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特表2023-500704患者内の治療部位に治療成分を送達するためのシステムおよび小型デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-10
(54)【発明の名称】患者内の治療部位に治療成分を送達するためのシステムおよび小型デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 31/00 20060101AFI20221227BHJP
【FI】
A61M31/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022526036
(86)(22)【出願日】2020-11-04
(85)【翻訳文提出日】2022-05-11
(86)【国際出願番号】 US2020058964
(87)【国際公開番号】W WO2021092076
(87)【国際公開日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】62/930,863
(32)【優先日】2019-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519392030
【氏名又は名称】バイオナット ラブス リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】519392041
【氏名又は名称】シュピゲルマッハー、マイケル
(71)【出願人】
【識別番号】520426173
【氏名又は名称】キセリョフ、アレックス
(71)【出願人】
【識別番号】522176333
【氏名又は名称】クロス、フローレント
(71)【出願人】
【識別番号】522176344
【氏名又は名称】ハリントン、ダレル
(71)【出願人】
【識別番号】521185136
【氏名又は名称】チョウ、スヒョン
(71)【出願人】
【識別番号】522176355
【氏名又は名称】カプート、ジョン
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュピゲルマッハー、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】キセリョフ、アレックス
(72)【発明者】
【氏名】クロス、フローレント
(72)【発明者】
【氏名】ハリントン、ダレル
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、スヒョン
(72)【発明者】
【氏名】カプート、ジョン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA01
4C066BB05
4C066CC06
4C066DD11
4C066QQ48
4C066QQ54
(57)【要約】
患者内の治療部位に治療成分を送達するように構成されたシステムにおいて使用するための小型デバイスが提供される。小型デバイスは、磁性材料を含む少なくとも1つのステアリング部分と、ステアリング部分に固定され、治療成分を含む少なくとも1つのキャリア部分と、を備える。キャリア部分は、治療部位において、1つ以上の所定の条件下で少なくとも部分的に散逸するように構成され、それによって治療成分を放出する。1つ以上のそのような小型デバイスと、変化する磁場を生成するように動作されるように構成され、それによって小型デバイスの動きを遠隔的に制御する磁気誘導装置と、を備える、システムがさらに提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者内の治療部位に治療成分を送達するように構成されたシステムにおいて使用するための小型デバイスであって、
・磁性材料を含む少なくとも1つのステアリング部分と、
・前記ステアリング部分に固定され、前記治療成分を含む少なくとも1つのキャリア部分であって、前記治療部位において、1つ以上の所定の条件下で少なくとも部分的に散逸するように構成され、それによって、前記治療成分を放出する、キャリア部分と、を備える、小型デバイス。
【請求項2】
前記キャリア部分が、前記治療成分と混合され、前記散逸を受けるように構成される結合剤材料をさらに含む、請求項1に記載の小型デバイス。
【請求項3】
前記結合剤材料が、生分解性および/または生体内分解性ポリマーを含む、請求項2に記載の小型デバイス。
【請求項4】
前記結合剤材料が、ポリ乳酸、寒天、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、キトサン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩、ゼラチン、グルコース、およびカルボキシメチルセルロースを含む群から選択される1つ以上を含む、請求項2に記載の小型デバイス。
【請求項5】
前記治療部位において、1つ以上の所定の条件下で少なくとも部分的に散逸するように構成された補助キャリア部分をさらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の小型デバイス。
【請求項6】
前記補助キャリア部分が、前記キャリア部分を完全に取り囲む、請求項5に記載の小型デバイス。
【請求項7】
前記補助キャリア部分が、前記キャリア部分の治療成分とは異なる治療成分を含む、請求項5または6に記載の小型デバイス。
【請求項8】
