(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-11
(54)【発明の名称】経カテーテル送達デバイス用ブロー成形バルーンショルダ組立体
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20221228BHJP
A61F 2/958 20130101ALI20221228BHJP
【FI】
A61F2/24
A61F2/958
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573900
(86)(22)【出願日】2020-10-14
(85)【翻訳文提出日】2022-02-10
(86)【国際出願番号】 US2020055520
(87)【国際公開番号】W WO2021086608
(87)【国際公開日】2021-05-06
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500218127
【氏名又は名称】エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Edwards Lifesciences Corporation
【住所又は居所原語表記】One Edwards Way, Irvine, CALIFORNIA 92614, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】イドン・エム・ジュ
【テーマコード(参考)】
4C097
4C267
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097BB04
4C097CC01
4C097CC04
4C097CC12
4C097CC16
4C097CC18
4C097DD01
4C097DD09
4C097DD10
4C097SB10
4C267AA05
4C267AA09
4C267BB02
4C267BB03
4C267BB04
4C267BB10
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB19
4C267BB20
4C267BB26
4C267BB30
4C267BB31
4C267BB39
4C267BB40
4C267CC19
4C267GG02
4C267GG22
4C267GG23
4C267GG24
4C267GG42
4C267HH01
4C267HH08
(57)【要約】
バルーンカテーテルなどの経カテーテル送達デバイス用のバルーンショルダ組立体が開示されている。バルーンショルダ組立体は、バルーンショルダ組立体の中心軸に対して、近位シャフト部分から径方向外側に延在する近位カラー部分を備える近位バルーンショルダと、遠位シャフト部分から径方向外側に延在する遠位カラー部分を備える遠位バルーンショルダとを備える。近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダのそれぞれは、中空であり、圧縮可能なブロー成形材料を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルーンカテーテル用のバルーンショルダ組立体であって、
前記バルーンショルダ組立体の中心軸に対して、近位シャフト部分から径方向外側に延在する近位カラー部分を備える近位バルーンショルダと、
遠位シャフト部分から径方向外側に延在する遠位カラー部分を備える遠位バルーンショルダと
を備え、
前記近位バルーンショルダおよび前記遠位バルーンショルダのそれぞれが、中空であり、圧縮可能なブロー成形材料を含む、バルーンショルダ組立体。
【請求項2】
前記近位バルーンショルダの外壁および前記遠位バルーンショルダの外壁が、加えられた圧力の下で圧縮または伸長し、前記加えられた圧力が取り除かれると非圧縮または非伸長の状態に戻るよう構成される、請求項1に記載のバルーンショルダ組立体。
【請求項3】
前記近位カラー部分が、前記中心軸に対して軸方向に、前記遠位カラー部分から離間して配置されている、請求項1から2のいずれか一項に記載のバルーンショルダ組立体。
【請求項4】
前記近位バルーンショルダおよび前記遠位バルーンショルダが、中央接続部分と共に一体部品として成形され、前記中央接続部分が、前記近位カラー部分と前記遠位カラー部分との間に配置され、前記近位カラー部分と前記遠位カラー部分とを接続する、請求項1から3のいずれか一項に記載のバルーンショルダ組立体。
【請求項5】
前記近位バルーンショルダが、前記近位カラー部分と前記中央接続部分との間に延在し、前記近位カラー部分と前記中央接続部分とを接続する近位遷移部分をさらに備え、前記近位遷移部分が、前記近位カラー部分から前記中央接続部分まで直径が小さくなり、前記遠位バルーンショルダが、前記遠位カラー部分と前記中央接続部分との間に延在し、前記遠位カラー部分と前記中央接続部分とを接続する遠位遷移部分をさらに備え、前記遠位遷移部分が、前記遠位カラー部分から前記中央接続部分まで直径が小さくなる、請求項4に記載のバルーンショルダ組立体。
【請求項6】
前記近位バルーンショルダおよび前記遠位バルーンショルダが、2つの別々の部品として別々に成形される、請求項1から3のいずれか一項に記載のバルーンショルダ組立体。
【請求項7】
前記近位バルーンショルダおよび前記遠位バルーンショルダのそれぞれが膨張可能である、請求項1から6のいずれか一項に記載のバルーンショルダ組立体。
【請求項8】
前記近位バルーンショルダおよび前記遠位バルーンショルダが、互いに流体連結されておらず、個々に膨張可能である、請求項1から7のいずれか一項に記載のバルーンショルダ組立体。
【請求項9】
前記近位バルーンショルダおよび前記遠位バルーンショルダのそれぞれが膨張不可能である、請求項1から6のいずれか一項に記載のバルーンショルダ組立体。
【請求項10】
前記近位バルーンショルダおよび前記遠位バルーンショルダのそれぞれが、0.0001インチから0.01インチの範囲の壁厚を有する、請求項9に記載のバルーンショルダ組立体。
【請求項11】
前記近位カラー部分が、前記遠位カラー部分の開放端に向かい合う開放端を備える、請求項9から10のいずれか一項に記載のバルーンショルダ組立体。
【請求項12】
前記近位カラー部分および前記遠位カラー部分のそれぞれが、狭い方の端部から径方向外向きにフレアになった広い方の端部を備える漏斗形状であり、前記近位カラー部分の前記狭い方の端部が、前記近位シャフト部分に接続され、前記遠位カラー部分の前記狭い方の端部が、前記遠位シャフト部分に接続され、前記近位カラー部分および前記遠位カラー部分のそれぞれの前記広い方の端部が、互いに向かい合って、前記中心軸に垂直に配置されている、請求項1から11のいずれか一項に記載のバルーンショルダ組立体。
【請求項13】
前記近位カラー部分および前記遠位カラー部分のそれぞれが、2つの両端部まで狭くなる、より広い中央部分を備える球根の形状を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載のバルーンショルダ組立体。
【請求項14】
前記近位カラー部分および前記遠位カラー部分のうちの一方または両方が、第1の先細端部分と第2の先細端部分との間に配置された中央の円筒体を備え、前記第1の先細端部分および前記第2の先細端部分が、前記中央の円筒体から、前記中央接続部分、または前記近位シャフト部分もしくは前記遠位シャフト部分の対応する一方のうちの一方まで、反対方向に先細になっている、請求項1から11のいずれか一項に記載のバルーンショルダ組立体。
【請求項15】
前記近位カラー部分および前記遠位カラー部分のうちの一方または両方が、第1の先細端部分と第2の先細端部分との間に配置された湾曲した中央部分を備え、前記第1の先細端部分および前記第2の先細端部分が、前記中央部分から、前記中央接続部分、または前記近位シャフト部分もしくは前記遠位シャフト部分の対応する一方のうちの一方まで、反対方向に先細になっている、請求項1から11のいずれか一項に記載のバルーンショルダ組立体。
【請求項16】
前記近位カラー部分および前記遠位カラー部分のうちの一方または両方が、細長い先細部分、短い方の先細部分、ならびに前記細長い先細部分と前記短い方の先細部分との間に配置される中央リング部分を備える、請求項1から11のいずれか一項に記載のバルーンショルダ組立体。
【請求項17】
前記バルーンカテーテルが経カテーテル心臓弁送達システムの一部である、請求項1から16のいずれか一項に記載のバルーンショルダ組立体。
【請求項18】
前記近位バルーンショルダおよび前記遠位バルーンショルダが、前記バルーンカテーテルの膨張可能な主バルーン内に配置され、前記主バルーンを支持するよう構成される、請求項1から17のいずれか一項に記載のバルーンショルダ組立体。
【請求項19】
バルーンカテーテルを製造する方法であって、
近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダを備えるバルーンショルダ組立体をブロー成形するステップと、
前記バルーンカテーテルの膨張可能な主バルーン内に前記バルーンショルダ組立体を配置することにより、前記ブロー成形されたバルーンショルダ組立体を前記バルーンカテーテル内に装着するステップと
を含む、方法。
【請求項20】
前記近位バルーンショルダおよび前記遠位バルーンショルダが、前記バルーンカテーテルの中心軸に対して軸方向に、互いに離間して配置されている、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記バルーンショルダ組立体を前記主バルーン内に配置することにより、前記近位バルーンショルダと前記遠位バルーンショルダとを分離する空間において、前記主バルーン上にデバイス保持部分を形成する、請求項19または請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記デバイス保持部分が、前記デバイス保持部分の上に人工医療デバイスを受容するよう適合されている、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記人工医療デバイスが人工心臓弁である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記バルーンショルダ組立体をブロー成形するステップが、前記近位バルーンショルダおよび前記遠位バルーンショルダを、前記バルーンショルダ組立体の中央接続部分と共に一体部品としてブロー成形するステップを含み、前記中央接続部分が、前記近位バルーンショルダと前記遠位バルーンショルダとの間に配置されている、請求項19から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記バルーンショルダ組立体をブロー成形するステップが、前記近位バルーンショルダおよび前記遠位バルーンショルダを別々の部品としてブロー成形するステップを含む、請求項19から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記バルーンショルダ組立体をブロー成形するステップが、前記近位バルーンショルダおよび前記遠位バルーンショルダを完全に膨張可能になるよう形成するステップを含み、端部が、製造中に、前記バルーンカテーテルの1本または複数本のシャフトの周囲で密封され、圧力を前記近位バルーンショルダおよび前記遠位バルーンショルダの中に封じ込めるよう適合される、請求項19から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記バルーンショルダ組立体をブロー成形するステップが、前記近位バルーンショルダおよび前記遠位バルーンショルダのそれぞれを、少なくとも部分的に開放状態で膨張不可能になるよう形成するステップを含む、請求項19から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記バルーンショルダ組立体を前記主バルーン内に配置するステップの前に、前記バルーンショルダ組立体を前記バルーンカテーテルの1本または複数本のシャフトに取り付けるステップをさらに含む、請求項19から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記バルーンショルダ組立体を前記バルーンカテーテルの前記1本または複数本のシャフトに取り付けるステップが、前記近位バルーンショルダを前記バルーンカテーテルの外側シャフトに取り付けるステップと、前記遠位バルーンショルダを前記バルーンカテーテルの内側シャフトに取り付けるステップとを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記バルーンショルダ組立体を前記バルーンカテーテルの前記1本または複数本のシャフトに取り付けるステップが、前記近位バルーンショルダを前記バルーンカテーテルの外側シャフトに取り付けるステップと、前記遠位バルーンショルダを前記バルーンカテーテルの円錐形頭部に取り付けるステップとを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記バルーンショルダ組立体を前記バルーンカテーテルの前記1本または複数本のシャフトに取り付けるステップが、前記近位バルーンショルダを前記バルーンカテーテルの内側シャフトに取り付けるステップと、前記遠位バルーンショルダを前記バルーンカテーテルの円錐形頭部に取り付けるステップとを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記バルーンショルダ組立体を前記バルーンカテーテルの前記1本または複数本のシャフトに取り付けるステップが、前記近位バルーンショルダを前記バルーンカテーテルの内側シャフトに取り付けるステップと、前記遠位バルーンショルダを前記内側シャフトに取り付けるステップとを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記バルーンショルダ組立体を前記主バルーン内に配置するステップの後に、前記近位バルーンショルダおよび前記遠位バルーンショルダを収縮状態から膨張状態に膨張させるステップをさらに含む、請求項19から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記近位バルーンショルダおよび前記遠位バルーンショルダを膨張させるステップが、流体を、前記近位バルーンショルダの内部および前記遠位バルーンショルダの内部に送達するステップを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記流体が、生理食塩水、造影剤混合物、生体適合性媒体、硬化性材料、および非硬化性材料のうちの少なくとも1つを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記バルーンカテーテルが、経カテーテル心臓弁送達システムの一部であり、前記バルーンショルダ組立体を前記バルーンカテーテルの前記主バルーン内に配置するステップが、前記主バルーン上の、前記近位バルーンショルダと前記遠位バルーンショルダとの間の空間に、人工心臓弁のための弁着座ポケットを作り出すステップを含み、前記弁着座ポケットが、前記経カテーテル心臓弁送達システムを用いた埋込み処置中の、前記人工心臓弁の移動を低減する、請求項19から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
血管内送達システム用のバルーンカテーテルであって、
前記バルーンカテーテルの内側シャフトに取り付けられた、圧縮可能な中空シェルを備える近位バルーンショルダと、
前記内側シャフトに取り付けられた、圧縮可能な中空シェルを備える遠位バルーンショルダと、
前記近位バルーンショルダおよび前記遠位バルーンショルダを密閉する、膨張可能な主バルーンと
を備える、バルーンカテーテル。
【請求項38】
前記近位バルーンショルダおよび前記遠位バルーンショルダが、前記近位バルーンショルダと前記遠位バルーンショルダとの間に延在する中央接続部分と共に、一体部品として一体にブロー成形される、請求項37に記載のバルーンカテーテル。
【請求項39】
前記近位バルーンショルダおよび前記遠位バルーンショルダが、それぞれ別々の部品としてブロー成形され、軸方向に互いに離間して配置される、請求項37に記載のバルーンカテーテル。
【請求項40】
前記近位バルーンショルダおよび前記遠位バルーンショルダが、それぞれ完全に密閉され、前記内側シャフトの周囲で密封され、膨張可能である、請求項37から39のいずれか一項に記載のバルーンカテーテル。
【請求項41】
前記近位バルーンショルダおよび前記遠位バルーンショルダのそれぞれが、開放状態で、前記内側シャフトの周囲で密封されていない端部を備える、請求項37から39のいずれか一項に記載のバルーンカテーテル。
【請求項42】
前記近位バルーンショルダおよび前記遠位バルーンショルダがそれぞれ、カラー部分およびシャフト部分を備え、前記カラー部分が、前記シャフト部分から径方向外側に延在する、請求項37から41のいずれか一項に記載のバルーンカテーテル。
【請求項43】
前記カラー部分が、漏斗、円錐形、楕円形、または回転楕円体のうちの1つの形状を有する、請求項42に記載のバルーンカテーテル。
【請求項44】
前記カラー部分が、先細端部分間に配置された中央部分を備え、前記中央部分が、円筒形、リング状、または球根状の湾曲した形状のうちの1つを有する、請求項42に記載のバルーンカテーテル。
【請求項45】
前記主バルーンが、前記近位バルーンショルダと前記遠位バルーンショルダとの間に、前記主バルーン上に圧着される人工心臓弁を受容するよう適合されている、請求項37から44のいずれか一項に記載のバルーンカテーテル。
【請求項46】
前記内側シャフトが、前記バルーンカテーテルの外側シャフトを超えて、前記主バルーンを通って遠位方向に延在する、請求項37から45のいずれか一項に記載のバルーンカテーテル。
【請求項47】
血管内送達システム用のバルーンカテーテルであって、
前記バルーンカテーテルの外側シャフトに取り付けられた、圧縮可能な中空シェルを備える近位バルーンショルダと、
前記バルーンカテーテルの内側シャフトに取り付けられた、圧縮可能な中空シェルを備える遠位バルーンショルダと、
前記近位バルーンショルダおよび前記遠位バルーンショルダを密閉する、膨張可能な主バルーンと
を備える、バルーンカテーテル。
【請求項48】
前記近位バルーンショルダおよび前記遠位バルーンショルダが、前記近位バルーンショルダと前記遠位バルーンショルダとの間に延在する中央接続部分と共に、一体部品として一体にブロー成形される、請求項47に記載のバルーンカテーテル。
【請求項49】
前記近位バルーンショルダおよび前記遠位バルーンショルダが、それぞれ別々の部品としてブロー成形され、軸方向に互いに離間して配置される、請求項47に記載のバルーンカテーテル。
【請求項50】
前記近位バルーンショルダが、完全に密閉され、前記外側シャフトの周囲で密封され、膨張可能であり、かつ前記遠位バルーンショルダが、完全に密閉され、前記内側シャフトの周囲で密封され、膨張可能である、請求項47から49のいずれか一項に記載のバルーンカテーテル。
【請求項51】
前記近位バルーンショルダが、開放状態で、前記外側シャフトの周囲で密封されていない端部を備え、かつ前記遠位バルーンショルダが、開放状態で、前記内側シャフトの周囲で密封されていない端部を備える、請求項47から49のいずれか一項に記載のバルーンカテーテル。
