経皮送達、持続的静脈内送達、皮下送達、筋肉内送達により、またはデポーを介して達成することができる。これらの送達方法は、テトラベナジンを、所望の速度で、例えば、約0.1mg/日~約20mg/日のR,R-テトラベナジンの速度で全身的に送達するようにそれぞれが調整することができるという共通の特徴を共有する。いくつかの実施形態では、テトラベナジンの送達は、薬物送達期間中、例えば、パッチオン期間中、実質的に一定の速度であり得、対象へのテトラベナジンの送達は、ゼロ次速度論に類似している。例えば、いくつかの実施形態では、所望の送達速度は、約12mg/日のR,R-テトラベナジンであり得、所望の薬物送達期間は、24時間であり、したがって、1時間あたり処置される対象に送達されるR,R-テトラベナジンの量は、約0.5mg/時間であり得る。例えば、「実質的に持続的な送達」との関連で使用される「実質的に持続的な」とは、事前に選択された薬物送達の期間にわたって実質的に中断されない様式での薬物(例えば、テトラベナジン)の送達を指すことを意味する。さらに、「実質的に持続的な」薬物送達はまた、実質的に一定の、事前に選択された速度または速度の範囲(例えば、単位時間あたりの薬物の量、または単位時間の薬物製剤の量)で、事前に選択された薬物送達期間の期間にわたって実質的に中断されない薬物の送達を含み得る。本明細書における薬物送達期間は、例えば、約8時間~約192時間で、例えば、約8時間、約12時間、約24時間、約36時間、約48時間、約72時間、約96時間、約120時間、約144時間、約168時間、約192時間、または記載値間の任意の範囲で変えることができる。明確にするために、持続的または実質的に持続的な送達という表現は、活性成分/薬物が処置を介して持続的に対象に送達されることを必要としない。この表現は、ボーラス送達とは対照的に、薬物送達の期間中に、薬物が持続的または実質的に持続的に送達されることのみを必要とする。例えば、医薬組成物が1日1回投与される場合、2回の投与の間に、処置される対象に薬物が送達されない期間が存在することが許容される。
【0029】
典型的には、R,R-テトラベナジンは、本明細書に記載の多動性運動障害を処置するのに治療的に有効な用量で、それを必要とする対象に送達される。いくつかの実施形態では、本明細書の方法は、本明細書の多動性運動障害の治療を必要とする対象に、約0.1mg/日~約20mg/日のR,R-テトラベナジン、例えば、約0.1mg/日、約0.5mg/日、約1mg/日、約2mg/日、約3mg/日、約4mg/日、約5mg/日、約6mg/日、約7mg/日、約8mg/日、約10mg/日、約12mg/日、約14mg/日、約16mg/日、約18mg/日、もしくは約20mg/日のR,R-テトラベナジン、または記載値間の任意の範囲、例えば、約0.5mg/日~約10mg/日のR,R-テトラベナジン、約0.5mg/日~約8mg/日のR,R-テトラベナジン、約0.5mg/日~約6mg/日のR,R-テトラベナジン、約0.5mg/日~約4mg/日のR,R-テトラベナジン、約1mg/日~約10mg/日のR,R-テトラベナジン、約1mg/日~約8mg/日のR,R-テトラベナジン、約1mg/日~約6mg/日のR,R-テトラベナジン、約1mg/日~約4mg/日のR,R-テトラベナジン、約2mg/日~約10mg/日のR,R-テトラベナジン、約2mg/日~約8mg/日のR,R-テトラベナジン、約2mg/日~約6mg/日のR,R-テトラベナジン、約2mg/日~約4mg/日のR,R-テトラベナジン、約4mg/日~約10mg/日のR,R-テトラベナジン、約4mg/日~約8mg/日のR,R-テトラベナジン、約4mg/日~約6mg/日のR,R-テトラベナジン、約6mg/日~約10mg/日のR,R-テトラベナジン、もしくは約6mg/日~約8mg/日のR,R-テトラベナジンを送達する。いくつかの好ましい実施形態では、この方法は、約0.5mg/日~約8mg/日のR,R-テトラベナジンまたは約2mg/日~約6mg/日のR,R-テトラベナジンを送達する。本明細書で使用される場合、R,R-テトラベナジンという用語は、R,R-テトラベナジン塩基、それらの薬学的に許容される塩、またはそれらの組合せを包含すると理解されるべきである。典型的には、本明細書に記載の接着剤組成物などの経皮組成物の場合、R,R-テトラベナジンは、主にその遊離塩基形態で存在することができる。例えば、本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて、R,R-テトラベナジンを含む接着剤組成物または薬物含有接着剤組成物は、R,R-テトラベナジン遊離塩基を、記載量の接着剤、抗酸化剤、結晶化阻害剤などの他の成分と混合することから調製することができる。本明細書における対象へのR,R-テトラベナジンの送達は、対象に送達されたR,R-テトラベナジンの量、例えば、対象の皮膚を透過した量として理解されるべきであり、量はR,R-テトラベナジン塩基の当量として表され、任意の形態であり得る。テトラベナジン、重水素化テトラベナジン、重水素化R,R-テトラベナジン、デューテトラベナジン、R,R-デューテトラベナジンなどの他の用語、対象へのそのようなものの送達も同様に理解されるべきである。
【0030】
いくつかの実施形態では、R,R-テトラベナジンは、医薬組成物または送達デバイス、例えば、実質的に一定の速度で本明細書に記載の用量で対象に送達するように構成され得る持続送達デバイスに含めることができる。例えば、いくつかの実施形態では、R,R-テトラベナジンの1日量は、約0.5mg/日~約10mg/日であり得、持続送達デバイスは、それを必要とする対象に1日1回適用することができ、R,R-テトラベナジンを、事前に選択された時間にわたって、例えば、12時間、または24時間で、持続的または実質的に持続的に対象に送達することができ、事前に選択された時間中のR,R-テトラベナジンの送達速度は実質的に同じであり得る。本明細書に記載の方法の場合、R,R-テトラベナジンを含む医薬組成物または送達デバイスは、特に限定されず、R,R-テトラベナジンを所望の用量で所望の速度で送達するのに好適なもののいずれかであり得る。
【0031】
例示的な実施形態の多くは、多動性運動障害の処置を必要とする対象における多動性運動障害を処置する方法を目的とするものとして説明されているが、本開示は、そのような処置方法に限定されない。本明細書に記載のR,R-テトラベナジン及び/または重水素化R,R-テトラベナジンの送達方法のいずれも、VMAT-2阻害を必要とする対象におけるVMAT-2を阻害する方法、多動性運動障害の処置を必要とする対象(例えば、ヒト対象)における多動性運動障害を処置する方法、及び/または小胞モノアミン輸送体アイソフォーム2(VMAT2)媒介性疾患または障害の処置を必要とする対象(例えば、ヒト対象)における小胞モノアミン輸送体アイソフォーム2(VMAT2)媒介性疾患または障害を処置する方法、に使用することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、本開示は、多動性運動障害の処置を必要とする対象における多動性運動障害を処置する方法であって、R,R-テトラベナジンを含む活性成分を含む医薬組成物を対象に投与することを含み、投与は初回通過代謝をバイパスし、持続的または実質的に持続的に、約0.1mg/日~約20mg/日のR,R-テトラベナジン、例えば、約0.5mg/日~約10mg/日のR,R-テトラベナジン、約0.5mg/日~約8mg/日のR,R-テトラベナジン、約0.5mg/日~約6mg/日のR,R-テトラベナジン、約0.5mg/日~約4mg/日のR,R-テトラベナジン、約1mg/日~約10mg/日のR,R-テトラベナジン、約1mg/日~約8mg/日のR,R-テトラベナジン、約1mg/日~約6mg/日のR,R-テトラベナジン、約1mg/日~約4mg/日のR,R-テトラベナジン、約2mg/日~約10mg/日のR,R-テトラベナジン、約2mg/日~約8mg/日のR,R-テトラベナジン、約2mg/日~約6mg/日のR,R-テトラベナジン、約2mg/日~約4mg/日のR,R-テトラベナジン、約4mg/日~約10mg/日のR,R-テトラベナジン、約4mg/日~約8mg/日のR,R-テトラベナジン、約4mg/日~約6mg/日のR,R-テトラベナジン、約6mg/日~約10mg/日のR,R-テトラベナジン、もしくは約6mg/日~約8mg/日のR,R-テトラベナジンを、対象に送達する。いくつかの好ましい実施形態では、この方法は、約0.5mg/日~約8mg/日のR,R-テトラベナジンまたは約2mg/日~約6mg/日のR,R-テトラベナジンを送達する。本明細書における薬物送達の期間は、例えば、約8時間~約72時間、または72時間を超えるまで変化し得る。医薬組成物は、任意の頻度で必要な限り、対象に投与することができる。例えば、いくつかの実施形態では、各投与は、約8時間、約12時間、約24時間、約36時間、約48時間、約72時間、約96時間、約120時間、約144時間、約168時間、約192時間、または記載値間の任意の範囲で、R,R-テトラベナジンの持続的または実質的に持続的な送達を対象に提供することができる。いくつかの実施形態では、持続的または実質的に持続的な送達の期間中、R,R-テトラベナジンは、実質的に一定の速度で、例えば、各時間の平均送達速度が実質的に同じで、例えば薬物送達期間の全体の平均速度の80~125%以内で、対象に送達され得る。いくつかの実施形態では、持続的または実質的に持続的な送達の期間中、R,R-テトラベナジンは、例えば、各時間について異なる平均送達速度で、対象に送達され得る。例えば、いくつかの実施形態では、平均送達速度は、最初は高くてもよいが、その後、持続的または実質的に持続的な送達の過程で低下する。典型的には、毎時のR,R-テトラベナジンの正確な送達速度は重要ではなく、本開示を検討した後の当業者は、対象に所望の1日量、例えば、約0.5mg/日~約10mg/日のR,R-テトラベナジン、約0.5mg/日~約8mg/日のR,R-テトラベナジン、または約2mg/日~約6mg/日のR,R-テトラベナジンを送達するための投与レジメンを選択及び設計する方法を知っているであろう。いくつかの実施形態では、対象への所望の1日量の送達はまた、本明細書に記載されるような薬物動態プロファイルを提供する。
【0033】
いくつかの実施形態では、本開示は、多動性運動障害の処置を必要とする対象における多動性運動障害を処置する方法であって、R,R-テトラベナジンを含む活性成分を含む医薬組成物を対象に投与することを含み、投与によって、約0.1mg/日~約20mg/日のR,R-テトラベナジン、例えば、約0.5mg/日~約10mg/日のR,R-テトラベナジン、約0.5mg/日~約8mg/日のR,R-テトラベナジン、約0.5mg/日~約6mg/日のR,R-テトラベナジン、約0.5mg/日~約4mg/日のR,R-テトラベナジン、約1mg/日~約10mg/日のR,R-テトラベナジン、約1mg/日~約8mg/日のR,R-テトラベナジン、約1mg/日~約6mg/日のR,R-テトラベナジン、約1mg/日~約4mg/日のR,R-テトラベナジン、約2mg/日~約10mg/日のR,R-テトラベナジン、約2mg/日~約8mg/日のR,R-テトラベナジン、約2mg/日~約6mg/日のR,R-テトラベナジン、約2mg/日~約4mg/日のR,R-テトラベナジン、約4mg/日~約10mg/日のR,R-テトラベナジン、約4mg/日~約8mg/日のR,R-テトラベナジン、約4mg/日~約6mg/日のR,R-テトラベナジン、約6mg/日~約10mg/日のR,R-テトラベナジン、もしくは約6mg/日~約8mg/日のR,R-テトラベナジンを、対象に経皮送達する。いくつかの好ましい実施形態では、この方法は、約0.5mg/日~約8mg/日のR,R-テトラベナジンまたは約2mg/日~約6mg/日のR,R-テトラベナジンを送達する。いくつかの実施形態では、投与は、医薬組成物を対象の皮膚に適用することを含む。皮膚の正確な位置は重要ではないが、典型的には、医薬組成物を、皮膚の無傷の領域、例えば、対象の外腕に適用する。本明細書における薬物送達の期間は、例えば、約8時間~約72時間、または72時間を超えるまで変化し得る。いくつかの実施形態では、医薬組成物を対象の皮膚に適用して、R,R-テトラベナジンを、約8時間、約12時間、約24時間、約36時間、約48時間、約72時間、約96時間、約120時間、約144時間、約168時間、約192時間、または記載値間の任意の範囲で、対象に持続的または実質的に持続的に送達する。本明細書の方法のための対象への医薬組成物の適用の頻度は、例えば、1日1回、1日超に1回、または週に1回など、変化し得る。いくつかの実施形態では、各適用について、医薬組成物を対象の皮膚に適用して、約8時間、約12時間、約24時間、約36時間、約48時間、約72時間、約96時間、約120時間、約144時間、約168時間、約192時間、または記載値間の任意の範囲で、対象の皮膚に持続的または実質的に持続的に接着することができ、これにより、パッチオン期間中に対象にR,R-テトラベナジンを持続的または実質的に持続的に送達することができる。いくつかの実施形態では、本明細書の投与頻度による経皮パッチの適用の間に遅延時間はない。例えば、いくつかの実施形態では、経皮送達デバイスを、対象に1日1回適用し、経皮送達デバイスの各適用は、典型的には、実質的に同じである別の経皮送達デバイスと交換される前に、約24時間継続する(対象の皮膚に接着する)ことができる。しかし、いくつかの実施形態では、2つの適用の間に重複または遅れがあり得る。
【0034】
典型的には、経皮送達の場合、医薬組成物は、接着剤(好ましくは感圧接着剤)中に分散された活性成分を含む、例えば、経皮送達デバイス(例えば、本明細書に記載)における接着剤組成物を含むことができる。いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、約0.1mg/日~約20mg/日のR,R-テトラベナジン(例えば、本明細書に記載の例示された範囲のいずれか)を、適用後最長24時間、適用後最長48時間、適用後最長96時間、または適用後最長1週間、実質的に一定の速度で送達するように対象に適用される。好適な接着剤組成物には、本明細書に記載されるもののいずれか、例えば、テトラベナジンに適用可能な例示的な実施形態1~18に記載されるもののいずれか、または実施例のセクションに示される特定の組成物のいずれか(例えば、実施例4A)が含まれる。いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、非反応性アクリレート感圧接着剤に分散した活性成分を含む。活性成分は、約1重量%~約20重量%の量で、例として約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約10重量%、約15重量%、または約20重量%、または記載値間の任意の範囲、例えば、約1重量%~約15重量%、約2重量%~約15重量%、約2重量%~約10重量%、約2重量%~約7重量%、約3重量%~約15重量%、約3重量%~約10重量%、約3重量%~約7重量%、約5重量%~約15重量%、約5重量%~約10重量%、約5重量%~約7重量%、約7重量%~約15重量%、約7重量%~約10重量%、約10重量%~約20重量%、約10重量%~約15重量%などの量で存在することができる。いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、唯一の活性成分としてテトラベナジンの実質的に純粋なR,R-異性体を含む。いくつかの実施形態では、テトラベナジンの実質的に純粋なR,R-異性体は、遊離塩基形態である。好適な接着剤には、本明細書に記載の感圧接着剤のいずれかなど、本明細書に記載の接着剤のいずれかが含まれる。いくつかの実施形態では、接着剤は、Duro-Tak 87-900Aなどの本明細書に記載されているか、または例示的な実施形態2~7に記載されている非反応性アクリレート感圧接着剤であり得る。接着剤は、典型的には、約50重量%~約97重量%、例えば、約50重量%、約60重量%、約70重量%、約80重量%、約90重量%、約95重量%、もしくは約97重量%の量または記載値間の任意の範囲、例えば、約50重量%~約95重量%、約50重量%~約90重量%、約50重量%~約80重量%、約50重量%~約70重量%、約50重量%~約60重量%、約60重量%~約97重量%、約60重量%~約95重量%、約60重量%~約90重量%、約60重量%~約80重量%、約60重量%~約70重量%、約70重量%~約97重量%、約70重量%~約95重量%、約70重量%~約90重量%、約70重量%~約80重量%、約80重量%~約97重量%、約80重量%~約95重量%、約80重量%~約90重量%などの量で存在する。いくつかの特定の実施形態では、活性成分は、約2重量%~約7重量%の量であり、非反応性アクリレート感圧接着剤は、約50重量%~約97重量%の量である。接着剤組成物はまた、任意選択で、抗酸化剤、結晶化阻害剤、可塑剤、及び/または透過促進剤などの他の成分を含むことができる。いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、抗酸化剤、例として没食子酸抗酸化剤、例えば没食子酸プロピルを含む。抗酸化剤の量は、典型的には、約0重量%~約1重量%の量で、例えば、約0.001重量%、約0.01重量%、約0.1重量%、約0.5重量%、約1重量%、もしくは記載値間の任意の範囲、例えば、約0.001重量%~約0.5重量%、約0.01重量%~約0.5重量%などの量で含まれる。いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、結晶化阻害剤、例えば、周囲温度で2週間の常温保存後の薬物結晶(R,R-テトラベナジンなどの接着剤組成物の活性成分の結晶)の形成を防止する手段を含む。いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、ポリビニルピロリドンポリマー(例えば、Kollidon K30またはK90F(BASFによって製造された)、Plasdone K20/32またはPlasdoneK90(Ashland Chemicalによって製造された))、架橋ポリビニルピロリドンポリマー(例えば、Kollidon CL)、ポリビニルピロリドンコポリマー(例えば、Plasdone S-630Copovidone (Asland))、セルロース系ポリマー(例えば、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース)、ポリカルボン酸ポリマー(例えば、Cabopol(Lubrizolによって製造された))、ポリメタクリレート(例えば、Plastoid B、Eudragit E100、Eudragit L100-55 (Evonikによって製造された))、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル、及びポリビニルカプロラクタム系グラフトコポリマー(PVAc-PVCap-PEG)(例えば、Soluplus(BASF)、ならびにそれらの組合せ、から選択される結晶化阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、ポリメタクリレート(例えば、Plastoid B(ブチルメタクリレートとメチルメタクリレートとのコポリマー)、Eudragit E100、Eudragit L100-55(Evonikにより製造された))、ポリエチレングリコール、ポリビニルアセテート、及びポリビニルカプロラクタム系グラフトコポリマー(PVAc-PVCap-PEG)(例えば、Soluplus(BASF)、ならびにそれらの組合せ、から選択される結晶化阻害剤を含む。結晶化阻害剤は、典型的には、約0~約40重量%、例えば、約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約30重量%、約40重量%、もしくは記載値間の任意の範囲の量で、例えば、約10重量%~約40重量%、約10重量%~約30重量%、約10重量%~約20重量%、15重量%~約40重量%、約15重量%~約30重量%、約15重量%~約20重量%、20重量%~約40重量%、約20重量%~約30重量%などの量で存在することができる。いくつかの実施形態では、接着剤組成物はまた、ミリスチン酸イソプロピルなどの、本明細書に記載されるような皮膚透過促進剤を含み得る。いくつかの実施形態では、接着剤組成物はまた、本明細書に記載されるような皮膚透過促進剤を含まなくてもよく、例えば、いくつかの実施形態では、接着剤組成物はまた、ミリスチン酸イソプロピルを含まなくてもよい。好適な薬物負荷、活性表面積、厚さ、接着特性などには、本明細書に記載されているもののいずれかが任意の組合せで含まれる。
【0035】
いくつかの実施形態では、本開示は、多動性運動障害の処置を必要とする対象における多動性運動障害を処置する方法であって、R,R-テトラベナジンを含む活性成分を含む医薬組成物を対象に投与することを含み、投与は、静脈内注射(即時放出のためのボーラス注射のみを含まない)、皮下注射、または筋肉内注射などの注射または注入を介して行われ、投与によって、約0.1mg/日~約20mg/日のR,R-テトラベナジン、例えば、約0.5mg/日~約10mg/日のR,R-テトラベナジン、約0.5mg/日~約8mg/日のR,R-テトラベナジン、約0.5mg/日~約6mg/日のR,R-テトラベナジン、約0.5mg/日~約4mg/日のR,R-テトラベナジン、約1mg/日~約10mg/日のR,R-テトラベナジン、約1mg/日~約8mg/日のR,R-テトラベナジン、約1mg/日~約6mg/日のR,R-テトラベナジン、約1mg/日~約4mg/日のR,R-テトラベナジン、約2mg/日~約10mg/日のR,R-テトラベナジン、約2mg/日~約8mg/日のR,R-テトラベナジン、約2mg/日~約6mg/日のR,R-テトラベナジン、約2mg/日~約4mg/日のR,R-テトラベナジン、約4mg/日~約10mg/日のR,R-テトラベナジン、約4mg/日~約8mg/日のR,R-テトラベナジン、約4mg/日~約6mg/日のR,R-テトラベナジン、約6mg/日~約10mg/日のR,R-テトラベナジン、もしくは約6mg/日~約8mg/日のR,R-テトラベナジンを、対象に経皮送達する。いくつかの好ましい実施形態では、この方法は、約0.5mg/日~約8mg/日のR,R-テトラベナジンまたは約2mg/日~約6mg/日のR,R-テトラベナジンを送達する。いくつかの実施形態では、投与は、対象への医薬組成物の持続的または実質的に持続的な静脈内注射または注入を含む。薬物送達の期間は、例えば、約8時間~約72時間、または72時間を超えるまで変化し得る。例えば、いくつかの実施形態では、医薬組成物を対象に静脈内注射または注入して、R,R-テトラベナジンを、約8時間、約12時間、約24時間、約36時間、約48時間、約72時間、約96時間、約120時間、約144時間、約168時間、約192時間、または記載値間の任意の範囲で、対象に持続的または実質的に持続的に送達する。そのような静脈内注射または注入の速度は、例えば、ポンプによって制御され、注入期間などの薬物送達期間の間、実質的に一定の速度でR,R-テトラベナジンを対象に送達するように調整され得る。いくつかの実施形態では、投与は、対象への医薬組成物の皮下または筋肉内注射を含む。典型的には、皮下または筋肉内注射の場合、医薬組成物は、事前に選択された期間、例えば、約8時間~約72時間のまたは72時間を超える全身吸収のために、R,R-テトラベナジンを対象に放出するように処方される。例えば、いくつかの実施形態では、皮下または筋肉内医薬組成物は、R,R-テトラベナジンを、約8時間、約12時間、約24時間、約36時間、約48時間、約72時間、約96時間、約120時間、約144時間、約168時間、約192時間、または記載値間の任意の範囲で、全身吸収のために、対象に持続的または実質的に持続的に放出するために、インプラントなどの薬物送達デバイスに処方されるかまたは含まれる。好適なインプラントには、生分解性及び非生分解性インプラントを含む受動的ポリマーインプラント、または透過圧勾配及び電気機械的駆動などの能動的インプラントなどの、医薬剤の皮下または筋肉内送達のための当技術分野で知られているもののいずれかが含まれる。皮下送達用のインプラントを処方する非限定的な例には、米国特許第8,921,387号(ブプレノルフィン)、6,835,194号(フェンタニル)などに記載されているものが含まれる。Stewart S. A., et al. “Implantable polymeric drug delivery devices, classification, manufacture, materials, and clinical applications,” Polymers, 10:1379 (2018)も参照のこと。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、ミクロスフェアなどの長時間作用型注射用製剤として処方され、これは、事前に選択された期間にわたって、例えば、約8時間~約72時間のまたは72時間を超える全身吸収のために、R,R-テトラベナジンを対象に放出するように構成され得る。いくつかの実施形態では、長時間作用型注射用製剤は、本明細書に記載されるように、所望の1日量を送達するために、予め選択された期間にわたって実質的に一定の速度で全身吸収のために、R,R-テトラベナジンを対象に放出するように構成され得る。
【0036】
本明細書の処置方法に列挙されている多動性運動障害には、テトラベナジンまたはデューテトラベナジンによって治療可能であることが知られているもののいずれか、例えば、米国FDAを含む規制当局によって承認された適応症のいずれか、または臨床調査中のもののいずれかが含まれる。非限定的な例としては、ハンチントン病、ウィルソン病、トゥレット症候群、レストレスレッグス症候群、遅発性ジスキネジア、チック、運動障害性脳性麻痺/脳性麻痺、他のジストニア及びジスキネジア障害、ならびにそれらの組合せが挙げられる。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、ハンチントン病、例としてハンチントン病に関連する舞踏病であり得る。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、ウィルソン病であり得る。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、トゥレット症候群であり得る。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、レストレスレッグス症候群であり得る。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、遅発性ジスキネジアであり得る。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、チックであり得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、運動障害性脳性麻痺であり得る。脳性麻痺(「CP」)は、乳児期または幼児期に現れ、体の動きと筋肉の協調に永続的に影響を与える一群の神経障害を指す。CPは、発達中の脳内の損傷または異常によって引き起こされ、動きを制御し、姿勢及びバランスを維持する脳の能力を破壊する。CPの兆候は通常、生後数ヶ月で現れるが、特定の診断は2歳以上になるまで遅延することがある。現在、脳性麻痺におけるジスキネジア(DCP)に利用できる承認された処置法は存在しない。利用可能な処置選択肢は、DCPの症状のいくつかに対処する。Tevaは現在、デューテトラベナジンを使用した第III相臨床試験を実施している。Tevaによると、研究対象集団には、乳児期(2歳以下)から非進行性CP症状を有している、主要な脈絡膜運動障害を伴うDCPの小児及び青年期の患者(6~18歳)が含まれる。本発明者らは、本明細書の方法及び組成物が、運動障害性脳性麻痺の代替及び/または優れた処置選択肢を提供できると考えている。
【0038】
いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、ジストニアまたはジスキネジア障害である。例えば、Thengnatt M.A. and Jankovic J. neurotherapeutics, 11(1):139-152 (2014)におけるジストニアの処置のレビューを参照のこと。
【0039】
本明細書の処置方法は、特定のタイプの対象に限定されない。例えば、本明細書の方法は、対象の摂食状態に関係なく対象に投与することができる。言い換えれば、対象の摂食状態及び絶食状態は、本明細書の方法にとって重要ではない。いくつかの実施形態では、対象は、小児及び青年期の患者(例えば、6歳~18歳)である。また、いくつかの実施形態では、この方法は、特定の遺伝子型の対象に限定されない。いくつかの実施形態では、同じ用量または実質的に同じ用量のR,R-テトラベナジンを、PM、IM、またはEMとして特徴付けられる対象に投与することができる。いくつかの実施形態では、対象はEMとして特徴付けられる。いくつかの実施形態では、対象はPMとして特徴付けられる。いくつかの実施形態では、対象はIMとして特徴付けられる。いくつかの実施形態では、この方法は、Xenazine(登録商標)及びAustedo(商標)錠剤のいずれかで治療される場合に必要とされる用量設定及び/または遺伝子型分析を必要としない。いくつかの実施形態では、本明細書の方法のいずれかは、本明細書の疾患または障害のいずれかを有する小児及び青年期の患者(例えば、6~18歳)を処置するために適合させることができる。本明細書で論じられるように、用量及び/または血漿曝露の範囲は、成人患者ならびに小児及び青年期の患者に好適であり得る。しかし、当業者によって理解されるように、小児及び青年期の患者のための所望の用量及び/または血漿曝露は、対象の年齢及び体重を考慮して、典型的にはより低い用量または曝露に調整することができる。理論に拘束されることを望むものではないが、本明細書におけるR,R-テトラベナジンの簡便かつ制御された送達により、いくつかの実施形態では、現在利用可能な治療よりも優れた安全性及び処置選択肢を提供することができる。
【0040】
本明細書の処置方法の投与レジメンは、R,R-テトラベナジンの所望の用量が、本明細書に記載されるもののいずれかを含む、所望の速度で所望の期間に対象に送達される限り、特に限定されない。例えば、いくつかの実施形態では、医薬組成物は、対象に1日1回投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1日超に1回、例えば、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、1週間に1回、または1週間超に1回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、各投与により、約8時間、約12時間、約24時間、約36時間、約48時間、約72時間、約96時間、約120時間、約144時間、約168時間、約192時間、または記載値間の任意の範囲で、R,R-テトラベナジンの持続的または実質的に持続的な送達を対象に提供する。いくつかの実施形態では、2つの連続する投与の間に遅延時間がないか、または実質的になく、したがってR,R-テトラベナジンを、本明細書の投与レジメンに従って対象に送達し続けることができる。いくつかの実施形態では、2つの連続する投与の間に重複または遅延時間があり得る。
【0041】
テトラベナジンの持続送達の薬物動態
本開示のいくつかの実施形態はまた、多動性運動障害の処置を必要とする対象における多動性運動障害を処置する方法であって、治療有効量のR,R-テトラベナジンを対象に送達することを含み、送達によって、対象の血漿におけるある特定の新規の薬物動態プロファイルが提供される、方法を目的とする。
【0042】
本明細書で論じられるように、Xenazine(登録商標)及びAustedo(商標)などの現在承認されているテトラベナジンまたは重水素化テトラベナジン製品は、複雑な用量設定を必要とし、より高用量での処置対象の遺伝子型分析を必要とする。さらに、そのような製品の経口投与によってまた、テトラベナジンまたはデューテトラベナジンまたはそれらの代謝産物の血漿レベルの有意な個体間変動を伴う、高いピーク対トラフ比がもたらされる。典型的には、本明細書にも示されているように、強力なVMAT-2阻害剤であるR,R-テトラベナジン自体は、経口投与後に有意な量で循環中に存在しない。いくつかの態様では、本発明者らは、本明細書におけるテトラベナジンの持続的または実質的に持続的な送達を使用することにより、初回通過バイパス経路によって投与されるR,R-テトラベナジンの平均終末相半減期が約8.5時間±40%CVであり得ることを最初に示す。比較すると、典型的な経口投与を使用する場合、R,R-テトラベナジンは典型的には全身的に利用可能ではない。
【0043】
