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特表2023-500703pH応答性ブロックコポリマー組成物、ミセル、及び使用の方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-10
(54)【発明の名称】pH応答性ブロックコポリマー組成物、ミセル、及び使用の方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/60 20170101AFI20221227BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20221227BHJP
   A61K 38/20 20060101ALI20221227BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20221227BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20221227BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221227BHJP
   A61K 31/537 20060101ALI20221227BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20221227BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20221227BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20221227BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20221227BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20221227BHJP
   A61P 11/04 20060101ALI20221227BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20221227BHJP
   A61P 13/10 20060101ALI20221227BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20221227BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20221227BHJP
   A61P 13/02 20060101ALI20221227BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20221227BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221227BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20221227BHJP
   C08F 293/00 20060101ALI20221227BHJP
   C08F 20/34 20060101ALI20221227BHJP
   C08G 81/02 20060101ALI20221227BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20221227BHJP
【FI】
A61K47/60
A61K45/00
A61K38/20
A61K39/395 D
A61P37/02
A61P43/00 105
A61P43/00 111
A61K31/537
A61P1/02
A61P1/04
A61P1/18
A61P11/00
A61P11/02
A61P11/04
A61P13/08
A61P13/10
A61P13/12
A61P15/00
A61P13/02
A61P17/00
A61P35/00
A61K9/48
C08F293/00
C08F20/34
C08G81/02
A61K47/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022526022
(86)(22)【出願日】2020-11-03
(85)【翻訳文提出日】2022-07-01
(86)【国際出願番号】 US2020058752
(87)【国際公開番号】W WO2021091924
(87)【国際公開日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】62/930,530
(32)【優先日】2019-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522176078
【氏名又は名称】オンコナノ・メディスン・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ,ティアン
(72)【発明者】
【氏名】ディン,シンリャン
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】キャンベル,アシュリー
(72)【発明者】
【氏名】バラドワジ,ガウラブ
(72)【発明者】
【氏名】グタウスキー,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン,ドルー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
4J026
4J031
4J100
【Fターム(参考)】
4C076AA53
4C076CC01
4C076CC07
4C076CC10
4C076CC15
4C076CC16
4C076CC17
4C076CC18
4C076CC27
4C076EE10
4C076EE59
4C076FF34
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA17
4C084BA44
4C084DA12
4C084DA14
4C084MA05
4C084MA37
4C084NA10
4C084ZA021
4C084ZA341
4C084ZA591
4C084ZA661
4C084ZA671
4C084ZA811
4C084ZA891
4C084ZB021
4C084ZB211
4C084ZB261
4C085AA13
4C085EE01
4C085EE05
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB25
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA37
4C086NA10
4C086ZA02
4C086ZA34
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA67
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZB26
4C086ZC41
4J026HA11
4J026HA29
4J026HB11
4J026HB29
4J026HB45
4J026HB48
4J026HC11
4J026HC29
4J026HC45
4J026HD11
4J026HE01
4J026HE04
4J031AA20
4J031AA53
4J031AB01
4J031AC03
4J031AD01
4J031AF03
4J100AL08P
4J100AL08Q
4J100AL08R
4J100AM54R
4J100BA02R
4J100BA29Q
4J100BA31P
4J100BA34R
4J100BA38R
4J100BA51R
4J100BC65P
4J100BC69R
4J100CA04
4J100CA05
4J100FA03
(57)【要約】
本明細書に記載されているのは、ブロックコポリマー及びがんの治療に有用な治療剤を含む治療的なpH応答性組成物である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の構造を有するブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物:
【化1】
(式中:
は、10~200の整数であり;
は、40~300の整数であり;
は、0~6の整数であり;
は、0~10の整数であり;
は、ハロゲン、-OH又は-C(O)OHであり;
及びRは、各々独立して、任意選択的に置換されているC~Cアルキル、C~C10シクロアルキル若しくはアリールであるか;
又はR及びRは、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成し;
各Rは、独立して、水素、アシル又はICGであり;
は、結合若しくは-C(O)-、又は任意選択的に置換されているC~C10アルキレンリンカー若しくはPEGリンカーであり;
Yは、治療剤である。)。
【請求項2】
及びRが、各々独立して、任意選択的に置換されているC~Cアルキルである、請求項1に記載のブロックコポリマー。
【請求項3】
及びRが、各々独立して、-CHCH、-CHCHCH又は-CHCHCHCHである、請求項1又は2に記載のブロックコポリマー。
【請求項4】
及びRが、各々-CHCHCHCHである、請求項1~3のいずれか一項に記載のブロックコポリマー。
【請求項5】
及びRが、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成する、請求項1に記載のブロックコポリマー。
【請求項6】
及びRが一緒になって、-CH(CHCH-、-CH(CHCH-又は-CH(CHCH-である、請求項1又は5に記載のブロックコポリマー。
【請求項7】
が、50~200、60~160又は90~140の整数である、請求項1~6のいずれか一項に記載のブロックコポリマー。
【請求項8】
が、90~140である、請求項7に記載のブロックコポリマー。
【請求項9】
が、1~6、1~5、1~4又は1~3の整数である、請求項1~8のいずれか一項に記載のブロックコポリマー。
【請求項10】
が0である、請求項1~8のいずれか一項に記載のブロックコポリマー。
【請求項11】
が、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4又は1~3の整数である、請求項1~10のいずれか一項に記載のブロックコポリマー。
【請求項12】
が0である、請求項1~10のいずれか一項に記載のブロックコポリマー。
【請求項13】
が、60~150又は100~140の整数である、請求項1~12のいずれか一項に記載のブロックコポリマー。
【請求項14】
が、100~140である、請求項1~12のいずれか一項に記載のブロックコポリマー。
【請求項15】
がハロゲンである、請求項1~14のいずれか一項に記載のブロックコポリマー。
【請求項16】
が-Brである、請求項15に記載のブロックコポリマー。
【請求項17】
各Rが、独立して、アシル又はICGである、請求項1~16のいずれか一項に記載のブロックコポリマー。
【請求項18】
各Rが、独立して水素である、請求項1~16のいずれか一項に記載のブロックコポリマー。
【請求項19】
が、任意選択的に置換されているC~C10アルキレンリンカーであって、マレイミド残基で任意選択的に置換されている、請求項1~18のいずれか一項に記載のブロックコポリマー。
【請求項20】
が、任意選択的に置換されているPEGリンカーであって、マレイミド残基で任意選択的に置換されている、請求項1~18のいずれか一項に記載のブロックコポリマー。
【請求項21】
が、以下である、請求項1~18のいずれか一項に記載のブロックコポリマー:
【化2】
(式中、mは、2~200である。)。
【請求項22】
式(I)のブロックコポリマーが、式(I-a)の構造、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物を有する、請求項1に記載のブロックコポリマー:
【化3】
(式中:
は、10~200の整数であり;
Aは、結合、又はマレイミド残基で任意選択的に置換されている-C(O)-である。)。
【請求項23】
治療剤が、サイトカイン若しくはその断片、操作された抗体断片、又は900ダルトン未満の分子量を有する小分子である、請求項1~22のいずれか一項に記載のブロックコポリマー。
【請求項24】
サイトカインが、IL-2、IL-12若しくはIL-15又はその断片である、請求項23に記載のブロックコポリマー。
【請求項25】
サイトカインが、IL-2又はその断片である、請求項23に記載のブロックコポリマー。
【請求項26】
操作された抗体断片が、二重特異性T細胞エンゲージャーである、請求項23に記載のブロックコポリマー。
【請求項27】
小分子が、メイタンシン又はその誘導体である、請求項23に記載のブロックコポリマー。
【請求項28】
式(II)の構造を有するブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物:
【化4】
(式中:
は、2~200の整数であり;
は、40~300の整数であり;
は、0~6の整数であり;
は、ハロゲン、-OH又は-C(O)OHであり;
及びRは、各々独立して、任意選択的に置換されているC~Cアルキル、C~C10シクロアルキル若しくはアリールであるか;
又はR及びRは、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成し;
各Rは、独立して、水素、アシル又はICGであり;
は、-NH-又は-O-であり;
は、-NH-、-O-、又は置換トリアゾールであり;
は、結合、又は-C(O)-、又は任意選択的に置換されているC~C10アルキレンリンカー若しくはPEGリンカーであり;
Yは、治療剤である。)。
【請求項29】
及びRが、各々独立して、任意選択的に置換されているC~Cアルキルである、請求項28に記載のブロックコポリマー。
【請求項30】
及びRが、各々独立して、-CHCH、-CHCHCH又は-CHCHCHCHである、請求項28又は29に記載のブロックコポリマー。
【請求項31】
及びRが、各々、-CHCHCHCHである、請求項28~30のいずれか一項に記載のブロックコポリマー。
【請求項32】
及びRが、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成する、請求項28に記載のブロックコポリマー。
【請求項33】
及びRが一緒になって、-CH(CHCH-、-CH(CHCH-又は-CH(CHCH-である、請求項28又は32に記載のブロックコポリマー。
【請求項34】
が、50~200、60~160又は90~140の整数である、請求項28~33のいずれか一項に記載のブロックコポリマー。
【請求項35】
が、90~140である、請求項34に記載のブロックコポリマー。
【請求項36】
が、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4又は1~3の整数である、請求項28~35のいずれか一項に記載のブロックコポリマー。
【請求項37】
が0である、請求項28~36のいずれか一項に記載のブロックコポリマー。
【請求項38】
が、60~150又は100~140の整数である、請求項28~37のいずれか一項に記載のブロックコポリマー。
【請求項39】
が、100~140である、請求項38に記載のブロックコポリマー。
【請求項40】
がハロゲンである、請求項28~39のいずれか一項に記載のブロックコポリマー。
【請求項41】
が-Brである、請求項40に記載のブロックコポリマー。
【請求項42】
各Rが、独立して、アシル又はICGである、請求項28~41のいずれか一項に記載のブロックコポリマー。
【請求項43】
各Rが、独立して水素である、請求項28~41のいずれか一項に記載のブロックコポリマー。
【請求項44】
が-O-である、請求項28~43のいずれか一項に記載のブロックコポリマー。
【請求項45】
が-NH-である、請求項28~43のいずれか一項に記載のブロックコポリマー。
【請求項46】
が、-O-又は-NH-である、請求項28~45のいずれか一項に記載のブロックコポリマー。
【請求項47】
が、任意選択的に置換されているトリアゾール残基である、請求項28~46のいずれか一項に記載のブロックコポリマー。
【請求項48】
が、任意選択的に置換されているC~C10アルキレンリンカーであって、マレイミド残基で任意選択的に置換されている、請求項28~47のいずれか一項に記載のブロックコポリマー。
【請求項49】
が、任意選択的に置換されているPEGリンカーであって、マレイミド残基で任意選択的に置換されている、請求項28~48のいずれか一項に記載のブロックコポリマー。
【請求項50】
が、
【化5】
(式中、mは、2~200である。)
である、請求項28~48のいずれか一項に記載のブロックコポリマー。
【請求項51】
式(II)のブロックコポリマーが、式(II-a)の構造、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物を有する、請求項28に記載のブロックコポリマー:
【化6】
(式中:
は、2~200であり;
Aは、結合、又はマレイミド残基で任意選択的に置換されている-C(O)-である。)。
【請求項52】
治療剤が、サイトカイン若しくはその断片、操作された抗体断片、又は900ダルトン未満の分子量を有する小分子である、請求項28~51のいずれか一項に記載のブロックコポリマー。
【請求項53】
サイトカインが、IL-2、IL-12若しくはIL-15又はその断片である、請求項52に記載のブロックコポリマー。
【請求項54】
サイトカインが、IL-2又はその断片である、請求項52に記載のブロックコポリマー。
【請求項55】
操作された抗体断片が、二重特異性T細胞エンゲージャーである、請求項52に記載のブロックコポリマー。
【請求項56】
小分子が、メイタンシン又はその誘導体である、請求項52に記載のブロックコポリマー。
【請求項57】
ミセルの形態である、請求項1~56のいずれか一項に記載のブロックコポリマー。
【請求項58】
以下を含むミセル:
(i)式(III)のブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物:
【化7】
(式中:
は、10~200の整数であり;
は、40~300の整数であり;
は、0~6の整数であり;
は、0~10の整数であり;
は、ハロゲン、-OH又は-C(O)OHであり;
各R10は、独立して、水素又はICGであり;
及びRは、各々独立して、任意選択的に置換されているC~Cアルキル、C~C10シクロアルキル若しくはアリールであるか;
又はR及びRは、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成する。);並びに
(ii)ブロックコポリマーによってカプセル化された治療剤。
【請求項59】
及びRが、各々独立して、任意選択的に置換されているC~Cアルキルである、請求項58に記載のミセル。
【請求項60】
及びRが、各々独立して、-CHCH、-CHCHCH又は-CHCHCHCHである、請求項58又は59に記載のミセル。
【請求項61】
及びRが、各々、-CHCHCHCHである、請求項58~60のいずれか一項に記載のミセル。
【請求項62】
及びRが、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成する、請求項58に記載のミセル。
【請求項63】
及びRが一緒になって、-CH(CHCH-、-CH(CHCH-又は-CH(CHCH-である、請求項58又は62に記載のミセル。
【請求項64】
が、50~200、60~160又は90~140の整数である、請求項58~63のいずれか一項に記載のミセル。
【請求項65】
が、90~140である、請求項64に記載のミセル。
【請求項66】
が、1~6、1~5、1~4又は1~3の整数である、請求項58~65のいずれか一項に記載のミセル。
【請求項67】
が0である、請求項58~65のいずれか一項に記載のミセル。
【請求項68】
が、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4又は1~3の整数である、請求項58~66のいずれか一項に記載のミセル。
【請求項69】
が0である、請求項58~66のいずれか一項に記載のミセル。
【請求項70】
