(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-10
(54)【発明の名称】検体を分析するシステム、装置、および方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20221227BHJP
G01N 35/10 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
G01N35/00 F
G01N35/00 A
G01N35/10 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525680
(86)(22)【出願日】2020-10-29
(85)【翻訳文提出日】2022-06-03
(86)【国際出願番号】 US2020057909
(87)【国際公開番号】W WO2021091755
(87)【国際公開日】2021-05-14
(32)【優先日】2019-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508147326
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ムハンマド・アーメッド
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058EA02
2G058ED03
2G058GA01
2G058GB06
2G058GB10
2G058GD05
2G058GE10
(57)【要約】
検体を分析する方法は、検体の検体完全性エラーを検出することと;検体の画像を取り込むことと;検体の画像を遠隔地の顧客サポートセンタに送ることと;顧客サポートセンタで検体の画像を解析することと;検体の画像を解析することに応答して検体完全性エラーの原因を判定することとを含む。診断分析器および診断システムも開示される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を分析する方法であって:
検体の検体完全性エラーを検出することと;
検体の画像を取り込むことと;
検体の画像を遠隔地の顧客サポートセンタに送ることと;
顧客サポートセンタで検体の画像を解析することと;
検体の画像を解析することに応答して検体完全性エラーの原因を判定することとを含む、前記方法。
【請求項2】
検体の画像を解析することに応答して、検体完全性エラーの原因が1つまたはそれ以上の検体処理エラーであると判定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
診断分析器を用いて検体を処理することと;
検体の画像を解析することに応答して、検体完全性エラーの原因が診断分析器の1つまたはそれ以上のエラーであると判定することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
検体を処理することは検体を吸引しようと試みることを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
検体を吸引しようと試みる間に取得される1つまたはそれ以上の圧力値のデータを、顧客サポートセンタに送ることをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
検体完全性エラーを検出することは、吸引しようと試みる間に取得される1つまたはそれ以上の圧力値のデータを解析することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
検体の画像を解析することは、検体の画像にクロットを含むアーティファクトの存在を識別することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
検体の画像を解析することは、検体の画像にバブルを含むアーティファクトの存在を識別することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
検体の画像を解析することは、検体の画像にフォームを含むアーティファクトの存在を識別することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
検体完全性エラーに対する解決策を促すことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
解決策を促すことは、検体完全性エラーに対する自動化された解決策が分析器によって実行されるように促すことを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
検体完全性エラーに対する自動化された解決策は、検体の処理を変更するという1つまたはそれ以上の命令を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
検体は診断分析器にあり、検体完全性エラーに対する自動化された解決策は、診断分析器に1つまたはそれ以上の変更を行うという1つまたはそれ以上の命令を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
検体完全性エラーを検出することは、検体中のアーティファクトを検出するために訓練済みモデルを用いて検体の画像を解析することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
検体完全性エラーの原因を判定することは、訓練済みモデルを用いて検体の画像を解析することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
診断分析器であって:
検体の画像を取り込むように構成された撮像デバイスと;
検体の検体完全性エラーを検出するように構成された検出器と;
検出器が検体完全性エラーを検出することに応答して、検体の画像を遠隔地の顧客サポートセンタに伝送するように構成された通信インターフェースとを含む、前記診断分析器。
【請求項17】
検体を吸引するように構成された吸引デバイスを含み、検出器は、吸引の少なくとも一部の間に、吸引デバイスの圧力を測定するように構成された圧力センサを含む、請求項16に記載の診断分析器。
【請求項18】