種々の実施形態では、本明細書における新規の薬物動態プロファイルを達成する本明細書に記載のテトラベナジンの持続的または実質的に持続的な送達は、例えば、多動性運動障害の処置のためにテトラベナジンを送達するために有利に使用され得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、本開示は、多動性運動障害の処置を必要とする対象における多動性運動障害を処置する方法であって、R,R-テトラベナジンを含む活性成分を含む医薬組成物を対象に投与することを含み、投与によって、所望の薬物動態プロファイル(PKプロファイル)が提供される、方法を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、所望のPKプロファイルは、投与によって、R,R-テトラベナジン、R,R,R-ジヒドロテトラベナジン(HTBZ)及びS,R,R-HTBZの血漿濃度が提供され、R,R-テトラベナジンの治療上有効な最大血漿濃度の、R,R,R-HTBZ及びS,R,R-HTBZの組合せ最大血漿濃度に対する比は、約1:1~約1:5(例えば、約1:1、約1:1.2、約1:1.5、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、または記載値間の任意の範囲、例えば、約1:1~約1:3、約1:2~約1:4など)の範囲にある、すなわち、R,R-テトラベナジンのCmax/(R,R,R-HTBZのCmax+S,R,R-HTBZのCmax)は約1:1~約1:5の範囲にあることを特徴とする。本明細書で使用される場合、いくつかの実施形態では、「最大血漿濃度」という用語は、医薬組成物の単回用量投与後、例えば、1日、2日、3日、またはそれ以上の送達のための本明細書による単一の経皮パッチの適用後に得られる最大血漿濃度を指すことができる。本明細書で使用される場合、いくつかの実施形態では、「最大血漿濃度」という用語はまた、医薬組成物の複数回用量投与後に得られる最大血漿濃度、好ましくは、定常状態に達した後に得られる最大血漿濃度を指すことができる。しかし、本明細書の比率は、それぞれの化合物間の同じタイプの濃度の比較に基づくべきであり(例えば、単回投与、定常状態などから)、比率は、(1)単回投与Cmax及び/または(2)複数回投与Cmax(好ましくは定常状態Cmax)に基づいて計算された場合、本明細書に列挙されたそれぞれの範囲内にあると言うことができることを理解されたい。いくつかの実施形態では、所望のPKプロファイルは、投与によって、R,R-テトラベナジンの定常状態血漿濃度の、R,R,R-HTBZ及びS,R,R-HTBZの組合せ定常状態血漿濃度に対する比が、約1:1~約1:5の範囲となり、すなわち、R,R-テトラベナジンのCss/(R,R,R-HTBZのCss+S,R,R-HTBZのCss)は約1:1~約1:5の範囲となることを特徴とする。本明細書における持続的または実質的に持続的な送達において、典型的には定常状態に到達し、この状態を所望の期間維持することができる。例えば、いくつかの実施形態では、定常状態は、本明細書の単一の経皮パッチを約32~48時間以上適用することによって到達することができ、この定常状態は、同じパッチで、または経皮パッチを、実質的に同じ速度でR,R-テトラベナジンを送達できる新しいパッチと、任意の頻度で交換することによって維持することができる。いくつかの実施形態では、定常状態には、本明細書における経皮パッチの単一の適用によっては到達しないが、経皮パッチの複数の適用によって持続的に到達することができる。当業者によって理解されるように、定常状態では、経皮送達パッチから得られる薬物濃度は実質的に一定であり得、言い換えれば、定常状態でのPK曲線は、一定期間、実質的に平坦またはプラトーになり得る。本明細書で使用される場合、R,R-TBZの定常状態は、R,R-TBZの全体的な摂取がその除去とかなり動的平衡にある状況を指す。R,R,R-HTBZの定常状態は、R,R,R-HTBZの全体的な生成がその除去とかなり動的平衡にある状況を指す。S,R,R-HTBZの定常状態は、S,R,R-HTBZの全体的な生成がその除去とかなり動的平衡にある状況を指す。明確にするために、本明細書で使用される場合、R,R-テトラベナジン、R,R,R-ジヒドロテトラベナジン(HTBZ)及び/またはS,R,R-HTBZの定常状態濃度の比は、(1)3つの化合物すべて、R,R-テトラベナジン、R,R,R-ジヒドロテトラベナジン(HTBZ)及びS,R,R-HTBZが定常状態にあるときの、任意の時点でのそれぞれの化合物の濃度に基づいて、及び/または(2)3つの化合物すべて、すなわち、R,R-テトラベナジン、R,R,R-ジヒドロテトラベナジン(HTBZ)及びS,R,R-HTBZが定常状態にあるときの、持続期間中のそれぞれの化合物の平均濃度に基づいて、計算される場合、本明細書の列挙された範囲内であると言うことができる。本明細書の他の化合物の定常状態濃度の比も同様に理解されるべきである。本明細書で使用される場合、R,R-テトラベナジン、R,R,R-ジヒドロテトラベナジン(HTBZ)及びS,R,R-HTBZの治療上有効な血漿濃度は、3つの化合物のそれぞれが、それ自体で治療上有効な血漿濃度にあることを必要としない。3つの化合物の組合せは、例えば、それぞれの定常状態濃度で治療上有効であれば十分である。いくつかの実施形態では、R,R,R-HTBZのS,R,R-HTBZに対する最大血漿濃度または定常状態血漿濃度の比は、約1:5~約1:30(例えば、約1:5、約1:7、約1:9、約1:10、約1:15、約1:20、約1:30、または記載値間の任意の範囲、例えば、約1:10~約1:20、約1:5~約1:15など)の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、R,R-テトラベナジン:R,R,R-HTBZ:S,R,R-HTBZの最大血漿濃度の比は、約17~40:3~10:50~80の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、R,R-テトラベナジン:R,R,R-HTBZ:S,R,R-HTBZの定常状態血漿濃度の比は、約17~40:3~10:50~80の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、投与によって、SRR-HTBZのAUC0-∞のR,R-テトラベナジンのAUC0-∞に対する比が、約1~約15、例えば、約1.5~約11、及び/またはRRR-HTBZのAUC0-∞のR,R-テトラベナジンのAUC0-∞に対する比が、約0.1~約0.75、例えば約0.15~約0.5であることを特徴とする薬物動態プロファイルを提供することができる。いくつかの実施形態では、所望のPKプロファイルはまた、投与により、治療上有効な血漿濃度のR,R-テトラベナジン、R,R,R-ジヒドロテトラベナジン(HTBZ)及びS,R,R-HTBZが、少なくとも6時間、または少なくとも12時間、好ましくは、少なくとも24時間、例えば、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも120時間、少なくとも144時間、少なくとも168時間、少なくとも192時間、またはそれ以上の間提供されることを特徴とすることができる。いくつかの実施形態では、所望のPKプロファイルはまた、投与により、150pg/mlを超える(例えば、約150pg/ml~約3000pg/ml)R,R-テトラベナジンの実質的に一定の定常状態血漿濃度が、少なくとも6時間、または少なくとも12時間、好ましくは、少なくとも24時間、例えば、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも120時間、少なくとも144時間、少なくとも168時間、少なくとも192時間、またはそれ以上の持続期間提供されることを特徴とすることができる。いくつかの実施形態では、投与によって、対象の血漿中に、検出可能な量のS,S-テトラベナジン、R,S,S-HTBZ、またはS,S,S-HTBZは提供されない。いくつかの実施形態では、本開示はまた、多動性運動障害を処置するための医薬組成物を同定する方法を提供する。いくつかの実施形態では、この方法は、初回通過代謝をバイパスし、R,R-テトラベナジンを対象に持続的または実質的に持続的に送達する試験医薬組成物を対象に投与すること、及びこの段落に記載のPKプロファイルのいずれかを任意の組合せで提供する医薬組成物を同定することを含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1回投与される場合、4日間、約2mg/日のR,R-テトラベナジンの用量を提供するように処方される。いくつかの実施形態では、この方法は、医薬組成物を投与して、以下を特徴とする、対象における薬物動態プロファイルを提供することを含む。
a)約10時間~約24時間、例えば約20時間のR,R-テトラベナジンの平均Tmax
b)R,R-テトラベナジンの平均Tmaxより遅いR,R,R-HTBZの平均Tmax及びS,R,R-HTBZの平均Tmax
c)約300pg/ml~約700pg/mlのR,R-テトラベナジンの平均Cmax
d)約60pg/ml~約200pg/mlのR,R,R-HTBZの平均Cmax
e)約1000pg/ml~約3000pg/mlのS,R,R-HTBZの平均Cmax
f)約20ng*時間/ml~約50ng*時間/mlのR,R-テトラベナジンの平均AUC0-96
g)約4ng*時間/ml~約12ng*時間/mlのR,R,R-HTBZの平均AUC0-96;及び/または
h)約70ng*時間/ml~約200ng*時間/mlのS,R,R-HTBZの平均AUC0-96
いくつかの実施形態では、対象における薬物動態プロファイルは、a)~h)のいずれか1つを特徴とする。いくつかの実施形態では、対象における薬物動態プロファイルは、a)及びb)を特徴とする。いくつかの実施形態では、対象における薬物動態プロファイルは、c)、d)及びe)を特徴とする。いくつかの実施形態では、対象における薬物動態プロファイルは、f)、g)及びh)を特徴とする。いくつかの実施形態では、対象における薬物動態プロファイルは、1)a)及び/またはb);2)c)、d)、及び/またはe);ならびに3)f)、g)、及び/またはh)を特徴とする。いくつかの実施形態では、対象における薬物動態プロファイルは、a)~h)のすべてを特徴とする。いくつかの実施形態では、対象における薬物動態プロファイルは、投与によって、R,R-テトラベナジン、R,R,R-ジヒドロテトラベナジン(HTBZ)及びS,R,R-HTBZの治療上有効な血漿濃度が提供され、R,R-テトラベナジンの最大血漿濃度の、R,R,R-HTBZ及びS,R,R-HTBZの組合せ最大血漿濃度に対する比は、約1:1~約1:5(例えば、約1:1、約1:1.2、約1:1.5、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、または記載値間の任意の範囲、例えば、約1:1~約1:3、約1:2~約1:4など)の範囲にあることを特徴とする。いくつかの実施形態では、対象における薬物動態プロファイルは、投与によって、R,R-テトラベナジン、R,R,R-ジヒドロテトラベナジン(HTBZ)及びS,R,R-HTBZの治療上有効な血漿濃度が提供され、R,R-テトラベナジンの定常状態血漿濃度の、R,R,R-HTBZ及びS,R,R-HTBZの組合せ定常状態血漿濃度に対する比は、約1:1~約1:5(例えば、約1:1、約1:1.2、約1:1.5、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、または記載値間の任意の範囲、例えば、約1:1~約1:3、約1:2~約1:4など)の範囲にあることを特徴とする。いくつかの実施形態では、R,R,R-HTBZのS,R,R-HTBZに対する最大血漿濃度または定常状態血漿濃度の比は、約1:5~約1:30(例えば、約1:5、約1:7、約1:9、約1:10、約1:15、約1:20、約1:30、または記載値間の任意の範囲、例えば、約1:10~約1:20、約1:5~約1:15など)の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、R,R-テトラベナジン:R,R,R-HTBZ:S,R,R-HTBZの最大血漿濃度の比は、約17~40:3~10:50~80の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、R,R-テトラベナジン:R,R,R-HTBZ:S,R,R-HTBZの定常状態血漿濃度の比は、約17~40:3~10:50~80の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、投与によって、SRR-HTBZのAUC0-∞のR,R-テトラベナジンのAUC0-∞に対する比が、約1~約15、例えば、約1.5~約11、及び/またはRRR-HTBZのAUC0-∞のR,R-テトラベナジンのAUC0-∞に対する比が、約0.1~約0.75、例えば約0.15~約0.5であることを特徴とする薬物動態プロファイルを提供することができる。いくつかの実施形態では、所望のPKプロファイルはまた、投与により、治療上有効な血漿濃度のR,R-テトラベナジン、R,R,R-ジヒドロテトラベナジン(HTBZ)及びS,R,R-HTBZが、少なくとも6時間、または少なくとも12時間、好ましくは、少なくとも24時間、例えば、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも120時間、少なくとも144時間、少なくとも168時間、少なくとも192時間、またはそれ以上の間提供されることを特徴とすることができる。いくつかの実施形態では、所望のPKプロファイルはまた、投与により、150pg/mlを超える(例えば、約150pg/ml~約3000pg/ml)R,R-テトラベナジンの実質的に一定の定常状態血漿濃度が、少なくとも6時間、または少なくとも12時間、好ましくは、少なくとも24時間、例えば、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも120時間、少なくとも144時間、少なくとも168時間、少なくとも192時間、またはそれ以上の持続期間提供されることを特徴とすることができる。いくつかの実施形態では、投与によって、対象の血漿中に、検出可能なS,S-テトラベナジン、R,S,S-HTBZ、またはS,S,S-HTBZは提供されない。いくつかの実施形態では、本開示はまた、多動性運動障害を処置するための医薬組成物を同定する方法を提供する。いくつかの実施形態では、この方法は、初回通過代謝をバイパスする試験医薬組成物を対象に投与すること、及び約2mg/日の用量を4日間提供するように投与された場合に、この段落に記載のPKプロファイルのいずれかを任意の組合せで提供する医薬組成物を同定することを含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1回投与される場合、少なくとも1日、例えば2日、3日、4日間、または1週間、約4~6mg/日のR,R-テトラベナジンの用量を提供するように処方される。いくつかの実施形態では、この方法は、医薬組成物を投与して、以下を特徴とする、対象における薬物動態プロファイルを提供することを含む。
a)約10時間~約24時間、例えば約20時間のR,R-テトラベナジンの平均Tmax
b)R,R-テトラベナジンの平均Tmaxより遅いR,R,R-HTBZの平均Tmax及びS,R,R-HTBZの平均Tmax
c)約600pg/ml~約2100pg/mlのR,R-テトラベナジンの平均Cmax
d)約120pg/ml~約600pg/mlのR,R,R-HTBZの平均Cmax
e)約2000pg/ml~約9000pg/mlのS,R,R-HTBZの平均Cmax
f)約40ng*時間/ml~約150ng*時間/mlのR,R-テトラベナジンの平均AUC0-96
g)約8ng*時間/ml~約36ng*時間/mlのR,R,R-HTBZの平均AUC0-96;及び/または
h)約140ng*時間/ml~約600ng*時間/mlのS,R,R-HTBZの平均AUC0-96
いくつかの実施形態では、医薬組成物の各投与により、1日で約4~6mg/日のR,R-テトラベナジンの用量を提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物の各投与により、2日間で、約4~6mg/日のR,R-テトラベナジンの用量を提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物の各投与により、3日間で、約4~6mg/日のR,R-テトラベナジンの用量を提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物の各投与により、4日間で、約4~6mg/日のR,R-テトラベナジンの用量を提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物の各投与により、1週間で、約4~6mg/日のR,R-テトラベナジンの用量を提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の接着剤組成物であり、例えば、本明細書に記載の経皮送達パッチに含まれ、医薬組成物は、R,R-テトラベナジン送達の所望の期間、例えば、1日、2日、3日、4日、1週間、またはその間の任意の範囲で、対象の皮膚に接着するように投与することができる。本明細書における持続送達のための他の医薬組成物は、例えば、R,R-テトラベナジン送達の所望の期間を達成するために、そのような組成物に関して通常の慣行に従って投与することができ、デポーまたはインプラントは、対象に投与された(例えば、注射された)後、所望の期間、約4~6mg/日のR,R-テトラベナジンを放出するように処方することができる。いくつかの実施形態では、対象における薬物動態プロファイルは、a)~h)のいずれか1つを特徴とする。いくつかの実施形態では、対象における薬物動態プロファイルは、a)及びb)を特徴とする。いくつかの実施形態では、対象における薬物動態プロファイルは、c)、d)及びe)を特徴とする。いくつかの実施形態では、対象における薬物動態プロファイルは、f)、g)及びh)を特徴とする。いくつかの実施形態では、対象における薬物動態プロファイルは、1)a)及び/またはb);2)c)、d)、及び/またはe);ならびに3)f)、g)、及び/またはh)を特徴とする。いくつかの実施形態では、対象における薬物動態プロファイルは、a)~h)のすべてを特徴とする。いくつかの実施形態では、対象における薬物動態プロファイルは、投与によって、R,R-テトラベナジン、R,R,R-ジヒドロテトラベナジン(HTBZ)及びS,R,R-HTBZの治療上有効な血漿濃度が提供され、R,R-テトラベナジンの最大血漿濃度の、R,R,R-HTBZ及びS,R,R-HTBZの組合せ最大血漿濃度に対する比は、約1:1~約1:5(例えば、約1:1、約1:1.2、約1:1.5、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、または記載値間の任意の範囲、例えば、約1:1~約1:3、約1:2~約1:4など)の範囲にあることを特徴とする。いくつかの実施形態では、対象における薬物動態プロファイルは、投与によって、R,R-テトラベナジン、R,R,R-ジヒドロテトラベナジン(HTBZ)及びS,R,R-HTBZの治療上有効な血漿濃度が提供され、R,R-テトラベナジンの定常状態血漿濃度の、R,R,R-HTBZ及びS,R,R-HTBZの組合せ定常状態血漿濃度に対する比は、約1:1~約1:5(例えば、約1:1、約1:1.2、約1:1.5、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、または記載値間の任意の範囲、例えば、約1:1~約1:3、約1:2~約1:4など)の範囲にあることを特徴とする。いくつかの実施形態では、R,R,R-HTBZのS,R,R-HTBZに対する最大血漿濃度または定常状態血漿濃度の比は、約1:5~約1:30(例えば、約1:5、約1:7、約1:9、約1:10、約1:15、約1:20、約1:30、または記載値間の任意の範囲、例えば、約1:10~約1:20、約1:5~約1:15など)の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、R,R-テトラベナジン:R,R,R-HTBZ:S,R,R-HTBZの最大血漿濃度の比は、約17~40:3~10:50~80の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、R,R-テトラベナジン:R,R,R-HTBZ:S,R,R-HTBZの定常状態血漿濃度の比は、約17~40:3~10:50~80の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、投与によって、SRR-HTBZのAUC0-∞のR,R-テトラベナジンのAUC0-∞に対する比が、約1~約15、例えば、約1.5~約11、及び/またはRRR-HTBZのAUC0-∞のR,R-テトラベナジンのAUC0-∞に対する比が、約0.1~約0.75、例えば約0.15~約0.5であることを特徴とする薬物動態プロファイルを提供することができる。いくつかの実施形態では、所望のPKプロファイルはまた、投与により、治療上有効な血漿濃度のR,R-テトラベナジン、R,R,R-ジヒドロテトラベナジン(HTBZ)及びS,R,R-HTBZが、少なくとも6時間、または少なくとも12時間、好ましくは、少なくとも24時間、例えば、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも120時間、少なくとも144時間、少なくとも168時間、少なくとも192時間、またはそれ以上の間提供されることを特徴とすることができる。いくつかの実施形態では、所望のPKプロファイルはまた、投与により、150pg/mlを超える(例えば、約150pg/ml~約3000pg/ml)R,R-テトラベナジンの実質的に一定の定常状態血漿濃度が、少なくとも6時間、または少なくとも12時間、好ましくは、少なくとも24時間、例えば、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも120時間、少なくとも144時間、少なくとも168時間、少なくとも192時間、またはそれ以上の持続期間提供されることを特徴とすることができる。いくつかの実施形態では、投与によって、対象の血漿中に、検出可能なS,S-テトラベナジン、R,S,S-HTBZ、またはS,S,S-HTBZは提供されない。いくつかの実施形態では、本開示はまた、多動性運動障害を処置するための医薬組成物を同定する方法を提供する。いくつかの実施形態では、この方法は、初回通過代謝をバイパスする試験医薬組成物を対象に投与すること、及び約4~6mg/日の用量を、少なくとも1日、例えば、2日、3日、4日間、または1週間提供するように投与された場合に、この段落に記載のPKプロファイルのいずれかを任意の組合せで提供する医薬組成物を同定することを含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1回投与される場合、少なくとも1日、例えば2日、3日、4日間、または1週間、約1~10mg/日のR,R-テトラベナジンの用量を提供するように処方される。いくつかの実施形態では、この方法は、医薬組成物を投与して、以下を特徴とする、対象における薬物動態プロファイルを提供することを含む。
a)約10時間~約24時間、例えば約20時間のR,R-テトラベナジンの平均Tmax
b)R,R-テトラベナジンの平均Tmaxより遅いR,R,R-HTBZの平均Tmax及びS,R,R-HTBZの平均Tmax
c)約150pg/ml~約3500pg/mlのR,R-テトラベナジンの平均Cmax
d)約30pg/ml~約1000pg/mlのR,R,R-HTBZの平均Cmax
e)約500pg/ml~約15ng/mlのS,R,R-HTBZの平均Cmax
f)約10ng*時間/ml~約250ng*時間/mlのR,R-テトラベナジンの平均AUC0-96
g)約2ng*時間/ml~約60ng*時間/mlのR,R,R-HTBZの平均AUC0-96;及び/または
h)約35ng*時間/ml~約1000ng*時間/mlのS,R,R-HTBZの平均AUC0-96
いくつかの実施形態では、医薬組成物の各投与により、1日で約1~10mg/日のR,R-テトラベナジンの用量を提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物の各投与により、2日間で、約1~10mg/日のR,R-テトラベナジンの用量を提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物の各投与により、3日間で、約1~10mg/日のR,R-テトラベナジンの用量を提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物の各投与により、4日間で、約1~10mg/日のR,R-テトラベナジンの用量を提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物の各投与により、1週間で、約1~10mg/日のR,R-テトラベナジンの用量を提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の接着剤組成物であり、例えば、本明細書に記載の経皮送達パッチに含まれ、医薬組成物は、R,R-テトラベナジン送達の所望の期間、例えば、1日、2日、3日、4日、1週間、またはその間の任意の範囲で、対象の皮膚に接着するように投与することができる。本明細書における持続送達のための他の医薬組成物は、例えば、R,R-テトラベナジン送達の所望の期間を達成するために、そのような組成物に関して通常の慣行に従って投与することができ、デポーまたはインプラントは、対象に投与された(例えば、注射された)後、所望の期間、約1~10mg/日のR,R-テトラベナジンを放出するように処方することができる。いくつかの実施形態では、対象における薬物動態プロファイルは、a)~h)のいずれか1つを特徴とする。いくつかの実施形態では、対象における薬物動態プロファイルは、a)及びb)を特徴とする。いくつかの実施形態では、対象における薬物動態プロファイルは、c)、d)及びe)を特徴とする。いくつかの実施形態では、対象における薬物動態プロファイルは、f)、g)及びh)を特徴とする。いくつかの実施形態では、対象における薬物動態プロファイルは、1)a)及び/またはb);2)c)、d)、及び/またはe);ならびに3)f)、g)、及び/またはh)を特徴とする。いくつかの実施形態では、対象における薬物動態プロファイルは、a)~h)のすべてを特徴とする。いくつかの実施形態では、対象における薬物動態プロファイルは、投与によって、R,R-テトラベナジン、R,R,R-ジヒドロテトラベナジン(HTBZ)及びS,R,R-HTBZの治療上有効な血漿濃度が提供され、R,R-テトラベナジンの最大血漿濃度の、R,R,R-HTBZ及びS,R,R-HTBZの組合せ最大血漿濃度に対する比は、約1:1~約1:5(例えば、約1:1、約1:1.2、約1:1.5、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、または記載値間の任意の範囲、例えば、約1:1~約1:3、約1:2~約1:4など)の範囲にあることを特徴とする。いくつかの実施形態では、対象における薬物動態プロファイルは、投与によって、R,R-テトラベナジン、R,R,R-ジヒドロテトラベナジン(HTBZ)及びS,R,R-HTBZの治療上有効な血漿濃度が提供され、R,R-テトラベナジンの定常状態血漿濃度の、R,R,R-HTBZ及びS,R,R-HTBZの組合せ定常状態血漿濃度に対する比は、約1:1~約1:5(例えば、約1:1、約1:1.2、約1:1.5、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、または記載値間の任意の範囲、例えば、約1:1~約1:3、約1:2~約1:4など)の範囲にあることを特徴とする。いくつかの実施形態では、R,R,R-HTBZのS,R,R-HTBZに対する最大血漿濃度または定常状態血漿濃度の比は、約1:5~約1:30(例えば、約1:5、約1:7、約1:9、約1:10、約1:15、約1:20、約1:30、または記載値間の任意の範囲、例えば、約1:10~約1:20、約1:5~約1:15など)の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、R,R-テトラベナジン:R,R,R-HTBZ:S,R,R-HTBZの最大血漿濃度の比は、約17~40:3~10:50~80の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、R,R-テトラベナジン:R,R,R-HTBZ:S,R,R-HTBZの定常状態血漿濃度の比は、約17~40:3~10:50~80の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、投与によって、SRR-HTBZのAUC0-∞のR,R-テトラベナジンのAUC0-∞に対する比が、約1~約15、例えば、約1.5~約11、及び/またはRRR-HTBZのAUC0-∞のR,R-テトラベナジンのAUC0-∞に対する比が、約0.1~約0.75、例えば約0.15~約0.5であることを特徴とする薬物動態プロファイルを提供することができる。いくつかの実施形態では、所望のPKプロファイルはまた、投与により、治療上有効な血漿濃度のR,R-テトラベナジン、R,R,R-ジヒドロテトラベナジン(HTBZ)及びS,R,R-HTBZが、少なくとも6時間、または少なくとも12時間、好ましくは、少なくとも24時間、例えば、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも120時間、少なくとも144時間、少なくとも168時間、少なくとも192時間、またはそれ以上の間提供されることを特徴とすることができる。いくつかの実施形態では、所望のPKプロファイルはまた、投与により、150pg/mlを超える(例えば、約150pg/ml~約3000pg/ml)R,R-テトラベナジンの実質的に一定の定常状態血漿濃度が、少なくとも6時間、または少なくとも12時間、好ましくは、少なくとも24時間、例えば、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも120時間、少なくとも144時間、少なくとも168時間、少なくとも192時間、またはそれ以上の持続期間提供されることを特徴とすることができる。いくつかの実施形態では、投与によって、対象の血漿中に、検出可能なS,S-テトラベナジン、R,S,S-HTBZ、またはS,S,S-HTBZは提供されない。いくつかの実施形態では、本開示はまた、多動性運動障害を処置するための医薬組成物を同定する方法を提供する。いくつかの実施形態では、この方法は、初回通過代謝をバイパスする試験医薬組成物を対象に投与すること、及び約1~10mg/日の用量を、少なくとも1日、例えば、2日、3日、4日間、または1週間提供するように投与された場合に、この段落に記載のPKプロファイルのいずれかを任意の組合せで提供する医薬組成物を同定することを含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、本開示は、多動性運動障害の処置を必要とする対象における多動性運動障害を処置する方法であって、R,R-テトラベナジンを含む活性成分を含む医薬組成物を対象に投与することを含み、投与によって、(1)R,R-テトラベナジンの血漿濃度が第1の期間中に上昇し、第1の期間の第1の時点で、最大濃度である約150pg/ml~約3500pg/mlに達すること、及び任意選択で(2)第1の期間の後、R,R-テトラベナジンの血漿濃度は、持続期間、例えば約24時間、約48時間、約72時間、約96時間、またはそれ以上の間、実質的に一定のままであり得ること、を特徴とするPKプロファイルが提供される、方法を提供する。いくつかの実施形態では、第1の期間は、血漿濃度がプラトーになり始める及び/または低下し始めるまでのPK曲線の最初の上昇部分を指し、一方、持続期間は、PK曲線の実質的に平坦な部分を指す、例えば、経皮送達から観察されたこの適用についての図を参照のこと。いくつかの実施形態では、持続期間は、処置が望まれる限り、継続し得る。いくつかの実施形態では、第1の期間は、時間0(医薬組成物の投与時間)からその約24時間後まで、例えば、0~20時間、または0~18時間である。いくつかの実施形態では、第1の期間はまた、0~36時間または0~48時間など、0~24時間より長くてもよい。いくつかの実施形態では、第1の期間は、時間0(医薬組成物の投与時間)からR,R-テトラベナジンのTmaxまでである。典型的には、持続期間中に観察されたR,R-テトラベナジンの血漿濃度は、第1の期間に観察された最大濃度の約40%~約250%の範囲であり、R,R-テトラベナジンの血漿濃度は、持続期間の4時間、8時間、及び/または12時間の間隔のいずれかの間、例えば2倍有意に変化しないこと、例えば、時間t及びt+12時間の両方が持続時間内にあるという条件で、時間tでの濃度は、時間t+12時間での濃度の約50%~約200%以内である。いくつかの実施形態では、持続期間中、R,R-テトラベナジンの最低血漿濃度は、第1の期間の最大濃度の少なくとも約40%、例えば、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%であり;及び/またはR,R-テトラベナジンの最大血漿濃度が、第1の期間の最大濃度の約250%以下、例えば、約200%以下、約150%以下、約120%以下である。いくつかの実施形態では、第1の時点から24時間後のR,R-テトラベナジンの血漿濃度は、第1の時点における血漿濃度の約50%~約200%、例えば、約75%~約150%である。いくつかの実施形態では、対象における薬物動態プロファイルは、投与によって、持続期間中に、R,R-テトラベナジン、R,R,R-ジヒドロテトラベナジン(HTBZ)及びS,R,R-HTBZの治療上有効な血漿濃度が提供され、持続期間中に、R,R-テトラベナジンの血漿濃度の、R,R,R-HTBZ及びS,R,R-HTBZの組合せ血漿濃度に対する比は、所与の時点で、約1:1~約1:5(例えば、約1:1、約1:1.2、約1:1.5、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、または記載値間の任意の範囲、例えば、約1:1~約1:3、約1:2~約1:4など)の範囲にあることをさらに特徴とする。いくつかの実施形態では、持続期間中に、R,R,R-HTBZのS,R,R-HTBZに対する血漿濃度の比は、所与の時点で、約1:5~約1:30(例えば、約1:5、約1:7、約1:9、約1:10、約1:15、約1:20、約1:30、または記載値間の任意の範囲、例えば、約1:10~約1:20、約1:5~約1:15など)の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、持続期間中に、R,R-テトラベナジン:R,R,R-HTBZ:S,R,R-HTBZの血漿濃度の比は、所与の時点で、約17~40:3~10:50~80の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、持続期間中に、R,R-テトラベナジン:R,R,R-HTBZ:S,R,R-HTBZの最大血漿濃度の比は、約17~40:3~10:50~80の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、投与によって、SRR-HTBZのAUC0-∞のR,R-テトラベナジンのAUC0-∞に対する比が、約1~約15、例えば、約1.5~約11、及び/またはRRR-HTBZのAUC0-∞のR,R-テトラベナジンのAUC0-∞に対する比が、約0.1~約0.75、例えば約0.15~約0.5であることを特徴とする薬物動態プロファイルを提供することができる。いくつかの実施形態では、PKプロファイルは、R,R-テトラベナジンの平均終末相半減期が約8.5時間±40%CVであることを特徴とする。いくつかの実施形態では、投与によって、対象の血漿中に、検出可能な量のテトS,S-テトラベナジン、R,S,S-HTBZ、またはS,S,S-HTBZは提供されない。いくつかの実施形態では、本開示はまた、多動性運動障害を処置するための医薬組成物を同定する方法を提供する。いくつかの実施形態では、この方法は、初回通過代謝をバイパスする試験医薬組成物を対象に投与すること、及びこの段落に記載のPKプロファイルのいずれかを任意の組合せで提供する医薬組成物を同定することを含む。