【請求項52】
前記近位バルーンショルダおよび前記遠位バルーンショルダがそれぞれ、カラー部分およびシャフト部分を備え、前記カラー部分が、前記シャフト部分から径方向外側に延在する、請求項47から51のいずれか一項に記載のバルーンカテーテル。
【請求項53】
前記カラー部分が、漏斗、円錐形、楕円形、または回転楕円体のうちの1つの形状を有する、請求項52に記載のバルーンカテーテル。
【請求項54】
前記カラー部分が、先細端部分間に配置された中央部分を備え、前記中央部分が、円筒形、リング状、または球根状の湾曲した形状のうちの1つを有する、請求項52に記載のバルーンカテーテル。
【請求項55】
前記主バルーンが、前記近位バルーンショルダと前記遠位バルーンショルダとの間に、前記主バルーン上に圧着される人工心臓弁を受容するよう適合されている、請求項47から54のいずれか一項に記載のバルーンカテーテル。
【請求項56】
前記内側シャフトが、前記バルーンカテーテルの前記外側シャフトを超えて、前記主バルーンを通って遠位方向に延在する、請求項47から55のいずれか一項に記載のバルーンカテーテル。
【請求項57】
血管内送達システム用のバルーンカテーテルであって、
前記バルーンカテーテルの外側シャフトに取り付けられた、圧縮可能な中空シェルを備える近位バルーンショルダと、
前記バルーンカテーテルの円錐形頭部に取り付けられた、圧縮可能な中空シェルを備える遠位バルーンショルダと、
前記近位バルーンショルダおよび前記遠位バルーンショルダを密閉する、膨張可能な主バルーンと
を備える、バルーンカテーテル。
【請求項58】
前記近位バルーンショルダおよび前記遠位バルーンショルダが、前記近位バルーンショルダと前記遠位バルーンショルダとの間に延在する中央接続部分と共に、一体部品として一体にブロー成形される、請求項57に記載のバルーンカテーテル。
【請求項59】
前記近位バルーンショルダおよび前記遠位バルーンショルダが、それぞれ別々の部品としてブロー成形され、軸方向に互いに離間して配置される、請求項57に記載のバルーンカテーテル。
【請求項60】
前記近位バルーンショルダが、完全に密閉され、前記外側シャフトの周囲で密封され、膨張可能であり、かつ前記遠位バルーンショルダが、完全に密閉され、前記円錐形頭部の周囲で密封され、膨張可能である、請求項57から59のいずれか一項に記載のバルーンカテーテル。
【請求項61】
前記近位バルーンショルダが、開放状態で、前記外側シャフトの周囲で密封されていない端部を備え、かつ前記遠位バルーンショルダが、開放状態で、前記円錐形頭部の周囲で密封されていない端部を備える、請求項57から59のいずれか一項に記載のバルーンカテーテル。
【請求項62】
前記近位バルーンショルダおよび前記遠位バルーンショルダがそれぞれ、カラー部分およびシャフト部分を備え、前記カラー部分が、前記シャフト部分から径方向外側に延在する、請求項57から61のいずれか一項に記載のバルーンカテーテル。
【請求項63】
前記カラー部分が、漏斗、円錐形、楕円形、または回転楕円体のうちの1つの形状を有する、請求項62に記載のバルーンカテーテル。
【請求項64】
前記カラー部分が、先細端部分間に配置された中央部分を備え、前記中央部分が、円筒形、リング状、または球根状の湾曲した形状のうちの1つを有する、請求項62に記載のバルーンカテーテル。
【請求項65】
前記主バルーンが、前記近位バルーンショルダと前記遠位バルーンショルダとの間に、前記主バルーン上に圧着される人工心臓弁を受容するよう適合されている、請求項57から64のいずれか一項に記載のバルーンカテーテル。
【請求項66】
前記バルーンカテーテルの内側シャフトが、前記バルーンカテーテルの前記外側シャフトを超えて、前記主バルーンを通って遠位方向に延在し、前記円錐形頭部が、前記内側シャフトの遠位端に連結されている、請求項57から65のいずれか一項に記載のバルーンカテーテル。
【請求項67】
血管内送達システム用のバルーンカテーテルであって、
前記バルーンカテーテルの内側シャフトに取り付けられた、圧縮可能な中空シェルを備える近位バルーンショルダと、
前記バルーンカテーテルの円錐形頭部に取り付けられた、圧縮可能な中空シェルを備える遠位バルーンショルダと、
前記近位バルーンショルダおよび前記遠位バルーンショルダを密閉する、膨張可能な主バルーンと
を備える、バルーンカテーテル。
【請求項68】
前記近位バルーンショルダおよび前記遠位バルーンショルダが、前記近位バルーンショルダと前記遠位バルーンショルダとの間に延在する中央接続部分と共に、一体部品として一体にブロー成形される、請求項67に記載のバルーンカテーテル。
【請求項69】
前記近位バルーンショルダおよび前記遠位バルーンショルダが、それぞれ別々の部品としてブロー成形され、軸方向に互いに離間して配置される、請求項67に記載のバルーンカテーテル。
【請求項70】
前記近位バルーンショルダが、完全に密閉され、前記内側シャフトの周囲で密封され、膨張可能であり、かつ前記遠位バルーンショルダが、完全に密閉され、前記円錐形頭部の周囲で密封され、膨張可能である、請求項67から69のいずれか一項に記載のバルーンカテーテル。
【請求項71】
前記近位バルーンショルダが、開放状態で、前記内側シャフトの周囲で密封されていない端部を備え、かつ前記遠位バルーンショルダが、開放状態で、前記円錐形頭部の周囲で密封されていない端部を備える、請求項67から69のいずれか一項に記載のバルーンカテーテル。
【請求項72】
前記近位バルーンショルダおよび前記遠位バルーンショルダがそれぞれ、カラー部分およびシャフト部分を備え、前記カラー部分が、前記シャフト部分から径方向外側に延在する、請求項67から71のいずれか一項に記載のバルーンカテーテル。
【請求項73】
前記カラー部分が、漏斗、円錐形、楕円形、または回転楕円体のうちの1つの形状を有する、請求項72に記載のバルーンカテーテル。
【請求項74】
前記カラー部分が、先細端部分間に配置された中央部分を備え、前記中央部分が、円筒形、リング状、または球根状の湾曲した形状のうちの1つを有する、請求項72に記載のバルーンカテーテル。
【請求項75】
前記主バルーンが、前記近位バルーンショルダと前記遠位バルーンショルダとの間に、前記主バルーン上に圧着される人工心臓弁を受容するよう適合されている、請求項67から74のいずれか一項に記載のバルーンカテーテル。
【請求項76】
前記内側シャフトが、前記バルーンカテーテルの外側シャフトを超えて、前記主バルーンを通って遠位方向に延在し、前記円錐形頭部が、前記内側シャフトの遠位端に連結されている、請求項67から75のいずれか一項に記載のバルーンカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、2019年10月31日に出願された米国仮特許出願第62/928,951号、名称「経カテーテル送達デバイス用ブロー成形バルーンショルダ組立体(BLOW MOLDED BALLOON SHOULDER ASSEMBLY FOR A TRANSCATHETER DELIVERY DEVICE)」の利益を主張する。
【0002】
本開示は、人工心臓弁などの医療デバイスを埋め込むための、バルーンカテーテル用ブロー成形バルーンショルダ組立体の実施形態に関する。
【背景技術】
【0003】
血管内送達デバイスは、手術で容易にアクセスできない、または手術なしでのアクセスが望ましい体内の場所に、人工医療デバイスまたは器械を送達するために、様々な処置において使用される。体内の標的とする場所へのアクセスは、いくつか例を挙げると、血管、食道、気管、胃腸管の任意の部分、リンパ管を含むがこれらに限定されるものではない、体内の経路または管腔を通して送達デバイスを挿入および誘導することによって、実現され得る。一具体例では、人工心臓弁は、送達デバイスの遠位端に圧着状態で取り付けられ、人工弁が心臓内の埋込み部位に到達するまで、患者の血管系を通って(たとえば、大腿動脈および大動脈を通って)進められ得る。人工弁は、次いで、人工弁が取り付けられているバルーンを膨らませること、または人工弁が人工弁の機能するサイズまで自己拡張できるように、送達デバイスのシースから人工弁を展開することなどによって、人工弁の機能するサイズまで拡張される。
【0004】
バルーン拡張可能な人工弁が、石灰化した自己弁を置き換えるために好ましい場合がある。というのは、カテーテルバルーンが、周囲の石灰化した組織に対して、人工弁のフレームを拡張させ係留させるのに十分な拡張力を加えることができるからである。人工心臓弁を送達する1つの既知の技法では、人工心臓弁は、患者の体内に挿入する前に、送達カテーテルのバルーンの弁保持部分に圧着され得る。弁保持部分は、バルーンの内側に配置され、送達カテーテルのシャフトに取り付けられた遠位バルーンショルダおよび近位バルーンショルダで形成され得る。遠位および近位バルーンショルダは、患者の血管系を通して送達中に、バルーンの弁保持部分上の人工心臓弁を保持する助けとなり得る。バルーンショルダは、通常、射出モデリングによって形成され、その結果硬く、柔軟性がなく、厚いパーツになる。バルーンショルダのこうした特性により、バルーンカテーテルの製造中に、バルーンの脚部にバルーンショルダを挿入することが困難になる。さらに、射出成形バルーンショルダの剛度および厚さの増加によって、送達カテーテルを送達システムのシースを通してうまく移動させる際に、患者の血管系の標的とする治療部位へのルートにおける湾曲部内で、ショルダと弁との間に間隙が形成される場合があり、それによりシースへの起こり得る損傷がもたらされる。なおさらに、射出成形ショルダの硬度およびサイズの増加によって、弁の展開後、シースを通した送達カテーテルの回収に、より大きな力を使う可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,730,118号
【特許文献2】WIPO国際特許出願公開第2018/222799号
【特許文献3】米国特許出願公開第2012/0239142号
【特許文献4】米国特許出願公開第2018/0028310号
【特許文献5】米国特許出願公開第2007/0005131号
【特許文献6】米国特許出願公開第2009/0281619号
【特許文献7】米国特許出願公開第2013/0030519号
【特許文献8】米国特許出願公開第2017/0065415号
【特許文献9】米国特許第8,007,992号
【特許文献10】米国特許第8,357,387号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、人工心臓弁などの埋込み型医療デバイスを送達するための、バルーンカテーテルのバルーンショルダを改善することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書では、バルーンカテーテル、バルーンカテーテル用バルーンショルダ組立体、ならびにバルーンショルダ組立体およびバルーンカテーテルを形成するための、関連する方法が開示されている。バルーンカテーテルは、医療デバイス、ツール、薬剤、または他の療法を、対象者の体内のある場所に送達するために使用され得る。いくつかの実施形態では、バルーンカテーテルは、人工心臓弁などの埋込み型医療デバイスを、心臓などの患者の標的とする部位に送達するために使用され得る。いくつかの実施形態では、バルーンカテーテルは、人工心臓弁または他の埋込み型医療デバイスを送達するために使用され得る、送達システム(たとえば、血管内または経カテーテル送達システム)の構成要素であり得る。バルーンカテーテルは、バルーンカテーテルの主バルーン内に配置され、人工心臓弁(またはステントなどの他の埋込み型医療デバイス)を圧着できる弁保持部分を形成する、バルーンショルダ組立体を備えることができる。いくつかの実施形態では、バルーンショルダ組立体は、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダを備えることができ、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダは、中央接続部分と共に一体部品としてブロー成形されるか、または別々の近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダとしてブロー成形され得る。さらに、いくつかの実施形態では、ブロー成形バルーンショルダは、様々な流体を用いて膨張可能であり得る。他の実施形態では、ブロー成形バルーンショルダは、膨張不可能であってもよく、その代わりに、ブロー成形バルーンショルダが膨張していない状態で内部に配置されたバルーンを、構造的に支持するよう構成され得る。
【0008】
1つの典型的な実施形態では、バルーンカテーテル用バルーンショルダ組立体は、バルーンショルダ組立体の中心軸に対して、近位シャフト部分から径方向外側に延在する近位カラー部分を備える近位バルーンショルダと、遠位シャフト部分から径方向外側に延在する遠位カラー部分を備える遠位バルーンショルダとを、備えることができる。いくつかの実施形態では、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダのそれぞれは、中空であり、圧縮可能なブロー成形材料を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、近位バルーンショルダの外壁および遠位バルーンショルダの外壁は、加えられた圧力の下で圧縮または伸長し、加えられた圧力が取り除かれると非圧縮または非伸長状態に戻るよう構成される。
【0010】
いくつかの実施形態では、近位カラー部分は、中心軸に対して軸方向に、遠位カラー部分から離間して配置されている。
【0011】
いくつかの実施形態では、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダは、中央接続部分との一体部品として成形され、中央接続部分は、近位カラー部分と遠位カラー部分との間に配置され、近位カラー部分と遠位カラー部分とを接続する。
【0012】
いくつかの実施形態では、近位バルーンショルダは、近位カラー部分と中央接続部分との間に延在し、近位カラー部分と中央接続部分とを接続する近位遷移部分をさらに備え、近位遷移部分は、近位カラー部分から中央接続部分まで直径が小さくなり、また遠位バルーンショルダは、遠位カラー部分と中央接続部分との間に延在し、遠位カラー部分と中央接続部分とを接続する遠位遷移部分をさらに備え、遠位遷移部分は、遠位カラー部分から中央接続部分まで直径が小さくなる。
【0013】
いくつかの実施形態では、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダは、2つの別々の部品として、別々に成形される。
【0014】
いくつかの実施形態では、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダのそれぞれが、膨張可能である。
【0015】
いくつかの実施形態では、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダは、互いに流体連結されておらず、個々に膨張可能である。
【0016】
いくつかの実施形態では、近位ショルダおよび遠位バルーンショルダのそれぞれが、膨張不可能である。
【0017】
いくつかの実施形態では、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダのそれぞれが、0.0001インチから0.010インチの範囲の壁厚を有している。
【0018】
いくつかの実施形態では、近位カラー部分は、遠位カラー部分の開放端に向かい合う開放端を有している。
【0019】
いくつかの実施形態では、近位カラー部分および遠位カラー部分のそれぞれが、狭い方の端部から径方向外向きにフレアになった広い方の端部を備える漏斗形状であり、近位カラー部分の狭い方の端部が、近位シャフト部分に接続され、遠位カラー部分の狭い方の端部が、遠位シャフト部分に接続され、近位カラー部分および遠位カラー部分のそれぞれの広い方の端部が、互いに向かい合って、中心軸に垂直に配置されている。
【0020】
いくつかの実施形態では、近位カラー部分および遠位カラー部分のそれぞれが、2つの両端部まで狭くなる、より広い中央部分を備える球根の形状を有している。
【0021】
いくつかの実施形態では、近位カラー部分および遠位カラー部分のうちの一方または両方が、第1の先細端部分と第2の先細端部分との間に配置された中央の円筒体を備え、第1の先細端部分および第2の先細端部分が、中央の円筒体から、中央接続部分、または近位シャフト部分もしくは遠位シャフト部分の対応する一方のうちの一方まで、反対方向に先細になっている。
【0022】
いくつかの実施形態では、近位カラー部分および遠位カラー部分のうちの一方または両方が、第1の先細端部分と第2の先細端部分との間に配置された湾曲した中央部分を備え、第1の先細端部分および第2の先細端部分が、中央部分から、中央接続部分、または近位シャフト部分もしくは遠位シャフト部分の対応する一方のうちの一方まで、反対方向に先細になっている。
【0023】
いくつかの実施形態では、近位カラー部分および遠位カラー部分のうちの一方または両方が、細長い先細部分、短い方の先細部分、ならびに細長い先細部分と短い方の先細部分との間に配置される中央リング部分を備える。
【0024】
いくつかの実施形態では、バルーンカテーテルは、経カテーテル心臓弁送達システムの一部である。
【0025】
いくつかの実施形態では、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダが、バルーンカテーテルの膨張可能な主バルーン内に配置され、主バルーンを支持するよう構成される。
【0026】
別の典型的な実施形態では、バルーンカテーテルを製造する方法は、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダを備えるバルーンショルダ組立体をブロー成形するステップと、バルーンカテーテルの膨張可能な主バルーン内にバルーンショルダ組立体を配置することにより、ブロー成形されたバルーンショルダ組立体をバルーンカテーテル内に装着するステップとを含むことができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダは、バルーンカテーテルの中心軸に対して軸方向に、互いに離間して配置されている。
【0028】
いくつかの実施形態では、バルーンショルダ組立体を主バルーン内に配置することにより、近位バルーンショルダと遠位バルーンショルダとを分離する空間において、主バルーン上にデバイス保持部分を形成する。
【0029】
いくつかの実施形態では、デバイス保持部分は、デバイス保持部分の上に人工医療デバイスを受容するよう適合されている。
【0030】
いくつかの実施形態では、人工医療デバイスは人工心臓弁である。
【0031】
いくつかの実施形態では、バルーンショルダ組立体をブロー成形するステップが、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダを、バルーンショルダ組立体の中央接続部分と共に一体部品としてブロー成形するステップを含み、中央接続部分は、近位バルーンショルダと遠位バルーンショルダとの間に配置されている。
【0032】