が、60~150又は100~140の整数である、請求項58~69のいずれか一項に記載のミセル。
【請求項71】
が、100~140である、請求項66に記載のミセル。
【請求項72】
がハロゲンである、請求項58~71のいずれか一項に記載のミセル。
【請求項73】
が-Brである、請求項72に記載のミセル。
【請求項74】
治療剤が、サイトカイン若しくはその断片、操作された抗体断片、又は900ダルトン未満の分子量を有する小分子である、請求項58~73のいずれか一項に記載のミセル。
【請求項75】
治療剤が、サイトカイン又はその断片である、請求項74に記載のミセル。
【請求項76】
サイトカインが、IL-2、IL-12若しくはIL-15又はその断片である、請求項75に記載のミセル。
【請求項77】
サイトカインが、IL-2又はその断片である、請求項75に記載のミセル。
【請求項78】
操作された抗体断片が、二重特異性T細胞エンゲージャー又はその断片である、請求項74に記載のミセル。
【請求項79】
小分子が、メイタンシン又はその誘導体である、請求項74に記載のミセル。
【請求項80】
以下を含むミセル:
(i)式(III)のブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物:
【化8】
(式中:
は、10~200の整数であり;
は、40~300の整数であり;
は、0~6の整数であり;
は、0~10の整数であり;
は、ハロゲン、-OH又は-C(O)OHであり;
及びRは、各々独立して、任意選択的に置換されているC~Cアルキル、C~C10シクロアルキル若しくはアリールであるか;
又はR及びRは、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成し;
各R10は、独立して、水素又はICGである。);並びに
(ii)請求項1~27のいずれか一項に記載のブロックコポリマー;又は請求項28~56のいずれかに記載のブロックコポリマー。
【請求項81】
以下を含むミセル:
(i)式(III)のブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物:
【化9】
(式中:
は、10~200の整数であり;
は、40~300の整数であり;
は、0~6の整数であり;
は、0~10の整数であり;
は、ハロゲン、-OH又は-C(O)OHであり;
各R10は、独立して、水素又はICGであり;
及びRは、各々独立して、任意選択的に置換されているC~Cアルキル、C~C10シクロアルキル若しくはアリールであるか;
又はR及びRは、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成する。);
(ii)請求項1~27のいずれか一項に記載のブロックコポリマー;並びに
(iii)請求項28~56のいずれかに記載のブロックコポリマー。
【請求項82】
式(III)のブロックコポリマーと、請求項1~27のいずれか一項又は請求項28~56のいずれか一項に記載のブロックコポリマーとの比が、1:99~99:1であるか、又はその中のいずれかの比である、請求項80又は81に記載のミセル。
【請求項83】
pH遷移点及び任意選択的に発光スペクトルを有する、請求項58~78のいずれか一項に記載のpH応答組成物。
【請求項84】
pH遷移点及び任意選択的に発光スペクトルを有する、請求項79~82のいずれか一項に記載のpH応答組成物。
【請求項85】
pH遷移点が、4~8、6~7.5、又は4.5~5.5の間である、請求項83又は84に記載のpH応答性組成物。
【請求項86】
0.25又は0.15未満のpH単位のpH応答を有する、請求項83又は84に記載のpH応答性組成物。
【請求項87】
発光スペクトルが、700~900nmの間である、請求項83~84に記載のpH応答性組成物。
【請求項88】
請求項58~78のいずれか一項に記載のミセルの治療有効量を患者に投与することを含む、がんの治療を必要とする患者におけるがんを治療するための方法。
【請求項89】
がんが固形腫瘍である、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
がんが、乳がん、子宮頸がん、頭頸部扁平細胞癌(NHSCC)、腹膜転移、肺がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、膀胱がん、腎臓がん、尿道がん、食道がん、結腸直腸がん、脳がん又は皮膚がんである、請求項88又は89に記載の方法。
【請求項91】
式(I-b)の構造を有するブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物:
【化10】
(式中:
は、10~200の整数であり;
は、40~300の整数であり;
は、0~6の整数であり;
は、0~10の整数であり;
は、ハロゲン、-OH又は-C(O)OHであり;
及びRは、各々独立して、置換若しくは非置換のC~Cアルキル、C~C10シクロアルキル若しくはアリールであるか;
又はR及びRは、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成し;
各Rは、独立して、水素、アシル又はICGであり;
は、結合、C~C10アルキレンリンカー又はPEGリンカーであり;
Bは、マレイミド、
【化11】
である。)。
【請求項92】
【化12】
(式中、mは、2~200である。)
である、請求項91に記載のブロックコポリマー;又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物。
【請求項93】
式(II-b)の構造を有するブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物:
【化13】
(式中:
は、2~200の整数であり;
は、40~300の整数であり;
は、0~6の整数であり;
は、ハロゲン、-OH又は-C(O)OHであり;
及びRは、各々独立して、置換若しくは非置換のC~Cアルキル、C~C10シクロアルキル若しくはアリールであるか;
又はR及びRは、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成し;
各Rは、独立して、水素、アシル又はICGであり;
は、-NH-又は-O-であり;
は、-NH-、-O-、又は置換トリアゾールであり;
は、結合、C~C10アルキレンリンカー又はPEGリンカーであり;
Bは、マレイミド、
【化14】
である。)。
【請求項94】
【化15】
(式中、mは、2~200である。)
である、請求項93に記載のブロックコポリマー;又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年11月4日に出願された米国仮出願第62/930,530号の利益を主張するものであり、その出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
多機能ナノ粒子は、バイオセンサー、診断用ナノプローブ及び標的化薬物送達系など広範囲の用途において注目を集めている。これらの努力は、様々な生理学系における薬剤送達の正確な時空間的制御を介する診断及び治療における副作用の低減とともに生物学的な特異性を改善する必要性によって大幅に推進されてきた。この目標を達成するため、刺激応答性ナノプラットフォームを開発することに努力が、向けられてきた。送達効率に照準を定めるために利用されている環境刺激としては、pH、温度、酵素発現、レドックス反応及び光誘発が挙げられる。これらの活性化シグナルの中で、pHトリガーは、2つの型のpH差異:(a)病的組織(例えば腫瘍)対正常組織、及び(b)酸性細胞内区画に基づく最も広範に研究された刺激の1つである。
【0003】
例えば、腫瘍細胞外微小環境(pH約6.5)の通常でない酸性度により、いくつかのpH応答性ナノ系は、腫瘍画像化の感受性又は治療の効力を増加させることが報告されている。しかしながら、酸性環境において加水分解によって薬物を放出するポリマーミセル組成物について、薬物の放出に数日かかることがある。その時間期間において、身体がミセルを排泄又は分解することがある。
【0004】
酸性エンド-/リソソーム区画を標的化するため、pH切断可能リンカーを有するナノベクターが、ペイロード生物学的利用能を改善するために調査されている。さらに、pH誘発電荷変換を有するいくつかのスマートナノベクターが、薬効性を増加させるように設計されている。エンドサイトーシス系は、内部移行されたカーゴの選別、加工及び劣化において特有の役割を有する一連の区画から構成されている。pH感受性ナノ粒子による異なるエンドサイトーシス区画の選択的な標的化は、短いナノ粒子残留時間(<分)及びこれらの区画における小さいpH差異(例えば、早期のエンドソームとリソソームとの間の<1pH単位)により、特に困難である。
【0005】
免疫療法は、がん治療にとって強力な戦略となってきている。インターロイキン-2(IL-2)などの免疫モジュレーターは、抗腫瘍性免疫応答を誘発し得るが、それらの臨床的な適用は、重篤な用量制限毒性(例えば、広域スペクトルの毒性/副作用、例えば血管漏出症候群)を引き出すことがある好ましくない薬物動態学的特性によって制限されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
必要とされているものは、治療用途のための改善されたpH応答性ミセル組成物、特に、増加された薬物ペイロード、延長された血液循環時間、標的部位での薬物の急速な送達、及び特定の狭いpH範囲内の応答性(例えば、腫瘍又は特定の小器官の標的化のため)を有する組成物である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本明細書に記載されているブロックコポリマーは、原発性及び転移性腫瘍組織(リンパ節を含める)の治療に有用な治療剤である。本明細書において表されているブロックコポリマー及びミセル組成物は、がん性組織と正常組織との間のこのユビキタスなpH差異を利用し、細胞によって取り込まれた後に高感受性及び特異的応答を提供し、したがって、腫瘍組織への治療的ペイロードの配置を可能にする。
【0008】
一態様において、本明細書において提供されているのは、式(I)の構造を有するブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物である:
【0009】
【化1】
(式中:
は、10~200の整数であり;
は、40~300の整数であり;
は、0~6の整数であり;
は、0~10の整数であり;
は、ハロゲン、-OH又は-C(O)OHであり;
及びRは、各々独立して、任意選択的に置換されているC~Cアルキル、C~C10シクロアルキル若しくはアリールであるか;
又はR及びRは、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成し;
各Rは、独立して、水素、アシル又はICGであり;
は、結合若しくは-C(O)-、又は任意選択的に置換されているC~C10アルキレンリンカー若しくはPEGリンカーであり;
Yは、治療剤である。)。
一部の実施形態において、各R及びRは、独立して、任意選択的に置換されているC~Cアルキルである。一部の実施形態において、各R及びRは、独立して、-CHCH、-CHCHCH又は-CHCHCHCHである。一部の実施形態において、各R及びRは、独立して、-CHCHCHCHである。一部の実施形態において、R及びRは、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成する。一部の実施形態において、R及びRは一緒になって、-CH(CHCH-、-CH(CHCH-又は-CH(CHCH-である。一部の実施形態において、xは、50~200、60~160又は90~140の整数である。一部の実施形態において、xは、90~140である。一部の実施形態において、yは0である。一部の実施形態において、zは、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4又は1~3の整数である。一部の実施形態において、zは0である。一部の実施形態において、nは、60~150又は100~140の整数である。一部の実施形態において、nは、100~140である。一部の実施形態において、Xは、ハロゲンである。一部の実施形態において、Xは、臭化物である。一部の実施形態において、各Rは、独立して、アシル又はICGである。一部の実施形態において、Lは、任意選択的に置換されているC~C10アルキレンリンカーであって、マレイミド残基で任意選択的に置換されている。一部の実施形態において、治療剤は、サイトカイン若しくはその断片、操作された抗体断片、又は900ダルトン未満の分子量を有する小分子である。一部の実施形態において、サイトカインは、IL-2、IL-12若しくはIL-15又はその断片である。一部の実施形態において、操作された抗体断片は、二重特異性T細胞エンゲージャーである。一部の実施形態において、小分子は、メイタンシン又はその誘導体である。
【0010】
本明細書において提供されている一部の実施形態において、式(I)のブロックコポリマーは、式(I-a)の構造、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物を有する:
【0011】
【化2】
(式中:
は、10~200の整数であり;
Aは、結合、又はマレイミド残基で任意選択的に置換されている、-C(O)-である。)。
別の態様において、本明細書において提供されているのは、式(I-b)の構造を有するブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物である:
【0012】
【化3】
(式中:
は、10~200の整数であり;
は、40~300の整数であり;
は、0~6の整数であり;
は、0~10の整数であり;
は、ハロゲン、-OH又は-C(O)OHであり;
及びRは、各々独立して、置換若しくは非置換のC~Cアルキル、C~C10シクロアルキル若しくはアリールであるか;
又はR及びRは、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成し;
各Rは、独立して、水素、アシル又はICGであり;
は、結合、C~C10アルキレンリンカー又はPEGリンカーであり;
Bは、マレイミド、
【0013】
【化4】
である。)。
別の態様において、本明細書において提供されているのは、式(II)の構造を有するブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物である:
【0014】
【化5】
(式中:
は、2~200の整数であり;
は、40~300の整数であり;
は、0~6の整数であり;
は、ハロゲン、-OH又は-C(O)OHであり;
及びRは、各々独立して、任意選択的に置換されているC~Cアルキル、C~C10シクロアルキル若しくはアリールであるか;
又はR及びRは、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成し;
各Rは、独立して、水素、アシル又はICGであり;
は、-NH-又は-O-であり;
は、-NH-、-O-、又は置換トリアゾールであり;
は、結合、又は-C(O)-、又は任意選択的に置換されているC~C10アルキレンリンカー若しくはPEGリンカーであり;
Yは、治療剤である。)。
一部の実施形態において、各R及びRは、独立して、任意選択的に置換されているC~Cアルキルである。一部の実施形態において、各R及びRは、独立して、-CHCH、-CHCHCH又は-CHCHCHCHである。一部の実施形態において、各R及びRは、-CHCHCHCHである。一部の実施形態において、R及びRは、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成する。一部の実施形態において、R及びRは、一緒になって、-CH(CHCH-、-CH(CHCH-又は-CH(CHCH-である。一部の実施形態において、xは、50~200、60~160又は90~140の整数である。一部の実施形態において、xは、90~140である。一部の実施形態において、yは、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4又は1~3の整数である。一部の実施形態において、yは0である。一部の実施形態において、nは、60~150又は100~140の整数である。一部の実施形態において、nは、100~140である。一部の実施形態において、Xはハロゲンである。一部の実施形態において、Xは-Brである。一部の実施形態において、Zは、-O-又は-NH-である。一部の実施形態において、Zは、-O-又は-NH-である。一部の実施形態において、Zは、任意選択的に置換されているトリアゾール残基である。一部の実施形態において、Lは、任意選択的に置換されているC~C10アルキレンリンカーであって、マレイミド残基で任意選択的に置換されている。一部の実施形態において、Lは、任意選択的に置換されているPEGリンカーであって、マレイミド残基で任意選択的に置換されている。一部の実施形態において、治療剤は、サイトカイン若しくはその断片、操作された抗体断片、又は900ダルトン未満の分子量を有する小分子である。一部の実施形態において、サイトカインは、IL-2、IL-12若しくはIL-15又はその断片である。一部の実施形態において、操作された抗体断片は、二重特異性T細胞エンゲージャーである。一部の実施形態において、小分子は、メイタンシン又はその誘導体である。
【0015】
一部の実施形態において、式(II)のブロックコポリマーは、式(II-a)の構造、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物を有する:
【0016】
【化6】
(式中:
は、2~200であり;
Aは、結合、又はマレイミド残基で任意選択的に置換されている-C(O)-である。)。
別の態様において、本明細書において提供されているのは、式(II-b)の構造を有するブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物である:
【0017】
【化7】
(式中:
は、2~200の整数であり;
は、40~300の整数であり;
は、0~6の整数であり;
は、ハロゲン、-OH又は-C(O)OHであり;
及びRは、各々独立して、置換若しくは非置換のC~Cアルキル、C~C10シクロアルキル若しくはアリールであるか;
又はR及びRは、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成し;
各Rは、独立して、水素、アシル又はICGであり;
は、-NH-又は-O-であり;
は、-NH-、-O-、又は置換トリアゾールであり;
は、結合、C~C10アルキレンリンカー又はPEGリンカーであり;
Bは、マレイミド、
【0018】
【化8】
である。)。
別の態様において、本明細書において提供されているのは、以下を含むミセルである:
(i)式(III)のブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物:
【0019】
【化9】
(式中:
は、10~200の整数であり;
は、40~300の整数であり;
は、0~6の整数であり;
は、0~10の整数であり;
は、ハロゲン、-OH又は-C(O)OHであり;
各R10は、独立して、水素又はICGであり;
及びRは、各々独立して、任意選択的に置換されているC~Cアルキル、C~C10シクロアルキル若しくはアリールであるか;
又はR及びRは、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成する。);並びに
(ii)ブロックコポリマーによってカプセル化された治療剤。
【0020】
別の態様において、本明細書において提供されているのは、以下を含むミセルである:
(i)式(III)のブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物:
【0021】
【化10】
(式中:
は、10~200の整数であり;
は、40~300の整数であり;
は、0~6の整数であり;
は、0~10の整数であり;
は、ハロゲン、-OH又は-C(O)OHであり;
各R10は、独立して、水素又はICGであり;
及びRは、各々独立して、任意選択的に置換されているC~Cアルキル、C~C10シクロアルキル若しくはアリールであるか;
