(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-10
(54)【発明の名称】光制御フィルム及びフレネルレンズを含む光学システム
(51)【国際特許分類】
G02B 5/00 20060101AFI20221227BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20221227BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20221227BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20221227BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20221227BHJP
F21V 11/02 20060101ALI20221227BHJP
G02B 3/08 20060101ALI20221227BHJP
G02B 5/04 20060101ALN20221227BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20221227BHJP
【FI】
G02B5/00 Z
G02F1/13357
G02F1/1335
F21S2/00 431
F21V5/04 650
F21V11/02
G02B3/08
G02B5/04 A
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525964
(86)(22)【出願日】2020-10-29
(85)【翻訳文提出日】2022-05-06
(86)【国際出願番号】 IB2020060183
(87)【国際公開番号】W WO2021090129
(87)【国際公開日】2021-05-14
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】リウ,タオ
(72)【発明者】
【氏名】ボイッド,ガリー ティー.
(72)【発明者】
【氏名】シュミッド,ダニエル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン,カレブ ティー.
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン,オウェン エム.
(72)【発明者】
【氏名】プァム,トリ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ハオ,エンカイ
(72)【発明者】
【氏名】ファン,シュウ-チン
【テーマコード(参考)】
2H042
2H291
2H391
3K244
【Fターム(参考)】
2H042AA03
2H042AA26
2H042BA14
2H042CA13
2H291FA13X
2H291FA13Z
2H291FA54X
2H291FA54Z
2H291FA57X
2H291FA57Z
2H291FA60X
2H291FA60Z
2H291FA71Z
2H291FA85Z
2H391AA03
2H391AA15
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2H391AB04
2H391AC25
2H391AC30
3K244AA04
3K244BA16
3K244BA18
3K244BA20
3K244BA31
3K244BA48
3K244CA03
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3K244GA01
3K244GA08
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3K244GB02
3K244GB08
3K244GB23
3K244GB27
3K244JA03
3K244KA09
3K244KA10
3K244KA16
3K244LA03
(57)【要約】
光学システムは、光源と、第1の軸の周りで湾曲した光学フィルムと、第1の軸の周りで湾曲し、かつ光源と光学フィルムとの間に配置された光制御フィルムと、を含む。光学フィルムは、微細構造化された第1の主表面と、反対側を向いた第2の主表面とを含む。微細構造化された第1の主表面は、第1の軸に沿って長手方向に延びる複数のフレネル要素を含む線形フレネルレンズを画定する。光学フィルムの第1の主表面は、光制御フィルムに面している。光制御フィルムは、第1の軸に沿って長手方向に延びる複数の交互の光学的透過領域及び光学的吸収領域を含み、第1の軸に直交する断面において、光学的透過領域の少なくとも過半数に対して、隣接する光学的吸収領域間の中心線は、光制御フィルムの主表面に対して実質的に垂直である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学システムであって、
光源と、
第1の軸の周りで湾曲し、かつ微細構造化された第1の主表面と、反対側を向いた第2の主表面とを含む光学フィルムであって、前記微細構造化された第1の主表面は、前記第1の軸に沿って長手方向に延びる複数のフレネル要素を含む線形フレネルレンズを画定する、光学フィルムと、
前記第1の軸の周りで湾曲し、かつ前記光源と前記光学フィルムとの間に配置された光制御フィルムであって、前記光学フィルムの前記第1の主表面は、前記光制御フィルムに面しており、前記光制御フィルムは、前記第1の軸に沿って長手方向に延びる複数の交互の光学的透過領域及び光学的吸収領域を含み、前記第1の軸に直交する断面において、前記光学的透過領域の少なくとも過半数に対して、隣接する光学的吸収領域間の中心線は、前記光制御フィルムの主表面に対して実質的に垂直である、光制御フィルムと、
を備える、光学システム。
【請求項2】
前記光源は、バックライトを備える、請求項1に記載の光学システム。
【請求項3】
前記バックライトは、前記第1の軸の周りで湾曲した光ガイドを備える、請求項2に記載の光学システム。
【請求項4】
前記バックライトと前記光制御フィルムとの間に配置されたディスプレイパネルを更に備える、請求項2に記載の光学システム。
【請求項5】
ディスプレイパネルを更に備え、前記光学フィルムは、前記ディスプレイパネルと前記光制御フィルムとの間に配置されている、請求項1に記載の光学システム。
【請求項6】
前記光源は、前記第1の軸の周りで湾曲した有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイを備える、請求項1に記載の光学システム。
【請求項7】
前記複数のフレネル要素は、無機光学的透明層で少なくとも部分的にコーティングされた複数のポリマーフレネル要素を備える、請求項1に記載の光学システム。
【請求項8】
各フレネル要素は、光学ファセットと、前記フレネル要素のリッジにおいて前記光学ファセットと交わる側壁とを備え、前記フレネル要素の少なくとも過半数における各フレネル要素に対して、光学的吸収層が、前記側壁上に配置された前記無機光学的透明層上に配置され、かつ前記無機光学的透明層を実質的に覆う、請求項7に記載の光学システム。
【請求項9】
空隙が、前記光制御フィルムから、前記光学フィルムの前記第1の主表面の少なくとも過半を分離する、請求項1に記載の光学システム。
【請求項10】
前記光学フィルム及び前記光制御フィルムは、少なくとも前記光学フィルムの縁部及び前記光制御フィルムの対応する縁部に沿って、互いにテープ留めされている、請求項1~9のいずれか一項に記載の光学システム。
【請求項11】
前記光学フィルムの前記第1の主表面は、前記光制御フィルムに向かって延び、かつ前記光制御フィルム上に配置された接着層によって受容されている複数の細長いスペーサ部材を備える、請求項1に記載の光学システム。
【請求項12】
前記光学フィルムの前記第1の主表面の少なくとも過半上に配置され、かつそこに接触している低屈折率層であって、1.45以下の屈折率を有する、低屈折率層と、
前記低屈折率層を前記光制御フィルムに接合する光学接着剤と、
を更に備える、請求項1に記載の光学システム。
【請求項13】
光学システムであって、