通信インターフェースは、吸引中に測定される圧力を顧客サポートセンタに伝送するように構成される、請求項17に記載の診断分析器。
【請求項19】
検体完全性エラーは、検体にアーティファクトを含み、検出器は、検体の画像に基づいて検体中のアーティファクトを識別するように訓練されたモデルを含む、請求項16に記載の診断分析器。
【請求項20】
診断システムであって:
遠隔地の顧客サポートセンタと;
診断分析器とを含み、該診断分析器はさらに:
検体の画像を取り込むように構成された撮像デバイスと;
検体を吸引するように構成された吸引デバイスと;
検体中のアーティファクトを含む検体完全性エラーの検出を実行するように構成された検出器と;
検体中のアーティファクトの検出に応答して、検体の画像を顧客サポートセンタに伝送するように構成された通信インターフェースとを含み、
遠隔地の顧客サポートセンタは、検体完全性エラーの検出に応答して是正措置を取るように診断分析器または診断分析器のオペレータを促すように動作可能である、前記診断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2019年11月5日出願の米国仮特許出願第62/931,113号「検体を分析するシステム、装置、および方法」の利益を主張するものであり、その開示の全体をあらゆる目的のために参照によって本明細書に組み入れる。
【0002】
本開示の実施形態は、検体を分析するシステム、装置、および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
医学的な検査および処理では、診断分析器(免疫測定装置、生化学分析器、インビトロ分析器など)を使用して、血液または血清もしくは血漿などの血液成分、尿、痰、唾液、脳脊髄液などの生体検体に含まれる、1つまたはそれ以上の構成成分(例えば、1つまたはそれ以上の分析物または他の成分)の濃度を検査することができる。このような診断分析器は、複雑なことがあり、1日に数百またはそれどころか数千の診断検査を検体に行うことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
診断分析器に不具合が起こると、診断分析器は不具合が是正されるまで利用中止にしなければならない場合がある。その時間の間は、検査を行うことができず、検体は検査するために他の分析器または他の検査室に送らなければならない場合があり、それはコストがかかり、時間の浪費である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によれば、検体を分析する方法が提供される。検体を分析する方法は、検体の検体完全性エラーを検出することと;検体の画像を取り込むことと;検体の画像を遠隔地の顧客サポートセンタに送ることと;顧客サポートセンタで検体の画像を解析することと;検体の画像を解析することに応答して検体完全性エラーの原因を判定することとを含む。
【0006】
第2の態様によれば、診断分析器が提供される。診断分析器は、検体の画像を取り込むように構成された撮像デバイスと;検体の検体完全性エラーを検出するように構成された検出器と;検出器が検体完全性エラーを検出することに応答して、検体の画像を遠隔地の顧客サポートセンタに伝送するように構成された通信インターフェースとを含む。
【0007】
第3の態様によれば、診断システムが提供される。診断システムは、遠隔地の顧客サポートセンタと;診断分析器とを含み、診断分析器はさらに:検体の画像を取り込むように構成された撮像デバイスと;検体を吸引するように構成された吸引デバイスと;検体中のアーティファクトを含む検体完全性エラーの検出を実行するように構成された検出器と;検体中のアーティファクトの検出に応答して、検体の画像を顧客サポートセンタに伝送するように構成された通信インターフェースとを含み、遠隔地の顧客サポートセンタは、検体完全性エラーの検出に応答して是正措置を取るように診断分析器または診断分析器のオペレータを促すように動作可能である。
【0008】
本開示のさらなる他の態様、構成、および利点は、いくつかの例示的実施形態を示す以下の詳細な説明から容易に明らかにすることができる。本開示は、様々な実施形態を可能にすることもでき、そのいくつかの細部は様々な点で修正することができる。したがって、本開示は、特許請求の範囲内にある全ての修正形態、均等物および代替形態を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】先行技術による、診断分析器のオペレータによって検体完全性エラーが検出されるときに取られる措置を説明するフローチャートを示す。
【
図2】1つまたはそれ以上の実施形態による、診断分析器において検体完全性エラーが検出されるときに取られる措置を説明するフローチャートを示す。
【
図3】1つまたはそれ以上の実施形態による、診断システムの概略ブロック図を示す。
【
図4A】1つまたはそれ以上の実施形態による、クロットアーティファクトを有する検体を内部に含む検体容器を示す。
【
図4B】1つまたはそれ以上の実施形態による、バブルアーティファクトを有する検体を内部に含む検体容器を示す。
【
図4C】1つまたはそれ以上の実施形態による、フォームアーティファクトを有する検体を内部に含む検体容器を示す。
【
図5】1つまたはそれ以上の実施形態による、診断分析器の吸引デバイスの部分側断面図を示す。
【
図6】1つまたはそれ以上の実施形態による、検体を分析する方法を説明するフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
吸引される液体に1つまたはそれ以上の検査を行うために、診断分析器が検体容器から液体(例えば、検体)を吸引することができる。吸引中に診断分析器に不具合が生じかつ/または検体にアーティファクトが存在すると、検体完全性エラーが起こることがある。吸引中の不具合は、例えば、不良ポンプまたは漏れやすいコンジットが、吸引される液体に空気を入れた結果として起こる場合がある。用語「アーティファクト」は、本明細書で用いられるように、検体の血清部分または血漿部分のクロット、バブル、またはフォームを含む。用語「クロット」は、本明細書で用いられるように、全血の凝固によって生み出される、血清部分または血漿部分に存在する、凝集した塊を含む。用語「バブル」は、本明細書で用いられるように、血清部分または血漿部分の、切り離された略球形の気体ポケットを含み、これはフォームではない。バブルの直径は、例えば、約0.2mmと約1.0mmとの間でよい。用語「フォーム」は、本明細書で用いられるように、血清部分または血漿部分の上部で互いに近接して一緒にグループ化された、小さい略球形の気体ポケットの群またはグループを含む。球形の気体ポケットの個々の1つの直径は、例えば、約0.1mmから約0.5mmの間でよい。