前記補助キャリア部分が、前記キャリア部分が含むものと同じ治療成分を異なる濃度で含む、請求項5または6に記載の小型デバイス。
【請求項9】
前記補助キャリア部分が、治療成分を含まない、請求項5または6に記載の小型デバイス。
【請求項10】
前記キャリア部分が、その外面で開放された1つ以上のチャネルを伴って形成され、その中に延在している、請求項1~9のいずれか一項に記載の小型デバイス。
【請求項11】
前記キャリア部分が、その中に1つ以上のチャンバを伴って形成される、請求項1~10のいずれか一項に記載の小型デバイス。
【請求項12】
前記チャンバのうちの少なくとも1つが、真空である、請求項11に記載の小型デバイス。
【請求項13】
前記チャンバのうちの少なくとも1つが、空気、水素、酸素、窒素、および二酸化炭素を含む群から選択される1つ以上のガスをその中に含む、請求項11または12に記載の小型デバイス。
【請求項14】
前記キャリア部分が、接着剤材料によって前記ステアリング部分に固定される、請求項1~13のいずれか一項に記載の小型デバイス。
【請求項15】
前記接着剤材料が、所定の条件下で破壊されるように構成され、それによって前記キャリア部分を前記ステアリング部分から分離する、請求項14に記載の小型デバイス。
【請求項16】
前記接着剤材料が破壊されるように構成される前記所定の条件が、溶融、溶媒中への溶解、化学的に誘導されたマトリックス断裂、電波および/または超音波への曝露、近赤外周波数への曝露を含む群から選択される1つ以上である、請求項15に記載の小型デバイス。
【請求項17】
前記接着剤材料が、前記接着剤材料の破壊を遅延させるように構成された生体内分解性材料によって環境から隔離される、請求項14~16のいずれか一項に記載の小型デバイス。
【請求項18】
前記キャリア部分が、前記ステアリング部分を取り囲む、請求項1~17のいずれか一項に記載の小型デバイス。
【請求項19】
前記ステアリング部分が、前記磁性材料を少なくとも部分的に取り囲む非磁性シェルを備え、前記キャリア部分が、それに少なくとも部分的に固定される、請求項1~18のいずれか一項に記載の小型デバイス。
【請求項20】
前記ステアリング部分が、前記磁性材料を構築し、前記小型デバイスの長手方向軸線に沿って隔置される2つの磁石を備え、前記ステアリング部分が、それらの間に架かる非磁性のブリッジ部材をさらに備える、請求項1~19のいずれか一項に記載の小型デバイス。
【請求項21】
前記キャリア部分が、前記ブリッジ部材を取り囲んで配設される、請求項20に記載の小型デバイス。
【請求項22】
前記磁石の磁気モーメントのベクトルが、互いに平行である、請求項20または21に記載の小型デバイス。
【請求項23】
前記磁石の磁気モーメントのベクトルが、互いに反平行である、請求項20または21に記載の小型デバイス。
【請求項24】
前記磁石の磁気モーメントのベクトルが、互いに垂直である、請求項20または21に記載の小型デバイス。
【請求項25】
前記磁石が、それらの磁気モーメントのベクトルが前記小型デバイスの前記長手方向軸線に垂直であるように配向される、請求項20~24のいずれか一項に記載の小型デバイス。
【請求項26】
前記磁石が、それらの磁気モーメントの前記ベクトルが前記小型デバイスの前記長手方向軸線に平行であるように配向される、請求項20~23のいずれか一項に記載の小型デバイス。
【請求項27】
前記小型デバイスが、長楕円体として実質的に成形される、請求項1~26のいずれか一項に記載の小型デバイス。
【請求項28】
その後端部にくぼみを伴って形成され、前記くぼみが、同様に形成された別の小型デバイスの前端部を収容するように構成されている、請求項27に記載の小型デバイス。
【請求項29】
前記ステアリング部分が、エラストマー材料で作製され、1つ以上の貫通開口部を伴って形成されるチューブを備え、前記キャリア部分が、前記チューブ内に配設され、前記チューブよりも大きい直径を有する、請求項1~18のいずれか一項に記載の小型デバイス。
【請求項30】
前記ステアリング部分が、前記チューブの各端部を閉鎖する磁石をさらに備える、請求項29に記載の小型デバイス。
【請求項31】
前記チューブが、磁性である、請求項29に記載の小型デバイス。
【請求項32】
前記キャリア部分が、液体と、その周囲の剛性ケーシングと、を備え、前記剛性ケーシングが、前記散逸を受けるように構成されている、請求項1~31のいずれか一項に記載の小型デバイス。
【請求項33】
前記ステアリング部分が、前記液体中に配設される、請求項32に記載の小型デバイス。
【請求項34】
前記キャリア部分が、前記散逸中に発泡するように構成された1つ以上の材料を含む、請求項1~33のいずれか一項に記載の小型デバイス。
【請求項35】
患者内の治療部位に治療成分を送達するように構成されたシステムであって、請求項1~34のいずれか一項に記載の少なくとも1つの小型デバイスを備え、変化する磁場を生成するように動作されるように構成され、それによって前記小型デバイスの動きを遠隔的に制御する磁気誘導装置をさらに備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の主題は、患者内でナビゲートして、その中の所定の位置にペイロードを送達するように構成されたシステムおよび小型デバイス、特に、磁場を使用して、患者内の小型デバイスの動作を指示するそのようなシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