第1の軸の周りで湾曲し、かつ微細構造化された第1の主表面と、反対側を向いた第2の主表面とを含む光学フィルムであって、前記微細構造化された第1の主表面は、前記第1の軸に沿って長手方向に延びる複数のフレネル要素を含む線形フレネルレンズを画定し、各フレネル要素は、光学ファセットと、前記フレネル要素のリッジにおいて前記光学ファセットと交わる側壁とを備え、前記フレネル要素の少なくとも過半数における各フレネル要素に対して、光学的吸収層が、前記側壁上に配置され、かつ前記側壁を実質的に覆い、前記光学的吸収層は平均厚さtを有し、100nm<t<1マイクロメートルである、光学フィルムと、
前記第1の軸の周りで湾曲し、かつ前記光学フィルムに近接して配置された光制御フィルムであって、前記光学フィルムの前記第1の主表面は、前記光制御フィルムに面しており、前記光制御フィルムは、前記第1の軸に沿って長手方向に延びる複数の交互の光学的透過領域及び光学的吸収領域を含み、前記第1の軸に直交する断面において、前記光学的透過領域の少なくとも過半数に対して、隣接する光学的吸収領域間の中心線は、前記光制御フィルムの主表面に対して実質的に垂直である、光制御フィルムと、
を備える、光学システム。
【請求項14】
前記フレネル要素の少なくとも前記過半数における各フレネル要素に対して、前記フレネル要素の前記側壁は、隣接するフレネル要素のベースから前記フレネル要素の前記リッジまでの高さHを有し、H/t>15である、請求項13に記載の光学システム。
【請求項15】
前記複数のフレネル要素は、吸光係数k0<0.05を有し、前記フレネル要素の少なくとも前記過半数における各フレネル要素に対して、第1の層が、前記側壁と前記光学的吸収層との間に配置され、前記第1の層は、吸光係数k1>k0を有し、前記光学的吸収層は、吸光係数k2を有し、k2-k1>0.05である、請求項13に記載の光学システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
光制御フィルムは、交互の光学的透過領域及び光学的吸収領域を含むことができ、フィルムを透過した光の指向性を調整するために使用することができる。
【0002】
ディスプレイ表面は、湾曲させることができる。
【発明の概要】
【0003】
いくつかの態様では、本開示は、光源と、第1の軸の周りで湾曲した光学フィルムと、第1の軸の周りで湾曲し、かつ光源と光学フィルムとの間に配置された光制御フィルムと、を含む光学システムを提供する。光学フィルムは、微細構造化された第1の主表面と、反対側を向いた第2の主表面とを含む。微細構造化された第1の主表面は、第1の軸に沿って長手方向に延びる複数のフレネル要素を含む線形フレネルレンズを画定する。光学フィルムの第1の主表面は、光制御フィルムに面している。光制御フィルムは、第1の軸に沿って長手方向に延びる複数の交互の光学的透過領域及び光学的吸収領域を含み、第1の軸に直交する断面において、光学的透過領域の少なくとも過半数に対して、隣接する光学的吸収領域間の中心線は、光制御フィルムの主表面に対して実質的に垂直である。
【0004】
いくつかの態様では、本開示は、第1の軸の周りで湾曲した光学フィルムと、第1の軸の周りで湾曲し、かつ光学フィルムに近接して配置された光制御フィルムと、を含む光学システムを提供する。光学フィルムは、微細構造化された第1の主表面と、反対側を向いた第2の主表面とを含む。微細構造化された第1の主表面は、第1の軸に沿って長手方向に延びる複数のフレネル要素を含む線形フレネルレンズを画定する。各フレネル要素は、光学ファセットと、フレネル要素のリッジにおいて光学ファセットと交わる側壁と、を含む。フレネル要素の少なくとも過半数における各フレネル要素に対して、光学的吸収層は、側壁上に配置され、かつ側壁を実質的に覆うことができる。光学的吸収層は、平均厚さtを有することができ、100nm<t<1マイクロメートルである。光学フィルムの第1の主表面は、光制御フィルムに面している。光制御フィルムは、第1の軸に沿って長手方向に延びる複数の交互の光学的透過領域及び光学的吸収領域を含み、第1の軸に直交する断面において、光学的透過領域の少なくとも過半数に対して、隣接する光学的吸収領域間の中心線は、光制御フィルムの主表面に対して実質的に垂直である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図4】光学フィルム及び光制御フィルムを含む光学積層体の概略断面図である。
【
図5】光学フィルム及び光制御フィルムを含む光学積層体の概略断面図である。
【
図6】光学フィルム及び光制御フィルムを含む光学積層体の概略断面図である。
【
図7】いくつかの実施形態による、光学フィルム及び光制御フィルムの形状を概略的に示している光学システムの概略断面図である。
【
図8】いくつかの実施形態による、光学フィルム及び光制御フィルムの形状を概略的に示している光学システムの概略断面図である。
【
図11】複数のフレネル要素を含む光学フィルムの概略断面図である。
【
図12】複数のフレネル要素を含む光学フィルムの一部分の概略断面図である。
【
図13】複数のフレネル要素を含む光学フィルムの一部分の概略断面図である。
【
図14】複数のフレネル要素を含む光学フィルムの一部分の概略断面図である。
【
図15】複数のフレネル要素を含む光学フィルムの一部分の概略断面図である。
【
図16】複数のフレネル要素を含む光学フィルムの一部分の概略断面図である。
【
図17】複数のフレネル要素を含む光学フィルムの一部分の概略断面図である。
【
図22】様々な視野角に対する相対輝度対位置のプロットである。
【
図23】様々な視野角に対する相対輝度対位置のプロットである。
【
図24】様々な視野角に対する相対輝度対位置のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の説明では、本明細書の一部を形成し様々な実施形態が例示として示されている添付図面が参照される。図面は、必ずしも実際の縮尺ではない。他の実施形態が想到され、本明細書の範囲又は趣旨から逸脱することなく実施されてもよい点を理解されたい。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味では解釈されない。
【0007】
コリメートフィルム又はプライバシーフィルタとも呼ばれ得る光制御フィルムを使用して、フィルムを透過した光の指向性を調整することができる。光制御フィルムは、例えば、ディスプレイの光出力をフィルタリングするために、湾曲したディスプレイ上に配置することができる。しかしながら、典型的には、湾曲したディスプレイ表面上に配置された従来の光制御フィルムを使用することと比較して、(例えば、光が、主にディスプレイ表面に対する法線に沿うのではなく、主に観察者に向かって方向付けられるように)透過した光の方向を変更することが望ましい。これは、2019年6月24日に出願された「Curved Display with Light Control Film」と題する、米国仮特許出願第62/865510号に記載されているように、光制御フィルムのルーバ(例えば、光学的吸収領域)の傾斜を変更することによって行うことができる。代替的に、線形フレネルレンズを従来の光制御フィルム上に配置して、透過した光の方向を変更することができる。しかしながら、より高い視野角において望ましくない明るいバンドをもたらし得ることが見いだされた。本明細書のいくつかの実施形態によれば、フレネルレンズは、フレネル要素が光制御フィルムに面するように光学システム内に位置付けることができ、それによって、より高い視野角における明るいバンドを低減又は実質的に排除することができることが見いだされた。
【0008】
更に、いくつかの実施形態によれば、光学的吸収層をフレネル要素の側壁上に配置して、側壁による光の望ましくない方向転換を低減することができることが見いだされた。薄い光学的吸収層を利用することにより、光学的吸収層の望ましくない影響(例えば、透過されることが望ましい、層の端部に入射する光を遮断すること)を減少させることが見いだされた。光学的吸収層が薄い場合、光を効率的に吸収するために、比較的高い吸光係数を有することが好ましい。場合によっては、高い吸光係数により、側壁との反射性金属様界面を生成することができる。高い吸光係数の吸収層と側壁との間にクラッド層(例えば、吸光係数が光学的吸収層よりも小さく、かつ側壁材料よりも大きい層)を追加することにより、反射率を低減し、それによって、側壁による望ましくない光の方向転換を低減できることが見いだされた。