【0011】
バブルまたはフォームを含む検体の吸引は空気の吸引につながることがあり、空気の吸引は無効の検査結果をもたらす場合がある。クロットの存在は、検体を吸引するために使用されるピペットの目詰まりを引き起こす場合があり、検査プロセスの混乱または誤った結果につながることがある。さらに、アーティファクトは、溶血、黄疸、および/または脂肪血などの干渉物質のための検査など、事前分析検査の結果の解釈に影響を及ぼす場合がある。
【0012】
検体中のアーティファクトの存在などの検体完全性エラーは、診断分析器の動作不良、オペレータエラー、および/または検体処理エラーの結果である場合がある。従来の方法および診断分析器では、検体完全性エラーを検出したときに、オペレータは、検体完全性エラーの原因を判定し、そのエラーを是正するために、サービス技術者に検査室を訪問するように依頼する場合がある。診断分析器の製造者からサービス技術者を送ることがあるが、これは、時間の浪費でありコストがかかる場合がある。さらに、診断分析器は、サービス技術者の到着を待つ間の長期間は使用できない。
【0013】
図1は、従来の診断分析器のオペレータによって検体完全性エラーが検出されるときに取られるマニュアル措置の方法100を説明するフローチャートを示す。ブロック102で、オペレータによって検体完全性エラーが検出され、次いで、そのオペレータはサービスセンタに連絡する。判定ブロック104で、サービスセンタは、検体に1つまたはそれ以上のアーティファクトが存在するかどうかをオペレータに質問する。判定ブロック104の結果が肯定的な場合は、処理がブロック106に進み、そこで、オペレータが1つまたはそれ以上のアーティファクトを見つけ、検体完全性エラーを是正する。判定ブロック104の結果が否定的な場合は、処理がブロック108に進み、そこで、オペレータが、サービス技術者によるオンサイトサービス依頼を要求する。次いで、処理が判定ブロック110に進み、そこで、サービス技術者が検体完全性エラーの原因を判定する。1つまたはそれ以上の処理エラーがある場合は、処理がブロック112に進み、そこで、サービス技術者は、1つまたはそれ以上の処理エラーを識別する。サービス技術者は、検体完全性エラーを引き起こした1つまたはそれ以上の処理エラーを解決し、診断分析器での検体の検査を再開することができる。判定ブロック110の結果が、検体完全性エラーが診断分析器の不具合に起因する場合は、処理がブロック114に進み、そこで、サービス技術者が診断分析器を修理する。
【0014】
サービス技術者が診断分析器を収容する検査室に向かっている間およびそこに滞在している間は、検査が停止されることがある。その期間中、検査予定の検体は、滞ることがあるか、または他の診断分析器に移動されるかもしくはそれどころか検査するために他の検査室に発送しなければならないことがある。
【0015】
先の記述を考慮して、本開示の1つまたはそれ以上の実施形態は、検体完全性エラーを遠隔で検出しかつ/または遠隔で分析し、診断分析器のオペレータにエラーおよびエラーに対する考え得る解決策を通知するように構成された、方法、システム、および装置を提供する。検体完全性エラーの遠隔の検出および分析は、例えば、遠隔顧客サポートセンタで行うことができる。診断分析器は、遠隔顧客サポートセンタと通信してよい。検体の分析中に、検体完全性エラーが起きる場合に顧客サポートセンタに通知することができる。例えば、検体の吸引中に、診断分析器またはオペレータは、アーティファクトが検出される場合または吸引エラーが起きる場合に顧客サポートセンタと通信してよい。場合により、検体の撮像中に、アーティファクトが検出される場合に顧客サポートセンタに通知することができる。次いで、診断分析器は、検体の画像を顧客サポートセンタに送る。診断分析器は、検体完全性エラーが検出された時に、診断分析器の特徴を示すデータ(例えば、動作データ)を顧客サポートセンタに送ることもできる。次いで、顧客サポートセンタは検体完全性エラーの原因を判定することができる。顧客サポートセンタは、エラーに対する解決策を提示または促すことができる。一部の実施形態では、顧客サポートセンタは、措置を取るように診断分析器のオペレータを促すか、または手順を自動的に行うように診断分析器を促すことができる。
【0016】
本開示の実施形態のこれらのおよび他の態様および構成は、
図2から
図6を参照しながら本明細書に記載されている。
【0017】
ここで、検体を分析する方法200の一例のフローチャートを示す
図2を参照する。一定の態様によれば、方法200は、1つまたはそれ以上の検体完全性エラーを遠隔で分析および/または是正するように働く。ブロック202で、遠隔顧客サポートセンタが、少なくとも1つの検体で起こる検体完全性エラーを通知される。通知は、オペレータによって促してもよく、診断分析器が顧客サポートセンタに検体完全性エラーを自動的に通知することによって自動化してもよい。ブロック204で、検体完全性エラーを有するかまたはそれに関連する検体の画像(例えば、デジタル画像)が顧客サポートセンタに送られる。処理が判定ブロック206に進み、そこで、検体完全性エラーの原因が顧客サポートセンタで判定される。
【0018】
一部の実施形態では、顧客サポートセンタは、自動化された解決策をオペレータに提供するコンピュータを含むことができる。例えば、検体の画像は、検体完全性エラーの原因を判定する訓練済みモデル(例えば、畳み込みニューラルネットワークなどの訓練済みニューラルネットワーク)を用いて解析できる。判定ブロック206の結果が、処理エラーが検体完全性エラーを引き起こしたという場合は、ブロック208に記載されるように、処理エラーを解決するようにオペレータに指示することができる。例えば、一部の実施形態では、オペレータに処理エラーを通知し、1つまたはそれ以上の命令によって、処理エラーを修正する処理に関係する1つまたはそれ以上の変更を行うように促すことができる。例えば、検体を再び遠心分離機にかけるかまたは検体からフォームを吸引するように、オペレータに指示することができる。一部の実施形態では、検体を吸引するために使用されるピペットを再位置合わせおよび/または再較正するようにオペレータに指示することができる。このような再位置合わせおよび/または再較正は、吸引中に検体とピペットを適切に位置合わせすることができる。
