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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-10
(54)【発明の名称】シリンジポンプ
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/145 20060101AFI20221227BHJP
   A61M 1/36 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
A61M5/145 500
A61M1/36 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022526334
(86)(22)【出願日】2020-11-03
(85)【翻訳文提出日】2022-06-28
(86)【国際出願番号】 US2020058727
(87)【国際公開番号】W WO2021091912
(87)【国際公開日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】62/931,037
(32)【優先日】2019-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522176942
【氏名又は名称】ダイアリティ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ポッピー, クレイトン
(72)【発明者】
【氏名】サンティアゴ, ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】ビュー, スコット
【テーマコード(参考)】
4C066
4C077
【Fターム(参考)】
4C066AA10
4C066CC01
4C066DD12
4C066HH02
4C066QQ24
4C066QQ48
4C066QQ82
4C077DD10
4C077HH08
4C077HH13
4C077JJ07
4C077JJ13
4C077KK05
4C077KK27
(57)【要約】
ヘパリンを血液透析システムの血液回路の中に送達するための、シリンジポンプ。シリンジポンプは、伸長管状部材の管腔内で移動可能なプランジャを有する、シリンジを受容するように構成される。シリンジポンプは、シリンジの少なくとも一部を受容するように構成される陥凹を有する、筐体と、管腔内でプランジャを移動させるための駆動機構であって、モータと、主ねじとを備える、駆動機構と、掴持機構とを含んでもよい。掴持機構は、制御アームと、背面パネルと、上側および下側制御フィンガとを含み、制御フィンガはそれぞれ、第1ならびに第2の端部と、幅と、内部縁と、外部縁とを有する、それらの間の湾曲部分とを有し、上側および下側制御フィンガの第1の端部は、第1ならびに第2のばねヒンジを介して制御アームに結合される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸長管状部材の管腔内で移動可能なプランジャを有するシリンジを受容するように構成されるシリンジポンプであって、前記ポンプは、
前記シリンジの少なくとも一部を受容するように構成される陥凹を有する筐体と、
前記管腔内で前記プランジャを移動させるための駆動機構であって、前記駆動機構は、モータと、主ねじとを備える、駆動機構と、
掴持機構であって、前記掴持機構は、制御アームと、背面パネルと、上側および下側制御フィンガと、前記背面パネルと上側および下側制御フィンガとの間に形成される間隙とを備え、前記上側および下側制御フィンガはそれぞれ、第1および第2の端部と、それらの間の湾曲部分とを有し、前記湾曲部分は、幅と、内部縁と、外部縁とを有し、前記上側および下側制御フィンガの第1の端部は、第1および第2のばねヒンジを介して前記制御アームに結合され、前記間隙は、前記プランジャの拡大された端部を格納するように構成される、掴持機構と
を備え、
前記制御アームは、前記主ねじに結合される、ポンプ。
【請求項2】
前記上側および下側制御フィンガの内部縁は、前記第2の端部が接触すると、それらの間に略楕円形の空間を形成する、請求項1に記載のポンプ。
【請求項3】
前記湾曲部分のそれぞれの少なくとも一部が、前記湾曲部分の幅が、前記外部縁よりも前記内部縁において小さくなるような傾斜付けられた表面を有する、請求項1に記載のポンプ。
【請求項4】
前記間隙は、前記背面パネルと前記上側および下側制御フィンガの傾斜付けられた表面のそれぞれの反対側との間に位置する、請求項3に記載のポンプ。
【請求項5】
前記モータは、ステッパモータである、請求項1に記載のポンプ。
【請求項6】
前記駆動機構はさらに、第1の端部と、第2の端部と、それらの間の管腔と、前記主ねじを受容するように構成されるメス型ねじ山付き要素とを有する楕円形管を備える、請求項1に記載のポンプ。
【請求項7】
前記楕円形管は、前記駆動機構の回転を防止する、請求項6に記載のポンプ。
【請求項8】
前記主ねじの少なくとも一部が、前記楕円形管の管腔内に配置され、前記メス型ねじ山付き要素に結合される、請求項6に記載のポンプ。
【請求項9】
前記制御アームはさらに、伸長楕円形拡張部を備え、前記楕円形管は、前記伸長楕円形拡張部に結合される、請求項6に記載のポンプ。
【請求項10】
前記掴持機構はさらに、力センサを備える、請求項1に記載のポンプ。
【請求項11】
前記掴持機構はさらに、圧力プレートを備え、前記圧力プレートは、前記力センサおよびシリンジの押動器の拡大された端部に接触するように構成される、請求項10に記載のポンプ。
【請求項12】
前記力センサは、可撓性の抵抗力センサである、請求項10に記載のポンプ。
【請求項13】
前記力センサは、前記シリンジポンプ内に受容される前記シリンジに接続される導管内の閉塞を検出することが可能である、請求項10に記載のポンプ。
【請求項14】
前記力センサは、前記掴持機構内のプランジャの存在を検出することが可能である、請求項10に記載のポンプ。
【請求項15】
光学センサをさらに備える、請求項1に記載のポンプ。
【請求項16】
前記光学センサは、前記シリンジの背後に位置する、請求項15に記載のポンプ。
【請求項17】
前記光学センサは、前記陥凹内のシリンジの存在を検出する、請求項15に記載のポンプ。
【請求項18】
前記駆動機構はさらに、エンコーダを備える、請求項1に記載のポンプ。
【請求項19】
前記エンコーダは、前記モータが、設定されたレートにおいて前記主ねじを回していることを検証するように構成される、請求項18に記載のポンプ。
【請求項20】
前記エンコーダは、線形エンコーダである、請求項18に記載のポンプ。
【請求項21】
