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特表2023-500747マルチターゲット電気刺激回路、電気刺激装置及びその信号出力方法
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  • 特表-マルチターゲット電気刺激回路、電気刺激装置及びその信号出力方法 図1
  • 特表-マルチターゲット電気刺激回路、電気刺激装置及びその信号出力方法 図2
  • 特表-マルチターゲット電気刺激回路、電気刺激装置及びその信号出力方法 図3
  • 特表-マルチターゲット電気刺激回路、電気刺激装置及びその信号出力方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-10
(54)【発明の名称】マルチターゲット電気刺激回路、電気刺激装置及びその信号出力方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20221227BHJP
【FI】
A61N1/36
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022541247
(86)(22)【出願日】2020-04-03
(85)【翻訳文提出日】2022-07-04
(86)【国際出願番号】 CN2020083321
(87)【国際公開番号】W WO2021184439
(87)【国際公開日】2021-09-23
(31)【優先権主張番号】202010179227.2
(32)【優先日】2020-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FLASH
(71)【出願人】
【識別番号】519026618
【氏名又は名称】首都医科大学宣武医院
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 玉平
(72)【発明者】
【氏名】顔 至遠
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB12
4C053BB34
4C053BB35
4C053JJ01
4C053JJ21
(57)【要約】
本発明はマルチターゲット電気刺激回路、電気刺激装置及びその信号出力方法を開示し、電気刺激回路は、制御モジュール、複数の脳波収集モジュール及び複数の刺激調整モジュールを備え、各電極に対応して1つの脳波収集モジュール及び1つの刺激調整モジュールが設けられ、異なる電極は異なるターゲットを刺激することに用いられ、脳波収集モジュールは、対応する電極の脳波信号を収集して制御モジュールに伝送することに用いられ、制御モジュールは、受信した脳波信号に基づいて脳リズム位相信号を取得し、脳リズム位相信号を位相ロックした後に所定波形位相点で刺激信号を出力することに用いられ、刺激調整モジュールは、受信した刺激信号に基づいて、対応する電極に出力する脳波刺激信号を調整することに用いられる。本発明の技術案によって、複数のターゲットへの電気刺激を実現するのに有利であり、複数のターゲットを電気刺激する時のタイムロックマッチングを実現する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチターゲット電気刺激回路であって、
制御モジュール、複数の脳波収集モジュール及び複数の刺激調整モジュールを備え、各電極に対応して1つの前記脳波収集モジュール及び1つの前記刺激調整モジュールが設けられ、異なる前記電極は異なるターゲットを刺激することに用いられ、
前記脳波収集モジュールは、対応する前記電極の脳波信号を収集して前記制御モジュールに伝送することに用いられ、
前記制御モジュールは、受信した前記脳波信号に基づいて脳リズム位相信号を取得し、前記脳リズム位相信号を位相ロックした後に所定波形位相点で刺激信号を出力することに用いられ、
前記刺激調整モジュールは、受信した前記刺激信号に基づいて、対応する前記電極に出力する脳波刺激信号を調整することに用いられることを特徴とするマルチターゲット電気刺激回路。
【請求項2】
前記制御モジュールは、
受信した前記脳波信号をフーリエ変換して振幅スペクトルを取得し、前記振幅スペクトルに基づいて振幅ピーク値を取得するための変換サブモジュールと、
前記振幅ピーク値と振幅閾値を比較し、出力する比較信号を調整するための比較サブモジュールと、
受信した前記比較信号に基づいて、受信した前記脳波信号に対してFFT位相スペクトル分析を行って前記脳リズム位相信号を取得するためのスペクトル分析サブモジュールと、を備えることを特徴とする請求項1に記載のマルチターゲット電気刺激回路。
【請求項3】
前記制御モジュールは、
収集遅延パラメータに基づいて前記脳リズム位相信号を補償し、補償後の前記脳リズム位相信号を取得するための補償サブモジュールをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のマルチターゲット電気刺激回路。
【請求項4】
前記制御モジュールは、
前記脳リズム位相信号を位相ロックし、位相ロック脳リズム位相信号を出力するための位相ロックサブモジュールと、
前記位相ロック脳リズム位相信号内の前記所定波形位相点を選択し、前記所定波形位相点で前記刺激信号を出力するための位相選択サブモジュールと、をさらに備えることを特徴とする請求項2又は3に記載のマルチターゲット電気刺激回路。
【請求項5】
前記脳波収集モジュールは、
対応する前記電極の脳波信号を収集し、前記脳波信号を増幅して増幅後の脳波信号を生成するための増幅サブモジュールと、
アナログ信号形態の増幅後の脳波信号をデジタル信号形態の増幅後の脳波信号に変換して前記制御モジュールに伝送するためのアナログデジタル変換サブモジュールと、を備えることを特徴とする請求項1に記載のマルチターゲット電気刺激回路。
【請求項6】
前記刺激調整モジュールは、受信した前記刺激信号の電圧を調整し、電圧調整後の前記刺激信号を対応する前記電極に出力することに用いられることを特徴とする請求項1に記載のマルチターゲット電気刺激回路。
【請求項7】
処理モジュールをさらに備え、前記処理モジュールは、それぞれ前記制御モジュール及び前記刺激調整モジュールに通信接続され、前記制御モジュールは前記処理モジュールを介して前記刺激調整モジュールに前記刺激信号を送信することを特徴とする請求項1に記載のマルチターゲット電気刺激回路。