いくつかの実施形態では、バルーンショルダ組立体をブロー成形するステップは、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダを別々の部品としてブロー成形するステップを含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、バルーンショルダ組立体をブロー成形するステップが、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダを完全に膨張可能になるよう形成するステップを含み、端部は、製造中に、バルーンカテーテルの1本または複数本のシャフトの周囲で密封され、圧力を近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダの中に封じ込めるよう適合されている。
【0034】
いくつかの実施形態では、バルーンショルダ組立体をブロー成形するステップが、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダのそれぞれを、少なくとも部分的に開放状態で膨張不可能になるよう形成するステップを含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、この方法は、バルーンショルダ組立体を主バルーン内に配置するステップの前に、バルーンショルダ組立体をバルーンカテーテルの1本または複数本のシャフトに取り付けるステップをさらに含むことができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、バルーンショルダ組立体をバルーンカテーテルの1本または複数本のシャフトに取り付けるステップが、近位バルーンショルダをバルーンカテーテルの外側シャフトに取り付けるステップと、遠位バルーンショルダをバルーンカテーテルの内側シャフトに取り付けるステップとを含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、バルーンショルダ組立体をバルーンカテーテルの1本または複数本のシャフトに取り付けるステップが、近位バルーンショルダをバルーンカテーテルの外側シャフトに取り付けるステップと、遠位バルーンショルダをバルーンカテーテルの円錐形頭部に取り付けるステップとを含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、バルーンショルダ組立体をバルーンカテーテルの1本または複数本のシャフトに取り付けるステップが、近位バルーンショルダをバルーンカテーテルの内側シャフトに取り付けるステップと、遠位バルーンショルダをバルーンカテーテルの円錐形頭部に取り付けるステップとを含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、バルーンショルダ組立体をバルーンカテーテルの1本または複数本のシャフトに取り付けるステップが、近位バルーンショルダをバルーンカテーテルの内側シャフトに取り付けるステップと、遠位バルーンショルダを内側シャフトに取り付けるステップとを含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、この方法は、バルーンショルダ組立体を主バルーン内に配置するステップの後に、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダを収縮状態から膨張状態に膨張させるステップをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダを膨張させるステップが、流体を、近位バルーンショルダの内部および遠位バルーンショルダの内部に送達するステップを含む。いくつかの実施形態では、流体は、生理食塩水、造影剤混合物、生体適合性媒体、硬化性材料、および非硬化性材料のうちの少なくとも1つを含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、バルーンカテーテルは、経カテーテル心臓弁送達システムの一部であり、バルーンショルダ組立体をバルーンカテーテルの主バルーン内に配置するステップが、主バルーン上の、近位バルーンショルダと遠位バルーンショルダとの間の空間に、人工心臓弁のための弁着座ポケット(sitting pocket)を作り出すステップを含み、弁着座ポケットは、経カテーテル心臓弁送達システムを用いた埋込み処置中の、人工心臓弁の移動を低減する。
【0042】
別の典型的な実施形態では、血管内送達システム用のバルーンカテーテルは、バルーンカテーテルの内側シャフトに取り付けられた近位バルーンショルダであって、圧縮可能な中空シェルを備える近位バルーンショルダと、内側シャフトに取り付けられた遠位バルーンショルダであって、圧縮可能な中空シェルを備える遠位バルーンショルダと、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダを密閉する、膨張可能な主バルーンとを備えることができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダは、近位バルーンショルダと遠位バルーンショルダとの間に延在する中央接続部分と共に、一体部品として一体にブロー成形される。
【0044】
いくつかの実施形態では、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダはそれぞれ、別々の部品としてブロー成形される。
【0045】
いくつかの実施形態では、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダはそれぞれ、完全に密閉され、内側シャフトの周囲で密封され、膨張可能である。
【0046】
いくつかの実施形態では、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダのそれぞれが、開放状態で、内側シャフトの周囲で密封されていない端部、および主バルーンを支持するよう適合された、厚さが0.001インチから0.010インチの範囲である壁を備える。
【0047】
いくつかの実施形態では、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダがそれぞれ、カラー部分およびシャフト部分を備え、カラー部分は、シャフト部分から径方向外側に延在する。
【0048】
いくつかの実施形態では、カラー部分は、漏斗、円錐形、楕円形、または回転楕円体のうちの1つの形状を有する。
【0049】
いくつかの実施形態では、カラー部分が、先細端部分間に配置された中央部分を備え、中央部分は、円筒形、リング状、または球根状の湾曲した形状のうちの1つを有する。
【0050】
いくつかの実施形態では、主バルーンは、近位バルーンショルダと遠位バルーンショルダとの間に、主バルーン上に圧着される人工心臓弁を受容するよう適合されている。
【0051】
いくつかの実施形態では、内側シャフトは、バルーンカテーテルの外側シャフトを超えて、主バルーンを通って遠位方向に延在する。
【0052】
別の典型的な実施形態では、血管内送達システム用のバルーンカテーテルは、バルーンカテーテルの外側シャフトに取り付けられた近位バルーンショルダであって、圧縮可能な中空シェルを備える近位バルーンショルダと、バルーンカテーテルの内側シャフトに取り付けられた遠位バルーンショルダであって、圧縮可能な中空シェルを備える遠位バルーンショルダと、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダを密閉する、膨張可能な主バルーンとを備えることができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダは、近位バルーンショルダと遠位バルーンショルダとの間に延在する中央接続部分と共に、一体部品として一体にブロー成形される。
【0054】
いくつかの実施形態では、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダはそれぞれ、別々の部品としてブロー成形され、軸方向に互いに離間して配置されている。
【0055】
いくつかの実施形態では、近位バルーンショルダが、完全に密閉され、外側シャフトの周囲で密封され、膨張可能であり、かつ遠位バルーンショルダが、完全に密閉され、内側シャフトの周囲で密封され、膨張可能である。
【0056】
いくつかの実施形態では、近位バルーンショルダが、開放状態で、外側シャフトの周囲で密封されていない端部を備え、かつ遠位バルーンショルダが、開放状態で、内側シャフトの周囲で密封されていない端部を備える。
【0057】
いくつかの実施形態では、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダがそれぞれ、カラー部分およびシャフト部分を備え、カラー部分は、シャフト部分から径方向外側に延在する。
【0058】
いくつかの実施形態では、カラー部分は、漏斗、円錐形、楕円形、または回転楕円体のうちの1つの形状を有する。
【0059】
いくつかの実施形態では、カラー部分が、先細端部分間に配置された中央部分を備え、中央部分は、円筒形、リング状、または球根状の湾曲した形状のうちの1つを有する。
【0060】
いくつかの実施形態では、主バルーンは、近位バルーンショルダと遠位バルーンショルダとの間に、主バルーン上に圧着される人工心臓弁を受容するよう適合されている。
【0061】
いくつかの実施形態では、内側シャフトは、バルーンカテーテルの外側シャフトを超えて、主バルーンを通って遠位方向に延在する。
【0062】
別の典型的な実施形態では、血管内送達システム用のバルーンカテーテルは、バルーンカテーテルの外側シャフトに取り付けられた近位バルーンショルダであって、圧縮可能な中空シェルを備える近位バルーンショルダと、バルーンカテーテルの円錐形頭部に取り付けられた遠位バルーンショルダであって、圧縮可能な中空シェルを備える遠位バルーンショルダと、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダを密閉する、膨張可能な主バルーンとを備えることができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダは、近位バルーンショルダと遠位バルーンショルダとの間に延在する中央接続部分と共に、一体部品として一体にブロー成形される。
【0064】
いくつかの実施形態では、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダはそれぞれ、別々の部品としてブロー成形され、軸方向に互いに離間して配置されている。
【0065】
いくつかの実施形態では、近位バルーンショルダが、完全に密閉され、外側シャフトの周囲で密封され、膨張可能であり、かつ遠位バルーンショルダが、完全に密閉され、円錐形頭部の周囲で密封され、膨張可能である。
【0066】
いくつかの実施形態では、近位バルーンショルダが、開放状態で、外側シャフトの周囲で密封されていない端部を備え、かつ遠位バルーンショルダが、開放状態で、円錐形頭部の周囲で密封されていない端部を備える。
【0067】
いくつかの実施形態では、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダがそれぞれ、カラー部分およびシャフト部分を備え、カラー部分は、シャフト部分から径方向外側に延在する。
【0068】
いくつかの実施形態では、カラー部分は、漏斗、円錐形、楕円形、または回転楕円体のうちの1つの形状を有する。
【0069】
いくつかの実施形態では、カラー部分が、先細端部分間に配置された中央部分を備え、中央部分は、円筒形、リング状、または球根状の湾曲した形状のうちの1つを有する。
【0070】
いくつかの実施形態では、主バルーンは、近位バルーンショルダと遠位バルーンショルダとの間に、主バルーン上に圧着される人工心臓弁を受容するよう適合されている。
【0071】
いくつかの実施形態では、内側シャフトが、バルーンカテーテルの外側シャフトを超えて、主バルーンを通って遠位方向に延在し、円錐形頭部が、内側シャフトの遠位端に連結されている。
【0072】
別の典型的な実施形態では、血管内送達システム用のバルーンカテーテルは、バルーンカテーテルの内側シャフトに取り付けられた近位バルーンショルダであって、圧縮可能な中空シェルを備える近位バルーンショルダと、バルーンカテーテルの円錐形頭部に取り付けられた遠位バルーンショルダであって、圧縮可能な中空シェルを備える遠位バルーンショルダと、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダを密閉する、膨張可能な主バルーンとを備えることができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダは、近位バルーンショルダと遠位バルーンショルダとの間に延在する中央接続部分と共に、一体部品として一体にブロー成形される。
【0074】
いくつかの実施形態では、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダはそれぞれ、別々の部品としてブロー成形され、軸方向に互いに離間して配置されている。
【0075】
いくつかの実施形態では、近位バルーンショルダが、完全に密閉され、内側シャフトの周囲で密封され、膨張可能であり、かつ遠位バルーンショルダが、完全に密閉され、円錐形頭部の周囲で密封され、膨張可能である。
【0076】
いくつかの実施形態では、近位バルーンショルダが、開放状態で、内側シャフトの周囲で密封されていない端部を備え、かつ遠位バルーンショルダが、開放状態で、円錐形頭部の周囲で密封されていない端部を備える。
【0077】
いくつかの実施形態では、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダがそれぞれ、カラー部分およびシャフト部分を備え、カラー部分は、シャフト部分から径方向外側に延在する。
【0078】
いくつかの実施形態では、カラー部分は、漏斗、円錐形、楕円形、または回転楕円体のうちの1つの形状を有する。
【0079】
いくつかの実施形態では、カラー部分が、先細端部分間に配置された中央部分を備え、中央部分は、円筒形、リング状、または球根状の湾曲した形状のうちの1つを有する。
【0080】
いくつかの実施形態では、主バルーンは、近位バルーンショルダと遠位バルーンショルダとの間に、主バルーン上に圧着される人工心臓弁を受容するよう適合されている。
【0081】
いくつかの実施形態では、内側シャフトが、バルーンカテーテルの外側シャフトを超えて、主バルーンを通って遠位方向に延在し、円錐形頭部が、内側シャフトの遠位端に連結されている。
【0082】
本発明の前述のもの、ならびに他の対象物、特徴、および利点は、添付の図を参照して進める、以下の詳細な説明からより一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【
図1】一実施形態による、人工心臓弁の斜視図である。
【
図2A】別の実施形態による、人工心臓弁の斜視図である。
【
図2B】例示するために、フレームの外側にある構成要素が透明な線で示されている、
図2Aの人工弁の斜視図である。
【
図3】実施形態による、人工心臓弁用送達デバイスの斜視図である。
【
図4】
図3の送達デバイスの、遠位端部分の実施形態の断面図である。
【
図5】一実施形態による、バルーンカテーテルの遠位端部分に取り付けられたバルーンに圧着された、人工弁を備える組立体の側面図である。
【
図6】第1の実施形態による、バルーンカテーテル用ブロー成形バルーンショルダ組立体の側面図である。
【
図7】第2の実施形態による、バルーンカテーテル用ブロー成形バルーンショルダ組立体の側面図である。
【
図8】一実施形態による、バルーンカテーテル用バルーンショルダ組立体のバルーンショルダの側面図である。
【
図9】別の実施形態による、バルーンカテーテル用バルーンショルダ組立体のバルーンショルダの側面図である。
【
図10】さらに別の実施形態による、バルーンカテーテル用バルーンショルダ組立体のバルーンショルダの側面図である。
【
図11】一実施形態による、膨張可能なバルーンショルダ組立体の、膨張していない状態での側面図である。
【
図12】
図11の膨張可能なバルーンショルダ組立体の、膨張した状態での側面図である。
【
図13】一実施形態による、膨張不可能なバルーンショルダ組立体の側面図である。
【
図14】ブロー成形バルーンショルダ組立体を備える、バルーンカテーテルを製造する方法の流れ図である。
【
図15A】バルーンカテーテルにバルーンショルダ組立体を取り付ける様々なやり方を示す図である。
【
図15B】バルーンカテーテルにバルーンショルダ組立体を取り付ける様々なやり方を示す図である。
【
図15C】バルーンカテーテルにバルーンショルダ組立体を取り付ける様々なやり方を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0084】
本明細書には、経カテーテル送達システム(たとえば、経カテーテル心臓弁送達システム)用の、ブロー成形バルーンショルダ組立体の例、ならびにブロー成形バルーンショルダ組立体およびブロー成形バルーンショルダ組立体を備えるバルーンカテーテルを製造する方法が説明されている。バルーンショルダ組立体は、カラー部分(たとえば、フレア状端部)およびシャフト部分(たとえば、シャフト端部)を備える近位バルーンショルダと、カラー部分およびシャフト部分を備える遠位バルーンショルダとを、備えることができる。近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダのそれぞれは、中空であり、圧縮可能なブロー成形材料を含むことができる。バルーンショルダ組立体は、送達システムのバルーンカテーテルの膨張可能な主バルーン内に挿入され得る。いくつかの例では、近位および遠位バルーンショルダのカラー部分は、主バルーン内において互いに離間して配置され、バルーン上に弁(または他の埋込み型デバイス)保持部分を形成することができ、弁保持部分は、いくつかの実施形態では、圧着される人工心臓弁を受容するよう適合されている。他の実施形態では、弁保持部分は、ステントなどの別の種類の埋込み型医療デバイスを受容するよう適合された、デバイス保持部分であり得る。バルーンショルダ組立体は、ブロー成形によって形成され、それにより、中空で圧縮可能なバルーンショルダを作製することができる。たとえば、ブロー成形によって形成されたバルーンショルダの外壁は、圧力下で圧縮(または伸長)され、加えられた圧力を取り除くと、非圧縮または非伸長状態に戻ることができる。バルーンショルダをブロー成形することで、従来の射出成形バルーンショルダと比較して、同様の構造強度を有するが、あまり嵩張らず、より弾力性のある(たとえば、柔軟な)バルーンショルダが作り出される。結果として、ブロー成形バルーンショルダ組立体は、バルーンに挿入される際、およびバルーンカテーテルが埋込み部位および患者の身体から引き戻される回収プロセス中に、圧縮することができる一方で、バルーンカテーテルの主バルーンを適切に支持することができる。したがって、ブロー成形バルーンショルダ組立体を備えるバルーンカテーテルは、送達システムの構成要素の劣化を抑えながらも、より容易に製造し、より容易に患者の内腔を通してうまく移動させることができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、バルーンカテーテルは、遠位バルーンショルダと近位バルーンショルダとの間で、主バルーンの弁保持部分に圧着された人工心臓弁を送達するよう適合されている。