【0049】
本明細書のPKプロファイルを達成するために医薬組成物を投与するための経路は、投与によって上記のような薬物動態プロファイルが提供される限り、特に限定されない。典型的には、投与は初回通過代謝をバイパスする。例えば、いくつかの実施形態では、医薬組成物は、経皮投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、静脈内注射(即時放出のためのボーラス注射のみを含まない)、皮下注射、または筋肉内注射などの注射または注入を介して投与される。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、デポー製剤である。
【0050】
投与によって、典型的には持続的または実質的に持続的にR,R-テトラベナジンを対象に送達して、本明細書のPKプロファイルを達成する。いくつかの実施形態では、投与によって、例えば、約8時間~約72時間または72時間を超える期間、R,R-テトラベナジンを対象に送達する。例えば、いくつかの実施形態では、投与によって、約8時間、約12時間、約24時間、約36時間、約48時間、約72時間、約96時間、約120時間、約144時間、約168時間、約192時間、または記載値間の任意の範囲で、R,R-テトラベナジンの持続的または実質的に持続的な送達を対象に提供する。いくつかの実施形態では、持続的または実質的に持続的な送達の期間中、R,R-テトラベナジンは、実質的に一定の速度で、例えば、各時間の平均送達速度が実質的に同じで、例えば全体の平均速度の80~125%以内で、対象に送達され得る。いくつかの実施形態では、持続的または実質的に持続的な送達の期間中、R,R-テトラベナジンは、例えば、各時間について異なる平均送達速度で、対象に送達され得る。例えば、いくつかの実施形態では、平均送達速度は、最初は高くてもよいが、その後、持続的または実質的に持続的な送達の過程で低下する。典型的には、毎時のR,R-テトラベナジンの正確な送達速度は重要ではなく、本開示を検討した後の当業者は、本明細書に記載の薬物動態プロファイルを提供する、対象に所望の1日量を送達するための投与レジメンを選択及び設計する方法を知っているであろう。例えば、いくつかの実施形態では、R,R-テトラベナジンは、本明細書に記載の薬物動態プロファイルを提供するために、約0.1mg/日~約20mg/日の1日量で、例えば、約0.5mg/日~約10mg/日のR,R-テトラベナジン、約0.5mg/日~約8mg/日のR,R-テトラベナジン、または約2mg/日~約6mg/日のR,R-テトラベナジンで、対象に送達され得る。
【0051】
本明細書の処置方法に記載されている多動性運動障害には、本明細書に記載されているもののいずれかが含まれる。非限定的な例としては、ハンチントン病、ウィルソン病、トゥレット症候群、レストレスレッグス症候群、遅発性ジスキネジア、チック、運動障害性脳性麻痺/脳性麻痺、他のジストニア及びジスキネジア障害、ならびにそれらの組合せが挙げられる。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、ハンチントン病、例としてハンチントン病に関連する舞踏病であり得る。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、ウィルソン病であり得る。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、トゥレット症候群であり得る。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、レストレスレッグス症候群であり得る。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、遅発性ジスキネジアであり得る。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、チックであり得る。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、運動障害性脳性麻痺であり得る。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、ジストニアまたはジスキネジア障害である。
【0052】
本明細書の処置方法は、特定のタイプの対象に限定されない。例えば、本明細書の方法は、対象の摂食状態に関係なく対象に投与することができる。いくつかの実施形態では、対象は、小児及び青年期の患者(例えば、6歳~18歳)である。また、いくつかの実施形態では、この方法は、特定の遺伝子型の対象に限定されない。いくつかの実施形態では、同じ用量または実質的に同じ用量のR,R-テトラベナジンを、PM、IM、またはEMとして特徴付けられる対象に投与することができる。いくつかの実施形態では、対象はEMとして特徴付けられる。いくつかの実施形態では、対象はPMとして特徴付けられる。いくつかの実施形態では、対象はIMとして特徴付けられる。いくつかの実施形態では、この方法は、Xenazine(登録商標)及びAustedo(商標)錠剤のいずれかで治療される場合に必要とされる用量設定及び/または遺伝子型分析を必要としない。
【0053】
本明細書の処置方法の投与レジメンは、R,R-テトラベナジンの所望の用量が、本明細書に記載されるもののいずれかを含む、所望の速度で所望の期間に対象に送達される限り、特に限定されない。例えば、いくつかの実施形態では、医薬組成物は、本明細書のPKプロファイルを達成するのに好適な投与レジメンで対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、対象に1日1回投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1日超に1回、例えば、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、1週間に1回、または1週間超に1回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、各投与により、約8時間、約12時間、約24時間、約36時間、約48時間、約72時間、約96時間、約120時間、約144時間、約168時間、約192時間、または記載値間の任意の範囲で、R,R-テトラベナジンの持続的または実質的に持続的な送達を対象に提供する。本明細書で論じられるように、2つの連続する投与の間には、遅延時間、重複はなしであり得、または若干の遅延時間がある。
【0054】
本明細書の方法の種々の投与経路に好適な医薬組成物も記載されている。典型的には、経皮送達の場合、医薬組成物は、接着剤(好ましくは感圧接着剤)中に分散された活性成分を含む、例えば、経皮送達デバイスにおける接着剤組成物を含むことができる。いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、約0.1mg/日~約20mg/日のR,R-テトラベナジン(例えば、本明細書に記載の例示された範囲のいずれか)を、適用後最長24時間、適用後最長48時間、適用後最長96時間、または適用後最長1週間、実質的に一定の速度で送達するように対象に適用される。好適な接着剤組成物には、本明細書に記載されるもののいずれか、例えば、テトラベナジンに適用可能な実施形態1~18に記載されるもののいずれか、または実施例のセクションに示される特定の組成物のいずれか(例えば、実施例4A)が含まれる。いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、非反応性アクリレート感圧接着剤に分散した活性成分を含む。活性成分は、約1重量%~約20重量%の量で、例として約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、または記載値間の任意の範囲、例えば、約1重量%~約15重量%、約2重量%~約15重量%、約2重量%~約10重量%、約2重量%~約7重量%、約3重量%~約15重量%、約3重量%~約10重量%、約3重量%~約7重量%、約5重量%~約15重量%、約5重量%~約10重量%、約5重量%~約7重量%、約7重量%~約15重量%、約7重量%~約10重量%、約10重量%~約20重量%、約10重量%~約15重量%などの量で存在することができる。いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、唯一の活性成分としてテトラベナジンの実質的に純粋なR,R-異性体を含む。いくつかの実施形態では、テトラベナジンの実質的に純粋なR,R-異性体は、遊離塩基形態である。好適な接着剤には、本明細書に記載の感圧接着剤のいずれかなど、本明細書に記載の接着剤のいずれかが含まれる。いくつかの実施形態では、接着剤は、Duro-Tak87-900Aなどの本明細書に記載されているか、または例示的な実施形態2~7に記載されている非反応性アクリレート感圧接着剤であり得る。接着剤は、典型的には、約50重量%~約97重量%、例えば、約50重量%、約60重量%、約70重量%、約80重量%、約90重量%、約95重量%、もしくは約97重量%の量または記載値間の任意の範囲、例えば、約50重量%~約95重量%、約50重量%~約90重量%、約50重量%~約80重量%、約50重量%~約70重量%、約50重量%~約60重量%、約60重量%~約97重量%、約60重量%~約95重量%、約60重量%~約90重量%、約60重量%~約80重量%、約60重量%~約70重量%、約70重量%~約97重量%、約70重量%~約95重量%、約70重量%~約90重量%、約70重量%~約80重量%、約80重量%~約97重量%、約80重量%~約95重量%、約80重量%~約90重量%などの量で存在することができる。いくつかの特定の実施形態では、活性成分は、約2重量%~約7重量%の量であり、非反応性アクリレート感圧接着剤は、約50重量%~約97重量%の量である。接着剤組成物はまた、任意選択で、抗酸化剤、結晶化阻害剤、可塑剤、及び/または透過促進剤などの他の成分を含むことができる。いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、抗酸化剤、例として没食子酸抗酸化剤、例えば没食子酸プロピルを含む。抗酸化剤の量は、典型的には、約0重量%~約1重量%の量で、例えば、約0.001重量%、約0.01重量%、約0.1重量%、約0.5重量%、約1重量%、もしくは記載値間の任意の範囲、例えば、約0.001重量%~約0.5重量%、約0.01重量%~約0.5重量%などの量で含まれる。いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、結晶化阻害剤、例えば、周囲温度で2週間の常温保存後の薬物結晶(R,R-テトラベナジンなどの接着剤組成物の活性成分の結晶)の形成を防止する手段を含む。いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、ポリビニルピロリドンポリマー(例えば、Kollidon K30またはK90F(BASFによって製造された)、Plasdone K20/32またはPlasdoneK90(Ashland Chemicalによって製造された))、架橋ポリビニルピロリドンポリマー(例えば、Kollidon CL)、ポリビニルピロリドンコポリマー(例えば、Plasdone S-630Copovidone (Asland))、セルロース系ポリマー(例えば、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース)、ポリカルボン酸ポリマー(例えば、Cabopol(Lubrizolによって製造された))、ポリメタクリレート(例えば、Plastoid B、Eudragit E100、Eudragit L100-55 (Evonikによって製造された))、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル、及びポリビニルカプロラクタム系グラフトコポリマー(PVAc-PVCap-PEG)(例えば、Soluplus(BASF)、ならびにそれらの組合せ、から選択される結晶化阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、ポリメタクリレート(例えば、Plastoid B(ブチルメタクリレートとメチルメタクリレートとのコポリマー)、Eudragit E100、Eudragit L100-55(Evonikにより製造された))、ポリエチレングリコール、ポリビニルアセテート、及びポリビニルカプロラクタム系グラフトコポリマー(PVAc-PVCap-PEG)(例えば、Soluplus(BASF)、ならびにそれらの組合せ、から選択される結晶化阻害剤を含む。結晶化阻害剤は、典型的には、約0~約40重量%、例えば、約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約30重量%、約40重量%、もしくは記載値間の任意の範囲の量で、例えば、約10重量%~約40重量%、約10重量%~約30重量%、約10重量%~約20重量%、15重量%~約40重量%、約15重量%~約30重量%、約15重量%~約20重量%、20重量%~約40重量%、約20重量%~約30重量%などの量で存在する。いくつかの実施形態では、接着剤組成物はまた、ミリスチン酸イソプロピルなどの、本明細書に記載されるような皮膚透過促進剤を含み得る。いくつかの実施形態では、接着剤組成物はまた、本明細書に記載されるような皮膚透過促進剤を含まなくてもよく、例えば、いくつかの実施形態では、接着剤組成物はまた、ミリスチン酸イソプロピルを含まなくてもよい。好適な薬物負荷、活性表面積、厚さ、接着特性などには、本明細書に記載されているもののいずれかが任意の組合せで含まれる。他の送達経路に好適な医薬組成物には、本明細書に記載されているものが含まれる。
【0055】
低運動性運動障害(多動性運動障害hypokinetic movement disorder)を処置するための医薬組成物をスクリーニングする方法
いくつかの実施形態では、本開示はまた、多動性運動障害を処置するための医薬組成物を同定する方法を提供する。いくつかの実施形態では、この方法は、初回通過代謝をバイパスし、R,R-テトラベナジンを対象に持続的または実質的に持続的に送達する試験医薬組成物を対象に投与すること、及び上記のPKプロファイルのいずれかを提供する医薬組成物を同定することを含む。いくつかの実施形態では、同定は、R,R-テトラベナジン、R,R,R-ジヒドロテトラベナジン(HTBZ)及びS,R,R-HTBZの治療上有効な血漿濃度を提供する医薬組成物を同定することを含み、R,R-テトラベナジンの最大血漿濃度の、R,R,R-HTBZ及びS,R,R-HTBZの組合せ最大血漿濃度に対する比は、約1:1~約1:5の範囲にあるか;またはR,R-テトラベナジンの定常状態血漿濃度の、R,R,R-HTBZ及びS,R,R-HTBZの組合せ定常状態血漿濃度に対する比は、約1:1~約1:5の範囲にある。R,R,R-HTBZの、S,R,R-HTBZに対する最大血漿濃度の比は、約1:5~約1:30(例えば、約1:10~約1:20)の範囲である。いくつかの実施形態では、同定は、該当する場合、本明細書に記載のPKプロファイルのいずれかを提供する医薬組成物を同定することを含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、この方法は、ヒトの死体皮膚を使用してインビトロで試験接着剤組成物の皮膚フラックス特性を測定し、本明細書に記載のインビトロフラックス特性のいずれかを提供する接着剤組成物を同定することを含む。いくつかの実施形態では、試験接着剤組成物は、約2重量%~約10重量%(例えば、約2重量%~約7重量%)のR,R-テトラベナジンを含み、経皮送達デバイス(例えば、本明細書に記載の非反応性アクリレート接着剤を含む接着剤組成物を含む)。
【0057】
本明細書で特定される接着剤組成物などの医薬組成物もまた、本開示の新規な組成物である。いくつかの実施形態では、本開示はまた、多動性運動障害を処置する方法であって、同定された医薬組成物をそれを必要とする対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0058】
重水素化テトラベナジンの持続送達
本開示のいくつかの実施形態は、重水素化テトラベナジンの持続的または実質的に持続的な送達を目的とする。本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて、デューテトラベナジンなどの重水素化テトラベナジンは、それぞれの組成物、デバイス、または方法について、テトラベナジンの一部または全体を置き換えることができる。そのような置き換えられた組成物、デバイス、または方法のインビトロ及び/またはインビボパラメータは異なる場合があること、特にこれらのパラメータは、薬物動態に関連しており、したがって重水素化によってテトラベナジンの代謝プロファイルが改変される場合があることを、当業者は、理解するであろう。
【0059】
いくつかの実施形態では、本開示は、多動性運動障害の処置を必要とする対象における多動性運動障害を処置する方法であって、重水素化R,R-テトラベナジンを含む活性成分を含む医薬組成物を対象に投与することを含み、投与は初回通過代謝をバイパスし、持続的または実質的に持続的に、約0.1mg/日~約20mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、例えば、約0.5mg/日~約10mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、約0.5mg/日~約8mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、約0.5mg/日~約6mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、約0.5mg/日~約4mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、約1mg/日~約10mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、約1mg/日~約8mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、約1mg/日~約6mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、約1mg/日~約4mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、約2mg/日~約10mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、約2mg/日~約8mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、約2mg/日~約6mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、約2mg/日~約4mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、約4mg/日~約10mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、約4mg/日~約8mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、約4mg/日~約6mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、約6mg/日~約10mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、もしくは約6mg/日~約8mg/日の重水素化R,R-テトラベナジンを、対象に送達する。いくつかの好ましい実施形態では、この方法は、約0.5mg/日~約8mg/日の重水素化R,R-テトラベナジンまたは約2mg/日~約6mg/日の重水素化R,R-テトラベナジンを送達する。本明細書における薬物送達の期間は、例えば、約8時間~約72時間、または72時間を超えるまで変化し得る。例えば、いくつかの実施形態では、投与によって、約8時間、約12時間、約24時間、約36時間、約48時間、約72時間、約96時間、約120時間、約144時間、約168時間、約192時間、または記載値間の任意の範囲で、重水素化R,R-テトラベナジンの持続的または実質的に持続的な送達を対象に提供することができる。いくつかの実施形態では、持続的または実質的に持続的な送達の期間中、重水素化R,R-テトラベナジンは、実質的に一定の速度で、例えば、各時間の平均送達速度が実質的に同じで、例えば全体の平均速度の80~125%以内で、対象に送達され得る。いくつかの実施形態では、持続的または実質的に持続的な送達の期間中、重水素化R,R-テトラベナジンは、例えば、各時間について異なる平均送達速度で、対象に送達され得る。例えば、いくつかの実施形態では、平均送達速度は、最初は高くてもよいが、その後、持続的または実質的に持続的な送達の過程で低下する。典型的には、毎時の重水素化R,R-テトラベナジンの正確な送達速度は重要ではなく、本開示を検討した後の当業者は、対象に所望の1日量、例えば、約0.5mg/日~約10mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、約0.5mg/日~約8mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、または約2mg/日~約6mg/日の重水素化R,R-テトラベナジンを送達するための投与レジメンを選択及び設計する方法を知っているであろう。いくつかの実施形態では、対象への所望の1日量の送達によってまた、本明細書に記載されるような薬物動態プロファイルが提供される。
【0060】
いくつかの実施形態では、本開示は、多動性運動障害の処置を必要とする対象における多動性運動障害を処置する方法であって、重水素化R,R-テトラベナジンを含む活性成分を含む医薬組成物を対象に投与することを含み、投与によって、薬物動態プロファイル(PKプロファイル)が提供される、方法を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、所望のPKプロファイルは、投与によって、重水素化R,R-テトラベナジン、重水素化R,R,R-ジヒドロテトラベナジン(HTBZ)及び重水素化S,R,R-HTBZの治療上有効な血漿濃度が提供され、重水素化R,R-テトラベナジンの最大血漿濃度の、重水素化R,R,R-HTBZ及び重水素化S,R,R-HTBZの組合せ最大血漿濃度に対する比は、約1:1~約1:7.5(例えば、約1:1、約1:1.2、約1:1.5、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:7.5、または記載値間の任意の範囲、例えば、約1:1~約1:3、約1:2~約1:4など)の範囲にある、すなわち、重水素化R,R-テトラベナジンのCmax/(重水素化R,R,R-HTBZのCmax+重水素化S,R,R-HTBZのCmax)は約1:1~約1:7.5の範囲にあり、または重水素化R,R-テトラベナジンの定常状態血漿濃度の、重水素化R,R,R-HTBZ及び重水素化S,R,R-HTBZの組合せ定常状態血漿濃度に対する比は、約1:1~約1:7.5の範囲にあることを特徴とする。本明細書で使用される場合、重水素化R,R-テトラベナジン、重水素化R,R,R-ジヒドロテトラベナジン(HTBZ)及び重水素化S,R,R-HTBZの治療上有効な血漿濃度は、3つの化合物のそれぞれが、それ自体で治療上有効な血漿濃度にあることを必要としない。3つの化合物の組合せは、例えば、それぞれの定常状態濃度で治療的に有効であれば十分である。いくつかの実施形態では、重水素化R,R,R-HTBZの重水素化S,R,R-HTBZに対する最大血漿濃度または定常状態血漿濃度の比は、約1:5~約1:30(例えば、約1:5、約1:7、約1:9、約1:10、約1:15、約1:20、約1:30、または記載値間の任意の範囲、例えば、約1:10~約1:20、約1:5~約1:15など)の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、重水素化R,R-テトラベナジン:重水素化R,R,R-HTBZ:重水素化S,R,R-HTBZの最大血漿濃度の比は、約14~40:3~11:50~85の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、投与によって、重水素化SRR-HTBZのAUC0-∞の重水素化R,R-テトラベナジンのAUC0-∞に対する比が、約1~約15、例えば、約1.5~約11、及び/または重水素化RRR-HTBZのAUC0-∞の重水素化R,R-テトラベナジンのAUC0-∞に対する比が、約0.1~約0.75、例えば約0.15~約0.5であることを特徴とする薬物動態プロファイルを提供することができる。いくつかの実施形態では、所望のPKプロファイルはまた、投与により、治療上有効な血漿濃度の重水素化R,R-テトラベナジン、重水素化R,R,R-ジヒドロテトラベナジン(HTBZ)及び重水素化S,R,R-HTBZが、少なくとも6時間、または少なくとも12時間、好ましくは、少なくとも24時間、例えば、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも120時間、少なくとも144時間、少なくとも168時間、少なくとも192時間、またはそれ以上の間提供されることを特徴とすることができる。いくつかの実施形態では、所望のPKプロファイルはまた、投与により、150pg/mlを超える(例えば、約150pg/ml~約3000pg/ml)重水素化R,R-テトラベナジンの実質的に一定の定常状態血漿濃度が、少なくとも6時間、または少なくとも12時間、好ましくは、少なくとも24時間、例えば、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも120時間、少なくとも144時間、少なくとも168時間、少なくとも192時間、またはそれ以上の持続期間提供されることを特徴とすることができる。いくつかの実施形態では、投与によって、対象の血漿中に、検出可能な量の重水素化S,S-テトラベナジン、重水素化S,S,S-HTBZ、または重水素化R,S,S-HTBZは提供されない。いくつかの実施形態では、この方法は、初回通過代謝をバイパスし、重水素化R,R-テトラベナジンを対象に持続的または実質的に持続的に送達する試験医薬組成物を対象に投与すること、及びこの段落に記載のPKプロファイルのいずれかを任意の組合せで提供する医薬組成物を同定することを含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、本開示は、多動性運動障害の処置を必要とする対象における多動性運動障害を処置する方法であって、重水素化R,R-テトラベナジンを含む活性成分を含む医薬組成物を対象に投与することを含み、投与によって、(1)重水素化R,R-テトラベナジンの血漿濃度が第1の期間中に上昇し、第1の期間の第1の時点で、最大濃度である約150pg/ml~約3500pg/mlに達すること、及び任意選択で(2)第1の期間の後、重水素化R,R-テトラベナジンの血漿濃度は、持続期間、例えば約24時間、約48時間、約72時間、約96時間、またはそれ以上の間、実質的に一定のままであり得ること、を特徴とするPKプロファイルが提供される、方法を提供する。いくつかの実施形態では、第1の期間は、血漿濃度がプラトーになり始める及び/または低下し始めるまでのPK曲線の最初の上昇部分を指し、一方、持続期間は、PK曲線の実質的に平坦な部分を指す、例えば、経皮送達から観察されたこの適用についての図を参照のこと。いくつかの実施形態では、第1の期間は、時間0(医薬組成物の投与時間)からその約24時間後まで、例えば、0~20時間、または0~18時間である。いくつかの実施形態では、第1の期間はまた、0~36時間または0~48時間など、0~24時間より長くてもよい。いくつかの実施形態では、第1の期間は、時間0(医薬組成物の投与時間)から重水素化R,R-テトラベナジンのTmaxまでである。典型的には、持続期間中に観察された重水素化R,R-テトラベナジンの血漿濃度は、第1の期間に観察された最大濃度の約40%~約250%の範囲であり、重水素化R,R-テトラベナジンの血漿濃度は、持続期間の4時間、8時間、及び/または12時間の間隔のいずれかの間、例えば2倍有意に変化しないこと、例えば、時間t及びt+12時間の両方が持続時間内にあるという条件で、時間tでの濃度は、時間t+12時間での濃度の約50%~約200%以内である。いくつかの実施形態では、持続期間中、重水素化R,R-テトラベナジンの最低血漿濃度は、第1の期間の最大濃度の少なくとも約40%、例えば、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%であり;及び/または重水素化R,R-テトラベナジンの最大血漿濃度が、第1の期間の最大濃度の約250%以下、例えば、約200%以下、約150%以下、約120%以下である。いくつかの実施形態では、第1の時点から24時間後の重水素化R,R-テトラベナジンの血漿濃度は、第1の時点における血漿濃度の約50%~約200%、例えば、約75%~約150%である。いくつかの実施形態では、対象における薬物動態プロファイルは、投与によって、持続期間中に、重水素化R,R-テトラベナジン、重水素化R,R,R-ジヒドロテトラベナジン(HTBZ)及び重水素化S,R,R-HTBZの治療上有効な血漿濃度が提供され、持続期間中に、重水素化R,R-テトラベナジンの血漿濃度の、重水素化R,R,R-HTBZ及び重水素化S,R,R-HTBZの組合せ血漿濃度に対する比は、所与の時点で、約1:1~約1:7.5(例えば、約1:1、約1:1.2、約1:1.5、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:7.5、または記載値間の任意の範囲、例えば、約1:1~約1:3、約1:2~約1:4など)の範囲にあることをさらに特徴とする。いくつかの実施形態では、持続期間中に、重水素化R,R,R-HTBZの重水素化S,R,R-HTBZに対する血漿濃度の比は、所与の時点で、約1:5~約1:30(例えば、約1:5、約1:7、約1:9、約1:10、約1:15、約1:20、約1:30、または記載値間の任意の範囲、例えば、約1:10~約1:20、約1:5~約1:15など)の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、持続期間中に、重水素化R,R-テトラベナジン:重水素化R,R,R-HTBZ:重水素化S,R,R-HTBZの血漿濃度の比は、所与の時点で、約14~40:3~11:50~85の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、持続期間中に、重水素化R,R-テトラベナジン:重水素化R,R,R-HTBZ:重水素化S,R,R-HTBZの最大血漿濃度の比は、約14~40:3~11:50~85の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、投与によって、重水素化SRR-HTBZのAUC0-∞の重水素化R,R-テトラベナジンのAUC0-∞に対する比が、約1~約15、例えば、約1.5~約11、及び/または重水素化RRR-HTBZのAUC0-∞の重水素化R,R-テトラベナジンのAUC0-∞に対する比が、約0.1~約0.75、例えば約0.15~約0.5であることを特徴とする薬物動態プロファイルを提供することができる。いくつかの実施形態では、PKプロファイルは、重水素化R,R-テトラベナジンの平均終末相半減期が約8.5時間±40%CVであることを特徴とする。いくつかの実施形態では、投与によって、対象の血漿中に、検出可能な重水素化S,S-テトラベナジン、重水素化R,S,S-HTBZ、または重水素化S,S,S-HTBZは提供されない。いくつかの実施形態では、本開示はまた、多動性運動障害を処置するための医薬組成物を同定する方法を提供する。いくつかの実施形態では、この方法は、初回通過代謝をバイパスする試験医薬組成物を対象に投与すること、及びこの段落に記載のPKプロファイルのいずれかを任意の組合せで提供する医薬組成物を同定することを含む。
