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特表2023-500768X線検出システム用の回転コリメータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-11
(54)【発明の名称】X線検出システム用の回転コリメータ
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20221228BHJP
【FI】
A61B6/00 300G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022508500
(86)(22)【出願日】2020-08-06
(85)【翻訳文提出日】2022-04-07
(86)【国際出願番号】 EP2020072208
(87)【国際公開番号】W WO2021028327
(87)【国際公開日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】1909114
(32)【優先日】2019-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511148237
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ グルノーブル アルプス
(71)【出願人】
【識別番号】517021765
【氏名又は名称】シュルジカル、インスティテュート
【氏名又は名称原語表記】SURGIQUAL INSTITUTE
(71)【出願人】
【識別番号】519157299
【氏名又は名称】サントル オスピタリエ ユニバシテール グルノーブル アルプス
(71)【出願人】
【識別番号】519060623
【氏名又は名称】インスティテュート ポリテクニーク ド グルノーブル
(71)【出願人】
【識別番号】501455677
【氏名又は名称】サントル・ナシオナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シアンティフィーク
(71)【出願人】
【識別番号】517070855
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ クラウド ベルナール リヨン 1
(71)【出願人】
【識別番号】501411097
【氏名又は名称】エコール・セントラル・ドゥ・リヨン
(71)【出願人】
【識別番号】517307049
【氏名又は名称】セペウ リヨン フォルマション コンティニュ エ ルシェルシュ-セペウ リヨン エフセエール
【氏名又は名称原語表記】CPE LYON FORMATION CONTINUE ET RECHERCHE-CPE LYON FCR
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グロンダン,ヤニック
(72)【発明者】
【氏名】サンカン,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】デスバット,ローラン
(72)【発明者】
【氏名】ギラール,ピエリック
(72)【発明者】
【氏名】ピテ,パトリック
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093CA35
4C093EA12
4C093FA20
(57)【要約】
X線検出システム用のコリメーション装置(1)であって、部分的又はゼロ放射線透過性である材料で作られた実質的に平坦な支持体(20)を備えるコリメータであって、支持体(20)は、支持体を通過し、支持体の主平面(P)と呼ばれる入射X線平面として作用する支持体(20)の第1の面に垂直な回転軸(Δ)の周りを回転可能に移動可能であり、支持体(D)は、X線を完全に透過し、コリメータがX線源(10)に曝されたときにX線流を生成するように構成されたスリット(30)が第1の面に設けられ、スリット(30)は、回転軸(Δ)から非ゼロ距離(d)に位置する軸に沿って支持体の主平面内で長手方向に延在し、スリット(30)は、支持体(20)の厚さ全体を貫通する、コリメータを備える、コリメーション装置(1)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線検出システム用のコリメーション装置(1)であって、
部分的又はゼロ放射線透過性である材料で作られた実質的に平坦な支持体(20)を含むコリメータであって、前記支持体(20)は、前記支持体を通過し、前記支持体の主平面(P)と呼ばれる入射X線平面として作用する前記支持体(20)の第1の面に垂直な回転軸(Δ)の周りを回転可能に移動可能であり、
前記支持体(D)には、X線を完全に透過し、前記コリメータがX線源(10)に曝されたときにX線流を生成するように構成された単一のスリット(30)が前記第1の面に設けられ、前記スリット(30)は、前記回転軸(Δ)から非ゼロ距離(d)に位置する軸に沿って前記支持体の主平面内で長手方向に延在し、前記スリット(30)は、前記支持体(20)の厚さ全体を貫通する、コリメータを備える、
コリメーション装置(1)。
【請求項2】
前記スリット(30)は、前記支持体の主平面(P)内に長方形又は台形の突起を有する、請求項1に記載のコリメーション装置(1)。
【請求項3】
X線検出システム(2)であって、
X線ビームを放射するように構成されたX線源(10)と、
前記支持体の入射面上で前記X線ビームを受光するように配置された、請求項1から2のいずれか一項に記載のコリメーション装置(1)と、
前記コリメーション装置の前記支持体(20)をその軸(Δ)の周りを固定された回転角速度(V)で回転させるように構成された駆動装置と、
少なくとも1つのX線検出要素であって、前記支持体の前記第1の面から反対の面まで前記支持体(20)のスリット(30)を通過する前記X線ビームの一部が、前記支持体の回転中に考慮される前記検出要素に到達したときにX線を取得するように、前記X線源(10)に対して前記支持体(20)の反対側の取得フィールドに配置された、少なくとも1つのX線検出要素と、
を備える、X線検出システム(2)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのX線検出要素のうちの1つの検出要素(DT)は、前記支持体(20)が回転している間に2つの連続する時間に前記スリット(30)を通過するX線を検出するように構成され、第1の時間(t_α)は前記スリットの第1の角度位置(α)に対応し、第2の時間(t_β)は前記スリット(30)の第2の角度位置(β)に対応し、前記第1及び第2の角度位置は、前記支持体の主平面(P)内に、前記検出要素(DT)の前記支持体(20)の主平面内の投影位置(PT)に対応する交点(C)を画定し、
前記検出システム(2)は、前記第1及び第2の角度位置から前記検出要素(DT)の前記支持体の主平面(P)内の投影位置(C)を決定するように構成された処理ユニット(50)を備える、
請求項3に記載の検出システム(2)。
【請求項5】
前記処理ユニットが、前記第1及び第2の時間並びに前記支持体の前記角速度に基づいて前記第1及び第2の角度位置を決定するように構成される、請求項4に記載の検出システム。
【請求項6】
前記支持体(20)に固定された、又は前記支持体(20)の一体部分を形成する第2の支持体(20b)であって、前記支持体の前記回転軸(Δ)に対して中心付けられた円の周囲の周りに均一に角度分布した一連のN個の窓を備え、前記一連のN個の窓が他の窓とは異なるサイズの基準窓を備え、前記他の窓がこの基準窓に対してインデックスが付け
られている、第2の支持体(20b)と、
光学フォークであって、前記光学フォークは、光波を放射するように構成されたエミッタと、前記光波を検出するように構成された検出器とを備え、前記フォークは、前記エミッタと前記レシーバとの間を通過する前記窓のいずれか1つで前記レシーバが前記光波を受信したときに電気パルスを生成するように構成される、光学フォークと、をさらに備え、
前記処理ユニット(50)が、前記検出要素(DT)による検出が行われた前記2つの連続する時間に時間的に最も近い前記電気パルスを生成した前記2つの窓(20b)の前記インデックスに基づいて前記第1及び第2の角度位置を決定するように構成される、