図1は、一実施形態による、人工心臓弁10を示している。図示の人工弁は、自己大動脈弁輪に埋め込むよう適合されているが、他の実施形態では、心臓の他の自己弁輪(たとえば、肺動脈弁、僧帽弁、および三尖弁)に埋め込むよう適合され得る。人工弁はまた、体内の他の管状器官または通路に埋め込むよう適合され得る。人工弁10は、ステントまたはフレーム12、弁構造体14、内側スカート16、および弁周囲外側密封部材または外側スカート18の、4つの主要な構成要素を備えることができる。人工弁10は、流入端部分15、中間部分17、および流出端部分19を備えることができる。
【0086】
弁構造体14は、3つの弁尖40を備えることができ、集合的に、萎んで三尖弁配列になるよう配置され得る弁尖構造体を形成することができるが、他の実施形態では、より多くのまたはより少ない枚数の弁尖(たとえば、1枚または複数枚の弁尖40)があり得る。弁尖40は、弁尖の隣接する側部が互いにしっかり閉まり、弁尖構造体14の交連22を形成することができる。弁構造体14の下側縁部は、起伏する湾曲した弁帆形状を有することができ、縫合糸(図示せず)によって内側スカート16にしっかり留められ得る。いくつかの実施形態では、弁尖40は、心膜組織(たとえば、ウシ心膜組織)、生体適合性合成材料、または当技術分野で既知であり、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,730,118号の中で説明されている、他の様々な好適な天然または合成材料で形成され得る。
【0087】
フレーム12は、弁構造体14の交連22をフレームに取り付けるよう適合された、複数の周方向に間隔を置いたスロットまたは交連窓20を備えるよう形成され得る。フレーム12は、当技術分野で既知の様々な好適な塑性拡張性材料(たとえば、ステンレス鋼など)または自己拡張性材料(たとえば、ニチノールなどのニッケルチタン合金(NiTi))のいずれかで作られ得る。フレーム12(したがって人工弁10)は、塑性拡張性材料で構築された場合、送達カテーテル上に、径方向に折り畳まれた外形に圧着され、次いで、膨張可能なバルーンまたは同等の拡張機構によって、患者の内部で拡張され得る。フレーム12(したがって人工弁10)が、自己拡張性材料で構築された場合、径方向に折り畳まれた外形に圧着され、送達カテーテルのシースまたは同等の機構内に挿入することによって、折り畳まれた外形で抑制され得る。体内に入ると、人工弁を送達シースから前に進めることができ、これにより、人工弁を、人工弁が機能するサイズまで拡張することができる。
【0088】
フレーム12を形成するために使用され得る好適な塑性拡張性材料には、ステンレス鋼、生体適合性の高強度合金(たとえば、コバルトクロムまたはニッケルコバルトクロム合金)、ポリマー、またはそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されるものではない。具体的な実施形態では、フレーム12は、UNS R30035合金(ASTM F562-02でカバーされる)と同等であるMP35N(登録商標)合金(SPS Technologies, Jenkintown, Pennsylvania)などの、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金で作られる。MP35N(登録商標)合金/UNS R30035合金は、重量比で35%のニッケル、35%のコバルト、20%のクロム、および10%のモリブデンを含む。人工弁10および人工弁10の様々な構成要素に関するさらなる詳細は、参照により本明細書に組み込まれているWIPO国際特許出願公開第2018/222799号の中で説明されている。
【0089】
図2Aは、別の実施形態による、人工心臓弁50の斜視図である。弁50は、ステントまたはフレーム52、弁構造体54、および密封部材56の、3つの主要な構成要素を備えることができる。
図2Bは、例示する目的で、透明な線で示されているフレーム52の外側の構成要素(密封部材56を含む)を備えた、人工弁50の斜視図である。
【0090】
弁構造体54は、
図1の弁構造体14と同じように、3つの弁尖60を備え、集合的に、萎んで三尖弁配列になるよう配置され得る、弁尖構造体を形成することができる。各弁尖60は、弁尖60の流入縁部62(図の下側縁部であり、「尖縁部」とも呼ばれる)に沿って、また2つの弁尖の隣接部分が互いに接続されている弁構造体54の交連64において、フレーム52に連結され得る。弁尖の尖縁部をフレームに連結するために、布ストリップなどの補強要素(図示せず)が、弁尖の尖縁部およびフレームのストラットに直接接続され得る。
【0091】
フレーム52は、
図1のフレーム12と同様に、当技術分野で既知であり、上記で説明された、様々な好適な塑性拡張性材料または自己拡張性材料のいずれかで作られ得る。図示の実施形態におけるフレーム52は、フレームのセルまたは開口74の列を画定する、複数の周方向に延在する角度の付いたストラット72の列を備える。フレーム52は、図示のように、フレームの流入端部66から流出端部68まで一定の直径を有する、円筒形もしくは実質的に円筒形の形状を有することができるか、またはフレームは、参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第2012/0239142号に開示されているように、フレームの高さに沿って直径が変化し得る。
【0092】
図示の実施形態における密封部材56は、フレーム52の外側に取り付けられており、周囲組織(たとえば、自己弁尖および/または自己弁輪)に対する密封機構を作り出し、弁周囲の漏出を防止するか、または少なくとも最小限に抑えるよう機能する。密封部材56は、内層76(フレーム52の外面と接触状態であり得る)および外層78を備えることができる。密封部材56は、好適な技法または機構を使用して、フレーム52に接続され得る。密封部材56は、たとえば、ストラット72の周囲に、内層76を貫通して延在することができる縫合糸によって、フレーム52に縫合され得る。代替の実施形態では、内層76をフレーム52の内面に取り付けることができ、一方、外層78は、フレーム52の外側にある。
【0093】
外層78は、人工弁50が展開されるときに、内層76およびフレーム52から径方向外側に延びるよう構成されるか、または形作られ得る。人工弁が患者の体外で完全に拡張されると、外層78は、内層76から離れる方向に拡張し、2つの層間に空間を作り出すことができる。したがってこれにより、体内に埋め込まれると、外層78が拡張して周囲の組織と接触することが可能になる。
【0094】
人工弁50および人工弁50の様々な構成要素に関するさらなる詳細は、参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第2018/0028310号の中で説明されている。
【0095】
図3~
図5は、送達デバイス(一実施形態では、バルーンカテーテルであり得る)を備える、経カテーテル送達システムなどの送達システムの、様々な実施形態および構成要素を示している。
図3は、実施形態による、拡張可能な人工心臓弁(たとえば、心臓弁10もしくは50)、または別の種類の拡張可能な人工医療デバイス(ステントなど)を埋め込むために使用され得る、送達デバイス(たとえば、器具)100を示している。いくつかの実施形態では、送達デバイス100は、具体的には、人工弁を心臓内に導入する際に使用するよう適合されている。
【0096】
図3を参照すると、図示の実施形態における送達デバイス100は、ハンドル102、ハンドル102から延在する操縦可能な外側シャフト104、ハンドル102から操縦可能な外側シャフト104を通って同軸に延在する中間シャフト105(
図4参照)、ハンドル102から中間シャフト105および操縦可能な外側シャフト104を通って同軸に延在する内側シャフト106、中間シャフト105の遠位端から延在する膨張可能なバルーン108、ならびに送達デバイス100の遠位端に配置された円錐形頭部110を備える、バルーンカテーテルである。送達デバイス100の遠位端部分112は、バルーン108、円錐形頭部110、およびバルーンショルダ組立体を備える。
図4を参照して下記でさらに説明されるように、人工心臓弁などの人工医療デバイスが、バルーン108の弁保持部分に取り付けられ得る。下記でさらに説明されるように、バルーンショルダ組立体は、患者の血管系を通して送達中に、人工心臓弁または他の医療デバイスをバルーン108上の固定位置に維持するよう構成される。
【0097】
内側シャフト106は、内側シャフト106内にガイドワイヤを受容するよう構成された、内腔を画定することができる。送達デバイス100は、たとえば、埋込み型医療デバイス(たとえば、人工心臓弁)を、送達デバイス100を用いて標的とする埋込み部位に送達する際に、ガイドワイヤの上を、標的とする埋込み部位まで進めることができる。
【0098】
ハンドル102は、送達デバイスの遠位端部分の曲りを調整するよう構成される、操縦機構を備えることができる。図示の実施形態では、ハンドル102は、たとえば、プルワイヤ(図示せず)の近位端部分に動作可能に連結されている、図示の回転可能なノブ134などの調整部材を備える。プルワイヤは、ハンドル102から外側シャフト104を通って遠位方向に延在し、外側シャフト104の遠位端において、または遠位端の近くで、外側シャフトに固定された遠位端部分を備える。ノブ134を回転させることが、プルワイヤの張力を増加または減少させ、それにより、送達デバイスの遠位端部分の曲りを調整するのに効果的である。
【0099】
図4は、送達デバイス100の遠位端部分112の実施形態を示している。
図4に示されているように、送達デバイス100は、送達デバイス100および人工弁114を患者の血管系に挿入するために、人工弁(たとえば、人工心臓弁)114を、バルーン108の上に圧着された状態で取り付けるよう構成される。
【0100】
図4に示されているように、内側シャフト106は、遠位端部分112の近位端において、操縦可能な外側シャフト104および中間シャフト105を越えて、バルーン108を通って遠位方向に延びている。バルーン108は、バルーンショルダ組立体118上で支持され得る。バルーンショルダ組立体118は、中間シャフト105の遠位端に接続された近位ショルダ120、および内側シャフト106に取り付けられた遠位ショルダ122を備える。バルーン108は、近位ショルダ120を囲繞し、かつ/または近位ショルダ120の上に巻き付けられた近位端部分126、ならびに遠位ショルダ122を囲繞し、かつ/または遠位ショルダ122の上に巻き付けられた遠位端部分128を備える。いくつかの実施形態では、バルーン108の近位端部分126は、中間シャフト105の外面にしっかり留められ得る。いくつかの実施形態では、バルーン108の遠位端部分128は、内側シャフト106に取り付けられるかまたは連結され得る、円錐形頭部110の外面にしっかり留められ得る。
【0101】
図示の実施形態では、円錐形頭部110および遠位ショルダ122は、一体部品または単一構成要素であり得る。すなわち、円錐形頭部110は、単一構成要素の遠位部分であり、遠位ショルダ122は、単一構成要素の近位部分である。他の実施形態では、円錐形頭部110および遠位ショルダ122は、別々の構成要素であり得、それぞれが、互いに隣り合って、または軸方向に間隔を置いた場所において、内側シャフト106に取り付けられ得る。
【0102】
近位ショルダ120および遠位ショルダ122は、送達デバイス100の中心にある長手方向軸124に対して軸方向に、互いに離間して配置されている。結果として、バルーン108は、近位ショルダ120と遠位ショルダ122とを分離する空間(たとえば、近位ショルダ120のフレア端部と遠位ショルダ122のフレア端部との間)に、弁保持部分130を画定する。
図4に示されているように、人工弁114は、近位ショルダ120と遠位ショルダ122との間にある、バルーン108の弁保持部分130(弁着座ポケットとも呼ばれ得る)に圧着され得、それにより、送達デバイス100を患者に挿入し、人工弁114を標的とする埋込み部位に送達する際の、バルーン108に対する人工弁114の軸方向の移動を防止または低減する。
【0103】
内側シャフト106の外径は、中間シャフト105の全長に沿って、内側シャフト106と中間シャフト105との間に環状空間132が画定されるように、サイズが決められ得る。環状空間132は、膨張用流体(たとえば、生理食塩水)を送達デバイス内に注入することができる、流体供給源(たとえば、注射器)に流体的に接続可能であり得る、送達デバイス100の1本または複数本の流体通路に流体連結され得る。このようにして、流体供給源からの流体は、1本または複数本の流体通路を通り、環状空間132を通って、バルーン108に流れ込み、バルーン108を膨張させ、人工弁114を拡張および展開することができる。たとえば、ハンドル102は、流体供給源に連結されるよう構成された、流体ポート103(
図3参照)を有することができる。流体供給源からの膨張用流体は、使用中、流体ポート103に注入され、ハンドル102内の1本または複数本の流体通路を通り、環状空間132を通って、バルーン108に注入され得る。
【0104】
図4は、環状空間132を通り、近位ショルダ120および遠位ショルダ122内の流路を通る流体(矢印109で示されている)の流れを示している。流体は、次いで、バルーン108の近位および遠位端部分126、128に流れ込み、弁114を拡張することができる。バルーンショルダ組立体、操縦機構、および送達デバイスの他の構成要素のさらなる詳細は、参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第2007/0005131号、第2009/0281619号、第2013/0030519号、および第2017/0065415号に開示されている。
【0105】
図5は、バルーンカテーテルの遠位端部分112に取り付けられたバルーン108に圧着された人工弁114を備える、送達デバイス100の遠位端部分112の外側の側面図を示している。上記で説明されたように、近位ショルダ120および遠位ショルダ122を備えるバルーンショルダ組立体は、バルーンショルダ組立体上にあるバルーン108を支持する。
【0106】
図5に示されているように、バルーン108は、近位ショルダ120を囲繞し、かつ/または近位ショルダ120の上に巻き付けられた近位端部分126、遠位ショルダ122を囲繞し、かつ/または遠位ショルダ122の上に巻き付けられた遠位端部分128、ならびに近位端部分126と遠位端部分128との間に位置する弁保持部分130を備える。
図5に示されているように、人工弁114は、弁保持部分130上および弁保持部分130の周囲において、バルーンカテーテルに圧着される。
【0107】
従来、
図5に示されているバルーンショルダなどの射出成形バルーンショルダ組立体は、比較的硬い、厚いパーツであり得る(たとえば、固体の硬いプラスチック材料を含む)。射出成形バルーンショルダは、概して、嵩張ることがあり、それによって、質量の増加に適応させるために長さを比較的長くする場合がある。射出成形バルーンショルダが、硬く、厚く、剛性の特質を有する結果、バルーンカテーテルの製造中に、バルーンカテーテルのバルーンの比較的狭い脚部の中に挿入するのが困難な場合がある。さらに、こうした特性はまた、射出成形バルーンショルダと、バルーンの周囲に圧着される弁(または他の埋込み型デバイス)との間、近位バルーンショルダと遠位バルーンショルダとの間に、間隙を作り出すことがあり、その結果、バルーンカテーテルが挿入されるシースまたは代替の医療器械が、患者の血管系内の湾曲部を通り抜ける間に、損傷を受ける可能性がある。なおさらに、射出成形ショルダの嵩張る硬い特質に起因して、患者の標的とする部位における弁の展開に続いて、シースを通してバルーンカテーテルを回収(たとえば、取外し)しようとするときに、ユーザは回収により大きな力を使う可能性がある。
【0108】
図14を参照して下記でさらに説明されるように、バルーンカテーテル用のバルーンショルダおよび/またはバルーンショルダ組立体は、その代わりに、(射出成形ではなく)ブロー成形によって形成され得る。ブロー成形は、射出成形パーツに比べて、質量(たとえば嵩)が減少し、同様の構造強度で、剛度が低下し、硬度が低下し、かつ圧縮性(たとえば弾力性)が高まった、プラスチックの中空のパーツを作り出す。さらに、ブロー成形により、射出成形よりも、パーツのサイズおよび形状など、設計をより迅速かつ安価に変更できる可能性がある(たとえば、射出成形に必要な金型のコストが高いという特質による)。その結果、ブロー成形バルーンショルダは、より弾力性があり得、ブロー成形バルーンショルダを圧縮して拡張形状に戻すことを可能にする一方で、依然として主バルーンを構造的に十分に支持し、それによりブロー成形バルーンショルダの、バルーンカテーテルの主バルーン内への挿入をより容易にし、かつ埋込み処置中に、シースを通してバルーンカテーテルをうまく移動させる際の、シースの劣化を低減する。さらに、ブロー成形バルーンショルダおよび/またはバルーンショルダ組立体を備えるバルーンカテーテルは、人工医療デバイスを埋め込んだ後の、シースおよび/または患者の血管系を通しての回収が、より容易であり得る(たとえば、力または抵抗性が減った状態で)。さらに、下記でさらに説明されるように、ブロー成形されたパーツは中空で圧縮可能なので、ブロー成形バルーンショルダは、膨張および収縮するよう構成され得る(たとえば、追加のバルーンとして機能する)。
【0109】
図6および
図7は、例示的なバルーンカテーテル200(送達器具または送達デバイスとも呼ばれ得る)に備えられた、ブロー成形バルーンショルダ組立体の実施形態を示している。バルーンカテーテル200は、上記で説明されたように、
図3~
図5に示された送達デバイス(たとえば、バルーンカテーテル)100と同様のものであり得る。したがって、
図3~
図5の送達デバイス(たとえば、バルーンカテーテル)100の構成要素と同様の構成要素は、
図6~
図7のバルーンカテーテル200において同じ番号が付けられている。
【0110】
最初に
図6に目を向けると、バルーンカテーテル200用ブロー成形バルーンショルダ組立体202の第1の実施形態が示されている。
図5を参照して上記で紹介されたように、バルーンカテーテル200は、膨張可能な主バルーン108(
図4~
図7において収縮状態で示されている)、外側シャフト104、ならびに外側シャフト104および主バルーン108を通って延在する内側シャフト106を備える。
図4~
図5を参照して上記で説明されたように、バルーン108は、近位端部分126、遠位端部分128、ならびに近位端部分126と遠位部分128との間に配置された弁保持部分130を備える。図示の実施形態では、バルーンの遠位端部分128は円錐形頭部110に接続され得、バルーンの近位端部分126は外側シャフト104に接続され得る。人工医療デバイス(たとえば、人工心臓弁)210は、収縮したバルーン108上に圧着されており、例示する目的で、
図6~