【0062】
本明細書のPKプロファイルを達成するために医薬組成物を投与するための経路は、投与によって上記のような薬物動態プロファイルが提供される限り、特に限定されない。典型的には、投与は初回通過代謝をバイパスする。例えば、いくつかの実施形態では、医薬組成物は、経皮投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、静脈内注射(ボーラス注射を含まない)、皮下注射、または筋肉内注射などの注射または注入を介して投与される。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、デポー製剤である。
【0063】
投与によって、典型的には持続的または実質的に持続的に重水素化R,R-テトラベナジンを対象に送達して、本明細書のPKプロファイルを達成する。いくつかの実施形態では、投与によって、例えば、約8時間~約72時間または72時間を超える期間、重水素化R,R-テトラベナジンを対象に送達する。例えば、いくつかの実施形態では、投与によって、約8時間、約12時間、約24時間、約36時間、約48時間、約72時間、約96時間、約120時間、約144時間、約168時間、約192時間、または記載値間の任意の範囲で、重水素化R,R-テトラベナジンの持続的または実質的に持続的な送達を対象に提供する。いくつかの実施形態では、持続的または実質的に持続的な送達の期間中、重水素化R,R-テトラベナジンは、実質的に一定の速度で、例えば、各時間の平均送達速度が実質的に同じで、例えば全体の平均速度の80~125%以内で、対象に送達され得る。いくつかの実施形態では、持続的または実質的に持続的な送達の期間中、重水素化R,R-テトラベナジンは、例えば、各時間について異なる平均送達速度で、対象に送達され得る。例えば、いくつかの実施形態では、平均送達速度は、最初は高くてもよいが、その後、持続的または実質的に持続的な送達の過程で低下する。典型的には、毎時の重水素化R,R-テトラベナジンの正確な送達速度は重要ではなく、本開示を検討した後の当業者は、本明細書に記載の薬物動態プロファイルを提供する、対象に所望の1日量を送達するための投与レジメンを選択及び設計する方法を知っているであろう。例えば、いくつかの実施形態では、重水素化R,R-テトラベナジンは、本明細書に記載の薬物動態プロファイルを提供するために、約0.1mg/日~約20mg/日の1日量で、例えば、約0.5mg/日~約10mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、約0.5mg/日~約8mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、または約2mg/日~約6mg/日の重水素化R,R-テトラベナジンで、対象に送達され得る。
【0064】
本明細書の処置方法に記載されている多動性運動障害には、本明細書に記載されているもののいずれかが含まれる。非限定的な例としては、ハンチントン病、ウィルソン病、トゥレット症候群、レストレスレッグス症候群、遅発性ジスキネジア、チック、運動障害性脳性麻痺/脳性麻痺、他のジストニア及びジスキネジア障害、ならびにそれらの組合せが挙げられる。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、ハンチントン病、例としてハンチントン病に関連する舞踏病であり得る。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、ウィルソン病であり得る。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、トゥレット症候群であり得る。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、レストレスレッグス症候群であり得る。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、遅発性ジスキネジアであり得る。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、チックであり得る。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、運動障害性脳性麻痺であり得る。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、ジストニアまたはジスキネジア障害である。
【0065】
本明細書の処置方法は、特定のタイプの対象に限定されない。例えば、本明細書の方法は、対象の摂食状態に関係なく対象に投与することができる。いくつかの実施形態では、対象は、小児及び青年期の患者(例えば、6歳~18歳)である。また、いくつかの実施形態では、この方法は、特定の遺伝子型の対象に限定されない。いくつかの実施形態では、同じ用量または実質的に同じ用量の重水素化R,R-テトラベナジンを、PM、IM、またはEMとして特徴付けられる対象に投与することができる。いくつかの実施形態では、対象はEMとして特徴付けられる。いくつかの実施形態では、対象はPMとして特徴付けられる。いくつかの実施形態では、対象はIMとして特徴付けられる。いくつかの実施形態では、この方法は、Xenazine(登録商標)及びAustedo(商標)錠剤のいずれかで治療される場合に必要とされる用量設定及び/または遺伝子型分析を必要としない。
【0066】
本明細書の処置方法の投与レジメンは、重水素化R,R-テトラベナジンの所望の用量が、本明細書に記載されるもののいずれかを含む、所望の速度で所望の期間に対象に送達される限り、特に限定されない。例えば、いくつかの実施形態では、医薬組成物は、本明細書のPKプロファイルを達成するのに好適な投与レジメンで対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、対象に1日1回投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1日超に1回、例えば、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、1週間に1回、または1週間超に1回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、各投与によって、約8時間、約12時間、約24時間、約36時間、約48時間、約72時間、約96時間、約120時間、約144時間、約168時間、約192時間、または記載値間の任意の範囲で、重水素化R,R-テトラベナジンの持続的または実質的に持続的な送達を対象に提供する。
【0067】
本明細書の方法の種々の投与経路に好適な医薬組成物も記載されている。典型的には、経皮送達の場合、医薬組成物は、接着剤(好ましくは感圧接着剤)中に分散された活性成分を含む、例えば、経皮送達デバイスにおける接着剤組成物を含むことができる。いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、約0.1mg/日~約20mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン(例えば、本明細書に記載の例示された範囲のいずれか)を、適用後最長24時間、適用後最長48時間、適用後最長96時間、または適用後最長1週間、実質的に一定の速度で送達するように対象に適用される。好適な接着剤組成物には、本明細書に記載されるもののいずれか、例えば、重水素化テトラベナジンに適用可能な実施形態1~18に記載されるもののいずれか、またはテトラベナジンを重水素化テトラベナジンで置き換えた実施例のセクションに示される特定の組成物のいずれか(例えば、実施例4A)が含まれる。接着剤の種類、量、活性成分の量、他の成分及び量には、テトラベナジンが重水素化テトラベナジンで置き換えられていることを除いて、本明細書に記載のテトラベナジンに好適なもののいずれかが含まれる。いくつかの実施形態では、接着剤組成物はまた、ミリスチン酸イソプロピルなどの、本明細書に記載されるような皮膚透過促進剤を含み得る。いくつかの実施形態では、接着剤組成物はまた、本明細書に記載されるような皮膚透過促進剤を含まなくてもよく、例えば、いくつかの実施形態では、接着剤組成物はまた、ミリスチン酸イソプロピルを含まなくてもよい。他の送達経路に好適な医薬組成物には、本明細書に記載されているものが含まれる。適用可能な実施形態のいずれかにおいて、重水素化テトラベナジンは、重水素化テトラベナジンの実質的に純粋なR,R-異性体、例えば、R,R-デューテトラベナジンであり得る。いくつかの実施形態では、重水素化テトラベナジンの実質的に純粋なR,R-異性体は、医薬組成物中の唯一の活性成分である。いくつかの実施形態では、重水素化テトラベナジンの実質的に純粋なR,R-異性体は、遊離塩基形態である。
【0068】
典型的には、本明細書の方法は、R,R-テトラベナジン(R,R-tetrabanazine)または重水素化R,R-テトラベナジン(R,R-tetrabanazine)のいずれかを、それを必要とする対象に送達するが、本開示はまた、本開示はまた、R,R-テトラベナジン(R,R-tetrabanazine)、及び重水素化R,R-テトラベナジン(R,R-tetrabanazine)の混合物を、それを必要とする対象に送達することを企図する。
【0069】
テトラベナジンまたは重水素化テトラベナジンの経皮送達
本明細書で論じられるように、種々の実施形態では、本明細書の方法は、テトラベナジン(tetrabanazine)または重水素化トラベナジンを、それを必要とする対象に経皮送達する。経皮送達に好適な医薬組成物は、例えば、例示的な実施形態1~18に記載されるように、本明細書に記載されるもののいずれか、または実施例のセクションに示される特定の組成物のいずれか(例えば、実施例4A)を含む。経皮医薬組成物及び経皮送達デバイスもまた、本開示の新規な態様である。
【0070】
テトラベナジンの経皮送達デバイス
種々の実施形態では、本発明は、テトラベナジン及び/または重水素化テトラベナジン(例えば、デューテトラベナジン)を含む医薬組成物または経皮送達デバイスを目的とする。医薬組成物及び経皮送達デバイスは、テトラベナジン及び/または重水素化テトラベナジンを、それを必要とする対象に経皮送達するための新規の選択肢を提供する。テトラベナジン及び/または重水素化テトラベナジンは、経皮経路を介して投与可能であることがこれまでに示されていない。本明細書に詳述されるように、本発明者らは、本明細書に開示される経皮送達デバイス及び医薬組成物(例えば、本明細書の接着剤組成物)を対象に適用して、治療上有効なフラックスを達成することができ、したがって種々の疾患または障害の治療、例として多動性運動障害に有用であり得ることを示した。例えば、その内容が、参照によりその全体が本明細書に援用されているPCT/US2019/028900も参照のこと。
【0071】
本開示のある特定の実施形態は、テトラベナジンまたは重水素化テトラベナジン(例えば、デューテトラベナジン)を含む経皮送達デバイスを目的とする。いくつかの実施形態では、経皮送達デバイスは、バッキング層と、テトラベナジン、重水素化テトラベナジン(例えば、デューテトラベナジン)、及びそれらの組合せから選択される薬物を含む、薬物層と、活性表面積を画定する接着剤層と、を含む。いくつかの実施形態では、薬物は、薬物層の約2重量%~約30重量%の量である。いくつかの実施形態では、経皮送達デバイスは、単一の薬物層を含む。いくつかの実施形態では、経皮送達デバイスは、複数の薬物層を含む。いくつかの実施形態では、経皮送達デバイスは、単一の接着剤層を含む。いくつかの実施形態では、経皮送達デバイスは、複数の接着剤層を含む。
【0072】
本明細書の経皮送達デバイスには、種々のパッチ設計を使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、経皮送達デバイスは、薬物含有接着剤(DIA)パッチであり得る。いくつかの実施形態では、DIAパッチは単層パッチであり、薬物層及び接着剤層は同じ層であり、例えば、薬物は接着剤中に均質に分散している。いくつかの実施形態では、DIAパッチは多層パッチである。例えば、2つの薬物含有接着剤層をパッチに含めることができ、これを、膜によって、任意選択で分離させる。いくつかの実施形態では、2つのDIA層は、異なる放出特性を有することができ、例えば、層のうちの一方は即時放出層であり、他方は放出制御層である。いくつかの実施形態では、2つのDIA層は、異なる放出特性を有することができ、例えば、層のうちの一方は、比較的短時間で比較的速く薬物を放出し、他方の層は、より持続的な期間で薬物を放出する。
【0073】
本明細書の経皮送達デバイスには、薬物含有リザーバ(DIR)設計も使用することができる。いくつかの実施形態では、薬物層及び接着剤層は、例えば、速度制御膜によって互いに積層しているか、または分離している、2つの別個の層であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、薬物層は、接着剤層を積層させた薬物マトリックスなどのリザーバ層である。
【0074】
本明細書の経皮送達デバイスには、他のパッチ設計も使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、経皮送達デバイスは、イオン導入パッチなどの能動パッチであり得る。いくつかの実施形態では、経皮送達デバイスは、マイクロニードル系パッチなどの低侵襲性パッチであり得る。いくつかの実施形態では、経皮送達デバイスはまた、化学的または物理的様式の増強を含み得る別のパッチ設計を有することができる。
【0075】
典型的には、経皮送達デバイス(例えば、DIAパッチ)は、不透過性バッキングフィルムによって支持され、接着面は、剥離ライナーによって保護されている。本明細書の経皮送達デバイスのバッキング層として、種々の材料を使用することができる。典型的には、バッキング層は不透過性である。例えば、バッキング層を、ポリエステル(PET)フィルムまたはポリエチレン(PE)フィルムなどの不透過性ポリマーフィルムで構成することができる。いくつかの実施形態では、バッキング層は、Scotchpak 9723、Scotchpak 9736、またはScotchpak 1012などのポリエステル、Scotchpak 9701などのポリウレタンフィルム、またはCoTran 9720などのポリエチレンフィルムを含むことができる。
【0076】
剥離ライナーは、本発明の所望のサイズで製造することができる。剥離ライナーを、シリコーンまたはフルオロポリマーコーティングポリエステルフィルムで構成することができる。剥離ライナーは、保存中に経皮送達デバイスを保護し、使用前に取り外される。シリコーンコーティング剥離ライナーとしては、Mylan Corporation、Loparex Corporation、及び3M’s Drug Delivery Systemsによって製造されたようなものが挙げられる。3M’s Drug Delivery Systems及びLoparexによって製造され供給されているようなものが挙げられる。いくつかの実施形態では、剥離ライナーは、3MのScotchPak 9744またはScotchpak 1022を含む。
【0077】
本明細書の経皮送達デバイス(例えば、DIAパッチ)は、その用途に応じて異なるサイズ(パッチサイズ)を有することができる。典型的には、パッチサイズは、約5cm~約300cm(例えば、5cm、約10cm、約20cm、約30cm、約40cm、約50cm、約60cm、約80cm、約100cm、約120cm、約150cm、約200cmまたは指定値の間の任意の範囲)、例えば、約1cm~約100cmであり得る。
【0078】
本明細書の経皮送達デバイス(例えば、DIAパッチ)を対象の皮膚に適用する場合、理論的には接着面のすべてが皮膚と接触するようになる可能性がある。したがって、接着面の面積は、デバイスからの活性成分が皮膚を透過することができる皮膚接触面積を画定し、これは本明細書では活性表面積とも呼ばれる。いくつかの実施形態では、接着面は、適用時に皮膚と接触する経皮送達デバイスの唯一の表面であり、活性表面積は接着面の面積と同じである。いくつかの実施形態では、経皮送達デバイスの接着面及び1つまたは複数の他の表面は、適用時に皮膚と接触しており、皮膚接触面積全体が活性表面積である。
【0079】
活性表面積は、送達される薬物の用量を決定することができる。典型的には、活性表面積は、約5cm~約300cm(例えば、5cm、約10cm、約20cm、約30cm、約40cm、約50cm、約60cm、約80cm、約100cm、約120cm、約150cm、約200cmまたは指定値の間の任意の範囲)、例えば、約1cm~約100cmであり得る。
【0080】
薬物層
典型的には、薬物層は、テトラベナジン、重水素化テトラベナジン、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、薬物層は、例えば、皮膚透過促進剤、湿潤剤、可塑剤、抗酸化剤、抗刺激剤、ゲル形成剤、薬物放出調整剤、溶媒、結晶化阻害剤、及び追加の活性成分から選択される1つまたは複数の他の成分を任意に含むことができる。いくつかの実施形態では、薬物層は、経皮送達デバイスが本明細書に記載の皮膚フラックス特性を達成するように調整される。本明細書の薬物層に使用される医薬組成物はまた、本明細書の経皮送達デバイス及び/または皮膚フラックス特性とは無関係に、新規の製剤であり得るという点に留意すべきである。したがって、本開示のいくつかの実施形態はまた、そのような医薬組成物を目的とする。
【0081】
いくつかの実施形態では、薬物層中の薬物は、テトラベナジンであり得る。本明細書に記載の経皮送達デバイス中のテトラベナジンは、特定のエナンチオマーに限定されず、ラセミ形態で、実質的に純粋なR,R-テトラベナジン(例えば、S,S-異性体が10%未満、5%未満、1%未満、もしくは0.1%未満)、実質的に純粋なS,S-テトラベナジン(例えば、R,R-異性体が10%未満、5%未満、1%未満、もしくは0.1%未満)、または任意の比率でのR,R-テトラベナジンとS,S-テトラベナジンとの混合物であり得る。いくつかの実施形態では、経皮送達デバイス中のテトラベナジンは、ラセミ形態である。いくつかの実施形態では、経皮送達デバイス中のテトラベナジンは、実質的に純粋なR,R-テトラベナジンである。いくつかの実施形態では、テトラベナジンは、薬物層中の唯一の薬物である。いくつかの実施形態では、テトラベナジンは、経皮送達デバイス中の唯一の薬物である。いくつかの実施形態では、薬物層及び/または経皮送達デバイスはまた、他の活性成分を含み得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、薬物層中の薬物は、重水素化テトラベナジンであり得る。本明細書で使用される場合、重水素化テトラベナジンとは、テトラベナジンの1つまたは複数の水素原子が重水素で置換されることから生じる化合物を指し、各置換位置が天然存在量を超える重水素含量を有する、すなわち、置換位置に重水素が富化している。いくつかの実施形態では、重水素化テトラベナジンは、10%を超える重水素、50%を超える重水素、90%を超える重水素、95%を超える重水素、または98%を超える重水素に富化された重水素を有する少なくとも1つの位置を有する。重水素化テトラベナジンの好ましい例は、デューテトラベナジンであり、そのラセミ形態は、Austedo(商標)錠の活性成分である。本明細書に記載の経皮送達デバイス中の重水素化テトラベナジンは、特定のエナンチオマーに限定されず、ラセミ形態で、実質的に純粋なR,R-異性体、例えば、R,R-デューテトラベナジン(以下を参照のこと)、(例えば、S,S-異性体が10%未満、5%未満、1%未満、もしくは0.1%未満)、実質的に純粋なS,S-異性体、例えば、S,S-デューテトラベナジン(下記参照のこと)、(例えば、R,R-異性体が10%未満、5%未満、1%未満、もしくは0.1%未満)、または任意の比率でのR,R-異性体とS,S-異性体との混合物であり得る。いくつかの実施形態では、経皮送達デバイスは、ラセミ形態のデューテトラベナジンを含む。いくつかの実施形態では、経皮送達デバイスは、実質的に純粋なR,R-デューテトラベナジンとしてデューテトラベナジンを含む。いくつかの実施形態では、デューテトラベナジンは、薬物層中の唯一の薬物である。いくつかの実施形態では、デューテトラベナジンは、経皮送達デバイス中の唯一の薬物である。いくつかの実施形態では、薬物層及び/または経皮送達デバイスはまた、他の活性成分を含み得る。
【化2】
【0083】
薬物は、経皮送達デバイスの薬物層に種々の量で存在することができる。いくつかの実施形態では、薬物層は、テトラベナジン、重水素化テトラベナジン、またはそれらの組合せを、薬物層の約2重量%~約30重量%(例えば、約2重量%、約2.5重量%、約5重量%、約8重量%、約10重量%、約15重量%、約18重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、または記載値間の任意の範囲)の量で含む。いくつかの特定の実施形態では、薬物層は、テトラベナジン、重水素化テトラベナジン、またはそれらの組合せを、薬物層の約2重量%、約2.5重量%、約5重量%、約8重量%、約10重量%、約15重量%、または約20重量%の量で含む。いくつかの実施形態では、テトラベナジン、重水素化テトラベナジン、またはそれらの組合せは、経皮送達デバイスの薬物層(例えば、薬物含有接着剤層)にのみ存在する。
【0084】
薬物層の重量及び厚さは、薬物濃度及び所望の投与持続期間などの異なる要因に応じて変わる可能性がある。薬物層は、典型的には、約8時間、約12時間、約18時間、約24時間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、及び約7日から選択される期間の適用(例えば、テトラベナジンまたはデューテトラベナジンの送達)のために設計される。いくつかの実施形態では、薬物層は、約0.01g/cm~約5g/cm、例えば、約0.05g/cm~約5g/cm、約0.1g/cm~約5g/cm、例として約0.05g/cm~約0.90g/cm、約0.1g/cm~約0.90g/cm(例えば、約0.1g/cm~約0.5g/cm)などの活性表面積の被覆重量を有することができる。いくつかの実施形態では、薬物層は、約1.5mil~約10mil、例えば、約1.5mil~約3.5mil(例えば、約2mil~約3.5mil)などの厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、薬物層は、約0.1mil~約100mil、例えば、約1mil~約50mil(例えば、約1mil~約10mil、または約1.5mil~約3.5mil)などの厚さを有することができる。
【0085】
皮膚透過促進剤は、皮膚を通るテトラベナジンまたは重水素化テトラベナジンの皮膚透過性を増強することができ、薬物層中に任意に含めることができる。いくつかの実施形態では、薬物層は、透過促進剤を含まないか、または実質的に含まない。しかしながら、いくつかの実施形態では、種々の皮膚透過促進剤を含めることができる。非限定的であり有用な皮膚透過促進剤としては、例えば、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド、DMSO)、アゾン(Azone)(例えば、ラウロカプラム)、ピロリドン(例えば、2-ピロリドン、2P)、アルコール及びアルカノール(例えば、エタノールまたはデカノール)、エステル、グリコール(例えば、プロピレングリコール(PG))、界面活性剤(例えば、Tween 80)、テルペン、ならびにそれらの組合せが挙げられる。例えば、Williams et al.,Adv Drug Deliv Rev.27;56(5):603-18(2004)を参照のこと。いくつかの実施形態では、透過促進剤は、スルホキシド、アルコール、アルカノール、エステル、グリコール、及び界面活性剤から選択される1つまたは複数の化合物を含む。いくつかの実施形態では、透過促進剤は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、オレイン酸アルコール、オレイン酸オレイル、オレイン酸、レブリン酸、他の脂肪酸及び脂肪酸エステル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エタノール、ならびにTween80などの界面活性剤から選択される1つまたは複数の化合物を含む。皮膚透過促進剤は、典型的には、医薬組成物の約1重量%~約25重量%、例えば、医薬組成物の約2重量%、約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、または記載値間の任意の範囲の量で含まれる。
【0086】
湿潤剤、可塑剤、抗酸化剤、抗刺激剤、ゲル形成剤、結晶化阻害剤、薬物放出調整剤などの他の好適な賦形剤もまた、本明細書の薬物層(例えば、薬物含有接着剤層)中に、または別様に経皮送達デバイス中に含めることができる。いくつかの実施形態では、追加の活性成分(複数可)も、本明細書の薬物層中に、または別様に経皮送達デバイス中に含めることができる。これらの賦形剤は、当業者の知識の範囲内であり、例えば、the Handbook of Pharmaceutical Excipients,(7th ed. 2012)中に見出すことができ、その全内容は参照により本明細書に援用される。
【0087】
接着剤層
接着剤層は、薬物層と同じ層であっても別個の層であってもよい。典型的なDIAパッチでは、薬物は接着剤中に均一に分散されて、薬物含有接着剤層を形成する。DIRパッチなどの他の設計もまた、例えば膜によって薬物層から分離された接着剤層を含むことができる。いくつかの実施形態では、複数の接着剤層(例えば、2つ以上の薬物含有接着剤層)を、経皮送達デバイス中で使用することができる。
【0088】
接着剤層は、典型的には、感圧接着剤(PSA)を含む。PSAは、当技術分野において一般に知られている。例えば、Tan et al.,Pharm Sci & Tech Today,2:60-69(1999)を参照のこと。非限定的である有用なPSAとしては、ポリイソブチレン(PIB)、シリコーンポリマー、アクリレートコポリマー、及びそれらの組合せが挙げられる。いくつかの実施形態では、感圧接着剤は、ポリイソブチレン接着剤、シリコーンポリマー接着剤、アクリレートコポリマー接着剤、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、感圧接着剤は、アクリレートコポリマー接着剤を含む。非限定的である有用なアクリレートコポリマーとしては、例えば、ポリ(アクリレート/ビニルアセテート)コポリマー、例えば、Henkel Adhesivesにより製造されているDuro-Tak 87-2287、Duro-Tak 87-4098、Duro-Tak 87-4287、またはDuro-Tak 87-2516、Duro-Tak 87-2852、またはDuro-Tak 87-2194などのアクリル感圧接着剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、感圧接着剤は、非反応性アクリレート接着剤(例えば、本明細書に記載された、Duro-Tak 87-900Aなど)、例えば、反応性水素部分を含む官能基を有していないアクリレート接着剤、またはエポキシ、-OH、-COOH、及びそれらの組合せから選択される官能基を有していないアクリレート接着剤であり得る。PIBは、PSAにおいて、一次ベースポリマー及び粘着付与剤の両方として一般的に使用されるエラストマー系ポリマーである。PIBはイソブチレンのホモポリマーであり、末端のみ不飽和の、炭素水素骨格の規則的な構造を特徴とする。非限定的である有用なPIBとしては、BASFにより商標名Oppanolにて販売されているようなものが挙げられる。しかし、いくつかの実施形態では、感圧接着剤は、PIB系接着剤を含まない。シリコーンポリマーはポリマー鎖の末端部に残留シラノール官能基(SiOH)を含む高分子量ポリジメチルシロキサンである。医薬用途において使用するための非限定的である有用なシリコーンPSAとしては、例えば商標名BIO-PSA、例えばBIO-7-4202にてDow Corning Corporationから入手可能なようなものが挙げられる。いくつかの実施形態では、接着剤層は、約1.5mil~約10mil(例えば、約1.5mil~約2mil)の厚さである。
【0089】
接着剤層中で、1つまたは複数の接着剤を使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、接着剤層は、種々の比率(例えば、約1:10~約10:1の範囲の、アクリレート接着剤対シリコーン接着剤の比率)で、アクリレートコポリマー接着剤(例えば、Durotak 87-2287)とシリコーン接着剤(例えばBIO-7-4202)との混合物を含むことができる。実施例セクションにおいて詳述されるように、接着剤成分を変えることは、経皮送達デバイスのフラックス特性に影響を与え得る。
【0090】
接着剤層を、典型的には、経皮送達デバイスが所望の期間、使用者の皮膚に接着することができるように処方する。例えば、いくつかの実施形態では、経皮送達デバイスは、約8時間、約12時間、約18時間、約24時間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、もしくは約7日、またはそれ以上の間、使用者の皮膚に持続的に接着することができる。
【0091】
接着剤組成物
いくつかの実施形態では、本発明はまた、接着剤中に、テトラベナジン、重水素化テトラベナジン(例えば、デューテトラベナジン)、及びそれらの組合せから選択される薬物を含む接着剤組成物を提供する。いくつかの実施形態では、薬物は、接着剤中に均質に分散している。好適な薬物及び接着剤には、本明細書に記載されているもののいずれかが含まれる。
【0092】
いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、約8時間、約12時間、約18時間、約24時間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、もしくは約7日、またはそれ以上から選択される長期間にわたって、使用者の皮膚に持続的に接着することができる。
【0093】
いくつかの実施形態では、接着剤は感圧接着剤である。いくつかの実施形態では、感圧接着剤は、ポリイソブチレン(PIB)接着剤、シリコーンポリマー接着剤、アクリレートコポリマー接着剤、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、感圧接着剤は、非反応性アクリレート接着剤(例えば、本明細書に記載された、Duro-Tak 87-900Aなど)、例えば、反応性水素部分を含む官能基を有していないアクリレート接着剤、またはエポキシ、-OH、-COOH、及びそれらの組合せから選択される官能基を有していないアクリレート接着剤であり得る。いくつかの実施形態では、感圧接着剤は、ポリイソブチレン(PIB)接着剤及び/またはシリコーンポリマー接着剤を含まない。