前記エンコーダは、回転エンコーダである、請求項18に記載のポンプ。
【請求項22】
シリンジポンプを使用して薬を注入するための方法であって、前記方法は、
シリンジをシリンジポンプの陥凹の中に装填するステップであって、前記シリンジは、第1の端部と、第2の端部とを有する伸長管状部材と、伸長管状部材の管腔内で移動可能なプランジャと、前記管腔内の薬とを備え、前記シリンジポンプは、前記シリンジの少なくとも一部を受容するように構成される前記陥凹を有する筐体と、前記管腔内で前記プランジャを移動させるための駆動機構と、掴持機構とを備え、前記駆動機構は、モータと、主ねじとを備え、前記掴持機構は、前記主ねじに結合され、前記掴持機構は、前記プランジャの拡大された端部に係合する、ステップと、
前記伸長管状部材の管腔内のプランジャを、前記モータを動作させ、前記主ねじおよび前記掴持機構を移動させることによって、前記第1の端部から前記第2の端部への方向に移動させるステップであって、前記第1の端部から前記第2の端部への前記方向における前記プランジャの移動が、前記薬を前記シリンジの第2の端部から退出させる、ステップと
を含む、方法。
【請求項23】
前記掴持機構は、制御アームと、背面パネルと、上側および下側制御フィンガと、前記背面パネルと上側および下側制御フィンガとの間に形成される間隙とを備え、前記上側および下側制御フィンガはそれぞれ、第1および第2の端部と、それらの間の湾曲部分とを有し、前記湾曲部分は、幅と、内部縁と、外部縁とを有し、前記上側および下側制御フィンガの第1の端部は、第1および第2のばねヒンジを介して前記制御アームに結合され、前記プランジャの拡大された端部は、前記間隙内に格納される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記湾曲部分のそれぞれの少なくとも一部が、前記湾曲部分の幅が、前記外部縁よりも前記内部縁において小さくなるような傾斜付けられた表面を有する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記装填するステップの間に、前記プランジャの拡大された端部は、前記湾曲部分のそれぞれの傾斜付けられた表面に対して押動し、それによって、前記第1および第2のばねヒンジを押進し、前記上側および下側制御フィンガを分離し、前記プランジャの拡大された端部を収容する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記プランジャの拡大された端部が、もはや前記湾曲部分のそれぞれの傾斜付けられた表面に圧力を印加しなくなった後、前記上側および下側制御フィンガの少なくとも一部が、第1の端部において接触する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記薬の少なくとも一部が前記第2の端部から送達された後、前記シリンジを除去するステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記駆動機構はさらに、第1の端部と、第2の端部と、それらの間の管腔と、前記主ねじを受容するように構成されるメス型ねじ山付き要素とを有する楕円形管を備える、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記楕円形管は、前記駆動機構の回転を防止する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記掴持部要素と関連付けられる力センサを用いて、前記拡大された端部によって印加された力を感知するステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
前記掴持機構は、陥凹を有する背面パネルを備え、前記力センサは、前記背面パネルの陥凹内に格納される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記掴持機構はさらに、前記力センサに隣接する圧力プレートを備え、前記プランジャの拡大された端部は、前記圧力プレートに接触する、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記力センサによって検出される約2ポンド超の力が、前記シリンジの第2の端部に接続される導管内の閉塞を示す、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記力センサによって検出される約1ポンド~約2ポンドの力が、前記掴持機構による前記プランジャの拡大された端部の係合を示す、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
光学センサを用いて前記筐体の陥凹内の前記シリンジの存在を検出するステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項36】
エンコーダを用いて、前記モータが設定されたレートにおいて前記主ねじを回していることを検証するステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項37】
前記エンコーダは、線形エンコーダまたは回転エンコーダである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記シリンジの第2の端部に接続される導管は、血液透析システムの一部である、請求項22に記載の方法。
【請求項39】
前記薬は、ヘパリンである、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ヘパリンを送達するための、血液透析システムとの併用のためのシリンジポンプに関する。
【0002】
本出願人は、本明細書によって、本願において引用または言及される、あらゆる特許および公開特許出願を、参照することによって本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0003】
血液透析は、半浸透性膜を横断した溶質の拡散を伴う、患者の血液からのクレアチン、尿素、および遊離水を含む、老廃生成物の体外除去を達成するために使用される、医療手技である。これらの老廃生成物を適切に除去することができないことは、腎不全をもたらし得る。
【0004】
血液透析の間に、患者の血液が、動脈ラインによって除去され、透析機によって治療され、静脈ラインによって身体に戻される。透析機は、それを通して血液が運搬される、半浸透性膜を形成する多数の中空ファイバを含有する、透析器を含む。加えて、透析機は、適切な量の電解質と、他の不可欠な成分(グルコース等)を含有し、また、透析器を通して圧送される、透析液液体を利用する。
【0005】