図7では、ボックスの形で示されている。いくつかの実施形態では、人工医療デバイス210は、
図1に示された人工心臓弁10、
図2A~
図2Bに示された人工心臓弁50、または
図4~
図5に示された人工心臓弁114のうちの1つであり得る。代替の実施形態では、人工医療デバイス210は、ステントまたは移植片などの別の種類の埋込み型医療デバイスであり得る。
【0111】
バルーンショルダ組立体202は、内側シャフト106に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、バルーンショルダ組立体202は、
図6に示されているように、バルーンショルダ組立体202の近位端204から遠位端206まで延在し、内側シャフト106の外周全体を囲繞する一体部品として形成される。代替の実施形態では、バルーンショルダ組立体202は、下記でさらに説明されるように、一体部品として形成されなくてもよく、内側シャフト106の一部(たとえば、弁保持部分130の領域の中央部分)が、バルーンショルダ組立体202によって囲繞されていなくてもよい。
【0112】
図6に示されているように、バルーンショルダ組立体202は、近位バルーンショルダ208、遠位バルーンショルダ212、ならびに近位バルーンショルダ208と遠位バルーンショルダ212とを接続する中央接続部分214を備える。いくつかの実施形態では、中央接続部分214は、近位バルーンショルダ208および遠位バルーンショルダ212との一体部品として形成される。他の実施形態では、近位バルーンショルダ208、遠位バルーンショルダ212、および中央接続部分214は、別々の部品として形成され(たとえば、ブロー成形され)、次いで一体に連結される(たとえば、接着剤または代替の接合技法によって)。
【0113】
上記のように、いくつかの実施形態では、バルーンショルダ組立体202全体が、内側シャフト106に取り付けられ得る。
図15A~
図15Cを参照して下記でさらに論じられる実施形態などの他の実施形態では、近位バルーンショルダ208は、内側シャフト106もしくは外側シャフト104上に、または内側シャフト106もしくは外側シャフト104に取り付けられ得、遠位バルーンショルダ212は、内側シャフト106もしくは円錐形頭部110上に、または内側シャフト106もしくは円錐形頭部110に取り付けられ得る。
【0114】
近位バルーンショルダ208は、近位カラー部分(たとえば、部材またはフレア端部)216および近位シャフト部分(たとえば、部材またはシャフト端部)218を備える。近位カラー部分216は、具体的には、バルーンカテーテル200およびバルーンショルダ組立体202の中心軸220に対して、近位シャフト部分218から径方向外向きに延在する。近位シャフト部分218は、近位バルーンショルダ208の残りの部分(たとえば、近位カラー部分216)よりも直径が小さく、近位シャフト部分218のこのより小さい直径は、内側シャフト106の直径と同様(または、いくつかの実施形態では、わずかにより大きい)であり得る。さらに、近位カラー部分216は、近位バルーンショルダ208の第1の、より遠位の端部(中央接続部分214に隣接する)に配置され、近位シャフト部分218は、近位バルーンショルダ208の反対側の第2の、より近位の端部に配置されている。いくつかの実施形態では、近位シャフト部分218の長さは、近位カラー部分216の長さより長くなり得る。いくつかの実施形態では、近位シャフト部分218は、近位カラー部分216の内部の少なくとも一部を通って延在することができる。
【0115】
遠位バルーンショルダ212は、同様に、遠位カラー部分(たとえば、部材またはフレア端部)222および遠位シャフト部分(たとえば、部材またはシャフト端部)224を備える。遠位カラー部分222は、具体的には、中心軸220に対して、遠位シャフト部分224から径方向外向きに延在する。遠位シャフト部分224は、遠位バルーンショルダ212の残りの部分(たとえば、遠位カラー部分222)よりも直径が小さく、遠位シャフト部分224のこのより小さい直径は、内側シャフト106の直径と同様(または、いくつかの実施形態では、わずかにより大きい)であり得る。さらに、遠位カラー部分222は、遠位バルーンショルダ212の第1の、より近位の端部(中央接続部分214に隣接する)に配置され、遠位シャフト部分224は、遠位バルーンショルダ212の反対側の第2の、より遠位の端部に配置されている。いくつかの実施形態では、遠位シャフト部分224の長さは、遠位カラー部分222の長さより長くなり得る。いくつかの実施形態では、遠位シャフト部分224は、遠位カラー部分222の内部の少なくとも一部を通って延在することができる。
【0116】
いくつかの実施形態では、
図6に示されているように、中央接続部分214は、遠位カラー部分222と近位カラー部分216との間に延在し、遠位カラー部分222と近位カラー部分216とを接続する、細長い中空シャフトである。
【0117】
いくつかの実施形態では、バルーンショルダ組立体202は、
図6に示されているように、各カラー部分と中央接続部分214との間に延在し、各カラー部分を中央接続部分214に接続する、遷移部分をさらに備えることができる。いくつかの実施形態では、遷移部分もまた、バルーンショルダ組立体202の残りの部分と共に一体部品として形成され得る。いくつかの実施形態では、遷移部分は、中央接続部分214の一部または対応するカラー部分の一部であり得る。バルーンショルダ組立体202は、たとえば、
図6に示されているように、軸方向に、近位カラー部分216と中央接続部分214との間に延在し、近位カラー部分216と中央接続部分214とを接続する近位遷移部分226、ならびに軸方向に、遠位カラー部分222と中央接続部分214との間に延在し、遠位カラー部分222と中央接続部分214とを接続する遠位遷移部分228を備える。遷移部分226および228はそれぞれ、対応するカラー部分から中央接続部分214まで、直径が小さくなり得る。代替の実施形態では、バルーンショルダ組立体202は、遷移部分を備えていなくてもよく、または遷移部分が、
図6に示されているものとは別の形状(たとえば、階段状)を有していてもよい。
【0118】
図6に示されているように、近位カラー部分216および遠位カラー部分222のそれぞれは、漏斗形状(たとえば、広い方の端部および狭い方の端部を備える円錐形)を有する。近位カラー部分216は、たとえば、近位カラー部分216の狭い方の端部232から径方向外向きにフレアになった、広い方の端部230を備える。広い方の端部230は中央接続部分214に接続され、狭い方の端部232は近位シャフト部分218に接続されている。遠位カラー部分222は、同様に、遠位カラー部分222の狭い方の端部236から径方向外向きにフレアになった、広い方の端部234を備える。広い方の端部234は中央接続部分214に接続され、狭い方の端部236は遠位シャフト部分224に接続されている。
【0119】
上記で紹介されたように、バルーンショルダ組立体202は、ブロー成形によって形成される。したがって、近位バルーンショルダ208および遠位バルーンショルダ212を備えるバルーンショルダ組立体202は、中空であり、圧縮可能なブロー成形材料を含む。ブロー成形材料は、いくつかの実施形態では、ポリマーであり得る。いくつかの実施形態では、ブロー成形材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ナイロン、PET、PBTなどの、様々なポリマーのうちのいずれかであり得る。上記およびさらに下記で説明されるように、ブロー成形による中空で圧縮可能なバルーンショルダを備えることにより、バルーンショルダは、主バルーン108を構造的に支持することができる一方で、バルーンショルダを、組立ての際に主バルーン108内に挿入すること、および患者の血管系を通してうまく移動させることが、より容易になる。
【0120】
いくつかの実施形態では、
図6に示されているように、近位バルーンショルダ208、遠位バルーンショルダ212、中央接続部分214、ならびに遷移部分226および228(備えられている場合)は、ブロー成形によって一体に成形され、一体部品として形成され得る。代替の実施形態では、近位バルーンショルダ208および遠位バルーンショルダ212は、2つの別のパーツとして、別々にブロー成形され得る(一体部品として形成されない)。こうした実施形態のいくつかにおいて、バルーンショルダ組立体は、中央接続部分を備えていなくてもよく、その代わりに、別々にブロー成形された近位および遠位バルーンショルダが、互いに離間して配置されてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、バルーンショルダ組立体202は、
図6に示されている、近位バルーンショルダ208および遠位バルーンショルダ212を備えることができるが、中央接続部分214がない。こうした実施形態の他のものでは、別々に成形された近位バルーンショルダ208および遠位バルーンショルダ212は、ブロー成形後、かつバルーンカテーテルの主バルーンに挿入される前に、中央接続部分に連結され得る。
【0121】
再び
図6を参照すると、いくつかの実施形態では、近位シャフト部分218および遠位シャフト部分224は、溶接または接着剤を用いるなど、様々な技法および機構を使用して、内側シャフト106にしっかり留められ得る。
【0122】
いくつかの実施形態では、バルーンショルダ組立体202は、完全に密閉され、膨張可能であり得る(たとえば、収縮状態から膨張することができる)。本明細書で使用される場合、「完全に密閉された」は、穴または開口がなく、圧力(たとえば、流体圧力)を保持することができる、密閉または密封された構造を指すことができる。たとえば、対応するカラー部分に連結されていない近位シャフト部分218および遠位シャフト部分224のそれぞれの端部、ならびにカラー部分の両端は、これらが取り付けられているそれぞれのシャフトに対して、閉じられるかまたは密封され得る。たとえば、近位シャフト部分218および遠位シャフト部分224のそれぞれは、内側シャフト106の外面に対して流体密の密封機構を形成することができる。このようにして、バルーンショルダ組立体202は全面的に密閉され、バルーンショルダ組立体202内に導入された膨張用流体を封じ込むことができ得る。したがって、主バルーン108に加えて、バルーンショルダ組立体202またはバルーンショルダ組立体の一部(近位バルーンショルダ208および遠位バルーンショルダ212など)が、バルーンとなり得る。
【0123】
たとえば、いくつかの実施形態では、バルーンカテーテル200の内部を通って走る1本または複数本のシャフトは、外部流体供給源をバルーンショルダ組立体202に流体連結することができる。いくつかの実施形態では、内側シャフト106は、
図6に示されているように、バルーンショルダ組立体202の領域内に、1つまたは複数の側部開口107を有することができる。膨張用流体は、次いで、流体供給源(たとえば、膨張用流体を封じ込む注射器)から、送達器具のハンドルにある流体ポートに供給され得る。流体ポートは、内側シャフト106内に形成された流体通路に流体的に接続され、1つまたは複数の側部開口107を介してバルーンショルダ組立体202と流体連通している。したがって、膨張用流体は、バルーンショルダ組立体202の1つまたは複数のバルーンに供給され、バルーンショルダ組立体202を膨張させることができる。
【0124】
いくつかの実施形態では、中央接続部分214の内面は、内側シャフト106の外面から径方向外側に離間され、膨張用流体が近位バルーンショルダ208から遠位バルーンショルダ212に流れ得る、環状空間を画定することができる。したがって、膨張用流体は、側部開口107から外側へ、近位バルーンショルダ208に流入し、環状空間を通って、遠位バルーンショルダ212に流入することができる。
【0125】
図6(および
図7)に示されている側部開口107は、例示する目的であり、代替の実施形態では、
図6~
図7に示されているものよりも多数の、またはより少数の側部開口107があり得る。いくつかの実施形態では、側部開口107はさらに、内側シャフト106に沿って、
図6~
図7に示されているものより、追加または代替の位置に配置され得る。側部開口107は、さらに、バルーンショルダ組立体の内部に延出するか、または内部シャフト106の外面と同一平面上にあり得る。
【0126】
いくつかの実施形態では、バルーンショルダ組立体202は、バルーンカテーテル200の組立ての際に、収縮したバルーンショルダ組立体202を主バルーン108に挿入した後、膨張され得る。主バルーン108は、バルーンショルダ組立体202が膨張されるときに、バルーンショルダ組立体202の周囲に襞を付けて巻き付けられ、任意選択で、米国特許出願公開第2017/0065415号に開示されているように、輸送および保管するため、医療提供者が使用するまで保護カバーまたはケースが主バルーンの周囲に配置され得る。人工弁(たとえば、弁10または50)は、水和流体を封じ込む容器またはジャーに保管され得る。ユーザは、使用時に、人工弁を人工弁の容器から取り出し、人工弁を主バルーンの周囲に配置し、人工弁を主バルーンの上に、近位バルーンショルダ208および遠位バルーンショルダ212それぞれの間に圧着することができる。
【0127】
代替の実施形態では、人工弁は、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第8,007,992号および第8,357,387号に開示されているような、水和流体なしで保管され得る、乾燥した、または実質的に乾燥した弁尖を備えることができる。かかる場合には、人工弁は、組立てプロセス中に主バルーンに圧着され得、送達器具および圧着された人工弁を備える組立体は、輸送および保管するために、医療提供者が使用するまで滅菌包装内に配置され得る。
【0128】
代替の実施形態では、バルーンショルダ組立体202は、主バルーンに人工弁を圧着する前など、使用する時点で膨張され得る。
【0129】
さらに、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダが別々の部品として別々に成形されるいくつかの実施形態では、主バルーン108に加えて、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダがそれぞれ、追加のバルーンであり得る。
【0130】
代替の実施形態では、バルーンショルダ組立体202は、完全に密閉されていなくてもよく、したがって、圧力を封じ込めて膨張させることができなくてもよい(たとえば、膨張不可能である)。下記でさらに説明されるように、膨張可能なブロー成形バルーンショルダの実施形態および膨張不可能なブロー成形バルーンショルダの実施形態が、
図11~
図13に示されている。
【0131】
図7は、バルーンカテーテル200用ブロー成形バルーンショルダ組立体302の第2の実施形態を示している。バルーンショルダ組立体302は、
図6のバルーンショルダ組立体202と同様に、バルーンカテーテル200の内側シャフト106に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、バルーンショルダ組立体302は、
図7に示されているように、バルーンショルダ組立体302の近位端304から遠位端306まで延在し、内側シャフト106の外周全体を囲繞する一体部品として形成される。したがって、
図7では内側シャフト106は見えない。代替の実施形態では、バルーンショルダ組立体302は、下記でさらに説明されるように、一体部品として形成されなくてもよく、内側シャフト106の一部(たとえば、弁保持部分130の領域の中央部分)が、バルーンショルダ組立体302によって囲繞されていなくてもよい。
【0132】
図7に示されているように、バルーンショルダ組立体302は、近位バルーンショルダ308、遠位バルーンショルダ312、ならびに近位バルーンショルダ308と遠位バルーンショルダ312とを接続する中央接続部分314を備える。いくつかの実施形態では、中央接続部分314は、近位バルーンショルダ308および遠位バルーンショルダ312との一体部品として形成される。他の実施形態では、近位バルーンショルダ308、遠位バルーンショルダ312、および中央接続部分314は、別々の部品として形成され(たとえば、ブロー成形され)、次いで一体に連結される(たとえば、接着剤または代替の接合技法によって)。
【0133】
近位バルーンショルダ308は、近位カラー部分(たとえば、部材)316および近位シャフト部分(たとえば、部材)318を備える。近位カラー部分316は、具体的には、バルーンカテーテル200およびバルーンショルダ組立体302の中心軸220に対して、近位シャフト部分318から径方向外向きに延在する。近位シャフト部分318は、近位バルーンショルダ308の残りの部分(たとえば、近位カラー部分316の外径)よりも直径が小さく、近位シャフト部分318のこのより小さい直径は、内側シャフト106の直径と同様(または、いくつかの実施形態では、わずかにより大きい)であり得る。さらに、近位カラー部分316は、近位バルーンショルダ308の第1の、より遠位の端部(中央接続部分314に隣接する)に配置され、近位シャフト部分318は、近位バルーンショルダ308の反対側の第2の、より近位の端部に配置されている。いくつかの実施形態では、中心軸220に対する軸方向の近位シャフト部分318の長さは、近位カラー部分316の長さより長くなり得る。いくつかの実施形態では、近位シャフト部分318は、近位カラー部分316の内部の少なくとも一部を通って延在することができる。
【0134】
遠位バルーンショルダ312は、同様に、遠位カラー部分(たとえば、部材)322および遠位シャフト部分(たとえば、部材)324を備える。遠位カラー部分322は、具体的には、中心軸220に対して、遠位シャフト部分324から径方向外向きに延在する。遠位シャフト部分324は、遠位バルーンショルダ312の残りの部分(たとえば、遠位カラー部分322の外径)よりも直径が小さく、遠位シャフト部分324のこのより小さい直径は、内側シャフト106の直径と同様(または、いくつかの実施形態では、わずかにより大きい)であり得る。さらに、遠位カラー部分322は、遠位バルーンショルダ312の第1の、より近位の端部(中央接続部分314に隣接する)に配置され、遠位シャフト部分324は、遠位バルーンショルダ312の反対側の第2の、より遠位の端部に配置されている。いくつかの実施形態では、遠位シャフト部分324の(軸方向の)長さは、遠位カラー部分322の長さより長くなり得る。いくつかの実施形態では、遠位シャフト部分324は、遠位カラー部分322の内部の少なくとも一部を通って延在することができる。
【0135】
いくつかの実施形態では、
図7に示されているように、中央接続部分314は、遠位カラー部分322と近位カラー部分316との間に延在し、遠位カラー部分322と近位カラー部分316とを接続する、細長い中空シャフトである。
【0136】
いくつかの実施形態では、バルーンショルダ組立体302は、
図7に示されているように、各カラー部分と中央接続部分314との間に延在し、各カラー部分を中央接続部分314に接続する、遷移部分をさらに備えることができる。いくつかの実施形態では、遷移部分は、バルーンショルダ組立体302の残りの部分と共に一体部品として形成される。いくつかの実施形態では、遷移部分は、中央接続部分314の一部または対応するカラー部分の一部であり得る。バルーンショルダ組立体302は、たとえば、