【0009】
図1~
図3はそれぞれ、光学システム100、200、及び300の概略断面図である。光学システム100、200、300は、第1の軸(z軸)の周りで湾曲した光学フィルム110と、第1の軸の周りで湾曲した光制御フィルム120と、を含む。光学フィルム110は、微細構造化された第1の主表面112と、反対側を向いた第2の主表面114とを含む。微細構造化された第1の主表面112は、第1の軸に沿って長手方向に延びる複数のフレネル要素115を含む線形フレネルレンズ111を画定する。光制御フィルム120は、光学フィルム110に近接して配置することができ、光学フィルム110の第1の主表面112は、光制御フィルム120に面している。いくつかの実施形態では、光学システムは、光源130を含む。光制御フィルム120は、光源130と光学フィルム110との間に配置することができ、光学フィルム110の第1の主表面112は、光制御フィルム120に面している。光制御フィルム120は、第1の軸に沿って長手方向に延びる複数の交互の光学的透過領域122及び光学的吸収領域124を含み、第1の軸に直交する断面(x-y断面)において、光学的透過領域122の少なくとも過半数に対して、隣接する光学的吸収領域間の中心線126は、光制御フィルム120の主表面128及び/又は129に対して実質的に垂直(例えば、垂直の20度以内、又は10度以内、又は5度以内)である。フレネルレンズ111は、光源の発光面に対して垂直な光源130から放射された光866が、フレネルレンズによって実質的に同じ方向転換された方向(y方向)に方向転換されるように構成することができる。
【0010】
微細構造化表面は、一般に、微細構造(例えば、フレネル要素115は微細構造であり得る)を含み、微細構造は、1mm未満及び100nm超の幅及び高さなどの、直交する少なくとも2つの寸法を有する構造である。微細構造は、ポリマー層内に形成され得る。ポリマー層は、有機ポリマーの連続相を含む層である。ポリマー層はまた、例えば、有機ポリマーの連続相に分散された無機ナノ粒子を含み得る。ポリマー微細構造化層は、当該技術分野で既知であるように、鋳造及び硬化プロセスを使用して基材上に形成され得る(例えば、米国特許出願公開第2006/0114569号(Capaldoら)及び米国特許第5,175,030号(Luら)、並びに米国特許第5,183,597(Lu)を参照)。ポリマー構造化層を作製するための他の方法には、押出、機械加工、及びエンボス加工が含まれる。任意の好適な材料を使用することができる。例えば、アクリレート(例えば、ポリメチルメタクリレート)を、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)基材上に鋳造及び硬化することができる。
【0011】
光制御フィルム120は、例えば、米国特許第8,213,082号(Gaidesら)、米国特許第9,335,449号(Gaidesら)、及び米国特許第9,063,284号(Jonesら)に記載されているもの、並びに例えば、国際公開第2019/118685号(Schmidtら)に記載されているものを含む任意の適切な光制御フィルムであり得る。
【0012】
(例えば、光学システム100について示されるような)いくつかの実施形態では、光源130は、第1の軸の周りで湾曲した有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ132である、又は有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ132を含む。代替的に、ディスプレイ132は、マイクロ発光ダイオード(microLED)ディスプレイなどの別のタイプの発光ディスプレイであり得る。(例えば、光学システム200、300に示されるような)いくつかの実施形態では、光源130は、バックライト134を含む。いくつかの実施形態では、バックライト134は、第1の軸の周りで湾曲した光ガイド136を含む。いくつかの実施形態では、光源130は、1つ以上の発光素子135(例えば、発光ダイオード(単数又は複数))を更に含む。バックライト134は、例えば、直下型バックライト又はエッジライト型バックライトであり得る。(例えば、光学システム200に例示されるような)いくつかの実施形態では、光学システムは、バックライト134と光制御フィルム120との間に配置されたディスプレイパネル139を含むことができる。(例えば、光学システム300に例示されるような)いくつかの実施形態では、光学システムは、ディスプレイパネル139を含むことができ、光学フィルム110は、ディスプレイパネル139と光制御フィルム120との間に配置されている。
【0013】
いくつかの実施形態では、空隙178は、光制御フィルム120から、光学フィルム110の第1の主表面112の少なくとも過半を分離する。空隙は、例えば、光学フィルム110及び光制御フィルム120を一緒には接合しないことによって、1つ以上の縁部でのみフィルムを一緒に接合することによって、又は細長いスペーサ部材を使用してフィルムを一緒に取り付けることによって、提供され得る。
【0014】
図4は、光学システム、又は光学システムの一部分の概略断面図であり、光学フィルム110及び光制御フィルム120を含む光学積層体400を含んでいる。いくつかの実施形態では、光学フィルム110及び光制御フィルム120は、少なくとも光制御フィルムの、それぞれ、光学フィルム110の縁部171又は172、並びに光制御フィルムのそれぞれ対応する縁部181又は182に沿って、(例えば、テープ176又は177を用いて)互いにテープ留めされている。いくつかの実施形態では、光学フィルム110及び光制御フィルム120は、光学フィルム110の少なくとも2つの縁部171及び172、並びに光制御フィルム120のそれぞれ対応する縁部181及び182に沿って、互いにテープ留めされている。縁部に沿った一緒のテープ留めは、縁部の長さの少なくとも一部分(例えば、少なくとも過半)に沿って、縁部に近接してテープが適用されることを含むと理解すべきである。
【0015】
図5は、光学システム、又は光学システムの一部分の概略断面図であり、光学フィルム210及び光制御フィルム120を含む光学積層体500を含んでいる。光学フィルム210は、光学フィルム210の第1の主表面212が複数の細長いスペーサ部材142を含むことを除いて、光学フィルム110に対応し得る。いくつかの実施形態では、光学フィルム210の第1の主表面212は、光制御フィルム120に向かって延び、かつ光制御フィルム120上に配置された接着層144によって受容されている複数の細長いスペーサ部材142を含む。細長いスペーサ部材142は、フレネル要素115と共に形成されてもよく、又はフレネル要素115が形成された後に堆積されてもよい。細長いスペーサ部材142はまた、光学的分離構造と呼ばれ得、例えば、国際公開第2019/135190号(Phamら)に記載された光学的分離構造の任意の幾何学形状を有し得る。
【0016】
図6は、光学システム、又は光学システムの一部分の概略断面図であり、光学フィルム110及び光制御フィルム120を含む光学積層体600を含んでいる。光学システム又は光学積層体600は、光学フィルム110の第1の主表面112の少なくとも過半上に配置され、かつそこに接触している低屈折率層148と、低屈折率層148を光制御フィルム120に接合する光学接着剤144と、を更に含む。いくつかの実施形態では、低屈折率層148は、1.45以下、又は1.4以下、又は1.35以下、又は1.25以下、又は1.2以下の屈折率を有する。例えば、低屈折率層148の屈折率は、1.05~1.45の範囲内、又は1.1~1.35の範囲内、又は1.1~1.25の範囲内、又は1.05~1.2の範囲内であり得る。低屈折率層148は、例えば、米国特許第8,808,811号(Kolbら)に記載されているようなナノボイドポリマー層であり得る。いくつかの実施形態では、低屈折率層148は接着剤であり、接着層144は省略される。
【0017】