又はR及びRは、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成する。)
(ii)式(I)のブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物:
【0022】
【化11】
(式中:
は、10~200の整数であり;
は、40~300の整数であり;
は、0~6の整数であり;
は、0~10の整数であり;
は、ハロゲン、-OH又は-C(O)OHであり;
及びRは、各々独立して、任意選択的に置換されているC~Cアルキル、C~C10シクロアルキル若しくはアリールであるか;
又はR及びRは、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成し;
各Rは、独立して、水素、アシル又はICGであり;
は、結合若しくは-C(O)-、又は任意選択的に置換されているC~C10アルキレンリンカー若しくはPEGリンカーであり;
Yは、治療剤である。)及び/又は
(iii)式(II)のブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物:
【0023】
【化12】
(式中:
は、2~200の整数であり;
は、40~300の整数であり;
は、0~6の整数であり;
は、ハロゲン、-OH又は-C(O)OHであり;
及びRは、各々独立して、任意選択的に置換されているC~Cアルキル、C~C10シクロアルキル若しくはアリールであるか;
又はR及びRは、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成し;
各Rは、独立して、水素、アシル又はICGであり;
は、-NH-又は-O-であり;
は、-NH-、-O-、又は置換トリアゾール残基であり;
は、結合若しくは-C(O)-、又は任意選択的に置換されているC~C10アルキレンリンカー若しくはPEGリンカーであって、マレイミド残基で任意選択的に置換されている;
Yは、治療剤である。)。
一部の実施形態において、各R及びRは、独立して、任意選択的に置換されているC~Cアルキルである。一部の実施形態において、各R及びRは、独立して、-CHCH、-CHCHCH又は-CHCHCHCHである。一部の実施形態において、各R及びRは、-CHCHCHCHである。一部の実施形態において、R及びRは、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成する。一部の実施形態において、R及びRは一緒になって、-CH(CHCH-、-CH(CHCH-又は-CH(CHCH-である。一部の実施形態において、xは、50~200、60~160又は90~140の整数である。一部の実施形態において、xは、90~140である。一部の実施形態において、yは、1~6、1~5、1~4又は1~3の整数である。一部の実施形態において、yは0である。一部の実施形態において、zは、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4又は1~3の整数である。一部の実施形態において、zは0である。一部の実施形態において、nは、60~150又は100~140の整数である。一部の実施形態において、治療剤は、サイトカイン若しくはその断片、操作された抗体断片、又は900ダルトン未満の分子量を有する小分子である。一部の実施形態において、サイトカイン又はその断片は、IL-12又はその断片である。一部の実施形態において、操作された抗体断片は、二重特異性T細胞エンゲージャーである。一部の実施形態において、小分子は、メイタンシン又はその誘導体である。
【0024】
本明細書に存在する一部の実施形態において、ミセルは、以下を含む:(i)式(III)のブロックコポリマー;及び(ii)式(I)のブロックコポリマー。本明細書に存在する一部の実施形態において、ミセルは、以下を含む:(i)式(III)のブロックコポリマー;及び(ii)式(II)のブロックコポリマー。本明細書に存在する一部の実施形態において、ミセルは、以下を含む:(i)式(III)のブロックコポリマー;(ii)式(I)のブロックコポリマー;及び(iii)式(II)のブロックコポリマー。本明細書に存在する一部の実施形態において、ミセルは、約1:99~約99:1の(i)式(III)のブロックコポリマー対(ii)式(I)又は(II)のブロックコポリマーを含む。
【0025】
別の態様において、そこに提供されるのは、ブロックコポリマーを含むpH応答性組成物又はそこに記載されているミセル組成物であり、ここで、組成物は、pH遷移点及び任意選択的に発光スペクトルを有する。一部の実施形態において、pH遷移点は、4~8、6~7.5、又は4.5~5.5の間である。一部の実施形態において、pH応答性組成物は、0.25又は0.15未満のpH単位のpH応答を有する。一部の実施形態において、発光スペクトルは、700~900nmの間である。
【0026】
別の態様は、本明細書に記載されている通りの化学療法剤を含むpH感受性ミセル組成物の有効量を個体に投与することを含む、がんの治療を必要とする個体におけるがんを治療するための方法である。一部の実施形態において、がんは、固形腫瘍を含む。一部の実施形態において、腫瘍はがんの腫瘍であり、ここで、がんは、乳房、頸部、卵巣、膵臓、前立腺、腹膜転移、結腸直腸、膀胱、腎臓、食道、頭頸部(HNSSC)、肺、脳又は皮膚(黒色腫及び肉腫を含める)のがんである。
【0027】
本明細書に記載されているブロックコポリマー、ミセル組成物及び方法の他の目的、特色及び利点は、以下の詳細な記載から明らかになる。しかしながら、詳細な記載及び具体例は、特定の実施形態を示している一方で、例示を経て与えられているだけであると理解されるべきであり、というのは、当開示の趣旨及び範疇内の様々な変化及び修飾は、この詳細な記載から当業者に明らかになるからである。
【0028】
参考文献の援用
本明細書において記述されている全ての公報、特許及び特許出願は、各個々の公報、特許又は特許出願が、参照により組み込まれていると具体的に及び個々に示されているのと同じ程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0029】
本開示の様々な態様は、添付の請求項において詳細に説明されている。本開示の特色及び利点のより良好な理解は、本開示の原理が用いられる例示的な実施形態を説明する以下の詳細な記載、及び下記の添付の図面への言及によって得られる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】ペイロード(例えばIL-2)のカプセル化及びpH依存性放出を可能にする超pH感受性ナノ粒子プラットフォームの模式を示す図である。pH>pHである場合、ブロックコポリマーはナノ粒子として存在し;一旦pH<pHとなると、ナノ粒子はユニマーに分解し、それによって、カプセル化されたペイロードを放出する。
図2】pH依存性IL-2放出特性を示す図である。(左):酸性緩衝液トリガーIL-2ペイロード放出の定量的測定。(右):DLSによって試験された酸性緩衝液条件下のナノ粒子のサイズ変化。
図3】PEG113-b-PDBA90-160ミセルがIL-2を充填することができることを示す図である。SECに続きIL-2のドットブロットが、IL-2の充填を確認した。
図4-1】pH感受性ミセルを使用する二重特異性抗体のカプセル化を示す図である。4Aは、二重特異性抗体カプセル化後のSECクロマトグラフ及びミセルカプセル化二重特異性抗体のDLSによるサイズ分布(3つのレプリケート)を示す図である。最小二重特異性抗体は、非カプセル化フリーフォーマットとして存在する。
図4-2】pH感受性ミセルを使用する二重特異性抗体のカプセル化を示す図である。4Bは、二重特異性抗体充填の定量分析並びにウエスタンブロット及びDLSによる製剤のサイズを示す。
図5】GSU細胞へのナノ粒子カプセル化抗体のpH依存性結合を示す図である。ナノ粒子カプセル化二重特異性抗体は、中性pHで抗体の標的を担持する細胞に対して低い結合親和性を示した。一旦酸性化されると、二重特異性抗体は、ミセルから放出される。放出された二重特異性抗体の結合は、元のフォーマットと比較して、細胞の標的に対して等しい親和性を示す。
図6】体内分布プロファイルから、同所性頭頸部腫瘍を担持するマウスにおける遊離Fabと比較して、有意な腫瘍蓄積増加及び薬物動態変化を示す、pH感受性ナノ粒子非共有結合カプセル化Fab製剤(化合物1)を示す図である。代表的なインビボ(A、1時間、3時間、24時間)及びエクスビボ(B、24時間)の主要な臓器体内分布が示されている。インビボ腫瘍(C)及びエクスビボ臓器(D)蛍光の定量化を行った。スチューデントt検定による統計的分析(**p<0.01)、N=3。Fabは、画像化目的のために近赤外フルオロフォアで標識化されている。
図7】疎水性/アミンブロックにおける共有結合性タンパク質-ポリマー製剤の調製のためのスキームを示す図である。
図8】pH感受性ナノ粒子及びIL-2非共有結合性製剤(化合物2)が、体内分布プロファイルから、同所性頭頸部腫瘍を担持するマウスにおける遊離IL-2と比較して、有意な腫瘍蓄積増加及び薬物動態変化を示すことを示す図である。代表的なインビボ(A、1時間、3時間、24時間)及びエクスビボ(B、24時間)の主要な臓器体内分布が示されている。インビボ腫瘍(C)及びエクスビボ臓器(D)蛍光の定量化を行った。スチューデントt検定による統計的分析(**p<0.01)、N=3。IL-2は、画像化目的のために近赤外フルオロフォアで標識化されている。
図9】Fab製剤に共有結合的にコンジュゲートされたpH感受性ナノ粒子(化合物3)が、体内分布プロファイルから、同所性頭頸部腫瘍を担持するマウスにおける遊離Fab抗体と比較して、有意な腫瘍蓄積増加及び薬物動態変化を示すことを示す図である。代表的なインビボ(A、1時間、3時間、24時間)及びエクスビボ(B、24時間)の主要な臓器体内分布が示されている。インビボ腫瘍(C)及びエクスビボ臓器(D)蛍光の定量化を行った。スチューデントt検定による統計的分析(**p<0.01)、N=3。Fabは、画像化目的のために近赤外フルオロフォアで標識化されている。
図10】PEG113-PDBA90-160-AMA-OPSSポリマーへのrhIL-2のコンジュゲーションのための代表的なスキームを示す図である。
図11】ブロックコポリマー-IL-2共有結合性コンジュゲートの精製及び特徴付けを示す図である。(上):PEG113-b-(PDBA90-160-r-OPSS-IL-2共有結合性コンジュゲート精製のFPLCクロマトグラムを示す。(下):FPLC画分のウエスタンブロットが、電気泳動移動度の変化によるIL-2のコンジュゲーションを確認することを示す。
図12-1】pH感受性ポリマー-IL-2共有結合性製剤のインビトロ生物活性を示す図である。(A)は、SAT(PEG)化学を介してコンジュゲートされたPEG-PDBA-OPSS-IL-2を示す。(B)は、トラウト試薬化学を介してコンジュゲートされたPEG-PDBA-OPSS-IL-2を示す。(C)は、SAT(PEG)化学を介してコンジュゲートされたPEG-PDBA-Mal-IL-2を示す。(D)は、トラウト試薬化学を介してコンジュゲートされたPEG-PDBA-Mal-IL-2を示す。使用された親化合物は、PEG113-b--(PDBA120-r-OPSS)又はPEG113-b(PDBA120-r-Mal)であった。
図12-2】pH感受性ポリマー-IL-2共有結合性製剤のインビトロ生物活性を示す図である。(A)は、SAT(PEG)化学を介してコンジュゲートされたPEG-PDBA-OPSS-IL-2を示す。(B)は、トラウト試薬化学を介してコンジュゲートされたPEG-PDBA-OPSS-IL-2を示す。(C)は、SAT(PEG)化学を介してコンジュゲートされたPEG-PDBA-Mal-IL-2を示す。(D)は、トラウト試薬化学を介してコンジュゲートされたPEG-PDBA-Mal-IL-2を示す。使用された親化合物は、PEG113-b--(PDBA120-r-OPSS)又はPEG113-b(PDBA120-r-Mal)であった。
図13】PEG末端上の共有結合性タンパク質-ブロックコポリマーコンジュゲートの調製のための代表的なスキームを示す図である。
図14】ブロックコポリマー-小分子(メルタンシン)コンジュゲートのための代表的な合成スキームを示す図である。
図15A】ブロックコポリマー-小分子(メルタンシン)コンジュゲート(化合物4)の特徴付けを示す図である。15Aは、PDBA-AMAポリマー、(PEG113-PDBA90-160-AMA4)の出発材料についてのH NMRスペクトルを示す。
図15B】ブロックコポリマー-小分子(メルタンシン)コンジュゲート(化合物4)の特徴付けを示す図である。15Bは、PDBA-AMA-SMCC-DM1コンジュゲートのH NMRスペクトルを示す。3.3ppmでのo-メトキシピークの積分を使用して、DM1薬物からの単一のプロトン積分ピークを有する薬物充填を決定し、ブロックコポリマー鎖当たり約3.5DM1分子の充填を算出した。
図15C】ブロックコポリマー-小分子(メルタンシン)コンジュゲート(化合物4)の特徴付けを示す図である。15Cは、PEG-PDBA-AMA-SMCC-DM1修飾ポリマーのHPLC分析を示す。
図16】PEG-PDBA-OPSS-DM1合成のための代表的な合成スキームを示す図である。
図17】PEG-PDBA-OPSS-DM1(化合物5)の特徴付けを示す図である。17Aは、DM1コンジュゲートを使用するPEG-PDBA-OPSSの出発材料についてのH NMRスペクトルを示す。17Bは、DM1コンジュゲーション後のPEG-PDBA-OPSSポリマー材料のH NMRスペクトルを示す。積分は、薬物へのポリマーの80%充填を示す。
図17C】PEG-PDBA-OPSS-DM1(化合物5)の特徴付けを示す図である。17Cは、化合物5修飾ポリマーのHPLC分析を示す。
図18】PEG-PDBA-Mal-DM1のための代表的な合成スキームを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本開示の詳細な記載
本明細書において提供されているのは、治療剤にコンジュゲートされているブロックコポリマーである。他の実施形態において、本明細書において提供されるのは、治療剤を含むミセル組成物である。
【0032】
I.ブロックコポリマー
一態様において、本明細書において提供されているのは、式(I)の構造を有するブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物である:
【0033】
【化13】
(式中:
は、10~200の整数であり;
は、40~300の整数であり;
は、0~6の整数であり;
は、0~10の整数であり;
は、ハロゲン、-OH又は-C(O)OHであり;
及びRは、各々独立して、任意選択的に置換されているC~Cアルキル、C~C10シクロアルキル若しくはアリールであるか;
又はR及びRは、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成し;
各Rは、独立して、水素、アシル又はICGであり;
は、結合若しくは-C(O)-、又は任意選択的に置換されているC~C10アルキレンリンカー若しくはPEGリンカーであり、これらの各々は、マレイミド残基で任意選択的に置換されており;
Yは、治療剤である。)。
一部の実施形態において、R及びRは、同じ基である。一部の実施形態において、R及びRは、異なる基である。
【0034】
一部の実施形態において、各R及びRは、独立して、任意選択的に置換されているC~Cアルキルである。一部の実施形態において、アルキルは、直鎖又は分枝アルキルである。一部の実施形態において、アルキルは直鎖アルキルである。一部の実施形態において、各R及びRは、独立して、-CHCH、-CHCHCH又は-CHCHCHCHである。一部の実施形態において、各R及びRは、-CHCHCHCHである。
【0035】
一部の実施形態において、各R及びRは、各々独立して、任意選択的に置換されているC~C10シクロアルキル又はアリールである。一部の実施形態において、各R及びRは、独立して、任意選択的に置換されているシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルである。一部の実施形態において、各R及びRは、独立して、任意選択的に置換されているフェニルである。
【0036】
一部の実施形態において、R及びRは、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成する。一部の実施形態において、R及びRは一緒になって、-CH(CHCH-、-CH(CHCH-又は-CH(CHCH-である。一部の実施形態において、R及びRは一緒になって、-CH(CHCH-である。
【0037】
一部の実施形態において、各Rは、独立して、アシル又はICGである。一部の実施形態において、各Rは、独立して、アシルである。一部の実施形態において、各Rは、独立して、ICGである。一部の実施形態において、各Rは、独立して、水素である。
【0038】
一部の実施形態において、Lは、ブロックコポリマーに及び治療剤に結合できる任意選択的に置換されている二官能性リンカーである。一部の実施形態において、Lは、任意選択的に置換されているC~C10アルキレンリンカーであって、マレイミド残基で任意選択的に置換されている。一部の実施形態において、Lは、任意選択的に置換されているPEGリンカーであって、マレイミド残基で任意選択的に置換されている。
【0039】
一部の実施形態において、Lは、
【0040】
【化14】
(式中、mは、2~20の整数又はその中の任意の整数である。)
である。
【0041】
一部の実施形態において、式(I)のブロックコポリマーは、式(I-a)の構造、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を有する:
【0042】
【化15】
(式中:
は、2~200の整数であり;
Aは、結合、又はマレイミド残基で任意選択的に置換されている-C(O)-である。)。
一部の実施形態において、mは、2~20の整数又はその中の任意の整数である。一部の実施形態において、mは、2~5、6~9、10~14若しくは15~20の整数、又はその中の任意の整数である。
【0043】
一部の実施形態において、Aは結合である。一部の実施形態において、Aは、マレイミド残基で任意選択的に置換されている-C(O)-である。
【0044】
一部の実施形態において、式(I)のブロックコポリマーは、式(I-c)の構造、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物を有する:
【0045】
【化16】
【0046】
式(I)、(I-a)及び(I-c)のブロックコポリマーの一部の実施形態において、治療剤は、サイトカイン若しくはその断片、操作された抗体断片、又は900ダルトン未満の分子量を有する小分子である。一部の実施形態において、サイトカインは、IL-2、IL-12若しくはIL-15又はその断片である。一部の実施形態において、サイトカインは、IL-2又はその断片である。一部の実施形態において、サイトカインは、IL-12又はその断片である。一部の実施形態において、サイトカインは、IL-15又はその断片である。一部の実施形態において、サイトカインは、Fab又はその断片である。一部の実施形態において、操作された抗体断片は、二重特異性T細胞エンゲージャーである。一部の実施形態において、小分子は、メイタンシン又はその誘導体である。
【0047】
別の態様において、本明細書において提供されているのは、式(II)の構造を有するブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物である:
【0048】
【化17】
(式中:
は、2~200の整数であり;
は、40~300の整数であり;
は、0~6の整数であり;
は、ハロゲン、-OH又は-C(O)OHであり;
及びRは、各々独立して、任意選択的に置換されているC~Cアルキル、C~C10シクロアルキル若しくはアリールであるか;
又はR及びRは、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成し;
各Rは、独立して、水素、アシル又はICGであり;
は、-NH-又は-O-であり;
は、-NH-、-O-、又は置換トリアゾールであり;
は、マレイミドで任意選択的に置換されている、結合若しくは-C(O)-、又は任意選択的に置換されているC~C10アルキレンリンカー若しくはPEGリンカーであり;