典型的には、透析液は、水と適切な割合の酸濃縮物および重炭酸濃縮物を混合することによって調製される。好ましくは、酸および重炭酸濃縮物は、酸濃縮物中のカルシウムならびにマグネシウムが、重炭酸濃縮物中の高重炭酸塩レベルと接触すると、沈殿するであろうため、透析器内での使用の直前の最終混合まで、分離される。透析液はまた、適切なレベルのナトリウムと、カリウムと、塩素と、グルコースとを含み得る。
【0006】
膜を横断した透析プロセスは、拡散および対流の組み合わせによって達成される。拡散は、高濃度の領域から低濃度の領域への無作為運動による、分子の遊走を伴う。その一方で、対流は、典型的には、静水圧の差異に応答する、溶質の移動を伴う。半浸透性膜を形成するファイバは、透析液から血漿を分離し、尿素、カリウム、およびリン酸塩を含む老廃物が、透析液の中に浸透することを可能にしながら、透析液の中への血液細胞、ポリペプチド、ならびにあるタンパク質等のより大きい分子の位相を防止する、拡散が生じるためのより広い表面積を提供する。典型的には、透析液は、体外回路内の血流に対して反対方向に流動する。対向流流動は、透析の効率を向上させるように、半浸透性膜を横断して濃度勾配を維持する。
【0007】
血液透析は、体外血流を要求するため、抗凝固の形態が、血液回路内での血栓形成または凝固を防止するために必要とされる。ヘパリンは、一般的には、血液回路の中に注入され、凝固を防止する。標準的手技は、血液透析の開始時にボーラスヘパリン用量を注入し、続いて、治療の中間で付加的な用量を注入し、抗凝固を維持することである。https://www.uptodate.com/contents/hemodialysis-anticoagulation#H3683741を参照されたい。
【0008】
しかしながら、血液透析システム内での凝固を防止するための抗凝血剤の使用と関連付けられる、多数のリスクが、存在する。例えば、ある患者(末期腎疾患(ESRD)を患う人等)は、すでに、出血の拡大されたリスクを有している。Sahota, S. and Rodby, R.の「Inpatient hemodialysis without anticoagulation in adults」Clin Kidney J. 7(60: 552-53 (Dec. 2014)を参照されたい。ヘパリンの使用は、出血のリスクを拡大させ、「また、内皮結合リポタンパク質リパーゼを低減させることによって高トリグリセリド血症を引き起こし、球状帯内でのアルドステロン産生を抑制することによって高カリウム血症に寄与し得、血栓形成の有無を問わず、軽度から重度の血小板減少症につながり得る、免疫機序および非免疫機序と関連付けられる」(同文献、553)。
【0009】
また、ヘパリンポンプ自体と関連付けられる、問題も、存在する。ヘパリンポンプは、故障することが知られている。これは、特に、患者が夜間に透析しており、例えば、透析器が凝固したために騒々しい警報によって覚醒された場合に、問題となり得る。患者は、次いで、安眠から覚醒された後、透析器の問題を解決することを余儀なくされる。透析患者の多くは、高齢である、または関節炎等の障害を患い、片手でヘパリンポンプを装填、装填解除、接続、および接続解除することの機械学に対して困難を有する。
【0010】
故に、血液透析システムとの併用のための、正しい量の薬物を一貫して送達し、患者にとって使用が容易である、ヘパリンポンプの有意な必要性が、存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の側面によると、患者から血液を収集するために患者の動脈に接続するための、動脈血液ラインと、血液を患者に戻すために患者の静脈に接続するための、静脈血液ラインと、ヘパリンポンプと、再利用可能な透析機と、使い捨て可能な透析器とを含む、血液透析システムが、提供される。血液透析システムのさらなる詳細が、2020年11月2日に出願された、第US2020/0129686号として公開された、米国出願第16/659,941号および米国出願第17/087,383号(あらゆる目的のために、参照することによって、それらの全体として本明細書に明白に組み込まれる)に見出されることができる。
【0012】
動脈血液ラインおよび静脈血液ラインは、当業者に公知である、典型的構築物であり得る。例えば、動脈血液ラインは、患者の動脈から血液を収集するための針に接続される、従来的な可撓性の中空管類であり得る。同様に、静脈血液ラインは、患者の静脈に血液を戻すための従来的な可撓性の管および針であり得る。静脈内カテーテル、動静脈瘻、または合成移植片を含む、種々の構築物および外科手術手技が、患者の血液へのアクセスを得るために採用され得る。
【0013】
好ましくは、使い捨て可能な透析器は、血液流路と、透析液流路とを含む、当業者に公知の構築物および設計を有する。用語「流路」は、流体を搬送するための、通路とも称される、1つまたはそれを上回る流体導管を指すことを意図している。可撓性の医療用管類または非可撓性の中空の金属もしくはプラスチック筐体等を含む、導管は、当業者によって判定され得るような任意の様式において構築され得る。血液流路は、患者からの血液を透析器に、および患者に戻すように搬送するための動脈血液ラインならびに静脈血液ラインに接続することによって、閉ループシステム内で血液を搬送する。その一方で、透析液流路は、透析液の供給部からコネクタを通して透析器に、およびコネクタを通して透析液供給部に戻すように、閉ループシステム内で透析液を搬送する。血液流路および透析液流路は両方とも、透析器を通して通過するが、透析器の半浸透性膜によって分離される。
【0014】
一実施形態では、シリンジポンプは、伸長管状部材の管腔内で移動可能なプランジャを有するシリンジを受容するように構成され、シリンジの少なくとも一部を受容するように構成される陥凹を有する、筐体と、管腔内でプランジャを移動させるための、駆動機構であって、モータと、主ねじとを備える、駆動機構と、掴持機構とを含む。掴持機構は、制御アームと、背面パネルと、上側および下側制御フィンガとを備える。制御アームは、主ねじに結合される。上側および下側制御フィンガはそれぞれ、第1ならびに第2の端部と、幅と、内部縁と、外部縁とを有する、それらの間の湾曲部分とを有する。上側および下側制御フィンガの第1の端部は、第1ならびに第2のばねヒンジを介して制御アームに結合される。湾曲部分のそれぞれの少なくとも一部が、湾曲部分の幅が、外部縁よりも内部縁において小さくなるような、傾斜付けられた表面を有する。間隙は、背面パネルと上側および下側制御フィンガの傾斜付けられた表面の反対側との間に位置してもよい。
【0015】