人体の内部を移動する医療デバイスの遠隔制御は、治療用ペイロードの送達、診断、または外科的処置を含む様々な目的に有用であり得る。そのようなデバイスは、マイクロスケールまたはナノスケールのロボット、医療ツール、「スマートピル」などを含み得る。そのようなデバイスは、自己推進または外部推進機構のいずれかを通して体内を移動することが可能であり得る。そのようなデバイスの正確な位置および追跡は、正しい解剖学的位置でのそれらの適した機能、ならびにより具体的には、治療用ペイロードおよび/または診断物質の正確な送達を確実にするために必要であり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の主題の一態様によれば、患者内の治療部位に治療成分を送達するように構成されたシステムにおいて使用するための小型デバイスであって、
・磁性材料を含む少なくとも1つのステアリング部分と、
・ステアリング部分に固定され、治療成分を含む少なくとも1つのキャリア部分であって、治療部位において、1つ以上の所定の条件下で少なくとも部分的に散逸するように構成され、それによって、治療成分を放出する、キャリア部分と、を備える、小型デバイス、が提供される。
【0004】
キャリア部分は、治療成分と混合され、散逸を受けるように構成される結合剤材料をさらに含み得る。
【0005】
結合剤材料は、生分解性および/または生体内分解性ポリマーを含み得る。
【0006】
結合剤材料は、ポリ乳酸、寒天、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、キトサン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩、ゼラチン、グルコース、およびカルボキシメチルセルロースを含む群から選択される1つ以上を含み得る。
【0007】
小型デバイスは、治療部位において、1つ以上の所定の条件下で少なくとも部分的に散逸するように構成された補助キャリア部分をさらに備え得る。
【0008】
補助キャリア部分は、キャリア部分を完全に取り囲み得る。
【0009】
補助キャリア部分は、キャリア部分の治療成分とは異なる治療成分を含み得る。
【0010】
補助キャリア部分は、キャリア部分が含むものと同じ治療成分を異なる濃度で含み得る。
【0011】
補助キャリア部分は、治療成分を含まない場合がある。
【0012】
キャリア部分は、その外面で開放された1つ以上のチャネルを伴って形成され、その中に延在し得る。
【0013】
キャリア部分は、その中に1つ以上のチャンバを伴って形成され得る。チャンバのうちの少なくとも1つは、真空であり得る。チャンバのうちの少なくとも1つは、空気、水素、酸素、窒素、および二酸化炭素を含む群から選択される1つ以上のガスをその中に含み得る。
【0014】
キャリア部分は、接着剤材料によってステアリング部分に固定され得る。
【0015】
接着剤材料は、所定の条件下で破壊されるように構成され、それによってキャリア部分をステアリング部分から分離することができる。接着剤材料が破壊されるように構成される所定の条件は、溶融、溶媒中への溶解、化学的に誘導されたマトリックス断裂、電波および/または超音波への曝露、近赤外周波数への曝露を含む群から選択される1つ以上であり得る。
【0016】
接着剤材料は、接着剤材料の破壊を遅延させるように構成された生体内分解性材料によって環境から隔離され得る。
【0017】
キャリア部分は、ステアリング部分を取り囲み得る。
【0018】
ステアリング部分は、磁性材料を少なくとも部分的に取り囲む非磁性シェルを備え、キャリア部分が、それに少なくとも部分的に固定され得る。
【0019】
ステアリング部分は、磁性材料を構築し、小型デバイスの長手方向軸線に沿って隔置される2つの磁石を備え、ステアリング部分は、それらの間に架かる非磁性ブリッジ部材をさらに備え得る。
【0020】
キャリア部分は、ブリッジ部材を取り囲んで配設され得る。
【0021】
磁石の磁気モーメントのベクトルは、互いに、平行、反平行、または垂直であり得る。
【0022】
磁石は、それらの磁気モーメントのベクトルが小型デバイスの長手方向軸線に垂直または平行であるように配向され得る。
【0023】
小型デバイスは、長楕円体として実質的に成形され得る。
【0024】
小型デバイスは、その後端部にくぼみを伴って形成され、くぼみは、同様に形成された別の小型デバイスの前端部を収容するように構成され得る。
【0025】
ステアリング部分は、エラストマー材料で作製され、1つ以上の貫通開口部を伴って形成されるチューブを備え、キャリア部分は、チューブ内に配設され、チューブよりも大きい直径を有し得る。
【0026】
ステアリング部分は、チューブの各端部を閉鎖する磁石をさらに備え得る。
【0027】
チューブは、磁性であり得る。
【0028】
キャリア部分は、液体と、その周囲の剛性ケーシングと、を備え、剛性ケーシングは、散逸を受けるように構成され得る。
【0029】
ステアリング部分は、液体中に配設され得る。
【0030】
キャリア部分は、散逸中に発泡するように構成された1つ以上の材料を含み得る。
【0031】
現在配設されている主題の一態様によれば、患者内の治療部位に治療成分を送達するように構成されたシステムであって、先行する態様に関して上記に記載したような少なくとも1つの小型デバイスを備え、変化する磁場を生成するように動作するように構成され、それによって小型デバイスの動きを遠隔的に制御する磁気誘導装置をさらに備える、システム、が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明と見なされる主題は、本明細書の結論部分で特に指摘され、明確に主張される。しかしながら、本発明は、その目的、特徴、および利点と一緒に、動作の編成および方法の両方に関して、添付の図面と共に読まれるとき、以下の「発明を実施するための形態」を参照することによって最良に理解することができる。