請求項4に記載の検出システム(2)。
【請求項7】
前記処理ユニット(50)は、
前記検出要素(DT)を通過し、前記支持体の主平面(P)に平行な平面とX線源(10)との間の距離を、前記スリットの形状が長方形である場合、前記検出要素(DT)の照射持続時間から、前記支持体の前記回転角速度(V)から、前記X線源(10)と前記支持体(20)との間の距離(D)から、及び前記スリットの幅(l)から、並びに前記支持体(20)の回転軸(Δ)と前記支持体(20)の主平面(P)内の投影位置(C)との交点間の距離rから、決定するように構成される、
請求項4から6のいずれか一項に記載の検出システム(2)。
【請求項8】
前記X線源(10)は、一方はX線放射モードであり、他方はX線非放射モードである、交互に使用される2つのモードからなる放射サイクルでX線を放射するように構成されたパルス源であり、
前記検出要素(DT)は、前記X線放射サイクルと同期して前記スリット(30)を通過するX線を検出するように構成される、
請求項4から7のいずれか一項に記載の検出システム(2)。
【請求項9】
前記支持体(20)は、X線シンチレータ材料で作られ、前記支持体(20)は、前記支持体が前記X線源に曝されたときにシンチレーション光子を放射することができ、
前記検出システム(2)は、前記スリット(30)を通過するX線の前記検出要素(DT)による検出及び取得をトリガするように、シンチレーション光子を検出し、前記検出されたシンチレーション光子から生じる光電流を放出するように構成されたフォトダイオード(PD)をさらに備える、
請求項8に記載の検出システム(2)。
【請求項10】
前記処理ユニット(50)は、前記フォトダイオード(PD)によって放出された前記光電流を使用して、前記パルス源からのパルスの持続時間に対する前記支持体の前記回転角速度(V)を自動的にフィードバック制御するように構成される、請求項9に記載の検出システム(2)。
【請求項11】
X線撮像システム(3)であって、
請求項4から10のいずれか一項に記載の検出システム(2)と、
前記撮像システムの取得フィールド内に配置された取得行列(M)を形成する複数の取得要素であって、前記取得行列(M)の各要素が、前記検出システムの前記コリメータの前記支持体(20)がその軸(Δ)の周りを回転しているときにX線流の蓄積を取得するように構成され、前記取得行列(M)が、所与の期間中に前記取得行列(M)を構成する前記取得要素によってそれぞれ行われた前記取得に基づいて放射線画像を取得するように構成される、複数の取得要素と、
を備える、X線撮像システム(3)。
【請求項12】
前記X線源(10)と前記支持体(20)との間に配置され、前記取得行列(M)上の投影が前記取得行列(M)のサイズを超えない視野を画定する平面ダイヤフラム(21)をさらに含む、請求項11に記載のX線撮像システム(3)。
【請求項13】
前記取得行列(M)は、前記X線放射サイクルと同期して放射線画像を取得するように構成される、請求項8に記載の検出システム(2)を実装する、請求項11及び12のいずれか一項に記載のX線撮像システム(3)。
【請求項14】
前記フォトダイオード(PD)は、前記放射線画像のうちの少なくとも1つの前記取得行列(M)による取得をトリガするように、前記シンチレーション光子を検出し、前記検出されたシンチレーション光子から生じる光電流を放出するように構成される、請求項9に記載の検出システム(2)を実装する、請求項13に記載のX線撮像システム(3)。
【請求項15】
前記処理ユニット(50)は、前記フォトダイオード(PD)によって放出された前記光電流を使用して、前記パルス源からのパルスの持続時間に対する前記支持体の前記回転角速度(V)を自動的にフィードバック制御するように構成される、請求項10に記載の検出システム(2)を実装する、請求項14に記載のX線撮像システム(3)。
【請求項16】
請求項4から10のいずれか一項に記載のX線検出システムの検出要素(DT)の位置を特定するための方法であって、
前記コリメーション装置(1)の前記支持体(20)をその回転軸(Δ)の周りで固定された回転角速度(V)で回転させるステップと、
前記支持体(20)の回転中に前記X線源(10)からのX線ビームに前記支持体(20)を曝すステップと、
前記検出要素(DT)が、前記スリットの第1の角度位置(α)に対応する第1の時間(t_α)及び前記スリットの第2の角度位置(α)に対応する第2の時間(t_β)の2つの連続する時間に前記支持体内の前記スリット(30)を通過するX線を検出するステップと、
前記処理ユニット(50)が、前記第1及び第2の角度位置に基づいて前記検出要素(DT)の前記支持体(20)の主平面(P)内の投影位置(C)を決定するステップと、
を含む、方法。
【請求項17】
前記第1及び第2の角度位置は、前記第1及び第2の時間並びに前記支持体の角速度に基づいて決定される、請求項16に記載の位置を特定する方法。
【請求項18】
請求項6に記載のX線検出システムの検出要素(DT)の位置を特定するための方法であって、
前記コリメーション装置(1)の前記支持体(20)をその回転軸(Δ)の周りで固定された回転角速度(V)で回転させるステップと、
前記支持体(20)の回転中に、前記支持体(20)及び前記第2の支持体(20b)によって形成されたアセンブリを前記X線源(10)からのX線ビームに曝すステップと、
前記光学フォークの前記エミッタと前記レシーバとの間を通過する前記窓のいずれか1つで、前記レシーバが前記光波を受信するときに生成される電気パルスを検出するステップと、
前記検出要素(DT)が、前記第2の支持体(20b)の第1の角度位置(α)及び前記第2の支持体(20b)の第2の角度位置(β)に対して、前記支持体(20)内の前記スリット(30)を通過するX線を検出するステップと、
前記処理ユニット(50)が、前記第1及び第2の角度位置に基づいて前記支持体の主平面内の投影位置(C)を決定するステップであって、
前記第1及び第2の角度位置が、前記検出要素(DT)による検出が行われた2つの連続する時間に時間的に最も近い電気パルスを生成した前記2つの窓のインデックスに基づいて取得される、投影位置(C)を決定するステップと、
を含む、方法。
【請求項19】
前記X線検出システム(2)が請求項10に記載の検出システム(2)である場合、前記処理ユニット(50)は、前記フォトダイオード(PD)によって放出された前記光電流を使用して、前記パルス源からのパルスの持続時間に対する前記支持体の前記回転角速度(V)を自動的にフィードバック制御する、請求項18に記載の検出要素(DT)の位置を特定するための方法。
【請求項20】
前記処理ユニット(50)によって、前記検出要素(DT)を含み、前記支持体(20)の主平面(P)に平行な平面と前記X線源(10)との間の距離(D)を、前記検出要素(DT)の照射持続時間(tirr)から、前記支持体の前記回転角速度(V)から、前記X線源(10)と前記支持体(20)との間の距離(D)から、前記スリットの幅(l)から、及び前記支持体(20)の前記回転軸(Δ)と前記支持体(20)の主平面(P)内の投影位置(C)との交点間の距離rから決定するステップを含む、請求項16から19のいずれか一項に記載の位置を特定する方法。
【請求項21】
請求項11及び12のいずれか一項に記載のX線撮像システム(3)によって実装されるX線撮像方法であって、
前記撮像システム(3)の前記コリメーション装置(1)の前記支持体(20)をその回転軸(Δ)の周りで固定された回転角速度(V)で回転させるステップと、
前記支持体(20)の回転中に前記X線源(10)からのX線ビームに前記支持体(20)を曝すステップと、
前記取得行列の前記取得要素が、前記支持体(20)の回転中にX線を検出するステップと、
所与の期間中に前記検出行列(M)の前記取得要素によってそれぞれ行われた検出に基づいて放射線画像を取得するステップと、
を含む、X線撮像方法。
【請求項22】
請求項14に記載のX線撮像システム(3)によって実装されるX線撮像方法であって、
前記撮像システム(3)の前記コリメーション装置(1)の前記支持体(20)をその回転軸(Δ)の周りで固定された回転角速度(V)で回転させるステップと、