別の実施形態では、駆動機構はまた、第1の端部と、第2の端部と、それらの間の管腔と、主ねじを受容するように構成される、メス型ねじ山付き要素とを有する、楕円形管を含むことができる。楕円形管は、駆動機構の回転を防止し得る。制御アームはさらに、伸長楕円形拡張部を備え、楕円形管は、伸長楕円形拡張部に結合され、主ねじの少なくとも一部が、楕円形管の管腔内に配置される。
【0016】
別の実施形態では、掴持機構はさらに、力センサを備える。掴持機構はさらに、力センサに隣接して位置する、圧力プレートを含んでもよい。圧力プレートは、力センサおよびシリンジの押動器の拡大された端部に接触するように構成されてもよい。力センサは、可撓性の抵抗力センサであってもよい。力センサは、シリンジポンプ内に受容されるシリンジに接続される導管内の閉塞を検出することが可能であってもよい。加えて、または代替として、力センサは、掴持機構内のプランジャの存在を検出することが可能であってもよい。
【0017】
別の実施形態では、シリンジポンプはさらに、光学センサを含んでもよい。光学センサは、シリンジの背後、例えば、筐体内に位置してもよい。光学センサは、筐体の陥凹内のシリンジの存在を検出してもよい。
【0018】
別の実施形態では、駆動機構はさらに、エンコーダを備える。エンコーダは、モータが、設定されたレートにおいて主ねじを回していることを検証するように構成されてもよい。エンコーダは、線形エンコーダまたは回転エンコーダであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明による、ヘパリンポンプの一実施形態の斜視上面図である。
【0020】
図2図2は、本発明による、ヘパリンポンプの一実施形態の側面図である。
【0021】
図3図3は、本発明による、ヘパリンポンプの一実施形態の側面図である。
【0022】
図4図4は、本発明による、ヘパリンポンプの一実施形態の斜視底面図である。
【0023】
図5A図5Aは、本発明による、掴持機構の一実施形態の上面図である。
【0024】
図5B図5Bは、本発明による、掴持機構の一実施形態の斜視図である。
【0025】
図5C図5Cは、本発明による、掴持機構の一実施形態の側面図である。
【0026】
図5D図5Dは、本発明による、掴持機構の一実施形態の端面図である。
【0027】
図6A図6Aは、本発明による、掴持機構の一実施形態の制御アームの側面図である。
【0028】
図6B図6Bは、本発明による、掴持機構の一実施形態の下側制御フィンガの側面図である。
【0029】
図6C図6Cは、本発明による、掴持機構の一実施形態の上側制御フィンガの側面図である。
【0030】
図7図7は、モータおよび掴持機構の一実施形態の斜視図である。
【0031】
図8図8は、掴持機構の一実施形態の分解図である。
【0032】
図9A図9Aは、本発明による、掴持機構の一実施形態の背面パネルの上面図である。
【0033】
図9B図9Bは、本発明による、背面パネルの一実施形態の斜視図である。
【0034】
図10A図10Aは、本発明による、掴持機構の一実施形態の一部の上面図である。
【0035】
図10B図10Bは、本発明による、掴持機構の一実施形態の一部の斜視図である。
【0036】
図10C図10Cは、本発明による、掴持機構の一実施形態の一部の上面図である。
【0037】
図10D図10Dは、本発明による、掴持機構の一実施形態の端面図である。
【0038】
図10E図10Eは、本発明による、掴持機構の実施形態の斜視図である。
【0039】
図10F図10Fは、本発明による、楕円形管に結合される掴持機構の実施形態の斜視図である。
【0040】
図11A図11Aは、本発明による、ヘパリンポンプの一実施形態の斜視上面図である。
【0041】
図11B図11Bは、本発明による、筐体を伴わない、ヘパリンポンプの一実施形態の斜視図である。
【0042】
図11C図11Cは、本発明による、ヘパリンポンプの一実施形態の切取内部図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の詳細な説明
本発明は、図面に示されるような種々の形態における実施形態が可能であるが、以降、本開示が、本発明の例示として見なされるべきであること、および本発明を図示される具体的な実施形態に限定することを意図していないという理解を伴って、本発明の現在好ましい実施形態として説明されるであろう。
【0044】
血液透析システムは、血液流路および透析液流の両方に接続される、透析器を含む。血液流路および透析液流路は両方とも、透析器を通して進行し、閉ループシステムを通してそれらの個別の流体を搬送し、透析液流路は、半浸透性膜によって血液流路から隔離される。好ましくは、透析液は、透析液を受容するための入口と、透析液を排出するための出口と、患者からの血液を受容するための入口と、患者に血液を戻すための出口とを保有する、透析器内の血流に対して反対方向に流動する。血液流路および透析液流路は、導管である。導管は、およそ0.156インチ(3~5ミリメートル)の内側直径を有し得る。血液流路および透析液流路は両方とも、透析器を通して通過するが、透析器の半浸透性膜によって分離される。透析器は、当業者に公知の構築物および設計である。好ましくは、透析器は、半浸透性膜を形成する、多数の中空ファイバを含む。好適な透析器が、Fresenius Medical Care、Baxter International, Inc.、およびNipro Medical Corporationから取得されることができる。
【0045】
図1-2に見られるように、流体、例えば、ヘパリンの送達のためのシリンジポンプは、シリンジ筐体2と、プランジャ3とを含む、シリンジ11を格納するための陥凹10を含有する、外側筐体1を有する。プランジャ3は、第1の端部13と、拡大された第2の端部15とを有する、伸長部材である。シリンジ筐体2は、第1の端部17と、第2の端部19と、それらの間の管腔21とを有する、伸長管状部材(例えば、円筒形バレル)である。第1の端部17は、それを通して流体、例えば、ヘパリン等の薬剤が分注され得る、開口部を伴う、出口または先端を有する。第2の端部は、フランジ23と、管腔21と連通する、開口部とを有する。第2の端部内の開口部およびシリンジ筐体2の管腔21が、プランジャ3の伸長部材を受容するように定寸される。それを通して液体が、プランジャ3への力の印加、それによって、プランジャ3をシリンジバレルの第1の端部17および筐体1の端部Aに向かって前進させるによって分注され得る、第1の端部17における先端または出口は、注入ライン(図示せず)に接続される。
【0046】