【0094】
接着剤組成物中の薬物は、好ましくはテトラベナジンまたはデューテトラベナジンである。いくつかの実施形態では、薬物はテトラベナジンである。いくつかの実施形態では、テトラベナジンは、実質的に純粋なR,R-テトラベナジンである。いくつかの実施形態では、薬物はデューテトラベナジンである。いくつかの実施形態では、デューテトラベナジンは、実質的に純粋なR,R-デューテトラベナジンである。いくつかの実施形態では、テトラベナジンは、接着剤組成物中の唯一の活性成分である。いくつかの実施形態では、デューテトラベナジンは、接着剤組成物中の唯一の活性成分である。いくつかの実施形態では、テトラベナジンまたはデューテトラベナジンは、接着剤組成物の約2重量%~約30重量%(例えば、約2重量%、約2.5重量%、約5重量%、約8重量%、約10重量%、約15重量%、約18重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、または記載値間の任意の範囲)の量で存在する。いくつかの特定の実施形態では、接着剤組成物は、テトラベナジン、またはデューテトラベナジンを、接着剤組成物の約2重量%、約2.5重量%、約5重量%、約8重量%、約10重量%、約15重量%、または約20重量%の量で含む。いくつかの実施形態では、活性成分は、約2重量%~約7重量%の量で存在する。
【0095】
いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、透過促進剤をさらに含む。好適な透過促進剤には、本明細書に記載されているもののいずれかが含まれる。いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、透過促進剤を含まない。いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、ミリスチン酸イソプロピルを含まない。
【0096】
いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、湿潤剤、可塑剤、抗酸化剤、抗刺激剤、ゲル形成剤、結晶化阻害剤、薬物放出調整剤、及び追加の活性成分から選択される1つまたは複数の成分を、任意に含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、抗酸化剤、例えば没食子酸プロピルなどの没食子酸抗酸化剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、ポリビニルピロリドンポリマー、架橋ポリビニルピロリドンポリマー、ポリビニルピロリドンコポリマー、セルロース系ポリマー、ポリカルボン酸ポリマー、ポリメタクリレート、ポリエチレングリコール、ポリビニルアセテート、及びポリビニルカプロラクタム系グラフトコポリマー(PVAc-PVCap-PEG)、またはそれらの組合せなどの結晶化阻害剤を含み得る。いくつかの好ましい実施形態では、接着剤組成物は、ブチルメタクリレートとメチルメタクリレートとのコポリマーである結晶化阻害剤を含む。いくつかの好ましい実施形態では、接着剤組成物は、ポリエチレングリコール、ポリビニルアセテート、及びポリビニルカプロラクタム系グラフトコポリマーである結晶化阻害剤を含む。
【0097】
接着剤組成物は、経皮送達デバイスに含めることができる。典型的には、そのような経皮送達デバイスはまた、バッキング層及び使用前に接着剤表面を保護する剥離ライナーを含む。いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、本明細書に記載の経皮送達デバイスのいずれか1つに薬物層として含めることができる。
【0098】
皮膚フラックス特性
本明細書に記載の経皮送達デバイスは、好ましくは、ある特定の所望の皮膚フラックス特性を提供する。典型的には、経皮送達デバイスは、約0.1mg/日/cm~約5mg/日/cm(例えば、約0.1mg/日/cm、約0.2mg/日/cm、約0.5mg/日/cm、約1mg/日/cm、約2mg/日/cm、約5mg/日/cm、または記載値間の任意の範囲)の薬物(例えば、テトラベナジンまたはデューテトラベナジン)を、それを必要とする対象に、例えば、約8時間、約12時間、約18時間、約24時間、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、及び約7日から選択される期間にわたって、送達することができる。しかし、いくつかの実施形態では、経皮送達デバイスは、約5mg/日/cm超、例えば、約8mg/日/cm、約10mg/日/cm、約15mg/日/cm、約20mg/日/cm、または記載値間の任意の範囲の薬物(例えば、テトラベナジンまたはデューテトラベナジン)を送達することができる。いくつかの実施形態では、経皮送達デバイスは、約0.1mg/日/cm未満、例えば、約0.01mg/日/cm、約0.02mg/日/cm、約0.05mg/日/cm、約0.1mg/日/cm、または記載値間の任意の範囲の薬物(例えば、テトラベナジンまたはデューテトラベナジン)を送達することができる。
【0099】
いくつかの実施形態では、経皮送達デバイスは、約0.1mg/日/cm~約1mg/日/cm(例えば、約0.1mg/日/cm、約0.2mg/日/cm、約0.5mg/日/cm、約1mg/日/cm、または記載値間の任意の範囲)の薬物(例えば、テトラベナジンまたはデューテトラベナジン)を、それを必要とする対象に、例えば、約24時間、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、及び約7日から選択される期間にわたって、送達することができる。いくつかの実施形態では、経皮送達デバイスは、約0.1mg/日/cm~約5mg/日/cm(例えば、約0.1mg/日/cm、約0.2mg/日/cm、約0.5mg/日/cm、約1mg/日/cm、約5mg/日/cm、または記載値間の任意の範囲)の薬物(例えば、テトラベナジンまたはデューテトラベナジン)を、例えば、7日を超える期間にわたって、送達することができる。いくつかの実施形態では、経皮送達デバイスは、約0.1mg/日/cm~約5mg/日/cm(例えば、約0.1mg/日/cm、約0.2mg/日/cm、約0.5mg/日/cm、約1mg/日/cm、または記載値間の任意の範囲)の薬物(例えば、テトラベナジンまたはデューテトラベナジン)を、例えば、24時間未満、例えば18時間未満、12時間未満、8時間未満、または4時間未満の期間にわたって、送達することができる。
【0100】
いくつかの実施形態では、経皮送達デバイスは、テトラベナジンを含み、経皮送達デバイスは、ヒトの死体皮膚を使用してインビトロで試験した場合、以下の皮膚フラックス特性、すなわち、a)投与6時間後に、活性表面積に基づいて、約0.1μg/cm~約150μg/cm(例えば、約0.1μg/cm、約0.5μg/cm、約1μg/cm、約5μg/cm、約10μg/cm、約15μg/cm、約20μg/cm、約50μg/cm、約75μg/cm、約100μg/cm、約125μg/cm、約150μg/cm、または記載値間の任意の範囲)の透過した累積テトラベナジン;b)投与12時間後に、活性表面積に基づいて、約2μg/cm~約400μg/cm(例えば、約2μg/cm、約5μg/cm、約10μg/cm、約15μg/cm、約20μg/cm、約50μg/cm、約100μg/cm、約200μg/cm、約300μg/cm、約400μg/cm、または記載値間の任意の範囲)の透過した累積テトラベナジン;及びc)投与24時間後に、活性表面積に基づいて、約5μg/cm~約1000μg/cm(例えば、約5μg/cm、約10μg/cm、約15μg/cm、約2μg/cm、25μg/cm、約50μg/cm、約100μg/cm、約200μg/cm、約300μg/cm、約400μg/cm、600μg/cm、800μg/cm、1000μg/cm、または記載値間の任意の範囲)の透過した累積テトラベナジン、のうちの1つまたは複数を提供する。いくつかの実施形態では、テトラベナジンは、薬物層の約2重量%~約30重量%(例えば、約2重量%~約20重量%、約2重量%~約10重量%、約2重量%~約5重量%、約5重量%~約10重量%、約10重量%~約15重量%)の量で存在する。いくつかの実施形態では、テトラベナジンは、薬物層の約2重量%、約5重量%、約8重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、または記載値間の任意の範囲の量で存在する。いくつかの実施形態では、テトラベナジンは、実質的に純粋なR,R-テトラベナジンである。
【0101】
いくつかの実施形態では、テトラベナジンは、薬物層の約2重量%~約5重量%の量で存在し、経皮送達デバイスは、ヒトの死体皮膚を使用してインビトロで試験した場合、以下の皮膚フラックス特性、すなわち、a)投与6時間後に、活性表面積に基づいて、約0.1μg/cm~約100μg/cm(例えば、約0.1μg/cm、約0.5μg/cm、約1μg/cm、約5μg/cm、約10μg/cm、約15μg/cm、約20μg/cm、約50μg/cm、約75μg/cm、約100μg/cm、または記載値間の任意の範囲)の透過した累積テトラベナジン;b)投与12時間後に、活性表面積に基づいて、約2μg/cm~約200μg/cm(例えば、約2μg/cm、約5μg/cm、約10μg/cm、約15μg/cm、約20μg/cm、約50μg/cm、約100μg/cm、約200μg/cm、または記載値間の任意の範囲)の透過した累積テトラベナジン;及びc)投与24時間後に、活性表面積に基づいて、約5μg/cm~約600μg/cm(例えば、約5μg/cm、約10μg/cm、約15μg/cm、約20μg/cm、25μg/cm、約50μg/cm、約100μg/cm、約200μg/cm、約300μg/cm、約400μg/cm、600μg/cm、または記載値間の任意の範囲)の透過した累積テトラベナジン、のうちの1つまたは複数を提供する。
【0102】
いくつかの実施形態では、テトラベナジンは、薬物層の約5重量%~約10重量%の量で存在し、経皮送達デバイスは、ヒトの死体皮膚を使用してインビトロで試験した場合、以下の皮膚フラックス特性、すなわち、a)投与6時間後に、活性表面積に基づいて、約0.5μg/cm~約150μg/cm(例えば、約1μg/cm、約5μg/cm、約10μg/cm、約15μg/cm、約20μg/cm、約50μg/cm、約75μg/cm、約100μg/cm、約150μg/cm、または記載値間の任意の範囲)の透過した累積テトラベナジン;b)投与12時間後に、活性表面積に基づいて、約4μg/cm~約400μg/cm(例えば、約4μg/cm、約6μg/cm、約10μg/cm、約15μg/cm、約20μg/cm、約50μg/cm、約100μg/cm、約200μg/cm、約400μg/cm、または記載値間の任意の範囲)の透過した累積テトラベナジン;及びc)投与24時間後に、活性表面積に基づいて、約6μg/cm~約1000μg/cm(例えば、約6μg/cm、約10μg/cm、約15μg/cm、約20μg/cm、25μg/cm、約50μg/cm、約100μg/cm、約200μg/cm、約300μg/cm、約400μg/cm、600μg/cm、約1000μg/cm、または記載値間の任意の範囲)の透過した累積テトラベナジン、のうちの1つまたは複数を提供する。
【0103】
いくつかの実施形態では、薬物層の約10重量%~約15重量%の量で存在し、経皮送達デバイスは、ヒトの死体皮膚を使用してインビトロで試験した場合、以下の皮膚フラックス特性、すなわち、a)投与6時間後に、活性表面積に基づいて、約0.5μg/cm~約150μg/cm(例えば、約1μg/cm、約2μg/cm、約5μg/cm、約10μg/cm、約15μg/cm、約20μg/cm、約50μg/cm、約75μg/cm、約100μg/cm、約150μg/cm、または記載値間の任意の範囲)の透過した累積テトラベナジン;b)投与12時間後に、活性表面積に基づいて、約4μg/cm~約400μg/cm(例えば、約4μg/cm、約6μg/cm、約10μg/cm、約15μg/cm、約20μg/cm、約30μg/cm、約40μg/cm、約50μg/cm、約100μg/cm、約200μg/cm、約400μg/cm、または記載値間の任意の範囲)の透過した累積テトラベナジン;及びc)投与24時間後に、活性表面積に基づいて、約8μg/cm~約1000μg/cm(例えば、約8μg/cm、約10μg/cm、約15μg/cm、約20μg/cm、約30μg/cm、約40μg/cm、約50μg/cm、約60μg/cm、約100μg/cm、約200μg/cm、約300μg/cm、約400μg/cm、約600μg/cm、約1000μg/cm、または記載値間の任意の範囲)の透過した累積テトラベナジン、のうちの1つまたは複数を提供する。
【0104】
いくつかの実施形態では、経皮送達デバイスは、重水素化テトラベナジン(例えば、デューテトラベナジン)を含み、経皮送達デバイスは、ヒトの死体皮膚を使用してインビトロで試験した場合、以下の皮膚フラックス特性、すなわち、a)投与6時間後に、活性表面積に基づいて、約0.1μg/cm~約150μg/cm(例えば、約0.1μg/cm、約0.5μg/cm、約1μg/cm、約5μg/cm、約10μg/cm、約15μg/cm、約20μg/cm、約50μg/cm、約75μg/cm、約100μg/cm、約125μg/cm、約150μg/cm、または記載値間の任意の範囲)の透過した累積重水素化テトラベナジン;b)投与12時間後に、活性表面積に基づいて、約2μg/cm~約400μg/cm(例えば、約2μg/cm、約5μg/cm、約10μg/cm、約15μg/cm、約20μg/cm、約50μg/cm、約100μg/cm、約200μg/cm、約300μg/cm、約400μg/cm、または記載値間の任意の範囲)の透過した累積重水素化テトラベナジン;及びc)投与24時間後に、活性表面積に基づいて、約5μg/cm~約1000μg/cm(例えば、約5μg/cm、約10μg/cm、約15μg/cm、約20μg/cm、25μg/cm、約50μg/cm、約100μg/cm、約200μg/cm、約300μg/cm、約400μg/cm、600μg/cm、800μg/cm、1000μg/cm、または記載値間の任意の範囲)の透過した累積重水素化テトラベナジン、のうちの1つまたは複数を提供する。いくつかの実施形態では、重水素化テトラベナジンは、薬物層の約2重量%~約30重量%(例えば、約2重量%~約20重量%、約2重量%~約10重量%、約2重量%~約5重量%、約5重量%~約10重量%、約10重量%~約15重量%)の量で存在する。いくつかの実施形態では、重水素化テトラベナジンは、薬物層の約2重量%、約5重量%、約8重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、または記載値間の任意の範囲の量で存在する。いくつかの実施形態では、重水素化テトラベナジンは、実質的に純粋なR,R-デューテトラベナジンである。
【0105】
上記のフラックス特性を有する経皮送達デバイスは、本開示を考慮して当業者によって調製することができる。若干の経皮送達デバイスの調製も、実施例のセクションに例示されている。透過する累積薬物(テトラベナジン、重水素化テトラベナジン、またはそれらの組合せ)は、例えば、薬物層の組成(例えば、薬物濃度、透過促進剤、被覆重量、接着剤のタイプなど)を変えることによって調整することができる。
【0106】
非反応性接着剤を含む組成物
非反応性接着剤を使用する組成物は、ある特定の利点を提供することができる。実施例セクションに示されているように、非反応性接着剤を含むテトラベナジン製剤は、官能基を有する接着剤を含む対応する製剤と比較して、より安定であり得る。例えば、2-EHA(2-エチルヘキシルアクリレート)(モノマー組成に基づいて約45重量%)と、MA(メチルアクリレート)(モノマー組成に基づいて約35重量%)と、t-OA(tertオクチルアクリルアミド)(モノマー組成に基づいて約20重量%)とのコポリマーであると理解されている、非反応性接着剤DuroTak 87-900Aをマトリックスポリマーとして使用した場合、得られたテトラベナジン接着剤組成物は、40℃で4週間常温保存した後、薬物の結晶も薬物の分解も観察されず、安定であることが分かった。対照的に、テトラベナジン接着剤組成物が、より一般的な接着剤マトリックスポリマーであるDuroTak 87-2287(エポキシ官能基及びヒドロキシル官能基を含む)またはDuro-Tak 87-2677(カルボン酸官能基を含む)を使用して形成された場合、得られた製剤は、40℃で4週間常温保存した後、黄味がかった色を示し、これは、酸化及び/またはその他の分解による活性成分の不安定性を示している。
【0107】
いくつかの実施形態では、本発明は、非反応性アクリレート感圧接着剤に分散した(例えば、均質に分散または溶解した)活性成分(またはそれに代えて、「薬物」と呼ばれる)を含む接着剤組成物を提供し、活性成分は、テトラベナジン、重水素化テトラベナジン、またはそれらの組合せから選択される。文脈からそうでないことが明らかでない限り、本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて、活性成分は、その遊離塩基形態で、例えば、テトラベナジン塩基、デューテトラベナジン塩基などとして主に(例えば、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、または少なくとも95重量%)存在し得る。非反応性アクリレート感圧接着剤は、典型的には、接着剤組成物の約50重量%~約97重量%(例えば、約50重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約75重量%、約80重量%、約85重量%、約90重量%、約95重量%、約97重量%、または記載値間の任意の範囲)の量で存在する。
【0108】
本開示の実施形態に有用な非反応性アクリレート感圧接着剤としては、例えば、Henkelにより製品名DuroTak 87-900Aにて販売されているようなものが挙げられる。その内容全体が参照により本明細書に援用されている、米国特許第9,056,060号はまた、本開示の実施形態に使用することができる非反応性アクリレート感圧接着剤を記載している。
【0109】
いくつかの実施形態では、非反応性アクリレート感圧接着剤は、反応性水素部分を含む官能基を有していない。いくつかの実施形態では、非反応性アクリレート感圧接着剤は、エポキシ、-OH、-COOH、及びそれらの組合せから選択される官能基を有していない。例えば、いくつかの実施形態では、非反応性アクリレート感圧接着剤は、反応性水素部分を含む官能基を有しておらず、またエポキシ、-OH、-COOH、及びそれらの組合せから選択される官能基も有していないアルキルアクリレートのコポリマーである。いくつかの実施形態では、非反応性アクリレート感圧接着剤は、アルキルアクリレートを含む、アルキルアクリレートから本質的になる、または、アルキルアクリレートからなるモノマーのコポリマーであり得る。例えば、いくつかの実施形態では、非反応性アクリレート感圧接着剤は、アルキルアクリレートからなるモノマーから誘導されたコポリマー、例えば、C-C18アルキルアクリレート(好ましくはC-C10分岐鎖または直鎖アルキルアクリレート)のモノマー及びメチルアクリレートのモノマーから誘導されたコポリマー、より好ましくは、エチルヘキシルアクリレートのモノマー(例えば、2-エチルヘキシルアクリレート)及びメチルアクリレートのモノマーから誘導されたコポリマー、であり得る。いくつかの実施形態では、アルキルアクリレートのコポリマーは、エチルヘキシルアクリレート(例えば、2-エチルヘキシルアクリレート)と、メチルアクリレートと、任意に、-OH、-COOH基などの反応性水素部分を含む官能基を有していない他のモノマー(複数可)とのコポリマーである。いくつかの実施形態では、非反応性アクリレート感圧接着剤は、アルキルアクリレートを含むモノマー及び-OH、-COOH基などの反応性水素部分を含む官能基を有していない他のモノマーから誘導されたコポリマーであり得る。例えば、いくつかの実施形態では、非反応性アクリレート感圧接着剤は、エチルヘキシルアクリレート(例えば、2-エチルヘキシルアクリレート)のモノマー、メチルアクリレートのモノマー、及び-OH、-COOH基などの反応性水素部分を含む官能基を有していない1つまたは複数のモノマー、例えば、アクリルアミドモノマー(例えば、tertオクチルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、またはビニルアセトアミド)から誘導されたコポリマーである。本明細書で使用される場合、アミドNHまたはアミドNH基は、反応性水素部分と考えるべきではない。いくつかの実施形態では、非反応性アクリレート感圧接着剤は、C-C18アルキルアクリレート(好ましくはC-C10分岐鎖または直鎖アルキルアクリレート)のモノマー、メチルアクリレートのモノマー、及び、エポキシ、-OH、-COOH基、及びそれらの組合せから選択される官能基を有していない1つまたは複数のアクリルアミドモノマー(例えば、tertオクチルアクリルアミド)から誘導されたコポリマーであり得る。モノマーの重量百分率は変化する変えることができ、例えば、いくつかの実施形態では、非反応性アクリレート感圧接着剤のモノマーの百分率は、以下であり得る:C-C18アルキルアクリレート(好ましくは、C-C10分岐鎖または直鎖アルキルアクリレート、例えば、2-エチルヘキシルアクリレート)のモノマーの百分率は、約45重量%であり得、メチルアクリレートのモノマーの百分率は、約35重量%であり得、1つまたは複数のアクリルアミドモノマー(例えば、tertオクチルアクリルアミド)のモノマーの百分率は、約20重量%であり得る。
【0110】
非反応性アクリレート感圧接着剤は、典型的には、酢酸ビニルを含まない。非反応性アクリレート感圧接着剤は、典型的には、架橋剤も含まない。非反応性アクリレート感圧接着剤は、典型的には、種々の粘度を有することができる。いくつかの実施形態では、非反応性アクリレート感圧接着剤は、約1,500cP~約20,000cP、より好ましくは、約1,500cP~約10,000cP、例えば、約1,800cP、約5,000cP、約10,000cP、または記載値間の任意の範囲の粘度を有し得る。いくつかの実施形態では、非反応性アクリレート感圧接着剤は、接着剤組成物が、約8時間、約12時間、約18時間、約24時間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、もしくは約7日、またはそれ以上の間、使用者の皮膚に連続的に接着することができるように選択することができる。
【0111】
いくつかの製剤では、透過促進剤の添加は、パッチ製剤中の活性成分(例えば、テトラベナジン)の有意な分解を引き起こす可能性がある。したがって、いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、透過促進剤を含まないか、または実質的に含まない可能性がある。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書の接着剤組成物は、透過促進剤を含まない可能性がある。いくつかの実施形態では、本明細書の接着剤組成物は、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、及びそれらの組合せから選択される透過促進剤を含まない可能性がある。いくつかの実施形態では、本明細書の接着剤組成物は、ミリスチン酸イソプロピルを含まない可能性がある。しかし、場合によっては、透過促進剤を、例えば、活性成分の有意な分解を引き起こさない量で、接着剤組成物に加えることができることを理解すべきである。
【0112】
抗酸化剤は、典型的には、本明細書の接着剤組成物中に含まれる。例えば、抗酸化剤を添加して、活性成分の分解の程度を低減することができる。しかし、意外にも、テトラベナジンを分解から保護する際に、いくつかの抗酸化剤が他の抗酸化剤よりも良好に作用することが分かった。例えば、没食子酸抗酸化剤(例えば、実施例では没食子酸プロピル)を含む接着剤組成物は、常温保存可能であることが分かった。本明細書の実施形態のいずれかにおいて、常温保存可能、保存安定性、または常温保存後の安定性などは、40℃で4週間常温保存した後の試験されたデバイスまたは組成物について、(1)HPLC分析は、試験されたデバイスまたは組成物が、TBZ01、TBZ02、及びTBZ04から選択される1つまたは複数の(好ましくはすべての)分解物を含まないか、または実質的に含まない(例えば、1%未満、0.5%未満、0.05%未満、またはHPLCによって検出されない)ことを示す、(2)薬物の結晶は観察されない(例えば、外観上に観察されない)、ことを意味し得る。いくつかの実施形態では、分解物TBZ01、TBZ02、及びTBZ04はすべて、40℃で4週間常温保存した後の本明細書の常温保存可能なデバイスまたは組成物において、HPLCによって、または定量限界未満では検出されない。TBZ01、TBZ02、及びTBZ04のHPLC分析及び保持時間の例示的な条件を、実施例5に示す。しかし、抗酸化剤を使用しない場合、または添加された抗酸化剤がBHTの場合、分解物(TBZ01、TBZ02、TBZ04を含む)が形成された。いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、没食子酸抗酸化剤を含むことができる。いくつかの好ましい実施形態では、接着剤組成物は、没食子酸プロピルを含むことができる。いくつかの好ましい実施形態では、没食子酸プロピルは、接着剤組成物中の唯一の抗酸化剤である。いくつかの実施形態では、他の抗酸化剤を没食子酸プロピルと組合せて使用することができる。いくつかの実施形態では、接着剤組成物はまた、抗酸化剤として、没食子酸プロピル、クエン酸、アスコルビン酸、ビタミンEもしくは酢酸トコフェロール、またはそれらの組合せを含み得る。没食子酸プロピルなどの抗酸化剤は、存在する場合、典型的には、接着剤組成物の約0.001重量%~約0.5重量%(例えば、約0.01重量%、約0.02重量%、約0.03重量%、約0.04重量%、約0.05重量%)の量で存在する。
【0113】
活性成分は、典型的には、約2重量%~約30重量%の量で、接着剤組成物中に存在する。好ましくは、いくつかの実施形態では、活性成分は、約2重量%~約15重量%、例えば、約2重量%~約10重量%、または約2重量%~約7重量%などの量で、接着剤組成物中に存在することができる。本明細書の接着剤組成物中のテトラベナジンは、特定のエナンチオマーに限定されず、ラセミ形態で、実質的に純粋なR,R-テトラベナジン(例えば、S,S-異性体が10%未満、5%未満、1%未満、もしくは0.1%未満)、実質的に純粋なS,S-テトラベナジン(例えば、R,R-異性体が10%未満、5%未満、1%未満、もしくは0.1%未満)、または任意の比率でのR,R-テトラベナジンとS,S-テトラベナジンとの混合物であり得る。本明細書に記載の経皮送達デバイス中の重水素化テトラベナジンは、特定のエナンチオマーに限定されず、ラセミ形態で、実質的に純粋なR,R-異性体、例えば、R,R-デューテトラベナジン(例えば、S,S-異性体が10%未満、5%未満、1%未満、もしくは0.1%未満)、実質的に純粋なS,S-異性体、例えば、S,S-デューテトラベナジン(例えば、R,R-異性体が10%未満、5%未満、1%未満、もしくは0.1%未満)、または任意の比率でのR,R-異性体とS,S-異性体との混合物であり得る。いくつかの実施形態では、接着剤組成物中の唯一の活性成分は、テトラベナジン、例えばテトラベナジンの実質的に純粋なR,R-異性体などである。いくつかの実施形態では、接着剤組成物中の唯一の活性成分は、デューテトラベナジン、例えばデューテトラベナジンの実質的に純粋なR,R-異性体などである。いくつかの実施形態では、接着剤組成物はまた、例えば、本明細書に記載された、他の活性成分を含むことができる。
【0114】
典型的には、結晶化阻害剤もまた、保存時に薬物結晶の形成を防ぐために接着剤組成物中に含まれる。そのような薬物結晶は、そのような接着剤組成物の皮膚透過を遅らせる可能性がある。したがって、いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、周囲温度で2週間常温保存した後の薬物結晶の形成を防止するのに有効な量で、結晶化阻害剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、ポリビニルピロリドンポリマー(例えば、KollidonK30またはK90F(BASFによって製造された)、Plasdone K20/32またはPlasdoneK90(Ashland Chemicalによって製造された))、架橋ポリビニルピロリドンポリマー(例えば、Kollidon CL)、ポリビニルピロリドンコポリマー(例えば、Plasdone S-630Copovidone (Asland))、セルロース系ポリマー(例えば、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース)、ポリカルボン酸ポリマー(例えば、Cabopol(Lubrizolによって製造された))、ポリメタクリレート(例えば、Plastoid B、Eudragit E100、Eudragit L100-55 (Evonikによって製造された))、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル、及びポリビニルカプロラクタム系グラフトコポリマー(PVAc-PVCap-PEG)(例えば、Soluplus(BASF)、ならびにそれらの組合せ、から選択される結晶化阻害剤を含み得る。いくつかの実施形態では、結晶化阻害剤は、コリドンVA64(BASF)ではない。
【0115】
いくつかの好ましい実施形態では、接着剤組成物は、ポリメタクリレート(例えば、Plastoid B(ブチルメタクリレートとメチルメタクリレートとのコポリマー)、Eudragit E100、Eudragit L100-55(Evonikにより製造された))、ポリエチレングリコール、ポリビニルアセテート、及びポリビニルカプロラクタム系グラフトコポリマー(PVAc-PVCap-PEG)(例えば、Soluplus(BASF)、ならびにそれらの組合せ、から選択される結晶化阻害剤を含み得る。例えば、いくつかの特定の実施形態では、接着剤組成物は、ブチルメタクリレートとメチルメタクリレートとのコポリマー、例えば、Evonicにより商標名Plastoid Bにて製造されたポリマーなどを含む。いくつかの特定の実施形態では、接着剤組成物は、ポリエチレングリコール、ポリビニルアセテート、及びポリビニルカプロラクタム系グラフトコポリマー、例えば、BASFにより商標名Soluplusにて製造されたポリマーなどを含む。結晶化阻害剤は、接着剤組成物中に存在する場合、典型的には、約5重量%~約40重量%、例えば、約10重量%、約20重量%、約30重量%、約40重量%、または記載値間の任意の範囲の量である。
【0116】
いくつかの特定の実施形態では、本発明は、以下の成分を有する接着剤組成物を提供する。
【表1】
表中の数値は、「約」という用語が前に付いているものとして理解する必要がある。他の成分を、任意に含めることができる。いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、透過促進剤を含まない。いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、ミリスチン酸イソプロピルを含まない。好適な活性成分、接着剤(例えば、非反応性アクリレート接着剤)、抗酸化剤、及び結晶化阻害剤としては、本明細書に記載のものが挙げられる。例えば、いくつかの好ましい実施形態では、活性成分はテトラベナジン塩基(例えば、実質的に純粋なR,R-異性体)であり、接着剤は、非反応性アクリレート接着剤などのアクリレートポリマー、好ましくは、エチルヘキシルアクリレートとメチルアクリレートとのコポリマー、例えばDuro-Tak 87-900Aであり、抗酸化剤は、好ましくは没食子酸プロピルであり、結晶化阻害剤は、好ましくはブチルメタクリレートとメチルメタクリレートとのコポリマー、またはポリエチレングリコール、ポリビニルアセテート及びポリビニルカプロラクタム系のグラフトコポリマーである。いくつかの実施形態では、本開示はまた、接着剤組成物(例えば、本明細書に記載された)を調製する方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、活性成分(例えば、テトラベナジン塩基)、接着剤、任意に抗酸化剤、任意に結晶化阻害剤を好適な溶媒(例えば、エタノールなど)中で混合して、湿式接着剤組成物を形成することを含む。好適な量及び好適な活性成分、接着剤、抗酸化剤、結晶化阻害剤には、本明細書に記載され、好ましいもののいずれかが含まれ、例えば、それらは、この段落及び先行する10段落で論じられている。他の任意の成分及びその量も本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、この方法は、湿式接着剤組成物をバッキング層上にキャストすることをさらに含む。いくつかの実施形態では、この方法は、湿式接着剤組成物を乾燥させることをさらに含む。本明細書の方法によって製造された製品もまた、新規の組成物である。