前記支持体(20)の回転中に前記X線源(10)からのX線ビームに前記支持体(20)を曝すステップと、
前記取得行列の前記取得要素が、前記支持体(20)の回転中にX線を検出するステップと、
前記支持体(20)が、シンチレーション光子を放射するステップと、
前記フォトダイオード(PD)が前記シンチレーション光子を検出するステップと、
前記フォトダイオードが、前記放射線画像のうちの少なくとも1つの前記取得行列(M)による取得をトリガするように、前記検出されたシンチレーション光子から生じる光電流を放出するステップと、
所与の期間中に前記検出行列(M)の前記取得要素によってそれぞれ行われた検出に基づいて放射線画像を取得するステップと、
を含む、X線撮像方法。
【請求項23】
請求項15に記載のX線撮像システム(3)によって実装されるX線撮像方法であって、
前記処理ユニット(50)が、前記取得行列(M)の前記取得要素によってそれぞれ行われた検出に基づく放射線画像の取得が、前記パルス光源の前記放射サイクルの前記X線放射モードにわたって時間的にウィンドウ化されるように、前記フォトダイオード(PD)によって放出された前記光電流を使用して、前記パルス光源のパルスの持続時間に対する前記支持体の回転角速度(V)を自動的にフィードバック制御する、請求項22に記載のX線撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野および従来技術
【0002】
本出願は、X線検出システムの分野に関し、より詳細には、X線検出システムにおいて空間的に構成要素の位置を特定する分野に関する。
【背景技術】
【0003】
本出願はまた、X線撮像、特に、例えば、外科的介入又は本ツールを使用して実施される手術中に、画像が取得されると同時にツールの位置を正確に決定することが求められる「介入」撮像にも適用される。
【0004】
仏国特許第2841118号明細書は、画像が取得される対象物に固定されたテストパターンを使用して放射線ユニットの位置を決定する手段を備えるX線撮像システムを提示している。
【0005】
このようなシステムでは、テストパターンの画像は、研究したい対象物の画像と干渉する。
【0006】
米国特許第6490475号明細書は、システムの構成要素の位置がマーカを使用して決定される蛍光透視システムを提示している。次いで、最終画像からこれらのマーカのトレースを除去することができるため、デジタル処理が実行される。
【0007】
米国特許第7065393号明細書は、システムの異なる構成要素に配置された慣性センサを使用してX線撮像システムを較正するための方法に関する。
【0008】
このタイプのセンサは、多くの場合、誤差の及び低精度の実質的な蓄積に左右され、したがって、X線撮像システムにおいてセンサを装備した構成要素の位置を確実に決定することに関して問題を呈する可能性がある。
【0009】
仏国特許出願第3042881号明細書は、2つのスリットを備える回転コリメータを備えるX線撮像のための装置を提示している。そのような装置は、コリメータ内のスリットから来るX線ビームを受光するように意図されたX線センサが設けられた構成要素の所与の基準フレーム内の位置を確実に決定することを可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本出願は、特に仏国特許出願第3042881号明細書の装置を簡素化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のために、本出願は、第1の態様によれば、X線検出システム用のコリメーション装置に関し、コリメーション装置は、
部分的又はゼロ放射線透過性である材料で作られた実質的に平坦な支持体を含むコリメータであって、支持体が、支持体を通過し、支持体の主平面と呼ばれる入射X線平面として作用する支持体の第1の面に垂直な回転軸の周りを回転可能に移動可能であり、
支持体には、X線を完全に透過し、コリメータがX線源に曝されたときにX線流を生成するように構成された単一のスリットが第1の面に設けられ、スリットは、回転軸から非
ゼロ距離に位置する軸に沿って支持体の主平面内で長手方向に延在し、スリットは支持体の厚さ全体を貫通する、コリメータを備える。
【0012】
そのような単一スリットコリメータは、コリメーション装置の単純化された実装を可能にする。
【0013】
1つ又は複数の実施形態では、スリットは、支持体の主平面内に長方形又は台形の突起を有する。
【0014】
本出願の別の主題は、第2の態様によれば、X線検出システムであって、
X線ビームを放射するように構成されたX線源と、
コリメーション装置の支持体の入射面上でX線ビームを受光するように配置された、第1の態様によるコリメーション装置と、
コリメーション装置の支持体をその軸の周りを固定された回転角速度で回転させるように構成された駆動装置と、
支持体の第1の面から反対の面まで支持体のスリットを通過するX線ビームの一部が、支持体の回転中に考慮される検出要素に到達したときにX線を取得するように、X線源に対して支持体の反対側の取得フィールドに配置された少なくとも1つのX線検出要素と、
を備える。
【0015】
1つ又は複数の実施形態では、前述の少なくとも1つのX線検出要素のうちの1つの検出要素は、支持体が回転している間に2つの連続する時間にスリットを通過するX線を検出するように構成され、第1の時間はスリットの第1の角度位置に対応し、第2の時間はスリットの第2の角度位置に対応し、第1及び第2の角度位置は、支持体の主平面内に、検出要素の支持体の主平面内の投影位置に対応する交点を画定し、
検出システムは、第1及び第2の角度位置から検出要素の支持体の主平面内の投影位置を決定するように構成された処理ユニットを備える。したがって、各回転(完全な回転)に対して、2つの連続する時間、したがって2つの角度位置が得られる。第1及び第2の角度位置は、例えば、2つの連続する時間及び支持体の回転角速度から決定される。
【0016】
別の実施形態では、第1及び第2の角度位置の決定は、光学フォークを含み、X線検出システムは、支持体に固定された、又は支持体の一体部分を形成する第2の支持体をさらに備え、支持体の回転軸に対して中心付けられた円の周囲の周りに均一に角度分布した一連のN個の窓を備え、一連のN個の窓は、他の窓とは異なるサイズの基準窓を備え、他の窓は、この基準窓に対してインデックスが付けられている。
【0017】
この場合、少なくとも1つのX線検出要素のうちの1つの検出要素は、検出要素の支持体の主平面内の投影位置に対応する交点を支持体の主平面内に画定する第2の支持体の第1及び第2の角度位置に対してスリットを通過するX線を検出するように構成される。この実施形態では、X線検出システムは、光波を放射するように構成されたエミッタと、光波を検出するように構成された検出器とを備えた光学フォークを備え、該フォークは、エミッタとレシーバとの間を通過する窓のいずれか1つでレシーバが光波を受信したときに電気パルスを生成するように構成され、第1及び第2の角度位置はそれぞれ窓の通過に対応する。次いで、処理ユニットは、検出要素による検出が行われた2つの連続する時間に時間的に最も近い電気パルスを生成した2つの窓のインデックスに基づいて、第1及び第2の角度位置を決定するように構成される。
【0018】
1つ又は複数の実施形態では、処理ユニットは、検出要素を含み、支持体の主平面に平行な平面とX線源との間の距離を、検出要素の照射持続時間から、支持体の回転角速度から、X線源と支持体との間の距離から、スリットの幅から、及び支持体の回転軸と支持体
の主平面内の投影位置との交点との間の距離から決定するように構成される。
【0019】
1つ又は複数の実施形態では、X線源は、交互に使用される2つのモードからなる放射サイクルでX線を放射するように構成されたパルス源であり、一方はX線放射モードであり、他方はX線非放射モードである。そして、複数のX線検出要素のうちの1つの検出要素は、X線放射サイクルと同期してスリットを通過するX線を検出するように構成されている。
【0020】