図3、4、および7に見られるように、シリンジポンプは、少なくとも、主ねじ9と、ステッパモータ8と、楕円形管4とを含む、駆動機構を有する。主ねじ9が、モータ搭載部64を通してベースプレート60に結合され得る、ステッパモータ8によって駆動される。楕円形管4が、スライド軸受筒68の管腔内で摺動するように構成される。主ねじ9の少なくとも一部が、楕円形管または摺動体4の管腔を通して通過し、楕円形管4の管腔の中に位置する、メス型ねじ山付き要素62に結合する。停止プレート66が、メス型ねじ山付き要素62を、楕円形管4の第1の端部および少なくとも部分的に、楕円形管4の管腔内に結合された状態に保つ。機械スイッチまたは光学センサ(例えば、IRセンサ70)が、シリンジ11の存在を検出するために使用されてもよい。掴持機構120が、楕円形管4の第2の端部に結合される。楕円形管4の非対称的形状が、駆動機構が回転しないように防止する。楕円形管4はまた、清浄すること、およびシールすることが容易である。
【0047】
シリンジポンプはまた、駆動機構に結合される、掴持機構を有する。掴持機構120は、接続点25、27において制御アーム5に接続される、下側および上側制御フィンガ6、7を含む。制御アーム5は、主ねじ9に結合される。下側および上側制御フィンガ6、7は、プランジャ3の拡大された端部15に係合するように構成される。ステッパモータ8による主ねじ9の移動が、楕円形管4の移動、したがって、プランジャ3の移動をもたらす。したがって、したがって、ステッパモータ8を使用して主ねじ9の位置を制御するステップは、ヘパリンの用量を制御する。別個のエンコーダ(線形エンコーダまたは回転エンコーダのいずれか)が、ステッパモータ8が、適切なレートにおいて主ねじ9を回していることを独立して検証するために使用されてもよい。回転エンコーダが、ステッパモータ8に搭載され、主ねじ9の回転の速度および/または数を追跡することによって、フィードバック信号を提供してもよい。線形エンコーダは、スケールを読み取り、エンコードされた位置を位置にデコードされ得る信号に転換する、センサを含む。エンコーダは、当業者にとって公知の典型的構築物であってもよい。
【0048】
図5A-Dおよび6A-Cに見られるように、掴持機構120は、制御アームまたはベースプレート5と、背面パネルもしくは掴持部本体30と、プランジャ3の拡大された端部15を自動的に掴持するように構成される、下側ならびに上側制御フィンガ6、7とを含む。制御アーム5は、第1および第2の接続点25、27と、本体29とを有する。本体29は、主ねじ9、および楕円形管4と結合するように構成される、楕円形管状延在部39に結合するように構成される、陥凹35を含む。下側および上側制御フィンガ6、7はそれぞれ、第1の端部31a、bと、第2の端部33a、bと、第1の端部と第2の端部との間にプランジャ3の拡大された端部15を握持するように構成される、湾曲部分とを有する。下側および上側制御フィンガ6、7はまた、それぞれ、湾曲部分の少なくとも一部に沿った傾斜付けられた縁39a、bを有し、最薄縁43a、bが、下側制御フィンガ6と上側制御フィンガ7との間に楕円形の空間を形成する、内部縁上に位置する。下側および上側制御フィンガ6、7、例えば、下側制御フィンガ6は、第1ならびに第2の部分を含む。第1の部分は、(上記に説明されるような)傾斜付けられた縁を含み、第2の部分は、傾斜付けられた表面および背面パネル30の対向側によって形成される、間隙41を含む。間隙41が、押動器3の拡大された端部15を格納するように構成される。下側および上側制御フィンガ6、7の第1の端部31a、bは、ばね荷重されたヒンジを介して制御アーム5の第1ならびに第2の接続点25、27に接続される。制御アーム5および下側ならびに上側制御フィンガ6、7は、湾曲部分間に楕円形の空間を形成する。楕円形の空間は、制御アーム5および下側ならびに上側制御フィンガ6、7が、プランジャ3の拡大された端部15と接触するにつれて、それらが分離することを可能にする。下記に詳述されるように、下側および上側制御フィンガ6、7は、次いで、患者によるいかなる付加的なアクションも伴わず、拡大された端部15を自動的に捕捉することができる。背面パネル30は、例えば、接続点25、27において本体29に接続され、本体29の縁を越えて、少なくとも、下側および上側制御フィンガの湾曲部分間に形成される、楕円形の空間を被覆するように延在する。
【0049】
ばね荷重されたヒンジ内のばねが、下側および上側制御フィンガ6、7の第2の端部33a、bを接触している状態に保つように付勢される。プランジャ3の拡大された端部15が、下側および上側制御フィンガ6、7と接触するにつれて、拡大された端部15が、下側および上側制御フィンガ6、7の傾斜付けられた縁39a、bに対して押動し、それによって、ばね荷重されたヒンジを押進し、下側および上側制御フィンガ6、7を分離し、それによって、プランジャ3の拡大された端部15を収容するためのより広い空間を生成する。拡大された端部15が、傾斜付けられた縁39a、bの内側縁43a、bを越えて押動した後、拡大された端部15は、もはや下側制御フィンガ6と上側制御フィンガ7との間の開口部を広げるように圧力を印加しておらず、下側および上側制御フィンガ6、7は、再び、第2の端部33a、bが接触するように閉鎖する。本閉鎖位置では、押動器3の拡大された端部15は、傾斜付けられた縁39a、bおよび背面パネル30の対向側間に形成される、間隙41内に着座している。拡大された端部15が間隙41内に着座し、下側および上側制御フィンガ6、7が閉鎖位置にある状態で、プランジャ3は、主ねじ9の移動が、シリンジ筐体2を通したプランジャ3の移動をもたらすように、駆動機構に一時的に結合され、シリンジ11の出口から外へのヘパリン等の流体の分注をもたらす。
【0050】
代替実施形態では、図7-11Cに見られるように、掴持機構は、掴持部ベースプレート105と、下側および上側制御フィンガ106、107と、ねじりばね142と、背面パネル130を伴う掴持部本体129と、圧力プレート146と、力センサ145と、背面カバー148とを含んでもよい。掴持部ベースプレート105は、楕円形管4の第2の端部に結合されることができる。下側および上側制御フィンガ106、107は、プランジャ3の拡大された端部15に係合するように構成され、掴持部ベースプレート105と掴持部本体129の背面パネル130との間に嵌合する。だぼピン140およびねじりばね142が、下側ならびに上側制御フィンガ106、107がばね荷重されたヒンジを通して結合されるように、下側ならびに上側制御フィンガ106、107をベースプレート105および背面パネル130に結合してもよい。
【0051】