光学フィルム110、又はフレネル要素115を含む光学フィルム110の層、又はフレネル要素は、例えば、1.5超、又は1.6超、又は1.7超の屈折率を有し得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、光学フィルム110及び光制御フィルム120は、実質的に同心である。例えば、光学フィルム110及び光制御フィルム120は、実質的に同様の形状を有することができ、かつ互いに実質的に同一の広がりを有し得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、光学システム(例えば、100、200、又は300)は、画像888を観察者870に表示するように適合されており(例えば、
図1を参照)、第1の軸に直交する断面において、光学フィルム110及び光制御フィルム120は各々、観察者870に向かって凸状である。光学フィルム110及び光制御フィルム120は、代替的に、
図7~
図8に概略的に示されるような異なる形状を有し得る。
図7は、(例えば、光学フィルム110に対応する)光学フィルム810及び(例えば、光制御フィルム120に対応する)光制御フィルム820を含み、かつ観察者870に画像888を表示するように適合されている、光学システム700の概略断面図であり、第1の軸(z軸)に直交する断面において、光学フィルム810及び光制御フィルム820は各々、観察者870に向かって凹状である。
図8は、(例えば、光学フィルム110に対応する)光学フィルム910及び(例えば、光制御フィルム120に対応する)光制御フィルム920を含み、かつ観察者870に画像888を表示するように適合されている、光学システム800の概略断面図であり、第1の軸に直交する断面において、光学フィルム910及び光制御フィルム920の各々の第1の部分(それぞれ、910a及び920a)は、観察者870に向かって凹状であり、光学フィルム910及び光制御フィルム920の各々の第2の部分(それぞれ、910b及び920b)は、観察者870に向かって凸状である。
【0020】
図1~
図10に概略的に示される実施形態では、光学フィルムのフレネル要素、並びに/又は光制御フィルムの光学的透過領域及び光学的吸収領域は、第1の軸(z軸)に沿って延びることができる。いくつかの実施形態では、光学フィルム110の第1の主表面112は、第1の軸(z軸)に沿って長手方向に延びるフレネル要素115を含む線形フレネルレンズ111を画定する。
図9は、いくつかの実施形態による、光学フィルム110が平らに置かれたときの、線形フレネルレンズ111の概略上面図(第1の主表面112に面している図)である。
図10は、いくつかの実施形態による、光制御フィルム120が平らに置かれたときの、光制御フィルム120の概略上面図である。いくつかの実施形態では、光制御フィルム120は、第1の軸(z軸)に沿って長手方向に延びる複数の交互の光学的透過領域122及び光学的吸収領域124を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、光学フィルム110の各フレネル要素115は、光学ファセット117と、フレネル要素のリッジ119において光学ファセット117と交わる側壁118とを含む。いくつかの実施形態では、フレネル要素115の少なくとも過半数における各フレネル要素は、無機光学的透明層、光学的吸収層、光学的吸収層と側壁との間に配置された第1の層であって、光学的吸収層よりも光学的吸収性が低くなり得る、第1の層、及び側壁の反対側の光学的吸収層上に配置された第2の層であって、光学的吸収層よりも光学吸収性が低くなり得、かつ保護層又は反射防止層のうちの1つ以上であり得る、第2の層、の少なくとも部分的コーティング(例えば、コンフォーマルコーティング)のうちの1つ以上を含む。
【0022】
図11は、光学フィルム110に対応し得る、光学フィルム310の概略断面図である。いくつかの実施形態では、各フレネル要素115は、光学ファセット117と、フレネル要素のリッジ119において光学ファセット117と交わる側壁118とを含む。いくつかの実施形態では、フレネル要素の少なくとも過半数における各フレネル要素に対して、光学的吸収層152は、側壁118上に配置され、かつ側壁118を実質的に覆う。いくつかの実施形態では、複数のフレネル要素は、無機光学的透明層157で少なくとも部分的にコーティングされた(例えば、コンフォーマルにコーティングされた)複数のポリマーフレネル要素334を含む(例えば、
図13を参照)。いくつかの実施形態では、フレネル要素の少なくとも過半数における各フレネル要素に対して、光学的吸収層152は、側壁118上に配置された無機光学的透明層157上に配置され、かつ無機光学的透明層157を実質的に覆う。
【0023】
本明細書の他の箇所で更に説明されるように、無機光学的透明層は、光学ファセットから光学的吸収層及び/又は他の層を除去するためのプロセスにおけるエッチングストップとして使用され得る。無機光学的透明層に好適な材料には、例えば、a-Si、SiOx、SiAlOx、SiCyOx、TiO2、及びAlOxが含まれる。層は、例えば、垂直入射可視光の60%超が層を通って透過される、十分な薄さであり得る。層が、空気中においてその層に垂直入射する可視光(400nm~700nmの波長)の、少なくとも60%である平均光透過率(非偏光の波長に対して重み付けされていない平均)を有する場合、その層は光学的に透明であると見なすことができる。いくつかの実施形態では、無機光学的透明層の平均光透過率は、60%超、又は70%超、又は80%超、又は85%超、又は90%超である。
【0024】
いくつかの実施形態では光学的吸収層152は、平均厚さtを有し、100nm<t<2マイクロメートル、又は100nm<t<1マイクロメートルである。いくつかの実施形態では、平均厚さtは、500nm未満である。いくつかの実施形態では、フレネル要素115の少なくとも過半数における各フレネル要素115aに対して、フレネル要素115aの側壁118は、隣接するフレネル要素115bのベース185からフレネル要素115aのリッジ119までの高さHを有し、H/t>10、又はH/t>15、又はH/t>18、又はH/t>20である。
【0025】
(例えば、光学フィルム110、210、又は310の)いくつかの実施形態では、フレネル要素の少なくとも過半数における各フレネル要素に対して、フレネル要素の側壁118は、第2の主表面114に対して実質的に垂直(例えば、垂直の30度以内、又は20度以内、又は10度以内、又は5度以内)である。いくつかの実施形態では、光学フィルム110、210、又は310は、基材164を含み、複数のフレネル要素115は、基材164の主表面162上に形成されている。いくつかの実施形態では、フレネル要素の少なくとも過半数における各フレネル要素に対して、フレネル要素の側壁118は、基材164の主表面162に対して実質的に垂直である。いくつかの実施形態では、側壁118は、主表面162又は主表面114又はフレネル要素のベースと、85~90度の範囲内、又は本明細書の他の場所で説明される他の範囲内の角度をなす。
【0026】
図12は、(例えば、光学フィルム110、210、又は310に対応する)光学フィルムの一部分の概略断面図である。いくつかの実施形態では、フレネル要素の少なくとも過半数における各フレネル要素115に対して、第1の層154は、側壁118と光学的吸収層152との間に配置される。クラッド層と呼ばれ得る第1の層154は、側壁と光学的吸収層152との間の界面における光の反射を低減するために含まれ得る。いくつかの実施形態では、第1の層154は、吸光係数k1を有し、光学的吸収層152は、吸光係数k2を有する。いくつかの実施形態では、k2>k1である。いくつかの実施形態では、複数のフレネル要素は、吸光係数k0<0.05を有する。いくつかの実施形態では、k2>k1>k0である。吸光係数k0は、フレネル要素を画定する第1の主表面112における材料の吸光係数であると理解され得る。いくつかの実施形態では、k2-k1は、0.05超、0.1超、0.15超、又は0.2超である。いくつかの実施形態では、k2-k1は、1未満、又は0.8未満、又は0.5未満である。いくつかの実施形態では、k1-k0は、0.001超、0.005超、又は0.01超である。いくつかの実施形態では、k1-k0は、0.15未満、又は0.1未満、又は0.05未満である。いくつかの実施形態では、k0は、0.01未満、又は0.005未満、又は0.002未満である。いくつかの実施形態では、k1は、0.005~0.15、又は0.01~0.1の範囲内である。いくつかの実施形態では、k2は、0.1~0.5、又は0.2~0.4の範囲内である。いくつかの実施形態では、k1<0.5×k2である。いくつかの実施形態では、0.005<k1<0.5×k2である。吸光係数に関して第1の層154及び光学的吸収層152について説明する代わりに、又はそれに加えて、それらの層は、本明細書の他の箇所で更に説明されるように、光学的吸収材料の濃度に関して説明され得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、光学的吸収層152は、屈折率n1を有し、第1の層154は、屈折率n2を有し、|n1-n2|は、0.5未満又は0.3未満又は0.2未満又は0.1未満である。