1つ又は複数の実施形態では、X線源がパルス源である場合、本出願の第1の態様によるコリメーション装置の支持体は、X線シンチレータ材料で作られる。次いで、支持体は、支持体がX線源に曝されるとシンチレーション光子を放射することができる。本出願の第2の態様による検出システムは、支持体内のスリットを通過するX線の検出要素による検出及び取得をトリガするようにシンチレーション光子を検出し、検出されたシンチレーション光子から生じる光電流を放出するように構成されたフォトダイオードをさらに備える。
【0021】
この場合、処理ユニットは、フォトダイオードによって放出された光電流を使用して、パルス源からのパルスの持続時間に対する支持体の回転角速度を自動的にフィードバック制御するように構成することができる。回転速度は、コリメータがパルスの持続時間にわたって少なくとも1回転するような速度である。
【0022】
本出願は、第3の態様によれば、第2の態様によるX線検出システムを備えるX線撮像システムに関し、複数の取得要素が、撮像システムの取得フィールドに配置された取得行列を形成し、取得行列の各取得要素が、検出システムのコリメータの支持体がその軸の周りを回転しているときにX線流の蓄積を取得するように構成され、取得行列が、所与の期間中に行列を構成する取得要素によってそれぞれ行われた取得に基づいて放射線画像を取得するように構成される。
【0023】
1つ又は複数の実施形態では、X線撮像システムは、X線源と単一スリット回転支持体との間に配置された平面ダイヤフラムをさらに備え、取得行列上の投影が取得行列のサイズを超えない視野を画定する。この平面ダイヤフラムは、例えば、X線撮像システムを使用して施術者又はオペレータを照射することを回避するために、取得行列を形成する複数の取得要素を含む領域以外の領域を照射することを回避し、X線源からの放射線を空間的に制限することを可能にする。
【0024】
1つ又は複数の実施形態では、X線源は、交互に使用される2つのモードからなる放射サイクルでX線を放射するように構成されたパルス源であり、一方はX線放射モードであり、他方はX線非放射モードである。この場合、取得行列は、X線放射サイクルと同期して放射線画像を取得するように構成される。
【0025】
X線源がパルス源である場合、支持体はX線シンチレータ材料で作られ、該支持体がX線源に曝露されると、支持体はシンチレーション光子を放射することができ、前述の撮像システムは、放射線画像のうちの少なくとも1つの取得行列による取得をトリガするため、シンチレーション光子を検出し、検出されたシンチレーション光子から生じる光電流を放出するように構成されたフォトダイオードをさらに備える。
【0026】
この場合、処理ユニットは、フォトダイオードによって放出された光電流を使用して、パルス源からのパルスの持続時間に対する支持体の回転角速度を自動的にフィードバック制御するように構成することができる。
【0027】
本出願の別の主題は、第4の態様によれば、第2の態様によるX線検出システムの検出要素の位置を特定するための方法であって、
コリメーション装置の支持体をその回転軸の周りに固定された回転角速度で回転させるステップと、
支持体の回転中にX線源からのX線ビームに支持体を曝すステップと、
検出要素が、スリットの第1の角度位置に対応する第1の時間及びスリットの第2の角度位置に対応する第2の時間の2つの連続する時間に、支持体内のスリットを通過するX線を検出するステップと、
処理ユニットが、第1及び第2の角度位置に基づいて、検出要素の支持体の主平面内の投影位置を決定するステップと、
を含む方法。
【0028】
第1及び第2の角度位置は、2つの連続する時間から、及び追加で支持体の回転角速度から決定することができる。
【0029】
第2の態様によるX線検出システムが第2の支持体及び光学フォークを備える1つ又は複数の構成では、本方法は、
コリメーション装置の支持体をその回転軸の周りを固定された回転角速度で回転させるステップと、
支持体及び第2の支持体によって形成されたアセンブリを、支持体の回転中にX線源からのX線ビームに曝すステップと、
光学フォークのエミッタとレシーバとの間を通過する窓のうちのいずれか1つで、レシーバが光波を受信するときに生成される電気パルスを検出するステップと、
検出要素が、第2の支持体の第1の角度位置及び第2の支持体の第2の角度位置に対して、支持体内のスリットを通過するX線を検出するステップと、
処理ユニットが、第1及び第2の角度位置に基づいて支持体の主平面内の投影位置を決定するステップであって、第1及び第2の角度位置が、検出要素による検出が行われた2つの連続する時間に時間的に最も近い電気パルスを生成した2つの窓のインデックスに基づいて取得される、投影位置を決定するステップと、
を含む。
【0030】
1つ又は複数の実施形態では、第4の態様による位置特定方法は、処理ユニットによって、検出要素を通過し、コリメータに平行な平面とX線源との間の距離を、検出要素の照射持続時間から、支持体の回転角速度から、X線源と支持体との間の距離から、及びスリットの幅から決定するステップをさらに含む。
【0031】
X線源がパルス源であり、検出システムがフォトダイオードを備える場合、処理ユニットは、フォトダイオードによって放出された光電流を使用して、パルス源からのパルスの持続時間に対する支持体の回転角速度(V)を自動的にフィードバック制御する。これにより、パルスの持続時間にわたって少なくとも360°で回転速度を確保することが可能になる。
【0032】
本出願の別の主題は、第2の態様によるX線撮像システムを実装するX線撮像方法に関し、
該撮像方法は、
撮像システムのコリメーション装置の支持体をその回転軸の周りで固定された回転角速度で回転させるステップと、
支持体の回転中にX線源からのX線ビームに支持体を曝すステップと、
取得行列の取得要素が、支持体の回転中にX線を検出するステップと、
所与の期間中に取得行列の取得要素によってそれぞれ行われた検出に基づいて放射線画
像を取得するステップと、
を含む。
【0033】
X線撮像方法がパルス源を含むX線撮像システムによって実施され、コリメータの支持体がX線シンチレータ材料で作られ、支持体がX線源に曝されたときにシンチレーション光子を放射することができ、該X線撮像システムは、放射線画像のうちの少なくとも1つの取得行列による取得をトリガするため、シンチレーション光子を検出し、検出されたシンチレーション光子から生じる光電流を放出するように構成されたフォトダイオードをさらに含む場合、方法は、
撮像システムのコリメーション装置の支持体をその回転軸の周りで固定された回転角速度で回転させるステップと、
支持体の回転中にX線源からのX線ビームに支持体を曝すステップと、
取得行列の取得要素が、支持体の回転中にX線を検出するステップと、
支持体が、シンチレーション光子を放射するステップと、
フォトダイオードがシンチレーション光子を検出するステップと、
フォトダイオードが、放射線画像のうちの少なくとも1つの取得行列による取得をトリガするため、検出されたシンチレーション光子から生じる光電流を放出するステップと、
所与の期間中に取得行列の取得要素によってそれぞれ行われた検出に基づいて放射線画像を取得するステップと、
を含む。
【0034】
この場合、処理ユニットは、取得行列の取得要素によってそれぞれ行われた検出に基づく放射線画像の取得が、パルス源の放射サイクルのX線放射モードにわたって時間的にウィンドウ化されるように、フォトダイオードによって放出された光電流を使用して、パルス源のパルスの持続時間に対する支持体の回転角速度を自動的にフィードバック制御することができる。画像は、1つ又は複数の時間窓にわたって検出される信号を蓄積することによって構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本出願の他の利点及び特徴は、非限定的な例として、添付の図面を参照して与えられる以下の説明から明らかになるであろう。
図1】一実施形態によるコリメーション装置を示す。
図2】異なる材料に関する定量的データを用いた部分的な放射線透過の概念を示す。
図3】X線検出システムの簡略図である。
図4】コリメーション装置の支持体の平面に投影される位置を計算する態様を示す。
図5】例示的な一実施形態によるX線検出システムを概略的に示す。
図6A】光学フォークの原理を示す図である。
図6B】位相ロックループの動作原理を概略的に示す。
図7】ファントム本体内に配置されたX線検出要素の3つの異なる位置についての時間t_α及びt_βの測定結果を示す。