【0033】
図1】患者の体内の治療部位に治療成分を送達するためのシステムを概略的に示す。
図2図1に例示されるシステムの小型デバイスを示す。
図3図1に例示されるシステムの小型デバイスの異なる例の概略断面図である。
図4図1に例示されるシステムの小型デバイスの異なる例の概略断面図である。
図5図1に例示されるシステムの小型デバイスの異なる例の概略断面図である。
図6図1に例示されるシステムの小型デバイスの異なる例の概略断面図である。
図7A】接着剤材料の破壊前後の、図1に例示されるシステムの小型デバイスの例を示す。
図7B】接着剤材料の破壊前後の、図1に例示されるシステムの小型デバイスの例を示す。
図8】キャリア部分内に空隙を有する、図1に例示されるシステムの小型デバイスの例の概略断面図である。
図9】補助キャリア部分を備える、図1に例示されるシステムの小型デバイスの例の概略断面図である。
図10図1に例示されるシステムの小型デバイスの異なる例の概略断面図である。
図11図1に例示されるシステムの小型デバイスの異なる例の概略断面図である。
図12A】本開示の主題のいくつかの例による、図1に例示されるシステムの小型デバイスのステアリング部分およびキャリア部分の分離を概略的に例示する図である。
図12B】本開示の主題のいくつかの例による、図1に例示されるシステムの小型デバイスのステアリング部分およびキャリア部分の分離を概略的に例示する図である。
図12C】本開示の主題のいくつかの例による、図1に例示されるシステムの小型デバイスのステアリング部分およびキャリア部分の分離を概略的に例示する図である。
図12D】本開示の主題のいくつかの例による、図1に例示されるシステムの小型デバイスのステアリング部分およびキャリア部分の分離を概略的に例示する図である。
図13A】本開示の主題のいくつかの例による、図1に例示されるシステムの小型デバイスの斜視図である。
図13B図13Aの直線III-IIIに沿って取られた断面図である。
図14】行列で配置された、本開示の主題のいくつかの例による、図1に例示されるシステムの2つの小型デバイスの概略断面図である。
図15A図1に例示されるシステムの小型デバイスの別の例の斜視図である。
図15B図15Aの直線V-Vに沿って取られた断面図である。
図15C図15Aに例示される小型デバイスのステアリング部分の斜視図である。
図16図15Aに例示される小型デバイスの修正形態の断面図である。
図17A図1に例示されるシステムの小型デバイスのステアリング部分の例の側面図である。
図17B】、図17Aおよび図17Cに例示されるステアリング部分の正面図である。
図17C図1に例示されるシステムの小型デバイスのステアリング部分の例の側面図である。
図17D図17Aおよび図17Cに例示されるステアリング部分の正面図である。
図18A】収縮状態にある、図1に例示されるシステムの小型デバイスの別の例の斜視図である。
図18B】膨隆状態にある、図18Aに例示される小型デバイスの断面図である。
図18C】収縮状態にある、図18Aに例示される小型デバイスの修正形態の斜視図である。
図19】膨隆状態にある、図18Aに例示される小型デバイスの別の修正形態の断面図である。
図20図1に例示されるシステムの小型デバイスの別の例の斜視図である。
【0034】
例示を単純かつ明確にするために、図に示される要素は、必ずしも縮尺どおりに描かれていないことが理解されよう。例えば、要素のいくつかの寸法は、明確にするために他の要素と比べて誇張されている場合がある。さらに、適切であると考えられる場合、対応するまたは類似の要素を示すために、参照番号が図の中で繰り返される場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下の発明を実施するための形態では、本開示の主題の徹底した理解を提供するために、多くの具体的な詳細が記述される。しかしながら、本開示の主題がこれらの具体的な詳細を伴わずに実践され得ることが当業者によって理解されよう。他の事例では、本開示の主題を不明瞭にしないために、周知の方法、手順、および構成要素は、詳細に記載されていない。
【0036】
図1に例示されるように、例えば、体液、解剖学的管腔、および/または軟組織を介して、患者の体内の所定の位置(以下、「治療部位」)への、医薬的、診断的、評価的、および/または治療的な関連性の1つ以上の化学的化合物、1つ以上の小分子、生物、細胞、1つ以上の放射性同位体、1つ以上のワクチンなど(以下、「治療成分」)の送達を容易にするように構成されたシステム10が提供される。いくつかの例によれば、治療成分は、1つ以上の機械的デバイスを含み得る。
【0037】
システム10は、小型デバイス100と、小型デバイスを制御するように構成された、200で概略的に示された磁気誘導装置と、を備える。小型デバイス100は、治療成分を運ぶように構成される。磁気誘導装置200は、変化する磁場を生成し、それによって、遠隔的に、すなわち、患者の体11の外部の位置から、体内の小型デバイス100の動きを制御するように動作するように構成される。
【0038】