【0028】
吸光係数は、複屈折率の虚部として表すことができ、屈折率は、複屈折率の実部として表すことができる。吸光係数及び屈折率は、別途示されている場合を除いて、550nmの波長で評価されると理解され得る。
【0029】
例えば、薄膜コーティングの吸光係数kは、例えばエリプソメトリ又は分光法のいずれかによって判定することができ、例えば、kはαλ/(4π)として表すことができ、αは吸収係数であり、λは波長である。透明基材上の薄膜コーティングの場合、分光法を使用して、吸収率Aを100%-T-Rとして測定することができ、Tは透過率であり、Rは反射率である。測定されたAを基材のAについて適宜補正して、薄膜自体のAを得ることができる。次いで、結果であるAを使用して、式α=-ln[(100%-A)/100%]/hに従ってαを判定することができ、hは、薄膜コーティングの厚さであり、αに関するこの式は、Rが比較的小さくかつAが比較的大きい場合に使用される近似式である。厚さhは、例えば、スタイラスプロフィロメトリ又は断面走査型電子顕微鏡法によって測定することができる。
【0030】
光学的吸収層152及び/又は第1の層154の光吸収材料は、染料、顔料、又は粒子(例えば、ナノ粒子)のうちの1つ以上であり得る。好適な光吸収材料には、カーボンブラックナノ顔料、及びCAB-O-JETの商品名でCabot Corporation(Boston,MA)から入手可能なものなどの他のナノ顔料が含まれる。他の好適な光吸収材料には、国際公開第2019/118685号(Schmidtら)に記載されているものが含まれる。
【0031】
いくつかの実施形態では、第1の層154は、濃度C1の光吸収材料184を有し、光学的吸収層152は、濃度C2の光吸収材料182を有し、C2>C1である。いくつかの実施形態では、C1<0.7×C2又はC1<0.5×C2である。
【0032】
光学的吸収層内の光吸収材料(例えば、光吸収ナノ粒子)の濃度は、光学的吸収層の少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、又は50重量%であり得る。いくつかの実施形態では、光学的吸収層内の光吸収材料の濃度は、光学的吸収層の少なくとも55、60、65、70、75、80、85、90、又は95重量%である。いくつかの実施形態では、光学的吸収層内の光吸収材料の濃度は、100重量%である。いくつかの実施形態では、光学的吸収層内の光吸収材料の濃度は、光学的吸収層の30~100重量%又は75~90重量%である。
【0033】
第1の層(クラッド層)内の光吸収材料の濃度は、好ましくは、光学的吸収層内の光吸収材料の濃度よりも低い。第1の層内の光吸収材料の濃度は、典型的には、第1の層の少なくとも0.5、1、5、10、15、20、25、30、35、40、又は45重量%である。いくつかの実施形態では、第1の層内の光吸収材料の濃度は、第1の層の20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、又は75重量%以下である。いくつかの実施形態では、第1の層内の光吸収材料の濃度は、第1の層の0.5~50重量%、又は25~45重量%である。
【0034】
いくつかの実施形態では、光制御フィルム120は、概して、例えば、国際公開第2019/118685号(Schmidtら)に記載されているとおりである。いくつかのそのような実施形態では、ルーバの光学的吸収層は、光学的吸収コア層と、光学的吸収コア層の各側面上のクラッド層とを含む。光学的吸収コア層は、光学的吸収層152について記載されているとおりであり得、クラッド層は、第1の層154について記載されているとおりであり得る。クラッド層を使用することにより、ルーバの反射率を低減し、それによって高角度の光漏れ及びゴーストを低減することができる。コア層及びクラッド層を含む光制御フィルムは、国際公開第2019/056489号(Schmidtら)に記載されている。
【0035】
図13~
図17は、(例えば、光学フィルム110、210、又は310に対応する)光学フィルムの一部分の概略断面図である。いくつかの実施形態では、
図13に概略的に示されるように、例えば、複数のフレネル要素115は、無機光学的透明層157でコンフォーマルにコーティングされた微細構造化ポリマー層333を含む。無機光学的透明層157は、反対側を向いた第1の主表面167及び第2の主表面166を含むことができ、第2の主表面166は、ポリマー層333に面している。ポリマー層333は、基材層164に面している主表面113を有する。いくつかの実施形態では、
図14に概略的に示されるように、例えば、フレネル要素115の少なくとも過半数における各フレネル要素に対して、光学的吸収層152は、側壁118上に配置された無機光学的透明層157上に配置され、かつ無機光学的透明層157を実質的に覆う。いくつかの実施形態では、
図15に概略的に示されるように、例えば、フレネル要素115の少なくとも過半数における各フレネル要素に対して、第1の層154は、側壁118と光学的吸収層152との間に配置される。いくつかの実施形態では、
図14に概略的に示されるように、例えば、第1の層154は省略される。いくつかの実施形態では、
図16に概略的に示されるように、例えば、フレネル要素115の少なくとも過半数における各フレネル要素に対して、第2の層156は、側壁118の反対側又は第1の層154の反対側の光学的吸収層152上に配置される。第2の層156は、例えば、保護層及び/又は反射防止層であり得る。第2の層は、第1の層154について全般的に説明されたものと同様であり得る(例えば、第1の層154について記載された範囲内の光学的吸収材料の平均厚さ及び/又は吸光係数及び/又は濃度を有する)。無機光学的透明層157は、任意選択的に省略され得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、
図17に概略的に示されるように、例えば、微細構造化表面168は、無機光学的透明層157で部分的にのみ(例えば、側壁上にのみ)コーティングされる。例えば、無機光学的透明層は、微細構造化表面168上にコンフォーマルにコーティングされ、次いで、光学ファセットから除去され(又は少なくとも部分的に除去され)得る。
図13~
図16に示される実施形態のいずれかでは、無機光学的透明層157は、任意選択的に、例えば、光学ファセットから除去又は部分的に除去され得る(例えば、薄い層が残り得る)。いくつかの実施形態では、光学フィルムの第1の主表面112は、無機光学的透明層157の主表面(例えば、複数の側壁118の表面167)を含むことができる。いくつかの実施形態では、少なくとも部分的にコーティングされた微細構造化表面のフレネル要素115は、ポリマー層333の微細構造化表面168の一部分である光学ファセットを含むことができ、かつ無機光学的透明層157の主表面の一部分である側壁を含むことができる。代替的に、フレネル要素115は、光学ファセットと、ポリマー層333の微細構造化表面168の一部分である側壁とを含むと見なすことができ、無機光学的透明層157は、ポリマー微細構造の側壁上のコーティングであると見なすことができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、光学フィルムは、無機光学的透明層157で少なくとも部分的にコーティングされた微細構造化表面168を含むポリマー層333を含む。(光学ファセット117、及び側壁上の無機光学的透明層157の表面167を含み得る)少なくとも部分的にコーティングされた微細構造化表面177は、複数のフレネル要素115を含む。各フレネル要素115は、光学ファセット117と、フレネル要素115のリッジ119において光学ファセット117と交わる側壁118とを含む。光学ファセット117と側壁118とは、それらの間に斜角を画定することができる。フレネル要素の少なくとも過半数における各フレネル要素115に対して、光学的吸収層152は、側壁118上に配置され、かつ側壁118を実質的に覆う。