【請求項8】
無線充電モジュールと電池モジュールをさらに備え、前記無線充電モジュールは、所定の時間間隔で前記電池モジュールを充電することに用いられ、前記電池モジュールは、前記処理モジュール、前記脳波収集モジュール及び前記刺激調整モジュールに給電することに用いられることを特徴とする請求項7に記載のマルチターゲット電気刺激回路。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のマルチターゲット電気刺激回路を備えることを特徴とするマルチターゲット電気刺激装置。
【請求項10】
マルチターゲット電気刺激装置の信号出力方法であって、
脳波収集モジュールが対応する電極の脳波信号を収集して制御モジュールに伝送し、異なる前記電極が異なるターゲットを刺激することに用いられ、各前記電極に対応して1つの前記脳波収集モジュールが設けられることと、
前記制御モジュールが受信した前記脳波信号に基づいて脳リズム位相信号を取得し、前記脳リズム位相信号を位相ロックした後に所定波形位相点で刺激信号を出力することと、
刺激調整モジュールが受信した前記刺激信号に基づいて、対応する前記電極に出力する脳波刺激信号を調整し、各前記電極に対応して1つの前記刺激調整モジュールが設けられることと、を含むことを特徴とするマルチターゲット電気刺激装置の信号出力方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年3月16日に中国特許庁に出願された、出願番号が202010179227.2で、発明の名称が「マルチターゲット電気刺激回路、電気刺激装置及びその信号出力方法」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容が引用により本願に援用される。
【0002】
本願は、医療機器の技術分野に関し、特にマルチターゲット電気刺激回路、電気刺激装置及びその信号出力方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、神経画像技術の発展、脳信号分析方法の進歩及び医学の考え方の画期的な進歩に伴い、いくつかの脳部疾患は発病メカニズム及び治療手段の面で新しい共通の特徴が示されており、徐々に新しい疾患群が形成されており、脳機能疾患と呼ばれる。このような疾患は異常な脳ネットワーク特徴を有し、電気刺激によって調整でき、それにより異常な脳ネットワーク特徴及び臨床症状を変え、脳機能疾患の概念は、臨床診療の新しい分野を開き、長期にわたって診療の苦境にある脳疾患に希望をもたらす。
【0004】
ますます多くの神経電気生理学及び画像学の研究証拠により、神経系脳機能疾患に異常な脳ネットワークが存在し、複数の神経回路に関し、且つ各神経回路間に相互作用が存在することが示されている。例えば、うつ病の発病に密接に関係する異常な脳ネットワークは情動回路、報酬回路を含み、アルツハイマー病では、記憶と実行制御ネットワークはアルツハイマー病患者の認知及び行動障害に密接に関係する。様々な疾患では、各神経回路間に相互調整作用が存在し、互いに影響を与える。従って、ある神経回路のみの主な脳領域を電気刺激することで疾患状態での全脳の異常なネットワークを調整できず、治療効果は制限される。
【0005】
従来の脳刺激技術では、応答性神経刺激システム(RNS、Responsive Neurostimulation system)は、ヒト脳のてんかん病巣に深部電極を埋め込み、この深部電極は頭蓋内電気信号を収集することができ、脳領域に電気刺激を与えることもできる。RNSは脳波信号をリアルタイムで連続的に監視し、てんかん放電を識別することができ、てんかん放電が発生し且つ1回のてんかん発作が発生しようとすると、RNSはタイムリーに電気刺激を発しててんかん放電の進行を停止させ、それによりてんかん発作を阻止する。しかし、RNSは最大2つのターゲット、即ち2つの主な脳領域のみでの電気刺激を実現でき、複数の神経回路の脳機能疾患の全脳コントロールを行うことができず、且つ2つのターゲットへの刺激に対してタイムロックマッチングを行うことができず、即ち、この2つのターゲットを同期して刺激又は一定の時間間隔で前後して刺激することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願が解決しようとする技術的課題は、従来では、ある神経回路のみの主な脳領域を電気刺激することで疾患状態での全脳の異常なネットワークを調整できず、2つのターゲットへの刺激に対してタイムロックマッチングを行うことができないという問題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記技術的課題を解決するために、第1態様では、本願の実施例はマルチターゲット電気刺激回路を提供し、
制御モジュール、複数の脳波収集モジュール及び複数の刺激調整モジュールを備え、各電極に対応して1つの前記脳波収集モジュール及び1つの前記刺激調整モジュールが設けられ、異なる前記電極は異なるターゲットを刺激することに用いられ、
前記脳波収集モジュールは、対応する前記電極の脳波信号を収集して前記制御モジュールに伝送することに用いられ、
前記制御モジュールは、受信した前記脳波信号に基づいて脳リズム位相信号を取得し、前記脳リズム位相信号を位相ロックした後に所定波形位相点で刺激信号を出力することに用いられ、
前記刺激調整モジュールは、受信した前記刺激信号に基づいて、対応する前記電極に出力する脳波刺激信号を調整することに用いられる。
【0008】
任意選択的に、前記制御モジュールは、
受信した前記脳波信号をフーリエ変換して振幅スペクトルを取得し、前記振幅スペクトルに基づいて振幅ピーク値を取得するための変換サブモジュールと、
前記振幅ピーク値と振幅閾値を比較し、出力する比較信号を調整するための比較サブモジュールと、
受信した前記比較信号に基づいて、受信した前記脳波信号に対してFFT位相スペクトル分析を行って前記脳リズム位相信号を取得するためのスペクトル分析サブモジュールと、を備える。
【0009】
任意選択的に、前記制御モジュールは、
収集遅延パラメータに基づいて前記脳リズム位相信号を補償し、補償後の前記脳リズム位相信号を取得するための補償サブモジュールをさらに備える。