【0117】
接着剤組成物(例えば、本明細書に記載の非反応性アクリレート接着剤を含む接着剤組成物)は、典型的には、例えば、薬物層または薬物含有接着剤層として、経皮送達デバイス中に含まれる。例えば、いくつかの実施形態では、本開示は、バッキング層と、本明細書に記載の接着剤組成物のうちのいずれか(例えば、薬物層または薬物含有接着剤層として本明細書に記載の非反応性アクリレート接着剤を含む接着剤組成物)と、剥離ライナーと、を含む経皮送達デバイスを提供する。経皮送達デバイスは、必要に応じて異なるサイズに切断することができ、これは、典型的には、約10cm~約100cmである。他のパッチ設計について本明細書で記載される。好ましくは、本明細書の経皮送達デバイス(及び/または、例えば、本明細書に記載の非反応性アクリレート接着剤を含む接着剤組成物)は、保存安定性があり(またはそれに代えて、常温保存可能と呼ばれる)、例えば、40℃で4週間常温保存した後に、薬物の結晶が観察されない、及び/または40℃で4週間常温保存した後に、HPLCにより薬物の分解が観察されない。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書の経皮送達デバイス(及び/または、例えば、本明細書に記載の非反応性アクリレート接着剤を含む接着剤組成物)は、4週間以上、8週間以上、12週間以上、16週間以上、6か月以上、12か月以上などの間、保存安定性があり得る。
【0118】
典型的には、本明細書の経皮送達デバイス(及び/または接着剤組成物)はまた、活性成分(例えば、テトラベナジンまたはデューテトラベナジン)の所望の皮膚透過性を達成するように構成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、経皮送達デバイス(例えば、本明細書に記載の非反応性アクリレート接着剤を含む接着剤組成物を含む)は、約0.01mg/日/cm~約5mg/日/cm(例えば、約0.01mg/日/cm、約0.02mg/日/cm、約0.05mg/日/cm、約0.1mg/日/cm、約0.2mg/日/cm、約0.5mg/日/cm、約1mg/日/cm、約2mg/日/cm、約5mg/日/cm、または記載値間の任意の範囲)の活性成分(例えば、テトラベナジンまたはデューテトラベナジン)を、それを必要とする対象に、例えば、約8時間、約12時間、約18時間、約24時間、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、及び約7日から選択される期間にわたって、送達することができる。いくつかの実施形態では、経皮送達デバイス(例えば、本明細書に記載の非反応性アクリレート接着剤を含む接着剤組成物を含む)は、約5mg/日/cm超、例えば、約8mg/日/cm、約10mg/日/cm、約15mg/日/cm、約20mg/日/cm、または記載値間の任意の範囲の薬物(例えば、テトラベナジンまたはデューテトラベナジン)を送達することができる。いくつかの実施形態では、経皮送達デバイス(例えば、本明細書に記載の非反応性アクリレート接着剤を含む接着剤組成物を含む)は、約0.1mg/日/cm未満、例えば、約0.01mg/日/cm、約0.02mg/日/cm、約0.05mg/日/cm、約0.1mg/日/cm、または記載値間の任意の範囲の活性成分(例えば、テトラベナジンまたはデューテトラベナジン)を送達することができる。
【0119】
例えば、いくつかの実施形態では、経皮送達デバイスの接着剤組成物は、約2重量%~約10重量%(例えば、約2重量%~約7重量%)のテトラベナジンを含み、経皮送達デバイス(例えば、本明細書に記載の非反応性アクリレート接着剤を含む接着剤組成物を含む)は、ヒトの死体皮膚を使用してインビトロで試験した場合、以下の皮膚フラックス特性、すなわち、a)投与8時間後に、活性表面積に基づいて、約0.5μg/cm~約50μg/cm(例えば、約1μg/cm、約5μg/cm、約10μg/cm、約15μg/cm、約20μg/cm、約50μg/cm、または記載値間の任意の範囲)の透過した累積テトラベナジン;b)投与24時間後に、活性表面積に基づいて、約5μg/cm~約500μg/cm(例えば、約5μg/cm、約10μg/cm、約15μg/cm、約20μg/cm、約50μg/cm、約100μg/cm、約200μg/cm、約500μg/cm、または記載値間の任意の範囲)の透過した累積テトラベナジン;及びc)投与48時間後に、活性表面積に基づいて、約10μg/cm~約1000μg/cm(例えば、約10μg/cm、約20μg/cm、約50μg/cm、約100μg/cm、約200μg/cm、約300μg/cm、約400μg/cm、約600μg/cm、約1000μg/cm、または記載値間の任意の範囲)の透過した累積テトラベナジン、のうちの1つまたは複数を提供する。いくつかの実施形態では、インビトロ試験は、本出願の実施例6に記載された方法に従って実施される。
【0120】
テトラベナジンの投与方法
種々の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の経皮送達デバイスまたは医薬組成物(例えば、本明細書の接着剤組成物)を使用する方法を、さらに提供する。いくつかの実施形態では、経皮送達デバイスまたは医薬組成物は、VMAT-2の阻害が有益である任意の適応症に使用することができる。いくつかの実施形態では、経皮送達デバイスまたは医薬組成物は、VMAT-2によって媒介される疾患または障害を処置または予防するために使用することができる。いくつかの実施形態では、経皮送達デバイスまたは医薬組成物は、テトラベナジンまたは重水素化テトラベナジンの投与が有益である任意の適応症に使用することができる。例えば、ハンチントン病に関連する舞踏病の適応症に加えて、テトラベナジンまたは重水素化テトラベナジンに関連する使用が承認された他の適応症としては、片側バリズム、チック症、遅発性ジスキネジア、及びトゥレット症候群が挙げられる。また、種々の実施形態では、経皮送達デバイスまたは医薬組成物は、これらの適応症のいずれかにも使用することができる。
【0121】
いくつかの実施形態では、本発明は、テトラベナジン、重水素化テトラベナジン、またはそれらの組合せを、それを必要とする対象(例えば、ヒト対象)に投与する方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、経皮送達デバイスまたは医薬組成物(例えば、本明細書の接着剤組成物)のいずれかを、対象、例えば対象の皮膚に適用することを含む。いくつかの実施形態では、対象(例えば、ヒト対象)は、多動性運動障害(例えば、慢性多動性運動障害)を有することを特徴とする。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、ハンチントン病に関連する舞踏病、ウィルソン病、トゥレット症候群、レストレスレッグス症候群、遅発性ジスキネジア、チック、及びそれらの組合せから選択される。いくつかの実施形態では、この方法は、テトラベナジン(例えば、実質的に純粋なR,R-テトラベナジン)を含む経皮送達デバイスを適用することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、デューテトラベナジン(例えば、実質的に純粋なR,R-デューテトラベナジン)を含む経皮送達デバイスを適用することを含む。
【0122】
いくつかの実施形態では、本発明はまた、VMAT-2の阻害を必要とする対象におけるVMAT-2を阻害する方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、経皮送達デバイスまたは医薬組成物(例えば、本明細書の接着剤組成物)のいずれかを、対象、例えば対象の皮膚に適用することを含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、本発明はまた、小胞モノアミン輸送体アイソフォーム2(VMAT2)媒介性疾患または障害の処置を必要とする対象(例えば、ヒト対象)における、小胞モノアミン輸送体アイソフォーム2(VMAT2)媒介性疾患または障害を処置する方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、経皮送達デバイスまたは医薬組成物(例えば、本明細書の接着剤組成物)のいずれかを、対象、例えば対象の皮膚に適用することを含む。VMAT2媒介性疾患または障害としては、多動性運動障害(例えば、慢性多動性運動障害)、ハンチントン病、片側バリズム、老人性舞踏病、チック症、遅発性ジスキネジア、ジストニア、トゥレット症候群、うつ病、がん、関節リウマチ、精神病、多発性硬化症、喘息、及び/またはVMAT2阻害剤を投与することにより、軽減、緩和、または予防することができる任意の障害、が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、VMAT2媒介性疾患または障害は、遅発性ジスキネジアである。いくつかの実施形態では、VMAT2媒介性疾患または障害は、ハンチントン病である。いくつかの実施形態では、VMAT2媒介性疾患または障害は、片側バリズムである。いくつかの実施形態では、VMAT2媒介性疾患または障害は、トゥレット症候群である。
【0124】
いくつかの実施形態では、本開示は、多動性運動障害の処置を必要とする対象(例えば、ヒト対象)における多動性運動障害を処置する方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、経皮送達デバイスまたは医薬組成物(例えば、本明細書の接着剤組成物)のいずれかを、対象、例えば対象の皮膚に適用することを含む。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、慢性多動性運動障害である。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、ハンチントン病に関連する舞踏病、ウィルソン病、トゥレット症候群、レストレスレッグス症候群、遅発性ジスキネジア、及び/またはチックである。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、ハンチントン病に関連する舞踏病である。いくつかの特定の実施形態では、本発明は、ハンチントン病に関連する舞踏病の処置を必要とする対象におけるハンチントン病に関連する舞踏病を処置する方法であって、経皮送達デバイスまたは医薬組成物(例えば、本明細書の接着剤組成物)のいずれかを、対象、例えば対象の皮膚に適用することを含む、方法、を提供する。いくつかの特定の実施形態では、本発明は、遅発性ジスキネジアの処置を必要とする対象における遅発性ジスキネジアを処置する方法であって、経皮送達デバイスまたは医薬組成物(例えば、本明細書の接着剤組成物)のいずれかを、対象、例えば対象の皮膚に適用することを含む、方法、を提供する。いくつかの特定の実施形態では、本発明は、トゥレット症候群の処置を必要とする対象におけるトゥレット症候群を処置する方法であって、経皮送達デバイスまたは医薬組成物(例えば、本明細書の接着剤組成物)のいずれかを、対象、例えば対象の皮膚に適用することを含む、方法、を提供する。いくつかの特定の実施形態では、本発明は、チックの処置を必要とする対象におけるチックを処置する方法であって、経皮送達デバイスまたは医薬組成物(例えば、本明細書の接着剤組成物)のいずれかを、対象、例えば対象の皮膚に適用することを含む、方法、を提供する。いくつかの特定の実施形態では、本発明は、片側バリズムの処置を必要とする対象における片側バリズムを処置する方法であって、経皮送達デバイスまたは医薬組成物(例えば、本明細書の接着剤組成物)のいずれかを、対象、例えば対象の皮膚に適用することを含む、方法、を提供する。
【0125】
テトラベナジン及び/または重水素化テトラベナジン(例えば、デューテトラベナジン)を、本明細書の方法に使用することができる。典型的には、この方法は、テトラベナジンまたはデューテトラベナジンのいずれかを唯一の活性成分として含む本明細書の経皮送達デバイスを適用することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、例えば、実質的に純粋なR,R-テトラベナジンを唯一の活性成分として含む、実質的に純粋なR,R-テトラベナジンを含む本明細書の経皮送達デバイスを適用することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、実質的に純粋なR,R-デューテトラベナジンを含む、例えば、実質的に純粋なR,R-デューテトラベナジンを唯一の活性成分として含む、本明細書の経皮送達デバイスを適用することを含む。
【0126】
本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて、この方法は、約0.1mg/日/cm~約5mg/日/cm(例えば、約0.1mg/日/cm、約0.2mg/日/cm、約0.5mg/日/cm、約1mg/日/cm、約2mg/日/cm、約5mg/日/cm、または記載値間の任意の範囲)の薬物(例えば、テトラベナジンまたはデューテトラベナジン)を、対象に、例えば、約8時間、約12時間、約18時間、約24時間、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、及び約7日から選択される期間にわたって、投与することを含み得る。しかし、いくつかの実施形態では、方法は、約5mg/日/cm超、例えば、約8mg/日/cm、約10mg/日/cm、約15mg/日/cm、約20mg/日/cm、または記載値間の任意の範囲の薬物(例えば、テトラベナジンまたはデューテトラベナジン)を、対象に投与することを含み得る。いくつかの実施形態では、方法は、約0.1mg/日/cm未満、例えば、約0.01mg/日/cm、約0.02mg/日/cm、約0.05mg/日/cm、約0.1mg/日/cm、または記載値間の任意の範囲の薬物(例えば、テトラベナジンまたはデューテトラベナジン)を、対象に投与することを含み得る。
【0127】
いくつかの実施形態では、本発明は、小胞モノアミン輸送体アイソフォーム2(VMAT2)媒介性疾患または障害の処置を必要とする対象(例えば、ヒト対象)における、小胞モノアミン輸送体アイソフォーム2(VMAT2)媒介性疾患または障害を処置する方法であって、テトラベナジンまたはデューテトラベナジンの治療的有効量を対象に経皮投与することを含む、方法を提供する。好適なVMAT2媒介性疾患または障害が、本明細書に記載されている。
【0128】
本明細書に記載の方法には、種々の利点が関連している。例えば、いくつかの実施形態では、この方法は、テトラベナジンまたはデューテトラベナジンの等用量の経口投与と比較して、テトラベナジンまたはデューテトラベナジンまたはその代謝産物の血漿レベルの個体間変動を低下させることができる。いくつかの実施形態では、この方法は、テトラベナジンまたはデューテトラベナジンの等用量の経口投与と比較して、例えば、治療的有効性を低下させることもなく、テトラベナジンまたはデューテトラベナジンまたはその代謝産物のCmaxを低下させる(例えば、10%、40%、60%、またはそれより大きく)ことができる。いくつかの実施形態では、この方法は、CYP2D6の発現に基づいて、低代謝者(PM)、中間代謝者(IM)、または高代謝者(EM)として遺伝子型特定された対象に等用量を投与した場合、テトラベナジンまたはデューテトラベナジンまたはそれらの代謝産物の同様の血漿レベルを提供することができる。いくつかの実施形態では、同じ用量または実質的に同じ用量のテトラベナジンまたはデューテトラベナジンを、PM、IM、またはEMとして特徴付けられる対象に投与することができる。いくつかの実施形態では、本明細書の方法は、対象がCYP2D6発現に基づいてPM、IM、またはEMとして特徴付けられるかどうかに関係なく、薬物(例えば、テトラベナジンまたはデューテトラベナジン)を、対象に経皮投与することができる。
【0129】
テトラベナジンまたは重水素化テトラベナジンの例示的な経皮送達
いくつかの実施形態では、テトラベナジンまたは重水素化テトラベナジンを、それを必要とする対象に投与して、所望の用量で、及び/または本明細書に記載の好適なPKプロファイルで治療効果を達成することができる。本明細書に開示される経皮送達デバイスのいずれもが有用であり得る。いくつかの実施形態では、本開示は、以下の特定の実施形態、SE1~SE8を提供する。
【0130】
SE1:多動性運動障害の処置を必要とする対象における多動性運動障害を処置する方法であって、本明細書に記載の経皮送達デバイス、好ましくは、薬物含有接着剤層を含む経皮送達デバイスを対象に適用することを含み、薬物含有接着剤層は、(1)R,R-テトラベナジンを含む活性成分と、(2)本明細書の感圧接着剤、例えば、非反応性アクリレート感圧接着剤と;(3)任意の結晶化阻害剤と;(4)任意の抗酸化剤と、を含み、経皮送達デバイスを適用して、約0.1mg/日~約20mg/日のR,R-テトラベナジン、例えば、約0.5mg/日~約10mg/日のR,R-テトラベナジン、約0.5mg/日~約8mg/日のR,R-テトラベナジン、約0.5mg/日~約6mg/日のR,R-テトラベナジン、約0.5mg/日~約4mg/日のR,R-テトラベナジン、約1mg/日~約10mg/日のR,R-テトラベナジン、約1mg/日~約8mg/日のR,R-テトラベナジン、約1mg/日~約6mg/日のR,R-テトラベナジン、約1mg/日~約4mg/日のR,R-テトラベナジン、約2mg/日~約10mg/日のR,R-テトラベナジン、約2mg/日~約8mg/日のR,R-テトラベナジン、約2mg/日~約6mg/日のR,R-テトラベナジン、約2mg/日~約4mg/日のR,R-テトラベナジン、約4mg/日~約10mg/日のR,R-テトラベナジン、約4mg/日~約8mg/日のR,R-テトラベナジン、約4mg/日~約6mg/日のR,R-テトラベナジン、約6mg/日~約10mg/日のR,R-テトラベナジン、もしくは約6mg/日~約8mg/日のR,R-テトラベナジンを、対象に経皮送達する、方法。SE1によるいくつかの実施形態では、経皮送達デバイスを適用して、約0.5mg/日~約10mg/日のR,R-テトラベナジン、約0.5mg/日~約8mg/日のR,R-テトラベナジン、または約2mg/日~約6mg/日のR,R-テトラベナジンを、対象に経皮送達する。SE1によるいくつかの実施形態では、薬物含有薬物含有接着剤層は、任意の透過促進剤及び/または可塑剤を含むことができる。
【0131】
SE2:多動性運動障害の処置を必要とする対象における多動性運動障害を処置する方法であって、本明細書に記載の経皮送達デバイス、好ましくは、薬物含有接着剤層を含む経皮送達デバイスを対象に適用することを含み、薬物含有接着剤層は、(1)R,R-テトラベナジンを含む活性成分と、(2)本明細書の感圧接着剤、例えば、非反応性アクリレート感圧接着剤と;(3)任意の結晶化阻害剤と;(4)任意の抗酸化剤と、を含み、経皮送達デバイスは、R,R-テトラベナジン、R,R,R-ジヒドロテトラベナジン(HTBZ)及びS,R,R-HTBZの治療上有効な血漿濃度を提供し、R,R-テトラベナジンの最大血漿濃度の、R,R,R-HTBZ及びS,R,R-HTBZの組合せ最大血漿濃度に対する比は、約1:1~約1:5(例えば、約1:1、約1:1.2、約1:1.5、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、もしくは記載値間の任意の範囲、例えば、約1:1~約1:3、約1:2~約1:4など)の範囲にあるか、またはR,R-テトラベナジンの定常状態血漿濃度の、R,R,R-HTBZ及びS,R,R-HTBZの組合せ定常状態血漿濃度に対する比は、約1:1~約1:5(例えば、約1:1、約1:1.2、約1:1.5、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、もしくは記載値間の任意の範囲、例えば、約1:1~約1:3、約1:2~約1:4など)の範囲にある、方法。SE2によるいくつかの実施形態では、R,R,R-HTBZのS,R,R-HTBZに対する最大血漿濃度または定常状態血漿濃度の比は、約1:5~約1:30(例えば、約1:5、約1:7、約1:9、約1:10、約1:15、約1:20、約1:30、または記載値間の任意の範囲、例えば、約1:10~約1:20、約1:5~約1:15など)の範囲である。SE2によるいくつかの実施形態では、R,R-テトラベナジン:R,R,R-HTBZ:S,R,R-HTBZの最大血漿濃度または定常状態血漿濃度の比は、約17~40:3~10:50~80の範囲である。SE2によるいくつかの実施形態では、適用によって、SRR-HTBZのAUC0-∞のR,R-テトラベナジンのAUC0-∞に対する比が、約1~約15、例えば、約1.5~約11、及び/またはRRR-HTBZのAUC0-∞のR,R-テトラベナジンのAUC0-∞に対する比が、約0.1~約0.75、例えば約0.15~約0.5であることを特徴とする薬物動態プロファイルを提供することができる。SE2によるいくつかの実施形態では、投与によって、対象の血漿中に、検出可能な量のS,S-テトラベナジン、R,S,S-HTBZ、またはS,S,S-HTBZは提供されない。SE2によるいくつかの実施形態では、PKプロファイルは、R,R-テトラベナジンの平均終末相半減期が約8.5時間±40%CVであることを特徴とする。SE2によるいくつかの実施形態では、薬物含有接着剤層は、任意の透過促進剤及び/または可塑剤を含むことができる。SE2によるいくつかの実施形態では、経皮送達デバイスを適用して、SE1に記載されている1日量のいずれかを対象に経皮送達する。SE2によるいくつかの実施形態では、経皮送達デバイスを適用して、本明細書に記載のPKプロファイルのいずれかを任意の組合せで達成する。
【0132】
SE3:多動性運動障害の処置を必要とする対象における多動性運動障害を処置する方法であって、本明細書に記載の経皮送達デバイス、好ましくは、薬物含有接着剤層を含む経皮送達デバイスを対象に適用することを含み、薬物含有接着剤層は、(1)R,R-テトラベナジンを含む活性成分と、(2)本明細書の感圧接着剤、例えば、非反応性アクリレート感圧接着剤と;(3)任意の結晶化阻害剤と;(4)任意の抗酸化剤と、を含み、経皮送達デバイスを対象に適用して、少なくとも6時間、または少なくとも12時間、好ましくは少なくとも24時間、例えば、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも120時間、少なくとも144時間、少なくとも168時間、少なくとも192時間、またはそれ以上で、R,R-テトラベナジン、R,R,R-ジヒドロテトラベナジン(HTBZ)及びS,R,R-HTBZの治療上有効な血漿濃度を達成する、方法。SE3によるいくつかの実施形態では、薬物含有接着剤層は、任意の透過促進剤及び/または可塑剤を含むことができる。SE3によるいくつかの実施形態では、経皮送達デバイスを適用して、SE1に記載されている1日量のいずれかを対象に経皮送達する。SE3によるいくつかの実施形態では、経皮送達デバイスを適用して、SE2に記載されている対象におけるPKプロファイルのいずれかを達成する。
【0133】
SE4:多動性運動障害の処置を必要とする対象における多動性運動障害を処置する方法であって、本明細書に記載の経皮送達デバイス、好ましくは、薬物含有接着剤層を含む経皮送達デバイスを対象に適用することを含み、薬物含有接着剤層は、(1)R,R-テトラベナジンを含む活性成分と、(2)本明細書の感圧接着剤、例えば、非反応性アクリレート感圧接着剤と;(3)任意の結晶化阻害剤と;(4)任意の抗酸化剤と、を含み、経皮送達デバイスを対象に適用して、少なくとも6時間、または少なくとも12時間、好ましくは少なくとも24時間、例えば、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも120時間、少なくとも144時間、少なくとも168時間、少なくとも192時間、またはそれ以上の持続期間、150pg/mlを超えるR,R-テトラベナジンの実質的に一定の定常状態血漿濃度を達成する、方法。SE4によるいくつかの実施形態では、経皮送達デバイスを対象に適用して、持続期間にわたって150pg/ml超~約3000p/mlのR,R-テトラベナジンの実質的に一定の定常状態血漿濃度を達成し、R,R-テトラベナジンの血漿濃度は、持続期間の4時間、8時間、及び/または12時間の間隔のいずれかの間、有意に、例えば、2倍を超えて変化しない。SE4によるいくつかの実施形態では、持続期間中、R,R-テトラベナジンの最低血漿濃度のR,R-テトラベナジンの最大血漿濃度に対する比は、約0.4以上、例えば、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1、または記載値間の任意の範囲である。SE4によるいくつかの実施形態では、薬物含有接着剤層は、任意の透過促進剤及び/または可塑剤を含むことができる。SE4によるいくつかの実施形態では、経皮送達デバイスを適用して、SE1に記載されている1日量のいずれかを対象に経皮送達する。SE4によるいくつかの実施形態では、経皮送達デバイスを適用して、SE2に記載されている対象におけるPKプロファイルのいずれかを達成する。
【0134】
SE5:多動性運動障害の処置を必要とする対象における多動性運動障害を処置する方法であって、本明細書に記載の経皮送達デバイス、好ましくは、薬物含有接着剤層を含む経皮送達デバイスを対象に適用することを含み、薬物含有接着剤層は、(1)重水素化R,R-テトラベナジンを含む活性成分と、(2)本明細書の感圧接着剤、例えば、非反応性アクリレート感圧接着剤と;(3)任意の結晶化阻害剤と;(4)任意の抗酸化剤と、を含み、経皮送達デバイスを適用して、約0.1mg/日~約20mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、例えば、約0.5mg/日~約10mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、約0.5mg/日~約8mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、約0.5mg/日~約6mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、約0.5mg/日~約4mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、約1mg/日~約10mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、約1mg/日~約8mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、約1mg/日~約6mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、約1mg/日~約4mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、約2mg/日~約10mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、約2mg/日~約8mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、約2mg/日~約6mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、約2mg/日~約4mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、約4mg/日~約10mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、約4mg/日~約8mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、約4mg/日~約6mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、約6mg/日~約10mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、もしくは約6mg/日~約8mg/日の重水素化R,R-テトラベナジンを、対象に経皮送達する、方法。SE5によるいくつかの実施形態では、経皮送達デバイスを適用して、約0.5mg/日~約10mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、約0.5mg/日~約8mg/日の重水素化R,R-テトラベナジン、または約2mg/日~約6mg/日の重水素化R,R-テトラベナジンを、対象に経皮送達する。SE5によるいくつかの実施形態では、薬物含有接着剤層は、任意の透過促進剤及び/または可塑剤を含むことができる。
【0135】
SE6.多動性運動障害の処置を必要とする対象における多動性運動障害を処置する方法であって、本明細書に記載の経皮送達デバイス、好ましくは、薬物含有接着剤層を含む経皮送達デバイスを対象に適用することを含み、薬物含有接着剤層は、(1)重水素化R,R-テトラベナジンを含む活性成分と、(2)本明細書の感圧接着剤、例えば、非反応性アクリレート感圧接着剤と;(3)任意の結晶化阻害剤と;(4)任意の抗酸化剤と、を含み、経皮送達デバイスは、重水素化R,R-テトラベナジン、重水素化R,R-テトラベナジンのジヒドロテトラベナジン代謝産物、重水素化R,R,R-HTBZ及び重水素化S,R,R-HTBZの治療上有効な血漿濃度を提供し、重水素化R,R-テトラベナジンの最大血漿濃度の、重水素化R,R,R-HTBZ及び重水素化S,R,R-HTBZの組合せ最大血漿濃度に対する比は、約1:1~約1:7.5(例えば、約1:1、約1:1.2、約1:1.5、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:7.5、もしくは記載値間の任意の範囲、例えば、約1:1~約1:3、約1:2~約1:4など)の範囲にあるか、または重水素化R,R-テトラベナジンの定常状態血漿濃度の、重水素化R,R,R-HTBZ及び重水素化S,R,R-HTBZの組合せ最大血漿濃度に対する比は、約1:1~約1:7.5の範囲にある、方法。SE6によるいくつかの実施形態では、重水素化R,R,R-HTBZの重水素化S,R,R-HTBZに対する最大血漿濃度の比は、約1:5~約1:30(例えば、約1:5、約1:7、約1:9、約1:10、約1:15、約1:20、約1:30、または記載値間の任意の範囲、例えば、約1:10~約1:20、約1:5~約1:15など)の範囲であり得る。SE6によるいくつかの実施形態では、重水素化R,R-テトラベナジン:重水素化R,R,R-HTBZ:重水素化S,R,R-HTBZの最大血漿濃度の比は、約14~40:3~11:50~85の範囲であり得る。SE6によるいくつかの実施形態では、投与によって、重水素化SRR-HTBZのAUC0-∞の重水素化R,R-テトラベナジンのAUC0-∞に対する比が、約1~約15、例えば、約1.5~約11、及び/または重水素化RRR-HTBZのAUC0-∞の重水素化R,R-テトラベナジンのAUC0-∞に対する比が、約0.1~約0.75、例えば約0.15~約0.5であることを特徴とする薬物動態プロファイルを提供することができる。SE6によるいくつかの実施形態では、投与によって、対象の血漿中に、検出可能な量の重水素化S,S-テトラベナジン、重水素化R,S,S-HTBZ、または重水素化S,S,S-HTBZは提供されない。SE6によるいくつかの実施形態では、PKプロファイルは、重水素化R,R-テトラベナジンの平均終末相半減期が約8.5時間±40%CVであることを特徴とする。SE6によるいくつかの実施形態では、薬物含有接着剤層は、任意の透過促進剤及び/または可塑剤を含むことができる。SE6によるいくつかの実施形態では、経皮送達デバイスを適用して、SE5に記載されている1日量のいずれかを対象に経皮送達する。SE6によるいくつかの実施形態では、経皮送達デバイスを適用して、本明細書に記載のPKプロファイルのいずれかを達成する。
【0136】
SE7:多動性運動障害の処置を必要とする対象における多動性運動障害を処置する方法であって、本明細書に記載の経皮送達デバイス、好ましくは、薬物含有接着剤層を含む経皮送達デバイスを対象に適用することを含み、薬物含有接着剤層は、(1)重水素化R,R-テトラベナジンを含む活性成分と、(2)本明細書の感圧接着剤、例えば、非反応性アクリレート感圧接着剤と;(3)任意の結晶化阻害剤と;(4)任意の抗酸化剤と、を含み、経皮送達デバイスを対象に適用して、少なくとも6時間、または少なくとも12時間、好ましくは少なくとも24時間、例えば、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも120時間、少なくとも144時間、少なくとも168時間、少なくとも192時間、またはそれ以上で、重水素化R,R-テトラベナジン、重水素化R,R-テトラベナジンのジヒドロテトラベナジン代謝産物、重水素化R,R,R-HTBZ及び重水素化S,R,R-HTBZの治療上有効な血漿濃度を達成する、方法。SE7によるいくつかの実施形態では、薬物含有接着剤層は、任意の透過促進剤及び/または可塑剤を含むことができる。SE7によるいくつかの実施形態では、経皮送達デバイスを適用して、SE5に記載されている1日量のいずれかを対象に経皮送達する。SE7によるいくつかの実施形態では、経皮送達デバイスを適用して、SE6に記載のPKプロファイルのいずれかを達成する。