【0019】
一部の実施形態では、顧客サポートセンタは、オペレータからの入力ありまたはなしで、処理エラーを解決するように診断分析器を促すかまたは指示することができる。一部の実施形態では、処理エラーを解決するための1つまたはそれ以上の命令は、顧客サポートセンタから診断分析器に電子的に送ることができる。一部の実施形態では、命令は、処理エラーを解決するために、1つまたはそれ以上の自動化された較正または位置合わせの手順を行うように診断分析器に指示することができる。1つまたはそれ以上の自動化された較正または位置合わせの手順は、検体を吸引するために使用されるピペットを再位置合わせおよび/または再較正することを含むことができる。一部の実施形態では、顧客サポートセンタは、遠心分離ステーションまたは検体からフォームを吸引するステーションに検体を送るように、診断分析器に指示することができる。
【0020】
判定ブロック206の結果が、検体完全性エラーが診断分析器の不具合の結果であるという場合は、処理がブロック210に進み、そこで、サービス技術者が診断分析器の不具合を解決する。例えば、診断分析器の不具合を解決するために、サービス技術者を検査室に送ることができる。不具合のいくつかの例は、動作不能のバルブもしくはポンプ、圧力/流体ラインの漏れ、ラインの閉鎖、または不適切な位置のピペットを含むことができる。不具合を解決することは、診断分析器の他の構成要素の修理および/または再較正を含むことができる。
【0021】
ここで、診断システム300の概略ブロック図を示す
図3を参照する。診断システム300は、ユーザインターフェース304を含む診断分析器302と、顧客サポートセンタ306とを含むことができる。診断分析器302は、顧客サポートセンタ306と電子通信してよい。一部の実施形態では、ユーザインターフェース304は、モニタ336、キーボード337、および/またはマウス338を含むことができ、診断分析器302の動作に関係するデータ入力および操作を提供するのに有用である。顧客サポートセンタ306は、診断分析器302および/または診断分析器302を収容する検査室もしくは建物から離れていてよい。顧客サポートセンタ306は、複数の顧客(例えば、診断分析器)と通信してよい。
【0022】
診断分析器302は、生体検体に対して1つまたはそれ以上の診断検査および/または分析を行うように構成することができる。例えば、生体検体に対する診断検査および/または分析は、限定されるものではないが、検体の分析物、タンパク質、もしくは核酸、または他の構成成分の濃度の検査を含むことができる。診断分析器302は、検査装置310と、それに電子接続されるコントローラ312とを含むことができる。検査装置310は吸引デバイス316を含んでよく、吸引デバイス316は、検体容器318(例えば、検体採取試験管)から液体(例えば、検体318S)を吸引するように構成することができる。1つまたはそれ以上のセンサ320が吸引をモニタリングしてよい。撮像デバイス322が、検体容器318およびその中にある(例えば、液体を含む)検体の1つまたはそれ以上の画像を取り込むことができる。撮像デバイス322は、検査装置310に含まれるか、または、検体容器318を検査装置310に運ぶトラック上に位置してよい品質チェック装置内など、検査装置310の外にあってよい。第2の診断分析器324Aおよび第3の診断分析器324Bなど、他の診断分析器も、顧客サポートセンタ306と電子通信してよい。第2の診断分析器324Aおよび第3の診断分析器324Bは、診断分析器302と同一または実質的に同様でよい。
【0023】
コンピュータデバイスの場合があるコントローラ312は、メモリ326(例えば、RAM、ROM、または他のメモリタイプ)を含むことができ、メモリ326は、プログラミング命令、検査結果データ、撮像デバイス322によって取り込まれるデジタル画像、および/または他の情報/データを記憶するように構成されている。コントローラ312は、プロセッサ328(例えば、CPU、マイクロプロセッサなど)を含むこともでき、プロセッサ328は、診断分析器302の動作と関連してプログラミング命令を実行するように構成されている。コントローラ312はさらに、通信インターフェース330を含むことができ、それを用いて、診断分析器302、ユーザインターフェース304、1つまたはそれ以上のセンサ320、および顧客サポートセンタ306と電子通信する。一部の実施形態では、通信インターフェース330は、コントローラ312と顧客サポートセンタ306との間で接続されるネットワーク(図示せず)との通信を有効にすることができる。ネットワークは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、電力線通信(PLC:power line communication)ネットワーク、インターネット、他の無線プロトコルなどを含むことができる。
【0024】
通信インターフェース330は、検査装置310が検体容器318またはその中にある検体318Sを処理することに応答して、検査装置310から分析結果を受けるように構成することができる。通信インターフェース330は、例えば、吸引中に得られる、検査装置310に関係するデータ(例えば、圧力データまたは圧力トレース)を受けるように構成することもできる。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上のセンサ320は、吸引プロセス中に圧力を測定しかつ/または吸引デバイス316から圧力データを収集し、圧力データを通信インターフェース330に送ることができる。通信インターフェース330は、撮像デバイス322が検体容器318および/またはその中にある検体318Sの画像を取り込むときに、撮像デバイス322によって生成される画像データを受けることもできる。
【0025】