いくつかの実施形態によれば、例えば、限定されないが、距離、方向性、強度、勾配、時間依存性/独立性などが挙げられる磁場の特徴は、小型デバイス100の動きを遠隔的に制御するために、ユーザによって制御され得る。
【0039】
いくつかの実施形態によれば、例えば、図2に例示されるように、小型デバイス100は、磁性材料で部分的または全体的に構成された磁性ステアリング部分101と、それに固定されたキャリア部分102と、を備える。
【0040】
ステアリング部分101は、磁気誘導装置200によって生成された磁場と相互作用するように構成され、それによって、小型デバイスの制御をそれによって容易にする。
【0041】
キャリア部分102は、部分的にまたは全体に、1つ以上の治療成分を含む。キャリア部分102は、治療成分を運ぶ結合剤材料をさらに含み、例えばそれと混合されてもよい。
【0042】
いくつかの実施形態によれば、キャリア部分102、例えばその結合剤材料は、散逸するように構成され、それによって、治療成分をそこから放出する。散逸は、限定されないが、溶解、分裂、崩壊などが挙げられる任意の好適な手段によって誘発され得る。散逸は、例えば、小型デバイス100を治療部位に持ち込むことを可能にするために好適にゆっくりとしたペースで、治療部位で生じる体液などの液体との接触時、または指示された外部作用時のいずれかによって自動的に生じ得る。散逸は、任意の好適な手段によって、例えば、特定の範囲内の電磁放射線、例えば、電波、近赤外線などへの曝露、超音波信号などの音響波、化学的に誘導されたマトリックス断裂、あるいは水、または血液、血漿、リンパ液、胆汁、または脳脊髄液などの体液などの溶媒に溶解することによって誘導され得る。
【0043】
いくつかの実施形態によれば、キャリア部分102の結合剤材料は、予測可能なペースに従って、経時的に体液中に溶解するように構成される。いくつかの実施形態によれば、結合剤材料は、限定されないが、ポリ乳酸、寒天、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、キトサン、ヒアルロン酸およびその塩、添加剤を含む/含まないゼラチン、グルコース、および/またはカルボキシメチルセルロース、ならびにそれらの任意の組み合わせが挙げられる、生分解性および/または生体内分解性ポリマーを含む。いくつかの実施形態によれば、生体内分解性ポリマーは、対象の生物学的区画における加水分解による予測可能な分解を受ける。いくつかの実施形態では、この分解は、ポリマーの性質、および/または内部/外部条件に依存して、秒、分、時間、日、または月単位で生じる。
【0044】
キャリア部分102は、任意の好適な様態でステアリング部分101に接続され得る。いくつかの例によれば、ステアリング部分101は、永久磁石および/もしくは電磁石(例えば、電源を備え、および/または例えば、誘導充電などの無線電力伝達を使用して外部から電力供給されるように構成される)を備え、図2に例示されるように、接着剤材料103を使用してキャリア部分102に取り付けられ、ならびにまたは、例えば、以下に記載されるように、その中に少なくとも部分的に包囲され得る。いくつかの例(図示せず)によれば、ステアリング部分101は、ポリマーマトリックス内に分散されたナノ粒子および/またはマイクロ粒子などの複数の磁性粒子を含む。いくつかの実施形態によれば、ポリマーマトリックは、エラストマーを含む。
【0045】
図2、および後続の図のいくつかは、ステアリング部分101の磁気極性を示すが、これは、例示のためにのみ、例えば、その磁気特性をより明確に示すために行われ、これは限定するものと解釈されるべきではないことを理解されたい。実際には、ステアリング部分101は、示されているものとは異なる磁気極性を有する場合があり、および/または例えば、磁気誘導装置200によって生成された磁場への曝露の前に磁化されていない強磁性材料を含む、極性を全く有しない場合もある。
【0046】
いくつかの実施形態によれば、図3に明示されるように、キャリア部分102は、ステアリング部分101を少なくとも部分的に取り囲む。
【0047】
いくつかの実施形態によれば、および図4図6に例示されるように、ステアリング部分101は、例えば、その磁性部分を少なくとも部分的に取り囲む非磁性材料で作製されている保護シェル106を備える。キャリア部分102は、部分的または全体的に、保護シェル106に取り付けられ得る。いくつかの実施形態によれば、シェル106は、テフロン(登録商標)で作製される。本明細書の明細書および添付の特許請求の範囲では、「シェル」という用語は、限定されないが、シェル、コーティングなどが挙げられる、その最も広い意味で解釈されるべきであることが理解されよう。
【0048】
ステアリング部分101は、とりわけ、図5および図6に例示されるように、例えば、球状または円筒状である、任意の好適な形状のものであり得る。
【0049】
図6に例示されるように、例えばシェル106を含む小型デバイス100は、キャリア部分102と偏心して配設することができ、すなわち、ステアリング部分およびそのシェルは、その中心よりもキャリア部分102の外面の近くに実質的に実装され、それによって、小型デバイス100の設計における非対称性を生み出す。いくつかの例によれば、そのような非対称性を有する小型デバイス100は、磁気誘導装置200によって生成された磁場を好適に変化させることによって、起伏、揺動、うねりなどを受けるように誘導され得る。
【0050】