【0038】
いくつかの実施形態では、光学フィルムは、複数のフレネル要素を含む主表面168を含むポリマー層333を含む。各フレネル要素は、光学ファセット(例えば、117)と、フレネル要素のリッジにおいて光学ファセットと交わる側壁(例えば、無機光学的透明層157の側壁部分に面している主表面168の一部分)とを含む。光学ファセットと側壁とは、それらの間に斜角を画定することができる。フレネル要素の少なくとも過半数における各フレネル要素に対して、無機光学的透明層157は、側壁上に配置され、かつ側壁を実質的に覆い、光学的吸収層152は、側壁の反対側の無機光学的透明層157上に配置され、光学的吸収層152は、無機光学的透明層157を実質的に覆う。
【0039】
いくつかの実施形態では、無機光学的透明層157は、以下のように、光学的吸収層などの他の層(単数又は複数)と共に側壁上に提供され得る。無機光学的透明層は、微細構造化ポリマー層上にコンフォーマルにコーティングされ得、光学的吸収層(及び任意選択的に他の層)は、無機光学的透明層上にコンフォーマルにコーティングされ得、光学的吸収層(及び任意選択的に他の層)は、第1のエッチングステップにおいて光学ファセットから除去され得、次いで、無機光学的透明層は、第2のエッチングステップにおいて光学ファセットから除去又は部分的に除去され得る。第1及び第2のエッチングステップは、例えば、対応するエッチングステップにおいて所望の層(単数又は複数)を除去するために、異なるエッチャント(例えば、第1のエッチングステップ用の酸素のみのプラズマ、及び第2のエッチングステップ用のフッ素化ガス又は他のハロゲン化ガス)を利用することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、フレネル要素115の少なくとも過半数における各フレネル要素に対して、第1の層154は、平均厚さt1を有し、光学的吸収層152は、平均厚さt2を有する。いくつかの実施形態では、t1及びt2は各々、100nm超かつ2マイクロメートル未満又は1マイクロメートル未満又は500nm未満である。いくつかの実施形態では、t1及びt2は各々、500nm未満である。いくつかの実施形態では、フレネル要素115の少なくとも過半数における各フレネル要素に対して、フレネル要素の側壁118は、隣接するフレネル要素のベースからフレネル要素のリッジ119までの高さHを有する。いくつかの実施形態では、H/t1>10、又はH/t1>12、又はH/t1>15、又はH/t1>18、又はH/t1>20である。いくつかの実施形態では、H/t1<100である。いくつかの実施形態では、H/t2>10、又はH/t2>12、又はH/t2>15、又はH/t2>18、又はH/t2>20である。いくつかの実施形態では、H/t2<100である。例えば、いくつかの実施形態では、H/t1>15かつH/t2>15である。
【0041】
いくつかの実施形態では、フレネル要素の少なくとも過半数における各フレネル要素に対して、光学ファセット117は、(例えば、典型的な従来のフレネルレンズのように)平面状である。
図18は、平面状の光学ファセット217を有するフレネル要素の概略図であり、フレネル要素の側壁218は、フレネル要素のベース285と角度φをなす。他の実施形態では、フレネル要素115の少なくとも過半数における各フレネル要素に対して、光学ファセット117は、湾曲している。例えば、ファセットは、例えば、米国法定発明登録番号H423(Mohonら)に記載されているように、様々な光学特性を調整するように湾曲していてもよい。光学ファセット117は、例えば、(側壁218に向かって、及び/又はベース285に向かって、及び/又は主表面114に向かって凹状に(例えば、
図1を参照))湾曲した光学ファセット317について
図19に概略的に示されるように、あるいは(側壁218に向かって、及び/又はベース285に向かって、及び/又は主表面114に向かって凸状に)湾曲した光学ファセット417について
図20に概略的に示されるように、湾曲していてもよい。
図18~
図20での角度φは、例えば、80度~90度又は85度~90度の範囲内であり得る。いくつかの実施形態では、φは、例えば、製造上の制約により、90度未満(例えば、85~89.5度)である。
【0042】
図21は、光学ファセットの表面であり得る表面517の平均偏差表面粗さRaの概略図である。平均偏差表面粗さRaは、平均表面高さからの表面高さの偏差の絶対値の平均(例えば、ファセットを通る断面(例えば、ファセットの長さに直交する断面)における長さにわたる平均))である。湾曲したファセットの場合、表面高さの偏差は、平均又は名目曲面に対して定義され得る。いくつかの実施形態では、フレネル要素115の少なくとも過半数における各フレネル要素に対して、光学ファセット117は、平均偏差表面粗さRa<250nmを有する。いくつかの実施形態では、Raは、200nm未満、150nm未満、100nm未満、70nm未満、50nm未満、30nm未満、又は20nm未満である。いくつかの実施形態では、Raは、50nm超、70nm超、90nm超である。例えば、いくつかの実施形態では、50nm<Ra<200nm、又は70nm<Ra<200nmである。いくつかの用途では、光学ファセット117が光学的に平滑(例えば、Ra<50nm)であることが望ましい。他の用途では、ある程度の表面粗さ(例えば、50nm<Ra<250nm又は90nm<Ra<200nm)が望ましい場合がある。例えば、反射防止用に、(例えば、弱い)光学拡散を提供するために、及び/又は結合を改善するために、ある程度の表面粗さを有することが有用であり得る。国際公開第2019/118685号(Schmidtら)に記載されたプロセスを使用して光学的吸収層を堆積し、かつ傾斜したファセットから除去することで、たとえ水平ファセットに適用された同じプロセスが低い表面粗さをもたらす場合でも、多くの用途に対して所望なものよりも高い表面粗さ(例えば、300nm超又は400nm超のRa)が得られる。しかしながら、例えば、反応性イオンエッチングプロセスにおいて光学ファセットがプラズマに曝露される時間を注意深く制御することによって、表面粗さ(例えば、Ra)を(例えば、250nm未満又は200nm未満まで)低減できることが見いだされた。更に、光学的吸収層(及び/又は他の層)を適用する前にエッチングストップとして無機光学的透明層を適用することにより、たとえエッチング時間が長い場合でも、表面粗さを更に低減し、光学的に平滑な光学ファセット(例えば、Ra<50nm)を得ることができることが見いだされた。二乗平均平方根表面粗さRqもまた判定することができ、二乗平均平方根表面粗さRqは、Raについて記載された範囲内のいずれかにあり得る。
【0043】
表面粗さは、例えば、原子間力顕微鏡(AFM)、スタイラスプロフィロメトリ、又は光学プロフィロメトリによって測定されてプロファイリングされた表面から判定することができる。AFMは、典型的には、小さい表面粗さ(例えば、50nm未満)に好ましい。
【0044】
無機光学的透明層、第1の層(例えば、クラッド層)、光学的吸収層、及び/又は第2の層(例えば、保護層)は、任意の好適な堆積技術を使用して(例えば、構造化表面全体にわたるコンフォーマルなコーティングとして)堆積させることができる。例えば、レイヤバイレイヤ(layer-by-layer、LbL)コーティング、化学蒸着(CVD)、スパッタリング、反応性スパッタリング、及び原子層堆積(atomic layer deposition、ALD)を含む様々なコーティング方法を使用することができる。堆積された層のうちの少なくともいくつか(例えば、層の全て、又は任意選択の無機光学的透明層を除く層の全て)は、その後、光学ファセットから実質的に除去され得る(例えば、少なくとも、光学ファセット上に残っている堆積された層のうちの少なくともいくつかのうちの任意の材料が光学性能に有意に影響しない範囲で除去され得る)。