検査装置310および/またはその動作に関係するデータは、1つまたはそれ以上のセンサ320(例えば、圧力センサ、温度センサ、バーコードリーダ、気圧計など)によって提供することができる。1つまたはそれ以上のセンサ320は、検査装置310の内部および/または外部にあり、検査装置310の動作に関係する少なくとも一部のデータの様々な読取り値または測定値を提供するように構成することができる。この関係するデータは、限定されるものではないが、吸引圧力読取り値、プロセス工程、行われる検査の数および/もしくはタイプ、検査装置310の内部温度、湿度レベル、ならびに/または大気圧のうちの1つまたはそれ以上を含むことができる。検査装置310の動作に関係する他のタイプのデータを、付加的にまたは代替的に含むことができる。
【0026】
コントローラ312は検出器を含むこともでき、その検出器は、ソフトウェアにおいて検出モジュール334として具現化され、メモリ326に記憶され、プロセッサ328によって実行可能である。検出モジュール334は、プロセッサ328上で実行可能な命令を含むことができる。検出モジュール334は、品質管理試験または他のデータから予期される結果と、検査装置310からの検査結果を比較するように構成することができかつ動作可能とすることができる。検出モジュール334は、検体318Sに存在するアーティファクトなどの検体完全性エラーを検出するために、1つまたはそれ以上のセンサ320および/または撮像デバイス322からのデータを解析するように構成することもできる。
【0027】
一部の実施形態では、検出モジュール334は、検査装置310に関係するデータのパターンおよび/または検体完全性エラーを示すことがある検体318Sの画像を識別する、人工知能駆動の訓練済みモデルを含むことができる。
【0028】
方法200のブロック202(
図2)に記載するように、検体完全性エラーの検出に応答して、検出モジュール334によって、通信インターフェース330が顧客サポートセンタ306に通知することができる。通知は手動でも自動でもよい。方法200のブロック204(
図2)に記載するように、通信インターフェース330は、顧客サポートセンタ306への通知として、検体完全性エラーを有する検体318Sの画像を表す画像データを送ることができる。通知は、通信ネットワークを介してデータとして受けることができ、データの受信により顧客サポートセンタ306によるレビューを開始する。一部の実施形態では、検体318Sの画像は、ユーザインターフェース304のモニタ336上に表示することができる。一部の実施形態では、通信インターフェース330は、検体完全性エラーに関係する1つまたはそれ以上のセンサ320から、顧客サポートセンタ306および/またはユーザインターフェース304にデータを送ることもでき、そこで、データをモニタ336に表示することができる。
【0029】
一部の実施形態では、検体318Sの処理中に、コントローラ312は、検体完全性エラーが起きたことを示す信号を、通信インターフェース330を介してユーザインターフェース304に送ることができる。例えば、コントローラ312によって、警報器339が検体完全性エラーをオペレータに通知できる。他の実施形態では、信号または通知をモニタ336上に表示することができる。コントローラ312は、検体318Sの画像および/またはデータを、1つまたはそれ以上のセンサ320からユーザインターフェース304に送ることもできる。一部の実施形態では、オペレータは、検体完全性エラーが起きたことを顧客サポートセンタ306に手動で通知してよい。例えば、オペレータは、検体318Sの画像および/またはデータを顧客サポートセンタ306に送ることができる。一部の実施形態では、オペレータは、ユーザインターフェース304から通信インターフェース330に信号を送ることができ、その信号によって、通信インターフェース330が検体318Sの画像および/またはデータを顧客サポートセンタ306に送る。
【0030】
一部の実施形態では、コントローラ312は、検体完全性エラーの通知を顧客サポートセンタ306に自動的に送ることができる。例えば、検出モジュール334が検体完全性エラーを検出する場合に、検出モジュール334によって、コントローラ312が顧客サポートセンタ306に通知を送ることができる。通知は、検体完全性エラーを有する検体を表す画像データを含んでよく、場合によっては、1つまたはそれ以上のセンサ320からのデータを含んでもよい。
【0031】
顧客サポートセンタ306は、検体完全性エラーの通知を受けると、方法200の判定ブロック206(
図2)に記載したように検体完全性エラーの原因を判定することができる。例えば、顧客サポートセンタ306の従業員またはコンピュータが、検体318Sの画像を解析して、検体318Sにアーティファクトが存在するかどうかを判定することができる。アーティファクトが存在するかどうかを判定するための実施形態またはデバイスおよび方法または検体の分析が、米国特許出願公開第2019/0033230号に記載されている。その文献の全体をあらゆる目的のために参照によって本明細書に組み入れる。顧客サポートセンタ306の従業員またはその中にあるコンピュータは、1つまたはそれ以上のセンサ320からのデータおよび/または他のデータを解析して、検体完全性エラーの原因を判定することもできる。
【0032】
例えば、吸引デバイス316によって吸引される一定数の連続する検体が、1つまたはそれ以上のセンサ320によって認識される、吸引中に低い圧力を検出するなどのアーティファクトを示す圧力異常を有する場合は、顧客サポートセンタ306は診断分析器302に不具合が存在することを判定できる。方法200のブロック210(
図2)に記載するように、顧客サポートセンタ306は、診断分析器の不具合を解決するために、診断分析器302にサービス技術者を派遣することができる。一部の実施形態では、顧客サポートセンタ306は、診断分析器302の不具合を解決するために、場合により、ブロック211で、吸引デバイス316のピペット321の位置決めの自動較正などの較正手順を行うようにオペレータを促すことができる。場合により、ピペット321の位置決めの自動較正など、自動の較正手順を行うように、診断分析器を直接的に促すことができる。
【0033】
検体完全性エラーが時々起きる場合は、顧客サポートセンタ306は、検体316Sの処理にエラーが存在することを判定できる。方法200のブロック208(