図7に示されているように、近位カラー部分316と中央接続部分314との間に延在し、近位カラー部分316と中央接続部分314とを接続する近位遷移部分326、ならびに遠位カラー部分322と中央接続部分314との間に延在し、遠位カラー部分322と中央接続部分314とを接続する遠位遷移部分328を備える。遷移部分326および328はそれぞれ、対応するカラー部分から中央接続部分314まで、直径が小さくなり得る。代替の実施形態では、バルーンショルダ組立体302は、遷移部分を備えていなくてもよく、または遷移部分が、
図7に示されているものとは別の形状(たとえば、階段状)を有していてもよい。
【0137】
図7に示されているように、近位カラー部分316および遠位カラー部分322のそれぞれは、中央部分が(カラー部分の残りの部分と比較して)最大外径340を有し、端部が、対応するシャフト部分または中央接続部分314の直径まで小さくなる、より小さい直径を有する、球根の形状を有する。いくつかの実施形態では、近位カラー部分316および遠位カラー部分322は、楕円体として形作られ得る。いくつかの実施形態では、近位カラー部分316および遠位カラー部分322は、回転楕円体として形作られ得る。主バルーン108は、外径340を有する中央部分の領域において、近位カラー部分316および遠位カラー部分322のそれぞれによって構造的に支持され得る。このようにして、近位カラー部分316および遠位カラー部分322のそれぞれの径方向における最も広い部分は、中央部分にあり、近位カラー部分316および遠位カラー部分322のそれぞれの径方向における最も狭い部分は、近位カラー部分316および遠位カラー部分322の端部にある。
【0138】
上記で紹介されたように、バルーンショルダ組立体302は、ブロー成形によって形成される。したがって、近位バルーンショルダ308および遠位バルーンショルダ312を備えるバルーンショルダ組立体302は、中空であり、圧縮可能なブロー成形材料を含む。ブロー成形材料は、いくつかの実施形態では、ポリマーであり得る。上記およびさらに下記で説明されるように、中空で圧縮可能なバルーンショルダを備えることにより、バルーンショルダは、主バルーン108を構造的に支持することができる一方で、バルーンショルダを、主バルーン108内に挿入すること、および患者の血管系を通してうまく移動させることが、より容易になる。
【0139】
いくつかの実施形態では、
図7に示されているように、近位バルーンショルダ308、遠位バルーンショルダ312、中央接続部分314、ならびに遷移部分326および328(備えられている場合)は、ブロー成形によって一体に成形され、一体部品として形成され得る。代替の実施形態では、近位バルーンショルダ308および遠位バルーンショルダ312は、2つの別のパーツとして、別々にブロー成形され得る(一体部品として形成されない)。こうした実施形態のいくつかにおいて、バルーンショルダ組立体は、中央接続部分を備えていなくてもよく、その代わりに、別々にブロー成形された近位および遠位バルーンショルダが、互いに離間して配置されてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、バルーンショルダ組立体302は、
図7に示されている、近位バルーンショルダ308および遠位バルーンショルダ312を備えることができるが、中央接続部分314がない。こうした実施形態の他のものでは、別々に成形された近位バルーンショルダ308および遠位バルーンショルダ312は、ブロー成形後、かつバルーンカテーテルの主バルーンに挿入される前に、中央接続部分314に連結され得る。
【0140】
いくつかの実施形態では、バルーンショルダ組立体302は、完全に密閉され、膨張可能であり得る(たとえば、収縮状態から膨張することができる)。たとえば、対応するカラー部分に連結されていない近位シャフト部分318および遠位シャフト部分324のそれぞれの端部、ならびにカラー部分の両端は閉じられ得る。このようにして、バルーンショルダ組立体302は全面的に密閉され得、圧力を封じ込めることができ、それによってバルーンショルダ組立体302を膨張させることができる。したがって、主バルーン108に加えて、バルーンショルダ組立体302またはバルーンショルダ組立体の一部(近位バルーンショルダ308および遠位バルーンショルダ312など)が、バルーンであり得る。さらに、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダが別々の部品として別々に成形されるいくつかの実施形態では、主バルーン108に加えて、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダがそれぞれ、追加のバルーンであり得る。代替の実施形態では、バルーンショルダ組立体302は、完全に密閉されていない場合があり、したがって、圧力を封じ込めて膨張させることができない(たとえば、膨張不可能である)場合がある。下記でさらに説明されるように、膨張可能なブロー成形バルーンショルダの実施形態および膨張不可能なブロー成形バルーンショルダの実施形態が、
図11~
図13に示されている。
【0141】
図8~
図10は、バルーンカテーテル200などのバルーンカテーテル用バルーンショルダ組立体の代替の実施形態を示している。バルーンカテーテル200のバルーンショルダ組立体302の代わりに、
図8~
図10の実施形態のいずれか1つまたは組合せが使用され得る。
図8~
図10に示されている実施形態のそれぞれは、近位部分と遠位部分とを接続する中央接続部分を備える、一体型バルーンショルダ組立体として、または2つの別々に成形されたバルーンショルダを備えるバルーンショルダ組立体として、形成され得る(
図5に示されたように、内側シャフトに沿ったバルーンショルダ組立体の配置と同様であるが、ブロー成形バルーンショルダを備える)。
【0142】
図8~
図10のそれぞれにおいて、2つの相異なる形状および/またはサイズのバルーンショルダが、中央接続部分によって接続され、それぞれが本体またはカラー部分、およびシャフト部分を備えるように示されている。シャフト部分は、溶接または接着剤などによって、シャフト、円錐形頭部、または送達器具の他の構成要素に固定され得る。カラー部分は、シャフト部分から径方向外側に延在し、バルーンショルダが挿入されるバルーンカテーテルの主バルーンを支持するよう適合されている。しかし、いくつかの実施形態では、
図8~
図10のそれぞれに示される2つの相異なる形状および/またはサイズのバルーンショルダは、同じバルーンショルダ組立体に備えられる必要はない。そうではなくて、
図8~
図10に示されるそれぞれ個々のバルーンショルダは、バルーンショルダ組立体内で別々に成形されたバルーンショルダとして使用されるか、または
図6および
図7に示されたように、別の、同様のサイズおよび/または形状(たとえば、図示のショルダ設計物の鏡像)のバルーンショルダと中央接続部分との一体部品として成形され得る。また、
図8~
図10に示されている個々のバルーンショルダのいずれかが、他のバルーンショルダのいずれかと組み合わせて使用され、バルーンショルダ組立体を形成することができる。たとえば、バルーンショルダ組立体は、
図8のバルーンショルダ802、
図10のバルーンショルダ1004、ならびにバルーンショルダ802とバルーンショルダ1004との間に延在する接続部分を備えることができる。さらに、個々のバルーンショルダのいずれかが、バルーンショルダ組立体の近位バルーンショルダまたは遠位バルーンショルダとして使用され得る。
【0143】
最初に
図8に目を向けると、第1のバルーンショルダ802および第2のバルーンショルダ804が示されている。バルーンショルダ組立体は、第1のバルーンショルダ802、第2のバルーンショルダ804、および中央接続部分820を備えることができる。いくつかの実施形態では、第1のバルーンショルダ802は遠位バルーンショルダであり、第2のバルーンショルダ804は近位バルーンショルダである。他の実施形態では、第1のバルーンショルダ802は近位バルーンショルダであり、第2のバルーンショルダ804は遠位バルーンショルダである。
【0144】
第1のバルーンショルダ802は、カラー部分(たとえば、本体)806およびシャフト部分808を備える。カラー部分806は、カラー部分806の第1の先細端部分812と第2の先細端部分814との間に配置された、中央の円筒体810を備える。円筒体810は、径方向に並ぶ外径816と、軸方向に並ぶ長さ818とを有する。
図8に示されているように、外径816は長さ818よりも長い。しかし、代替の実施形態では、外径816および長さ818は、同じサイズであってもよく、または長さ818は、外径816よりも長くてもよい(たとえば、下記でさらに説明される、第2のバルーンショルダ804の実施形態に示されているように)。
【0145】
図8に示されているように、円筒体810の長さ818は、第1の先細端部分812および第2の先細端部分814のそれぞれの長さより長くてもよい。第1の先細端部分812および第2の先細端部分814のそれぞれは、円筒体810に直接接続された広い方の端部と、狭い方の(たとえば、先細になった)端部とを備える。第1の先細端部分812の狭い方の端部は、中央接続部分820の第1の端部に接続されるよう示されている。しかし、上記で説明されたように、バルーンカテーテル用バルーンショルダ組立体において、中央接続部分820の第2の端部が、(
図8に示されている、第2のバルーンショルダ804の代わりに)第1のバルーンショルダ802の第1の先細端部分812の狭い方の端部とサイズおよび形状が同様の、バルーンショルダに接続されてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、第1の先細端部分812の狭い方の端部は、どの中央接続部分にも接続されていなくてもよく、それどころか、どんな追加パーツにも取り付けられていなくてもよく(たとえば、開放状態であってもよく)、または第1のバルーンショルダ802が取り付けられている内側シャフトの周囲で閉じていてもよい。第2の先細端部分814の狭い方の端部は、シャフト部分808に/シャフト部分808の周囲に直接接続されている。
【0146】
いくつかの実施形態では、第1の先細端部分812および第2の先細端部分814の長さ(軸方向の)は同じであり得る。他の実施形態では、第1の先細端部分812の長さ(軸方向の)は、第2の先細端部分814の長さとは異なっていてもよい。たとえば、
図8に示されているように、第2の先細端部分814の長さは、第1の先細端部分812の長さよりも長い。
【0147】
図8に示されている第2のバルーンショルダ804は、カラー部分(たとえば、本体)822およびシャフト部分824を備える。カラー部分822は、カラー部分822の第1の先細端部分828と第2の先細端部分830との間に配置された、中央の円筒体826を備える。円筒体826は、径方向に並ぶ外径832と、軸方向に並ぶ長さ834とを有する。
図8に示されているように、外径832は長さ834よりも短い。したがって、第2のバルーンショルダ804は、第1のバルーンショルダ802と比較して、より長い円筒体、より長い全長、およびより小さい外径を有する。
【0148】
第2のバルーンショルダ804のシャフト部分824はまた、第1のバルーンショルダ802のシャフト部分808よりも大きい直径836を有する。さらに、シャフト部分824の直径836は、中央接続部分820の直径よりも大きい。このようにして、バルーンショルダのシャフト部分の直径は、中央接続部分の直径よりも大きく(または、いくつかの実施形態では、より小さく)てもよい。
【0149】
図8に示されているように、円筒体826の長さ834は、第1の先細端部分828および第2の先細端部分830のそれぞれの長さより長くてもよい。第1の先細端部分828および第2の先細端部分830のそれぞれは、円筒体826に直接接続された広い方の端部と、狭い方の(たとえば、先細になった)端部とを備える。第1の先細端部分828の狭い方の端部は、中央接続部分820の第2の端部に接続されるよう示されている。しかし、上記で説明されたように、バルーンカテーテル用バルーンショルダ組立体において、中央接続部分820の第1の端部が、(
図8に示されている、第1のバルーンショルダ802の代わりに)第2のバルーンショルダ804の第1の先細端部分828の狭い方の端部とサイズおよび形状が同様の、バルーンショルダに接続されてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、第1の先細端部分828の狭い方の端部は、どの中央接続部分にも接続されていなくてもよく、それどころか、どんな追加パーツにも取り付けられていなくてもよく(たとえば、開放状態であってもよく)、または第2のバルーンショルダ804が取り付けられている内側シャフトの周囲で閉じていてもよい。第2の先細端部分830の狭い方の端部は、シャフト部分824に直接接続されている。
【0150】
第1のバルーンショルダ802に関して上記で説明されたのと同様に、第2のバルーンショルダ804の第1の先細端部分828および第2の先細端部分830の長さ(軸方向の)は、同じであってもよく(いくつかの実施形態では)、または互いに異なっていてもよい(他の実施形態では)。
【0151】
図9は、第3のバルーンショルダ902を備える、さらなるバルーンショルダの実施形態を示している。
図9はまた、第3のバルーンショルダ902のサイズおよび形状と比較するために、第2のバルーンショルダ804も示している。バルーンショルダ組立体は、第3のバルーンショルダ902、第2のバルーンショルダ804、および中央接続部分920を備えることができる。いくつかの実施形態では、第3のバルーンショルダ902は遠位バルーンショルダであり、第2のバルーンショルダ804は近位バルーンショルダである。他の実施形態では、第3のバルーンショルダ902は近位バルーンショルダであり、第2のバルーンショルダ804は遠位バルーンショルダである。
【0152】
第3のバルーンショルダ902は、カラー部分906およびシャフト部分908を備える。カラー部分906は球根の形状であり、湾曲した中央部分910が、第1の先細端部分912と第2の先細端部分914との間に位置する。中央部分910の最も幅広の部分は、外径916を有する。中央部分910は、次いで、第3のバルーンショルダ902の中心軸に対して、第1の先細端部分912および第2の先細端部分914のそれぞれに向かって内側に湾曲している。第1の先細端部分912および第2の先細端部分914のそれぞれは、中央部分910に連結された広い方の端部、および中央接続部分920(またはいくつかの実施形態では、中央接続部分に連結されておらず、その代わりに、閉じた端部であるか、もしくはバルーンカテーテルの内側シャフトに連結された)、またはシャフト部分908にそれぞれ連結された、狭い方の端部を備える。
【0153】
いくつかの実施形態では、
図9に示されているように、第1の先細端部分912および第2の先細端部分914は、軸方向に相異なる長さを有することができる。代替の実施形態では、第1の先細端部分912および第2の先細端部分914は、同じ長さを有することができる。
【0154】
図9に示されているように、中央部分910の長さ922は、円筒体826の長さ834よりも短い。しかし、第3のバルーンショルダ902の最大径である中央部分910の外径916は、第2のバルーンショルダ804の最大径である円筒体826の外径832よりも大きい。
【0155】
図10は、第5のバルーンショルダ1002および第6のバルーンショルダ1004を備える、さらなるバルーンショルダの実施形態を示している。第5のバルーンショルダ1002および第6のバルーンショルダ1004は、下記でさらに説明されるように、同様の形状を有するが、サイズおよび寸法が異なる。バルーンショルダ組立体は、第5のバルーンショルダ1002、第6のバルーンショルダ1004、および接続部分1020を備えることができる。いくつかの実施形態では、第5のバルーンショルダ1002は遠位バルーンショルダであり、第6のバルーンショルダ1004は近位バルーンショルダである。他の実施形態では、第5のバルーンショルダ1002は近位バルーンショルダであり、第6のバルーンショルダ1004は遠位バルーンショルダである。
【0156】
第5のバルーンショルダ1002は、具体的には、
図10に示されているように、カラー部分1006およびシャフト部分1008を備える。カラー部分1006は、細長い先細部分1010、短い方の先細部分1012、ならびに細長い先細部分1010と短い方の先細部分1012との間に配置された(そして細長い先細部分1010と短い方の先細部分1012とを分離する)中央リング部分1014を備える。カラー部分1006および第5のバルーンショルダ1002の外径は、外径1016によって示されているように、中央リング部分1014で最大である。細長い先細部分1010は、中央リング部分1014に接続された広い方の端部を備え、次いで、広い方の端部からシャフト部分1008に接続された狭い方の端部まで、内側へ先細りになっている。短い方の先細部分1012は、中央リング部分1014に接続された広い方の端部を備え、次いで、広い方の端部から中央接続部分1020に接続された(またはいくつかの実施形態では、中央接続部分に連結されておらず、その代わりに、閉じた端部であるか、もしくはバルーンカテーテルの内側シャフトに連結された)狭い方の端部まで、内側へ先細りになっている。細長い先細部分1010は、カラー部分1006のすべての部分のうちの最長の長さであり得る、長さ1018を有する。
【0157】
第6のバルーンショルダ1004は、カラー部分1022および(第5のバルーンショルダ1002のシャフト部分1008より大きい直径を有する)シャフト部分1024を備える。カラー部分1022は、細長い先細部分1026、短い方の先細部分1028、ならびに細長い先細部分1026と短い方の先細部分1028との間に配置された(そして細長い先細部分1026と短い方の先細部分1028とを分離する)中央リング部分1030を備える。カラー部分1022および第6のバルーンショルダ1004の外径は、外径1032によって示されているように、中央リング部分1030で最大である。細長い先細部分1026は、中央リング部分1030に接続された広い方の端部を備え、次いで、広い方の端部からシャフト部分1024に接続された狭い方の端部まで、内側へ先細りになっている。短い方の先細部分1028は、中央リング部分1030に接続された広い方の端部を備え、次いで、広い方の端部から中央接続部分1020に接続された(またはいくつかの実施形態では、中央接続部分に連結されておらず、その代わりに、閉じた端部であるか、もしくはバルーンカテーテルの内側シャフトに連結された)狭い方の端部まで、内側へ先細りになっている。細長い先細部分1026は、カラー部分1022のあらゆる部分のうちの最長の長さであり得る、長さ1034を有する。
【0158】
図10に示されているように、第6のバルーンショルダの細長い先細部分1026の長さ1034ばかりでなくカラー部分1022の全長も、第5のバルーンショルダ1002の対応する構成要素よりも長い。さらに、第6のバルーンショルダの中央リング部分1030の外径1032は、第5のバルーンショルダ1002の中央リング部分1014の外径1016よりも小さい。