図8および10A-10Fに見られるように、下側ならびに上側制御フィンガ106、107は、プランジャ3の拡大された端部15を自動的に掴持するように構成される。掴持部ベースプレートまたは制御アーム105は、下側および上側制御フィンガ106、107と結合されるように構成される、第1ならびに第2の接続点125、127を有する。掴持部ベースプレート105は、楕円形管4と結合するように構成される主ねじ9に結合するように構成される、陥凹(図示せず)を含んでもよい。下側および上側制御フィンガ106、107はそれぞれ、第1の端部131a、bと、第2の端部133a、bと、プランジャ3の拡大された端部15を握持するように構成される、第1ならびに第2の端部の間の湾曲部分とを有する。下側および上側制御フィンガ106、107はまた、それぞれ、湾曲部分の少なくとも一部に沿った傾斜付けられた縁139a、bを有し、最薄縁143a、bが、下側制御フィンガ106と上側制御フィンガ107との間に楕円形の空間を形成する、内部縁上に位置する。下側および上側制御フィンガ106、107は、第1ならびに第2の部分を含む。第1の部分は、(上記に説明されるような)傾斜付けられた縁を含み、第2の部分は、傾斜付けられた表面および背面パネル30の対向側によって形成される、間隙141を含む。間隙141が、押動器3の拡大された端部15を格納するように構成される。下側および上側制御フィンガ106、107の第1の端部131a、bは、ばね荷重されたヒンジを介して掴持部ベースプレート105の第1ならびに第2の接続点125、127および背面パネル130に接続される。下側および上側制御フィンガ106、107は、湾曲部分の間に楕円形の空間を形成する。楕円形の空間は、下側および上側制御フィンガ106、107がプランジャ3の拡大された端部15と接触するにつれて、それらが分離することを可能にする。下記に詳述されるように、下側および上側制御フィンガ106、107は、次いで、患者によるいかなる付加的なアクションも伴わず、拡大された端部15を自動的に捕捉することができる。背面パネル130および掴持部本体129は、例えば、接続点125、127において、だぼピン140ならびにねじりばね142を通して掴持部ベースプレート105および下側ならびに上側制御フィンガ106、107に接続される。背面パネル130が、本体129の縁を越えて、少なくとも、下側および上側制御フィンガ106、107の湾曲部分間に形成される、楕円形の空間を被覆するように延在する。背面パネル130は、それを通して圧力プレート146の少なくとも一部に嵌合するように構成される、略円形の開口部149を含む。図8および9A-9Bに見られるように、圧力プレート146は、隆起された略円形の部分147と、そこから延在する、少なくとも2つの延在部とを含む。動作時、圧力プレート146の隆起された略円形の部分147の第1の側が、背面カバープレート148の円形開口部149を通して延在する。隆起された略円形の部分147の第2の側が、力センサ145に接触する。力センサ145は、背面カバープレート148の陥凹内に着座するように構成される。ねじ152が、背面カバープレート148、本体129、およびベースプレート105をともに結合するために使用されてもよい。
【0052】
ばね荷重されたヒンジ内のばねが、下側および上側制御フィンガ106、107の第2の端部133a、bを接触している状態に保つように付勢される。ばね荷重されたヒンジは、だぼピン140と、ねじりばね142とを含んでもよい。プランジャ3の拡大された端部15が、下側および上側制御フィンガ106、107と接触するにつれて、拡大された端部15が、下側および上側制御フィンガ106、107の傾斜付けられた縁139a、bに対して押動し、それによって、ばね荷重されたヒンジを押進し、下側および上側制御フィンガ106、107を分離し、それによって、プランジャ3の拡大された端部15を収容するためのより広い空間を生成する。拡大された端部15が、傾斜付けられた139a、bの内側縁143a、bを越えて押動した後、拡大された端部15は、もはや下側制御フィンガ106と上側制御フィンガ107との間の開口部を広げるように圧力を印加しておらず、下側および上側制御フィンガ106、107は、再び、第2の端部133a、bが接触するように閉鎖する。本閉鎖位置では、押動器3の拡大された端部15は、傾斜付けられた縁139a、bおよび背面パネル130の対向側間に形成される、間隙41内に着座している。拡大された端部15が間隙41内に着座し、下側および上側制御フィンガ106、107が閉鎖位置にある状態で、プランジャ3は、主ねじ9の移動が、シリンジ筐体2を通したプランジャ3の移動をもたらすように、駆動機構に一時的に結合され、シリンジ11の出口から外へのヘパリン等の流体の分注をもたらす。
【0053】
シリンジポンプはまた、力センサ45、145および/または光学センサ等のセンサと、センサからの信号を分析する、プロセッサ(図示せず)とを含有してもよい。プロセッサは、センサ45、145によって検出される力を分析し得る。力センサ45、145が、より強い力が、プランジャ3の拡大された端部15をシリンジ11の第1の端部17に向かって前進させるために必要であることを検知した場合、プロセッサは、血液流路内の閉塞を検出し得る。約2ポンド超、代替として、約3ポンド超、代替として、約4ポンド超、代替として、約5ポンド超、代替として、約6ポンド超の検出された力が、血液流路内の閉塞を示し得る。プロセッサはまた、力センサ45、145からの読取値に基づいて、プランジャが掴持機構によって係合されているときも検出し得る。約1ポンド~約2ポンドの検出された力が、掴持機構によるプランジャの係合を示し得る。力センサ45、145が、より強い力が、プランジャ3の拡大された端部15をシリンジ11の第1の端部17に向かって前進させるために必要であることを検知した場合、プロセッサは、シリンジが、空である、またはほぼ空であることを検出し得る。
【0054】
力センサ45、145は、掴持機構上に搭載される、可撓性の抵抗力センサであってもよい。力センサ45、145は、力センサ45が、下側および上側制御フィンガ6、7の湾曲部分間の楕円形の開口部に隣接するであろうように、背面パネル30の中または上に位置してもよい。したがって、拡大された端部15が、間隙41内に格納されると、拡大された端部15は、力センサ45と接触する。力センサは、当業者にとって公知の典型的力センサであってもよい。シリンジポンプはまた、光源と、光学センサとを含んでもよい。光源および光学センサは、プロセッサが、光学センサから検出された信号に基づいて、筐体陥凹10内のシリンジの存在を判定することが可能であり得るように、シリンジ11の両側に位置してもよい。光学センサは、当業者にとって公知の典型的光学センサであってもよい。
【0055】
患者が、透析するステップを終了し、もはやヘパリンを必要としなくなった後、患者は、単に筐体1からシリンジ11を自由に引き出すことができる。制御アーム5と、下側および上側制御フィンガ6、7とを含む、掴持機構は、シリンジ11が筐体1から外に引き出されると、プランジャ3を自動的に解放してもよい。また、筐体1およびポンプの設計は、患者が、時として透析の間に必要であるように、片手のみを用いてシリンジ11を筐体1の中に装填すること、ならびにシリンジ11を筐体1から自由に引き出すことの両方を可能にする。