Yは、治療剤である。)。
一部の実施形態において、R及びRは、同じ基である。一部の実施形態において、R及びRは、異なる基である。
【0049】
一部の実施形態において、各R及びRは、独立して、任意選択的に置換されているC~Cアルキルである。一部の実施形態において、アルキルは、直鎖又は分枝アルキルである。一部の実施形態において、アルキルは直鎖アルキルである。一部の実施形態において、各R及びRは、独立して、-CHCH、-CHCHCH又は-CHCHCHCHである。一部の実施形態において、各R及びRは、-CHCHCHCHである。
【0050】
一部の実施形態において、各R及びRは、独立して、任意選択的に置換されているC~C10シクロアルキル又はアリールである。一部の実施形態において、各R及びRは、独立して、任意選択的に置換されているシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルである。一部の実施形態において、各R及びRは、独立して、任意選択的に置換されているフェニルである。
【0051】
一部の実施形態において、R及びRは、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成する。一部の実施形態において、R及びRは一緒になって、-CH(CHCH-、-CH(CHCH-又は-CH(CHCH-である。
【0052】
一部の実施形態において、各Rは、独立して、アシル又はICGである。一部の実施形態において、各Rは、独立して、アシルである。一部の実施形態において、各Rは、独立して、ICGである。一部の実施形態において、各Rは、独立して、水素である。
【0053】
一部の実施形態において、Zは-O-である。一部の実施形態において、Zは-NH-である。
【0054】
一部の実施形態において、Zは、-NH-又は-O-である。一部の実施形態において、Zは-O-である。一部の実施形態において、Zは-NH-である。一部の実施形態において、Zは置換トリアゾールである。
【0055】
一部の実施形態において、Lは、ブロックコポリマーに及び治療剤に結合できる任意選択的に置換されている二官能性リンカーである。一部の実施形態において、Lは、任意選択的に置換されているC~C10アルキレンリンカーであって、マレイミド残基で任意選択的に置換されている。一部の実施形態において、Lは、任意選択的に置換されているPEGリンカーであって、マレイミド残基で任意選択的に置換されている。一部の実施形態において、Lは、
【0056】
【化18】
(式中、mは、2~200である。)
である。
【0057】
一部の実施形態において、式(II)のブロックコポリマーは、式(II-a)の構造、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を有する:
【0058】
【化19】
(式中:
は、2~200であり;
Aは、結合、又はマレイミド残基で任意選択的に置換されている-C(O)-である。)。
一部の実施形態において、mは、2~20の整数である。一部の実施形態において、mは、2~5、6~9、10~14若しくは15~20の整数、又はその中の任意の整数である。
【0059】
一部の実施形態において、Aは結合である。一部の実施形態において、Aは、マレイミド残基で任意選択的に置換されている-C(O)-である。
【0060】
一部の実施形態において、式(II)のブロックコポリマーは、式(II-c)の構造、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物を有する:
【0061】
【化20】
【0062】
一部の実施形態において、式(II)のブロックコポリマーは、式(II-a2)の構造、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を有する:
【0063】
【化21】
(式中:
は、-O-である。)。
式(II)、(II-a)、(II-a2)又は(II-c)のブロックコポリマーの一部の実施形態において、治療剤は、サイトカイン若しくはその断片、操作された抗体断片、又は900ダルトン未満の分子量を有する小分子である。一部の実施形態において、サイトカインは、IL-2、IL-12若しくはIL-15又はその断片である。一部の実施形態において、サイトカインは、IL-2又はその断片である。一部の実施形態において、サイトカインは、IL-2又はその断片である。一部の実施形態において、サイトカインは、IL-15又はその断片である。一部の実施形態において、サイトカインは、Fab又はその断片である。一部の実施形態において、操作された抗体断片は、二重特異性T細胞エンゲージャーである。一部の実施形態において、小分子は、メイタンシン又はその誘導体である。
【0064】
別の実施形態において、本明細書において提供されているのは、式(I-b)の構造を有するブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物である:
【0065】
【化22】
(式中:
は、10~200の整数であり;
は、40~300の整数であり;
は、0~6の整数であり;
は、0~10の整数であり;
は、ハロゲン、-OH又は-C(O)OHであり;
及びRは、各々独立して、置換若しくは非置換のC~Cアルキル、C~C10シクロアルキル若しくはアリールであるか;
又はR及びRは、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成し;
各Rは、独立して、水素、アシル又はICGであり;
は、結合、C~C10アルキレンリンカー又はPEGリンカーであり;
Bは、マレイミド、
【0066】
【化23】
である。)。
式(I-b)のブロックコポリマーの一部の実施形態において、Lは、C~C10アルキレンリンカー又はPEGリンカーである。一部の実施形態において、Lは、2~200のPEG単位又はその中の任意の整数を含むPEGリンカーである。一部の実施形態において、Lは結合である。
【0067】
式(I-b)のブロックコポリマーの一部の実施形態において、Bは、マレイミドである。一部の実施形態において、Bは、N-ヒドロキシスクシンイミド又はカルボニルジイミダゾールである。
【0068】
一部の実施形態において、式(I-b)の構造を有するブロックコポリマーは:
【0069】
【化24】
(式中、mは、2~200である。)
又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物である。
【0070】
別の実施形態において、本明細書において提供されているのは、式(II-b)の構造を有するブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物である:
【0071】
【化25】
(式中:
は、2~200の整数であり;
は、40~300の整数であり;
は、0~6の整数であり;
は、ハロゲン、-OH又は-C(O)OHであり;
及びRは、各々独立して、置換若しくは非置換のC~Cアルキル、C~C10シクロアルキル若しくはアリールであるか;
又はR及びRは、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、置換又は非置換の5~7員環を形成し;
各Rは、独立して、水素、アシル又はICGであり;
は、-NH-又は-O-であり;
は、-NH-、-O-、又は置換トリアゾールであり;
は、結合、C~C10アルキレンリンカー又はPEGリンカーであり;
Bは、マレイミド、
【0072】
【化26】
である。)。
一部の実施形態において、式(II-b)のブロックコポリマーは、式(II-b2)の構造、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物を有する:
【0073】
【化27】
(式中:
は、-O-であり;他の可変物は、式(II-b)の実施形態において定義されている。)。
式(II-b)又は(II-b2)のブロックコポリマーの一部の実施形態において、Lは、C~C10アルキレンリンカー又はPEGリンカーである。一部の実施形態において、Lは、2~200のPEG単位を含むPEGリンカーである。一部の実施形態において、Lは結合である。
【0074】
式(II-b)又は(II-b2)のブロックコポリマーの一部の実施形態において、Bはマレイミドである。一部の実施形態において、Bは、N-ヒドロキシスクシンイミド又はカルボニルジイミダゾールである。
【0075】
一部の実施形態において、ブロックコポリマーは:
【0076】
【化28】
又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物である。
【0077】
一部の実施形態において、ブロックコポリマーは:
【0078】
【化29】
(式中、mは、2~200である。)
又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物である。
【0079】
一部の実施形態において、ブロックコポリマーは、ジブロックコポリマーである。一部の実施形態において、ブロックコポリマーは、親水性ポリマーセグメント及び疎水性ポリマーセグメントを含む。一部の実施形態において、親水性ポリマーセグメントは、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)を含む。一部の実施形態において、親水性ポリマーセグメントは、サイズが約2kDa~約10kDaである。一部の実施形態において、親水性ポリマーセグメントは、サイズが約2kDa~約5kDaである。一部の実施形態において、親水性ポリマーセグメントは、サイズが約3kDa~約8kDaである。一部の実施形態において、親水性ポリマーセグメントは、サイズが約4kDa~約6kDaである。一部の実施形態において、親水性ポリマーセグメントは、サイズが約5kDaである。
【0080】
一部の実施形態において、各n、n及びnは、独立して、1~5、5~10、10~15、15~20、20~25、25~30、30~35、35~40、40~45、45~50、50~55、55~60、60~65、65~70、70~75、75~80、80~85、85~90、90~95、95~99、100~109、110~119、120~129、130~139、140~149、150~159、160~169、170~179、180~189、190~199の整数又はその中で誘導可能な任意の範囲である。一部の実施形態において、各n、n及びnは、独立して、60~150、100~140又は110~120の整数である。一部の実施形態において、各n、n及びnは、独立して、100~140である。
【0081】
一部の実施形態において、ブロックコポリマーは、疎水性ポリマーセグメントを含む。一部の実施形態において、疎水性ポリマーセグメントは、第3級アミンを含む。一部の実施形態において、疎水性ポリマーセグメントは、以下から選択される:
【0082】
【化30】
(式中、xは、合計で約40~300である。)。
【0083】
一部の実施形態において、疎水性セグメントは、ジブチルアミンを含む。一部の実施形態において、疎水性セグメントは、
【0084】
【化31】
を含む。
【0085】
一部の実施形態において、各x、x及びxは、独立して、整数1~5、5~10、10~15、15~20、20~25、25~30、30~35、35~40、40~45、45~50、50~55、55~60、60~65、65~70、70~75、75~80、80~85、85~90、90~95、95~99、100~109、110~119、120~129、130~139、140~149、150~159、160~169、170~179、180~189、190~199又はその中で誘導可能な任意の範囲である。一部の実施形態において、各x、x及びxは、独立して、50~200、60~160又は90~140の整数である。一部の実施形態において、各x、x及びxは、独立して、90~140である。
【0086】
一部の実施形態において、各y、y及びyは、独立して、1~6、1~5、1~4若しくは1~3の整数、又はその中で誘導可能な任意の範囲である。一部の実施形態において、各y、y及びyは、独立して、1、2、3、4、5又は6である。一部の実施形態において、各Y、y及びyは、独立して、0である。
【0087】
一部の実施形態において、各z及びzは、独立して、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4若しくは1~3の整数、又はその中で誘導可能な任意の範囲である。一部の実施形態において、各z及びzは、独立して、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10である。一部の実施形態において、各z及びzは、独立して、0である。
【0088】
「r」という用語は、異なるブロックコポリマー単位/セグメント(例えば、x、y及びzによって表される)の間の接続を示す。一部の実施形態において、各rは、独立して、該単位/セグメントの炭素原子を接続する結合、又はnが1~10であるアルキル基-(CH-である。一部の実施形態において、コポリマーブロックセグメント/単位(例えば、x、y及びzによって表される)は、任意の順序、配列又は立体配置で生じ得る。一部の実施形態において、コポリマーブロック単位は、式(I)、(I-a)、(I-b)、(I-c)、(II)、(II-a)、(II-a2)、(II-b)、(II-b2)、(II-c)、(III-c)及び(III)に記載されている通りに順次に生じる。
【0089】
一部の実施形態において、各m及びmは、独立して、2~200の整数である。一部の実施形態において、各m及びmは、独立して、2~20の整数である。
【0090】
一部の実施形態において、各X、X及びXは、末端基である。一部の実施形態において、末端キャッピング基は、原子移動ラジカル重合(ATRP)反応の生成物である。例えば、末端キャッピング基は、原子移動ラジカル重合(ATRP)が使用される場合、-Brなどのハロゲンであり得る。一部の実施形態において、各X、X及びXは、独立して、Brである。一部の実施形態において、各X、X及びXは、独立して、-OHである。一部の実施形態において、各X、X及びXは、独立して、酸である。一部の実施形態において、各X、X及びXは、独立して、-C(O)OHである。一部の実施形態において、各X、X及びXは、独立して、Hである。該端部基は、任意選択的に、適切な部分との重合に続いてさらに修飾されていてよい。
【0091】
一部の実施形態において、リンカーL及びLは、ブロックコポリマー及び治療剤と反応する基を有する二官能性リンカーである。一部の実施形態において、リンカーは、マレイミド-PEG-NHS、NHS-カーボネート(N-ヒドロキシスクシンイミドカーボネート)、SPDB(N-スクシンイミジル-4-(2-ピリジルジチオ)ブタノエート)、又はCDI(カルボニルジイミダゾール)において使用される構成成分である。
【0092】
一部の実施形態において、リンカーは、治療剤にコンジュゲートされている。一部の実施形態において、リンカーは、治療剤に共有結合的にコンジュゲートされている。当技術分野において公知の方法は、治療剤を、例えば、疎水性ポリマーセグメントにコンジュゲートするために使用することができる。
【0093】
治療剤
一部の実施形態において、治療剤は、サイトカイン若しくはその断片、操作された抗体断片、又は900ダルトン未満の分子量を有する小分子である。
【0094】
一部の実施形態において、治療剤は、サイトカイン又はその断片である。サイトカインは、細胞シグナリングにおいて重要である広い及び緩いカテゴリーの小さいタンパク質である。サイトカインはペプチドであり、細胞の脂質二重層を横切って細胞質に進入することができない。サイトカインは、免疫モジュレート剤として自己分泌、傍分泌及び内分泌シグナル伝達に関与することが示された。インターロイキン-2(IL-2)は、免疫系におけるサイトカインシグナル伝達分子の型、インターロイキンである。それは、免疫を担う白血球細胞の活性を調節する15.5~16kDaのタンパク質である。インターロイキン-15(IL-15)は、インターロイキン-2との構造上の相似点を有するサイトカインである。IL-2のように、IL-15は、IL-2/IL-15受容体ベータ鎖及び共通ガンマ鎖で構成された複合体に結合し、それを介してシグナル伝達する。IL-15は、ウイルスによる感染に続いて単核貪食細胞によって分泌される。インターロイキン-21は、ウイルス感染された細胞又はがん性細胞を破壊するナチュラルキラー細胞及び細胞毒性T細胞を含めて、免疫系の細胞に対して強力な調節効果を有するサイトカインである。インターロイキン12(IL-12)は、抗原刺激に応答して樹状細胞、マクロファージ、好中球、及びヒトB-リンパ芽球様細胞(NC-37)によって天然に産生されるインターロイキンである。一部の実施形態において、サイトカインは、IL-2、IL-21、IL-12若しくはIL-15又はその断片である。一部の実施形態において、サイトカインは、IL-2若しくはIL-15又はその断片である。一部の実施形態において、サイトカインは、IL-2又はその断片である。一部の実施形態において、サイトカインは、IL-15又はその断片である。一部の実施形態において、治療剤は、Fab又はその断片である。
【0095】
インターフェロン(IFN)は、病原体を根絶するのを助ける免疫系の保護的防御をトリガーする細胞間のコミュニケーションのために使用される分子である、サイトカインとして公知のタンパク質のクラスに属するシグナル伝達タンパク質のグループである。一部の実施形態において、サイトカインは、インターフェロンα、インターフェロンβ若しくはインターフェロンγ又はその断片である。
【0096】
コロニー刺激因子2としても公知の顆粒球マクロファージコロニー刺激因子は、サイトカインとして機能する、マクロファージ、T細胞、肥満細胞、ナチュラルキラー細胞、内皮細胞及び線維芽細胞によって分泌されるモノマー性糖タンパク質である。一部の実施形態において、サイトカインは、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子GM-CSFである。
【0097】
一部の実施形態において、治療剤は、操作された抗体断片である。一部の実施形態において、操作された抗体断片は、二重特異性T細胞エンゲージャーである。二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)は、抗がん薬としての使用について調査されている人工的な二重特異性モノクローナル抗体のクラスである。それらは、がん細胞に対して、宿主の免疫系、より具体的にはT細胞の細胞毒性活性を指向する。一部の実施形態において、治療剤は、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)又はその断片である。
【0098】
一部の実施形態において、治療剤は小分子である。一部の実施形態において、治療剤は、900ダルトン未満の分子量を有する小分子である。一部の実施形態において、小分子は、メイタンシン、パクリタキセル、ドキソルビシン、テモゾロマイド、スニチニブ、ダカルバジン、ゲムシタビン、メルファラン、フェンレチニド若しくはその誘導体、又はEGFR-TKI(チロシンキナーゼ阻害剤)である。一部の実施形態において、小分子は、メイタンシン、テモゾロマイド、スニチニブ、ダカルバジン、ゲムシタビン、メルファラン、フェンレチニド若しくはその誘導体、又はEGFR-TKI(チロシンキナーゼ阻害剤)である。一部の実施形態において、小分子は、ドキソルビシン又はパクリタキセルでない。一部の実施形態において、小分子は、メイタンシン又はその誘導体である。マイタンシン又はメイタンシンは、細胞毒性剤である。それは、リゾキシン結合部位でチューブリンに結合することによって微小管のアセンブリを阻害する。それは、アンサマイシン型のマクロライドであり、マイテヌス(Maytenus)属の植物から単離することができる。誘導体は、メイタンシノイドとして公知である。メイタンシン及びそれの類似体(メイタンシノイドDM1及びDM4)は、有糸分裂で細胞の増殖を阻害する強力な微小管標的化化合物である。それは、リゾキシン結合部位でチューブリンに結合することによって、微小管のアセンブリを阻害する。一部の実施形態において、小分子は、メイタンシノイドDM1(メルタンシン)若しくはその誘導体;又はメイタンシノイドDM4若しくはその誘導体である。一部の実施形態において、メイタンシンは、以下の構造のいずれかを有する:
【0099】
【化32】
【0100】
ある特定の実施形態において、ブロックコポリマーは、アミンを介してブロックコポリマーにコンジュゲートされている蛍光染料を含む。一部の実施形態において、蛍光染料は、ブロックコポリマー上のアミンを介してブロックコポリマーの疎水性ブロックにコンジュゲートされている。一部の実施形態において、蛍光染料は、シアニン染料又はその誘導体である。一部の実施形態において、蛍光染料は、インドシアニングリーン(ICG)又はその誘導体である。インドシアニングリーン(ICG)は、医療診断において使用される。一部の実施形態において、ICG誘導体の構造は、以下である:
【0101】
【化33】
【0102】
一態様において、本明細書に記載されている化合物は、薬学的に許容される塩の形態である。同様に、同じ型の活性を有するこれらの化合物の活性代謝物は、本開示の範疇に含まれる。加えて、本明細書に記載されている化合物は、非溶媒和形態、並びに薬学的に許容される溶媒、例えば、水、エタノールなどを用いる溶媒和形態で存在することができる。本明細書において表されている化合物の溶媒和形態は、その上、本明細書において開示されていると考えられる。
【0103】
II.ミセル及び組成物
本明細書に記載されている1つ以上のブロックコポリマーは、pH感受性ミセル組成物を形成するために使用することができる。一部の実施形態において、組成物は、単一型のミセルを含む。一部の実施形態において、2つ以上の異なる型のミセルは、混合ミセル組成物を形成するために組み合わせることができる。一部の実施形態において、ミセルは、治療剤に共有結合的にコンジュゲートされているブロックコポリマーを含む。一部の実施形態において、ミセルは、治療剤を非共有結合的にカプセル化する1つ以上のブロックコポリマーを含む。
【0104】
一部の実施形態において、式(I)、(I-a)、(I-b)若しくは(I-c)のブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物は、ミセルの形態である。一部の実施形態において、式(I)のブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物は、ミセルの形態である。一部の実施形態において、式(I-c)のブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物は、ミセルの形態である。
【0105】
一部の実施形態において、式(II)、(II-a)、(II-b)若しくは(II-c)のブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物は、ミセルの形態である。一部の実施形態において、式(II)のブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物は、ミセルの形態である。一部の実施形態において、式(II-c)のブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物は、ミセルの形態である。
【0106】
別の態様において、本明細書において表されているのは、以下を含むミセルである:
(i)式(III)の構造を有するブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物:
【0107】
【化34】
(式中:
は、10~200の整数であり;
は、40~300の整数であり;
は、0~6の整数であり;
は、0~10の整数であり;
は、ハロゲン、-OH又は-C(O)OHであり;
各R10は、独立して、水素又はICGであり;
及びRは、各々独立して、任意選択的に置換されているC~Cアルキル、C~C10シクロアルキル若しくはアリールであるか;
又はR及びRは、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成する。);並びに
(ii)ブロックコポリマーによってカプセル化された治療剤。
【0108】
一部の実施形態において、カプセル化は、非共有結合性カプセル化であり、ここで、治療剤は、物理的にミセル内にある。一部の実施形態において、治療剤は、非共有結合的にカプセル化される。
【0109】
該治療剤は、当技術分野において公知の方法を使用してミセルに組み込むことができる。一部の実施形態において、治療剤は、サイトカイン若しくはその断片、操作された抗体断片、又は900ダルトン未満の分子量を有する小分子である。一部の実施形態において、サイトカインは、IL-2、IL-21、IL-12若しくはIL-15又はその断片である。一部の実施形態において、サイトカインは、IL-2若しくはIL-15又はその断片である。一部の実施形態において、サイトカインは、IL-2又はその断片である。一部の実施形態において、サイトカインは、IL-15又はその断片である。一部の実施形態において、サイトカインは、インターフェロンα、インターフェロンβ若しくはインターフェロンγ又はその断片である。一部の実施形態において、サイトカインは、Fab又はその断片である。一部の実施形態において、操作された抗体断片は、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)又はその断片である。一部の実施形態において、小分子は、メイタンシン、パクリタキセル、ドキソルビシン、テモゾロマイド、スニチニブ、ダカルバジン、ゲムシタビン、メルファラン、フェンレチニド若しくはその誘導体、又はEGFR-TKI(チロシンキナーゼ阻害剤)である。一部の実施形態において、小分子は、メイタンシン又はその誘導体である。
【0110】
一部の実施形態において、y及びzが両方とも0である場合、式(III)のブロックコポリマーは、パクリタキセル又はドキソルビシンを非共有結合的にカプセル化しない。
【0111】
該ミセルの一部の実施形態において、式(III)のブロックコポリマーは、式(III-c)の構造、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物を有する:
【0112】
【化35】
【0113】
一部の実施形態において、ミセルは、(i)式(III-c)のブロックコポリマー及び(ii)ブロックコポリマーによって非共有結合的にカプセル化された治療剤を含む。一部の実施形態において、治療剤は、サイトカイン若しくはその断片、又は操作された抗体断片、又は900ダルトン未満の分子量を有する小分子である。一部の実施形態において、治療剤は、サイトカイン又はその断片である。一部の実施形態において、サイトカインは、IL-2又はその断片である。一部の実施形態において、操作された抗体断片は、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)又はその断片である。
【0114】
別の態様において、本明細書において表されているのは、以下を含むミセルである:
(i)式(III)の構造を有するブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物:
【0115】
【化36】
(式中:
は、10~200の整数であり;
は、40~300の整数であり;
は、0~6の整数であり;
は、0~10の整数であり;
は、ハロゲン、-OH又は-C(O)OHであり;
各R10は、独立して、水素又はICGであり;
及びRは、各々独立して、任意選択的に置換されているC~Cアルキル、C~C10シクロアルキル若しくはアリールであるか;
又はR及びRは、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成する。);並びに
(ii)式(I)の構造を有するブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物:
【0116】
【化37】
(式中:
は、10~200の整数であり;
は、40~300の整数であり;
は、0~6の整数であり;
は、0~10の整数であり;
は、ハロゲン、-OH又は-C(O)OHであり;
及びRは、各々独立して、任意選択的に置換されているC~Cアルキル、C~C10シクロアルキル若しくはアリールであるか;
又はR及びRは、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成し;
各Rは、独立して、水素、アシル又はICGであり;
は、マレイミド残基で任意選択的に置換されている、結合若しくは-C(O)-、又は任意選択的に置換されているC~C10アルキレンリンカー若しくはPEGリンカーであり;
Yは、治療剤である。);又は
(ii)式(II)の構造を有するブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物:
【0117】
【化38】
(式中:
は、2~200の整数であり;
は、40~300の整数であり;
は、0~6の整数であり;
は、ハロゲン、-OH又は-C(O)OHであり;
及びRは、各々独立して、任意選択的に置換されているC~Cアルキル、C~C10シクロアルキル若しくはアリールであるか;
又はR及びRは、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成し;
各Rは、独立して、水素、アシル又はICGであり;
は、-NH-又は-O-であり;
は、-NH-、-O-、又は置換トリアゾールであり;
は、マレイミド残基で任意選択的に置換されている、結合若しくは-C(O)-、又は任意選択的に置換されているC~C10アルキレンリンカー若しくはPEGリンカーであり;
Yは、治療剤である。)。
別の態様において、以下を含むミセルである:
(i)式(III)の構造を有するブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物:
【0118】
【化39】
(式中:
は、10~200の整数であり;
は、40~300の整数であり;
は、0~6の整数であり;
は、0~10の整数であり;
は、ハロゲン、-OH又はC(O)OHであり;
各R10は、独立して、水素又はICGであり;
及びRは、各々独立して、任意選択的に置換されているC~Cアルキル、C~C10シクロアルキル若しくはアリールであるか;
又はR及びRは、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成する。);並びに
(ii)式(I)の構造を有するブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物:
【0119】
【化40】
(式中:
は、10~200の整数であり;
は、40~300の整数であり;
は、0~6の整数であり;
は、0~10の整数であり;
は、ハロゲン、-OH又は-C(O)OHであり;
及びRは、各々独立して、任意選択的に置換されているC~Cアルキル、C~C10シクロアルキル若しくはアリールであるか;
又はR及びRは、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成し;
各Rは、独立して、水素、アシル又はICGであり;
は、マレイミド残基で任意選択的に置換されている、結合若しくは-C(O)-、又は任意選択的に置換されているC~C10アルキレンリンカー若しくはPEGリンカーであり;
Yは、治療剤である。);並びに
(iii)式(II)の構造を有するブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物:
【0120】
【化41】
(式中:
は、2~200の整数であり;
は、40~300の整数であり;
は、0~6の整数であり;
は、ハロゲン、-OH又は-C(O)OHであり;
及びRは、各々独立して、任意選択的に置換されているC~Cアルキル、C~C10シクロアルキル若しくはアリールであるか;
又はR及びRは、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成し;
各Rは、独立して、水素、アシル又はICGであり;
は、-NH-又は-O-であり;
は、-NH-、-O-、又は置換トリアゾール残基であり;
は、マレイミド残基で任意選択的に置換されている、結合若しくは-C(O)-、又は任意選択的に置換されているC~C10アルキレンリンカー若しくはPEGリンカーであり;
Yは、治療剤である。)。
式(III)又は(III-c)の一部の実施形態において、R及びRは、同じ基である。一部の実施形態において、R及びRは、異なる基である。
【0121】
式(III)又は(III-c)の一部の実施形態において、各R及びRは、独立して、任意選択的に置換されているC~Cアルキルである。一部の実施形態において、アルキルは、直鎖又は分枝アルキルである。一部の実施形態において、アルキルは直鎖アルキルである。一部の実施形態において、各R及びRは、独立して、-CHCH、-CHCHCH又は-CHCHCHCHである。一部の実施形態において、各R及びRは、-CHCHCHCHである。一部の実施形態において、各R及びRは、独立して、任意選択的に置換されているC~C10シクロアルキル又はアリールである。一部の実施形態において、各R及びRは、独立して、任意選択的に置換されているシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルである。一部の実施形態において、各R及びRは、独立して、任意選択的に置換されているフェニルである。
【0122】
式(III)又は(III-c)の一部の実施形態において、R及びRは、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成する。一部の実施形態において、R及びRは一緒になって、-CH(CHCH-、-CH(CHCH-又は-CH(CHCH-である。一部の実施形態において、R及びRは一緒になって、-CH(CHCH-である。
【0123】
一部の実施形態において、ミセルは、様々なユニマーからのブロックコポリマー構成成分の1つ以上の異なる型を含む。一部の実施形態において、ミセルは、(i)式(III)のブロックコポリマー及び(ii)式(I)又は式(II)のブロックコポリマーを含む。一部の実施形態において、ミセルは、構成成分(i)と(ii)との比が1:99~99:1であるか;又はこの中のいずれかの比である。一部の実施形態において、ミセルは、構成成分(i)と(ii)との比が1:99、10:90、20:80、30:70、40:50又は50:50の比である。一部の実施形態において、ミセルは、構成成分(i)と(ii)との比が1:1の比である。
【0124】
一部の実施形態において、ミセルは、1:99の式(III)のブロックコポリマー対式(I)のブロックコポリマーを含む。一部の実施形態において、ミセルは、99:1の式(III)のブロックコポリマー対式(I)のブロックコポリマーを含む。一部の実施形態において、ミセルは、1:99の式(III)のブロックコポリマー対式(II)のブロックコポリマーを含む。一部の実施形態において、ミセルは、99:1の式(III)のブロックコポリマー対式(II)のブロックコポリマーを含む。
【0125】
一部の実施形態において、ミセルは、(i)式(III)のブロックコポリマー;(ii)式(I)のブロックコポリマー;及び(iii)式(II)のブロックコポリマーを含む。一部の実施形態において、ミセルは、均等部の構成成分(i)、(ii)及び(iii)を含む。一部の実施形態において、ミセルは、不均等部の構成成分(i)、(ii)及び(iii)を含む。
【0126】
一部の実施形態において、各異なる型のブロックコポリマーは、異なる治療剤にコンジュゲートされている。一部の実施形態において、各異なる型のブロックコポリマーは、同じ治療剤にコンジュゲートされている。
【0127】
別の態様において、本明細書において表されているのは、以下を含むミセルである:(i)式(III)のブロックコポリマー;(ii)式(I)のブロックコポリマー及び/又は式(II)のブロックコポリマー;並びに(iii)ブロックコポリマーによってカプセル化された治療剤。一部の実施形態において、治療剤は、ミセル内に非共有結合的にカプセル化されている。
【0128】
がん治療におけるミセルの使用は、ミセルのサイズにより部分的に、抗腫瘍効力を増強するとともに健常組織に対する毒性を低減することができる。ある特定の化学療法剤などの小分子が正常及び腫瘍組織の両方に進入することができる一方で、非標的化ミセルナノ粒子は、優先的に、漏出性腫瘍脈管構造を横切ることができる。ミセルのサイズは、典型的に、ナノメートルスケールである(すなわち、直径が約1nm~1μmの間)。一部の実施形態において、ミセルは、約10~約200nmのサイズを有する。一部の実施形態において、ミセルは、約20~約100nmのサイズを有する。一部の実施形態において、ミセルは、約30~約50nmのサイズを有する。一部の実施形態において、ミセルは、約1μm未満の直径を有する。一部の実施形態において、ミセルは、約100nm未満の直径を有する。一部の実施形態において、ミセルは、約50nm未満の直径を有する。
【0129】
pH応答性組成物
別の態様において、本明細書において表されているのは、pH応答性組成物である。本明細書において開示されているpH応答性組成物は、ブロックコポリマー及び治療剤を含む1つ以上のpH応答性ミセル及び/又はナノ粒子を含む。各ブロックコポリマーは、親水性ポリマーセグメント及び疎水性ポリマーセグメントを含み、ここで、疎水性ポリマーセグメントは、pH感受性にするイオン化可能なアミン基を含む。このpH感受性は、薬物/治療薬-コンジュゲート治療薬として適当な組成物を提供するために利用される。
【0130】
該ミセルは、特定の細胞又は微小環境を標的化するために生理学範囲内で異なるpH遷移値を有することができる。一部の実施形態において、ミセルは、約5~約8、又はその中の任意の値のpH遷移値を有する。一部の実施形態において、ミセルは、約5~約6のpH遷移値を有する。一部の実施形態において、ミセルは、約6~約7のpH遷移値を有する。一部の実施形態において、ミセルは、約7~約8のpH遷移値を有する。一部の実施形態において、ミセルは、約6.3~約6.9のpH遷移値を有する。一部の実施形態において、ミセルは、約5.0~約6.2のpH遷移値を有する。一部の実施形態において、ミセルは、約5.9~約6.2のpH遷移値を有する。一部の実施形態において、ミセルは、約5.0~約5.5のpH遷移値を有する。一部の実施形態において、pH遷移点は、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4又は5.5である。一部の実施形態において、pH遷移点は、約4.8である。一部の実施形態において、pH遷移点は、約4.9である。一部の実施形態において、pH遷移点は、約5.0である。一部の実施形態において、pH遷移点は、約5.1である。一部の実施形態において、pH遷移点は、約5.2である。一部の実施形態において、pH遷移点は、約5.3である。一部の実施形態において、pH遷移点は、約5.4である。一部の実施形態において、pH遷移点は、約5.5である。
【0131】
本開示のpH感受性ミセル組成物は、有利には、pH応答が非常に広い(すなわち、2pH単位)他のpH感受性組成物と対照的に、狭いpH遷移範囲を有することができる。一部の実施形態において、ミセルは、約1未満のpH単位のpH遷移範囲を有する。各種実施形態において、ミセルは、約0.9未満、約0.8未満、約0.7未満、約0.6未満、約0.5未満、約0.4未満、約0.3未満、約0.2未満、約0.1未満のpH単位のpH遷移範囲を有する。一部の実施形態において、ミセルは、約0.5未満のpH単位のpH遷移範囲を有する。一部の実施形態において、ミセルは、約0.25未満のpH単位のpH遷移範囲を有する。狭いpH遷移範囲は、有利には、より鋭いpH応答を提供し、ここで、ミセルは、特定の位置でカーゴを放出するために開くことができる(例えば、腫瘍又は特定の小器官の内側)。
【0132】
一部の実施形態において、pH応答性組成物は、発光スペクトルを有する。一部の実施形態において、発光スペクトルは、600~800nmである。一部の実施形態において、発光スペクトルは、700~800nmである。
【0133】
III.使用の方法
がん細胞がグルコースを優先的に取り込み、それを乳酸又は他の酸に変換するワールブルク効果として公知の好気性解糖が、全ての固体がんにおいて生じる。乳酸又は他の酸は、モノカルボキシレート輸送体又は他の輸送体により細胞外空間に優先的に蓄積する。細胞外空間の結果として得られた酸性化は、さらなる腫瘍侵襲及び転移のために細胞外マトリックスのリモデリングを促進する。