【0159】
第5および第6のバルーンショルダの相異なる部分の様々な長さおよび/または直径は、相異なる用途(たとえば、相異なるバルーンカテーテルの設計および/またはサイズ)に向けて構成され得る。たとえば、様々な実施形態では、バルーンショルダのカラー部分の、細長い先細部分の長さ、ならびに/または短い方の先細部分および/もしくは中央リング部分の長さおよび/もしくは外径は、バルーンカテーテルの主バルーンのサイズ、またはバルーンショルダ(またはバルーンショルダ組立体)が中に装着されるよう適合される、バルーンカテーテル自体のサイズに基づいて調整され得る。同様に、
図8~
図10に示されている他のバルーンショルダの実施形態の様々な部分の寸法もまた、対象とされる用途またはバルーンカテーテルに基づいて適合され得る。上記で紹介されたように、バルーンショルダおよび/またはバルーンショルダ組立体をブロー成形することにより、(同様のパーツを射出成形する場合と比較して)比較的容易かつ安価に、多種多様な形状および寸法を生産することができる。さらに、ブロー成形でバルーンショルダを形成することにより、(たとえば、外壁内部に空所を有する中空シェルを形成する外壁を備える)中空のバルーンショルダが作り出され、射出成形ショルダと比較して、ブロー成形バルーンショルダをあまり嵩張らないものにし、かつ質量を減少させる。この質量を減少させた結果として、ブロー成形バルーンショルダの全長を減少させることができ、それにより、送達システム(たとえば、バルーンカテーテル)をより短くすることができる。
【0160】
いくつかの実施形態では、
図8~
図10に示されているように、ブロー成形バルーンショルダおよびバルーンショルダ組立体は、閉じられ(密封され)、したがって膨張可能であり得る。バルーンショルダ(別々に形成された場合)および/またはバルーンショルダ組立体(一体部品として形成された場合)は、たとえば、圧力(空気または液体)がバルーンショルダおよび/またはバルーンショルダ組立体の内部に封じ込まれ得るように、すべての端部および壁が閉じられた/密封された状態で、完全に密閉され得る。たとえば、
図6~
図7の実施形態に示されたように、バルーンショルダ組立体が中央接続部分と共に一体部品として形成される場合、近位および遠位バルーンショルダのそれぞれのシャフト部分の端部は、完全に閉じられ(密封され)得る。このようにして、バルーンショルダおよび/またはバルーンショルダ組立体を、流体(空気または液体)を用いて膨張させることにより、バルーンショルダおよび/またはバルーンショルダ組立体の壁を拡張させることができる(たとえば、バルーンとして)。したがって、こうした膨張可能なバルーンショルダおよび/またはバルーンショルダ組立体は、収縮した(膨張していない)状態および膨張した状態を有することができる。
【0161】
図11~
図13は、膨張可能および膨張不可能なブロー成形バルーンショルダ組立体の実施形態を示している。具体的には、
図11は、膨張していない(たとえば、収縮した)状態の膨張可能なバルーンショルダ組立体1100の実施形態を示し、
図12は、膨張状態の膨張可能なバルーンショルダ組立体1100の実施形態を示し、
図13は、膨張不可能なバルーンショルダ組立体1300の実施形態を示している。
図11~
図13に示されているバルーンショルダ組立体は、
図6および
図7に示されたバルーンカテーテル200などのバルーンカテーテルの主バルーン内に挿入され得る。さらに、
図11~
図13に示されているように、バルーンショルダ組立体は、中央接続部分を含む一体部品として形成されている。しかし、代替の実施形態では、
図11~
図13に示されているバルーンショルダ組立体の近位および遠位バルーンショルダは、中央接続部分なしで別々に形成され、バルーンカテーテルの主バルーン内に別々に装着されてもよい。さらに他の実施形態では、
図11~
図13の近位および遠位バルーンショルダならびに中央接続部分は、すべて別々に(ブロー成形によって)形成され、次いで、ブロー成形後、バルーンショルダ組立体として一体に連結されてもよい。
【0162】
最初に
図11および
図12に目を向けると、膨張可能なバルーンショルダ組立体1100は、近位バルーンショルダ1102、遠位バルーンショルダ1104、および中央接続部分1106を備える。近位バルーンショルダ1102は、カラー部分1108およびシャフト部分1110を備え、シャフト部分1110の近位端1112は、近位バルーンショルダ1102の近位端を形成し、カラー部分1108の遠位端1114は、近位バルーンショルダ1102の遠位端を形成する。遠位端1114および近位端1112のそれぞれは、閉じた端部である(たとえば、圧力を封じ込むための密閉された壁を備える)。シャフト部分1110は、カラー部分1108の中心を通って延在し、中央接続部分1106に接続されるか、または中央接続部分1106と連続し得る(一体部品として形成された場合)。
図11に示されているように、カラー部分1108は円錐形であり、広い方の端部が遠位端1114に配置され、狭い方の端部が近位端1112のより近くに配置されている。しかし、代替の実施形態では、カラー部分1108は、
図6~
図10を参照して上記で説明された形状のうちの1つなど、別の形状を有していてもよい。
【0163】
遠位バルーンショルダ1104は、近位バルーンショルダ1102と同様の(たとえば、同じ)形状および配置を有する。遠位バルーンショルダは、具体的には、カラー部分1116、および膨張可能なバルーンショルダ組立体1100の中心軸に沿って、カラー部分1116から外向きに、カラー部分1116を通って延在するシャフト部分1118を備える。カラー部分1116の近位端1120は、遠位バルーンショルダ1104の近位端を形成し、シャフト部分1118の遠位端1122は、遠位バルーンショルダ1104の遠位端を形成する。遠位端1122および近位端1120のそれぞれは、閉じた端部である(たとえば、圧力を封じ込むための壁を備える)。
【0164】
したがって、膨張可能なバルーンショルダ組立体1100は、上記のように、バルーンショルダの閉じた端部および完全に密封された部分のおかげで、膨張するよう構成される。具体的には、膨張可能なバルーンショルダ組立体1100の1つまたは複数の部分は、膨張する(たとえば、膨張可能なバルーンショルダ組立体1100の中心軸に対して外方へ拡張する)ために、膨張用流体(たとえば、空気または液体)を受容し、保持することができる。
【0165】
たとえば、
図12に示されているように、密閉された近位バルーンショルダ1102および密閉された遠位バルーンショルダ1104は膨張している。したがって、膨張可能なバルーンショルダ組立体1100は、膨張可能なバルーンショルダ組立体1100の膨張状態にある。
図12に示されているように、近位バルーンショルダ1102および遠位バルーンショルダ1104のそれぞれの外壁1124は、近位バルーンショルダ1102および遠位バルーンショルダ1104のそれぞれの内部に膨張用流体を受容し、膨張するにつれて、外方へ拡張する。結果として、近位バルーンショルダ1102および遠位バルーンショルダ1104のそれぞれの最も大きい(たとえば、最大の)外径1126は、
図11に示されている膨張していない状態と比較して増加する。
【0166】
バルーンショルダ組立体のバルーンショルダは、
図12に示されているように、膨張状態において、バルーンカテーテルの主バルーンを構造的に支持し、また主バルーンの弁保持部分の端部(たとえば、ショルダ)を形成することができる。結果として、主バルーンの弁保持部分の周囲に圧着された人工弁などの人工医療デバイスは、所定の位置に保持され、軸方向に近位および遠位バルーンショルダのいずれをも越えて移動することができない。いくつかの実施形態では、人工医療デバイスのバルーンカテーテルからの展開後、たとえば、患者の身体からのバルーンカテーテルの除去を補助するために、バルーンショルダを収縮させて、
図11に示されている収縮状態にすることができる。
【0167】
いくつかの実施形態では、
図13に示されているように、バルーンショルダ組立体は、膨張可能でなくても、バルーンカテーテルの主バルーンを構造的に支持するよう構成され得る。たとえば、
図13は、それぞれがブロー成形され、膨張不可能な(たとえば、下記でさらに説明されるように、膨張するよう構成されていない)近位バルーンショルダ1302および遠位バルーンショルダ1304を備える、ブロー成形された膨張不可能なバルーンショルダ組立体1300を示している。バルーンショルダ組立体1300は、近位バルーンショルダ1302と遠位バルーンショルダ1304との間に配置され、近位バルーンショルダ1302と遠位バルーンショルダ1304とを接続する中央接続部分1306をさらに備える。しかし、代替の実施形態では、バルーンショルダ組立体1300は、中央接続部分1306を備えていなくてもよく、近位バルーンショルダ1302および遠位バルーンショルダ1304は、2つの部品として別々に形成されてもよい。近位バルーンショルダ1302および遠位バルーンショルダ1304のそれぞれは、カラー部分1308およびシャフト部分1310を備える。シャフト部分1310は、カラー部分1308の中心を通過し、中央接続部分1306と連続しているか、またはカラー部分1308の最も内側の端部で、中央接続部分1306に接続することができる。シャフト部分1310は、別法として、いくつかの実施形態において、カラー部分1308の最も外側の狭い方の端部に接続することができ、中央接続部分1306は、カラー部分1308の狭い方の端部まで延在することができる。
【0168】
図13に示されているように、カラー部分1308は、カラー部分1308の開放状態の広い方の端部1314と狭い方の端部1316との間に延在する、先細になった外壁1312を備える、漏斗形状を有する。代替の実施形態では、カラー部分1308は、上記のように、
図6~
図10の実施形態に示された形状のうちの1つなど、別の形状を有していてもよい。狭い方の端部1316は、シャフト部分1310の周囲で閉じることができるが、少なくとも広い方の端部1314は開放状態であり、シャフト部分1310または中央接続部分1306の周囲で密閉されていない。したがって、近位バルーンショルダ1302および遠位バルーンショルダ1304は、完全に密閉されてはおらず、流体圧を保持することができず、したがって、膨張可能ではない。外壁1312は、(バルーンカテーテルの主バルーンに挿入されたときに)バルーンショルダ組立体1300を囲繞する主バルーンを構造的に支持する、厚さを有することができる。外壁1312は、たとえば、膨張可能なバルーンショルダ組立体(
図11および
図12に示された膨張可能なバルーンショルダ組立体1100など)の外壁に比べて、厚さがより厚くなり得る。いくつかの実施形態では、外壁1312の増加した厚さは、0.001インチから0.01インチの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、膨張可能なショルダ(上記の実施形態のうちのいずれかを含む)の壁厚は、0.0001インチから0.01インチの範囲であり得る。外壁1312の壁厚の増加により、バルーンショルダ組立体1300のバルーンショルダが、膨張することなしに、バルーンカテーテルの主バルーンを構造的に支持することができる。
【0169】
このようにして、バルーンカテーテル用のブロー成形バルーンショルダ組立体は、
図11~
図13に示されたように、膨張可能または膨張不可能であるよう構成され得る。さらに、バルーンショルダ組立体は、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダの両方を備える一体部品として、または2つ以上の部品として(たとえば、近位および遠位バルーンショルダは、別々に形成することができ、互いに一体的には形成されなくてもよい)形成され得る。なおさらに、
図6~
図10に示されているように、バルーンショルダ組立体のバルーンショルダは、様々な形状および/またはサイズを有することができる。バルーンショルダの様々な形状および/またはサイズは、バルーンショルダが挿入され使用される対象となる送達システム(たとえば、主バルーンおよび/またはバルーンカテーテル)の種類、サイズ、および/または形状に基づいて選択および適合され得る。さらに他の実施形態では、バルーンショルダ組立体は、任意選択で、接続部分によって接続され得る、膨張可能なショルダ(上記の実施形態のいずれかを含む)および膨張不可能なショルダ(上記の実施形態のいずれかを含む)を備えることができる。
【0170】
さらに他の実施形態では、バルーンショルダ組立体は、単一の膨張可能なショルダ(上記の実施形態のいずれかを含む)または単一の膨張不可能なショルダ(上記の実施形態のいずれかを含む)などの、単一のショルダを備えることができる。単一のショルダは、近位ショルダまたは遠位ショルダとして使用され得、接続部分(たとえば、中央接続部分214)を備えることができるが、かかる実施形態における接続部分は、接続部分が2つのショルダを接続しないので、単一のショルダ用取付け部分として機能する。取付け部分は、溶接または接着剤などによって、シャフトまたは送達器具の他の構成要素に固定され得る。他の実施態様では、取付け部分を使用する必要はなく、単一のショルダは、内側シャフト106、外側シャフト104、または円錐形頭部110などのバルーンカテーテルの構成要素に直接取り付けられ得る。
【0171】
いくつかの実施形態では、人工弁は、参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第2009/0281619号および第2013/0030519号で開示されているように、最初に送達器具上の主バルーン108からずれた場所に圧着され、次いで、患者の血管系に挿入された後、バルーン上に滑動され得る。たとえば、人工弁は最初に、送達器具上のバルーン108の近位の場所(外側シャフト104上など)に圧着され、次いで、患者の血管系に挿入された後、バルーン108上に滑動し得る。ショルダ組立体は、かかる場合において、単一のショルダを備え得るか、またはショルダの一方が、患者の体内でバルーン108上に圧着された人工弁を容易に位置調整するために、他方よりもはるかに小さいものであり得る。たとえば、1つの特定の実施態様において、ショルダ組立体は、遠位ショルダであり得る単一のショルダを備えることができ、人工弁は、最初に、主バルーン108の近位の場所において圧着され得る。別の実施態様では、単一のショルダは近位ショルダであり得、人工弁は、最初に、主バルーン108の遠位の場所において圧着され得る。
【0172】
図14は、ブロー成形バルーンショルダ組立体を備えるバルーンカテーテルを製造する(たとえば、形成する)方法1400の流れ図を示している。バルーンショルダ組立体は、
図6~
図13を参照して本明細書で説明されたバルーンショルダ組立体のうちの1つであり得る。バルーンカテーテルは、
図3~
図7を参照して本明細書で説明されたバルーンカテーテルのうちの1つまたは複数と同様であり得る。いくつかの実施形態では、バルーンカテーテルは、経カテーテル心臓弁送達システムなどの、患者の体内の標的とする場所に人工医療デバイスを送達するよう構成された送達システム(たとえば、血管内送達システム)の一部であり得る。バルーンショルダ組立体のブロー成形バルーンショルダは、上記のように、ブロー成形バルーンショルダが装着されるバルーンカテーテルの主バルーンを支持し、挿入(たとえば、埋込み)プロセス中の人工医療デバイスの移動(たとえば、軸方向の移動)を低減するために、主バルーン上にデバイス着座ポケットを形成するよう構成され得る。
【0173】
方法1400は、ブロー成形によってバルーンショルダ組立体を形成するステップ1402から開始する。バルーンショルダ組立体は、バルーンショルダ組立体の中心軸に対して軸方向に、互いに離間して配置された近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダを備えることができる。いくつかの実施形態では、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダは、近位バルーンショルダと遠位バルーンショルダとの間に配置された中央接続部分と共に、一体部品としてブロー成形され得る。他の実施形態では、近位バルーンショルダおよび遠位ショルダは、別々の部品としてブロー成形され得る。
【0174】
さらに、いくつかの実施形態では、バルーンショルダ組立体をブロー成形するステップは、圧力(たとえば、流体圧)を封じ込むよう適合された、完全に膨張可能なバルーンショルダ組立体を形成するステップを含むことができる。こうした実施形態では、バルーンショルダ組立体の少なくとも近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダ(ならびにいくつかの実施形態では、バルーンショルダ組立体全体)は、組立て中に、バルーンカテーテルの1本または複数本のシャフトの周囲に密封されるよう適合された端部で、完全に密閉され得る。ブロー成形によって形成された、完全に密閉された膨張可能なバルーンショルダ組立体の例が、上記のように、
図11~
図12に示されている。
【0175】
他の実施形態では、バルーンショルダ組立体をブロー成形するステップは、少なくとも部分的に開放状態で、膨張不可能なバルーンショルダ組立体を形成するステップを含むことができる。たとえば、近位バルーンショルダおよび/または遠位バルーンショルダの少なくとも一方の端部または一部が、バルーンカテーテルの1本または複数本のシャフトに装着した後でも、流体圧が漏れるか、または完全には封じ込められ得ないように、開放状態であり得る。ブロー成形によって形成された、膨張不可能なバルーンショルダ組立体の例が、上記のように
図13に示されている。
【0176】
上記で紹介されたように、バルーンショルダ組立体をブロー成形するステップ1402により、圧縮可能な外壁および中空内部を備えたバルーンショルダ組立体が得られる。バルーンショルダ組立体をブロー成形するステップ1402は、所望の(たとえば、予め定めた)厚さの外壁を備えるバルーンショルダ組立体をブロー成形するステップを含むことができる。厚さは、膨張不可能なバルーンショルダ組立体ではより厚く、膨張可能なバルーンショルダ組立体ではより薄くなるよう選択され得る。さらに、いくつかの実施形態では、バルーンショルダ組立体をブロー成形するステップ1402は、所定のサイズおよび/または形状のバルーンショルダを備えるように、バルーンショルダ組立体をブロー成形するステップを含むことができる。上記のように、バルーンショルダ組立体をブロー成形するステップにより、(射出成形と比較して)より多種多様な形状および/またはサイズを有するバルーンショルダ組立体を、より安価かつ容易に作り出すことが可能となり得る。
【0177】
方法1400は、1404に進み、ブロー成形バルーンショルダ組立体を、送達システム(たとえば、バルーンカテーテル)の1本または複数本のシャフトに取り付けるステップを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、1404において、ブロー成形バルーンショルダ全体を、バルーンカテーテルの1本または複数本のシャフトまたは他の構成要素(たとえば、