【0137】
SE8:多動性運動障害の処置を必要とする対象における多動性運動障害を処置する方法であって、本明細書に記載の経皮送達デバイス、好ましくは、薬物含有接着剤層を含む経皮送達デバイスを対象に適用することを含み、薬物含有接着剤層は、(1)重水素化R,R-テトラベナジンを含む活性成分と、(2)本明細書の感圧接着剤、例えば、非反応性アクリレート感圧接着剤と;(3)任意の結晶化阻害剤と;(4)任意の抗酸化剤と、を含み、経皮送達デバイスを対象に適用して、少なくとも6時間、または少なくとも12時間、好ましくは少なくとも24時間、例えば、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも120時間、少なくとも144時間、少なくとも168時間、少なくとも192時間、またはそれ以上の持続期間、150pg/mlの重水素化R,R-テトラベナジンの実質的に一定の定常状態血漿濃度を達成する、方法。SE8によるいくつかの実施形態では、経皮送達デバイスを対象に適用して、持続期間にわたって150pg/ml超~約3000p/mlを超える重水素化R,R-テトラベナジンの実質的に一定の定常状態血漿濃度を達成し、重水素化R,R-テトラベナジンの血漿濃度は、持続期間の4時間、8時間、及び/または12時間の間隔のいずれかの間、有意に、例えば、2倍を超えて変化しない。SE8によるいくつかの実施形態では、持続期間中、重水素化R,R-テトラベナジンの最低血漿濃度の重水素化R,R-テトラベナジンの最大血漿濃度に対する比は、約0.4以上、例えば、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1、または記載値間の任意の範囲である。SE8によるいくつかの実施形態では、薬物含有接着剤層は、任意の透過促進剤及び/または可塑剤を含むことができる。SE8によるいくつかの実施形態では、経皮送達デバイスを適用して、SE5に記載されている1日量のいずれかを対象に経皮送達する。SE8によるいくつかの実施形態では、経皮送達デバイスを適用して、SE6に記載されている対象におけるPKプロファイルのいずれかを達成する。
【0138】
本明細書に記載されている経皮送達デバイスの設計のいずれも、記載されている方法に使用することができる。典型的には、SE1~SE8による実施形態のいずれかについて、経皮送達デバイスは、薬物含有接着剤層、バッキング層、及び使用前に接着面を保護する剥離ライナーを含むDIAパッチであり得る。薬物含有接着剤層は、典型的には、接着剤中に分散した、好ましくは均質に分散した活性成分を含む。いくつかの実施形態では、経皮送達デバイスは、約0.1mg/日~約20mg/日のR,R-テトラベナジン(例えば、本明細書に記載の例示された範囲のいずれか)を、適用後最長24時間、適用後最長48時間、適用後最長96時間、または適用後最長1週間、実質的に一定の速度で送達するように対象に適用される。薬物含有接着剤層に好適な組成物には、本明細書に記載される接着剤組成物のいずれか、例えば、テトラベナジンまたは重水素化テトラベナジンに適用可能な実施形態1~18に記載されるもののいずれか、または実施例のセクションに示される特定の組成物のいずれか(例えば、実施例4A)が含まれる。いくつかの実施形態では、薬物含有接着剤層は、非反応性アクリレート感圧接着剤に分散した活性成分を含む。活性成分は、約1重量%~約20重量%の量で、例として約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、または記載値間の任意の範囲、例えば、約1重量%~約15重量%、約2重量%~約15重量%、約2重量%~約10重量%、約2重量%~約7重量%、約3重量%~約15重量%、約3重量%~約10重量%、約3重量%~約7重量%、約5重量%~約15重量%、約5重量%~約10重量%、約5重量%~約7重量%、約7重量%~約15重量%、約7重量%~約10重量%、約10重量%~約20重量%、約10重量%~約15重量%などの量で存在することができる。いくつかの実施形態では、薬物含有接着剤層は、唯一の活性成分としてテトラベナジンの実質的に純粋なR,R-異性体を含む。いくつかの実施形態では、薬物含有接着剤層は、唯一の活性成分としてテトラベナジンの実質的に純粋な重水素化R,R-異性体を含む。典型的には、テトラベナジンのR,R-異性体またはテトラベナジンの重水素化R,R-異性体は、遊離塩基の形態で存在する。好適な接着剤には、本明細書に記載の感圧接着剤のいずれかなど、本明細書に記載の接着剤のいずれかが含まれる。いくつかの実施形態では、接着剤は、Duro-Tak 87-900Aなどの本明細書に記載されているか、または例示的な実施形態2~7に記載されている非反応性アクリレート感圧接着剤であり得る。接着剤は、典型的には、約50重量%~約97重量%、例えば、約50重量%、約60重量%、約70重量%、約80重量%、約90重量%、約95重量%、もしくは約97重量%の量または記載値間の任意の範囲、例えば、約50重量%~約95重量%、約50重量%~約90重量%、約50重量%~約80重量%、約50重量%~約70重量%、約50重量%~約60重量%、約60重量%~約97重量%、約60重量%~約95重量%、約60重量%~約90重量%、約60重量%~約80重量%、約60重量%~約70重量%、約70重量%~約97重量%、約70重量%~約95重量%、約70重量%~約90重量%、約70重量%~約80重量%、約80重量%~約97重量%、約80重量%~約95重量%、約80重量%~約90重量%などの量で存在することができる。いくつかの特定の実施形態では、活性成分は、約2重量%~約7重量%の量であり、非反応性アクリレート感圧接着剤は、約50重量%~約97重量%の量である。接着剤組成物はまた、任意選択で、抗酸化剤、結晶化阻害剤、可塑剤、及び/または透過促進剤などの他の成分を含むことができる。いくつかの実施形態では、薬物含有接着剤層は、抗酸化剤、例として没食子酸抗酸化剤、例えば没食子酸プロピルを含む。抗酸化剤の量は、典型的には、約0重量%~約1重量%の量で、例えば、約0.001重量%、約0.01重量%、約0.1重量%、約0.5重量%、約1重量%、もしくは記載値間の任意の範囲、例えば、約0.001重量%~約0.5重量%、約0.01重量%~約0.5重量%などの量で含まれる。いくつかの実施形態では、薬物含有接着剤層は、結晶化阻害剤、例えば、周囲温度で2週間の常温保存後の薬物結晶(R,R-テトラベナジンなどの薬物含有接着剤層の活性成分の結晶)の形成を防止する手段を含む。いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、ポリビニルピロリドンポリマー(例えば、Kollidon K30またはK90F(BASFによって製造された)、Plasdone K20/32またはPlasdoneK90(Ashland Chemicalによって製造された))、架橋ポリビニルピロリドンポリマー(例えば、Kollidon CL)、ポリビニルピロリドンコポリマー(例えば、Plasdone S-630Copovidone (Asland))、セルロース系ポリマー(例えば、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース)、ポリカルボン酸ポリマー(例えば、Cabopol(Lubrizolによって製造された))、ポリメタクリレート(例えば、Plastoid B、Eudragit E100、Eudragit L100-55 (Evonikによって製造された))、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル、及びポリビニルカプロラクタム系グラフトコポリマー(PVAc-PVCap-PEG)(例えば、Soluplus(BASF)、ならびにそれらの組合せ、から選択される結晶化阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、薬物含有接着剤層は、ポリメタクリレート(例えば、Plastoid B(ブチルメタクリレートとメチルメタクリレートとのコポリマー)、Eudragit E100、Eudragit L100-55(Evonikにより製造された))、ポリエチレングリコール、ポリビニルアセテート、及びポリビニルカプロラクタム系グラフトコポリマー(PVAc-PVCap-PEG)(例えば、Soluplus(BASF)、ならびにそれらの組合せ、から選択される結晶化阻害剤を含む。結晶化阻害剤は、典型的には、約0~約40重量%、例えば、約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約30重量%、約40重量%、もしくは記載値間の任意の範囲の量で、例えば、約10重量%~約40重量%、約10重量%~約30重量%、約10重量%~約20重量%、15重量%~約40重量%、約15重量%~約30重量%、約15重量%~約20重量%、20重量%~約40重量%、約20重量%~約30重量%などの量で存在する。いくつかの実施形態では、薬物含有接着剤層はまた、ミリスチン酸イソプロピルなどの、本明細書に記載されるような皮膚透過促進剤を含み得る。いくつかの実施形態では、薬物含有接着剤層はまた、本明細書に記載されるような皮膚透過促進剤を含まなくてもよく、例えば、いくつかの実施形態では、薬物含有接着剤層はまた、ミリスチン酸イソプロピルを含まなくてもよい。薬物含有接着剤層の重量及び厚さは、薬物濃度及び所望の用量及び投与持続期間などの異なる要因に応じて変わる可能性がある。薬物含有接着剤層は、典型的には、約8時間、約12時間、約18時間、約24時間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、及び約7日から選択される期間の適用(例えば、R,R-テトラベナジンまたは重水素化R,R-テトラベナジンの送達)のために設計される。いくつかの実施形態では、薬物含有接着剤層は、被覆重量が約0.1g/cm~約5g/cm、例えば、約0.1g/cm~約0.90g/cm(例えば、約0.1g/cm~約0.5g/cm)の活性表面積を有することができる。いくつかの実施形態では、活性表面積は5cm~約100cmであり得る(他の好適な範囲が本明細書に記載されている)。いくつかの実施形態では、薬物含有接着剤層は、約1.5mil~約10mil、例えば、約1.5mil~約3.5mil(例えば、約2mil~約3.5mil)などの厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、経皮送達デバイスはまた、本明細書に記載されるインビトロフラックス特性のいずれかを有するように構成することができる。
【0139】
SE1からSE8のいずれか1つによる方法に列挙されている多動性運動障害には、本明細書に記載されているもののいずれかが含まれる。非限定的な例としては、多動性運動障害は、ハンチントン病、ウィルソン病、トゥレット症候群、レストレスレッグス症候群、遅発性ジスキネジア、チック、運動障害性脳性麻痺/脳性麻痺、他のジストニア及びジスキネジア障害、ならびにそれらの組合せが挙げられる。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、ハンチントン病、例としてハンチントン病に関連する舞踏病であり得る。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、ウィルソン病であり得る。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、トゥレット症候群であり得る。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、レストレスレッグス症候群であり得る。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、遅発性ジスキネジアであり得る。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、チックであり得る。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、運動障害性脳性麻痺であり得る。いくつかの実施形態では、多動性運動障害は、ジストニアまたはジスキネジア障害である。
【0140】
SE1からSE8のいずれか1つによる処置方法は、特定のタイプの対象に限定されない。例えば、本明細書の方法は、対象の摂食状態に関係なく対象に投与することができる。いくつかの実施形態では、対象は、小児及び青年期の患者(例えば、6歳~18歳)である。また、いくつかの実施形態では、この方法は、特定の遺伝子型の対象に限定されない。いくつかの実施形態では、同じ用量または実質的に同じ用量のR,R-テトラベナジンまたは重水素化R,R-テトラベナジンを、PM、IM、またはEMとして特徴付けられる対象に投与することができる。いくつかの実施形態では、対象はEMとして特徴付けられる。いくつかの実施形態では、対象はPMとして特徴付けられる。いくつかの実施形態では、対象はIMとして特徴付けられる。いくつかの実施形態では、この方法は、用量設定及び/または遺伝子型分析を必要とせず、これは、Xenazine(登録商標)及びAustedo(商標)錠剤のいずれかで治療される場合に必要とされる。
【0141】
SE1からSE8のいずれか1つによる処置方法の投与レジメンは、R,R-テトラベナジンまたは重水素化R,R-テトラベナジンの所望の用量が、本明細書に記載されるもののいずれかを含む、所望の速度で所望の期間に対象に送達される限り、特に限定されない。例えば、いくつかの実施形態では、経皮送達デバイスは、本明細書のPKプロファイルを達成するのに好適な投与レジメンで対象に適用される。いくつかの実施形態では、経皮送達デバイスは、1日1回対象に適用される。いくつかの実施形態では、経皮送達デバイスは、1日超に1回、例えば、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、1週間に1回、または1週間超に1回、対象に適用される。いくつかの実施形態では、各適用について、経皮送達デバイスを対象の皮膚に適用して、R,R-テトラベナジンを、約8時間、約12時間、約24時間、約36時間、約48時間、約72時間、約96時間、約120時間、約144時間、約168時間、約192時間、または記載値間の任意の範囲で、対象に持続的または実質的に持続的に送達することができ、これにより、パッチオン期間中に対象にR,R-テトラベナジンを持続的または実質的に持続的に送達することができる。いくつかの実施形態では、本明細書の投与頻度による経皮パッチの2つの連続した適用の間に遅延時間はない。例えば、いくつかの実施形態では、経皮送達デバイスを、対象に1日1回適用し、経皮送達デバイスの各適用は、典型的には、実質的に同じである別の経皮送達デバイスと交換される前に、約24時間継続する(対象の皮膚に接着する)ことができる。しかし、いくつかの実施形態では、2つの連続する適用の間に重複または遅れがあり得る。
【0142】
(併用療法)
本明細書の方法は、テトラベナジン及び/または重水素化テトラベナジンを唯一の活性成分(複数可)として使用することができる。言い換えれば、本明細書の方法は、単剤療法として使用することができる。しかし、いくつかの実施形態では、本明細書の方法はまた、1つまたは複数の追加の治療と組み合わせて使用することができる。併用療法のための経皮送達方法、デバイス、及び医薬組成物を例として以下に示す。
【0143】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示された経皮送達デバイスまたは医薬組成物(例えば、本明細書の接着剤組成物)はまた、VMAT2媒介性障害の処置に有用な他の薬剤と組み合わせてもよく、または組み合わせて使用してもよい。そのような他の薬剤は、本明細書に開示された経皮送達デバイスまたは医薬組成物(例えば、本明細書の接着剤組成物)と同時にまたは連続して、そのために一般的に使用される経路及び量で投与することができる。いくつかの実施形態では、そのような他の薬剤は、本明細書に開示された経皮送達デバイスまたは医薬組成物(例えば、本明細書の接着剤組成物)中に含まれる。しかし、いくつかの実施形態では、そのような他の薬剤は、別個の組成物として、または別様に本明細書に開示された経皮送達デバイスまたは医薬組成物(例えば、本明細書の接着剤組成物)とは独立して投与される。
【0144】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示された経皮送達デバイスまたは医薬組成物(例えば、本明細書の接着剤組成物)は、クロルプロマジン、レボメプロマジン、プロマジン、アセプロマジン、トリフルプロマジン、シアメマジン、クロルプロエタジン、ジキシラジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、チオプロパゼート、トリフルオペラジン、アセトフェナジン、チオプロペラジン、ブタペラジン、ペラジン、ペリシアジン、チオリダジン、メソリダジン、ピポチアジン、ハロペリドール、トリフルペリドール、メルペロン、モペロン、ピパンペロン、ブロムペリドール、ベンペリドール、ドロペリドール、フルアニソン、オキシペルチン、モリンドン、セルチンドール、ジプラシドン、フルペンチキソール、クロペンチキソール、クロルプロチキソール、クロルプロチキセン、チオチキセン、ズクロペンチキソール、フルスピリレン、ピモジド、ペンフルリドール、ロキサピン、クロザピン、オランザピン、クエチアピン、テトラベナジン、スルピリド、スルトプリド、チアプリド、レモキシプリド、アミスルプリド、ベラリプリド、レボスルピリド、リチウム、プロチペンジル、リスペリドン、クロチアピン、モサプラミン、ゾテピン、アリピプラゾール(pripiprazole)、及びパリペリドン、を含むがこれらに限定されない、1つまたは複数の抗精神病薬と組み合わせて使用することができる。
【0145】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示された経皮送達デバイスまたは医薬組成物(例えば、本明細書の接着剤組成物)は、アルプラゾラム、アジナゾラム、ブロマゼパム、カマゼパム、クロバザム、クロナゼパム、クロチアゼパム、クロキサゾラム、ジアゼパム、ロフラゼプ酸エチル、エスティゾラム、フルジアゼパム、フルニトラゼパム、ハラゼパム、ケタゾラム、ロラゼパム、メダゼパム、ダゾラム、ニトラゼパム、ノルダゼパム、オキサゼパム、クロラゼプ酸カリウム、ピナゼパム、プラゼパム、トフィソパム、トリアゾラム、テマゼパム、及びクロルジアゼポキシド、を含むがこれらに限定されない、1つまたは複数のベンゾジアゼピン(「抗不安薬」)と組み合わせて使用することができる。
【0146】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示された経皮送達デバイスまたは医薬組成物(例えば、本明細書の接着剤組成物)は、オランザピンまたはピモジドと組み合わせて使用することができる。
【0147】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示された経皮送達デバイスまたは医薬組成物(例えば、本明細書の接着剤組成物)は、抗レトロウイルス剤;CYP3A阻害剤;CYP3A誘発剤;プロテアーゼ阻害剤;アドレナリンアゴニスト;抗コリン作用薬;肥満細胞安定剤;キサンチン;ロイコトリエンアンタゴニスト;グルココルチコイド処置;局所的又は全身麻酔剤;非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、例えば、ナプロキセン;抗菌剤、例えば、アモキシシリン;コレステリルエステル輸送タンパク質(CETP)阻害剤、例えば、アナセトラピブ;抗真菌剤、例えば、イソコナゾール;敗血症処置、例えば、ドロトレコギン-α;ステロイド系、例えば、ヒドロコルチゾン;局所的又は全身麻酔剤、例えば、ケタミン;ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(NRI)、例えば、アトモキセチン;ドーパミン再取り込み阻害剤(DARI)、例えば、メチルフェニデート;セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、例えば、ミルナシプラン;鎮静剤、例えば、ジアゼパム;ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤(NDRI)、例えば、ブプロピオン;セロトニン-ノルエピネフリン-ドーパミン-再取り込み阻害剤(SNDRI)、例えば、ベンラファキシン;モノアミンオキシダーゼ阻害剤、例えば、セレギリン;視床下部リン脂質;エンドセリン変換酵素(ECE)阻害剤、例えば、ホスホラミドン;オピオイド、例えば、トラマドール;トロンボキサン受容体アンタゴニスト、例えば、イフェトロバン;カリウムチャネル開口薬;トロンビン阻害剤、例えば、ヒルジン;視床下部リン脂質;成長因子阻害剤、例えば、PDGF活性モジュレーター;血小板活性化因子(PAF)アンタゴニスト;抗血小板剤、例えば、GPIIb/IIIa遮断剤(例えば、アブドキシマブ、エプチフィバチド、及びチロフィバン)、P2Y(AC)アンタゴニスト(例えば、クロピドグレル、チクロピジン及びCS-747)、及びアスピリン;抗凝固剤、例えば、ワルファリン;低分子量ヘパリン、例えば、エノキサパリン;VIIa因子阻害剤及び第Xa因子阻害剤;レニン阻害剤;中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤;バソペプチダーゼ阻害剤(二重NEP-ACE阻害剤)、例えば、オマパトリラト及びゲモパトリラト;HMG CoA還元酵素阻害剤、例えば、プラバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、シンバスタチン、NK-104(別名、イタバスタチン、ニスバスタチン(nisvastatin)、又はニスバスタチン(nisbastatin))、及びZD-4522(ロスバスタチン、又はアタバスタチン又はビサスタチンとしても知られる);スクアレン合成酵素阻害剤;フィブラート;胆汁酸封鎖剤、例えば、クエストラン;ナイアシン;抗アテローム性動脈硬化剤、例えば、ACAT阻害剤;MTP阻害剤;カルシウムチャネル遮断剤、例えば、ベシル酸アムロジピン;カリウムチャネル活性化因子;アルファ-ムスカリン性薬剤;ベータ-ムスカリン性薬剤、例えば、カルベジロール及びメトプロロール;抗不整脈剤;利尿剤、例えば、クロロチアジド(chlorothlazide)、ヒドロクロロチアジド(hydrochiorothiazide)、フルメチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンドロフルメチアジド、メチルクロロチアジド、トリクロロメチアジド(trichioromethiazide)、ポリチアジド、ベンゾチアジド(benzothlazide)、エタクリン酸、トリクリナフェン、クロルタリドン、フロセニルド、ムソリミン、ブメタニド、トリアムテレン、アミロリド、及びスピロノラクトン;血栓溶解剤、例えば、組織プラスミノゲン活性化因子(tPA)、組換え型tPA、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、プロウロキナーゼ、及びアニソイル化プラスミノゲンストレプトキナーゼ活性化因子複合体(APSAC);抗糖尿病剤、例えば、ビグアナイド(例えば、メトホルミン)、グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース)、インスリン、メグリチニド(例えば、レパグリニド)、スルホニル尿素(例えば、グリメピリド、グリブリド、及びグリピジド)、チオゾリジンジオン(例えばトログリタゾン、ロシグリタゾン及びピオグリタゾン)、及びPPAR-ガンマアゴニスト;ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト、例えば、スピロノラクトン及びエプレレノン;成長ホルモン分泌促進物質;aP2阻害剤;ホスホジエステラーゼ阻害剤、例えば、PDE III阻害剤(例えば、シロスタゾール)及びPDE V阻害剤(例えば、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル);タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤;抗炎症剤;抗増殖性剤、例えば、メトトレキセート、FK506(タクロリムス、Prograf)、ミコフェノール酸モフェチル;化学療法剤;免疫抑制剤;抗がん剤及び細胞毒性剤(例えば、アルキル化剤、例えば、ナイトロジェンマスタード、アルキルスルホネート、ニトロソ尿素、エチレンイミン、及びトリアゼン);代謝拮抗剤、例えば、葉酸拮抗剤、プリン類似体、及びピリジン類似体;抗生剤、例えば、アントラサイクリン、ブレオマイシン、マイトマイシン、ダクチノマイシン、及びプリカマイシン;酵素、例えば、L-アスパラギナーゼ;ファルネシル-タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;ホルモン剤、例えば、グルココルチコイド(例えば、コルチゾン)、エストロゲン/抗エストロゲン、アンドロゲン/抗アンドロゲン、プロゲスチン、及び黄体化ホルモン-放出ホルモンアンタゴニスト、及び酢酸オクトレオチド;微小管かく乱剤、例えば、エクテイナシジン;微小管安定化剤、例えば、パクリタキセル、ドセタキセル、及びエポチロンA~F;植物由来生成物、例えば、ビンカアルカロイド、エピポドフィロトキシン、及びタキサン;及びトポイソメラーゼ阻害剤;プレニル-タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;及びシクロスポリン;ステロイド、例えば、プレドニゾン及びデキサメタゾン;細胞障害性薬物、例えば、アザチオプリン及びシクロホスファミド;TNF-α阻害剤、例えば、テニダップ;抗TNF抗体又は可溶性TNF受容体、例えば、エタネルセプト、ラパマイシン、及びレフルノミド;及びシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害剤、例えば、セレコキシブ及びロフェコキシブ;並びに様々な薬剤、例えば、ヒドロキシ尿素、プロカルバジン、ミトタン、ヘキサメチルメラミン、金化合物、白金配位錯体、例えば、シスプラチン、サトラプラチン、及びカルボプラチン、を含むがこれらに限定されない、他のクラスの化合物と組み合わせて使用することができる。
【0148】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示された経皮送達デバイスまたは医薬組成物(例えば、本明細書の接着剤組成物)は、デキストロメトルファン、及び/またはカンナビジオールなどのカンナビノイドと組み合わせて使用することができる。
【0149】
定義
本明細書で使用する場合、本発明に関連する量を修飾する「約」という用語は、例えば、定型的な試験及び取り扱いを通じて;そのような試験及び処理における不注意によるエラーを通じて;本発明にて使用される成分/材料の製造、供給源、または純度の違いを通じて;などにより起こり得る数量における変動を指す。本明細書で使用される場合、「約」特定の値は特定の値も含み、例えば、約10%は10%を含む。「約」という用語によって修飾されているかどうかに関係なく、特許請求の範囲は、記載量の同等物を含む。一実施形態では、「約」という用語は、報告された数値の20%以内を意味する。
【0150】
本明細書で使用される場合、薬物層の「被覆重量」は、経皮薬物送達システムの活性表面積の単位面積あたりの薬物層(例えば、薬物含有接着剤層または薬物含有リザーバ層)の重量を指す。
【0151】
本明細書で使用される場合、「透過した累積薬物」という用語は、所与の期間中に平方センチメートルあたりに透過した薬物の総量を指す。文脈からそうでないことが明らかでない限り、所定の時間(例えば、投与24時間後)に「透過した累積薬物」は、時間0(すなわち、投与の時間)から所定の時間まで平方センチメートルあたりに透過した薬物の総量を指す。文脈からそうでないことが明らかでない限り、「透過した累積薬物」は、本明細書に記載の方法に従って測定及び/または計算された相加平均値を指す。本明細書で使用される「平均値」という用語は、明記されていない場合、当分野の一般的な慣例に矛盾しない限り、相加平均値も指す。
【0152】
本明細書で使用される場合、「フラックス」という用語は、単位時間あたりの単位面積あたりの皮膚透過薬物の量を指す。文脈からそうでないことが明らかでない限り、「フラックス」は、本明細書に記載の方法に従って測定及び/または計算された相加平均値を指す。フラックスの典型的な単位は、時間あたりの平方センチメートルあたりのミリグラムである。
【0153】
この特許出願で言及されているフラックス速度は、インビボ法またはインビトロ法のいずれかによって測定されたものを意味することができる。フラックスを測定する1つの方法は、経皮送達デバイスまたは製剤をヒトボランティアの既知の皮膚領域に配置し、ある特定の時間的制約内に皮膚全体に透過することができる薬物の量を測定することである。いくつかの実施形態では、ヒトの死体皮膚を使用するインビトロ法によって測定されると具体的に言及される場合、フラックス速度は、実施例3または6に記載の方法に従って測定される。インビトロ法は、死体から得られたヒト表皮膜を使用するが、ヒトボランティアを使用して皮膚を透過する薬物フラックスを測定するのではなく、適切に設計及び実行されたインビトロ試験の結果を使用して、妥当な信頼性を備えたインビボ試験の結果を推定または予測することができるということが、当業者に一般に受け入れられている。
【0154】
「皮膚フラックス特性」及び「フラックス特性」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0155】
本明細書で使用する場合、「処置する」、「処置すること」、「処置」などの用語は、疾患または状態、及び/またはそれに関連する症状を除去、軽減、または改善することを指す。除外されてはいないが、疾患または状態を処置することは、それに関連する疾患、状態、または症状が完全に排除されることを必要としない。
【0156】
本明細書で使用される「治療有効量」という用語は、障害または状態(例えば、ハンチントン病)の1つもしくは複数の症状の改善をもたらすか、または障害もしくは状態の出現もしくは進行を防ぐか、または障害もしくは状態の退縮もしくは治癒を引き起こすのに十分な治療剤(例えば、テトラベナジン)の量を指す。
【0157】
本明細書で使用される「対象」(あるいは本明細書では「患者」と呼ばれる)という用語は、処置、観察または実験の目的であった動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを指す。
【0158】
本明細書で使用される場合、本明細書の経皮送達デバイスの適用または投与は、そのような経皮送達デバイスが、例えば、ヒト対象の皮膚に通常適用されるかまたは投与される方法に従って理解されるべきである。
【0159】
「慢性多動性運動障害」という用語は、「強迫性」、「律動性」、または「常動性」とさまざまに称される、非目的性の、反復性の、無秩序な運動性行為によって特徴付けられる障害を指す。ヒトにおいて、慢性多動性運動障害は、心因性(例えば、チック)、特発性(例えば、トゥレット症候群及びパーキンソン病におけるように)、遺伝性(例えば、ハンチントン病に特徴的な舞踏病におけるように)、感染性(例えば、シデナム舞踏病におけるように)、または遅発性ジスキネジアにおけるように、薬物誘発性であり得る。特に明記しない限り、「慢性多動性運動障害」は、すべての心因性、特発性、遺伝性、及び薬物誘発性運動障害を指し、それらを含む。
【0160】
「常動性」という用語は、複雑な一連の運動として、反復して見られるわずかな変動を伴うか、またはあまり一般的ではない繰り返し動作を指す。
【0161】
「VMAT2」という用語は、小胞モノアミン輸送体2、モノアミン-特に、ドーパミン、ノルエピネフリン、セロトニン、及びヒスタミン等の神経伝達物質-を細胞サイトゾルからシナプス小胞中へ輸送するために作用する膜内在性タンパク質を指す。
【0162】
「VMAT2媒介性障害」という用語は、異常なVMAT2活性により特徴付けられる障害を指す。VMAT2媒介性障害は、VMAT2を調節することによって完全にまたは部分的に媒介され得る。特に、VMAT2媒介性障害は、VMAT2の阻害が基礎となる障害に対していくらかの効果をもたらす障害、例えば、VMAT2阻害剤の投与が、処置を受ける患者のうちの少なくとも一部にいくらかの改善をもたらす障害である。
【0163】
例示的な実施形態1~30
以下は、本開示のある特定の例示的な実施形態(実施形態1~30)を示す。
【0164】
実施形態1.非反応性アクリレート感圧接着剤中に分散した活性成分を含み、
活性成分は、テトラベナジン、重水素化テトラベナジン、またはそれらの組合せから選択され、
非反応性アクリレート感圧接着剤は、約50重量%~約97重量%の量である、接着剤組成物。
【0165】