図8】位置特定方法の一実施形態を介して得られる検出要素の位置を特定するための様々な結果を示す。
図9】一例示的実施形態によるコリメーション装置におけるスリットから来る流れによる検出要素の照射を示す。
図10】例示的な一実施形態によるX線撮像システムを概略的に示す。
図11】一例示的実施形態によるコリメーション装置を回転させることによって生成される一連のX線流による視野の走査を示す。
図12】X線撮像方法の一実施形態によって得られた3つの放射線画像を示す。
図13】例示的な一実施形態によるコリメーション装置のスリットの一実施形態を示す。
図14A】較正を可能にする例示的な一実施形態によるコリメーション装置の一実施形態を示す。
図14B】較正を可能にする例示的な一実施形態によるコリメーション装置の一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、X線検出システム2用のコリメーション装置1を示す。コリメーション装置1は、部分的又はゼロ放射線透過性である材料で作られた実質的に平坦な支持体20を含むコリメータを備える。図1では、支持体20はディスクの形態で示されているが、支持体は任意の他の二次元形態をとることができる。支持体20は、支持体20を通過し、入射X線平面として作用し、支持体Pの主平面と呼ばれる支持体20の第1の面に垂直な回転軸Δ15の周りを回転可能に移動可能であり得る。支持体20には、支持体Pの主平面内で支持体20の厚さe全体を長手方向に貫通するスリット30が設けられている。スリット30は、X線を完全に透過し、回転軸Δ15から非ゼロ距離dに位置する。スリットは、図1のように長方形の形状であってよい。この場合、スリットは幅lを有する。スリットはまた、支持体の主平面内の台形であってもよい。
【0037】
コリメーション装置(又はコリメータ)は、入射ビームを空間的に制限することを可能にする。本文献に記載の出願の文脈では、コリメーション装置の上流のビームは、例えば、「コーンビーム」タイプであり、コリメーション装置の下流のビームは、「ファンビーム」タイプである。コリメーション装置の出力でのコリメートビームは、特に検出要素の空間内の位置(例えば、位置決めされる工具に取り付けられたセンサの位置)を決定することを可能にするために空間を走査する。
【0038】
実際には、スリットは、(支持体の厚さに対応する)特定の厚さを有し、直方体に対応する3D形状を有することができるか、又は(支持体に垂直な平面内の)非矩形断面を有することができる。例えば、図2A及び図2Bに関して仏国特許出願第3042881号明細書で説明されているように、X線源から放射されるX線ビームの発散の関数として傾角を提供することができる。
【0039】
「部分的な放射線透過」という用語は、単一エネルギー光子の流れの非ゼロパーセント減衰を意味すると理解される。この割合は、支持体20に使用される材料及び支持体20の厚さ次第である。図2は、所与の光子エネルギー(keV)について、入射単一エネルギー光子の流れの95%の減衰を得ることを可能にする材料の厚さ(mm)の様々な値を示す。例えば、0.9mmの厚さを有するCdWO材料で作られた支持体20は、100keVのエネルギーを有する単一エネルギー光子のビームの流れの95%の減衰を可能にする。
【0040】
「完全な放射線透過」という表現は、スリット30がX線ビームの吸収を示さないか、又は著しい吸収を示さないことを意味する。例えば、支持体内に画定されたスリットの厚さ若しくは材料、又はこれらの2つのパラメータの組み合わせを選択して、完全な放射線透過性スリット30を得ることができる。これは、例えば、スリットが支持体内の開口(すなわち、空気で満たされている)に対応する場合に当てはまる。
【0041】
「ゼロ放射線透過性」とは、X線に対する完全な不透明度を意味する。より正確には、「ゼロ放射線透過性」によって意味されるものは、99%を超える単一エネルギー光子の流れの減衰率である。「部分的放射線透過性」によって意味されるものは、1から99%の間、例えば10%超、又は50%超の単一エネルギー光子の流れの減衰率である。80
%より高い減衰率は、照射レベルと取得可能な画像の品質との間の良好な妥協点を得ることを可能にする。このような場合、コリメータはX線ビームを強く吸収する。
【0042】
図3は、X線検出システム2の図である。X線検出システム2は、
X線ビームを生成するX線源10と、
本出願に記載された実施形態のいずれか1つによるコリメーション装置1と、
コリメーション装置1の支持体20をその回転軸Δの周りを固定角速度Vで回転するように構成された駆動装置と、
X線源10に対して支持体20の反対側の取得フィールドに配置された少なくとも1つのX線検出要素と、
を備える。
【0043】
検出要素は、X線流(X線源10によって生成されたビームの一部に対応する)が、入射面からコリメーション装置の支持体の反対面にスリット30を通過し、考慮される検出要素に到達するときにX線を取得するように配置される。このX線流の幾何学的形状は、スリット30の形状次第である。例えば、X線流の幾何学的形状はファン幾何学的形状であってよい。例えば、X線流は平面流であり得る。
【0044】
X線源10は、例えば、40kV~125kVの電極間電圧で動作するX線管である。
【0045】
第1の実施形態では、支持体20が駆動装置によって回転され、支持体20が回転している間にコリメーション装置1がX線源10からのX線に曝されると、検出要素DTは、それぞれ第1の時間t_α及び第2の時間t_βの2つの時間で、スリット30によって生成された高強度X線流を遮断する。第1の時間t_αは第1の角度位置αに対応し、第2の時間t_βは第2の角度位置βに対応する。スリット30の第1の角度位置α及び第2の角度位置βは、検出要素DTの支持体20の主平面内の投影位置PTに対応する交点Cを支持体Pの主平面内に画定する。交点Cはまた、検出要素DTによって遮断された2つのX線流によって画定された平面と支持体Pの主平面との交点線の交点に対応する。
【0046】
したがって、コリメータの回転軸に対して偏心した1つのスリットのみを有する回転支持体を使用することによって、交点Cの位置を決定することが可能である。支持体の回転中、検出要素DTは、2つの異なる照射面でスリットを通過するX線ビームによって2回照射される。これら2つの平面の交点は、X線源と検出要素DTとを接続する直線である。したがって、交点の位置を特定することが可能である。ここでは、回転するコリメータの回転速度が十分に大きく(例えば、25msあたり1回転)、検出要素DTの移動速度が十分に小さく、コリメータの1回転中の検出要素DTの変位が無視できるため、支持体の回転中に検出要素DTが移動しないと仮定する。
【0047】
図4は、検出要素DTがそれぞれ第1の時間t_α及び第2の時間t_βでスリットFによって生成されたX線流を遮断する第1の角度位置α及び第2の角度位置βを概略的に示す。位置αは図4の左上の図に対応し、位置βは図4の右上の図に対応する。検出要素DTの支持体20の主平面内の投影位置PTに対応する交点Cもまた、図4の下図に示されている。
【0048】
X線検出システム2は、検出要素(DT)について決定された2つの連続する時間(t_α)及び(t_β)並びに支持体の回転角速度Vに基づいて、検出要素(DT)の支持体(P)の主平面内の投影位置PT又はCを決定するように構成された処理ユニット50をさらに備えることができる。具体的には、回転軸Δと支持体Pの主平面との交点O、及び回転軸Δに等しい軸Ozを有する平面(xOy)によって画定される空間内の基準座標系を考慮することにより、支持体Pの主平面内の検出要素DTの投影位置の座標xc及び
ycは、以下の連立方程式の解である。
【数1】

【数2】

式中、dはスリット30と回転軸Δとの間の距離であり、sinは三角関数の正弦関数を表し、cosは三角関数の余弦関数を表す。
【0049】
これら2つの方程式は、単一の解を有する線形システムを形成する。具体的には、この線形システムの行列式は、sin(β-α)に等しく、厳密に正である。これは、スリットが支持体20と回転軸Δとの間の交点Oを通過しないため、及び差分diff=β-αが常に厳密にπ以下であるため、角度α及びβが常に異なるためである。