いくつかの実施形態によれば、例えば、図7Aおよび図7Bに例示されるように、接着剤材料103は、例えば、限定されないが、溶融、溶媒中への溶解、化学的に誘導されたマトリックス断裂、電波および/または超音波への曝露、近赤外周波数への曝露などが挙げられる、様々な破壊手段のうちの1つ以上を使用して、キャリア部分102がステアリング部分101から分離されるように、破壊されるように構成される。溶媒の例としては、限定されないが、水、血液、血漿、リンパ液、胆汁、または脳脊髄液などの体液が挙げられ得る。
【0051】
図8に例示されるように、いくつかの実施形態によれば、キャリア部分102は、その外面で開放されたチャネル117、および/またはチャンバ118などの空隙を伴って形成され、空隙は、溶媒の侵入を容易にし、その散逸を早めるように構成される。いくつかの例によれば、チャンバ118のいくつかまたは全てが真空である。他の例によれば、チャンバ118のいくつかまたは全ては、限定されないが、空気、水素、酸素、窒素、二酸化炭素、および/またはそれらの任意の組み合わせが挙げられ得る、ガスで充填される。他の例によれば、チャンバ118のいくつかまたは全ては、その中に、キャリア部分102の材料とは異なる、化合物またはポリマーなどの材料を含む。チャンバ118内のガスおよび/または材料は、周囲環境(例えば、体液)とのその反応の性質に基づいて選択することができ、これは、キャリア部分102の結合剤材料のものとは異なり得る。いくつかの実施形態によれば、チャンバ118内のガスおよび/または材料は、例えば、所望の、予測可能な、および/または制御可能な様態で、キャリア部分102の散逸を早めるように構成され得る。
【0052】
図9に例示されるように、小型デバイス100は、例えば、キャリア部分102を取り囲む補助キャリア部分119を備え得る。補助キャリア部分119は、必要な変更が加えられた上で、上記に記載した例のうちのいずれか1つ以上に従って設けられ得る。補助キャリア部分119は、より高い濃度またはより低い濃度でキャリア部分102内にあるものと同じ治療成分と混合された結合剤材料を含むことができ、結合剤材料は、治療成分(単純化のために本明細書では依然として「補助キャリア部分」と称される)を含んでいなくても、異なる治療成分を含んでいてもよい。さらに、補助キャリア部分119の結合剤材料は、キャリア部分102の結合剤材料とは異なり得る。いくつかの実施形態によれば、小型デバイス100は、生体内に導入され、磁気誘導装置200を使用して治療部位まで駆動され、補助キャリア部分119が溶解するための持続時間の間、内部または外部の放出刺激に曝露されるように構成される。2つ以上の補助キャリア部分119が、必要な変更が加えられた上で、設けられ得ることが理解されよう。
【0053】
いくつかの実施形態によれば、例えば、図10に例示されるように、キャリア部分102は、ガスまたは熱の放散、内部または外部刺激への曝露時の化学結合の破断によって例示されるように、化学反応を開始するように設計された単分子、二成分、またはより複雑な化学混合物を含む。代表的なものとしては、非限定的な例では、水溶液の存在下で反応し、発泡をもたらしてマトリックス破壊剤として作用するCO2を生成するクエン酸および重炭酸ナトリウム(例えば、1:1のモル比を有する)の乾燥粉末が挙げられる。
【0054】
いくつかの実施形態によれば、例えば、図11に例示されるように、キャリア部分102は、水溶液の存在下で反応し、発泡をもたらすように設計されるクエン酸および重炭酸ナトリウム(例えば、1:1モル比を有する)の乾燥粉末を含む。キャリア部分102は、生体内分解性結合剤材料を含む補助キャリア部分119によって取り囲まれる。補助キャリア部分119は、キャリア部分102を水溶液から一時的に隔離する。いくつかの実施形態によれば、補助キャリア部分119の化学組成および厚さは、予測可能な平均時間内に部分的または全体的に溶解するように選択される。
【0055】
いくつかの実施形態によれば、例えば、図12A図12Dに例示されるように、ステアリング部分101は、部分的または全体的に、磁性材料で構成され、任意選択的に、保護シェル106によって取り囲まれる。いくつかの実施形態によれば、キャリア部分102は、部分的または全体に、治療成分を構築する化学的化合物で構成され、発泡をもたらす水溶液の存在下で反応する1つ以上の物質、例えば、クエン酸および重炭酸ナトリウムを含む補助キャリア部分119に固定される。接着剤材料103は、補助キャリア部分119をシェル106に固定するように配設される。補助キャリア部分119を環境から一時的に隔離するように構成された保護要素128が提供される。いくつかの実施形態によれば、保護要素128は、生体内分解性であり、図12Bに例示されるように、体液と接触させると、侵食または溶解し始める。要素128のいくつかまたは全てが浸食されると、補助キャリア部分119は、体液に曝露され、例えば、発泡性様式で反応し、それによって、ステアリング部分101およびキャリア部分102を離れさせる。結果として、図12Dに例示されるように、キャリア部分102は、ステアリング部分101から外れ、ステアリング部分101は、キャリア部分102を所定の位置に残したまま、自由になって、対象の部位から離れるように指示される。例えば、ステアリング部分101は、磁気誘導装置200の指示の下で、外科的処置を使用して回収されるか、または生理学的に関連する生物流体流、例えば、胆汁、尿などを使用して排泄され得る。回収されたステアリング部分101は、好適な滅菌プロトコルを施され、再利用され得る。
【0056】