【0010】
任意選択的に、前記制御モジュールは、
前記脳リズム位相信号を位相ロックし、位相ロック脳リズム位相信号を出力するための位相ロックサブモジュールと、
前記位相ロック脳リズム位相信号内の前記所定波形位相点を選択し、前記所定波形位相点で前記刺激信号を出力するための位相選択サブモジュールと、をさらに備える。
【0011】
任意選択的に、前記脳波収集モジュールは、
対応する前記電極の脳波信号を収集し、前記脳波信号を増幅して増幅後の脳波信号を生成するための増幅サブモジュールと、
アナログ信号形態の増幅後の脳波信号をデジタル信号形態の増幅後の脳波信号に変換して前記制御モジュールに伝送するためのアナログデジタル変換サブモジュールと、を備える。
【0012】
任意選択的に、前記刺激調整モジュールは、受信した前記刺激信号の電圧を調整し、電圧調整後の前記刺激信号を対応する前記電極に出力することに用いられる。
【0013】
任意選択的に、前記マルチターゲット電気刺激回路は、
処理モジュールをさらに備え、前記処理モジュールは、それぞれ前記制御モジュール及び前記刺激調整モジュールに通信接続され、前記制御モジュールは前記処理モジュールを介して前記刺激調整モジュールに前記刺激信号を送信する。
【0014】
任意選択的に、前記マルチターゲット電気刺激回路は、
無線充電モジュールと電池モジュールをさらに備え、前記無線充電モジュールは、所定の時間間隔で前記電池モジュールを充電することに用いられ、前記電池モジュールは、前記処理モジュール、前記脳波収集モジュール及び前記刺激調整モジュールに給電することに用いられる。
【0015】
第2態様では、第1態様に記載のマルチターゲット電気刺激回路を備えるマルチターゲット電気刺激回路をさらに提供する。
【0016】
第3態様では、マルチターゲット電気刺激装置の信号出力方法をさらに提供し、該方法は、
脳波収集モジュールが対応する電極の脳波信号を収集して制御モジュールに伝送し、異なる前記電極が異なるターゲットを刺激することに用いられ、各前記電極に対応して1つの前記脳波収集モジュールが設けられることと、
前記制御モジュールが受信した前記脳波信号に基づいて脳リズム位相信号を取得し、前記脳リズム位相信号を位相ロックした後に所定波形位相点で刺激信号を出力することと、
刺激調整モジュールが受信した前記刺激信号に基づいて、対応する前記電極に出力する脳波刺激信号を調整し、各前記電極に対応して1つの前記刺激調整モジュールが設けられることと、を含む。
【発明の効果】
【0017】
本願の実施例に係る上記技術案は従来の技術に比べて以下の利点を有する。
【0018】
本願の実施例に係る該マルチターゲット電気刺激回路は、各電極に対応して1つの脳波収集モジュール及び1つの刺激調整モジュールが設けられ、且つ異なる電極が異なるターゲットを刺激することに用いられ、脳波収集モジュールが対応する電極の脳波信号を収集して制御モジュールに伝送し、制御モジュールが受信した脳波信号に基づいて脳リズム位相信号を取得し、脳リズム位相信号を位相ロックした後に所定波形位相点で刺激信号を出力し、刺激調整モジュールが受信した刺激信号に基づいて、対応する電極に出力する脳波刺激信号を調整し、それにより、複数のターゲットへの刺激を実現するのに有利であり、さらに複数の神経回路の脳機能疾患の全脳ネットワーク調整を実現するとともに、脳波信号のリアルタイム監視を利用して特定対象の脳リズムのフィードバック電気刺激調整を実現し、脳リズム位相信号の位相ロックによって、複数のターゲットを電気刺激する時のタイムロックマッチングを実現し、即ち、異なるターゲットを同期して刺激又は所定の時間間隔で前後して刺激することができる。
【0019】
上記の一般的な説明及び以下の詳細な説明が例示的且つ解釈的なものに過ぎず、本発明を制限できないことは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
ここでの図面は、明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成し、本願に適合する実施例を示しており、明細書とともに本願の原理を解釈することに用いられる。
本願の実施例又は従来技術の技術案をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明に使用される必要がある図面を簡単に説明し、明らかに、当業者であれば分かるように、創造的な労働を必要とせずに、これらの図面に基づいて他の図面を取得することができる。
図1】本発明の実施例に係るマルチターゲット電気刺激回路の構造模式図である。
図2】本発明の実施例に係る制御モジュールの構造模式図である。
図3】本発明の実施例に係る別の制御モジュールの構造模式図である。
図4】本発明の実施例に係るマルチターゲット電気刺激装置の信号出力方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本願の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、本願の実施例の図面を参照しながら、本願の実施例の技術案を明確且つ完全に説明し、明らかに、説明される実施例は本願の一部の実施例に過ぎず、全部の実施例ではない。本願の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を必要とせずに取得するすべての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0022】
図1は本発明の実施例に係るマルチターゲット電気刺激回路の構造模式図である。図1に示すように、マルチターゲット電気刺激回路は、制御モジュール1、複数の脳波収集モジュール2及び複数の刺激調整モジュール3を備え、各電極4に対応して1つの脳波収集モジュール2及び1つの刺激調整モジュール3が設けられ、図1は3つの電極4と3つの電極4に対応する3つの脳波収集モジュール2及び刺激調整モジュール3を例示的に示している。電気刺激装置は少なくとも3つの電極4を備えるように設けられてもよく、且つ異なる電極4は異なるターゲット、即ち脳の主な領域を刺激することに用いられる。
【0023】