【0045】
いくつかの実施形態では、第1の層及び光学的吸収層のうちの少なくとも1つは、「レイヤバイレイヤ自己集合プロセス」と一般に呼ばれるものによって堆積された少なくとも2つの二分子層を含む。このプロセスは、逆極性に帯電した高分子電解質のフィルム又はコーティングを静電的に集合させるために広く使用されているが、水素結合ドナー/アクセプタ、金属イオン/リガンド、及び共有結合部分などの他の官能基を、フィルムを集合させるための駆動力とすることができる。好適なプロセスのいくつかの例は、米国特許第8,234,998号(Krogmanら)及び米国特許第8,313,798号(Nogueiraら)、米国特許出願公開第2011/0064936号(Hammond-Cunninghamら)、及び国際公開第2019/118685号(Schmidtら)に記載されたものが含まれる。レイヤバイレイヤディップコーティングは、例えば、StratoSequence VI(nanoStrata Inc.,Tallahassee,FL)ディップコーティングロボットを使用して実施することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、レイヤバイレイヤ自己集合によって堆積された複数の二分子層は、有機ポリマーポリイオン(例えば陽イオン)と、光吸収材料(例えば顔料)を含む対イオン(例えば陰イオン)とを含む、高分子電解質積層体である。陽イオン層、陰イオン層又はそれらの組合せの少なくとも一部は、高分子電解質にイオン結合された光吸収材料(例えば顔料)を含み得る。光吸収化合物は、高分子電解質層の少なくとも一部分内に分散され得る。シリカ又はケイ酸塩、並びに様々なホスホノカルボン酸及びその塩(その一部は、米国特許第10,365,415号(Schmidt)に記載されている)などの無機化合物を含む、様々な高分子電解質を利用することができる。
【0047】
二分子層の厚さ及び二分子層の数は、所望の光学特性(例えば、光学的吸収層の場合には光学的吸収率、又は第1の層の場合には側壁と光学的吸収層との間の低減された反射率)を達成するように選択することができる。いくつかの実施形態では、二分子層の厚さ、及び/又は二分子層の数は、自己集合層の最小の総厚、及び/又は最小数のレイヤバイレイヤ堆積ステップを使用して所望の光学特性を達成するように選択される。個々の二分子層の厚さは、典型的には約5nm~350nmの範囲である。二分子層の数は、典型的には少なくとも5、6、7、8、9、又は10である。いくつかの実施形態では、スタック当たりの二分子層の数は、150以下又は100以下である。最終物品中の個々の二分子層は、走査型電子顕微鏡法(scanning electron microscopy、SEM)又は透過型電子顕微鏡法(transmission electron microscopy、TEM)などの当該技術分野における一般的な方法によって互いに区別可能でなくてもよいことを理解されたい。いくつかの実施形態では、二分子の厚さ及び二分子の総数は、第1の層及び光学的吸収層の総厚が2マイクロメートル未満になるように選択される。
【0048】
光学的吸収層、並びに任意選択的に第1の層及び/若しくは第2の層、並びに/又は無機光学的透明層をフィルムの(例えば全)微細構造化表面に適用し乾燥させた後、光学的吸収層並びに第1の層及び第2の層は、存在する場合、光学ファセットから除去され、また、隣接するフレネル要素間のランド領域から除去され得る。エッチングストップとして機能し得る無機光学的透明層は、典型的には除去されないが、任意選択的に、その後のエッチングステップで除去され得る。
【0049】
任意の好適な方法を使用して、光学ファセットから層(単数又は複数)を選択的に除去することができる。いくつかの実施形態では、層(単数又は複数)は、反応性イオンエッチングによって除去される。反応性イオンエッチング(Reactive ion etching、RIE)は、イオン衝撃を利用して材料を除去する指向性エッチングプロセスである。RIEシステムを使用して、イオン衝撃の方向で表面をエッチングすることによって、有機材料又は無機材料が除去される。反応性イオンエッチングと等方性プラズマエッチングの間の最も顕著な相異はエッチング方向である。反応性イオンエッチングは、1より大きい、横方向エッチング速度に対する垂直方向エッチング速度の比率によって特徴付けられる。反応性イオンエッチング用のシステムは、典型的には、耐久性のある真空チャンバの周囲に構築される。エッチングプロセスを開始する前に、典型的には、1トル未満、100ミリトル未満、20ミリトル未満、10ミリトル未満、又は1ミリトル未満のベース圧力までチャンバが排気される。典型的に、電極は、処理される材料を保持し、真空チャンバから電気的に絶縁されている。電極は、円筒形状の回転可能電極であってもよい。典型的に、対向電極もまた、チャンバ内に提供され、対向電極は、真空反応器壁を含み得る。エッチャントを含むガスは、典型的には、制御弁を通ってチャンバに入る。プロセス圧力は、真空ポンプを介してチャンバガスを連続的に排気することによって維持され得る。使用されるガスのタイプは、エッチングプロセスに応じて変化する。エッチャントには、例えば、酸素、フッ素化ガス、又は他のハロゲン化ガスのうちの1つ以上が含まれ得る。通常、エッチングには、四フッ化炭素(CF4)、六フッ化硫黄(SF6)、オクタフルオロプロパン(C3F8)、パーフルオロヘキサン(C6F14)、フルオロホルム(CHF3)、三塩化ホウ素(BCl3)、臭化水素(HBr)、三フッ化窒素(NF3)、塩素、アルゴン、及び酸素が使用される。無線周波数(RF)電力が電極に印加され、プラズマが生成される。反応性イオンエッチングは、当該技術分野で既知であり、例えば、米国特許第8,460,568号(Davidら)及び国際公開第2019/118685号(Schmidtら)に更に記載されている。
【0050】
特定のエッチング深さを達成するために、又は除去することが望ましい層(単数又は複数)の下にエッチングが浸透しないようにエッチングを制限するために制御された期間にわたって、プラズマによって試料が電極上に搬送され得る。例えば、光学的吸収層を除去することが望ましく、かつ無機光学的透明層が含まれていない場合、その期間は、光学ファセットがプラズマに曝露され得る時間を最小限に抑えるように調整することができる。これにより、他の箇所で説明されるように、光学ファセットの表面粗さを(例えば、Ra<250nmとなるように)低減することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、光学的吸収層(及び/又は他の層)は、レーザアブレーション、例えば、パルス化レーザアブレーションによって除去される。パルス化レーザアブレーション(pulsed laser ablation、PLA)は、酸化及び/又はスパッタリングによって材料を除去するのに十分な光子フルエンスを生成するために光子束を利用する指向性アブレーションプロセスである。PLAシステムは、プラズマプルームの生成においてターゲットを気化させることができる光子フルエンスの方向に表面をエッチングすることによって、有機材料又は無機材料を除去するために使用される。PLAは、レーザの波長、及び光吸収材料においてその波長で存在する吸収の量に依存する。レーザパルスの吸収は、熱的、化学的、又は機械的な蒸発、アブレーション、及び/又はプラズマ形成のためのエネルギーを生成する。レーザパルスの位置での酸化ガスの存在は、PLAプロセス中に生じる化学的酸化の量を変化させ得る。フルエンスは、焦点のサイズ及び位置を変更する光学構成によって、並びにレーザシステムの電力設定値によって変化し得る。レーザフルエンス及び試料の相対的な配向により、当業者であれば、斜角で構造化表面上にコーティングされた光学的吸収層をアブレーションすることができる。
【0052】