【0056】
多くの実施形態では、伸長管状部材の管腔内で移動可能なプランジャを有するシリンジを受容するように構成される、シリンジポンプが、提供される。シリンジポンプは、シリンジの少なくとも一部を受容するように構成される陥凹を有する、筐体と、管腔内でプランジャを移動させるための、駆動機構であって、モータと、主ねじとを備える、駆動機構と、掴持機構であって、制御アームと、背面パネルと、上側および下側制御フィンガと、背面パネルと上側および下側制御フィンガとの間に形成される、間隙とを備え、上側および下側制御フィンガはそれぞれ、第1ならびに第2の端部と、幅と、内部縁と、外部縁とを有する、それらの間の湾曲部分とを有し、上側および下側制御フィンガの第1の端部は、第1ならびに第2のばねヒンジを介して制御アームに結合され、間隙は、プランジャの拡大された端部を格納するように構成される、掴持機構とを含み、制御アームは、主ねじに結合される。
【0057】
いくつかの実施形態では、上側および下側制御フィンガの内部縁は、第2の端部が接触すると、それらの間に略楕円形の空間を形成する。
【0058】
いくつかの実施形態では、湾曲部分のそれぞれの少なくとも一部が、湾曲部分の幅が、外部縁よりも内部縁において小さくなるような、傾斜付けられた表面を有する。いくつかの実施形態では間隙は、背面パネルと上側および下側制御フィンガの傾斜付けられた表面のそれぞれの反対側との間に位置する。
【0059】
いくつかの実施形態では、モータは、ステッパモータである。
【0060】
いくつかの実施形態では、駆動機構はさらに、第1の端部と、第2の端部と、それらの間の管腔と、主ねじを受容するように構成される、メス型ねじ山付き要素とを有する、楕円形管を備える。いくつかの実施形態では、楕円形管は、駆動機構の回転を防止する。いくつかの実施形態では、主ねじの少なくとも一部が、楕円形管の管腔内に配置され、メス型ねじ山付き要素に結合される。いくつかの実施形態では、制御アームはさらに、伸長楕円形拡張部を備え、楕円形管は、伸長楕円形拡張部に結合される。
【0061】
いくつかの実施形態では、掴持機構はさらに、力センサを備える。いくつかの実施形態では、掴持機構はさらに、圧力プレートを備え、圧力プレートは、力センサおよびシリンジの押動器の拡大された端部に接触するように構成される。いくつかの実施形態では、力センサは、可撓性の抵抗力センサである。いくつかの実施形態では、力センサは、シリンジポンプ内に受容されるシリンジに接続される、導管内の閉塞を検出することが可能である。いくつかの実施形態では、力センサは、掴持機構内のプランジャの存在を検出することが可能である。
【0062】
いくつかの実施形態では、シリンジポンプはさらに、光学センサを備える。いくつかの実施形態では、光学センサは、シリンジの背後に位置する。いくつかの実施形態では、光学センサは、陥凹内のシリンジの存在を検出する。
【0063】
いくつかの実施形態では、駆動機構はさらに、エンコーダを備える。いくつかの実施形態では、エンコーダは、モータが、設定されたレートにおいて主ねじを回していることを検証するように構成される。いくつかの実施形態では、エンコーダは、線形エンコーダである。いくつかの実施形態では、エンコーダは、回転エンコーダである。
【0064】
多くの実施形態では、シリンジポンプを使用して薬を注入するための方法が、説明される。本方法は、シリンジをシリンジポンプの陥凹の中に装填するステップであって、シリンジは、第1の端部と、第2の端部とを有する、伸長管状部材と、伸長管状部材の管腔内で移動可能なプランジャと、管腔内の薬とを備え、シリンジポンプは、シリンジの少なくとも一部を受容するように構成される陥凹を有する筐体と、管腔内でプランジャを移動させるための駆動機構と、掴持機構とを備え、駆動機構は、モータと、主ねじとを備え、掴持機構は、主ねじに結合され、掴持機構は、プランジャの拡大された端部に係合する、ステップと、伸長管状部材の管腔内のプランジャを、モータを動作させ、主ねじおよび掴持機構を移動させることによって、第1の端部から第2の端部への方向に移動させるステップであって、第1の端部から第2の端部への方向におけるプランジャの移動が、薬をシリンジの第2の端部から退出させる、ステップとを含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、掴持機構は、制御アームと、背面パネルと、上側および下側制御フィンガと、背面パネルと上側および下側制御フィンガとの間に形成される、間隙とを備え、上側および下側制御フィンガはそれぞれ、第1ならびに第2の端部と、幅と、内部縁と、外部縁とを有する、それらの間の湾曲部分とを有し、上側および下側制御フィンガの第1の端部は、第1ならびに第2のばねヒンジを介して制御アームに結合され、プランジャの拡大された端部は、間隙内に格納される。いくつかの実施形態では、湾曲部分のそれぞれの少なくとも一部が、湾曲部分の幅が、外部縁よりも内部縁において小さくなるような、傾斜付けられた表面を有する。いくつかの実施形態では、装填するステップの間に、プランジャの拡大された端部は、湾曲部分のそれぞれの傾斜付けられた表面に対して押動し、それによって、第1および第2のばねヒンジを押進し、上側ならびに下側制御フィンガを分離し、プランジャの拡大された端部を収容する。いくつかの実施形態では、プランジャの拡大された端部が、もはや湾曲部分のそれぞれの傾斜付けられた表面に圧力を印加しなくなった後、上側および下側制御フィンガの少なくとも一部が、第1の端部において接触する。
【0066】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、薬の少なくとも一部が第2の端部から送達された後、シリンジを除去するステップを含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、駆動機構はさらに、第1の端部と、第2の端部と、それらの間の管腔と、主ねじを受容するように構成される、メス型ねじ山付き要素とを有する、楕円形管を備える。いくつかの実施形態では、楕円形管は、駆動機構の回転を防止する。