脳波収集モジュール2は、対応する電極4の脳波信号を収集して制御モジュール1に伝送することに用いられ、制御モジュール1は、受信した脳波信号に基づいて脳リズム位相信号を取得し、脳リズム位相信号を位相ロックした後に所定波形位相点で刺激信号を出力することに用いられ、刺激調整モジュール3は、受信した刺激信号に基づいて、対応する電極4に出力する脳波刺激信号を調整することに用いられる。
【0024】
具体的には、電極4は埋込型電極であり、即ち、電極4は脳内の所定位置に固定され、脳波収集モジュール2は対応する電極4の脳波信号を収集し、即ち、脳波収集モジュール2は脳内の所定位置の脳波信号をリアルタイムに監視し、収集した脳波信号を制御モジュール1に伝送することができ、例示的に、マルチターゲット電気刺激回路は処理モジュール5をさらに備えてもよく、処理モジュール5は制御モジュール1に通信接続されてもよく、例えば無線接続され、脳波収集モジュール2は収集した脳波信号を処理モジュール5を介して制御モジュール1に伝送できる。
【0025】
制御モジュール1は脳波収集モジュール2から伝送された脳波信号を受信し、制御モジュール1は位相ロックを実現するために、脳波信号に基づいて脳リズム位相信号を取得し、脳リズム位相信号を位相ロックし、位相ロック後の脳リズム位相信号の所定波形位相点で刺激信号を出力し、例えば、脳リズム位相信号のゼロ交差点を選択するか、ゼロ交差後に一定の時間位相ロックしてから刺激信号を出力し、脳リズム位相信号の位相ロックを実現する。例示的に、マルチターゲット電気刺激回路は処理モジュール5をさらに備えてもよく、通信接続するように設けられてもよく、例えば、処理モジュール5は制御モジュール1に無線接続され、処理モジュール5は刺激調整モジュール3に無線接続又は有線接続されるように設けられてもよく、制御モジュール1は、所定波形位相点で、無線伝送の方式で、患者の体内に集積された処理モジュール5を介して刺激調整モジュール3に刺激信号を送信することができる。
【0026】
このように、異なる電極4に対して、脳リズム位相信号の位相ロックによって、異なる電極4により複数のターゲットを電気刺激する時のタイムロックマッチングを効果的に実現することができ、即ち、異なるターゲットを同期して刺激又は一定の時間間隔で前後して刺激することができ、RNSが異なるターゲットを同期して刺激又は一定の時間間隔で刺激することができないという問題を解決した。
【0027】
また、本発明の実施例では、3つ以上の電極4が設けられてもよく、且つ各電極4に対応して脳波収集モジュール2及び刺激調整モジュール3が設けられ、マルチターゲット電気刺激を実現し、さらに複数の神経回路の脳機能疾患の全脳ネットワーク調整を実現し、複数の神経回路の相互調整能力を十分に利用でき、脳ネットワークの複数の主な脳領域の同期調整を実現し、従来の埋込型脳刺激技術が脳ネットワークの1つ又は2つのみの主な脳領域を調整するという問題を解決し、脳機能疾患の治療効果の向上に有利である。また、本発明の実施例は、脳波信号をリアルタイムに監視して脳波信号の特徴に基づいてリアルタイムにトリガーする電気刺激を使用することで、特定対象の脳波リズムへの正確な位相結合刺激を実現でき、それにより、特定の周波数帯リズムを調整し、従来の埋込型脳刺激技術が自分の生体リズムに対して刺激を行うことができないという問題を解決し、脳波リズムの異常による脳機能疾患を改善し、従来の埋込型脳刺激技術がてんかん放電の抑制のみに用いられるという問題を解決し、埋込型脳刺激技術が治療する患者群を広げることに有利である。
【0028】
図2は本発明の実施例に係る制御モジュールの構造模式図である。図1及び図2を参照し、上記実施例に基づき、制御モジュール1は変換サブモジュール11、比較サブモジュール12及びスペクトル分析サブモジュール13を備えてもよく、変換サブモジュール11は、受信した脳波信号をフーリエ変換して振幅スペクトルを取得することに用いられ、振幅スペクトルはフーリエ変換して得られたエネルギー振幅スペクトルであってもよく、振幅スペクトルに基づいて振幅ピーク値を取得し、比較サブモジュール12は、振幅ピーク値と振幅閾値を比較し、出力する比較信号を調整することに用いられ、スペクトル分析サブモジュール13は、受信した比較信号に基づいて、受信した脳波信号に対してFFT位相スペクトル分析を行って脳リズム位相信号を取得することに用いられる。
【0029】
具体的には、頭蓋内電極4で収集した脳波図を用いて被監視者の安静時及び睡眠時の脳リズムをリアルタイムに監視し、脳波収集モジュール2で収集した脳波信号をフーリエ変換することで振幅スペクトルを取得し、1Hz~30Hz範囲の振幅スペクトル分析を行い、脳リズムの主周波数帯の振幅変化を監視する。人が非正常な状態にいる場合に脳波の変動が大きくなり、従って、比較サブモジュール12は変換サブモジュール11が取得した振幅ピーク値と振幅閾値を比較し、振幅ピーク値が振幅閾値の以上である場合、制御モジュール1は電気刺激信号を出力する。
【0030】
振幅ピーク値が振幅閾値の以上である場合、スペクトル分析サブモジュール13は受信した比較信号に基づいて、受信した脳波信号に対してFFT(高速フーリエ変換)位相スペクトル分析を行って脳リズム位相信号を取得し、即ち、比較サブモジュール12は振幅ピーク値及び所定の振幅閾値に基づいて生体リズムを監視し、スペクトル分析サブモジュール13はFFT位相スペクトル分析によって該リズム波形の位相値を得る。
【0031】
また、RNSはてんかん放電を識別して電気刺激調節を行うことしかできず、脳波の他の非てんかん電気活動タイプに対して正確な位相結合刺激を行うことができず、例えば、睡眠中のdeltaリズム及び清醒時のalphaリズム等を特異的に調整するのを行うことができない。脳機能疾患は、正常な生体脳波リズムの増減、脳領域間の脳波活動の位相同期化程度等の、非てんかん電気活動タイプに関連することが分かっている。認知機能低下の主な特徴である作業記憶障害を例として、研究によると、作業記憶障害時に脳ネットワークの切断が存在し、即ち、前頭側頭皮質内及び前頭側頭皮質間に著しく弱まっている神経同期化程度が発生し、個体脳ネットワークの動態学的特性にマッチングする周波数帯の電気刺激によって治療した結果、前頭側頭皮質内及び前頭側頭皮質間に著しく増加する神経同期化が発生し、作業記憶能力を著しく向上させる。従って、将来の脳機能疾患の電気刺激調節治療は、てんかん放電の電気刺激調節に限定されるものではなく、非てんかん電気活動タイプの電気刺激調節に拡張されるべきである。RNSがてんかんを識別する原理は、RNSが脳波信号をリアルタイムで連続的に監視し、てんかん放電を識別し、てんかん放電が発生し且つ1回のてんかん発作が発生しようとすると、RNSがタイムリーに電気刺激を発してんかん放電の進行を停止させ、それによりてんかん発作を阻止することである。