図2)に記載したように、顧客サポートセンタ306は、オペレータが処理エラーの修正を試みるように、1つまたはそれ以上の提案を用いてオペレータを促すことができる。例えば、吸引圧力が低い場合は、検体316Sにバブルまたはフォームのアーティファクトが存在する場合がある。顧客サポートセンタ306は、検体に適用される遠心分離プロセスをチェックするようにオペレータを促すことも、バブルまたはフォームのアーティファクトの除去を促すこともできる。
【0034】
一部の実施形態では、顧客サポートセンタ306は、処理エラーを解決するために1つまたはそれ以上の命令を用いて診断分析器302を促すことができる。例えば、顧客サポートセンタ306は、検体を再び遠心分離機にかけるかクロットを除去するなど、1つまたはそれ以上の是正プロセスの実装などによって、ブロック209で処理エラーの解決を開始するように診断分析器302に指示することができ、それらは自動的にかつオペレータからの入力なしで行うことができる。
【0035】
ここで、様々なアーティファクトを含む、検体容器318(
図3)などの検体容器(418A~418C)が示されている
図4A~
図4Cを参照する。本明細書に記載されるアーティファクトは、クロット、バブル、およびフォームを含むグループから選択される。
図4Aは、検体418Sおよびアーティファクトを含む検体容器418Aを示し、アーティファクトは容器内にあるクロット450である。検体418Sは、検体容器418Aの遠心分離などによって、血清部分または血漿部分418SPと沈殿血液部分418SBとに分離することができる。場合により、ゲルセパレータ452が、沈殿血液部分418SBから血清部分または血漿部分418SPを分離できる。クロット450は、濃厚であるか、粘性があるか、または凝集した、血液などの塊またはまとまりとすることができ、これは沈殿血液部分418SBにはない。クロット450は、血清部分または血漿部分418SP内で自由に浮遊している場合がある。クロット450は、検体318Sが吸引デバイス316(
図3)によって吸引されるのを妨げる場合があり、吸引中に1つまたはそれ以上のセンサ320(
図3)によって判定される、圧力トレース中に生じる高い圧力値によって検出することができる。例えば、クロット450は、吸引デバイス316を閉塞し、血清部分または血漿部分418SPの吸引を妨げる場合がある。圧力異常などによってクロット450が検出される場合は、本明細書に記載されるように、クロットの存在を検証するために、取り込まれた検体容器418Aの画像の解析を遠隔で顧客サポートセンタ306(
図3)で行うことができる。
【0036】
図4Bは、検体418Sおよびアーティファクトを含む検体容器418Bを示し、アーティファクトは容器内部にあるバブル454である。バブル454は、血清部分または血漿部分418SPに含まれる、略円形の気体ポケットの場合がある。一部の実施形態では、バブルを含む1つまたはそれ以上のアーティファクトが、血清部分または血漿部分418SPに含まれる場合がある。バブル454は、例えば、検体容器418Bの壁に付着するかまたは血清部分または血漿部分418SPの上面に位置することがある。バブル454は吸引中に吸引エラーを引き起こすことがある。吸引プロセス中に、バブル454によって、1つまたはそれ以上のセンサ320(
図3)が予想よりも比較的低い圧力を測定することがある。圧力測定値が低い場合に、検体容器418Bの分析は、本明細書に記載されるように、バブルを含むアーティファクトが存在するかどうかを判定するために、遠隔で顧客サポートセンタ306(
図3)で行うことができる。
【0037】
図4Cは、フォーム456が存在する検体418Sを含む検体容器418Cを示す。フォーム456は、例えば、血清部分または血漿部分418SPの上面に沿って位置する、血清部分または血漿部分418SPに含まれる略円形の気体ポケットの群またはグループでよい。フォーム456は吸引中にエラーを引き起こすことがある。吸引プロセス中に、フォーム456によって、1つまたはそれ以上のセンサ320(
図3)が予想よりも比較的低い圧力を測定することがある。圧力測定値が低い場合、検体容器418Cの分析は、本明細書に記載されるように、フォームアーティファクトが存在するかどうかを判定するために、遠隔で顧客サポートセンタ306(
図3)で行うことができる。
【0038】
血清部分または血漿部分418SPの1つまたはそれ以上のアーティファクトの存在は、溶血、黄疸、および/または脂肪血などの干渉物質のための検査など、事前分析検査の結果の解釈だけでなく、その後の分析検査の結果にも影響を及ぼす場合がある。クロットの存在は、血清部分または血漿部分418SPの吸引のために使用されるピペット321(
図3)の目詰まりを引き起こす場合があり、目詰まりは検査プロセスの混乱につながることがある。
【0039】
次に、吸引デバイス316の実施形態の部分断面図を示す
図5を参照する。吸引デバイス316は、所望の体積の検体318Sをある位置から別の位置に正確に移送するために使用することができる。例えば、吸引デバイス316は、正確な体積の検体318Sを検体容器318から吸引し、次いで、検体318Sを別の位置でまたはキュベットもしくはウェルプレートなどの別の容器に分注するために使用することができる。吸引デバイス316は、正確な体積の検体318Sを移送するために使用することができる。
【0040】
吸引デバイス316はロボット540を含むことができ、ロボット540にはピペット321が連結されている。ピペット321は、ロボットのロボット構成要素540Zに直接的に連結するか、またはそれに相互連結することができる。ピペット321は、ロボット540によって空間を移動可能でよい。吸引デバイス316は吸引コントローラ544を含むことができ、吸引コントローラ544は、座標空間を移動するようにロボット540および取り付けられたピペット321に指令することができる。例えば、ロボット540は、吸引コントローラ544によって指令される通りに、空間内の1つまたはそれ以上の画成された位置にピペット321を移動させることができる。具体的には、吸引コントローラ544は、1つまたはそれ以上の座標方向(例えば、X、Y、またはZ方向)、2つ以上の座標方向(例えば、XおよびZ、YおよびZ、またはシータおよびZ)、3つ以上の座標方向(例えば、X、Y、およびZ、またはシータ、R、およびZ)に移動するようにロボット540に指令することができ、ここで、Xは左右の運動であり、Yは