【0050】
角度α及びβは、第1の時間t_α及び第2の時間t_βの測定値から、及び支持体20の回転角速度Vを知ることから計算することができる。
【0051】
したがって、座標xc及びyc、言い換えれば、検出要素DTの支持体Pの主平面内の投影位置Cの位置は、角度α及びβから式[数式1]及び[数式2]に基づいて決定することができる。それらを知ることにより、検出要素DTが、X線源10と、支持体Pの主平面内に位置する座標xc及びycを有する点Cとを通過する直線上にあると決定することが可能になる。したがって、検出要素DTは、支持体Pの主平面内に二次元的に位置する第1の時間t_α及び第2の時間t_βを測定するだけである。これにより、X線源10及びコリメーション装置によって形成されたアセンブリの投影行列を使用することによって、検出要素DTの下流に位置する放射線画像形成平面内の検出要素DTの位置を投影することが可能になる。このような画像形成平面内の要素の投影のための数学的形式主義は、特許出願WO2017072125(A1)に見出すことができる。この投影位置は、要素DTの検出及びこの投影位置の計算と同時に放射線画像が取得される場合、以前に取得された放射線画像に、又はリアルタイムで使用することができる。
【0052】
図5は、本出願の第2の態様による検出システム2を概略的に示し、X線管の形態のX線源10と、図5の場合には水平である回転軸の周りに支持体20を回転させることができるモータに固定されたCdWO製の支持体からなるコリメータと、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)製の円筒形のファントム本体内に配置された窒化ガリウム(GaN)に基づく検出要素DTと、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を備える処理ユニット50とを示す。
【0053】
図6Aは、角度を測定するための光学フォークの動作原理を概略的に示す。
【0054】
一実施形態では、角度α及びβは、光学フォークを使用して測定することができる。第2の支持体20bは、支持体の主平面Pに平行に位置決めすることができる。第2の支持体20bは、支持体20に固定されるか、又は支持体20の一体部分を形成する。この第2の支持体20bは、可視範囲又は近赤外範囲で透明であり、第2の支持体20bと回転軸Δ15との間の交点に対応する点を中心とする円の周囲の周りに均一に角度分布した、一連のN個の開口(以下、窓と呼ぶ)を含むことができる。N個の窓は、他の窓よりも広い(又はそれぞれ狭い)窓に対応することができる基準窓に対してインデックスが付けられる。
【0055】
光学フォークは、互いに対向するエミッタ21及びレシーバ22を備える。エミッタ21は、光波を放射し、この光波は、窓のうちの1つを通過するとき、レシーバによって受け取られる。したがって、窓が信号をエミッタから検出器に通過させるときに電気パルスが生成される。この基準窓がより広い(又はそれぞれより狭い)場合、基準窓に対して得られる電気パルスは、他の窓に対して受信される電気パルスよりも広い(又はそれぞれより狭い)。
【0056】
支持体20が回転している間、コリメーション装置1がX線源10からのX線に曝されると、検出要素DTは、第1の角度位置α及び第2の角度位置βで、スリット30を通過するX線に曝される。DTの2つの検出時間に時間的に最も近い光学フォークによって送達される電気パルスは、2つの対応する窓のインデックスを決定することによって、支持体20b、したがって支持体20の角度α及びβを直接決定することを可能にする。窓のインデックスは、基準窓によって生成された基準パルスの後に検出されたパルスの数を数えることによって決定される。N個の窓を有する構成モードでは、角度α及びβは、360/N度の精度で知ることができる。したがって、検出要素DTの支持体Pの主平面における投影位置Cの位置の座標xC及びyCは、測定された角度位置α及びβの値から決定することができる。この構成は、この測定システムが支持体20の回転速度の起こり得る変動から独立しているため、角度α及びβの決定をより堅牢にする。
【0057】
光学フォークを有するこの実施形態の一変形例では、第2の支持体20bは、限られた数のインデックス付き窓、例えば360個の完全インデックス付き窓を有する一連のものを含むことができる。この変形例では、処理ユニット(50)は、2つの連続する検出窓を分離する角度分解能よりも大きい角度分解能を得ることを可能にする位相ロックループ(PLL)を実装するシステムを備える。具体的には、位相ロックシステムは、光学フォークによって送達される電気信号の周波数の倍数であり、光学フォークによって送達される電気信号と同相の周波数で電気信号を送達する。したがって、角度的に1°だけ離間した2つの連続する窓の間で、処理ユニット50は、光学フォークの出力で電気パルスの周波数よりも10倍速い信号を生成することができる。この構成は、角度分解能を向上させることによって、角度α及びβを測定するためのシステムをより正確にする。
【0058】
図6Bは、位相ロックループの動作原理を概略的に示す。信号61は、光学フォークによって送達される信号である(N=13)。信号62は、位相ロックシステムによって送達される信号である(光学フォークによって送達される同相で3倍の周波数の信号、すなわち39パルス)。信号63は、時間t_α及びt_βでのパルスを含む検出要素DTによって送達される信号である。支持体20の角度α及びβの決定は、図6Bの底部の最後の行に示されるようにそこから続き、αは(11/39)×360°にほぼ等しく、βは(27/39)×360°にほぼ等しい。
【0059】
図7は、回転軸Δから4mm、7mm、及び12mmのそれぞれの距離で、PMMA製のファントム本体内に配置されたX線検出要素DTの3つの異なる位置に対する時間t_α及びt_βの測定結果を示す。4mmの距離に対する時間t_αとt_βとの差は、12mmの距離よりも大きい。具体的には、検出要素DTが回転軸Δに近いほど、支持体Pの主平面上の投影位置が回転軸Δに近くなり、この投影位置を照射するスリットの部分の速度が遅くなる。
【0060】
図8は、上述の検出システムを実装する、本発明による位置特定方法の一実施形態によって得られた前述の検出要素DTの位置を特定するための様々な結果を再現する。支持体20の2つの回転速度を使用した(それぞれ図8の上段テーブルの場合は1000回転/分、図8の下段テーブルの場合は1500回転/分)。1秒あたりの蛍光透視パルスの数
は、それぞれ60及び38である。投影位置P1、P2、P3は、それぞれ3つの検出要素に対して定められた位置である。検出要素DTから回転軸Δまでの半径方向距離rの測定値は、実際の距離と一致する。ミリメートル精度が得られる。
【0061】
本出願の別の態様では、上述のX線検出システム2の処理ユニット50はまた、検出要素DTを通過し、コリメータに平行な平面とX線源10との間の距離Lを、検出要素DTの照射持続時間tirrの測定から、支持体の回転角速度Vから、X線源10と支持体20との間の距離dSSから、及びスリット30の幅lから決定するように構成することができる。距離Lを決定することにより、検出要素DTを3次元で空間的に位置特定することが可能になる。
【0062】
X線源10が発散性であると仮定することによって、以下を実証することができる。
【数3】

式中、tirrは検出要素DTの照射持続時間を表し、
SSは、X線源10と支持体20との間の設計上既知の距離であり、rは、支持体Pの主平面内の投影位置Cと、軸Δと支持体20との交点との間の距離である。この式では、発散X線源10を仮定しているため、検出要素DTがX線源10から遠いほど、検出要素DTの照射持続時間が長くなると表現することができる。
【0063】
図9は、発散を示すX線源10によって照射された支持体20のスリット30から検出要素Dへの平面X線流の伝播を示す。検出要素DTがX線源10から遠いほど、検出要素DTが受信する信号は時間的に広くなる。
【0064】