図5に示された内側シャフト106)に取り付けるステップを含むことができる。1つの特定の実施態様では、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダを備えるバルーンショルダ組立体全体が、送達器具の最も内側のシャフト(たとえば、
図4および
図6~
図7に示された内側シャフト106)に取り付けられ得る。
【0178】
別の実施態様では、
図15Aに示されているように、バルーンショルダ組立体1500は、近位ショルダ1502が送達器具の外側シャフト104に取り付けられ、遠位ショルダ1504が送達器具の内側シャフト106に取り付けられるよう配置され得る。別の実施態様では、
図15Bに示されているように、バルーンショルダ組立体1600は、近位ショルダ1602が送達器具の外側シャフト104に取り付けられ、遠位ショルダ1604が送達器具の円錐形頭部110に取り付けられるよう配置され得る。別の実施態様では、
図15Cに示されているように、バルーンショルダ組立体1700は、近位ショルダ1702が送達器具の内側シャフト106に取り付けられ、遠位ショルダ1704が送達器具の円錐形頭部110に取り付けられるよう配置され得る。ショルダ組立体1500、1600、および1700は、本明細書に開示されているショルダ組立体の実施形態のうちのいずれかを表すことができることを理解されたい。すなわち、本明細書に開示されているショルダ組立体の実施形態のいずれも、
図15A~
図15Cに示されているいずれかのやり方で送達器具に取り付けられ得る。
【0179】
方法1400は、1406において、ブロー成形バルーンショルダ組立体を、送達システム(たとえば、バルーンカテーテル)の主バルーン内に配置するステップを含む。いくつかの実施形態では、主バルーンは、
図3~
図7に示された主バルーン108と同様であり得る。たとえば、いくつかの実施形態では、この方法は、1406で、主バルーンがバルーンショルダ組立体の少なくとも一部(たとえば、少なくとも近位および遠位バルーンショルダ)を囲繞するように、バルーンカテーテルの1本または複数本のシャフトに取り付けられたブロー成形バルーンショルダ組立体を、主バルーンに挿入するステップを含むことができる。いくつかの実施形態では、バルーンショルダ組立体が膨張可能である(たとえば、流体圧によって膨張するよう適合されている)場合、この方法は、1406で、ブロー成形バルーンショルダ組立体を、バルーンショルダ組立体が収縮状態で、主バルーンに挿入するステップを含む。そのため、膨張していない近位および遠位バルーンショルダを主バルーンに挿入することは、より容易であり得る(たとえば、射出成形バルーンショルダと比較して、抵抗性が減る)。さらに、いくつかの実施形態では、ブロー成形バルーンショルダ組立体は、射出成形バルーンショルダ組立体と比較して、ブロー成形バルーンショルダ組立体の圧縮性および中空性が高いおかげで、膨張していない場合でも主バルーンへの挿入がより容易であり得る。たとえば、ブロー成形バルーンショルダ組立体の外壁は、バルーンショルダ組立体が主バルーン内に押し込まれ挿入されるときに縮み、次いで、主バルーンに挿入された後に、拡張して非圧縮状態に戻ることができる。かかる柔軟な(一時的な)変形は、射出成形バルーンショルダ組立体では不可能な場合がある。
【0180】
方法1400は、任意選択で1408に進み、バルーンショルダ組立体またはバルーンショルダ組立体の一部を膨張させることができる。この方法は、たとえば、バルーンショルダ組立体を主バルーン内に配置するステップの後、バルーンショルダ組立体が膨張するよう構成されている(たとえば、圧力を封じ込むよう密閉されている、すなわち膨張可能である)場合、1408において任意選択で、バルーンショルダ組立体を膨張していない(たとえば、収縮した)状態から膨張状態へ、膨張させるステップを含むことができる。いくつかの実施形態では、バルーンショルダ組立体を膨張させるステップは、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダの外壁が外側に拡張し、主バルーンの壁を押すように、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダの組立体を膨張させるステップを含むことができる。いくつかの実施形態では、バルーンショルダ組立体を膨張させるステップは、流体を、バルーンショルダ組立体の内部(たとえば、近位および遠位バルーンショルダの内部)に送達するステップを含むことができる。いくつかの実施形態では、流体は、生理食塩水、造影剤混合物、または別の種類の生体適合性媒体であり得る。他の実施形態では、流体は、硬化性、またはバルーンショルダを密で固い部品にすることができる、非硬化性の材料であり得る。バルーンショルダ組立体を膨張させるステップの後、主バルーン(たとえば、バルーン108)がバルーンショルダ組立体の外形の周囲に襞を付けて巻き付けられ、その結果バルーンショルダ組立体は、人工弁を受容する準備ができた状態である。代替の実施形態では、バルーンショルダ組立体1408を膨張させるステップは、組み立てられたバルーンカテーテルが最終ユーザに送達されるまで行われない場合がある。たとえば、バルーンカテーテル内のバルーンショルダ組立体は、収縮状態で最終ユーザに送達され、次いで、人工医療デバイス(たとえば、人工弁)をバルーンカテーテルの主バルーン上に配置するステップの直前に、ユーザによって膨張され得る。
【0181】
しかし、いくつかの実施形態では、方法1400は、ブロー成形バルーンショルダ組立体が膨張するよう構成されていない場合、1406から1410に直接進むことができる。この方法は、1410で、ブロー成形バルーンショルダ組立体の近位バルーンショルダと遠位バルーンショルダとの間に形成された、バルーンカテーテルの主バルーンのデバイス保持部分に、人工医療デバイス(たとえば、人工心臓弁)を圧着するステップを含む。一実施形態では、人工医療デバイスは、組立て中、および組み立てられたバルーンカテーテルを最終ユーザに出荷する前に、バルーンカテーテルに圧着されてもよい。別の実施形態では、組み立てられたバルーンカテーテルは、人工医療デバイスがバルーンカテーテルに圧着されることなく、最終ユーザに出荷され得る。最終ユーザは、組み立てられたバルーンカテーテルを受け取った後、かつ処置する前に、次いで、人工医療デバイスを、バルーンカテーテルの主バルーンのデバイス保持部分に圧着することができる。
【0182】
上記で説明されたように、近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダのカラー部分の内端(たとえば、互いに向き合う端部)は、主バルーンを構造的に支持し、かつ内端を分離する空間において、人工医療デバイスを圧着するための自然なポケットを形成することができる。結果として、人工医療デバイスは、バルーンカテーテルが患者の管腔を通して押される埋込み処置の間、デバイス保持部分内に留まることができ、近位または遠位バルーンショルダを越えて軸方向に移動することはない。上記で説明されたように、いくつかの実施形態では、バルーンショルダ組立体のバルーンショルダは、人工医療デバイスが展開され(主バルーンを膨張させ、患者に埋め込んだ後)、収縮され(1408で、かつ/または挿入している間に膨張されていた場合)、患者の内部からバルーンカテーテルを回収する際の抵抗性を減らすことができる。
【0183】
送達システムのバルーンカテーテル用バルーンショルダ組立体は、このように、カラー部分およびシャフト部分を備える近位バルーンショルダと、カラー部分およびシャフト部分を備える遠位バルーンショルダとを、備えることができる。近位バルーンショルダおよび遠位バルーンショルダのそれぞれは、中空であり、圧縮可能なブロー成形材料を含むことができる。近位および遠位バルーンショルダは、バルーンカテーテルの主バルーン内で、バルーンカテーテルの中心軸に対して軸方向に互いに離間して配置され得る。したがって、主バルーンのデバイス(たとえば、弁)保持部分が作り出され、人工医療デバイスを受容するよう適合される。いくつかの実施形態では、送達システムは経カテーテル心臓弁送達システムであり、人工医療デバイスは人工心臓弁である。いくつかの実施形態では、バルーンショルダ組立体は、近位バルーンショルダと遠位バルーンショルダとの間に配置された中央接続部分を備えることができ、バルーンショルダ組立体全体が、一体部品として形成され得る。他の実施形態では、バルーンショルダ組立体は、一体部品として形成されていなくてもよく、近位および遠位バルーンショルダは、別々の部品として個々にブロー成形され得る。
【0184】
ブロー成形によってバルーンショルダ組立体を形成することにより、同様の射出成形バルーンショルダ組立体と比較して、硬度が低下し、質量が低下し、剛性が低下し、圧縮性が向上し、かつ同等の構造強度を有することができる、中空で圧縮可能なバルーンショルダが作製される。その結果、ブロー成形バルーンショルダ組立体は、より弾力性があり得、ブロー成形バルーンショルダ組立体を圧縮して拡張形状に戻すことを可能にする一方で、依然としてバルーンカテーテルの主バルーンを十分に構造的に支持し、それによりブロー成形バルーンショルダ組立体の、バルーンカテーテルの主バルーン内への挿入をより容易にし、かつ埋込み処置中の、シースを通してバルーンカテーテルをうまく移動させる際の、シースの劣化を低減する。さらに、ブロー成形バルーンショルダおよび/またはバルーンショルダ組立体を備えるバルーンカテーテルは、人工医療デバイスを埋め込んだ後の、シースおよび/または患者の血管系を通しての回収が、より容易であり得る(たとえば、力または抵抗性が減らされた状態で)。なおかつ、ブロー成形により、バルーンショルダ組立体のサイズおよび形状などの設計を、射出成形よりも、より容易かつ安価に変更できる可能性がある(たとえば、射出成形に必要な金型のコストが高いという特質のせいで)。
【0185】
さらに、いくつかの実施形態では、バルーンショルダ組立体は、膨張可能であり得る(かつ、収縮状態または膨張状態のいずれかで存在し得る)。他の実施形態では、バルーンショルダ組立体は膨張不可能であり得る。膨張可能なバルーンショルダは、人工医療デバイスを埋め込んだ後に、バルーンカテーテルの回収をさらに容易にすることができる。たとえば、人工医療デバイスを埋め込んだ後、および埋込み部位からバルーンカテーテルを回収する際に、バルーンショルダを収縮させることができ、それにより、バルーンカテーテルが患者から引き抜かれるときの、シースまたは患者の血管系に対するバルーンカテーテルの抵抗性が減る。
【0186】
さらに、やはり他の実施形態では、本明細書に開示されたバルーンショルダ組立体のいずれも、射出成形、浸漬、圧縮成形などを含むがこれらに限定されるものではない、ブロー成形以外の製造技法を使用して作ることができる。
【0187】
一般的に考慮すべき点
開示された実施形態は、心臓の自己弁輪(たとえば、肺動脈、僧帽弁、および三尖弁の弁輪)のいずれかに人工デバイスを送達し、埋め込むように適合させることができ、様々な送達アプローチ(たとえば、逆行性、順行性、経中隔、経脳室、経心房など)のいずれかで使用できることを理解されたい。
【0188】
この説明のために、この開示の実施形態のいくつかの態様、利点、および新規の特徴が本明細書で説明されている。開示された方法、器具、およびシステムは、いかなる形であれ限定的であると解釈されるべきではない。それどころか、本開示は、単独で、また互いに様々な組合せおよび部分的組合せでの、開示された様々な実施形態の、あらゆる新規で非自明な特徴および態様を対象としている。方法、器具、およびシステムは、どんな特定の態様もしくは特徴またはそれらの組合せにも限定されるものではなく、開示された実施形態は、任意の1つまたは複数の特定の利点が存在することも、問題が解決されることも必要とするものではない。任意の例における技術は、他の任意の1つまたは複数の例において説明されている技術と組み合わされ得る。開示された技術の原理が適用され得る多くの可能な実施形態を考慮して、例示された実施形態は、好ましい例にすぎず、開示された技術の範囲を限定するものと解釈されるべきではないことを認識されたい。
【0189】
開示された実施形態のうちのいくつかの動作は、便宜的に提示するために特有の連続した順序で説明されているが、この説明の手法は、下記に示される特定の言葉によって特有の順序が必要とされない限り、再配列を包含することを理解されたい。たとえば、連続して説明されている動作が、場合によっては、再配列されるか、または同時に実行されてもよい。さらに、添付の図は、単純にするために、開示された方法が他の方法と組み合わせて使用され得る、様々なやり方を示していない場合がある。さらに、説明では、開示された方法を説明するために、「提供する」または「達成する」などの用語を使用することがある。これらの用語は、実行される実際の動作の高度な抽象概念である。これらの用語に対応する実際の動作は、特有の実施態様に応じて変化する可能性があり、当業者によって容易に識別可能である。
【0190】
本明細書で使用される場合、経カテーテル送達システム、バルーンカテーテル、イントロデューサシース(たとえば、シース)、バルーンショルダ組立体、およびバルーンショルダに関して、「近位の」は、患者の外側にある送達システムのハンドルにより近い位置、方向、または構成要素の部分を指し、一方「遠位の」は、ハンドルからより遠く離れた位置、方向、または構成要素の部分を指す。「長手方向の」および「軸方向の」という用語は、特に明確に定義されていない限り、近位および遠位方向に延在する軸を指す。
【0191】
この出願および特許請求の範囲内で使用されるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明らかにそうでないと定めていない限り、複数形を含む。さらに、「含む」という用語は「備える」を意味する。さらに、「連結された」および「接続された」という用語は、一般に、電気的、電磁気的、および/または物理的に(たとえば、機械的または化学的に)連結または結合されたことを意味し、特定の反対の言葉がない限り、連結されたかまたは関連づけられたアイテム間の中間要素の存在を排除するものではない。
【0192】
方向および他の相対的な記述(たとえば、内側の、外側の、上側の、下側の、など)は、本明細書での図面および原理の議論を容易にするために使用され得るが、限定することを意図するものではない。たとえば、「内側」、「外側」、「上」、「下」、「内部」、「外部」などのいくつかの用語が使用され得る。かかる用語は、該当する場合、特に図示された実施形態に関して相対的な関係を扱うときに、説明をいくらか明確にするために使用される。ただし、かかる用語は、絶対的な関係、位置、および/または向きを示唆することを意図するものではない。たとえば、対象物に関して、単に対象物を裏返すだけで「上側の」部分が「下側の」部分になり得る。それにもかかわらず、それは依然として同じ部分であり、対象物は同じままである。本明細書で使用される場合、「および/または」は、「および」または「または」、ならびに「および」および「または」を意味する。
【0193】
開示された本発明の原理が適用され得る多くの可能な実施形態を考慮して、例示された実施形態は、本発明の好ましい例にすぎず、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではないことを認識されたい。むしろ、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって定義される。したがって、発明者は、これらのクレームの範囲と精神の範囲内にあるすべてのものを、発明者の発明として特許請求する。
【符号の説明】
【0194】
10 人工弁
12 フレーム
14 弁構造体
15 流入端部分
16 内側スカート
17 中間部分
18 外側スカート
19 流出端部分
20 交連窓
22 交連
40 弁尖
50 人工弁
52 フレーム
54 弁構造体
56 密封部材
60 弁尖
62 尖縁部
64 交連
66 流入端部
68 流出端部
72 ストラット
74 開口
76 内層
78 外層
100 送達デバイス
102 ハンドル
103 流体ポート
104 外側シャフト
105 中間シャフト
106 内側シャフト
107 側部開口
108 主バルーン
109 矢印
110 円錐形頭部
112 遠位端部分
114 人工弁
118 バルーンショルダ組立体
120 近位ショルダ
122 遠位ショルダ
124 長手方向軸
126 近位端部分
128 遠位端部分
130 弁保持部分
132 環状空間
134 ノブ
200 バルーンカテーテル
202 バルーンショルダ組立体
204 近位端
206 遠位端
208 近位バルーンショルダ
210 人工医療デバイス
212 遠位バルーンショルダ
214 中央接続部分
216 近位カラー部分
218 近位シャフト部分
220 中心軸
222 遠位カラー部分
224 遠位シャフト部分
226 近位遷移部分
228 遠位遷移部分
230 広い方の端部
232 狭い方の端部
234 広い方の端部
236 狭い方の端部
302 バルーンショルダ組立体
304 近位端
306 遠位端
308 近位バルーンショルダ
312 遠位バルーンショルダ
314 中央接続部分
316 近位カラー部分
318 近位シャフト部分
322 遠位カラー部分
324 遠位シャフト部分
326 近位遷移部分
328 遠位遷移部分
340 最大外径
802 第1のバルーンショルダ
804 第2のバルーンショルダ
806 カラー部分
808 シャフト部分
810 円筒体
812 第1の先細端部分
814 第2の先細端部分
816 外径
818 長さ
820 中央接続部分
822 カラー部分
824 シャフト部分
826 円筒体
828 第1の先細端部分
830 第2の先細端部分
832 外径
834 長さ
836 直径
902 第3のバルーンショルダ
906 カラー部分
908 シャフト部分
910 中央部分
912 第1の先細端部分
914 第2の先細端部分
916 外径
920 中央接続部分
922 長さ
1002 第5のバルーンショルダ
1004 第6のバルーンショルダ
1006 カラー部分
1008 シャフト部分
1010 細長い先細部分
1012 短い方の先細部分
1014 中央リング部分
1016 外径
1018 長さ
1020 中央接続部分
1022 カラー部分
1024 シャフト部分
1026 細長い先細部分
1028 短い方の先細部分
1030 中央リング部分
1032 外径
1034 長さ
1100 バルーンショルダ組立体
1102 近位バルーンショルダ
1104 遠位バルーンショルダ
1106 中央接続部分
1108 カラー部分
1110 シャフト部分
1112 近位端
1114 遠位端
1116 カラー部分
1118 シャフト部分
1120 近位端
1122 遠位端
1124 外壁
1126 最大外径
1300 バルーンショルダ組立体
1302 近位バルーンショルダ
1304 遠位バルーンショルダ
1306 中央接続部分
1308 カラー部分
1310 シャフト部分
1312 外壁
1314 広い方の端部
1316 狭い方の端部
1500 バルーンショルダ組立体
1502 近位ショルダ
1504 遠位ショルダ
1600 バルーンショルダ組立体
1602 近位ショルダ
1604 遠位ショルダ
1700 バルーンショルダ組立体
1702 近位ショルダ
1704 遠位ショルダ
【国際調査報告】