図5の紙面を出入りする運動であり、シータは軸(例えば、軸541)の周りの回転運動であり、Rは軸541に垂直な前進後退運動であり、Zは鉛直運動である。吸引コントローラ544は、ロボット540と相互作用するように構成された適切な電子コントローラでよく、適切なマイクロプロセッサと、メモリと、電源と、調整用電子機器と、1つまたはそれ以上のフィードバックセンサと、ピペット321の1つまたはそれ以上の座標運動を実行するように適用された電子回路とを含むことができる。
【0041】
一部の実施形態では、吸引コントローラ544は、先に記載したコントローラ312(
図3)に組み込むことができる。したがって、コントローラ312内に吸引コントローラ544の構成要素を含むことができる。一部の実施形態では、吸引コントローラ544は、コントローラ312とは別個であるが、通信インターフェース330(
図3)を介して電子通信する。
【0042】
ロボット構成要素540Zは、Z方向におけるピペット321の鉛直運動を実現できる。次いで、シータモータ540Tは、検体容器318の上方のある位置まで(軸541の周りで)シータ方向の運動を引き起こすことができ、検体容器318に位置する検体318Sを吸引することができる。吸引は、Z方向において、検体318Sが位置する検体容器318中のある点までピペット321を下げることを伴ってよい。次いで、検体318Sの一部をピペット321に吸引できる。
【0043】
吸引デバイス316はポンプ546を含むことができる。そのポンプ546は、コンジット550を介してピペット321に連結でき、正確な体積の検体318Sなどの液体を吸引および/または分注するように駆動できる。ポンプ546は、例えばステッパモータなどのポンプモータ548によって駆動できる。他の適切なモータを使用してよい。ポンプ546は、ピストンポンプなど、比較的正確な液体の体積を分注するために適した、任意のタイプのポンプでよい。ポンプ546とピペット321との間にコンジット550を連結できる。
【0044】
吸引コントローラ544の吸引制御モジュール554からの制御信号に応答して、ポンプ546を駆動させることができる。吸引制御モジュール554は、吸引コントローラ544の別個の部材でもよく、位置制御モジュール556と一体化されていてもよい。例えば、吸引制御モジュール554および位置制御モジュール556はそれぞれ、ポンプモータ548およびロボット540に信号を送り、そこからフィードバック信号を受けるために、フィルタ、アナログデジタル変換器、および/または増幅器など、適切な制御信号調整要素を含むことができる。吸引コントローラ544は、予めプログラムされた位置および吸引の制御命令を実行するための、マイクロプロセッサおよびメモリを含むことができる。一部の実施形態では、相互通信する別個のマイクロプロセッサおよびメモリを用いて、位置制御および吸引制御を実行することができる。
【0045】
吸引デバイス316は、ピペット321に流体連結された圧力センサ520を含むことができる。圧力センサ520は、ピペット321に関連する代表的吸引圧力を感知し、圧力信号トレースなど、吸引圧力を表す1つまたはそれ以上の電子信号(例えば、電圧信号)を生成するように構成することができる。吸引制御モジュール554は、圧力センサ520から1つまたはそれ以上の電子信号を受け、吸引プロセス中にその1つまたはそれ以上の信号を使用することができる。圧力センサ520は、ピペット321による吸引に関連する圧力値および/またはデータを測定および出力するように構成することができる。例えば、圧力センサ520は、ピペット321に連結できるか、または、図示のように、ポンプ546とピペット321とを流体連結するコンジット550に連結できる。したがって、圧力センサ520は、ピペット321の吸引圧力を測定することができる。
【0046】
吸引プロセス中は、ロボット540は、ピペット321を検体容器318の上方に配置し、ピペット321を検体容器318中に降下させることができる。検体容器318中への降下は、ピペット321が所望の深さに達するまで、位置制御モジュール556の制御下でロボット構成要素540Zによって行われる。その時に、吸引デバイス316は、所定の体積の検体318Sをピペット321の内部に引き込むように、吸引制御モジュール554からの信号によって動作してよい。
【0047】
一部の実施形態では、吸引される体積は約25μL未満とすることができるが、約25μLを超える吸引を行うこともできる。ポンプ546が動作すると、検体容器318中の検体318Sの高さを低下させようと試みられる(吸引される)。吸引制御モジュール554によって測定されるように、所望の体積の検体318Sがピペット321内に受けられたと判定されると、検体318Sの吸引がこれ以上起きないようにポンプ546を停止することができる。そのことは、例えば、ポンプ546の位置についてのフィードバックを提供するか、またはポンプモータ548がステッパモータであるときはポンプモータ548のステップを計数する、ポンプモータ548の適切なフィードバックセンサ(図示せず)によって判定できる。他の適切な位置フィードバックを提供することができる。
【0048】
吸引プロセス中は、圧力センサ520によって、代表的な生の吸引圧力を測定することができる(例えば、測定された吸引圧力または圧力トレース)。こうした生の測定圧力または圧力トレースは、吸引制御モジュール554に圧力信号を供給するようにセンサ調整デバイス(図示せず)によって調整できる。吸引プロセス中に圧力を測定するために、吸引デバイス316の他の位置に位置する他の圧力センサを提供することができる。
【0049】
検体完全性エラーおよび検体アーティファクトを検出する、吸引プロセス、吸引デバイス、および方法が、米国特許第9,915,674号に記載されている。その文献の全体をあらゆる目的のために参照によって本明細書に組み入れる。一部の実施形態では、試料の完全性は、圧力信号を解析することによって判定できる。一部の実施形態では、圧力信号は、コントローラ312(
図3)によって解析できる。例えば、圧力信号を1つまたはそれ以上の所定の圧力値と比較して、圧力信号が所定の限界値の上にあるか下にあるかまたは範囲内にあるかを判定することができる。
【0050】