【0134】
本明細書において提供されている一部の実施形態は、生理的pH(7.35~7.45)でミセルを形成する化合物を記載している。一部の実施形態において、本明細書に記載されている化合物は、治療剤に共有結合的に又は非共有結合的にコンジュゲートされている。一部の実施形態において、ミセルは、2×10ダルトンよりも大きい分子量を有する。一部の実施形態において、ミセルは、約2.7×10ダルトンの分子量を有する。一部の実施形態において、治療剤は、生理的pH(7.35~7.45)でミセルコア内に捕捉される(例えば、血液循環中)。一部の実施形態において、ミセルが酸性環境(例えば、腫瘍組織)に遭遇する場合、ミセルは、約3.7×10ダルトンの平均分子量を有するジブロックコポリマーユニマーなどの個々の化合物に解離し、治療剤の放出を可能にする。一部の実施形態において、ミセルは、pH遷移点より低いpH(例えば、腫瘍微小環境の酸性状態)で解離する。
【0135】
一部の実施形態において、治療剤は、ミセルの内部に組み込むことができる。特定のpH条件(例えば、腫瘍及びエンドサイトーシス区画中にみられる酸性pH)は、急速なプロトン化及びユニマーへのミセルの解離に至り、それによって、治療剤(例えば、薬物)を放出することができる。一部の実施形態において、ミセルは、生理学的pH(pH7.4)で安定な薬物カプセル化を提供するが、酸性環境において薬物を迅速に放出することができる。
【0136】
一部の例において、本明細書に記載されているpH感受性ミセル組成物は、狭いpH遷移範囲を有する。一部の実施形態において、本明細書に記載されているミセルは、1未満のpH単位のpH遷移範囲(ΔpH10~90%)を有する。各種実施形態において、ミセルは、約0.9未満、約0.8未満、約0.7、未満約0.6未満、約0.5未満、約0.4未満、約0.3未満、約0.2未満、約0.1未満のpH単位のpH遷移範囲を有する。一部の実施形態において、ミセルは、約0.5未満のpH単位のpH遷移範囲を有する。一部の実施形態において、pH遷移範囲は、0.25未満のpH単位である。一部の実施形態において、pH遷移範囲は、0.15未満のpH単位である。この鋭い遷移点は、ミセルが腫瘍微小環境の酸pHで解離するのを可能にする。
【0137】
本明細書に記載されているミセルは、薬物送達剤として使用することができる。薬物を含むミセルは、例えばがん、又は薬物が局在化pH差異(例えば、生理学的pH(7.4)と異なるpH)により適切な位置に送達され得る他の疾患を治療するために使用することができる。一部の実施形態において、治療される障害は、がんである。一部の実施形態において、がんは、固形腫瘍を含む。一部の実施形態において、腫瘍は、原発腫瘍の遷移からの続発性腫瘍である。一部の実施形態において、薬物送達は、リンパ節に又は腹膜若しくは胸膜表面に対するものであり得る。
【0138】
一部の実施形態におけるのは、本明細書において開示されているブロックコポリマー、ミセル又は組成物のいずれかの治療有効量を対象に投与することを含む、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法である。
【0139】
一部の実施形態において、がんは、癌、肉腫、リンパ腫、白血病、黒色腫、中皮腫、多発性骨髄腫又は精上皮腫である。
【0140】
一部の実施形態において、腫瘍は、がんである。一部の実施形態において、がんは、乳がん、頭頸部扁平細胞癌(NHSCC)、肺がん、子宮頸がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、膀胱がん、尿道がん、腎臓がん、食道がん、結腸直腸がん、腹膜転移、脳又は皮膚(黒色腫及び肉腫を含める)である。一部の実施形態において、がんは、乳がん、頭頸部扁平細胞癌(NHSCC)、食道がん、腎がん又は結腸直腸がんである。一部の実施形態において、がんは、乳がんである。一部の実施形態において、がんは、頭頸部扁平細胞癌(NHSCC)である。一部の実施形態において、がんは、食道がんである。一部の実施形態において、がんは、結腸直腸がんである。
【0141】
一部の実施形態において、がんは固形腫瘍である。
【0142】
一部の実施形態において、腫瘍は、約5%、約10%、約15%、約25%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%又は約90%低減される。一部の実施形態において、腫瘍は、約50%低減される。一部の実施形態において、腫瘍は、約60%低減される。一部の実施形態において、腫瘍は、約70%低減される。一部の実施形態において、腫瘍は、約75%低減される。一部の実施形態において、腫瘍は、約80%低減される。一部の実施形態において、腫瘍は、約85%低減される。一部の実施形態において、腫瘍は、約90%低減される。一部の実施形態において、腫瘍は、約95%低減される。一部の実施形態において、腫瘍は、約99%低減される。
【0143】
一部の実施形態において、がんは、固形腫瘍ではない。
【0144】
投薬の方法及び治療レジメン
本開示の医薬組成物は、投与の意図される方法又は経路と適合性のあるように製剤化することができ;例証的な投与経路は、本明細書において説明されている。一部の実施形態において、本明細書において開示されている医薬組成物は、経口、静脈内(IV)、筋肉内、皮下、皮内注射又は腫瘍内注射による投薬又は投与のための形態である。一部の実施形態において、医薬組成物は、経口、筋肉内、皮下又は静脈内投与のために製剤化される。一部の実施形態において、医薬組成物は、静脈内投与のために製剤化される。一部の実施形態において、医薬組成物は、静脈内(IV)投与のための水溶液又は懸濁液として製剤化される。一部の実施形態において、医薬組成物は、単一用量として投与するために製剤化される。一部の実施形態において、本明細書において開示されている医薬組成物は、IVによってボーラスとして投与するために製剤化される。一部の実施形態において、本明細書において開示されている医薬組成物は、腫瘍中への注射として投与するために製剤化される。
【0145】
一部の実施形態において、本明細書において開示されている化合物を含有する組成物は、予防的治療及び/又は治療的治療のために投与される。ある特定の治療用途において、組成物は、疾患又は状態をすでに患う患者に、疾患又は状態の症状の少なくとも1つを治癒する又は少なくとも部分的に停止するのに十分な量で投与される。この使用に有効な量は、疾患又は状態の重症度及び過程、前の治療、患者の健康状態、体重及び薬物への応答、並びに治療する医師の判断次第である。治療有効量は、任意選択的に、以下に限定されないが用量漸増臨床試験を含めた方法によって決定される。
【0146】
典型的な投与量は、1用量当たり約0.001mg~約100mg/kgを範囲とする。一部の実施形態において、用量範囲は、約0.01mg~約50mg/kgである。一部の実施形態において、用量のさらなる範囲は、1用量当たり約0.05mg~約10mg/kgである。一部の実施形態において、用量は、約50mg/kgである。一部の実施形態において、用量は、約100mg/kgである。正確な投与量は、投与の頻度及びモード、治療される対象の性別、年齢、体重及び全般的な健康、治療される状態の性質及び重症度及び治療される任意の付随疾患、並びに当業者に明らかな他の因子に依存する。
【0147】
ある特定の実施形態において、投与されている組成物の用量は、一時的に低減する又は時間のある特定の長さの間一時的に中止する(すなわち、「休薬日」)ことができる。
【0148】
一部の実施形態において、方法は、組成物を1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、組成物を2回以上投与することを含む。一部の実施形態において、組成物は、1日当たり1回投与される。
【0149】
一部の実施形態において、対象は、哺乳動物である。一部の実施形態において、対象はヒトである。
【0150】
組合せ治療
別の態様において、本明細書において開示されている組成物は、1つ以上の追加の治療とともに投与される。一部の実施形態において、方法は、第2の抗がん治療をさらに含む。一部の実施形態において、第2の抗がん治療は、外科手術、化学療法、放射線治療、遺伝子治療又は免疫療法である。一部の実施形態において、第2の抗がん治療は、免疫療法である。一部の実施形態において、免疫療法は、チェックポイント治療である。一部の実施形態において、第2の抗がん治療は、放射線治療である。一部の実施形態において、第2の治療は、外科手術である。
【0151】
定義
以下の記載において、様々な実施形態の徹底的な理解を提供するために、ある特定の具体的な詳細が説明される。しかしながら、当業者は、本発明がこれらの詳細なく実践することができることを理解されよう。他の例において、周知の構造は、実施形態の不必要に不明瞭な記載を回避するために、示されていない又は詳細に記載されていない。文脈が別段に必要としない限り、以下に続く本明細書及び請求項の全体にわたって、「含む(comprise)」という単語及びその変動、例えば、「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」は、オープンな包含的な意味で、すなわち、「以下に限定されないが、を含めて」として解釈されるべきである。さらに、本明細書において提供されている見出しは、便宜上のためであり、請求項に係る発明の範囲又は意味を解釈するものでない。
【0152】
本明細書及び添付の請求項において使用されている場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、内容が別段に明らかに指示していない限り、複数の参照対象を含む。「又は」という用語は、内容が別段に明らかに指示していない限り、「及び/又は」を含めたそれの意味で一般に用いられることも注記されるべきである。
【0153】
下記の用語は、本明細書で使用される場合、別段に表示されていない限り以下の意味を有する:
「オキソ」は、=O置換基を指す。
【0154】
「チオキソ」は、=S置換基を指す。
【0155】
「アルキル」は、1~20個の炭素原子を有するとともに単結合によって分子の残りに結合している直鎖又は分岐の炭化水素鎖基を指す。最大10個までの炭素原子を含むアルキルは、C~C10アルキルと称され、同様に、例えば、最大6個までの炭素原子を含むアルキルは、C~Cアルキルである。他の数の炭素原子を含むアルキル(及び本明細書において定義されている他の部分)は、同様に表される。アルキル基としては、以下に限定されないが、C~C10アルキル、C~Cアルキル、C~Cアルキル、C~Cアルキル、C~Cアルキル、C~Cアルキル、C~Cアルキル、C~Cアルキル、C~Cアルキル、C~Cアルキル、C~Cアルキル及びC~Cアルキルが挙げられる。代表的なアルキル基としては、以下に限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル(i-プロピル)、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(t-ブチル)、3-メチルヘキシル、2-メチルヘキシル、1-エチル-プロピルなどが挙げられる。一部の実施形態において、アルキルは、メチル、エチル、s-ブチル又は1-エチル-プロピルである。本明細書において具体的に別段に明記されていない限り、アルキル基は、下に記載されている通り任意選択的に置換されていてよい。「アルキレン」又は「アルキレン鎖」は、分子の残りをラジカル基に連結する直鎖又は分岐の二価の炭化水素鎖を指す。一部の実施形態において、アルキレンは、飽和されている。一部の実施形態において、アルキレンは、-CH-、-CHCH-又は-CHCHCH-である。一部の実施形態において、アルキレンは、-CH-である。一部の実施形態において、アルキレンは、-CHCH-である。一部の実施形態において、アルキレンは、-CHCHCH-である。
【0156】
「アルコキシ」は、Rが定義されている通りのアルキル基である式-ORの基を指す。本明細書において具体的に別段に明記されていない限り、アルコキシ基は、下に記載されている通り任意選択的に置換されていてよい。代表的なアルコキシ基としては、以下に限定されないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシが挙げられる。一部の実施形態において、アルコキシはメトキシである。一部の実施形態において、アルコキシはエトキシである。
【0157】
「ヘテロアルキレン」は、アルキルの1個以上の炭素原子がO、N又はS原子と置き換えられる上に記載されている通りのアルキル基を指す。「ヘテロアルキレン」又は「ヘテロアルキレン鎖」は、分子の残りをラジカル基に連結する直鎖又は分岐の二価のヘテロアルキル鎖を指す。本明細書において具体的に別段に明記されていない限り、ヘテロアルキル基又はヘテロアルキレン基は、下に記載されている通り任意選択的に置換されていてよい。代表的なヘテロアルキル基としては、以下に限定されないが、-OCHOMe、-OCHCHOMe又は-OCHCHOCHCHNHが挙げられる。代表的なヘテロアルキレン基としては、以下に限定されないが-OCHCHO-、-OCHCHOCHCHO-又は-OCHCHOCHCHOCHCHO-が挙げられる。
【0158】
「アルキルアミノ」は、各Rが独立して、上記で定義されている通りのアルキル基である式-NHR又は-NRRの基を指す。本明細書において具体的に別段に明記されていない限り、アルキルアミノ基は、下に記載されている通り任意選択的に置換されていてよい。
【0159】
「芳香族」という用語は、nが整数である4n+2π電子を含有する非局在化π電子系を有する平面環を指す。芳香族は、任意選択的に置換されていてよい。「芳香族」という用語は、アリール基(例えば、フェニル、ナフタレニル)及びヘテロアリール基(例えば、ピリジニル、キノリニル)の両方を含む。
【0160】
「アリール」は、環を形成する原子の各々が炭素原子である芳香族環を指す。アリール基は、任意選択的に置換されていてよい。アリール基の例としては、以下に限定されないが、フェニル及びナフタレニルが挙げられる。一部の実施形態において、アリールはフェニルである。構造に依存して、アリール基は、モノラジカル又はジラジカル(すなわち、アリーレン基)であり得る。本明細書において具体的に別段に明記されていない限り、「アリール」という用語又は接頭辞「ar-」(例えば、「アラルキル」における)は、任意選択的に置換されているアリール基を含むと意味される。
【0161】
「カルボキシ」は、-COHを指す。一部の実施形態において、カルボキシ部分は、カルボン酸部分と同様の物理的及び/又は化学的な特性を呈する官能基又は部分を指す「カルボン酸生物学的等価体」と置き換えることができる。カルボン酸生物学的等価体は、カルボン酸基のものと同様の生物学的特性を有する。カルボン酸部分を有する化合物は、カルボン酸生物学的等価体と交換されたカルボン酸部分を有し、カルボン酸含有化合物と比較した場合に同様の物理的及び/又は生物学的特性を有することができる。例えば、一実施形態において、カルボン酸生物学的等価体は、生理学的pHでカルボン酸基とおおよそ同じ程度にイオン化する。カルボン酸の生物学的等価体の例としては、限定されないが、以下が挙げられる:
【0162】
【化42】
など。
【0163】
「シクロアルキル」は、環を形成する原子の各々(すなわち、骨格原子)が炭素原子である、単環式又は多環式の非芳香族基を指す。シクロアルキルは、飽和又は部分不飽和されていてよい。シクロアルキルは、芳香族環と縮合されていてよい(この場合、シクロアルキルは、非芳香族環炭素原子を介して結合されている)。シクロアルキル基は、3~10個の環原子を有する基を含む。一部の実施形態において、シクロアルキルは、C~Cシクロアルキルである。一部の実施形態において、シクロアルキルは、3~6員シクロアルキルである。代表的なシクロアルキルとしては、以下に限定されないが、3~10個の炭素原子、3~8個の炭素原子、3~6個の炭素原子、又は3~5個の炭素原子を有するシクロアルキルが挙げられる。単環式シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルが挙げられる。一部の実施形態において、単環式シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシルである。多環式基としては、例えば、アダマンチル、ノルボルニル、デカリニル、及び3,4-ジヒドロナフタレン-1(2H)-オンが挙げられる。本明細書において具体的に別段に明記されていない限り、シクロアルキル基は、任意選択的に置換されていてよい。
【0164】
「縮合されている」は、存在する環構造に縮合されている、本明細書に記載されている任意の環構造を指す。縮合環がヘテロシクリル環又はヘテロアリール環である場合、縮合ヘテロシクリル環又は縮合ヘテロアリール環の一部となる存在する環構造上の任意の炭素原子は、窒素原子と置き換えることができる。
【0165】
「ハロ」又は「ハロゲン」は、ブロモ、クロロ、フルオロ又はヨードを指す。
【0166】
「ハロアルキル」は、上記で定義されている通りの1個以上のハロ基によって置換されている上記で定義されている通りのアルキル基、例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、トリクロロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1,2-ジフルオロエチル、3-ブロモ-2-フルオロプロピル、1,2-ジブロモエチルなどを指す。本明細書において具体的に別段に明記されていない限り、ハロアルキル基は、任意選択的に置換されていてよい。
【0167】
「ハロアルコキシ」は、上記で定義されている通りの1個以上のハロ基によって置換されている上記で定義されている通りのアルコキシ基、例えば、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、フルオロメトキシ、トリクロロメトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、1,2-ジフルオロエトキシ、3-ブロモ-2-フルオロプロポキシ、1,2-ジブロモエトキシなどを指す。本明細書において具体的に別段に明記されていない限り、ハロアルコキシ基は、任意選択的に置換されていてよい。
【0168】
「ヘテロシクロアルキル」又は「ヘテロシクリル」又は「複素環式環」は、2~13個の炭素原子並びに窒素、酸素及び硫黄からなる群から選択される1~6個のヘテロ原子を含む安定な3~14員非芳香族環基を指す。一部の実施形態において、ヘテロシクロアルキルは、C~Cヘテロシクロアルキルである。一部の実施形態において、ヘテロシクロアルキルは、C~Cヘテロシクロアルキルである。一部の実施形態において、ヘテロシクロアルキルは、C~Cヘテロシクロアルキルである。一部の実施形態において、ヘテロシクロアルキルは、3~8員ヘテロシクロアルキルである。一部の実施形態において、ヘテロシクロアルキルは、3~7員ヘテロシクロアルキルである。一部の実施形態において、ヘテロシクロアルキルは、3~6員ヘテロシクロアルキルである。一部の実施形態において、ヘテロシクロアルキルは、3~5員ヘテロシクロアルキルである。本明細書において具体的に別段に明記されていない限り、ヘテロシクロアルキル基は、縮合環系(アリール又はヘテロアリール環と縮合されている場合、ヘテロシクロアルキルは非芳香族環原子を介して結合されている)又は架橋環系を挙げることができる単環式又は二環式環系であってよい。ヘテロシクリル基における窒素、炭素又は硫黄原子は、任意選択的に酸化することができる。窒素原子は、任意選択的に四級化することができる。ヘテロシクロアルキル基は、部分的又は完全に飽和されている。こうしたヘテロシクロアルキル基の例としては、以下に限定されないが、ジオキソラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、トリチアニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1-オキソ-チオモルホリニル、1,1-ジオキソ-チオモルホリニルが挙げられる。ヘテロシクロアルキルという用語は、以下に限定されないが単糖類、二糖類及びオリゴ糖類を含めて、炭水化物の全ての環形態も含む。別段に注記されていない限り、ヘテロシクロアルキルは、環中に2~10個の炭素を有する。一部の実施形態において、ヘテロシクロアルキルは、環中に2~8個の炭素を有する。一部の実施形態において、ヘテロシクロアルキルは、環中に2~8個の炭素、及び1個又は2個のN原子を有する。ヘテロシクロアルキルにおける炭素原子の数について言及する場合、ヘテロシクロアルキルにおける炭素原子の数は、ヘテロシクロアルキル(すなわち、ヘテロシクロアルキル環の骨格原子)を構成する原子の合計数(ヘテロ原子を含める)と同じではないと理解される。本明細書において具体的に別段に明記されていない限り、ヘテロシクロアルキル基は、任意選択的に置換されていてよい。