いくつかの実施形態によれば、例えば、図13Aおよび図13Bに例示されるように、ステアリング部分101は、それらの間に架かるブリッジ部材141を生み出す、その中に1つ以上の切り欠き部120を伴って有するシェル106によって部分的または完全に取り囲まれた2つの磁石140を備える。切り欠き部120の各々は、例えば、小型デバイス100の、一般に回転楕円状形状、例えば、一般に長楕円体として成形された形状を生み出す、キャリア部分102で充填される。小型デバイス100の一般に回転楕円状形状は、体を通る、例えば、脳および脊椎の一部分などの中枢神経系区画を通るその信頼性の高い通過を容易にし得る。
【0057】
いくつかの実施形態によれば、例えば、図14に例示されるように、複数の小型デバイス100(2つが示される)が設けられ、各々が、互いに近接している、例えば、直線的な行列のときに、小型デバイスの他方と協働するように形成されて、好適な配置にそれら自体を整列させることを容易にする。例えば、小型デバイス100の各々は、例えば、図13Aおよび図13Bに図示し、また同図を参照して説明したように、一般に楕円体として形成され、その後端部にくぼみ125を伴って形成され得る。小型デバイス100のうちの2つが互いに近接しているとき、それらのうちの1つの丸みを帯びた前端部は、別の小型デバイスの後端部に磁気的に引き寄せられ、くぼみ125内に収容される。2つの小型デバイス100が図14にそのように例示されているが、任意の好適な数の小型デバイスをそのように配置して、任意の好適な長さの行列を生成することができることが理解されよう。図14に例示される小型デバイスは、各々、単一の磁石を備えているが、例えば、図13Aおよび図13に図示し、また同図を参照して説明したように、いくつかまたは全ては、必要な変更が加えられた上で、2つの磁石を各々設けることができることが理解されよう。
【0058】
図14に図示し、また同図を参照して説明したように、複数の小型デバイス100は、1つ以上の治療用化合物の治療部位への送達を制御するために使用され得る。いくつかの例によれば、治療用化合物が治療部位に送達される速度は、そのような小型デバイス100の行列がそれに向かって移動するスピードによって制御される。いくつかの例によれば、そのような行列は、ユーザが、例えば、治療用化合物が抗線維素溶解特性を有する行列に1つ以上の小型デバイス100を追加する処置中に送達される、治療用化合物の投薬量、送達速度、種類を変化させることを可能にすることができる。同様に、治療部位に送達される治療用化合物の量は、したがって、所定の期間にわたって、より均等に拡散され得る。いくつかの例によれば、異なる治療用化合物は、所定の順序で治療部位に送達することができ、これらの各々は、行列中の1つ以上の異なる小型デバイスによって運ばれる。
【0059】
いくつかの実施形態によれば、例えば、図15Aおよび図15Bに例示されるように、ステアリング部分101は、2つの磁石140を備え、各々は、例えば、小型デバイス100の反対側の端部に配設され、一般に141に示される非磁性ブリッジ部材によって接続される上記に記載したような永久磁石および/または電磁石であり、小型デバイスの長手方向軸線に沿って延在し得る。ブリッジ部材141は、ステアリング部分の前端部および後端部の半径よりも小さい半径を有する。いくつかの実施形態によれば、磁石140は、ブリッジ部材141の少なくとも一部分を備える非磁性のシェル106内に配設される。シェル106は、剛性または可撓性であり、例えば、エラストマーで作製され得る。いくつかの実施形態によれば、可撓性トラスなどの連結要素142は、磁石140間に架かり、ブリッジ部材141の少なくとも一部分を構築して設けられる。キャリア部分102は、貫通開口部144を伴って形成され、それを通るブリッジ部材141を収容する。貫通開口部144の半径は、ステアリング部分101の前端部および後端部の半径よりも小さい。この配置は、例えば、上記に記載したように、キャリア部分102が散逸するまで、キャリア部分102がステアリング部分101上に維持されることを確実にする。
【0060】
いくつかの実施形態によれば、磁石140の各々は、その磁気モーメントのベクトル(すなわち、その北極および南極の向き)が小型デバイス100の長手方向軸線に垂直であるように配向される。いくつかの実施形態によれば、例えば、図15Cに例示されるように(シェル106内の磁石140が破線で示されている)、磁石140の磁気モーメントのベクトル145は、互いに実質的に垂直に配設される、すなわち、小型デバイス100の長手方向軸線を中心に約90°回転される。これは、例えば、外部から印加された磁場を使用して小型デバイス100を操舵することを支援するために有用であり得る。他の実施形態(図示せず)によれば、磁石140の磁気モーメントのベクトル145は、互いに平行または反平行であり得る。
【0061】
いくつかの実施形態によれば、例えば、図16に例示されるように、ステアリング部分101は、図15Aおよび図15Bに図示し、また同図を参照して説明したようなものと同様に成形され得るが、全体的に磁性材料から作製され得る。磁性材料は、例えば、上記に記載したように、永久磁石または電磁石であり得る。いくつかの実施形態によれば、ステアリング部分101は、ポリマーマトリックス中に分散された磁性材料の粒子、例えば、ナノ粒子および/またはマイクロ粒子を含む。いくつかの実施形態では、ポリマーのマトリックスは、エラストマーである。
【0062】
例えば、図15A図16のうちのいずれか1つ以上に図示し、また同図を参照して説明したように、ステアリング部分101は、流線形の形状、例えば、蛇行した経路を通る動きを容易にし、および/または障害物、例えば、脊髄に沿って遭遇するくも膜材料の束を迂回することを特徴とすることが理解されよう。