【0032】
本発明の実施例は、比較サブモジュール12を利用して、変換サブモジュール11が取得した振幅ピーク値と振幅閾値を比較し、振幅ピーク値が振幅閾値の以上である場合のみ、制御モジュール1が電気刺激信号を出力し、即ち、本発明の実施例は、脳波信号をリアルタイムに監視し、取得した振幅ピーク値と振幅閾値を継続的に比較し、振幅ピーク値が振幅閾値より大きくなると、電気刺激を発しており、てんかん放電を監視して1回のてんかん発作が発生しようとすると判定する場合に電気刺激を発することではなく、RNSがてんかん放電を監視及び識別してフィードバック抑制を行うことしかできないという制限を突破し、フィードバック電気刺激治療の適応症をてんかん以外の脳機能疾患に広げる。
【0033】
図3は本発明の実施例に係る別の制御モジュールの構造模式図である。図2に示される構造の電気刺激回路に基づき、制御モジュール1は補償サブモジュール14をさらに備えるように設けられてもよく、補償サブモジュール14は、収集遅延パラメータに基づいて脳リズム位相信号を補償し、補償後の脳リズム位相信号を取得することに用いられる。
【0034】
具体的には、システム遅延データテーブルを利用して、脳リズム位相信号を補正し、収集及びフィルタリングソフトウェアによる時間遅延を解消し、正確な位相補償を行うことができる。具体的には、収集過程と収集信号の分析過程に一定の時間差が存在し、収集信号を分析する時に新しい波形を生成するので、収集時の実際の波形を復元するために、最終的に分析した波形を全体として左に移すことができ、例えば、収集遅延パラメータを50msとして設定することができ、補償サブモジュール14は、スペクトル分析サブモジュール13が取得した脳リズム位相信号に対応する波形を全体として左に50ms移すことができ、このように、システム遅延データテーブルを利用して脳リズム位相信号を補正し、収集及びフィルタリングソフトウェアによる時間遅延を解消し、正確な位相補償を行い、脳リズム位相信号の精度を向上させる。
【0035】
任意選択的に、図2及び図3を参照し、制御モジュール1は、位相ロックサブモジュール15及び位相選択サブモジュール16をさらに備えるように設けられてもよく、位相ロックサブモジュール15は、脳リズム位相信号を位相ロックし、位相ロック脳リズム位相信号を出力することに用いられ、位相選択サブモジュール16は、位相ロック脳リズム位相信号内の所定波形位相点を選択し、所定波形位相点で刺激信号を出力することに用いられる。
【0036】
具体的には、図2に示される構造の制御モジュール1では、位相ロックサブモジュール15はスペクトル分析サブモジュール13から出力された脳リズム位相信号を位相ロックし、図3に示される構造の制御モジュール1では、位相ロックサブモジュール15は補償サブモジュール14から出力された脳リズム位相信号を位相ロックする。
【0037】
具体的には、異なるターゲット、即ち主な脳領域に基づいて、脳リズム位相信号を異なる程度で位相ロックすることができ、例えば、脳リズム信号の対応する波形のゼロ交差点を選択するか、脳リズム信号の対応する波形のゼロ交差後の所定時間を選択し、例えば脳リズム信号の対応する波形のゼロ交差後の10sを選択して位相ロックすることができる。位相選択サブモジュール16は、位相ロック後の位相ロック脳リズム位相信号内の所定波形位相点を選択し、所定波形位相点で刺激信号を出力し、即ち、位相選択サブモジュール16は、脳リズム信号の対応する波形のゼロ交差点を選択して電気刺激を発し、又は脳リズム信号の対応する波形のゼロ交差点を選択して10s位相ロックしてから電気刺激を発することができ、即ち、電気刺激機器にトリガー信号を発して位相結合刺激を行い、刺激後のデータをフィードバック計算し続け、後続リズムの位相ロックを維持する。
【0038】
このように、異なる電極4に対して、脳リズム位相信号の位相ロックによって、異なる電極4により複数のターゲットを電気刺激する時のタイムロックマッチングを効果的に実現することができ、即ち、異なるターゲットを同期して刺激又は一定の時間間隔で前後して刺激することができ、RNSが異なるターゲットを同期して刺激又は一定の時間間隔で刺激することができないという問題を解決した。
【0039】
任意選択的に、図1図3を参照し、脳波収集モジュール2は、増幅サブモジュール21及びアナログデジタル変換サブモジュール22を備えるように設けられてもよく、増幅サブモジュール21は、対応する電極4の脳波信号を収集し、脳波信号を増幅して増幅後の脳波信号を生成することに用いられ、アナログデジタル変換サブモジュール22は、アナログ信号形態の増幅後の脳波信号をデジタル信号形態の増幅後の脳波信号に変換して制御モジュール1に伝送することに用いられる。
【0040】
具体的には、電極4の脳波信号が弱いため、増幅サブモジュール21を設けて、収集した対応する電極4の脳波信号を増幅し、アナログ信号形態の増幅後の脳波信号を、制御モジュール1が処理できるデジタル信号形態の増幅後の脳波信号に変換し、アナログ信号形態の増幅後の脳波信号の後続処理のために制御モジュール1に供給し、制御モジュール1による脳波信号の処理精度の向上に有利である。例示的に、脳波収集モジュール2はADS1298型番のチップを使用するように設けられてもよく、ADS1298型番のチップは、8チャンネル・同期サンプリング・24ビットΔΣアナログデジタルコンバータを有し、プログラマブルゲインアンプ、内部リファレンス及びオンボードオシレータ等の部品が内蔵され、サンプリングレートは250Hzとして設定されてもよい。
【0041】
任意選択的に、図1図3を参照し、刺激調整モジュール3は、受信した刺激信号の電圧を調整し、圧力調整後の刺激信号を対応する電極4に出力することに用いられるように設けられてもよい。具体的には、刺激調整モジュール3は、制御モジュール1から出力された刺激信号を受信した後、対応する電極4に対応するターゲットの電気刺激電圧の需要に応じて、制御モジュール1から出力された刺激信号の電圧を調整し、圧力調整後の刺激信号を対応する電極4に出力し、例示的に、刺激調整モジュール3は、小型変圧器パルス昇圧回路を使用できる。