【0169】
「ヘテロアリール」は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1個以上の環ヘテロ原子を含むアリール基を指す。ヘテロアリールは、単環式又は二環式である。一部の実施形態において、ヘテロアリールは、5員又は6員のヘテロアリールである。一部の実施形態において、ヘテロアリールは、5員ヘテロアリールである。一部の実施形態において、ヘテロアリールは、6員ヘテロアリールである。単環式ヘテロアリールの例示的な例としては、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、ピリダジニル、トリアジニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、インドリジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インダゾール、ベンズイミダゾール、プリン、キノリジン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、1,8-ナフチリジン及びプテリジンが挙げられる。単環式ヘテロアリールの例示的な例としては、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、ピリダジニル、トリアジニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル及びフラザニルが挙げられる。二環式ヘテロアリールの例示的な例としては、インドリジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インダゾール、ベンズイミダゾール、プリン、キノリジン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、1,8-ナフチリジン及びプテリジンが挙げられる。一部の実施形態において、ヘテロアリールは、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、チアゾリル、チエニル、チアジアゾリル又はフリルである。一部の実施形態において、ヘテロアリールは、環中に0~4個のN原子を含有する。一部の実施形態において、ヘテロアリールは、環中に1~4個のN原子を含有する。一部の実施形態において、ヘテロアリールは、環中に0~4個のN原子、0~1個のO原子、及び0~1個のS原子を含有する。一部の実施形態において、ヘテロアリールは、環中に1~4個のN原子、0~1個のO原子、及び0~1個のS原子を含有する。
【0170】
「任意選択的に置換されている」又は「置換されている」という用語は、参照されている基が、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、-OH、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、アリールスルホン、-CN、アルキン、C~Cアルキルアルキン、ハロゲン、アシル、アシルオキシ、-COH、-COアルキル、ニトロ並びに一置換及び二置換アミノ基(例えば、-NH、-NHR、-N(R))を含めたアミノ、並びにその保護誘導体から個々に及び独立して選択される1個以上の追加の基で置換されていてよいことを意味する。一部の実施形態において、任意選択の置換基は、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、シクロアルキル、ハロゲン、-CN、-NH、-NH(CH)、-N(CH、-OH、-COH及び-COアルキルから独立して選択される。一部の実施形態において、任意選択の置換基は、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、-CH、-CHCH、-CF、-OCH及び-OCFから独立して選択される。一部の実施形態において、任意選択の置換基は、フルオロ、クロロ、-CH、-CF、-OCH及び-OCFから独立して選択される。一部の実施形態において、置換されている基は、先行する基の1個又は2個で置換されている。一部の実施形態において、脂肪族炭素原子上の任意選択の置換基(芳香族炭素原子を除外する、非環式又は環式の飽和又は不飽和の炭素原子)は、オキソ(=O)を含む。
【0171】
「マレイミド残基」は、マレイミド基と例えばタンパク質のチオール硫黄原子との反応に起因する化合物構造を指す。
【0172】
「互変異性体」は、分子の1個の原子から同じ分子の別の原子へのプロトンシフトを指す。本明細書において表されている化合物は、互変異性体として存在することができる。互変異性体は、単結合及び隣接する二重結合の切り換えを伴う水素原子の移動によって相互変換可能である化合物である。互変異性化が可能である結合配置において、互変異性体の化学平衡が存在する。本明細書において開示されている化合物の全ての互変異性体形態が企図される。互変異性体の正確な比は、温度、溶媒及びpHを含めて、いくつかの因子に依存する。互変異性の相互変換の一部の例としては、以下が挙げられる:
【0173】
【化43】
【0174】
「同時投与」という用語などは、本明細書で使用される場合、単一患者への選択された治療剤の投与を包含することが意味され、薬剤が同一若しくは異なる投与経路によって又は同一若しくは異なる時間で投与される治療レジメンを含むことが意図される。
【0175】
「有効量」又は「治療有効量」という用語は、本明細書で使用される場合、治療されている疾患又は状態の症状の1つ以上をある程度緩和する、投与される薬剤又は化合物の十分な量を指す。結果は、疾患の兆候、症状若しくは原因の低減及び/若しくは軽減、又は生物系の任意の他の所望の変更であり得る。例えば、治療的使用のための「有効量」は、疾患症状の臨床的に著しい減少を提供するのに必要とされる、本明細書において開示されている通りの化合物を含む組成物の量である。任意の個々の場合における適切な「有効」量は、用量漸増研究などの技法を使用して決定することができる。
【0176】
別段に明記されていない限り、この出願において使用される以下の用語は、下記に与えられている定義を有する。「含めて(including)」という用語、並びに「含む(include)」、「含む(includes)」及び「含まれる(included)」などの他の形態の使用は、限定するものでない。本明細書において使用されているセクション見出しは、組織化の目的だけのためであり、記載されている対象物を限定していると解釈されるべきでない。
【0177】
「薬学的に許容される」は、本明細書で使用される場合、ブロックコポリマーの生物学的活性又は特性を抑制しないとともに相対的に非毒性である担体又は希釈液などの材料に参照し、すなわち、材料は、望ましくない生物学的影響を引き起こすこと又はそれが含有される組成物の構成成分のいずれかと有害な方式で相互作用することなく、個体に投与される。
【0178】
「薬学的に許容される塩」という用語は、適当なアニオンとの組合せにおける治療的に活性な薬剤のカチオン形態、又は代替実施形態において、適当なカチオンとの組合せにおける治療的に活性な薬剤のアニオン形態からなる治療的に活性な薬剤の形態を指す。Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties、Selection and Use。国際純正応用化学連合、Wiley-VCH 2002。S.M.Berge、L.D.Bighley、D.C.Monkhouse、J.Pharm.Sci.1977、66、1~19。P.H.Stahl及びC.G.Wermuth、editors、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties、Selection and Use、Weinheim/Zurich:Wiley-VCH/VHCA、2002。医薬塩は、典型的に、胃及び腸液中で非イオン種よりも可溶性及び急速に可溶性であり、そのため、固体剤形において有用である。さらに、それらの可溶度がしばしばpHの関数であるので、消化管の1つの又は別の部分における選択的な溶解が可能であり、これは遅延及び徐放の挙動の一態様として操作することができる。その上、塩形成分子が中性形態と平衡状態であり得るので、生物学的膜を介する通過は調整することができる。
【0179】
一部の実施形態において、薬学的に許容される塩は、ブロックコポリマーを酸と反応させることによって得られる。一部の実施形態において、本明細書において開示されているブロックコポリマー(すなわち、遊離塩基形態)は、塩基性であり、有機酸又は無機酸と反応される。無機酸としては、以下に限定されないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸及びメタリン酸が挙げられる。有機酸/としては、以下に限定されないが、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸;2,2-ジクロロ酢酸;2-ヒドロキシエタンスルホン酸;2-オキソグルタル酸;4-アセトアミド安息香酸;4-アミノサリチル酸;酢酸;アジピン酸;アスコルビン酸(L);アスパラギン酸(L);ベンゼンスルホン酸;安息香酸;ショウノウ酸(+);カンファー-10-スルホン酸(+);カプリン酸(デカン酸);カプロン酸(ヘキサン酸);カプリル酸(オクタン酸);炭酸;ケイ皮酸;クエン酸;シクラミン酸;ドデシル硫酸;エタン-1,2-ジスルホン酸;エタンスルホン酸;ギ酸;フマル酸;ガラクタル酸;ゲンチジン酸;グルコヘプタン酸(D);グルコン酸(D);グルクロン酸(D);グルタミン酸;グルタル酸;グリセロリン酸;グリコール酸;馬尿酸;イソ酪酸;乳酸(DL);ラクトビオン酸;ラウリン酸;マレイン酸;リンゴ酸(-L);マロン酸;マンデル酸(DL);メタンスルホン酸;ナフタレン-1,5-ジスルホン酸;ナフタレン-2-スルホン酸;ニコチン酸;オレイン酸;シュウ酸;パルミチン酸;パモ酸;リン酸;プロピオン酸;ピログルタミン酸(-L);サリチル酸;セバシン酸;ステアリン酸;コハク酸;硫酸;酒石酸(+L);チオシアン酸;トルエンスルホン酸(p);及びウンデシレン酸が挙げられる。
【0180】
一部の実施形態において、本明細書において開示されているブロックコポリマーは、塩化物塩、サルフェート塩、臭化物塩、メシレート塩、マレエート塩、シトレート塩又はホスフェート塩として調製される。
【0181】
一部の実施形態において、薬学的に許容される塩は、本明細書において開示されているブロックコポリマーを塩基と反応させることによって得られる。一部の実施形態において、本明細書において開示されているブロックコポリマーは、酸性であり、塩基と反応される。こうした状況において、本明細書において開示されているブロックコポリマーの酸性プロトンは、金属イオン、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム又はアルミニウムイオンによって置き換えられる。一部の場合において、本明細書に記載されているブロックコポリマーは、以下に限定されないが、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、メグルミン、N-メチルグルカミン、ジシクロヘキシルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミンなどの有機塩基と配位する。他の場合において、本明細書に記載されているブロックコポリマーは、アミノ酸、例えば、以下に限定されないが、アルギニン、リジンなどと塩を形成する。酸性プロトンを含むブロックコポリマーと塩を形成するために使用される許容可能な無機塩基としては、以下に限定されないが、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどが挙げられる。一部の実施形態において、本明細書において提供されているブロックコポリマーは、ナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、メラミン塩、N-メチルグルカミン塩又はアンモニウム塩として調製される。
【0182】
薬学的に許容される塩への言及は、溶媒付加形態を含むと理解されるべきである。一部の実施形態において、溶媒和物は、溶媒の化学量論量又は非化学量論量のいずれかを含有し、薬学的に許容される溶媒、例えば、水、エタノールなどとの結晶化のプロセス中に形成される。水和物は、溶媒が水である場合に形成される、又はアルコラートは、溶媒がアルコールである場合に形成される。本明細書に記載されている化合物の溶媒和物は、好都合には、本明細書に記載されているプロセス中に調製又は形成される。加えて、本明細書において提供されている化合物は、任意選択的に、非溶媒和並びに溶媒和の形態で存在する。
【0183】
本明細書に記載されている方法及び製剤は、N-オキシド(適切な場合)、又は式(I)、(I-a)、(I-b)、(I-b2)、(I-c)、(II)、(II-a)、(II-b)、(II-b2)、(III)若しくは(III-c)のいずれかの構造を有するブロックコポリマーの薬学的に許容される塩、並びに同じ型の活性を有するこれらの化合物の活性代謝物の使用を含む。
【0184】
別の実施形態において、本明細書に記載されている化合物は、同位体的に(例えば、放射性同位体で)、又は以下に限定されないが、発色団若しくは蛍光性部分、生物発光標識、若しくは化学発光標識の使用を含めて、別の他の手段によって標識化される。
【0185】
本明細書に記載されている化合物は、1個以上の原子が、自然界に通常見出される原子質量又は質量数と異なる原子質量又は質量数を有する原子によって置き換えられるという事実を別にすれば、本明細書において表されている様々な式及び構造に列挙されているものと同一である同位体標識化化合物を含む。本化合物に組み込むことができる同位体の例としては、例えば、H、H、13C、14C、15N、18O、17O、35S、18F、36Cl、123I、124I、125I、131I、32P及び33Pなど、水素、炭素、窒素、酸素、硫黄、フッ素塩素、ヨウ素、リンの同位体が挙げられる。一態様において、本明細書に記載されている同位体標識化化合物、例えば、H及び14Cなどの放射性同位元素が組み込まれているものは、薬物及び/又は基質組織分布アッセイにおいて有用である。一態様において、重水素などの同位体での置換は、例えば、インビボ半減期の増加又は投与量要求の低減など、より大きな代謝安定性に起因するある特定の治療的利点を与える。
【0186】
本明細書で使用される場合、「pH応答性系」、「pH応答性組成物」、「ミセル」、「pH応答性ミセル」、「pH感受性ミセル」、「pH活性化可能ミセル」及び「pH活性化可能ミセル(pHAM)ナノ粒子」は、pH(例えば、ある特定のpHの上又は下)に依存して解離する、1種以上の化合物を含むミセルを示すために本明細書において相互交換可能に使用される。非限定的な例として、ある特定のpHで、式(II)のブロックコポリマーは、実質的にミセル形態である。pHが変化(例えば、減少)すると、ミセルは解離し始め、pHがさらに変化(例えば、さらに減少)すると、式(II)のブロックコポリマーは、実質的に解離(非ミセル)形態で存在する。
【0187】
本明細書で使用される場合、「pH遷移範囲」は、ミセルが解離するpH範囲を示す。
【0188】
本明細書で使用される場合、「pH遷移値」(pH)は、ミセルの半分が解離されるpHを示す。
【0189】
「ナノプローブ」は、画像化標識化部分を含むpH感受性ミセルを示すために本明細書で使用される。一部の実施形態において、標識化部分は、蛍光染料である。一部の実施形態において、蛍光染料は、インドシアニングリーン染料である。
【0190】
「投与する(administer)」、「投与すること(administering)」、「投与(administration)」などという用語は、本明細書で使用される場合、生物学的作用の所望の部位への化合物又は組成物の送達を可能にするために使用することができる方法を指す。これらの方法としては、以下に限定されないが、経口経路、十二指腸内経路、非経口注射(静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内、血管内又は注入を含める)、局所及び直腸投与が挙げられる。当業者は、本明細書に記載されている化合物及び方法で用いることができる投与技法に精通している。一部の実施形態において、本明細書に記載されている化合物及び組成物は、経口的に投与される。一部の実施形態において、本明細書に記載されている組成物は、静脈内に投与される。
【0191】
「同時投与」などという用語は、本明細書で使用される場合、単一患者への選択された治療剤の投与を包含すると意味され、薬剤が同一若しくは異なる投与経路によって又は同一若しくは異なる時間に投与される治療レジメンを含むと意図される。
【0192】
「有効量」又は「治療有効量」という用語は、本明細書で使用される場合、治療されている疾患又は状態の症状の1つ以上をある程度緩和する、投与される薬剤又は化合物の十分な量を指す。結果としては、疾患の兆候、症状若しくは原因の低減及び/若しくは軽減、又は生物系の任意の他の所望の変更が挙げられる。例えば、治療的使用についての「有効量」は、疾患症状の臨床的に著しい減少を提供するのに必要とされる本明細書において開示されている通りの化合物を含む組成物の量である。任意の個々の場合における適切な「有効」量は、任意選択的に、用量漸増研究などの技法を使用して決定される。
【0193】
「増強する」又は「増強すること」という用語は、本明細書で使用される場合、効力又は持続期間のいずれかにおいて所望の効果を増加又は延長することを意味する。したがって、治療剤の効果を増強することに関して、「増強すること」という用語は、効力又は持続期間のいずれかにおいて、系に対する他の治療剤の効果を増加又は延長する能力を指す。「増強有効量」は、本明細書で使用される場合、所望の系において別の治療剤の効果を増強するのに適切な量を指す。
【0194】
「対象」又は「患者」という用語は、哺乳動物を包含する。哺乳動物の例としては、以下に限定されないが、哺乳動物クラスの任意のメンバー:ヒト、非ヒト霊長類、例えば、チンパンジー、及び他の類人猿及びモンキー種;農場動物、例えば、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ;家畜、例えば、ウサギ、イヌ及びネコ;げっ歯類、例えば、ラット、マウス及びモルモットなどを含めた実験室動物が挙げられる。一態様において、哺乳動物は、ヒトである。
【0195】
「治療する(treat)」、「治療すること(treating)」又は「治療(treatment)」という用語は、本明細書で使用される場合、疾患若しくは状態の少なくとも1つの症状を軽減すること、弱めること若しくは寛解させること、追加の症状を防止すること、疾患若しくは状態を阻害すること、例えば、疾患若しくは状態の発症を抑止すること、疾患若しくは状態を緩和すること、疾患若しくは状態の後退を引き起こすこと、疾患若しくは状態によって引き起こされる状態を緩和すること、又は予防的に及び/若しくは治療的のいずれかで疾患若しくは状態の症状を阻止することを含む。
【0196】
請求項における「又は」という用語の使用は、開示が代替物のみ及び「及び/又は」を指す定義を支持しても、代替物のみを指すことが明白に示されていない限り又は代替物が相互排他的でない限り「及び/又は」を意味するために使用される。この願書の全体にわたって、「約」という用語は、値を決定するために用いられている装置又は方法についての誤差の標準偏差を値が含むことを示すために使用される。長年にわたる特許法に従って、「a」及び「an」という単語は、請求項又は明細書において「含む(comprising)」という単語と併せて使用される場合、具体的に注記されていない限り1つ以上を示す。
【実施例
【0197】
[実施例1] ブロックコポリマーの合成
一般的合成方法