【0063】
いくつかの実施形態によれば、例えば、図17A図17Dに例示されるように、ステアリング部分101は、平坦な形状として形成される前端部131および後端部132を備え得、例えば、ブリッジ部材141によって接続された楕円体のような形状、例えば、扁平楕円体を含む。ブリッジ部材は、例えば、楕円体のような形状、例えば、長楕円体を含む膨隆部を伴って形成され得る。前端部131および後端部132の少なくともより短い寸法(図17Bおよび図17Dに見られる)は、ブリッジ部材141よりも小さい外形を有する。
【0064】
いくつかの例によれば、例えば、図17Aおよび図17Bに例示されるように、前端部131および後端部132の両方は、それらのそれぞれのより短い寸法が互いに平行であるように配向される。他の例によれば、例えば、図17Cおよび図17Dに例示されるように、前端部131および後端部132は、それらのそれぞれのより短い寸法が互いに垂直であるように配向される(ブリッジ部材141で隠れている前端部131の輪郭は、破線で示されている)。他の例(図示せず)によれば、前端部131および後端部132は、それらのそれぞれのより短い寸法が互いに対して任意の他の好適な角度で配設されるように配向される。これらの例は、体を通る小型デバイス100および/またはステアリング部分101の操舵を容易にすることができることが理解されよう。
【0065】
いくつかの実施形態によれば、例えば、図18Aおよび図18Bに例示されるように、ステアリング部分101は、エラストマー材料で作製され、1つ以上の貫通開口部163を伴って形成されたチューブ162を備える。ステアリング部分101は、チューブ162の各端部に配設されたキャップ164をさらに備え、それによってチューブ162を閉鎖する。キャップ164の一方または両方は、磁石であるか、またはそれを備え、例えば、上記に記載したように、永久磁石および/または電磁石であり得る。キャリア部分102(図18Bに見られる)は、チューブ162よりも大きい直径を有し、その中に配設される。キャリア部分102がステアリング部分101内にそのように受容されるとき、チューブ162は、延伸して、それを収容し、小型デバイス100は、膨隆状態になる(図18Bに示される)。
【0066】
使用中、小型デバイス100は、液体環境内の治療部位に位置決めされる。例えば、上記に記載したように、キャリア部分102が散逸し始めるとき、治療成分は、液体と混合され、キャリア部分は、サイズが縮小し、それによって、チューブ162の延伸材料中に貯蔵されたポテンシャルエネルギーを放出する。したがって、チューブ162は、内向きに方向付けられた力を働かせ、例えば、矢印167によって示されるように、治療成分を開口部163を通して外向きに推進し、チューブをその収縮状態に戻す(図18Aに示されるように)。
【0067】
いくつかの実施形態では、キャリア部分102は、クエン酸および重炭酸ナトリウムを含むことができ、発泡反応をもたらす。
【0068】
いくつかの例によれば、チューブ162は、その全円周の周りに貫通開口部163を伴って形成され得る。他の実施形態によれば、例えば、図18Cに例示されるように、チューブ162は、例えば、単一の方向に面する、その円周の周りに部分的にのみ貫通開口部163を備える。これは、例えば、治療成分を所定の方向に推進させるように方向付けることを容易にし得る。他の実施形態によれば、キャップ164は、それらの磁気モーメントのベクトルが互いに整列して平行になる(例示されるように)、整列して反平行になる、垂直になるなどのように配向され得る。
【0069】
いくつかの実施形態によれば、例えば、図19に例示されるように、ステアリング部分101は、例えば、図18A図18Cのうちのいずれか1つ以上に図示し、また同図を参照して説明したように、チューブ162を備えることができ、チューブが磁性である修正形態の場合、例えば、磁性粒子、例えば、マイクロ粒子および/またはナノ粒子に含浸させる。
【0070】
いくつかの実施形態によれば、例えば、図20に例示されるように、キャリア部分102は、ケーシング187内に配設された液体186を含む。治療成分は、液体186、ケーシング187、またはその両方と混合され得る。いくつかの例によれば、液体186は、ケーシング187の材料と反応するように構成され、それによってケーシングの溶解を早めることができる。いくつかの例によれば、液体186は酸性であり、例えば、ブピバカインである。小型デバイス100は、その撹拌がケーシング187の内側上にステアリング部分101の衝撃をもたらすように構成することができ、これは、その断裂およびそこからの液体186の放出を容易にし得る。
【0071】
本明細書では、本開示の主題のある特定の特徴が示され、本明細書に記載されてきたが、ここで、多くの修正形態、置換、変更、および等価物が当業者に対して生じるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本開示の主題の真の趣旨に収まるものとして、そのような全ての修正および変更を網羅することが意図されていることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図13A
図13B
図14
図15A
図15B
図15C
図16
図17A
図17B
図17C
図17D
図18A
図18B
図18C
図19
図20
【国際調査報告】