【0068】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、掴持部要素と関連付けられる力センサを用いて、拡大された端部によって印加された力を感知するステップを含む。いくつかの実施形態では、掴持機構は、陥凹を有する背面パネルを備え、力センサは、背面パネルの陥凹内に格納される。いくつかの実施形態では、掴持機構はさらに、力センサに隣接する圧力プレートを備え、プランジャの拡大された端部は、圧力プレートに接触する。いくつかの実施形態では、力センサによって検出される、約2ポンド超の力が、シリンジの第2の端部に接続される導管内の閉塞を示す。いくつかの実施形態では、力センサによって検出される、約1ポンド~約2ポンドの力が、掴持機構による、プランジャの拡大された端部の係合を示す。
【0069】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、光学センサを用いて筐体の陥凹内のシリンジの存在を検出するステップを含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、エンコーダを用いて、モータが設定されたレートにおいて主ねじを回していることを検証するステップを含む。いくつかの実施形態では、エンコーダは、線形エンコーダまたは回転エンコーダである。
【0071】
いくつかの実施形態では、シリンジの第2の端部に接続される導管は、血液透析システムの一部である。
【0072】
いくつかの実施形態では、薬は、ヘパリンである。
【0073】
締めくくりに、本明細書に示され、説明されるような本発明の例示的実施形態に関して、血液透析システムが開示されることを理解されたい。本発明の原理は、示され、説明されるもの以外のいくつかの構成において実践され得、そのため、本発明が、例示的実施形態によっていかようにも限定されず、概して、血液透析システムを対象とし、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、それを行うために多数の形態をとることが可能であることを理解されたい。また、本発明が、開示される構築物の特定の幾何学形状および材料に限定されず、代わりに、本発明の精神ならびに範囲から逸脱することなく、現在公知である、または後に開発される、他の機能的に同等の構造もしくは材料を伴い得ることが、当業者によって理解されるであろう。さらに、上記に説明される実施形態のそれぞれの種々の特徴は、任意の論理様式において組み合わせられ得、本発明の範囲内に含まれることを意図する。
【0074】
本発明の代替実施形態、要素、またはステップの群化は、限定物として解釈されないものとする。各群の構成要素は、個々に、または本明細書に開示される他の群の構成要素との任意の組み合わせにおいて言及および請求され得る。群の1つまたはそれを上回る構成要素が、便宜上ならびに/もしくは特許性の理由のために、群の中に含まれる、またはそれから削除され得ることが予期される。任意のそのような包含または削除が、生じるとき、本明細書は、修正されたものとして、群を含有すると見なされる。
【0075】
別様に示されない限り、本明細書および請求項内で使用される、特性、項目、数量、パラメータ、性質、用語等を表現する全ての数値は、用語「約」によって全ての事例において修飾されているものとして理解されるべきである。本明細書で使用されるように、用語「約」は、そのように条件付けられた特性、項目、数量、パラメータ、性質、または用語が、記載された特性、項目、数量、パラメータ、性質、もしくは用語の値の±10パーセント上方および下方の範囲を含有することを意味する。故に、そうではないことが示されていない場合、本明細書および添付の請求項に記載の数値パラメータは、変動し得る、近似値である。最低限でも、均等論の適用を本請求項の範囲に限定するような試みとしてではなく、各数値インジケーションは、少なくとも、報告された有効桁数に照らして、かつ通常の丸め技法を適用することによって解釈されるべきである。本発明の広範な範囲を記載する数値範囲および値が近似値であるにもかかわらず、具体的実施例に記載の数値範囲ならびに値は、可能な限り、精密に報告される。しかしながら、いかなる数値範囲または値も、本質的に、それらの個別の試験測定値に見出される標準偏差から必然的に結果として生じる、ある誤差を含有する。本明細書における値の数値範囲の列挙は、その範囲内にある各別個の数値範囲を個々に指す、簡略的な方法としての役割を果たすことを意図しているにすぎない。本明細書において別様に示されない限り、数値範囲の各個々の値は、本明細書に個々に列挙されている場合と同様に、本明細書の中に組み込まれる。
【0076】
本発明の説明の文脈(特に、以下の請求項の文脈)内で使用される用語「a」、「an」、「the」、および類似の指示物は、本明細書で別様に示される、または文脈によって明確に矛盾されない限り、単数ならびに複数の両方を網羅すると解釈されるべきである。本明細書に説明される方法の全てが、本明細書において別様に示される、または文脈によって明確に別様に矛盾されない限り、任意の好適な順序において実施されることができる。本明細書に提供される、ありとあらゆる実施例または例示的な言い回し(例えば、「等」)の使用は、本発明をより明瞭に照明することを意図しているにすぎず、別様に請求される本発明の範囲に限定を課すものではない。本明細書におけるいかなる言い回しも、任意の非請求要素を、本発明の実践に対して不可欠であるように示しているものとして解釈されるべきではない。
【0077】
本明細書に開示される具体的な実施形態はさらに、「consisting of(~から成る)」または「本質的に~から成る(consisting essentially of)」の言い回しを使用して、本請求項において限定され得る。本請求項において使用されると、改定毎に出願されるものとして、または追加されるものとしてであるかにかかわらず、移行用語「consisting of(~から成る)」は、本請求項内で規定されていない、いかなる要素、ステップ、もしくは成分も除外する。移行用語「consisting essentially of(~から本質的に成る)」は、請求項の範囲を、規定される材料またはステップおよび基本的特性ならびに新規の特性に実質的に影響を及ぼさないものに限定する。そのように請求される本発明の実施形態は、本明細書において本質的または明示的に説明され、有効にされる。
【0078】
各方法の個別の要素が実施される、プロセス、方法、および順序は、純粋に例示的であることを理解されたい。実装に応じて、それらは、本開示において別様に示されない限り、任意の順序で、または並行して実施され得る。
【0079】
本発明のいくつかの特定の形態が、図示され、説明されているが、種々の修正が、本発明の精神および発明から逸脱することなく成され得ることが、明白となるであろう。したがって、本発明が、以下の請求項によらない限り、限定されることは意図していない。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図11A
図11B
図11C
【国際調査報告】