具体的には、検出要素DTは、外科用器具又はカテーテルなどのX線源10に対して移動可能な対象物Tに固定された小型X線検出器であると想定することができる。この場合、検出システム2は、施術者又は操作者が患者の体内に導入された外科用器具をリアルタイムかつ三次元で位置を特定することを可能にすることができる。このために、追跡される対象物Tの移動速度に対して、支持体20の回転速度Vが非常に速いと仮定する。例えば、検出要素DTは、光ファイバに光学的に結合された放射線発光GaNトランスデューサを備える、典型的には800ミクロン未満の外径を有するプローブとすることができ、光ファイバ自体は、その他端によって「光子計数」モードで動作する光検出モジュールに接続される。
【0065】
1つ又は複数の実施形態では、X線源10は、一方がX線放射モードであり、他方がX線非放射モードである、交互に使用される2つのモードからなる放射サイクルでX線を放射するように構成されたパルス源である。そして、検出要素DTは、X線放射サイクルと同期してスリット30を通過するX線を検出するように構成されている。この場合、特に、パルス源の発射持続期間、すなわちX線放射モードの持続期間にわたって支持体20が一回転するように、支持体20の回転速度を選択することが可能である。この放射持続時間は、数ミリ秒から数十ミリ秒続く可能性がある。支持体20の角速度Vは、20ミリ秒の放射持続時間の間、毎分3000回転に調整される。
【0066】
例えば、支持体20は、支持体20がX線源に曝されたときにシンチレーション光子を放射するように構成されたX線シンチレータ材料で作ることができる。シンチレータ材料は、CdWO、LSO、LYSO及びBGO又は高原子番号を有する任意の他の材料から選択することができる。支持体20の厚さは、所望のX線減衰に応じて、0.5mmから4mmの間であってよい。この場合、検出システム2は、シンチレーション光子を検出
し、検出されたシンチレーション光子から生じる光電流を放出するように構成されたフォトダイオードPDをさらに備える。使用可能なフォトダイオードPDの一例は、Farnellが販売する光スイッチOPL551である。フォトダイオードによるシンチレーション光子の検出は、スリット30を通過するX線の検出要素DTによる取得をトリガすることを可能にする。言い換えれば、支持体20のシンチレーションが検出されるX線のみが検出される。これは、例えば、検出コントラストを改善し、誤検出を減らすため検出閾値の選択を容易にするために、要素DTが照射されていないときに(すなわち、支持体のシンチレーションが存在しないときに)決定されたバックグラウンドレベルを減らすために使用することができる。
【0067】
上記の構成において、処理ユニット50は、フォトダイオードによって放出された光電流を使用して、パルス源の放射モードの持続時間に対する支持体の回転角速度Vを自動的にフィードバック制御することができる。これにより、検出要素DTは、X線源10がX線放射モードのときのみX線を検出するので、X線源10による放射がないときに存在するノイズを回避することができる。
【0068】
図10は、X線撮像システム3を概略的に示す。このX線撮像システム3は、本文献に記載の実施形態のいずれか1つによるX線検出システム2を実装することができる。そのような撮像システム3は、特に患者の身体の一部の放射線画像を生成するように意図されている。そのような撮像システム3は、撮像システム3の取得フィールドに配置された取得行列Mを形成する複数の取得要素Miを備える。取得行列Mの各要素Miは、検出システムのコリメータの支持体20がその軸Δの周りを回転しているときに、支持体20が部分的に放射線透過であるように選択されたときにスリット及び/又は支持体20を透過したX線流を、統合によって取得することができる。したがって、スリットの1つ又は複数の回転(半径方向走査)の後に、蛍光透視画像が得られるか、そうでなければ、十分なX線を通過させるように放射線不透過性が調整された支持体を使用して、場合によっては劣化した画像を再構成することができる、2つの異なる方法で画像を再構成することが可能である。1つの撮像平面におけるこれらの2つの画像取得モードは、本文献に記載されているように、別の平面の上流に配置された検出要素DTの位置を検出するための方法と組み合わせて使用することができる。得られる画像の品質は、特に、各画像の取得に使用される支持体の回転数、支持体に使用される材料及びその厚さ次第である。これらの画像取得モードのうちの1つを検出要素DTの位置を検出するための方法と結合することによって、(場合によっては劣化した)画像内の検出要素DTの位置をリアルタイムで特定することが可能である。
【0069】
これにより、取得行列Mは、取得行列Mを構成する取得要素Miによって所与の期間にそれぞれ行われた取得に基づいて、放射線画像を取得することができる。ここで提示される撮像解決策の速度は、カテーテルなどの外科用器具を監視するのに十分ではないが、術前画像のゆっくりとした更新を可能にすることに留意されたい。取得行列Mの一例は、293×398mmの寸法、1904×2586ピクセルの解像度を有し、そのピクセルのサイズが154ミクロンである、THALES製のPixium3040モデルであり得る。
【0070】
図10では、撮像システム3は、上述の検出システムと、ファントム本体の下流の撮像平面に配置された取得行列Mとを含むことが分かる。取得行列Mは、PMMA製のファントム本体を通過したX線流によって照射されることが分かる。
【0071】
1つ又は複数の実施形態では、X線撮像システム3は、X線源10と支持体20との間に配置され、取得行列M上の投影FOVが取得行列Mのサイズを超えない視野を画定する平面ダイヤフラム21を含む。例えば、30cm×30cmの正方形の視野FOV及び倍
率3の場合、平面ダイヤフラム21は、10cm×10cmの正方形の視野を形成する2対の「顎部」からなる。典型的には、X線源10と取得行列Mとの間の距離は、患者の後ろであるが比較的近い距離に配置され、100cmに等しい。典型的には、X線源10と支持体20との間の距離は40cmである。典型的には、X線源10と平面ダイヤフラム21との間の距離は35cmである。典型的には、X線源10と患者の体内に導入された検出要素DTとの間の距離は80cmである。一般に、検出器は長方形の形状であり、ダイヤフラムも長方形である。これらの実施形態では、X線が取る経路は、線源-ダイヤフラム-回転単一スリットコリメータ-検出要素DTを備えたカテーテルを有する患者-1つ又は複数の画像の取得用2DX線検出器(例えば、画素行列)の順である。
【0072】
このような撮像システム3は、患者の照射線量を制御することを可能にするだけでなく、放射線画像の生成及びX線撮像システムを実装する医療手術に使用される手術要素のリアルタイムでの3次元位置特定の両方を結合することを可能にする。このような要素は、例えば、カテーテル留置術において患者の体内に挿入されるカテーテルである。
【0073】
図11は、支持体20を経時的に回転させることによって得られる、支持体20、したがってスリット30の複数の連続する角度位置を示す。したがって、スリット30は、スリット30からのX線流と取得行列M上の投影FOVとの間の各時間の交点から、取得行列M上の投影FOVの照射走査を生成する。
【0074】
一方はX線放射モードであり、他方はX線非放射モードである、交互に使用される2つのモードからなる放射サイクルでX線を放射するように構成されたパルス源を使用する場合、取得行列Mは、X線放射サイクルと同期して放射線画像を取得するように構成される。
【0075】
具体的には、支持体20がX線シンチレータ材料で作られ、X線源に曝されるとシンチレーション光子を放射することができ、検出システムがシンチレーション光子を検出し、検出されたシンチレーション光子から生じる光電流を放出することができるフォトダイオードPDをさらに備える場合、フォトダイオードによるシンチレーション光子の検出は、X線画像のうちの少なくとも1つの取得行列Mによる取得をトリガすることを可能にする。したがって、放射線画像の取得行列Mによる取得はウィンドウ化され、窓はX線源10による異なるX線放射モードに対応する。取得行列Mによって取得された各放射線画像は、X線源10の複数の放射サイクルにわたるX線の蓄積に由来する。これにより、取得行列Mは、X線源10からのそれらのX線のみを検出することができ、取得行列Mによって取得された放射線画像の品質を低下させる可能性があるノイズの検出を回避することができる。
【0076】