実施形態2.非反応性アクリレート感圧接着剤が、反応性水素部分を含む官能基を有していない、実施形態1に記載の接着剤組成物。
【0166】
実施形態3.非反応性アクリレート感圧接着剤が、エポキシ、-OH、-COOH、及びそれらの組合せから選択される官能基を有していない、実施形態1に記載の接着剤組成物。
【0167】
実施形態4.非反応性アクリレート感圧接着剤が、アルキルアクリレートのコポリマーである、実施形態1~3のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
【0168】
実施形態5.非反応性アクリレート感圧接着剤が、C-C18アルキルアクリレート(好ましくはC-C10分岐鎖または直鎖アルキルアクリレート)と、メチルアクリレートと、任意選択で、エポキシ、-OH、-COOH、及びそれらの組合せから選択される官能基を有していない1つまたは複数のアクリルアミドモノマー(例えば、tertオクチルアクリルアミド)とのコポリマーである、実施形態1~3のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
【0169】
実施形態6.非反応性アクリレート感圧接着剤が、ヘキシルエチルアクリレート(例えば、2-エチルヘキシルアクリレート)と、メチルアクリレートと、任意選択で、エポキシ、-OH、-COOH、及びそれらの組合せから選択される官能基を有していない1つまたは複数のアクリルアミドモノマー(例えば、tertオクチルアクリルアミド)とのコポリマーである、実施形態1~3のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
【0170】
実施形態7.非反応性アクリレート感圧接着剤が酢酸ビニルを含まないか、または実質的に含まない、実施形態1~6のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
【0171】
実施形態8.透過促進剤を含まない、実施形態1~7のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
【0172】
実施形態9.ミリスチン酸イソプロピルを含まない、実施形態1~7に記載のいずれか1つの接着剤組成物。
【0173】
実施形態10.脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、及びそれらの組合せから選択される透過促進剤を含まない、実施形態1~7のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
【0174】
実施形態11.活性成分が、約2重量%~約7重量%の量で存在する、実施形態1~10のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
【0175】
実施形態12.没食子酸抗酸化剤をさらに含む、実施形態1~11のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
【0176】
実施形態13.没食子酸プロピルを、例えば、約0.001重量%~約0.5重量%の量でさらに含む、実施形態1~11のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
【0177】
実施形態14.接着剤組成物は、周囲温度で2週間常温保存した後の薬物結晶の形成を防止するのに有効な量で、結晶化阻害剤をさらに含む、実施形態1~13のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
【0178】
実施形態15.ポリビニルピロリドンポリマー(例えば、Kollidon K30またはK90F(BASFによって製造された)、Plasdone K20/32またはPlasdoneK90(Ashland Chemicalによって製造された))、架橋ポリビニルピロリドンポリマー(例えば、Kollidon CL)、ポリビニルピロリドンコポリマー(例えば、Plasdone S-630Copovidone (Asland))、セルロース系ポリマー(例えば、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース)、ポリカルボン酸ポリマー(例えば、Cabopol(Lubrizolによって製造された))、ポリメタクリレート(例えば、Plastoid B、Eudragit E100、Eudragit L100-55 (Evonikによって製造された))、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル、及びポリビニルカプロラクタム系グラフトコポリマー(PVAc-PVCap-PEG)(例えば、Soluplus(BASF)、ならびにそれらの組合せ、から選択される結晶化阻害剤をさらに含む、実施形態1~13のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
【0179】
実施形態16.ポリメタクリレート(例えば、Plastoid B(ブチルメタクリレートとメチルメタクリレートとのコポリマー)、Eudragit E100、Eudragit L100-55(Evonikにより製造された))、ポリエチレングリコール、ポリビニルアセテート、及びポリビニルカプロラクタム系グラフトコポリマー(PVAc-PVCap-PEG)(例えば、Soluplus(BASF)、ならびにそれらの組合せ、から選択される結晶化阻害剤をさらに含む、実施形態1~13のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
【0180】
実施形態17.唯一の活性成分が、テトラベナジンの実質的に純粋なR,R-異性体である、実施形態1~16のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
【0181】
実施形態18.約8時間、約12時間、約18時間、約24時間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、もしくは約7日、またはそれ以上の間、使用者の皮膚に持続的に接着することができる、実施形態1~17のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
【0182】
実施形態19.バッキング層と、
実施形態1~18のいずれか1つに記載の接着剤組成物;と
剥離ライナーと、を含む経皮送達デバイス。
【0183】
実施形態20.常温保存可能である、実施形態19に記載の経皮送達装置。
【0184】
実施形態21.約0.01mg/日/cm~約5mg/日/cmの速度で、約8時間、約12時間、約18時間、約24時間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、もしくは約7日、またはそれ以上の間、対象使用者に活性成分を提供する、実施形態19または20に記載の経皮送達デバイス。
【0185】
実施形態22.テトラベナジン、重水素化テトラベナジン、またはそれらの組合せを、それを必要とする対象に投与する方法であって、実施形態1~18のいずれか1つに記載の接着剤組成物または実施形態19~21のいずれか1つに記載の経皮送達デバイスを、対象の皮膚に適用することを含む、方法。
【0186】
実施形態23.対象(例えば、ヒト対象)が、多動性運動障害(例えば、慢性多動性運動障害)を有することを特徴とする、実施形態22に記載の方法。
【0187】
実施形態24.多動性運動障害が、ハンチントン病に関連する舞踏病、ウィルソン病、トゥレット症候群、レストレスレッグス症候群、遅発性ジスキネジア、チック、及びそれらの組合せである、実施形態23に記載の方法。
【0188】
実施形態25.小胞モノアミン輸送体アイソフォーム2(VMAT2)の阻害を必要とする対象における小胞モノアミン輸送体アイソフォーム2(VMAT2)を阻害する方法であって、実施形態1~18のいずれか1つに記載の接着剤組成物または実施形態19~21のいずれか1つに記載の経皮送達デバイスを、対象の皮膚に適用することを含む、方法。
【0189】
実施形態26.小胞モノアミン輸送体アイソフォーム2(VMAT2)媒介性疾患または障害の処置を必要とする対象における小胞モノアミン輸送体アイソフォーム2(VMAT2)媒介性疾患または障害を処置する方法であって、実施形態1~18のいずれか1つに記載の接着剤組成物または実施形態19~21のいずれか1つに記載の経皮送達デバイスを、対象の皮膚に適用することを含む、方法。
【0190】
実施形態27.多動性運動障害の処置を必要とする対象における多動性運動障害を処置する方法であって、実施形態1~18のいずれか1つに記載の接着剤組成物または実施形態19~21のいずれか1つに記載の経皮送達デバイスを、対象の皮膚に適用することを含む、方法。
【0191】
実施形態28.多動性運動障害が、慢性多動性運動障害である、実施形態27に記載の方法。
【0192】
実施形態29.多動性運動障害が、ハンチントン病に関連する舞踏病、ウィルソン病、トゥレット症候群、レストレスレッグス症候群、遅発性ジスキネジア、及び/またはチックである、実施形態27または28に記載の方法。
【0193】
実施形態30.多動性運動障害の処置を必要とする対象における多動性運動障害を処置する方法であって、治療有効量のテトラベナジンまたは重水素化テトラベナジンを対象に経皮投与することを含む、方法。
【実施例
【0194】
実施例1.テトラベナジン経皮パッチの調製
この実施例は、テトラベナジン接着剤パッチを調製するための1つの手順を示す。テトラベナジン塩基は、一般に、高純度(例えば、99%)で、例えば、「アリババ」ウェブサイト上でインターネットを介して、Octagon Chemical Ltd, Hangzhou, Chinaから市販されている。
【0195】
本実施例では、テトラベナジン塩基を、接着剤Durotak 87-2287(Henkel Adhesivesによって製造された)中に、混合物が均質になるまで完全に混合した。その後、接着剤混合物を「ドローダウンナイフ」を使用して剥離ライナー上に分注し、典型的なヘアドライヤーを使用して1.5分間強制乾燥させた後、バッキングフィルムに積層させた。
【0196】
接着剤混合物は、異なる濃度のテトラベナジンを含むことができる。本実施例では、4つの濃度を使用した、すなわち、1)2.5% テトラベナジンを97.5% Durotak 87-2287と混合して調製した2.5%製剤;2)5% テトラベナジンを95% Durotak 87-2287と混合して調製した5%製剤;3)10% テトラベナジンを90% Durotak 87-2287と混合して調製した10%製剤;4)15% テトラベナジンを85% Durotak 87-2287と混合して調製した15%製剤。テトラベナジン及びDurotakのすべての百分率は、それぞれの製剤の最終重量に基づく重量百分率を指す。
【0197】
実施例2.2つの接着剤を含むテトラベナジン経皮パッチ
実施例1と同じ手順に従って、2つの異なる接着剤を異なる比率で混合したテトラベナジン経皮パッチもまた、テトラベナジンの濃度を10重量%に維持して調製した。
【0198】
この実施例で使用された2つの接着剤は、シリコーンポリマー(Dow Corning Co.製のBIO-7-4202)及びアクリレートコポリマー(Durotak 87-2287)であった。本実施例では、4つの異なる比率、すなわち、1)5/95(Durotak 87-2287/BIO-7-4202);2)10/90(Durotak 87-2287/BIO-7-4202);3)25/75(Durotak 87-2287/BIO-7-4202);及び4)50/50(Durotak 87-2287/BIO-7-4202)を使用した。
【0199】
実施例3.経皮フラックス試験
パッチからのテトラベナジンの経皮フラックスを、フランツ拡散セル法によりヒトの死体表皮を使用して試験した。死体表皮は、Phoenix AZのHealth Science Tissue Bankから入手した。
【0200】
ヒトの死体表皮を通るテトラベナジンの経皮フラックスを、以下のHPLC法を使用して分析した。
【0201】
移動相:55/45アセトニトリル/水- 0.05%トリエチルアミンにより調整されたpH6.5
HPLCカラム:Pheneomenex製Kinetex C18、150×4.6mm、5μm
波長:230nm、流量:1.2mL/分
【0202】
実施例1及び2のパッチを試験して、経皮フラックスの結果を図1及び2にそれぞれ示す。
【0203】
図1に示すように、実施例1のパッチで観察された最も高い経皮フラックスは、10%のテトラベナジン濃度を有する接着剤マトリックスである。
【0204】
図2に示すように、シリコーンポリマー対アクリレートコポリマーの比率を変えても、フラックス特性は有意には変化しない しかし、図1に示された結果と比較すると、実施例2に従って調製されたパッチについて観察されたフラックスは、実施例1で調製された10% テトラベナジン濃度のパッチからのフラックスよりも著しく低い。
【0205】
したがって、シリコーン接着剤をアクリレート接着剤(例えば、Durotak 87-2877)に加えることにより、テトラベナジンのフラックス速度を遅くすることが可能な場合がある。
【0206】
実施例4A:官能基を有していない接着剤中のテトラベナジンの調製
バッチ組成物
【表2】
【0207】
Plastoid Bは、Evonikによって製造されたブチルメタクリレートとメチルメタクリレートとのコポリマーである。
【0208】
調製手順
実施例4Aにおけるパッチの調製については、以下の手順に従った。50-mLビーカー内で、エタノール中に没食子酸プロピルを手動で混合して溶解させる。別途、250-mLビーカー内で酢酸エチルを加え、機械式撹拌機により低速で混合する。TBZを加え、次に混合しながらPlastoid B粉末を加える。Plastoid Bが溶解したら、秤量したDuroTak 87-900Aを混合しながら加える。中程度の速度で、30分間、または均一になるまで混合する。3MのバッキングフィルムであるScotchpak 9723フィルム上に、10-milのコーティングアプリケーターを使用して、溶液をキャストする。キャスティングを10分間空気乾燥させ、85℃で10分間オーブン乾燥させる。乾燥した接着剤を分割Loparex剥離ライナーで覆う。鋼鉄製の打ち抜き型を使用して、被覆コーティングを60cm2のパッチにダイカットする。
【0209】
パッチは皮膚接着性及びせん断強度が良好であり、48時間を超えて皮膚にぴったりと付着する。
【0210】
パッチをダイカットして、皮膚透過試験のためにフランツセルに固定した。試験結果は、実施例6にて報告されている。
【0211】
40℃で4週間、パッチ上に結晶は観察されず、このことは、経皮パッチ製剤の良好な物理的安定性を示している。40℃で4週間、パッチ上で分解は観察されず、このことは、経皮パッチ製剤の良好な化学的安定性を示している。
【0212】
実施例4B及び4C。官能基を有していない接着剤中のテトラベナジンの調製
実施例4Aに示されたのと同じ手順に従って、2つの同様の製剤を調製した。これらを以下の表に示す(乾燥組成)。
【表3】
【0213】
実施例4B及び4Cにおいて調製されたパッチをまた、皮膚透過研究のために試験した。
【0214】
実施例5.テトラベナジンパッチ製剤の安定性研究
テトラベナジンの種々のパッチ製剤を調製し、化学的及び/または物理的安定性について試験した。本発明者らは、官能基を含有する、DuroTak 87-2287またはDuro-Tak 87-2677接着剤で調製されたパッチ製剤が、40℃で4週間常温保存した後、黄味がかった色を示し、これは、酸化及び/またはその他の分解による活性成分の不安定性を示していることを見出した。DuroTak 87-2287は、-OH及びエポキシのヒドロキシル官能基を有し、DuroTak 87-2677は、-COOHの酸性官能基を有する。対照的に、官能基を有していないDuroTak 87-900Aを使用して調製されたパッチ製剤は、40℃で4週間安定であることが分かった。実施例4Aを参照のこと。
【0215】
本発明者らはまた、抗酸化剤としての没食子酸プロピルなしで調製されたパッチ製剤が、活性成分の分解をもたらすことを見出した。抗酸化剤を使用しない場合は、TBZ 01、TBZ 02、TBZ 04などの不純物(薬物関連)が形成され、HPLCによって検出された。TBZの酸化及び/またはその他の分解を防ぐことができる抗酸化剤としては、没食子酸プロピル、クエン酸、アスコルビン酸、ビタミンE(酢酸トコフェロール)などが挙げられる。
【0216】
テトラベナジン及び関連化合物を、UV検出器を備えたイソクラティック逆相HPLCを使用して分析した。
カラム:Gemini C18、4.6×150mm、5μm粒子径、または同等。
カラム温度:45℃
注入量:10μL
検出波長:210nm
移動相:移動相A/移動相Bの比率=44:56
移動相A:HO中10mM KHPO
移動相B:アセトニトリル
流量:1.2mL/分
実行時間:12分
保持時間:テトラベナジンの場合は約5.5分
不純物1(TBZ01)の保持時間は約1.95分である;不純物2(TBZ02)は約3.10分である;不純物4(TBZ04)は約5.29分である。
【0217】
本発明者らはさらに、結晶化阻害剤/可溶化剤としてSoluplusまたはPlastoid Bを使用しないで、例えば実施例4Bを参照のこと、周囲温度で2週間常温保存した後に、結晶がパッチ上に現れることを見出した。結晶の形成は、パッチ製剤の皮膚透過を遅らせる。
【0218】
したがって、好ましい組成物は、活性成分が室温で少なくとも12か月の保存中に、非晶質形態で接着剤マトリックス中に残るように、結晶化阻害剤を含むべきである。好ましい結晶化阻害剤は、
・PVP(ポリビニルピロリドン)ポリマー:Kollidon K30またはK90F(BASFによって製造された)、Plasdone K20/32またはPlasdone K90(Ashland Chemicalによって製造された)。
・架橋PVPポリマー:Kollidon CL
・PVP コポリマー(コポビドン):Plasdone S-630Copovidone(Asland)
・セルロース系ポリマー:ヒドロキシルプロピルメチルセルロース(HPMC/Methocel)、エチルセルロース(Dow ChemicaによるEthocel)、例えば、ヒドロキシルプロピルセルロース(HPC、AshlandによるKlucelなど)
・ポリカルボン酸ポリマー:Carbopol(Lubrizolによって製造された)
・ポリメタクリレート:Plastoid B、Eudragit E100、Eudragit L100-55(Evonikによって製造された)
・Soluplus(BASF):ポリエチレングリコール、ポリビニルアセテート、及びポリビニルカプロラクタム系グラフトコポリマー(PVAc-PVCap-PEG)を含む。
【0219】
実施例6.皮膚透過研究
実施例4A~4Cにおいて調製したパッチ製剤を、以下のプロトコルを使用した皮膚透過研究に使用した:
・フランツセル組立体-Logan Instruments(6セルユニット)
・各セルには12mLの容積、1.5cmの直径のオリフィスがある。
・レセプター媒体はリン酸緩衝液(PBS)pH7.4であった
・セル温度を37℃に維持した。
・サンプリング方法:HPLCアッセイ用に1.5mLを取り、セルを空にし、未使用の媒体と交換した。
・サンプリング時点:2、4、8、12、24、及び48時間目
・死体皮膚を使用し、New York Fire Fighters Skin Bankから入手した。
・媒体のアッセイ方法:HPLC。
【0220】
研究の結果を以下の表及びプロットに提示する。提示された値は、cm2あたりの透過したTBZの累積量(すなわち、μg/cm2)である。図3も参照のこと。
【表4】
【0221】
実施例7.インビボ薬物動態研究
この研究の目的は、絶食条件下の健康な成人男性対象に1日目から4日目まで絶食条件下で投与された、参照製品である、テトラベナジン錠の1日3回用量12.5mg(Lupin)(総用量150mg)に対する、単一の96時間の適用期間に適用された場合の、8mg/96時間の試験TBZパッチ(実施例4Aの製剤を参照)の比較生物学的利用能を評価することであった。
【0222】
これは、試験製品と参照製品を比較した、絶食条件下での非盲検、ランダム化、2処置、2期間、2シーケンスのクロスオーバー試験であった。この研究は、16人の健康な、タバコを使用しない、ニコチンを使用しない、成人男性対象に対して実施した。研究のある期間では、ひとつ(1つ)のTBZパッチ、8mg/96時間を対象の左上腕外側に適用して、少なくとも10時間の一晩の絶食に続いて96時間所定の位置に保持した。他の研究期間では、1×12.5mgのテトラベナジン錠(Lupin)を1日目から4日目まで8時間ごとに投与し、4日間にわたって1日総用量37.5mg、12回投与で総用量150mgを投与した。処置B(参照)の場合、対象は、0時間目投与(1日目)の前にのみ、少なくとも10時間の一晩の絶食を実施した。その後の用量を、少なくとも2時間の絶食後に投与した。投与の順序は、2シーケンスのランダム化スケジュールに従った。対象は、各研究期間における投与(0時間)の少なくとも10時間前から投与1日目、0時間から少なくとも120時間後まで、臨床施設に閉じ込められた。投与間隔(0時間)は14日であった。
【0223】
血液試料を、各研究期間において、治験薬投与前及び投与後(0時間)120時間超の間隔で収集した。研究製品(処置AまたはB)の少なくとも1つを投与された対象について、生物分析研究所が試料を分析した。
【0224】
TBZ(RR及びSS異性体)及びその活性代謝産物(RRR、SSS、SRR及びRSS)の血漿濃度を、完全に検証された分析手順によって測定した。分散分析法を使用した統計分析を実行して、これら6つの分析物の血漿濃度に基づいて、参照製品の生物学的利用能と比較して、試験製剤の生物学的利用能を評価した。
【0225】
研究データを、ソース文書において収集した。
【0226】
この研究は、テトラベナジン錠及びその代謝産物の既知の薬物動態、テトラベナジン錠に関するFDAガイダンス草案の推奨事項、及び絶食条件下での生物学的利用能/生物学的同等性試験の実施について一般的に受け入れられている基準に基づいて設計された。
【0227】
キャリーオーバー効果の可能性を最小限に抑えるため、この試験では少なくとも10日間のウォッシュアウト期間を選択した。
【0228】
処置A
活性医薬成分は、テトラベナジンのRR立体異性体である。すべてのパッチ(実施例4Aに示されている製剤を参照のこと)は、肩から少なくとも2インチ下及び肘より上にある左上腕外側に適用した。パッチを、対象の左上腕外側に適用して、少なくとも10時間の一晩の絶食に続いて96時間所定の位置に保持した。
【0229】
処置B
活性医薬成分は、テトラベナジンの2つの立体異性体(RR及びSS)のラセミ形態である。1日目から4日目まで8時間ごとに投与した。対象は0時間目投与の前にのみ、少なくとも10時間の一晩の絶食を行った。その後の用量を、少なくとも2時間の絶食後に投与した。参照製品の1日の総用量は、3回の8時間投与間隔で37.5mgに等しく、4日間にわたる12回の投与で総用量150mgであった。
【0230】
参照錠剤(150mg)と比較して、試験パッチ(8mg)を介して投与されたTBZの総用量がより低いことは、局所投与による初回通過代謝のバイパスによってTBZからHTBZへの代謝が低下する結果として、活性医薬成分からのTBZの生物学的に活性なRR異性体の吸収は、パッチからの場合に、より広範囲になるであろうという前提に基づいていた。テトラベナジン錠剤の活性医薬成分はラセミ形態(RR、SS)であるが、試験TBZパッチの活性医薬成分はRR異性体である。
【0231】
有害事象を収集して、表にした。正式な統計分析は、実行されなかった。
【0232】
処置A(試験)では、研究のそれぞれの期間中:パッチ適用前の60分以内の投与開始前(0時間)及び投与から0.5、1.0、2.0、4.0、6.0、8.0、12.0、16.0、24.0、32.0、40.0、48.0、56.0、64.0、72.0、80.0、88.0、96.0(パッチ除去前5分以内)、97.0、98.0、100.0、104.0、108.0、114.0及び120.0時間後に、各対象から26の血液試料を収集した。すべての時間は、投与分(パッチ適用の時間)を基準にしている。処置B(参照)では、研究のそれぞれの期間中:投与前の60分以内の投与開始前(1日目、0時間)及び投与から0.17、0.33、0.5、0.75、1.0、1.33、1.67、2.0、2.5、3.0、4.0、6.0、8.0、8.33、8.67、9.0、9.5、10.0、12.0、16.0、16.5、17.0、18.0、20.0、24.0、25.0、26.0、28.0、32.0、34.0、36.0、40.0、44.0、48.0、52.0、56.0、60.0、64.0、68.0、72.0、76.0、80.0、84.0、88.0、92.0、96.0、100.0、104.0、112.0及び120.0時間後に、各対象から51の血液試料を収集した。すべての時間は、投与分(1日目、0時間)を基準にしている。必要に応じて、投与活性に対応するために、各投与の直前に-5分の許容偏差で収集された試料。
【0233】
研究製品(処置AまたはB)の少なくとも1つを投与された対象についてTBZ(RR及びSS異性体)及びそのHTBZ代謝産物(RRR、SSS、SRR及びRSS)の血漿濃度を、完全に検証された分析手順によって測定した。総TBZの濃度を、TBZ+RRR+SSS+SRR+RSSのモル濃度の合計としてモル単位で表した。
【0234】
以下のPKパラメータ:AUC0-t、AUC0-96、AUC0-∞、Cmax、Tmax、Kel、T1/2を、6つの分析物(2つのTBZ異性体[RR及びSS]ならびに4つのHTBZ代謝産物[RRR、SSS、SRR及びRSS])、TBZの組合せ(RR+SS)、及び総TBZのそれぞれについて、評価した。さらに、4つのHTBZ代謝産物(RRR、SSS、SRR、RSS)のそれぞれの代謝比(AUC0-t(met)/AUC0-t(TBZ))及びTBZの見かけのクリアランス(CL/F)を評価した。
【0235】
6つの分析物、TBZの組合せ(RR+SS)、及び総TBZのそれぞれについて、SAS(登録商標)(バージョン9.4)の一般線形モデル(GLM)手順を使用して、分散分析をln変換Cmax、AUC0-96及びAUC0-∞に対して実行した。統計モデルには、シーケンス、対象内シーケンス、処置、及び期間の主要効果が含まれていた。
【0236】
試験製剤を参照製品と比較するためのAUC0-96、AUC0-∞及びCmaxの幾何平均比(対数変換データから取得)についての信頼区間(90%)を、α=0.05レベルの有意性で2つの片側仮説を試験するために構築した。追加のPKパラメータ:4つの代謝産物の代謝比及びTBZのCL/Fについても同様の分析を実行した。記述統計を、処置によるすべてのPKパラメータについて報告する。
【0237】
結果の要約:平均血漿濃度対時間プロット(線形)を、以下に、TBZの場合は図4A(RR及びSS異性体の組合せ)のように、RRR HTBZの場合は図4Bのように、SRR HTBZの場合は図4Cのように、及び総TBZの場合は図4Dのように示す。薬物動態パラメータ(未変換)の算術平均を、処置Aについては表1Aに、処置Bについては表1Bに提供する。
【0238】
幾何平均、幾何平均の比、及びそれらの関連する90%信頼区間とANOVA(ln変換)に基づく対象内CV(ISCV%)値を、TBZ(RR及びSS異性体の組合せ)については表2Aに、RRR HTBZについては表2Bに、SRR HTBZについては表2Cに、総TBZについては表2Dに示す。


【表5】

【表6】

【表7】


【表8】
【表9】


【表10】
【0239】
処置Aにパッチを適用した後、RR異性体のTBZ濃度は、Tmaxの中央値20時間で平均ピーク曝露(Cmax)570pg/mLに増加し、その後、96時間でパッチが除去されるまでゆっくりと減少し、その後、濃度は低下し、平均終末相半減期は8.5時間であった。TBZのSS異性体のすべての濃度はBLQであった。4つのHTBZ代謝産物のうち2つが検出され(RRR及びSRRジアステレオマー)、SRR異性体のピーク(Cmax)及び合計(AUC0-t)血漿曝露がおよそ20倍高かった。
【0240】
処置Bで96時間にわたって1日3回錠剤を投与した後、すべての対象のRR及びSSのほとんどの濃度はBLQであった。LLOQの48.050pg/mLを超えるRR濃度の場合、平均Cmaxは138pg/mLであり、Tmaxの中央値は1日目の最初の投与から16.5時間後、または3回目の投与から0.5時間後であった。4つの活性HTBZ代謝産物すべてが検出され、SSS異性体が最高の平均AUC及びCmax値に基づいて優勢であり、SRR、RSS、及びRRRの順にランク付けされた。RR、SS、及びRR+SS分析物のAUC0-∞(TBZ)(TBZ)データがないため、代謝AUC比(AUC0-∞(met)/AUC0-∞(TBZ))は計算しなかったが、代わりにAUC0-t(met)/AUC0-t(TBZ))データを使用して推定した。
【0241】
処置A(パッチ)とB(錠剤)を比較すると、HTBZへのTBZ代謝の程度は、RRR及びSRRについておよそ500分の1の最小二乗幾何平均(LSGM)AUC0-t(met)/AUC0-t(TBZ))で示されるように、処置Aの方が少ない。同様に、処置AのRRR及びSRR AUC0-96及びCmax値(用量差未補正)は、RRR及びSRRパラメータについてLSGM A/B比がおよそ10~13%であることから示されるように、処置Bの値の8~10分の1になっている。処置AのRR+SS AUC0-96及びCmaxのLSGMは、処置BのLSGMよりもそれぞれ約38倍及び3.4倍高くなっている。総TBZ AUC0-96、AUC0-∞及びCmaxのLSGM A/B比は、3~4%で低い。
【0242】
結論:単回の96時間の適用に適用された8mg/96時間のTBZパッチによって、健康な男性対象において、1日目から4日目までの絶食条件下で投与されたTBZ錠剤の1日3回投与(総投与量150mg)と比較して、SS異性体への相互変換を伴わずに、より低い用量で活性HTBZ異性体への代謝の程度がより少ない、より高い濃度のRR-テトラベナジンが提供される。
【0243】
刺激反応のため、研究中にパッチ(処置A[試験])は除去されなかった。研究中に報告された重篤な有害事象はなく、有害事象のために中止された対象はいなかった。
【0244】
特許請求の範囲を解釈するうえで、「発明の概要」及び「要約」の項ではなく、「発明の詳細な説明」のセクションを用いることが意図されている点は認識されるべきである。「発明の概要」及び「要約」のセクションは、本発明者(ら)によって想到される本発明の1つ以上の(ただしすべてではない)例示的実施形態を記載しうるものであり、したがって、本発明及び添付の特許請求の範囲をあらゆる意味で限定することを意図していない。
【0245】
本発明を、その特定の機能の実施及びそれらの関係性を説明する機能構成要素の助けによって上記に述べた。これらの機能的要素の境界は、説明の便宜上、本明細書では任意に定義されている。特定の機能及びそれらの関係性が適切に実施されている限り、代替的な境界を定義することもできる。
【0246】
属として記載される本発明の態様に関して、すべての個々の種は個々に検討される本発明の別々の態様である。本発明の態様が、ある要素を「含む」ものとして記載されている場合、その要素「からなる」または「本質的になる」実施形態も想到される。
【0247】
具体的な実施形態の上記の具体的な説明は本発明の一般的な性質を余すところなく示しているため、他者は、当業者の技能の範囲内の知識を適用することで、不要な実験を行うことなく、本発明の一般的概念から逸脱せずに、かかる具体的な実施形態を容易に改変し、及び/またはさまざまな用途に適合させることができる。したがって、そのような適合及び改変は、本明細書に示される教示及び助言に基づき、開示される実施形態の均等物の意味及び範囲内に包含されるものとする。本明細書における語句または用語は、説明を目的としたものであって、限定を目的とするものではなく、本明細書における語句または用語は本明細書の教示及び助言を考慮することで当業者によって理解されるはずである。
【0248】
本発明の広さ及び範囲は、上記に記載した例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきでなく、下記の請求項及びそれらの均等物のみに従って定義されるべきものである。
【0249】
本明細書に記載される様々な態様、実施形態、及び選択肢のいずれも、いずれかの、及びすべての変例として組み合わせることができる。
【0250】
本明細書で触れられるすべての刊行物、特許及び特許出願は、あたかもそれぞれの個々の刊行物、特許及び特許出願が詳細かつ個別に参照により援用されていることが示されているものと同様にして、本明細書に参照により援用するものとする。本文書におけるある用語のいずれかの意味または定義が、参照によって援用される文書における同じ用語のいずれかの意味または定義と矛盾する場合には、本文書におけるその用語の意味または定義が優先するものとする。

図1
図2
図3
図4-1】
図4-2】
【国際調査報告】