【0042】
任意選択的に、図1に示すように、マルチターゲット電気刺激回路は、処理モジュール5をさらに備えてもよく、処理モジュールは、例えば患者の体内に集積されたMCU(Micro Controller Unit、マイクロコントローラユニット)であってもよく、制御モジュール1は、例えば患者の体外にある上位コンピュータであってもよく、処理モジュール5は制御モジュール1と無線通信し、制御モジュール1は脳波刺激パラメータを含む電気信号を処理モジュール5に伝送することに用いられる。具体的には、制御モジュール1内に第1無線通信サブモジュールが設けられ、処理モジュール5内に第2無線通信サブモジュールが設けられるように設けられてもよく、制御モジュール1は処理モジュール5にチャンネルの出力極性、電流の大きさ、波形、周波数及び位相等の脳波刺激パラメータを伝送し、処理モジュール5はそれに基づいて、出力する刺激信号を制御して調整する。例示的に、処理モジュール5はnRF24LE1型番のチップを使用でき、該チップは無線及び超低消費電力の技術を使用しており、1つの4*4mmのパッケージには、2.4GHz無線伝送、拡張型51Flash高速ワンチップマイクロコンピュータが集積されている。
【0043】
任意選択的に、図1に示すように、上記実施例に基づき、マルチターゲット刺激回路は無線充電モジュール6と電池モジュール7をさらに備え、無線充電モジュール6は、所定の時間間隔で電池モジュール7を充電することに用いられ、電池モジュール7は、処理モジュール5、脳波収集モジュール2及び刺激調整モジュール3に給電することに用いられる。
【0044】
具体的には、マルチターゲット刺激回路は、電圧変換モジュール8をさらに備えてもよく、電池モジュール7は処理モジュール5に給電し、電圧変換モジュール8を介して異なる電圧を脳波収集モジュール2及び刺激調整モジュール3に提供し、無線充電モジュール6は患者の体内の電池モジュール7を定期的に充電し、無線充電モジュール6と外部電源9は電磁誘導方式を使用でき、図1の破線フレーム内の構造は患者環境内に位置できる。
【0045】
本発明の実施例は、互いに電気的に絶縁された複数の独立した刺激チャンネル及びマルチチャンネル脳波収集モジュールから構成され、体外に配置された上位コンピュータによって、制御パラメータを無線で伝達し、各刺激チャンネルの出力極性、電流の大きさ、波形、周波数及び位相等の時間パラメータを独立して調整することができる。マルチターゲット電気刺激装置は、マイクロプロセッサと無線通信モジュールを含む専用の処理モジュール及び上位制御マイクロコンピュータ通信などの制御モジュールを有し、また、内部のバスシステムを介して各独立した刺激チャンネル及び脳波収集モジュールに接続され、複数のターゲットへの刺激を実現するのに有利であり、さらに複数の神経回路の脳機能疾患の全脳ネットワーク調整を実現するとともに、脳リズム位相信号の位相ロックによって、複数のターゲットを電気刺激する時のタイムロックマッチングを実現する。
【0046】
本発明の実施例はマルチターゲット電気刺激装置をさらに提供し、マルチターゲット電気刺激装置は上記実施例に記載のマルチターゲット電気刺激回路を備え、従って、マルチターゲット電気刺激装置も上記有益な効果を有し、ここで繰り返し説明しない。例示的に、マルチターゲット電気刺激装置は、上記実施例のマルチターゲット電気刺激回路を備えてもよく、マルチターゲット電気刺激回路をカプセル化するハウジング、及びハウジングに設けられ、マルチターゲット電気刺激回路に電気的に接続される電極、即ち刺激プローブをさらに備えてもよい。
【0047】
本発明の実施例はマルチターゲット電気刺激装置の信号出力方法をさらに提供し、図4は本発明の実施例に係るマルチターゲット電気刺激装置の信号出力方法のフローチャートであり、マルチターゲット電気刺激装置の信号出力方法は上記実施例のマルチターゲット電気刺激装置により実行でき、図4に示すように、マルチターゲット電気刺激装置の信号出力方法は以下のS110~S130を含む。
【0048】
S110、脳波収集モジュールは対応する電極の脳波信号を収集して制御モジュールに伝送する。
【0049】
具体的には、図1図3を参照し、脳波収集モジュール2は対応する電極4の脳波信号を収集し、即ち、脳波収集モジュール2は脳内の所定位置の脳波信号をリアルタイムに監視し、収集した脳波信号を制御モジュール1に伝送することができ、異なる電極4は異なるターゲットを刺激することに用いられ、各電極4に対応して1つの脳波収集モジュール2が設けられる。
【0050】
S120、制御モジュールは受信した脳波信号に基づいて脳リズム位相信号を取得し、脳リズム位相信号を位相ロックした後に所定波形位相点で刺激信号を出力する。
【0051】
具体的には、図1図3を参照し、制御モジュール1は脳波収集モジュール2から伝送された脳波信号を受信し、制御モジュール1は位相ロックを実現するために、脳波信号に基づいて脳リズム位相信号を取得し、脳リズム位相信号を位相ロックし、位相ロック後の脳リズム位相信号の所定波形位相点で刺激信号を出力し、例えば、脳リズム位相信号のゼロ交差点を選択するか、ゼロ交差後に一定の時間位相ロックしてから刺激信号を出力し、脳リズム位相信号の位相ロックを実現する。このように、異なる電極4に対して、脳リズム位相信号の位相ロックによって、異なる電極4により複数のターゲットを電気刺激する時のタイムロックマッチングを効果的に実現することができ、即ち、異なるターゲットを同期して刺激又は一定の時間間隔で前後して刺激することができ、RNSが異なるターゲットを同期して刺激又は一定の時間間隔で刺激することができないという問題を解決した。
【0052】
S130、刺激調整モジュールは受信した刺激信号に基づいて、対応する電極に出力する脳波刺激信号を調整する。
【0053】
具体的には、各電極4に対応して1つの刺激調整モジュール3が設けられる。
【0054】
本発明の実施例は、複数のターゲット、即ち主な脳領域への刺激を実現するのに有利であり、さらに複数の神経回路の脳機能疾患の全脳ネットワーク調整を実現するとともに、脳波信号のリアルタイム監視を利用して特定対象の脳リズムのフィードバック電気刺激調整を実現し、脳リズム位相信号の位相ロックによって、複数のターゲットを電気刺激する時のタイムロックマッチングを実現し、即ち、異なるターゲットを同期して刺激又は所定の時間間隔で前後して刺激することができる。