一部の実施形態では、圧力信号が第1の所定の圧力限界値よりも大きく(例えば、それよりも高い絶対値を有し)、第2の所定の圧力限界値よりも低い場合は、吸引は良好であるとみなすことができ、検体完全性エラーは検出できない。圧力信号が第2の所定の圧力限界値を上回る絶対値を有する場合は、吸引は不成功または不完全であるとみなすことができ、試料完全性エラーを認識できる。こうした試料完全性エラーは、クロットが吸引されたことを示すことができる。圧力信号が第1の所定の圧力限界値を下回る絶対値を有する場合は、吸引は不成功または不完全であるとみなすことができ、試料完全性エラーを認識できる。こうした試料完全性エラーは、ポンプ546とピペット321(
図3)との間の漏れなどにより、あるいは他の吸引装置の動作不良および/または検体318S中のバブルもしくはフォーム(
図3)などにより、空気がいくらか吸引されたことを知らせることができる。次いで、コントローラ312(
図3)は、検体318Sの画像および/または圧力信号を顧客サポートセンタ306(
図3)に送るなど、本明細書に記載されるような措置を取ることができる。
【0051】
一部の実施形態では、圧力信号は、所定の圧力値と比較でき、圧力信号が所定の圧力値を超えることに応答して検体完全性エラーを判定できる。例えば、圧力信号が所定の圧力値を超える場合は、コントローラ312は、クロットを含むアーティファクトが検体318Sに存在すると判定でき、本明細書に記載される措置を取ることができる。一部の実施形態では、コントローラ312(
図3)は、次いで、検体318Sの画像および/または圧力信号を顧客サポートセンタ306に送るなど、本明細書に記載されるような措置を取ることができる。
【0052】
一部の実施形態では、圧力信号は、第1の所定の圧力上限値および第2の所定の圧力下限値と比較できる。圧力信号が第1の所定の圧力上限値を超えることまたは第2の所定の圧力下限値未満であることに応答して検体完全性エラーを判定できる。例えば、圧力信号が第1の所定の圧力上限値を超える場合は、コントローラ312はクロットアーティファクトが検体318S中に存在すると判定することができる。圧力信号が第2の所定の圧力下限値未満である場合は、コントローラ312は、少なくともいくらかの空気が吸引されたと判定することができる。空気は、検体318S中のバブルもしくはフォームを含むアーティファクトおよび/またはポンプ546とピペット321との間の漏れの結果の場合がある。次いで、コントローラ312(
図3)は、本明細書に記載されるように、さらなる分析のために顧客サポートセンタ306に検体318Sの画像および/または圧力信号を送るなどの措置を取ることができる。
【0053】
他の実施形態では、光学的機械学習を用いた視覚的な解析によってアーティファクトを検出できる。このような実施形態は、米国特許出願公開第2019/0033230号に記載されている。その文献の全体をあらゆる目的のために参照によって本明細書に組み入れる。例えば、検体318Sの画像を取り込み、コントローラ312に送ることができる。コントローラ312は、(ニューラルネットワークまたは他のモデルベースのネットワークなどの)訓練済みモデルを含むことができ、アーティファクトが存在するかどうかを判定するために人工知能を用いて検体318Sの画像を解析することができる。アーティファクトを検出したときに、コントローラ312は、本明細書に記載されるように、検体318Sの画像および/または吸引圧力データを顧客サポートセンタ306に送ることができる。
【0054】
一部の実施形態では、検体318Sの画像は、検査装置310以外の位置で取り込むことができる。例えば、撮像デバイス322は、他のデバイス内に位置してもよく、診断分析器302内の装置であってもよい。一部の実施形態では、診断分析器302は、吸引の前に検体318Sが分析される品質チェックモジュールを有してよい。このような実施形態では、検体の画像は、品質チェックモジュールに取り込むことができる。一部の実施形態では、検体318Sは検査装置310以外の位置で吸引できる。これら実施形態では、本明細書に記載されるように、吸引圧力を測定でき、その吸引圧力を用いて試料完全性エラーを識別することができる。
【0055】
顧客サポートセンタ306(
図3)は、1つまたはそれ以上の試料完全性エラーを識別し、それを是正する解決策を提示するように訓練された、従業員および/または1つもしくはそれ以上のコンピュータを有することができる。その従業員らは、試料完全性エラーを診断し是正する経験を診断分析器302のオペレータよりも多く有することができる。1つまたはそれ以上のコンピュータは、1つまたはそれ以上の試料完全性エラーを識別し、それを是正する解決策を提示するために、訓練済みモデルおよび/またはコントローラ312のソフトウェアよりも有力なソフトウェアを有することができる。したがって、顧客サポートセンタ306は、試料完全性エラーが起きたと判定でき、オペレータが単独で働くよりも迅速に試料完全性エラーを改善するようにオペレータを促すことができる。一部の実施形態では、複数の検査室からの診断分析器が、顧客サポートセンタ306と通信してよい。したがって、顧客サポートセンタ306は、分析器を含む多くの検査室に対応することができ、そうすることで、顧客サポートセンタ306の従業員が、試料完全性エラーを診断し是正するという経験をより多く得ることを支援する。
【0056】
ここで、検体(例えば、検体318S)を分析する方法600のフローチャートを示す
図6を参照する。方法600は、602で、検体の検体完全性エラーを検出することを含む。方法600は、604で、検体の画像を取り込むことを含む。方法600は、606で、検体の画像を遠隔地の(例えば、別の施設の)顧客サポートセンタ(例えば、顧客サポートセンタ306)に送ることを含む。方法600は、608で、顧客サポートセンタで検体の画像を解析することを含む。方法600は、610で、検体の画像を解析することに応答して、検体完全性エラーの原因を判定することを含む。
【0057】
方法600はさらに、場合により、612で、検体の画像を解析することに応答して是正措置を取るようにオペレータまたは診断分析器(例えば、診断分析器302)を促すことを含むことができる。
【0058】
本明細書では特定の装置および方法が例示的な実施形態によって示されているが、他の実施形態および異なる実施形態が可能であることを理解されたい。本開示は、以下の特許請求の範囲内に含まれる全ての修正形態、均等物、および代替形態を包含するものである。
【国際調査報告】