本明細書に記載されているブロックコポリマー及びミセルは、標準合成技術を使用して、又は当技術分野において公知の方法を使用して合成される。
【0198】
別段に表示されていない限り、質量分析、NMR、HPLC、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技術及び薬理学の従来の方法が用いられる。ブロックコポリマーは、例えば、March’s Advanced Organic Chemistry、第6版、John Wiley and Sons、Inc.に記載されているものなど標準的な有機化学技法を使用して調製される
【0199】
本明細書において使用されている一部の略語は、以下の通りである:
DCM:ジクロロメタン
DMAP:4-ジメチルアミノピリジン
DMF:ジメチルホルムアミド
DMF-DMA:N,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール
EDCI:1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
EtOAc:酢酸エチル
EtOH:エタノール
FPLC 高速タンパク質液体クロマトグラフィー
ICG-OSu:インドシアニングリーンスクシンアミドエステル
MeOH:メタノール
PMDETA:N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン
CDI カルボニルジイミダゾール
NHS-カーボネート N-ヒドロキシスクシンイミドカーボネート
SPDB N-スクシンイミジル-4-(2-ピリジルジチオ)ブタノエート
TEA:トリエチルアミン
Hr 時間
ISR 試料再分析の発生
IV 静脈内
kg キログラム
mg ミリグラム
mL ミリリットル
μg マイクログラム
NC 算出されず
NR 報告されず
【0200】
適当なPEGポリマーは、(例えば、Sigma Aldrichから)購入することができる、又は当技術分野において公知の方法に従って合成することができる。一部の実施形態において、親水性ポリマーは、ブロックコポリマーを形成するために疎水性モノマーの重合のための開始剤として使用することができる。例えば、MPCポリマー(例えば、狭く分布されたMPCポリマー)は、市販で利用可能な小分子開始剤、例えば、エチル2-ブロモ-2-メチルプロパノエート(Sigma Aldrich)との原子移動ラジカル重合(ATRP)によって調製することができる。これらの結果として得られたMPCポリマーは、ブロックポリマーを形成するために他のモノマーとさらに共重合するための巨大分子ATRP開始剤として使用することができ、ブロックポリマーは、原子移動ラジカル重合(ATRP)又は可逆的付加-断片化連鎖移動(RAFT)方法を使用して合成することができる。
【0201】
一部の実施形態において、適当なブロックコポリマー及びミセルは、標準合成技術を使用して、又は参照によりそれら全体で本明細書に組み込まれる特許公報番号WO2012039741及びWO2015188157に記載されている方法との組合せにおいて当技術分野で公知の方法を使用して合成することができる。
【0202】
[実施例2] ミセル形成
一般的方法
メタノールは、ガラス丸底フラスコ中でブロックコポリマーに添加され、超音波処理浴を利用して溶解させる。溶解後、結果として得られた溶液は、撹拌子を含有するHDPE瓶に定量的に移され、氷浴を用いて0℃に冷却される。水は、ぜん動ポンプを使用してHDPE瓶中でメタノールポリマー溶液に、撹拌しながら滴下により添加される。ポリマー溶液を含有するHDPE瓶は、氷浴中で維持され、ミセルの形成をもたらす。メタノールは、100kのPellicon(登録商標)2 Mini Ultrafiltration Moduleを介して5サイクルのタンジェンシャルフロー濾過(TFF)を使用してミセル溶液から除去される。
【0203】
単純混合することによって調製されるPEG-PDBA-IL-2製剤
水中のポリマーミセル溶液を注射用水(WFI)で希釈した。リン酸緩衝液中10%(w/w)のIL-2(ポリマーの%)を添加することで、ピペット混合することによって1mg/mLのミセル及び0.1mg/mLのIL-2の溶液を作製した。溶液を室温で10分間インキュベートした。次いで、試料を高速度で微量遠心機中にて周囲温度で遠心分離した(Eppendorf、21,130×g、10分)。溶液を膜限外濾過(Amicon、0.5mL、MWCO 100kDa)によって精製することで、非カプセル化IL-2を全て除去した。次いで、0.5mLの製剤をAmicon超遠心分離装置に添加し、5,000rcfで2~3分間遠心分離した。透過物を捨て、ミセル-IL-2製剤を含有した残余分を注射用水中にて0.5mLに希釈した。このプロセスを10回反復した。製剤中のIL-2濃度を標準曲線に対するウエスタンブロット又はドットブロットによって決定した。
【0204】
FPLCによるPDBA-IL-2製剤の精製
方法(例えば、単純混合すること、酸-塩基滴定など)の1つによるPEG-PDBA-IL-2非共有結合性製剤又はコンジュゲート。Superdex 200 Increase 10/300GLカラム(GE)が備えられているAkta Pure 25M(GE)システムを使用するFPLCによって、粗製PDBA-IL-2製剤を精製した。平衡化を0.75mL/分で1×PBS中にて行った。適切化サイズ化された試料ループ又はスーパーループを使用して、試料注射を行った。複数の波長(例えば、214nm、280nm、700nm)で吸光度をモニタリングしながら、均一溶媒溶出を1×PBS中にて0.5mL/分の流量で行った。画分(0.5mL)を1.5mLチューブ中に回収した。クロマトグラムによって示された通りの製剤及び遊離タンパク質を含有する画分をSDS-PAGE、ウエスタンブロット又はドットブロットによって分析した。製剤中にIL-2を含有する画分をプールした。
【0205】
PEG-PDBA-IL-2製剤二重エマルジョン溶媒蒸発(DESE)
ジクロロメタン(DCM)中の1.0mg/mLのポリマー溶液及びリン酸緩衝液中の1.0mg/mLのIL-2を氷水浴中にて5分間冷やした。IL-2溶液を氷水浴中にて超音波処理条件下で10%(w/w、IL-2/ポリマー)総量で滴下によりポリマー溶液に添加することで、第1のエマルジョン溶液を形成した。第1のエマルジョンを冷水中にて超音波処理条件下で、冷やしたPVA/THL溶液に滴下により添加することで、第2のエマルジョン溶液を形成した。第2のエマルジョン溶液を終夜室温で撹拌した。溶液を膜限外濾過(Amicon、0.5mL、MWCO 100kDa)によって精製することで、非カプセル化IL-2を除去した。次いで、0.5mLの製剤をAmicon超遠心分離装置に添加し、5,000rcfで2~3分間遠心分離した。透過物を捨て、ミセル-IL-2製剤を含有した残余分を注射用水中にて0.5mLに希釈した。このプロセスを10回反復した。製剤中のIL-2濃度を標準曲線に対するウエスタンブロット又はドットブロットによって決定した。
【0206】
酸-塩基滴定によるPEG-PDBA-IL-2製剤
pH4.47のリン酸緩衝液中のポリマー溶液に、リン酸緩衝液中の10%(w/w)IL-2を添加し、室温でボルテックスした。1M NaOH溶液を超音波処理条件下で溶液に添加した。溶液をWFIにより最終濃度1.0mg/mLのポリマー及び0.1mg/mLのIL-2で希釈した。溶液を膜限外濾過(Amicon、0.5mL、MWCO 100kDa)によって精製することで、非カプセル化IL-2を除去した。次に、0.5mLの製剤をAmicon超遠心分離装置に添加し、5,000rcfで2~3分間遠心分離した。透過物を捨て、ミセル-IL-2製剤を含有した残余分を注射用水中にて0.5mLに希釈した。このプロセスを10回反復した。製剤中のIL-2濃度を標準曲線に対するウエスタンブロット又はドットブロットによって決定した。
【0207】
ドットブロットによる製剤中のIL-2及びミセルの定量化
製剤のIL-2含有量及びミセル含有量をドットブロットによって決定した。Dot-Blot器具に0.2μmのニトロセルロース膜を組み入れた。各ウェルを真空下にて200μLの1×PBSで洗浄し、続いて、100μLのPBSで再水和した。試料及び標準物(10~100μL)を添加し、膜に真空を適用した。膜をPBSで2×洗浄した。
【0208】
IL-2免疫ブロッティングを、プローブすることによって、及び2% BSAが補充されたPBS-T(PBSとともに0.05%ツイーン-20)でブロックし、抗IL-2ウサギモノクローナル抗体(Invitrogen、2H20L7、PBS-T中1:1000希釈、1時間)でプローブし、PBS-Tで4回洗浄し、続いて、IRDye(登録商標)680RD(LI-COR、PBS-T中1:5000希釈)で標識化されたロバ-抗ウサギIgGでプローブすることによって行った。ChemiDoc MP(Bio-Rad)を使用することによって検出を行い、ImageLab(Bio-Rad)を使用するデンシトメトリー分析によって画像を定量化した。標準曲線にフィットさせることによって、IL-2含有量を決定した。
【0209】
ポリマー標準曲線に対してポリ-エチレングリコールについて免疫ブロッティングすることによって、ポリマー含有量を決定した。免疫ブロッティングを、2% BSAが補充されたPBSで膜をブロックし、THE(商標)抗-PEG IGM mAb(Genscript、PBS中1:1000希釈)でプローブし、PBSで4回洗浄し、IRDye(登録商標)680RD(LI-COR、PBS中1:5000希釈)で標識化されたヤギ抗マウスIgM(μ鎖特異的)でプローブすることによって行った。ChemiDoc MP(Bio-Rad)を使用することによって検出を行い、ImageLab(Bio-Rad)を使用するデンシトメトリー分析によって画像を定量化した。PEG-PDBA標準曲線にフィットさせることによって、ポリマー含有量を決定した。
【0210】
[実施例3] IL-2及びFabに共有結合的にコンジュゲートされているブロックコポリマー
アミンブロックにおけるIL-2へのPEG-PDBAコンジュゲーション
pH7.5のPBS緩衝液中の500ulの1mg/ml rhIL-2溶液(Genscript Z00368-1)に、13.5ulのSAT(PEG)(Thermo、DMSO中25mM)を添加した。30分後、反応物を1Mトリス-HClによってクエンチし、溶液を室温で15分間撹拌した。溶液を2mL脱塩用カラム(Thermo Zeba、7kDa MWCO)に移し、続いて、100μLの1×PBSをカラムの上部に添加することで、中間体を精製した。溶液を回収するため、167μLの脱アセチル化溶液(0.5Mヒドロキシルアミン、1×PBS中25mM EDTA)を添加し、反応溶液を室温で2時間の間保持した。次いで、溶液を2ml脱塩用カラムに、続いて、100μLの1×PBS緩衝液をカラムの上部に移すことで、次のステップにおけるポリマーコンジュゲーションのタンパク質前駆体を精製した。
【0211】
溶液に、5.6mgのPEG-PDBA100-AMA-OPSSポリマーを添加し、続いて、5mLのpH4.5のPBS緩衝液を添加した。混合物を超音波処理することで、清澄な溶液を作製した。ポリマー溶液(1mL)を1.35mLのpH4.5緩衝溶液及び1.35mLの1×PBS溶液で希釈した。次いで、修飾されたrhIL-2溶液を添加した。反応物を室温で終夜保持した。次いで、溶液を5mL脱塩用カラムに移すことで、コンジュゲートを精製した。コンジュゲートを0.4mg/mLに濃縮した(APIとしてrhIL-2に基づく)。移動相としてpH4.5の酢酸ナトリウム緩衝液を使用するFPLCによって、コンジュゲートを精製し、IL-2含有量をウエスタンブロットによって決定した。PEG-PDBA-IL-2コンジュゲートのミセル化を、PEG-PDBAでブレンドし、酸-塩基滴定によってミセルを形成することによって行った。
【0212】
[実施例4] 小分子メルタンシンに共有結合的にコンジュゲートされているブロックコポリマー
PEG-PDBA-OPSS
メルタンシン(DM1)(13.35mg、0.018mmol、4.1当量)を、2.5mlの無水THF/DMF(4/1 v:v)中のPEG-PDBA-OPSS(150mg、0.00441mmol、1.0当量)の溶液に添加した。(使用された親化合物は、PEG113-b-(PDBA120-r-OPSS)であった)。反応混合物を37℃で20時間の間撹拌した。粗反応混合物を30mlにメタノール/水溶液(1:1)で希釈することによって、精製を行った。溶液をAmicon Ultra遠心膜装置(10k MWCO)に移した。溶液を遠心分離する(2,500rpm、40~60分)ことによって約1mLに濃縮し、プロセスを5~7時間反復した。各サイクルからの上澄みをHPLCによって分析することで、非コンジュゲートDM1の完全な除去をモニタリング及び確認した。一旦精製すると、ポリマー-DM1コンジュゲートをバイアルにピペットで取り、溶媒MeOH/水を窒素流下で除去し、続いて、凍結乾燥した。最終生成物をH NMRによって特徴付けることで、薬物充填を決定した。
【0213】
PEG-PDBA-AMA-DM1
NHS-エステルコンジュゲートメルタンシン(SMCC-DM1)(13.79mg、0.0128mmol、3.0当量)を、3mlの無水MeOH中のPEG-PDBA-AMA(150mg、0.00428mmol、1.0当量)の溶液に添加した。反応混合物を37℃で20時間の間撹拌した。粗反応混合物への水(3mL)の添加によって精製を行い、続いて、15mlにメタノール/水溶液(1:1)で希釈した。溶液をAmicon Ultra遠心膜装置(10k MWCO)に移した。溶液を遠心分離する(2,500rpm、40~60分)ことによって約1mLに濃縮し、プロセスを5~7時間反復した。各サイクルからの上澄みをHPLCによって分析することで、非コンジュゲートDM1の完全な除去をモニタリング及び確認した。一旦精製すると、ポリマー-DM1コンジュゲートをピペットでバイアルに取り、溶媒MeOH/水を窒素流下で除去し、続いて、凍結乾燥した。最終生成物をRP-HPLC及びH NMRによって特徴付けた。NMRを使用して、DM1からのアリールC-H(δ6.75ppm、1H)及びビニルC-H(δ4.7ppm、1H)とo-メトキシシングレット(δ3.4ppm、3H)の積分を比較することによって薬物充填を決定した。
【0214】
[実施例5] インビボ腫瘍マウスモデルについての一般的手順
およそ6~8週齢の雌性NOD scidマウス(Strain NOD.CB17-Prkdcscid/J)に、顎下三角中にて50μLの1×PBS中の1.5×10のHN5腫瘍細胞を播種し、腫瘍が約1週間成長するのを可能にした。PEG-PDBA-IL-2又はPEG-PDBA-Fab製剤を、IRDye(登録商標)800CW(LiCOR)で蛍光標識化されたrhIL-2で調製し、プレートリーダーを使用する800CW蛍光(λEx760nm、λEm780nm)によって、投薬を正規化した。非カプセル化蛍光標識化タンパク質を対照として使用した。ミセル-IL-2製剤又はタンパク質を、尾静脈注射を介して投与した。イソフルランを使用して動物に麻酔をかけ、試験物品投与後1時間、3時間、及び24時間に白色光及び800nmチャネルでPearl Trilogy(LI-COR)を使用して、インビボ小動物画像化を行った。最終のインビボ画像化時点後、動物をCO窒息及び頸椎脱臼によって屠殺し、主要な臓器のエクスビボ画像化を行った。ImageStudioソフトウェア(LI-COR)を使用するROI分析によって、蛍光を定量化した。
【0215】
[実施例6] インビトロIL-2生物活性アッセイのための一般的手順
解凍及び使用IL-2 Bioassay(Promega)を使用してマニュアルに従って、製剤中のIL-2生物活性を測定した。IL-2をカプセル化している又はIL-2にコンジュゲートされているミセルを、用量-応答アッセイにおいて酸放出状態又はカプセル化状態のいずれかで評価した。20μLの製剤を20μLのプールヒト血清、続いて、40μLの酸性の酢酸ナトリウム緩衝液(0.1M酢酸ナトリウム、0.9%生理食塩水、pH約4.5)と混合し、15分間室温でインキュベートすることによって、酸放出を行い、引き続いて、40μLの20×PBSを添加した。カプセル化試料について、酸性の酢酸緩衝液を中性の酢酸緩衝液(0.1M酢酸ナトリウム、0.9%生理食塩水、pH7~7.6)と置き換え、同様のプロセスを使用して混合した。放出製剤又はカプセル化製剤の3倍系列希釈を、アッセイ緩衝液(90% RPMI 1640/10%ウシ胎児血清)中で調製した。製剤希釈物(25μL)を、白色の不透明な96ウェルマイクロプレート又は半ウェルマイクロプレート(Corning)中に前播種されたIL-2バイオアッセイ細胞を含有するウェルに、製造者推奨に従って添加した。アッセイ緩衝液単独及び処置なし細胞を陰性対照として使用し、他方、IL-2単独を陽性対照として使用した。プレートを覆い、加湿インキュベーター(37℃、5%のCO)において6時間の間インキュベートした。インキュベーション後、75μLのBio-Glo試薬(Promega)を添加し、10分間インキュベートし、プレートリーダー(Tecan M200 Pro)を使用して生物発光を読んだ。データをPrism(GraphPad)からプロットし、ED50を非線形フィットによって算出した。
【0216】
[実施例7] 製剤のSDS-PAGE分析のための一般的手順
ミセル-IL-2製剤をSDS-PAGEによって評価することで、ミセル中へのIL-2充填及びIL-2統合性を確認した。レーン当たり充填された100~200ngのタンパク質を標的化するように、試料を調製した。FPLCによるIL-2充填製剤精製の特徴付けのため、充填試料は、全く精製することない粗製の製剤を構成し、スピンされた充填試料は、凝集体及び大きい粒子を排除するための高速遠心分離による精製後に製剤を構成し、ミセルプールは、ミセルを含有する画分を組み合わせることによって調製され、遊離IL-2試料は、非カプセル化タンパク質を含有する画分を含有する。製剤試料を還元要件に依存してβ-メルカプトエタノールの有無において4×Laemmli緩衝液(Bio-Rad)中に希釈し、65℃で5分間変性させた。試料を50Vで30分間スタックし、続いて、100Vで90分間分離させることによって、Any kD(商標)又は4~20%SDS-PAGE勾配Mini-Proteanゲル(Bio-Rad)に充填した。IL-2の検出をSimply Blue Stain(Invitrogen)によって行った。IL-2をその上、抗IL-2Abクローン(Cell Signaling Technology、Clone D7A5、1:4000希釈)、続いて、HRP-コンジュゲート抗ウサギ二次(LI-COR、1:2000希釈)を用いてプローブすることによって0.2μmニトロセルロース膜に移した後にウエスタンブロットによって決定し、ECL試薬(Pierce)によって検出し、化学ルミネッセンスをChemiDoc MPイメージャ(Bio-Rad)で捕捉した。ImageLab(Bio-Rad)を使用して、画像処理及びデンシトメトリー分析を行った。必要とされる場合、IL-2の定量化をIL-2標準曲線にフィットさせることによって行った。
【0217】
[実施例8] 治療の方法
がん(例えば、固形腫瘍がん)を患うヒト対象は、注射によって、例えば静脈内注射によって(例えば、ミセルの形態で)本明細書において開示されている通りのブロックコポリマーによってカプセル化された治療剤の治療有効量を、又は1mg/kg~100mg/kg、例えば、10mg/kg~50mg/kgの範囲で、投与される。
【0218】
本発明の好ましい実施形態が示され、本明細書に記載されているが、こうした実施形態が単に一例として提供されることは、当業者に明白である。多数の変動、変化及び置換が、ここで、本発明から逸脱することなく当業者に想起されよう。本明細書に記載されている本発明の実施形態に対する様々な代替が、本発明を実践する際に用いられ得ると理解されるべきである。以下の請求項が本発明の範疇を定義すること、並びにこれらの請求項の範疇内の方法及び構造並びにそれらの等価物がそれによって包含されることが意図される。
図1
図2
図3
図4-1】
図4-2】
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12-1】
図12-2】
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図16
図17
図17C
図18
【国際調査報告】