【0055】
なお、本明細書において、「第1」及び「第2」等のような関係用語は、1つの実体又は操作を他の実体又は操作と区別するためのものであり、必ずしもこれらの実体又は操作同士に任意のこのような実際の関係又は順序が存在するように要求又は暗示するとは限らない。且つ、用語「備える」、「含む」又はその任意の変形は非排他的包含をカーバすることを意図することにより、一連の要素を含む過程、方法、物品又は装置は、それらの要素を含むだけでなく、さらに明確に挙げていない他の要素や、さらにこのような過程、方法、物品又は装置に固有される要素を含むことを意図している。より多く制限されない場合に、語句「1つの…を含む」のような記載に限定される要素は、前記要素を含む過程、方法、物品又は装置にさらに他の同じ要素が存在することを排除するものではない。
【0056】
以上は本願の具体的な実施形態に過ぎず、当業者が本願を理解又は実現できるためのものである。これらの実施例の様々な補正は当業者にとって明らかであり、本明細書で定義される一般的な原理は本願の精神又は範囲を逸脱することなく、他の実施例で実現できる。従って、本願は本明細書に示されているこれらの実施例に限定されるものではなく、本明細書に開示されている原理及び新しい特徴と一致する最大の範囲で認められるものである。
【0057】
<産業上の利用可能性>
本発明は、複数のターゲットへの刺激を実現するのに有利であり、複数の神経回路の脳機能疾患の全脳ネットワーク調整を実現するとともに、脳波信号のリアルタイム監視を利用して特定対象の脳リズムのフィードバック電気刺激調整を実現し、脳リズム位相信号の位相ロックによって、複数のターゲットを電気刺激する時のタイムロックマッチングを実現し、産業上の利用可能性が高い。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2022-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチターゲット電気刺激回路であって、
制御モジュール、複数の脳波収集モジュール及び複数の刺激調整モジュールを備え、各電極に対応して1つの前記脳波収集モジュール及び1つの前記刺激調整モジュールが設けられ、異なる前記電極は異なるターゲットを刺激することに用いられ、前記電極が埋込型電極であり、前記ターゲットが主な脳領域であり、
前記脳波収集モジュールは、対応する前記電極の脳波信号を収集して前記制御モジュールに伝送することに用いられ、
前記制御モジュールは、受信した前記脳波信号に基づいて脳リズム位相信号を取得し、前記脳リズム位相信号を位相ロックした後に所定波形位相点で刺激信号を出力することに用いられ、前記脳リズム位相信号を位相ロックすることは、前記脳リズム位相信号の対応する波形のゼロ交差点を選択して位相ロックする、または、前記脳リズム位相信号の対応する波形のゼロ交差点後の所定時間を選択して位相ロックすることであり、
前記刺激調整モジュールは、受信した前記刺激信号に基づいて、対応する前記電極に出力する脳波刺激信号を調整することに用いられ
前記制御モジュールは、
受信した前記脳波信号をフーリエ変換して振幅スペクトルを取得し、前記振幅スペクトルに基づいて振幅ピーク値を取得するための変換サブモジュールと、
前記振幅ピーク値と振幅閾値を比較し、出力する比較信号を調整するための比較サブモジュールと、
受信した前記比較信号に基づいて、受信した前記脳波信号に対してFFT位相スペクトル分析を行って前記脳リズム位相信号を取得するためのスペクトル分析サブモジュールと、を備えることを特徴とするマルチターゲット電気刺激回路。
【請求項2】
前記制御モジュールは、
収集遅延パラメータに基づいて前記脳リズム位相信号を補償し、補償後の前記脳リズム位相信号を取得するための補償サブモジュールをさらに備えることを特徴とする請求項に記載のマルチターゲット電気刺激回路。
【請求項3】
前記制御モジュールは、
前記脳リズム位相信号を位相ロックし、位相ロック脳リズム位相信号を出力するための位相ロックサブモジュールと、
前記位相ロック脳リズム位相信号内の前記所定波形位相点を選択し、前記所定波形位相点で前記刺激信号を出力するための位相選択サブモジュールと、をさらに備えることを特徴とする請求項又はに記載のマルチターゲット電気刺激回路。
【請求項4】
前記脳波収集モジュールは、
対応する前記電極の脳波信号を収集し、前記脳波信号を増幅して増幅後の脳波信号を生成するための増幅サブモジュールと、
アナログ信号形態の増幅後の脳波信号をデジタル信号形態の増幅後の脳波信号に変換して前記制御モジュールに伝送するためのアナログデジタル変換サブモジュールと、を備えることを特徴とする請求項1に記載のマルチターゲット電気刺激回路。
【請求項5】
前記刺激調整モジュールは、受信した前記刺激信号の電圧を調整し、電圧調整後の前記刺激信号を対応する前記電極に出力することに用いられることを特徴とする請求項1に記載のマルチターゲット電気刺激回路。
【請求項6】
処理モジュールをさらに備え、前記処理モジュールは、それぞれ前記制御モジュール及び前記刺激調整モジュールに通信接続され、前記制御モジュールは前記処理モジュールを介して前記刺激調整モジュールに前記刺激信号を送信することを特徴とする請求項1に記載のマルチターゲット電気刺激回路。
【請求項7】
無線充電モジュールと電池モジュールをさらに備え、前記無線充電モジュールは、所定の時間間隔で前記電池モジュールを充電することに用いられ、前記電池モジュールは、前記処理モジュール、前記脳波収集モジュール及び前記刺激調整モジュールに給電することに用いられることを特徴とする請求項に記載のマルチターゲット電気刺激回路。
【請求項8】
請求項1~のいずれか1項に記載のマルチターゲット電気刺激回路を備えることを特徴とするマルチターゲット電気刺激装置。
【請求項9】
マルチターゲット電気刺激装置の信号出力方法であって、
脳波収集モジュールが対応する電極の脳波信号を収集して制御モジュールに伝送し、異なる前記電極が異なるターゲットを刺激することに用いられ、前記電極が埋込型電極であり、前記ターゲットが主な脳領域であり、各前記電極に対応して1つの前記脳波収集モジュールが設けられることと、