加えて、処理ユニットは、フォトダイオードPDによって放出された光電流を使用して、パルス源からのパルスの持続時間に対する支持体の回転角速度Vを自動的にフィードバック制御することができる。これにより、処理ユニットとX線発生システムとの間の相互接続を必要とせずに、パルスの持続時間にわたって支持体が少なくとも1回転を完了したことを確実にすることができる。
【0077】
図12は、上述の撮像システム3を実装する、本発明によるX線撮像方法の一実施形態によって得られた3つの放射線画像を示す。各画像は、図12の左から右に、それぞれ回転軸Δから12mm、7mm、及び4mmに位置決めされた小型の検出要素DTの位置に対応する。3つの画像のそれぞれにおいて、中央に黒いディスクが見える。この黒いディスクは、支持体20上のスリット30が位置決めされる距離dの特徴である。この黒いディスク、すなわち不感帯は、それが黒いディスクに接するスリットの位置に対応する非常に明るいハローによって囲まれており、具体的には、これらの位置では、支持体20の回
転速度が最も遅く、これは、スリット30をより長期間照射する効果を有する。この明るいハローを超えると、支持体20の周囲の方向に輝度が低下する。
【0078】
したがって、本発明は、X線撮像システム3の2つのモード、すなわち、体内の外科用器具などの対象物の位置を特定し、及び追跡するためのモード、「リアルタイム」と、「低レート」撮像モードとを結合することができ、本発明によるコリメーション装置の低い放射線透過性により、より低いX線線量で放射線画像を生成することを可能にするという利点を有する。別の利点は、単純化された機器(単一スリットコリメータ)の使用にある。
【0079】
患者及び施術者のための照射線量をさらに低減するために、支持体Pの主平面及び支持体20の厚さの両方においてスリットの幾何学的形状を最適化することによって、コリメーション装置2並びに検出2及び撮像システム3並びに関連する位置特定及び撮像方法の改善が可能である。
【0080】
例えば、この低減は、本発明による上述の撮像方法を介して得られた画像に存在する不感帯の周囲に見える非常に明るいハローを減衰させることによって達成することができる。
【0081】
明るいハローを減衰させ、照射線量を減少させるためのスリット30の一実施形態は、より浅い、すなわち、部分30aにわたって支持体20の回転軸Δの近傍で放射線不透過性材料の厚さを維持するスリット30、及びより深い、又は支持体20内に切断される、すなわち、部分30bにわたって支持体20の縁の近傍で支持体20の材料を通過するスリット30の使用であり得る。
【0082】
明るいハローを減衰させ、照射線量を減少させるためのスリット30の別の実施形態は、3つの領域、すなわち、支持体20上の支持体の回転軸Δの投影を中心とする半径dの円と共にスリット30の接点から第2の距離d’だけ離間した2つのスリットセグメント301及び302、並びに放射線不透過(又は放射線透過がより少ない)中央部分303において、本出願に記載の回転軸Δから距離dだけ偏心したスリット30を画定することである。
【0083】
図13は、そのようなスリット30を有するコリメーション装置を概略的に示す。図13には、ディスクの形態の支持体20が示されている。支持体20は、各々がスリット30の接点から第2の距離dd’だけ離間した2つのスリットセグメント301及び302からなる回転軸Δに対して距離Rだけ偏心したスリット30と、中央部分303とを備える。2つのスリットセグメント301及び302は、部分的な放射線透過性を示す。中央部分303は、ゼロ放射線透過性を示す。
【0084】
コリメーション装置の一実施形態では、スリットを含む支持体の主平面は、1つ又は複数の穴又はチャネルをさらに含むことができ、これらのチャネルは、本文献に記載された実施形態のいずれか1つによる撮像システム内でコリメーション装置を較正するために使用される。チャネルは、支持体の主平面から画像取得平面(画像平面とも呼ばれる)への投影行列を決定することを可能にする。したがって、コリメーション装置1の支持体の主平面内で初期に計算された検出要素の位置は、この投影行列を適用することによって画像平面内で決定することができる。
【0085】
この投影行列は、撮像システムのX線源及びX線検出器に対する支持体の平面の幾何学的位置情報を収集する。このため、検出要素の位置を探索する段階に進む前に、スリットの投影だけでなく各チャネルの投影も現れる少なくとも1つの画像が取得され、各チャネ
ルの投影は、問題のチャネルを通過して画像平面に到達するX線によって形成される。
【0086】
チャネルの特性は以下の通りであり得る。直径は、画像平面内のチャネルの投影を確実に検出するためにX線を通過させるのに十分でありながら、患者に過度に照射するのを回避するように選択される。チャネルの直径は、例えば、スリットの幅と同程度の大きさである。より良好な較正精度を得るために、スリットのための支持体の平面の縁にチャネルを位置決めすることができる。コリメーション装置の支持体の主平面内の各チャネルの位置は既知である。
【0087】
支持体が複数のチャネルを含む場合、チャネルは互いに区別可能でなければならない。このために、チャネルは、異なる直径を有することができるか、又は形成された配置がそれらを区別することを可能にするように位置決めすることができる。追加で、チャネルは位置合わせされるべきではなく、例えば、支持体の主平面が4つのチャネルを有する場合、それらは四辺形を形成するべきである。図14Aは、別個の直径を有する4つのチャネル50A、50B、50C、50Dを有する単一スリット20コリメーション装置1の一実施形態を示す。
【0088】
図14Bに示す別の実施形態では、スリット20を含む支持体の平面は、上述の特性を有する単一のチャネル50Eを含む。平面を回転させることができるので、コリメーション装置を毎回既知の角度だけ回転させ、角度ごとに画像を取得することによって、少なくとも3つの他のチャネルの存在をシミュレートすることができる。この実施形態は、いくつかの利点を有する。平面内のチャネルがより少なく、したがって、検出要素の位置を特定する段階中に患者に到達することができるX線はより少ない。画像平面上のチャネルの投影を区別する問題はもはや生じず、各画像はコリメーション装置の支持体を回転させた後に取得される。したがって、既知の支持体の主平面内のチャネルのそれぞれの新しい位置は、画像平面内のその投影位置に関連付けられる。支持体の平面のみが回転し、他の要素は移動しないので、アセンブリを較正することができる。
【0089】
支持体の平面から画像取得平面までの投影行列を決定するための視野を有するこの文脈で使用することができる較正方法は、仏国特許出願第3028039号明細書又は国際公開第2016071645号パンフレットに記載されているものとすることができる。この較正方法では、少なくともN個のチャネルの投影の画像平面内の位置が、1つ又は複数の取得された画像から決定される。基準位置における「撮像+コリメータ」システムの固有の較正行列及びこの基準位置に対する画像平面内のチャネルの投影位置が取得される。次いで、各チャネルを突き合わせることによって、基準位置及び測定位置におけるチャネルの投影位置の間のホモグラフィが計算される。このために、基準位置と測定位置との間で、「線源+コリメータ」アセンブリが堅固に接続され、したがってそれらは互いに対して移動しないと仮定する。画像検出器のみが、基準位置と測定位置との間で「線源+コリメータ」アセンブリに対して自由に移動することができる。較正に使用されるチャネルの数Nは、ホモグラフィを決定するのに十分でなければならない。例えば、少なくとも4つのチャネルがある(N=4)。「線源+コリメータ」アセンブリが堅固に接続されていない場合、他の方法を使用して、支持体の平面内に表された検出要素の位置を画像平面に投影する。例えば、測定位置にある撮像システムの固有の較正行列は、既知の3Dテストパターンを使用し、撮像システムが既知の時間間隔内で機械的に再現可能であると仮定することによって、オフライン較正によって得られる。さらなる詳細は、国際公開第2016071645号パンフレットで得られる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
【国際調査報告】