微細構造を含む光学フィルムであって、微細構造が各々光学ファセットと、微細構造のリッジにおいて光学ファセットと交わる側壁とを有し、側壁上には光学的吸収層が配置されているが光学ファセット上には配置されていない、光学フィルムの例は、2019年11月8日に出願され「OPTICAL FILM」と題する米国特許出願第62/932578号に記載されている。
【0053】
以下は、本明細書の例示的な実施形態の列挙である。
【0054】
第1の実施形態は、光学システムであって、
光源と、
第1の軸の周りで湾曲し、かつ微細構造化された第1の主表面と、反対側を向いた第2の主表面とを含む、光学フィルムであって、微細構造化された第1の主表面は、第1の軸に沿って長手方向に延びる複数のフレネル要素を含む線形フレネルレンズを画定する、光学フィルムと、
第1の軸の周りで湾曲し、かつ光源と光学フィルムとの間に配置された光制御フィルムであって、光学フィルムの第1の主表面は、光制御フィルムに面しており、光制御フィルムは、第1の軸に沿って長手方向に延びる複数の交互の光学的透過領域及び光学的吸収領域を含み、第1の軸に直交する断面において、光学的透過領域の少なくとも過半数に対して、隣接する光学的吸収領域間の中心線は、光制御フィルムの主表面に対して実質的に垂直である、光制御フィルムと、
を備える、光学システムである。
【0055】
第2の実施形態は、光源が、バックライトを備える、第1の実施形態に記載の光学システムである。
【0056】
第3の実施形態は、バックライトが、第1の軸の周りで湾曲した光ガイドを備える、第2の実施形態に記載の光学システムである。
【0057】
第4の実施形態は、バックライトと光制御フィルムとの間に配置されたディスプレイパネルを更に備える、第2又は第3の実施形態に記載の光学システムである。
【0058】
第5の実施形態は、ディスプレイパネルを更に備え、光学フィルムが、ディスプレイパネルと光制御フィルムとの間に配置されている、第1~第3の実施形態のいずれか1つに記載の光学システムである。
【0059】
第6の実施形態は、光源が、第1の軸の周りで湾曲した有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイを備える、第1の実施形態に記載の光学システムである。
【0060】
第7の実施形態は、複数のフレネル要素が、無機光学的透明層で少なくとも部分的にコーティングされた複数のポリマーフレネル要素を備える、第1~第6の実施形態のいずれか1つに記載の光学システムである。
【0061】
第8の実施形態は、各フレネル要素が、光学ファセットと、フレネル要素のリッジにおいて光学ファセットをと交わる側壁とを備え、フレネル要素の少なくとも過半数における各フレネル要素に対して、光学的吸収層が、側壁上に配置された無機光学的透明層上に配置され、かつ無機光学的透明層を実質的に覆う、第7の実施形態に記載の光学システムである。
【0062】
第9の実施形態は、空隙が、光制御フィルムから、光学フィルムの第1の主表面の少なくとも過半を分離する、第1~第8の実施形態のいずれか1つに記載の光学システムである。
【0063】
第10の実施形態は、光学フィルム及び光制御フィルムが、少なくとも光学フィルムの縁部及び光制御フィルムの対応する縁部に沿って、互いにテープ留めされている、第1~第9の実施形態のいずれか1つに記載の光学システムである。
【0064】
第11の実施形態は、光学フィルムの第1の主表面が、光制御フィルムに向かって延び、かつ光制御フィルム上に配置された接着層によって受容されている複数の細長いスペーサ部材を備える、第1~第9の実施形態のいずれか1つに記載の光学システムである。
【0065】
第12の実施形態は、
光学フィルムの第1の主表面の少なくとも過半上に配置され、かつそこに接触している低屈折率層であって、1.45以下の屈折率を有する、低屈折率層と、
低屈折率層を光制御フィルムに接合する光学接着剤と、
を更に備える、第1~第9の実施形態のいずれか1つに記載の光学システムである。
【0066】
第13の実施形態は、
第1の軸の周りで湾曲し、かつ微細構造化された第1の主表面と、反対側を向いた第2の主表面とを含む光学フィルムであって、微細構造化された第1の主表面は、第1の軸に沿って長手方向に延びる複数のフレネル要素を含む線形フレネルレンズを画定し、各フレネル要素は、光学ファセットと、フレネル要素のリッジにおいて光学ファセットと交わる側壁とを含み、フレネル要素の少なくとも過半数における各フレネル要素に対して、光学的吸収層が、側壁上に配置され、かつ側壁を実質的に覆い、光学的吸収層は平均厚さtを有し、100nm<t<1マイクロメートルである、光学フィルムと、
第1の軸の周りで湾曲し、かつ光学フィルムに近接して配置された光制御フィルムであって、光学フィルムの第1の主表面は、光制御フィルムに面しており、光制御フィルムは、第1の軸に沿って長手方向に延びる複数の交互の光学的透過領域及び光学的吸収領域を含み、第1の軸に直交する断面において、光学的透過領域の少なくとも過半数に対して、隣接する光学的吸収領域間の中心線は、光制御フィルムの主表面に対して実質的に垂直である、光制御フィルムと、
を備える、光学システムである。
【0067】
第14の実施形態は、フレネル要素の少なくとも過半数における各フレネル要素に対して、フレネル要素の側壁が、隣接するフレネル要素のベースからフレネル要素のリッジまでの高さHを有し、H/t>15である、第13の実施形態に記載の光学システムである。
【0068】
第15の実施形態は、複数のフレネル要素が、吸光係数k0<0.05を有し、フレネル要素の少なくとも過半数における各フレネル要素に対して、第1の層が、側壁と光学的吸収層との間に配置され、第1の層は、吸光係数k1>k0を有し、光学的吸収層は、吸光係数k2を有し、k2-k1>0.05である、第13又は第14の実施形態に記載の光学システムである。
【0069】
実施例
光学モデリングは、
図1に全般的示されるような光学システム、及びフレネルファセットが光源130から離れる方に面している状態で光制御フィルム上にフレネルレンズが配置された比較光学システムに対して実行された。光源表面は、z軸に直交する断面において放物線形状を有するように取られ、その形状は、
図1のx-y-z座標系を基準として、
【数1】
により求められ、y及びxは、mm単位であった。x=0における曲率半径は、約155mmであった。フレネルレンズは、光源表面に対して垂直に放射された光線がフレネルレンズによってy方向に屈折されるように設計された。輝度分布を、様々な視野角に対して計算し(90度は軸上である)、光源表面(x座標)に沿った様々な位置に対して計算した。
図22は、比較光学システムの結果を示している。
図23は、側壁上に光学的吸収層を有しない、
図1の光学システムの結果を示している。
図24は、(例えば、
図11に示されるように)側壁上に光学的吸収層を有する、
図1の光学システムの結果を示している。比較光学システムは、約60度の視野角及び約-40mmのx座標に対して明るいバンドを示した。この明るいバンドは、
図1及び
図23の光学システムでは実質的に排除された。しかしながら、約50度の視野角及び約55mmのx座標では、いくつかの用途では好ましくない場合がある光漏れが存在した。この光漏れは、
図24に示されるように、側壁上に光学的吸収層を含むことによって実質的に排除された。
【0070】
上記において参照された参照文献、特許、又は特許出願の全ては、それらの全体が参照により本明細書に一貫して組み込まれている。組み込まれた参照文献の部分と本出願との間に不一致又は矛盾がある場合、前述の記載における情報が優先される。
【0071】
図中の要素についての説明は、別段の指示がない限り、他の図中の対応する要素に等しく適用されると理解されたい。特定の実施形態が本明細書において図示及び説明されているが、図示及び記載されている特定の実施形態は、本開示の範囲を逸脱することなく、様々な代替的実施態様及び/又は等価の実施態様によって置き換えられ得ることが、当業者には理解されよう。本出願は、本明細書で論じられた特定の実施形態のいずれの適応例又は変形例も包含することが意図されている。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定されることが意図されている。
【国際調査報告】