前記制御モジュールが受信した前記脳波信号に基づいて脳リズム位相信号を取得し、前記脳リズム位相信号を位相ロックした後に所定波形位相点で刺激信号を出力し、前記脳リズム位相信号を位相ロックすることは、前記脳リズム位相信号の対応する波形のゼロ交差点を選択して位相ロックする、または、前記脳リズム位相信号の対応する波形のゼロ交差点後の所定時間を選択して位相ロックすることであることと、
刺激調整モジュールが受信した前記刺激信号に基づいて、対応する前記電極に出力する脳波刺激信号を調整し、各前記電極に対応して1つの前記刺激調整モジュールが設けられることと、を含むことを特徴とするマルチターゲット電気刺激装置の信号出力方法。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチターゲット電気刺激回路であって、
制御モジュール、複数の脳波収集モジュール及び複数の刺激調整モジュールを備え、各電極に対応して1つの前記脳波収集モジュール及び1つの前記刺激調整モジュールが設けられ、異なる前記電極は異なるターゲットを刺激することに用いられ、前記電極が埋込型電極であり、前記ターゲットが主な脳領域であり、
前記脳波収集モジュールは、対応する前記電極の脳波信号を収集して前記制御モジュールに伝送することに用いられ、
前記制御モジュールは、受信した前記脳波信号に基づいて脳リズム位相信号を取得し、前記脳リズム位相信号を位相ロックした後に所定波形位相点で刺激信号を出力することに用いられ、前記脳リズム位相信号を位相ロックすることは、前記脳リズム位相信号の対応する波形のゼロ交差点を選択して位相ロックする、または、前記脳リズム位相信号の対応する波形のゼロ交差点後の所定時間を選択して位相ロックすることであり、
前記刺激調整モジュールは、受信した前記刺激信号に基づいて、対応する前記電極に出力する脳波刺激信号を調整することに用いられ、
前記制御モジュールは、
受信した前記脳波信号をフーリエ変換して振幅スペクトルを取得し、前記振幅スペクトルに基づいて振幅ピーク値を取得するための変換サブモジュールと、
前記振幅ピーク値と振幅閾値を比較し、出力する比較信号を調整するための比較サブモジュールと、
受信した前記比較信号に基づいて、受信した前記脳波信号に対してFFT位相スペクトル分析を行って前記脳リズム位相信号を取得するためのスペクトル分析サブモジュールと、を備えることを特徴とするマルチターゲット電気刺激回路。
【請求項2】
前記制御モジュールは、
収集遅延パラメータに基づいて前記脳リズム位相信号を補償し、補償後の前記脳リズム位相信号を取得するための補償サブモジュールをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のマルチターゲット電気刺激回路。
【請求項3】
前記制御モジュールは、
前記脳リズム位相信号を位相ロックし、位相ロック脳リズム位相信号を出力するための位相ロックサブモジュールと、
前記位相ロック脳リズム位相信号内の前記所定波形位相点を選択し、前記所定波形位相点で前記刺激信号を出力するための位相選択サブモジュールと、をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のマルチターゲット電気刺激回路。
【請求項4】
前記脳波収集モジュールは、
対応する前記電極の脳波信号を収集し、前記脳波信号を増幅して増幅後の脳波信号を生成するための増幅サブモジュールと、
アナログ信号形態の増幅後の脳波信号をデジタル信号形態の増幅後の脳波信号に変換して前記制御モジュールに伝送するためのアナログデジタル変換サブモジュールと、を備えることを特徴とする請求項1に記載のマルチターゲット電気刺激回路。
【請求項5】
前記刺激調整モジュールは、受信した前記刺激信号の電圧を調整し、電圧調整後の前記刺激信号を対応する前記電極に出力することに用いられることを特徴とする請求項1に記載のマルチターゲット電気刺激回路。
【請求項6】
処理モジュールをさらに備え、前記処理モジュールは、それぞれ前記制御モジュール及び前記刺激調整モジュールに通信接続され、前記制御モジュールは前記処理モジュールを介して前記刺激調整モジュールに前記刺激信号を送信することを特徴とする請求項1に記載のマルチターゲット電気刺激回路。
【請求項7】
無線充電モジュールと電池モジュールをさらに備え、前記無線充電モジュールは、所定の時間間隔で前記電池モジュールを充電することに用いられ、前記電池モジュールは、前記処理モジュール、前記脳波収集モジュール及び前記刺激調整モジュールに給電することに用いられることを特徴とする請求項6に記載のマルチターゲット電気刺激回路。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のマルチターゲット電気刺激回路を備えることを特徴とするマルチターゲット電気刺激装置。
【請求項9】
マルチターゲット電気刺激装置の信号出力方法であって、
脳波収集モジュールが対応する電極の脳波信号を収集して制御モジュールに伝送し、異なる前記電極が異なるターゲットを刺激することに用いられ、前記電極が埋込型電極であり、前記ターゲットが主な脳領域であり、各前記電極に対応して1つの前記脳波収集モジュールが設けられることと、
前記制御モジュールが受信した前記脳波信号に基づいて脳リズム位相信号を取得し、前記脳リズム位相信号を位相ロックした後に所定波形位相点で刺激信号を出力し、前記脳リズム位相信号を位相ロックすることは、前記脳リズム位相信号の対応する波形のゼロ交差点を選択して位相ロックする、または、前記脳リズム位相信号の対応する波形のゼロ交差点後の所定時間を選択して位相ロックすることであることと、
刺激調整モジュールが受信した前記刺激信号に基づいて、対応する前記電極に出力する脳波刺激信号を調整し、各前記電極に対応して1つの前記刺激調整モジュールが設けられることと、
前記制御モジュールが受信した前記脳波信号をフーリエ変換して振幅スペクトルを取得し、前記振幅スペクトルに基づいて振幅ピーク値を取得し、前記振幅ピーク値と振幅閾値を比較し、比較結果に基づいて、受信した前記脳波信号に対してFFT位相スペクトル分析を行って前記脳リズム位相信号を取得することと、を含むことを特徴とするマルチターゲット電気刺激装置の信号出力方法。
【国際調査報告】